【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7

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135 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/21(月) 21:44:32.44 ID:82uSW6390
消えかけ幽界樹の精霊「あり、がとう………。でも……やめておきます……」

クロシュ「……」

消えかけ幽界樹の精霊「……私の記憶は……あらゆる命たちの、苦痛と絶望に満ちている……。例え、あなたのデロデロが、どれほど心地良いものだったとしても……きっと、私が救われることは……ありません……。むしろ……あなたの内側で、苦しみを撒き散らす呪いとなってしまう……。そんなことは……私自身、到底認められません……」

クロシュ「………」

消えかけ幽界樹の精霊「………以前、私とお話したこと……覚えて、いますか……?」

クロシュ「………えっと……」

消えかけ幽界樹の精霊「…………デロデロが、全ての命を救うとして……では、そのデロデロは誰が救うのか……という……」

クロシュ「!」

消えかけ幽界樹の精霊「もし……本気で、救済を目指すのであれば……その点を、よく考えて……。優しいあなたが……たった一人、犠牲になるなんてことは……いけません……」

クロシュ「…………」



消えかけ幽界樹の精霊「…………それでは……もう、言い残しもありません……。お願い、します……」

世界樹の精霊「……わかった。残念だけど……」スッ

 パァァァァ――…

消えていく幽界樹の精霊「さようなら――――心優しい、世界樹の使者たち――――……」パァァァ――…


 パシュウウウン――――……


 ☆世界めくれの阻止に成功しました

 ・幽界樹の精霊が消滅しました

 ◆
136 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/21(月) 21:50:50.39 ID:82uSW6390
 少し前――

―王都セイントレア 市街

 ドンッ!!

押し出される幼女「ふええっ!?」ヨロロッ

僧侶「ふっ……聖女……みんな……お元気、で――」

迫りくる影の魔物「」ヌオオオオ――


 ベシンッ―


僧侶「えっ……!?」ヨロッ

デロデロ教徒「僧侶ちゃん、間に合っ――」ニコッ

ぶつかる影の魔物「」ヌオオオオオオオ―――


 バシュウウウウウン――――……


僧侶「あっ……あ、あれ……!? 待って……デロデロ教徒ちゃん!? 待って、どこに行ったの!? ねえ!!?」キョロキョロ


 ヒュオオオオオ――…


幼女「ぁ……ふ、ふぇ……」ジワワ

僧侶「あ、あ……そんな……まさか……嘘だ、嘘だ……!!!」グルグル


 ヒュオオオオオ―――……


僧侶「あああああああああああ!!!!!!!」

 ◆
137 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/21(月) 23:09:01.74 ID:82uSW6390
―夜
 王都セイントレア 市街

クロシュヴィア「……」スト


僧侶「」グルグル


クロシュヴィア「僧侶ちゃん……」


僧侶「あ……クロシュヴィア様……」


クロシュヴィア「………デロデロ教徒ちゃんの反応が……いきなり、途絶えちゃったんだけど……」

僧侶「…………」

クロシュヴィア「ねえ……あの子は……? どこ……?」

僧侶「…………私が………私の、せいで………消え……ました………」

クロシュヴィア「え……」

僧侶「影の、魔物に……ぶつかって……跡形も、なく……」

クロシュヴィア「……」

僧侶「……クロシュヴィア様……あの子は、星に還ったんですよね? 星に還って、また新たな命として生まれてくるんですよね……? また、一緒にケーキを食べて……一緒に笑って……一緒に、デロデロの教えを布教して…………」

クロシュヴィア「………感じ……られない……」

僧侶「ぇ…………」

クロシュヴィア「この星の……どこからも……。あの子を、構成していた……魔力も、物質も……何も、かも…………。どこにも………ない………」

僧侶「………嘘、です……そんなの……嘘ですっ!!!! だって……だって、あの子は……!!!!」


 ――デロデロ教徒『みんなでデロデロになれば、ずっと平和で、しあわせなんですよね?』

 ――デロデロ教徒『だったらわたし……死ぬのも、こわくありません! だって死んでも……この星がまるごとデロデロになれば、それでまた、みんなに会えます! みんなで、ずっとしあわせにいられます!』

 ――デロデロ教徒『えへへ……はやく、みんな一緒にデロデロになりたいです!』


僧侶「嘘だっ………嘘だぁ…………」ガクッ…ポロポロ…

クロシュヴィア「…………」


クロシュヴィア「…………わたしの………責任………」

僧侶「え……?」ポロポロ

クロシュヴィア「わたしが……いつまでものんびり……布教ごっこで、満足していたから………。こんな事態を……。誰よりも、デロデロになりたかった子を………救えなかった………」グッ

 ザッ―

クロシュヴィア「……僧侶ちゃん……行くよ………」クルッ

僧侶「ぁ………」

クロシュヴィア「………この星を……デロデロに溶かす方法を……探しに……」

僧侶「はい……!!!!」ググッ

 ◆
138 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/21(月) 23:12:29.52 ID:82uSW6390
―夜
 聖ヴァレリオ教会 宿泊室

聖女「お姉ちゃん……」

 ベランダの窓「」コンコン

僧侶「……」


聖女「!」

 窓「」ガラッ

聖女「お姉ちゃん! 良かった、無事――」

僧侶「聖女。私は今から、この王都を発ちます」

聖女「えっ……!? どうして、そんな急に……!? 災害は一旦収まったけれど、まだ何が起きるか……」

僧侶「……デロデロ派の導師として……一刻も早く、全てを救う。救わなければならない。そうしなければ……私が、そうしなければ……」

聖女「お、お姉ちゃん……?」

僧侶「………私のことは心配しないで。クロシュヴィア様も一緒だから、大丈夫。あなたは……お父様と、平穏に過ごしていなさい」

聖女「……何があったの? ねえ、何かあったんだよね? そうだ、デロデロ教徒ちゃんは!? あの子は――」

僧侶「……っ」

聖女「……!!」

僧侶「………お父様には……別れも言わずにごめんなさいと……伝えておいてください。それでは」クルッ タンッ―

聖女「ま、待って!」


 ヒュオオオオオオ――…


聖女「……」

 ◆
139 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/22(火) 00:06:07.01 ID:D8l7csZo0
本日はここまで。次回、王都セイントレア王都滞在最終日編です

運命を揺るがすような戦いを終えて、幽界樹の精霊の願いを聞き届けるクロシュたち。救われぬ精霊の魂を救うことはできなかったが――あかちゃんスライムのひたむきな優しさは、一抹のぬくもりとなってその最期に寄り添った――…

そして僧侶とクロシュヴィアに訪れる、大きなかなしみ。愛ゆえに――そのかなしみは、深く、重く、耐え難く――。やがてかなしみは壮絶なる決意となり、星を飲み込まんとする嵐を呼び起こす――

星に還らず消え去った命は――二度と苦しまず――二度と悲しまず――二度と笑うこともなく――永遠の静寂に、横たわる―――……
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/22(火) 00:20:40.37 ID:uST3YFU9o
これはラスボスクロシュヴィア
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/22(火) 00:25:48.78 ID:7CJ/gfmbO
お疲れ様でした。
幽世周りの設定を詳しく知りたいです
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/22(火) 22:18:31.93 ID:ImX2aJ/yo
乙乙です
クロシュヴィアも僧侶ちゃんも幽樹霊ちゃんも優しくて物事を真っ直ぐ受け止めすぎる……太母さんぐらい太い(神経)でもいいのよ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/22(火) 22:40:04.05 ID:kG+2wvHXO

非ネームドに厳しい回だった…
144 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/22(火) 22:59:58.36 ID:D8l7csZo0
デロデロ教徒ちゃんの消滅は、クロシュヴィアさんにとって衝撃的な出来事でした。伝説スライムがついに動き出すかもしれません。それは仕方のないことです。劇中では語られませんでしたが、デロデロ教徒さんはクロシュヴィアちゃんのものすごく遠い子孫で、実はとても気にかけていたのです

幽世とかその辺りの設定について、劇中でちゃんと説明したことはそういえばなかったかもしれません。曖昧な状態ではいろいろと困るかもしれないので、少々突発的ですが番外編として簡単な説明回を行いたいと思います。よろしくお願いします

クロシュヴィア氏も僧侶ちゃんも幽界樹の精霊さんも、愛深き方々でした。愛深きゆえに、背負うかなしみもまた――。
緑の国の太母こと妖精さんは特別図太い性格というわけではないのですが(むしろ妖精にしては繊細な方です)、どうにもならないことに対しては意識的に気にしないようにしているようです。しかし割と頻繁に取り乱したりもしているので、そのセルフメンタルコントロールはあまり上手くいっていないかもしれません
なお世界樹の精霊は、幽界樹の精霊と比べてドライです。世界の代弁者たる界樹の精霊には、彼女のような淡白な性格の者の方が向いているのかもしれません

クロシュさんはとてもがんばっていますが、その手は何もかもを救えるほど大きくありません。自ら消滅を望む者に対して、クロシュ氏にできることはなく……。手の届かぬ場所で消える命にも、為す術はありませんでした
あかちゃんスライムのクロシュは――静かにお祈りすることしか、できませんでした。
145 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/22(火) 23:00:45.96 ID:D8l7csZo0
 ―番外編 幽世について―

―某日
 聖ヴァレリオ教会 宿泊室

スライムクロシュ『……幽世って……どんなところ……?』モニョモニョ

妖精「幽世っていうのは……なんて言えば良いかなあ。こことは真逆の力が働いてる裏側の世界、みたいな……」

ミスティ「全然わからないわ……」

妖精「わ、私だって詳しく知ってるわけじゃないし……。イリス、世界樹の精霊を呼んでみてくれる?」

イリス「あ、うん。世界樹の精霊さんなら詳しいの?」

妖精「たぶん」

イリス「わかった!」

 蒼き星の杖「」ポワポワ…

世界樹の精霊「……呼んだ?」ポン

妖精「呼んだ。幽世について教えて」

世界樹の精霊「私はあなたたちの先生じゃないんだけど……。まあいい……教えてあげる……」

 *

幽世というのは、現世と対を成すもう一つの世界のこと。

こちら側では正の力……光・炎・水・風・地の五大属性が主流だけど、あちらでは逆に闇属性みたいな負の力が主流……。

本来は決して交わることのない現世と幽世だけれど……世界めくれが起きれば、たぶんこの二つの世界は混ざり込んでしまう……。

言うなれば……世界めくれっていうのは、二つの世界を隔てる膜に大きな穴が開いてしまうようなもの……。ひとたび穴が開けば、それは自然に閉じることなくめくれ上がり続ける……。反発しあう二つの力が、穴をどんどん押し広げていってしまうから。そうなれば……最期には、全ての力が対消滅を起こして……どちらの世界も、跡形もなく消え去ってしまう……と思う……。力の総量は、たぶん同じだから……。

幽世って響きからすると、なんだか死後の世界とかおどろおどろしい世界を想像するかもしれないけど……たぶん、そこで生きてる者たちはあなたたちとそこまで大きく違わないと思う……。ただ、魔力の向きが正反対ってだけ……。

ちなみに負の側にも五大属性はあったりする……。闇、氷、乾、凪、虚の5つね……。闇と氷以外は、こっちの世界じゃ滅多に生まれないから……あんまり馴染みがないかも……?

それぞれの属性は、対になっているの……。光と闇、炎と氷、水と乾、風と凪、地と虚……この組み合わせは、特に強い反発を生む……光属性と闇属性が強く反発しあうのは知っているでしょ……? それと同じって思ってくれたら、いいよ。

まあひとまずは、こんなところかな……。今日はもう疲れた……。他にも聞きたいことがあるなら、また後日ね……。

あそうそう、幽世と幽界は同じものだよ。いわゆる表記揺れってやつだね……。それじゃ……ばいばい……。

 *

 シュウウウン…

ミスティ「帰ってっちゃったわ」

イリス「幽世に負の属性かあ……なんだかロマンがあるね!」

妖精「対消滅なんて勘弁して欲しいとしか思わない……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ☆幽世についての知識を少し得ました

 ◆
146 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/22(火) 23:01:25.53 ID:D8l7csZo0
というわけで本編の更新は恐らく土日辺りになるかと思います

他にも質問等あればお気軽にお書き込みくださいませ
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/22(火) 23:44:15.92 ID:OyudRACdo
おつ
鏡合わせの世界って感じかな
という事は向こう側にも人が居て街があって文明がある…かもか
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/23(水) 13:11:06.97 ID:1PrNWq4b0

すまない幽霊樹の精霊との戦いがまさか土日以外でやるとは思わなくて参加出来なかったな…
ちなみに負の五大属性で氷と闇は分かるけど乾、凪、虚は下に書いた感じの魔法でいいのかな?
乾:周囲の物を干からびさせる魔法
凪:周囲の音を無音にさせる魔法
虚:周囲の物を崩壊させる魔法
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/24(木) 18:40:57.48 ID:+izooxRGO
乾、凪、虚は滅多に生まれないという事は中には使える人物が存在しているという事でいいのかな?
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 08:14:49.17 ID:GLZjsv61O

バイオレット姉妹到着前に方がついたか
151 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:05:07.46 ID:fpokyp670
幽世にも知的種族や文明が存在する可能性はあります。なお現世とは得意属性の比率が大きく異なるため、魔法体系や文明の在り方は大きく異なったものかもしれません。実際に見てみればわかるかもしれませんが、二つの世界の交わりは非常に危険なので観光等はとても難しいでしょう

そういえば特に告知していませんでしたが、祝日に更新することもあります。とはいえ参加できる時だけ参加するくらいで丁度良いのではないかと思います
乾属性の魔力は、物質や空間にある水分等の液体を除去する効果を持ちます。乾属性の魔法もそのような効果を活用したものが多いかもしれません。洗濯物の乾燥や干物作りに便利な属性です
凪属性の魔力は、気体やエーテル体の流動を停止させる効果を持ちます。凪属性の魔法もそのような効果を活用したものが多いかもしれません。凪属性の結界を張れば台風が来ても安心です
虚属性の魔力は、あらゆる物質を破壊して無に還す効果を持ちます。また、重力を無効化する作用もあるようです。虚属性の魔法もそのような効果を活用したものがあるかもしれません。極めて強力で危険な属性ですが、幽世にもこれを扱える者は多くないようです

現世で上記の属性を使える者は滅多に生まれませんが、乾と凪については少数ながら確認されているようです。虚については、現世で確認されることは歴史を遡っても滅多にないようです

バイオレット姉妹は戦争の準備に奔走していたため、すぐに王都へ駆けつけることはできなかったようです。そしてクロシュたちの活躍により状況は迅速に解決へ向かったため、彼女らの到着を待たずして事なきを得たようです
152 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:06:13.68 ID:fpokyp670
―王都セイントレア 滞在最終日

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:星霊の剣     盾:ラティアの大盾  飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の大杖    防:竜のエプロン   飾:不死鳥の羽根

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:蒼き星の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:ブラッドランス  防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:氷の短刀     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:蜥蜴一文字    盾:灼鋼の盾     飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:オリハル鎖帷子  飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の刀     防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*1       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*1       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   闇の欠片        精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中下   フリルワンピ水着    精霊樹の鉢植え+赤雷球
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    フメイとアリシラの人形
魔導飯盒        ガラスのザリガニ    メルルの帽子
妨害魔力波発生装置   踊り子の双剣      溶岩石のアミュレット
属性大全        サボテンドラゴンの花  太陽のメダリオン
魔王図鑑        精霊のローブ      暗黒優待券
氷精の魔導書      精霊樹の杖[改]    冒険者証(ランク1)
ブラッドワイン*1   銀のナイフ       大魔女帝国渡航権
吸血鬼殺ワイン*1   ダイヤメリケンサック  かたたたきけん
魔術書「正負の属性」  パラサイトソード    大魔女帝国滞在許可証
吸血鬼の日焼け止め               風船印のパラシュート
日蝕の傘                    ラティア勲章
大魔女サイン*1                ユーシリア王家の紋章
古代のセラミック
ステライト鉱石
晴れ乞い傘
チョコスムージー
ヒヒイロカネ
氷魔力結晶
魔導書「絶対零度」

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す(達成!)
・世界樹の光を追う[5/5](達成!)
・最悪の未来を阻止する(達成!)
◯努力目標
・カリスに造られた者たちを助ける(達成!)
・戦争を阻止する(達成!)
・大司祭を探す(達成!)
・枢機卿の悪事を暴く(達成!)
・レイの行方を追う(達成!)
◯仲間の目標
・カリス・ノーランドを討つ(達成!)

◯経験値
・クロシュ 剣技[01/09] 魔法[04/09] 防御[02/07]
・イリス  杖術[05/08] 魔法[16/16]
・ミスティ 剣技[05/09] 魔法[16/16]
・ローガン 剣技[16/16] 魔法[04/10] 防御[02/10]
・エバンス 剣技[16/16] 魔法[07/10]
……………………………………………………………………………………
□王都セイントレア
王城:未探索
城下:教会、孤児院、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド
   中央広場、公園、学校、図書館、博物館、劇場、闘技場、未探索
□セクリエ・ロイエ
大聖堂、大聖堂別館、美術館、庭園、お土産屋、未探索、他
……………………………………………………………………………………
☆激しい戦いを終え、全員が多くの経験値を獲得しました
☆クロシュの剣技レベルと魔法レベルが1上がりました
☆イリスの杖術レベルが1上がりました
☆ミスティの剣技レベルと魔法レベルが1上がりました
☆ローガンの魔法レベルと防御レベルが1上がりました
153 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:06:59.33 ID:fpokyp670
―数日後
 王都セイントレア 市街

 ワイワイ ガヤガヤ トンカントンカン ガラガラ

エバンス「かなり早いペースで復興が進んでるな」スタスタ

ローガン「うむ。芸術都市での一件を経て、緊急事態におけるノウハウが共有されていたようだ」

イリス「大陸内の各地から支援物資も届いてるみたいです。驚きなのが、魔族国が真っ先に支援を申し出て、アルベール王がそれを受け入れたという……」

ミスティ「王国と魔族国の関係も改善していくと良いわね……」

ティナ「実は私たちの傭兵団も支援を行っていたりする。国家からの支援に比べれば雀の涙だが」

エバンス「こういうとこで売り込んでおけば次の依頼に繋がる、てのが団長のやり方なんだ」

イリス「へえ〜……! それなら一石二鳥ですね!」

 新聞「」ヒラヒラ

ローガン「む、新聞だな」パシッ

 新聞「枢機卿グランドマスター氏、内乱罪等複数の容疑により逮捕」バサッ

ミスティ「グランドマスター……あ、ようやく逮捕されたのね」

エバンス「内乱罪……こりゃ大変な裁判になりそうだな」

イリス「……あれ、お母さんグランドマスターの用心棒やってたけど大丈夫なの!?」

ティナ「大丈夫。依頼主の不手際でこちらが罪に問われるような迂闊な契約はしてないから」

 ◇

―聖ヴァレリオ教会

 秘伝パスタ「」ポン!

レイ「んんん〜〜! ひゃばのめひはおいひい〜〜〜!!!」バクバクモグモグ

クレア「レイ、食べながら喋らないように」

レイ「ひゃいっ!」ビクッ

ミラ「グランドマスター卿の逮捕でレイの指名手配が不当なものだったこともわかって、ひとまずこの教会の預かりになったんですよね」

クレア「はい。同郷の馴染であるあなたが一緒なら、レイも暮らしやすいでしょうから」

ザック「しっかしレイちゃんがまさか指名手配犯でしかも冤罪だったなんてな……全然気付かなかったぜ!」

レイ「でへへ〜しかもしかも、今まで指名手配で酷い目にあわされた分いっぱい賠償金がもらえるんだって! 指名手配さまさまだよォ〜」

クル「ふふ、そうだね。孤児院にいっぱい寄付してくれると嬉しいなぁ」

クレア「……まあ、本人がこれだけ前向きなら良いのでしょうか……?」

 ◇
154 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:07:29.83 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室

黄スライム『セインセイン、スライムやって! スライム!』モニョモニョ

セイン「ああ」

 デロデロ…ポン!

スライムセイン「〜〜」モニョニョ

黄スライム『んわわ〜!』キャッキャ

灰スライム『すっかり形態変化にも慣れたね……』モニョモニョ

スライムセイン『ああ。慣れるとこの姿も悪くない』モニョモニョ


フレア「むむ〜……私もスライム化できないかな……」グググ

灰スライム『やろうとすればできるんじゃないの。スライムの因子は入ってるらしいし……』モニョモニョ

アイス「……アイスも、スライム……?」

黄スライム『クロシュちゃんが、アイスちゃんもスライムっぽかったって言ってたよ!』モニョモニョ

アイス「むっ……クロシュのくせに、なまいき……」

 コンコン

灰スライム『!』モニョッ

セイン「……誰だ?」スッ


扉の向こう「フラナ・バイオレットよ。こちらにフリューゲル・バイオレットが滞在していると聞いて来たのだけれど」

セイン「……あいにく、フリューゲルは外出している」

扉の向こう「どこに行ったかはわかるかしら」

セイン「魔女の茶会だそうだ。場所は聞いていない」

扉の向こう「……わかった。ありがとう、失礼するわ」スタスタ


黄スライム『行っちゃった』モニョニョ

アイス「……フラナってだれ?」

フレア「フリューゲルさんの娘さんだ! 確か、今の魔族国で一番偉い……」

灰スライム「……フリューゲル……せっかく自由になったのに、まだ家族に伝えていないのかも……」

 ◆
155 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:08:04.71 ID:fpokyp670
―王都セイントレア 喫茶店

 カランカラン

フリューゲル「……」スタスタ

ベスティア「あ、フリューゲル」

フリューゲル「ベスティア……久しぶりね……」スッ

 席「」トン

ベスティア「そうですね……。でも無事で良かったですよ、フリューゲル」

フリューゲル「お節介な焼き鳥のお陰でね……」

 カランカラン

クローディア「だーれがお節介な焼き鳥よ」スタスタ

ベスティア「クローディア。珍しいですね、三番目なんて」

クローディア「時間には間に合ってるでしょう」

フリューゲル「……あとはクロシュヴィアとリリーツィアね。リリーツィアはいつも時間ギリギリだったっけ。クロシュヴィアは不規則で」

クローディア「……いえ、あの二人は来ないわ」

ベスティア「えっ!? せっかくのフリューゲルの復帰祝いなのに……!?」

クローディア「それどころか連絡すら付かないの。あいつらのことだから心配はいらないと思うけれど」

ベスティア「まあそれもそうですね。でもちょっと意外です……クロシュヴィアならフリューゲルの復帰と聞けば喜んで来そうなのに」

クローディア「それが腑に落ちないのよ。あいつ、なんだかんだで友達想いだしお祝いごととかも好きだったはずなのに」

フリューゲル「………まさか、世界めくれに巻き込まれたとかじゃないわよね?」

クローディア「それはない……と思うわ。クロシュヴィアを消し去るほどの規模にはなってなかったと思うし」

フリューゲル「なるほど……確かに」

クローディア「来ない者を待っても仕方ないし、私たちだけで始めるわよ。まずフリューゲルの復活を祝して――」

ベスティア「乾杯〜」

フリューゲル「はぁ……乾杯」

 カチャン

 *
156 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:08:31.89 ID:fpokyp670

ベスティア「――ええっ!? まだ魔族国に一度も戻ってないんです!?」

フリューゲル「ええ……」

クローディア「……てことは、フラナとフレメアにも会っていないわけね」

フリューゲル「合わせる顔がないわ……」

ベスティア「でも、娘さんたちは会いたがってるんじゃないですか……?」

クローディア「実際会いたがってるわ。カリスの呪いの解析と解呪魔法の作成にはフラナにも協力してもらったのよ」

フリューゲル「………どうして……私なんかの為に……」

クローディア「考えるまでもないでしょう。あなたが彼女たちを愛し、そして愛されているからよ」

フリューゲル「……っ」

ベスティア(そういう言葉をさらりと言ってのけるのは流石です、クローディア)

クローディア「今あなたがすべきは、あの子たちに元気な姿を見せて安心させてあげることよ。合わせる顔だの贖罪だの、そういうのは後で考えれば良いの。わかった?」

フリューゲル「………考えてみるわ……」

 カランカラン

クローディア「ん……?」


フラナ「……」スタスタ

フレメア「……」スタスタ


ベスティア(あ)

ベスティア「あっ……ああっ……」アタフタ


フラナ「……ん? あっ……お、おか………」

フレメア「お母様っ!!!」シュバッ

 ダキッ

 ◇
157 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:09:03.10 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室

 荷物「」ギュッギュッ

聖女「……」

大司祭「もう発つのか」

聖女「はい。そろそろ魔族国の教会に戻らないと」

大司祭「……僧侶のことは心配するな。私の方でも行方を追っておく」

聖女「……はい」


聖女(……取り返しがつかないことは……どうにも、ならない……)

聖女(……どう足掻いても……デロデロ教徒ちゃんが戻って来ることは……もう……)

聖女(………結局……私は、何もできない……)

聖女(口先の理想論ばかりを唱えて……何一つ、救えない……)

聖女(……結局……ここは……)

聖女(尽きることのないかなしみが繰り返される……どうにもならない世界なの……?)

 ◆
158 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 18:10:02.36 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会 屋根の上

 チュンチュン

クロシュ「……」

妖精「………デロデロ教徒……見当たらないね……」

クロシュ「うん……」

 買ってきたチーズケーキ「」

クロシュ「……」

妖精「……僧侶とクロシュヴィアと一緒に、次の布教に行ったんだよ。きっと」

クロシュ「……」


妖精(きっとクロシュは……私の言葉がただの気休めでしかないことに、気付いている……)

妖精(聖女が言ったように、僧侶がただならぬ雰囲気で夜中に出ていったのだとすれば……多分、その理由は……)

妖精(…………)


妖精「……私たちもそろそろ準備しよう。王都を出て……帰るべきところへ、帰らなきゃ」

クロシュ「……」

妖精「何もかもが上手くいったわけではないけれど……私たちは、最善を尽くした。それで世界の崩壊は防げたんだから、あかちゃんスライムの成果としては大金星だよ。だから……」

クロシュ「……うん」

 ボンッ!

フメイ「クロシュ、ここにいたんだ」ストッ

クロシュ「フメイちゃん……」


アリシラ「ちょっとぉ〜屋根の上なんて登れないよぉ〜」ヨジヨジ

妖精「て言いながらよじ登ってる……」


フメイ「出発の準備、できたよ」

クロシュ「!」

フメイ「セインたちもできたって。クロシュたちは?」

妖精「私たちももうすぐ。明日には発てると思う」

フメイ「わかった」

アリシラ「王都とももうお別れかぁ……。結局滅ぼせなかったなぁ……。星の力も渡しちゃったし……」

妖精「まだ諦めてないの?」

アリシラ「どうでも良くはなってきたかな。みんなが助かるなら恨む理由もなくなっちゃうしさ」

フメイ「……集落が襲った奴らは、カリスがフメイたちを捕まえようとして差し向けた王国兵だったみたい。だから、元凶のカリスをやっつけた今はほんとにもう恨みがない」

妖精「なるほどね……。まあ恨みがないなら良かったよ」

クロシュ「うん……」


 買ってきたチーズケーキ「」


クロシュ(デロデロ教徒ちゃん……)

クロシュ(わたし………何が、できる……?)


 ☆努力目標を5つ達成したので自由行動が5回分追加されます


王都セイントレア滞在最終日。行動終了後、世界樹の巻エピローグに移ります
↓1〜8 自由安価 何をする?
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:11:31.29 ID:+Z3tLwZE0
>>11でアリシラの態度が気になっていたクロシュ、アリシラの両親を含めて四者面談実施
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:14:31.81 ID:DXprSy5R0
クロシュ、皆での集合絵を描く
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:16:50.08 ID:bw/IZZbNo
クロシュ、スライム通信でクロシュヴィアに釘でも差しとく
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:17:35.32 ID:Pv00PG4GO
イリス親子、バイオレット親子と会食
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:18:10.76 ID:IyMMFekyO
ミラ達からレイが幽界樹クリファの巫女名乗り黒い影の魔物を消した事を聞いたクロシュと妖精と世界樹の精霊がレイと話をしてみる
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:18:19.67 ID:e5IEM+JEO
実験体やヴィアを含めた王国スライムたちとデロデロ談義
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:47:05.64 ID:YxMA8sEvO
酒場か食事処で皆で宴会
これまでの思い出を振り返る
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 18:53:18.67 ID:Q0GFjaRAO
逮捕されたグランドマスターを煽り散らかして多少溜飲を下げよう
167 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 20:44:31.57 ID:fpokyp670
―王都セイントレア 騎士団屯所

クロシュ(わたしたちは、いきなり王国の騎士さんに呼び出されて……グランドマスターさんのことについて、いろいろ聞き取りされた……)

王国騎士「協力感謝する。下がって良いぞ」

妖精「ねえ、グランドマスターとは面会できるの?」

王国騎士「面会希望か? 構わないが手短に。我々も暇ではないんでな」

ミスティ「私たちも暇じゃないところを呼び出されたんだけど……まあいいわ。せっかくだし文句の一つでも言ってってやりましょう」

 *

―王都セイントレア 留置所

 鉄格子「」ガシャン

グランドマスター「……貴様たちは……一体何用ですか?」

ミスティ「特に用はないわ」

妖精「ちゃんと捕まってるとこを確認したかっただけだよ。あなた、カリス以下の重罪人だからね」

グランドマスター「ふん、好きに吠えるが良い。無罪判決を勝ち取った暁には、必ずやあなた方地獄の底に叩き落としてくれましょう」

妖精「衛兵、中にいる人に脅迫されたんだけど」

衛兵「はあ……罪状を追加されたくなければ不用意な発言は控えてください」

グランドマスター「この……! 今に見ていろ、下劣な劣等種共が……!」


クロシュ「……」


どうする?
↓1選択
1.動機を問う
2.どうでもいい
0.自由安価(状況にそぐわないものは再安価)
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 20:51:22.47 ID:6HqwxOWg0
1
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2025/07/26(土) 21:13:20.94 ID:kn3hrEsh0
オットマン 人間家具 聖水 脚マッサージ
脚フェチ フークラ パンスト 下着
臭いフェチ 体液フェチ 圧迫フェチ
ビンタ 灰皿 尻蹴り 水責め
腹ボコ 金蹴り 締め 
浣腸 アナル 黄金  
170 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 22:01:56.98 ID:fpokyp670
クロシュ「……なんで……あんなこと、してたの……?」

グランドマスター「あんなこと?」

クロシュ「えっと……」

ミスティ「なんであの妙な部屋を作って魔力を搾取してたのかって聞いているのよ。そんなこともわからない?」

グランドマスター「……フン、使い道のない愚劣な連中を有効活用していただけですよ。あっさり殺してしまうより、死ぬまで絞り上げる方がサステナブルでクレバーでしょう? この王国全域にあの魔力タンクを行き渡らせれば、王国民はより経済的で優れた生活を送れるようになるはずだったのに……あなた方のせいで全てが水の泡ですよ」

クロシュ「……」

妖精「はあ……真面目に聞くだけ無駄だよ、クロシュ。こいつはカリスと同列の、吐き気を催す真の邪悪だ。王都の法廷がこいつを正しく裁くことを祈ろう」

クロシュ「うん……」

ミスティ「こいつに一刻も早く罰が下ることを願うわ……」

 ◇
171 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 22:02:51.31 ID:fpokyp670
―聖ヴァレリオ教会

ミラ「そういえば妖精さん、あの時レイが『幽界樹クリファの巫女』みたいなことを言ってたんだけど、どういうことかわかる?」

妖精「えっ!? ど、どういうことだろう……? 世界樹の精霊、今いる?」

世界樹の精霊「いる。レイ・アンバーが幽界樹クリファの巫女……なわけない。彼女は現世生まれ現世育ちの人間だもの……」

ミラ「でもあの時レイは、そう名乗って影の魔物たちを消し去ったんだ」

世界樹の精霊「え、そうなの……。どういうことだろう……」

妖精「邪教の儀式だか実験だかが関係あるのかも。邪教の正式名称も確かクリファ教だったし」

世界樹の精霊「……レイ・アンバーをここに呼んでもらえる?」

ミラ「わかったよ」

 *

レイ「え、なになに……なんでそんな怖い顔で私のこと睨むの……」オロオロ

世界樹の精霊「脱いで」

レイ「ひっ、ひええっ……!?!?」

妖精「あ〜、ちょっと身体に刻まれた魔法陣を確認したいんだ。悪いけど良いかな?」

クロシュ「レイさん……だいじょうぶ……」

クル「レイの為なんだよ?」

レイ「わ、わ、わかりまひた……優しく、してくだひゃい……!!」

 ヌギヌギ…

世界樹の精霊「……驚いた。これ、幽界樹と接続する為の術式……」

妖精「ええっ……!? そ、そんなこと可能なの!?」

世界樹の精霊「普通は不可能。でもこのレイ・アンバーは極めて高い闇属性適性を持っている……。どちらかと言うと幽世の方が親和性が高いと言えるくらいに……。そんな人間だからこそ、幽界樹と繋がることができたのかも」

レイ「え、ええっとぉ……どういうことなんです……? 私、もしかしてやばい……?」

世界樹の精霊「すごくやばい」

レイ「ひえぇ……」

世界樹の精霊「今のところ安定しているけれど、バランスが崩れればレイ・アンバーを起点にまた世界めくれが発生する可能性もある。でも……それに幽界樹の精霊が気付いてなかったとも思えない……。なぜ彼女は、レイを利用しなかったのだろう……」

妖精「……そういえば、レイはロイエ教の奴らに狙われてた。もしかして……あれって、使徒の……幽界樹の精霊が差し向けてたんじゃ……?」

世界樹の精霊「……でも、幽界樹の精霊ならわざわざ本人を捕まえなくても、幽界樹との繋がりを通してレイを利用することはできたはず……。わざわざそうしなかった理由がわからない……」

クロシュ「……世界めくれの、起点になったら……レイさんは、どうなっちゃったの……?」

世界樹の精霊「真っ先に消滅してたと思う」

レイ「」クラクラ

クル「レイ、しっかり!」

世界樹の精霊「……レイを利用すれば、世界樹の光がなくたって世界めくれを起こせたはず……。うーん……なぜわざわざ世界樹の光を使って、無理矢理穴をこじ開けるような非効率な真似を……」

クロシュ「………使徒さん……レイさんと……お話、したかったのかも……」

世界樹の精霊「え……?」

クロシュ「………むりやり、やるより……レイさんに、確認を……取りたかったのかも……」

世界樹の精霊「確認……」

クロシュ「うん……」

妖精「……幽界樹の精霊は、レイが儀式に成功した時からずっと見守ってたんじゃないかな。だから……了承も得ずに勝手に利用して消し去るのは、忍びなかったとか……。勝手な想像だけどね」

世界樹の精霊「………そうだね。あの幽界樹の精霊は……優しかったから……そういうことを、考えてしまったのかも」

レイ「………」
172 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 22:03:25.17 ID:fpokyp670

世界樹の精霊「……その魔法陣、消したい?」

レイ「えっ……!? け、消せるの?」

世界樹の精霊「幽世との繋がりを断てば、自然に消える。界樹の精霊である私なら、難しいことじゃない」

レイ「そ、そうなんだ……」チラッ

 レイの身体に刻まれた魔法陣「」

レイ「…………」

世界樹の精霊「どうする?」

レイ「あっ、いや……これがあると……なんか、危ないんですよね……?」

世界樹の精霊「うん。でも、バランスが崩れないように調整することも、できる……。その場合……今までより、魔法の出力は落ちるけれど……私の手腕なら、絶対安全」

レイ「………じ、じゃあ……調整で、良い、ですかっ……?」

世界樹の精霊「調整で良いの? 消すのではなく?」

レイ「………はい。えっと……影の魔物には、何度も助けられて……愛着も湧いてるし……。さっきの話、聞いて……私のこと、気遣ってくれてた人? がいたのかもって、思うと……なんだか、消しちゃうのは、寂しいし……」

世界樹の精霊「わかった。じゃあ少しじっとしててね」

レイ「は、はいっ……!」

 *

 シュウウウン――ポン

世界樹の精霊「はい、おわり。前よりも弱くなっちゃったけど、もうあなたの制御を離れて暴走する、みたいなこともなくなる。当然、世界めくれの心配もない」

レイ「わ、わわっ、わわーっ! ありがとございます! ありがとございます!」ペコペコ

クル「良かったねぇ……ほんとに良かった」

レイ「う、うんっ……!」

クロシュ「んへへ……よかった……!」

妖精「でも意外だなあ。世界樹の精霊はこういうの絶対消したがると思ってた」

世界樹の精霊「……私も、そこまで鬼じゃない……。幽界樹の精霊の結末にも……思うところ、あったし……。それに、もし次の幽界樹の精霊が生まれたら、レイを通してお話できるかも」

妖精「なるほど。異なる界樹の精霊同士で話なんて本来は絶対にできないもんね」

世界樹の精霊「そういうこと……。まあ、期待せずに見守る……」

 ☆レイの魔法陣が安定化しました
173 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/26(土) 23:00:47.87 ID:fpokyp670
―???

 空に浮かぶ白い光「」ユラユラ

 地上に瞬く無数の光「」チカチカ


 モニョモニョ… モニョモニョモニョ…


クロシュ「……クロシュヴィアちゃん」

クロシュヴィア「クロシュちゃん……ごめんね……。王都に来たのに、挨拶もせずに僧侶ちゃんを連れてっちゃって」

クロシュ「んーん……。それより……デロデロ教徒ちゃんの、こと……」

クロシュヴィア「………あの子は……負の力にぶつかって、完全に消えた」

クロシュ「……!!」

クロシュヴィア「………わたしの、せいなんだ」

クロシュ「……?」

クロシュヴィア「わたしがね……あの子と僧侶ちゃんを……王都に行かせたの。僧侶ちゃんは王都のことを詳しかったし、あの子は私の仲間たちの中でも擬態が上手だったから、二人で上手くやれるって、思ってた」

クロシュ「……」

クロシュヴィア「でも……わたしも、一緒にいてあげるべきだった。僧侶ちゃんは少し戦えるけれど、ものすごく強いわけではないし……あの子も、あんまり強くなかったのに……。わたしが、二人だけで行かせちゃったから」

クロシュ「……」

クロシュヴィア「あの子ね……反映魔法が使えたの。わたしやクロシュちゃんとおんなじ……。詳しく見てみたらね……ほんの僅かだけれど、わたしの因子が入ってた……。きっと……わたしの、ものすごく遠い子孫……」

クロシュ「………」

クロシュヴィア「それなのに……わたし……あの子のこと、守ってあげられなかった……。わたしのせいで、生まれた命なのに……わたしのせいで……消えちゃった……。何もかも……最初から最期まで、全部、全部、わたしの責任」

クロシュ「…………」

クロシュヴィア「だから……わたしもう、手段を選ばない」

クロシュ「!」

クロシュヴィア「クロシュちゃんは、みんなをちゃんと説得するのが良いって言ってくれたよね。わたしもね……理想論としては、そう思う。でもね……それじゃもう、間に合わないの」

クロシュ「!!」

クロシュヴィア「一刻も早く、この世界をデロデロにする。あの子にはもう……永遠に、届かないけれど……それでも……一つでも多くの命を、救うの……!!」

クロシュ「!!!」

クロシュヴィア「クロシュちゃんも……応援、してくれる……?」


わたしは――
↓1〜 先取3票
1.応援する
2.使徒の言葉を伝える(最期のデロデロは誰が救うの?)
0.自由安価(票数は内容ごと)
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 23:01:38.77 ID:DXprSy5R0
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 23:03:48.17 ID:hJnVt0eHo
2
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 23:08:45.86 ID:+Z3tLwZE0
2
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/26(土) 23:08:53.29 ID:bw/IZZbNo
1
178 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 00:09:25.24 ID:wcKb1zkK0
クロシュ「……最期に、残った……デロデロは……誰が、救う……?」

クロシュヴィア「ふえ……?」

クロシュ「えっとね……。使徒さん……幽界樹の、精霊さんが……。最期のデロデロが……救われなきゃ、だめって……」

クロシュヴィア「??」

 *

 ――使徒「星ごと呑み込んで全ての命をしあわせにしたデロデロの最期が、新しいごはんを食べることもできず、友達とお喋りすることもできず、独りぼっちで宇宙を漂い、静かに冷えて死んでいくものだとしたら――それは、あまりにもむごい末路ではありませんか」

 ――使徒「永遠はありません。不死の炎も、星の鼓動も、太陽の熱も――いつかは翳り、滅びる運命(さだめ)。独りぼっちのデロデロが、最期までしあわせな夢を見ていられるのか――私には、わかりません」

 *

クロシュ「……使徒さんはそんなようなこと、言った……。わたしも……答え、出せない……」

クロシュヴィア「……」

クロシュ「……クロシュヴィアちゃんが……犠牲になっちゃうのも……やだ……」

クロシュヴィア「……んーん。クロシュちゃん……勘違い、してる」

クロシュ「ほえ……?」

クロシュヴィア「わたしは……救われなくて、良いの」

クロシュ「……!?」

クロシュヴィア「わたしのせいで……あの子は救われずに、消えたの……。だから……わたしも、救われちゃいけないの」

クロシュ「……!!」

クロシュヴィア「わたしの犠牲で、みんなが救われるなら……わたし、犠牲になる。それで……全部、解決」

クロシュ「……だめ。やだ。そんなの……だめ……!!」

クロシュヴィア「ふふ……クロシュちゃんは、優しいね……。でも、もう決めたの」

クロシュ「……!!!」

クロシュヴィア「心配してくれて、ありがと……。ごめんね……」

クロシュ「デロデロ教徒、ちゃんが……クロシュヴィアちゃんが、犠牲になるってこと、知ったら……! 絶対、絶対……反対、する……!!」

クロシュヴィア「うん……すると、思う……」

クロシュ「うん……! だからっ……!!」

クロシュヴィア「でも……もう、反対さえ……してくれなく、なっちゃった……。それも……わたしの、せい……」

クロシュ「……!!!!」

クロシュヴィア「……クロシュちゃん……最期の数日間だけど……あの子と、仲良くしてくれて……ほんとに、ありがと……。短い間だったかもしれないけれど……きっと……みんなと、楽しく過ごせて……しあわせだったと思う」

クロシュ「――」

クロシュヴィア「今日も……わたしと、お話してくれて……ありがと……。クロシュちゃんが、わたしのこと、心配してくれたこと……一生、忘れない」

クロシュ「――――」

クロシュヴィア「それじゃあ……ばいばい。いつか……わたしの中で、クロシュちゃんもしあわせにしてあげるから。それまで、どうか、絶対に消えないでね……。絶対に……絶対に、消えないで―――……」

クロシュ「クロシュヴィアちゃ―――」


 ―――――プツン――――――……


 ◇
179 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 00:15:38.72 ID:wcKb1zkK0
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室

スライムクロシュ「――〜〜〜!!!!」モニャニャニャニャ!!!!

妖精「うわあっ!? いきなり何!?」ビクッ

 デロデロ…

スライムクロシュ「」デロロ…

妖精「今度は急に溶けちゃったし……。何があったの?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…

 *

妖精「え、クロシュヴィアが……手段を選ばないって……!?」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ

妖精「ど、どうしよう……クロシュヴィアが本気で世界デロデロ化を目指すなら、かなりまずいんじゃ……」

 コンコン
 ガチャッ

眼鏡美人ヴィア「こんにちは。明日出発と聞いてお別れの挨拶に……と思ったのですが、今クロシュヴィアと言いましたか?」

妖精「え、ああ、うん……。そういえばヴィアはクロシュヴィアの株分けなんだっけ……?」

ヴィア「はい。クロシュヴィア本人とはほとんど面識がないですけれども」

 ガチャッ

黄スライム『伝説スライムのクロシュヴィアのお話!?』モニョニョ

灰スライム『興味ある……。わたしたちも、混ぜて……』モニョモニョ

セイン「すまない、急に入り込んでしまって。構わないか?」スタスタ

妖精「それは構わないけど……そうだクロシュ、みんなにもデロデロのことを聞いてみたらどうかな? クロシュヴィアを説得する良い糸口が見つかるかも」

スライムクロシュ「!」モニョッ

ヴィア「面白そうですね。是非聞かせてください」

 ◇
180 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 00:16:21.23 ID:wcKb1zkK0
本日はここまで。次回はデロデロ談義編から開始となります

意志を固めたクロシュヴィアの心に、クロシュの言葉は届かなかった。いや、届かなかったわけではない。クロシュの真摯なる優しさは、確かに届いていた。その想いは、クロシュヴィアの決意をより強く、鮮烈に熱した。
悲哀に満ちる決意を秘めた伝説スライムに対し、あかちゃんスライムに成し得ることなどあるのか。
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 02:21:50.20 ID:G3pdw3tIo
おつでした
一人では説得できないか
だがこちらはクロシュ一人ではなーい!

スライムの密度が急上昇する空間すき
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 07:57:33.68 ID:fJEcAFvUo
魔女たちなら力付くで連れ戻せそう
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 14:59:01.82 ID:GEu9jyVLO
強キャラ属性スライムの中のトップともなると敵に回すとかなり厄介そう
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 17:26:24.72 ID:K6NZPwaxO
黄スライムと灰スライムにも名前あるのかな?
過去の募集キャラの流用?
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 17:54:16.67 ID:fJEcAFvUo
ヴィア筆頭にクロシュヴィアの分株たちはデロデロ派なのだろうかこれから敵になるのか
186 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 18:10:43.62 ID:wcKb1zkK0
クロシュヴィア氏の説得はものすごく困難ですが、スライムが集まればクリティカルなアイデアが湧くかもしれません。三人よれば文殊の知恵、船頭多くして船山に登るというコトワザもあります
スライムが多い場ではモニョモニョというスライム語のおしゃべりが聞こえてきそうですが、実のところスライム語は人の耳では聞き取りづらい周波の音なため、スライムたちがはしゃいで大騒ぎしても人間にとってはあまりうるさくないようです。でもぴょんぴょん飛び跳ねたりすれば流石にうるさいかもしれません

魔女集会の面々は強い力を持っていますが、クロシュヴィアを強引に連れ戻すのは至難だと思われます。クロシュヴィア氏は普段はとぼけていますが、本気を出した場合の脅威度・危険度はあのカリス・ノーランドを超える――と大魔女クローディアは思っています。そのような恐ろしい相手なので、クロシュヴィアの感情を刺激するようなやり方は悪手となる可能性が高いでしょう

全てのスライムが強いわけではありませんが、カリス・ノーランドが目を付ける程度にはスライム類のポテンシャルは輝きを秘めています。そしてその中で伝説とまで言われたクロシュヴィアは実際すごいのですが、当然敵に回すととても厄介であると言えるでしょう。しかしクロシュヴィアを止めるならば、衝突は避けられないかもしれません

黄スライムと灰スライムに固有の名前はありません。カリス・ノーランドが名前を与えなかったからです。なお本人たちや周囲の者たちは、黄色ちゃん、灰色ちゃんというような呼び方を採用している場合が多いです
フレアさんは過去に募集した案を使わせていただきましたが、黄スライムさんと灰スライムさんにそのような原案はありません

クロシュヴィアの株分けといってもクロシュヴィアにその思考・思想を支配されているわけではないので、最終的に彼女らがどう判断するかは彼女ら自身の心に委ねられています。とはいえ元々がクロシュヴィアだったことを踏まえると、デロデロ思想に共感しやすい面はあるかもしれません
187 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 18:11:11.22 ID:wcKb1zkK0
 今クロシュが描いたデロデロ世界の絵「」デロデロ

黄スライム『んわぁ〜!』モニョニョ

灰スライム『デロデロだ……』モニョモニョ

セイン「この絵に描かれた世界のことか」

スライムクロシュ『うん。セインさんには……前に、砂漠で、聞いたかも……』モニョモニョ

セイン「ああ。僕の考えはあの時と変わらない。悪いことではない、と思う」

スライムクロシュ『んへへ……』モニョモニョ

妖精「ちょっとクロシュ、喜んでどうするの。これを実現しようとしてるクロシュヴィアを止めたいんでしょ?」

スライムクロシュ『んわ……!』モニョッ

ヴィア「……クロシュヴィアが、これを実現しようと……。もしかしてデロデロ教のことですか?」

妖精「うん。みんな、デロデロ教のことは知ってる?」

黄スライム『あんまり!』モニョニョ

灰スライム『聞いたこと、あるくらい……』モニョモニョ

セイン「多少なら」

妖精「じゃあ改めて説明すると……デロデロ教っていうのは、伝説スライムのクロシュヴィアが指導者を務める新興宗教団体。前にクロシュが芸術都市でそれと同じような絵を描いたんだけど、クロシュヴィアがそれに感銘を受けて設立したらしい。教団の目的はその絵に描かれているように、全てがデロデロに溶け合った世界を実現すること。そうすることで、世界に生じるあらゆる苦しみや悲しみを克服するのが狙い……なんだよね?」

スライムクロシュ『うん』モニョモニョ

黄スライム『わあ〜! それすっごくいいと思う!』モニョモニョ

ヴィア『……』

灰スライム『……? クロシュは、デロデロ教と関わってるわけじゃないの……?』モニョモニョ

スライムクロシュ『うん……クロシュヴィアちゃんとは、友達だけど……わたしは、関わってないと思う……』モニョモニョ

灰スライム『そうなんだ』モニョニョ

黄スライム『ねえ、灰色ちゃんはどう思う?』モニョモニョ

灰スライム『ん……まあ、良いんじゃないの。みんなデロデロになれば……面倒なこと、減りそうだし……』モニョモニョ

黄スライム『んわわ〜!』キャッキャ

スライムクロシュ『ヴィアさんは……どう……?』モニョモニョ

ヴィア「……率直に申し上げれば……私も、同じ意見です。理想的な解の一つではないかと思います」

妖精「やっぱりスライムにとっては抵抗のあることじゃないんだなあ……種族の差を感じる……」


 扉「」ガチャッ

フレア「みんなここにいたの!? ずるいよ、私たちだけ仲間外れなんて!」プンスコ

アイス「………クロシュ、さいてい……」ジト


スライムクロシュ「〜〜!?」モニャニャ!?

セイン「……すまない、仲間はずれにしたつもりはなかったんだが……」

黄スライム『ねえねえ、それならフレアちゃんとアイスちゃんも一緒に考えよ!』モニョモニョ

アイス「?」

フレア「何のお話?」

 *
188 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 18:11:39.68 ID:wcKb1zkK0
フレア「デロデロ世界……! すごいこと考えるんだねえ、クロシュちゃん……!」

スライムクロシュ『んへへ……』モニョモニョ

灰スライム『……フレアとアイスから見て、どう……? 二人とも、一応スライムが混ざってはいるらしいけど……基本的には、人型だから……意見を聞いてみたい……』モニョモニョ

フレア「うーん……実を言うと、よくわからなくて想像がつかない……というのが正直なところかなあ……」

スライムクロシュ『そうなんだ……』モニョニョ

フレア「ごめんね! 私もみんなみたいにデロデロに溶けてスライムの姿になれれば、わかるようになるのかなあ?」

妖精「どうだろう……まあ、無理にわかるようになる必要もないと思うけど」

スライムクロシュ『アイスちゃんは……』モニョモニョ

アイス「……アイスは……やだ」

スライムクロシュ「!!」ガーン!!

アイス「……よくわかんないけど……ばかクロシュのおもいつきなら、きっと、まちがってる……」

スライムクロシュ「!!!」ガガーン!!!

フレア「あ、アイスちゃん!!」

セイン「アイス……誰が言ったかで物事の良し悪しを判断するのは良くない。クロシュが言ったかどうかではなく、言ったことの内容を考えて判断して欲しい」

アイス「…………」

スライムクロシュ「……」

アイス「……まあ……いいんじゃないの……。デロデロになっても……」

スライムクロシュ「!」パァァァ

アイス「……やっぱりうそ。デロデロなんて、だめ」

スライムクロシュ「!!」ガーン!!

妖精(カリスがいなくなってもアイスの態度は相変わらずなんだ……)

 *

セイン「しかし僕の知る限りでは、デロデロ教は奇抜な団体ではあるもののその活動は穏当なものだったはずだ。なぜ急に方針転換を?」

スライムクロシュ『えっと……デロデロ教の、子が……この前の世界めくれで……消えちゃって……』モニョモニョ

セイン「……!」

スライムクロシュ『クロシュヴィアちゃんは……全部、自分のせいだって、思って……。もう、こんなことにならないように……デロデロ化を、急ごうとしてるみたい……』

フレア「そうなんだ……」

スライムクロシュ『……でも……デロデロは……デロデロ自身を、救えないかも……』モニョモニョ

黄スライム『え、どういうこと?』モニョニョ

スライムクロシュ『みんなが、デロデロになれば……それでみんな、救えるって……わたしも、思ってた……。でも……デロデロの中心になる、スライムの心は……たぶん……最期まで、現実にいなきゃ、いけない……』モニョモニョ

灰スライム『えっ……。じゃあ、デロデロは……世界中の命を救ったら……最期には、独りぼっちになっちゃう……?』モニョニョ

スライムクロシュ『うん……。クロシュヴィアちゃんは……それで、良いって……。自分が犠牲になって、みんなを救えれば、良いって……思ってる、みたい……』モニョモニョ

フレア「そんな……」

スライムクロシュ『だから……わたし、反対した……。でも……クロシュヴィアちゃん、聞いてくれなかった……』モニョモニョ

ヴィア「……」

スライムクロシュ『みんな……クロシュヴィアちゃんを、思いとどまらせる方法……何か、ない……?』モニョニョ

セイン「……」


↓1コンマ
01-05 デロデロをもう一つ作れば良いかも!
06-20 デロデロが自分で自分を救えれば良いかも?
21-80 殴って止めるしかない
81-95 根気強く説得を続けるしかない
96-00 ???
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 18:13:22.88 ID:ufSbvn6qo
さて
190 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 20:19:59.61 ID:wcKb1zkK0
セイン「……死者への想いが原動力になっているなら……言葉を尽くしても、届かないかもしれない」

スライムクロシュ「……」

セイン「それでも……昨日、クロシュヴィアがクロシュとの対話に応じたのなら……可能性はあるのかもしれない」

スライムクロシュ「……!」モニョ

フレア「……そうだよ! クロシュちゃんがクロシュヴィアさんのことを想う心は……きっと、クロシュヴィアさんに届いてるよ! だから、根気強く説得を続ければ……!」

灰スライム『カリスよりは、説得の余地があると思う』モニョモニョ

黄スライム『うん! わたしもそう思う!』モニョモニョ

スライムクロシュ「……!!」モニョニョ

妖精「まあそうだよね。決定的な方法なんてない。あとは、頑張って説得を続けるくらいしかないよ」

スライムクロシュ『うん……!』モニョニョ


ヴィア「……」

アイス「……おばさん……はんたいなの?」

ヴィア「え……あ、いえ……少し考え事をしていただけです」

アイス「ふうん……」

ヴィア「………あなたは……アイスさんは、どうお考えですか?」

アイス「べつに……きょうみない……」

 ☆クロシュヴィアに対して説得を続けようと思いました

 ◇
191 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 20:20:25.99 ID:wcKb1zkK0
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室

アリシラ「……」

クロシュ「アリシラさん」

アリシラ「クロシュちゃん? どうしたの」

クロシュ「………アリシラさんの、お父さんと、お母さんと……お話、する……?」

アリシラ「えっ、急になんで?」

クロシュ「……えっと……もう一度……ちゃんとお話、した方が……良いと、思って……」

アリシラ「ああ……そういえば喧嘩別れみたいになっちゃってたっけ。別に良いよ、特に話すこともないし」

クロシュ「……でも……アリシラさんのお父さんとお母さんは……お話、したいって……」

アリシラ「ええ〜……」

クロシュ「……」ジッ

アリシラ「……はあ、わかったよぉ。クロシュちゃんにはいっぱい助けてもらったしね……」

クロシュ「!」パァァァ

 ◇

―クロシュの夢
 夢の診療所

アリシラ「……」

アリシラ父「……」

アリシラ母「……」

クロシュ「……」


↓1コンマ
01-05 決裂
06-00 収束
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 20:20:46.11 ID:Y7cUmTmC0
193 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 21:29:00.76 ID:wcKb1zkK0
 *

アリシラ「――…」ポロポロ

アリシラ父「――」ニコニコ

アリシラ母「――」ニコニコ


クロシュ(……お話……うまくまとまったみたい……。良かった……)

不死鳥の羽根「ふむ……。クロと少し似た状態みたいだけれど、特に処置は必要なさそうね」

クロシュ「!」

不死鳥の羽根「彼女の中の魔王は、既に死んでいる。以前と性格が変わったように見えるのは、極度のストレスと魔王の残滓が与えた力の影響。平静な環境で暮らしていれば良くなると思うわ。まあ……完全には元に戻らないかもしれないけれど」

クロシュ「そうなの?」

不死鳥の羽根「でも、性格の変化なんて普通に生きていても起こり得ることよ。悲観することもないわ」

クロシュ「そうなんだ」

魔族の医者「しかし君たちとここで話せるのもあと僅かな間か。少々名残惜しくもあるな」

不死鳥の羽根「クロシュと一緒に暮らしていれば、いつでも機会はあるんじゃないかしら?」

クロシュ「うん……!」

 ☆アリシラが両親と仲直りしました

 ◆
194 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 21:29:29.07 ID:wcKb1zkK0
―夜
 王都セイントレア 地下食堂

 ワイワイ キャッキャ

フラナ「今宵は私の奢りよ! 好きなだけ食べて飲みなさい!」

黄スライム『んわわ〜!』キャッキャ

レイ「お、奢り……!! タダごはん……!!」

クル「今のレイは毎日タダごはんでしょ」


妖精「王都にこんなレストランがあったなんて」

スライムヴィア「ここは、王都の地下に隠れ住む魔族たちの寄り合い食堂なのです。ここでなら私たちスライムも、人目を気にせず元の姿で食事を摂れるんですよ」

クロシュ「わあ……!」

スライムヴィア「食材は自分で用意する必要がありますが、今回は魔族国の方々がたくさん搬入してくださったようなので、フラナ様の言う通り好きなだけ飲み食いできそうです」

妖精「なるほど……災害支援のついでにここの魔族への支援もこっそりしたわけね」


↓1〜3 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
魚介:ウミザリガニ、イクラマス、オオキイサザエ、スカイマグロ
野菜:セイントレア草、キャベツ、長寿トマト、マジカルトリュフ
穀物:ウルティ米、パスタ麺、パン、ヤマイモ、オオキイ豆、甘もろこし
果実:森林木苺、コガネリンゴ、シャイニングマスカット、常闇木苺
卵乳:トリの卵、オイシイミルク、クリームチーズ、北国バター
特殊:スライムゼラチン、フェアリーシロップ、ブラッドワイン、精霊樹のジャム、上白糖、香辛料
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 21:31:08.89 ID:icu77vFQO
ヤマイモ
クリームチーズ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 21:31:52.35 ID:3x0vDkAKO
ブラッドワイン、スカイマグロ
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/27(日) 21:32:16.88 ID:Ujdt05uz0
シャイニングマスカット
精霊樹のジャム
198 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 22:43:49.09 ID:wcKb1zkK0
 マッシュヤマイモとクリームチーズのパルフェ「」ポン!
 スカイマグロのレアロースト「」ポン!
 精霊マスカットブラッドワインソース「」ポン!

ローガン「おお……! 中央に鎮座するは、多層に仕立てられたマッシュヤマイモとクリームチーズのパルフェ……!! そしてその周囲には、ファン状に配置されたスカイマグロのレアローストか……!! 上からかけられている透き通った赤いソースは――精霊樹のジャムとシャイニングマスカットとブラッドワインを煮詰めて風味を濃縮したソース!!」

クロシュ「れあろーすと……はんぶんナマの、ロースト……!!」

妖精「これはまた豪勢に仕上げたなあ。見てるだけでお腹いっぱいになっちゃいそうだ」

エバンス「フッフッフ、実際に味わってからお腹いっぱいになってくれ」


アイス「……」ヒョイ パクッ モグモグ

クレア「あ、こら。いただきますをちゃんと言わなきゃだめですよ」

アイス「む……いひゃひゃひまふ」モグモグ

クレア「ちゃんと飲み込んでから!」

 *

 ワイワイ キャッキャ モグモグ

スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグモグ
黄スライム「〜〜♪♪」モニョモニョ モグモグ
灰スライム「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ
スライムヴィア「〜〜…♪」モニョモニョ モグモグ
フメイ「……♪」モグモグ
フレア「♪♪」モグモグ
セイン「……」モグモグ
アイス「……」モグモグモグモグ

ローガン「香ばしく焼き上がった表面と、しっとりとレアに仕上げられた内側……これこそまさに、スカイマグロの作り出す新世界!!」

クレア「パルフェも美味しいです。滑らかで厚みのあるマッシュヤマイモに、コクと酸味のあるクリームチーズがものすごく合っています。フルーツワインソースの甘みが、それをさらに引き立てて……」

レイ「おいひい〜〜〜〜!!」モグモグ

ミラ「本当に美味しいや。たまにはパスタ以外も良いね」モグモグ

ミスティ「美味しい以外の感想は浮かばないわ……」モグモグ


 ☆ブラッドワイン、精霊樹のジャムを使い切りました

 ☆明日の終わりまで、戦闘時にコンマ+30が加算されます

 *
199 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/27(日) 22:57:55.24 ID:wcKb1zkK0

フラナ「……さて、と。あなたがイリスの母君で間違いないのね?」トスッ

ティナ「はい。お初にお目にかかります、魔族国元首フラナ・バイオレット殿」

フラナ「そう固くしないで。今ここにいるのは、ただの吸血鬼フラナ・バイオレットよ」

ティナ「そうか。ではそのようにさせていただこう」

フラナ「ええ。イリスには世話になっているから、お礼を言わせて」

ティナ「こちらもイリスから聞き及んでいる。何度もイリスの助けになってくれたそうで――」

 トスンッ

フレメア「へえ、あんたがあのお節介なイリス・プラネットの親なんだ」

ティナ「貴女は……」

フラナ「……ごめんなさい。こいつは姉のフレメア・バイオレットなんだけど、まだちょっと躾が必要なの」

フレメア「ああん? 躾が必要なのはおま――」

 ビシッ!

フリューゲル「はいそこまで。あなたたちは誇り高きバイオレットの血を引く者なのだから、こんなところで喧嘩しないの」

フラナ「うっ……申し訳ありません、母上」

フレメア「む〜……わかったよ」

フリューゲル「ごめんなさいね、ティナ・プラネットさん。私はフリューゲル・バイオレット……聞いたことがあるかもしれませんが、今はただの吸血鬼なので……普通に接してくださると嬉しいですわ」

ティナ「あ、ああ……。こちらこそ、よろしく――」


イリス「……ええと、これはどういう状況なんですか?」ヒョコッ

ティナ「イリス。まあ、その……バイオレット家の皆さんと、お互いに自己紹介をしてたところだ」

 ◇
200 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/28(月) 01:03:00.43 ID:G5sg+pmK0
―夜
 王都セイントレア 中央広場

 噴水「」シャワシャワ

クロシュ「……」


妖精「いつの間にか食堂にいないと思ったら、こんなとこに一人でいたの? 危ないよ」パタパタ

クロシュ「あ、妖精さん」

妖精「夜風に当たりたかったの?」

クロシュ「……うん。それと……いろんなこと、考えてた……」

妖精「いろんなことか……。まあ、考えるべきことはまだまだたくさんあるよね」

クロシュ「うん……」

妖精「……でも、世界樹の光を集めるっていう一番大きな仕事は片付いたんだ。少しくらい、気を緩めても良いと思う」

クロシュ「うん……」

 噴水「」シャワシャワ

 ◇

―地下食堂

 ワイワイ キャッキャ

妖精「思えば遠くまで来たものだよね。初めは、あの燃える集落でなんにもできずに立ち尽くしてたあかちゃんスライムがさ……」

クロシュ「……妖精さんが……いてくれたから……良かった……」

妖精「なあにそれ。私は大したことしてないでしょ」

クロシュ「んーん……。妖精さんが、いなかったら……わたし、きっと……あそこから、ずっと、動けなかった……」

妖精「イリスが駆けつけたお陰でしょ」

イリス「あの時の話? あの時は火の手が見えたから、急いで向かったんだ。そしたらクロシュちゃんたちがいて、泡の魔法で包んで助けたんだけど……今思えば、いろいろ早とちりしすぎだったよね。反省……!」

クロシュ「んーん……ありがと……。妖精さんも、イリスさんも……ミスティさんも……!」

ミスティ「え、いや……あの時の私は、面倒事に関わりたくなくて距離を置いてたし……別に感謝は不要よ……」

妖精「でもミスティのお陰で馬車より速いソリに乗れたから、ものすごく助かったよね。なんだかんだ言いながら王国騎士との戦いにも参戦してくれたし」

ミスティ「いや、まあ……あそこで見捨てるのはあまりにも寝覚めが悪そうだったし……。でもその判断で、まさかこんな大きな旅路に巻き込まれるなんて思いもしなかったわね。ふふ……あなたを助けて良かったわ、クロシュ」

クロシュ「んへへ……」

イリス「それは私も同感! あの時クロシュちゃんを助けたことが、ここまで大きな旅に繋がるなんて全然予想できなかった。結果的にものすごく良い旅になったから、本当に良かったよ」

クロシュ「うん……!」

妖精「本当に奇跡みたいだよ。あんな時にすごくお人好しな奴らが通りかかって、クロシュを助けてくれて、その流れが今こうして世界を救うことに繋がったんだもの」

イリス「すごく壮大だ……!」

ミスティ「ふふ……私たち、もしかして英雄ってやつなんじゃないかしら?」

妖精「ダークヒーローなのは間違いない」

 *
201 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/28(月) 01:32:52.20 ID:G5sg+pmK0
妖精「魔族国では、ローガンと出会ったんだよね」

ローガン「うむ。悪漢に因縁を付けられてる君たちを助けた覚えがある」

イリス「その後、クロシュちゃんがローガンさんに一緒に来て欲しいって言ったんだよね」

クロシュ「んゅ……だって……」

妖精「実際、その判断は正しかった。ローガンは頭ぼさぼさでヒゲも整えてないおじさんだったけど、義理堅くて頼りになる騎士だったんだもの」

ミスティ「見る目があったということね、クロシュは」

クロシュ「んへへ……」



妖精「それでなんやかんやあってフラナのとこに行ったら、革命に勧誘されちゃったんだよね」

フラナ「あら、あの時の話? 懐かしいわね。正直に言うと勧誘に乗ってくるとはあまり思っていなかったわ。ローガンとミスティの二人は反対していたし、その反対理由ももっともだったから」

ミスティ「そうね……正直に言うと、あの当時私はあなたを信用していなかった。最悪捨て駒扱いされるんじゃないかとも思っていたから、革命軍に参加なんてするつもりは全くなかったわ」

クロシュ「でも、わたし……王国の、やってること……許せなかった……」

イリス「うん……私も……。絶対に許せないって思ったの」

ローガン「フッ……。結局は私も、君たちのようなうら若い乙女を守って死ねるならそれも悪くない……と考えを改めたのだったな」

ミスティ「はあ……今思えば、私って最初からずっとお人好しだったのね……。結局イリスたちを放っておけなくて、革命軍入りしちゃうんだもの」

フラナ「………今だから白状するけれど、当時は実際丁度良い手駒が手に入ったとしか思わなかったわ」

イリス「ええっ!?」

ミスティ「ええ……」

ローガン「うむ……そんなような気はしていた」

フラナ「でも、その後あなたたちと話をしたり訓練に付き合ってあげたりする内に考えを改めた。当時は自分でも知らなかったのだけれど、私って情に絆されやすい性格だったみたい」

イリス「よ、良かったです。フラナ先生が情にほだされやすい性格で」

妖精「でもイリスの師匠ってフラナの友人だったんでしょ?」

フラナ「ええ。でもそれは守ってやる理由にはならない、と当時は思っていたわ。あの頃は私ピリピリしていたのよ」



妖精「革命の時は大変だったよね。私とクロシュは擬態を駆使して住民とかを騙したり、魔族に襲われる聖女をなんとか助けたり、暴走する魔族たちの姿を聖女に見せつけてやったり……」

聖女「あっ、あの時のことですか!」ヒョコッ

クロシュ「……妖精さん、ちょっとひどかったと思う……」

妖精「いやまあ……でも理想論を吐き続けるつもりなら、あれくらいは知っておいて欲しかったっていうのもあるんだよ。ここ最近は随分ましになってきたけど、昔はあんなようなのはしょっちゅう起きてたんだ。たぶん、今でも世界のどこかでああいう惨劇は起きてる」

クロシュ「……うん」

聖女「……そうですね」

妖精「あの時は、どうせ現実を知って潰れるなら早い方が良いって思ったんだ。でも聖女は潰れなかった。それどころか奮起して、今は魔族と人間の対立をなんとかしようとがんばってる。私が思っていたより、ずっと立派だったよ」

クロシュ「んへへ……聖女さんは、立派……!」

聖女「………ありがとうございます。クロシュさんと妖精さんが思うような、立派な私に……本当になれたら、良いのですけど……」
202 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/28(月) 01:33:20.26 ID:G5sg+pmK0
イリス「革命の戦いは大変だったよね。王国の隊長格がものすごく強くて」

ミスティ「ええ……苦戦を強いられたわ……」

イリス「フラナ先生が駆けつけてくれた時は一気に戦況が覆って、凄かったよね……」

ローガン「うむ……当時はその恐ろしき戦闘能力に、味方でありながら身震いしたものだ」

フラナ「何言ってるの、今のあなたたちはもう私と遜色ないわよ?」

イリス「え、そうなんですか?」

ミスティ「自分では全くわからないわね……」

フラナ「でもあの時は本当に頭に来たわ……。死んだと思っていた勇者が現れて、一気に戦線を破壊してくれたんだもの」

セイン「僕のことか?」ヒョコッ

フラナ「そうよ! 今はまあ……あなたが勇者本人ではないこともわかっているし、あなたが命令に逆らえなかった事情も知っているから、とやかく言うつもりはないけれど」

セイン「そうしてくれると助かる」

妖精「私とクロシュが前線に到着したのも大体その頃だよね」

クロシュ「うん。セインちゃんに……光の魔法を、撃たれそうになった……」

セイン「………あの時、もしフメイとアリシラが現れなかったら、僕はこの手でクロシュを……大事な同胞を殺してしまうところだった。本当に血の気が引く思いだ……」

フメイ「……セインが仲間だったなんて……あの時は、全然気付かなかった」ヒョコッ

アリシラ「ふっふっふ、私の吸収魔法のお陰だね」ヒョコッ

セイン「感謝している。結果的に今僕たちがこうして自由になれたのは、お前たちのお陰でもある」



妖精「あの時セインは撤退する間際に、捕虜になったマリー・セイントレアを投げナイフで即死させていったんだよね」

セイン「……言い訳になるが、グランドマスター卿にそう命令されていた。マリー王女だけは必ず殺せ、と……」

ミスティ「グランドマスター……奴の命令だったのね……。本当に反吐が出る男だわ……」

イリス「でも、フラナ先生が持たせてくれた反魂丹のお陰で事なきを得ました!」

フラナ「まさか私の反魂丹がそんな形で役に立つとは思っていなかったわ。それにイリスは捕虜の扱いにも口を出してくれて、そのお陰で戦後の諸々がかなり良い方へ向かったのよね」

クロシュ「ダークヒーローイリス……!」

イリス「あはは……そういえばダークヒーローの起源はそこだったね。でもダークヒーローの名声は役に立つことがけっこうあったし、こっちもいろいろ助けられちゃったかも!」

 *
203 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/07/28(月) 01:34:10.08 ID:G5sg+pmK0
本日はここまで。思い出話編が長くなりそうな気配があります。よろしくお願いします
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/28(月) 12:13:56.82 ID:5xMXHu7wo
おつ
振り返りたい思い出が多いからね…
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/07/28(月) 17:26:24.06 ID:8I1KL2oJo
おつです
遠くまできたなぁ、本当に
ミスティさんが爆速で面倒見が良いお姉さんになったの本当に好き
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