貴方「僕がヒロインを攻略するまどか☆マギカ…オカルト?」マミ「それは終わったわ」

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404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 22:35:43.37 ID:EOaB0VqL0
そろそろドロドロの女の闘いが始まるかな?
405 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 21:14:08.62 ID:A0siUgHw0
18日目



 ……佐倉さんの話を聞くに、この街は他の街よりも魔女が多いらしい。


 佐倉さんには暁美さんのことは言えなかった。

 不確定な情報で混乱させたくなかったし、なによりそんなことが広まれば暁美さんが不利になるだろうから。


 でも、少なくとも魔女が繁殖せずに発生することがあるというのはほぼ確信していた。


 この前から気になっていた。魔女はどこからくるのかと。

 考えてみればこの街以外でもそうだ。魔女は同系統の使い魔しか生まない。最初に生まれた魔女がいるはずだ。



ほむら「【貴方】くん」


 気付けばもう放課後だ。暁美さんが席に来ていた。


貴方「ああ、暁美さん……もう帰る?」

ほむら「ええ。そうなんだけど」


貴方(まさか、その元凶も…………暁美さんが?)


ほむら「……?」


 たった一人で全ての魔女を生み出してるとは考えにくいけど、前に考えたみたいに組織でもあったとすれば?



1暁美さんは信用できない
2さやかの言ったことはきっと勘違いだ
3もう少し考えてみよう

 下2レス
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 21:22:51.10 ID:8sPD96aN0
3
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 21:36:10.92 ID:+T9d/bUk0
408 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 22:27:28.67 ID:A0siUgHw0


 ……いや、疑心暗鬼に駆られちゃ駄目だ。

 魔法少女としての、暁美さんの謎――暁美さんの『正体』が何だったとしても、今まで見てきた暁美さんも『本当』だ。


 そんなに器用な人じゃないのはよく知ってる。そもそも、魔女の自然発生の話を聞いたのは暁美さんが最初だったじゃないか?


貴方「うん、一緒に帰ろうか」

ほむら「……今日はうちに来ない? ……何もなくてつまらないと思うけど」

貴方「そ、そんな気を遣わなくていいよ。誘ってもらえるのは嬉しいよ」


 さっきから何かを言いかけてたってことに今気づいたが、意外な誘いだった。

 暁美さんの家を訪れるのは二度目。前はさやかたちが居た。


ほむら「私もつまらないのよ、一人で家にいても。前だったらパトロールに出ていたけれど今は何もすることがない」

貴方「ああ……何かいい暇つぶしでも見つかればいいね。それか、とりあえずキュゥべえが起きてくれたら聞けるんだけど」

ほむら「キュゥべえ、どうしたのかしらね」


 ソウルジェムを失ってから暁美さんは時間が余っているようだった。

 キュゥべえのことも気になるが、このまま魔法少女としての力が戻ればそれで全て解決になるのだろうか――とも思ってしまう。

 この先、魔女を全て倒した後は? 一生魔法少女としての力に囚われたままというのはあまりに空虚すぎる。

409 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 22:40:46.73 ID:A0siUgHw0

貴方「おじゃまします」

ほむら「ええ、とりあえずそこに掛けて」


 家に上がらせてもらうと、第一印象はやはり生活感がない部屋――ってことだった。

 何もないとは言っていたが、謙遜ではなく無駄なものどころか必要なものすらないように見えた。

 だからかわからないが、アパートの一室にしては外観より広く思える。


 円を描くように並んだ椅子。その中央にあるテーブルを挟んで二人で座っている。

 四面を覆う白い壁と、規則的な振り子時計の音にどことなく圧迫感を感じる。


 あの時と違って二人だけで静かな部屋だから余計に気になるんだろうか。


貴方「……この椅子の並びって時計?」

ほむら「多分」

貴方「あ、もしかして時間操作の魔法だから?」

ほむら「……多分」

貴方「そのへんで寝てるの?」

ほむら「ええ……適当に」

貴方「身体痛くならない?」

ほむら「よく転げ落ちるわ」

貴方「……」


 もう少し快適にしようと思えば出来るだろうに、それも興味がないのかな……。

410 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/27(土) 23:09:53.33 ID:A0siUgHw0

貴方「物増やしたりしないの? ……あれ?その箱は?」

ほむら「昨日やることがなくて掃除をしていた時に見つけたの」


 部屋の隅にダンボールが1箱置かれているのを見つけた。

 すでに封は開いているようだった。


貴方「ダンボール? 何か頼んだの?」

ほむら「いえ」

貴方「宅配便じゃないってことは、引っ越しの時のダンボールとか?」

ほむら「……多分」

貴方「……前から思ってたけど、暁美さんって不思議な言い方をするよね。自分のことなのによく『多分』なんて言い方をするから」

ほむら「え……?」


 暁美さんについての『違和感』……それは前まで明確じゃなかったけれど、いつからか自分の中ではっきりとしていた。

 それが『自分のことなのに推測のような言い方をすること』――だった。


貴方「暁美さんに何か聞いても『さあね』なんて言って誤魔化されちゃうこと多いけど、もしかして、さ」


 もしかして俺の推測が全部間違ってて本当に悪いことを隠してるんだったらどうしようって思ったけど、

 自分の見てきた暁美さんへの思いを信じることにした。


貴方「本当に答えられないんじゃない? ……自分でも知らないから」

ほむら「………………」

ほむら「……どうして」

ほむら「…………どうして、そのくらいのことも誰にも相談できなかったのかしらね」
411 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 00:08:21.99 ID:3DbugbAB0

ほむら「気付いたら私はこういう人だったのよ。魔法少女としての力以外、自分と言えるものが何もなかった」

ほむら「それと……『まどか』」

貴方「……鹿目さん?」

ほむら「ええ。『まどかを救う』のが自分の役目だと。それだけ意識にあったの」

ほむら「でも、そんな必要なかったのよ。【貴方】くんも知っての通り」

貴方「ああ……そうだな。鹿目さんは強い人だよ」


 暁美さんはついに心の奥にしまっていたものを話してくれた。


 それなら鹿目さんに執着していたのも、魔法少女としての力以外に自信がないのも無理はない。

 それだけが自分を作るものだったのだから。


ほむら「どうしてまどかを救おうとしていたのか、私も結局わからなかった」

ほむら「あの子のことなんて私は本当はどうでもよかったのでしょうね。友達にもなれなかった」

貴方「今からでも友達にはなれるんじゃない……? ほら、魔法少女じゃなくなったってクラスメイトなんだしさ」


 しかしそれも、暁美さんにその気があるならの話だ。それにさやかのこともある。


ほむら「このことを相談したら、美樹さんもわかってくれるのかしら?」

貴方「……いや、残念だけど、それは無理かもしれないと思う」


 さやかは一昨日の一件から暁美さんを疑ってる。

 今更暁美さんが知らないことを話したところで、嘘をついてると思われてもおかしくない。


貴方「そうだ、一昨日の夜って家に帰ってからどうしてた? 何か変なことはなかった? ……魔女とか見なかった?」

ほむら「外には出ていないわ。変なことは何も」

貴方「……そっか。あと、魔法はやっぱり使えないんだよね?」

ほむら「ええ。ソウルジェムは魔力の源だもの。あれがないと使えないのでしょう」


 じゃあ、あの話は本当に見間違い? 消えたっていうのは?

 謎は謎のままだ。

412 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 00:38:29.26 ID:3DbugbAB0

ほむら「……水も出せてなかったわね」

貴方「本当にそんなに気を遣わなくていいよ」


 ……思ったより話しこんでいたようだ。

 いつのまにか夕方になっている。


貴方「夕食はいつもどうしてるの?」

ほむら「買うか外で食べてるわ。……食べないこともあるけど」

貴方「ちゃんと食べないと駄目だよ! 一緒にどっかいく?」

ほむら「それでもいいわね」


 この辺なら、少し歩けば色々と店はある。

 佐倉さんと一緒に居てせっかく料理屋事情にも多少は詳しくなれたんだ。


 暁美さんの家を出る前に、蓋の開いたダンボールの中身が見えた。


貴方「それって眼鏡? 暁美さん、目悪いの?」

ほむら「いいえ……困ったことはないわ。私も昨日見つけて」

貴方「近眼用じゃないんじゃない? お洒落用とか、ブルーライトカットとか」

ほむら「私はそんなのにこだわる人だったのかしら……」


 暁美さんがケースを手に取る。言ってはみたもののたしかにそういうイメージは思い浮かばない。

 中身は赤縁の眼鏡だ。


貴方「近眼か遠視かわからないけど視力補正用みたいだね。レンズのむこうが歪んでる」


 可愛らしいケースの雰囲気からして、暁美さんのイメージとは離れたものだった。

 ダンボール箱の中には他にも似たような印象の小物類が目についた。


ほむら「どこのお店に行くの? 行きつけとかあるの?」

貴方「ああ、まあ最近気に入った店ならあるかな」


 いつのまにか暁美さんもケースを元の位置に戻している。

 中身は気になったが、ジロジロ見るのもあまりよくない。

 これから行く店のことに思考を移した。


――――
――――
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 07:57:49.64 ID:HD7QHusI0
眼鏡掛けてって頼んだらしてくれるかな?
414 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 19:52:09.09 ID:3DbugbAB0
19日目



 ――朝、教室に行くとなんだか騒がしかった。

 廊下からでも人だかりが出来てるのが見える。

 そこにある席って、たしか……。


*「どうしたの? 暁美さんそれ、イメ……チェン?」

*「それ度が入ってるの?」


貴方(やっぱり暁美さんの席だ……)


 暁美さんはみんなの憧れの的だ。彼女の周りに集まるのはクラスでも積極的で派手目なタイプの人が多かった。

 今も男女問わず集まっているが、聞こえるのはどちらかというと、ざわめきや心配するような声だった。


 ……それをさやかたちは遠巻きに見ていた。


さやか「……なにあれ? アイツいきなりどうしちゃったのさ?」

まどか「ずいぶん雰囲気変わっちゃったね……」

仁美「このイメチェンは予想外でしたわ。【貴方】くんは何かご存知ですか?」

貴方「いや……」


 俺だって予想外だった。

 でも、昨日話した中で思い当たることなら。


貴方(……眼鏡?)

415 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 20:22:18.85 ID:3DbugbAB0


 ――――それから、暁美さんとちゃんと話せたのは昼休みになってからだった。

 半日も経つと、物珍しさで集まっていた生徒もすでに去っていた。


ほむら「【貴方】くん、あの、あの……話してもいいですか?」

貴方「は、はあ。どうぞ?」

ほむら「昨日帰ったあと、試しにこの眼鏡をかけてみたら……記憶が戻ったんですよ!」

ほむら「ついに自分を取り戻せたんです。今なら自分がどんな人かも、どうやって育ったかも、いつ契約したかも……ちゃんと言えます」


 直接話してみると、朝心配されてたのがよくわかるくらいには雰囲気が違った。

 これがなくしていたものを取り戻した、本来の暁美さん。


 ――やっぱ、唐突に言われると困惑のほうが大きかった。

 俺からしたら、今まで見てきたのが暁美さんのイメージだったから。


貴方「……それはよかったけど、そんな感じだったの?」

ほむら「…………」


 そう言うと、暁美さんはおもむろに眼鏡を外した。


ほむら「話そうと思えば今まで通りにも話せるわよ。もうこっちでも慣れたから」

貴方「あ、そうなん……」

ほむら「でも……どっちにしても、そう大きくは変わってなかったのよ。人付き合いが得意じゃないのは元から。暗いのも元から」

ほむら「他の人にはそうは見えないのかもしれないけどね」

貴方「……ところで、眼鏡を外す必要は?」

ほむら「気持ちを切り替える何かが欲しいだけ」


 そう言うと、暁美さんはふたたび眼鏡をつけた。

 視力で困ったことはないと言ってたけど、不思議とつけても外しても過ごせるみたいだ。

416 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 20:54:59.66 ID:3DbugbAB0


貴方「それより、いつ契約したかも思い出したって言ったよね。それについては!?」

ほむら「あ……はい。それは放課後にみなさんの前で言います」

ほむら「私がはっきり事情を言わなかったせいで疑われるようなことになったんです。他の人ともちゃんと話したほうがいいと思って」

ほむら「私も実は、みんなとどう接したらいいかわからなくて……【貴方】くんとはこうやって話せたんですけど……」

貴方「俺と話せたんなら大丈夫だと思うよ? ゆ、勇気持って!」

ほむら「は、はい」


 ……やっぱり慣れないな。

 そう思いながらも、オドオドと自信なさげにしてる暁美さんを元気づけた。


――――
――――



 それから放課後、訓練場所の土手にみんなを呼んで集まった。

 合同訓練は休日にやってたから、平日に集まることはそうそうない。今日は訓練じゃなく話。

 ここに来るまでにもみんな特別な空気は感じ取ってたみたいだ。



 キュゥべえも引っ張って連れてきたけどまだ寝たまま。

 ……いや、引っ張ってというのは正しくない。実際には暁美さんの腕の中ですやすやしてる。正直羨ましい。


貴方「……ここまで運んで来ても、やっぱキュゥべえは寝たままか」

ほむら「でも寝顔見てるとかわいい」

マミ「それで、暁美さんから話があるって聞いたんだけど……今日はどうしたの?その格好は?」

さやか「今日は朝からこうなんですよ。で、何を話すの?」

ほむら「と、とりあえず聞いてください……今まで話せなかった、私のことを」

417 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 21:31:04.88 ID:3DbugbAB0


 暁美さんはまず、俺が昨日聞いた記憶喪失のことと、記憶を取り戻した経緯を話した。

 そして、話は暁美さんの過去のことに入る。


ほむら「小さい頃から身体が弱くて、入院生活ばかりだった私にはなかなか友達ができませんでした」

ほむら「でも魔女に襲われた時、鹿目さんと巴さんに助けてもらって……そこから鹿目さんとも仲良くなれたんです」

ほむら「鹿目さんは、私にとってはじめてできた友達だった。だから大切だった。……今度は自分が助けたいと思った」

まどか「え、えっと……?」

さやか「なんでまどかが知らないのよ!」


 話の途中で割り込まれると、暁美さんは一瞬口ごもり、そして片手で眼鏡を取った。


ほむら「い、いいから話を聞きなさい!」

貴方「ま、まあまあ。先を聞こう」


 オドオドから一変した強気な一喝はなかなかに効いたようだ。……まあ、眼鏡取っただけなんだけど。

 そして、さっきの豹変など何もなかったかのように続けた。


ほむら「……二人はその後、大きな魔女と戦ったせいで死んでしまった。それをなかったことにするためにキュゥべえと契約して過去に戻ったんです」

杏子「なるほどねえ、だからキュゥべえも契約した覚えがないと……。肝心のキュゥべえは寝てるけどな。おーい、話聞いてた?」

QB「きゅ…………?」

マミ「いつからこんな寝坊助さんになってしまったのかしら。うちにもほとんど顔を見せなくなったし……」

さやか「まあでも、ちゃんとキュゥべえと契約して魔法少女になったっていうのね」

マミ「それで、大きな魔女っていうのはどんなものなの? 私と鹿目さんでやられるくらいだし、対策が必要になるかもしれないわよ」

ほむら「たしか、ワルプルギスの夜――って聞いたような」

杏子「来んのかよ! いつ?」

ほむら「で、でもそれってずっと前のはずなので……多分もう大丈夫なんだと思います」

マミ「時間を戻ったらワルプルギスの夜がくることもなかったことになったのかしら?」

ほむら「多分……」

杏子「そりゃよかった。最悪死ぬかもしれない相手とやりあいたくなんてないよ。まあ、その時と違ってこんだけの人数がいれば勝てそうだけど」


 話に出てこなかった人がいたのは気になったが、その過去自体がずっと前の話のようだ。

 すでに過ぎ去った危機と考えてもいいんだろうか。

418 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/02/28(日) 21:58:45.66 ID:3DbugbAB0


貴方「それでその話って終わり?」

ほむら「はい。これ以上はとくにないですけど……」

貴方「そっか。ありがとう。じゃあ、時間を戻ったときに記憶が飛んじゃったのかな……?」

マミ「時間と一緒に自分の記憶も戻される……そのせいで記憶に混乱が起きたとか?」

まどか「ワルプルギスの夜さんがこなくなったのはいいけど、あんまり意味ないね……。むしろマイナスかも」

杏子「ちょっとキュゥべえ」

QB「むにゅ……」


 佐倉さんがキュゥべえを突っつくがほぼ無反応だ。


まどか「ま、まあ……なんだか急すぎてびっくりしたけど、今のほむらちゃんならちょっと親近感湧くかも」

ほむら「…………」


 鹿目さんはそう言ったが、暁美さんはどうしたらいいかわからなさそうにしてた。

 ……時間を戻る前と違ってこれまでのことがあるんだから、当然だろうか。


 そういえば、いつのまにか呼び方も変わってる。他の人に対する時と同じ、苗字呼びだ。


さやか「……あたしもアンタのことあからさまに疑いすぎてたよ。その話、忘れてることくらいちゃんと話してくれればよかったのに」

ほむら「ご、ごめんなさい。きっと私が臆病だから変な意地を張ってたんです」

さやか「今ならともかく、前の姿見て臆病なんてイメージ出てこないわよ!」


 ……と言いつつも、さやかはまだ何かを考えるようにしてた。


 暁美さんの話は終わったが、まだ解散するには早い時間だ。

 せっかくみんな揃ってるんだから訓練でもするか?


1みんなと訓練
2さやかと話す
3ほむらと帰る
4自由安価

 下2レス
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 22:09:28.18 ID:zcYksC6x0
2
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 02:11:50.64 ID:CGmQTY1N0
421 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 18:54:32.20 ID:aani6tff0


杏子「で? このあとどーすんの?」

貴方「俺はまだここに残ろうかな。せっかくだしみんなで訓練にするのもいいんじゃないかな」

まどか「わたしもそれに賛成! 休みじゃなくてもせっかく集まってるんだもんね」

杏子「お茶会があるならあたしも喜んで参加するんだけどなあ」

さやか「まーたアンタは食い意地ばっかり張って!」

マミ「ええ、終わったらしましょうか。頑張った分のご褒美は必要だものね」

さやか「え、いいんすか! やった!」


 暁美さんは様変わりしてしまったが、他のみんなはいつもの空気だ。

 最近はとくにギスギスとしていたから、むしろ前よりも明るく感じる。


 その代わり、さっきまで中心になって話していた暁美さんは、そこがもう自分の居場所ではないというように離れたところから見ていた。


ほむら「……私は先に帰ってますね」

貴方「あ、ああ。また明日」


 ……暁美さんの願いは叶っていた。

 悲劇の元凶のワルプルギスの夜もいなくなって、今ここにいるみんなは誰一人として欠けることなく過ごしている。


マミ「どうしたのかしら?」

まどか「ほむらちゃん、ソウルジェムがなくなっちゃってもう魔法が使えないって聞きました」

マミ「そんなことが……。暁美さんは魔法少女を続けたいと思ってるのかしら?」


 前までだったら間違えなく『そうだ』と言えたけど、今の彼女の心はわからない。

422 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 20:14:01.70 ID:aani6tff0


貴方「やっぱり、俺たちってソウルジェムがなくなったら戦うことも魔法を使うこともできないんですかね」

マミ「そうなんじゃないかしら。ソウルジェムは魔力の源だもの」

マミ「変身するのもソウルジェムを使うし、変身せずに直接魔力を取り出して魔法を使うにもソウルジェムがないと」

貴方「やっぱそうっすかね……」

マミ「試しにやってみる? ソウルジェムなしに魔法が使えるかどうか」



 みんなで訓練をする傍ら、試しにソウルジェムを少し離したとこに置いて何かできるか試したが、案の定何もできなかった。

 何をどうしたらいいかもわからず、修行すれば技が打てると思い込んでいる中二病を見るような目で笑われたので虚しい気分になった。



さやか「んー……まあ、そりゃあたしたちフツーの人間だもんね。キュゥべえがくれた力がなきゃ魔法なんて使えるワケないよ」

マミ「暁美さんの話は急だったけど…………暁美さんがどう思ってるにせよ、なくなったのが本当なら当分はお休みになるわね」

マミ「せめてキュゥべえが起きてくれたらよかったけど、これだもの」

貴方「本当ならって、疑ってるんですか?」

マミ「魔女との戦いはいつでも命懸けだけど、彼女の強さを考えたら半信半疑にもなるわよ」

貴方「実は、ソウルジェムが壊された時俺も一緒に居たんです。あの時は魔女の攻撃を受け止めきれなくって」

マミ「そうだったの? それなら最初からそう言ってくれれば……【貴方】くんが言うなら信じるわ」


 マミさんは暁美さんのことを疑ってるんだろうか?

 さやかの時とは違って二人はあまり関わることもなかった分、険悪な様子は見られなかったけど……。


貴方「ところで、キュゥべえはなんでずっと寝てるんですかね?」

マミ「さあ……たしかにここまでくると心配よね。もし病気なら魔法で治せたりしないかしら?」


 キュゥべえは相変わらず寝ている。回復の魔法を使っても無反応だった。

 普段は学校に置き去りだが、このままここに置いていくのもあんまりなので結局お茶会にも持っていくことになった。

423 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 20:23:12.53 ID:aani6tff0


 ――――お茶会の帰り、みんなと別れた後は一人で帰り道を歩いていた。



 暁美さんが一人抜けても、チームは以前とほとんど変わらなかった。

 暁美さんは前から無口で、結局ずっと俺以外とは打ち解けられずにいた。

 このチームには居場所など感じていなかったのかもしれない。でも、みんなとの記憶が戻った今なら意識は変わったんじゃないか?


貴方(あの話……みんな受け入れてくれたのかな)


 前から暁美さんのことを疑ってたさやかは、途中で一回口を挟んだものの、最後を聞いた後は受け入れたようだった。

 さやかのことだから嘘だと思えばすぐ食って掛かるだろうし、そうしなかったってことは言葉通りに信用はしたのだろう。


 マミさんは多少疑ってたように見えたけど……。

 俺もあの暁美さんの様子には今も慣れないが、あの態度が嘘にも見えなかった。



 これまでの話に……



1矛盾はない
2矛盾はある

 下2レス
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/03/06(土) 20:33:07.16 ID:UuOO7zh/0
2
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 20:59:53.71 ID:oYBcWX71o
1
426 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 21:19:12.97 ID:aani6tff0


 ……暁美さんはワルプルギスの夜に殺された鹿目さんたちを守る為に契約して、過去に戻ってきた。

 鹿目さんに執着していたのも、キュゥべえが契約した覚えがないのもそのせいだ。


 俺らから見れば暁美さんは変わってしまったが、思い出した過去に納得しているようだった。

 聞いた話にたしかに矛盾はない。



貴方(…………じゃあ、気のせいか)



 暁美さんは魔法少女ではなくなってしまったが、俺たちは全ての魔女を倒すことを目標に戦い続ける。

 そして……――――――――不思議なことに、それは遠くない未来に達成できた。

 少し前から調べていた魔女の自然発生……それも勘違いでしかなかったんだろうか?

 それに、記憶が戻ったことのインパクトですっかり忘れていたが、暁美さんがそれに関わってるんじゃないかという疑いも。



 この世界からは魔女がいなくなり、魔法少女も魔法少年もいなくなった。

 真の平和が訪れたのだ!


 ただ……キュゥべえの姿もあのお茶会の日以来見ることがなかった。それだけが気がかりだった。

 一体何処に行ってしまったんだろうか? 短い間だったが一緒に過ごした友が消えたことには寂しさを感じていた。



 これからも俺たちの未来は――――



 ――――世界は突如、全てが真っ黒に潰されて終わった。

 意識が終わるその寸前、目の前には暁美さんの部屋と、そこでこちらに微笑む彼女の姿が見えた気がした。



END.? 強制終了
427 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 21:47:17.98 ID:aani6tff0
――――
――――


「……さすがにこの結末はあんまりだ?」

「この話に飽きた人もいるんじゃないの? ……私は飽きたわ。だってもうクリアしたゲームなのよ」

「蛇足でしかないのに、これ以上何を望むの?」



1ハッピーエンド
2謎の解明
3???の救済


「別に答えなくていいわよ」


「ハッピーエンド? 幸せなままで終わったのだからこれはハッピーエンドじゃない」

「謎の解明? 真実を知ったせいで絶望して魔女になった魔法少女を知ってるわよね。真実なんて知らないほうがいいものよ。
 この世界ではソウルジェムはただの魔力の源だって? ……ええ、そうだったわね」

「3は意味が分からないわ。もう名前を隠す必要もないほど察しはついていると思うけれど……」



「……『攻略』がしたいのね。ギャルゲーだから」



>>423を2でやり直します。???が攻略できるようになりました。


――――
――――
428 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 21:57:10.65 ID:aani6tff0


 ……暁美さんはワルプルギスの夜に殺された鹿目さんたちを守る為に契約して、過去に戻ってきた。

 鹿目さんに執着していたのも、キュゥべえが契約した覚えがないのもそのせいだ。


 俺らから見れば暁美さんは変わってしまったが、思い出した過去に納得しているようだった。

 聞いた話にたしかに矛盾はない。


貴方(でも、巴さんが疑い始めたのはあの話を聞いてからだ。それって……)



※矛盾に関係するセリフを選んでね

1マミ「そんなことが……。暁美さんは魔法少女を続けたいと思ってるのかしら?」
2マミ「暁美さんの話は急だったけど…………暁美さんがどう思ってるにせよ、なくなったのが本当なら当分はお休みになるわね」
3マミ「魔女との戦いはいつでも命懸けだけど、彼女の強さを考えたら半信半疑にもなるわよ」

 下1レス
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 22:11:30.52 ID:hvMAMh+A0
1
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/03/06(土) 22:12:52.77 ID:SSxLXnjO0
さっぱりわからん
431 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 22:17:06.57 ID:aani6tff0


貴方(暁美さんが魔法少女を続けたいと思ってるかどうか……前までは魔法少女であることだけがアイデンティティだったけれど今は違うはず……)

貴方(正直、記憶を取り戻した後の暁美さんがどう思ってるかよくわからないんだよな……)



※これじゃないようです…

1マミ「暁美さんの話は急だったけど…………暁美さんがどう思ってるにせよ、なくなったのが本当なら当分はお休みになるわね」
2マミ「魔女との戦いはいつでも命懸けだけど、彼女の強さを考えたら半信半疑にもなるわよ」

 下1レス
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 22:19:11.40 ID:oYBcWX71o
1
433 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 22:47:20.34 ID:aani6tff0


貴方(ソウルジェムがなくても魔法が使えないか、試してみたけど無理だったな)

貴方(このままじゃやっぱりお休みになるだろうな……)



※これじゃないようです…



貴方(って、それじゃなくて…………『暁美さんの強さ』)

貴方(たしかに暁美さんの魔法――時間停止は強いけれど、暁美さんの強さはそれだけじゃなくて銃の腕や身のこなしもベテランじみてた)

貴方(暁美さんの話だと戦い慣れしてるわけもない病弱な少女だったはずだし、みんなと会ったのは契約してすぐってことになる)

貴方(魔法少女としてベテランの巴さんだから、真っ先にそこが気にかかったんだろう)


 暁美さんが嘘をついてるようには見えなかったけど……。

 もしあるとすれば、まだ思い出していない過去がある――――とか?


貴方(……そもそも、なんで暁美さんは“眼鏡”で思い出したんだ?)

貴方(眼鏡なんて、視力が悪い人にとっちゃ身体の一部みたいなものだろ。とくにそこにきっかけになるような何かがあるとも思えないのに)

貴方(見つけたのも部屋を整理しはじめてからってのも気になるし、まるであえてそこに記憶を封じ込めてたみたいな……)


 そういえば、記憶が戻ったことのインパクトですっかり忘れていたが、

 暁美さんが魔女の自然発生に関わってるんじゃないかって疑われてた件もあったっけ。あれはどうなったんだろう? さやかの勘違い?


貴方(あれは……)


 考え事をしながら歩いていると、街中に暁美さんの姿を見つけた。

 朝からしてた三つ編みはほどいていて、見慣れた姿の暁美さんだ。

434 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 23:12:17.52 ID:aani6tff0


貴方「暁美さん? 帰ったんじゃ……?」


 声をかけてみるとこちらを向く。やはり眼鏡もなかった。

 これは直感だが、彼女は今まで見てきた暁美さんではないと思った。

 もしかして、さやかが見たのは――――。


ほむら「……【貴方】くん。人をその人たらしめる要素って、何だと思う? 記憶? 性格? あるいは――――行動、かしら」

ほむら「それはきっと、本人と他者で違うと思うの」

ほむら「人の性格は必ずしも生まれ持ったものだけで決まらない。『記憶』。積み上げてきた経験、年月によって変わっていくものだわ」

ほむら「他者から見たその人らしさはその積み上げによって出来た性格による『結果だけ』……つまり、『行動』」

ほむら「たとえば、『この人ならこういう振る舞いをするだろう』――――といったものだと思うのよ」

ほむら「けど、本人にとって、経験を失い結果のみが残ったとしたら、それを自分らしいと思えるのかしら?」


ほむら「私。『暁美ほむら』の『らしさ』は、まどかを救うという意思にあるのでしょう」

ほむら「でも、私はそれを受け入れなかった」


ほむら「――――偽物とはいえ、気に入らなかったわ」


 偽物――。

 目の前の暁美さんが偽物と言い切ったのは、今まで見てきた暁美さんのことだ。

 俺の知ってる暁美さんは、記憶を取り戻す前も後もこんなに薄気味悪く笑わない。

 どういうことだかはわからないが、俺からすれば目の前にいる彼女のほうが――――


ほむら「……怒ったの? 偽物という言葉が悪かったかしら。分身と言い換えてもいいわ」

貴方「……もしかして、君が魔女を発生させてるのか?」


 だとすれば、目の前のこいつがすべての黒幕だ。

 暁美さんの分身、というのが本当なら心が揺らがないでもないが、こいつを倒せば真の平和が訪れるんじゃ……――!


ほむら「神様……じゃなかったわ。悪魔を相手に戦いを挑むなんて無謀なことはよしなさい」

貴方「……は!?」

ほむら「貴方、余計なことを考えたでしょう? そのまま気づかないままでいればよかったのに」

ほむら「私からすればこのまま終わらせてもよかったのだけど……少し興味が沸いたから話してあげる」

435 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/06(土) 23:45:51.19 ID:aani6tff0


ほむら「私が魔女を発生させているというのは、まあ正解といっていいわ」

ほむら「本来『無い』ものをわざわざ作り出しているのだから、そうなるわよね」

ほむら「魔女がいなければ魔法少女の日常は成り立たないから。ただそれだけ。パトロールが外ればかりじゃつまらないでしょう?」

貴方「何を言ってるんだ……? 魔女なんかいなければ命懸けで戦う必要もなくなるんだ! ずっとそれを目標にしてきた!」

貴方「それとも、まさか俺たちにただ魔法少年少女ごっこをさせたかったって理由だけで魔女を作ったのか!?」

ほむら「ええ、そのまさかよ」


 目の前の暁美さんは当たり前のようにあっさりと言ってのけた。

 その拍子抜けするような態度を見ると、もはや怒りをぶつける気すら沸かなくなる。

 ただ何か、とてつもなく危険で大きな力を目の前にしているということを感じた。


ほむら「でもあなたたちは重要なことを知らない。本来の魔女は、魔法少女のソウルジェムから生まれるものなのよ」

貴方「……本来のって何だよ? じゃあ俺たちが戦ってたのはなんだって言うんだ?」

ほむら「さっきの言葉と合せると、偽物の魔女ね。この世界には本来『魔女はいるはずがない』のだから」


 暁美さんはそう言うと、後ろに隠していた手を胸の前に持ってきた。

 手に何かを掴んでいる。それは―――。


貴方「キュゥべえ!?」


 乱暴に耳を持たれて掴まれているのにも関わらず、キュゥべえは未だに寝息を立てている。


ほむら「インキュベーター。本来は私達を騙し、人の感情と魂を弄ぶ敵」

ほむら「でもこの世界では“あえて”造り替えたわ。この世界のキュゥべえの本当の役割を知っている?」

貴方「俺たちの心身のサポート……とか言ってたけど」

ほむら「本当の答えは、『ゲームのサポート』よ。ゲームが終わって役割がなくなったからいらなくなったの」


 ゲームが何かはわからないが、まさか――それがキュゥべえが寝てばかりになってしまった理由に関係あるのか?

 そんなことを考えていると、暁美さんはどこからか拳銃を出して……キュゥべえの頭に突きつけた。

436 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 00:14:42.48 ID:GsSMg3i50


貴方「ちょ、ちょっと! 何してるんだよ!」

QB「きゅ……? ん……?」


 銃口を押し付けられて、キュゥべえはやっと目を覚ます。

 そして、自分の置かれている状況を理解した。


QB「ほ、ほむら……? これは…………――!?」

ほむら「最後の憂さ晴らしに、私がお前を殺す」

QB「なんで……? た、助けて……………っ!」

貴方「や、やめろって!!」


 咄嗟に変身して目の前の暁美さんに飛びかかったが、まるで霞のようにすり抜けてしまう。

 さっき神だとか悪魔だとか言ってたが、本当に『この世界』の存在ではないということを物語っているようだった。


ほむら「インキュベーターは本来、感情を持たない異星人だった。こんなふうに怯えることもない生き物だったのよ」

ほむら「本来のソウルジェムはこいつに造り替えられた魂そのもの。そして、濁り切れば魔女を生み出す卵」

ほむら「壊れたり身体から離れすぎることがあれば魔法少女は生きていられない。……そんなことも教えてくれずに私たちは利用された」

ほむら「そして、殺しても殺しても代わりが沸いてくる倒せない敵……それが本来のキュゥべえよ」

ほむら「杏子とかは、自分の知る記憶との態度の違いに違和感を持ったかも」

ほむら「この世界のキュゥべえには感情を与えた。苦しんでもらうためにね」

QB「…………! …………!」


 キュゥべえは声にならない声を上げていた。

 だが、逃げられないことを悟ると、最期の瞬間――――俺に向けて言葉を遺して、逝った。


QB「……【貴方】……仲良くしてくれて、サンキュー……ベリー…マッチ――――――」


 銃声が響く。周りに人はいるはずなのに、誰もこちらに関心を向ける人はいなかった。


貴方「な、なんでその言葉をよりによって、今……全然似合わねぇよ……! こんなことなら適当に言葉教えるんじゃなかった!」

貴方「……暁美さん、こいつは人とズレてるし鈍感だけど悪い奴じゃないし俺はそこそこしゃべってたんだ。君の分身……もな」

貴方「俺からしたら本物だし一人だけだろ! 大体、本来とか偽物だとか、さっきからなんなんだよ!」

ほむら「【貴方】くんが今挙げた特徴は本来の名残ね。『外』を見てみなさい」
437 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 00:29:44.00 ID:GsSMg3i50


貴方「外…………? ここはもう外だろ?」

ほむら「意識すればもう見えるはずよ」


 ここは帰路の途中……もちろん屋外だ。

 でも、そういうことではなく。


 『外』に意識を向けると、そこは――――見覚えのある部屋。

 時計のように並んだ椅子の特徴的なこの部屋は……暁美さんの部屋だった。


 そして、そこには暁美さんがいた。『外』の暁美さんがこちらに向けて語りかける。


ほむら「……こっちが見えたわね」


 暁美さんの部屋の壁から見ているような視点だ。そして、『こちら』はまるで壁の一部のような――。

 本来だとか偽物だとか言ってたけど、これじゃあ……今まで現実だと思っていた世界は?


貴方「それが……外の世界?」

ほむら「これも本当の空間じゃない。ここは『どこでもない空間』なのよ」

ほむら「もうすぐ宇宙は造り替えられる。今度は私が造り替える。ここはそれまでのほんの一瞬」

ほむら「私が……造り替える前の世界を懐かしむための場所」


 外の世界の暁美さんは……そう言いながら、切なそうに笑っていた。

438 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 22:11:42.13 ID:GsSMg3i50


ほむら「『ソレ』は私と貴方のための世界」

ほむら「ワルプルギスの夜なんて無縁で、ソウルジェムはただの魔力の源。季節が流れ、年を越し、進級する――そんな平和な世界」

ほむら「ついでにみんな仲良く――――というのは、今回は『私』のせいで壊れてしまってたけれど」

貴方「……なんで俺のため?」

ほむら「決まってるじゃない。貴方がこのゲームの主人公だからよ」


 ゲーム……そういえばさっきも言っていた。

 何がゲーム? 特別なことをしてた覚えはなかった。


ほむら「私はまどかを救うために契約した。でも何回過去に戻っても救えなかった。最初は他のみんなも救いたかったけど、諦めた」

ほむら「真実を知っては絶望する。ワルプルギスの夜には勝てない。まどかは繰り返すたびに素質を増して、契約して……魔女になる」

ほむら「これが本当の私の『経験』。まどか以外に自分にすら興味を持つこともできない、こんな性格にもなるわよね」

貴方「…………」

ほむら「……いえ、そこからまたさらに変わってしまったわね」

ほむら「貴方のいる世界は、本来の世界から邪魔な『絶望』だけを取り除いて再現させた世界。いわば魔法で作られたシミュレーションのようなものよ」

ほむら「前提設定が違っても、目標は同じ。みんなと向き合って、各自の抱える問題が解決できれば攻略完了……つまりゲームクリア」


ほむら「さやかには正義の魔法少女としての在り方の自信と、失恋を乗り越える力を与えた」

ほむら「マミには孤独と奥底に抱える戦いへの恐怖の克服を」

ほむら「まどかには自分への自信を与え、自己犠牲が最善とは限らないことを教えた」

ほむら「杏子には未来への希望を与えた」


 ……暁美さんはみんなの名前を挙げたが、自分の名は口にしなかった。
439 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 22:13:41.63 ID:GsSMg3i50


ほむら「世界を繰り返した末、貴方は見事にクリアした。でもこれは現実じゃないからもうお別れしないといけないの」

ほむら「いくらまどかから奪った力でも現実は仮想の世界ほど都合よく造り替えられない」

ほむら「特に私自身はね。自分の記憶までいじるとろくなことにならないのは決まってるし、思い知ったばかりだもの」

貴方「じゃあ……俺はなんだったんだ? なんで俺が主人公なんだよ」

ほむら「貴方、自分の過去をどこまで思い出せる?」

貴方「自分の過去?」


 今から遡っていって、契約した時のこと……今学期のはじめ……みんなとの出会い……家族との思い出。

 今まで気づかなかったのが不思議なくらい、近くの記憶ですらぼんやりとしていた。幼少期なんて完全に思い出せないことに気づく。


ほむら「その世界には『矛盾』を気づかせないために多くのことに制限がかかっている。貴方が自分を考えることも、その一つよ」

ほむら「与えられた設定と、普通の人間であること……それ以外に貴方の個性はないわ」

ほむら「貴方は本来『誰でもない』、けれど私たちの近くにいた『誰か』である存在。つまり、本来私たちとは深く関わることはない人だったのよ」

貴方「……」


 ずっと自分を普通の人だと思ってた。語ることがないくらいには平凡な家庭、過去……。

 でも違う。なにも無いから語れないだけだったんだ。


ほむら「もう言葉も出ない?」

ほむら「貴方にもお仲間にもこれ以上出来ることはないわ。その世界でいくら足掻いたところでゲームは現実に干渉できないもの」

ほむら「じゃあ……名残惜しいけれど、さようなら。世界」

440 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 23:01:46.04 ID:GsSMg3i50


 この世界のことを理解したからだろうか……。

 リセットでなくなったはずのみんなとの思い出……、この世界であったことを全部思い出した。


 暁美さんと作るはずの未来――さやかと考えた未来――巴さんと支え合う未来――

 ――仁美と約束した未来――鹿目さんと進級する未来――佐倉さんと誓い合った未来――


 それらは全部叶わないのか。やっと希望を持てたって人もいるのに。


 暁美さんとは険悪になったこともあった。でも、最後は仲良くなれた。

 最初に会った暁美さん。まだ気の弱い少女だった頃の彼女とだって仲良くなれた。

 そしてそれは…………



 紛れもなく目の前の暁美さんの『一部』でもあるはずだった。



貴方「暁美さん。暁美さんにも俺が与えられたものはあるはずだよ」

貴方「最初の『攻略』では何に頼らなくとも堂々と振舞える自信を……」

貴方「最後の攻略の時は、色んなものを失いすぎてて何をというのも難しいけど……心の支えにはなれたと思う」

ほむら「……ゲームの話だわ。本当の私じゃない」

貴方「でも、分身なんでしょ。そっちからしたら所詮現実じゃないのかもしれないけど……」


 俺の知る世界にいた暁美さんは分身なのだから。記憶と経験の差があれど、内面は同じはずだ。


貴方「暁美さんはみんなの救われるところが見たかったんだよな。その中には暁美さん自身も本当は含まれてたんじゃない?」

貴方「じゃなかったら、俺みたいなどこの誰かもわからないヤツじゃなくて自分の分身を主人公にすればよかったんだ」

ほむら「何を今更……私には無理よ。私には誰かを救うことなんてできない。できなかったからこうなったの!」

貴方「それは、この世界にはなかった『絶望』に邪魔されたからじゃなかった? 俺だってそんな事情があったらこうはいかないよ」

ほむら「それがなくたって……。私を見てきたならわかるでしょう」

貴方「なら、暁美さんはずっと誰かに助けてもらうことを望んでたんだよ。……本当に辛い時、助けてあげられなくてごめんな」

ほむら「何故謝るの……?」

貴方「だって、俺は『誰でもないけど近くにいた誰か』……なんだろ?」

貴方「きっと現実でも今までも近くにはいたし、これからも近くにいるはずなんだ。今度こそ、きっと、現実でも助けるから」

ほむら「…………」

441 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 23:17:03.13 ID:GsSMg3i50


貴方「……この世界を終わらせる前に、こっちの暁美さんに会う時間だけくれないか」

貴方「他の記憶も思い出したけど、やっぱ今の俺にとっては暁美さんが一番なんだ」

ほむら「な、なんなのよ……。世界が終わるということは死ぬのと同じなのよ? 貴方も、貴方の友達も、す……好きな人も全部ッ!」

ほむら「どうしてそんなに落ち着いていられるの? 私を倒すんでしょう? ……自分と友達を殺す私が憎いでしょう?」

貴方「足掻いたって無理なんだろ。神様か悪魔か知らないけど……俺が今まで倒してきたのは『この世界の魔女』で、別次元の存在の倒し方なんて知らないし」

貴方「そっちには手を伸ばすことも叶わない」

ほむら「……」


 手を伸ばすが、ただ往来の中にいる自分の前に自分の手があるだけだ。『画面の向こう』へは届きそうにもなかった。


貴方「じゃあ、またそっちの世界で会ったらよろしくな」




 伸ばした手を戻して、帰路の途中で進む道を変える。

 『外』にはもう意識を向けなかった。俺の世界はここだ。たとえ世界が終わるとしても、最後の瞬間までここでいい。




ほむら「…………私だって、会いたかったわよ。もっと昔に……こうなる前に……」

ほむら「いいえ……どうせ、あれは…………」

ほむら「本当はもっと、深く関わらなかったクラスメイトもいっぱいいたのよね……。でも私には関わる勇気も余裕もなかった」

ほむら「話していたら何かが変わったのかしら……?」

442 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 23:31:08.29 ID:GsSMg3i50

貴方「暁美さん」


 ただ、これだけ。……こっちの暁美さんには手を伸ばすことができるから。

 白すぎる手に、そっと手を触れた。


ほむら「……え、ええと?」


 暁美さんは記憶を取り戻してからいきなり変わってしまったようにしか見えなかったけど、今ならわかる。

 これも暁美さんだって。今まで何もなかったところに、契約するまでの『経験』が戻ったんだ。

 今はこっちのが素なんだろう。経験を伴わずに現在の暁美さんを模していた頃も、中身はむしろこっちに近かったはずだ。

 ……見かけにはそう見えなくなってたけど。


ほむら「ふ、ふふ……?」

貴方「無理に笑ってごまかさなくても……」

ほむら「ご、ごめんなさい。こういう時、どうしたらいいかわからなくて」

貴方「別に何かしてほしいわけじゃないよ?」

ほむら「そうですね……。テンパりすぎてますね私……。恋人、とか言うから」

ほむら「……まだ今は私、みんなとの関係に悩んでるんです。自分のことは話したけど受け入れてもらえるかなとか、キツい態度取っちゃったしな……とか」

ほむら「どっちの私でいこうかしら、とか」

貴方「持ちネタになってる? その眼鏡外したりつけたりするやつ……」

ほむら「も、持ちネタ、です!」


 一言分だけ眼鏡を取ったかと思うと、再び戻して喋った。

 ……見てるぶんには面白いけど、本人は割と真剣に悩んでそうだ。


貴方「『恋人同士になるのなら、もう少しくらいは優先しなさい』――って、言ってたのに」

ほむら「ま、マネですか……? こっちの時に言われると結構恥ずかしくて……一度切り替えちゃえば平気なんですけどね……」

ほむら「あの時は……やっとできた友達を取られたくないって気持ちも大きかったんです」

ほむら「私なんて誰とも友達になれないし、誰も構ってくれないと思ってたから……」

ほむら「……その上、【貴方】くんが友達になってくれたらもうそれだけでいいやって。でも今は、やっぱり他の人とも友達になりたい」

ほむら「本当はもう一回くらい出会いをやりなおしたいけど、それも寂しいなあ……」

貴方「俺もなかったことにはされたくないな。でも、きっとまた別の世界で出会っても、友達になれるよ」

貴方「絶対、なりに行くから」


 自分で言っててなんだけど、これじゃまるで友達止まりみたいじゃないか!?

 なんてツッコミは暁美さんには伝わるはずもなく。


ほむら「えっと、も、戻りませんよ!? 過去には……。もう魔法も使えないし。というか私の魔法は時間を止めるだけだし……また記憶失いたくはないです」

貴方「そ、そうだな。はは……」

443 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 23:35:03.63 ID:GsSMg3i50

ほむら「実際のところ、私は恋とかまだわかってないのかもしれません」

ほむら「恋とは何かと聞かれたら、難しすぎるので……」

貴方「そんな哲学的なことは答えられない人多いんじゃないかな……?」

ほむら「でも【貴方】くんのことは好きですよ。最初に友達になった鹿目さんと同じくらい」

貴方「…………同じくらい!?」

ほむら「そういう感じじゃ駄目ですかね……」

貴方「は、はは…………まあ、いいと思う」


 若干振られたみたいな感じになってるのは気にくわないが……。

 思えば俺も最初は美人だとかミステリアスだとか、そんな表面的なところしか見てなかったのかもしれない。

 ……もちろん今はそんなことはない。

 彼女のことについては、多分今目の前にいる彼女自身以上に色々知ってしまったけれど……それとは別にして、今の暁美さんは好きだ。


貴方「……そろそろ、かな」

ほむら「そろそろ? あ、あまり遅くなったら心配されちゃいますね。……あっ、またお水用意し忘れてました」

貴方「いや、いいよ。そんな気を遣わなくて。……じゃあ」

ほむら「はい。また」



――――
――――

444 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/07(日) 23:39:01.36 ID:GsSMg3i50



 朝、一日がはじまる。


 どこにでもあるような至って平常な朝だ。退屈なほど平凡で。

 ワルプルギスの夜だとか、そんなうっすら噂で聞いたことがあるようなないような災害の予兆も当然無縁で。



 見滝原中に通う貴方は何の力も持たない生徒。でも――――今日から新しい友達ができた。





END


▼???→悪魔を『攻略』できた
445 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/08(月) 00:25:15.83 ID:WEIlczcE0
-----------------------------------------
あと500レス近く残ってるけど次回からなにをやろうか

1スレ目も残り30レス分残ってるのでおまけをやるのは決まってるんですが、
やる内容と何を優先するかを決めます


1容赦なく攻撃が飛び交う全員嫉妬Lv3モード開始
2個別END後のちょっとした後日談とか見たい(キャラ指定)
3新しいのやりたい/別の話の続編やりたい


 ここから5レス分くらい流れ見て決めます
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 01:34:33.77 ID:F9sPmba4o
3
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 01:45:30.10 ID:5JAkUteE0
1
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 01:50:41.43 ID:Zl5PWhKR0

しかしできれば主人公の設定詰めたい
安直に魔法使いにはしたくなくない?
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 07:11:59.44 ID:PX9qU19c0
3
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 09:11:30.14 ID:yM+g/jNTO
1のち3
451 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/08(月) 12:04:07.22 ID:WEIlczcE0
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よし、まずはおまけ優先でいきます
次回はできれば今夜に。

あと>>442の前に1レス抜けてるの発見したんでこれだけ貼っときます
-------------------------------------------------------------------
452 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/08(月) 12:04:39.90 ID:WEIlczcE0
――――――


 暁美さんの家に着いてインターホンを鳴らすと、出てきてくれた。

 今は別れ際に見たままの三つ編みに眼鏡の姿だ。


貴方「暁美さん」

ほむら「あ、【貴方】くん……どうした、の?」

貴方「……いや、ちょっと話したくて」


 さすがに世界がもうすぐ終わるなんてことは言えない。

 さっき見てた部屋と同じようだけど、違いがあるとすれば壁に『何もない』ことだ。


ほむら「いい、ですよ。座って」

貴方「ありがとう」

ほむら「相変わらずなにもないけど……」

貴方「何か物を増やす予定はあるの?」

ほむら「え、まあ少しずつは。しまってたものも少しはありますし……でも今すぐにはちょっと。家具をセットするのも重たそうだし」

貴方「……その時は手伝うよ」

ほむら「本当ですか。助かります」

貴方「そういうのは遠慮しないで頼ってくれていいよ。……ほら、恋人なんだしさ」


 約束してしまったけど、守れる日が来るのかはわからない。

 ……そういえば、結局、恋人らしいことって何にもできなかったな。

 そう思うと少し後悔しかけたけど、そういうのはあまりこっちから急いで求めてもよくないんだろう。

453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 12:07:43.95 ID:S7nZhQ4I0
30レスかあ・・・
メガほむと写真部のその後とかかな
2メガほむ
454 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/08(月) 12:09:21.04 ID:WEIlczcE0
-------------------------
以上!
次回は前前スレの余りから!
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1569759132/)
-------------------------
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/08(月) 19:49:52.20 ID:r6rH8rkG0
久しぶりにキリカと巴ちゃんのイチャラブも見たいし、番外編?の伊集院君の続きも見たいなぁ
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/10(水) 23:31:05.23 ID:UNXV8xx40
おまけ、終わったでよ
457 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/10(水) 23:38:09.37 ID:lHaKgmXP0
おまけ編、駆け足になりましたがエンディング回収は7個でした。
杏子がずっと待機でした…。

もう一回初めからやる?


下5レス中多数決・やらない場合はこの話は終了として次を決めます
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/10(水) 23:56:35.29 ID:UNXV8xx40
別にいいかな
次を決める
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/10(水) 23:57:17.25 ID:aEGyP+6Y0
やらない
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/11(木) 00:12:58.15 ID:oA+gt4AK0
やらない
461 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/11(木) 00:26:22.12 ID:3G++iMbi0
---------------------------
貴方のヒロイン攻略シリーズ 完!


次から新しいこと決めるよ
13日(土)18時くらいからの予定です
462 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/13(土) 18:36:39.80 ID:1Hp1tyQE0
===================================================

そろそろ昔すぎて続編書けないほど忘れてたり、
原作情報不足の頃に書いた捏造過多な話(主におりマギ絡むやつ)は過去作紹介や続編選択からも削ります。
もう需要もあまりないと思うけど、やるなら同主人公で新しく話書いたほうが楽しめると思います。


【供養】
メガほむ編 :[9]>>181〜[12]>>666
・・・非情になれないほむらの4ループ目、織莉子たちとの戦い。
・After『夜明け後の一週間』[12]>>93
アマネ編  :[7]>>807>>963,[8]>>5>>130(GiveUp)
・・・抗争に破れて見滝原に来た最弱主人公の野望の話。  ※オリ主※
キリカ編  :[7]>>309>>704,[8]>>475〜[9]>>151
・・・本編時間軸で織莉子が既にいない世界のキリカの話。話はほぼまどマギ本編寄り。
QB編   :[2]>>198〜[4]>>502
・・・感情の芽生えたQBの話。
中沢編   :[練習]>>164〜[2]>>150
・・・まだ試運転。中沢が安価の導きにより魔法少女たちと関わっていく話。
さやか編   :[練習]>>8>>154
・・・マミの死後、さやかが魔法少女になって張り切ったり悩んだりする話
・・・試験作。かなりあっさりしてます。

===================================================


*これから*

1新しい話
2続編とか


○今までのおはなし


【続編開始/指定場所からロード】
・なぎさ編【続編:あすみ編後から再開。あすなろ編】
・杏子編【続編:あすなろか安価】
・キリカ編2【続編:小話・ワルプル後新展開】
・あすみ編【続編:小話・ワルプル後新展開】
 ・+かずみ編【続編:小話・ワルプル後新展開】
・桐野編【キリカルート続編:小話】


○新しい話

★まどマギのほかに、おりマギ本編・かずマギ・漫画版まどマギ・TDS・PSP・劇場版のネタを含みます。
 それ以外からのネタは出さないか考慮しませんが、知ってるとより楽しめるネタはあるかもしれません。

★主人公は作品中のモブやオリキャラも可。

★同キャラでも前提設定やルートによって大分話が変わるので2回以上選択も可能。
 ただし同キャラで未完結が増えすぎても困るので前の話が完結している場合のみとします。

☆誰が何をする話、とかざっくりでもOK

☆マギカシリーズ外の作品の設定や世界観借りるみたいのもOK(作者が知ってるネタだけになるけど)
※もしかしたらキャラの設定とか個性が原作から崩壊するかもしれないけど、根底にある性質を大幅に変えてしまうことはしません
 あくまで持ち味を活かせる形で!


↓5レス程度来たらなんかかんがえる
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/03/13(土) 18:53:53.68 ID:idQXZh4z0
1
初心に帰ってほむらの話を新しく
ただしアニメ本編に負けないくらいのハードモードで
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/13(土) 18:55:03.66 ID:idQXZh4z0
sage忘れたゴメン…
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 18:56:39.48 ID:ttJDvRef0
供養されたお話たちに合掌・・・

スレ主さん、W主人公はありですか?
ありでしたらなぎさ編のなぎさとあすみ編のあすみが出会って、コンビを組んで活躍する話を希望
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 19:02:39.27 ID:ttJDvRef0
>>465は神様に助けられたなぎさが再び活動し始める頃にあすみが見滝原に流れてくる、と言った感じでお願いします
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 19:18:32.71 ID:eseD7RZhO
ありなら465
ダメなら1で小巻
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 19:42:31.52 ID:dqw2gO3r0
1で小巻
469 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/13(土) 21:28:29.61 ID:1Hp1tyQE0
ID別だと4レス分だけど5レスくらいで多数決とも書いてないので、
今でてるとこから多数決とっちゃいます


1ほむら主人公(アニメ本編ベース)
2なぎさとあすみのW主人公もの(過去作なぎさ編ベース?)
3小巻主人公

 下3レス中多数決
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 21:40:40.27 ID:ttJDvRef0
2
ベースはなぎさ編とあすみ編のMIXでも他の話がベースでも構いませんよ
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 21:42:44.89 ID:eseD7RZhO
ありみたいだから2
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 23:16:19.48 ID:G/F+DGqI0
2
473 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/13(土) 23:45:39.97 ID:1Hp1tyQE0
---------------------------------------------------------------------------------------

二つの編そのままは合わせられないので設定は練り直します
神様出すならなぎさ編ベースになると思うけど、出ないかも

・詳細が判明してない(あすみに至っては嘘キャラ)から時系列とかは気にしなくていいはず
・今後原作できっちり描写されたら供養入りになる可能性
・今度こそ多分短め

---------------------------------------------------------------------------------------



「――――……こうやって毎日来て、いつも手を握っていてくれる」

「これだけで、お母さん本当に元気になれる気がするわ」


なぎさ「……うん。早く元気になってね」


 隠し持った薄紫の宝石が光る。

 なぎさの魔法少女としてのあかし。ソレに秘められた魔法の力を母に流し込みながら祈るのは、なぎさの日課でした。



 病院の廊下を歩く。病室から出たらひとりぼっちの帰り道。


なぎさ(魔女と戦って怪我をしちゃったときの自分のケガはすぐ治せるのに……)


 悪くはなってないから、たぶんぜんぜん効いていないわけじゃない。でもぜんぜん良くならない。


 それはきっとなぎさの魔法がまだ弱いから。もっと強い魔法少女になれば、治せるかも。

 そうと決まれば今日も魔女をやっつけにいこう!

 ……どうせおうちに帰ったって一人。一人は寂しい。


なぎさ(続けていれば、きっとまたおうちにも帰れるようになるはず!)


 なぎさの願いが違ったら、すぐに治すこともできてたのかな?


――――――
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/13(土) 23:53:43.58 ID:eseD7RZhO
そういやあすみとなぎさは母親を亡くしたって共通点があるのか
475 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 00:29:00.43 ID:cW32b/rq0



 ――――私の願いは復讐だった。

 幸せすら奪われた私を更に不幸にした人への、『当然の報い』であった。


 ――――そして、願い<呪い>は叶ったのだ。

 男たちもクラスメイトも、同業の魔法少女でさえも全て腐ってた。私はあの街の全てが嫌いだった。


あすみ(……本日の魔女発見か。ま、悪くはないわね? この街も)


 この街は狙った通り魔女が居つきやすく、育ちやすい。魔法少女としてはそれだけで十分。

 ここが私の新天地。この世界に綺麗な場所があるなんて期待してないけど、同業が少なくて腐ってなければもっと良い。



あすみ「キュゥべえからは一人だけしか聞いてないけど……」



 結界の中、聞こえてきた“声”に振り向いた。そこに悪意はない。



なぎさ「あれっ! 巻き込まれちゃったひと――――じゃないのです?」

あすみ「なーんだ、こんな子供だなんて。警戒して損した」

なぎさ「いきなりなんなのです!? 初対面のひとにする挨拶じゃないと思うのです!」

あすみ「……ねえ、お嬢ちゃん。譲ってくれる気はある? この魔女と、これからこの縄張りに出る魔女の一部」


 一応、向こうから来るならすぐに武器を振るえるくらいには警戒はしていた。

 断られたからって激昂はしないさ。この魔女を取引道具として扱うならそれもやり方としては間違ってない。


あすみ「……」


 この返答で相手を見定めていた。

 見た目で侮って殺されるなんて愚の骨頂。そんな相手をたくさん見てきたから、その一員にだけはなりたくなかった。

476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/14(日) 00:33:16.31 ID:Ze6v5qPu0
2人とも子供なんだよなぁ
477 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 00:55:01.90 ID:cW32b/rq0

なぎさ「いいのですよ! おねーさんが先に見つけたならおねーさんのものなのです」

あすみ「……あっ そう」


 ……拍子抜けするような返事だった。

 今まで見てきた魔法少女は腐ったような奴ばかりだった。新人いびりも縄張り争いも経験したことがある。


なぎさ「でも、いっしょに戦ったほうがはやくたおせると思うのですよ?」

あすみ「そんなこと言ってグリーフシード横取りするつもりだったりしない?」

なぎさ「しませんよっ! 疑り深すぎなのです!」


 見た目で侮ることの危険性はさっきも考えた。

 小柄な姿はナメられるのは癪だが騙しやすいのだ。無条件に人を信じることなんて出来ない。


 ……だから、聞こえてくる【悪意】がないことが信じる根拠。現時点では――だけど。


なぎさ「べつに魔力に困ってないです。魔法はたくさん練習したいですが……」

あすみ「……?」

なぎさ「なぎさ一人じゃ魔女を倒しきれないと思ってたところなのですよ」

なぎさ「魔法少女の仲間なんてはじめてなのです! これからよろしくなのですよ!」

あすみ「……はあ。私は一人で戦うほうがいいけど」

なぎさ「あっ、『やくわりぶんたん』って方法もありますね? たしかにいっしょだと一人のときと同じにしか回れないから……」

なぎさ「――――じゃあ、なぎさは他のところを回ってくるのです! ごぶうんをーです! 次も会ったらよろしくなのです!」


 そう言うと、なぎさは駆けて行った。

 なんだかやたらと嬉しそうな様子だった。


あすみ(……同業者が見つかったことがそんなに嬉しかったのか?)


 ……私にはわからない。


――――――
478 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 00:55:29.43 ID:cW32b/rq0
------------------
ここまで
次回は14日(日)18時くらいから
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/14(日) 00:58:27.79 ID:Ze6v5qPu0
乙です
あすみは4〜6?でなぎさは3〜5?といったイメージですね
あすみの方がちょい年上かな?
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 11:49:46.88 ID:74m3U2j7O
なぎさもあすみもまだ原作開始前だからベテランではないのか
確か一年ぐらい間があるんだっけ?
マミと杏子もこれからか
481 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 19:22:18.52 ID:cW32b/rq0
――――――


 街を駆け回って魔女をたおして、あくる日もお見舞いと魔女の退治。

 おうちに帰っても一人。お父さんは忙しい。

 魔女退治も一人だけど、前よりも気にならない。このまちにはなぎさの他にも魔法少女がいるって知ったから。


 今日も病院から出て魔女退治にいこうとしてたら、この前のひとに会った。


なぎさ「あっ、この前のひと!」

あすみ「……この前の子供」

なぎさ「こども――で言ったらなぎさたちどっちも子供じゃないのです?」

あすみ「私はあんたほど子供じゃない。アッチのほうの知識も…………なんてね」

なぎさ「アッチ? それはおねーさんのほうがおねーさんですけど……こどもって呼ばれ続けるのもイヤなのです!」

なぎさ「同じ街にいる魔法少女仲間同士、名前くらい知っておくべきなのですよ!」

あすみ「なぎさ」

なぎさ「なんで知ってるのですか!?」

あすみ「自分で言ってんじゃん。あすみ、それも聞いてないほど耳遠くないよ」

なぎさ「あすみ!」

あすみ「はいはい」

482 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 19:56:54.37 ID:cW32b/rq0


 ちょっとふしぎな自己紹介が終わると、あすみはどこかへ行こうとする。


なぎさ「あすみは魔女退治中なのです?」

あすみ「いんや。今日は早めに切り上げて休みにいこー思ってたとこ。大体、魔女狩りは昼からやってたし」

なぎさ「お昼から……ですか?」

あすみ「そうだけど? 悪いー?」

なぎさ「あすみはどこの学校に通ってるのです?」


 疑問に思ったのは、お昼にはまだ学校があるってこと。

 でもそれを聞くとあすみは少しの間押し黙った。


あすみ「……言わなきゃいけない?」

なぎさ「べつに答えたくないならいいのですよ。『こじんじょーほー』ってやつですし」

あすみ「そう。学校に通ってないヤツなんて別に珍しくもないんじゃない? 特にこの業界は」

あすみ「それと、魔法少女同士が仲間だとか思わないほうがいいから。そんなんだとナメられて酷い目に遭うよ?」

あすみ「アンタみたいな子供はただでさえ相手を調子づかせやすいんだ。賢く生きるには、逆手にとって騙せるほど強かにならなくちゃ」

なぎさ「……舐められるですか? くさそうです」

あすみ「そう、小さな子をペロペロしたいロリコンはいっぱいいるってこと」

なぎさ「??」


 あすみは最後に茶化したように言った。

 それが冗談だってことはわかったけど、それ以外はよくわからなかった。


なぎさ「よくわからないけど、忠告してくれたのですね!」

あすみ「アンタ見てると色々言いたくなる。子守なんてガラじゃないし子供なんて好きじゃない」


 あすみはつっけんどんに去っていった。

 せっかくお互い名前を知ってるのに全然呼んでくれないなぁ。


――――――
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/14(日) 20:11:59.55 ID:Ze6v5qPu0
現時点であすみは杏子みたいにホテル暮らしかな?
484 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 21:17:00.61 ID:cW32b/rq0
――――――



 『なぎさ』とかいう子供と知り合ってから二週間くらいが経った。

 それはこの街に来てからの期間ともちょうど同じだ。

 やることはほとんど変わらないけど、同業者もあの子供一人しかいない分、ここでの活動は幾分穏やかだった。


 思い切ってあの家を出たけどやっていけてる。やっぱりこの世は強い者が勝つように出来てる。



あすみ「……こんなとこで何してんの」


 街を散策していると、その外れに魔力の気配を感じた。

 魔女はいないが魔法少女の魔力だけがあった。


なぎさ「魔法の練習……です」

あすみ「ご苦労なことね。練習に使う魔力があるなんて」


 私が来るまで独占できてたのだから、余裕はあるのだろう。

 そういえば、魔法をたくさん練習したいとか言ってたっけ。


なぎさ「……あすみっていつから魔法少女やってるのです? なぎさが見かけたのは最近ですが」

あすみ「ここに来る前は別の街に居た。数ヶ月くらいってとこ」

あすみ「でも契約したての頃から自分よりも経験長いヤツ伸してるよ。経験で全部が決まるわけじゃないから」

なぎさ「そうだったのですね。なぎさもそのくらいか……もうちょっと長いかもです」

あすみ「へー、その間ずっと一人でいたの? 随分と平和な街なのね」


 正直、経験で全部が決まらないとはいえ、こいつより短いとは思ってなかった。

 私も表社会で平穏に暮らしながら魔女を狩ってる奴らよりは実戦経験は多い自信がある。

 魔女だけ狩って平和に過ごしてきた奴よりは私のが戦いを知ってる。しかしなんでこんなこと聞いて来たんだろう。雑談の一種?

485 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 22:04:29.15 ID:cW32b/rq0

あすみ「アンタ、強くなりたいの?」

なぎさ「はい。なぎさはもっともっと強くならないといけないのです」

あすみ「そうだね。強さは大事だよ。強ければ痛い思いしなくて済む」

なぎさ「……それもそうかもしれませんが、なぎさがもっと強ければ痛くさせないで済むんです」

あすみ「……?」


 返ってきた答えが予想外で、意味が分からない。


なぎさ「あすみは『回復の魔法』って得意ですか?」

あすみ「……いや。むしろ苦手。そんなのいらないし」

なぎさ「そうですか……。なぎさにはまだできなくても、頼めないかと思ったのですが」

なぎさ「なぎさのお母さん、病気なんです。なぎさが魔法で治そうとしても治らなくて。それどころか……」

なぎさ「―――――悪化したって、お医者さんが言ってたのです」

あすみ「……あのさ、練習って」


 よく見てみるとなぎさの手には切ったような傷がついていて、手には血がついたするどい石が握られていた。


なぎさ「病気とこんなケガじゃ違うのはわかってます! でも少しでも治さないと練習にはならないのです!」

あすみ「自ら傷なんて作ってどうするのさ。自傷行為なんて馬鹿のやることだよ!」

なぎさ「なぎさはこのくらい痛くてもいいんです! それに消えます! お母さんのほうがもっとずっと痛いはずです!」

なぎさ「お母さん、少し前まではまだ大丈夫だったんです。ずっと良くも悪くもならないままでした」

なぎさ「余命って言われてたのはもう過ぎてて、でも良くならなくて、今治せないときっと……!」

あすみ「…………」


 誰かを助けるために何かしたいなんて、そんな気持ちはもう長い事忘れ去っていた。

 ……まだ『痛い』んだ、その感覚すら忘れた――忘れようとしてる私と違って、自ら痛みを感じたいと思ってる。


 でもきっとどうにもならないだろう。魔法少女の魔法でも治せないのなら。

 現に手についた傷は魔法で消せている。経験だけで決まらないと言った通り、契約した時から得意不得意は分かれてる。

 なぎさの魔法ではそれ以上治せないんだ。もちろん、私の魔法でも。


 少し練習したくらいでその限界を超えられるものか。



*現実を…
1つきつける
2何も言わない

 下2レス
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 22:07:22.43 ID:qDut2qsU0
1
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/14(日) 22:10:36.04 ID:Ze6v5qPu0
あすみなら1かな?
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 22:15:43.30 ID:74m3U2j7O
無関心なら選択肢でないでスルーしてただろうな
489 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 22:48:50.75 ID:cW32b/rq0


あすみ「……無理だよ。魔力の無駄だ」

なぎさ「そんなことないです……! 強くなれば……! 諦めなければ……!」

あすみ「諦めなければ報われる? 現実はなるようにしかならない。奇跡なんて起きないよ。アンタも新人じゃないんだ、薄々気づいてるんじゃないの?」

あすみ「奇跡は……もう『使っちゃった』でしょう?」

なぎさ「――! で、でも! そんなこと、やってみなければわからないです! キュゥべえに頼らないでも奇跡が起こせるって!」


 ……ああ、こいつ。魔女になるな。

 無駄な練習のおかげで魔力を使い切って、トドメに母親が死んで、絶望するんだろうな。


 現実を見ればそんな未来が容易に予想できた。


あすみ「あぁもう、頑固だな……。こんなとこで自分を傷つけてるの知ったらお母さんどう思うよ?」

あすみ「奇跡を祈るなら時間が許す限り隣に居てやれよ。……じゃないと多分、後悔するよ」

なぎさ「ううぅぅぅ…………!」


 なぎさは傷を治した拳を握って、かたくかたく握りしめて、それから走り出していった。

 ……その背中を眺めてため息をつく。


 あいつが魔女になればグリーフシードが1つ増えて、この縄張りは私だけのものになる。

 考えてみればこの状況は悪くないはずなのに、今回ばかりはそんな冷めた思考をする自分が嫌に思えた。


あすみ「何やってんだろうなー……」


 まだ奇跡を信じてた頃の自分と被るから、か。


――――
――――
490 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 23:21:08.62 ID:cW32b/rq0

――――


 ……あれからめっきりなぎさの姿を見かけなくなった。

 あれだけ言ってやったのに、その辺で野垂れ死んでないだろうな。

 所詮は他人が何を言おうと本人次第。どうにもならないことがあるのを知っていた。


あすみ「ねえ、キュゥべえ。あいつってまだ生きてんの?」

QB「あいつ?」

あすみ「……なぎさ」

QB「ああ、なぎさか。さっき見た時は街外れのほうにいたと思うけど」

あすみ「そう」


 生きているらしい。『まだ』、かもしれない。

 でも少しだけ安心してしまった。


QB「あすみはなぎさが魔女になると踏んでいたのかい?」

あすみ「まあ、そうだね。条件は揃ってたでしょ。……契約した時から」

QB「なぎさの願いは病気そのものを治す願いではなかった。身近な人の死というのは人間の心理に大きな影響を与えるからね」

QB「病を魔力で治そうとしてたみたいだけど、それも条件の一つだ。希望を抱いてからのほうが絶望は大きくなる」

あすみ「やっぱり、アンタもアレは無駄な努力って思ってたんだ?」

QB「他人のための祈りではあるとはいえ、癒しの祈りで契約しなかったなぎさが病気を治せるとは思ってなかったよ」


 無駄だとわかっていて何も言わなかったのもこいつらしい。

 こいつに至っては、現実を突きつけるのは可哀想だから――とかそんな理由もありえない。

 ただその時が来るのを待っていたんだ。


あすみ「そうね」


 だから適当に相槌を打って、それ以上は何も言うことはなかった。こんなのに振り回されていても仕方ない。

491 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/14(日) 23:47:24.85 ID:cW32b/rq0


 なぎさはあの時と同じ場所に居た。

 なにもせず、ただぽつんとそこに居るだけだった。


あすみ「……こんなとこで何してんの」

なぎさ「…………」


 返事は返ってこなかった。

 心がどっか行ってしまったような目でどこかを見つめている。


なぎさ「……お母さんが死にました」

あすみ「……そうか」

なぎさ「ホントははじめから覚悟してたはずだったのです。どうにもならないってわかってたから、願ったのです」

なぎさ「もう長く生きられないから、せめて元気があるうちに食べたいものをプレゼントしたい――って」

なぎさ「それだけを考えていました」


 最初は、契約した時にはまだ病気が発覚してなかったのかもしれないと思ってた。

 さっきキュゥべえと話してからずっと、なぎさが病気を治すことを願わなかった理由がわからなかった。

 でもやっとその理由が分かった。


あすみ「後悔してんの?」

なぎさ「キュゥべえに会ったときは願いで病気が治せるなんて考えてなくて……」

なぎさ「でも、魔力で人のケガを治せるって知って、お母さんの病気もなぎさが治せるんじゃないかって思ったのです」

なぎさ「無理、でしたね。こんなことならはじめから病気を治すことを願っていればよかった……!」

492 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/15(月) 00:23:59.49 ID:MS4P1Dr90

あすみ「私もお母さんが死ぬ前に願えたなら、どんな願いをしてただろうな」

あすみ「そしたら今も生きてるか、自分がどうなってるのかってのはわからないけど、今よりも後悔してないかもな」

なぎさ「あすみも、お母さんが……」

あすみ「でもその時私のところにキュゥべえは来なかった」

あすみ「文字通りアイツとの契約は『奇跡』で、しかも気まぐれなんだよ。その時願ってることしか叶わない。……考える時間でもあれば別だがな」


 キュゥべえは素質のあるヤツをマークするだけでなく、願いがありそうなタイミングを見計らっているのだろう。

 その瞬間に願いがあれば大抵考える時間など置かずに願ってしまう。多くの人は二つ返事で契約すると前に聞いたが、そういうことなのだろう。

 ……私もそうだった。既に取り返しのつかなかなくなった今となっては、そこに後悔もないけれど。


なぎさ「……そうですね。なぎさはお母さんを治せなかったけど……」

なぎさ「最後までいっぱいいっしょにいることができた。美味しいチーズケーキも食べさせてあげられた。それだけでも奇跡なんですよね」

なぎさ「この前はありがとうでした」

あすみ「ん」


 久しぶりに感傷に浸った。こいつにもまだしばらく時間が必要だろう。

 けれど、もうこいつは時間をかけてでも立ち直れる。

 空虚の中に少しだけ光を取り戻した瞳を見て、そう思った。



―なぎさとあすみ『出会いと救い編』END―
493 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/15(月) 00:27:06.45 ID:MS4P1Dr90
-------------------
まずはここまでー
この二人(+QB)しかいない話終了。続きやるなら時間が飛ぶよ。
次回は多分17日(水)くらい。平日の開始時間は20時くらいになりそう。
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/15(月) 08:08:14.82 ID:BzzeD7Vv0
あすみは少しだけなぎさに自分を重ねたのか
これは続きが読みたい
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/15(月) 21:49:29.57 ID:KgW+yp+l0
乙です

なぎさちゃん、救いの言葉を掛けてくれたのは神様ではなくあすみでしたね。
境遇が似たもの同士、どことなく通じるものがあった感じですね。
このまま続く場合、マミと杏子は仲間になりそうですがあすみとは相性が悪そうなのでどうなることやら・・・
あすみはあすみでどこかあか猫(キリカ)拾ってきたりしてw
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/16(火) 03:25:05.28 ID:dI2nJhkF0
ギャルゲーと言うから期待して読み直してみたら
告白してエンドばっかりで萎えた
恋人になった後の話はみんな興味ないのか
497 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/17(水) 20:38:13.76 ID:MCldcWw00
------------------------------------


一区切りつきましたが、まだ続きやります…?


1続・なぎさとあすみの見滝原
2新しい話
3ほかの続編とか


 下3レス多数決
------------------------------------
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/17(水) 20:44:23.15 ID:IIgba+vMO
続き見たいので1でお願いします
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/17(水) 20:48:26.39 ID:CDj4gtSN0
1で。
この2人のコンビがどうなるか期待!
なぎさちゃんが見滝原の管理者、あすみが裏番になりそうw
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/17(水) 21:17:44.00 ID:w09UZGaX0
念のため1
501 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/17(水) 22:03:43.87 ID:MCldcWw00
――――――――――
――――――


「う…………」


 身体中が痛い。何が起きたかわからなかった。

 いや、わかりたくなかった。

 自分のことも、ずっと一緒にいた人のことも、なんでこんなことになってしまったのか受け入れられないでいた。

 ついさっきまであったはずの日常があっさりと消えてしまった。


 さっきまで見ていた景色と同じ世界。なのに、自分たちだけがこんな目に……。


 ――――ここはどこ。


『――――』

「……ぁ……」


『……困ったね。喋れるかい?』


 大きなしっぽを揺らす、獣の影が見える。

 そこに手を伸ばしかける。


『まだ意識はあるみたいだから、急がないとね。間に合ってよかった』



 ――――あなたは、誰?



「――――叶えてほしい願いを言ってごらん」



―――――――――――――――


 続・なぎさとあすみの見滝原


―――――――――――――――
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/17(水) 22:09:51.44 ID:CDj4gtSN0
これは状況的にマミさんかな?
503 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/03/17(水) 22:16:19.61 ID:MCldcWw00
――――――
――――



なぎさ「…………」

あすみ「ありゃー、こりゃダメだよ。どう見ても死んでる。使い魔がいないと思ったらそういうことだったのね」

なぎさ「治せない、ですか」

あすみ「この世界じゃよくあることでしょ。今までが平和すぎたんだ」


 結界の中、奥地に足を踏み入れた途端になぎさの目は『ある一か所』に釘付けになった。

 人の死体。それだけなら見ることはある。こいつだって魔法少女としての活動は短くはない。

 いくら助けようとしたって間に合わないことなんていくらでもある。……私は助けようとしてるってわけでもないけれど。


 そして、これはなぎさにとって初めてだったらしい。結界の中で転がってるヤツは、少し前に見かけた魔法少女によく似ていた。

 数日前、初めて新人と会ったなぎさは後輩ができるって喜んでいたところだった。だが、それもほんの束の間で終わってしまった。


あすみ「……集中できなくなったんなら帰ってもイイんだよ? それよりやられ方から戦略でも考えたほうが建設的だと思うけど」

なぎさ「なぎさも戦えますよ! 魔法少女なのですからっ!」

あすみ「なら、足だけは引っ張んないでね」


 ようやく二人は魔女と戦う態勢に入う。

 なぎさは遠くから、私は距離を詰めていっての攻撃。一緒に戦ったことはいくらかあった。


 ――ほんの最初だけは自分の力を見られるのを警戒したけれど、こいつを見てればすぐに馬鹿らしい気分になった。

 今では魔女狩りの途中で会えば一緒に行くこともある。おかげで二人で戦うのも慣れたものになってきた。


 正直、私としてはいてもいなくてもどっちでもいいってとこだけど。

 今回みたいなことがあってツマンナイことで死なれても、それはそれでイヤな気はした。


あすみ(せっかく私のおかげで助かったんだもんね)

あすみ(……ま、本人は知らないだろうけど)

あすみ(しかし、『このこと』もいつまで隠しておけばいいのやら。こうしてその場を見たりしない限り、知らないままになるのかね?)

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