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勇者「安価とコンマで輪廻転生を繰り返して世界を救う」

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496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 19:01:10.92 ID:Sd4fg7vwO
妖怪王(分身)と遭遇
497 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/01(木) 22:11:57.55 ID:QbJnuXwTO
コンマ判定の結果、>>495>>496を採用。

勇者2「オーエドかぁ……どんな町なのかなぁ……」

勇者2は、引き取られた神社の付近から出たことが無い。妖怪王を殺すための修業とはいえ、勇者2は知らない大きな町に行くのが楽しみだった。

ヒュウウウ……

勇者2「あれ……」

勇者2(風が出てきた……さっきまで無かったのに……)

勇者2「雨降るかな……取り敢えず雨が凌げる場所までは早く着かないと……」



勇者2「……!?」ゾクッ……!!

勇者2(何……!? この感覚……!)

勇者2(何か……何かいる……!)

警戒する勇者2の目に映ったのは、黒い龍だった。

その大きさが、とてつもない。その龍は霞んで見えるほど遥か遠くにいるはずなのに、龍の頭は天まで届いているのだ。

勇者2「ま……まさか……!」

勇者2「あれが……妖怪王……!?」

ゴゴゴ……

天候が急に荒れ出す。強い雨が降り始め、強い風が吹き始め、雷がいくつも鳴り始める。

そして、ゆっくりと黒い龍がこちらを向こうとしている。

勇者2(ダメだ……! 絶対に目を見たらダメだ……!)

あの龍と目を合わせてはいけない。直感的にそう感じた勇者2は、目を逸らそうとした。

だが……

閃影「勇者2様! 危ないっ!!」

ビュウ!!!

突如、とんでもない強風が吹き、勇者2の体を持ち上げた。

勇者2(竜巻……!?)

こんな場所で、こんな竜巻が起こることなど無い。やはり、あの龍が起こしているのだろうか……!?

閃影「ゆ、勇者2様……!!」

閃影は手を伸ばすが、彼女の手は届かない。

勇者2(ヤバイ……! 意識が……!)

彼女の体は、竜巻で吹き飛ばされ……

───そうして、勇者2は意識を失った。



安価です。勇者2が飛ばされた町を決めます。

↓1 飛ばされた町の名前
↓1〜3 町の特徴
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 22:13:32.36 ID:WyRNQsaI0
モンジャ
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 22:14:43.81 ID:YfO5+Cwqo
外国の実質的植民地と化した街
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/01(木) 22:14:54.59 ID:qJ/6Eul10
寂れた漁村
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 22:15:28.79 ID:OA+MhHD1O
豪華絢爛大都市
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 22:16:59.97 ID:BSQjNxvmO
妖怪王は何周目で勝てる相手なのかな(白目)
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 22:18:29.72 ID:OA+MhHD1O
魔王とどっちが強いんかな
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 22:22:32.05 ID:YfO5+Cwqo
魔王軍の最高幹部の一人とか?
505 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/01(木) 23:06:41.18 ID:QbJnuXwTO
安価の結果、>>500>>499>>501という過程の町、モンジャに流れ着きます。

【豪華絢爛な町・モンジャ】

勇者2「…………」

勇者2「……………………」

勇者2「…………んう?」



安価です。勇者2が目覚めた状況を選択してください。

1.とある人物に匿われている
2.どこかに幽閉されている
3.誰もいない場所で気絶していた

↓1 また、コンマが高いほど大きなことに巻き込まれる
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 23:08:11.67 ID:OA+MhHD1O
1
507 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/01(木) 23:12:25.77 ID:QbJnuXwTO
1選択で今日はここまで。修業の前に厄介なことに巻き込まれてしまいます。果たして一体どうなるのか、本当に分かりません。ではまた明日以降ー。
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 23:14:09.36 ID:TmSSbESpo
おつー
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 23:14:23.62 ID:YfO5+Cwqo
乙乙
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/02(金) 00:49:09.96 ID:puCeFq2O0
>>497の絶望感漂う描写すき
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/02(金) 12:45:07.39 ID:yBBNNpZxO
そろそろ起きる?
512 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/03(土) 19:11:40.09 ID:XFKLTbrJO
起きました。やってくぜ。

勇者2「ここは……?」

ククル「ようやく目覚めましたか」

勇者2「……!?」

勇者2の近くにいたのは、聖職者の格好をした男だった。喋り口や表情は穏やかだが、どことなく粗野な雰囲気が漂っている。

ククル「ああ……安心してください。私は味方です。あなたを助けたんですよ」

勇者2「私を……?」

勇者2がいる部屋はどこかの宿のようだが、調度品や装飾がおかしい。

勇者2(この感じ……ユウシャの時に見たような……)

勇者2「あ、あの……ここって本当にヒノモト?」

ククル「……やはり、ここに来ようとした来た者ではないのですね?」

ククル「助けるのは失敗だったか……? いや、私は聖職者だし……それに、失敗というのはまだ早計かも……」ブツブツ……

勇者2「……あのー……」

ククル「……ああ、失礼。説明が必要ですよね」

ククル「ここはヒノモトの東の方……モンジャという町です。豪華絢爛な大都市ですよ……表向きはね」

勇者2「表向き?」

ククル「あなたも不自然さを感じたでしょう? この宿。ヒノモトの宿とは思えない、と」

ククル「モンジャは……外国の植民地なんですよ。元々は寂れた漁村だったんですが、とある外国から侵略を受けましてね……」

ククル「今の『将軍』はそれを良しとし、その外国からの支配を受け入れました」

ククル「聞いたことありますか? ゴーン帝国という名を」

勇者2「!? ご、ゴーン帝国……!?」

勇者2「あれ、でも……ゴーン帝国って滅んじゃったんじゃ……」

ククル「おや、ご存知なのですか? ヒノモトは鎖国状態で情報が入ってこないというのに……」

勇者2「えっ」

勇者2(しまった……ユウシャの記憶があるから知ってるんだけなんだよね……)

勇者2「……そ、そういうあなたも外国の事情に詳しいじゃないですかっ」

ククル「私ですか? それはそうでしょう。私はゴーン帝国から来たのだから」

勇者2「えっ……!?」
513 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/03(土) 19:14:52.16 ID:XFKLTbrJO
ククル「申し遅れました……。私はククル。ゴーン帝国大教会の神官です」

ククル「私はゴーン帝国からの任務で、こちらに宣教師としてやってきました。まぁ、言ってしまえば侵略政策の一つですね」

勇者2「し、侵略って……」

ククル「侵略というのは、何も武力で圧倒するだけではないということです」

ククル「……残念ながら、状況は変わってしまいましたが」

勇者2「……ゴーン帝国の滅亡?」

ククル「ほう……あなたは賢い。その通りです」

ククル「ゴーン帝国はヒノモトを手中に収めるつもりでしたが、滅んでしまっては侵略も何もないでしょう? もう私がこの国にいる理由は無い」

ククル「だから大陸に帰りたいんですが……なかなか難しくてね」

勇者2「? どうして?」

ククル「モンジャの将軍が、ゴーン帝国がなくなったことを良いことに幅を利かせているんです。今ではゴーン帝国から派遣された人間たちは奴隷も同然ですよ」

ククル「実は、私もモンジャのヤツらから逃げてる最中でして……」

勇者2「そ、そうだったの!?」

ククル「はい、だからあなたに手を貸していただきたくて」

勇者2「……もしかして、自分が逃げるのに力を貸せって?」

ククル「まさしくその通りです」

勇者2「ええー……」

ククル「そう嫌がらないでくださいよ。あなたにとっても悪い話ではない」

ククル「モンジャは他の町からの余所者も捕らえますからね。あなたも警備隊に見つかれば御用ですよ」

勇者2「そ、それは困る……!」

勇者2「……分かったよ。ただし、条件が一つ!」

勇者2「私はオーエドに行きたいんだ。そこには連れてって!」

ククル「いいでしょう。私も大陸に戻るにはヨコハマを経由する必要があるのでね、道すがらオーエドに送りましょう」

勇者2「うんうん……同盟成立だね!」

ククル「では、早速脱出の話ですが……」

勇者2「うん、そんなに大変なの?」

ククル「ええ、そうなんですよ。警備隊のヤツらは雑魚同然ですが、それ以外に脱出を妨害するものがありましてね……」



安価です。ククルと勇者2の脱出を妨害するものを選択してください。

1.めっちゃ強い将軍の部下(コンマ偶数で一人、奇数で二人、ゾロ目だと将軍まで強い)
2.ゴーン帝国から送られてきた人型兵器(コンマ50以上だと……)
3.魔法による結界(コンマが高いほど破壊するのが厄介)

↓2
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 19:16:20.11 ID:LwG0sjPGO
1
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 19:18:05.90 ID:WMZjptpzo
1
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 19:30:06.03 ID:ZwCYPraYO
またまともじゃない聖職者が出てきたな……
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 19:32:23.72 ID:ZwCYPraYO
死ぬとそのまま転生しかねない勇者との相性悪過ぎるな
518 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/03(土) 20:58:40.54 ID:XFKLTbrJO
1選択

ククル「将軍の部下の一人に、とてつもなく強いヤツがいるんです」

ククル「ヤツは将軍の命を受け、ゴーン帝国の残党やモンジャへの侵入者を捕らえようとしています」

勇者2「……そいつを倒せばいいの?」

ククル「簡単に言いますね……。それはそうですが、ヤツは本当に強いんですよ」

ククル「機を伺って、二人で何とか作戦を立てた方が……」

勇者2「いーや! 私がそいつを倒すっ!」

勇者2(そいつが本当に強者なら、閃影様との修業で習得したスキルを試すチャンス!)

勇者2「さぁ! そいつのとこに連れてって! ブッ殺してやるよ!」

ククル(……随分と好戦的な人だ)



キャラクター安価です。将軍の部下の通り名・性別・年齢・職業をお願いします。通り名は3文字まで。職業は日本っぽいやつで。

↓3まで。コンマの一番高いやつを採用。それ以外もまたどこで出します
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:12:47.58 ID:u0BlaKjMO
通り名:紫電
性別:女
年齢:22
職業:飛脚
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:17:10.81 ID:WMZjptpzo
通り名:炎髪
性別:女
年齢:16
職業:処刑人
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:19:03.86 ID:9YzHePf6o
通り名:付喪神
性別:男
年齢:11
職業:からくり人形師
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:19:15.25 ID:JoFKtkhv0
通り名:お多福
 性別:女
 年齢:20
 職業:芸人
523 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/03(土) 21:38:42.24 ID:XFKLTbrJO
【モンジャ:町の入口近く】

炎髪「…………」ギロッ……

入口の門の近くに、真っ赤な髪の女性が仁王立ちしている。勇者2とククルは、家屋の物陰からその少女を見ていた。

勇者2「……あの人が将軍の部下?」

ククル「はい、名は炎髪。モンジャ将軍に忠実な処刑人の女性です」

勇者2「しょ、処刑人!?」

勇者2(処刑はもうイヤだ……! 絶対に勝たなきゃ……!)

ククル「しかし……これからどうするんです? まさか正面から行くわけではないでしょう?」

勇者2「うーん……」



安価です。勇者2の戦闘方法を選択してください。

1.正面から薙刀でブッ倒す。
2.近くのモブに『影潜り』で近づきバレないように攻撃する。
3.その他自由に。勇者2のできそうなことで。

↓2
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:41:10.65 ID:VRxx+/pw0
コンマ一番高いの>>521では?
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:52:33.95 ID:JHAuZ8cuO
2
526 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/03(土) 21:52:54.63 ID:XFKLTbrJO
>>524
あ、ホントだ!!! ちょっと待っててください!!! これは幻術なので!!! 書き直します!!!
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 21:55:21.37 ID:3rDC9GH7O
幻術なら仕方ない
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:28:50.46 ID:ruEAV0r9o
なんだ幻術か
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:31:35.92 ID:9YzHePf6o
その術は俺に効く
530 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/03(土) 22:46:42.82 ID:XFKLTbrJO
>>523は幻

【モンジャ:町の入口近く】

付喪神「…………」ギロッ……

入口の門の近くに、小さな和装の男の子が仁王立ちしている。勇者2とククルは、家屋の物陰からその少年を見ていた。

勇者2「……あの人が将軍の部下?」

ククル「はい、名は付喪神。モンジャ将軍に忠実なからくり人形師の男性です」

ククル「彼は自ら造り出した人形を操って戦うのですが、これが厄介でね……」

勇者2(……あれ? さっきまで女の子が立っていたような……)

勇者2(……気のせいか)

ククル「しかし……これからどうするんです? まさか正面から行くわけではないでしょう?」

勇者2「うーん……」



安価です。勇者2の戦闘方法を選択してください。

1.正面から薙刀でブッ倒す。
2.近くのモブに『影潜り』で近づきバレないように攻撃する。
3.その他自由に。勇者2のできそうなことで。

↓2
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:47:24.28 ID:WJoGTJYpo
2
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:51:41.97 ID:pykF1o/dO
日が落ちて明かりが灯るのを待ち、光源を増やして影が様々な角度でできる状況を作り出して四方八方から影潜りで攻撃を仕掛ける
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/03(土) 22:57:14.14 ID:VRxx+/pw0
ユウシャらしからぬクレバーな作戦だ
534 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 00:41:52.68 ID:IyEmyFd9O
めちゃくちゃ賢い作戦。果たして……

勇者2「……日没までどのくらい?」

ククル「日没ですか? あと2、3時間というところでしょうか」

勇者2「よし……それまで待とう」

ククル「……何か作戦が?」

勇者2「まぁ見ててよ。修業の成果をお見せするからさ……!」

ククル「……?」

【日没後……】

勇者2「うん、思った通りだ」

勇者2(暗くなって皆が灯りを点けたことで、影ができてる……! これなら『影潜り』が簡単にできるよ……!)

付喪神「…………」

勇者2(……というか、あの人ずっとあの体制で立ってたの……?)

勇者2(……まぁいいや。さっさとやっつけよう……!)

勇者2「じゃあ行ってくる。何かあったらヨロシク」

勇者2「……『影潜り』」ヌルン……

勇者2は、近くの影の中に入る。そして、影を経由しながら付喪神へと近づく。

ククル「……!?」

ククル(これは……忍者の職業スキルか!? あの人は一体……!?)

ククル(……この力で勝てると良いんだが……)
535 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 00:44:25.52 ID:IyEmyFd9O
付喪神「…………」

勇者2は、付喪神の影へと入り込んだ。だが、付喪神が気付く様子は無い。

勇者2(勝負は一瞬……! ユウシャの力できちんと決める……!)

勇者2「───せいっ!!」ブンッ!!

勇者2は、影から出た瞬間に薙刀を振るった。刃はブレることなく付喪神に食い込み、付喪神の肉体を破壊する。

……バキバキッ!!

勇者2「えっ!?」

勇者2(なに……この音!?)

付喪神の体が、ゆっくりと倒れる。だが、その倒れ方がおかしい。関節や骨などを無視した倒れ方だ。

まるで……人形のように、付喪神は壊れた。

勇者2(いや、違う……! これ……!)

勇者2「人形!?」

付喪神?「ゴメイトー!」カタカタカタ!!

壊れたはずの人形がカタカタと笑い出す。人間のように精巧に作られているだけあって、かなり不気味だ。

付喪神?「サテ、ホンモノは、ドーコダ!」カタカタカタ!!


ドドド……!!


勇者2「こ、今度は何……!?」

勇者2「……うわあああああっ!?」

振り返った勇者2の目に飛び込んできたのは、大量の付喪神の姿だった。

だが、彼らの走り方はおかしい。関節をグニャグニャと曲げながら走っているのだ。おそらくアレも人形たちなのだろう。

勇者2(ま、マズイ……! どうすればいいんだろ……!)

勇者2「ねぇククル! どうしよう!」

勇者2「……あれ!?」

さっきまでいたはずのところに、ククルはいなかった。

勇者2(ま、まさか……逃げたの!? 私を置いて!?)

人形たち「アハハハハハ! ブカイシャ! ブカイシャ! エモノダー!」

勇者2「こ、怖いなぁもう!」

勇者2(カースゾンビに襲われた時を思い出すんですけど!!)

勇者2「くっそー! 正面突破で行くしかないのか……!」



コンマ二桁判定。コンマ10以上で人形たち全部ブッ壊します。

↓1
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 00:44:43.62 ID:3X1GA48c0
へいゆー
537 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 01:10:09.40 ID:IyEmyFd9O
勇者2「せっかく『影潜り』したのに! 偽物だなんて……許さないからねっ!」

勇者2「うりゃあああああああっ!!」ブゥン……!!

バキバキバキ!!!

勇者2は縦横無尽に薙刀を振り回し、人形たちを破壊していく。その姿は、まるで前周回のユウシャのようだ。

勇者2「はぁ……はぁ……」

勇者2「よしっ! 全部壊してやったぞ!」



パチ、パチ、パチ……

勇者2「!」

拍手の音がする方を見ると、そこにはまた付喪神の格好をしたものがいた。

勇者2「……いや……」

だが、それは今までとは明らかに雰囲気が違う。

勇者2「……君は、本物だね?」

付喪神「あはははは! 御名答御名答!」

付喪神「なかなかやるじゃん。俺の人形全部ブッ壊してくれるなんてさー」

勇者2「そっちこそ、自分の見た目の人形ばっか作って……そんなに自分が好き?」

付喪神「自分の型で人形作るとラクなだけだよ。アンタみたいに俺だと勘違いして突っ込んでくれる馬鹿も釣れるし」

勇者2「うぐぐ……!」

勇者2「で、でも、もう君の人形はいないよ! 私に倒される前に降参しなよ!」

付喪神「あはは! 本当に馬鹿だなぁ! 俺があんな人形だけしか作れないと思うの?」

付喪神「さぁ……! 戦いはこれからだよ……!」

勇者2「……!」





ククル「───盛り上がってるところ失礼します」ドゴッ!!

付喪神「……!?」

突如現れたククルが、付喪神を殴り飛ばす。聖職者には似合わぬその拳は、付喪神を気絶させるには充分だった。
538 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 01:11:34.03 ID:IyEmyFd9O
勇者2「く……ククル! 逃げたのかと思ったよ!」

ククル「まさか……そんなわけないでしょう。これが私の作戦ですよ」

ククル「付喪神がああいう風に見張りで立っている可能性は低いんです。なので、勇者2さんを見張りの付喪神に突撃させました」

ククル「アレが本物だったら私も楽だったのですが……まぁ、そうはいかなかったので、隠れて機を待っていたんです」

ククル「付喪神は好敵手を見つけると自ら出てくる自信家なところがあると知っていたので……出てきた瞬間に私のスキルで素早く移動してコイツを倒したわけです」

勇者2「……つまり、私は囮だったってこと!?」

ククル「……簡単に言えば、そういうことですね」

勇者2「ひ、ひどい! ひどいよ!」

ククル「いいじゃないですか、障害だった付喪神を倒せたんですから」

ククル「さぁ、行きますよ。そろそろ警備隊も出てきてしまいます。オーエドに行きたいんでしょう?」

勇者2「そ、それはそうだけど……」

ククル「じゃあ早く、私についてきてください」タッタッタッ……

勇者2「むむむ……なんかスッキリしないなー……」

勇者2「……まっ、オーエドに連れてもらえるし……いっか!」タッタッタッ……
539 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 01:14:17.00 ID:IyEmyFd9O
眠くなってきたので今日はこの辺りで。安価とコンマが良かったので割とアッサリ付喪神を倒せました。これから勇者2は初対面の人間を囮にする系のククルとオーエドに向かいます。ではまた明日。
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 06:43:58.93 ID:WBZUJxjso
おつー
541 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 08:52:12.33 ID:IyEmyFd9O
今日は意外と早起き。やっていきます。

モンジャから脱出した勇者2とククル。

彼らはオーエドを目指すのだが……



コンマ二桁判定。コンマ30以上で何事もなくオーエドに着きます。

↓1
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 08:54:14.02 ID:UbNe/uuY0
543 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 09:02:19.83 ID:IyEmyFd9O
まだオーエドに着かないようです。

安価です。オーエドに行くまでに巻き込まれるイベント。良いことでも悪いことでも人間でも妖怪でもそれ以外でも可。ただし、コンマ50以上が出ないとそのイベントは発生しません。

↓3まで。コンマ50が一つもなかった場合、その中でコンマの一番高いものを採用します
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 09:06:47.20 ID:fK8EVk7No
旅の仲間が増える
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 09:06:59.79 ID:kzRhA9Djo
場違いなほどの武器が落ちてた
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 09:07:12.85 ID:3X1GA48c0
6年前のゴーン帝国に向かったハツモトたちの話を聞かされる
547 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 10:20:57.76 ID:IyEmyFd9O
>>545>>546を採用。今さらなんですが、ユウシャが転生するまでの年数(6年)+勇者2の年齢(12歳)で、現在ユウシャの死から18年後なんですよね。これはこちらの不手際です。次回から年齢だけ募集するようにしようかなー。

というわけで再度年数を表示して進めていきます。

【太陽暦141年:春の朝】

【クランディア王国第三王子殺害事件から18年後】

勇者2「……まだ着かないのー?」

ククル「そうですね……もう少し掛かりそうです」

ククル「……そういえば、勇者2さんはどうしてゴーン帝国のことを知っていたんですか?」

勇者2「へっ?」

勇者2(す、スキルのこと言うわけにはいかないよね……)

勇者2「か……瓦版で見たんだ!」

ククル「瓦版に? そんなニュース載りますかね……」

勇者2「う……裏瓦版だよ! 嘘か本当か分からない記事ばっか載せるやつ!」

ククル「ああ、なるほど……」

勇者2(突っ込まれる前に話を変えよう……!)

勇者2「そ、それより、ゴーン帝国でそれからどうなったの? 私、ゴーン帝国が魔王軍に侵略されたとこまでしか知らないんだよね」

ククル「……そうですね……」



コンマ二桁判定。ゴーン帝国に派遣された人々のその後を判定します。

コンマ10以下で死亡、コンマ50以下で怪我による離脱、コンマ80以下で何かしらを達成して離脱、コンマ81以上やゾロ目だと魔王軍に一撃お見舞いしてます。

コンマ判定するのが多いので、人が少なそうだったら連投ありです。

↓1 ハツモト
↓2 ヌアザ
↓3 シャリー
↓4 ローレンス
↓5 ジャコ
↓6 ハスター
↓7 ルナ
↓8 隊長
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:24:41.37 ID:dHDPWa4mO
はつ
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:26:57.08 ID:01RRQffrO
やべえ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:28:21.84 ID:8BqoUBneO
死者出たかあ
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:30:20.34 ID:01RRQffrO
当時10歳の幼女もいまでは28歳か……
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:31:11.64 ID:HotTko6q0
魔王軍強い
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:33:35.75 ID:kzRhA9Djo
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:33:57.10 ID:8BqoUBneO
もい
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:34:54.95 ID:xnHyhBXvO
幽霊が死亡とは
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:35:00.94 ID:01RRQffrO
ルナちゃんが死んでしまったか……
ん?
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:35:57.00 ID:fK8EVk7No
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:43:46.27 ID:xnHyhBXvO
なんか成果あげれなそうな人が活躍してて草
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:45:54.74 ID:mFT1HMD50
何かしらを達成し、魔王軍に一撃を食らわせたのも結構多いな
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:49:34.00 ID:HBFJoOpD0
シャリーちゃんとたいちょーすげえ
ルナちゃん成仏
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 10:54:59.10 ID:xnHyhBXvO
ジャコなんだかんだで最後の方かっこよかったから活躍したの嬉しいな
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 11:04:46.06 ID:2NEcSWxiO
今の勇者2の感性だと人並みに悲しむのかな
563 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/04(日) 11:06:33.51 ID:IyEmyFd9O
・死亡……ヌアザ、ルナ
・怪我による離脱……ハツモト、ローレンス
・何かしらを達成して離脱……ジャコ、ハスター
・魔王軍に一撃お見舞い……シャリー、隊長

こんな感じです。まさか二人も魔王軍に打撃を与えるとはね。そして結果が均等になるとは。

まとめてくるのでしばしお待ちを。
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 11:06:38.68 ID:2NEcSWxiO
あとローレンスは次周回あたりから寿命判定発生しそうね
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 12:11:57.95 ID:htXcd+rZO
ヌアザさん特に見せ場もなく退場で可哀想
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 13:14:50.14 ID:DhH5D4vwo
ハツモトさんただの悪人みたいじゃん…
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 13:42:34.75 ID:XuV1ppAkO
フレンドリーファイアかな
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 14:34:26.81 ID:3X1GA48c0
シャリーが何をしたのか気になり過ぎる
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 23:38:35.81 ID:INQhkBoYO
目覚ましセットした
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/05(月) 18:37:30.72 ID:d46TpPnY0
ねぼすけさんめ
571 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:32:04.80 ID:72rHBHtUO
すいません、やっとまとまりました! 皆の活躍を書いてたら楽しくなっちゃって……

今回は安価じゃない部分が長いぞ!
572 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:34:39.21 ID:72rHBHtUO
ククル「……随分と変わりましたよ。もうあなたの知っているゴーン帝国ではありません」

ククル「モンジャ脱出のお礼に、話してあげましょう。ゴーン帝国に何があったのか……」

ククル「あれはそう、今から18年前……」


【今から18年前:ゴーン帝国入口付近】


ユウシャが離脱してからしばらく経ち、一行はゴーン帝国の入口まで辿り着いた。

ちなみに、ジャコはいまだ合流できていなかった。スライムマンがヤケクソで出した追手に思ったよりも手こずってしまったのである。

隊長「ここがゴーン帝国……!」

シャリー「わーい! ついたついたー!」

ローレンス「しゃ、シャリー……! 大声は止めぬか……!」

ハスター「……見張りはいないんですね」

隊長「まさか攻め滅ぼしたばかりの場所に敵が来るとは思っていないだろう。今こそ好機だ……!」

隊長「いいか皆……よく聞いてくれ」

隊長「これから我々はゴーン帝国に入り、内情を調査する。だが、無用な戦闘は避けてくれ。生き延びることが優先だ」

全員「…………」コクリ……

隊長「よし……では行くぞ……!!」





ヌアザ「───悪いねぇ、アンタたちの旅はここまでだ」
573 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:36:56.48 ID:72rHBHtUO
シュルルルル……!!

ガシッ!!!

全員「!?!」

ローレンス「な、何だこれは……!?」

ハスター「これは……縄、ですか……!?」

ハスター「くっ、取れない……!」

麻縄が蛇のようにのたうち、ヌアザ以外の全員に絡みつく。あっという間に身動きが取れなくなってしまった。

隊長「ヌアザさん……!? こ、これは一体……!?」

ハツモト「……なるほどな」

ハツモト「アンタ、裏切り者か……!」

ヌアザ「人聞きの悪い……ビジネスだよ、ビジネス。ぼくはこうやってお金を稼いでるの」

ヌアザ「例えば……盗賊団にゴーン帝国への派遣団のことを教えて報酬をもらったり、ね」

隊長「! あれは、君が流したのか……!」

ハツモト「そして、次は……あろうことか魔王軍と取引しやがったなぁ……!?」ギリギリ……!!

ヌアザ「ちょっと違うかなー。ぼくは元々、魔王軍からお金を貰って派遣団に応募したんだよ。派遣団に潜入して途中で裏切れって」

ヌアザ「他の派遣団にもぼくみたいなのが紛れ込んでると思うよー」

隊長「な、何だと……!?」

隊長(それでは他の派遣団も我々と同じ目に……!)
574 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:44:19.89 ID:72rHBHtUO
ヌアザ「……ぼくらが思ってるより魔王って狡猾だよ。ゴーン帝国を落としたくらいで油断しないんだから」

ヌアザ「こんなの勝てっこないって! だったら魔王軍に取り入った方が長く生きられるよ!」

ハツモト「キ、サマァ……!!」ブチブチブチ……!!

ヌアザ「ゲッ……!」

ヌアザ(ぼくの固有スキル『縄の使い手』で作った縄を引きちぎる気!? 何て馬鹿力……!)

ローレンス「フン……! こんな縄……大したことないわぁ!!」ブチブチブチ!!

ヌアザ「ヤベッ! 仕方ないなぁ……!」


ヌアザ「───『狂気の舞踏』」クネクネ……


ハツモト「……グッ……!?」

ローレンス「ヌオオオッ……! あ、頭ガ……!!」

ヌアザが舞を行うと、それを見ていた全員が苦しみ始めた。

隊長「ぐっ……! こ、これは……!」

ヌアザ「……ふう」

ヌアザ「取り敢えず三半規管辺りを狂わせておいたよ。これでもうきみたちは立てない」

ヌアザ「もう終わりさ……出てきてくれ!」

ゴゴゴ……ズゥン!!

ゴール帝国の門が開き、中から魔族やモンスターが現れた。

その数、約千体。夥しいほどの化物が隊長たちを囲む。

「ひ……ヒィッ……!」

「う、嘘だろ……! 魔族たちがこんなに……!」

隊長「待ち伏せ……されていたのか……!」
575 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:46:04.85 ID:72rHBHtUO
ヌアザ「じゃあ、ぼくはこの辺で失礼するね。顔見知りが殺されていくのを見るのは流石に気分良くないからさ……」

ハスター「……そうはいきませんよ」

ヌアザ「? 何だい? まさか、ここからぼくに何かしようって?」

ハスター「確かに……私は動けません。だから……」


ハスター「───やってしまいなさい、ルナ」


ルナ『はーい!』

ルナ『……これであなたは終わりよ』

ルナ『死の呪い……!』

ヌアザ「うぐっ……!?」ズズ……

ヌアザ「何だ、これ……! か、らだ、が……!?」

ヌアザ「まさか、死、こんな、ここ、そんな、ばか、な…………」


ドサッ……


ヌアザが倒れたと同時に、彼の作った縄は朽ちていく。

隊長「た、助かった……」

隊長「ありがとう、ハスターさん」

ハスター「お礼なら私ではなくルナに」

シャリー「ルナちゃんありがとー!」

ルナ『こんなのどうってことないよー!』

ローレンス「そ、そこに何かいるのか……?」
576 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:48:13.70 ID:72rHBHtUO
モンスター「チッ……ツカエナイニンゲンダ」

モンスター「ハヤクコロシテシマオウ! キョウハパーティーダカラナ!」

隊長「……!」

隊長「ヌアザさんが倒れても、この脅威は消えない……! 当然か……!」

隊長(どうする……!? このまま退避するか……!?)

隊長(いや、それは危険だ。逃げた場所に魔族たちが押し寄せるかもしれん……!)

隊長(それに、俺たちには任務があるんだ……!)

隊長(俺は、どうすればいい……!?)

ハツモト「…………」

ハツモト「……隊長」

ハツモト「お前は……これからどうする気だ?」

隊長「そ、それは……」

ハツモト「……仮にもこの部隊のトップだろう。もっと堂々としないか」

隊長「……!」

ハツモト「俺は今から……このクソ共をブチ殺す」

ハツモト「お前らも……理由は知らないが、ゴーン帝国で何か成し遂げるために来たんだろう。このまま帰る気か?」

ハツモト「……まぁ、俺には関係ないがな」

ローレンス「……ふ、ふはははは……!」

ローレンス「貴様のことは気に食わんが……一本筋の通った、肝の座った男だな」

ローレンス「魔族の皆殺しという悲願を達成させるためなら、己の命も厭わんか」

ハツモト「…………」

ローレンス「どれ、俺も手伝おう……」

ハツモト「邪魔するな」ピッ!!

ローレンス「うおっ!?」

ハツモトは、剣先をローレンスに向ける。一歩出れば喉元に刺さるほどの至近距離だ。

ローレンス「こ、殺す気かっ!?」

ハツモト「俺の邪魔をするなら死んでもらうさ」

ハツモト「コイツらは……俺の獲物なんだからなぁ……!」

そう言うハツモトの目は、狂気に染まっている。早く魔族たちを殺したくてたまらないといった顔だ。
577 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:50:05.42 ID:72rHBHtUO
隊長「……そうだな」

隊長「俺たちの任務はゴーン帝国の内情調査だ! それを終えず帰ることはできん!!」

隊長「だが……敢えて再び言おう! 俺たちの最優先事項は生き残ることだ!」

隊長「必ず……皆、必ず生きてくれ!!」

全員「はいっ!!」

隊長「ハツモトさん、もちろん君も皆の中に含まれている」

隊長「……死ぬんじゃないぞ」

ハツモト「はっ……つくづく真面目だね、アンタは」

魔族「ナッ……キサマラ、イカセルワケナイダロウ……!」

ハツモト「うるせぇんだよ!!」ザスッ!!

魔族「ガハッ……!?」

ハツモトの魔剣に封じられた魔法……『死の刃』が、確実に魔族一体の命を刈り取った。

ハツモト「俺がコイツらを引き受ける! お前らはさっさと帝国に入れ!!」

隊長「ああ……! ありがとう!!」

隊長「皆……! 行くぞっ!!」

全員「うおおおおおおおおおおっ!!」



ハツモト「……やっと行ったか。さっきから邪魔で仕方なかったんだ……」

ハツモト「これでようやく……お楽しみに興じられるぜ……!!」ズズズ……!!
578 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:55:55.65 ID:72rHBHtUO
【ゴーン帝国内】

ゴーン帝国の中は、酷いものだった。あちこちで死体が腐敗したまま放置され、建物はほとんどが廃墟と化し、住み着いたモンスターが町中を闊歩している。

だが、入口に魔族は配置されていなかった。おそらく派遣団のことを強く気に掛けているわけではないのだろう。手の空いた要因で相手をしているに過ぎないのだ。

ドゴォン……!! ドゴォン……!!

遠くの方から戦いの音が聞こえる。こちらと同じように、裏切り者の存在に気づきながらも倒すことができた部隊もいるのだろうか。

隊長「各兵、当初の予定通り帝国内の要所を確認せよ!! 繰り返すが、無用な戦闘は避けるんだ!!」

「はいっ!!」

騎士たちが任務を果たすために散って行く。

シャリー「ふむふむ……」

シャリー「じゃ、シャリーはこっちー!」タタタッ……

ローレンス「あっ……! ま、待つんだシャリー……!」

こんな状況でも、シャリーは無邪気に笑いながら走っていく。ローレンスはその姿を慌てて追いかけた。

ハスター「では、行きましょうかルナ」

ルナ『…………』ボーッ……

ハスター「……ルナ?」

ルナ『……あっ、ごめん。ボーッとしてた』

ハスター「……故郷が懐かしいのは分かりますが、今は自重してください」

ルナ『ごめんごめん……早速行こー!』

ハスターも、ルナを伴って目的を果たしに行く。

隊長「……皆行ったか」

隊長「まだ合流していないジャコさんが気になるが……そうも言ってられないな」

隊長「俺の行き先は……帝国議事堂か……!」
579 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:58:14.76 ID:72rHBHtUO
【ハスター・ルナSIDE】

ハスター「……ここですね」

ハスターとルナは、ゴーン帝国大教会の前にいた。

ルナ『やっとハスターの願いが叶うね!』

ハスター「……いえ、まだ始まりに過ぎませんよ」

ハスター「本当はユウシャさんにもいてほしかったのですがね……ああなってはどうしようもない」

ハスター「いつかまた……『今のユウシャさんでないとしても』会える日が来ることを願いましょう」

ルナ『ハスターは会えるかもしれないけど、わたしは微妙かもなー』

ハスター「……本当にいいんですか?」

ルナ『? 何が?』

ハスター「私はルナを『生まれ故郷に帰りたい未練』を用いて幽霊にしました。だからルナは固有スキルもそのままに現世に留まっている」

ハスター「ですから、このままゴーン帝国にいると……消えてしまう可能性もあるんですよ」

ルナ『もう! 何回言わせるの!?』

ルナ『わたしはもう満足したの。だから……ハスターを手伝いたいんだ。消えたっていいんだよ』

ハスター「……ルナ……」
580 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 11:59:14.01 ID:72rHBHtUO
ハスター「……分かりました。もう何も言いません」

ハスター「なので……あいつを倒すのを手伝ってくれますか? ルナ」

大教会の扉を開けた先。女神像の台座のところに、一人の男がいた。

いや……人間ではない。フードを被って顔の見えないソレは、モンスターだ。

死神「……おや、客人ですか」

鎌で命を根こそぎ刈り取るモンスター・死神である。

死神「やはり途中で倒されない派遣団もいましたか……」

死神「魔王様も慎重なのだか爪が甘いのだか……やるならば、もっと徹底的にやればいいのに……」

死神「何故あなたがここに来たのかは不明ですが、ここで死んでいただきます」ゴゴ……!!

ハスター「……!」
581 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 12:12:59.44 ID:72rHBHtUO
【ジャコSIDE】

ジャコ「お、おいおい……どうなってんだよ……」

勇者を送り届ける途中でスライムマンと交戦したジャコは、ゴーン帝国内が魔族で溢れていることを伝えるため、急いで合流しようとしていた。

だが、彼は間に合わなかった。途中でモンスターたちを倒して息の荒いジャコの前にあるのは……

……千体を超える魔族とモンスターの死体だった。

ジャコ「めちゃくちゃ死んでる……どういうこった……」

ハツモト「グッ……」

ジャコ「! ハツモト! 大丈夫か!?」

ハツモト「ああっ……!?」ギロッ!!

ハツモト「……何だ、お前か。魔族かと思ったよ……」

悪態をつくハツモトだが、いつもの覇気が無い。というのも、彼の体は魔族との戦闘でボロボロなのだ。体のあちこちに生傷があり、場所によっては骨が見えている。一応五体満足ではあるようだが、出血の量が尋常じゃない。このままでは死んでしまうだろう。

ジャコ「お前まさか……この魔族、全部お前一人でやったのか!?」

ハツモト「だったらどうした……」

ジャコ「どうしたって……」

ジャコ(千体以上の魔族を相手に勝つって……どんだけつえーんだよ……!)

ハツモト「そんなことより……中にいったヤツらを手伝ってやれ」

ジャコ「! 中に入ったのか!?」

ハツモト「ああ……中にも魔族はいるだろうに、残念だ……俺はもう……」ガクッ……

ジャコ「ハツモト!!」

ジャコ(……大丈夫だ、まだ生きてる。気絶しただけか……)

ジャコ「……カプセル展開」パキッ……!!

ジャコは懐から全てのカプセルを開ける。中からは、十匹のオオカミと巨大なクマ、片目に傷を負ったオスライオンが現れた。

ジャコ「……コイツがこんなに頑張ったんだ。オレもフル戦力でいかねぇとな」

ジャコ「お前ら二匹はハツモトを安全な場所に運んでから合流してくれ」

オオカミたち「ガルル……!!」

ジャコ「後は……オレと一緒に来いっ!!」

ビーストたち「ガウッ!!!」
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 12:38:00.93 ID:AeFbs1IvO
すげぇ……よくまとめたなぁ……
583 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 12:43:05.78 ID:72rHBHtUO
【シャリー・ローレンスSIDE】

シャリー「らんらんららーん♪」

ローレンス「しゃ、シャリー! ま、待たんか……!」

ローレンス「くっ、魔族め……! 我が道を阻むな! 破ッ!!」ドコォッ!!

ローレンスは、今なお楽しそうに歩くシャリーを襲おうとする魔族たちを必死で倒していく。

だが、歴戦の戦士であるローレンスにも、流石に限界が近づいていた。

ローレンス(……歳は取りたくないものだな!)

ローレンス「シャリーよ! どこに向かっているんだ!?」

ローレンス「もう俺の体は持たない! このままでは君を守ることが……!」

シャリー「ねー、ろーれんすー」

ローレンス「な、何だ!?」

シャリー「ろーれんすはなんでごーんていこくにきたのー?」

ローレンス「……!」

ローレンス「……もう同じ誤ちを犯したくないからだ」

シャリー「?」

ローレンス「……こんな俺でも昔は家庭を持っていてな。二人の子どもと五人の孫に恵まれた。幸せだった……幸せだったはずなんだ」

ローレンス「なのに俺は……自らの型を極めるという身勝手な理由で何年も家を空けていた。もしこの世界に神がいるならば、そんな俺に天罰を与えたのだろう」

ローレンス「久しぶりに帰った家は……魔族によって跡形も無くなっていたよ」

シャリー「…………」

ローレンス「……俺もハツモトと同じだ。家族を奪った魔族が憎い。だからこの派遣団に志願したんだ。少しでも力になれれば、と」

ローレンス「……その結果が、コレだ。もう体にガタが来ている」

ローレンス「死ぬことを怖いとは思わないが……このままだとシャリーを、孫によく似た君を守れない」

ローレンス「それだけが心残りだ……」

シャリー「ろーれんす……」
584 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 12:47:33.65 ID:72rHBHtUO





シャリー「大丈夫、神は貴方を祝福するでしょう」



ローレンス「……!?」

ローレンス「しゃ、シャリー……!?」

パアアアアア……!!

ローレンス「こ、これは……!? 体が軽い……!」

シャリー「貴方に『聖女の祈り』を施しました。しばらくは戦うことができるでしょう」

シャリー「申し訳ありませんが、もう少し私に力を貸して頂けませんか?」

ローレンス「お、お前……本当に、シャリーか……?」

ローレンス「……いや、疑う意味もあるまい……」

ローレンス「……何をすればいい?」

シャリー「私を……ゴーン帝国で一番高い塔に連れていって頂きたいのです」

シャリー「───この世界を救う一助となるために」
585 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 12:50:46.48 ID:72rHBHtUO
【隊長SIDE】

隊長は、帝国議事堂に向かっていた。既に多くの魔族やモンスターの戦闘を行なっており、彼の体力は半分を切っている。

隊長(もう一踏ん張りだ……!)

「隊長!!」

「ご無事でしたか!!」

隊長「! お前たち……!」

王都からの派遣団で、隊長の元部下であった騎士たちであった。

隊長「生きていたか!」

「はい! 何とか……!」

「ですが、うちの派遣団は半数が死亡。派遣団自体もほとんどが壊滅しています」

隊長「……やはり、そうか……」

隊長(ヌマザさん……ヌマザのようなヤツらにやられたわけだ……クソッ!)

隊長「俺はそろそろ離脱するつもりだが、お前たちは!?」

「私たちは……帝国議事堂に向かっています!」

隊長「!? お前たちの担当はそこではないだろう!?」

「ええ、ですが……いるんですよ! あの場所に!」

「魔王軍の十幹部の一体が……!」

隊長「……!?」



安価です。魔王軍には十体の幹部がいます。その魔族の名前・性別・属性・容姿・特徴をお願いします。

属性は>>175の十個の中から。特徴ではその魔族の戦い方とか性格とかを。

↓3まで募集。その中から一つを採用
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 13:03:27.43 ID:AeFbs1IvO
エターナル
現在は男
現在は闇
黒い甲冑を見に纏う謎の人型モンスター
身長の5倍はあろうかという冗談のような長さの大剣を軽々と振るう。召喚者が別におり、召喚者が死なぬ限りは何度でも転生する
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 13:05:24.86 ID:EbDgc3zo0
魔族の名前 麒麟后
性別 女
属性 雷
容姿 長く大きな電気を纏った角を持つ銀髪の褐色美人(人間態時)、角はそのままに青白く光輝く巨大な天馬(真の姿)
特徴 残虐非道。圧倒的速さと多彩な雷技で嬲り[ピーーー]のが趣味。
人間はゴミと見下し、魔族や亜人族にも敵と判断したら容赦ない。唯一魔王だけは崇拝してる。
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 13:06:55.00 ID:1Q69TiuH0
名前 カマセ
性別 男
属性 月
容姿 モブっぽいキャラが強そうな装備で身を固めた姿
特徴 魔王級の実力を持つとされるが、何やら致命的な弱点があるらしい
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 13:10:03.88 ID:cI/H1hBF0
名前 アズール
性別 男
属性 火
容姿 赤肌に黒い髪、三つ目で金目、腕が四つ
特徴 『炎魔』と呼ばれる魔王軍の中でもかなり好戦的な存在
殺戮・強奪、そして何より強者との闘争を好み、あらゆる戦場に顔を出す
非常に粗野で横暴、彼が敬意を払うのは強者と魔王のみである
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/06(火) 13:20:39.74 ID:N0vuyBLRO
それぞれの強さ設定考慮した上で描写しなきゃならなかったのか。ハツモトさん思ってた以上に強かった
591 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 13:26:07.19 ID:72rHBHtUO
>>586を採用

隊長「な……何だと!? エターナルが!?」

エターナルとは、魔王軍の十幹部の一体である。幹部たちは魔王に忠誠を誓い、各々が強力な能力を持つ。エターナルは黒い甲冑を纏った人型モンスターで、身長の5倍以上の剣を振るう恐ろしい存在だ。

「エターナルがこんな近くにいることはありません……! ここで倒しておくべきです!」

「幹部を一人消し去ることは、後の人類の士気をあげます!」

隊長「…………」

隊長「……ああ、そうだな!!」

隊長「行くぞ!! エターナルを……倒す!!」


【ハスター・ルナSIDE】


死神「あなた程度に時間を掛けてはいられませんね……一瞬で殺してあげましょう」

ブゥン!!

ハスター「……!」

死神は背中の何も無い空間から鎌を取り出し、一瞬で間合いを詰めてハスターに振り下ろす。

ガキィン!!

死神「……ほう? 思ったよりは強いのですね」

ハスターは錫杖で何とか死神の鎌を防ぐ。だが、死神に何の乱れも無いのに対し、ハスターは腕が震えている。攻撃を防ぐので精一杯だ。

ハスター「……だから、お願いします!」

ルナ『おっけー!』

ルナ『呪いを食らえ……!』

死神「……霊体ですか」ガシッ!!

ルナ『きゃあああああっ!?』シュウウウ……!!

死神は何なくルナの手首を掴み、強い力で握り締める。その骸骨にも似た白く細い手は、ルナの体に確実なダメージを与えていた。

ルナ『うっ……! は、離して……!』

ハスター「!」

ハスター(手首辺りが薄くなっている……! 消滅しようとしているのか!)

死神「死を体現した怪物である私に呪いを掛けようとするなど……あまりにも愚かだ」

死神「私は人間が死を恐れる気持ちから生み出されたモンスター……生物が死と隣合わせである以上、私に勝つことはできませんよ」

ハスター「くっ……!」
592 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 13:27:43.18 ID:72rHBHtUO
ハスター「……そう言われましてもね、私もこんなところで引き下がれないんですよ……!」

ハスター「『護封』!!」ガッ……!!

死神「……!」

ハスターは光の込められた錫杖で殴打する。まだ大したダメージは与えられていないが、少しは効いているようだ。
死神「……霊体を封印する力ですか」

ハスター「いや……霊体による害からこの世を守る力ですよ……!」ブン……!!

死神「……なるほど……」ヒュッ……!!

ルナ『きゃっ……!』

死神はルナを投げ捨て、ハスターの攻撃をいとも簡単に避ける。

死神「霊体を世界から排除する……つまり破魔の力というわけですか」

死神「面白い物を見せていただきました。お礼に、殺して差し上げましょう」

ハスター「……!」

ザッ……!!!

死神の鎌が、ハスターの肩を掠る。

ハスター「……!?」ガクン……!!

その瞬間、ハスターは膝を着いた。急に倦怠感が襲ったのだ。

死神「私の鎌は、文字通り命を刈り取る……」

死神「これであなたの寿命は一年削られました」

ハスター「……!」

死神「さぁ……あなたの寿命はあとどのくらいあるんでしょうか?」
ハスター「ぐっ……!」
593 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 13:32:45.04 ID:72rHBHtUO
ルナ『ど、どうしよう……このままじゃハスターが……!』

ルナ『でも、わたしの力じゃ……!』

ルナ『…………』



【何年も前:ビーフの教会にて】

ルナ『…………』ボーッ……

ルナ『……ここ、は……?』

ハスター「おや、意識が戻りましたか」

ルナ『わたし、確か、死ん……』

ハスター「ええ、そして意識の霞となって漂っていた。それを私が安定させました」

ハスター「私は、あなたを今から霊体としてこの世に定着させることができます」

ハスター「その代わり、あなたは私がいなければこの教会から出られません……。このまま消えることを望むのも良いでしょう」

ハスター「……どうしますか?」

ルナ『……まだ……』

ルナ『まだ……この世に、いたい……』

ハスター「……分かりました」

ハスター「あなたの死後の人生が健やかでありますように……」



【そして現在……】

ルナ『…………』

ルナ『…………!』



ハスター「くっ……! 参ったな……!」

ハスターは、死神に壁際まで追い詰められていた。死神の鎌で切り裂かれたが最後、一歩間違えれば即死してしまうことが分かり、防戦一方なのである。

ハスター(このままでは……私の来た意味が……!)

死神「人間にしては頑張った方ですが……そろそろ死になさい!」ブゥン!!!

ハスター「!!」

ハスター(ここまで、か……!!)



…………ザッ!!!

ハスター「…………え?」

鎌が刺さったにしては、軽い音だ。それに、ハスターの体には何のダメージも無い。

ハスター(ば、バカな……!?)



……何故なら、死神の鎌は、ハスターを庇ったルナの体に突き刺さっていたからである。
594 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 13:35:57.67 ID:72rHBHtUO
ハスター「ルナ……!? そんな、どうして……!!」

死神「……人間を庇いましたか」

死神「霊体なら死なないとでもお思いで? 残念ながら霊体も消えますよ」

ルナ『わか、ってる……!!』シュウウウ……!!

ルナ『だから、さい、ごに……! これをくらえ……!!』ズズ……!!!

死神「呪いですか……? だから、そんなものは私には効かな……」

死神「……!?」ピキピキ……!!

死神「ガアアアアアアアア!!」バァン!!!

死神の体が、破裂した。胴体部分はちぎれ、使い物にならなくなった足から崩れ落ちる。辛うじて残った鎌で倒れ込むのを支えてはいるが、息も絶え絶えだ。

ハスター「これは……一体……!?」

死神「……ふふふ、なるほど……。生者の呪いですか……」

死神「死の象徴である私に命を活性化させる呪いを与える……そうすることで、私の体に、負荷を掛けたのですね……!」

死神「で、すが……私の鎌を受け、私、を、倒すほどの、呪いを行使したあなたは、もう……」

ルナ『うん……わかってる。覚悟の上だよ』スウ……

ハスター「! ルナ、体が……!」

ルナ『さっ、ハスター! トドメだよ!』

ルナ『まだコイツは生きてる。早く倒さないと、ハスターの願い叶えられないよ?』

ハスター「しかし、ルナを助ける方が……!」

ルナ『バッカだなぁ……さっきも言ったでしょ! 消えてもいいんだって!』

ルナ『……わたしはもう、充分すぎるほど、この世界にいた。だから、いいんだよ』

ルナ『司祭のハスターなら、ちゃんと分かるよね? 幽霊のわたしがウソ言ってないって』

ハスター「……!」

ハスター「…………」

ハスター「……ええ。分かりますとも」

ハスター「何年もルナと共に過ごしてきたハスターなら……ね」

ルナ『!!』

ルナ『ふふっ……消える前に良いこと聞けたなぁ……』

ルナ『じゃあねっ、ハスター! 長生きしろよっ!』

ハスター「……ルナも、お元気で」

ルナ『ふふふ……』

ルナ『…………』

……シュン……
595 : ◆8Teg8/hC1rJ4 [saga]:2020/10/06(火) 13:37:14.75 ID:72rHBHtUO
ハスター「…………」

死神「……消えましたか」

死神「初めてですよ、モンスター化もしていない幽霊で、これほどまで私にダメージを、与えたのは……」

ハスター「……逃げないでくださいよ」

死神「まさか……この後に及んで足掻きません。死神は諦めが早いのですよ」

死神「あなたはどうやら、魔王軍に楯突くおつもりのようだ……」

死神「……あなたが……あなたたち人類が、魔王様に、完膚なきまで殺戮されるよう、死の世界から祈っております」

ハスター「……では、その祈りは届きませんね」

ハスター「私には、ルナがついていますから。必ずや世界を救ってみせますよ」

ハスター「……『護封』」


……バチィ!!!


ハスター「……倒せましたか」

ハスター「…………」

ハスター「……感傷に浸るのは後だ。私には成さなければならないことがある……!」

ハスター「世界を救うために……!」
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