安価とコンマで異世界転生!その12

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302 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/14(月) 03:17:51.94 ID:fwOtceKI0
本日はここまでです
ありがとうございました
303 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/14(月) 19:50:30.14 ID:fwOtceKI0
一行がそこに近付いていくと、
棚田の隣に家があるのが視認できた
遠くからでもはっきり見えるため、
それなりには大きい家であるということが言えるだろう


氷魔「……あそこを目指しましょうか……」


一行はその家を目指そうと、
棚田を迂回して降りていこうとする
そのときのことだった


やる気「……っ!」
304 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/14(月) 23:56:41.19 ID:fwOtceKI0
彼は反射的に宙返り
武器を構えながら反対向きに着地した


ぶりっ子「な、なんですかぁ?」


確かに、背後から獣の声がしたのだ
勇猛な野生動物の中には、
魔物に引けをとらないようなものもいる
経験からそれを知っているやる気が、
もっとも鋭敏に反応したのである
305 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/14(月) 23:58:11.18 ID:fwOtceKI0
本日はここまでです
ありがとうございました
306 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/15(火) 19:49:34.06 ID:fnOUK2tyO
やる気「……来てはないっすね」


それから、安全を確認して一行は大きな家を目指した
小屋と同じく木造の、シックな色合いの家だった


怪盗「ごめんくださーい」


ドアベルがついていなかったので、
声をかけながら優しくドアをノックしていく


>>下1……反応はあったか(あるなら、どのような反応があったか)
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/15(火) 20:17:59.26 ID:N0eI6b/Q0
突然の来訪者に驚いたのか中からは何かが倒れた音や何かが割れた音、動物の絶叫、誰かが転倒した音から布が千切れた音まで聞こえて来た
308 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/16(水) 01:21:13.22 ID:6KIRWdbp0
次の瞬間、家の中からなにかものが動いた音がした
その次にはより大きな音が鳴り、
家具が倒れたことが分かるだろう


狙撃少女「え……?」


なにごとかと一行が身構えるも、
獣の鳴き声のように止むはずもなく、
割れ物が破壊された音やそれこそ動物の叫びまでもが聞こえてくる


炎魔「な、なにかただならぬ事態が起こっているのでは!?」
309 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/16(水) 02:23:54.19 ID:6KIRWdbp0
本日はここまでです
ありがとうございました
310 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/16(水) 19:58:29.23 ID:6KIRWdbp0
それだけではなく、明確に人間が倒れたような音やなにか繊維質のものが千切れたような音までもが鳴っている


男「な、なにかまずいかもしれない!突入しよう!」

中華「い、いいのかなぁ?」

男「怪我してる人がいるに違いない!助けに行かないと!」


男は玄関にドアノブを取り付け、強引に開いた
311 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/17(木) 00:37:46.16 ID:IJV7pX9i0
引き戸のはずの玄関は強引に手前へと開かれ、
家屋への入り口を作り出す


氷魔「……さて……」


そこに突入した瞬間、
全ての強烈な物音は鳴りを潜めた
どこからあの音がしていたのかも、誰にも分からなかった


やる気「どっから行くっすか?」
312 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/17(木) 00:39:26.74 ID:IJV7pX9i0
すぐそこに上階へと続く道があったが、
一行はひとまず一階を探索することにした


ぶりっ子「大丈夫ですかぁ〜?」


ぶりっ子は声を張り上げて探すも、
これといって返事はなかった
少なくとも廊下には誰もいないのだ


狙撃少女「部屋に入るしかなさそうですね」
313 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/17(木) 00:46:01.30 ID:IJV7pX9i0
本日はここまでです
ありがとうございました
314 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/17(木) 19:33:01.41 ID:IJV7pX9i0
男「この部屋な気がするな」


部屋を区切るものはドアではなく、全て襖であった
男が目を付けたのは、
廊下から確認できる範囲ではもっとも大きな襖である


炎魔「よし、じゃあいきましょうか!」


炎魔は他のメンバーが身構える前に、
素早くその襖を開いた


>>下1……襖の向こうの様子
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/17(木) 19:40:42.34 ID:9k4TNsJm0
かなり散らかった部屋で、大きいちゃぶ台の下に震えながら隠れている少女や小動物達がいる
316 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/18(金) 01:45:23.01 ID:7qcIskWY0
中華「うわ、すっごい荒れてる……」


その部屋はとても散らかっていて、
種々の紙や日用品が散乱している有様だった


氷魔「……ぬ……」


そう声を漏らして突如氷魔はかがむ
彼女の視線は部屋に置かれている大きなちゃぶ台の下へ向いていた
317 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/18(金) 01:53:56.42 ID:7qcIskWY0
本日はここまでです
ありがとうございました
318 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/18(金) 20:50:35.77 ID:X8HU2+wLO
すみません遅れました


少女「……ぁ……」


彼女はちゃぶ台の下に隠れている少女を発見したのだ
見つかったことを悟った彼女は恐怖に瞳孔を震わせ、
吐息を漏らしてしまう


やる気「ん、なんかあったっすか?」

氷魔「……ええ……ここに人が……」
319 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/19(土) 01:18:26.35 ID:IBElbORE0
少女「……た……助けて……」

動物「ピピィーッ!!」


少女が命乞いをすると同時に、
一緒に隠れていた小動物が飛び出してくる


怪盗「おっと、ダメですよ?噛みついたりしたら」

ぶりっ子「なっ……なんですかその生き物?」


怪盗が掴んだ小動物は、
あまり見かけないような姿形をしていた
320 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/19(土) 01:21:03.65 ID:IBElbORE0
狙撃少女「あ……下にまだまだいますね」


少女と一緒に、それは沢山隠れていた


炎魔「けっこう可愛いですね!」


怪盗の手から抜け出したそれは、
ちゃぶ台の下へと戻っていった
それは蛇のように長く、
しかしながら毛皮を備えていた


男「イタチか?……いや、流石にもっとバランスの取れた体型をしてるよな……こいつは細長すぎる」
321 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/19(土) 01:21:47.86 ID:IBElbORE0
本日はここまでです
ありがとうございました
322 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/19(土) 19:47:43.23 ID:IBElbORE0
中華「そんなこと考えてる場合じゃないでしょ!?」

男「……そ、そうだった……おーい、俺たちは別に悪いことをしにきた訳じゃないんだ」


男は這いつくばって少女と目線を合わせる
だが、彼女はまだ怯えたままだった


少女「……ひ……!」

氷魔「……どうします……?」
323 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/19(土) 19:49:58.51 ID:IBElbORE0
やる気「こういう時は、一発ギャグで和ませるのが一番っすよ」

ぶりっ子「そ、そうですかねぇ?」

男「やる気、それだ!一発ギャグだ!俺に任せろ!」

怪盗「えぇ……?」


困惑している女性陣をよそに、
男は一発芸を行おうとする


>>下1……一発芸の内容
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/19(土) 20:37:02.49 ID:Z6EIUXKw0
動物のモノマネ
325 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/20(日) 01:01:37.70 ID:40BUtHSm0
男「ぐぐ……わぉーん!わぉーん!」


恥というものを感じさせない、
伸びやかな声での犬の鳴き真似だった


狙撃少女「うわ……」

少女「……あ……」


だが、彼女は男がそうしているのを見て、
少なくとも恐怖とは異なる感情を抱いたようだった
326 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/20(日) 01:17:00.15 ID:40BUtHSm0
本日はここまでです
ありがとうございました
327 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/20(日) 19:33:47.57 ID:40BUtHSm0
男「わん!わん!わ……っ……!?」

少女「そんなに吠えないで……」


彼女はなんと男に手を伸ばし、
本物の犬にするかのように喉元を撫で始めたのだ


炎魔「おっ!物真似が精巧すぎて本物の犬と間違えてますね!」

ぶりっ子「流石にそんなわけないでしょぉ!?」
328 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/21(月) 01:40:18.17 ID:mJqQRWa40
男「……俺は人間だが」

少女「ひっ……」


男が物真似をやめると、
また少女の表情には恐怖が浮かんだ


中華「……いや、いやいやいやいや……」

氷魔「……動物だと思っているなら……交流ができるみたいですね……」
329 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/21(月) 01:46:47.06 ID:mJqQRWa40
本日はここまでです
ありがとうございました
330 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/21(月) 19:48:14.31 ID:mJqQRWa40
炎魔「それなら私に任せてください!」


炎魔は男と入れ替わりでちゃぶ台の下に体をねじ込む


やる気「なるほど、翼っすね」

炎魔「ほら、見てください!私は鳥ですよ!」

少女「と……鳥さん……?」
331 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/22(火) 03:31:28.51 ID:tIqI583J0
炎魔「そうですよ、翼だって生えてるんですから」

少女「確かに……」


少女はまたちゃぶ台の下から少し体を出して、
炎魔の体を撫でた


ぶりっ子「それでいけるんですねぇ……」

少女「あ……なんだかぽかぽかする……」
332 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/22(火) 19:58:39.69 ID:tIqI583J0
炎魔「実は私たち、この家からすんごい音がしたから心配になって突入してきたんですよ」

少女「そうなんですね……」


少女は炎魔を撫で、炎魔は撫でられながら喋っている
異様な光景だが、牧歌的だった


炎魔「この家、他にも誰かいるんですか?」

少女「>>下1」
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/22(火) 20:16:16.74 ID:zdxE4HOh0
面白いメイクをした少年と給仕さん!
あとたくさん!
334 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/23(水) 01:01:45.19 ID:Q+T9MyUm0
少女「面白いメイクをした少年と給仕さん!あとたくさん!」

炎魔「面白いメイク?」

少女「うん、会えばわかるよ」


彼女は無邪気に微笑んでいる


氷魔「……面白いメイク……ですか……」

怪盗「どうしました?」

氷魔「……いえ……なんでもありません……」
335 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/23(水) 02:23:34.95 ID:Q+T9MyUm0
狙撃少女「では、他の人にも会いに行きましょう」

炎魔「ですね!」

少女「もう行くの……?」


少女の瞳は悲しげで、
だが優しく動くその手は止まらなかった


炎魔「明らかに、ここからだけじゃない音がしましたから」

男「もし大事が起こってたらまずいからな」

少女「ひっ……」

男「なんで俺にはいちいち怯えるんだ……」
336 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/23(水) 02:32:32.67 ID:Q+T9MyUm0
本日はここまでです
ありがとうございました
337 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/23(水) 19:12:18.04 ID:Q+T9MyUm0
中華「給仕さんがいるのはどこ?」

少女「部屋を出て……左にまっすぐです……」


名残惜しそうな少女に別れ、一行はその部屋を出た
彼女に言われたとおりに進めば、
そこには両開きの扉があった


やる気「あぁ、確かにダイニングの入り口って感じっすね」
338 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/23(水) 20:00:01.96 ID:Q+T9MyUm0
一行はその扉を開けて、ダイニングへと突入した


ぶりっ子「すみませ〜ん……」


ダイニングに入れば、
そこは一見すると誰もいないようだった
だが、粘っこい視線を感じることだろう


怪盗「……誰かいますよね?出てきてくださいよ。私たち、悪人のつもりはないんですけど」


怪盗がそう述べると、
死角から>>下1が飛び出してきた
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/23(水) 20:22:18.77 ID:jac3hKLH0
コック、庭師、画家、彫金師、仕立て屋、占い師、メイド(魔女)
340 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/24(木) 01:35:03.54 ID:zNeSCeoi0
狙撃少女「む……」


懐にパチンコを隠し、彼女は気配の方向に向き直った
キッチンに続く扉が開かれており、
その扉の脇からコックが現れたのだ


コック「あ、あぁ、助かった。悪い人じゃないんですね?」

炎魔「はい!もちろんですよ!」

男(実際危害を加えるつもりはないが……よく信じるな)
341 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/24(木) 02:07:46.65 ID:zNeSCeoi0
本日はここまでです
ありがとうございました
342 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/24(木) 19:54:25.01 ID:zNeSCeoi0
すると、続々と人が出てきた
キッチンにこれだけの人がいたのか、
と驚いてしまうほどだった


庭師「いやぁ、なにごとかと思いましたよ」

画家「えぇ、筆もなにもかも取り落としてしまいましたなぁ」

彫金師「いやほんと、肝を冷やしました……」

中華「この屋敷、大所帯だね」
343 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/25(金) 19:05:20.76 ID:YJpX6OW20
すみません寝落ちしました


氷魔「……大きな屋敷なら……普通これぐらいはいるかと……」

やる気「むしろ、今まで俺っちらが行った屋敷はかなり人が少なかったっすね」

仕立て屋「私のような仕立て屋は勤めてる人が多くないと仕事になりませんし、一定の人数を越えると膨れ上がるものだと思います」

占い師「占いを外しましたかね……」
344 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/25(金) 21:57:52.28 ID:YJpX6OW20
怪盗「占い?」

占い師「えぇ、今日は災厄がこの屋敷に訪れると……凶兆が出たのです」


誰も彼もが怯えていたのには、
そういうわけがあるようだ


メイド「なにもないなら、それが一番ですよ!」

炎魔「む……」


炎魔はメイドに対して鋭い視線を向けた
彼女の聖なる力がメイドからなにかを感じ取ったのだ
345 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/25(金) 22:00:03.25 ID:YJpX6OW20
メイド「な、なんですか?」

炎魔「…………いや、なんでもないです」

メイド「ふ、不安にさせないでくださいよぉ〜!」

ぶりっ子「私の同類ですねぇ……」


ぶりっ子がそう溢せば、
今度はメイドがぶりっ子のほうを一瞬じろりと見た


メイド(もしかして、こいつも魔女……!?)
346 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/25(金) 22:08:24.41 ID:YJpX6OW20
本日はここまでです
ありがとうございました
347 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/26(土) 19:47:07.68 ID:yXvKknor0
狙撃少女「しかし、災厄ですか……」

男「不穏だな」


誰もかれもが怯えているのだから、
その占い師の的中精度は高いであろうことが窺える


占い師「あなた方でないとなると……ううむ……」

中華「なにか手がかりはないの?」

占い師「>>下1」
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 21:12:21.18 ID:556dUMbV0
今出払っている『王子殿』か執事が、知っているか持ち帰って来るか
349 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/27(日) 00:51:17.37 ID:vFNTvVTa0
占い師「今出払っている『王子殿』か執事が、知っているか持ち帰って来るか」

氷魔「……王子……?」

メイド「この屋敷の主人ですよ!」

やる気「へぇ……随分な肩書きっすね」

コック「その名に違わぬ、お優しい方ですよ」

庭師「そうですね」
350 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/27(日) 18:44:04.28 ID:vFNTvVTa0
すみません寝落ちしました


ぶりっ子「他の人の誤解も解いてこないといけませんねぇ」

画家「となれば、後は王女様ですな」

怪盗「王女様?」

彫金師「えぇ、動物と大層仲がよろしいお方です」

狙撃少女「あ、じゃあ多分もう会ってますね」
351 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/28(月) 01:38:10.30 ID:geUiIFLW0
仕立て屋「それはそれは……」


これからどうしたものか、
と一行が考えながら雑談していると、
天井からなにかが動き回る音が聞こえた


炎魔「二階?」

メイド「誰かいるんでしょうか?」

男「確認しにいこう。混乱させたお詫びといってはなんだが、面倒ごとは引き受ける」
352 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/28(月) 01:40:22.23 ID:geUiIFLW0
廊下に出た一行は来た道を引き返し、
階段を昇って二階へと向かう


中華「んっ……」


昇り終えたタイミングで、
彼らの体を優しく風が撫でた
吹き込む方角を見れば、
バルコニーへと続く扉が開いていたのだ


氷魔「……常に開いているのでしょうか……?」
353 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/28(月) 01:46:10.32 ID:geUiIFLW0
本日はここまでです
ありがとうございました
354 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/28(月) 19:52:46.86 ID:geUiIFLW0
やる気「うーん……あっ」


やる気はなんとなく導かれるようにバルコニーへ出る


王女「あっ……」

ぶりっ子「炎魔ちゃん!」


そこに例の少女がいるのを確認したぶりっ子は、
すぐさま炎魔を呼んだ
355 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/28(月) 19:59:31.11 ID:geUiIFLW0
炎魔「ぴよぴよぴよ〜」


状況を察して、すぐに彼女も飛び出した
脚で踏み切り翼で翔ぶため、瞬発力は高いのだ


王女「……飛べるのに、ぴよぴよ言ってる……」

炎魔「ふふ、ジョークですよ」

王女「そう」

炎魔「バルコニー、好きなんですか?」

王女「ううん、ほら……王子と執事が帰ってきたから、見てた」


王女が指さす先には、森から現れた二人の姿があった

>>下1……王子と執事の姿
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/28(月) 20:12:02.66 ID:JVV+mz+20
『王子』は道化師のメイクや道化師衣装をしてジャグリングをして、執事は礼装をして荷物を軽々と運んでいる
357 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/29(火) 04:31:49.32 ID:Hzy61v4P0
狙撃少女「どれ……」


狙撃少女はその優れた眼で向こうを見た
そこにいたのは、道化師のメイクをした少年と、
礼装を纏った筋肉質な男性だった


怪盗「あのメイク……」

男「あぁ、警戒したほうがいいかもな」

中華「そうだね……」
358 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/29(火) 04:34:06.90 ID:Hzy61v4P0
本日はここまでです
ありがとうございました
359 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/29(火) 19:45:26.88 ID:Hzy61v4P0
氷魔「……しかし……随分器用ですね……」


彼は歩きながらひたすらジャグリングをしている
手慰みにしてはアクロバティックだ


やる気「そっすけど……どうするっすか?」

ぶりっ子「少なくとも、ここのみんなからは慕われてそうじゃないですかぁ?」

怪盗「そうですね、あんまりおおっぴらに疑いたくはないです」
360 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/30(水) 02:48:34.31 ID:apPWzScB0
狙撃少女「出迎えにいきましょうか?」

炎魔「一応客人ですけど……客人が出迎えるというのも変ですよね」

男「しかも、相手が家主で俺たちが勝手に上がり込んでる側だからな」

中華「お詫びする筋を通したほうがいいかもねー」

氷魔「……そうですね……こちらから行きましょう……」
361 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/30(水) 03:07:38.51 ID:apPWzScB0
本日はここまでです
ありがとうございました
362 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/30(水) 19:58:03.69 ID:apPWzScB0
一行は一階まで急いで降りて、
それから玄関を開けて外に出た


やる気「すみませーん!」

執事「む……」


近くで見るととてつもなく筋肉質な執事が、
小さく声を漏らした
363 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 00:54:27.38 ID:TLvAUlwr0
王子様は張り付いたような笑顔を浮かべたままである


ぶりっ子「うわっ……思ったより威圧感あるぅ……」


いくつものバッグに入った荷物を持つ執事だが、
それを支えるだけあって肉体が大変鍛えられている
執事服を着てこそいるが、
ぴっちりとしたフォーマルな服装ゆえに破れそうなほど内側から筋肉が主張しているのだ
364 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 00:56:14.60 ID:TLvAUlwr0
本日はここまでです
ありがとうございました
365 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 18:06:49.30 ID:TLvAUlwr0
執事「いかがなさいましたかな?」

怪盗「あ、あの、ちょっとした手違いで屋敷に先ほど上がり込んでしまいまして……」

執事「ははぁ、なるほど」

狙撃少女「その折、今日は災厄が屋敷を訪れると占い師の方からお話を聞きまして」


王子様は相変わらずジャグリングを続けている


炎魔「私たち、そういう問題ならこれまでも取り組んできましたから!なにか不安なことがあればなんでも言ってください!」


すると、不気味なほどに反応がなかった彼が口を開いた


王子様「>>下1」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/31(木) 19:56:11.96 ID:vLJ7oodg0
帝国軍の一派が図書館都市に宣戦布告を通達したよ。魔神の少女と館長が結託したとか有る事無い事が帝国内で噂になってる
367 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 21:26:57.41 ID:TLvAUlwr0
王子様「帝国軍の一派が図書館都市に宣戦布告を通達したよ。」

男「え"」

王子様「魔神の少女と館長が結託したとか有る事無い事が帝国内で噂になってる」

中華「は、はぁ……そ、それは大変だ」

氷魔「……しかし……あなた方にそれが……関係あるのですか……?」

執事「あるのですよ」
368 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 21:28:42.14 ID:TLvAUlwr0
やる気「な、なんでっすか?」


突然、自分たちの協力者が危険に曝されようというのだから、一行も動揺を隠せない


執事「それはお伝えできかねます」

王子様「君たちのほうが焦っていないかい?」

ぶりっ子「えぇ、私たちにとってはまさに災厄の如き状況ですからねぇ」

王子様「ふぅん……」
369 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 22:15:26.85 ID:TLvAUlwr0
本日はここまでです
ありがとうございました
370 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/01(金) 19:35:24.98 ID:PQwk8jb90
怪盗「一回戻らないとまずいんじゃないですか?」

狙撃少女「なにかお手伝いできることがあれば、市長の助けにもなりたいですしね」

炎魔「いつ攻め始めるのかは分かりませんが……早くしたほうがいいですね」


そうして、一旦あの街の様子を見に行く方針で固まったのだった


男「あ、そうだ」
371 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/01(金) 19:39:07.11 ID:PQwk8jb90
中華「どうしたの?」

男「いや、一応聞いておこうと思って」

中華「え?」


それまでがやがやと会議をしていた男は、
王子様たちの方に向き直った


男「俺たちは極東を目指して旅をしているんですが、ここは大体どの辺りなんでしょうか?」

王子様「>>下1」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/01(金) 20:51:18.56 ID:Wv8BPqil0
言わば極東と極北東の中間あたりかな
373 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/02(土) 03:17:04.65 ID:vJVY7Joh0
王子様「言わば極東と極北東の中間あたりかな」

氷魔「……大分近づきましたね……」

やる気「そ、それじゃあ俺っちらはここで失礼するっすよ!」


彼に頭を下げて、一行は来た道を戻った
遠くにある小屋へと戻り、ハッチを開ける


ぶりっ子「宣戦布告と同時に電撃作戦……とかじゃないといいんですけどねぇ」
374 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/02(土) 04:12:47.96 ID:vJVY7Joh0
本日はここまでです
ありがとうございました
375 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/02(土) 19:46:13.71 ID:vJVY7Joh0
怪盗「片道三時間、滑れますか?」

狙撃少女「それ以外の選択肢はありませんから……!」

男「ちょっと屋敷でのんびりできてよかったな」

炎魔「疲れたら言ってくださいね、一人までなら運んで飛びますから……!」


どこまでも続くような暗闇に、
決意を持って一行は突貫していくのだった
376 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/03(日) 03:19:52.31 ID:z6VIHDMl0
中華「大丈夫かな、みんな……」

氷魔「……子供たちを……別の場所に移せたのは……幸運でしたね……」

やる気「しっかし、なんで今更になって宣戦布告してきたんすかね」


宣戦布告などせずとも、
ちまちまと小競り合いをしてきたことは市長から知らされている
わざわざ宣戦布告をする理由があるのだろう
377 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/03(日) 03:21:38.73 ID:z6VIHDMl0
本日はここまでです
ありがとうございました
378 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 00:14:13.10 ID:MrNFe2PM0
すみません飛行機に乗ってました


ぶりっ子「なにか、勝算があるんでしょーけどぉ……」

怪盗「あちこちに喧嘩を吹っ掛けてるらしいですし、戦力を集中させられるだけでまずいですよね」

狙撃少女「どうしても、あそこをまず攻め落とさなきゃならない理由もあるんじゃないですか?」

炎魔「そりゃ……魔神の力じゃないですか?」
379 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 02:33:29.01 ID:MrNFe2PM0
男「魔神ねぇ……」


男はふと平成少女のことを考えたが、
彼女を利用してどうこうするのは、
些か難しいことのように思えた


中華「とはいえ、あそこにはものすごい数の蔵書もある」

氷魔「……市長は……本を人質にできるような方ではないので……帝国は……勝てば知識も手に入る……ということですね……」
380 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 02:42:04.52 ID:MrNFe2PM0
本日はここまでです
ありがとうございました
381 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 20:45:05.75 ID:uuBeOaaPO
すみません遅れました


やる気「とにかく、急ぐしかないっすね」


一行はひたすらに進み続けた
ただただ無心で進み続け、
不安な心を吐露するようにときおりなにかを呟く
そうして一時間半ほど進み続けたとき、水路の向こうになにかが見えた


ぶりっ子「うん……!?」


>>下1……そこにあった(あるいは、いた)ものとは
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/04(月) 21:26:18.62 ID:d+U1zzA20
ユニコーンとペガサスが合体したような馬
383 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/05(火) 01:17:16.83 ID:z7IcCARE0
怪盗「な、なんなんでしょうか、あれ」


そこにいたのは、馬であった
だが、その頭部には一本角があるのだ


狙撃少女「ユニコーン、というやつではないでしょうか?」

炎魔「ユニコーンって翼生えてましたっけ」


そして、その馬には翼すら生えていたのだった
384 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/05(火) 01:18:42.81 ID:z7IcCARE0
本日はここまでです
ありがとうございました
385 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/05(火) 20:20:54.51 ID:PZaiQgpbO
すみません遅れました


男「じゃあペガサスだな」

中華「ペガサスって角生えてたっけ」

氷魔「……じゃあ……なんなんでしょう……?」

やる気「さぁ……?」

ぶりっ子「どんどん近づいてますがぁ……?」
386 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/06(水) 01:04:49.45 ID:+6xFXcQq0
一行は止まることなく滑走を続けているため、
向こうにいるそれにどんどんと接近していく


謎の馬「!?」


そして、馬もまた一行に気付き、
その速度に気付いて走り出した


怪盗「衝突すると思ったんですかね」
387 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/06(水) 01:09:38.32 ID:+6xFXcQq0
本日はここまでです
ありがとうございました
388 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/06(水) 18:38:41.30 ID:4tj1nWG+O
狙撃少女「でも、こっちのほうが早いですね」


凍結した地下水路の中では、
その馬よりも一行のほうが早かった


炎魔「うまく走れないですからね」

男「ちょっと乗ってみなよ」

炎魔「いいですね!」


炎魔はさらに爆発的に加速し、その馬に跨がった


謎の馬「>>下1」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/06(水) 20:07:45.04 ID:mqFnx/ry0
(やめろ! 乗るな! 翼が傷付く!!)

と男に聞こえる
その間、なんとか振り下ろそうとロデオしている
390 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 00:48:16.43 ID:lLOVpxdi0
謎の馬(やめろ! 乗るな! 翼が傷付く!!)


と、高慢そうながらも悲痛な叫びがこだました
ただし、それが耳に届いたのは男だけである


男「おおっ!?」

中華「どうしたの?」
391 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 00:50:53.22 ID:lLOVpxdi0
炎魔「ふおぉぉっ!?」

謎の馬(降りろっ!このっ!)

炎魔「よっ!よよっ!」


そして、その馬はどうにか炎魔を振り落とそうとロデオしていた
だが、その気になれば飛べる存在を振り落とすというのは、途方もなく難しいことであった


男「炎魔ー!一回降りて!」
392 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 01:01:53.02 ID:lLOVpxdi0
本日はここまでです
ありがとうございました
393 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 20:06:51.69 ID:lLOVpxdi0
すみません遅れました


炎魔「ふべっ!」


降りようとした炎魔だったが、
馬もロデオしてくるため、上への勢いが合成され、
そのまま彼女は天井に突き刺さった


謎の馬(ふん!)
394 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/08(金) 02:32:57.20 ID:V+WM3SHB0
氷魔「……大丈夫ですか……?」

炎魔「んっ……なんとか」


彼女は天井から頭を引き抜くと、また浮遊し始める
そうこうしているうちに、
謎の馬はどこかへと走り去ってしまうのだった


やる気「あ、あいつ行っちゃったっすね」

ぶりっ子「さっさと逃げないとなにされるか分からないですしねぇ」
395 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/08(金) 02:49:00.65 ID:V+WM3SHB0
本日はここまでです
ありがとうございました
396 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/08(金) 18:41:37.34 ID:V+WM3SHB0
怪盗「でも、行く方向おんなじなんですよねー……」


一行はまた滑走を始めた
唯一飛行をする炎魔は、
先ほど頭を打ったせいで軌道がややふらふらしている


男「おーい!なんかよく分からない馬さーん!」

謎の馬「!?」

男「さっきは悪かった!俺は君の言葉が分かるから安心してくれー!」
397 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 03:16:50.59 ID:DcrMk0r+0
謎の馬(勘弁してくれ!!)


大きく嘶くと、その馬はさらに加速した


狙撃少女「速っ……」

中華「氷のフィールドに対応し始めてるね」

氷魔「……どうします……捕まえますか……?」
398 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 03:17:45.67 ID:DcrMk0r+0
本日はここまでです
ありがとうございました
399 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 18:24:15.31 ID:DcrMk0r+0
男「いや、無理に捕まえなくてもいいけど……」

やる気「そっすか?折角なら捕まえたいっすけどね」

怪盗「私のプライドのために捕まえてきます。スピード負けは認められないっ!」


怪盗は体力を使わずに滑るためのフォームを崩し、
スピードスケートのような動きで迫っていく


男「………………」


男はそれを止めるでもなく、
なにかを考えてぼうっと眺めていた
400 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 18:27:02.68 ID:DcrMk0r+0
そして、怪盗はあっという間に謎の馬を追い抜いた
だが、スピードが高まりすぎているために制御ができず、捕まえようとすると転んでしまうことに気付き、結局スピードを落とした


謎の馬(私より速く走る者がいるとはな)

男「あなたは、何者なんですか?多分、神様かその関係者な気がするんですが」


結局はっきりしていなかったので、
男は加速してから改めてその馬に問うた


謎の馬(>>下1)
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/09(土) 18:38:05.21 ID:apftBH4z0
私は世界を救う者に仕える為に派遣された御使いである
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