このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.12 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 19:14:20.19 ID:6E6GU+5xo
■前スレ
俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.11
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308021366/

■関連SSスレ
○京介「桐乃…お前に人生相談があるだが…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297644807/
○【俺の妹】高坂京介は落ち着かない
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1296372251/
○【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300627984/
○黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301808614/
○京介「妹たちに安価で悪戯する」
○桐乃「妹たち総出で兄貴に悪戯する」(現)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321927800/
○【俺の妹】  願い   【序から始まる物語】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310480351/
○沙織「京介先輩」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305915497/
○京介「思えば遠くへ来たもんだ」(11/27に休止宣言)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1319390510/
○桐乃「読モをクビになっちゃった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321278273/
○京介「俺が教師かぁ…。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321554401/

■まとめwiki
http://www43.atwiki.jp/vip_oreimo/

・鬱、エロ、NTR、オリキャラ、クロス作品の場合は、投下前に断り書きをしましょう
・完結させてからの投下が望ましいです。3回以上中断する場合は別スレを検討しましょう
・やむを得ず中断させた場合は、再開時に前回のものをアンカーで知らせてください
・前の作者の投稿から3時間程度の間隔をあけるのが望ましいです。無理な場合は一言断りましょう
・被り、苦情防止のために事前に投下時刻とカップリングを宣言しておくのもオススメ
・SS作家さんには惜しみない賞賛を
>>980 を踏んだ人が次スレを立てましょう

感想や雑談などご自由に
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 20:45:47.72 ID:DFfiIZsRo
>>1おつ
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東) [sage]:2011/11/30(水) 21:33:44.28 ID:cFs67aeAO
>1のスレ立てがこんなに乙なわけがない

クリスマス、正月、バレンタインぐらいまではこのスレですごせそう。
うん、良さげな感じじゃん

新刊もその辺の予定だっけ?
4 :名無しNIPPER [sage]:2011/11/30(水) 22:08:43.98 ID:Sa5XwBKAO
>>1
おつ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) :2011/12/02(金) 11:40:40.20 ID:R/aBEjZh0
>>1
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県) [sage]:2011/12/03(土) 21:44:38.29 ID:ExRdIgcNo
妹がいるのにこの作品や妹SSにハマってしまった俺は病気か
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 23:36:50.92 ID:tv++7UsnP
>>1
12スレ目立ったのか
あのまま消えるんじゃないかとちょっと心配もしてたが
しかしこの先このスレが賑わうことがあるんだろうか
これもタブー()を犯した代償かね
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/12/04(日) 02:09:37.29 ID:LsmIn2Q+0
>>1
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 11:28:32.97 ID:9vRabgqEo
前スレ>>1000
そんな悲しいこと言うなよ…
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 20:24:46.00 ID:klVXqXbbo
>>1

前スレ>>999
桐乃スレ住民だけど同意。

7巻発売前は割と大らかな感じだったし、8巻発売までは原作の展開への危機感とか飢餓感とかがあって
キャラの心情を掘り下げた力作が多かったけど、最近はマンネリ化してる印象がある。
別に甘々なのも好きだけど、そればっかりというのもねえ。

色んなキャラが絡み合う話も最近は書きづらい空気かも。
表組限定、それもあやせと加奈子は決まった役回りでって感じだしね。
もうちょっと何とかならないものかなあ。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/12/04(日) 20:37:41.80 ID:zDR9B4A/o
もうゲームしか期待してねーや
加奈子出番すくねーし
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/04(日) 21:43:01.01 ID:66o1+4k6o
何となく思うんだけど、スレの雰囲気ってのも大切なことなんじゃないかね。
以前はもっと投下しやすかったというか、誰でも思いつきで気軽に投下できたけど、
いつの間にかカプとかシチュエーションに厳しくなっちゃった気がする。

このままこのスレが、雑談スレで終わらないよう願わずにはいられない。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東) [sage]:2011/12/05(月) 00:18:34.50 ID:Or7LN2fAO
また1000切ってるじゃないですかー

埋めネタor新スレ記念に、駅前通り中央公園のイルミネーションなんかを題材に書こうとするも
思った以上に話が膨らまなくて挫折。

毎年安定の綺麗さなんだけどなー……うーん、難しい
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 01:26:38.70 ID:XPrYTuAco
揶揄するつもりはないが、ここにSSが投下される可能性って、まだ残ってるのか?
個別スレの連載も一応は追っかけてるけど、一話読み切りの短編も読んでみたいです
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 11:17:51.63 ID:zVEPQ6nDO
しらんがな
16 : ◆36m41V4qpU [sage]:2011/12/07(水) 06:08:16.07 ID:7lnMostn0
読み切り?の軽いので

他所でロック×あやせで書こうとしようとしたけど、
とてもそんな雰囲気じゃなかったからな。
京介×○○しか許されないから、組み合わせに限界はあるし
ネタ切れにもなる気がする。

って事で相変わらずの温い内容だけど、取り合えず後続に期待しつつ
切り込み隊長的な意味でうp

17 : ◆36m41V4qpU [sage]:2011/12/07(水) 06:10:57.91 ID:7lnMostn0

赤ずきんちゃん(過去編)



「いちにぃ……ついてぇ……よぉ〜〜い、ど〜ん」

僕は必死に走った、今日こそ、ぜったいに勝つんだ。
途中まで良い勝負だったと思う、だって目の前の先には手を振っている
キリちゃんだけしか見えなかったからさ。

だけど………最後の10メートルくらいになっちゃうと、いつもみたく…僕の目の前に
時計の振り子の様なぽにーてーる(これの呼び方はこの前教えて貰ったんだ)
が見える(その振り子がクルクル早く回るんだ)
必死に走ったけど、やっぱり、最後は、ぜんぜん追いつけなかった……。

ちょっと遅れてゴールした俺にちょっぴり息をきらせながら(でもぜんぜん余裕のある)
笑顔の女の子が近づいてくる。

「はぁはぁ……惜しかったね?きょうちゃん。あたし、もうちょっと負けそうだったな。
超ヤバイかった」

このぽにーてーるの女の子は俺のダチのまーちゃん。女なのにクラスで一番足が速いんだ。
それに、髪が長くってさ、顔とかも……………まぁそれは良いんだ

「ぜぇぜぇ……はぁはぁ……ちぇ………嘘つけよ!ぜんぜんまーちゃん余裕じゃん、
あ〜女に負けるとか格好悪りぃなあ」

「なら、もう一回やってもいいよ、、あたしは何度も挑戦受けてあげて良いよ?」

「上等じゃん、こうなったら、ぜってぇ勝つまで何度でもやって………」

って言って気づいた、キリちゃんがこっちを見てモジモジしてるぞ


「あ〜やっぱ今日は良いや、また明日な、まーちゃん!ほら、キリちゃん帰ろうっか?」

と言って、キリちゃんの手を取る、キリちゃんは何も言わないけど肯いた。
キリちゃんは俺の妹なんだけど、けっこう恥ずかしがり屋なんだ。
でもまーちゃんと遊ぶ様になって、、けっこう時間経ってる気がするんだけどなあ

「わかった。じゃぁきょうちゃんも、キリちゃんもまた遊ぼう、また明日ね」

まーちゃんはずっと手を振ってくれたけど、僕もキリちゃんと手を繋いでない方の手で
手を振ったけど、キリちゃんは関係無さそうにトボトボ歩いてた。

「ねぇ………キリちゃんさ、ちゃんと挨拶しないとダメだぞお、わかった?」

と言われて、キリちゃんは振り返ると一応軽く手を振ってた。
僕はよくやったって意味で、、キリちゃんの頭をよしよしと撫でてあげた。
これをやると、キリちゃんが喜ぶんだ

たぶん、僕がお母さんに怒られた時だか褒められた時に、いやぜったいに怒られた時だな
(いっつも怒られてるから、だいたいそうなんだ)に反省したら
良い子と言って頭を撫でて貰って、それの真似したのが始まりなんだな、たぶん

キリちゃんは素直だから、ちょっと大人しすぎだけど、良い子だからお母さんには
あんまり怒られない。
でも頭は撫でて欲しいみたいだから、僕が代わりに撫でてるんだ。

でもだけど、、変だけど、ふつうに頭撫でてもダメなんだ。
こういう時に、最後に頭撫でると嬉しいみたい。女心はとっても難しい(な)んだ。
でもキリちゃんが嬉しいと、僕も嬉しいからいつもやってるんだな
18 : ◆36m41V4qpU [sage]:2011/12/07(水) 06:13:18.43 ID:7lnMostn0

ずっと黙って歩いて帰ってたけど、ときどきキリちゃんが
「きょう兄ちゃん」って言うから、僕が「何?キリちゃん」って言うけど。
何にも言わないから、逆に僕が「キリちゃん」って言って、「なに、きょう兄ちゃん?」
って言って、黙ってたら二人共笑い出した。

ほっぺを赤くさせてキリちゃんが笑い出すと、やっぱり、僕は何だか嬉しくなるんだ
まーちゃんとか、他の友達の前でももっと笑ってくれたら良いとか思ってるんだけど
でも、二人の時はいっつも笑ってくれるから、、いいっか

昨日も、手を繋いで帰ったし、今日も帰るし、明日もそうだし………(そ)したら、
僕はいつか、、まーちゃんに駈けっこで勝てるし、キリちゃんもまーちゃんの
前で笑えるって気がするから、、まぁ………これで、、いいっか

家に帰ってご飯食べて、風呂入って、やっと寝ようとした時にキリちゃんが枕を持って
僕の部屋に入ってきた。
ちょっと前まで一緒の部屋だったんだけど、最近、べつべつの部屋になったんだ。
僕は一人部屋で嬉しかったんだけど、キリちゃんは違うみたいなんだな

「きょう兄ちゃん、、いっしょにねる」

「キリちゃん部屋がべつべつになったから、ダメだよ、、わ(かった)」

と言いかけたけど、キリちゃんが、ほっぺを膨らませて、目に涙を溜めながら
泣きそうな顔になったので、最後まで言わなかった。
この顔をされちゃうと、僕はどうにも弱いんだ
何て言うのかな、心がドキドキして焦っちゃって、訳が分からなくなって不安になって
ようするに、僕まで泣きたくなってきちゃうわけなんだ

駈けっこでまーちゃん(女の子だ)に負けるだけでも、男のぷらいどが許さないのに
男の僕が泣くのはもっと格好悪い気がするん(の)だな

言い忘れたけど、お父さんにはよく"男なら○○"って言われる。
別にそれだけじゃないとは思うんだけど、とにかくキリちゃんが泣くのだけは
ぜったいにダメな気がするんだよ(もちろん僕が泣きそうになるのもね)

「あーあ〜〜分かったよお。でもお母さんに見つかると困るから。眠くなるまで
で良いかなあ?」

そうなんだ、お母さんは、、逆に約束を守れないとすごく怒るんだ。
ここが難しいところで、キリちゃんが嫌いなピーマンを僕がこっそり食べてあげた時、
お父さんには、どうやら僕が"男らしく"キリちゃんの為にやった事だから、あんまり
怒られなかったんだ(普段はすげぇ怖いんだけどね)けど………

でもお母さんは怒って、怒って、本当に怖かった。
だから、キリちゃんが泣くのは嫌だけど、お母さんに怒られるのも嫌………
あ〜あ、キリちゃんのお兄ちゃんは、、これで、、けっこう、大変なんだ

「わかったぁ……おはなし、してほしい。きょう兄ちゃんのおはなし、がいい」
とキリちゃんは言った。
19 : ◆36m41V4qpU [sage]:2011/12/07(水) 06:15:51.15 ID:7lnMostn0

お話と言うのは僕が適当に考えた作り話のことなんだ。
桃太郎が赤ずきんちゃんと結婚したり、、金太郎がシンデレラと結婚したり
浦島太郎が白雪姫と結婚したりする話で……何故かキリちゃんのお気に入りになっている。

半分は冗談で言ってたんだけど、あんまり、キリちゃんに悲しい(な)話
(途中だけ悲しくて、最後はめでたし、めでたしになっても)
を聞かせるのは嫌だったから
(キリちゃんはずっと入院とかしてたからな)
ずっと楽しい話ばっかり作って話した。

キリちゃんの中では、狼さんはとても気の良い奴だし、鬼も良い人になっちゃってるのだ。
まぁでもキリちゃんが楽しそうだから、それでもいいんだ、たぶん


「それで桃太郎と赤ずきんちゃんは、狼さんの紹介で鬼ヶ島に新婚旅行に………」

キリちゃんが目を輝かせて、まんまるほっぺも真っ赤になってるぞ

「…………………それからぁ?」

キリちゃんがあんまり可愛らしかったので、途中から自分の話の中の"赤ずきんちゃん"
をキリちゃんと思いながら、お話を続けた


「ってことで……………みんな笑顔でくらしましたとさ、めでたし、めでたし」

まぁずっ〜〜と、めでたし めでたし なわけだけど………ね


「あれ?キリちゃん、、寝ちゃったかあ?」

「………………」

「ほんとのホントに、寝ちゃったの?」


「………………」って黙ってたけど、頭をうん、うんってしてた。

まったく、もうっキリちゃんは………あ〜あ、明日ぜったいに怒られるぞ、、、

でもけっきょく

「ほら、、寒くないようにちゃんと、お布団に入ってね」

キリちゃんのこの顔を見ちゃうとな、、、
だから怒られても、まぁいいっか…………


「うん、、おやすみなさぁい、、、お兄ちゃん」

病院のベットに寝てるキリちゃんよりも
僕のベットで、隣に寝てるくれるキリちゃんの方が100億マン倍嬉しいから………


「おやすみ、、キリちゃん」 

赤ずきんちゃんに、優しくする、親切な狼さんみたいな気分っていうのかなあ?
同じお布団で寝るけど、別に食べちゃわないで、こうやって……ただ暖めてあげてさ


キリちゃんがお話の中だけじゃなくても、"めでたし"、"めでたし"になる様に、、、


だから、どんなに怒られても、妹の為ならぜんぜん、へっちゃらなんだよ、、、
、、、、僕はね





おわり
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage saga]:2011/12/07(水) 09:59:25.55 ID:8Emxh/X/o
乙でした。
過去編と云うことでキャラの呼び方が違うので、個人的に違和感が拭えない……。

連続した読点の記述は、使い方として著しく間違っているので、読みづらいので次から何とかして下さい。
ダブルクォーテーションも、全角できちんと左右が閉じるように記述した方が良いかと思います。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 16:13:50.44 ID:Xc/yMiNDO
SS来たと思ったらゴミだった
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 19:11:16.31 ID:pQDi4FWIO
乙。
話自体は良かったけど、文を遮って挿入される丸カッコとか、形式的なところで読みづらかったかな。
その辺はきちんと国語のルールを守った方がいいよ。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/12/07(水) 20:18:53.70 ID:gsR9WvXAo
つまらんかった
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/12/07(水) 20:50:37.49 ID:5HkcJGFAO
乙〜
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 21:01:10.80 ID:B2PS8Bh6o
乙です
@wikiに載せるときは、フォーマットに従って「掲載順」のページに載せとかないと、
「作者別」や「カップリング別」だけだとそのうち深海に沈んでしまうよ
26 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 19:22:23.64 ID:VfXaekl+o
来週のクリスマスイヴにあわせて投下しようと準備してる人っている?
27 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:04:11.32 ID:zV5Ik4SSo
みんなクリスマスに向けて力を溜めてるんだよな
そうに違いない
28 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:16:54.93 ID:veRDOxqNo
クリスマス当日の夜になってもSSが投下されないほうに100ペリカ
29 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:48:32.91 ID:lO0sconAO
乏しい引き出しを漁ってクリスマスネタを探すか、それともインスピレーション任せで関係無い小ネタでも書くか

それが問題ナリよ
30 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 12:34:15.53 ID:FXHC61x7o
過去のクリスマスSSでも読むか…
31 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 12:13:30.69 ID:0aJW5Ciuo
京介「そういや桐乃って…
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1323739681/
32 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 02:43:30.57 ID:IRS7nDqJo
高木「今日から我が765プロに所属することになった高坂桐乃君だ」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324140472/
33 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:17:12.23 ID:yK69CPG+0
ブラコンな桐乃が大好きな俺が書いたssを投下してもいい?
34 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 02:22:30.05 ID:xXLGuQiDo
ネクタイと靴下だけ装備して待ってる
35 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:26:52.80 ID:yK69CPG+0
我ながら駄作だけど投下



        俺の妹が酒乱でエロゲなわけがない




桐乃が寝ている。
まぁ、それは良いんだ、うん。寝てるだけならな。
だけど、だけど……場所は考えようぜ、桐乃よ。

時は夕方四時、俺は赤城と遊んで帰ってきた。本当はもっと遊ぶ予定だったのだが、赤城の奴に電話がかかってきて出たと思ったらいきなり「瀬菜ちゃんにおつかいを頼まれたぜ!ひぃぃやっふうぅぅぅ」と言って走り去っていってしまったのだ、まぁ俺が呼び止めたとしても無駄なのは目に見えて明らかだったのでしょうがなく予定を繰り上げて帰宅した。   
そして、帰宅してリビングでお茶を飲み、ホッと一息つくと自分の部屋に向かう。家の中が静かだから、桐乃はどっか行ったのか…とボンヤリの考えながら扉を開く。
徐々に見えてくる見慣れた部屋の中。趣味も殆ど無いと言っていいため、部屋の中は何も無いに等しい。
だから、本来そこに無い物、異物があったら一発で気付く筈だ。そう、気付く筈なんだ。
……だけど、俺は残念なことに何故か気付かなかった、いや、気付けなかった。だから俺は何も疑問も持たずにベッドに腰掛けたのだ。

ギシ…。フニ…………。……フニ?

桐乃のベッドじゃ絶対に鳴らなさそうな安いベッド特有の軋んだ音が鳴る。
そして何時もの布団の感覚を予想していた手が何か柔らかい物に触れる。

何だ? この感覚は。
疑問に思い、隣に視線を送る。


「……………」


俺はゆっくりと立ち上がる。そして泣きそうな顔で笑う。
心境? 分かりたいならこんな場面を想像してみろ、自分が妹が寝てる間に布団に潜り込み胸を揉みしだくところを。

そう、もう分かったと思うが、俺は桐乃の胸を鷲掴みにして揉んでしまった。
……桐乃が何故か俺のベッドで寝ているために。


何がどうなってか知らないが桐乃は俺の部屋で、俺のベッドで寝ていた。
気持ち良さそうに、スヤスヤと。
思わず桐乃から貸してもらった、いや、違うな、押し付けられたエロゲの中のワンシーンを思い出す、それは妹がお兄ちゃんの枕に顔を埋めてモフモフやっているシーンだ。

「バ、バカな」

俺は頭の中に沸いてきた一つの可能性を力の限り否定する。
だけど、否定すればするほどもう一つの疑問が頭に浮かび上がってきてしまう。

それは、何故桐乃がここで寝ているのか、だ。
だってそうだろう? なんで桐乃が俺の部屋に入る必要がある? ましてや俺の部屋のベッドで寝ないといけない理由なんて無いだろう?

じゃぁやっぱり俺の枕で………。

もう一度浮かんでくるエロゲのワンシーン。
俺は背筋を震わせると何とかしてこの考えを振り払おうと否定材料を頭の中で探し回る。
だが中々見つからず思わず後ろによろめいた。
嘘だろ? あの桐乃が俺の枕で……?

今度はエロゲのワンシーンでは無く、桐乃が『オナピーーーーーーー』しているところが思い浮かんでしまう。

一歩一歩後ろに下がっていく。
静かに、逃げるように俺は少しずつ桐乃から遠ざかっていく。
だけどそう上手くは行かなかった、途中、踵になにかがぶつかってしまったのだ。

――――――カランッ

軽い音が静かな部屋に響いた。一体何が!? と慌てて振り返るとそこには『お酒』の空き缶が転がっていた。
「……………」
思わず口をアングリと開けてしまう。

そうか、そうかそうか、そう言う事か。
俺はこめかみを押さえながらベッドに寝ている桐乃に視線を向けた。

この野郎、親父とかにばれない様に俺の部屋で酒飲んでやがったな?

基本、親父は俺達が居ない時に俺達の部屋は開けない。まぁ桐乃の18禁のゲームとか同人誌とかそういうとんでもない事が原因なら開けるけどな。
だから桐乃は俺が居ないから俺の部屋で飲んだくれていたってわけだ、親父は入ってこないし物も少なくて広い、とくりゃそりゃぁ文句無ぇだろうよ。
36 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:27:45.00 ID:yK69CPG+0

俺はヒクヒクとひくつく頬を抑えもせずに桐乃に近づいていく。気のせいだろうか? 桐乃の顔に若干汗が出ていると思うのは。
ベッドのすぐ傍まで着くと桐乃の被っている掛け布団を思い切り剥がし取った。

「……?」

何か一瞬桐乃の手が動いた気がする。
というかこいつは寝るときに手を背中に回すのだろうか?
俺は不自然な桐乃の寝姿に疑問を覚えながらも起こそうと手を桐乃の方へと近づけていった。






        ・・・・






桐乃視点。

何かが倒れたような物音がなって、私は手放していた意識を突然取り戻した。
ビクンッ、と体が跳ねる。

お、お父さんじゃ無いよね?

怖くなりながら薄目を開けると、現状を確認しようとした。
そこにお父さんは居なく、兄貴がいただけなのでちょっとだけ安心する。

まぁ兄貴だったらお父さんにチクッたりはしないだろう。
そう思って、ホッと一息つく。
別に寝ているふりをこのままする意味も無くなった。起き様とすると、何なんだろうか、兄貴が突然あたしの所に来て布団を思い切り剥ぎ取ってきたではないか。

ちょっとぉおお!? え? なに? もしかして強姦フラグ立っちゃった!!?

な、な、な、なんとかしなくっちゃ!!!
こんな所で処女を失っちゃうなんて冗談じゃない! ……い、いや、でも兄貴になら……ってこらあたし!? 何考えてんの!?
と、とにかく起きよう!

「………ッ!!」

体に力を入れた瞬間、兄貴がいきなり間近に迫ってきた。
勢い良くあたしの顔の横に置かれた手。
互いの息遣いすら聞こえる、ちょっと動けば触れ合ってしまう様な、そんな距離。

なな、な、な、ナニする気よぉおぉぉぉぉぉおおおおお!!
37 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:28:23.44 ID:yK69CPG+0
ドクンッ、と大きく心臓が跳ねた。
さっきまででも充分大きかったのに、心臓の音がまるで限界に挑戦しているかのようにもっと、もっとと大きくなっていった。

血液が勢い良く体中を駆け回り、顔や体が熱くなっていくのが分かった。

ちょ! マ、マジで? マジでする気なの!?

「っぶねぇ、思いっきりこけるとこだった…。これで桐乃になんかぶつかったら一瞬でボコボコにされるとこだったぜ。
おーい、桐乃ー、起きろー…っておい!!? なんじゃこりゃ!? なんでいきなり顔が真っ赤になってんだよ!?」

こ、こけるとこだった? え? それだけ? あたしに何かするためとかじゃなくて、ただこけてあんな体勢になったって事?

そこまで理解するとあたしはさらに顔を赤くした。自分のてんぱり具合への恥ずかしさと兄貴へのムカつきとで。
兄貴は急にあたしの顔が真っ赤になって驚いたのか、あたしの肩をガッシと掴んできた。ここまで来たらあたしも覚悟を決める。兄貴の顔が間近にあって恥ずかしくって赤面したなんて知られようものなら今のあたしは[ピーーー]る自信がある。
だから意地でもこのまま寝た振りをし通しす! それしかあたしの尊厳を守る手段は無いのだ。 そして無事に済んだ暁には思いっきり兄貴をこきつかってやる。いや、こきつかうどころかもっとドギツイ事をしてやろうか、逆さに吊るして鼻にコーラを流し込むとか。とにかくもう色々な罰ゲームをやらせてやる。

そう意気込むと出来る限り体から力を抜いて寝た振りをする。

「おーい、起きろっつってんだろ?」

ペチペチとおでこを叩いてくる兄貴。
拳骨でもくれてやろうか。
それでもなんとか自分を制して寝た振りを続行するも、どうやら兄貴が調子に乗り出したらしい

「……これってもしかしたら日頃の恨みを晴らすチャンスなんじゃね?」

なんて呟き始めたではないか。
うっわ、これやばくない?、マジで何されるか分かったものじゃないよ?

「……この匂い…、お袋め、また今日もカレーと味噌汁だな? ったく、一体どこでどう道を踏み外したらあんなアホな組み合わせになるんだか。 さらにこの時間から匂い始めるって事は今日は作り置きタイプだな? 」
そんなの今はどうでもいいのよぉおおおおおおおおお!!!!

「はぁ、なんで親父はお袋に頭があがんねぇんだ? あんだけ強面なのに、そしてあんなに強いのになんでなのか甚だ疑問で仕方がないね」

それが家の血筋なんじゃないの? そう言ってるあんただって充分優柔不断だからね? あたしの理不尽な命令もグチグチ文句言いながらも聞いてくれるし、なんだかんだ言って優しいし顔もよく見てみれば整っているし睫毛も以外に長いし足も結構長いし、…まぁ意外とモテてるみたいだし。本人は気付いてないっぽいけどね。
38 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:29:06.83 ID:yK69CPG+0

「はっきり言って親父は結構情けないな。俺だったら絶対にビシッと言って聞かせるね」
はい無理。確実無理。兄貴だったら渋々ながらも食って苦笑い気味に笑って「美味しいよ」って言うね。三日連続カレーでも文句を言えないね。
第一兄貴がそんなタイプならあたしがこんなに好きになるわけないじゃんねぇ? ………? ?? ??? !?

ボフンッッ

「おわぁっっ!!!!??? なんでまたいきなり真っ赤になってんだ!?」
ななな、なんで兄貴が好きなんて結論になんのよあたし!? 無し、さっきのやっぱり絶対無し!!

「ったく、びっくりさせやがってからに、こんなんじゃどっちが優位に立ってんだか分かりゃしねぇ。ここはビシッと悪戯してこっちが優位に立っているって事を分からせねぇとな」
一体誰に分からせるというのだろうか。

「よ、よし、何をやってやろうか……うん、何をやって………」
ゴクリ………

「次は何をやればいいんだぁ!? 全く思いつかん!!」
……おい、なによそれ、なんでそんな結論になるのよ。こんな可愛い妹が目の前にいるのになんで思いつくことが頭ペチペチとかだけって逆に失礼でしょ?

「……ていうか何で俺がこいつを起こさないといけねぇんだ? 段々面倒くさくなってきたな……」
なんて言いながらあたしから離れて地面にしゃがみこみ始める兄貴。どうやらお酒の空瓶とかを片付け始めたらしい。
この展開の方があたしのとしても良いんだろうけど、なんでだろうか? かなり気に食わない。

「取り敢えずどっか隠しとくか。桐乃が起きたら自分で始末させたらいいしな」
そう言ってベッドの下にガシャガシャと突っ込んでいく兄貴。

コンコン、コンコン。

「ほわぁぁぁ!!?」
「……京介? どうしたの?そんなに慌ててベッドに潜って。ていうかベッド何時もより膨らんでない?」
「べっ、べべべ、べつになにも? って、ていうかお袋! ノックしろっていつも言ってんだろ!?」
「はいはい、分かったわよ」
「分かってないからいつもノックしないんだろ!?」
「それと、桐乃が帰って来たら二人でカレーと味噌汁温めて食べてね。お父さんとお母さんはちょっと用事があるから」
「人の話をきけぇ!!」
「じゃぁよろしくね。……それと、あんまりハッスルしちゃ駄目よ。ポッ」

バタン…

「何がポッだ……」
 何がポッよ……

あたしの心の声と兄貴の声が見事にシンクロした瞬間だった。
39 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:29:44.60 ID:yK69CPG+0

「ま、まぁとにかくピンチは脱したな。桐乃が俺のベッドで寝てるところなんて見られたら確実に家を追い出されてたからな」
そうね、それはあたしにも簡単に想像できる。兄貴がお父さんに殴り飛ばされるところが。

そんな事を想像したからだろうか? あたしが冷や汗をかいていると何をしようとしたのだろうか、兄貴が体をモゾモゾと動かした。
ちょっ!? 兄貴、そんな所さわっちゃっ
「んッ……ふぅ」
「ぶぅぅっ」

思わず変な声が口から漏れてしまった。兄貴も驚いたらしく盛大に咽ている。

っていうか、今更だけど凄い格好なんじゃない? あたし達。
同じベッドに入っているだけあって下半身の肌のかなりの面積が兄貴と重なり合っていた。上半身は兄貴が腕を突っ張っているせいか別になんとも無いのだがそれでも問題は問題なのだ。
さらに上半身が重なっていないと言ってもやはりベッドなので些細な動きも互いに伝わってしまう。兄貴が腕を動かそうとしたらベッドはギシ…と悲鳴を上げるし、それがまた何故かエロく感じるし。
とにかくこの状況は兄妹としての境界線上のギリギリを彷徨っていると言っていい状況なのだ。
一歩間違えれば一気に境界線を越えて兄妹の壁も何もかもを飛び越えてしまうような状況なのだ。
心なしか兄貴の呼吸が荒くなってきている気がする。兄貴の腕の分距離は離れている筈なのに息遣いが聞こえてくるのだ。

ちょ……本当にやっちゃう気なの……? 兄妹なのに? それでいいの? 兄貴はそんな事をして幸せになれるの?

あたしは変な気になってしまい、数々の不安への疑惑に囚われていく。
ベッドが不意に大きく揺れた。それと同時にあたしの上にいた兄貴が遠ざかっていくの感じた。

「そんな不安そうな顔するなよ……」

ギシ……
もう一度ベッドが軋む。上にいた兄貴は横に移動して頬杖をついてあたしの頬をつついた。

「なんで寝てるのにそんな不安そうな顔すんだよ……何かあったなら俺に言えよ、俺を頼れよ、俺に泣き付けよ、俺に……心配かけろよ」

ふにふにとつつく兄貴の手が震え出した

「待ってるから、きっとお前が相談してくれるって、思って待ってるから。だってそうだろ? 俺達兄妹なんだから困った時に頼らなかったらうそだよな」
グスッ

兄貴が鼻を啜るのが聞こえてきた。
何勘違いしてんのよ……あたしが兄貴との関係の事で兄貴に相談したら、そんなの、駄目に決まってんじゃん。そんなの、辛いだけじゃん。

あたしも鼻がつんとして泣きそうになってしまう。

「待ってるからな」

兄貴はそう耳元で呟くと、あたしに小さくキスをして素早く離れていった。

それはあまりにも一瞬かつすんなりとやられたのであたしは反応が数秒間遅れた。言うなれば呆けていたのだ、頭がまるで機能していなく、まるで時が止まったかのようになにも考えれなくなっていた。
「カフッ」

全身の空気が抜けた瞬間だった。
駄目だ、これ、反則だ。反則……!!

呆けていた反動なのだろうか、今度は一気に脳が、心臓が活性化していく。ただし脳が活性化していると言っても正常な働きをしていかと聞かれればそれはしているとは答えられない、言葉を発しようとしてもまるで受け付けないのだ。

「カフッ…」

あたしはもう一度体中の空気を吐き出すと、少しずつ気を失っていった、兄貴のキスがどんだけ効いてんだよ! と自分に自分がツッコみたい。
そんな中、あたしが最後に見たのは兄貴だった。

一瞬だったんであたしの記憶が絶対に正しいとは言いがたいのだが、あたしの記憶がただしければ、最後に見た兄貴は首から顔まで真っ赤に染まっていた。ように感じた。
そんなあにきの表情を見たせいか、あたしはちょっと笑って瞼を完全に閉じたのだった。

もしかしたら、兄貴もあたしと同じ気持ちなんじゃないだろうか? という儚い希望を抱いて。
40 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:30:30.88 ID:yK69CPG+0






そこは二人きりの部屋、そこで誰かが最後にこう呟いたそうだ。

「ったく、何やってんだか……自制しろよな…俺」

首から先を真っ赤に染めて。



fin
41 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:32:21.89 ID:yK69CPG+0
いやぁ、相変わらずもうなんていうか自分の文才の無さに泣けてくる。
でも書いてて楽しかった。スラスラ書けた。

反省はしていない。
42 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 02:54:43.47 ID:cnevB/aAO

こんな時間におっきしたのだがどうしてくれる
43 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 03:57:51.00 ID:LDkS4esIO
桐乃かわえええええええ!!
44 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 07:20:41.90 ID:geenZ1c2o
つまらん
45 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 07:24:43.66 ID:LAP21bpko
桐乃はかわいいがなんで酒飲んでんだ?
46 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 07:36:51.56 ID:7i3EpHPKo
乙!朝から2828させてもらいました。
久々に正統派なブラコン桐乃SSを読めた気がするww
47 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 12:15:23.35 ID:qIfh9+0mo
あやせ「ベッドの上ではお兄さんに逆らえない」 桐乃「」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324224856/
48 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 13:35:42.69 ID:wohyELEAO
桐乃が可愛いすぎてハゲそう
49 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 15:13:45.02 ID:qIfh9+0mo
桐乃「げっ…エアコン壊れてる…」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324247193/
50 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 22:13:45.22 ID:yK69CPG+0
>>45
まぁ酒飲むのなんてはっきり言って飲みたいから飲む、とかそんな理由だからね。歳とか関係無く中三、高校生ぐらいなら飲んでる奴は腐るほどいる、と俺は思ってる。

っていうか全盛期に比べて廃れたなぁ、ここ。
全然書き込まれないじゃん。昔だったら結構賑わってたのに^^;
51 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 03:27:34.01 ID:BUllgjnAO
そりゃアニメ終わって9巻爆死じゃ人も減るわ
52 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 04:57:29.11 ID:2KTbQsaIO
爆死したのは黒猫派だけだろ
53 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 08:04:54.08 ID:sOeD24lH0
あやせ派の聖域ゲームにも不穏な陰もあるしな...
54 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 09:21:47.28 ID:Nx4NdHHdo
黒猫殺したからこうなったんだろうに
55 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 12:08:03.63 ID:aQ9l+nuH0
あやせと桐乃が大好きな俺にとって原作は今でも神だけどなぁ
56 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 16:21:18.79 ID:4ltSLv2+o
黒猫とつきあうあたりから流れ最悪だったからなぁ
黒猫派以外には印象悪いし、あの結末はいろいろ喧嘩売ってるとしか
57 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 20:02:43.37 ID:j0o/mtvto
『俺妹』というのは、黒猫が成長していく様を京介の目を通して描いた物語であってだなぁ……
というのは横に置いておいて、>>56のように捉える読者の方が多いんだろうね。
○○派というこだわりをなくして読んでみると、京介と黒猫が付き合う展開があったればこそ、
桐乃の優しさとか兄の京介を想う気持ちなんかが最大限に引き出されていると思うんだけどね。
まぁ、今更いいんだけどさ。
58 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 20:37:22.93 ID:4ltSLv2+o
ゴメン、俺黒猫苦手だったからそのへん出てたかもしれない
でもあのあたりの京介の行動や考えもひどかったとおもうんだよ
作中でも言ってたからそういうねらいだったんだろうけど
正直耐えられなかった
59 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 21:31:17.95 ID:aQ9l+nuH0
まぁとにかく嫉妬してたあやせはマジで可愛かったよね。天使だったよね。思い出すだけで萌えるよね。
って俺は思う。結局はそこにいきつくのだよ。俺は萌える事が出来ればそれでいい。
60 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:09:28.74 ID:j0o/mtvto
桐乃が初めての夏コミで、文句をたれながらも京介のシャツの裾を掴んで歩いている場面や、
黒猫や沙織とエントリーした二度目の夏コミでは、ゲー研の仲間が陣中見舞いに来たときに仲間に入れなくて
独りPSPをいじくっている場面なんか、桐乃の本当の姿が垣間見えるようで、可愛くて切なくて悶える。

それに、ずっと自分の殻に閉じこもっていた黒猫が人間に恋をし告白するまでに成長できたのは、
何を隠そう桐乃と出会えたからに他ならない。……ちなみに、わたしは黒猫派。(8巻以降は糞猫派だが)
61 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:21:23.01 ID:fWKUNJRbo
>>40
面白かった
こういうのが投下されるならまだここも捨てたもんじゃないな
62 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 22:40:16.19 ID:aQ9l+nuH0
>>61
楽しんでもらえて良かったよ^^

っていうかちょっと疑問に思ってるんだけど、ssまとめサイトのhttp://www43.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/66.htmlはどうやって作者別に纏めてんの?
俺も結構投下してきたんだけどまだ作者別の所に名前が出ない……
ちょっと期待してんのに…

誰か知ってる人いる?
63 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:58:34.20 ID:gJnTMFZAO
作者別は14ページのほうでない?
それはそうと、自分で纏めるのが一番はやいと思われ
少し恥ずいかもしれないけどね

バカ!バカ!恥知らず!何やってんの自分あばばばはば
って悶死しかけるかもだけどね…うん
64 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 23:10:30.72 ID:j0o/mtvto
>>62
作者別って、↓のこと?

  http://www43.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/14.html

だったら、酉かコテを付けないと、文体で見分ける以外誰が書いたSSか見分けられないでしょ。
まとめwikiは誰でも編集できるから今からでも遅くは無い。
酉と一緒に自分のSSを書き出せば、誰かが編集してくれる。

>>63
加奈子とは、その後どうなったんですかっ?
65 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 23:23:28.31 ID:gJnTMFZAO
>>64
たぶん今頃は、おこたでミカン食べながらマッタリしてるんじゃないかなあ…って
ベタなやり取り全開で室内温度を上昇させてるこってしょー

書けよとのツッコミはごめんなすって。
66 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 00:39:08.20 ID:xfnUJQEao
>>62
最後に投下されたSSから遡って途中までざっと見ただけだけど、「fin]で終わってるし、
11レス目352、11レス目512も >>62さんだよね?

「fin」だけを頼りに同一人物としてまとめてしまっていいものかどうか……。

できれば、○○レス目△△△といった感じで挙げてもらえればまとめられるんだけど。
それと、酉かコテも一緒に付けてもらえると今後まとめやすい。
67 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 02:11:06.67 ID:JmJNEyhS0
>>62

酉とコテの付け方が……分からない^^;
また教えてくり。
けどスレとかの情報なら分かる

京介×桐乃

8スレ目101
9スレ目75 
11スレ目512

京介×あやせ

8スレ目65 

京介×桐乃×黒猫

8スレ目226

京介×加奈子×ブリジット

8スレ目866

こんな感じで……いいのかな?
それと、これ↓も一緒に出来る?

京介「モデル……?」

http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1302/13021/1302140065.html

何卒どうかよろしく…
68 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 11:14:51.58 ID:0brj7M2AO
さずがに酉ぐらいはググって調べようぜ
69 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 11:55:02.70 ID:JmJNEyhS0
調べてみたけど良く分からなくて……
酉ってトリップの事なの?
70 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 12:35:54.99 ID:Mf7FI0i7o
酉とはトリップの事でござるよ
71 :kai662♯kai662 [sage]:2011/12/21(水) 12:43:23.22 ID:JmJNEyhS0
すまんな、無知で^^;

こんな感じ……かな?
72 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 13:03:48.52 ID:xfnUJQEao
>>71
本スレに投下された分については、初出の 「8スレ目65氏」 として移動させましたとさ
73 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 13:26:08.87 ID:JmJNEyhS0
色々ありがとう、迷惑かけてすまん。
74 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 13:44:28.63 ID:xfnUJQEao
>>71 これだけSS書いてて、いまさら酉とかコテとか……釣りじゃねぇだろうな?

コテ(固定ハンドル)=メール欄に入力した文字がそのまま表示される

酉(トリップ)=一種の暗号で、本人しか知らないトリップキーを入力することで変換後の文字が表示される
         トリップキーは本人しか知らないわけだから、本人だという証明にもなる……らしい

  メール欄に例えば、 #abcdefg と入力すると ◆v/rTh0HxaQ と変換されて表示される。
  (ここで入力した #abcdefg のことをトリップキーと呼び、頭の#は必ず半角小文字で入力する)

もし、◆oreimo/abc とか、◆Kanako.def のように任意に表示させたいトリップがあるなら、
トリップ検索ツールを使ってトリップキーを自分で探すか、トリップ検索スレ(下のURL参照)で検索人にさがしてもらう。

    ◆希望の7文字以下トリップはこちら◆
    http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/qa/1317247180/
75 : ◆IUCKeGyg6E [sage]:2011/12/21(水) 14:25:20.74 ID:JmJNEyhS0
こんな感じかな? 
それと釣りじゃないから安心してくれ。真面目に分からないm(_ _"m)ペコリ

合ってたら皆ありがとう。 なんか俺妹ssスレなのに訳分からなくさせて心からすまなく思っている。
76 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:17:59.09 ID:JmJNEyhS0
えっと……
なんか空気わるくなっちゃったので、お詫びと言っちゃなんだけど、新しいssを書いてきたんだけど。
投下していい?
77 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:20:31.54 ID:/ifFs2Oho
どうぞ
78 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:22:13.64 ID:JmJNEyhS0
それじゃ、投下
79 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:22:46.20 ID:JmJNEyhS0
私の気持ちが兄貴を好きなわけがない 改










はぁ、暇だなー

あたしはそう呟くと何もする事が無くバタンと机に突っ伏した。
ただパソコンの画面を見て好きなカップリングの小説を探すだけ。エロゲも全部やっちゃったし、ラノベも漫画もアニメも全部一通り見てしまったのでそれしかやる事が無いのだ。
マウスのクリック音とキーボードの打鍵音、その二つの無機質な音が部屋にやけに大きく響く。

早く兄貴帰ってこないかなーー

そんな考えが頭によぎるが自覚した瞬間、ちょっと頬を赤く染めて、頭を振ってその考えをかき消した。どうやら暇すぎて頭がまわらなくなってきてるらしい。
やがてパソコンも飽きて電源をおとした。

コトンと音をたてて私は顔を机にピッタリとつける
机はひんやりしててとても気持ちが良かった。
「気持ちいぃ」
思わずそんな声が漏れてしまう。

なんかしなきゃ寝ちゃいそう………。

閉じられそうになった瞼をムリヤリ開いて、何か気を紛らわせようとして、ふいに机の上に置かれていた白紙とペンに目が行った。
どうせやる事など無いのだ。
あたしはペンを手に取り白紙を手元に持って来た。

何の気なしに適当にペンを走らせる。
紙の上には知らず知らずの内にこう書いてあった。

『兄貴 好き?』

何故なのかなんて分からなかった。ただ単に体が勝手に、というやつだ。
それを見た瞬間私の脳は一瞬フリーズしたかと思うとまた動き出し、混乱した

な、な、な、何書いてんの!? あたし!! なんで兄貴なのよ!?

あたしはすぐに消しゴムを取り出し、書かれている事を消した。
消された頃には私は運動をした訳でもないのに肩で息をしていた

な、何動揺してんのよ!あたし!
そ、そう!きっと今さっきのは何かの間違いよ!、なんか兄貴っていう文字って書きやすいし、うん、きっとそれが理由に違いないわ!

ムリヤリそう決め付けると、頭を振って、ちょっとでも落ち着こうとする。
でも中々胸の動悸が治まる気配がない。どんだけ動揺してんのよあたし……、ていうか本当、何で『兄貴 好き?』なんて書いちゃったんだろう。どんだけ兄貴の事考えてんのよ、ボンヤリと書いただけで『兄貴 好き?』なんて言葉が出てくるのなんてよっぽどだ。

あたしは短く溜息をつくと、頭を冷やしにリビングに行こうと部屋を出た。息抜きに冷えた麦茶を飲みたい。
…だがそれがまずかったらしい。

あたしの家は自分の部屋からリビングに行くにはどうしても玄関の前を通らなくちゃならない、今回はそれが仇になった。
あたしが部屋を出てリビングの扉に手を掛けると、狙い済ましたかのように兄貴が玄関を開けて入ってきたのだ。
今さっきの事もあってかあたしの顔は一瞬で真っ赤になって、焦って兄貴のアソコに向かって思いっきり蹴りを入れてしまった。

我ながら照れ隠しでもやり過ぎだと思うのだが、これも体が勝手に…っていうやつだから仕方が無いという事にしておこう。

結果、兄貴は気絶してしまい。倒れて今私の前で寝ている。
さすがにそのままほっとく事はできないのでリビングのソファに寝かしてあげる。
80 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:23:26.02 ID:JmJNEyhS0

「う……ん」

兄貴は最初の苦悶の表情が嘘のように静かに眠っていた
やっぱり……、以外とかっこいいよね、睫毛だって長いし、顔も意外と整っているし
私は思わず見惚れてしまった。今まで兄貴の顔をじっと見るなんて事は無かったため、兄貴の顔が意外と整っているなんて事を知る機会など無かったのだ。
こうやって見てみると、うん、やっぱり兄妹なんだなぁ。って思う。
地味に見えるのはあくまで地味な格好しかしないから。いわゆる光る原石という奴なのだろう、兄貴は。

そんなどうでも良い事を考えている自分に気ずく、すると私は兄貴の顔を憎らしげに見た。

あたしは兄貴の事でこんなに悶々とさせられるのに、兄貴の涼しげな寝顔を見てたらムカついてきたのだ。
なんでそんなに涼しげに寝てんのよ。
あんたは私の事どう思ってんのよ、どう見てんのよ。
なんで、そんなに優しいのよ、なんで……そんなに気になる様な事ばっかり言うのよ。
そんな兄貴に対する文句、小言があたしの中にあふれてくる。

そして何時の間にか、小言よりも兄貴の思い出が溢れてくる。
あたしの凡ミス、趣味がバレた時からの人生相談から始まる、兄貴の今までの、まぁ、格好良いんじゃない?……と思える姿。それに優しい、甘いような、そんな思い出すと胸がキュンとするような台詞。
そんな事を頬を火照らして思い返していた。


『別に?おかしくないんじゃねぇ?』

『お前がどんな趣味もってようが、俺は絶対バカにしたりしねえよ』

『桐乃―――俺に任せろ』

『…………何も言うな。………………お前はよく頑張ったよ』


言っていて恥ずかしくないんだろうか、と思う。けど、言われて嬉しかった、うん、やっぱり嬉しかった事だけは認める。
けどそんな事ばっかり言われて、いくら妹だからって、そんなの……気になるに決まってんじゃん。仕方無いでしょ、こんな気持ちになっちゃうのなんて、当たり前でしょ。

あたしは胸が熱くなるのを感じた。変だって事なんてとっくに分かってる。兄妹でこんなの変だってことはもう充分過ぎるぐらい分かっているのだ。
でも抑えられない、鼓動は勝手に早まるし、顔も勝手に赤くなる。

……どうしてくれんのよ。あんたのせいでしょ? いつもみたいに何とか……してよ。

あたしは兄貴の顔をジッと見つめる。どこまでも整った顔。息遣いさえも優しく聞こえる。
すると、兄貴は行き成り苦しげに眉を顰めはじめた。身を捩ってまるで何かを探るように手が宙を掻く。
どうしたのだろうか? そう思っていると兄貴の手がいきなりあたしの腕を掴んできた。そのまままるで暖かい毛布でも見つけたかのように抱きしめられる。
兄貴は満足そうに笑みを浮かべた。

ビックリして言葉を無くす。
きっと今のあたしを他人が見たらさぞかし心配するだろう、「どうしたの? 風邪ひいてるの?」とか「どうしたの? 体調悪いの?」とか、そんな風に話しかけられるに違いない。だってあたしは今、多分信じられないほど顔が赤いだろうから。自分でも自覚出来るほど、顔が熱いのだ。
81 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:24:16.58 ID:JmJNEyhS0

ちょ……!! 兄貴!?

顔をこれでもかというほど赤くして驚いていると、その寝言が突然あたしの耳に届いた。


「桐、乃………、今、度……は、なんだよー」


目を見開いて兄貴の言葉があたしの中でやまびこのように鳴り響いた。
その意味をゆっくりと理解し、吟味し、余韻をあじわうと、あたしは体の力を抜いた。

どうやらこのシスコン兄貴は夢の中でも私の世話を焼いているらしい。今頃夢の中のあたしは兄貴に迷惑をかけて、兄貴は嫌な顔をしながらもその迷惑につきあっているのだろう。

「ふふ……、このシスコン、あ、に、き!」

自然に笑みが零れてしまう、いや、これは笑みなんて良いものじゃないな。
白状すると、あたしは思い切りニヤけていた。これでもかというくらい、ニヤけていた。

ったく、このシスコン兄貴
しょうがないからもうちょっとだけ世話になってあげる。

あたしはちょっと背伸びをして、兄貴を起さないように体を捩った。そして………静かに兄貴のオデコにキスをした
「今回だけ、うん………今回だけ。ちょっとだけなら、いいでしょ? 兄貴」

そう静かに呟くと、あたしはこみ上げてくる気恥ずかしさを隠すことが出来ずに元の位置に戻る。
プシュ〜と頭から湯気を出しながら兄貴の胸に顔をこすり付けると、その行動も恥ずかしくてうずくまってしまう。

あたしは結局その後も悶々と過ごし、無事に寝ることが出来たのは、それから何十分も後になってからなのだった。
82 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:25:16.63 ID:JmJNEyhS0






机の引き出しの奥。そこには今も大事にしまってある、紙がある。
そこには、あたしがだした質問に、あたしが答えた紙がある。

机の奥にしまっている紙にはこう書かれている。

『大好き』

それは無意識に書いてしまった、純粋な質問に対する、あたしの精一杯の答え。
きっと叶う事は無いのだろう。
けどやっぱり願ってしまう。

いつか兄貴とあたしの願いが重なりあう事を。

叶ったときにもう一度出そう、目一杯笑って取り出そう。
それまでは、悲しいけれど、ここで待ってもらおう。



取り出す日はいつなのか、何日後? 何年後? それとも、もうそんな機会は無いの?
それは誰にも分からない。
だけど取り出せることを信じて、あたしはそっと目を閉じて、今日という日にさよならを告げたのだった。





fin 
83 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2011/12/21(水) 19:27:03.36 ID:JmJNEyhS0
以前書いていたネタの改造ver
前書いていたのがあまりにも駄文だったため書き直して投下してみた。
84 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:11:32.37 ID:7MO2CW+IO
GJ!
桐乃の気持ちの描写が丁寧で良かったよ。
甘々過ぎず、でも桐乃派として2828できたww
85 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:59:25.96 ID:0brj7M2AO


いきなりトリップ変わっちゃってるが大丈夫か…?
いつも同じのを入れるんだよ
86 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:23:55.64 ID:1FJH6hw20
いい文章だからこそミスが目立つなぁ
“気ずく”じゃなくて“気づく”ね
“「気」が「付(つ)く」”だから“気づく”
87 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 23:06:25.83 ID:2pPmqa9wP
なんか9巻で桐乃の一人称時の心の中での京介の呼び方が「京介」で定着しちゃってるから
なんか新鮮な気持ちで読めた。乙
88 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 01:20:19.99 ID:+QNxQaado
稲妻だけイナズマが一般的だよなぁ
IMEの変換もイナヅマじゃ出ねぇ
89 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 14:27:58.98 ID:6hQ9g0PAO
つまづく
つまずく

どっちでも変換可能
90 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 21:11:54.74 ID:ilJx5Edbo
>>67
まとめwikiへの編集だが、レス抽出してPCへコピって余計なレス削除して……
すまん、途中までやってみたが長すぎて断念した。
どなたか頼みます。

  京介「モデル……?」 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1302/13021/1302140065.html
91 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 06:47:28.27 ID:RvDHjoU60
桐乃かわいいよ桐乃
92 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:57:10.82 ID:UlGJEe3no
あやせ「彼女と別れたそうですね」京介「・・・」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324649100/
93 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 20:21:39.82 ID:hCcvYHU6o
『俺妹SSスレ』って、何となく『北斗の拳』の世界を見ているようで感慨深い。
過去の繁栄は何処へやら、廃墟に建つ崩れ掛けの塔みたいな感じっていうか……。
それにしても、今夜は寒いな。雪が降りそうだぜ。
94 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 04:26:28.30 ID:RiJUgwUAO
イブは投下なし
95 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 13:09:59.21 ID:ctFfz6AIO
>>94
デートで忙しかったんだ。許せ。
96 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 18:07:46.96 ID:Kpv0TVMzo
おいおいみんなクリスマスに向けて力を溜めていたんじゃないのか
97 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 18:30:15.04 ID:GWHSP7c/o
もう、このスレには書き手がほとんどいないことに気づいたほうが……
98 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:47:26.62 ID:r1YbyRs8o
あの夏、俺には、短い期間だったが恋人がいた。

その、付き合い始めて間もない彼女とすぐに別れる原因になったのは、
俺が「妹に彼氏ができるのが許せないシスコン兄貴」で、一方、妹の
桐乃の方も、「兄貴に彼女ができるのが耐えられないブラコン妹」
だったから、だった。

結局、俺は、「実の妹を一番に思いやる兄」でいようとして、その夏、
こんな俺でも好きになってくれた、初めて出来た彼女と、別れた。

俺は酷い言葉でののしられても、殴られた上で絶交されてもいい立場
だったと思うが、何故か彼女はそうせず、『まだ俺に好意があること』
だけをはっきりと告げ、元のポジション(=妹の親友)に戻ることを
宣言して、その場所から離れていった。


その時の事を思い出すたびに、あの時の判断はどうだったのか、他に
やり方はなかったのか、何度も思い悩む事になったが、兎にも角にも、
一つの物語は、この曲がり角で大きく曲がって、その先へと進んで
行く事になったのだ。


そのあと、少しして、俺をある場所に呼び出してきた「もと彼女」は、
以前と何も変らないような、でも、少しだけ何かがふっ切れたような、
とてもいい表情で、まっすぐに俺を見て、こう尋ねてきた。

「私を『妹』として愛せますか?」と・・・。


それから、あっという間の数年間。
俺は学生生活を終え、社会に出て一年目。
妹の桐乃は高校最後の学生生活の日々を送っている。
もう一人の俺の「妹」、あやせと同じクラスで。
99 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:50:09.43 ID:r1YbyRs8o
「おーい、こっちだ」
「・・・あ、お兄さん!」

待ち合わせのオープンテラスのカフェ。年末も近く、さすがに気温は
低いが、電飾を施されたツリーの色とりどりの光の輝きで、それほど
寒いような気はしない。

「あれ? 桐乃は?」
先に席に座っていた俺の方に近付いて来るなり、そこにいるはずの、
もう一人の待ち合わせ相手の事を尋ねてきたあやせ。

「ああ、やっぱり体調が今イチなんだと。でも『大したこと無いから、
あんただけ行ってくれば』って言ってな。」
「ふうん。そうですか。ひょっとして、気を使われちゃいましたかね?」

「おまえもやっぱり、そう思うか?」
「はい。最近桐乃、『あやせはこのままでいいの?』とか言いますし」

「ああ、俺もこの間、『ねぇあんた、あやせの事はどうするの』って
聞かれたっけな。」

「気にする必要なんてないよ、って言ってるのに、ねぇ?」
「そうだな。」

100 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:51:42.01 ID:r1YbyRs8o
そうだった。

あの夏の時点から、今まで俺にはずっと彼女がおらず、そのかわりに
可愛い妹が二人いる。


はじめは、あやせが何を言っているのか、俺には解らなかった。

あの夏、桐乃を介して出会った俺とあやせは、桐乃の与り知らぬ所で
彼氏彼女として付き合って、結果的に桐乃を苦しめ、寂しがらせた。

俺も、あやせも、そんな気は全く無かったが、初めて出来た相手との
デートの楽しさに酔っている間、どうしても他の事は忘れがちになり、
時間やお金にも限りはある訳だから、どうしても他の付き合いは悪く
なってしまう。

一般的には、妹<彼女 という図式になる訳で、世の中の多くの妹は
「そんなもの」と気に留めないかも知れないが、うちの妹様は違った。

そこが、言わば、前回の失敗であり、これを繰り返さない為に、俺は
「桐乃に彼氏が出来るまで彼女を作らない」宣言をし、桐乃が同様の
表明をしたために、いつの間にか、いかなる他人も入り込めない無限
ループが形成されたのだった。

俺だって、未来永劫それでいいとか、それで済むとは思っていない。
ただ、しばらくの間は、それでいい、と思っていた。


そこに、「私も妹になる」と来たあやせ。
はじめ、ついに俺はあやせを壊してしまったのか、と激しく後悔した。

思い込みが激し過ぎるとか、発想がぶっ飛び過ぎている時があるとか、
もの凄くクセはあるが、あやせはいい子だ。

理由を考えても思い当たらない、多分、理由以前のところで俺好みの
ルックスな訳だし、そういう外見だけじゃなく、言葉を正しく使って
礼儀正しく奇麗に喋るのは、そばで聞いているだけでも気持ちがいい。

つまらん事を言って怒らせるパターンも多かったが、だからこそ、か、
あやせの笑顔にはとてつもない魅力を感じていたように思う。
実際に付き合っていても、本当に楽しかったよな。

そんなあやせが、
「わたしを桐乃と同じように、妹として慈しむ事は出来ませんか?」
と言ってきたのだった。
101 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:54:37.51 ID:r1YbyRs8o
正直、あやせに別れを切り出した俺としては、今後はどんな顔をして
あやせに会えばいいのか解らないでいたのだが、それでも、これから
姿を見ると避けあうような関係になるのだけは嫌だった。

償い、というのも何だが、幾らかでもあやせのためにしてやれる事が
あるならしてやりたい、とも思ったし、だから、どんな形になっても
あやせと付き合いが続くのは、良い方向への選択のような気がした。

後日、念のため麻奈実にも相談してみたが、「きょーちゃんのなかで、
もうこたえはでてるんでしょ? がんばれ、おにいちゃん!」などと
あっさり相談を打ち切られ、長々と別の話に付き合わされたな。


「なぁ、あやせ。『妹として』って言っても、おまえは実際に妹じゃ
ねぇし、具体的に、どう接すればいいんだ?」
そういう、当たり前といえば当たり前の、俺の質問に、

「いえ、何も。お兄さんが妹の桐乃にするように、一度、そう考えて
から接してくれればいいです。
ちなみに、わたしの方は、元々『桐乃みたいにお兄さんがいれば』
みたいな憧れが最初にあったので、そう思えばいいかな、と。
まぁ、それで、『結局あれは憧れだけだったのかな』とか、ちょっと
悩んじゃいましたけど、でも外から見た形なんて実はどうでもよくて、
大事なのは気持ちの中身なんじゃないかな、って。」

「あやせ・・・」

「『彼女』っていう、桐乃にはなれないポジションから奪い取ろうと
するんじゃなくて、桐乃と一緒に並んで、お兄さんを好きな気持ちで
いたい、って。それは許されるかも、って。そう、思いました。」

なんかちょっと泣きたくなる、ありがたい話だが、


「・・・でもな、桐乃と同じ気持ち、じゃないだろ?」

「同じですよ。人が人を好きになるんです。
お兄さんだって、桐乃の可愛いところ、桐乃の素敵なところ、幾つも
知ってますよね? もし、わたしと桐乃のポジションが入れ替わって
いたら、桐乃を彼女にしたくなりませんか?」

桐乃が、妹じゃなく、妹の友達だった場合?
・・・いや、確かに桐乃には、悔しいが、兄の俺でさえ尊敬せざるを
得ない面があるのは事実だし、妙に可愛い瞬間があるのも事実だ。
ここだけの話だが、いつだったかの、恋人偽装兄妹デートで浮かれた
瞬間が無かったとは言えない。
幸か不幸か、エロゲやオタク趣味みたいな共通の話題にも事欠かない
訳だし、案外付き合えるのかもしれんな。
102 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:58:13.59 ID:r1YbyRs8o
「いや、それでも、妹は妹だろ。」

「確かに、妹とは、法律上で結婚はできません。でも、逆に言えば、
それだけじゃないですか。
妹と恋をして、妹と付き合って、その、ちゅーとか、したとしても、
どんな法律にも触れないんですよ?」

おまえは俺と桐乃にちゅーさせたいのかっ!

くそぅ、さぞかし気持ちいいだろうなっ!

「だから、お兄さん。どうしてもわたしを桐乃と一緒に並べられない
と言うのなら、一度彼女だったわたしを、『彼女いもうと』として、」

「か、かのじょいもうと、だと!? 何だ、その魅惑的な響きは!」

「そして、桐乃のことを『いもうと彼女』として」

「い、い、い、いもうと彼女!? ・・・いかん鼻血出て来た」

「タイプの違う二人の妹と仲良く付き合うのは、お兄さんの特技だと
聞きました。」

・・・いやいやいやいや、それは、ゲームの話だから!
しかもな、それって桐乃の調教?の結果じゃねぇかい。



「なぁ、それって、誰の入れ知恵なんだ?」
俺は、それが時々頭のおかしいあやせであっても、あやせ本人の考え
だけには見えなかったので、ちょっと意地が悪かったかもしれないが、
そう聞いた。

「ふふっ。」
あやせは少し笑って、
「わたし、お兄さんと桐乃とわたしの事を、いっぱい悩んで、悩んで、
考えて、考えて、色んな人に相談して、相談して、やっと辿り着いた
ゴールなんですよ。・・・こんな妹は、いりませんか?」

上目づかいで俺を見るあやせの瞳。
いっぱい悩んで、考えて、というのは、多分、嘘じゃないのだろう。
そうやって自分なりに苦しんで、あやせは今、俺の前にいるんだよな。


そして俺は片手を差し出しながら、あやせに頭を下げて言う事になる。

「妹から始めて下さい。お願いします。」

こんな間抜けな台詞を言う男、二人といねぇ。

そして、俺達は、兄妹になった。
103 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:00:35.03 ID:RgyWIAQxo
それから、今まで、俺と桐乃とあやせは、三人でよく買い物や食事で
一緒に出かけたり、高坂家で団らんをするようになった。

以前にしていた恋人付き合いではなく、オープンそのもの付き合いだ。

あやせと二人きりになる瞬間は時々あるけど、彼氏彼女じゃないから
ちゅー、とかはしない。
(いや、元々、あやせが何度かしてくれただけなんだけどな)

『桐乃としない事はわたしともしない、桐乃とする事はわたしともする』
それがただ一つの約束ごとだった。


桐乃は、やはり、元々自分が別れさせた原因だと引け目を感じている
ところがあるみたいだったが、俺達の、というか、あやせの提案する
新しい関係をあっさり受け入れて、三人での予定をよく組んでくれる
ようになった。

まぁ、桐乃だって、ケンカ別れになったり、大きな遺恨を残しながら
あやせと付き合うのも辛い事だろうし、どうしようか悩んでいる所へ
あやせの方から寄ってきてくれた訳だから、悪くない選択だったのだ
と思う。

あいつらは、基本的に親友だし、お揃いやペアが大好きな年頃だし、
心配することも無かったな。
104 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:03:48.69 ID:RgyWIAQxo
まぁ、そんなのが、ここ何年かの、俺達の風景だった。

今日は、やっぱり桐乃の立案で、クリスマスを祝して外で食事の予定
だったのだが、桐乃は少し熱が出たとやらで欠席。
あやせだけが、待ち合わせのカフェに現れた、と言う訳だ。

まぁ、こんな日に、両手に華で歩いていると刺されるかもしれんしな。

「どうします? って、聞くまでもないですよね、シスコンお兄さんは。」
「まぁ、おまえだって、俺が二人で行こう、とか言っても、さっさと
桐乃の看病に行くんだろ? 
まぁとりあえず、買うものだけ買って、急いで帰るか?」
「はい。じゃ、ケーキとチキンを適当に見繕って・・・」

自宅パーティーの為の買い物プランを立て始めるあやせ。
俺もカフェの会計のため俺は立ち上がり、そこでテーブルの上にある、
自分の小さな荷物に目が行く。

そうそう。今日は、これがあったんだ。

「あ、あやせ。これ」
「え? なんですか? ・・・これ、・・・わたしに?」

あさっての方を見ながら俺が渡す小箱を、不思議な顔で受け取った
あやせは、
「あの・・・開けますよ?」
「おう」

「・・・奇麗なシルバーリング。・・・あ、わたしの名前が入ってる、
ayase、って。」

「い、いちおう、俺の給料の3ヶ月分なんだぞ、それ」

「え、でも、お兄さん・・・、・・・そういう意味だったら、わたし
受け取れませんよ?」

「あ、違う、違う・・・訳でもない・・・か」

「どっちなんですか!」

「あ、あのな、安心しろ、ちなみに、もう一つの同じ箱は、桐乃用の
色違いだ。」

「お兄さん!あなた正気ですか!? 重婚か近親相姦か、どっちかに
して下さいよ!!」

「いや、どっちも駄目だろ」

「解ってたら、なんで! 大体、わたしが桐乃と結婚しようとしても、
あのアメリカでさえ、たった9つの州しか認めてくれないんですよ?」

「関係ねぇだろ。っていうか、調べるなよ、そんな事」
105 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:08:08.12 ID:RgyWIAQxo
「・・・結局、何なんですか、これは。」

「いや、だからな。・・・これは、桐乃には、『もうちょっと家族で
いてくれ』という、シスコン兄貴の情けない告白だ。」

「・・・じゃぁ、わたしのは?」

「いつとかはっきり言えねぇけど・・・、俺が女の子を一人、本当の
家族にする時は、絶対おまえにするから、っていう・・・情けねぇか、
これも」


俺の情けない吐露を聞いて、あやせの表情が、ふっと緩んだように
見えた。
「・・・わかりました。もう、紛らわしいんですから。」


真面目なあやせのこと、俺の言い方次第で指輪を突っ返されるかとも
思ったんだが、

「おい、受け取るのか? 実質的な意味は同じ、って言ったんだぞ?
桐乃に聞いたけど、おまえ最近、告白されまくってるんだろ?」

「告白ですか? はい、結構受けますよ。でも、何か、響いて来ない
っていうか、どこか違うって言うか、そう感じる人ばかりで・・・。
やっぱり最初に付き合った人のインパクトが大き過ぎましたかね?」

「・・・あやせさん、セクハラは、ほどほどにな。」

「まぁ、『真心のこもったプロポーズをしてくれた人がいるので、』
と言ったら、大概、すぐに諦めてくれますけど」

「・・・今すぐ俺をライターであぶってくれ」

火の出そうな顔の俺を尻目に、周りのイルミネーションの光を利用し、
あやせは輝く指輪を色んな方向から眺めている。

「・・・と、とにかく、約束したからな、」
「はい。あ、じゃぁ、今日から、ちゅー解禁ですよ。・・・あ、でも、
もちろん、お兄さんが桐乃にも出来るなら、ですけど」

『桐乃としない事はわたしともしない』ってか。

「できるわけないだろが!」

「でもわたしは桐乃とちゅーできますからね、」

指輪を付けて、悪戯っぽくそう言ったあやせは、何年かぶりに、俺に
急接近して来て。
そして、ほっぺなのか、唇なのか、何とも判断にしにくい微妙な所を
さっと擦っていった。

こ、こんな人目のあるところで・・・。
106 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:12:01.81 ID:RgyWIAQxo
店を出て、並んで買い物に行こうとする矢先、

「あ、わたしもお兄さんにプレゼントがあります。お揃いですよ?」
そう言って、あやせは、俺の顔を覗き込む。


お揃い、って、まさかあやせも、俺に銀色に光る指輪とかプレゼント
してくれる気だったのか、それは嬉し・・・

がちゃ。


俺の手には、確かに銀色に輝くリング状のものが装着されていた。
だが、これは断じて指輪とお揃いなどではない。

「あやせ・・・。何、これ」

「だから、お返しというか、お返事というか、サイズはどうですか?」

「ああ! ぴったりだよ! あつらえたようにな!!」

「それ、名前を入れて貰うの、すごく高かったんですよ?」

「名前入りの手錠とか、いらんわ!」

「わたしのモデルのお給料の、三ヶ月分なんですからね?」



fin

Merry X'mas でした。
107 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:43:03.48 ID:ipGXvYORo
これからどう盛り上がるかと思ったら
手錠オチだったでござる
108 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:36:47.94 ID:AqypnWu/0
>>106

ナイスあやせをありがとうございます!
109 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:44:44.59 ID:m2STQHlqo
つまらんなあ
110 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 07:38:29.73 ID:b8056reIo
>>98-106
乙!
京桐あやせとか俺得すぎるww
あやせさんさりげなく同性婚とか調べてるしww
オチもしてやられたww

ただ京介と桐乃って3つ違いだよね?
京介が社会人1年目なら桐乃達は大学2年のはずじゃない?
楽しめただけにそこが気になった。
111 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 13:17:43.38 ID:l6F/JJoAO
乙乙!
素敵なあやせSSでした
112 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/26(月) 19:51:20.60 ID:pMrfQODGo
とりあえず乙。
モデルの給料三ヶ月分の手錠って……。何だ、銀製とかなのか?
あやせの感性は突飛すぎて理解できないなぁ。
SSの内容も突飛すぎてついて行けなかったが。

最近あやせSSしか投下されないな。
まったくSSが投下されないよりはマシだが……。寂しいものだね。
113 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:33:59.01 ID:yrbnE+q9o
桐乃や黒猫のSSが読みたければ、キャラスレに行けば選り取り見取りで揃ってる
加奈子や沙織、麻奈実やあやせのSSがお望みなら、これはもう自分で書くしかない
それにしても、何でこのスレって安易に書き手を貶すのか不思議でならない
SS速報VIPの『俺妹SS』の書き手なんか、今や絶滅危惧種に近い存在なのに……
114 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:38:02.09 ID:l6F/JJoAO
感謝の気持ちが足りないよな
書いてくうちに皆上手くなるもんだよ

>>106
懲りずにまた書いてね
115 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:38:49.34 ID:l6F/JJoAO
感謝の気持ちが足りないよな
書いてくうちに皆上手くなるもんだよ

>>106
懲りずにまた書いてね
116 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:39:43.85 ID:l6F/JJoAO
すいません
ダブった
117 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 03:00:55.54 ID:lfaFcNwM0
>>106
色々言われてるのはそれだけしっかり読まれてる表れ(?)だと思って
次回作もがんばってください
118 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 12:53:20.72 ID:OLYvoXJDO
>>106
手錠オチwwwwww
119 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 18:50:13.01 ID:tTVBTvQSO
投稿日時が

2011/12/24(土) 47:47:26.62 か

イブの日に投稿されてよかったよかった
120 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:41:37.31 ID:VTm5bwIAO
>>119
17歳と225ヶ月の人を連想した
121 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 10:28:20.65 ID:5OOj8P/70
久々に来たけどもうパート12
できてから丁度一年くらいか
122 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 13:02:32.94 ID:NAM1pKhNo
スレの死に目に会えてよかったな
123 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 15:04:46.97 ID:Gpf59nr0o
みんな正月に向けて力を溜めているのさ
124 :106 [sage]:2011/12/28(水) 16:19:17.94 ID:A3C4F5Wmo
>>123  またそのパターンかいww

レス頂けた方、ありがとさんです。
誰もXデーに落とさないようだったので、なんとか当日中にと思って、
急遽手持ちのネタからでっち上げてみました。
やっぱりちゃんと見直さんといかんね。計算違いや誤字も山のようにww
まとめの方で訂正しときます。

原作8巻、あるいはその真裏にあるPSPあやせルート攻略失敗から
無限ループに陥る兄妹にどう尊重しながら間に割って入るか、と考え、
あやせは頭の中で動いたけど、黒猫は動かせんかったww 難しいww

ちなみに作者の脳内では、「彼女妹、妹彼女」作戦は黒猫の発案で、
ただ黒猫本人は桐乃と同ポジションになる方法論は理想の未来と
微妙に違うのでボツにしていて、そこに敵対ポジションながら真摯に
頭を下げ相談に来たあやせを認めて伝授した、という事になってます。

脳内で語らず作内で語れよ>俺
125 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 05:58:06.67 ID:DNG/NbYAO
意外と人いたんだな
126 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 08:37:01.72 ID:VdKiuKk/o
年末は、全身全霊本気出して掻く
127 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 13:03:17.05 ID:CfgcsXcZo
>>126
シャイニング垢擦りを思い出した
128 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 18:13:13.34 ID:qVlTG2eAO
今年も残すところあと数時間、なのに何このチキンレースみたいなレスのなさ
や、年末年始は何だかんだで皆多忙なんだよねと言い聞かせるのが無難なんだろうか

きたみたかいた。
129 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 18:25:34.94 ID:GTrZxMQMo
みんなバレンタインに向けて力を溜めているのさ
130 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 19:15:32.04 ID:9bUAhsCRo
>>126のレスは俺なんで、マジで書いてるんだが何しろ遅筆なもんでね
除夜の鐘に間に合うかとも思ったけど、こりゃ初日の出も危うい状況……
131 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:50:50.53 ID:fL7cpy1AO
新年第一号ってことで
132 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 04:14:50.44 ID:2NSd+n4ko
桐乃「ちょっと…き、着物姿ジロジロ見んな、キモいからっ…!」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325346997/
133 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:40:18.88 ID:qAfCcF82o

『黒猫』という文字を見るのもイヤな人もいるだろうから……注意書き。

題名:『ゆく年くる年』
出演:京介+桐乃    瞬間的に黒猫

投下:直ちに投下します 投下(19レス)
134 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:40:58.01 ID:qAfCcF82o

十二月下旬ともなると、日を重ねるごとに寒さが厳しくなってきた。
今学期の成績もまずまずといったところで、今日から高校生活最後の冬休みに入った。
しかし、折角の休みだというのに、今にも雨が降り出しそうな生憎の空模様だ。
もしかすると、この辺りでも初雪が見られるかもしれない。

桐乃は、朝からどうも熱があるようだと言って、今は静かに部屋で休んでいる。
俺もこればかりはどうにも出来ず、昼にお袋が作ったお粥を持って行ってやったくらいだ。
本人も食欲はあると言うし、寝ていればその内に良くなるとは思うんだが……。
いずれにしても妹が体調を崩しているのに、兄貴の俺が外に遊びに行くわけにもいかねえ。

そういった事情で俺は、朝から部屋でネットを眺めながら時間を潰しているんだが、
どうしたことかパソコンの調子が悪くて何度も画面がフリーズしちまう。
パソコンも電気製品とはいえ叩けば直るというもんでもねえし、こうなったら仕方がない。

俺は部屋を出て桐乃の部屋の前に立つと、静かに扉を叩いた。

「……桐乃、俺だけど……入ってもいいか?」

程なくして桐乃の声が聞こえ、俺はそっと扉を開けて中へ入った。
部屋はエアコンの他に、お袋が持ち込んだ温風ヒーターと加湿器のせいでかなり蒸し暑い。
風邪のウイルスは乾燥に強く、高温多湿に弱いというから仕方がないんだろうけど、
それにしても常識とか限度があるんじゃねえかと思わんでもないが……。

「……ごめんな、寝てたんじゃねぇのか? 具合はどうよ」

「うん。……まだ熱っぽいけど、朝よりは少し良くなったかな。
 お母さんが作ってくれたお粥も美味しかったし、食欲はあるみたいだしね。
 何か用? 風邪だったらうつるといけなし、あんたは部屋に入らないほうが……」

熱のせいなのか、それとも植物園の温室のようなこの部屋のせいなのかは分からんけど、
桐乃は少しだけ顔を赤らめ、微かに笑いながら俺を見ていた。

俺の妹がこんなにしおらしいわけがない。
135 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:41:35.65 ID:qAfCcF82o

珍しく弱々しい桐乃の態度に少し戸惑い、俺は言ってもいいものかどうか迷った。
しかし、桐乃にしても俺が様子を見に来ただけなんて思ってないだろうし、
ここはさり気ない会話で当初の目的を果たすまでだ。

「用ってほどのことじゃねぇんだけどさぁ、どうも俺のパソコンの調子が悪くってな。
 いやじゃなければ、桐乃のノーパソを貸してもらえねぇかなって、な」

「別に遠慮なんか要らないっての。
 昨日は遅くまで年賀状の印刷してたからプリンターが繋がったまんまだけど……
 プリンターケーブルの外し方わかる? あたしがやってあげられればいいんだけど」

「プリンターケーブルって、後に挿さってるケーブルだろ?」

「うん、そう」

桐乃って、兄貴の俺にこんなに親切なやつだったっけか?
掛け布団から赤い顔だけ出して笑ってるから、そう心配することもねぇんだろうけど。

俺が机の片隅に置かれたそれに気付いたのは、床にしゃがみコンセントからプラグを外し、
ノートパソコンに繋がったプリンターケーブルを外そうとしたときだった。
マスコットのような小さな金色のトロフィー。
プレートには、『千葉県中学校総合体育大会 女子 100M 優勝』の文字。

「――これ、夏の大会のときのか?」

「あ、うん……県総体のやつ」

「なんだか、優勝トロフィーにしちゃあ小さくねぇか?
 いや、こういうのは大きければいいってもんでもねぇけどさぁ」

「それはレプリカ。
 本物は、学校の校長室にあるガラスケースの中に飾ってあんの。
 公式の大会だし、選手個人には賞状とレプリカのトロフィーが渡されることになってんの」
136 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:42:15.08 ID:qAfCcF82o

校長室の応接セットの脇にある大きなガラスケース。
その中に歴代の生徒達による部活動の成果が、堂々と収められているってわけだ。
今まで部活動なんかに興味も無かった俺には縁のない話だが、高校でゲー研に入ってみて、
そこで過ごした日々を形として残すのもいいもんだと、今更だが俺は思っていた。

「ふーん、そういうもんなんだ。
 レプリカでも成績は変わんねぇけど、どうせなら本物を呉れたっていいじゃんかなぁ」

「あたしはどっちでもかまわない。
 別に賞状やトロフィーが欲しくって、今まで陸上を続けてたわけじゃないし。
 それに、あたしが本当に欲しかったものは、そんな物じゃないし……」

桐乃はまどろむように半分だけ瞼を閉じて、何が可笑しいのか、また微笑んだ。
寝言を言っている人間に受け答えしちゃあいけねぇって都市伝説はあるが、
どうやら桐乃は寝ているわけでもなさそうだ。
それが証拠に、俺がもたもたとケーブルを外しているのを見て鼻で笑っていやがる。

「――やめたやめた。
 別に、それほどパソコンが必要だったってわけでもねぇしな。
 なぁ桐乃、おまえが賞状やトロフィーよりも欲しかったものって何なんだよ」

俺は外したプリンターケーブルを机の上に放り投げ、椅子を引いてどかっと座った。

「聞きたいの? 別に話してあげてもいいけど、聞くとあんた、大変なことになるよ」

「大変なことになるって、そう言われたら余計に聞きたくなるじゃねぇか」

「そうだね……。あんたがそう言うなら、話してみようかな。
 何だかあたしも、今日だけは誰かに聞いてもらいたい気分だし……」

桐乃は完全に瞼を閉じると、遠い記憶を手繰り寄せるかのようにゆっくりと話し始めた。
それは、俺と桐乃が、二人ともまだ小学生のときの話だった。

「……あんた、六年生のときの運動会って憶えてる?」
137 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:42:57.01 ID:qAfCcF82o

俺が小学六年生だったとき、当然ながら桐乃は三年生なわけだ。
兄妹一緒の運動会はあれが最後だったし、そのときの記憶は俺にもあった。
しかし、記憶に残っていることと言っても、桐乃やお袋と一緒に食った昼飯だったり、
幼馴染の麻奈実が思ったよりも走るのが速かったりと、いわばどうでもいいことだけだった。

「あたしってさぁ、小さい頃は足が遅かったって、あんたには話したことがあるじゃん?
 だから、運動会なんて大嫌いだったんだけど、三年生のときだけは別なんだよね」

「……別って、何か特別なことでもあったのか?」

「100M走の順番が回ってきて、そのときもイヤだイヤだって思ってたんだけど、
 何となくゴールを見たら、あんたたち六年生が何人かゴールの横に立ってるじゃん。
 それを見て、あたし分かったんだ。
 あんたたちが、一位から三位までの子にリボンを付ける係りなんだってね」

桐乃に言われてみて、俺の記憶がうっすらと甦ってくる。
当時、俺たちが通っていた小学校には、当然のこと体育祭実行委員会なんてものはない。
普段からある委員会からそれぞれ数名ずつ指名され、運動会当日の係りになっていた。
放送委員は場内アナウンス、体育委員はその他諸々の雑用係りみたいな感じでな。

「……確かあのときって、俺は三位のヤツに黄色いリボンを付ける係りだった気がすんけど」

「あんたが手前から三人目に並んでたから、あたしもそうだと思った」

「そっか。……でも、あのとき桐乃は、確か……」

「足の遅いあたしが、一位や二位なんて初めっから無理な話じゃん?
 走るのなんて嫌いだったし、でも、あんたがリボンを付ける係りだって分かって……
 どうしてもあのとき、あたしは三位になりたかったの」
138 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:43:36.12 ID:qAfCcF82o

桐乃は中盤からゴール間近まで、何とか三位の位置をキープしていた。
俺だって自分の妹が必死に走っている姿を見れば、自然と大声を上げて応援したさ。
しかし、結論から言ってしまえば、俺が桐乃にリボンを付けてやることは出来なかった。

「あたしも馬鹿だよね……。
 普段から走るのが苦手で練習もしないくせに、本番で早く走れるわけなんてないのに……」

桐乃は、ゴールまであと数メートルのところで足がもつれて転んじまったんだ。
俺は周りのヤツが騒ごうがそんなことには耳も貸さず、膝を擦りむいた我が妹を背負うと、
保健委員が待機する救護テントへ向かって駆け出したんだっけ。

「あんたってさぁ……あの頃からシスコンの気があったんだよね。
 お陰であのときの100M走で、あたしだけ三位どころかゴールすら出来なかったんだから」

「しっ、仕方ねぇじゃねえか! 俺だって、気が動転しちまったっていうか……」

「だからあんたは根っからのシスコンだって言うの」

あのときの件で、俺は桐乃からシスコンと言われようが構やしない。
妹が目の前で転んだのに、それを放って置いて悠長にリボンなんか付けていられるわけがねえ。
あのときの俺の行動は兄貴として正しかったと、今思い返しても断言できる。
しかし、桐乃は……

「……あたしは悔しかった。
 あんたに背負われて恥ずかしかったのもあるけど、それよりも……悔しかった」

「あのとき三位を逃したのは悔しいだろうけど、今はこうして優勝だって出来るじゃねぇか」

「ばーか。……ホントあんたって鈍いよね。そんなことで悔しかったんじゃないっての」

桐乃は瞼を閉じたまま小さく溜息を吐くと、また静かに話し始めた。

「あの日からあたしは、みんなには内緒で走る練習を始めたの。
 河原とか、中学校の裏にある公園とか、広い場所を見付けて走る練習をしたの」
139 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:44:29.91 ID:qAfCcF82o

元々足の遅かったヤツが、そう簡単に早く走れるようになるわけじゃない。
桐乃の話では、四年生の運動会に目標を定めて何度も何度も走る練習を重ねたらしいが、
残念なことに結果は四位で終わったらしい。
一度決めたら絶対に途中で投げ出さない桐乃の性格は俺も知っている。
そのまた翌年の五年生の運動会では三位、六年生でついに一位を獲得したということだ。

俺はそんなことがあったとは知らず、桐乃から今初めて聞いて知った。
なぜなら、俺が小学校を卒業して以降、運動会を観に行くこともなかったからだ。
中学生ともなれば行動範囲は格段に広がるし、運動会に特に興味があったわけでもない。
それに、いつしか俺は、麻奈実と一緒に居ることが多くなっていたからさ。

「あたしは頑張ったのに、欲しかったものは、もうそこには無かった……。
 でも、卒業する頃には走るのが好きになって、中学に入ってから陸上部に入ったの」

瞼を閉じたままの桐乃の目から涙が滲み出し、一粒の雫が目尻からこぼれた。

俺も桐乃が中学で陸上部に入部したことは、お袋から聞いて知っていた。
桐乃は、自分がどんなに辛くても、それを他人にひけらかすようなヤツじゃない。
当時の俺は、桐乃が陰でどれほど頑張っていたかなんて気付きもしなかったし、
お袋から桐乃の自慢話を聞かされるたび、妹に劣等感さえ持ち始めるようになっていた。
俺と桐乃を比べても、元々の出来が違うんだってな。

「なぁ、陸上やってて辛かったことなんてなかったのか?」

「好きでやってるわけだし、辛かったことは他にも一杯あったから……」

「他にあるって?」

「それは……今度また……気が向いたらあんたに話してあげる」

桐乃は話し疲れたのか、小さな寝息を立てて眠ってしまった。
幾らか顔の赤味が薄れてきたように見えるのは、熱が下がってきた証拠かもしれない。
俺はそっと椅子から立ち上がって自分の部屋へ戻り、財布と上着を掴んで再び部屋を出た。

階段を下りてリビングを覗くと、お袋が相も変わらず韓流ドラマに見入っていた。
よくもまあ飽きないもんだと感心するよ。
俺は、お袋に近くまで買物に行って来るとだけ告げて外へ出た。
140 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:45:12.16 ID:qAfCcF82o

翌日、俺は朝からどうにも身体がだるく熱もあって、今は静かに部屋で休んでいた。
食欲はまったくねぇし、昼にお袋が作ってくれたお粥を食ったくらいだ。
このまま寝ていれば、その内に良くなるとは思うんだが……。

そういえば、今日二十四日は、十二月のメインイベントであるクリスマス・イブ――
夏に黒猫に振られた俺にはまったく関係のない日だが、それでもやはり虚しい。
恋人がいるヤツは、今頃そわそわと出掛ける支度でもしているんだろう。
去年のイブは桐乃の携帯小説の取材に付き合わされたけど、今年はそれも無い。

ところで、俺の部屋には中学のときから使っている電気ストーブしか無くかなり寒い。
お袋が加湿器の代わりだと言って床に置いた熱湯が入ったバケツもすっかり冷えたようだ。
試しにそっと息を吐き出してみる。部屋の中だというのに吐息が白い。

「……凍死する前に、誰か見付けてくんねぇかなぁ」

俺が馬鹿なことを独り呟いていると、部屋の扉が勢いよく開いた。

「――ったく、何でよりによって今日熱なんか出してんのよ!」

桐乃の声はあからさまに俺を非難していたが、こればかりは俺だってどうしようもない。
元はといえば昨日の夕方、桐乃が眠った後に出掛けたのがいけなかったんだが。
案の定、俺が家に帰る頃には雪が降り始めていた。

「おまえはそう言うけどな、俺はおまえにイチゴを食わせてやりたくて……」

「もう、それが余計なことだっての。……でも、ありがと。イチゴおいしかった」

あのとき俺は、桐乃が小さい頃からイチゴが大好きだったことを思い出したんだ。
お袋も桐乃が風邪を引くと、決まってイチゴを食わせてやってたしな。
しかし、クリスマス目前のせいか、近所のスーパーでは既にイチゴは売り切れていた。
俺も意地になっちまって、駅前のデパートまで足を延ばした結果がこのザマさ。
141 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:45:49.58 ID:qAfCcF82o

「――お袋は? また飽きもせず韓流ドラマでも見てんのか?」

「お母さんなら、ご近所の奥さんとクリスマス・パーティーだって言って出掛けたけど。
 ……多分ファミレスでご飯食べてから、その後は駅前のカラオケだと思う」

さすが俺のお袋だぜ。
息子が熱出して寝込んでるっていうのに、自分はクリスマス・パーティーときたもんだ。
大体、ご近所の奥さんも奥さんだ。専業主婦って、そんなにも暇なのかね。
今度道端で会ったら、俺の方から一言ご挨拶してやる。

「なぁ、桐乃は今年どうすんだ? 俺はこんなんだし、モデル事務所のパーティーでも?」

「一応それも考えてるんだけど……まだ分かんない」

「そっか、どっちにしろ出掛けるんだったら戸締りだけは頼むわ。
 俺は食欲もねぇし、今日はこのまま大人しく朝まで寝てることにすっから。
 それと悪いんだけどバケツのお湯――」

俺が、バケツのお湯を取り替えて呉れないかと言い掛けたときだった。
桐乃は少しムッとした表情で、勢いよく扉を開けて部屋を出て行ってしまった。
別に、桐乃が怒るようなことを言ったつもりはないんだが……。

暫くして、俺の部屋の扉が蹴っ飛ばされたかと思うと、階段を下りて行く足音が聞こえた。
やはり、今年はモデル事務所のクリスマス・パーティーに参加することにしたんだろう。
病人の俺なんかと一緒に居ても、桐乃だって面白くねぇだろうしな。

「お袋……桐乃は、間違いなくあんたの娘だよ」

俺は静けさを取り戻した部屋の中で、只ぼんやりと天井を眺めていた。
頭に浮かぶ事といえば、俺の人生で初めて出来た恋人、黒猫との出会いと別れ――
桐乃の表の親友、あやせ。……あいつにだけは、本当のことを話しておきたかったな……。

昼飯の後に飲んだ薬が効いてきたのか、俺はいつの間にかまどろみの中に落ちていった。
142 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:46:23.45 ID:qAfCcF82o

何か物音がすると思った次の瞬間、扉を蹴破らんばかりの勢いで桐乃が部屋に入って来た。
確か桐乃は、モデル事務所のクリスマス・パーティーに行ったはずじゃ……。
そう思ったのも束の間――

「何であんたの部屋ってこんなに寒いのよ! それに、異常に乾燥してるんですケド」

「――いや、だからさっきバケツのお湯を替えて呉って……」

「馬鹿じゃないの! あたしの部屋に加湿器があるんだから、それ使いなさいよ」

俺は桐乃に怒られてるんだか、親切にされてるんだか分りゃしない。
それにしても、桐乃が口を開くたびに吐息が白くなるのは、この部屋の寒さを物語っていた。
まるで、お袋の好きな韓流ドラマをリアルで見ているようだ。
凍死する前に発見されてよかったぜ。

「今、あたしの部屋から温風ヒーターと加湿器持って来っから」

「それじゃおまえの部屋が――」

桐乃は俺の言うことには耳も貸さず、部屋を出ると温風ヒーターと加湿器を持って戻って来た。
部屋の真ん中あたりに温風ヒータを置き、バケツをどかして加湿器を部屋の隅に置く。
暫くすると微かな音を立てて、送風口から暖かな風が吹き出してきた。

「温風ヒーターって……何だか、涙が出そうなほど暖かいんだな」

「当たり前じゃん。今時、こんな古い電気ストーブなんて有り得ないっての!」

桐乃の勢いに押されたわけじゃねえが、部屋が暖まるにつれ、俺の頭も回転し始める。
モデル事務所のパーティーに行ったとばかり思っていた桐乃が、何で家に居るんだってな。
携帯を確認すると午後六時過ぎ、俺が眠っていたのは二時間くらいだったようだ。
再び桐乃は自分の部屋へ戻り、今度は折り畳み式のテーブルとクッションを持ち込んで来た。

「桐乃、そんなもの持って来て何をしようって……」

「――クリスマス・パーティーに決まってんじゃん」

兄妹二人だけのクリスマス・パーティーの始まりだった。
143 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:46:56.71 ID:qAfCcF82o

テーブルの上には、桐乃が買ってきたフライドチキンやショートケーキが並べられている。
クリスマスケーキじゃないところが、桐乃らしいといえば言えなくもない。

「――あんなモン、夏から作って冷凍してあるなんて常識だっての」

と、言うことだ。

ベッドに横たわったままの俺には構わず、桐乃はシャンパンの栓を開け勝手に盛り上がる。
桐乃が楽しんでいるんだから俺がとやかく言うことじゃねえが、
体調を崩して寝ている俺にしてみれば、この上もなく迷惑なことなんだが……。

「あんたさぁ、あたしが昨日、熱のせいで変なこと喋っちゃったの覚えてんでしょ?」

「……変なことって、どんな?」

「ど、どんなって……小学校のときの運動会のこととか……。
 ――そんなことはどうでもいいっての!
 この際、あんたにもあたしに聞かれて恥ずかしいことを話してもらうかんね」

俺が桐乃に聞かれて恥ずかしいことなんか、自分から話すわけがねえ。
それに、俺が人に話すのも恥ずかしい話なんて、そう幾つも持ち合わせちゃいねえよ。
一つや二つ黒歴史がないことも無いが、そんなことは既に記憶の彼方だ。

「あんたなんか、生きてること自体が恥ずかしいんだからさぁ、幾らだってあるでしょ」

そこまで言われるんなら、話してやらないこともないが……。

「桐乃は小さかったけど憶えてるか?
 以前、クリームパンとチョコレートパンをくっ付けたような菓子パンがあったろ?」

「二色パンってやつでしょ?
 あたし昔から好きだったし、今でもコンビニなんかでときたま見掛けるけど……
 でも、何でそれがあんたが恥ずかしい事なの?」
144 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:47:41.66 ID:qAfCcF82o

桐乃はチョコレートが入った方が大好きで、どっちか選ばせると必ずチョコの方を選ぶ。
俺が二色パンを半分に割ってやると、桐乃はお預けを喰らっていた子犬のようにパクついた。
しかし、それからが問題だった。
残ったクリームパンの方を俺が食べようとすると、桐乃は恨めしそうな目で俺を見るんだ。
結局のところ、クリームパンの方も桐乃が食べることになるわけだ。

「それはあんたが恥ずかしいんじゃなくて、あたしが恥ずかしい事じゃん!」

「いや、妹に菓子パン取られるってのは、兄貴としてはかなり恥ずかしいぞ」

俺と桐乃は、お互いに顔を見合わせて思わず吹き出した。
はっきり言ってどうでもいい話だったし、他人が聞いても分からない話かもしれん。
しかし、俺の胸は自然と熱くなる。
なぜなら、こうして再び桐乃と笑い合える日が来るとは思ってもみなかったからな。

桐乃がふと立ち上がって、窓のカーテンを細目に開けた。

「……どうした?」

「うん――。何だか寒いなぁと思ったら、雪が降ってるんだね。
 少し積もってきたけど、お母さん、大丈夫かなぁ……」

「――俺、お袋の携帯に掛けてみっから」

お袋の携帯電話に掛けてみると、あろうことか出たのはご近所の奥さんだった。
バックに聴こえてくるのは大音量の韓流歌謡曲と、お袋の歌声……。
俺はご近所の奥さんに丁重にご挨拶し、静かに携帯を切った。

「桐乃……お袋のことはもう忘れた方がいいぜ」

兄妹二人だけのクリスマス・パーティーは、ホワイトクリスマスで幕を閉じた。
145 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:48:24.65 ID:qAfCcF82o

大晦日――我が家にとって、大掃除の最終期限でもある。
普段から俺の部屋は、頼みもしないのにお袋が掃除して呉れるお陰で案外と片付いている。
しかし、大晦日に限ってはお袋もそこまでは手が回らず、自分で掃除する他なかった。

俺と桐乃も朝から――と言いたいところだが、既に陽は落ちて外は真っ暗だった。
何しろ掃除を始めたのがつい今し方なんだから、当然といえば当然かも。
別にサボっていたわけじゃなく、受験生の身で冬コミに顔を出したのがいけなかった。
隣りの部屋からも、バタバタと大きな音が聞こえてくる。
あいつは俺と違って昔から物持ちだから、大掃除ともなると大変なんだろう。

ふと、机の上に無造作に置かれた同人誌に目が留まる。
桐乃と沙織、そして、かつて俺の恋人だった黒猫が今年の冬コミに出品した物だ。
俺は受験勉強があるからと適当な理由を付けて、同人誌の製作は辞退した。
桐乃は残念そうだったが、販売だけでも手伝ってと言って、俺を無理やり会場へ連れ出した。

「……あなたの妹って、あなたに似て相変わらずお節介を焼くのが好きなのね。
 私たち二人だけ残して沙織とお昼へ行ってしまうなんて、この私にどうしろというのよ」

「ま、まあな……。つか、新しい学校はどうよ?」

桐乃がどうしても俺を冬コミに連れて来たかった理由は、俺には初めから分かっていた。
あの日以来、俺を避けるようにしていた黒猫と、無理にでも会わせたかったんだろう。
俺のためなのか、それとも黒猫のためなのかまでは分からんけどな。
それにしても、久しぶりに見る黒猫は、やっぱり美人だ。

「……ええ、何とかやっているわ。嘘じゃないわよ。
 お節介などこかの誰かさんが、毎日のようにメールや電話をしてくるんですもの」

「毎日のようにって……桐乃が?」

「他に誰がいるのよ。
 ……どうせあんたには友だちなんか出来やしないんだから、とか、
 お昼は学校のトイレで独り寂しく食べてるんでしょ、とかね」

「それって、幾らなんでも酷くね?」

「私、桐乃がどんな性格なのか知っているわ。
 それに、桐乃も私の性格は十分に熟知しているのよ……」
146 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:49:07.70 ID:qAfCcF82o

俺の知っている黒猫は、元々極度の恥ずかしがり屋で、寂しがり屋でもあった。
そして、俺と同じ高校へ通っていたときに見せた芯の強さと優しさも黒猫の持ち味である。
誰かが寄り添ってそっと背中を押してやるだけで、黒猫は一歩踏み出すことが出来る。

「――で、友達は出来たのか?」

「ええ、まだ数人だけど、仲良くしてもらっているわ。
 私が電話で友達が出来たと言ったら、桐乃が絶句した様子が手に取るように分かったわ。
 ……それから、安心してくれたこともね」

桐乃と沙織が昼飯から戻るまでの僅かの時間、俺と黒猫はお互いの想いを語り合った。
どんな話をしたのかは、この先も暫く俺の胸の内に収めておこうと思う。
今日は、思い切って冬コミに出掛けてみて本当に良かった。

階段を駆け上がる音がすると思った次の瞬間、勢いよく扉を開けて桐乃が部屋に入って来た。
そういや、いつの間にか隣の部屋が静かになった気がしていたんだが……。
そう思ったのも束の間――

「ねぇ! お母さんったら、また出掛けちゃったんだけど……」

「出掛けちまったって、お節料理とか年越しソバはどうすんだよ」

「お節料理は御重に詰めてもう用意してあった。
 それに、『緑のたぬき』がテーブルに置いてあったから、年越しソバは……」

「お袋のヤツ、子供たちだけで勝手に年を越せってか――それもインスタントかよっ!
 ……いいよ桐乃、俺がお袋の携帯に掛けてみっから」

親父は警察官という職業柄、年末年始は特に忙しく家に居たためしがない。
だから我が家では、正月といえば家族三人で過ごすことが普通だったんだが……。

お袋の携帯電話に掛けてみると、俺の予想した通り出たのはご近所の奥さんだ。
バックに聴こえてくるのは大音量の韓流歌謡曲と、お袋の歌声……。
俺はご近所の奥さんに丁重にご挨拶し、静かに携帯を切った。

「桐乃……お袋のことはもう忘れた方がいいぜ。
 それより、『緑のたぬき』食ってからでもいいけど、一緒に初詣に行かねえか?」
147 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:49:39.60 ID:qAfCcF82o

日本三大八幡宮の一つにも数えられる鎌倉・鶴岡八幡宮――
まあこの際どうでもいいことだが、俺たちは京成、総武線、横須賀線を乗り継いで、
神奈川県鎌倉市にある鶴岡八幡宮へ来ていた。
家を出てから二時間ちょっと、除夜の鐘までには何とか間に合った。

「ねぇ、あんたが初詣に行くなんて、てっきり地元の神社かと思ったんだけど……。
 有名な所だからあたしだって文句はないけど、なんでここなの?」

「その内に分かると思うけど、おまえに見せてやりたいモンがあるんだ」

「あたしに見せたいモンって?」

「……だから、その内に分かるって。
 そんなことよりほら、除夜の鐘が聴こえてきたろ? そろそろ俺たちも参拝しようぜ」

といって簡単に参拝できるような場所じゃなかった。
俺たちの周りは、拝殿を目指す数千どころか数万人の初詣客で既にごった返している。
もしここで桐乃と逸れでもしたら、今度再会するのは自宅以外には有り得ねえ。

「桐乃――」

俺と桐乃はお互いの手を取って、巨大な群衆の波に飲み込まれていった。
目指す拝殿は、俺たちが並んだ最後尾の遥か数百メートル前方、階段を上り切った先にあった。
数十メートルおきに初詣客はロープで仕切られ、ロープが上がると整然とまた前進する。
よくこれで暴動が起きないもんだと思うが……まいいや、正月だもんな。

「な、何だかとっても凄いんですケド。
 あたしたち、ちゃんと参拝できるのかなぁ……」

「時間は掛かるかもしんねぇけど、確実に前進してることは間違いねえよ」
148 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:50:11.82 ID:qAfCcF82o

俺たちはかなりの時間を人波に揉まれながら前進し、ようやく参拝を済ませた。
深夜の初詣なんか初めての経験だったが、桐乃はご機嫌のようだし……ま、いっか。

「ねぇ、あんたもあたしも今年は入試だし、御守りをもらっておきたいんだけど」

「そうだな。……今更神頼みってわけじゃねぇけど、折角来たんだしな」

初詣も済ませ、合格祈願の御守りも授かり、これで俺の目的の半分は達成したことになる。
後はこの寒さの中、桐乃が乗って来るかどうかだけなんだが……。
使い捨てカイロを服の下に忍ばせてあるとはいえ、この寒さに耐えられるかどうか。

「ねぇ、さっきあんた、あたしに見せたいモンがあるって言ってたけど……」

「ああ、ここからそう離れた所じゃねぇんだが……問題は、時間なんだよな」

桐乃の顔がパッと明るくなった。

「もしかして、初日の出? ねぇ、初日の出なんでしょ?」

「……まだ時間があるし、ファミレスでも入るか?」

「ねぇ、どこで見られるの? 周りはお寺ばっかなんですケド」

だめだ。俺の話なんか聞いちゃいねえ。
俺が地元の神社や、千葉県でも有数の成田山新勝寺を避けたのには理由があった。
桐乃に初詣の後、初日の出を見せてやりたかったんだ。

鎌倉の鶴岡八幡宮から一時間も歩くと、そこには由比ヶ浜と材木座海岸が広がっている。
海岸線の左手に横たわる三浦半島の端から昇る初日の出が見られる……はずだ。
149 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:50:58.30 ID:qAfCcF82o

若宮大路を貫くように造られた段葛の参詣道は、参拝へ向かう初詣客で賑わっていた。
この時間に海岸へ向かう人は少なく、人波に逆らいながら歩かざるを得ない。

「桐乃、迷子になっちまうと後が面倒だから――」

今まで気付かなかったが、桐乃が手のひらを擦り合わせて息を吐き掛けている。

「おまえ、かたっぽの手袋どうしたんだよ」

「あ……うん。お参りしたとき外したんだけど、右手の方だけ落としたみたいでさぁ、
 人混みの中だったから見付かんなくて……」

桐乃の着て来たダウンジャケットは、ファッション性重視なのか表にポケットがない。
生憎と俺は手袋なんて使わない人間だし、両手をポケットに突っ込んで済ませる派だった。
近くにコンビニがあればいいんだが……。

「それじゃあ手が冷たいだろうが。
 コンビニなら手袋くらい売ってるだろうし、そこで買ってから行こうぜ」

「あ、でも、わざわざ買うのも勿体無いじゃん。
 そっ、それに……こうすればいいと思うんですケド」

「――なっ!」

桐乃は俺の着ているダウンジャケットのポケットに、自分の右手を無理矢理ねじ込んできた。
俺が、既にポケットに手を突っ込んでいるにもかかわらずだ。

「あんたが歩き辛いって言うなら別にいいから……」

「ばーか。……そんなこと気にしてねぇよ」

冷え切った右手を温めてやろうと、俺はゆっくりと桐乃の手を握った。
使い捨てカイロが時間を掛けて温まるように、桐乃の右手が少しづつ温まってくる。
俺たちは、人波に逆らいながら残りの若宮大路を黙って歩き続けた。
150 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:51:43.41 ID:qAfCcF82o

海岸線に沿って走る国道を渡ると、少ないが既に人が集まっていた。
驚いたことに海岸の所々で焚き火がたかれ、初日の出を待つ人たちに暖を提供していた。
背中にKAMAKURAの文字が入った防寒着を着ているところを見ると、市の関係者かもしれない。
俺と桐乃は、まだ誰も居ない焚き火の一つに近付いて暖を取った。
天空には満天の星が煌いているし、今年の初日の出に問題はなさそうだ。

「……あたし、こんな日がまた来るなんて思ってもみなかった」

焚き火の炎に照らされ、桐乃の顔は火照ったように赤く染まっていた。
俯き加減で足元の砂を蹴り上げながら、ポツリポツリと呟くように話す桐乃。

「あたしが、中学に入った頃だったかなぁ……。
 何でだか分かんないけど、あんたがあたしに話し掛けて呉れなくなって……。
 ――あれ? あたし、兄貴に無視されてんのかなって。
 別にあんたに嫌われても困るわけじゃないし……それならそれでもいいやって思ってた。
 あたしには、初めっから兄貴なんか居なかったんだって思えばいいだけだし……。
 そうなんだけど……そうなんだけどさぁ……」

遠く離れて暮らす兄妹なら、そう思い込むことも可能かもしれない。
しかし、一つ屋根の下で暮らす俺たちに、そんなことが出来るわけもなかった。
親父は厳格な人で、親父が居るとき、食事は必ず家族一緒というのが決まりだったからな。
桐乃の隣りにはいつも俺が座っているわけだし、居ないと思う方が無理な話だった。

「お母さんはご近所の奥さんがどうしたとか、どうでもいい話ばっかしてるし、
 あんたはあんたで、お母さんの話なんか聞いてもないくせに無駄に相槌打ってるし……」

ポケットの中で繋いだ桐乃の手が、俺の手をギュッと握り締めた。

「……あたし、家の中でご飯のときが一番辛かった」
151 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:52:33.78 ID:qAfCcF82o

桐乃は黙々と食うだけで、食事中に家族と話をすることはあまりしなかった。
俺も桐乃の性格が、どこか親父に似てきたからじゃねえかくらいにしか思わなかったし、
まさか、桐乃がそんなことを思っていたなんて、考えてもみなかった。

昔を想い起こしてみれば、俺にだって分かったはずなのに。
桐乃の頑固さや芯の強さは親父譲りでも、元来はもっと明るいヤツだったってな。
そして、桐乃が家の中で無口になっちまったのは、俺のせいだってことも。

「あたしの趣味があんたにバレてさぁ……
 どうせ、あんたはあたしのことなんか関心がないんだろうって思ったんだけど、
 あたしもどうしていいか分かんなくてさぁ、思い切ってあんたに相談したんだよね……」

東の空がわずかに白み始めて来たが、海はまだ暗く、西の方角は未だ暗闇の中だった。
元旦の海は穏やかで、小さな波音だけが耳に届く。
焚き火から時折聞こえるパチパチとはぜる音が、なぜか俺の心に突き刺さった。

「あたし、あのときあんたに人生相談とか言っちゃってさぁ……余裕がなかったんだよね。
 言っちゃってから、どうせあたしのこと馬鹿にするんでしょって思ったんだけど……」

「桐乃……。俺は、おまえのこと馬鹿になんかしねえって言ったろ」

「うん……うん、そうだよね。
 馬鹿にするどころか、お父さんに殴られたりとか……あやせに嫌われたりとか……。
 どうして……?」

「……俺が、おまえの兄貴だからじゃねえのか」

俺は、以前からずっと疑問に思っていたことがあった。
桐乃がなぜエロゲーに嵌まっちまったのかってな。それも、よりにもよって妹物なんかに。
イラストが可愛かったからなんて、あのとき桐乃は言ってたけど……。
答えは、意外と簡単なところにあったんだ。
152 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/01/01(日) 23:53:29.85 ID:qAfCcF82o

相模湾の西、三浦半島の影がはっきりと浮かんできた。
ほの暗かった水平線が徐々にオレンジ色に輝き、見る間にその輝きを増してくる。
桐乃は諦観したように、それでいてどこか楽しそうに呟いた。

「あんたなんか――兄貴なんか、好きになるんじゃなかった」

沈痛な響きを持つ言葉とは裏腹に、桐乃は晴れやかな顔でジッと海を見詰めている。
桐乃が見詰めるその先に見ているものは、朝焼けを伴って昇り来る初日の出なのだろうか。
それとも、俺と桐乃の未来なのか……。

俺はポケットの中で繋いだ桐乃の手をギュッと握り締めて、心の中で初日の出に誓った。
桐乃が俺を必要とする限り、何があろうともこの可愛い妹を守り抜いてやるってな。

「ねぇ兄貴、本当はあたしのこと好きなんでしょ。……いつから好きだったの?」

「おまえが生まれたときから――」

「……バカじゃん」


(元旦)
153 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 00:10:31.69 ID:ZL1AzZB+o
>>133-152
おつ!
鎌倉の描写がやたらリアルで情景が浮かんできたよ
154 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 00:15:28.16 ID:g61wGsVIP
>>152
乙です
最後にあえて兄貴呼びさせたのは含むところがあるのかなとも思ったけど
そこ以外は描写も細かくてすごくよかった
155 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 00:52:45.74 ID:uABlUY0AO
>>152
大作乙。
うまいこと言葉が出ないが、いいエピソードだな〜
つられて桐乃を書きたくなってしまう

あと佳乃さんが非常に活き活きしていてよかったでふ。
156 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 01:22:32.64 ID:zPrvL/bHo
やべぇ、普通に読んでたww
おつかれさまー

もっと黒猫を絡ませていいのよ(チラッチラッ
157 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 08:17:14.16 ID:tjF6lhhZo
これはすげえ。
しみじみとした感じがすごく良かった。俺妹初期の雰囲気を思い出したよ。
乙でした。
158 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 17:00:34.78 ID:vaeljfvDO
良いわぁ…
159 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:43:52.11 ID:g7VmI5gAO
久々に時節にマッチしたSSきたな
1年前に戻ったようで嬉しい
さぁ、次の方もこれに続いて!
160 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:53:28.03 ID:TDDHT8oQo
…下手すると次はバレンタインの時期になるかもな
161 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/03(火) 00:31:55.41 ID:3/Z5/J4/o
一年前の今頃、SS投下するのも順番待ちだったけどね……
ところで、まとめwiki訪問者100万人突破おめでとうございます
162 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 01:16:52.32 ID:wj0el9eAO
ホントだ100万だ
10巻とゲームと(あれば二期と)で200の大台に弾みがつきますように、っと

一年前の名残は今も>1にあるね
個スレ分散してるけど、どこも各々のペースで続いてるし、ここがもう少し盛り返せば良い感じのバランスになりそ
163 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 15:24:07.79 ID:yCzctEVAO
100万おめでと!
164 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 19:44:45.21 ID:Vh1Jon51o
遅くなったが乙
二回も読み返しちまった


今日俺妹P(初回版)をゲットしたんだが、どのルートから始めようか?
順番とかオススメがあったら教えろください
165 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 19:46:10.02 ID:Vh1Jon51o
あ、すまん。こんなところで出す話題じゃなかったな
忘れてくれ
166 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 19:53:06.11 ID:N100CzKco
ここより人が多いゲームスレに行ったほうがいい
167 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 22:51:02.73 ID:3/Z5/J4/o
どうも ◆Koneko/8Oc です。
今回のSSの中に、致命的な間違いがあることに気付いた人はいるでしょうか?
相模湾の西は伊豆半島で、三浦半島は東だったってことに orz
168 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:03:44.10 ID:oJa/Jyc3o
投下乙

書き溜めてるSSが、浮かんでるオチに持っていけなくて3ヶ月くらい放置してるな・・・
ポンポン作品出してる人ってほんと羨ましい

>>164を見て俺妹P続が発売したのかと思ったら前作のことか
発売日が2ヶ月近く違うから一瞬焦ったぜ
ちなみにあやせルートを最初にやると、他のシナリオはそんなに楽しめなくなると思っておいた方が良いかもね
169 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:18:45.20 ID:btQuLs8lo
個別スレのひとつが、作者の書き込みがないまま三ヶ月経過したんで落ちたな
書き手がまた一人、『俺妹』のSSに見切りをつけたってわけか?
170 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 00:12:28.97 ID:dv0aIDuAO
とは限らないさ。
残念には違いないが、引継ぎで立ったほうを応援しよう。
あの壊れかけ桐乃の再現は……困難だろうけど
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/06(金) 04:47:40.83 ID:uv5bnuDAO
むしろ綺麗にまとまって終わった個別スレの方が少ない気がする
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 21:45:41.82 ID:TsmtaMwho
明日は1/7だから、七草粥でもネタに書いてみようかと思ったけど……間に合わなかった

「あやせが七草粥を作って持って来たって、桐乃から聞いたんだけど……
 何が入ってるんだ?」

「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、トリカブト……スズナ、スズシロ……ですけど。
 ――それが、どうかしたんですか?」

  ↑これを元に展開しようとしたけど、無理だった
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/07(土) 08:20:43.11 ID:eWlTz83AO
バッドエンド一直線
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 21:59:25.51 ID:+m7ItxDWo
企画物:SSの中の登場人物と簡単なシチュ(またはストーリー)をください
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/07(土) 23:33:08.99 ID:1cmLyNrn0
あやせと黒猫の、本気の修羅場が見てみたと呟いてみるテスト
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 02:15:34.23 ID:EHQsp9N9o
それ自虐で終わるだけじゃね
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/10(火) 23:40:40.37 ID:qVsdcrg90
>>176
自虐で終わってもいいじゃない。
どんなSSだろうとも、SSある方が他の人も投稿しやすいだろうし、
良いSS作品も出てくるんじゃない?
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2012/01/10(火) 23:57:40.24 ID:3pdkHOJoo
いいえ
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 00:20:35.34 ID:rDcdPq5AO
俺妹で修羅場ってのがそもそもハードル高い、しかも本気のときたら……想像しにくいなぁ

京介じゃなく桐乃をめぐる、のほうがまだイメージできる。
(それって修羅場ではない気もするけど)
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 22:27:57.58 ID:k6nhtM0Zo
>あやせと黒猫の、本気の修羅場が見てみたと呟いてみるテスト

テストってことだから、修羅場へ持っていくまでの序盤だけテストで投下しちゃマズイよな?
序盤どころか、今後の展開を臭わせる程度でしかないけど……
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/12(木) 18:17:29.60 ID:G0M16Irb0
いつ最新刊でるのか教えてくれ
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/12(木) 19:49:22.48 ID:cauCBL/AO
久しぶりにここ来たわ。
10巻あれかな、ゲーム続編の話作ってて遅くなったとか
いつもこんな遅いっけ?
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/12(木) 19:54:45.75 ID:yEX3gZBw0
>>180
テストで投下しても良いと思うよ
むしろ、そんな感じでも投稿できる、それがSS板の醍醐味じゃない?
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 20:15:40.18 ID:4cmxmAnAO
>10巻

4月以降らしいね。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/01/12(木) 22:22:09.39 ID:4cmxmAnAO
記憶喪失ネタもいいかもしんない。

夢から醒めきらないまま、そんなことを思ったものの、
意識がはっきりしてくるにつれて現実的な認識が否応なしに立ちはだかる。

「完璧にかぶってるじゃん……」

つい声に出してしまうあたり、動揺は大きかったらしい。

べつに二番煎じだとか気にするタイプでもないのだけど
ifにifを重ねるとか、もう誰の物語なのかその意義が疑わしくなりそうで立往生してしまう。


ヒロインが記憶喪失になって既存の関係性がリセットされて、元に戻らないとしたら、
それってキャラ崩しというかオリキャラ化と言っても過言でない…よね
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 23:16:48.52 ID:7B+gpKpuo
>>180です
テストで投下してもスルーしてもらえそうだから、投下しちゃおっかなぁ
てか、黒猫とあやせを対決させるって、心情的に書きづらい……
どちらに軍配を挙げるかで結末が変わってくるし
区切りのいいところまで書いたので、続きを書きたい人がいたら御自由にどうぞ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 23:17:30.42 ID:7B+gpKpuo

冬休みが終わって桐乃はいつも通りに学校へ行ったが、俺は引き続いて今日も休みだ。
入試本番を直前に控え、俺の高校でも三年生は自由登校になったから自宅で勉強というわけ。
お袋は掃除洗濯と昼飯の支度を終えると、ご近所の奥さんのところへ遊びに行った。
別に俺に気を遣ったわけじゃねえだろうけど、俺も静かな方が勉強しやすいことは確かだ。

時計の針が午後一時を回り、お袋が作り置きした昼飯を食い終わったときだった。
家の前でバイクが一旦停まる音が聞こえたかと思うと、暫くするとまた遠ざかって行った。
今さら年賀状はねえだろうと思いながら、玄関を出てポストを覗くと一通の封筒が入っていた。
封筒の表には、ワープロで打たれた俺の家の住所と俺の名前だけ。

一見すると何の変哲もない普通の白い封筒だが、裏返して見ると差出人が書かれていない。
表の消印から市内から投函されたものだと分かるだけで、俺にはまったく心当たりがなかった。
封筒をいつまでも眺めていたところで埒が明かず、俺は思い切って開封してみることにした。

俺が訝しげに封筒の中身を引き抜くと、中に入っていたのは、たった一枚の写真だけだ。
桐乃と黒猫、そして俺と沙織の四人が並んで歩いている姿が写っている。
バックに写り込んでいる風景から、昨年の暮れ、冬コミの会場付近で撮られたものだと分かる。
いや、この場合は盗撮されたと言った方が適切かもしれねえな。

四人が一緒に写っているわけだから、撮ったのは俺たち以外の第三者しか有り得ない。
俺の家の住所を知っていて、俺たちと同じように冬コミに来ていた誰かの悪戯かもしれない。
どこの誰が、どんな意図があってこんな写真を俺に送って寄越したのか――

「――ふざけやがって!」

俺は、写真に込められた悪意に気付いて思わず吐き捨てた。
写真はかなり遠目から撮られたものだったから、俺も危うく見落とすところだった。
目を凝らして写真をよく見ると、桐乃が横を歩く黒猫に紙袋の中身を自慢げな顔で見せている。
そんな桐乃を無視するように、黒猫は少し後ろを歩く俺と沙織の方を振り向き――
黒猫の姿が後ろ姿に見えて、てっきり黒猫が振り返っていると思ったのは俺の見間違えだった。
あろうことか黒猫の顔だけが、黒いマジックで塗り潰してあったんだ。
それもきっちりと、丁寧にな。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 23:18:05.88 ID:7B+gpKpuo

俺はリビングのソファに寝そべって、あらためてその写真を眺めた。
写真の中の桐乃が紙袋を持っているところを見ると、冬コミの帰り道で撮られたに違いない。
俺は記憶の糸を手繰り寄せるように、瞼を閉じてあの日のことを思い浮かべた。

確かあのとき、俺たちとは反対側の道路に、エンジンを掛けたままの車が一台停まっていた。
それも、普通の乗用車じゃなくて、かなり大きめのワゴン車が停まっていたはずだ。
後部座席の窓はすべてスモークガラスで覆われ、人が乗っているかどうかも分からなかった。
しかし、俺にはその車の特徴にどことなく見覚えがあった。

かなり以前の話になるが、秋葉原UDXの駐車場で、俺は確かにあの車を見た記憶がある。
それは、あやせが加奈子の着替え用に用意したワゴン車――。
なぜこんな場所に、あのときのワゴン車が……。
そう俺が思ったとき、隣を歩く沙織がいきなり声を掛けてきたんだっけ。

「――京介氏。
 拙者、さっきから京介氏に話し掛けているのですが、拙者では御不満でござるか?」

「あ、いや、そうじゃなくて……すまねえ。
 ……沙織がどうとかじゃなくて、ちょっと、気になることがあったもんだからな」

「ほほう。拙者の美貌よりも気になることとは、京介氏も隅に置けませんなぁ」

この際、沙織は横に置いておくことにする。

東京ビックサイト周辺は、雑誌やテレビなんかの撮影でもよく利用されているようだ。
俺と桐乃が沙織たちの案内で初めて夏コミへ行ったときも、あの場所では撮影が行われていた。
そして、あのとき撮影していた雑誌のモデルの一人が、あやせだったってわけだ。

今回も偶然だろうが、ファッション誌か何かの撮影が行われていて、あやせもあの場所に居た。
となると、あのワゴン車の中にあやせが居なかったとは言い切れない。
そう考えれば、すべての辻褄が合うじゃねえか。
しかし、それでもなお疑問は残る。なぜ、黒猫の顔を真っ黒に塗り潰したのかってな。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 23:18:42.74 ID:7B+gpKpuo

昨年の夏の出来事があってから、俺はあやせと顔を合わせてはいなかった。
あやせが俺に相談を持ち掛けてくることもなくなったし、メールさえも来なくなった。
俺の携帯が着信拒否されているのは、これはもうお約束みたいなもんで……。

あやせから罵声を浴びせられたり、酷い目に遭うのはいつものことだから気にしていない。
しかし、俺があやせと今まで通り顔を合わせることが出来るかといえば疑問だった。
あのとき、あやせが俺に怒っていたのは事実だが、単にそれだけじゃないような気もする。
上手く言えねえけど、何か悔しそうというか、とても哀しそうな顔をしていた。
俺の記憶では、あやせがあのように哀しげな顔を見せたのは、多分これが二度目だ。

考えがまとまらぬままソファーに寝そべっていると、いつの間にか桐乃が学校から帰って来た。
こうなったら、あやせの動向を知るには、今は桐乃に訊いてみるしか方法がねえ。

「そういや……来月、高校入試だろ? あやせって、今でもモデルの仕事やってんのかなぁ」

「あやせは事務所に入ってるから、時々撮影があるみたいだけど、それがどうかしたの?」

「別にどうもしねぇけど、何となく思い出したもんだからさ」

俺があやせの名前を出した途端、俺を見る桐乃の顔が急に疑い深げな表情に変わった。
勘のいい桐乃のことだ。下手に深追いすると、逆に俺が墓穴を掘る恐れがある。
もし、今回の件があやせの仕業だったとしても、別に俺や黒猫に実害があったわけじゃない。
それなのに俺が大騒ぎして、わざわざ事を荒立てる必要もねえよな。
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 23:19:08.29 ID:7B+gpKpuo

例の写真が俺に送られて来てから、数日後の土曜日のことだ。
その日の午後、冬コミ以来久しくしていた黒猫が俺にメールを送ってきた。
件名はなく本文のみで、俺に駅前のファミレスまで至急来るようにとの内容だった。
それも、ひらがなだらけの……。
あの几帳面な性格の黒猫が、こんなメールを俺に寄越すわけがない。
俺は何か嫌な予感がして、壁に掛けてあったダウンジャケットを羽織ると急いで家を出た。

しかし急いで家を飛び出したものの、俺の足は途端に止まった。
黒猫が、この俺にどこのファミレスに来いと言っているのか分からなかったからさ。
まさか引越し先の松戸ってことはないだろうし、考えられるのは、俺でも知っている店だろう。
俺は取り敢えず黒猫にメールを返信し、一番可能性が有り得そうな店へと急いだ。

「――いらっしゃいませ。御一人様ですか?」

「いや、もしかすると、友だちが先に来てるかもしれないんですが……」

ウエイトレスさんの笑顔に愛想笑いで応えながらも、素早く店内を見回す俺。
一番奥まった壁際のテーブルに、少し頬を紅潮させ緊張した顔で座っている黒猫が見えた。
黒猫は対面に座っている人物と話をしているらしく、俺には未だ気付いていないようだ。
俺はウエイトレスさんに事情を告げて、黒猫の居るテーブルへと近付いて行った。

黒猫もようやく俺に気付いたようで、少し安心したような顔になったのが見て取れる。
しかし、問題は黒猫と対面して話をしているヤツの方だった。
ある程度予想していたこととはいえ、まさか本当に黒猫を呼び出すとは……。

「――お待ちしていました」

「あ、いや……俺としては、あんまし待ってて欲しくなかったっつーか……」

黒髪ロングの美少女が二人も同席なんて、本来なら盆と正月が一緒に来たようなもんだが……。
しかし、今日のこの組み合わせは、俺にとって史上最悪の組み合わせだった。

「どうぞ、お兄さんは五更さんの隣りにお座りください」

「別に、新垣さんの隣に座ってもいいのよ」

「俺は隣のテーブルに座った方が…………すみません、冗談です」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 23:19:58.70 ID:7B+gpKpuo

結局、迷った挙句に俺はあやせの隣りに座ることにした。
黒猫の隣に座っても良かったが、それだと俺と黒猫が、あやせに尋問されているみたいだからな。
それに、何となくだが、俺はあやせと真正面から視線を合わせるのが怖かったのかもしれない。

俺が席に着くと、それを見計らったようにウエイトレスさんが注文を取りにやって来た。
駅まで急ぎ足で来たせいか、ダウンジャケットを脱いでも汗が噴き出しそうだ。

「……えーと、アイスコーヒーって注文できますか?」

ウエイトレスさんが俺の注文をハンディターミナルに入力していると、隣のあやせが口を開いた。

「すみませんが、鍋焼きうどんもお願いします」

「――鍋焼きうどんって、あやせが食うのか?」

「お兄さんが食べるに決まってるじゃないですか」

あやせは俺に鍋焼きうどんを食わせて、ここに暫く足止めを食らわせる気だ。
黒猫もそんなあやせの意図に気付いたらしく、口に手を当てて笑いを噛み殺していやがる。
俺はウエイトレスさんにこの窮状を目で訴えるが、彼女は軽く会釈をすると厨房へ戻って行った。
どうやら、この場に俺の味方はいないようだった。


(テスト)
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/12(木) 23:20:41.90 ID:cauCBL/AO
京介が車の教習所かよう話とかあった?
もうすぐ免許とるから京介も高3だしって思って、合宿の方が面白そうだな 京介が家にいなくなるから
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/13(金) 00:00:46.05 ID:d0e9BUAAO
ごめん途中だった?終わり?面白いから続きみたいな
どっちに軍配って言うなら無難に喧嘩両成敗じゃ駄目かな
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/13(金) 06:29:10.08 ID:USlc+mDz0
>>186
おもしろい。
てか、続きが気になる!
どっちに軍配をあげるか悩むなら、>>193のように、喧嘩両成敗か
ゲーム方式に、2つエンディング作るという手もあると思うよ。

続き、期待してます!
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 19:48:27.59 ID:rcM2KwWDO
>>191
イケるやん!
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/17(火) 03:33:27.45 ID:Y5BRUgxCo
完結まで頑張って!
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 23:48:22.85 ID:w1owpdWro
総合といい個別といい、すべての俺妹SSの更新が止まってるのを見ると
これはこれで不思議な緊張感が漂うのは何でだろう?

本当は書きあがってるくせに、出し惜しみしてる書き手さんがいるんじゃない?(願望)
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/19(木) 00:07:52.63 ID:4VpSSKH+o
バレンタインに向けて力を溜めてるのさ
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/20(金) 03:47:01.52 ID:y4vAXLMro
節分もあるしな
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 17:51:41.90 ID:RPR47OnAo

       *'``・* 。
        |     `*。
       ,。∩      *    もうどうにでもな〜れ by 京介
      + (´・ω・`) *。+゚
      `*。 ヽ、  つ *゚*
       `・+。*・' ゚⊃ +゚
       ☆   ∪~ 。*゚
        `・+。*・ ゚
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/22(日) 02:38:47.31 ID:lFogZmfR0
アニメ第2期ってあるのかな?個人的にはあってほしいのだが…
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 14:59:30.23 ID:We8zJSuU0
原作の8巻9巻で萎えたからアニメならもうアニメオリジナルのストーリーでやってくれって感じだな
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 19:55:03.65 ID:zSQy+dYDO
アマガミみたいなヒロインごとのオムニバス形式でいいんじゃね
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 00:41:17.96 ID:PA2zNJ2AO
それは見たい
が、公式がそういった売り出しかたを是とするか疑わしくもある。

過去例だと、アマガミもそうだけど、各ヒロインの並立ありきでないとオムニバスにはならないようだしなー
メイン(ダブル)ヒロインとか、主題とかに重きを置いてるラノベ原作のアニメ化だと難しい気がする。

俺妹ポータブルのアニメ化、とかならありかもしれんけど。
……ないか
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 01:46:50.15 ID:wSGBvHFvo
桐乃「ツイスター・・・ゲーム・・・?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327243352/
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/24(火) 00:14:11.83 ID:PUjyOZDy0
石崎「一緒に帰ろうぜ」

キリノ「で、でも……あたしはみんなにでかい口叩いてここにきたのに……やっぱり駄目だって、日本に逃げ帰れって……」

キリノ「できるわけないでしょッ!そんな情けないこと!あたしを誰だと思ってんの!」

石崎「……お前は札幌のフォワードだ!」

キリノ「……っ……意味の分からないこと言って……」

石崎「お前は札幌のフォワードだ!心配して何が悪い!調子悪いんだろ?点が取れないんだろ?だったら日本に戻ってこいよ!」

キリノ「そんなの関係ない!あたしは絶対に勝たなきゃいけないの!だから勝つ!」

石崎「出直せばいいじゃねえか。お前は焦りすぎだ。いったん帰って、調子を戻してからもう一度勝負すりゃいいじゃねーか?それじゃ駄目なのかよ」

キリノ「くどい!あたしは絶対帰らない!」

石崎「………」

ガバッ

キリノ「きゃっ!」

石崎「お前がいないと俺が寂しいんだよ!」

キリノ「あ、あんた……」




キリノ、2年ぶり復帰…札幌
http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/jleague/news/20120123-OHT1T00073.htm

207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/01/26(木) 17:05:41.45 ID:6W+ot0aS0
京介の高校って公立?私立?
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/26(木) 21:33:11.08 ID:PeyFkg0s0
>>207
京介は公立。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/27(金) 14:23:17.24 ID:DJrjLWLlo
ふとあるラノベ読んで思ったんだが
桐乃が京介に(ネトゲで)結婚してくれって言って京介が振り回される
こういうネタで何か書けねーかな・・・
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 20:25:46.96 ID:jZAgBor9o
キャラスレでやれ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/27(金) 21:13:17.22 ID:QtP3ONdW0
>>210
君みたいな板(痛)奉行が、スレを衰退させるとなぜ気付かん。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 21:31:50.44 ID:GDyhTKC0o
もうすぐ2週間も投下無しだからねぇ
なんでもかんでも>>210じゃ個別が無いキャラメインの話しか投下できんわ

妄想を文章にしてみようと思ってもなかなかうまくいかない
シチュは固まってるけど具体的に誰目線で語るのか、とか考えはじめると投げ出したくなる
即興とかで書いてる人は凄いよな
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 08:17:57.32 ID:cIBeRLlSO
京介「ふざけるなよ!兄妹でセックスして何が悪いんだ!」あやせ「」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327546771/l50
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 11:49:41.14 ID:Wkpzs60go
見に行こうとしたら落ちてた
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 15:08:27.34 ID:Z9Fvf3aDO
すぐ消える場所で立てる人って何考えてるのかわからん
後から知ったらどうすりゃいいんだ?
そういう人って自分でまとめWikiに載せることもしないし
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/29(日) 20:21:54.45 ID:fwE2qeUr0
>>215

検索項目に題名を入れてググれば、後からでも消えずに見れるよ。
とりあえず、調べてみよう!
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 02:25:55.49 ID:qK8Tzh4No
>>215
つ ログ速
2chの全ての板の過去スレが現行・dat落ち関係なしに見れる
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 02:30:34.96 ID:qK8Tzh4No
>>212
俺も去年の10月くらいからぼちぼち書き溜めてるけど、脳内のシチュを実際の文章にしようとするとうまく言葉にできなくてすぐに指が止まる
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 22:16:44.25 ID:Dtr9nlYAO
>>1……書くって、難しいね……

おもにストーリーラインとか〆とかが
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2012/02/01(水) 10:19:17.73 ID:pE5m3X+b0
なぁ、質問していい?
瀬菜って京介の事なんて呼ぶか知ってる人いる?

知ってるんだったら教えろ下さい。お願いします。
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2012/02/01(水) 10:20:19.18 ID:pE5m3X+b0
あ、それと京介が瀬菜の事を呼ぶときもお願いします。
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/02/01(水) 12:22:27.59 ID:KpXW7A1AO
>>220
高坂せんぱい
>>221
赤城
(心中、あるいは兄と区別するときは瀬菜)
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2012/02/01(水) 14:42:40.21 ID:pE5m3X+b0
>>222
ありがとう!
お礼が遅れてしまって申し訳ない。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/03(金) 22:43:38.87 ID:4XruVgtto
桐乃「オニは?外!えいっ」

京介「いててっ!なんで俺に豆投げるんだよ」

桐乃「だってホラ、『オニ』は外でしょ?だから『お兄ぃ』は外!」(ドヤァ

京介「……」

桐乃「……なによ?」

京介「いやぁ、お前が俺のことを『お兄ぃ』なんて呼ぶのは新鮮だなって思ってよ」

桐乃「ち、違っ!そうじゃなくて、節分の鬼に掛けて言っただけで――」

京介「なぁ、もう一回言ってみてくれよ」(ニヤニヤ

桐乃「う、う、うっさいバカ!シスコン[ピーーー]っ!」

京介「ぐわっ!顔を狙うのは止めろっ……!」



こんな節分SS待ってる(´・ω・`)
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/02/03(金) 23:09:53.86 ID:5Qi9UQCco
桐乃「私の兄貴がこんなに可愛いわけがない!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328212343/
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/04(土) 00:24:53.72 ID:SEIOTJDJ0
>>224
おい、続けろ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 03:53:47.56 ID:lVLj/GiDo
VIPに投下される台本形式のSSも勢いがあって面白いけど……
そこそこ地の文があって、じっくりと読めるSSもって言ったら贅沢かな?
こっちは過疎り過ぎてて寂しい
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/04(土) 04:39:43.94 ID:9M2azfEuo
バレンタインにはたくさん投下されるさ
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/02/04(土) 05:04:48.44 ID:eahb5a8zo
沙織「もう鬼は嫌でござる……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328298832/
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/04(土) 05:05:49.71 ID:FQv7xYuSO
沙織「もう鬼は嫌でござる……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328298832/l50
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 12:49:35.38 ID:qRSkSw/xo
>>229-230
おま結
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:55:14.52 ID:+9Wt/I9Po
京介「なんで俺の部屋にアイツの香水が?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328530101/
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 23:51:20.46 ID:Ls+E2b09o
>>3は、先の見通しが甘かったことを反省したほうがいいと思うの
このままだとバレンタインどころか……

ところで、総合向けにSSを書く書き手さんって生存してますか?
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 00:00:35.05 ID:F/7zTqxKP
統合向け、というか
桐乃SSを書けば桐乃スレへ、黒猫SS書けば黒猫スレへ、なんて風潮が出来上がっちゃってるような現状、
それ以外のキャラのSS書く人しかここに投下しない感じになってるし
長くなるようなものは個別でスレ立てたりもしてるしな

せっかく書いて投下したのに「○○いけ」なんていわれれば書く気も失せるってもんじゃねえの
235 :3 [sage]:2012/02/07(火) 00:30:48.24 ID:fDsaphMAO
な、名指し?
反省しましゅ…

書く気のあるひとは何人か居ると思うんだけど
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/02/08(水) 01:31:28.26 ID:GGRE/K5V0
別に、ここでキャラ別の長いSSあっても良いと思うんだけどなぁ。
「○○行け」って言ってる人は、ここを過疎化させるのが目的なのかなぁ…
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 19:55:50.74 ID:RT3x2FaLo
沙織バジーナ「京介殿今日もお口でいいでござるか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328693656/

前スレがあったみたいだけど自分は未確認
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 22:16:24.59 ID:5cNHio9vo
書き手の皆さん、バレンタインイベントが目前ですが、SSの仕上がり具合はどーですか?
このイベントを逃すと、次のイベントは当分ないんじゃありませんか?
今なら100レスだろうが200レスだろうが、どんな長編SSでもOKです
ほんの数人の読み手のために、膨大な時間を浪費してみるのもいい思い出になりますよ

という冗談はさておき、最近はVIPにしか投下されなくなっちゃったね
やっぱ読者も多いし、反応がリアルタイムで伝わってくるのが作者にとってはいいのかね
VIPは台本形式がメインだけど、読者もその方がいいのかしら
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 22:35:08.86 ID:+B1hJN5Bo
あっちだと原作知らない人も見てくれる可能性があるから…かな?
それだとキャラの口調とか分からないから台本形式のが理解しやすいとか
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/08(水) 22:48:15.09 ID:nd3JlluRo
VIPに投下される量が増えたわけでも無いし
単純にここから人が居なくなっただけじゃないの
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/10(金) 23:36:26.14 ID:q2fUHZnco
取り敢えずバレンタインネタで書き始めたが
なんとか来年の2月14日までには仕上がりそうだよ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 00:36:31.59 ID:nwG11EVno
期待してます
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/12(日) 21:56:52.97 ID:AUOPYNiWo
最近ネタ切れなんで、何かSSのネタになるようなシチュがあれば……
言うだけじゃ申し訳ないから、たった2レスだけど投下します
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/12(日) 21:57:36.91 ID:AUOPYNiWo

あやせから突然の呼び出しを受けたのは、日曜日の夕方のことだった。
いつもの公園へ行くと、あやせは俺の顔を見るなり笑顔になり、ベンチから立って駆け寄って来た。
俺があやせと会うのも久しぶりで、確か去年夏の悪夢のような出来事があって以来だ。

「急に呼び出したりして済みませんでした。
 でも、どうしてもお兄さんにお渡ししたい物があったもので……
 受け取っていただけますか?」

あやせがそっと差し出したそれは、きれいにラッピングされ、真っ赤なリボンまで掛けてあった。

「……これって、もしかしたらチョコじゃないのか?」

「はい、一応わたしの手作りなんです。
 お兄さんのお口に合えばいいんですが、何しろ初めてのことなんで自信がないんです」

あやせにはいつも酷い目に遭わせられていたが、やっぱ、あやせは俺のこと……。
今までの手錠も殴打も火炙りの刑も、すべてはあやせの不器用な愛情表現だったのかもしれん。

「俺、あやせから貰えるなんて思ってもいなかったから……なんてお礼を言ったらいいのか。
 ……でもさぁ、バレンタインチョコにしちゃあ、早くねぇか?
 今日はまだ12日だし、バレンタインデーってあさってだよなぁ?」

「誰がバレンタインデーのチョコだなんて言ったんですか?
 わたし、一言もお兄さんにバレンタインチョコだなんて言ってませんけど。
 でもでも、チョコであることに変わりはありませんから」
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/12(日) 21:58:13.61 ID:AUOPYNiWo

チョコに変わりはないが、バレンタインチョコではないと言うあやせ。
俺があやせの言った言葉の意味を理解できずにいると、あやせはニッコリと笑って俺に言った。

「お兄さん、あまり細かいことは気にしないでください。
 それよりも溶けてしまうと、せっかくの手作りが台無しになってしまうので……」

「そ、そうだよな。せっかくあやせが作ってくれたのに、俺、なに馬鹿なこと言ってんだろうな」

公園でのあやせとの会話はそこまでで、あやせは最後に俺と握手をして帰って行った。
あやせから俺に握手を求めるなんて……。
それはともかくとして、あやせの気持ちは十分俺に伝わった。
俺はその後、どうやって家まで辿り着いたのかも憶えていないほど有頂天になっていた。

その日の夕飯は、お袋の定番であるいつものカレーだった。
俺は夕飯もそこそこに、速攻で風呂に入り終えると自分の部屋に閉じこもった。
これから寝るまでのひと時、ラブリーマイエンジェルあやせたんとの妄想タイムだ。
俺はあやせが着ているセーラー服のリボンを解くつもりで、チョコの包みに掛かっているリボンを解く。
続いてセーラー服のファスナー……じゃなくて、包み紙の端をそっとつまみあげると……。
おっ!? ご丁寧にメッセージカードが入ってるじゃねぇか。

『お兄さんへ
 今年は、桐乃からバレンタインチョコをもらえるかもなんて期待してませんか?
 この毒入りチョコを食べて、早く死んでください ♥』

さてどうするか。
こうなったら次回のSSネタとして、読者の判断に任せたほうがいいかもしれん。
今後の俺のとるべき道を示してもらえればありがたい。

(了)
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/02/12(日) 23:34:24.64 ID:6aNu0/X4o
食べるに決まってるだろ
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 04:46:20.72 ID:3D3XVXXCo
>>243-245
乙!
食べた上で桐乃のチョコももらって、いつものドタバタコメディになる方向でww
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 13:36:48.20 ID:MXRCtxhDO
>>245


やっぱりあやせはあやせだったか。
続きがあるんですね、期待します!
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 13:38:22.68 ID:MXRCtxhDO
リハビリがてら、久しぶりに書きたい。
ネタをください。2月中に投下します。
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 22:18:44.59 ID:ds4tOKmPo
>>249
桐乃が麻奈実のことを一方的に嫌っているのは周知の事実
しかし、事実は小説より奇なりで、真相は小学生の頃のあやせが原因だった
みたいなのをお願いします

京介は、中学校の卒業を間近に控えた加奈子から、ある日突然の呼び出しを受ける
加奈子は手にした紙袋からあるものを取り出し、真剣な顔で京介にある頼み事を告げた
みたいなのでもいいです

円高に苦しむブリジットのパパが、彼女を残して突然の失踪
大好きなパパがいなくなったブリジットは、悲観のあまり幼女援交を決意する
しかし携帯で客を探すのは怖いので、実際に顔を見てから声を掛けようとと秋葉原へ出掛けた
たまたまブリジットが声を掛けた相手が京介だった
というのもありかな
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 22:35:31.23 ID://Cp8DE0o
加奈子が実は京介の幼少期に一緒に遊んだ幼馴染だった
男のような格好と言動で気づかなかったということで
そんでふとしたきっかけで加奈子だけがそれに気づいて、京介にも自発的に気づいて欲しいので行動する的な

まぁよくあるネタです
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 03:42:42.39 ID:WHuSvfHSO
桐乃「京介とのキスが気持ちよすぎてやめられない」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329499579/l50
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/19(日) 02:51:45.38 ID:pEZdGjbpo
>>245
遅くなったけど乙!
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) :2012/02/21(火) 03:31:54.63 ID:KJ8aCYFb0
沙織さんssは無いか。今振り返ってみると、「タイが曲がっていてよ」シリーズは本当に凄かったな。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 18:05:57.50 ID:wi2PZnXSO
環境が落ち着いて来たんで久しぶりに書こうと思ったら口調が思い出せなくなってて愕然たる心境
瀬奈って「高坂先輩」と普通のですます調でいいんだっけ?今手元に原本がないんだ
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 21:42:27.42 ID:bcFB/wEmo
>>255
そうか……手元に原本がないのは残念だね
瀬奈の口調はですます調じゃなくて、語尾に『…だけれど』とか『…だわ』が付くことが多い
それと蛇足だが、服装はゴスロリまたは中学校のときのジャージだよ
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 22:39:39.09 ID:SBLsNd6AO
なんという狡猾な罠wwwwww

>>255
瀬「菜」だよ。奈はベルフェゴールのほう。

瀬菜っちの登場するSSを準備してる書き手が二人もいるなんて……胸熱
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 01:05:30.32 ID:B2QxSXpSO
>>256
五更さんステマやめてもらえますかね
一瞬本気で信じたよ

>>257
あ、ほんとだ単純な間違えで申し訳ない
てかSSWiki見たら表記上は「せんぱい」なのね
他に別に偏った口調はなかった覚えがあるが……
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/23(木) 01:18:19.39 ID:QePqyI+wo
3月に出るゲームを買えばキャラの口調もバッチリ!
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 08:05:26.91 ID:ChKLvsY8o
原作者以外が書いたシナリオだとおかしいとこ多いけどね
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 20:12:04.42 ID:Z336RpiKo
ラブリーマイエンジェルのシナリオは三木らしい
個人的には桐乃義妹シナリオと加奈子シナリオに期待
彼方さんも出るみたいだし

あと原作は4月10日に最新刊発売

それまでは2次創作で耐え忍ぶしかなさそうだな
262 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:56:01.06 ID:eW/jd3bio
ドタバタコメディってのは、どうもわたしには無理なようでした
>>245の続き……取り敢えず、これで完結します

8レス投下します

ネタを置いといてもらえれば、時間は掛かりますがまた書かせてください
263 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:56:44.38 ID:eW/jd3bio

俺がつい先程まで、二次試験に向けて自分の部屋で勉強をしていたのは嘘じゃない。
しかし、一息入れようとキッチンへ降りて来て、いつもの癖で麦茶をひとくち口に含んだのがいけなかった。
穏やかな冬の午後、柔らかな日差しがリビングの大きな窓を通して、部屋一杯に広がっていたんだ。
何気にソファーに目をやると、レースのカーテン越しに射し込む光が、俺に優しく手招きをする。

俺は麦茶の入ったコップを手に持ち、その光に誘われるままソファーに腰を下ろしちまった。
一息入れたらすぐに部屋へ戻るつもりだったのに、いつの間にか俺は、夢とうつつを行き来していた。
桐乃がいつもこのソファーに座っているせいか、あいつが小さかった頃のことを夢に見ながら……。

「――ほら、鶴ができたぞ。……で、次は何を折ればいいんだ?」

「うーん……なんかさぁー、ツルには見えないんだけどぉー。
 でもいいや、じゃあね、次は……このかみふうせん」

俺が小学校の図書室から借りてきた『おりがみ教室』という本を、桐乃は小さな手でめくって指差した。
今じゃ考えられないことだが、俺たち兄妹にとって、当時はごく当たり前の風景だった気がする。
桐乃がまだ保育園に通っていたとき、あの頃の桐乃の可愛さといったら尋常じゃない。
俺が学校から帰るのを心待ちにしていて、ときには通学路の途中まで出て来て待っていたもんさ。

「おかえり、おにいちゃん」

だから、俺が帰り道に友達と一緒にいる姿を見掛けると、桐乃は少し不安そうな顔になる。
もしかしたら、今日は、自分と遊んでくれないんじゃないかって思ったんだろう。
俺の友達もそのあたりは察してくれていたようで、俺の肩を軽く押して帰って行った。
桐乃は、友達が角を曲がって見えなくなるのを確認すると、ようやく安堵した顔になったもんだ。

「――で、桐乃、今日は何して遊ぶんだ?」

遊んでくれると分かった途端、本当は嬉しいくせに、しかしそれを俺に悟られまいとして口ごもる。
264 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:57:17.04 ID:eW/jd3bio

「桐乃、遠慮なんかすんな、俺は何をすればいいんだ?」

「あんた、そんなとこ座って、あたしに用を言い付けられんのずっと待ってたとか?
 もしかして、あんたってさぁ、生前はお使い犬かなんかだったんじゃないの」

俺がうっすらと瞼を開けると、そこには超短い制服のスカートから長い二本の足が伸びていた。
夢の中の幼い桐乃に声を掛けたつもりだったが、つい口を突いて声が出たらしい。
あの頃の素直で可愛かった桐乃は、立派に成長を遂げた後だった。

「じゃあーさぁー、このチョコ、お鍋でトロトロになるまで溶かしといてよ」

桐乃が俺の目の前に突き出した袋には、大きな板状のチョコレートが入っていた。
スーパーで買って来た製菓用のチョコレートだということだが、何でこの俺がそんなこと……。
待てよ。もしかすっと、俺のためにバレンタインチョコ!?
いやいやいや、俺が鍋でトロトロに溶かすまでやったら、あとは型に入れて冷やすだけじゃねえか。
桐乃から貰えるのは有り難いが、ほとんど俺の手作りチョコみたいなモンで、何か嬉しくねえ。

「俺が鍋でチョコを溶かしちまったら、桐乃は何をやるんだよ」

「何って、型に入れて冷やすに決まってんじゃん。
 本当はあんたなんかにやらせたくないんだけど、あたし、これから買物に行かなきゃなんないし。
 ラッピング用の可愛い包装紙とか、それにリボンも必要だしね」

「俺は別に、そんな可愛いラッピングなんて無くてもいいんだが……」

「ばかじゃん! 何か勘違いしてるようなんですケド。
 バ、バレンタインチョコなのに、何が悲しくてあたしがあんたにあげなきゃなんないのよ。
 ま、まぁ……あまったら、カケラくらい食べさせてやってもいいけど」
265 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:57:54.06 ID:eW/jd3bio

俺はチョコのカケラで尻尾を振るようなマネなんかしねえし、ましてやお使い犬でもねえ。
しかし待てよ。桐乃が、俺以外にチョコを渡すような男って……いるのか?
桐乃の同級生の男? いや、桐乃に限ってそれはねえだろう。
じゃあ、モデル仲間の御鏡? いや、あいつは三次元の女の子には興味がないはずだ。

「な、なぁ桐乃。……バレンタインのチョコ、誰にやるつもりなんだよ」

「誰って、あやせとか加奈子とか、ランちんとかと交換するに決まって……。
 ――あっ、そっか。あんたさぁ、このあたしが誰にチョコをあげるか心配なんだ?
 妹が誰にチョコをあげるか気になるなんて……あんたって、本当にシスコンの鑑だよね」

桐乃は感心したように俺の顔を馬鹿にして見ていたが、俺はまったく別のことを考えていた。
明日になれば、桐乃は手作りバレンタインチョコをあやせにも渡すつもりだ。
あやせもまさか俺が陰で手伝ったなんて思いも寄らないだろうが、俺の生存は確かめるかもしれん。
何しろあやせは、俺に早く死ぬようにとメッセージカード付きのチョコを渡してきた張本人だ。

俺が今日も無事に生きているのは、何もあやせのチョコを食わなかったからじゃない。
昨夜、思い悩んだ末に俺はあやせから貰ったチョコを一口だけ食ってから、机の引き出しに仕舞った。
本当に毒が入ってるなんて思っちゃいねえが、あやせのことだから強力な下剤くらいなら……。

「あんた、あたしの言ったこと聞いてた?
 あたしが帰ってくるまでに、ちゃんとお鍋でチョコレート溶かしておきなさいよね」

「――ん? ああ、鍋で溶かしとけばいいんだろ」

取り敢えず、あやせのことは横に置いとくとして、今やるべきことは鍋でチョコレートを溶かす……。
――って、俺は桐乃の召使いかっての!
266 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:58:24.39 ID:eW/jd3bio

桐乃は小一時間もすると、手に紙袋を提げてリビングへ現れた。
どうやら気に入ったラッピング用の包装紙が買えたらしく、かなりご機嫌のご様子だ。

「どう? ちゃんとチョコ、溶かしてある――って、あ、あんた、何やってんのよ!?」

「何やってるって、言われた通りに鍋で溶かしてるじゃねえか」

俺は、鍋で溶かしたチョコを得意げにお玉ですくって桐乃に見せた。
お袋が作るカレーと同じ要領で、ドロッというよりもサラッとしていて、中々の出来栄えだ。
ドロドロのカレーが好きな奴もいるだろうが、俺はこんな風にサラッとした感じの方が好きなのさ。
しかし、俺のドヤ顔とは対照的に、桐乃の顔はまたたく間に真っ赤に染まっていく。

「あんたまさか、お湯の中に直接チョコを入れたんじゃないでしょうね!」

「他にどうやって溶かすっていうんだよ。
 カレーのルーだって、肉や野菜をグツグツ煮込んでから入れるだろうが」

「カレーのルーって――チョコを溶かすときは、湯せんして溶かすに決まってんじゃん!」

「……湯せん? やっぱ、お湯で溶かすんじゃねーか」

俺が鍋をかき混ぜながら、桐乃から湯せんについて講義を受けたのは言うまでもない。
その後、桐乃は、俺がかき混ぜている鍋をジッと見ながら腕を組んで何やら考え込んでいた。
俺の額に汗が滲み出し、背中には冷たいものが流れる。

「ええっと、桐乃さん? これを型に流し込めばいいんだよな?」

「固まるとでも思ってんの?」

「……ちっとばかし水分が多いかと」

「とにかく火を止めて。……何かいい方法がないか考えてるから」
267 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:59:00.66 ID:eW/jd3bio

こういうときに限って、時間は無駄に過ぎて行くもんだ。
桐乃はキッチンの椅子に腰を下ろし、テーブルに頬杖を突いて眉間にしわを寄せていた。
俺はというと、桐乃の命令で今も鍋の中のチョコレートを丹念にかき混ぜている。

「加奈子は、わけを話せば赦してくれるだろうけど……あやせはどうしよう」

「おまえが誠心誠意、土下座でもして謝れば、あやせだって赦してくれるんじゃ……」

「誰のせいでこんなことになったと思ってんのよ!!」

「そりゃあ、チョコを溶かすの失敗したのは俺のせいだけど、俺に頼んだおまえにだって――」

桐乃が、いきなり椅子から立ち上がった。
俺はてっきり殴られるものと覚悟したんだが、桐乃は通り過ぎて冷蔵庫の前で立ち止まった。
先程までの阿修羅の如き顔とは打って変わって、何やらニヤついているのが怖い。

「うぷぷ。……あたし、いいこと思い付いちゃった」

桐乃は冷蔵庫の扉を開け、中から牛乳パックを取り出した。

「牛乳なんかで、どうするつもりだ?」

「まあ見てなさいっての――」

俺が訝しげに見ていると、桐乃は再びコンロの火をつけて、鍋の中のチョコに牛乳を注いだ。
少し注いではかき混ぜ、また少し注いではかき混ぜる動作を何度も繰り返す。
鍋の中のチョコは、粘り気のあるカレールー状態から、次第にビチャビチャへと変化していった。
どう考えても、これは絶対に固まるわけがない。

「なぁ桐乃、これって……もしかして」

「あんたにも分かった? これは、あたし特製のホットチョコレート」
268 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 00:59:30.68 ID:eW/jd3bio

バレンタインデー当日。
昨夜からの冷え込みは昼過ぎになっても変わらず、今にも雪が降ってきそうな生憎の空模様だった。
俺がつい先程まで、二次試験に向けて自分の部屋で勉強をしていたのは嘘じゃない。
しかし、あやせから再び呼び出しを受けた今、これまでの努力はすべて水泡に帰すかもしれねえ。

「さてと……殺されに行って来るか」

覚悟を決めていつもの公園に足を踏み入れても、そこにあやせの姿はなかった。
ポケットから携帯を取り出し時間を確かめ、俺はベンチに腰掛けて運命の時刻(とき)を待った。
冬の児童公園はいかにも殺風景で、かつてこの場所で繰り広げられたあやせとのバトルも今は昔。
空を見上げると、微かだが白いものが舞っているようにも見える。

「やっぱり生きていたんですね。わたしがあれほど忠告したのに……」

声に驚いて振り返ると、そこには冷酷な表情をしたあやせが立っていた。
あやせは、ポケットに突っ込んでいた右手をおもむろに出すと……

「これでも喰らえ! えいっ!」

「痛っ! いっ、いきなりなんてことすんだよ!」

あやせが投げ付けた物が俺の顔に当たって、地面に散らばった……ん?

「こっ、これはチロルチョコじゃねーか!」

あやせは再びポケットに手を突っ込むと、俺の顔をめがけてチロルチョコを投げ付けた。
俺は手で顔を覆いながら、散らばったチロルチョコを地面に這いつくばるようにして拾い集める。
他人が見たら不思議で異様な光景に見えるかもしれん。
しかし、誰が何と言おうが、今日は正真正銘のバレンタインデーだ。
どんな形であろうと、あやせからのバレンタインチョコであることに変わりはない。
269 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 01:00:22.44 ID:eW/jd3bio

「お兄さんは、恥ずかしいとは思わないんですか?
 桐乃が、わたしや加奈子のために作ったバレンタインチョコを独り占めするようなマネをして」

「……ん? ちょっと待ってくれ、あやせ。
 桐乃が作ったバレンタインチョコを俺が独り占めしたって、どういうことだ?」

「この期に及んで、まだシラを切るつもりですか?
 お兄さんなんかチョコに当たって死んじゃえっ! えいっ!」

白を切るも何も、俺は桐乃が作ったバレンタインチョコを独り占めしたなんてことはない。
俺がチョコを溶かすのに失敗したのは事実だが、それは桐乃にも原因がある。
お菓子作りはおろか、料理だってろくにやったこともねえ俺に無理矢理やらせたんだからな。

結局、バレンタインチョコは牛乳を混ぜてホットチョコレートへと変身し、俺と桐乃の胃袋へと納まった。
桐乃も正直言ってお菓子作りは苦手だったらしく、俺の失敗をいいことに有耶無耶にしやがった。

「ちょ、ちょっと待てっての。
 桐乃は、あやせに何て言ったんだ? 俺がひとりで全部飲んじまったって言ったのか?」

「せっかく作ったバレンタインチョコを、お兄さんが勝手に食べちゃったって言ってました」

桐乃のヤツ、あやせに本当のことが言えないからって、全部俺のせいにしやがったな。
しかし、俺が本当のことを言えば、また桐乃とあやせの仲が悪くなりそうだし……。
面倒なことになる前に、俺が謝っちまった方が得策かもしれん。

「――あやせ、俺が悪かった!
 確かに、俺は桐乃がせっかく作ったバレンタインチョコを全部食っちまった。
 おまえの気が済むって言うなら、俺を煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

「えいっ!」

「か、顔はなるべく避けてくれ!」

「えいっ!」

「痛っ!」
270 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/02/26(日) 01:01:04.51 ID:eW/jd3bio

虚しい攻防がしばらくの間続いた。
あやせのバレンタインチョコって、こんなにも痛い思いをしないと貰えないものなのだろうか。
俺のスタジャンのポケットが拾い集めたチロルチョコで一杯になった頃、あやせも弾が尽きたようだ。
それでも、あやせはポケットに手を入れたまま、悔しそうな顔で俺を睨み付ける。

「わたし、桐乃とは親友ですから……
 桐乃がお兄さんのことをどう思っているかなんて、口には出さなくても分かります。
 分かっていますけど……」

「あやせ……俺は……」

「――えいっ!」

あやせが最後に投げ付けたそれは俺の胸で跳ね返り、小さな音を立ててそのまま地面に落ちた。
明るい青い包装紙でラッピングされ、濃紺のリボンが丁寧に掛けられている。

「あやせ、これって……」

俺が拾い上げる間もなく、あやせは無言のまま駆け出して公園を出て行った。
あやせとの攻防の最中に降り出した雪は、いつしか公園の草木に薄っすらと積もり始めている。
何か言い掛けようとしたあやせの口元が、俺の脳裏にいつまでも残った。

家に帰って机の引き出しをそっと開け、先日あやせから渡された毒入りチョコ? と並べてみる。
今回のチョコも一口食べてみると、苦味の利いたビターチョコレートだった。
そして、これも予想していたことだが、あやせからのメッセージカードが添えられていた。

『お兄さんへ
 誠意を見せてください』

だってさ。

(了)
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 03:05:53.01 ID:XxvpV/tyo


投げ当てられたチロルチョコを必死になってかき集める京介・・・さすがと言うかなんと言うか、何でこんなに違和感ないんだろうな
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/26(日) 03:07:41.43 ID:GK0AM9vjo
あやせバレンタインと一緒に節分もやってね?
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/26(日) 06:18:19.66 ID:QEefLMbY0
乙!

俺の嫁を此処まで可愛いく書ききるとは...
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 17:05:54.35 ID:+QSgiftVo
桐乃もあやせも可愛いなww 乙!
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 16:40:41.06 ID:hzFoCFtDO
やはりあやせは京介の嫁だな
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 01:37:06.21 ID:8KOHllHOo
>>249
さて、そろそろPCの前で待機するとしようかね
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2012/03/01(木) 20:08:14.23 ID:MkNuWSr0o
>>270
 乙でした。
 桐乃が湯煎を知っているとは驚きの展開だった。
 ドラマCDのブックレットでは、チョコから石炭を錬成していたのに……。
 京介やあやせを始めとして、周囲は桐乃を傷つけないように間違いを指摘しそうにないのに(ある意味甘やかされているよね)、
どこで間違いに気が付いたんだろう?
 桐乃本人は、周囲のそんな状況も手伝って自分は何でもできると思い込んでいるようだけど、
だとすると間違いに気が付く要素がないんだよなぁ。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 21:45:52.50 ID:0GLxHFoBo
投下を待つ間、ちょっと自分語りなんかしてみる

>>277
SSを書くために、自分は○○派だとか、好きなキャラへの思い込みを出来るだけ排除して
原作を何度も何度も読み返すうちに、ふと思ったことがあります。
桐乃って、本当は自分自身の弱さにずっと以前から気付いていたんじゃないかってね。
それが、原作のどの部分を読んでいてそう思ったのかは内緒だけど……。

話は変わって、桐乃ファンの中には黒猫を毛嫌いする人がけっこういるようだけれど
やはり思い込みを排除して読み込むと、この二人に共通点が見えてくる気がします。
作中で、黒猫が瀬菜にゲーム作りの協力を求めるシーンの台詞の中に
それが垣間見える気がするのだけれど。

そんな私は黒猫派。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/03/01(木) 22:20:10.79 ID:tr1ACZMAO
湯煎くらいは知ってるんじゃ……って、単なるイメージ先行でしかないわけだけど。

>>278
それだけ集中できるのはストイックですごいと思う。
自分は逆にSSを書くために原作情報を遮断するようになってしまった
旬な話題に乗れないのが少しさびしい(´・ω・`)


ときに、3ヶ月たって>1の関連スレがだいぶ変動した件。
告知来てないけどちょいちょい増えてきてるね。
ここへの投下が減りつつあるのはつまり独立の気運が高まってるってことかしら
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 22:28:16.02 ID:QcY0t/XuP
>>278
そりゃ黒猫派からすればヒロインに昇格できればラッキー、
出来なくてもサブだししょうがないですむしな
桐乃派からすれば今更ダブルヒロインとか冗談じゃないって話になるわけで
黒猫を毛嫌いしてる理由を人間性からだけだと思ったらそれは色々違うと思うよ
とりあえずスレチ発言ですまん
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 23:10:29.61 ID:0GLxHFoBo
>>280
自分から黒猫派と言ったのはどうも蛇足だったようですまない

矛盾に聞こえるだろうけど、別に黒猫が桐乃を抑えてヒロインになる必要はない
この物語は、何と言っても京介と桐乃の物語なんだからね
最終的には二人が結ばれる(近親相姦的な意味ではなく)のが理想だし
実際そうあるべきだと思っている

原作は京介の視点からの一人称形式をとっているから
桐乃の心情なんかを十分に描写する上では多少なりとも無理がある
そこで、黒猫という別の登場人物を描くことによって
桐乃本来の可愛さや心の優しさなんかを表現しているのではないかと……

って、俺がいままで書いた桐乃SSでは、桐乃の可愛さがうまく書けてなかったようですまんね
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 01:05:58.41 ID:+IQUR9Mjo
黒猫vsあやせ!? 意外な組み合せに注目な人気シリーズ最新刊!

◆俺の妹がこんなに可愛いわけがない(10)
著/伏見つかさ イラスト/かんざきひろ 定価:620円

あのバカがしばらく一人暮らしをすることになった。受験勉強に集中するためってのと、あとひとつ、お母さんが最近あたしと京介の仲がよすぎることを変に疑ってるらしい……。
あたしと京介がそんな関係に――なんて、あるわけないじゃん!

で、まあ、責任の一端は、ちょっとだけあたしに……あるみたいだし、あいつもどうせコンビニのお弁当とかばっか食べそうだし、仕方ないから、あたしが面倒見てあげようかと思ったんだけど……。

ちょっとあんたたち、なに勝手に京介の家で引越し祝いパーティ開こうとしてんの!?発案者の地味子はいいとして、黒いのに沙織に、あやせに……加奈子まで! 
ていうか、あんたたち知り合いだったの!? えっ? 地味子と仲直り? そんなのあとあと! 
あーもー、ひなちゃんは言うこと聞かないし! こんなんじゃ京介が勉強に集中できないじゃん!
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 21:49:25.10 ID:YTIYCRYzo
しばらくはイベントらしいイベントもないなぁと思ってたら
明日が3月3日だったのを忘れていた。当然のごとくSSは間に合わん

高坂家:

京介「どうするよ、桐乃」

桐乃「別にいいじゃん。中学生にもなって、今さらひな祭りって言われてもねぇ」

新垣家:

あやせ「♪あかりをつけましょぼんぼりに〜 お花をあげましょ桃の花〜 ひっく……」
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/03(土) 05:39:13.65 ID:RSfGOhX2o
高坂家

佳乃「いい加減どいて下さい! いつまで出しておくつもりですか!?」

大介「しまわせはせん! しまわせはせんぞおおお! 京介、死守だ! 死守うううう!」

京介「ディーフェンス! ディーフェンス!」

桐乃「今年もやってる……」
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 08:20:53.30 ID:C/n9I6pjo
行き遅れ狙いかwww
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/03(土) 15:44:32.35 ID:Nzs5eLZk0
死守じゃねぇwwwwww
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 12:02:21.37 ID:CWyOAJik0
ワロタww気持ちはわかるけどwww
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 22:32:50.99 ID:5QLCZq+Zo
来週は、ホワイトデーだったな。……別に大した意味はないんだが。
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 02:12:04.06 ID:DFYDvfgQo
>>284の意味がわからなくてしばらく悩んでたけど、やっと意味がわかった

>>288
今年の俺のバレンタインは母親のすーで売ってるエクレアだったぞ
どうでもいい話だけどな
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/07(水) 02:21:03.41 ID:Vyue2Cijo
ホワイトデーにはバレンタインに投下されたSSの10倍の数が投下されるらしい
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 03:54:24.31 ID:DFYDvfgQo
つまり0じゃねーか

そろそろ時系列を無視したssが1つ書き上がりそうなんだが、最後のオチにもっていけない・・・
去年から書き始めて、短編にどんだけ時間掛けてんだよ俺
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/07(水) 07:40:20.66 ID:EMJtUNB1o
黒猫「3月7日は花粉症記念日らしいわ」

桐乃「なにその悪趣味な記念日」

沙織「名付け親の頭の構造が知りたいものですな。とはいえ、記念日であるならばそれなりのお祝いをしなくては」

京介「やめろ! そんなアホな理由で俺の部屋を杉の盆栽で埋め尽くすな! ほら、そこの奴とか花粉が飛んでるって!」

桐乃・黒猫・沙織「」ササッ

京介「おまえらだけちゃっかりマスク用意してんじゃねえよ! 俺にもよこ……ぶえっくし!」
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 21:55:20.98 ID:Dw+dl5Jd0
久しぶりに来たけどここも結構過疎だね
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/03/07(水) 22:35:57.03 ID:CMKQzcORo
京介「ポケモン?」あやせ「はい」桐乃「その2!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331113979/
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 00:23:27.49 ID:qXth/ZxVo
VIPには投下されても、SS速報には久しく投下されず
やっぱ、読者の数が違うことが理由か? それとも台本形式はVIPの方がいいのか?
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/03/08(木) 01:00:50.46 ID:vFwfQrgno
京介「桐乃!人生相談乗ってくれ!」 桐乃「はぁ!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331135219/
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 09:35:50.75 ID:i56becMe0
>>295
あんまり考えたくはないが、そもそもこの作品自体が勢い下降してるからね
書き手はもちろん読み手ずいぶん減ってしまった感がある
ちなみに久しぶりに様子見てみたらエロパロは完全に壊滅してた
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 12:56:58.92 ID:/BOCtPwSO
だって俺沙織の話しか思い浮かばないし……
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県) [sage]:2012/03/09(金) 16:14:08.65 ID:vqwPJARto
>>298
その話は真のメインヒロインをみなさんに知らせることにおいてとても重要でござるよ
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/03/10(土) 04:19:23.88 ID:jh8gbCdCo
桐乃「兄貴ッ…兄貴ィ…」ハアハア
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331305539/
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/10(土) 23:47:21.23 ID:0XUfSmSf0
求ム黒猫SS
……いや、この際BL以外なら何でもいいから読みたいな
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/10(土) 23:59:51.70 ID:gkxkZjRSO
>>301
残念ですね……。
せんぱい総受けのBL大作投下する予定だったのになぁ〜
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 00:14:58.27 ID:ksp+mbCLo
瀬菜ちゃんハウス
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 00:28:33.68 ID:wE+Lsasbo
>>301
7巻が発売されてから8巻が出るまでの間に書いていた黒猫SSがあるんだが……
8巻を読んで投下するのをやめた
黒猫と京介が別れるのは想定内だったけど、あまりの糞猫ぶりに呆れてやめたんだ
そんな私は黒猫派
305 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/11(日) 04:14:44.86 ID:uDge6EI/0
確かに、最近、黒猫のSSあんまり見かけないので
勢いでちょろっと書いてみた。
確かに、8巻の一番の被害者は黒猫の様な気もする。

そんな私は麻奈実厨
本当は麻奈実メインで書きたいが
好きなキャラだと書きにくいんだよな。


ってことで
京介×黒猫で
306 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/11(日) 04:18:44.04 ID:uDge6EI/0
……………とかく女は男を変えたがるもの

" Rescue Cat(禁止カード) VS Gem-Knight L.L."





「あの女とは別れて頂戴」


「へ?お、おまえ何を言って……ん……」

黒猫、京介の胸に飛び込み抱擁する。



あの時は………私は躊躇して、あなたが答えを言おうとした時、
言わせまいと愚かにも、『私は死ぬ』と言ったわ。
消極的に……でも、もう耐えられない。私はやっと分かったのよ………。
もう全て遅いかも知れない、もう手遅れかも知れない。
とっくの昔に全ての事は決していて、何も変えられないかもしれない。

それでも良い………あなたに捨てられて、拒絶されて、完全に見捨てられても良いわ。
その時は地獄に堕ちて、煉獄の炎に焼かれて灰になるだけ。

そんな事よりも、もう絶対に後悔はしたくない
……妥協、優柔、諦観、躊躇、 逡巡、尻込、未断、不断の現(うつつ)の
常世でそんな思いに駆られるのならば、

悠久の苦しみを味わった方がずっと良い。
未来永劫、悲しみ続けた方がずっと気が晴れる。
久遠の痛みに藻掻き、のたうち回り続ける事を望むわ。


もう私は何も我慢しない……私の全てを使って、あなたの全てを奪う


「………………」
京介、茫然として言葉が出てこない。

307 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/11(日) 04:20:55.06 ID:uDge6EI/0



フフ………良いのよ。
あなたが動けないなら、ずっと私があなたを羽交い締めにして、
きつく抱きしめて離れないだけなのだから。

あなたが声を出さないなら、
その口を塞いで……あなたの言葉を永遠に奪うだけなのだから。



黒猫が接吻しようとした瞬間、何とかそれを押しとどめる京介

「まぁ………おまえ……ちょっと………お、落ち着けよ?な?な?」



『落ち着け?』ですって?

私は落ち着いてるわよ。おかしいのはあなたの方………ねえ京介?
あなたは選ばなければならない。

私と魂を一にして融け合うか?それともあの女を選んで私を、私の魂を[ピーーー]のか?
あなたが選べるのは二つに一つ



「……………別れる事は、で、出来ない」

「……………あら、そう?分かったわ……さようなら、京介」



背を向けて走り出そうとする黒猫の手を思わず握りしめる京介

「おい!…………あの死ぬとか言うのは?!」


もうあなたには関係のない事でしょう?
私は全てを投げ出して、あなたを手に入れようとした。
あなたは私を拒絶した………これ以外に、他に何の答えがあると言うのよ。

私は全てを賭け、そしてその賭けに負けた。
私が出来る事は、私の愛が、思いが、心が、私の中の京介が嘘じゃなかったと
私の言葉が全て真実だったと証明する事だけ。
その事すら許されないならば、私は本当に傀儡の人形になってしまう。

あなたは自ら、私の魂に繋がる心の糸を切ったのよ。
もう私はあなたの操り人形じゃないわ、もうあなたの言葉にも、
あなたの何にも断じて影響されない。

だからさようなら……京介、私の愛しい人
308 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/11(日) 04:25:13.87 ID:uDge6EI/0

「だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ……ダメだ、絶対にそんな事
認めるわけにはいかねぇ!!!!!!」


「離して頂戴」「………!」「だから離して!」「…………!!!!」

「だから離してって言ってるでしょ!離せ!、離せ!、離せ!!!」


「く、くろ………瑠璃!」 「?!」

「瑠璃………話を聞いてくれ」

「き、気安く名前を言わないで頂戴。もうあなたには関係ない人間の名前なのよ」


「俺は黒猫じゃねぇ、瑠璃………おまえに(と)話をしているんだ」

「い、良いわ………どうせ消えてなくなる身なのだから、最後に聞いてあげましょう」


「瑠璃、好きだ!」 「ちょ、ちょっと………す、す……」


「俺はおまえが好きだぜ」 「う、嘘、嘘………嘘つき……京介の嘘つき!」

「嘘じゃねぇ…………俺は瑠璃が一番好きだ」


じゃぁな、何で………何で最初からそう言ってくれなかったの?

わ、私……あなたが……京介が意地悪してるのかと思って…………



瑠璃号泣、京介……瑠璃を抱擁してほっぺにキス

「た、足りないわ、全然…………京介は、やっぱりあの女の方が好きなのでしょう?」

「いや、今はおまえの方が…………瑠璃の方が全然好きだぜ?」
309 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/11(日) 04:29:03.97 ID:uDge6EI/0


「い、今は?裏切り者………やっぱりあなたを先に殺してから私も死ぬわ……
京介の裏切り……うら………ぎり………もの」

再び抱擁して、今度は口に接吻


「これで納得したか?」

「か、勘違いしないで頂戴、これで認めたわけじゃ……納得なんて全くしたわけじゃ」


「瑠璃、瑠璃、瑠璃♪」

京介、子供の様に瑠璃に顔をすりつける


「京介、京介、京介……ァ…………ン…きょう……す……け……ン…」

瑠璃、同上 & 胸をクンカクンカ & 同上 & クンカクンカ……






「日向お姉さん、瑠璃お姉様は京介さんと何をやっているんのでしょう?」


「あ、あれはね………黒猫と瑠璃姉のどっち好きかって言うバカップルの……(略)」








おわり
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/11(日) 07:31:15.64 ID:r74mEQKOo
なるほどこういうオチねwwww

シリアル展開かと思ったけど、全くそんな事なかったwwwwww
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 08:55:06.56 ID:JLBEJCgw0
>>305
イラっとくるほどのバカップルだなwwwwwwwwww
乙でした

……なんなら麻奈実にも挑戦してみては?
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 15:41:10.44 ID:szQTpymE0


神猫さんの出番はまだですか?
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 16:37:17.75 ID:QxdKHf3ro
桐乃「兄貴とお風呂」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331505522/
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/13(火) 22:57:10.21 ID:YrgpGQwWo
あやせ「お兄さんとお風呂」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331614928/
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 07:50:03.26 ID:+oMe9t+Mo
黒猫「先輩とお風呂」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331673782/
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 11:41:37.64 ID:vW+0L+Tbo
沙織「京介殿とお風呂」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331759908/
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 17:19:13.71 ID:NOGj/0AK0
10巻表紙のエプロンきりりんヤバいかわいい
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 20:38:58.61 ID:rWjqtchZo
もし、まとめwikiの訪問者数が500を切るような事態になったら
塩漬けになっているSSを取り出して、きれいさっぱり在庫処分といこうかね
春だし……引越しシーズン?
319 :ドネッキャオ :2012/03/16(金) 17:09:07.11 ID:H5qR7a770
こりゃ
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/17(土) 09:04:49.07 ID:E5qRqgfX0
ってか書いてるとかここで宣言せんで良いから
物を上げたらイイんじゃないの

321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 10:36:37.21 ID:l+AUzE900
このままでは次スレが必要ないという事態に
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 18:58:45.47 ID:UeJ5rVgOo
瀬菜「高坂先輩とお風呂」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1332035195/
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 22:03:11.52 ID:ldGPVa6n0
あんまり言いたかないけど、原作が半分オワコンみたいになっちゃってるから関連スレが過疎るのも仕方ないよね
特に8巻は否定意見の方が多かったみたいだし、何より次の9巻が空気だった
ゲームと10巻の発売時期はだいぶ遅いし、なんか色々タイミング逃しちゃった感ある
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 22:45:46.15 ID:XUi66lYSO
>>323
>あんまり言いたかないけど、原作が半分オワコンみたいになっちゃってるから関連スレが過疎るのも仕方ないよね

それだけは言っちゃダメだろ……
まあ確かに関連スレに関して言うなら目で見てわかるくらい勢い死んだけどな
アニメ終了と8巻ショックが大きかった思う
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/19(月) 22:53:30.71 ID:tbi+ldjzo
8巻というよりも黒猫とどんな形にせよ1回くっついちゃった時点で問題
ああいうのはどうしても『誰か』に決まっちゃうと読者は減る
ましてやメインじゃないと尚更、その上あの8巻の展開じゃきついよ
ゲームがもっと早く出ればねぇ
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/19(月) 23:08:46.96 ID:aDcg5uxUo
単にアニメが終わったからだろ
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 23:42:31.98 ID:LYU3GoQxo
『禁書』とか『けいおん!』もそうだけど、圧倒的に台本形式のSSが多いのに
それらと比べて、ここで投下される『俺妹』のSSって、地の文メインばっかじゃん
気力的、体力的に辛くなってきたんじゃないの?
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 23:43:33.03 ID:OfeYexC/o
黒猫が意味不明なキャラになったので書けなくなった
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 00:15:02.84 ID:40VqcdZH0
>>325
それはあるな
あの展開だとどうしても未来的に黒猫√以外ありえない感じになっちゃたし書きにくいかもね
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 00:57:37.58 ID:/geOqFeco
ネタが熱いうちに書きなぐらず吟味してゲームのほうに逃げて原作は延期して
結局添削しすぎて熱の冷めた文章をまとめたものを売る
これじゃあ駄目だろうよ
月刊誌に掲載するために期限守って納得いかないまでも思いついたネタで作品にしたもののほうが人を引き付けるもんだ
桐乃や黒猫に代弁させてたプロ意識や作品作りの熱意ってものがさっぱりなくなっちまった
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 08:38:17.02 ID:/iGWBjhl0
>>330
良い事言うねぇ
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 11:55:37.65 ID:Ft8vPpTt0
黒猫と京介が付き合ったから他のカプ厨はみんなガッカリして、
更にそのあと破局したから結局黒猫厨もガッカリ
まさに一連の恋愛編は誰得な展開になってしまった
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 13:25:55.93 ID:7iLsEaWW0
つーか純粋に8巻9巻は面白くなかった
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 23:54:08.27 ID:x0oa9p6Xo
麻奈美「京ちゃんとお風呂」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1332278657/
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/22(木) 01:05:58.56 ID:b+05PXVFo
>>334
加奈子と日向が飛んでない?
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/22(木) 06:54:39.20 ID:QAMyyxSMo
>>335
加奈子はあったはずだぞ
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 16:09:38.51 ID:RsWORqNIo
>>336
このスレに貼られてないって意味
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/24(土) 10:01:28.34 ID:bIit4fE/0
>>333
8巻は後半以外おもしろかったと思うぞ。
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 09:03:02.47 ID:oO7+583F0
単純にもうブームが去ったから盛り上がらないんだよ
ただそれだけの話

現時点で書き手は1人?2人?
読み手さえも実は数えるくらいしかいないんじゃないのか
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/25(日) 12:01:35.18 ID:8PE+7MAAO
潜在的にはプラスもう2,3人くらい?>書き手

320で厳しい指摘を受けてるけど、長いあいだ書いてる途中あるいは構想中なのを書き手に含めるかっていう…
はいゴメンナサイ

個別スレも、全体で見て1ヶ月に1,2ヶ所更新があれば…ぐらいになりつつあるね

もう皆ここに回帰集約してもいいんじゃまいかと思うこともたまにある
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 18:43:02.19 ID:tLnQu5dlo
rom専だがこのスレいつも見てるぞ
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/25(日) 22:42:38.52 ID:4RolTI+7o
潜伏してる読み手は沢山いると思うぞ。俺みたいに。
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/25(日) 23:23:18.10 ID:A+/beKx0o
1年半くらい書いてなかったら書き方忘れちったよ
文章が出てこないww
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 16:21:36.07 ID:6qVPxSco0
この分じゃもうPart13はないかな……?
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 19:35:34.41 ID:oJK5TqzCo
進まねえな
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 00:19:17.88 ID:qg7OAiHZ0
次スレどころかこのスレが1000行く前に落ちるんじゃないかと思うが
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 09:58:30.48 ID:d9cIeGQ7o
京介「黒猫ッッ…黒猫おぉぉぉ」パンパン
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1332785755/
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 15:26:59.70 ID:tmAUTekZo
春といえば卒業シーズンじゃないか
皆、このスレを踏み台にして旅立っていったんだよ
残された者のつとめは、淡々とスレを埋めるだけ……
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 22:09:39.08 ID:qg7OAiHZ0
むなしくも迫るhtml化
最後の投稿から2週間以上経ってるのか
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 00:00:55.71 ID:kDARQs+D0
ぐぬぬ……
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 11:11:02.39 ID:NVnNNvcSO
>>346
むしろ500行けるかなってレベルだな
どっちにせよこのままだとPart.13は必要ないってことになるだろう
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 15:38:57.40 ID:aHKDwNCB0
この調子だと原作発売してもゲーム発売しても変わらないと思うな……
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/28(水) 19:32:43.28 ID:ORy/dzFoo
時間が経ってアニメでブーストした効果が無くなったんだしまあ仕方ないわな
原作も9巻が丁度中休みの展開だったし
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 20:03:44.27 ID:G2SLXph/o
二期ないん?
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 21:58:56.44 ID:wjQBQyiAO
俺の妹スレがこんなにペシミスティックなわけが…

投下無くてもこんなに伸びてるのに
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 23:35:46.26 ID:hu2gfgpyo
俺妹SSの書き手って、社会人の比率がいくぶん高いんじゃなかろうか
そうなると、年度末の三月はSSを書いてる暇なんてないわな
春休み中の人っている?
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 12:24:47.05 ID:4kljST92o
就活生だけど、ちまちま書いてるよ
最後のオチは思いついてるのに、そこにまで持っていく気力がわかない

9巻も個人的には良かったけど、SSの新しいネタにはなりにくいやつばっかだった気がする
ゲームで彼方さん出てくるっていうから期待してたのに、発売延期だしな・・・
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 00:41:50.93 ID:YSaayGnHo
京介「ポケモン?」あやせ「はい」桐乃「その3!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333020370/
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 02:44:28.08 ID:lPRvT8Dwo
4/10が待ち遠しい
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 21:29:23.52 ID:B66H3se3o
何も投下されないよりはマシかと思って、超〜短いSSを書いてみた


『生と死を見つめて』

どうやら俺はベッドか、さもなければソファーの上にでも寝かされているようだった。
なぜ寝かされているのか、俺にもはっきりとした記憶は無かった。
混濁した意識の中で今わかることは、桐乃が俺の手を握り、ずっと泣いていることだけだ。
俺が声を出そうとすると、何かが腹の底から込み上げてきて邪魔をした。

俺の身に何が起こったのか、記憶の断片を手繰り寄せてみるが判然としない。
そもそも桐乃が泣いている理由がわからない。
ともかく俺は死んだわけでもなさそうだし、大怪我をしたわけでもなさそうだ。

「京介……」

温かみのある声だった。
俺は桐乃が、俺のことを“京介”と呼ぶのを初めて耳にした。
世間一般の兄妹でも、妹が兄貴を呼び捨てにすることはあるだろうが……とにかく温かかった。
うわずった声で桐乃が再び俺に声を掛けてきた。

「ごめんね。……本当にごめんなさい……京介」

なぜ桐乃が俺に謝る? 桐乃が、俺に何かしたというのか?
俺の思考は曖昧な記憶と相まって、ますます混乱するばかりだった。
腹の底から込み上げて来るものを無理やり押し退け、俺がもう一度声を出そうと試みたときだ。
打ち破らんばかりの勢いでドアが開く音が聞こえたかと思うと、聞き覚えのある声がした。
あやせだ。

「――桐乃! お兄さんの容態はどう?」

「うん。……少しは落ち着いてきたみたいなんだけど……。
 まだ意識が朦朧としてるみたいで、さっきからうわ言を言ってるんだけど……」

「すっごい汗かいてるけど、お兄さん大丈夫かなぁ……。
 あっ、それよりも、桐乃に頼まれたの買ってきたよ。これでよかったんだよね」

「ありがとうあやせ。
 このバカ、昔っからこの胃腸薬しか効かなくて」

胃腸薬という言葉に、俺の胃と脳ミソが敏感に反応した。
意識が少しずつ鮮明になり、断片化していた記憶も意味のある形へと変わってきた。
そういえば、今日はお袋が出掛けていて、昼飯は桐乃が作ったんだっけ。

(了)
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/30(金) 22:21:47.15 ID:zNB9MVVLo
一体何を作ったんだww
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 22:36:43.80 ID:zfrPEvYbo
シリアスものかと思ったらオチwwww
363 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 00:51:03.47 ID:ieKxmdcF0
他所で書いた完結したネタの続きだけど、
ここの方が過疎ってるみたいだから投下

人それぞれ色々考え方があるが、
ハーレムルートはやっぱ書けないなぁ

何の問題もない状態で長々書くとか
俺ってどんだけあやせ好きなんだろう………



京介×あやせで
364 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 00:54:39.79 ID:ieKxmdcF0



"I've fallen in Love with Lovely my holy-fallen Angel"




付き合い初めて、約三ヶ月。


本当に一歩間違えると即Game overなトラップをやり過ごし、耐え難き暴言、暴力、
虐待を何とか堪え忍んだ。


俺の彼女の名前は新垣あやせ、俺が大学生になった時、
同時にあやせが高校生になった時、俺たちは付き合う事になった。

あやせに429回"ぶち殺しますよ"と言われ23回"死んでるやる"と絶叫され、
2回"好きです"と言われて俺らは恋人になった。
物理的に52回殴られて、5回死にかけた。

大学になったのをきっかけに一人暮らしを始めた俺の部屋に、
あやせが遊びにきてエロDVDを発見されて罰せられてたのだが、何とか仲直り出来た
                
               が

その後、突然桐乃が訊ねてきてあやせを無理やりクローゼットの中に隠して、
桐乃との恋人の様なやり取りを見せつけた後、風邪を引いて怒ったあやせの
命令で、あやせの家に俺が深夜に侵入して、何とか仲直りをした
      
              けれど

その後、今度は俺が風邪を引いたのをあやせが看病しに来てくれたが、
あやせが突然泣き出して、またもや危機になったのだが、何とか仲直りした直後の話だ。



そんなわけで


「はぁはぁ」
俺は息をきらせて、走っていた。

今日、あやせは加奈子の家に泊まると親には嘘をつき、俺の部屋に泊まる事に
なっ(てい)た。
あの真面目で優等生でお嬢様のあやせがまさかこんな門限破りの大胆な行動を取るとは
……
本当に女って生き物は、全く分からんもんである。


今は別に、また喧嘩して居なくなったあやせを探してるわけではない。
(そうそう、俺の可愛い彼女は怒り出すと失踪すると脅したりする。
さっきもそうやって脅されたが、実はクローゼットの中に隠れてた)

って事で俺の可愛い彼女は良い子にして部屋で待っている事だろう。



 「----------ただいま、あやせ」


 「京介さん----------おかえりなさい」



さきほどの俺(男)のロマン
(あやせに自分の家のカギを渡して、おかえりなさいと出迎えて欲しかったのだ。
家に帰れば可愛い嫁がいる…………男なら誰でも分かる野望だと思う。)は終わり、

いよいよ後生大事に、守り続けてきた童貞を
放り投げようとしたのだが………
365 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 00:56:47.55 ID:ieKxmdcF0

あやせが本日2回目の泣き顔だったので、ずっと抱きしめたまま頭を撫でていた。

「しっかし…………おまえ、最近よく泣くよな」


「ふ、ふん……誰かさんだって、さっきは赤ちゃんみたいに号泣してなかったですか?」


「あ、あれ〜そ、そうだっけか?」

実際、そうだったのだが…………。


「『あやせが居ないと死ぬ、あやせ別れないでくれ、あやせが居ないとダメなんだぁ』」


「おい!んなことぁ言ってねぇだろ、捏造してんじゃーね」


「へぇ〜違うんですか?ふぅ〜ん、違うんですね?あ〜あ、しょうがないですね……
あなたが違うと言うなら……わたしにも考えが。だって、だって違うんですもんね?
京介さんっ!」

「……………」

「だ、だって、だって……………ち、違うんでしょう?!!」

「ZZZZ」

俺は獰猛な熊に襲われた登山者のつもりで狸寝入りをかます。
しかし猛り狂っている俺の彼女は………

「『光っちゃう 蓄光+蛍光 プレーンタイプの薄型 うるおいゼリー加工による
潤滑作用』」

そうなのだ、熊に寝たふりするのは間違った知識なので、解決する筈もなく
あやせは俺がドラッグストアで風邪薬と共に大量に入手してきた……ブツを……
物色しながら大きな声で読み始めた

「ZZZZ?ちょ、ちょっと待って」

「『スゴうす うすうす オカモト…こ……』」

「だぁぁあ゛……あやせさん……だ、だから、ちょっと待って」

「小芝居に付き合ってくれとか言ってっ!あーあ、わたしにお留守番させておいて……
何でこんな物を大量に買い込んできっちゃってるんですか?あなたは……まったく………?
……?…はっ!ま、まさか………」


「な、なんだよ?」


「"男のロマン"って、これの事だったんですかっ?こ、これの事だったんですね!!」


「(ギク)……ち、ちげぇ……違うから!ほ、本当に家に帰った時におまえが居てさ、
出迎えてくれたら嬉しいと思ってたんだって、本当の本当だからさ」


「(ジー)ふ〜ん、信じて良いのかなぁ?さっきは凄く素敵だと思ったのにぃ………
何だか、京介さんが単なるマニアに見えてきちゃいました、わたし」

「あやせが居ないと、俺は淋しい」

「え?」

「あやせ………絶対にぃ居なくならないでくれ!!!」

「………わ、分かりました」

「あ・や・せが居ないと、お、俺はダメなんだぁ!!!」


「もうぉ!分かったからっ………わ、わたしだって………そうっ……なんだ…もん」

366 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:00:54.24 ID:ieKxmdcF0

世の中のバカップルがやりそうな痴話喧嘩だった。
まぁしょうがない、馬鹿な事も情けない事もあやせの為にやるって決めたのだから。

こいつと付き合って分かった事がある、それは要するにあやせの愛に応えるには
それ以上の思いで受け止めてやるって、考えてみりゃ当然のことだ。


あやせに嘘をついたり、誤魔化したり、恥ずかしがったりしてはいけない。


あやせが不満なら、ちゃんと横にならんで、満足するまでこいつの声を聞いてやる。
あやせが不信なら、ちゃんと向き合って、納得するまで眼を見つめて話す。
あやせが不安なら、ちゃんと後ろから抱きしめて、安心するまで言葉をかけてやる。


そうやって……かなり遠回りして何とかやっとこ俺たちは"ちゃんとした"恋人同士
になれたんだ。

俺たちは

告白された時、あやせが突然した稚拙なファーストキスではない
喧嘩した時に、あやせに嬲られながらやられた乱暴な二度目のキスでもない
仲直りした時に、俺があやせの口を塞ぎながらやった用心の為に何度もしたキスでもなく
さっき別れそうになった時に、俺があやせを引き留めようとした懇願のキスでもなくて


どちらかから導いたわけでもなく、とても自然に思いを込めて唇を重ねた。

「なぁ…………あやせ…………」

自然な流れで、あやせの首筋を愛撫して服を脱がそうとしたのだが………

「ちょっと待って、、ください………。
わたし、あ、汗かいてるし………えっと………お、お風呂入っても良いですか?」


「え?ああ……………もちろん良いぜ」

覚悟を決めて迫った筈なのに、あやせに軽くいなされて拍子抜けする俺。

「後、もうひとつ……お願いが……あります。
あの、着替える服がないので……そちらもお借りしても大丈夫…ですか?」

あやせは高校の制服のままの格好で、、それはそれで可愛いのだが
流石にそのまま寝るわけにはいかないだろう。

「え、えっと…かなりベタだが…………着替えは俺のシャツと短パンで良いか?」

あやせのお泊まりは、突然の思いつき(多分)なので当然用意なんてしなかった。

「大丈夫ですよ、もちろん。逆に女物のパジャマなんか有ったら………テヘ♪
ふふ………どうなるか分かってますよね?〜ね♪」

「ねぇから、安心しろ(汗)大体、俺の部屋泊まろうとする奴なんて恋人のおまえ以外に
いるわけねぇだろ?自分の彼氏を信用することをそろそろ………」


「でもでも、京介さんの部屋に遊びに来たのって桐乃だけじゃないですよね?」

ニコニコしながらあやせが俺に聞いてきた。

「え?゛」

あやせの笑顔………これも付き合ってから、最近ようやく実感した事なのだが
あやせの笑顔には………あやせと言うか多分、女の子の笑顔にはいつかの種類があるのだ。
367 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:03:06.52 ID:ieKxmdcF0

「あれあれ……おかしいなぁ。
お〜い、京介さん……わたしの言ってる事聞こえてますかぁ?」

所作は可愛らしく、俺に近づきヒソヒソ話をする感じで優しく耳元で囁く

で、これは『素直に言いなさい、さもないと………』って笑顔だな。

「………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………ウン」

「ねぇねぇ………京介さんの声が聞きたいのになぁ……聞こえないですよぉ、
言葉を聞かせて欲しいのにぃ……もう意地悪さんですねっ(ぷい)」

これは『言い訳してみてください』って笑顔だな………

「や、やましい事は何も無いんだ。」


「そうなんだ。わたし、適当に言ったら当たっちゃいました。
ちょっと…わたしってエスパーみたいじゃないですか?偶然ってこわいですぅ(棒読み)」

これは普通に怒ってるな………やれやれ


「だ、黙っててごめん。か、か、か、隠してる……つ、つもりは………」

「ちょっと京介さん相変わらず、卑屈すぎますよね。ドン引きです、わたし。」


「お、怒ってないの?」

「ぜんぜん……怒ってないですよ。ただ聞いただけですし。」

「そ、そうか……あはは、そうだよな。」


「でも次からはちゃんと教えてくださいね……会っちゃダメなんてわたし、
言いませんから………分かりましたか?」

「ああ、もちろん分かったよ」

あやせは小指を俺の小指にかけて………

「じゃぁ約束してください………指切りしましょう?」

意外に(やっぱ)可愛い所があるなと思ったのもつかの間


「指切りげんまん、嘘付いたら……嘘付いたら、嘘付いたら……………
針千本、必ず、絶対、確実に、有無を言わさず、問答無用で飲〜ます、指切った♪」

そう、あやせには絶対に嘘をついてはいけない、だって死ぬから。


「…………………し、しかし何で知ってたの、おまえ?」

「…………何ででしょうね?気になりますか?」

「そりゃちょっと気になるけどよ」

「ふ〜ん、聞いちゃった後で後悔しても知りませんけど………実は盗………」


「やっぱ良いです……と、とにかく本当にやましい事はないからな!」

「はいはい、分かりましたよ。着替えるんだからあっち向いててください。
京介さんのエッチっ!」


「へいへい……んじゃ俺は風呂沸かしてくるわ。」
368 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:05:04.79 ID:ieKxmdcF0

先にあやせが入る事になり、と言うか今日一日随分長かったから忘れていたが
俺は風邪を引いてて、あやせに看病してもらっていたんだった。

「ねぇねぇ京介さんっ…………もしかして一緒に入りたかったりしますか?」

「俺は病人だぜ、入りたくたって風邪引いてるから無理だっての。」

「それは残念です………でも一緒に入れないからって覗かないでくださいね?」

「もし覗いたら?」

「指切りげんまん♪」

あやせの風呂を覗こうなんて思ってはいけない、だって…………



「フンフフフ〜フフフ♪」

あやせはどこぞの風呂好きの女の子よろしく鼻歌?を口ずさみながら
身体を洗ってる様子

「あやせ……バスタオルはここに置いておくからな。」

「はい……有り難う御座います。あの………」

正直、あのあやせが自分ンちの風呂に入ってるのだ。
しかも今は自分の彼女なんだから、カギはかかってるだろうが悪戯で
風呂のドアを開け(るふりし)ようかな?なんてとちょっと迷ったが、
針を千本持って追っかけてくるあやせの姿を想像をして辞めた。


「ゆっくり湯につかってさ……今日の疲れを取ってくれよ」

「………………………はい」


早々に風呂近くから退散すると、俺はベットに身体を横たえた。
壁にはあやせの制服がかかっていた。

何だかんだで、あいつはまだ15歳の女の子なんだよな………そう考えると
取り留めのない漠然とした感情が俺の頭の中を通り過ぎる。


マジで今日一日長かった。
本当に色々有ったが、取り合えず状況は落ち着くべき所に落ち着いたのだろう。
マッタリおかゆを食べて、あやせの膝枕を楽しみ、いきなり泣かれて俺は混乱し
別れるとか失踪するとか大事(おおごと)になったが……今はちゃんと側に居てくれる。

桐乃の事だとか、黒猫の事だとか、麻奈実の事だとか………これも色々有ったのだが
仮に今日をもう一度やり直す事になっても、俺のする事は何一つ変わらない(筈だ)。
369 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:06:32.05 ID:ieKxmdcF0

そろそろ…………いい歳なのだから自分が選んだ選択に責任を持つ。
責任と言うよりも、誇りや自信と言うべきなのかも知れない。


『人生はセーブデータがひとつしかないエロゲーみたいなもの』なんだ。


そして俺はあやせを好きになり、お互いを求め合い愛し合ってしまった。
もう……都合の良いマルチエンドのハーレムルートは存在しない。

その事に気付かされるキッカケ………部屋にすみに置かれた、あやせが持ち歩いてる
大きなバックに、俺は眼をやった。


あやせが"儀式"だの"魔法"だの言って実行しようとした残骸がその中に封印されていた。

ブラウンのウィッグに、メイド服、メガネ………あやせは俺の為に、俺の全てを自分に
向けさせようとして………
"妹"になろうとし、"後輩"にもなろうとし、"幼馴染み"にさえなろうとした。

そんな馬鹿な真似までさせるほど、俺はあいつを追いつめて傷つけていた。


だから、俺はあやせを受け止めると覚悟した時に、ひとつしかないセーブデータを
チートで弄る様な真似は絶対に出来ない(してはいけない)んだと心に誓った。

自分の選択を中途半端に放り出して逃げ出せば結局、自分やあやせだけじゃない……
周りも傷つける事になるのだから。


散々あやせを泣かせて、やっと分かった当たり前の事実
おそらく同じくらい周りも傷つけてようやく導き出した真実


桐乃とデートした事、黒猫と遊んだ事、麻奈実と下校した時の事………
いまでも全てが懐かしくて、愛おしくて……大切な思い出。
絶対に忘れないように、記憶から失わないように、何度も何度も心に刻み続ける。

戻れない過去が永遠になり、今(現在)を精一杯生きる…………
これが色々、残念で力不足で鈍い俺がなんとかやっと手に入れた未来へと続く答え……


そんな事をぼんやり考えていた。
少し感傷的になっていたが、あやせには今の顔は見せられないなぁ……と。


俺は風邪薬を飲むと、風邪と疲労のせいで…………いつのまにか眠っていた。
370 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:08:25.22 ID:ieKxmdcF0

俺が目を覚ました時、意識はまだ混濁していたのだが………目の前には
何やら様子が変なあやせが座っていた。

薄目を開けてあやせの様子をうかがっていると、俺の彼女が一心不乱に
例の箱の説明書を熟読しているシュールな光景


苦笑しつつ聞き耳を立てていると、あやせの声が聞こえる。

「もしもし………加奈子……うん……えっとね……わたしの友だちの話なんだけどさぁ」

あいつ、何やってんだ?

「だ、だから畜光のなの……え?関係ない?そ、そうなの?(汗)
で、でもさ……蛍光とか書いてるしぃ……ご、極薄なんだよっ?!
え?違う、違うよ?何でわたしの事なわけないじゃん。
ちょっと本気で怒るよ?(動揺)」


俺の予想を斜め上、鋭角に超えるシュールを通り越して不条理な光景が展開されていた。

「へぇ〜分かった、そうなんだ。明るいとダメなんだね。だから……超極薄ってぇ
わたしじゃないって何度言ってるでしょっ!いい加減にしないとぶち……いや……
も、もちろん感謝してるってば………分かったから(汗)あ、有り難う。
うんじゃぁ………またね」


茫然とあやせの異常行動を眺めていたのだが………薄目を開けていた視野が急に
暗くなり何も見えなくなる。

暫くすると、違和感がして下半身を軽く触られているのが分かったのだが……
あやせさん……俺の"ナニ"で何かしていた

「ちょっ………おまえ、な、な、何やってる……ん………のだ?」

「(ビクっ)ち、、違うんです、これは違うんです………ち、違うの……」

「ぎゃぇぇぇぇ、あ、あ、あやせ……ちょっと……い、痛いから、痛いから!!」


動揺したあやせが、まさに曲芸飛行しているパイロットが操作する
(俺の)操縦桿を乱暴で酷く扱かったせいで………もげそうになり、
俺は堪らず大声を出した。

「…………………ち、違うんで……す………」
371 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:09:26.44 ID:ieKxmdcF0

よく見れば、あやせは風呂からあがったばかりで、上気した顔に
赤い頬(まぁバツが悪そうな表情だから、それも原因かも知れないが)
身体はバスタオル一枚で、結い上げられた髪はまだ幾分濡れていた。

普段はそんなに気にしてないが、まぁ超美人な事だけは確かなのだが
化粧も何もしてないあやせの顔は幾分幼く見えて……………可愛いと言うか
普段のあやせとは違う種類の美少女に見えた。

「なんだよ、やる気満々ならそう言えっての。俺は…………いつでも……」

「…………ち………違う……もん………」

「照れなくても良いんだぜ?
コレは、そもそも半分はおまえが所有してる様なもんなんだからさ、すでに」

あ〜この流れで俺もついに大人になるんだと期待していたのだが………


「(ぷい)」

あやせさん……何やらご不満のご様子である。


"あやせが不満なら、ちゃんと横にならんで、満足するまでこいつの声を聞いてやる。"


俺はベットから起きあがるとあやせの隣に座る。
なるべくエロい感じがしない様に気を付けながら、あやせの肩を抱き
自分の頬をまだ濡れているあやせの横髪につけた。

「どうした?あやせ、ほらほら………俺ら相性抜群のカップルなんだろ?」

俺は右手であやせの肩を抱きながら左手で髪を撫でながら言った。

こういう事やっても"セクハラですよっ!"とか"ぶち殺しますよ!"などと
言われなくなったんだなぁと思うと、やっぱり感慨深いもんだ。

と思っていたら………流石はあやせ、俺の予想外、想定外、奇想天外な答えが
帰ってきた。
372 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:11:16.31 ID:ieKxmdcF0

「せ、セクハラしなかった癖にっ!」 「え?それ……って……どういう……」

「わ、わたしが…………彼女がお風呂に入ってるのに全然気にしないで寝てるなんて、
いつもエッチな癖にっ、セクハラする癖にっ………わたしが期待……し……て……」

「あの…………あ、あやせさん?(ぽか〜ん)」

「本当はカギだって掛けてなかったんだから!、わたし……ドキドキして
ずっとぉ〜待ってて、ふやけるまで待ってて……むくむまで待っててっ……
京介………きょう(※あやせがデレたり、甘える時の京介の呼び方)の馬鹿!
鈍感!シスコン!」

シスコンは関係なくねぇか?と思いつつ


"あやせが不信なら、ちゃんと向き合って、納得するまで眼を見つめて話す。"


「あ・や・せ…………ごめんな。針千本にビビってへたれちまった………」

肩に回した手に力を入れてそのまま抱き寄せる。
あやせは何も言わなかった、ただ何となくせわしくて不安気な息遣いだけが
俺の耳に届いていた。

シャンプーの香りが(それは俺が普段使ってる筈ものだけど)、不思議と俺の鼻腔を
くすぐって……あやせの息遣いと混ざり合って、俺の心音も同時にせわしなく速くさせた。


そして突然、雷に撃たれたような衝撃を知覚する。
耐え難いほどの欲望………そして呼び方が違うだけで、多分同じものである筈の
あやせを愛しいと思う気持ちが俺を縦に貫いて……全身の神経を刺激する………。

でも、俺は段々分かり始める……それは雷みたいに突然降りかかった物じゃない

それは………こういう事だ

ただ優しく抱いてるだけでは全然足りない……
もっと強く、きつく抱きしめたい願望……
この欲望も忘れさせるほど、神経も麻痺させるほど、ただ痛いほど抱き寄せたい……
部屋に戻ってきた時から、俺がずっと耐えていた渇きであることに……。
373 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:12:34.31 ID:ieKxmdcF0

何とか理性を保ちつつ、俺は

「このままだと、また風邪引いちまうだろ……だからまず着替えよう、な?」

「誰かさんのせいで、お風呂で酔って……身体に力……入らないから……………。
怠くて……もう動きたくない…ン…です、わたし」

「なら……俺が着替え手伝ってやるからさ………」

いささか気が引けたが、着替えさせる為にあやせのバスタオルを脱がせようとしたのだが
当然と言うか予想通り、あやせに強く手を掴まれて静止させられる

「そ、そうか……いくら何でも子供じゃないんだから、自分で着替えるよな。
うん……んじゃ俺はコーヒー煎れてくるわ。おまえも紅茶飲む…だ…ろ……」

立ち上がろうとしてもあやせは手を離さず、それどころかその手に力を込めた。

「あなたが、わたしのスキンケア……手伝ってください………。
わたし……お仕事してるから、ちゃんと気を付けて時間かけてやってるの。
それに今日は、お風呂にずっと入ってたし……………」

「あの………?え、えっと……」

「これがお風呂上がりの習慣なんです……それとも京介さんはエッチだけど
意気地ないから…………わたしがずっとこのままの格好の方が嬉しいンですか?
むっつりスケベでヘタレですもんねっ!」

今はその"意気地"とやらを何とか押さえるのに必死なんだけどな………

「はいぃ…喜んで……手洗ってきます………」

あやせの指示通り、バックからケースに入ったスキンケアセットなるものを取り出す。
こいつ、着替えは用意してないのに……何でスキンケアセットは一式用意してるんだ?
と疑問が口から出そうになったが、そのまま飲み込んだ。


"あやせが不安なら、ちゃんと後ろから抱きしめて、安心するまで言葉をかけてやる。"


俺はバスタオル一枚のあやせの後ろに回り込み……ぎこちなく(もちろん心も身体もだ)
動揺したが……取り合えず、余計な事は言わないようにしてたっぷり化粧水をつけて

あやせの表情を鏡越しに見ながら……しっかし俺は何やってるんだろう?
あのまま風呂場を襲撃してたからこんな変な感じにはなってないだろうに………

あやせの言葉を素直に受け取らずに怒られる時、素直に受け取り過ぎて怒られる時……
お互いに気持ちは通じてるとは言え、やっぱ女の子の考えてる事はさっぱり分からない
374 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:14:26.69 ID:ieKxmdcF0

「こ、こんな感じで良いんでしょうか?あ、あやせ様………」

あやせの肌は俺が今までの人生の中で触ったモノの中で何よりも柔らかく、弾力があり
瑞々しく、、、あ〜あ、、情けない、俺……掌や指先に意識を集中させれば
させるほど、自分の下半身もアレ?な感じになってくる。

そうなのだ、要するにあやせの肌は"気持ちいい"と表現するのが一番適切で、
正確なのだと理性と言うよりも、俺の身体と本能が分かり易く反応していた。


「もっとちゃんとやって………こうじゃなくて……こうっ……です。
ほら……優しくでもちゃんと力は入れてください………」


あやせは知ってか知らずか、上半身は俺の方にバスタオル一枚だけのほぼ裸体をあずけ、
下半身は明らかに臀部やら太ももを、、俺の、、、押しつけてくる。

下半身に気を取られて茫然としていた俺の手を、俺の指と指の間に自分の指を重ねて

「ほらァこうするんです………ほらぁ〜ちゃんとあなたの愛情込めてください……」

「…………こう………だ……よ……な………?」

鏡の中のあやせと眼が合った。

媚態に満ちた、明らかに誘惑している表情の鏡の中のあやせ………
俺の知っているあやせの笑顔の種類の中で………もっとも魅惑的で、もっとも危険な
その表情を……笑みに吸い込まれる様にあやせの顔を愛撫していると……


俺はシスコン野郎だし、セクハラ先輩だし、俗物の破廉恥なオスって事は自覚している。
それでも自分では温厚で、それなりに?常識人で、自分の欲望は合法の範囲内で
押さえられると思っていた……

しかし俺は無意識に、本当に前後の記憶がなく……あやせに襲いかかろうとしていた。

「フフ……ダメ……です…よ。まだ……途中なんだからぁ、、京介さん。
わたし………あなたの為にずっと綺麗で居たいの。
だから……ダメ………ちゃんと最後まで……して……ください……ね?」

そうあやせが言ったのと同時に………あやせの胸を鷲づかみにしようとしていた
化粧水まみれの俺の手に………あやせは手錠をかけた。

あ〜そういや………随分、久しい……この感覚………。
喧嘩して、あやせの家に深夜行った時、、ずっと手錠されるのは、
逮捕されるのは(性犯罪の)犯人役は俺だったのだ。

(が)あの時を境に……俺が刑事役になってた気がする。

あやせの俺への初めてのプレゼントが手錠だったとしたら、
俺の初めての贈り物は、俺がずっとあやせを受け止めると宣言して渡したのは
いささか風変わりなチョーカーだった。

バスタオル一枚のあやせがそれを身につけている筈もなく…………
375 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:20:39.73 ID:ieKxmdcF0

「ご、ごめん………あやせの為に一生懸命にするから……さ」

と言いつつ茫然自失………もう心は繋がってる、だから次は身体で繋がりたいと
あやせは言ったけど……手錠はプレイなら使っても良いなんて事も
言ってた気がする。

って事はこれはプレイなのか?

「うふ……素直で……良い子です。ほらぁ、次は乳液……これも滴るほど手につけて、
優しくマッサージしながら………」

確かに俺はあやせに手取り足取り、傀儡人形の如く……操られながらスキンケアを
している筈なのだが………反対に、バスタオル一枚の薄皮に包まれた柔らかい
あやせの肢体こそ……全身をつかって俺が愛撫されてる様な錯覚……でもなく

「ねぇ………あなた、、の、、、が……当たって痛いんですけど?」

「こっ…これは……違うんだ………ち……違う……」

まぁ何も違わないわけだが………

「『なんだよ、やる気満々ならそう言えっての。俺は…………いつでも……』」

さっき俺が言った台詞をそのまま再生するあやせ………


「……………あ、あやせ?」

「『照れなくても良いんだぜ?
コレは、そもそも半分はおまえが所有してる様なもんなんだからさ、すでに』」

ったく……俺が今まで経験した中で一番艶めかしくて、興奮する意趣返しなんだろ、
コレ。


あやせは最初に出会った時は清純なお嬢様で、次は例の桐乃のヲタバレでヤンデレ化し、
あやせに好きと言われた時は、極(ハイパー)超(スーパー)ヤンデレで、
お互いに気持ちが通じた途端にデレデレの最初は戸惑うくらいの、Mッ娘になったと
思っていたのだが……

そうなると………そうそう

『お尻が紅葉色になるまでぶっ叩かれましたけど……それもして欲しいコトですけど』

とかすら言ってた様な気がする。
まぁでも………今日は今は……久し振りのドS女王様の帰還なのかも知れない。

「ごめん……あやせ様……お、俺……もう我慢出来そうもない…から……なぁ?」

「きょう……は、わたしの事好きですか?」

「もちろん……滅茶苦茶好きだぜ……だ、だから………」

「だったら………わたしの事褒めてください……沢山、すごっぉ……くぅ…
たくさん………」

「すごく…可愛いよ……」

「全然…ダメっ!わたしの顔を見ながら、、ちゃんと乳液は塗ったまま……
です……よ?」

「すごく……可愛い……」

「『すごく……可愛い……あやせ』、ちゃんと名前つけて呼んで」

「あやせ……可愛い……よ。初めておまえのすっぴん見たけどさ…心からそう思う」

「可愛いだけ……ですか?」

「普段の(おま)あやせは大人っぽくて……美人でさ……モデルって感じだけど……
今のあやせは、自然と言うかちょっと幼い感じが可愛らしいと言うか………」
376 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:24:59.56 ID:ieKxmdcF0

「ふぅ〜ん。きょうって………やっぱりロリコンだったんですねっ。
これって……普段よりも硬いですよね?変態……さっきも襲おうとしたでしょ?」

「今日初めて、おまえがロリっても可愛いって分かったけどさ………。
あやせが膝枕してくれたり……寝てる時にずっと側に居てくれた時にさ………
正直に言うわ……ちょっと母親みたいな感じで安心した……」

「……な゛………べ、別にそんなこと……言われても………嬉しくなんて……」

「俺は…………みなさんご存知、超のつくシスコンだけど…さ………
おまえと一緒に居ると、あやせの事を見てたり、話してたり、考えてたり……
想ってると……ロリコンでもマザコンでも良い様な気もしてくるんだよ」

「はぁー何なんですか?それぇ…………単に、シス・ロリ・マザコンさんの
変態カミングアウトにしかなってないですよ?」

「確かにそうだな、はは………でももう、俺はおまえを……上手に言えないなぁ……
とにかく、ロリコンやらマザコンとしてあやせが好きだ!」

「シスコンで、ロリコンで、マザコンの三重苦って………ふふふ…………
そっか……しょうがないですよね……だってあなたみたいな変態さんの相手は、
わたししか………居ないから。
だから京介さんが犯罪者にならない様に、わたしがずっと逮捕しててあ・げ・る」

「ああ………有り難う。でそろそろ………」

「あン…ぅ………まだ……ダメ…です…………ヘアケアもボディケアも残ってるしぃ」

「んじゃ、俺が…………ボデ……ィ……」

「はいっ……髪の方お願いしますぅ♪あっ………お目々は閉じててくださいね」

よっぽど押し倒そうかと考えたが……辞めた。
多分、俺が強引にすれば……言いなりになるのが分かっていたから。

純粋に可愛いから、あやせの自主性を重んじると言うと言葉は変だが
あやせの思い通りにしてやりたい愛情みたいなものが自分の中に拡がるのも分かる。

あやせの髪も肌同様……つるんとしていて……とても高そうな陶磁器の表面を
撫でている様な感触がした。

「それ椿オイルなんですよ。ジャンプーしてるみたいに指で……ァン………
京介さん……意外に上手です……素敵です……」

例によって薄目を開けて、どういう状況なのか覗こうか思ったのだが
視線の先の鏡にはあやせが挑発的な表情で待ちかまえていたので、あわてて眼を瞑る。

「しっかし女って本当に面倒くさいもんなんだな。風呂入る度にこんな事やってるん
だよな?」

「そうですよぉ……だから、簡単な気持ちで可愛いとか綺麗とか言わないでください。
言うなら本気で、照れずに、全力で言ってください……」

「ふぅむ………肝に命じておくわ」

「鏡見るのがお仕事みたいなものなんですけど……自分で可愛いとか綺麗って思って
わざと声に出すんです……そうすると"言霊"じゃないけど、ちゃんと良い影響がある
って話聞いたから………」

「じゃぁさ……時々、俺がこんな風にして……可愛いって言って良いかな?
さっきのも、その為だったんだよな?」

「アレは……単に言って欲しかっただけです。
でもそれって………わたしをお風呂上がりにして、バスタオル一枚にして
後ろからセクハラしたいって意味で間違いないですか?」


「セクハラしたいし、可愛いって言いたいんだよ、俺」

「ふぅ〜ん……ふふ……」

「?」

「わたし、ちょっと寒くなってきちゃいました……ブルブル(自分の声で)」

「あ〜そうだよな。よし、大体終わったから……俺あっち向いてるからさ。
着替えようぜ。」
377 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:28:00.11 ID:ieKxmdcF0

「京介さん、あたためて………ください」


「あたたたたためてて?」

「京介君……イイ子だからバンザイしましょう…ねぇ〜ほらほら」

あやせにされた手錠を左側だけ外された………俺は言われたとおりにする。

「はい、はい………」

別に咎められたわけでもないのに、俺は何となく眼を閉じたまま
あやせが脱がす自分の服の衣擦れの音を、耳をそばだてて聞いていた。

「はい……よく出来ました。
暖かくなる様にギュッとしてくださいね……ギュゥ〜っと……ですよ」

あやせが言い終わるよりも早く………俺はあやせを後ろから抱きしめていた。

「あやせ……何か色々良い香りがするなぁ………椿の匂いだけじゃない…何だろ?」

「薔薇の香りのボディーローション…………好きですか?」

「もちろん……あやせ、好きだ………」

「それは…もう知ってる…からァ…はぅ…そうじゃなくって…薔薇の……(はむ)……」

そろそろ我慢の限界だった俺は、強引にあやせの唇を奪う。

「あむ……はぅ……クチュ……ァ……はぁ……」

必死にお互いがお互いを求め合って………俺(あやせ)のたてた音が、唾液が、意識が
全部、融け合ってシンクロしながら互いの知性と理性を奪う。

何も考えられず、思い浮かばず……ただお互いの肌と肌を重ねて……あの時の渇きが
全てを支配して、本能だけでお互いを求め合った。


「ねぇ…ァ……きょうっ……ずっと…キスだ……け……キスだけで良いの?」

あやせの声が凄く遠くから聞こえた様な気がしたが、一瞬ぼんやりして
自分の欲望がしたい事がそれだけじゃなかった事を今更思い出した。

「あやせ……あやせ……あやせ……」

その言葉以外……全て忘れたように、何度も何度も愛しい彼女の名前を呼ぶ

「あなたに呼んで貰える自分の名前が………その響きが一番好きです。
だから凄く安心して、ホッとする…………今日はごめんなさい………。
わたし……ちょっと不安だったんです……だから今日、ちょっぴり意地悪したの。」

「どうして?俺がまた何かしたのか?」

「ううん……そうじゃない。多分……あなたに飽きられちゃうのが怖いの」

俺は本当にあやせが何を言っているのかさっぱり理解出来なかった。
当然、俺の顔もそういう表情をしていた………に違いない。

俺の顔を見て、安堵した後、あやせは少し淋しそうに笑った。
378 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:30:30.79 ID:ieKxmdcF0


きっとわたしの方が………………

『「あなたが居ないと、わたしは淋しい」』


『「きょう………絶対にぃ居なくならないで!!!」』


『「き・ょ・うが居ないと、、わたしはダメなんだからぁ!!!」』

なんです、きっと……


「じゃぁ俺と全く同じだ………やっぱり俺ら気が合う最高のカップルだな」

暫く、あやせは俺の胸の中で黙っていた。
本当に寒いのか、それとも違う理由なのか……小さい小鳥の様に、身体が震えていた。

憐憫と愛情………あやせと付き合うと決めた時……最初は単なる同情(の筈)だった。
でも今……凄く愛しくて、胸が締め付けられるこの気持ちはあの時と
何が違うのだろうか?

抱きしめるだけじゃ、どうしても足りない気がして俺は左の手錠をあやせにかけた。

心は繋がってる………でもやっぱり……まだまだ全然足りないんだ。
あやせが嫉妬したり、独占したりしたくなる気持ちがやっと分かった。

まるで重大な啓示でもあるかの様に荘厳で重苦しい雰囲気が辺りをつつむ
往々にして、あやせが思い詰めた後に出てくる言葉は、恐ろしいものばかりだった。


俺は微かに深呼吸する……大丈夫だ、あやせが何を言っても絶対に受け止める。

俺の人生がこの一瞬の逡巡とその刹那の覚悟の為だったと思えるくらい
俺の想いは堅牢で、決意は強固だった。

「あやせを愛してる。もう何があっても離さないから……だから安心しろ」

俺の言葉に促された様に、やっと、あやせは決心して口を開いた。


「わ、わたし、、もしかしてMかもしれません……」

「はい?」

「だ、だから……わたし……Mかも……Mだったりしたらどうしますか?」


「いや……知ってるけど?……あやせさん……ドMじゃないですか?」

「え゛?な、なんで……どっ、どうして知ってるんですかっ?」

「いや………だって」

『だって、尻叩かれて恍惚然な顔してたし、チョーカーを渡されてウットリしてたし
言葉攻めされるのも好きで、焦らされるの大好きじゃないですか?』

って言おうとしたが、あやせが真剣そのものなので言うのは辞めた。
379 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:34:14.59 ID:ieKxmdcF0

「べ、別にあやせがMッ娘でも何の問題もないぜ………」

「でも、でも………わたし……すごく不安で………イジメラレ…るのばっかり…だと………」

「へ?」

「飽きられてちゃうんじゃないかって…………心配で………怖くて………」

「だから………今日はちょっと女王様モードだったのか?」

コクリと一度大きく首を縦にふったあやせ

「だから俺がそれ以上しようとしても、拒否したとか?」

一瞬左右に振りそうになって、結局また肯いた。


「馬鹿野郎、俺があやせに飽きるわけねぇだろ!」


「だって……男の人って、一回手に入れたものは…………」



『……………………………………』

ある言葉をすぐに……直感的に思いついたけど、全く、ちっとも、一_も
言いたくないな、これは。

やれやれ…………相変わらず、俺の発想は品性の欠片もない。

でもしょうがない………これが俺のあやせへの愛情なんだから。
これがきっと俺の正直な偽らざる心の声なんだ。


思いっきり息を吸う………俺は出来る限りの大声を出して


「最初の一回だけなわけあるか!!!
あやせと一回やっただけで満足して、全部終わるわけないだろ!!!!
その後、何度も、何度も、何度もするに決まってるだろ!!!!
俺はあやせとずっと一生離れないんだ、文句あっか!!!」

「はぁー京介さん、わたしが今まで聞いた中で最低最悪の愛の告白ですね………。
デリカシーもセンスも全然無いし…………………」

「悪りぃ…………ごめん」

そりゃそうだ………これであやせが怒り始めても何の疑問もない。


でも…………わたしの答えも同じ…………だから…………

だから……覚悟してくださいね?

京介さんが、わたしを本気にさせたこと………
わたしを夢中にさせたこと…………
京介さんが、わたしの全てになってしまったってこと…………

全部、全部………キッチリ、責任取って貰いますから!


「ふむ………じゃぁ早速、覚悟決めて…………責任取るかな。
ほら………あやせ、こっちに来て………くれ」
380 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:36:42.92 ID:ieKxmdcF0

「あ、はい……京介さん……照明消してください…やっぱり……は、恥ずかしい…ので」

「お、おう」


「ハァハァ…ぅ……ン……き、京介さん、そこじゃない…ン…か……ら……」

「え゛?あぁぁ、う、う、う、うん」

「あ、焦らないで大丈夫…だから…ねぇ……だから…違う……もう少し…下……」

「……………?…………!」

「そっちじゃない…です……痛っ…ン……だから…下過ぎるからっ……」

「わ、分かってるよ!分かってます……………………」

「き、京介さん………そこ……おへそです……ちょっと……入らないからっ!!」

「!」  「もっと下!」  「!?」  「もう少し上!」  「??」

「だ、だからっ……どんだけマニアなんですか?!
わ、わたし初めてなのにぃ(怒)
そ、そんな所に、いきなり無理やり入れようとしないでくださいっ!!!!!」

「(´・ω・`)」

「ハァハァハァ…………ちょ、ちょっと落ち着きましょう…ねぇ?」

「・ω・`)」

「焦らなくても、ゆ、ゆっくりすれば……必ず出来るから…ねぇ……だから」

「・`)」

「京介さん?」

「)彡サッ 」

「ちょっと!何………逃げようとしてるんですかっ!どんだけヘタレなの、もうぉ!」

「す、すまん……ちょっと萎えちまった………」


「……………わ、分かりました。もう明かりを消さないで……良いです…から」

「へ?」

「男の人は視覚で興奮するんでしょ?恥ずかしい姿……いっぱい…いっぱい…
見せるから……全部………見て良いから……もう……だから逃げないで
逃げちゃ……ダメ…ダメ……だめ…なんだからっ!」

「あやせ………俺、多分、おまえのその声でも興奮出来ると思う」

と言いつつ、俺はあやせの耳元で何事か囁いた………。


「はァ……ぅ……今日だけですからねっ!もう絶対に絶対に言わないんだから!
こ、こんな美少女に……そ、そんな卑猥な事言わせて…………きょうの変態!
馬鹿………エッチ……鬼畜!!!」

「分かったから、早く言ってみてくれよ………焦らしプレイはもう良いからさ」

「京介さんの……………オチンチン………わ、わたしの……あン……もう言えません(汗)」

「あ〜やっぱ、あやせ可愛いな………ダメだ……猛ってきた………」

その後、俺の中であやせに隠語を言わせる一大ブームが来るのだが
(そして一生続くのだが)……………それはまた別の話だ。
381 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 01:38:50.99 ID:ieKxmdcF0

一夜明けて

「お早う御座います、京介さん」

「おはよう………あやせ………ちゃんと眠れたか?」

「はい………す、少し違和感はあ、あるんですけど………ぐっすり眠れました」

「おまえ、普段の俺の呼び方は"お兄さん"だってのが、"京介さん"になっただろ?
その後に、甘えるときは"きょう"だよな。」

「何が言いたいんでしょうか?」

「昨日は、特にあの時はさ……普通に呼び捨てたじゃん?」

「そ、そうでしたっけ?」

「ああ………『京介、もうイク』とか『京介にブチ殺されちゃうぅ』、痛てぇっ」

途中で殴られて、最後まで言えなかった。

「ごちゃごちゃうるさい……京介の馬鹿っ!わたしに何か文句あるの?」

「そうそう………それそれ!
俺ら恋人同士なんだし……………年上、年下とかは関係ないと思うんだ」

「つ、つまり?」

「あやせに、名前をちゃんと言って欲しいなぁってさ。
ついで敬語も辞めて………タメ口でも、俺としちゃ全然良いんだけどな」


「……………京介……の馬鹿、変態、シスコンのロリコン、ついでにマザコン
別れようとしたら、わたしを捨てようとしたら………ぶち[ピーーー]し…ま…………
必ずぶち[ピーーー]んだから!息の根を止めるてやるんだからっ!」


「う、うん……大体合ってるんだけど……内容が…アレだよね。
せっかく恋人同士が結ばれたのに、新しい朝を迎えた時に言う台詞じゃなくないか?」



あやせは暫く何事か考えていた様子だったが……最後には、最高の笑顔でこう言った。
やっぱり俺の天使には泣き顔よりも笑顔が似合うんだ。



「ねぇ京介、ほら…………もう一回しよ♪」









おわり
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 05:11:44.92 ID:3jTleofDO

前の話ってのはどこにあるんだい?
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/31(土) 06:31:20.53 ID:dFm36nC7o
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 11:08:28.28 ID:zKboHBAlo
>>382
エロパロにあった
ttp://www15.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/219.html
一番下
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/01(日) 15:32:48.85 ID:n7gNzeXOo
2期も来たしまた賑わう日も来るじゃろうか
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/01(日) 16:21:01.11 ID:P7VVcpRko
エイプリルフールネタじゃないのかアレ
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/01(日) 16:27:01.92 ID:n7gNzeXOo
マジよ
三木もツイッターで言ってるしアニメ公式や原作公式も言ってるし
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 17:30:29.95 ID:pzgljSYe0
二期キター!ヒャッハー!
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 23:24:16.98 ID:DxMQLPKb0
二期決定はうれしいんだが、問題は原作のどこを拾ってつなげるかだな
一期の「三人手つなぎジャンプ」の糞エンドからつなぐのは難しいぞ
390 : [sage]:2012/04/02(月) 07:53:54.65 ID:No90nogDo
二期マジか
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 09:57:42.34 ID:GVEWfxry0
中二病全開だった時聖書だった作品の外伝タイトルが頭に浮かんだ

「今さら期待はしてねえよ」
392 : ◆Koneko/8Oc [sage]:2012/04/02(月) 22:20:09.35 ID:egjDOl9mo
ネタの段階でボツになったSSに、このさい無理にでもオチをつけて
10巻が発売される前に投下してしまおうかと……
まず手始めに、ほのぼの系を書こうと思いつつホラーっぽくなったSS
どっちにしろ中途半端で短いけど勘弁してください

『帰り道』

それは、桐乃と二人でコンサートへ出掛けた帰り道のことだった。
俺の横を並んで歩いていた桐乃が急に顔をしかめ、その場に立ち止まった。

「どうかしたのか?」

「あ、うん……ちょっとね。
 ハイヒールなんかあんま履いたことないから、靴擦れが出来ちゃったみたい」

「それじゃあ歩くの辛いだろ。俺がオンブしてやるよ」

言った俺自身が驚くほど、それは自然と俺の口を突いて出た言葉だった。
桐乃も一瞬凍り付いたようだったが、俺が背中を向けてしゃがみ込むと観念したらしい。

少し戸惑いながらも桐乃は、俺の背中に身を預け、首に手を回した。
背中に当たる弾力のある二つの突起物は、いつの間にか妹が成長していた証だった。
迂闊だったと言うべきかもしれん。

「……ありがと。でも……重いとか言ったら[ピーーー]かんね!」

「ばーか。俺を誰だと思ってんだっつーの」

「誰って、あんたはあたしの……お世話係り?」

「[ピーーー]ぞ!」

妹の胸が背中に当たったくらいのことで、この俺が動揺するわけがない。
だがしかし、そんな俺の心を見透かしたように、桐乃はしっかりと俺にしがみ付いてきた。
絶対に動揺なんかしてやるもんか……。

「……ねぇ、あたし、重くない?」

「軽かぁねーけど、重くもねーよ」

「そっか」
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 22:20:39.40 ID:egjDOl9mo

桐乃を背負ったまましばらく歩き、通学路の途中にある丁字路に差し掛かったときだった。
ますます俺の背中に身体を密着させて、桐乃が耳元で囁いた。

「ねぇ、本当に重くない?」

「ああ、重く……。いや、何だかさっきよりも重くなった気がしないでも……」

気のせいなんかじゃない。
背中に負ぶった桐乃は、どう考えても確かに重くなっていた。
ファッション雑誌の読モもやってて、スタイルだって抜群の桐乃がこんなに重いはずがない。
俺がいま背負っているのは、本当に桐乃なんだろうか? 俺は身の毛がよだつ感覚を覚えた。
重いとか言ったら[ピーーー]と言った桐乃の台詞が、ふと俺の脳裏をよぎる。

「……いま、重いって言ったよね。……あたしのこと、重いって」

「い、いや……俺は重いなんて一言も言ってねえよ。
 俺のオンブの仕方が悪いだけで……。
 なぁ桐乃……悪いんだけど、一旦降りてもらってもいいか?」

俺がそう頼み込むと、桐乃は声のトーンを落としボソボソと呟くように言った。

「あたしも降りたいんだけど……もう、降りられないんだよね」

「それはどういう……」

俺が顔だけ後へ向けると、桐乃の背中には、怒りに満ちた顔のあやせが負ぶさっていた。

(了)
394 : ◆Koneko/8Oc [sage]:2012/04/02(月) 22:30:48.89 ID:egjDOl9mo
sagaを入れ忘れるとは……すっかり春だね
もう少しマトモなSSも書き溜めてあるので、週末には投下します
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/02(月) 22:43:10.22 ID:zwBhXRKlo
>>392-393
いやああああ!
怖いいいいいいいww
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 23:01:35.99 ID:vuMmS/jSO
桐乃「…あいつがいなくなった」あやせ「えっ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333281255/l50
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 16:25:15.42 ID:F0grQb880
>>394
面白かったww
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 09:40:12.70 ID:fRovW3Vjo
ここって台本形式のを投下していいんだっけか?
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 09:55:31.48 ID:S2KEM1ODO
過疎ってるしいいんじゃね
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/06(金) 13:38:47.80 ID:92hhTG2d0
ssならなんでもありなんじゃないの
401 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/04/07(土) 01:36:24.19 ID:pB7WYHlgo
途中で投げ出したネタを手直ししながら在庫放出します
今回も短いけど……春だし、桜も咲いたしね

『エヴァンゲリヲン 新俺妹版:はぁ?』
402 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/04/07(土) 01:37:22.26 ID:pB7WYHlgo

「――うわっ!」

とある休日の昼下がり、俺の股間に軽い衝撃が走った。
痛いという程でもなかったが、昼寝をしていた俺はいきなりの事だから驚くのも当然だ。
慌てて起き上がろうにも、俺の両手足はベッドに括り付けられているのか身動きが出来ない。
そのうえご丁寧なことに目隠しまでされていて、周りの状況がまったく分からない。
訳は分からないが、何とかこの状況を打破しようと身をよじると、頭の上の方で沙織の声がした。

「どうやら覚醒したようですな」

「あっ、本当だ。……うぷぷ、馬鹿がもがいてる」

桐乃の声だ。
そういえば桐乃のヤツ、今日は沙織たちが遊びに来るって言ってたっけ。
ということは、この場に黒猫も居るわけか。
黒猫は夏休みが終わると同時に俺と別れたが、桐乃とは今も仲良くやっているようだった。
それはともかくとして、一体これは何のプレイなんだよ。

「おい、桐乃! これはどういうことなんだよ」

桐乃の代わりに俺の質問に答えたのは沙織だった。

「京介氏、ご自分の胸に手を当ててよく考えてみてくだされ」

「手を当ててみろって、これじゃあ当てたくても当てらんねーじゃねえか」

「……先輩? 私からヒントをあげるわ」

やっぱりというか案の定というか、黒猫も居やがった。
つまり俺は、女子中高生三人が見下ろす中で、ベッドに大の字で括り付けられているわけだ。
何という羞恥プレイ、てかどうしてこうなった。

「黒猫、ヒントってどういうことだ? 俺がこんな目に遭ってるのは理由があるってか?」

「……あなた、沙織からDVDを借りているんじゃない?」
403 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/04/07(土) 01:37:57.26 ID:pB7WYHlgo

多分、あのアニメのDVDのことを言っているんだろう。
先々週の土曜日、沙織が俺ん家でアニメ鑑賞会を開くために持って来たDVDだ。
俺がパッケージを何気なく見て、『ガンダムの新しいヤツか?』と言ったのが沙織の癇に障ったらしい。
沙織が持って来たのは、エヴァなんとかというアニメらしいが、俺には何のことかさっぱりだった。

「……そろそろセカンドインパクトが起きるでござる」

「――うわっ!」

再び俺の股間に衝撃が走った。
どうやら今の感じからして、沙織がDVDケースを俺の股間に落としているらしい。
ジーパンならまだしも、薄手のチノパンだとDVDケースでも直撃に近く、もろに衝撃が伝わる。

「沙織! おまえは変態かっつーの!」

「拙者があれ程お勧めしたエヴァをまだ見ていないとは……これでもまだ甘いでござる」

「き、桐乃! 沙織を止めてくれ」

「止めたいんだけど、暴走した沙織は誰にも止めようがないんだよね」

「ありえねー」

借りたDVDをまだ見てなかっただけのことで、この仕打ちは有り得ないだろが。
しかし、桐乃が言ったように、沙織の暴走は止まるところを知らなかった。
沙織にとって股間へのDVD攻撃など、単なる終わりの始まり……序章に過ぎなかった。
俺はこの後、俺の人生でTOP10に入ること間違い無しの黒歴史を刻むことになる。

「それではきりりん氏、これから京介氏のズボンを脱がせますが……よろしいでござるな?」

「あ、あ、ああああたしは構わないけど……瑠璃は?」

「わ、わ、わわわわたしも構わないのだけれど……」

「俺が構うよ!」

「今回、京介氏の同意は不要でござる」
404 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/04/07(土) 01:38:44.14 ID:pB7WYHlgo

沙織が何のためらいもなく、俺のズボンのボタンに手を掛けた。
俺は当然のごとく激しく腰を振り抵抗を試みる。

「やっ、やめろ沙織!」

「――A.T.フィールド全開!!」

沙織が叫んだ次の瞬間、俺の腹部と股間に妙な開放感が訪れた。
辛うじてパンツまでは脱がされていないようだが、ファスナーが下がっていることは確実だ。
黒猫が、声を押し殺したように呟く。

「……無様ね。メインシャフトが丸見えだわ」

「このままターミナルドグマまで一気に行くでござる」

沙織の言葉を受けて、桐乃がややうわずった声で言った。

「ターミナルドグマって、リリスが隠されてるんだよね」

これが女子中高生の会話とは思えねえ。
桐乃の言ったターミナルドグマとか、リリスって一体何だ?
まさかパンツまで脱がすとは思えないが、暴走した沙織は何をしでかすか分かったもんじゃねえ。

俺は冷静になって、もう一度自分が置かれた状況を頭の中で整理した。
そもそも俺がこんな仕打ちを受けているのは、沙織から借りたDVDを見なかったことが原因らしい。
だったら、これからでも見ると約束すれば済むことじゃねえか。

「な、なぁ沙織……見るから、今すぐ借りたDVD見るから勘弁してくれ」

「京介氏、初めからそう言えば良かったのでござる」

沙織の口から赦しの言葉が出てホッとしたのも束の間、桐乃と黒猫が同時に叫んだ。

「えっ、沙織、あんたこの程度でこの馬鹿を赦しちゃうの?」

「――ありえないわ!」

沙織よりも、桐乃や黒猫の方が真の変態かもしれん。
すっかり仲裁役に回った沙織が二人をなだめる。
405 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/04/07(土) 01:39:43.73 ID:pB7WYHlgo

「きりりん氏、京介氏はきりりん氏の兄上でござるぞ。
 これ以上の辱めは、きりりん氏にとっても却って良い結果をもたらさないのでは……。
 それに黒猫氏、一時とはいえ、お二人はかつて恋人同士だったではござらぬか」

セカンドインパクトとか言いながら、俺の股間にDVDケースを落とした沙織が何を言いやがる。
だがしかし、俺がここで口を挟めばせっかくの沙織の説得も無駄になりかねない。
俺は、只黙って事の成り行きを見守るしかなかった。

しばらくして沙織の説得が功を奏したのか、渋々だが桐乃と黒猫が折れた。
とはいっても、この二人がそう易々と納得するはずもなかった。

「じゃ、じゃあさぁ、写メだけでも撮らせてよ」

「わ、私も撮っておこうかしら……」

携帯カメラのシャッター音が一度……そして二度……三度……もう数え切れん。
目隠しされているから三人には分からないだろうが、きっと俺の目には涙が浮かんでいただろう。
俺はそのとき、しみじみと思ったよ……。
もう俺はどうなってもいい。世界がどうなっても俺には関係がないってな。

「黒猫氏、そろそろアニメ鑑賞会を始めませんと。……きりりん氏もいつまでも撮っていないで」

「あら、もうそんな時間だったかしら」

「今日はこれくらいで勘弁してあげるか。……あやせ、コイツのこと後はよろしくね」

「――えっ! あ、うん……」

「げっ! あ、ああああやせも居たのか!?」

「お兄さん、ごめんなさい。……わたし、何も出来なかった……」

「いいんだあやせ、これでいいんだ……」

俺の人生これでオワタ\(^o^)/


(了)
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 02:21:41.96 ID:Z2p+mclAO
何がなんだかわからないwwwwww
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 01:59:56.90 ID:YywNRBaDO
どういうことなの…ww
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 23:03:15.09 ID:o+XFu3Tpo
いま、個別スレが7本ある中で、5本がローカルルールのHTML化基準に引っ掛かってるんだけど
このまま放っておくと、運営側によってHTML化される可能性がなきにしもあらず
せめて、生存報告だけでも欲しいというのは贅沢か?
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/09(月) 00:36:43.96 ID:QayblxQAO
>>408に補足
各個別スレの現状簡易まとめ

●問題なし(4/10)
・兄貴に悪戯する
・京介「ポケモン?
・京介「放課後ティータイム?
・落ち着かない

▲レスなし停止1ヶ月超(3/10)
・桐乃「もしも○○○
・京介「俺が教師かぁ…
・沙織「京介先輩

▼作者消息不明2ヶ月超(3/10)
・願い
・人生相談
・黒猫「まったく、


中断のは、支援が有効。少なくともスレがライブ状態なことを読者が支える余地あり。
下段のは、アウトライン。依頼スレで挙げられれば生存報告がない限り落ちる。
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 14:10:52.74 ID:LVj5ToRDO
エタったなら延命することに意味がない
生存報告してる人は書く気はあるのだろう
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 16:33:08.40 ID:WOkyay2Xo
今回の話の流れが最終回に向けての流れに思えたのは気のせいだと思いたい
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/11(水) 00:18:01.26 ID:NI3XcULn0
まあ、まて
まだあわてる時間じゃない
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 09:50:00.92 ID:vCcaaARFo
新刊読んで男同士のバカな会話もSSで読んでみたいと思ったけど、特に需要がなさそうだよな
長編でインターバルみたいな感じで入れるならともかく、短編でそれだけは誰得だって話
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 22:12:45.29 ID:E+gfJIrs0
あやせモノで何か書こうかなぁ…
10巻読んだらなんか書きたくなってきた
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 02:18:10.62 ID:j+IGlN9DO
あの通い妻生活のあやせ視点が読みたい
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/13(金) 03:28:25.36 ID:TyG9cRK1o
もし電車が遅れて日向が来るのが30分遅くなったら…!
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 06:42:05.54 ID:zD/5oXNR0
>>416

今の京介さんだったらその位じゃ何も変わらないと思う・・・ぞ?
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 11:41:34.53 ID:nK3XauQ70
>>414
がんがれ!
全裸待機しているんでヨロシク
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 12:19:40.36 ID:hUggeOXYo
・京介「俺が教師かぁ… ←作者消息不明2ヶ月超
・京介「ポケモン? ←更新休止のお知らせ
・黒猫「まったく、 ←スレ終了のお知らせ

段々寂しくなるな

420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 19:39:31.88 ID:j+IGlN9DO
そのへんはハナから書き捨てみたいなもんだろ
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/04/13(金) 19:42:11.07 ID:HYKWHNoAO
新刊読んで改めてすげえリア充だなあと思った
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/13(金) 21:30:00.31 ID:ryu4zxJko
ポケモンは原作読んで補充するっていったしとりあえず大丈夫だろ
423 : ◆XUsplk79ik [sage]:2012/04/13(金) 22:25:35.96 ID:vRLaSHVSO
10巻読み終わったので生存報告をば
色々浮気しててすまない……

沙織のキャラがわけわからんことになっててちと困惑気味だったり
まあ挿絵可愛かったからいいんだけどね(´・ω・`)
近々更新したいです
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 00:21:47.53 ID:u22OT5Kd0
>>423

確かに沙織のキャラが良く解んない状態になっていたね
作者が沙織のキャラ作りに飽きて放り出したとは思いたくないけどね
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 00:30:28.22 ID:wD/AcdqAo
7巻を境に新刊が出るたびSSが減っていくような気がする
アニメの二期で盛り返せたらいいだけど、果たしてそれまで人がいるかどうか
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 08:27:21.64 ID:W9KXge0v0
>>425

やっぱり8巻が(悪い意味で)エポックメーキングだったんだよ
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 17:23:39.99 ID:xjzIPz0v0
アニメの二期っていつからだっけ?
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 17:51:35.18 ID:HUUZRelm0
>>427

二期決定の発表があっただけで具体的な開始時期は未定
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 18:05:26.59 ID:xjzIPz0v0
了解
おとなしく待つ
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 22:40:33.53 ID:S+zDCqdM0
今まで無双していたとはいえ、最近の黒猫の扱いはひどいなwwww
今後はあやせSSが勢力拡大してくるかのかな
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/19(木) 01:33:33.14 ID:KGaULfca0
このスレ内においては常にあやせSSが
質、量ともにNo.1じゃないか
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/19(木) 01:37:49.88 ID:hiis40kqo
>>430
次巻次第って言いたいが、切った人が戻ってくるのは難しいんでなんとも言えない
前例的な意味でも引き的な意味でも黒猫がいるからなあ…
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 09:46:25.81 ID:lxIJw+N30
あやせモノ書いてたつもりが桐乃メインになりつつある
どうしてこうなった
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/19(木) 15:46:47.93 ID:bHLGhVxSO
あやせ「い、一度したくらいでもう彼氏気取りですか!?このヘンタイ!
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334668429/l50
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/04/19(木) 23:10:59.32 ID:EBnIlkD30
>>432
どちらかと言えば本編でそこまで目立たなかったキャラのSSが増える傾向にあるから、
桐乃や地味子のIFや黒猫の逆襲SSも期待できるかも

沙織は年がら年中不作だけど……。
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 23:16:44.10 ID:soy05bDTP
沙織は10巻でさらに扱いというか口調というかそういうのが難しくなったからなあ
オタクとお嬢が混じってしまって法則性がわからないとセリフが書けないね
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/20(金) 00:44:28.68 ID:8JrvDGSSO
沙織の口調はぶっちゃけ気分というかその場のノリで変えてるような
マジレスするとふさたんのキャラ付け失p(ry

まあそんなだから自分以外もじゃんじゃん沙織SS書くといいよ!よ!
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/20(金) 06:54:18.44 ID:v089xae20
沙織のキャラ付がアレだったり口調がアレだったりするのは
桐乃の表裏の友人がお互い知り合いになったのが原因だよね

今は過渡期だから最終的には姉の香織みたいになると予想して
キャラ作りするのもアリなんじゃないか?
439 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:21:45.59 ID:R1d3Hpy/0
10巻を読んで、やっぱり意外だったあやせ。
そしてまた結局、あやせを書いてる、自分。

ハーレム意地でもイヤだから、麻奈実の予言を採用。
でも麻奈実とあやせだったらどっち応援するか勝手に想像して
悩む今日この頃。


京介×あやせ +ついでに沙也佳ちゃん


440 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:23:53.42 ID:R1d3Hpy/0

「そんなあなたのことが好きです」

泣きながら そして優しい笑顔のまま あやせは言った。




"Cry for the Moon/Luna"




「お、俺……………」

「--------こ、答えは言わなくて………良いですから」

「え、えっと……」

「い、言わないでっ!今はまだ--------聞きたくないから」

「わ、わかった………」

あやせの真剣な言葉は、俺にそれ以上言わせる事を許さないほど……
俺を押しとどめるのに充分過ぎるくらい力強く、迫力があるものだった。

「ふふ------お兄さんでもちゃんと真剣な顔が出来る時ってあるんですね」

告白(告白だよな……これ、それ以外の言葉が思い浮かばない)した直後に
あやせは突然そう言った。


「お、おまえな……」

「わたし、今、お兄さんと初めて会った時のこと-------思い出してました。」


「この前話した………桐乃とドタバタやってた時のことだよな?」

あやせの考えてる事がさっぱり分からなかった。
あやせの気持ちは分かる……今更、誤解や勘違いは、流石の鈍い俺でもしない。


「あの時、桐乃の為に真剣なお兄さんの顔がわたし、一生懸命に頑張ってる
あなたの事がずっと気になってました」

「だって……前におまえの家に俺が来た時、それは違うって言ってた……よな?」

「『優しそうなお兄さんで良いなぁ、仲良くしたいなぁ。
でも今は全然違うっ!幻滅して----大っ嫌いッ!!』のことですか?」

俺は何度か首をコクコクとして肯く。

「はぁ-------わたし、お兄さんに嘘ついちゃってて-----ちょっぴり本当に
ちょっぴりだけ悪いと思ってたんですけど、その必要ないのかも?」

「だ、だからさ……その事は気にしなくて良いって」

「そういう意味で悪いって言ったんじゃありませんっ-------
やっぱりお兄さんが全部、全部-----悪いんですっ!!」

「な、何で?」

「うるさい、馬鹿、鈍感、愚鈍、俗物-----スケベ、変態、シスコン、鈍感っ!!!」


「で、でも俺のこと………す、好きなんだよな?」


「ぅっ……」

あやせは顔を上気させ、息は激しく吐きながら、両手で空気を抱きしめる様にして
肩を小さくしながら丸くなった。


あ〜やっぱ、こいつメチャクチャ可愛い。
嫌われてる、嫌悪されてるって思われてても綺麗とは思ってたのだが、
俺はMじゃねぇから(やっと分かって頂けたかと思う)
それよりも…あやせに好きって言われて、その上照れちゃってる時の表情を
見せられる方が何倍も何十倍も可愛いって事がやっとわかったよ(当然の事だけどな)
441 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:25:38.18 ID:R1d3Hpy/0

「俺はさぁ………やっと近親相姦上等の変態兄貴のレッテルだけは矧がれたけど、
色々セクハラはしまくったしさ………だから、やっと普通かなって思ってたんだが」


暫くあやせは、不思議な表情を浮かべていたかと思うと、目を閉じて深呼吸した。
その後、決心したかの様に口を開いた。

「加奈子のライブの時に控え室で、わたしがお兄さんに顔を近づけた事に
何の意味があるか?-----ってあなた、聞きましたよね?」

「う、うん……………………………」

あやせの真剣な表情と熱い視線に威圧されて、上手く二の句が続かない


「あの時のこと、わたしには、ちゃんと-------ちゃんと意味があります」

「どんな意味が…………あ、あ、あったんだよ?」


あやせは桐乃に貰ったヘアピンを右手で触れながら
(この後-----あやせは何かある度に、この動作をやるようになった)


その動作は、まるで頭の中に浮かんでる言葉を必死に探してるみたいで

左手は胸の前で軽く握られ、その言葉が段々形になるにつれ自然にその
握られた左手が強くギュっと(本当に音がしそうなくらい)強く結ばれた

「意味ならあります------あの時も今も、ちゃんとした意味が」

俺の質問はスルーで、あやせはあの時みたいに……いや、明らかにあの時よりも
近く自分の顔を近づけてきた。

「………(ゴクっ)」

思わず、呑み込んだ生唾の音が不自然なくらい大きな音を出した。
でもあやせは特に気にする風もなく


「-------あの時、お兄さんは本当は何考えてました?」

「だ、だからおまえの胸をだな………」

言ってシマッタとも思ったが、あやせに嘘つく事がどうしても
セクハラ以上に悪い気がしたから、正直に言う。


「ブチ殺し------」  「ひぃ……(思わず目を閉じる)」

「ブチ殺し--------ません。ぶち殺しはしないけど……。
でも、でも、でもっ胸だけって答えは…………今はもう絶対嫌ですっ、わたし」

「すんません。緊張してたから……あんときの事はマジでよく覚えてないんだ」

「忘れてるなら----今思い出してくださいっ、これなら思い出せるでしょう?」

マジで顔近っ!
と言うか、逆に新たな緊張のせいで余計に記憶が飛ぶだろ、コレ
442 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:27:31.91 ID:R1d3Hpy/0

「俺は…………」

言いかけた所で、目の前にいるあやせの姿に目を奪われる。
あやせの顔と切ったばっかりのサラサラの黒髪が黄昏時の夕日に
照らされて朱くキラキラと輝いていた。


そして突然………初冬の太陽の不確かで、刹那的な光の気まぐれで
あやせの髪が朱色から色を失い……褐色になる。

あやせの整った顔とうまく馴染んだ髪とダッフルコートと見慣れた筈のヘアピン。

更に、夕日の悪戯は俺の目に、一瞬-----本当に瞬きするくらいの一瞬だけ、
その色を眩いほど輝く------黄色がかった赤銅色に変えさせた。

俺は息を呑む………俺の目の前で告白していたのは、本当は誰だったのか?

あやせに告白されてるってのに、なんつー錯覚起こしてるんだ、ったく。
こんな時にあいつの事なんて……どうして考えてるんだ、俺は。

気付くと…………重苦しい罪悪感。



俺はほぼ無意識のうちにあやせに

「…………わ、わからない」 

と言っていた。


「わ、わたしって-----お兄さんにとっては、そんなに魅力ないですか?」

あやせは泣き顔のまま、怒ってるって言うよりも悲しそうな………。
そうだ、俺は相も変わらずの大馬鹿野郎だ………
告白されて、気が動転してたが………ずっと、あやせは泣き顔だったんだ。

年下の女の子が勇気を出して、目に涙を溜めて、告白してるってのに、
俺は気の利かない間抜けさのまま………ぼぉーとしてて、てめぇの事しか
考えてなかった。


あやせはヘアピンに触れてずっと、何か言おうとしてたが……
結局何も言葉は出てこず………代わりに、潤んでいた双眼からとめどもなく
涙が溢れだした。

声こそださなかったが……口は『ワァー』と言う形のまま音も無く、
ただただ泣いていた。


「………す、すまん」

気が付くと土下座してたね、俺。

「もう良いですっ!!!謝られたら……。わたし、謝られる方が余計に惨めだから
もう良いから------」


と言いつつ、土下座してる俺の頭をガンガン本ぃ気(ほんいき)で踏みつける。

『危険なあやせ』の足音(フットスタンプ)だけが辺りに響いた

ドォ ドォ ドォ ドォ ドーン

「うぐ……うッ…………ち、違う…そ、そ、そう意味じゃ……グハッ」


早くッ頭上げてくださいっ!(ドン) ヘラヘラすんなッ! (ドンドン)
わたしの告白断った 癖にっ! わたしに 踏まれて 喜ぶ癖にっ! (ドン)
ブチ殺しますよ? 変態 変態 ど変態っ!(ドン)
お兄さん の 嘘 嘘つき 大嘘つき 裏切り者ッ!!  (ドーン)
もう [ピーーー]っ [ピーーー]ぇ 早く死んじゃぇ !!! (ドスン)


「……………ぐ」
443 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:28:51.05 ID:R1d3Hpy/0

ヤバイ、意識が……どうしてこうなった?
さっき、部屋を出る前に過去の自分と対話したのを思い出す。

過去の自分が語りかけてくる

『おい、おい大丈夫か?』 

イヤ、大丈夫じゃねぇだろ……確実に


『きょうちゃん』

麻奈実が優しい顔で笑みを浮かべている
ふぅ〜、まったく……おまえの顔を見てると本当に落ち着くよ、麻奈実。


アレ?と言うかこれって走馬燈じゃねぇ?

確か、走馬燈ってのは…………人間が死ぬ時に一番思い出したい記憶なんだっけ?
あ〜あ、俺………死


じゃなかった、走馬燈ってのは人間が死にそうな時に、どうにかして
助かる為に……その方法が無いか、脳が過去の記憶を高速で再生する事らしい
(って説もある)


『きょうちゃん、おといれに行って、ちゃんと手を洗った?』


『きょうちゃん、男の子でも……ちゃんとはんかちは持ってないとダメだよ〜?』

そうだ、ハンカチ!
麻奈実、おまえ………走馬燈の中でも俺を助けてくれるんだな。

それとも------死ぬ時に一番見たい顔ってやっぱ・・・・まぁそれはいいや

まだ、取り合えず今は死ぬべき時ではない(筈)、(多分)。


って事で半分地面に顔がめり込みつつも、俺は何とかポケットからハンカチを
取りだして言った。

「あ、あ、あやせ………これで……涙……ふ、ふ……拭いて」



その後、俺とあやせは空っぽになった部屋に戻って、ぽつんと並んで座っていた。
あやせはあの通りだし、俺もこの様(ザマ)だし……取り合えず落ち着く為には
屋根がある場所が良いだろう。

まぁカギは今日中に大家に返せば良いわけだから、まだ時間の余裕はある。

べ、別に空き部屋にあやせを連れ込んで、何かしようなんて----少しも考えてないぜ。

実際(100パー)そういう雰囲気でも全くない。
444 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:30:30.07 ID:R1d3Hpy/0


「ご、ごめんなさい。お兄さん、わたし-----」

「い、いや……全然平気」


あやせは泣きやんだ様子だが、顔をこちらには向けてなかったので
どんな顔をしているのかを伺い知る事は(想像すら)出来なかった。


何もない部屋に夕日だけが差し込んでいた。

この部屋にあやせと二人で居ると、こいつが甲斐甲斐しく世話をしてくれた
光景が自然と思い浮かんだ。

それは……この部屋での様々な場面の-----様々な表情のあやせが写真みたいに、
アルバムみたいに俺の頭の中に焼き付いてるってことだろう。

ほんのちょっと前の記憶の筈なのに、黄昏色の光に着色されて、セピア色になった
あやせのイメージは、不思議と随分大昔の出来事だった様な感慨を俺に与えた。


その"懐かしさ"は多分、愛おしさって言い換えても良いものだ。


そうだ、あやせは乱暴だが、優しくて思いやりのある女の子ってことは

もう(十二分に)知ってる筈なんだ、。
もう(考えるまでもない)分かりきった事実だよな。


なのに、また感情の行き違いのせいで--------この部屋の最後に残る思い出が
あやせの泣き顔になるなんてのは………ぜってぇにダメだと思う。

「あの………あやせさ……さっきの話」

「もう------良いんです。何も聞きたくないっ!わたし、全部分かってますからっ」

「ちょっと、お願いだから…………もう一回こっち向いてくれよ。
本当にこの通り……お願いだから、な?」

俺の躊躇がない必死なお願いで、ようやくあやせは泣き腫らした目をこちらに向けた。

泣き顔の(極・超弩級美少女)女の子睨め付けられるって、すごくドキドキ
(ついでにゾクゾクも)するな、しかし

俺ってやっぱ変態なんだろうか?
あやせの前だと色々な意味で理性が揺らぐ気がする。


俺は内心の動揺を何とか隠しつつ、さっきあやせがしたみたいに思いっきり距離を縮める。

「あの時って言うか、今の俺の気持ち言うわ……やっぱ、あやせは可愛い」

「------嘘つき、うそつき、ウソツキ--------嘘つくな-----嘘ばっかり。
それは全部-------嘘っ! うそっ!! ウソっ!!!」


あ〜あ、あやせがバーサーク(狂戦士)化しちゃってる。
桐乃の件以外で、こんなにぶち切れてるあやせを見たのは久し振り………だな。

もしも、俺があやせの彼氏やら旦那さんになって喧嘩とかしたらどうなるんだろう?
ふと、そんなイメージが頭に浮かんで身震いした。

ってか………今はそんな妄想をしてる場合じゃないんだよ、本当に俺は馬鹿か?
俺はどうも、あやせみたいな美人を目の前にすると色々余計な事を考えちまうタチらしい。

あやせに、いつもセクハラと言う名前のちょっかいをかけてたのって
こういうのが原因だよな、やっぱ。
445 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:32:26.28 ID:R1d3Hpy/0

「嘘じゃねぇよ。ほれ」


俺は携帯に保存していたあやせの写真を開いて見せた。
この写真はあの沙也佳ちゃんのサイトから保存したものだ。

「これ、筧さんのサイトの写真じゃないですか-----本当に全部保存してたんですか?」


「ああ、マジで俺の宝物だ」


「いかがわしい事に------つ、使ってないでしょうね?」

「ま、まだしてない」

「まだ--------って言いました?」

あやせ、顔怖いって


「じょ、冗談だから……そういうんじゃないんだ」

あやせが突然立ち上がって、「うごくせいぞう」みたいに足をあげたので
必死に弁明した。
次踏まれたら、ガチで『もう俺のライフは0よ』って話になりかねない。

あやせは俺と、俺の携帯を交互に何度か見ていたが………

「削除っと」 ピ♪

「ちょ、おま…………な、な、何て酷いことをぉ!!!」

「はぁ------簡単に騙されて、取り乱しちゃってみっともないですね。
いくら、わたしでも勝手に他人の携帯のデータ弄るわけないでしょうが………」

俺の動揺に対して-----呆れる7割、軽蔑2割、謎1割の顔で携帯を手渡してきた
あやせ。

「おいっ!マジで消してるんじゃねーか!!!」

まぁパソコンとUSBメモリーに二重に保管してるとかって言うのは辞めておこう。

「-----お兄さんって
言う事は基本的にかなり適当で---シスコンで
性格もすごく優柔不断だし-----エッチで
発言は超いい加減だし------変態だから、
だから----わたし、やっぱり信用出来ません」

なかなか鋭くキツイ事をサラリを言ってのける、あやせ。
何かさっき、こいつ俺のこと好きとか言ってなかったっけ?

まぁしょうがねぇ……まったくもって、その通りなんだから。

あやせの胸チラばっかり気にしてた罰みたいなもんだろう、結局
信用して貰う為には……………俺自らが本音でぶつかって、胸襟を開かないとな


「と、とにかく、勉強の合間に……これを見て息抜きしたし
あやせが俺の家に来る様になったら、おまえの可愛い顔を直接見て癒されたんだ。
も、もちろん……それだけじゃなくて、桐乃のお願いとは言っても
あやせが俺の為に一生懸命にお世話してくれたのもメチャクチャ感謝してる。
だから、改めて礼を言わせてくれ。
本当に有り難う、あやせ。」

謝罪じゃなくて、本当に100%感謝のつもりで頭を下げた。

「ど、どうも致しまして-------。
でもその事については、本当にお礼なんて言わなくても大丈夫です。
だってわたしが好きで、勝手にしたことですし-------------あっ」

「え?」


あやせの『あっ』って顔を、『え?』って顔になった俺が暫く眺めていた。
446 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:35:02.87 ID:R1d3Hpy/0

「それは--------それとして
ゴホン(咳払いしつつ)
と、とにかくお兄さん、わたしのこと------可愛いと言いましたね?」

「い、言いました」

「本当に------ウソ、偽りは無いですか?」

「…………ないよ、全然」


「あの--------その、えっと」

あやせがまたヘアピンを触って、恥ずかしそうにモジモジしている。


包丁を俺に突き付けていたホラーあやせと同じ人物にはとても見えないな。
俺はこいつの事をどれだけ分かってやれてるんだろう?

あやせだけじゃない、妹の事も、後輩の事も、幼馴染みの事も…………。


「ど、どうした?」

「わ、わ、わたし-----」

「焦らなくても大丈夫だよ。待っててやるから……ゆっくり落ち着いて」

「!」

「わ、わりぃ………」

俺は無意識に、本当に何の意識もせず………気付くと、あやせの頭に手をのせていた。
これじゃ、まるで桐乃に接してるみたいじゃねぇか。

"姉妹"なんて冗談を言ってたが、別に瓜二つってわけじゃないのに

慌てて、手を引っ込めようとしたが……あやせは手を引っ込めた距離の分だけ
俺に近づくと、有無も言わさずに俺の手に自分の手を重ねた。


「桐乃に------そんなに似てましたか、わたし?」

俺は、絶対にしてはならない間違いを起こしたことに気付く……。

あやせの声には一切の抑揚が無かった……。

あやせはもう恥ずかしがってなかった。
笑ってもいなかった。
泣いてもいない。
ほんとうに何もしてなかった。
表情も感情も消えていた。


…………ただ冷たい視線を俺に向けていた。
そして俺は、そんなあやせの顔を見て……身も心も凍てついた。



何故か、その時……随分前に黒猫に言われた言葉を思い出していた。

『私が女で、年下で悩みを抱えてそうだから。自分を頼ってくれそうだから、
気になってる。ただそれだけ』


『------------------------私はあなたの妹の代用品ではないわ』


今度は麻奈実の言葉

『あやせちゃんなら、みんなが笑って暮らせる様な家庭を----------------』



お兄さん

ねえ、お兄さんってば


「お・に・い・さ・んっ!!!!」
447 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:37:03.58 ID:R1d3Hpy/0

「ぎゃぁっぁぁぁ、こ、殺さないで…………い、命ばかりはお、お助けを」


「何で、あなたは一人で妄想して!どうして、いつも------いつも
わたしを冤罪被害者にしちゃうんですかっ?」

「あ、アレ?おまえ、いつの間に正気を取り戻したんだ?」

「失礼ですね-------なんなら続きしてあげても良いですよ?
『兄貴……………あたしのこと好き?』(桐乃の声真似)
とか耳元で囁いてあげましょうか?」

「ま、マジで勘弁してください……」

「はぁ-----お兄さんがシスコンなのはしょうがないですもんね。
まさか------告白してる女の子を妹扱いするとか鬼畜にもほどがありますけど」


「だ、だから………ごめん」

「ねぇ、お兄さん----わたしと仲直りしたいですか?」

「へ?え、………あ、ああ……もちろん」


「お詫びして--------ください。目を閉じて」

「…………………」

あやせは真剣な表情のまま……俺と握っていた筈の手をいつのまにか離し
今度は思いっきり、斜め上45度に振り上げていた。

この状態は、明らかに殴られるパターンなのだが、今回ばかりは
どうしても、あやせの言う通りにして良いものか?どうか迷う

「全然反省してないんですか?
わたしには別に、許して欲しくない--------とか?」

「反省は…………してる」

「----------------だったら、目を閉じて」

しょうがない………素直に目を閉じた。
別に殴られるのは、馴れてる。
殴られる事自体は………今はどうでも良い。
本当にぜんぜん……良い。




それよりも--------そんなことよりも



「今だけ、わたし---------」


不意に気配が近づいて通り過ぎる感覚が肌に触れる、刹那
-------女の子らしい良い匂いがした

「お姉さんよりも、黒猫さんよりも-----------あなたの事が好きです」


そして息遣いの囁きを聞き、不意に暖かい-----濡れた-----何かを(が)俺に……

「き、桐乃よりも------世界の中の誰よりも、あなたのことを愛しています」



       『「!!!」』


「………え?」

俺は自分(あやせ)自身の声が、まるで(あやせ)自分の声じゃない様な錯覚に
襲われながら何とか次の言葉を出そうとしたが………
448 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:40:29.48 ID:R1d3Hpy/0

「これで--------今日のところは許してあげます。
今はまだ、黒猫さんに踏み返されるのはわたしのプライドが許さないから。
桐乃やお姉さんのこともあるし--------だから、これで仲直りです」

「…………あ、ありがとう」

ずっと俺の手とギュッと握られた、次は大きく振り上げた手を、
最後にまた俺に差し出してきた。


戸惑いながら、あやせの手を握り握手する。


「--------でも」

「で、でも?」

あやせは握手した手に力を入れる………男の俺でも痛いくらい強く

「次にこんな事が起きたら---------」

そして、手の力に比例して語気も強める

「…………お、(起きたら)?」

あやせは俺に最後まで言わせず、今度は自分の人差し指を唇に立てる


         『しぃ………』



そして今度は、その指を俺の唇に優しく当てた


「お兄さんがその口で二度と言い訳を言えないように------します。
わたし、何があっても、絶対にっ-----絶対にッ許すつもりはありません」

「……………………」

あやせの人差し指は、まだ俺の唇の当たったままだったが……そんなもの無くても
俺はきっと口が聞けなかっただろう

「もう嘘つきたくないから------あなたにも、わたし自身にも。
だから--------黒猫さんに踏まれても構わないから、そうします--------
誰・に・何・さ・れ・て・も・良・い・か・ら・、そうします------必ず」

「……………………」


「------そんな顔しないでくださいっ」

「い、いや………………驚いた………だけだから」

「だったら今だけ------嘘でも良い、誤魔化しでも良い、同情でも、
憐れみでも良いから、わたしの質問に答(応)えてください」

「あ、あ、あやせ?」




    「お兄さんは------わたしのこの気持ちって迷惑ですか?」



               ***



お兄さんの困った顔
いつもなら-------こんな時じゃなかったら、わたしの嫌いじゃない顔。


嫌・い・じ・ゃ・な・い------じゃない。わたしの好きな顔。

でもあなたを困らせた、わたし自身は嫌い-------大嫌い。
449 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:42:05.95 ID:R1d3Hpy/0

本当は

こんな事 言うつもりじゃなかった。
こんな事 するつもりじゃなかった。


今日、家から出かける時に鏡の前で何度も-----何度も繰り返した

           『好き』という言葉

本当は、ただ聞いて欲しいだけだった……願いが叶えられなくても良かった。

それなのに-------
その筈だったのに、わたしはあなたの顔を見ていると、あなたの声を聞いていると
あなたの事を想うと………愚かなほど、滑稽なほど欲張りになる。


わたしの嘘を受け止めて、ダメな兄を演じてくれたあなたが好きだった。
いつも優しくて、わたしの事を見守ってくれた、あなたが愛しかった。

時々いい加減で、調子よくセクハラしてきても、あなたを嫌いになれなかった。

わたしの方を振り向いてくれなくても良い、他の人に夢中でも構わない……
ただ側に居て欲しかった……ずっと隣に並んで居たかった。


お兄さん、わたしは………最近よく "もしも"を考えます。
考えたくないのに、考えてしまうとてもイヤな--------『もしも』です。

もしも、わたし達が偶然、街で出会って運命的に恋に落ちていたら?
あなたが桐乃のお兄さんじゃなくて、わたしも桐乃の親友じゃなかったら?

お姉さんも黒猫さんも知り合いじゃなくて………ただあなたと二人っきりだったら?と。
そして最後にいつも自己嫌悪になります。

桐乃はわたしの目標で大好きな親友。
お姉さんはわたしの憧れで大切な人。
黒猫さんは尊敬出来て、きっと今よりも分かり合える人。

でも、わたしはあなたと何か(どんな大切なものでも)を天秤にかけたら
どんな理屈を掲げても、きっとお兄さんを選んでしまう。

自分で分かる------これが今日初めて、想いを伝えて確信したこと。
周りをどんなに傷つけても、わたしは必ずあなたを選ぶ。


だから、今日あなたに嫌われて良かった…………。

誰も傷つかずに、終われて良かった…………。

もう無意味で悲しい『もしも』を考える必要がなくなって良かった………。

『つもりじゃなかった』 『筈じゃなかった』 
そんな"嘘"をこれ以上重ねなくて済む様になって本当に-------本当に良かった。


…………さよなら





『お〜い、あやせ……何勝手に帰ってるんだよ、こっちは待ってろって言っただろ?』

「……………」

『おまえ、今日……。えっと、あ………あ〜分かった、分かった。変わるよ』

『きゃー変態ロリコン男に犯されるー。あやせちゃん助けてーーー』

『こら、てめぇ!本当に最近の小学生は………なんつー台詞吐くんだよ。
ってことであやせ早く来てくれ、俺がややこしい何か(条例)に巻き込まれる前に』
450 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:43:52.33 ID:R1d3Hpy/0


「あ〜|あやせちゃん、本当に来てくれたんだぁー。えへへ………こんばんは♪」

筧沙也佳さんは首から一眼レフを構えて、お兄さんと部屋で待っていた。

「あの、これって一体どういう?」


「えっと、その前にこれ………受け取ってくれよ」

お兄さんはおもむろに、高級な作りの少し大きめの箱をわたしに渡す。
"EBS"と言うロゴ……これは確か御鏡さんのブランドだった。

「これは俺個人からの感謝の印つーか。おまえにはよく切れる包丁も貰ったしさ。
家事やら何やらもしてくれたしさ。だから気持ちだよ、気持ち」

照れくさそうに、頬をかきながら、目も合わせずにお兄さんはぶっきらぼうに言った。


「あ〜あ、物で釣るとか、どんだけ低俗な人なんだろうねーー。
あやせちゃん、この男には気を付けた方がイイよ、この人ってさ……」

「おいコラ!そこのストーカー小学生っ!」

「そのキーワード辞めてよぉ、あたし……正式にあやせちゃんにモデルになって
貰うんだから、今日もその為に門限破って出かけて来たしぃ」


この人は誰とでも仲良くなれるんですね
わたしが有無も言わさずに、問答無用で警察に付きだそうとしたのを制止して
自分の模試の直前に説教までして、仲直りまでさせて………
今は昔からの友だちだったみたいに接している………。

「だからさ、ちゃんと役割を果たしてくれよ?頼んだぜ!未来のカメラマン」

「そ、それは喜んでするし、超楽しみだけど………。
でもぉーあたしが、せっかく初めてする記念の撮影会が……何で、
あやせちゃんとあんたのツーショット写真撮影する話ってなってるのよぉ?」

「わ、わたしの質問に答えてくださいっ!!------何の話をしてるんですかッ?」

わたしの剣幕に押されて、沙也佳さんはお兄さんの背中に隠れた。


「あ〜悪い、悪い……。
えっと………何かさ、ちょっとの間でも俺が住んだ家なわけじゃん?
一国一城の主って言うと古くさぇけどさ。
ここで俺は一生懸命に頑張って勉強した、色々な事を考えた!
それで、その時の気持ちをぜってぇ忘れたくねぇーなと思って。
自分を戒める意味でも記念に何か残しておきたいと思ったんだ。
あやせには世話になったから、ついでに一緒に写って欲しいなって思ってよ」


「それってさぁ、単にあやせちゃんと写真撮りたいってだけでしょーに。
女の子と一緒に写真に写りたいからって、よくそんなご大層な自分語り出来るよねぇ?」

「おまえと言う奴はっ!俺だけの理由じゃねぇーだろ?
イヤなら撮影係は即刻、解雇すんぞ?」

「ご、ごめんなさーい。
あんたがちょっとだけ良い人って認めてあげるから解雇は辞めてよー!
ぶっちゃけ邪魔でしかないけどぉ。しょーがないからぁ、一緒に写してあげるよぉ」

「--------あ、あの?」

本当に、お兄さんと沙也佳ちゃんは馴染んでいた。
わたしは取り残された気がして、少し淋しい気分になる。


「まぁ、とにかくその箱開けてくれよ。気に入って貰えると良いんだが」

わたしはまだ状況をよく把握出来ないまま、箱を開けた。
その中には"エタナーブルー・シスター"の最新作と思われるへアアクセサリの数々

コーム バンス シュシュ バレッタ カチューシャ

それは一目見れば分かる高級品であり、値段に負けないくらい素敵な作りの
全て"月"の形を象った『luna』というものだった。
451 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:45:14.75 ID:R1d3Hpy/0

「太陽(ソラリス)やら木星(ジュピター)やら色々あったんだが、
俺はあやせのイメージで月にしたんだ」

「申し訳ないですけど、こんな高価なものを頂くわけには------
第一、わたしが貰う理由が無いですし」

「あやせに似合うって俺が考えるのが理由じゃダメかな?」

「い、意味が分かりません-------と、とにかくわたしは頂けませんっ!」

「悪いが、沙也佳ちゃん……ちょっと席外してくれるか?」


「…………良いけどぉさぁ、早くしてよね?」

沙也佳ちゃんは不満そうな顔をしながら外に出て行った。



「あやせ、ごめん…………この通りだ」

また"あの"顔をするお兄さん。

「-------な、何の話です?」

「まだおまえの言葉に……俺は肯定も否定も出来ない。理由は分かると思うけど」

理由なら知ってる、違う--------そうじゃない、一年間前からずっと知ってた。
そしてそういう返事をされるのも納得した上で、告白した。

でも途中で気持ちが抑えられなくなった。-------だから全部わたしの我が侭なんだ。
お兄さんが謝る必要なんて全然-----ぜんぜん、その必要なんて無いのに。

この人はまた………優しい顔、情けない顔、わたしの大好きな顔で、
わたしを諭してくる。

「は、話が終わったなら-------わ、わたし帰ります。さような」



「おまえの気持ち…………すげぇ嬉しかった」

そうやってわたしが踵を返して、歩きだそうとした時に手を握られた。


「この答えじゃダメか? 今はこれ以上………何の約束も出来ない。
それでも…………おまえには、もう嘘は絶対につきたくはないと思ってるんだ。
おまえに誤解されたり、嫌われるのはぜってぇイヤだ!」



やっぱり----------------狡い人



でも----------------優しくて、素敵で愛しい人




「ちょっとぉ…………お二人さん、並んでくれないと写真にならないじゃん。
特に、そこの地味顔の君…………笑いなさい!」

沙也佳さんが真剣にカメラを構えて指示している。
この子……技術は稚拙でも、すごく情熱を注いでるのがよく分かる。
452 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:47:55.15 ID:R1d3Hpy/0

「へいへい(汗) 地味顔で悪かったな!
あやせさぁ…………け、結局………そのヘアピンで良いのかよ?」

「ふふ------お兄さんに一番魅力的に映えるのが、この格好なんですよね?」

「本当にごめんな……。だからもういい加減に、勘弁してくれその話は………」


「お兄さんが送ってくれたのって"月"を象った『luna』と言う名前の
ヘアアクセですよね-------わたし、他意があると理解しても良いです?」


「伊達に受験で、英語を勉強してるわけじゃないんだぜ………俺も。
これが月を象ってるのに『moon』じゃなくて『luna』と言うのは
月の狂気を表現してるわけだな。
--------ってぇ痛っ」

「もうぉ!プレゼントした癖に、よくそんな非道い知識を披露しましたねッ?
やっぱり却下ですっ!」

「俺なんかから…………物は貰いたくないってこと?」

「ちっ、違いますッ!
わたしが納得出来ないから--------こ、今度はちゃんと二人で選ぶって意味です」

「そ、それってデートって意味?」

「-------せっかくだから、本当にわたしに似合うものを あなたにちゃんと
決めて欲しいんです」




「はぁ……やっぱ結局、二人って付き合ってたりするのぉ?」


「「付き合ってない」」



「ふぅ〜ん。
でも…………あやせちゃんってさ。--------まっいいか。ほら撮りますよぉ」



「ねぇ、お兄さん、わたし-------このヘアピンもやっぱり好きだし
大切なものなんです。
今日、その事が分かって------本当に良かったと思ってます」

453 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/04/21(土) 05:48:46.71 ID:R1d3Hpy/0

「あのさ…………俺があやせはが可愛いって言ったのは嘘じゃないんだぜ」


「お兄さんに嬉しい言葉 言って貰えたから、わたしも正直に良いこ・と・
-------教えてあげます。
あのライブの時に、お兄さんに顔を近づけたのは、あなたの気を引きたかったから」


「えっ?お、おまえ……………」


沙也佳さんがシャッターを切る直前、
わたしはお兄さんの手を、わたしの手と指つなぎして同時に腕も絡ませた。


どんなに、お兄さんが動いても離れないように、強く-------強く、抱きしめた。


決して離さないように、で・き・る・だ・け・--------壊れるくらい抱きしめた。



「--------わたし」




          
         

      『ないものねだり』 なんて 自分の心に 二度と 嘘 吐かない

       
        もう  絶対に  あなたを諦めない
















おわり
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/21(土) 08:32:49.05 ID:oCTlVyyu0




乙でした
っていうかごちそうさまでした
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 08:58:26.69 ID:Ae3g8eZDO
ナイス
読み終わってはふぅ…ってなったわww
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/21(土) 16:36:14.71 ID:/Ug9V3Gbo

やっぱりあやせたん可愛いわ。
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 22:01:46.27 ID:NiJdFruc0

俺はあやせ派じゃないんだがこういう雰囲気は好きだな
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 00:12:41.01 ID:YHP9b+dZo
個別スレがいつの間にか減ってて驚く今日この頃
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 00:19:21.32 ID:1g7oEX4AO
先月今月で5つ減ったしなー

BadEnd、休筆、
失踪、失踪、失踪…

いまは7つ稼働中だぬ
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 06:31:43.89 ID:lZdUP5Zc0
どうしてこうなった・・・
10巻も出たから少しは持ち直すと思ったんだが
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 18:40:03.35 ID:Q4EgndkDO
もとからSSは完結させられる人のが少ない
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 21:00:03.28 ID:Gtdyv6TL0
まあ旬が過ぎてしまったのはまぎれもない事実だからな
アニメに期待するしかないだろ
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 03:07:14.59 ID:jOXfSFxpo
あやせ「お兄さんがセクハラしてくれなくて寂しい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335189437/
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 19:01:20.91 ID:yw8xRwMio
>>459
残り7つのうち、連休明けには失踪確定がもう一つ加わる予感
新LR適用前のSSだから未だに残ってるだけでね
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/24(火) 20:10:08.79 ID:0ZWsHKRIO
初投下。文才ないので続き読みたくなかったら言ってくれ


ロックの初恋

「よぉ?っす!あんちゃん!超久しぶりじゃん?う?っと3ヶ月くらい?」
「・・・2週間前に会ったろうが。いくらなんでもお前ボケるの早すぎじゃね?」
「オーッ、さすがあんちゃん!切れ味鋭いね!で、今日は何しに来たの?ねえちゃんと風呂入るのはまだダメだって!」


ちわーっす。俺の名前はロック!本名じゃないけど俺の魂の名前なんだ。なんでこんな名前にしたかって?ハハ、気にしない気にしない。ちなみにここは俺の実家。和菓子屋なんだ。


「もう、お客さんに失礼でしょ?。ごめんねきょうちゃん。おじいちゃんがお父さんにあの時の事言っちゃったみたいで」

今頬を赤らめながら話したのは俺のねえちゃん。田村麻奈美って言うんだ。で、今姉ちゃんに謝られていたのが高坂京介。俺のあんちゃんで命の恩人だ。

「おい、なんでこのタイミングでその黒歴史を思い出さなきゃならんのだ。もう大分前のこったろ?てかジジイ!」
「おじいちゃんならいないよ。元気なうちに海外に旅行したいって。」
「そっ、そうか。なら帰ってきてから」
「そんなことより」
あれ?知らない声がするけど・・・
「お姉さんとお風呂に入るってどういうこてですか?お兄さん?」
うお!マジで怒ってるぞこの人!
「ま、待てあやせ。いや、あやせさん。お願いだ話を聞いてくれ!」
「なんでそんなに怯えてるんですか?さすがに傷付くんですけど。まあ、良いです。今回はお姉さんの御宅ですし、許しておきましょう。所でお姉さんそちらの方は・・・」


これが俺が初めてあやせさんに会った日だった。
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 21:34:35.44 ID:SkeUfLDAO
>>464
まだ慌てる時間じゃない…だろ

ワケあって落ちても、後で可能なら続き書いてほしいのとかあるけどな。
やっぱスレ落とすと再開はしづらいもんかな

>>465
レアなカップリング乙
魂の赴くまま好きに書けばよかろうなのだ
あとロックの姉ちゃんは麻奈「実」
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/24(火) 23:20:14.20 ID:mjGNE3XJo
ロックが恋するだけならいいけど、くっつけるんなら読まないから注意書きくれ
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 23:27:46.96 ID:CX8N7T2C0
>>465
そう言えばどっかにロックが加奈子と付き合うSSがあったっけ
需要は少ないけどあるみたいだからチャレンジすると良いよ
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/04/25(水) 06:58:30.51 ID:8R0pMe0t0
>>467
あんたは何でそんなに偉そうなの?

荒らすつもりじゃなくて真剣に書いてるなら
どんなカップリングでも全然イイから書いてくれ
真剣ってのは名前とか間違えないのが最低限のルールだが
後は注意書きすりゃ全然イイ
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 11:27:18.72 ID:4ZDqgYCDO
その昔、桐乃と御鏡をくっ付けてボロクソに叩かれてた人がいる
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/25(水) 15:06:03.76 ID:7HYJQpmgo
>>469
言い方荒いけど言ってることそのものは普通じゃないか
あとあなたも十分偉そうだぞ

個人的には明るめとかダークとかある程度の傾向とカップリングは
先に書いといて欲しいかも
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/25(水) 15:15:01.19 ID:BgckWCeAO
あっ軽めストーリー

>>470
うわー懐かしい
あれ結構読みごたえある文だった気がするけど、テッテテキに叩かれてたっけ…
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/25(水) 16:36:08.40 ID:5w0cOMtIO
>>465の続き

>>466 ありがとう。名前は今回から気を付ける。

>>467 一応原作であやせの京介への好意が明らかになったから、ロックには涙を飲んでもらう予定。ただ、書いてく中で気が変わるかも。


なんだ、この人!ちょー可愛い!綺麗な黒髪!マジヤベーよ。てかえっ、誰?誰の知り合い?

「あ、あんちゃん!誰この人?ちょー美人なんだけど!も、もしかして・・・桐乃ちゃん?あんちゃんと全然似てないよ!?」
「ち、ちげーよ!てかお前桐乃の顔知らなかったんだな!」
「見たことはあったかも。でも顔は覚えてないや。アハハ」
何故か不機嫌になるあんちゃん。俺なんか悪いこと言ったかな?
「で、この加奈子並みのオツムの方はどなたなんですか?」
と聞いてくる黒髪美少女。おっと、お客様に名乗るのが遅れるとはこのロックとしたことが生涯の不覚だぜ!
「お、俺な?俺はロック!あんちゃんの弟分でロックの申し子。へへ、よろしくね・・・あのー名前なんていうの?」
「ロ、ロック!?お兄さんの弟!?ま、まさかお兄さんに外国人の弟がいるなんて・・・」
「おい、あやせ!誰もお前にボケ役は期待していない。第一こいつの頭を見てみろ!まさしく日本男子じゃないか?」
「そういえばそうですね・・・なんだか桐乃のお父さんみたい」
「はあ、お前熱でもあるんじゃねえの?」
「そ、そんなことありません!そう言って私のおでこに触るつもりですね!この変態!」
と言ってあんちゃんに肘打ちを喰らわす黒髪美少女。お、俺としたことが展開が読めない・・・な、何が起こってるんだ?
「ね、ねえちゃん!どうしよう!」
「ほらほら2人ともぉ?喧嘩しちゃ駄目だよ?」
「はっ、す、すみません。お姉さん。ついいつもの癖で」
「あ、あんちゃん!大丈夫か?」
「きょうちゃんは大丈夫だよ。ほらきょうちゃん、新しい和菓子出して上げるからはやく立って?」
ね、ねえちゃん・・・あんちゃんに厳しくね?なんでだ?あんなにあんちゃんに優しかったのに・・・
「くっ、まあいい、まあいい、まあいいさ。さてと菓子食いにいくか・・・」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/25(水) 16:40:52.99 ID:7HYJQpmgo
「〜」

「〜」
って行をあけると読みやすいと思うよ
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 16:50:58.39 ID:FznsZsSe0
>>473
いちおつ
次回から5〜10レスずつまとめてから投下したらどうか?

あんまり散発的な投下だと読む人も読みづらいし
編集する人も編集しづらいと思う・・・ぞ?
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 21:13:38.18 ID:CgLjSTLDO
個別スレでやるべき
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/25(水) 21:51:28.97 ID:tYF4BHIV0
>>476
そう言いだした奴が居て、このスレが一時期廃れたのを知らんのかい?
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 22:07:09.68 ID:AfQkAsI9o
べつに個別に立てなくても良いから、確かにまとめて投下して欲しいな
需要云々はどうでもいいけど、CPとか事前の注意書きはした方が良いと思う
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2012/04/25(水) 22:19:52.39 ID:/W6DVf6R0
>>471
だから言い方が偉そうって言ったんだけど?
ちゃんと理解してからレスしろよ

読みたくないなら読まなきゃ良いだけの話。
その選択肢がここのいる奴がそれぞれすれば良いだけの話でしょ。
何で自分が読みたくない場合に他人にそれを強要するの?
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 22:38:20.20 ID:pIxwyKNA0
・完結させてからの投下が望ましいです。

これはね、読み手の為だけじゃなく、書き手の為にもテンプレに書いてあるんだわ
完走し損ねた個別スレがどれだけあるかをみればわかるだろう

マジな話、書き上げてからがいいよ
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 22:39:05.10 ID:VnF4Jud9o
カプを事前に書くって、SSの内容によっては良し悪しと思うけどね
荒れる元というのも十分に分かるんだけどさ

例えば、京介を巡って黒猫と麻奈実が恋の鞘当を繰り広げているうちに
物語の途中でひょっこり現れたあやせが、謀略をめぐらせて京介を奪うってSSがあるけど
これなんか 京介×あやせ とか事前に書いてあったら興ざめだよね

このスレで問題になるカプって、要は桐乃が京介以外とくっ付く場合だけでしょ?
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 22:46:00.76 ID:BgckWCeAO
>>473
会話にスピード感あるのはとてもいいけど、台詞と地の文との間には空行はさんでほしい。
携帯ならともかく、PCだとゴテッとした文字の塊は20行程度であっても読む気を削がれる

まったくついていけてないロックが今後の絡みに期待。


そういえば……
あやせは本心から麻奈実と京介をくっつけようとしている、って読めた時期もあったっけ原作。光陰矢
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/25(水) 22:48:44.99 ID:7HYJQpmgo
>>479
言ってる内容について避難していなかったんならすまん
ただ自分も>>467も注意書きが欲しいって言ってるだけで
読みたくないからやるなとは一言も言ってないよ

>>481
例えばの内容が一番嫌なのよ
その場合、特にあやせ嫌いでなくともあやせ嫌になったりする事もあるのさ
自分の場合、別作品だけどそれに近いことで若干苦手になったキャラがいるし…
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/25(水) 22:49:46.77 ID:bpLMuID/o
>>479
基本的に京介以外とくっつくSSは読みたくないからくっつけるなら書いてくれって言ってんだけど、頭大丈夫?
で、偉そうかどうか判断するのは俺がレスした相手であって、お前じゃないんで何横から喚いてんの?
実際>>473で普通に返信されて終わってんじゃん。
お前はここの自治委員長か何かか?
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/25(水) 22:53:37.87 ID:bpLMuID/o
ついでに言っとくが、別に京介以外とくっつけるななんて一言も言ってないからな
サブカプ嫌いなもんで、そういうSSは読んでて気分悪いんで、
事前に書いてくれれば知らずに読まなくて済むから注意書きくれって言ってんの
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2012/04/25(水) 23:14:25.20 ID:/W6DVf6R0
>>484
だからてめぇが読むか読まないかとか知るか
注意書きだけしろって最初から言えよ。

わざわざ読まないからって言う必要がどこにあんの?
ここはおまえ専用の場所か?
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/25(水) 23:39:37.18 ID:bpLMuID/o
いちいちくだらねぇことで噛み付いてくんなゴミ
読まないから注意書きくれ、それだけのことだろアホ
いちいち偉そうとかわけのわからないこと喚くなっつってんだよ委員長さんよ
別に最初の書き込みはてめぇにレスしてねーんだ、知らないのなら横から入ってくんなよww
スルーしとけアホ
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2012/04/25(水) 23:45:41.83 ID:/W6DVf6R0
>>487
ここはおまえが王様の場所じゃないんだっての
投稿する奴に失礼なんだよ、おまえは。
おまえが読むか読まないかとか関係ないから。
自己主張したいなら別の行為で解消しろ。

謙虚さがない読み手とか邪魔なだけ。
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/25(水) 23:50:42.93 ID:bpLMuID/o
それを判断するのは書き手であって、書き手が言うにならまだ理解出来るが、
匿名の名無しのお方が言っても意味ないので^^;;;
なんでいちいちお前様が注意してるの?
やっぱりじちいいんちょう様なの?

嫌なら読むな>じゃあ読まないから最初に注意書きくれ>読まないとか書くって何様
馬鹿じゃねーのwwwwww

臭いからいちいちつっかかってくんなよww
もしかして脳障害?
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2012/04/25(水) 23:56:57.98 ID:/W6DVf6R0
>>489
おまえの陳腐な自尊心が傷ついたんだな。
自分が言われてイヤな癖に、他人はいいのかよ。

馬鹿なおまえは他の奴にも似た反応するんだろ?
今回のうp主が気にしてなかったからって
次の奴はどうなんだよ。

想像力と人に対する思いやりが欠如し過ぎ
ここは投稿された文章を読みたいだけの場所で
おまえの自己主張の駄文なんて読みたくない事を
覚えとけ、アホ
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/04/25(水) 23:58:02.81 ID:WDuhYM79o
とりあえず双方落ち着きなさいな
自分がいくら正しいと思っても煽るのはよくない

とりあえず注意書きは書いておいてねで終わる話なのにどうしてこう荒れてるんだ
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/25(水) 23:59:33.90 ID:nRnkG/8Ko
>>491
なんか自分が発端かもしれん、まじですまん
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 00:06:07.75 ID:Suvt9L/ao
いやぁ〜 活気があっていいじゃないか
去年の今頃は確かこんなだったよ、あとは書き手が戻ってくれば万事OK
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/26(木) 00:10:29.99 ID:XdV9pI21o
>>490
なんで自尊心が傷つくのかわかんないんですけども
あ、自分の自尊心が傷ついちゃったから、そうやってごまかしてるワケね
かわいいなぁもうww

他の人物とくっつけるなら読まないから注意書きくれ
これで何が傷つくのww
そもそもこういうとこに投稿するなら賞賛も批判もすべて受け入れるもんだろwwww
しかも別に批判したわけでもないし、何言ってのこの人
別に書くな!とか言ったわけでもないのに王様とか意味わからんよww

今回のはお前が必要以上に過敏に俺に噛み付いてきただけ
しかもたった一行レスに偉そうとか、どっちが偉そうなのと言いたいくらいだよwwww
なので敢えて言わせてもらうよ

「半年ROMれ」
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/26(木) 00:14:20.46 ID:XdV9pI21o
ついでだからこのAAもつけておくわ

                        _,,-'' ̄ ̄`-.、
       _,,-'' ̄ ̄`-.、         /        \
       /        \      ,/           \
      ,/           \    /   ―  ―     ヽ
     /   ―  ―     ヽ   lヽ  - 、 ! , _     |
    lヽ  - 、 ! , _     |   |r――-、_⊥ ,――'-、 |,-,
    |r――-、_⊥ ,――'-、 |,-,  |::::::::::::::::/ |ヽ:::::::::::::::|-|'イ!|
    |::::::::::::::::/ |ヽ:::::::::::::::|-|'イ!|  ト、__,,/:  |: `、__,,/ ,|ソ/
     ト、__,,/:  |: `、__,,/ ,|ソ/  .|    、_ j| _,、     ,|-'
     .|    、_ j| _,、     ,|-'   |   /lll||||||||||l`、   ,|
     |   /lll||||||||||l`、   ,|     `i ,|||' ̄= ̄`|||、 / ト、
     `i ,|||' ̄= ̄`|||、 / ト、   「|ヽ|ll||||||||||||||||| /i |::::\
     「|ヽ|ll||||||||||||||||| /i |::::\ ::::::\`!!||||||||||||!!'   |::::::::\
    /:::::\`!!||||||||||||!!'   |::::::::::::::::::::::`ー-、.._ i     |::::::::::::::\
   /::::::::::::::`ー-、.._ i     |::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::`ー-、. |::::::::::
  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー-、. |::::::::::

                ロムッテロ兄弟
   ハントシー・ロムッテロ       ハンツキー・ロムッテロ
    (1952〜 アメリカ)          (1955〜 アメリカ)
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2012/04/26(木) 00:21:21.69 ID:XE+rPLQF0
おまえのは称賛やら批判じゃなくて単なる我が侭だろ。
内容に対する批判やら批評ならまだしも、投稿する行為自体に
余計なしょうもない言葉つけるなっての。
自己正当化でそれだけ自分が可愛いなら、何のメリットもないのに
投稿してくれる奴にも敬意を抱け。

これ以上は本末転倒
てめぇもロムっとけ。
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 00:27:50.19 ID:8+O7ZL88o
なんか投下来たと思ってきてみればなんじゃこりゃ
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/26(木) 00:42:41.71 ID:XdV9pI21o
>>496
お前のくだらない自治が一番本末転倒なんだよアホww
サブカプになるなら読まないから注意書きいれてね!どこが我儘なのwwww
別に書くなともやめろとも書いてないだろ
今までのスレ見たことないのかドアホ
京介以外とくっつけて散々荒れただろ
で、嫌なら読むな>読まないから最初に注意書きくれってなったわけ

くだらねぇオウム返ししてねーでとっとと失せな
正義感気取りのガキはおよびじゃないぜ
わかったかいボーイ?
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/26(木) 01:07:59.51 ID:YJiwIIN6o
双方そんなに煽るなよ。
書き手が投下しにくくなるよ。

>>498
確かに自分の気に食わない展開を読んで気分悪くなるのはわかる。たまにそういうのあるよ。
だが投下してすぐに「気に入らないカプだと読まないから」と言われると書き手さんの意欲を損ねてしまうかもしれん。
>>496が言いたいのはそういうことじゃないかな?
今回は既に書き手さんがカプ宣言してくれたんだから、ここらで双方矛を収めてくれよ。

俺は落ち着いて続きが読みたい。
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/26(木) 02:57:12.97 ID:HX0hwx5ho
疑問を持たず当然のように「読まないから」と文字にしてしまうんだろうけど、
実際のカプ、鬱展開、キャラ崩壊等の注意書きの運用場面を想定すれば、
読む/読まないの選択に使われるという事は間違い無い。

けど、どうせそうなるから、と、何でも自由に言葉にすればいい訳じゃなくて、
書き手の一部は、その文字を目にすると、「お前のは読まないから」と
名指しで言われたように受け取ってしまい、心が折れる。

結局は、オブラートでくるめば、という話になるのかな?

例えば、何種類かの食べ物を人にあげたとして、
「俺、これは苦手なので残します」と言われるのと、
「俺、これは嫌いだから捨てます」と言われるのとでは
おのずと感想が違ってくる。結果としての事実が同じでも。
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 06:59:43.61 ID:qsbFQuKz0
>>500
キリが良いからこれでおしま〜い(棒)
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/26(木) 15:36:09.51 ID:XD35XdTSo
なんかすげーどうでもいう事にレスが費やされてて馬鹿らしいわ
このまま荒れ放題だったらけいおんSSスレの二の舞になったりしてな
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 20:38:36.20 ID:IvMSX3pDO
ゴールデンウィーク突入、さらに過疎化が加速する
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/26(木) 23:28:06.02 ID:rjonO+3j0
ここは酷いインターネッツですね!
2名ほど、くだらない事でバトってて面白い。

だれか、この二人が、実は桐乃と黒猫でしたってSS作ってくれないかなぁ。
ボソッ
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/27(金) 16:00:51.23 ID:Y87h8QmIO
流石大阪と福岡。治安の悪い街なだけあるわ。
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/27(金) 17:00:55.76 ID:X/ymecy/0
主人公×○○以外のSSが来ると荒れる法則はどこでも変わらないんだね
一番いいのは書き手さんがCP表記してコテをつけてくれることだと思うが

そういえばコテつきの書き手さんだいぶ減ったね
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/27(金) 20:08:47.87 ID:Je6LWYGg0
そりゃ、あれだけここの住人に虐められれば、減るやろねぇ…
戻ってきて欲しいなぁ
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/27(金) 20:35:35.88 ID:ax2dFR7AO
GWになれば、もて余す時間で何か書けるんじゃないか……そう思ってた時期がry

あれも書きたい、これも書きたい、と思っていたはずなのに
寝かせたままにしているうちに気付けば輪郭すら朧気になり断片化していたり

他の人の良作SSを読むと過剰に満たされた気分になって
「あぁ自分が拙い文章をこねくりまわす必要なんてないんだ、良かった……」とか
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/27(金) 20:54:08.43 ID:DBEMWIdqo
黒猫「サブキャラのカプSSは投下時に宣言がマナーよ。そんなことも知らないなんて呆れるわね」

桐乃「はぁー?偉そうに……あんた何様のつもりよ!」

黒猫「私は主人公以外のカプ化に興味はないの。宣言があれば読まないから」

桐乃「そんなの、読んでみてから判断したらいいじゃん!ヤダヤダ……自己中の自治厨って最悪」

黒猫「だから、そんな駄文は一行たりとも読む気はないのよ。あなたこそ、スレのローカルマナーをちゃんと理解すべきね。これだからゆとりは……フッ」

桐乃「あんた、このスレの主にでもなったつもり?あー、勘違いしたSSヲタってウザいウザい」

京介「おいおい、お前ら喧嘩するなよ……たかがSSぐらいで……」

桐乃・黒猫「たかがSS!?」
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/27(金) 21:18:49.47 ID:Xhzy3LUUo
先ずはカプを決めて、その後いくつかのシーンや台詞が頭に浮かんだら書き溜め開始
何とか人目に晒せる程度までに仕上げようと何度も書き直し、その後ようやく投下
こんなことを繰り返しているうち、脳内で物語はすでにクライマックスを迎える
あー面白かったと自分だけ納得

更新が止まる理由の一つかもね
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 02:10:19.53 ID:671qnj4Xo
俺の場合はある程度情景みたいなのが浮かんでてもそこになかなか持っていけないんだよね
書きたいシーンはあるのに、いざそのシーンを書き出そうとすると言葉に詰まって話が進まない

今ももうクライマックス付近なのに書き溜めが進まなくてメモ帳に眠ったままのが一つある
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/28(土) 02:26:19.70 ID:lzWDPJ0Bo
俺はお題的なもの(クリスマスとか卒業式とか)で考えて
ざっと情景が浮かんできたらあとは勢いでそこまでつなげて書く
そのあと推敲しつつ膨らませるんだけどそれが無駄に多くなったり収集がつかなくなることがある
大体最後(オチ)は始めに決めるんだけどそこまでが長くなるんだよなあ
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 02:56:31.89 ID:LntBb3Z7o
どいつもこいつも完成しねーwwww
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/28(土) 03:17:36.77 ID:THAboQgAO
うん、やっぱりまだ潜在的には人数いるっぽい。

得手不得手があるのは当然だし、いっそのことリレーとか共通のお題で書くとか
そんな1つの取っ掛かりに複数人であたるような企画があっても良いかもしれない


告知は来てないけどまた個スレ増えたぬ

色々参考になると言うか、考えさせられるなあ……
考えさせられた結果がSSの形に成ることは滅多にないわけデスガ
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 04:23:07.00 ID:Y1ThKwtDO
リレー小説に名作なしって格言覚えておくといいよ
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/29(日) 23:50:48.73 ID:q8lJik+qo
流れぶった切って悪いが、俺妹の地の文がわからん、
特徴はある?
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 00:51:08.05 ID:EfUHBJaDO
京介の一人称のみなのが特徴かな
他キャラのモノローグとか入ったりしない
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/30(月) 01:05:55.02 ID:20mmdjEJo
あと、時々読み手に説明してると言うか語りかけるのが特徴

〜なんだ。
〜だろ?
とか
519 :509 [sage]:2012/04/30(月) 06:03:28.90 ID:KCCDlBFIo
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ

「リクエストがあったからSSにしたらスルー食らった」

何を言ってるか(ry
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 11:19:11.87 ID:7HP0vwIC0
>>509 >>519
レスしようと思ったんだが他の誰かがするだろうと思って書き込まなかった・・・スマン
今度また醜い言い争いが発生したらこのパターンで俺たちを救ってくれ
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/30(月) 11:23:28.78 ID:3yzG//pAO
あんまり自然だったから皆言葉を忘れてしまったんだよ。
……正直スマンカッタ

特に黒猫は、創作に関してあんな感じなんだろうなー
自分から敵を増やすような発言を平気でしかねないというか…
結果として場が荒れる可能性を見越しても主張したいことは主張するというか…

まぁ作り手側であれ読み手側であれ、反対意見との摩擦や衝突を厭わないぐらい我が強くないと
創作に熱を上げて入れ込むまでにはならない、という逆説なのかもしれない。
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 12:23:07.27 ID:HntYJpWfo
ゴールデンウィークに合わせた短編のSSでもと思ったけど
原作だとこの時期、桐乃はアメリカに留学中だった
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/30(月) 19:58:00.46 ID:AgViKwKe0
>>519
言いだしっぺです。

4日ぶりに開いたら、自分のリクエストSSが出てた!
ありがとうです!

この状況想像しながら、妄想膨らましておきます。
こう言う人がいるから、ここ好きやねん。
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/30(月) 20:22:16.75 ID:20mmdjEJo
>>519
やべぇ、面白い。あの場面に重ねてきたか!

とカキコしようとしたが、
そのせいでまた荒れたらどうしよう……ってヘタレた。
すまん。
525 :509 [sage]:2012/05/01(火) 04:06:43.47 ID:XrR9KpFRo
レス乞食みたいになってスマン
スルーも笑いのネタになればいいかなと思っただけなんだ…w
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/01(火) 04:13:09.10 ID:XrR9KpFRo
数ヶ月ぶりにきたらSS依頼があったので(小ネタだけど)超久々に書いた次第。
口調とかだいぶ忘れててブランクを感じました。
以前使ってたトリップも忘れた…

アニメ二期始まったらまた投下に来るかもしれませんノシ
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/01(火) 08:14:24.33 ID:h7GNgEQSO
京介「あやせが俺のベッドで寝てる…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335767373/l50
桐乃「お父さん達なら旅行に行っちゃったよ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335798443/l50
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/01(火) 23:44:42.47 ID:uODh40ylo
ゴールデンウィークをネタに超短篇でも……

俺は桐乃と綿密な打ち合わせを行うと、携帯を掴んで街へ飛び出した。
まず初めに向かった先は、幼馴染の麻奈実の家だ。
いつもの丁字路で一旦立ち止まり、身を潜めながら辺りの様子を窺う。

この様子じゃあ、俺も桐乃が言ってたことを認めるしかねえ。
異常がないことを確かめた後、一気に麻奈実の家まで駆け抜ける。
麻奈実の家、つまり田村屋へ着くなり、俺は店の裏手へ回った。

「おい! 麻奈実! いねぇのか?」

しばらく待っても物音一つしやしねえ。
店の方へ回ってみたが、いつも店番をしている婆ちゃんの姿も見当たらない。
この時期、商売をやってる家が揃って家族旅行なんて考えられねえ。

「……次は、あやせの家だったな」

俺は麻奈実の家を後にすると、一目散に駅へ向かって走り出した。
あやせの家は駅の向こう側、俺の家とは駅を挟んで丁度対角線上に当たる。
ようやくあやせの家へ辿り着いた俺は、息を整える間もなくインターフォンを押した。

「くそ! やっぱ、あやせもいやしねえ!」

俺が執拗にインターフォンを押していると、ポケットに突っ込んでいた携帯が鳴った。
加奈子の家に向かった桐乃からだ。

「あっ、京介……加奈子もいないみたい。
 沙織や瑠璃の携帯にも掛けてみたんだけど、やっぱ誰も出ないよ」

「そっちもダメか。今、あやせの家なんだが、やっぱダメだ。
 麻奈実も……それに、田村屋の連中も誰一人としていやしねえ」

桐乃の落胆が携帯を通して俺にも伝わってくる。
過疎化の波に洗われたら、もう元の活気あるスレに戻ることなんか決してない。
誰しも、時の流れに抗うことなんか出来やしないってわけさ。

「悔しいけど、もうこうなったら諦めるしかねーだろ」

「ゴールデンウィークはまだ五日も残ってるじゃん」

「……諦めろって、な」

(了)
529 :氷菓が意外に面白い [saga sage]:2012/05/02(水) 00:07:54.02 ID:rKbFqM8s0



黒猫「新しい作品を描いてみたの 貴方達の感想を聞かせて貰えるかしら?」

桐乃「へー丁度 あたし あんたの漫画久し振りに読みたいって思ってたんだよね」

京介「どれどれ、『バトル・オブ・クイーン・オブ・ナイトメア』?」

黒猫「そう 私が全身全霊をかけて 全魔力を消費してやっと描き上げた
魂の結晶 我が人生 最高の傑作よ」

京介「お、おまえ この表紙!こ、こ、これ き、き、キスしてるじゃねーか」

黒猫「フフ 先輩は何を取り乱しているの?これはあくまでフィクションなのよ
それに これは『夜魔の女王』と『漆黒』であって、『†千葉の堕天聖†』である私と
『漆黒の貴公子』である先輩 のことではないのだから動揺なんてする必要はないわ」

桐乃「ゼンゼン意味分かんないし つーか かどう見たって………………
べ、別にあんたが勝手に描くのは自由だケドさ あたし絶対に読まないから!
アンタの漫画は嫌いじゃないけど 表紙見ただけで分かるじゃん これ駄作だって」

京介「おまえ?」

黒猫「気に入らないわね 理乃先生は大作家だから表紙見ただけで全てお見通しと
言うわけなのかしら?」

桐乃「うっさい 別に読みたくないから読みたくないって言っただけだっての
何か文句あんの?」

京介「まぁまぁ二人共 喧嘩はやめようぜ なぁ仲良くしよう」

桐乃 黒猫「「うるさい 黙れ!」」

京介「やれやれ」

黒猫「確かにこれは あなたのお気に召さないテーマだったかも知れない
でも読んでもない人に全否定されて 私は笑っていられるほど適当な気持ちで
この漫画を描いたわけじゃないわ」
530 :氷菓が意外に面白い [saga sage]:2012/05/02(水) 00:10:32.90 ID:rKbFqM8s0

桐乃「だ、だから今回は嫌なだけだったし あたしの好きなテーマなら喜んで
読んであげるから 兄妹のイチャラブだけを沢山描いてきなさいよ!!」

黒猫「別に構わないわよ あなたの好きなテーマを描く事自体は嫌ではない
私だってあなたの言うテーマが嫌いならきっと こんな場所には居ないのだから
そして もし仮に読んでくれたあなたが その作品を面白いと言ってくれて
作者である私を称賛して、応援して、激励してくれるなら こんなに嬉しい事はない 
それが とても、とても 素敵なことなのは 私も充分に分かっている」

桐乃「回りくど過ぎ あんた結局、何が言いたいワケ?」

黒猫「超凄いオナニー 」

桐乃「お、お、オナニーって ちょっとアンタ何言ってるの?!」

黒猫「所詮 何かを表現すると言う事はオナニーと変わらないと言うことよ
それが 他人にとって面白いか面白くないかそれだけの問題
何かを表現する場合に 読む人だけを喜ばせる事が出来る人もいるかも知れない
でもそうじゃないけれど 一生懸命に表現して 誰かに共感して欲しいと願うのは
我が侭なのかしら? 迷惑だから批判されるべき行為なのかしら?」

桐乃「………」

京介「そんなに悪いことでもないと思うぜ 俺も桐乃の趣味はなかなかヤバイと
思ってたけどさ こいつが必死に自分の趣味を語ってるのは嫌いじゃねぇからな」

黒猫「あら、先輩もたまには良い事を言うわね」

京介「たまには余計だぞ」

黒猫「一番最初に私たちが邂逅した時のこと覚えているかしら?
確か私は『日曜日朝の時間帯以外でやってる魔女っ娘アニメは邪道』
と言ったわね」

桐乃「覚えてる あたしは『何 あの厨二病丸出しのアニメ』って言ったっけ」

黒猫「私はあなたに勧められて鑑賞したわ
フフ 鑑賞の結果 更に『邪道』の疑惑が確信に変わっただけのこと なのだけど
でも 少なくとも鑑賞せずに 読みもせずに批判などはしない事にしたの
それが例えどんなに駄作っぽくて どんなに腐っていようと どんなにこちらの
神経を逆立てようとしているものであったとしても
どうしても耐えられないのならば 私は沈黙することにした」
531 :氷菓が意外に面白い [saga sage]:2012/05/02(水) 00:11:32.83 ID:rKbFqM8s0

桐乃「ちぇ 分かったっての さっきのは訂正する あれは撤回
今回は微妙な気がするけどさ あんたの漫画がもう読めなくなったりしたら
やっぱ嫌だしさ これって別にふざけて冗談のつもりじゃ無いんでしょ?」

黒猫「随分失礼ね 私はいつも真剣よ 冗談のつもりならこんなに怒ったりはしない 
一般論で言えば 批判されるよりは褒められた方が人間はやる気にはなるでしょうね
それは私みたいに人間から反転した高次元の存在であっても例外ではないわ」

京介「分かった 分かった じゃ内容を説明しながら読ませてくれよ 
前みたいな感じでさ」

黒猫「ふふ 良いでしょう 
時は戦国時代 英雄が群雄割拠し 駆り立てる野望は山に屍を
横たわる敗北は河を赤き血に染め」

京介 桐乃「「待て待て」」

黒猫「あら 何かしら?」

京介「何でいきなり舞台が戦国時代になってるんだよ
それ 設定がぶっ飛び過ぎてないか?」

黒猫「おかしくはないわ 私は自分の世界観がどんな時代や場所でも
通用する事を証明する為に 敢えてこの時代に設定したのよ
私の魂と俗物な設定の融合(フュージョン)だと言えるでしょうね
結局のところオス共は、侍だの忍者だのがやっぱり好きなのでしょう?
これは男性に向けたピンポイントのフックでもあるの
まぁ男って良い年をしてチャンバラごっこなんて、何を考えているのかしらね、ククク」

京介「おまえがそれを言うか?(汗) と、とりあず良いわ 続けてくれ」

黒猫「屍山血河 混沌とした世に終止符を得るべく一人の男が立ち上がった
戦国最強の武田騎馬隊を率いる 織田信長 本編の主人公である」

京介 桐乃「「待て待て」」

黒猫「だから 何かしら?」

京介「何で信長が主人公なんだ 漆黒は何処行った?」

黒猫「本当にせっかちね これはネタバレだから言いたくはないのだけど
実は織田信長は対転生したルシファーと言う設定なのよ
第六天魔王と呼ばれた信長とルシファー これが私のインスピレーションとなり 
この作品を描く原動力になったというわけ」

桐乃「でもあんた 自分で武田騎馬隊って言ってるじゃん! 何で武田なのに信長が
率いてんの? マジで超意味不明過ぎるんですケド」

黒猫「飛び道具や手練手管を使っても作品に簡単にはカタルシスは生まれない 
戦いとは互いの存在の意味を賭けたぶつかり合い 
如何に相手の肉体を切り裂き骨を砕くのか その方法は純粋な剣風が一番だと考えたのよ
つまり簡単に言うと白兵戦と事になるのかしら
そして白兵戦とは フランス語で言う『arme blanche』抜き身の刀 白刃という意味」

桐乃「あんたって マジこういう時って活き活きとしてんよね」

黒猫「フフフ あなたのお褒めに預かって、大変光栄よ 有り難う
西洋風の甲冑を赤備えにした具足を身に纏った信長は 常に単騎敵陣に駆けて 
敵大将の首級を狙うの」

京介「もう騎馬隊ですら無いんだな」

黒猫「それはそうよ 主人公は常に孤独な存在 孤高な彼が如何にして過酷な宿命
と向き合って 運命を切り開くのか? 
黒き漆黒の魂を受け継ぎし信長は 深紅の鎧に身を包み 白刃で戦う
黒と赤と白のトリコロール 魂と肉体と剣の三原色 
読者は転生と生と死が紡ぐサーガ(一大叙事詩)を目撃することになるでしょう
取り合えず あなた達には戦いの場面 特に馬のたてがみや蹄にも躍動感を
持たせてるから そこに注目してくれると嬉しいわ」

京介「もうこれって単なる間違った無双じゃ………」

黒猫「な、何ですって?!あんまりごちゃごちゃとうるさいと 物語に別の裏設定を
書き加えるわよ?
瀬菜に聞いたのだけど 『高坂』という名の武将には有名な話があるらしいわね?」
532 :氷菓が意外に面白い [saga sage]:2012/05/02(水) 00:12:31.77 ID:rKbFqM8s0

京介「俺も瀬菜に聞いた事あるぞ 
『高坂先輩って弾正さんの子孫なんですか?戦国時代にラブレターなんて素敵ですぅ!』とか言われたが……
取り合えず そんな裏設定を描くのは絶対に辞めてくれ」

黒猫「あら残念ねぇ 
『逃げ弾正 攻め弾正 シスコン弾正』 色々考えてたのだけど
まぁ今回は良いでしょう 瀬菜とゲーム化する時には自然と腐女子目線のフックも
追加されるでしょうから」

京介「そういう設定は絶対に ごめんだからな? それにさ 俺はどっちかって言うと 
戦国武将で好きなのは毛利とか小早川なんだが」

黒猫「あなたが好きなら次は登場させてあげても良いわよ ちなみに私が好きなのは
茶々や江なのだけど その母親である信長の妹 お市の方はすでに書いているの 
これよ
『私はお市 丸顔の癖に、戦国一の超絶美女(自称)』」

桐乃「ちょっと! それ明らかにあたしじゃん!あんたふざけてんの?」

黒猫「あらあら 何度も言う様にこれはフィクションなのよ
フィクションだけど 一応 色々な意味で史実は参考にしているだけのこと」

京介「帰蝶って言うか濃姫は何で眼鏡にショートカットなんだ?
と言うか  これって明らかに麻奈実じゃねーか!おい」

黒猫「お鍋の方って言うマイナーな側室もいるのだけど これはスイーツ2号を
参考に描いたわ」

京介「おまえの使うフィクションの定義がもう全く理解できなくなってきてるのだが
と言うか 結局 表紙の女の子は誰なんだ?」

黒猫「あれは信長の最愛の女性だった生駒吉乃 吉乃も実は転生して戦国時代に
やってきた夜魔の女王だったという設定よ」

桐乃「マジで単なる超凄いオナニーじゃん、これ」

黒猫「まぁそう言わずに読んでみて頂戴
あらおかしいわね 2巻目も持ってきた筈だったのに 何処にやったのかしら」

沙織「それは拙者が 前田慶次になっている2巻の事ですの?」

黒猫「あら 沙織いつの間に」

沙織「黒猫氏 拙者この作品 全く納得出来ないですわ! 何でみんな可愛い
小袖やら着物なのに 拙者は槍と松風なんでござるか?!」

黒猫「こ、個人的な見解と言うか 希望という事だけは言っておきましょう」

沙織「ではせめて 松風は京介氏と言う事にしてくだされ」

京介「待て待て 松風って馬だろ?!」

桐乃「あ〜〜やっぱ却下 あたしが妹空の続編書くから、黒猫は挿絵担当にしなさいよ?」

黒猫「ちょっと お待ちなさい あなたたち 最後までちゃんと読みなさいな!」



京介「なぁにこれぇ」


ルールとマナーを守って 楽しいSSライフを




おわり
533 :氷菓が意外に面白い [saga sage]:2012/05/02(水) 00:13:50.40 ID:rKbFqM8s0
上の人ごめん。
リロードしてないから投稿してたの気づかんかった。
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/02(水) 00:31:03.76 ID:URYKsvyAO
わけがわからないww
武田騎馬隊wwww
腹痛いんですけど

オーツー
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/05/02(水) 01:28:26.39 ID:RtdEMzHOo
本編以上にカオスな黒猫ワールドだなww

536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/02(水) 05:22:37.45 ID:wdrgjQZ+o
>>528
乙。切ないw
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 11:18:54.91 ID:Jxh6ymxAO
そして100時間が経った。

528の危惧は、あながち間違いではなかったのだ…

逆に考えるんだ。
皆GWを満喫していて、だから書くだけの時間的余裕がなくなったとしても嘆くべきじゃない…そう考えるんだ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 11:43:02.98 ID:cb7KWaKv0
>>537
更に切ない…
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 13:28:54.28 ID:WNzWHVgSO
個人スレに掛かり切りでこっちに書けないのよね
くっだらないショートショートなら書いてもいいですけど……一応ネタはいくつかあるし
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 13:33:07.03 ID:vf2Jm81s0
>>539
おぉっ! 救世主がこんな所に!
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:06:55.56 ID:9cEEKTDso
「京介氏、最近運動不足ではござらぬか?」
「どうした、やぶから棒に」

不意にそう投げかけてきたのは我らがぐるぐる眼鏡こと槇島沙織嬢である。
時は7月末、夏休みに入りたてといったところだ。
桐乃は曰く「かき入れ時」らしくあやせ加奈子共々読モの仕事に明け暮れており、黒猫は家族旅行とのことで、結果ここ(俺の部屋)にいるのは2人だけである。
俺は俺で受験勉強というヤマがあるので暇というわけでもないのだが、一方でなんでこいつがいるのかと言えば詰まる所暇だからに他ならないのだろう。

「最近の京介氏は根を詰め過ぎでござるよ。文献にも適度に体を動かしたほうが頭の巡りもよくなるとありますし」
「……まあ元来帰宅部だし、さした運動もしてない身分だからな。それで?」
「運動をしましょう」
「俺一人で?」
「目の前にもう一人いるではござらぬか」

……要するに構え、ということか。
実際肩が凝ってきたところだから願ってもない提案ではあるのだが――
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:07:26.71 ID:9cEEKTDso
「お前、着替えとか持ってんの?」
「ここに」

リュックをポンポンと叩いて口元を緩める沙織。完全にそのつもりで用意してきたらしい。

「体操着からスクール水着まで京介氏のあらゆるニーズに応えられるように用意してあります」
「どんな性癖魔人だよ俺!?……けど、そもそも場所はどうすんだ?あまり遠出はしたくないぞ俺」
「この近くの運動ホールを丸々貸し切ってありますので」
「俺ら2人だけで?」
「ええ」

根回し深すぎだろ。このためにいったいどれだけ財力展開してんだこのセレブは……
もっとも、こと運動に関しては俺の身内は極端すぎる。桐乃は性格的に妥協しなさそうだし、黒猫や麻奈美に関してはそもそも体がついて来ない可能性がある。あやせは――即変態呼ばわりされて違うベクトルでドクターストップがかかりそうである。
そう考えるとこいつが俺を基準に取るなら一番レベル的に合うのかもしれない。体格的な意味でも。
しかし……

「そこまで手を回してるなら無下にできないが……大丈夫なのか?俺なんかが相手で」
「……京介さんだからいいんじゃないですか」
「えっ」
「ふふっ。じゃあ行きましょうか」

な、なんて火力とパワーだよ、こいつは!
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:07:56.33 ID:9cEEKTDso
件の体育館に着き、俺は早々に体操着に着替えて沙織を待った。
沙織が種目は何でも構わないと宣ったため、結果俺が選んだのはバスケだった。
選考基準は別にない。ただそこそこ全身を動かせて2人でも楽しめるスポーツとして選んだだけである。
水泳って手もあったが俺の精神衛生上よろしくないので却下した。

「お待たせしました」

にわかに大量殺戮兵器が姿を現した。
簡潔に箇条書きにすると
・眼鏡なし
・ポニーテール・
・体操着
・ブルマ
予想はしていたがこれほどとはこの海のキョウスケの目をもってしても……てかブルマて。
現実に履いてるの初めて見たぞ。こりゃ撤廃されるわけだ……目に毒すぎる。

「あんまりジロジロ見ないでくださいー」
「見て欲しくないやつがそんな格好するかよ……」

そも完全に棒じゃねーか今の台詞。俺の中の沙織像がどんどん壊れていくよ!
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:08:24.08 ID:9cEEKTDso
「さて、せっかくですから一つルールを設けませんか?」
「ルール?どんな?」
「単純に勝ったほうが負けたほうになんでも1つお願いをできるという」
「そりゃ穏やかでない話だな」
「なんでも、です。あなたが望むならわたし何をされてもいいわ的な」

今の若い人にはわからんだろそのネタ……

「勝負の形式は?」
「普通の1on1でいいんじゃないでしょうか。幸い体格的にはさほど変わりありませんし」

というかお前の方がでかいんだけどな。怒りそうだから口には出さんが。

「わかった。時間は?」
「あまり冗長でも疲れますし、5分ぐらいでどうでしょう」
「了解。先攻後攻は?」
「コイントスでいいですか?」
「よし」
「それじゃあいきますよ……はい、わたしが先攻ですね。いいですか?」
「準備運動はよくしてある。いつでもいいぜ」
「はい!」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:08:57.54 ID:9cEEKTDso
こうして勝負が始まったのだが、実際のところ沙織が実は凄い運動神経の持ち主なのかと思えば別にそんな事はなかった。
境遇的に深窓の令嬢みたいなもんなのだから当然と言えば当然なのだが、それを補って余りあるプロポーションが俺を惑わせたのは疑いようもない。
どういうことかといえば、一番顕著なのは俺がボールを持っている時である。
おわかりだと思うが、バスケの守備というのは腰をかがめて両手を広げる。早い話が無防備なソレ(しかも揺れる)を目前に曝されるのである。意識するなというのが無理な話だ。
もう一つ例を挙げればリバウンドの時か。当然スクリーンアウトで俺がインを取ろうとするのだが、必然的に外にいる沙織が豊かな丘を押し付けてくるわけである。落ち着かないなんてレベルではない。
というか色々と露骨過ぎて恐らくこいつ絶対わざとやってる。おっかしいなあ……こんな娘じゃなかったと思っていたんだが……

とはいえ、単純に体格的なアドバンテージ(と色仕掛け)で沙織が有利とはいえ、基本的な運動能力や跳躍力に関しては俺のほうが当然上な訳で、意外にも帳尻合わせというか一進一退を繰り広げる泥沼が繰り広げられた。
そして試合の終盤、俺の1点リードで沙織が攻めとなり、

「させるか……って、うわっ!」
「きゃあっ!」

勢い余って沙織のジャンプシュートに覆いかぶさるように倒れこんでしまった。ディフェンスファウル、なのだが。

「あぅ……京介さん大胆です……」
「わ、悪い!ってかリアクションおかしくね!?」

俺の右手がはっきりと違うボールを捉えてしまっていた。ああもう逆にこっちが困惑するんだけど大丈夫なのこの子!?
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:09:43.96 ID:9cEEKTDso
「あ、これでわたしの2回フリースローですね」
「……ああ」

沙織が1本目を決め、これで同点。次を決めれば沙織の逆転なのだが――

「沙織、がんばれ!」
「え、えっ……」

投げる前にふとこぼしたありえないエール。最後のシュートはリングに嫌われた。引き分けである。

「ごめん。変なこと言っちまったな」
「いえ……でも、どうして?」
「……沙織の嬉しそうな顔を見てたら、負けちまってもいいかなって。そう思えちまったんだよ」
「……も、もう!そんな顔でそんなこと言うなんて反則ですわ!」

沙織の顔が紅潮しながら緩むのが見える。それだけで俺はこの試合をやった価値があったと思えた。

「……で、だ。引き分けになっちまったけど、俺ひとつお願いあるんだけど」
「奇遇ですね。わたしもです」

「「また、いっしょに運動してくれない(ません)か?」」

見事に重なった願い事に俺たちは揃って破顔したとさ。
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/05/07(月) 00:12:44.18 ID:9cEEKTDso
終わり。
ギャグにするつもりがよくわからんシリアス風味になってしもうた。

それでは個人スレに戻ります|壁|・`)ミ ピャッ
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/07(月) 02:06:20.50 ID:lhz6eauyo


京介の中の人って、バスケ優待生だったのに腕があがんなくなって不良になったあの人と同じなんだよなそういえば
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/07(月) 02:09:54.35 ID:jMUTSKt1o
乙〜
>>548
一瞬誰だっけ?って思っちゃったよ
つまり加奈子にお兄ちゃんって呼ばれて悶絶するんですね
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/07(月) 10:43:27.83 ID:SwlPzDV50

久々にいいカンジのSSを見た気がする
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/07(月) 16:15:10.02 ID:fdIXOOvf0

またきてね〜
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/09(水) 01:09:34.70 ID:rvai03EEo
久しぶりにまとめwikiでSS読んだが、もしもあやせが京介の妹で桐乃が新垣さん家の子だったらって設定の話が何度読んでもツボで飽きない

しかも前と違って自分でもSSを書くようになったから、書き方とかも参考になる
553 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2012/05/09(水) 10:14:36.35 ID:HRz/L9Ev0
>>552
うれしい感想ありがとう、一年前かぁ…早いなぁ…
PSPのあやせルートプレイして、完全な桐乃派だったのがあやせもイケるクチになっちゃってアレ書いたんだよね
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 11:46:26.81 ID:EN/S9NJCo
あやせ「私との関係を桐乃が知ったらどう思うでしょうね?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336596127/
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/10(木) 22:17:57.86 ID:A9gKEQywo
読み返したくなる良作ってあるよね
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/11(金) 01:51:24.42 ID:7EJPskAS0
>>553
もしかして、作者さんですか?
>>552とは違う者だけど、あの桐乃とあやせの立場が入れ替わるのは、ほんと面白かったです!
難しいかもだけど、願わくば更に続き見たいです…
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/11(金) 17:32:08.28 ID:tUvnolfIO
>>556
どの話?
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/12(土) 10:13:37.21 ID:zUv97Vxbo
京介「ほら、おかゆ作ったぞ。あーん」桐乃「……ん」モグモグ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336778294/
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/12(土) 16:47:08.37 ID:SR79T3MJ0
>>557

>>556です。
作者、違ってたら申し訳ない
「もしもあやせが妹だったら その2 前編/後篇」
の続きが見たいです!
560 : ◆NAZC84MvIo [sage]:2012/05/12(土) 20:12:00.90 ID:kj1vbCW70
自分も読み返してみたら直したいところとか追加で書いてみたいエピソードなんかも浮かんだけれど
仮に書くとなると原作最新刊10巻のラストがあやせの告白なんでその先をどうするのかが最大の難所ですね

「原作の続きがまだないからSSはここで終了ね!」っていう投げっぱなしENDでもOKなら気持ち的に書きやすいけれど
ちゃんとした結末まで書く(捏造する)となると……
前回の反省から書きながらの投下は出来れば避けたいので……
出来たとしてもかなり待たせることになると思います。ごめんなさい。
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/15(火) 08:37:01.43 ID:jhhPdt8Oo
個人的にはあの話は1話目が特に好きだな
2の前後編は無理に話を詰め込んだように感じる
面白いのは面白いんだけどね
なんか偉そうですまない

とりあえず、久々にSSを書き上げたから近々誤字脱字を見直してから投下します
P続の前の今日明日で投下したいな
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/15(火) 16:22:08.77 ID:4PYgV8vz0
>>561 
おっ救世主頼んだぜ!
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 19:03:57.16 ID:EjwhqAX40
そーれ!わっふるわっふる!
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 20:16:25.63 ID:x+QRq5/DO
オワコン過疎スレ
565 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:04:55.69 ID:eaGLKJHto
>>561です
酉これであってたっけな?
個別スレでしか使ってなかったから覚えてねーや

肝心の中身は、分類的には京介×あやせになるのかな?
時系列は特に意識してなかったから7巻までの知識で問題なし

タイトルは「罪と罰」
だけど鬱展開とかじゃないから軽い気持ちで読んでくれて大丈夫です
566 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:05:59.75 ID:eaGLKJHto
突然だが俺、高坂京介は今病院のベットで寝かされている。
別に病気が見つかって入院しているわけではなく、家の階段を後ろ向きに落ちて後頭部を強く打ったからだそうだ。
……なぜ曖昧な言い方なのかというと、俺にその記憶が残ってないためである。
いわゆる記憶喪失というやつだ。
一応知識は残っているのだが、なぜか思い出が残っていないので少し不安なのだが、医者が言うには記憶はそのうち戻るらしい。

「京介、あんたさっきから喋らないけど大丈夫なの?」

「疲れたのなら横になっていろ」

こう問いかけて来たのはお袋と親父だ。
両親と言っても記憶がない俺にとっては他人以上家族未満のように感じてしまうのだが……。

「いや、知らない天井だと思って」

「当たり前だ、馬鹿者。記憶がないのだから無理だけはするな」

「ああ、わかった」

既に親父とお袋は記憶喪失について知っているとはいえ、厳ついオッサンにこうも親身に心配されるとむず痒い。

「そういえば妹には俺の記憶について話したのか?」

「それについては、まだなのよ」

今度はお袋が答えた。

「まだって、なんで?」

「あんたは覚えてるか知らないけど、あんた達って前は仲が悪かったのよ。
 それが最近はこっちが心配になるくらい仲が良くなってたみたいだから伝えるか迷ってたんだけどね、お父さんが……」

そこから先は親父が引き継いだ。

「うむ、お前の記憶について桐乃に話すかどうかは京介、お前に一任する」

「へ?」

「お前に一任すると言ったのだ」

マジかよ……そんなんで良いか?

「わかったけど、言えるかどうかわかんないぜ?」

「構わん。言わなかったのならそれはお前なりに考えてのことだろう」

「それじゃあ、お母さん達はもう帰るわね」

話はもう終わったと判断したのだろう、お袋達はそういうとさっさと部屋を出て行ってしまった。
それと入れ違いに扉をノックする音がした。
567 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:06:12.88 ID:eaGLKJHto

「どうぞー」

「お邪魔しまーす」

「失礼します」

そう言って入って来たのは制服を着た2人の美少女だった。
え?なに?事故の前の俺ってこんなレベルの高い子達と知り合いだったの?

「やっほー、兄貴」

って1人は妹かよ!
ということは、もう1人は妹の友達だろうか。

「お母さん達から聞いてたけど、思ったよりも元気そうだね」

「もう、桐乃。お兄さんが心配なのはわかるけど、もう少し落ち着いて、ね」

「ちょ、何言ってんのあやせ!?」

入ってきて早々に盛り上がっている2人。こいつらは俺のお見舞いに来たんじゃないのか?
一向に会話を止める気配がないので、俺のことを『兄貴』と呼んだ少女を観察する。
……先ほどお袋は俺と妹は『仲が悪かった』と言ったが、そのこと自体は認識している。
しかし“どの程度”仲が悪かったのかがまるでわからない。

「だーかーらー……ってあんた、なにジッと妹の顔なんか見てるワケ?キモッ」

泣いて良いすっか?なんだよ、お袋の話じゃ今は仲良かったんじゃないのかよ……。

「桐乃、今のはお兄さんがかわいそうだよ?……って、お兄さんも泣きそうにならないでください!」

先ほど妹???桐乃にあやせと呼ばれていた少女が慰めてくれる。

「というかお兄さん、なんでそんなに打たれ弱くなってるんす?」

「病室に入ってきたのに俺の存在を無視して、俺に気付いたと思ったら開口一番にあんなこと言われたら誰だって傷付くっての!」

「うっ……ごめん」

「す、すいません!お兄さんのことを無視するつもりはなかったんですけど……」

「まぁ、もういいけどさ。……ところでお前ら、何しに来たの?」

「何ってお見舞いに決まってんじゃん」

「これ、お見舞い品です。両親に『友達のお兄さんが入院してる』と言ったら用意してくれました」

「おお、ありがとうな」

俺はあやせからお見舞い品を受け取り、近くの机の上に置くことにした。

「そういえばお前ら制服だけど、学校の帰りか?」

「ええ、そうですよ」

「忙しいあたし達があんたのために、わざわざ学校帰りに寄ってあげたんだから感謝しなさい」

「へいへい、ありがとうよ」

かわいらしい顔で態度がデカいと腹立つな。
568 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:06:55.78 ID:eaGLKJHto

「ちょ、なにその態度!」

「き、桐乃、落ち着いて!」

この後も少し会話をしては桐乃に色々と文句を言われ、その度にあやせがフォローしてくれるということを繰り返した。

??????話し始めてから一時間くらい経っただろうか?
桐乃とあやせは読者モデルもやっているらしく、学校のことや仕事の話などを俺に話してくれていた。

「それじゃあたしはそろそろ帰るね。あやせも一緒に帰らない?」

話が一段落ついたところで桐乃がこう切り出した。

「確かに時間も時間だし2人とも帰った方が良いんじゃないか?」

日も傾いてきてるしな。

「桐乃、ごめんね?先に帰ってもらっても良いかな?」

「別にそれは良いけど……」

「本当にごめんね?」

俺はあやせと桐乃のそのやり取りをただなんとなく傍観していた。
桐乃はあやせの言葉に怪訝な表情を浮かべていたが、しぶしぶ引き下がったようで

「それじゃあたしは帰るけど、あやせに手を出したら[ピーーー]からね?」

なんて物騒なことを言い残して桐乃は部屋から出て行った。

「物騒なこと言いやがって……」

「もう桐乃ったら……」

あやせも苦笑いを浮かべている。

「ところでお兄さん、お聞きしたいことがあるんですけどいいですか?」

「ん?なんだ?聞きたいことって」

「お兄さん、何か隠し事してませんか?」

「え?」

そう言ったあやせの表情は何かを耐えているように見えた。
しかし“隠し事”ね……。

「なんでそう思うんだ?」

「……わたしと桐乃がお兄さんと話をしてるとき、お兄さんはどこか話に集中してるように見えませんでした。
 それにわたし達と話してる最中、何かを言おうとしてるのに何も言わないことを繰り返してるようにも感じました」

女の子ってこんなに鋭いものなのか?

「わたしが鋭いんじゃなくて、お兄さんがわかりやすいんだと思います」
569 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:07:28.28 ID:eaGLKJHto
一蹴されてしまった。
あやせとの会話で分かってもらえるとは思うが……結局、桐乃とあやせには記憶喪失のことを言い出せなかった。
あやせの言うように二人の会話の途中に何度か言い出そうとは思ったのだが、二人が楽しそうに話をしてくれるのを見て毎回躊躇ってしまう。
そんなことを繰り返しているうちに、言い出せずに桐乃は帰ってしまったし、あやせも帰るものだと思っていた。

「それはそれとして、隠してることを話してくれないんですか?」

「別に隠してたわけじゃないんだが……」

さすがにここまで言われては、あやせに記憶喪失について話すしかないだろう。

「実はだな……今の俺はあやせどころか、桐乃のことを知らないんだよ」

「ふざけてるんですか、お兄さん?」

こ、怖えよ!口調だけなら「わたしちょっと怒ってます」なのに、顔に表情がないから空気が凍ったように感じて仕方がない。

「い、今から説明するから落ち着いてくれ!」

「何を言ってるんです、お兄さん?わたし落ち着いてますよ?」

「そ、そうか」

絶対に嘘だ。口に出したら何が起きるかわからないから言わないけど。

「お兄さん、失礼なこと考えてませんか?」

「……気のせいだ」

俺って考えてることが顔に出やすいのか?

「今俺があやせと桐乃を知らないって言ったのは別に嘘じゃない。
 正確に言うならW覚えてないWんだよ」

「どういうことです?」

「俺もよくわからないんだが、なんでか思い出の記憶が全くないんだよ」

「……桐乃はそのことを知ってるんですか?」

あやせの疑問はもっともなのだが……。

「知らないらしい。親父は俺に任せるって言ってた」

「どうして……さっき桐乃がいたときに教えようとしなかったんです?」

「言おうとは思ったんだが……」

なんでかわからないが、楽しそうに話をしてる妹を見てると、なんとなく俺の記憶について話すのを躊躇ってしまった。
特に深い理由があったわけでもない。
570 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:07:54.69 ID:eaGLKJHto
「そう、ですか……お兄さんは記憶がなくてもお兄さんなんですね」

どういう意味だろうか?あやせに意味を尋ねたいが、あやせの表情があまりにも真剣なので躊躇ってしまう。

「お兄さん、お願いがあります。目を瞑ってもらえませんか?」

「別に良いけど、何をするんだ?」

まさかとは思うが、記憶について黙ってた罰だとかと言って平手打ちなんてしてこないだろうな?

「記憶について黙ってたことに対するお仕置きです」

「嫌な予感が当たっちまった……」

「どういう意味です?」

「いや、なんでもない。それより、あんまり跡が残るようなことはしないでくれないか?」

もしも顔に手形の跡が残ったりしたら情けなさすぎる。

「大丈夫です。お兄さんが思ってる様な痛みはありませんから。」

含みを持たせた様なあやせの言い方は気になったが、言われた通りに目を瞑り覚悟を決めて刑の執行を待つ。

「………………」

目を閉じているせいで周りの情報が音以外なくなってしまい、不安になってくる……。
そんなことを考えていたら、不意にいい匂いがしたかと思うと、俺の頬に柔らかい感覚が押し付けられた。

「わたしからのお仕置きは以上です。桐乃からのお仕置きはもっと覚悟しておいた方が良いですよ?」

「あやせ……?」

閉じていた目を開くと、心なしかあやせの顔が赤い気がする。まさか本当にあやせがお、俺の頬に……?
俺の表情から言いたいことは察したのだろうが、あやせはそれ以上は説明してくれる気はないようだった。

「それではわたしはこれで帰りますね。お兄さんもお体に気をつけてください。失礼します」

「え?ちょ、お、おい?」

こっちには何の説明もしないで、言いたいことだけ言ってあやせは帰ってしまった。
ていうか何?もしかして俺、年下の綺麗で可愛い女の子にキスさてたの?

結局俺はその日、モヤモヤとしたものを抱えたまま眠れない夜を過ごすことになった。


おまけのあやせたん
「お、お兄さんに……キス……しちゃった……」
571 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:11:06.66 ID:eaGLKJHto
これにて終了です

ぶっちゃけ、記憶喪失の設定はここ1,2年の記憶がないにした方がよかった気はしてる
ただ、覚えのない厳つい顔のおっさん(大介)に心配される京介って図をやりたかったから後悔はしてない

俺妹P続が発売されて、またここが賑わったらいいなぁ
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 21:49:57.79 ID:GgOMIBgJo
>>571
乙です。
>「というかお兄さん、なんでそんなに打たれ弱くなってるんす?」

あやせ、おまえはいつからそんな言葉づかいになっちまったんだ……
573 : ◆WNrWKtkPz. [sage]:2012/05/15(火) 21:52:21.36 ID:eaGLKJHto
>>572
おおう……注意して見直したつもりが直ってなかった
正確には「というかお兄さん、なんでそんなに打たれ弱くなってるんです?」

指摘感謝
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/05/15(火) 22:16:16.03 ID:MSWEa7HAO
乙乙さてたの

これは続きを期待していいんだろうか?

記憶喪失は二次創作好きなら誰しも踏みたくなるカテゴリに違いない
色々……捗りそう
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 22:26:37.81 ID:eaGLKJHto
続きは考えてないけど、これで加奈子とかやったら楽しそうだとかは思ってる

あと関係ないけど、P続で彼方さんのイメージ固まったら彼方さんのSSも書いてみたい
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 22:30:38.42 ID:KTJpFo5Yo
乙!
桐乃からのお仕置き編を全裸待機しとくww
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川) [sage]:2012/05/16(水) 06:36:22.09 ID:cxw9QYzR0
>>576
今日の関東以西は夏日になる予想
絶好の全裸待機日和であるww
578 : ◆k4qYXRI5uY :2012/05/17(木) 22:08:40.29 ID:c+4/7Sun0
投下おk?
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/17(木) 22:12:01.58 ID:SXEGD+zGo
だめ
580 : ◆k4qYXRI5uY :2012/05/17(木) 22:13:04.17 ID:c+4/7Sun0
マジか。
また良さそうな時に出直してくる。
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/17(木) 22:15:29.27 ID:iQmEQpm0o
どう見ても大丈夫だろww
という訳で投下よろ。
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/17(木) 22:16:52.30 ID:SXEGD+zGo
だめなわきゃないじゃん。途中で送信しちまった申し訳ない
583 : ◆k4qYXRI5uY :2012/05/17(木) 22:23:01.99 ID:c+4/7Sun0
俺が侍でゲームなわけがない!










カタカタカタカタ

薄暗い部屋の中、キーボードの打鍵音だけが響いている。
モニターの光だけしかない部屋の中で俺、高坂京介はゲームをしていた。

現在時刻は4時半、俺の家は寝静まっていた。

今の俺の姿をこんな時間に見るとその人は間違いなく叫んでどこかへ行ってしまうだろう。
でもそんな事を気にもせずにその時の俺はゲームへと精神移入をしていた。

最近俺は自分のパソコンを持って、桐乃にゲームを散々させられていたせいか、pcゲームにすっかりはまり込んでしまった。
ゲームも秋葉原で色々と買ってきて次から次へとクリアしていった。

今やっている物で今回買いだめした分は終わってしまう。
だからこれを電車の始発までに終わらせて、さっさと買いに行こうとしていた。

keyが作るゲームは何でこんなに感動するんだぁ!! なんて事を考えながら最後のエンディングを見送る。涙が止まらない。
終わると始まる賢者タイムに身を任せる事しばし、俺はやっと立ち上がって時刻を見てみると丁度良いぐらいの時間だった。

暖かくなってきたなぁとは思ってもやはり夜や朝はまだ寒く、ちょっとした上着を着なければ出ようと思える気温ではなかった。
簡易に用意を済ませて静かに玄関を出る。人通りは少なく、落ち着いた気分で俺は駅へと向かった。


こんな時間だと流石に人は少ないだろう、そう思ってゆったりと歩くがそれは甘かった。
……やってきた電車の中はむさ苦しい[ピザ]共が汗をかいて揉みくちゃになっていた。

それでも次まで待つことは出来ない。ていうか早く次の作品をしたいので待ちたくない。
と言う事で意を決して俺は電車の中に乗り込んだ。


第一感想は熱い
第二感想は汗臭い

もう不快さしか電車の中には無く、本当にクーラーが効いているのか疑わしくなって来るほど暑苦しい。
汗が滴る不快さと[ピザ]共の体臭が俺の精神を圧迫して吐き気を催してくる中、電車は俺の目的地、秋葉原へやっと到着した。
だが出口は俺が居る所の反対だ。どうする、このままでは降りられない。

「お、オリマース」

一言かければ降りさせてくれるだろうと思い、声を発するも、俺の心配は杞憂だとすぐに気付くはめになる。
だって、皆も一斉に降り始めたのだから。

俺は肉の波に流されるがままに降りていった。これは本気でトイレに行った方が良いかもしれん。
今さっき喉まで上がってきた嫌な感覚を思い出し本気でリバースの事を考える。

トイレの方へと取り合えずと言う事で行って見るが、なにやら肉の壁が出来上がっていた。まぁ要約すると[ピザ]が群がっていた。
この状態でトイレになど入ってゲロっちまったらそれこそヤバイ事になる。

吐く

周りの[ピザ]を見る

吐く

周りの[ピザ]を見る


無限地獄へ。

的な展開が目に見えるようなので急いでトイレから目を逸らし外の空気を吸おうと階段を上った。

外に出るとまだ冷たい空気が纏わり付いてくる。だが寒くは無く、むしろ今さっきまでの事件で暑いくらいだったので調度良く感じた。
深く吸い込んで深呼吸をして店へ行こうと再び歩き出す

まずは最新作のゲームを買いに行かなければ。
よくよく考えればあの[ピザ]オタク共は俺と同じ目的だったのだろう、だから今も俺の周りには[ピザ]が居なくなる事無くうろうろしているのだろう。
584 : ◆k4qYXRI5uY [sage]:2012/05/17(木) 22:24:16.08 ID:c+4/7Sun0
悪い、途中の規制は[ピザ]でよろ
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/17(木) 22:26:19.15 ID:lOb8yFI5o
メ欄にsagaも一緒に入れとくと解除される。
586 : ◆k4qYXRI5uY [sage sage]:2012/05/17(木) 22:26:42.27 ID:c+4/7Sun0
的な展開が目に見えるようなので急いでトイレから目を逸らし外の空気を吸おうと階段を上った。

外に出るとまだ冷たい空気が纏わり付いてくる。だが寒くは無く、むしろ今さっきまでの事件で暑いくらいだったので調度良く感じた。
深く吸い込んで深呼吸をして店へ行こうと再び歩き出す

まずは最新作のゲームを買いに行かなければ。
よくよく考えればあの[ピザ]オタク共は俺と同じ目的だったのだろう、だから今も俺の周りには[ピザ]が居なくなる事無くうろうろしているのだろう。

ていうか何故にこんなに太っている人ばかりなのだろうか? これでは俺が浮いてしまって知り合いに見つかる可能性がかなり上がってしまうではないか。
そう思い改めて周りに知り合いが居ないかどうかを確認する。

俺の知り合いには[ピザ]ってる人は居ないので細身の人を探す、分かりやすい事に細身の人は何人かしか居なく探すのに手間はかからない。

まぁ居ないだろうなぁ、と思いながら探していく

「……?」

そう思いながら探していたためか、知り合いの顔を見つけると反応が鈍くなって一瞬誰か分からなくなった。

居た、居たよ俺の知り合い。
それも俺の知り合いで一番この場が似つかわしくない人物が。

それは相手も自覚しているのか、周りをキョロキョロして常に警戒していた。
目が合う。

気まずくて目を逸らすも最早手遅れ。相手は俺の事を見つけて目を見開いていたのだから。
「!?」
走り始めたのだろうか? 何やら殺気が急速に俺に近づいてくるのが分かる。

俺は路地裏に通じているのだろう、薄暗い通路を見つけるとその道に入って全力疾走で逃げ始める。

ヤバイ、絶対ヤバイってこれ!!?

近づいてくる足音に俺は冷や汗を滴らせながら曲がり角をグネグネと曲がり続けた。
開け放たれた広い空間に出る。

周りを慌てて見るも他の道は無く店が一軒あるだけだ。どうやら行き止まりの様だった。
ええい! こうなりゃヤケクソじゃぁ!!

やけになった俺は店に飛び込む。
見た目と違い以外と中は広く、店の人は居なかった。見た目は昔の駄菓子屋的な感じだろうか? 違う所と言えば品物ぐらいだろう。絶対に菓子では無かった。
まぁそんなものを一々確認している暇など俺にあるはずも無く、俺はろくに確認もせずに商品の影に隠れる。
587 : ◆k4qYXRI5uY [sage sage]:2012/05/17(木) 22:27:29.29 ID:c+4/7Sun0
ふむ、規制が解除できない。スマソ
588 : ◆k4qYXRI5uY [saga]:2012/05/17(木) 22:28:47.32 ID:c+4/7Sun0

すぐに荒い足音と息遣いが聞こえ、誰かが店に飛び込んでくる。

「お、おおお、お兄さん!! 何処ですか!?」

新垣あやせ その人が。

あやせは辺りに鋭い視線を向けながら物色し始める。
冷や汗の量が増えた。

いくら広いとはいえ見つかるのにそんな時間はかからない。
見つかったら最後、俺はあやせの秘密と共に海か山に捨てられる運命だろう。

「っていうか、何であやせがこんなところにいるんだよ!?」

小声で叫んで文句を言う。
これは俺に何の非も無いだろう、なのに何故俺が命の危機に瀕しなければならないのか。
世の中は本当に理不尽の塊だ。

そんな事を考えていると今までの出来事が頭の中を駆け巡り始めた。
これがいわゆる走馬灯という奴だろうか?

そんなもの見たくない!! と俺が頭を振る、するとどうだろうか、なにやら奥の襖がガタガタといい始めたではないか。
立て付けが悪くなっているのだろうか? 中々開かないらしく、向こうにいるのであろう人物は手こずっている。

「ったく、いったいなんなんだろうねぇ、最近調子が悪いったらありゃしない」

中から何やら年寄りくさい言葉が聞こえてくる。
まだ扉は開いていない。

それから暫くガタガタとやっていると、やっと開いた。
奥は暗くてここからじゃどんな人なのか確認する事は出来ない。

「ちょいと、あんたら人の店でうるさいねぇ、もうちょっと静かにしとくれ。こっちはまだ寝ているんだからね? 金なら適当に置いてきな」

そんな無茶苦茶な台詞は途中までしか聞こえてこなかった。

スラリとした足
キュッとしまった腰
調度いい大きさの胸

その人は、物凄い美人だった。
絶句する俺達。

隠れていた事も忘れて顔を大きく出して凝視する俺。

そんな俺達を見て何やら驚いた顔をするお姉さん(?)

「なんだい、こんな所に来るんだからもっと欲深そうなおっさんかと思ったけど、なんだいなんだい、まだガキじゃねぇかい?」

確かにまだ高校生だがガキ扱いは無いだろう。俺からみたらお姉さんだって俺達とそう歳は変わらないはずだ。
多分大学生なのではないだろうか?

そんな俺の気持ちを代弁するかのようにあやせが口を開く
589 : ◆k4qYXRI5uY [saga]:2012/05/17(木) 22:29:21.11 ID:c+4/7Sun0

「ガ、ガキっていうのは失礼なんじゃないですか? お姉さんだって大学生くらいですよね?」
「何言ってんだい、わたしゃ魅了霊香(みりょうれいか)、もう234歳だよ。あんたらみたいな小便くさいガキと一緒にすんじゃないよ」
そこで短く溜息をつくと、俺達を物色するような目でみてきた

「で、あんたらはここに何を買いに来たのんだい? ここは夢の望んだ者しか来れない宗源鏡の世界、何でもあるし何でも出来る。やりたい事、欲しい物、成りたい物、さぁ何を買う?」

底冷えする目を向けられながら欲しい物を思い浮かべる。
ほ、欲しい物欲しい物。
何個もあるが、まぁこんな店にも出来そうなものを選び抜く

決まった。
その言葉をそのまま口にする。

「じゃ、じゃぁゲームを……」
「「は……?」」

緊張した面持ちで俺がそう答えると何やらポカンとした顔であやせとお姉さんが俺の顔を見つめてくる。きっと呆れているのだろう。
ちょっと照れてしまい顔を背ける。

ま、まぁこんな古そうな店でゲームとか言っても無理があるよなぁ。
俺、バカだなぁ。

自分の愚かしさを思い知り恥ずかしくて俯く。
皆何も喋らない。気まずい沈黙がこの場を支配した。

だがその沈黙が長く続く事は無く、ある一人の笑い声で吹き飛んだ。

「ぶっっ、あ、あっはははははは!!!!? ん? ゲーム? あっはははははh!! ちょ、おま、ゲームっておま あっはははは」

堪えきれなくなったんだろう、なにやら目じりに涙を溜め思い切り笑い出した。
俺は自分の失敗を笑われてより一層赤くなっていく。

くそぅ。

「おにいさん何か勘違いしていませんか? あの人が笑っているのは何でも叶うって言ってるのにおにいさんがショボい願いを言ったからですよ?」
「くは、はぁはぁ、そ、そうじゃぞ、そのとおり!! 長く生きてきたがお前のような奴は始めてじゃ! 長生きはするものよなぁ!!」
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/17(木) 22:29:58.10 ID:x9X/O0Z2P
sageじゃなくてsagaな
591 : ◆k4qYXRI5uY [saga]:2012/05/17(木) 22:30:00.84 ID:c+4/7Sun0

何ぃ、これじゃまるで俺がバカみたいじゃないか、よく考えてみろよ、何でも叶うって言われてもこんなボロい店がそんなの出来る筈が無いって普通思わねぇ?
俺は思う。
だから謙虚にゲームと言ったんだ。

「ま、まぁいい、久方ぶりに愉快な思いをさせてくれた礼だ、とっておきのゲームをやろう!」
「マリオとかはいらないからな」
「違うわ!!!」

俺が思った事を口にすると、それにツッコんでから部屋の奥へと姿を消すお姉さん。
そんなに時間が掛かる事は無く、1,2分で帰ってきた。

手に持っているのは一冊の本。埃を被っていて古そうな皮の本だった。
表紙も中身も色褪せてしまっていてちょっと力を加えるとボロボロと崩れてしまいそうだ。

「?」

あやせもこれのどこがゲームなのかと疑問に思っているのだろう、頭に疑問符を浮かべて本を見つめていた。
はぁ、どうせこんな事だろうと思ったよ。

「お姉さん、それはゲームじゃない、本って言う物なんだよ?」
「分かっとるわ!?」

諭すように言ってあげると殴られた。
もう、最近の若者は切れやすいなぁ。

俺がヒリヒリと痛む頬を擦りながら嘆息していると本の説明をし始めるお姉さん。

「これはな、ゲームというプログラムを書き込んで生命を吹き込んだ物なんだよ、ちょっと指先を切り血で自分の証明をすんだ。そうする事でプログラムの中にお前と言うプログラムが追加されるんだよ」

へぇ、そうなんだ〜、すごいねぇ〜
「はぁ、そんなわけないじゃないか」
「……おにいさん、心の声と現実の声が入れ替わってますよ」
「なに!? しまったぁ!!」

………殴られた。

「まぁとにかくやってみたらいいんじゃねぇかい? どうせあっちでの一年はこっちの一秒にも満たねぇんだからな」
「お姉さん、どんどん遠慮なく俺を殴るようになってません?」
「どうだ、面白そうだろ?」
「そうですね、まぁちょっと遊びでやってみても良いかもしれませんね」
「俺を無視しないで!?」

俺を華麗に無視して何やらあやせが自分の指をお姉さんに向けた。
592 : ◆k4qYXRI5uY [saga]:2012/05/17(木) 22:30:55.29 ID:c+4/7Sun0
>>590

サンキュ
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/05/17(木) 22:31:09.39 ID:lOb8yFI5o
「sage saga」だ。

デブ注文
594 : ◆k4qYXRI5uY [saga]:2012/05/17(木) 22:31:26.48 ID:c+4/7Sun0

「じゃぁ何か切るものお願いします、噛むのはさすがに無理なので」
「おっと、それはできねぇな。あくまでこれはそこのガキの願いだ、だからそいつの血でしかゲームはできねぇよ」
「はぁ、しょうがないですね。さぁ、おにいさん小指をチョッキンしましょうねぇ」
「ちょっと待って!? そんな子供に言い聞かせる時の「トイレに行きましょうねぇ」みたいな感じで言われても出来ないからね!!!?」

取り合えず指を切らせない様に後ろに回す。
まぁ入ってやっても良いのだが、それはジャンルによるだろう。rpgなら入ってやってもいいが妹物のギャルゲとかblゲーは断固拒否だ。

確認が必要だな。

俺はそう結論付けるとお姉さんに話しかけた

「じゃ、ジャンルは何だ?」
「blだが?」
「絶対嫌だ! 俺は断固拒否する!!」

くそぅ、まさか予想通りだとは! 何も考えずに入らなくて良かったよ!!

「嘘だって、安心しろ、ギャルゲだよ妹物の」
「それのどこに安心できる要素が!?」

思い切りツッコむ。
バカにしてんのかこの野郎。
っていうかそんなのをどうやって二人プレイしろというのか。

「簡単じゃねぇか、その妹を二人でレ○プ……」
「止めろ!!!!!」

放送禁止用語に思わず叫んでしまう。
お姉さんが額に滲んだ汗を袖口で拭った。

「ふぅ、楽しいのう。これが漫才というやつなのじゃな」

何やら恍惚とした表情でそんな事を言い出した。断固としてこんな物は漫才じゃない。

「まぁここらへんで冗談は止めよう。このゲームはRPGで冒険物だ。どうだ、これで安心したか?」
「ま、まぁそれならやってあげなくもないですね」

俺は取り合えず安心して返事をする。

「よし、じゃぁちぃと指出してもらおかぁ」
「その言い方はどうにかなんないのか……」

まぁ説明は聞いていたので怖いながらもちゃんと指は差し出すのだけれども。
俺が手を出すとお姉さんは本の最後のページを開いた、中心だけ真っ白でそこから円を書くように字が綴られていた。

お姉さんはその中心の真上に俺の手を移動さして持って来た鋏で皮膚をちょっとだけ切る。

「っ…」

ちょっとだけ痛くて思わず声が漏れる
指先から赤い血が流れ出てページの中心へと落ちていった。

あ………付いた

と思う頃、俺は静かに気を失った。
595 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:32:31.18 ID:c+4/7Sun0
皆サンキュ

迷惑かける。
596 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:33:05.35 ID:c+4/7Sun0











「ん………?」

眩しい光を瞼の裏に感じながら爽やかな風が俺の髪をなびかせた。
目を薄く開くと大空と太陽の光が写った。

鷹が悠々と空を泳ぎ、鳥の鳴き声が耳に心地よく響く。
気持ち良い草の感触にもう一度眠気を覚えるがどうにか我慢して勢い良く起き上がった。

世界が二つに分かれた気がした。

酷く歴史を思わせる悠久の森
神々しさを覚える無限の空

深く、包み込む様な優しい音色を奏でる森の木々達。
一匹の鷹が自由に泳ぐ何も無い、青い空。
命の全てを詰めて出来ているような綺麗な空気。

目を瞠り、壮大な景色に感動を覚える。


………だが、その感慨は長く続かなかった。
壮大な景色にいきなり文字が浮かび上がったのだ、酷く機械的で、この場に似つかわしくない字が。


『 高坂 京介   Lv1

  装備

武器 血

防具 薄汚れた庶民服  

道具 説明書     』


「なんでやねん!」

ひとまずツッコみの言葉が思い浮かばなかったので何にでも通じるツッコみで間に合わせる。

やばい、何だこれ。
完璧訳分かんない事になってんじゃん。最早世界観も何も無いからね? 無茶苦茶だからね?

『そんな事はありません』
「誰!?」

響くような奇妙な声が聞こえてくる。何処からかは分からなく、どうにも姿も見えないらしい。

『まぁ、ぶっちゃけ説明書読んだら分かんじゃね?』
「そこはぶっちゃけていいのか!? もうちょっと不思議な感じでいこうよ!」
『え〜、だって面倒くさいじゃねぇかい? 第一に私はもう334年も生きているからこんなゲームはやり飽きてんだよ』
「ちょっと待て、お前があの駄菓子屋っぽい店の人なら一言言っておくぞ? お前は確か234歳だと言っていた筈だ」
『はぁ、はっきり言って私、120歳くらいから自分の歳数えるの止めてるから。だって数える意味が無くなってくんだもん』
「………あぁ、そう、そうですか……」

おいおい、もう勘弁してくれよ。なんでこんな訳分かんねぇ場所に来なきゃいけねぇんだよ。
あれだよ? これってもうあれじゃん。本当勘弁してくれよぉ。

もうこの頭のネジが十本中九本くらい吹っ飛んだ姉ちゃんとも会話したくねぇよ。
っていうか本当に魔法使いみたいな力持ってんだったら俺を元の世界に帰してくれ。一分一秒でも早く普通のゲームを買って家に帰りたい。

『帰りたければゲームをクリアするしかねぇわな。ほれ、とにかく説明書を読んで見れ』

何やら喜色に富んでいる声音に顔を顰めると適当に返事をしてバッグの中から説明書を取り出す。非常にカラフルで絵も可愛い、っていうか萌え絵だった。
ま、まぁとにかく開いてみよう。きっと内容は大丈夫な筈だ。

「え〜と、なになに? 《仲間を集めて魔王を倒そう!》………」

アバウツッッ!
なんていうアバウトさ! 説明も何もあったもんじゃねぇ!! こんなのが実際にあったら苦情殺到どころじゃないぞ!?
597 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:33:46.82 ID:c+4/7Sun0

ま、まぁ物語の説明ページだしな、ちょっとぐらい許そう。
だが、だがな、戦闘の説明がアバウトというのは許されることじゃないのは分かるよな?

このゲームの作者も分かっている様に願いながらそっとページを捲る。

《さぁ、戦闘の説明だ。これは実体験シュミレーターゲームだ、相手のターン、自分のターンなんてのは通じないぞ? やられる前に切れ! 主人公の武器は血だ。指先を噛み切り、イメージして血の武器を作り出すのだ! 切って切って切って切りまくるんだ! なお、森の中では闇から手裏剣を投げてくる敵がいるので要注意だ、だってわざわざ目の前に出てくるなんて現実ではありえないだろ?。 さぁ、旅立て勇者よ。あ、それと言い忘れてたけど死んだらもう一度最初からやり直しだから、だってセーブポイントなんて無いしね。痛みもありまくりなので注意するのだ、勇者よwww》
「笑うなぁあああああああああ」

思わず絶叫、なんなんだ、これは。はっきり言って無茶にも程があるだろう。セーブポイント無し、痛み有りのゲームってどんなゲームだよ。
敵が出てきた場面を想像する。
考えてみてくれ、目の前にゲームの中のキャラが本当に出てきたらどうする? 俺はビビリまくる自信があるね。さらに殴られたら痛みまであるってんだからビビらない方が無理ってもんだ。……ていうか切られたらどうなるんだろうか?

腕が吹っ飛ぶところを想像して身を縮ませた。

「これは逃げるを連打で決定だな」
『最初は実際のパラメーターが採用されるからお前が足に自信がなけりゃぁ無理だと思うが?』
「くっ………、どこまで現実主義者なんだ製作者!」

パラメーターを見てみる。
なるほど、確かに俺の現実を数値にしたっぽいな。


『高坂京介 パラメーター

HP   100

攻撃力 35

防御力 13

知力  2

回避力 130  』


泣けてきた。
あいつらの攻撃を避けてきたせいか回避能力が上がってきている事は分かっていたがこんなにもあるとは……。

『ちなみにここでは能力は無限に上がり続けるからな。 私は最高で全部10000超えたぞ。それと安心しろ、回避だけは異常だが他は平均的だから』
「あっそ」

素っ気無く返事をすると改めて回りの状況を頭の中で整理する。
ここで立ち止まっていても現状は何も変わらないのだ。

俺は周りを見回す。
すると後ろに何か街の様な場所があった、かなり距離はありそうだ。
だがその道程は草原で見晴らしが良いためモンスターが出る可能性は少ないと俺の経験上判断する。

まぁその感もはっきり言って余り信用ならないのだがな。

「でも、行かなきゃなんも始まんねぇ」

俺は口に出して自分を無理矢理説得すると重たい足を動かし始めたのだった。
598 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:34:40.89 ID:c+4/7Sun0






只今、街へと続く道を驀進中。爽やかな風に思いを募らせる事も出来ずに走り続けている。
後ろからは罵詈雑言が聞こえてくる。その声は野太くて自分からはお世辞でも聞きたいとはいえない声だ。

走り続けてやく二十分、どうやら俺の体は限界が近づいてきたらしい。足が震えてくる。
休みたい。

だが休む事は出来ない。理由は簡単。

「待てぁぁあああああああああ」

後ろに魔物らしき奴等がいるからだ。

「ははは、困った奴等だな」
爽やかに笑ってみる。
「何笑ってんだこるぁあ!!」
だが所詮は獣、俺の『辛い事があるなら笑え』的な茶目っ気が通じる事は無いらしく、バカにしてきたと思ったのか更に怒ったっぽい。

なにやら背中を手で探り始めた魔物。

あ、奴等、武器は鈍器だけじゃ無かったらしい。
俺は後ろの奴等が刀を取り出すところをチラッと見た。

「…………」

くそっ、奴等め、俺をスライスして叩いてハンバーグを作る気か?
なんて冗談めかして考えてみるが解決策が頭に浮かぶ事は無かった。

再び前を見て周りを見てみる。
何か役に立つ物が落ちていないかと考えていたのだが、どうやら無いらしい。

「万事休す……か」

荒い息で最後のそう呟く
選択肢、戦うを選ぶかどうかの瀬戸際だ。ここで悩まずしてどこで悩むというのだろうか?

………いや、待てよ? ちょっと考えてみろ俺。
これはゲームなんだよな? だったら最初から強い奴が出るのはおかしくないか?
だってあのポケ○ンだってそうだったじゃないか、最初は弱い奴しか出てこなかった筈だ。

俺は昔やったゲームを思い出しながら深く頷く。

そうそう、こんな最初っから出てくる奴は弱いって決まってんだよ。
そこまで考えると笑みを浮かべながら後ろを振り返った。

「っしゃぁ!! 掛かってこいや!!!」

選択肢の攻撃を選ぶ、するとまた新しい選択肢が現れた。

『武器を使いますか? yes/no』

俺は迷わずyesの方を選ぶ、また現れる選択肢。

『ではどこからか血を噴出させましょう』

いや、これは選択肢じゃないな。だって選択出来ないんだもん。
製作者出て来いっ。

俺は目の端に涙を溜めながらこちらに向かってくる魔物を見る。
すると、どうだろうか。今さっきは考え込んでいたせいで見えなかったのだろうか? 横の草陰に人影が見えた。

よく見てみるとなにやら見た事のある奴だ。
そいつの前には選択肢が出ている。よし、あいつも加勢してくれれば何とか勝てるかも知れん。

目の前に現れた光に思わず口の端を上げた。

さぁ我が友よ、一緒に戦おう。きっと二人ならこの凶暴そうな魔物も倒せるさ!
599 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:35:16.72 ID:c+4/7Sun0

『 ○○○○


 攻撃
 道具
 防御
→逃げる    』

ピッという音と共に逃げるを選択する我が友。

「くそおぉおオオオオオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおお」

思わず絶叫。
奴、赤城浩平は逃げるを選択して街の方向へと駆け出した。

「魔物の皆さん、あそこに逃げようとしている生肉が居ますよ!!」
「高坂テメェ! なんて事を言いやがる!!」
「うるせぇ、死なば諸共じゃボケがぁ!!」

追ってくる魔物のボーガン攻撃を避けながら少しでも時間を稼ごうとどちらかを生贄に奉げようとする俺達。
俺は頭を下げてボーガンを避け、そのまま回転蹴りを放つ。

「っぶねぇ、テメエ! 今俺を生贄にしようとしやがったな!?」
「違う違う、俺はお前の腹にとまっていた蚊を落とそうとしただけさ」
「なんで蚊を蹴りで落とす必要がある!? というか蚊が死ぬと同時に俺も死ぬわ!!」
「なんだよ、折角人が親切にしてやったのに」
「そうか……、あ、蚊が京介の顔にぃ!!」

とんでくる赤城の拳を咄嗟に掴む。

「いや、俺に付いている蚊はいいよ、俺はわざと血を吸わせてやってるんだから」
「あはは、そう遠慮すんなよ不細工野郎」
「あはは、本当に遠慮するよシスコン変態野郎」
「「………」」

俺達はお互いの腕を全力で受け止めながら走る。ボーガンを避けながら。

「なんか…………追ってるのがバカらしくなってきたな…………」

何やら街付近に着いた時にそんな呟きが魔物達の方から聞こえてきた気がする。








門前。

俺達は魔物が居なくなった草原を見渡す。安心したせいか思わず漏れる呟き。
「ふぅ、なんとか逃げ来ったな」
「ってかお前が俺の事を魔物共に教えなかったら俺は追いかけられる事は無かったんだよ!」

ふぅ……。何を今更。

「俺がお前だけ逃がすわけないだろ? バカだなぁ」
「お前は最低だ!!」
600 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:35:48.75 ID:c+4/7Sun0

そんなくだらない話をする事数分。
最終的に俺達は目を血走らせて胸倉を掴み合っていた。

「俺のマイプリティーエンジェル瀬名たんが不細工だと!? 言葉には――――――――――!!!???」
「俺の将来の婚約者がぼんち揚げなわけが―――――――――――――――!!!???」

な、なんだ!? この殺気は!!?

俺達は瞬間的にやってきた物凄い殺気に鳥肌を立てて咄嗟に離れた。
明らかにヤバい! この殺気はヤバ過ぎる!!

戦闘態勢をとると周りを見る。


「「………」」


「こんにちわ、お兄さん」
「よ、よぉ」

あやせがいた、ニコニコと笑って。

「ところで、いきなりですが私の武器は何だと思います?」

さ、さぁ、何なんだろうな?
魔法使いの杖とかか?

俺は現実から目を逸らして、適当な事を考える。
だが現実は変わらない、あやせが背中に背負っている武器が変わる事も無いのだ。

「もう、ちゃんと見てくださいよ、背中の武器を」
「あ、あぁ、分かった。弓使いか、格好良いな。でも、一つ聞いていいか?」
「はい、何ですか? おにいさん」
「……なんで弓を引いているんだ?」
「あぁ、これですか、何か知らないですけど私が敵と認識した対象に攻撃してしまうみたいなんです」

ギシギシと反る弓を見ながら俺は冷や汗が吹き出てきた。
「だから、逃げないで下さいね。おにいさん、そしてその他さん」

「「緊急回避ぃいいいいいいいいい!!!!!」」

俺達が立っていた場所を弓矢が通過していく。
どこかに刺さったのだろう、カカカカッという軽快な音が耳に届いてきた。
あ、危ねぇ。

「なんて、冗談ですよ」
「矢を放っときながら言う台詞じゃないからねっ!?」

勢いよく立ち上がると思い切りツッコむ。
背筋を伝う冷や汗の嫌な感覚を気にしながら改めてあやせを見てみると、ふむ、やはり武器だけではなく、格好も一応弓使いっぽくなっている様だ。
と、言う事は我が友、赤城の職業は格好から察するに……金持ち?。

「おにいさん、現実を見てください。赤城さんはどう見ても王子ですよ」
「あぁ、そうか、やっぱりそうなのか、理解した。ところであやせ、その弓重そうだな、持ってやるからちょっと貸してくれないか?」
「おい!今そいつに武器を渡すんじゃねぇ!! 俺が狙われる!!」

ちっ、勘の良い奴め。

「ところでおにいさんはなんの職業なんですか?」
「俺? う〜ん、見てないから分からんなぁ」
「まぁ、格好から察しますと侍? ですかねぇ」

うむ? 確かに……。俺の格好は侍っぽいかも知れん。
今の俺はちょっと薄汚れた着物の袖を両方とも垂らして着ていた。自分で言うのもなんだがだらしがない。

「いえ、やっぱり違うみたいですね。格好から察するに浪人ってところでしょう」
「……あやせ、言葉の暴力でググってみるんだ。きっと俺の今の気持ちが赤裸々に書かれてるから」
601 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:36:21.51 ID:c+4/7Sun0

抉られたように痛む胸を押さえながらあやせに常識を説く。
まぁそんな言葉一つであやせが改心などする筈も無く、数十秒にはまた俺は罵られているのだろう。

俺は変わる事の無い現実にうんざりしながら一先ず会話を打ち切った。
このままくだらない話をしていても事態は一向に進行しない、現実に帰るためには一刻も早くこのゲームをクリアしなければならない。

「ま、とにかくこんな所で駄弁ってても仕方ない。適当に武器屋でも見て回ろう」

俺はそう言うと新たに俺の悪口を吐き出そうとしているあやせを止める様に先に歩き出した。
ゲームでは武器屋というのは街or村には一つしかない、と相場が決まっている。それはここでも同じなのか、いくら探しても一つしか見つからなかった。
見た目は、まぁわりとまともだろう。壁はレンガで、蔦が絡んでいる。それは看板にまで届き、不思議な雰囲気を醸し出していた。
でも、なんだろう、この嫌な感じは。はっきり言って入りたくない。
俺の研ぎ澄まされた危険察知センサーが音だけじゃなく頭の中で跳ね回っていやがる。

冷や汗が背中を伝って流れていく。そんな中、一人、いや、二人空気を読まない奴等が俺の周りにはいた。そいつらは何の警戒も無く扉に近づき開いた。

その瞬間扉からムワァッと甘い匂いが広がってくる。ケーキやお菓子の甘い匂いじゃない、体の芯から溶かされているようなドロリとした甘い匂いだ。
顔を顰めるとバックステップでこの場から離れようとするが、生憎遅かったらしい、野太い腕がいきなり生えたと思ったら俺達は全員捕まっていた、おっさんに。

「あらぁ、うふふ、可愛い御客様ね。あっちの部屋で一緒に遊ぶ〜?」
「「「結構です!!!」」」

三人同時に断りを入れる。
こんな所でモンスターに遭遇するとは。予想外にも程がある。

「あんっ!!? なんか言ったかごら」

なんで俺の考えはすぐにバレルのだろう? 俺は首を引き千切れんばかりに左右に振りながら泣きそうになるのを堪えた。
とりあえず放してもらおう、と言う事で俺は勝手にドアを開いた赤城(あやせはエンジェルなので除外)にアイコンタクトで「どうにかしろ」と言った。
赤城は自分でも責任を感じていたのだろうか? わりとすんなりと頷いた。

「あ、あのぉ、すみません。俺とその女の子はちょっと通りすがっただけなんで、もういいですか? 扉を開いてたのはそこのお兄さんなので」

………畜生。その手があったか。

「あら? そうなの。それじゃぁしょうがないわね、二人共私の好みだったんだけど……」
残念そうにそう言うとおっさんは赤城とあやせを放した。

赤城はあやせの手を取ると半ば急ぎ足で歩き出す。だがその歩みは、何故だか知らないが途中で止まった。
なにやってんだ? さっさとあやせ連れて逃げろやこら。そんなとこで立ち止まってんじゃねぇよ、もっと遠くへ行けよ。

そんな事を考えている俺の気も知らないであやせがこちらに再び走って戻って来るじゃないか。
なーにやってんだ赤城ぃ!! ちゃんとあやせ逃がせやぁぁぁああ

心の中で絶叫するも、現状が変わる事は無くあやせは俺とおっさんの所まで来てしまった。くそぅ、あやせ、分かってんのか? こいつは両刀使いなんだぞ? どっちでもいけちゃう変態なんだぞ? お前の処女は俺が頂く予定だったんだぞぉぉぉぉ!!?

「あっ、手が物凄い勢いで滑っちゃった!!」
「へぶぁっ」

あやせは手が滑って俺の鳩尾と脛と顔面に往復ビンタを下さってくれた。
畜生。
痛みでエビみたいに背を反らせてビクンッビクンッと俺が飛び跳ねているとあやせが今さっきのやり取りをまるで無かったかのように話を切り出した

「あぁっ、お兄さんっ! 大丈夫ですか!? そこのあなた、なんて事をしてくれたんですか! お兄さんがまるでエビみたいになっちゃったじゃないですか!!」
「あたしのせいなの!!?」
「もうお前らは黙ってろ!!」

おぉ、流石赤城、俺に今なにが必要か分かってくれているらしい。
そう、俺に今必要なのはあやせの責任追及じゃない、治療だ。
赤城は俺に近づくとビクビクと痙攣し始めた俺の体にちょっと触った。ちょっと間考える仕草をした後、赤城はドヤ顔をすると大きく宣言した。
602 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:36:52.07 ID:c+4/7Sun0

「これは………人工呼吸が必要だな!!」

………。
ちょっと待てぇえええええええええ!!
俺呼吸してるから、呼吸してるからね!!?

そう言いたいのだが、体の奴が一つも言う事を聞きやしない。まるで本当にエビになったかのようにビクビクと跳ね回るだけだ。

「よし、まずは心臓マッサージからだな」
「気道確保をしろぉおおおおおおおい!!! なんで初っ端から心臓をマッサージされなきゃならんのだ!?」

さっきまで死に掛けていたのも忘れて思い切りつっこむ。
こいつらに人工呼吸なんかさせたら命がいくらあっても足らん。

「なんだ、生きていたのか」
「てめぇ、わざとしやがったなこの野郎」
「チッ……。あ、ヨカッタァ、お兄さん生きていたんですかぁ」
「今舌打ちしたよね!? したよね!?」

畜生っっ!!

「もうっ、私を忘れてるんじゃないわよ! 結局あんた達は何しに来たの!?」

どうやら待ちくたびれたらしい。
おっさんは俺達に声を張り上げると用件を聞いてきた。

「はぁ? 何言ってんだおっさん?」
「あんだとこら! いっぺん死んでお花畑でも見てこいやぁ!!」

ヘッドロックをかけられ最初は抵抗していたものの、ものの数秒でピクピクと痙攣し始めた赤城を見て俺は言葉に気をつけようと心に誓った。

「や、やだなぁお姉さん。武器屋なんですから武器を買いに来たに決まってるじゃないですかぁ」
「あらっ、お姉さんなんてっ! お上手!! でも武器なんて買ってどうするの?」
「魔物退治ですよ」
「貴方達が? 駄目よぉ 危険だわ。私に負けるぐらい弱いのに魔物を倒そうだなんて無謀よ」
「お前はそこらへんの魔物よりよっぽど魔物らしいじゃねぇか」
「あんだとこらぁぁああああああ!!!」
ぎゃぁあああああああああああああああああ、しまった!! つい口がすべっちまった!!

「「戦線離脱!!!」」
俺と赤城は二人で逃げようとする。
だが俺達の行動は最初から予想されていたらしく、俺達が走り出すと相手も同時に走り出した。

「くそっ! あいつ筋肉マン三世のくせに異常に速いぞ!?」
「ちぃっ!! あんだけ筋骨隆々でなんであんなに速いんだ!!」
「あんだと!? もういっぺん言ってみやがれこらあああぁああぁぁあああああああ!!!!!!!!」
「「オマケに地獄耳ぃいいいいい!?」」





ドサッッ…………。

十分後。 俺達は見事に捕まり、店の入り口から店内へと無様に転がされた。
顔が腫れた俺達を見ながらニヤニヤしているあやせにムカつきもせず、ただ可愛いと思ってしまう俺はもう病気なのだろう。

漠然と自分の病気の進行を確認しながら俺はあやせから視線を外し、天井を見上げた。
所々くすんでいるが、掃除をよくしているのだろう、まだ綺麗でおっさんの性格がでていた。
あれで結構几帳面なのだろう。
俺はちょっと勢いをつけて立ち上がる。

「なぁ、おっさん。武器ってどんなのがある?」
「なんでもあるよ、剣や刀なら日本刀に両刃刀、斬馬刀に鉈。殺したくないってんなら逆刃刀なんてのもある。魔法使いの杖とか弓の種類はそれぞれ特化しているものが違ったりしてるから自分で決めな。 そんであんた、そう、あんただよ」

俺を指差してくるおっさん。なんで俺を指しているんだろうか? また何か勘に障る事をやらかしてしまったのだろうか?
なんて事を考えてビクビクとしながら返事をする。

「は、はい?」
「あんたは何も装備できないからね。ここにいても無意味だよ」
「はぁ!? なんで!?」
「だってあんたもう装備しているじゃない。血を」
「それが嫌だからここに来たんだよ!!」
なんで自分を切ってまで武器を作り出さなくちゃいかんのだ。俺は怒りを乗せた言葉をおっさんに向かって吐き出した。

「あたしに言わないでちょうだい。装備できないもんは装備できない。それだけだよ」
「なんとかしてくれよ! これから先俺だけ自分を傷つけて武器を作んなきゃなんないんだぞ!?」

俺がそこまで言うとおっさんは呆れた様な目をこちらに向けてきた。
603 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:38:03.68 ID:c+4/7Sun0
「あんたもしかしてこれまで一度も武器を使ったこと無いの? 無いんだったらあんたは正真正銘のアホだよ。 この世界でその武器ほど便利な物は無いのに」
「どんなに便利でも自分を傷つけないと使えない武器なんて願い下げだ!!」
「はいはい、もういいから一回武器を出してみて。あたしもそんな珍しい武器は殆ど見た事無いからそこまで詳しくは分からないけどちょっとは分かるから」

そう言っておっさんは小さなナイフを懐から取り出す。チャキンッ………、という金属質な音がやけに遠く聞こえた。
その時、ゾクリと悪寒が俺の中を駆け回った。ナイフに対してではない、他の何かが俺達を狙っている事だけは分かった。
ミシ……。天井からそんな音が響いた。

「逃げろっっ!!」

俺が思い切り叫ぶも、もう遅かったらしい。天井にヒビが入ったかと思ったら勢い良く雪崩れて来た。
「っ!!」
あやせに飛び掛って上になると四つん這いになって天井の残骸から守る。
唯一良かった事は天井が木で出来ていたことだろう。これがもしコンクリの家だったりしたら俺達は今頃ミンチだ。

やっと衝撃が止み、閉じていた目を開く。あやせは気を失っているのだろうか? 目を閉じてぐったりとしていた。
「大丈夫か!? あやせ!!!」

冷静になれば寝息を聞いたり、脈を計ったりと色々やる事が出来たのだが、その時の俺は気が動転していたのだろう。大声を出しあやせの安否を確認する。
そんなに深く気絶していなかったのだろう、あやせはすぐに呻き声をあげだした。
目を覚まし、薄く目を開いてこちらを睨んでくる。

「……うるさいですよ、お兄さん。近所迷惑を考えてください」
「あ……やせ」

何時もの罵倒に嬉しさまでこみ上げてくる。
「っ!?」
安心して一気に何かが弾けたのだろうか。俺は飛びつく様にあやせを抱きしめる。

「良かった、良かったぁ」
「ちょっ、お兄さん!? お兄さん!?」

顔を真っ赤にして俺に驚きの声をあげるあやせ。けれど声だけで、体は何故か抵抗して来なかった。
あぁ、良かった……。
存在を確かめるようにもうちょっと強く抱きしめる。
あやせはビクッと体を震わせたが、抵抗はしてこなかった。ショックで体が上手く動かせないのだろうか?
心配になって一先ず体を離し、あやせと向かい合った。

?、何だ?
何故かあやせが不機嫌な顔をしている。
604 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:38:43.27 ID:c+4/7Sun0

「あやせ、体はちゃんと動くか? どっか痛い所は無いか?」
「大丈夫で・すっ!」

最後の「す」に力を込めて俺を押し返してくる。
ガラガラと音をたてて周りの瓦礫がちょっとずつ崩れていった。

周りの瓦礫をどかして現状を確認する。
店はもう跡形も無く木っ端微塵状態だった。

「おいおい、一体何があったんだよ」
「ふむ、そうですね。魔物が街に入ってきたっていう想像はしたくありませんが、この状態でしたらその可能性もあると思います」

あやせは俺の言葉に相槌を打つと冷静に現状を分析していた。
街に魔物? マジで? そんなの反則にも程があるだろ。だって下手したら宿で寝ていても敵に遭遇するかも知れんのだぞ?

『ふむ、まぁそれが現実と言う物だろ?』

久しぶりに聞く声にピクリと反応する。

「よぉ、久しぶりだな」
『お前にとっちゃ久しぶりだろうけど、こっちにゃ瞬きぐらいの時間しか経ってないからな?』
「嘘こけ、そっちの一秒がこっちの一年ならはっきり言って会話がなりたたないんだよ。どうせお前は裏技みたいなの使ってんだろ?」
『ほぉ、鋭いな、その通り、こっちでそっちの時間に合わせてんのさ』
「まぁ、はっきり言って今はそんな事ぁどうでもいい、どうなってんだ、これ」

俺がいまさっき感じた今までとは段違いの殺気を放つ魔物を言外に込めて聞くと、あっちの世界で霊香が笑った気がした

『rpgに強いボスは付き物だろ?』

「……そうかい」
そうかよ、分かった、分かったよ。やりゃぁいんだろ? やりゃぁ。
俺は今さっきの身の竦み上がる様な殺気を思い出す。
やれるかなぁ、俺。やられちゃうんじゃね?

「大丈夫ですよ、お兄さんなら…きっと」
「あ、あやせ……」
「きっと、綺麗に死ねます」
「そんな心配してねぇよ!?」

あやせ、相変わらず末恐ろしい奴だ。この流れで俺を罵倒するとは。
俺が涙目になりながらあやせにツッコんでいると、俺の後ろの方からガラガラと瓦礫の崩れる音がしてきた。
605 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:39:14.75 ID:c+4/7Sun0

「ちょ、お前ら酷くね!!? 俺の事放っとき過ぎだろ!?」

あぁ、赤城、いたのか。
まあ、何にしても早くここから出たほうがいいな。街にも敵が現れると知った以上、一度現れた場所からは出来る限り離れた方が良い。

「華麗にスルーされた!?」
「大丈夫だ、ちゃんと覚えてる。忘れてたなんて事は、うん、無いから、うん」
「忘れてただろ!? 確実に忘れてたよね!? ねぇ!!」

俺達は喚いている赤城の隣を何も聞こえないがごとく通っていく。
さぁ、仲間探しだコノヤロー。

次の街に移動すべく、俺達は歩き出したのだった。






歩き出して、まぁ二時間。
俺達は、あやせの体の一部が突如鳴った事である問題に気付いた。それはあやせの体の一部が鳴ったからと言って、あやせだけの問題だけでは済ま無い。俺と赤城にも充分過ぎるくらい関わってくる問題なのだ。
そこまで回想すると、俺の腹は呼応するかのように鳴いた。

ぐうううぅぅぅぅ……

そう、その問題とは空腹。幸いまだ魔物には会っていないのだが、この状況で会えばパーティー全滅もかなりの確率になってしまうだろう。
まぁひとまず、恥ずかしがってるあやせのために一言言っとくか。

「あやせ、お仲間だな!」
「うるさいです!!」
「あ痛ぁ!!」

「………はぁ、なんでお前は女の気持ちがそんなにも分かんねぇんだよ」
なにやら赤城が呆れた声でそんな事を言ってきた。一方、あやせは何故かプリプリと怒って(可愛い)どこかに行ってしまった。
うるせぇ、少なくともお前よりは女心は分かるつもりだよ、俺は。
俺が今までどんだけ女を相手にしてきたと思ってるんだ? 桐乃、あやせ、加奈子、黒猫、沙織、ブリジット、リア、麻奈実……は微妙か? まぁとにかく俺は今までこんだけの女子を相手にしてきたんだぞ? そんな俺がお前より女心が分からないだと? 笑わせてくれる。

「お前のニヤけ顔を見てると大体考えてること分かるけどよ、俺これでも結構モテるから女経験は俺の方があると思うぞ?」
「ちぃっ! そういやそんな設定もあったなこの野郎」
「というか、そんだけの女子と間近にいるのに何でお前はそんなに鈍感なんだよ。もうお前の鈍感さは端から見てて笑えるレベルだぞ?」
「ふっ、何言ってんだか、俺はあいつらの考えてる事なんて手に取るように分かるね」
「ほぉ、じゃぁお前はあいつらに好かれてるか好かれてないか、言ってみ?」

はっ! 今更何言ってんだか。そんな質問の答えなんか楽勝過ぎて屁が出そうだね。
606 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:39:40.36 ID:c+4/7Sun0

「嫌われてるに決まってんだろ」
俺は堂々と言ってやった。別に泣いてなんかいない、うん、本当に。

「………」

何故だろうか、俺の回答を聞いて赤城は哀れみの視線を俺とあやせに投げかけた。
俺だけになら分かるのだが、何故あやせにまでそんな視線をやるのだろうか。あやせはただ単に俺を嫌っているだけではないか、なんでそんなに哀れまれるのかさっぱり分からん。

「そんな目で見ないでください! ぶち殺しますよ!?」
「いや、だって、お前の態度ってもう殆ど言ってるみたいなもんなのにこいつこんな事言ってるぜ?」
「な、ななな、なにが分かりやすいんですか! 別にこんな変態なんとも思ってません! 別に桐乃に遠慮してる事も無ければ彼女が出来たって聞いた時にこっそり泣いてもいません!!!」
「……白状しすぎだろ……」

これ以上はなにを聞いても無駄だと判断したのだろう、赤城は肩を竦めるとポケットに手を突っ込んで空を仰ぎ見た。
だから言っただろうに、あやせが俺の事を好きなんて可能性は今から十秒後に地球が消滅するぐらい有り得ない事だって。

ちょっと格好良い感じで空を見ている赤城に俺は溜息をこぼす。

さて……後どれくらいだ?
もうそろそろ体力的に限界が近いんだが…
もしかしてこれから野宿とかだったりして。…ありえるのが嫌だな。



なんて事を考えていると、いきなり目の前が濃霧で覆われた。
視界一面が真っ白。
体がジメッとした感覚が気持ち悪い。

いきなりなんなんだ? 

慌てて赤城達の方へと振り返るが、二人の姿は見えなかった。

「おい!! 赤城! あやせ!?」

本当にいきなりだった。まるで自分の足元から噴出してきたかのように俺の周りを濃霧が覆ったのだ。それも今まで見た事もないような、本当に霧なのか疑いたくなるほどに濃い霧だ。霧と言うより、白い実態のない壁と言ったほうが分かりやすいかもしれない。
手を伸ばした範囲さえ見えない、自分で叫んだ言葉は本当に言ったかを疑いたくなるほどに小さく聞こえた。

それでも、俺は思い切り叫んだ。声が枯れても、息が切れても。
607 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:40:15.91 ID:c+4/7Sun0

だが最後まで返答は無かった。
上下の感覚が分からなくなって俺は尻餅をついた。視界が0になったのだ、それは見知らぬ土地で目を失ったのとなんら変わりは無い。
果ては本当に自分が地面を歩いているのかが分からなくなる。

だから、手と、足と、目で地面を確認しようと屈む。
屈み、顔を近づけ、手で砂を握り、足を踏ん張る。地面という存在を確認する。

瞬間、俺は心の底から安堵した。

「はっ、はっ、はっ……、ふぅぅ」

荒い息を落ち着けようと目を閉じて、深く良きを吸って、吐いた。

やっと、思考能力が戻ってくる。落ち着いて、考えてみる。

あんだけ叫んだんだ、距離が離れていなければ、いくらこんな霧でも普通は届く。
でも返事は無かった。と言う事は二つの可能性が出てくる。

一つ、それはこの霧が特殊な霧で、遮音性が高く、距離は変わらないのに聞こえていない可能性。
二つ、実際に距離が離れ、声が聞こえないところに居る。そうなるとこれは拉致、さらわれたって可能性。

そしてどちらにも疑問がある。

一つ目の可能性の疑問、それは単純に何が目的なのか。これは相手によるだろう。人間が相手なら目的がある筈だ。魔物が相手ならば、俺達を殺す事が目的。だがそれにも疑問が出てくる、人間が襲ってくる事はあるのか、魔物が目的を持って行動する事はあるのか。

まぁ一つめはいくら考えても無駄だろう。この場合は何よりあやせ達とコンタクトを取る事を優先したほうが良い。

二つめの可能性の疑問、これも単純。何故俺をさらわなかったのか。まだ敵はいるのか。
二人だけをさらったのは何故なのかが気になる。


ここまで考え、俺はやっと立ち上がった。尻をはたき、土埃を払った。

「ま、ここで立ち止まってちゃぁ何も始まらねぇのは確かだったな」

先程の自分の惨めさに失笑すると、地面に落ちている石を選別する、なるべく先の尖っている鋭利な石を探す。
見つけた。

「はぁ、なんでこんな事になったんだかねぇ。だけど、あやせ達に危害を加えたのは、いただけないよな…!!」

ギリ…と歯を食いしばると、手に持った石で思い切り腕を切り裂いた。
608 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:40:47.81 ID:c+4/7Sun0

「―――――――――ッ!!!」

声が、聞こえた。


――汝、何を望む、どの様な武具を望む。

赤い、女神様。

――汝、何を躊躇う、力を得て何をする。何を、壊す?

血の涙を流して、微笑む女神さま。

――今度は、我を何に利用する? 【人間】

悲しい表情、微笑んでるのに、悲しく、涙をながす、女神様。

それが、何故か俺には無茶苦茶腹がたった。
この怒りを吐き出すように俺は女神に答えた。

「利用!!! はっ、上等!! 力をくれるんだろ? だったら俺に皆を守れる力をよこせ!!!!!」

――汝、嘘をつくな。我の力を守るために使う? 有り得ぬ。我が見てきた今までの人間は、共に傷つけあい、殺し合い、我の力を自分の為にしか使わなんだ。

「なら見せてやる! お前の力を使って皆を救ってやる!! 分かったらさっさと力をよこせ!!!!!!!!!!!」

――よかろう、汝に力を与えよう。そして見ていてやろう、汝が力に溺れ、傷つけ、疑い、殺しあうさまを。

女神さまの声が響く。
瞬間、俺の中で何かが逆流してきた。熱く、ドロドロとした、力の逆流。

――さぁ、思い浮かべよ。汝が望む力の形を。汝の中の最強を。 そして、救ってみるが良い、友、仲間、絆の全てを。

女神様は、最後に何かを望むような、願っているような、そんな儚げな笑みを浮かべて消えていった。
俺は笑って、呟く
609 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:41:20.91 ID:c+4/7Sun0

「あぁ、ありがとよ」

傷つけたはずの腕に、何かを感じる。俺はそれを躊躇い無く地面に思い切り突き刺した。
地面が震える。そして、消える。

霧が。

「改めて見てみるとすげぇな、こいつは」

地面から引き抜く。
自分の腕から、まるで生えているかの様に形成されている武器を改めて見る。

その武器は異端の形をしていた、黒い帯状の何かが幾本も絡まり、武器の形を成している。
刃は片刃。形状は日本刀。まぁデカさは倍ぐらいあるが。

「ってお兄さん!?」
「高坂ぁ!?」

自分の武器のキモさに顔を引きつらせていると、すぐ近くから声が聞こえてきた。
どうやら可能性その1が正解だったらしい。あの霧が特殊で声が届かなかったようだ。

そして同時に可能性その1の疑問も解決された。

「おぉ、あやせ生きてたか、良かった」
「いや、お兄さんこそ何で生きてるんですか!?」
「その言い方はおかしいぞ。それだとまるで俺に死んでほしかったみたいじゃないか」
「? なら合ってるじゃないですか」
「がはっっ!!」

再開早々の毒舌、キレが増してる気がする。

「ま、まぁ良い。とにかく、早く囚われの姫さんでも助けに行こうぜ」

俺はあやせの毒舌に顔を引きつらせながらも先を促す。

「「?」」
「いや、だから早く塔に乗り込もうぜっつってんの」
「ははは、塔なんてどこにも無いじゃないですか。私達が歩いていたのは草原ですよ? お兄さん」
「ま、あの霧の中にいたんだ、気が狂ってもしょうがねぇよな」

「? いや、あるじゃん、目の前に」

俺はそう言って目の前にある塔を指差した。
610 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:42:15.42 ID:c+4/7Sun0
「はは、とうとうお兄さんも幻覚を……ってなんですかこれ!!!!」
「おいおい、いきなり叫んでどうした? お前も幻覚か? ははは………って何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

「お前ら……これに気付いてなかったのかよ…」

思わず呆れた声を出す。

そう、俺達は今さっきまで確かに草原を歩いていた。でも霧を破ると、そのにはまるで最初からあったかの様に塔が姿を現したのだ。蔦が絡まり、どれだけの時を過ごしたかが分かる偉大さで。
今考えてみるに大方あの霧は侵入者用トラップってところだろう。

予想なのだが、霧が現れても普通に歩いていれば霧の外に出られたのだと思う。そうじゃなければここから先に見えた道の説明がつかないからな。
この塔が現れるのは、これまた予想なのだが、霧のトラップを破った者の前だけなのだろう。
ま、現に今俺達の前に塔は現れたんだ。最早そんな事はどうでも良いだろう。

俺はいまだに呆けているあやせと赤城の頭を軽くはたくと、先を促したのだった。

「さ、行くぞ」


俺たちの戦いは………これからだ!!!!






fin
611 : ◆k4qYXRI5uY [sage saga]:2012/05/17(木) 22:43:36.95 ID:c+4/7Sun0
つきあってくれてサンキュ。
じゃ、おつかれ。
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/18(金) 00:42:47.17 ID:XibyWRXYo
乙〜
>>611先生の次回作にご期待下さい
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 18:06:13.13 ID:+nWCcPRMo
桐乃「自画撮りオ○ニー動画が流出した…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1337496858/
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/22(火) 22:31:24.47 ID:FkzfOqS/o
ゲームのネタバレっぷりがすげぇ…
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 01:41:56.08 ID:H7zLhJ7Eo
まとめwikiが2日以来まとめられてないのって、なんか理由あるのか?
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 06:43:06.54 ID:icR7w5a40
>>615
フェイスブックとの連携が原因みたいだ
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 21:12:49.36 ID:nWYdIA2Lo
京介「安価の呪い?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1337774134/
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 23:57:17.84 ID:SFhcFFpto
なぜか不思議と口を開くたびに誤解に誤解を重ねていく今日この頃……
やっぱ、あのレスが元凶なのか? 反省しつつ我ジッと手を見る、はぁ〜(溜息
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/24(木) 00:05:31.55 ID:Ryp2LVwo0
>>617 を覗いて来たが良スレだったぞ
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/24(木) 00:38:29.81 ID:yd5B+aA2o
安価は基地外キャラdisがすぐ湧くな
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/05/24(木) 01:00:59.71 ID:/lJ7LAOfo
>>617
これは酷い……
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 13:27:02.31 ID:tTssXXa1o
あやせ「桐乃が帰ってくるまでに子供つくりませんか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338134609/
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 14:35:20.77 ID:tTssXXa1o
貼っといてなんだけど正直アレだな
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/29(火) 17:33:18.06 ID:ANAhzT1Fo
ちょっと気になったんだけど、ここってエロはどの程度ありだっけ?
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 17:38:04.92 ID:p+Gm4Tzqo
制限なんてない感じじゃね?でもまあ一応注意書きは必要かもしれん
気になるならエロパロ板に類似スレがあるからそこに投下してもいい
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/29(火) 18:06:53.88 ID:ANAhzT1Fo
いや、エロパロは知ってるんだけどこっちだとどの程度かと思ったんだ

まだ漠然と考えてる程度だけど書けたらそっちにしとこうかな
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 19:32:48.93 ID:Rl3xNE6DO
ガチなら向こうでライトならこっちでいいんじゃない?
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 21:28:45.43 ID:MHgtDGRPo
深夜SSVIPという手もある
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 01:31:04.39 ID:b2GF2udXo
なるほど
助言サンクス
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 20:05:49.54 ID:g3L5aGoe0
どこに投下するにしてもここにURLを貼ってくだしあ
631 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 05:47:20.19 ID:3CK/ZD110

※全然スルーされても良い ささやかな前書き


自分のはイイけど、他人様の作品を上手にまとめサイトに
乗せる自信がないので、本人か親切な人がやってくれたら良いなと思う
折角投稿されてるのに勿体ないと思うので
エロパロは定期的にうpする人が居て良い感じ

ちなみに当方 前に言われた
アクセレターさん?とか淫夢厨?とかは全く知らないので
言われても分からない


個別サイトのオチとして書こうとしたモノが長くなったのでここでうp
これだけなら、そこに書いた方が良かった気もするが別に書き出したから
もう後のまつり


↓どうしても引用したかったけど、
まとめサイトとかにのせるのは微妙そうなので、独り言のつづきで


京介×あやせ×??? で
632 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 05:49:59.42 ID:3CK/ZD110

       Ecce valde generous ale posselna volucritus  
        見よ いと貴き翼持つ者がはばたく

       Sona areru ec paldeel             
        其は破滅の使いなりや?

       Sona mi areru ec sancitu            
        其は聖なる御使いなりや?

       Ale posselna volucritus            
        その翼持つ者がはばたく






        "Sona mi areru ec sancitu"
    ―――AZEL Panzer Dragoon RPG EDより―――
633 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 05:51:39.81 ID:3CK/ZD110


今はもう "あの時"の自分がどんな気持ちだったのか?
どうやっても、自分の心境を正確に追憶することはとても難しい。

あの時とは 俺が妹の親友に告白された時のこと

そして、結局 "或る出来事" を経てから、俺達は付き合う事になる。




    『二人は誰にも知られていない 誰にも知られてはいけない関係』

               だから

      『その時…………まだ、二人は秘密の関係だった』





"天使の誘惑"






「な、何でわたしがそんなことしなくちゃいけないんですかっ!?
この変質者! もう即殺(そくさつ)しますよッ!」


『だっておまえ、俺のことが好きなんだろ? 俺の聞き間違えだっけ?』


「う・・・・(そりゃ、 あんな風に わたしから告白しちゃったけど)」



『せっかく付き合うことになったのによ
キスはおろか 手すら握らしちゃくれないんだもんな 
(ったく、おまえはプラトンの末裔かっての(プラトニック的な意味で))』


「だ、だから それはお付き合いする時に約束したじゃないですか!」



『わぁーてるよ 結婚するまでの約束だろ? それはもちろん守るさ
でも、これはおまえには指一本触れないから良いだろ? な!』


「でも・・・・・・や、やっぱりぃ恥ずかしいです」



『あやせは俺が受験に失敗して浪人になっても良いんだな?』

「と、突然なんです?」

634 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 05:53:43.60 ID:3CK/ZD110


『性欲が堪ってイライラする →勉強が手に着かない →受験に失敗する
小学生でも分かる理屈だろ、これ?』

「し、知りません(ぷい)」



『あ〜あ、あやせは俺の事を本当は好きじゃないんだな?
彼氏が困ってるのに、スルーするってことは そういう事だよな〜』

「・・・・・・そ、それと これとは話が別ですッ」



『俺の中では一緒なんだよ! 
おまえだって、俺が沙也佳ちゃんのサイトの住人だって知ってただろ?
俺は勉強中だってあやせの事考えてるんだぜ』


「・・・・・本当に?(な、何だか体よく利用されてる気がする)」

『ああ、もちろん』



「本当に、本当ですか?(ほ、本当に この子を信じて良いの、あやせ?)
た、単にエッチなのが見たいだけ・・・・・とかじゃないでしょうね?
もし嘘吐いてたら 今から処刑しに行きますからっ!」

『う、う、嘘じゃ な、な、無いよ……………』



「そんなあからさまに 言い淀むなんて嘘吐いてる証拠です!!! ホント最低っ! 
永遠にさようなら! 受験にでも何でも失敗して、必ず死んでくださいッ!」


『ちょっと、待て待て』


「何? 慢性発情シスコン変態性欲■■■■のお兄さん」

『あやせ 好きだ』



「ふっ ふん・・・・・今更、上辺だけの言葉に騙されるわけないでしょ! バカッ!」

『あ〜そうかよ じゃもうおまえには頼まない』



<京介 電話を切る>


な、何ですか、あの態度!? 本当にムカつく!!!!!
大体、わたしが手を握るのもダメって言ったら、素直に従っちゃうヘタレの癖に
お、お兄さんの分際でわたしに あんな態度が許される筈がありませんっ!!

いくら、何度謝ってきても・・・絶対に許してあげないんだからッ!ぷんぷん
もう絶交です!!!!!



<5分後>

い、イライラします・・・・。
ど、どうせ謝ってくる癖に何ですぐに電話してこないんですかっ?!
お兄さんのバカ、馬鹿、莫迦!



<10分後>

ちょっと 本当にちょっぴりだけ言い過ぎたかもしれません・・・・
お兄さんが莫迦でエッチなヘタレさんなのは、最初から分かってたじゃない?
本当は、最初から分かっていたでしょう?・・・あやせ

635 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 05:56:30.93 ID:3CK/ZD110


<20分後>

もうぉ! しょ、しょうがないですね

ど、どうせ わたしに許して貰えないと思って恐れ戦(おのの)いているから
電話もメールも出来ないンでしょうから・・・・

全く、お兄さんみたいなダメ男には・・・・・・やっぱり わたししか居ないンだから
・・・・・だ、だから わたしが大人にならなくっちゃ!



<40分後>

電話してもメールしてもお返事が返ってこない・・・・

ほ、本当にお兄さんに・・・・嫌われちゃったの・・・?



<1時間後>

ハァー↓ 
本当ならちょっとくらい・・・・え、エッチな事させてあげても良かったのに
もうぉ!あやせのバカ、馬鹿、莫迦!!


・・・・・・お兄さん、わたし



<1時間5分後>

は、恥ずかしいけど・・・・・な、仲直りする為だから 
だから しょうがないよね・・・・別れるなんて・・・イヤ・・



<あやせ 送信ボタンを押そうとした時>


『もしもし あやせ、ごめんな さっきはちょっと言い過ぎた』

「あ・・・・え?」


『だから ごめん』

「・・・・・わ、分かれば・・・良いンです!(ぷい)」


『電話もメールも結構してきてくれたのに 出れなかったのも悪かった』


「べ、べ、別に送信ボタンとかを連続で間違って押しちゃっただけですっ!
ま、まるで・・・・わたしが必死に連絡してたみたいな捏造は 辞めて貰えます?!」



『あ〜そうかよ………………』


あ〜そうかよ じゃもうおまえには頼まない

あ〜そうかよ じゃもうおまえには頼まない

あ〜そうかよ じゃもうおまえには頼まない



  変態シスコン野郎なんだから、 桐乃に見せて貰えば良いじゃないですか!!!!
  恋人だった、 黒猫さんでも良いし!!!!!
  それに、それに胸がそんなに好きなお兄さんなら お姉さんに見せて貰えば!!!
 」



636 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 05:58:11.29 ID:3CK/ZD110

『あの……………あ、あ、あやせさん?』


「お兄さんの裏切り者 薄情者 不埒者 偽善者 ■■■■!!!!!」



<電話が切れる>


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅ
お兄さん・・・・・・・・・グスン



<京介から メールが届く>


『まったく やっと出た ちゃんと俺が添付した写メは見てくれたか?』


「見ましたけど だ、だから何ですか・・・?
あ、あんな紙切れ一枚(うるうる)」


『あやせ 泣いてんのか?』


「な、何で な、な、泣いてるわけ な、な、無いデシ・・・・」



『なるほど 派手に言い淀んだとしても、あやせが泣いてるわけないもんな
(やっぱ 照れてるあやせは可愛いなぁ〜)』


「ふんっ わたしが何度も電話しても出てくれなかったから・・・・・
やっぱり 意地悪なお兄さんとは仲直りなんてしま(せん)」


『(遮って)俺の言葉が本気だって 一秒でも早く あやせに伝えたかったんだ。
だからこそ 今日中に間に合う様に役所に頑張ってダッシュしたんだぜ。
(走れメロスみたいに)』


「だったら・・・今すぐ わたしのおうちに来てください(走れメロスみたいに)」



『い、今から? もう日が暮れそうなんだが…………(冬の日照時間は短い)』



「そ、そうですか・・・・・・・では また今度」

『ああ、明日会って ゆっくり話そう』



「ごきげんよう(もう 絶対に 逃がさない・・・)」



<あやせ さっきの送信ボタンを押す>


「なん………………だと(ゴクリ)」

637 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:00:31.64 ID:3CK/ZD110


<あやせの部屋にて>


「(ぜぇぜぇ)あ、あ、あやせ………………
手ブラで『今すぐ来て』の写メは流石に ヤバ過ぎるだろ(汗)」


「何を今更 動揺してるンです? 
お兄さんが見せろって言ったから見せてあげたのに・・・・」



「普通に おまえの写メが見たいって言っただけな気が………………」



『俺 あやせの下着姿見たい 見たい 見たい!!!』 だの

『見るだけだから 見るだけだから あやせのおっぱい見たいんだ
ちょっとだけ ほんの一_で良いから ( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!』 だの

高らかに宣言してた癖に この期に及んで、見え透いた嘘吐かないで貰えます?


「……………こ、心からの反省とお詫びを」



「では・・・・・お兄さんの携帯を貸してください」

「それは俺の携帯の写メを削除するってことか?」

「それは そうでしょう?
データを残してるとか 重大な個人情報保護法違反ですよ」



「消したくないとか言ったら………………?」

「お母さん!!!(叫びかける)」

「(ビク)はいぃ……………喜んでぇ」



「(咳払いしつつ)ゴホン と、ところで わたしの写メを見てどうでしたか?」

「もちろん 可愛かったよ」



「どれくらい可愛かったンです?」

「滅茶苦茶 可愛かったよ」



「もっと具体的に言って・・・・・・ください」

「へ? それってどういう………………」



「お兄さんは、その歳で『具体的』の意味も理解出来ないんですか?
それで・・・受験生とかチャンチャラおかしいですね」

「(えっと)ムラムラした」



「・・・・そうじゃなくって」

「尻も見たい」

638 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:02:13.71 ID:3CK/ZD110


「・・・・・それ以外!」

「じ、実は一回オカズにしてきた」



「(ハァー ダメだ、この子) 
だったら わたしは・・・・お、美味しかったですか?」

「すっげぇ旨かったぜ! だからもっと、あやせのことが好きになった」


「あっ・・・・・ぅ・・・・ハィ
(あーあ、わたしも充分ダメな子だ こんな言葉で嬉しくなっちゃうんだからっ)」



「そうだ…………………………忘れないうちに渡すわ 
これで仲直りで良いかな?」


「これは・・・・・・・まだ ただの紙切れですけどね」


「純粋に年齢の問題とかもあるが 確かに今のままなら
『画竜点睛を欠く』ってことだな 
そもそも おまえの署名がなきゃ、完全に俺の独りよがりも良いところだしさ」


「それが一番の問題ではない。 本当にそんなの全然問題じゃないんですよ?
本当の難問は いくら わたしが竜の目を書いても・・・・・・・・・
たとえ・・・最終的にそうなっても 
『朱雀』と 『白虎』と 『玄武』って強(難)敵がいる・・・・・コトでしょう?」



<京介 (龍虎相打つの図(踏み踏み)を妄想して暫く絶句)>


「誰………………ゴホン(咳払いしつつ)じゃなかった 
な、何だよ? それ」



「わたし、 誰かと半分っこ とか 四分の一のお兄さんなんて死んでも嫌なの。
絶対にっ、 絶対にッ、 絶対にぃイヤッ・・・・・・ぜったいっ い・ や・です!」

「お、おう(本当に荒ぶる龍神に見えるな こいつ)」



「わたしを選ぶなら  100% あなたの全てで・・・・わたしを選んでください
じゃないとわたし・・・・・・ボソ(手に入らないなら いっそ)」


「(聞こえてますよ あやせさん)……………う、うん(戦慄)」



「本当――――――本当に
わたしの言ってる意味、 ちゃんと理解してくれてますか?(悲壮)」


「よ・く・分かる………………から―――――だから、そんな顔すんな!
俺はちゃんと、おまえの言葉を心に刻んでるから(真摯)な?」



「ウン・・・・そっかぁ (よしっ)
 スーハー スーハー(何度かゆっくり深呼吸)」

「あやせ ど、どうした?」

639 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:03:55.21 ID:3CK/ZD110


「ねぇ ねぇ お兄さん・・・・・・・わたしのコ・ト・ もっと見たい?♪」



「も、もちろん そりゃ見たいですけど(でも まだ死にたくもないですけど)」

「い、良いですよ・・・・・・・あと一枚だけなら」



「ま、ま、マジでか?! 見たい 見たい!」

「はい、どうぞ(デジカメを渡す)」



「え?(どういうこと?)」


「さっき言った様に、写メをお兄さんに送るなんて論外ですし
それにどうせなら、 喜んで欲しいから・・・あなたが好きに撮ってOKです」



「へ? でもデータを貰えるわけじゃないんだよな?」


「だから わたしに会いに来てください・・・そうすれば、いつでも見せてあげる。 
も、もちろん受験勉強が疎かにならない程度に・・ですよ? 
こ、これは・・・お兄さんが、お勉強を頑張る為のご褒美・・・・だから」



「あやせ……………おまえって本当に 出来た彼女だな(末恐ろしい)」


「だって、負けてられませんから・・・・・わたしっ(朱雀と白虎と玄武には)」



<あやせ 服を脱ぎ始める>


「しっかし……………ま、マジだったとは(謎の感慨)」


「冗談であんなコト言えるわけないでしょう?
わたしは誰かさんと違って・・・・・約束したコトは、ちゃんと守るんです!」

640 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:05:02.85 ID:3CK/ZD110


「俺だって守るつもりだぜ? じゃなきゃおまえにアレを渡したりしねぇって」


「はい はい
(じゃなくちゃ、わたしだって見せるわけっ・・・ないじゃん ふふ♪)」



「それにしても………………俺の彼女は、スタイルも良いし、肌も綺麗だし 
やっぱ、 すっげぇ美人さん だな!(熱弁)」

「褒めてくれるのは良いとしても・・・・・な、何を企んでるンですか?
変態のお兄さ・ん・ ・・・(まんざらでもない様子)」



「た、例えばの話なんだが 俺が脱がすとか………………ダメですかね?」


「なっ・・・・と、と、当店では お触りは禁止になっております」


「だってさ 俺だって男だしさ 触りたいしさ 彼氏彼女だしさ(ブツブツ)」



「お母さん!!!(叫びかける)」

「ごめんなさい ごめなさい ごめなさい ごめなさい ごめんなさい(土下座)
(怖いスタッフを呼ぶみたいに、お母さんを呼ぼうとしやがって………………(汗)
ってかどう考えたって、あやせに触れるわけねぇっか そもそも)」


「ハァー お兄さん、お手をあげてください
(何で、お兄さん相手にすると わたしって、いつもこうなっちゃうんだろ?)」



「自宅で通報するとかだけは か、勘弁してください……………(マジで)」


「二兎追うものは一兎をも得ず(・・・・なーんてね)」



「だ、だよな 
あやせの御ヌードを頂戴出来るだけでも僥倖なんだもんな
欲張ってて悪かったわ」


「そうですよッ!(本当は、大嘘だけど・・・・この子は気付かないよね?)
 生きて・・・この屋敷から出たかったら お行儀良くしててください」



「すげぇ台詞だな………………おい!」


641 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:08:58.38 ID:3CK/ZD110


<あやせ ぼぼ全裸>


「それで、ヌードは分かるとして どうしてニーソ(ニーソックス)はそのまま?」

「男のロマンだよ!
 逆に………………ってか、やっぱ手ブラはそのままなの?」



「考えてみたら不公平です・・・・・・今の状況」

「俺の土下座が足りないのか そうなんだな? 
それとも 靴(下)でも舐めたら良いのか? ならば………………」



「いえ そういうコトではなく・・・・・」

「踏んづけたいとか? あっ手錠だな? そうなんだろ!」



「わ、わたしへの誹謗中傷はそこまでにしないと・・・・ブチ殺しますよっ!
(踏み砕き)」

「ぐはぁ………………あsdっgh(結局、しっかり 踏んでるじゃねぇーか)
(でも このアングルも悪くない(特に下乳のライン!))」



<1分後>


「・・・・ずるいです」

「な、何が?」



「お兄さんだけ・・・・見るなんて ズルい」

「な、なるほど(等価交換の原理ってことだな)
俺が脱ぐのは吝かじゃねぇーけどさ」



「何か文句でも?(ジロリ)」

「考えてみたら チマチマ見せ合うよりも……………もう最後までしちまうとか?」



「(なっ)・・・・・・お、お兄さんの分際で よくそんな台詞を言いましたね」

「だってさ 俺らお互い初めて同士だからその点ではフェアだろ?(男女平等)」



「女の子は男の人とは・・・・・・・・違うんです! 
受験勉強の前に、保健のお勉強したらどうですかっ?!」

「だって 女の方が気持ち良いって言うじゃん?」

642 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:11:11.44 ID:3CK/ZD110


「童貞のあなたが、なぜ そんなコト・・・・を?(驚愕)」


「フッ とある筋からの情報とだけ………………言っておこうか(ニヤリ)
(ソースは、桐乃にやらされたゲームだったのだが)」



「ハッキリ言ってあげましょうか? 無知で 鈍くて ガツガツしてるだけの
お兄さん相手に、気持ち良くなるわけがないでしょう・・・・この童貞っ!」

「やってみなきゃ分からないだろ?(道理は無理で押し通す)」



「だってぇ 何だか身体だけが目的みたいで・・・・
(まさか お兄さん相手にこんなコト言う時が来るなんて・・・しみじみ)」


「そ、そんな事は決してないぞ
(まさか こんな台詞を言われる時がこようとは・・・しみじみ) 
と、とにかく あやせの心だって…………俺はおまえの全部が欲しい!」



「どうして・・・普段はヘタレの癖に、今はそんなに強気?(ドキドキ)」


「だ・か・ら・ あやせが好きだからに決まってんだろ(即答)」

「・・・・ほ、本当?(キュン)」


「おいおい この状況で……………それを疑うのは、流石に如何なものかと思うぞ」



「だったら・・・・・『あやせが好きだ』
いつでも どんな状況でも 誰が相手でも この言葉を言えますか?」

「『あやせが好きだ』 いつでも おまえに言うし、 誰相手にでも言えるさ!」



「あっ わたし、うっかり言い忘れてたコトがあるんです
もうすぐお父さんが帰ってくるので、お母さんが 一緒に夕食でもどうか?
って言ってたんですけどぉ・・・・お兄さんどうしますか? テヘ★♪」


「もし 今、(逃げ)帰ったら?(あやせ………………)」


「さぁ〜?  
お兄さんはどうなると、 一体どうなってしまうと思います?(クスクス)」


「カレーの良い匂いがするな〜 俺カレーに目がないんだ!(何て恐ろしい子!)」



「ふふ・・・・はい
(お兄さん、知ってました? 何が有っても 誰が相手であっても 
わたしは、絶対に あなたを離さないし、あなたから離れないって・・・こと)」



<京介 動揺から回復(約5分後)>


「ま、まぁ………………あやせが嫌なら 無理矢理なんてしねーから安心しろ
(普通に考えて(FK)、このアウェーでは絶望的だ)」


「あれあれ〜? 
わたしは イ・ヤ・ とは一言も言ってないンだけどぉ・・・ナ?(ニコニコ)」

643 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:14:14.94 ID:3CK/ZD110


「……………ま、マジで?(ゴクリ)」

「あーあ 年下の女の子のたわいない冗談に、簡単に騙されちゃって(あえて挑発)」



「だよな ハハハ 悪い悪い(はいはい いつもの俺の勘違い 乙)」


「ハァーーー(ア゛ッ〜〜〜〜〜〜っ!)
(ヘタレ・鈍い・小学生みたいな彼氏 と 大嘘吐き・素直になれない・中学生の彼女
本当に わたし達って、 なんてダメ――――――ダメなカップルなんだろ・・ハァ↓)」



「え? 何か言った?」


「・・・・・・・何も言ってないから(ぷい)
でェ! ヘタレのお兄さんはとっとと、わたしを二次元に変換しちゃえば?
どうせェ・・・・生身よりも ゲームとかアニメとかが好きンでしょうからッ!」



「お、怒ってんのか?」


「べ、別にぃ・・・・ 
この格好(手ブラ状態)してるのに疲れちゃった・・・・・だけ

(ホンっとに バカみたいっ――――――――み・た・い・ じゃなくて 
まるっきり バカなんだ・・・・わたしって(自己嫌悪))」



「(ジー)………………………………………(暫くあやせの目を見つめる)」

「えっ? えっと・・・・・・・ど、どうかしましたぁ?(ドキドキ)」



「よし!  今更 撮影なんて良いや (デジカメを放り投げる)
あやせ、もう服着ても良いぞ」

「は、はい?」

「こういうのってさ、変態っぽくて興奮するけどさ やっぱり良くないと思うんだ」



「へぇー、 そうなんだ? 
ふーん、 お兄さんは真面目でエライ エライ(シラ〜)
ほんとうに 紳士的で すてき↓で↑すぅ↓(棒読み)」

「な、何だよ? 
その…………………呆れてますの最上級みたいな白眼視は?(汗)」


644 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:16:04.67 ID:3CK/ZD110



お兄さんが勘違いしてるのか? 忘れてるのか? 記憶を捏造してるのか? 
は知らないけど
『お兄さん わたしの裸見て欲しいの! 見てくれなきゃイヤイヤ(ハート)』
なんて・・・・このわたしが、一言でも言いましたかッ?!(憤怒)




「そ、それは………………おまえが手も触らしちゃくれない 
■■■■教みたいな厳しい戒律を、俺に押しつけてくるからだろ?
だから それなら見せてくれって言っただけでさ」


「なっ・・・だったら 無理矢理 手でも胸でも触ってみれば良いでしょッ!!
この意気地無し・・・変態 童貞 シスコン・・バカッ 馬鹿っ 莫・迦・!」



「おまえ………………な、何言ってんの??」


「あなたは とても思いやりがあって、 優しくて、 素敵だけど・・・・・
同じくらい 鈍感で、 無関心で、 ヒドい人って コト・・・・ですッ!」


「あ、あやせさん?(ぽか〜ん)」




わたしが どうして―――――――どうして・・・・

結婚するまで 手も握らせない筈なのに

お兄さんの目の前でショーツだけの姿になって

裸でも何でも好きに 撮って良いよ と言って

こんな風に あなたを必死に見つめてると・・・思ってる・・の?



「………………………あや(せ)」




何でっ なんでッ ―――――女の子に 

こんなコト言わせて ここまで言われて

わたし――――わたしの 何も、なにも 分かってくれないンです・・か?



「お、俺………………」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

645 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:18:35.46 ID:3CK/ZD110


「あ、あのさ おまえが駄目って言うなら 素直に諦めるけど………………
でも、そろそろ手くらい繋いでも良い関係だと思わねぇか? 俺らってさ」


「もう・・・・・・・・素直に言っちゃったらどうです?
『俺はあやせのおっぱいが見たいっ』って!
だって・・・・このままだと、わたしの手が邪魔ですものねッ?」



「誤解すんなよ、 俺はそういう意味で言ってるんじゃねぇーぞ!」


「だ・か・ら・ 良いですよ?  見せますってばっ!
これが約束だし・・・・胸だけで 不満ならショーツも脱ぎますか? ほらッ!」



「ったくよ ほらっ!(自分の上着をあやせに羽織らせる)」

「今更、 なんのつもり?」



「あやせは 全然、無理なんかしなくて良いんだ(あやせの頭に手を乗せる)」

「わ、わたしに気安く触らないでッ・・・・さ、触るなッ!(弧拳で払いのける)」



「と、とにかく 俺の話を聞いてくれ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞きたくない」



「そ・れ・で・も・聞いて欲しいんだ! 頼む お願いだ この通り(懇願)」 

「なら・・・・ご自由に」



「あのな………………」

「・・・・・・・・・・・・・・なに?」



「俺 あやせの気持ち、すげぇ嬉しかったぜ」

「・・・・・・・・だから?」

646 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:20:23.04 ID:3CK/ZD110


「………………だから、受験頑張ろうと思う」

「・・それで?」



「………………けど 
受験やら勉強を口実に あやせとそういう事はしちゃいけないと思うんだ、やっぱ」

「で?」



「おまえが好きだから、他に何の意味もなく 俺は純粋に…………あやせに触れたい
 これでも ダメか?」


「ダメ」



「え゛ぇ゛?………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………(!)」




「もう帰ってくだ・・・・・・・ふぁぃ・・・・・・・・(?)ァッンン〜ゥ」


           『「「…・…・…・」」』


「(!)ッンンマァッ……………………………………ぜぇぜぇ(動悸)(息切れ)」




「こ、 こ、 これで良かったか?(汗)」

「・・・・・・・・・・・・・・・ハアハァハァ(放心状態)」



「え、えっと………………だ、駄目だった?
(俺 や、やっちまった? 之れすなわち 即・死)」


「プルン・――――・プルン(思いっきり、かぶりを振る)」



「そっか………………よ、良かった(ホッ)」 

「ハイ・・・・とっても 素敵でした(天使の笑顔)」



「(やっぱ 可愛いな こいつ)そ、それにしても アレ…………だな」

「え? (小首を傾げる)」


647 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:21:54.79 ID:3CK/ZD110


「お、おまえの おっぱいって綺麗だな……………ゆ、揺れてたし(ガン見)」

「?・・・・・・・・・・・キャッー(あ〜)もうっ!(裏拳)」

「い、痛っ………………な、殴ることないだろ」



「お兄さんは いつも いつも 一言多いんです・・・・・・・・・・ バ カ」



「へいへい 悪かった。 
そいでさ 俺としては、 全く順番メチャクチャだが もし良かったら
おまえの手を握りたいと思ってるんだけど あやせは?」


「今だったら、手くらい握られても許せるかも知れないです・・・・ね(赤面)」



「許せるか・許せないかの程度…………それくらい消極的なのか?(手を差し出す)」


「ごめんなさい  う、嘘・・・・うそだからっ
(わ、わたし(達)、もうダメなカップルは そ、卒業しなくっちゃっ!) 

すごくっ―――――しっかりっ――――――強くっ 握って・・・? ください

わたしのコト、ちゃんと掴まえてて・・・・お ね が い(手を握り返す)」



「おまえの手は、予想通り柔らけぇ        (右手と)
            
          「「(ギュとする)」」
    
(右手を)        お兄さんの手は、大きくて暖かいんだ(・・ね)」



<新垣家 食卓>



お母さんのカレー お、美味しいなぁ(緊張で 全く味がしねぇ)

(俺 in 針のむしろ of the 針のむしろ  なう)



「お父さん・・・・聞いて お(兄さん・・・・じゃなかった) 
き、京介さんってね(満面の笑み)」




(俺のライフ0 どころか とっくに もうマイナスよ! 
けど……………あやせの あんな(嬉しそうな)顔見せられちまったら
ここは 俺が彼女の為に頑張らなきゃな、よしゃ!)

あ、あの と、 と、 ところで………………お、お父さん え? 
そ、そうですよね? お父さんと呼ぶには早いですよね?ハハハ(ハァ↓)
ぼ、僕も実はそう思ってたんです。 
奇遇ですね、お(父さん)(引きつった笑顔)




「・・・ボソ「(頑張って ダーリン♪)」

648 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:24:04.46 ID:3CK/ZD110


<あやせの自宅 前>


「あやせ 今日はごちそうさん」


「わたし お兄さんをちょっぴりだけ見直しちゃいました」


「そ、そうか?(本当にそうなの?)」



「お兄さんって、わたしの前だと小学生みたいなのに・・・・・
わたしの両親の前では ちゃんとした好青年なんですねー?」


「いやいや! 夕食の時に、あの署名捺印(ドラゴン・アイズ)までした紙を 
親に見せた………あやせさんの凄さには、俺なんか足下にも及ばねぇと思うぞ?
(もう完全に 大阪夏の陣の城郭並に、外堀は埋まってるよね? これ)」



「わたし 自分で言うのも恥ずかしいけど、これでも 一応は優等生で
両親に心配かけたり 困らせた事ってあんまり無かったんです」

「そりゃ………だろうな」



「でも 桐乃の(趣味の)こと・・・と あなたは特別」


 
「………………分かってる
(こいつも 俺が親父に立ち向かった様な事してたんだよな、桐乃の件でも)」

「迷惑ですか?」



「そうじゃないよ
じゃなくって、俺も(あの時)あやせくらいの根性があったらって
…………………………い、いや、何でもない」



「そう・・・なんだ?」


「(ったく 最低だな、 俺って)
お、俺は………………おまえのそういう所、き、嫌いじゃねぇーからな?」

649 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:25:31.27 ID:3CK/ZD110


「・・・・・・分かってる
ねぇ わたし・・・・わたしね、 心に決めたコトがある・・・から聞いてください」

「な、何?」



「もう何も心配しないで、お兄さんを100%信頼して わたしの全力で
あなたを愛して 支えようって・・・・・・これから先、どんなコトがあっても 
必ず、そうしようって・・・・決めた・・の」


「あやせ ありがとうな」


「だから 今からもう、お兄さんはお勉強以外 何も考えなくて良いですからね?」

「………………はい」



「わたしがお兄さんのコト ちゃんとっ 応援してます・・・から」

「ああ……………あやせだけじゃなくって、あやせの親まで絡んでるからな(笑)」



「勉強に集中出来なくなったり、疲れたら わたしに何でも言って」

「………………えっと」



「勉強や受験が口実でも良いからっ 
弱音も愚痴も、絶対―――ぜったいに 受け止めるから 癒してあげるから 
だ・か・ら・ いつでも、わたしを頼ってください 分かりましたか?」


「分かった 
思いっきり、あやせに頼る事にするわ よろしく頼む」



「約束ですから・・・・ね?」

「うん…………………約束な」



「わたしと約束して破ったら、どうなるか知ってますよね?(クスクス)
(指切り)」


「ちょっと待った! 
夜、彼女が家の前で お見送りする時にヤル事って言ったら……………………
指切りじゃなくて やっぱ、ア・レ・だろ?(ラブ+みたいに)」

650 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:28:05.52 ID:3CK/ZD110


「あなたは やっぱり 余計な一言が多いようです・・・・ねっ!(鉤突き)」


「ぎゃ゛ぁぁあ゛………………………………………え?(実は 組み打ち)」


「おやすみなさい  お兄さ・・・・・・・・ンンんー(最後は 頭突き)」


「ッッツ…………………………あっ(ムニュ(二重の意味で)やわらけぇ)」




「大学生になったら この つ・づ・き・ ・・・・・・しましょう?」


「大学入学したら、遂に卒業するんだな(私(俺)立童貞学園を)
俺、 一刻も早く あやせと(に)入・学したい………………………痛っ」




「(ほっぺをつねる)く、口は災いの元なんだッ・からっ! 
今後も、反省せず改善が見られないようなら・・・・・こんな子のままなら
お兄さんは ず――――――っと留年にしちゃいます・・・からッ!
べェーだ(舌を出す)(イチャ)」


「でもさ 実は………あやせの方がやる気なんだろ?(イチャ)」



「・・・・・・・・・なっ  
あっ〜 もうぉッ! お兄さんのバカ(×5)+(鉄槌(ポカポカ叩き)×10)」


「痛ったた……………わ、悪かった
(否(いな) これ、ちっとも悪くない)(デレデレ)」



<京介 歩きだそうとした時>


     『二人は誰にも知られていない 誰にも知られてはいけない関係』

651 : ◆36m41V4qpU [saga sage]:2012/06/02(土) 06:32:13.78 ID:3CK/ZD110



            「ねぇ、ダ・・・・」

            「うん?」



       突然、あやせの態度が豹変して、かつてなかったほど
       痛みで絞め殺されると思えるほど、強引に抱擁された時


            「ねぇ・・・・ダーリン」



            「あや……せ?」


       突然、あやせの人格が入れ替わったみたいに、全てが
       声色も、口調も、俺を見る目も、俺の呼び方さえ変わった時




        『その時…………まだ、二人は秘密の関係だった』
               
               


<??? 二人を見つめる影>



             「絶対 許さない」
              










おわり
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 21:11:50.69 ID:4yUANqvAO
今日までレスがついてないとか、このスレ本格的に人が居なくなった…?

>>651


主に地の文なしの台本形式で登場人物の心情を補足的に台詞の「」内に含めると、
誰視点とか無いぶん、読者へのメタが有無を言わさず強調されるのが特徴的と思うます

二人のやり取りはそれっぽくて入りやすい流れなんだけど、
読者にしか知り得ない(話してる相手には伝わり得ない)心情描写が多用されると、少しつんのめり感がありますた

あと……もしかしてあやせは煉獄の使い手ですか。
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 22:09:20.82 ID:61u4+T0co
>>652
以前と比べてかなり少なくなったケド、まったく居ないというわけでもないと思うよ

レスが付いてないって? それも評価のうちなんじゃないの
あくまでも個人的な感想だけど……
『俺妹』の雰囲気が感じられないSSは、数レスだけ読んで後は読み飛ばし
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 22:26:17.12 ID:rrowhC7so
まとめwikiが全然更新されねえ

カップリングに???で、無駄に改行が多過ぎて読みにくくてすぐに飛ばしたから感想の付けようがない
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/04(月) 22:29:43.55 ID:MQOLbBwAo
読みづらくて内容もいまいち把握できなかったんで感想つけらんなかった
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/05(火) 00:34:45.88 ID:Ypcf0xq3o
同上
読んでてシーンをと心情をイメージしにくかったかな
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 02:10:52.87 ID:XuDZ6BLDO
所々日本語不自由だから外人が書いたのかと
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 06:37:44.92 ID:tb/FfHgh0
行間を空けずにギュウギュウ詰めて書くヤツも読みにくいが
逆に空けすぎるのも読みにくいもんだな

あと台本形式は原作のテイストが感じられないからやっぱりダメだ
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/06(水) 12:27:52.12 ID:04/xkxQ7o
黒猫「なっ……!?」

黒猫「私の力作が2日もスルーされた挙句、ケチョンケチョンに言われてるですって……?」

黒猫「……」

黒猫「フッ……別に貴方達に評価して欲しくて書いたわけでわないわ」

黒猫「この程度でめげていたらSS創作なんて出来ないし」

黒猫「私は書きたくて書いているだけ。お義理の感想レスなんてこちらから願い下げよ」

黒猫「……」

珠希「ねえさま……泣いているのですか?」
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 12:37:57.18 ID:TiZ7QT0Ho
そう考えると萌えるなwww
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 17:44:36.99 ID:mjfXNHQu0
>>659
黒猫ならもっと上手く書くハズ
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/07(木) 01:33:16.00 ID:fXsGi8Sho
京介「なっ……!? 俺の力作が2日もスルーされた挙句、ケチョンケチョンに言われてる……だと……?」

京介「……」

京介「フッ……別におまえらに評価して欲しくて書いたわけでわないしな」

京介「この程度でめげていたら黒猫に笑われるし」

京介「俺は俺の願望を書きなぐっただけ。おためごかしの感想レスなんてこっちから願い下げだぜ」

京介「……」

???「お兄さん、海と山ならどちらがいいですか?」

京介「!?」


こうですかわかりません!
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/07(木) 03:04:28.87 ID:3f6kxyPLo
>>659
もしかして>>509の人?
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/07(木) 14:28:25.55 ID:DVR0eCMA0
今気づいたけど、sage過ぎててかなり下にあるなこのスレ
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 03:08:20.04 ID:PVdjuPeTo
最終書き込みだから下とか関係無いだろ
今更新しい人来るとも思えないし
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/06/08(金) 23:59:46.94 ID:z+uY+Ci3o
いや、アニメ2期が始まればまたスレの勢いもかつてのように盛り上がってくる


……かも知れない
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 11:33:37.27 ID:WH8qmDjX0
>>666
そもそも2期自体が盛り上がるかどうかも怪しい

公式サイト見ても2期開始は早くても今年の冬
原作の進行から考えても1期終了から3年近く間が空くのは
セールス的にも不利だと思う
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 11:45:32.34 ID:vSOTtuLvP
もともとストックがいうほどなかったのと
新刊出るペースが目に見えて落ちてるってこと考えれば
間が開くのは仕方ない気もするけどね

でもアニメ始まっても一過性にはなりそう
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/09(土) 13:32:14.51 ID:UsfhlcM0o
2期っていってもそもそもストック分が……
賛否両論っていうか……若干盛り下がったところっていうか……
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 22:43:41.43 ID:rB/Ou+tc0
もうサザエさんみたいに原作をベースにしながらも
オリジナルの作品を作って放送すれば良かったのに

各所のSSの中にも原作のテイストを上手く残した
(アニメ向きの)良作が結構あったと思う
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 23:08:22.96 ID:xlHa/+Mso
今でも印象に残ってるSSがいくつかあるけど
自分の場合、中でも鬱展開のSSがけっこう好きだったな
アニメ向きとなると難しいだろうケド

書き手さん……あの頃に比べてけっこう減ったなぁ〜
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 10:28:31.32 ID:1+kg9i+8o
ゲームでキャラ毎に出来に差がありすぎて買ったファンを逃しちまったし
原作も刊行遅くなった上に雑差が目立って正直つまらなくなった
前期で興味持って読み出した人もアニメはもうどうでもいいやって人多いんじゃね
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 15:13:46.63 ID:Zni0fWPDO
ゲームは原作者シナリオとそれ以外の差がなぁ
もう加奈子ルートが正式EDでいいじゃん、ゲームは
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 18:21:56.46 ID:XlNvilyT0
日曜日の朝7:30にも京介の声を聞くようになったな

\レッツモーフィンタイム!/
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川) [sage]:2012/06/10(日) 22:07:45.36 ID:eTTZnBfp0
>>674

ん? TVKの「フィッシング倶楽部」には出て来なかったぞ
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 06:10:01.65 ID:HyiToWkFo
あやせ「私を今から犯すつもりなんですね!この変態!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1339424539/
677 :sage :2012/06/13(水) 20:59:31.54 ID:TxnmEANp0


あたしの名前は高坂桐乃。学業優秀スポーツ万能容姿端麗の妹である。
    そんなあたしもピチピチの高校一年生だ。アメリカ留学も考えていたがスポーツに、
    特に陸上競技に力を入れている高校に推薦入学することになった。家からはちょっと
    遠いけど通える距離だし、もうちょっとだけ力を溜めなきゃリアの背中に笑われそう
    だから。
    
    それにどっかの誰かさんがまた泣きべそかきながら連れ戻しに来ちゃうかもなんて考え
    てるとアメリカにいてもブラジルにいてもおちおち練習できないしね。
    
    ま、いつかはアメリカでみーんなぶっとばす。てーのを夢として持っておくとしよう。
    
    それはそうと… 入学式から3日目だってのに…
    
    「はぁ〜… なんなのあいつ…」
    ちょっと前の京介みたいに無愛想で授業中もず〜っと寝てるし。もう帰りのHRだって
    のにまだ寝てる。ああいう人って夢とかあるのかな… あ、ぷっ、怒られてる。

    「こらぁーー、流川!!流川楓起きんかぁーーー!!!」
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 13:22:09.38 ID:MQLEtt/40
>>677
何なんだいきなり
誤爆か?
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/14(木) 16:07:31.94 ID:9Mow45vwo
誤爆なら誤爆、小ネタなら小ネタと言えよ
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 20:21:32.45 ID:TUtN/Ghz0
野暮な突込み
俺妹は千葉、スラダンは神奈川
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/06/14(木) 21:43:41.31 ID:Egn5UUXBo
何が何だかサッp(ry
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 22:00:29.46 ID:UcdPrFcKo
まぁ名前欄にsageを入れてる時点でお察し
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 22:09:03.71 ID:2VSUHNSUo
『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』っていう
アニメを無料動画サイトで見たんだが、いや〜面白かったわ
作画の好き嫌いは別にして、コメディとして見るなら『俺妹』より上かも

それにしても、個別スレはどうなるんだろう
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/15(金) 03:58:35.84 ID:+LwjmLV8o
俺妹の面白さって、結局は「リア充の妹がエロゲにハマってた」っていうシチュエーションの一発ネタなんだよな
そのネタを消化してしまったから、巻が進むにつれネタ切れ感が漂ってくる
単に兄妹の絡みならもっと面白い作品が他にあるし、それで黒猫との恋愛で新展開にしたけど、作品の軸がぶれてしまって大した盛り上がりにもならず、もう終着点を探してる状況だと思う
後発の妹系作品が濃すぎて俺妹が薄っぺらく見えてしまったのも衰退の一因だと思う
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 06:47:43.58 ID:HbwSy0lB0
兄好は義妹という禁断カードを使っているからな

俺妹は一発ネタという縛りの中で10巻まで続けているんだから凄いと思う
終着点を探すのは物語を始めるのより難しいだろう
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/15(金) 19:42:44.39 ID:KHIfOGC/o
オタクじゃない京介が妹のオタク趣味のせいで振り回される、ってのが面白かったのに、京介自身がオタク化してしまったからなぁ
京介はあくまで非オタクの立場からオタク達を傍観する役割でいて欲しかった。
親バレやあやせバレ辺りは面白かった。そればかりじゃマンネリになるのはわかるけど…
それ以降のシナリオ(ラノベやゲーム制作やコミケ出展)も読んでて楽しいんだけど、単にオタク達の世界の出来事になっちゃったから感情移入できなかった
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 20:10:48.89 ID:5B1KXak0P
別に京介自身はオタクそのものになってるとは思わないけどなあ
別に好きでそういうのをやってるわけじゃなさそうだし
そういうことに夢中になってる友人家族が好きなわけで
積極的にそれをしようっていうのは大概自分以外のためだし
オタクといえるほどそういうことに嵌ってる感じはしないんだけど

それに諦観してるだけじゃ全然話にならないし、
それだったら多分4巻でお話終わってただろうね
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 21:54:44.63 ID:yZx3feEYo
三木馬鹿編集が口出ししすぎなきゃ面白いままだったと思う
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 22:31:53.08 ID:kls2ykgg0
三木は兎も角ふさたんにはおまいらの意見を読んで欲しいな

俺妹を心底愛しているファンとしては真っ当な事を言っていると思う
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/16(土) 00:54:54.99 ID:0ZnGq3R2o
PSP続のあやせルートと瀬菜ルートはファン舐めてんのかってくらいには腹立ったな

あやせルートであれだけBAD入れる必要性がわからないし、全部DEAD ENDとか意味がわからなかった
瀬菜ルートに至ってはタイトルの妹関係なくて桐乃が一切出て来ないとか、下手くそな2次創作を金払って強制的に見せられてる気分だったわ

原作も一通り何も考えずに読むには楽しいけど、ネットで情報見た後に考えながら読むと指摘されてる部分の大体は苦しい展開に感じる

とりあえず三木は立場偉いらしいけど、俺妹に関わらないで欲しい
関わったとしても必要以上に口出しして作品の方向性を曲げないで欲しい


話関係ないけど、エロパロに投下しようと思って書き溜め途中のが中途半端なところで止まってて、俺は何がしたかったんだろう状態
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/16(土) 02:50:14.16 ID:/I+O0UWOo
4巻ぐらいまでの毒にも薬にもならない感じのドタバタをもう少しダラダラつづけて欲しかったかな
あの辺までのキャラ間のバランスが好きだった
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/16(土) 05:11:40.07 ID:aXCJj085o
SSの感想じゃなくて本家の感想を述べるスレになりました
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/16(土) 08:17:28.09 ID:UdAK/aZ/0
肝心のSSが投下されない現状では仕方あるまい

本家の感想がここに書き込まれるだけマシ
三木の暗躍で本家が期待されなくなったらこのスレも無くなる
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/17(日) 04:02:47.84 ID:O8QEz4fn0
赤城と京介の妹自慢が好き
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 14:23:10.32 ID:gaK4SXij0
瀬菜と桐乃の兄貴自慢を読んでみたい
まぁ桐乃の圧勝だろうけど
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 14:44:26.30 ID:8t0LFDWE0
>>695
http://www44.atwiki.jp/kiririn/pages/398.html
697 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 16:59:50.86 ID:4ZBc2X6so
個別スレの更新をサボっているわけじゃないんですが……
久しぶりに短編を書いたので投下します
9、10巻未読なので、あやせの性格に著しい違いがあったらゴメンナサイ

『名探偵あやせ』 京介×あやせ
698 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:00:16.78 ID:4ZBc2X6so

「真犯人は、お兄さんです」

俺の顔を見るなり、あやせは真っ直ぐに突き出した人差し指を俺に向けて断言した。
約束した時間よりも大幅に遅刻して来た癖に、その顔に悪びれる様子など微塵もなかった。

昨夜、あやせが電話で指定した場所はいつもの児童公園ではなく、意外にも植物園だった。
待ち合わせの相手があやせなら、その場所がたとえ地獄であっても俺が出向くことに変わりはない。
しかしそうは言っても、いきなり真犯人呼ばわりされたんじゃ堪ったもんじゃない。

「何で俺が真犯人なんだよ」

「わたし、どう考えても真犯人はお兄さんをおいて他にないと決めてたんですが……。
 そうじゃないと、お話を初めから練り直さなくてはいけないんです」

「だったら練り直すなり叩き壊すなりすりゃあいいじゃねーか。
 あやせも桐乃みたいな小説が書きたい、だから俺に相談に乗ってくれってことだったろ。
 それが何で俺が犯人役で登場なんだよ。つーか、恋愛物じゃねえのかよ」

「どうして恋愛物だなんて勝手に決め付けるんですか。
 女から振られた人に、わたしが恋愛物についてご相談するとでも思いますか?」

期待した俺が馬鹿だった。
俺が黒猫と別れてから随分と日が経っているというのに、未だに根に持っていやがる。
何よりも、あやせの知らないところで俺が女と付き合っていた事実がお気に召さないらしい。

「わたしが書きたい携帯小説の内容はこうです。
 とある中学校に通う女子中学生が、実は警察もびっくりするような凄腕の名探偵なんです。
 どんな難事件でも、その女の子に掛かればたちまち解決してしまうんです」
699 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:00:53.18 ID:4ZBc2X6so

どこかで聞いたような気がしないでもなかった。
有名な漫画の高校生探偵が女子中学生に代わっただけで、結局のところパクリじゃねえか。
真実はいつもひとつ! ってか。

「犯人役がご不満なら、お兄さんは死体の役でもいいんですよ」

あやせに迂闊なことを言うと、死体の役どころかリアルで死体にされかねない。
何にしても書くのは俺じゃねえし、あやせなら途中で飽きて投げ出すのが関の山かもしれん。
仕方がねえ、今日はあやせと話が出来るだけでも良しとするか。

「犯人役っていうのも考えようによってはいいかもしんねーな。
 女にモテモテの二枚目の知能犯とか――でさぁ、登場人物の名前とかは考えてあんのか?」

「もちろんです。
 主人公は“新垣あや乃”と言って、小説の中では中学三年生の女の子なんです。
 犯人は高坂京介、高校三年生で……」

「“あやせ”をもじって“あや乃”ってのはわかる。
 何気に桐乃が混じってるようだが……まぁ、この際それは置いておくとしてだな。
 ……犯人の高坂京介って、まんまじゃねーか」

「細かいことはあまり気にしないでください……犯人の癖に。
 わたしの処女作なんですから、少しは大目に見てくれてもいいじゃないですか」
700 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:01:31.43 ID:4ZBc2X6so

正真正銘の処女が書く処女作、てか。
あやせの水着姿のDVDでも付録につければ、売上アップは間違い無しだろうな。
俺ならDVDだけ頂いたら、後はゴミとして捨てちまうんだけど。

「DVDを付録に付けるなんてのはどうだ?」

「DVDを付録にって……ブチ殺されたいんですか?
 お兄さんが考えているようなこと、わたし、死んでも絶対にやりませんから。
 それとも、お兄さんが血だらけになって死んで行くDVDでも付録に付けますか?」

「……言ってみただけじゃねえか」

あやせもここへ来るまでにそれなりに考えてはあるらしい。
犯人が残した僅かなミスを手掛かりに、名探偵が次々とトリックを暴いていく。
よくあるパターンとも言えるが、そうやって最後には真犯人を自白に追い詰めていくんだとさ。

「トリックや推理に重点を置きすぎると女の子は敬遠しがちですし、読者も限られると思うんです。
 なので中学生の女の子らしく、少しだけ恋愛要素も入れてみることにしたんです」

恋愛なら俺の得意分野じゃん。……ただし、失恋専門だけどな。

「中学生探偵の“あや乃”は、事件解決のために犯人と頻繁に接触する必要があるんですが……。
 犯人と何度も会っている内に、いつしか犯人に好意を抱くようになってしまうんです」

「ストックホルム症候群みたいなもんか?」

「……って、何ですか? 小説の舞台は、外国じゃなくて日本なんですよ」
701 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:02:07.55 ID:4ZBc2X6so

「まあいいや、じゃあ好きになるってことは、その犯人がイケメンとか?」

「いいえ、どこにでも転がっていそうな地味で鈍感な男子高校生という設定です。
 でも、“あや乃”にとっては特別な存在で、誰よりも格好よくて素敵な人に見えるんです」

「地味で鈍感でどこにでも転がっていそうなヤツが、何で素敵に見えるんだよ」

「それは、“あや乃”が犯人の本当の姿に気付いているからなんです」

俺は、今でもあやせにとって近親相姦上等の鬼畜兄貴なんだろうか。
あやせに本当のことを言ってしまえば、俺の汚名はすぐにでも返上できる。
しかし、そんなことをすれば……。

「どうかされたんですか? 何だか、元気がないように見えますけど」

「いや、何でもねえよ。……ちょっと、な」

あやせが身振り手振りを交えて小説の内容を説明している横で、俺は適当に突っ込みを入れる。
コスモスの花が風に揺れる広場の小路を歩きながら、俺たちは時の経つのを忘れた。

「お兄さん、ここでわたしと手を繋いでください。あっ、でもでも、変な勘違いをしないでくださいね。
 これは、“あや乃”がさり気なく犯人の指紋を採取するためなんですから」

さり気なくって、素手でどうやって指紋を取るんだっつーの。
手にラップでも巻いてあんのかよ!?

「どうしたんですか? わたしに、協力してくれるんじゃなかったんですか?」
702 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:03:04.73 ID:4ZBc2X6so

今日のあやせはテンションが高めで、それにどことなく落ち着きがない。
そうかと思えば、ときおり不安そうな表情で俺の顔を覗き見る。
俺と手を繋いで歩きながら、今もしきりとあちこちに視線を彷徨わせていた。

「あっ、お兄さん、ちょっと待ってください。
 犯人はあのお店で、偶然にも“あや乃”にソフトクリームを買ってあげていたんです」

あやせが目を輝かせて指を差す先には、植物園の中に設けられた小さな売店があった。
もう秋だというのに、軒下の“氷”の文字が入った暖簾がいかにも寒々しい。
その場所だけ、夏のまま時間(とき)が止まっているかのようだ。

「あやせ、おまえの頭がおかしいのはいつものことなんだけどさぁ……。
 最近、日本語の使い方もおかしくなってねーか?」

「そんなことはありません。くだらないこと言ってないで、早く買ってください」

俺はあやせにせがまれて売店でソフトクリームを買ってやり、また手を繋いで歩き始めた。
何となく既視感を覚える光景に、妙な寂しさと罪悪感を覚える。
あの夏の日の想い出が甦りかけたそのとき、あやせが俺の手を強く引っ張った。

「ん? どうしたあやせ、何かあったのか?」

あやせは少し唇を尖らせ、抗議するような口振りで俺に言った。

「お兄さん、わたしの口に、ソフトクリームが付いていませんか?」
703 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:03:42.32 ID:4ZBc2X6so

「付いてんのはさっきから知ってたけど、それがどうかしたのか?」

「もうっ、知っているなら拭いてくれてもいいじゃないですか。
 お兄さんは、女の子の口にソフトクリームが付いてても恥ずかしくないんですか?」

「恥ずかしいっつーより、あやせの場合、何かの罠なんじゃねーかと思ってな」

「――なわけないじゃないですか。さあ、お兄さん、遠慮なく拭いてください」

俺はハンカチを取り出すと、口の周りに付いたソフトクリームを丁寧に拭いてやった。
あやせは心持ち顎を上げて目を瞑り、おとなしく俺にされるがままだ。
この隙に俺がチューでもしたら、それは強制わいせつ罪……いや、死刑だな。

「ほらっ、綺麗になったし、これでもう気が済んだろ」

「うふっ、これで犯人のハンカチには、ソフトクリームと一緒に“あや乃”のDNAも付着したんです」

してやったりといった満足そうな笑顔であやせは、再びソフトクリームを舐め始めた。
俺には事件の概要がまったく見えねえ。
しかし、あやせが俺をモデルにしたということは、どうせロクでもないことだけは確かだ。

「DNAとかって、何か殺人とか性犯罪に絡んでるみたいにも聞こえんだけど……。
 あやせの小説の中で、高坂京介は一体何をやらかしたんだ?」

「申し訳ありませんが、それはまだ秘密です」
704 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:04:18.50 ID:4ZBc2X6so

「それじゃあ、登場人物の性格付けとかは決めてあんのか?」

「犯人の高坂京介は、一見するとぶっきらぼうなんです。
 でもそれは単なる照れ隠しであって、実は女の子にはとっても優しい人なんです。
 それから、妹思いなんですけど……馬鹿が付くほどの鈍感と言うか……」

「ちょっ、ちょっと待った、犯人に妹がいるなんて俺は聞いちゃいねえぞ!」

「妹がいたら、そんなにおかしいですか?
 お兄さんだって桐乃がいるんですから別にいいじゃないですか。
 細かいこと言っていると、段々と罪が重くなって、最後には死刑になっちいますよ」

あやせが死刑執行人なら俺は火炙りの刑か、さもなくば生き埋めの刑かもしれん。
俺は後世に名を残すこともなく、呆気なくあの世へ旅立つことになるのか。
それならいっそのことあやせにお願いして、俺がこの世にいたという証だけでも……。

「お兄さん、顔がにやけていますけど……どうかしたんですか?」

「いや、自然の摂理と人類の歴史について、俺なりに考察を深めていたところさ。
 何にしても、思ったほど犯人は極悪人っつーわけでもなさそうだな」

「お兄さんがモデルですから、そのあたりは配慮してあげました」

「礼を言うべきか迷うとこだけど、じゃあ……“あや乃”の方はどうよ」

「それは……」
705 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:04:57.43 ID:4ZBc2X6so

小説の中の“あや乃”、それはあやせ自身がモデルだ。
自分で自分の性格を言うのは難しいことだし、あやせもそれはわかっているようだ。
俺に言わせれば、あやせは稀なほど純真で素直な心の持ち主だと思う。
勝手な思い込みからときには暴走することもあるが、それはあやせの魅力の一つでもある。

「ふーん、お兄さんは、わたしのことをそんな風に見ていたんですね。
 わたしも自分が思い込みの強い性格だというのは認めます。
 でも、わたしはお兄さんが思っているほど純真ではありませんし、普通の女の子ですよ」

「普通であり続けるって、けっこう大切なことだと思うぜ」

「そうですか? まあ、お兄さんはかなり変わっていますからね」

俺が変わっていると言うなら、あやせは狂って――
まあいい、今日はあやせの小説家ごっこに適当に付き合っていればいいわけだし……。
あやせとこうして仲良く歩けるなら、俺にしてみれば何の文句もない。

「また顔がにやけていますけど……。
 そうやって、お兄さんはいつもいかがわしいことばかり考えているんですか?」

「俺の頭は一年中そんなことばっか考えてるとでも思ってんのかよ。
 いや、あながちそうでもないか……。
 正直なところ、今日はあやせとデートしてるみてえだなとも思ったしな」

「こっ、これはデートなんかじゃありませんから!
 お電話でもお話ししたように、今日はお兄さんに小説の内容について……」
706 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:05:36.03 ID:4ZBc2X6so

「……だよな、あやせが俺みたいなヤツとデートしてくれるわけがねえもんな。
 後輩に告白されて有頂天になったはいいけど、付き合い始めたらすぐに振られちまうし。
 あやせから呼び出されたらホイホイと出掛けて行くような男だし。
 デートどころか、こうしてあやせに口を利いてもらえるだけでも俺は感謝しねえと……」

「な、何もそこまで自分を卑下しなくても……。
 それにわたし、別にお兄さんのことを嫌っているわけでもありませんから。
 別れた彼女のことは……少しだけ気にはなっていますけど」

俺とあやせの間には、明らかに気まずい雰囲気が漂っていた。
あやせの口を拭くときに一旦離した手は、そのあと繋ぐタイミングを失ったままだ。
今さら、俺の方から手を繋いでくれとも言えねえしな。

「お兄さんはわかっていると思いますが、わたしは嘘が嫌いです。
 ……でも、人は優しさから嘘をつくこともあると、以前わたしはある人から教わりました。
 お兄さんを振った彼女も、お兄さんには言えない理由があったのかもしれません」

「なぜ、あやせから黒猫の話が出るんだ?」

「別にいいじゃないですか。
 ……コスモスの花を見ていたら、ちょっと思い出しただけです」

淡々と話すあやせの顔には、苛立ちと不安が浮かんでいるように見えた。
707 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:06:17.60 ID:4ZBc2X6so

「あ、あの……“あや乃”が犯人を捕らえて警察へ連行するシーンなんですけど……」

俯き加減でボソボソと言うあやせ。

「どうしてもイメージが湧かないので、ちょっとだけ試してみてもいいですか?」

「えっ? 俺――じゃなくて、犯人が捕まるシーンだな。
 すまねぇ、ちょっと考えごとしてたもんだから……で、俺は何をすりゃいいんだ?」

あやせはおもむろに右手で俺の左腕を掴むと、もう片方の左手を軽く添えた。
俺はこれといって抵抗することもなく、まったく呆気ないほど簡単に捕まったわけだ。

「それでは、これから署まで連行します。
 わたしの言うことをよく聞いておとなしくしていれば、罪を軽くしてあげてもいいですよ」

刑罰を決めるのは裁判所の仕事だ。
何の権限も持っていない一介の私立探偵が、犯人と司法取引するなんて出来るわけがない。
探偵小説を書こうとしているヤツなら、そんなことも知らないでどうするよ。
しかし、あやせは事件を無事に解決したつもりなのか、楽しそうに笑っていやがる。

「なあ、犯人はこのまま大人しく連行されて行くのか? 
 探偵をいきなり張り倒すとか、そうじゃなくても隙を見て逃げたりはしねえの?
 何だか呆気なく捕まっちまって、盛り上がりに欠けるような気がしないでもねえけど」

「暴力は反対です。それから、そういうことはわたしだってちゃんと考えてあるんです。
 犯人の高坂京介は、“あや乃”のご機嫌を伺って食事に誘うんです。
 “あや乃”は犯人に惹かれていましたし、まんまとその誘いに乗ってしまうんです」
708 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:07:13.19 ID:4ZBc2X6so

なるほど、“あや乃”はアホの子だったと。
警察にすぐに通報するわけでもなく、連行する途中で犯人からの誘いに乗っちまうとはな。
もしかして、最後は“あや乃”も共犯でしたっていうオチじゃねえのか?

「やっぱ、ずっと気になってたんだけど……犯人は、一体どんな罪を犯したんだ?」

「そ、それは……窃盗罪です。高坂京介は、とんでもないものを盗んだんです」

「俺が何を盗んだっつーんだよ。現金とか、宝石とかか?」

「高坂京介は、わたしのハートを盗みました……」

あやせの顔が一瞬にして真っ赤になった。
今の会話、いつだったかテレビで見たアニメのパクリじゃねえか。
あやせの言うことをまともに信じたら、窃盗罪が強制わいせつ罪に変わるかもしれん。

「何だかわからねえけど、何か企んでんじゃねーのか?」

「そんな、企むなんて……酷い。
 わたしはお兄さんに……お兄さんに…………欲しかっただけなのに……」

あやせは俄かに顔を曇らせ、哀しそうな目で俺を見た。
しかし読モをやっているあやせのことだ、これくらいの演技は朝飯前だろう。

「日頃のおまえの態度を見てもだな、こりゃ何かあると疑ってみても……」

「疑うだなんて…………でも、そこまでおっしゃるのなら……わかりました。
 わたしの考えていた筋書きと少し変わってしまいますけど……」
709 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:07:59.27 ID:4ZBc2X6so

あれ? ちっとばかし、雲行きが怪しくなってきたかも。
俺の予想じゃこの辺であやせが怒るか、さもなくば茶化す筈だったんだが……。

「――なっ、あやせ、どうしようって……」

ブラウスの胸元から匂い立つ、香水の仄かに甘い芳香が俺の鼻腔をくすぐる。
俺の両肩に置かれたあやせの手が小刻みに震えていた。

瞼を閉じたあやせの顔が、ためらいがちに俺から離れていった。
甘く静かな余韻の中、ゆっくりと瞼を開け、不安げな瞳で俺を見つめるあやせ。
あやせの澄んだ大きな瞳から、大粒の涙が今にも溢れそうだった。

「桐乃には……内緒にしてください」

「あやせ、おまえ……」

「お兄さんは、わたしの気持ちになんか全然気付いてもくれない。
 わたしはお兄さんに気付いて欲しかった、振り向いて欲しかったんです。
 それなのに、いつもわたしのことを子ども扱いして……」

あやせの眼差しが俺の胸に痛いほど突き刺さる。
俺は、只黙ってあやせの顔を見つめていることしか出来なかった。

「わたし、後悔なんか……しません」
710 : ◆Koneko/8Oc [sage saga]:2012/06/17(日) 17:12:40.62 ID:4ZBc2X6so

他の男だったら、こんなときにどんな反応を示すんだろう。
気の利いた台詞のひとつも口にした後で、優しく彼女を抱擁したりでもするのか。

「えっと、俺は……俺は、もう逃げたりなんかしねえから。
 おまえの気が済むって言うなら、手錠を掛けようが火炙りにしようが好きにしてくれ。
 あやせに捕まるんだったら、俺はどんな罰でも受けるから」

何を馬鹿なこと言ってんだか、俺。
結局、あやせの筋書き通りに追い詰められて、俺から自白したようなもんじゃねえか。

「信じても、いいですよね。……でも、わたしにはもう手錠なんか必要ありません。
 今日からお兄さんのことは、わたしの心で繋ぎとめて見せます」

あやせは手の甲で涙を拭いながら、俺に精一杯の笑顔を見せる。

「あやせの筋書きによると、俺はこれから探偵さんを食事に誘う予定なんだが……」

この先もずっと、俺はあやせに振り回されながら生きて行くのかもしれない。
空を見上げれば、澄んだ青空の彼方に真っ白いイワシ雲が細くたなびいていた。
俺にも新しい季節がやって来たと、そんな予感がした。


おしまい
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 18:42:08.04 ID:qc3tWu0J0
695です

>>696 サンクス!

>>697 乙です 短編ながら良いもの読ませて貰いました
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/17(日) 20:05:40.03 ID:k/okZlZ4o
>>697
あやせたん!あやせたん!マジ天使!ペロペ(ry

乙でした。
10巻はあやせたんマジ天使なので是非読んでください。
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 22:16:35.53 ID:6rhbsz3Ao
>>697
乙!
名探偵あやせなら最後は手錠オチかと思ったら2828エンドだったでござるww

個別スレの桐乃の話も全裸待機してる!
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/18(月) 20:47:08.36 ID:I9/+FEDDO
>>710
久しぶりのSSを堪能しました
ぜひ最新巻読んで欲しい
やっぱあやせは天使だわ
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/21(木) 10:57:26.87 ID:rC9C5HWKo
(話題を変えてSSへのお礼の流れを切ってはいかん、という配慮から誰も書き込まないモードか?w)
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 14:48:52.83 ID:Rn8yCJPm0
>>715 お礼って言ったって10レスも書き込まれていないぜ
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/06/22(金) 17:40:50.38 ID:RuD1P4fAO
流れぶった切ってすみません

SSを投稿しても大丈夫でしょうか?
投稿初めてなんで上手くやれるか不安ですけど……
ちなみに京介×加奈子SSです
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/22(金) 17:44:38.17 ID:0hcvmQs4o
キタコレ!!寧ろかなかな歓迎!
719 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 17:45:26.06 ID:RuD1P4fAO
717です

それでは投下させていただきます
設定は『俺妹ポータブル・続』の加奈子√の後日談でギャグSSです
ゲームをやってたら思いついたので勢いで書きました

『俺と加奈子と〇〇ゲー』

720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/06/22(金) 17:48:10.19 ID:RuD1P4fAO

始めに言っておこう――――。
これは――俺の住んでる世界とは違う、もう一つの世界(ゲーム)のお話である。



俺は高坂京介。この夏休みに俺は、妹の友人である来栖加奈子と再開し、そして何の因果か付き合うことになり――――さらについ先日、妹やその友人達に晴れて認めてもらったのだった。

え?何か説明くさいって?知るかボケ。
おっと、話の途中だったな。まーその……何だ。そんなこんなで俺――いや俺達は、今現在少しずつ恋のハードルを乗り越えてるってわけだ。
う……自分で言っててメチャクチャ恥ずかしいぜ……!!//// だが、俺達は確かに一歩一歩前進していて、それに比例してお互いの距離も確実に縮んでいったんだ――。



そしてデート三昧だった夏休みも終わり、今日から二学期が始まった。

「よっ!高坂おひさー!元気してたか?うん?」

「……お前の暑苦しいツラ見て元気が無くなったところだ」

「奇遇だな。俺もだ」

なら話しかけてくんじゃねーよ。だが赤城は俺の顔をガン見すると、真剣な眼差しで口を開いた。

「なあ高坂。実は気になる噂を耳にしたんだが…………………………………………………………………………お前ロリコンなの?」

ブッッッ!!!!!!!!

「なな……お前どこからそれを……!!??」

「いや瀬菜ちゃんがな、お前が小学生くらいの女の子と手を繋いで歩いてんのを見たって。……え?マジなのその反応?」

いかんいかん。俺としたことが冷静さを欠いてしまった。ちなみにクラスメイトが急にざわめきだした気がする。やべー、視線が超痛てえ。

「聞いてくれ赤城。あのな、女の子と歩いてたのは認める。だがな……小学生じゃない、あいつは中学生だ。ここ重要、オーケー?」

これは超超大切だ。じゃねーと俺はマジで逮捕されちまう。……周りの反応を見るにもう手遅れな気もするけど。

「はいはい中学生ね」

信じてねーなこの野郎!妹そっくりのラブドール買おうとしたこと皆にバラすぞ!!

「でもよ。そもそも何で手を繋いでたわけ?かわいい子だったらしいけどよ」

それを聞くと、俺は余裕の微笑みを浮かべた。そうだそうだ。今の俺は、こいつとは立場が天と地ほどに違う。
即ち、俺には彼女ができてこいつにはいない。あせる必要なんてねーじゃねーか。俺はただ、現実を突き付けてやればいいんだ。
あばよ、可哀相な独り身くん。

721 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 17:51:00.73 ID:RuD1P4fAO

「ふっふっふ……それはだな赤城。あの子は俺の彼女なんだ」

「這這狽ネにぃぃ!!!???お前は妹が好きなんじゃなかったのか!!??」

「何言い出すんだてめええええええええええええええええええええええええええっっっ!!!!!!」

――京介の右ストレート!かいしんのいちげき!!

――赤城に9999のダメージ!!!

「痛ってえ!!何すんだお前っっ!!??」

「それはこっちのセリフだ!何を抜かしてやがんだてめえは!!??」

周囲のざわめきが一層大きくなる。中には携帯でどこかに連絡している奴もいる。待て!それ警察じゃないよな!?大丈夫だよな!?

「だってお前は妹を愛しているんだろう!?」

「てめえと一緒にすんな変態!俺は兄として大切なだけで彼氏とかそんなんじゃねーよ!」

全身全霊、魂の叫びをもって全力で否定する。
あんな妹に恋愛感情なんてわくか!俺はどんだけ危ない奴なんだよ!?

「はあ……はあ。分かった、それについては俺の誤解だったかもしれん。だがホントか高坂!?お前彼女できたの!?」

信じられないという顔の赤城を、俺は片手で制する。

「まあ落ち着きたまえワトソン君」

「うわ急にうぜーなお前……」

うざくて悪かったな!少しくらい調子に乗らせてくれてもいいだろ!

「俺彼女ができたwwww」

ゴンッ!!!!!!

「うおい!殴るこたねーだろ赤城!!」

「なんかものすごくムカついた」

くそっ親友に暴力ふるいやがって!

「とにかくそういうわけだ。俺はロリコンでもシスコンでもねーよ」

「ふーんそうか……お前に彼女なあ。うわーかわいそうな田村さん……」

「はあ?何で麻奈美がでてくんだよ?関係ねーだろ」

おいおい。まるで俺が、自分に惚れている幼なじみの気持ちに気づかないエロゲの鈍感主人公みてーじゃねーか。

「…………かわいそうな田村さん」

「その目をやめろ!!」

哀れんだ目をしやがってこいつ!何か俺悪いことしたか!?

「まあその件は俺が口出しすることじゃねーから置いとくとして、お前は変な性癖があるとかじゃねーんだな?」

「当たり前だ!人を何だと思ってんだ」

変な性癖あんのはお前だろ!失礼だなおい。

「ならいいや。あ、そうだお前に面白いゲーム貸してやるよ」

「ゲーム?まさかエロゲーじゃねーだろうな?」

722 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 17:54:53.90 ID:RuD1P4fAO

「バカ、そんなわけないだろう。とにかくやってみろよ」

そう言うと、赤城は自分の鞄からPCゲームの箱を取り出した。一体どんなゲームなんだ?と思いつつ、渡されたゲームのタイトルを見ると――。




『俺の弟がこんなにエロいわけがない アッー!!』




「這這這買zモゲーじゃねえかああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!!」

アウト!!完全にアウトだろこれは!タイトルの時点でありえねーわ!あと何だ"アッー!!"って!?余計に腹が立つなおい!!

「親友だからな。特別に貸してやるよ」

ダメだこいつ……早く何とかしないと……。

「お前は教室で何というモノを出してやがんだ!バカじゃねえの!?」

クラスメイトがゴミ虫を見るような視線を浴びせてきてるし!!そりゃそうだよな!
……よし。落ち着いて今の状況を確認しよう。


〜周囲から見た俺〜

@ロリコン疑惑
Aシスコン疑惑
Bホモ疑惑 ←New!


\(^O^)/


死にたい……いっそ死んで楽になりたい……。

「おい急に真っ白になるな高坂!」

「這狽ィ前のせいだよっっっ!!!!」

こいつは俺に恨みでもあんのか!?何が悲しくて俺がホモゲーをやらなきゃいけねーんだ!?

「赤城……大体何でてめーがホモゲーを持ってんだよ!?」

「…………瀬菜ちゃんが押しつけてきて」

「うあ……」

何だろう、ものすごい既視感が……。お前も苦労してんだな……。

「例によって俺が買いに行ったんだけど。そしたら……瀬菜ちゃんがネットじゃなくリアルでホモゲーを語る相手がいなくて寂しいって言うから……」

なるほど、事情はよく分かった。確かにこいつの妹は腐女子だしな。
そう考えると、妹モノのエロゲーで済んでる俺は幸せかもしれん。もしもあの時親父にホモゲ好きって啖呵きってたら…………うん、人生って素晴らしいな。
桐乃が腐ってなくてよかったぜ!妹好きの変態でありがとう桐乃!!

「何で泣いてんだよお前……」

「ふっ、気にするな」

嬉し涙を拭いた俺に、赤城は再度ホモゲーを突きつける。

723 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 17:58:04.11 ID:RuD1P4fAO

「そういうわけで高坂も協力しろ。お前にとっても瀬菜ちゃんはかわいい後輩だろ?」

「…………本音は?」

「同じ苦しみを味わう仲間がほしい」

「最低だなこの野郎!!!!妹のケツはお前が拭けやっっ!!!!」

俺を巻き込むんじゃねーよボケ!男なのにホモゲーやってたまるか!!

「俺は昨日瀬菜ちゃんと一緒にプレイして!嬉しかったけどっ、それでもそういうシーンのショックで晩飯食えなかったんだぞ!!!!」

げ……何という拷問だ。どんだけ鬼畜なんだよお前の妹は……。
俺がこいつの立場だったら[ピーーー]るね間違いなく。

「やべ……思い出したらまた吐きそうになってきた……」

顔面真っ青の赤城。どうやら相当トラウマになったらしい。
……恐るべし赤城妹。

「そんなもんを人にやらそうとすんな。他を当たれ」

「待てって高坂!俺を見捨てないでくれ!!」

しつこく食い下がって来やがる。ったく、めんどくせーなこいつは。

「あーわかったわかった!借りてやるよ」

「本当か!?流石だぜ心の友よ!」

借りるだけでやらないけどな(笑)。

「ちゃんとやれよ?感想聞くからな?」

「…………」

「おいコラ」

「……………………」

「おいコラっっ!!!!!!」

まあこうして――俺は赤城からホモゲーを借りることになったのだった。
…………というかクラスメイトの誤解はとけてないままなんですけど!!??おいおい、明日から学校来れるのか俺……?





そして帰宅すると――。

「ただいまー」

「おうおかえり。遅かったじゃねーかヨ」

俺を出迎えたのは加奈子だった。

「おい。何でお前がいるんだよ!?」

「はァ?愛しの彼女が出迎えてやってんのにうれしくねーわけ?もっと喜べよ」

何とも押し付けがましい俺の彼女である。

「いやいや、驚いちまってよ」

「そーかそーか。ならしょーがねーな」

納得したのか満足げに頷く加奈子。相変わらず単純だなこいつ。

724 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:00:35.72 ID:RuD1P4fAO

「分かったなら通してくれ。靴も脱げん」

「うひひ」

加奈子はいたずらっぽく笑うと、

「ごはんにする?お風呂にする?それともぉ………………ア・タ・シ?」

「なっっ!!?? //////」

耳元で色っぽくささやかれて思わず赤面する。
やべえ、ロリな外見とのギャップがメチャクチャぐっときたじゃねーか!

「なあ……どうするぅ……京介ぇ?」

「おまっ、何を言って……っ!?」

「あれえ??どうしたんだおめー?顔真っ赤にしちゃってよーwwww」

「……くそっ!からかいやがって!!」

あーちくしょう!超恥ずかしいじゃねーか俺!
ったく加奈子のくせに生意気だぞ!!

「ああ……そうだな。お前にするわ」

「ひっ!!?? //////」

よーし反撃開始だ。人をからかう悪い子にはお仕置きしてやる。
どうだ。なめてんじゃねーぞ思い知ったか!!

「うん、その中だとお前が一番だな!というかそれ以外はいらん、お前の全てがほしい」

「んな……っ!?ちょ……え……!!?? ////」

ははっ加奈子め、顔が茹でタコみてーになってやがる。超面白れーなこいつ。

「そうだよ!俺らは付き合ってるんだし遠慮する必要ねーよな!ほらどうした加奈子?一緒に大人の階段を上ろうじゃないか!!」

形勢逆転。まあよく考えたら俺もすげーこと言ってるが、こいつをやりこめればそれでいい!

「楽しそうだな京介」



親父参上。



「………………………………………………………………oh……」orz

硬直する俺。えっと……あれですか?これって全部聞かれてたパターンですか?

「お前は節度を守るということをしないのか」

そうですよね!玄関先で息子が彼女にあんなこと言ってればそう思いますよね!!

「親父……何で家に……?」

「忘れていた資料を取りに帰ってきたんだが…………面白そうな話をしてるじゃないかお前」

やべえ。言い訳の言葉が全く出てこねえ。
誤解だと言っても通じねーよな……だって俺が親父の立場なら息子ぶん殴るもん。

「京介、俺はお前を信頼していると言ったが…………撤回する必要がありそうだな」

ですよねー。

「お前には節度ある付き合い方というものを教えておこう」

725 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:02:41.12 ID:RuD1P4fAO

そう言って、俺を引きずりながら書斎へと連れて行く。
終わった……終わったよ俺……。はあ、短い人生だったぜ……。

「調子乗ってすみませんでしたああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」

その後――俺は土下座しながら三十分間みっちり親父のありがたい説教と拳骨をいただいたのだった。





「…………災難だったなおめー」

「くそう……元はといえばお前がからかってきたせいじゃねーかよ」

「いやいやおめーがあんなこと言うからだろ。自業自得乙wwwwww」

やっと解放された俺は、俺の部屋で加奈子と話していた。あー頭がまだ痛てえ……。拳骨もらいすぎて頭が割れるかと思ったぜ。

「で?そもそも何しに来たんだよ?」

「いやまー、特に理由はねーんだけどよー。しいて言うなら愛する彼氏の顔を見たかったって感じ?」

そんなセリフを照れもなく素直に言い出せるのはすごいと思う。裏表がないのがこいつの良いところなんだよな。

「お前の親父さんがいたから、『昼間から家にいるなんてついに仕事クビになったんすか!?』っつったらちびりそうになるくれー超にらまれたけどwwww」

「うおい!!もうちょっと裏表使い分けやがれ!!」

前言撤回だわ!こいつ演技してねーと怖いもの知らずにも程があんだろ!!

「マジでお前の親父さん怖えーな。お袋さんは何であんなのと結婚したんだ?」

「……それは高坂家七不思議のひとつだよ」

いやあと六つは知らんけど。適当だけど。

「それはそーとよ京介」

「ん?どした?」

加奈子の目が真剣な眼差しになる。
何だ?実は大切な相談をしに来たとか?あるいは何か重大な事態が起こったとか?

「あたしはおめーのことが好きだ」

「お、おう」

面と向かって言われると照れるな。

726 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:05:43.88 ID:RuD1P4fAO

「だから京介のことを全部知りてーと思ってるし何かあったら力になりてーと思ってる」

「そんなの俺だって同じ気持ちだ」

「つまりその……お前が望むなら何だってするしお前好みの女になる覚悟はあるんだからな////」

「ちょ……か、加奈子さん!?////」

急に色っぽい目つきに変わる加奈子に、俺の心臓がバクバクしだす。
まさか……さっきのあれを気にしてんのか!?

「なあ……わかるだろ京介ぇ////。お前も正直になれよぉ……」

加奈子は頬を赤くして上目遣いで迫ってくる。やばい本気だこいつ。

「い……いや俺はだな……っ////」

反則だろこんな態度とられたらよ……!沸き上がってくる本能を抑え込むのに精一杯だぜちくしょう。

「ごちゃごちゃ言うなよ……なあどーなんだよぉ?////」

「加奈子……っ」

「どーなんだよ京介ぇ……」

ダメだ。こうなったらもう、ロリコンだの何だの言われようが腹をくくって男になるしか――、




「だからどーいうことなんだよこれは?」




加奈子がとあるブツを突き出す。

『俺の弟がこんなにエロいわけがない アッー!!』

「這這這這狽ャゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

は、あ!?ちょっ……え!?なっなぜ加奈子がそれを……!!??

「正直に吐けコラ!!おめーはこういう趣味なんかよ!!??」

「か……加奈子さん?さっきまでのは……?」

「んなもん演技に決まってんだろ。なあ、何でこんなのがおめーのカバンに入ってんだ!?」

騙しやがったこいつ!!つーか人のカバンを勝手に見んじゃねーよ!

「ついさっき色々物色してたらよー、まさかこんなもんが出てくるとは思わなかったわ」

「いやぁ……違うんですよこれは」

くそっ恨むぞ赤城……!!

727 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:07:51.93 ID:RuD1P4fAO

「これよー、ホモいゲームだろ?」

「違うよ」

「まじで?」

「まじで」

何かほとんど同じやりとりが前にもあった気がする。

「じゃあよ、このシーンなにしてんの?」

「……ソーセージ食べてるんd」

「それはもういいわっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」

ごもっともです。そりゃ怒り心頭になるわ。

「あのよー、さっき言ったようにあたしはお前の好みに合わせるつもりだけどよー」

「……はい」

「男になれと?」

「違うんだって!マジで違うんだって!!」

とりあえず赤城は明日殺しておこう。こうなったのも全部あのバカのせいだ!

「どこが違うんだよ?」

「いいか加奈子、確かにこれはホモゲーだ。だが俺のもんじゃない」

大丈夫だ。ちゃんと説明して誤解を解けばいい。

「なら誰のだよ」

「親友から借りたんだ」

「……友達は選んだほうがいいぞ」

うん、俺もそう思う。

「そんなわけで俺はノーマルだから!あの野郎に『ぜひやってくれ』って頼まれただけで!!」

「んじゃ何か?元々これを買ったのはその親友なのか?」

「ああ」

よし、間違ったことは言ってない。

「お前の貞操……大丈夫か?」

「別に奪われてねーよ!!俺とそいつはそんな関係じゃねーから!!」

「はは……そそそそうだよな……?」

頼むから目を合わせてくれ!悲しくなる!

「いや向こうもホモじゃねーんだって!!あいつの妹がホモ好きで、自分の兄貴にやらせようとしたのが始まりで!!」

「兄貴にホモゲーをやらせる妹がいるかああっっっっっ!!!!!!!!!!!!」

いるんだよ。
あと似たようなのも隣の部屋にいるんだよ。

「嘘みたいに聞こえるだろうが本当なんだって!赤城の妹は腐ってるんだよ!」

「はあ?意味がわかんねーよばか!!日本語しゃべれや!」

「這狽ワた加奈子にバカにされた!!」

これも前にあったな!デジャヴかさっきから!?

「京介ぇ……引くわー。ほんとガチで引くわー」

「う……ぐ……」

どんな言い訳をしても聞いてくれそうにない。
確かに普通じゃありえねーもんなこの状況。見つかったのが親だったら即家族会議レベルだし。
728 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:11:26.27 ID:RuD1P4fAO

「何か……あたしが悪かったんかな……」

「ん?」

どういうことだ?

「こないだ妹モノのエロゲーを処分させたせいで……おめーはとうとうホモに走ることに」

「しんみりするな!!逆に辛いわそういうの!」

もしそうなら俺って最悪だな!ド変態にもほどがあるわ!!

「あたしの彼氏がこんなに変態なわけがない」

「やかましい!!!!」

このままでは一向に話が進まない。落ち着け、冷静になるんだ京介。

「……いいか?前にも言ったように、俺はロリコンになったからこんなもんに興味はねーよ!」

「!!?? ////」

「これは本当にダチから無理やり渡されたもんなんだ。俺はお前しか興味ねーからよ」

さあ……このカウンターは果たして効果あるか?

「そ、そーいうことならいーけどよぉ////」

おおっ、効いてるぞ!!

「前回の妹ゲーだってちゃんと他の奴(=変態妹)に渡したし、京介さんはいたって健全なんすよ」

「うーん……ほんとかぁ?」

よしっ、悩んでる悩んでる。

「大体、三次元にこんな超かわいい彼女がいるんだから二次元じゃ満足できねーしな」

「//////か……かわいいって当たり前のこと言ってんじゃねーよばか!」

いい感じだ!あともうひと押しだな!!

「俺が好きなのは加奈子だけだ。むしろエロ本なんかじゃ興奮できねー。お前が可愛いすぎるのがいけないんだぞ!」

「…………じゃあ今あたしにドキドキしてる?」




「おう!お前を見てるだけで超ビンビンだぜっっっっ!!!!!!!!」




「」

まさしく、開いた口が塞がらない状態の加奈子。
………………あれ??

「えーと……加奈子サマ?」

「な、なに発情してんだてめーーーーーーーっっっっ!!!!!!やっぱド変態じゃねえかああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!」

「さーせんしたあああああああああっっっ!!!!!!言葉のあやですううううううううう!!!!!!」




こうして俺は――さらなる弁明と土下座をしまくることになったのだった――。

729 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:14:09.03 ID:RuD1P4fAO

「…………というわけで納得していただけましたか?」

「なんだよー。なら最初っから言えよなー!」

ケラケラ笑う加奈子。いやもうね……怒る気力すらわかないよ俺。

「んじゃまーそろそろあたし帰るわ。変態に襲われたくねーしww」

「うるせえ!!」

冗談を言い合いながら、俺はそのまま加奈子を家まで送ってやった。





そして帰宅後――。

「ん?どうした桐乃?」

「あ、あんたの部屋にこれが……っ!!」←『例のブツ』所持。

………………orz。

「[ピーーー]!マジで[ピーーー]!!」

「京介……あんたの育て方をどう間違ったのかしら……」

「……よし、お前の歪んだ性癖を矯正してやる。歯を食いしばれっ!!!!」

「」 \(^∀^)/





俺の苦労はまだまだ終わらない――(泣)。



Fin

730 :てーる [sage]:2012/06/22(金) 18:15:36.29 ID:RuD1P4fAO

以上です。
未熟な点がありましたら今後精進していきます。

それでは失礼しました。
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/22(金) 18:49:58.80 ID:sjTGsUKdo
乙ー
クッソワロタwww

かなかなちゃんイイヨー
もっとイチャイチャさせていいのよ?
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/06/22(金) 19:15:05.37 ID:wzmZOLZAo
めっちゃ笑ったわ
おもしろかった乙
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/22(金) 21:03:49.03 ID:0hcvmQs4o
加奈子よりほとんど赤城ネタじゃねーか。
面白い、もっとやれw

734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/22(金) 21:29:44.58 ID:QRFBEViYo
ありがてえ…ありがてえ…

今頃新規の書き手さんが来るなんて、ここも捨てたもんじゃないな
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/22(金) 21:49:49.66 ID://sUCcpP0

マジで面白かったよ
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/22(金) 21:50:43.99 ID:A/NLcGA70
あー笑った笑ったwww
乙っしたー!!
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/22(金) 22:04:11.91 ID:AjyPmJH7o
いろいろと酷いなwww
所々セリフにネットのノリ(///で照れてる様子)とかが入ってるのが気になったけど、良い意味でアホらしくて面白かった

久々に俺妹SSで笑った
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/23(土) 00:57:38.03 ID:qFxDKelIo
ごぶさたしています、クリスマスの時あやせネタを書かせて
頂いた者です。

昨日あやせのキャラスレに書いた短い小ネタが、なぜか
意外に反響があり、時間切れ見切り投入だった所を幾つか
手直ししてみたものの、再投稿はいかがなものかと思い
こちらに投棄させて頂く事にしました。

あちらでは「コピペ改変?」とか聞かれていましたが、
オリジナルですww

京介×あやせ (結婚後もしくは寸前のひとコマ)
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/23(土) 01:00:06.71 ID:qFxDKelIo
「なぁ、あやせ。俺の鉄道模型、知らね?」
「・・・何でわたしに聞くんですか?」
「いや、桐乃のやつが、おまえの事こんなタイプだって言っててな」
http://twitter.com/kirino_kousaka/statuses/3073421965524992

「・・・別に必要ないじゃないですか、あんなオモチャ」
「何だよ。おまえ本当に棄てたのか? いくらおまえが永遠に俺の天使だからって言っても、
何でも勝手にしていい訳じゃないんだぞ!」

「わたしがいるんですよ? 電車の模型なんか見ないで、わたしを見ればいいじゃないですか!」
「いや、それとこれとは違うだろ。」
「だってわたしなら、DC12VもAC17Vも必要なしに、何度でもお兄さんの前をくるくる
エンドレスで回ってあげられるんですよ?」←かわいい

「くうぅっ。だがしかし、あやせ。おまえが捨てたのは、超めずらしい、近代化更新工事まえの
前面に排障器が着いていない貴重な姿をモデル化したものだ。おまえもモデルだと言うんなら、
同じようにスカートは外してもらうぞ。」
「意味が解りませんよ、お兄さん。」
「しかも、捨てられたのは1両だけじゃなく、後ろに客車が付いた15両フル編成だったよな、
当然、おまえの後ろにも何かたくさん連結してもらう事に」
「後ろは絶対に嫌だっていつも言ってるでしょう! ぶち殺しますよ!」
「仕方ない、今日のところは単行で我慢しておくが、あやせ。鉄道模型というのは、見て楽しむ
だけじゃなく自分で操作するという楽しみもあるんだぞ。例えば・・・スムーズに前後させたり、
タイミングを見計らってぴったり止めるには、こういう感じの微妙なつまみの操作が・・・」
「ひっ! きゅ、急に服に手を入れて来ないでください。何するんですか、」
「何って・・・。発車させるにはな、まず、直前の微妙な振動というか反応に注意を払いつつ、
右側にある速度調節ダイヤルのつまみやすいところを持ち、微妙に右か左にひねるようにして
ゆっくり動き出させる。これが一つのテクニックだ。」
「くぅっ・・・」
「そのままずっと単調に動かし続けていても飽きるだけだから、違う方向にも動かそうとすると
今度は左についている前後進切替スイッチの小さな突起を、指の腹でそっと押すようにしながら
前や後ろにスライドさせる」
「ふ・・・ふぅっ」
「ある程度自由にコントロールできるようになったら、次は電動ポイントの切り替えとかも」
「・・・あぁ、お兄さんのエッチな手がわたしの下まわりに・・・」
「この小さな突起のあるレバーを、今だというタイミングで、軽く上下に弾くように動かす!」
「うンッ!」

「どうだ?」
「うぅっ・・・。お兄さんはイジワルです。え、また、もう、今度は何を」
「扉が開きま〜す、扉にご注意下さい・・・くぱぁ。・・・ってな」
「・・・恥ずかしいですっ」
「これよりトンネル区間に入りまーす」
「あ!あ!あ! ・・・アンッ!」
「やっぱあやせは最高だな、少し入っただけで、まるで京葉線まで突き抜けるような快感が」
「何ですかそれは。あ、いやっ、そんな何度も分割併合されたらわたしの密着連結器が壊れ」

「・・・お急ぎ下さい。三番線と五番線、千葉から安房鴨川行き、当駅を発車しますー」
「えきをはっしゃ? お兄さん、今日は危ないから外房線で! て言うか解りにくいです!」



・・・今日はお兄さんに凄いこといっぱいされちゃった。
でも、結局わたしを許しちゃうお兄さんってどうなの? いい歳してまだ天使とか言ってたし。
あ、でも、わたしもずっと「お兄さん」って呼んでるんだからお互い様ですよね。

もし、お兄さんが大事にしてる、何とかっていう車のミニチュアも同じように隠しちゃったら、
今度はどんなことされるんだろう。模型の代わりにお兄さんの意のままに操縦されるのかな。
ふふっ。ドキドキしてきましたよ。

fin
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/23(土) 01:19:26.50 ID:XWfm/5mBo
乙!
オリジナルだったのか、天才紳士すぐるw
しかも長くなったw
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/23(土) 01:30:22.19 ID:2MrZTyMFo
あっちでも見たけどこれはひどいwwwwww(褒め言葉
このネタで薄い本はよ!
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/23(土) 07:58:33.17 ID:tqRZju2vo
乙www
これは酷いwww←誉め言葉

あやせたんの『大人のプッシュプル解放連結教室』はまだですか?ニヤニヤ
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/23(土) 08:34:39.71 ID:bEthiMa4o
うーん、面白いか?
俺妹である必要性がないね
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/23(土) 20:52:09.27 ID:vhw0h+M2P
あのスレに書かれていた完全版がここにあったとは……!
乙!

今更ながらここのスレを知ったぜ
関連SSが多すぎてちょっと把握できないんだが
作品の投下はここでいいんかな?
桐乃ネタなら違う場所でとかそういうルールがあるのか?
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/23(土) 21:32:56.50 ID:BBHDtnMi0
>>744

桐乃スレまとめwwikiもあるけどあっちは1レス完結の小ネタとか多いね
読み応えのある長さのSSだったらこっちの方が投下し易いんじゃないか?

投下間隔が空く様なら個スレを立てれば問題あるまい
746 : ◆SQ2Wyjdi7M [sage]:2012/06/24(日) 01:03:08.55 ID:TPid8TO+P
外部板に書き込むのは始めてなのでちょっとテスト
747 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage]:2012/06/24(日) 01:04:59.27 ID:TPid8TO+P
>>745
ありがとう! それなりに長いのでここに投下する
全て書きためてあるし、大丈夫だろう
なんかルール違反があったら教えてくれな

という訳で、俺の[田島「チ○コ破裂するっ!」]、外部板初デビューを始めるぜ!
748 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage]:2012/06/24(日) 01:07:19.53 ID:TPid8TO+P
ってうお!? なんか変換されてる、そうか、もして危険な単語があると変わっちまうのか?!
[田島「チ○コ破裂するっ!」]とか自慰とか

ちょ、ちょっと精査してくるわ
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/24(日) 01:08:12.80 ID:XIOq1T7Ko
メール欄にsagaって入れるといいよ
750 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [saga]:2012/06/24(日) 01:09:53.63 ID:TPid8TO+P
saga どれどれ

これでオナニーとか書いても表記されるのか?
なるほど、性的なものを見たくなければ、sagaをNGワードにする感じなんかね
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/24(日) 01:12:13.72 ID:XIOq1T7Ko
なぜかど ら え も んもNGだけどね
752 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [saga]:2012/06/24(日) 01:14:02.54 ID:TPid8TO+P
「お兄さん、桐乃知りませんか?」

 あやせからそんな電話が掛かってきたのは、夕刻。俺が自分の部屋でエロゲーを嫌々やっていた時だった。

「ん? 家には帰ってきてないが、どうした?」

 あやせの声色が、いつになく真剣味を帯びているので、俺もディスプレイから目を外し、電話に集中する事にした。

「いえ、ちょっと桐乃と一緒に買物をしてたのですが、少し目を離した隙に桐乃が消えてしまいまして……」

 あいつは子どもか。

「何か他に興味惹かれるものがあって、ふらふらと行っちゃったんじゃないか?」
「確かにそれも有り得るんですけど……、その場合でも暫くすれば戻ってきますし、その、携帯に掛ければ出てくれるんですが」

 有り得るのかよ、とのツッコミは心の中でしておく。

「今回は携帯にも出てくれない、と?」
「はい。というより、最初は呼び出し音が鳴ってたのですが、切られてしまいまして。今は電源が落とされているようですね」

 ふむ。あいつが電源を切る、ねえ。確かにエロゲーに集中している時とかは、たまに電源を切ったりしているようだが、果たしてあやせと買い物に出ていて、
そこで敢えて電源を落とす事は有り得るだろうか。……仮にメルルに完全武装した加奈子にでも遭遇でもして、加奈子に頼まれれば落とす可能性もあるだろうが、
余り現実的ではないか。

「分かった。俺からもちょっと掛けてみるわ」
「お願いします。特に怒らせた覚えはありませんが、わたしからの着信を拒否っている可能性もありますから」

 少し悲しそうに言うあやせ。安心しろ、着信拒否っている場合の応答メッセージは、電源が切れている時のそれじゃねえ。
それを他ならぬあやせに着信拒否された俺は学んでいる。

「大丈夫だっての。んじゃ、後でな」
「……お兄さん」
「ん?」
「今回、何か嫌な予感が、するんです。……桐乃を、どうか、お願いします」

 結果、桐乃には電話が繋がらなかった。そりゃ当然だ。電源を切っているのだから、俺からの着信だけ届く、なんて事は無かった。ただあやせが嘘を付いてない、
という証明にしかならなかった。
 まあ、たまたま電池がなくなって電源が落ちてしまっている、という可能性も充分考えられるし、別に大騒ぎする程の事じゃなく、
放っておけば自然と家に帰ってくるんじゃないかと思える。

 なら、何故、俺は今、こうやって大通りをあいつを探して走り回っているのだろうな。
 桐乃に電話が繋がらない事を確認した後、あやせにその結果を伝える為に電話を掛けた。
 この時も別に大事だと考えてなくて、どちらかというと不安がっているあやせに桐乃の代わりに謝罪をしてやって、そして不安さを取り除いてやろうという
目的だった筈だ。
 だが、俺があやせに切り出した言葉は、全く違った。

「あやせ。……桐乃と何処ではぐれた?」
「▲○□商店街です。あそこに桐乃がお気に入りの小物店がありまして」

 近所か。今は殆ど寂れてしまっていて、余り人気が無い商店街だ。
 嫌な予感が、する。

「分かった。ちょっと探してくる」
「お願いします。わたしも今、北側を探しています。お兄さんは家方面を探しながらこちらに向かってきてください。はぐれたのは5分程前です」

 なるほど。桐乃が家に帰ろうとしている可能性を考慮してか。適切な作戦だ。やれやれ、迷子捜索作戦、実行してやりますかね。

「おう、任せろ」

 というあやせとのやり取りをこなして、今、俺はこうやって走り回っている訳だ。
 あの電話から、既に30分。家に居たお袋にも、妹が帰ってきたら俺に連絡をくれるように伝えてある。未だに電話が無い事から、まだ家には帰ってない。
 あやせとも何度か連絡を取ったが、未だに見つけられてないとの事。
 当初の予定の、商店街から家までの間の捜索はもう終わっていて、結局見つからなかった。なので商店街を中心に、
桐乃がいそうな場所をひたすら見て回っている訳だが、まるで見つからない。

「くそ、何処行ったんだ、あいつは」

 嫌な予感だけが、どんどん増幅されていく。空が段々と暗くなっていく。太陽が完全に沈んだらもう手遅れな気がして、俺の気だけがどんどん焦っていく。
 ……心辺りは既に全て捜索した。だが見つからない以上、別の可能性を考慮する必要がある。つまり、桐乃が自ら失踪したのではなく、
誰かに連れて行かれた可能性だ。
 あいつはあれで、外見はとても魅力的な女性だ。身内の贔屓目じゃない事は、ファッション雑誌で活躍している事から、分かる。となれば、
不埒な事を考えた連中が、あいつを連れ去るなんて事も充分有り得るんじゃないか? あやせが防犯ブザーを持っているのも、
自分の魅力とそしてそれによる危険性をしっかりと把握しているからだ。だが桐乃が防犯ブザーとかを持っている所を見たことがない。
自分の魅力はしっかりと把握している癖に、そういう所には意識が弱いんだ、あいつは。
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/24(日) 01:16:12.41 ID:EqwvPlp7o
ちなみにsageとsagaはスペースを入れれば両方とも成立したはず。

sage saga
754 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [saga]:2012/06/24(日) 01:18:54.98 ID:TPid8TO+P
「くそっ! 見つけたら説教してやる、そんで防犯ブザーを持たせてやる!」

 あいつに馬鹿にされようと、防犯ブザーを持たせるという決意を固めながら、俺は駆けまわる。正直、もう体力的には限界だった。30分も全力疾走しているのだ。
足は立っているだけでガクガクしてくるし、呼吸もできているんだかできてないんだが分からないような有様だ。
 だが、俺の足が止まる事は無かった。
 
 どれだけ、探しまわっただろうか。
 もう太陽は、その身体の殆どを地面に隠してしまっていて、夕方が終わり、夜を迎えようとしていた。未だに、桐乃は見つけられていない。
 流石に体力の根を使いきってしまった俺は、近くの壁に持たれ掛かるようにして、休息していた。
 あやせはまだ探しているんだろうか。だとすれば、そろそろ帰らせる必要がある。これであいつまで失踪された日には、目も当てられない。
……正直に言えば、それであっても探して欲しかった。だが、……無理をさせる訳にも行かない。決意を新たに、あやせへと電話を掛ける。
 呼び出し音が鳴り響く間も無く、あやせが出た。

「あやせ、どうだ、見つかったか?」
「いいえ。そう言うという事は、まだそちらも見つかってないんですね」
「ああ。……あやせ。もう空も暗くなってきた。おまえは家に帰って――」

 そうあやせに伝えようとしたタイミングで、桐乃の声がした気がした。

「お兄さん、何を言ってるんですか! この状態で家に帰れる訳がないでしょう!」

 あやせの怒鳴り声が遠くで聞こえる。自然、携帯電話を耳から離していた。そして周囲を見渡す。
 周囲に人気は無い。寂れた倉庫街。だが辺りが暗くなって分かったが、一つの倉庫に電気がついている。そこの入り口には、男が二人立っているが、
どれも若い格好をしていた。警備員にしては格好が、全然らしくない。
 耳を澄ますと、その男二人が話している内容が、微かに聞こえた。

「……った…、兄…兄貴って…っせ…な、…の女」
「ほんとっ…ね。見て…れはすっげえ…が、性格……対…にすっげえ…よ…」
「ああ。った…、リ…ダーも妙な女に…をつけ…もんだぜ」

 ―――。
 気付いた時、俺は二人を黙らせていた。
 頬と腹が痛い。殴られたのだろうか、分からない。ただ、俺の足元で、二人が呻き声を上げて倒れている。手が痛い。だがそれよりも俺は倉庫の中を気にしていた。
音を気付かれただろうか。それなりに騒いでしまった気がする。だが、幸いにして倉庫の壁は厚そうだ。扉の前でさえ、中の声が微かにしか聞こえない。
という事は逆も然り。こちらの音は殆ど聞こえてないという事だ。
 ……中で幾ら騒いでも周囲に気付かれる事が、無い倉庫か。

 ギリッ、無意識に歯を噛み締める。そして、扉の隙間から、中を覗く。
 隙間からだけじゃ倉庫の全容は掴めないが、中々の広さがあるようだ。隙間から見るだけでも、男の姿が複数見える。十人は超えていそうだ。
中には、金属バットのようなものを見ている奴も見つけられる。
 そしてその中心で、男が一人の女を押さえつけていた。
 カッ、と視界が真っ赤に染まる。知っている、その女を俺は知っている。

 両手に力を篭めて俺は扉を開く。重い扉、だがそんな事はどうでも良かった。
 俺の考えている事は唯一つ。
 俺の妹から、その薄汚ねえ手を離せ。

 扉が、開く。すると、一斉にその集団がこっちを向く。
 推定通り、十数人。どれも高校生ぐらいの男だ。同じ髪の色が無いんじゃないかというぐらいに、各々髪を染めている。
一見して、不良と分かる格好をしているそいつらは、突然の闖入者に、怒気と殺気を向けていた。
 不思議と、恐怖は無かった。俺はその空間に、そのまま足を踏み入れる。無論、桐乃に向かってだ。近づくにつれて、桐乃の姿がしっかりと見える。
この集団では珍しく、髪を染めてない、だが一目でヤバそうだと分かる男が、桐乃を抑え込んでいる。……まだ桐乃の服は、乱れていない。
だからといって何もされてないと判断するには早計だが、少し安堵する。少なくとも、何かされたという確定では、無いからだ。

「おい、テメエ! なにもんだコラ! 誰の許可を得てここに入ってきてんだァッ!?」

 連中の一人が騒ぎ出す。しかし、ガン無視。視線すらくれてやる必要がない。
 ただ、妹の元へと歩いて行く。
 桐乃も、俺の存在に気付いたようだ。目が驚きに見開かれている。
 俺は桐乃に声を投げる。

「ったく。この迷子が。くそ探したぞ。……ほら、帰んぞ」

 場にそぐわないぐらい、普通の口調で、普通の音量で。俺は桐乃に話しかける。

「なっ……あ、あんた、状況分かってんの!? な、なんでここに……つか、に、逃げて!」

 妹が理解不能な事を言っている。訳が分からない。逃げる? 何を言ってるんだ。
 ここで逃げられる筈が、無いだろう。

755 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:20:58.35 ID:TPid8TO+P
「……おい、オマエ、なにもんだ?」

 桐乃を押さえつけていた男が、その体制のまま、俺へと話し掛けてくる。無視しても良かったんだが、その拘束が邪魔だった。だから俺は返事代わりに、殴りかかる。

「……なにもんだ、って聞いてんだが?」

 俺の全力の拳を簡単に受け止めて、男は鋭い目付きで俺を睨む。だがそんな目付き、妹の切れたときの方が、数倍怖いな。

「……そいつの、兄貴だ」

 俺は、質問に答える。黒髪の男は、それで状況を察したらしい。ニヤリと不敵に笑み、嗤う。

「ハッ――、これがその『兄貴』ってやつか! ハハッ! 兄貴が助けに来る、なんてほざいてるからどんだけ屈強な奴が来んのかと思ってたが、全然喧嘩慣れしてそうにねえ、ショボイ野郎じゃねえか! おい、兄貴? 大丈夫か、ションベンちびってねえか? ほら、尻尾巻いて帰れよ」
「……。桐乃、リアに勝てるか?」

 目の前で俺を嘲笑う男を睨みつけながら、俺は桐乃に言う。
 俺のその言葉に、桐乃は一瞬、呆然としていたが、直ぐに意図を悟ったらしい。ちらりと俺の背後を見る。しかし、桐乃は、「で、でも」と口を動かした。
 言わんとしている事は分かる。俺をここで置いていく事は出来ないとでも言うつもりなのだろう。だが、それは余計なお節介だ。

「けっ、ホントかよ。また負けるんじゃねえのか? ちげえってなら証明して見せろ」

 ただその言葉だけを返す。

「ついでに、救助要請、頼むわ」

 桐乃は俺の言葉を聞き、それでも一瞬迷った後、瞳に決意を宿した。あたしに任せて、と瞳が語る。俺はその瞳をちらりと横目で確認する。
 黒髪の男が俺の視線に気付き、桐乃へと視線を向ける。
 その瞬間を狙って、俺は全力で男へとハイキックを放った。

「……ぐっ!」

 それが見事、男の顔面へと当たった。見たか、あやせ仕込み。それを合図に桐乃が身体を起こし、その起こした反動をそのまま、推進力に変えて、疾走する。

「なっ!」

 黒髪の男が、慌てた様子で桐乃を掴もうとする。逃げる事ぐらいは想定していた筈だ。
 桐乃と出口の間にさり気なく身体を割りこませていた。だが、想定外だったのが、桐乃の脚力だろう。瞬きの間に、身を起こし、そして一気に疾走したのだ。想定よりもずっと早く。
 だからその手が宙を掴むのは必然だった。
 また周囲の連中も、想定外だったのだろう。事態をニヤニヤとしながら見つめていた連中が、慌てて桐乃を掴もうとするも、速度をガンガンと上げていく桐乃は、俺が歩いてきた道が塞がる前に、一気に駆け抜けていく。まるで疾風の如く。
 考えられる想定外は、2つ。桐乃の脚力。そして、こんな状況で全力疾走が出来るという事。
 手馴れてそうなこいつらなら、こういう場面、恐怖に彩られた人間が、全力を出せない事を知っているだろう。足元がもつれて転ぶ様さえ見たことがあるかも知れない。
 だが桐乃は、全く躊躇するまでもなく、全力で駆け抜けていった。俺の挑発が、少しは効いたのだろう。普段の仲の悪さも、こういう時は役に立つ。
 数人が、そんな桐乃を追いかけようとしているのを気配で感じ、俺は大声を張り上げる。

「ハッ――、おいおい、あのクソ女のケツを追いかけようっての? 趣味わりいな、つか、わりいけどアイツ、既に俺のだから。何度も何度も兄とエッチして、もう数えきれねえぐれえじゃね? んで病気持ち。んな危険なオンナを追いかけようってんだから笑えちまうよな――」

 精一杯憎たらしく、嗤ってやる。

「ホント、バッカじゃねえの?」

 周囲の殺気が膨れ上がる。へっ、上等だぜ。俺の本気を見せてやるぜ。
 
756 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:22:06.94 ID:TPid8TO+P
//

 全力で、走る。それが、今のあたしに出来る精一杯。
 いつもは走っていると途中で頭が真っ白になって、そして凄く心地よくなる。あたしにとって都合の悪い現実を出しぬいたような気分が味わえて、この瞬間だけ、あたしは開放された気分になる。
 けど、今は違った。気持ちだけが焦っていく。もっと早く前にと、焦ってしまう。罪悪感と焦燥感でごっちゃになって全然気持ちよくならない。

「くっ、なんだっての!」

 それでも足を止まらせない。走る。兄貴に証明してみせる。そして――一秒でも早く、兄貴を助けに行かなきゃ!
 カバンは置いてきた。持ってくる余裕なんて無かった。というかどこにあるか分かんなかったし。だから、あたしは走りながら、助けを呼べる手段。公衆電話を探していた。
 背後はまるで気にしていなかった。誰かが追いかけてくるなんて、想定してなかった。だってあたしの足に追いつく人間なんていないし、……兄貴が、俺に任せろという表情をしていたから誰もあたしを追いかけさせないと分かっていた。普通に考えれば、十数人を相手に、そんな事が出来る筈が無いのに。
 つか、あいつ、馬鹿、ホント馬鹿、なんなの、なんでなんでなんで。
 涙が出そうになってしまう。走らないと行けないのに、口から嗚咽が出てしまう。駄目だ、考えちゃいけない。置いてきてしまった兄貴を、今は忘れる。そうしなくちゃ、引き返したくて堪らなくなってしまう。それじゃ駄目だ、あたしじゃ、兄貴を助ける事が出来ない。
 でも、思考が止まらない。ぐちゃぐちゃになる。いろんな葛藤があたしの中で渦巻く。走らなきゃ、走らなきゃ、走らなきゃ――。
 普段の練習が、あたしの足をもつれさせること無く進めてくれる。だがそれはとても、リアに勝てる速度じゃなかった。これじゃ、兄貴に証明出来ない。それは嫌だ。だから、走る。兄貴に見返す為に。証明する為に。
 恐らく、走ってまだ一分も経ってない所で、あたしは足を止めた。バテた訳じゃない。思考も呼吸も滅茶苦茶だったがたった1分走っただけで、バテてしまう程ヤワな鍛え方はしていない。ただ、視界の先に人が見えたからだ。それも自分の知っている人。こんな暗闇でも、ひと目で分かる。

「……あやせ!」
「桐乃!」

 そうそこに立っていたのはあやせだった。そしてあたしの姿を見つけるや否や直ぐに駆けつけて、抱きしめてくれる。孤独に震えそうだったあたしの身体は、温かい人の体温で癒された。
 だからだろうか、涙がぼろぼろとこぼれ落ちていく。

「あ、兄貴が、兄貴が……!」

 泣きじゃくりながら、必死で兄貴の現状を伝えようとする。
 あたしを見つけて喜色をあらわにしていたあやせの表情が、一気に硬くなる。

「お兄さん? お兄さんがどうかしたの?」
「あいつ、あたしを助け、て、今、何人も居るのに、あの馬鹿、囲まれて、あたしを、逃がして、今、今……!」

 駄目だ。思考が纏まらない。あやせに兄貴を置いて逃げたと思われてもいい。あたしとしては、兄貴を助ける為であってもそうは映らないだろうから。軽蔑されてもいい。それでもいいから、早く、現状を伝えたかった。

「状況は分かりました。桐乃、この携帯を使って」

 あやせがあたしに携帯を渡す。

「既に沙織さんと黒猫さんと麻奈実さんには声を掛けてあります。警察にも、要請は掛けてありますが、余り動いてくれていません。そんな深夜でもない為でしょう。ですが、こんな状況で動いてくれる警察の人をわたしは一人知っています。あいにく、連絡先を知らなかったのですが」

 あやせが言っている一人が、あたしには分かった。番号を調べるまでもなく知っている。

「……分かった、掛けてみる。ありがとね」

 あやせにお礼を言いながら、携帯を掛ける。その先は、当然、兄貴と同じぐらいに頼りになる、人物。
 あたしのお父さん、その人だった。
757 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:24:16.54 ID:TPid8TO+P
//

「ぐっ!」

 呻き声をあげて、地面に突っ伏す。その突っ伏す間でさえ、身体の至る所に衝撃が走る。
 周囲の連中が、聞き取れない勢いで、何らか罵倒を向けてくる。嘲笑するものも居る。いらっ、とは来るがどうしようもない。色んな方向からの暴力に、太刀打ち出来る筈もなかった。

「がっ! く、は……!」

 痛い。痛い。痛い。全身が焼けるように痛い。じんじんと熱を持った痛みが、無視しようとする俺に存在を主張する。
 痛みから逃れようと身体を起こすも既に腕に力が入らない。まるで自分の身体じゃないような感覚。自分の腕が、ただの重りにしか思えない。
 俺、死ぬのかな、と考えてしまう。
 痛いのに、痛いのに、徐々に痛みから遠のきそうになる。思考がどんどん冷静になっていく。まるで自分の身体と精神が分離していくような感覚。
 色んな事が、頭を駆け巡っていく。楽しかった、毎日。騒がしかった、毎日。ほとんどの場面に桐乃の姿が浮かんだ。桐乃……、あいつ、ちゃんと逃げれたかな。
 逃げれたなら、俺の人生、そんな悪くなかったと思えるのに。
 ゴメンな、桐乃。そんないいお兄ちゃんじゃなくてよ。でもさ、今、割と誇らしいんだ。だっておまえを逃がせただろう? 少しは兄らしく思ってくれたのかな。
 兄貴って、呼んでくれるのかな。

「り、リーダー! それ以上やったらいくらこいつでもヤバいって!」
「うっせええ!! 俺の顔面に蹴りをくれやがったんだぞ、コイツは! 死なす、ぜってえ死なす!」

 周囲が騒がしい。でも不思議と静かだ。もう、世界が閉じていこうとしているのだろうか。
 瞳を閉じたら、もう痛みから開放されそうだ。

「く、くっくっく! コイツをぶっ殺して、そして今度こそあのクソオンナを捕まえてやる、そして精神ぶっ壊して、便所扱いしてやんぜ、ははははっ! オレサマに歯向かった罰だ!」

 ……。

「あン?」

 俺の手が、そいつの足を掴む。

「ざ、けん、な……!」
「こいつ、まだ動けんのか!」
「死にぞこないが!」

 その手を、複数の暴力が引き剥がそうとする。
 なめんなよ? 死んでも離すものか。

「俺、の妹に、手を、出す、ん、じゃねえ」

 呪い殺すぞ、と睨みつけてやる。

「……!」

 複数の暴力が、一瞬止まった。ざわめきも、静まり返る。

「……、っ、けっ、なに凄んでんだ、っての!」

 その静まりを無かったようにしようと、黒髪の男が俺の手を蹴りあげたタイミングで、
 ガガガ、と扉が開く音がする。
 まさか、桐乃が戻ってきたのか? と、俺は目を見張る。
 周囲も扉の方へと目を向けているのが分かる。
 人が邪魔で、扉の方がまるで見れない。
 そして複数の人間の駆ける音。

「ッこんの……!」

 聞き覚えのある声。何故か頬が痛くなる。しかし、ここでありえない声だった。

「お、お兄さん、聞こえますかっ!」

 あ、あやせ……!
 な、ななな、なんでおまえがここに!
 暴力が止まっているのもあって、俺は無理やり身体を起こし、声の方を見やる。
 そこには、華麗なるハイキックを決めて、速攻で一人をノシているあやせの姿があった。

758 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:26:09.49 ID:TPid8TO+P
「ふっ……どうやら、貴方達、本気で死にたいようね。良いわ、私の本当の力、魅せてあげるわ」

 目を赤く光らせて、異様な雰囲気を醸し出している姿も居る。黒猫だ。というか、おまえ、戦闘能力皆無だろ、今直ぐ逃げろって!
 直ぐに捕まってしまうだろうという俺の予想に反して、周囲はそれなりにビビっているらしい。黒猫に近寄ろうとしない。そして、黒猫がなにやらをぶつぶつと唱えながら、一人の男に手を向ける。
 この状況でハッタリをかませるなんてどんだけ度胸が座ってんだ、と俺が半ば感心した所、異変は起きた。
 黒猫がその男に手を向けると同時、男はびくっと後ろに飛び退いた。ビビりすぎだろ、と思った所で、ガィン! と轟音が鳴り響く。呆気に取られている俺の前で、男のひぃ、という情けない悲鳴が聞こえた。男の今しがた居た空間に砂煙が上がっている。そして、その場所をよく見ると、鉄骨がその場に突き立っていた。上を見るに、幾つもの鉄骨が置かれておりそこから落ちてきたのだろうと推測出来る。

「…………、ふ、ふっ。こ、これが私の力よ」

 嘘つけ! どう考えてもおまえの腰が引けてるわ! つか、嘘だよな、ホントに? た、偶々だよな?
 俺が違う意味で戦慄していると、また違う声が響く。

「ほっほお、流石は黒猫氏。見直しましたぞ!」
 見直す場面じゃねえだろ、ビビれよ、自分の友達がよう分からん力を発揮してんだからさ!
「ですが、拙者も負けておりませぬ。見よ、この力を!」

 そう言って、手にしていたモデルガンを男の集団に向けた。そして銃口を引く。
 モデルガンから何かが飛び出し、男の集団の前で何かが弾けた。映画で聞くような音よりはもっと乾いた音ではあったが、銃声のような音に似ていた。
 も、モデルガンだよな?
 全力で引いている俺。沙織がωな顔を向けて、頷く。いや、モデルガンじゃねえだろ、それ!
 ヤダよ、友達が犯罪で捕まんの!?
 大いに連中がビビっている。そりゃそうだろう。数として、以前連中のが上回っているが、質が違う。明らかに異質な三人組だった。
 だが、ビビってはいるものの、女連中だと甘く見ている部分もあるのか、一気に取り押さえれば、どうにかなると考えているのか、男達の行動がじりじりとしたものに変わる。
 くそ、もうこの場に桐乃は居ねえよ、早く逃げろ!
 そう叫びたくても、声が出る程に身体は回復していなかった。
 そして、そこに新たな声がした。

「きょうちゃん? あ、居た。もう、探したんだからねー?」

 余りにも場違いな声。間延びした、俺をどこまでも安心させてくれる声。

「ま、麻奈実」

 そう、この声は麻奈実だった。全身から力が抜けていくのが分かる。この険悪な殺気立った戦場で、そこから一歩も動いていないのに、今だってその場にいるのに、この安堵感はなんだ。

「まったく。だめだよ、こんな場所に一人で来ちゃ。ちゃんと、冷静になって、大人の人を連れてくるの。分かった?」

 周囲なんてまるで見えてないかのように、麻奈実は真っ直ぐ俺へと歩いてくる。
 周囲の連中も、呆気に取られたように動きが止まっている。
 連中の視線を一身に受けながら、しかしその全てを受け流し、麻奈実はゆっくりと俺の元へと辿り着く。

「あーあ。ひどい怪我。痛いでしょ。もう、本当、男の子はこれだから」

 わたしの弟も、よく怪我してくるよ、と言いながら、俺の頬を撫でてくる。
 それだけで、俺の目から涙が止まらなかった。

「……ま、麻奈実」
「うん。何? ……きょうちゃん。よく頑張ったね。あとは、任せて?」

 麻奈実にどうこう出来る連中じゃない筈だ。こいつは完全にそういう戦闘能力的な何かは持ってない。運動だって得意じゃないぐらいなのだ。なのに、何故だろう。もう既にどうにかなる事が俺には分かっていた。だって、俺は知っている。こいつは、本気で怒ることはない。けど、本気で怒った時、どれほど恐ろしいのか。

「……きょうちゃんを、こんな目に遭わせたのは、あなたたちですね?」

 麻奈実は、静かに周囲に声を投げかける。
 声を向けられた連中は、動揺しながらも、頷く。

「なら、わたしはあなたたちを許しません。ぷんぷん」
 場違いな台詞。でも、自然にその言葉は周囲に溶け込んで、
「だから、罪を償ってください」

 そう言い放った。同時、倉庫の扉が更に開け放たれる。
 半開きだった扉が、完全に開かれ――。
 そこに立つ、複数の大人の姿。一見して分かる。どれも警察官の格好をしていた。
 そしてその中心に立つ、何故か着流しを来ている、まるで極道さながらの姿。
 余りに鋭い眼光を放ちながら、その男は俺を視線で捉えると、言った。

「この馬鹿息子が。こういう時は、初めに警察を呼ぶものだ。一人で突っ込んでいくなど、愚の骨頂」
 そう言うと、しかし口の端を上げて、言葉を続ける。
「だが、よく桐乃を逃した。それでこそ、俺の自慢の息子だ」

 ……ああ。桐乃、ちゃんと逃げ切れたんだな。
 そして、最強の味方を呼んできてくれた。
 俺の意識が、急速に遠のいていく。これで、全て大丈夫だと確信して、気が抜けた。
 親父が、指示が飛ばす。一斉に、警察官が野郎連中を取り押さえていく。
 あやせも黒猫も沙織も、怪我はないみたいだ。
 頭に、温かい手の平を感じ、俺は安堵する。
 俺、頑張ったよな?

「うん。きょうちゃんは、頑張ったよ」
759 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:27:02.74 ID:TPid8TO+P
 それから、次の日。
 俺は病院のベッドで目を覚ました。
 目を覚ました時、麻奈実と黒猫が居て、俺の顔を覗き込んでいた。
 俺が目を覚ました事に、麻奈実は素直に喜びを表し、黒猫は静かに笑っていた。
 さっきまで、あやせが居た旨、これから沙織が来る旨を教えて貰った。
 ……桐乃は、来てないのか。
 べ、別に妹に来て欲しかった訳じゃない。ただ、無事な妹の姿をしっかりと見て安心したかった。
 沙織もやってきて、30分程話して、そろそろ面会時間も終わるとの事で、皆が、帰っていった。
 それなりに怪我を負っていたようだが、骨折というレベルのものはなく、一週間程度の入院で済むらしい。
 妹が見舞いに来ないなら、俺が本当の意味で安心出来るのはまだまだ先だな、と思っていた所で、ドアが開いた。

「……具合、どう?」
「……そっちも、どうだ。なんか、されなかったか?」

 開いたドアの先、そこには俺が会いたかった人物が立っていた。いつも通り、垢抜けた格好。ひと通り見た所、怪我はなさそうだ。

「別に……。あ、あんたが助けてくれたから。何もされてない。ちょっと、手首が痛いぐらい、カナ?」
「そうか……。手首、見せてみろよ」
「う、うん」

 桐乃は、俺の寝ているベッドの横まで来て、俺に手首を見せる。若干、赤い。未だに後が残っているという事は、結構痛いんじゃないだろうか。

「おい、桐乃、どうせ病院に居るんだからちゃんと医者に見て貰えよ? 痛いだろ?」
「う、うっさい。大丈夫だって。あたしは、怪我なんてしてない。そういう事なの」
「どういう事だよ」
「いいの、あたしが良いって言ってんだから、納得しなさい。分かった?」
「へいへい」

 ったく、人が心配してんのに。まあ、明日には跡が消えてそうな感じだし、大丈夫だろうとは思う。つか考えてみれば、昨日の状況からして、既に簡単な診察は受けているのかも知れないしな。
 ああ、そうだ。言おうとした事があった。

「桐乃、ありがとな」
「へっ……!? え、なにが?」

 俺の台詞が予想外だったのだろう、きょとんとした顔を向けてくる。

「いや、親父呼んでくれただろ。助かったわ」

 あれ以上の助っ人は無いだろう。色んな意味で。

「べ、別に礼を言われる事じゃないでしょ。つか、礼を言うのは、……あたしの方だし」

 顔を背けて、桐乃は呟く。

「あ、ありがとね」
「お、おう」

 素直な桐乃の謝罪を聞いて、少し照れてしまう。
 別にこいつに礼を言われたくてやった訳じゃないが、嬉しく思う。
 本当、良かった。こいつとこうして話せる事ができて。
 それだけで、今回の苦労は全部チャラになる。
 

 病院の扉を背にしながら、兄妹の珍しい素直な会話に耳を傾ける。
 素直だけど、全部は晒していないわね。
 彼が病院に運ばれたその日、付きっきりで面倒を見てた癖に。
 泣きじゃくりながら、断固としてその役目を他の人に譲らなかった癖に。
 十数人に囲まれて、死ぬほど怖くて、虚勢も持ちそうになくて、そこにやってきてくれた彼の姿を見て、凄い安堵した癖に。
 十数人居るのに躊躇せず自分の元に歩いてきてくれた事が、とても嬉しかった癖に。
 ……本当、莫迦よね。そして、彼はきっと今回の自分は駄目だったと反省するのでしょう。
 貴方以外の誰が、十数人に囲まれていた状況から、あの女を無傷で助け出せると想っているのかしら。
 私だって、同じ状況ならそれでも足を踏み入れたかも知れない。けど、無傷で助け出せるとは到底思えない。
 足だって竦んでしまうし、そんな躊躇いもなく入り込めるとは思えない。
 ……その点で言うと、あの狂戦士も躊躇なく入っていったわね。
 桐乃のためじゃなく、その兄の為に。まさか、あの女……。
 ……。まあ、仕方ない、のかしら。
 彼が、妹の為に無様に駆けずり回る姿を、彼女も見てきたのでしょうから。
 ふっ、いいわ。ライバルは多いほど、燃えるってものよ。
 そう考え、私は病室を後にする。本当は、花瓶の水を変えようと思っていたのだけど。
 二人の時間を邪魔する程、野暮ではないしね。
 全く。そうね。あの男を助けようとした皆の姿を思い浮かべて、私はこう思う。
 この作品に名を付けるとしたら、こうかしら。
 

 親友の兄貴が、こんなに格好いワケがない。
760 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:29:35.70 ID:TPid8TO+P
なるほど、エロパロスレとは色々と仕様が違うんだな
一行の文字数制限が大きいのと、改行数、バイト数も増えてる
流石はSSスレと言ったところか


という訳で、投下終了!
王道展開で書いてみたぜ!さあ、とくと俺のオナニーを味わうがいい!

教えられた通りにsageも入れてみたが、ちゃんとsageられてるのかが不安
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/24(日) 01:36:54.91 ID:XIOq1T7Ko
乙〜
王道でいいと思う
あと個人的にいえばコメントもうちょっと言葉使い気にして欲しい
762 :或る災難 ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 01:41:59.67 ID:TPid8TO+P
>>761
悪い、気をつけるぜ
余り卑猥な言葉を書くなって解釈でいいのかな?
或いは丁寧語を使うべきという事だろうか

何にせよ気をつけるわ。郷に入れば郷に従えって言うしな
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県) [sage]:2012/06/24(日) 01:44:02.12 ID:wE/venHCo
おもしろかった
こういう人がいるとやっぱり楽しめるなー

次も期待して構わんのだろ(チラッ
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/24(日) 02:28:53.91 ID:5yEf3y5Jo
あやせ強いw黒猫はまさかの能力者展開かと思ったわw

二期に向けてここも盛り上がっていって欲しいね。
次回作も期待してます。乙
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/24(日) 06:55:35.60 ID:x+EuSqMTo
電源を切る
電源を落とす

何度も出てくるこの不統一が気になったわ
電話を切る、もあったから、落とすに揃えた方がいいね
766 :おとめ座のヘンタイ [sage]:2012/06/24(日) 07:30:58.35 ID:rkXWwDZT0
>>762 乙!  >>745です

まとめwikiに編集してうpしたので見て下さい。

>>765 の言っている事や改行が無く長すぎる文があるのが気になったけど今回はそのままうpしました。
気になる部分や要望があったら教えて下さい。
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 10:25:41.43 ID:xn6DANW9o
乙!

俺の親父がこんなに格好良い訳がない
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 12:04:20.96 ID:grW/0MOYo
>>760
乙!

王道展開で最後は助かると分かっててもハラハラしたよww
看病中の桐乃とか京介退院後にデレる桐乃の続編を期待しとくww
769 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/24(日) 14:16:22.81 ID:TPid8TO+P
感想をありがとう!
表記の不統一は、全く意識してなかったですね
今後投下する時に意識してみようと思います

やはり改行は必要ですか
余り改行をすると投稿が何レスにも跨ってしまうので減らしてみたんですが
それで読みにくくなってしまうのは本末転倒ですからね
考慮の余地がありそうです

機会があれば、今回の補足ストーリーでも書こうかと思います
気を長くお待ち頂ければと
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 23:35:25.36 ID:9noqXG+DO
はじめましてこんばんは。ほのぽのしたものを書かせていただきます。
たぶん2レスくらい。
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 23:37:38.91 ID:9noqXG+DO
深夜3時、草木も眠る丑三つ時―

五更家の廊下をふらふらとさまよう白い影がひとつ―

幽霊だと思った?ざんねん、珠希でした。

珠希はふらふらと、ねぼけ眼でおトイレに行ったはいいけれど・・
これこれたまちゃん、そっちは違うよ、そこは瑠璃姉さまのお部屋だよ。

「んー・・。」ごそごそ
「ん・・む・・。」
「むふー・・♪」

あらあら。たまちゃんはごく自然に姉さまの寝床へ潜り込んでしまいました。

無理もありません。年少さんくらいまでは、
ずっとこうして姉さまに添い寝してもらっていたのですから。

姉さまもそのときの事を夢うつつに思い出したのでしょうか、
「・・たま・・・き・・・」きゅっ

姉さまの両手はたまちゃんを優しく包み込んでいました。

「えへへ・・♪」

まだまだたまちゃん実は甘えたい年頃なのでしょう。


その頃、やはり廊下をふらつく、小鬼のような影が・・。日向でした。

日向もやっぱりねぼけ眼。
なぜか迷わずルリ姉の部屋へ。

「・・・・。」

お姉ちゃんに抱かれてすやすや眠るちいさな先客が。

「んー、たまき・・・・ずるいよ」

半分以上無意識にもぞもぞと侵入しようとする日向。
仕方ないのかなんなのか、愛しい姉の背中から潜り込もうとします。

「・・・・えへへー・・・・」

少し狭い布団ながら、なんとか姉妹三人、変則的に川の字になり、
三匹のねこはすやすやと眠りについたのでありました・・・・。



・・そのはずでした。

772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 23:40:18.99 ID:9noqXG+DO

致命的なミスは、日向が絶望的に寝相が悪いということだったのです。

げしっ。
姉の背中に蹴りを入れ、
「んー、・・」

ぐにっ。
姉のほっぺをつかんでは
「ぐっ、うー・・」

べちっ
姉の顔面にいい感じで回し蹴りをいれては
「むぐぅ・・」
「くらえーブラックジャキガー・・・・」
どうやら日向、夢の中ではお気に入りのバトルアニメの悪役と戦っている模様。
ブラックジャキガーがどんなかって?
うん、それルリ姉様に似てるかもってうっかり言ったら、
その日のおかずがちっさなイワシ一本になったくらい、そんな感じ。

ルリ姉は起きはしないものの、反撃に出ます。
ごすっ。
まずはヒジが落ちます
「・・・・へっぐ!」
「・・・このクイーンに・・・使い魔風情が・・・・逆ら・・・・」
夢の中でもルリ姉はルリ姉でした。

「・・・ふっ・・・灰燼に・・・・なりなさ〜ぃ・・・・」
ルリ姉はどうやら何か魔翌力攻撃をしているようですね。
結局はただの掌底が飛びます。
げしっ!
「・・けー・・おー・・」


いっぽう、反対側の手にだっこされたままのたまちゃんは
「・・・・ごろごろ・・なー・・」
夢ではねこさんになっていたようです。


〜〜〜〜朝〜〜〜〜


・・・・あぁ、ひどい寝起きね・・・・
うん、珠希が布団にもぐりこんでいるのは良くあることよ。

しかし日向までこの部屋で、
ありえない角度で寝転がっているのはどういうことかしら?

・・なんだか、おぼろげに、
子猫を抱きながら安っぽいザコキャラと
戦っていた夢を見た気がするのだけれど・・

それより、この子達の朝食を用意してやらなければ、ね。


〜〜〜〜で〜〜〜〜


「おはようございます、姉さま」
台所で朝食を作っていると、珠希が起きてきた。
この子は寝起きもすっきりしている。朝からちゃんとはきはきと挨拶もできているわ。

「おはよう、珠希。そろそろ日向も起こしてあげなさい。」
「日向おねえちゃんはもう起きてますよー、だいたい。」

その後ろからのそのそと日向が出てきた。

日向のほうは寝起きがひどく悪い、これは私に似たのかしら。
みるからにまだ半分以上眠っているようね。

「う゛ー・・あ、おはよう珠希・・
あ"、ブラックジャキガーだー・・」

私を指さして妙なことを口走ったこの瞬間、日向の朝食は急遽
ニンジンたっぷりのサラダとピーマン炒めに変更されることが決定した。


〜おわり〜
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 23:46:42.46 ID:9noqXG+DO
以上です。
たまにはこんなSSがあってもいいんじゃないか位の感じです。
初めて来るのでお見苦しいところもあるかもですが生暖かく見逃して下さい。
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/06/25(月) 00:50:25.94 ID:RsexU09Ao
>>769
エロパロスレの方も含めて原作踏襲したいい話書いてるなぁと素直に感心しました。
最近投下無かったから余計に嬉しい
今後の投下にも期待しちゃいますよ!
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/25(月) 00:54:42.58 ID:QD7LrlKJo
乙乙
五更家は毎晩こんな感じなのかなぁ。
珍しいほのぼのとしたSSで良かったです。

……桐乃を投入したらひどいことになりそうだw
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/06/25(月) 00:56:37.01 ID:RsexU09Ao
うをっちとタイミング悪かった、スマソ…

>>773乙!
こういうほのぼの系な話もいいなあ。 あぁ珠ちゃんかわいいよ珠ちゃん
原作じゃ地味な妹呼ばわりされてるけど、やればできる子なんだって俺は知っているよ
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 01:01:42.48 ID:6Nb/pih/P


ココ最近覗いてなかったらいくつか投下されてたのね
どれもよかった

日向はゲームでもヒロインになれなかったし、原作の扱いも
なんだか初期の沙織のように便利キャラ扱いになってしまっていきそうな気がしてならんのよな
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 20:04:41.48 ID:IzSRv2FDO
ひなちゃんたまちゃんを攻略対象にしたら京介がリアル犯罪者になってしまうw

KKさん「あたし女だから一緒におふろ入っても無問題よねウッヒョーゥ!!!1!」
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/26(火) 10:57:32.40 ID:463w9G4Fo
>>773
乙!いいSSダナー
終わり方好きだ

しかし最近の投下ラッシュはどうしたんだw
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/27(水) 01:14:47.55 ID:c8a5gRWHo
あやせ「1レスでSSですか」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340713112/
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/27(水) 02:54:07.57 ID:/fgZFdSPo
お疲れ。即興モノであれだけ書けるのは大したもんだ。
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/27(水) 04:37:28.18 ID:gKxs8SMfo
時々天才が現れるな
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/27(水) 07:30:52.57 ID:w45HOP3n0
10巻ラストを受けてあやせ派が大躍進する予感
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/27(水) 16:15:50.61 ID:ZIIIol3eP
>>780
既に落ちてて見れなかったぜ
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/27(水) 16:56:19.24 ID:gKxs8SMfo
>>784
タイトルでググればまとめサイトで見れるよ
786 :或る妹の選択  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/28(木) 02:14:05.68 ID:MCVMc+adP
こんばんは。また一つ、作品が出来ましたので投下させて頂きます
内容としては7巻のとあるイベントの裏を想定してます
ネタバレ部分を含んでるので、7巻を読んでからお読みください

では投下します
787 :或る妹の選択  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/28(木) 02:17:11.71 ID:MCVMc+adP
「おや、奇遇ですね」

 爽やかな声で、あたしに声を掛けてくる、爽やかなイケメン。

「…………」

 対して引きつった表情で、声にならない悲鳴をあげている、可憐な美少女のあたし。

 ここは、アキバのエロゲーショップ。
 当然、周りにはピンクな世界が広がっていて、あたしの手には新作の妹ゲーが握られていて、しかもそれを見つめてニヤニヤを抑えられないで居る所を、こうやって声を掛けられた。
 場にそぐわない程の爽やかオーラを放ちながら、視線の先で御鏡さんが言う。

「桐乃さんも、買い物ですか? おお、それは新作の『あたしの兄貴がこんなにエロいわけがない』じゃないですか。
妹ゲーにしては珍しい、妹視点の物語。確か、同居しているお兄さんが、実は鬼畜で妹を脅迫していく物語でしたよね。中々悪くない作品でしたよ」

 まるで、有名なアーティストのCDに対して、その新曲の良さを説明しているような、口振りだったが、その実、ただのエロゲー批評だった。

「そう、そうなの! いや、あたしもさ、無いのかなーって思ってたんだよね。妹視点のゲーム。
やっぱさ、揺れる妹の心とか、知りたいし。また、可愛いんだわ、この健気な感情っていうの? あ、ネタバレ禁止だから。あたし、体験版しかまだやってないからね」
「了解。気をつけておきます」

 御鏡さんは優しく笑いながら、頷いてくれる。どこかの馬鹿とは全然違う。
 あいつだったら今頃うんざりしたような顔で「へいへい」とか返してる事だろう。

「ふふん、やっぱあんた、見どころあるよね」
「これはこれは。桐乃さんに評価されるなんて嬉しいですね」
「うんうん、あたしの弟子にしてあげようか?」
「あはは、それも悪くないかも知れません」

 和気藹々とトークを繰り広げられる。
 ある程度、話題が進んだ所で、ここで話し続けるのも人目が不味いので、という事で、近くの喫茶店へと場所を変える。

「そう言えば、あんたってシスシスやったんだっけ?」
「はい。あれは神ゲーですよね」
「そう、神ゲー! でさ、あんたはどのシーンにぐっ、と来たわけ?」

 あたしの質問に少し考えこむようにして御鏡さんは黙りこむ。
 今、彼の脳内では数々の名シーンが繰り広げられているのだろう。

「……やはりここですね。定番になってしまいますがりんこルートの」
「別れのシーン、だよね?」
「はい。もう、あのシーンは凄い感動しました。今でも思い出すだけで涙が出そうになってしまいます」

 実際、御鏡さんは目を潤わせていた。

「分かる。分かるよ、その気持ち。あたしもそうだから、さ」

 うんうん、と頷いてみせる。今、この瞬間、御鏡さんとあたしは同じ気持ちを共有していた。
 それから延々とエロゲートークを繰り広げる。黒猫も沙織も別にエロゲーに対して批判はしてこないんだけど、そこまで詳しくない。
 だから実際、エロゲの話題が出来る相手というのは居なかった。
 そういう点もあって、あいつにエロゲーをやらせてたんだけど、御鏡さんと会えたし、無理にあいつにエロゲーをやらせる必要は無いのかもしれない。
 ……そう考えた時、何故か心がちくんと痛んだ。

「あれ、桐乃さん。どうかしたんですか?」
「え、な、なんでもないケド、どうして?」
「なんかお兄さんを思うりんこみたいな顔してましたよ」

 ギクリ。

「な、何いってんの、全然違うし。つか、一緒にしないでくれる?」

 御鏡さんは中々鋭い。けど、確かにあの馬鹿の事を考えていたけど、りんこりんみたいな恋慕なんてあたしは抱いてないワケで。
 りんこりんみたいな表情をあたしか浮かべるわけがない。

「……。はい、分かりました」

 御鏡さんは、少し黙り込んだ後に、頷いてくれる。
 素直でいい人だ。これも、あいつとは違う。
 あいつなら……、と思考に耽ったところで、外の景色に気付く。
 空が少し、赤みがかってきている。
 もうそんな時間か。

「結構、話し込んじゃったみたい」
「ああ、本当です。楽しい時間は、あっというまですね」

 ……楽しい、時間か。

「ま、まあ、あたしも楽しかったし。また今度、付き合いなさいよ」
「はい。喜んで」
788 :或る妹の選択  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/28(木) 02:19:57.75 ID:MCVMc+adP
 御鏡さんは笑顔で頷く。そして、そのまま言葉を続けた。

「あの、桐乃さん」
「ん、何?」
「僕と付き合ってくれませんか?」
「え、今から?」
「はい」

 唐突なお誘いである。どこか良いエロゲショップでもあるのだろうか。
 しかし、あたしには門限がある。

「今からだと厳しいかな。今度じゃ、駄目?」
「え。ああ、いや、そういう意味ではなく」
「……?」
「男女の付き合いとして、付き合ってもらえませんか?」

 …………え。え、えええええええ?!
 ちょ、まだ、出会ったばかりでしょ!?
 ま、まだお互いもよく分かってないし……。

「駄目、ですか?」

 何かの冗談かとも思ったが、御鏡さんの表情は真剣だ。
 思い立ったら直ぐ行動。これが彼の行動の規範なのだろう。
 危なっかしくもあるが、同時に、男らしいとも思える。
 嫌いじゃないポイントだ。

 そこで、あたしはもう一度、御鏡光輝という男を観察する。
 容姿……は合格。性格も、合格。趣味も一致しているし、あたしの趣味も受け入れてくれている。財政力もあるし、既に働いている大人な、男性だ。
 この人なら、デートでもあたしをきっと満足させてくれる事だろう。
 あたしに難癖を付けられるような真似はしない筈だ。

 改めて見ると、あたしにとって理想に近いような男性だった。
 正直、彼以上にあたしの理想を満たす人、というのが早々居るとは思えない。
 そう、全然駄目じゃない。今、あたしがこの告白を受け入れるだけで、理想の人との関係が、今始まると言える。
 ただ、はい、と頷けば、それで手に入るのだ。

「ごめん、なさい」

 でもあたしは断った。
 頷くという選択肢は、あたしの中に結局、最後まで出てこなかった。
 答えは単純。御鏡さんでは、あたしはドキドキしなかった。
 心がときめかなかった。ざわつきさえしなかった。
 今、この場で、御鏡さんが誰かとイチャツイたとしても、あたしの心にさざなみ一つ、立たない事が分かっていた。
 それに――

「……他に好きな人が?」
「別に、……いないケド」

 首を振ってみせる。

「桐乃さん。……僕は真剣に告白をしたつもりです。それで、その回答が桐乃さんの答えですか?」

 ……鋭い言葉だった。
 嘘をついている、と指摘されたようなものだ。
 そうだ。真剣に挑んできた人がいるのであれば、こちらも真剣に対応する。
 それが、あたしの規範だった。

「ごめん。真剣に答える。……好きな人、かどうかは分からないケド。あんたに告白されて……頭に浮かんだ人なら、居る」

 だから真剣に答える。嘘、偽りなく。

789 :或る妹の選択  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/28(木) 02:22:10.31 ID:MCVMc+adP
「その人は、僕より、格好いいですか?」
「世間一般で見れば、あんたの方が百倍格好良いと思う」
「それでも、桐乃さんにとっては違う」
「…………」

 それは確認作業のようだった。

「その人は、僕より、優しいですか?」
「全然。あんたの方が、全体的に優しいよ」
「それでも、桐乃さんにとっては、物足りない」
「…………」

 あたしの中の曖昧が、徐々にくっきりとされていくような行為。
 御鏡さんは続ける。

「もし、仮に」

 今までとは違う切り口で、しかし質問をぶつけてくる。

「僕が桐乃さんのお兄さんだったとしたら、僕を好きになってくれましたか?」

 御鏡さんが、お兄さんだったら。
 想像してみる。スーパーマンのような兄。そして優しくて、頼りになって。
 それはそれで、とても幸せな兄妹になっただろう。

 冷戦のような兄妹関係にはならなかった筈だ。

 あたしの悩み事も、もっとスマートに解決してくれただろう。
 顔に痣なんて作る事もなく、親を説得してみせて。
 あたしの友達に変態と罵られる事無く、仲を取り持って。
 今よりも綺麗に、物事を解決してくれていただろう。

790 :或る妹の選択  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/28(木) 02:22:57.80 ID:MCVMc+adP
 でも、それじゃ今のあたしは、満足しない。
 その姿を、格好いいだなんて思えない。
 だから、答えは決まっている。

「それは、無理」

 そもそも、あたしの兄は一人だけだから。

 そもそも考えるだけ無駄な質問。
 そして、考えた所で無駄な質問だった。

 格好悪く、無様で、頭悪くて、情けない、ケド、ずば抜けて格好良いのが、あたしの兄なのだ。
 他人の為に動いてる時だけ、兄の眼は生き生きとした目になる。
 とっても馬鹿になるけど、それでもとても優しい兄になる。

 他の兄なんて要らないし、あいつが兄じゃないなんて嫌。
 それが、高坂桐乃の揺るぎない回答だった。

「そうですか」

 御鏡さんは、あたしの回答を聞いてすっきりした表情をしている。
 余りショックを受けているように思えない。

「……あんた、まさかあたしを試した訳じゃないよね?」

 それだったら殺すけど。

「とんでもない。本気です。ですが、薄々と結果は分かってました」

 さらりと御鏡さんは、そんな事を言う。
 嘘。え、それって、バレてたって事?

「桐乃さんは、分かりやすいですから」

 …………。ムカつく。けど、結果が分かっていたというのは本当っぽいし、それならただ図星だったというだけで、怒れない。

「…………」

 黙りこむあたしに、御鏡さんは優しい表情に、少し悲しい色を混ぜた瞳で、大事な事を言った。

「桐乃さん。……あなたのお兄さんは、きっと、あなたのお兄さんである事を、辞められない。だからきっと、いつか不本意な形になってしまうと思いますよ」

 何を言っているのだろう。あたしは、あいつが兄じゃないと嫌なのだ。

「……分かってる」

 なのにあたしの口は勝手にそう答えた。何故か、胸がズキリと痛む。
 それでも。

「……僕の言いたいことは以上です。それでは、もう一つの話をしましょうか」

 あたしは、立ち止まる訳にはいかない。

「もう一つの話?」

 あたしは御鏡さんを見る。
 ……そうか、ここまで、結果が分かっていて。ここからの結果も分かっていて。
 その上での、忠告だったのか。

「はい。桐乃さん、僕に何か頼みたいことがあるんじゃないですか?」
「ホント、あんたって見どころあるよね。……ごめんね」

 振った相手に何を頼もうというのか。
 けどこの振られた相手も、自分を振った相手に頼ませようとするんだから、実は底意地が悪いのかも知れない。

「あたしと、付き合ってくんない?」



 どう転ぶか、それは分からない。
 だけど、せめて転ぶなら前向きに。
 躓くことが分かっているのであれば、前に飛ぶように。
 そうすれば、ゴールに少しでも近づける筈だから。
791 :或る妹の選択  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/06/28(木) 02:24:43.16 ID:MCVMc+adP
これで終わりです
もしかしてこんなやりとりがあったのかなとか想像して書いてみました

少しでも、なんかそれっぽいとか思って貰えたら幸いです
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 02:29:14.32 ID:Gzbo2N5tP
乙〜

リアルタイムに見れたのはコレが初めてかな

それっぽいやり取りは思い浮かべたことあるけど御鏡の告白は想定外だったから新鮮だった
桐乃好きの自分にとってはこの辺りは今でも胸が苦しいから色々きついんだよな
桐乃も京介も嘘つきでホントにもどかしい
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/28(木) 03:58:17.51 ID:zU9Qpsoco

こういうサイドストーリーみたいなの好きよ
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 05:47:10.12 ID:alMz5NoDO
イイネ…
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 11:41:26.86 ID:cJnqgUOp0
>>791 乙! >>793 同意

原作に一番勢いがあった頃を思い出した
こういう良作が出てくるとスレにも活気が出てくるから大歓迎だな
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/06/28(木) 16:51:02.49 ID:rvF6wYC1o
時系列的には10巻の京介が一人暮らししててあやせが食事を作りに来ている頃、
のネタ思いついたんだが投下してもいいだろうか。
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 16:54:35.14 ID:MCVMc+adP
>>796
駄目な理由が無いかと
あやせが好きなので、むしろ投下してくれ
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/06/28(木) 16:55:23.48 ID:rvF6wYC1o
>>797
悪い。
あやせはほとんど空気なんだ。
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 16:55:51.75 ID:MCVMc+adP
ああ、あやせネタとは限らんのか…
まあ、それでも楽しみな事には変わりない
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 16:57:08.18 ID:MCVMc+adP
>>798
おおお…あやせネタは自分で書くか…

何はともあれ、どうぞどうぞ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/06/28(木) 17:26:35.78 ID:rvF6wYC1o
いま読み返してみたら、あやせはさほど重要ではないってだけで、空気って程ではなかった。
ていうか、オチがひどい。
もう少し推敲してからにする。
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/28(木) 22:19:37.78 ID:tupO1qQto
>>791
思い返せば、あの辺って割と唐突な展開だったから、こうやって別視点を想像すると楽しいね
また頼んます
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 22:50:52.57 ID:MauUtOQ2o
>>791
乙!

桐乃の揺れ動く気持ちが伝わってくるようですごく良かったよ。
こういう桐乃視点のちょっと切ないSS好きだわー。

それにしてもエロパロ板の方と同時に投下とか凄いね。
どっちもクオリティ半端ないし。
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/29(金) 22:58:53.64 ID:zrnkjjcqo
>>780を見て思いついたネタをひとつ

桐乃「ねえ、今日のオカズは何がいい?」

京介「きのうはあやせだったから、今日はおまえにすっかな」

桐乃「………………」


おしまい
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/29(金) 23:48:34.48 ID:bKD0SA3I0
>>804 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

京介にとってもはや桐乃は主食なんじゃないか?
そしてオカズが黒猫とあやせ・・・

うん、京介は俺たちのためにも「偏食」を治した方が良いな
806 :或る二人の夜 1/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:22:40.40 ID:LhEJpQT/P
 俺は勉強をしていた。
 参考書を片手に、頭を悩ませながら一つ一つ、難題を解いていく。
 わざわざ幼馴染に聞かなくても、殆どの問題が解けるようになっていた。
 
 ……別に誇るようなものでない事ぐらい、分かっている。
 寧ろこの時期に全然問題が解けないようじゃ、アウトなんだから。
 しかし、あの一人暮らしを経て、俺は確かに成長したんだと思う。

 以前の俺なら、直ぐに勉強に飽きて雑誌を片手にベッドで転がっていても可笑しくない。
 A判定を取った事に調子乗って、サボり始めている頃合いだっただろう。
 
 だが、今の俺は違う。
 ごくごく自然に勉強しなきゃと思い、特にスケジュールを組んでる訳でもないのにこうやって勉強をし続けている。
 俺の中に、勉強という習慣が確かに根付いているのだ。
 
 ふぉおおおおおお! 神ゲーキタコレ!!
 
 勉強というのは分からないとただの困難でしかないが、分かるようになってくると割と面白くなってくるものだ。
 昨日まで分からなかった場所が、今日は分かるようになっていたりする。

 ふひひ、カナちゃあん。ほらほら、照れないでよぉ。

 そういう点じゃ、勉強もゲームと似てるかも知れないな。

 あ、そういう事言っちゃう? もう、カワイイんだからっ。

 そう、実に可愛くて……

「っておい!」

 参考書から顔を上げて、桐乃の部屋の方へと向く。

「何騒いでんだ、桐乃! おまえ、俺が戻ってきた事忘れてんじゃねえだろうな!」

 俺が居ない間はさぞかし、楽園の様に人目憚らず過ごせただろうが、今はそうは行かねえぞ。

『あ、そうか。あんた居たんだった』

 本気で忘れてたのかよ! おい、泣くぞ! 俺泣くからな!
 くそ、必死こいて勉強して戻ってきたと思えばこれだ。
 勝手に部屋は改造されてたりするし、戻ってこない方が良かったんじゃねえの?

 ……まあ、いい。これで桐乃も少しは静かになるだろう。
 再び参考書に目を落とし、次の問題へと取り掛かる。

『お、お兄ちゃん。だ、駄目だよそんなことっ!』

「いや、駄目なのはてめえだっ!! つか、俺が要望したのは静かにしろって事であって、ゲームのボリュームを上げろって事じゃねえ!」

 近所に聞こえてたらどうすんだよ! 真っ先に疑われんの俺なんだぞ。

 はぁ……。ったく、ホント、なんで帰ってきたんだろうな、俺。


 
 何だかんだで邪魔が入りつつも、受験生として3時間程勉強をしていた所で、外からする音に気付いた。
 そういや、今日は暴風雨だとか言ってたな。台風よりは酷くねえんだろうけど。
 
 チラと窓から外の様子を見てみる。
 …………。
 台風さながらの荒れ模様だった。

「げげ……不味いかもな」

 今日は、親父もお袋も親戚の法事だとかで二人とも留守をしている。
 恐らく妹は外の様子に気付いてないだろう。
 あいつはあれで結構怖がりだから、外の荒れ模様を知ったらあんな騒がしくゲームに没頭なんて出来ないだろうからだ。
 
 つまり、この家の安全は俺に掛かっているという事だ。
 仕方ねえ。雨戸でも閉めに行くか。
 そう考えて参考書を閉じて、立ち上がろうとした所で、ゴウッ、と家を揺らすような突風が外を吹き抜ける。
 そして、プツ、と視界が闇に染まる。
807 :或る二人の夜 2/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:23:16.93 ID:LhEJpQT/P
「……またかよ」

 停電だ。そして、この家の停電はそう珍しくない。確か、一、二年ぐらい前も停電があった。
 あの時も確か、桐乃と俺の二人きりだった。
 あの頃は今よりずっと仲が悪く、無視しあってる関係だった。
 あれから、大分変わったよな、関係。

『ちょっと、ロード長くない?』
「おまえは現実に帰って来いっ!」
『あれ、なんでこんな暗いの?』

 今頃気付きやがった。どんだけ集中してゲームやってんだよ。

『ちょ、ちょっとあんた! い、居るんでしょ?』

 …………。
 少し悪戯心が働き、黙ってみる。

『な、何黙ってんのよ』

 …………。

『め、眼鏡を掛けたまま――』
「うおおおおおおお! 居る、俺はここに居るぞ!」

 ま、まだ覚えてやがったかこの女! いい加減忘れろよ!

『ね、ねえ、これ停電?』
「ああ、そうだろうな」
『そ、そうだろうな、じゃなくて何とかしなさいよっ!』 

 イラッ、おまえが質問してきたから答えてやったんだろうが。
 ったく。

「わーってるよ。今から下に降りてブレーカーとか見てくっから待ってろ」

 こういう時に備えて机の中に常に懐中電灯が入ってるのだ。
 どうよ、この俺の防災意識。偉くね?

 懐中電灯の明かりをつけて、早速下に向かう事にする。
 部屋を出ようと扉に手を掛けた所で、声がした。

『あ、あんた、行っちゃうわけ?』
「そりゃ行かねえと見れねえだろ」

 まさかこの場に居ながら見ろなんて言わねえよな。
 黒猫みたいな闇の力なんざ俺にはねえからな。

『あ、あたしも行く!』
「? なんで?」

 せっかく俺が見に行ってやるって言ってるのになんで付いてこようとすんだ?
 いつもみたいに偉そうに待ってりゃいいのに。

『うっさい! いいから! あたしも行くの!』
「へいへい。じゃあ勝手に付いて来いよ」

 まあ、どっちでもいいしな。俺の行動は変わらねえし。

『む、迎えに来てよ!』

 ……。どうやら、行動を変えざるを得ないようだ。
 
 
 桐乃を迎えに行ってやり、そして下へ。
 途中、階段で桐乃に突き飛ばされそうになりながらも、無事降り切り、ベランダの雨戸を下ろす。
 
「なんで俺を突き落とそうとすんだよ。俺、何かしたか?」
「ちがっ! あたしはその、掴もうとしただけで……」
「掴もうとしただけでなんで突き落とす事になるんだ?」
「ちょっとイラッときて」
「なんでだよ! 意味分からねえよ!」

 こいつの兄貴をもう何年もやっているが、相変わらず思考が読めねえ。

「うっさい! と、とにかく次はブレーカーでしょ。ほら、先進んで!」
808 :或る二人の夜 3/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:24:27.44 ID:LhEJpQT/P
 …………。
 いらっと来たから桐乃に仕返ししてもいいよな。
 カチ、と懐中電灯の電源を切ってやる。
 途端、辺りは完全な闇に包まれた。

「……ッ!!」

 桐乃が慌てる様子が分かる。ふっふっふ、懐中電灯を持っているのは俺ひとり。
 この部屋を暗くするも明るくするのも俺次第という訳だ――
 
 ガスッ!

「がっ!」

 こ、こいつ、暗闇の中で正確に俺の足を蹴ってきやがった!
 いや、違う、これは金的狙い。恐ろしい奴、あと数センチずれていたら、死んでたぜ……。
 
「あ、あんたねぇ……!」

 暗闇の中で聞く桐乃の怒声は中々どうして迫力があった。

「わ、悪かったって。そこまで怖がるって思わなくてよ」
「こ、怖がってなんかないしっ!」

 ……どこが?
 さっきから俺の服の裾をしっかりと掴んでるし、不安げな表情を浮かべてたし、つまりは怖がっているって事だろ。
 部屋で一人で残リたがらなかったのも、一人で居るのが怖かったからだろうし。

 しかし、ここで追求しても面倒臭いだけだ。適当に納得してやる。
 
「へいへい、分かったよ。おまえは、怖がってない。俺なんて居なくても一人で解決出来ただろうよ」
「…………」

 俺がせっかく納得してやったのに、桐乃は黙り込んだままだ。
 ったくまだ不満があるってのか?
 
「…………から」
「あん? 何か言ったか?」
「……何でもないし」

 相変わらずよく分からねえ妹様だ。
 まあ、いい。そろそろ懐中電灯の電源を入れてやる事にしよう。
 
 カチ。
 あれ?
 カチカチ。

「……何してんの?」
「いや、懐中電灯つけよーとしてんだが点かねえんだよ」
「ど、どうして?」
「んー、電池でも切れたのかね?」

 もしそうだとすると、少々厄介だ。
 なんせ、全くの暗闇。この中で新品の電池を探しだす事は困難だ。
 
「どうすんのよ?」
「と言われても……どうしよう」

 どうしたものか。
 何か接触不良を起こしてる可能性を考えて、懐中電灯を振ったり、軽く叩いてみる。
 だが、一向に電源が入る様子がない。
 
「さっきまで普通に点いてたじゃん。電池が切れてって、いきなり消えるもんなの?」
「うーん、どうだろうな。懐中電灯が消えるシーンなんてそんな遭遇しねえしな」
「ちっ……使えない奴」

 うっせえな。
 そもそも今回の停電において、おまえの方が全く役に立ってないからな。

 しかし、こんな真っ暗闇で桐乃と喧嘩をしてもメリットがあるとは思えない。
 寧ろデメリットだらけだ。ここは、協力して事にあたる必要があるだろう。
 
「そんで、おまえは何か良い案はねえのか?」
「はっ? ここで妹を頼る、フツー」

 いや頼るだろう。何、トラブルは兄が全て解決しなくてはいけないみたいなルールがあんの?
 悪いが、おまえの兄はそこまですげえ奴じゃねえぞ。
809 :或る二人の夜 4/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:24:56.60 ID:LhEJpQT/P
 ぶつくさ文句を言いながら、しかし桐乃は何か良い案がないかを考えているようである。

「……あ、そうだ。ふふん、いいこと思いついたから感謝しなさいよね」
「感謝するかはそのいいことってのを聞かせて貰ってから決める事にするぜ」
「あんたって面倒くさいよねー」

 おまえに言われたくねえよ!
 
「で、どんなことを思いついたっての?」
「聞きたい?」
「……聞かせろよ」
「もうしかたないなー。そんなに聞きたいってなら、教えてあげなくもないケド」

 うざっ!
 しかし、耐えろ俺。ここで怒ったりした方が事態がややこしくなる事を学べ。
 
「聞きたいです。いいから早く教えろっての」
「ちっ、なによその態度。まあ、イイケド。教えてあげる」

 暗闇で表情は見えないが、どんな表情をしているかは分かる。
 ムカツク表情だ。
 
「こんな時の為に、あたし、ケータイにライトのアプリインストールしておいたのよね」

 用意周到でしょ、と桐乃がふんぞり返っているのが気配で分かる。
 ライトのアプリというのがよく分からないが、懐中電灯代わりになる機能があるって事だろう。
 
 つか、考えてみればそんなアプリが無くても携帯つければそれなりの光源になるんじゃね?
 くそ、安易に光源イコール電球と考えてしまっていたぜ。こいつは桐乃を馬鹿に出来ないな。
 ま、するんだけどな。
 
「なるほど、桐乃。実に素晴らしい意見だ。さて、そういうからには今手元にはおまえのiPhoneがあるんだよな? さあ、出してくれ」
「え、あるのあたしの部屋だけど」

 ……さて質問です。
 今、俺達はどこにいるでしょうか。
 そう、一階のリビング。ベランダの辺り。
 
 ここから光源もなしに桐乃の部屋まで戻るってのはちょっと厳しいよな。
 勝手知ったる我が家とはいえよ。

「いいアイデアではあるけどよ、そもそも部屋に戻る事自体が難しいだろ。
 それするぐらいなら、ここでおとなしく電気が点くまで待っておいた方が良くねえか?」
 
 慎重に進んでいけば、部屋まで辿り着く事は可能だろう。
 しかし、リスクは高い。誤って花瓶とかを落としてしまいかねないし。
 こういう時の行動が新たな二次災害を生む事というのは往々にしてあるのだ。
 
「て、停電が直るとは限らないじゃん。そしたらどうするわけ?」
「そんときは、朝まで待てばいいだろ。朝になりゃ明るくなんだからさ」
「あ、あんたと一緒に一晩過ごせって?」

 そんなに嫌そうな声で言うなよ。俺だって別に望んじゃいねえんだしよ。
 つか、前に一緒にエロゲーやって一晩過ごさなかったか?
 
「嫌だってなら、頑張って一人で自分の部屋まで戻ってみせるんだな」
「…………」

 俺の言葉に、桐乃は黙りこむ。
 実際、怖がりだから桐乃が一人で行くなんて事はしないとは思うが、同時に負けず嫌いなので、行くとか言い出す可能性はある。
 その時は覚悟を決めて、俺が取りに行くしか無い。
 
「……わかった」

 しかし予想に反して、桐乃は素直に頷いた。
 
「良いのか?」

 自分で言っておいてなんだが、余り名案とも思えないぞ。他にもいい手がある気がするんだが。
 
「……別に、あんたと一晩過ごすの、嫌じゃないし」
「…………」

 桐乃の言葉に、少し俺の頬が赤くなっているのが分かる。
 暗闇で良かった。これなら俺が照れてるのが見られる事は無いだろう。

 しかし、桐乃からこんな言葉が聞けるなんてな。前の停電の時とは大違いだぜ。
810 :或る二人の夜 5/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:25:23.81 ID:LhEJpQT/P
「そんじゃ、取り敢えず座るか」

 大体の位置は分かっている。先ほどまで見えていた訳だしな。
 あたりをつけて、その部分に手を伸ばすと思い通りの手応え。ソファはここにある。
 
「ほれ、桐乃。ここにおまえがいつも座ってるソファがあんぜ? 座れよ」
「……あんたはどこに座るわけ?」
「俺もいつも座ってる一人がけのソファに座るよ」

 兄妹とはいえ、余り密着されたくもないだろうしな。
 最悪、一晩過ごすとなるとここで眠る可能性もある。
 その時、二人がけのソファで一人の方が桐乃も眠りやすいだろうという考慮だった。
 
「あ、あんたも」
「あん?」
「あんたも一緒に座りなさいよ、このソファーで」

 しかし俺の気遣いに反し、桐乃はそんな事を言ってくる。
 
「いや、でもな?」

 俺が仕方なしに気遣った部分を説明してやろうとする前に、桐乃の言葉が割り込んでくる。
 
「あんたが何を考えているか、それは分かってる。その事には感謝してるケド。でも、あんた、決定的な事を忘れてない?」
「決定的な事?」

 つか俺の気遣いに気付いてたのか。
 
「……今の季節を考えなさいよ。そして停電って事は、暖房も使えないわけ。
 さっきまで暖房つけっぱだったから、今はここまだ温かいケドさ。これからどんどん冷えてくんでしょ?
 それだったら、例えあんたでも近くに居たほうが暖房代わりになるってワケ。分かった?」
 
 ……なるほど。
 考えてみればその通りで、寧ろそんな単純な事すら思いつかなかった自分が恥ずかしくなる。
 
 となると、この案ももう一度一考してみた方が良さそうだな。
 確かに近くに人がいればそれなりに温かいが、冬の厳しさを乗りきれる程ではない。
 桐乃はそれを覚悟しているようだが、それで風邪を引かれても困る。

 去年も桐乃、風邪引いちゃってたしな……。
 
「悪い、考えが足りなかった。確かに、寒くなっちまうな。やっぱ俺、2階行ってくるわ。
 おまえの部屋のiPhoneじゃなくても、俺の携帯でもそれなりの光源にはなるだろうしな」
「はぁ? なんでそうなんのよ。あ、あたしが大丈夫って言ってんじゃん。いいからここに居なさいって」
「いやけどよ、絶対寒いって。風邪引いちゃ溜まったもんじゃないだろ」
「…………」

 桐乃は黙りこむ。納得した、という事か。

「とりあえず桐乃は、ここで座って待ってな。ちゃんと戻ってくるから安心しろ」

 何か起こるか分からない。花瓶とか食器とか落とした時、怪我するのは一人で充分だ。
 また桐乃が置いていかれたとか不安がる可能性も考えて、戻ってくる事も強調した。
 これで桐乃が俺を止める事は無いだろう。
 
 ソファに桐乃が座った事を確認した後、大体の目星をつけて、リビングのドアを目指そうとした所、俺を止める手があった。

「桐乃……、裾を掴まれてると行けないんだが?」
「あ……ご、ごめん」

 桐乃は謝るものの、裾を離そうとしない。
 なんだ、まだ納得してないってのか?
 
「どうした、まだ何か不安なのか?」
「…………」

 俺の質問に対し、桐乃は応えない。真っ暗で見えないが、恐らく俯いているのだろう。
 暫し待ってみるが、黙りを決め込んでしまっているようで、言葉が発される事がない。
 いっそシャツだけ脱いで行ってやろうか、だなんて考えていたところ、漸く声が聞こえた。

「…………さいよ」
「あん? なんだって?」

 小さすぎて、桐乃の声が聞き取れない。ただ俺の返答にムカっと来たのか、桐乃が顔を上げている気配がする。
811 :或る二人の夜 6/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:26:01.20 ID:LhEJpQT/P
「あんたがあたしを温めればいいでしょ、って言ったの!」
「……温めるって、どうやって?」

 なんだ、俺には実は手から炎でも出せる能力でも備わってるとでも言うのか?
 
「……ッ! 〜ッ! あ、あんたってホント……ッ!」

 俺の疑問が桐乃は気に食わなかったらしく、声に怒気がはらむ。
 しかし怒られたって分からないものは分からないんだから仕方がなくね?
 
「あ、あんたが、あたしをその……、だ、抱きしめたりすればいい、でしょっ!」

 …………。
 今、なんつった?
 
「わ、悪い。桐乃、よく聞こえなかった。なんか、俺が桐乃を抱きしめろ、なんて事が聞こえた気がするがああ分かってる、これは俺がシスコンだからだな。悪い悪い、でもう一回言ってくれ」

 そんな提案を桐乃がする筈がない。幾ら兄妹って言ったって、流石にそういう事はNGだろう。
 しかし、桐乃は暗闇の中で俺の胸ぐらを正確に掴むと、恐らくは至近距離でこう言った。
 
「あ、あたしを抱けって言ってんのっ! 
 ほ、ほら、冬山で遭難した人が、お互いの体温で乗り切ったりするの映画とかで良くあるでしょ!?
 あれよ、アレ!」
 
 ……言わんとする事は分かったが、桐乃、それニュアンス変わってるからっ!
 まるで性的な要求をしているように聞こえるぞ、それ。
 
 そうだったら、断るけどな。
 つか、抱け……抱きしめろって、それもかなりどうかと思うぜ?
 普段から兄妹だから、と連呼している俺だが、流石に抱き合うのはどうなんよ?
 
 いや、でも海外では結構家族で抱き合ってたりするし、そんな問題行為じゃないのか?
 海外に留学してた桐乃にとっては、そこまで問題じゃない提案なのか?
 
 そうだとすると、ここで俺が狼狽するのは違うか。つかまるで俺が意識しているようになってしまう。
 ここは、兄として毅然とした態度で答えるべきだろう。
 
「分かった。
 あれだな、肌と肌で暖めあう、人肌って温かいね、的なああいう温め方をすればいいんだろ?
 ふっ、俺に任せろ!」
「な、なんか嫌らしい想像してない?
 間違えてないけど、あんたの表現だとまるでエロゲのワンシーンみたいなんだけど……」
 
 心外だな。超絶クールに答えたつもりだったんだが。
 そんな妹の不満を聞きながらも、俺は桐乃の座るソファにどかっと腰を落とす。
 今でもまだ2階に行ったほうが賢明な気がしている。
 でも妹が裾を離してくれないんだから、選択の余地なんてないのだ。

 隣に座る桐乃に、腕を広げながら言ってやる。
 
「ほら……、来いよ」
「…………キモ」

 うん、俺も思った。
 し、仕方ないだろ、いい台詞が思いつかなかったんだからよ。
 兄が妹を抱きしめる時に、どんな台詞を言えばいいんだよ。
 
 桐乃が長く息を吐き、頬をぱちぱちと叩いている音がする。
 なんかこれから試合にでも挑むかの様な気合の入れ方だ。
 そして、
 
「お、おじゃまします」
「ど、どうぞ」

 恐る恐るといった感じで俺の腕の中に入ってくる桐乃。
 
 うあ……、なんか知らねえがすげえ緊張する。
 相手の姿が真っ暗で見えねえけど、体温が空気を通して伝わってくんだよ。
 そして息遣いで、お互いの近さが分かる。

「い、行くぞ?」
「ど、どうぞ」

 そしてゆっくりと腕を桐乃の背中に回していく。
812 :或る二人の夜 7/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:26:53.09 ID:LhEJpQT/P
「ひゃ、へ、変なとこ触んないでよっ!」
「わ、悪い」

 背中にある変なところってなんだよ……?
 羽根でも生えてんのか?
 
 そんな感じで慎重に桐乃の背中に腕を回す。
 ぎこちない感じは残るが、これで抱きしめた形にはなるだろう。
 
 ……、なるほど、これは温かいわ。
 まだ部屋の温度がそこまで下がってないので確信は持てないが、このまま部屋が冷えきっても充分暖かさを確保できそうである。
 
 それで俺的にはもう目的を達した気がしていたのだが、腕の中の妹様から不満気な声があがる。
 
「ちょ、ちょっと。もっと、力を入れなさいよ。まだ……寒いんだから」

 ち、力と言ってもな。確かに現状だと腕は添えるだけ、みたいな力の入れ加減なのは認める。
 けど、なあ?
 桐乃の身体が余りに細かったんで、これ以上力を篭めると折れてしまいそうだったから、なんて言えねえよな。
 なんかエロゲっぽい台詞だしさ。
 
「ち、ちっ、仕方ねえな。こ、これでいいか?」
「う、うん。いい感じ、カナ?」

 妹にご納得頂けて、心の中で息を吐く。
 これ以上に力を篭めろと言われたらどうしようかと思ったぜ。

 俺の胸に、その、柔らかな膨らみを感じて、こうなあ?
 べ、別に意識してる訳じゃないけどさ。その、まあ、そういう感じでさ。

「…………」
「…………」

 お互いが沈黙。
 目的は達した訳だし、確かにこれ以上に会話を続ける必要はない訳だが。
 何だか非常に気まずい。
 真っ暗闇でお互いの息遣いの音しか聞こえないなんて……。
 否が応にも色々と意識してしまう。

 くそ、なんでこいつ、こんないい匂いすんだよ……。
 
「……ねえ?」
「は、はいっ!」

 そんな事を考えていたタイミングで、声を掛けられたので少し声が上擦ってしまう。
 やべえ、桐乃に文句言われちまう、と覚悟したが、続いた言葉は俺への文句じゃなかった。
 
「この体制だと、その、眠りにくくない?」
「……ま、あ、そうかも、な?」

 確かに暖かくはあるが、お互いが座った状態で抱きあうというのは、どうしても不自然な態勢になってしまう。
 この状態で寝れるかと言われると中々厳しいものがあった。
 
「……じゃあ、やっぱ違う手を考えるか」

 正直に言うと、少し、本当に少しだけ名残惜しくはあったが、この体制で一晩は厳しいしな。
 俺がそう言うと、桐乃は俺のシャツを掴んで、
 
「そ、そうじゃなくて。その、あんた、後ろに倒れられない?」

 と要望してきた。
 後ろに? ソファで仰向けになる感じにか?
 そりゃ、出来なくはない。このソファ、横に長いしな。
 桐乃だって普段はこのソファの上で横になってたりする。
 
 しかし、それじゃあ桐乃がソファに乗れなくなってしまうだろ。

「大丈夫。とにかく、ほら、倒れて」

 そんな俺の疑問を察したのか、桐乃はそう返すと俺に倒れる事を要求した。
 
 やれやれ、とりあえず倒れてみるか。……無理だと思うんだがな。
 後ろに倒れてみせると、体勢の関係上、下半身もソファに載せないとその位置を維持できなくなる。
 それを読んでか、桐乃が俺から離れてソファから立ち上がる。
813 :或る二人の夜 8/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:27:47.52 ID:LhEJpQT/P
 ほら、やっぱり駄目じゃねえか、と思い、倒れきる前に行動を止める。
 
「いいからほら、続けて」

 しかし桐乃は俺の行動を止めさせない。
 何を考えてるんだ? まさか自分は違うソファに行くって事か?
 それじゃ寒くなるってさっき言ったばかりじゃねえか。
 
 そう考えながらも、行動を続ける。ソファに足も載せて、ソファの上で完全に寝転ぶ。

 ……やっぱ俺の身長じゃ、完全にソファを占領しちまうな。
 これじゃ、普通に座るどころか足一本載せる隙間がねえぞ。
 
 と、俺が考えていると、桐乃が恐る恐る声を掛けてきた。
 
「し、失礼します」

 どうぞ、とはいえなかった。脳裏に浮かんだのはどこに、だ。
 だって座る場所なんてもうねえぞ、と考えた矢先。
 
 桐乃が、俺の上に乗ってきた。
 足で、とか、尻で、とかじゃなく、全身で。
 言うなれば、まるで布団のように。俺に覆いかぶさってきた。
 
「ちょ、おまっ!」
「い、いいから。動かないで。あたしが落ちちゃうでしょっ!」

 思いの外近くから桐乃の声が聞こえる。
 つか、耳元だ。つまり、桐乃は俺の方を向いた状態で、今、俺の上に乗っている。
 さっきの密着度を大きく超える体勢。
 なるほど、確かに温かい。
 それに体勢としては寝やすい。
 桐乃も痩せてるだけあって、そんなに重くないし、眠れない事はない重量感だ。
 
 ……ただ、この体勢は余計に眠れねえよ。
 
「き、桐乃。こ、この体勢はやめようぜ? なあ?」
「……うるさい。あんたは、あたしの布団なんだから黙ってなさい」

 布団だったんだ。兄だと思ってたんだがな。
 とはいえ、先ほど頭の中とは言え桐乃を布団のようだと例えたのも自分なので、強く文句は言えない。

 ……敷布団が俺で、掛け布団が桐乃か。
 
「…………」
「…………」

 ……くそ、全然眠れない。つか、さっきの体勢でもそれなりに意識しちゃってたのに。
 この体勢はないわ。さっきのがレベル1ぐらいなら、これは一気にレベル10ぐらいだろ。
 抱き寄せるも何も、桐乃の体重だけの密着度が強制的に発動している訳で。
 
 否が応にも桐乃の身体の柔らかさとか、身体の匂いとかそういうのを意識してしまう。
 大体、桐乃はどうなんだよ。兄とこんな密着しちゃって。
 セクハラとかそういうレベルじゃねえぞ、これは。
 
「…………」

 しかし桐乃から文句の言葉が出てくる事はなかった。
 ま、まさか本当に俺を布団だと思ってんのか?
 なんて適応力だ。
 
 それから暫く時間が経って、俺が只管に悶々としていると、まだ起きてたらしい桐乃が声を掛けてきた。

「……ねえ?」
「……んだよ」
「あんたさ……、い、いい匂いするよね」

 こ、こいつは……!
 そ、そんな事をこの状況で言うなよ! 人がせっかく意識しないようにしてんのによっ!
 
「そ、そうか。自分ではよく分からねえけど。……そういうおまえだって」
「……?」
「おまえだって……いい匂い、してる、ぜ」

 びく、と桐乃の身体が震えるのが分かる。
 かああああ、俺も自身が赤くなっているのが分かる。
 うわ、俺なんて事を妹相手にほざいているワケ、キモい、キモすぎる。
814 :或る二人の夜 9/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:28:16.14 ID:LhEJpQT/P
「そ、そう」
「あ、ああ」

 先ほどの気まずさが更に加速しているのが分かる。
 俺はなんで妹とこんな雰囲気になってんだよ……っ!
 
「あ、あたしの匂いで良ければ……も、もっと嗅いでもいいから」
「…………」

 いや、そんな変態的な願望はねえよ!?
 な、何を言っちゃってんだ、こいつは……!
 
「あ、あんたの匂い……もっと嗅いでもいい?」

 ちょ、そんな変態的な願望があったのかよ!?
 そ、そんなの聞かれてもどう答えりゃいいのか、分からねえよ!?
 
「す、好きにすりゃ、いいんじゃね?」

 とりあえず無難な返事をしてみる。
 つかそういう返事しか出来なかった。
 
 だってよ、いいぜ俺の匂い、存分に嗅げ……!なんて言えないし、だからって拒否る程のものでもないように思えるしさあ?!
 
「う、うん」

 俺からの許可が出たからなのか、桐乃は俺の胸もとに顔を近づけてくんくんしているようだ。

 うわ、うあああ、す、すげえ恥ずかしい。なにこれ、なんなの。
 
「えへへっ」

 俺の匂いを嗅ぎながら、どうやら笑みを浮べているようだ。
 お、俺の妹がこんなに変態なわけがない…!
 なに、匂いフェチだったワケ? まさか、あの時の黒猫の漫画は的を射ていた!?
 
 く、くそ。駄目だ、今日の桐乃は何かオカシイし、このままこいつと会話を続けていると、何かが弾けそうで恐ろしい。
 寝る、俺はもう寝る! こんな精神状態で眠れるわけがないって? んなのなるようになるっ!
 
「……ねえ、あんた」
「…………」

 寝たふり、寝たふりだ京介。何も聞こえない、何も答えない。
 
「なに……黙ってんの?」
「…………」

 寝てんだよ、察しろ!
 
「……言っておくけど、起きてるの分かってんからね?」
「…………」

 は、ハッタリに決まってる。
 
「寝てる奴が……こんなに心臓バクバクしてるハズ、無いじゃん」
「…………!」

 そうだった、今、桐乃は俺の胸元で匂い嗅いでて、となると俺の心臓の音も聞こえてる可能性がある訳で。
 
「意識、しちゃってんの?」
「…………」

 それでも、俺は答えるわけにいかない。会話を続けたくない。黙っていれば、桐乃もいい加減諦めるだろう。
 
「……あたしは、意識しちゃってるよ?」
「…………!」

 こ、こいつ……!
 
「ねえ、京介……。あた、あたしね?」

 やめろ、何を言い出すつもりか知らねえが、ろくでもない事を言う気だろ!
 聞きたくない、だって、聞いちゃったら俺は、俺は…………ッ!
815 :或る二人の夜 10/10  ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:28:45.26 ID:LhEJpQT/P
 ごうっ! と外から強い音が響いた。
 
 それと同時、ブォンという独特の音を立てて、部屋の灯りが点いていく。

「…………」
「…………」

 て、停電が直ったのだ。
 俺は心底安堵して、明るくなった部屋を見渡す。
 
 いつもの、リビングだ。
 違和感があるとすれば、俺の上に桐乃が乗っている事だが、その内、文句を言いながら身体を起こして俺から離れるだろう。
 そんときに蹴りの一つでも入れてくるかもしれないが、今の俺はそれを甘んじて受け入れるつもりだ。
 あの変な桐乃より、いつもの桐乃の方が安心するからな。

「…………」

 しかし、桐乃はどかなかった。も、もしかして停電直ったの、気付いてないのか?
 
「き、桐乃……? ほら、停電直ったみたいだから、離れろって。もうこんな体勢してなくて大丈夫だぞ」

 そう声を掛けてやる。
 しかし桐乃は、動かない。

 まさかと思うが、寝てるのか? さっきまで寝ぼけてたとか?
 俺がそんな懸念をしていると、その懸念を破るように、桐乃が口を開いた。
 
「……ってない」
「あん?」
「まだ……停電は直って、ないって、言ったの」

 は? 何を言ってんだ。蛍光灯もついたし、暖房の駆動音も聞こえる。
 実はこれが俺の幻覚だっていうなら直ぐに病院に行く必要があるよな。
 
「あたしは……、まだ……真っ暗で、寒くて……だから、その……」

 桐乃がもぞもぞと動いて、俺の見える位置に顔を持ってくる。
 近い、お互いの息が掛かる距離。
 
「その……、だから……、あ、あたしは……」

 正直、桐乃が何を言っていて、何を伝えようとしてるのか分からない。
 しかし、何かを必死で伝えようとしているのだけは分かった。

 ……全く。よく分からない、妹様だな。
 
「わかった。わかったぜ、桐乃。まだ、停電は続いている。辺りは真っ暗だ」

 俺はそう言いながら、桐乃の頭を撫でてやる。
 よく分からないが、そうであって欲しいと願うなら、そんぐらい要望を聞いてやる。
 
「だから……、停電が直るまで、俺が側にいてやる。心配すんな、ちゃんと一緒に居てやるから」
「……べ、別に……あ、ありがとう」

 桐乃の態度に、くくっ、と笑ってしまう。素直じゃないのか、素直なのか。
 そんな俺の笑いにむっとしたような表情を浮かべたが、直ぐに素直な、まるで幼い頃のような、純粋な笑顔を浮かべると、また俺の胸元へ頭を落とした。
 
 やれやれ。
 桐乃の頭を撫でてやりながら、俺は天井を見上げる。
 
 よく分からないけどさ。
 たぶん、この先もこの妹が何を考えているかなんて、分からないんだろうけどさ。

 それで良いんじゃないかと、今は思える。
 もちろん、これからもさ、桐乃は何を考えてんだーって頭を抱えてる事はあるだろうがさ。
 分からないからこそ、続けていける関係ってのもあるんじゃないか。
 分からないからこそ、分かろうと歩み寄る事が出来るんじゃないだろうか。
 
 だから今はいい。俺はこうやって、妹の頭を撫でて。
 それで妹がおとなしくなるのであれば。
 それは、きっと間違えてはないことなのだろうから。
 
 これが、答えの先延ばしであるとしても。
 先延ばしをする事で、答えまでの時間を伸ばす事ができるのであれば――。
 
 おわり
816 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/01(日) 02:34:08.18 ID:LhEJpQT/P
……初めの予告を書くのを忘れていた事を途中で気付きました
今更にはなりますが、時系列として10巻後
ネタバレは殆ど無いレベルですが、念の為、10巻を読んでない人はスルーした方がいいかも

と、投下した後に言うべきではないのですが
申し訳ないです

また特典小説ネタも若干入ってます
一年以上前の停電ネタを知りたい人は、特典小説がついているグッズを買い漁ってくだされ

そんな訳で、ここまでお読み頂いた方には感謝を
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 02:34:41.14 ID:CnUEBN7DO
>>804
あやせ「はい、今夜のおかずお待たせしました。」ずぼっ

出し抜けに、俺の頭になんかちゃちい、
帽子のようなものがかぶせられた。

あやせ「うふ、頑張ってくださいね。」
そんだけ、意味不明な事を言い捨て、
あやせは雑踏の中へ走り去る。

で、なんなんだこの違和感は。え?

回りの通行人一同は
ざわっ・・ざわっ・・モードで視線を投げ掛けてくるし、

桐乃は真っ赤になって、俺の頭を
指差したままフリーズしてやがる。

なんとなく予想はつくが・・まさか、まさかな。

・・ははははっ。

あやせが押し付けてきた、謎のちゃちい帽子を脱いで確認することにした。
既に俺の顔は引き攣っている。

・・どうみてもぱんつです。
漫画かエロゲに出てきそうな水色しましまの。

あぁ、悲しきは雄の本能よ
俺は、あやせのぱんつの・・なんだ、クロッチ部分にだな、
ごくごく薄い染みを見つけちまった。

そこまでならまだ言い訳も立つさ。ああ。

しかし、桐乃一名+通行人多数の前で、

・・すっ
クンカクンカ

クロッチの匂いをかぐ行為はねぇだろぅ、今はそう言える。

次の瞬間、ぱんつ越しに俺は、
桐乃の右ストレートをモロに喰らい、
昏倒していた。
818 :817 [sage]:2012/07/01(日) 02:46:00.06 ID:CnUEBN7DO
危ない、危うくSSに割り込みそうになった・・。セフセフ

やっべ、この桐乃ウザ可愛えぇええ!えぇえええぇえ!
・・京介爆発しろ(性的なry)。
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/01(日) 04:29:46.99 ID:RAmzOiAKo
おいwwww
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/01(日) 07:33:33.59 ID:BVS52HIko
>>816
おつおつ

桐乃可愛いのう
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 14:21:29.09 ID:PYfCivXq0
おい>>817wwwwwwww
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/07/01(日) 15:38:23.15 ID:w80ge1hUo
劇中作であるメルルとかマスケラとかのストーリーを、ネタとかではなく真面目に書いたSSとかって無い?
あったら読んでみたいのだが。
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 22:01:59.17 ID:CnUEBN7DO
>>822
例えばオンラインゲーム作品だったり、夢オチエンドだったりできりりんや黒猫がその世界に入り込む、的なアイデアだけは湧いたものの、設定すべきあまりの情報量に絶望するしかないでござる。
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/07/01(日) 23:23:40.41 ID:w80ge1hUo
>>823
確かに原作に書かれてる内容だけでは想像するにも無茶があるか。
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 00:04:05.80 ID:EclAA8cho
>>816
乙!連日楽しませてもらってます。
桐乃きゃわわ!
そして京介鈍い。というか、意識を退避させてるのかw
この兄妹、危なっかしくて見てられないぜ!もっとやれ!
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 05:52:18.80 ID:5rVz3s5DO
>>816
このブラコンシスコン兄妹めw
ニヨニヨが止まらんぜ
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 20:33:30.15 ID:zZoK9H2DO
>>816
†ほうら・・貴女やっぱり実の兄の匂いをかいで欲情する変態さんじゃないの・・†
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 21:44:59.45 ID:T3LWEraRo
>>816
相変わらず桐乃のデレ方の描き方がすげえww
デレてもツンツンした物言いは変わらない …けど時々直球で爆弾投げてくる、
その辺のさじ加減が神懸かってるとオモタ

ちなみに>>814
「えへへっ」
「……あたしは、意識しちゃってるよ?」
で口から砂糖吐いて死にましたwwww

>>817
何このラブリーマイエンジェルあやせたんエロすぎるwwww
829 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/02(月) 22:52:53.57 ID:sCNvFcD1P
感想ありがとうございます!
こうして感動を頂けるとモチベーションはやっぱあがりますね

さてさて
もう一作品……作品といえるかどうか分からないのですが
某スレで一レスでSSとか言うのをやってたので俺も書いてみました

正直起承転結も何も無い訳ですが、せっかく書いたので投下しておきます

因みにどの辺りの場面なのかは敢えて説明しません

それではどうぞ
830 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/02(月) 22:53:31.22 ID:sCNvFcD1P
 あたしは、馬鹿だ。
 
 自分の部屋に戻ってきて、そして耳を塞ぐ。
 隣の部屋からの声なんて聞きたくない。なら何故、あたしは家を出ていかないのか。
 元々予定した遊びを断ってまで、あたしはこの部屋に居るのか。
 
 黒いのが告白する事を許可したのはあたしだ。
 京介に真剣に考えてあげてと助言したのもあたしだ。
 そう、あたしは何でもない、全然嫌じゃないし好きにやればいい。
 
 そう思っていた筈なのに。
 そう思っていたかったのに。
 
 耳を塞ぎながらも隣から聞こえてくる声に聞き耳を立ててしまう。
 さっきもそうだ。聞きたくなかったのに、聞く気なんてなかったのに。
 隣からあいつと黒猫の声が聞こえて、それがいかがわしいものに聞こえた時、あたしは居ても立っても居られなくなって。

 あいつの部屋の扉を開けてしまった。
 
 ……実際、別に変な事はしてなかった。ほっとした。けど。けどけど。
 もし変なことをしていたら……あたしはどうするつもりだったのだろう。
 
 止める? 怒る? それはなんで? あの二人はもう付き合っていて、怒る理由もないし、止める理由だってない。
 でも。でもでもでもでも。
 
 我慢出来ない。とても耐えられない。そんな事。絶対嫌だ。絶対駄目。
 だって、だって、だって。
 
 あ、あたしの部屋の隣でやるなんて……!
 そ、そう、あたしの部屋の隣だから、その、聞こえてきたらウザいでしょ?
 ほ、ホテルにでも行けばいい。そ、そうして声が聞こえない所で、あたしの目の届かない場所で。
 
 嫌。嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌! そんなのもっと嫌! やるならあたしの近くでやって! あたしに声を聞かせて聞かせないで……!
 
 思考がぐちゃぐちゃだ。正直、ここまでキツいなんて思ってなかった。
 耐えられる? 無理。だって、こんなに苦しいなんて。
 キモいキモいキモいキモい……ッ! なんてこんなにキモいの!
 駄目、駄目駄目駄目、あの人は……たしのものなのっ! 取ってかないで!
 今直ぐ返してよっ! あたしの側に居てよ! あたしを見ててよっ!
 
 なんでなんでなんでなんで! あたしが、こんなに頑張ってるのにあんたは!
 なんであたしを見てくれないの? 約束したじゃん、あたしを見てくれるって言ったじゃん!
 
 ……分かってる、分かってる、こんなのは駄目、あたしは妹で、あいつは兄なんだから……ッ!
 だからあたしは、あいつに恋人が出来る事を許した、今ならまだ許せると思って。
 まだどうしようもなくないって思ってた。
 
 けど、けどけどけど!
 なんで、なんで、なんで、なんで……。
 
 馬鹿っ! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ッ! 分かってたの、もう手遅れだって!
 気付いてたの、もうどうしようもないって!
 遅いって、遅いって……!
 
 偽彼氏を連れてきて、あいつが、あんな事を言うから……っ!
 遅い、もう遅い……気付いちゃったのは、あんたじゃなくて、……あたし……!!
 
 あいつの言葉に馬鹿みたいに心が高鳴って……!
 あいつがあたしを幸せにするって言って凄く嬉しくなって……!
 同時に気付いた、自分の気持ちとあいつの気持ち。
 あたしはあいつに幸せにしてほしくて、
 あいつはあたしに幸せになって欲しくて……っ!
 
 似た気持ちなのに、どこまでも違う気持ちだって事に……気付いた。
 
 遅い……本当に遅い……なんで……。
 大……嫌いッ……!
 
 いつまでも……傍に居てよ……。
 頭を撫でてくれる時みたいに、優しくして、よ。
 あたしの為に、真剣になってよ……。
 あたしの事だけを、ずっと見ていてよ……。
 
 ねぇ、……京介?
 あんたが、一回でもあたしを選んでくれたら……。
 次こそちゃんといい妹になるから……この気持ちを奥底にしまいこんで……。
 ずっと一緒に居られる……兄妹になろう?
831 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/02(月) 22:57:33.97 ID:sCNvFcD1P
という訳で以上です

ある場面の桐乃の心情を書いてみた次第です
特に起承転結もないので、無題にて失礼

……時に、>>801の投下はまだなのかな
楽しみにして待ってるんだぜ…
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 23:01:19.47 ID:ZKVEIqgsP
この手の裏話は桐乃が好きなほどクるものがあるからきっつい
ゲームした後だと余計になあ

原作はどうするつもりなんでしょうかね
9月には出るといいな
833 :801 ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:19:30.19 ID:rlnHRDfZo
>>831
>……時に、>>801の投下はまだなのかな
>楽しみにして待ってるんだぜ…

あれから必死に手直ししたけど、正直>>830読んだ後だとお恥ずかしいレベルなんだぜ。
まあ、俺のはどっちかというとコメディなんだけど笑えるレベルに達してないっつーか。

えと、一応桐乃視点です。
10巻のパーティが終わって、あやせが京介の食事の世話をする事になってから何日か経った後の、
桐乃とあやせと加奈子のやりとりです。

それでは投下します。


『あたしの友達がこんなに名シェフなわけがない』
834 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:20:00.62 ID:rlnHRDfZo
「なー頼むヨ、一回だけって言ってるだろー」
「そんな事言っても……」

 加奈子とあやせが何やら話しているのが聞こえた。
 悪いなと思いながらあたしは聞き耳を立てる。

「加奈子が親と仲直りする為に料理の勉強してるのは知ってるけど、なんでそれを桐乃のお兄さんに食べさせないといけないの?」
「何度も言ってるべ? ジッケンダイだって」
「だから、その実験台がなんで桐乃のお兄さんなの?」

 なるほど。
 現在、京介は“複雑な事情”で一人暮らしをしている。
 でもろくに家事なんて出来ないあいつが一人暮らしなんてしてたら絶対にまともな食事なんてするはずがなく、“様々な紆余曲折”があって、食事の世話はあやせに一任する事になった。
 で、加奈子は一回だけでいいから、とあいつのために料理をしたい、と。

 ──あやせの言い分じゃないけど、なんで食べさせる相手が京介?

 初めてウチに呼んだ時なんて、京介の事を中小企業で課長とかやってそうとか言ってたし、デート……のふりした時にバッティングしても完全に顔忘れてたみたいだし。
 でもあたしが認識していた以上に、京介と加奈子の接点はたくさんあったんだよね。
 京介がマネージャーになりすましていたのは、元をたどればあやせがあたしへのプレゼントを手に入れるための手段だったわけだし、その流れでメルフェスのライブチケットを入手する事も出来たんだからまだ許せる。
 あ、そういえばそのライブも京介が一人暮らしする原因の一つなんだよね。
 なんでアニメのイベントがあいつの一人暮らしに関わってるかはあたしにとっても黒歴史だから聞かないで。
 それにしてもClariS可愛かった〜! だけど加奈子のメルルとブリジットちゃんのあるちゃんが見れなかったのはすごく悔し〜!

 ……話がそれた。

 そうそう! 加奈子が弁当持参で京介のアパートに押しかけて、あまつさえ一緒に食事したってどういうコト!?
 加奈子は実験台とか言ってたけど、別にあたしとかあやせでもいいじゃん!?
 なんかムカツク。


「だから、わたしが桐乃のお兄さんに食事を作るっていうのは桐乃に頼まれたからだから、そういうのはわたしじゃなく桐乃に言ったら?」

 加奈子に言い聞かせてるあやせの声が聞こえた。ちょっと待って、ここであたしに振る?
 あたしは聞こえなかったふりしてさりげなく気付かれないように教室から出ようとした。

「あ、桐乃──」

 ──遅かった。


「……加奈子の言いたいことはわかったケド、兄貴が一人暮らししてるのは勉強のためだから、邪魔になったら困るからあやせに頼んだんだよ?」

 あたしの言葉にあやせが続ける。

「そうよ。変なもの食べて入院とかなったら試験どころじゃないでしょ」

 入院て……。いや、あやせ、そこまで言わなくても。
 でも、なんか加奈子の言い分聞いてると、京介の料理を作りたいというのは、京介に会うための口実のような気がしてそれがなんか妙にムカツクんだよね。
 そういう意味ではあやせのキツイ言い方も、いいぞもっとやれって感じなんだけど。
835 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:20:35.71 ID:rlnHRDfZo
「あやせに紹介してもらった加奈子の料理の師匠のことは桐乃も知ってるべ? 変なものなんて出さないから〜」

 その師匠が地味……麻奈実……さんってのもムカツク理由の一つなんだけど。

 加奈子の事だ、いくらダメと言っても勝手に京介のアパートに乗り込む恐れがある。
 ああもう──

「一回だけね!」
「マジでっ!? さんきゅー桐乃! 愛してるよん」
「桐乃!?」

 あやせが驚いた顔であたしを見る。
 その表情は気のせいかもしれないけどあたしに対する非難の色が見えた。
 あと、なんか悲しそうにも感じる。
 あやせは京介の事嫌いだから、一日だけでも休ませて貰えるのなら喜んでも良さそうなのに、なんでそんな顔するのかな?
 まあ、今はそれよりも、はしゃぎまくってる加奈子に釘を刺すのが先だ。

「ただし! 加奈子が兄貴のところに行く前にあたしとあやせが試食するから! 合格しないとダメだからね! 言っておくケド、麻奈実……さんの作ったのを自分が作ったと嘘ついたらいけないから、あたしとあやせの見ている前で作ること! わかった!?」
 
 加奈子は一瞬ポカンとしたが、すぐに「……あるちゃんは、わたしの大切な、友達だから!」と叫んだシーンのメルルと全く同じ顔で「うっしゃー!」と叫んだ。
 てか、ホントにそっくり。もしメルルコスしてたら無条件で加奈子の申し出にゴーサインを出してただろう。

 それにしても加奈子はなんでここまで熱くなるんだろ?
 あからさまなお世辞だろうがなんだろうが褒められるのに弱い加奈子、京介のあの性格、これだけでおおよその見当は付くんだケド……。

 それにしても黒いのは短い間とはいえ付き合ってたし、麻奈実さんは言うまでも無い事だし、最近じゃ沙織もなんとなく好意ありそうだし、ここに来て加奈子?
 なんで“あんなの”がこんなにモテるわけ?
 あ〜〜〜もぉ〜〜〜、マジでムカツク!!


 加奈子が去った後。あやせはなぜか拗ねたように唇を尖らせていた。

「あやせ? どうしたの?」
「ううん、別に。それよりも、いいの? 加奈子とあんな約束しても」
「大丈夫だって。この前のパーティーでも麻奈実さんが言ったじゃん? マトモに作れるのは一つだけって。一品だけの食事なんて栄養バランス的にダメだって言えば全然オッケーだよ」
「でも加奈子って自分の意思で覚えた事は絶対忘れないでしょ。それと同じで自分でやるって決めた事はどんなことだって成し遂げてしまいそうな、そんな予感がするの」

 確かに。

「ひょっとしたらわたしなんかよりもすごく旨い料理を作ってしまいそうな気がする」

 あの時、麻奈実さんは確かに、加奈子が美味しく作れるのは一つだけだと言ってた。
 でも、それからもう何日も過ぎてる。
 加奈子が料理の勉強を始めてから、どのくらいの時間がかかって、一つの料理を美味しく出来るところまで持っていったかはわからない。
 パーティーの前に加奈子が京介のアパートに行った日がいつなのか、そしてその時の加奈子の料理が美味しかったのか、それもわからない。
 判断材料としては、パーティーに加奈子がいかにも自分が作りました風に持ってきた弁当が、実は麻奈実さん作だということくらいか。

 真奈実さんの料理が美味しいのは確かだ。

 その真奈実さんが美味しいと認めたくらいだから、加奈子のたった一つの料理も恐らく水準以上だろう。
836 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:21:02.13 ID:rlnHRDfZo
「もし加奈子の作ったのがすごく美味しかったとしてもさ、その時は、嘘ついたらいいんだよ。マズい、出直してきなって」

 言った後であたしはしまったと思った。
 あやせは嘘が大嫌いなのだ。親友に対してこんなこと言いたくはないけど、もはや病的と言ってもいい。
 恐らくあやせのことわざ辞典には「嘘も方便」なんて項目は無く、「嘘つきは泥棒の始まり」が四倍フォントでデカデカと載っているだろう。
 ところがあやせの反応はあたしの予想と正反対だった。

「……そうよね。時と場合によるよね」

 あたしはあやせの顔をまじまじと見た。間違いなく今現在のあやせの目と表情は通常モードだった。

「あ……あやせ?」
「うん、わかった。桐乃と桐乃のお兄さんにとって必要な嘘だったら仕方がないわ。わたしもハッキリと加奈子の料理は美味しくないって言う」
「そ・そう」

 なんかスッキリしないけど、ま、いいか。


 その日、帰宅したあたしは、旅行会社のサイトと自分の通帳を見比べていた。

「かなり減ってるな〜。海外留学もだけどフェイトさんに貸したのがかなり痛いな〜」

 でも、勢いとはいえ加奈子を“試験”すると言ってしまったからには責任は取らないといけない。
 あたしは悩んだ上で県外の温泉地のツアーをペアで予約した。

 そして、夕食時。あたしは出来るだけさりげない口調で、

「お・おとおとおとお父さん!? 今度の土日、非番だよね!?」
「どうした桐乃。声が裏返ってるぞ」

 うっ。

「あ・えーと……。“インターネットの抽選で温泉旅館のペアチケットが当たった”んだけど、よかったらお母さんと一緒に行ってきたら!?」
「あら、温泉? いいわね〜」

 お父さんより先にお母さんが食いついた。

「でしょ!?」
「でも、桐乃が当たったんでしょ? 友達と行って来たら? あやせちゃんとか加奈子ちゃんとか」
「だって、ペアだよ!? あやせにしても加奈子にしてもランちんにしても一人選んだら他の友達に悪いじゃない!?」
「らん……ちん? そんな子、桐乃の友達にいたかしら?」

 いたよ! 忘れてあげないで!

「どうせ当たるわけないと思って応募したから、当たってしまってどうしようって! まあいざとなったら金券ショップに売るけど!?」
「そうねえ。どうします、お父さん?」

 お父さんはジト目であたしを見ている。
 ひょっとして嘘がバレた? いや、あたしのこの自然な演技のどこにも隙は無いはず。

「そうだな。たまにはゆっくり温泉につかるのもいいだろう」

 でしょ〜! 京介と違ってあたしはこういうの上手いからね〜!
837 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:21:27.50 ID:rlnHRDfZo
 という経緯で、加奈子の試験は今度の土曜、我が家のキッチンで行うことが決定した。
 お父さんとお母さんに家を空けさせたのは、キッチンを自由に使える環境を作るための処置ね。
 あと、これはあくまでもついでの理由なんだケド、京介がらみの問題にあたしが関わってるって事がバレないため。
 だって、下手すりゃいくら模試でA判定取ろうと、京介の一人暮らしが終了どころかウチから永久追放になってしまう恐れあるじゃん?


 そして加奈子の試験当日。
 いったんあやせと家で落ち合ってちょっとした打ち合わせをしてから、二人で加奈子のマンションまで迎えに行った。
 でもって、出てきた加奈子の両腕をあたしとあやせはロック。そのまま試験会場である我が家へ連行。

「ちょ、材料とかの買出しはどうすんべ!?」

 などと最初のうちはぶーぶーうるさかった加奈子だけど、あやせが加奈子になにやら耳打ちして以降はなぜか青ざめておとなしくなった。
 なんか知らないけど本能的に恐怖を感じたので気付かなかったふりをする。


「さ、加奈子。冷蔵庫の中にあるもの、何を使ってもいいから思う存分腕を振るって」

 ふっ、我ながら完璧な作戦だぜ。
 材料を加奈子自身に用意させたら数少ない得意料理を作られる恐れがある。
 そんな加奈子には冷蔵庫の余り物で美味しいものを作ってみろという応用問題で勝負!
 あたしは“あんまり”料理は“得意ではない”からわからないので、あやせに事前の打ち合わせの時に冷蔵庫の中身を確認してもらっていた。

「……うーん。これで何か作れと言われてもわたしにはちょっとムリ」

 ということらしい。
 これでほぼ勝利はいただいた。
 加奈子に料理を教えてるのが麻奈実さんだということだけが懸案事項だけど。


 今現在加奈子は冷蔵庫の中身を品定めしている。
 そして、不意に不敵な笑みを浮かべた。
 なぜそこで笑う? ま・まさか?

「マジでこれ全部使っていいの? だったら楽勝じゃん」

 マジでか?

「で、桐乃さー? 鍋とか包丁とかも勝手に使っていいんだよね? あと調味料とかも」
「え? ウン、どんどん使っちゃって」

 言いながらも自分の顔から血の気が引いてるのが自分でもわかった。


 加奈子は鼻歌を口ずさみながら料理を開始した。
 う・上手い。包丁の使い方からダシの取り方までいちいち様になってる。
838 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:21:56.62 ID:rlnHRDfZo
「桐乃……。どうしよう。こんな手際見せられたら、美味しくないって嘘をつきとおす自信無いよ……」

 あやせは、加奈子の料理する姿を見て唖然としていた。
 ていうか加奈子の手さばきに完全に見惚れていた。

「い・いや、形から入ってるだけだよ、きっと……」

 現在のウチの冷蔵庫の中身だけで料理するのがあやせ的には無理でも、加奈子の料理の師匠はベルフェゴール(命名:黒いの)。
 あやせよりも主婦力が高いのは明白だ。
 まさか短期間の内に加奈子はそのスキルを全てマスターしたとでもいうのか?


 そうして完成した料理は素人目に見ても見事な出来栄えだった。
 い、いや、あくまでも形から入ってるだけだよ、多分……。
 加奈子はフフンと鼻息を鳴らした。

「さ、ジッケンダイのジッケンダイだ。食ってみ?」

 あたしとあやせは観念して食卓についた。

「いた……だきます……」

 ぱくっ。
 うっ。
 こ・コレは……。
 目の前にはドヤ顔の加奈子が不敵な笑みを浮かべて立っている。
 あたしとあやせはほぼ同時に箸を置いた。

「──加奈子」
「んー? どーした? うめーべ?」

 あたしとあやせは何度も台本呼んで練習しても不可能というくらいに完全シンクロして料理の感想を述べた。

「「出直して来い!」」


 そう、コレは料理と言うのも憚られる、いや、地球上に存在するあらゆる生物が食物として拒絶してしまうような代物だった。
 京介は基本的にマズいものはマズいという人間なので、普段だったらこんなモノすぐに吐き出すだろう。
 だけど、加奈子が料理の勉強を始めた理由は京介も知ってるので、事情は変わってくる。
 あいつの性格上、恐らく文句言わずに全部平らげてしまうだろう。その結果どうなるか。
 模試でA判定取れるかどうか以前に、その模試も受けられなくなってしまう。確実に。
 ……最悪、人生終わってしまいかねない。
839 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 02:22:36.16 ID:rlnHRDfZo
 加奈子を家から叩き出し、あたしとあやせは我先に洗面台に向かい何度も何度も何度も何度も口をすすいだ。

「桐乃ー、口の中、味が全然消えないよー」

 あやせが涙目で訴える。
 あたしだって泣きたいよ!
 本気でファブリーズを口の中にスプレーしたくなってきた。
 その後、あたしとあやせは無言でゴミ袋に“劇物”を突っ込んだ。
 そして涙目のまま我が家を後にするあやせ。完全に足元がおぼつかない。無事に家に帰り着くのか心配だ。


 そのころ──

「桐乃と会うのはいいが兄妹であることを忘れるな? いきなり電話してきたと思ったらなに言ってんだよ、親父は。今日はずっと勉強してて、桐乃どころか“誰とも会ってねー”よ。本当だって。じゃあ切るから(ガチャ)」
「はぁ〜。腹減った。朝からなんにも食ってねえ……」


 おまけ――

「くそー。桐乃もあやせも味オンチかよー。昨日たまたま読んだ漫画『ド○え○ん』の『○ャ○ア○シ○ュー』を応用した自信作だったのにヨ」

<了>
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 06:09:47.69 ID:QBqvaSFDO
>>839
おもしろかったぜ!
京介は翌日あやせに空腹で衰弱してるのを発見されるのか
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 07:02:58.08 ID:Lq2OExrQ0
>>839 乙乙

何故かこのスレに天才が次々出現している
この俺得状態がいつまでも続きますように・・・(七夕)
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 07:40:42.03 ID:CNQ6CY6DP
>>839
乙!面白かったぜ
まさか加奈子がそこまで料理がうまく? とあやせ桐乃同様ハラハラしてしまった
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 13:19:29.65 ID:xNtZAltDO
まともに手際を観察されてる前でいったいどんな毒物を作ったんだ・・逆に才能溢れるぞww
844 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 19:08:23.24 ID:YwHybWcLo
感想どもです。
オリジナルは書いたことあるけど二次創作SSなんて初めてなのでかなり四苦八苦しました。

最初は黒猫視点のものを書きたかったけど、原作9巻に黒猫メインの話が無かったので、
地の文の参考資料が無くて断念。

ところで加奈子の一人称の「加奈子」と「あたし」の使い分けってどんなルールがあるのか、
偉い人教えろください。
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 19:26:51.31 ID:YOYRQ2Pb0
>>844

つ http://www43.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/69.html
846 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 19:56:02.48 ID:YwHybWcLo
>>845
見てみたけど加奈子の一人称は「加奈子」しか書かれてなかった。
原作見ると「あたし」と言うこともあるから、どう使い分けてるのかな、と思った次第。
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:04:08.73 ID:YOYRQ2Pb0
>>846
俺も1〜10巻を繰り返し読んでいるけど、意識した事ないなぁ。

ふさたんも、その場の勢いで「あたし」って書いちゃったのかもね。
俺の手元にある原作本は全て初版だけど、重版本では直してある可能性があるな。
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:20:49.94 ID:CNQ6CY6DP
>>844
俺的加奈子像に聞いてみた所、その場のノリらしい。
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:22:01.53 ID:xNtZAltDO
加奈子ネタを読んで四巻を見返していたら電波が四レスくらい。


属性;桐メル?;百合?;アグネース!;黒幕はダークエンジェル

【オペレーション・タナトス】
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:23:00.46 ID:xNtZAltDO
「どうしたらいいんだよぉ・・教えてくれよぉ・・」

誰もいなくなった放課後の教室で、わたし新垣あやせは親友、加奈子の人生相談を受けています。

事の起こりは簡単、わたしからみれば些細な行き違いで、
やはり親友の桐乃と喧嘩になり、一週間以上にわたり冷戦状態にあるというもの。

「・・そりゃあ、よく考えれば加奈子のほうが悪いって認めちゃいるけどよー・・。
相手がアノ桐乃じゃん?どーにかなる相手じゃないっしょ?」

これは異常事態です。あの加奈子が自ら非を認めるなんて大変です、これは事件です。

「加奈子・・ほ・ん・と・う・に自分が悪かったと思ってる?」

「・・ッ!あ、そ、そりゃ・・うん、冷静に考えたら」

一瞬なにかに怯えたように身震いした後、もじょもじょと俯いて答えた加奈子。

追い込まれ非を認めた加奈子、今手持ちの資材、あとは秘密を共有できて、桐乃のオタク趣味を理解できる知り合い・・

ぽくぽくぽく・・ちーん

全ての必要なパズルのピースは揃いました。

「加奈子?よく聞いてね。
桐乃と仲直りするために、犠牲を払う覚悟は・・ある?」

「・・!・・ぁ、アリマス!」

それにしても、なぜいちいち怯えた小動物のような反応を返すのでしょうかこの子は。
可愛くてもっといじめたく もとい、協力したくなります

わたしは頭脳の中で、この
「オペレーション・タナトス」
の細部を立案しながら
「わかった・・協力するわ。」
加奈子を見下ろし、ほくそ笑む。

ピッピッピッ・・
「もしもし・・?珍しいじゃねえか」
「わたしです、あやせです。・・実は資料提供その他、
お兄さんに折り入ってお願いしたい事がありまして・・」
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:24:33.49 ID:xNtZAltDO
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「もう入ってきても構いませんよ?」
携帯であやせに呼ばれて再度はいった妹の部屋は、
はたしてカオス空間であった。
「・・やっ、や、見るな・・見るなぁ・・。」
部屋の天井からぶら下がる鎖と革手錠、そこには脇(その他色々)を丸出し・・にした格好で
星くず☆ういっちメルルが拘束されていた。

・・違った。加奈子だ。
あのフィギュアを獲得したメルルイベントのときの衣装のまんま・・。
いや、よくみると加奈子の外見をさらに完璧なメルルにすべく
顔の細部のごく微妙なメイクまで前回以上に気合いの入った仕上がりである。

「な、なぁっ!これで本当に桐乃が機嫌直すんだr」むにぃ
「・・何度言ったらわかるのかなぁ加奈子は?役作りって言ったわよね?」
あやせの瞳から光が消えた、ある意味いつもの人殺しの目に変わる。
「・・ね、ねぇ?こ、これでほんとうに桐乃おねえちゃんが、メルルゆるしてくれるのかなぁ?」
信じられねぇ、一発で6オクターブくらい声のトーンを跳ね上げやがった。

「ええ、間違いなく喜んでくれるよ。」
「ほんとだね?わーい、メルル桐乃お姉ちゃんだーっい好き♪」

実をいうと、俺は最初からこの計画に潜む重大な欠陥に気付いていたが、
あえてあやせには言っていない。

なぜかって?言って通じる相手じゃないし。ハハハ

それにしても目のやり場に困る衣装だぜ・・
ランドセル以外に、ちゃんと服の体裁を残しているのは白いニーソックスとスカート・・

ってもほぼパンツ見えてるくらいの過剰ミニだからスカートすら怪しいんだが。

問題はそれ意外だ。
それ意外加奈子が身につけているのは、ほぼヒモとリボンだった。

・・気のせいだよな、体を覆うリボンが、前回よりも明らかに細く、
露出度がきわどいように見えるのは俺の気のせいだよな。
それで両手を拘束されているものだから、この背徳感あたりが、
その世界の方々(含む我が妹)が見たらきっとたまらないんだろう。

言っとくが俺はロリコンじゃないぞ。俺が欲情すんのは、こんなぺたんこなクソガキじゃなく・・そうだな・・
「ッポゥ!!」ガスッ!
「何を鼻の下延ばしてニヤニヤしてるんですか!?この変態!変態!
ロリコン!変質者!そんな暇があるのなら桐乃がいつ帰って来るか見張っててください!」
こいつにこんな格好をさせるお前が立派に変質者だぜ、という反論を飲み込むと・・
はたしてちょうど桐乃が仏頂面で家の門を通過するところだった。
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:25:19.80 ID:xNtZAltDO
「・・桐乃が来たぜ。ちょうど家の玄関だ。」
「じゃ行くわよメルル、ミュージックスタート!」
「『め〜るめるめるめるめるめ〜宇宙にきらめく流れ星〜』」

プレイヤーから流れるオープニングソングに完璧に合わせて歌い始める加奈子。
両手は拘束されているものの、手先と体で精一杯のフリを踊り、
にっこり、という表現がぴったりなスマイルを浮かべている。

「な、何アンタ達あたしの部屋、に、め、」ガチャ!

制服姿の桐乃が遂に部屋に怒鳴り込んできた、らフリーズした。

何しろそこには親友の(メルルそっくりに仕上げた)加奈子が
半裸に近い姿で拘束されていた。
ついでにアニソンに合わせて踊っていたとなりゃビビるわなフツー。桐乃でなくたって。

「へ、部屋にめ、め、メルルたんキタァアアアアうぉおおおよっしゃァアアア!!」だだだだだ!

何もかもおっぽりだして加奈子めがけて突進する桐乃。

「桐乃、よく聞いてね。実は、加奈子が桐乃にお詫びし」
「め、め、メルルちゃんかわええええ!何、ナニお姉ちゃんのうちに遊びにきてくれたのぉ!?」抱きッ!
「たいって・・それでメルルそっくりにメイクと衣装を揃え」
「うっは三次元メルルたんすげぇええ!クンカクンカ!スーハースーハー!いい匂いーーッ!」
「て桐乃を喜ばそうと思ってサプラ」
「むっはあぁああ!ほっぺ!二の腕!おなか!おしり!や、やわらけぇええーーーッ!」ムニムニスリスリ
「イズを仕掛けてみた・・の・・」

我を忘れ、目の前の人物が毎日会ってるクラスメイトという事も目に入らず、
ひたすら目の前に現れたメルルにしたい放題の桐乃。

加奈子は、にっこりスマイルを貼り付けたまま、
(タスケテ・・タスケテ)
涙を浮かべて無言の助けをこちらに求めてくる。すまん。無理だ。

「桐乃、コレが加奈子だと、本気で気付いてないのでしょうか・・」
ほらな。こうなると思ってた。
「ところでお兄さん?色々ご協力ありがとうございます。感謝しています」
あらら。あやせさん、なぜここで人殺しの目になるんですかね?
「うげぼっ!」ゴッ!
なんでここで殴られる!さすがに理不尽だぜ、そう言い返す間もなく
「ぐっげっごっぎっがはっ」ごっごっごっごっご!
蹴り、突き、ヒジ、ヒザ、ロー、18COMBO!
様々なコンボの連続打撃ラッシュを繰り出し34COMBO!
「がっぐぇっごっぎっ!」128COMBO!!
ばたん!ガチャガチャ!
「ですが、・・ここからは殿方にはお見せできません、ご了承ください」
またたくまにドアから蹴りだされた。
「・・K・O・・。」
おれに言う事ができたのはそれだけであった。
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:26:29.47 ID:xNtZAltDO

やむなく、俺は加奈子の安否を確認すべく壁越しに聞き耳を立てる
べ、べつにやましい気持ちはないぞっ!ちょっとしか。

「うっへへへぇ、メルルたんあたしの家の子になろうねぇ〜デュフフフ」
「き、桐乃ぉ!正気に戻れよぉ・・メルルじゃねーよ!加奈k・・
お姉ちゃんだめだよぉ・・そんなところえっちだよぉ」

待て今あやせ明らかに脅しただろ。

「だいじょ〜ぶ〜お姉ちゃんに任せて〜♪
これはね、教育なんだよ、ほけんたいいくなんだよぉ」
あぁ、うちの妹は変質者になってしまった・・。

「ここを引っ張ると、上のリボンが。こっちを引っ張ると
ぱんつとスカートがぜんぶ脱げる仕掛けなのよ」
「ちょ!こないだはそんな仕掛けグムムムグムグー!」

あやせ・・お前こそ疑いなく本当の鬼畜だぜ。
駄目もとであやせにメールを送ってみる。
【今日の目的からそれてねぇか?】

「うひょぁああオオオオ!へ、変身シーンキタコレェッ!!
ぜ、全裸メルルぅ!?は、はだぢが、鼻血でづっ!!」
「お、お姉ちゃん・・恥ずかしいよぉ・・」
「きゃばいいいよぉ!ちゅっちゅ!変身シーンちゅっちゅ!メルルたんちゅっちゅ!」
「あっ!あん、や、いやぁッ!」
「もぉダメだぁ!メルルたんくちゅくちゅしていいよね答えは聞いてないッ!」
「あ、あっそこはっ!あっあっあッーー!!」
「うああああ幸せ!幸せすぐて死にそうおおおお!!ちゅっちゅちゅっちゅ!!」チュパッチュパッ・・

返信がきた。

【最初から桐乃を喜ばせる事が目的ですが何か問題が?
あと盗み聴きしないでください通報しますよ。】

「・・・・オワタ。」

俺は、静かに妹のクラスメイトの無事を祈ることしかできなかった。
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 21:01:13.34 ID:xNtZAltDO
【おまけ】

で、その後の加奈子はどうなったかつーと

「メルルたぁーーん!」だだだ!

「ひぃっ!」ビクッ!

「・・・・加奈・・子?」ゴゴゴゴ

「ひぃいッ!」ビクッ!

ぐるぐる目と人殺し目の二人のクラスメイトに怯える毎日だとさ。
【おわり】
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 21:04:48.49 ID:YOYRQ2Pb0
>>849 乙乙!

またまた天才ktkr

原作11巻もアニメ2期もいつ始まるか判らずイラついていた俺たちだが、
ここ最近の良作ラッシュは、まさに「捨てる神あれば拾う神あり」というヤツだな。
856 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/03(火) 22:00:18.41 ID:YwHybWcLo
>>854
乙です。
あやせ……桐乃的にはGJなんだろうけど。
ちょっと加奈子、かわいそすww
相談する相手が悪かったね。
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/04(水) 04:20:15.16 ID:5DUqkVWUo
乙やで
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/04(水) 04:21:36.11 ID:/aQKQnXDO
桐乃は萌えて見境なくなってる時が1番可愛いとおもうんだ
P続も、本人以外のEDと小学生にハブられてガチ泣きするシーンが本人ルートより可愛かったww
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 08:28:12.99 ID:PZwC9m7M0
原作11巻の発売が9月10日に決まったみたいですよっと
http://otanews.livedoor.biz/archives/51892854.html
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 20:40:04.49 ID:yZPGowc0o
ゲームは桐乃√の麻奈実が怖かったなあ
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 21:24:29.10 ID:wJZFWMmBo
かなり前、リア√のSSを書いて投下したときの話だけど
リアのフルネームをリア・ハグリィじゃなくてリア・ディゾンと間違って書いてて
書き込みボタンを押す直前で気付いたことがあったっけか……

総合はあやせSSが根強くて、幼女SSが減ったなと思う今日この頃
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/07/05(木) 03:25:34.44 ID:37BM9gd7o
日向ちゃんのはぶられっぷりが……
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 03:52:28.50 ID:tDpmdeFDO
ハブられて寂しいなら俺がもらっていきますね
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/05(木) 12:25:36.20 ID:278sW+xoo
黒猫姉妹が憧れのケンタッキーフライドチキンデビュー

しかし、あいにくその日は飢えたメタボピザが列をなす食べ放題デーだった!
怒号飛び交う店内で脂ぎったピザに囲まれ恐怖する黒猫姉妹
こんなの…夢見てたケンタじゃない…
人は何故食べ放題に狂うのか…!

みたいなのを誰か書いてくれ
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 14:05:20.94 ID:5FgrtiqDO
あの姉さまが食いに行かせるわけがなかろう
下手すると自作するぞ、あいつは
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 14:21:26.68 ID:q50rITx3P
日向好きなんだけどな
今度日向をメインにした何かを書いてみるか
割とエロい展開になりそう
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 14:58:34.62 ID:tDpmdeFDO
俺がSS書くときには中猫小猫は汚せないサンクチュアリ。

黒猫?・・オナニ●までおK。オ●ニーオナ●ー連呼してたし。本人が。超凄い●ナニーって。
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 15:57:57.58 ID:qnlt6UtN0
>>867 同意

ペドはペドスレ立ててやってくれと思う
869 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:16:21.60 ID:2I7RFjOSo
加奈子視点のSS書いたんだけど、地の文で一人称を「加奈子」にすると三人称小説っぽくなりがちで困るw
部分部分で「あたし」にして出来るだけ自然にしたつもり。

というわけで投下します。


『加奈子の友達がキモオタのわけがない』
870 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:17:03.62 ID:2I7RFjOSo
 あたしの名前は来栖加奈子。
 ちょー可愛い未来のスーパーアイドル。
 いまはその下積みとしてアニメキャラのコスプレをやってる。
 加奈子ってばこーゆーセイカクだから、口では「キモオタうぜー」な〜んて言ってるけど、心の中ではなんてゆーか上手く言えないんだけど……まあアレだ。
 って、言わせんなよ、恥ずかしい。

 そんなワケで、いま加奈子は、姉貴の仕事部屋にいる。
 姉貴のこと? あー見た目はかわいいし、けっこう加奈子に似てるかな?
 ムネも無いし。
 んでもって漫画家ってゆーの? それやってる。
 加奈子がやってるコスプレって「星くず☆うぃっちメルル」の主人公のメルルだったりするんだけど、姉貴がそのメルルのエロいの描いてたのを見た事があるから、姉貴に部屋に呼ばれた時は、やべ、バレた? と思って、ちょっとビビリ入ってたんだよね。

 それにしても姉貴の部屋っていつ見てもいろんな意味であっとーされる。
 アニメキャラの人形、フィギュアってゆーの? そんなのとか、プラモデルとか、アニメのDVDやブルーレイとか、漫画の本とか、あと本屋では売ってないようなみょーに薄い本とかがたくさんあって、いつも「うわ……」ってゼックしてしまう。

 んで、今日姉貴に部屋に呼ばれたのは──

「いまメルルの同人誌作ってるんだけど、ポーズの研究したいからちょっとモデルになって?」
「なんでンなこと加奈子がやらないといけないわけ? 意味わかんないんですケドー」
「そう言わないでさー、お願い」
「加奈子っていちおープロのモデルべ? ジムショに言えよジムショに」

 姉貴とこんな言い合いしながらも、加奈子は「メルルのコスプレしてるの、完全にバレてる?」ってドキドキしていた。
 ……まあ、バレたらバレたでいいやって思ってたのもジジツだけど。

「──ったくしゃーねー……」

 結局、最後は姉貴に言い負かされる加奈子であった。

「ありがとっ。お礼に、この部屋にあるもの、なんでも一つあげるよ?」
「いらねーよ! ……あれ?」

 なんか見覚えのある絵が見えて、あたしはイッシュン固まってしまった。
 姉貴は加奈子の視線をたどって、その先にあるブツを手に取る。

「ああ、これ? テレビアニメで『maschera〜堕天した獣の慟哭〜』っていうのがあったんだけどね、一応アニメオリジナルなんだけど、これの原案って実はあたしなんだ! これはその元となったあたしの漫画! ちょっと変更されてる部分もあるけど原作本と言ってもいいよ! プロの漫画家としてマスケラの原作描いて、同人作家として同時刻の別チャンネルでやってるメルルのパロ描いてるなんて、あたしも節操無いよね、あははっ」

 あいかわらずしゃべり出したらとまんねーな。正直うぜー。
 この後も、マスケラファンやメルルファンに刺されたらいけないからペンネームも絵柄も変えているとか言ってたけど、全く聞いてない加奈子であった。
 加奈子が注目してたのは、アニメの話、ではなくそこに描かれていた女の絵だ。
 なんだっけ、どっかで見たよーな気がするんだけど─―。

「話は変わるけど加奈子ってメルルにちょっと似てるよね? メルルもどき? なんちゃって」

 ──メルルもどき──

『だ、黙りなさいメルルもどき』

「──誰がメルルもどきだこらァ〜っ」
「あっ、ゴメン、まさか加奈子がそんなに怒るなんて思わなかったから」
「あ、いや、姉貴じゃなくて」

 そう、その姉貴の描いた女はあの頭がイッてしまってる電波女と同じ服装をしていた。
 この絵とあの電波女とでは、顔とかスタイルとかがかなり違ってたから気付くのに時間がかかったワケだ。
 同じ「メルルもどき」という言葉でも、いま姉貴が言ったのは、妹かわいがりのおちょくりだったし、姉貴自身もメルルというキャラクターが好きみたいだから、別にいい。
 けどあの電波女〜……。
 加奈子だけでなくメルルまでバカにした言い方だったよな〜、アレは!
 あ、いや別にアニメのメルルなんてぶっちゃけどーでもいいんだけど、公式コスプレイヤーとして……な?

「あ・姉貴? そのマスクなんとかってアニメ、ゲンサクシャだから持ってるよな?」
「むっ。マスケラだって。もちろんあるよ」
「それ貸して!」
「! そっか、加奈子もとうとうこっちの世界に足を踏み入れる気になったのね!?」
「ちげーよ! いーから貸して!」
「いいよー。DVDとブルーレイ、どっちがいい?」

 桐乃の家ってブルーレイ見えたっけ?

「……どっちも!」
「一期と二期、どっちにする? それとも話数の指定とかある?」

 なにそれ。イッキとかニキとかわけわかんねー単語言いやがって。

「……全部!」

 どさっ。

「はい!」

 げ……。こんなにあるの……?
871 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:17:44.11 ID:2I7RFjOSo
 次の日、ガッコが終わってから加奈子は大荷物をバッグに詰めて桐乃の家の前に来ていた。
 チャイムを押して待つ事しばし。
 パタパタとドアの向こうからスリッパの音が近付いてきて、そして、ドアが開く。
 桐乃だ。

「はーい、どなた……加奈子!? どうしたの? 今日来るって言ってたっけ?」
「んー、ちょっとカクニンしたいことがあってね。京介いる?」
「……いるけど。なに? あいつに何の用があるの?」

 急に不機嫌になる桐乃。
 こいつもたいがいブラコンなんだよな。
 女が会いに来たってだけでこうまであからさまにクラスメートに対してこんな態度を取るんだから。

「京介もだけど、桐乃にも用事があるんだよね」
「あたしはついでね、へ〜、そう」
「いーから呼んでヨ」
「どうでもいいケド、人の兄貴を呼び捨てするなんて、加奈子、あんた何様?」
「そりゃ、加奈子ってぇ、京介と付き合ってっからぁ」
「それ、前に聞いた」

 そこに京介が階段を下りてやってきた。

「桐乃、お客さんか……。げっ」
「レディに向かってげってなんだヨ、げって!」
「おー悪い、なんだクソガキか。桐乃に何か用か?」
「桐乃もだけど京介にも用事が……痛っ」
「だから人の兄貴を呼び捨てするな!」
「だったら、その兄貴にも親友をクソガキって言ったことにつっこめヨ!」
「おいおい、桐乃、友達を足蹴にするなよ」
「京介まで加奈子の味方するの!?」


「──で、あらためて、何の用?」

 リビングで桐乃は聞いてきた。
 この場には京介も同席している。
 どうでもいいけど桐乃ってばトゲのある言い方だよな。

「これなんだけどさ」

 あたしは言いながらバッグの中からマスケラのDVDを取り出した。

「え? こんなのわざわざ持って来なくてもウチにあ……むぐっ」

 京介が妙に慌てて桐乃の口を塞いだ。
 なんなんだ?

「なんだ、それは。アニメかなにかのDVDか?」

 と京介。

「んー、ちょっとコレ見て聞きたいことがあるんだよね」
「今日は木曜だし、親は習い事でいないから、別にいいケド、あまり遅い時間まではだめだよ?」
「なんで?」
「だって、夕方からメルルがあるか……むぐっ」

 また京介が桐乃の口を塞いだ。
 なんなんだヨ、いったい。

「まー加奈子も長居するつもりは無いけど。今日はメルルがあるから見ないといけないからさー」

 がたっ。
 桐乃が顔を突き出してきた。

「加奈子、メルルってあの子供向けアニメの?」
「そーだよ、他に何があるんだヨ?」
「加奈子って、……オタクだったの?」

 そういう桐乃の目は、なぜからんらんと輝いていた。

「ちげーよ! 加奈子ってメルルの公式コスプレイヤーだべ? キャラ作りの一環ってヤツ? そうでなかったら誰がこんなアニメ見るかってーの!」
「なんだって!? 加奈子、いまの言葉、もう一度言ってみな……むぐっ!!」

 ……だからいったいなんなんだヨ、この兄妹は。
872 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:18:21.45 ID:2I7RFjOSo
「そ・そうだ、加奈子、この前のライブ、加奈子の出番、見れなかったから、良かったらここでちょっと歌ってみてくれよ」

 京介が何かを取り繕うような感じで言った。

「えー? でもアニメソングだべ?」
「それはそうだけどさ、アニメとかは関係なく、桐乃も友達がどんなショーをやったか興味あるだろ? な?」
「み、見──み、」

 なぜか桐乃は「み」を繰り返し、そしてすーはーすーはーと深呼吸した。

「見てあげてもいいけどぉ……! あくまでクラスメートとしてね!」
「ほらな。頼むよ、加奈子」
「えー、でも、オケとか無いしー」
「加奈子くらいの実力あったらアカペラだって全く問題無いだろ?」

 京介のこの言葉で、あたしの中のなにかが切れた。

「しょーがねーなぁ、トクベツだべ?」
「よっ、待ってました!」
「テンポ取るから手拍子頼むヨ」
「おっけー、ほら、桐乃も!」

 ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。

 めーるめるめるめるめるめるめ〜 めーるめるめるめるめるめるめ〜
 宇宙にきらめ〜く流れ星〜☆ まじーかるじぇーっとで、てーきを撃つ〜
 …………

「さっすが加奈子! 良かったよな、桐乃?」
「よ、良──よ……(すーはーすーはー)ま・まあまあ良かったんじゃない?」


「とゆーワケで、このDVDなんだケド見てみ?」

 あたしが出したディスクを桐乃が受け取って、プレイヤーにセットした。
 再生スタート。
 本編が始まり、しばらくして、夜魔の女王(クイーン・オブ・ナイトメア)が登場した。

「あ、ちょっとストップ!」
「え? う・うん」

 桐乃が慌ててリモコンで一時停止した。

「どうしたんだ?」

 あたしは画面を指差し、

「この女、誰かに似てね?」

 …………

 どーしたんだヨ、急に二人とも固まって。

「だ・だだだだ誰に、ににににに似てるって?」
「ほらぁ、あん時のパーティーにいただろ? このアニメの女とおんなじカッコしたやつがさー?」

 いまの仕事のほとんどはアニメのコスプレだったりする加奈子だけど、いちおープロのモデルだし、一度見たファッションなんて見間違えるワケがねーべ。

「あ・ああ、黒猫ね」
「そーそーそいつ」
「その黒猫がどうした?」
「そいつとこのアニメの女、おんなじカッコだけどよー、これって偶然? それともコスプレ?」
「さ・さあ、黒いのがマスケラの大ファンで同人誌とかも作ってるって聞いてないしー?」
「おいバカ、桐乃!」
「あっ……」

 言質は取れた。

「なるほどー。このアニメのコスプレなんだー?」

 なぜか正座になって頷く兄妹。

「ってことはあいつはオタなんだー?」
「ま・まあ……」
「そうとも……言うかな……」
「んで、あのパーティーにあいつがいたって事は桐乃や京介もあいつと友達だってことだべ?」
「……だとしたら……?」
「おまえらにあいつの居場所吐かせて見つけ出してブッ殺す!」
873 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:19:02.62 ID:2I7RFjOSo
 そもそもあいつさえいなければ、あのパーティーで誰が京介の食事の世話をするかなんて騒ぎは起きなかったワケだし、騒ぎが起きなければあやせが京介のアパートに通うことも無かったワケで、全ての元凶はあいつってワケだ!
 いやいやいやいや、京介がらみで無くっても──

「あいつはメルルをバカにしやがった! ゆるせるワケねーべ!!」

 ……思わず声に出してしまった。
 慌てて視線を戻すと、桐乃も京介も口をポカンとあけている。

「どーしたべ? バカみたいなツラして?」
「あーいや、その、オタクの友達がいるって事で、あたしたちもオタクだって疑ってたんじゃなくて?」
「き・桐っ!」

 なんで今日は桐乃の言葉に京介が慌てるシーンが多いんだ?

「あー? 桐乃みたいなのがオタなわけねーべ? それに、知り合いがたまたまオタだったってだけっしょ?」

 がしっ。
 いきなり京介が加奈子の手を取って握り締めてきた。

「加奈子……、おまえってマジでいいやつだな!」
「え? え?」

 がばっ。
 今度は桐乃が抱きしめてきた。

「加奈子と親友で本当に良かったよぉ!」
「あ? あ?」

 いーから二人とも離せヨ、暑苦しーじゃん。

「もし、もしもだよ? もしあたしがオタクだったらどうする?」
「えー? 別にどーもしねーヨ」
「じゃあバカにしたりとかしない?」
「するヨ。決まってんべ?」

 …………

 あら?
 なんでいきなり二人ともガクッとするの?

「……バカにするって例えばどんな?」
「あー?『桐乃オタなのかよキメェwww』ってからかったり、ライブイベントのチケットを餌にして肩揉ませたりするかなー」

 前に京介に言ったまんまのセリフを桐乃にも言った。

「ふーん、そっかあ」

 桐乃はうんうんと何度も頷いてから、いきなり立ち上がり、

「加奈子、悪いけど待ってて。京介、ちょっと来て」
「はいよ」
「おう」

 リビングから出て行く兄妹。
 そしてドアの向こうでごしょごしょと話している。
 どうしよう言おうか、とか、取り合えずバレるまでこのままでもいいんじゃないか、とか聞こえてきたけど、いったい何のことだ?
 しばらくして、二人は帰ってきた。
 二人とも気持ち悪いほどニコニコしてて、特に桐乃なんかは今にも踊りだしそうなほどご機嫌だ。

「ゴメンねえ、待たせて。あ、ジュース飲む? お菓子もあるよ?」

 ……なんか急にすごいもてなしを受けてるんですケド?
 いったい何があった?

「そういえば加奈子ってば、ブリジットちゃんと同じ事務所なんだよね? 仲良くなりたいからあたしもメルル見てアニメの勉強しようかな〜? とらの……ナントカにも一緒に行ってみたいしぃ」

 と言う桐乃に、なぜか吹き出しそうになる京介。
 本当にこの兄妹はよく分からん。
874 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:19:42.07 ID:2I7RFjOSo
 そうこうしている内に、五時過ぎになった。

「あ、そろそろ急いで帰らないとメルルが始まっちゃうべ」

 プレイヤーからDVDを出してもらってバッグに入れる。

「それじゃー桐乃、また明日ガッコで〜」
「ウン、よかったらまた遊びに来てね、いつでもいいから〜」

 バイバイして高坂家をあたしは後にした。
 ってやべー。ダッシュしないとマジで五時半に間に合わねー。


 めーるめるめるめるめるめるめ〜 めーるめるめるめるめるめるめ〜

 よかったー。間に合ったー。
 それにしても、何か忘れてるような気がするんだよなー?
 ──あっ!
 オタ電波女の居場所を突き止めるのを忘れてた!
 あの時、言おうかとかバレるまでこのままとか言ってたのはオタ電波女の事を加奈子に言おうかどうしようか相談してたんだな!?
 その後の急な歓迎ムードは、その件を忘れさせるためってワケかー!?
 ちくしょー、ハメやがったなーっ!?
 ぜってー今度聞き出してやる! ……っと、今のシーンのメルルのポーズ、今度のイベントのパフォーマンスにも取り入れようっと。


<了>
875 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 16:31:55.49 ID:2I7RFjOSo
っと、書き忘れたけど、京介の模試が終わってめでたく自宅への帰還が許されてから少し後、という設定です。
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 17:26:44.65 ID:qnlt6UtN0
>>875 乙!

YOU、ふさたんの代わりに原作書いちゃえヨ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 19:24:43.67 ID:tDpmdeFDO
>>875乙ッス

目の前でメルルもどきをやられて理性を保ち切った桐乃も乙w
コスプレイベントじゃ加奈子と知らず鼻血ブーだったよな・・
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 19:58:35.45 ID:kmNzU6fIO
>>875
乙!
加奈子とも桐乃京介ともすっごいありそうな光景でワロタww
こういうコミカルなのもいいね。
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:02:15.99 ID:tDpmdeFDO
五巻を読んでいたら素敵な電波にまぎれて酷い電波が・・。
(五巻のサイドストーリー的なひどい何か)

属性;これはひどい

【この年まで知らなかったわ】
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:03:45.92 ID:tDpmdeFDO
あの不愉快な結末を迎えたプレゼンの帰り道・・二人っきりの下校。
少し慣れはじめた状況で、
先輩は急に妙なことを口走り始めた。

「・・あー、あのな、ひとつだけ言わせてもらうと・・。
・・年頃の女子が人前でオナ●ーオ●ニー連呼するのはどうかと思うぜ」

「・・?あなたは何を言っているのかしら?何か問題でも?」

「・・な、なぁ黒猫。おまえ、・・●ナニーの意味わかってるか?」

「???オナニ●・・?・・自己満足の行為、
独善的で他人の評価なぞ知るか・・そんな意味でしょう?」

「・・あぁあのぅ、黒猫・・さん?ま、マジで・・?言ってます?」

「・・あなた、何か厭らしい連想でもしているのかしら・・まったく。」

やはりこの年代の雄はどいつもこいつも、SEXのことしか頭にないのかしら・・

「な、なぁ黒猫?け、携帯持ってるよな、な?
わ、悪いこと言わない、今すぐ調べてみろ、な?」

「・・・・。」

調べものをするとき、画像検索をするほうが
手っ取り早いことが多いと私は普段考えている。

[オ●ニー][画像検索]

携帯で検索した次の瞬間、
私の見ている画面は・・

凄い・・ことに・・。

「・・わ、わかったかな、意味が・・ハハハハハハ」

「・・こ、の」

「・・なんてもの、を、見せ付けてくれた、のか、し、ら・・」
あぁ、目の前が真っ赤になる。
ソウ、世界ハ血で染まルべきなのヨ。

「ま、待て待てっ!見せ付けてやるって言ったのはおまえだろ、じゃなくて、落ち着け!」

見せ付けてやる・・?

私のプレゼンの最後の口上をもう一回思い出す。

〜回想〜
『超凄いオナニ●を見せ付けてやるわ!』
〜回想おわり〜

次の瞬間、私の脳裏に浮かんだのは
ゲー研の皆の前であられもない姿を晒し
たくさんの器具を用いて、さっき見た画像のように、

【超凄いオナ●ーを披露している自分】

・・・・へ、・・・・変態・・。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:06:26.16 ID:tDpmdeFDO
「いーーーやーーーーあーーーーッ!!」
三千世界に響き渡る悲鳴を奏でる私。
「く、黒猫、お、落ち着け!な!まだ大丈夫だぞ!」
「いや、いや、いやぁーーーーーーーッ!!!」
「待て、落ち着け、傷は浅いぞ!」

「ク、・・ククク・・クッハハクク・・。瓦解のときはきたようね・・。」
そうだこんな世界は嘘なのだ。
「おーい、戻ってこーい!」

「大地は割れ、海は沸き立ち・・
学校は地獄の底まで崩れ落ちるのよ・・クックク・・クククク。」
「えらいローカルな世界滅亡だな!」

「・・そう、だからぜんぶ嘘なのよ、嘘・・嘘って言ってよ・・。」グスッ
私は泣いてない、なぜならこんな世界はぜんぶ嘘なのだから。

私は嘘の世界でしゃがみ込む。

「・・分かった。俺が明日までになんとかしてやる。

・・絶対に、だ。」

先輩になだめられながら、結局帰宅するまでに1時間近くを要してしまった。

〜〜〜〜〜〜

ほとんど幽鬼のようになって家に帰り着く。「ただ・・いま・・」
最後の気力を振り絞りようやく自室までたどり着くと、
私は制服を脱ぐのも煩わしく、畳の上に身を放り出した。

どうしても意識から今日やらかしたアレを拭い去れない

「・・・・。」

震える手で携帯を取り出し、

[超凄●[田島「チ○コ破裂するっ!」]][画像検索]

・・・・。

「〜〜〜〜〜〜ッ!!」

画面の中でさらに物凄い行為を繰り広げる女の子達。

「・・・・馬鹿、私の、馬鹿・・・・。」

うつぶせに寝転び、手近な何か・・とりあえず座布団を抱きかかえ、顔をうずめる。

「・・・・な、何なのよ超凄い[田島「チ○コ破裂するっ!」]って・・・・」ぽふっぽふっ

「・・・・馬鹿じゃないの・・?超凄い[田島「チ○コ破裂するっ!」]・・?」ぼふぼふっ

「おかえりルリ姉!ごは・・ん・・・・は・・。」

「・・・・す、凄い[田島「チ○コ破裂するっ!」]・・お、[田島「チ○コ破裂するっ!」]・・・、超凄い[田島「チ○コ破裂するっ!」]・・・。」ぽふっぽふっ

はッ!

顔を上げると、そこにはふすまを開けたまま凍りついた我が妹が。

「ル、る、ルリ姉・・。」

「・・!・・違うのよ・・・・。」

「・・・・あの、ルリ姉?」

「・・・・違うと言ってるじゃない。」

「・・・・発情期なの?」

スパァーンッ!!

座布団が日向の顔面にスマッシュヒット。

実の姉をつかまえて猫じゃあるまいし。
・・・・確かに黒猫だけれども。

・・わたし、上手いこと言ったわよね・・・・。
・・お願い。せめて、笑って頂戴・・。
882 :なぜかsagaできないため再投稿すみません [sage]:2012/07/05(木) 23:10:41.54 ID:tDpmdeFDO
「いーーーやーーーーあーーーーッ!!」
三千世界に響き渡る悲鳴を奏でる私。
「く、黒猫、お、落ち着け!な!まだ大丈夫だぞ!」
「いや、いや、いやぁーーーーーーーッ!!!」
「待て、落ち着け、傷は浅いぞ!」
「ク、・・ククク・・クッハハクク・・。瓦解のときはきたようね・・。」
そうだこんな世界は嘘なのだ。
「おーい、戻ってこーい!」

「大地は割れ、海は沸き立ち・・
学校は地獄の底まで崩れ落ちるのよ・・クックク・・クククク。」
「えらいローカルな世界滅亡だな!」
「・・そう、だからぜんぶ嘘なのよ、嘘・・嘘って言ってよ・・。」グスッ
私は泣いてない、なぜならこんな世界はぜんぶ嘘なのだから。

私は嘘の世界でしゃがみ込む。

「・・分かった。俺が明日までになんとかしてやる。
・・絶対に、だ。」

先輩になだめられながら、結局帰宅するまでに1時間近くを要してしまった。

〜〜〜〜〜〜

ほとんど幽鬼のようになって家に帰り着く。

「ただ・・いま・・」

最後の気力を振り絞りようやく自室までたどり着くと、
私は制服を脱ぐのも煩わしく、畳の上に身を放り出した。

どうしても意識から今日やらかしたアレを拭い去れない

「・・・・。」

震える手で携帯を取り出し、

[超凄いオ●ニー][画像検索]

・・・・。

「〜〜〜〜〜〜ッ!!」

画面の中でさらに物凄い行為を繰り広げる女の子達。

「・・・・馬鹿、私の、馬鹿・・・・。」

うつぶせに寝転び、手近な何か・・とりあえず座布団を抱きかかえ、顔をうずめる。

「・・・・な、何なのよ超凄い●ナニーって・・・・」ぽふっぽふっ

「・・・・馬鹿じゃないの・・?超凄いオナニ●・・?」ぼふぼふっ

「おかえりルリ姉!ごは・・ん・・・・は・・。」

「・・・・す、凄いオ●ニー・・お、オナ●ー・・・、超凄いオナニ●・・・。」ぽふっぽふっ

はッ!

顔を上げると、そこにはふすまを開けたまま凍りついた我が妹が。

「ル、る、ルリ姉・・。」

「・・!・・違うのよ・・・・。」

「・・・・あの、ルリ姉?」

「・・・・違うと言ってるじゃない。」

「・・・・発情期なの?」

スパァーンッ!!

座布団が日向の顔面にスマッシュヒット。

実の姉をつかまえて猫じゃあるまいし。
・・・・確かに黒猫だけれども。

・・わたし、上手いこと言ったわよね・・・・。
・・お願い。せめて、笑って頂戴・・。
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:12:41.33 ID:tDpmdeFDO
翌日・・とても部室に行く気にはなれず、
人目につかないように早々に帰宅するつもりだった。
・・先輩と出会うまでの、それまでの毎日と同じように。

先輩のあのメールを見るまでは。

【もう大丈夫だ。例の件はゲー研で話題に上がることはないだろう。
安心して顔出してみな。】

さんざん葛藤のすえ重い、重い足を運び、
あくまで気配を殺してゲー研の扉を開けたとき、

・・果たして部室は阿鼻叫喚の騒ぎになっていた。

「め、め、メルルたんが!俺のメルルたんが魔法ょぅじょからガチモホにジョブチェンジでござる!嘘だ!嘘だっ!」
「ぐわぁああ!嫌!嫌アッーーー!!」
「へ・・変態!変態!ひぃいいいいッ!」
「うふふ・・僕が、皆に・・犯されて・・ふふっ・・気持ちよさそう・・」


「よぉ、来たな?」
先輩はしてやったりとでもいいたげ顔で私を出迎える。
この部室で、冷静さを維持しているのは彼一人のようだった。
「・・何の騒ぎかしら、これは」
「まぁここじゃ何だ、うるさすぎて話もできやしないし・・ちと出ようか。」
「あ・・ちょっと」
少しだけ強引に手を引かれて部室を出る。
だけど、暖かな手の感触が心地好いともひそかに思う。

そして、人気のない裏庭まで連れてこられたので、私から核心に触れることにした。

「貴方・・何かしでかしたでしょう?」

「まぁな。」

いたずらを見つけられ、なお自慢げな悪餓鬼のような顔で微笑む。

「昨日の赤城のプレゼンデータからありったけのCGを回収して、
皆のパソコンの壁紙、起動画面、スクリーンセーバー・・
全部あの超凄いガチモホ画像に差し替えたのさ。」

・・馬鹿かと。この男もあの変態眼鏡に侵食されてしまったのかしら。

「・・何のためにそんな馬鹿なことを?」

「こんだけのダメージを与えりゃ、昨日の些細な所なんか吹っ飛んじまうだろう?
ましてプレゼンの時の細部なんかトラウマの至近距離だ。
恐らくまず全員が意識から封印しちまいたいだろうよ。」

・・いくらなんでもこれは酷い。

「・・無茶苦茶よ・・。焚火を消すために戦略核兵器を投下したようなものだわ」

「・・言ったろ。"絶対に"何とかしてみせる、って。」

「・・いくらなんでも、他にやりようが無かったのかしら・・」

「思いつかなかった!」
胸を張って答えるところかしら?
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:14:47.56 ID:tDpmdeFDO
私は大きなため息と共に、
「・・貴方、やはりとんでもない馬鹿ね。」
今さらながらに率直な感想を伝えた。
「おぅ、褒めてもらえると嬉しいぜ!」
にっこりと笑うその顔色は屍のごとく土気色で、
一晩中あのデータに直面し続けた有様が容易に想像できた。

・・先輩は、いつもそう。

泣いている誰かを見るたびに、
死に物狂いになり、傷だらけになってのたうち回り、
・・いつも、最後にはさらりと笑ってみせる。

・・きっとこの馬鹿さ加減は
一生どころか死んでも尚、治らないのでしょう。

「ま、お蔭さまでかなり耐性は付いたぜ。■■■の■■に■■■■■を■っ■■てようが、
■■■■な■■■が■■の■■■に■■っ■り■■してようが全く平気になってきたよ。」

私の中で上昇した先輩の評価がいささか損なわれた。

「・・さわやかな顔で酷い単語を並べないで頂戴。
・・とりあえず貴方も変態だという事が良く分かったわ・・。」

「・・な!ひでぇ!止めて、汚いモノを見る目は止めて!」

「・・冗談よ。」・・クス

「・・でも、・・」
私はくるりと、出来るだけさりげない風に努めて回れ右をする。
「・・多少なりとも、感謝の気持ちがないでは、ないわ・・」

「はいはい、どういたしまして。」

「・・さぁ、行きましょう・・先輩。
貴方のおかげで、彼岸の崩落は妨げられたわ・・」

「ああ、そうみたいだ。」

私は先輩のほうに出来るだけ、赤らんだ顔が向かないように努めながら、
ふたたび、部室へ歩みを進めはじめた。

・・後の心配事は、日向への誤解を解くことと、・・そうね、やはりあのヒトの心配かしら?


〜〜〜で〜〜〜

あの(狂った)ヒト「部員の先輩がたが皆様目覚めちゃったのっ!?すごい、すごいわッ!
これで名実ともにゲイ研の誕生ねッ!?
や、やっぱ真壁先輩総受けの流れかしらッ!?
いやいや高坂先輩肉便●ルートッ!?
ウオオオオみwwなwwぎwwっwwてwwきたwwwwwwwwwwwwww」


〜〜〜〜で、〜〜〜〜


「姉さま、姉さま。しつもんがあります。」

珠希は最近こんな具合に質問をぶつけてくる機会が増えてきた。

「なにかしら?珠希」

知的好奇心が旺盛な年頃なのだろう、私は年長の姉としてできる限り、
わかりやすくかみくだいて教えるように心掛けている。

「えっと、おなにい、ってなんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「???」ワクワク

・・・・私は冷や汗を吹き出しながら、あっさり答えに窮してしまった。


【おわり】
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:17:27.08 ID:tDpmdeFDO
以上です。
投稿ミスやり直しなどあってお見苦しいことすみませんでした

〜〜〜〜〜

い、いま起こったことをありのまま話すぜ・・

「黒猫にオナニ●連呼させて恥ずかしがらせてブヒッてたら
いつの間にかモホネタを書いていた」

な、何を言ってるのかわからねーと思うが、俺が聞きたいぜ・・。
・・あ、頭がどうにかなっちまったアヒャヒャヒャ

ふ、腐女子とか黒猫の呪いとかそんなチャチなもんじゃねぇ、
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/05(木) 23:24:07.21 ID:TcdivJiHo
>>885
乙!

これは酷い電波だw
[田島「チ○コ破裂するっ!」]連呼した後の黒猫の心中は如何だったのだろうか。
多分顔を赤らめてたから知ってはいたんだろうが、これみたいに知らないのもまたひどくて面白いなw
黒猫は無意識に変態発言するのがやはり良い。そしてそれを花澤さんに言わせるのが更に良い!ェ…
887 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 23:35:58.44 ID:2I7RFjOSo
感想ありがとうございます。

>>876
原作書くなんて恐れ多い事です。
俺はコメディとかギャグしか書けないのでシリアスシーンはダメダメなので。
ギャグならうまく書けるかというのも疑問ですし。

>>877
「もどき」だったから理性を保てたんです。
京介が桐乃をイベントにつれてきたのは加奈子も目撃してたので、
イベントの加奈子の登場時に間に合ってたとしたら完全にオタバレしてたでしょうw

>>878
ありそうな光景と思ってもらえてよかったです。

ちなみに、最初に書いたプロット(三人称形式で書いた)では上手くまとまってたのに
加奈子視点にした時点で回収できない疑問点が結構あります。
無理に回収させたらテンポが悪くなるのであえて無視したので、
不合理な部分に気付いても「加奈子だから」と脳内保管してください。
888 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/05(木) 23:39:39.72 ID:2I7RFjOSo
>>885
乙です。
ラストの珠希、大きくなったらわかるから今は忘れようね……。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 06:33:39.22 ID:s9cl3xNv0
>>885 乙乙!
>>886 同意

朝起きてPC立ち上げたらスバラシイ贈り物がポストに入っていた気分だぜ
原作もアニメも一番wktkしていた頃を回想して2828してしまった
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 19:21:39.85 ID:B1Pb6Q1DO
皆様感想感謝です

NGワード変換が入ると黒猫がマジキチ変態に・・orz

>>888◆YHxtVKAHbwさん

十年後の五更家、長女と同じ轍をふんでえっちな言葉を連呼しまい、
枕かかえて足ばたするたまちゃんの姿が見える、見えるぞ・・


猫に執着しまくる加奈子、桐猫のようにケンカ友達フラグが立ってるような・・?
ただし頭ピーマンな子だけに、口の回るドS猫に勝てる気が微塵もしませんがww

>>889
朝起きたらPCにモホネタが入っていたでござる
実は最近になってこの作品にハマっ[黒猫かわいいよ黒猫]たので・・


>>886
「じい・こうい」「ひとりえっち」「マスターベーション」は存在を知ってても
「オナニ●」という単語を間違って覚えていたという力技な設定です。

黒猫は超恥ずかしがり屋の下には超凄いリビドーを秘めて
悶々と超凄い妄想にふけるドむっつりさんだと思うの。
だから時々言動のはしばしに変態さんがうっかり
チラリズムしちゃっうわ何だれ助け
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 20:08:45.62 ID:B+lmN+fp0
メール欄にsagaって入れると変換されないよ
サゲ(sage)じゃなくてサガ(saga)ね
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 23:41:02.29 ID:bWiqFkxIo
日向は知ってるんだな
超凄いの見せて欲しいわ
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [saga]:2012/07/07(土) 11:44:16.15 ID:WfxI2vtx0

894 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/07(土) 13:24:32.85 ID:fp5ZB47so
あやせ視点でかなり短いのを書いてみました。
今回はギャグ・コメディ要素ちょっと少なめです。
時系列的にはあやせが京介の食事の世話をしている時期です。

それでは投下します。
今回はタイトル未定です。
895 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/07(土) 13:25:01.31 ID:fp5ZB47so
 わたし、新垣あやせは、現在桐乃のお兄さんのアパートに通って家事などのお世話をする日々を送っていた。
 桐乃からは、ちゃんと勉強しているかどうかの監視役、という名目でお願いされたのだけど、正直かなり苦痛。
 だって、あのお兄さんですよ?
 少なくとも最近はセクハラとかはしてきてないけど、今までのお兄さんのやってきたことを考えたら、まだまだ全然信用できません。
 でも、勉強の監視役を任命された以上、必殺ハイキックは出せないですよね、試験が受けれなくなったら大変ですから。
 もちろん、セクハラした方が悪い、試験が受けれなくなっても自業自得だという論理もあるんだけど、先日の加奈子のライブのClariSさんに対してのアレのような冤罪で、お兄さんを試験前日に病院送りとかしてしまったら、桐乃に会わせる顔が無くなってしまう。
 本当の本当にセクハラだと見極めた上なら容赦する必要は無いけど、見極める前にわたしが汚されるなんて事があったらどうしよう──
 これがわたしが感じている苦痛の理由。

 お兄さんの前ではできるだけ自然に振舞ってはいるけど、いまこの瞬間も心臓が飛び出しそうなくらいわたしはドキドキしている。
 いつセクハラしてくるか、セクハラされたらどうしよう、そんな事ばかり考えていたので──

「痛っ」

 包丁(色々調べて買ったよく切れるもの)で指を切ってしまった。
 誤解の無いよう言っておきますが、指を切り落としたという意味じゃありませんからね!

「どうした、あやせ?」
「だ、大丈夫です。ちょっと包丁を滑らせてしまっただけで……」

 お兄さんが勉強を中断して、キッチンにやってきた。
 そして、わたしの手を取って、

「ちょっと見せてみろよ」
「な、ななな、何当たり前のように触ってくるんですかっ、通報しますよ!」

 ばか! ばかばか! これじゃあただの自意識過剰女じゃない!
 お兄さんは本気で心配してるんだって分かってるくせに!

「あやせに何かあったら俺が桐乃に殺されるわ。いいから見せろよ」
「ほ、本当に大丈夫ですから……。私のことなんて放っといて勉強に戻ってください……」

 だからなんでこんな突き放した言い方になってしまうの?
 いまのわたし、自意識過剰どころかイヤな女だ……。

 お兄さんはしぶしぶといった感じでキッチンから出て行く。

 ──ごめんなさい。

 わたしは誰もいなくなったキッチンの入口に小さく呟いた。

 こんなわたしにお兄さんの世話を任せた桐乃も罪作りですよね。
 お兄さんの事を嫌いだと“表明している”人よりも、お兄さんに対する好意を“表に出してる”人のほうが良かったんじゃないかと時々ふっと思います。


 それから数日後。
 今日のわたしの“任務”も無事終了した帰り道、お兄さんを呼び出すのに何度か利用した公園に差し掛かったところで、携帯に着信が入った。
 誰? ああ、桐乃か。……あっ!
 わたしの携帯電話、ストラップが無くなってる。

「もしもし」
『あ、あやせ? あのバカちゃんと勉強してる?』
「うん。それはだいじょうぶだよ」

 それから一言二言、何気ないいつもの桐乃との会話を終えて、通話を切る。
 無理して桐乃に対して普通に振舞っていたわけじゃなく、本当にたいしたショックもわたしは感じてなかった。
 だって、どこにでも売っている普通のストラップだったから。
 でも、無くした場所、お兄さんのアパートかも知れないから一応メールしておこうかな。

『わたしの携帯のストラップ、部屋に忘れてませんか? いま例の公園にいます。』

 っと、送信。

 …………。
 し、しまった……、なんて文面で送ってるの……?
 公園にいる、なんて余計じゃない。
 これじゃストラップ届けろって呼び出してるみたいじゃない……。
 あったら保管しておいてくださいって言えばいいものを──

「あやせ、これか!?」

 ──って、早っ!
896 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/07(土) 13:25:31.47 ID:fp5ZB47so
 あ……ありのまま今起こったことを話します。
 この公園からかなり離れたアパートにいるお兄さんが、いつのまにか目の前に立っていました。
 な……何を言っているのか分からないと思いますが、わたしも何を言っているのか分かりません……。

「な、ななな、なんでこんなに早く!? メールしてから一分も経ってませんよ!? はっ! わたしをこっそり尾行してひと気の無いところで襲うつもりだったんですね!?」

 わたしは完全にパニックに陥っていた。

「ちげーよ! 落ち着け!」
「落ち着いていられるわけないでしょう!? 通報しますよ!」
「誤解だ! とりあえずそのブザーのヒモから手を離してくれ! マジでお願い!」

 言いながら、お兄さんはその場で正座する。

 お兄さんの言い分によると、

 わたしがアパートから出て行ってしばらくした後で、見慣れないストラップを見つけた。
 おそらくわたしのものだろう、と思ったお兄さんは、コンビニに飲み物を買いに行くついでに家まで届けようとアパートを出た。
 ジュースにしようかお茶にしようかコーヒーにしようかなんて考えながらブラブラゆっくり歩いていた。
 わたしからのメールを着信した。
 ダッシュ。

 ということらしい。
 もちろん、全面的に信用は出来ないけど──

「じゃあ、そういう事にしておきます。でも、また同じような事があったら今度は本当に通報しますよ?」

 ……なんで余計な一言が出てしまうんだろう。
 ここは「ありがとうございます」っていうべき場面でしょ、本当に救いようの無いばか女だ。

 お兄さんはわたしの失礼すぎる言葉には何も言わず、ただ苦笑いを浮かべている。
 そんなお兄さんの顔を見ていると、混乱していた頭がなぜか不思議と静まってくる。
 そして、無意識のうちにわたしも笑みを浮かべていた。

「あれ? 急に笑い出してどうしたの? 俺の顔に何か付いてる?」
「いえ、ただ──」

 わたしとお兄さんって、本当に変で本当に奇妙な関係だなって自嘲しているだけです。

「ただ、なに?」
「なんでもありませんよー」

 結局最後にはお兄さんのペースにはまってしまうんだなと思いながら、今更だけどわたしは素直な言葉を口にした。

「わざわざ届けてくださってありがとうございます」
「い、いや、どういたしまして……」

 ……あれ? お礼言っただけなのになんでお兄さんは急に笑顔が引きつって冷や汗かいてるんだろう?


 本当に奇妙な関係だ。
 以前黒猫さんにお兄さんとの関係を問い立たされたとき返答に困ってしまったのも仕方ありませんね。
 だってこの変な関係、どう言葉に置き換えて説明したらいいんですか?

<了>
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 15:03:25.19 ID:4gKTNmK10
>>896 乙!

土曜日の気だるい午後を気分良く過ごす事が出来た、ありがとう
898 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/07(土) 17:04:50.18 ID:LUXxJOTRP
>>896
乙! あやせ好きとしてはあやせ視点のSSは大歓迎だぜ!

公園って言葉を追加したのは、あやせが京介に会いたかったからと脳内で補完しているぜ……!


そんな訳で、俺もちょっと書いたので投下します。
サブストーリーで、9巻の桐乃視点のその裏で。
敢えて京介の視点での出来事を書いてみました。

9巻まで読んでない人はネタバレなので注意!
899 :或る彼氏の闘い ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/07(土) 17:07:05.99 ID:LUXxJOTRP
 俺は、高坂京介。これといって特筆すべき事がないぐらいに平凡な男子高校生だと思っている。
 しかし、今置かれているこの状況は果たして、平凡な男子高校生のイベントだと言えるだろうか。
 
 今いる場所はとある旅館。
 風情のある和室で、今置かれている状況ではなく、それこそ麻奈実との旅行でここに来ていたら今頃のんびりと寛いでいるだろうだろうと思わせてくれるような落ち着く場所だ。
 だが、残念ながら今はそういう状況では無かった。
 
 目の前に居る、肌が白く、温和そうな雰囲気を放ちながらも、静かに俺を強く睨みつけている壮年の男性は、黒猫の父親である。
 黒猫というのは別に本当の猫の事を指している訳ではなく、人間の女性である人間を指している。
 そしてその女性と俺は付き合っていて、そして、振られるという形で別れたのがつい最近の話。
 
 状況をお分かり頂けただろうか。
 そう、俺は一度付き合い、そして別れた元彼女の父親とこうして対面で座っている。
 正直に言おう。気まずいなんてものじゃなく、しかも数時間前まではこんな状況になるなんて夢にも思ってなく、心の準備もクソも無かった。
 
 その隣に居る女性、黒猫の母親は、冷たい雰囲気を放っていて、初対面、俺を嫌っているんじゃないかと思ったが、何のことはない。
 確かに容姿こそは冷たい美女という風な感じではあったが、実際の所、人見知りしやすい体質なのだと知れる。
 実際話してみると、容姿に反して温かい声で俺を迎え入れてくれた。
 実際、俺をここに泊まらす事に反対してくれていたらしい。
 
 ……その説得を振りきってまで、俺と一緒に話したいと主張したのが目の前の父親。
 見た目こそ温和そうだが、その中身がそうだと限らない事は隣の奥さんが証明している。

 俺と父親をキョロキョロと見ているのが、日向ちゃん。彼女は飛び入りでこの部屋に泊まる事にしたらしい。
 ……俺の事を心配してくれたのだろうか。正直、助かる。
 娘の前で、いきなり俺に殴りかかるような真似はしないだろう。
 し、しないよな。
 
「……瑠璃と、仲良くしてくれてありがたく思ってるよ」

 ついに、黒猫の父親が口を開く。
 
「……い、いえ。こちらこそ、仲良くして頂いてます」

 相手の出方が分からない以上、無難に回答するしかない。
 しかし初っ端から娘の話題である。
 地雷を踏まないよう気をつけなければ。
 
「そうか。仲 良 く ねえ」

 ――仲良く、という部分を強調して繰り返される。
 くっ、さ、早速地雷を踏んでしまったのか? で、でも仲良くしてないなんて言えねえだろ。
 
「え、ええ。そ、その、健全なお付き合いをさせて頂いてます」
「ほう? お付き合い、ねえ」

 ぐはっ! 俺の馬鹿、主張したかったのは疚しい事なんてしてませんよ、という所だったのにこの台詞じゃ彼女の父親に対して言う台詞じゃねえか。
 実際じゃもう別れてるってのに。
 
 ちら、と助け舟を求めて日向ちゃんを見やる。
 日向ちゃんは何このヘタレという感じでこちらを見ている。
 ヘタレで悪かったな!
 
「瑠璃と、付き合っていたんだってね。ああ、当然、男女の関係として」
「は、はい」
「で、今はその関係を解消していると」
「は、ははい」

 くそ、声が裏返ってしまう。別に悪い事をした覚えはないってのに。

「時に、今回、僕達が家族旅行をしている目的を知っているかな?」
「も、目的ですか?」
「そうだ。……実はね、ここ最近、瑠璃が酷く落ち込んでるようでね」
「…………」
「花火大会があった日からなのだがね。因みに、花火大会は君と一緒に行ったという事でいいのかな」

 こ、答えたくねえ……。
 
「は、はい。い、一緒に行きました」
「その時はまだ付き合っていた、という事でいいかな?」
「……は、はい」
900 :或る彼氏の闘い ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/07(土) 17:07:32.61 ID:LUXxJOTRP
 黒猫の父親……父猫さんはどうやら娘が落ち込んでいる理由を正確に推測しているらしい。
 
「花火大会が終わった後は、どうなんだい?」
「ど、どうというのは?」
「君たちは、付き合っていたのかい?」

 決定的な問いかけだった。

「……いいえ」

 正直、この質問に答えるのは別の意味で抵抗があった。
 なんせ、俺が振られた側なのだから嫌な思い出を掘り出されている感じがする。
 
「そうか……。状況は、分かった。だから娘が……瑠璃が落ち込んでいた訳だね」
「…………」

 俺は父猫さんに何も答える事が出来ない。

「……すまないね」
「な、何がですか?」
「瑠璃、結構変わっているだろう。見た所、君は瑠璃と同じような趣味は持ってないように見受けられる。
 君にとって、瑠璃の趣味は異質なものに思えるのだろうね」
「…………」

 確かに、普通だ、とは思ってない。
 
「だから、君が瑠璃を拒んでしまうのは分かる。だがね、ああいう変わった趣味を持っていても僕にとっては可愛い娘なんだ。だから――」
「――――なよ」
「え?」

 どうもこの父猫さんは何かを勘違いしている。
 俺が、黒猫を拒んで振ったと考えているようだ。
 だがそんな事はどうでもいい。
 
「ふざけんなよ……ッ!」

 俺は真っ直ぐと父猫を睨みつけて、そう言い放つ。
 いきなり態度が変わった俺に対して、父猫さんは少したじろぐ。
 
「すまない、ってなんだよ! 黒猫と付きあわせてしまって申し訳ないって意味か?
 ざっけんな! あんた、てめえの娘をそういう認識で見てるってのか?
 あんたの娘は、確かに妙な格好をしてるよ? 正直俺には理解はしきれねえ!
 けどな、あんたの娘は、すげえ優しい奴なんだよ! 口下手で全然素直じゃねえけど、俺には分かる!
 友達が物が手に入らなくて悔しがってれば、それを自分で取って渡してやるような、
 友達が馬鹿な事をしたら真剣に怒ってやるような、
 そういう優しくて真っ直ぐな奴なんだよ!」
 
 俺の怒鳴り声に、この部屋に居る誰もが唖然と口を開けていた。
 分かってる、分かってるって、どんだけ場違いな事を言ってるかって、分かってるさ。
 でもさ、黙っている訳にはいかねえんだよ。
 
「いいか、俺はな、黒猫と付き合えて、あんたの娘さんと付き合えて、本当に嬉しかった!
 楽しかったんだよ! 本当に、この夏休みが永遠に続けばいいと思うぐらいに、最高の日々だったんだ!
 本当に本当に本当に、ずっと一緒に居られればいいと願ったんだ……!
 だからすまないなんて言わないでくれ……ッ!
 あんたは自信を持って俺を罵倒すりゃいいんだよ……」
 
 あんたの娘さんと付き合えたんだ。
 そんぐらい幾らでも受け入れてやるさ。

 
 ……沈黙。
 場が凍りついたように、黙りこむ。
 
 ……や、やっちまった。くそ、最近スイッチが入りやすくて困る。
 で、でも嘘は言ってない。誤魔化してもない。
 だから、俺はこうすべきだと思って、言っただけだ。
 どんな結果になってもそれを受け入れるぜ……。
 
「……気に入った」

 父猫さんが真っ直ぐに俺を見つめて、そう言った。
 
「……へ?」
「そこまで瑠璃の事を分かってくれているなんてな……。実に見どころがある。どうだね、瑠璃ともう一度付き合ってもらえんかね?」
901 :或る彼氏の闘い ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/07(土) 17:07:59.63 ID:LUXxJOTRP
 俺が間抜けた顔をしていると、父猫さんがニコニコと笑いながら俺にそう提案してくる。
 い、いや、俺が振られた身なんだけど……。
 ど、どちらにせよ、俺は既に約束してるわけだし……。
 
「……それは、お断りします。まだ、色々とすべき事が俺にはあるって気付いたんです。そのすべき事を終えるまでは、娘さんと付き合う気はありません」

 失礼な事を言っていると承知している。しかし、これはきっぱりと言っておかなくてはいけない。
 それが決意というものではないだろうか。
 
「ふっ……。そうか、そうだな。男には準備というのがある。分かったよ」

 だが父猫さんは納得してくれたようだ。
 ……なんだか、何かを勘違いされている気がするが、納得してくれているのを無理に掘り返す必要は無いだろう。
 
 気が抜けて、ようやく周りを見る余裕が出る。
 母猫さんは、俺を真剣な眼差しでじっと見ていて、日向ちゃんは目をキラキラさせて俺を見ている。
 ……よく分からないが、上手くいったようだ。
 心の中で息を吐く。


「よし。京介くんと言ったか」
「へ、は、はい?」

 まだなんかあんの?
 
「一緒に風呂に入らないか?」

 うぇ? 父猫さん。そのポーズ、若干あの、やらないかみたいなポーズですげえ嫌なんですけど。

「……はい」

 けど断る事なんて出来ない。これで相手がこっちを睨みながらとかならまだ断りやすかったが、凄いにこにこしている人に嫌だなんて返せない。
 
 俺のHPはゼロなんだけどね……。
 
「ふっふ、瑠璃の昔話でも肴に飲み明かそうじゃないか」

 ……。まあ、元彼女の父親と一緒に風呂入るのもそう悪くない、よな。
 
 
 そうして、父猫さんと一緒に風呂で語り合い、男同士でしか話せないような事だったり、ちょっとした相談したりで、凄く仲良くなれた。
 将来、また黒猫と付き合う未来があるのか、それはまだ分からない。
 しかし、この家族とは末永く仲良くやっていければと思う。
 
 ……田村家以外のもう一つの我が家になりそうだな。
 真っ暗な部屋で、外に浮かぶ月を見上げながら想う。
 ……居心地のいい場所が増える事は歓迎だ。
 でも、と俺は目を閉じる。
 ……田村家にも五更家にも、あいつは居ない。
 俺の妹が居るのは、高坂家だけなのだ。
 
 そんな当たり前の事を思いながら、俺は眠りについた。
 
 完
902 :或る彼氏の闘い ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/07(土) 17:10:40.94 ID:LUXxJOTRP
終わりです。

黒猫の父親と母親の風貌とかまだ情報でてなかったですよね?
既に出てたならごめんなさい。調査不足です。

という訳でその両人物は完全オリジナルの設定ですのであしからず。
それではここまでお読み頂き、感謝を。
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 17:37:04.37 ID:4gKTNmK10
>>902 乙乙!

こういう原作で描ききれなかったサイドストーリー的な作品は好きだな
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/07/07(土) 22:12:05.52 ID:fR6hpDEAO
>>902
乙ですます

黒猫の両親について、公式情報はまだ出てないですよ

父猫と京介の会合について補完しているSSは初めて見ましたが、日向が京介をカッケーと言わしめるのに納得できる内容でとても良かったですます
905 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/07(土) 22:57:07.57 ID:fp5ZB47so
>>897
>>898
感想ありがとうです。

>>898
その脳内補完で恐らく正解だぜw
906 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/07(土) 23:00:31.00 ID:fp5ZB47so
>>902
乙〜!
「『超だっせー死ねよこいつ』と思いきや、超カッコイイ」の真相はこれだ! という感じが良く出ててよかったです〜。
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 23:48:28.42 ID:lpVNYYSDO
>>896
乙でござる
なんかあやせ攻略度いつのまにかかなり上がってるー!
帰ってからあやせがひとりでなんともモヤモヤしてそう

>>902
あの話のマジ外伝で通じちゃいそうな勢いでござるよ

こりゃ確かに日向も惚れるわな。そりゃ父猫だって思わずやらな(以下自重)
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 01:46:24.42 ID:EY39Z05eo
>>896
乙です!
あやせたんは、本当はお兄さんと仲良くしたいのに、出来ない乙女心が超可愛いよね!
最近あやせLOVEの輪が急拡大しているようでSSの海に浸かって幸せです。

>>902
乙でした!

本スレで話題に出てた部分ですな!
早速作品にしてしまうとは恐れ入った…
そして、まさにこれが『俺妹』だ!という様式美を見事に踏襲していて、凄く気に入りました。
原作9巻の完璧な補完で、ふさたんどうすんだこれ……w
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/08(日) 03:59:39.15 ID:d6wPPQKu0
俺妹P続で更に日向ちゃんが好きになった
日向ちゃんがヒャッハーしている話が読みたい
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 12:40:07.90 ID:LnX+kzcDO
「・・あ、貴方という人は・・女性どころか実の妹でも尚飽き足らず・・
まさか、わ、私の父さん・・まで・・?は、破廉恥よ・・無節操・・。」

「ルリ姉、まずよだれ拭こうよ?」
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 12:09:46.37 ID:pXXOJZ8DO
少し前に黒猫姉妹でケ●タ●キ●チキンネタを提案された方がいましたが、
そのうち発表できるかと思います、きっと。多分。
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/09(月) 14:51:52.58 ID:7iTQkCqfo
>>911
頼む
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 14:58:50.71 ID:VXKQo9UK0
>>911 頼む

以前某所で投下した「ショボイお節ネタ」のプロットが
流用できると思ったら、俺の筆力ではダメだった
914 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/10(火) 00:50:14.74 ID:JN+AhDz6o
>>907
>>902
感想ありがとうございます。
自分的には、10巻の京介一人暮らしシチュはけっこういじりやすくて書いていても楽しかったです。

他にも10巻を題材にしたネタはいくつかあったんですがさまざまな理由で没にしました。
例えば、あやせと黒猫のフミフミ変態百合プレイに至る過程を格闘技の猪木・アリ状態に例えて書こうとしたのですが、
pixivでそういうイラストを見かけて、同じ事考える人いるんだな、執筆断念、とか。

次書くのは他の巻かもしれないし、やっぱり10巻かもしれません(どっちだよ)。
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 20:42:26.16 ID:eUEVefaDO
>ふみふみ変態百合プレイ
>→断念

・・_ト ̄|○・・ミタカッタ
916 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/10(火) 21:50:23.48 ID:JN+AhDz6o
>>915
これで我慢してくださいw
pixivで見つけたイラスト
http://www.pixiv.net/member_illust.php?illust_id=27377197&mode=medium
917 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/10(火) 23:01:22.83 ID:JN+AhDz6o
>>914

>>907
>>908
の間違いでしたorz
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 23:45:03.20 ID:BvvUWyhWo
>>916
わたらい氏は有名だな
あやせたんペロペロ
919 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/11(水) 15:48:28.78 ID:SQngWDxGo
1レスSS書いてみました。
時系列的にいつを想定した、というのはありません。

それでは投下します。
920 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/11(水) 15:49:03.67 ID:SQngWDxGo
 あたし、高坂桐乃は、今お風呂に入っている。
 髪を洗おうと自分専用のシャンプーに手を伸ばそうとしたところである物が視界に入った。
 京介の使っているコンビニでも売ってるような普通のシャンプー……。

「ゴクリ……」


 数日後──

「おい桐乃。お前シャンプー変えたのか?」
「そ・それがどうしたの? 妹のお風呂の事まで気にして。あ─ヤダヤダ、これだからシスコンは〜」
「ちげーよ。俺のと同じだから間違えて使いそうになっただけだ」

 京介の言う通り、あたしは同じシャンプーを買ってきていた。
 区別するため、マジックで大きく『桐』と書いている。

「それにしても、どういう風の吹き回しだ? こんなシャンプー、モデル様のお前には合わないだろ?」
「っさいなー。シャンプーした後リンスとかコンディショナーとか使うから、とりあえず洗うってだけならこんな安物でもいいの!」
「だったらわざわざ買ってこなくても、俺のを使えばいいんじゃないか?」
「ハッ? 兄妹でシャンプー使いまわしってマジキモいんですケド〜」


 言える訳ないって。
 興味本位で京介のシャンプー使ってみた、なんて。
 でも、なに、アレ。
 京介補正を抜きにしてもマジ快感、みたいな?
 冷やっこいというかスースーするというか、今まで感じたこと無い感触、やみつきになっちゃったんですケド。
 そうだ、今度あやせや加奈子、黒いのや沙織にも薦めてみようかな、『トニックシャンプー』。


天の声「ランちんには薦めないのか?」
921 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/11(水) 15:50:05.74 ID:SQngWDxGo
以上です。
ヤマもオチもイミも無くてすみません。
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 16:41:53.80 ID:jdAoKS1DO
使用感の感想が妙にエロい・・です。

桐乃、使ったのは「髪の」毛だよな?な?
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/11(水) 17:04:10.00 ID:Np/PaTA+o
沁みそうだがww
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 17:11:00.32 ID:Tyju/kIko
きりりん、どこがスースーするの?
925 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/11(水) 17:17:47.71 ID:SQngWDxGo
>>922
>>923
>>924
感想ありがとうございます。
ちなみにシャンプーの使用箇所については、『髪』です!
変な事想像しないように!

「あ、でもぉ、泡が体伝って下におりていくでしょ〜……って、なに言わせるのよ!」

だそうですw
926 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/11(水) 17:22:27.96 ID:SQngWDxGo
自分としては、あくまで最後の天の声を笑いどころにしたかっただけで他意はありませんw
いや、マジで。
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/11(水) 21:58:21.91 ID:e+KanE3to
(・∀・)ニヤニヤ
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:12:44.53 ID:jdAoKS1DO
こんばんは。
くだんのケ○タ○キーチキンネタが完成したので投下します。
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:13:35.75 ID:jdAoKS1DO
【†あたしの姉がチキンってわけじゃない†】

・・その宴は地獄を体言した如く、阿鼻叫喚の様相を呈していた。

脂肪の塊に身を包んだ餓鬼共が、獄卒どものもたらす肉塊に
我先にと群がり、飢えに任せtj+f%#b\s\@%


って無理じゃボケェエーーーッ!!!!

無理だ。体に悪い!
これ以上ルリ姉語をつづけたら正気度がゼロになるって!

「・・姉上、今宵の宴は・・如何な犠牲(イケニエ)を?」
「・・ふっ。哀れな鰯が地獄の業火に焼かれた・・その骸よ・・。」

ヤダよそんな痛い電波家庭!

・・っといけない。あたしは五更日向。
言っちゃあなんだけどごく平凡な小五女子。ちなみにすでにおっぱいはルリ姉と大差ない。

・・ゲフンゲフン。まぁ一言多いのは玉にキズ、として。
平凡じゃないのはうちの姉、長女たるルリ姉。
ご存知、電波かつゴスロリなのに実は乙女で弄るとこれが可愛くて可愛くて。

逆にこらまた平凡なのはうちの可愛い可愛い妹のたまちゃんこと珠希。
平凡なんだけど妙に勘が鋭かったり頭の回転が超早かったりと侮れないんだ。
お願いだからたまちゃんはまともに育ってね。

ルリ姉「・・ふっ。日向はいつまで凡庸なる人間の雌に留まるつもりなのかしら・・」
たまちゃん「・・眷属への洗礼を受けぬ限りは、凡百の有象無象と変わらぬ
人間のままなのですよ・・御自覚くださいな、日向姉様・・」

うわぁあああそんな未来見たくねぇええ!!やめてやめてー!
可愛くて賢いたまちゃんを返してーー!

「・・いくら食べたいからって騒ぐのは止めなさい、日向・・。」

・・とそうだった。
いまあたし達は姉妹でデンゲッキー・フライチキンの
【エクストリーム食べ放題スペシャルデー】
にきている。
カロリー高いからだのなんだの渋るルリ姉を、
たまちゃんを味方に付けて
【ダブル上目遣い+ウル目攻撃】
で口説き落とし、
たどり着いた約束の地・・は・・
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:14:32.46 ID:jdAoKS1DO
「オルゥアア!どけやそのチキナゲァ俺のだァ!」
「オゥフオゥフ!この皿はまるごと頂くでがんす!」
「ぶっ殺されっぞ豚ァ!」
「食べない豚はただの豚でがんす!」

うん、マジでエクストリームだった。
なんつうか、昔話で読んだ地獄の餓鬼ってやつが
現実にあらわれた、的な?ガキのあたしが言うのもなんだけど。

・・食べ放題はいいにしても、狭い店でバイキングはちょっとどうよ?
時間制限で終わるシステムなんだから、
ガシガシ人を押しのける奴が得するに決まってるじゃん。

てわけで、食べ放題のバイキングの周りは・・
お前らもう一生何も食わなくていいだろう的な
ピザ[ピザ]軍団に占領されていた。
「も、もぅちょっと待っててね、貴女達・・」

「姉様、・・頑張ってくださいです」

というわけで、華奢な女子中学生に過ぎないルリ姉にその生存競争はかなり厳しい。
あたしはたまちゃんの保護担当だし、危ないから二人ともおとなしく座ってな、てことらしい。

で、案の定
「ちょっと、通してくださ・・ぐ!」
「すみません、通していただきゃっ!」
「あのぉ、どいて頂けないかしグハ!」
「・・そこを、おどきなさベフッ!」

あぁあ。こりゃダメだ。
チキンを取れないことが、じゃない。

ルリ姉の周囲に、真っ黒なような、紫がかったようなオーラが立ち上がる。

やおら、仁王立ちに片手をかざし、
ルリ姉が大好きなタンカ切りポーズを決め

「道を空けなさい人間共!!否、畜生と呼ぶほうが相応しいかしら?
己の浅ましさを無様に晒す下等動物がッ!!」

・・あぁ、やっちゃった。

「肉、肉ゥ!!ウマ、ウマァ!」
「こんの豚がぁ!全部渡さねぇぞ畜生がッ!」

・・うん、見事に不発だった。
バイキングに群がる[ピザ]共には。

ざわ・・ざわっ・・ざわっ・・


代わりに全方位、普通のお客さん全員には見事に届いたよ。

ごめんルリ姉。たった今からあたし達他人だよ。
全力で目ぇ逸らすからよろしK
「姉さまかっこいいですー♪」
オーノーッ!!たまちゃんやめて大きな声で呼ばないで手を振らないで。

「・・ふふっ」

だからルリ姉もちょっと嬉しいみたいに手ェ振るのやめて。

あたしはテーブルに突っ伏して
「・・ぐっ・・!恥っ・・恥っ・・!・・店内・・全方位にっ・・・・!」
カ●ジみたいな顔で恥ずかしさに耐えはじめたとき、


「く、黒猫?なんでこんなトコいんだよ?」
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:16:09.58 ID:jdAoKS1DO
全然フツーだけど聞き覚えのある声が。

「!!・・・・ぇ・・・・そ、それは、い、いも、いも、食べ、・・妹が食べたいって言った、から・・。」

ルリ姉めっちゃ動揺してんぜヘイヘーイww
まぁ無理もないか。

この見るからに何の変哲もない、どっか冴えない高校生のあんちゃん・・高坂京介くん・・は
まぁ色々ありながらルリ姉の【元?】カレシさまなんだな。

それがこの食い意地サバイバルグランプリみたいな所で遭遇してみなさい、
流石のルリ姉でも年頃の女の子なら動揺するよねーwwニッシシシ。

いやフツーなら今さっきの意味不明なタンカを恥ずかしがるんだけどね。
ルリ姉に限ってはありえないし。
だって、電波電波してる瞬間のルリ姉は凄く か っ こ い い
・・と本人だけが固く信じてるから。

「妹さんときてるんだ。」

「あ・・・・そ、そうよ。」
何ナニしおらしくなっちゃってんのwwグヒヒ。
さっきの電波全開なタンカ切ったヒトと同一人物とは思えないねー。
「こっちも妹連れさ。てか強制された・・。」

あ、桐乃さんだ。気が付かなかったけど・・なんで不機嫌オーラを真っすぐ京介くんに向けてんだろ?

「あ、ひなちゃんたまちゃんやほー♪」
今泣いたカラスがもう笑う、みたいな変わり身の早さ。

「あ、こんにちは。」
「こんにちはー!」

この桐乃さんはルリ姉のオタク友達、兼ケンカ友達。
超カッコイイ、凄い可愛いビッチさんで・・子供だいすき。
そりゃあもう、ねぇ、だいすき過ぎてお風呂で裸で追っかけてくるくらい・・orz

でもマジすげーオシャレさんだし現役モデルさんだし、ひそかにあたしの目標としてるヒトなんだ。

で、またソッコーで顔色変えて、京介くんに無言で「ちょっと来いや」サイン。相変わらず尻の下だなぁ。

「ナぁに黒猫が来たからって鼻の下延ばしていちゃついてんのよ!」げしっ!

実の兄さんなのに人前で平気でローキックかますのも、この二人には自然なことらしい。

「いッテェ!手前ぇそれ固いクツだろうが!」
「うるさいわよこの無能!無駄飯食い!グズッ!
さっさとメルルキーホルダーのシークレットでも掴んできなさいよ!」

あー納得した。そいや広告に書いてあったっけ。
【メルルガチャカプセルつかみ取り!】って。
よくあるタイアップとかいうやつ?

で、メルル大好きな桐乃さんは鵜飼いの鵜を連れて参上したっと。

しかしつかみ取りまでバイキングに並べるってさすがに無茶じゃね?
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:18:09.35 ID:jdAoKS1DO
いっぽうルリ姉は
「そこを退かぬか有象無象がッ!」
とか
「魔魂傀儡掌!傀儡どもよそこをどきなさい!」
とか・・無駄なあがきをやってる。
要するに戦果ゼロ。

今日は食べ放題限定だから、フツーのメニューも頼めない。

「・・で、何やってんのお前?」
そんな色んな意味で可哀相なルリ姉に京介くんが話し掛ける。
「・・見ての通りよ。醜悪な豚どもに阻まれてバイキングに近づくことも出来ないわ」

ふぅっ、とため息をつく京介くん。

「お前、ほんと相変わらずだよな、甘え下手なところは。」

はっしとルリ姉の手をとる京介くん・・ちょっとちょっと?
公衆の面前でラブシーンはまずいんでない!?

「・・な、何をするの?」

違った。京介くんはルリ姉の手から、からっぽのバイキング用バスケットをするりと取り上げ、

「どうせまだ全然食べてねーんだろ、チキン。任せろや。」

それだけ言うと、くるりと背を向けて食の戦場、[ピザ]ゾーンに向かう京介くん。


かっ
・・かかっ、

か、かっこいいぃッ!!・・くっはぁあああ!!

これだよコレ!そりゃルリ姉惚れちゃうよもぉ!

「・・オラァ!!どけや豚どもが!」
「き、貴様新参でごわすか!」
「渡さん、このチキンは誰にも渡さんぞぉ!」
「黒猫が腹ァ空かして待ってんだ・・どけってのが聞こえねぇのか[ピザ]ゥ!」

タックル、体当たり、手や足がギリギリ出ないくらいの猛チャージで
あっという間に[ピザ]ゾーンに切り込んでいった京介くん。

ルリ姉はただおろおろして京介くんを見守っている。

「また始めたよアイツ・・」
「のわぁ!・・っていつの間に相席にしたの桐乃サン!?」
そしていつの間にたまちゃんを膝の上にだっこ!?
「へ?さっきから。」
「ていうか気配も物音もなかったよね!?」
「たまちゃん♪お兄ちゃんの応援に行こうか♪」クンカクンカ
「華麗にスルー!」
しかもドサマギにたまちゃんをクンクンしてる!
「はい♪おうえんするです♪」

ひょいっと珠希を肩車して[ピザ]ゾーンに近づく桐乃さん。

「わぁいおーえんおーえん♪」
「ゴルァあんた責任重大よ!たまちゃんひなちゃんがチキン食べられなくて
泣いたりトラウマになったりしたらアンタの責任だからね!」
桐乃さんそれ応援ちがう!プレッシャーや!

「よし兄貴!十分なチキンを確保したら次はガチャね!メルル必ず取ってよ!」
「わぁいめるるめるるー♪」

桐乃さんと肩車合体して身長約2メートル、まさに司令塔。

「あー、兄貴!もっと右!そー!見えるでしょそのシークレットメルルたん!!」
「馬鹿ッ!スカタン!ほんっと使えないわねッ!あーそっちよそっちよあと30センチ右!20センチ奥!掴んで掴んで!」
「最低ノルマ6つね!あたしと日向ちゃんたまちゃん全部で三つ!」
「お兄ちゃんがんばれがんばれー♪」
完全にクレーンゲーム機扱いされる京介くん。
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:19:08.50 ID:jdAoKS1DO
〜〜〜で〜〜〜

約10分後・・。

あたしたちはバスケットにテンコ盛りのチキンと京介くんを囲んでいた。
・・ボロボロで疲労困憊の。

「・・あの、ほ、・・本当に・・ありがとう」
「・・ああ。」
京介くん、返事をするのがやっとみたいだ。

「いーのいーの気にしなくて!はい♪たまちゃんあーん♪」
「はい♪あーん♪」ハムハム
桐乃さんはさっきから何回もたまちゃんにこの調子。
「ひなちゃん、おいしい?たくさん食べてね♪」チラッチラッ
「あ、はいおいしいです、ありがとうございます」
・・やんないからね。あたしは流石にあーん♪
とかやんないからね。五年生にもなって。

「あ、たまちゃんお口にケチャップ付いてましゅよー♪」フキフキ
ルリ姉がすっごい監視の目を向けている。
このヒト、見てなかったらケチャップをペロペロとか・・しないよね、たぶん。ははは・・

桐乃さん、ごくごくナチュラルにあたしと珠希を左右に座らせといて
「ムッハー!なんて素敵なハーレムルート!」
とかよく分からない事を言っている。
意味は分からないけどダメな感じしかしない。

ルリ姉はルリ姉で、
「ふむ・・やはりスパイスの使い方にコツが・・」
「少し脂がきついのは改善の余地が見込めるわね・・」
とかブツブツ言っている。

コレ、ルリ姉の超家庭スキル。
たいがいの外食メニューだったら、さらりとレシピを見抜いて
へたすりゃ本家より美味いごちそうを作っちゃう。
京介くん、このヒトお嫁にどうっスか!?

「・・本当に、き、今日は・・助かったわ・・。」
「あー、大丈夫だって。黒猫が泣きそうで見てられなかっただけだよ」
「・・な、な!泣きそうなんかじゃなかったわ!」
必死に否定するルリ姉。エーホントにーww?(誤植編っぽく)

「ルリ姉、このくらいなら多分作っちゃうよね?今度京介くん招待したら?」

助け舟を出す、ていうか助け舟で煽ってみる。

「へえ!でも黒猫ならやれそうだよな。」
「・・そんなこと・・。じ、自信はない・・わ・・。で、でも。」
目をそらしても、顔に自信満々って書いてあるよー♪

やおらガタッと立ち上がり、
手をのばして指を反らした[ルリ姉キメポーズ]をとると、

「・・あ、あまり味に過度な期待しないで頂けるなら、
ご、極上なる味わいのものを提供する絶対的な自信が
必ずしもないことはないわ」

ドヤ顔でどっちだかよくわからない口上をのべるルリ姉が可笑しくて、

「・・ぷっ!」ボコッ

あたしはうっかりミルクシェイクのストローをくわえたまま噴いてしまう。

びゅるっ!

ストローから白いミルクが逆流して、あたしの顔に命中。

「やーん・・顔にかかっちゃったよー・・」

「え、え、えーくせれーんと!」ぷしゃっ

なぜこのとき桐乃さんが鼻血だして発狂したのか・・
ルリ姉や京介くんまで真っ赤になってしまったのか、

ルリ姉になんかい聞いても、ついに教えてくれなかった。

【おわり】
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:23:50.64 ID:jdAoKS1DO
以上です



ブも駄目なんすか・・しまった。

ちなみに京介が切り込んで行ったのは、
高度8000m超、無酸素では生存不可能の「デス・ゾーン」
・・ではなくて、スをブに置き換えてください
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:28:53.76 ID:LOL4V0MDP


京介頑張ったな

突っこみどころがあるとすれば、
元彼状態ってことは8巻後ってことだろうし、その場合黒猫はもう高校生だから中学生じゃないぞ
あと桐乃もその頃だと京介の呼び名は『京介』になってるはず
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:31:10.73 ID:YsgPsaWr0
[ピザ]
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:32:00.69 ID:YsgPsaWr0
↑ はダメだけど
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/11(水) 23:32:32.49 ID:YsgPsaWr0
デブ
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/11(水) 23:34:38.64 ID:YsgPsaWr0
↑ なら大丈夫

E-mail 欄を[sage saga]にするといいんだお
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/11(水) 23:37:48.98 ID:jdAoKS1DO
黒猫「・・・・・・オナニー・・」
桐乃「さーもっかい言って」
黒猫「・・・・・・・・・・ち、超凄い・・オナニー・・」
桐乃「wwww」
黒猫「・・・・全力で呪ってやるわ」
941 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/11(水) 23:41:09.59 ID:SQngWDxGo
メール欄にsagaと入れたらデブも変換されない。
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:41:24.67 ID:jdAoKS1DO
>>935
うわぁしまった・・ご指摘ありがとうございます。呼び方も確かに変わっていましたね。時間軸が・・orz

>>939
ありがとうございます、おかげで黒猫にきちんと羞恥プレイをさせてあげられました(何
943 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/11(水) 23:41:38.95 ID:SQngWDxGo
とゆーわけで乙です〜。
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/07/11(水) 23:42:17.80 ID:uPDoST/Lo
乙〜

ちょっとうるさいだろうが>>936>>939そこまで分けて言わなくても……
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 23:51:41.73 ID:jdAoKS1DO
>>943>>944
ありがとうございます。sageとsagaを両方手打ちで入れるのですね。

なお、日向にかかっちゃったのはあくまで白いミルクシェイクです。それ以上でもそれ以下でもない と思います。たぶん。
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/12(木) 01:56:07.53 ID:PLFbB7oZ0
札幌「桐乃、どうして逃げるの?」
桐乃「え……あの……逃げたワケじゃ……」
札幌「ウソ……ウソウソウソウソ……ウソ吐かないでよ。だって逃げたじゃない?逃げたよね?」
桐乃「違うの……う、うう……」
札幌「その紙袋には何が入っているの?」
桐乃「は、離して!」
札幌「桐乃!!」

ビリビリッ バサッ

札幌「これは……ベルマーレのユニフォーム……」



コンサドーレ札幌 キリノ 選手 湘南ベルマーレへ完全移籍のお知らせ(2012/07/11)
http://www.consadole-sapporo.jp/news/2012/07/012911.html
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(平塚) [sage]:2012/07/12(木) 06:47:38.73 ID:WCcGHXHo0
>>946 GJ!
948 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/12(木) 07:59:13.60 ID:LPK6Nj/Lo
>>946
わろたww
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 09:46:52.74 ID:b5VKgZpD0
ちょっと実験させてね

ちんこ
まんこ
[ピザ]
[ピーーー]
キチガイ
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 10:07:32.27 ID://w6zh+pP
ちんことまんこが大丈夫だと?

審査基準が分からんな
ペニスやヴァギナ、海綿体にリヴァイアサン、馬鹿に阿呆に変態に自慰。

さてどうかな
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 10:10:17.16 ID://w6zh+pP
…あれ?規制死んでる?

[田島「チ○コ破裂するっ!」]
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/12(木) 10:50:22.06 ID:8TaApcT6o
>>947
平塚wwww
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 10:57:59.80 ID:6PCOhWjSo
性的な単語が変換対象というわけでもない

死‍ね → [ピーーー] は有名だけど
新‍一 → バーーーローー とかもあるし、フィルターに引っ掛かる単語はあらかじめ確認したほうがいい

シリアス物のSSで 粉‍雪 → こなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい
になって、これまで何人の目が点になったことやら
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/12(木) 12:59:00.88 ID:BFUbEpGEo
>>949
ここでやんなよ
そういうの確認するためのスレあるはずだしそっちでやれ
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/07/12(木) 14:22:21.57 ID:aF+vTaato
もうめんどくさいからSSは毎回saga入れようぜ
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/12(木) 14:25:58.81 ID:PApgeEP8o
単レスとはいえ、SS投下されたすぐ後のレスで空気を読まず卑猥な言葉のテストでレス流し
荒らしと変わらんな
書き手が減るわけだ
957 :928 [sage saga]:2012/07/12(木) 14:44:32.21 ID:e9vjz32DO
俺がポカやったばかりに変な空気になってごめんなさい。

お口直しに・・シャンプーネタとか8巻とか読んで即席にできた短いの投下します。
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/12(木) 14:49:31.84 ID:e9vjz32DO
【俺の後輩の入浴シーンがそんなにエロくない・・ぞ?】


しゃああああ・・

シャワーの音の隙間から、居間のほうへ聞き耳をたててみる。

私は、先輩を待たせながら、自宅のシャワーを浴びていた。

・・ただし、マスケラの、女王と真夜の"契約"シーンを一時停止にして。

ふふっ・・。先輩の慌てる様が目に見えるようだわ。

その根幹は厭らしいことで頭が一杯な男子高校生ですもの。きっと・・、
「ラブホテルでいかがわしいビデオを見ながら彼女のシャワーを待っている」
ような妄想をしているはず。

・・くすくす

リンスを流し終えた髪を拭きながら私は静かな含み笑いをもらす。

・・もっとも、こんなすぐに体を許すなんて安い真似はしないわ?
そんなにふしだらな女ではないわよ。

先輩は厭らしい期待に悶々としたまま、
あっさりとデートは次の段階に移行させる。
・・すべての事象は、"運命の記述"ディスティニー・レコードに従うまで・・。

ボディソープで体を洗いながら、・・私はもうひとつの可能性・・
万が一・・先輩が、その情念に突き動かされ、
運命を歪ませてきた場合・・に思いを馳せる。
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/12(木) 14:50:54.04 ID:e9vjz32DO
見くびらないで頂戴。
私とて、子供ではないつもりよ。
恐れずに向かい合うことが・・できるはず。

我ながら、同年代と比べても貧相な胸を洗いながら・・身を強張らせる。

・・痛い、と聞いていたけれど、結局どれくらいなのかしら。
こればかりは実感として想像しがたい。

しかし、私には、
無数のネットから拾い上げた初体験のマニュアル、
はたまた同人誌、動画、数多の練習、・・知識としては・・
今の私は理論上・・・・(・・セッ・・・・)・・・・の、達人よ・・・・。

私の部屋には既に布団も・・枕も二つ並べてあるし、
出血に備えてタオルケットも敷いてある。

ご、ゴム製の・・ひ、避妊用品だって・・用意したわ。

発毛もまだわずかな、私の・・女の部分も念入りに洗う。

・・ぬりゅるっ・・

「・・・・・・・・ッ!!」ビクゥッ

下半身に電流のような戦慄が駆け巡る。
右手を確認すると・・べっとりと、ボディソープではないモノが付いてきた。

もうっ・・。こんな、・・我ながら厭らしい・・。
私は一体何をあらぬ期待をしているというのかしら。

あのドヘタレが・・情念に任せて襲ってくるなど・・
ほとんど可能性などないというのに・・。

・・・・違う。

ここでもし体を契ってしまえば・・。・・・・彼女は・・・・。
私の、・・・・友達、は・・・・。

・・そうなれば、私の実現させたい"理想郷"は
・・粉々に砕け散り、灰燼に帰する・・。
二度と・・修復不可能なまでに。

・・だから、できない。そんなことは・・絶対に。

・・・・っでも・・。

「・・・・・・・・・・・・・・先輩っ・・・・。」

心が二つの面に引き裂かれるような想いを感じながら、
私は体液で糸をひく右手を握りしめ、
そっと唇を噛み締める。

『・・ふろ入ってるんだ・・』

「・・・・ッ!!」

ぐちゃぐちゃになりかけた思考は、
戸の向こうからかすかに響いた声に突如として断ち切られる。

聞き間違うはずもない、あれは日向。

・・なぜ?なぜ?夕方まで外にいるはずだったのに・・。

『・・・"契り"ってそういうコト・・・』

・・あの、馬鹿っ・・!

私は、日向をとりあえず叱り付けるべく、大急ぎで残りの場所を洗い終え、
着替えて風呂場を出ると

怒りと風呂上がりの両方の湯気を立てながら居間へ急いだ。

【終わり】
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/12(木) 14:58:52.65 ID:e9vjz32DO
以上です。
あのとき、黒猫も京介以上に悶々としていればいい・・と思ったまでです。
961 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/12(木) 15:27:21.61 ID:LPK6Nj/Lo
>>960
乙です。エロいですw
でもギリギリエロパロ版でなくてもいい程度かな(このあたりの基準は知らない)。
ところでシャンプーネタって俺の駄作の事?
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 17:26:37.58 ID:b5VKgZpD0
>>960 乙乙!

あちこちで何故かシャンプーネタで盛り上がっていてワロタ

しばらくの間、風呂場でシャンプー使うと条件反射で勃起しそうだ
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/12(木) 19:59:56.65 ID:e9vjz32DO
>>961>>962
ありがとうございます。
ちなみにシャンプーネタとはもちろん桐乃がヘアー(髪)を洗った>>920でした。
・・真っ先に違う想像をした俺は桐乃風にいうところの
「この変態!変態!馬鹿!サイテー!ゴミ!害虫!氏ねばいーのに!」
・・だなぁと自分で思ってしまった

トニックシャンプー買ってこようかな
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:03:47.83 ID:6PCOhWjSo
どうも最近は、SS投下 → 感想レス → レス返し → SS投下 の繰り返し。 流行なの?
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:25:08.89 ID://w6zh+pP
>>964
うん、何か不満なのか?
966 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/12(木) 21:21:57.29 ID:LPK6Nj/Lo
>>964
いんじゃない?
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 21:22:42.78 ID:0WDHuD87o
好循環じゃないか
968 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/12(木) 21:26:35.32 ID:LPK6Nj/Lo
てゆーか、書き手としては俺の駄文に感想いただけたらお礼のひとつ位言いたくなるからな。
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [saga]:2012/07/12(木) 21:35:34.92 ID:W93NJ9Vb0
感謝しなきゃwwww
970 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/12(木) 21:44:45.52 ID:LPK6Nj/Lo
桐乃が自分の趣味を京介にカミングアウトする以前、どんなに息を殺して趣味を嗜んでいたとしても、
エロゲですごい展開になったら、あの性格上多少なりとも声が出ても不思議ではない、
ということで、冷戦時代、本人からの告白以前に京介は桐乃のオタ趣味に薄々と感づいていた。

こういう設定で何か書こうとしたけど、自分の力量だとあっという間に原作と同じ流れに収束してしまったのでダメだったorz
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 21:48:50.03 ID:alpTCd7lo
>>970
原作に収束するまでの流れを書けばいいと思うよ!
972 : ◆YHxtVKAHbw [sage saga]:2012/07/12(木) 22:25:40.75 ID:LPK6Nj/Lo
>>971
いや、それが、

玄関先で妹と恋しよっ♪in星くず☆うぃっちメルルDVDケース発見
「これお前んだろ。落ちてたぞ」

で、即人生相談の流れになってしまうという展開しか出てこないのだorz
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/13(金) 02:11:19.57 ID:Zv7uXzvDO
兄貴にバレてたら終わるよね・・イロイロ(汗)

信じらないけど桐乃の奴バレてないと思ってるらしい(汗)

みたいに悶々悶々な兄妹をダブル視点で書いてわ?
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 06:30:12.00 ID:2f0tTNwW0
桐乃と冷戦当時の京介の唯一の相談相手の「麻奈実」が、ヲタ事情を良く知らない状況で
的外れなアドバイスを京介にしてしまうが、幸か不幸かそれが兄妹の邂逅を進める事になる…

なんていう話はどうですかね?
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 17:56:01.83 ID:ruuG/wgDO
そこまで考えてあるなら自分で書いた方が早いんじゃないの?
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 18:28:00.67 ID:ofuSt9BAO
いわゆる何故ベストを尽くさないのか…ってやつ?

それはそうと

>>980
次スレのテンプレでは関連スレの変動が結構多いので確認よろしこ

out
●人生相談(失踪終了)
●夫婦(終了)
●クソゲー(急筆終了)
●思えば(断筆終了)
●読モをクビに(BadEnd終了)
●俺が教師か(失踪終了)


in
○京介「ポケモン?
○桐乃「ねぇ、
○あやせ「あなたのことが
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/14(土) 19:42:24.73 ID:7UlvRTwEo
スレの消化に半年もかかるようになったから、現行個別スレの紹介はいらなくない?
あまり>>1に載せる意味ないような
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 22:02:06.49 ID:Rvh+QJMLo
>>977
同意
個別スレはテンプレに載せずに、気付いたら報告で良いんじゃないか?

それはそうと、エロパロのスレ落ちた?
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 22:50:09.92 ID:0rcuBRA60
>>978
落ちちゃいねぇハズだけどなぁ
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 23:25:03.10 ID:Rvh+QJMLo
俺のJaneとBB2Cからだとエロパロの板で俺妹のスレ探しても見つからないんだが
あと他にもいくつか落ちた扱いで、板からスレが探せないのがある

どうでもいいけど、エロパロに投下しようと思ってる京介×あやせのエロが全く進まない
書きたいシーンは決まってるのにそこにどうしても持って行けず、初っ端からつまずいてるorz
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 23:26:48.27 ID:Rvh+QJMLo
980踏んだから個別スレ載せずに立てるよ?
一応2に>>976のスレ載せておく
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 23:36:41.02 ID:Rvh+QJMLo
立ててきた

俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342276525/
983 : ◆ebJORrWVuo [sage saga]:2012/07/15(日) 00:00:11.05 ID:PluHc2FBP
>>982
乙!
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/15(日) 00:03:35.79 ID:PluHc2FBP
んお、意味なくコテハン書いちまった
何の投下予定も無いので気にしないでおいてください

日向ちゃんの何かを書こうと思ってるが
結構難しい
割と桐乃と日向ちゃんって似てる気がする

>>980
やっべ、是非書き上げてくれ!
あやせファンとしては是非見たい!

エロパロは 俺の妹 とかで検索すれば出てくるぜ!
985 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/15(日) 00:24:57.09 ID:HCvVh5S8o
>>984
俺は乙とか感想とかも普通にコテハン使ってますが何かww

俺も書きたいネタがあっても難しいというのがかなりあるからなぁ。
前に触れたカミングアウト以前に既に京介は桐乃の趣味を知っていた設定もそうだし、
他にも色々。

それにしてもエロが書ける人が羨ましいわ。
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/15(日) 00:27:59.92 ID:2BZsL89Go
俺の妹とか伏見でも探してみたけど、スレが引っ掛からないんだよね
起きてからまた確認してみる

エロSSは試験が落ち着いたあとの8月くらいにゆっくり考えようかな
課題とかレポートでいっぱいいっぱいで考えてる余裕がないwwww
今までエロ書いたことないし、他にも別のジャンルだけど書いてみたいのとかあるから時間はかけても書き上げるつもり

自分があやせファンだからか、あやせのこういうシチュを読んでみたい・書いてみたいってのはたまに浮かぶんだけど、他のキャラに関しては書いてみたいけどシチュが全く思い浮かばない
特に加奈子・彼方さんと京介を絡ませたいのに、一向にシチュが思い浮かばない
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/15(日) 00:31:33.24 ID:2BZsL89Go
あり?寝る前に確認してみたら他のスレは見つからないのに、俺妹だけ復活してた
なんで消えてたんだろ?JaneはDat落ち扱いしてたのに
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/15(日) 03:39:05.84 ID:PluHc2FBP
>>985
書きたいネタはあれど、それを作品の形にと考えると中々難しいよね

コテハンにコテハンに関しては自分なりの拘りで
普段は名無しとして作品を楽しみたいから外しているのだよ

しかし既存展開のifは面白そうだな
俺も書いてみるか
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/16(月) 05:10:04.99 ID:pe4QhIEGo
>>982
乙!
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/07/17(火) 00:53:00.93 ID:T2ai6pgE0
移動・・・?
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 02:26:44.87 ID:skd9vT0Fo
うめ
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/17(火) 04:05:44.52 ID:icTxvvwwo
ウメ
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/17(火) 04:06:16.85 ID:drH3pFDUo
まつざか
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 05:12:21.17 ID:GCcN8eOOo
うめ先生
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 13:33:33.96 ID:BUXz7Uoj0
>>1000ならなんか書く
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 19:22:07.39 ID:GCcN8eOOo
>>995
どうぞどうぞ
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/07/17(火) 20:59:48.77 ID:R5rxtn7yo
>>1000なら二期ED曲募集に応募する
998 : ◆YHxtVKAHbw [sage]:2012/07/17(火) 21:53:55.77 ID:R5rxtn7yo
新スレの方に一本投下する。
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 22:30:38.20 ID:BUXz7Uoj0
新スレ誘導用

俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342276525/
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 23:01:40.40 ID:wpfpTHXDo
1000なら次スレもSSが豊作
1001 :1001 :Over 1000 Thread
☆.。 .:* ゜☆.  。.:*::::::::::::::::゜☆.。. :*☆:::::::::::::::::: 。.:*゜☆.。.:*
:::::::::::::=:。.: *  ・゜☆  =:☆.。 .:*・゜☆.  。
:::::::::::::::::::::::::.:*゜☆  =:. :*・゜☆.::::::::::::☆
。.: *・゜☆.。. :* ☆.。:::::::::::::::.:*゜☆  :。.:・゜☆.。
::::::::::::::::: *=@☆.。::::::::::::::::::::::::::::::.:*・゜☆    =磨K☆.。
:::::::::::::::::::.:*・゜☆  :. :*・゜☆.::::::::::::::::::::::::::゜☆.
:  =: :   *  ゜☆.。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
☆.。 .:* ゜☆.  。.:*::::::::::::::::゜☆.。. :*☆:::::::::::::::::: 。.:*゜☆.。.:*
:::::::::::::=:。.: *  ・゜☆  =:☆.。 .:*・゜☆.  。
:::::::::::::::::::::::::.:*゜☆  =:. :*・゜☆.::::::::::::☆
。.: *・゜☆.。. :* ☆.。:::::::::::::::.:*゜☆  :。.:・゜☆.。
::::::::::::::::: *=@☆.。::::::::::::::::::::::::::::::.:*・゜☆    
:::::::::::::::::::.:*・゜☆  :. :*・゜☆.::::
   ::  !ヽ  :
   :     !ヽ、    ,!  ヽ
                 ,!  =]‐‐''   ヽ:
   :   / ´`)'´    _      !、
            lヽ /   ノ    , `     `!:
       lヽ、  /  Y    ,! ヽ-‐‐/          l
.     =@>‐'´`   l   ノ   ヽ_/          ノ:
      ,ノ      ヽ =@           _,イ:
    '.o  r┐   *   ヽ、 ヽ、_     ,..-=ニ_
    =@   ノ       ノヽ、,  !..□ /     ヽ
     ヽ        .ィ'.  ,!    ハ/    、   `!、    七夕に…
      `ー-、_    く´ =@    /     ヽ  
         ,!     `!  l              ヽ、__ノ    このスレッドは1000を超えました。もう書き込みできません。
         l     `! `! !              l
          l  . =@ ,=@ヽ、 、_ ,ィ      ノ               
         l、_,!   し'   l =@  `l     =@               ://vip2ch.com/
1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
SS製作者総合スレ24 @ 2012/07/17(火) 22:53:23.10 ID:fhR7KMsZo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342533202/

代理たのむ @ 2012/07/17(火) 22:38:40.29 ID:xTyPcyP50
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1342532320/

クソスレ。呪い解きたい @ 2012/07/17(火) 22:36:33.18 ID:rtt2+APv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342532192/

クソスレ @ 2012/07/17(火) 22:35:22.87 ID:UkF12FKr0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342532122/

もう荒らすのはやめます @ 2012/07/17(火) 22:26:37.14 ID:HkpfKlMLo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342531596/

梓「どろっぷあうと」 @ 2012/07/17(火) 22:15:32.54 ID:JzEfPIqWo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342530932/

エレファント「キリンよ。俺と天下を取ろう」 @ 2012/07/17(火) 22:07:11.46 ID:pS91ch0c0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1342530431/

親友の事を好きだと気付いてしまった Part.2 @ 2012/07/17(火) 22:02:31.43 ID:OkSYQYDlo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1342530150/



VIPサービスの新スレ報告ボットはじめました http://twitter.com/ex14bot/
管理人もやってます http://twitter.com/aramaki_vip2ch/
Powered By VIPService http://vip2ch.com/

675.47 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)