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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7
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101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/20(日) 16:14:39.07 ID:ItQHv6RPO
あ
102 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/20(日) 17:04:32.62 ID:/LYi9beV0
―セイントレア城 踏破率[16/20] 持久力[5/10]
クロシュ「……!」グッ
聖剣ルクスカリバー「」キラキラ
デロデロ…モニョモニョ…
勇者クロシュ「!」ポン!!
フメイ「わ!」
アリシラ「お伽噺に出てくる勇者様みたい……!!」
勇者クロシュ「」シュバッ!
黒い影の少年「!」バッ
星霊の聖剣「」ギンッ!!
闇の剣「」ギンッ!!
衝撃波「」ドギュアアアアアンッ!!
ミスティ「くっ……!?」ズザザッ
イリス「は、反発し合う属性がぶつかり合って……凄い衝撃が……!!」
妖精「でも聖剣の一撃を受け止めるなんて、あいつ本当に一体何者なの……!?」
勇者クロシュ「……!」ギギギギ
黒い影の少年『……』ギギギギ
↓1コンマ(合計+40)
01-30 痛恨 持久力-4
31-50 劣勢 持久力-2
51-00 会心
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/20(日) 17:06:13.31 ID:awUfPGEy0
あ
104 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/20(日) 17:37:08.90 ID:/LYi9beV0
ガインッ!
勇者クロシュ「!」ヨロッ
黒い影の少年「」バッ
闇の剣「」ヴォンッ!!
血色の刃「」ギギンッ!!
アリシラ「赤スライムちゃんの刃が勝手に動いて攻撃を受け止めたよ!?」
エバンス「一体どうなってるんだ!?」
ミスティ「でもチャンスよ! 凍れ!!」バッ!
凍りつく黒い影の少年「」ガギンッ!
イリス「よおし、光で追撃!」
光線「」ビーッ!!
ジジジジジッ…!!
フメイ「とどめ……!!」カッ
炎「」ドガァンッ!!
薄れていく黒い影の少年「」シュゥゥゥ――…
アリシラ「……やったの?」
妖精「……いや……幽世に退去したみたい」
――戦闘終了――
☆全員が近接と魔法経験をそれぞれ2点獲得しました
◇
105 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/20(日) 17:37:42.69 ID:/LYi9beV0
急用ができたので一旦休止します。本日中に再開できるかは未定です
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/20(日) 18:31:29.36 ID:QVK5rX3Qo
一旦乙です
ブラッドさんが味方?化しても格落ちしなくてかなり好き
107 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:18:04.60 ID:82uSW6390
ブラッド氏はちょっと協力関係になったくらいではクロシュたちを甘く見てくれないようです。野良スライムの矜持というものがあるのかもしれません
前作の話で失礼しますが、前作で敵対存在としてあるキャラクターを登場させたらコンマによって爆速でデレてしまうという面白いことになってしまったことがありました。ブラッド氏はその反省?を活かしてデレ難度が大幅に上がったという経緯があったりなかったりするそうです
(そもそも人間冒険者などを大量に殺傷している指名手配中の危険生物にデレられても困るという意見もあるかもしれません)
そして今からセイントレア城の天守閣に乗り込むシーンに移るのは少々間が悪いため、ここで一旦幕間を挟ませていただきたいと思います。よろしくお願いいたします
108 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:18:32.67 ID:82uSW6390
一方その頃――
―聖ヴァレリオ教会 裏手
黒い影の魔物「」ヌオッ
ザック「うおおおっ!!」
光の拳「」ズドン!!
消滅する黒い影の魔物「」バシュウウン
ザック「チィッ……!! 光が効くのはありがたいが……奴に触れるとなぜか凄まじく魔力が削れる……!! 光で拳を覆っていないとまずいが……!」
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
ザック「このペースじゃ持たん……!! ピンチだ……!!」
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
ザック「だがピンチこそチャンス……ヒーローはこんな逆境にこそ――」
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
ザック「……いや、こりゃ勇気とか気合でどうにかできる範疇では――」
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
ザック「ああああ!!! もうどうにでもなりゃあああ!!!」シュバッ!!!!
光の爆発「」ドギュオンッ!!!!
吹っ飛んで消える黒い影の魔物「」ドッギャァァァン
吹っ飛んで消える黒い影の魔物「」ドッギャァァァン
吹っ飛んで消える黒い影の魔物「」ドッギャァァァン
ザック「おああっ!!? な、なんだ今の爆発は――まさか窮地に立たされた俺の真の力が覚醒――」
フレア「おじさん! 私も一緒に戦う!」スタッ!
ザック「えっ!? お嬢ちゃんは一体――」
ミラ「ザックさん! 避難誘導が一段落したから僕も手伝うよ!」シュタッ!
ザック「ミラクルくんちゃん!」
クル「も〜、どっちかにしてよぉ」
レイ「わ、わわ、私も……」ビクビク
ザック「……誰だ!?」
レイ「だ、誰でもありません〜……!!」
109 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:19:01.60 ID:82uSW6390
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
黒い影の魔物「」ヌオッ
クル「っと、来たよみんな!」
フレア「!」シャキン!
レイ「……え? あれ……あの魔物って……」
黒い影の魔物「」ヌオヌオ
レイ(……)ドクン
『幽世の闇より出し影なる者どもよ――』
ザック「……ん? 今誰か何か言ったか!?」
フレア「わ、私じゃないけど……」
ミラ「……レイ!?」
レイ『幽界樹クリファの巫女、レイ・アンバーが命ず――。速やかに幽世へ退去せよ――…』ゴゴゴゴ…
消え去る黒い影の魔物「」パシュウン―…
消え去る黒い影の魔物「」パシュウン―…
消え去る黒い影の魔物「」パシュウン―…
ザック「!?」
フレア「ええっ!?」
ミラ「レイ……!」
レイ「………はあっ、はあっ、はあっ……!! れ、れへへ……い、今の私……めっちゃくちゃかっこよくなかった……?」フラフラ
ザック「な、何をしたんだ!? 今の君、普通じゃなかったぞ!?」
レイ「わ、私も……実は、何がなんだか……れへ、へ……でも……うまく、いっ……」フラフラ
バタン―
気絶レイ「」キュゥ…
ミラ「レイ!!」
フレア「だ、大丈夫! 気絶してるだけみたい! レイさんのおかげで一気に魔物が減ったよ!」
ザック「よくわからんがそのとおりだな! レイちゃん、でいいのか!? とにかくその子を教会に運んだら掃討戦だ!」
◆
110 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:19:40.16 ID:82uSW6390
―王都セイントレア 市街地
光の魔銃「」ドギュンッ!
消し飛ぶ影の魔物たち「」パシュウン―
ティナ「ふっ……!」ジャキッ ドギュンッ!
グランドマスター「あああああ!!! なぜこんなことに!!! 私が一体何をしたというのです!?!!?」
ティナ「文句を言っている暇があったらお得意の復活魔法で住民の救助でもしたらどうだ」ドギュン!
グランドマスター「無理です!!!! 奴ら命の存在を痕跡ごと抹消してるんですよ!!!」
ティナ「つまりできないということか」ドギュン!
グランドマスター「ええそうですよ!!! くそお、今日の魔族国攻めさえ成功すれば何もかも元通りになるはずだったのに!!」
ティナ「過去を嘆く暇があるのか」
グランドマスター「くう……あなた用心棒の癖にいちいち辛辣ですね! 雇い主の機嫌を取ろうとか考えないのですか!?」
ティナ「今そんな余裕はない。死にたくなければ絶対に私の邪魔をするな」ジャキッ ドギュン!
ティナ(イリス……お前もきっと今、戦っているのだろう。この事態を終わらせる為に――)
ティナ(絶対に、絶対に負けるな……! 一緒に生きて帰ろう……!)ジャキッ
◆
―セクリエ・ロイエ市街
教皇ユグド「避難民は大聖堂へ!! 押さず、駆けず、喋らず、戻らず! 落ち着いた行動を!!」
ロイエ教徒たち「はい!」ゾロゾロ
吹き上がる闇「」ギュオオオオオ…
ひび割れる石畳「」バギッ
浮き上がる瓦礫「」ズゴゴゴゴ…
教皇ユグド(……使徒よ……これが、君の選択なのか)
教皇ユグド(私は………どうすれば、良かったのだろうな)
*
ガルシア「敵は属性魔法が有効だ! 絶対に素手で触れず、距離を保って魔法攻撃で仕留めろ!」
神官戦士たち「はっ!」シュババッ
ガルシア(……しかし、レイ・アンバーの使役する闇の魔物に酷似しているのは一体どういうことだ……? 私は……このまま何も考えず、穏健派の暗部として唯々諾々と従っていて本当に良いのか……?)
ガルシア(……いや、余計なことは後回しだ。とにかく今は民を……この聖地を守ることに全力を――)ゴゴゴゴ…
◆
111 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:20:27.29 ID:82uSW6390
―王都セイントレア市街
消え去る影の魔物「」パシュウウウン
影の魔物「」ヌッ
影の魔物「」ヌッ
影の魔物「」ヌッ
ヴィア「……キリがありません。このままでは……」スッ
金髪縦ロールの少女「ヴィア! 助太刀に参りましたわ!」シュタッ
ヴィア「ジェーン……あなたも早く避難を。この私も分体の一つなので、心配は無用です」
金髪縦ロールの少女「ですが……分体といえど、星にすら還れない結末なんてあんまりですわ!!」
ヴィア「……」
金髪縦ロールの少女「それにこちらこそご心配無用ですの! わたくしの宝石魔法は遠距離戦も得手としておりましてよ!!」
ヴィア「では……くれぐれも、彼らに触れられないように。背中は任せました」
金髪縦ロールの少女「ええ! お任せくださいまし!!」ザッ
ヴィア(星にすら還らない……命の、完全なる終わり……)
ヴィア(…………)
ヴィア(クロシュヴィア……あなたなら、どう判断しますか)
◆
112 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:21:05.25 ID:82uSW6390
―王都セイントレア市街
僧侶「はあ、はあ……よし、この辺りの住民は大体避難できたはずです……!」
デロデロ教徒「はいっ!」
僧侶「はあ、ふう……わ、私たちも……そろそろ避難しましょうか……」
デロデロ教徒「そ、それが良いと思いますっ……!」
僧侶「……では、私たちも聖ヴァレリオ教会へ――」
逃げ遅れた幼女「うあああん! パパぁ、ママぁ〜〜!!」エグエグ
飛びかかる影の魔物「」ヌオッ!!
僧侶「!!」シュバッ!!
デロデロ教徒「!!」
ドンッ!!
押し出される幼女「ふええっ!?」ヨロロッ
僧侶「ふっ……聖女……みんな……お元気、で――」
迫りくる影の魔物「」ヌオオオオ――
ベシン―
バシュウウウウウン――――……
◆
113 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 00:21:31.35 ID:82uSW6390
それでは本日はここまで。次回、世界樹の巻・決戦編です。お楽しみに
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 06:55:46.20 ID:GGQ6WL6Do
おつでした
敵だけど爆速デレの気配は僧侶さんの方に感じていたり
って僧侶さん!?そんな…
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 10:25:20.88 ID:wiPMmibP0
乙
レイさんが幽界樹の巫女……!?
世界樹の巻が終わったら幽界樹の巻かな?
116 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 17:16:34.84 ID:82uSW6390
僧侶さんも一応簡単にデレないように気を付けていたのですが、芸術都市でのできごととかのおかげでいろいろ大変だったようです。差別感情を捨ててからの方が人生も楽しそうなので、結果オーライと思って良いかもしれません
そして僧侶氏がどうなったのかは今のところわかりません。この物語はまだ大団円とはいかないのかもしれません
レイさんがなぜ突然あのような文言を唱えたのかは闇に包まれていますが、本人的にはかっこよくできたつもりのようです。レイさんの今後の活躍に期待するのが良いのかもしれません
世界樹の巻が終わったら次に何が起きるのかは今のところ闇に包まれています
117 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 17:17:17.25 ID:82uSW6390
―セイントレア城 天守閣
アルベール王「……何が望みなのだ」
黒い精霊「全ての終焉です。ご覧の通り」
アルベール王「なぜそのようなことを企てる」
黒い精霊「王様と同じです。全ては、愛する者たちの為――」
アルベール王「戯言を。貴様が何を愛しているかは知らぬが、世界を破滅に導けばその者たちも死にゆく他ないだろう」
黒い精霊「ええ、その通り。それこそが私の目的なのです」
アルベール王「……狂っているのか」
黒い精霊「あなたたちにとってはそうとしか見えないでしょう。わかってもらうつもりはありません。その必要もない」
アルベール王「………」
黒い精霊「あなた方王国に特段の要求があるわけではありません。起点がこことなったのはただの偶然――運命だったのです」
アルベール王「ならば――そのようなくだらぬ運命など、斬り捨ててくれよう」スッ
炎の宝剣「」シャキン――
黒い精霊「良いでしょう。それではまずは、あなたを終わらせて差し上げます」ズッ―
闇の領域「」ズズズズ――
◇
ボシュウン――…
アルベール王「ぐふっ……我が、炎が……通じぬだと……」ヨロッ
黒い精霊「当然です。あなた方にもわかるように言うなら――あなたが相対しているのは、世界樹に匹敵する存在」
アルベール王「世界樹、だと……」
黒い精霊「幽界樹クリファ――世界樹セフィラと対を成す、幽世の樹――その精霊が、私」
アルベール王「………!?」
黒い精霊→幽界樹の精霊「幽世と現世――その二つの世界を終わらせることが、私の使命」
アルベール王「なぜだ……こちらの世界だけならまだしも、なぜ幽界樹の精霊が、幽世をも終わらせようとしている……!?」
幽界樹の精霊「先程言いました。私が愛する全ての者たちを、終わらせる為――」
アルベール王「理解、できぬ……」
幽界樹の精霊「今までお疲れ様でした。もうお休みなさい、セイントレア王アルベール――」スッ
広がる闇「」ズオオオ――
アルベール(……ここで、終わるのか……私は……)
アルベール(王妃と子供たちは、無事に避難できただろうか……。王位継承は……大丈夫だろうか……)
アルベール(…………マリー……すまぬ……父親らしいことは、ついぞ一度も…………)
ベチン!!
幽界樹の精霊「!」ズザザッ
アルベール王「何……!? お前は――」
分体ちびクロシュ「〜〜!」モニョニョニョ!
アルベール王「王妃に取り憑いていたスライム……!? なぜ――」
天守閣の扉「」バァン!!
118 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 17:17:49.75 ID:82uSW6390
勇者クロシュ「!」ザザッ
妖精「アルベール王!」パタパタ
アルベール王「貴様たちは……緑の国の太母に……」
星霊の聖剣「」キラン
アルベール王「聖剣……だと……!?」
ローガン「アルベール王、避難を! ここは我々が!」ザッ
アルベール王「いや……しかし、貴様たちは一体――」
イリス「通りすがりの――ダークヒーローです!!!」ザッ!!
幽界樹の精霊「……やはり来ましたね。世界樹の使者たちよ」
妖精「あなたは、使徒!? その姿は!?」
世界樹の精霊「……幽界樹の精霊。たぶん……初めまして、かな」スッ
幽界樹の精霊「はい。初めまして、世界樹の精霊」
ミスティ「幽界樹……!?」
エバンス「語感から察するに……幽界における世界樹みたいな樹ってことか!?」
世界樹の精霊「そう。幽世の顕現と、黒い精霊と聞いて……もしかして、とは思っていた……。でも……本当に幽界樹だったのは、ちょっと想定外……」
幽界樹の精霊「世界めくれを止めに来たのなら、既に手遅れです。後はめくれが世界全土にまで及ぶのを座して待つのみ……趨勢は決しました。この私がいる限りめくれが閉じることは決してありません」
妖精「ちょっと待ってよ!! なんで幽界樹の精霊がそんなことをするの!? この世界めくれで現世と幽世が混ざりあったら、最期には何もかもが対消滅を起こして……星に還ることもできずに消えてなくなっちゃうんだよ!!?」
幽界樹の精霊「それこそが私の目的だと、先程アルベール王にもご説明致しました」
妖精「な、なんで……」
幽界樹の精霊「愛する者たちに、これ以上苦しまないで欲しい――そういった気持ちは、誰しもが持ち得るものだと思います。私の動機もまた、そのようなありふれたものに過ぎません。デロデロの提唱者であるクロシュ様なら、おわかり頂けるのではないかと存じます」
勇者クロシュ「……」
幽界樹の精霊「しかし……命は一度死を迎えても、星に還った後に再び芽吹いてしまう……。どれほどの苦痛に満ちた生でも、死すれば平穏と静寂が訪れるというのに……この世界は、死の安穏すら許さない。私は……その最悪の輪廻を打ち破る為に、今ここに立っています」
世界樹の精霊「………」
119 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 17:19:02.44 ID:82uSW6390
幽界樹の精霊「――さて、問答はもう不要でしょう。あなた方を阻むは、定められし終焉――」ズオッ―
闇の領域「」ズズズズズ――
フメイ「!」
ミスティ「来るわよ……!」
幽界樹の精霊「全てを懸けて、見せてみなさい。あなたたちの、運命を――!!」ズオオッ――!!
――決戦 幽界樹の精霊――
★幽界樹の精霊が〈負の力・根源〉を発動!
現世の者との戦闘時、会心率が絶大に上昇!!
★幽界樹の精霊が〈幽界樹の領域〉を発動!!
敵陣のコンマ-1000!!
☆世界樹の精霊が〈星霊の加護〉を発動!!
自陣のコンマ低下効果を無効化!!
◇自陣(料理+40、血の刃+20、聖剣+40)
・不死鳥化できる [1/1]
・ローガンメタル [1/1]
・生命分配 [1/1]
・天命賽 [9999/9999]
◇敵陣(戦力差+100)
・??? [?/?]
↓1コンマ(合計+0)
01-50 痛恨
51-70 優勢
71-00 会心
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 17:23:42.07 ID:cM5HadQLo
余裕の勝利
121 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 18:04:26.22 ID:82uSW6390
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
妖精「うわあっ!!? つ、蔓が……!!」アタフタ
ミスティ「くっ……魔王樹を思い出すわね……! でも数と威圧感はあれ以上だわ……!!」
フメイ「ふん……植物なら、焼き落とす……!」チリッ―
爆炎「」ドゴゥン!!
幽界樹の蔓「」ギュルギュル!
フメイ「!?」
アリシラ「ええっ!? フメイちゃんの炎ですら全然効かないの!?」
幽界樹の精霊「形態だけを見れば幽界樹も世界樹も植物ですが――その在り方は通常の植物とは根本的に異なります。火や鉄が有効などとは思わないことです。もっとも、元気な植物であれば火は元々効きにくいものですが」
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
世界樹の精霊「!!」
幽界樹の精霊「世界樹の加護を失えば、それで終わり……早くも決着ですね」
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
メタルローガン「させんッ!!」シュバッ!!!
ドガガガガッ!!!!
妖精「ローガン!!」
エバンス「まずい、集中砲火だぞ!!」
シュウウウウ…
ローガン「ぬう……防ぎ切ったぞ……!!!」ググッ
イリス「ローガンさん!!」
幽界樹の精霊「……驚いた。世界樹の加護を得ているとはいえ、あれを防ぎ切るなんて」
ローガン「フッ……!」ニヤッ
ローガン(………と笑ってはみたものの、軽口を叩く余裕もない……! もうメタル化は使えん……!!)
☆ローガンメタルにより痛恨の一撃を阻止!!
◇自陣(料理+40、血の刃+20、聖剣+40)
・不死鳥化できる [1/1]
・ローガンメタル [0/1]
・生命分配 [1/1]
・天命賽 [9999/9999]
◇敵陣(戦力差+100)
・??? [?/?]
↓1コンマ(合計+0)
01-50 痛恨
51-70 優勢
71-00 会心
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 18:07:23.70 ID:c/c57flgO
きっつい
123 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 18:22:16.84 ID:82uSW6390
勇者クロシュ「」シュバッ
星霊の聖剣「」シャンッ!!
幽界樹/の蔓「」スパッ
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
幽界樹の蔓「」ギュルルルッ!!
勝手に蔓を切り払う血色の刃「」ギャルオンッ!!
ミスティ「クロシュに続くわ!」ザッ!
凍りつく幽界樹の蔓「」ガギンッ!!
イリス「そのままだと堅くても凍った蔓なら! スターライト!!」カッ!!
星光の奔流「」ドギュウウウンッ!!
打ち砕かれる幽界樹の蔓「」ドッギャァァァン!!
幽界樹の精霊「……」
地面から飛び出す石の拳「」ドガッ!!
幽界樹の精霊「!」ヨロッ
エバンス「足元がお留守だぞ!」ゴゴゴ
幽界樹の精霊「…………」
幽界樹の精霊(……少し押されている……。でも、この程度では……)
幽界樹の精霊(運命は、変わらない)
◇自陣(料理+40、血の刃+20、聖剣+40)
・不死鳥化できる [1/1]
・ローガンメタル [0/1]
・生命分配 [1/1]
・天命賽 [9999/9999]
◇敵陣(戦力差+100)
・??? [?/?]
↓1コンマ(合計+0)
01-50 痛恨
51-00 勝利?
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 18:25:14.95 ID:XZiiZRnwo
やったか!?
125 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 19:59:58.06 ID:82uSW6390
フメイ「燃えないなら……燃えるまで焼く!!」チリリッ!!
火柱「」ギュオオオオッ!!!
燃える幽界樹の蔓「〜〜!」メラメラ
炎勇者クロシュ「ん!」チリリッ!!
星霊の炎聖剣「」ギュオンッ!!
焼き斬ら/れる蔓「」ジュッ!
幽界樹の精霊「……!」
アリシラ「隙ができた! 負の力、吸収させてもらうよ!」シャッ
ギュオオオオオン――!!
幽界樹の精霊「……!!」シュウウウン――
世界樹の精霊「良い調子……」
妖精「押し切れ……!」
瓶入りスライムセイン『クロシュ今だ! 聖剣を奴に叩き込め!』モニョニョ!
炎勇者クロシュ「ん!!」シュバッ!!
幽界樹の精霊「!!」
炎勇者クロシュ「――」タンッ
星霊の炎聖剣「」ギュアアアアアア――!!!!
妖精「決まっ―――」
黒い賽「」コロン…
★痛恨賽が発動
判定が必ず最悪のものとなる
↓#コンマ
01-00 敗北
126 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 20:01:04.74 ID:82uSW6390
ゴゴゴゴゴ……
倒れたイリス「」
倒れたミスティ「」
倒れたローガン「」
倒れたエバンス「」
倒れたフメイ「」
倒れたアリシラ「」
倒れた妖精「」
スライムクロシュ「〜〜…」デロデロ…
瓶入りスライムセイン『なん、だ……一体……なに、が……』デロロ…
幽界樹の精霊「言ったでしょう。運命は既に定まっていると……」
スライムクロシュ「〜〜…!」モニョニョ…グググ…
幽界樹の精霊「無駄な努力はもうおやめなさい……。あなたにも、無の安寧をもたらして差し上げます……」
スライムクロシュ「〜〜〜……!!」モニョニョニョ…ググググ…!!
透明な賽「」コロン…
幽界樹の精霊「……? 運命の賽とも、会心の賽とも違う……透明な、賽……?」
☆天命賽が発動 [9998/9999]
直前の判定を振り直す
↓#コンマ(運命を変える意思+10)
001-000 敗北
127 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 20:02:01.48 ID:82uSW6390
幽界樹の精霊「ですが、無駄なこと……。例え会心の賽であろうとも、存在し得ない未来には辿り着けないのですから」
透明な賽「」コロン…
☆天命賽が発動 [9997/9999]
↓#コンマ(運命を変える意思+20)
001-000 敗北
幽界樹の精霊「何度転がろうと同じことです。潔く運命を受け入れなさい」
コロン…コロン…
透明な賽「」コロンコロンコロン――
☆天命賽が発動 [9899/9999]
↓#コンマ(運命を変える意思+1000)
0001-0000 敗北
幽界樹の精霊「……なぜ止まらない? 運命神の賽は、一度転がればその祝福を失うはずでは――」
コロンコロンコロンコロン――
幽界樹の精霊「……っ!! いい加減にしなさいっ!! 叩き潰してくれます!!」
幽界樹の蔓「」ギュオオオオッ!!!
透明な賽「」コロン―――
☆天命賽が発動 [0/9999]
↓1コンマ(運命を変える意思+99990)
00001-99998 敗北
99999-00000 勝利
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 20:03:43.83 ID:2nS9Ba6wO
どうなる?
129 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 20:45:45.20 ID:82uSW6390
モニョニョ…モニョニョニョ……
不死鳥クロシュ「コケコッコォォォォ!!!!!」カッッッッ!!!!
不滅の炎「」ゴオオオオオッッ!!!!
フメイ「あああああああ!!!」ガバッ
アリシラ「わああああああ!!!」ガバッ
エバンス「うおおおおおっ!!!」ガバッ
ミスティ「負けて、たまるか……!!!」グググッ
ローガン「まだ終わっていない……!!!」グググッ
イリス「絶対に……勝つ!!!!」ザッ!!
妖精「……決まった運命なんて、あるもんか!!」
幽界樹の精霊「馬鹿な……!! 完全に満身創痍だったはず……! 不死鳥の力を引き出す余力すら――」
世界樹の精霊「……あったってこと……。運命に胡座をかいて見誤ったんじゃない……?」
幽界樹の精霊「……!!」
アリシラ「反撃――開始!!!」
ドギュオオオオオン――!!!!
◇
130 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 20:47:31.12 ID:82uSW6390
プスプス…
消えかけ幽界樹の精霊「」プスプス…
イリス「こ、これで良い……!?」
蒼き星の杖・水「」ユラユラ
アリシラ「私も……合ってるかな……?」
世界樹の光・炎「」ユラユラ
世界樹の精霊「うん……。穴自体はまだそこまで広がってないから、今なら光が二つだけでも十分塞げるはず……」ブツブツ
世界樹の光・炎「」ユラユラ
世界樹の光・水「」ユラユラ
世界樹の精霊「……よんしょっと……えいっ」グイグイ
ポン!
停止する闇の噴出「」シュウウウン――
ミスティ「闇が、止まった……?」
世界樹の精霊「うん……穴を塞げた……。この世界に残ってる闇とか影の魔物たちも、退去していくと思う……」
エバンス「つまり……もう大丈夫ってことか!?」
世界樹の精霊「しばらくは経過観察だけど……まあ、たぶん大丈夫だと思う……」
消えかけ幽界樹の精霊「」プスプス…
世界樹の精霊「……残念だったね……。長年の計画だったろうに……ポッと出の私たちなんかに、邪魔されて……」
消えかけ幽界樹の精霊「……そう……ですね……。残念、です……」
クロシュ「……」
世界樹の精霊「……幽世に退去、しないの?」
消えかけ幽界樹の精霊「………私は……こちらの世界に、長く居過ぎました……。私がいなくなっても……新たな幽界樹の精霊が生まれるだけなので、問題はありません……」
クロシュ「………」
世界樹の精霊「そう……。それじゃあ、何か言い残すことはある……?」
消えかけ幽界樹の精霊「………こちらの世界の、正の力で……完全に……消し去って、くださいませんか……?」
クロシュ「……!」
世界樹の精霊「……いいの……? 完全に消え去るってことは……あなたは、二度と……」
消えかけ幽界樹の精霊「そう言っているのです……。私は……もう、疲れました……」
クロシュ「……」
消えかけ幽界樹の精霊「もう……生まれたく、ありません……。もう……死にゆく命たちを、傍観することしかできない、界樹の精霊なんかに……なりたく、ありません……。もう……苦しみを……見たく、ない……」ジワワ…
世界樹の精霊「……」
消えかけ幽界樹の精霊「世界樹の、精霊の……あなただって……苦しく、ないのですか……。傍観することしかできない……命たちを、ただ合理的に、合理的に、再分配し続けるだけの自分が……嫌に、ならないのですか……」ポロポロ
世界樹の精霊「………私は……あなたほど、優しくないから……。死ぬ命に……あんまり感情移入、しない……」
消えかけ幽界樹の精霊「………そう……ですか……。私も……その方が……良かった、な……」ポロポロ
クロシュ「……」
世界樹の精霊「じゃあ……お望みの通りに、してあげる……。きっとあなたは……そうすることでしか、救われないから……」スッ
クロシュ「………」
どうしよう――
↓1〜 先取2票
1.見届ける
2.自由安価(票数は内容ごと・できないことはできない)
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 20:49:21.72 ID:on3C0h6Z0
2メゾンドクロシュに入れる
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 20:51:14.07 ID:xcMkAFsXO
>>131
133 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 21:16:59.56 ID:82uSW6390
クロシュ「あの……使徒、さん……」
消えかけ幽界樹の精霊「……?」
クロシュ「わたしの……デロデロに、なれば……。もう……誰も、傷付かない……」
消えかけ幽界樹の精霊「……」
クロシュ「えっと……だから……わたしの、デロデロに……」
消えかけ幽界樹の精霊「……」
世界樹の精霊「……そういうのも、良いと思う……。消えちゃうのは……これから先、いつでもできるけど……デロデロは、消えたら試せない……」
消えかけ幽界樹の精霊「……」
世界樹の精霊「………私としても……初めて会った仲間が……消えちゃうのは……寂しいし……」
消えかけ幽界樹の精霊「………」
↓1コンマ(前にデロデロの話をした+30)
01-65 ありがとう……でも……
66-00 それじゃあ……
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/21(月) 21:27:11.14 ID:XZiiZRnwo
来い!
135 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 21:44:32.44 ID:82uSW6390
消えかけ幽界樹の精霊「あり、がとう………。でも……やめておきます……」
クロシュ「……」
消えかけ幽界樹の精霊「……私の記憶は……あらゆる命たちの、苦痛と絶望に満ちている……。例え、あなたのデロデロが、どれほど心地良いものだったとしても……きっと、私が救われることは……ありません……。むしろ……あなたの内側で、苦しみを撒き散らす呪いとなってしまう……。そんなことは……私自身、到底認められません……」
クロシュ「………」
消えかけ幽界樹の精霊「………以前、私とお話したこと……覚えて、いますか……?」
クロシュ「………えっと……」
消えかけ幽界樹の精霊「…………デロデロが、全ての命を救うとして……では、そのデロデロは誰が救うのか……という……」
クロシュ「!」
消えかけ幽界樹の精霊「もし……本気で、救済を目指すのであれば……その点を、よく考えて……。優しいあなたが……たった一人、犠牲になるなんてことは……いけません……」
クロシュ「…………」
消えかけ幽界樹の精霊「…………それでは……もう、言い残しもありません……。お願い、します……」
世界樹の精霊「……わかった。残念だけど……」スッ
パァァァァ――…
消えていく幽界樹の精霊「さようなら――――心優しい、世界樹の使者たち――――……」パァァァ――…
パシュウウウン――――……
☆世界めくれの阻止に成功しました
・幽界樹の精霊が消滅しました
◆
136 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 21:50:50.39 ID:82uSW6390
少し前――
―王都セイントレア 市街
ドンッ!!
押し出される幼女「ふええっ!?」ヨロロッ
僧侶「ふっ……聖女……みんな……お元気、で――」
迫りくる影の魔物「」ヌオオオオ――
ベシンッ―
僧侶「えっ……!?」ヨロッ
デロデロ教徒「僧侶ちゃん、間に合っ――」ニコッ
ぶつかる影の魔物「」ヌオオオオオオオ―――
バシュウウウウウン――――……
僧侶「あっ……あ、あれ……!? 待って……デロデロ教徒ちゃん!? 待って、どこに行ったの!? ねえ!!?」キョロキョロ
ヒュオオオオオ――…
幼女「ぁ……ふ、ふぇ……」ジワワ
僧侶「あ、あ……そんな……まさか……嘘だ、嘘だ……!!!」グルグル
ヒュオオオオオ―――……
僧侶「あああああああああああ!!!!!!!」
◆
137 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 23:09:01.74 ID:82uSW6390
―夜
王都セイントレア 市街
クロシュヴィア「……」スト
僧侶「」グルグル
クロシュヴィア「僧侶ちゃん……」
僧侶「あ……クロシュヴィア様……」
クロシュヴィア「………デロデロ教徒ちゃんの反応が……いきなり、途絶えちゃったんだけど……」
僧侶「…………」
クロシュヴィア「ねえ……あの子は……? どこ……?」
僧侶「…………私が………私の、せいで………消え……ました………」
クロシュヴィア「え……」
僧侶「影の、魔物に……ぶつかって……跡形も、なく……」
クロシュヴィア「……」
僧侶「……クロシュヴィア様……あの子は、星に還ったんですよね? 星に還って、また新たな命として生まれてくるんですよね……? また、一緒にケーキを食べて……一緒に笑って……一緒に、デロデロの教えを布教して…………」
クロシュヴィア「………感じ……られない……」
僧侶「ぇ…………」
クロシュヴィア「この星の……どこからも……。あの子を、構成していた……魔力も、物質も……何も、かも…………。どこにも………ない………」
僧侶「………嘘、です……そんなの……嘘ですっ!!!! だって……だって、あの子は……!!!!」
――デロデロ教徒『みんなでデロデロになれば、ずっと平和で、しあわせなんですよね?』
――デロデロ教徒『だったらわたし……死ぬのも、こわくありません! だって死んでも……この星がまるごとデロデロになれば、それでまた、みんなに会えます! みんなで、ずっとしあわせにいられます!』
――デロデロ教徒『えへへ……はやく、みんな一緒にデロデロになりたいです!』
僧侶「嘘だっ………嘘だぁ…………」ガクッ…ポロポロ…
クロシュヴィア「…………」
クロシュヴィア「…………わたしの………責任………」
僧侶「え……?」ポロポロ
クロシュヴィア「わたしが……いつまでものんびり……布教ごっこで、満足していたから………。こんな事態を……。誰よりも、デロデロになりたかった子を………救えなかった………」グッ
ザッ―
クロシュヴィア「……僧侶ちゃん……行くよ………」クルッ
僧侶「ぁ………」
クロシュヴィア「………この星を……デロデロに溶かす方法を……探しに……」
僧侶「はい……!!!!」ググッ
◆
138 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/21(月) 23:12:29.52 ID:82uSW6390
―夜
聖ヴァレリオ教会 宿泊室
聖女「お姉ちゃん……」
ベランダの窓「」コンコン
僧侶「……」
聖女「!」
窓「」ガラッ
聖女「お姉ちゃん! 良かった、無事――」
僧侶「聖女。私は今から、この王都を発ちます」
聖女「えっ……!? どうして、そんな急に……!? 災害は一旦収まったけれど、まだ何が起きるか……」
僧侶「……デロデロ派の導師として……一刻も早く、全てを救う。救わなければならない。そうしなければ……私が、そうしなければ……」
聖女「お、お姉ちゃん……?」
僧侶「………私のことは心配しないで。クロシュヴィア様も一緒だから、大丈夫。あなたは……お父様と、平穏に過ごしていなさい」
聖女「……何があったの? ねえ、何かあったんだよね? そうだ、デロデロ教徒ちゃんは!? あの子は――」
僧侶「……っ」
聖女「……!!」
僧侶「………お父様には……別れも言わずにごめんなさいと……伝えておいてください。それでは」クルッ タンッ―
聖女「ま、待って!」
ヒュオオオオオオ――…
聖女「……」
◆
139 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/22(火) 00:06:07.01 ID:D8l7csZo0
本日はここまで。次回、王都セイントレア王都滞在最終日編です
運命を揺るがすような戦いを終えて、幽界樹の精霊の願いを聞き届けるクロシュたち。救われぬ精霊の魂を救うことはできなかったが――あかちゃんスライムのひたむきな優しさは、一抹のぬくもりとなってその最期に寄り添った――…
そして僧侶とクロシュヴィアに訪れる、大きなかなしみ。愛ゆえに――そのかなしみは、深く、重く、耐え難く――。やがてかなしみは壮絶なる決意となり、星を飲み込まんとする嵐を呼び起こす――
星に還らず消え去った命は――二度と苦しまず――二度と悲しまず――二度と笑うこともなく――永遠の静寂に、横たわる―――……
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/22(火) 00:20:40.37 ID:uST3YFU9o
これはラスボスクロシュヴィア
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/22(火) 00:25:48.78 ID:7CJ/gfmbO
お疲れ様でした。
幽世周りの設定を詳しく知りたいです
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/22(火) 22:18:31.93 ID:ImX2aJ/yo
乙乙です
クロシュヴィアも僧侶ちゃんも幽樹霊ちゃんも優しくて物事を真っ直ぐ受け止めすぎる……太母さんぐらい太い(神経)でもいいのよ
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/22(火) 22:40:04.05 ID:kG+2wvHXO
乙
非ネームドに厳しい回だった…
144 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/22(火) 22:59:58.36 ID:D8l7csZo0
デロデロ教徒ちゃんの消滅は、クロシュヴィアさんにとって衝撃的な出来事でした。伝説スライムがついに動き出すかもしれません。それは仕方のないことです。劇中では語られませんでしたが、デロデロ教徒さんはクロシュヴィアちゃんのものすごく遠い子孫で、実はとても気にかけていたのです
幽世とかその辺りの設定について、劇中でちゃんと説明したことはそういえばなかったかもしれません。曖昧な状態ではいろいろと困るかもしれないので、少々突発的ですが番外編として簡単な説明回を行いたいと思います。よろしくお願いします
クロシュヴィア氏も僧侶ちゃんも幽界樹の精霊さんも、愛深き方々でした。愛深きゆえに、背負うかなしみもまた――。
緑の国の太母こと妖精さんは特別図太い性格というわけではないのですが(むしろ妖精にしては繊細な方です)、どうにもならないことに対しては意識的に気にしないようにしているようです。しかし割と頻繁に取り乱したりもしているので、そのセルフメンタルコントロールはあまり上手くいっていないかもしれません
なお世界樹の精霊は、幽界樹の精霊と比べてドライです。世界の代弁者たる界樹の精霊には、彼女のような淡白な性格の者の方が向いているのかもしれません
クロシュさんはとてもがんばっていますが、その手は何もかもを救えるほど大きくありません。自ら消滅を望む者に対して、クロシュ氏にできることはなく……。手の届かぬ場所で消える命にも、為す術はありませんでした
あかちゃんスライムのクロシュは――静かにお祈りすることしか、できませんでした。
145 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/22(火) 23:00:45.96 ID:D8l7csZo0
―番外編 幽世について―
―某日
聖ヴァレリオ教会 宿泊室
スライムクロシュ『……幽世って……どんなところ……?』モニョモニョ
妖精「幽世っていうのは……なんて言えば良いかなあ。こことは真逆の力が働いてる裏側の世界、みたいな……」
ミスティ「全然わからないわ……」
妖精「わ、私だって詳しく知ってるわけじゃないし……。イリス、世界樹の精霊を呼んでみてくれる?」
イリス「あ、うん。世界樹の精霊さんなら詳しいの?」
妖精「たぶん」
イリス「わかった!」
蒼き星の杖「」ポワポワ…
世界樹の精霊「……呼んだ?」ポン
妖精「呼んだ。幽世について教えて」
世界樹の精霊「私はあなたたちの先生じゃないんだけど……。まあいい……教えてあげる……」
*
幽世というのは、現世と対を成すもう一つの世界のこと。
こちら側では正の力……光・炎・水・風・地の五大属性が主流だけど、あちらでは逆に闇属性みたいな負の力が主流……。
本来は決して交わることのない現世と幽世だけれど……世界めくれが起きれば、たぶんこの二つの世界は混ざり込んでしまう……。
言うなれば……世界めくれっていうのは、二つの世界を隔てる膜に大きな穴が開いてしまうようなもの……。ひとたび穴が開けば、それは自然に閉じることなくめくれ上がり続ける……。反発しあう二つの力が、穴をどんどん押し広げていってしまうから。そうなれば……最期には、全ての力が対消滅を起こして……どちらの世界も、跡形もなく消え去ってしまう……と思う……。力の総量は、たぶん同じだから……。
幽世って響きからすると、なんだか死後の世界とかおどろおどろしい世界を想像するかもしれないけど……たぶん、そこで生きてる者たちはあなたたちとそこまで大きく違わないと思う……。ただ、魔力の向きが正反対ってだけ……。
ちなみに負の側にも五大属性はあったりする……。闇、氷、乾、凪、虚の5つね……。闇と氷以外は、こっちの世界じゃ滅多に生まれないから……あんまり馴染みがないかも……?
それぞれの属性は、対になっているの……。光と闇、炎と氷、水と乾、風と凪、地と虚……この組み合わせは、特に強い反発を生む……光属性と闇属性が強く反発しあうのは知っているでしょ……? それと同じって思ってくれたら、いいよ。
まあひとまずは、こんなところかな……。今日はもう疲れた……。他にも聞きたいことがあるなら、また後日ね……。
あそうそう、幽世と幽界は同じものだよ。いわゆる表記揺れってやつだね……。それじゃ……ばいばい……。
*
シュウウウン…
ミスティ「帰ってっちゃったわ」
イリス「幽世に負の属性かあ……なんだかロマンがあるね!」
妖精「対消滅なんて勘弁して欲しいとしか思わない……」
スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ
☆幽世についての知識を少し得ました
◆
146 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/22(火) 23:01:25.53 ID:D8l7csZo0
というわけで本編の更新は恐らく土日辺りになるかと思います
他にも質問等あればお気軽にお書き込みくださいませ
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/22(火) 23:44:15.92 ID:OyudRACdo
おつ
鏡合わせの世界って感じかな
という事は向こう側にも人が居て街があって文明がある…かもか
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/23(水) 13:11:06.97 ID:1PrNWq4b0
乙
すまない幽霊樹の精霊との戦いがまさか土日以外でやるとは思わなくて参加出来なかったな…
ちなみに負の五大属性で氷と闇は分かるけど乾、凪、虚は下に書いた感じの魔法でいいのかな?
乾:周囲の物を干からびさせる魔法
凪:周囲の音を無音にさせる魔法
虚:周囲の物を崩壊させる魔法
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/24(木) 18:40:57.48 ID:+izooxRGO
乾、凪、虚は滅多に生まれないという事は中には使える人物が存在しているという事でいいのかな?
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 08:14:49.17 ID:GLZjsv61O
乙
バイオレット姉妹到着前に方がついたか
151 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:05:07.46 ID:fpokyp670
幽世にも知的種族や文明が存在する可能性はあります。なお現世とは得意属性の比率が大きく異なるため、魔法体系や文明の在り方は大きく異なったものかもしれません。実際に見てみればわかるかもしれませんが、二つの世界の交わりは非常に危険なので観光等はとても難しいでしょう
そういえば特に告知していませんでしたが、祝日に更新することもあります。とはいえ参加できる時だけ参加するくらいで丁度良いのではないかと思います
乾属性の魔力は、物質や空間にある水分等の液体を除去する効果を持ちます。乾属性の魔法もそのような効果を活用したものが多いかもしれません。洗濯物の乾燥や干物作りに便利な属性です
凪属性の魔力は、気体やエーテル体の流動を停止させる効果を持ちます。凪属性の魔法もそのような効果を活用したものが多いかもしれません。凪属性の結界を張れば台風が来ても安心です
虚属性の魔力は、あらゆる物質を破壊して無に還す効果を持ちます。また、重力を無効化する作用もあるようです。虚属性の魔法もそのような効果を活用したものがあるかもしれません。極めて強力で危険な属性ですが、幽世にもこれを扱える者は多くないようです
現世で上記の属性を使える者は滅多に生まれませんが、乾と凪については少数ながら確認されているようです。虚については、現世で確認されることは歴史を遡っても滅多にないようです
バイオレット姉妹は戦争の準備に奔走していたため、すぐに王都へ駆けつけることはできなかったようです。そしてクロシュたちの活躍により状況は迅速に解決へ向かったため、彼女らの到着を待たずして事なきを得たようです
152 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:06:13.68 ID:fpokyp670
―王都セイントレア 滞在最終日
◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:星霊の剣 盾:ラティアの大盾 飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の大杖 防:竜のエプロン 飾:不死鳥の羽根
◇妖精 [世話焼き妖精]
武: 盾: 飾:くすんだ耳飾り
武: 防:精霊のレオタード 飾:
◇イリス [星の魔法使い]
武:蒼き星の杖 盾: 飾:くすんだ耳飾り
武:ブラッドランス 防:魔術師のローブ 飾:
◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:氷の短刀 盾: 飾:くすんだ耳飾り
武: 防:氷竜革のローブ 飾:
◇ローガン [鋼の戦士]
武:蜥蜴一文字 盾:灼鋼の盾 飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:オリハル鎖帷子 飾:
◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌 盾: 飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の刀 防:硬質革鎧 飾:
◯所持アイテム
[道具] [装備品] [大事なもの]
運命賽*1 蜘蛛絹の下着 魔族国永久旅券
会心賽*1 ザリガニのお守り フメイの服の切れ端
反魂丹*1 大きな巻き貝 精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具 闇の欠片 精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中下 フリルワンピ水着 精霊樹の鉢植え+赤雷球
お宿の妖精の織物 魔法学園のスク水 フメイとアリシラの人形
魔導飯盒 ガラスのザリガニ メルルの帽子
妨害魔力波発生装置 踊り子の双剣 溶岩石のアミュレット
属性大全 サボテンドラゴンの花 太陽のメダリオン
魔王図鑑 精霊のローブ 暗黒優待券
氷精の魔導書 精霊樹の杖[改] 冒険者証(ランク1)
ブラッドワイン*1 銀のナイフ 大魔女帝国渡航権
吸血鬼殺ワイン*1 ダイヤメリケンサック かたたたきけん
魔術書「正負の属性」 パラサイトソード 大魔女帝国滞在許可証
吸血鬼の日焼け止め 風船印のパラシュート
日蝕の傘 ラティア勲章
大魔女サイン*1 ユーシリア王家の紋章
古代のセラミック
ステライト鉱石
晴れ乞い傘
チョコスムージー
ヒヒイロカネ
氷魔力結晶
魔導書「絶対零度」
◯現在の目標
・フメイちゃんを探す(達成!)
・世界樹の光を追う[5/5](達成!)
・最悪の未来を阻止する(達成!)
◯努力目標
・カリスに造られた者たちを助ける(達成!)
・戦争を阻止する(達成!)
・大司祭を探す(達成!)
・枢機卿の悪事を暴く(達成!)
・レイの行方を追う(達成!)
◯仲間の目標
・カリス・ノーランドを討つ(達成!)
◯経験値
・クロシュ 剣技[01/09] 魔法[04/09] 防御[02/07]
・イリス 杖術[05/08] 魔法[16/16]
・ミスティ 剣技[05/09] 魔法[16/16]
・ローガン 剣技[16/16] 魔法[04/10] 防御[02/10]
・エバンス 剣技[16/16] 魔法[07/10]
……………………………………………………………………………………
□王都セイントレア
王城:未探索
城下:教会、孤児院、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド
中央広場、公園、学校、図書館、博物館、劇場、闘技場、未探索
□セクリエ・ロイエ
大聖堂、大聖堂別館、美術館、庭園、お土産屋、未探索、他
……………………………………………………………………………………
☆激しい戦いを終え、全員が多くの経験値を獲得しました
☆クロシュの剣技レベルと魔法レベルが1上がりました
☆イリスの杖術レベルが1上がりました
☆ミスティの剣技レベルと魔法レベルが1上がりました
☆ローガンの魔法レベルと防御レベルが1上がりました
153 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:06:59.33 ID:fpokyp670
―数日後
王都セイントレア 市街
ワイワイ ガヤガヤ トンカントンカン ガラガラ
エバンス「かなり早いペースで復興が進んでるな」スタスタ
ローガン「うむ。芸術都市での一件を経て、緊急事態におけるノウハウが共有されていたようだ」
イリス「大陸内の各地から支援物資も届いてるみたいです。驚きなのが、魔族国が真っ先に支援を申し出て、アルベール王がそれを受け入れたという……」
ミスティ「王国と魔族国の関係も改善していくと良いわね……」
ティナ「実は私たちの傭兵団も支援を行っていたりする。国家からの支援に比べれば雀の涙だが」
エバンス「こういうとこで売り込んでおけば次の依頼に繋がる、てのが団長のやり方なんだ」
イリス「へえ〜……! それなら一石二鳥ですね!」
新聞「」ヒラヒラ
ローガン「む、新聞だな」パシッ
新聞「枢機卿グランドマスター氏、内乱罪等複数の容疑により逮捕」バサッ
ミスティ「グランドマスター……あ、ようやく逮捕されたのね」
エバンス「内乱罪……こりゃ大変な裁判になりそうだな」
イリス「……あれ、お母さんグランドマスターの用心棒やってたけど大丈夫なの!?」
ティナ「大丈夫。依頼主の不手際でこちらが罪に問われるような迂闊な契約はしてないから」
◇
―聖ヴァレリオ教会
秘伝パスタ「」ポン!
レイ「んんん〜〜! ひゃばのめひはおいひい〜〜〜!!!」バクバクモグモグ
クレア「レイ、食べながら喋らないように」
レイ「ひゃいっ!」ビクッ
ミラ「グランドマスター卿の逮捕でレイの指名手配が不当なものだったこともわかって、ひとまずこの教会の預かりになったんですよね」
クレア「はい。同郷の馴染であるあなたが一緒なら、レイも暮らしやすいでしょうから」
ザック「しっかしレイちゃんがまさか指名手配犯でしかも冤罪だったなんてな……全然気付かなかったぜ!」
レイ「でへへ〜しかもしかも、今まで指名手配で酷い目にあわされた分いっぱい賠償金がもらえるんだって! 指名手配さまさまだよォ〜」
クル「ふふ、そうだね。孤児院にいっぱい寄付してくれると嬉しいなぁ」
クレア「……まあ、本人がこれだけ前向きなら良いのでしょうか……?」
◇
154 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:07:29.83 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室
黄スライム『セインセイン、スライムやって! スライム!』モニョモニョ
セイン「ああ」
デロデロ…ポン!
スライムセイン「〜〜」モニョニョ
黄スライム『んわわ〜!』キャッキャ
灰スライム『すっかり形態変化にも慣れたね……』モニョモニョ
スライムセイン『ああ。慣れるとこの姿も悪くない』モニョモニョ
フレア「むむ〜……私もスライム化できないかな……」グググ
灰スライム『やろうとすればできるんじゃないの。スライムの因子は入ってるらしいし……』モニョモニョ
アイス「……アイスも、スライム……?」
黄スライム『クロシュちゃんが、アイスちゃんもスライムっぽかったって言ってたよ!』モニョモニョ
アイス「むっ……クロシュのくせに、なまいき……」
コンコン
灰スライム『!』モニョッ
セイン「……誰だ?」スッ
扉の向こう「フラナ・バイオレットよ。こちらにフリューゲル・バイオレットが滞在していると聞いて来たのだけれど」
セイン「……あいにく、フリューゲルは外出している」
扉の向こう「どこに行ったかはわかるかしら」
セイン「魔女の茶会だそうだ。場所は聞いていない」
扉の向こう「……わかった。ありがとう、失礼するわ」スタスタ
黄スライム『行っちゃった』モニョニョ
アイス「……フラナってだれ?」
フレア「フリューゲルさんの娘さんだ! 確か、今の魔族国で一番偉い……」
灰スライム「……フリューゲル……せっかく自由になったのに、まだ家族に伝えていないのかも……」
◆
155 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:08:04.71 ID:fpokyp670
―王都セイントレア 喫茶店
カランカラン
フリューゲル「……」スタスタ
ベスティア「あ、フリューゲル」
フリューゲル「ベスティア……久しぶりね……」スッ
席「」トン
ベスティア「そうですね……。でも無事で良かったですよ、フリューゲル」
フリューゲル「お節介な焼き鳥のお陰でね……」
カランカラン
クローディア「だーれがお節介な焼き鳥よ」スタスタ
ベスティア「クローディア。珍しいですね、三番目なんて」
クローディア「時間には間に合ってるでしょう」
フリューゲル「……あとはクロシュヴィアとリリーツィアね。リリーツィアはいつも時間ギリギリだったっけ。クロシュヴィアは不規則で」
クローディア「……いえ、あの二人は来ないわ」
ベスティア「えっ!? せっかくのフリューゲルの復帰祝いなのに……!?」
クローディア「それどころか連絡すら付かないの。あいつらのことだから心配はいらないと思うけれど」
ベスティア「まあそれもそうですね。でもちょっと意外です……クロシュヴィアならフリューゲルの復帰と聞けば喜んで来そうなのに」
クローディア「それが腑に落ちないのよ。あいつ、なんだかんだで友達想いだしお祝いごととかも好きだったはずなのに」
フリューゲル「………まさか、世界めくれに巻き込まれたとかじゃないわよね?」
クローディア「それはない……と思うわ。クロシュヴィアを消し去るほどの規模にはなってなかったと思うし」
フリューゲル「なるほど……確かに」
クローディア「来ない者を待っても仕方ないし、私たちだけで始めるわよ。まずフリューゲルの復活を祝して――」
ベスティア「乾杯〜」
フリューゲル「はぁ……乾杯」
カチャン
*
156 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:08:31.89 ID:fpokyp670
ベスティア「――ええっ!? まだ魔族国に一度も戻ってないんです!?」
フリューゲル「ええ……」
クローディア「……てことは、フラナとフレメアにも会っていないわけね」
フリューゲル「合わせる顔がないわ……」
ベスティア「でも、娘さんたちは会いたがってるんじゃないですか……?」
クローディア「実際会いたがってるわ。カリスの呪いの解析と解呪魔法の作成にはフラナにも協力してもらったのよ」
フリューゲル「………どうして……私なんかの為に……」
クローディア「考えるまでもないでしょう。あなたが彼女たちを愛し、そして愛されているからよ」
フリューゲル「……っ」
ベスティア(そういう言葉をさらりと言ってのけるのは流石です、クローディア)
クローディア「今あなたがすべきは、あの子たちに元気な姿を見せて安心させてあげることよ。合わせる顔だの贖罪だの、そういうのは後で考えれば良いの。わかった?」
フリューゲル「………考えてみるわ……」
カランカラン
クローディア「ん……?」
フラナ「……」スタスタ
フレメア「……」スタスタ
ベスティア(あ)
ベスティア「あっ……ああっ……」アタフタ
フラナ「……ん? あっ……お、おか………」
フレメア「お母様っ!!!」シュバッ
ダキッ
◇
157 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:09:03.10 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室
荷物「」ギュッギュッ
聖女「……」
大司祭「もう発つのか」
聖女「はい。そろそろ魔族国の教会に戻らないと」
大司祭「……僧侶のことは心配するな。私の方でも行方を追っておく」
聖女「……はい」
聖女(……取り返しがつかないことは……どうにも、ならない……)
聖女(……どう足掻いても……デロデロ教徒ちゃんが戻って来ることは……もう……)
聖女(………結局……私は、何もできない……)
聖女(口先の理想論ばかりを唱えて……何一つ、救えない……)
聖女(……結局……ここは……)
聖女(尽きることのないかなしみが繰り返される……どうにもならない世界なの……?)
◆
158 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 18:10:02.36 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会 屋根の上
チュンチュン
クロシュ「……」
妖精「………デロデロ教徒……見当たらないね……」
クロシュ「うん……」
買ってきたチーズケーキ「」
クロシュ「……」
妖精「……僧侶とクロシュヴィアと一緒に、次の布教に行ったんだよ。きっと」
クロシュ「……」
妖精(きっとクロシュは……私の言葉がただの気休めでしかないことに、気付いている……)
妖精(聖女が言ったように、僧侶がただならぬ雰囲気で夜中に出ていったのだとすれば……多分、その理由は……)
妖精(…………)
妖精「……私たちもそろそろ準備しよう。王都を出て……帰るべきところへ、帰らなきゃ」
クロシュ「……」
妖精「何もかもが上手くいったわけではないけれど……私たちは、最善を尽くした。それで世界の崩壊は防げたんだから、あかちゃんスライムの成果としては大金星だよ。だから……」
クロシュ「……うん」
ボンッ!
フメイ「クロシュ、ここにいたんだ」ストッ
クロシュ「フメイちゃん……」
アリシラ「ちょっとぉ〜屋根の上なんて登れないよぉ〜」ヨジヨジ
妖精「て言いながらよじ登ってる……」
フメイ「出発の準備、できたよ」
クロシュ「!」
フメイ「セインたちもできたって。クロシュたちは?」
妖精「私たちももうすぐ。明日には発てると思う」
フメイ「わかった」
アリシラ「王都とももうお別れかぁ……。結局滅ぼせなかったなぁ……。星の力も渡しちゃったし……」
妖精「まだ諦めてないの?」
アリシラ「どうでも良くはなってきたかな。みんなが助かるなら恨む理由もなくなっちゃうしさ」
フメイ「……集落が襲った奴らは、カリスがフメイたちを捕まえようとして差し向けた王国兵だったみたい。だから、元凶のカリスをやっつけた今はほんとにもう恨みがない」
妖精「なるほどね……。まあ恨みがないなら良かったよ」
クロシュ「うん……」
買ってきたチーズケーキ「」
クロシュ(デロデロ教徒ちゃん……)
クロシュ(わたし………何が、できる……?)
☆努力目標を5つ達成したので自由行動が5回分追加されます
王都セイントレア滞在最終日。行動終了後、世界樹の巻エピローグに移ります
↓1〜8 自由安価 何をする?
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:11:31.29 ID:+Z3tLwZE0
>>11
でアリシラの態度が気になっていたクロシュ、アリシラの両親を含めて四者面談実施
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:14:31.81 ID:DXprSy5R0
クロシュ、皆での集合絵を描く
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:16:50.08 ID:bw/IZZbNo
クロシュ、スライム通信でクロシュヴィアに釘でも差しとく
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:17:35.32 ID:Pv00PG4GO
イリス親子、バイオレット親子と会食
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:18:10.76 ID:IyMMFekyO
ミラ達からレイが幽界樹クリファの巫女名乗り黒い影の魔物を消した事を聞いたクロシュと妖精と世界樹の精霊がレイと話をしてみる
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:18:19.67 ID:e5IEM+JEO
実験体やヴィアを含めた王国スライムたちとデロデロ談義
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:47:05.64 ID:YxMA8sEvO
酒場か食事処で皆で宴会
これまでの思い出を振り返る
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 18:53:18.67 ID:Q0GFjaRAO
逮捕されたグランドマスターを煽り散らかして多少溜飲を下げよう
167 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 20:44:31.57 ID:fpokyp670
―王都セイントレア 騎士団屯所
クロシュ(わたしたちは、いきなり王国の騎士さんに呼び出されて……グランドマスターさんのことについて、いろいろ聞き取りされた……)
王国騎士「協力感謝する。下がって良いぞ」
妖精「ねえ、グランドマスターとは面会できるの?」
王国騎士「面会希望か? 構わないが手短に。我々も暇ではないんでな」
ミスティ「私たちも暇じゃないところを呼び出されたんだけど……まあいいわ。せっかくだし文句の一つでも言ってってやりましょう」
*
―王都セイントレア 留置所
鉄格子「」ガシャン
グランドマスター「……貴様たちは……一体何用ですか?」
ミスティ「特に用はないわ」
妖精「ちゃんと捕まってるとこを確認したかっただけだよ。あなた、カリス以下の重罪人だからね」
グランドマスター「ふん、好きに吠えるが良い。無罪判決を勝ち取った暁には、必ずやあなた方地獄の底に叩き落としてくれましょう」
妖精「衛兵、中にいる人に脅迫されたんだけど」
衛兵「はあ……罪状を追加されたくなければ不用意な発言は控えてください」
グランドマスター「この……! 今に見ていろ、下劣な劣等種共が……!」
クロシュ「……」
どうする?
↓1選択
1.動機を問う
2.どうでもいい
0.自由安価(状況にそぐわないものは再安価)
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 20:51:22.47 ID:6HqwxOWg0
1
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2025/07/26(土) 21:13:20.94 ID:kn3hrEsh0
オットマン 人間家具 聖水 脚マッサージ
脚フェチ フークラ パンスト 下着
臭いフェチ 体液フェチ 圧迫フェチ
ビンタ 灰皿 尻蹴り 水責め
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170 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 22:01:56.98 ID:fpokyp670
クロシュ「……なんで……あんなこと、してたの……?」
グランドマスター「あんなこと?」
クロシュ「えっと……」
ミスティ「なんであの妙な部屋を作って魔力を搾取してたのかって聞いているのよ。そんなこともわからない?」
グランドマスター「……フン、使い道のない愚劣な連中を有効活用していただけですよ。あっさり殺してしまうより、死ぬまで絞り上げる方がサステナブルでクレバーでしょう? この王国全域にあの魔力タンクを行き渡らせれば、王国民はより経済的で優れた生活を送れるようになるはずだったのに……あなた方のせいで全てが水の泡ですよ」
クロシュ「……」
妖精「はあ……真面目に聞くだけ無駄だよ、クロシュ。こいつはカリスと同列の、吐き気を催す真の邪悪だ。王都の法廷がこいつを正しく裁くことを祈ろう」
クロシュ「うん……」
ミスティ「こいつに一刻も早く罰が下ることを願うわ……」
◇
171 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 22:02:51.31 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会
ミラ「そういえば妖精さん、あの時レイが『幽界樹クリファの巫女』みたいなことを言ってたんだけど、どういうことかわかる?」
妖精「えっ!? ど、どういうことだろう……? 世界樹の精霊、今いる?」
世界樹の精霊「いる。レイ・アンバーが幽界樹クリファの巫女……なわけない。彼女は現世生まれ現世育ちの人間だもの……」
ミラ「でもあの時レイは、そう名乗って影の魔物たちを消し去ったんだ」
世界樹の精霊「え、そうなの……。どういうことだろう……」
妖精「邪教の儀式だか実験だかが関係あるのかも。邪教の正式名称も確かクリファ教だったし」
世界樹の精霊「……レイ・アンバーをここに呼んでもらえる?」
ミラ「わかったよ」
*
レイ「え、なになに……なんでそんな怖い顔で私のこと睨むの……」オロオロ
世界樹の精霊「脱いで」
レイ「ひっ、ひええっ……!?!?」
妖精「あ〜、ちょっと身体に刻まれた魔法陣を確認したいんだ。悪いけど良いかな?」
クロシュ「レイさん……だいじょうぶ……」
クル「レイの為なんだよ?」
レイ「わ、わ、わかりまひた……優しく、してくだひゃい……!!」
ヌギヌギ…
世界樹の精霊「……驚いた。これ、幽界樹と接続する為の術式……」
妖精「ええっ……!? そ、そんなこと可能なの!?」
世界樹の精霊「普通は不可能。でもこのレイ・アンバーは極めて高い闇属性適性を持っている……。どちらかと言うと幽世の方が親和性が高いと言えるくらいに……。そんな人間だからこそ、幽界樹と繋がることができたのかも」
レイ「え、ええっとぉ……どういうことなんです……? 私、もしかしてやばい……?」
世界樹の精霊「すごくやばい」
レイ「ひえぇ……」
世界樹の精霊「今のところ安定しているけれど、バランスが崩れればレイ・アンバーを起点にまた世界めくれが発生する可能性もある。でも……それに幽界樹の精霊が気付いてなかったとも思えない……。なぜ彼女は、レイを利用しなかったのだろう……」
妖精「……そういえば、レイはロイエ教の奴らに狙われてた。もしかして……あれって、使徒の……幽界樹の精霊が差し向けてたんじゃ……?」
世界樹の精霊「……でも、幽界樹の精霊ならわざわざ本人を捕まえなくても、幽界樹との繋がりを通してレイを利用することはできたはず……。わざわざそうしなかった理由がわからない……」
クロシュ「……世界めくれの、起点になったら……レイさんは、どうなっちゃったの……?」
世界樹の精霊「真っ先に消滅してたと思う」
レイ「」クラクラ
クル「レイ、しっかり!」
世界樹の精霊「……レイを利用すれば、世界樹の光がなくたって世界めくれを起こせたはず……。うーん……なぜわざわざ世界樹の光を使って、無理矢理穴をこじ開けるような非効率な真似を……」
クロシュ「………使徒さん……レイさんと……お話、したかったのかも……」
世界樹の精霊「え……?」
クロシュ「………むりやり、やるより……レイさんに、確認を……取りたかったのかも……」
世界樹の精霊「確認……」
クロシュ「うん……」
妖精「……幽界樹の精霊は、レイが儀式に成功した時からずっと見守ってたんじゃないかな。だから……了承も得ずに勝手に利用して消し去るのは、忍びなかったとか……。勝手な想像だけどね」
世界樹の精霊「………そうだね。あの幽界樹の精霊は……優しかったから……そういうことを、考えてしまったのかも」
レイ「………」
172 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 22:03:25.17 ID:fpokyp670
世界樹の精霊「……その魔法陣、消したい?」
レイ「えっ……!? け、消せるの?」
世界樹の精霊「幽世との繋がりを断てば、自然に消える。界樹の精霊である私なら、難しいことじゃない」
レイ「そ、そうなんだ……」チラッ
レイの身体に刻まれた魔法陣「」
レイ「…………」
世界樹の精霊「どうする?」
レイ「あっ、いや……これがあると……なんか、危ないんですよね……?」
世界樹の精霊「うん。でも、バランスが崩れないように調整することも、できる……。その場合……今までより、魔法の出力は落ちるけれど……私の手腕なら、絶対安全」
レイ「………じ、じゃあ……調整で、良い、ですかっ……?」
世界樹の精霊「調整で良いの? 消すのではなく?」
レイ「………はい。えっと……影の魔物には、何度も助けられて……愛着も湧いてるし……。さっきの話、聞いて……私のこと、気遣ってくれてた人? がいたのかもって、思うと……なんだか、消しちゃうのは、寂しいし……」
世界樹の精霊「わかった。じゃあ少しじっとしててね」
レイ「は、はいっ……!」
*
シュウウウン――ポン
世界樹の精霊「はい、おわり。前よりも弱くなっちゃったけど、もうあなたの制御を離れて暴走する、みたいなこともなくなる。当然、世界めくれの心配もない」
レイ「わ、わわっ、わわーっ! ありがとございます! ありがとございます!」ペコペコ
クル「良かったねぇ……ほんとに良かった」
レイ「う、うんっ……!」
クロシュ「んへへ……よかった……!」
妖精「でも意外だなあ。世界樹の精霊はこういうの絶対消したがると思ってた」
世界樹の精霊「……私も、そこまで鬼じゃない……。幽界樹の精霊の結末にも……思うところ、あったし……。それに、もし次の幽界樹の精霊が生まれたら、レイを通してお話できるかも」
妖精「なるほど。異なる界樹の精霊同士で話なんて本来は絶対にできないもんね」
世界樹の精霊「そういうこと……。まあ、期待せずに見守る……」
☆レイの魔法陣が安定化しました
173 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/26(土) 23:00:47.87 ID:fpokyp670
―???
空に浮かぶ白い光「」ユラユラ
地上に瞬く無数の光「」チカチカ
モニョモニョ… モニョモニョモニョ…
クロシュ「……クロシュヴィアちゃん」
クロシュヴィア「クロシュちゃん……ごめんね……。王都に来たのに、挨拶もせずに僧侶ちゃんを連れてっちゃって」
クロシュ「んーん……。それより……デロデロ教徒ちゃんの、こと……」
クロシュヴィア「………あの子は……負の力にぶつかって、完全に消えた」
クロシュ「……!!」
クロシュヴィア「………わたしの、せいなんだ」
クロシュ「……?」
クロシュヴィア「わたしがね……あの子と僧侶ちゃんを……王都に行かせたの。僧侶ちゃんは王都のことを詳しかったし、あの子は私の仲間たちの中でも擬態が上手だったから、二人で上手くやれるって、思ってた」
クロシュ「……」
クロシュヴィア「でも……わたしも、一緒にいてあげるべきだった。僧侶ちゃんは少し戦えるけれど、ものすごく強いわけではないし……あの子も、あんまり強くなかったのに……。わたしが、二人だけで行かせちゃったから」
クロシュ「……」
クロシュヴィア「あの子ね……反映魔法が使えたの。わたしやクロシュちゃんとおんなじ……。詳しく見てみたらね……ほんの僅かだけれど、わたしの因子が入ってた……。きっと……わたしの、ものすごく遠い子孫……」
クロシュ「………」
クロシュヴィア「それなのに……わたし……あの子のこと、守ってあげられなかった……。わたしのせいで、生まれた命なのに……わたしのせいで……消えちゃった……。何もかも……最初から最期まで、全部、全部、わたしの責任」
クロシュ「…………」
クロシュヴィア「だから……わたしもう、手段を選ばない」
クロシュ「!」
クロシュヴィア「クロシュちゃんは、みんなをちゃんと説得するのが良いって言ってくれたよね。わたしもね……理想論としては、そう思う。でもね……それじゃもう、間に合わないの」
クロシュ「!!」
クロシュヴィア「一刻も早く、この世界をデロデロにする。あの子にはもう……永遠に、届かないけれど……それでも……一つでも多くの命を、救うの……!!」
クロシュ「!!!」
クロシュヴィア「クロシュちゃんも……応援、してくれる……?」
わたしは――
↓1〜 先取3票
1.応援する
2.使徒の言葉を伝える(最期のデロデロは誰が救うの?)
0.自由安価(票数は内容ごと)
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 23:01:38.77 ID:DXprSy5R0
2
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 23:03:48.17 ID:hJnVt0eHo
2
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 23:08:45.86 ID:+Z3tLwZE0
2
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/26(土) 23:08:53.29 ID:bw/IZZbNo
1
178 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 00:09:25.24 ID:wcKb1zkK0
クロシュ「……最期に、残った……デロデロは……誰が、救う……?」
クロシュヴィア「ふえ……?」
クロシュ「えっとね……。使徒さん……幽界樹の、精霊さんが……。最期のデロデロが……救われなきゃ、だめって……」
クロシュヴィア「??」
*
――使徒「星ごと呑み込んで全ての命をしあわせにしたデロデロの最期が、新しいごはんを食べることもできず、友達とお喋りすることもできず、独りぼっちで宇宙を漂い、静かに冷えて死んでいくものだとしたら――それは、あまりにもむごい末路ではありませんか」
――使徒「永遠はありません。不死の炎も、星の鼓動も、太陽の熱も――いつかは翳り、滅びる運命(さだめ)。独りぼっちのデロデロが、最期までしあわせな夢を見ていられるのか――私には、わかりません」
*
クロシュ「……使徒さんはそんなようなこと、言った……。わたしも……答え、出せない……」
クロシュヴィア「……」
クロシュ「……クロシュヴィアちゃんが……犠牲になっちゃうのも……やだ……」
クロシュヴィア「……んーん。クロシュちゃん……勘違い、してる」
クロシュ「ほえ……?」
クロシュヴィア「わたしは……救われなくて、良いの」
クロシュ「……!?」
クロシュヴィア「わたしのせいで……あの子は救われずに、消えたの……。だから……わたしも、救われちゃいけないの」
クロシュ「……!!」
クロシュヴィア「わたしの犠牲で、みんなが救われるなら……わたし、犠牲になる。それで……全部、解決」
クロシュ「……だめ。やだ。そんなの……だめ……!!」
クロシュヴィア「ふふ……クロシュちゃんは、優しいね……。でも、もう決めたの」
クロシュ「……!!!」
クロシュヴィア「心配してくれて、ありがと……。ごめんね……」
クロシュ「デロデロ教徒、ちゃんが……クロシュヴィアちゃんが、犠牲になるってこと、知ったら……! 絶対、絶対……反対、する……!!」
クロシュヴィア「うん……すると、思う……」
クロシュ「うん……! だからっ……!!」
クロシュヴィア「でも……もう、反対さえ……してくれなく、なっちゃった……。それも……わたしの、せい……」
クロシュ「……!!!!」
クロシュヴィア「……クロシュちゃん……最期の数日間だけど……あの子と、仲良くしてくれて……ほんとに、ありがと……。短い間だったかもしれないけれど……きっと……みんなと、楽しく過ごせて……しあわせだったと思う」
クロシュ「――」
クロシュヴィア「今日も……わたしと、お話してくれて……ありがと……。クロシュちゃんが、わたしのこと、心配してくれたこと……一生、忘れない」
クロシュ「――――」
クロシュヴィア「それじゃあ……ばいばい。いつか……わたしの中で、クロシュちゃんもしあわせにしてあげるから。それまで、どうか、絶対に消えないでね……。絶対に……絶対に、消えないで―――……」
クロシュ「クロシュヴィアちゃ―――」
―――――プツン――――――……
◇
179 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 00:15:38.72 ID:wcKb1zkK0
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室
スライムクロシュ「――〜〜〜!!!!」モニャニャニャニャ!!!!
妖精「うわあっ!? いきなり何!?」ビクッ
デロデロ…
スライムクロシュ「」デロロ…
妖精「今度は急に溶けちゃったし……。何があったの?」
スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…
*
妖精「え、クロシュヴィアが……手段を選ばないって……!?」
スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ
妖精「ど、どうしよう……クロシュヴィアが本気で世界デロデロ化を目指すなら、かなりまずいんじゃ……」
コンコン
ガチャッ
眼鏡美人ヴィア「こんにちは。明日出発と聞いてお別れの挨拶に……と思ったのですが、今クロシュヴィアと言いましたか?」
妖精「え、ああ、うん……。そういえばヴィアはクロシュヴィアの株分けなんだっけ……?」
ヴィア「はい。クロシュヴィア本人とはほとんど面識がないですけれども」
ガチャッ
黄スライム『伝説スライムのクロシュヴィアのお話!?』モニョニョ
灰スライム『興味ある……。わたしたちも、混ぜて……』モニョモニョ
セイン「すまない、急に入り込んでしまって。構わないか?」スタスタ
妖精「それは構わないけど……そうだクロシュ、みんなにもデロデロのことを聞いてみたらどうかな? クロシュヴィアを説得する良い糸口が見つかるかも」
スライムクロシュ「!」モニョッ
ヴィア「面白そうですね。是非聞かせてください」
◇
180 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 00:16:21.23 ID:wcKb1zkK0
本日はここまで。次回はデロデロ談義編から開始となります
意志を固めたクロシュヴィアの心に、クロシュの言葉は届かなかった。いや、届かなかったわけではない。クロシュの真摯なる優しさは、確かに届いていた。その想いは、クロシュヴィアの決意をより強く、鮮烈に熱した。
悲哀に満ちる決意を秘めた伝説スライムに対し、あかちゃんスライムに成し得ることなどあるのか。
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 02:21:50.20 ID:G3pdw3tIo
おつでした
一人では説得できないか
だがこちらはクロシュ一人ではなーい!
スライムの密度が急上昇する空間すき
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 07:57:33.68 ID:fJEcAFvUo
魔女たちなら力付くで連れ戻せそう
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 14:59:01.82 ID:GEu9jyVLO
強キャラ属性スライムの中のトップともなると敵に回すとかなり厄介そう
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 17:26:24.72 ID:K6NZPwaxO
黄スライムと灰スライムにも名前あるのかな?
過去の募集キャラの流用?
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 17:54:16.67 ID:fJEcAFvUo
ヴィア筆頭にクロシュヴィアの分株たちはデロデロ派なのだろうかこれから敵になるのか
186 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 18:10:43.62 ID:wcKb1zkK0
クロシュヴィア氏の説得はものすごく困難ですが、スライムが集まればクリティカルなアイデアが湧くかもしれません。三人よれば文殊の知恵、船頭多くして船山に登るというコトワザもあります
スライムが多い場ではモニョモニョというスライム語のおしゃべりが聞こえてきそうですが、実のところスライム語は人の耳では聞き取りづらい周波の音なため、スライムたちがはしゃいで大騒ぎしても人間にとってはあまりうるさくないようです。でもぴょんぴょん飛び跳ねたりすれば流石にうるさいかもしれません
魔女集会の面々は強い力を持っていますが、クロシュヴィアを強引に連れ戻すのは至難だと思われます。クロシュヴィア氏は普段はとぼけていますが、本気を出した場合の脅威度・危険度はあのカリス・ノーランドを超える――と大魔女クローディアは思っています。そのような恐ろしい相手なので、クロシュヴィアの感情を刺激するようなやり方は悪手となる可能性が高いでしょう
全てのスライムが強いわけではありませんが、カリス・ノーランドが目を付ける程度にはスライム類のポテンシャルは輝きを秘めています。そしてその中で伝説とまで言われたクロシュヴィアは実際すごいのですが、当然敵に回すととても厄介であると言えるでしょう。しかしクロシュヴィアを止めるならば、衝突は避けられないかもしれません
黄スライムと灰スライムに固有の名前はありません。カリス・ノーランドが名前を与えなかったからです。なお本人たちや周囲の者たちは、黄色ちゃん、灰色ちゃんというような呼び方を採用している場合が多いです
フレアさんは過去に募集した案を使わせていただきましたが、黄スライムさんと灰スライムさんにそのような原案はありません
クロシュヴィアの株分けといってもクロシュヴィアにその思考・思想を支配されているわけではないので、最終的に彼女らがどう判断するかは彼女ら自身の心に委ねられています。とはいえ元々がクロシュヴィアだったことを踏まえると、デロデロ思想に共感しやすい面はあるかもしれません
187 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 18:11:11.22 ID:wcKb1zkK0
今クロシュが描いたデロデロ世界の絵「」デロデロ
黄スライム『んわぁ〜!』モニョニョ
灰スライム『デロデロだ……』モニョモニョ
セイン「この絵に描かれた世界のことか」
スライムクロシュ『うん。セインさんには……前に、砂漠で、聞いたかも……』モニョモニョ
セイン「ああ。僕の考えはあの時と変わらない。悪いことではない、と思う」
スライムクロシュ『んへへ……』モニョモニョ
妖精「ちょっとクロシュ、喜んでどうするの。これを実現しようとしてるクロシュヴィアを止めたいんでしょ?」
スライムクロシュ『んわ……!』モニョッ
ヴィア「……クロシュヴィアが、これを実現しようと……。もしかしてデロデロ教のことですか?」
妖精「うん。みんな、デロデロ教のことは知ってる?」
黄スライム『あんまり!』モニョニョ
灰スライム『聞いたこと、あるくらい……』モニョモニョ
セイン「多少なら」
妖精「じゃあ改めて説明すると……デロデロ教っていうのは、伝説スライムのクロシュヴィアが指導者を務める新興宗教団体。前にクロシュが芸術都市でそれと同じような絵を描いたんだけど、クロシュヴィアがそれに感銘を受けて設立したらしい。教団の目的はその絵に描かれているように、全てがデロデロに溶け合った世界を実現すること。そうすることで、世界に生じるあらゆる苦しみや悲しみを克服するのが狙い……なんだよね?」
スライムクロシュ『うん』モニョモニョ
黄スライム『わあ〜! それすっごくいいと思う!』モニョモニョ
ヴィア『……』
灰スライム『……? クロシュは、デロデロ教と関わってるわけじゃないの……?』モニョモニョ
スライムクロシュ『うん……クロシュヴィアちゃんとは、友達だけど……わたしは、関わってないと思う……』モニョモニョ
灰スライム『そうなんだ』モニョニョ
黄スライム『ねえ、灰色ちゃんはどう思う?』モニョモニョ
灰スライム『ん……まあ、良いんじゃないの。みんなデロデロになれば……面倒なこと、減りそうだし……』モニョモニョ
黄スライム『んわわ〜!』キャッキャ
スライムクロシュ『ヴィアさんは……どう……?』モニョモニョ
ヴィア「……率直に申し上げれば……私も、同じ意見です。理想的な解の一つではないかと思います」
妖精「やっぱりスライムにとっては抵抗のあることじゃないんだなあ……種族の差を感じる……」
扉「」ガチャッ
フレア「みんなここにいたの!? ずるいよ、私たちだけ仲間外れなんて!」プンスコ
アイス「………クロシュ、さいてい……」ジト
スライムクロシュ「〜〜!?」モニャニャ!?
セイン「……すまない、仲間はずれにしたつもりはなかったんだが……」
黄スライム『ねえねえ、それならフレアちゃんとアイスちゃんも一緒に考えよ!』モニョモニョ
アイス「?」
フレア「何のお話?」
*
188 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 18:11:39.68 ID:wcKb1zkK0
フレア「デロデロ世界……! すごいこと考えるんだねえ、クロシュちゃん……!」
スライムクロシュ『んへへ……』モニョモニョ
灰スライム『……フレアとアイスから見て、どう……? 二人とも、一応スライムが混ざってはいるらしいけど……基本的には、人型だから……意見を聞いてみたい……』モニョモニョ
フレア「うーん……実を言うと、よくわからなくて想像がつかない……というのが正直なところかなあ……」
スライムクロシュ『そうなんだ……』モニョニョ
フレア「ごめんね! 私もみんなみたいにデロデロに溶けてスライムの姿になれれば、わかるようになるのかなあ?」
妖精「どうだろう……まあ、無理にわかるようになる必要もないと思うけど」
スライムクロシュ『アイスちゃんは……』モニョモニョ
アイス「……アイスは……やだ」
スライムクロシュ「!!」ガーン!!
アイス「……よくわかんないけど……ばかクロシュのおもいつきなら、きっと、まちがってる……」
スライムクロシュ「!!!」ガガーン!!!
フレア「あ、アイスちゃん!!」
セイン「アイス……誰が言ったかで物事の良し悪しを判断するのは良くない。クロシュが言ったかどうかではなく、言ったことの内容を考えて判断して欲しい」
アイス「…………」
スライムクロシュ「……」
アイス「……まあ……いいんじゃないの……。デロデロになっても……」
スライムクロシュ「!」パァァァ
アイス「……やっぱりうそ。デロデロなんて、だめ」
スライムクロシュ「!!」ガーン!!
妖精(カリスがいなくなってもアイスの態度は相変わらずなんだ……)
*
セイン「しかし僕の知る限りでは、デロデロ教は奇抜な団体ではあるもののその活動は穏当なものだったはずだ。なぜ急に方針転換を?」
スライムクロシュ『えっと……デロデロ教の、子が……この前の世界めくれで……消えちゃって……』モニョモニョ
セイン「……!」
スライムクロシュ『クロシュヴィアちゃんは……全部、自分のせいだって、思って……。もう、こんなことにならないように……デロデロ化を、急ごうとしてるみたい……』
フレア「そうなんだ……」
スライムクロシュ『……でも……デロデロは……デロデロ自身を、救えないかも……』モニョモニョ
黄スライム『え、どういうこと?』モニョニョ
スライムクロシュ『みんなが、デロデロになれば……それでみんな、救えるって……わたしも、思ってた……。でも……デロデロの中心になる、スライムの心は……たぶん……最期まで、現実にいなきゃ、いけない……』モニョモニョ
灰スライム『えっ……。じゃあ、デロデロは……世界中の命を救ったら……最期には、独りぼっちになっちゃう……?』モニョニョ
スライムクロシュ『うん……。クロシュヴィアちゃんは……それで、良いって……。自分が犠牲になって、みんなを救えれば、良いって……思ってる、みたい……』モニョモニョ
フレア「そんな……」
スライムクロシュ『だから……わたし、反対した……。でも……クロシュヴィアちゃん、聞いてくれなかった……』モニョモニョ
ヴィア「……」
スライムクロシュ『みんな……クロシュヴィアちゃんを、思いとどまらせる方法……何か、ない……?』モニョニョ
セイン「……」
↓1コンマ
01-05 デロデロをもう一つ作れば良いかも!
06-20 デロデロが自分で自分を救えれば良いかも?
21-80 殴って止めるしかない
81-95 根気強く説得を続けるしかない
96-00 ???
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 18:13:22.88 ID:ufSbvn6qo
さて
190 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 20:19:59.61 ID:wcKb1zkK0
セイン「……死者への想いが原動力になっているなら……言葉を尽くしても、届かないかもしれない」
スライムクロシュ「……」
セイン「それでも……昨日、クロシュヴィアがクロシュとの対話に応じたのなら……可能性はあるのかもしれない」
スライムクロシュ「……!」モニョ
フレア「……そうだよ! クロシュちゃんがクロシュヴィアさんのことを想う心は……きっと、クロシュヴィアさんに届いてるよ! だから、根気強く説得を続ければ……!」
灰スライム『カリスよりは、説得の余地があると思う』モニョモニョ
黄スライム『うん! わたしもそう思う!』モニョモニョ
スライムクロシュ「……!!」モニョニョ
妖精「まあそうだよね。決定的な方法なんてない。あとは、頑張って説得を続けるくらいしかないよ」
スライムクロシュ『うん……!』モニョニョ
ヴィア「……」
アイス「……おばさん……はんたいなの?」
ヴィア「え……あ、いえ……少し考え事をしていただけです」
アイス「ふうん……」
ヴィア「………あなたは……アイスさんは、どうお考えですか?」
アイス「べつに……きょうみない……」
☆クロシュヴィアに対して説得を続けようと思いました
◇
191 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 20:20:25.99 ID:wcKb1zkK0
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室
アリシラ「……」
クロシュ「アリシラさん」
アリシラ「クロシュちゃん? どうしたの」
クロシュ「………アリシラさんの、お父さんと、お母さんと……お話、する……?」
アリシラ「えっ、急になんで?」
クロシュ「……えっと……もう一度……ちゃんとお話、した方が……良いと、思って……」
アリシラ「ああ……そういえば喧嘩別れみたいになっちゃってたっけ。別に良いよ、特に話すこともないし」
クロシュ「……でも……アリシラさんのお父さんとお母さんは……お話、したいって……」
アリシラ「ええ〜……」
クロシュ「……」ジッ
アリシラ「……はあ、わかったよぉ。クロシュちゃんにはいっぱい助けてもらったしね……」
クロシュ「!」パァァァ
◇
―クロシュの夢
夢の診療所
アリシラ「……」
アリシラ父「……」
アリシラ母「……」
クロシュ「……」
↓1コンマ
01-05 決裂
06-00 収束
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 20:20:46.11 ID:Y7cUmTmC0
あ
193 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 21:29:00.76 ID:wcKb1zkK0
*
アリシラ「――…」ポロポロ
アリシラ父「――」ニコニコ
アリシラ母「――」ニコニコ
クロシュ(……お話……うまくまとまったみたい……。良かった……)
不死鳥の羽根「ふむ……。クロと少し似た状態みたいだけれど、特に処置は必要なさそうね」
クロシュ「!」
不死鳥の羽根「彼女の中の魔王は、既に死んでいる。以前と性格が変わったように見えるのは、極度のストレスと魔王の残滓が与えた力の影響。平静な環境で暮らしていれば良くなると思うわ。まあ……完全には元に戻らないかもしれないけれど」
クロシュ「そうなの?」
不死鳥の羽根「でも、性格の変化なんて普通に生きていても起こり得ることよ。悲観することもないわ」
クロシュ「そうなんだ」
魔族の医者「しかし君たちとここで話せるのもあと僅かな間か。少々名残惜しくもあるな」
不死鳥の羽根「クロシュと一緒に暮らしていれば、いつでも機会はあるんじゃないかしら?」
クロシュ「うん……!」
☆アリシラが両親と仲直りしました
◆
194 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 21:29:29.07 ID:wcKb1zkK0
―夜
王都セイントレア 地下食堂
ワイワイ キャッキャ
フラナ「今宵は私の奢りよ! 好きなだけ食べて飲みなさい!」
黄スライム『んわわ〜!』キャッキャ
レイ「お、奢り……!! タダごはん……!!」
クル「今のレイは毎日タダごはんでしょ」
妖精「王都にこんなレストランがあったなんて」
スライムヴィア「ここは、王都の地下に隠れ住む魔族たちの寄り合い食堂なのです。ここでなら私たちスライムも、人目を気にせず元の姿で食事を摂れるんですよ」
クロシュ「わあ……!」
スライムヴィア「食材は自分で用意する必要がありますが、今回は魔族国の方々がたくさん搬入してくださったようなので、フラナ様の言う通り好きなだけ飲み食いできそうです」
妖精「なるほど……災害支援のついでにここの魔族への支援もこっそりしたわけね」
↓1〜3 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
魚介:ウミザリガニ、イクラマス、オオキイサザエ、スカイマグロ
野菜:セイントレア草、キャベツ、長寿トマト、マジカルトリュフ
穀物:ウルティ米、パスタ麺、パン、ヤマイモ、オオキイ豆、甘もろこし
果実:森林木苺、コガネリンゴ、シャイニングマスカット、常闇木苺
卵乳:トリの卵、オイシイミルク、クリームチーズ、北国バター
特殊:スライムゼラチン、フェアリーシロップ、ブラッドワイン、精霊樹のジャム、上白糖、香辛料
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 21:31:08.89 ID:icu77vFQO
ヤマイモ
クリームチーズ
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 21:31:52.35 ID:3x0vDkAKO
ブラッドワイン、スカイマグロ
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/27(日) 21:32:16.88 ID:Ujdt05uz0
シャイニングマスカット
精霊樹のジャム
198 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 22:43:49.09 ID:wcKb1zkK0
マッシュヤマイモとクリームチーズのパルフェ「」ポン!
スカイマグロのレアロースト「」ポン!
精霊マスカットブラッドワインソース「」ポン!
ローガン「おお……! 中央に鎮座するは、多層に仕立てられたマッシュヤマイモとクリームチーズのパルフェ……!! そしてその周囲には、ファン状に配置されたスカイマグロのレアローストか……!! 上からかけられている透き通った赤いソースは――精霊樹のジャムとシャイニングマスカットとブラッドワインを煮詰めて風味を濃縮したソース!!」
クロシュ「れあろーすと……はんぶんナマの、ロースト……!!」
妖精「これはまた豪勢に仕上げたなあ。見てるだけでお腹いっぱいになっちゃいそうだ」
エバンス「フッフッフ、実際に味わってからお腹いっぱいになってくれ」
アイス「……」ヒョイ パクッ モグモグ
クレア「あ、こら。いただきますをちゃんと言わなきゃだめですよ」
アイス「む……いひゃひゃひまふ」モグモグ
クレア「ちゃんと飲み込んでから!」
*
ワイワイ キャッキャ モグモグ
スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグモグ
黄スライム「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグ
灰スライム「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ
スライムヴィア「〜〜…♪」モニョモニョ モグモグ
フメイ「……♪」モグモグ
フレア「♪♪」モグモグ
セイン「……」モグモグ
アイス「……」モグモグモグモグ
ローガン「香ばしく焼き上がった表面と、しっとりとレアに仕上げられた内側……これこそまさに、スカイマグロの作り出す新世界!!」
クレア「パルフェも美味しいです。滑らかで厚みのあるマッシュヤマイモに、コクと酸味のあるクリームチーズがものすごく合っています。フルーツワインソースの甘みが、それをさらに引き立てて……」
レイ「おいひい〜〜〜〜!!」モグモグ
ミラ「本当に美味しいや。たまにはパスタ以外も良いね」モグモグ
ミスティ「美味しい以外の感想は浮かばないわ……」モグモグ
☆ブラッドワイン、精霊樹のジャムを使い切りました
☆明日の終わりまで、戦闘時にコンマ+30が加算されます
*
199 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/27(日) 22:57:55.24 ID:wcKb1zkK0
フラナ「……さて、と。あなたがイリスの母君で間違いないのね?」トスッ
ティナ「はい。お初にお目にかかります、魔族国元首フラナ・バイオレット殿」
フラナ「そう固くしないで。今ここにいるのは、ただの吸血鬼フラナ・バイオレットよ」
ティナ「そうか。ではそのようにさせていただこう」
フラナ「ええ。イリスには世話になっているから、お礼を言わせて」
ティナ「こちらもイリスから聞き及んでいる。何度もイリスの助けになってくれたそうで――」
トスンッ
フレメア「へえ、あんたがあのお節介なイリス・プラネットの親なんだ」
ティナ「貴女は……」
フラナ「……ごめんなさい。こいつは姉のフレメア・バイオレットなんだけど、まだちょっと躾が必要なの」
フレメア「ああん? 躾が必要なのはおま――」
ビシッ!
フリューゲル「はいそこまで。あなたたちは誇り高きバイオレットの血を引く者なのだから、こんなところで喧嘩しないの」
フラナ「うっ……申し訳ありません、母上」
フレメア「む〜……わかったよ」
フリューゲル「ごめんなさいね、ティナ・プラネットさん。私はフリューゲル・バイオレット……聞いたことがあるかもしれませんが、今はただの吸血鬼なので……普通に接してくださると嬉しいですわ」
ティナ「あ、ああ……。こちらこそ、よろしく――」
イリス「……ええと、これはどういう状況なんですか?」ヒョコッ
ティナ「イリス。まあ、その……バイオレット家の皆さんと、お互いに自己紹介をしてたところだ」
◇
200 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:03:00.43 ID:G5sg+pmK0
―夜
王都セイントレア 中央広場
噴水「」シャワシャワ
クロシュ「……」
妖精「いつの間にか食堂にいないと思ったら、こんなとこに一人でいたの? 危ないよ」パタパタ
クロシュ「あ、妖精さん」
妖精「夜風に当たりたかったの?」
クロシュ「……うん。それと……いろんなこと、考えてた……」
妖精「いろんなことか……。まあ、考えるべきことはまだまだたくさんあるよね」
クロシュ「うん……」
妖精「……でも、世界樹の光を集めるっていう一番大きな仕事は片付いたんだ。少しくらい、気を緩めても良いと思う」
クロシュ「うん……」
噴水「」シャワシャワ
◇
―地下食堂
ワイワイ キャッキャ
妖精「思えば遠くまで来たものだよね。初めは、あの燃える集落でなんにもできずに立ち尽くしてたあかちゃんスライムがさ……」
クロシュ「……妖精さんが……いてくれたから……良かった……」
妖精「なあにそれ。私は大したことしてないでしょ」
クロシュ「んーん……。妖精さんが、いなかったら……わたし、きっと……あそこから、ずっと、動けなかった……」
妖精「イリスが駆けつけたお陰でしょ」
イリス「あの時の話? あの時は火の手が見えたから、急いで向かったんだ。そしたらクロシュちゃんたちがいて、泡の魔法で包んで助けたんだけど……今思えば、いろいろ早とちりしすぎだったよね。反省……!」
クロシュ「んーん……ありがと……。妖精さんも、イリスさんも……ミスティさんも……!」
ミスティ「え、いや……あの時の私は、面倒事に関わりたくなくて距離を置いてたし……別に感謝は不要よ……」
妖精「でもミスティのお陰で馬車より速いソリに乗れたから、ものすごく助かったよね。なんだかんだ言いながら王国騎士との戦いにも参戦してくれたし」
ミスティ「いや、まあ……あそこで見捨てるのはあまりにも寝覚めが悪そうだったし……。でもその判断で、まさかこんな大きな旅路に巻き込まれるなんて思いもしなかったわね。ふふ……あなたを助けて良かったわ、クロシュ」
クロシュ「んへへ……」
イリス「それは私も同感! あの時クロシュちゃんを助けたことが、ここまで大きな旅に繋がるなんて全然予想できなかった。結果的にものすごく良い旅になったから、本当に良かったよ」
クロシュ「うん……!」
妖精「本当に奇跡みたいだよ。あんな時にすごくお人好しな奴らが通りかかって、クロシュを助けてくれて、その流れが今こうして世界を救うことに繋がったんだもの」
イリス「すごく壮大だ……!」
ミスティ「ふふ……私たち、もしかして英雄ってやつなんじゃないかしら?」
妖精「ダークヒーローなのは間違いない」
*
201 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:32:52.20 ID:G5sg+pmK0
妖精「魔族国では、ローガンと出会ったんだよね」
ローガン「うむ。悪漢に因縁を付けられてる君たちを助けた覚えがある」
イリス「その後、クロシュちゃんがローガンさんに一緒に来て欲しいって言ったんだよね」
クロシュ「んゅ……だって……」
妖精「実際、その判断は正しかった。ローガンは頭ぼさぼさでヒゲも整えてないおじさんだったけど、義理堅くて頼りになる騎士だったんだもの」
ミスティ「見る目があったということね、クロシュは」
クロシュ「んへへ……」
妖精「それでなんやかんやあってフラナのとこに行ったら、革命に勧誘されちゃったんだよね」
フラナ「あら、あの時の話? 懐かしいわね。正直に言うと勧誘に乗ってくるとはあまり思っていなかったわ。ローガンとミスティの二人は反対していたし、その反対理由ももっともだったから」
ミスティ「そうね……正直に言うと、あの当時私はあなたを信用していなかった。最悪捨て駒扱いされるんじゃないかとも思っていたから、革命軍に参加なんてするつもりは全くなかったわ」
クロシュ「でも、わたし……王国の、やってること……許せなかった……」
イリス「うん……私も……。絶対に許せないって思ったの」
ローガン「フッ……。結局は私も、君たちのようなうら若い乙女を守って死ねるならそれも悪くない……と考えを改めたのだったな」
ミスティ「はあ……今思えば、私って最初からずっとお人好しだったのね……。結局イリスたちを放っておけなくて、革命軍入りしちゃうんだもの」
フラナ「………今だから白状するけれど、当時は実際丁度良い手駒が手に入ったとしか思わなかったわ」
イリス「ええっ!?」
ミスティ「ええ……」
ローガン「うむ……そんなような気はしていた」
フラナ「でも、その後あなたたちと話をしたり訓練に付き合ってあげたりする内に考えを改めた。当時は自分でも知らなかったのだけれど、私って情に絆されやすい性格だったみたい」
イリス「よ、良かったです。フラナ先生が情にほだされやすい性格で」
妖精「でもイリスの師匠ってフラナの友人だったんでしょ?」
フラナ「ええ。でもそれは守ってやる理由にはならない、と当時は思っていたわ。あの頃は私ピリピリしていたのよ」
妖精「革命の時は大変だったよね。私とクロシュは擬態を駆使して住民とかを騙したり、魔族に襲われる聖女をなんとか助けたり、暴走する魔族たちの姿を聖女に見せつけてやったり……」
聖女「あっ、あの時のことですか!」ヒョコッ
クロシュ「……妖精さん、ちょっとひどかったと思う……」
妖精「いやまあ……でも理想論を吐き続けるつもりなら、あれくらいは知っておいて欲しかったっていうのもあるんだよ。ここ最近は随分ましになってきたけど、昔はあんなようなのはしょっちゅう起きてたんだ。たぶん、今でも世界のどこかでああいう惨劇は起きてる」
クロシュ「……うん」
聖女「……そうですね」
妖精「あの時は、どうせ現実を知って潰れるなら早い方が良いって思ったんだ。でも聖女は潰れなかった。それどころか奮起して、今は魔族と人間の対立をなんとかしようとがんばってる。私が思っていたより、ずっと立派だったよ」
クロシュ「んへへ……聖女さんは、立派……!」
聖女「………ありがとうございます。クロシュさんと妖精さんが思うような、立派な私に……本当になれたら、良いのですけど……」
202 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:33:20.26 ID:G5sg+pmK0
イリス「革命の戦いは大変だったよね。王国の隊長格がものすごく強くて」
ミスティ「ええ……苦戦を強いられたわ……」
イリス「フラナ先生が駆けつけてくれた時は一気に戦況が覆って、凄かったよね……」
ローガン「うむ……当時はその恐ろしき戦闘能力に、味方でありながら身震いしたものだ」
フラナ「何言ってるの、今のあなたたちはもう私と遜色ないわよ?」
イリス「え、そうなんですか?」
ミスティ「自分では全くわからないわね……」
フラナ「でもあの時は本当に頭に来たわ……。死んだと思っていた勇者が現れて、一気に戦線を破壊してくれたんだもの」
セイン「僕のことか?」ヒョコッ
フラナ「そうよ! 今はまあ……あなたが勇者本人ではないこともわかっているし、あなたが命令に逆らえなかった事情も知っているから、とやかく言うつもりはないけれど」
セイン「そうしてくれると助かる」
妖精「私とクロシュが前線に到着したのも大体その頃だよね」
クロシュ「うん。セインちゃんに……光の魔法を、撃たれそうになった……」
セイン「………あの時、もしフメイとアリシラが現れなかったら、僕はこの手でクロシュを……大事な同胞を殺してしまうところだった。本当に血の気が引く思いだ……」
フメイ「……セインが仲間だったなんて……あの時は、全然気付かなかった」ヒョコッ
アリシラ「ふっふっふ、私の吸収魔法のお陰だね」ヒョコッ
セイン「感謝している。結果的に今僕たちがこうして自由になれたのは、お前たちのお陰でもある」
妖精「あの時セインは撤退する間際に、捕虜になったマリー・セイントレアを投げナイフで即死させていったんだよね」
セイン「……言い訳になるが、グランドマスター卿にそう命令されていた。マリー王女だけは必ず殺せ、と……」
ミスティ「グランドマスター……奴の命令だったのね……。本当に反吐が出る男だわ……」
イリス「でも、フラナ先生が持たせてくれた反魂丹のお陰で事なきを得ました!」
フラナ「まさか私の反魂丹がそんな形で役に立つとは思っていなかったわ。それにイリスは捕虜の扱いにも口を出してくれて、そのお陰で戦後の諸々がかなり良い方へ向かったのよね」
クロシュ「ダークヒーローイリス……!」
イリス「あはは……そういえばダークヒーローの起源はそこだったね。でもダークヒーローの名声は役に立つことがけっこうあったし、こっちもいろいろ助けられちゃったかも!」
*
203 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:34:10.08 ID:G5sg+pmK0
本日はここまで。思い出話編が長くなりそうな気配があります。よろしくお願いします
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/28(月) 12:13:56.82 ID:5xMXHu7wo
おつ
振り返りたい思い出が多いからね…
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/28(月) 17:26:24.06 ID:8I1KL2oJo
おつです
遠くまできたなぁ、本当に
ミスティさんが爆速で面倒見が良いお姉さんになったの本当に好き
206 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/02(土) 18:08:11.97 ID:lQG6AsY80
またしても体調不良に陥ったため、本日は更新できません
恐らく明日は更新できると思います。よろしくお願いします
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/02(土) 19:32:06.56 ID:ZhdJRNfJo
おお…お大事に
208 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:24:52.69 ID:cP7ASuvh0
クロシュたちはとても長い道のりを歩いてきたため、振り返りたい思い出も多いようです。とても長くなるかと思いますが、お付き合いいただければ幸いです
ミスティ氏は初めこそクールなお姉さんという感じでしたが、実のところものすごいお人好しだったようです。多くの人と一緒に旅をするという状況が、ミスティ氏の本性を剥き出させたのかもしれません
ご心配をおかけいたします。実のところ今日もあまり改善しなかったため、あまり更新できそうにありません。申し訳ありませんが、ご容赦ください
209 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:25:18.66 ID:cP7ASuvh0
妖精「フメイの行方を追って次に向かったのは、私の故郷でもある緑の国フォレスティナだった」
クロシュ「うん」
ローガン「ミスティくんがギルドでおうちの木の依頼を受けたのが印象に残っているな」
ミスティ「ええ。どうしても見て見ぬふりはできなかったの」
妖精「ミスティって初めはクールでドライな一人旅の女って感じだったけど、全然そんなことなかったよね」
イリス「ね! ホットでパッションな武闘派のダークヒーローだった!」
ミスティ「何よそれ……。まあ別にいいけど……あの子は元気にしているかしら……」
イリス「ふふ、きっと元気だよ! またミスティと会いたがってるんじゃないかな?」
精霊樹のジャムの空き瓶「」カラン
クロシュ「ジャム……おいしかった……!」
ミスティ「ええ。たっぷり入っていたから旅の終わりまで持ったわ。空き瓶を返しにいかないとね」
妖精「あの時は首長選挙に飛び入り参加することになって、本当参ったよ……」
イリス「でも妖精さんもけっこうノリノリだったよね」
妖精「ええ、そうかなあ……」
ローガン「しかし妖精くんが緑の国を興した太母と知った時は驚いたな」
妖精「あんまり知られたくなかったんだけどねえ。ティセリアとマーベルの対立がまあまあ面倒なことになってそうだったから、仕方なく……」
イリス「ティセリアさんたちはどうしてるかな?」
妖精「世界樹の光が全て元通りになったことはもう伝わってるはずだから、きっとお祭りの準備でもしてるんじゃない? マーベルは緑の国にいないかもだけど」
イリス「首長選では無事に妖精さんが返り咲けたんだけど……その後すぐ、世界樹の光が飛び散る大事件が起きちゃったんだよね」
妖精「そうそう、ドサクサに紛れてセインと僧侶がね」
アリシラ「私たちもだよ!」
フメイ「結局奪えなかった。まあ……それで良かったと思う」
妖精「本当だよ。しかしあの頃の僧侶は――」
ミスティ「酷かったわね……」
聖女「酷かったんですか……」
イリス「擁護の余地が一片もないくらいには酷かったね……。対照的に、セインくんはあの頃からけっこう友好的だった気がする」
セイン「……そうか? あの頃は僕もかなり冷淡な態度を取っていたと思うが……」
クロシュ「んーん……セインちゃん、お茶、出してくれた……!」
ローガン「うむ。話が通じる相手だとわかって嬉しかったぞ」
セイン「そうか……」
*
210 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:25:45.74 ID:cP7ASuvh0
ローガン「そして世界樹の光を求めて我々が次に向かったのは、セイントレアの玄関口――港湾都市ウォーターポート」
妖精「トコナツ火山島に落ちた光を回収するにはウォーターポートを経由するのが一番近道だったからね。でも……」
ミスティ「あの時はどこの船も欠航していて困ったわね……」
イリス「そうそう。海賊の正体を探すことから始めなきゃいけなかった。それで酒場で情報収集をしていたら――」
クロシュ「エバンスさんが……泣いてた……!」
エバンス「いやあ、ははは……あの時は自分の無力さや情けなさでな……」
クロシュ「でも……そのおかげで、気付けた……!」
エバンス「結果オーライだったってわけだ! はは、でも集落のみんなも助かりそうだし本当に良かったよ」
クロシュ「うん……!」
イリス「海賊の情報を集める為に、隣にある機会都市テンペスターにも足を運んだりしたんだよね」
ミスティ「あそこの工業製品には驚かされたわ。中身を知ったら、最悪だったけれど……」
妖精「本当に最悪だったよ……。海賊の正体も精核が使われた機械人形だったし」
クロシュ「メイちゃん……今は、わたしといっしょ……」
星霊の剣「」ポン
セイン「妙に工業的な形状だと思っていたが、元はテンペスターの機械人形の装備だったのか」
クロシュ「うん……」
妖精「クロシュの中でしあわせにやれてるなら、まあ良かったかな……?」
ミスティ「そういえばあの時、イリスが詐欺に合ったのよね」
イリス「うっ……」
クロシュ「クーちゃん!」
エバンス「はは、あいつもなかなかの曲者だったな。しかもトコナツ島に向かう途中の幽霊船に捕まってたりして」
ミスティ「クーちゃん、元気にしているかしら」
妖精「簡単には死ななそうだし大丈夫でしょ、たぶん」
ミスティ「それもそうね」
セイン「幽霊船か、懐かしいな」
イリス「そういえばあの時は漂流してたセインくんを見つけたんだった!」
セイン「あの幽霊船を乗っ取っていたのは――当時指名手配犯だったレイ」
レイ「もぐもぐもぐ……えっ!? わ、私っ……!?」
ミラ「え、レイ幽霊船なんて乗っ取ってたの?」
レイ「ち、ちが……! あれはその、不可抗力でぇ……!」
イリス「ま、まあ……。レイさんも自力で制御ができなかったみたいだしね……」
レイ「そ、そうだそうだ! それなのにあの時は、よってたかって私を殺そうとしてくれてェ……!!」プンスコ
エバンス「悪かった」ペコ
ローガン「すまぬ」ペコ
ミスティ「ごめんなさい」ペコ
妖精「ごめん」ペコ
セイン「すまない」ペコ
イリス「ご、ごめんなさい」ペコ
クロシュ「ごめんなさい……」ペコ
レイ「クロシュちゃんとイリスさんはかばってくれたからいいの!!!!」
*
211 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:26:12.76 ID:cP7ASuvh0
イリス「トコナツ火山島は暑かったねえ〜」
ミスティ「ええ……。まさしく南の国って感じのところだったわ……」
ローガン「火山活動も落ち着いた今は、観光地としての姿を取り戻しているだろう」
エバンス「あの時は観光する余裕もあんまなかったよな。次に行く時はゆっくり観光したいもんだ」
イリス「またあそこに泊まりたいですね、トコナツシーサイドホテル!」
クロシュ「うん……! カレー、おいしかった……!」
ミスティ「名前を聞いた時は豪華な高級宿かと思ったけれど、実際は庶民的な宿屋だったわね」
ローガン「うむ……あの宿でクーちゃんが更生に勤しんでいたのが印象的だったな」
エバンス「失礼な話だが、実際に更生するとは思わなかった」
妖精「本人が聞いたら『本当に失礼ね!』って怒りそう……」
クロシュ「レッドちゃん……元気かな……?」
フメイ「レッド……あの、溶岩のスライム……?」
クロシュ「うん……。バーニングスライム……最期の生き残り……なんだって……」
フメイ「え、そうなんだ……」
クロシュ「でも……モーリィさんや、溶岩エイさんが、いるから……寂しく、ないって……!」
妖精「モーリィや溶岩エイならバーニングスライムの熱もどうってことないだろうからねえ」
フメイ「そうなんだ……。それなら良かった」
クロシュ「うん……!」
妖精「でもトコナツでは世界樹の光をフメイたちに横取りされちゃってねえ」
アリシラ「それは仕方ないよ。だってみんな、あの時はひっくり返ってたんだもん」
フメイ「うん」
クロシュ「んゅ……」
イリス「でもそこで横取りされたお陰で世界めくれの修復に使えたとも思うと、結果的に良かったかも?」
妖精「まあ、それはそうだけど……」
アリシラ「良かった良かった。私とフメイちゃんに感謝してね?」
*
212 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:26:39.31 ID:cP7ASuvh0
申し訳ありません、体調がまだ悪く集中できないため、本日はここまでとさせていただきます
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/03(日) 18:08:17.78 ID:N1/VvEM3o
おつ
ごゆっくりお休みください
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/04(月) 01:10:17.98 ID:za+0v1Iqo
ご自愛ください
アリシラさんほこのふてぇ性格の方がエンジョイできて楽しそうだ
215 :
◆eAA16RTlRw2e
[sage saga]:2025/08/09(土) 19:55:58.50 ID:iW8Zn90R0
>>213
ありがとうございます。ゆっくり休まさせていただきます
皆さんも熱中症や脱水症状や夏風邪などにご注意くださいませ
>>214
ありがとうございます。しばらくは自分を大事にしたいと思います
アリシラさんの両親も、今の図太い性格の方が長生きできそうで良いと思っているかもしれません
そして申し訳ありません、しばらく本編の更新はできそうにありません。ここ数年で最も体調が悪いようです
代わりというわけではありませんが、復調するまでの間、不定期に登場人物のポン絵などを投下したいと思います。よろしくおねがいします
ひとまず今回は、冒険者ギルドで指名手配中の特級危険生物です。次からは投下人の方にAIさんに描かせて良いよーという宣言を頂いた人物も考えていきたいと思います
また、二次創作スレの方も面白いお話になっており、面白いお話になっているようです。応援しております
https://i.imgur.com/EX3Ba8K.png
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/09(土) 20:34:06.70 ID:P8GrMe0+O
週末の楽しみが……ご自愛ください
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/09(土) 21:11:36.11 ID:/bpnqmVyo
お疲れ様です
無事に復調して再開される時をお待ちしております
それと私が投下し採用されたベルトーネちゃんと明石家の二人や抽選漏れしたヴァレリオ等もご自由にお扱いくださいませ
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/09(土) 23:31:44.86 ID:LoH7LaE2o
乙
お大事に
ミスティを投稿した者ですが画像化OKです
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/10(日) 00:10:00.63 ID:RYBLrr7/O
乙
ゆっくり休んでください
ブラッドちゃん特級危険生物なのにかわよい…人間を油断させるためか!
220 :
◆eAA16RTlRw2e
[sage saga]:2025/09/21(日) 21:22:55.97 ID:T4kDnkN50
最近ようやく少しましになってきたので、ひとまず前言通りイラストレーションの投下をしたいと思います
というわけで今回は邪悪なマッドサイエンティストのカリス・ノーランド氏、その忠実なる手下であったアイスちゃん、テロ組織シノホシの最年少狐アウル・フォクシーくんです
https://gzo.ai/i/6RDJsmf.png
https://gzo.ai/i/oQPzwkU.png
https://gzo.ai/i/Yez7ya8.png
また二次創作スレの方も盛り上がっており、元スレの
>>1
として嬉しく思いつつ、病床における楽しみの一つとなっております。今後も楽しみにさせていただきます
なお不調が治ったわけでは全然なくまだだいぶおかしい感じが続いているため、本編の更新の方はもうしばらくお待ちいただけると幸いに思います。よろしくお願いいたします
>>216
ありがとうございます
体調が戻り次第復帰しますので、もうしばらくお待ちいただけると幸いです。よろしくお願いいたします
>>217
ありがとうございます
ベルトーネ氏と明石家の方々に聖ヴァレリオさんについて了解いたしました。納得のいくイラストレーションができたら投下させていただきたいと思います
>>218
ありがとうございます
ミスティさんについて了解いたしました。実のところパーティメンバーで初の許可です。よろしくお願いいたします
>>219
ありがとうございます
ブラッド氏がどのような判断で人間幼女に擬態しているかは定かではありませんが、実際その容姿に騙されて騙し討たれる冒険者はいます。気を付けるのが良いでしょう
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/09/21(日) 21:53:09.01 ID:B3UW/Ie5o
気長に待ちます
焦る必要はないのでじっくり休んでください
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/09/22(月) 00:34:22.56 ID:MtVBcXWko
いつまでもお待ちしております
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/09/22(月) 08:46:55.27 ID:3v7BQXPSO
乙
どのキャラも解釈一致で良い
アイスちゃんかわいい
224 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/14(金) 23:48:52.53 ID:y635x5Xe0
お久しぶりにございます。明日の土日に更新したいと思います。よろしくお願いいたします
また、夏風邪と胃腸炎と肺炎とマダニにお気をつけください。肺炎やマダニ感染症で死ぬ人は多いそうです。
>>1
は命に別状ありませんでしたが、立て続けにかかる病気によって体力がすごく落ちました(しかもまだ完治したわけではないらしく、お医者さんによると厄介な病気が隠れている可能性があるそうです……)。
そういうわけで再開してもしばらくは更新頻度や更新量が減るかと思いますが、何卒ご容赦のほどよろしくお願いいたします
>>221
ありがとうございます。ゆっくり休まさせていただきました。今後も休むことが増えるかと思いますが、よろしくお願いいたします
>>222
ありがとうございます。お待たせいたしました。今後もお待たせすることが増えるかと思いますが、よろしくお願いいたします
>>223
それならばよかったと思います。余力のある時に他のキャラクターのイラストレートも行えたらと思います
アイスちゃんは憎まれ口ばかり叩く子ですが、内心ではいろいろぐるぐるしているようです。そしてクロシュ氏もなんとなくそのことに気付いているらしく、どれだけ嫌なことを言われてもめげずに優しく接しようとがんばっているようです
そしてこのイラストレーションは悪い吸血鬼のフレメア・バイオレット氏です。たくさんのものを壊したり命を奪ったりしたテロリストの彼女が今後どのような道を辿るのかは明らかになっていませんが、恐らく素直にお縄につくことはないだろう……と妖精は思っています
https://gzo.ai/i/z8mloY0.png
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 01:29:24.50 ID:U7vY1q0Io
お待ちしておりました!
完治とはいかずとも再開出来る位には快復されたようで何よりです
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 07:58:33.86 ID:j0LAgtTtO
お帰り
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 10:14:21.56 ID:x640BbRu0
復帰ずっと待ってました
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 11:47:32.00 ID:Gx96aKN6o
うおおお!!
良かった〜
めっちゃ大変だったようで…ご無事でなにより
229 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:30:29.24 ID:kEnwhWuq0
ありがとうございます。お待たせいたしました
再開の前に、これまでに振り返った国々のイメージ画を貼っておこうかと思います。参考になりましたらさいわいです
魔族国
https://gzo.ai/i/VnL4PfI.jpg
世界樹と緑の国
https://gzo.ai/i/wDTDiDO.png
緑の国でよく見られるおうち
https://gzo.ai/i/KEMwF3d.png
賑わう港湾都市
https://gzo.ai/i/NcjILaW.jpg
煙る機械都市
https://gzo.ai/i/TCVkA1l.jpg
常夏のトコナツ島
https://gzo.ai/i/vsfHLZe.jpg
というわけで再開します
230 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:33:31.78 ID:kEnwhWuq0
芸術都市の印象
https://gzo.ai/i/X5pAdTL.jpg
妖精「その次は世界樹の光を追ってテラヌス・ウルスを目指したわけだけど、その途中で芸術都市ミュージアに立ち寄ったんだよね」
クロシュ「芸術妖精さんと……レーティアさんと……画家のおじいさんに……ぱわーのこと、教えてもらった……!」
ミスティ「クロシュの才能が開花して……あのデロデロの絵が生まれたのよね」
イリス「初めて見た時はびっくりしたよ……! いや、今でもあの絵を見るとびっくりするというか……」
聖女「あっ、それってもしかしてクロシュさんが芸術祭のお絵かき演舞で描いたというデロデロの絵のことですか?」
妖精「そうそれ。聖女も知ってるの?」
聖女「少し前までミュージアに滞在していまして、そこで拝見致しました。芸術のことには疎いのですが、すごくスライム的な……かわいらしい絵だと思った記憶があります」
クロシュ「!」パァァァ!
イリス「あ、あれがかわいらしい……!?」
ミスティ「……そういう見方もあるかもしれないわ」
聖女「……あれ? へ、変でしょうか……?」
妖精「まあ……感性は人それぞれだし、特に変ではないと思う。うん」
セイン「あの絵か。かわいい……と言えるかはわからないが、美しい絵だったと思える」
クロシュ「!」パァァァ!
妖精「やっぱりスライム的にはあれって良い絵なの?」
セイン「僕個人の意見としては良い絵だ。しかし僕は普通のスライムとは異なるから、僕の意見をスライム一般の感想とするのは不適切だと思う」
聖女「でもあの絵を偶像としたデロデロ教では、スライム類の方の割合が他の種族よりも多かったような気がします。恐らくスライムの方にとっては、あの絵やあの絵に込められたぱわーを良い≠ニ感じやすいのではないでしょうか」
妖精「きっとそうなんだね。クロシュヴィアもあの絵を大事にしてたし」
妖精「そういえばあの頃エバンスとローガンは武者修行に明け暮れてたよね」
エバンス「ああ。ちょっとあの時は実力不足に悩んでてな……いや今も悩んでるが」
ローガン「うむ……。芸術都市は強者揃いだった」
エバンス「おう。あそこに住んでる奴らには結局一勝もできなかったぜ」
イリス「えっ、ローガンさんとエバンスさんが一勝もできない人たちがいたんですか……!?」
エバンス「ああ。剣舞の姉妹に、人形遣いパペットマスター……」
イリス「ああ……」
エバンス「あの時は迷惑かけたな。俺もまだまだ若造だからさ」
ティナ「何があったのか聞かせてもらっても?」ヌッ
*
ティナ「なるほど……依頼人でもない現地の少女と仲良くなって感情移入しすぎた、と」
エバンス「うっ、まあその通りか……? でも俺は後悔してないぞ」
ローガン「うむ。そこで男気を見せるのがエバンスくんの良さであると、ここまで共に旅をしてきた私が言わせていただこう」
ティナ「ふっ……傭兵としてはともかく、良い男になったな。エバンス」
エバンス「いやいや、結局はその子よりも旅の目的を優先したんだ。こんなのが良い男だなんて言えるか」
踊り子の双剣「」ポン
クロシュ「これ……返しに、いく……?」
エバンス「ああ。いや、それはクロシュちゃんが預かったものだからな。返しにいくタイミングはクロシュちゃんの判断に任せるよ」
クロシュ「ん!」
*
231 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:37:58.18 ID:kEnwhWuq0
テラヌス・ウルス
https://gzo.ai/i/t0TLAph.jpg
イリス「芸術都市から砂漠を越えて、テラヌス・ウルスに向かったんだよね」
エバンス「テラヌス・ウルスでは干ばつやら魔族排斥やらの問題が起こってて大変だったな」
妖精「世界樹の光が落ちる前からいろいろ難しいことになってたみたいなんだよね。まあ蓋を開けてみたら、はた迷惑な巨大スライムが地下水を独占してたのが原因だったわけなんだけど」
クロシュ「んへへ……おおきいスライムちゃん、おおきかった……!」
妖精「時々ああいう異様に巨大化したスライムが出てくるんだよね。単純な生命力とか魔力量ならクロシュヴィアみたいな伝説級のスライムにも引けを取らないんじゃないかな、あれ」
ミスティ「えっ、あれってそんなにすごいスライムだったの……!?」
妖精「うん。スライムらしい温厚な性格だったのが幸いだった」
クロシュ「砂漠スライムさんの長老さんにも……助けてもらった……!」
妖精「え、長老……? そんなのいたっけ?」
クロシュ「なのぢゃ!」モニョッ!
妖精「あ、ああ……あの変わった口調の砂漠スライム……あれ長老だったんだ……」
フメイ「ふうん……テラヌス・ウルスでそんなことがあったんだ……」
アリシラ「私とフメイちゃんはずーっと延々砂漠を彷徨ってたからねえ……」
イリス「ええっ……!? まさか、あの巨大墳墓で私たちと出会うまでずっと……!?」
アリシラ「そうだよ? あはは……あの時は実のところだいぶゲッソリしててねえ……。世界樹の光も妖精さんに横取りされちゃうしさぁ……」
妖精「先に横取りしたのはそっちだからね!」
フメイ「……でも……あの時、一緒にいれて良かった。あのテロリスト……強かったから」
クロシュ「!」
エバンス「シノホシの親玉、ザイルか!」
ミスティ「ミイラの王を倒したら急に襲撃して来たのよね」
クロシュ「うん……フメイちゃんが、一緒で……良かった……!」
フメイ「うん。フメイも……」
*
232 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:39:46.04 ID:kEnwhWuq0
国際商業都市イスファハーン
https://gzo.ai/i/JiM4dYr.jpg
妖精「その次は国際商業都市イスファハーン……大魔女帝国行きのチケットを求めて向かったんだった」
エバンス「あれは凄い街だったな!」
ミスティ「あの街の高層建築には本当に驚いたわね……世界中の富が集積する街というのも頷けるわ」
イリス「でもあの時はいろいろあって観光どころじゃなかったんだよね」
クロシュ「……」モニョニョ…
妖精「まあ……結果的には、あの時のクロシュの勇気が世界を救ったとも言える。だから胸を張りなよ、クロシュ」
クロシュ「!」モニョッ
セイン「世界を救った……? 一体イスファハーンで何があったんだ?」
*
妖精「――という感じで、あと一歩のところでデンネル家の電子妖精ブレアに世界を支配されそうになったの」
アリシラ「へえ〜……そんなことがあったんだ」
クロシュ「うん……。銀色のスライムちゃんと……シュヴィアさん……元気かな……?」
妖精「銀色のスライムなら緑の国で平和に暮らしてるみたいだよ。ステラスライムの特性を活かして世界樹や星脈の様子を細かく観測できるみたいで、ティセリアが重宝してるって」
クロシュ「わあ……!」
妖精「シュヴィアのやつは……まあ元気でしょ、きっと。オリハルスライムだし」
クロシュ「うん!」
フメイ「ねえ、アリシラ……デンネル家とかいう奴ら、今から焼き滅ぼしに行かない?」
アリシラ「いいね。私たちのクロシュちゃんに酷いことをした落とし前を付けさせに行こう」
妖精「うわっ!? その件は一応片付いてるんだから、変に掘り起こさないでよ!?」
アリシラ「あはは、冗談だよぉ。ね、フメイちゃん?」
フメイ「冗談じゃないけど」チリチリ…
妖精(あ、やばい……フメイのやつ、目が本気だ……)
クロシュ「フメイちゃん……えっと、おとしまえ……もう、付けてある……」
フメイ「クロシュ」
クロシュ「だから……だいじょうぶ……!」
フメイ「まあ……クロシュがそう言うなら……」シュウン―
クロシュ「んへへ……」
妖精(フメイの前でクロシュが酷い目に合った系の話をするのは危険かも……)
アリシラ(そうだねえ……)
イリス「それでもなんやかんやあって大魔女帝国行きのチケットは手に入ったんですよね」
ローガン「うむ。大使館での面接も通過し、無事に大魔女帝国入りとなったわけだな」
ミスティ「……クーちゃんは残念だったわね」
エバンス「あの面接で落ちるって逆に凄いと思うぞ……」
*
233 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:42:47.36 ID:kEnwhWuq0
空中楽園都市
https://gzo.ai/i/PJ62CzC.png
イリス「大魔女帝国も……凄い国でしたね」
妖精「いろんな意味で凄い国だった」
ミスティ「大魔女帝国は……いろいろと印象深い思い出が多いわね」
イリス「やっぱり魔法使いとしてはね。魔法学園で講義を受けたり、学園生と交流したり……」
ミスティ「ええ。臨時講師……の真似事のようなことをしたり、ユキという天才に出会ったり……とても良い経験になった」
イリス「ユキちゃんはすごかったねえ」
妖精「まあ雪女だからね、あの子は。氷属性適性については逆立ちしたって人の身じゃ追いつけない」
ミスティ「ええ……でも種族差だとしてもちょっと悔しいのよね……」
アイス「こおりぞくせい……? アイスのほうがつよい。たぶん」モグモグ
フレア「あ、アイスちゃん……!」アタフタ
セイン「すまない、ミスティ。アイスはまだ幼いんだ、聞き流してやってくれ」
アイス「むむう……」
ミスティ「大丈夫よ。ユキもアイスも私の目標であることに変わりないもの」
アイス「……もくひょう……?」
ミスティ「ええ。まだちゃんと話したことはなかったけれど……これからよろしくね、アイス」
アイス「……? よろしく……」
妖精「ユキといえば、トムとトリルもよく一緒につるんでたねえ」
ローガン「トムくんとは一緒に訓練をしたな。筋が良かったぞ」
エバンス「魔法学園っていうから魔法使いばかりだと思ってたから意外だったな」
クローディア「護身術程度には格闘や杖術の科目もあるけれど、彼が戦士を志しているのは魔法学園と特に関係がないわ」ヌッ
エバンス「うおわっ!?」
妖精「クローディア!? いつからここに!?」
クローディア「さっきね。一応招待はされていたのだけれど、野暮用があったものだから」
ローガン「なるほど……丁度今、大魔女帝国での思い出話をしていたところですぞ」
クローディア「へえ、そうなの? 私も聞いて良いかしら?」
妖精「まあ別に良いけど……」
クロシュ「トリルちゃんと……一緒にお絵かき、した……!」
妖精「トリルも絵が上手だったんだよね。確かあの時は図書館のアトリエだったっけ?」
クロシュ「うん……! それと……美術館で……大魔女さまアート、描いた……!」
妖精「え、そんなこともあったの?」
クロシュ「うん……!」
クローディア「ふふ、クロシュが描いた大魔女アートはしっかり見させてもらったわ。素敵な絵を描いてくれたわね」
ナデナデ
クロシュ「んへへ……」モニョモニョ
クローディア「クロもトリルもあなたのことが大好きだから、いつでも遊びに来なさいね」
クロシュ「ん……!」
*
234 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:46:10.75 ID:kEnwhWuq0
浮島国
https://gzo.ai/i/3pQB7pZ.png
妖精「クロシュが気球になって空を渡れるようになったから、私たちはついに大陸西部の上空に浮かぶ雲塊に突入できるようになったんだ」
クローディア「……そういえば、あの時はクロシュの飛行能力なら大丈夫って言ったわよね、私。実際、大丈夫だったかしら……?」
クロシュ「……えっと……びりびりだまに、やられた……」
クローディア「……」
ミスティ「びりびりだまっていうのは雷霆の魔王の眷属のことよ」
ローガン「あの時は……全滅の危機だったな……」
クローディア「……」
エバンス「まあなんとかギリギリ雲塊内の浮島には不時着できたんだけどな」
イリス「……大魔女様、もしかして雷霆の魔王のこと……ご存知だったんですか?」
クローディア「いや、その……封印のことは知っていたのだけれど、あと2000年は持つ見込みだったはずなのよ……。だからあなたたちを行かせても大丈夫だと思って……」
妖精「浮島国で出会った宮廷エルフのジェミニもそんなようなことを言ってた気がする。でもそれは世界樹の光の影響がなかった場合の試算で……」
クローディア「……ごめんなさい! あなたたちを死地に送り出してしまったなんて……」
妖精「まあ……誰も死ななかったから別に良いんじゃない?」
クロシュ「浮島の国……すごかった……!」
エバンス「大魔女帝国も空に浮いてたが、その次に向かった国も空に浮いてたんだもんなあ。まさか雲の中に陸地があるなんて思わなかったぜ」
イリス「あれどうやって浮かせてるんだろう? かつての大魔女帝国みたいに、ものすごく大きな気球で吊り下げてるわけでもないし……」
妖精「反重力物質がどうのこうのってまんまるゴーレムのゼーレシルトが言ってたね。それが何なのかは全然わからないけど……クローディアは知ってる?」
クローディア「かなり以前にあの島に侵入して調べたことがあったけれど、解明できなかったわ。虚属性らしき無重力作用を利用しているのは確かなのだけれど、虚属性特有の物質を崩壊させる性質は全く見られないし……。古ラティア国の文明は、この大魔女の魔導と智慧さえも凌駕するのよ」
エバンス「大魔女ですら未だ成し得ぬ技術ってことか……古代文明ってのは凄いな」
クロシュ「うん……」
イリス「古ラティア国の人たちは、地上の大洪水から逃れる為に空に逃げて……洪水が収まった後も、地上での諍いを厭って空に残った……。あそこにもう人は住んでいないけれど……ラティアの人たちが夢見た国は、ようやくその理想に辿り着いたのかな……なんて……」
レイン「例え土地が残っても、民がいなければ何の意味もない……って、ザイルなら言うでしょうね」ヌッ
イリス「れ、レインさん!?」
レイン「フレメアに呼ばれたの。お邪魔だったかしら?」ファサ
イリス「い、いえそんなことはないですけど……!」
レイン「……でも、個人的には悪くない国だったわ。静かで、穏やかで、余計なものがなかった……。残っていた文献や人形たちの話しぶりからすると……ラティア人がいた頃も、あそこはあんな国だったのでしょうね……」
フレメア「へえ……レインがどっかの国をこんなに褒めるなんて珍しいね」
レイン「王国以外はちゃんと評価してるつもりよ」
クロシュ「セイラちゃん……ポーラーさん……ゴライアスさん……人形さん………。みんな……元気かな……?」
妖精「きっと元気だよ。もうあの国を脅かすものは何もないもの」
クロシュ「うん……!」
フメイ「……フメイも、行ってみたくなった」
アリシラ「私も。お空の上に浮く理想郷なんて、おとぎ話みたいですごくロマンチックだよね」
クロシュ「んへへ……今度……みんなで、一緒にいこ……!」
*
235 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:53:06.51 ID:kEnwhWuq0
一旦ここまで。続きは夜にまた更新したいと思います。よろしくお願いいたします
参考:浮島国、寂れた家の人形さん
https://gzo.ai/i/DF9j6Gy.png
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 20:13:38.80 ID:38vFkIxqo
たんおつ
イメージいっぱいで助かる
237 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:33:56.59 ID:kEnwhWuq0
ユーシリア湖 女神の墓
https://gzo.ai/i/PyotWSq.jpg
ローガン「次は……ユーシリア帝国か」
クロシュ「ローガンさんの……おうちの国!」
ローガン「うむ」
ミスティ「ユーシリアでもいろいろあったわね……」
イリス「だね。世界樹の光が起こした地震と不作、眠り病の流行、宰相の暴走、人魔の対立……」
エバンス「改めて聞くとやばすぎるな……」
妖精「あの状況から持ち直せたのって本当すごいと思う」
クロシュ「眠り病は……ヴァンさん!」
妖精「女神の騎士ヴァン・アナザールートのかなしい物語……ちゃんと覚えてるよ」
エバンス「倒そうとした相手と恋に落ちて、倒したくなくて、それでも倒すしかなかったんだよな……」
イリス「でも、最後には報われました! ヴァンさんは!」
ミスティ「ふふ……今もクロシュの中で生きているのよね、あの変な黒騎士は」
クロシュ「うん!」
ローガン「……思えば、不思議な縁があったな。帝都に向かう途中で偶然出会い、湖探索の際もすぐに出会うことができた」
クロシュ「うん……!」
妖精「きっと……あれこそが、運命の導きってやつなんだと思う」
クロシュ「ミントちゃん……ロシュちゃん……元気かな……?」
エバンス「あ、ああ……ミントは、あの変身能力を持った異様に力の強い子だよな。まあ元気じゃないか?」
イリス「あの子ならユーシリアがどんなことになっても生き延びられそうな気がします……」
ミスティ「ロシュは……どうかしら。皇帝が力を取り戻した今は、平穏に働けていると思いたいわね」
ローガン「む……そういえば先日ルクリリくんから手紙が来たのだが、ロシュくんが王宮の一室をキノコ室に改装したのだそうだ」
クロシュ「わぁ……!」
妖精「キノコ室……まさかエリオス皇帝、職権乱用したんじゃ……」
ローガン「………まあともかく、ロシュくんも元気でやっているようだ。クロシュくんの再訪を楽しみにしているそうだぞ」
クロシュ「わわぁ……!!」
妖精「ふふ、楽しみが増えるねえ」
クロシュ「うん……!!」
エバンス「……ところで旦那、ルクリリさんとは……?」
ローガン「む? ルクリリさんとは、とは……?」
エバンス「いや……なんでもねえ……」
ローガン「……? ああ、オリハル鎖帷子のことか。無論、改めて感謝を伝えに行こうと思っている。彼女の計らいがなければ危うい場面が幾度かあったからな……」
エバンス「お、おう。そうだな……それが良いと思うぞ!」
ローガン「うむ」
イリス(……ルクリリさん……)
ミスティ(これからどうなるのかしら……)
妖精(まあ……ローガン次第だね、こればかりは)
クロシュ「?」
238 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:34:55.71 ID:kEnwhWuq0
ミスティ「ユーシリアの人魔対立はかなり深刻だったわよね」
ローガン「うむ……。正直、出身者である私自身もどうにもならんと思っていた」
妖精「あれがどうにかなると思う人なんてイリスくらいしかいなかったんじゃないかな」
イリス「えっ!? で、でもほら、実際どうにかなったし……!?」
エバンス「どうにかしちまったんだよな……。いや、マジですごいぞ」
クロシュ「ダークヒーロー……!」
聖女「ユーシリアでのダークヒーロー伝説は私も新聞で読みました……! 人と魔に橋をかけるイリスさんの活動……本当に、素晴らしくて、胸が熱くなりました……!」
イリス「いや、まあ、えへへ……私一人の力じゃないですし……」
フラナ「やってることはどこぞの新聞記者みたいな、風説の流布による扇動だったみたいだけどね」
ティナ「イリス、そんな戦い方も身に着けていたのか……少し驚いた」
イリス「うぐ……め、目には目を、というやつです! 悪竜も似たようなことをしていたみたいなので……!」
エバンス「まあ、悪竜だけを悪者にする分には誰も困らんしな」
フレメア「セレスティアが所属してたシノホシの他のメンバーにも飛び火して悪者にされる可能性もあるじゃん」
フラナ「自業自得よ。テロ組織なんだから実際悪者じゃない」
妖精「……」
妖精(もし悪竜に連なる者……親族とか、眷属とか……いないとは思うけど直系の血族がいたとしたら、そいつがユーシリア国民に見つかれば壮絶な憎しみを向けられることになるだろう)
妖精(そうなれば……憎しみの受け皿となったそいつは、やがて……イリスを、ダークヒーローを恨むだろうか?)
妖精(それとも……あの二匹の悪竜と同じように、他者など意に介さず自由気ままに力を振るって生きるだろうか?)
妖精(どちらにせよ、もし悪竜と同じくらい強くて危険な奴だったらちょっと困ったことになりそうだ……。まあ、今までそんな話聞いたことないから大丈夫か……?)
妖精(一応、後で精霊たちに聞いてみようかな。悪竜の血族について)
239 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:35:25.74 ID:kEnwhWuq0
イリス「と、ところで宰相さんは難敵でしたね……!」
ミスティ「宰相……というか、中身は夢魔だったのよね」
クロシュ「リリーツィア・ハッピーエンドさん……」
妖精「ああ、そんな名前だったね」
クロシュ「うん……。やったことは、ひどいけど……。考えてること……ちょっと、わかった……」
エバンス「幸せな夢の中で終わるのが一番良い……みたいな感じだっけか」
クロシュ「うん……」
ローガン「……確かに……それもまた、名の通り一つのハッピーエンドなのかもしれんな」
聖女「……そのような考え方もあるのですね……」
クロシュ「聖女さんは……どう、おもう……?」
聖女「………わかりません……。でも……ローガンさんの仰る通り、それも一つの答えなのではないか……と思います」
妖精「へえ、意外。聖女なら否定すると思った」
聖女「最大多数の幸福追求という点で見れば、それ以上に幸福な結末は私には思い付きません。意識が現実にある限り……全ての生命がしあわせになることは、不可能です……」
妖精「……」
聖女「あ、でも……デロデロ教の考え方なら、全ての生命をしあわせにすることも可能かもしれません」
妖精「最終的に一つになっちゃえば、その一つがしあわせなら全てがしあわせと言える、か……」
聖女「はい。なので私は……デロデロの教えもまた、一つの答えであると考えています」
クロシュ「!」モニョッ
妖精「驚いた……聖女もデロデロ派になっちゃうの?」
聖女「いえ……私自身の回答は、まだ出せません。知識も経験も何もかも不足していますし……。でも……この憎しみ合うばかりの世界をなんとかしたいという気持ちは、きっとクロシュヴィアさんとも、リリーツィアさんとも、そしてダークヒーローイリスさんとも同じであると、思っています」
イリス「聖女さん……! そうだよね……! 答えが何であろうと、気持ちはみんな同じなんだ……!」
聖女「はい……! なのでこれからも目標とさせてくださいね、イリスさん……!」
イリス「わ、わかった! ダークヒーローとして、これからも頑張るよ!」
妖精「なんか綺麗にまとまったね」
クロシュ「んへへ……きもちは、みんな、おんなじ……!」
*
240 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:37:44.75 ID:kEnwhWuq0
オノゴロ諸島 トウゲン温泉街
https://gzo.ai/i/0PIQyFH.jpg
妖精「そして次は、東ユーシリア港からオノゴロ諸島に向かったんだ」
エバンス「オノゴロもオノゴロで大変だったな。姫巫女の乱心とか、反朝廷組織の暗躍とか」
ミスティ「でもユーシリアの時と違って、オノゴロで起きていた問題は全部一つに繋がっていたのよね」
イリス「銀狐の乱獲や、姫巫女という仕組み自体によって生じたかなしみが根底にあったんだよね……」
クロシュ「わらわじゃ……イクセちゃん……」
ローガン「だが、全ては祓われた。オノゴロの道行きは明るいものとなったはずだ」
妖精「太陽神アマテラスも見守ってるだろうしね」
ミスティ「オノゴロと言えば……やっぱり、雪解けでの思い出が印象深いわね」
イリス「ユキちゃんのお母さんに――」
クロシュ「シズクちゃん!」
妖精「今はトキワも働いてるよ。道具屋のサララもお得意先みたいだし関係が深いみたい」
ローガン「姫巫女のイクセ殿も幼子であったし、オノゴロで出会った人々には子供が多かったな」
エバンス「言われてみるとそうだな……」
妖精「公家のイヨもちんちくりんだったしね」
イリス「イヨちゃん、あれで私より年上なんだからかわいいよね」
ミスティ「妹分だっていうリュウトウ中将の方がお姉さんに見えたわね」
フメイ「オノゴロ……そんなに昔のことじゃないけど、なんだか懐かしい……」
アリシラ「あそこでクロシュちゃんたちと一緒に過ごしたのが転機になった気がするね」
フメイ「うん……。いろいろ……変わった……」
クロシュ「あの時も……フメイちゃんと、アリシラさんが、いてくれて……ほんとに、良かった……」
妖精「いやあ、本当にね……。フメイがいなかったらオノゴロの大惨事はどうにもならなかったし、わらわじゃ巫女の星の力も奪えなかったもの。いてくれて助かったよ」
アリシラ「ふっふっふ、どういたしまして!」
フメイ「……ちょっと、放っておけなかったから……。オノゴロは……嫌いな国でもないし……」
クロシュ「んへへ……」
241 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:38:12.77 ID:kEnwhWuq0
クローディア「聞いたわ。私の羽を同化の力で使いこなして、オノゴロの危機を救ったそうね」
妖精「うん。流石の大魔女としても予想外?」
クローディア「ええ。不死鳥の羽との同化なんて、クロシュヴィアくらいにしかできないと思っていたから」
妖精「クロシュヴィアもできるんだ……」
クローディア「ふふ……あなたたちの活躍を聞いていると、若い頃のことを思い出すわ。私たちもいろいろやったのよ……伝説に謳われる程度に、いろいろなことをね」
妖精「あなたたちって、元々はパーティか何かを組んでいたの?」
クローディア「常に一緒に行動していたわけではないけれどね。あの頃はまだ、みんなそれぞれ明確な答えを持っていたわけではなかったから、ただがむしゃらに正しいと思う方へ突き進んだ。その結果たくさんの命を救えることもあったし、救えないこともあった……。若かったのよ……今のダークヒーローたちみたいにね」
妖精「へえ〜……なんかちょっと意外」
クローディア「まあでも、いつの間にか疎遠になっていたのよね。自分なりの答えを見つけて、そっちに集中したり……あるいは、現実に打ちのめされて風になったり……」
妖精「クロシュヴィアが現実に絶望して風になったって話……なんだか想像が付かないんだよね。私は、おもしろおかしくデロデロ教の導師をやっている姿しか知らないから」
クローディア「……実のところ、私もちょっと驚いたわ。昔はあそこまで陽気ではなかった……というか、どちらかと言うと今のクロシュみたいな……静かで穏やかで、ちょっと泣き虫なスライムだったから」
妖精「え、そうなんだ」
クローディア「クロシュっていう、夢を共有できる……いえ、夢を見せてくれる仲間ができたのが凄く嬉しかったのかも。あいつ、最近はクロシュの話ばかりしようとしたのよ?」
妖精「まあ、クロシュのことを気に入ってたのは間違いない……」
クローディア「まあそういうわけだから、クロシュヴィアのことは私たちに任せなさい。あいつがもし道を踏み外そうとしているのなら、それを止めるのはあいつの同輩である私たちの役目だから」
妖精「ん、わかった。今のところ私やクロシュたちにできることはなさそうだしね。でももし私たちに手伝えることがあれば、その時は遠慮なく言ってよ」
クローディア「ええ、もちろん。必要があればすぐさま来てもらうわ」
*
242 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:40:03.26 ID:kEnwhWuq0
ひとまず本日はここまで。スレを読み返しながら書いているためものすごく時間がかかる模様です。ご容赦ください(これでもユーシリア編の振り返りまで書き溜めていましたがこの有り様です)
せっかくなので各国の適当なスポットをイラストレートしてみた模様です。まあ概ねこんな感じの場所なのかな〜というのをわかっていただければ良いかと思います。個人的にお気に入りなのは、謎の馬車っぽい自動車のようなものが走っている国際商業都市のイメージイラストレーションです。伝統的な馬車らしさからデンネルっぽくもあり、軍事利用的な観点からはオーデルシュタインっぽくもあり、ちょっと洒落たデザイン性からマガジンっぽくも見えます。一体どこの家が開発したものなのか――
また、二次創作スレの方が2スレ目になったようです。とてもおめでたいことです。全く異なる運命が紡がれるあちらの世界ではどのような運命が紡がれるのか、楽しみにしております
それでは本日もお疲れさまでした。次回は明日の予定です
243 :
◆sIVlz2/mNs
:2025/11/15(土) 22:06:16.81 ID:jjW2qCZbO
久々の更新、乙でした!
こうしてみると、クロシュ達は長い旅路を歩んだなぁ
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 22:46:17.38 ID:SQ4DNdkgo
乙
本家も二次創作も楽しみにしてます
しかしイスファハーンと大魔女帝国が思ったよりも大都会でビックリ
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 23:01:37.13 ID:cHj3twlhO
乙
ユーシリアのピンチっぷりに笑う
色々な幸福論が出てるけど自分はリリーツィア派だなって夢にとける
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/16(日) 00:54:43.79 ID:cSTcBxb9o
おつ
絵になって改めて認識する旧大魔女帝国のなかなかに不気味な見た目…
そして外伝で生まれた要素を本家が軽く触れる描写好きだわ
247 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/16(日) 23:03:44.38 ID:VSid7EQs0
すみません、急用が入ったりセイントレア編を読み直すのに時間がかかったりして全然更新できませんでした。今回は急な体調不良とかではないのでその点はご承知おきください
クロシュさんたちはとても長い旅を歩んできたようです。それは実際長い旅でしたが、その旅ももうすぐ終わりに近づいているようです。ひとまず旅の終わりまでを見届けていただけたら幸いに思います
そして旅が終わったら何が始まるのかと言うと、また旅が始まったりするのかもしれません。その辺りをどうするかはまだ考え中ですが、旅慣れスライムのクロシュならばきっとまた楽しく旅をすることができると思います
>>1
としましても、二次創作スレの方は今までにない経験でとても面白く読ませていただいているところです。これからも楽しく拝見させていただければと思っております
イスファハーンと大魔女帝国はものすごい都会のようです。流石は世界の最先端を行く二大国家であります。しかしイスファハーンは貧富の差もすごいため、住むなら大魔女帝国の方が安泰かもしれません
ユーシリア編は実際のところとてもやばい状況でした。しかしたくさんの人の努力やがんばりや機転もあり、なんとかなったようです。それはとても良い結果であったと考えられます
様々な幸福論があり、我らが主人公のクロシュ氏はもちろんデロデロ派……と言いたいところですが、クロシュ氏本人もどんな世界が最も良いのか、まだまだ悩んでいる模様です。あかちゃんスライムの思索を見守っていただけたらと思います
実のところ空中楽園都市のイメージ絵は、実際妙に不穏で不気味な雰囲気であると言えるかもしれません。大魔女のクローディアさんが、風船スライムのクロさんをいじめぬいて浮かせているひどい都市です
外伝要素に触れる……というのを意識したわけではないのですが、二次創作スレの方を読んでいて新たな視点に気付いたりすることもけっこうあるため、その気付きが本作に反映されたようです。
>>1
自身としても面白い試みであるため、もしかしたら今後もそういった描写があったりなかったりするかもしれません
248 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/16(日) 23:07:19.03 ID:VSid7EQs0
白亜の都 王都セイントレア
https://gzo.ai/i/FlL8Eeb.png
妖精「そしてこの旅の終点……王都セイントレア」
クロシュ「うん……」
妖精「世界樹の光……ロイエ教原理派やセイントレア王国との因縁……カリス・ノーランド……たくさんの因果が収束する、最終地点でもあった」
クロシュ「……大体の、ことは……良くなった……」
イリス「そうだね……。世界樹の光は無事に全て星に返還されて、過激な原理派は力を失い、王国も魔族国と関係改善の兆しが見えてきて、カリス・ノーランドは消滅した……」
ローガン「うむ……。大局を見れば、様々な物事が好転していると言えよう……。しかし――」
妖精「大事にしていた部下を失った僧侶とクロシュヴィアは、決意を胸に何処かへと消え去り……事態を引き起こした幽界樹の精霊は、生を拒んで消滅を選んだ……。他にも、大勢の王都民が星に還ることさえできずに消されてしまった……」
ミスティ「……失ったものを……無視することはできないわね」
クロシュ「……」
聖女「……」グッ
セイン「だが――お前たちのお陰で、救われた命もある。そのことも、しっかり覚えておいて欲しい」
クロシュ「!」モニョッ
フレア「うん……! 私たちは……クロシュちゃんたちのお陰でカリスから解き放たれて、自由になれたんだもん」
フリューゲル「……心から感謝するわ、クロシュさん。あなたたちのお陰で……私は、罪を償うことができる……」
クローディア「はあ、この期に及んで罪だの何だのと……。まあいいわ、ちゃんとお礼が言えるなら良し」
黄スライム『でもまさか、本当にカリス・ノーランドから自由になれるなんて……!』モニョモニョ
灰スライム『……以前のわたしに言っても……絶対に信じなかったと思う……』モニョニョ
アイス「………」
クロシュ「………」
アイス「………」
アイスの指「」スッ
クロシュのほっぺた「」ツンツン
クロシュ「…!?」モニャ!?
アイスの指「」グッ
クロシュのほっぺた「」グイグイ
クロシュ「〜〜!!?」モニャニャ!?
フレア「ちょ、ちょっとアイスちゃん!? なんで急にクロシュちゃんのほっぺたを引っ張るの!?」
アイス「べつに……。なんか……ひっぱりたくなった……」
クロシュ「〜〜…」モニョニョ…
セイン(……これは……止めた方が、いいのか……?)
妖精(……いや……でも、これは……)
クロシュ「……♪」モニョニョ ニコニコ
アイス「………」ムー…
妖精(……アイスなりに、距離を縮めようとしているのかも?)
セイン(そうなのか)
妖精(うん。あんまり酷くならなそうなら、見守ってあげて。クロシュもアイスにちょっかい出されるのがちょっと嬉しいみたい)
セイン(わかった)
249 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/16(日) 23:11:43.34 ID:VSid7EQs0
次回はセイントレア編の振り返り・後半から開始となります
ものすごく短くて申し訳ありませんが、振り返り編が終わればもう少し速く進められるようになるかと思います。よろしくお願いいたします
そして来週の土曜日は更新できなさそうなため、ひとまず日曜更新の予定です(日曜もはっきりとはわからないため、もし更新できなさそうなら早めに告知させていただきます)
よろしくお願いいたします
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/17(月) 12:16:11.39 ID:XqxvV27tO
おつでした
色々なスライムにも会った旅でしたね
それを通してクロシュちゃんもかわいいだけの穀潰しから随分大きくなった
251 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:14:45.65 ID:gnBdQR7t0
クロシュ氏は多くのスライムの方々と出会い、大きくなりました
物語開始時点では実際穀潰しとしか言えないよわいスライムでしたが、今ではすっかりいっぱしのスライムになれたように思います。あかちゃんスライムのがんばりにあっぱれと言えるかもしれません。今後の活躍にもご期待いただきたいところであります
252 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:15:38.24 ID:gnBdQR7t0
レイ「わわ、私も……クロシュちゃんたちのお陰で、助かりました!」
クロシュ「!」
ミラ「うん。クロシュちゃんたちが来てくれたから……僕たちはまた、一緒に暮らせるようになった」
クル「アナタたちはレイを助けてくれただけじゃなくて、レイが本当は何も悪くなかったことも証明してくれたんだもの」
クロシュ「んへへ……レイさんが、悪くないこと……わたし、知ってた……」
レイ「クロシュちゃんんん!!」
イリス「私たちはこれまでの旅の途中で、レイさんとも何度か一緒になったからね」
ミスティ「まあ……最初はともかく、ニ回目はもう危なくなさそうだったものね」
妖精「世界樹の精霊にいろいろ調整してもらったお陰で、今はもう名実ともに危なくなくなったから安心だね」
レイ「う、うん……! 私……もう、危なくないです!!!」
ミラ「フフ、そうだね」
クル「ずっと一緒にいようね、レイ」
エバンス(でもレイって、逃亡中に追ってきた普通の兵士とかも何人か殺っちまってるんだよな……?)
ローガン(それについては……彼女が儀式を受けさせられた時の年齢や、力が制御不能だったことなども考慮され、罪には問われないこととなったようだ)
エバンス(そうか。まあ実際悪いのはレイじゃないもんな)
ローガン(うむ。罪に問われるべきは、彼女に魔法陣を刻んだ邪教の者たちと、それを利用しようと強行的に追手を差し向けたグランドマスターだ。そして邪教の者たちは既に絶え、グランドマスターの罪はこれから裁かれるだろう)
エバンス(おう……)
*
グラス「」コトン
ティナ「ふぅ……」
エバンス「ティナさんはこれからどうするんだ?」
ティナ「やり残した仕事を片付けたら……団を抜けさせてもらおうかと思っている」
エバンス「まあ、そうだろうとは思ってた」
ティナ「悪いな。イリスはもう一人前だが……私自身が、帰るべき場所へ帰りたいんだ」
エバンス「ハハッ、元々ウチの傭兵団は流れ者の集まりだからな。帰るべき場所を見つけた奴から去ってくってのは見慣れた話だ。傭兵団が帰るべき場所になっちまってる奴もいるけどな」
ティナ「団長や君には世話になった。今のうちに礼を言っておきたい」
エバンス「おう。しかしあの無詠がいなくなっちまうとなると、少しばかり戦力が不安になるな……」
ティナ「フッ……気付いていないかもしれないが、君の実力は以前と比べて非常に高まっている。私が抜けた分の穴など全く問題にはならないだろう」
エバンス「え、そうか?」
*
スライムヴィア「…………」
スライムヴィア(……魔族国の支援をセイントレア王が受け入れたことで……両国の……この大陸における人魔の関係は、変化しようとしている……)
スライムヴィア(それは……私自身も切望してきた、平和への第一歩……なのかもしれない……)
スライムヴィア(でも……)
スライムヴィア(……この大陸の、人と魔の関係が良くなったところで……この世界に蔓延る悲しみは、どれほど減る……?)
スライムヴィア(………大して減りはしない。そもそも……人と魔の相克など、極めてありふれた生存競争の一つに過ぎないのだから……)
スライムヴィア(…………)
スライムヴィア(やはり、デロデロしかないのかもしれない)
スライムヴィア(世界の全てを、救うには――)
*
253 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:16:10.73 ID:gnBdQR7t0
クレア「……」
未来視の魔眼「」キィン―
クレア(……滅亡の未来は、視えなくなっている)
クレア(あの災害の光景が、私が滅亡だと思っていたものなのか……それとも、本当の滅亡を回避して辿り着いたのが、この平穏な現在なのか……今となっては、もうわからない……)
クレア(まあ……どちらでも、良いのかもしれない。王都の被害は最小限に食い止められて……数々の課題も解決に向かっているのなら……)
聖女「クレアさん?」
クレア「あ、聖女……」
聖女「どうされましたか……? 少々、難しい顔をしていらっしゃいましたが……」
クレア「……あなたには、以前話したことがありましたよね。私の……未来視の魔眼について」
聖女「!」
クレア「……実を言うと……私には、滅亡の未来が視えていました」
聖女「……」
クレア「しかしあの災害の日以降……その未来は、ぱったりと視えなくなったのです」
聖女「!」
クレア「滅亡の未来は、もうない……それは確かなのです。しかし少し腑に落ちない点もあり……」
ヴェールで顔を隠した女性「大丈夫だよ。もうその運命は、退けられたから」ヒョコ
聖女「えっ……!?」
クレア「だ、誰ですか……!?」
ヴェールで顔を隠した女性「泣き叫ぶように転がって、転がって、転がり尽くした透明の賽が――悪運を退けて、奇跡を起こしたの。だから――今はもう、大丈夫―――……」
聖女「あなたは……」
ヴェールで顔を隠した女性「でも……世界が存続する限り、果てなきかなしみは生まれ続ける……。もしかしたら……この世界が続くことこそが、最悪の運命だった――なんて、言えなくもないかもね……。あの、かなしい精霊さんの言った通りに……」
クレア「……」
ヴェールで顔を隠した女性「………ごめんね……せっかくの大団円に、水を差しちゃって」
聖女「あなたは、一体――」
ヴェールで顔を隠した女性「私は――思い出だよ。水底に沈んだ、一つの―――」
ポチャン――…
◆
254 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:16:49.82 ID:gnBdQR7t0
―夜
聖ヴァレリオ教会
カキカキ…
スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ カキカキ
旅の仲間が描かれた絵画「」ポン
イリス「わあっ! 私たちの絵!?」
スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ
ミスティ「ふふ……良いわね。なんだか……」
ローガン「なるほど、我々を描いた絵画か……!」
エバンス「おお……絵ってのはこういうのもアリなんだな!」
妖精「旅の記念か……なんだか感慨深いね」
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ
旅の仲間が描かれた絵画「」ポン
☆絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』を描きました
後日、クロシュのおうちに飾られます
◆
255 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:18:02.23 ID:gnBdQR7t0
―翌日
王都セイントレア 北門
強化ソリ「」ポン
クレア「……この度は、世界と王都を救う為に尽力していただき、どれほどのお礼を申し上げれば良いか……」
妖精「気にしないでよ。世界を救うってのも、結局は自分たちが生き残る為でもあるんだから」
イリス「そうです! 私たちは、緑の国の使節団として……そしてダークヒーローとして、やるべきことをやっただけなので!」
ミラ「ダークヒーローって言う割には、眩しすぎる在り方だね……。フフ、尊敬せざるを得ないよ」
ミスティ「あなたたちだって王都を守る為に戦ったでしょう。同じよ、それも」
クル「大切なものを守る為に、か……。ふふ、そう言われるとそんな気もするね」
レイ「クロシュちゃん……! い、行っちゃうの……?」ジワワ
クロシュ「うん……」
レイ「……わ……わかってる……。クロシュちゃんにも、帰るべきところがあるんだよね……」
クロシュ「ん……」
レイ「………で、でもこれからは……!! 私、お尋ね者じゃないから……!! い、いつでも……会って、いいんだよねっ……!?」
クロシュ「うん……!」
レイ「クロシュちゃんんんんん!!!! ぜ、絶対、絶対、会いに行くからねっ……!! 元気に、元気にねっ……!!!」ポロポロ
クロシュ「うんっ……!!」
イリス「でもレイさんも、帰るべきところにちゃんと帰れるようになって良かったです!」
レイ「あ、う、うん! そ、それはもう、ほんとにそう……!! みみ、皆さんの、お陰様です……!!!」
ミラ「改めて、本当にありがとう……。レイのことを助けてくれて」
クロシュ「んへへ……」
クル「またいつでも王都に遊びに来てね。孤児院のみんなで歓迎するから」
イリス「はい!」
エバンス「無詠……ティナさんは一度チカーバの拠点に戻るんだよな?」
ティナ「ああ。団長にも既に連絡してある。状況によるが、できればお前たちが緑の国で報告を終えたら合流したい」
イリス「そしたら……一緒に、帰れる?」
ティナ「ああ……。イリスが良ければ、共に帰りたい。私たちの故国へ……」
イリス「うん……! そしたら、母さんと合流するまで緑の国で待つよ!」
ティナ「ありがとう……」
ミスティ「………ところで、イリスってどこの出身なの?」
妖精「そういえば聞いたことなかったかも」
イリス「あれっ、言ったことなかったっけ!?」
ローガン「覚えはないな……」
エバンス「ティナさんも、もう思い出してるんだよな?」
ティナ「ああ。私たちの出身は大陸北東部……大山脈の麓に位置する国、オリシン王国だ」
ローガン「なんと……! ユーシリアの隣国だったとは……!」
イリス「オリシン王国はユーシリアが大変な時もユーシリア攻めを行わなかった数少ない国の一つなんですよ!」
妖精「世界樹の光が落ちた鉱山と地理的に近いこともあって、オリシン王国でも地震とか不作で戦争どころじゃなかったから……とか?」
ティナ「元々武力に秀でた国でもないからね。本の国と呼ばれてるくらいだし」
イリス「出身者としては、ドサクサに紛れてユーシリア攻めをするような国じゃなくて良かったと思います……」
256 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:18:45.24 ID:gnBdQR7t0
フメイ「クロシュ……フメイたちも、一緒に行って良いんだよね……?」
クロシュ「うん!」
アリシラ「良かったねぇフメイちゃん! 今までず〜っと離れ離れだったのが、ようやく一緒にいれるようになって……」
フメイ「まあ……うん……」
クロシュ「んへへ……」
フメイ「……でも、アリシラも……一緒にいてくれて、ありがと……」
アリシラ「…………えっ!!?」
フメイ「……」
アリシラ「フメイちゃん……もう一回言って?」
フメイ「……何を?」
アリシラ「さっき言ったこと!」
フメイ「……もう忘れた」
アリシラ「え〜!!!!」
クロシュ「……」ニコニコ
セイン「みんな、忘れ物はないか?」
アイス「……」コク
フレア「うん、バッチリ!」
黄色スライム『元々何も持ってないよ〜』モニョモニョ
灰色スライム『黄色と同じく……』モニョニョ
ザック「ん? お前たちも旅立つのか?」
セイン「クロシュたちについていき、身を落ち着けるのに適した場所を見定めるつもりだ。長い旅にはならない」
黄色スライム『でもセインはクロシュちゃんの集落に住みたいって思ってるみたい!』モニョモニョ
灰色スライム『……まあ、せっかくなら……同郷の出身者がいるところの方がいいよね』モニョニョ
フリューゲル「なら私たちと一緒に魔族国へ来ても良いんじゃないかしら?」ヌッ
フレア「フリューゲルさん!」
アイス「フリューゲルは……やっぱり、ちょっとちがう……」
フリューゲル「」ガーン
フレア「ち、違うの! フリューゲルさんを仲間外れにしたいとかじゃなくてっ……!」
フリューゲル「ふふ、冗談よ。私は生まれた時からあなたたちと共にいたわけじゃないものね」
黄色スライム『フリューゲルさん……』モニョニョ
フリューゲル「そしてアイスにとっては、私よりクロシュの方がちがわない≠チてことなのね」
アイス「!!? ち、ちがう……クロシュなんか、もっとちがう……!!」
フリューゲル「ふふ、仲良くしなさいね。あなたたちは皆、兄弟であり姉妹なのだから……」
アイス「……」ムー…
フレア「そう言うフリューゲルさんも、家族を大切にしなきゃだめだよ?」
フリューゲル「ええ……それはもちろん……」
257 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:19:27.93 ID:gnBdQR7t0
フラナ「母上、馬車の準備が整いました」シュタッ
フリューゲル「フラナ。ありがとう」
フレメア「ねえ、飛んで行った方が速くない? なんでわざわざ馬車なんかで地上をゆっくり行くの?」
フラナ「魔族国初代国家元首の帰還なのよ? 母上の翼を煩わせるわけにはいかないでしょう」
フレメア「かたつむりみたいにのろのろ運ぶ方がずっと煩わしいと思うけど」
フラナ「そういうわけにはいかないのよ。民への示しというものが――」
フレメア「は〜くだらな。ねえねえお母様、私と一緒にひとっ飛びで帰りましょ?」バサッ
フリューゲル「……ごめんなさいフレメア。あの戦いから身体の調子が悪いの。まだ長距離飛行は難しいかもしれないわ……」
フレメア「えっ、そうだったの……!?」
フリューゲル「それに、せっかくだからあなたたちと馬車の中でゆっくりお話したいの。だから……馬車でも良い?」
フレメア「も〜しょうがないなぁ……。早く身体を治してね、お母様」
ワイワイ キャッキャ
聖女(……えっ、私このご家族と一緒の馬車で魔族国へ帰るんですか……!?)
聖女(………いやでも、バイオレット家の方々と密接にお話できる機会なんて滅多にありませんし……これはある意味チャンスかもしれません……)
聖女(…………いやいやでもでも、私のせいで家族水入らずを邪魔してしまうのはちょっと……)
フラナ「はあ、全く……。何余計な心配してるのよ、聖女」
聖女「ほえ!?」
フラナ「今の魔族国について話せるのは私とあなたしかいないのだから、移動中は母上とちゃんとお話しなさいよね」
聖女「ええっ……!? でも私、お邪魔ではないですか……?」
フラナ「フレメアの方がよっぽど邪魔。民の生活や子供たちのことについてはあなたの方が私より詳しいでしょうから、頼むわよ」
聖女「そういうことであれば、わかりました。フリューゲル様に魔族国についてお話させていただきますね」
フラナ「ええ。人間のあなたが語れば、より鮮明に伝わることもあるはずだから」
◆
258 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:19:54.41 ID:gnBdQR7t0
―セイントレア城 王の寝室
ベッドに伏せるアルベール王「……立場が逆になってしまったな」
セイントレア王妃「今はゆっくり養生なさって。私が代わりに政務を執り行うから」
アルベール王「ああ……」
セイントレア王妃「でも先日は本当に驚いたわ。まさかあなたの口から、魔族国からの支援受け入れの許可が出るなんて」
アルベール王「いつまでその話をしている……。私は王として、すべき判断をしただけだ」
セイントレア王妃「ええ……ふふ、そうね」
アルベール王「………ところで、あの黒いスライムは……今は、どこに?」
セイントレア王妃「クロシュちゃんなら今日王都を発つそうよ。さっき挨拶に来てくれたわ」
アルベール王「む……また侵入されたのか」
セイントレア王妃「固いことは言わないの。あの時、あの子が守ってくれたのでしょう? あなたと、この国と……この世界を……」
アルベール王「…………うむ」
セイントレア王妃「いつかまた、王都に来てくれたら……。ううん、スライムのあの子が安心して来れるような国にしたいわ。ねえ、アルベール」
アルベール王「…………そうだな。そういうのも……悪くないかもしれん」
◆
259 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:20:51.24 ID:gnBdQR7t0
―王都セイントレア 北門
強化ソリ「」シャーッ
レイ「クロシュちゃんんん!! イリスさんんん!! おお、お元気でぇぇぇ!!!」ポロポロ
ミラ「本当にありがとう……!」
クル「またいつか、パスタを食べに来てね……!」
ザック「これからも活躍しろよ、ダークヒーロー!!!!」
クレア「皆様の未来が、健やかなるものであらせられますように……」
ティナ「私もすぐに発つ……後ほどまた会おう、ダークヒーローたちよ」
魔族国馬車「」パカラッパカラッ
聖女「皆さんどうかお元気で! 集落の復興、是非私にもお手伝いさせてくださいね!」
フラナ「またいつか会いましょう!! それまで生きるのよ!!」
フレメア「……面白い奴らだった。覚えといてあげる」
フリューゲル「……いろいろ片付いたら、集落に遊びに行くわね。それまで……どうか、元気で」
――世界樹の巻 最終編 完
◆
260 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:21:36.25 ID:gnBdQR7t0
それからわたしたちは……緑の国へ行って、ティセリアさんたちに、旅の報告をした……。
世界樹の光は、無事に星へ戻って……世界樹の精霊さんも、もう大丈夫だって、言ってた……。
それからしばらく、緑の国でのお祭りを楽しんだあと……みんなとお別れして……私たちは、集落に帰った……。
妖精さんは、緑の国の首長としていろいろやることがあるみたいだから、緑の国に残った……。ティセリアさんたちは大喜びで……首長としてのお仕事?という紙の束を、妖精さんに押し付けていた……。
ミスティさんも、とりあえず緑の国に滞在して……これからの生き方を、ゆっくり考えるみたい……。森妖精ちゃんが……ものすごく嬉しそうに、ミスティさんの周りをくるくる飛び回ってた……。
イリスさんは……ティナさんと合流して、オリシン王国に帰った……。初めはちょっとぎこちなかったけれど……もうすっかり、わたしとフメイちゃんみたいに、仲良しになってた気がする……。
ローガンさんも……おうちの国の、ユーシリア帝国に帰った……。魔法騎士団の人たちから、再入団をすすめられていたみたい……。ローガンさん自身は、まだ迷っているみたいだったけれど……とりあえず国に帰ってから考えるって言っていた……。
エバンスさんは……集落の復興を手伝ってくれようとしたけれど……急な傭兵のお仕事が入っちゃったみたいで、すぐに飛んでいっちゃった……。傭兵団は、ティナさんが抜けた分……エバンスさんが忙しくなるみたい……。
そしてわたしたちは……燃えた集落の跡地に戻って……みんなを、不死鳥のちからで復活させて……集落の復興を、始めた……。
なんでも器用にできるセインさんや、灰色スライムちゃんの石造りのお陰で、復興はぐんぐん進んだ……!
わたしも、できることを、がんばった……!
◆
261 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:24:48.98 ID:gnBdQR7t0
半年後――
―朝
集落 クロシュとフメイの家
チュンチュン
お宿の妖精の織物「」
フメイとアリシラの人形「」
絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』
フメイ「ふわ……」ググ
クロシュ「フメイちゃん……おはよ……」
フメイ「おはよ、クロシュ……」
*
―集落の広場
ギンギンッ ギギンッ!
弾かれる魔銀の剣「」ガインッ!
フレア「ううっ……! ま、また負けちゃった……」
セイン「……ふう。怪我はないか」
フレア「うん、大丈夫」
魔族の医者「いつ見ても見事だ」
アリシラ「あれでも前よりは弱体化してるんですよ。えっと確か……聖剣?を王国に返しちゃったとかなんとかで」
魔族の医者「凄まじいな」
*
―集落の炉
フメイ「焼きいも……焼けた」スッ
焼きヤマイモ「」ポン
集落のスライム「〜〜♪」モニョモニョ
黄色スライム「〜〜♪」モニョモニョ
灰色スライム「……♪」モニョニョ
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ
アイス「……♪」
集落の若者「んまい!!!」モグモグ
老婆「いつもありがとねえ、フメイちゃん」
フメイ「んーん……。フメイ、ヤマイモ育てるの、得意じゃないから……。焼く方で、がんばる」
スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!
*
―???
空に浮かぶ白い光「」ユラユラ
地上に瞬く無数の光「」チカチカ
クロシュ(……あれから……クロシュヴィアちゃんとお話しようとしても……つながらない……)
クロシュ(クロシュヴィアちゃんは……今どこで、何をしているんだろう……)
クロシュ(……大魔女さんや、妖精さんたちも……行方を探してくれてるみたいだけど……足取りは、掴めていないみたい……)
クロシュ(…………)
クロシュ(今は、とりあえず……のんびり暮らしていても、良いのかな……?)
集落にいます
↓1〜3 自由安価 何をする?
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 20:26:46.58 ID:kK5UhuWt0
分体を仲間の姿にして遊ぶ
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 20:29:07.29 ID:mKKeFOamO
魔族国に手紙を出してみる
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 20:30:23.05 ID:LNPIpjp/o
アリシラさん周りの様子を
265 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 21:38:46.55 ID:gnBdQR7t0
―クロシュとフメイの家
絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』
集落の子供「わぁ〜! これがクロシュちゃんと一緒に旅をした人たちなんだぁ〜」
集落のスライム「〜〜!」モニョモニョ
クロシュ「うん……!」
集落の子供「ねえねえ、どんな人たちだったの!?」
クロシュ「えっとね……」
クロシュ「!」ピコン!
デロデロ…モニョモニョ…
ポポポポポン!!
分体イリスクロシュ「私がイリス・プラネット!」ポン!
分体ミスティクロシュ「ミスティよ……」ポン!
分体ローガンクロシュ「私は元魔法騎士のローガンだ」ポン!
分体エバンスクロシュ「傭兵のエバンスだ! 見覚えあるんじゃないか?」ポン!
分体妖精クロシュ「妖精だよ。緑の国で一番偉いんだってさ」ポン!
集落の子供「わあ〜!! すごい、すごい!」キャッキャ
集落のスライム「〜〜!!」モニョニョ キャッキャ
*
―集落の広場
フメイ「クロシュ、何してるの?」
クロシュ「んへへ……えっと、分体で同化する……練習……?」
分体イリスクロシュ「例えば私は、このステライト鉱石と同化することでぇ……」モニョモニョ…ポン!
星属性の魔力「」キラキラ
分体イリスクロシュ「イリスさんのモノマネをより上手にできるようになるってこと!」
魔族の医者「あのクロシュがここまで同化を使いこなせるようになったとは」
分体ミスティクロシュ「私は……こうね」モニョモニョ…ポン!
ひえひえの魔力「」ヒエヒエ
アイス「む……それ、アイスの欠片でしょ」ジト
分体エバンスクロシュ「俺はこうか?」モニョモニョ…ポン!
地属性の魔力「」ググ
灰色スライム『あ、わたしの力だ……』モニョモニョ
分体ローガンクロシュ「……しまった、鋼の物品を持っていない!」
アリシラ「じゃあローガンおじさんは見かけだけ?」
分体ローガンクロシュ「いや――これがある!」スッ
ヒヒイロカネ「」ポン!
デロデロ…モニョモニョ…ポン!
分体ヒヒイローガンクロシュ「どうだ!」キラキラ
集落の子供「か、かっこいい〜〜!!!!」
クロシュ「!」ドヤッ
アリシラ「金ピカできらきらだぁ……」
☆クロシュのスライム技能は既に限界を超えています
266 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 21:40:03.21 ID:gnBdQR7t0
―集落の診療所
魔族の医者「――しかし君の場合であれば、魔力吸収と再分配を応用することでより効率的な処置をすることが可能となる。具体的な方法論としては――」コンコン
アリシラ「はい――」カキカキ
クロシュ「わ……」コソコソ
フメイ「アリシラ……がんばってるみたい」コソコソ
セイン「医学の勉強か」コソコソ
フメイ「うん。アリシラ……吸収魔法を応用して命を与える魔法?みたいのを自作してたから、医療魔法に使うことを考えていろいろ試行錯誤してたみたい。それで、専門家のイーシャ先生にいろいろ教えてもらったりしてるんだって」
クロシュ「アリシラさん……すごい……!」
セイン「おちゃらけた雰囲気を出しながら殺意と悪意を撒き散らす恐ろしい者という印象が強かったが、あれが彼女の本来の性質なんだな」
フメイ「そうだと思う。まあ……勉強中以外は、前みたいにおかしい性格になりがちだけど……」
クロシュ「えっと……性格って、生きてると、変わるんだって……」
フメイ「そうなの?」
クロシュ「うん……だから、アリシラさんも……おかしいけど、あれで良いんだって……」
フメイ「そ、そうなんだ……」
セイン「まあ……問題がないのなら、良いんだろう」
☆アリシラさんは医学の勉強をしているみたいです
◇
267 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 21:40:30.63 ID:gnBdQR7t0
―集落の広場
ワイワイ キャッキャ
ハーピィ記者「はぁ〜いクロシュちゃんおひさ〜!」バサッ
クロシュ「わあ……!」
フメイ「誰だっけ……」
ハーピィ記者「はじめまして! 清廉潔白実力派記者のルフと申します!」
フメイ「ふうん」
ハーピィ記者「どうです、一枚購読してみませんか?」
フメイ「いらない。薪の代わりにもならないし」
ハーピィ記者「そうですか……っと、今は営業をしている場合ではないんでした! クロシュちゃんにお手紙です!」スッ
お手紙「」ポン
クロシュ「わあ!」
↓1コンマ
01-10 ???(平和な時間はおわり)
11-50 聖女からの返事
51-90 聖女からの返事+
91-00 ???
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 21:47:33.92 ID:+RuknSvGo
さて
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 22:21:26.30 ID:LNPIpjp/o
おお?
270 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 22:34:57.33 ID:gnBdQR7t0
聖女からの手紙「」
フリューゲルからの手紙「」
フメイ「えっと、こっちはクロシュがよくお手紙をやり取りしてる聖女ってやつで……」
セイン「これは……フリューゲルか?」
クロシュ「!」
ハーピィ記者「です! いやあもうクロシュちゃんたら、魔族国初代国家元首まで射止めちゃうなんて隅に置けませんねえ〜」ケラケラ
*
手紙「」ペラッ
クロシュ(聖女さんからのお手紙には……魔族国のみんなが元気でいることと……今度こっちにお手伝いに来ようと思ってることが、書かれていた……)
クロシュ(魔族国は……王国とのいろいろなお話も良好に進んでいて……良い感じみたい……)
クロシュ(でも……僧侶さんの行方は、まだわかっていないみたい……)
クロシュ(どこに行っちゃったんだろう……。無事でいるといいけど……)
クロシュ(あ、それと……石のかけらが、入ってた……。なんだか……あの、石の賽と、同じような感じがする……)
☆運命賽の欠片を手に入れました。5つ集めると1つの運命賽になります
*
手紙「」ペラッ
クロシュ(フリューゲルさんからのお手紙には……あの時のことについての、改めてのお礼や……フリューゲルさんが、家族で仲良くやっていて、元気に暮らしていることが書かれていた……)
クロシュ(フラナさんとフレメアさんも……悪口を言い合いながら、協力し合っているんだって……)
クロシュ(そして……セインさんたちのことを気遣うことも書いてあった……)
クロシュ(今でも、フリューゲルさんは……カリスのところにいたみんなのこと……すごく、大事に思ってるみたい……)
*
―集落の広場
クロシュ「それと……聖女さんとフリューゲルさんから……お菓子とか、ごはんとか……いっぱい、もらった……!!」
お子様ブラッドワイン「」ドン!
魔族国クッキー「」ポン!
魔族国ケーキ「」ポン!
魔族国タルト「」ポン!
魔族国パン「」ポン!
魔族国パスタ「」ポン!
魔族国ごはん「」ポン!
魔族国もろこし「」ポン!
魔族国カニカマ「」ポン!
集落のスライム『んわわ〜!!』モニョニョ キャッキャ
集落の子供「ごちそう! ごちそう!」キャッキャ
黄色スライム『フリューゲルさん……!!』モニョニョ
灰色スライム『聖女って人も……いい人みたい……』モニョニョ
アイス「……」ゴクッ
フレア「わわあ……これだけあればお腹いっぱいになれるねえ」
セイン「僕たちもあの二人にお礼を言おう」
☆おいしいものをたくさん食べて元気になりました
明日の終わりまで、身体能力判定や戦闘などにおけるコンマに+30を得ます
*
271 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 22:39:02.85 ID:gnBdQR7t0
というわけで本日はここまでとなります
復興した集落で平和なひとときを過ごすクロシュたち。今のところは、恐ろしい事態の気配などは特になく、実際にのんびり平和に過ごせているようです
しかし平和とは、永遠には続かないもの。これから先クロシュたちの未来に何が待ち受けているのか――。警戒に警戒を重ね、警戒を加速させていくのが良いかもしれません
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。恐らく明日更新となります
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 23:58:51.79 ID:ZOSaeHA0o
乙
このまま平和パートしばらくあっても良いのよ
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 00:33:19.43 ID:vCFmuy6Jo
おつでした
束の間でも村の皆+増えた仲間と過ごせる平穏は尊い…!
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 01:00:49.74 ID:DIjN0K7wo
おつ
平和な時間がすぐに終わらなくて良かった…
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 07:28:13.54 ID:0bbMwnhbO
乙
妖精は一緒に住んでるかと思ったけど国ほっとけないか
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