【安価・コンマ】力と魔法が支配した世界で【二次創作】 III

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812 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/01(土) 20:51:54.06 ID:MKP9w+TEO
フェルメール「では、恐怖で動けなくなった方を、そのままにするのですか?」

リュアン「そうは言っていません」

フェルメール「では、ほかに確実な方法があるのですか?」

リュアン「……」

フェルメール「私たちに失敗は許されませんの」

フェルメール「この方法で全員を救えるとは申しません。わたくしの魔法が通じない方もいるでしょう……それでも、恐怖に呑まれる寸前の一人へ声を届けられれば、その方が操る飛空挺と、そこに乗る者たちを救えるかもしれません」

フェルメール「わたくしは、その可能性を捨てたくありませんの」

リュアン「……だからといって、本人の心へ何を植え付けてもよいことにはなりません」

フェルメール「ええ。ですから、何を植え付けるのかを、あなたに決めていただきたいのですわ」

リュアン「私に……?」

クー「リュアン。フェルメールの提案を、そのまま受け入れろとは言わないわ」

クー「けれど、実際に魔法を使うのであれば、あなたの協力が必要になる。ただ自分は信徒だという認識だけを植え付けても、恐怖に呑まれた者を支えることはできない」

クー「その者が、どんな言葉を聞いて救われたと記憶するのか。恐怖の中で何を思い出し、次に何を選べるようにするのか」

クー「それを決められるのは、導師であるあなたよ」

リュアン「……植え付ける記憶は、私の言葉を絶対に正しいと信じるものにはしないでください」

フェルメール「ええ」

リュアン「私の命令へ逆らえない記憶も、教えのためなら死んでもよいと思わせる記憶も認めません。ほかの信仰や、大切にしてきた考えを否定させる内容も駄目です」

リュアン「すでに別の信仰を持つ方や、植え付けた記憶と本人の心が強く衝突する方には使用しないでください」

フェルメール「約束しますわ」

リーゼリット「……本人が受け入れたとしても、偽物の記憶でその人の心を支えるなんて……本当に、それでいいのかな……」

グレイグ「リーゼリット。コトがコトだ……綺麗事は言ってられねぇ。使えるものは全部使って、一人でも多く生きて帰らなきゃならねえんだ。この作戦に参加するヤツはみんな……覚悟している」

ガイ「……」
813 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/01(土) 20:52:23.54 ID:MKP9w+TEO
ガイ「俺一人を進ませるために、何人死ぬことになるんです?」

クー「分からないわ」

ガイ「何隻、墜ちるんですか?」

クー「それも分からない」

ガイ「最悪の場合は?」

クー「本当の最悪は、あなたも翡翠の賽も発生源へ届かず、船団が全滅することよ」

クー「作戦が成功する可能性を残したうえでの最悪なら……あなたを乗せた最後の一隻を除いて、すべての飛空挺を失うことになる」

ガイ「……そうですか」

クー「ガイ。これは、あなた一人を救うための作戦ではないわ。あなたが翡翠の賽を持っているから、あなたを世界めくれの発生源まで運ぶ。あなたでなくてもできることなら、最初から一人にこれほどの責任を負わせてはいない」

ガイ「死ぬ者から見れば同じです。俺を乗せた船を進ませるために、自分たちの船が墜ちる……俺が生きている間に、何人も死ぬかもしれない」

クー「ええ。それでもあなたは、振り返らずに進まなきゃいけない」

ガイ「……」

クー「助けを求める声が聞こえても、あなたは進まなければならない。仲間の乗る飛空挺が墜ちても、翡翠の賽を持って先へ進まなければならない」

クー「自分だけが生き残ったとしても、世界めくれの発生源へ辿り着き、世界を救わなければならない」

クー「それが、あなたに任せる役目よ」

ガイ「俺が立ち止まれば、それまでに死んだ者たちの命が無駄になる。だから、何が起きても進む」

ガイ「誰かが俺のために死んだとしても、その死を理由に止まることはしない」

ガイ「すべて背負って、セイントレアまで辿り着きます」

クー「……ええ」

アルバ「オーナー」

クー「何?」

アルバ「俺は、主進入群の先鋒へ乗せろ」

クー「最も攻撃を受ける可能性が高いわよ」

アルバ「分かっている」

クー「かなりの確率でそのまま墜ちることになる」

アルバ「それでも構わない」

バールベルト「構いますよ!」

アルバ「前方で攻撃を抑える人間が必要だ」

バールベルト「だからって、どうして毎回アルバさんが一番危ない場所に行くんですか!?」

アルバ「俺が適任だからだ」

バールベルト「死んでも構わないと思っているからじゃないでしょうね!?」

アルバ「……」

バールベルト「黙らないでくださいよ!」

ズンズン……

グレイグ「なーにが、俺が適任だ、だよ。お前一人だけに任せられるかっての」

アルバ「グレイグ」

グレイグ「俺も前へ出る。先頭の船が攻撃を受けたとき、俺の風魔法なら、攻撃を受けた船体の姿勢を一時的に支えられる。完全に墜落を止められなくても、乗員が逃げる時間くらいは稼げるだろ」

アルバ「危険な場所だと聞いていなかったのか?」

グレイグ「お前こそ任務を理解してんのか?オーナーは、可能な限り全員を生きて帰すつもりだ。犠牲が必要だからって、最初から死ぬ気の奴を先頭に置くわけじゃねぇんだよ」
814 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/01(土) 20:53:14.95 ID:MKP9w+TEO
アルバ「……好きにしろ。ただし、足は引っ張るな」

グレイグ「ハッハッハッ!そいつはこっちの台詞だ!」

バールベルト「笑い事じゃないんですけど……」

アルバ「バールベルト。お前は後方の飛空挺へ乗れ」

バールベルト「どうしてアルバさんが決めるんですか?」

アルバ「お前は危険に対する嗅覚が鋭い。周囲を確認し、異変に気づいたらすぐに伝えろ」

バールベルト「それって、誰より先に危険を見つけろってことですか?」

アルバ「ああ」

バールベルト「いやいやいや!そんな無茶な役目を、当然みたいに押しつけないでくださいよ!」

アルバ「これまでにも、危険になる前から何度も騒いでいただろう」

バールベルト「怖がっていただけですって!」

アルバ「それで構わない。怖いからこそ、他の者が見落とす危険にも気づける」

バールベルト「……褒めてるんですか、それ?」

アルバ「事実を言っている」

バールベルト「言い方ァ!!」

クー「……役割の詳細は、各国から派遣される人員が確定してから決めるわ」

クー「この作戦では、誰かが墜ちる可能性を前提に進まなければならない。自分の乗る飛空挺がその一隻になる可能性もある」

クー「それでも参加するかどうか、自分で決めなさい」

ドルク「へっ……今さら逃げる気はねぇよ」

リン「私も。怖くないって言ったら嘘になるけどね」

バールベルト「怖いですけど……ここまで知っちゃったら、なにもしないなんてできないし……!」

アルバ「無理をする必要はない。嫌なら残れ」

バールベルト「……行きますよ!でも、絶対死にたくないので、必ず私を生きて帰してくださいね!約束ですよ!?」

アルバ「……分かった」

イーリン「オーナー。私も覚悟はできています」

クー「イーリン……」

イーリン「ですが、犠牲を当然のものとして扱うつもりはありません。一人でも多く帰還させるため、考えられる限りの準備を整えます」

クー「……そうね。作戦を止めることはできない。けれど、だからといって、救える命まで最初から諦めるつもりもないわ」

クー「最後の一瞬まで、全員が生きて戻るために動きなさい」

クー「世界めくれを止めて……必ず帰ってきて」

815 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/01(土) 21:25:20.02 ID:0scmd4DLO
ーー暗黒館2F 幹部宿泊部屋

トゥルーエンド「……そろそろ大魔女帝国へ戻るわ。会議で決まった内容を、向こうにも伝えなければならないもの」

ガイ「そうか。なら、帰る前に渡しておきたいものがある」

ゴソゴソ……

トゥルーエンド「?」

指輪を差し出すガイ「」スッ……

トゥルーエンド「指輪……?」

ガイ「ああ」

トゥルーエンド「……私にくれるの?」

ガイ「そのつもりで買った。受け取ってくれ、ルー」

トゥルーエンド「……」

ガイ「気に入らなかったか?」

トゥルーエンド「逆よ。少し驚いただけ。あなたが自分から、こんなものを選んでくれるとは思っていなかったもの」

ガイ「俺だって贈り物くらいは選べる」

トゥルーエンド「ふふっ……そう。それなら──」

左手を差し出すトゥルーエンド「」スッ……

ガイ「自分で着けられるだろう?」

トゥルーエンド「ええ。でも、あなたから渡したのだから、最後まで責任を持ってちょうだい。さて、どの指にはめてくれるのかしら?」

ガイ「……分かった」

左手の薬指「」スッ……

指輪を見つめるトゥルーエンド「……」ジッ……

ガイ「……ここでいいか?」

トゥルーエンド「ふふっ……そう。大事にするわね」

ガイ「落とすなよ」

トゥルーエンド「あなたこそ、私が戻ってくるまでに死んだりしないでよね」

ガイ「約束しただろ?必ず青い空を見せると」

トゥルーエンド「ふふっ……それじゃあ、またね。ガイ」

ガイ「ああ……またな、ルー」

口づけを交わすガイとトゥルーエンド「」チュッ

タタッ

窓から箒で飛び立つトゥルーエンド「」ピョンッ

ビュオオオ──

ガイ「……」

ガイ(作戦決行は近い。覚悟は決まっている……だが、仮にセイントレアへ辿り着けたとして、本当の持ち主ではない俺に、世界めくれを止められるのか……?)

ベルトーネ『本当の持ち主じゃない代行者でも、世界樹の光の力自体を扱うことはできるけど……世界めくれを止めるってなると、ちょっと怪しいかもね〜』

フローディア『聖女と言ったわね?……見つけられるといいのだけど、今どこにいるのかも分からないのでしょう?』

ガイ(セイントレア突入までは、まだ少し時間がある。答えが出ないまま考え続けても仕方がない。それまでは、今の俺にできることをして過ごそう)

◆コンマ下1
セイントレア突入まで
01-40 2日
41-90 3日
91-00 4日

◆現在はウォーターポートです。
何をする?
安価下2〜4
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/01(土) 21:28:46.90 ID:UhccsGce0
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/01(土) 21:29:31.04 ID:UhccsGce0
モーリィ、変える前にアインズと手合わせ
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/01(土) 21:29:56.86 ID:sS8zhz7KO
ガイ、アトニス、ドルク、グレイグの男4人で食事会をする
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/01(土) 21:40:16.81 ID:qv1ifFVeO
なんかこうラストダンジョン向けの最新技術てんこもりのとんでもなく強い武器を新調してみる
820 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/01(土) 21:58:37.16 ID:0scmd4DLO
ーーウォーターポート 港

アインズ「はっ!」ダンッ
槍「」シュバババババッ

サーシャ「前より速くなってる!いつの間に練習したの?」

アインズ「いや……ここ数日はモーリィに言われた通り、休養していたから、槍を振ること自体久しぶりなのだが……自分でも、ここまで動けるようになった理由は分からない」

モーリィ「──これまで積み重ねた経験が、休養を経てお前の身体に定着したんだ。これまでも似たような経験はなかったか?」バサッバサッ スタッ

サーシャ「わっ!?モーリィさん!?」

アインズ「モーリィ。先日の件は感謝する……トコナツには帰らないのか?」

モーリィ「ああ。こちらでやることができたからな……それより、身体の調子は問題ないか?」

アインズ「お陰でな。あの果物はどれも美味かったぞ」

モーリィ「フッ……そうだろう、そうだろう。トコナツの農家の自信作の詰め合わせなのだからな。普通に買ったら良い値段がするんだぞ?」

サーシャ「えっと、モーリィさん、どこかに向かってたんじゃ……?」

モーリィ「ああ、向かっていたというよりは探していたんだ。アインズを」

アインズ「……私を?」

モーリィ「お前もセイントレアに向かうのだろう? ならば、その前に一度、お前の今の実力をこの目で確かめておきたい」

アインズ「……なるほど。病み上がりでどこまでできるか、試したいところだったんだ。それに、あなたを相手にすると血が滾る……!ここは模擬戦にもうってつけだ。私と手合わせをするつもりなのだろう?」ザッ

モーリィ「話が早いな……サーシャ、少し離れていろ。審判を頼んでもいいか?」ザッ

サーシャ「えっ!?わ、分かりました! アインズも、モーリィさんも、怪我はしないようにしてくださいね!」

アインズ「すまないが、サーシャ。その約束は──」ダンッ

モーリィ「」ニヤリ

槍を突き出すアインズ「完全には、守れないかもしれん!」ビュンッ

◆コンマ下1
01-50 モーリィ
51-00 アインズ
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/01(土) 22:07:55.83 ID:HANJDqBVo
さて
822 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:52:17.13 ID:HMN4VPdPO
モーリィ「上等だ!」バサッ

ギィンッ!

サーシャ「速い……!」

槍「」シュババババッ
モーリィ「フッ!」ガキンッ ガキンッ

アインズ「まだだ!」ブンッ

翼で飛び上がるモーリィ「甘い!」ヒュンッ

アインズ「くっ……!太陽を背に……!」

急降下するモーリィ「真正面ばかり見ていると──」ギュオオオッ

アインズの背後へ回り込むモーリィ「空から来る敵には対応できんぞ!」ブンッ

アインズ「!」クルッ

ガァンッ!

吹き飛ばされるアインズ「ぐっ!」ザザザッ

サーシャ「アインズ!」

モーリィ「受け止めたか……病み上がりとは思えん踏ん張りだ」スタッ

立ち上がるアインズ「……それは、褒め言葉として受け取っておこう」グッ

モーリィ「まだ立てるか?」

アインズ「当然だ。始まったばかりではないか」

モーリィ「フッ……そうでなくてはな!」ダンッ
風圧「」ブオオオッ!

アインズ「くっ……!」ググッ

モーリィ「足を止めたな!」
拳を振り下ろすモーリィ「」ブォンッ

アインズ「……その瞬間を待っていたぞ!」

モーリィ「何?」

地面へ突き刺さる槍「」ガッ
槍を支点に跳び上がるアインズ「はぁっ!」ブンッ

蹴り「」ドガッ!

モーリィ「ぐっ……!」ザザッ

サーシャ「当たった!」

アインズ「空を飛べる相手を追いかけても、こちらが不利になるだけだ」

アインズ「ならば、降りてくる瞬間を狙えばいい」

モーリィ「一度見ただけで、私の攻め方を利用したか……面白い!」ニヤリ

地面から槍を引き抜くアインズ「まだ終わってはいないぞ!」ガッ

モーリィ「来い!」

ギィンッ!ガキンッ!ギィンッ!

槍「」ビュンッ

モーリィ「遅い!」サッ

アインズ「そう見えたのなら、狙い通りだ」
823 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:52:47.46 ID:HMN4VPdPO
モーリィ「!」

槍の柄「」クルッ

アインズ「ふっ!」ドガッ!

腹部に槍の柄が当たるモーリィ「ぐぅっ!」グラッ

アインズ「はぁぁっ!」ブンッ

モーリィの喉元で止まる槍の穂先「」ピタッ……

アインズ「……」

モーリィ「……フッ」

両手を上げるモーリィ「参った。私の負けだ」

サーシャ「アインズの勝ち……アインズが、モーリィさんに勝った!?」

槍を下ろすアインズ「……自分でも信じられん」スッ

モーリィ「最後の一撃は見事だったぞ。最初から穂先で仕留めるつもりはなかったのだな」

アインズ「ああ。何度か突きを見せて、そちらの意識を穂先へ集中させた。柄で体勢を崩した後なら、喉元を取れると思ったんだ」

モーリィ「戦いながら、そこまで考えていたか」

アインズ「すべてを考えて動いたわけではない……相手の動きを見た瞬間、次に何をすべきかが自然に分かったんだ」

モーリィ「戦い続けている間は、傷を治して次へ進むだけで精一杯だったのだろう。だが、十分に休んだことで、これまで得た経験がようやく身体へ馴染んだんだ」

モーリィ「お前は今までより速くなっただけではない。相手を見て、考え、最も効率のいい動きを選べるようになっている」

サーシャ「じゃあ、休んだおかげで強くなったってことですか?」

モーリィ「簡単に言えばな」

アインズ「休むことも鍛錬の一つ、というわけか……」

サーシャ「ガイもそうだけど、たまには休むのも大事だよ?」

アインズ「ああ……どうやら、サーシャが正しかったようだ」

モーリィ「フッ……これだけ動けるのであれば問題はない。むしろ、船団にとって頼もしい戦力になるだろう」

アインズ「そうか……」

⭐︎モーリィとの模擬戦でアインズが勝利しました。
824 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:55:26.34 ID:HMN4VPdPO
ーーウォーターポート 大通り

ワイワイガヤガヤ

リーゼリット「……これから決死の作戦が行われるって言っても、普通の人たちは知らないから日常を過ごすよね、そりゃ……」スタスタ……

露天を開いているシルバークロース「さあ、いかがでしょう!魔力を必要とせず、簡単な訓練のみで扱える最新式の銃器でございます!」

通り過ぎるリーゼリット「」スタスタ……

クルッ

戻ってくるリーゼリット「」スタスタ……ピタッ

リーゼリット「や、やっぱり見間違いじゃなかった……!アンタ、こんなところで何してるの!?」

シルバークロース「おや、これはリーゼリット様。ご覧の通り、商いでございます」ニコッ

リーゼリット「それは見ればわかるよ!なんで露天なんか開いてるの!?」

シルバークロース「商会の名を出すと、どうにも警戒なさる方が多くてですね。初心に返り、まずは道行く方々へ直接商品の魅力をお伝えしようかと」

リーゼリット「それは完全に自業自得でしょ……」

シルバークロース「ふふふ……ですが、あなたがこちらを通られたのは好都合でした」

リーゼリット「……どういうこと?」

シルバークロース「いずれ暗黒館の方が通りかかるとは思っておりました。中でも、射撃に長けたあなたであれば最良だと」

リーゼリット「何を企んでるの?」

シルバークロース「企みとは心外ですね。皆様がこれから行う突入作戦に、必要となる商品をお持ちしただけでございます」

リーゼリット「どうして突入作戦のことを──」

シルバークロース「オノゴロが飛空挺を生産し、各国も大量の資材と兵器を買い付けている。商人の目から見れば、何か大規模な作戦が始まることくらいは容易に推測できます」

リーゼリット「それだけで、行き先までわかるわけ?」

シルバークロース「魔都セイントレア……世界めくれの始まりの地へ向かわれるのでしょう?」

リーゼリット「……本当に、どこから情報を仕入れてるの?」

シルバークロース「仕入れ先を明かさないのも商人の心得でございます」

リーゼリット「信用できないなぁ……」
825 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:55:55.12 ID:HMN4VPdPO
シルバークロース「信用するか否かは、私の話を最後まで聞いてからお決めください」

リーゼリット「……話って?」

シルバークロース「星詠みの魔女の攻撃を凌いだだけでは、セイントレアへ辿り着くことはできません」

リーゼリット「……星詠みの魔女?」

シルバークロース「おや、ご存じありませんでしたか」

リーゼリット「何それ?私たちが知ってるのは、セイントレアに近づいた飛空挺が全部撃ち落とされて、残骸から星属性の魔力が見つかったってことだけだよ」

シルバークロース「なるほど。では、その攻撃を行っている者を星詠みの魔女と呼ぶ──今はその程度の認識で構いません」

リーゼリット「構わないって……アンタはそいつが何者なのか知ってるの?」

シルバークロース「少なくとも、皆様よりは多少詳しく存じております。しかし今、重要なのは魔女の正体ではございません。星属性の攻撃を防ぎ、船団がセイントレアへ接近できたとしても……その先には、都市全体を覆う巨大な結界が存在します」

リーゼリット「結界……?」

シルバークロース「ええ。外部から侵入しようとする者を拒む、極めて強固な結界です。飛空挺がいかに頑丈であろうと、結界へ正面から突っ込めば突破できない。船体を砕かれ、魔都を目前にして墜落することになるでしょう」

リーゼリット「ちょっと待ってよ……そんな話、私たちは聞いてない」

シルバークロース「誰一人としてセイントレアへ到達できていない以上、知らなくとも無理はございません」

リーゼリット「どうしてアンタは知ってるの?」

シルバークロース「そちらについては、企業秘密ということで」

リーゼリット「こんなときまで商売人みたいに誤魔化すな!」

シルバークロース「私はいつでも商売人でございますよ」

リーゼリット「……攻撃を切り抜けても結界に阻まれるなら……どうやって中に入ればいいの?」

シルバークロース「そのために、こちらをご用意させていただきました」スッ
826 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:56:22.58 ID:HMN4VPdPO
黒布がかけられた何か「」

被せられた黒布を取り払うシルバークロース「」バサッ

銀黒色の長大な大型銃器「」キラッ……

リーゼリット「……何これ?」

シルバークロース「試製対結界穿孔砲『シルバーレイン』。我が商会が保有する最新技術を、採算も量産性も無視して詰め込んだ決戦用兵装でございます。類似品はマーベル社やロスチャイルド社、スチールシャフト社といった競合他社にも見られません」

リーゼリット「これ……持ち運ぶには大きすぎない?」

シルバークロース「飛空挺の甲板に固定し、使用することを想定しております。さすがに個人で持ち運ぶには、少々重すぎますので」

リーゼリット「少々どころじゃないでしょ……それで、この大砲なら結界を壊せるの?」

シルバークロース「いいえ。セイントレアを覆う結界そのものを破壊するほどの力はございません」

リーゼリット「じゃあ意味ないじゃん」

シルバークロース「最後までお聞きください。この砲に装填される専用弾頭は、着弾の瞬間に複数の対結界術式を同時展開します。結界を破壊するのではなく、その一部分だけを強引に貫き、短時間だけ穴を開いた状態で固定するのです」

リーゼリット「結界に……穴を開ける?」

シルバークロース「ええ。ただし、専用弾は結界のどこに命中しても機能するわけではございません。魔力の流れが交差する一点を撃ち抜かなければ、術式を固定できないのです」

リーゼリット「その一点って、動くの?」

シルバークロース「結界の表面を常に移動しております。加えて、射角が僅かにずれれば弾頭は弾かれるでしょう」

リーゼリット「……そんな場所を、動いてる飛空挺から一発で撃ち抜けって?」

シルバークロース「その通りです。命中すれば、その穴が閉じるまでの間、飛空挺をセイントレア内部へ突入させることができます」

リーゼリット「どのくらい保つの?」

シルバークロース「実際の結界を用いた試験などできませんので、正確な時間は保証できませんが、我が商会の計算を信じていただけるなら飛空挺一隻が通過するだけの時間は保つはずでございます」

リーゼリット「船団全部は?」

シルバークロース「結界が想定より弱ければ、複数隻が通過できるかもしれません。しかし、設計上、通過を見込めるのは一隻のみです」

リーゼリット「……本命の飛空挺を通すための兵器なんだ」

シルバークロース「ええ。星詠みの魔女による攻撃を船団が引き受け、本命艇を結界まで到達させる。そして、この砲で進路を開き、世界樹の光を持つ者たちを魔都へ送り込む」

シルバークロース「これがなければ、どれほど犠牲を払って空を突破しても、最後の壁を越えられません」

シルバークロース「そして飛空挺は動き続け、周囲からは星属性の攻撃が降り注ぐ。その状況で、結界上を移動する魔力の交点を正しい射角から撃ち抜くには、照準器だけに頼らない優れた射手が必要です」

リーゼリット「その優れた射手が、私だって?」

シルバークロース「以前、敵としてあなたの射撃を拝見しました。防御できたとはいえ、私の弱点を正確に狙い続けた腕であれば、任せるに値します」

リーゼリット「なんか素直に喜べないな……」
827 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:56:51.98 ID:HMN4VPdPO
シルバークロース「ですが、問題が一つございます。この砲を使用できるのは、一度きりです」

リーゼリット「……一度?」

シルバークロース「結界を貫くためには、砲身と内部機構の耐久限界を超えた出力が必要となります。発射と同時に魔導回路は焼き切れ、砲身も変形する。再装填は不可能です」

リーゼリット「つまり……外したら?」

シルバークロース「作戦は失敗するでしょう」

リーゼリット「簡単に言わないでよ!」

シルバークロース「二度目があると思えば、人は一射目に甘えます。一度しかないと理解しているからこそ、あなたであれば必ず当ててくださる」

リーゼリット「勝手に重い期待を乗せるな……!」

シルバークロース「お引き受けいただけませんか?」

リーゼリット「……代金は?」

シルバークロース「今回は必要ございません。世界が滅びれば、市場も顧客も失われます。これは未来の利益を守るための投資でございます」

リーゼリット「やっぱり商売のためなんだ……」

シルバークロース「加えて、世界を救った一射に我が商会の最新兵器が使用されたとなれば、宣伝効果は計り知れません」

リーゼリット「そういうところ、本当に変わらないよね……」

シルバークロース「商人が変わらず利益を求められる世界を守るため、皆様には是非とも成功していただかなければなりません」

リーゼリット「……わかった。使わせてもらうよ」

シルバークロース「よいご判断です」

リーゼリット「ただし、本当に使えるかは出発前に確認させてもらうから。飛空挺への取り付けも、そっちの技術者にやらせるよ」

シルバークロース「もちろんでございます。既に運搬と取り付けの準備は整えております」

リーゼリット「……最初から断らせる気なかったでしょ」

シルバークロース「選択肢は常に提示しておりましたとも。受け取るか、結界の前で墜落するか」

リーゼリット「それを選択肢って言わないから!」

シルバークロース「ふふふ……では、最後にもう一度申し上げておきましょう」

シルバークロース「星詠みの魔女の攻撃を凌いだだけでは、セイントレアへは辿り着けません」

シルバークロース「最後の壁を撃ち抜くのは、あなたの役目です。リーゼリット様」

リーゼリット「……責任重大だなぁ、もう」

シルバークロース「ご武運を。無事にお戻りになりましたら、次回の商品も是非、我が商会からお買い求めください」

リーゼリット「帰ってきた直後に営業されたら、アンタを試し撃ちの的にするからね」

シルバークロース「それは困りますねぇ」ニコニコ

⭐︎対結界穿孔砲シルバーレインの提供を受けました。
828 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:57:34.87 ID:HMN4VPdPO
ーー暗黒館1F 酒場

ワイワイガヤガヤ

アトニス「……ガイ、説明しろ。このむさ苦しい面子は何なんだよ?」

ガイ「成り行きで集まった面子だ。全員、知ってはいるだろ?」

ドルク「おいおい、アトニス。お前だって、そのむさ苦しい側の一員だろ?それに、世界の命運が懸かってる決戦の前なんだ。今くらい景気よく食事をしようぜ?」

アトニス「ボクは男だが、見ての通り可愛い側だ!あんなむさ苦しい連中と一緒にするな!」

グレイグ「ったく、なんでこんなヤツが暗黒館にいやがるんだ……?」

アトニス「その台詞はそのまま返してやる!なんで食事会だってのに、牛獣人と大男と無愛想しかいないんだよ!」

ガイ「無愛想……」

ドルク「誰が大男だ」

アトニス「お前だよ」

ドルク「そっちの獣人の方がデカいだろ」

グレイグ「俺は同じ種族の中じゃ普通の大きさだ」

ガイ(そうだったのか)

グレイグ「ところで、お前がドルクか?名前と顔くらいは知っていたが、こうして話すのは初めてだったな」

ドルク「俺もだ。そういうあんたは、狂飆のグレイグだよな?暗黒館の古参幹部で、やたら怖い牛獣人だって聞いてる」

グレイグ「誰から聞いた?」

ドルク「いろんなヤツから」

グレイグ「ハァ……随分と雑な紹介をされてやがるな……」

アトニス「間違ってないだろ?」

グレイグ「ぐっ……結構気にしてるんだぞ?」

ガイ「……帰っていいか?」

ドルク「お前が声をかけたんだろ!?」

ガイ「食事に誘っただけだ。騒げとは言っていない」

アトニス「この面子を集めて、静かな食事になると思ってたなら、お前は人を見る目がないぞ」

ガイ「……否定はできないな」

ドルク「いや認めるなよ!?」

アモ「お待たせしました〜♪」

テーブルへ運ばれた料理「」ドンッ

ドルク「おっ、来たな!ありがとう、アモちゃん!」

アモ「どういたしまして〜……珍しい面子だね。どういう集まりなの、ガイ?」

ガイ「成り行きだ。特に深い理由はない」

アモ「ふふっ、そっか。でも、ガイがこういう集まりにいるのって、ちょっと珍しいね。追加の注文とかあったら呼んでね〜」ヒラヒラ

グレイグ「おう!……さ、腹減ってるし早く食うぞ!」ガタッ
829 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:58:30.24 ID:HMN4VPdPO
アトニス「おい、座れ!料理は逃げないだろ!」

グレイグ「冷めるだろうが!」

ガイ「フッ……そうだな。とりあえず食べよう」スッ

ドルク「賛成だ。それじゃ、いただきますっと──」

骨付き肉を取るドルク「」ガシッ
同じ肉へ伸びるグレイグの手「」ガシッ

ドルク「……」
グレイグ「……」

二人に掴まれた骨付き肉「」ギシッ……

アトニス「ん~!やっぱりプリンが至高だが、他の料理も美味いな!流石だ、バーテンダー!」モグモグ

カウンター越しに笑うバーテンダー「」ニヤリ

ドルク「俺が先に取ったよな?」ググッ
グレイグ「いや、俺が先だったが?」ググッ

ドルク「初対面同然の相手から肉を奪うのか?」ググッ
グレイグ「お前こそ、先輩幹部へ譲る気はねぇのか?」ググッ

ドルク「同じ幹部だろうが!古参だからって、肉まで優先される決まりはねぇぞ!」ググッ
グレイグ「暗黒館じゃ年季の差ってのは大事なんだよ!」ググッ

ドルク「絶対、今作った理屈だろ!」グイッ
グレイグ「細けぇことは気にすんな!」グイッ

骨付き肉「」ミシミシ……

ガイ「……そのままだと、肉が千切れるぞ」

ドルク「だったら、そっちに離すよう言ってくれ!」グググッ

グレイグ「後から掴んだのはコイツだ!」グググッ

ドルク「俺の方が先だった!」グググッ

アトニス「普通に別の肉をとればいいだろ?」モグモグ

グレイグ「うるせぇ!これは意地の張り合いだ!負ける訳にはいかねえんだよ!」

ドルク「勝手なこと言うな!ただの肉の取り合いだろ!」

アトニス「自覚はあるのかよ……」

骨付き肉「」ブチッ!

半分ずつ肉を持つドルクとグレイグ「……」

ドルク「……」
グレイグ「……」

ガイ「綺麗に半分になったな」モグモグ

ドルク「……くっ、くくっ……」

グレイグ「フッ……フハッ……」

笑うドルクとグレイグ「はっはっはっはっはっ!!!」

互いの肉を掲げるドルクとグレイグ「」スッ

ドルク「……乾杯代わりだ」

グレイグ「ガッハッハッ!悪くねぇな、お前!」

ドルク「グレイグ、酒は飲めるのか?一杯どうだ?」ガブッ

グレイグ「お前もイケる口か!?アモ!一番良い酒をもってこい!」ガブッ

アトニス「うわ……むさ苦しい友情が生まれたぞ」

ガイ「食事会を開いて正解だったのかもしれないな」

アトニス「今のを見て、よくそう思えるな……お、そのパイ食べないのか?もらうぞ」ヒョイッ

ガイ「あっ」

ガイ(あとで食べようと思って残していたのに……追加で注文するか)

◆四人で食事会(?)をしました。
830 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 00:59:34.62 ID:HMN4VPdPO
本日はここまでです。
ウォーターポートであと2日過ごしたらセイントレアに突入します。

それでは、また。
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 08:31:51.89 ID:VJr/OF6Qo
おつ
聞いたことのない魔女…過去最も謎の多い物語になりそうだ
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 09:52:47.70 ID:C7a4cwqBO

「あと2日過ごしたらセイントレアに突入します。」と書いてあるけど>>816でコンマ90だからセイントレア突入まで3日のはず、今回を入れて3日ってこと?
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 18:16:07.38 ID:496uk+oo0
今回はみんなでセイントレアに行くのかな。
834 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 22:18:40.38 ID:xkiGy6wyO
>>831
謎といっても複雑なものではないので、すぐにわかるかと思います。(果たして、>>1に管理できるのでしょうか)

>>832
今回を入れて3日なので、>>830であと2日と記しました。分かりづらくて申し訳ありません。

>>833
みんなと言えばみんなと言えるかもしれません。それに付随して、今回連れて行くメンバーを選ぶ場面はありませんので安価等で仲間を誘わなくて大丈夫です。
835 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 22:19:08.68 ID:xkiGy6wyO
ーー暗黒館1F 酒場

サーシャ「セイントレア……魔王城に乗り込むの?」

ガイ「そうだ……途中で何が起こるか分からない。死ぬ可能性だって高い」

サーシャ「……そんなの、今更だよ。ガイと一緒に旅してきて、危ない目なんて今までにいくらでも遭ってきたし、それくらいで降りたりなんかしないよ」

ガイ「……また君を危険な目に遭わせることになる。それでも、本当にいいんだな?」

サーシャ「うん。それでもついて行く。ガイはすぐ無茶するから、止められる人が多い方がいいからね!」

ガイ「サーシャ……」

サーシャ「そ、れ、に!私、この前の答えまだ聞いてないし……」

ガイ「……忘れてはいない」

サーシャ「ふふっ。じゃあ、ちゃんと覚えてるんだ?」

ガイ「忘れられるようなことじゃない」

サーシャ「そっか……それなら少し安心したよ」

ガイ「安心?」

サーシャ「うん。ガイが答えを言わないまま勝手に死んだりしたら、私、絶対に許さないから」

ガイ「死ぬつもりはない」

サーシャ「私もだよ。必ず、みんなで生きて戻ってこようね」

ガイ「……ああ」

◆現在はウォーターポートです。(セイントレア突入まで残り2日)

何をする?
安価下1〜3
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 22:20:01.09 ID:Zj4syAnF0
メルル、ガイ達の激励に来る。
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 22:21:28.00 ID:496uk+oo0
ガイ ベルトーネから「七大罪」について教えてもらう(ベルトーネの詠唱等で「怠惰」だった事が分かったから)
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 22:23:35.02 ID:C7a4cwqBO
リーゼリット ガイを誘って一緒に買い物する
839 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 23:42:25.48 ID:RSrkX0BbO
メルル「お二人とも湿っぽい雰囲気を出すのはちょっとばかし早いんじゃないかなァ?」ヒョコッ

ガイ「うおっ!?」ガタッ
サーシャ「きゃっ!?」ガタッ

二人を抱きしめるメルル「にゃはは!二人とも、元気してた?」ダキッ

抱きしめられるガイ「メルル!?どうしてここに!?」

頬擦りするメルル「そりゃあ、なんだか周りが騒がしくなって来てたからさァ……色々情報を集めてみたら、セイントレアに行くらしいじゃん?それを聞いたら居ても立っても居られなくってェ!」スリスリ

頬擦りされるサーシャ「わっ……ふふっ、それで来てくれたんですか?」

パッ

メルル「もちろん!大事な友達がとんでもなく危ない場所に行くっていうのに、何も言わず見送るなんて薄情な真似、このメルルお姉さんにはできないからねェ!」

ガイ「な、なるほど……待て、俺のことがわかるのか?」

メルル「そうそう!そのことについてだよ、ガイ君!私、なぜだか君のこと忘れちゃってたんだけど、最近、急に思い出してさ!オノゴロで一緒に過ごしたことも、みんなで戦ったことも……君が私を庇って、大怪我したことも全部ね」

ガイ「……いいんだ。お前が悪いわけじゃない。俺の使った代償の刃が原因だったんだから」

メルル「君がいいって言っても、私はよくないの。命を助けてもらった相手を忘れて、知らない人みたいに接してたんだよ?思い出した時は、申し訳なさすぎて穴があったら透明になって隠れたかったんだからァ……」

サーシャ「それだと、穴がなくても隠れられますよね?」

メルル「細かいところに気づいちゃったねェ、サーシャちゃん」

ガイ「気にする必要はない。忘れられることには慣れている」

ガイ「だが、思い出してくれた。それで十分だ」

メルル「本当にィ〜?」

ガイ「ああ」

メルル「じゃあ、今度は忘れないように、ガイ君が嫌がるくらい構ってあげようかなァ?」

ガイ「やめてくれ」

メルル「即答!?………まあ、そういう可愛げのないところも相変わらずだねェ」

ガイ「?」

メルル「ガイ君ってさァ、誰かを守るためなら自分の命を勘定から外しちゃう悪い癖があるじゃん?」

サーシャ「あります」

ガイ「……そうか?」

サーシャ「そうだよ」

メルル「オノゴロでグレイグさんにも散々言われたでしょ?全部自分で背負うのは、仲間を信じてないのと一緒だって」

ガイ「……覚えている」

メルル「その後、みんなでグレイグさんに勝った時、何て言ったかも?」

ガイ「俺は、もう一人で戦うつもりはない。皆で勝つ……そう言った」

メルル「うん。ちゃんと覚えてるじゃん」

メルル「だったら、今回も同じだよ。君一人が世界を救うんじゃない。サーシャちゃんも、リーゼちゃんも、アインズさんも、アモちゃんも……それ以外にも、たくさんの人が一緒に行くんでしょ?」

ガイ「ああ」

メルル「なら、格好つけて一人で全部終わらせようとしないこと。危なくなったら助けを求める。動けなくなったら誰かに背負ってもらう。自分より仲間の方が得意なことは、素直に任せる」
840 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 23:42:52.53 ID:RSrkX0BbO
ガイ「……分かっているさ」

メルル「本当にィ?」

ガイ「……努力する」

メルル「そこは『必ずそうする』って言うところだよォ!」

サーシャ「メルルさん、もっと言ってあげてください」

ガイ「サーシャまでそっちにつくのか……」

サーシャ「私は最初からこっち側だよ?」

メルル「にゃはは!ガイ君、完全に包囲されちゃったねェ!」

ガイ「……敵地に入る前から逃げ場がないな」

メルル「逃げる必要なんてないでしょ。みんな、君を困らせたいんじゃなくて、生きて帰ってきてほしいだけなんだから」

メルル「でも、君たちなら大丈夫。私はオノゴロで、みんなが何度も無茶苦茶な相手を乗り越えるところを見てきたから」

サーシャ「メルルさん……」

メルル「だから、今までと同じ。みんなで考えて、みんなで頑張って、最後はみんなで帰ってくる。それだけだよ」

ガイ「簡単に言ってくれる」

メルル「難しく言ったところで、やることは変わらないでしょ?」

ガイ「……違いない」

メルル「うん。そして、帰ってきたら全部聞かせて。どんな場所だったか、何があったか……ガイ君たちが、どうやって世界を救ったのか」

サーシャ「はい。必ずお話しします」

メルル「楽しみに待ってるよォ」

ガイ「……メルル。ありがとう」

メルル「お礼は帰ってきてから!今言われても受け取りませーん!」

ガイ「そうか」

メルル「だから、絶対に帰ってくること。これはお願いじゃなくて、お姉さん命令です!」

サーシャ「ふふっ……分かりました!」

ガイ「ああ。必ず帰ってくる」

メルル「よし!それじゃあ湿っぽい話はここまで!」

二人の背中を叩くメルル「ほらほら、出発に備えてしっかり食べて、しっかり休む!死地に向かう前だからって、今から死人みたいな顔してたら運まで逃げちゃうよォ!」バシバシ

ガイ「痛い、痛い!分かったから叩くな!」

サーシャ「ふふっ……はい!」

⭐︎メルルと話しました。
841 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 23:44:48.85 ID:RSrkX0BbO
ーーウォーターポート 大通り

ワイワイガヤガヤ……

ガイ「必要な消耗品は一通り揃ったな」

リーゼリット「うん。あとは……」

ガイ「まだ何かあるのか?」

リーゼリット「服を見たい」

ガイ「服?」

リーゼリット「何。その意外そうな顔」

ガイ「リーゼが自分から服を見たいと言うのは、少し意外だった」

リーゼリット「私だって服くらい買うよ。今着てるジャケットも、サイズが合ってないし」

ガイ「……確かに、少々大きいな」

リーゼリット「アンタ、今まで気づいてなかったの?」

ガイ「気づいていたが、そういう着方が好みなのかと思っていた」

リーゼリット「そんなわけないでしょ……」



ーー仕立屋

店員「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」

リーゼリット「動きやすくて、丈夫なジャケットを見せてもらえますか?できれば、銃を構える時に肩が突っ張らないものがいいです」

店員「でしたら、こちらはいかがでしょう」

黒いショートジャケット「」スッ

リーゼリット「……悪くないかも」

ガイ「着てみた方がいい」

リーゼリット「分かってるよ。ちょっと待ってて」



新しいジャケットを着たリーゼリット「……どう?」

ガイ「似合っている」

リーゼリット「早い」

ガイ「何がだ?」

リーゼリット「ちゃんと見た?」

ガイ「見ている。今までのものより身体に合っているな。肩周りも動かしやすそうだ」

リーゼリット「……ふーん」

ガイ「不満か?」

リーゼリット「別に。ちゃんと見てたならいい」

ガイ「後ろを向いてみてくれ」

リーゼリット「え?」

ガイ「銃を構える時に引っかからないか確かめるんだろう?」

リーゼリット「あ、ああ……そういうことね」クルッ

銃を構えるリーゼリット「……うん。動かしやすい」スッ

ガイ「銃を構えても、肩は突っ張っていないな」

リーゼリット「やっぱり、そう思う?」

ガイ「ああ」

リーゼリット「……じゃあ、これにしようかな」

842 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 23:45:45.83 ID:RSrkX0BbO
古いジャケットを抱えるリーゼリット「……」

ガイ「どうした?」

リーゼリット「ガイ。ちょっと、こっち向いて」

ガイ「ああ」

ジャケットを差し出すリーゼリット「……これ」スッ

ガイ「俺に持てということか?」

リーゼリット「着てみて」

ガイ「だが、これはリーゼの──」

リーゼリット「いいから」

ガイ「……分かった」スッ

ジャケットを羽織るガイ「……ちょうどいいな」

リーゼリット「父さんは、アンタと同じくらいの体型だったからね」

ガイ「父親のものだったのか?」

リーゼリット「うん。元々は父さんが狩りをするときに着てたものだよ」

ガイ「……なら、なおさら受け取れない。大切なものだろう」

リーゼリット「大切だよ」

ガイ「なら──」

リーゼリット「大切だから、アンタに渡すって言ってるの」

リーゼリット「父さんが着なくなってから、ずっと私が使ってた……これを着てれば、少しだけ一人じゃない気がしたから。だから、ずっと手放すつもりなんてなかった」

ガイ「それを……なぜ俺に?」

リーゼリット「……アンタに着ていてほしいと思ったから」

ガイ「理由になっていない」

リーゼリット「次の任務は、何が起きるか分からない。アンタはきっと、また一番危険な場所に行く」

ガイ「……否定はできないな」

リーゼリット「だったら、それを着て」
843 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 23:46:14.31 ID:RSrkX0BbO
ガイ「ジャケット一枚で、俺の行動が変わるとは思えないが」

リーゼリット「変わるよ」

ガイ「どうやって?」

リーゼリット「無茶しようとした時に、思い出すでしょ。それが私の大切なものだってこと」

ガイ「……」

リーゼリット「ボロボロになっても怒る。破ったら怒る。失くしたら、もっと怒るから」

ガイ「……難しい要求だな」

リーゼリット「だから、ちゃんと守って帰ってきて」

ガイ「ジャケットをか?」

リーゼリット「アンタも一緒に!」

ガイ「……分かった」スッ

ジャケットの襟を整えるガイ「大切にする」

リーゼリット「大切にするだけじゃ駄目。生きて、私に返しに来て。世界めくれを止めた後に……アンタに本当にあげるか決める」

ガイ「……似合ってるか?」



リーゼリットの父親『リーゼ、一人前になったら、このジャケットが様になるんだ!お前も早く立派になって、これが似合うようになれよ!』

幼リーゼリット『……やだ。ちょっとくさいし』

リーゼリットの父親『なっ……そ、そんなに臭うか!?ちゃんと洗って干してるんだぞ!?』

幼リーゼリット『あははは!ごめん、とうさん!じょーだんだよ、じょーだん!』



リーゼリット「──うん。すごく様になってる」ニッ

◆リーゼリットからジャケットを預かりました。
844 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/02(日) 23:47:41.32 ID:RSrkX0BbO
(セイントレア突入直前まで行きたかった)
本日はここまでです。明日も更新します。よければお付き合いください。

それでは、また。
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/03(月) 01:19:13.50 ID:GeSlveADo
おつ
結構重いけどわからず屋のその男にはそのくらい重い方がいいね
846 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 17:54:32.71 ID:7TLAYprhO
>>845
リーゼリットさんはガイに自分の一族の名を預けてもいいと考えているくらいにはガイを好いているようです。彼もここまで言われれば、嫌でもわかるのではないでしょうか。
847 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 17:55:09.08 ID:7TLAYprhO
ーー暗黒館2F 幹部宿泊部屋

姿見の前に立つガイ「……」

ベルトーネ『うんうん。やっぱり似合ってるね~』

フローディア『ええ。驚くくらい馴染んでいるわね……ガイ、鏡の前に立ってからもう随分経っているけれど?』

ガイ(……うるさいな。別にいいだろ)

フローディア『ふふっ……あなたは、あの子がずっと大切にしてきたものを託されたのよ。その意味は、ちゃんと分かっているのでしょう?』

ジャケットの襟元に触れるガイ「……」スッ

ガイ(ああ……これは、リーゼがずっと手放さずに着てきたもの……それを俺に預けたのは、無茶をしようとした時に思い出させるためだ。これを守って、俺自身も生きて帰れと……世界めくれを止めた後、必ずリーゼの手に返しに行く)

フローディア『ちゃんと分かっているようね。今のあなたは多少死ににくくなっているとはいえ、無茶をしていい理由にはならないわ。自分も、そのジャケットも大事にしなさいよ』

ガイ(分かっている)

ベルトーネ『 それにしても、ずっと着てたならリーゼリットちゃんの匂いも残ってそうだね~?』

ガイ「……!」

ベルトーネ『ふふ~。ナニかするなら私たち、少しだけ静かにしててあげようか〜?』

ガイ(変なことを言うな……まったく、七大罪の悪魔は全員お前のような奴ばかりなのか?)

ベルトーネ『え〜、他と比べたら、私はかなりマシな方だよ〜?』

フローディア『そういえば、七大罪についてはたまに耳にしていたけれど……あなたとベッサラビア以外は、どんな悪魔たちなの?』

ガイ(……少し気になるな)

ベルトーネ『おっ、二人とも気になる~?じゃあ、この機会に話せる範囲で教えてあげよう~』

ベルトーネ『七大罪っていうのは〜……説明すると意外と長いんだよね~。やっぱりやめていい〜?』

ガイ(自分から教えると言っただろう)

ベルトーネ『はいはい……悪魔の中でも上位の七人のことを指してて〜、それぞれが傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲、暴食、怠惰を司っているんだよね〜』

フローディア『あなたは、その中の怠惰を司る悪魔なのよね?』

ベルトーネ『そうそう。怠惰のベルフェゴール。それが私の悪魔としての名前だよ~』

ガイ(怠惰の権能を使うときに言っていたな。ベルトーネという名前とは別なのか?)

ベルトーネ『ベルトーネはこの世界での個体としての名前。ベルフェゴールは、七大罪としての名前って考えればいいかな~』

フローディア『ベッサラビアも名乗っていたわね。たしか……暴食のベルゼブブ、と』

ベルトーネ『うん。あいつは暴食を司るベルゼブブ。七大罪の末席って言ってたけど、本当の末席は私だからね~』

ガイ(……末席が二人いるのか?)

ベルトーネ『いるわけないでしょ~。ベッサラビアが勝手に勘違いしてるだけだよ〜。色々考慮しても、七人の中では私が一番下になると思うんだよね〜』

ガイ(つまり……序列は決まってないということか)

ベルトーネ『まあね〜。私としてはどうでもいいんだけど〜』

フローディア『司る大罪によって、権能の表れ方もそれぞれ違うの?』

ベルトーネ『さて、どうだろうね~?』

フローディア『あら、教えてくれないの?』

ベルトーネ『それぞれ違うし、同じ悪魔でも召喚体によって、権能の効果や発現の仕方が変わるんだよね~。だから、傲慢なら必ず他人を跪かせるとか、強欲なら何かを奪うとか、そう簡単には断定できないの~。現にベッサラビアも、何でも食べ続けるような分かりやすい暴食ではなかったでしょ〜?』

ガイ(……そういうものなのか)

ベルトーネ『そういうものなの〜……もう疲れたから寝てもいい〜?』

◆他に何か聞く?
安価下1

1 もう充分
2 七大罪について更に聞く(傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲、暴食の中から一つ選んでください)
3 自由安価
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/03(月) 18:23:12.50 ID:GfKpNFBkO
3幽界出身なのか更に別世界出身なのか
849 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 19:46:06.21 ID:Ij23YxDbO
フローディア『元々この世界の存在ではないのは分かっているけれど……もしかして、召喚される前は幽界に住んでいたりするのかしら?』

ベルトーネ『ううん、幽界……幽世?どっちでもいいか……そこともまた違う世界だよ。天界と対になる場所……って言ってもわかんないか。まあ、そんな感じのところ〜』

ガイ(ここに来てずいぶん雑になったな……俺は天界についてもよく知らないんだが)

ベルトーネ『知らない方がいいよ〜。私たちの世界を理解しちゃったら正気じゃいられなくなっちゃうだろうし〜』

ガイ(……それは比喩か?)

ベルトーネ『どっちだと思う~?』

ガイ(聞かなければよかった)

フローディア『私も長く生きてきたけれど、知っただけで正気を失う世界というのは興味深いわね』

ベルトーネ『フローディアちゃんは興味を持っちゃうんだ~』

フローディア『当然でしょう?』

ベルトーネ『でも、教えな~い。二人には狂ってほしくないからね〜……記憶の魔王とかなら知ってるかもよ?』

ベルトーネ『……とにかく、七大罪は人間の世界とは別の場所から召喚されてくる悪魔。今はそれだけ分かってれば充分だよ~……気が向いたらまた今度話してあげる~。じゃ、おやすみ〜』

ガイ(……また一段と謎が増えた気がするな)

フローディア(気になるけれど、知らない方がいい知識というのもあるものよ……あなたも、そろそろ寝たら?)

ガイ(そうしよう。明日は……何をして過ごすか……)

⭐︎ベルトーネと話しました。
850 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 19:48:25.76 ID:Ij23YxDbO
ーー???

穏やかな草原「」サワサワ……

青空「」
遠くに見える暗黒館「」

ガイ「……ん?」

アモ「あれぇ……?ガイの意識、もっと深く眠らせたはずなんだけどなぁ……」

ガイ「アモ?ここは一体……」

アモ「ガイの夢の中だよ。眠りが浅かったから、途中で気づいちゃったみたい」

ガイ「……お前が作った夢なのか?」

アモ「うん。正確には、ガイの心にある景色を少し借りて、落ち着ける形に整えたの」

ガイ「そんなこともできるのか」

アモ「私、心属性の使い手だからね」ニコッ

ガイ「それで……なぜ、こんなことを?」

アモ「ガイがいけないんだよ?」

ガイ「俺が?」

アモ「心の奥でずっと考え事してるんだもん。身体だけじゃなくて、心も休ませないとダメなんだよ?」

ガイ「……セイントレアへ向かうんだ。考えるなという方が無理だろう」

アモ「うん。考えること自体が悪いとは言ってないけど……でも、ガイには休んでほしかったから」

ガイ「……」

アモ「だから今日は、何も考えなくていい夢にしたかったの」

木陰に置かれた敷物「」
飲み物と果物が入った籠「」

ガイ「……随分と用意がいいな」

アモ「ふふっ。せっかくだから、夢の中くらいはのんびりしよ?ほら、こっち」ポンポン

ガイ「……」

スタスタ……

ガイ「仕方ないな」ストン

アモ「飲み物は何がいい?お茶とジュースがあるよ」

ガイ「ジュースで」

アモ「ふふっ。やっぱりそっちなんだ」

ガイ「悪いか?」

アモ「ううん。ガイらしくて安心しただけ。はい、これ」

グラス「」スッ

ガイ「……助かる」ゴクッ

アモ「どう?」

ガイ「……甘いな。ブドウの味がする」

アモ「よかった」

風に揺れる草原「」サワサワ……

ガイ「……静かだな」

アモ「嫌だった?」

ガイ「そうじゃない。最近、静かな場所にいると何か起きる気がして落ち着かなかった」

アモ「ここでは何も起きないよ。この夢の中では、私がそう決めたから」

ガイ「頼もしいな」

アモ「もっと頼ってくれてもいいんだよ?」
851 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 19:48:55.09 ID:Ij23YxDbO
ガイ「……」

アモ「ガイ?」

ガイ「明日の作戦で、全員が生きて帰れる保証はない。俺が失敗すれば、これまで積み重ねてきたものが全て無駄になるかもしれない」

アモ「うん」

ガイ「だから、休んでいる時間すら惜しいと思っていた。だが、今のお前の話を聞いて……少しだけ、考えを改めた」

アモ「本当?」

ガイ「ああ。疲れたまま向かって失敗したら、それこそ意味がない」

アモ「ふふっ。やっと分かってくれた」

ガイ「ただし、少しだけだ」

アモ「はいはい。今はそれでいいよ」

横になるガイ「……」ゴロッ……

アモ「眠れそう?」

ガイ「多分な」

アモ「じゃあ、起きるまでここにいるね」

ガイ「アモ」

アモ「なあに?」

ガイ「ありがとう」

アモ「どういたしまして」ニコッ

目を閉じるガイ「……」

アモ「おやすみ、ガイ」

風の音「」サワサワ……



ーー暗黒館2F 幹部宿泊部屋

目を覚ますガイ「……」パチッ

眠るアモ「すぅ……すぅ……」

ガイ(……本当に、ずっと傍にいたのか。一緒のベッドに入るのはどうかと思うが……)

ベルトーネ『いい夢だったね~』

ガイ(……お前たちも見ていたのか?)

ベルトーネ『少しだけね~。何も起きない夢って、見てる方は退屈だったけど~』

フローディア『私は良い時間だったと思うわ。あなたがあれほど素直に休む姿は珍しいもの』

ベルトーネ『夢じゃなくても、あれくらい素直になればいいのにね~』

ガイ(余計なお世話だ)

フローディア『……それにしても、あなたはいろんな人に心配されてるわね?』

ガイ(……ああ)

アモ「んん……」モゾッ……

窓の外を見つめるガイ「……」

朝日「」キラッ……

ガイ(セイントレアへの突入まで、残り一日……どう過ごすか)

◆現在はウォーターポートです。(セイントレア突入まで残り1日)
※安価終了後、セイントレアに向かいます。

何をする?
安価下1~3
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/03(月) 19:50:27.03 ID:+YkbR8YT0
飛空艇の整備をするニナとミチルを手伝う。
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/03(月) 19:58:13.30 ID:YEqQOaVRO
ガイ、酒場で1人ワインを飲むフラナの愚痴に付き合う
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/03(月) 20:18:09.34 ID:dK+sJ2AI0
テラヌス·ウルスのソーラから手紙が届く
855 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 22:46:04.75 ID:2jX+oEecO
コンコン

イーリン「ガイ様、よろしいでしょうか?」

ガイ「イーリン?どうかしたのか?」

ガチャ

イーリン「おはようございます、ガイ様。テラヌス・ウルスから手紙が届きましたので、お渡しに──」

ベッドで眠るアモ「すぅ……すぅ……」

イーリン「……アモ?」

ガイ「……待て、誤解だ」

イーリン「え、あ……ガイ様。これは、どういう……?」

ガイ「昨日、眠れずにいた俺を、アモが心属性の魔法で眠らせてくれた。それだけだ」

イーリン「同じベッドで、ですか?」

ガイ「夢の中へ干渉するために、近くにいる必要があったらしい」

イーリン「らしい……」ジト……

ガイ「俺も起きてから、この状況に気づいた」

イーリン「……そうでしたか」

眠るアモ「んん……ガイ……」モゾッ

イーリン「……」

ガイ「……」

ガイ「……それで、手紙というのは?」

イーリン「ああ、そうでした。差出人は、テラヌス・ウルスのホトルス族からです」
封筒「」スッ

ガイ「ホトルス族……リアンノンか?」

イーリン「差出人の欄には、ソーラと書かれています」

ガイ「ソーラから?」

イーリン「ご存知なのですか?」

ガイ「ああ。テラヌス・ウルスで知り合った少女だ」

封を開けるガイ「……」ビリッ
便箋「」ペラッ

856 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 22:46:34.59 ID:2jX+oEecO
ガイさんへ

おげんきですか。ソーラはげんきです。
おかあさまと、毎日ごはんをたべています。
おべんきょうもしています。むずかしいけど、まえより字が書けるようになりました。
ホトルス族のみんなも、やさしくしてくれます。
もう、かげの人の声はきこえません。
さいしょは、すこしさみしかったです。
でも、おかあさまや、みんなといると、だいじょうぶです。
おかあさまから、こんどはとてもあぶないところにいくかもしれないってききました。
あぶないことをすると、しんぱいします。
だから、ちゃんと帰ってきてください。
またテラヌス・ウルスにきたら、ソーラとおはなししてください。
サーシャさんと、リーゼおねえちゃんと、アインズさんと、テルさんにも、また会いたいです。
だから、みんなで帰ってきてください。
やくそくです。
ソーラより。



ガイ「……」

イーリン「随分と慕われているようですね」

ガイ「……俺は、そこまで大したことはしていない」

イーリン「影の人、というのは?」

ガイ「テラヌス・ウルスで起きた事件に関係する存在だ。ソーラはそいつと繋がっていた」

イーリン「手紙の内容を見る限りでは、平穏に暮らせているようですね」

ガイ「……そうだな」

便箋を丁寧に畳むガイ「」ペラッ……

イーリン「返事を書くのであれば、便箋と封筒をすぐに用意できます」

ガイ「……そうだな。短くても、返事は書いておこう」

イーリン「では、用意して参ります。その前に──」

スタスタ……

イーリン「アモ。起きなさい?」ゴゴゴ

アモ「ん……?あ、イーリンさん……おはよう……」メソラシー

イーリン「おはよう、アモ。起きたのならもう自分の部屋に戻りなさい。ガイ様も困っているでしょう」ガシッ

引きずられるアモ「わっ、待ってイーリンさん!引っ張らないでよ〜!」

ズルズル……

ガイ(……ソーラへの返事を書いたら、今日をどう過ごすか決めるか)

⭐︎ソーラから手紙が届きました。
857 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 22:47:37.26 ID:2jX+oEecO
ーークロシュヴァリエ号 停泊場

作業員たち「」セカセカ……

ニナ「そこの工具箱はこっちだ!」

ミチル「帆の固定もお願いねー!」

作業員たち「はい!」セカセカ

ガイ「……忙しそうだな」

ミチル「あっ、ガイさん!」

ニナ「丁度いいところに来た!少し人手が足りなくてな」

ガイ「手伝えばいいんだな」

ニナ「ああ。まずはその資材を甲板まで運んでくれ。細部は商会の技術者が指示する」

シルバーレイン「」ギランッ

ガイ「これは一体……?」

ミチル「なんでも、突入作戦を知った商人が寄贈してくれた兵器らしいんだけど……城壁に穴でも開けるつもりなのかな?」

ニナ「まだ世間に公表されていない技術が詰め込まれている代物だ……扱いは慎重にな」

ガイ「わかった……って、見た目どおり重いな、これ……!」ズシッ……



カチャカチャ……

ニナ「ふー……とりあえずこんなものだろう。あとは、明日に備えるだけだな」

ミチル「みんなお疲れ様!今日はゆっくり休んでね!」

作業員たち「お疲れ様でしたー!」

ガイ「クロシュヴァリエ号もセイントレアに向かうんだな」

ニナ「ああ。お前たちが浮島へ行ったときのデータを参考に改良した。私が初めて作った飛空艇だからな……思い入れも深い。今度この飛空艇に乗る奴等も、お前たちのように無事に帰ってこれるよう祈っている」

ガイ「フッ……創造主がそう言うなら、信じるしかないな」

ミチル「あはは!そうだね!船は、行って終わりじゃなくて帰ってきてこそ、だからね!」

ニナ「ククッ……さぁ、お前たちももう休め。明日は世界の命運がかかった日なんだ。寝不足なんて笑えない失敗はするなよ?」

⭐︎飛空艇整備を手伝いました。
858 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 22:48:39.09 ID:2jX+oEecO
ーー暗黒館1F 酒場

ワイワイガヤガヤ

ガイ(……普段見かけない顔が多いな。全員、明日の作戦の志願者なんだろう……何か飲んだら、部屋に戻ろう)

ガイ「バーテンダー、いつものを頼む」

バーテンダー「かしこまりました」スッ
レモンウォーター「」

ガイ「おお……早いな」

バーテンダー「ガイさんが来られる気がしたので、準備しておきました」ニヤリ

ガイ「フッ……ありがたくいただこう」

「……まったく、揃いも揃って……」ブツブツ

ガイ「その声……もしかして──」

ワインを飲むフラナ「あら、ガイじゃない。ちょうどいいわ、このまま少しつきあいなさいよ」ゴク……

ガイ「俺でよければ……それで、何に腹を立てているんです?」

フラナ「見れば分かるでしょう?あそこにいる連中よ」スッ

作戦の志願者たち「」ワイワイ……

フラナ「危険性を説明しても、我先にと名乗りを上げる者ばかり。命がいくつもあるとでも思っているのかしら」

ガイ「……彼等も覚悟を決めているはずです」

フラナ「その覚悟の後始末をするのは、救助を任された私たちなのよ?墜ちていく人間を拾って、負傷者を運んで、暴れる者は大人しくさせて……そのうえ、船団を止めるなと言われている」

ガイ「難しい役目です」

フラナ「他人事みたいに言うのね……あなたも救助する側を困らせそうな人間の一人よ。この前、代償の刃を受けて死にかけたことをもう忘れたの?」

ガイ「……忘れてはいません」

フラナ「明日は、世界樹の光を抱えて一番危険な場所へ向かうのでしょう?」

ガイ「それが俺の役目ですから」

フラナ「モーリィもクーも、みんな同じことを言うのよ。自分にしかできない、自分が行くべきだって……」

フラナ「まったく……責任感が強い人間ほど、どうして自分の命だけ勘定に入れないのかしら」ゴクッ

ガイ「フラナさんも、その一人では?」

フラナ「私は自分の命を大切にしているわ」

ガイ「危険な作戦へ人員を送り、自分も現場へ出るつもりなのに?」

フラナ「……口が回るのね」

ガイ「愚痴に付き合えと言われましたから」

フラナ「言い返せとは言ってないわよ……まあ、いいわ。明日は勝手に死なないこと。あなたが死んだら、世界を救うどころではなくなるかもしれないのよ」

ガイ「必ず帰ると、仲間たちに約束しています」

フラナ「なら、その約束を守りなさい。私たちに余計な仕事を増やさないためにもね」

ガイ「ええ。フラナさんも無事に帰ってきてください」

フラナ「当然でしょう?世界を救った後の仕事を、マリー一人に押しつけるわけにもいかないでしょう。フレメアは当てにならないし」

空になったワイングラス「」コトッ

フラナ「……もう一杯頼もうかしら」

ガイ「明日に響きますよ」

フラナ「なら、代わりにあなたの血で我慢してあげましょうか?」

ガイ「……遠慮します」

フラナ「あら、残念」ニヤリ

⭐︎フラナと話しました。
859 : ◆sIVlz2/mNs [saga]:2026/08/03(月) 22:50:08.13 ID:2jX+oEecO
本日はここまでです。
次回から、セイントレアに向かいます。
無事に辿り着けるといいですね。

それでは、また。
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/04(火) 00:25:15.52 ID:dkTcWXQHo
おつ
いよいよ突入作戦か
最近の戦闘コンマは必ず一度は下振れるから不安だわ…
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/08(土) 15:41:23.94 ID:giQtQ68CO
他の国の時みたいにセイントレアまでの道中の安価やコンマはやってくれるよね?
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