高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/08(土) 18:56:23.95 ID:b+VIQ/E60
今日の風は今日の水とは違って、さらりとしていた。そよ風が髪を撫でる感覚が楽しくて、自然と笑顔になる。
「気持ちいですね、アリア社長」
「ちゃい!」
いつの間にか海面を触る遊びを止めていたアリア社長が、先ほどまで水を触っていた方の手を振りながらそう答えた。
藍子が気持ちよくゴンドラを漕いでいる中、そんな藍子を眺める瞳が四つ。
「むむむむむ……」
「あれが件の新人さんですね、あずき殿」
「そうだと思うよ。先輩たちが言ってた、あのなんとも言えない雰囲気?が、まんまARIAカンパニーって感じだし。というか、そもそもARIAカンパニーの制服着てるしね」
「確かに」
二人は会話をしながらも、目線の先に藍子を入れたままである。二人はウンディーネの制服に身を包んでいる。一人は赤いラインの入った制服で、もう片方は黄色いラインが入った制服。
「むむむむむ……」
「う〜む……」
「むむむむむ……」
「……それで、どうするのです?」
「え?どうするって?」
「彼女、どんどん進んでいってしまいますよ?このままだと監視大作戦が失敗してしまうのでは?」
「……確かに〜!早く言ってよあやめちゃん!」
「いえ、まだ焦らなくとも大丈夫です、あずき殿。彼女のゴンドラはまだ日が浅いせいかゆっくりです。私たちでも十分追いつけます!」
「じゃあ、今すぐ私たちもゴンドラに乗りこもう!」
「はい!」
「さあ、あやめちゃん!漕いで漕いで〜!」
「わ、わたくしが漕ぐのですか!?」
「そうだよ〜!名付けて忍法・めちゃめちゃ静かに素早い操舵の術大作戦!」
「そんなむちゃな!?」
彼女たちはわちゃわちゃしながらも、軽い身のこなしでゴンドラに乗る。オールを手に取ったのは、オレンジのラインが入った制服を着た方。
「では、行きますよ!ニンッ!」
先ほどまでは慌てていたそぶりを見せた彼女だが、オールを持つと、しっかりとした姿でゴンドラを漕ぎ始めた。
「ゴーゴー!」
「ちょ、あずき殿。あんまり大きな声を出すとバレてしまいます!」
「まだ距離はあるから大丈夫だよ。それより、あやめちゃんめちゃめちゃ静かに漕いでるね。その割にスピードも出てるし」
「先ほどあずき殿が出した作戦通りにやってるだけですよ。とても大変ですけど。でも、このくらい、忍者水先案内人のわたくしにかかれば……わっとと……」
「はわ!大丈夫?あやめちゃん」
「ええ、何とか」
「さっきの作戦は忘れていいから。今度は慎重にでも追いつけるように大作戦にしよう」
「了解です!」
こうして、藍子の後ろに二人の影が重なった。
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