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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
- 402 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:29:33.99 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「そうね、できるのなら会いたいわ」
自分の身内であるということもそうだが、
大赦の上席に座する者ならば、巫女あるいは勇者を犠牲にした奉火祭についての権限もあるということで
そして、それ以外の人々を歩ませる道筋を組み立てる立場にあるということでもある
つまり、話し合いができれば可能性が生まれるのだ
誰も犠牲にしなくてすむかもしれない選択
最良ではないが、良ではあるかもしれない選択
天乃「……銀のこともそうだけれど、おまけが得られそうだからね」
園子「簡単じゃない。もしかしたら久遠さんが傷つくようなことかもしれない。それでも?」
二年前、まだ馴染み切れていなかった頃の呼び名
そして、最も大切な話をするべきに扱う口調
園子は最大限の牽制を含んだ表情で問いかけると
天乃の変わらない瞳を確認して、頷く
園子「望み通りに行かなくても、がっかりしないでほしいんよ」
天乃「園子が頑張ってくれることは分かっているもの。それでだめなら、それだけのこと」
相当難しいというのは脅しでも何でもないのだろう
不安を隠しきれない園子に天乃が優しく声をかけると
園子はしっかりとうなづいて「頑張る」と言い、
一緒に学校に行く予定だった夏凜達へと欠席することを告げた
- 403 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:33:39.18 ID:2A8lxSWxo
-
√ 11月10日目 昼(病院) ※水曜日
気が付けば、昼時
日の光が消えうせた空から絶え間なく落ちてくる雫は景色を歪ませて、
それをぬぐい、歪ませてを繰り返す
天乃「……大丈夫かしら」
園子は直接大赦に向かった
勇者である園子を害するようなものはいないと信じたいが
神樹様の種を奪うといったとんでもないことをした今
勇者という肩書が大赦に通用するかどうかは微妙だった
天乃「…………」
大赦の決め事、久遠家の存在
久遠家がいてなお、力を持つ者が忌み嫌われてしまう現状から察するに
どうあがいても救いはないのかもしれない。と
天乃は不安を抱き、息を吐く
天乃「無理は、しなくていいからね」
自分のためなら多少の無理は通してしまいそうな園子の無事を願うように手を合わせながら
天乃は静かに、祈りを呟く
神様にではなく、園子に向かって。
【1、勇者と交流(続けて相手選択) 2、精霊と交流(続けて相手選択)
3、大赦との接触を試みる 4、イベント判定 5、ほかに方法がないかを考える】
※4で進行(歌野)
- 404 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:36:26.05 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「?」
窓から外を眺めていた天乃の耳に、コンッという音が届く
目を向けた先、音もなく出てきていたのは歌野だった
歌野「ソーリー、邪魔だった?」
天乃が授かった精霊である稲荷
その稲荷を媒体として出てきた歌野は稲荷の神格の影響でも受けたのか
それとも、もともとそういった少女なのか
無駄に英語を使う
若葉の記憶にある歌野はそんなことはなかったのだから前者の可能性はある
そんなことを考えながら不安をかき消して、微笑む
天乃「別に大丈夫よ。どうかしたの?」
歌野「大したことではないんだけど……少し嫌な予感がしてね」
天乃「嫌な予感?」
歌野「ん〜……」
自分で言っておいてあれなんだけど。と
歌野は少し困った苦笑いを浮かべながら頭をかくと、
数瞬、窓の外へと視線を移して息を吐く
歌野「稲荷のパワーっていうか、シックスセンスというか。こう……樹海とか神樹様の力を感じ取ることができなくもなくて」
天乃「……もう持たないの?」
歌野「ドンウォーリー。もうしばらくは平気よ。ただ、凄くリトル。少しでも強い力で介入されたら結界の中に影響が出てもおかしくないわ」
- 405 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:37:50.09 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「なら、状況はあまり変わってないのよね?」
歌野「イエス……と言いたいところだけどノーよ」
心の底から残念そうに歌野は首を振る
何も状況が変わっていないのならば
似たようなことを聞いている天乃に再び言う必要はないのだ
ただでさえ、友の身を案じて浮かない表情をしていたのだから。
それでも接触したのは言わなければならないと思ったからだ
ものによっては、見落としてしまいそうなほど小さな種がある
しかし、それも育てばやがて大きなものへと成長していく
だからこそ、些細なことも警戒するべきなのだ
歌野「今までは治っていく力があった。でも、もう治るほどの力がない」
天乃「つまり、削られていく一方で消滅していくってことよね?」
歌野「イエス。それに……神樹様からは何か嫌なものを感じる」
天乃「嫌なもの? 具体的には……」
歌野「ソーリー、ドントアンダスタンド。私にはわからない」
けれど、それは決して悪いものだと一概に言えるようなものではないと歌野は言って
けれど、何か良くないもののように感じると歌野は言う
それを具体的に知る方法はあるだろうか……?
【1、それ、藤森さんには聞いてみた? 2、わかったわ。一応警戒してみましょう 3、ちなみに、どんな風に嫌な感じなの?】
※1で進行
- 406 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:40:48.06 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「それ、藤森さんには聞いてみた?」
歌野「ええ。でもみーちゃんったら抽象的過ぎてわからないって」
天乃「……そう。やっぱり難しいわね」
歌野から話を聞いて抽象的過ぎてわからないということは
水都は巫女として感じ取れてはいないということになる
あるいは感じてはいるが、感じ方が違うか
そもそも、神樹様から感じられる意思やお告げは抽象的なものであり
それを何とかして解読しているという形だ
嫌な予感はするが、悪いとは言い切れない何か
それだけでは何が行われるのか分からないが
おそらく、天乃たちにとっては良くはないけれど
世界にとって悪とは言い切れない何かかもしれないと天乃は思う
天乃「奉火祭……は違うでしょうね」
歌野「ホワット。どうしてそう言い切れるの?」
不思議そうに問いかけた歌野は
少し考える素振りを見せると、眉をひそめた
歌野「嫌だけど悪ではないっていうなら、奉火祭がマッチしない?」
天乃「奉火祭は天の神に対してのものだからかな」
- 407 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:43:57.59 ID:2A8lxSWxo
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奉火祭が直接関係あるのは天の神の方であって神樹様ではない
もしも神樹様が自分の領地内に住む少女たちが身を挺して守ろうとしている姿に涙し
そのようなことはさせられるぬと力を発揮するような慈悲深き御心をお持ちであらせられるのならば話は変わるが
残念ながらまだ、そこには至っていないだろう
だから、
奉火祭についての影響ならば嫌でも悪くはないという予感が神樹様から伝わってくるとは考え難い
もちろん、絶対にないとも言い切れないけれど。
天乃「だから、それ以外の何かがあると思うのよ」
歌野「ふむ……例えば?」
天乃「それを聞かれても困るけれど……そうねぇ。例えば大赦と神樹様の間で何か取引が行われている。とか」
歌野「リアリィ?」
天乃「さぁ? ただの推測というか、邪推みたいなものよ」
大赦が何か裏で行動しており、
それによる影響が出ているだとか
大赦にあまりいい印象がないからこその偏見に満ち満ちた適当な考えだ
これならまだ、神樹様の慈悲深き御心のほうが可能性がある
天乃は小さく笑い声をこぼして少しだけ考える
本当のところは分からない
けれど、天乃の中の巫女の力は不穏なものを感じ取ったかのように、
ただの考えすぎという程度で流そうとは思えなかった
- 408 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:45:43.93 ID:2A8lxSWxo
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天乃「……運が良ければ、大赦の人と話せるかもしれないから聞いてみるわ」
歌野「さっきトークしてたことよね?」
天乃「ええ。そう。だから運が良ければ」
普通に接触できるレベルの人出は、
そこまで深い話を聞くことはできないだろうし、聞いても無駄になる
だが、天乃の祖母が与えられている上の立場ならば、
その部分も詳しく知っていることだろう
あるいは、それを考えたのが祖母である可能性さえ、ある
歌野「でも、久遠さんは平気? グランドマザーなんでしょ?」
天乃「良いのか悪いのか。私には家族の記憶がないから……問い詰め易いわ」
ふざけて笑って見せた天乃の一方で、
歌野は少し悲しそうな表情を浮かべて、頷く
否定したり、余計なことを言ったところで乱すだけだと思ったのかもしれない
歌野「オーケー、それじゃぁそのっち次第ってことね」
天乃「うまくいけばね。正直、かなり厳しいと思うわ」
歌野「グランドマザーも立派なファミリーでしょ? きっと会いに来てくれるわ」
天乃「だといいけど」
- 409 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:48:22.49 ID:2A8lxSWxo
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さすがに場を荒らしすぎた
大赦の立場を危うくするようなことになったりもしたし、
人類の存亡をかけた神樹様の種を芽吹かせる作戦に割り込み、阻んだ
久遠家が代々守ってきた誓いを無碍にしているようなものなのだから
嫌われているかもしれない、憎まれているかもしれない
好かれているかどうかというよりも、
孫だと思ってもらえているかどうかでさえ、不安に思う
歌野「久遠さん?」
天乃「……あっ、ごめんなさい」
ぽんっと肩をたたかれ、笑う
無意識に考え込んでしまっていたら志井時間はおそらく数秒間
それでも、表情が不安を物語っていたのか、
心配そうに顔を覗き込んでくる歌野に「大丈夫」と声をかけて
天乃は作り笑いを浮かべた
- 410 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:51:32.82 ID:2A8lxSWxo
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√ 11月10日目 夕(病院) ※水曜日
九尾「また、厄介ごとに首を突っ込もうとしておるのか」
天乃「九尾……」
いつものようにどこからともなく姿を見せた九尾は
これと言って心配した様子もなく、呆れを感じさせる声で言う
天乃が余計なことに首を突っ込むのは―巻き込まれるのは―日常茶飯事だったからかもしれない
人間の女の姿でベッドのふちに腰かけた九尾の長い髪が天乃の手に触れた
九尾「主様の祖母は面会になど応じることはないぞ」
天乃「やっぱり、貴女は知ってるのね」
九尾「当然じゃろう」
体をむしばむ力の持ち主である以上、
九尾が先祖代々の守り神と言うには疑問があるが
それでも、憑いてきていたのは事実で。
歴代の久遠家の人間のことはよく知っているはずなのだ
九尾「反対に、奴は妾を知っておる」
天乃「勇者だったとか?」
九尾「くふふっ、まさか。奴が勇者だったならば二年前が始まりにはなっておらぬよ」
- 411 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:54:45.90 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「……それもそうね」
祖母の代から戦いが始まっていたならば、
もっとしっかりと準備が行われていたはずで
それならば、銀が命を落とすようなことにもなることはなかったことだろう
しかし、それならばと天乃は思う
天乃「戦いが始まってもいないのに貴女は姿を見せていたの?」
九尾「奴も力はあったからのう……いや、奴が妾に興味があったからじゃな」
九尾は語りながら懐かしむように天井を見上げると、
天乃の方へと頭だけを動かす
九尾「多少、繋がりはあった」
天乃「勇者としての役目がないのに?」
九尾「勇者としての役目など、久遠家の人間にはそもそもないぞ」
天乃「…………」
九尾「久遠家は神に対する絶対的な力を持っているがゆえに勇者と並んでいるだけで正式には勇者ではない」
それは分かっておるじゃろう? と問いかける九尾をじっと見つめた天乃は
静かに頷いて、目を逸らす
勇者としての力を与える神樹様に対してでさえ、
朽ち果てさせることができる化け物のような力を持っているのだ
仕方がないことだろう
- 412 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 10:57:05.21 ID:2A8lxSWxo
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天乃「それならなおさら疑問だわ。どうして繋がりがあるの?」
九尾「久遠家の力を継いだ人間は必ず、妾らのことを聞く。じゃから興味を持ったんじゃ」
天乃「だからって、貴女が必ず姿を見せるわけではないでしょう?」
九尾「いかにも。じゃから言ったであろう? 奴は力があり、なおかつ妾に興味があった」
天乃「昔の私みたいに感知したりできてたってことね?」
天乃の問いに、九尾は頷いて答える
逃げても隠れても祖母は感知できたのだ
それは巫女としての力が強かったからだと九尾は言う
神樹様関連のものから遠く離れていても、神樹様のお告げを受け取ることが可能なくらいには。
九尾「ゆえに、妾は奴をよう知っておる」
そういう九尾の細めた瞳は鋭く
久しく見ていない本来の狐の姿を彷彿とさせるように天乃は感じた
九尾「奴は面倒な女じゃ。主様が孫かどうかなど関係ない。それが必要ならば行い、不要ならば切り捨てる」
誰かの死が世界の存続に必要ならば、その死を甘んじて受け入れる
もちろん、その誰かが自分であってもだ
九尾「そして奴は主様との対話など不要だと切り捨てる」
天乃「…………」
【1、貴女なら接触できるんじゃないの? 2、どうして、そうなったの?
3、そう……なら、必要なら奉火祭も行うのね。たとえ、孫の友人や孫自身が犠牲になるとしても
4、今でも、その巫女としての力は残ってるの?】
※2で進行
- 413 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:00:47.73 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「……どうしてそうなったの?」
九尾「そうなったのではなく、そうだった。が適切じゃな」
言葉を選びながら九尾は言う
そうなったのではなく元からそうだったというのは
現代の神樹様信仰に通ずるものがあるように天乃は感じたが、
九尾は少し違う。と、聞かれずに否定する
九尾「久遠家の人間が若くして死ぬ定めにあるということが問題じゃ」
天乃「血のために易く朽ちてしまう一族からしたら、世界のための些細な命なんて気にするようなことじゃないってこと?」
九尾「久遠家の人間は……力の影響を受けずに済んだ奴は別じゃが、そういう考え方をする者は多い」
かつてあった神世紀72年頃の出来事のように、
自分だけではなく母や娘の命といった、低く見るべきではないものが
抗うすべも残されていないほどちっぽけなものに感じて、
それと比べれば、世界を存続させるための犠牲などさぞかし尊いものだと考える
天乃「なら、記憶を失う前の私は? 失う前はそうやって銀の死もただ尊いと思えるような――」
九尾「そんな人間ならば、あの二人はついてくることはなかろうな」
くつくつと笑いながら否定し、九尾は目を見開く
力強くも優しい印象を覚える瞳だが、内面は分かったものではない
九尾「主様の考えは奴の考え。いや、久遠家が代々継いできた考え方と相反するものなのは想像に易いじゃろう」
銀を失う前の天乃は自他ともに大切にするほうだったが、
銀を失ったあとはもう自己犠牲精神の塊で、人のためならば自分の命も軽んじられるような生き方だった
どちらかといえば、後者は近しいものではあるが、やはり久遠家が代々受け継いできた生き方ではない
- 414 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:03:50.25 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「だからお見舞いには来ないし面会も受け付けないって?」
九尾「自分が勇者として戦うのなら、私の代ですべて終わらせる。主様は奴にそう宣言しさえしたからのう」
天乃「その結果、銀を失うことになったのね」
九尾「主様はできる限りのことをしたじゃろ。それで救えなかったならば仕方があるまい」
仕方がないと言われても。と、
銀の誕生日だからか気の滅入った呟きを漏らす天乃を、九尾はじっと見つめる
少しして、「とにかく」と声が響く
九尾「奴と会うことは難しいじゃろうな。銀の墓参りの中に今後の大赦の方針についての話が交わることも考えるじゃろうからな」
しかし……
そうこぼした九尾は考え、悩んでグルル。と、喉を鳴らす
女性の容姿から出てくる獣感に天乃は眉をひそめた
天乃「何か気になることでもあるの?」
九尾「主様に接触する可能性も捨てきれぬやもしれぬと思うてな」
天乃と話して、過去を思い起こして
それで何となく感じたらしい
自分の根拠のない発言が気に入らないのか、渋い顔のまま九尾はつづける
- 415 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:09:28.87 ID:2A8lxSWxo
-
九尾「久遠家の生き方に逆らった主様の心を折ろうとするやもしれぬぞ」
天乃「まさか」
九尾「奴の性根の悪さは酷いものじゃからな。あり得ぬ話ではなかろう」
天乃「さすがにそんなことはないと思うけどね。さすがに」
世界のために些細な犠牲を辞さないやり方をするならば、
世界を救うことも壊すこともできる力を持つ子を宿した天乃の心を深く傷つけるようなことはしないと、
天乃は信じて否定する
天乃「でも、その悪い考えがあっても接触できるに越したことはないわ」
九尾「ふむ……」
吉と出るかはわからないが
接触できなければ吉と出る可能性がそもそも潰えてしまうのだ
来てくれるというのならば見逃す手はない
それに。と、天乃は微笑む
天乃「私にはたくさんの支えがあるもの。そう簡単に、折れてなんてあげられないわ」
九尾「主様がそういうのならば、そうなのやもしれぬな……今の主様ならば。じゃが」
天乃「どうしてそこを強調するのよ。否定はできないけど」
祖母譲り……いや、
きっとその逆であろう意地の悪い冗談を述べる九尾をにらみつつ笑う天乃の横で、
九尾はふと。顔を伏せて息を吐く
九尾「主様。一つだけ問いたい」
天乃「なに? お祖母ちゃんにあうかどうかなら――」
九尾「そうではない。主様にとって、人間とはどのようなもののことを言う」
天乃「何よ。哲学的な話なら私より園子向きじゃない?」
九尾「妾の主は主様じゃろうて」
- 416 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:15:16.17 ID:2A8lxSWxo
-
どのようなものであるならば、人間と呼べるのか
どちらも似たようなものではあるが、
感情を持ったロボット
画面の中でしか動くことのできない心のあるAI
それは人間と呼べるのか否か
AIの思考方法や意思、感情の出し方やそれらの反応速度が人並みに優れ、
見分けのつかない外見を持っていたとしたら、それは人間だと言えるのか否か
そのレベルにまでもっていくとなると、さすがに手が付けられないと天乃は首を振った
天乃「そう言う話を求めてるなら、私に聞くのは間違いよ」
九尾「主様は主様で、必ず問に対する答えを出す人間じゃろう」
天乃「買いかぶりすぎだわ」
九尾「それでもよい。のう、主様や。若葉たちは人間かや? そうであるならば、妾はどうじゃ。人間かや?」
天乃「…………」
【1、若葉たちは人間よ。貴女はちょっと違うけど……ちゃんとした家族ではあるわ
2、若葉たちは人間だけど……貴女はペットかしら
3、精霊だから。妖怪だから。ってこと? 身勝手な自論で良いの?
4、若葉たちは若葉たちでしょ。貴女も貴女。違うの? 】
※4で進行
- 417 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:18:52.24 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「良く、わからないのだけど……」
自分の発言が何か、大きな影響を与えてしまいそうな予感がして
天乃は考えながら小さな言葉を呟いていく
天乃「若葉達は若葉達。貴女は貴女でしょ? 違うの?」
九尾「ふむ……」
あまりにも、普遍的で
九尾にとってはつまらないものだったのかもしれない
笑うことも驚くこともなく、ただ、変わらない無表情に近い顔のまま
ゆっくりと、ベッドから立ち上がる
九尾「それはそうじゃろうな」
天乃「答えが不満だった?」
九尾「当たり障りのない言い方じゃからな。もう少し、違った話が聞けるのやも。と思うておった」
天乃「期待に沿えなくて悪かったわね」
皮肉ぶった天乃の返事に、
九尾はにこやかな笑みを浮かべると静かに首を振る
九尾「初めからまっとうな答えなど期待していたわけではない。ただ、主様の考えを聞いてみようと思うただけのこと」
天乃「貴女がそういうこと言うときって大抵裏があると思うのだけど」
何かあるの? と尋ねると
九尾はやっぱり、笑うだけだった
九尾にしかわからない何かがあるのだろう
だから、天乃の考えを聞こうとしたのだ
当たり障りのない答え
それで九尾が何を考えどう動くのか
聞いてもきっと、答えてはくれないだろう
そんな考え事に気付いたかのように、九尾はくるりと体を回して見せる
もはや見慣れた看護師の衣装は乱れることなく
ただ、載せていただけの帽子が離れていく
九尾「妾は妾。さようじゃな……しかし主様。千景は千景なれば死神は……どうなるのかのう?」
天乃「きゅ――」
帽子が床に落ちるのと同時に九尾は姿を消す
床に落ちたはずの帽子もまた、気づけばそこにはなかった
- 418 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:21:06.68 ID:2A8lxSWxo
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天乃「……死神」
かつて、天乃の精霊だった者の名だ
今はその力、その存在を糧として
西暦時代の勇者である郡千景を精霊として呼び起こしており
もうすでにいなくなってしまった死神
千景は千景だというのなら、死神はどこへ行ったのだろうか
死神は千景だというならば千景は千景ではなくなる
千景であり、死神であり、やはり千景であるなどと入り組んだ考え方をするのならば、
まだ、言えなくもないが。
天乃「死神は千景に生まれ変わった……とか、そう考えれば……でも、ある意味で私の言ったことを否定することにもなる」
九尾は矛盾させるために、
お前の考えは間違っているというために死神のことを持ち出したのだろうか
それとも、また別の何か意味があって、持ち出したのか
天乃は数分間黙り込んで、息を吐いた
天乃「何をもって人間なのか。千景は千景なら死神はどうなのか……ね」
千景が人間なのか、死神が人間なのか
人間が何かに成り代わったとき、果たしてそれは人間だと言えるのだろうか
天乃「……そういう難しい話は私にされても困るわ」
九尾がそういう話をしたかったのかどうかは不確かだが
天乃は軽く悪態をついて、枕に頭を落とした
- 419 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:24:59.47 ID:2A8lxSWxo
-
√ 11月10日目 夜(病院) ※水曜日
園子「天さん……」
夕方も過ぎ、学校に行っていたみんなが帰ってきてもまだ帰って来ることはなく、
夜になってようやく帰ってきた園子は時間以上に分かりやすい面持ちで。
天乃は優しく笑みを浮かべて、手招く。
東郷も、夏凜も、風も友奈も樹も
誰もが案じながらも、声をかけずに見送る
ベッドのわきにまで近づいてきた園子は椅子に座らずに、口を開いた
園子「一応、乃木家と関わりのある大赦の人にも話したけど……」
天乃「うん」
園子「ダメだった」
総じて、返ってきた答えが【ノー】だった
それとほとんど同じくして聞かされた言葉が、
久遠様は身重な体なのだから。というものだった
何かがあったら責任はとれない
特殊な妊娠なのだから控えるべき……と
あくまで身を案じているような断り方だった
園子「ミノさんの誕生日だからって、言ったのに」
天乃「本心なのかどうかはともかく、確かに私はもう少し気を使うべきかもしれないわね」
- 420 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:27:43.14 ID:2A8lxSWxo
-
消沈している園子の一方で、
天乃は努めて明るい声で答え、苦笑する
少し前は死ぬか生きるかの瀬戸際といっても過言ではないような状況に陥っていて
夏凜達の協力があって何とか持ち直したからと
外出許可が取れるかといえば、そうでもない
天乃「思えば、大赦関係の病院だからそもそも外出できるはずがなかったわね」
園子「…………」
天乃「園子は、銀の家に行ってあげたりしたの?」
園子「っ」
首を振る。
ミノさんには悪いけど。と、園子はつぶやくような声で言う
天乃と一緒に行く予定だった、行きたかった
行きたいと言っていたから、連れていきたかった
だから、頑張って。
園子「ごめんね、天さん」
それでも、どうにもできなかった
- 421 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 11:32:00.32 ID:2A8lxSWxo
-
天乃「別に謝るようなことじゃないわ。無理を言ったのは私だもの」
園子「でも」
天乃「お祖母ちゃんのことも、合わせて話してくれたんでしょ?」
園子「それは……」
祖母のこともそうだが、
お墓のことだけでも難しい
そしてそもそも病院から出ること自体、簡単なことではない
無理であることが当たり前だなんて言うつもりはないが
出来て当たり前だとも思わないし
出来なかったからと言って、
園子を責めるようなつもりは毛頭なかった
【1、無理なのは承知の上だったけど……それで、お祖母ちゃんの方はどんな反応だった?
2、そういえばお祖母ちゃんのことで九尾と話して気になったのだけど、記憶を失う前の私って、どんな感じだったの?
3、ところで、園子はなにが人間であると言えると考えてる?
4、ねぇ、園子。もしも人が人の形ではなくなるのだとしたら、それを人間だっていえる? 】
※2で進行
- 422 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 12:09:26.06 ID:2A8lxSWxo
-
現行ここまで
- 423 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 13:10:48.01 ID:rcwhAIH1O
- 移植作業お疲れさまですー
やっと元通りになったって感じだな
- 424 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 22:06:36.45 ID:2A8lxSWxo
-
沈黙の空気は天気も重なってか、重苦しく感じる
そんな中、仕方がないなぁ。と
どこか呆れを感じるような優しい笑みを浮かべて園子を見つめた
天乃「話は変わるんだけどね。さっき、九尾とお祖母ちゃんのことで話してたのよ」
園子「え?」
天乃「大したことではないのよ? でも、そこで記憶を失う前の私ってどんなのだったのかなって気になったのよ」
重要な話を遮った話題
けれど、それもやっぱり重要なもののような気がして、園子は顔を上げた
罪悪感を帯びた瞳ではあるが、そのものの宿る話ではないからか
少しだけ明るくなったように感じる
園子「失った記憶は家族のことだから、そのことだよね?」
天乃「ええ。それ以外についてはちゃんと……でも、それで変わっちゃったこともあるのかなって思って」
園子「お祖母ちゃんのことをお祖母様って呼んでたっていうのがまず一つの違いかなぁ」
天乃「お祖母様? 私ってそんな――」
園子「結構敵視してるって聞いたことがあるんよ」
天乃本人ではなく、天乃の兄や姉から聞いた話にはなるが
お祖母様や大赦の取り決める犠牲有りでの人類の存続に対し、
天乃は犠牲のないやり方での存続や、状況の打開を目指していたのだ
真っ向から対立しておいたのだから、仲が悪いのも当然だろう
- 425 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 22:36:33.63 ID:2A8lxSWxo
-
園子「小学生の私たちに戦わせるなんてダメだって。そういう進言もしてたみたい」
天乃「…………」
園子「でも結局駄目だったんだって、残念そうにしてた」
そんな話をしたような、していないような
きっと、大赦の上層にいる祖母に直談判でもしたのだろう
記憶障害の影響で曖昧だった
園子「だからこそ、天さんはミノさんがいなくなっちゃったときにすごく責任を感じてたんだ」
それでも激高して、周りに八つ当たりすることはなかった
ただ、ごめんねと。謝るだけだった
それが、誰も犠牲にならない戦い方から、
犠牲になるしかないならば自分が犠牲になろうというものに変わってしまった
園子「……えっと、そういう話じゃない。よね」
自然と銀の話に移ってしまったからか
園子は困ったような笑みを浮かべながら話を中断して首を振る
そうじゃない、それではない
今話すべきなのは、天乃が失った記憶の部分
それによって変わってしまった部分の話だ
- 426 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 23:06:18.74 ID:2A8lxSWxo
-
園子「天さんが記憶を失う前後で一番変わった部分は、久遠家としての重荷がなくなった部分だと思うんよ」
天乃「なくなった……かしら?」
園子「前に比べたら、だいぶ軽いんじゃないかな?」
今でもずいぶんな扱いで
重荷になっているかどうかという部分は除くにしても
苦労させられているし、つらい思いだってさせられているのだ
しかし、以前はそれ以上だったのだと園子は言う
園子「時々、凄い暗い表情の時があったんよ」
天乃「それって、貴女達が戦ってるとき……とかよね?」
園子「うん。そう。今みたいに他所の家の子ではなく、家系で選ぶことを決めたのは久遠家を含めた大赦だったから」
それは結果的に、
まだ、年端もいかない小学生の身である園子たちを戦わせることになった
それで、三ノ輪銀という大切な命が失われた
園子「だから、記憶を失った後は久遠家の人間としての責任ではなく、生き残った勇者として、先代としての部分が大きかったんじゃないかなって思うんよ」
もちろん、対神に特化した力を持っているという部分も少なからずあったとは思うが
以前のように、このような世界に導いた大赦の一角を担う久遠家の人間
というような、重圧だったり、罪悪感はなかったことだろう
- 427 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 23:39:25.46 ID:2A8lxSWxo
-
園子「だから、以前から変わった部分はほとんどないんよ」
優しいのは以前から変わりないし、
基本的には明るく活発で、男女分け隔てなく接するのもいつも通り
そしてやっぱり、自分が恋愛対象にされていると考えないのも変わらない
園子「久遠家としての部分は、私にもほとんどわからない」
大赦の厳重に貯蔵されている歴史書にならば記されているかもしれないが
普通に閲覧できる書物には当たり障りのないようなことしか記されていないか
規制によって削除されてしまっている
ゆえに、久遠家の根幹にかかわる部分は園子にもわからず、
これ以上に話せることはないという
園子「それでもいえるとしたら、天さんは今も昔も、私たちの勇者様で、大切で大好きな人から変わらないってことかな」
銀のことでの罪悪感
いつの間にか薄れていた園子の笑みは朱色に染まっている
過去の自分が抱えていた久遠家の部分という気になるところはあるけれど、
命の尊さを分かっていなかった、大切に思えていなかったわけではないこと
九尾が言っていたように、好かれていることには変わりなかったことが分かって、
天乃は嬉しさと、気恥ずかしさに照れくさそうに笑い返した
- 428 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/21(日) 23:41:27.24 ID:2A8lxSWxo
-
√ 11月11日目 朝(病院) ※木曜日
01〜10
11〜20 風
21〜30
31〜40 大赦
41〜50 芽吹
51〜60
61〜70
71〜80 園子
81〜90
91〜00 大赦
↓1のコンマ
- 429 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 23:42:49.66 ID:DEkDHfNSO
- あ
- 430 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 00:01:19.47 ID:GzS/GWB9o
-
ではここまでとさせていただきます
一日のまとめは再開時
園子「記憶を失う前の天さんは……えっちだった」
東郷「足が動いた分、飛んだり跳ねたりそれはもう卑猥だったわ」
東郷「あっ」
園子「わっしー?」
東郷「思い出しただけで下着が……」
園子「昔は子供だから鼻血だったけど、今はもう大人だねぇ」
夏凜「なにその嫌すぎる大人判定」
- 431 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 00:03:31.58 ID:5GiJdfjVO
- 乙
ロリ久遠さんいいぞ
- 432 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 00:05:42.92 ID:FXpP4WH1O
- 乙
わすゆ時代も重たいものを背負っていたんだな久遠さん…
そしてお祖母ちゃんが段々ラスボスっぽく思えてきた
- 433 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 20:56:02.23 ID:GzS/GWB9o
-
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流有(私が適任、奉火祭)
・ 犬吠埼風:交流有(外の危険性、みんなで考える、私が適任、奉火祭)
・ 犬吠埼樹:交流有(私が適任、奉火祭)
・ 結城友奈:交流有(私が適任、奉火祭)
・ 東郷美森:交流有(私が適任、奉火祭)
・ 三好夏凜:交流有(私が適任、奉火祭)
・ 乃木若葉:交流無()
・ 土居球子:交流無()
・ 白鳥歌野:交流無()
・ 藤森水都:交流無()
・ 郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(声をかけない)
・ 九尾:交流有(追及する、外の危険性、奉火祭)
・ 神樹:交流無()
11月09日目 終了時点
乃木園子との絆 76(高い)
犬吠埼風との絆 104(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 92(とても高い)
結城友奈との絆 111(かなり高い)
東郷美森との絆 121(かなり高い)
三好夏凜との絆 145(最高値)
乃木若葉との絆 97(かなり高い)
土居球子との絆 44(中々良い)
白鳥歌野との絆 43(中々良い)
藤森水都との絆 36(中々良い)
郡千景との絆 45(中々良い)
沙織との絆 125(かなり高い)
九尾との絆 65(高い)
神樹との絆 ??(低い)
- 434 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 20:58:59.56 ID:GzS/GWB9o
-
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流有(銀の誕生日、祖母に会いたい、以前の私)
・ 犬吠埼風:交流無()
・ 犬吠埼樹:交流無()
・ 結城友奈:交流無()
・ 東郷美森:交流無()
・ 三好夏凜:交流無()
・ 乃木若葉:交流無()
・ 土居球子:交流無()
・ 白鳥歌野:交流有(藤森さんには聞いてみた?)
・ 藤森水都:交流無()
・ 郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・ 九尾:交流有(祖母の話、どうしてそうなったの?、若葉達は若葉達。貴女は貴女)
・ 神樹:交流無()
11月10日目 終了時点
乃木園子との絆 79(高い)
犬吠埼風との絆 104(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 92(とても高い)
結城友奈との絆 111(かなり高い)
東郷美森との絆 121(かなり高い)
三好夏凜との絆 145(最高値)
乃木若葉との絆 97(かなり高い)
土居球子との絆 44(中々良い)
白鳥歌野との絆 44(中々良い)
藤森水都との絆 36(中々良い)
郡千景との絆 45(中々良い)
沙織との絆 125(かなり高い)
九尾との絆 67(高い)
神樹との絆 ??(低い)
- 435 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 21:01:46.98 ID:GzS/GWB9o
-
9日分がまだだったので、一緒に
では、少しだけ
- 436 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 21:17:00.15 ID:GzS/GWB9o
-
√ 11月11日目 朝(病院) ※木曜日
天乃「……………」
昨夜まで止むことのなかった雨の引いた灰色の空模様
窓から見ることのできる景色はどんよりとしていて
神々の力を感じ取ることができなくなった天乃にも
歌野が言う、何らかの嫌な感じというものが少しだけわかるような気がした
もっとも、そういわれたから。というのもあるかもしれないが
天乃「奉火祭はまだ、行われてはいないだろうけど」
もしも万が一、勇者ではなく、
巫女で行われているのだとしても
九尾や千景たちが気付かないわけがなく
すぐにでも対策を考えて実行に移そうとすることだろう
しかしだとしたら、
この嫌なものは何なのだろうかと、天乃は息を吐く
胸の奥に引っかかる不快になる感覚
それが何なのか、なぜなのかわからないのが嫌悪感をより高めていくような気さえする
- 437 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 21:18:04.36 ID:4QQ34njfO
- 来てたか
- 438 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 21:35:57.88 ID:GzS/GWB9o
-
天乃「12月が勝負ね……」
神樹様の持病が悪化して急遽必要とでもならない限り
今月にとり行われる可能性はないとみていいだろう
風達と話した時にも考えたが、
時間はないが、だからと言って事を急くわけにはいかないからだ
だから、12月
12月のいつ行われるのかは定かではないが、
少なくとも年明け前には何かが行われるはずだと天乃は考える
それが奉火祭なのか、はたまた別の何かなのかもまだ、わからないが。
天乃「情報不足だわ……けど、だからと言って手に入れることは簡単じゃないだろうし」
園子でさえ、ほとんどはじかれてしまっているような状況
当然、送迎係としてきている瞳にも情報は伝わってこないだろうし、
巫女である沙織にもほとんど流れてくることはない
流れてきたとしても、数手遅れての情報共有になりかねない
人と人とで余計な小競り合いをしている場合ではないとわかってはいるのだろうけれど、
神樹様の種を奪ったりなど、
講じた策を根本から挫くような真似をしてしまった以上、
そうされるのもやむを得ない
- 439 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 21:50:28.85 ID:GzS/GWB9o
-
天乃「……もしも」
もしも、記憶を失っていなければ
久遠家の力を最大限利用して何らかの打開策を見出すことができたのだろうか?
それとも、
記憶の有無関係なく、奉火祭のような犠牲を必要とする策しか考えることはできなかったのだろうか?
考えたところで仕方がないことだとわかってはいるけれど
それで何かが変えられるのならと、少しだけ考えてしまう
もちろん、どうしても必要なら九尾に頼んで記憶を得ることはできるが……。
天乃はそれを考えて首を振る
あれは九尾の力も流れ込んでくるため
天乃自身だけでなく、おなかの中にいる子供にまで影響を与えかねない危険な行為
ゆえに、今の天乃にはそれを選択することはできない
天乃「……あまり、雲行きはよくないわ」
1、勇者と交流
2、精霊と交流
3、イベント判定
↓2
- 440 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 21:52:22.57 ID:vWdYhVrx0
- 2
- 441 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 21:53:31.93 ID:4QQ34njfO
- 3
- 442 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 22:13:15.47 ID:GzS/GWB9o
-
01〜10 風
11〜20 沙織
21〜30 友奈
31〜40 夏凜
41〜50 大赦
51〜60 芽吹
61〜70 千景
71〜80 若葉
81〜90 樹
91〜00 東郷
↓1のコンマ
- 443 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 22:16:12.19 ID:4QQ34njfO
- あ
- 444 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 22:46:18.49 ID:GzS/GWB9o
-
沙織「久遠さん、お悩み?」
天乃「あら……おはよう沙織」
カーテンを開いてさっそくと尋ねてきた沙織に答え、
天乃は笑いながら首を振る
悩んでいるといえば悩んでいるが、記憶を戻す方法はない以上悩んでも仕方がない
天乃「昨日の話、聞いてたでしょ?」
沙織「昔の久遠さんについての話だよね。久遠家の記憶の有無での違い」
天乃「ええ。沙織は何か知ってることある?」
今でこそ、精霊を兼ねた戦力の一人として数えられているが、
二年前は巫女として尽くしてくれていた沙織
園子とはまた違うことを教えてくれるのではないかと問いかけた天乃に対し
沙織は「そうだねぇ」と
園子に似た間延びした声で考える
沙織「結構考え方変わったよね。前は久遠家の知識というか、神様は云々って考え方が多かったし」
天乃「そうね……でも、神樹様を信じられなくなったっていうのもあるかもしれないわ」
沙織「確かに……あっ、そうそう。記憶を失くす前後で一つだけやらなくなったことがある」
天乃「やらなくなったこと……? 祝詞を読むとか?」
沙織「ううん、調べもの。神様との取引がどうとか言ってたよ。詳しくは教えてくれなかったからわからないけどね」
- 445 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 22:58:16.12 ID:GzS/GWB9o
-
天乃「神様との取引……?」
考え事の小さな呟きに応えるように、沙織は苦笑すると
話したら止められるから言わなかったのかもしれないね。と
少し困ったような表情でいう
神様との取引ともなると、簡単なことではないし
易い代償で済むとも考えにくい
もちろん、神樹様がお人よしであるならば少しも違ってくるかもしれないけれど。
天乃「そんなこと、覚えがないってことは久遠家に関してか、身内で話し合っていたかだけど」
沙織「お祖母様と話してたんじゃないかな? 仲は悪かったけど、大赦の中枢にいる人ではあるから話さないわけにはいかなかったと思う」
天乃「なるほど……」
沙織「でも正直、久遠さんがその調べものをしなくなって安心してるんだ。あたし」
切なげな表情だった
そしてなにより、安堵を感じる印象的な笑みだった
天乃「沙織?」
沙織「だって、なんか……嫌だった。怖かったっていうほうが正しいかもしれない」
それは天乃が怒りに満ちているとかどうとか
そういう暴力的な怖さではなく
出かけていくその後姿を見過ごせば二度と帰ってきてはくれなくなるような
創作物でよくある別れのフラグ的な要素のように思えてならなかったと言う
沙織「笑顔だったし、普段と変わらないようには見えたんだけどね……でも、それがなんだか、逆に不安だったのをよく覚えてる」
- 446 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 23:51:25.47 ID:GzS/GWB9o
-
天乃「……自分のことなのに、その時の自分の考えが思い浮かばないってもどかしいわね」
苦笑いを浮かべて言いつつ、まったくわからないわけでもないと呟く
銀を失った後の出来事なのだろうから
自己犠牲精神旺盛な愚か者の考えを持っていたことだろう
ならば、自分の命を犠牲にしての何かしらの儀式だった可能性が高い
もしかしたら、それこそ奉火祭を行おうとしていた可能性だってある
天乃「奉火祭……その時に行っていたら友奈たちが戦わずに済んだ可能性はあるわよね?」
沙織「少なくとも久遠さんが生贄なら十分あり得たことだと思う。しばらくは問題なかったんじゃないかな」
人類の切り札といってもいい力の持ち主を差し出すのだ
それ相応の許しは得られたことだろう
もっとも、それで神樹様の寿命が長続きしたかどうかまでは分からない
沙織「あたしが分かるのはそれくらいかな。あとは園子ちゃんが話したことと変わらない」
天乃「そう……やっぱり、久遠家のことがあるかないかで考えって変わるのね」
沙織「それはそうだよ。かなりの力がある家のことだもん」
でも、今はもう危ないことはしないよね。と
心配そうな表情でつぶやいた
- 447 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/22(月) 23:53:34.71 ID:GzS/GWB9o
-
√ 11月11日目 昼(病院) ※土曜日
01〜10
11〜20 大赦
21〜30
31〜40
41〜50 千景
51〜60
61〜70
71〜80 芽吹
81〜90
91〜00 若葉
↓1のコンマ
- 448 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 23:54:52.08 ID:vWdYhVrx0
- あ
- 449 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 23:55:54.28 ID:Q3p51mkUO
- あ
- 450 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 00:05:45.66 ID:6S3UiAaUo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
須美「久遠先輩……もしも、もしも無事に帰ってくることができたら……」
須美「その時は、私たちの子供を身ごもってください!」
東郷「なんて、言えるのが理想だったあの頃」
風「……あれ? その時って小学生では?」
東郷「初潮を迎えていなければ妊娠できないと言われていますが、妊娠させられないとは言われていませんので」
- 451 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 00:08:47.34 ID:cCZH8euNO
- 乙
マジで出産の時は近づいてるんだよなあ
来月くらいかな?
- 452 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 00:09:14.51 ID:aSMZlQB/O
- 乙
あれれー?須美の時点で残念な思考してるぞー?
- 453 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 08:35:10.53 ID:GOzHts92O
- 乙
以前の久遠さんの考えがキーになりそうだ
九尾の話と祖母と過去の久遠さんをどう絡めて来るか楽しみ
- 454 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 21:20:52.32 ID:6S3UiAaUo
-
では、少しだけ
- 455 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 21:39:31.84 ID:6S3UiAaUo
-
√ 11月11日目 昼(病院) ※土曜日
「早ければ来月ですね」
天乃「ええ。遅くても再来月っていう話だったと思うわ」
「きっと、元気な子が産まれますよ」
学校に行っている夏凜達のベッドメイクや、
病室内の空気の入れ替えなど
天乃の身の回りの環境を整えてくれる若い看護師は、
子供ながら命を宿している天乃へと優しく声をかける
看護師自身は経験したことはないが、
そういう、母親になろうとしている女性たちの力になりたいとこの業界に入ってきたのだと理想を語る看護師は
思い出したように「そういえば」と切り出す
「知ってます? 今の婦長が入りたての頃に天乃ちゃんのお母さんの担当をしたらしいですよ」
天乃「知らなかった……」
「その時のことはすごく印象的だったのでよく覚えてるって言ってました」
天乃の母親もまた、かなり若い年齢
それも天乃とほとんど変わらない年齢での妊娠と出産だったのだ
しかし、年齢の驚きだけではないと看護師は言う
「産まれたのが男の子らしいんですよ。そしたら、お母様の周りの人はなんだ。男の子なのか……と、落胆した様子で」
- 456 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 21:56:40.04 ID:tcgvEeeXO
- 兄貴…
- 457 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 21:57:47.12 ID:6S3UiAaUo
-
婦長はそれが不思議だったそうで、
今は引退してしまった先輩に話を聞いたらしいが、
久遠家というのは代々、女尊男卑の節があるというように言われたのだという
「でも、お母さんだけはすごく安心した様子だったらしいです」
天乃「それはそうでしょうね。子供が産まれたんだもの」
「でも、そういう感じの安堵じゃなかったって言ってたんだよね」
天乃「え?」
それから晴海が産まれ、天乃が産まれた
中でも一番気になったのは、まさに最後の天乃が産まれた時だったらしい
「それで、天乃ちゃんが産まれたときは本当。なんかこう異様だったって」
天乃「異様……? お母さんが喜ばなかったとか?」
「うーん……それもあるけど仮面をつけた神官の装いをした集団が来たらしいです」
あれは不気味でした……と、
怖いはずの婦長が女であることを思い出させてくれる反応を見せましてね。と
看護師はお茶らけた様子で語りながら、苦笑する
天乃「仮面をつけた集団ね……」
十中八九大赦の神官だ
おそらく、力の継承が行われたから来たのだろう
「あっ、そうだった。そう、その仮面の人たちが朝に病院に来たんですよ」
それでこの話思い出したんですよねーと、看護師は満足げな表情を浮かべた
- 458 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 22:14:40.36 ID:6S3UiAaUo
-
天乃「大……仮面の人が来た?」
面会か何かに来たのならば、こちらに来ているはずだろう
来ていないということは別件で来たはず
母親が自分の誕生を喜ばなかった―力を継承させてしまったからだろうが―という部分を気にしつつ、
天乃は大赦という言葉を抑え込んで問う
仮面の怪しい集団という方が扱いやすい
大赦というれっきとした組織に関しての内容ならば守秘義務が働くことがあるが
怪しい集団ならば愚痴やネタの一つとして暴露されやすいのだ
「そうなんだよね。なんか、人が来たら連絡を欲しいって」
天乃「指名手配されている人でもいるのかしら」
「覆面警官ってやつかもね」
天乃「それはパトカーじゃなかったかしら?」
昨今では見ない聞かない言葉を言い合って、笑う看護師の一方で天乃は考え込む
指名手配というのは冗談で言ったけれど、半ば本気でもある
大赦は誰かを探しているのだ
それも、天乃に関係のある誰かを
しかも、普通の大赦職員ではなく、神官まで駆り出されているというのがまた、妙だった
もちろん、純粋に人手が足りていない可能性もあるが
その場合、あまり公にできない理由、または人探しという可能性も浮上する
1、ねぇ、その探してる人って?
2、なるほどね。でも、そんなこと話してよかったの?
3、その探してる人が来ても教えないほうがいいわよ? 仮面で顔を隠してるなんて怪しすぎるじゃない
4、……それより、お母さんの連絡先って残ってたりしない?端末のデータが壊れちゃって連絡できないの。教えてくれない?
↓2
- 459 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 22:16:19.50 ID:tcgvEeeXO
- 1
- 460 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 22:18:03.94 ID:l1WGn1O30
- 1
- 461 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 22:39:13.59 ID:6S3UiAaUo
-
天乃「ねぇ、その探してる人って?」
「えっ? えーっと……あ、これ言っていいのかな?」
天乃「お母さんと繋がりのある人たちが探してる人だもの。もしかしたら情報提供できることがあるかもしれないわ」
「んー」
天乃「病院なんて目立つ場所で怪しい格好のまま来るなんて普通じゃないし、きっと緊急だったんだと思うの」
だから。ね? と、嘯く
そんなことなど全く思っていない
緊急性のある問題かもしれないとは思っているけれど
情報提供する気はない
もちろん、害になりそうな事であれば、周りにも協力を頼んで捕まえることに尽力するが。
「そうだなぁ……婦長には私が教えたって内緒にしててね?」
天乃「ええ。お腹の子供に誓って貴女から聞いたことを婦長には言わないわ」
「それなら……」
きょろきょろと
二人きりの病室の中で警戒する素振りを見せた看護師は
天乃の耳元へと顔を近づけた
「……楠芽吹さんだよ」
天乃「芽吹……?」
- 462 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 22:51:05.00 ID:6S3UiAaUo
-
「もしも病院の付近で見かけたら教えてほしいってそれだけ」
天乃「…………」
予想していなかった名前を聞かされ黙り込んでしまった天乃は
おもむろに「なるほど、知り合いだわ」と答える
けれど、どこにいるのかはやっぱりわからないわね。と
あくまで残念そうな雰囲気で言う
天乃「でも、もし何か気づいたことがあったり、みんなから聞いたら貴女に教えるわ」
「う、うん。そうしてくれると助かる」
婦長自身に対してや、同僚を通して婦長に伝わった利したら大変だと看護師は慌てた様子で頷く
様子を見る限り、自分からぼろを出してしまいそうだ
宜しくね。秘密だからね
再三にわたって言いながら病室から出ていく看護師を見送り、
天乃は深く息をつく
天乃「何を……したの?」
ただ行方不明なわけではないはずだ
きっと、何か理由があって身を隠したか逃げ出したのだ
そしていずれにせよ自分たちに助けを求めてくることだろう
それはきっと、何かあったら来てもいいと、そう、言ったからこそだろう
でなければ頼るわけにはいかないと引き下がるか、耐えるか、自力での解決をもくろんだはずだからだ
- 463 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 22:59:59.94 ID:6S3UiAaUo
-
√ 11月11日目 夕(病院) ※木曜日
01〜10 夏凜
11〜20
21〜30
31〜40 若葉
41〜50
51〜60 風
61〜70 千景
71〜80
81〜90
91〜00 樹
↓1のコンマ
- 464 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 23:01:23.51 ID:JGu9/K1NO
- あ
- 465 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/23(火) 23:16:42.69 ID:6S3UiAaUo
-
ではここまでとさせていただきます
明日は予定通りお休みをいただき、明後日の通常時間に再開となります
大赦A「……まったく、だから言ったのだ!」
大赦A「久遠天乃にかかわらせるべきではないと!」
大赦B「しかし、このような行動に出るとは……」
大赦A「忘れたか? 信仰心厚い学生らが久遠天乃ただ一人のためだけに反旗を翻したのだぞ」
大赦A「あの娘は危険だ……悪魔だ。毒だ……我々を苦しめる猛毒だ」
- 466 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 23:17:23.72 ID:O7Fjl2W3O
- 乙
メブーピンチか?
- 467 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/23(火) 23:25:51.28 ID:tcgvEeeXO
- 乙
メブが…とうとう大赦と全面衝突してしまうのだろうか
それにしても久遠さんが産まれるまで孕まされ続けたお母さん、可哀想にも程があるな…
- 468 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/25(木) 22:06:23.03 ID:Gvg2jaSko
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 469 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/25(木) 22:09:31.93 ID:1E21zWb8O
- あいよー
- 470 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/25(木) 22:22:09.10 ID:Gvg2jaSko
-
√ 11月11日目 夕(病院) ※木曜日
風「天乃、ちょっといい?」
天乃「えっ?」
風が神妙な面持ちでそう声をかけてきたのは学校から帰ってきてすぐのことだ
二人で病室から出ていくのではなく、
みんながいる病室の中で話そうという流れで、
真剣な話はみんなにも伝わっている内容だというのは明白だった
天乃「顔つきを見る限り嫌な話になりそうね」
風「まだ嫌な話って決まったわけじゃないのよ。……まぁ、八割がた嫌な話ではあるけれど」
天乃の苦笑いの挟まれた軽口に
風も精神的な疲れを感じさせるような笑みを浮かべながら応対する
しかし、八割とは言うが確定的な話だと天乃は心の中で思う
風「まず初めに聞きたいんだけど、大赦の人って誰かここに来た?」
天乃「ううん、来てない」
風「そか……じゃぁ知らないかな……」
小さく吐き出した風は逡巡したような反応を見せて。
風「じゃぁ、芽吹……楠さんは来た?」
- 471 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/25(木) 22:46:07.12 ID:Gvg2jaSko
-
天乃「ううん、来てないわ。大赦も楠さんも」
そもそも面会自体、全然なのよ。と
天乃は残念そうに言いながら、友達いないからなどと適当な冗談で笑う
その裏で、考える
風の話したいこと、聞きたいことが何なのか
それは、看護師が言っていた大赦が探す芽吹の件と関係あるのだろうか。と
今日の今日でこの話なのだから、関係ないはずがない
天乃「風のところには来たの?」
風「お察しくださいな」
場所を移すことなくみんながいる病室での話。
天乃ならそれで察しが付くだろうという風の信頼を受けて、
天乃は呆れた表情で背もたれの代わりになっているベッドへと体を預ける
天乃「何してるんだか……ちなみに、どっちが来たの?」
風「大赦」
天乃「楠さんは?」
風「来てないし連絡もつかない」
- 472 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/25(木) 23:09:45.67 ID:Gvg2jaSko
-
余計な一言も挟まず、簡潔に
情報を伝えた風は「天乃の方には来てないのかぁ」と
どこか残念そうに体を伸ばす
大赦が来ていないから残念なのではなく、
芽吹が来ていないことが残念なのだろうと天乃は感じた
風「神樹様の種のことがあるからそういう関係の話かと思ったら、最近楠芽吹とは接触しているのかって」
向こうがそういうことできないようにしてるくせによ? と、
風は呆れた素振りを見せる
おそらく、芽吹を探しているという話を直接せずに
神樹様の種を奪った―という体の―勇者部と
神樹様の種の差し出した防人の隊長である芽吹が裏でまだ繋がりがるのかどうかの調査という話でいったのだろう
それで気になって芽吹に連絡した結果
連絡がつかないから何かあったのかもしれないとみんなが心配になったらしい
1、楠さん以外の防人とも連絡はつかないの?
2、看護師さんから聞いた話なんだけど、どうやら大赦は楠さんを探しているみたいなの
3、それで? どう思う?
↓2
- 473 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/25(木) 23:11:28.76 ID:Zc+njZau0
- 1
- 474 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/25(木) 23:12:18.66 ID:1E21zWb8O
- 2
- 475 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/25(木) 23:24:29.99 ID:Gvg2jaSko
-
ではここまでとさせていただきます
明日はできれば21時ころから
東郷「探してる理由は奉火祭。ですね」
東郷「奉火祭で選ばれる巫女の中に国土さんがいることに気付いた楠さんが」
東郷「国土さんを連れて大赦から逃げ出したに違いありません」
東郷「ずばり、愛の逃避行中なのよ!」ビシッ
友奈「東郷さんが言うと説得力がないように感じるのはなんでなんだろう」
夏凜「日頃の行いでしょ」
- 476 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/25(木) 23:30:34.12 ID:5vjjghCQO
- 乙
マジで何してるんだろうなあ
- 477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/25(木) 23:37:39.84 ID:1E21zWb8O
- 乙
連絡すらできないとなると勇者部の助け船もだせないしなぁ
メブー、無理してないといいけど…
- 478 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/26(金) 21:31:53.48 ID:X4gUBVACo
-
では、少しだけ
- 479 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 21:36:10.04 ID:fN799IiPO
- かもん
- 480 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/26(金) 22:10:19.54 ID:X4gUBVACo
-
天乃「看護師さんから聞いた話なんだけど、どうやら大赦は楠さんを探しているみたいなの」
風「楠さんを探してる……?」
天乃「ええ。そう聞いたわ」
これが看護師も巻き込んだ盛大なドッキリだというのなら面白い話だが、
残念ながら、そんなことはなくて。
風は訝し気に眉をひそめて口元に手をあてがう
風「奉火祭の関係で何かあったから逃げ出したとかそういうやつ?」
天乃「あるいは、重要な何かを持ち出したとか?」
風「重要って……」
今ある情報の中で、芽吹が自分の立場を悪くしてまで持ち出そうとするような何か
それを考えた風ははっとして天乃へと目を向けた
風「まさか……巫女? ほら……って、あの時に天乃はいないか」
神樹様の種をもらいに行った時のこと
あの場にいた巫女のことを思い出し、風はその名を口にする
天乃も以前、会ったことのある少女の名だ
風「国土亜耶。楠さんの防人部隊にはその巫女がいて、凄く大切な人って感じだった」
天乃「……じゃぁ、その子が奉火祭の一人に選ばれたから連れ出したってこと?」
- 481 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/26(金) 22:48:02.49 ID:X4gUBVACo
-
自分で言っておきながら、
ありえないというようなニュアンスを感じさせる天乃に対し
風は小さく首を振る
以前の芽吹であれば絶対にありえなかったかもしれないが、
今はもう違う
国土亜耶を隠すことで世界に危機が訪れるのだとわかっていても、
はいそうですか。と、犠牲になることを受け入れるような少女ではない
たとえ、亜耶自身が、自分の巫女としての務めだからと受け入れていてもだ
それは、神樹様の種を譲ってくれたことからも明らかだった
風「楠さんは世界の危機と天乃を天秤にかけて、天乃を選んだ。その考え方なら、国土さんを見捨てる道理がない」
天乃「違う、そうじゃないの。それは分かってるわ」
そもそも、初めから芽吹が人を見捨てられるような人間だとは思っていない
天乃に対しては意地悪なようで、冷徹なものを感じさせる態度ではあったが、
それも最初のうちだけだったから。
天乃「私が否定したいのは国土さんだけ。っていう点なの。だって、国土さん一人を逃がしたところで奉火祭が止まるはずがないのよ」
亜耶以外の巫女を使って奉火祭が行われるだけであり、
それはきっと、芽吹の信念には反していることだろう
ならば、芽吹が行った大赦に追われるほどのことは何なのか。
天乃「予備で作られてた神樹様の種を持ち出したっていう可能性もなくはないのよね」
- 482 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/26(金) 23:11:21.27 ID:X4gUBVACo
-
天乃がもらい受けた神樹様の種以外にも
準備してあった分はあるはずで
もしもそれを盗み出していたとしたら、追われる理由になるし天乃のいる病院にまでくる理由にもなることだろう
亜耶を連れ出すだけでは全員を救うことはできない
そして、奉火祭を行わなければならないほどに切迫した状況に現れる強力な敵に勝てる見込みも、
正直な話をするのであれば薄いだろう
だから、神樹様の種なのだ
天乃が必要としていたから
それを渡せばより早く、より良くなることができるかもしれないと考えて、
天乃さえ戻れば、奉火祭など行わなくてよくなるだろうと考えて。
天乃「……自意識過剰なだけであれば、いいんだけれど」
風「天乃が万全なら問題がなくなるっていう点だけは事実だから何とも」
天乃「…………」
神をも殺せる力
確かに、万全な状態で振るえるその力さえあれば一発逆転も可能なことだろう
風「本当に神樹様の種なのかどうかはともかく、会ったら考え直させる方向性で良い? それとも、一応保護しとく?」
保護する場合、大赦とは余計に険悪になったりする可能性も否めないが……
1、保護する
2、考え直させる
↓2
- 483 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 23:14:24.72 ID:fN799IiPO
- 2
- 484 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 23:14:41.67 ID:8zVbqfEdO
- 2
- 485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 23:15:08.64 ID:VhAAni9j0
- 1
- 486 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/26(金) 23:43:03.74 ID:X4gUBVACo
-
ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
亜耶「大丈夫です。私は……大丈夫です」
亜耶「ですから、どうか」
亜耶「……みなさんが苦しむことの無いよう施しをください」
亜耶「たとえ、それでみなさんの中から私の思い出が消えてなくなってしまうのだとしても」
亜耶「芽吹先輩……みなさんを、悲しませたくありませんから」
- 487 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 23:45:11.17 ID:8zVbqfEdO
- 乙
とりあえず話聞いてからいろいろ考えよう
- 488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 23:50:19.50 ID:fN799IiPO
- 乙
思ってた以上にデカいことをして追われてるみたいだな
でもどうやって亜耶ちゃんたちを助けたらいいんだろうか…?
- 489 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/27(土) 21:17:51.87 ID:0Rlg/PBeo
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 21:18:38.93 ID:vIM/2XnSO
- やったぜ
- 491 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/27(土) 22:00:12.54 ID:0Rlg/PBeo
-
芽吹にだって考えや思いがあるはずだ
意地悪しよう、悪戯しよう、ただ気に食わないから
そんなふざけた理由でここまで―といっても推測の域を出ていないが―することはないだろう
だから、天乃は考える
どうするべきか、どうしてあげるべきか
それを考えて、天乃は風へと目を向けた
天乃「説得してやめるように言いましょ」
風「天乃ならそういうだろうと思ってたわ」
分かっていたと言い、
分かり切っていたのだと安心した表情を見せる風に微笑んだ天乃は息を吐いて整える
天乃「楠さんが間違っているとは言わない。でも、いいことだとも言うことはできない」
風「国土さんのために?」
天乃「ええ。きっと、国土さんは自分のために無理をすることを望まない。それで追い詰められている楠さんを見ていることはできない」
きっと心が痛むだろう
精神的に痛み、そして、そこからくる思いのこもった発言は芽吹を傷つけることになるだろう
それがどういう結果につながるのかを考えたとき
天乃には嫌な予感しか感じられなかった
- 492 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/27(土) 22:40:41.03 ID:0Rlg/PBeo
-
どちらかといえば、
天乃は芽吹と似たような考えをするタイプの性格だ
守りたいもののためならば、自分のことなど気にしない
それで周りがどう思うか、周りにどんな影響を与えるかなども考えずに
けれど、さんざん説得されて、
さらにはそうできない立場になって
夏凜達が自分のためにと無茶を繰り返すようになって
痛いほどに分かるようになった
だから、芽吹の考えのすべてを認めることはできなかった
天乃「……このままじゃ誰も幸せにはなれないわ」
風「それ。前の天乃に一番分かってほしかったことだわ」
天乃「そうね」
風「…………」
少し、懐かしくなる空気を感じて微笑むと
風は手を軽くたたいて注意を惹き「さて」とつぶやく
風「楠芽吹大捜索! 勇者部が先か大赦が先か。たぎってきたぁっ!」
元気よく声を上げた風に、
他の勇者部部員……夏凜達は呆れた様子ながら同意して答えた
- 493 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/27(土) 22:52:09.78 ID:0Rlg/PBeo
-
√ 11月11日目 夜(病院) ※木曜日
01〜10 夕海子
11〜20
21〜30
31〜40 若葉
41〜50
51〜60 芽吹
61〜70 千景
71〜80
81〜90
91〜00 樹
↓1のコンマ
- 494 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 23:01:44.72 ID:jG0KlgGe0
- あ
- 495 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/27(土) 23:59:38.14 ID:0Rlg/PBeo
-
√ 11月11日目 夜(病院) ※木曜日
天乃「…………」
カーテンが締まり、光が遮られた視界の先にある青白さのある天井を眺める
常に横になっているだけでも眠くなってくるのは子供がいるからだろうか
下手に寝返りも打てない状況で変わらない景色に映るのは、別れた時の芽吹
何かあったら頼ってもいいと、そう、話した
だからきっと、病室に来るはずなのだ
天乃「そうなったとき、どう説得したらいいのかしら」
本気で守りたいと思っているのならば、
芽吹は生半可な否定を受け入れてはくれないだろう
説得に対して反論し、自分の考えを述べてそれを強行する
しかし、今回は天乃の力を借りて事態の打開を狙っている可能性が高い
それなら、話を聞いてはくれないだろうかと天乃は思う
天乃「そもそも、神樹様の種を二つも入れられたらさすがに私の体が壊れるわ」
ただでさえ偏っていて、不安定で不慣れで今にでも壊れてしまいそうなのに。
追加で神樹様の力をより多く注ぎ込むことになったら逆に不安定になるだけで解決ができないし
それ以前に子供がいる今はまだ神樹様の力を取り込むことはできない
帝王切開という強引な手を用いて子供を取り出すという手もあるにはあるが、予定日を過ぎたなどの諸問題が起こっているわけでもない今
そんな母子ともに危険な手は選びたくなかった
- 496 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 00:17:37.14 ID:ebiR7i2Mo
-
天乃「それを説明したら諦めてはくれるだろうけど」
諦めてくれるのはせいぜい、天乃に神樹様の種を用いることくらいで
根本的な解決はできない
それでは意味がないのだ
芽吹と亜耶の両方を救うことを考えなければならない
天乃「…………」
きっとまた、夏凜達に無理をさせることになる
それ以外に方法はない
どんなことをさせることにんっても、
それで救えるのならと実行してくれるだろうが……
天乃「誰かが無理をする事は変えられないのね」
1、勇者
2、精霊
3、イベント判定
↓2
- 497 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 00:17:58.21 ID:xQrIT0VQO
- 3
- 498 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 00:21:48.25 ID:M89Vq8GO0
- 3
- 499 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 00:24:41.74 ID:ebiR7i2Mo
-
01〜10 夕海子
11〜20 沙織
21〜30 東郷
31〜40 若葉
41〜50 友奈
51〜60 芽吹
61〜70 千景
71〜80 夏凜
81〜90 芽吹
91〜00 樹
↓1のコンマ
- 500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 00:24:58.28 ID:xQrIT0VQO
- あ
- 501 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 00:31:36.10 ID:ebiR7i2Mo
-
ではここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から
東郷「友奈ちゃん、ここで問題です」
東郷「しゅ――」
友奈「夜這い」
友奈「この流れで東郷さんがするのはそれ以外ないよね?」
東郷「さすが友奈ちゃん、良く分かってるわねっ」
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