お嬢様「貴女たちは私の大切な――――」

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56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/23(土) 09:19:33.26 ID:n+S6hRR6o
57 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/25(月) 16:44:31.24 ID:vZspdfdf0
――脱衣場

メイド「ふぅ……ここまで来る途中で同僚に会わなくてよかった。今、腰がガクガクしてるから、もし見つかってたら訝しまれてたかも」


お嬢様「別に良いんじゃない? ご令嬢に聞いたけど、貴女が私のこと好きだってこと、屋敷のみんな気づいているみたいだし」


メイド「……えっ!?」


お嬢様「それじゃあ、さっと入りましょうか」


メイド「えっ? ちょっと待って!?」


お嬢様「何? もしかして今さら一緒にお風呂に入るの恥ずかしかったり?」


メイド「そうではなくて……屋敷のみんなが私の気持ち知ってるって……」


お嬢様「まあ、でもご令嬢の言うことだしね、大げさに誇張されてるわよ、きっと」


メイド「で、ですよね」


ご令嬢「そうですよ、正しくは、お父様を除いた屋敷の人間です」


メイド「結局、同僚にはバレてるじゃない!! ……って、あれ?」


お嬢様「ご令嬢、それに女奴隷、貴女達もお風呂?」


女奴隷「うん、――お疲れ様? おめでとう?」


お嬢様「あ、はは……ありがとね」
58 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/25(月) 16:52:46.38 ID:vZspdfdf0
ご令嬢「あの……なんだったらボクたち、お風呂入るの後にしましょうか?」


お嬢様「どう、メイド?」


メイド「私は構いません」


お嬢様「本当に良いの?」


メイド「はい。私は言いましたよ、私を一番にしてくれとはいいませんと。それに、ご令嬢は私のこと好きだって言ってくれたんですよ。それなのに無下に出来る訳ないじゃないですか」


お嬢様「そう! そうなの!! なんだか妬けるわね。でも、メイドが拒否しないのなら良いわ。女奴隷、ご令嬢、一緒に入りましょうか」
59 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/07/25(月) 17:44:09.12 ID:vZspdfdf0
【キャラ】

・お嬢様:大学生。お金持ちのお嬢様。美人。メンヘラ。ボダでもある。母親からしてアレな人。
     幼少期に受けた母親からの「お前なんか産むんじゃなかった」発言がトラウマ。
     そのせいで絶対に裏切られない愛を欲しがる。
     ロリコン。


・女奴隷:十一歳幼女。奴隷。可愛らしい顔立ち。好きなことは読書、ピンクローターを使ったアレ。
     義父に実母実父を殺されてる。拾われた日を二歳として、その日を誕生日にしている。
     義父が死んだ後は、彼のつてで奴隷商(女)の元へ行き、みっちりいろんなことを教えられたあとお嬢様に売り飛ばされる。
     台詞に句読点が多いのは、イタリア語に慣れていないことを表現したかった。(読みづらい)
     感じやすい。


・メイド:お嬢様とは幼なじみ。没落メイド。幼い頃からお嬢様のことが好き。大人びた顔立ち。
     お嬢様のことになると頭がおかしくなる。が、ドン引き赤い糸(血液)で結ばれたことにより、心に余裕が出来る。
     お嬢様の専属メイド。
     一時期、お嬢様に性玩具にされてた。


・ご令嬢:ピカピカの高校一年生。ボクっ娘(よく忘れる設定)。成り上がり令嬢。「です」を多用した口調。
     父親が夢追い人。起業しては失敗を繰り返すが、ここ数年で運が良いことに、一発当てる。
     その為、他の金持ちからは元貧乏人と笑われ、貧困層からは嫉妬を受けている。
     数年前、社交界でお嬢様と出会いそのかっこよさに一目惚れ。後に、ケンカしたりしながらも、メイドのことも気になり始める。
     座右の銘「金は使えば無くなるもの」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 09:52:53.12 ID:ECmXcKa7o

使用人他にもいたんだな
ってメイド1人だけの方が不自然か
61 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/01(月) 14:44:24.97 ID:DVSid63g0
お嬢様「うふふ〜メイド〜」


メイド「きゃっ!? お嬢様、そこ触っちゃ……」


お嬢様「良いじゃない良いじゃない。ふふ、すべすべな肌、良いわぁ」


メイド「ひゃあ……」


女奴隷「……」


ご令嬢「あ、あの……御姉様……」


お嬢様「貴女たちもこっちにいらっしゃい。良いわよね、メイド?」


メイド「ええ。ご令嬢、おいで」


ご令嬢「はい……女奴隷ちゃんも」


女奴隷「ん……」


お嬢様「うふふ〜」ナデナデ


女奴隷「……私の髪、撫でるの好き?」


お嬢様「ええ、私にはない綺麗な黒髪なんですもの」
62 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/01(月) 14:56:15.25 ID:DVSid63g0
メイド「むう……」


お嬢様「妬かないの。貴女にはきめ細かい肌があるでしょ。女奴隷にはない貴女だけのものだわ、勿論触るの好きよ」サワサワ


メイド「んっ……いえ、妬いた訳ではないんですよ……」


お嬢様「じゃあどこに?」


メイド「いえ……」


お嬢様「……?」


ご令嬢「ねぇ、女奴隷ちゃん、ボクも頭撫でてみていい?」


女奴隷「好きにしたらいい」


ご令嬢「なら……おお、さらさらしてるです。それに吸い込まれるようなブルネット。まるで芸術品!」


女奴隷「……見慣れてないだけ」


ご令嬢「むふふぅ、照れてますねえ」


メイド「………………」


女奴隷「………………」


メイド「――――――」サワッ


女奴隷「……触りたいなら、もっとちゃんと触ればいい」


メイド「そういうわけじゃ――!」


ご令嬢「そりゃ、興味はあっても女奴隷ちゃんのこと面と向かって嫌いと言ってしまったですしね、手を出すのは憚りますよ」
63 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/01(月) 15:41:07.71 ID:DVSid63g0
お嬢様「そうなの?」


メイド「いや……はい……」


お嬢様「どうして……いえ、私のせいよね」


メイド「それは……」


女奴隷「私は、もう気にしていない」


メイド「――!」ハッ


女奴隷「それに、アナタは私に『ありがとう』と言ってくれた。私のことを慮って手紙もくれた」

女奴隷「そうしてくれるくらいには、私のこと認めてくれているのでしょう?」


メイド「――――」

メイド「」

メイド「…………」ナデナデ


女奴隷「……ぎこちない」


メイド「慣れて……ないからね」ナデナデ


女奴隷「今後に期待しとく」


メイド「そう……なら、また気が向いたら、撫でさせてもらうわ」

メイド「……本当に綺麗な髪ね……」ナデナデ


女奴隷「ありがと」フッ
64 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/01(月) 15:47:45.79 ID:DVSid63g0
お嬢様「ふふっ」ナデナデ


ご令嬢「あ、ならボクも」ナデナデ


メイド「」ナデナデ


女奴隷「…………」


お嬢様「」ナデナデ


ご令嬢「」ナデナデ


メイド「」ナデナデ


女奴隷「……鬱陶しい」ガバッ


お嬢様「きゃー女奴隷ちゃんが怒ったわぁ」


女奴隷「……流石に三人同時に撫で回されるのは、うっとい……」


ご令嬢「ですよね〜」


メイド「ふふふっ」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/03(水) 11:03:10.20 ID:iSc0+tRSo
66 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/18(木) 23:26:25.94 ID:EOARJ5tK0
お嬢様「ほら女奴隷ちゃん、私が髪洗ってあげる、こっちにいらっしゃい」


女奴隷「ん……」


お嬢様「メイドは――」


メイド「分かっています。お嬢様の髪を洗えばいいんですよね」


お嬢様「うん、お願いね」


ご令嬢「ボクは……」


女奴隷「……嫌じゃなかったら、私がやる。良いよね、メイド?」


メイド「私にお伺い立てなくても良いわ」


メイド「いくらご令嬢が私のこと好きだと言っても、最後に誰に頭を洗ってもらうか、誰の頭を洗うかを、決めるのは彼女だわ」


女奴隷「だ、そうだけれど……どうする?」


ご令嬢「それじゃあ、女奴隷ちゃんにお願いしようかな……」


メイド「」ムスッ


ご令嬢「べ、別にメイドのことが嫌いって訳じゃなくてですね……」


メイド「ふふっ、冗談よ。分かっているわ」
67 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/18(木) 23:30:59.46 ID:EOARJ5tK0
メイド「知り合ったばかりの女奴隷と仲良くなりたいんでしょ?」


ご令嬢「はい! もうメイドとは、仲がいいって言える間柄だと自負していますからね!」

ご令嬢「という訳ですから、よろしくです! 女奴隷ちゃん!」


女奴隷「ん……。私の前にどうぞ」


ご令嬢「えへへ〜」
68 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/18(木) 23:38:16.05 ID:EOARJ5tK0
ご令嬢「女奴隷ちゃんは頭洗うの上手いですね〜」


女奴隷「ん、どうも」


ご令嬢「ふへへ〜、……メイドも髪洗うの上手いんですか?」


お嬢様「ええ、上手よ。流石は私の専属メイド」


メイド「お褒めいただきありがとうございますっ、お嬢様っ♪」


女奴隷(テンション高いなぁ……)


メイド「では、頭お流ししますね」


お嬢様「あっ、流し終わったら、私に貸して。女奴隷ちゃんのを流してあげなきゃ」


女奴隷「その次、私で」


ご令嬢「うふふ〜」ニコニコ
69 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/18(木) 23:44:12.01 ID:EOARJ5tK0
お嬢様「さてと……」

お嬢様「メイドの頭、洗いましょうか」


メイド「いいんですか!?」パアッ


お嬢様「ええ、嫌じゃなければ、喜んで」



ご令嬢「じゃあ女奴隷ちゃん、ボクたちは体洗いっこしちゃいましょう」


女奴隷「う、うん」
70 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/18(木) 23:55:44.01 ID:EOARJ5tK0
お嬢様「痒いところとかない?」ワシャワシャ


メイド「無いですよ。……いいですねぇ、髪を洗ってもらうのって」


お嬢様「そう? なら私が毎日でもしましょうか、楽しいですし」


メイド「ふふ、約束ですよ。明日も私の髪、洗ってくださいね」


お嬢様「喜んで。――泡流すわよ」


メイド「はい、どうぞ」目ツブリ


お嬢様「――――」シャー

お嬢様「――ありがとう、受け入れてくれて。好きよ、メイド」ギュ


メイド「――――」フッ

メイド「はい、私も大好きです」ソッ


お嬢様「うん……ありがと」
71 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/19(金) 00:15:16.41 ID:o6eJyLFI0
ご令嬢「えっへへ〜、じゃあ体洗っちゃいますですよう〜その柔肌をボクの前に晒せい!」ワキワキ


女奴隷「え? 本当に洗いっこするの?」


ご令嬢「いいじゃないですか〜。ほらほら」ワキワキ


女奴隷「……まあ、いいけど……」


ご令嬢「むふふ、スポンジだと肌が荒れちゃうので、手で直接――」


女奴隷「えっ!? ちょっと!」


ご令嬢「やっぱり、若いと肌の張りが違いますねぇ」モミモミ


女奴隷「いや、いやいや! 私の胸には張りはあっても膨らみがない。触っても、お嬢様のみたいに母性を感じられるわけではない。ので、そんなに熱心に揉まれてもですね……」アタフタ


ご令嬢「焦ってますねぇ」

ご令嬢「――お嬢様ともこんなことしたんですか?」


女奴隷「――……」


ご令嬢「いえ、それ以上のことしてましたね」


女奴隷「……ごめんなさい。私には、今のアナタの気持ちが理解できない。怒ってる? 悲しんでる? ひょっとして嬉しい?」


ご令嬢「どうなんでしょうね……。自分でもよく分からないんです……」

ご令嬢「二人のことも、もちろん女奴隷ちゃんのことも好きですけど、独占欲なんてものはボクの中にはないですし……たぶん」

ご令嬢「むしろ、ボクもお姉様たちの中に入れて嬉しいくらいなんですけれど……」


女奴隷「けれど?」
72 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/19(金) 00:34:42.89 ID:o6eJyLFI0
ご令嬢「お嬢様とメイド、それに女奴隷ちゃんたちは深く繋がっていて、ボクだけ置いてけぼりなんです。そのことが悲しかったり、不安になったりするんです」


女奴隷(えっちのことか……)


ご令嬢「今日のは、ボクからメイドに譲りましたけど……いいえ、違いますね」

ご令嬢「譲ったんじゃなくて、逃げたんです」

ご令嬢「ねぇ女奴隷ちゃん。えっちってどんな感じですか? 気持ちいいんですか? してて不安になったりしませんか?」


女奴隷「えっちは……気持ちいい。でも、気持ちよすぎて自分が自分じゃなくなるように感じる時もある。私は別に、お嬢様のことを何年も想ってきた訳じゃないから、気持ちよさで一杯になっちゃう」

女奴隷「もちろん、お嬢様のことが嫌いってわけじゃない。近い将来、ちゃんとした意味で好きになるんだろうと思う」


ご令嬢「そう、ですか……」


女奴隷「怖くっても、興味はあるんでしょ」


ご令嬢「そうですね……」


女奴隷「はじめての相手は、絶対にお嬢様とがいい?」


ご令嬢「え?」


女奴隷「えっちすることに不安が有るのなら、私と練習してそれを払拭すればいい」


ご令嬢「それは……」


女奴隷「私には、アナタの初めてがお嬢様じゃないといけない必要性は感じない」


ご令嬢「でも……」


女奴隷「多少抵抗があってするよりも、それを無くしてからするほうが私にはいいように思える」


ご令嬢「……」


女奴隷「強制はしない」


ご令嬢「」チラッ


お嬢様「――――」キャッキャ

メイド「――――」ウフフ


ご令嬢「――――――」
   「ですね……」ボソッ

ご令嬢「置いてけぼりは嫌ですから」
73 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/08/19(金) 00:46:30.34 ID:o6eJyLFI0
女奴隷「そう……なら――」


ご令嬢「」パシッ


女奴隷「えっ」
   (手首を掴まれた?)

女奴隷「ご令嬢!?」


ご令嬢「シャワー失礼」シャー

ご令嬢「きてください」グイッ


女奴隷「――――! そっちは……」


ご令嬢「お嬢様、メイド――!」


お嬢様「ご令嬢? 何かしら? ひょっとして背中流してくれるとか?」


メイド「……まあ、今日は昼間譲って貰ったし、私がお嬢様のお背中流したかったけど、あなたに譲ってあげるわ」


ご令嬢「――お嬢様、メイド、女奴隷」


お嬢様「? どうしたの」


メイド「……!」ハッ


女奴隷(まさか――)


ご令嬢「――――――…………」


ご令嬢「――ボクとえっち、してください!」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/23(火) 07:50:11.00 ID:PJbsKb4Ro
75 : ◆TEm9zd/GaE [saga sage]:2016/10/17(月) 18:30:10.15 ID:qJDlnJzs0
生存報告
76 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/12/18(日) 18:43:25.77 ID:kde9qHs90
――数年前

ご令嬢「はぁ……帰りたい」

誰にも聞こえないようにため息をつき、独り言ちた。
あたりにいるのは、めかしこんだ令嬢やら社長婦人、燕尾服をきっちりと着こんだ金臭い男等々。
そういう人らは、愛想笑いを仮面のように張りつけながら、世辞を言い合っている。とても白々しい。

華々しい社交場。
ここに詰められたのは、動く大金、醜い自尊心、厚化粧にも程がある見栄で化粧した上っ面。

ご令嬢(なんて素敵なところでしょー……)

冷めた目で場景を俯瞰する。

そうしていると、不意に若作りの男に話しかけられた。
77 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/12/18(日) 18:55:26.47 ID:kde9qHs90
男「――キミは……そうか、○○産業のご令嬢ですか。……いやしかし、庶民からの成り上がり企業の娘にしては、思ったより可愛らしい顔立ちをしているね」

ご令嬢「…………」

所詮は成り上がりのドブ生まれ。見た目も下の下と決めつけられていたか。

ご令嬢「何かご用でしょうか?」

早くどこかに行って欲しいという思いを隠すことなく、冷たい態度で向き合った。
だというのに、男はヘラヘラと笑って、

男「なに、こんな華やかな場にアンニュイな雰囲気の美少女がいたら声をかけるというのが礼儀でしょう?」

ご令嬢「そうですか」

――安いナンパ。

男「実際、そこいらの男が君に話しかけようとしていてね。いやいや、この世界は狭いからね、見知らぬ顔に話しかけるのは戸惑われるんだよ」

ご令嬢「そうですか」

――つまらない話。

男「そこでボクさ。独り寂しそうな美少女をそのままにしておくのはジェントルの名折れだからね。いやなに感謝は要らないよ。路傍に咲いている花でも美しかったら愛でることのできる器の大きい男だからね、ボクは」

ご令嬢「そうですか」

――くだらない男。
78 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/12/18(日) 19:17:49.77 ID:kde9qHs90
その男はつれない態度のご令嬢を見ても、依然として気持ちの悪くニヤニヤ笑いながら、グイグイと体を彼女に押し付けた。

ご令嬢「は? ちょっと!?」

男「いいだろう? 二人で会場を抜け出そう。近くに美味しいお肉が食べれるホテルを知ってる」

ご令嬢「困ります――!」

親は今挨拶まわりをしていて近くにはいない。助けてくれる人が近くにいない。

男「本当はそんなこと思ってないくせに……」

ご令嬢「そんなわけ――」

男「退屈そうな顔をしている」

ご令嬢「――――!」

男の言ったことを咀嚼し飲み込み、そのあとじろりと男を睨んだ。
視界に映るのは、気持ちの悪い男と、色の無い本当は美しいであろう会場。

白々しさしか感じない大人同士の付き合い。
親の都合で連れてこられた興味の無い社交場。

――そうか……この気持ちが、退屈なのか……。

男「いいじゃないか。キミの顔は美しい。そして、自分で言うのもなんだが、ボクはイケメンだ。それに××カンパニーの一人息子――次期社長でもある」
男「このボクがキミのつまらない日常に変化をあげよう。キミにとって損なことではない。そうだろう?」

気持ち悪い言葉。
欲望を隠そうとしない顔。
発達途中の体を舐め回すように見つめる視線。

助けが来ないかあたりを見渡しても、逃げるように会場の隅にいたせいでまともに人がいない。先程までいるにはいたのだが、この男が来ると同時に何処かへと行ってしまった。きっと、こうなることを予測して、面倒ごとには関わらないようにしようと逃げたのだ。

男が、ご令嬢の腕を握った。

嫌悪感が、蛆虫が這うかの如く広がる。
79 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/12/18(日) 19:38:23.48 ID:kde9qHs90
ご令嬢「――嫌です。退屈でしょうが、なんでしょうが、ボ……私は好きでもない人と一緒に寝たくありません!」

男「へぇ……いいね、キミ。キミのそれは処女の反応だ。処女だろ、キミ?」

ご令嬢「へ……変な事を言わないでください!!」

男の気持ち悪さについぞ耐えきれず、腕を思い切り振り払った。

男「イタっ!」

男は払われた腕を祈るように抱え、ご令嬢のことを睨み付けた。

男「おまえッ! 自分の立場が分かっているのかッ?! この世界は狭いって言ったろ! 少なからず資金援助もある! それなのに××カンパニーの次期社長であるこのボクの誘いに喜んで乗らないばかりか、暴力だなんて!」

ご令嬢「ちょっと――!?」

溢れでる激情に身を任せた男は、ご令嬢を押さえつけ、抱き抱えた。

男「来い! お前は黙って俺に股を開けばいいんだ。どうせ女なんて子供を孕んで産む、それだけしか脳の無い木偶なんだから!」

ご令嬢「ひっ、いやぁ――」

抵抗しようとしても、男の力にかなう訳もなく……

ドアまでもう少ししかない。会場から出てしまったら、車に連れ込まれてしまうだろう。そうしたら、完全に助けてくれる人がいなくなる。

男「暴れるな! ちゃんと気持ちよくさせてやるからよ。なんだったら、終わった後服でも宝石でも買ってやる」

ご令嬢「いやっ、いやぁ――嫌っ嫌っ、だれか――」

助けを求めてあたりを見渡すも、知らぬ存ぜぬを決め込まれ誰も助けに来ない。

――もうダメだ。

諦めかけた、そのとき――



?「少し、見苦しいんじゃなくて?」

80 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/12/18(日) 20:01:19.75 ID:kde9qHs90
――今でもそのときの事を思い出す。

堂々とした立ち居振る舞い。
凛とした表情。
憧れたその姿。

男「お前は――」

?「その子に振られているの、貴方分からない?」

男「なにを!」

?「……面白い話があるのだけど、貴方知ってる? ロリコンの男が、年端もいかない少女を無理やりホテルに連れ込んで、いやらしいことしてるって話。被害にあった女の子は部屋から出なくなり、男性不振になったっていうおまけ付きの」

男「はっ、世の中には酷い男も居たもんだな。――そうだ、なんなら、お前もその話の女みたく引きこもりにしてやってもいいんだぜ」

?「そう焦らないの……この話にはね、続きがあるの。加害者の父親はその話を聞き、先ず息子のことを信じたわ。自分の子に限ってそんなことするはず無いって」
?「だけど、心のどこかで疑っていたのでしょうね。来る予定の無いパーティー会場に、電話一つですぐ来るなんて」

男「…………え」

男父「お前は……ッ」

男「パパ――?! いや、ちょっと待ってくれ。この女の言ったことは全て出任せで……」

ボイスレコーダー『どうせ女なんて、子供を孕んで産む、それだけしか能の無い木偶なんだから!』

?「ごめんあそばせ、ちゃんと証拠はありますので」

男「な……」

男父「男……お前は私の恥だ。それ以外のなにものでもない。……少し話そうか。私も信じたくはなかったのだがな」

男「そんな……」

男父「申し訳ありませんでした、お嬢さん方。息子の不始末については後日正式に謝罪いたします。今はこの年老いの頭一つしか用意できませんが、ご容赦くださいませ」

男の父親はご令嬢に頭を下げると、茫然している男をつれて会場を後にした。
81 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2016/12/18(日) 20:20:27.36 ID:kde9qHs90
?「良い気味ね」

ご令嬢「……ありがとうございます」

?「いいのよ、感謝なんて……それよりもごめんなさいね、もっと早くに助けてあげられれば良かったのだけれど、あの男の父親を連れてくるのに手間どっちゃって」

ご令嬢は改めて自分を助けてくれた女性を見る。

不純物が一切混じっていない綺麗な金髪。
華美な服装に見劣りしない美しい顔立ち。
男性――いや、女性の視線さえも奪ってしまいそうな完成されたプロポーション。

ご令嬢「きれい――」

知らず口から本音がこぼれ落ちた。
突然の賛辞に女性は呆気にとられた表情をすると、

?「ふふ……」

背景に暖色の花々が咲き誇るのを空目するほど、優雅美麗に口元を綻ばせた。

見とれた。見惚れた。――惚れた。

自分のピンチを救ってくれた、まるで可憐な花のような女性を基点にして、退屈で冷めた世界が、色とりどり目に映えて――。

?「ありがとうね。――そうだわ、少しお話ししない?」

ご令嬢「はい! 喜んで!」

もっとこの女性と話したかったご令嬢にとって、彼女からの提案はまさに渡りに船。喜んで即答した。


ご令嬢「あの、ボ……私の名前はご令嬢です」

?「分かったわ、ご令嬢ね。……もし、言いづらいのなら、私じゃなくてボクでいいわよ」

女性は続けて、

お嬢様「それと、私の名前はお嬢様。よろしくね」

ご令嬢「はいなのです! お姉様!」

お嬢様「お嬢様なのだけれど……」

困った顔のお嬢様を見て、そんな顔でも彼女は美しいと知り、心が弾んだ。

運命の出会い。
そんなフレーズが、ご令嬢の中で両手を挙げてはしゃぎ踊った。


――今でもその感情を覚えている。
82 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/20(月) 21:59:22.14 ID:XviXZPJk0
――――。。。


 ――お姉様とメイド。二人の腰が砕けているのを見た。

そのときご令嬢のなかに渦巻いたものは、名状しがたい黒い感情。

あえて言葉にするのなら、嫉妬、羨望、疎外感などがない交ぜのぐちゃぐちゃになって心中を席巻した。


 ――ベッドで寝息をたてていた二人。手に赤い糸……血がついているのをみた。

つまりは、そういうことをしたのだろう。

疎外感がよりいっそう強くなる。


お嬢様とメイド。
二人の気持ちの方向は、仲良くなるにつれて分かってしまったから――


置いていかれたくない。
ずっと心中にくすぶっていた思いが、ついに爆発してしまった。



えっちして、と言ったとき、三人の顔が固まるのを見た。

お嬢様とメイドに限っては疲れているということもあるのだろうし、まさかこのタイミングで言うとは思ってもいなかったのだろう。


それでもお嬢様はニコリと毅然と笑って……

お嬢様「とりあえず、体を洗いましょう?」

そう言った。



そのときの顔も綺麗で、惚れてしまった時のようにやっぱり目を奪われ――そして、どうしようもなく泣きたくなった。

83 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/20(月) 21:59:57.45 ID:XviXZPJk0
――――。。。


 ――お姉様とメイド。二人の腰が砕けているのを見た。

そのときご令嬢のなかに渦巻いたものは、名状しがたい黒い感情。

あえて言葉にするのなら、嫉妬、羨望、疎外感などがない交ぜのぐちゃぐちゃになって心中を席巻した。


 ――ベッドで寝息をたてていた二人。手に赤い糸……血がついているのをみた。

つまりは、そういうことをしたのだろう。

疎外感がよりいっそう強くなる。


お嬢様とメイド。
二人の気持ちの方向は、仲良くなるにつれて分かってしまったから――


置いていかれたくない。
ずっと心中にくすぶっていた思いが、ついに爆発してしまった。



えっちして、と言ったとき、三人の顔が固まるのを見た。

お嬢様とメイドに限っては疲れているということもあるのだろうし、まさかこのタイミングで言うとは思ってもいなかったのだろう。


それでもお嬢様はニコリと毅然と笑って……

お嬢様「とりあえず、体を洗いましょう?」

そう言った。



そのときの顔も綺麗で、惚れてしまった時のようにやっぱり目を奪われ――そして、どうしようもなく泣きたくなった。

84 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 11:11:53.12 ID:Buq8Oqaq0
――風呂からあがり……。


お嬢様「とりあえず部屋にいきましょうか」


全員が着替え終わったところで、お嬢様はそう言った。

四人連れだって、廊下を歩く。


ご令嬢はお嬢様から少し離れて歩いた。
なにも言わず、目を伏せ静かに歩く。


風呂場でえっちしてといってしまった事に、後悔に近い感情が泡のように湧いたが、あくまで『近い』感情だ――心のそこから後悔はしていない。


お嬢様「……えっと……私の部屋はあれだから……そうね、ご令嬢の部屋で話しましょうか」

お嬢様の部屋につき、中を見たときの彼女の言葉。
何故そう言ったのかご令嬢は得心し、ズキリと心が痛んだ。

行為後からそのままなのだろう。


ドアを閉め、彼女達はとなりの部屋に移動した。
85 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 11:27:53.29 ID:Buq8Oqaq0
お嬢様「少しお話ししましょうか」

お嬢様は真剣な面持ちでご令嬢を見つめる。

その瞳の真剣さに、どんなことを言われるのかと身構えた。
何を言われても受け入れる。そんな心構えで見つめ返した。


お嬢様「私のこと……好きだから、ああ言ったのよね」

ご令嬢「はい」


当たり前だ。
好きでもない人にそんなこと言うはずない。


お嬢様「そう――」


そうだ。これは……この感情は好きという感情だ。

それは決して間違いじゃない。そうだ……そのはずだ……。


 ――お嬢様に憧れているし、惹かれている。

ご令嬢(だったらどうして……)


お嬢様のことを考えると、胸が痛い。

好きだ。好きなのだ。
ずっと――ずっと、思ってきた。
それこそ、えっちなことをしたいと妄想するくらいに……。
86 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 11:41:25.87 ID:Buq8Oqaq0
それでも――


お嬢様「ご令嬢――!?」

突然、耳朶を打った想い人の声。


ご令嬢「え――?」

どうしてだろうか。
名を、呼ばれた。


お嬢様「貴女……泣いて……」


そう言われ、ご令嬢は自分の指で目元を探る。

涙で濡れた指先。


その事実を認めてしまうと、もう制御など出来なくなり、止めどなく涙が溢れ出た。


ご令嬢「あ、れ……? おかしいな……。好きなんですよ、お嬢様のこと……好きなん、ですよ……」

拭っても拭っても、溢れ出てくる。きりがない。
87 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 12:12:52.98 ID:Buq8Oqaq0

自分の気持ちに偽りはない。
間違いない。間違いなくお嬢様のもとが好き。

なのになんで……?


お嬢様「――――」

お嬢様は手を伸ばし、ご令嬢の涙をすくう。
ご令嬢はそれを何の抵抗もなしに受け入れた。

目元をくすぐるお嬢様の指。

心配そうなお嬢様。


いや、お嬢様だけじゃない。

メイドも女奴隷も、心配そうにご令嬢を見つめた。


ご令嬢(――ああ……そっか)

ご令嬢「お姉様――」


お嬢様「なに?」


ご令嬢「お姉様は、ボクのこと好きですか?」


お嬢様「ええ――。友人としても、人としても――恋愛、という意味でも」


ご令嬢「本当ですか?」


お嬢様「本当よ」


ご令嬢「……それは――」


奥にいるメイドと目があった。

強い意思を持っている彼女。

長年、想い人を一途に想い続けた彼女。


ついで、女奴隷と視線を交わらせた。

誰よりも早くお嬢様と体を一つにした少女。

お嬢様の心を開いた少女。
88 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 12:25:40.81 ID:Buq8Oqaq0
ご令嬢「――ボクだけじゃないでしょ? メイドのことも――ご令嬢のことも――」


お嬢様「それは……そうね。私はメイドのことも女奴隷のことも好きよ」


とんだ最低女ねと自嘲し、けれども視線は落とすことなかった。


ご令嬢「ボクは……」

それでも、お嬢様のことが好き。

例え、二号さんでも三号さんでも、それでも……憧れて、惚れてしまったから……。


盲目的なのは自分でも理解していた。

それでも、どうしようもないのだからしょうがない。


でも……

ご令嬢「ボクの存在っていらないんじゃないですか……?」


お嬢様「なっ!? ――突然なんてこと言い出すのよ!」


ご令嬢「だってお嬢様にはメイドがいて、女奴隷がいて……ボクの価値って一体なんでしょう……?」


お嬢様にはもう、メイドも女奴隷もいる。

お嬢様の心の隙間を埋めるのは二人で十分だろう。


ご令嬢「ボクっていなくていいんじゃ……?」
89 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 12:56:01.69 ID:Buq8Oqaq0
二号さんでも三号さんでもいい。


けれど、二号さんになれるのも、三号さんになれるのも、必要にされてこそ。


駅でメイドが分かってもらうまで好きって伝えようと言っていたが、分かってもらえても、受け入れてもらえないかもしれない。


所詮は貧乏生まれの元根なし草。ひょっとしたらお嬢様も心の内ではご令嬢のことを疎ましく思っているかもしれない。


そんなのがお嬢様に必要とされるのか。


必要とされていないのに、ご令嬢だけが一方的に求めることほど悲しいものはない。


そうならば、ご令嬢は誰にも受け入れられずに一人ぼっち。貧乏だったころの自分と変わらない。


――お嬢様にとってボクは……。


お嬢様「ば――メイド「馬鹿なこと言わないでっ!!!」」


ご令嬢「メイド……?」


メイド「――」


お嬢様の言葉を遮ってご令嬢を怒鳴り付けたメイド。
彼女にベッドへと押し倒された。


メイド「何でそんなこと言うのよ……」


覆い被さってきたメイドは、ともすると怒気ともとれる悲しげな目をこちらへと向けた。

そんな視線を向けられて、居心地が悪くなりながらも、負けじとばかりに口を開いた。


ご令嬢「……ボクはね、お嬢様のこともメイドのことも好きですよ」

 でもね……


ご令嬢「気づいたんです。一人になりたくないから、昔の自分に戻りたくないから、好きって言ってたんです……」
90 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 17:03:13.03 ID:Buq8Oqaq0

憧れの人に拒絶されるのが嫌で、

初めて出来た友達が遠ざかるのが嫌で、

仲良くなった子がこちらを見なくなるのが嫌で、


結局のところ一人になるのが嫌なだけ。


思えば女奴隷はそのことを見通していたのかもしれない。

だから、初めてはお嬢様とじゃなくてもいいと言ったのだろう。



お嬢様に助けられた時から、恋い焦がれ続けて……。


ご令嬢「その感情の中に、本当に好きって感情はあるのかな……」

ご令嬢「ボクの中の好きってこの感情、嘘なのかな……」


メイド「そんなわけないっ!!」


ご令嬢「メイド……」


メイド「一人になりたくない? そんなのみんな思うことじゃない!」

メイド「ご令嬢、アナタはね純粋なのよ。好きって感情に夢見すぎ! アナタが思っているものよりも自分勝手なものよ!」


メイド「私もね、アナタのことが好きよ」

メイド「一緒にいて楽しいし、気心も知れてるから……」

メイド「そんな中に一人になりたくないからってのもあるのよ!」


メイドは依然ご令嬢のことを見つめ……


メイド「ああ、もう! うまく言えないけど、アナタのそれはみんな普通に思うことなの!」

メイド「私達はアナタのどんなところも受け入れるから――絶対に一人にはしないから!」

メイド「だから、自分が必要ないとか言わないで!」


ご令嬢「メイド――」
91 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 17:34:01.85 ID:Buq8Oqaq0
お嬢様「そうよ、メイドの言う通りだわ」


お嬢様はご令嬢の手を取ると、彼女の横に寝転んだ。

メイドもそれにならって、お嬢様とは反対側――ご令嬢を挟むように寝転んだ。


お嬢様「ご令嬢、そんなこと言ったら、私のも恋愛感情じゃないわ」

お嬢様「一人が嫌だというのなら私がそばにいる。」

お嬢様「もう貴女を――貴女たちを拒絶したりなんてしないから」


ご令嬢「これが依存だとしても?」


お嬢様「大丈夫よ。私のも依存型の愛だから」

メイド「言ったでしょ。アナタのどんなところも受け入れるって」


あっけらかんとして言う二人。

憧れの初恋の人と気心知れた初めての友達。


そして――


女奴隷「――――」


いつの間にかご令嬢の頭上に回り込み、彼女を膝枕した少女。


女奴隷「風呂場では、変な事言って、ごめん」


ご令嬢「――――」

ご令嬢「いいですよ、気にしないで。ボクを思っての言葉だったのでしょう。むしろ、ボクの方からありがとうというべきですよ」


女奴隷「ありがとう……そう言って、貰えると、ありがたい」


ご令嬢「いえいえ……でも、そっか……」


一人ぼっちが嫌だから、そんな理由で他人を求めてもいいんだ。

ご令嬢の心が軽くなった。
92 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/02/23(木) 17:49:57.71 ID:Buq8Oqaq0
お嬢様「その……ご令嬢……」


ご令嬢「なんです?」


お嬢様「貴女が言っていたことだけれど……」


ご令嬢「えっちのことです?」


お嬢様「そう! そのことなんだけれど……」

お嬢様「メイドと、その……結構激しいことをしたから、今からハードなことするのは難しいけれど……」

お嬢様「で、でも、出来ないってわけじゃないの」

お嬢様「貴女が望むのなら、今から――」


ご令嬢「……メイドはどうです?」


メイド「したいならすればいいわ。分かりやすい繋がりがあった方がアナタにはいいでしょ」

メイド「……じゃあ、わたしは女奴隷つれて出ていくから…………」


ご令嬢「なんでです?」


メイド「なんでって……アナタ……」


ご令嬢「メイドも一緒にしよう」


メイド「は……?」


ご令嬢「女奴隷ちゃんも一緒に……」


女奴隷「私も……?」


ご令嬢「いいですよね、お嬢様?」


お嬢様「――――」


お嬢様は驚いた顔をしたものの、すぐに得心し、そして、なにも言わずに頷いた。
93 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/29(水) 12:33:32.54 ID:3odqG6Wl0

夜が深い。遠くでその深さをより一層なものにするようにフクロウが鳴くのをお嬢様は聞いた。
月はきっと綺麗に光輝いていることだろう。

だが、そんなある種寂寥としている外の風情など、この場において誰一人として興味を示していなかった。

眼前に広がる光景が、それだけ官能的で魅惑的だったから……。


お嬢様はベッドに寝かせた身を起こし、視界に入った夢のような光景にごくりと唾を飲み込んだ。


ベッドに横になりながら誘うような視線を送るそれぞれに違った魅力のある女の子たち。
お嬢様を迎え入れるように手を伸ばした彼女らは、お嬢様の肩を、腕を、それぞれとり、ベッドへ押さえつけた。


お嬢様「えっ――?」

予期せぬことに三人に押し倒されたお嬢様は、間の抜けた声をあげる。


体の自由がきかない。

右腕はメイドが。
左腕は女奴隷が。


そして、ご令嬢が――


ご令嬢「脱がしますね」

陣取るように腰の上へ。


ご令嬢はお嬢様の寝間着代わりに使われているゆったりとしたシャツをたくしあげ始めた。
じわりじわりと露出していく肌。

お嬢様「えっ……きゃあ!?」


突然のことに驚き、目を見開くばかり。


ふくりと健康的に肉のついた丹田、上下する腹部、うっすらと骨の浮いたあばら、そして薄ピンク色の突起が主張している豊かな双丘。
だんだんとご令嬢の手によって曝されていく。


ご令嬢「ブラ……着けてないんですね」


お嬢様「えっ!? それは……お風呂上がりだし……夜は着けない派だし……」


混乱してか検討違いなことを口走っている間にも、服は脱がされていく。
襟から頭を抜かせ、適当な所で脱がすのを止めると、ご令嬢ははあはあと興奮を隠しきれずに息を荒くし、夢にまで見たそこへ手を伸ばした。


ご令嬢「これが、お嬢様のおっぱい……」

ごくり、と音をたてて唾を飲み込み、対になっている至宝の果実へと触れた。

ご令嬢「んっ……」

柔らかい、それに熱い。それにトクントクンと鼓動が伝わってくる。

お嬢様の鼓動に混ざって溶けてしまいそうなほど、自身の胸の高鳴りも強く、強く――


ご令嬢 (これがお嬢様の―― )
確かめるように優しく、けれど確かに揉む。
94 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/29(水) 13:30:50.61 ID:3odqG6Wl0

お嬢様「……もっと、乱暴にしていいのよ」

攻められてばかりから一転、余裕を取り戻したのかお嬢様は挑発的な視線を向けた。


年上として、また、経験者として余裕があるように見せ、無垢なご令嬢を安心させるため。
そして、主導権を握るため。

お嬢様は包み込むように微笑んだ。


けれど、そんな心算はもう二人の大切な人の手によって、いともたやすく崩された。


メイド「そうですか――」


女奴隷「じゃあ――」


女奴隷の挑発に笑みを浮かべた従者と奴隷は、中途半端に腕に引っ掛かっているシャツを半場強引に剥ぎ取り、メイドは腋を、女奴隷は耳を、それぞれぴちゃぴちゃといやらしく音をたてて口で愛撫し始めた。


お嬢様「ひへぁ――?!」


敏感なところへの不意打ちに、思わず高い声を漏らしてしまう。

その声を聞きメイドは面白そうに口角を上げて腋に吸い付いた。女奴隷も言わずもがな耳を甘噛んだ。


メイド「ほら、ご令嬢も……」

腋への舌憮をいった止めると、お嬢様の胸を揉んでいるご令嬢の手、その甲を撫でた。

メイドの言葉に一層呼吸を荒げ、そろりと手を離した。


お嬢様のさくらんぼが惜しげもなく露出する。

そのピンクの突起を目に焼き付けるように凝視。


お嬢様「っ――……」


恥ずかしそうに顔を赤らめるも、二人に腕を押さえつけられているため隠すことができない。もっと言えば、耳を女奴隷によって舐められているため頭も自由に動かせない。

先程まで余裕ぶっていた分、余計に顔を赤くした。


リフレインするメイドの言葉。部屋に満ちるむわっとした熱。好きな人の恥態。

ブツッッ! ご令嬢の中で何かがちぎれる音がした。


ご令嬢「おじょうさま――!!」


ほとんど叫ぶように名を呼び、乳首へと吸い付いた。


お嬢様「ひうっ!?」

ご令嬢「おひょうひゃま……っん、ちゅぱ……ちゅう――おひょう……ひゃまぁ……」

一心不乱に吸い付く。ずっと求めていた。ずっと好きだった。ずっとこうしたかった。
そんな思いをぶつけるように、激しくおっぱいを吸った。
吸うだけには飽きたらず噛み、舐め、自分に出来ることを全てぶつけた。


お嬢様「……っくんんっ! あっすご……きもち……ひいいぃんんっ!!?」

今まであまりされてこなかった乱暴な愛撫に絶叫。乳首はビンビンに勃起し、唇の端からは唾液がつうっと垂れる。
耳、腋、そしておっぱいから甘いけれども痺れるような電流が身体中を這いずり回り、快楽の嵐が理性を蹂躙する。

95 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/29(水) 16:11:11.31 ID:3odqG6Wl0
お嬢様の喘ぎ声に興奮して、三人は愛撫する口に熱が入る。
特にご令嬢は赤ん坊のように夢中になって乳を吸う。が、誰一人その事を指摘しない。

三者三様に余裕がないからだ。

メイドは腋を喰むだけには飽きたらず、お嬢様の腕に舌を這わせて手まで到達すると、指の一本一本を丁寧にしゃぶり奉仕し始めた。

女奴隷はというと、彼女も彼女で丹念に耳の溝に舌を往復させひとしきり舐め回すと、耳の穴に舌先を固くして差し込んだ。


お嬢様「っひぃぃいっ!! くぅっふぁああ……ぁっぁあっ、っあん……だ……めぇ――ん――!」


そんな舌技の応酬を一身に受けているお嬢様はひとたまりもない。体をびくつかせ、焦点のあってない目はどこを見ても空回る。弛んだ口元からダラダラと唾液を漏らして快楽に耐えるのが精一杯だった。


ご令嬢「――んっ……んはあ――!」

お嬢様「あああぁあぁ! だめ――そりぇだめぇ!」

ご令嬢はちゅぱちゅぱと乳首を吸い、もう片方の空いている乳房を乱暴に掴んだ。

つねるように乳首をつまみ、乳輪に痛いくらい噛みつく。

いぢめていぢめて、お嬢様のかわいい声を絞り尽くす。
足りない。こちらの愛はもっと濃くてもっと深い。思い続けた年数分積み重なっている。
もっとしたい、もっとよがらせたい、もっと、もっと――


お嬢様「んっ……ああっ! ……っくふぅ――ぃやああぁ!!」


愛しい人艶声を聞くと、乙女の芯が潤うのを奉仕している全員が感じた。だけれど、まだ満たされない。もっとお嬢様に自分がどれだけ思っているか教えたい……自分の愛を刻み込みたい。
そんな欲求を伴って愛撫が加速した。


いったん乳首から唇を離し、まだ口をつけていないほうの乳首に狙いを定めた。
狙うと早い。先程まで食べていた乳首との間にかかる唾液の糸などお構いなしに、空いてる片方の乳首へとむしゃぶりついた。

唾液のせいでてらてらと艶かしい唇が離れたばかりの乳首を、その唾液を潤滑油にして指でこねくりまわす。


お嬢様「っぁ――ひっふぅ、んんっ! ……ぃッ!」


メイド「んくちゅ、ろぉっ……お嬢さまぁ……」


女奴隷「んはぁ……れろぉ、ん、すき……大好き、です……おじょうさまあ」


ご令嬢「はあぁん……んちゅぱ、ちゅう――っん、お嬢様お嬢様……おじょうさまぁ――」

三人はお嬢様に群がり、好きなように舌と唇で蹂躙する。
蹂躙するとともに、口の端からは愛しい人の名前を漏らす。あたかもあふれでる愛を表すように。


脳が焼け焦げてしまいそうな一方的な攻め。けれども渇望していた疼きが満たされお嬢様はよがり狂う。

お嬢様「ん――ぁあっ、ふっ……あっあ……」

性の捕食に抗うすべはない。甘い声を我慢なんてできない。それほどまでの刺激。
お嬢様の艶かしい声に煽られ、舌による愛撫はより過激に。


女奴隷はわざと音をたてて耳の穴を征服し、メイドは二の腕に吸い付き花びらのようなキスマークをいくつも作った。

そんななかでご令嬢はおっぱいに噛みつき吸い付きいぢめ続ける。

お嬢様「ああん……っああぃぃぃぃいいいい!!」

噛みつかれた痛みに電流が走る。いや、もはや痛いは気持ち良いだった。


愛されている。自身に刻まれる痛いも気持ち良いも全てが彼女たちの愛。そう考えるだけで、全ての刺激が快楽になって仕方がなかった。
96 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/29(水) 17:14:47.95 ID:3odqG6Wl0
ご令嬢「――おじょうさまぁ……」

熱烈な乳首への口淫を続けたまま、乳首を弄っていた手をそっと滑るように降らせた。

その手の動きはぎこちなく不慣れなものだったが、そのことが逆にこそばゆさを与え焦らすことに……。


上下に動くなだらかで健康的にふっくらした腹部を撫で、ゆっくりと足の付け根へ。

下着は着けられていない。手の先に整えられた陰毛の感触。そのさらに奥へと――


触れたのはしとどに濡れてぐちょぐちょな割れ目。
乙女の肉花はすでに綻んでいて、甘い声を漏らすたび、妖しく官能的にひくついた。


ご令嬢「お嬢様……いっぱい、濡れてるです……」


お嬢様「んっ……あぁあっ! そんな……指……」


お嬢様は恥ずかしそうに顔を赤らめ、足をくねらせた。
が、そんなものお構いなしにご令嬢は蜜の溢れた秘裂に手を這わせた。
ヌメついた粘膜に指を押し付ける。

熱い。まるで別の生き物みたいに妖しくうねるヒダが指に吸い付いてくる。

そのまま軽くかき回した。


お嬢様「んっ、ひっ――!?」


ご令嬢はお嬢様の声が遠く感じた。それほどまでに甘く浮かされ、愛しい人の体に夢中になっていた。

少し指を離すと、ネチョリと淫らな液が糸を引く。

そこではたと思い出した。以前メイドがお嬢様は太ももが弱いと言っていたことを。

悪巧みを思い付いた子供のような笑みを浮かべる。
そして、手についた淫液を、お嬢様の太ももに塗りたくった。

お嬢様「んひゃああ!」

そのままなじませるように優しくなで回す。


お嬢様「ひょ……んひっ、ご……ごれひじょう!? しょこは……」

ご令嬢「――ふふ、ここが、弱いんですかぁ?」


乳首から口を離し嗜虐的な笑みを浮かべながら、手を休めずにせめる。

かわいい顔。切なそうに息を吐くお嬢様。もっともっといぢめたい。

鼓動が激しくなり、もう我慢できなくなって……体をお嬢様の足の間に割り込ませた。
97 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/29(水) 19:51:36.13 ID:3odqG6Wl0

ご令嬢が口を離したことで剥き出しとなったお嬢様の乳首。

今度はそこにお嬢様のもう二人の大切な人――メイドと女奴隷の唇が……。


彼女らは左右から貪るように乳首をくわえ、舌先を丸くしてねぶった。
女奴隷は脇目も振らず乳首をなぶり、メイドは乳輪をなぞってねちっこく吸い付いた。


それだけには飽きたらず、メイドはお嬢様の口に自身の指をねじ込んだ。


お嬢様「んっっっ――!? ……れろぉ、んふう」


突然口内に指を差し込まれ、最初は驚いたものの、それがメイドの指だとわかると舌で舐めて迎え入れた。

女奴隷はというと、ねっとりとした舌撫で乳首を虐めながら、お嬢様のお腹をさすりヘソを指で弄んだ。


そして、ヘソを愛でている女奴隷の下。お嬢様の足の間に身を割り込ませたご令嬢。
お嬢様の荒い息と一緒になってピクピクと痙攣する蜜壺。あまりに情欲を掻き立てられる光景に、思わずごくりと唾を飲み込む。


そうっと、まさに恐る恐るといった感じで、メスの匂いのする愛液でてらった肉壺へと顔を近づけた。
むせかえるような濃いメスの匂い。その中に混じっている鉄の匂い。

匂いにあてられて頭がおかしくなりそう。お嬢様を気持ちよくさせられたという悦びも、メイドの痕跡に対する嫉妬も、全てが全てご令嬢をおかしくする要因にしかならない。


生暖かく濡れている肉壺にキスを――。
キスしたと同時に我慢ができなくなり、


ご令嬢「おじょうさま――!」


肉壺へと吸い付いた。

お嬢様の腰を両の腕でしっかりと押さえつけ、ともすれば食べてしまいそうな勢いで充血した肉貝にむしゃぶりつく。
止めどなく溢れる淫液をすすり、ひだを啄み、ついで穴に舌先を固くして差し込んだ。


お嬢様「――!? ぁ……くっ、んぁ、はぁん!」


くぐもったあえぎ声。口内がメイドの指に犯されているため。

焼けそうになる快感に耐えるため身をくねらせる。


そのさまは見るものすべての情欲を煽り立て、愛撫をしている三人をより発情させた。


ご令嬢「お嬢様ぁ……んにゅ、はぁん――」


メイド「ちゅ、れろぉ……はあはあ、お嬢様ぁ……」


女奴隷「お嬢様、ん……お嬢様ぁんっ……おじょうさまぁあ……」


ただ一人の女性を捕食する。愛する人たちに捕食された幸せ者は、ただ顔を快楽に溶かすのみ。


ご令嬢「ぺちゃぺちゃ……ずずずっ――くちゅ……ああ――」

――愛しい人が自分の奉仕でよがっている。

その事実に恍惚とし、三人はより奉仕に熱中した。


そのなかでもとりわけお嬢様の具合が分かったのは、溢れる蜜に溺れそうになっているご令嬢。

彼女は舌先を固くして花弁の奥へと差し込みながら痛々しいほどに充血し勃起した肉豆を右手でいじくった。


――すごい……。お姉様のが、いっぱい……溺れそう……。

顔がお嬢様の淫液によって汚される。が、そのことがこれ以上なく嬉しい。
お嬢様に染められている。そんな気分。
98 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/29(水) 20:29:36.24 ID:3odqG6Wl0
ご令嬢「はぁん……んむぅ……っん」


頭を前後に動かして舌を出し入れする。ぐっちょっぐっちょっと卑猥な音が四人の耳を犯した。


お嬢様「ん……はぁ……もぅ、ふぁ……ぁっぁっ、ん――はああぁ!」

口内を好きに蹂躙しているメイドの指のせいで声がくぐもり、切なさを深くした喘ぎ声。
小刻みに震える膣壁。

お嬢様「ふへぇ――ふぃクッ! ひっ……ィク……っっううぅう――!?」

お嬢様は足を回して、ご令嬢を逃がさないとばかりにホールドした。
したと同時に、快楽の防波堤が決壊。氾濫する性感はお嬢様の身体中を駆けずり回って……

ご令嬢が驚いた次の瞬間――


お嬢様「――っあああああぁあぁぁぁぁっっっ!!?」


花がはじけ、お嬢様は絶頂の波にさらわれた。その波に溺れないよう、ホールドした足に力を入れる。

絶叫が三人の耳に届くのと同時に、電撃が走ったかのように腰がビクンビクンと跳ねた。
胸から上はメイドと女奴隷によって押さえつけられているため腰だけをくねらせ、ご令嬢の顔に肉壺を押し付けながら、艶かしく腰だけを躍らせる。

お嬢様の分泌した愛液によってご令嬢の顔は犯される。


お嬢様「はぅう、ぁああ……はぁはぁ……」


ひとしきり痙攣したあと、腹腔を上下させ呼吸を整える。

メイドは嬉しそうに笑うと、乳首から唇を離し、口から手を抜いた。
そのまま引き抜いた手を、同じく乳首から口を離したばかりの女奴隷の口へ。

トロンと熱に浮かされた目をした女奴隷は、何の抵抗もなくそれを口にふくみ、ゆっくりと頭をピストンさせ、お嬢様の唾液がねっとりとついた指を楽しんだ。
ひとしきり舐めまわすと、その指との間に自身の唾液を引かせながら唇を離した。



お嬢様「ご令嬢――」

ご令嬢「お嬢様――」


解放されたお嬢様は口元を拭い、顔をあげた。

見つめあって互いの名前を呼び会う。


メイドと女奴隷も視線を合わせて頷くと、お嬢様から離れた。


ご令嬢の目の前には、肌を赤く上気させ熱びた目でこちらを見つめてくるお嬢様の姿が。


ご令嬢「――え? きゃっ――」


お嬢様は蠱惑的な笑みを浮かべると、腕を伸ばしてご令嬢を抱き寄せた。

ひしっと力強く抱き締めてくるお嬢様。


驚くも次の瞬間には――

ご令嬢 (やわらかい…… )

女体の柔らかさにうっとりとした。


お嬢様は蠱惑的な表情を崩さないまま、ぼうっとしているご令嬢に口づけた。

ご令嬢「――んっ?!」

キス。
念願の、夢にまで見た、お嬢様との、キス。
99 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/30(木) 11:57:54.47 ID:8WFdquEE0
彼女のキスを受け入れる。
もっと感じたい。もっと唇で触れあいたい。もっと深く繋がりたい。

気づけば、ご令嬢はお嬢様の唇を求めて、強く自分のを押しつけていた。


柔らかさに酔いしれる。歯が当たることなど気にせず夢中になってお嬢様を求めた。


キスに溺れるご令嬢。不意に、そんな彼女の天地がぐるりと逆転した。
お嬢様がご令嬢を押し倒し返したのだ。


上になったお嬢様は、ご令嬢の鼻を鼻で擽ると、頬を撫で、キスをより深く……。

ご令嬢の口内をまさぐるように舌でかき乱して蹂躙する。
くちゅくちゅと粘膜同士で擦りあい卑猥な音を鳴らして舌と舌とを絡ませる。

ご令嬢はうっとりとした目をして……。


お嬢様「むふぅ……ちゅう、ちゅっ……ぁ」

にわかにお嬢様は唇を離すと、名残惜しげにつうっと透明な糸が引いた。



お嬢様「するわね……ご令嬢……」

ご令嬢「はい……」


ご令嬢の期待に染まった返事を聞いたお嬢様は、彼女を横向きに寝かせて足を割り、彼女の片足を上げて自身の肩にかける。
そして、待ちきれないとばかりにご令嬢の足の間に足を割り込ませ――。

お嬢様「この体位がね、一番深く繋がれるの……」


そう言いながらヴァギナを押し付けた。
エッチなお口でのキス。二人の肉壺はすでに乙女の蜜がだらだらと溢れていた。


松葉崩しの体位はお嬢様がいった通り、肉貝同士が深く擦れあった。
お嬢様が主導権を握り、淫らな唾液が溢れた口をズリあう。


ご令嬢「あぁあっ……お嬢様、そこぉ……」

お嬢様の蜜壺がグリグリと押し付けられ、二人の蜜は混ざりあい、そのたびに酷く淫猥の音を響かせた。

お嬢様はクリトリスをこすりつけるように腰をくねらせる。


お嬢様「ぁは……んっ、ご令嬢ぅ……ご令嬢ぉ……!」

ご令嬢「はぅわ……ぁっぁっぁ……こりぇ、ひもちいぃれふぅ……」


上からも下からも締まりなくダラダラと唾液を漏らしているご令嬢は、ベッドシーツをぎゅっと握りしめ快楽に耐える。
そうしないと、あまりの快楽に意識を飛ばしてしまいそうだったから。

勃起した肉豆が、同じく勃起したご令嬢の突起に重なった。


ご令嬢「んひぃっ――!?」

瞬間、体がビクンと跳ねた。びりっと電流が走りもした。
乙女の腑がキュンキュンと締め付けられ、エッチな汁が過剰に分泌される。
100 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/30(木) 12:46:51.56 ID:8WFdquEE0
ご令嬢の反応を見たお嬢様は、蠱惑的に舌舐めずりを一つすると腰の動きを速めた。
ご令嬢に快楽を刻むために……。


ご令嬢「ぁ、あっあっ……はあぁん、んん――っ!!」

ぐちゅぷちゅと粘膜の擦れあう音を伴いながら、腰を押し付けるたび角度を変え、ご令嬢のよがり具合を見る。
ある部分を刺激したとき、ご令嬢がひときわ甲高く鳴いたのを見逃さなかった。

ご令嬢がひときわ甲高く鳴いた部分――それはグロテスクなくらい濃く赤く充血したクリトリス。


断続的に訪れる性の甘美な刺激に高ぶりは収まることはなく……。
お嬢様は勃起している自身の淫核を、ご令嬢が一番悦ぶ場所に押し付けた。


お嬢様「ひっ、はぁくぅうぅ……きもちいい……ねぇ、んっひ……ごれいじょぉ……きもち、いい?」

ご令嬢「ふ、ふぁい……きもちいい……きもちいいですぅ……はあああぁん!!!」

お嬢様「ぁああ……いった、ばかりだから、はあ……ん、敏感になって……もう……だ、め」

ご令嬢「ボクも……んんっ! そんなにくりと、りす……いぢめられたら、いっちゃ……ぅで、す……」


腰の動きが加速する。お嬢様はご令嬢の足を抱きしめた。

お互いの切ない息づかいが混ざりあう。あふれでる分泌液は、二人を、ベッドを、ぐちょぐちょに汚した。


お嬢様「ご令嬢――! ごれいじょごれいじょうっ!?」

ご令嬢「お嬢様ぁ――!! クルですっ、キます! きもちいいのが、もうっ!!」

お嬢様「わたしも――わたしもよ! ご令嬢、いっしょに――」


お嬢様は手を伸ばし、ご令嬢はそれに返す。指を絡ませあい強く握りあった。あたかも繋がりの深さを表すように。


その瞬間――ついに快楽による電流が爆発的に二人の体を飲み込んだ。


お嬢様「あっ! ああああああぁぁぁぁぁあああっっ――!!」

ご令嬢「ぁ……ああぁああああぁあんんっっっ――!!!!!」


同時に果てる。絶頂による絶叫。
ぎゅっと手を握りあい快楽の暴力が過ぎ去るまで耐えた。

腰の痙攣が収まると同時に、お嬢様の体から力が抜け、ベッドに倒れこんだ。

息をきらして倒れたお嬢様は、同じく息絶え絶えなご令嬢の横にピタリとくっつく。
触れあう、互いの体温。

ご令嬢「お嬢様――好きです」

握った手を離さずに相手のみを見つめて告げる。

お嬢様はその言葉にはっとし、目元にうっすらと涙を浮かべると……


お嬢様「私もよ」

その答えを聞いてご令嬢の心の中は幸福感で一杯に。
ご令嬢は手をほどくと、今度は抱きつき、甘えるように胸へ顔をうずめた。
101 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/30(木) 13:01:57.22 ID:8WFdquEE0

愛しそうにご令嬢の頭を撫でるお嬢様の耳に、不意に――


女奴隷「やっ……ん、めいどぉ……」

メイド「変態め。お尻を舐められて、そんな気持ちいい?」


もう二人の発情しきった会話が入ってきた。

きょとんとしてご令嬢を見ると彼女も呆気にとられたような顔をして、けれど、次の瞬間には笑みを湛え……。


ご令嬢「ふふっ……まだ、できますよね? ねえ、お嬢様?」


お嬢様「……出来れば今日はもう休みたいところなんだけど……そんな野暮なことは言えないわね」

肩をすくませ苦笑いを一つすると、ご令嬢と一緒にすっかりメイドの玩具になっている女奴隷で遊ぶことに決めた。



外では月明かりが闇夜を照らしているのだろう。きっと深い夜なのだろう。
だが、その部屋にいる乙女たちには関係ないこと。

大切な人たちがそこにいる。
触れあい、心を通わせることができる。
それだけで十分――。


その部屋は、甘い女の喘ぎ声といやらしいメスの匂いで満ちている。

互いに互いを思いあっているもの同士の長い夜。


少女たちは深く、強く、互いの思いを交わらせ、確かめあうように熱を共有する。
そんな濃い夜を過ごすのだろう。


――長い夜は始まったばかり。


102 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/30(木) 17:21:41.80 ID:8WFdquEE0


――――――
――――
――



女奴隷が目を覚ましたのは、日がとっくに天高く上り、時計の針も両方揃って天辺を指す、そんな時間だった。


えっちな匂いが鼻につく。
つい先日知ったばかりの匂い。
その匂いが熱の熱さを連想させる。知らず頬が弛む。

独特な匂いだが、嫌いではない。


あたりを見渡す。

彼女以外の三人もベッドの上で横になっていた。
メイドとご令嬢は生まれたままの姿で抱き合い、落ち着いた寝息をたてている。


残りの一人。女奴隷の所有者であるお嬢様は――


お嬢様「あら、女奴隷……起きたのね、おはよう」

女奴隷「うん、おはよう、お嬢様」


お嬢様の姿を認めるとほっとした。
お嬢様もお嬢様で穏やかな顔をしている。
……その姿からは昨夜の乱れっぷりを想像できない。が、やれ連続絶頂だ、やれ強制クンニだなどとそれはそれは激しい乱れっぷりだった。

くすっと思わず笑みが洩れる。

女奴隷「よかったね」

自分を受け入れてもらえて。


お嬢様「――――。ええ……ほんとうに」


女奴隷「ここにいる、みんな、お嬢様のことが、好き」

お嬢様「ええ――ええ。私はとっても幸せ者だわ」


お嬢様に抱きしめられ、ベッドに倒れこんだ。

お嬢様のものだという証――鎖は今、女奴隷の首につけられていない。
それでも――


女奴隷「お嬢様……」

お嬢様「女奴隷……」

互いに呼びあい唇を重ね――
103 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/30(木) 17:54:08.90 ID:8WFdquEE0
不意に、

ご令嬢「ぁ……ずるいですよ、女奴隷ちゃん」

メイド「まったくね。……お嬢様、おはようのキス、私たちにもしてください!」


いつの間にか目を覚ましていた二人は、抱き合っているお嬢様と女奴隷を挟むように左右に寝転ぶと、それぞれ唇をお嬢様へとつきだした。


お嬢様「甘えんぼさんね……」

呆れたように肩をすくめて見せても、嬉しいのだろうということが伝わってくる。
お嬢様は請われた通りに交互に軽いキスをした。


言いようのない充足感。
みんな穏やかな表情を浮かべている。


女奴隷「ねえ、お嬢様――」

お嬢様「なにかしら?」



女奴隷「お嬢様にとって私たちってどんな存在?」

問われ――

お嬢様「……」

お嬢様は思わず黙り混む。
彼女のなかで答えは決まっている。
だけど、一度否定してしまった手前、臆面もなく口に出していいことなのか憚られ戸惑いを浮かべた。

そんなお嬢様を見てメイドとご令嬢――二人は彼女の気持ちを察したのか、お嬢様を安心させるため女奴隷ごと彼女をぎゅううっと抱きしめた。


メイド「私たちは気にしていませんから」

ご令嬢「むしろ、どう思ってるのか、ちゃんと言ってくれないと許さないですよ……ふふっ」

お嬢様「――――。」


二人の言葉を聞き、意を決して言葉を紡ぐ。

お嬢様「貴女達は私の大切な――――」

――それは……その言葉は、今までしてきた酷い仕打ちへの償い。そして、これまで見放さないで慕い続けてくれた彼女達への――。

お嬢様「愛しい人よ」

そう告白した。


それを聞いた三人は嬉しさを一杯にして、


ご令嬢「はい! ボクもお嬢様のことが大好きです!」

メイド「嬉しい! 嬉しいわ――お嬢様! 大好き! 愛してる!」


賑やかで、そして幸福に溢れた声を聞き、女奴隷は目を閉じるとお嬢様の手をしっかりと握った。

女奴隷「……大好き。本当の意味で……やっと、言えた……」


女奴隷は静かな笑みをそっと湛えて――。



四人は裸のまま抱き合う。

混ざりあった熱のなかに、繋がりは確かにあって――


彼女達は抱きあったまま、眠りについた。
104 : ◆TEm9zd/GaE [sage saga]:2017/03/30(木) 17:54:53.23 ID:8WFdquEE0
おわり
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 19:53:15.44 ID:dQEvOPLGo
始めがミスで依頼もミスか!!
通信簿に落ち着きが無いって書いちゃうぞ

たいへんよくできました@
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