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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【5頁目】
- 502 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/09(土) 23:04:36.08 ID:TLlJd/TGo
-
歌野は2号車に戻ると、
バスの最後尾、陽乃のもとへと向かう。
歌野「……久遠さん」
まだ高熱が続いており、時々、血だって吐くこともある。
汗でびっしょりな体は何度か拭いてあげているが、
またすぐに、汗だくになる。
陽乃「っ……」
歌野「大丈夫、終わったわ。襲撃って言うほどのものでもなかった」
余裕余裕。と、歌野は笑顔で語る。
出来る限り小さな声で。
何も話さないのもあれだが、大声は、頭に響きそうだ。
歌野「……」
陽乃の手を握る。
同年代で考えれば、少し大きいだろうか。
歌野「お願い。早く良くなって……」
戦って欲しくはない。
けれど、いつまでも苦しんでいる姿を見ていたくはない。
歌野「元気な貴女を、見ていたいの」
心の中で、宇迦之御魂大神へと祈る。
どうか、陽乃を癒してあげて欲しいと。
- 503 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/09(土) 23:10:00.83 ID:TLlJd/TGo
-
↓1コンマ判定 一桁
1,3 陽乃
2,6 水都
8 九尾
4,9 住民
5 戦闘痕
7 特殊
※ぞろ目 特殊
- 504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:11:22.37 ID:Ve/MPC6OO
- あ
- 505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/09(土) 23:18:00.18 ID:TLlJd/TGo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 506 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:32:13.00 ID:e2ffitO2O
- 乙
うたのんがすごい健気だな……
- 507 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:32:28.50 ID:Ve/MPC6OO
- 乙
うたのんの反動も無視できないどころか下手に使うと陽乃さんよりも早死にしそうで心配だな
襲撃も増えてきたしなんとか陽乃さんを戦線復帰させたいところだけど…
- 508 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:12:58.33 ID:0lBQTLRao
- では少しずつ
- 509 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:15:15.84 ID:0lBQTLRao
-
歌野「久遠さんは、凄いわ」
陽乃が扱っているイザナミ様の力なんて借りようものなら、
歌野はものの数分で全身から血を流して息絶えるだろう。
陽乃はそれを繰り返して、死にかけながらも生き延びている。
宇迦之御魂大神の力を借りることが出来ている歌野も大概ではあるが、
それはあくまで、陽乃と繋がりがあることを前提としてのものだ。
そうでなかったら、最悪力を借りることは出来なかっただろうし、
借りることが出来たとしても、もっと代償が大きかったかもしれない。
歌野「……自信を持っていい。誇っていい。久遠さんは、間違いなく勇者なんだから」
歌野は、陽乃に寄り添いながら、そう声をかける。
穏やかな寝顔ではなく、
悪夢にうなされているかのように苦しんでいる陽乃の額を、タオルで拭う。
歌野「久遠さ――」
突然、バスが停まる。
急ブレーキではなく緩やかなブレーキだったため、
バーテックスの襲撃を受けたわけではないはずと、歌野は陽乃を一瞥して席を立つ
歌野「ちょっと、出てくるわ」
- 510 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:35:41.68 ID:0lBQTLRao
-
しきりになっているカーテンをくぐって、バスの前方へと向かう。
歌野達がいる2号車が先頭になっているため、
前方にバスは見えない。
歌野「何があったの?」
「それが……」
言い淀む住民の1人。
何が起きたのか、判断に困りつつもひとまず出ようとしたのと同時に、
バスの前方の扉が開く。
杏「白鳥さん!」
歌野「えっ……伊予島さん!?」
長い髪はまとまらずぼさぼさに乱れていて、
身に纏う衣服も、あちこち引き裂かれて、赤黒く汚れている。
陽乃を見ていると、満身創痍という言葉が不適切に思えては来るけれど
杏も、傷だらけだった。
杏「話したいことはたくさんありますけど、時間がありません。今すぐ、バスで付いてきてください」
歌野「伊予島さん?」
- 511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 15:37:12.68 ID:WPm3Gn9IO
- ついに合流きたー
- 512 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:52:31.28 ID:0lBQTLRao
-
ひっ迫した様子の杏の案内に従ってバスを走らせること数分
滋賀県内にある高校へと、移動する。
本校舎は見る影もなく倒壊してしまっているけれど、
校舎から繋がっている道と体育館はまだ残っており、
杏はその体育館へと、みんなを誘導する。
杏「良くご無事で」
歌野「伊予島さんこそ……」
歌野はそこまで言って、はっとする。
歌野「土居さんは? 見回り?」
杏「タマっち先輩は、重傷で動けないんです」
杏の目が向けられた体育館の一角
かき集めただろうカーテンなどを敷いて作られた簡易なベッドがあり、
そこには、杏以上に傷だらけになっている球子が横たわっていた。
歌野「何が、あったの?」
杏「見たこともないバーテックスから奇襲を受けて……それで……っ」
一瞬だったと、杏は言う。
バーテックスが増えてきたことを警戒してルートを変えた後も、
結局、バーテックスの襲撃は絶えることなく続いて、
その最中に、どこからともなく放たれた一撃を球子が受けたのだと、杏は言う。
その反動で杏と球子はその場所から遠く弾き飛ばされたおかげで追撃を受けずに済んだものの、
暫く、身動きを取ることさえできなかったらしい。
- 513 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 16:10:36.70 ID:0lBQTLRao
-
杏「見えたのは、矢のようなものを放つ凄く大きな個体で……白鳥さん達は襲われずに済んだんですね」
良かった。と、杏は胸をなでおろす。
そんな個体に襲われたらひとたまりもなく、
住民が無事であるはずがないと考えているのだろうけれど。
歌野は、首を横に振る。
歌野「矢の個体は久遠さんが命がけで倒してくれたわ」
杏「え……あっ、そ、そういえば久遠さんは?」
歌野「……2号車の中で眠ってるわ。力の反動で、暫く動けないの」
杏「そう、ですか」
死亡したとかではなく、
力の反動によって伏せっているという話を聞いて杏は少し安心したように声を漏らしたけれど、
まだまだだと、首を振る。
杏「久遠さんなら、あのバーテックスも倒せるんですね」
歌野「でも、今のままでは確実に死ぬわ。強い力を使い過ぎれば、久遠さんだって無事では済まない」
- 514 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 16:27:13.00 ID:0lBQTLRao
-
歌野は苛立ちのようなものを感じさせたが、その気配はすぐにどこかへと消えていく
力不足だ。あまりにも。
宇迦之御魂大神様のお力を借りることで、
普段よりはずっと強い力を使えるけれど、でも、出来ても撃退程度。
倒すには、陽乃に力を使って貰うしかない。
杏「それは、分かってます……でも、あと1体いるんです。サソリみたいな個体が」
歌野「それなら撃退したわ。倒しきれなかったけど、近くにはいないはず」
杏「えっ……」
歌野「だから、移動するなら今の内よ」
杏「……」
歌野「伊予島さん?」
杏「あっ……いえ、すみません……」
神妙な面持ちで、暗く沈んだ雰囲気を醸し出していた杏は、
歌野に声をかけられた途端に、いつもの様子に戻る。
杏「なら、タマっち先輩を寝かせられる場所を――」
歌野「そのことだけど、私がどうにかできるかもしれないわ」
- 515 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 16:47:43.33 ID:0lBQTLRao
-
球子は両腕や両足を骨折しており、
右腕にいたっては、手首から先が無くなっていないことが奇跡のような損傷が見える。
意識はあるが、その痛みから六に動くこともできないといった様子の球子は、
歌野の姿を見つけると、強がりな笑みを見せた。
球子「……なんだ……来ちゃったのか」
歌野「ええ。2人が中々到着していないから心配になっちゃって」
球子「悪い……しくじった」
杏「タマっち先輩は何も悪くないよっ……」
歌野は宇迦之御魂大神様に呼びかけて、
その膨大な生命力を借り受ける。
自分を癒すのではなく、他人を癒す。
歌野の生命力が失われていく一方になり、その分が、球子へと流れ込む。
歌野「っ……」
若草色の光が、広がる。
蛍火のような明かりが辺りに漂い始め、
朽ちた床面などから、小さな命が芽を出していく。
歌野「……っ……」
体が熱い。
今にも失神しそうなほどに、苦しい。
歌野は、口の中に血が滲むのを感じながら、それでも球子を癒すために力を使う。
球子が治れば、また少し、楽になれる。
その為ならこの程度。と、歌野は覚悟を決めていた。
- 516 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 17:14:20.01 ID:0lBQTLRao
-
力を使い始めてから数分で、球子の体は元通りに回復し、
傍にいた杏の体も癒えて……辺りには雑草が生い茂っていた。
歌野「はぁ……はぁ……っ……」
球子の隣に座っていた歌野は、
呼吸を乱し、ぐっしょりと汗をかき、ゆらりと揺れて――
杏「白鳥さんっ!」
水都「うたのんっ」
杏が歌野の体を抱きとめて、水都が傍に膝をつく。
歌野「だ、大丈夫……ちょっと、疲れただけ」
水都「鼻血が出てる」
水都は分かってるとでも言うように笑みを浮かべて、
歌野の鼻の辺りを袖で拭う。
水都の袖は赤く汚れて、一緒に汗も拭ってしまったのか、濡れてしまっていた。
球子「無理、するなよっ」
歌野「このくらいは、無茶でしかないわ」
球子「けど!」
球子は、自分の体が治ったことを実感しながら、
ばつが悪そうに、歌野へと声を荒げる。
自分を治すために歌野に負担がかかるのは、望まないことだ。
歌野「……my self 気にしないで」
自分の為と、そう言う歌野に杏が顔を顰める
杏「久遠さんみたいなこと言わないでください……そんなの、駄目です」
歌野「ふふっ……ソーリー。でも、本当に、1人では限界があったから、戦力が欲しかったの。本当よ」
- 517 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 17:25:06.95 ID:0lBQTLRao
-
緩やかに意識を失っていく歌野を抱きかかえて、
杏と球子は急いでバスへと戻っていく
強力な個体を警戒していたこと
球子が動けない状態だったこと
重なるばかりだった不幸が解消された今、
いつまでも同じ場所に留まっている理由はなかったからだ。
杏「すみません! 不安はあるかもしれませんが、これからは私達も同行します!」
杏は、住民たちにここからは自分たちも守護するといい放って、先導する。
信じて貰えるか不安だったが、
住民たちは誰一人として非難せず、それどころか、杏達を快く受け入れて、
疲弊している歌野達のことは任せて欲しいとまで言う
「伊予島さん達のこと、知ってるからね」
向こうで過ごした時間は、長くはないが短くもない。
だから、みんな知っているのだ。
歌野と陽乃しかいなかった戦力に、球子と杏が加わる。
完成型の前では力不足かもしれないが、
決して、少なくはない戦力だろう。
- 518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 17:43:50.16 ID:0lBQTLRao
-
√ 2018年 9月11日目 昼:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
3 バーテックス 発見
5 バーテックス 襲撃
8 特殊(再判定)
1 陽乃
58 55 進化型
85 88 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 519 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 17:46:07.20 ID:D+lbmd/s0
- あ
- 520 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 18:51:21.37 ID:0lBQTLRao
- √ 2018年 9月11日目 昼:移動�A
バスは、バーテックスの襲撃を警戒して速度を上げて移動したことで
滋賀を抜けて、京都へと入っていた。
現在は途中にあった比較的大きな病院で休憩を取っている。
杏「もう、四国に襲撃があったなんて……」
水都「諏訪を出る直前までは、軽い程度で済んでいたらしいですが」
今どうなっているのか分からない。
乃木若葉、高嶋友奈、郡千景
三人の勇者によって守られてはいるが、
ここ最近見た完成型が出てきていたとしたら、
多少なり被害が出てしまっているに違いない。
球子「完成型のやつは、ヤバいぞアレ。一撃でタマの腕が持っていかれた」
奇跡的に直撃は免れたが楯は一瞬で砕け、手首から先が消し飛びかけたのだ。
通常の状態というのが正しいかはわからないが、
今の球子たちの力では、足元にも及ばない。
それはたぶん、若葉達だって同じことだろう。
陽乃だってイザナミ様の力を使ったからどうにかなっただけで、
そうでなかったら、最初の一撃を凌ぐこともできなかった恐れがある。
- 521 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 18:59:18.73 ID:0lBQTLRao
-
杏「切り札でどうにかなるかな……」
球子「正直、なるとは思えないな」
杏の呟きに球子は首を振る。
勇者に許された、切り札
精霊の力を借り、それを身に纏って強力な力を使うというそれは、
しかし、可能な限り使わないようにするべきだという話がある。
それは、陽乃が常にその状態である可能性があるからだろう。
精霊を身に纏う反動で体が傷ついていく
精神的な作用もないとは言い切れない。
超常的な力である以上、その影響は未知数だ。
しかし、それでさえも力不足かもしれない。
球子「杏だって、あの衝撃波だけでズタボロになったじゃないか」
水都「うたのんも切り札のような力を使って、ようやく撃退できるといった状態だったので、難しいかもしれません」
みんなで力を合わせれば可能性はある。
だが、1人で相手するのは不可能だろう。
- 522 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 18:59:56.44 ID:0lBQTLRao
- では、少し中断いたします
再開は20時ころから
- 523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 19:19:21.14 ID:dauwPaB3O
- 一旦乙
- 524 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 20:42:55.31 ID:0lBQTLRao
-
球子「そうだ! あれだあれ! 何だったんだ一体……タマの体があっという間に治ったぞ」
水都「あれは、宇迦之御魂大神様のお力です。久遠さんに協力してくれていた神様の1人らしくて、
戦闘面での能力は決して高くない分、生命力だけはいずれにも劣らないって話で」
杏「じゃぁ、どうやってあんな強いバーテックスを撃退したんですか?」
水都「傷ついた傍から回復して無理矢理攻撃し続けて追い返しただけです」
杏「!」
杏は信じられないとばかりに目を見開いたが、球子は少し分かるといった様子で目を伏せる。
全く同じではないにしても、志は似たようなものがある。
死に物狂いで守るのは陽乃だってそうだし、
命懸けで守りたいものがあるというのは、球子だって同じだった。
球子「そんな力を使って何ともないわけがないよな……」
水都「土居さんが気に病む必要はないですよ。うたのんが悪いんです……無理しないでって言っても、このくらいは平気だって」
杏「久遠さんのそばにいると、感覚が狂っちゃいますよね」
- 525 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 21:01:53.84 ID:0lBQTLRao
-
杏の困った笑いが少しだけ響く
無茶は当たり前
下手したら無理だって日常茶飯事な陽乃の生き方。
身も心もすり減らし続けるあれは、
基準にするには度が過ぎているだろう。
杏「白鳥さんも暫くお休みが必要だろうし、私とたまっち先輩でどうにかしないとだね……」
球子「って言ったってなぁ」
砕け散った楯は、
球子が回復したのに合わせて復活してくれたが、
力不足なのは変わっていない。
完成型さえ出てこなければ。というのはあるけれど、
進化型だって、多数出てきたら手に負えない
さっきまでは、勇者が二人いるだけだった。
逃げるも自由で、身軽だった。
しかし、これからはそうもいっていられない。
球子「やれることをやれる限り、最大限やるしかないか」
杏「ううん。それ以上にやらなきゃ駄目だと思う。四国が襲撃を受けているなら、ここから先はもっと、厳しい道のりになると思うから」
- 526 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 21:36:22.12 ID:0lBQTLRao
-
球子「若葉たちが全滅させてくれてないかなぁ……」
杏「完成型を作るために、初期個体の多くを消耗してはいるだろうから……どうだろう」
四国の方にも完成型が出ていたら――
それが考えられる中で最も最悪な話になるが、
若葉たちは杏達と違って、神樹様のそばにいる
その力を強く与えて貰えるため、杏達よりは善戦するだろうし、
負傷しても治療を受けられるというのは心強い
なにより、良く体を休めることが出来る。
水都「完成型の1体は久遠さんが討伐、もう1体はうたのんが撃退したので、しばらくはいないと思いたいですね」
居たら困ると三人が口をそろえる。
切り札以上の力を使えるのは、陽乃と歌野
杏と球子は四国に戻るまでは無理だ。
水都「頑張ったんだから……」
杏「本当、凄いです」
球子「あとは任せろっ!」
そう声をあげた球子は、
しゅんっと声を落として、目を逸らす。
球子「自信がないけどな」
杏「たまっち先輩ってばっもうっ」
球子「……強くなりたいだろ? あんずだって」
杏「それはそうだけど……」
四国にたどり着くことさえできなくて、
球子は重傷で、強力な個体がいて……ずっと動けないのではないかと絶望さえしかけたから。
杏「でも、それはそれ。これはこれだと思う。気持ちだけでも強くいたい」
杏は、くっと唇を噛んで答えた。
- 527 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 21:42:45.71 ID:0lBQTLRao
-
√ 2018年 9月11日目 夕:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
1 バーテックス 発見
9 バーテックス 襲撃
8 特殊(再判定)
5,4 陽乃
91 99 進化型
19 11 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 21:45:05.45 ID:jKiAiBvEO
- あ
- 529 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:13:18.50 ID:0lBQTLRao
- √ 2018年 9月11日目 夕:移動�@
時折浮遊感を感じては、がたんっと落ちる。
そんな悪路を走っている感覚が背中を打つ中、陽乃はゆっくりと目を開く。
まだ体の節々は痛みで鈍く、動かせる気がしないが
意識ははっきりとして来ている。
陽乃「っ……」
すぐそばには、歌野がいる。
気を失うまで感じられていた姿かたちとは少し異なって、
同じように疲弊しているように見えるけれど、手は歌野に握られている。
陽乃「ぁ………」
まだ喉は本調子ではないようで、歌野のことを呼べない。
陽乃は言葉を飲み込んで、どうにか横を見る。
歌野からは力を感じる。
今まで陽乃から歌野へと流していくだけだったはずだけれど、
今は、歌野から力が流れ込んできている。
それも穢れの薄い、温もりを感じる力だ
- 530 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:40:38.20 ID:0lBQTLRao
-
陽乃「……」
普段の歌野の力ではない
明らかに、何か別種のものが混じっていると、陽乃は感じ取って顔を顰める。
きっと、九尾が何か余計なことをしたのだろう
陽乃「っ……」
今は、何時で、何日なのか
そして、どこにいるのか。
歌野がここにいるということは、きっと、バスは2台とも大丈夫なはず
体は動かないし声も出ない。
歌野「ん……」
歌野も疲れているようで、
繋がっている手から力は流れてくるけれど、微弱だ。
1、歌野に声を流す
2、九尾を呼ぶ
3、大人しくしておく
4、イベント判定
↓2
- 531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 22:42:42.51 ID:jKiAiBvEO
- 4
- 532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 22:43:54.49 ID:D+lbmd/s0
- 4
- 533 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:50:29.82 ID:0lBQTLRao
-
01〜10 九尾
11〜20 歌野
21〜30 水都
31〜40 杏
41〜50 球子
51〜60 女子高生
61〜70 九尾
71〜80 球子
81〜90 歌野
91〜00 杏
↓1のコンマ
- 534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 22:52:13.09 ID:jKiAiBvEO
- あ
- 535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:55:38.00 ID:0lBQTLRao
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 536 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 23:05:07.16 ID:jKiAiBvEO
- 乙
絶望的状況を乗り越え無事二人と合流できて本当良かった
それにしても怪我で立ち往生こそしたけどこの段階で蠍座から生き延びたり切り札のリスクを警戒したりと今作の杏たち中々優秀だな
- 537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 06:04:36.43 ID:33h8PnHLO
- 乙
あとはひたすら四国を目指すだけだな
- 538 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 21:54:34.64 ID:aplH2Jg7O
- では少しだけ
- 539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 22:02:54.48 ID:aplH2Jg7O
-
九尾『ようやく目を覚ましおったか』
陽乃『……九尾』
どこからか聞こえてくる声は九尾のもので、
陽乃は、少し遅れて名前を呼ぶ。
陽乃『なにか、あった……?』
九尾『そうじゃな。主様が気にしておった小娘2人が、先刻合流したぞ』
陽乃『2人って、伊予島さん達?』
九尾『うむ』
それ以外にないという九尾に陽乃は驚いた様子もなく、「そう」と呟く
驚いてはいるけれど、
それを表に出すだけの余力がまだなかった。
九尾『幸い、何事もなかったようじゃ』
陽乃『そんなわけないでしょ。遅れた理由があるはずだもの』
九尾『主様が打倒したバーテックスから逃れるために身を潜めていたそうじゃ』
- 540 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 22:46:22.63 ID:aplH2Jg7O
-
陽乃『あぁ……なるほど』
陽乃はあのバーテックスを撃破することが出来たが、
簡単だったとは思っていないし、
それを恐れて身を潜めていたからって、それを貶したりもしない
むしろ、通常の力で生き延びていたことは称賛さえできる。
あのバーテックスは遠くから狙いすましてくる凶悪な個体で、
距離的にまともに戦えるのは杏だけだが、
普段の杏では、それに対抗しえる力がない。
そして、球子の楯で防げるような攻撃でもなかった。
陽乃『良く生きてたわね……』
九尾『うむ。まぁ、1人は死の境を彷徨ったという話じゃったが、今は主様と白鳥歌野の代理を務めておる』
陽乃『何事もなかったって、嘘じゃない……土居さんかしら』
呆れたように言った陽乃は、
それほどの怪我をしたのなら、杏よりは球子の可能性が高いと考えて、思う。
そもそも、
杏が死にかけていたら、冷静に状況を判断してくれる司令塔がいない
そうなれば、あのバーテックスから確実に逃げ切るというのは容易ではなかっただろう
- 541 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 23:11:47.64 ID:aplH2Jg7O
-
とはいえ、死にかけているのは陽乃も同じだ。
バーテックスにやられたか
自分でやらかしたかの違いはあるけれど、
身動きが取れなくなったのは同じだ。
今にして思えば、
バスではなく徒歩での移動になっていたら早々に全滅していたかもしれない。
陽乃は、まだ体が鈍いのを感じながら、目を瞑る。
陽乃達のいるバスは1号車の後ろを走っているようで、
先頭を走る1号車からは気を失う前には感じなかった気配を感じる。
2人分の、一般人とはかけ離れた存在感。
それが、杏と球子だろう。
陽乃「っ……」
1、それで。今はどの辺りなの?
2、2人はまだ戦えるの?
3、白鳥さんから妙な力を感じるのだけど
4、貴女なら、私を動けるように出来るわよね?
5、他に何かあった?
↓2
- 542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 23:13:51.75 ID:c7pgxfwiO
- 4
- 543 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 23:14:21.20 ID:EtVBG6uQ0
- 4
- 544 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 23:19:39.20 ID:aplH2Jg7O
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 23:31:14.04 ID:c7pgxfwiO
- 乙
やっと二人に会えたことだしとりあえず最低限動けて話せるようにはしたいけどなぁ
- 546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/12(火) 00:33:31.21 ID:S0i7JN0KO
- 乙
もうあとちょっとだよな?
四国に帰ってゆっくり休みたい……
- 547 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/12(火) 23:18:07.97 ID:6bhIm+ovo
- すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
- 548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 05:47:15.76 ID:4FMvIguqO
- 乙
- 549 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 21:28:50.56 ID:2bx+N+9Lo
- では少しだけ
- 550 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 21:32:20.32 ID:2bx+N+9Lo
-
陽乃『貴女なら、私を動けるように出来るわよね?』
九尾『ふむ……出来ぬわけではないが、何じゃ主様。死にたいのかや?』
九尾は笑うでもなく、陽乃に問い返す。
宇迦之御魂大神様と違って、九尾は回復させることを主としているわけではない。
他の勇者と同様に、治りが早くなるという程度の恩恵しか与えられないのだ。
しかし、陽乃の体が動けなくなっている原因である部分を "誤魔化して" 動けるようにするくらいは可能である。
陽乃が体を治して欲しいと言わず、
動けるように出来るよね。と問う時点で、後者を求めているのは明らか。
けれど、それは体を酷使することになる。
体の治りは遅くなるし、悪化する。
下手をすればさらに怪我を重ねることもあるだろう。
九尾『止めておけ。主様は別に、死に急いでいるわけではないのじゃろう?』
- 551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 21:50:42.25 ID:2bx+N+9Lo
-
陽乃『それはもちろん……死にたくなんてないわ』
初期個体のバーテックスや、
進化型のバーテックスが出てくるという程度であれば、
歌野……それに、杏と球子が加わるというなら陽乃は少しくらい楽をしてもいいと思う
しかし、完成型と思われる個体が出てきている。
陽乃でもイザナミ様の力を使ってようやくと言った感じで
歌野や杏、球子では対抗しきれない可能性もある化け物
それが現実のものとなった今、
陽乃は悠長に休んではいられない。
出遅れれば、勇者3人の内1人が命を落とすことになるかもしれないし、
ここまで連れてきた人々の多くが犠牲になることもある。
陽乃『私が生きるために必要なことよ』
九尾『愚かな』
死に急いでいるだけだ。
そう言っても、陽乃は "でも今日は死なない" と言うだけだ。
- 552 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 22:37:51.89 ID:2bx+N+9Lo
-
九尾『手は貸してやってもよいが、四国まで生き延びられる保証は出来ぬぞ』
陽乃『……そう?』
九尾『呆けおって』
呆れたように零す九尾
本当にそんな顔をしているのかと考える陽乃の頭に、九尾の声が響く
九尾『諏訪を捨てれば多少、治りも早くなるやもしれぬぞ』
陽乃『またその話?』
九尾『妾の力で誤魔化すよりは、生き残ることもできよう』
ただでさえ、遠く離れていく諏訪の結界を維持しているというのに、
無理すれば、死ぬ可能性が高い
なら、やはり、もう余分な方は切り捨ててしまうべきだ。
九尾はそう考えている
元々、人間の命なんて久遠家を除けば取るに足らないものと考えているから、
残してきた人間なんて、無意味としか思っていない。
1、諏訪を諦める
2、九尾に頼む
3、ならいいわ。今すぐ必要でもないし
↓2
- 553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 22:40:45.13 ID:WgTmlhAzO
- 3
- 554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 22:41:05.13 ID:ONV2dRJy0
- 2
- 555 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 23:10:10.06 ID:2bx+N+9Lo
-
陽乃『良いわ。貴女がやって』
九尾『主様』
陽乃『貴女に頼むって、言ってるの』
諏訪を切り捨てれば、確かに治りが早まるかもしれない
けれど、それでは遅いかもしれない。
今日の夜襲撃されたとしたら、治りが速いだけでは間に合わない
明日の朝も、きっと。
陽乃『無理に動く必要がなければ、動かなければいいだけでしょ』
九尾『ふむ……』
大人しくしていればいいというものではないけれど、
そうしておけば、いくらかマシではあるだろう。
とはいえ、大人しくしていられるかどうか。
九尾『無理をすれば本当に死ぬことになるぞ』
陽乃『分かってる』
しかし、今のように何一つできないというのは辛い。
声も出せず、指の一本すら動かせない状態は。
陽乃『ちゃんと、分かってるから』
九尾『……まったく、主様は理解のできぬ娘じゃな』
- 556 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 23:11:41.77 ID:2bx+N+9Lo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 557 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 23:27:18.76 ID:xZesmpLBO
- 乙
なるべくどころか絶対に諦めない陽乃さん
体は既にボロボロな上これで諏訪を見殺しにしたら精神持たないだろうしなぁ
- 558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 00:35:53.56 ID:42WmQg52O
- 乙
まあ合流したんだから3人に頑張ってもらおう
- 559 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:17:06.31 ID:TL0k6/jso
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 560 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:18:55.48 ID:TL0k6/jso
-
陽乃『貴女が人のことを理解なんて……する気がないくせに』
九尾『くふふっ』
九尾の笑い声が聞こえる。
肯定と言わんばかりのその声は、
偽りではなく、少しだけ楽しんでいるようにも感じられた。
九尾『主命とあらば、致し方があるまいな』
一瞬、声が途絶えたかと思えば、
どこからともなく九尾が陽乃の上に跨るような形で姿を現す。
狐ではなく女性の姿の為、
九尾本来の毛色を表す長い黄金色の髪が、陽乃の頬を擽る。
陽乃『どうしてそこなのよ』
九尾「そこに娘がおるからじゃ」
陽乃の傍らで、手を握ったまま伏せっている歌野
体を悪くする姿勢のまま眠って動かないからか、
仕切られた空間の床面積はほとんど占有されているらしい
- 561 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:32:32.15 ID:TL0k6/jso
- 九尾「主様。妾は治してやるわけではないと忘れるでないぞ。"治ったようにみせかける"だけじゃ。よいな」
陽乃『分かってるってば』
何度も注意してくるのは、陽乃が言っても無駄な人間だと考えているからだろう。
人間はともかく陽乃のことは多少、理解してきているのかもしれない。
陽乃『それでも必要なことなのよ』
必要がなければ、大人しくしていればいい
杏と球子、それと歌野にバーテックスは全部任せるのは、諏訪でもしていたことだから。
その頃と大して変わりはない。
嫌な話、慣れていることだ
陽乃『小言は良いから、早くして』
九尾「急くな急くな」
九尾は呆れながら、陽乃へと体を下ろしていく。
長い髪が陽乃の顔を囲い、それなりの膨らみが陽乃の胸元を押しつぶして
真偽不確かな九尾の体温が感じられる。
陽乃『……必要なことなの?』
九尾「うむ」
九尾は嘘っぽく答えると陽乃と体を重ねていき、
九尾の熱がじわじわと広がるにつれて、まるで動く気配のなかった陽乃の手足がぴくんっと反応する。
陽乃「っ……きゅ……きゅう、び」
かすれ声しか出なかった喉も、
痛みも不快感もなく、声が出るようになった。
陽乃「九尾……」
九尾「……ふむ。もう暫くじゃ。数刻も待てぬほどではあるまい」
やり方はおかしいけれど、陽乃の望みを叶えようとはしてくれているようだ
- 562 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:59:27.29 ID:TL0k6/jso
-
九尾が言う通り、少し経ってから陽乃の体は動くようになった。
重さも痛みも感じない。
苦しんでいたのが嘘のように、何一つ違和感がない
陽乃「……さすがね」
陽乃は歌野に握られっぱなしの右手を一瞥すると、
左手で数回握り拳を作っては開いて、息をつく。
喉の不快感もなさそうだった。
陽乃「完治したみたいだわ」
九尾「何一つ正常なところなどあるまいに」
陽乃「それはそうだけど、気分の問題よ」
九尾「ふむ……まぁよい。それと、可能な限り早く体を治したいならば、極力その娘の傍におると良い」
九尾は歌野を指さす。
眠っている歌野の体は傷1つないけれど、
口元を拭ったであろう袖と、
顔が伏せられているシートの一部には、赤いシミ汚れが出来ている。
陽乃「……私の過剰な力を受けてるの?」
九尾「いや、むしろ主様の力を補っているというべきであろうな。
ただでさえ消耗しておるのに、阿呆な主様は諏訪を切り捨てぬという。
そんな状態ではいつまでたっても、体が治ることなどあり得ぬ」
- 563 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 23:48:37.50 ID:TL0k6/jso
-
陽乃「……そう」
歌野から力が流れ込んできているのは、ずっと感じている。
それが陽乃に害を及ぼすようなことはなく、
むしろ、気分的には悪くはないことも。
どうして歌野がそんなことが出来るのか、陽乃は分かっていないけれど。
陽乃「白鳥さんに何かした?」
九尾「妾は何も与えてはおらぬ」
陽乃「貴女は、ね」
あえてなのか、
なにかがあると思わせぶりな返答をする九尾を一目見て、
陽乃はまた、歌野へと目を向ける。
陽乃「一緒にいるのは、あまり好きじゃないのだけど」
九尾「主様の意思に反してでも、小娘は付きまとうやもしれぬが」
陽乃「……でしょうね」
陽乃の体を癒せないとしても、
水都や歌野は傍にいたがったりするし、
そこに大義名分が加わったなら、いない理由がないからだ。
陽乃「まぁ、検討はしておくわ」
- 564 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 23:52:07.28 ID:TL0k6/jso
-
√ 2018年 9月11日目 夕:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
3 バーテックス 発見
5 バーテックス 襲撃
7 球子 杏
9 歌野
53 33 進化型
35 55 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/16(土) 23:53:20.06 ID:CeYFk8hIO
- あ
- 566 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 00:04:41.24 ID:T5Q/VnYko
-
短いですがここまでとさせていただきます。
明日はお昼ごろから再開予定になります。
- 567 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 00:12:51.68 ID:9+HazX1XO
- 乙
擬似的とはいえ会話ができるくらいには回復したみたいだな
ただ今度は最近ずっと力を使い続けてるうたのんが心配になってきたけど…
- 568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 00:18:56.89 ID:0YCAHQ+WO
- 乙
とりあえずうたのんと一緒にいて回復を図るべきだな
- 569 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 13:28:17.50 ID:T5Q/VnYko
- では少しずつ
- 570 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 13:41:54.39 ID:T5Q/VnYko
-
√ 2018年 9月11日目 夕:移動�A
杏達が合流したことで必要以上に探索をする必要はなくなったこと。
そして、速度を落としていてもバーテックスの襲撃の頻度が増えてきていること。
負傷者の数が多いこと
それらもあって、バスはそれなりの速度で走っていたらしい。
陽乃が無理矢理体を治してからはじめての休憩では、すでに、神戸にまで来ていた。
陽乃「……早いわね」
「久遠さん!」
陽乃「っ!」
陽乃がバスから降りるや否や1号車から降りてきていた女子高生が気付いて声をあげる。
その憩いのまま飛びつこうとしてくるのを、手で制して。
陽乃「まだ本調子ではないの。止めて頂戴」
「そう、なの? そう、だよね……ごめん。つい」
陽乃「……」
陽乃は偽っているだけで酷くボロボロな状態だが、
彼女達もまた、体のいたるところに傷を作っている。
陽乃「貴女も大人しくしていれば?」
「このくらいなら、全然平気だよ。久遠さんも白鳥さんも……これ以上の体でも、無理して戦うでしょ?」
陽乃「一緒にしないで」
「してないよ。できないよ。全然……違うから」
- 571 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 14:03:03.61 ID:T5Q/VnYko
-
彼女は、申し訳なさそうな笑みを浮かべる。
陽乃達勇者と、ただの少女である彼女達とでは、大きく違いがある。
彼女はそれを痛感させられてしまったし、
同じだなんて、口が裂けても言えない。
同じ女の子……だったなら、
陽乃達は、逃げ出していたかもしれない
あるいは、
女子高生達はバーテックスに立ち向かっていたかもしれない。
少しは出来ることを尽くそうとしたけれど、
それもできずに、終わったのだ。
「久遠さんも、白鳥さんもさ。無理しすぎだよ」
陽乃「無理しないとどうにもならない世界が悪いのよ。私は悪くないわ」
- 572 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 15:04:12.52 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃はそっぽを向く。
本当に、世界が悪い……何もかも、全部
あの日に始まらなければ何事もなかったのだから。
陽乃「1号車に2人がいるんでしょう? 私よりそっちに構ったら?」
「球子ちゃん達は私達がこうやって近づかなくても平気みたいだし」
陽乃「おせっかいは必要ないって?」
「違う。向こうから話しかけてきてくれたりするってこと」
けれど、陽乃は違う。
相手から近づかないと、近づいてこようとはしない。
近付けば突き放すし、
近付かなければ、それっきり。
そういう人だから、周りが近づいていくだけだ。
陽乃「そう。よかったじゃない」
1、杏と球子と交流
2、歌野と交流
3、水都と交流
4、九尾を呼ぶ
5、私とはもう関わる必要はないでしょ?
6、そこまで、大怪我をした人はいないのね
↓2
- 573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 15:09:01.28 ID:Ha1d7DbkO
- 1
- 574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 15:10:40.15 ID:cLj40UWEO
- 1
- 575 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 15:44:54.49 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「暫くは私、2号車の方になるから」
「そっか」
しょんぼりとする彼女は、
残念そうに、スカートのポケットをまさぐる。
手に取ったのは画面のひび割れた携帯端末
電源は入るようだが、一部、真っ黒なままだ。
「連絡先交換できても、やり取りできないんだよね」
陽乃「そもそも私、持ってないから」
陽乃は突き放すように言うと、
前方の1号車から杏達が下りてきているのが見えて、目を細める
陽乃「じゃぁ、私はあっちに用事があるから」
「あ、うん……歩いて平気なの?」
陽乃「問題ないわ」
支えようとした彼女に背いて、陽乃は杏達のもとに向かう。
- 576 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 15:58:48.63 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「久しぶりね」
杏「久遠さん!」
球子「……ほんとに陽乃か? 九尾が化けてるんじゃないか?」
杏「えっ」
駆けだそうとした杏の足が止まって、
球子は怪訝そうに陽乃を見つめる。
以前、九尾の力によって化かされた経験があるからだろう
しかし、今回は正真正銘、陽乃だ。
九尾の力が加わってはいるけれど。
陽乃「そう思うくらい死にかけていたのは認めるけれど、私は私よ。疑うなら、バスの中でも見てきたら?」
今は、陽乃の場所に歌野が横になっている。
九尾は詳しく明かさなかったが、
陽乃のよりは重くはないにせよ、
体の内側を押しつぶされるような経験をしたのだろう。
歌野の体にも少なくない影響が出ているのは目に見えていた。
杏「良かったです……久遠さんが生きていてくれて」
陽乃「私に言える立場なの? まさか生きてるとは思わなかったわ」
- 577 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 16:24:58.93 ID:T5Q/VnYko
-
杏「確かに、そうです」
球子「正直死ぬかと思った。いや、死んだと思ったけど……歌野に助けられた。怪我を治してくれたんだ」
陽乃「白鳥さんに、ね。」
歌野から感じたあの力は、治癒系統の力だったらしい。
陽乃だけでなく、球子達にまで影響する力となると、
単に、陽乃の力と言うわけではないだろう。
陽乃「……」
悩まし気に息をついた陽乃は、球子を見る。
球子の体にも、怪我1つない。
陽乃「……宇迦之御魂大神」
杏「久遠さん?」
陽乃「こっちの話しよ。気にしないで」
歌野が借り受けられるのは、陽乃の力
であるなら、久遠家の人間として陽乃を愛おしく思う神々のひと柱である、彼女以外にはあり得ないと陽乃は考える。
陽乃「大体の話は聞いたわ。完成型……って、言いたいところだけど、あの新型に襲撃を受けたんでしょう?」
杏「そうなんです……それで、タマっち先輩が大怪我しちゃって」
球子「陽乃にぶん殴られた経験が活きて、どうにか力は逸らせたんだけどな」
それでも、死なないのが精いっぱいだったと、球子は笑う
- 578 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 16:44:28.60 ID:T5Q/VnYko
-
杏「笑い事じゃないよっ!」
球子「今生きてるんだから、良いだろ」
それに、と、球子は言って
球子「笑わなきゃやってられるかあんなの。何なんだよ」
通常の個体よりも強い進化型のバーテックス
それなら球子や杏でもどうにかできていたが、
あの完成型と思われる個体は、どうにもならないのだ。
球子「大きさも攻撃力も、まるで桁が違ってた」
杏「でも、久遠さんはそのバーテックスを倒せたんですよね?」
陽乃「倒せたといえば倒せたけれど、引き分けのようなものよ」
杏「そのせいで死にかけるほどの反動を受けたのは聞いてます」
だから、戦って欲しいとは言わない
むしろ、戦って欲しくないと思っていると杏は言う。
杏「きっと、私達の切り札も、あれには通用しません」
通用するなら、陽乃の反動はもう少し軽いもので済む。
そうなら、歌野の力でも新型のバーテックスを倒せていたはずだ。
杏「……久遠さんみたいに、もう1つ上の力が必要な気がします」
陽乃「最悪死ぬわよ?」
- 579 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 16:59:32.48 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃の力は特殊過ぎるため、
同レベルの反動があるとは限らないけれど、
それに近いほどの副作用は覚悟する必要があるだろう。
球子「けど、じゃなきゃどうにもならないだろ」
バーテックスは、さらに強力な敵を出してきた。
それはたぶん、陽乃という脅威があるからだ。
しかし、陽乃一人にそのすべてを背負わせるわけにはいかない。
求めなくても、そうしてしまう人だから。
杏「四国に戻ったら、大社に掛け合ってみようと思います」
陽乃「そう」
杏「そこで、あの……可能なら、久遠さんも一緒に行きませんか?」
陽乃「私が? どうして?」
杏は少し考えて
杏「久遠さんも正式に勇者として認めて貰うためにです。このままだと、久遠さんはずっと悪く思われたままですよ」
1、事実なんだから仕方がないでしょ
2、別に良いわよ。そんなの
3、嫌よ。どうなるか分からないんだから
4、掛け合うなんてやめておきなさい
5、無事に戻れたなら、付き合ってあげてもいいわ。1度だけね
↓2
- 580 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:01:52.22 ID:dqugTSO30
- 5
- 581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:02:09.66 ID:cLj40UWEO
- 5
- 582 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:09:54.14 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「無事に戻れたなら、付き合ってあげてもいいわ。1度だけね」
杏「本当ですか!?」
陽乃「戻れたらの話よ」
杏「戻れなかったら、どうせ叶わない話じゃないですか」
半分拒んでいるようにも聞こえるけれど、
戻れたら応じて貰えるなら、それは絶対に応じてくれるといってくれているようなものだと杏は思っている。
戻るのも難しいことだ。
それは、良く分かっている。
陽乃も、だからこそそんなことを言ったのだろうから。
杏「私達が新型に襲われたということは、四国もまた、同じく襲われている可能性があります」
陽乃「そうね」
杏「もし、そうだとしたら……」
最悪壊滅しているかもしれない。
若葉たちの誰かが命を落としているかもしれない。
杏「だから、正直可能性は低いかもしれません」
陽乃「そうよ。だから、その全部が何事もなければ応じてあげるって言ってるのよ」
- 583 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:19:42.08 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「四国に被害が出ていたら、私、どうせまた恨まれることになるから」
球子「そんなことあるか?」
杏「私達が抜けたせいだって、思われることはあると思う」
球子「なんだそれ……」
大社は咎めないこともあるだろう。
しかし、人々はどうだろうか。
人柱を拒み、バーテックスの襲撃を引き起こしたとされる久遠陽乃
つい最近、力のない人間を殺め、
拘束されるとなったら、四国からの逃亡
あろうことか、5人しかいない貴重な戦力である勇者の内、2名を道連れにだ。
その結果、被害が出たと言われる可能性は、残念ながら高い
杏「それも含めてって、ことですよね?」
陽乃「そうねぇ」
正直、それを避けるのは無理と言っていい。
陽乃「大社に拘束される気はないから」
あんな思いは、もうお断りだ。
- 584 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:42:50.39 ID:T5Q/VnYko
-
球子「とは言っても、歌野達を連れ帰れば悪いことばっかりじゃないだろ」
陽乃「その功績が、本当に私のものになるって思ってる?」
諏訪に向かったのは、陽乃だけではない。
今ここにいる杏と球子もそう。
そして、諏訪からの道のりには、諏訪を3年間守り抜いた歌野がいる。
杏「……」
答えを躊躇う杏達を見て、陽乃は小さく笑みを浮かべる。
陽乃「私が、その立役者と言われるわけがないでしょう?」
陽乃はただの逃亡者。
それ以下にはなり得るが、それ以上になることはないかもしれない。
陽乃「そもそも、私は私が死なずに済むための駒が欲しいから諏訪に行ったんだし。名声なんてどうだっていいわ」
球子「だとしても、みんなが無事なのは陽乃の手柄だろ」
杏「久遠さんがなんて言っても、それは変わらないと思います」
四国の誰かがなんて言ったって、
諏訪から連れてきたみんなの言葉は変えられない。
陽乃「私が洗脳したことにされそうね」
杏「あり得そうなので、止めてください」
- 585 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:54:21.12 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「けれどまずは、四国につくことを考えないといけないわ」
杏「そうですね」
陽乃達がバーテックスに襲撃される頻度が増えてきている。
四国を手薄にして陽乃達をつぶしに来ていることも考えられるし、
すでに、2体の完成型と思われる新型のバーテックスに襲撃を受けているのだ。
よそのことを考えている場合じゃない。
陽乃「私と白鳥さんも、襲撃があれば手を出すけれど……極力、手を出させないで頂戴」
球子「……珍しいこと言うな」
陽乃「本調子じゃないのよ。死にたくないって言ってるでしょ」
茶化すような口ぶりの球子を睨んで、陽乃は目を背ける。
本調子どころか、
実際の体は動くことも話すこともままならないほどに、壊れている。
だから、仕方がない
陽乃「白鳥さんも似たようなものだから、尽力して頂戴」
球子「それはもしかして、頼ってるのか?」
陽乃「馬鹿言わないで、ただの忠告よ」
- 586 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:56:00.61 ID:T5Q/VnYko
-
√ 2018年 9月11日目 夜:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
0 バーテックス 発見
6 バーテックス 襲撃
2 球子 杏
1 歌野
5 水都
06 00 進化型
60 66 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 587 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 19:03:25.82 ID:dqugTSO30
- あ
- 588 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 19:42:46.58 ID:T5Q/VnYko
- √ 2018年 9月11日目 夜:移動�@
夜になっても、バスは走る。
杏達は夜になると休息をとっていたため、
その間も移動できるのはありがたいと、球子が零す。
球子「今まで1人態勢だったのは凄いな」
陽乃「貴女達だって変わらないでしょ」
球子「タマ達の場合は、自分たちのことだけ考えればよかったからな」
何より、少人数だった。
たった2人の為、身を隠すのは簡単で、
逃げ切るのも、完成型を除けば難しくなかった。
陽乃「そう」
球子「それに、タマみたいに楯があるわけでもないし」
陽乃「攻撃は最大の防御って言うし、私はそれしかできないもの」
球子「……脳筋ってことか?」
陽乃「私の筋力が知りたいの?」
陽乃は真顔で握り拳を作って見せる。
一見華奢にも見えるが、その力は常軌を逸している。
同じ勇者の球子でも、直撃は耐えられないだろう
陽乃「実績があるって、貴女知ってるくせに」
- 589 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 20:32:26.63 ID:T5Q/VnYko
-
球子「誇るなよ。そんなこと」
その場には球子もいたため、分かっている。
誇れる内容ではない。
もっとも、陽乃は誇っているのではなく、
自虐しているだけだろうけれど。
球子「……心配してたのか?」
陽乃「はぁ?」
球子「だって、こんなに早く出てくるなんて予定なかっただろ」
球子たちが諏訪を発ってから、約1週間
短いようにも思えるが、陽乃は目を細める
陽乃「貴女達がいつまでたっても四国にたどり着かないから、文句を言われたのよ」
球子「仕方ないじゃないか……あんなやつと鉢合わせするなんて思わなかったんだよ」
無事に逃げられたならそれでよかったが、
初撃を防ぐことさえできなかった。
しかも、そのたった一回で球子が行動不能に陥ったのだから、どうにもならない。
1、鍛え直す必要がありそうね
2、私とどっちが怖いのよ
3、何にせよ、生きているならそれでいいわ
4、貴女達が死んでいたら私の責任になるのよ
↓2
- 590 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 20:36:50.50 ID:a8Rh/IU4O
- 4
- 591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 20:38:19.33 ID:dqugTSO30
- 3
- 592 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 21:18:24.90 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「何にせよ、生きているならそれでいいわ」
球子「正直に心配だったって言えばいいのに」
陽乃「私の今後は心配だったけど、貴女達は別に」
死んでたら死んでたでそこまでだと思ってたと、陽乃は吐き捨てる。
生きている可能性も死んでいる可能性も
両方とも考えていた。
日が経つにつれて、
どちらかと言えば死んでいる可能性の方が高いのではないかとさえ……。
陽乃「けど、まぁ、寝覚めが悪くはなったと思うわ」
球子「寝覚め?」
陽乃「死んでいるよりは、生きている方が良かった。ということよ」
特に、戦力的には重要だ。
現状、分かっている中では勇者は陽乃を除いて6人しかいない。
歌野を手に入れることが出来たとしても、
その為に2人も犠牲になったのでは、意味がないだろう。
- 593 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 22:04:02.43 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「今までは人手が足りなかったから相手してたけど、これからは住民の相手を頼むわ」
球子「そんなこと頼むなよ……別に悪い人たちじゃないだろ」
陽乃「嫌よ。私が好きじゃないってよくわかってるでしょ」
貴女達と接しているだけで満足してもらいたいものだわ。と、
陽乃は眉を潜める。
陽乃「苦手なの。ああいうの。私は1人で居たいのよ」
球子「そんなこと言って……隣に歌野がいるくせに」
眠っている歌野。
あれからまだ、一度も目を覚ましていない歌野は、陽乃が使っていた座席に横になっていて
陽乃は、そのすぐ隣の余ったところに座っている。
陽乃「これは必要なことだから」
球子「ふ〜ん……必要なことねぇ」
陽乃「そんな顔で見たって、事実は変わらないわ」
本当に、必要なことなのだ
九尾がからかっていなければ。
陽乃「言ったでしょ。本調子じゃないって……白鳥さんの力が必要なのよ」
- 594 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 22:38:32.89 ID:T5Q/VnYko
-
球子「そうか……完成型が出てきたらどうするんだ?」
球子は神妙な面持ちで陽乃に問う。
歌野でも撃退は出来るらしいけれど、倒しきることが出来るのは陽乃だけだ。
そもそも、歌野だって、今は休養が必要な状態
球子と杏だけでは
残念なことに、完成型の相手は出来ない。
かといって、逃げられるかと言えば、そんなことはない。
バス2台、数十人の人々
通常個体ならともかく、完成型が出てきたら終わりだ。
陽乃「貴女達がどうにかしようとは思わないの?」
球子「出来たらするさ。この命でどうにかできることなら、何だってやってやるさ」
だけど。と、球子は首を振る。
球子「そうじゃないだろ。陽乃とは違って、今のタマじゃ死ぬ気でも敵わない」
分かっている。
無理だ。
悪く言えば、無意味だ。
球子「陽乃の力、タマには扱えないのか? それで、陽乃の代わりに戦うことは出来ないのか?」
1、不可能よ
2、死にたいの?
3、私と契約すれば、力を使えるわよ
4、さぁ? 白鳥さんは使えてるけど、貴女達は無理だと思うわ
↓2
- 595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 22:39:56.59 ID:dqugTSO30
- 1
- 596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 22:40:10.35 ID:Fv5G3FJOO
- 2
- 597 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 23:48:41.53 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「死にたいの?」
球子「そう言うわけじゃない……」
声を荒げそうになった球子だが、
ぐっとかみ殺したように顔を顰めると、目を逸らす。
杏はもう少しオブラートに包むだろうけれど、
九尾だったなら、どの口が言うのかと呆れていたことだろう。
球子「けど、そうじゃなきゃこれから先やっていけないと思う。杏だって、そう思ってる」
完成型に歯が立たない。
そんな状態で良いわけがない。
たとえ、大きな反動があるとしても
たとえ、この命が燃え尽きるのだとしても
それほどの力を扱えなければ、どうにもならない。
球子「強くなりたいんだ。ならなくちゃいけないんだ。じゃなきゃ、何も守れない……っ」
自分でさえも。
大切な存在さえも。
球子「このままじゃ、全部、壊される」
球子はそう言って、震える右腕をぎゅっと抑える。
楯が一撃で粉砕された感覚が、残っているのかもしれない。
球子「嫌なんだ……嫌なんだっ、絶対っ」
- 598 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 23:58:45.19 ID:T5Q/VnYko
-
では途中ですが本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:06:48.72 ID:Hs6hSTgEO
- 乙
タマも重傷を負って挫折しかかったのがトラウマっぽくなってるな…
力を求めるあまりにうたのん共々早死にしそうで怖い
- 600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:34:32.39 ID:OgAdX1uP0
- 乙
まあ原作のこと考えたら力がなけりゃそれこそ死ぬだけだしなあ
むしろ生き残るために全力を尽くしてるともいえる
- 601 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 20:58:39.84 ID:cvbx5siso
- では少しだけ
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