安価とコンマで異世界転生!その12

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362 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/30(水) 19:58:03.69 ID:apPWzScB0
一行は一階まで急いで降りて、
それから玄関を開けて外に出た


やる気「すみませーん!」

執事「む……」


近くで見るととてつもなく筋肉質な執事が、
小さく声を漏らした
363 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 00:54:27.38 ID:TLvAUlwr0
王子様は張り付いたような笑顔を浮かべたままである


ぶりっ子「うわっ……思ったより威圧感あるぅ……」


いくつものバッグに入った荷物を持つ執事だが、
それを支えるだけあって肉体が大変鍛えられている
執事服を着てこそいるが、
ぴっちりとしたフォーマルな服装ゆえに破れそうなほど内側から筋肉が主張しているのだ
364 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 00:56:14.60 ID:TLvAUlwr0
本日はここまでです
ありがとうございました
365 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 18:06:49.30 ID:TLvAUlwr0
執事「いかがなさいましたかな?」

怪盗「あ、あの、ちょっとした手違いで屋敷に先ほど上がり込んでしまいまして……」

執事「ははぁ、なるほど」

狙撃少女「その折、今日は災厄が屋敷を訪れると占い師の方からお話を聞きまして」


王子様は相変わらずジャグリングを続けている


炎魔「私たち、そういう問題ならこれまでも取り組んできましたから!なにか不安なことがあればなんでも言ってください!」


すると、不気味なほどに反応がなかった彼が口を開いた


王子様「>>下1」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/31(木) 19:56:11.96 ID:vLJ7oodg0
帝国軍の一派が図書館都市に宣戦布告を通達したよ。魔神の少女と館長が結託したとか有る事無い事が帝国内で噂になってる
367 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 21:26:57.41 ID:TLvAUlwr0
王子様「帝国軍の一派が図書館都市に宣戦布告を通達したよ。」

男「え"」

王子様「魔神の少女と館長が結託したとか有る事無い事が帝国内で噂になってる」

中華「は、はぁ……そ、それは大変だ」

氷魔「……しかし……あなた方にそれが……関係あるのですか……?」

執事「あるのですよ」
368 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 21:28:42.14 ID:TLvAUlwr0
やる気「な、なんでっすか?」


突然、自分たちの協力者が危険に曝されようというのだから、一行も動揺を隠せない


執事「それはお伝えできかねます」

王子様「君たちのほうが焦っていないかい?」

ぶりっ子「えぇ、私たちにとってはまさに災厄の如き状況ですからねぇ」

王子様「ふぅん……」
369 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/07/31(木) 22:15:26.85 ID:TLvAUlwr0
本日はここまでです
ありがとうございました
370 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/01(金) 19:35:24.98 ID:PQwk8jb90
怪盗「一回戻らないとまずいんじゃないですか?」

狙撃少女「なにかお手伝いできることがあれば、市長の助けにもなりたいですしね」

炎魔「いつ攻め始めるのかは分かりませんが……早くしたほうがいいですね」


そうして、一旦あの街の様子を見に行く方針で固まったのだった


男「あ、そうだ」
371 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/01(金) 19:39:07.11 ID:PQwk8jb90
中華「どうしたの?」

男「いや、一応聞いておこうと思って」

中華「え?」


それまでがやがやと会議をしていた男は、
王子様たちの方に向き直った


男「俺たちは極東を目指して旅をしているんですが、ここは大体どの辺りなんでしょうか?」

王子様「>>下1」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/01(金) 20:51:18.56 ID:Wv8BPqil0
言わば極東と極北東の中間あたりかな
373 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/02(土) 03:17:04.65 ID:vJVY7Joh0
王子様「言わば極東と極北東の中間あたりかな」

氷魔「……大分近づきましたね……」

やる気「そ、それじゃあ俺っちらはここで失礼するっすよ!」


彼に頭を下げて、一行は来た道を戻った
遠くにある小屋へと戻り、ハッチを開ける


ぶりっ子「宣戦布告と同時に電撃作戦……とかじゃないといいんですけどねぇ」
374 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/02(土) 04:12:47.96 ID:vJVY7Joh0
本日はここまでです
ありがとうございました
375 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/02(土) 19:46:13.71 ID:vJVY7Joh0
怪盗「片道三時間、滑れますか?」

狙撃少女「それ以外の選択肢はありませんから……!」

男「ちょっと屋敷でのんびりできてよかったな」

炎魔「疲れたら言ってくださいね、一人までなら運んで飛びますから……!」


どこまでも続くような暗闇に、
決意を持って一行は突貫していくのだった
376 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/03(日) 03:19:52.31 ID:z6VIHDMl0
中華「大丈夫かな、みんな……」

氷魔「……子供たちを……別の場所に移せたのは……幸運でしたね……」

やる気「しっかし、なんで今更になって宣戦布告してきたんすかね」


宣戦布告などせずとも、
ちまちまと小競り合いをしてきたことは市長から知らされている
わざわざ宣戦布告をする理由があるのだろう
377 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/03(日) 03:21:38.73 ID:z6VIHDMl0
本日はここまでです
ありがとうございました
378 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 00:14:13.10 ID:MrNFe2PM0
すみません飛行機に乗ってました


ぶりっ子「なにか、勝算があるんでしょーけどぉ……」

怪盗「あちこちに喧嘩を吹っ掛けてるらしいですし、戦力を集中させられるだけでまずいですよね」

狙撃少女「どうしても、あそこをまず攻め落とさなきゃならない理由もあるんじゃないですか?」

炎魔「そりゃ……魔神の力じゃないですか?」
379 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 02:33:29.01 ID:MrNFe2PM0
男「魔神ねぇ……」


男はふと平成少女のことを考えたが、
彼女を利用してどうこうするのは、
些か難しいことのように思えた


中華「とはいえ、あそこにはものすごい数の蔵書もある」

氷魔「……市長は……本を人質にできるような方ではないので……帝国は……勝てば知識も手に入る……ということですね……」
380 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 02:42:04.52 ID:MrNFe2PM0
本日はここまでです
ありがとうございました
381 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/04(月) 20:45:05.75 ID:uuBeOaaPO
すみません遅れました


やる気「とにかく、急ぐしかないっすね」


一行はひたすらに進み続けた
ただただ無心で進み続け、
不安な心を吐露するようにときおりなにかを呟く
そうして一時間半ほど進み続けたとき、水路の向こうになにかが見えた


ぶりっ子「うん……!?」


>>下1……そこにあった(あるいは、いた)ものとは
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/04(月) 21:26:18.62 ID:d+U1zzA20
ユニコーンとペガサスが合体したような馬
383 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/05(火) 01:17:16.83 ID:z7IcCARE0
怪盗「な、なんなんでしょうか、あれ」


そこにいたのは、馬であった
だが、その頭部には一本角があるのだ


狙撃少女「ユニコーン、というやつではないでしょうか?」

炎魔「ユニコーンって翼生えてましたっけ」


そして、その馬には翼すら生えていたのだった
384 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/05(火) 01:18:42.81 ID:z7IcCARE0
本日はここまでです
ありがとうございました
385 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/05(火) 20:20:54.51 ID:PZaiQgpbO
すみません遅れました


男「じゃあペガサスだな」

中華「ペガサスって角生えてたっけ」

氷魔「……じゃあ……なんなんでしょう……?」

やる気「さぁ……?」

ぶりっ子「どんどん近づいてますがぁ……?」
386 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/06(水) 01:04:49.45 ID:+6xFXcQq0
一行は止まることなく滑走を続けているため、
向こうにいるそれにどんどんと接近していく


謎の馬「!?」


そして、馬もまた一行に気付き、
その速度に気付いて走り出した


怪盗「衝突すると思ったんですかね」
387 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/06(水) 01:09:38.32 ID:+6xFXcQq0
本日はここまでです
ありがとうございました
388 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/06(水) 18:38:41.30 ID:4tj1nWG+O
狙撃少女「でも、こっちのほうが早いですね」


凍結した地下水路の中では、
その馬よりも一行のほうが早かった


炎魔「うまく走れないですからね」

男「ちょっと乗ってみなよ」

炎魔「いいですね!」


炎魔はさらに爆発的に加速し、その馬に跨がった


謎の馬「>>下1」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/06(水) 20:07:45.04 ID:mqFnx/ry0
(やめろ! 乗るな! 翼が傷付く!!)

と男に聞こえる
その間、なんとか振り下ろそうとロデオしている
390 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 00:48:16.43 ID:lLOVpxdi0
謎の馬(やめろ! 乗るな! 翼が傷付く!!)


と、高慢そうながらも悲痛な叫びがこだました
ただし、それが耳に届いたのは男だけである


男「おおっ!?」

中華「どうしたの?」
391 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 00:50:53.22 ID:lLOVpxdi0
炎魔「ふおぉぉっ!?」

謎の馬(降りろっ!このっ!)

炎魔「よっ!よよっ!」


そして、その馬はどうにか炎魔を振り落とそうとロデオしていた
だが、その気になれば飛べる存在を振り落とすというのは、途方もなく難しいことであった


男「炎魔ー!一回降りて!」
392 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 01:01:53.02 ID:lLOVpxdi0
本日はここまでです
ありがとうございました
393 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/07(木) 20:06:51.69 ID:lLOVpxdi0
すみません遅れました


炎魔「ふべっ!」


降りようとした炎魔だったが、
馬もロデオしてくるため、上への勢いが合成され、
そのまま彼女は天井に突き刺さった


謎の馬(ふん!)
394 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/08(金) 02:32:57.20 ID:V+WM3SHB0
氷魔「……大丈夫ですか……?」

炎魔「んっ……なんとか」


彼女は天井から頭を引き抜くと、また浮遊し始める
そうこうしているうちに、
謎の馬はどこかへと走り去ってしまうのだった


やる気「あ、あいつ行っちゃったっすね」

ぶりっ子「さっさと逃げないとなにされるか分からないですしねぇ」
395 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/08(金) 02:49:00.65 ID:V+WM3SHB0
本日はここまでです
ありがとうございました
396 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/08(金) 18:41:37.34 ID:V+WM3SHB0
怪盗「でも、行く方向おんなじなんですよねー……」


一行はまた滑走を始めた
唯一飛行をする炎魔は、
先ほど頭を打ったせいで軌道がややふらふらしている


男「おーい!なんかよく分からない馬さーん!」

謎の馬「!?」

男「さっきは悪かった!俺は君の言葉が分かるから安心してくれー!」
397 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 03:16:50.59 ID:DcrMk0r+0
謎の馬(勘弁してくれ!!)


大きく嘶くと、その馬はさらに加速した


狙撃少女「速っ……」

中華「氷のフィールドに対応し始めてるね」

氷魔「……どうします……捕まえますか……?」
398 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 03:17:45.67 ID:DcrMk0r+0
本日はここまでです
ありがとうございました
399 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 18:24:15.31 ID:DcrMk0r+0
男「いや、無理に捕まえなくてもいいけど……」

やる気「そっすか?折角なら捕まえたいっすけどね」

怪盗「私のプライドのために捕まえてきます。スピード負けは認められないっ!」


怪盗は体力を使わずに滑るためのフォームを崩し、
スピードスケートのような動きで迫っていく


男「………………」


男はそれを止めるでもなく、
なにかを考えてぼうっと眺めていた
400 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/09(土) 18:27:02.68 ID:DcrMk0r+0
そして、怪盗はあっという間に謎の馬を追い抜いた
だが、スピードが高まりすぎているために制御ができず、捕まえようとすると転んでしまうことに気付き、結局スピードを落とした


謎の馬(私より速く走る者がいるとはな)

男「あなたは、何者なんですか?多分、神様かその関係者な気がするんですが」


結局はっきりしていなかったので、
男は加速してから改めてその馬に問うた


謎の馬(>>下1)
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/09(土) 18:38:05.21 ID:apftBH4z0
私は世界を救う者に仕える為に派遣された御使いである
402 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/10(日) 02:45:55.94 ID:k7PT8or70
御使い(私は世界を救う者に仕える為に派遣された御使いである)

男「へぇー……」

御使い(どこの馬の骨とも知らぬ奴らに構っている暇はないのだ)

男(馬の骨はお前だろ……)

中華「男、話せるんだ?」


男が御使いと話していると、中華も話しかけてきた
それは、男にとってありがたいことだった
403 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/10(日) 04:29:51.53 ID:k7PT8or70
本日はここまでです
ありがとうございました
404 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/10(日) 19:03:25.52 ID:d5U+TVupO
男「……あ、そうだわ」

中華「え?」


男は中華をハンドサインで呼んだ
彼も加速して、すぐ近くにまで来る


男「ここにいる優男は救世主の資格を持ってるが、御使いさん的にはどうなんだ?」

中華「な、なんの話をしてるの?」

御使い(>>下1)
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/10(日) 21:11:53.44 ID:yar5CFivO
悪くはないが、おなごで素質のある者はいないか?
406 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/11(月) 03:41:28.75 ID:uJYLsIwaO
御使い(悪くはないが、おなごで素質のある者はいないか?)

男「すー……残念ながら……」

御使い(そうか……)


と、男と御使いはなんとも言えない空気になった


中華「あの?僕なんにも分かってないんですけど?それなのになんか残念がられてることだけは確定してるんですけど?」
407 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/11(月) 03:44:05.29 ID:uJYLsIwaO
可哀想な中華や残りのメンバーに事情を説明し、
一行と御使いはひたすら滑走した


氷魔「……なんか……嫌ですね……女の子だけ対象なんですか……」

やる気「まぁ、ユニコーンってそういうもんすよ」

ぶりっ子「私が救世主だったらなぁ〜」

怪盗「そういうのに憧れるタイプなんですね、ぶりっ子さん」

ぶりっ子「そりゃあまぁ」
408 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/11(月) 19:39:33.11 ID:hTYXamzxO
すみません寝落ちしました



そして、最終的に一行は図書館のある街の場所まで移動したのだった


狙撃少女「よし、ここですね」

御使い(なんの目的で、こんなに移動したのだ?)

男「この上にある街が、近くの帝国に宣戦布告されてね。ひとまず様子を見に行くんだ」

御使い(なんと!)
409 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/12(火) 02:16:27.54 ID:xyG8dAChO
炎魔「早速行きましょ……うあっ!?」


御使いは突如飛び上がり、
ハッチの入り口を押し開けていく


御使い(いかにも世界を救う者と巡り遭えるチャンスではないか!)


そして、大空へと飛び立っていくのだった


中華「行っちゃった……」

男「ま、放っといても大丈夫だろう」
410 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/12(火) 02:26:45.05 ID:xyG8dAChO
本日はここまでです
ありがとうございました
411 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/12(火) 19:54:08.22 ID:PaawkkGl0
御使いを名乗るほどの存在なら、
ちょっとやそっとのアクシデントで死んだりはしないだろう、と男は思ったのだ


氷魔「……そうですね……」

やる気「気にせず、さっさと行くっすよ!」


一行は地上へと昇っていき、
ハッチを開いて図書館のある街に出た


>>下1……街の様子
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/12(火) 20:30:15.57 ID:3M4xwrN/0
かなり荒だたしく『重装備』を着込んだ兵士たちが編隊を組んでいる
そのほかの住人たちは既に退避を済ましてるようだ
413 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/13(水) 01:26:45.76 ID:RAd1zc9c0
そこにはいつも聞くような、
穏やかな人々の声はなかった


隊長「これより、哨戒を行う!隊列用意!」


と、軍服の男性が命令すれば、
重装備を纏った兵士たちが隊列を揃え、
すぐさまどこかへと向かっていった


ぶりっ子「こりゃあ、大変そうですね」

怪盗「でも、少なくとも街が戦地ってわけじゃなさそうです」
414 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/13(水) 01:28:27.40 ID:RAd1zc9c0
そこら中に兵士がいたが、
彼らは皆一様に重装備を着ており、
また帝国との兵力差がありすぎるにしては士気が低くもなかった


狙撃少女「とにかく、市長さんに会いにいきましょうか」

炎魔「はい、私たちもお手伝いしないと!」

中華「そうだね……!」
415 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/13(水) 01:33:59.36 ID:RAd1zc9c0
本日はここまでです
ありがとうございました
416 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/13(水) 19:43:06.60 ID:RAd1zc9c0
市長「その必要はありませんよ」


一行が彼女をオフィスを目指そうとしていたところ、
本人のホログラム体がやってきた


氷魔「……あ……こんにちは……」

市長「私のオフィスは今、警備を限界まで固めておりますから、中に入るには非常に時間がかかりますよ」

やる気「無理に侵入しようとして、揉めても嫌っすね」
417 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/14(木) 01:17:46.36 ID:OjYqpHA90
ぶりっ子「今、この街はどうなってるんですか?」

市長「その様子ですと、宣戦布告をされたことはご存知のようですね」

怪盗「はい、心配になって戻ってきました」

市長「見てのとおり、まだ市街地での戦闘は始まっておりません」

狙撃少女「そのようですね」


多くの兵士たちが動いているが、
戦闘に伴う声や音は聞こえないのだ
418 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/14(木) 01:28:52.19 ID:OjYqpHA90
本日はここまでです
ありがとうございました
419 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/14(木) 20:34:28.01 ID:LL6Qii4B0
すみません遅れました


炎魔「勝算はあるんですか?」

市長「向こう次第ですね、どの程度戦力を投入してくるか……」


そう述べる彼女の姿は、不安げであった
勝てる見込みは比較的薄いと判断しているのだろう
420 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/15(金) 04:37:54.87 ID:k/I4PCuG0
男「俺たちもぜひ手伝いたいんです」

市長「……兵よりは死にづらいでしょうが……」


彼女は迷っているようだ
だが、一行はいずれもその役に立ちたいと思っている


中華「もし、大した仕事がないのであれば、仕方ないですが……」

市長「いえ、我々の兵力は帝国に比較すれば非常に限られています」
421 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/15(金) 04:38:21.04 ID:k/I4PCuG0
本日はここまでです
ありがとうございました
422 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/15(金) 18:41:29.68 ID:PIPglNpS0
氷魔「……でしたら……手伝わせてください……」

やる気「俺っちらにとっては恩もあるし、守りたいものもあるっすよ」

市長「そう、ですか……分かりました」


彼女はしばらく考えたのちに、
どうするべきなのかを考えついたようまった


ぶりっ子「なんでも任せてくださいよ」

市長「それでは、>>下1」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/15(金) 20:19:50.98 ID:eFV0r5I8o
帝国の将軍の移動ルートに先行して奇襲を行ってもらいたい
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/15(金) 20:22:57.94 ID:MFUG3aB10
『妹』には注視しててください。あの子はこの『世界』の人間に対してはよく思ってはいません

おそらくは『帝国』側に多大な被害を与える筈です
425 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/16(土) 03:07:07.99 ID:eS9cWYMq0
市長「帝国の将軍の移動ルートに先行して奇襲を行ってもらいたい」

怪盗「おお、重要そうな仕事ですね!」


将軍を叩くというのは、まさに花形の遊撃である


狙撃少女「ちなみに、移動ルートについての情報はあるのですか?」

市長「まだ憶測の域を出ません」
426 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/16(土) 03:11:12.13 ID:eS9cWYMq0
本日はここまでです
ありがとうございました
427 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/16(土) 19:57:30.29 ID:eS9cWYMq0
炎魔「でも、そこに向かってみる価値はありますね」

市長「はい、ですが時間がかかります」

男「そうなんですか?」

市長「みなさんには地下水道がありますが、これはハッチの間隔が広い都合上、かなり大雑把にしか移動できないのです」

中華「地道に徒歩……かな?」

市長「まだ馬車が使えるかと思います。常に向こうの待ち伏せを警戒するほどの戦況でもありませんから」
428 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/17(日) 04:51:08.04 ID:rVudXzvz0
氷魔「……なるほど……」

やる気「早速出るっすか?」

市長「そうですね、お願いします。今馬車を喚びますね」


市長は連絡を取って、
一行がいる場所へと馬車を向かわせる


ぶりっ子「ここで相手の旗色を悪くすれば、戦いもあっさり終わるかもしれませんねぇ」
429 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/17(日) 04:53:33.44 ID:rVudXzvz0
怪盗「こういう遊撃部隊みたいなの、憧れてたんですよね!」

狙撃少女「分かります、その気持ち……!」


楽しみそうにしている二人は、
まさに戦場に『いるかもしれない』と思わせるだけで強力なタイプだった


炎魔「……魔物がいるならまだしも、人間同士の戦いとは……心苦しいですね」
430 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/17(日) 05:04:06.19 ID:rVudXzvz0
本日はここまでです
ありがとうございました
431 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/17(日) 19:17:35.94 ID:qd9QTpO4O
しばらくしていると、馬車がやってきた
見れば、その御者は人間ではなくゴーレムである


男「よし、乗るか」

市長「危ない、と思ったら無理せず退却してくださいね」

中華「うん、心配ありがとね」

市長「心配?ふっ……私はAIですよ。貴重な戦力を浪費しないための、打算的な忠告です」
432 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/18(月) 04:28:07.42 ID:CAvB4HoC0
氷魔「……その感じも……久しぶりですね……」


そう言うが早いか、
ホログラムの彼女は消えてしまった
一行は行き先が予め登録された馬車に乗り、
目的地へと向かっていくのだった


やる気「ああいう素直になれないところが、一番人間らしいんすよね」
433 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/18(月) 04:43:58.57 ID:CAvB4HoC0
本日はここまでです
ありがとうございました
434 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/18(月) 19:50:17.51 ID:CAvB4HoC0
ぶりっ子「ゴーレムさーん?」


道の途中、ぶりっ子がゴーレムに声をかけた
それは首を180度回転させて、
彼女のほうに向き直った


ゴーレム「ナンデショウ?」

ぶりっ子「怖っ……」

ゴーレム「?」

ぶりっ子「えっと……この馬車、どこに向かってるんですかぁ?」

ゴーレム「>>下1」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/18(月) 20:06:22.37 ID:BAF63/rg0
今は『峡谷』となっている活火山の麓まで
なんでも数十年前までは『渓谷』として休火山だったのが、近年活動してることが観測された
436 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/19(火) 00:50:50.14 ID:JIHWZ2qI0
ゴーレム「今は『峡谷』となっている活火山の麓まで」

ぶりっ子「はぁ、前は違ったんですかぁ?」

ゴーレム「なんでも数十年前までは『渓谷』として休火山だったのが、近年活動してることが観測された」

ぶりっ子「へぇ〜、それで地形が変わっちゃったんですねぇ」

ゴーレム「まぁ、そんなところか」


まるで前方を見ていないゴーレムだったが、
馬車は問題なく進んでいく
437 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/19(火) 00:53:26.35 ID:JIHWZ2qI0
ぶりっ子「敵将は、そこに行くんですねぇ」

ゴーレム「恐らくは……」

ぶりっ子「しかし、なんでそんな場所を?」

ゴーレム「峡谷の内側をくりぬいて、人員が隠れられる場所を作っていたようだ」

ぶりっ子「そこに潜んで、指示を出すというわけでしょうかぁ」

ゴーレム「それもあるだろう、だが、指示を出すだけなら別の場所でもいい。なにか戦略的な理由があるのだろう」
438 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/19(火) 02:10:18.66 ID:JIHWZ2qI0
本日はここまでです
ありがとうございました
439 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/19(火) 19:30:23.11 ID:JIHWZ2qI0
あれこれと話しながら、
馬車はひたすらに進んでいく
森を越え、川を越え、目的地に近づいていく


怪盗「はぁー、ずっと長閑な風景ですね。誰もいないんじゃないですか、こんなところ」

狙撃少女「いえ、先ほど外を見たときに古いですが足跡がありましたよ」

やる気「よく聞けば、なんか自然っぽくない音も環境音に紛れてるっすよ」

怪盗「どういう感覚してるんですか、お二方……」
440 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/20(水) 05:37:49.26 ID:y8dAHYnp0
炎魔「ま、襲われないならいないのと同じですよ」

男「気付かれてないといいけど……」


と、流石に男も不安であった
少数で敵の懐へ潜り込もうとするのだから、
そのリスクについても、
否応なしに考えさせられるものだ


中華「全員倒して逃げる!いつもそうしてきたじゃないか」
441 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/20(水) 05:41:06.59 ID:y8dAHYnp0
本日はここまでです
ありがとうございました
442 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/21(木) 19:17:46.44 ID:AXiRYLi40
すみません書き込めてませんでした


男「そうだな、ありがとう」


そして、馬車はだんだんと目的地に近づいてきた
勢いがある川の隣をひたすらに走る


氷魔「……結構乗りましたね……」

やる気「そっすね、もう四時間は乗ってるんじゃないすか?」

ぶりっ子「動かないなら動かないで、なんだか落ち着かなくて疲れちゃいますねぇ」
443 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/21(木) 19:20:45.86 ID:AXiRYLi40
ゴーレム「ここからは、馬車を降りて移動してくれ」


一行は馬車を隠すための茂みの中で、
馬車を降りることになった


怪盗「お世話になりました」

ゴーレム「なにかあったらすぐに戻ってきてくれ」

狙撃少女「はい、そうします」
444 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/21(木) 19:28:39.07 ID:AXiRYLi40
それから、一行は徒歩で川を上っていった
川といっても、岸は高く、
落ちれば陸に戻るのは簡単ではない


炎魔「さて、なにかあるんでしょうか」

男「……お、あれじゃないか?」


岸壁に横穴がくり貫かれている場所があった
簡易的な桟橋のようなものもついている


中華「あっ……中から誰か出てきたよ」


>>下1……横穴から現れたのは
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/21(木) 20:17:48.37 ID:tUbKO8M0O
大剣を背負った全身鎧騎士
446 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/22(金) 04:32:03.84 ID:nAU+Z9c90
一行は身を屈めて様子を窺った
そこから現れたのは鎧を纏った騎士であった


氷魔「……騎士ですね……」

やる気「あの剣を見る限り、ただのパトロールって感じでもなさそうっすよ?」


その騎士の背には大剣が負われていた
鎧の下の素顔は見えないが、いずれにせよ、
それを使っていつでも戦える体勢だろう
447 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/22(金) 04:46:43.24 ID:nAU+Z9c90
本日はここまでです
ありがとうございました
448 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/22(金) 18:12:01.23 ID:Gbkg0NBtO
騎士は横穴の中に立て掛けてあった筏を浮かべ、
川を下っていった


ぶりっ子「とりあえず、穴の中の戦力は一つ減りましたね」

怪盗「どのぐらいで戻ってくるとも分かりません。とりあえず、入ってみませんか?」

狙撃少女「そうですね、行動を起こさなければ成果は得られません」
449 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/23(土) 06:42:09.72 ID:NUgPpwYE0
氷魔「……では……行きましょう……」


彼女は迷わず水に降り立つと、
足元から川が氷って横穴への道が開けた


炎魔「かっこいー!」

男「ロマンだよな……」


続いて仲間たちもその上に降り、
岸壁の横穴へと侵入していく
450 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/23(土) 06:48:31.05 ID:NUgPpwYE0
本日はここまでです
ありがとうございました
451 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/23(土) 19:31:04.69 ID:NUgPpwYE0
中にはときおり松明があり、
奥に向かって続く通路がある


中華「……部屋だ」


通路はまだまだ奥に続いているが、
そこから枝分かれして部屋ができていた
隣にあるそれを、一行は注意深く覗き込んだ


>>下1……部屋の中の様子
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/23(土) 19:44:43.39 ID:+jTZ+x5Ro
いつぞやの重騎士の女がまた迷っている
453 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/24(日) 06:08:58.65 ID:dBtjwcg00
重騎士「あれ……?ここじゃなかったっけ……?」


がしゃがしゃと金属の擦れる音
そこにいたのは、何度も一行と邂逅した、
あの重騎士であった


氷魔「……なんでここに……」

重騎士「……ほぇ?」


彼女は聞き覚えのある氷魔に振り向く
相変わらず素顔は見えないが、
間の抜けた表情をしていることは想像に難くない
454 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/24(日) 06:12:21.39 ID:dBtjwcg00
本日はここまでです
ありがとうございました
455 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/24(日) 18:51:05.96 ID:PtyeU0gWO
やる気「またAI妹さんを探してるんすか?」

重騎士「いえ、今日は単独行動です」


この横穴は、意図的にたどり着こうとしない限り来られない場所にある
つまり、彼女の目的もまたここにあると考えられる


ぶりっ子「私たちもたまたまここに用があって来たんですよねぇ」
456 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/25(月) 05:54:13.50 ID:qYCY9se50
重騎士「へぇー……面白いですね」

怪盗「なにがですか?」

重騎士「姉妹で考えることって、やっぱり似るんだなぁって」

狙撃少女「なるほど、AI妹さんの指示でここに来たのですね」


一行が市長の命で動いていることを、
重騎士は察知しているようだった
情報網があったのではなく、感覚によるものだ
457 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/25(月) 06:07:50.98 ID:qYCY9se50
本日はここまでです
ありがとうございました
458 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/25(月) 18:49:36.21 ID:qYCY9se50
炎魔「利害は一致していそうですし、一緒に行きましょう」

重騎士「そうですねー」


小部屋をうろうろしていた重騎士を連れて、
一行は元の道に戻った


男「力強い味方だ」

中華「物理的にね」
459 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/25(月) 20:25:18.24 ID:qYCY9se50
それから、一行と重騎士はひたすらに進んだ
小部屋はいくつかあったが、いずれも人がいなかった


氷魔「……あっ……」


他の部屋と変わりない無機質なドアだったが、
その奥からは人々の声が聞こえる


やる気「覗いてみるっすよ」


軋まないように注意を払いながら、
ゆっくりと部屋の扉を開いて中を見る


>>下1……部屋の中の様子
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/08/25(月) 21:24:03.81 ID:WuyOFkFlO
警備兵のような軽装の兵士達がテーブルを囲んで盛り上がっている
461 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/08/26(火) 03:12:05.71 ID:+gm+fxVq0
兵士A「よし、こりゃ一抜け間違いなしだな!」

兵士B「いやー厳しいな……」


警備兵のような服装の兵士たちが、
テーブルを囲んでカードに興じている


兵士C「俺もしんどいわ」

兵士D「ビリの罰ゲームって、なんだったかな?」

兵士A「そりゃあ、初恋の思い出を洗いざらい話すのさ!」
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