キョン「ほらよ」佐々木「ん? なんだい、この小包は?」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/11(火) 20:59:57.10 ID:IEJuNBz7O
「バレンタインデーなんて、くだらない」

俺がまだ中坊だった頃の話だ。
2月14日のバレンタインデーが近づき、教室内に甘ったるいチョコレートの香りが漂っているのではないかと思うほど浮ついた学友達を睨み、前の座席の女生徒は忌々しげに吐き捨てた。

「キョン、キミもそう思うだろう?」

まるでそれが世間一般の見解であるかのように同意を求めてくるが、凡庸たる俺には世の中の空気や流れに叛逆する気概など持ち合わせてはおらず、当たり障りのない返答で茶を濁した。

「そう邪険にしなくてもいいだろう。楽しんでいる奴らが居ることには違いないわけだしさ」
「おや。キミもそのひとりと言うわけかい? やれやれ、よもやキミが僕を裏切るとはね」

大仰な物言いで露骨に失望を露わにしてきた。
僕なんて一人称と、男みたいな口調であるが、こいつは歴とした女であり、女子中学生だ。
もう少し、この華やかなイベントを楽しんだとしてもバチは当たらないと思うがね。

「ふん。いいかい、キョン。少なくともこの日本においてはバレンタインデーなど菓子メーカーの企業戦略に過ぎないんだよ。クリスマスプレゼントと同様に、と言えばキミにもわかるかい? 僕の記憶が間違っていなければ、確かキミはサンタの存在を信じていなかったよね?」

たしかに俺はガキの頃からクリスマスにプレゼントを配る赤服のじいさんの存在をこれっぽっちも信じちゃいなかったが、それと聖ウァレンティヌス伝説はなんら関係ない。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/11(火) 21:03:26.60 ID:IEJuNBz7O
「はん。聖ウァレンティヌス、ね……」

どうでもいいが、小馬鹿にしたように鼻で嘲笑うのは女子中学生の仕草としてどうかと思う。

「ああ、失敬。偉大なる聖人様を鼻で笑ったことは素直に謝罪しよう。仮に伝承通りならば彼は宗教弾圧下の古代ローマ帝国において、立派にその務めを果たしたと言える。しかしだね」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/11(火) 21:07:54.60 ID:IEJuNBz7O
「そもそもだ、キョン」
「なんだよ」
「盲目の看守の目を癒してやったとして、その看守は果たして幸せになれたのだろうか」

それは当然、この上ない幸福だったと思うが。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/11(火) 21:10:10.06 ID:IEJuNBz7O
「ほらよ」
「ん? なんだい、この小包は?」

ちょうど、ルービックキューブ大の小包を差し出すと、虚を突かれた佐々木は頬杖が外れてガクンとなりつつも、両手でそれを受け取った。

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/11(火) 21:12:34.46 ID:IEJuNBz7O
「しかしながらそれが来たる2月14日のイベントに関連した物かどうかまでは判断出来ない」
「意外だな。お前でもわからないなんて」
「僕だって何でもお見通しなわけじゃないさ」

揶揄うような口調で軽口を叩いても、佐々木は依然として堅い口調で慎重姿勢を崩さない。
以下略 AAS



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