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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7
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201 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:32:52.20 ID:G5sg+pmK0
妖精「魔族国では、ローガンと出会ったんだよね」
ローガン「うむ。悪漢に因縁を付けられてる君たちを助けた覚えがある」
イリス「その後、クロシュちゃんがローガンさんに一緒に来て欲しいって言ったんだよね」
クロシュ「んゅ……だって……」
妖精「実際、その判断は正しかった。ローガンは頭ぼさぼさでヒゲも整えてないおじさんだったけど、義理堅くて頼りになる騎士だったんだもの」
ミスティ「見る目があったということね、クロシュは」
クロシュ「んへへ……」
妖精「それでなんやかんやあってフラナのとこに行ったら、革命に勧誘されちゃったんだよね」
フラナ「あら、あの時の話? 懐かしいわね。正直に言うと勧誘に乗ってくるとはあまり思っていなかったわ。ローガンとミスティの二人は反対していたし、その反対理由ももっともだったから」
ミスティ「そうね……正直に言うと、あの当時私はあなたを信用していなかった。最悪捨て駒扱いされるんじゃないかとも思っていたから、革命軍に参加なんてするつもりは全くなかったわ」
クロシュ「でも、わたし……王国の、やってること……許せなかった……」
イリス「うん……私も……。絶対に許せないって思ったの」
ローガン「フッ……。結局は私も、君たちのようなうら若い乙女を守って死ねるならそれも悪くない……と考えを改めたのだったな」
ミスティ「はあ……今思えば、私って最初からずっとお人好しだったのね……。結局イリスたちを放っておけなくて、革命軍入りしちゃうんだもの」
フラナ「………今だから白状するけれど、当時は実際丁度良い手駒が手に入ったとしか思わなかったわ」
イリス「ええっ!?」
ミスティ「ええ……」
ローガン「うむ……そんなような気はしていた」
フラナ「でも、その後あなたたちと話をしたり訓練に付き合ってあげたりする内に考えを改めた。当時は自分でも知らなかったのだけれど、私って情に絆されやすい性格だったみたい」
イリス「よ、良かったです。フラナ先生が情にほだされやすい性格で」
妖精「でもイリスの師匠ってフラナの友人だったんでしょ?」
フラナ「ええ。でもそれは守ってやる理由にはならない、と当時は思っていたわ。あの頃は私ピリピリしていたのよ」
妖精「革命の時は大変だったよね。私とクロシュは擬態を駆使して住民とかを騙したり、魔族に襲われる聖女をなんとか助けたり、暴走する魔族たちの姿を聖女に見せつけてやったり……」
聖女「あっ、あの時のことですか!」ヒョコッ
クロシュ「……妖精さん、ちょっとひどかったと思う……」
妖精「いやまあ……でも理想論を吐き続けるつもりなら、あれくらいは知っておいて欲しかったっていうのもあるんだよ。ここ最近は随分ましになってきたけど、昔はあんなようなのはしょっちゅう起きてたんだ。たぶん、今でも世界のどこかでああいう惨劇は起きてる」
クロシュ「……うん」
聖女「……そうですね」
妖精「あの時は、どうせ現実を知って潰れるなら早い方が良いって思ったんだ。でも聖女は潰れなかった。それどころか奮起して、今は魔族と人間の対立をなんとかしようとがんばってる。私が思っていたより、ずっと立派だったよ」
クロシュ「んへへ……聖女さんは、立派……!」
聖女「………ありがとうございます。クロシュさんと妖精さんが思うような、立派な私に……本当になれたら、良いのですけど……」
202 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:33:20.26 ID:G5sg+pmK0
イリス「革命の戦いは大変だったよね。王国の隊長格がものすごく強くて」
ミスティ「ええ……苦戦を強いられたわ……」
イリス「フラナ先生が駆けつけてくれた時は一気に戦況が覆って、凄かったよね……」
ローガン「うむ……当時はその恐ろしき戦闘能力に、味方でありながら身震いしたものだ」
フラナ「何言ってるの、今のあなたたちはもう私と遜色ないわよ?」
イリス「え、そうなんですか?」
ミスティ「自分では全くわからないわね……」
フラナ「でもあの時は本当に頭に来たわ……。死んだと思っていた勇者が現れて、一気に戦線を破壊してくれたんだもの」
セイン「僕のことか?」ヒョコッ
フラナ「そうよ! 今はまあ……あなたが勇者本人ではないこともわかっているし、あなたが命令に逆らえなかった事情も知っているから、とやかく言うつもりはないけれど」
セイン「そうしてくれると助かる」
妖精「私とクロシュが前線に到着したのも大体その頃だよね」
クロシュ「うん。セインちゃんに……光の魔法を、撃たれそうになった……」
セイン「………あの時、もしフメイとアリシラが現れなかったら、僕はこの手でクロシュを……大事な同胞を殺してしまうところだった。本当に血の気が引く思いだ……」
フメイ「……セインが仲間だったなんて……あの時は、全然気付かなかった」ヒョコッ
アリシラ「ふっふっふ、私の吸収魔法のお陰だね」ヒョコッ
セイン「感謝している。結果的に今僕たちがこうして自由になれたのは、お前たちのお陰でもある」
妖精「あの時セインは撤退する間際に、捕虜になったマリー・セイントレアを投げナイフで即死させていったんだよね」
セイン「……言い訳になるが、グランドマスター卿にそう命令されていた。マリー王女だけは必ず殺せ、と……」
ミスティ「グランドマスター……奴の命令だったのね……。本当に反吐が出る男だわ……」
イリス「でも、フラナ先生が持たせてくれた反魂丹のお陰で事なきを得ました!」
フラナ「まさか私の反魂丹がそんな形で役に立つとは思っていなかったわ。それにイリスは捕虜の扱いにも口を出してくれて、そのお陰で戦後の諸々がかなり良い方へ向かったのよね」
クロシュ「ダークヒーローイリス……!」
イリス「あはは……そういえばダークヒーローの起源はそこだったね。でもダークヒーローの名声は役に立つことがけっこうあったし、こっちもいろいろ助けられちゃったかも!」
*
203 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/07/28(月) 01:34:10.08 ID:G5sg+pmK0
本日はここまで。思い出話編が長くなりそうな気配があります。よろしくお願いします
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/28(月) 12:13:56.82 ID:5xMXHu7wo
おつ
振り返りたい思い出が多いからね…
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/07/28(月) 17:26:24.06 ID:8I1KL2oJo
おつです
遠くまできたなぁ、本当に
ミスティさんが爆速で面倒見が良いお姉さんになったの本当に好き
206 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/02(土) 18:08:11.97 ID:lQG6AsY80
またしても体調不良に陥ったため、本日は更新できません
恐らく明日は更新できると思います。よろしくお願いします
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/02(土) 19:32:06.56 ID:ZhdJRNfJo
おお…お大事に
208 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:24:52.69 ID:cP7ASuvh0
クロシュたちはとても長い道のりを歩いてきたため、振り返りたい思い出も多いようです。とても長くなるかと思いますが、お付き合いいただければ幸いです
ミスティ氏は初めこそクールなお姉さんという感じでしたが、実のところものすごいお人好しだったようです。多くの人と一緒に旅をするという状況が、ミスティ氏の本性を剥き出させたのかもしれません
ご心配をおかけいたします。実のところ今日もあまり改善しなかったため、あまり更新できそうにありません。申し訳ありませんが、ご容赦ください
209 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:25:18.66 ID:cP7ASuvh0
妖精「フメイの行方を追って次に向かったのは、私の故郷でもある緑の国フォレスティナだった」
クロシュ「うん」
ローガン「ミスティくんがギルドでおうちの木の依頼を受けたのが印象に残っているな」
ミスティ「ええ。どうしても見て見ぬふりはできなかったの」
妖精「ミスティって初めはクールでドライな一人旅の女って感じだったけど、全然そんなことなかったよね」
イリス「ね! ホットでパッションな武闘派のダークヒーローだった!」
ミスティ「何よそれ……。まあ別にいいけど……あの子は元気にしているかしら……」
イリス「ふふ、きっと元気だよ! またミスティと会いたがってるんじゃないかな?」
精霊樹のジャムの空き瓶「」カラン
クロシュ「ジャム……おいしかった……!」
ミスティ「ええ。たっぷり入っていたから旅の終わりまで持ったわ。空き瓶を返しにいかないとね」
妖精「あの時は首長選挙に飛び入り参加することになって、本当参ったよ……」
イリス「でも妖精さんもけっこうノリノリだったよね」
妖精「ええ、そうかなあ……」
ローガン「しかし妖精くんが緑の国を興した太母と知った時は驚いたな」
妖精「あんまり知られたくなかったんだけどねえ。ティセリアとマーベルの対立がまあまあ面倒なことになってそうだったから、仕方なく……」
イリス「ティセリアさんたちはどうしてるかな?」
妖精「世界樹の光が全て元通りになったことはもう伝わってるはずだから、きっとお祭りの準備でもしてるんじゃない? マーベルは緑の国にいないかもだけど」
イリス「首長選では無事に妖精さんが返り咲けたんだけど……その後すぐ、世界樹の光が飛び散る大事件が起きちゃったんだよね」
妖精「そうそう、ドサクサに紛れてセインと僧侶がね」
アリシラ「私たちもだよ!」
フメイ「結局奪えなかった。まあ……それで良かったと思う」
妖精「本当だよ。しかしあの頃の僧侶は――」
ミスティ「酷かったわね……」
聖女「酷かったんですか……」
イリス「擁護の余地が一片もないくらいには酷かったね……。対照的に、セインくんはあの頃からけっこう友好的だった気がする」
セイン「……そうか? あの頃は僕もかなり冷淡な態度を取っていたと思うが……」
クロシュ「んーん……セインちゃん、お茶、出してくれた……!」
ローガン「うむ。話が通じる相手だとわかって嬉しかったぞ」
セイン「そうか……」
*
210 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:25:45.74 ID:cP7ASuvh0
ローガン「そして世界樹の光を求めて我々が次に向かったのは、セイントレアの玄関口――港湾都市ウォーターポート」
妖精「トコナツ火山島に落ちた光を回収するにはウォーターポートを経由するのが一番近道だったからね。でも……」
ミスティ「あの時はどこの船も欠航していて困ったわね……」
イリス「そうそう。海賊の正体を探すことから始めなきゃいけなかった。それで酒場で情報収集をしていたら――」
クロシュ「エバンスさんが……泣いてた……!」
エバンス「いやあ、ははは……あの時は自分の無力さや情けなさでな……」
クロシュ「でも……そのおかげで、気付けた……!」
エバンス「結果オーライだったってわけだ! はは、でも集落のみんなも助かりそうだし本当に良かったよ」
クロシュ「うん……!」
イリス「海賊の情報を集める為に、隣にある機会都市テンペスターにも足を運んだりしたんだよね」
ミスティ「あそこの工業製品には驚かされたわ。中身を知ったら、最悪だったけれど……」
妖精「本当に最悪だったよ……。海賊の正体も精核が使われた機械人形だったし」
クロシュ「メイちゃん……今は、わたしといっしょ……」
星霊の剣「」ポン
セイン「妙に工業的な形状だと思っていたが、元はテンペスターの機械人形の装備だったのか」
クロシュ「うん……」
妖精「クロシュの中でしあわせにやれてるなら、まあ良かったかな……?」
ミスティ「そういえばあの時、イリスが詐欺に合ったのよね」
イリス「うっ……」
クロシュ「クーちゃん!」
エバンス「はは、あいつもなかなかの曲者だったな。しかもトコナツ島に向かう途中の幽霊船に捕まってたりして」
ミスティ「クーちゃん、元気にしているかしら」
妖精「簡単には死ななそうだし大丈夫でしょ、たぶん」
ミスティ「それもそうね」
セイン「幽霊船か、懐かしいな」
イリス「そういえばあの時は漂流してたセインくんを見つけたんだった!」
セイン「あの幽霊船を乗っ取っていたのは――当時指名手配犯だったレイ」
レイ「もぐもぐもぐ……えっ!? わ、私っ……!?」
ミラ「え、レイ幽霊船なんて乗っ取ってたの?」
レイ「ち、ちが……! あれはその、不可抗力でぇ……!」
イリス「ま、まあ……。レイさんも自力で制御ができなかったみたいだしね……」
レイ「そ、そうだそうだ! それなのにあの時は、よってたかって私を殺そうとしてくれてェ……!!」プンスコ
エバンス「悪かった」ペコ
ローガン「すまぬ」ペコ
ミスティ「ごめんなさい」ペコ
妖精「ごめん」ペコ
セイン「すまない」ペコ
イリス「ご、ごめんなさい」ペコ
クロシュ「ごめんなさい……」ペコ
レイ「クロシュちゃんとイリスさんはかばってくれたからいいの!!!!」
*
211 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:26:12.76 ID:cP7ASuvh0
イリス「トコナツ火山島は暑かったねえ〜」
ミスティ「ええ……。まさしく南の国って感じのところだったわ……」
ローガン「火山活動も落ち着いた今は、観光地としての姿を取り戻しているだろう」
エバンス「あの時は観光する余裕もあんまなかったよな。次に行く時はゆっくり観光したいもんだ」
イリス「またあそこに泊まりたいですね、トコナツシーサイドホテル!」
クロシュ「うん……! カレー、おいしかった……!」
ミスティ「名前を聞いた時は豪華な高級宿かと思ったけれど、実際は庶民的な宿屋だったわね」
ローガン「うむ……あの宿でクーちゃんが更生に勤しんでいたのが印象的だったな」
エバンス「失礼な話だが、実際に更生するとは思わなかった」
妖精「本人が聞いたら『本当に失礼ね!』って怒りそう……」
クロシュ「レッドちゃん……元気かな……?」
フメイ「レッド……あの、溶岩のスライム……?」
クロシュ「うん……。バーニングスライム……最期の生き残り……なんだって……」
フメイ「え、そうなんだ……」
クロシュ「でも……モーリィさんや、溶岩エイさんが、いるから……寂しく、ないって……!」
妖精「モーリィや溶岩エイならバーニングスライムの熱もどうってことないだろうからねえ」
フメイ「そうなんだ……。それなら良かった」
クロシュ「うん……!」
妖精「でもトコナツでは世界樹の光をフメイたちに横取りされちゃってねえ」
アリシラ「それは仕方ないよ。だってみんな、あの時はひっくり返ってたんだもん」
フメイ「うん」
クロシュ「んゅ……」
イリス「でもそこで横取りされたお陰で世界めくれの修復に使えたとも思うと、結果的に良かったかも?」
妖精「まあ、それはそうだけど……」
アリシラ「良かった良かった。私とフメイちゃんに感謝してね?」
*
212 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/08/03(日) 17:26:39.31 ID:cP7ASuvh0
申し訳ありません、体調がまだ悪く集中できないため、本日はここまでとさせていただきます
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/03(日) 18:08:17.78 ID:N1/VvEM3o
おつ
ごゆっくりお休みください
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/04(月) 01:10:17.98 ID:za+0v1Iqo
ご自愛ください
アリシラさんほこのふてぇ性格の方がエンジョイできて楽しそうだ
215 :
◆eAA16RTlRw2e
[sage saga]:2025/08/09(土) 19:55:58.50 ID:iW8Zn90R0
>>213
ありがとうございます。ゆっくり休まさせていただきます
皆さんも熱中症や脱水症状や夏風邪などにご注意くださいませ
>>214
ありがとうございます。しばらくは自分を大事にしたいと思います
アリシラさんの両親も、今の図太い性格の方が長生きできそうで良いと思っているかもしれません
そして申し訳ありません、しばらく本編の更新はできそうにありません。ここ数年で最も体調が悪いようです
代わりというわけではありませんが、復調するまでの間、不定期に登場人物のポン絵などを投下したいと思います。よろしくおねがいします
ひとまず今回は、冒険者ギルドで指名手配中の特級危険生物です。次からは投下人の方にAIさんに描かせて良いよーという宣言を頂いた人物も考えていきたいと思います
また、二次創作スレの方も面白いお話になっており、面白いお話になっているようです。応援しております
https://i.imgur.com/EX3Ba8K.png
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/09(土) 20:34:06.70 ID:P8GrMe0+O
週末の楽しみが……ご自愛ください
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/09(土) 21:11:36.11 ID:/bpnqmVyo
お疲れ様です
無事に復調して再開される時をお待ちしております
それと私が投下し採用されたベルトーネちゃんと明石家の二人や抽選漏れしたヴァレリオ等もご自由にお扱いくださいませ
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/09(土) 23:31:44.86 ID:LoH7LaE2o
乙
お大事に
ミスティを投稿した者ですが画像化OKです
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/08/10(日) 00:10:00.63 ID:RYBLrr7/O
乙
ゆっくり休んでください
ブラッドちゃん特級危険生物なのにかわよい…人間を油断させるためか!
220 :
◆eAA16RTlRw2e
[sage saga]:2025/09/21(日) 21:22:55.97 ID:T4kDnkN50
最近ようやく少しましになってきたので、ひとまず前言通りイラストレーションの投下をしたいと思います
というわけで今回は邪悪なマッドサイエンティストのカリス・ノーランド氏、その忠実なる手下であったアイスちゃん、テロ組織シノホシの最年少狐アウル・フォクシーくんです
https://gzo.ai/i/6RDJsmf.png
https://gzo.ai/i/oQPzwkU.png
https://gzo.ai/i/Yez7ya8.png
また二次創作スレの方も盛り上がっており、元スレの
>>1
として嬉しく思いつつ、病床における楽しみの一つとなっております。今後も楽しみにさせていただきます
なお不調が治ったわけでは全然なくまだだいぶおかしい感じが続いているため、本編の更新の方はもうしばらくお待ちいただけると幸いに思います。よろしくお願いいたします
>>216
ありがとうございます
体調が戻り次第復帰しますので、もうしばらくお待ちいただけると幸いです。よろしくお願いいたします
>>217
ありがとうございます
ベルトーネ氏と明石家の方々に聖ヴァレリオさんについて了解いたしました。納得のいくイラストレーションができたら投下させていただきたいと思います
>>218
ありがとうございます
ミスティさんについて了解いたしました。実のところパーティメンバーで初の許可です。よろしくお願いいたします
>>219
ありがとうございます
ブラッド氏がどのような判断で人間幼女に擬態しているかは定かではありませんが、実際その容姿に騙されて騙し討たれる冒険者はいます。気を付けるのが良いでしょう
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/09/21(日) 21:53:09.01 ID:B3UW/Ie5o
気長に待ちます
焦る必要はないのでじっくり休んでください
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/09/22(月) 00:34:22.56 ID:MtVBcXWko
いつまでもお待ちしております
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/09/22(月) 08:46:55.27 ID:3v7BQXPSO
乙
どのキャラも解釈一致で良い
アイスちゃんかわいい
224 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/14(金) 23:48:52.53 ID:y635x5Xe0
お久しぶりにございます。明日の土日に更新したいと思います。よろしくお願いいたします
また、夏風邪と胃腸炎と肺炎とマダニにお気をつけください。肺炎やマダニ感染症で死ぬ人は多いそうです。
>>1
は命に別状ありませんでしたが、立て続けにかかる病気によって体力がすごく落ちました(しかもまだ完治したわけではないらしく、お医者さんによると厄介な病気が隠れている可能性があるそうです……)。
そういうわけで再開してもしばらくは更新頻度や更新量が減るかと思いますが、何卒ご容赦のほどよろしくお願いいたします
>>221
ありがとうございます。ゆっくり休まさせていただきました。今後も休むことが増えるかと思いますが、よろしくお願いいたします
>>222
ありがとうございます。お待たせいたしました。今後もお待たせすることが増えるかと思いますが、よろしくお願いいたします
>>223
それならばよかったと思います。余力のある時に他のキャラクターのイラストレートも行えたらと思います
アイスちゃんは憎まれ口ばかり叩く子ですが、内心ではいろいろぐるぐるしているようです。そしてクロシュ氏もなんとなくそのことに気付いているらしく、どれだけ嫌なことを言われてもめげずに優しく接しようとがんばっているようです
そしてこのイラストレーションは悪い吸血鬼のフレメア・バイオレット氏です。たくさんのものを壊したり命を奪ったりしたテロリストの彼女が今後どのような道を辿るのかは明らかになっていませんが、恐らく素直にお縄につくことはないだろう……と妖精は思っています
https://gzo.ai/i/z8mloY0.png
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 01:29:24.50 ID:U7vY1q0Io
お待ちしておりました!
完治とはいかずとも再開出来る位には快復されたようで何よりです
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 07:58:33.86 ID:j0LAgtTtO
お帰り
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 10:14:21.56 ID:x640BbRu0
復帰ずっと待ってました
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 11:47:32.00 ID:Gx96aKN6o
うおおお!!
良かった〜
めっちゃ大変だったようで…ご無事でなにより
229 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:30:29.24 ID:kEnwhWuq0
ありがとうございます。お待たせいたしました
再開の前に、これまでに振り返った国々のイメージ画を貼っておこうかと思います。参考になりましたらさいわいです
魔族国
https://gzo.ai/i/VnL4PfI.jpg
世界樹と緑の国
https://gzo.ai/i/wDTDiDO.png
緑の国でよく見られるおうち
https://gzo.ai/i/KEMwF3d.png
賑わう港湾都市
https://gzo.ai/i/NcjILaW.jpg
煙る機械都市
https://gzo.ai/i/TCVkA1l.jpg
常夏のトコナツ島
https://gzo.ai/i/vsfHLZe.jpg
というわけで再開します
230 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:33:31.78 ID:kEnwhWuq0
芸術都市の印象
https://gzo.ai/i/X5pAdTL.jpg
妖精「その次は世界樹の光を追ってテラヌス・ウルスを目指したわけだけど、その途中で芸術都市ミュージアに立ち寄ったんだよね」
クロシュ「芸術妖精さんと……レーティアさんと……画家のおじいさんに……ぱわーのこと、教えてもらった……!」
ミスティ「クロシュの才能が開花して……あのデロデロの絵が生まれたのよね」
イリス「初めて見た時はびっくりしたよ……! いや、今でもあの絵を見るとびっくりするというか……」
聖女「あっ、それってもしかしてクロシュさんが芸術祭のお絵かき演舞で描いたというデロデロの絵のことですか?」
妖精「そうそれ。聖女も知ってるの?」
聖女「少し前までミュージアに滞在していまして、そこで拝見致しました。芸術のことには疎いのですが、すごくスライム的な……かわいらしい絵だと思った記憶があります」
クロシュ「!」パァァァ!
イリス「あ、あれがかわいらしい……!?」
ミスティ「……そういう見方もあるかもしれないわ」
聖女「……あれ? へ、変でしょうか……?」
妖精「まあ……感性は人それぞれだし、特に変ではないと思う。うん」
セイン「あの絵か。かわいい……と言えるかはわからないが、美しい絵だったと思える」
クロシュ「!」パァァァ!
妖精「やっぱりスライム的にはあれって良い絵なの?」
セイン「僕個人の意見としては良い絵だ。しかし僕は普通のスライムとは異なるから、僕の意見をスライム一般の感想とするのは不適切だと思う」
聖女「でもあの絵を偶像としたデロデロ教では、スライム類の方の割合が他の種族よりも多かったような気がします。恐らくスライムの方にとっては、あの絵やあの絵に込められたぱわーを良い≠ニ感じやすいのではないでしょうか」
妖精「きっとそうなんだね。クロシュヴィアもあの絵を大事にしてたし」
妖精「そういえばあの頃エバンスとローガンは武者修行に明け暮れてたよね」
エバンス「ああ。ちょっとあの時は実力不足に悩んでてな……いや今も悩んでるが」
ローガン「うむ……。芸術都市は強者揃いだった」
エバンス「おう。あそこに住んでる奴らには結局一勝もできなかったぜ」
イリス「えっ、ローガンさんとエバンスさんが一勝もできない人たちがいたんですか……!?」
エバンス「ああ。剣舞の姉妹に、人形遣いパペットマスター……」
イリス「ああ……」
エバンス「あの時は迷惑かけたな。俺もまだまだ若造だからさ」
ティナ「何があったのか聞かせてもらっても?」ヌッ
*
ティナ「なるほど……依頼人でもない現地の少女と仲良くなって感情移入しすぎた、と」
エバンス「うっ、まあその通りか……? でも俺は後悔してないぞ」
ローガン「うむ。そこで男気を見せるのがエバンスくんの良さであると、ここまで共に旅をしてきた私が言わせていただこう」
ティナ「ふっ……傭兵としてはともかく、良い男になったな。エバンス」
エバンス「いやいや、結局はその子よりも旅の目的を優先したんだ。こんなのが良い男だなんて言えるか」
踊り子の双剣「」ポン
クロシュ「これ……返しに、いく……?」
エバンス「ああ。いや、それはクロシュちゃんが預かったものだからな。返しにいくタイミングはクロシュちゃんの判断に任せるよ」
クロシュ「ん!」
*
231 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:37:58.18 ID:kEnwhWuq0
テラヌス・ウルス
https://gzo.ai/i/t0TLAph.jpg
イリス「芸術都市から砂漠を越えて、テラヌス・ウルスに向かったんだよね」
エバンス「テラヌス・ウルスでは干ばつやら魔族排斥やらの問題が起こってて大変だったな」
妖精「世界樹の光が落ちる前からいろいろ難しいことになってたみたいなんだよね。まあ蓋を開けてみたら、はた迷惑な巨大スライムが地下水を独占してたのが原因だったわけなんだけど」
クロシュ「んへへ……おおきいスライムちゃん、おおきかった……!」
妖精「時々ああいう異様に巨大化したスライムが出てくるんだよね。単純な生命力とか魔力量ならクロシュヴィアみたいな伝説級のスライムにも引けを取らないんじゃないかな、あれ」
ミスティ「えっ、あれってそんなにすごいスライムだったの……!?」
妖精「うん。スライムらしい温厚な性格だったのが幸いだった」
クロシュ「砂漠スライムさんの長老さんにも……助けてもらった……!」
妖精「え、長老……? そんなのいたっけ?」
クロシュ「なのぢゃ!」モニョッ!
妖精「あ、ああ……あの変わった口調の砂漠スライム……あれ長老だったんだ……」
フメイ「ふうん……テラヌス・ウルスでそんなことがあったんだ……」
アリシラ「私とフメイちゃんはずーっと延々砂漠を彷徨ってたからねえ……」
イリス「ええっ……!? まさか、あの巨大墳墓で私たちと出会うまでずっと……!?」
アリシラ「そうだよ? あはは……あの時は実のところだいぶゲッソリしててねえ……。世界樹の光も妖精さんに横取りされちゃうしさぁ……」
妖精「先に横取りしたのはそっちだからね!」
フメイ「……でも……あの時、一緒にいれて良かった。あのテロリスト……強かったから」
クロシュ「!」
エバンス「シノホシの親玉、ザイルか!」
ミスティ「ミイラの王を倒したら急に襲撃して来たのよね」
クロシュ「うん……フメイちゃんが、一緒で……良かった……!」
フメイ「うん。フメイも……」
*
232 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:39:46.04 ID:kEnwhWuq0
国際商業都市イスファハーン
https://gzo.ai/i/JiM4dYr.jpg
妖精「その次は国際商業都市イスファハーン……大魔女帝国行きのチケットを求めて向かったんだった」
エバンス「あれは凄い街だったな!」
ミスティ「あの街の高層建築には本当に驚いたわね……世界中の富が集積する街というのも頷けるわ」
イリス「でもあの時はいろいろあって観光どころじゃなかったんだよね」
クロシュ「……」モニョニョ…
妖精「まあ……結果的には、あの時のクロシュの勇気が世界を救ったとも言える。だから胸を張りなよ、クロシュ」
クロシュ「!」モニョッ
セイン「世界を救った……? 一体イスファハーンで何があったんだ?」
*
妖精「――という感じで、あと一歩のところでデンネル家の電子妖精ブレアに世界を支配されそうになったの」
アリシラ「へえ〜……そんなことがあったんだ」
クロシュ「うん……。銀色のスライムちゃんと……シュヴィアさん……元気かな……?」
妖精「銀色のスライムなら緑の国で平和に暮らしてるみたいだよ。ステラスライムの特性を活かして世界樹や星脈の様子を細かく観測できるみたいで、ティセリアが重宝してるって」
クロシュ「わあ……!」
妖精「シュヴィアのやつは……まあ元気でしょ、きっと。オリハルスライムだし」
クロシュ「うん!」
フメイ「ねえ、アリシラ……デンネル家とかいう奴ら、今から焼き滅ぼしに行かない?」
アリシラ「いいね。私たちのクロシュちゃんに酷いことをした落とし前を付けさせに行こう」
妖精「うわっ!? その件は一応片付いてるんだから、変に掘り起こさないでよ!?」
アリシラ「あはは、冗談だよぉ。ね、フメイちゃん?」
フメイ「冗談じゃないけど」チリチリ…
妖精(あ、やばい……フメイのやつ、目が本気だ……)
クロシュ「フメイちゃん……えっと、おとしまえ……もう、付けてある……」
フメイ「クロシュ」
クロシュ「だから……だいじょうぶ……!」
フメイ「まあ……クロシュがそう言うなら……」シュウン―
クロシュ「んへへ……」
妖精(フメイの前でクロシュが酷い目に合った系の話をするのは危険かも……)
アリシラ(そうだねえ……)
イリス「それでもなんやかんやあって大魔女帝国行きのチケットは手に入ったんですよね」
ローガン「うむ。大使館での面接も通過し、無事に大魔女帝国入りとなったわけだな」
ミスティ「……クーちゃんは残念だったわね」
エバンス「あの面接で落ちるって逆に凄いと思うぞ……」
*
233 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:42:47.36 ID:kEnwhWuq0
空中楽園都市
https://gzo.ai/i/PJ62CzC.png
イリス「大魔女帝国も……凄い国でしたね」
妖精「いろんな意味で凄い国だった」
ミスティ「大魔女帝国は……いろいろと印象深い思い出が多いわね」
イリス「やっぱり魔法使いとしてはね。魔法学園で講義を受けたり、学園生と交流したり……」
ミスティ「ええ。臨時講師……の真似事のようなことをしたり、ユキという天才に出会ったり……とても良い経験になった」
イリス「ユキちゃんはすごかったねえ」
妖精「まあ雪女だからね、あの子は。氷属性適性については逆立ちしたって人の身じゃ追いつけない」
ミスティ「ええ……でも種族差だとしてもちょっと悔しいのよね……」
アイス「こおりぞくせい……? アイスのほうがつよい。たぶん」モグモグ
フレア「あ、アイスちゃん……!」アタフタ
セイン「すまない、ミスティ。アイスはまだ幼いんだ、聞き流してやってくれ」
アイス「むむう……」
ミスティ「大丈夫よ。ユキもアイスも私の目標であることに変わりないもの」
アイス「……もくひょう……?」
ミスティ「ええ。まだちゃんと話したことはなかったけれど……これからよろしくね、アイス」
アイス「……? よろしく……」
妖精「ユキといえば、トムとトリルもよく一緒につるんでたねえ」
ローガン「トムくんとは一緒に訓練をしたな。筋が良かったぞ」
エバンス「魔法学園っていうから魔法使いばかりだと思ってたから意外だったな」
クローディア「護身術程度には格闘や杖術の科目もあるけれど、彼が戦士を志しているのは魔法学園と特に関係がないわ」ヌッ
エバンス「うおわっ!?」
妖精「クローディア!? いつからここに!?」
クローディア「さっきね。一応招待はされていたのだけれど、野暮用があったものだから」
ローガン「なるほど……丁度今、大魔女帝国での思い出話をしていたところですぞ」
クローディア「へえ、そうなの? 私も聞いて良いかしら?」
妖精「まあ別に良いけど……」
クロシュ「トリルちゃんと……一緒にお絵かき、した……!」
妖精「トリルも絵が上手だったんだよね。確かあの時は図書館のアトリエだったっけ?」
クロシュ「うん……! それと……美術館で……大魔女さまアート、描いた……!」
妖精「え、そんなこともあったの?」
クロシュ「うん……!」
クローディア「ふふ、クロシュが描いた大魔女アートはしっかり見させてもらったわ。素敵な絵を描いてくれたわね」
ナデナデ
クロシュ「んへへ……」モニョモニョ
クローディア「クロもトリルもあなたのことが大好きだから、いつでも遊びに来なさいね」
クロシュ「ん……!」
*
234 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:46:10.75 ID:kEnwhWuq0
浮島国
https://gzo.ai/i/3pQB7pZ.png
妖精「クロシュが気球になって空を渡れるようになったから、私たちはついに大陸西部の上空に浮かぶ雲塊に突入できるようになったんだ」
クローディア「……そういえば、あの時はクロシュの飛行能力なら大丈夫って言ったわよね、私。実際、大丈夫だったかしら……?」
クロシュ「……えっと……びりびりだまに、やられた……」
クローディア「……」
ミスティ「びりびりだまっていうのは雷霆の魔王の眷属のことよ」
ローガン「あの時は……全滅の危機だったな……」
クローディア「……」
エバンス「まあなんとかギリギリ雲塊内の浮島には不時着できたんだけどな」
イリス「……大魔女様、もしかして雷霆の魔王のこと……ご存知だったんですか?」
クローディア「いや、その……封印のことは知っていたのだけれど、あと2000年は持つ見込みだったはずなのよ……。だからあなたたちを行かせても大丈夫だと思って……」
妖精「浮島国で出会った宮廷エルフのジェミニもそんなようなことを言ってた気がする。でもそれは世界樹の光の影響がなかった場合の試算で……」
クローディア「……ごめんなさい! あなたたちを死地に送り出してしまったなんて……」
妖精「まあ……誰も死ななかったから別に良いんじゃない?」
クロシュ「浮島の国……すごかった……!」
エバンス「大魔女帝国も空に浮いてたが、その次に向かった国も空に浮いてたんだもんなあ。まさか雲の中に陸地があるなんて思わなかったぜ」
イリス「あれどうやって浮かせてるんだろう? かつての大魔女帝国みたいに、ものすごく大きな気球で吊り下げてるわけでもないし……」
妖精「反重力物質がどうのこうのってまんまるゴーレムのゼーレシルトが言ってたね。それが何なのかは全然わからないけど……クローディアは知ってる?」
クローディア「かなり以前にあの島に侵入して調べたことがあったけれど、解明できなかったわ。虚属性らしき無重力作用を利用しているのは確かなのだけれど、虚属性特有の物質を崩壊させる性質は全く見られないし……。古ラティア国の文明は、この大魔女の魔導と智慧さえも凌駕するのよ」
エバンス「大魔女ですら未だ成し得ぬ技術ってことか……古代文明ってのは凄いな」
クロシュ「うん……」
イリス「古ラティア国の人たちは、地上の大洪水から逃れる為に空に逃げて……洪水が収まった後も、地上での諍いを厭って空に残った……。あそこにもう人は住んでいないけれど……ラティアの人たちが夢見た国は、ようやくその理想に辿り着いたのかな……なんて……」
レイン「例え土地が残っても、民がいなければ何の意味もない……って、ザイルなら言うでしょうね」ヌッ
イリス「れ、レインさん!?」
レイン「フレメアに呼ばれたの。お邪魔だったかしら?」ファサ
イリス「い、いえそんなことはないですけど……!」
レイン「……でも、個人的には悪くない国だったわ。静かで、穏やかで、余計なものがなかった……。残っていた文献や人形たちの話しぶりからすると……ラティア人がいた頃も、あそこはあんな国だったのでしょうね……」
フレメア「へえ……レインがどっかの国をこんなに褒めるなんて珍しいね」
レイン「王国以外はちゃんと評価してるつもりよ」
クロシュ「セイラちゃん……ポーラーさん……ゴライアスさん……人形さん………。みんな……元気かな……?」
妖精「きっと元気だよ。もうあの国を脅かすものは何もないもの」
クロシュ「うん……!」
フメイ「……フメイも、行ってみたくなった」
アリシラ「私も。お空の上に浮く理想郷なんて、おとぎ話みたいですごくロマンチックだよね」
クロシュ「んへへ……今度……みんなで、一緒にいこ……!」
*
235 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 15:53:06.51 ID:kEnwhWuq0
一旦ここまで。続きは夜にまた更新したいと思います。よろしくお願いいたします
参考:浮島国、寂れた家の人形さん
https://gzo.ai/i/DF9j6Gy.png
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 20:13:38.80 ID:38vFkIxqo
たんおつ
イメージいっぱいで助かる
237 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:33:56.59 ID:kEnwhWuq0
ユーシリア湖 女神の墓
https://gzo.ai/i/PyotWSq.jpg
ローガン「次は……ユーシリア帝国か」
クロシュ「ローガンさんの……おうちの国!」
ローガン「うむ」
ミスティ「ユーシリアでもいろいろあったわね……」
イリス「だね。世界樹の光が起こした地震と不作、眠り病の流行、宰相の暴走、人魔の対立……」
エバンス「改めて聞くとやばすぎるな……」
妖精「あの状況から持ち直せたのって本当すごいと思う」
クロシュ「眠り病は……ヴァンさん!」
妖精「女神の騎士ヴァン・アナザールートのかなしい物語……ちゃんと覚えてるよ」
エバンス「倒そうとした相手と恋に落ちて、倒したくなくて、それでも倒すしかなかったんだよな……」
イリス「でも、最後には報われました! ヴァンさんは!」
ミスティ「ふふ……今もクロシュの中で生きているのよね、あの変な黒騎士は」
クロシュ「うん!」
ローガン「……思えば、不思議な縁があったな。帝都に向かう途中で偶然出会い、湖探索の際もすぐに出会うことができた」
クロシュ「うん……!」
妖精「きっと……あれこそが、運命の導きってやつなんだと思う」
クロシュ「ミントちゃん……ロシュちゃん……元気かな……?」
エバンス「あ、ああ……ミントは、あの変身能力を持った異様に力の強い子だよな。まあ元気じゃないか?」
イリス「あの子ならユーシリアがどんなことになっても生き延びられそうな気がします……」
ミスティ「ロシュは……どうかしら。皇帝が力を取り戻した今は、平穏に働けていると思いたいわね」
ローガン「む……そういえば先日ルクリリくんから手紙が来たのだが、ロシュくんが王宮の一室をキノコ室に改装したのだそうだ」
クロシュ「わぁ……!」
妖精「キノコ室……まさかエリオス皇帝、職権乱用したんじゃ……」
ローガン「………まあともかく、ロシュくんも元気でやっているようだ。クロシュくんの再訪を楽しみにしているそうだぞ」
クロシュ「わわぁ……!!」
妖精「ふふ、楽しみが増えるねえ」
クロシュ「うん……!!」
エバンス「……ところで旦那、ルクリリさんとは……?」
ローガン「む? ルクリリさんとは、とは……?」
エバンス「いや……なんでもねえ……」
ローガン「……? ああ、オリハル鎖帷子のことか。無論、改めて感謝を伝えに行こうと思っている。彼女の計らいがなければ危うい場面が幾度かあったからな……」
エバンス「お、おう。そうだな……それが良いと思うぞ!」
ローガン「うむ」
イリス(……ルクリリさん……)
ミスティ(これからどうなるのかしら……)
妖精(まあ……ローガン次第だね、こればかりは)
クロシュ「?」
238 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:34:55.71 ID:kEnwhWuq0
ミスティ「ユーシリアの人魔対立はかなり深刻だったわよね」
ローガン「うむ……。正直、出身者である私自身もどうにもならんと思っていた」
妖精「あれがどうにかなると思う人なんてイリスくらいしかいなかったんじゃないかな」
イリス「えっ!? で、でもほら、実際どうにかなったし……!?」
エバンス「どうにかしちまったんだよな……。いや、マジですごいぞ」
クロシュ「ダークヒーロー……!」
聖女「ユーシリアでのダークヒーロー伝説は私も新聞で読みました……! 人と魔に橋をかけるイリスさんの活動……本当に、素晴らしくて、胸が熱くなりました……!」
イリス「いや、まあ、えへへ……私一人の力じゃないですし……」
フラナ「やってることはどこぞの新聞記者みたいな、風説の流布による扇動だったみたいだけどね」
ティナ「イリス、そんな戦い方も身に着けていたのか……少し驚いた」
イリス「うぐ……め、目には目を、というやつです! 悪竜も似たようなことをしていたみたいなので……!」
エバンス「まあ、悪竜だけを悪者にする分には誰も困らんしな」
フレメア「セレスティアが所属してたシノホシの他のメンバーにも飛び火して悪者にされる可能性もあるじゃん」
フラナ「自業自得よ。テロ組織なんだから実際悪者じゃない」
妖精「……」
妖精(もし悪竜に連なる者……親族とか、眷属とか……いないとは思うけど直系の血族がいたとしたら、そいつがユーシリア国民に見つかれば壮絶な憎しみを向けられることになるだろう)
妖精(そうなれば……憎しみの受け皿となったそいつは、やがて……イリスを、ダークヒーローを恨むだろうか?)
妖精(それとも……あの二匹の悪竜と同じように、他者など意に介さず自由気ままに力を振るって生きるだろうか?)
妖精(どちらにせよ、もし悪竜と同じくらい強くて危険な奴だったらちょっと困ったことになりそうだ……。まあ、今までそんな話聞いたことないから大丈夫か……?)
妖精(一応、後で精霊たちに聞いてみようかな。悪竜の血族について)
239 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:35:25.74 ID:kEnwhWuq0
イリス「と、ところで宰相さんは難敵でしたね……!」
ミスティ「宰相……というか、中身は夢魔だったのよね」
クロシュ「リリーツィア・ハッピーエンドさん……」
妖精「ああ、そんな名前だったね」
クロシュ「うん……。やったことは、ひどいけど……。考えてること……ちょっと、わかった……」
エバンス「幸せな夢の中で終わるのが一番良い……みたいな感じだっけか」
クロシュ「うん……」
ローガン「……確かに……それもまた、名の通り一つのハッピーエンドなのかもしれんな」
聖女「……そのような考え方もあるのですね……」
クロシュ「聖女さんは……どう、おもう……?」
聖女「………わかりません……。でも……ローガンさんの仰る通り、それも一つの答えなのではないか……と思います」
妖精「へえ、意外。聖女なら否定すると思った」
聖女「最大多数の幸福追求という点で見れば、それ以上に幸福な結末は私には思い付きません。意識が現実にある限り……全ての生命がしあわせになることは、不可能です……」
妖精「……」
聖女「あ、でも……デロデロ教の考え方なら、全ての生命をしあわせにすることも可能かもしれません」
妖精「最終的に一つになっちゃえば、その一つがしあわせなら全てがしあわせと言える、か……」
聖女「はい。なので私は……デロデロの教えもまた、一つの答えであると考えています」
クロシュ「!」モニョッ
妖精「驚いた……聖女もデロデロ派になっちゃうの?」
聖女「いえ……私自身の回答は、まだ出せません。知識も経験も何もかも不足していますし……。でも……この憎しみ合うばかりの世界をなんとかしたいという気持ちは、きっとクロシュヴィアさんとも、リリーツィアさんとも、そしてダークヒーローイリスさんとも同じであると、思っています」
イリス「聖女さん……! そうだよね……! 答えが何であろうと、気持ちはみんな同じなんだ……!」
聖女「はい……! なのでこれからも目標とさせてくださいね、イリスさん……!」
イリス「わ、わかった! ダークヒーローとして、これからも頑張るよ!」
妖精「なんか綺麗にまとまったね」
クロシュ「んへへ……きもちは、みんな、おんなじ……!」
*
240 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:37:44.75 ID:kEnwhWuq0
オノゴロ諸島 トウゲン温泉街
https://gzo.ai/i/0PIQyFH.jpg
妖精「そして次は、東ユーシリア港からオノゴロ諸島に向かったんだ」
エバンス「オノゴロもオノゴロで大変だったな。姫巫女の乱心とか、反朝廷組織の暗躍とか」
ミスティ「でもユーシリアの時と違って、オノゴロで起きていた問題は全部一つに繋がっていたのよね」
イリス「銀狐の乱獲や、姫巫女という仕組み自体によって生じたかなしみが根底にあったんだよね……」
クロシュ「わらわじゃ……イクセちゃん……」
ローガン「だが、全ては祓われた。オノゴロの道行きは明るいものとなったはずだ」
妖精「太陽神アマテラスも見守ってるだろうしね」
ミスティ「オノゴロと言えば……やっぱり、雪解けでの思い出が印象深いわね」
イリス「ユキちゃんのお母さんに――」
クロシュ「シズクちゃん!」
妖精「今はトキワも働いてるよ。道具屋のサララもお得意先みたいだし関係が深いみたい」
ローガン「姫巫女のイクセ殿も幼子であったし、オノゴロで出会った人々には子供が多かったな」
エバンス「言われてみるとそうだな……」
妖精「公家のイヨもちんちくりんだったしね」
イリス「イヨちゃん、あれで私より年上なんだからかわいいよね」
ミスティ「妹分だっていうリュウトウ中将の方がお姉さんに見えたわね」
フメイ「オノゴロ……そんなに昔のことじゃないけど、なんだか懐かしい……」
アリシラ「あそこでクロシュちゃんたちと一緒に過ごしたのが転機になった気がするね」
フメイ「うん……。いろいろ……変わった……」
クロシュ「あの時も……フメイちゃんと、アリシラさんが、いてくれて……ほんとに、良かった……」
妖精「いやあ、本当にね……。フメイがいなかったらオノゴロの大惨事はどうにもならなかったし、わらわじゃ巫女の星の力も奪えなかったもの。いてくれて助かったよ」
アリシラ「ふっふっふ、どういたしまして!」
フメイ「……ちょっと、放っておけなかったから……。オノゴロは……嫌いな国でもないし……」
クロシュ「んへへ……」
241 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:38:12.77 ID:kEnwhWuq0
クローディア「聞いたわ。私の羽を同化の力で使いこなして、オノゴロの危機を救ったそうね」
妖精「うん。流石の大魔女としても予想外?」
クローディア「ええ。不死鳥の羽との同化なんて、クロシュヴィアくらいにしかできないと思っていたから」
妖精「クロシュヴィアもできるんだ……」
クローディア「ふふ……あなたたちの活躍を聞いていると、若い頃のことを思い出すわ。私たちもいろいろやったのよ……伝説に謳われる程度に、いろいろなことをね」
妖精「あなたたちって、元々はパーティか何かを組んでいたの?」
クローディア「常に一緒に行動していたわけではないけれどね。あの頃はまだ、みんなそれぞれ明確な答えを持っていたわけではなかったから、ただがむしゃらに正しいと思う方へ突き進んだ。その結果たくさんの命を救えることもあったし、救えないこともあった……。若かったのよ……今のダークヒーローたちみたいにね」
妖精「へえ〜……なんかちょっと意外」
クローディア「まあでも、いつの間にか疎遠になっていたのよね。自分なりの答えを見つけて、そっちに集中したり……あるいは、現実に打ちのめされて風になったり……」
妖精「クロシュヴィアが現実に絶望して風になったって話……なんだか想像が付かないんだよね。私は、おもしろおかしくデロデロ教の導師をやっている姿しか知らないから」
クローディア「……実のところ、私もちょっと驚いたわ。昔はあそこまで陽気ではなかった……というか、どちらかと言うと今のクロシュみたいな……静かで穏やかで、ちょっと泣き虫なスライムだったから」
妖精「え、そうなんだ」
クローディア「クロシュっていう、夢を共有できる……いえ、夢を見せてくれる仲間ができたのが凄く嬉しかったのかも。あいつ、最近はクロシュの話ばかりしようとしたのよ?」
妖精「まあ、クロシュのことを気に入ってたのは間違いない……」
クローディア「まあそういうわけだから、クロシュヴィアのことは私たちに任せなさい。あいつがもし道を踏み外そうとしているのなら、それを止めるのはあいつの同輩である私たちの役目だから」
妖精「ん、わかった。今のところ私やクロシュたちにできることはなさそうだしね。でももし私たちに手伝えることがあれば、その時は遠慮なく言ってよ」
クローディア「ええ、もちろん。必要があればすぐさま来てもらうわ」
*
242 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/15(土) 21:40:03.26 ID:kEnwhWuq0
ひとまず本日はここまで。スレを読み返しながら書いているためものすごく時間がかかる模様です。ご容赦ください(これでもユーシリア編の振り返りまで書き溜めていましたがこの有り様です)
せっかくなので各国の適当なスポットをイラストレートしてみた模様です。まあ概ねこんな感じの場所なのかな〜というのをわかっていただければ良いかと思います。個人的にお気に入りなのは、謎の馬車っぽい自動車のようなものが走っている国際商業都市のイメージイラストレーションです。伝統的な馬車らしさからデンネルっぽくもあり、軍事利用的な観点からはオーデルシュタインっぽくもあり、ちょっと洒落たデザイン性からマガジンっぽくも見えます。一体どこの家が開発したものなのか――
また、二次創作スレの方が2スレ目になったようです。とてもおめでたいことです。全く異なる運命が紡がれるあちらの世界ではどのような運命が紡がれるのか、楽しみにしております
それでは本日もお疲れさまでした。次回は明日の予定です
243 :
◆sIVlz2/mNs
:2025/11/15(土) 22:06:16.81 ID:jjW2qCZbO
久々の更新、乙でした!
こうしてみると、クロシュ達は長い旅路を歩んだなぁ
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 22:46:17.38 ID:SQ4DNdkgo
乙
本家も二次創作も楽しみにしてます
しかしイスファハーンと大魔女帝国が思ったよりも大都会でビックリ
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/15(土) 23:01:37.13 ID:cHj3twlhO
乙
ユーシリアのピンチっぷりに笑う
色々な幸福論が出てるけど自分はリリーツィア派だなって夢にとける
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/16(日) 00:54:43.79 ID:cSTcBxb9o
おつ
絵になって改めて認識する旧大魔女帝国のなかなかに不気味な見た目…
そして外伝で生まれた要素を本家が軽く触れる描写好きだわ
247 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/16(日) 23:03:44.38 ID:VSid7EQs0
すみません、急用が入ったりセイントレア編を読み直すのに時間がかかったりして全然更新できませんでした。今回は急な体調不良とかではないのでその点はご承知おきください
クロシュさんたちはとても長い旅を歩んできたようです。それは実際長い旅でしたが、その旅ももうすぐ終わりに近づいているようです。ひとまず旅の終わりまでを見届けていただけたら幸いに思います
そして旅が終わったら何が始まるのかと言うと、また旅が始まったりするのかもしれません。その辺りをどうするかはまだ考え中ですが、旅慣れスライムのクロシュならばきっとまた楽しく旅をすることができると思います
>>1
としましても、二次創作スレの方は今までにない経験でとても面白く読ませていただいているところです。これからも楽しく拝見させていただければと思っております
イスファハーンと大魔女帝国はものすごい都会のようです。流石は世界の最先端を行く二大国家であります。しかしイスファハーンは貧富の差もすごいため、住むなら大魔女帝国の方が安泰かもしれません
ユーシリア編は実際のところとてもやばい状況でした。しかしたくさんの人の努力やがんばりや機転もあり、なんとかなったようです。それはとても良い結果であったと考えられます
様々な幸福論があり、我らが主人公のクロシュ氏はもちろんデロデロ派……と言いたいところですが、クロシュ氏本人もどんな世界が最も良いのか、まだまだ悩んでいる模様です。あかちゃんスライムの思索を見守っていただけたらと思います
実のところ空中楽園都市のイメージ絵は、実際妙に不穏で不気味な雰囲気であると言えるかもしれません。大魔女のクローディアさんが、風船スライムのクロさんをいじめぬいて浮かせているひどい都市です
外伝要素に触れる……というのを意識したわけではないのですが、二次創作スレの方を読んでいて新たな視点に気付いたりすることもけっこうあるため、その気付きが本作に反映されたようです。
>>1
自身としても面白い試みであるため、もしかしたら今後もそういった描写があったりなかったりするかもしれません
248 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/16(日) 23:07:19.03 ID:VSid7EQs0
白亜の都 王都セイントレア
https://gzo.ai/i/FlL8Eeb.png
妖精「そしてこの旅の終点……王都セイントレア」
クロシュ「うん……」
妖精「世界樹の光……ロイエ教原理派やセイントレア王国との因縁……カリス・ノーランド……たくさんの因果が収束する、最終地点でもあった」
クロシュ「……大体の、ことは……良くなった……」
イリス「そうだね……。世界樹の光は無事に全て星に返還されて、過激な原理派は力を失い、王国も魔族国と関係改善の兆しが見えてきて、カリス・ノーランドは消滅した……」
ローガン「うむ……。大局を見れば、様々な物事が好転していると言えよう……。しかし――」
妖精「大事にしていた部下を失った僧侶とクロシュヴィアは、決意を胸に何処かへと消え去り……事態を引き起こした幽界樹の精霊は、生を拒んで消滅を選んだ……。他にも、大勢の王都民が星に還ることさえできずに消されてしまった……」
ミスティ「……失ったものを……無視することはできないわね」
クロシュ「……」
聖女「……」グッ
セイン「だが――お前たちのお陰で、救われた命もある。そのことも、しっかり覚えておいて欲しい」
クロシュ「!」モニョッ
フレア「うん……! 私たちは……クロシュちゃんたちのお陰でカリスから解き放たれて、自由になれたんだもん」
フリューゲル「……心から感謝するわ、クロシュさん。あなたたちのお陰で……私は、罪を償うことができる……」
クローディア「はあ、この期に及んで罪だの何だのと……。まあいいわ、ちゃんとお礼が言えるなら良し」
黄スライム『でもまさか、本当にカリス・ノーランドから自由になれるなんて……!』モニョモニョ
灰スライム『……以前のわたしに言っても……絶対に信じなかったと思う……』モニョニョ
アイス「………」
クロシュ「………」
アイス「………」
アイスの指「」スッ
クロシュのほっぺた「」ツンツン
クロシュ「…!?」モニャ!?
アイスの指「」グッ
クロシュのほっぺた「」グイグイ
クロシュ「〜〜!!?」モニャニャ!?
フレア「ちょ、ちょっとアイスちゃん!? なんで急にクロシュちゃんのほっぺたを引っ張るの!?」
アイス「べつに……。なんか……ひっぱりたくなった……」
クロシュ「〜〜…」モニョニョ…
セイン(……これは……止めた方が、いいのか……?)
妖精(……いや……でも、これは……)
クロシュ「……♪」モニョニョ ニコニコ
アイス「………」ムー…
妖精(……アイスなりに、距離を縮めようとしているのかも?)
セイン(そうなのか)
妖精(うん。あんまり酷くならなそうなら、見守ってあげて。クロシュもアイスにちょっかい出されるのがちょっと嬉しいみたい)
セイン(わかった)
249 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/16(日) 23:11:43.34 ID:VSid7EQs0
次回はセイントレア編の振り返り・後半から開始となります
ものすごく短くて申し訳ありませんが、振り返り編が終わればもう少し速く進められるようになるかと思います。よろしくお願いいたします
そして来週の土曜日は更新できなさそうなため、ひとまず日曜更新の予定です(日曜もはっきりとはわからないため、もし更新できなさそうなら早めに告知させていただきます)
よろしくお願いいたします
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/17(月) 12:16:11.39 ID:XqxvV27tO
おつでした
色々なスライムにも会った旅でしたね
それを通してクロシュちゃんもかわいいだけの穀潰しから随分大きくなった
251 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:14:45.65 ID:gnBdQR7t0
クロシュ氏は多くのスライムの方々と出会い、大きくなりました
物語開始時点では実際穀潰しとしか言えないよわいスライムでしたが、今ではすっかりいっぱしのスライムになれたように思います。あかちゃんスライムのがんばりにあっぱれと言えるかもしれません。今後の活躍にもご期待いただきたいところであります
252 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:15:38.24 ID:gnBdQR7t0
レイ「わわ、私も……クロシュちゃんたちのお陰で、助かりました!」
クロシュ「!」
ミラ「うん。クロシュちゃんたちが来てくれたから……僕たちはまた、一緒に暮らせるようになった」
クル「アナタたちはレイを助けてくれただけじゃなくて、レイが本当は何も悪くなかったことも証明してくれたんだもの」
クロシュ「んへへ……レイさんが、悪くないこと……わたし、知ってた……」
レイ「クロシュちゃんんん!!」
イリス「私たちはこれまでの旅の途中で、レイさんとも何度か一緒になったからね」
ミスティ「まあ……最初はともかく、ニ回目はもう危なくなさそうだったものね」
妖精「世界樹の精霊にいろいろ調整してもらったお陰で、今はもう名実ともに危なくなくなったから安心だね」
レイ「う、うん……! 私……もう、危なくないです!!!」
ミラ「フフ、そうだね」
クル「ずっと一緒にいようね、レイ」
エバンス(でもレイって、逃亡中に追ってきた普通の兵士とかも何人か殺っちまってるんだよな……?)
ローガン(それについては……彼女が儀式を受けさせられた時の年齢や、力が制御不能だったことなども考慮され、罪には問われないこととなったようだ)
エバンス(そうか。まあ実際悪いのはレイじゃないもんな)
ローガン(うむ。罪に問われるべきは、彼女に魔法陣を刻んだ邪教の者たちと、それを利用しようと強行的に追手を差し向けたグランドマスターだ。そして邪教の者たちは既に絶え、グランドマスターの罪はこれから裁かれるだろう)
エバンス(おう……)
*
グラス「」コトン
ティナ「ふぅ……」
エバンス「ティナさんはこれからどうするんだ?」
ティナ「やり残した仕事を片付けたら……団を抜けさせてもらおうかと思っている」
エバンス「まあ、そうだろうとは思ってた」
ティナ「悪いな。イリスはもう一人前だが……私自身が、帰るべき場所へ帰りたいんだ」
エバンス「ハハッ、元々ウチの傭兵団は流れ者の集まりだからな。帰るべき場所を見つけた奴から去ってくってのは見慣れた話だ。傭兵団が帰るべき場所になっちまってる奴もいるけどな」
ティナ「団長や君には世話になった。今のうちに礼を言っておきたい」
エバンス「おう。しかしあの無詠がいなくなっちまうとなると、少しばかり戦力が不安になるな……」
ティナ「フッ……気付いていないかもしれないが、君の実力は以前と比べて非常に高まっている。私が抜けた分の穴など全く問題にはならないだろう」
エバンス「え、そうか?」
*
スライムヴィア「…………」
スライムヴィア(……魔族国の支援をセイントレア王が受け入れたことで……両国の……この大陸における人魔の関係は、変化しようとしている……)
スライムヴィア(それは……私自身も切望してきた、平和への第一歩……なのかもしれない……)
スライムヴィア(でも……)
スライムヴィア(……この大陸の、人と魔の関係が良くなったところで……この世界に蔓延る悲しみは、どれほど減る……?)
スライムヴィア(………大して減りはしない。そもそも……人と魔の相克など、極めてありふれた生存競争の一つに過ぎないのだから……)
スライムヴィア(…………)
スライムヴィア(やはり、デロデロしかないのかもしれない)
スライムヴィア(世界の全てを、救うには――)
*
253 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:16:10.73 ID:gnBdQR7t0
クレア「……」
未来視の魔眼「」キィン―
クレア(……滅亡の未来は、視えなくなっている)
クレア(あの災害の光景が、私が滅亡だと思っていたものなのか……それとも、本当の滅亡を回避して辿り着いたのが、この平穏な現在なのか……今となっては、もうわからない……)
クレア(まあ……どちらでも、良いのかもしれない。王都の被害は最小限に食い止められて……数々の課題も解決に向かっているのなら……)
聖女「クレアさん?」
クレア「あ、聖女……」
聖女「どうされましたか……? 少々、難しい顔をしていらっしゃいましたが……」
クレア「……あなたには、以前話したことがありましたよね。私の……未来視の魔眼について」
聖女「!」
クレア「……実を言うと……私には、滅亡の未来が視えていました」
聖女「……」
クレア「しかしあの災害の日以降……その未来は、ぱったりと視えなくなったのです」
聖女「!」
クレア「滅亡の未来は、もうない……それは確かなのです。しかし少し腑に落ちない点もあり……」
ヴェールで顔を隠した女性「大丈夫だよ。もうその運命は、退けられたから」ヒョコ
聖女「えっ……!?」
クレア「だ、誰ですか……!?」
ヴェールで顔を隠した女性「泣き叫ぶように転がって、転がって、転がり尽くした透明の賽が――悪運を退けて、奇跡を起こしたの。だから――今はもう、大丈夫―――……」
聖女「あなたは……」
ヴェールで顔を隠した女性「でも……世界が存続する限り、果てなきかなしみは生まれ続ける……。もしかしたら……この世界が続くことこそが、最悪の運命だった――なんて、言えなくもないかもね……。あの、かなしい精霊さんの言った通りに……」
クレア「……」
ヴェールで顔を隠した女性「………ごめんね……せっかくの大団円に、水を差しちゃって」
聖女「あなたは、一体――」
ヴェールで顔を隠した女性「私は――思い出だよ。水底に沈んだ、一つの―――」
ポチャン――…
◆
254 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:16:49.82 ID:gnBdQR7t0
―夜
聖ヴァレリオ教会
カキカキ…
スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ カキカキ
旅の仲間が描かれた絵画「」ポン
イリス「わあっ! 私たちの絵!?」
スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ
ミスティ「ふふ……良いわね。なんだか……」
ローガン「なるほど、我々を描いた絵画か……!」
エバンス「おお……絵ってのはこういうのもアリなんだな!」
妖精「旅の記念か……なんだか感慨深いね」
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ
旅の仲間が描かれた絵画「」ポン
☆絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』を描きました
後日、クロシュのおうちに飾られます
◆
255 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:18:02.23 ID:gnBdQR7t0
―翌日
王都セイントレア 北門
強化ソリ「」ポン
クレア「……この度は、世界と王都を救う為に尽力していただき、どれほどのお礼を申し上げれば良いか……」
妖精「気にしないでよ。世界を救うってのも、結局は自分たちが生き残る為でもあるんだから」
イリス「そうです! 私たちは、緑の国の使節団として……そしてダークヒーローとして、やるべきことをやっただけなので!」
ミラ「ダークヒーローって言う割には、眩しすぎる在り方だね……。フフ、尊敬せざるを得ないよ」
ミスティ「あなたたちだって王都を守る為に戦ったでしょう。同じよ、それも」
クル「大切なものを守る為に、か……。ふふ、そう言われるとそんな気もするね」
レイ「クロシュちゃん……! い、行っちゃうの……?」ジワワ
クロシュ「うん……」
レイ「……わ……わかってる……。クロシュちゃんにも、帰るべきところがあるんだよね……」
クロシュ「ん……」
レイ「………で、でもこれからは……!! 私、お尋ね者じゃないから……!! い、いつでも……会って、いいんだよねっ……!?」
クロシュ「うん……!」
レイ「クロシュちゃんんんんん!!!! ぜ、絶対、絶対、会いに行くからねっ……!! 元気に、元気にねっ……!!!」ポロポロ
クロシュ「うんっ……!!」
イリス「でもレイさんも、帰るべきところにちゃんと帰れるようになって良かったです!」
レイ「あ、う、うん! そ、それはもう、ほんとにそう……!! みみ、皆さんの、お陰様です……!!!」
ミラ「改めて、本当にありがとう……。レイのことを助けてくれて」
クロシュ「んへへ……」
クル「またいつでも王都に遊びに来てね。孤児院のみんなで歓迎するから」
イリス「はい!」
エバンス「無詠……ティナさんは一度チカーバの拠点に戻るんだよな?」
ティナ「ああ。団長にも既に連絡してある。状況によるが、できればお前たちが緑の国で報告を終えたら合流したい」
イリス「そしたら……一緒に、帰れる?」
ティナ「ああ……。イリスが良ければ、共に帰りたい。私たちの故国へ……」
イリス「うん……! そしたら、母さんと合流するまで緑の国で待つよ!」
ティナ「ありがとう……」
ミスティ「………ところで、イリスってどこの出身なの?」
妖精「そういえば聞いたことなかったかも」
イリス「あれっ、言ったことなかったっけ!?」
ローガン「覚えはないな……」
エバンス「ティナさんも、もう思い出してるんだよな?」
ティナ「ああ。私たちの出身は大陸北東部……大山脈の麓に位置する国、オリシン王国だ」
ローガン「なんと……! ユーシリアの隣国だったとは……!」
イリス「オリシン王国はユーシリアが大変な時もユーシリア攻めを行わなかった数少ない国の一つなんですよ!」
妖精「世界樹の光が落ちた鉱山と地理的に近いこともあって、オリシン王国でも地震とか不作で戦争どころじゃなかったから……とか?」
ティナ「元々武力に秀でた国でもないからね。本の国と呼ばれてるくらいだし」
イリス「出身者としては、ドサクサに紛れてユーシリア攻めをするような国じゃなくて良かったと思います……」
256 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:18:45.24 ID:gnBdQR7t0
フメイ「クロシュ……フメイたちも、一緒に行って良いんだよね……?」
クロシュ「うん!」
アリシラ「良かったねぇフメイちゃん! 今までず〜っと離れ離れだったのが、ようやく一緒にいれるようになって……」
フメイ「まあ……うん……」
クロシュ「んへへ……」
フメイ「……でも、アリシラも……一緒にいてくれて、ありがと……」
アリシラ「…………えっ!!?」
フメイ「……」
アリシラ「フメイちゃん……もう一回言って?」
フメイ「……何を?」
アリシラ「さっき言ったこと!」
フメイ「……もう忘れた」
アリシラ「え〜!!!!」
クロシュ「……」ニコニコ
セイン「みんな、忘れ物はないか?」
アイス「……」コク
フレア「うん、バッチリ!」
黄色スライム『元々何も持ってないよ〜』モニョモニョ
灰色スライム『黄色と同じく……』モニョニョ
ザック「ん? お前たちも旅立つのか?」
セイン「クロシュたちについていき、身を落ち着けるのに適した場所を見定めるつもりだ。長い旅にはならない」
黄色スライム『でもセインはクロシュちゃんの集落に住みたいって思ってるみたい!』モニョモニョ
灰色スライム『……まあ、せっかくなら……同郷の出身者がいるところの方がいいよね』モニョニョ
フリューゲル「なら私たちと一緒に魔族国へ来ても良いんじゃないかしら?」ヌッ
フレア「フリューゲルさん!」
アイス「フリューゲルは……やっぱり、ちょっとちがう……」
フリューゲル「」ガーン
フレア「ち、違うの! フリューゲルさんを仲間外れにしたいとかじゃなくてっ……!」
フリューゲル「ふふ、冗談よ。私は生まれた時からあなたたちと共にいたわけじゃないものね」
黄色スライム『フリューゲルさん……』モニョニョ
フリューゲル「そしてアイスにとっては、私よりクロシュの方がちがわない≠チてことなのね」
アイス「!!? ち、ちがう……クロシュなんか、もっとちがう……!!」
フリューゲル「ふふ、仲良くしなさいね。あなたたちは皆、兄弟であり姉妹なのだから……」
アイス「……」ムー…
フレア「そう言うフリューゲルさんも、家族を大切にしなきゃだめだよ?」
フリューゲル「ええ……それはもちろん……」
257 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:19:27.93 ID:gnBdQR7t0
フラナ「母上、馬車の準備が整いました」シュタッ
フリューゲル「フラナ。ありがとう」
フレメア「ねえ、飛んで行った方が速くない? なんでわざわざ馬車なんかで地上をゆっくり行くの?」
フラナ「魔族国初代国家元首の帰還なのよ? 母上の翼を煩わせるわけにはいかないでしょう」
フレメア「かたつむりみたいにのろのろ運ぶ方がずっと煩わしいと思うけど」
フラナ「そういうわけにはいかないのよ。民への示しというものが――」
フレメア「は〜くだらな。ねえねえお母様、私と一緒にひとっ飛びで帰りましょ?」バサッ
フリューゲル「……ごめんなさいフレメア。あの戦いから身体の調子が悪いの。まだ長距離飛行は難しいかもしれないわ……」
フレメア「えっ、そうだったの……!?」
フリューゲル「それに、せっかくだからあなたたちと馬車の中でゆっくりお話したいの。だから……馬車でも良い?」
フレメア「も〜しょうがないなぁ……。早く身体を治してね、お母様」
ワイワイ キャッキャ
聖女(……えっ、私このご家族と一緒の馬車で魔族国へ帰るんですか……!?)
聖女(………いやでも、バイオレット家の方々と密接にお話できる機会なんて滅多にありませんし……これはある意味チャンスかもしれません……)
聖女(…………いやいやでもでも、私のせいで家族水入らずを邪魔してしまうのはちょっと……)
フラナ「はあ、全く……。何余計な心配してるのよ、聖女」
聖女「ほえ!?」
フラナ「今の魔族国について話せるのは私とあなたしかいないのだから、移動中は母上とちゃんとお話しなさいよね」
聖女「ええっ……!? でも私、お邪魔ではないですか……?」
フラナ「フレメアの方がよっぽど邪魔。民の生活や子供たちのことについてはあなたの方が私より詳しいでしょうから、頼むわよ」
聖女「そういうことであれば、わかりました。フリューゲル様に魔族国についてお話させていただきますね」
フラナ「ええ。人間のあなたが語れば、より鮮明に伝わることもあるはずだから」
◆
258 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:19:54.41 ID:gnBdQR7t0
―セイントレア城 王の寝室
ベッドに伏せるアルベール王「……立場が逆になってしまったな」
セイントレア王妃「今はゆっくり養生なさって。私が代わりに政務を執り行うから」
アルベール王「ああ……」
セイントレア王妃「でも先日は本当に驚いたわ。まさかあなたの口から、魔族国からの支援受け入れの許可が出るなんて」
アルベール王「いつまでその話をしている……。私は王として、すべき判断をしただけだ」
セイントレア王妃「ええ……ふふ、そうね」
アルベール王「………ところで、あの黒いスライムは……今は、どこに?」
セイントレア王妃「クロシュちゃんなら今日王都を発つそうよ。さっき挨拶に来てくれたわ」
アルベール王「む……また侵入されたのか」
セイントレア王妃「固いことは言わないの。あの時、あの子が守ってくれたのでしょう? あなたと、この国と……この世界を……」
アルベール王「…………うむ」
セイントレア王妃「いつかまた、王都に来てくれたら……。ううん、スライムのあの子が安心して来れるような国にしたいわ。ねえ、アルベール」
アルベール王「…………そうだな。そういうのも……悪くないかもしれん」
◆
259 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:20:51.24 ID:gnBdQR7t0
―王都セイントレア 北門
強化ソリ「」シャーッ
レイ「クロシュちゃんんん!! イリスさんんん!! おお、お元気でぇぇぇ!!!」ポロポロ
ミラ「本当にありがとう……!」
クル「またいつか、パスタを食べに来てね……!」
ザック「これからも活躍しろよ、ダークヒーロー!!!!」
クレア「皆様の未来が、健やかなるものであらせられますように……」
ティナ「私もすぐに発つ……後ほどまた会おう、ダークヒーローたちよ」
魔族国馬車「」パカラッパカラッ
聖女「皆さんどうかお元気で! 集落の復興、是非私にもお手伝いさせてくださいね!」
フラナ「またいつか会いましょう!! それまで生きるのよ!!」
フレメア「……面白い奴らだった。覚えといてあげる」
フリューゲル「……いろいろ片付いたら、集落に遊びに行くわね。それまで……どうか、元気で」
――世界樹の巻 最終編 完
◆
260 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:21:36.25 ID:gnBdQR7t0
それからわたしたちは……緑の国へ行って、ティセリアさんたちに、旅の報告をした……。
世界樹の光は、無事に星へ戻って……世界樹の精霊さんも、もう大丈夫だって、言ってた……。
それからしばらく、緑の国でのお祭りを楽しんだあと……みんなとお別れして……私たちは、集落に帰った……。
妖精さんは、緑の国の首長としていろいろやることがあるみたいだから、緑の国に残った……。ティセリアさんたちは大喜びで……首長としてのお仕事?という紙の束を、妖精さんに押し付けていた……。
ミスティさんも、とりあえず緑の国に滞在して……これからの生き方を、ゆっくり考えるみたい……。森妖精ちゃんが……ものすごく嬉しそうに、ミスティさんの周りをくるくる飛び回ってた……。
イリスさんは……ティナさんと合流して、オリシン王国に帰った……。初めはちょっとぎこちなかったけれど……もうすっかり、わたしとフメイちゃんみたいに、仲良しになってた気がする……。
ローガンさんも……おうちの国の、ユーシリア帝国に帰った……。魔法騎士団の人たちから、再入団をすすめられていたみたい……。ローガンさん自身は、まだ迷っているみたいだったけれど……とりあえず国に帰ってから考えるって言っていた……。
エバンスさんは……集落の復興を手伝ってくれようとしたけれど……急な傭兵のお仕事が入っちゃったみたいで、すぐに飛んでいっちゃった……。傭兵団は、ティナさんが抜けた分……エバンスさんが忙しくなるみたい……。
そしてわたしたちは……燃えた集落の跡地に戻って……みんなを、不死鳥のちからで復活させて……集落の復興を、始めた……。
なんでも器用にできるセインさんや、灰色スライムちゃんの石造りのお陰で、復興はぐんぐん進んだ……!
わたしも、できることを、がんばった……!
◆
261 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 20:24:48.98 ID:gnBdQR7t0
半年後――
―朝
集落 クロシュとフメイの家
チュンチュン
お宿の妖精の織物「」
フメイとアリシラの人形「」
絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』
フメイ「ふわ……」ググ
クロシュ「フメイちゃん……おはよ……」
フメイ「おはよ、クロシュ……」
*
―集落の広場
ギンギンッ ギギンッ!
弾かれる魔銀の剣「」ガインッ!
フレア「ううっ……! ま、また負けちゃった……」
セイン「……ふう。怪我はないか」
フレア「うん、大丈夫」
魔族の医者「いつ見ても見事だ」
アリシラ「あれでも前よりは弱体化してるんですよ。えっと確か……聖剣?を王国に返しちゃったとかなんとかで」
魔族の医者「凄まじいな」
*
―集落の炉
フメイ「焼きいも……焼けた」スッ
焼きヤマイモ「」ポン
集落のスライム「〜〜♪」モニョモニョ
黄色スライム「〜〜♪」モニョモニョ
灰色スライム「……♪」モニョニョ
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ
アイス「……♪」
集落の若者「んまい!!!」モグモグ
老婆「いつもありがとねえ、フメイちゃん」
フメイ「んーん……。フメイ、ヤマイモ育てるの、得意じゃないから……。焼く方で、がんばる」
スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!
*
―???
空に浮かぶ白い光「」ユラユラ
地上に瞬く無数の光「」チカチカ
クロシュ(……あれから……クロシュヴィアちゃんとお話しようとしても……つながらない……)
クロシュ(クロシュヴィアちゃんは……今どこで、何をしているんだろう……)
クロシュ(……大魔女さんや、妖精さんたちも……行方を探してくれてるみたいだけど……足取りは、掴めていないみたい……)
クロシュ(…………)
クロシュ(今は、とりあえず……のんびり暮らしていても、良いのかな……?)
集落にいます
↓1〜3 自由安価 何をする?
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 20:26:46.58 ID:kK5UhuWt0
分体を仲間の姿にして遊ぶ
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 20:29:07.29 ID:mKKeFOamO
魔族国に手紙を出してみる
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 20:30:23.05 ID:LNPIpjp/o
アリシラさん周りの様子を
265 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 21:38:46.55 ID:gnBdQR7t0
―クロシュとフメイの家
絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』
集落の子供「わぁ〜! これがクロシュちゃんと一緒に旅をした人たちなんだぁ〜」
集落のスライム「〜〜!」モニョモニョ
クロシュ「うん……!」
集落の子供「ねえねえ、どんな人たちだったの!?」
クロシュ「えっとね……」
クロシュ「!」ピコン!
デロデロ…モニョモニョ…
ポポポポポン!!
分体イリスクロシュ「私がイリス・プラネット!」ポン!
分体ミスティクロシュ「ミスティよ……」ポン!
分体ローガンクロシュ「私は元魔法騎士のローガンだ」ポン!
分体エバンスクロシュ「傭兵のエバンスだ! 見覚えあるんじゃないか?」ポン!
分体妖精クロシュ「妖精だよ。緑の国で一番偉いんだってさ」ポン!
集落の子供「わあ〜!! すごい、すごい!」キャッキャ
集落のスライム「〜〜!!」モニョニョ キャッキャ
*
―集落の広場
フメイ「クロシュ、何してるの?」
クロシュ「んへへ……えっと、分体で同化する……練習……?」
分体イリスクロシュ「例えば私は、このステライト鉱石と同化することでぇ……」モニョモニョ…ポン!
星属性の魔力「」キラキラ
分体イリスクロシュ「イリスさんのモノマネをより上手にできるようになるってこと!」
魔族の医者「あのクロシュがここまで同化を使いこなせるようになったとは」
分体ミスティクロシュ「私は……こうね」モニョモニョ…ポン!
ひえひえの魔力「」ヒエヒエ
アイス「む……それ、アイスの欠片でしょ」ジト
分体エバンスクロシュ「俺はこうか?」モニョモニョ…ポン!
地属性の魔力「」ググ
灰色スライム『あ、わたしの力だ……』モニョモニョ
分体ローガンクロシュ「……しまった、鋼の物品を持っていない!」
アリシラ「じゃあローガンおじさんは見かけだけ?」
分体ローガンクロシュ「いや――これがある!」スッ
ヒヒイロカネ「」ポン!
デロデロ…モニョモニョ…ポン!
分体ヒヒイローガンクロシュ「どうだ!」キラキラ
集落の子供「か、かっこいい〜〜!!!!」
クロシュ「!」ドヤッ
アリシラ「金ピカできらきらだぁ……」
☆クロシュのスライム技能は既に限界を超えています
266 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 21:40:03.21 ID:gnBdQR7t0
―集落の診療所
魔族の医者「――しかし君の場合であれば、魔力吸収と再分配を応用することでより効率的な処置をすることが可能となる。具体的な方法論としては――」コンコン
アリシラ「はい――」カキカキ
クロシュ「わ……」コソコソ
フメイ「アリシラ……がんばってるみたい」コソコソ
セイン「医学の勉強か」コソコソ
フメイ「うん。アリシラ……吸収魔法を応用して命を与える魔法?みたいのを自作してたから、医療魔法に使うことを考えていろいろ試行錯誤してたみたい。それで、専門家のイーシャ先生にいろいろ教えてもらったりしてるんだって」
クロシュ「アリシラさん……すごい……!」
セイン「おちゃらけた雰囲気を出しながら殺意と悪意を撒き散らす恐ろしい者という印象が強かったが、あれが彼女の本来の性質なんだな」
フメイ「そうだと思う。まあ……勉強中以外は、前みたいにおかしい性格になりがちだけど……」
クロシュ「えっと……性格って、生きてると、変わるんだって……」
フメイ「そうなの?」
クロシュ「うん……だから、アリシラさんも……おかしいけど、あれで良いんだって……」
フメイ「そ、そうなんだ……」
セイン「まあ……問題がないのなら、良いんだろう」
☆アリシラさんは医学の勉強をしているみたいです
◇
267 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 21:40:30.63 ID:gnBdQR7t0
―集落の広場
ワイワイ キャッキャ
ハーピィ記者「はぁ〜いクロシュちゃんおひさ〜!」バサッ
クロシュ「わあ……!」
フメイ「誰だっけ……」
ハーピィ記者「はじめまして! 清廉潔白実力派記者のルフと申します!」
フメイ「ふうん」
ハーピィ記者「どうです、一枚購読してみませんか?」
フメイ「いらない。薪の代わりにもならないし」
ハーピィ記者「そうですか……っと、今は営業をしている場合ではないんでした! クロシュちゃんにお手紙です!」スッ
お手紙「」ポン
クロシュ「わあ!」
↓1コンマ
01-10 ???(平和な時間はおわり)
11-50 聖女からの返事
51-90 聖女からの返事+
91-00 ???
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 21:47:33.92 ID:+RuknSvGo
さて
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 22:21:26.30 ID:LNPIpjp/o
おお?
270 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 22:34:57.33 ID:gnBdQR7t0
聖女からの手紙「」
フリューゲルからの手紙「」
フメイ「えっと、こっちはクロシュがよくお手紙をやり取りしてる聖女ってやつで……」
セイン「これは……フリューゲルか?」
クロシュ「!」
ハーピィ記者「です! いやあもうクロシュちゃんたら、魔族国初代国家元首まで射止めちゃうなんて隅に置けませんねえ〜」ケラケラ
*
手紙「」ペラッ
クロシュ(聖女さんからのお手紙には……魔族国のみんなが元気でいることと……今度こっちにお手伝いに来ようと思ってることが、書かれていた……)
クロシュ(魔族国は……王国とのいろいろなお話も良好に進んでいて……良い感じみたい……)
クロシュ(でも……僧侶さんの行方は、まだわかっていないみたい……)
クロシュ(どこに行っちゃったんだろう……。無事でいるといいけど……)
クロシュ(あ、それと……石のかけらが、入ってた……。なんだか……あの、石の賽と、同じような感じがする……)
☆運命賽の欠片を手に入れました。5つ集めると1つの運命賽になります
*
手紙「」ペラッ
クロシュ(フリューゲルさんからのお手紙には……あの時のことについての、改めてのお礼や……フリューゲルさんが、家族で仲良くやっていて、元気に暮らしていることが書かれていた……)
クロシュ(フラナさんとフレメアさんも……悪口を言い合いながら、協力し合っているんだって……)
クロシュ(そして……セインさんたちのことを気遣うことも書いてあった……)
クロシュ(今でも、フリューゲルさんは……カリスのところにいたみんなのこと……すごく、大事に思ってるみたい……)
*
―集落の広場
クロシュ「それと……聖女さんとフリューゲルさんから……お菓子とか、ごはんとか……いっぱい、もらった……!!」
お子様ブラッドワイン「」ドン!
魔族国クッキー「」ポン!
魔族国ケーキ「」ポン!
魔族国タルト「」ポン!
魔族国パン「」ポン!
魔族国パスタ「」ポン!
魔族国ごはん「」ポン!
魔族国もろこし「」ポン!
魔族国カニカマ「」ポン!
集落のスライム『んわわ〜!!』モニョニョ キャッキャ
集落の子供「ごちそう! ごちそう!」キャッキャ
黄色スライム『フリューゲルさん……!!』モニョニョ
灰色スライム『聖女って人も……いい人みたい……』モニョニョ
アイス「……」ゴクッ
フレア「わわあ……これだけあればお腹いっぱいになれるねえ」
セイン「僕たちもあの二人にお礼を言おう」
☆おいしいものをたくさん食べて元気になりました
明日の終わりまで、身体能力判定や戦闘などにおけるコンマに+30を得ます
*
271 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/23(日) 22:39:02.85 ID:gnBdQR7t0
というわけで本日はここまでとなります
復興した集落で平和なひとときを過ごすクロシュたち。今のところは、恐ろしい事態の気配などは特になく、実際にのんびり平和に過ごせているようです
しかし平和とは、永遠には続かないもの。これから先クロシュたちの未来に何が待ち受けているのか――。警戒に警戒を重ね、警戒を加速させていくのが良いかもしれません
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。恐らく明日更新となります
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/23(日) 23:58:51.79 ID:ZOSaeHA0o
乙
このまま平和パートしばらくあっても良いのよ
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 00:33:19.43 ID:vCFmuy6Jo
おつでした
束の間でも村の皆+増えた仲間と過ごせる平穏は尊い…!
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 01:00:49.74 ID:DIjN0K7wo
おつ
平和な時間がすぐに終わらなくて良かった…
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 07:28:13.54 ID:0bbMwnhbO
乙
妖精は一緒に住んでるかと思ったけど国ほっとけないか
276 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 14:53:51.95 ID:hJh8hM3W0
平和な時間がどこまで続くかはわかりませんが、しばらくは続くかもしれません。状況を注視していただければ幸いに思います
実際、これはようやく取り戻せた平穏な時間です。クロシュさんたちには、その安らかなる時を大切にしていただけたらと思います
しかしながら、この平和な時間はコンマ次第ですぐに終わってしまう可能性があるようです。実のところ、気を付けようがないかもしれません
妖精さんはいちおう緑の国の首長をやっているので、そのお仕事に追われているようです。此度の任期が終わったら今度こそ二度と首長をやらないつもりでいるそうですが、とりあえずこの任期中は真面目に取り組む方針のようです
277 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 14:55:33.20 ID:hJh8hM3W0
―幕間―
数ヶ月前――
―オリシン王国
メモル大図書館跡地
ヒュオオオオオ――……
瓦礫となった大図書館跡地「」
レッサースライムたち「〜〜」モニョモニョ
僧侶「……見事に瓦礫の山ですね」ザッ
クロシュヴィア「……ここが……かつて記憶の魔王が根城とした、メモル大図書館……の跡地……?」ストッ
僧侶「そうらしいです。でも残念ながらここには本も魔王も残っていないので……世界を救う手がかりにはならなそうですね」
クロシュヴィア「……待って」ピタ
僧侶「?」
レッサースライムたち「〜〜?」モニョニョ
クロシュヴィア「………記憶の魔王は……まだ死んでいないかも」
僧侶「……えっ!?」
クロシュヴィア「……知ってる? 魔王は……自分自身を、役割ごとに分割することがあるって……」
僧侶「……あっ、えっと確か……双子の魔王に、そんなような記述が……」
クロシュヴィア「うん。魔王には……そういう性質が、あるみたい……。なんでかは知らないけどね……」
僧侶「……えっと、じゃあもしかして……記憶の魔王も、自分を分割したってことですか?」
クロシュヴィア「うん……。考えてみて……記憶の魔王の元となった人物、大賢者リブラについて……」
僧侶「大賢者リブラについて……?」
クロシュヴィア「彼は……記憶の魔王と同じく、他者に知識を与えることが大好きだったけれど……。それ以上に、自らが知識を得ることを好んだ……。それなのに……魔王になったら、知識を与えることしかしなくなるなんて……変じゃないかな……?」
僧侶「……まあ、確かにそれはそうですけど……。じゃあ記憶の魔王には、知識を得ることに特化したもう一体が存在するってことですか?」
クロシュヴィア「うん。たった今思いついた仮説だけどね……」
レッサースライムたち「〜〜!」モニョニョ ピョンピョン
レッサースライムたち「〜〜」モニョモニョ
クロシュヴィア「わっ……ふふ、くすぐったいなぁ……。よしよし……」モニョモニョ
レッサースライムたち「〜〜♪」モニョニョ スリスリ
僧侶「ふふ、かわいいですね……。でもこの子たち、この跡地にいるってことは……もしかしたら、かつて記憶の魔王を食べたっていうレッサースライムたちの子孫かもしれませんよ」
クロシュヴィア「そうみたい。この子たちから微かに視えたもん。繋がりが」
僧侶「え?」
クロシュヴィア「だからわかったの。記憶の魔王は、まだ生きてる」
*
278 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 14:57:15.24 ID:hJh8hM3W0
―集落 休暇1日目
◇クロシュ[あかちゃんスライム]
武:メイドブレード 盾:ラティアの大盾 飾:虹晶の耳飾り
武:竜珠の大杖 防:竜のエプロン 飾:不死鳥の羽根
◯所持アイテム
[道具] [装備品] [大事なもの]
運命賽の欠片*1 蜘蛛絹の下着 魔族国永久旅券
運命賽*1 大きな巻き貝 精霊の印
会心賽*1 闇の欠片 溶岩石のアミュレット
反魂丹*1 踊り子の双剣 太陽のメダリオン
属性大全 サボテンドラゴンの花 大魔女帝国滞在許可証
魔王図鑑 ダイヤメリケンサック 風船印のパラシュート
大魔女サイン*1 パラサイトソード ラティア勲章
ステライト鉱石 ユーシリア王家の紋章
晴れ乞い傘 姫巫女の感状
ヒヒイロカネ 巡礼者の十字
冒険者証(ランク1)
メルルの帽子
暗黒優待券
◯現在の目標
・クロシュヴィアの行方を追う
◯努力目標
・特になし
◯仲間の目標
・特になし
◯経験値
・クロシュ 剣技[03/09] 魔法[06/09] 防御[04/07]
……………………………………………………………………………………
□集落
家、広場、診療所、食堂、共同浴場、炉、他
……………………………………………………………………………………
279 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 14:58:08.22 ID:hJh8hM3W0
―集落の広場
トンカントンカン―
集落の若者「ふう。復興も一段落……というか前よりもいろいろ立派になったな!」
石造りの家々「」ポン
石造りの診療所「」ポン
石造りの食堂「」ポン
石造りの共同浴場「」ポン
魔族の医者「以前は私の浅い知識による見様見真似の木造建築が主だったからな。灰色のお陰で家屋の信頼性は大きく向上した」
集落の子供「灰色ちゃんのお陰ですごくかっこいくなったよね!」
フメイ「うん……石なら、簡単に燃えない」
灰色スライム『……カリスの奴に、建築とか野戦築城の勉強をさせられてたのが……役に立っちゃった……。ちょっと、複雑……』モニョモニョ
黄色スライム『結果的に役立ったんなら良いと思う! ボクはびりびりするだけだからあんまり役立てないし!』モニョモニョ
集落の老婆「ほっほっほ、黄色ちゃんと一緒にお風呂に入るとびりびりしてコリがほぐれるんじゃ」
集落の子供「あれすき!! びりびりしておもしろいもん!!」
アイス「え〜……? アイス、あれきらい……。黄色とはいっしょにお風呂入りたくない……」
ワイワイ キャッキャ モニョモニョ
クロシュ「んへへ……」ニコニコ
魔族の医者「見ての通り集落の復興は十分行き届いた。そういうわけでクロシュ、最大の功労者である君に休暇を与えよう」
クロシュ「ほえ……?」
魔族の医者「行きたい場所や会いたい者がいれば、向かうと良い。君の来訪を待っている者もいるだろう」
クロシュ「!」
魔族の医者「ただし一人では行かないこと。君は強くなったが、この世界には未知の危険が数多く潜んでいる。必ず信頼できる人を連れて行くのだ」
クロシュ「ん!」
魔族の医者「よし。お土産も頼むぞ」
☆知っている国や地域にお出かけすることができます
休暇1日目。今は集落にいます
↓1 今日はどこに行く?
01.集落にいる
02.魔族国
03.緑の国フォレスティナ
04.港湾都市ウォーターポート
05.トコナツ火山島
06.芸術都市ミュージア
07.テラヌス・ウルス
08.国際商業都市イスファハーン
09.大魔女帝国
10.浮島国ラティア・ヘイヴン
11.ユーシリア帝国
12.オノゴロ諸島
13.セイントレア王国
00.その他(自由安価。行けない場所へは行けない)
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 15:05:56.57 ID:IkGWBoSqo
9
281 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 15:44:22.98 ID:hJh8hM3W0
―上空
ジェット気球クロシュ「〜〜!」ボシュウウウウッ
◆
―地上楽園都市エデン
大庭園
気球クロシュ「〜〜」フヨフヨ モニョモニョ
トスン…ポン!
スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ
フメイ「大魔女帝国……久しぶりかも……」スト
クローディア「あなたたちねえ……いきなり猛スピードで領空侵犯しないでくれるかしら?」スタスタ
フメイ「あ、性悪魔女」
スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ
大魔女帝国滞在許可証「」ポン
クローディア「手順を踏めと言っているの……。お陰で航空オートマタ部隊が大慌てだったのよ?」
スライムクロシュ「〜〜…」モニョニョ…ショボン…
フメイ「大魔女……やっぱり器の小さい性悪魔女……」
クローディア「まあとりあえず、改めて歓迎するわ。ようこそ楽園都市エデンへ。楽しんでいきなさい」
クロ「クロシュちゃん! フメイちゃんも!」トテトテ
スライムクロシュ「!」モニョニョ
フメイ「あ、クロ!」
クロ「二人で遊びに来てくれたんだ! えへへ、ようこそ楽園都市エデンへ!」
休暇1日目。大魔女帝国にいます
↓1〜3 自由安価 何をする?
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 15:58:21.18 ID:TpGmwMgJO
クロシュヴィアといっしょにいるであろうリリーツィアをクロシュの夢能力と大魔女パワーで引っ張り出して居場所等尋問できないか提案
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 16:03:30.19 ID:iWVGiheM0
トリルと一緒にまた絵を描いてみる
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 16:21:12.25 ID:IkGWBoSqo
クロシュ、クロを真似て教授をやってみるの巻
285 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 16:53:36.30 ID:hJh8hM3W0
―地上楽園都市エデン
大庭園
クロシュ「大魔女さま……。あの……」
クローディア「あら、なあに?」
クロシュ「えっと……わたしの、夢のちからで……リリーツィアさん、ひっぱれる……?」
クローディア「うーん……クロシュヴィアの所在がわからない以上、クロシュヴィアに捕まっているリリーツィアを引っ張り出すのもかなり難しいわね」
クロシュ「んゅ……」
クローディア「でもクロシュヴィア本人よりはガードが緩い可能性もある。やってみる価値はあるかもしれないわ」
クロシュ「!」
クローディア「少し目を閉じてくれる?」スッ
クロシュ「ん……」
↓1コンマ
01-75 だめだった
76-95 つながった
96-00 引きずり出した
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 17:06:20.72 ID:IkGWBoSqo
あ
287 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 18:05:08.76 ID:hJh8hM3W0
―???
空に浮かぶ白い光「」
クロシュ「………」
クローディア「……ダメね。あのバカタレも見つからないわ」
クロシュ「うん……」
*
―大庭園
スライムクロシュ「!」モニョッ
フメイ「あ、起きた」
クローディア「作戦は失敗よ。クロシュヴィアのやつ……本気で身を隠しているわ」
スライムクロシュ「……」モニョニョ…
クローディア「まあ大丈夫よ。私たちも本気で探しているから。あなたは仲間たちを大事にして、平穏に過ごしなさい」
・リリーツィアは見つかりませんでした
◇
288 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/11/24(月) 18:06:03.76 ID:hJh8hM3W0
―魔法学園 校庭
ワイワイ ガヤガヤ
クロ「それであの時は、ミスティちゃんが臨時で代理講師をやってくれたんだよ〜」トコトコ
クロシュ「わあ〜」トコトコ
フメイ「ふうん……」トコトコ
クロ「で、ここが今日私が風魔法の講義をするところ! みんな、お待たせ〜」トテトテ
ワーワー! クロキョウジュ! カワイイ!
トリル「あれ? クロシュちゃん!?」
ユキ「え……クロシュさんが、二人……!?」
トム「ど、どうなってんだ……!?」
クロシュ「んへへ……みんな、久しぶり……」
フメイ「クロシュの擬態、そんなにそっくりかなあ……」
*
トリル「話には聞いてたけど、フメイちゃんと無事に再会できたんだね……!」
クロシュ「んへへ……」
ユキ「お元気そうで良かったです。ミスティさんたちも元気にしていますか?」
クロシュ「うん! えっと、緑の国で……妖精さんのお手伝いとか、してるみたい……!」
トム「なるほどアンタか、何ヶ月か前に大魔女帝国に来てた強力な炎魔法の使い手は!」
フメイ「え、なんの話……?」
ワイワイ キャッキャ
上級オートマタ「講義中に失礼します! クロ教授殿!」シュタッ
クロ「ほえ? まだ授業開始前だから大丈夫だよ、どうしたの?」
上級オートマタ「テラヌス砂漠にて突発的なつむじ風が発生し、遊覧中だった飛行船が1隻コントロール不能に陥った模様です!! クロ教授の浮遊魔法を――」
クロ「わかった、すぐに向かう!! ごめんみんな、今日は臨時休――」
クロシュ「?」
クロ「クロシュちゃん、代理講師やってみる!?」
クロシュ「ほえ……? うん!」
クロ「ありがとう、じゃあお願い! なるべくすぐに戻るから!」シュバッ
モニョモニョポン!
飛んでいく風船スライムクロ「」ヒュウウウウッ―――…
ザワザワ…
フメイ「クロシュ……代理講師って、本当にできるの?」
クロシュ「……わたし……ものまね、できる!」ドン!
ユキ「も、ものまね……」
トム「クロシュさんが凄い人……じゃなくてスライムなのは知ってっけど……」
トリル「……や、やるって言っちゃったから……やるしかないよ! クロシュちゃん、これが今日使う予定だった教科書だけど……どうかな?」
クロシュ「………」
↓1コンマ(ものまね+5)
01-30 下手
31-60 程々
61-90 上手
91-00 覚醒
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/11/24(月) 18:08:56.58 ID:TpGmwMgJO
覚醒教授
282.62 KB
Speed:1.9
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