過去ログ - P「伊織と貴音を連れて,食事に行く」
1- 20
1:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 18:50:20.53 ID:YUCQRze/0

 ドアノブに掛けた手をゆっくりと回して、私は扉をひら――開かないわね? 壊れてるのかしら?

「伊織くん、その扉は手前に引くんだよ」

 後ろから、声を掛けられる。

「あ、当たり前じゃない! 言われなくても分かってるわよ!」

 慌てた私に引っ張られた扉の、備え付けの鈴がぐわらぐわらと音をたてる。
一瞬、何事かと店内の人々がこちらに目を向けたが、すぐに何事もなかったように視線を戻す。
 

 のっけからとんだ失態を犯してしまった。気恥ずかしさを誤魔化すために、私は店内を見渡した。
落ち着いた明るさの照明、クリーム色を基調とした家具で店内は彩られ、
ポップなBGMが申し訳程度に場を和ましている――いかにも『ファミレス』って感じ。



SSWiki : ss.vip2ch.com



2:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 18:54:47.44 ID:YUCQRze/0

 でも、問題はこの次。こういったお店は、店員が何処に座るか案内してくれるって言ってたけど――来ない。

ちょっと! 聞いてた話と全然違うじゃないの!!

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 18:56:57.57 ID:YUCQRze/0
 
「あれ? 伊織くんは僕の横に座らないの?」

 目の前のプロデューサーが不思議そうに聞いてきたが、無視。隣では貴音が、既にメニュー表とにらめっこをしていた。

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 18:58:53.85 ID:YUCQRze/0

 遠慮は要らないと聞いて、途端に貴音が目を輝かす。

知らないわよそんなこと言って、お財布の中身全部食べつくされても……。

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 19:00:12.74 ID:YUCQRze/0

 私のセリフに、驚愕の表情を浮かべる貴音。あんたは一体、メニュー表の何処を見てたの?

 呆れ顔の私を見て貴音が呟く。

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 19:17:25.61 ID:YUCQRze/0

 それから程なくして注文した料理が運ばれて来た。私は無難にパスタ、貴音は謎のマカロニ料理、

そして問題なのがプロデューサー。
 
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 19:20:18.56 ID:YUCQRze/0

 あの後、「夕方から仕事を始める人にとっては、今の時間が朝である」という意味不明な主張でモーニングを

要求し続けたプロデューサーは、最終的に店長まで呼び出して抗議。本人は自分の熱い話し合いによって

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 19:39:42.53 ID:YUCQRze/0

「そうそう。隠すって言えばこんな話があったんだけど……」


 そう言って、プロデューサーが私を見る。その顔に「聞きたいよね?」って文字がありありと浮かんで見える。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 19:55:34.94 ID:YUCQRze/0
===================

「その日、僕はどうしても片付けなくてはならない仕事があって、不本意ではあったけども事務所に残って仕事をしていたんだ。

眠たい目を擦りながらもくもくと作業をこなしていって、そろそろ日付も変わりそうになったところで、
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 20:06:48.60 ID:YUCQRze/0

「仕方が無いから、僕はコンビニに行くことにした。そうそう、最近のコンビニは本当に便利になったよね。

何時までだって開いてるし大抵の物ならなんでもそろう――話を続けるよ? コンビニに着いた僕は、

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 20:17:11.75 ID:YUCQRze/0

「だから惣菜を買って、ご飯を炊いて食べることに決めたんだけど……炊きたてご飯と一緒に食べるのに、

レンジでチンした惣菜を食べるってのも、味気ないだろう――えっ? 別にどうだって良い? 

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 20:18:46.69 ID:YUCQRze/0

 ここまで話して、プロデューサーは再びコーヒーカップに手をやった。一口飲んで、再びニヤリと笑う。


「僕は食に関してはうるさいからね。美味しく食べるためのひと工夫なら、無意識のうちに体が動くレベルだから!」
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:19:23.49 ID:YUCQRze/0

「まこと、プロデューサーの言う事は的を射ておりますよ。伊織」


 突然、それまで黙ってマカロニを頬張っていた貴音が会話に加わる。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:21:40.98 ID:YUCQRze/0

「……で? その『準備』が大切な事は分かったから、早く続きを話しなさいよ」

「うん。だからね? 出来合いの惣菜を使うのは味気ないと思った僕は、

以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:22:38.90 ID:YUCQRze/0

「話を戻そう。さっきも言ったけど、最近のコンビニはホントに便利になっていてね。

卵やお肉、野菜なんかも売ってるんだよ!炊きたてご飯と一緒に食べるために、僕はちょっと奮発して食材を買い込んだんだ。

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:24:00.44 ID:YUCQRze/0

「まったく、余計な茶々を入れるから話がさっぱり進まないじゃないか。

とにかく、ご飯が炊ける頃にはお肉も焼き終わって、僕は晴れて食事にありつけることになったんだ

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:25:16.37 ID:YUCQRze/0

「食事を終えて、後片付けをして……余った残り物を冷蔵庫にしまう時に、おや?っと思ったんだ。

何ともいえない不安が、僕を襲った違和感の正体を探ろうとした。僕は必死に記憶の糸を手繰り寄せ……

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:29:35.00 ID:YUCQRze/0

「まさか、そんなはずは無いと、僕は辺りを見回したけど……何処にも、見つからなかったんだ――その時は」


 そこまで言って、プロデューサーが黙り込む。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:30:41.94 ID:YUCQRze/0
 私、今凄く怯えた表情をしてるんじゃないかしら……自分でも、鳥肌が立っているのがわかるもの。

そんな事を考えていると、プロデューサーが、ぼそり、と呟く。


以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:31:18.76 ID:YUCQRze/0



「冷蔵庫にはっ! ゴーヤしか残っていなかったんだっ!!」

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/01/26(火) 21:31:58.55 ID:YUCQRze/0

 瞬間、気がつくと私は手近に置いてあったメニュー表でプロデューサーの頭を思いっきり引っぱたいていた。

店内に、小気味良い音が響き渡る。それと同時に――。

以下略



88Res/46.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice