過去ログ - 武内P「ハンバーグを食べにいきましょう」蘭子「ほぇっ」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:55:50.78 ID:EcMl3zH/0
・武内Pと蘭子のお話です。
・時間軸的にはサマーフェスより前くらい。
・いわゆる地の文が多いです。
・ハンバーグおいしい。
・それでもよろしければ、ぜひどうぞ。

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2:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:56:23.15 ID:EcMl3zH/0
 ハンドバッグから手鏡を取り出そうとした時、くぅと音が鳴った。
 あまりに自然な音だったので、はてな、と蘭子は辺りを見回すけれど、すぐに正体に気づく。

 自分のお腹が鳴っている。

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:57:01.01 ID:EcMl3zH/0
 だから無理もない。
 お腹が空いて音が鳴るのは生理現象、眠くなったりするのと同じだ。
 別に不思議なことではないし、蘭子も一人だったら別に気にしないのだけれど――。
 みれば隣、運転席に座るプロデューサーが、キィを差し込んだところでフリーズしていた。
 蘭子の視線に気づくと、すっと目を逸らし、反対側、窓の外をみやる。
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:57:43.11 ID:EcMl3zH/0
 再びくぅとお腹が鳴るまで、それは続く。
 蘭子は諦めたように叩くのをやめ、自分のハンドバッグをきゅっと抱えた。
 隠しおおせるものではない。完全無欠にお腹が減っていた。

「……失礼しました。その……あまりにも可愛らしい音だったので」
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:58:14.11 ID:EcMl3zH/0
 誤解を恐れずに言うのなら、彼のその仕草や、困ったような表情が蘭子は好きだった。
 別に嗜虐心があるわけではない。
 彼が手帳を捲り、自分の言葉を理解しようと努めるとき、よくそういう顔をしているからだ。
 真剣に自分に向き合ってくれていると感じる。
 だからついその顔がみたくて、言葉のレパートリーを増やすのに躍起になったり、
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:58:43.89 ID:EcMl3zH/0
 そのまま、しばらく時間が経った。
 まだ出ないのかな、と蘭子は再びプロデューサーを見上げる。
 彼は手帳を捲っていた。
 彼女の言葉が刻まれている、分厚い魔道書。
 ただ、いつも開いているページとは、ちょっと違う気がした。もっと後ろの方だ。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:59:12.71 ID:EcMl3zH/0
 蘭子は、おぉっ、と感嘆の溜め息を漏らした。
 プロデューサーに連れられてやってきたのは洋食屋で、蘭子が初めて足を踏み入れる類の店だった。
 昼の時間が過ぎているからか、さいわい席は空いていた。
 二人はウェイトレスに、奥の席へと通される。

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 17:59:50.42 ID:EcMl3zH/0
「後ほど注文を伺いにきますね。ごゆっくりどうぞ」

 ウェイトレスが軽く腰を折った一礼をして、去って行く。
 いつの間にか水も置かれていた。プラスティックの安物じゃなくて、ガラス製だ。
 うわぁ落としたらどうしよう、と蘭子は両手で抱えて、ちびりと水を飲んだ。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:00:34.71 ID:EcMl3zH/0
 蘭子は辺りを見回しながら、もう一度、ゆっくりと水を飲む。
 プロデューサーはうわつかず、手帳に何かを書き付けていた。
 そういえば先ほど、車の中でもそれを見ていた。
 あまり人の手帳をじろじろとみるのは気が引けるけれど、気になるのも事実だ。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:01:11.53 ID:EcMl3zH/0
 蘭子にとっては新鮮な単語だ。
 唯一ラーメンといえば熊本にいる時、家族と豚骨ラーメンをよく食べたけれど。
 上京してからはそういう機会もない。
 それ以外はそもそも入ったこともない場所だ。
 特に、エスニック、というのはよくわからない。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:01:48.95 ID:EcMl3zH/0
 それからも会話は弾んだ。
 会社の近くにある、女性でも入りやすいお店を幾つか教えてもらった。
 普段、蘭子達が入るようなお店の話をした。
 カフェの開拓に参考にします、と言われて、少しだけ繋がりが増えたように思えて嬉しかった。

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:02:22.94 ID:EcMl3zH/0
 二人で目を合わせる。冷めないうちに頂きましょう、と彼の声。蘭子も頷いた。
 手を合わせて、いただきます、と二人の声が重なる。
 蘭子はナイフとフォークで一口分を切り出し、そっと口の中へ運んだ。
 ハンバーグからはたっぷりとした肉汁の味がするけれど、全然くどくない。
 デミグラスソースの深いこくとあわさっているからかもしれない。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:02:56.03 ID:EcMl3zH/0
 やがてぺろりと食べ終え、皿の上は綺麗になる。蘭子のお腹は満たされて、もう音は鳴らない。
 さっきまではただただ恥ずかしく思ったお腹の音も、蘭子はまぁ悪くなかったかな、と思い始めている。
 こんなに美味しいものを一緒に食べる切欠になったのだ。
 むしろ定期的に鳴ってくれてもいい、なんて。
 そうしたらまた、こうしてランチを一緒に食べられるかもしれない。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:03:33.75 ID:EcMl3zH/0
 人の噂というのはげに恐ろしきもので。
 蘭子とプロデューサーがちょっとお高い店でランチを共にした、という情報は、
 夕方にはプロジェクトメンバー全員があずかり知る事となっていた。
 別に隠すつもりはなかったけれど。
 帰社時にあっさりちひろに喋っていたのは、はたして良かったのか悪かったのか。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:04:08.60 ID:EcMl3zH/0
 蘭子はそっとハンドバッグから手帳を取り出す。
 後ろの方、あまり使い道のなかったメモページ。
 そこに昨日の日付と、お店の名前、食べたもの、簡単な感想を書き付ける。
 言うまでもなく、プロデューサーの真似だった。

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/10/04(日) 18:04:36.71 ID:EcMl3zH/0
以上です!
読んで頂き、ありがとうございました〜。


17:名無しNIPPER[sage]
2015/10/04(日) 18:05:21.94 ID:GuJnPwLIO
おつ


18:名無しNIPPER[sage]
2015/10/04(日) 18:05:26.01 ID:O05J43gho
蘭子かわいい(蘭子かわいい)


19:名無しNIPPER[sage]
2015/10/04(日) 18:05:29.16 ID:pI/YG1Zvo
蘭子かわいい(蘭子かわいい)


20:名無しNIPPER[sage]
2015/10/04(日) 18:05:51.23 ID:J9UvHUO6o
蘭子カワイイ


21:名無しNIPPER[sage]
2015/10/04(日) 18:06:13.04 ID:o/slvNyrO
乙!ハンバーグ食べたい


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