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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
- 302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 22:39:20.87 ID:d7i5ftzRO
- イツクルカナー
- 303 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/27(月) 23:13:18.70 ID:gsKfkibxo
-
では少しだけ
- 304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 23:14:46.90 ID:1/GNjXy7O
- 待ちくたびれたぜ
- 305 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/28(火) 00:01:35.06 ID:s72PrA1po
-
√ 11月08日目 夜(病院) ※月曜日
安静を言い渡されたものの、治療を終えた友奈が戻ったことで
また、みんなが戻ってくることができた病室
もしかしたら大赦が接触してくるかもしれないという可能性もあったが、
対策を考えているのか、夜になっても来客はなくて。
夏凜「ま、来ないなら来ないで別にいいけど」
東郷「楠さん達に何かが起こってなければいいけれど……そこだけが不安だわ」
勇者と違い、防人は入れ替えを行うことができる
だから、謀反を起こしたに近い芽吹達は処罰を受けることになり
それを行うことでこちら側への接触が遅れているのではないか。と東郷は不安を感じていた
風「替えが利くって言っても優秀ではあるじゃない? そう簡単に抜くことができるわけじゃないと思うわよ?」
樹「でも、罰は受けることになっちゃうと思う」
芽吹達のことを考えて、暗い雰囲気になって行ってしまう中、
一番芽吹のことを分かっているであろう夏凜だけは笑い声をこぼす
夏凜「そこらへんも覚悟のうえで戻ったのよアイツは」
だから。と、
夏凜は自分のベッドわきに置いておいた神樹様の種を持ち出してみんなに見せる
芽吹達が処罰を受けなければいけない理由
そうなるのだとしても託してくれた大切な力
夏凜「私達はこれをどう扱うか考えましょ」
- 306 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/28(火) 00:19:14.40 ID:s72PrA1po
-
風「どう扱うかって言うか……どう使うの。それ」
東郷「見た目は種なのよね。普通に食べるとか……は流石にないかしら」
友奈「噛んだらダメなお薬もあるからどうなんだろう? 逆に噛んだ方がいいのもあるよね」
樹「一番効果が必要な部分に最も効く使い方が良いと思うんですが……」
神樹様の力を借りれば治るかもしれないという考えは持っていたし
それを天乃の体に取り込めばいいということも考えていたが
実際にそれをどう取り込ませればいいのかまでは勇者部には想像もつかなかった
色々考えることはできるが
失敗が許されない以上「とりあえず飲んでみる」というわけにもいかない
風「種ってことは植えるわけだし、おへそに植えてみる?」
天乃私のお腹から木が生えてくるかもね」
東郷「その理論だ――」
園子「わっしー今は、ね?」
東郷「まだ何も言ってない」
何を言うかは分かってるから。と
笑いながら諭す園子に、東郷は違うのにとちょっぴり不服そうに呟く
一通り話し合って扱い方に迷うままであることを改めて確認した風が一息置いて切り込む
風「やっぱり、九尾先生に知恵を借りるしかないわねぇ」
友奈「力を貸してくれるかな……」
- 307 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/28(火) 00:41:45.93 ID:s72PrA1po
-
夏凜「どう?」
不安気な友奈を一瞥した夏凜は天乃の傍で静かに佇む若葉に声をかける
九尾は天乃なんて関係なしに神出鬼没だが、
勇者部がいない間に姿を現したりはせず、今もまだ姿を見せていないのが気掛かりだったのだ
だいじな話をしていると向こうも分かっている以上、
全く聞いていないなどということはないはず
それなら、姿が見えないだけで近くにいるはずなのだが。
若葉「……話が聞こえていないわけではないだろう?」
天乃「いるの?」
若葉の目が夏凜達ではなく、
誰もいない空間へと向けられたことに気づき、天乃が聞くと
若葉は軽く頷いて、何処か呆れたように息を吐く
若葉「神樹様の力をお借りする。ということが気に入らないらしい。なりふり構っていられないことは分かっているみたいだが……」
夏凜「なるほど」
天乃「神樹様の事嫌いだから仕方がないわ」
神聖的な方向での嫌悪感は人が他人を気に食わないと言ったり、嫌いだと言ったりするようなものとは全く違う
聞くだけなら些細なことでつまらない話だと思うかもしれないが、事はそう簡単な話ではない
けれど、九尾にとっての天乃はそれを取り払ってでも救う価値のある少女だった
九尾「妾はそんな矮小な妖怪ではないぞ」
不満を露わにいつもの女性体の姿を見せた九尾は、
天乃の正面、園子側のベッドに腰かけて足を組む
九尾「それを使うのは良いが、子供を産んでからじゃな」
- 308 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/28(火) 01:05:51.53 ID:s72PrA1po
-
神樹様の種を指さした九尾は天乃の方へと目を向けるとベッドから離れ、
膨らんだお腹に優しく触れる
擦るというよりは、その存在を確かめるような手つきだった
東郷「なぜか、聞いても?」
九尾「子供がおるからじゃ。種が成長しようとして力を蓄えた子供から逆に奪う可能性がある」
はっきりと言った九尾だったが、
九尾にも本当にそんなことが起こるのかというのは分からないらしく、
あくまで推測であることを付け加えたうえでさらに続ける
九尾「その場合、子供は確実に衰弱する」
死ぬまではいかなくとも、様々な問題が起こり得ると九尾は言う
九尾の妖怪としての記憶の中には
力を奪う方法こそ違うが、力を奪われた妊婦から生まれた子が衰弱した状態だったり、早産などの問題が起こっていたり
最悪の場合死産だったものがいくつかある
九尾「主様とその子は頑丈じゃからな。死ぬまではいかぬじゃろうが……種を植えるのは産むまで待つべきじゃ」
天乃「それでも間に合うの?」
九尾「主様が無駄に力を消費することがなければ産んだ瞬間に死ぬとまではいかぬはずじゃ」
もちろん、子供を産んだ直後は天乃自身が酷く衰弱している可能性があるため
そこからまた少し経過を見て、少しでも天乃の体調が良くなったときに使うべきだろうと九尾は言った
- 309 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/28(火) 01:12:25.03 ID:s72PrA1po
-
では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「久遠先輩のおへそから木が生えてくるなら」
東郷「下腹部に植えたら立派なものが芽生えるのでは?」
夏凜「木だけどね」
東郷「大丈夫よ夏凜ちゃん。私、受粉するわ!」グッ
夏凜「受精は出来ても受粉は出来ないでしょあんた」
風「違う。そう言う問題じゃない」
- 310 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 01:16:05.78 ID:5oIHm9tWO
- 乙
種の影響で生えるとかいう幸せなファンタジーもありだな!
- 311 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 08:05:44.41 ID:CxQUw7ERO
- 乙
東郷さんの上級者っぷりは相変わらずだなw
それにしても種は手に入れても解決までにはまだまだ道のりは長そうだ
- 312 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 23:20:34.50 ID:5g6qxMg7O
- 子供に影響どうこうの話聞いてると東郷さんじゃないけど子宮に植えるんだろうか
- 313 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/28(火) 23:49:49.08 ID:s72PrA1po
-
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日は19時ころから再開予定になります
- 314 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 23:54:37.16 ID:z77LONUiO
- 乙です
ここ最近遅めで忙しそうだけど応援してるよ
- 315 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 03:42:13.67 ID:PS1jo+/8O
- 乙
実際どんな方法で取り込むのかはきになるな
- 316 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 20:04:42.57 ID:jvDOR49Bo
-
遅くなりましたが、少しずつ
- 317 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 20:54:49.04 ID:jvDOR49Bo
-
夏凜「九尾がそう言うなら、子供がちゃんと生まれるまでは待つしかないけど……結局どう使えばいいの?」
九尾「お主らが使うと考えたものじゃろうに」
東郷「それはそうなのですが……恥ずかしい話、九尾さんには知識でかないませんし」
神樹様の力を用いれば天乃を救えるかもしれないという考えでしかなく、
それをどう扱えばいいのかまで分かるほど完璧な知識を得られるものはない
大赦の協力を得て、何らかの文献を一生分あされば見つかる可能性はあるが
大赦が協力してくれる可能性は低く、
さらに久遠家のような状況に陥ってしまっている一族を救う方法が載っている奇跡に賭けなければならない
風「間違えたくないのよ。だからもちろん、九尾がこれは使うべきじゃないって言うなら使わないことだって検討するわよ」
神樹様の力だから嫌だという理由ではなく
まっとうな理由あっての指摘なら。というものではあるが。
天乃の為になる事である以上、九尾も嘘をついて使わせないという意地悪なことまではしないはずだ
天乃「どう? 使い方、分かる?」
九尾「ふむ……」
風や夏凜の問いかけには呆れた様子を見せるばかりの九尾だったが、
天乃の願うような声は無下には出来なかったのだろう
悩ましく息を吐くと、目を細めた
九尾「種じゃからな。胎内に入れるのが一番よかろう」
天乃「胎内って……胎内?」
九尾「うむ」
- 318 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 21:19:13.61 ID:jvDOR49Bo
-
唖然とした天乃のつぶやきに頷いた九尾は、
夏凜尾手元にある神樹様の種を一瞥すると、恨めしそうに牙をむく
本心では利用したくないという思いが強いのだと、誰が見ても分かる表情で。
しかし、その邪魔をするつもりはないらしい
九尾「種だから。というのは冗談じゃ。理由はほかにある」
園子「道が出来てるから。かな〜」
少しの胃だ黙っていた園子の安心する穏やかな声に夏凜達の目が向けられる中、
九尾だけは「ほう」とどこか面白いものを見つけたように笑う
九尾「そうじゃな。子が主様から力を引き抜く際にできた繋がりは子が産まれてもすぐさま消滅するわけではないからのう。それを利用する」
友奈「久遠先輩の体と神樹様の力が深くつながるってことだよね……久遠先輩が本当の意味で神様になっちゃったりしないかな」
樹「それは流石にないと思いますけど……」
九尾「ないとは限らぬぞ。お主らとて一見ただの人間じゃが、体の一部は神の力を宿した神聖なものじゃろう?」
そして、身体の奥深くから密接につながり合うことになる天乃は
場合によってはその比ではないほどに神聖さに満ち満ちてしまう可能性は大いにあると九尾は言う
最も、天乃はそもそも神樹様とは別種の神聖さに溢れていたため、属性が変わる程度で大きな変化は見られないかもしれないが。
九尾「いずれにしても、使うならば胎内、子が産まれてからじゃな」
別に信じなくともよいが、と九尾は後付けで言うが
真剣に話してくれたのだ、疑うような者はこの場にいなかった
夏凜「なら方針は決まったわね。それで行くわよ」
天乃「神樹様の種はどうするの? 夏凜が隠し持っておく?」
夏凜「万が一の為に近くに置いておいた方がいいし、それでいい?」
夏凜が確認をとると、風達は頷いて答え神樹様の種の保管方法も決まって、ひと段落
なのだが。
風「そういや、どうやって胎内に入れるの? アタシ達押し込めるような棒はついてないけど」
樹「薄々気づいてたけど考えないようにしてたんじゃないかなぁ……」
- 319 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 21:41:54.06 ID:jvDOR49Bo
-
東郷「行為の一種で腕――」
夏凜「子供が産まれてもそれは流石にきついでしょ」
一番小さいであろう樹にそれを任せたとしても
かなりの痛みと苦しみを伴うであろうそんな行為は本当の本当に最終手段でありたいと夏凜は思う
しかし同じ考えだったのだろう
東郷が「そのつもりで言ったのに」と少しだけ悲しそうに呟くと
友奈は困ったように笑みを浮かべた
友奈「なら……お、男の子のそういうのみたいなやつってあるよねっ? それを使ってみたらいいんじゃないかな」
園子「問題はそんな方法で良いのかどうかなんよ。神様の力を使う以上、専用のものが必要かもしれない」
風「神樹様の木を削って作った男性器とか?」
夏凜「祟り殺されそうなことを平気で言うあたり尊敬するわ」
神樹様の種を奪う以上のことはないでしょうよ。と風は平然と言って顔を顰める
神樹様だから未だおとがめなしで済んでいるだけで、
神様次第では確実にたたられるような業の深い罪ばかりを犯しているのだから、今更だ
九尾「それに関しては巫女の力を持つ者が正しく送り込んでやれば問題なかろう」
巫女の力を持つ者と言えば、沙織か東郷、水都だろうか
1、沙織に頼むべきね
2、東郷、出来る?
3、水都さんが協力してくれるなら、その方がいいような気がするわ
4、ここはあえて、亜耶ちゃんにお願いしてみようかしら
↓2
- 320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 21:44:28.06 ID:sw0ARAC6O
- 4
- 321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 21:45:04.20 ID:0Sritqai0
- 1
- 322 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 21:57:24.40 ID:PS1jo+/8O
- 無難だな
- 323 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 22:31:52.70 ID:jvDOR49Bo
-
天乃「なら……沙織」
沙織「えっ?」
天乃「お願いできるかしら?」
沙織「あたしでいいの?」
天乃「沙織が良いの」
自分が選ばれると思っていなかったかのような問いに、天乃は優しく答える
もう一人の選択肢であっただろう東郷は自分ではないことには少し悲しそうな表情を見せたが、
沙織が選ばれたことには納得しているのだろう、文句を言うようなことはなくて
東郷「私は巫女としての鍛錬は積んでいませんから、伊集院先輩が適任かと」
九尾「ふむ……主様の精霊の力も蓄えておるからのう。その分相性もよかろうて」
沙織「嬉しいけど、重要なことだから少し怖いなぁ……」
頼って貰えたことがうれしい
重要なことで自分を選んでくれたことが嬉しい
けれど、責任重大だからこそ怖くて不安だという沙織は
照れ臭そうに困った笑みを浮かべる
沙織「でも、久遠さんのためならあたし頑張るよ」
天乃「ええ。お願いね」
- 324 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 22:57:51.44 ID:jvDOR49Bo
-
園子「とりあえずの方針はこれで決まったかな?」
夏凜「風、まだ何かある?」
風「そんな怒った風に言わなくてよくない?」
別に怒ってないけどと言う夏凜に風は苦笑いを浮かべて、
友奈達を見回して確認をとる
どう扱うのか、いつ扱うのか、だれが扱うのか
必要なことは全て確認し、決めた
ひと段落着いたことを改めて確認した風が頷く
風「大赦のこととか、楠さん達とか。問題はまだあるけど今日のところはゆっくり休みましょ」
東郷「特に友奈ちゃんとそのっち。そのっちはまだいいけれど、友奈ちゃんは怪我したんだから休まないとだめよ?」
友奈「うん、ちゃんと休むから大丈夫だよ」
そうはいっても体の痛みはあるのか
少しだけ顔を顰める友奈に東郷が不安そうな目を向けると
友奈は「大丈夫」と笑顔を返す
園子「良く眠るためにもわっしー布団を所望するんよ」
抱いて〜とジェスチャーをする園子に東郷が困った反応を見せる中、
神樹様の種をしまった夏凜は苦笑しつつ、横目で天乃を見る
多少の被害はこうむってしまったが、犠牲を出さずに済んだからこその雰囲気
それはきっと、防人を犠牲にしても崩れてしまうほど繊細で
夏凜「……上手くやりなさいよ。芽吹」
だからこそ貴いものなのだと夏凜は思って、芽吹を想う
- 325 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 23:09:55.27 ID:jvDOR49Bo
-
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流有(神樹様の種)
・ 犬吠埼風:交流有(神樹様の種)
・ 犬吠埼樹:交流有(神樹様の種)
・ 結城友奈:交流有(神樹様の種)
・ 東郷美森:交流有(神樹様の種)
・ 三好夏凜:交流有(神樹様の種)
・ 乃木若葉:交流有(神樹様の種)
・ 土居球子:交流有(神樹様の種)
・ 白鳥歌野:交流有(神樹様の種)
・ 藤森水都:交流有(神樹様の種)
・ 郡千景:交流有(神樹様の種)
・ 伊集院沙織:交流有(神樹様の種、沙織が良いの)
・ 九尾:交流有(神樹様の種)
・ 神樹:交流有(神樹様の種、反逆)
11月08日目 終了時点
乃木園子との絆 76(高い)
犬吠埼風との絆 102(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 92(とても高い)
結城友奈との絆 111(かなり高い)
東郷美森との絆 121(かなり高い)
三好夏凜との絆 145(最高値)
乃木若葉との絆 97(かなり高い)
土居球子との絆 44(中々良い)
白鳥歌野との絆 43(中々良い)
藤森水都との絆 36(中々良い)
郡千景との絆 45(中々良い)
沙織との絆 124(かなり高い)
九尾との絆 64(高い)
神樹との絆 ??(低い)
- 326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 23:11:16.89 ID:sw0ARAC6O
- おや?神樹様のようすが…?
- 327 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 23:27:18.13 ID:jvDOR49Bo
-
√ 11月09日目 朝(病院) ※火曜日
01〜10
11〜20 千景
21〜30
31〜40
41〜50 大赦
51〜60
61〜70
71〜80 沙織
81〜90
91〜00 九尾
↓1のコンマ
- 328 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 23:28:58.79 ID:sw0ARAC6O
- あ
- 329 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/29(水) 23:45:03.48 ID:jvDOR49Bo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「流石ですね、風先輩」
風「急にどうしたのよ東郷……なんか怖いんだけど」
東郷「いえ、神樹様の木を削って作る男性器という発想は私にもなかったので感服しまして」
風「ほらぁっ! やっぱそういうやつだった!」
東郷「私の貧相な発想ではせいぜい座薬のようにぐにゅりと――」クイクイッ
風「恥じらいながら指動かすのやめろぉッ!」
- 330 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 23:52:11.09 ID:sw0ARAC6O
- 乙
さおりん最近影が薄めだった分久々にターンが回ってきたな
あとこの世界線の東郷さんの惨状を原作の東郷さんに見せたらどうなるんだろうか…w
- 331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/30(木) 00:15:58.73 ID:QJmxWfsoO
- 乙
このあと沙織と二人っきりで話すのもタイムリーだな
- 332 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/31(金) 23:02:37.11 ID:dSCNxW6ro
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/31(金) 23:05:07.32 ID:7vaMC1QbO
- やったぜ
- 334 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/31(金) 23:23:00.72 ID:dSCNxW6ro
-
√ 11月09日目 朝(病院) ※火曜日
窓から入り込んでくる澄んだ陽の光に薄く笑みを浮かべた沙織は、目の前のカーテンを開く
入り込んでくるのは陽の光ではなく、まだ穏やかな寝息を立てる天乃の姿
膨らんだお腹と胸が呼吸によってより大きく膨らんでは萎んでまた膨らむ
まだ生きているのだと良く分かるその光景は誰しもが望むものだった
あと数ヶ月もすれば大きなお腹も小さくなって
そこからさらに数ヶ月もたてば、流石に同じ枕でとはいかないだろうが、
双子の赤ちゃんを愛おしそうに抱きしめる姿が見られることだろう
そして数年後には幼稚園
さらに数年後に小学校そして中学校、高校、大学、成人……そして結婚
これから生まれてくる双子の成長の節目節目の写真、その傍らには母親である天乃がいるはずだ
いや、いなければならないと沙織は思う
沙織「……そうだよ。久遠さん」
死んではいけない。死なせてはいけない
代々続く血族の呪いなんかに屈してしまうわけにはいかない
沙織「久遠さんは生きなきゃいけないんだ」
そのために、自分が選ばれた
神樹様の力を天乃に浸透させる重大な役目を担うことになった
天乃にはああいったが、一夜明けた今でもその緊張感は拭いきれない
早く子供の顔が見たいと思う反面、もう少し心の準備をさせて欲しいと思うほどに。
- 335 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/08/31(金) 23:53:44.31 ID:dSCNxW6ro
-
天乃が沙織が良いと言ってくれた以上
その選択を疑うようなことも反対する様なことも考えたくはない
その信頼に全力で答えてこそ、恋人の一人であると沙織は思うからだ
沙織「だからこそ……」
沙織はそうっと音をたてないように歩みを進めると、
天乃の枕元に立って息を呑む
最近の天乃は非常に鈍さが感じられるが、
流石に大きな音を当てたり、耳元に息を吹きかけたりなどすれば流石に目を覚ましてしまうだろう
沙織「ちょっとくらい、許してくれるよね?」
天乃「すぅ……すぅ……」
沙織「なんて」
勝手にしても、驚くだけで天乃は怒らないだろう
ほんの出来心、欲求不満
神樹様の種を使うときの予行練習
頭に浮かんで止まない言い訳の数々を口にする必要さえなく
きっと「びっくりするじゃない」と、おどけて笑うのだ
沙織「その優しさに、少しだけ」
甘えたいと、沙織は心の中で続きを呟く
- 336 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/01(土) 00:27:48.23 ID:fgqQaTbOo
-
軽く置いた天乃の枕元が小さく軋む
沈んだ分だけ天乃の顔が動いて、沙織の方へと向く
沙織「起きてないよね……?」
確認のために声をかけても、
天乃は目を開けるようなそぶりはなく、呼吸も一定のリズムのままで
沙織はもう少しだけ顔を近づける
前にやられたことで、やろうとしたことで
多少の経験はあるはずなのに、改めて行おうとすると
何処か罪悪感が湧いてきてしまう
ドキドキとする
バレたい好奇心とバレずに終えたい緊張感
その思いのままに、沙織は顔を近づけて――
天乃「…………」
そんな限りなく近い距離にある沙織の存在を、天乃は感じていた
いや、そうなる前から何となく起きてはいたのだが
しっかりと起きるころにはもう、沙織は近かったのだ
1、沙織、何してるの?
2、あえて声をかけない
3、あえて寝相でキスするのが悪戯心
4、沙織……と、寝言を呟く
↓2
- 337 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 00:30:46.96 ID:7o1qCKKd0
- 2
- 338 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 00:31:01.62 ID:sCmYOP1wO
- 2
- 339 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/01(土) 00:48:00.66 ID:fgqQaTbOo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「上に接吻するといつから錯覚していた……?」
須美「貴女が東郷美森だといつから錯覚していた?」
東郷「!?」
須美「神樹様にお呼ばれされてきてみればなんという体たらく! こんな人が未来の自分だと断じて認めません!」
須美「成敗!」
東郷「いやーっ!」
東郷「……という夢を見たの」
園子「理性と本能が戦争してるんよ〜」
- 340 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 00:50:52.39 ID:sCmYOP1wO
- 乙
そういや久遠さんが寝てる沙織にしたことあったな
今回はその逆バージョンで行くとこまでいっちゃうかな?
- 341 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 00:56:35.65 ID:FdXy8/CZO
- 乙
今回は久遠さんの意識があるし折角だからさおりんのテクをこっそり学ぶのもアリかも
- 342 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 02:24:25.89 ID:Fksxb8DC0
- あったなぁ眠姦久遠さん
ある意味沙織の逆襲と言える
- 343 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/01(土) 23:03:59.46 ID:fgqQaTbOo
-
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば17時ころからの再開w予定しています
- 344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 23:07:32.33 ID:PSSzmM1KO
- 乙ですー
夕方再開待ってるよ
- 345 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 00:34:32.66 ID:nnX5k0vbO
- 乙
また明日
- 346 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 17:55:26.08 ID:WQYyebgQo
-
では、少しずつ
- 347 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 18:07:01.13 ID:doC8ntF7O
- 来てたか
- 348 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 19:00:56.47 ID:WQYyebgQo
-
沙織「…………」
沙織は天乃をじっと見つめると、躊躇いがちに距離を詰めていく
目を覚ましているときは普通にしてること
怒られないし許されること
けれど、眠っているという無意識な状態の天乃にするというのは
やっぱり背徳感があって、普通にするよりも少しドキドキとする
沙織「……久遠さん」
もういちど、名前を呼ぶ
それでも天乃の反応がないのを確認した沙織は、
天乃の呼吸の妨げにならないタイミングを見計らって、唇を重ねる
沙織「ん……?」
唇本来の柔らかい肉質と、キスの為の反発力
いつもと変わらないそのキスの感触に沙織はすぐに離れて、眉をひそめて
沙織「久遠さん、起きてる?」
天乃「ん……」
小さく声は漏らすが、呼吸は一定で動きも少ない
瞼が開くこともない
それは確かに寝ているように見えるし感じるのだが、
沙織には何か思うところがあったのだろう
もう一度、「起きてるの?」と声をかけた
- 349 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 19:39:15.09 ID:WQYyebgQo
-
当然ながら寝ているときは無意識だ
それなのに、キスの感覚は起きている時と何も変わらなかった
互いにキスをしようとしている緊張感、それゆえの硬さと柔らかさ
起きているときにあるその感覚が、今のキスにはそのまま感じられたのだ
だから、沙織はもしかしたら天乃は起きているのではないか。と問う
沙織「………」
それでも天乃は反応しない
少しだけ体を動かしはしたものの、寝相と言えるような小さな動きでしかない
起きているのか、寝ているのか
少しだけ不安を感じながらも、
沙織は怪しげな笑みを浮かべると、考えるように自分の手を見つめる
小さな手、戦いに明け暮れた天乃とは違う女の子の手
沙織「寝たふりしてるなら、少しだけ激しくしていいってことだよね?」
だからこそ、女の子相手に悪戯をしやすいと沙織は思う
男の子の手の感覚がどんなものなのかというのは沙織にはわからないが
力不足だからこそ、力加減は絶妙にやりやすい
沙織「三好さんは……もうすぐ起きる。かな」
- 350 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 19:54:08.64 ID:WQYyebgQo
-
時間を確かめて小さく呟く
自分の為ではない、天乃に教えるためだ
本当に寝ているのなら無駄だけれど、寝たふりなのなら良い煽りになるだろう
まずは、布団から少しだけ見えている天乃の手を握る
布団の中にこもった天乃の温もりに温められた小さくも大きな手
学校で見たことのある男の子よりも力強さを感じるその手を握り、愛おしそうに頬ずりする
起きているときは気恥ずかしそうな反応をするだろうけれど、
今なら、そう言う行為も簡単にできる
沙織「最近は、良い感じに女の子らしくなってきた感じがする」
今までは戦いに明け暮れていたこともあって、
ある程度のケアでは±0にすらならずマイナスで若さで保っていた手も
戦いから離れて約三ヶ月
毎日ケアを施しているおかげか以前よりはだいぶましになっていて
沙織は思わず嬉しそうな声を漏らす
沙織「……それじゃ、少しずつだよ」
天乃の右手を掴んだまま、空いた左手で胸の部分の布団を少しだけめくる
一気に布団をはがすのもアリではあるが、季節的にそれは目を覚まさせる可能性が高すぎる
起きている可能性があるとはいえ、流石に、妊婦である天乃にそこまで急激な刺激を与えるのは憚られたのだ
- 351 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 20:53:07.39 ID:WQYyebgQo
-
天乃が着ているのは普通のパジャマではなく患者衣で
妊婦であるがゆえに、再入院になった友奈とも違う種類のものだ
ボタン留めではなく、腰元で紐を縛るでもなく
頭から被るように着るワンピースのようにも見えるそれはっ胸の部分だけ露出させたりと言ったことができない
それが惜しいのか
沙織はちょっぴり残念そうな顔をすると、逡巡の後に胸に触れる
沙織「ちょっとだけ、出るんだよね」
まだ母乳ではない分泌物になるが、
少し刺激するだけで出てくるし、刺激しなくても出てくることがある
だからこそ、その繊細な乳房を優しくマッサージするように小指の先から手首の辺りまでを使って包む形で擦っていく
天乃の場合、まだ未成年かつ双子、かつ特殊な事例ということもあって
医者も困惑してしまっているが、
乳房や乳頭のマッサージに関しては、天乃の体調を見て行うようにとの指示があった
それはもちろん、淫らな行為においても適用される
えっちしたいという欲望に負けて下手に刺激してしまうと
天乃の体だけでなく、母乳にも悪い影響を与えかねない
それだけはしないようにと、慎重に。
沙織「……もう少し、出やすくするね」
- 352 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 21:17:40.27 ID:WQYyebgQo
-
患者衣を汚さないためのブラと、母乳用のパッドに阻まれる感覚
互いの合意の下でやっていれば味わえないその感触は、
あまりいいものとは言えなくて、沙織は少し顔を顰める
脱がすか、忍ばせるか
沙織的には、脱がすことなく攻めていきたいが
せめてパッドだけでも外さなければまともに出来ない
しかし、パッドを外すにはブラを脱がす必要があって
ブラを脱がすには患者衣を脱がさなければならない
沙織「むー……」
まるで貞操帯だと、思った。
もちろんその用途は全く違うしそんな意味もないが、
寝込みを襲う側からしてみれば、満足に楽しませてくれない、先へと進むことを阻む壁だ
沙織「下からは……ちょっとなぁ……」
胸への愛撫を諦め、下腹部にすることは出来るのだが
沙織は不満そうな声を漏らすと、天乃から離れた
- 353 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 21:50:26.40 ID:WQYyebgQo
-
沙織「やっぱり、合意のうえでやるべきなのかな」
清く正しく合意のうえで淫らな行為
……というのかはともかくとして、
やはりちゃんとした下準備はしておくべきなのだと沙織は思う
しかし、今日夜這いするから下着付けないで。なんて言うのもおかしいとは思うのだが。
沙織「寝込みを襲うのは健康な時じゃなきゃダメかな」
妊娠ではなく風邪などの病気の時だってそうだ
下手に疲弊させたり脱がせたりすると
余計に悪化してしまうことだってある
沙織「まぁ……風邪は……」
ちらりと天乃の唇を見つめた沙織は、
最後にもう一度だけ。と呟きながらキスをする
沙織「移しちゃえば、治るけどね」
いっそキスで妊娠できたらいいのに
そんな冗談であり、半ば本心であることをぼやきながら、
沙織は天乃の傍らで息を吐くと
沙織「久遠さん、本当は起きてるよね」
天乃「…………」
沙織「……えっち」
本当に起きていると気付いているのか気づいていないのか
冗談めかした声で、そう囁いた
- 354 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 21:57:24.63 ID:WQYyebgQo
-
√ 11月09日目 昼(病院) ※火曜日
01〜10
11〜20 千景
21〜30
31〜40 大赦
41〜50 友奈
51〜60
61〜70
71〜80 沙織
81〜90
91〜00 九尾
↓1のコンマ
- 355 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 22:00:57.95 ID:doC8ntF7O
- あ
- 356 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/09/02(日) 22:23:50.09 ID:WQYyebgQo
-
少し早いですが本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から行いますが場合によっては、一日おきの投稿になる可能性もあります
その場合は、改めてお知らせいたします
東郷「下着やパッドが邪魔……なにを当たり前なことを言っているんですか」
東郷「お店で売られているお弁当が蓋もなにもされずに販売されていますか?」
東郷「そして外さないまま食べられますか?」
東郷「それと同じことですよ、伊集院先輩」
沙織「それだと久遠さんが売られているってことになるけど良いのかな……」
東郷「一見お断りの勇者部専用店なので平気です」
夏凜「何言ってんのあんた」
- 357 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 22:38:38.93 ID:doC8ntF7O
- 乙
とうとう隔日投稿の可能性アリか…続きが気になって一日が長く感じてしまうなぁ
それにしてもいつの間にかさおりんさえも超える変態淑女と化してる東郷せんせー恐るべし…
- 358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 22:46:25.38 ID:ip61LvL80
- 乙
さおりんって実際の行為をする時意外と冷静だよね
- 359 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/03(月) 00:24:12.99 ID:YYZy6sBjO
- 乙
出産後はまたやること多くて忙しくなりそうだな
- 360 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 07:37:30.13 ID:/4s5gcfGO
- おう?
- 361 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/10/15(月) 21:15:21.82 ID:/+EsBTrho
-
テスト
- 362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 00:52:19.31 ID:KltOSUn20
- ガタッ
- 363 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:01:17.64 ID:V6UQfTqTo
-
※移転準備
仮スレ投稿内容を流していきます
- 364 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:02:13.71 ID:V6UQfTqTo
-
√ 11月09日目 昼(病院) ※火曜日
天乃「天気……悪くなってきたわね」
朝は晴れていた空がだんだんと暗くなっていく
どんよりとした灰色の雲が太陽を覆い隠して、雨が降る一歩手前のような空模様へと変わったかと思えば、
ぽつりぽつりと、粒が窓を打ち始める
九尾「それは妾に問うておるのかや?」
天乃「独り言よ」
九尾「つれないのう」
寂しげな声を漏らす九尾へと目を向けた天乃は
九尾のすぐそばにある神樹様の種の入った棚へと目を移して、また九尾へと目を向ける
天乃「何かあったの?」
九尾「妾が現れたからと言って何かがあるわけでもないが」
天乃「でも、何かあるから来るのが貴女でしょう?」
天乃の伺うような視線に九尾は怪しく笑って見せると、
棚へと腰かけて、天乃のことを見下ろす
九尾「くふふっ、間違ってはおらんのう」
天乃「……何があったの?」
- 365 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:03:13.97 ID:V6UQfTqTo
-
繰り返して訪ねてくる主人を、
精霊である九尾はじっと見つめ返すだけで、口を開かない
いうべきかどうか考えているというよりも、
わざと焦らそうとしているかのような表情を九尾は見せる
天乃「言えないようなこと?」
九尾「言えないわけではないが」
天乃「何か、問題があったのね?」
九尾「ふむ……」
今度こそ考える素振りを見せた九尾の視線が、
腰かけた棚へと落ちていったのを見て、天乃は眉を顰める
神樹様の種による悪い影響があったのか
それともそれがないことでやっぱり、防人に悪いことがあったのか。
後者であっても大赦による処罰という程度であれば問題ないが、
樹海で何かがあったとなれば重大だ
天乃「神樹様の種が関係しているの?」
- 366 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:04:51.84 ID:V6UQfTqTo
-
九尾「直接的な関係はないのう」
そう答えた九尾はふっと息を吐くと、
冗談めかした雰囲気を払拭する表情で棚から目をそらす
九尾「主様も想像はついているじゃろうが、防人に関してのことじゃな」
天乃「大赦は?」
九尾「関係あるといえばあるが、ないといえばない」
天乃「曖昧ね……」
小さくつぶやき、考える
さらに追及すれば、九尾は真実を語るだろう
だが、追及しなければ、
九尾はその何かを語ることはないだろう
天乃に直接関係なく、天乃に影響がないと考えるからこその秘密
あるいは、それを伝えることで天乃が何らかの行動を起こしてしまうからこその秘匿
天乃「…………」
【1、追及する 2、追及しない 3、ねぇ、それはどれくらい危ないこと?】
※1で進行
- 367 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:05:31.22 ID:V6UQfTqTo
-
天乃「九尾、話して」
九尾「ふむ……むぅ」
天乃「九尾」
珍しく追及されても渋った九尾だったが、
このまま渋っても追及から逃れるには消えてしまうくらいしか道はないだろうと考えたのか、
あるいは、やはり主人は主人だと考えたのか
浮かべた笑みは困ったようで、どこかうれしさを感じさせるもので。
九尾「結界の外の動きが慌ただしくなってきておる」
天乃「……じゃぁ、今の天気も?」
九尾「無関係ではなかろう。外の激しさに結界が押し負けて介入されておるのじゃろうな」
天乃「神樹様の種を奪ったから?」
九尾「それで神樹が弱ったわけではないからのう。間接的には関係あるやもしれぬが」
だから、さっき聞いた時も間接的と答えたのだろう
九尾は少し考えて
九尾「じゃから、向こうに出ていくことのある防人も無関係ではない」
隠さずに答えた
- 368 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:06:27.07 ID:V6UQfTqTo
-
天乃「今すぐ何かある可能性は?」
九尾「無きにしも非ず。じゃな」
天乃「まさか、防人のみんなを調査に出させたりするわけじゃないわよね?」
九尾「同じ異常は人間の観測班も感じておはずじゃ」
そこでどう動くかが問題になってくる
とりあえずは。と調査をさせに行くか、
この異常事態を見逃さずに対策を考えてから打って出ていくのか
悠長に考えている時間がないと考えれば
先に打って出ていく可能性は低くはない
神樹様の種の予備を用いて一気に攻めていくことだって
結界の中に介入されている可能性がある現状ではありえない話ではない
天乃「貴女ならどう動く?」
九尾「妾なら調査に出させるじゃろうな。未来のための犠牲は目をつむるべきじゃ」
天乃「…………」
九尾「大赦の防人に対する考え方次第じゃろう」
- 369 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:09:02.32 ID:V6UQfTqTo
-
大赦が九尾のように犠牲もやむなしという考え方ならば
一度は調査に出向かせることだろう
そこで何かがあればその対策を考えるだろうし、
何もなければ今までの予定通りに動くかもしれない
九尾「防人に連絡は……難しいじゃろうな」
天乃「どうして? 連絡先なら――」
九尾「神樹の力を奪い与えたような奴らの関係を絶たぬ理由はないじゃろうな」
同じような理由から、
天乃たちが危険であることを伝えたのだとしても
それを真摯に受け取ってくれる可能性は低い
むしろ、天乃が危険だという方向に進む可能性さえある
天乃「そこまでだなんて考えたくはないんだけど」
九尾「主様は神樹を腐らせると嫌われておるからのう。仕方がない」
- 370 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:10:20.26 ID:V6UQfTqTo
-
くつくつと笑う九尾の一方
、
不安を隠しきれない天乃は深く考え込む
素早く手を打たなければならないが、自分たちの声は届かないという
なら、どうしたらいいというのか
天乃「防人のみんなのことも助けたいわ」
九尾「ふむ……主様がそれを望んでおることは知っておるが……」
九尾は言うべきか迷ったのか中途半端に口を閉ざすと、
天乃のことを悲しげに見つめる
九尾の考えの中ではどうしようもない道があるということなのかもしれない
九尾「防人……いや、巫女の一人や二人は見捨てるしかなかろう」
天乃「巫女……?」
九尾「あの頃。そう、奉火祭を行った頃に似通ってきておる」
天乃「それって、いけにえになる子がいるってことよね? そんなの――」
九尾「防人の犠牲云々に限らず、諦める必要も出てくるやもしれぬ」
でなければ余計に被害が増える可能性もある
九尾はそう告げると、不安に苛まれて考え込む天乃の姿を視界から消す
こればかりは冗談ではない
本当に、そうする以外にはない可能性があるのだ
神樹様の種のような裏技もあるかもしれないが
相当に荒業で危険な行為になるだろうと、九尾は考えていた
- 371 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 20:36:05.98 ID:V6UQfTqTo
-
√ 11月09日目 夕(病院) ※火曜日
風達勇者部は午後に行う予定だったボランティアが中止になったこともあって、
普段よりもだいぶ早く病院へと帰ってきていた
土砂降りになった雨が打ち付ける窓から見える景色は歪んでおり
まるで、別世界のようにさえ感じられる
風「いやぁ……こういう時は大赦様様だって思うわぁ」
東郷「現金ですね、風先輩は」
沙織「でも実際、大赦による送迎がなかったったらこの雨の中下着をさらすことになってたよね」
友奈「部室で待つのは……」
沙織「現実的じゃない。かな」
茶化すような口調ながら、
少しまじめに答えた沙織の横でタロットカードをめくった樹は
そうですね。と小さくつぶやく
樹「雨は、しばらくやみそうにはないです」
樹が見せたのは塔の正位置
いい結果とはいえないものだった
- 372 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 21:29:05.41 ID:V6UQfTqTo
-
少なくとも、この雨が止むことはないだろう
風達三年生が体育で外に出ている時間に急激に崩れ、振り出した大雨
天気予報ですら大外れした夕立でさえない豪雨を目の当たりにした学校の生徒たちが口にした不安の声が、
沙織の胸の中に渦巻く
園子「……神樹様の結界が弱って外の影響を受けてきてるかもしれない」
沙織「もうすぐ、何か手を打たなければいけなくなるかもしれないね」
風「そうは言ったって……あたしたちにできることなんてそう多くないのよねぇ」
天乃の神樹様と天の神分け隔てなく穢れさせてしまう力が完全に扱えるのならば話も変わるかもしれないが、
その一端を夏凜が扱えるには使えるが、血反吐を吐いて最悪絶命することになるだけだろう
それで世界を救ったところで意味はない
夏凜「そこは大赦がどう動くのかも重要になってくるわね」
東郷「もう一度種をまきに行くのかそれとも別の道を選ぶのか……なんだか、いやな予感がするわ」
友奈「いやな予感?」
東郷「うん。抽象的な言い方になっちゃうけど、とてもよくないことが起こりそうな気がする」
東郷の言葉に、病室の扉を開けようとした風の手が止まって振り返る
園子「もしかしたら、わっしーの巫女としての何かが警笛を鳴らしてるのかもしれない」
沙織「……そうだね。あたしも。こう、もやもやする感じがあるから。その可能性もある」
- 373 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/20(土) 21:29:32.93 ID:V6UQfTqTo
-
鬱屈とした雰囲気を感じ取ってか、
友奈はちょっぴり唇を震わせてかみしめると、
笑みを浮かべて、前へと進み出る
友奈「神樹様も少し寝ぼけちゃって力が緩んじゃっただけかもしれないし、とりあえず中に入ろうっ?」
夏凜「さすがにそれは無理があるでしょ」
いやな考えを改めたいという思いがあってのことだろうが、
無理のありすぎる友奈の言葉に夏凜が笑い、みんなが苦笑する
友奈が考えなしに適当んことを言っているのではなく
一応は考えて、可能性がありそうなことを言ってくれているのをわかっているからだ
沙織「とにかく、中にはいろっか。久遠さんも雨がふってるから心配してるだろうしね」
園子「そうだね……たっだいま〜!」
夏凜「ちょっ」
話が終わったからと我先に扉をあけ放って飛び込んでいく園子
そのあとを追いかけて、勇者部のみんなが駆け込んでいく
天乃「病院の中なんだから、静かにしなさーい」
安全に帰ってきた勇者部の面々の姿を見て、
天乃の優しいお叱りの声が騒がしさに満ちていく病室に漂う
天乃「……風、少しいいかしら」
ただ一人
勇者部の部長を担っている風だけには、緊張感のある声を投げかけた
- 374 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:17:54.48 ID:2A8lxSWxo
-
風「……何かあった?」
天乃「雨は大丈夫だった? 時間的に体育だったでしょ?」
風「んーまぁ結構大変なことになったけど大丈夫っていえば大丈夫」
体操服が大変なことになって
見えてしまうような女子生徒も多くいて
それで男子生徒の喜びの声と女子の怒り
良くも悪くも楽しいイベントのようなものが巻き起こったと風は笑いながら話す
もちろん、女子としては全く楽しくはなかったが。
非日常を知る風としては、そんな細やかな男子生徒たちへのご褒美も
日常の一端としては悪いとも言い切れなかった
風「それで?」
天乃「…………」
風「大赦が接触してきた? やっぱり、神樹様の種を返せとか?」
天乃「ううん。大赦はまだ接触してきてない」
接触しても無駄だと思われているだけならいいが
そんな余裕さえもないほどに切迫している可能性さえ、ある
【1、大赦に連絡を取ってみてくれない? 2、九尾から話があってね。外が危ないって
3、防人のみんな……連絡を取ることはできたりする? 4、ねぇ、風。貴女達に大赦は接触してきたりしてない?】
※2で進行
- 375 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:18:53.60 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「九尾から話があったのよ。外の件でね」
風「バーテックス?」
天乃「その可能性もある……けど、それよりもひどい状況になっていってるみたい」
バーテックスが出現する可能性もあるが、
それ以前に過熱していく結界の外の熱量
むしばまれていく結界はその力が弱ってしまっているせいで抑えきれず、
ついぞ現実の世界にまで影響を及ぼし始めており
それを抑えるために大赦が行う可能性があるのは二つ
天乃「一つは、防人のみんなによる結界外の調査」
風「危険な状況になっているっていうのに?」
天乃「だからこそ、打つ手を誤らないために調査させる可能性があるのよ」
そしてもう一つ。と、天乃はつづけた
天乃「巫女を用いた奉火祭」
風「奉火祭?」
天乃「簡単に言えば、生贄よ」
どれだけの規模になってしまうのかは不確かだが
一人二人の規模で済ませることは難しいだろう
天乃「巫女の魂を捧げることで神様の怒りを鎮めるの」
風「っ……そんなこと許せるわけがない」
- 376 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:22:00.36 ID:2A8lxSWxo
-
強く出かけた声と体を押しとどめてこらえた表情を見せる風に、
天乃は冷静な目を向けて頷く
風がそんな反応を見せるのは分かっていたし
勇者部の誰に言っても肯定する子がいないことは分かっていたことだった
天乃「地質調査だって同じ。無事じゃすまないとわかりきってる今行わせるのは嫌だわ」
風「そりゃ……ねぇ。それで? 何か手を考えた?」
天乃「考えたいし手を打ちたいけれど、防人を危険な目に合わせない代わりにみんなが危険な目にあうことになるわ」
風「そのくらい気にすることじゃない。なんて、そう考えられたら苦労しないわよね」
天乃「…………」
だが、防人のみんなの負担を肩代わりしてもらうのならば、
ある程度の被害は覚悟していなければならない
いや、していなければそんな指示など出してはいけない
風「それで、大赦はどっちに動く可能性があるって?」
天乃「全然わからないのよ。接触してこないし、防人のみんなからの連絡もないから」
風「なら、あたしたちから連絡を取ってみるってことで良い?」
交渉することになった場合、
神樹様の種を持ち出されることになるかもしれないが。
【1、久遠家の名前を出してもいいから、聞いてみて 2、ううん。そこは巫女の沙織にお願いしてみるわ
3、下手に動くと悪い方向に進みそうだからここはひとまずみんなでいろいろと考えてみない?
4、ねぇ。神樹様の種が正しく使われていた場合の続く作戦を覚えてる?】
※3で進行
- 377 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:24:35.91 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「そうねぇ……」
天乃は少し考えて息を吐くようにつぶやくと、
手元に向いていた視線を風へと向ける
天乃「下手に動くと悪い方向に進みそうだから、一先ずみんなで考えてみない?」
風「一理ある」
天乃「決まりね。そしたらさっそくだけど、夜にでもみんなで話し合いましょう」
風「善は急げっていうし。とはいえ……まず間違いなく勇者が行くべきだって話が出るわよ?」
天乃「ある程度の覚悟はしているわ」
少なくとも、友奈が我先にと言い出して
夏凜か東郷がその難しさを語る流れになるだろうと天乃は思う
だから、はい勇者で視察に行きましょうと一直線に決まることはないはずだ
少なくとも、夏凜が冷静に考えてくれるのならばそんな事態には陥らないだろう
天乃「問題は楠さん達防人が危険な立場にあるってところよね」
風「加えて生贄が必要っていう奉火祭があること。これは超ネックだわ」
天乃「夏凜……ううん、東郷や園子ならそれがどんな話に発展するかも察しが付くと思うから」
風「?」
天乃「少し騒がしくなるかもしれないけど……まとめをよろしくね? 部長」
風「時期的に元部長になる予定なんだけど。ま、今はまだ仕方ないか」
余裕ができたら次の部長を任命しましょ。と、風は冗談めかした笑みを浮かべながら言った
- 378 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:29:26.84 ID:2A8lxSWxo
-
√ 11月09日目 夜(病院) ※火曜日
沙織「ごめんね久遠さん、何か話し合いするって言ってたのに」
天乃「それでも呼んだんだもの。それ相応の話があるってことでしょう?」
夜になって、天乃たちがいざ話し合いをしようという話になったところで、
二人きりで話したいことがある。と。沙織が天乃のことを連れ出したのだ
告白するされるなんて言う冗談も関係ない仲の二人
沙織が話し合いを遮ったということもあって、
風もほかの有藪の誰も止めずに送り出してくれたし、
連れ出された天乃も、沙織に対しての文句は一つもなかった
むしろ、天乃第一の沙織が連れ出したということが気がかりでさえあった
天乃「何か問題があったの?」
沙織「まだ大赦は接触してきてない。けど、久遠さんはもう察しがついてることだよ」
天乃「結界の外の話?」
沙織「うん。あたしも一応精霊としての繋がりがあるからね。その話は通ってきてたから」
天乃「連絡を取ったの?」
沙織「大赦には取ってないよ? 同じような理由でお母さんたちにも連絡はしてない。でも、ちょっとした関係者に話を聞いてみたんだ」
沙織は苦笑いを浮かべながら慌てた否定を繰り返すと、息を飲み、
とても真剣な面持ちで口を開いた
沙織「大赦内部では、調査に出るという手段に出る可能性は薄いらしい」
- 379 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:31:24.19 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「それをしないっていうことは、まさか……奉火祭を行うの?」
沙織「その場しのぎとして。ね」
天乃の問いかけるような声にうなづいた沙織は嫌悪感のにじむ声でつぶやくと、目をつむる
あまり考えたくはないことだが、
そのような流れになろうとしているのは現実であり、最も可能性が高い
というのも、
壁画委調査に出て最善策を考えるといっても
刻一刻と弱っていく神樹様に対し、強まる天の神の力
悠長に調査して考えて。などという時間はまずないといっても過言ではない
ならばどうするかと考えて出てくる選択肢は一つ
奉火祭を行うことによる時間稼ぎだ
怒り狂う神を完全に鎮めることは、もう不可能に近いだろう
それでも、300年前にも行った奉火祭を行い願う
どうか怒りを鎮めてくださいと、言葉通り神頼みをするのだ
沙織「人が誓いを破っておきながら、またしないと人が願う。あまりにもおかしな話だよね。少なくとも、妖怪なら信じない」
天乃「九尾だったら、間違いなくふざけないでと怒るでしょうね」
沙織「だから、こんな話が出てくるんだよ」
そういった沙織は、誰かが聞き耳を立てていないかとあたりを見渡し、
二人きりのはずの使われていない病室が保たれていることを確認し、天乃へと向き直る
沙織「反抗するための力、それを行使する勇者を捧げるべきではないか。ってね」
- 380 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:34:04.92 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「ゆっ――」
沙織「分かるよね」
二度目の奉火祭は人間側が誓いを破り、戦いに打って出たことに対する怒りを鎮めるためのものだ
そんな裏切り対する怒りへの許しは、
それこそ、反抗してきた勇者の末代までを差し出したりでもしない限り認めてはもらえないかもしれない
だが、そんなことをしたら希望が潰えてしまう
沙織「そこで話が出ているのが、半神、乃木園子。巫女を兼ねる天才、東郷美森。そして……神の敵、久遠天乃」
天乃「…………」
沙織「この三人の中から一人差し出すことで、どうにか抑えて貰えないだろうか。という話になってきてる」
沙織の三本の指が立ち、折れていく
残った部分は薬指、沙織が天乃の名前を当てたところだ
沙織「この中で一番可能性があるのが、久遠さんだよ」
天乃「……妥当な判断ね」
沙織「冗談じゃないんだよ……大赦は本気だ」
天乃は久遠家として神に対抗するための強い力をもっているが
その力の大部分は今胎に宿っている双子の子供に譲渡されている
つまり、その子が生まれた後の天乃は出がらしも同然ということになる
それは、【もっとも利益の出る損失】ということでもあるのだ
- 381 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:34:46.61 ID:2A8lxSWxo
-
沙織「でも、それは人の考えでしかない」
天乃「神様の考えは違うって?」
沙織「久遠さんは毒でもあるからね。神様は毒りんごだと判断する可能性もあるんだ」
天乃「なら、本当に可能性があるのは誰なの? 園子? 東郷?」
沙織「どちらかといえば、東郷さんだよ。満開のおかげで神に近く、巫女と勇者の力を持っている選ばれた子」
天乃「……決行の日は?」
沙織「まだわからない」
というのも、勇者を差し出すか巫女を差し出すか
その答えはまだ出ていないからだ
だから、無駄に刺激することになるだろう防人による調査が行われることはない
そして、考えて考えて、行動に移すことだろう
であれば……
天乃「来月?」
沙織「そうだね。長すぎず短すぎない半月程度の時間。そこで答えを出すかもしれない」
天乃「覚悟は……決めるべきことじゃない」
沙織「そういうと、思ってたよ」
沙織は嬉しそうな声で笑う
しかし、難しい表情は相変わらずだった
沙織「相当厳しいことになるとは思う。あたしたちでは……きっと、簡単じゃないよ」
- 382 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:37:44.90 ID:2A8lxSWxo
-
√ 11月09日目 夜(病院) ※火曜日
天乃「待たせてごめんね」
夏凜「いや、そっちも……大切な話だったんでしょ?」
話を終えてみんながいる病室へと戻ってきた二人
話し合いをすると言って場を離れてしまった謝罪を述べる天乃に、
夏凜は沙織を一瞥しながら答える
天乃は笑っているが、いつもの明るさはないし、
沙織に関してもいい話をしたという感じではないのが夏凜にはわかりやすかった
もっとも、病室から離れたという時点で
いい話をしたわけがないのだが。
東郷「久遠先輩が話し合う内容に関して。ですよね?」
天乃「ええ」
風「だろうと思って、あたしがさっき天乃から聞いた話に関しては伝えておいたわよ」
樹「防人のみなさんが危険な目にあわされるかもしれないこと、奉火祭っていう儀式を行うこと。お姉ちゃんから聞きました」
風も、樹も、東郷も
みんなが真剣な表情で
そして、誰一人として「本当なんですか?」という常套句を述べようとはしなかった
友奈「……一応、久遠先輩と伊集院先輩がいない間に私たちでもいろいろ考えたんです」
- 383 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:40:38.27 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「なるほどね」
友奈「それでっ……その……」
東郷「そこで、一つ気になったことがありまして」
友奈「東郷さんっ」
言い出そうとして、言い出せない
けれど、表情で物語る友奈を横目に東郷は言葉を投げかけて
止めようとする友奈の声を聞き流す
東郷「この奉火祭ですが、本当に捧げられるのは巫女なのでしょうか?」
いえ。と、続く
東郷「巫女だけで済むのでしょうか?」
沙織「大体の予想はついてそうな言い方だね。東郷さん」
夏凜「種を使った土地開放の結末を考えれば予想できないことでもないでしょ」
樹「こんな言い方はしたくないですけど、大赦にとっては……久遠先輩を差し出すことが一石二鳥なのではないかと」
風から話を聞き、
事前に話し合って考えついた答えはそれだった
大赦は何を差し出すのか。何をしようというのか
そう考えたら、そうなってしまった
むしろ、自分たちの安直な考え方で思いついたのだから。
大人らしくもっと小難しく考えて別の答えを出してはくれないかと思ってしまう
- 384 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:41:57.96 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「みんなは、そのけっ――」
友奈「嫌です! 絶対に……嫌です」
天乃「…………」
唇をかみしめ、強く言い放つ友奈の表情には余裕がなかった
きっと、風達との話し合いでさんざん希望を述べたのだろう
免れる可能性を必死に考えて述べて、それでもたたき伏せられてしまったのだろう
けれど、それでも認めたくはないのだ
友奈「今までだって、危ないことがあったけど何とかなったんだから。今回だって、きっと……」
風「正直、今回ばかりはさすがのあたしも希望があるだなんて理想を抱くのは簡単じゃないって思ってる」
だからと言ってあきらめるつもりは毛頭ないけど。と
風は場の雰囲気に似付かわしくない笑みを浮かべながら言う
風「だからいろいろと考えてたってわけ。かな〜り希望的観測も含めてね」
天乃「あまり、変な提案されても冗談にしかならないというか。冗談にもならないわよ?」
東郷「そのあたりは、私が真剣に考えているという点で信頼していただければと思います」
夏凜「あんたの真剣は真剣で不安になるでしょ」
園子「わっしーの真剣は鞘に収まってるから大丈夫なんよ〜……たぶん」
樹「それは……意味が変わっちゃうような」
- 385 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:46:45.92 ID:2A8lxSWxo
-
園子の元気な発言に対して困った表情を浮かべる樹
いつもと変わらないようで、歪に感じてしまうのは
無理やりに明るく話し合おうとしているからかもしれない
希望的観測で増量したということは
そうしなければ、
まったくと言っていいほどに悪いことしか考えられなかったということでもあるのだ
風「一つ、これは園子の話だけど。八岐大蛇の話って知ってる?」
天乃「ええ、多少なら」
風「それと同じように、相手を油断させておびき寄せて奇襲を仕掛ける手はずかもしれないってやつ」
園子「時間をかけすぎても神樹様の力は弱り、加護も得られなくなっていく。なら、一気に畳みかけようとするかもしれないからね」
東郷「私もこれに関しては捨てきれない策ではないかと思います。ただ問題は……怒り狂っている今、それを行う利点があるのか。という点です」
騙せる保証はない
そして、力の増した天の神相手に主力を捨てた力で太刀打ちできるのか
諸問題は残っているが……
風「逆に、ここで一攫千金を狙うために天乃は対象外になって巫女を犠牲……いや、囮として使う方向で話が進むんじゃないかってこともありえなくはない」
- 386 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:49:23.35 ID:2A8lxSWxo
-
夏凜「とはいえ、それじゃ何の問題解決にもならないし耐性のない巫女なんて囮にしたら即死もあり得るでしょ?」
天乃「そうね。沙織みたいな子ならともかく、普通の巫女に今の結界の外は厳しすぎると思うわ」
今回の奉火祭がどのような形で行われるのかはわからないし
あの劫火の中に投じられるというのであれば、
神樹様の力を借りることができない巫女ではすぐに燃え尽きてしまうことだろう
東郷「そこで一つ……提案が」
天乃「提案……ね」
東郷「はい」
満面の笑みを浮かべる東郷の一方で浮かない表情のままの友奈
その時点で想像が付いた天乃は、
あえて察したことを悟らせるように目を向けた
東郷「お察しの通りです久遠先輩。この囮、私に任せては頂けませんか?」
天乃「理由は?」
東郷「巫女の素質があるほか、満開によって半神となっていますし、なにより勇者としての力で耐性もあります。囮役には十分かと」
【1、駄目ね。却下よ 2、それなら毒を撒くことができる私が適任だと思わない? 異論は?
3、それで? 東郷のこの提案以外に何かないの? 4、それで本当に無事終えられるという保証はあるの?
5、決定するには早計だと思わない? まだ一日もたっていないのよ?】
※2で進行
- 387 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:53:27.56 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「それなら、毒を撒くことのできる私のほうが適任だと思わない?」
友奈「っ」
天乃「異論はある?」
東郷「そうですね……」
少し考えた返答に驚く友奈を一瞥した天乃は、
あくまで冷静さを保ったまま東郷へと目を向ける
沙織と話していたから
東郷がそういう子だと分かっていたからというのもあるかもしれないが、
それだけでなく、不思議と落ち着いていられた
東郷「久遠先輩はまだ子供を産んでいませんし、それが来月来るかという保証もありませんから。無理はさせられません」
風「さも当たり前のように天乃が囮になる前提って話はともかく。東郷の言う通りよ天乃。却下」
夏凜「仮に子供を産んだとしても、すぐに万全になれるわけじゃないでしょ? あんた」
そもそも、
子供を産んだ後には神樹様の種を用いた儀式に似た行為を行う必要があるのだ
それを行った後にはまた、天乃の体には副作用といってもいい影響が出てくるだろし
体を癒す時間だって必要になってくる
そういった産後対応を疎かに囮になどしたら、耐性など関係なく殺されてしまう可能性は高い
園子「確かに、能力的な意味では天さんが適任なんよ。でも、それ以外を含めたら一番不適切じゃないかな?」
天乃「なるほどね……悔しいけれど一理あるわ」
沙織「一理どころか百理も万理もあるよね」
- 388 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:54:50.60 ID:2A8lxSWxo
-
樹「ですが、できれば東郷先輩の囮もなく済ませたいです」
風「言っても……実際に話が来たわけじゃないから未定だけど、勇者じゃなければ巫女が出るのは確定なわけだし」
そういった風は、沙織へと目を向ける
風「沙織なら多少カバーできるかもしれないけど、天乃の件があるから沙織を差し出すわけにはいかない」
夏凜「だとしたら大勢の巫女か東郷かで考えれば東郷になるのも仕方ないっていえば仕方がないわけ」
友奈「でも、東郷さんが絶対に帰ってこられるって決まったわけじゃないんだよ?」
夏凜「…………」
前向きな提案をしてくれるだろう友奈の後退りするような言葉に、
病室の空気は張りつめて、沈黙が漂う
ただ少し、夏凜のため息のようなものだけが聞こえた
東郷「友奈ちゃんは、助けられないって思うの?」
友奈「そんなことない! 東郷さんのことも、久遠先輩のことも助けるよ! 絶対、何があっても、何をしてでも」
でもっ。と、
普段は明るい、友奈の悲痛な声が大きく響く
友奈「助けるって言ったら、東郷さんが危ない目にあうって思うと……言いたくない」
園子「ゆーゆ……」
風「そうね……助けられるから安心してマグマに飛び込んでなんて、言いたくはない」
夏凜「けど――」
樹「友奈さんとは違うかもしれないですけど、私もできたら違う道を選びたいと思います」
- 389 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:57:33.33 ID:2A8lxSWxo
-
風「樹まで……」
天乃と沙織がいない間の話し合いでは、
そこまで話し合わなかったのか、話し合いきれなかったのか
それとも、ただ樹や友奈の口数が少なかったのか
驚きを見せる風に対して、樹は「ごめんね」と苦笑いを浮かべる
樹「やっぱり、東郷先輩を囮にして天の神を騙しても時間稼ぎにしかならないと思うんです。だから、できたらそんな危ないことしない方法を選びたいです」
夏凜「それは無理だって話あったでしょ」
天乃「無理だって一概に決めつけるのは早計だと思うけどね」
しかし、ほぼほぼ不可能だろうと天乃は思う
仮にできたとしても
無茶をすることにはなるし、危険な目にあうことはきっと避けることはできない
というのも、今の状況から脱するために大赦は行動を開始するが
それを阻止するということは、それが行われる前に勇者部は動かなければいけないということになる
つまり、強くなっている天の神に対し、
最悪、準備不足の状態で戦わなければならなくなるかもしれないのだ
天乃「理想は樹や友奈が考えているように、囮無しに終わらせることだけど……難しいわね」
園子「大赦も嫌がらせとか意地悪でこんなことを考えてるわけじゃないんよ」
- 390 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 09:58:51.80 ID:2A8lxSWxo
-
天乃対しては結構意地悪な考えを持つことが多いが、
今回に限って言えば、そんな考えはほとんどないはずだ
まじめに考えて
何が最小限の犠牲で納めることができるのか
それを考えてくるだろうと園子は言う
そしてだからこそ、勇者や天乃に声がかかる可能性があるのだと。
風「……それじゃ、東郷。提案は断られたわけだしとりあえずはいい?」
東郷「仕方がないですね」
残念そうに答えた東郷へと目を向けた風は、
応えるように眉をひそめた笑みを浮かべると、ほかのみんなを見渡す
風「東郷と天乃が一番可能性は高いけど、誰に大赦の話が来ても一先ず保留にして詳細を話し合うこと。良い? 単独行動は絶対にするんじゃないわよ」
夏凜「ま、私たちの目的的にそんなことするような奴はいないでしょ」
沙織「久遠さんの場合、万全だったらやりかねないけどね」
天乃「しないから大丈夫よ。今万全でもね」
不自由になって、傷ついて、
勇者部のみんなと様々なかかわりを持って、学んで
今はもう、一人で無茶をすることはないと
天乃は少しだけ自信をもって言える
風「その点は信頼してる。今回のことだって、先に話してくれたわけだし」
嬉しそうに笑う風の一方で、
全員が笑みを浮かべることができたわけではないことを、天乃は見逃さなかった
- 391 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:00:33.59 ID:2A8lxSWxo
-
√11月10日 朝(病院)※水曜日
天乃「……銀の誕生日なのにね」
天乃にとって、三ノ輪家にとって
そして、鷲尾須美や乃木園子にとって太陽にも等しい存在だった銀の誕生日
祝うべき相手はいないからと言わんばかりに振る雨を眺めながら、
天乃は嘆息する
天乃「…………」
昨夜、奉火祭に関して話し合ったが、
結局のところ決まったことはほとんど何もない
囮になるのは巫女か東郷か天乃かという話で決着はつかなかった
囮になる以外の解決策もまた、見つかってはいない
天乃「子供が考えるには、荷が重すぎるのよ……」
世界の命運をかけた選択
それに対して賛同と反対を行う覚悟を勇者部はしている
だが、対する選択を提示できる自信があるわけではない
なせば大抵なんとかなる。そんな理想を語って突き進み続けていけるほど生易しくはない
もちろん、無理を通せばある程度の開拓はできるかもしれないが。
- 392 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:02:18.99 ID:2A8lxSWxo
-
友奈は明るい子で、前向きに物事を考えられるが
その悪い部分の一切合切を考えられないわけではない
むしろその部分を考えられるからそこに希望や理想を上塗りしようとする
だから、それができない今回のような話では狼狽えてしまう
天乃「誰一人として犠牲が出ないことは理想だけど……」
それはあくまで、結果だけに求めるべきだろう
その被害が死人が出るといった話ならばともかく
過程でさえ被害の一つも許さないとなれば難易度は跳ね上がる
被害のない結果のため、最小限の被害で済む過程になるよう努めたほうがいい
天乃「被害といえば同じではあるけれど、中身が違う」
なら。と、天乃は思う
昨夜の話の続きになってしまうが
巫女、東郷、自分の中で誰なら最小限の被害で済むのだろうか?
耐性のほとんどない巫女、子供の宿っている天乃、勇者・巫女・神樹様の力を備えた東郷
どう考えても、東郷以外にはない
天乃「……そう考えられる辺りが一番の変化かもしれない」
- 393 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:04:06.76 ID:2A8lxSWxo
-
思わず、自分自身に向かって嘲笑の混じった呟きを漏らす
今までの自分ならば、まず間違いなく東郷や巫女といった
自分以外の犠牲は絶対に許さなかった
明らかに自分よりも東郷たちが担うべきだとわかっていてもだ
天乃「それが、これよ……どう思う?」
答えてくれる相手のいない空間へと問いかける
視線の先の窓に映るのは、天乃だけだ
東郷……東郷美森
以前は鷲尾須美と名乗っていた―といっても、東郷から鷲尾で東郷に戻ったのだが―大切な後輩
二年前、あんな危険な目に合わせて
絶対に失わないと決めて
それなのに、囮になるのは東郷が適任だと考えてしまう
天乃「…………」
布団の上、何もない手を握り合わせて息を吐く
できるならば、それは避けたい
可能ならば、子供のように……徹頭徹尾夢を抱いて歩んでいきたい
それこそ、絶望的な状況を打破できるかもしれない可能性なのだから
【1、勇者と交流(続けて相手選択) 2、精霊と交流(続けて相手選択)
3、大赦との接触を試みる 4、イベント判定 5、ほかに方法がないかを考える】
※1(園子)で進行
- 394 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:07:40.18 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「園子、ちょっといい?」
園子「ん〜?」
天乃のベッドの正面に位置する場所で学校に行く準備を進める園子へと声をかける
まだ少し寝ぼけているような
そんなふわふわとした返事をしながらも足取りはしっかりと天乃へと近づいて
ベッドに手をついたかと思えば、ぐっと体を伸ばして距離を詰めていく
園子「行ってらっしゃいのちゅ〜する〜?」
ちょっぴりふざけたキスをするようなタコ唇
む〜っと言いながら近づく園子に差し出した指は、唇の中へと吸い込まれて消えた
天乃「……おいしい?」
園子「おいひ」
天乃「それでね? 園子。少しまじめな話がしたいの」
園子「まひへなひゃない?」
そうよ。と答えると
園子は指をしゃぶるのをやめて、離れる
口元こそ少し汚れていたが、表情はまじめだった
- 395 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:11:49.17 ID:2A8lxSWxo
-
園子「そっか……昨日の続き?」
園子は問いかけるように言うと、
天乃の表情を観察して、うーん。と唸る
園子「大赦の動きを監視するとかはさすがの私にもできないんよ」
会わせたり、ちょっとした話を聞くくらいならできるかもしれないが
動向をずっと見ていることはできない
園子「私としては、天さんもわっしーも。囮になんてなんてほしくない」
どちらも大切な人だ
銀とともに戦い、あの悲しみを知り、失わないと誓った大切な存在だ
それを、危険に晒すのは嫌だった
園子「……なんとか。なんとか、そうならない方法を探す」
だから。と、
園子は天乃の顔をまじまじと見つめる
強い瞳で、力のある表情で
園子「絶対に、無理はしないでほしいんよ」
天乃「……園子」
【1、それは、私も言いたいことだわ 2、私が話したかったのは銀の誕生日だからお墓に行かない? ってことだったんだけれど
3、今のところは、貴女でも方法は考えつかないのね 4、大丈夫よ。私には子供がいるもの】
※2で進行
- 396 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:16:08.37 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「園子がしっかり考えてくれているのは嬉しいわ」
園子「っ、天さ――」
天乃「でもね」
限りなく優しい声だったからかもしれない
園子は不安と恐れを混ぜ込んだ複雑な表情を浮かべながら、
名前を呼ぼうとしているようなかすれた声で首を振る
けれど、天乃は微笑んだまま続けた
天乃「私が話したかったのは銀の誕生日だからお墓に行かない? ってことだったのよ」
園子「…………」
天乃「ごめんね? 言葉が足りなかったわ」
園子「………へっ?」
ぇ? と……ミクロンほどに小さな吐息のような声を漏らした園子は
唖然とした表情のまま天乃の顔を眺めて、不意に目を見開く
園子「てっ……くっ……ぁ……あまのんっ!」
天乃「ふふっ、ごめんなさい」
- 397 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:18:08.50 ID:2A8lxSWxo
-
かわいらしい怒鳴り声が病室に響いたが、
誰一人として心配せず見に来ないのは、
本当に他愛もないことだとわかっているからだろう
頬を染めた園子は天乃から目を逸らしていて
心なしか、距離が開いているように感じた
園子「真剣な話っていうから昨日の……絶対わざとだった」
天乃「そんなことないわよ。銀のことはまじめな話だもの」
それに。と
小さくこぼした天乃は困った表情を浮かべる
天乃「私、きっと鉄男くんに嫌われたままだから」
というのも天乃は結局、銀の弟である鉄男との喧嘩別れをしっかりと解消できてはいない
それもあって、
栄誉ある死というものを受け入れることのできなかった鉄男のために、
英霊たちが眠る場所とは別に作られた墓に赴くことは難しいのだ
園子「……でも、きっと難しいことを言ったって分かってるとは思うんよ。だから会えば……」
そこまで言った園子は、
ついさっきまでの発言を取り消すように「ううん」と否定する
園子「会うのはダメなんよ」
天乃「だからそう――」
園子「天さんが考えているのとは全く違う理由で」
- 398 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:20:32.38 ID:2A8lxSWxo
-
園子「鉄男くんは大赦に対して、お役目、名誉。そういうところで良い印象がないんよ」
痛みを伴う表情で園子は言う
かつて、銀の葬式が行われた時の出来事だ
銀の死がお役目―勇者としての戦い―によるものだとして
名誉であると、英霊であるとした周囲に対し、彼はそれを否定した
幼かったからではなく、
それが間違っていると感じたから
鉄男にとって、銀はとても大切な存在だったからだ
その彼が、二年たった今神樹様を深く信仰しているとは考えられないし
ましてや、大赦のことを快く思っているわけがない
そこに属していた天乃が、最後に見たころと酷く変わっていたらどう思うだろうか
その理由をもしも知っていたら、どんな反応をするだろうか
園子「……結構、天さんのこと好きだったんよ」
頼れる姉として、楽しい姉として、優しい姉として
もちろん、銀も優しく楽しく頼れる人で、天乃以上の存在ではあっただろうが
家族以外として、彼にはそんな思いがあったことだろう
園子は首を横に振ると、小さく息を吐く
園子「理由は分かっていないにしても、天さんはあのお墓には行けないって考えてた」
天乃「そう……ね」
園子「つまり、大赦の所有する英霊墓地。そこに天さんは行きたいってことだよね?」
- 399 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:23:38.80 ID:2A8lxSWxo
-
園子「それは……かなり難しいと思うんよ」
天乃「だから、まじめな話なのよ」
園子「…………」
忘れようとしていたのをを掘り返されたからか、
園子は少しだけむっとした表情を見せると、病室の出入り口を一瞥する
英霊墓地とはつまり、かつての英霊たちの名が刻まれた石碑のある場所だ
二年前園子たちが守るべき場所としていた瀬戸大橋そのすぐ近く
しかし、そこに久遠家……
正しく言えば、久遠家の力を持つ人間の立ち入りは原則禁じられている
大赦にとっては穢らわしいというべき力が英霊たちを蝕むことを避けることを目的とされており
基本的に、別途用意されたなんの儀式的意味も存在していない場所や、
銀の墓が用意されている通常の墓地にしかいくことは許されていない
それゆえに、園子は難色を示しているのだ
大赦に要求して、それが通る可能性は極めて低い
連れ出すのが味方である瞳だとしても、
たどり着くまでの妨害、あるいは拒絶は神樹様の種を奪いに行く時以上だろう
むしろ、それがあったからこそより警戒されていてもおかしくはない
- 400 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:24:50.60 ID:2A8lxSWxo
-
園子「乃木家の力を使ったとしても……きっと」
天乃「大赦の偉い人が許してくれないのよね? 直談判とかできないかしら」
園子「会うこと自体難しいと思う」
もしもそれが叶ったとしても。と
園子はわずかに言いかけた口をつぐむと、
天乃の問いかけるような表情をじっと見つめて、目を逸らす
そんな迷っているのだとわかりやすい園子の態度に
天乃は問うべきか否かを天秤にかけて、後者を即断する
悩まなければならない案件ならば、無理強いはできないと思ったからだ
しかし、園子はそらし、迷わせた瞳を天乃へとむけて
園子「……そもそも、久遠家の力を持つ人間を立ち入らせないようにと決めたのは久遠家なんよ」
天乃「えっ」
園子「そして、その代わり大赦は久遠の力を持つ者を出来得る範囲で保護することを目的として、代々の偉い人の中に久遠家がいる」
聞き覚えはある。だが、
いろいろとありすぎて流れてしまったか
それとも、消えた家族の記憶の中のものなのか
園子の話す内容に追いつくことができない天乃は困惑した声を漏らす
園子「それだけ、霊的・神的信仰に重きを置いてきたってことなんよ」
それも今となっては、天乃達の暴挙も含めたいろいろな要因から壊れ始めているのだが。
- 401 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:26:00.44 ID:2A8lxSWxo
-
園子「……ミノさんの誕生日だし、いろいろな報告も含めて私は行きたい」
だから。と、
園子は悩みのない力強い瞳を天乃へとむけた
それは、天乃さえよければ全力で要請しよう、抗議しよう
そんな気持ちが表れているのだとわかった
それがたとえ、今後の乃木家の運命を大きく左右するものであろうとだ
園子「多分、今は天さんのお祖母ちゃんがその位置にいると思うし、話すとしたらその人になると思う」
天乃「お祖母ちゃん……?」
家族構成は知っているつもりだったが
両親と兄と姉位のものだと思っていた天乃は、思わず驚いた声で問い返すように呟く
園子「私も一度だけあったことはあるけどすごく厳しい人なんよ」
自分にも、他人にも。
決して甘やかそうとはしないような人だと園子は語る
園子「どう? 天さん、会えるのなら、会いたい?」
【1、会いたい 2、やめておく 3、考えさせて
4、そこまで必要なら……鉄男くんにあう危険性はあるけど普通のお墓に行きましょ】
※1で進行
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