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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
- 502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 00:36:23.89 ID:CIEqsL3UO
- 乙
昼再開やったぜ
そしてここで東郷さん…夜這いかはたまた相談か
- 503 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 01:48:06.26 ID:xQrIT0VQO
- 夜這いと相談両方すればいいんじゃね?(天才)
- 504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 11:09:45.89 ID:bOsEiXFQO
- 芽吹だいぶ追い詰められてる感じだな…
もしも東郷さんが生け贄を拒否したらっていう擬似的なifストーリーみたいだ
- 505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 13:51:13.10 ID:ebiR7i2Mo
-
では少しずつ
- 506 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 14:11:27.74 ID:35JYi8fdO
- きてたか
- 507 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 14:32:58.00 ID:ebiR7i2Mo
-
東郷「……やっぱり、起きてますね」
天乃「東郷……」
カーテンの隙間から顔を覗かせた東郷は
心配とうれしさをかみしめた声色で言うと、すっと中に入ってきた
天乃が芽吹達のことで悩んでいることの心配と
芽吹達のことで悩んでくれているうれしさがある笑みを携えて。
東郷「説得するって答えを出して、あとはもうお任せします。なんて器用さは久遠先輩にはありませんから」
天乃「不器用で悪かったわね」
東郷「本当です。もっとも、私も人のことを言えた義理ではありませんが」
人のためにと尽くし、自分を犠牲にしてしまう不器用さ
しかしそれは自分にも痛いことだと東郷は苦笑いを浮かべながら、椅子に腰かける
今のような関係が紡げていないとか
あるいは、今いる誰かがいなかったりとかしたとき、
果たして、自分はそんな不器用な考えを持たずにいられただろうかと思う
東郷「もしも久遠先輩がいなければ、私はきっとものすごく大変なことをしていたと思います」
天乃「どうして?」
東郷「もしも久遠先輩がいなかったら、私には友奈ちゃんしかいなかった。友奈ちゃんしかいなかったら、私は傷ついていく姿を見ていることなんてできない」
以前にも言ったが、
天乃がいたことで早期に発覚したからこそ軽微で済んだ満開の秘密だってそうだ
後々に知ることになっていたら、それこそ反抗の理由となっていただろう
東郷「壁だって、本当に壊していたかもしれません」
- 508 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 15:08:44.33 ID:ebiR7i2Mo
-
東郷「ですから、私も不器用なんですよ」
天乃「壁なんて壊してたら笑い事じゃすまなかったんじゃない?」
天乃がいなければその力がない
その力がなければ神樹様を余計に弱らせることはなかっただろうが
壁を壊しなんかしたら一気に衰弱することになっていたかもしれないし
それによってなだれ込んでくるバーテックスだったり、それが神々に与える印象は相当なものだったことだろう
東郷「友奈ちゃんはみんなを救いたい、私は……きっと、全部を救うまで望むことはなかったはずですから」
天乃「対立してたかもしれないわね」
東郷「友奈ちゃんの勇者な拳に叩かれていたかもしれませんね」
夜の暗い雰囲気を払拭するように小さな笑い声をこぼして、ひと呼吸
やんわりと静まり返った空気の中で東郷は表情を引き締める
東郷「さて、本題ですが……楠さんの件はどう考えますか?」
天乃「説得する方法? それとも、楠さんがやろうとしていること?」
東郷「出来れば、両方です」
天乃「風との話は聞いてたわよね? 後者に関しては推測しかできないわよ?」
- 509 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 15:39:46.51 ID:ebiR7i2Mo
-
東郷「そうですね……聞いていた話で間違ってはいないのではと私も思います」
芽吹が持ち出したのは巫女である国土亜耶ではなく、
大赦が管理している神樹様の力を分けた種
そして、それを使って天乃の体を戻しバーテックスを何とかして貰う
亜耶だけを連れ出しても全員を救うことはできない
それではダメだと芽吹は考えるだろう
だから、そういった考えをしているかもしれないという推測
東郷も、それは間違っていないだろうと考えていた
東郷「私が考えているのはそれを達成するための彼女の動きです」
天乃「大赦から持ち出して……私のところに来るのはそうでしょうけどそのあとね。今どこにいるのか。とか?」
東郷「大赦の人から見つからないところなのはもちろん、私たちにも見つからないような場所にいるのではと私は思うんです」
天乃「東郷たちにも……?」
東郷たちは協力者として考えていいはずだ
だが、東郷はそれは避けようとするだろうと考えているらしい
東郷「理由は単純です。これは久遠先輩を利用する考えだからですよ」
それに加えて。と、東郷はつづける
東郷「久遠先輩の体のバランスが崩れることも彼女は分かっています。だから、私たちに顔は合わせ辛いかと」
- 510 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 16:11:05.78 ID:ebiR7i2Mo
-
東郷「ただ、彼女の誤算は久遠先輩が自分を犠牲にしようとは考えない点ですね」
天乃「…………」
東郷「ですよね?」
天乃「え、ええ……」
威圧的な問いかけを受けて、天乃は少し困ったように頷く
もちろん東郷が言ったように自分を犠牲にするつもりはない
たとえ芽吹に極秘裏に相談されたとしても
それを受けて考える。当然、自分も誰も犠牲にならなくていいように。だ
東郷「そこで、彼女が今どこにいるのかを考えたいと思いまして」
天乃「楠さんがどこにいるか……東郷は考えつく?」
東郷「そうですね……橋の下。とか?」
天乃「ふふっ、いろいろな意味でそれは困るわね」
しかし実際の問題、
絶対に見つかるであろう家にも帰れていない可能性のある芽吹が
行ける場所などあるのだろうか
1、学校
2、橋の下
3、天乃たちが住んでいた家
4、どこかのホテル
5、夕海子の家
6、その他
↓2
- 511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 16:13:31.39 ID:35JYi8fdO
- 4
- 512 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 16:14:48.32 ID:M89Vq8GO0
- 5
- 513 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 17:02:53.51 ID:ebiR7i2Mo
-
天乃「そういえば、楠さんの部隊の子……弥勒さん達はどうしたのかしら?」
東郷「大赦は謹慎中だとは言いましたが、楠さんのような扱いをしている素振りは見せませんでした」
天乃「つまり、弥勒さん達は大赦から離れていないのね?」
東郷「そう考えていいかと」
天乃「…………」
考えすぎというより、
ある意味で邪推しすぎている気はしなくもないが
天乃はもしかして。と、考える
天乃「弥勒さんの家とか?」
東郷「弥勒さんの家ですか……あるいは他の方の家」
天乃「ええ」
東郷「確かに、支援のない状況での逃走劇には限界がありますし無理がありそうです」
それでも続けられる精神力があったり、
短期決戦を狙っているならば話は別だが。
東郷「大赦が血眼になって探し、私たちが事態を察知するような手段まで講じている以上、支援によって手を焼いている可能性は高い」
あながち、間違っていないかもしれません。と、
東郷は考えながら答えた
- 514 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 17:49:25.38 ID:ebiR7i2Mo
-
東郷「ただ、弥勒さんの家であるという確証はありませんし……ここは手分けして各家をめぐるしかなさそうです」
芽吹の部隊の中でも主要メンバーとされている夕海子や雫たちの家
問題は、その家を知らないことだ
今住んでいる場所ならわかるが、そこは大赦の管轄
よって、実家にかくまってもらっている可能性が高いのだが
肝心のそれらの住所がわからない
みんなが香川出身ならばまだ見つけやすいが
おそらく、そんなことはないだろう
天乃「現実的ではないわね」
東郷「そうですね……やはりここで待っているほかないのでしょうか?」
天乃「それが一番確実な手ではあるのだけれど、私たちも何か行動したほうがいいような気がするわ」
でなければ、芽吹が大赦に見つかって捕まってしまうかもしれない
それはそれで、
目的を阻止するという過程をクリアすることができるのだが
根本的な解決には至らない
天乃「東郷。学校に姿を見せる可能性もあるから。その時はお願いね?」
東郷「お任せください。必ず、説得します」
一礼する東郷から、
カーテン越しに感じる月明りへと目を向ける
流れる雲にさえぎられて時折黒に染まるカーテンは
なんだか少し、不気味さを感じさせた
- 515 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 18:10:22.54 ID:ebiR7i2Mo
-
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流無()
・ 犬吠埼風:交流有(芽吹について)
・ 犬吠埼樹:交流無()
・ 結城友奈:交流無()
・ 東郷美森:交流有(芽吹について)
・ 三好夏凜:交流無()
・ 乃木若葉:交流無()
・ 土居球子:交流無()
・ 白鳥歌野:交流無()
・ 藤森水都:交流無()
・ 郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・ 九尾:交流無()
・ 神樹:交流無()
11月11日目 終了時点
乃木園子との絆 79(高い)
犬吠埼風との絆 105(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 92(とても高い)
結城友奈との絆 111(かなり高い)
東郷美森との絆 122(かなり高い)
三好夏凜との絆 145(最高値)
乃木若葉との絆 97(かなり高い)
土居球子との絆 44(中々良い)
白鳥歌野との絆 44(中々良い)
藤森水都との絆 36(中々良い)
郡千景との絆 45(中々良い)
沙織との絆 125(かなり高い)
九尾との絆 67(高い)
神樹との絆 ??(低い)
※楠芽吹が姿をくらましました
- 516 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 18:19:20.22 ID:ebiR7i2Mo
-
√ 11月12日目 朝(病院) ※金曜日
01〜10 友奈
11〜20
21〜30
31〜40 樹
41〜50
51〜60
61〜70 芽吹
71〜80
81〜90 千景
91〜00
↓1のコンマ
- 517 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 18:23:35.95 ID:35JYi8fdO
- あ
- 518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 18:39:44.63 ID:ebiR7i2Mo
-
√ 11月12日目 朝(病院) ※金曜日
天乃「もうすぐ……12月ね」
肌寒さに目を覚まして、布団の中のぬくもりに魅力を感じて目を閉じたくなる
そんな季節になって、より深くなってくる時期
子供たちの楽しみであるクリスマスや、そのあとに控えているお年玉への期待
いろんな希望のある月なのだが……今は不安しか感じられない
子供が生まれる可能性もそうだが、神樹様の寿命の件もある
二年前もそうだったが、
明るく楽しく過ごすことは難しいかもしれないと天乃は思う
去年のように、幼稚園に出向いて演劇をやるだとか、
サンタに扮してイベントを行うといったことはやっている余裕がないかもしれない
けれど……余裕がなくてもそういった日常を感じることは必要だろう
余裕がないと忘れてはいけないことも迄忘れてしまいかねないが
そういった面で、自分たちが守っている日常というものは実に、心を癒してくれるものだからだ
もっとも、それでより追い込まれてしまう人もいる以上、
一概には言えないが
- 519 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 18:52:03.07 ID:ebiR7i2Mo
-
天乃「……楠さん大丈夫かしら」
今日は久しく曇天
雨が降ってはいないが時間がたてば振り出すような悪い天気だ
東郷と話したように誰かの協力を得られており、
夕海子や雀といった友人足り得るメンバーの実家に匿って貰えているのなら良いけれど
そうでなければ雨に濡れることになる
精神的につらい状態で、体まで追い込まれてしまうのは非常に危険だ
何とか見つけ出したいと天乃は思うが
しかし、残念ながら天乃は自力で動けないし外出許可を取ることは―状況を鑑みるに―不可能だ
万が一できたとしても芽吹をおびき出す餌にしかならないだろう
天乃「もどかしいわね……本当」
何もできない、ただ待っているだけの日々は
天乃の精神的二はとてもつらいものだった
1、勇者
2、精霊
3、イベント判定
↓2
- 520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 19:12:48.28 ID:h9Ati8lpO
- 3
- 521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 19:13:42.21 ID:M89Vq8GO0
- 3
- 522 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 19:30:22.44 ID:ebiR7i2Mo
- √ 11月12日目 朝(病院) ※金曜日
01〜10 夏凜
11〜20 風
21〜30 園子
31〜40 友奈
41〜50 樹
51〜60 若葉
61〜70 千景
71〜80 球子
81〜90 亜耶
91〜00 九尾
↓1のコンマ
- 523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 19:31:14.25 ID:h9Ati8lpO
- あ
- 524 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 19:58:22.80 ID:ebiR7i2Mo
-
√ 11月12日目 朝(病院) ※金曜日
園子「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」
天乃「えっ!? えっ?」
園子「えっへへ〜」
ベッドの下から勢いよく飛び出してきたお転婆娘に困惑する天乃の一方で、
園子は欲望のままに飛びついて天乃に抱き着く
勢いこそあるものの、体を気遣ってか衝撃という衝撃はなく、優しかった
天乃「園子……? どうしたの? 珍しく元気じゃない?」
いつもなら「まだ眠いよ〜」とでも言っているような時間なのに、
元気よく活動していることに違和感があったのだ
もちろん、必ず眠そうにしているわけではないがその頻度は極めて低い
園子「えへへ〜天さん成分チャ〜ジなんよ〜」
天乃「こらこら」
ぎゅ〜っとしながらすりすりと肌を摺り寄せてくる
体を優しく抱いて、頭を撫でてあげると嬉しそうな声が聞こえてきて
まるで猫や犬のようだと天乃は感じた
天乃「本当にどうかしたの?」
- 525 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 20:30:17.24 ID:ebiR7i2Mo
-
園子「天さんが悩んでる気配がしたんよ」
天乃「それはそうだけど、あんな出てきかたしたら驚くじゃない」
園子「夜這いならぬ床這い〜」
天乃「はいはい」
極めて明るい声は、無茶をしている感じはなくて、
一先ず安堵の息を漏らした天乃は「それで?」と問う
天乃「何かあるからそんなに元気なんでしょ?」
園子「特に理由はないよ〜。ただ、こうしたら天さんのかわいい顔が見られるかな〜って」
天乃「もう……」
園子「それはそうと、天さんは楠さんのこと待つ?」
天乃「待つというか、待っているしかできないというか」
園子「んっふっふっふっふっ〜楠さんで思い出したんだけど、九尾の力を借りれば少しだけ時間を作ることができるんじゃないかな?」
子供を身籠っている関係上
あまり長く外出することはできないし、させられない
けれど、少しだけなら大丈夫なはず
園子「天気がいい日にお昼までとか。ほら、明日……は登校日だけど、お昼までだし、それからとか」
天乃「う〜ん……」
ほんの少しの時間だが、
それでも芽吹にあえる可能性もなくはない
1、確かに悪くはないかな
2、つまり、貴女デートがしたいのね
3、確かにそれなら……銀のお墓にもこっそり行けるかもしれない
4、それで楠さんに会えたらいいのだけど……
↓2
- 526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 20:31:00.71 ID:zRdSI/P4O
- 2
- 527 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 20:33:20.78 ID:h9Ati8lpO
- 3
- 528 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 20:55:58.53 ID:ebiR7i2Mo
-
天乃「確かにそれなら……銀のお墓詣りにも行けるかもしれない」
園子「うんっ」
天乃「それに、運が良ければ楠さんと会えるかもしれないわね」
そもそも、妊婦だからと一日中ベッドの上というのも体も心もつらい
窓を開ければ外の空気を感じられるとはいえ、
実際に外に出られるのと比べれば微々たるもの
たまには、外に出たいのだ
天乃「でも、九尾が協力してくれるかしら?」
園子「天さんのためだもん。してくれるよ」
天乃「だといいけれど」
神樹様の力を借りる方向性で進めているのが気に入らないのだろうが
最近の九尾は優しいのか意地悪なのかわからないところがある
神樹様に対し悪事を働いていると言えるだろう芽吹を説得するための外出と知ったら、
協力してくれないかもしれない
あるいは、協力しつつ芽吹と接触した際には別の意味で説得するかもしれない
天乃「良い予感がしない……けど、九尾のことも説得したらいいのよね」
- 529 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 21:12:34.59 ID:ebiR7i2Mo
-
神樹様の種を使うことだって、
不満がまだ少し残っている感じがあるとはいえ、
一応認めてくれているのだから
今回のことだってちゃんと話せば呆れ混じりながら認めてくれることだろう
天乃「まぁ、少し大変かもしれないけどね」
園子「私も協力するんよ〜」
手を合わせてすりすりとふざけたお祈りの仕草を見せる園子に、
天乃は「こらこら」と優しく叱って笑う
九尾に対してはそれでもいいのかもしれないが
仮にも神様の力を仮受けているのなら
ちゃんとしていたほうがいいだろう
もちろん、園子がふざけているのもわかるけれど。
園子「ミノさんもきっと喜ぶんよ」
天乃「……そうね」
東郷とはあんな話をしたが、
もし自分がいないことで何らかの変化があり、
銀が死ぬような未来にはならなかった可能性があったかもしれないと思うと
少しだけ、そんな世界だったらと思ってしまう
天乃「お墓参り、行きたいわね」
そんな考えを払拭するように、天乃は笑みを浮かべた
- 530 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 21:29:21.75 ID:ebiR7i2Mo
-
√ 11月12日目 昼(病院) ※金曜日
01〜10 九尾
11〜20
21〜30
31〜40 若葉
41〜50
51〜60
61〜70 夕海子
71〜80
81〜90 千景
91〜00
↓1のコンマ
- 531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/10/28(日) 21:30:04.62 ID:zRdSI/P4O
- あ
- 532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 21:30:30.29 ID:M89Vq8GO0
- あ
- 533 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 21:58:45.63 ID:ebiR7i2Mo
-
√ 11月12日目 昼(病院) ※金曜日
「順調そうで何よりです」
検査を終えた天乃を病室へと送った看護師は、
簡易的な検査結果が良好だったことを自分のことのように嬉しそうに言う
自分の妹といっても通用するような年齢の少女が母として健康なのは、
まだ若い看護師にとっては安心すると同時に嬉しいことだった
その分、妊娠させておきながら一度も姿を見せていない旦那であろう男の無責任さには腹が立っているのだが。
「ん〜……」
天乃「どうかしました?」
「雨、降るかなぁって。ほら、病室の中も締め切ってると空気悪くなっていくから。腰だけ開けておいてもいい? 二時間くらいしたら締めに来るから」
逐一チェックして雨が降ってきてたらそれよりも早く締めに来るし、
最悪ナースコールで呼んでくれれば飛んでいくから。と、
看護師は少しだけ窓を開けて空気を流し込んでいく
少し冷たさを感じる自然の風が流れ込んでカーテンを揺らす
部屋にこもっていた空気よりも新鮮なそれは心地よくて、
天乃は「良い風ね」と、つぶやく
天乃「私じゃ手が届かなかったし助かるわ。降ってきたらお願いします」
「うん、任せて。それじゃ、検査お疲れ様。ゆっくり休んでね」
- 534 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 22:24:34.84 ID:ebiR7i2Mo
-
雨が降りそうで降らない微妙な空模様をただ何気なく眺めて
吹き込んでくる空気を肌に感じているだけだった穏やかな時間
油断していたというより、
想像できるわけがなかった。と、言うべきだろう
「ふっ!」
どこからともなく意気込んだ声が聞こえたかと思えば、
窓の縁に誰かの手がかかったのだ
天乃「ぃっ!?」
指先の部分は薄黒く汚れ、
一部ひっかけたのか糸の伸びた軍手に包まれた手に力が込められていく
天乃「ちょ、ちょっと……えっ、なんなの!?」
慌ててナースコールを手に取ったのと同時に、
闖入者は窓からよじ登って姿を現した
若葉に似た髪色で、口元のほくろが少し目立つジャージ姿の少女
「はぁ……まっっっっったく! なぜわたくしがこんなことを……あ」
天乃「う……」
夕海子「ま、待ってください! ナースコールは、ナースコールだけはご勘弁を! わたくしです、弥勒夕海子ですわ!」
天乃「弥勒さん……?」
夕海子「大赦の特殊警戒を潜り抜け、面会謝絶に挫折しようやくここまで来たのです。どうかお話をさせてください」
お願いします。と、窓から乗り込んできた弥勒夕海子は力強く頭を下げた
- 535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 22:40:54.43 ID:ebiR7i2Mo
-
天乃「どうしてまた……そんな無茶を」
夕海子「芽吹さんがろくでもないことをしでかしたからです。亜耶さんがとても心配していて……」
それでもしかしたら天乃のところなのではないか。と
尾行と調査とストーキングを駆使して天乃のいる病室を調べ上げ、
大赦の警戒網を突破し、面会を断られ、大赦に連絡が行き、
厳しくなった警戒を潜り抜けて意地でもと壁をよじ登ってきたのだ
特殊な病室で目撃されにくい方角だったからこそできたこと
そこまで警戒されたらもう二度と潜り込むことはできなくなる
夕海子「その様子だと、芽吹さんはまだこちらに姿を見せていないようですね」
天乃「貴女達が匿っているわけではないの?」
夕海子「そうできていたらどれだけ良いか……芽吹さんはきっと、罪に問われるのは自分だけにしたいと考えているんです」
大赦からしても、神樹様や神様からしても、
奉火祭を阻むという行いは確実に悪いことだろう
その罪、その責任を問われるのは自分だけにしようという考えなのだ
天乃「……なるほど」
私なら、確かにそういう考えを持ってたなぁ。と
天乃は今更ながらに思って、目を逸らす
夕海子「そこで、芽吹さんが頼るであろう久遠さんにお会いしようとここにまで来たわけです。残念ながら空振りでしたが」
- 536 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/28(日) 22:53:18.48 ID:ebiR7i2Mo
-
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
なお、11月から場合によってはまた、予定が変わるかもしれません。
天乃「……まったく、誰に似たのかしら」
夏凜「あんたでしょ」
天乃「ううん、楠さんが来た頃はもう、私はダメだったから夏凜でしょ」
夏凜「じゃ、私はあんたに似せてるわけだから……あんたが悪いってことで」
天乃「……ふふっ。そういうことなら、悪役も甘んじて受け入れるわ」ニコッ
夏凜「ば、バッカじゃないのっ///」カァッ
- 537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 22:54:24.53 ID:zRdSI/P4O
- 乙
なんだこのバカップル!?
- 538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 23:03:57.91 ID:h9Ati8lpO
- 乙
あまにぼは安定のイチャイチャで可愛い
それにしてもメブは弥勒さんたちと別行動だったのか…早く勇者部と合流させたいな
- 539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/29(月) 21:03:52.21 ID:B4JHKj1Ho
-
では少しだけ
- 540 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 21:22:58.46 ID:OjgnJO30O
- きてたー
- 541 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/29(月) 21:43:51.17 ID:B4JHKj1Ho
-
天乃「まだ来ていないだけで、あとで来る予定だろうとは思うのだけど……」
夕海子「そうですわね。今回の件で芽吹さんが頼れるのは久遠さんだけでしょうから、来るとは思いますが」
天乃「正直、弥勒さん達の協力があるものだと思ってたわ」
面会できるまで持っていけなくても、
身を隠すことのできる場所などを用意したりして援助していたりとか。
むしろ、そうであってくれなければ困る
たった一人で協力もなしに大赦に反抗し、神樹様の種を持ちだして奉火祭を阻止しようとしているのだとしたら
あまりにも、無謀だし精神的につらいだろう
天乃「私、弥勒さんの実家に匿っていたりするんじゃないかって考えていたのよ?」
夕海子「そうしたかった……いえ、もしも芽吹さんに会うことができていればそうする予定でしたわ」
天乃「楠さんを止めるつもりはないのね」
夕海子「独断専行は咎めます。ですが、亜耶さんを救おうというその意思を阻むつもりはありません」
夕海子ははっきりと言い切った
芽吹が一人でやろうとすることは咎めるが止めることはないと
- 542 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/29(月) 22:03:17.91 ID:B4JHKj1Ho
-
天乃「弥勒さん、楠さんがやろうとしていることは分かっているのよね?」
夕海子「ええ。推測ではありますが」
神樹様の種を持ち出したということは、亜耶などから聞いている
だが、目的は聞いていない
けれど、何となく想像はつく
夕海子「……それで、神樹様の種を使えば久遠さんを救うことはできるのですか?」
天乃「今の不安定な状態から安定させることはできるわ」
でも、子供が産まれてからの話よ。と
天乃ははぐらかさずに答えて、夕海子へと目を向ける
天乃「つまり、子供が産まれるまでは神樹様の種を使うことができないのよ」
夕海子「では、芽吹さんがしていることは無意味……と?」
天乃「私を使うつもりなら、無意味になってしまうわね」
天乃の体の限界を気にせずに行うつもりならば無意味ではなくなるかもしれないが、
体が耐えきれないことを知ってなお、神樹様の力を過剰供給させることはできないだろう
- 543 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/29(月) 23:10:07.33 ID:B4JHKj1Ho
-
夕海子「芽吹さんの努力が報われないという点にはこの際ですから目をつむることにしましょう」
運よく面会に来ることができたとしても、
天乃の体が耐えられない以上、すべてが水の泡だ
それを知ることができない芽吹には気の毒だが、
それはそれとして。と、夕海子は目を逸らす
夕海子「大赦が行おうとしていることはすでにご存じかと思いますが、改めて言わせていただきます」
大赦が行おうとしているのは奉火祭
巫女を用いた奉火祭が計画されており、
夕海子たちの大切な仲間である国土亜耶はその生贄の一人として選出されてしまっている
それを受けて、芽吹は神樹様の種を奪い、逃走中である
流れを簡潔にまとめた夕海子は「さて」と、切り替えるように口を開く
夕海子「久遠さんはどうお考えになりますか?」
天乃「どう……というと?」
夕海子「今後の事です。切り札足り得る久遠さんがいない以上、わたくし達は厳しい選択を迫られることになるでしょう」
それはもしかしたら、
身体機能の欠損につながる満開よりも難しい選択かもしれない
巫女の命を犠牲にするのはただ許しを請うだけではない、神樹様の寿命に対し何とか対策を練るためでもあるのだ
よって、それを阻止するということは、人類に考える時間を与えないのと同義でもあるのではないかと
夕海子は考えていた
夕海子「何か策は、おありですか?」
1、ごめんなさい。なにもないわ
2、そうね……二年前の私は何か考えていたかもしれないわ
3、以前から予測できたはずだもの。大赦が策を用意していないわけがないわ
↓2
- 544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 23:13:10.31 ID:P+WH3QWN0
- 2
- 545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 23:14:12.63 ID:bODSFwj+O
- 2
- 546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 23:14:35.88 ID:OjgnJO30O
- 2
- 547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/30(火) 06:04:28.68 ID:dHM1Sq91O
- 寝落ち?
乙
- 548 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 21:10:43.52 ID:RDNEIBVRo
-
昨日は失礼しました
本日も少しだけ
- 549 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/30(火) 21:12:35.48 ID:lEkaqE9/O
- あいよー
- 550 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 21:18:27.15 ID:RDNEIBVRo
-
天乃「そうね……二年前の私は何か考えていたかもしれないわ」
夕海子「二年前ですか? なぜに過去」
天乃「勇者の戦いで記憶が無くなっちゃったから思い出せない部分があるのよ」
夕海子「っ、失言でしたわ」
努めて明るい天乃の語りではあったが、
夕海子は申し訳なく感じたのだろう罪悪感を感じる声色で、
天乃は「気にしなくていいから」と優しく言うと話を続ける
天乃「当時の私は今の私よりも神事に詳しかったみたいでね。その時も奉火祭は知っていたはずだから」
夕海子「対策は練っていたはずだと」
天乃「ええ。その可能性があるかなって」
自分のことなのに策を練っていた確信を持てないのは申し訳ないが、
奉火祭などという他を多く犠牲にして生きながらえるという方法など
過去も未来も現在も関係なく、久遠天乃という人間が認めることはないだろうという信頼だけはあった
もっとも、銀の死後であるならば
その方法はたった一人の犠牲で補うものの可能性が極めて高いのが問題でもある
もちろん、その犠牲は間違いなく天乃だろう
- 551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 21:34:34.92 ID:RDNEIBVRo
-
天乃「だから、もしかしたら誰も犠牲にせずに済む可能性だってあるかもしれない」
夕海子「……久遠さんの考えも一理ありますわ。ですが、こうも思うのです」
天乃「?」
夕海子「これが神罰であるならば、犠牲のない結末は訪れないのではないか。と」
天乃「それは」
夕海子「ええ。バカバカしいにもほどがありますわ」
しかし、実際問題解決することのできないような問題に直面しており、
その解決は生半可なものでは不可能だと言っていい
それこそ、誰か一人くらいは犠牲になる覚悟をしなければならないくらいのものだ
神との対峙による結果、起こっている災難だというのがまたその絶望感を肥大化させていく
夕海子「自分の思いを切り捨てるのであれば、わたくし達は大赦のやり方に従うべきでしょう」
天乃「知識も知恵も、神事においては大赦のほうが優れているものね」
夕海子「情報量においてもそうですわ。神世紀以前から現代までの記録が大赦本部には貯蔵されていると聞きますから」
天乃「……そのうえで選ばれた奉火祭という選択の重さは、簡単に振り払えるものじゃないというのは私も同意見だわ」
ならば、甘んじて従うか
答えはノーだ
断じて、受け入れることはできないと天乃は首を振る
天乃「勇者部はね、神樹様の種を奪うという話をした段階でそれに対する結論はもう出ているのよ」
夕海子「世界か個人か。貴女方が選んだのは後者でしたわね」
天乃「個人なんて汎用性の高いものじゃないわ。私よ。久遠天乃っていう、体も不自由で何の役にも立ちそうのない特定の個人のためよ」
- 552 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 21:52:29.43 ID:RDNEIBVRo
-
天乃は笑って語った
冗談にしていいような話ではないが、冗談染みていて笑顔で語らずにはいられない
選んでくれた嬉しさももちろんあるが、
どうして迷わずこの選択をしてしまうのかという困った思いも混じった笑顔
夕海子はその決意を胸に抱いた勇者部の面々と対峙した
だから解る
彼女たちが決して生半可な気持ちでそれを選んだわけではないことを
神々に対抗できる最高の力を持っているからなどという理由ではないことを
夕海子「だからこそ、強い思いがそこにはあるのでしょう。だからこそ、そこに活路があるのかもしれません」
天乃「私もそう思うわ……もっとも、だからって無理されるのは嬉しくないんだけどね」
夕海子「久遠さんは少し求めすぎです。多少の無茶くらいさせてあげれば良いのですわ」
天乃「でも」
夕海子「その分、すべてが終わった後にうんっっっっっと文句を言ってご奉仕させるんですの!」
今回の件で芽吹さんを召使のように扱うことができるようになりましたし、
今からもう、わくわくして仕方がありませんわ。と
極めて明るい声で言い、ビシッっとポーズを決めて見せる
夕海子「だから、絶対に失うようなことがあってはいけないのです。骨折り損のくたびれ儲けなんて、嫌ですから」
にっこりと笑みを見せた夕海子は、
だんだんと近づいてくる足音を察知した瞬間に、窓から飛び出していく
夕海子「ではまたいずれ!」
ガサガサ、バサバサ……と軽い音から危うげな音まで外から聞こえたが
見ることはできないので目を逸らす
天乃「……今、最も無茶してたのは貴女だと思うわ。弥勒さん」
近づく足音が病室の前を通り過ぎていくのを聞きながら、
天乃は困ったように笑いながら、つぶやいた
- 553 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 22:05:39.80 ID:RDNEIBVRo
-
√ 11月12日目 夕(病院) ※金曜日
01〜10 若葉
11〜20
21〜30
31〜40 友奈
41〜50
51〜60
61〜70 東郷
71〜80
81〜90 夏凜
91〜00
↓1のコンマ
- 554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/30(火) 22:07:15.42 ID:SS6rTddkO
- あ
- 555 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 22:40:03.10 ID:RDNEIBVRo
-
√ 11月12日目 夕(病院) ※金曜日
夕海子が帰ってからすぐに降り始めた雨は、
夏凜達が帰ってくる時間になってもまだ、止む気配はなくて
明日以降も降り続きそうな嫌な雰囲気があった
友奈「ただいまー」
天乃「おかえりなさい、雨、大丈夫だった?」
風「瞳さんが送ってくれるから平気だったわ」
友奈「でも、傘だけだったら危なかったですよね」
生徒玄関から校門前まで行くだけでも
靴や靴下はびしょびしょに濡れて、
鞄やスカートの一部も濡れてしまった
傘だけだったら全身ずぶ濡れになってしまっていたかもしれないと
友奈は少し困ったように言う
樹「天気予報では明日も明後日も……一週間くらいは雨続きですね」
夏凜「なんつーか。気が滅入るわね」
- 556 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 23:09:59.99 ID:RDNEIBVRo
-
東郷「本来なら、楠さんの捜索を行う予定だったのだけど……」
風「こんな感じじゃできないのよね」
道端を歩く人達はみんな傘をさしていて、視界が遮られてしまうし
傘をさしている分顔が見えにくくなって芽吹かどうかの判別もつけにくい
それを無理やりに解消しようとすると、
むしろ、こちら側が不審者になってしまう
夏凜「そういえば、天乃は検査だったんでしょ? どうだったの?」
天乃「問題なかったわ。順調だって」
夏凜「…………」
天乃の浮かべる笑みをまじまじと観察した夏凜は
軽く頷いて「ならよかった」とこぼす
夏凜「けど……天気が神樹様と関係あるっぽいし、この感じを見るに不安定だから何かあったらすぐ言いなさいよ?」
天乃「うん」
夏凜「ちょっと調子が悪いとか些細な事でもちゃんと言いなさいよ?」
天乃「解ってるから大丈夫」
- 557 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/30(火) 23:41:43.79 ID:RDNEIBVRo
-
風「……嫁かよ」
東郷「嫁ですよ」
ぼそっとした風の呟きに即座に反応した東郷は、満面の笑みを浮かべる
自信に満ち満ちた東郷の表情は、
たとえそうではなかったとしてもそうだと思わせるような何かがあった
もちろん、東郷の言ったことは間違っていないが。
園子「どちらかといえば、にぼっしーの心配性な感じはお母さん。かな〜」
夏凜「そういうやつじゃないっての」
ちょっぴり照れながらそっぽを向いて見せる夏凜の仕草
対する園子の笑みと、さらに反抗する夏凜
天乃は笑みを浮かべて、見つめる
これは、誰が犠牲になっても得ることができないものだろう
天乃「……ほんと、ね」
1、勇者
2、精霊
3、イベント判定
4、夕海子が来たことを話す
↓2
- 558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/30(火) 23:42:32.96 ID:SS6rTddkO
- 2
- 559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/30(火) 23:43:04.82 ID:lEkaqE9/O
- 4
- 560 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/10/31(水) 00:01:15.58 ID:z4cEwSN3o
-
ではここまでとさせていただきます
明日は予定通りお休みをいただきます
再開は明後日になります
園子「お母さんかな〜」
夏凜「そういうやつじゃないっての」
樹「でも、夏凜さんが一番久遠先輩の心配している気がしますね」
夏凜「樹たちだって――」
友奈「みんなそうだけど、でも、やっぱり、夏凜ちゃんが一番。かな」
- 561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/31(水) 00:07:53.17 ID:kVjc02VwO
- 乙
そういえばしばらく夏凜ちゃんと絡んでなかったっけ
どこかでまた二人っきりになれる機会ができるといいな
- 562 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/31(水) 00:35:26.43 ID:+vCYP6f/O
- 乙
最近は忙しいからな
- 563 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 21:04:28.49 ID:rSadw+vto
-
では少しだけ
- 564 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 21:08:10.32 ID:rSadw+vto
-
天乃「ねぇ、ママ」
夏凜「誰がママだ誰が!」
天乃「じゃぁ……パパ?」
夏凜「だかっ」
天乃「ふふっ、冗談はともかくみんなに話しておきたいことがあるのだけど、良い?」
園子「誰がパパで〜誰がママで〜」
上半身を動かして、歌い踊るような仕草を見せる園子を温かく見守って、
天乃は「残念だけどそれは今度」と微笑む
天乃「お昼に、弥勒さんが訪ねてきたの」
風「面会が通ったってこと?」
天乃「ううん。通らなかったからって窓から入ってきたわ」
東郷「窓……? 窓って、その窓ですか?」
天乃「うん。ここの窓」
唖然とした東郷の問いかけに答えた天乃は自分のすぐそばにある窓を指さして
いくつかの否定と、やりかねないという言葉が飛び交う
夏凜「まぁ、侵入方法はこの際だからいいわよ。緊急事態なら私達だってビルの10階だろうが結界の外だろうが行くでしょ」
東郷「そうね……たとえ地の果てだとしても行くわね」
風「ぶっちゃけ、未来的な話するならアタシたちの向かう先は地獄とか死地ってやつだし。今更ってもんよ」
- 565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/01(木) 21:10:30.77 ID:hLeoiNaLO
- かもーん
- 566 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 21:14:21.75 ID:rSadw+vto
-
さらっと言って見せた風だったが、
樹の「せめて希望に向かおうよ」という一言にしゅんとしてみんなの笑い声が響く
風が言ったようなことになりつつある今でも、
みんなが希望を失っていないからこそ冗談になり、笑い話になるのだろう
天乃「それでね、楠さんの件だけど弥勒さん達とは協力関係にないらしいの」
樹「独断専行……でしたっけ?」
風「樹が難しい言葉を……ッ」
夏凜「天乃で検索すれば予測変換で出てくるから覚えやすいのよ」
天乃「えっ」
友奈「あはは……でも、そうだよね。危ないことするなら被害は自分だけで良いって思うのは普通だと思う」
東郷「それが正しいことだとは、言えないけれど」
けれど、優しければ優しいほどにその考えを持ってしまうのだ
悪いことだという自覚があっても
大切に思う人たちが傷つく姿も苦しむ姿を見たくはないから
そんな思いをさせたくはないからと、自分の身一つにすべて押し付ける
園子「とにかく、メブ〜は孤立無援の可能性があるってことだよね?」
夏凜「あるいはそれ以外の支援者」
風「でもそんな人いる?」
友奈「事情を知っていて、犠牲を出したくないって考えてくれる人達ですよね?」
東郷「ううん、友奈ちゃん。そうとは限らないわ」
友奈「どうして?」
- 567 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 21:22:00.42 ID:rSadw+vto
-
樹「匿うって考えじゃなくて、保護とか、住み込みでの仕事みたいな形ならいくらでも可能性はあるってことですよね?」
園子「大赦系列の会社は除くことになるし、あまり表に顔を出す仕事もできないと思うんよ」
夏凜「だとしたらその繋がりにない……自営業とか。他県?」
友奈「うーん……久遠先輩に会う必要があるなら遠くにまでいかないと思う」
風「確かに……いや、あえてそうするって可能性も捨てきれないけど。友奈の意見に賛成だわ」
意見を出し合った夏凜達は、
しばらく押し黙り、みんなの考えを加えたうえで考えて、
さらに自分の考えを構築する
夏凜「孤立無援の可能性が高いって思ったんだけど良い?」
風「その心は?」
夏凜「自分だけに被害を集めるつもりなら、協力者なんて拒否するはずでしょ? だから、独り」
東郷「なるほど……一理あります」
沙織「不衛生な人は病院NGだけどね」
今まで黙って聞くだけだった沙織がようやく口を開き、
うんうん。と自分自身に同意してか頷いて見せる
天乃「ずっと考えてたのはそれなの?」
沙織「まさか。あたしの頭の中は久遠さんのことで年中無休だよ」
風「そうじゃなくて」
沙織「まじめな話、思ったんだけど弥勒さん達の協力がないなら、神樹様の種を奪う難しさは生半可なものじゃないよね」
園子「うん」
沙織「だから、大赦内部に協力者がいるんじゃないかなぁって思う」
だから、自分なりに誰が協力してるのかなって考えてたんだよ。と
沙織は少し困ったように言う
- 568 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 21:38:39.13 ID:rSadw+vto
-
沙織「そこで見つけたのが久遠さんのお兄さんお姉さん。あの二人なら、巫女の犠牲なんて許容できない」
なにより、天乃がそれを望むわけがないという考えがある以上、
その妨害に協力できるのであれば、まず間違いなく協力することだろう
たとえ、求められていなくともだ
夏凜「ようするに、沙織は久遠家自体が協力者になってるって?」
沙織「そこまでは言えないけどね。お祖母様はともかく、お兄さん達は反対すると思う」
東郷「では、久遠家に接触する組とここで待機する組に分かれたほうが良いですね」
友奈「じゃぁ、明日の学校が終わったらいったほうが良いよね」
風「んじゃ、組み分けしますか」
そうと決めたら行動は早く、
大勢で向かうのは迷惑だろうということを踏まえ、
何かあったときに守る戦力としての夏凜、
以前から繋がりのある沙織、
頭脳面として(まじめに考えてくれるなら)東郷が選出され、
久遠家に接触するのは、夏凜や沙織、東郷で、
病院に戻ってくるのは風、樹、園子と友奈に決まった
風「部長のあたしの目が届かないのは多少不安だけど、頼むわよ夏凜、東郷、沙織」
夏凜「そっちこそ、問題が起きて対処しきれませんでしたは許さないわよ」
互いに問題なく終えられるよう
他愛もない小言を言い合う二人はやはり、良い表情だった
- 569 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 21:41:08.99 ID:rSadw+vto
-
√ 11月12日目 夜(病院) ※金曜日
01〜10 夏凜
11〜20
21〜30
31〜40 樹
41〜50
51〜60
61〜70 千景
71〜80
81〜90
91〜00 若葉
↓1のコンマ
- 570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/01(木) 21:45:34.84 ID:hLeoiNaLO
- あ
- 571 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/01(木) 22:05:24.99 ID:rSadw+vto
-
では、少し早いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
夏凜「パパだのママだの……」
東郷「でもね夏凜ちゃん。子供が産まれると、パパやママといった呼び方をすることもあるのよ」
夏凜「は?」
東郷「一説によると、赤ちゃんに認識させるためだったり、呼ばれやすくするためだったりと、子供目線になろうというものがあるの」
夏凜「そ――」
東郷「だからママプレイも許されるッ!」グッ
風「赤ちゃんを免罪符にすーるなッ!」パンッ
- 572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/01(木) 22:07:29.35 ID:IPGkwRyeO
- 乙
もう早けりゃ来月にはママに
- 573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/01(木) 22:12:44.23 ID:hLeoiNaLO
- 乙
久遠さんのママプレイとかこれまた破壊力高そうだ
そしてついに久遠家最強の兄姉コンビ来るか…?色々楽しみになってきた
- 574 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/02(金) 22:05:25.68 ID:K1iqSOT5o
-
では、遅くなりましたが少しだけ
- 575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 22:11:29.30 ID:SEybHVW9O
- よっしゃ
- 576 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/02(金) 22:35:16.53 ID:K1iqSOT5o
-
√ 11月12日目 夜(病院) ※金曜日
もうすぐ11月が終わる。
夜になるとより一層冷え込んでいく感覚に布団を引き上げながら、
天乃はふっと息を吐いてその白さを確かめる
病院ということもあり、できる限り冷え込まないようにという対応はなされているのだが
天乃の体の関係上、暖房器具をガンガン用いるということは出来ず、
やはり、少しだけ寒々しさが残る
天乃「このまま一気に冷え込んでいくのかしら」
考えすぎだとわかってはいるが、
この冷え込み方が、神樹様による加護が失われつつあるせいだとしたら。
そう思うと、世界の危うさがより際立つように感じてしまう
天乃「……楠さん」
本当に、久遠家に匿われているのだろうか
それならいいが、
もしもそうではなかったらどうなるのか。
少なくとも、弥勒さん以上の無茶をすることになるだろうと、
天乃は目をつむった
- 577 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/02(金) 23:09:35.04 ID:K1iqSOT5o
-
無茶をしていた自分と芽吹を同じに考えれば、
どれだけのことをするかなど想像もつかない
死ぬことを厭わないほどに無理をすることができてしまうのだから
そこに限界はないし
無理に限度を定めるのだとしても、
それは死んでしまった時くらいだろう
だkらこそ、早く救い出すべきなのだ
いち早く再会し、芽吹の手を掴んであげるべきなのだ
天乃「……歩けたら、良いのに」
以前のように身軽に動けるならば、
夕海子の後を追って窓から飛び降りることは朝飯前だったかもしれない
いや、もしそうなのであれば
芽吹が無理する必要自体なかったかもしれないと考えた天乃は、
自分が少しではない無茶をする思考に戻りつつあるのを感じて、考えをやめた
1、勇者
2、精霊
3、イベント判定
↓2
- 578 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 23:12:05.05 ID:nEqhIYhm0
- 3
- 579 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 23:12:07.69 ID:1v4dWdnBO
- 3
- 580 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/02(金) 23:28:00.60 ID:K1iqSOT5o
-
√ 11月12日目 夜(病院) ※金曜日
01〜10 風
11〜20 友奈
21〜30 東郷
31〜40 沙織
41〜50 若葉
51〜60 樹
61〜70 球子
71〜80 千景
81〜90 夏凜
91〜00 園子
↓1のコンマ
- 581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 23:28:09.91 ID:1v4dWdnBO
- あ
- 582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 23:33:37.41 ID:SEybHVW9O
- 最近のそのっち率の高さよ
- 583 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/02(金) 23:46:02.06 ID:K1iqSOT5o
-
では、短いですがここまでとさせていただきます
明日は、15時頃からの再開を予定しています
- 584 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/02(金) 23:51:32.34 ID:W3fcO+2sO
- 乙
そのっちも最近嫁になったばっかりだからいっぱい甘えたいんだよ(適当)
- 585 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 05:02:39.88 ID:EnrEPJZcO
- 乙
久遠さんの心配性が段々復活し始めたか
そのっち、癒やしておくれ
- 586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 17:06:38.00 ID:g/PgUSdFO
- マダー?
- 587 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 19:52:15.88 ID:NqKwsc2Xo
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 588 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 20:01:42.05 ID:eEnLn/+YO
- あいよ
- 589 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 20:35:01.22 ID:NqKwsc2Xo
-
√ 11月12日目 夜(病院) ※金曜日
天乃「今度は床じゃなくて、夜這いするつもり?」
こっそりと
息をひそめながら近づいてくる気配を察知した天乃は、
薄く目を開いて何者かに声をかける
園子「……およっ」
カーテンが揺れて、聞こえた声。
ゆっくりと起き上がる布の擦れる音は静かな病室には少しだけ大きい
園子「えへへ……バレてたか〜」
月明りに映える黄金色に近い髪色
バレたことが残念そうで、でも嬉しそうで。
照れくささにちょっぴり赤らんだ顔色
心を揺らされる園子の雰囲気に、天乃は優しく微笑む。
天乃「園子じゃなくて東郷かなって思ったけどね」
園子「えっ……」
天乃「嘘。園子だって分かってた」
園子「むぅっ」
天乃「あら……園子もそんな顔するのね」
- 590 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 21:45:27.57 ID:NqKwsc2Xo
-
ちょっぴり怒った顔をしたりすることがあることは意外に長い付き合いの中で見たことはあったが、
自分ではない誰かのことを口にされて不満そうな顔を見せたのは初めてだった
天乃「園子も嫉妬するのね」
園子「別に……嫉妬したわけじゃないんよ」
天乃「あら。でも、ただ楠さんのことで心配したからこっち来たってわけではないんでしょ?」
園子「…………」
天乃「別に心を読んだりしたわけではないわよ?」
貴女の体が正直なだけ。
そういった天乃の視線の先に映るのは、
園子が強く抱きしめている枕だ
それを見られていると気づいたからか園子はさっと後ろに隠すが、もう遅い
なぜここに来たのかバレバレだった
天乃「東郷ばっかりずるいとか、思ったの?」
園子「そんなことは思ってないんよ。今更取り合ったりとかする気はないし」
けれど、と園子はつぶやく
園子「少し歩けば届く距離にいる……なら、行かない理由はどこにもないなぁって」
- 591 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 22:13:29.53 ID:NqKwsc2Xo
-
園子「それに……」
天乃「うん?」
園子「…………」
不安そうな表情だった。
何かを恐れている表情だった。
けれど、その何かが園子自身にもわかっていないのだろう
園子は首を横に振ると言葉を飲み込む
園子「少し、冷えてきたから……ポカポカしたほうが良いんよ」
天乃「それは確かにそうね」
以前に褒めていたわっしー布団とやらは使わないのか。なんて、
野暮な言葉を考えつつ、天乃は笑みを浮かべる
そうではないのだ
園子「だから、その……一緒に寝たい」
小さく、小さく。
独りぼっちは嫌だという言葉に変わりに、
妹に掴まれた服の裾のような音が、聞こえた
いつもの子供っぽさと茶目っ気の入り混じったものではなく、
少女の顔をした園子が目の前には居た
天乃「…………」
1、何も言わずに少しだけ場所を開ける
2、エッチなことは無しだけど、それでいいなら
3、あら。私と寝るだけのお金があるのかしら?
4、ちょうどよかったわ。一人だと悩みすぎるから誰か来てほしかったのよ
↓2
- 592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 22:18:30.35 ID:LtuzEaWe0
- 1
- 593 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 22:19:02.10 ID:u5imZM41O
- 1
- 594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 22:19:25.06 ID:eEnLn/+YO
- 1
- 595 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 22:39:49.39 ID:NqKwsc2Xo
-
天乃は何も言わずに、ただ優しく笑みを浮かべながら、
もう一人くらいは入ることができるスペースができるように体を寄せる
軽くたたかれた布団の誘う音に園子の体が少しだけ跳ねたのが、
感じた嬉しさの大きさを物語る
園子「………」
めくられていく布団の中に、冷たい空気が入り込む
けれど、その寒々しさは冷えてしまった園子の寝間着の冷たさに追い出されて、
温もりに溶け込んでいく
そう感じるのは体だけではないと天乃は思う
園子「ぽかぽか〜」
天乃「それはよかったわ」
園子「…………」
天乃「横にはなれないのよ。許してね」
首を動かして何とか目を向ける
その程度が限界の天乃は園子へと謝罪を口にするが、
園子は「いい」と、努めて冷静な返事を返して、ずぃっ、ずぃっと天乃へと体を寄せる
抱きしめる形で触れた園子の手は、
さっきまで外にいたとは思えないほどに、温かみがあった
園子「そばにいてくれるだけで、十分」
- 596 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 22:47:20.98 ID:NqKwsc2Xo
-
園子「実は……天さんが苦労してるのは分かってるけど、今の状況に感謝してる自分もいるんよ」
天乃「…………」
悪いけれど。と
そう前置きのつきそうな園子の言葉
心を完璧に読める自負は天乃にはないが、
それでも、何となくその気持ちがわかる気がした
それは無理をする立場を経験し、
無理を見せられる立場の声を聴き、
そして、無理を見せられる立場へと入れ替わったからこそかもしれない
園子「天さん……元気だとなんでもできるから」
久遠天乃という人間に関しての被害の一切を許容するのであれば、
天乃にできないことは何もなくなる
神樹様の寿命だって、追い詰めようとしている天の神の力だって
容易く覆してくれていたことだろう
だから、悪いと思いながらも
天乃が苦しむことのある今の状態を喜ばしくも思ってしまっている
天乃「大丈夫よ」
園子「…………」
天乃「たとえ今、動き回れるのだとしてもせいぜいが楠さんを探し出す程度。壁の外に飛び出して行ったりなんてしないわ」
- 597 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 23:02:54.28 ID:NqKwsc2Xo
-
胸元にかかる園子の手に手を重ねて、優しく握る
園子の手はそこまで大きくないほうだが、
天乃の手はそれよりも少し、小さくて。
握り切れないちょっとした愛らしさを、園子は優しさと一緒に感じた
天乃「子供がいるとかいないとか、きっと関係ないわ」
それによって自分の環境が激変し
学ばされることが多々あって、
もしかしたら、その違いによって感じていることも思っていることも考えも違っているかもしれないが、
この結果だけは変わらなかったはずだ
無理をするだけでは意味がないと
自分以外を救うだけでは何の意味もないと。
東郷だってそれを学んだからこそ、
独り悩みぬいて危険な行動に走ったりすることがないのだから。
天乃「大丈夫よ、私はどこにもいかない」
園子「っ……天さん、もしかして」
天乃「たとえ、子供が産まれたとしても、神樹様の種で体が良くなってもね」
頭を動かしてちょっぴり無理をして顔を向けた天乃は、
園子の柔らかい頬に手をあてがい、微笑む
天乃「だから安心していい。怖がらなくていいの。神樹様がどんな神託を貴女に見せたとしても」
- 598 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 23:19:46.01 ID:NqKwsc2Xo
-
園子「……神樹様なのかどうか。わからない」
でも、もしかしたら神託だったのかもしれない
そういいながら、園子は天乃の手に手を重ねて
頬と一緒にその感触と、ぬくもりと、愛情を体にしみこませていく
朝から感じていた不安と恐怖が簡単に、消えていくように感じる
園子「みんながいるんよ。部室で、いつも通りに元気に明るくて、今日はこんな依頼があるぞって」
天乃「うん」
園子「私たちはみんな勇者のことなんて無かったことみたいに普通で……あまりにも普通過ぎて自然だった」
でも。と、園子はかみしめるように続ける
園子「天さんがいなかった。天さんだけは、そこに無かった」
しかし、それでも普通だったのだ。自然だったのだ
そこに【天乃がいないことが】当然であるかのように、違和感がなかった
園子「でも、途中で意味も解らずに泣くんよ。みんなが驚いて、困って、でも、泣くんよ」
もしかしたら、心のどこかにあった不安が見せた夢かもしれない
だが、園子がその夢を思い出して泣きそうな声になっているのは夢ではない
園子「……それで、目が覚めた。飛び起きて、天さんの寝顔を見て、落ち着いて、落ち着けなくて、でも、そこにいるって思ったら、わかったら」
天乃「だから、朝からあんなに元気だったのね」
園子「嫌だよ……本当に、どこにも……嫌だよ……」
朝からずっと気をはっていたのか
それとも、ただ早起きしたことの弊害か
眠りへと滑り落ちていく園子の瞼が閉じる
握られた手の力が抜けないのはきっと、体ではなく心で動いているからだと
天乃は笑みを浮かべて
天乃「心配しなくても……私は、いなくなるつもりはないわ」
泣かせてしまうことを知っている
消えてしまった自分を求めて無理を重ね、奔走してしまうことを知っている
自分の死を厭わない救世が、結果的にすべてを失うことに繋がると知っている
だから、天乃ははっきりと否定した
- 599 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 23:21:03.90 ID:NqKwsc2Xo
-
√ 11月13日目 朝(病院) ※土曜日
01〜10
11〜20 友奈
21〜30
31〜40 樹
41〜50
51〜60 九尾
61〜70 若葉
71〜80
81〜90
91〜00 千景
↓1のコンマ
- 600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 23:22:00.66 ID:eEnLn/+YO
- あ
- 601 : ◆QhFDI08WfRWv [saga sage]:2018/11/03(土) 23:31:17.31 ID:NqKwsc2Xo
-
では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼過ぎ、14時ころからを予定しています
一日のまとめは再開時に
園子「たとえ、記憶が改変されたとしても」
東郷「頭では考えることができなくなっても」
沙織「心は覚えてるから、大丈夫」
東郷「そもそも、記憶が消えたからと言って久遠先輩に刻まれた破瓜の痛みが消えるわけではありませんし」
友奈「あれ……? もう記憶変わってるよ?」
樹「東郷先輩なら想像妊娠さえできるのでは?」
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