お嬢様「貴女たちは私の大切な――――」

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1 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/08(日) 11:49:01.77 ID:yTIpdHxw0
お嬢様「貴方は私の可愛いお人形なんですもの」の続き
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4nip/1459252041/

百合、注意
2 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/08(日) 11:54:53.48 ID:yTIpdHxw0
>>1
早速ミスだよ……。正しくは
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459252041/
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 11:58:55.25 ID:gqdzij7eO
立て乙
4 : ◆TEm9zd/GaE [sage]:2016/05/08(日) 12:26:29.31 ID:yTIpdHxw0
――駅


メイド「来ない……」

メイド「何で時間なんてとっくに過ぎてるのに電車来ないのよ……」


ご令嬢「イタリアの電車は遅れるのが当たり前。そう言われるくらい時刻表は当てにならないものですよ」


メイド「ご令嬢……様」


ご令嬢「無理して様付けしなくて良いですよ。ご令嬢で良いです、昔みたいに。それにボク自身、敬称付けて呼ばれるのに慣れていないですから」


メイド「……成り上がりですものね。通りで庶民じみたことを知っているわけですわ。そうだ、どうせなら少ない金をがめつく遣り繰りするケチ臭い安上がり術でも教えてもらいましょうか」


ご令嬢「……さすが箱入り没落メイドは言うことが違うですね。半場常識の事実も知らないで当たり前。かばかりか無知を棚にあげて喧嘩腰なんですから。どうせなら深窓に放置されて埃被ったままでいれば良いのに。灰じゃなくて埃だから魔法使いが現れなくてお姫様になれず、精々ダニだけが友達の悲しい余生を過ごすですよ」


メイド「……ふ」


ご令嬢「……あは」


メイド「ふふふ、懐かしいわね、このノリ」


ご令嬢「あははは、そうですね。……座って話しましょうか」


メイド「そう、ね……」
5 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/08(日) 13:02:16.39 ID:yTIpdHxw0
ご令嬢「ふう……そうそう昔、出会った頃はお互いにお互いの事が気に入らなくって……」


メイド「そりゃ、お姫様がパーティーからお持ち帰りした女の子だもの。あの時は何よ泥棒猫って……」


ご令嬢「ジェラシー?」


メイド「ジェラシー」


ご令嬢「あの時ボク、はじめての社交界で不安で、でも周りの大人たちは容赦なしのひっきりなしに話しかけてくるから、怖くって。その時ですね、お姉様がボクのことをエスコートしてくれて……」


メイド「好きになった?」


ご令嬢「惚れたですよ」


メイド「私は元々、お嬢様とは幼なじみだったから、仲良くって。でも、ある時、両親の事業が失敗して文無しになって、明日からどうなるか分からなくなって、家族とバラバラになって……」

メイド「そのとき、お嬢様が私のことを拾ってくれて……その上、お父さんとお母さんを探し出して、仕事の面倒も見てくれて……」

メイド「それ以前からキスしたいって意味でお嬢様のことが好きだったけど、多分そのときからお嬢様に全てを捧げようと誓えるほど好きになったんです……」


ご令嬢「素敵なことです……」


メイド「だから、お嬢様と初めてエッチしたとき、選ばれた、結ばれたって思って、嬉しくなって、でも……」


ご令嬢「女奴隷ちゃん……?」


メイド「……ええ。お嬢様が奴隷が欲しいと言った時おかしいなって思ったの」

メイド「でも、まさか私より近い関係にはならないだろうってたかをくくって、結果――」

メイド「取られ……ううん、始めから私になびいてすらいなかったんだろうなって」


ご令嬢「そんなこと……」


メイド「――女同士だもの」


ご令嬢「――っ!!」


メイド「例え結ばれても、子供はおろか結婚すらできないの。そんな当たり前のことに気づかないふりして……そのツケが今になって廻ってきただけ」


ご令嬢「……子供がご出来ない、結婚ができない。だから、お嬢様のことはもう好きじゃな――」


メイド「そんな訳ないじゃない」バン
6 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/08(日) 13:26:34.75 ID:yTIpdHxw0
メイド「好きよ、大好きよ。拒絶されても性別の壁があっても強力な恋敵がいても、私はお嬢様のことが好き。この気持ちは変わらない」

メイド「だけど……だから――」ヒック


メイド「う、うぅ……好きなの。好きなの。なんで、ひっく、わたし……なんでぇ……」ポロポロ


ご令嬢「ボクも……お姉様――お嬢様の事が好き。優しくって、ボクの理想で……う……でも、相手にされなくて、ひっく……エッチだって一人だけされてなくて、おいてけぼりで……」スンスン

ご令嬢「嫌だよ……。仲間外れにしないでよう……」ポロポロ


メイド「ご令嬢……」


ご令嬢「ボク、メイドのことも好きだよ……だから、だからぁ」ボロボロ


メイド「私は―――― 電車「」ファアアアン 」


ご令嬢「電車……?」ポロポロ


メイド「……空気、読めよ」チラ

メイド「結局、一時間くらい遅れて……」


ご令嬢「……? その腕時計……」


メイド「これ? お嬢様に貰って――」


>お嬢様『――貴方のことが嫌いという訳ではないの。これからもよろしくしてくれたら嬉しいわ』


メイド「――――――」


>お嬢様『嫌いでは無いわ。身近にいて好意を寄せてきて、そんな貴方のことを私自身悪く思っていなかったから、都合が良かったわけだし』


メイド「嫌われては……いない」


ご令嬢「メイド……?」


メイド「――――」


>お嬢様『私ね、貴方たちが私に言う、好きって言葉……信じてないの』


メイド「嫌われていないのなら、信じて貰えるまで愛せばいい」
7 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/08(日) 13:54:56.15 ID:yTIpdHxw0
ご令嬢「……!?」


メイド「屋敷に戻ろう」


ご令嬢「……ちょっ…………」


メイド「私は、お嬢様のことが好き。その気持ちに嘘はない」


ご令嬢「――――――。ボクだって……ボクだってお嬢様に心奪われている。ボク自身も奪って欲しい」


メイド「そうよ。だから、その気持ちを分かって貰えるまで、何度だって愛を伝えよう」


ご令嬢「――――!? ……そう、ですね。屋敷に戻るです。そして、伝えるんです、ボクたちがどれだけ貴女のことを愛しているかを!」


メイド「確かに結婚も子供も出来ないのは当たり前だけど――」

メイド「――私たちがお嬢様のことを好きなのも、当たり前のことだから」


メイド「将来の不安も、愛への不信も、全部、全部ぜんぶっ、お嬢様と共に歩んで改善してくんだ。きっとどうにもならなお壁にぶち当たることがあっても、好きな人となら乗り越えることができる」


メイド「――私は、お嬢様のことが好き! この気持ちに嘘なんてないんだから!」


ご令嬢「ボクだって、お嬢様のことが好きです! それこそ、え……えっちしたいくらいに!」


メイド「……ふ、ふふ――ふふふ」


ご令嬢「は、はは――あはははは」


メイド「ふふふ…………ありがとね」ボソッ
   (あなたがいたから、自分の気持ちを整理できた。きっと感情に任せて電車にのってしまっていたら、後悔していたわ……)


ご令嬢「――? 何か言ったです?」


メイド「別に、公共の場で大声でエッチしたいとか言うのはどうかなのかなって思って」


ご令嬢「な、なっ――」ボッ

ご令嬢「それは……その、勢いに流されてですね」アタフタ


メイド「あらいいじゃない。私もしたいわ、お嬢様と」
   「それに自分の望むことを隠しても、良いことなんて何もないわ。考えが守り腰になってしまうもの」フフッ


メイド「行きましょう、お嬢様のところに」

ご令嬢「言われなくても、です」
8 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/08(日) 14:00:01.96 ID:yTIpdHxw0
今日はここまでで
>>7 ミス発見。×メイド「別に、公共の場で大声でエッチしたいとか言うのはどうかなのかなって思って」
        ○メイド「別に。ただ公共の場で大声でエッチしたいとか言うのはどうなのかなって思っただけ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 16:48:25.88 ID:6VYuevd7o
10 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/09(月) 20:39:54.51 ID:s7UxX8Ak0
――屋敷、食堂

お嬢様「私の過去を聞いてどうするのよ……」


女奴隷「聞いて、から、考える……」


お嬢様「私に……話す理由は無いわ」


女奴隷「話さないと、前に進めない」


お嬢様「前に進んでどうなるって言うのよ! 信頼を裏切って、あの人と同じになって……これ以上私にどうなれって言うのよ!」


女奴隷「…………私の両親は死んでいる」


お嬢様「は――?」


女奴隷「目の前で殺されたらしい……」


お嬢様「突然、何を言って……?」


女奴隷「『相手に求めることを、まず相手にしてやれ。そうしたら相手は無償で自分が求めることをしてくれる』」

女奴隷「そう、教えられた。だから、私は、私の過去を言う」


お嬢様「……随分と的外れな事をするわね。そうしたからって本当に私が話すとでも思っているの……?」


女奴隷「『未来の事は分からない。だったら未来が今になったら、そのつど後悔しない行動を精一杯考えてすればいい』。今、私は、お嬢様のことを知りたいから、後悔したくないから、私の、今、出来ることをする。それだけ……」


お嬢様「そう……。良いわ、話しなさいよ。それで貴女が満足するならね」

お嬢様「どうせ、貴女に出来ることなんてそれくらいでしょ。話して、それで手詰まりになるなら、今後余計な詮索をさせないためにも、それが一番良いわ。精々、私の同情を買えるよう、お涙ちょうだいな思い出話をすれば良い。その話が私の過去より酷かったら、私の過去を話してあげる」

11 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/09(月) 21:19:51.42 ID:s7UxX8Ak0
お嬢様「まあ……私が過去を話すことになるくらいの酷い過去を、貴女が持っているとは思えないけどね」ハッ


女奴隷「……私には名前が無かった」

女奴隷「正確に言えば、自分の名前を知らなかった……」

女奴隷「私の両親は、私が幼い頃……九年近く前に、殺された……らしい」


お嬢様「九年前……というと貴女が二歳くらいの頃ね。どう過ごしたのよ、それから。まさか、赤ん坊が自炊して、金稼ぎ出来るわけがないわ」

お嬢様「――! まさか……」


女奴隷「その反応は珍しい、と思う。……初めて話すからどういう反応されるか、普通どういう反応をするものなのか、分からないけど……。でも、多分、普通は親戚に引き取られたとか考える」

女奴隷「でも、多分、お嬢様の考えていることで、正解」


女奴隷「私は、私の両親を殺した男に拾われ、育てられた」


お嬢様「そんな……」


女奴隷「あの男は気紛れで通り魔殺人を起こして、気紛れで私だけを助けた。その時、財布や金目のものは持っていかなかったらしい」

女奴隷「だから、私の名前と分かるものが無くて、結局、私はこれといった名前をつけられることなく、約十年をあの男と共に過ごした」


女奴隷「おかしいと思わなかった? いくらなんでも先進国の子供が売り捌かれるなんて。ただでさえ、奴隷商は非合法で、影に潜むように活動しているのに、わざわざ、そんなリスクの高い真似するわけがない」


お嬢様「…………」


女奴隷「……日本では、失踪宣告っていうのが出されて、七年経つと死亡したのと同じ扱いになる。……つまり、私はもう、書類上では死んだことになっている」


お嬢様「……つまり、貴女は奴隷商に売られるまで、自分の親を殺した男と暮らしていたの? それも……貴女の社会的人権すらも殺した男と……」


女奴隷「……私にとって、物心ついたときに近くにいた大人はあの男だけだった。男はこの年まで私を育ててくれた。それに色々な知識を教えてくれもした」

女奴隷「まちがいなく、あの男は私の親だった」


女奴隷「でも……色々教えてくれたけど……男は愛だけは――人の熱のあつさだけは教えてくれなかった」


お嬢様「……はは……そう、よね。愛があったら貴女を奴隷商なんかに売らないわよね……。憎い、わよね……。そう、でしょう……そうだと言って」


女奴隷「憎んではいない、今も昔も……。それに、もうあの男は死んでいる、憎みようがない」


女奴隷「――重ねて言えば、あの男を殺したのは私。……だから、あの男に憎まれはしても、あの男を憎んではいけない……」
12 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/09(月) 21:34:29.51 ID:s7UxX8Ak0
お嬢様「……貴女の言っている意味が分からないわ……。なんで……何で……憎んでいないのに、殺したのよ……」


女奴隷「正確に言えば、私が殺した様なもの。実際に、私自身が手をかけたわけではない。けど、私が居なかったら死ななかった……」


女奴隷「死んだ男があらかじめ手配していた奴隷商につれられて、私はここに来た」


お嬢様「女奴隷……貴女――」


女奴隷「……お嬢様、朝、言ってた。お母様って……」


お嬢様「……それがなに――」


女奴隷「そのお母様と何があったかは、知らない。でも、私の過去より酷いものではない、はず……」


お嬢様「――――。……その話、本当なのよね?」


女奴隷「『その場限りの関係なら嘘をついてやり過ごせ。一生をかけて付き合っていく相手には本心を晒せ』。……あの男自身は死んでいても、男の言葉は今でも私の中で生きている。生きている言葉を私は無視できない」


お嬢様「――――――――」



お嬢様「…………私はね、お母様に捨てられたのよ……」
13 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/05/09(月) 21:35:42.39 ID:s7UxX8Ak0
早くエロシーンが書きたい……。今日はここまでで。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 08:09:08.98 ID:M7mLI0Rvo
15 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 11:01:01.99 ID:bt6OaFmX0
お嬢様「もう、十五年近く前のことになるわ。優しくて、笑顔が素敵で、美人で、……私を愛してくれて、自慢の母だった。いつも周りに、この素敵な人が私のお母様なんだぞ、良いだろうって誇らしく見せびらかしてね」

お嬢様「お母様は私のことなんて、見てなかったのに……」


お嬢様「そんなある時突然ね……。お母様が荷物を纏めた鞄を持って私に言ったの、家を出るからって……もう貴方のお母さんじゃないって……お父様のことが嫌いだったって……」


女奴隷「………………」


お嬢様「それでね、そのことが私、納得出来なくて……聞いたのよ、私のことは好きじゃないのかって……」


お嬢様「そしたら、何て言ったと思う? ――私のこと好きじゃないんだって、愛してくれていなかったんだって」


お嬢様「極めつけはこうよ――貴方なんて産みたくなかった。産むんじゃなかった。そう、言われたの……」

お嬢様「その時、私の中で何かが壊れたわ。他人の言葉、無償の愛が信じられなくなったの」

16 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 11:26:14.17 ID:bt6OaFmX0
女奴隷「でも、少なくともメイドは……」


お嬢様「……あの子はいつも好きだって言ってきて……何でそういうことを私に言うのか分からなくって、信じられなくって……」

お嬢様「そんなある日ね。ある理由でメイドの身元を引き受けることになったの。同じ屋敷で住むことになって、そしたらより強く好意を向けてきてね」


お嬢様「その愛、私が何をしても冷めないか、試したの」


女奴隷「そして“した”ことが、エッチなこと……?」


お嬢様「ええそうよ……メイドに奉仕“させた”の」


女奴隷「……昨日も、そういうことをしてたから、愛はあったのでしょう」


お嬢様「嫌がらずに、私の望んだことをしてくれたわ。それが愛だと言うのなら愛なのでしょうね」


女奴隷「だったら……」


お嬢様「――お母様もね、私のために何でもしてくれたわ。愛をくれたお母様が私を裏切った」

お嬢様「人の愛の言葉を信じてはいけないってお母様の裏切りからの考えは、メイドの熱さから愛を思い出して、彼女からの愛に触れたせいで、どれだけ尽くされてもいつかは裏切られるかもしれない、そういう考えに変化していった……」


女奴隷「……」


お嬢様「その二つの考えはね、似ているようで違うの」

お嬢様「前者の場合はね、愛を受けとることそのものを恐れてしまうのだけど、後者は――」


女奴隷「愛を――熱を求めてしまう。けど、お嬢様は相手からその熱が冷めてしまうのを、恐れてる」


お嬢様「そうね。そうよ、それであっているわ。だからね――女奴隷、貴女がいるの」

17 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 11:49:37.30 ID:bt6OaFmX0
お嬢様「愛は欲しいけれど、メイドはいつか裏切るかもしれない。そこでね思いついたの。――私を愛することのみを目的とした人間をつれてくればいいって」


お嬢様「貴女は私だけを愛して、決して私に逆らうことのない、私だけで世界を構築する女の子。貴女には私だけいればいいし、貴女は私に愛を捧げるだけでいい。そうするだけで貴女は生活に困らないし、幸せになれる」


女奴隷「……私とエッチしたのは、私がメイドの代わりだったから?」


お嬢様「……は?」


女奴隷「ずっと続く愛が、欲しかったんでしょう? だから、自分が好き勝手操れる女の子――人形を求めた」


女奴隷「愛が欲しくて、でも嫌われたくはない。だったら、自分の方から拒絶すれば、されることはない、もしくは拒絶したんだから、拒絶されても仕方がないと納得できる」

女奴隷「そして、拒絶した後、人形に――私にその人を投影すればいい。そうしたら、見事自分を拒絶しない自分の好きな人の出来上がり……面倒くさい人……ねぇ、お嬢様――」



女奴隷「――本当はメイドのこと好きでしょ」



お嬢様「――――っ!?」


女奴隷「お嬢様は好きな人に……求めていた人に一度拒絶されて、その辛さを知ってしまったから、またその苦しみを味わいたくないと避けてるだけ。それじゃあ、誰も幸せにならない」


女奴隷「思春期の子供みたいに嫌なことから逃げて、殻に籠っても、前には進めない――そのままじゃ、本当の愛をアナタは誰からも貰えない!」
18 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 12:05:38.43 ID:bt6OaFmX0
お嬢様「――――ッ」ギリッ

お嬢様「黙れッ! 何のための貴女よ……私に愛を与えるためだけに存在している性奴隷でしょ、貴女は! それなのに、分かったような口をきいて……ふざけんじゃないわよ調子に乗るんじゃないわよ!」ガッ


女奴隷「私を性奴隷にしたのは――――」


お嬢様「あぁ?」


女奴隷「――お嬢様がメイドとエッチなことしたから……。愛が欲しいだけなら、エッチなことする必要はない……。そもそも、そういうことするんなら同性より異性の方が都合がいい。お嬢様は私をメイドに見立てて使っていただけ。だって、お嬢様はメイドのことが好きだ――」グッ


お嬢様「まだ言うか――!」ジャラ


女奴隷「――っ――かぁらぁ――ぐっ……はぁ――く、くび……が…………」グググッ


お嬢様「仮に、私がメイドのことが好きだとしても……貴女は何も言わず私を愛すだけでいいのっ! 何でそれを分かってくれないの!!?」


女奴隷「ん……はぁ、あ――嫌だ!」グイッ


お嬢様「――――イタッ!!」バッ


女奴隷「く、はぁはぁ……はぁ……脇腹は、神経が集中してるから、軽くつままれただけで、痛みが走る……鎖を離したね……」


お嬢様「この――ッ!!」

19 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 12:23:12.45 ID:bt6OaFmX0
女奴隷「私は! 私はアナタ――お嬢様を愛したい、好きになりたい、熱を共有したい。けど――」


女奴隷「――私の姿を見てくれない人を、私は本当の意味で愛せない」


お嬢様「――!?」


女奴隷「過去のトラウマが、女同士のしがらみが、メイドの心に近づけなくさせているのでしょう。もし、アナタが、自分を愛せと言えば愛しましょう。けど、私はメイドの代わりにアナタに好きだって言うのではないし、メイドの代わりになんかなりたくない」

女奴隷「代替行為で生まれた愛でアナタは幸せになれない! それ以前に…………もう一度言う、私を見てくれない人を、私は本当の意味で愛せない!」


お嬢様「……………………――ぃのよ」

女奴隷「はい……」

お嬢様「………………メイドがいつかお母様みたいに私を拒絶して、目の前から居なくなってしまうのが」

女奴隷「はい……」

お嬢様「…………ご令嬢が私を慕わなくなって、私に好意を向けていた過去を苦い思い出にしてしまうのが」

女奴隷「はい……」

お嬢様「……貴女が私に愛想を尽かして、世界に一人ぼっちになってしまうのが」

女奴隷「はい……」


お嬢様「恐いのよ」

20 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 12:36:34.72 ID:bt6OaFmX0
女奴隷「誰だってそう、自分を拒絶されて、孤独にだけはなりたくない」


お嬢様「だけど、それと同じくらい好きなの……愛してほしいの」


お嬢様「メイドの、ご令嬢の、貴女の……愛が欲しいの」


女奴隷「誰だってそう、自分が好きな人に、自分を愛して欲しがってる」

女奴隷「誰だって思う当たり前のことなの……」


お嬢様「――――」ウルッ


お嬢様「こわい……すき……ぅ……私は、ひっ……すき、あいしてほしい……」ヒック


女奴隷「うん――うん」ギュッ


女奴隷「もし、拒絶されて傷ついたら、その傷が治るまでそばにいて癒すから……私はお嬢様の味方だから。だから、今はいっぱい泣いて……不安を涙に混ぜて流したら、メイドに謝りに行こう」ナデナデ


女奴隷「――そして、好きって言おう」


お嬢様「――――。……うん、うん。ぐずっ……ありがとう、ぅう――ありがとう……」ポロポロ


女奴隷「………………」ナデナデ


お嬢様「ぅうう……うわぁああん――。ごめんね……ごめんねぇ……めいどぉ……おんなどれい……ごれいじょぉ……」ボロボロ
21 :今日はこれまでで ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/14(土) 12:37:24.20 ID:bt6OaFmX0
女奴隷「誰だってそう、自分を拒絶されて、孤独にだけはなりたくない」


お嬢様「だけど、それと同じくらい好きなの……愛してほしいの」


お嬢様「メイドの、ご令嬢の、貴女の……愛が欲しいの」


女奴隷「誰だってそう、自分が好きな人に、自分を愛して欲しがってる」

女奴隷「誰だって思う当たり前のことなの……」


お嬢様「――――」ウルッ


お嬢様「こわい……すき……ぅ……私は、ひっ……すき、あいしてほしい……」ヒック


女奴隷「うん――うん」ギュッ


女奴隷「もし、拒絶されて傷ついたら、その傷が治るまでそばにいて癒すから……私はお嬢様の味方だから。だから、今はいっぱい泣いて……不安を涙に混ぜて流したら、メイドに謝りに行こう」ナデナデ


女奴隷「――そして、好きって言おう」


お嬢様「――――。……うん、うん。ぐずっ……ありがとう、ぅう――ありがとう……」ポロポロ


女奴隷「………………」ナデナデ


お嬢様「ぅうう……うわぁああん――。ごめんね……ごめんねぇ……めいどぉ……おんなどれい……ごれいじょぉ……」ボロボロ
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/15(日) 07:51:39.45 ID:hJ78I/u+o
23 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/23(月) 18:37:49.95 ID:qu3gbMdA0
――数分後。

女奴隷「落ち着いた?」


お嬢様「ええ……。ありがとうね」

お嬢様「……と、早くメイドとご令嬢を探しにいかないと」


女奴隷「私が、探してくる。お嬢様は――」

女奴隷「顔を洗ってきて、ひどい顔になっているから……」


お嬢様「あっ――/// 顔、洗ってくる――」タタッ


女奴隷「……さて――――」
24 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/23(月) 18:56:27.09 ID:qu3gbMdA0
――屋敷前

ご令嬢「どうしようです……とってもドキドキしてるです……あと、胃が……胃がぁ……」キリキリ


メイド「……その豆腐メンタルどうにかならないの? 好きな人に好きって言うだけのことじゃない」


ご令嬢「そんなあっけらかんと言われましても……。ああ、お友だちのままでいましょうと言われて拒絶されたらどうしましょう……」


メイド「思春期か!」


ご令嬢「バリッバリに花も恥じらう思春期真っ只中ですよ!」



女奴隷「……何、してる?」


メイド「――女奴隷…………」


ご令嬢「あの……お嬢様は?」


女奴隷「なんとか、落ち着かせた。今なら、理性的に話せる」


メイド「……そう」


女奴隷「ちょうど良かった。今から、アナタたちを探しに行くところだった」


ご令嬢「その、ありがとうね、女奴隷ちゃん」


女奴隷「礼はいらない……それよりも、今はお嬢様と話してあげてほしい……」


メイド「…………」キッ


女奴隷「何――?」


メイド「私は……はっきり言ってあなたの事が好きじゃないわ」
25 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/23(月) 19:03:36.34 ID:qu3gbMdA0
女奴隷「……………………でしょうね。それは分かったから……お嬢様に会って――」


メイド「――ありがとう」

メイド「お嬢様を落ち着かせてくれて……私じゃ出来なかった」


女奴隷「……礼はいらない…………ちがうな……――喜んで、貰っておく」

女奴隷「今度は、メイドの番。ちゃんと話し合って、互いの事をもっとちゃんと知って」


メイド「言われなくても」


ドア「」ガチャ、キィ


お嬢様「あ、女奴隷、……もう本当に一人で探しにいく人がありますか。少しぐらい待っててくれても――」ツカツカ

お嬢様「――メイド……」


メイド「お嬢様……」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/24(火) 04:17:48.15 ID:U8bp6E6bo
27 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/29(日) 11:38:36.30 ID:9OlfJxZX0
お嬢様「あの、メイド……その……私…………」


メイド「――好きです、お嬢様」

メイド「愛しています。あなたの事を世界で一番愛しています。大好きです。大好きなんです……」


ご令嬢「――! ボクだってお嬢様の事が好き。大好き! 尊敬しているし、ずっと側にいたい――いさせて欲しい!」


お嬢様「…………」

お嬢様「その言葉、本当なのよね――?」


メイド「大好き、好き好き、愛して………………えっ!?」
ご令嬢「愛しています、好き大好き………………はい?」


お嬢様「嘘じゃないのよね?」


メイド「それはもちろん」


ご令嬢「ですです。私たちの気持ちに嘘偽りなしです」


お嬢様「そう――――ありがとうね」


メイド「――お嬢様……その言葉って――――」

ご令嬢「ひょっとして…………」



お嬢様「私も……貴女たちの事が好きよ」

28 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/29(日) 12:13:48.76 ID:9OlfJxZX0
メイド「――!」ウルッ


ご令嬢「え……――ええっ! 本当? 嘘じゃない!?」パチクリ


メイド「お嬢様っ!!」ガバッ


お嬢様「っ……と、とと……いきなり抱きついてきたら、危ないわよ」タタッ

お嬢様「――メイド…………」ギュッ


メイド「好きです」ボロボロ


お嬢様「――――――――」


お嬢様「私も……わたしも……好きよ」ポロポロ

お嬢様「ごめんなさい……今まで、っひ……ごめんなさい、酷いこと言って、して……う、うぅ――好きよ、大好きぃ」


メイド「わ、わたしも好きです……っ……嬉しい、うれしいよぅ……」ポロポロ


ご令嬢「……」
   (出遅れた……)


女奴隷「……出遅れたね」ボソッ


ご令嬢「………………。………………。………………。もう、言葉にしちゃダメですよ〜」ボソボソ


女奴隷「……ごめんなさい」ボソッ


ご令嬢「謝られたら余計に……もう良いです。お嬢様の愛の強さでメイドに負ける気はありませんけど、お嬢様の事を思った期間は彼女の方が長いですから……。から、今だけは、ね?」コソコソ


女奴隷「大人……」ボソッ


ご令嬢「それほどでもないですよ」ニコリ


お嬢様「――――」
29 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/29(日) 12:54:57.04 ID:9OlfJxZX0
お嬢様「ねぇ、ご令嬢に女奴隷、貴女たちもこっちに来て」


女奴隷「はい。――……私たちの会話、聞こえてたっぽい?」


ご令嬢「……ぽいですね」


お嬢様「ご令嬢、貴女の気持ち嬉しいわ。私も貴女の事が好き」


ご令嬢「はい……。ありがとうです。嬉しい、うん、嬉しいです」


メイド「二股ですか?」


お嬢様「三股よ。女奴隷がいるわ」


メイド「…………」ムッ


ご令嬢「ボクは……ボクは、それでもかまいません――――」


お嬢様「……普通は、納得いかないわよね……」


メイド「はい……だから、約束してください」

メイド「私を一番にしてとは言いません、けど、ないがしろにはしないでください。私を二度と拒絶しないでください」


お嬢様「約束――いいえ、誓うわ。貴女が私を好きでいてくれたこれまでの分まで、貴女を愛すって。だから――私が言える立場じゃないのは分かっているけれど、約束して欲しいことがあるの――私を愛して、絶対に拒絶しないで」


メイド「誓います。どれだけ拒絶されても、私はあなたを諦めずに好きで居続けたんですよ。今更です」


お嬢様「ええ……ええ――ありがとう」


女奴隷「お嬢様、そろそろ屋敷に入ろう。……あと、私は、お母さんとの事を二人に話した方がいいと思う」


お嬢様「……そうね。とりあえず屋敷に入りましょうか」


お嬢様「――女奴隷の言った通り、貴女たちに話したいこと、話さなくちゃいけないことがあるの」
30 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/29(日) 15:29:14.42 ID:9OlfJxZX0
――お嬢様の部屋

お嬢様「――――ということがあったの」


メイド「な!? そんな……お嬢様のお母様が……そんなことを……」


ご令嬢「酷いです! 酷い人です! その人は!! それこそ水よりも濃い血が繋がっている、腹を痛めて産んだ実娘に向かって、産みたくなかったって……」


お嬢様「酷い人……そうね、お母様は酷い人だったわ。そのお母様の影響が私を強く蝕んで、私の心に深く根を張ったわ。だから――」


メイド「歪んで、しまったんですね……」


お嬢様「……ええ。けど、貴女たちに酷い態度をとったことを、そんな言い訳で濁して良いとは思っていない」

お嬢様「――ねえ、して欲しいこと何でも言って。それでチャラになるとは思っていないけど、それでも何もせずにはいられないわ」


メイド「して、欲しいこと……?」


ご令嬢「わ、私は――――」
   (お嬢様とエッチなことが……)


>メイド『私セックスどころか、お嬢様の唇にキスしたこともないんです。ていうかキスされたこともないんですね』

>メイド『だから、お嬢様と初めてエッチしたとき、選ばれた、結ばれたって思って、嬉しくなって、でも……』


ご令嬢「………………」

ご令嬢「――私のお願いは、メイドの後でいいです」


お嬢様「それでいいの?」


ご令嬢「はい――」

ご令嬢「じゃあメイド、ボクちょっと外出てくるから……女奴隷ちゃんも一緒に来てくれる?」


女奴隷「お嬢様、いい?」


お嬢様「いいけど……あまり変なことはしないでね」


ご令嬢「分かっていますよ……じゃあメイド、頑張って」


メイド「良いんですか? 本当に? 私だけで独占しちゃって……」


ご令嬢「今回だけですよ。それに言ったですよ、ボクはお嬢様も好きだけど、メイド――貴女のことも好きだって。好きな人の喜ぶこと、したいじゃないですか」

ご令嬢「じゃあ、夜までには戻りますね。後始末はそれまでに――」ガチャ


女奴隷「お嬢様、行ってくる」


お嬢様「ええ、行ってらっしゃい」
31 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/05/29(日) 15:41:50.15 ID:9OlfJxZX0
メイド「その……二人っきりですね」


お嬢様「気を使われた……ってことになるのかしら」


メイド「そう、ですよね……やっぱりそういうことですよね」

メイド「お嬢様――」


お嬢様「はい……」


メイド「好きです」


お嬢様「――はい」


メイド「十数年あなたのことをずっと思ってきました」

メイド「エッチな奉仕をするたびに、次の段階に進みたかった」

メイド「私は女奴隷がうらやましいです。あんなにお嬢様に求められて」

メイド「――だから、私を抱いてください。それが私のしてほしいことです」


お嬢様「――――――――」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/29(日) 20:06:40.34 ID:DtIKf3C0o

Rに来てからついにか
33 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/11(土) 17:28:48.26 ID:y9cFIxW70

ベッドに腰掛ける二人。
メイドは緊張や、興奮、不安といったものを押さえつけるように己の手を握る。


鼓動の音を聞かれてしまうんじゃないか。
そう思えてしまうほど、メイドは自身の心の高鳴りを全身で感じていた。


となりを見る。

メイドの視線に気づき、気恥ずかしそうに破顔するお嬢様。彼女の頬には朱が差している。
視線を交わらせ、幸せそうに微笑みあう二人。

お嬢様「メイド……」

お嬢様は透き通った碧眼を瞼で隠し、唇をメイドにさしだした。
メイド「――お嬢様……」

メイドはおずおずと赤く染まったお嬢様の頬に触れる。
熱い。
溶けてしまいそう。そう錯覚してしまう程の熱さに恍惚とする。


熱に浮かされとろけ、幸せに満ちた脳でお嬢様の事だけを考える。お嬢様だけを見つめる。
お嬢様の薄ピンク色した綺麗な唇に、だんだんと自身のそれを近づけた。

メイド「――――ん……」
吐息が掛かる。近く密な距離。

メイドも瞳を閉じる。呼吸を一つした後、唇に柔らかい感触が――。


お嬢様「――ん、ぁ――――」
メイド「――あっ――――」
互いの唇が触れた。熱が溶け合う。思いが――ひとつになる。

お嬢様とメイド。


初めて二人はキスをした。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/11(土) 17:31:04.93 ID:rBod3/YqO
 ξ          ゞシヾ"  ヽ         ,,,....,,,、、...,,,....,,

  !           彡       ヽ:::     ..i'´.        ヾ'''、、、,,,

   シ          彡       ,j:::   ..,/ヾ,            ヽ

   !シ         ,,彡       :シ  ,;''''   ヾ   ,___       ヽ

    j  ,-‐-、   i    ッ三ミ:;j i、'  j-‐    `, , ‐'' = )       ヽ:

     し { !⌒- ヽ! j     ‐-‐'j ヽ、...'       '  .,_//,        !;::

     ヾ丶`-'  ! !        {__,__,!'         -‐' ヾ       ノ:::

      ,ヾ  '  、       ,'  ....,)        ::     ヽ     ノ::::::

 _...-‐‐'''´ :::            ´::(      _... ´       ヽ    /:::::::

        ::              ! .... -‐´           ヽ   /:::::     __,....,,-‐-、

 ::::.       ヽ   !......:-‐ー、 ,,,,,,;;;ヽ __ ...-‐、     ::     `ヽ-、___,--/'´ ,、   , `ヽ、
35 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/11(土) 17:31:15.80 ID:y9cFIxW70
唇の熱さを、思いを共有する。

まるで、時間が止まったのではないかと錯覚してしまうほどの幸福感に包まれるメイド。
鼓動のみが耳朶を打つ。最愛の人の匂いが鼻孔を塞ぐ。身近に感じる最愛の人。
鼓動の音は混ざり合い、お嬢様の物なのかメイドの物なのかは、もはや二人には分からない。

互いを感じ幾ばくか経った後、どちらともなく唇を離した。

メイドは唇に残るお嬢様の残滓を確かめるように人差し指でそこに触れ、余韻に微笑む。
確かに、お嬢様と――長年思い続けた人とキスをした。


お嬢様は、目を開きその碧眼でメイドの存在を見つめ、今しがた行なった事実を認めると、嬉しそうに気恥ずかしそうに微笑み、照れから頬をより一層赤くした。

お嬢様「好きよ」
メイド「はい――」

すぐさまメイドの胸中は溢れ出る激情で一杯になった。
思い人と結ばれる。ああ、これ以上に幸せなことがあるだろうか。

36 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/11(土) 17:34:13.72 ID:y9cFIxW70
メイド「では、その……脱がしますね?」

お嬢様「そ、そうよね。これから、すっするのだから、当たり前よね」

あたふたと緊張からかテンパるお嬢様。その姿を妙に思い、首をかしげる。
メイド「お嬢様、いつもやっていることですよ?」

お嬢様「確かにそうだけど……違うの、いつもと同じじゃない。これから、その……好きな人と初めて最後までするって考えると、恥ずかしい……」

思わぬ純なお嬢様の反応に面喰い、次いでその初々しさを愛おしく感じる。
いままで散々、その好きな人に好き勝手奉仕させてきた人の発言とは思えなかった。

お嬢様の普段とは打って変わった弱弱しい姿を見て、メイドは己の口端を一つ嗜虐的に舐めた。それをきっかけに彼女の中で切り替わる、スイッチ。

メイド「では、脱がしますね」
お嬢様「待って、自分で脱ぐから――」
メイド「却下。待ちません」
言うが早いかメイドはブラウスの一番上のボタンを外した。
37 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 07:59:21.49 ID:GbYIbaVh0
メイド「ふふふ、お嬢様の鎖骨……」
まずボタンを一つ外したところで襟を捲り、首筋をさらす。


メイド「ここにホクロがあるってセクシーですよね、しかも二つ」
人差し指で鎖骨の上をなぞり、息を吹きかける。

お嬢様「う、あぁ――――」
お嬢様はメイドのなじりにゾクゾクと感じ、目を閉じてされるがままになる。

メイド「お嬢様、かわいいです」

それだけ言うと、お嬢様の鎖骨に舌を這わせた。
キスし、ホクロを舐めあげ、ついばんだ。

お嬢様「――んっ……――」
吐息を洩らして、こそばゆいキスに身をよじる。けれど拒絶はしない。そのことがメイドには堪らなく嬉しかった。

お嬢様「メイド――」
愛しい人の名前を呟き、その最愛の人の美しい栗色髪の頭を撫でた。
メイドは頭を撫でられ心地よさに目を細めながらも、粘質的な口撫を止めはせずに、次々とブラウスのボタンを外していった。


メイド「お嬢様……」
下まで全て外しきると、口撫を止めて顔を上げ、お嬢様の瞳を見つめて、微笑んだ。



今度は何の言葉もなく、どちらともなく唇を近づけた。

38 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:02:19.40 ID:GbYIbaVh0
メイド「ん――」
お嬢様「……ぁ――」


二人、唇の柔らかさを堪能する。ついばむように、吸い付くように――。
互いを受け入れ、互いを感じ、愛おしむ。

そうしてしばらく経った後、メイドはおずおずと舌をお嬢様の中に差し入れた。

お嬢様「――! ん」

お嬢様は突然口内に侵入してきた独特のヌメりけと柔らかさを持つそれに驚いたが、すぐさまそれがメイドの舌だと理解すると、舌先で侵入してきた彼女を迎え入れる。


最初は互いを確かめ合うような軽い触れ合いだったが、次第に思い人の奥深くに入り込もうとする激しい交わりへと変わっていった。


くちゅくちゅと粘膜同士が擦れ合い、唾液は混ざり合う。
相手の口内を蹂躙し、積極的に深く結びつく。


二人は深く唇を交わらせながら、離さないとばかりに強く抱きしめあった。


一通りキスを堪能すると唇を離した。
唾液が糸を引いた。二人が混ざった透明な糸。繋がりの名残。


メイド「お嬢さまぁ――」
お嬢様「メイド――」


メイドは舌を這わせながら玉のようなお嬢様の肌を下降し、胸の谷間に顔をうずめた。
二、三回ブラに包まれた胸を揉みしだく。
そのままの手つきでフロントホックをはずすと、何の逡巡もなくそれをはぎ取った。

39 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:05:27.74 ID:GbYIbaVh0
メイド「わぁ……やっぱり大きい……」


解放されると同時にぷるんと跳ねた彼女のおっぱいをうっとりと見つめての一言。

いやらしい目つきをしたまま、双丘を見つめ犯し、一呼吸ついてからその頂点の綺麗な桜色した突起に吸い付いた。

お嬢様「ひゃ――っんぁ……」
メイド「ふへへ、ふぁわいい、おしょうしゃま」

乳首を咥えたまま、器用に話すメイド。
彼女は乳首を咥えたまま、左手で真白く染み一つとて無いお嬢様のお腹を撫でる。

お嬢様はゾクゾクと体を震わせるのみで大した抵抗をしない。
恥ずかしくて何もできないということもあるが、それ以上にメイドがするなら酷いことにはならないという信頼もあったからだ。


メイドの指が次第にお嬢様の良い所に近づいていく。
スカートの中に手を差し入れ、恥丘に軽く触れ、遂には割れ目へと――


メイド「お嬢様も……私のを触ってください」

メイドは手元の湿り気を帯びた感触に満足すると、いったん手を引き抜いて、乳首から口を離し顔を上げ、小悪魔めいた笑みを浮かべながらお嬢様にお願いした。


お嬢様「あっ……その、上手くできるか分からないけども……」
メイド「別に、上手い上手くないじゃないです、こういうのは。好きな人にしてもらえる、それだけで満たされるものですよ」

メイドの言葉におずおずと手を伸ばす。
40 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:08:24.86 ID:GbYIbaVh0
お嬢様「服、脱がすわね」

メイド「はい――あ、お嬢様は脱がないで下さいよ、その崩れた半脱ぎ加減がエロいので」

お嬢様「分かったわ」


軽口に微笑み、そのせいか先程よりは幾分か落ち着いた面持ちでメイド服に手をかける。

メイド「すみません。まず、エプロンから脱がしてもらわないと……」

お嬢様「えっ……あっ!! そうね、まずエプロンからよね……」

指摘された通り彼女の背に手を回し、普段の凛とした姿とは違いテンパっているお嬢様の姿を見てくすくすとおかしそうに笑うメイドを無視しながら、蝶々結びに手をかけた。

ついで黒地のワンピースの襟裏のホックを外して、ファスナーを下ろしていった。

だんだんと外気にさらされていくメイドの陶磁器めいたきめの細かい、かつてお嬢様が褒めたとおりの美しい肌。
袖から腕を引き抜いた。


お嬢様「――――」
お嬢様の視界には、黒のブラを残して上半身裸のメイドの姿が――。

41 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:10:59.79 ID:GbYIbaVh0
お嬢様「下も……」
お嬢様はもっとメイドの全てが視たいと渇望し、半ば無意識にスカート部分に手を伸ばした。


メイド「下は自分で脱ぎます。バニエもありますし、さすがに他人が脱がすのは難し――――」

お嬢様「いいえ私が脱がすわ」

メイド「きゃ――」

言うとすぐにメイドを無理やり万歳させ、剥ぎ取るように脱がした。

お嬢様「バニエは……なんだホックで止まっているだけじゃない」

メイドを今度は四つん這いにさせて、手際よく身ぐるみを剥いでいくお嬢様。

そして、ついにメイドが身に着けている物は上下合わせて二枚の黒色の布きれのみとなった。


お嬢様「ふふふ……」
メイド「ううぅ……」

裸同然の姿を見て満足げに笑みを浮かべるお嬢様と、じろじろと柔肌を視姦されて恥ずかしがるメイド。


すっかり攻守は逆転していた。


お嬢様は口端を舐ると、メイドの背のすべすべとした肌に指を這わせ、黒いブラのホックに触れた。そして器用に片手でそれを外すと同時にはらりと落ちるブラジャー。


メイドの二つの小さなさくらんぼが外気に触れた。

42 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:13:08.66 ID:GbYIbaVh0
半ばのしかかるように四つん這いのメイドに後ろから抱きつき、メイドの胸を揉みしだくお嬢様。

メイド「おじょうさ――ひゃあ……」

先程までされるだけだったお嬢様の豹変に、メイドはたじろぎ、突然の事に手が打てず今度は彼女が受けにならざるを得なかった。


意識の外の性感にメイドは思わず艶のある声を漏らしてしまう。

そのことがお嬢様を喜ばせ、自身の手でよがるメイドのことをより一層愛おしく思う。


お嬢様(メイドも私にしてくれたとき、こんな気持ちだったのかしら)

もしそうなら――

お嬢様(もっと気持ちよくさせたい)


愛しいが故に尽くしたい。今まで感じたことのない類いの欲求がお嬢様の心中を埋め尽くす。


メイド「あっ、ああああんぁ」

メイドは乳首を扱かれ、たまらず大きく嬌声を洩らして快感に耐える。

お嬢様はメイドの想像以上の反応に気を良くすると、左手で勃起した乳首を弄ったまま、空いた手を乙女の芯へと近づけた。


もうすでにそこは下着の上から触れても分かるくらいしとどに濡れている。

メイド「ああぁ、お嬢様おじょうさま……そこはぁ――」


下着の上から割れ目を撫でてやると、メイドは甘い声を洩らしながらビクンビクンと腰を躍らせよがる。



お嬢様はメイドの最後一枚の下着に手をかけ、一気に下ろした。
正真正銘生まれたままの姿になるメイド。
43 : ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:16:48.23 ID:GbYIbaVh0
着々とメイドを攻略していく。胸への愛撫を止めると、今度は突き出されたメイドの尻に愛撫の矛先を変えた。


柔尻を揉みしだきながら、蜜に濡れぼそった開いた二枚貝を見つめる。

愛液を垂らしヒクつくそこ。

乙女の濃くむせ返るような性の匂いが、お嬢様の鼻いっぱいに広がる。


お嬢様「――――――んく」
お嬢様は生唾を呑みこんで、決心すると――

メイド「んんぁあああああっ!!!」

メイドの蜜壺に吸い付いた。


ひときわ強い性による快感に甲高く絶叫するメイドを無視して、お嬢様はそのまま小唇口をついばみメイドを堪能する。

まるで別個の生物の様にヒクつくヒダ。
膣前庭からは壊れ狂った蛇口のようにラブジュースが漏れ溢れている。


メイドの上半身から力が抜け、もはや力なくベッドに倒れこみ、けれども下半身はお嬢様に押さえられているせいで、お嬢様にもっとしてくれと良い所を差し出しているような、そんな格好になった。


メイドは羞恥で押し潰されそうになるが、次々にやってくる快感に流され、お嬢様が自身の大事な場所を舐めるのを感じるしかなくなっていった。


メイド「ううう――くうぅ、ああんああああぁぁぁ」

お嬢様はぴちゃぴちゃとわざと下品に音を立てて女性器を舐める。
その淫らな音は二人の情欲を加速度的に掻き立てる。


お嬢様は耳で目で舌で鼻で、メイドがよがっているのを認識する。

絶え間なく腰を躍らせるメイドの反応を楽しむ。

お嬢様(ここでこんなに反応してくれるのなら、一体ここなら――――)


お嬢様は期待を胸に、そっとそこを――ことごとく勃起したクリトリスを――舌先でつついた。


メイド「――――っっっッツ!!?」

快感はもはや声にならず、だらしなく口端から唾液を垂らし、腰を上下に跳ねさせる。

ぷちゃっという水音と共にメイドの奥からあふれ出た淫液によってお嬢様の顔が汚された。

けれどお嬢様は顔が淫らな汁に汚されるのを厭わず――むしろ、淫らな汁に汚されることにも興奮を覚えた――、決して陰核への攻めを止めることは無い。
クリトリスに吸い付き過度な刺激を与える。

メイド「ひっ――あ、あああああ、っふく……ああんんぁな」

メイドは上からも下からも汁を洩らし、これでもかというほどよがり狂う。
お嬢様は陰核を甘噛んだ。


メイド「ああああアッ!! お嬢様ぁあ!! 気持ちぃ、クンニ……自分でするより――ああぁぁあっんんんん、ぁもう、もううぅぅっっっ」


メイドの性の絶叫を聞き、ヒクつきうねるヒダを見て、お嬢様は彼女の限界が近いことを知る。

44 :ここまで ◆TEm9zd/GaE [saga]:2016/06/12(日) 08:20:50.90 ID:GbYIbaVh0
お嬢様「イクのね、いいわ、そのいやらしい花びらから噴き出るエッチな蜜で私を汚して!」


言い終えると、クリへの口撫を激しくし、メイドの絶頂に備えた。

高められていくメイドのリビトー。花弁の熱は収まることを知らずにどんどんと性的荒ぶりを白熱させ、膣の奥――子宮からその性による熱を発散させようと何か熱いものがこみ上げる。


駄目押しとばかりにお嬢様はクリトリスに吸い付いた。


ひりつくような陰核への刺激に遂に絶頂へと――

メイド「あ、ああああっぁぁあああああああ!!!!」

メイドの花びらが蜜をまき散らして爆発した。
腰が痙攣し上下に揺れ、お嬢様の顔にべったりと淫蜜をなすりつける。


メイド「あああ、あへぁ……お、お――おじょうさまぁあ――」

あまりの快感にとろ顔となり恍惚とお嬢様を見つめるメイド。
そのお嬢様もメイドのエッチな汁で汚されたことで、顔を恍惚に溶かしていた。


お嬢様は頬についたメイド汁を指ですくうと、そのまま口に含んだ。

お嬢様「……これがメイドの味――――」

知らず口角を上げるお嬢様。

お嬢様「もちろん、もっと舐めていいわよねぇ? もっと貴女を味わいたいわぁ」


お嬢様の問いかけにメイドはただ、

メイド「は、はいぃ……」

と答えるのみだった。
味気ない返事とは対比して、その顔は期待に染まっていた。

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 12:28:36.81 ID:U81wEARco
46 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 19:09:25.57 ID:7x2Peyx30
メイド「私も……」

メイドはそう言うと、お嬢様の花園へと手を伸ばす。

メイド「さっきより濡れてる……」
細指で触れたそこは、蜜で溢れていた。


お嬢様「当たり前よ。だって――」

お嬢様はメイドを押し倒し、先ほど達したばかりの彼女の秘裂に手を這わせた。

お嬢様「貴女がこんなにも感じてくれたんですもの」


お嬢様の手をまた淫液で濡れていた。
艶かしく動く指先に達したばかりの花弁は敏感に反応し、連鎖的にメイドは甘い声を漏らした。


メイド「ぁ……っ、わ……私だって――」

メイドはお嬢様に負けじと繊細な指使いで、最愛の人の良いところを愛撫した。


お嬢様「ええ、――いっしょに――――」


お嬢様は悠然と微笑むと、肥大化しとっくに皮がズル剥けとなっているクリを指の腹で押し潰した。


メイド「ひゃぁ――ぁっ……ん」


メイドは甘い声を漏らしながらも、これまでに何度も奉仕したことのあるお嬢様の割れ目に手を這わせた。


お嬢様「んっ……」

くぐもった声。感じているのだ。


メイド「お嬢さまぁ――」

お嬢様「めいど――」


互いに指を淫液で汚しながら、秘所を刺激しあい、熱に浮かされた声音で互いを呼びあうと、どちらともなくキスをした。

47 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 19:23:05.90 ID:7x2Peyx30
メイド「はぁ――んあ……んん……」

お嬢様「んあぁ……れろ――んぁ」


唇を貪りあい、汁を垂れ流している蜜壺をその溢れ出る蜜を潤滑油にして刺激しあう。


もはや、二人の耳には互いの息づかいと、上下からの粘膜を刺激したとき特有の水音しか聞こえない。


もうそこはとっくに二人のみで出来た世界だった。


メイド「お嬢様……お願いが――」


お嬢様「なに?」


唇を離し、潤んだ瞳でお嬢様を見つめる。


メイド「私の――」


メイドはお嬢様の秘裂から手を離すと、今度は自身のそこを左右に押し広げた。


メイド「私の処女膜を破ってください」


お嬢様「えっ――!?」


メイド「お嬢様の手で私の破瓜を奪ってほしいんです」

予想外のメイドのお願いに面食らうお嬢様。


お嬢様「本当に良いの?」

メイド「はい。お嬢様だからいいんです」


メイドの言葉に覚悟を決め、行きを吸い込むと――


お嬢様「いいわ――だけど、一つだけ私からもお願い」

メイド「――? 何ですか?」


お嬢様「私のも破って」

48 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 19:37:32.50 ID:7x2Peyx30
静かな、けれども確かな意思の籠ったお嬢様のお願いに、メイドは息を飲んだ。

メイド「本当に私でいいんですか?」

お嬢様「貴女だからお願いしているのよ」


顔を赤くし、恥ずかしげにそう言うお嬢様の言葉を聞いて――


メイド「――――」


お嬢様「メイド――ーっ!?」


メイドは涙を流していた。

お嬢様「え、え? その……嫌だった……?」


メイド「嫌なんかじゃありません!」

メイド「逆です――嬉しいんです」


お嬢様「――――。私も、嬉しいわ」

メイド「はい」

お嬢様「メイド――」


愛しい人の名前を呟くと、彼女の頬を伝う一筋の涙を舌ですくった。


メイド「ひゃ……お嬢さ……」

お嬢様「動かないで」


お嬢様に言われた通り、身じろぎ一つせず、メイドは彼女の舌を受け入れる。


メイド(何だか、こそばゆいわ……)


ちろちろと動く舌先にくすぐったさを感じ、幾ばくか経った後、彼女の舌は頬を離れた。

そして続けざまに唇へと――


二人は軽く唇を重ね合った。

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/04(月) 19:39:40.01 ID:m8SVdPVDo
続きキター
50 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 19:49:41.53 ID:7x2Peyx30
メイド「っはぁ――そ、それじゃあ、お嬢様」

お嬢様「ええ。一緒に」

二人は互いの『女』に指をあてがった。


メイド「痛いって言っても、止めないでくださいね」

お嬢様「そっちこそ」


数本の指が束になって、中に入っていく。
入れるのも入れられるのもキツく、二人が二人苦悶の表情を浮かべ、そして――――

51 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 20:12:17.26 ID:7x2Peyx30
お嬢様「この血はね、私たちの赤い糸」


お嬢様とメイド。
二人は生まれた姿のまま、向い合わせでベッドに横になっている。


優しげに目を細めメイドを見つめるお嬢様。メイドもまた然りだ。

二人は小指を指切りの様に結んでいる。
その指には二人の混ざった証が、赤い糸のように巻き付いていた。


お嬢様「私たちの愛の証明。例え、消えてしまっても、今日したこと――貴女と結ばれたことは嘘にはならない」

ジンシンと下半身の痛み。
その痛みが今日のことは嘘じゃないと教えてくれる。


お嬢様「だって、これは指に巻き付いているのではなくて、貴女と私の心を結びつけているものなんですもの。見えなくなっても、結び付いているわ」


きっとこの痛みを、この幸福感を生涯忘れる事はない、そうメイドは思う。


メイド「愛しています、お嬢様」

メイド「何年経っても私のこの思いは本物のまま、変わらない」

それはメイドの心の底からの思い。
離さないとばかりに、結んだ小指の力を強くする。

お嬢様も結び返して、

お嬢様「私もよ――」

そう答えた。



二人の小指を結ぶ赤い糸が消えてしまっても、それはただ見えなくなっただけ。

二人の思いは決して切れやしない。赤い糸は繋がったまま、生涯二人を結ぶだろう。


メイド「――――」

お嬢様「――――」


二人はキスをし、鈍い痛みと愛しい人を抱きながら、心地よさに沈んだ。

52 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 20:20:30.91 ID:7x2Peyx30
――数時間後、屋敷


ご令嬢「そろそろいいですよね」


女奴隷「良いと思う。流石に、こんな時間までしてはいないと思う」


ご令嬢「もう夕日も沈みかけてるですしね」


女奴隷「うん。――会ったら、何て言う? お楽しみでしたね?」


ご令嬢「それは些か……」


女奴隷「イヤミくさい?」


ご令嬢「ですよ」

ご令嬢「さてと、お嬢様は何処に居るんですかね」


女奴隷「部屋じゃない?」


ご令嬢「ですかね〜〜」


女奴隷「……行こう」


ご令嬢「ですです!」ぎゅ


女奴隷「……抱きつかれたら、歩きづらい」


ご令嬢「良いじゃないですか。ごーごー」


女奴隷「」ムッ


ご令嬢(むくれちゃって――)

ご令嬢「かわいい♪」ギュウ


女奴隷(なつかれた……)

53 :ここまで ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/04(月) 20:31:08.53 ID:7x2Peyx30
――お嬢様の部屋の前


女奴隷「お嬢様、入ります」コンコンガチャ


ご令嬢「入るですよ」

ご令嬢「あっ――」


女奴隷「寝てる」


ご令嬢「……もう、裸で寝たら風邪引いちゃいます」パサッ

ご令嬢「ささ、出ましょうか。起こしちゃったら悪いです」


女奴隷「うん」

女奴隷「――幸せそう」


ご令嬢「そう、ですね……」

ご令嬢「良かったです」


女奴隷「良かったの?」


ご令嬢「ええ。実際、ボク自身不思議です。悔しさだったり羨ましさだったり有りますけど、それら引っくるめて良かったと思えるんです」


女奴隷「……たぶんそれは、それら以上に二人への好意が上回っておるから」


ご令嬢「……ですかねぇ」


女奴隷「それに次はアナタの番」


ご令嬢「……ですね」

ご令嬢「…………お休みです。お嬢様、メイド」

女奴隷「おやすみ」


ドア「」パタン
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/05(火) 05:16:27.91 ID:GsHvick/o
55 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/23(土) 05:55:41.80 ID:QjSrjtFR0
――夜

メイド「――ん。ふぁ…………ん? 窓の外が暗い? それにここは……?」


お嬢様「すうすう」


メイド「お……嬢様? あっ!! そっか、私……」

メイド「ふふっ」ニコニコ


お嬢様「ん――メイド?」


メイド「あっ、ごめんなさい、起こしてしまいましたか?」


お嬢様「いいのよ、気にしないで」

お嬢様「――そうだわ、お風呂に入りましょう」


メイド「――!? はいっ!!」

メイド「えへへ」


お嬢様「嬉しそうね」


メイド「はい!! ……お嬢様は嬉しくないですか?」


お嬢様「いいえ、そんなことないわ。……でも、少し恥ずかしいかも」


メイド「あんなことまでしておいてですか?」クスクス


お嬢様「それとこれとは話が別よ」


メイド「そうですか。……ふふっ」

メイド(エッチの時もそうだったけれど。お嬢様って案外……)
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