このスレッドはパー速VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

【らき☆すた】新ジャンル?「ヤンデレこなた」Part10【(=ω=.)】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/29(日) 23:58:46.81 ID:RyCg4RUo
新ジャンル「ヤンデレこなた」過去スレ
PART1 http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196017805/
PART2 http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196196082/
PART3 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1196402758/
PART4 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1196781557/
PART5 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1197378512/
PART6 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1198770288/
PART7 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1201107073/
PART8 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1204027544/
PART9 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1211801086/

まとめwiki
http://www33.atwiki.jp/kyoronosuke/


テンプレが無いから困る。

次スレは>>980
荒らしは放置、反応はするな。
誰でも投下おkです

何もして無いのにどんどん病んでいく……
俺はこれをフレアと呼んでいる
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このパー速VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/30(月) 00:21:03.10 ID:ZYTrhEE0

          _,-,ニ二ニ=、
        //
        /:/
          ヾ`、
        >+:‐: ´: ̄:  ̄: :`:' ̄:l.、___,/
      /: : : : /: : : : : : : : :/ : : l: : : :く‐´´
       /: : : /: : : : : : : :/: :/: : : : l: : : : 、:\
     l: : : /: : : : : : : : :/: /l: : : : ∧ l: : : :ヽ: :ヽ
     /: :/: :/: : : _,:_∠L、:::/: : : /::::l l: : : : :ヽ: : ヽ
      l: /://: : : : :/::/':::::/: : : /::::-H、: : : : : lト、: ヽ
    l://://: : : イミ土=、_/: : :/:::::::::l∧: : :l: : :l `ヾ、
    l/: :l l: : : イ:llo:::::::/:::/://:::テテヵl: : :ハ: : l        ……ここは
     l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::P::::/'/l: : :l:N: :l
.    l: : : W/: : N        、 `‐':::l::l: : lN V     10番目ザマスよ……
.    l: : : : :ハ: : : ト、   ー=    ノlハ: :ハl
    l: : : : : :、: : : 「フ`‐- ,、-┬:T´: :l l/
.   l: : : : :,レ、: : :ヾ、  /、`Y/:l:l: : l
    /: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
   /: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、   l  ll: : l
  /: : /    ヽヾヽ: : lヽ  l  /l: : l
  /: : /      l \ヾ、: l ヽ  l //l: :/
 /: : :l       l ハ ヾ、l、、l  l////l

3 :病み猫 :2008/06/30(月) 01:33:30.69 ID:S4VOsnY0
乙です!
まとめる人が大変であるという事が分かりましたので、SSは明日一気に投下します。
4 :あなざー・すたー :2008/06/30(月) 01:56:51.63 ID:ZYTrhEE0
>>1
乙です!

俺も今日は今までのあらすじだけ投下しておきます。需要があるかはわかんないけど…

修復の方が大変そうなので、とりあえず自分の投下分は自分でまとめようかなとか思ってます。
5 :あなざー・すたー [saga]:2008/06/30(月) 01:57:42.38 ID:ZYTrhEE0
あなざー・すたー

●登場人物

男:転入生。前の学校で問題を起こし退学寸前になっていた。元サッカー部。高良みゆきに一目惚れする。泉こなたにオタクとしての才能を見出され、弟子にされる。

高良みゆき:らき☆すたメインキャラのなかでダントツの不人気を誇る。何とか彼女にスポットを当てたいというのが作者の願い。

柊かがみ:ツンデレ。男に気がある。ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ?

泉こなた:オタク。青色幼女。男の師匠。

柊かがみ:バルサミコ酢
6 :あなざー・すたー [saga]:2008/06/30(月) 01:58:48.39 ID:ZYTrhEE0
〜あらすじ〜

男、転入

男、みゆきに一目惚れ

男、みゆきに告白

男、ふられる

男、かがみに告白される

男、みゆきの子とが気になり保留する

みゆき、実は男のことが好き(恋愛経験がなくついふっちゃった、てへ)

男、みゆきからも告白される

男、悩む

さあ、どうなる?(本編にはこなたやつかさも出てきます)
7 :あなざー・すたー [saga]:2008/06/30(月) 02:02:34.91 ID:ZYTrhEE0
病み猫さんの陰に隠れつつ、マターリとやっていきますのでよろしくです。
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/30(月) 03:35:47.66 ID:V8pC5QUo
>>1 乙



>>前wikiの管理人氏へ

見逃してる可能性があるんで再掲


望み薄だとは思うが、まず@wikiに消されたこと連絡してサイト復活を
お願いしてみたらどうだろう?
と前スレ900-901で問い合わせた件なんだが、@wikiから回答があった

元の管理者から連絡して管理者として確認できる場合
復旧が可能かどうか検討するとのこと
(確実にバックアップデータが存在するかどうかなどは保証できないらしい)


とりあえず管理人さんに問い合わせメールを転送したいんだけど
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/30(月) 13:00:16.01 ID:Gzfn9Ro0
>>1
10 :病み猫 :2008/06/30(月) 14:22:31.91 ID:S4VOsnY0
あなざー・すたーさんあらすじ乙です。
テスト期間になったら私があなざー・すたーさんの影でコソーリとROMります。
11 :病み猫 :2008/06/30(月) 14:34:48.93 ID:S4VOsnY0
さて、みゆきSSいきます
12 :病み猫 :2008/06/30(月) 14:39:14.39 ID:S4VOsnY0
「あっ!そうだ、みゆきさん。」

こなたさんがチョココロネを食べる手を止めて私を見ました。

「なんですか?」
「昨日、一緒に歩いてたオトコは誰だね?」
「「「!!」」」
「あ…あの…昨日、東京にいらしたんですか?」
「なるほどー…みゆきも私たちの見てないとこでちゃんとやることやってるのねー」
「ゆきちゃんモテそうだもんねー」
「ちっ…違いますっ!彼とは幼い頃からの友達なんですよ!」
「ふむ、それを『フラグ』と言うのだよ。」
 
…男君とは、本当に友達です。…あの時からずっと。
 
 
十年前。
男の子A「あいつさーあのでっかい家の子だろ。…なんかいっつも本読んでて暗いしさ、同じ班になりたくねーよな。」
男の子B「なんか金持ちなんだろ?オレもやだなー。」
幼みゆき「………。」
 
幼男「おーい、みゆき!」
幼みゆき「えっ?!」
幼男「本ばっか読んでねーで外で遊ぼーぜ!」
幼みゆき「でっ…でも…。」
幼男「ほら、行くぞー!」
幼みゆき「うん…。」
 
幼みゆき「…ねえ、おとこくん。」
幼男「ん?」
幼みゆき「あのね…わたしと一緒に居たらおとこくんも嫌われちゃうよ?」
幼男「なんで?」
幼みゆき「…」
幼男「みゆきは友達なんだから、一緒に遊ぶの普通だろ?」
幼みゆき「…うん。」
13 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:45:42.07 ID:S4VOsnY0
私にとっては、男君は本当に大切な友達でした。
 
幼みゆき「もう、卒業だね。」
幼男「うん。」
幼みゆき「別々の中学になっちやったね…」
幼男「みゆきは頭良いからなー。」
幼みゆき「そんな事ないよ!」
幼男「だっていっつも勉強教えてもらったし。」
幼みゆき「男君はスポーツ得意でしょ?!だからね…わたしが勉強頑張れば男君と二人で苦手なとこ補えるかなーって…思ったの。」
幼男「そっか…。」
幼みゆき「…もう一緒に遊べないのかな…。」
幼男「そんな事ないよ!また一緒に遊ぼーぜ!…んで勉強教えてくれると助かる。」
幼みゆき「…うんっ!」 
中学三年生の秋。
男の家で勉強するみゆきと男。
男「ん…もう十時近いな。そろそろ帰らないとまずいんじゃない?」
みゆき「そうですね…一応家には遅くなるって言って出てきたんですが。」
男「女の子があんまし遅くなっちゃまずいでしょ。」
みゆき「……男君。」
男「ん?」
みゆき「私は女に生まれたくて女になった訳ではありませんよ。」
男「…え?」
みゆき「…あっ!ヘンな意味ではないですよ?!」
男「う…うん。」
みゆき「わ…私にとって男君は一番大切な友達です。」
男「…。」
みゆき「最近思うんです。私が男だったら、もっとあなたと仲良くなれたのではないかと…。」
男「…みゆき。」
みゆき「今日だってそうです。私が男に生まれていたら、ギリギリまで一緒に勉強して泊まっていけたかも…。」
みゆき「…ってごめんね!変なこと言ってしまいました。」
男「みゆき…俺にとってもみゆきは一番大切な友達だよ。」
みゆき「うん……じゃあ帰るね。」
男「おやすみ。」
みゆき「おやすみなさい。」
14 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:47:26.35 ID:S4VOsnY0
…そして男君とは別々の高校に行きましたが、それからも私達は友達です。
 
 
「ふーん、みゆきさんがそう言うならさ、今度直接みんなと会わせてよー」
「こらっこなた!みゆきが迷惑だろーが!」
「いいですよ。彼…男とは日曜日などよく一緒に勉強するので、今度の日曜日はみなさんも一緒にやりましょう?」
「いいの?ゆきちゃん!」
「そこは遠慮するとこよ、つかさ。」
「本当に大丈夫ですよ、かがみさん。」
「ほらほら、みゆきさんもおKて言ってるよーかがみん?」
「…みゆきが迷惑じゃないんならいいけどさ…。」
「お姉ちゃんも実はゆきちゃんの彼氏さん(仮)見たいんだよね?」
「えと…本当に友達ですよ?」
 
 
日曜日。
「男君、そういう訳で今日は学校の友達が来るんですが…」
「うん、いいよ。みゆきの友達だからみんな頭良いんだろーな。」
「……。」
ピンポーン
「あ、来たみたいです。行ってきますね。」
「うん。」

「みなさん、こんにちは。」


「ほうほう」
「ふーん」
「へー」
「み…皆さんどうしたんですか?」
「「「別にー」」」
じーっ×3
「みゆき、なんか俺めっちゃ見られてるんだけど…」
「ご…ごめんなさい。」
15 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:48:26.40 ID:S4VOsnY0
月曜日、学校。
「みゆきさん、男君とは本当に友達なの?」
「本当に友達です。」
「でもゆきちゃんと男君、いい感じだったよねー」
「お互い昔からの知り合いだからじゃないでしょうか…?」
「あーあ、勿体ないわねー。」
「…でも大切な友達です。」
 
 
次の日曜日。
電話をかけるみゆき。
トゥルルル…
トゥルルル…
「どうしたんでしょう…」
トゥルルル…
トゥルルル…
トゥルルル…
ガチャ
「あ…あの、男君ですか?」
「………………あっ!みゆきっ!!ゴメン寝てた!!今行く!!!」


「ゴメン!寝坊しちゃって。」
「いえ、私は大丈夫ですが…どこか体調悪いんですか?」
「いや、その…昨日寝たの遅くてさ…四時頃までゲームしてて…」
「えっ?!珍しいですね…」
「うん、実はみゆきの友達の泉さんにゲーム貸してもらってさ、だいぶハマってた…」
「そう…ですか…。」
「あっ、せっかくだし勉強しよう?」
「…うん。」

いつも通りの日曜日のはずでした。
…なんでしょう…この心のモヤモヤは…。
 
   男君は私の友達。 
 大切な友達。
 
      友達…。
 
……トモダチ…
 
 
 
…1ヶ月程して、予感は当たりました。
16 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:49:19.09 ID:S4VOsnY0
「みゆきさーん。」
「どうしました?」
「今週の日曜さ、みゆきさんの家遊び行っていい?」
「いいですよ、皆さんで来るんですか?」
「んーん、私だけ。」
「??そうですか。」
『泉さんだけなんて、珍しいですね…』
 
 
日曜日。
ピンポーン
「こんにちはーみゆきさん。」
「こんにちは、泉さん。どうぞ、上がってください。」
「おじゃましまっす。」
 
「…どうしたんですか、今日は。」
「んとね…みゆきさんには報告しとかなきゃって思って。」
「??何をですか?」
「…その…私さ………男君と付き合う事になった。」
「……………………えっ?」
「一緒にゲームとかしてたらだんだんとさ…その…」
「……………そうですか。」
「みゆきさん…」
「おっ…男君はいい人ですよ。きっと泉さんの事、大切にしてくれるて思いますよ。」
「うん、そーだね。」
「おめでとうございます。」
「…ありがとう。」
「…せに…」
「えっ?」
「幸せになってくださいね。」
「うん。」
 
 
泉さんが帰った後、私は男君にメールをしました。
【本文】
泉さんから聞きました。
おめでとうございます。
泉さんの事大切にして、幸せになってね。

 
 
その日は、いつもより更に早く寝ました。
 
…男君は大切な友達。
 
   これからもずっとそう…。
 
『でも、もう二人では遊べないね。』
17 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:50:20.19 ID:S4VOsnY0
また次の日曜日。
今日は一緒に勉強する約束はしてないのに、男君がうちに来ました。

「みゆき、おはよ。」
「うん、どうしたの男君。」
「ん…ちょっと話ししたくて。」
「…うん。」
私のメールに対する男君の返信は無く、何だか男君に会うのは久し振りな気がしました。
「泉から、聞いたんだよね?」
「うん、聞いたよ。おめでとう。」
「…なんて言うか、みゆきにはお礼を言わなきゃって思ってさ。」
「お礼…ですか?」
「うん、泉と知り合ったのはみゆきのおかげだし。」
「…お礼よりも、ちゃんと泉の事を大切にする事を約束してください。」
「…うん。約束する。」
「…」
「…」
「あっ…関係無いんだけど来週も一緒に勉強しない?」
「………ダメです。」
「えっ…?」
「泉さんのこと、大切にしてないって思われますよ?」
「…でも、みゆきは友達だろ…?」
「…前も言いましたが、私は女なんです。私が男性だったら許されますけど…。」
「……うん、そうだな。」
「もう、二人で遊んだりは出来ませんけど…私達…ずっと友達ですよね?」
「…うん。」
『あれ…?』
私は胸が苦しくなりました。
「ちょっと待っててくださいね。」
私は男君を残して台所に向かっていました。
気付いたら私はナイフを持って部屋に向かっていました。
18 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:51:23.17 ID:S4VOsnY0
ガチャ
「男君。」
「…どうしたの、みゆき。ナイフなんか持って。危ないよ?」
「男君…。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「……リンゴ剥いてあげるね。男君リンゴ好きだもんね。」
「…うん。でもリンゴ持ってないよ。」
「そうだね。かんじんのリンゴ持ってくるの忘れちゃった。持ってきますね。」
「うん、ありがとう、みゆき。」
 
私は泉さんみたいに料理は上手くありません。
必死に剥いたリンゴを、男君は美味しそうに食べてくれました。
 
私の…大切だった、男君。
 
…これから男君を見守るのは私じゃないけれど、男君なら、きっと大丈夫。
 
 
男君が帰った後、私は携帯電話から男君のアドレスを消しました。
それからも、男君からは時々メールが来ます。
でも私からメールをする事はありません。
 
 
 
それからまた、十分な時間が流れました。
19 :病み猫(みゆきSS) :2008/06/30(月) 14:52:23.83 ID:S4VOsnY0
「泉さん、男君とはうまくいっていますか?」
「うん。男優しいよ。」
「ふふふ、よかったです。」
「でも、学校でその話題はキケンだからさ…ほら、かがみんとかにバレると色々言われそうで。」
「ふふふ、そうですね。」
 
私の大切な幼なじみと、私の高校での大切な友達が一緒になって、幸せになって、私は嬉しい。
でも私が男性に生まれていたら、きっと、もっと嬉しかったでしょう。
 
少し未来の事を想像します。
男君の隣には泉さんがいて、二人は幸せそうに笑っています。
やがて二人は結婚するかもしれない。
子供が産まれるかもしれない。


男君の中から、私は消えないかもしれない。
でも、もう二人で時間を過ごすことは出来ない。
それでは私は無いのと同じなんです。
 
 
日曜日の昼、私は駅のプラットフォームに立ちました。
これは事故なんです。
私は貧血でよろめくような仕草をしました。
電車が来ます。
大丈夫。あれから随分時間が経ったし、私は貧血でした。
だからこれは事故なんです。
私はよろめいて線路に投げ出されました。
電車が来ました。
 
 
やっと気付き来ました。
私は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
…男君が好きだった。
20 :病み猫 :2008/06/30(月) 14:53:31.43 ID:S4VOsnY0
終わりです。
最初のタイトルに(みゆきSS)と付け忘れました
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/30(月) 15:12:04.53 ID:mvcZGQSO
乙です
22 :病み猫(訂正) :2008/06/30(月) 15:16:16.92 ID:S4VOsnY0
>>14
みゆきの台詞「彼…男」を「彼…男君」に脳内変換お願いします。

>>19
みゆきの心の言葉『気付き来ました』を『気付きました』に脳内h
23 :病み猫(訂正) :2008/06/30(月) 15:28:11.45 ID:S4VOsnY0
もういっこありました。
>>17のみゆきの台詞「泉を」を「泉さんを」にn
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/30(月) 15:58:29.82 ID:JJAAbco0
乙!

まとめはケータイからは見れないの?
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/30(月) 16:14:33.99 ID:Gzfn9Ro0
学校休んでここにきました
乙です
26 :病み猫 :2008/06/30(月) 17:02:20.22 ID:nyV5XiY0
>>24
私は見られましたけど…

>>25
ちょwwwwww

あなざーさんを見習って、ssは自分でまとめます。
27 :病み猫 :2008/06/30(月) 17:08:57.52 ID:nyV5XiY0
やっつけました。
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/30(月) 18:46:34.04 ID:Uw6Wln6o
病み猫さんは俺の嫁でOK?
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/30(月) 20:14:55.17 ID:JjfTQIAO
久々に書き手召喚の儀式をしようと思う

OPスタート!
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/30(月) 21:17:52.95 ID:evkDNjMo
でも断る
31 : :2008/06/30(月) 21:25:12.95 ID:oJ9QfgAO
阻止
や、自分はまだ書けないけど今は定期的に書いてくれるひとがいるので

病み猫さん、投下乙です
>>24さんが言っているのはおそらく前のwikiのような携帯からでも見られるメニューがない、ということでしょう
長編、短編、SS……のような、です
今は前のwikiでいう最近の更新の部分しかありませんから……
とはいえ自分もそのやり方はわからないので、試行錯誤するか、wikiの人に教えてもらうもしくは作ってもらうしか、ないのでしょうけど


と書いてる間に既にOPは停止させられてるのであった、まる
32 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/06/30(月) 21:47:50.69 ID:8uZdkZI0
>>24 >>31
一応メニューはあるんですが携帯では表示されないんですか…。
自分もどうすれば見られるようになるのか分からないので、
分かる方がいらっしゃったらご教授お願いします。
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/30(月) 22:49:55.63 ID:ptG9SoAO
逆に考えるんだ。「OPスタートしちゃってもいいさ」と考えるんだ。

あーいまーい3cm
34 :病み猫 :2008/07/01(火) 00:01:47.32 ID:6LR9KhM0
そりゃぷにってコトかい?
35 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/01(火) 00:18:37.46 ID:otgHFdY0
ちょ!?

36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/01(火) 00:34:06.60 ID:gDs1j2.o
ラッピングが青つなぎです。本当にありがとうございました。
37 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/01(火) 00:40:36.20 ID:otgHFdY0
>>36
や ら な い か ?


>>kyoronosukeさん
さっき、まとめを見たらあなざー・すたーがまとめてあってびっくりしました。
kyoronosukeさんがやってくれたんでしょうか?ありがとうございます。
38 :病み猫 :2008/07/01(火) 01:18:09.21 ID:6LR9KhM0
>>37
私の分もkyoronosukeさんがやってくれたようです。
私も時間の許す限り単発・短編を纏めました。
Wikiの方も修復しつつあります。嬉しい限りですね。
39 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/01(火) 01:19:48.25 ID:UO0u47k0
>>37
いえいえ、一応ですが簡単にまとめさせて頂きました。

携帯の件ですが、トップにもメニューを置かないと携帯からは見られないということが分かりました。
自分の勉強不足でした。すみません。
多分これからは携帯からでも閲覧できると思います。
40 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/01(火) 01:23:41.41 ID:UO0u47k0
>>38
単発・短編をまとめて下さったのは病み猫さんでしたか。ありがとうございます。
Wikiが修復するのは本当に嬉しいことです。
これからも頑張っていきましょう!
41 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/01(火) 01:51:55.34 ID:otgHFdY0
kyoronosukeさん、病み猫さん、ありがとうございます!

では投下を再開します。前スレの708の続きです。
42 :あなざー・すたー 26.「当然」ではなく「確実」です [saga]:2008/07/01(火) 01:54:00.31 ID:otgHFdY0

【To】柊かがみ
【タイトル】Re:
【本文】
 だいぶ良くなったよ。ありがと。
 お見舞いは今日来てくれたばかりなんだし、気を使わなくてもいいぜ?
 それに……まだ結論が出せてないんだ。明後日までにはちゃんと出すから。


 やんわりと断ってみた。


【from】柊かがみ
【タイトル】Re: Re:
【本文】
 気を使ってるわけじゃなくて、単純にお見舞いに行きたいの。
 あんたも素直に感謝しなさいよね!何かお土産持ってってあげるから☆
 それに……結論を急がせるつもりなんてないから……いいでしょ?


 ………

 女の子が俺のお見舞いに、それも一人で、来てくれるなんて今までの俺の人生にあっただろうか?いやない(反語)。

 ………


「ま、病人がお見舞いを受けるのは当然だよな?」

 俺が出した結論は要約するとそういうことだった。
 結局、お見舞いに来るというかがみの申し出を全面的に許諾したわけだ。


 ……『当然』

『山を登る時、ルートもわからん!頂上がどこにあるかもわからんでは遭難は当然なんじゃ!
そう、コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい当然じゃッ!』

 そうジョセフお爺さまも言っておられる。
 微妙に違う気がするけど、気にシナーイ。
43 :あなざー・すたー 26.「当然」ではなく「確実」です :2008/07/01(火) 01:55:26.19 ID:otgHFdY0
 要は、ちゃんと結論を出す前にかがみと[禁則事項です]な展開にならなければいいだけのことだ。

 ちゃんと結論……

 まだ出せたとは言えないけど……

 お見舞いくらい、いいよね?

 つっても、仮病なわけだけど。


【To】柊かがみ
【タイトル】Re:
【本文】
 わかった。素直に感謝するよ。ありがとう。
 くどいようだけど、返事は明後日な。ごめん。
 明日は一日家にいるつもりだから、いつ来てくれてもいいよ。
 お土産にプリンなんか持ってきてくれると嬉しいかも(笑)


 ヴイィィィィィィィ、
 ヴイィィィィィィィ、


 かがみからの返信が来た。

【from】柊かがみ
【タイトル】Re:Re
【本文】
 じゃあ、明日お昼前、11時くらいに行くわ。
 美味しいプリンを売ってるお店知ってるから楽しみにしてなさいよ。
 私の告白への返事を急がせたりはしないから安心してよね!
 じゃ、また明日☆


 メールでつかさのことを聞いてみようかと思ったが、辞めた。

 まあ、明日聞けばいいし。

 かがみが変に意識して、喧嘩とかしてなきゃ良いけど……

 ま、メールでの感じも普通だったし、大丈夫かな。

「さ、宿題をちょっとでも片付けておくか。昼間散々寝たおしたし」
44 :あなざー・すたー 26.「当然」ではなく「確実」です [saga]:2008/07/01(火) 01:56:49.71 ID:otgHFdY0


 ――翌日、4月29日。昭和の日。

 結局、昨日1ページも終わらぬまま寝てしまった俺は朝から宿題をやっていた。

 ピンポーン!

「ん?かがみか?早いな……」

 時計を見ると10時半を少し回ったところだ。

 約束よりも30分近く早い。

 ピンポーン!

「はいはい。んだよ、かがみ。ずいぶん早――」



 玄関を開けたところで俺は固まってしまった。


 なぜなら、そこに立っていたのは――、




「え、と……おはよう、高良さん……」

「あ、あの……おはようございます、男さん。昨日は体調が優れないようでしたので、本日改めてお見舞いに伺いました」
45 :あなざー・すたー  [saga]:2008/07/01(火) 01:57:29.01 ID:otgHFdY0
投下は以上です!

おやすみなさい
46 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/01(火) 02:30:19.12 ID:otgHFdY0
>>kyoronosukeさん
すみません。画像のアップ方法がわからなかったのでこれで正しいかわかりませんが、この画像使えませんか?
http://wktk.vip2ch.com/dl.php?f=vipper84946.jpg
47 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/01(火) 02:37:35.28 ID:UO0u47k0
>>46
投下乙です&画像ありがとうございます!
早速トップページに貼らして頂きましたが、どうでしょう…?
48 :病み猫 :2008/07/01(火) 02:54:08.69 ID:6LR9KhM0
あなざー・すたーさん
kyoronosukeさん
乙です!

お二人とも本当に乙です!
Wikiが凄くなっていて感激です!

明日は私も続きを投下します!
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 16:58:02.26 ID:hMH4ltc0
まとめが一気に修復しつつあるな。
新Wikiの人GJ
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 17:02:00.96 ID:q.8rqwAO
俺の携帯が悪いのか上手くみれないぜorz
51 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:31:22.25 ID:Uidedbs0
皆さんお疲れ様です。
それでは予告どおり投下していきます。
52 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:32:34.38 ID:Uidedbs0
なんだかんだで時間も遅くなったので、そろそろお開きという事になった。

みゆき「明日は平日ですので、私はそろそろ帰ります。」

つかさ「…うん、私も帰るね。おねえちゃん、帰ろう?」

かがみ「…そうね。」

男「…じゃあ俺も。」

こなた「うん、今日はみんな、ありがとー!」

みんな「じゃあまた明日。」

夜も遅いので、みんなを送っていく事にした。
柊邸で、つかさとかがみと別れる。

男「それじゃ、お休み。」

かがみ「…うん。」
つかさ「おやすみ、男君。」

俺はみゆきさんを駅まで送ってくことにした。
みゆきさんが話す。

みゆき「…でも幼馴染と高校で偶然再会なんて、なんだかロマンチックですね?」

男「そかな?」

みゆき「本当に偶然なんですか?」

男「へ?」

みゆき「……『運命』などではないんでしょうか?」

男「いやいや!ホント偶然だから!」

みゆき「…そうですか。…では、本当にこなたさんと付き合ってる訳ではないんですね?」

男「うん。」

みゆき「でも実は男さんはこなたさんが好きだとか…?」

男「いやいやいやいや。」

みゆき「…そうですか。」

駅について、みゆきさんは電車に乗って行った。
…なんだか、みゆきさんの意外な一面を見たな。
53 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:33:40.95 ID:Uidedbs0
男『それにしても、みゆきさんやかがみにまでバレるとはな…』
 
 
こなた『それにしても、みゆきさんやつかさにまでバレるとはなー…』

そうじろうが帰ってきた。

そうじろう「ただいまー遅くなってごめんよー。」

こなた「お帰り、おとーさん。」

そうじろう「…おや、男君は来なかったのかい?」

こなた「んーと、みんなが来てくれて、男だけ残るわけにはいかない状態になった。」

そうじろう「うーむ…そうか。男君とは一度ゆっくり話さないといけないからなー。」

こなた「お…おとーさん、あんまり男に変な事言わないでよ?」

そうじろう「ハハハ。大丈夫、この前のは冗談だから。」

こなた「ホントかなー…。」

こなたは自室に向かった。
最近こなたは、自分の変化に驚いていた。
いつもならこの後はオンラインタイムが待っているわけだが、最近のログイン率は明らかに低い。
その上、ここのところ男の夢をよく見る。
こなた「ははは…これが恋かー。やっとギャルゲの主人公達の気持ちが分かってきたよ。」
こなたは独り言をつぶやくと、布団を被って目をつぶった。
『抜け出してってぇー抜けd』
ピッ
こなた「ん…メール誰だ?」

 
『…いいよ、そうくん。結婚しよう。』
『…そうくん、私ね…赤ちゃんが出来たみたいなの…。』
『…そうくん、私はね、こうやって家族三人でいるのが一番幸せ…。』
『…そうくん…ごめんね…。こなたの事、お願いね?』

こなたが寝静まった後、そうじろうは写真を見ながらつぶやいた。
そうじろう「かなた…もう少しだよ…」
54 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:34:28.83 ID:Uidedbs0
つかさとかがみは家に帰り、入浴後それぞれの部屋に戻った。

『…うん、やっぱりこなちゃん男君の事好きなんだね。』
『…今日こなちゃん、男君の事ずっと見てた。』
『…みんなに幼馴染だって事ばれちゃったね。』
『…やっぱり、みんな二人の事意識するんだろうな。』
『………』
『うんん。だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめ。』
『…ちゃんと私の事も意識させなきゃ。』
『…こなちゃんなんかに、負けないんだから。』

つかさは自分の部屋を出て、隣の部屋のドアをノックした。
つかさ「おねーちゃん、話があるんだぁ。」

かがみ「…何?入っていいよ。」

かがみは机に向って座っていた。
風呂上りで湯冷めしないように、かがみはパジャマの上に服を一枚羽織っていた。
つかさが入ってくるとかがみは机の上のノートを、出ていた教科書で隠すと、ドアの方に向き直った。

つかさ「おねーちゃん。」

かがみ「どうしたの?」

つかさ「あのね…私ね…好きな人が出来たの。」
55 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:35:16.14 ID:Uidedbs0
かがみ「………そう。」

つかさ「あのね…おねーちゃんだから言うけど…」

かがみ「……………」

つかさ「実は…男君なの!」

かがみ「…………」

つかさ「男君はね、優しくて、かっこよくて…私…ホントに好きになっちゃったみたいなの!」

かがみ「………」

つかさ「でもね…私見てて気付いたんだけど、こなちゃんも男君が好きみたいなの…。」

かがみ「……」

つかさ「だからね、おねーちゃんに味方になってほしいなーって思ってね…」

かがみ「…してよ。」

つかさ「へ?」

かがみ「いい加減にしてよ!!!」

つかさ「お…おねーちゃん?」

かがみ「……何でなのよ!なんでいっつも私が我慢しなきゃいけないのよ!!」

つかさ「…えっ?…えっ?」

かがみ「こなたもそう!つかさまで!!私の気持ちは何なのよ!!私だけ男の事好きになっちゃいけない訳?!!私だって…!私だって!!」

かがみは、つかさを押しのけると、そのままの格好で泣きながら、家を飛び出した。

かがみの向かった先は一つ。
56 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:36:53.91 ID:Uidedbs0
男「ふぅ…明日からみゆきさん辺りに幼馴染ネタでいじられそうだな…つかさの目が怖いし、こなたと口裏合わせておこうかな…」

俺はケータイを取りこなたにメールを打った。

【to】
泉こなた
【タイトル】
17歳のこなたへ
【本文】
きょうは誕生日おめでとう。
なんか雰囲気的にあの後お前の家残る訳にもいかなかったから帰っちゃった。
約束破ってゴメンな。
ところでさ、みゆきさんが『幼馴染』でだいぶ盛り上がってたから、あんましうちらの昔の事言うのはやめようぜ?
 
ケータイを閉じた瞬間、インターホンが鳴った。
男「うおっ!!」
『…まさか、こなた直接乗り込んできたのか?!』
 
ガチャ。
男「え…かがみ…?」

かがみ「お……とこ…。」
俺は瞬間的に何か良くない事が起こりそうなのを感じた。
なぜかパジャマで、しかもサンダルで、その上涙を流しているかがみから、良い事なんて思いつかなかった。
男「お前…その格好で来たのか?…ってかとりあえず家入れよ!」

俺は泣きながら何も言わないかがみを無理やり家に入れた。
リビングでかがみと向かい合って座る。
とりあえずホットミルクを出した。
男「…あのさ、いったいどうしたの?嫌じゃなければ教えて?」

かがみ「私…つかさとケンカしたの…。」

男「えっ…?」

かがみ「…それで飛び出してきちゃった。」

男「と…とりあえず家の人に連絡しなきゃ。絶対心配してる。」

かがみ「待って!!」

男「か…かがみ…。」

かがみ「嫌!!今は帰りたくない!!」

男「………。でもかがみが無事な事だけ言わなきゃ。」

かがみ「うん…ケータイ持ってないから電話借りるね。」

男「うん。」
57 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:37:32.49 ID:Uidedbs0
かがみが電話をしている。
少しかがみの怒鳴るような声が聞こえた。
かがみが電話を終えて帰ってきた。

かがみ「えへへ…親ともケンカしちゃった。」

男「後で一緒に謝ってやるよ。だからかがみも親とつかさにちゃんと謝れよ?」

かがみ「…うん。でも男は来なくていいや。女の子の友達の家泊まるって言ったし。ついて来たら修羅場になるわよ?」

男「………で、何でつかさとケンカしたの?」

長い沈黙が流れた。

かがみ「………つかさはね…男の事好きなんだって…。」

男「!!」

男「…つかさが、言ったの?」

かがみ「うん。……知ってた?」

男「……うん。」

かがみ「そっか…。」

かがみ「じゃあさ、こなたも………男の事好きなの知ってる?」

男「………………うん。」

かがみ「じゃあさ………………私が男好きなのは?」

男「…………へ?」

かがみ「やっぱ知らなかったんだ。男、鈍感だね。」

男「ゴ…ゴメン。」
58 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:38:31.53 ID:Uidedbs0
かがみ「結構前にねーこなたから相談受けたんだ。」

男「…うん。」

かがみ「その時はね、私男の事諦めようと思った。」

男「…うん。」

かがみ「でもね、今日つかさにも言われたの。」

男「…。」

かがみ「私…どうしたらいいか分かんなくなって…つかさに怒鳴って…気づいたら家飛び出してた。」

男「かがみ…俺…。」

かがみ「…ごめんね…迷惑だよね…?ただでさえこなたかつかさか選ばなきゃいけない時に……でも私…あのまま家にいたら………。」

男「かがみ…俺の事そう言ってくれるのは嬉しい…でもな…二人にも言ったんだけど、俺はみんなの事大好きだけど、そういう風に好きなのかどうか分からないんだ…。」

かがみ「…男…ダメだよ…そんな事言わないで。私、男の事諦めるためにここに来たんだから。」

男「かがみ…。」

かがみ「……さっき、私の事『お前』って言ってくれたよね?」

男「あ…うん、言ったかも。」

かがみ「今日だけ私の事『お前』って言って。」

男「…今日だけ?」

かがみ「………今日だけは……泊めて?」

男「だっ…ダメだろそれは!」

かがみ「…何もしないって約束する。……今日だけで…諦めるから…男との思い出が欲しい…。」

かがみ「さっき女友達の家泊まるって言っちゃたし……それに…今日帰ったら…またつかさとケンカしちゃいそう…。」
 
(オートセーブしました。重要分岐C表。)
>>+5

@ ―――分かった。今日だけだよ。
A ―――ダメ。送ってくから帰んな。
59 :病み猫 :2008/07/01(火) 18:40:17.33 ID:Uidedbs0
>>50
これで駄目でしたか?
http://www33.atwiki.jp/kyoronosuke/pages/1.html?&flag_mobilex=1

安価なら↓
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 19:09:01.38 ID:wU/AGmY0
安価ならA
かがみんはやればできる子!

前スレ310です、まだまだ途中ですが一端うp
ttp://updas.net/up/download/1214906743.zip
意見等大募集
61 :病み猫 :2008/07/01(火) 19:19:51.25 ID:Uidedbs0
>>60
すごすぐる…描いた絵がお粗末で恥ずかしいです…。
せっかくの良質背景を汚してしまうので、私の絵は取り合えず省いていただけないでしょうか…

安価なら↑
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 19:36:47.87 ID:wU/AGmY0
あ、了解です・・・、背景はその辺からげふんげふん

こんなノリでいいのかと思ってますが・・・がんばります
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/01(火) 19:46:01.09 ID:MQhkF2go
2だろ
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 20:44:05.54 ID:4OmJUmko
>>60
みwwなwwぎwwっwwてwwきwwたwwwwwwGJwwwwww
65 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/01(火) 21:06:17.59 ID:TDxPmgQ0
>>58
投下乙です。表ルートも佳境に入ってきたようですね。

>>60
すごいですね…こんなすごいものが作れるなんて羨ましい限りです。
ついWikiに載せさせて頂きましたが、大丈夫でしょうか?
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 21:17:16.46 ID:8uEHOWYo
トップページの画像大きすぎww

こんな感じでサイズを調整した方がいいと思う
#image(abc.jpg, width=xxx, height=yyy)
67 :病み猫 :2008/07/01(火) 21:58:39.88 ID:Uidedbs0
なんだか感謝と恥ずかしい気持ちです。

それでは続き投下します。
68 :病み猫 :2008/07/01(火) 21:59:27.01 ID:Uidedbs0
男「かがみ、お前の気持ちは分かるけど、今日は帰ろう?…怒られたら俺も一緒に怒られてやる。」

かがみ「男…」

男「親は絶対心配してるだろうし、つかさともちゃんと仲直りした方がいい。」

かがみ「……」

男「………なっ?」

かがみ「………うん。」

男「良かった。とりあえずさ、ゆっくりホットミルク飲んで温まってからにしよう?」

かがみ「……うっ…うっ…うえぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」

男「……よしよし…。ごめんな…。」

俺はかがみが泣き止むまで、背中をさすっていた。
30分ほど過ぎた。

かがみ「…ありがと。男が背中さすってくれたの…その…嬉しかったよ…。」

男「う…うん。」

かがみ「ちょっとお手洗い借りるね。」

男「うん。どうぞ。」

かがみが席を立ち、トイレに向かった。
するとタイミングよく俺のケータイにメールが送られてきた。
69 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:00:18.46 ID:Uidedbs0
【from】
柊つかさ
【タイトル】
男君?
【本文】
男君、今そっちにお姉ちゃん居ない?
居るんなら教えてほしいな。
お父さん心配してるし、私お姉ちゃんと話さなきゃ。
 
【to】
柊つかさ
【タイトル】
Re:男君?
【本文】
うん、居るよ。
今から俺が送ってくから、仲直りしてね?
 
【from】
柊つかさ
【タイトル】
Re:Re:男君?
【本文】
じゃあうちの前まで来たら、ピンポン押さないで私にメールしてね。
待ってるよ。
 
 
…良かった。つかさは冷静みたいだ。
つかさとのメールが終わると、かがみがトイレから出てきた。

かがみ「…男、そろそろ行こっか…?」

男「うん。寒くないように俺の上着羽織っていきなよ。靴下も貸すよ。」

かがみ「うん…ありがとう。…ごめんね。」

男「気にしなくていいよ。上着とか、返すのはいつでもいいから。」

俺たちは家を出て、二人で歩き始めた。
70 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:00:53.03 ID:Uidedbs0
もう五月も終わる。
外気はまだ冷たかったが、少し優しい風が吹いていた。

かがみ「おとこ…ゆっくり歩こうよ。」

男「…寒くない?」

かがみ「うん。あのね……少し話しながら歩きたいから。」

男「うん。」

俺達はわざと少し遠回りな道を歩いた。

かがみ「それにしても、男は鈍感ね。」

男「う…ごめん。」

かがみ「どうせ、つかさやこなたの気持ちも言われるまで気付けなかったんでしょ?」

男「…おっしゃる通りです。」

かがみ「まったく……男は罪つくりね。そんなんじゃいつか誰かに刺されるわよ?」

男「う…それは嫌だ。」

かがみ「ふふっ…冗談よ。」

男「………」

かがみ「私さ…男ほど好きになった人居ない。」

男「……。」

かがみ「だからさ…大切な思い出にするね。」

男「……かがみ…。」

かがみ「すっ…すぐに素敵な人見つけるから、見てなさい。男よりも素敵な人…見つけから。

男「うん…待ってるよ。」
71 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:01:26.16 ID:Uidedbs0
かがみ「ね…一つだけ私のワガママ聞いてくれる?」

男「何?」

かがみ「……その……」

男「?」

かがみ「…………ほっぺでいいから……キスして……。」

男「えっ?!」

かがみ「……………///」

男「そ…それは……その…」

かがみ「あのね……私だけの…思い出にする…。絶対誰にも言わないし……男も忘れてれていい……。

男「……。」

かがみ「………ダメ?」

俺はかがみの頬に触れた。
…一瞬だけ。

かがみの気持ちは、たぶんこなたに対する俺の気持ちと同じだ。
それを考えると俺は、かがみに『思い出』さえ作ってやれないのは余りにひどすぎる気がしたからだ。

今俺があるのは、こなたとの思い出が支えてくれてたおかげなわけで。


かがみは顔を真っ赤にして少し下を向いた。
72 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:02:36.66 ID:Uidedbs0
かがみ「…わたしさ…毎日少しづつだけど、ノートに日記つけてるの。」

男「うん。」

かがみ「今まで…男に対する気持ちとか結構書いたんだ…。」

男「…うん。」

かがみ「でもさ…今日の日記には何にも書かないわ。……約束だから。」

男「かがみ…。」

かがみ「それにね、今の気持ちは私の胸に焼きついて…多分一生消えないから大丈夫。」

男「……」

かがみ「………初恋ってさ……甘酸っぱいってホントだね。」

男「……。」

しばらく歩くと、柊邸が見えてきた。
俺はつかさの言葉を思い出して、急いでメールを打った。
かがみ「どうしたの?」

男「ん…つかさに開けてもらえばさ、今日は親と顔合わせないで大丈夫だろ?」

かがみ「……うん、そうだね。」

男「ちゃんと、仲直りな?」

かがみ「平気よ。私は男の事諦めたんだから。」

男「うん……。」

ドアが静かに開いた。
つかさ「お帰り、おねーちゃん。」

かがみ「つかさ…私…」

つかさ「うん…部屋で話そ。」

かがみ「…うん。」

男「じゃあ俺は帰るね。」

つかさ「うん、おやすみ、男君。」

かがみ「おやすみ。送ってくれてありがと。」

男「うん。お休み。」
73 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:03:35.79 ID:Uidedbs0
では、続きはまた一時間後に。
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/01(火) 22:08:12.61 ID:V/DEilUo
>>病み猫乙
75 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/01(火) 22:20:47.42 ID:TDxPmgQ0
>>66
ご指摘ありがとうございます。ちょっと修正してみましたがどうでしょうか?

>>73
投下乙です。
つかさ…冷静すぎる…
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/01(火) 22:25:24.28 ID:8uEHOWYo
>>75
お、すばやい対応乙

だが元の画像は横の方が長くなかったっけ?
同じ倍率で縮小してみた?
77 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:38:22.91 ID:Uidedbs0
では、続きです。
78 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:39:20.32 ID:Uidedbs0
かがみの部屋。
つかさ「お姉ちゃん。」

かがみ「つかさ…さっきはごめんね。」

つかさ「………クラスの友達の家行くって嘘ついて男君の家行ったんだね。」

かがみ「…つかさ……ごめん。」

つかさ「大丈夫だよ。お父さんには言ってないから。」

かがみ「…私ね…」

つかさ「いいよ、言わなくて。これ、読んだから。」

つかさの手にはかがみが書いていた日記があった。
…しまった…教科書で隠したとはいえ、机の上に置きっぱなしだった…そうかがみは思った。

つかさ「…おねーちゃんずっと男君の事好きだったんだね。」

かがみ「………」

つかさ「…こなちゃんに相談されても、私に相談されても、ずっと…。」

かがみ「私は…」

つかさ「男君と!!…何してきたの?」

かがみ「…話してきただけよ。…それにね…私はもう男の事は諦めるわ。」

つかさ「…………………………………………………………………嘘だ。」

かがみ「…嘘じゃなi」
79 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/01(火) 22:39:50.03 ID:otgHFdY0
>>kyoronosukeさん
すみません。俺がうpした画像、大きすぎましたね…
これはどうでしょう?vipper85053.jpg

病み猫さんも乙です!俺も一時間後また来ます。
80 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:41:29.53 ID:Uidedbs0
嘘だ



   嘘だ


                         嘘だ

 嘘だ                            嘘だ


            嘘だ
                    嘘だ


嘘だ
                                  嘘だ
           嘘だ

81 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:42:13.93 ID:Uidedbs0
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
82 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:42:52.38 ID:Uidedbs0
気がつくとつかさはかがみの首に手をまわし、その力を強めていた。

つかさが我に帰ると、かがみは目を閉じて崩れ落ちた。

つかさ「お…ねえ……ちゃん……?」

つかさ「いっ……いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
 
 
…最後の瞬間、かがみは抵抗しなかった。
かがみの頬に残る感触が、優しくかがみの心を包んでいたから………。
 
 
【 BADEND 優しい気持ち、くれたのはあなた 】
83 :病み猫 :2008/07/01(火) 22:43:31.88 ID:Uidedbs0
次回は一つ前の分岐から行きますね。
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/01(火) 22:47:54.55 ID:V/DEilUo
つかさこええええええええええええええ
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/01(火) 23:27:27.80 ID:S1IQx9c0
ただ嘘だと並べるのも怖いがちりばめるのも十分怖いな
86 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/01(火) 23:33:06.35 ID:otgHFdY0
病み猫さん、乙です!レスが投下と被ってしまい、ホントすみません…

>>80は新しいっすね。飛び交う嘘…
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/01(火) 23:47:31.54 ID:S1IQx9c0
さて投下かな?
88 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/02(水) 00:26:15.98 ID:jPzYIQY0
遅くなりましたが、今日の分を投下します。
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/02(水) 00:27:56.09 ID:afM76PYo
もちろん全力でwwktkだ
90 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/02(水) 00:28:47.46 ID:jPzYIQY0
「あ、あの……やっぱり突然伺って迷惑でしたでしょうか?」

「いやいや、迷惑だなんてとんでもない。ただちょっと驚いただけで……」

 高良さんをリビングに招き、俺たちはテーブルに向かい合わせに座った。

「そうですよね、驚きますよね……すみません。サプライズ作戦失敗です……」

 どうやら、作戦行動中だったらしい……

「いやいや、えーと、その作戦自体は良いと思うよ!ただその……なんつーか、タイミングが悪いって言うか……」

 
 俺の頭の中ではさっきから『WARNING!』の文字表示されっぱなしだ。

 非常ベルがそれと共に鳴り続けている。

 ここで、高良さんとかがみが鉢合わせることだけは避けなければ……

 余計な火種を生むのは目に見えている。

 まだ結論だってはっきり出てないのに。

 とは言えせっかく来てくれた高良さんを追い返すわけにも行かないし。

「あの、男さん。お加減はいかがですか?寝て無くて大丈夫なのでしょうか?」

「ああ、もう平気だよ。昨日散々寝たおしたから、朝から宿題やってたんだ。」

「そうですか。良かった。でもお体に触るようでしたら、すぐにおいとまいたしますので」

「い、いや、全然気を使うことないよ!ゆっくりしていっていいからさ、ははは」

「ありがとうございます!」

 満面の笑み。
 女神の笑顔。

 ……い、今の俺には眩し過ぎるッ!
91 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/02(水) 00:29:51.34 ID:jPzYIQY0
「あの……男さん。これおみやげのプリンです。ちょっと背伸びして手作りに挑戦してしまいました。不慣れなもので、お口に合うかわかりませんけれども……」

 高良さんは持ってきた包みを開けた。

 箱の中に白い陶器のカップが4つ並んでいた。

 カップの中に詰まったプリンの量が4つとも微妙に違うのがなんとも手作りっぽい。

「へ〜!高良さんの手作り?すごく美味しそうじゃん!」

「い、いえいえ、普段料理をあまりしないものですから、お恥ずかしながら見栄えもあまりよくなくて……」

「そんな謙遜しなさんなって。俺はマズそうなものははっきりマズそうだ、という男だぜ。でもこれはホントに美味そうだ!」

「ありがとうございます。そう言ってもらえると光栄です」

「早速食べていいかな?高良さんも一緒に食べよう。コーヒーでも入れるから待ってて」

「あ、いえ、男さんは休んでいてください!私がやりますから!コーヒーメーカーと豆の場所だけ教えていただけますか?」

「……えと、ごめん。うち、インスタントコーヒーしかないんだよね……」

「あ?え?す、すみません、私ったら……」

「ははは、ありがとう。じゃあ、インスタントコーヒーがそっちの戸棚に入ってるから取ってくれる?」

 俺はカップを準備しながら言った。
92 :あなざー・すたー 27.コーヒーのある風景 [saga]:2008/07/02(水) 00:31:57.76 ID:jPzYIQY0

 テーブルにコーヒーが二つ、そしてプリンも二つ並んだ。

 俺はちらりと時計を伺う。

 もうすぐ11時。
 かがみがやってくる時間だ。

「コーヒー、ありがとうございます。私のプリンも召し上がってくださいね」

「うん、ありがとう。でもその前に。あのさ、高良さん」

「……?はい、なんでしょう?」

「今日、実は今からかが――」


 ヴイィィィィィィィ、
 ヴイィィィィィィィ、


「あの、男さん。携帯電話が鳴っていますけど?」

「あ、ほんとだ」

 俺は携帯を開いた。




 【from】柊かがみ
 【タイトル】
 【本文】
  ごめん、男。お見舞いに行くのちょっと遅れそうなの。お昼くらいになるかな。
  ごめんね。また行く前に連絡するから。




「………」

 幸運にも鉢合わせは回避されたわけか……
93 :あなざー・すたー 27.コーヒーのある風景 [saga]:2008/07/02(水) 00:33:02.54 ID:jPzYIQY0
「どなたかからのメールですか?」

「あ、うん……
実は今日これからかがみもお見舞いに来てくれる予定だったんだけど……来るのが昼過ぎになりそうっていうメールだった」

「かがみさんが?」

 一瞬、高良さんの顔が険しくなった気がした。

「つかささんではなくて、かがみさんですか?」

「……ああ、やっぱり昨日のクッキーのことで勘違いしてるわけだ?言っとくけど、つかさとはなんでもないから!」

「そうなんですか?でも、つかささんは男さんの好みも知ってらっしゃって……」

「あれは、一昨日、高良さんと会う前に駅前で偶然つかさと会って、その時にたまたま話しただけだよ。チョコチップの乗ったクッキーが好きだって」

「そうだったんですか……よかった」

「そ。だからつかさとはなんでもないよ」

「でも……」

 次の言葉は、俺でも簡単に予想できるものだった。
94 :あなざー・すたー 27.コーヒーのある風景 [saga]:2008/07/02(水) 00:34:01.90 ID:jPzYIQY0
「つかささん『とは』何もない、ということはかがみさんとは……」

 コーヒーが作る水面を見つめていた高良さんが顔を上げる。

「……なにかあるということでしょうか?」




 ……彼女の吸い込まれそうな瞳の中に、いつもほどの光は宿っていないように感じたのは、錯覚だったのだろうか?
95 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/02(水) 00:35:57.89 ID:jPzYIQY0
本日はここまでです。

>>90-91のタイトルを入れ忘れました。すみません。
96 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/02(水) 00:38:37.07 ID:jPzYIQY0
あ、あと>>60がダウンロードできないんですけど?パスワードがかかってるんですかね?
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/02(水) 00:40:01.42 ID:afM76PYo
あなざー・すたー乙

続きが楽しみだwwww
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/02(水) 00:41:15.24 ID:aiXl7kwo
>>96
このスレは「ヤンデレこなた」だ
略すとなんていう?
つまりそういうことだ
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/02(水) 00:42:19.07 ID:BvoBoEAO
本当に久し振りにきて、まとめ見たんだが、昔のやつ消えてない?
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/02(水) 00:46:58.80 ID:B4GkxYAO
前スレでうっかりあぼん
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/02(水) 00:47:35.25 ID:aiXl7kwo
>>99
前のまとめwikiのユーザ名とパスワードをさらしたマヌケと
それを悪用しやがったゲス野郎のせいで全てなくなりました
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/02(水) 00:52:48.40 ID:BvoBoEAO
>>100 >>101
ありがとう。八月蝉とかいろんなのがあったのに… 悲しいな。
103 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/02(水) 00:53:18.45 ID:jPzYIQY0
>>98
できました。ありがとうございます!
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/02(水) 00:55:25.58 ID:ZacMA8wo
>>102
今精鋭達が復帰中です しばらくお待ちください
・・・俺も手伝わなくちゃな
105 :病み猫 :2008/07/02(水) 01:16:24.76 ID:EdwHhT20
あなざー・すたーさん!乙です!
dkdkが止まらない!!

新ウィキは着々と進行中です。
以前は旧ウィキの人に任せっきりで私も何もせずにいたので反省しています。今回は書き手として責任を持って復活をお手伝いします。
106 :病み猫 :2008/07/02(水) 01:35:01.87 ID:EdwHhT20
>>86
あ、ちなみに私こそレスに被らせてしまってスミマセン。
大学のラボでこっそり書いていたのですが、警備員さんに追い出されて急いで投下してしまいました。
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/02(水) 05:23:04.24 ID:SQ7WtCc0
「病み猫」様 「あなざー・すたー」様 新wikiの復旧をしてくれた方々
お疲れ様です。
6/24から旧wikiが消えていた事に正直びっくりでした^^;
私は都合でレスが一切入れられなかったのでこんなハプニングがあったことに驚きです。
その条件下でも約1週間でここまでの復旧が出来ることの時点ですごいの一言に尽きます

そして次に「病み猫」様 「あなざー・すたー」様 いつも高レベル作品の投稿ありがとうございます。
今後とも無理をしない程度に頑張ってください続きは当然wktkですが・・・
最後にwikiの復旧のほうですが超がつくほどのズブの素人でも何かできることはあるのでしょうか?何かあるのならググリながら頑張ります(でも正直期待しないでね^^;自分より詳しい人が多いので助言できるのかどうかも怪しい為・・・)

108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/02(水) 11:53:00.63 ID:DCL3soAO
八月蝉だけでも復活させたいが、レスの中から話の繋がってる部分を探すのってテラシンドス('A`)
何かいい方法ないもんかね?
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/02(水) 12:21:36.30 ID:ZacMA8wo
>>108
八月蝉が書き始めた2スレ目は981にまとめがある
その先はIDとかコテでレス抽出していくしかないんじゃね?
110 :60 :2008/07/02(水) 13:28:08.13 ID:Al4s90.0
>>64,65 あなた達の反応が私の身となり力となるッ!
>>96 パス書いて無かったですねすみません・・・orz
>>98 フォローサンクス!
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/02(水) 16:17:38.80 ID:DCL3soAO
>>109
地道にやるしかないわけか('A`)
112 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/02(水) 20:27:58.82 ID:zqRCz/w0
>>76
確かに横の方が長かったような気がします…。ですが何故か今は、元Wikiのトップページはキャッシュでも見られないので倍率が分からないのです…。

>>79
ありがとうございます。早速トップに貼らせて頂きました。

>>83
投下乙です!かがみんが…つかさ…

>>95
投下乙です。病んだら一番怖いのはみゆきさんだと思います…。

皆さん、がんばりましょう!
113 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:42:33.99 ID:jHxnJik0
こんばんわ。
kyoronosukeさん、お疲れ様です!
私も時間の許す限り、SSを中心にまとめていきたいと思います。

それでは投下をしていきます。
114 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:43:44.36 ID:EdwHhT20
(セーブポイントC表をロードしました。)
 
 
男「…わかった。いいよ。でもこなたにも、つかさにも絶対に秘密だよ。」

かがみ「…うん。…ありがとう。」

男「…だけどさ、明日帰ったらちゃんと親に謝って、つかさと仲直りするんだよ?」

かがみ「うん。……男、やっぱり優しいね…。」

男「大切な…友達だからな…。かがみも、つかさも。」

ヴヴヴ…
ヴヴヴ…
ヴヴヴ…
俺のケータイが鳴った。

【from】
柊つかさ
【タイトル】
男君?
【本文】
男君、今そっちにお姉ちゃん居ない?
居るんなら教えてほしいな。
お父さん心配してるし、私お姉ちゃんと話さなきゃ。
 
【to】
柊つかさ
【タイトル】
いないけど?
【本文】
かがみがどうしたんだ?
今家にいないのか?大丈夫?
 
【from】
柊つかさ
【タイトル】
そっか
【本文】
ううん。大丈夫。私の思い過ごしだったみたい。
お姉ちゃん今日友達の家に泊まるって出てったから、ちょっと心配になったの。
ウソついてごめんね。
私の事嫌いにならないで…
おやすみなさい。
 
俺はケータイを閉じた。
115 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:44:39.80 ID:EdwHhT20
かがみ「…もしかして…つかさから…?」

男「…うん。」

かがみは自分の肩を抱くような大勢で下を向き、少し震えた。

かがみ「あの子…私のこと憎んでる…!」

男「え…?」

かがみ「私…家出るとき、はっきりとつかさに『男が好き』って言った…。最近つかさは…男の事になると人が変わったみたいに怖い顔をするし…」

男「…」
…俺は思い当たる節があった。
わんこ以来、つかさは普段のその顔からは想像もつかないような恐ろしい目をすることがある。

かがみ「…男…私からもお願い…私が来たことはつかさには言わないで…。」

男「うん、もうそう言うメールしたよ。」

俺はかがみにメールの文面を見せた。
かがみは少しほっとした顔になったがすぐに気がついた顔をして言った。

かがみ「ごめんなさい、もう一回電話貸して。」

男「うん、いいよ。」

かがみは友達に電話をかけているようだった。

かがみ「…そう言う訳で家出しちゃって今日は彼氏の家に泊まるから、峰岸の家に泊まったって事にさせてもらっていい?」

かがみ「うん…そうよ。…うん…ありがとう。」

かがみ「あっ彼氏の事は誰にも言わないで…いつかきっと話すから…うん…じゃあおやすみなさい。」

かがみは電話を切った。

男「アリバイ工作した?」

かがみ「うん、なんとか。」
116 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:45:39.82 ID:EdwHhT20
かがみ「つかさは…私のこと許してくれるかしら…?」

男「…そもそも『許す』ってのがおかしいんだけどな…」

かがみ「………。」

男「とりあえずさ、明日は朝家寄って服とか鞄とかとっていかなきゃいけないんだから、今日は早く寝よう?」

かがみ「…うん、そうだね。」

男「かがみはこっちの部屋で寝な。ここはお客様用の部屋だから、もう長年使ってないけど。」

かがみ「うん…ありがとう。………ごめんぬ。」
 
かがみが眠った後、俺も布団に入った。
ふと気付くとケータイが光っている。

男「ん?」

こなたからのメールだった。
【from】
泉こなた
【タイトル】
無題
【本文】
ありがとう、男。幼なじみの件は把握した。
そのうち家遊びに来いよー!
 
こなたのメールで何だか少しほっとした俺はそのまま眠りについた。
117 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:46:04.72 ID:jHxnJik0
朝。いつもよりだいぶ早く起きた。
かがみを送っていくために。
今日はかがみとつかさと一緒に行こう。
つかさとかがみ二人だけ一緒に居させるのは、つかさにとってもかがみにとっても良くないような気がする…。


コンコン
かがみの寝ている部屋をノックした。

男「…かがみ、起きてる?」

かがみ「起きてるわよ。ちょっと待って。今着替えるから。」

パジャマのまま帰すわけにはいかないので、母親の服で、かがみが着てもおかしくないような物を選んで渡した。
家までだったら、大した距離じゃないし何とかなるだろう。

かがみが着替えて部屋から出てきた。

かがみ「おはよ。」

男「うん、おはよう。とりあえず朝ご飯食べよう。」

二人で朝ごはんを食べながら話す。

男「とりあえず、家の近くまで送るよ。で、着替えたらつかさと一緒に登校して。俺は偶然を装ってかがみ達に追いつくから。」

かがみ「うん…ありがとう。」

男「つかさと二人っきりだと何かと気まずいだろ?」

かがみ「うん…。」

食事が終わり、俺達は柊邸に向かった。

男「じゃあ俺この辺に居るから、家出る時ワン切りしてくれ。」

かがみ「うん。ホントにありがとう。」

男「ちゃんと親に謝るんだぞ。」
118 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:46:24.71 ID:jHxnJik0
ケータイにワン切りが来た。
俺は二人が家を出て歩きだすのを確認すると、少し間を開けて後から付いていった。
…心なしか二人は少し離れて歩いている気がする。

男「あ、おはよう。」

つかさ「おはよー!男君。」

かがみ「おはよ。」

男「昨日つかさからメール来たけど、かがみは昨日友達の家に泊まり行ったんだって?」

かがみ「うん。同じクラスの友達のね。」

男「ふーん。」

つかさ「……。」


駅でこなたに会った。

こなた「おはよー。昨日はありがとね。」

四人で登校した。
いつも通りに見えるがやはりかがみとつかさの間には溝があるように感じた。
その証拠に、二人は一言も会話していない。
学校に着いてかがみが隣のクラスに行くと、少し空気が軽くなった気がした。


みゆき「おはようございます。」

三人「おはよう。」

こなた「みゆきさんも、昨日はありがとね。」

みゆき「いえいえ、プレゼント、気に入っていただければ嬉しいです。」

こなた「うん、大事にするよ。」

その日はつかさとかがみの張りつめた空気を感じたが、学校ではいつも通りだった。
かがみは、その日はこなたの家に寄ってから帰ったようだ。
俺は、二人の問題は時間が解決してくれると甘く考えていた。
しかし、事件はその日の夜起こっていたらしい。
その事を知ったのは、次の日だった。
119 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:47:02.58 ID:jHxnJik0
次の日。
俺は登校中は誰とも会わなかったので、一人で学校に向かった。

教室に着くとしばらくして、こなた、つかさ、みゆきさんの三人が入ってきた。
三人は俺を見つけるなり、焦ったような表情で俺に質問した。

三人「(かがみん・お姉ちゃん・かがみさん)の事知らない?!!」

男「……えっ?!」
120 :病み猫 :2008/07/02(水) 22:49:14.99 ID:jHxnJik0
今日はここまでです。

非常に申し訳ないのですが、来週からテストなので、今のペースは保てなくなると思います。
テストの終了は七月の終りなので、それ以降は今までのペースに復帰します。
121 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/03(木) 00:35:12.19 ID:Kp.SDK60
乙です!やっぱ、みさおじゃなくてあやのの家なんスねw

テストも頑張ってください
122 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/03(木) 01:50:54.83 ID:Kp.SDK60
では、俺も投下します。
123 :あなざー・すたー 28.無罪モラトリアム [saga]:2008/07/03(木) 02:00:32.92 ID:Kp.SDK60
 高良さんの雰囲気に少々気圧されながらも、俺は伝えるべきことを伝えることに決めた。

 そう……言わないと!


「ぶっちゃけると、かがみにも告られたんだ」

「……かがみさんが。なるほど……そうだったんですか……」

「うん、そしてまだ……結論が出てない」

「………」

「ごめん、明日までにはちゃんと結論を出すから」

「……あの……男さん?」

「ん?なに?」

「そちらへ行ってもよろしいでしょうか?」

「え?う、うん」

 高良さんはテーブルをゆっくり迂回してこちらへやって来た。

 俺は思わず身を堅くする。

 そして、

 身を堅くした俺に、突然、彼女は抱きついた。

 イスに座ったままの俺に。
124 :あなざー・すたー 28.無罪モラトリアム [saga]:2008/07/03(木) 02:03:57.35 ID:Kp.SDK60
「ちょ!?高良さん!?」

「すみません、男さん。でも……もう少しだけこのままで……」

 彼女の身体越しに震えが伝わってくる気がした。

 いや、実際彼女は震えていたんだろう。

「……わかった」

「男さんは優しい方ですね。そして私はその男さんの優しさに甘えっぱなしです……」

「………」

「私は、一度は男さんのことを拒絶した身ですから……男さんのことを傷つけてしまった身ですから……本来はこんなことする資格はきっとないのだと思います」

「………」

「一度、男さんからのお付き合いの申し出をお断りしたにもかかわらず、恥知らずな私は男さんにお付き合いの申し入れもしてしまいました。厚かましいですよね、本当に……」

「そのことならもう気にしてないよ。自分のことそんな風に言うのはやめなよ」

「ありがとう……ございます。最後に、厚かましいついでにもう少しだけ甘えさせてください。このままもう少しだけ……」

 高良さんはいっそう強く抱きついてきた。
125 :あなざー・すたー 28.無罪モラトリアム [saga]:2008/07/03(木) 02:08:22.33 ID:Kp.SDK60
「明日、男さんが出した結論がどんなものであれ、私はそれに従います。他の誰でもない男さんの出した答えですもの。そのとき私が選ばれなかったとしても。私にとってどんなに残酷な結論でも喜んで受け入れます。ですから、私なんかに気兼ねせず、ご自分の思うまま結論を出してください」

 いっそう強く。

「……ですが、選ばれたのが私でない場合は、もうこんなことはできませんから……モラトリアムな今のうちに。もう少しだけ。もう少しだけ……お願いします。」

 ぎゅっと。

 ぎゅーっと。

 俺と高良さんの間にカベなんか入り込む余地がなくなるくらいに。

 俺も高良さんを抱きしめたい衝動に駆られた……

 ………

 けれど……

 結局そうはしなかった。

 そして、不意に俺を拘束していた力が緩む。

「さ、プリンを召し上がってください」

 にっこりと微笑んで高良さんはテーブルの向こう側に帰っていった。

 まるで潮が引くように。

 ……高良さんの豊満な胸の感触を味わっておくべきだった、なんてスケベ心を出す余裕すらなかった。

 余裕なんて皆無。




その後、一緒に食べた高良さんのプリンは美味しかった。
126 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/03(木) 02:09:39.79 ID:Kp.SDK60
今日はここまでです。

おやすみなさい ノシ
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/03(木) 03:48:14.48 ID:TIsQwa20
「病み猫」様 「あなざー・すたー」様 wikiの復旧をしている方々お疲れ様です
「病み猫」様 テスト勉強頑張ってください大丈夫多少ペースが落ちても誰も文句言う人はいないと思います(ここにいる方々はみんな心広い人だと思うので)
しっかり勉強して悔い(後悔)が残らないようにしてください。
それでは今日はここで失礼します。
128 :60 :2008/07/03(木) 03:59:22.70 ID:5F2rWhc0
あ、忘れてました、wikiにアップの件ですけど>>61で病み猫さんが絵を下げてほしいとのことなんで・・・ちょっとそこの修正終わったらまたうpしますので、そのときお願いします。
129 :病み猫 :2008/07/03(木) 09:04:18.60 ID:4LSKnxA0
>>126
乙です!
みゆきさんの病み期待してます!
みさおはうっかり口を滑らせる気がしたかがみでした。

>>127
ありがとうございます!投下はなくとも基本的にはROMっていますのでー。

>>128
すみません、お願いします。背景に合うようなハイクオリティな絵を描く事が出来たらまたお願いします…(PCで絵を描いたことがないので…)
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/03(木) 09:06:39.33 ID:1dcfS6AO
背景だけじゃもったいないな。
絵師さんはこのスレにはいないのか?
131 :病み猫 :2008/07/03(木) 11:34:25.12 ID:4LSKnxA0
環境があれば自分でやりたいのですが…誰かPC上での絵の描き方(というか環境の整え方)と、うPの仕方を教えていただけないでしょうか?
132 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/03(木) 20:09:42.63 ID:zuYqhFM0
>>120
投下乙です。テスト頑張ってくださいね。

>>126
投下乙です。みゆきさん偉いです!はっきりと言った男も偉いです!

>>128
了解しました。楽しみに待ってますね。

>>131
環境の整え方と言いますと、ソフトとかはもう揃っているということでしょうか?
自分は全くの素人なので全然たいしたことはアドバイスできませんけれど…。
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/03(木) 20:17:51.35 ID:/Nt7bPMo
>>131
ペンタブと、買ったときについてくるphotoshopエレメンツでほとんどの事ができると思います
友人はその二つだけで4コマ漫画描いて、同人を出してました。
134 :病み猫 :2008/07/03(木) 22:31:42.08 ID:4LSKnxA0
情報ありがとうございます。夏休み以降になりますが、やってみようかと思います。
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/04(金) 00:35:55.45 ID:umfeOiU0
確かGIMPというソフトがフリーで結構性能が良かったと思います。
136 :病み猫 :2008/07/04(金) 00:42:16.28 ID:dE6qJsY0
GIMPですか…ありがとうございます!週末にググってみます。
こうして人は同人の道を歩むのですね。
137 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/04(金) 01:01:27.67 ID:7RhyifE0
昔、美術の先生に絵のセンスゼロと言われた俺がやってきましたよ(・ω・)

そんな俺でもフリーソフトがあるなら挑戦してみよかなと思ったり……



138 :病み猫 :2008/07/04(金) 01:04:41.75 ID:dE6qJsY0
>>あなざー・すたーさん
お互いがんばりましょう!
139 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/04(金) 01:14:25.16 ID:7RhyifE0
>>病み猫さん
ありがとうございます!

>>135
とりあえずGIMPっていうのについて調べてみます。

140 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/04(金) 01:19:16.31 ID:7RhyifE0
書き溜めた分が残っているので、今日も投下します。
141 :あなざー・すたー 29.※男の家はアパートです [saga]:2008/07/04(金) 01:20:38.24 ID:7RhyifE0
「では、これで失礼させていただきます」

「うん、ありがとう。プリン美味しかったよ」

「お粗末さまでした。風邪、ぶり返さないように気をつけてくださいね」

「ああ、明日はなんとしても学校に行かなきゃならないしね」

「……そうですね。お返事、お待ちしています」

「あの……高良さん……」

「はい?」

「すげー勝手なこと言うようだけど、一つだけいいかな?」

「……なんでしょう?」

「明日、俺がどんな結論を告げても……できれば、その……こなたやつかさや……できればかがみともこれまでと同じように友達のままでいてほしいんだけど……勝手を承知でお願いしたいんだ……」

 高良さんは目線を足元に落とした。

「とくにかがみとは難しいかもしれないけど……」

 玄関先から家の中に吹き込んでくる風でロングスカートの裾がすこしはためく。

「……男さんが、それを望むのであれば」

 顔を上げた彼女は真摯なまなざしと共にそう答えてくれた。

「そか、ありがとう」

「かがみさんがどう思うのかわかりませんけれども……」

「あいつにもお願いするよ」

「かがみさんもこれからお見舞いにいらっしゃるんでしたよね?」

「うん。お昼には来るってメールしてきたから、そろそろ来るんじゃないかな?」

 今は12時を少し回ったところだった。
142 :あなざー・すたー 29.※男の家はアパートです [saga]:2008/07/04(金) 01:22:17.94 ID:7RhyifE0
「そうですか。では、かがみさんがいらっしゃる前に……」

「うん……」

「……それにしても、かがみさんには今だけは感謝しなければなりませんね」

「ん?」

「彼女が遅れてくれたおかげで……男さんと二人っきりの時間を過ごせたのですから……って、やだ。私ったら……」

 顔を赤らめる高良さん。
 
 俺は『今だけは』にアクセントが置かれていたことが少し気になった。

「では、これで。ちゃんとお昼食べてくださいね」

「わかってるよ。さっきも言った通り、今朝、朝飯を買いに行ったときに一緒に昼の分も買ってきたから」

「本当は今からでも作って差し上げたいんですけれど……」

「気持ちはありがたいんだけど、俺はほとんど自炊しないし、父さんは週一くらいでしか家に帰らない人だから、残念だけど調理器具がほとんど無いんだよ、この家には」

「う〜、栄養が偏らないようにしてくださいね」
143 :あなざー・すたー 29.※男の家はアパートです [saga]:2008/07/04(金) 01:24:24.03 ID:7RhyifE0
「あはは、気をつけるよ」

「では、失礼します。明日学校で……お返事待ってます」

「ああ。じゃ、また明日」

ガチャ、
バタン。


ヴイィィィィィィ、
ヴイィィィィィィ、

玄関先で彼女を見送ったと同時に、携帯が鳴った。

まるで見計らったようなタイミングだ。

携帯を開く。



……!?

……いや、どうやら文字通り「タイミング」を「見計らった」らしい。




 【from】柊かがみ
 【タイトル】無題
 【本文】
  今からお見舞いに行くね☆

  邪魔な子が帰ったみたいだから




 
 『邪魔な子』か……

 こめかみの辺りが少し痛いような気がした……
144 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/04(金) 01:25:59.62 ID:7RhyifE0
ちょっと短いですが、今日はこの辺で失礼します ノシ
145 :mYmVWfFTMeNo [1800f@gmai.com]:2008/07/04(金) 05:54:57.15 ID:HObYQLo0
JwcV8T dsads adsa dsads dsadsdsad sadsdafrqewfref
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/04(金) 09:16:08.45 ID:LmwIhgAO
フリーソフトでもPixiaはやめておけ
あれはかなり操作むずいから
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/04(金) 22:34:33.77 ID:84AWVl60
新しい保管庫どこにあるの?
148 :病み猫 :2008/07/04(金) 23:06:07.08 ID:dE6qJsY0
電車の中で一つ短いSSを書いたので投下します。
149 :病み猫(SSハッピーバースデーかがみん) :2008/07/04(金) 23:09:24.04 ID:dE6qJsY0
女A「あっ男君、髪の毛にゴミついてるよ。」

男「えっどこ?」

女A「…はい、とれたよ。」

男「おっ、さんきゅ。」

かがみ「…」
 
かがみ「ね、男。」

男「ん?どした?」

かがみ「目ぇ…閉じて…。」

男「うっ…うん…。」

チョキ…

男「うわっ!!」

かがみ「動くと危ないよ。」

男「あっ…危ないって!なんで俺の髪切るんだよ?!」

かがみ「今日学校で、女Aが触れた…。」

男「だからって切ること無いだろ!」

かがみ「…ごめん…でも…男は私の彼氏だもん…世界で一番好きなんだもん…私の気持ちも考えてよ…」

男「ご…ごめん。かがみ……愛してるよ。」

かがみ「おとこ…[ハート]」
150 :病み猫(SSハッピーバースデーかがみん) :2008/07/04(金) 23:11:42.01 ID:dE6qJsY0
翌日。

ぽんぽん

男「えっ?!」

女B「男君、これプリント。」

男「ありがとう。」

かがみ[にっこり]
 
男「なぁかがみ、今日は七夕だね。」

かがみ「うん、そうね。」

男「…誕生日おめでとう!これ、プレゼントだよ!」

かがみ「!!…うれしい!…男…大好き!」

男「うん、俺もかがみの事大好きだよ。」

かがみ「おとこぉ…[ハート]」
ドサッ

男「わっっ!」
かがみが男の上に乗る。

かがみ「えへへ…」
ちゅっ

男「///」

かがみ「男ぉ…私…もういっこプレゼント欲しいなぁ…[ハート]」

男「う…うん…///」

かがみ「男の………右腕。」

男「………え?」

かがみ「…今日、女Bが触った右腕。」

男「かがみ…や…やめろ……なんだ…その鉈……!!」

ザッ…ゴギン!!

男「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

かがみ「……罰。」
151 :病み猫 :2008/07/04(金) 23:12:55.65 ID:dE6qJsY0
では、また夜に。
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/05(土) 01:28:16.65 ID:9OlBj720
超遅いが乙
そして夜になってもこない病み猫さん
まさか..新手のツンデレ属性があったのか...?
153 : :2008/07/05(土) 02:00:03.76 ID:I4yFDgAO
携帯から見辛い方、このページは前の奴と同じですぜ
http://www33.atwiki.jp/kyoronosuke/pages/3.html?&flag_mobilex=1
154 :病み猫 :2008/07/05(土) 02:08:00.70 ID:hFtogbA0
>>152
申し訳ありません。
ウィキの方をまとめていたら、遅くなりました。
とりあえず、明日に『つかさサイドA』の投下をする予定です。

これでつかさ、こなた、かがみのサイドは終わりです。
155 :LmalbWBwBTSeAgUak [1800f@gmai.com]:2008/07/05(土) 04:59:27.39 ID:nShrp6s0
aEbjDj fadfsad sa faf saf safsafadfsad sa faf saf safsafadfsad sa faf saf safsa
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/05(土) 06:30:26.67 ID:/cFkwdg0
「病み猫」様 「あなざー・すたー」様 wikiの復旧をしている方々お疲れ様です

「病み猫」様と「あなざー・すたー」様のヤンデレSSは楽しく拝見させてもらっています
引き続き無理をしない程度に続きを投稿してくれることをお待ちしております。
157 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/05(土) 20:47:53.28 ID:ttaidDc0
>>病み猫さん
乙です!そういや、もうすぐですね。柊姉妹の誕生日。
>>156
さんくすです!正直筆が止まり気味ですが、なんとかします。

ちなみに八月蝉さんの投下をまとめてみました(最初の作品の分)wikiの役に立てばいいんですが…
http://wktk.vip2ch.com/dl.php?f=vipper85704.doc
ただし、作品とは関係ないレスもそのままコピペしてます。
自分でやれよって話ですけどね(・ω・`)ホント スミマセン
158 :病み猫 :2008/07/05(土) 23:48:15.25 ID:uwu0GQo0
あなざー・すたーさん乙です!
ついに八月蝉さんのストーリーが復活を始めたんですね!
ご本人が帰還すればさらに言うこと無しなんですけどね…
159 :病み猫 :2008/07/05(土) 23:49:52.21 ID:uwu0GQo0
では、予告通り『つかさサイドA』を投下していきます。

およそ15分後に開始します。
160 :病み猫 :2008/07/06(日) 00:00:54.88 ID:ae9iFAU0
最近暑いですね…低血圧には辛い季節です…

では、投下していきます。
161 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:02:45.76 ID:ae9iFAU0
週末は、男君とデート!
…そして男君に告白の予定…

つかさ「はぁう…///」

考えてだけで顔が真っ赤になります。

つかさ「…ちゃんと言えるかな…。」


翌日、今日もみんなと一緒に登校です。

こなた「……さてはギャルゲに移行したな!」
男「アホ!すぐ寝たわ!……」

『…あれ…そっか…男君ゲームとかするんだ…いいなあ…共通の話題があって…。』

依然、こなちゃんの一歩リードは変わりません。
 
授業中。
ぼーっとする男君。
…そんな男君をぼーっと見つめる私。

『男君…どうしたんだろう…?』

授業の後、男君は黒井先生に職員室に呼ばれました。
『あっ…男君怒られちゃうのかな…』

つかさ「ね、みんなー男くん待ってようよ。」
みゆき「そうですね。」
かがみ「…そうね。先に帰っちゃうのはかわいそうだしね。」
こなた「つかさは優しいねぇー」

『…こなちゃんには負けないから…』
162 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:04:03.00 ID:ae9iFAU0
次の日。
…今日は男君遅いな…

男君には教室で会いました。…男君はこなちゃんと一緒です…。

つかさ「おはよ!男君、(それと)こなちゃん!」
男・こなた「おはよー!」

『………何で、一緒に返事するのかな……』

授業中、男君はやっぱりぼーっとしています。
…でも私…気付いちゃった…。
男君は…一瞬こなちゃんをチラッと見ました…。
 
それから土曜まで、私は授業中ずっと男君を見てました。
男君は何度かこなちゃんを見ました。
私の事は見てくれませんでした…。

………男君……私の事………
…………………………………………………私じゃダメ?
 
放課後。
みゆき「こなたさん、確か月曜日はお誕生日でしたよね?」
こなた「うん。そーだよ。」

『そっかー…こなちゃん誕生日かー…あっ!』

つかさ「うちでやるー?」
こなた「んー迷惑かかりそうだしうちでいーよ。ありがとう。」
つかさ「………」

『…やだな…男君もこなちゃんち行くんだ…やだな…やだな……』
163 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:05:10.80 ID:ae9iFAU0
夜。
お風呂から出てバスタオルを巻くと、台所で牛乳を飲みます。

『ゆきちゃんみたいにムネおっきかったらなぁ…男君を…』

かがみ「つかさ、バスタオルだけで歩くのやめなさい。」

『わっ!!!…さっき考えてたこと漏れてないよね…?私、時々漏れてるみたいだから…』

『…あれ?』

つかさ「お姉ちゃん!どうしたの?!!」

かがみ「…目にゴミが入ったの。」

つかさ「…?どうしたんだろう?」
 
 
翌日、待ちに待った男君とのデートです!
今日はあいにくの雨でハイキングは中止になったけど、映画館で×××の●太郎を一緒に見ます。
実は映画ってあんまり見ないからデートでどんな映画見たらいいか分からないけど…デートって言ったら映画だよね!!
男君の好きな映画知らないけど、こなちゃんと一緒でアニメ好きそうだしこれでいいよね?
 
男「そういえばさ、明日のこなたのプレゼント買ってないから、映画見た後買い物していい?」
つかさ「…うん、いいよ。」

『…嫌だよ…今日はこなちゃんの名前聞きたくないよ…』

ご飯のとき、私は気になっていたことを聞きました。
164 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:06:11.36 ID:ae9iFAU0
何も言わない男君を見て、私は分かりました。
男君…こなちゃんに幼馴染だって事言ったんだね…。
それを言わない事で、私はこなちゃんと対等で居られると思ってたのに…

「…私…男君の事ずっと見てるから。」
「…え?」

「私も、男君が好きだよ。」
 
 
…こんな告白じゃなかったはずなのに…
一緒に映画見て…
…一緒にお菓子食べて…
男君が手を繋いでくれて…
…二人は見つめあって…
 
…せめてもの抵抗で、映画の間中、ずっと男君の手を握ってました。
 
 
 
家に着いて、お姉ちゃんが話しかけてきました。

かがみ「あれ、つかさ。今日はどこ行ってたの?」
つかさ「…買い物だよ。それよりさ、明日のこなちゃんのプレゼントのケーキ作ろ?」
かがみ「うん。そうね。」

『おねえちゃん…私辛いよ……お姉ちゃんは好きな人とか居るの…?こんな時…どうしたらいいの…?私、分らないよ…。』

165 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:07:28.07 ID:ae9iFAU0
次の日。
放課後、お姉ちゃんと一緒にケーキを取りに家に寄った後、こなちゃんの家に行きました。

こなちゃんは相変わらずゲームです。
…最近ゲームが嫌いです。
…だって男君とこなちゃんが一緒に盛り上がるから。

私が操作するピンク色のキャラクターで、こっそりこなちゃんの操作する緑色を攻撃しようとしたけど、仲間には攻撃できませんでした。

ゲームが終わって、みんなでケーキを食べます。
みんなで話していると(私はずっと男君を見てたけど)、みゆきさんが言いました。

みゆき「…こなたさんと息ピッタリでしたし。」
つかさ「こなちゃん!お手洗い貸して!」

わたしはその場に居るのが嫌になってトイレに逃げ込みました。

『…息ピッタリ…?』
『そりゃそうだよ。幼馴染だもん、あの二人。』
 
何とか涙を拭いて部屋に戻ると、お姉ちゃんも男君も正座しています。

「どうしたの…?」

みゆき「こなたさんと男さんはですね…」

『………みんなに言ったんだ。…こなちゃんが言ったのかな?』

みゆき「そして二人は将来を誓い合った許婚だったのです!」
こなた・男「ちょっ!!!」
みゆき「冗談ですよ?」

『………だからさ…一緒に返事するのやめてよ……。』
…ゆきちゃんの事が少し嫌いになりました。
166 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:09:12.52 ID:ae9iFAU0
帰り道。
なんだかお姉ちゃんも元気がありません。

『…もしかしたら、お姉ちゃんは私の気持ち知ってるのかもしれない…!』
『…それであんな事があったから、私の事心配してくれてるのかもしれない!』

お姉ちゃんは、いつも私の味方です。
男君が来る前はいっつも勉強教えてくれました。
ご飯でとろい私が、おかず取り損ねちゃった時は、自分の分をはんぶんこしてくれます。
…大好きなお姉ちゃん。

今日の事で、きっとみんな男君とこなちゃんの事意識する。
…そんなのダメ。
………許さない。

「おねーちゃん、話があるんだぁ。」
 
 
 
お姉ちゃんが…大好きだったお姉ちゃんが、私を壁に押しのけて出て行ってから少し時間が経ちました。

みき「かがみーさっきの声、どうしたの?……つかさ?」
つかさ「お…おかーさん…。」
みき「どうしたの?!なんで泣いてるの?」
つかさ「……おねーちゃんと…ケンカした…。」
みき「かがみは…?」
つかさ「…出てった。」
 
それからしばらくして、お父さんが電話してる声がしました。
「…かがみ、何言ってるんだ!」
「……そうか…」
「…分かった、少し頭を冷やしなさい。」
「……そっちの家に迷惑をかけないようにしなさい…」
167 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:10:07.67 ID:ae9iFAU0
コンコン
つかさ「……………………」
みき「入るわよ。」
つかさ「……………………」
みき「かがみ、今日は友達の家泊まるって。」
つかさ「……………………」
みき「今日はゆっくり寝て、明日かがみと話しなさいね。」
つかさ「……………………」
みき「…おやすみ。」


『友達ってだれ?』


私は男君にメールしていました。
もう私には男君しかいない気がしました。
…お願い…違ってて…

男『かがみがどうしたんだ?今家にいないのか?大丈夫?』

男君の言葉を信じる事にしました。
…とりあえず良かった…。
…でも私…明日からどうすればいいんだろう…。
『…私の周りは…敵ばっかりだたんだね…。』
 
翌朝、お姉ちゃんは帰ってきました。
…一言もしゃべりませんでした。
…初めて思いました…
『…お姉ちゃんなんて…居なければ良かったのに…』
168 :病み猫(つかさサイドA) :2008/07/06(日) 00:11:13.95 ID:ae9iFAU0
終了です。
次回は…と言っても遅くなりそうですが、本編に戻ります。
169 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/06(日) 01:36:44.43 ID:P3d9quM0
病み猫さん、乙です!

『…ゆきちゃんの事が少し嫌いになりました』にみゆき派の俺涙目…
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sagee]:2008/07/06(日) 01:37:10.92 ID:orqu3PE0
乙です
171 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/06(日) 01:44:11.64 ID:P3d9quM0
では、俺も投下させていただきます
172 :あなざー・すたー 30.食べ物を粗末にしてはいけません [saga]:2008/07/06(日) 01:47:48.94 ID:P3d9quM0
 ピンポーン!

 俺が携帯を折りたたむ頃には、もう玄関のチャイムが鳴っていた。

 ガチャ

「よう、かが――」

「今日、みゆきも来ることになってたのね?」

 玄関を開けると、かがみが寂しさと怒りを混ぜ込んだような暗い瞳でこちらを見ていた。

「……いや、高良さんは突然来たんだよ。……確か、サプライズ作戦とか言ってたな」

「そう……油断したわ。あの子がそんな策を使ってくるなんて。正攻法以外の手も知ってたのね……」

「……お前、さっきのメール……高良さんがうちに来てたこと知ってたのか?」

「今朝、男の家の近くで偶然みゆきを見つけて、ね。まさかとは思ったけど、案の定あんたのアパートに入っていったから、時間をずらしたのよ」

「気持ちはわからないでもないけど、そこまでしなくても……」

「いやよ!私は男と二人っきりになりたかったの!むしろみゆきにも感謝してほしいくらいよ。私が時間をずらしたおかげで男と二人っきりになれたんだから」

 そう言うと、かがみは体を俺に押し付けてきた。

 抱きつくような形で俺を家の中に押しやり、玄関の戸を閉めた。

「だから、今度は私の番、だよね?」

「かがみ……」

「できれば、もうみゆきの番は来ないでほしいな……」

 ずっとかがみのターン……か。

「……まあ、とりあえず上がれよ」
173 :あなざー・すたー 30.食べ物を粗末にしてはいけません [saga]:2008/07/06(日) 01:49:28.49 ID:P3d9quM0


「って言うか、全然元気そうね」

「ああ、おかげさまで」

 仮病ですから。

「あ、これ、おみやげ。ここのプリン超美味しいんだから!感謝しなさいよ!」

 靴を脱いで振り返ったかがみは、俺に紙の箱を渡した。

「お、おう!さんきゅ!」

 そう言えば、昨日、メールでかがみにプリンをリクエストしたんだったな。

 さっき高良さんのプリンを食べたばっかりだけど……

 ……って、あ!



 リビングには、高良さんにもらったプリンが残っていた。

 食べ終わったカップが二つ。さらに残り二個の手作りプリン。

「……なにこれ?」

「……高良さんからのおみやげ」

「………」

 冷え切った目で高良さんのプリンを見つめるかがみ。

 まるで汚いものでも見るような目だった。
174 :あなざー・すたー 30.食べ物を粗末にしてはいけません [saga]:2008/07/06(日) 01:50:54.58 ID:P3d9quM0
「……えして……」

「え?」

「返して!私があげたプリン返して!」

「ちょ!?どうしたんだよ?かがみ!」

「なによ!?私、バカみたいじゃない!みゆきは手作りのプリンを持ってきてたのに……私は買ってきたのなんて……」

「べ、別に俺は手作りだからいいとか、買って来たやつだからダメとか、そんなこと全然思ってないって!」

「ウソよ!そんなの手作りのほうがいいに決まってるじゃない!」

「ウソじゃないって……だ、大体、かがみがくれたこのプリンの所有権はすでに俺に移ってるんだぜ?こいつらを返そうが返すまいが俺の勝手ってことだ」

「むむ……!」

「なあ、落ち着けよ。これ一緒に食おうぜ?超美味しいんだろ?俺はプリンならまだまだ食べれるぜ!」

「……それなら……捨てて」

「は?『返して』の次は『捨てて』か?往生際の悪いやつめ!」

「違う!みゆきのプリンを捨てて!」

「おいおい……」

「私の買って来たプリンを食べてくれるのなら、みゆきのプリンはいらないでしょ?」

「……お前んちの親は『食べ物を粗末にするな』って怒らないのかよ?」

「……怒る……けど……でも、見たくないの、それ。みゆきが、男のために作ったものなんか……見たく……ないの」

「……わかったよ。捨てはしないけど、これは片付ける。かがみの目に付かないところに。さ、一緒に『かがみの』プリンを食おうぜ!」

「……わかった」
175 :あなざー・すたー 30.食べ物を粗末にしてはいけません [saga]:2008/07/06(日) 01:55:38.61 ID:P3d9quM0


「コーヒーでいいか?」

「うん、ありがとう……なんか、ごめんね……」

「まったくだ。いつもつかさちゃんの前でお姉ちゃんしてるかがみんはどこに行ったんだよ?」

 俺は努めて明るく言った。
 
「私だって……いつもお姉ちゃんやってるわけじゃないもの。甘えたい時くらいあるわよ」

 濡れたような瞳でこちらを見つめてくる。

「私は男にもっと甘えたいのに……もっと男に私のこと見てほしいのに……どうして邪魔が入っちゃうんだろ?」

「………」

「大体おかしいよね?みゆきは一度、男のことフッてるくせに。今更手作りプリン持って一人でお見舞い来るなんて、まるで男のこと好きみたいじゃない?」

「あの、かが――」

「でも、一度フッてるんだからそんなはずないわよね〜?あはは、そうよ、きっとあの子、男のこと弄んでるんだわ!普段はおっとりしてるように見えるのに……ホント人って見かけによらないわよね?男は騙されてるんだよ!」

「……高良さんがそんな人じゃないことは、お前のほうがよくわかってるはずだろ!?俺の話を聞いてくれ、かがみ!」

 かがみはビクッと体をこわばらせる。

 つい声が、大きくなってしまった……
176 :あなざー・すたー 30.食べ物を粗末にしてはいけません [saga]:2008/07/06(日) 01:57:06.47 ID:P3d9quM0
「俺……高良さんにも告られたんだ。日曜日に」

「え……!?だって、この前はフラれたって……」

「そう確かに、俺は一度高良さんにフラれた。でも、それはどうも俺のことが嫌いだったわけじゃなくて、高良さんにそんな経験がなかったから、どうしていいかわからず拒絶してしまったって感じみたいなんだ。日曜日に、そう、つかさから話を聞いたかもしれないけど……あの日つかさとも駅前の本屋で偶然会ったんだけど、そのあと高良さんと待ち合わせをしてて話をしたんだ。その時に……」

「そう……それで迷ってるのね?私を選ぶか、みゆきを選ぶか……」

「うん……まあ……」

「みゆきが男を迷わせてるのね?」

「でも、それは……かがみにも同じことが言えるわけであって!」

「うふふ。まあ、いいわ。恋に障害はつきものだもんね。悠二をゲットするには吉田一美は邪魔ってことよね?うふふ。うふふふふふふ」

 


 かがみの言葉の後半部分はよくわからなかったが、

 そのかがみの笑いには、背筋を冷たくさせる何かがあった。
177 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/06(日) 01:59:47.44 ID:P3d9quM0
今日はここまでです。

いつの間にかガンダム00の再放送が……では、おやすみなさいノシ
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/06(日) 02:13:48.94 ID:Nb8vbQwo
一昨日このスレを見つけ、あなざー・すたーにはまりました。
応援してます。
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/06(日) 06:10:56.24 ID:F3xmlIs0
「病み猫」様 「あなざー・すたー」様 お疲れ様です。
「病み猫」様 確かに低血圧の人は暑いのきついかも・・・(自分も低血圧候補なので^^;)
そして、確か7月7日が柊姉妹の誕生日でしたっけ・・・(忘れるなよ・・;;)

最後に「あなざー・すたー」様 執筆が止まり気味らしいのですが・・・大丈夫大抵の筆者は物語の続きで悩んだりするのはデフォルトだと思うので自分のペースでゆっくりやりましょうー^^b 
それでは今日はこれにて失礼させていただきます。
(P.S? とうとう「病み猫」様のSSではつかさが「種割れ覚醒」し、「あなざー・すたー」様のほうでは「みゆき」と「かがみ」が「種割れ覚醒」モードに移行する展開か・・・続きが楽しみだぜ)
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/06(日) 15:52:09.97 ID:t5AAZ52o
O2
ツンデレつながりのネタですね、わかります
181 :病み猫 :2008/07/06(日) 16:25:23.54 ID:ae9iFAU0
とりあえず、ペンタブで絵を描いてみました。どなたかPCからの貼り方を教えていただけないでしょうか…?
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/06(日) 16:50:44.74 ID:vuNyBKMo

画像VIPろだ2⊂二二二( ^ω^)二⊃
http://up2.viploader.net/pic3/
VIP絵描きスレ専用うpろだ(中期)
http://vipmomizi.jog.buttobi.net/cgi-bin/vestri/


などから「参照」ボタン→描いた絵のファイルを選択 でおk
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/06(日) 16:53:13.64 ID:Nb8vbQwo
ここなんてどうでしょうか?二十日間程は残ります
http://rainbow.sakuratan.com/data/upload.php
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/06(日) 16:54:14.78 ID:Nb8vbQwo
すみません更新し忘れてました・・・恥
185 :病み猫 :2008/07/06(日) 17:03:02.14 ID:ae9iFAU0
http://rainbow.sakuratan.com/data/img/rainbow79359.jpg
ちゃんとうpできたでしょうか…?
186 :病み猫 :2008/07/06(日) 17:08:02.03 ID:ae9iFAU0
http://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_020824.jpg.html
187 :病み猫 :2008/07/06(日) 17:09:16.28 ID:ae9iFAU0
一応両方で。
鍵はいつものです
188 :病み猫 :2008/07/06(日) 17:10:42.54 ID:ae9iFAU0
サイトを教えていただいてありがとうございました
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/06(日) 17:18:33.51 ID:vuNyBKMo
ペンタブ使い慣れてなさげ
190 :病み猫 :2008/07/06(日) 17:19:46.41 ID:ae9iFAU0
初めて使いました
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/06(日) 18:01:34.66 ID:VCH9B2AO
いつものってなんだっけorz
192 :病み猫 :2008/07/06(日) 19:22:25.86 ID:Wq5FKdA0
スレタイ略です
193 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/06(日) 20:11:04.47 ID:P3d9quM0
>>病み猫さん
早速ですね!ペンタブは新しく購入されたのでしょうか?
俺も挑戦してみたい気持ちが強くなったので、よかったら使ってるツールを教えていただけませんか?

>>178-180
コメントありがとうございます!応援やコメントもらえるとホントにモチベーションが上がります( ^ω^)ノヒャッホイ
194 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/06(日) 20:14:59.47 ID:P3d9quM0
では今日の投下分を行きます。
195 :あなざー・すたー 31.スイーツ(笑) [saga]:2008/07/06(日) 20:16:05.62 ID:P3d9quM0
 ……きっとかがみは不安なんだろう。

 明らかにいつものかがみとは違う。

 でも、俺の中で答えが出ていない以上、

 そして、俺の選択しだいではかがみを傷つけてしまう以上、

 俺は、

 俺だけは、

 俺の方はだけは、

 いつも通りに接するべきだ、と思った。

 そう思った。
196 :あなざー・すたー 31.スイーツ(笑) [saga]:2008/07/06(日) 20:16:54.83 ID:P3d9quM0


「プリン美味かったよ。ありがとな!かがみ」

「……そりゃ、素人の作ったプリンよりは美味しいでしょうよ」

「プリンの美味しいお店を知ってるのもいい女の条件だぜ」

「何よそれ?はじめて聞いたわよ、そんなの」

「今、俺が決めた」

「それなら当然明日は『いい女』の私を選んでくれるんでしょうね?」

「う……それとこれとは……」

 情けなくも、あたふたしてしまう俺を見て、かがみが少しクスリと笑った。

 さっきの、背筋を冷たくさせるような笑いではなく、

 いつものかがみの――

「……やっと、いつものかがみっぽくなってきたかな(ボソリ)」

「え?なんですって?よく聞こえなかったんだけど」
197 :あなざー・すたー 31.スイーツ(笑) [saga]:2008/07/06(日) 20:17:37.87 ID:P3d9quM0
「いや、なんでもないよ」

「なによ?気になるわね」

「いや、美味しいスイーツのお店に詳しいのも考えもんだよな〜って思って。だって、油断するとすぐに――」

「みなまで言うなッ!ああ、考えるだけでおぞましい!このお腹にまとわりつく――」

「ぷっ、こなたが言ってたぜ?『かがみんのダイエットは長続きしたためしがない』って」

「ほおう……こなたのやつ……」

 す、すごい殺気だ……

「まあ、でも四人の中でダイエットとか気にしてるのはかがみだけっぽいよな?」

「あの三人がおかしいのよ!」

「そっか、そういう意味では一かがみが番女の子らしいよな」

「それなら当然明日は『女の子らしい』私を選んでくれるんでしょうね?」

「う……それとこれとは……」

 って、あれ?これなんて無限ループ?
198 :あなざー・すたー 31.スイーツ(笑) [saga]:2008/07/06(日) 20:18:37.35 ID:P3d9quM0


「明日……か。明日決着がついちゃうんだよね……この私の気持ちにも……」

「かがみ……」

「ねえ、男?」

「ん?」






「……私、男の部屋見てみたい」
199 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/06(日) 20:20:00.25 ID:P3d9quM0
今日はここまでです ノシ
200 :病み猫 :2008/07/06(日) 20:33:20.17 ID:PSm2EKs0
あなざー・すたーさん乙です!
私はペンタブについてきた『ComicStudioMini4.0』で描きました。
BANBOO[comic]という一万弱のやつです。
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/06(日) 22:08:09.73 ID:3/pbjgco
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/07(月) 03:50:34.43 ID:S8cuedI0
「あなざー・すたー」様 今日の投稿お疲れ様です

いつも「病み猫」様に負けず劣らずのハイクオリティな作品を堪能しております
今現在の展開もなかなかに楽しめる場面なので続きがどうしても気になります
この後の展開(むしろ、男の態度)次第で一気に変化するのでその辺を期待しております。

最後に俺は個人的に「病み猫」様や「あなざー・すたー」様とメールとかして会話してみたいものですな
(今現在の作品の個人的感想とか今後の展開などの会話できたら楽しそうなので^^
さすがにこの場所だと色々問題あるしねぇ・・・前者はともかく後者はここでは禁句なので・・・^^;)

さて、今日の所はこれにて失礼させていただきます。
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/07(月) 14:50:52.75 ID:6DDUfwso
>>199
かがみがいじらしい・・・
乙です
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/07(月) 18:13:44.39 ID:IS7GOWs0
みwiki「病院、行きましたか?」
みwiki「いいお医者さんなんですよ。」
かがみん「いってない・・・」
みwiki「どうしてですか?」
かがみん「あなたに紹介してもらった病院なんて行かない!」

みwiki「嘘・・・だからですよね」
みwiki「男さんの気を引くために、赤ちゃんができたなんて嘘ついたんですものね」

みwiki「それに、かがみさんが彼の子供を産めるわけ、ないじゃないですか」
みwiki「男さんの彼女は・・・・・・・・私なんですから」

みwiki「かがみさんの言ってること・・・本当かどうか、確かめさせてください」


・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
みwiki「やっぱり・・・嘘だったんじゃないですか。」
みwiki「なかにだれもいませんよ」



これくらい強烈なのキボンヌ
205 :病み猫(七夕単発) :2008/07/07(月) 20:25:59.15 ID:y9CE/6g0
つかさ「今日は七夕だねー。」

かがみ「そうね。」

つかさ「せっかくだから神社の笹に短冊吊そうよー。」

かがみ「そうね、行こうか。」

つかさ「…七夕はさ、織り姫と彦星が一年に一度だけ会える日だよね?」

かがみ「うん。」

つかさ「…じゃあ何で短冊吊してお願い事するのかな?」

かがみ「……うーん…明日みゆきに聞いてみようか?」

つかさ「そうだねー。」



薔薇神主「誕生日おめでとう。二人はどんなお願いをしたんだい?」

つかさ「私はね、みんなとずっと友達で居られますようにって書いたよー!」

かがみ「私はもう来年受験だからその事よ。」

薔薇神主「そうかそうか。」
 
 
 
『男に近寄る他の女が不幸になりますように』

『男君がずっと私だけの男君でありますように』


彦星「勘弁してよ。」
206 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/08(火) 01:28:47.80 ID:8f.lxnE0
あ〜、こういうほのぼの系(?)の方が好きだったりしますw
ペンタブの件、サンクスです!購入を検討してみます。
207 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/08(火) 01:43:33.75 ID:8f.lxnE0
では本日分投下させていただきます。

筆が止まり気味だと言いつつ、ここ最近の連続投下に自分でもびっくりw
208 :あなざー・すたー 32.ず〜っと [saga]:2008/07/08(火) 01:45:21.01 ID:8f.lxnE0
「思ったより、片付いてるわね」

「まあ、物があんまりないからな」

「確かに殺風景ね」

「親父の仕事の都合で小さい頃から引っ越すことが多かったからな。余計なものは持たない主義だ」

「ふ〜ん……大変だったんだ?」

「まあ、ね」

 かがみはおもむろにベッドに座った。

 俺は自分のイスに座った。

「ねえ、男」

「ん?」

 かがみがこっちをじっと見る。

 が、何も言わない。

「なんだよ?」

 よく見ると、手でベッドをポフポフと叩いている。

「ベッドが汚れてるのか?」

「んもう!鈍いわね!」

 ご機嫌斜めだ。

「そうじゃなくて!えっと……その……こっちに座りなさいよ」
209 :あなざー・すたー 32.ず〜っと [saga]:2008/07/08(火) 01:46:27.79 ID:8f.lxnE0
「あ、ああ……」

 そういうことか。

「め、目線の高さが違うから話しづらいのよ!」

「はいはい」

 かがみと並んで座った。

「……明日、」

「うん?」

「……明日、男に選ばれなかったら、こんな風に並んで座ることももうできないのかな?」

「……並んで座るくらいはいいんじゃない?」

「私は嫌だな。男が私を選んでくれたあとで、みゆきと並んで座ってたら」

「なんとわがままな」

「うるさい!」

 一蹴された。

「ねえ……?このままさあ、……」

 かがみが俺に体をくっつけてきた。
210 :あなざー・すたー 32.ず〜っと [saga]:2008/07/08(火) 01:48:40.51 ID:8f.lxnE0
「お、おい。かがみ?」

「明日まで、男をこの部屋に閉じ込めちゃったら……」

 俺の肩に顔をくっつけているかがみ。

 顔は見えない。

「……明日みゆきに返事できないよね?」

「……おいおい、そんなことしたって――」

 
 ドサッ!

 
 ふいに天井が見えた。

 どうやら、

 かがみに押し倒されたらしい。

 
 ……って!?

「ちょ!?かがみ!?」

「ふふ、そんなことしたって意味ないってことはわかってる。けど――」

 かがみは俺に覆いかぶさるようにして抱きついている。

「じゃあ、明日も、明後日も、しあさっても、その次の日も、そのまた次の日も、

ず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、

 閉じ込めちゃったら?うふふ、ずっと私たち二人で。この部屋で……うふふ」 

「お、おい!?」

 かがみは何とも蠱惑的な笑みをこっちに向けている。
211 :あなざー・すたー 32.ず〜っと :2008/07/08(火) 01:49:47.43 ID:8f.lxnE0
「ねえ、男……?」

「な、なに?」

「しよ?」

「………!?」

「[禁則事項です]しよ?」

「…!?」

 
 俺は、

 即答できなかった。

 ベッドの上で、俺に抱きつくかがみに、

 『だめだ』と即答することは、

 できなかった……

 か、下半身は……正直だ……

「私、男となら……ね?」

 かがみの顔が、

 唇が、

 ゆっくりと俺のほうに近づいてくる。




 ――そして、
212 :あなざー・すたー 32.ず〜っと [saga]:2008/07/08(火) 01:52:22.00 ID:8f.lxnE0
 俺とかがみの唇がゆっくりと重ね合わされた。
 
 それは、やわらかく、やわらかく、そして、やわらかい……感触だった。
213 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/08(火) 01:54:15.92 ID:8f.lxnE0
今日はここまでです。

もはやヤンデレ関係なくなってますが、生暖かい目で見守っていただければ幸いです(^ω^;)
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/08(火) 07:32:10.89 ID:zoawWoAO
まさかの焦らしプレイ
215 :病み猫 :2008/07/08(火) 12:17:21.00 ID:boxx.u60
乙です!
この先を読むには購読料がかかるんですね。わかります。
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/08(火) 13:20:29.97 ID:HZNW21wo
続きはWebで!
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/08(火) 18:39:25.85 ID:hQSGfADO
修羅場の悪寒
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/09(水) 01:04:59.38 ID:gWpKbJs0
「病み猫」様 「あなざー・すたー」様 お疲れ様です。

ふむふむ・・・今宵は焦らしプレイですか・・・なかなかにやりおるな・・・
「あなざー・すたー」様 自分含めて他の人も続きがwktkになってしまうではないか
そして、「病み猫」様 もし、上記の様な七夕だったら彦星はさぞきつい願いだろうと
思ってしまう今日この頃・・・(願っている人は本気だとしてもね・・・)
それでは、今日の所はこれで失礼します。
219 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/09(水) 01:12:36.02 ID:J61lG0c0
とりあえず購読料はかからないので続きをどうぞ。
220 :あなざー・すたー 33. 本能と理性の狭間で [saga]:2008/07/09(水) 01:15:26.43 ID:J61lG0c0
「はむっ……」

「む、むぐっ……」

 抵抗できない。

 かがみの唇が、ますます強く押し付けられ、

 かがみの腕は、ますます俺を強く抱こうとしてくる。

 まるで……しがみつくように。

 俺は、かがみの背中に手を回して、その華奢な体を抱きしめ返す、




 のを、理性の最後のひとかけらの力で踏みとどまった。


「むぐっ……ぷは……か、かがみ…」

 俺は優しくかがみの肩を掴み、ゆっくりとかがみの体を俺の体から離した。

「……やめようぜ?」

「……どうしてよ?」
221 :あなざー・すたー 33. 本能と理性の狭間で :2008/07/09(水) 01:19:24.17 ID:J61lG0c0
 恨めしそうな目をこちらに向ける。

 おもちゃを買ってもらえない子供みたいだ。

 かがみは俺に馬乗りなるような格好で身体を起こす。

 俺を見下ろすツリ目。

 身体を起こしたことで俺の怒張した[ピーーー]がかがみの太もものあたりに押し付けられる格好になった。

 痛てて……!

 あ、でも、ちょっと気持ちいいかも……

 って!!!俺!!!!自重しろ!!!!


「何よ、男のココはこんなになっちゃってるじゃない……が、我慢しなくていいのよ!」

 ちょっ!?おまっ!!

 そんな痴女っぽいセリフを、顔を赤らめてちょっとテレながら言うなよぉッ!!

 そのギャップがまt

 って!!!俺!!!!自重しろ!!!!

 
 ……俺は崩壊寸前の自制心で最後の抵抗を試みた。
222 :あなざー・すたー 33. 本能と理性の狭間で [saga]:2008/07/09(水) 01:21:33.06 ID:J61lG0c0
「こ、これは生理現象だっつーの!」

「なんでよ!!我慢しなくていいのよ?私……その……はじめて……だけど……でも!男のこと気持ちよくさせてあげられると思うわっ!」

「初めてなら、なおさら今はよせって!自分を大事にしろッ!」

 半分は本心だ。

 もはや半分しか本心じゃない。

「なによ……そこまで拒むなんて……やっぱり、やっぱり男はみゆきを選ぶつもりなのね?」

「いや、まだ答えは出てない!これはマジだッ!」

「じゃあ、いいじゃない!私は男と……」

「まだ……答えが出てないんだ。頼む、考えさせてくれ。頼むから。俺だって、これ以上は……理性が持たないって……」

「そんなもの、私が吹っ飛ばして――」

「……頼むから」

「………っ!」

 俺の搾り出すような言葉にかがみは少し考えてから、

「抱いて」

 と答えた。
223 :あなざー・すたー 33. 本能と理性の狭間で [saga]:2008/07/09(水) 01:22:53.61 ID:J61lG0c0
「……!?だから、頼むから……!」

「待ちなさいよ!今のは変な意味じゃないわ!私の体に腕を回して、ぎゅって……それだけでいいから」

「………」

「そうしてくれたら今日はおとなしく帰るから……」

「……わかった。ごめん、かがみ」

「謝んないでよ。謝るくらいなら――」

 ぎゅっ……

「……!」

「かがみ……」

「……男」

 ………

 シャンプーのいい匂い。

 どれくらいそうしていたかはわからないが、

 俺たちはずいぶん長い間、抱き合っていた気がする。






「じゃあ、私はこれで」

「お、おう!あの……お見舞いありがとな」

「うん……どういたしまして。ねえ……男?」

「どした?」
224 :あなざー・すたー 33. 本能と理性の狭間で [saga]:2008/07/09(水) 01:24:03.85 ID:J61lG0c0
「……男がもともとはみゆきのこと好きだったのは知ってる。けど、私のキスを受け入れたってことは……まあ、最後は拒まれちゃったけど……でもそれって、私にもチャンスがあるってことだよね?」

「うん、多分……」

「……まあ、いいわ。私、信じてるから。きっと男は私のこと選んでくれるって」

「……ははは、プレッシャーかけるなよ」

「プレッシャーに弱い人間は成功しないわよ」

 悪戯っぽく笑うかがみ。

「なあ、かがみ」

「なに?」

「虫のいいこと言うようなんだけど……明日、俺が出す答えがどんなでも、今まで通り4人友達同士でいてくれないかな?こなたとかつかさちゃんがかわいそうだし……」

「あんた、さらっと難しいこと言うわね」

「ダメか?」

「男が私を選んでくれれば……でも、そうじゃなかったら……自信ないわ。だって……こなたはともかく……」

「………」

「いや、なんでもない。とりあえず明日の返事、待ってるから。信じて……待ってるから!」

「おう……」

「じゃ」

「うん」

 バタン。
225 :あなざー・すたー 33. 本能と理性の狭間で [saga]:2008/07/09(水) 01:26:39.49 ID:J61lG0c0





 その夜。

 俺は、考えた。

 考えて、考えて、考えた。

 でも、考えれば考えるほど、こんなことはいくら考えたところで答えが出るような問題じゃないと気がしてくる……

 シンプルにいくんだ、シンプルに!

 ……そして、そろそろ眠気と戦い始めた頃、

 俺は結論に達した。




 
 時計の針は25時。

 運命が、加速し始めた――
226 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/09(水) 01:29:23.49 ID:J61lG0c0
今日はここまでです。


血しぶき飛び交う修羅場や、くんずほぐれつの官能の世界をwktkしてくださった皆様、
どうもすみませんorz
227 :病み猫 :2008/07/09(水) 03:15:12.98 ID:uFKe1ic0
>>226
乙です!
それは先延ばしになった、と考えていいのですね。
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/09(水) 05:16:06.31 ID:PNtValoo
男の理性が崩壊しなかったのが驚きです
これでこの先の展開が読めなくなりました
かなり楽しみにしてます
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/09(水) 11:01:58.44 ID:a3hiEkDO
なーに、かえってフラストレーションが溜まるってもんですよ
230 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/09(水) 23:45:48.55 ID:J61lG0c0
正直言うといい展開が思いつかないから先延b げふんげふん…


きっとそのうち、いい展開が空から降ってくると信じて続けます(`・ω・)=3

231 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/09(水) 23:47:43.73 ID:J61lG0c0
あ、kyoronosukeさんいつもまとめありがとうございます!
232 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/09(水) 23:49:35.61 ID:J61lG0c0
では、今日の分の投下、行きます。
233 :あなざー・すたー 34.そして役者は舞台に上がる [saga]:2008/07/09(水) 23:52:01.59 ID:J61lG0c0
 徹底マークとはまさにこのことだろう。

 サッカーやってた頃でも、ここまでのマークは受けたことがなかった。

 ったく……マンツーマンディフェンスは現代サッカーには合わないんだぜ?

 っと、そんなことを言ってる場合じゃない。






 4月30日。

 4月最後のその日、俺はかつてないほどの緊張感と共に、あえて遅刻ギリギリに登校した。

「おっす、男!」

 昇降口でこなたに会った。

「お前も遅刻ギリギリかよ……」

「遅刻してないからいいのだよ」

「無い胸を張るな」

「(=ω=.#)……それより男、CLANNADはやったかい?」

「あ、いや……まだ……」

「なんだ〜まだか……例の悩み事のせい?」

「ああ……」

「CLANNADに早く進出するためにも、私に相談してみたまえ!」

「ん……サンキュ。でも、もうすぐカタがつく予定だからさ……」

 そう、今日の放課後に二人に伝える。

 俺の出した答えを。

 もうすぐ……カタがつく。
234 :あなざー・すたー 34.そして役者は舞台に上がる [saga]:2008/07/09(水) 23:57:44.00 ID:J61lG0c0
「ふ〜ん。なんにせよ、私の布教活動にこれ以上支障をきたしてもらっちゃ困るからね。ちゃっちゃとかたつけてよ?」

「……お前は、師匠から教祖に格上げになったのかよ?」

 らんらんるー!

「ま、とにかく――」

 キーンコーンカーンコーン――

「あ……!(ハモリ)」






「お前ら、仲良く二人揃って遅刻かいな!」

「すみません……(ハモリ)」

 クラスのみんなの前で説教を食らってしまった。

 ふと、高良さんと目が合う。

 俺は黒井先生の肩越しに見える高良さんに目で挨拶した。

 高良さんは少し不安そうな様子を見せながらも笑顔で返してくれた。

 俺も笑顔で返――

「おとこ〜、うちの説教はそんなにつまらんか〜?」

「ハッ!?い、いえ、そんなことは……」

 バシッ!!

「ぐあッ!?」
235 :あなざー・すたー 34.そして役者は舞台に上がる [saga]:2008/07/10(木) 00:02:02.90 ID:yl7gHLE0
「愛のムチや。噛み締めや〜」

「ぷぷぷ」

「ああ、そうや、ついでに泉も」

「え、ちょ!?ついでって!?」

 バシッ!

「へっ、人が叩かれてるの見て笑ってるからだよ」

「むうう……」

「あほう!どっちもどっちや!」

 バシッ!






 席に戻る時、自然と高良さんの方へ視線がいった。

 こちらに気づくとにっこり微笑む高良さん。

 けれど俺は、高良さんがこちらに笑顔をむける前にひどく不機嫌そうな顔をしていたのを見てしまった……

 ……その後、授業が始まり、休み時間のたびに高良さんとかがみの視線が痛いくらいに降り注がれる。

……まさに徹底マーク。

だいたい、かがみのやつ、うちのクラスに来すぎだろ……
236 :あなざー・すたー 34.そして役者は舞台に上がる [saga]:2008/07/10(木) 00:03:39.08 ID:yl7gHLE0
 こなたやつかさちゃんは気づいてないようだが、事情を知っている俺の目から見ると、高良さんとかがみがお互いを意識しまっくっているのが丸わかりだ。

 その中心に俺がいる。

 ……まさに、針のむしろ

 ……ハリノ=ムシーロ (1876~1918)

 俺は二人を別々に呼び出して話をするつもりだったが、二人からのマークを振り切れなかった俺は、午前中の段階でそれを諦めた。







 そして、放課後――

「じゃあ、私は委員会があるからこなたとつかさは先に帰ってて」

「あ、わたしも委員会なので、ここで。お二人ともお気をつけて」

「そっか〜、じゃ、つかさ一緒に帰ろ。あ、男も一緒に帰る?」

「……いや。悪い、今日ちょっと用事あるんだわ」







 ――そして、三人の役者が揃った。

 舞台は旧校舎裏。
237 :あなざー・すたー 34.そして役者は舞台に上がる [saga]:2008/07/10(木) 00:05:22.40 ID:yl7gHLE0

「なあ……一応聞くけど、何も二人一緒じゃなくてもいいんじゃないかな?」

「かまわないわ」
「かまいません」

「でも……」

「心の準備はできてるわ!」
「心の準備はできてます!」

「そっか……わかった」

「で、男!結論は?」
「そうです。答えを聞かせてください……」

「私とみゆきの――」
「私とかがみさんの――」

「――どっちと付き合うの!?」
「――どちらとお付き合いされるのですか!?」



 二人の真摯な眼。
 
 ……つか、発言がかぶりすぎ。

 いやいや、余計なツッコミはいらねーぞ!

 ……覚悟を決めろ。









 かくして、役者は舞台に上がり、場面はまさに最高潮へ。

 俺の決断は……
 俺の出した答えは……
238 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/10(木) 00:07:35.87 ID:yl7gHLE0
今日はここまでです ノシ

なかなか展開が進まないのは仕様ですorz
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/10(木) 02:02:03.72 ID:Z80lAOI0
「あなざー・すたー」様 お疲れ様です。

今回の話からの展開を見てここでどう答えるのかで修羅場の有無がきまるのぅ・・・
これはあくまでも俺の展開予想だが・・・

俺の予想だと・・・そうだなぁ・・・おそらく男は「誰も選ばない」or「みゆきを選ぶ」の2択と予想だな・・・もし、「みゆき」を選んだ場合の理由として挙げるのなら
過去話を見た限りではかがみには惹かれていても異性としての意識はそこまでないと思われるし、元々みゆきに好意を寄せていたためそういう展開になるかなぁ・・・と俺の中では思われる

妥当なのが「誰も選ばない」かな・・・理由として
話の内容及び男の性格的に「異性としての愛情」より「周りの人間の友情(人間関係)」を選ぶような気がするかな・・・自分の事(この場合は告白された事)より4人の友情に亀裂が入ることを憂いていた事を考えるにそっちを選びそうな気がすると・・・まぁ・・・これが俺の展開予想です。
くどいようですがあくまでも「予想」なのでその辺をご理解していただければ幸いです。

そして、今日の所はこれにて失礼させていただきます。
240 :病み猫 :2008/07/10(木) 02:13:02.81 ID:vzLPwec0
乙です!
こなた派しては、こなたが絡んでこないのが残念です。
明日はターニングポイント的な感じですね。wktkしながら眠りにつきます!
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/10(木) 02:37:54.23 ID:Rv7y1YDO
修羅場や流血沙汰に期待
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/10(木) 04:05:22.05 ID:6D.hTTco
緊迫の次号って感じですね!
みゆきもかがみもそれぞれ魅力的に描かれていて・・・男じゃないのに迷いますww
個人的に、みゆきがここまでかわいいキャラだったことを知りませんでした
wwktkしてます
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/10(木) 12:38:52.78 ID:XGojJBAo
                     _,.-‐¬ ¨¨` ‐ .
                  ,r////イイ彡イ三ニ=ミ、
                     rfツ¬'''''"    ⌒ヾ  `ヽ
                 /7´         `ミ⌒ヽ, _,
                  イ7           `ミvテミ彡
             彡イr‐-ミ_ ヾソイ^_::::  r》-=彡ミY
             -=彡{l 茫ぅy  V茫ぅy   ミ彡ミう)ノ
                `勿リ:ゞフ/  :、\゙´   .ミ{ フ }}从
              _,彡{  ,(,、_,、'ハ     ハ|r' ノ
                    `ミ≧zノ八ミzzイ    ::リ{r'゙
                 《ミr´^⌒´ `ヾ   :::r'゙^7
                    〈`'(:.. ..::.  ,,,ィ 〉彡'゙ ,ィk_
                   Z》x_  _ノ_彡イツ守k,_
         ハリノ=ムシーロ[Harino Musiro]
             (1876〜1918 日本)
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/10(木) 14:13:17.52 ID:/diix2AO
また焦らしプレイか
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/10(木) 16:46:00.18 ID:h4TnPUw0
みゆきさん派としてはあえてかがみを選んでほしい。
んでみゆきさんに病んでほしい。

すでに双方病んでるようだがww
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/10(木) 20:31:58.97 ID:db1BYTI0
>>239
推理厨自重しろよ?あんたの予想なんか誰も聞きたくないんだからチラシの裏にでも書いてな
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/10(木) 20:33:41.42 ID:/diix2AO
>>239
ウザイ黙ってろ
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/10(木) 21:13:20.44 ID:AjabNgUo
長く続くスレや人気のあるスレにそういう奴が現れてくるというのはそろそろ終りに近づいてるということか(スレ的な意味で)
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/10(木) 21:22:40.72 ID:EXwy3c60
厨はスルーでおk
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/10(木) 21:48:59.34 ID:ZOvgWdso
>>前wikiの管理人氏へ

見逃してる可能性があるんで再掲


望み薄だとは思うが、まず@wikiに消されたこと連絡してサイト復活を
お願いしてみたらどうだろう?
と前スレ900-901で問い合わせた件なんだが、@wikiから回答があった

元の管理者から連絡して管理者として確認できる場合
復旧が可能かどうか検討するとのこと
(確実にバックアップデータが存在するかどうかなどは保証できないらしい)
251 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/11(金) 01:49:36.25 ID:DpKzccI0
みなさん、コメントありがとうございます。
嬉しい反面不安な気持ちも…

とにかく続き逝きます。
252 :あなざー・すたー 35.最終兵器涙 [saga]:2008/07/11(金) 01:51:20.48 ID:DpKzccI0
 ――俺の出した答えは、

 『高良さんと付き合う』

 だった。







「ウ……ソ……!?」

 かがみの顔からは表情が消えていた。

 うつろな目が俺のほうに向けられていたようだが、その目が何を映しているか、俺には分らなかった……

「男さん………!」
 
 高良さんは何か言いたそうだったが、それ以上何も言わなかった。

 嬉しさ半分、戸惑い半分といった感じだ。




「ごめん、かがみ……」
 
 決してかがみが嫌いなわけでも、女として見れないわけでもなかった。

 むしろ一緒にいて楽しいのはかがみのほうだったと思う。

 でも、

 それでも――
 
 俺が選んだのは高良さんだった。
 
 理由は色々ある。

 けどその色々を並べたところで、それは所詮後付けの理由な気がする。
 
 ……結局は、この桜陵学園に転入した日から、高良さんに会った日から、『初めからそうだった』っていうことだと思う。

 そして一度は高良さんにフラれ、諦めかけたものの、

 あの日に、高良さんが自分のことを話してくれたあの日曜日に、俺に好きだといってくれたあの日に、

 ……もうどうしようもなく「そうなった」っていうことだと思う。
253 :あなざー・すたー 35.最終兵器涙 [saga]:2008/07/11(金) 01:53:20.44 ID:DpKzccI0




「ごめん、かがみ」
 
 俺はもう一度言った。

 それ以外に言葉が思いつかなかった。

「男さ……一度、みゆきにフラれてるんだよね?好きだって言ったのに断られたんだよね?」

 かがみが心なしか震える声で言った。

「ああ」

 視界の端っこのほうで高良さんが俯いたのが見えた。

「でも好きなの?みゆきのことが?一度断ったくせに、『やっぱり付き合おう』なんて言う都合のいい女のことが!?」

「か、かがみさん!あれは!私は……!!」

「うるさい!今はあんたと話してるんじゃないでしょッ!!」

「………」

 再び、視界の端っこのほうで高良さんが俯いたのが見えた。

「ねえ、男!答えて!」

「ああ、それでも俺は高良さんが好きだ」

「………ッ!あ、あの時は、私と話した土曜日には、みゆきのこと『好きかどうか良くわからない』って、そう言ってたじゃない!」

「あの時はわからなかったけど、今はわかるんだ」

「じゃ、じゃあ、あの時、私と一緒にいて楽しいって言ってくれた、あれはウソだったのッ!?」

「ウソじゃない。かがみといると楽しいのは本当だ」

「だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら、だったら……」
 
 かがみは泣き出していた。
254 :あなざー・すたー 35.最終兵器涙 [saga]:2008/07/11(金) 01:56:12.57 ID:DpKzccI0
 ……ダメだ!流されるな。

 ここでかがみに中途半端に同情したりすれば、それこそかがみに対して失礼なんだ。

 答えを出した昨日の夜から……流されないと、そう決めていた。

「私で……いいじゃ……ない……う、うぐ……この前も、うう、言ったじゃない……男がみゆきと付き合ったって……男がみゆきと前の学校での……自分を……重ね合わせたって、えぐっ、辛いだけだよ……」

「そういうこと言うのは『嫌な子』だって自分でも言ってただろ?」
 
 言えた。

 かろうじて言えた。

 流されずにかろうじて……でも、

「ううう、えぐ……わがってるけど。そんなこど、わかっでるけど……」
 
 でも、

「ぞれでも、私を……選んでよ……」

「………」

「ねえ、おどご……お願い……よぉ……」
 
 もう、何も言えなかった。

 見てられなかった。

 かがみの涙の前では、

 俺はもう、黙るのが精一杯だった……





「男、わだじに……
 ……キス、してくれたじゃない!!」
255 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/11(金) 01:58:23.82 ID:DpKzccI0
今日はここまでです。
かがみが病まずに普通の女の子になっちまいました……/(^o^)\ナンテコッタイ
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/11(金) 10:45:04.09 ID:iZQ3jcAO
続きを早く続きをー
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/11(金) 14:43:26.35 ID:H6jjf32o
乙です
かがみかわいくてうざい・・・でもかわいい・・・でもうz
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/11(金) 15:41:44.81 ID:Cdc72ZM0
個人的にかがみの得物は包丁ってイメージ
259 :病み猫 :2008/07/11(金) 19:40:27.79 ID:S1uw4ss0
乙です!
選ばれたのはみゆきでしたか…かがみが今後どう出るのかwktkです!
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/11(金) 22:16:41.00 ID:utGHg2c0
「あなざー・すたー」様 お疲れ様です。

推理厨とか言ってる人はちょっと頭がおかしいと思います^^;
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/12(土) 01:18:58.42 ID:5eUGAQAO
おまいさんがいくら予想だと言い張ろうと関係ない
主観より客観を優先するべきだろ
ある程度ならしょうがないが、毎回毎回書いていくのはやめてくれ
何人にもやめろと言われてんだからさ
262 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 01:38:18.83 ID:LvcDC3.0
み、みんなケンカは辞めようよ!

                      -――=三、-「`丶 、
                     _ - ' ̄__: :L___ヽ_
                 _ - '_: :. :ー>ー‐――__ヽ、_
                -ーフ ̄: :. :-//: :-フ,-'ニ=ー >\‐、
                 /: :. : : :/7ィ-‐  ' /    /,イ: :. :ヽ|、
               ―-7イ: :. :,⌒y'ィ;ラぅヽ、     ,//: :/: : | ヽ
       , -‐ ―――' ̄ヽヽォ.lr-、:、/c'-、::ノ`     / /: :/: :/ L_}
      /          |.| |.||  __ヽ  ``'        /,イ :/: : : :} )
     /      〇   ////ハζ-‐) _      ,ゝ、// j/: :. :. :/
     {      o   .ノ///<'_つこ).、丶ヽ.   cィi::`'::l|‐イ: :. :/ /
     丶、    _, - ' ̄``'ヽ巛ゝ‐-、` 、ヽ'  _{.)。ノリ-‐: :/ /
       ` ―='――――- 、、シ__| >'⌒! !`}く,: :., :/:./
    -、― ' ̄-/       -=/^、ミ-―'‐-、   _'ノ∠ノ :/
、_ ○_/_ ->‐' /__, -‐'  ̄/ ノ.|/三三ミヽヽ,-‐': :,イ: :/
    ` >'   ∧        |   / ̄ ̄`\ミ、シ 7/ レ'
o   /  /、 ヽ、     /   /      ヽ/ '
-―  j /  入  >-――――/   0   . 〉
――‐l/  /  y′   ,-‐(  )       |
     /   / _ イ | `‐r'        }
263 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 01:39:49.10 ID:LvcDC3.0
すみません、差し出がましいマネをつかさにさせました…

では今日の分投下します。
264 :あなざー・すたー 36.みゆきの世界 [saga]:2008/07/12(土) 01:42:20.04 ID:LvcDC3.0
「男、わだじに……
 ……キス、してくれたじゃない!!」






「………」
 
 その沈黙がどれくらいだったのかわからない。

 短かったのかもしれないし、長かったような気もする。 

 俺は自分の声でその沈黙を破った。

「……ごめん、かがみ。あの時の俺は……その、まだ迷ってたんだ……でも今はもう……かがみには申し訳ないけど……」

「……あんたさえ」

 それは、

「あんたさえいなければ……」
 
 俺に向けられた言葉ではなかった。

「みゆきッ!あんたさえいなければ良かったのにッ!」
 
 さっきまでの嗚咽交じりの声が、沈黙のうちに元に戻っていた。

 さっきまで震えた声を発していたのと同じ口から出ているとは思えない怒声。

 高良さんに掴みかかりかねない迫力。

「何なの?あんた……一度男のことフッたくせに。いまさら……中途半端な気持ちならやめなさいよね!男も迷惑するだけよッ!」

 高良さんに歩み寄る。

「待て!かがみ――」
 
 俺が二人の間に割って入ろうと身体の重心を目に移した、その時。


265 :あなざー・すたー 36.みゆきの世界 [saga]:2008/07/12(土) 01:44:22.02 ID:LvcDC3.0
「かがみさん――」

 静かな声だった。

 しかし有無を言わさぬプレッシャーを込めた声。

 ……あの日、ドーナツ屋で聞いたあの声が、

 俺の代わりに、かがみの動きを止めた。

「――少し頭を冷やしましょうよ、かがみさん」

 高良さんから、表情が消えていた。

 冷たい目だけが妙な迫力を持っていた。

「いきなりそんな大声を上げるなんて……五月蝿いですよ?かがみさん」
 
「……ッ!?」

 絶句するかがみ。

 まさか高良さんがそんなことを言うなんて、
 そんな反応が返ってくるなんて……

 予想もしていなかった、というような顔をした。

 そして、俺も多分そんな顔をしてたと思う。

 まるで時間が止まったようだった。
 いや、時間が止められたようだった。
 
 高良さんの一言で。
 
 世界《ザ・ワールド》ッ!!
 
 ナイフもロードローラーも飛んでは来なかったけれど……
266 :あなざー・すたー 36.みゆきの世界 [saga]:2008/07/12(土) 01:45:29.93 ID:LvcDC3.0
「かがみさん……」
 
 時間は動き出す。
 高良さんの言葉で。

「………ッ!?な、何よ!?」
 
 我に返ったかがみが一瞬遅れて言葉を返す。

「怒鳴らないでください。五月蝿いですから」

 ……大事なことなので二度言いました。

「う、うるさくて悪かったわね!」

「かがみさん。では、あなたは男さんのことが本当に好きなんですか?」

「あ、当たり前じゃない!一度はフッたくせに、あとから都合よく男に告り直したあんたとは違――」

「じゃあ、男さんに従ってください」

「……!?」

「男さんの決断を尊重してください」

「………ッ!あ、あんた、自分が選ばれたからっていい気になってんじゃないわよッ!」
267 :あなざー・すたー 36.みゆきの世界 [saga]:2008/07/12(土) 01:46:49.16 ID:LvcDC3.0
「いいえ、いい気になんかなってませんよ。それに私は従いましたよ?例え、男さんが私を選ばなかったとしても、私は男さんに従いました。だって大好きな男さんの言うことですもの。だから私は……」
 
 そこで彼女は、うふふ、と少し笑った。

「そう、例え男さんが私のことを選んでくださらなかったとしても……男さんに従いましたよ?

 あなたのように、
 男さんの決断を否定するようなことはしませんでした。
 男さんの邪魔になるようなことはしませんでした。
 男さんを困らせるようなことはしませんでした。
 男さんを煩わせるようなことはしませんでした。
 男さんを不快にさせるようなことはしませんでした。」

「……う、うる……さ……い……」
 
 かがみは声を絞り出すのがやっとだった。

「だからあなたも、
 従ってください。
 否定しないでください。
 邪魔しないで下さい。
 困らせないで下さい。
 煩わせないで下さい。
 不快にさせないで下さい。そして……

 ……それができないなら消えてください」
 

 ひどく無機質な感じで、彼女は続けた。

「そうですよ。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください」

 冷たく、機械的に言い放つ高良さん。

 同じ顔のはずなのに、俺の知ってる女神とは別の顔に見えた。

 あの時以上に……
 あのドーナツ屋での出来事の時以上に……
268 :あなざー・すたー 36.みゆきの世界 [saga]:2008/07/12(土) 01:48:06.92 ID:LvcDC3.0
「もう……いいよ、高良さん……」

 こんな高良さんは見たくない!!

「消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。消えてください。それもできないなら、私が消し――」

「……もういい!やめろ!やめてくれ!」





「やめてくれ!!みゆきッ!!」

『みゆき』

 その時、俺は初めて彼女を下の名を呼んだ。
269 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 01:49:40.34 ID:LvcDC3.0
本日はココまでです。

ちょっとはヤンデレっぽくなったと信じたいですorz
270 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 01:52:22.32 ID:LvcDC3.0
あ、あと微妙な誤字(?)なんですが、『時間』と書いて『とき』と呼んでください
271 :病み猫 :2008/07/12(土) 02:01:00.55 ID:8ntrVFI0
みゆきさんが…

乙です!
272 :病み猫 :2008/07/12(土) 02:34:20.16 ID:8ntrVFI0
それと、練習も兼ねてまた描いてみました。
作っていただいた、ノベルゲーム風に載せられるものを目指していきたいです…。

http://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_022966.jpg.html
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/12(土) 10:51:26.50 ID:mMvOcWEo
ディバインバスター乙

>>272
パスキボンヌ
274 :病み猫 :2008/07/12(土) 11:01:35.25 ID:bRxwQzQ0
>>273
スレタイ略です
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/12(土) 12:35:23.29 ID:qs1mEYEo
こんなことろでパスつける意味がわからんww
276 :病み猫 :2008/07/12(土) 12:39:14.43 ID:bRxwQzQ0
すみません…つけないやり方が分からなくて…
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/12(土) 12:40:56.97 ID:qs1mEYEo
DLKeyを設定しなければいいだけの話では?
278 :病み猫 :2008/07/12(土) 13:10:26.84 ID:bRxwQzQ0
では、出来たら次からそうします。
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/12(土) 19:56:57.56 ID:mnsdYr6o
ヤンこな
ヤデこな
ヤンデレこな
こなヤン
ヤンデこな
ヤンこ
すみません・・・わかりません・・・
280 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/12(土) 19:58:39.23 ID:e20HWjs0
>>279
yannkonaでいけると思います。
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/12(土) 20:05:26.33 ID:KyYMI2AO
>>279
まったく同じ事をして挫折した
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/12(土) 20:51:10.39 ID:mMvOcWEo
>>280
thx!
283 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 20:51:47.44 ID:LvcDC3.0
nが重なってるわけですね
284 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 23:08:08.95 ID:LvcDC3.0
じゃ、今日も投下逝きます。
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/12(土) 23:09:04.95 ID:mMvOcWEo
カマーン
286 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:11:54.05 ID:LvcDC3.0
 高良さんのことを下の名前で呼んだ。

 敢えてそうした。

 それが持つ意味は、俺が考えていた以上に大きかったらしい。

 高良さ、いや、みゆきは一瞬怯えるような顔になっていたが、次の瞬間には顔を赤くして俯いていた。

 表情は良くわからなかったが、冷たく無表情だった顔に熱が戻ってきていた感じがした。

 ……かがみはほとんど放心状態だった。

 立っているのがやっとといった感じで、ぼんやり俺のほうに顔を向けていた。
 



「ごめん……かがみと二人で話がしたいんだ」

 俺は高良さ、いや、みゆきに向かって言った。

「でも……」

「頼む」

「……わかりました。取り乱してしまって……すみません」

「いや、きにすんな。先に昇降口で待ってて。すぐに行くから」
 
「はい」
287 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:12:54.14 ID:LvcDC3.0





「かがみ……」

「………」

「……俺に言いたいことあったら、今のうちに全部言っといてくれないか?」

「………」

「本当にごめん……」

 何も言わないかがみに対して、謝る以外に言葉が見つからない。

「………」
 
「………」

 沈黙。

「……あんな、みゆき初めて見た」

 唐突にかがみが口を開いた。

「え?」

「あんなこと言うみゆき」

「ああ……」

「それだけ本気ってことかしらね……」

「ああ……」
288 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:14:06.54 ID:LvcDC3.0
「あんた、苦労するわよ。あんたはこれからみゆきと喧嘩するたびにああいう風に言われるの」

「………」

「それで後悔するの、『やっぱりかがみと付き合ってれば良かった』って」

「……かもな」

「でも、その時は私はすでにもっといい人と付き合っていて、あんたもっと後悔するの。『なんで俺はあんなにいい子をフッちまったんだ』って」

「後悔先に立たずってやつだな」

「ホントよ!バカな男!」
 
 それはむしろ明るい口調だった。

「バカバカバカバカバカバカ!」

「………ごめん」
 
「ホントよ!ぶっ飛ばしてやりたいわ!」

 いつもみたいに……
 いつもの軽口を叩き合っている時みたいに……

 ……でも目にはまた涙が溜まっていた。




「いいぜ」
289 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:14:59.31 ID:LvcDC3.0
「え?」

「気が済むまで。かがみの気が済むまでぶっ飛ばして良いぜ」

「……武器の使用は許可されているのかしら?」

「……できれば素手でお願いします」

「しょうがないわね。じゃあ、目を閉じて、歯を食いしばって」

「いきなり顔かよ!?」

「グーで行くわよ」

「はいはい」

 言われたとおり、俺は目を閉じて歯を食いしばった。

 ギュッと……

 ………

 ………

 あれ……?
290 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:16:12.46 ID:LvcDC3.0
「――チュッ」

 唇に何か柔らかいものが当たった。

 唇?

 柔らかいもの?

「はむっ……むぐっ……」

 ――って!おい!?

「――ッ!?む、むぐっ!?」

「ぷは。あ、こら!目を開けるな!」
 
 ゴン!!

 グーでやられた。

「痛ってえ……」

「ねえ」

「ん?」

「昨日よりも……初めてのキスよりも……緊張しなかったわ、うふふ」

「……ぶっ飛ばすんじゃなかったのか?」

「そうしてあげても良かったんだけどね……いいじゃない、記念にってことで!」

「……そんなもんなのか?」
 
 俺は、心臓が破裂しそうなくらい鳴ってたのを、必死に隠していた。
 
 俺も二度目だったが、全然慣れない。

 というか、いかん。いかんぞ!

 心が揺らいでしまったら負けだ!
291 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:17:44.11 ID:LvcDC3.0
「あのさ、男……」

「ん?」
 
 俺は息を整えながら返事をした。

「だめだよ。私、男のこと諦められそうにない……」

「………」

「ごめん、男のこと困らせて。ホント嫌な子だよね、私。みゆきにああ言われてもしょうがないわ」

「ごめん……友達としてなら歓迎だが、それ以上は……」

「嫌だ」

「即答かよ!?頼むから……」

「……ッ。……ふぅ。……わかった。おとこのそばにいられるなら、今はそれでいい。それで我慢する」

「ごめん……」

「でも忘れないで、いつでも準備できてるってこと。うふふ、キャンセル待ちね」

 俺は飛行機の座席か……?

「……わかったよ。あと、かがみ……勝手は承知で言うけど、できれば高良さんとも……」

「……みゆきって呼んであげなよ。さっきみたいに」

「あ、えと、じゃ、みゆきともこれからも友達として……」

「それは……、今は無理かも……」

 ……だよな。

 でも……
292 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:19:09.55 ID:LvcDC3.0
「でも、やっぱり仲良し4人組はそのままであってほしい。みゆきにも言っとくから……じゃないとこなたやつかさちゃんに悪いし……」

 おとといのこなたとの電話を思い出す。

「わかった……私も一応努力はするわ」

「ありがとな。……みゆきも多分わかってくれると思う」

「あの子、男の言うことには従うとかなんとか言ってたもんね」
 
 皮肉っぽく笑うかがみ。

「あ〜あ、それにしても、自信あったのにな〜!フラれちゃったな〜!」

「……ごめん」

「男ってば、キスもしてくれたのにな〜!」

「……本当にごめん」

「んもう、それ以上謝らないでよ!逆に惨めになってくるわ」

「……ごめ」

「ほら!」

「あ……はは。じゃあ、ほら、こなたにでも慰めてもらえよ」

「はあ!?あんた、バカァ?」
 
「……?」

 柊・カガミ・ラングレー

「あいつにこんなこと相談できるわけ無いでしょ!?絶対、笑われるし!あいつはゲームの中でしか恋愛なんてしなさそうだし!そもそも、こなた相手じゃなくもこんなこと、誰にも言わないわよ!この私が、『告ったり』、『フラれたり』なんてこと……」

「そ、そっか……」
 
 顔を真っ赤にして怒鳴るかがみ。
293 :あなざー・すたー 37.目をつぶって、歯を食いしばって [saga]:2008/07/12(土) 23:20:54.08 ID:LvcDC3.0
 でも、良かった。いつものかがみに戻りつつある。
 
 例え、カラ元気だとしても。
 
 今は……良かった……

 まあ……俺のせいなんだけど……

 そしてかがみは大きく息を吐いて、言った。

「じゃ……私、もう行くね」

「うん……じゃな」
 
 そう言うとかがみは小走りで去っていった。
 
 ごめんな、かがみ……

 かがみの背中を見送り、俺はかがみとは反対方向に。

 みゆきの待つ昇降口のほうへ。

 歩き出し、校舎の角を曲がって――








 ――そこには、

 昇降口で待っているはずのみゆきがいた。
294 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 23:23:18.83 ID:LvcDC3.0
今回はここまでです。
書き溜め分がなくなったので、次の投下まで少しかかるかもしれません。平日にもっと時間取れれば('A`)
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/12(土) 23:25:40.76 ID:mMvOcWEo
GJ

のんびり書けばいいよ!
296 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 23:31:48.78 ID:LvcDC3.0
>>272
乙です!ここには絵師さんがいないので、絵もかける病み猫さんは貴重な存在ですね。
頑張ってください!

>>273
みゆき→なのは、かがみ→ティアナにしてフルボッコってのも考えたんですが、結局辞めたので中途半端になってしまいましたorz

297 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/12(土) 23:32:45.17 ID:LvcDC3.0
>>295
ありがとうございます!
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/13(日) 00:15:23.05 ID:srWmFmY0
>>296
自分はてっきりみゆき→言葉、かがみ→世界、こなた→刹那、みさお→甘露寺かと思ってました
299 :病み猫 :2008/07/13(日) 01:48:46.63 ID:qVeTJTQ0
>>あなざー・すたーさん、乙です!!
甘ーい感じの陰に見え隠れする闇がdkdkです!

パスの件、すみませんでした。次からは特別な事情([らめぇぇっ!]等)がない限りパスはつけないようにします。
300 :病み猫 :2008/07/13(日) 03:55:05.38 ID:qVeTJTQ0
即席で表紙的なものを描いてみました。
http://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_023390.jpg
301 :病み猫 :2008/07/14(月) 00:54:55.42 ID:DALqGl.0
病んだ絵は難しいですね。
夏休みに入ったら絵も本腰を入れたいと思います。

では、少し書いたので続きを投下します。
302 :病み猫 :2008/07/14(月) 00:57:33.80 ID:DALqGl.0
みゆき「男さん!昨日の放課後以降、かがみさんに会いませんでしたか?!」

男「えっ?!会ってないよ??」

つかさ「ホントに?!」

男「…本当だよ。」

一昨日は泊まっていかれましたが…

こなた「ホントになんにも知らない?かがみんの事!」

男「昨日は放課後会ってないし…むしろ昨日はこなたの家遊びに行ったんじゃなかったのか?」

こなた「その後なんだよー!!」

みんなの真剣な顔を見て、俺はやっと何らかの『異変』が起こったらしいことに気付いた。

男「……かがみに…何かあったのか……?」

みんなの表情が曇り、一瞬の沈黙が訪れた。
みゆきさんが、沈黙を破った。

みゆき「かがみさん…昨日の夜、家に帰らなかった様なのです。」

男「……え?」

こなた「…まだ、家にも連絡無いんみたいなんだ。ケータイも繋がらない…。」

男「と…友達の家とかに泊まったんじゃないのか?」

つかさ「確認したよ…。でもそれは無いみたい。」

男「けっ…警察に……!!」

つかさ「うん…。もう捜索願出したよ。」

男「……なんで…」


…かがみが失踪した。
303 :病み猫 :2008/07/14(月) 00:58:56.35 ID:DALqGl.0
三人の話を聞いた。

どうやらかがみは、昨日こなたの家を出た後から行方が分からないらしい。
こなたの家には昨日の深夜、警察が来て事情聴取をしていったらしい。

ケータイは所持しているそうだが繋がらず、位置の特定も不可能らしい。

HRで黒井先生が、かがみの事を言った。

黒井先生「…という訳でうちの学年の生徒が行方不明になっとる。…何か本人から聞いとった人や、昨日の放課後以降見かけた人がおったら、後で先生に教えて欲しいんや。まだ事件て決まったわけじゃないけど…みんなも登下校は気をつけや…。」

授業中、頭の中はかがみの事でいっぱいで授業は頭に入ってこなかった。
…何より俺にはついこの間の、かがみの告白があったからだろうか、良くないイメージがよぎる。
…かがみはしきりにつかさを怖がっていた…。

『…いやっ!そんな事はない!!つかさが関わってるなんて有り得ない…!有り得てほしくない!!』

ともかくも昼休みに、俺は確かめなければならないことが有ることを感じていた。
 
かがみのクラス。

俺は入り口にいるショートカットの女の子に聞いた。

男「あの…すみません、このクラスに峰岸さんていますか?」
304 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:01:40.69 ID:DALqGl.0
『峰岸』かがみがアリバイ工作といって電話をしていた友達だ。

ショートカットの女生徒「おーい!あやのぉー!!」

するとロングヘアでカチューシャをした、おでこの広い、おとなしそうな女の子が現れた。

峰岸あやの「みさちゃん、そんな大声ではずかしいよ…どうしたの?」

ショートカットの女生徒「なんかこの人がサ、あやのに用事有るんだって!」

あやの「…?そうなんだ。ありがとう。」

ショートカット女生徒「じゃあサ、私先ご飯食べてるよ!」

あやの「うん。」
ショートカットの女生徒はダッシュで教室内に戻っていった。
 
あやの「…えと、あなたは…?」

男「あ…俺E組の男って言うんだけど、かがみの事でちょっと聞きたいことがあって…。」

そう言うと、峰岸さんの顔は少し考えるような表情になった。
そして、ふと気付いたような顔をすると口を開いた。

あやの「…あなたが…柊ちゃんの彼氏さん?」

男「…えっ?いやっその違うんだけど…うーん…。」

『彼氏』ではないけど、峰岸さんが頭の中に思い描いている人と俺は、たぶん一致している。

俺「…そのことも含めて、峰岸さんに聞きたいことがあるんだ。」

あやの「ええ…私もあなたに聞きたいことがあります。」

俺たちは屋上に向かった。
305 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:02:51.96 ID:DALqGl.0
屋上のベンチに腰掛ける。

俺「…まず、誤解がないように言っておくけど、俺はかがみの彼氏じゃない。」

あやの「えっ?!」
 
 
俺は一昨日、かがみがつかさとけんかをして、成り行きでうちに泊まったことを説明した。
…もちろん、つかさやこなたの事は伏せた。
 
あやの「なる程、そうだったんですか。」

男「うん…。一昨日はかがみが迷惑かけたみたいですみません。……で、昨日の放課後以降、かがみに会わなかった?」

あやの「先生にも言ったんですが…糟日部駅で会いました。」

男「えっ?!そっ…それで?!」

あやの「ちょっとだけ立ち話したんですが、どこに行くとかは言ってませんでした。」

男「…そっか…。」

あやの「ただ…」

男「?」

あやの「『確かめなきゃ』と言っていました。何を?って聞いたんですが、柊ちゃんは『大したことじゃないわよ』って…。」

男「『確かめなきゃ』?」
306 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:04:01.07 ID:DALqGl.0
かがみはこなたの家に行った後、なぜか糟日部に向かった。
何かを『確かめる』ために。
 
男「とりあえず、ありがとう。俺もかがみの行きそうなとこ捜してみるよ。」

あやの「…柊ちゃんは…」

男「え?」

あやの「男くんのこと、好きなんだと思いますよ…。」

男「……うん。」

あやの「柊ちゃんが帰ってきたら、一度ゆっくり話してみるといいと思います。」

男「うん…そだね。」
 
 
昼休みは半分ほど終わり、教室に戻った。
教室にはつかさとこなたの姿はなく、みゆきさんが一人でご飯を食べていた。

男「あれ?みゆきさんだけ?」

みゆき「ええ。お二人はどこかに行ってしまいましたよ?」

男「そっか(珍しいな…)。」

俺はみゆきさんと一緒に昼食を食べることにした。

みゆき「…男さんこそどうしたんですか?昼休みになったらすぐにどこかに行ってしまったようですが…。」

男「いや、かがみのクラスに行ってさ、かがみの事何か知ってる人いないかって思って…。」

みゆき「…そうですね。かがみさんの事、心配ですよね。」

男「うん…。」

みゆき「変なこと聞いていいですか?」

男「え…?…うん。」
307 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:05:11.60 ID:DALqGl.0
みゆき「前に…かがみさんが元気がなかったとき有りましたよね?」

男「うん。」

みゆき「あの時…感じたんです。かがみさんは……その…男さんの事好きなんじゃないかって…。」

男「え?!」

みゆき「あの後から、男さんはかがみさんと仲良くなったような気がしましたし…」

男「……」

みゆき「何か、あったんですか?」



気まずい沈黙を作ってしまった。
こなた、つかさ、かがみとの微妙な関係。出来ることならみゆきさんまで巻き込みたくない。

男「かがみは…」

俺は悩んだ末、やはり三人との関係は言わないことにした。

男「大切な友達の一人だよ。かがみが俺をどう思っているかとかは関係なく、かがみが困っているんなら出来るだけ力になりたいと思うし、今回だって…ヘンな感情とは関係なく、早くかがみが無事に帰ってきてほしいと思う。」

みゆき「………そうですね。私もそう思います。」

お互い言葉に詰まって、また沈黙となった。

ちょうどそこにつかさが入ってきた。
308 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:06:36.90 ID:DALqGl.0
つかさ「あれ、こなちゃんは?」

みゆき「つかささんが教室を出て行った後、どこかへ行きましたよ。」

つかさ「ふーん…。」

男「つかさこそどこ行ってたんだ?」

つかさ「…先生のとこ行ってね…お姉ちゃんの事話してきたよ…。」

男「…そっか…。」

つかさ「……実はね…一昨日お姉ちゃんとケンカしたんだ…。お姉ちゃんが居なくなったのは…私のせいかもしれない…。」
…そう言って涙目になるつかさを見ていると、かがみの失踪に、つかさは少なくとも深く関わっていない気もする。

男「きっとつかさのせいじゃないよ。自分を責めるより、とにかく今は早くかがみが帰ってくることを祈ろう。」

つかさ「…うん…。」

…むしろかがみの失踪には俺自身が関わっている気がする。でも今はとにかくかがみが見つかるように最善の努力をするべきだと思った。
 
 
授業が始まる直前、こなたが教室に滑り込んできた。

また午後も集中できない授業を聞いた。
309 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:08:00.77 ID:DALqGl.0
放課後。

かがみを除いた四人で帰る。
駅でみゆきさんと別れ、柊家の前でつかさと別れた。

今日はみんな口数が少なかった…。
特にこなたは一言もしゃべらなかった。

『やっぱり親友が行方不明になるなんて相当ショックだったんだろうな…』

わずかな距離をこなたと歩く。

するとこなたが俺の服の裾を掴んで言った。

こなた「…なんでかがみんはいなくなったんだろう…」

男「…わからないよ。」

こなたには…一昨日かがみがうちに泊まった事は言えない、と思った。

こなた「…そーだよね。…。」

男「こなたこそ、かがみから何か聞かなかったか…?」

こなた「………。」

男「?」

妙な沈黙が流れた。
直感的に俺は、『こなたは何か知っているのかもしれない』と思った。
しかし、うまくそれを切り出せずにいるとこなたの口から意外な言葉が出た。

こなた「ね、男。」

男「ん?」

こなた「…今日さ、昼休み屋上にいたよね…?」
男「…へ?」

こなた「………誰?……あの女?」
310 :病み猫 :2008/07/14(月) 01:08:52.62 ID:DALqGl.0
では、今日はここまでです。
おやすみなさい。
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/14(月) 19:02:53.63 ID:7WE62I20
>>310
乙ー
しかしスレタイ通りの展開になりそうだなww
てかあのAA思い出すww
312 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/14(月) 22:53:28.18 ID:ZvNtBJI0
乙カレーです。
あやの死亡フラグ…ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/14(月) 22:54:41.81 ID:/uzDR1Ao
病み猫さんのこなたかわいいなぁ
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/15(火) 23:25:38.55 ID:xqPbP4A0
ふーむふむ
315 :電波王▲▲ ◆DD..AmezVI [千尋]:2008/07/16(水) 19:20:30.34 ID:k/wKAaso
おー
316 :病み猫 :2008/07/16(水) 19:50:52.79 ID:ijObsnQ0
電波王さんが降臨しとる!!!!111
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/16(水) 20:03:05.41 ID:dMfS9rg0
おおお!このスレの始祖か!?
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/16(水) 21:02:49.04 ID:SynlPF6o
うお、電波王じゃないか
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/16(水) 22:47:56.29 ID:FqzexwU0
電波より八月蝉
320 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/17(木) 00:22:03.35 ID:txhkr9E0
うおッ!!
実は電波王さんのレスをリアルタイムで見るのは初めてだったり…
321 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/17(木) 00:45:13.47 ID:txhkr9E0
電波王さんは素通りだったんスかね(・ω・`)

じゃ、俺の分の投下を逝っときます。
322 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:48:00.20 ID:txhkr9E0
「………」

 彼女は黙って俺の目の前に立っていた。

「あ、あれ?たからさ……みゆき?先に昇降口に行ったんじゃ……」

 みゆきは俺を見つめていた。
 
 すがるような、それでいて咎めるような目で。

 しかも、俺の唇の辺りを見ている気がした。

 俺の唇を。

 かがみの感触が、

 あの柔らかな感触がまだ消えていない俺の唇を。


 
 さっきのあれを見ていたのか……?
 かがみとのキスを……
 
 俺にとっては事故みたいなものではあったが、俺の心はやましい気持ちで一杯だった。
 
「かがみさんとのお話は……」
 
 みゆきは近づいてきた。

 まっすぐ俺を見ている。
 
 すがるような目で。
 咎めるような目で。

「……もう、済んだんですか?」

「え、ああ……終わったよ」

 かがみの感触の消えない唇で俺は答える。

「そうですか……」
 
 それ以上、何も言わなかった。
 
 ただ俺を見つめるだけだった。
323 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:50:14.04 ID:txhkr9E0
 そして、俺の手を取った。

 俺は少し、ぎくりとした。

「一緒に帰りましょう。あの……手をつないでいただいてもよろしいですか?」

「え……?うん、もちろん」

「ありがとうございます」

「何か、こうしてると付き合い始めたんだなって実感するな」
 
 俺はやましさを振り払うように、明るく言った。

「そうですよね。男さんは私を選んでくださったんですものね」
 
 笑顔ではあるが、言葉にトゲがあるように聞こえる……

 お、怒ってるのかな……?

「そうですよ。男さんは私を選んでくださったのに……許せない……」
 
 まるで俺にではなく、みゆき自信に言い聞かせているような口調だ。

 背筋に嫌な感触を感じた。

 みゆきはやっぱり、さっきのを……

「あの、みゆき。さっきの……」

「うふふ、嬉しいです」

「え!?」

「そう呼んでいただけると嬉しいです。『みゆき』って。さっきそう呼んでもらえた時すごく嬉しかったんです」

「あ、ああ……ほら、もう俺たち付き合ってるわけだしさ」
 
 うふふ、と微笑むみゆき。

 しかし、心なしか瞳は曇っているようだった……

「かがみさんだって、その意味に気づいたはずなんです。なのに、あの人、男さんを困惑させるようなことを……」

「あのさ、みゆき。やっぱりさっきのを?俺とかがみがキ――」

「見てません」

324 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:52:18.77 ID:txhkr9E0
「え……?」

「私、何も見てません!」

「あ、いや、でも……」
 
 俺の言葉を無視して、みゆきは俺の手をひいて進みだした。
 
 みゆきは俺に背を向ける格好となった。

「男さんがかがみさんと今、何をしてらしたかなんて聞きたくありません」
 
 俺からはみゆきの顔は見えなかった。

「それに男さんが気に病むことなんて、な〜んにも無いんですよ?何をしたって私は男さんのことを受け入れます。男さんのことは許します」

 手が、汗ばんでいた。

「男さんのことは」

 俺の手がなのか、みゆきの手がなのかはわからなかった。

「……ごめん」
 
 俺はみゆきの背に向かって言った。

「何故、謝るんですか?男さんは何も悪いことしてらっしゃらないのに」

「……心にやましさを……感じてるから……」

「さっきのことなら、気に病む必要はありませんよ?あれは事故です。男さんは事故にあわれたんですよ」

「やっぱり……」

「男さんは被害者ですよ。責められるべきは加害者のかがみさんですよ」

「やっぱり、見てたのか……」

「うふふ、かがみさんも人が悪いですよね……男さんは私を選んでくださったのに。男さんの決断をまるで無視していますものね。」
325 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:53:32.10 ID:txhkr9E0
「か、かがみがやったことは確かにあんまりよくないことかもしれないけど……そんな風に言うのはやめてやってくれ!」

「…う…て?」

「え?」

「……どうして?どうしてです?どうして、かがみさんをかばうんですか?」

「みゆき……」

「もう、私には……男さんしかいないんです」
 
「お、おい……」

 男さんしか……

 ……しか?

 いやいやいや!
 
 俺はみゆきの腕を引っ張ってこっちに引き寄せた。

「そんなこと言うなよ!かがみだって友達としてもう一度みゆきとやっていきたいって、そう努力するって言ってくれたんだ。そりゃ時間はかかるかもしれないけど、みゆきも……な?」

「……男さんがそうおっしゃるなら」
 
 みゆきの目はどこか虚ろだった。
 
 俺が……?

 俺が、みゆきをこんな風にしたのか……?

 おれのせいで……みゆきが……!?

 ダメだ!

 そんなのダメだ!

 みゆきをこんな風にしたくない……
 
 みゆきをこんな風にしてしまったら……そんなの……

 そんなの……!!
326 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:54:35.24 ID:txhkr9E0
「聞いてくれ!みゆき!」

「………」

「みゆきの言うとおり、俺はみゆきを選んだんだ。みゆきのことが好きなんだ!」

「………」

「だからこそ、言うぞ!『俺だけ』だなんて言うな!」

「………」

「誰にでもカベ作ってた自分を変えるんだろ?俺は応援したいんだ、そんなみゆきを!」

「………」

「なのに逆戻りしてどうするんだよ?いつもみたいにこなたやつかさちゃんや、それにかがみにだって囲まれてこれまでどおりに、いや、これまで以上に楽しくやってほしいんだ!」

「………」

「そりゃ、かがみとは時間がかかるかもしれないけど……俺のせいでみゆきが友達をなくすなんて、耐えられねえ!」

「みゆきには今まで以上に幸せになってもらわねーと!だって……」

「………」

「その……みゆきのことが……」

「………」

「……好きだから。みゆきのことが好きだから!」

「………!」
 
 その言葉で、みゆきの目に光が戻った気がした。
327 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:55:56.73 ID:txhkr9E0
「男さん……」

「俺のせいでみゆきが友達なくしたり何てことになったら、寝覚めが悪いぜ!」

「お、男さんの寝覚めを悪くするわけにはいきません!」

「じゃあ、約束してくれよな。友達も大切にするって」

「……男さんがそうおっしゃるなら」

「自分の意思でそう約束してくれ!」

「わ、わかりました!お約束します!」

「ありがとう……これからよろしくな!みゆき」

 みるみる、みゆきの顔が赤くなる。

 夕日のせいなんかじゃない。

 赤くなって、口をあうあうと動かしている

「ああ、あの、こ、こちらこそ、よろしくお願いいたします!」
 
 歩く萌え要素、高良みゆきが戻ってきた。
 
 俺の心を鷲掴みにした女神の笑顔がそこにあった。

 




 ――帰り道。

 俺はみゆきと付き合い始めたということを実感し始めていた。
328 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:57:16.42 ID:txhkr9E0
 みゆきとの他愛もない会話。

「あの臭みが何とも言えませんよね」

「ああ、つかさちゃんと臭い臭いって言ってたのはそのことだったのか」

「ええ、そうなんですよ。それに困りますね〜、大きすぎると」

「あはは、確かにそうだな」

「うふふ」

 じんわりとした気持ちが広がっていく気がした。

 カッコつけるつもりはないけど、これって幸せってことだよな。
 
 しばらくはギクシャクしそうだけど、とりあえずこれで一件落着だ。

 そんなことを考えながら。俺はみゆきと一緒の帰り道を噛み締めた。

「では、わたしはここで」

「ああ」

「ちょっとだけ、いいですか?」

「ん?」

 ぎゅっ!

「ぬお!?」

「うふふ」

「おいおい……」

「すみません。周囲に人がいなかったもので……つい……では、また明日」

「ああ、気をつけて」

「はい!男さんも」
329 :あなざー・すたー 38.第三部完! [saga]:2008/07/17(木) 00:59:00.28 ID:txhkr9E0



 そう、一件落着。

 第三部完!!

 これで、ここ数日のごたごたも終わり、平穏な日々が戻る。

 いや、戻るんじゃなくて始まる。

 みゆきとの新しい関係、新しい学校生活が。

 




 そう思った。
 
 そう思えた――
330 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/17(木) 01:00:17.63 ID:txhkr9E0
長くなってしまいました。今日はここまで。
しばらくはまたコンスタントに更新できそうです。
おやすみなさい。
331 :電波王▲▲ ◆DD..AmezVI [千尋]:2008/07/17(木) 01:34:50.55 ID:tLSN43Uo
乙ですー

また時間があれば投下していくかもしれなかったり
その時は暇つぶし程度に読んでいただければ幸いですww
332 :病み猫 :2008/07/17(木) 02:18:21.61 ID:jXtTwdk0
あなざー・すたーさん乙です!
なんだか後ろから誠に抱きつかれた言葉を思い出しました。


電波王さんの病んだ(=ω=.)が見たい!
楽しみにしています!


私は明日からテストなので、来れたら土日に投下します。
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/17(木) 16:40:35.52 ID:ExFkmMAO
何かこのスレすげえマターリしてんな
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/17(木) 18:09:15.52 ID:zgc.D7o0
>>333
ええこっちゃ

…でも物語の中の『男』がいつも死の淵にいるんだぜ…
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/17(木) 18:19:48.61 ID:ExFkmMAO
>>334誰がうまいこと言えとwwww
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/17(木) 18:49:52.67 ID:Va.6tC.o
男「マターリさせて!マジで!」
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/17(木) 21:33:42.48 ID:esdsijU0
(=ω=.)だが断る
338 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/18(金) 00:00:32.01 ID:A0iv2o20
電波王さん、時間があれば是非。
では今日の分を投下します。
339 :あなざー・すたー 39.心のケープ(みゆき視点その3) [saga]:2008/07/18(金) 00:30:40.49 ID:A0iv2o20
 心の高鳴り。

 男さん。

 男さん……



 ドンッ!

「キャッ!?」

「チッ、痛てーな。気ぃつけろよ」

「す、すみません……あの、その……ボーっとしてて……」

「お、よく見るとかわいい子じゃん?今から俺らとどっかに遊びに行かねえ?」

「……!?」

「なあ、いいじゃん?俺らヒマでさ〜」

「……困ります」

「はぁ?」

「私、お付き合いしている人がいるので、そういうの困ります!失礼します!」

「ケッ、気取ってんじゃねーよ!メガネ女!」

 私は走ってその場から逃げました。

 幸い、ガラの悪い男の人たちは追っては来ませんでした。
340 :あなざー・すたー 39.心のケープ(みゆき視点その3) [saga]:2008/07/18(金) 00:32:19.35 ID:A0iv2o20
 あ〜、恐かったです……

 でも……

 『私、お付き合いしている人がいるので、』

 うふふ、言っちゃいました。

 言っちゃいましたよ、男さん。

 あんなに恐かったのに、男さんのこと考えると、勇気が出てきたんです。

 男さん……

 やはり、あなたは私にとって太陽のような存在です。

 ありがとうございます……

 私を選んでくださっ――

 

 ドンッ!

「キャ!?」

「ちょっと……気をつけてよね?」

「す、すみません!」

 いけない、いけない。

 男さんのことを考えると……つい周りが見えなくなってしまいます。

 うふふ、男さん……
341 :あなざー・すたー 39.心のケープ(みゆき視点その3) [saga]:2008/07/18(金) 00:33:39.41 ID:A0iv2o20



「ただいま帰りました〜」

「あら、お帰り、みゆき。今日はちょっと遅かったのね?」

「え?ええ……あの……委員会があって。すみません、心配させてしまいした?」

「ううん、ちょうど良かったわ。実はお昼寝し過ぎちゃって、さっき起きたところなの」

「さっきって……」

 ……何時間寝たんでしょう?

「ごめんごめん。ご飯の支度もちゃっちゃと済ませちゃうから、少し待ってね?」

「あの、手伝いましょうか?」

「いいの、いいの。お昼寝でばっちり充電してるから。お部屋で休んでなさい」






「ふう……」

 自分の部屋。

 いつもは、部屋に入ると机に向かうのですが、今日はなんとなくベッドに座りました。

「男さん……」

 今日の帰り、男さんに抱きついた時の感触を反芻します。

 男さんに抱きついた時の……あの感触を……

 男さんの身体……

 一見華奢に見えるのに、抱きつくと……とてもたくましい……
342 :あなざー・すたー 39.心のケープ(みゆき視点その3) [saga]:2008/07/18(金) 00:51:02.71 ID:A0iv2o20
 ドサッ、とベッドに寝転び、今日の男さんとのやり取りをさらに思い出しました。

 糸を、

 紡ぐように。

 男さんとの記憶の糸を紡いでできるその編み物は、心にかけるケープのようなもの。

 私の心を暖めてくれます。

 じんわりと……

 ふんわりと……







 『ぞれでも、私を……選んでよ……ねえ、おどご……お願い……よぉ……』


「……!!?」

 そのとき、頭に割り込んできたその言葉に、思わず私は身を起こしてしまいました。

 そう、まるでノイズのように、私の頭に割り込んできた……かがみさんの声。

「かがみさん……」
343 :あなざー・すたー 39.心のケープ(みゆき視点その3) [saga]:2008/07/18(金) 00:52:19.10 ID:A0iv2o20



 ……かがみさんには、少々申し訳ないことをしてしまいましたが、


 『男、わだじに……キス、してくれたじゃない!』


 ……仕方ありませんよね?


 『みゆきッ!あんたさえいなければ良かったのにッ!』


 だって、男さんが選んでくださったんですもの……


 『昨日よりも……初めての時よりも……緊張しなかったわ、』


 
 


 ………

 最後に、私の頭に甦った音声と映像。

 それは、昇降口に行くように言われた私が、どうしても心配で、陰からこっそり見ていたものでした……






 その映像は、私の記憶の糸を、ズタズタにして、

 編みあがった心のケープをボロボロにして、

 暖かかった私の心を、冷やしてしまうのには十分すぎるものでした……
344 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/18(金) 00:53:35.07 ID:A0iv2o20
今日はここまでです!

この時間帯、パー速重杉…
345 :病み猫 :2008/07/18(金) 01:35:17.95 ID:7k1C0UM0
乙です!
どこかで祭りですかね…?
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/18(金) 22:52:46.52 ID:capCVQAO
ここが過疎るのは、やっぱらき☆すたSSスレに流れていくからなのか?
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/18(金) 22:58:03.75 ID:jlMTQyoo
>>344
GJ

>>346
ヤンデレ自体がそんなに流行してないからじゃないからかねー
348 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/19(土) 00:54:25.45 ID:rI8F8IE0
>>345
昨日は激重だったので、そうだったのかもしれないっすね。
>>346-347
レスは少なくても見てる人はそこそこいる……らしいですけどね。

んじゃ、ま、今日も逝っときます。
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/19(土) 00:55:17.54 ID:j0Z/ehQo
キャモーン
350 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:00:33.58 ID:rI8F8IE0
「はあ……フラれちゃったな……」

 私は男にフラれた。

 男は私を選んではくれなかった。

 旧校舎裏から、私は逃げるように家路に着いた……

「自信……ちょっとはあったのにな……」

「こんなことなら、もっと男におしとやかな感じで接しとくんだったな〜」

「こんなことなら、もっとダイエット頑張っておくんだったな〜」

「こんなことなら、昨日キスまでで止めるんじゃなかったな〜」

「こんなこと……なら……うう……」

 ………

 どうして?

 どうして、こうなっちゃったの?

 どうして、男が転入してきたのがうちのクラスじゃないの?

 どうして、どうしてこなたや、つかさや……みゆきのクラスなの?

 どうして、私じゃないの?

 どうして……、みゆきなのッ!?

 ………
351 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:01:50.77 ID:rI8F8IE0
 あの後、男とみゆきは一緒に帰ったんだろうな……

 手なんかつないじゃったりしたんだろうか?

 まさか、キスなんかも、もう!?

 って、それはないか。みゆきだし。

 ふふん!私はしたことあるけどね。

 私は……したこと、ある……けど……

 でも、私は、男の彼女にはなれなかった……
 
 ………

 ………

 ………

 校舎裏で帰り際、男と別れるときは、カラ元気出しちゃったけど、

「……ダメね、私……涙が……止まらないよぉ……」





 家の前に着いたとき、あたりはすでに暗くなりかけていた。

 涙を拭かなきゃ。

 弱い私は、ここで終わり。

 この家の門をくぐったら、いつもの私に戻るの。

 つかさや、他のみんなに心配かけちゃうものね。
352 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:02:41.18 ID:rI8F8IE0
 ………

 ……よし、

「ただいま〜!」

「あ、おかえり、お姉ちゃん。遅かったね〜」

「う〜ん、委員会が長引いちゃってね」

「そうなんだ?お疲れ様〜」

「うん、もうお腹ぺこぺこよ」

「もうすぐご飯だよ〜」

「そっか、助かるわ」

「……あれ?お姉ちゃん、なんだか、目が赤くない?」

「!?ちょ、ちょっと、目が疲れちゃったみたいでさ。委員会でプリントがたくさん配られて……」

「そっか〜、ホントお姉ちゃん大変だね……あ、目が疲れたときはブルーベリーがいいってゆきちゃんが言ってたよ!」

「あ、ああ……そう……」

 みゆき、か……

 って、いかんいかん!

 さっき決めたじゃない!家の門をくぐったら気持ちを切り替えるって。

 つかさに心配かけちゃいけないでしょ!
353 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:04:20.48 ID:rI8F8IE0



「ねえ、つかさ……あんた、みゆきのこと好き?」

「え、ゆきちゃん?うん、好きだけど……?どうして?」

「ううん、別に意味はないわ。聞いてみただけ」

「ふ〜ん……あ、好きだけど、たまにキャラがかぶっててイラッとするときあるかな〜」

「……!?つ、つかさ!?」

「っていう、冗談をこの前こなちゃんに教わったの〜えへへ」

「……こなたのやつ」

「もちろん、それは冗談だよ!ゆきちゃんは大切なお友達だもん」

「男のことは?……って、この前、聞いたっけ?」

「うん。何かそれ、この前聞いた気がするよ?」

「お兄ちゃんみたいな感じ……だっけ?」

「そうだよ。えへへ〜」

「あんた、みんなといて楽しい?」

「うん!でも、なんでそんなこと聞くの?」

「う……えっと、ほら、最近読んだラノベのテーマがそんな感じだったのよ。友情とか」

 もちろん嘘だ。
354 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:05:10.91 ID:rI8F8IE0
「ほえ〜今度私も読んでみようかな〜」

「あんた、集中力が3ページくらいしか持たないじゃない……?」

「んもう!お姉ちゃん!ホントのことだけど……」

「あはは、ごめんごめん。じゃ、私、部屋行ってるわ。ご飯になったら呼んで」

「あ、うん。わかった」





「はあ……」

 私はぼんやりと自室の机に向かった。



『でも、やっぱり仲良し4人組はそのままであってほしい。みゆきにも言っとくから……』



『あんた、みんなといて楽しい?』
『うん!』



 男の言葉。つかさの言葉。

 ………

 ………

「今まで通り……できるかな?」
355 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:06:29.03 ID:rI8F8IE0
 みゆきと……すぐ今まで通りというわけにもいかないし、

 男ともしばらくギクシャクしちゃうだろうな……

 何より、自分の気持ちに整理をつけられるか……

「でも……男と約束したしね」

『わかった……私も一応努力はするわ』って。

 ………

「努力……できるかしら」


 ガチャ!

「お姉ちゃん、ご飯だよ」

「ッ!!つかさ、あんた、ノックくらいしなさいよ!」

「え……?したんだけど……ごめん、聞こえなかった?」

「あ、いや、悪い。考え事してたから聞こえなかったのかも……」

「……お姉ちゃん、何か悩んでるの?」

 つかさの困った顔を見て、私は男の言葉を思い出していた。




『でも、やっぱり仲良し4人組はそのままであってほしい。みゆきにも言っとくから……じゃないとこなたやつかさちゃんに悪いし……』




 つかさやこなたに悪いし、か…

 ……うん!

「ううん、大丈夫!さ、ご飯食べよ!もう飢え死にしちゃいそうよ」

「うん、今日はすき焼きだよ!」

「おお〜、今日は豪華ね!楽しみだわ〜」
356 :あなざー・すたー 40.あの門をくぐったら(かがみ視点その3) [saga]:2008/07/19(土) 01:07:57.86 ID:rI8F8IE0



 気持ちを切り替えよう。

 そう、無理やりにでも。

 明日は久々にこなたとゲマズでも行こうかしら?

 お昼は久々に日下部や峰岸と一緒に食べよ!

 みゆきとは……なるようになるさ!

 男には……最高の笑顔で接してやる!



 

 気持ちを切り替える。

 ムリヤリニデモ……
357 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/19(土) 01:10:02.87 ID:rI8F8IE0
今日はここまでです。

バッドエンドにするつもりだったけど、
ハッピーエンドにしたくなってきた今日この頃です……
いや…でも…

おやすみなさいノシ


358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/19(土) 12:32:09.86 ID:cbo4XpYo
おつ

無理やりでもいいからハッピーエンドにしてほしいとこのごろ
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/19(土) 13:48:18.40 ID:j0Z/ehQo
GJ

逆に考えるんだ
両方書いてもいいやと考えるんだ
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/19(土) 20:17:47.08 ID:kr7D6LM0
俺的に病んでる女の子が幸せになればそれがハッピーエンド
たとえ監禁でも心中でもな…
361 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/19(土) 22:28:41.96 ID:rI8F8IE0
>>358
>>360
ハッピーエンドになるかバッドエンドになるか…自分の中でも迷ってます…
でも確かにハッピーエンドってのは人それぞれかもしれないッスね…

>>359
分岐作って二つエンディング作るってのが筋なんでしょうけど…
俺の文才と生産力じゃ(ry
orz
362 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/19(土) 22:29:41.45 ID:rI8F8IE0
というわけで、重くなる時間帯の前に今日の分岐を。
363 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/19(土) 22:32:08.15 ID:rI8F8IE0
×分岐→○投下
364 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:33:15.63 ID:rI8F8IE0
「おはよ〜、男」

「ういっす、こなた」

「男くん、バルサミコ酢〜」

「ミコ酢〜、つかさちゃん」

「おはようございます、男さん」

「おはよう、『みゆき』」

「あれ?」
「あれ?」

「ん?」

「むむ?なんだか、何かがいつもと違う気が……?」
「あ〜それ、今、私も感じたよ、こなちゃん!でもなんだろう……?」

「そっか〜?いつも通りだろ?」

「ん〜……ま、いっか」


 俺はみゆきと目と目で合図しあい、そして笑った。

 別にこなたやつかさちゃんに秘密にしようとしているわけじゃないけど……な

 まあ、そのうち言えばいいだろう。

 みゆきは、みんなに知られるのは恥ずかしいと言っていたし、俺もなんだか照れ臭かった。

 そして……かがみのことが少し心配だった。
365 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:33:49.58 ID:rI8F8IE0





「あ〜、腹減った……昼飯までまだ一時間もあるのかよ……」

 三時間目と四時間目の間の昼休み。

 ある意味、一番苦痛な時間帯だ。

「あの……男さん……」

「ん?どした?みゆき」

「ちょっと、来ていただけますか?」

「?」
366 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:37:15.77 ID:rI8F8IE0




 
 人通りの少ない廊下に呼び出された。

「あの、これ……お弁当です」

「え!?俺のために作ってくれたの?サンキュー!」

「お口に合うといいんですけれど……」

「いやいや、きっと合うよ。みゆきのプリンも美味しかったし。
 ……あ、でも俺、昼飯はいつも白石達と学食で食ってるから……」

「ええ、ですから。お野菜を中心としたおかずだけを作ってきました。学食のメニューにこれをプラスすれば、栄養のバランスはばっちりです!」

「な、なんという配慮!俺は今モーレツに感動している……」

「本当は、男さんと二人っきりで食べたいのですけど……クラスの皆さんの前でいきなり二人でというのは、ちょっと……」

「そうだな、俺もそれはちょっと恥ずかしいかも。まあ、そのうち俺たちが付き合ってるってことも自然に広まっていくだろうし、そうなったら、たまには一緒に、な?」

「はい!
 あの、男さん……泉さんやつかささんには、私たちのことお話すべきでしょうか?」

「ん〜、秘密にする理由もないしな……ただ、かがみのことが気になるから……」

 そういえば、今日はまだかがみを見ていない。
 
 いつも授業と授業の間の休み時間にうちのクラス(主にこなたのところ)に来るのに……

「……もう少し、そうだな、ゴールデンウィーク明けくらいまで様子見てから、二人には話そう」
 
 ちなみに、明日は半日授業。それが終われば、4連休だ。
 今年は祝日と土日の重なり方が悪くて、例年より短いが……
 
「かがみさんですか……」

 一瞬、みゆきの顔が曇る。

 しまった、かがみの名前は出さないほうが良かったか……?

「心配いりませんよ。男さんと約束しましたから。かがみさんとはこれまでどおりお友達として接しますから」

「そっか……ありがとう」

「かがみさんのほうがどう思っているかは分りかねますけれど……」

「ま、なるようになるさ。かがみも分ってくれるだろう。さ、教室に戻ろうぜ」
367 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:38:12.89 ID:rI8F8IE0






「さ、4時間目の数学を乗り切れば、メシだ!」

「あと一時間、頑張りましょう」

 ガラガラッ……

「あ」
「あ」
「あ」

 かがみがうちのクラスから出てくるところだった。

「お、おっす、かがみ」

「お、男……それにみゆきも……あ、えーと……ういっす」

「こんにちは、かがみさん」

「何してんだ?」

「……英語の教科書忘れちゃって、こなたに借りに来たのよ」

「お前、自分の妹に借りろよ」

「五月蝿いわね〜!そんなの私の勝手でしょ!」

「ま、そりゃ、そうだけど……」
368 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:38:57.64 ID:rI8F8IE0
「あ、あの……かがみさん」

「……なに?みゆき」

「………」

 俺に走る一瞬の緊張。

「あの……昨日はひどいこと言ってすみませんでした」

「あ……うん……ま、それはお互い様よね。私もひどいこと言っちゃったし。授業始まるからもう行くわ。校内であんまり見せ付けないでよね、お二人さん」

「そ、そんなつもりじゃ……」

「冗談よ」

「はいはい、分ったからさっさと教室に戻れよ。教科書忘れのかがみちゃん」

「五月蝿いわね〜 それじゃ」

 かがみは小走りで自分の教室に戻っていった。

「……よく言えたな」

「え?」

「かがみに謝ってたじゃないか」

「はい……男さんとの約束ですから」

「昨日も言ったけど……自分の意思で!」

「は、はい!」
369 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:39:47.39 ID:rI8F8IE0





 昼休み、白石達と学食に向かう途中で、かがみが自分のクラスで日下部さんたちと弁当を食べているのが見えた。

 いつもは、こなた達と食べていたのに……

 でも、ま、今まで、かがみがうちのクラスに来すぎてたってのもあるしな。

 あとは時間が解決してくれるのを待つしかないか。

 四時間目前の休み時間でのみゆきとかがみのやり取りを見る限り、険悪ってわけでもなさそうだし……

「お〜い、男。何してんだよ?学食が混むから早く行くぞ」

「お、おう!」
370 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:42:53.74 ID:rI8F8IE0






「え?映画?」

 帰り道。俺はみゆきと二人で帰っていた。

 こなたとかがみは一緒にゲマズに行くと言って先に帰り、つかさちゃんもそれについていった。

『脱☆3ページ坊主!』とかいう意味の分らない名言を残して。

 俺も誘われたが、断った。

「はい……見たい映画があるんですけど。ゴールデンウィークに一緒に……いかがですか?」

「いいね。行こうぜ!えっと……5日とかはどう?」

「すみません……その日は泉さんたちと勉強会をする予定でして。今日のお昼に約束したんですけれど……」

「ああ、こなた達とね……」

 あいつ……絶対みゆきの宿題写すだけだな……

「ん?ってことは、かがみも……?」

「いえ、かがみさんは、お昼は一緒ではなかったので……」

「そっか……そう言えば、かがみは別行動だったか……」

 俺は学食に行く途中にかがみが日下部さんたちとお昼を食べていた光景を思い出した。

371 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:43:21.96 ID:rI8F8IE0
「……あの!私がこんなこと言うのもなんですが……かがみさんは別のクラスですし、別に不自然なことではないと思います!」

 みゆきが珍しく強い口調で主張した。

「え?まあ、そう言われれば、そうかも……」

「そうですよ!」

「う〜ん……」

「男さん、かがみさんの心配ばっかり……(ボソッ)」

「ん?ごめん、『そうですよ』の後、よく聞こえなかった」

「いえ、何でもありません。それより、映画の件はいかがでしょうか?他の日はご都合悪いですか?」

「あ、ごめんごめん。じゃあ、4日は?」

「その日は大丈夫です!」

「じゃあ、4日に一緒に行こう!」

「はい!」

 みゆきは満面の笑みで答える。
372 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:44:24.17 ID:rI8F8IE0






「では、男さん、私はここで」

「ん……?あ、おう」 

 いつの間にか駅前だった。

「あの……男さん……」

「ん?」

「あ……いえ、何でもありません……では、また明日」

「うん、じゃな!」
373 :あなざー・すたー 41.ゴールデンウィーク迫る [saga]:2008/07/19(土) 22:45:30.09 ID:rI8F8IE0






「みゆきと映画か……楽しみだな〜」

 そう言えば、これが初デート……ってことになるな。

「それにしても、かがみはやっぱり勉強会も自分のクラスの友達とするのかな?
 ……このまま4人を元通りにすることはできないのかも……」

 いつの間にか、俺はかがみのことが常に心に引っかかるようになっていた。
374 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/19(土) 22:47:30.08 ID:rI8F8IE0
今日はここまでです。

今回、場面転換が多くてわかりにくいかも…
何か空白がたくさんあるところは場面が変わってるところです。
375 :待ってられない、スレがある。時をかける名無しさん [sage]:2008/07/19(土) 23:04:55.79 ID:EXDjb3Mo
おつ
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/19(土) 23:11:36.55 ID:RVFBx2so
乙!おもしろい!
男の常識人ぶった糞配慮が腹立つ
彼女を尊重しろよ!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/19(土) 23:17:43.47 ID:UikkRZI0
誠とは別の意味で罪な男になりそうww常識人で周りの協調を優先し過ぎて
378 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:08:39.65 ID:5Vm1kDk0
あなざー・すたーさん乙です!
嵐の前の静けさなんでしょうか…?

私の方も書いた分だけ投下しようと思います。
379 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:10:56.99 ID:5Vm1kDk0
こなたの大きな目が俺を覗き込む。
服の裾を掴んでいたこなたの手が、今度はそのまま俺の手首を掴んだ。

こなた「だれ?」

こなたが俺をつかむ力はだんだん強くなる。

男「お…落ち着け、こなた!」

こなた「落ち着いてるよ、男。で、だれ?」

男「かがみの友達だ!かがみがいなくなった理由知ってるかもしれないと思って聞いてたんだ!!」

こなた「………ホント?」

男「本当だ!」

こなた「…ホントにホント?」

男「うん、本当だ。」

こなた「………」

男「……こなた?」

こなた「……うん、分かった。」

男「こなた…」

こなた「フラグだったらさー、バッキバキにしてあげようかと思ったけど、男がそう言うなら信じるよー。」

男「ど…どうしたんだお前…。…大丈夫か?」

こなた「んー?私はいたって正常だよ。毒もマヒも混乱も受けてないし。」

男「そいうことじゃなくてさ……。」

こなた「………なー男。」

男「ん?」
380 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:12:05.43 ID:5Vm1kDk0
こなた「…おとこは…私の味方だよね?」

男「え?」

こなた「味方だよね?」
こなたの声はひどく落ち着いていて、少し笑っているように見えた。

男「ど…どういうことだ?」

こなた「ちがうの?」

男「こなた…?」

こなた「ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちがうの?ちが…」

男「味方だよ!俺は…こなたの味方だから!!とりあえず落ち着け!!!」

こなた「………ふぅ…危うくゲシュタルト崩壊するとこだったよ。」

男「げしゅ?」

そう言うとこなたは俺に抱きついてきた。

男「ちょっ…!!」

こなた「かがみが、つかさが、みゆきさんが、私の敵になっても…男は私の味方だよね?」

こなたは俺の胸に顔を埋めながら喋る。
声が少し震えていた。

『誰かと…何かあったんだな…。』

そう感じた俺は、その場はとにかくこなたの気持ちを落ち着かせることだけを考えることにした。

男「おっ…幼なじみだろ。俺はこなたの味方だから…。」
俺はこなたの頭を撫でた。
381 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:13:15.53 ID:5Vm1kDk0
こなたが俺の背中に回した手がいっそう強くなった気がした…。

暫くしてこなたは俺から離れるとまたいつもの眠そうな顔に戻って笑った。
少し目の周りを赤くして。

こなた「なーおとこー。」

男「ん?何だ?」

こなた「………コクハクの答え、まだ出ない?」

男「……うん…。」

こなた「……そっか。」

男「……今はさ、かがみの無事を確認しなきゃ…。」

こなた「………」

男「………こなた?」

こなた「……うん、そうだね。」

男「……。」

こなたの家の前に着いた。

こなた「じゃあさ、また明日ね。」

男「うん。…その……あんまり無理するなよ?」

こなた「うん……あのさっ…」

男「ん?」

こなた「……んーやっぱ何でもない。」

男「何だ?」

こなた「………私が未来から来たって言ったら、笑う?」

男「昨日なんか見たろ。」
382 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:14:21.20 ID:5Vm1kDk0
こなたが家に入るのを確認すると、俺は自分の家の方に向かって歩き出した。

何だか時をかける感じではぐらかされたが、こなたは何か言いたいことがあったのかもしれない。

…まさか、こなたはかがみの失踪のことを知っていて…

『いや、やめとこう。』

こなたがかがみの失踪に関わってるなんて考えたくなかったし、何かあるならきっとこなたは自分から言ってくれる。
さっきはまだ心の準備が出来てなかっただけで…。

こなたが言ってた『敵』の事も気になったが、こなたが自分から言うまではただ見守ろう…。

そんな事を頭の中でぐるぐる考えながら歩いていると、後ろから俺を呼ぶ声がした。

声「おとこー」

男「ん?」

黒井先生「やっぱり男かー」

男「おわっ先生!どうしたんですか?」

黒井先生「散歩や。」

男「散歩っすか…。」

黒井先生「突然やけど、ウチとデートせんかー?」

男「はい?」

黒井先生「いや、一緒に夕食行かんかーって意味や。奢るでー?」

男「と…突然どうしたんですか?」
383 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:16:08.96 ID:5Vm1kDk0
黒井先生「いや、深い意味はないで。…ただな、男はいっつも一人で夕食食べてるんやないかなーって思ってな…。」

男「…先生…。気持ちは嬉しいです。ただ…迷惑じゃないですか?」

黒井先生「ハッハッハー!生徒が先生に気を使う必要ないんやでー?!…それになー先生も一人や。安心せーや!」

男「なんか…すみません。いつも色々気を使ってもらっちゃって…。」

黒井先生「だから、気にすること無いでー?!」

なんだか悪い気もしたが、断りづらい雰囲気になったので先生と一緒に夕食を食べることにした。


家に一旦帰って荷物をおいた後、黒井先生の車に乗り郊外のレストランに行った。

男「…なんか本当にスミマセン。」

黒井先生「マジに気にすること無いでー」

料理が運ばれてきて黒井先生と話しながら食べる。
詳しくは知らないが、黒井先生とは境遇が似ているからだろうか?お互い昔からの知り合いの様に壁もなく話すことができる。

食後のコーヒーが運ばれてきた頃、黒井先生が思い出したように、とんでもないことを口走った。

黒井先生「ところで…男は泉と付き合ってるんか?」
384 :病み猫 :2008/07/20(日) 19:19:09.57 ID:5Vm1kDk0
とりあえず今日はここまでです。昨日は勉強の合間一休みのつもりが、しっかり二時間見てしまいました…。
次はおそらくテスト開け(8月)の投下となります。
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/20(日) 20:53:52.64 ID:0oGiHkAO
解ったよ
ガンバレ
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/20(日) 22:07:30.82 ID:.qvhsVk0
投下乙
テストがんばれ!
387 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/20(日) 23:00:08.55 ID:2WIm/nQ0
乙です。
こっちのストーリーではななこ先生ストーリーの真相が明らかになりそうなヨカーン

テスト頑張ってください!
388 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/20(日) 23:07:30.91 ID:2WIm/nQ0
それでは、俺も投下します。
389 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:08:35.69 ID:2WIm/nQ0
 今日は久しぶりにこなたとゲマズに行った。

 ここ数日、男を巡るごたごたがあったからだろうか?こういうの、ずいぶん久しぶりな気がする。

 つかさも珍しく一緒だ。ラノベを私と一緒に見て回っていた。

 昨日私が言ったこと気にしてんのかな?





「ふぃ〜、買った買った!ポイントも溜まりまくりだよ!ぬふふ」

「『私の分のポイント』もあんたにあげたんだから、感謝しなさいよ!」

「いや、ホント、神様仏様かがみ様だよ」

「こんな時だけ、調子いいわね〜」

「そのまま、かがみんちの神社に祀りたいくらいだよ」

「お前には一度天罰が下るべきだと思うんだが」

「どんだけ〜 って、あ!こなちゃん。お姉ちゃんにあの話してなかったよね?」

「あ、そだね」

「ん?なになに?」

「かがみん、ゴールデンウィークの宿題を写させてくれ!5日に!」

「却下」

「って、ちょ!早ッ!?」

「こなちゃん……さすがにそれは言い方が悪いよ……」
390 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:10:06.51 ID:2WIm/nQ0
「だって、どうせもうバレてるじゃん?『勉強会』と称しても結局私は写すだけってのは」

「開き直るな!」

「そんなこと言って、結局は見せてくれるくせに〜愛してるよ、かがみん♡」

「こ、こなちゃん……私たちも自力で頑張ろうよ……できるだけ……」

「……で、私たち3人で?」

「んと、あと今んとこ、みゆきさんが来るよ。他に男とかゆーちゃんを呼んでもいいけど。あ〜、でもゆーちゃんの前では姉としての威厳を保ちた――」

「パス」

「……へ!?」

「ごめん。その日、日下部と峰岸と約束してるの忘れてた」
391 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:12:15.91 ID:2WIm/nQ0
「ぬう、みさきちめ……私のかがみんを!ってか、かがみん今日のお昼もみさきち達と一緒だったんだよね?」

「ま、あいつらは同じクラスだしね。あんたたちのクラスに顔出し過ぎてたから、最近クラスでの私の存在が薄くなり始めてさ〜」

「存在の力が燃え尽きて、トーチみたいに消えちゃいそうなわけだ」

「あんたはすぐそっちの方向に……でもま、そんなとこ」

「ぬうう……」
「ぬうう……」

  ……つかさまで唸ってる。

「週に何回かはあんたたちのクラスにも行くわよ!ってか、つかさは毎日顔付き合せてるんだから、そんなふうに唸らないの!」



 『最近クラスでの私の存在が薄くなり始めてさ〜』

 ウソじゃない。

 それだってれっきとした理由の一つだ。

 だけど、それが一番の理由じゃないのはよくわかってる。

 正直、みゆきと……まして男と、顔を合わせるのが辛い。

 まして、二人が一緒にいるところなんて……耐えがたい。

 私は今日の4時間目前の休み時間のことを思い出した。
392 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:15:12.56 ID:2WIm/nQ0
 男とみゆきが一緒にいた。

 そこに私がばったり。

 あの二人、廊下で何話してたんだろう?

 男の手にはお弁当箱みたいなものが、抱えられていた。

 みゆきが男に作ったお弁当?

 お昼は、男は学食で男子と食べてたみたいだけど……

 あれを食べたのかしら?

 そう言えば、今日、今、この瞬間も、男とみゆきは一緒なのかもしれない。

 一緒に帰って、手なんか繋いだりして……

 そんなこと……考えたくないのに……

 休み時間に男とみゆきと会った時は自然にかろうじて振舞えたけど、

 『気持ち』を切り替えるっていう決意と、

 こなたやつかさに心配かけたくないっていう意志と、

 男とした『これからもみんな友達同士で』っていう約束とが私を支えて……かろうじて。

 でも、声が聞こえる。

 心の奥から。底から。
393 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:16:43.23 ID:2WIm/nQ0
 ――それでいいの?

 いいのよ。

 ――我慢してばかりで辛くないの?

 だって仕方ないじゃない?

 ――ワタシは頑張ってるわ。もっと評価されてもいいと思う。

 だから、しょうがないじゃない!評価するのは私じゃなくて他人。そして男は私よりみゆきを……

 ――可哀想なワタシ。惨めよね。

 惨め……?

 ――そう、消えちゃいたいくらいに。

 消えちゃいたいくらいに……?

 ――消えちゃったら、もう、何も辛い思いをしなくていいのよ?

 消えちゃう?それ、死ぬってこと?でも……そんなの……

 ――嫌なら、逆しかないわね。

 ぎゃ……く……?

 ――消えるのが嫌なら消せばいいのよ?

 け……す……?

 ――二者択一よ。いずれ選択しなきゃ。そうじゃなきゃ……

 そ……じゃ……なきゃ……?

 ――ワタシ ハ モウ モタナイワ

 ………!?
 
 ………
 
 ………
394 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:18:20.16 ID:2WIm/nQ0





「……ちゃ……ん」
「か……みん」

 ………

「お姉ちゃん!」
「かがみん!」

「…!?」

「ねえ、しっかりしてよ!?お姉ちゃん!」
「かがみん!危ないよ!どうしたのさ!?」

「へ!?」

 ……気がつくと、つかさは私の腕を引っ張り、こなたは私の腰にしがみついていた。

「ちょっと!あんた達!何して――」

 ……ふと、足元を見ると、

「!?」

 そこは駅のホーム。

 白線を踏み越えて、

 あと一歩で、線路に落ちるところだった。

 よく見ると、こなたやつかさ以外にも、サラリーマン風の人やおばさん達が私を線路から遠ざけようとしていた。

「ご、ごめん。私……ちょっと、考え事してて……」

 今更、膝が震えてきた。
395 :あなざー・すたー 42.柊かがみの異変(かがみ視点その4) [saga]:2008/07/20(日) 23:23:18.63 ID:2WIm/nQ0
「もう!お姉ちゃん!どうしちゃったの?私…怖かった……よぉ……」

「かがみん、本当に大丈夫?私がゲマズのポイント獲っちゃったのホントはショックだった?謝るから……しっかりしてよ!」

「ごめん……心配かけて……」

 ……私、何してんの?

 こなたやつかさに心配かけないって決めたはずなのに。

 確か、心の底から声が聞こえてきて……

 って、心の底の声!?何ファンタジーなこと言ってんの、私!

 しっかりしなきゃ!

 しっかり……








『――消えちゃったら、もう、何も辛い思いをしなくていいのよ?』
『――消えるのが嫌なら消せばいいのよ?』
396 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/20(日) 23:24:08.62 ID:2WIm/nQ0
今日はここまでです。

397 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/20(日) 23:26:36.45 ID:2WIm/nQ0
今日の話を書いてたら、どうしてもこれを貼りたくなってしまった。

          _人人人人人人人人人人人人_
       __,イ>   しっかりしていってね!!!  <
      <´ :  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
   /: : :/: :/} :小: : : : : : : : ≧ー ー=≠: : : :/: : : : : : : : : : : : : \
 __,/ /: : /: :/ ,| : | ∨| : : : : : 廴  /: : : : : :{ : : : : : : : h: ヽ : : ヽ:ヽ
.f´/ }:/.: :.ム斗' | /| `ヘ}ヽ: : : : ヘく /: :/:/: :,ム∧: : : : : : : |ヘ-、∨ : ハ ハ
∨  ,イ: : :{ :/  j/     V | : : ∨/:/: |: : // ', : : : : : }.:} ヽ: j : : i |: {
 ヽ、{∧ 圷(ヒ_]      ヒ_ン )ア:| ト、:ハ{/ / : | {リ  ヽ: :: : /j/,  Y.: : : | | :ヘ
  |:ヽ}ヘ:/ '"   ,___,  "'W |:「ヽ} {: : :| :∧     ヽ/    |:∧}: : : :ヽ
  |: :|:`ー.、   ヽ _ン    ム/:{   |:/{ Y: :}ィ=气j   ィ≠气.: }: : : : : : :ヽ、
  |: :|: : :|:|> 、 ______ イ:´: |::|   { ヘ |: :八::.    _,、,  ,:|: //: : : /´ ̄´
  .|: :|: : :|:|        |: : :|: :|     ヽ: : :|~ヽ、 {  ヘ  j//∨∨
  .| : ', : :',|        l: : :|: :|      {::∧|  ` ーー--─´レレ∨



すみません、ちょっと吊ってきます…
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/21(月) 20:58:19.20 ID:sB110p2o
399 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/21(月) 22:33:15.93 ID:bP0hdcw0
昨日はワル乗りしてしまいました…全てはアルコールが(ry
では今日の分逝きます。
400 :あなざー・すたー 43. 柊かがみの人間試験(つかさ視点その1) [saga]:2008/07/21(月) 22:41:45.67 ID:bP0hdcw0
 つかさです。

 私、面白いことなんか言えんとです。

 つかさです。

 つかさです……






 今日からゴールデンウィーク。

 ホントはもっとウキウキしたいところなんだけど、実は私の心は今、複雑なの。

 だって……お姉ちゃんの様子が……変なの……

 あれは一昨日の学校帰り。

 お姉ちゃんが線路に飛び込もうとしたの。

 『ちょっと、考え事してて……』

 だなんて、お姉ちゃんは言ってたけど……本当にただ考え事してただけなのかな?

 ……何かあったのかな?

 大好きなお姉ちゃん……私、すごく心配。

 こなちゃんも心配してた……

 でも、私たちが何を聞いても、

 『ううん、大丈夫よ』
 『何か、ごめんね。心配させちゃったみたいで』
 『ちょっと疲れてるのかも……ゴールデンウィークはゆっくりするわ』
401 :あなざー・すたー 43. 柊かがみの人間試験(つかさ視点その1) [saga]:2008/07/21(月) 22:43:02.38 ID:bP0hdcw0
 結局、一昨日は何事もなく済んだんだけど、昨日もなんだか変だった。

 学校には普通に行ってたけど……

 なんだかボーっとしてて、ときどき魂が抜けちゃったみたいになっちゃって……

 あんなのしっかり者のお姉ちゃんらしくないよ!

 そんなキャラは私の役目だよ!

 ……そうだ!

 お姉ちゃんと一緒にゴールデンウィークの宿題をしよう!

 何となく、今はお姉ちゃんのそばに居てあげたほうがいい気がする。




 
 コンコン!

 ガチャ!

「あの……お姉ちゃん?良かったら一緒に宿題しない?私だけじゃ、やっぱりよくわからないところあってさ〜」

「………」

「お姉ちゃん?」

 お姉ちゃんは机に向かってこっちには背を向けてる。
402 :あなざー・すたー 43. 柊かがみの人間試験(つかさ視点その1) [saga]:2008/07/21(月) 22:44:19.72 ID:bP0hdcw0
 私の声が聞こえてないのかな?

 もしかして、また考え事!?

「ねえ!お姉ちゃんってば!」

 私がお姉ちゃんの肩を叩いたその時、お姉ちゃんの肩越しに見えたものは……

「おおおお姉ちゃん!?」

 ハサミ。

 工作用のどこにでもあるハサミ。いつもはお姉ちゃんお机の鉛筆立てに入ってる。

 お姉ちゃんは、

 そのハサミをじぃぃぃぃぃぃっっと見つめてた。

「ねえ……な、何してるの?お姉……ちゃん……?」

「え?何って……」

「ハサミなんか、じっと見て……なんだか怖い……よ?

「ハサミじゃないわよ?」

「え……?」

「マインドレンデル。握り部分を半月輪状にした両刃式の和式ナイフを二振り,ネジで可動式に固定した大バサミよ」

「な。何を言ってるのか……さっぱりだよ……?」

「《自殺志願》って書いてマインドレンデル。うふふ、いい名前でしょ?」

「じ、自殺!?ちょっと、お姉ちゃん!?お願い!しっかりして!!」

 私はお姉ちゃんの肩を必死にゆすったの。

 こんなのお姉ちゃんじゃない!

 まるで、何かに取り憑かれてるみたい……
403 :あなざー・すたー 43. 柊かがみの人間試験(つかさ視点その1) [saga]:2008/07/21(月) 22:45:24.26 ID:bP0hdcw0
「お姉ちゃんッ!!」

「………」

「ねえってば!」

「……あれ?

 ……つかさ?どうしたの?」

「お姉ちゃん……良かった……」

「ちょ、あんた、なに泣いてるの!?って、あれ?なんで私ハサミなんか……」

「覚えてないの!?お姉ちゃん、自殺がどうとか言ってたんだよ!?私、怖くって……うっうう……」

「自殺!?私が!?そんな、まさか……」

「ううう……」

「……もしかしたら、寝ぼけてたのかも。机に向かってて、ちょっとうたた寝してたみたいだし……心配かけてごめん」

「ううう……お姉ちゃぁん!」

「つかさ……」





 

 その日の夜、私はこなちゃんに電話をかけた。
404 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/21(月) 22:47:51.95 ID:bP0hdcw0
今日はここまでです。

ちょっとネタがマニアックだったかもしれません…(´・ω・`)
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/21(月) 22:48:17.59 ID:Ukv5x1c0
乙です
406 :EVLdJrhjdScJzPLU [f1800ower@hmail.com]:2008/07/22(火) 01:10:31.77 ID:gYbUwNU0
KmNhHK htdioghrdeioh uerhuy h3oh iohgdfiogho isdfhio sdjhdf
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/22(火) 08:24:38.71 ID:6HeRiiU0
乙ー
しかしかがみんなんという邪気眼wwww
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/22(火) 08:51:24.03 ID:U0oJiEAO
まさかレンが出るとはwwwwww
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/22(火) 09:13:16.57 ID:1g9Dq6SO
乙うなー
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/22(火) 10:33:14.08 ID:RCKtkDgo
戯言乙ww
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/22(火) 15:18:04.41 ID:zA3kUgAO
零崎が始まるんですね、わかります
412 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/22(火) 23:59:12.73 ID:PWx7DDw0
俺の周り(リアル)には戯言シリーズを知らない奴かアンチしかいなかったもんで、皆さんの反応は嬉しい限りです!

では今日の分を。
413 :あなざー・すたー 44.こなたからの電話 [saga]:2008/07/23(水) 00:03:34.37 ID:1yxSi1U0
 ヴィィィィィィィ、
 ヴィィィィィィィ、
 ヴィィィィィィィ、

「んあ……誰だよ?こんな夜中に?……」

 ゴールデンウィーク初日の夜。

 特に何もせずダラダラと過ごした俺が一日を終えようとベッドに入った後だった。

 ヴィィィィィィィ、
 ヴィィィィィィィ、

 携帯を手に取る。

 AM 01:35の表示。

 こなたからの着信だった。

「……こなた?なんだよ、明日は朝からみゆきとデートなのに……」

 ピ!

「ふぁい……もしもし?こなた?どした?こんな夜中に。あ、言っとくけどCLANNADは進んでねーぞ」

「男……」

「ん?何かテンション低いな?どうしたんだよ?」

「かがみんが……かがみんが……(ブツブツ)」

「ん?よく聞こえないんだけど?すまん、俺、明日の朝早いから用件は手短に……」

「かがみんが自殺しちゃうかもしれない!どうしよう!?」

 泣き叫ぶような声だった。

「んなッ!!?」

 言葉が出ない。

 心臓を鷲掴みにされたみたいだった。

 血が逆流する感覚。
414 :あなざー・すたー 44.こなたからの電話 [saga]:2008/07/23(水) 00:04:47.65 ID:1yxSi1U0
「お……おい……落ち着けよ?何があったんだ?」

 自分の声が震えているのが分った。

 だって、かがみが自殺する理由で真っ先に思いつくのは……

 俺がフッたから……?

 いやいやいや、いくらなんでもそれは俺の自意識過剰ってもんか?いや、でも……

「つかさから電話があったんだ……今日の夜。かがみん、ハサミを握って、じーっとそれ見つめてて……自殺がどうとかって言ってたらしいの……」

「……!!」

「それだけじゃないんだよ?かがみんに口止めされてたんだけど……かがみん一昨日の帰り、急にボーっとしてっていうか、フラフラしてっていうか、とにかく、突然おかしくなって……線路に落ちそうになったんだよ!なんていうか、『線路に飛び込む』っっていうのに近い感じで……」

 一昨日……0時回ってるから正確には3日前か。

 確かこなたとかがみとつかさちゃんでゲマズに行くって言ってた日だな……

「そ、そう……か……もうちょっと……く、詳しく頼む」

 




 俺は、こなたがつかさちゃんから聞いたって言う話を全部聞き出した。
415 :あなざー・すたー 44.こなたからの電話 [saga]:2008/07/23(水) 00:06:53.56 ID:1yxSi1U0
「かがみ本人は、なんて言ってるんだ?」

「『何でもない』の一点張りらしい……」

「そうか……」

「でね……男……男はかがみんがおかしくなっちゃったことについて何か心当たりない?」

「!!!」

 思わず携帯を落としそうになった……

 眠気なんかとうに吹き飛んでいるはずなのに、頭がくらくらしていた。

「い、いや……ごめん、ちょっと……わからない……」

「そう……」

「な、何か心当たりを思い出したら……また連絡するよ……」

「そっか、ありがと。ごめんね、遅くにさ。まあ、私にとっちゃバリバリの活動時間なんだけど」

「あ、ああ……」

 こなたの冗談にツッコむ余裕もなかった。

「じゃ」

「おう……」

 ピ!



 ……違う、よな?



 俺のせいじゃない。
 俺のせいじゃない。
 俺のせいじゃない。

 

 その日、俺は一睡もできなかった……
416 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/23(水) 00:09:03.86 ID:1yxSi1U0
ちょっと短いですが、今日は以上で。おやすみなさいノシ
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/23(水) 00:10:24.50 ID:ZplGiEAO
お疲れさん
418 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/23(水) 23:55:32.24 ID:1yxSi1U0
最近これ書いてると、生活のリズムが逆に規則正しくなってきた気がする今日この頃。

では今日も行きます。
419 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:02:03.23 ID:vnfr/VI0
「男さん?……男さん!」

「んん……ん!?」

「……終わりましたよ?

「えっと……終わった?」

「映画が、です」

「……ッ!?ご、ごめん……」

 そうか、今日はみゆきと映画に来てて……

 映画の半分あたりからの記憶がない……

 やっちまった……






「本ッ当に、ごめんッ!!」

「いえ、お気になさらずに……私の一存で決めた映画ですから。男さんは本当は別の映画が見たかったんではないですか?」

「あ、いや、映画のチョイスの問題じゃなくて……ちょっと寝不足でさ」

「寝不足?どうかされたんですか?」

「あ、いや……ほら!みゆきとの初デートだからさ!緊張してよく眠れなかったんだ、ははは……」

「まあ、男さんったら。うふふ」

「っつーわけで、お詫びに何かおごるから、機嫌直してよ。何がいい?」

「いえ、そんな、おごってもらうなんて悪いですから!でも……そうですね、ケーキを食べに行きましょう」
420 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:03:03.99 ID:vnfr/VI0
 みゆきは美味しいケーキの店を知ってるからと言って、俺を引っ張っていった。

 少し機嫌は直ったようだが、やはりまだ表情に明るさが足りていない気がする……

 ま、一緒に映画に行った連れが横で寝てりゃ、気を悪くして当然だよな……

 しかも、俺の寝不足の原因が本当はかがみだなんて……

 みゆきに言えるわけがなかった。







「こんなお店よく知ってるな〜」

「ええ、うちの母がこういうお店を探すのが好きな人なので」

「へ〜」

 店内で食べることもできるケーキ屋だった。

「なんか、こういうところに詳しいお母さんっていいね。若々しい感じで」

「ま、まあ、確かにうちの母は、『母』というより『長女』という感じですから……」

「はは、みゆきが大人っぽ過ぎるのかもね」

「そんな……私なんて……」

 ……みゆき、そこは『それじゃあ、まるで私が、おばさんっぽいって言ってる様に聞こえるわよ』とツッコむところなんだが。

 って、そんなツッコミ、みゆきに求めるのは酷か。かがみじゃないんだから……

 かがみ……

「はっ!?いかん、いかん!!俺はまた……」

「……男さん?」

「な、なんでもない!さ、食べよう食べよう!」

「……はい」
421 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:07:21.74 ID:vnfr/VI0






「……で、ですね、あのシーンで本当に胸が詰まってしまって……」

「そのあたりから記憶が……本当に面目ないっす……」

 ケーキは美味しいかったが、映画の話になると申し訳ない気持ちになって味わう余裕なんてなかった。

「そうですか……ここから話が面白くなっていったんですけれど……」

「あ、でも、クライマックスはおぼろげながら記憶が……たしか、部屋に引き篭ってしまった天才少女のために、思い出の庭を修復して、ヴァイオリンをプレゼントして、それから死んだ両親が残したクマのぬいぐるみが……」

「あの……そんな話出てきませんでしたけど?」

「え?あ、あれ?じゃあ、夢見てたのかな……はは……」

 そう言えば、最近見たゲームだかアニメだかのシーンだった気もする……

「やっぱりずっと寝てたんですね?」

 子供のように頬を膨らませるみゆき。
 
 なんともかわいらしい仕草だが、えもいわれぬ迫力が同居している。

 背後に幽波紋が見えそうな勢いだ……

 みゆきって、実は怒ると恐いのかも……

「ご、ごめん……」

「……いえ、寝不足なら仕方ありませんもの。無理なさらないでくださいね?」

「はは……ありがとう……二回目のデートからはもう緊張しないと思うから、次は大丈夫だ」

「緊張、ですか……それだけですか?」

「へ?」

「何か、悩んでらっしゃることがるんじゃないですか?悩みがあってそれで眠れなかった、とか」

「な、なに言ってるんだよ?」

 思わず声が上ずってしまった。
422 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:08:02.77 ID:vnfr/VI0
「べ、別に悩みな――」

「例えば、かがみさんのこととか」

「……!?」

「図星ですね?」

「ど、どうしてそれを?」

「簡単ですよ」

 うふふっと笑うみゆき。

「泉さんから私のところにも電話がありましたから」

 小さな子供に、優しく教え諭すような言い方だった。

「男さんはお優しいですから、きっと気に病んでらっしゃると思って……」

「そっか、みゆきにもこなたから電話が……」

 考えてみれば当然だな。

 むしろこなたは俺より先にみゆきに連絡したんだろう。

「それなら話は早い。詳しい話はよくわからないんだけど、かがみの奴、精神的に参ってるみたいなんだ、だから……」

「ずるいです」

「……みゆき!?」
423 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:08:53.94 ID:vnfr/VI0
「かがみさんはずるいです。そうやって男さんの気持ちをいつまでも独り占めにして。男さんの優しさに付け込んで……」

「お、おい。そんな言い方……」

「もしかしたら、わざとなのかも。わざと精神的に参ったフリをして……」

「やめろって……」

「うふふ、かがみさんがそんなずるい人だったなんて知りませんでした」

「いい加減に……」

「男さんはもう私の恋人なのに。いつまでも男さんを困らせて……悪い人ですね」

「頼むから、いい加減にしてくれ!!」

 つい、大声を出してしまった。

 店の空気が一瞬凍りつく。

 しまった……

 みゆきは驚いたように眼を見開く。

 そして、それでも精一杯の笑顔を作りながら言った。

「私も……私も、かがみさんみたいに……」

 痛々しいほどの作り笑いだった……

「かがみさんみたいにおかしくなってしまえば……男さんは私のこと、もっと見てくれますか?」
424 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:12:19.98 ID:vnfr/VI0
「な!?みゆき!?」

「えーっと、確かかがみさんはハサミでしたっけ?じゃあ、私はこれにしましょう」

 みゆきはさっきまでケーキを食べるのに使っていたフォークを持った。

 小さい子供がフォークを使う時のように、握り締めるような感じで。

 その瞬間、俺の首筋に、まるで襟元から毛虫が入ってきたかのような嫌な感触が走った。

「やめろっ!!」

 



 脊髄反射。

 次の瞬間、俺はテーブルに身を乗り出して、みゆきの手を掴んでいた。

 みゆき自身の喉にフォークを突き立てようとしたその手を。

「はあはあ……な、何てことするんだ!?」

「うふ。うふふふふふ」

 掴んだ俺の手を見ながら、みゆきが笑う。

「おいおい、何がおかしいんだよ?」

「やっと……」

「………?」

「やっと、手を繋いでくれましたね?今日は手を繋いでくれなかったから寂しかったんですよ、私」

「!?」

 これは……手を繋いだって言えるのか?

 いやいや、そんなところに突っ込んでる場合じゃない!
425 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:13:43.14 ID:vnfr/VI0
「なるほど……かがみさん作戦、効果てき面ですね、くすくす。勉強になりました」

「みゆき……頼むから……あ、いや、まず店を出よう」

 隣の席のカップルがこっちを見てヒソヒソと何か話している。

 店員もこちらの様子を伺っているようだった。








 俺たちは逃げるように店を出て、当てもなく歩いた。

 さっきからみゆきは一言も発しない。

 ただ俺に黙ってついてきているだけだ。

 その左手は俺の右手に絡みつくように繋がれている。

 そこにだけはみゆきの確固たる意思が働いているようだった。

 いつの間にか日が傾きかけ、何となく公園に行き着いた。

 そういえば、みゆきに告白されたのもこの公園で、だったな……

「ベンチ、座ろっか」

「はい……」

 夕日の当たるベンチ。
426 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:17:33.40 ID:vnfr/VI0
「さっきはごめん。つい大声出しちゃって。でも、びっくりしたぜ?あんなことするなんて……」

「すみません……これじゃ私もかがみさんと同じですよね。かがみさんのこと『男さんを困らせる悪い人』なんて自分で言っておきながら……私だって男さんを困らせて……」

「あんなことしなくても、俺はみゆきのこと見てる。それは信じてほしい。ただ……」

「ただ……?」

「正直、昨日はかがみのことが気になって一睡もできなかった。心配なんだ。でも別にかがみに恋愛感情があるってわけじゃないんだ。友達として見過ごせないんだよ」

 恋愛感情があるってわけじゃない。
 
 ……多分。

 そして、それ以外に……俺は怖かった。

 みゆきには言わなかったが、かがみがおかしくなってしまったのは俺のせいなんじゃないか?と考えると、どうしようもなく怖かった……

「そりゃ、かがみのことを気にし過ぎてるのはみゆきからすると気分悪いだろうけど……」

「……お優しいんですね、男さんは。そういうところも私は大好きです」

 みゆきは静かに言った。

「男さんが、ご自分の意志でかがみさんを心配なさるのなら……私もできる限りそれを妨げたくはないのですが……」

 こちらに優しい笑顔を向ける。

 優しい笑顔を。

「でも――」

 向けられているのは優しい笑顔なのに、なんだろうこの感覚は?

 喉元に何か突きたてられているような感覚……

「――、一つ許せないことがあるんです」

 みゆきは優しい笑顔のまま言う。
427 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:20:08.17 ID:vnfr/VI0
「な、なに?」

「私は男さんの彼女なんですよね?」

「も、もちろん」

「男さんに一番近い女性は私ってことでいいんですよね?」

「ああ……」

「うふふ、一番だなんて。なんだか照れてしまいます」

「そ、そうだな。俺もちょっと恥ずかしいよ、はは」

「……でも、男さんはそう言って下さいますけど、今のままじゃ納得できません」

「………?」

「私が一番だって証明してください」

「証明?」

「だって、かがみさんとはしてたのに、私にはして下さらないじゃないですか……」

「してって……えっと……?」

「キスを、です。それが許せないんです」

「あ、えっと……なるほど、そういうことか……」

「男さんさえよろしければ……私は、その先だって……」

「ええええっと……その先って……つまり……」

「だって……今のままじゃ、かがみさんが一番なわけで。キスしてくださっても、まだ一位タイじゃないですか?」

 まっすぐな眼でこちらを見据えている。
428 :あなざー・すたー 45.彼女の望む『証明』 [saga]:2008/07/24(木) 00:22:51.41 ID:vnfr/VI0
「一番近い女性だという証明をしてください」

 綺麗な水面のような瞳だが、その奥には不安が泥のように溜まっているのが感じられた。

 そうだよな。不安なんだよな、みゆきも……

「……わかった。今からさ、あの……その……う、うちに来ない?」

「え……!?は、はい!お邪魔いたします」

 みゆきの顔に光がさした。

 それは決して夕日のせいだけじゃないだろう。








 彼女の望む『証明』

 その夜、

 俺たちは一つになった。
429 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/24(木) 00:25:37.55 ID:vnfr/VI0
今日はここまでです。

エロシーンも書こうと努力したんですけど……自分で書いたやつを読み返してたら、何かすごくバカっぽくて……
三行で終わらせてしまいましたorz
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/24(木) 00:27:43.24 ID:L2kT8bYo
ガッシ!ボカ!
俺はイッた。
人生コナタ\(=ω=.)/

ですねわかります
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/24(木) 13:55:33.83 ID:v26agUDO
クソッ、てんむす吹いた
432 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/25(金) 00:08:55.75 ID:RedRtHA0
>>430
ちょwwwDeep Love っすか?www
ちなみに俺は読んだことなくて、ネットで叩かれてるのを見ただけですが…


じゃあ、今日も投下逝きます
433 :あなざー・すたー 47. 少し……痛かったです [saga]:2008/07/25(金) 00:22:09.15 ID:RedRtHA0
 駅までの道。

 みゆきと二人で歩いていた。

 言葉は交わさなかったが、俺はみゆきとの距離が今まで以上に近づいたような気がしていた。

 ま、俺の一方的な思い込みかもしれないが……

 ギュッ。

 何となくみゆきと繋いでいる手に少しだけ力を込めてみた。

 ギュッ……

 みゆきが握り返す。

「……!!」

 思わず、みゆきの方を向く。

 目が合った。

 何となく二人で笑いあった。

 ……きっとみゆきも同じ思いでいてくれてる。

 俺はそう受け取った。
434 :あなざー・すたー 47. 少し……痛かったです [saga]:2008/07/25(金) 00:23:36.41 ID:RedRtHA0





「こんなに遅くなって、家の人に怒られない?」

「母は大丈夫だと思うのですが、父に怒られるかもしれませんね」

「そっか、悪いことしたな」

「いいえ、私は嬉しかったです」

「……そっか、そりゃ、良かった。俺も同じ気持ちだったから」

「では、また」

「うん、気をつけて」

 別れ際に軽くキスを交わして、みゆきは終電の一本前の電車で帰っていった。






 

 家に帰った俺はベッドに寝転んだ。

 まだ暖かいベッドは、二人の汗で少し湿ってるようだった。

 さっきここでしたことを考えると、今更になってスゲー恥ずかしい。

 みゆきの綺麗な身体……

 俺もみゆきも初めてだった……

 そして、ベッドの中で交わした会話を頭の中で再生する。
435 :あなざー・すたー 47. 少し……痛かったです [saga]:2008/07/25(金) 00:24:44.09 ID:RedRtHA0
『じ、実は俺は、初めてだったんだけど……初めてってあんまりうまく行かないな……俺は気持ちよかったけど……』

『私は……少し……痛かったです』

『ご、ごめん!』

『いえ、それ以上に嬉しかったですから。これで私が一番ですよね、うふふ』

『こんなことしなくても一番だったけど……ごめん、不安にさせて』

『いいえ、私ももう少し男さんを信じるべきでした。ごめんなさい』






 かがみのことは気になるけど……もう俺は関らない方がいいのかな?

 こなたやつかさちゃんや……みゆきに任せたほうがいいのかもしれない。

 でも、できれば、友達としてこれからも………それって俺のわがままなのかな?

 みゆきが一番なはずなのに……

 明日、みゆきはこなたとつかさちゃんと一緒に勉強会をするらしい。

 そこにかがみの名は無かった。

 クラスの友達(多分、日下部さん達だろう)と勉強するからといって断ったらしい。

 そうだ。かがみには日下部さんたちもいる。

 やっぱり、俺はもう……
436 :あなざー・すたー 47. 少し……痛かったです [saga]:2008/07/25(金) 00:26:19.86 ID:RedRtHA0
 ちなみに俺も勉強会に誘われたけど、気乗りしなかったので断った。

 明日は一日のんびりしよう。

 って、昨日ものんびりしたけど……







 今はただ……みゆきの余韻に……浸って……

 今はもう……それ以外は……何も考え……たく……な……い……

 ……俺はゆっくり眠りに落ちていった。
437 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/25(金) 00:29:43.91 ID:RedRtHA0
今日はここまでです
おやすみなさいノシ


438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/25(金) 00:34:31.54 ID:xl/rhhUo
GJ


のんびりしていってね!
439 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/25(金) 23:35:53.76 ID:RedRtHA0
まとめサイトでご指摘いただいたんですが、つけてる番号を間違えてました…
正しくは『46. 少し……痛かったです』です。

んじゃ、今日も逝っときます。
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/26(土) 00:08:10.17 ID:20jGUqIo
|ω・`)つ旦~
441 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:25:29.16 ID:XHhKMY.0
「なぁ、ひぃらぎぃ。 休憩しようってヴぁ」

「なに言ってんの。あんたさっきから全然進んでないじゃない!」

「う!?」

「みさちゃん、もうちょっと頑張ろ?」

「ううう、あやのまで……せっかくひぃらぎが構ってくれるようになったってのに、勉強ばっかじゃつまんねぇよぅ」

 今日、私は峰岸の家に勉強に来ていた。日下部も一緒だ。

 そう、こなたの家ではなく、こっちに……

 今頃、あっちではみんなで勉強していることだろう。

 こなたとつかさとみゆきと、もしかしたらゆたかちゃんや……男も。

「そう言えば、柊ちゃん、ここ何日か私達とずっと一緒だけど泉さん達のほうはいいの?」

「あ……えーと……」

「こら!あやの!よけーな事言うなってヴぁ!せっかく背景コンビから格上げになりそうなチャンスなのに。これを機にひぃらぎをあのちびっ子達の手から取り戻すんだってヴぁ!」

「そんな大げさな……それに、背景コンビ云々の話は一人でキャラソン出したみさちゃんが言うことじゃないよね?」

「……う!?もしかして、あやの、そのこと根に持ってる?」

「ううん、全然(笑顔)」

 う〜む、これは、根に持ってるわね、峰岸の奴……
442 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:26:38.17 ID:XHhKMY.0
 それにしても、正直この二人とのこういうやり取りも高校に入ってからはずいぶん減ってたし、なんだか懐かしい気もする。

 ……今はこなたやつかさ、なによりみゆきや男の前にはいたくないし。



 最近、私は少しおかしい……らしい。

 自分のことなのに『らしい』って言うのもおかしな話だけど、自覚症状がイマイチ無いからしょうがない。

 数日前から、線路に落ちそうになったり、気がつくとハサミを握り締めてて、隣でつかさが泣いてたり……その他にも、目が虚ろになってたり、訳のわからないことを時々口走ったりしてるみたい。

 確かに、時々頭がボーっとなって、身体から魂が抜けるような感覚に襲われることはあるけど……

 特に……男のことやみゆきのことを考えると……

 私、どうしちゃったんだろう?

 やっぱり、男の子とまだ引きずって……るのかな……?

 いや、だめよ。だめ!

 もう、男のことはきっぱりと吹っ切らないと!

 つかさにもこなたにも心配かけちゃうし。

 それに……男もきっと迷惑よね……

 ……ついでにみゆきも。
443 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:27:34.58 ID:XHhKMY.0
 でも、吹っ切ろうとすればするほど、

 心配かけまいとすればするほど、

 心が、その弾力を失っていくような気がした……






「……らぎ?……なあ、ひぃらぎってば?」

「……あ?え?ごめん。聞いてなかった」

「どうしたんだってヴぁよ?ボーっとしちゃってさ?」

「あ、いや、ちょっと考え事してて……」

「……ふ〜ん」

「別に対した考え事じゃないわ。それより勉強は進んだの?」

「……やっぱり、傷ついたんだな……?傷つけられたんだな……?(ボソッ)」

「え!?」

 今、何て……?

 『傷つけられた』って言った気が――
444 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:28:46.40 ID:XHhKMY.0
「あ、柊ちゃん?ごめん、ここがちょっとわからないんだけど……」

「え?あ、うん。どこどこ?」

 ……峰岸には聞こえなかったんだろうか?

 それとも私の空耳……?

「あ、私も同じと怖からないから教えて!」

 日下部は、さっきまでの高めのテンションに戻っている。

「日下部、あんた……」

「おおーっと!あやのには教えて、私には教えないなんて無しだぜ?」

「………」

「どったの?」

「いや……なんでもないわ。えっと、ここはね、何ページか前に出てた公式を使って――」







 夕方。

 私と日下部は峰岸の家をあとにした。

「ひぃらぎぃ、一緒に帰ろうぜ!」

「あ、悪い。私ちょっと寄ってくとこあるんだ」

「え?どこ行くんだ?」
445 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:29:52.78 ID:XHhKMY.0
「えっと……」

 ……あれ?

 どこだっけ?

 どこかに行かなきゃと思ってたんだけど……

「えと……あ、そうそう。晩御飯の買い物よ。頼まれちゃっててさ」

 口からでまかせを言った。

 思い出せない。

 でも、このまま日下部と一緒に帰っちゃいけない気がする……

 一人で、どこかに行こうと思って……

「ふ〜ん……すげぇな、ひぃらぎは。私は家の手伝いなんか全然してねーや」

「まあ、うちは小さい頃から手伝うのが当たり前みたいな感じだから」

「ひぃらぎはきっとイイお嫁さんになるな!」

「ちょ!?なに言い出すのよ、いきなり!?」

「いや、別にぃ」

「ったく。それじゃね」

「あ、ちょっと待って……」

「ん?何?」

「……いや、やっぱいいや」

「……?」
446 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:31:23.58 ID:XHhKMY.0




 日下部とはそこで別れた。

 私はどこに行くつもりだったのか……?

 思い出せないまま、でも家に帰るわけでもなく彷徨うように歩いていた。

 歩きながら、ふと、さっき日下部が口にした言葉を思い出す。

 『ひぃらぎはきっとイイお嫁さんになるな!』

 お嫁さん……

 ふいに男の姿が脳裏をよぎる。

「違う!違う!男のことはもう吹っ切るのっ!」

 思わず頭をぶんぶんと振る。
 
 と、その拍子にかばんをぶん!と放り投げるような格好で落としてしまった。

 かばんの中身がいくつか道に散らばる。

「あっぶな……周りに人が居なくてよかっ――ん?なにこれ?」

 かばんから飛び出して道に散らばったものの中に見慣れないものがあった。

 大きなハサミ。

 お母さんが裁縫で使う、布地裁断用の大型のものだ。

「何これ……?私こんなもの入れた記憶ないけどな……」
447 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:32:18.16 ID:XHhKMY.0
 ハサミを拾い上げた。

 その時……





 

 ………あ、そうだ。

 私、行かなきゃ。








 男のところに……
448 :あなざー・すたー 47.背景コンビ(かがみ視点その5) [saga]:2008/07/26(土) 00:39:15.31 ID:XHhKMY.0
今日はここまでです!

>>440


      /⌒ヽ
     / ´_ゝ`) アリガタク イタダキマスヨ   
    (  ̄|つ旦O))
    / ̄/_)__)

なんかパー速が重かったんで待ってたら投下が遅くなっちまいました…
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/26(土) 00:41:26.70 ID:4pjpqcs0
ブッフォwwwwwwブッフォwwwwww
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/26(土) 20:41:30.17 ID:VoTowSA0
ここで310華麗に登場!

前よりちょっと進んだよorz
更新遅すぎるよね・・・
http://updas.net/up/download/1217072397.zip
PASSはあれ。んはn一個です。
451 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/26(土) 22:39:27.48 ID:XHhKMY.0
乙です!前よりだいぶ進んでますね。
しかしこうなるとやはり絵が欲しいところっすね〜
452 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/26(土) 22:49:09.42 ID:XHhKMY.0
では、今日も投下を。
段々カオスな展開になってきた今日この頃…
453 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 22:53:17.20 ID:XHhKMY.0
 5月5日。

 こどもの日。

 これぞ、ゴールデンウィーク(?)といわんばかりに、俺はだらだらと過ごした。

 まさに怠惰の極み。

 タイダ ノ キワミ、アーッ!!!!







「結局、今日の晩飯もコンビニ弁当か……みゆきが聞いたらなんて言うかな?」

 『いけません、男さん!栄養が偏ります!』とか言われそうだ。

「……調理器具揃えてみようかな?」

 そしてみゆきに作ってもらう。

 他力本願なのは仕様です。

 コンビニから出て家に向かう。

 日は沈みかけ、東側の空には群青色の夜空が滲むように広がり始めていた。
454 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 22:54:20.39 ID:XHhKMY.0





「男、みぃ〜っけ!」

「ん?」

 誰かに呼ばれた気がした。

 振り返ってみるが、視界には誰も居ない。

 コンビニのある通りから一本入った路地。

 うちへと続くこの道は、基本的に人通りが少ない。

「……?気のせいか?」

「気のせいなんかじゃ、ないよ」

「うわッ!?」

 気がつくと、背後にかがみが立っていた。

 そう、あのかがみだ。

 いつの間に?何の気配もしなかったのに……

「お,おどかすなよ、かがみ……どうしたんだ?こんなところで?ってか、お前、大丈夫なのか?」

「大丈夫って……な に が ?」

「あ、いや、ええと……」

 不意にこなたとの電話が甦る。

 まさか、本人の前で『お前、自殺する気なのか!?』なんて言えるわけがない。

 まして、俺の口からは……
455 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 22:56:01.28 ID:XHhKMY.0
「こ、こなたからさ、電話があったんだよ。お前の様子がちょっと変だって……」

「変……? あれ〜、私、変かな?」

「………」

 こなたから『かがみの様子が変』っていう電話を受けてから、かがみに会うのはこれが初めてだったが……

 確かに雰囲気が俺の知ってるかがみと違う。

 あのツンデレキャラのかがみには合いそうもない猫なで声。

 それに、見開いたような瞳。その色はさっきの東の空のような深い色をしている……

 なんだか……不気味だ。

「ねえ、答えてよ? 私どっか変かな〜?」

「い、いや、別に……それより、俺になんか用か?」

「うん、男に用事があって来たの」

「用事……?」

「色々考えたんだけどさぁ、やっぱ自分じゃ決められなくて…… それで男に決めてもらおうと思ったんだよね〜」

「決めるって…… 何を?」

「どっちが消えるか。

 ――私か? みゆきか?」

「はあ、何言って…… って、おい!?」

 俺は思わず、身震いした。

 かがみがかばんから取り出したのは、大きなハサミ。
456 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 22:57:53.14 ID:XHhKMY.0
 とりあえず…… でかい。

 料理バサミよりもさらに一回りくらいでかい。植木用? ……じゃないな。服の仕立て用?

 いや、そんなことはどうでもいい。というより、そこまで頭が回らなかった。

「ちょ!? そ、そんな物騒なもん出すなよ!? な?」

「うふふ、何驚いてるの? 心配しなくてもいいのよ? だって……これは男を傷つけるためのものじゃないから」

 薄ら笑いを浮かべるかがみ。

 なんなんだ? こいつホントにあのかがみなのか!?

 まるで別人だ。

「大体……なんなんだよ!? その馬鹿でかいハサミは!?」

「ハサミじゃないわよ? これは『マインドレンデル』。握り部分を半月輪状にした両刃式の和式ナイフを二振り,ネジで可動式に固定した大バサミよ。《自殺志願》って書いてマインドレンデル。うふふ、いい名前でしょ?」

「……はあ?」

 かがみの言葉が耳に入ってから脳みそに達するまでたっぷり5秒はかかったんじゃなかろうか?

 さらに脳みその処理速度も足りていなかったらしい。

 かがみの発言の元ネタに気づくまで、さらに時間がかかった。
457 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 22:59:36.65 ID:XHhKMY.0
「……それ、もしかして零崎双識のマネ? つーか、それなら銀縁メガネとスーツも必須だろ? ハサミもそんなのじゃないはずだぜ? だいたいお前なあ、コスプレしたいんだったら俺じゃなくてこなたのところ行けよ」

 こなたが言ってた『様子が変』って、このことか?

 確かに『ハサミ』やら『自殺』やらのキーワードには合致してるけど……?

「用事ってのも…… ホントはあれだろ? 『私、コスプレに目覚めました〜!』っていう報告だろ? わかったわかった。わかったからいい加減n――」

 ――シャキン!!

 鋭い、金属音。

 金属同士が摩擦する乾いた音が響く。

 かがみはそのハサミを鳴らすと、くるくると指に引っ掛けて回し始めた。

 俺は思わず息を呑む。
 
「えっと……聞こえなかったみたいだからもう一度言うね? 私とみゆき、どちらか一方が消えるべきだと思うんだよね? さ、どっち?」

「おまえ!? それ本気で言っ――」

 ――ジョキン!!

 再び金属音。

 しかし、今度は少し濁った響きだった。

 それもそのはず、音と同時にかがみのツインテールの片側の長さが半分くらいになっていた。

 はらはらと髪の毛が落ちる。
458 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 23:00:56.67 ID:XHhKMY.0
「な、何やってんだ!?」

「本気だよ」

「……!!!」

「私…… 惨めだよね? 男に選ばれなくて…… ホント、消えちゃいたい。でも、消えちゃいたくないって思う自分もいるの…… そう、みゆきを消したいっていう自分も」

「………」

「男はみゆきを選んだんだから身を引くべきなのよね? それはわかってる。こんな私はさっさといなくなるべきなのよね? それもわかってる。でも、でもね。じゃ、みゆきがいなくなったら? それってつまり、男は私のものになるかもってことよね? うふふふ。ぞくぞくするわ〜 男が私のものなんて、きゃ〜///」

「………」

「でも、結局どっちが正解か、私では答えを出せなかったの。だから……男が選んで?」

「………」

「ねえ、ったら〜 黙るなんて反則よ?」

「……ふざけんなよ? そんなもん、決まってるだろ!」

 そう、決まりきったことだ。

「そう…… 決まってるんだ…… そうだよね? あは、はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!男は、やっぱり……みゆk」

「両方却下だ!」
459 :あなざー・すたー 48.ハサミ女、現る! [saga]:2008/07/26(土) 23:02:21.17 ID:XHhKMY.0
「……はあ!?」

「『はあ!?』じゃ、ねーよ! なんでそんな0か1かみたいな二進法的考え方になるんだよ!? 確かに俺はみゆきを選んだけど…… かがみに消えてほしいなんて一度も思ってねえ! むしろ、これからだってかがみと友達としてやっていきたい!」

 かがみを選べなかった俺に…… かがみを傷つけた俺に、言う資格はないかもしれない。

 だが、断る! 俺は言う!

「だから、もう一度言うぞ! 『両方却下』だ!」

 一瞬の間、かがみの眼は最早焦点が合わず、宙を彷徨っている。

「男……あんた、わかってない……わかってないよ。それに耐えられないから私は選択しようとしてるのに。それに耐えられないから消えたいのに。それに耐えられないから消したいのにさぁ……」

 相変わらずの不自然な猫なで声。

 だが、わずかにかがみの声が震え始めた。

「あ〜あ、男は答え出してくれないし、もう考えるの嫌になってきちゃった……ちょうどいいや、今ここにみゆきいないし。出せるほうの答えにしとこっと」

 ――シャカッ!!

『出せるほうの答えにしとこっと』

 そう言うと、かがみはハサミを開いて自分の首に当てる。

 


 そして――、
460 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/26(土) 23:04:20.12 ID:XHhKMY.0
今日はここまでです。

話の中ではまだGW…世間はもうすぐ夏休みだというのに…
461 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/26(土) 23:06:37.02 ID:XHhKMY.0
細かいんですが、最後の部分の、

   
  『出せるほうの答えにしとこっと』

  そう言うと、かがみはハサミを開いて自分の「首」に当てる。


の「首」は「喉元」に脳内変換おねがいします。
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/26(土) 23:33:40.05 ID:sHJilUso
なんというシザーマン…
463 :310 :2008/07/26(土) 23:39:15.47 ID:VoTowSA0
そういえばメールが来たときのメッセージ表示部分は携帯画面風にしたんですが、その辺りどうだったかなぁ・・・とか。
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 00:33:48.37 ID:UZ32e9s0
そろそろ・・・か
465 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/28(月) 00:36:47.19 ID:xLtC92A0
>>463
メールが来た部分は凝った演出でしたね。
ただこの手のゲームあまりやったことないんで、あんまりどうこう言える立場にないですが…
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 00:40:52.62 ID:sFz8H8Qo
wwkwwk
467 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/28(月) 00:55:44.39 ID:xLtC92A0
なんだか、昨日からPCの動作が全般的に遅くて困ってます…ネットでここを開くのにもいつもの数倍かかってしまいます…修理から返ってきたばっかなのに…

というわけで、最悪途中で切れてしまう可能性がありますが、そのときは勘弁してください。とりあえず投下行きます。
468 :あなざー・すたー 49.甘えるな [saga]:2008/07/28(月) 01:05:24.39 ID:xLtC92A0
 細く、か弱い、かがみの喉元。

 血染めの大バサミ。

 滴る血。

 制服の襟元が赤く滲む。

 かがみは何の言葉も発しない。

 ただ、口をパクパクさせているだけ。

 そして、俺は――、






「うぐっ…… 痛ってえ!!!!!」

「あ…… ああ…… 血…… あ、あれ!? 私の血じゃない!? 私、痛く…… ない……?」

「まったく…… 両方却下だって言ったのによ! あ゙〜 もう、マジで痛え!」

 ハサミを赤く染めているのは……

 ……俺の血だった。

「い、いやあ…… 違う、違うの…… 私、男のこと傷つけるつもりなんて…… そんな……」

「だが、お前のおかげで俺の右手の指はめでたく4本に減ったわけだ」

「ひ、ひぃぃぃぃ!? いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「うわ!? ちょっ、タイムタイム! 冗談だよ! ちゃんと五本付いてるよ! 手は血だらけになったけど、ほら、1、2、3、4、5! な?」
469 :あなざー・すたー 49.甘えるな [saga]:2008/07/28(月) 01:07:20.66 ID:xLtC92A0
 やばいやばい。

 冗談が通じる状況じゃなかったか……

「はあはあ…… ぐ、ぐすんっ…… え、えっと…… 1、2、3、4、5…… ホントだ……」

「な?だからちょっと落ち着けって」

「ぐすっ…… ぐすっ…… ふええ、男…… ホントにごめ… ぐすんっ」

 かがみは泣きじゃくりながら、崩れるように座り込んだ。

 必死に息を整えている。

 血を見て、我に返った。そんな感じだろうか?
 
 ……しかし、幸い手にはちゃんと指が残っているとは言え、二〜三本吹っ飛んでもおかしくない状況だった。
 
 なんせ、まさにかがみの喉元に向かって勢いよく閉じられようとしているハサミに手を突っ込んだんだから…

 鋏の要の部分に右手親指以外の四本の指を引っ掛けて、素手で刃が閉じるのを止めた。

 そんな無茶をして、何故まだ指が俺の右手にちゃんとくっついているかと言えば、それは予想できていたからだろう。

 『かがみの、自分の喉に向けたその斬撃は、俺にとって五年前から予想が付いていたように明瞭だった』から、というわけだ。

 予想できたからこそ、ハサミの刃に勢いがつく前に、刃の動きを封じることができた。

 そう、戯言使いの欠陥製品が鴨川の橋の下で、人間失格のナイフの斬撃をかわした時の様に。

 予定調和の茶番劇。
470 :あなざー・すたー 49.甘えるな [saga]:2008/07/28(月) 01:11:19.92 ID:xLtC92A0



 ……と、この血だらけの右手で言っても説得力ないか。

 ホントの所は、昨日みゆきが自分の喉にフォークを突きたてようとしたのを見ていたからだ。

 そう、みゆきと同じだったから……




「ははっ、全然違うタイプなのに変なところだけ似てるんだな」

「ぐすっ…… な、何の話?」

「お前とみゆきが変なところで似てるって話」

「み、みゆきと……?」

「あいつも、昨日自分の喉にフォークをブッ刺そうとしたんだよ。あの時はさすがに焦ったよ。まあ、どこまで本気だったかはわからないけど…… かがみのハサミを止めるのは、昨日のみゆきのフォークを止めるよりは簡単だったかな」

 ま、これもこの血だらけの右手で言っても説得力ないか。

「み、みゆきが!? なんでッ!? 私ならともかく…… 男に選んでもらったみゆきが、どうして……?」

「みゆきはみゆきで悩んでたんだよ。選ばれたから悩んでないとか、選ばれなかったから悩んでるとか、結局そんなの関係ないってことじゃないか? 人間どんな状況でも悩み事は抱えるもんだってこった」

「みゆきも私と同じように…… 悩んで…… た? 私てっきり、みゆきは幸せいっぱいで…… 私のことなんか見下してると思ってた……」

 かがみはがっくりとうなだれた。
471 :あなざー・すたー 49.甘えるな [saga]:2008/07/28(月) 01:15:23.93 ID:xLtC92A0
「見下してはないと思うぜ? むしろ嫉妬してると思う…… 俺がかがみのことばっか心配してること怒ってたし。幸せいっぱいかどうかは…… 今後の俺次第…… なのかな?」

 今後の俺次第。
 
 自分で言ってて情けなくなってくるな……

「かがみ、お前さ、自分が惨めで消えたいとか、でもやっぱ消えたくないからみゆきを消したいとか言ってたけどさ、もう辞めようぜ? 多分、かがみのこと『惨め』って思ってるのはかがみ自身だけだと思うぞ」

「………ッ!! でもでも……」

「はいはい。わかったわかった。まだごちゃごちゃ言うなら、俺から言葉を送ろう。かがみの好きな某戯言使い風に」

「……何よ?」

「『甘えるな』」

「……!」

「ま、戯言だけどね」

「……私、人識くん派だもん」

「かはは、傑作だな」

「……ッ!! 大体あんた、そのセリフ言われた女の子がどうなったか、知らないわけじゃないでしょッ!?」

「タ、タイムタイム! ネタバレはまずいって…… でもとにかく、もう辞めようぜ。」

「わ、私だって辞めようと思ったりもしたわよ…… でも辞めようと思えば思うほど……」

「だから『甘えるな』っての! 自分の行動くらい自分で律しろよ!」

「……そんなのいーちゃんのセリフの中に無いわよ?」
472 :あなざー・すたー 49.甘えるな [saga]:2008/07/28(月) 01:19:05.08 ID:xLtC92A0
「……今のは違うよ。うちの父さんの言葉だ。たまにしか帰ってこないし、ぶっちゃけあんまり好きじゃないけど、この言葉は大事なことだと思ってる」

「………」

「それに、こんなことして、つかさちゃんや家族のみんなも悲しむぞ! 零崎は家族思いなんだろ? 悲しませるなよ。それにこなたや日下部さんや…… 俺だって悲しいし、みゆきだってきっと……」

「………」

「だからもう一回言うぞ。『甘えるな』!」

 かがみはうつむいたまま返事をしない。

 両手をぐっとスカートを握りしめている。

 流れる沈黙。

 俺はただ、俺の言葉がかがみに届くことを祈ることしかできなかった。







「……わかった」

 おもむろに沈黙が破られる。

「男の言うとおり、私、甘えてたのかも……」
473 :あなざー・すたー 49.甘えるな [saga]:2008/07/28(月) 01:24:12.50 ID:xLtC92A0
 ゆっくりと顔を上げるかがみ。

 その顔は、いつもの顔だった。



 つかさにお姉ちゃん然として接し、
 こなたにツッコミを入れ、
 みゆきの天然の軌道修正をし、
 そして俺と軽口を叩き合う、



 俺の知ってるかがみの顔。



「私…… 私の中のおかしな私くらい自分の力で何とかするわ!」

「それは『戯言』無しで頼むぜ! かがみん!」
474 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/28(月) 01:27:55.68 ID:xLtC92A0
今回はここまでです。戯言ネタの反響が大きかったので、ちょっと多めに盛り込んでみたつもりです。

では今日はこの辺でおやすみなさい。
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/28(月) 10:36:01.75 ID:0iLJcQAO
ちょっと戯言買ってくる
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 19:28:57.50 ID:rd/0tCko
はやく文庫全部でねぇかな・・・
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 21:04:30.70 ID:89wKZ2s0
戯言知ってる奴多くて嬉しくてつい多めに書いちゃったとか無いよな?w
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 21:38:36.59 ID:sFz8H8Qo
うう・・・おれだけ蚊帳の外
そんなにおもしろいのかね戯言とやらは
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 21:48:13.76 ID:FLFFl3Yo
乙うなー
480 :310 :2008/07/28(月) 22:54:11.66 ID:/adWwdQ0
>>478 だいじょーぶ 俺も知らん。
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 22:56:34.43 ID:DMgIy2oo
>>478
お前一人にいい格好させるかよ!
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 23:24:45.09 ID:UZ32e9so
そろそろ始まるザマスよ
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/28(月) 23:31:34.28 ID:DMgIy2oo
いくでガンス
484 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/28(月) 23:44:20.67 ID:agw5P1Q0
ふんがー

というわけで今日の投下です。
実はPCが死んでしまい、知り合いのPC使って勝手にやってます。見つかるとちょっと恥ずいw
485 :あなざー・すたー 50.侵蝕の8分間(みゆき視点その4) [saga]:2008/07/28(月) 23:47:53.81 ID:agw5P1Q0
「それでは泉さん、お邪魔いたしました」

「こなちゃん、ばいばーい!」

「うん、二人ともありがとね〜 特にみゆきさん! ホント助かったよ。宿題手伝ってくれて!」

「いえいえ、お安い御用です」

「それにしてもかがみん、結局来なかったね…… ここ最近様子が変だし心配だよ……」

「うん…… お姉ちゃん、何か悩んでるみたいなんだけど…… 私達に話してくれないし……」

 ……ここでも、かがみさんの話題ですか。

 男さんといい、お二人といい……

「まあまあ、お二人とも、そう心配なさらずに。今日だってクラスのお友達とお勉強してらっしゃることですし。それに普段からつかささんや泉さんが気にかけてらっしゃるんですもの」

「う〜ん、そうだね。あんまり私達が心配しすぎるのもかがみんに気を使わせちゃうかな?」

「わ、わたし、またお姉ちゃんの様子がおかしかったら二人に連絡するから、そのときはまた相談に乗ってね?」

「もっちろん」

「ええ、お安い御用です」
486 :あなざー・すたー 50.侵蝕の8分間(みゆき視点その4) [saga]:2008/07/28(月) 23:48:53.71 ID:agw5P1Q0




 こなたさんの家を出た後、私はつかささんと別れ、私は一人であるところに向かいました。

あるところ…… もちろん男さんのところです。

 男さんのためにお野菜中心のおかずを作ったので、それを渡しに。

 家でお母さんがご飯を作ってくれているので、男さんと一緒にお夕飯という訳にはいかないのが残念ですが……

「男さんは、いつもコンビニのお弁当ですものね。本当に栄養の偏りが心配です…… うふふ、男さん喜んでくださるでしょうか?」

 美味しいと言ってくださる男さんの姿を想像するだけで優しい気持ちに包まれるような感覚が私の身体に広がっていきます。

 男さんの家の近くまでバスで向かい、最寄の駅で降りたその時……

「あら……?」

 道の反対側、逆方向に向かうバス停に見知ったその姿を見つけました。

「男さんと…… かがみさん!?」

 いつもと髪型が違っていたので認識に時間がかかってしまいましたが、間違いありません。あれは、かがみさん!!

「な!? どうしてお二人が!? あ、あの、男さ――」

 声をかけようとしたその時、無情にもあちら側のバス停にバスが停まり、お二人の姿が見えなくなってしまいました。
487 :あなざー・すたー 50.侵蝕の8分間(みゆき視点その4) [saga]:2008/07/28(月) 23:50:01.05 ID:agw5P1Q0
「ちょ、ちょっと待ってください!!」

 考えるより身体が先に動いていました。

 キキーッ!!!!

 プアァァ!パパーッ!

「ゴルア! ねーちゃん! いきなり飛び出してくる奴があるか!? 死にてーのか、テメー!!」

 思わず、道路に飛び出した私。

「す、すみません……」

 車に轢かれそうになってしまいました。

「ったく、気をつけろや!」

 そうこうしているうちに男さんとかがみさんの乗ったバスは行ってしまいました。

「あ、ああ……」

 ぐちゃぐちゃにありそうな頭を必死で制御しながら、近くの横断歩道に回り男さん達のいた反対側のバス停へ……

 お二人が乗ったバスは…… 駅に向かうバス。

 次は…… 8分後。






 8分。

 その時間がこんなにも長く感じたことが、これまでの人生の中であったでしょうか……?
488 :あなざー・すたー 50.侵蝕の8分間(みゆき視点その4) [saga]:2008/07/28(月) 23:52:28.13 ID:agw5P1Q0
 『一日千秋』という言葉がありますが、その時の私には1分が千秋に感じられました。

 その1分1分が、明らかな悪意を持って私の自制心を蝕んでいく。

 心の侵蝕。
 



 ……そのときの私には、はっきりとそう感じられました。
489 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/28(月) 23:59:41.88 ID:agw5P1Q0
今日はここまでです。

>>486での『こなたさん』は『泉さん』の間違いです。すみません、脳内変換をお願いします。

戯言ネタはちょっと打ち止めということで。

それにしても、自分の部屋じゃないと落ち着いて投下できませんね…
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/29(火) 00:01:25.00 ID:ARHz/LA0
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 00:21:34.33 ID:dkONN.Qo
さあ、今夜もそろそろザマスよ
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 00:22:19.33 ID:dkONN.Qo
っとたしかPCぶっ壊れたんだっけ
493 :あなざー・すたー :2008/07/30(水) 01:01:04.88 ID:LiQd3AAO
どうやらPCがウイルスにやられたらしく、重くて使いものにならなくなってしまいました‥‥‥('A`)
知り合い曰く再セットアップしないとダメっぽいですorz

書き溜め分はバックアップとってるのでPCさえあれば投下可能ですが、しばらくは不定期になりそうですorz
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 01:13:05.74 ID:dkONN.Qo
無理しないでがんばってね!
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 01:26:07.04 ID:/lTs05wo
それは気の毒に・・・
PC不具合怖いね
気長に待ってるよ〜
496 :あなざー・すたー :2008/07/30(水) 01:37:53.51 ID:LiQd3AAO
ううう‥‥‥暖かいお言葉感謝です(´д⊂)

しばらくは知り合いか大学のPCでやっていきます。
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 08:59:43.31 ID:Ahg7F3E0
ウイルス付くようなサイトに行くから…
498 :病み猫 :2008/07/30(水) 17:07:49.81 ID:Z7z4ZO.0
皆さんのヌクモリティに支えられ、テストは何とか乗り切りました!

>>あなざー・すたーさん
乙です!髪を切ったかがみ…ゴクリ(AA略)

>>310さん
ゲーム風、ありがとうございます!この夏休みどうにかパソ画力をうPして載せられるような登場キャラを描ければ…と思っています。

それでは今日からまた投下を再開します。
また後でー
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 17:24:03.28 ID:dkONN.Qo
わはー
500 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:01:55.03 ID:Z7z4ZO.0
いきまーす
501 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:04:07.60 ID:Z7z4ZO.0
俺のコーヒーを飲む手が止まった…と言うかヘンなとこに入った。

男「…ゲフッ!ゲフッ!!なななっ何言うんですか!!!」

黒井先生「ほーう…ずいぶん焦っとるなー」

男「違いますよ!先生が急に変なこと言うからコーヒーが入ってはいけないとこに入ったんですよ!!」

黒井先生「男は付き合ってもいない女と道端で抱き合うんかー」

男「!!あれは…その……」

黒井先生「見てたでー」

男「………。」

黒井先生「………。」

男「……あの…」

黒井先生「…泉は……やめときーや……。」

男「えっ………?!」

黒井先生「…女の勘や。」

男「………。」


…黒井先生は確かにお節介な人のようだけど、こういった事に口を出す人じゃないはず。ましてや先生とこなたはネトゲ仲間で仲良いんじゃないのか?
俺は完全に【状態:混乱】になっていて、こなたとは、少なくとも今はそんな関係じゃ無いことを弁解することは出来なかった。

…その後、黒井先生の車で家の近くまで送ってもらい、黒井先生と別れた。

俺の脳裏にさっきのこなたの言葉が浮かんだ。

…まさか、こなたの言う『敵』は黒井先生…?

…いやいやいや!こなたはさっき黒井先生が言った事なんて知らないはずだ!
502 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:06:35.45 ID:Z7z4ZO.0
その瞬間、余りにタイミング良くケータイが鳴った。

【電話着信:泉こなた】
トゥルルルル
トゥルルルル
トゥルルルル
トゥルルルル
トゥルルルル


→電話を無視
→電話をスルー
→電話にでんわ

…なんて選択肢は俺には無く、一度深呼吸してから電話をとった。

男「どした?こなた。」

こなた「んーあのさー…突然だが日曜は空いているかね?」

男「今週?」

こなた「うん。」

男「…いいよ。どっか行きたいんだろ?ついてくよ。」

こなた「にょへっ!……ナゼ私の心を読んだ?」

男「おまえの思考は読みやすいんだよ。」

こなた「男はニュータイプだったのか…」

男「マチルダさーん!」

こなた「うおっ!男のノリがいい…そゆこと言ってるとジアースから落下するよ?」

男「…で、どこ行くの?」

こなた「ん?東京。」

男「また秋葉腹か。」

こなた「そんなとこ。」

男「じゃあ時間とか決めといてな。」

こなた「うん!りょーかいした!」

電話を切った。
503 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:08:21.82 ID:Z7z4ZO.0
その週は、こなたもつかさもみゆきさんも、余り喋らなかった。
無理もない、かがみがあんな形でいなくなって、まだ手掛かりも掴めていないらしい。

だが、土曜日帰宅時につかさとこなたと三人で歩いていると、こなたが思い出したように言い出したことで、又関係はぎくしゃくし出した。

こなた「…そういえば男、明日は朝八時くらいに男の家行くんでいいかー?」

男「え……あ…うん。」

つかさ「…あした?」

男『う゛…こなた空気嫁』

こなた「うん、明日男と二人で遊び行くんだー。」

つかさ「………へぇ…私も行きたいなぁ……。」

つかさはそう言って笑顔で俺を見つめた。
あの笑顔で。

男「え…えと…場所がアキバだからさ、多分つかさ来てもつまんないよ?」

つかさ「そうかなぁ?」

こなた「そうだよ。お土産買ってきてあげるよ。」

つかさ「うーん、いらないや。じゃあまた月曜ね。バイバーイ。」

気付くともうそこは柊家の前で、つかさは何だか不自然に笑いながら家に入っていった。
504 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:09:54.16 ID:Z7z4ZO.0
つかさと別れた後、俺はこなたに言った。

男「こ…こなた、つかさのいる前で明日のこと言わないでもいいだろ。」

こなた「なんで?」

男「なんつーか…変に勘違いされるかもだろ。」

こなた「別にいいじゃん。」

男「…こなた…。」

こなた「それよりさー明日はどんな起こし方がいい?」

男「へ?」

こなた「やっぱここはキャッツカードで『あなたの唇はいただいた』って…」

男「おま…住居不法侵入する気か。」

こなた「へ?昔みたく、おばさんに入れてもらうからー」

男「うちの母さん死んだって言っただろ。」

こなた「そか…そうだったね。ゴメン。」

男「…お前らしくないから気にしないでいいよ。」

こなた「あれーなんかビミョーにバカにされてるのカナー」

男「…ま、とにかく明日は八時な。」

こなた「うむ。」

男「それとさ、こなた。」

こなた「ん?」
505 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:11:43.59 ID:Z7z4ZO.0
男「これ、うちの鍵。」

こなた「へ?」

男「持ってっていいよ、合い鍵だから。」

こなた「………わ」

こなた「わわわわわわわわ私は男の嫁って事でFAなのかな?かな?かな?かな?」

男「とりあえずもちつけ。い…いや、明日おまえが来たとき俺が寝てたら待たせちゃうだろ。だから、一応渡しておくだけだからな。」

こなた「フヒヒ」

男「変な声でニヤけるな。」

こなたと別れて家までの距離を歩く。

…この間、黒井先生に言われたことが逆に俺の気持ちを押したんだろうか?
あの後俺はこなたのことをじっくり考えた。
こなたの…子供っぽくて自分勝手だけど純粋なアピールは少しだけ俺の心を動かしたみたいだった。
『こなたと…二人でアキバか…。二回目だけどなんか前とは違う感覚だな…。』
 
…しかし違うのは感覚だけでなかった。
 
 
次の日。

男「……ん…あれ」

七時台に目覚ましをかけたはずなのに目覚ましは鳴ることはなく、代わりに俺の横にはこなたが居た。
…オーケー。これ位想定の範囲内だ、ブラザー。
しかしこなたの服装をよく見てみると、ハーフパンツに上は黒のタンクトップだった。
しかもなんだかタンクトップははだけ気味で体勢を変えればこなたのひんぬーが見えそうだ。
その上なぜか今日に限って長い髪を後ろで縛っている。
…マズイ、マズイよ大佐。昨日とか何だか変にこなたを意識したせいで俺の●●●が××しそうだよ。
とにかくタンクトップの外れている肩の紐を、ちゃんと肩に掛けようとしてこなたの肩に手を伸ばした。

こなた「………なんという桂○和…///」

男「あああああああああ!!!!」

(略)
506 :病み猫 :2008/07/30(水) 21:12:46.58 ID:Z7z4ZO.0
今日はここまでにしますノシ
507 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/30(水) 21:14:46.24 ID:x4PJE2M0
投下乙です。
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 21:29:30.28 ID:taTue7o0

509 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/30(水) 23:02:16.71 ID:kLl6KGI0
病み猫さん、投下&テスト乙です!

先輩から古いパソコンを貸してもらえたので、投下します。
皆さんもウイルス対策はしっかりと…
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 23:07:19.91 ID:dkONN.Qo
さあはじまるザマスよ
511 :あなざー・すたー 51.許されざること [saga]:2008/07/30(水) 23:28:32.44 ID:kLl6KGI0
「男…… ホントに…… ホントにごめんね」

 左右で長さの変わってしまったツインテールを解き、うまくごまかすように片側括りにした髪。

 そして申し訳なさそうな眼。遠慮がちな視線。

 駅の改札の前で、別れ際にかがみは言った。

 さっきからもう何回謝られたかわからない。

「ああ、もう気にすんな。この通り、指もちゃんと付いてるしな。それにこっちこそ、包帯巻いてくれてありがとな」

 あのあと、俺の家で応急処置をした。

 自分ではうまく包帯を巻けない俺を見かねて、かがみが包帯を巻いてくれた。

 かがみも、お世辞にも上手とは言えなかったが……

 傷のほうは、幸い縫ったりする必要もないみたいだ。

「ううん、私が悪いんだもの。当然よ……」

「とにかく、謝るんだったら、今後このようなことがないよーに! しっかり自分を律してくれたまえ!」

「ゔ……すみません」

「まだ不安なようなら、カウンセラーの先生を紹介するよ。前の学校でサッカー人生オワタ\(^O^)/ になったときに保健の先生が紹介してくれた人がいるから。ま、俺は結局行かなかったけど」

「それで問題起こして転校する羽目になったのよね」

「……そんな軽口が叩けるようになったんなら、もう心配いらねーな。ほれ、とっとと帰れ」

「なによ〜 失礼ね!」

 そう言って、かがみは改札をくぐった。
512 :あなざー・すたー 51.許されざること [saga]:2008/07/30(水) 23:30:27.19 ID:kLl6KGI0
 そして振り返る。

「ホントありがと。私、もう負けない。もう甘えない」

「ああ、頑張れ」

「男、みゆきのこと幸せにしてあげてね」

「ああ…… 合点承知!」

「うん…… じゃあね……」

「気をつけて」







 かがみには『カウンセラー紹介する』なんて言ったが、あいつはもう大丈夫だろう。

 別れ際のあいつの眼を見てはっきりそう思った。

 しっかりとした「柊かがみ」の眼をしていた。

 ……そんなことを考え、痛む右手を時々さすりながら、バス停へ向かう。









 ……そこに彼女はいた。

 息を弾ませ。

 額に汗を浮かべ。

 メガネがわずかにずり下がっていた。
513 :あなざー・すたー 51.許されざること [saga]:2008/07/30(水) 23:32:42.36 ID:kLl6KGI0
「あ、あれ!?みゆき!?どうし――」

 ガッ!

「おっと……」

 いきなりみゆきにタックルを…… じゃなくて、いきなりみゆきに抱きつかれた。

 それも結構な勢いで。

「ど、どうしたんだよ?」

「男さん…… 男さん…… お願いです。どこにも行かないでください……」

 みゆきの震える声。

「……どこにも行かねーよ」

 驚きはしたものの、悪い気はしない。

 俺はみゆきの頭をなでる。

 それにしても、みゆきのこの行動、このタイミング……
514 :あなざー・すたー 51.許されざること [saga]:2008/07/30(水) 23:35:28.39 ID:kLl6KGI0
「本当ですよ! かがみさんのところに何か行かないでください。お願いしますお願いしますお願いします」

「……行かねーよ。さっき俺とかがみが一緒にいたとこ見たんだな?」

「はい…… お二人で一緒にバスに乗るところ見て…… それで私……」

「心配いらねーよ。かがみと話をつけてたんだ、きっちりと。俺が選んだのはみゆき、あいつもそれをわかってくれたし、あいつの様子が変だっていうのももう大丈夫だと思う」

「ほ、本当ですか……?」

「ああ! それよりどうしたの? 今日はこなたやつかさちゃんと勉強してたんじゃ?」

「あ、あの、これをお渡ししたくて。男さん、きっと今日もコンビニのお弁当でしょうから…… 野菜のおかずです」

「わざわざ、そのために? いや〜 ホントにありがとう!」

「あら? その手…… どうされたんですか?」

 おかずの入った容器を受け取る手にみゆきが目を留めた。

「あ、いや、これは…… はは、かがみと…… ちょっとあってさ、はは……」

「かがみさん!? かがみさんに怪我をさせられたんですかッ!?」

 みゆきが急に大声を出す。

 驚きの中に、明らかに怒気が混じっていた。

「あ、でも、俺の自業自得なところがあったし。血は出てるけど、指はちゃんと付いてるし……」

「ゆ、指はちゃんと付いてるって……!? 一体何をされたんですかッ!?」

「あ〜 ちょっと欠陥製品v.s.人間失格の再現というか、なんと言うか……」

「?? 何があったにせよ、男さんを傷つけるなんて……」
515 :あなざー・すたー 51.許されざること [saga]:2008/07/30(水) 23:38:30.77 ID:kLl6KGI0
 みゆきの顔がどんどん険しいものになっていく……

「許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許s」

 何かの呪文のように繰り返すみゆき。

 ……しまった、言い方が悪かったか?

「みゆきッ!!」

「……!! ご、ごめんなさい」

「あ、いや…… 謝らなくてもいいよ。それより俺は大丈夫だから! なあ、時間があるならうちで一緒にご飯食べない?」

「あ、いえ…… うちで母が夕飯の準備をしていますので……」

「そっか…… まあ、時間も遅いしね」

 日はもうすっかり落ちている。

「ええ…… それに用事もできましたし……」

「用事?」

「あ、いえ、なんでもありません」

「そっか。じゃ、これで」

「はい…… 失礼しま――!?」

 俺はみゆきを抱き寄せた。

「……た、たまには、ほら、俺から……な?」

「嬉しいです…… 私、頑張ります……」

「そだ、明日ゴールデンウィークの最終日だし、ヒマだったらどっか遊びに行こうぜ! この前のデートは何かアレだったし……」

「え!? やった! 嬉しいです!」

 みゆきの顔がにわかにほころぶ。

「ただ、やり残した事があるので、また明日、改めて連絡しますね。なるべく今日中に終わらせますから」

「……? そっか、それなら連絡待ってるから」

「はい、失礼します!」
516 :あなざー・すたー 51.許されざること [saga]:2008/07/30(水) 23:40:04.76 ID:kLl6KGI0






 駅の改札でみゆきを見送った。

 手はまだ痛んだけど、俺の心は晴れやかだった。

 ゴールデンウィークも残り一日。

 今度こそみゆきと楽しいデートだ。

 ヌフフ……

 ニヨニヨ……





 
 ――そう、そのまま、ゴールデンウィークが平和なまま、終わってくれたらどんなに良かったことだろうか……
517 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/30(水) 23:43:05.53 ID:kLl6KGI0
今回はここまでです。
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 23:44:40.30 ID:dkONN.Qo
乙・・・すっげー気になるぜ
519 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/30(水) 23:46:16.32 ID:kLl6KGI0
次の投下分が短いのと、昨日投下してないんで、もう少しだけ…逝きます。
520 :あなざー・すたー 52.雲隠 [saga]:2008/07/30(水) 23:49:51.18 ID:kLl6KGI0
















 あれ……

 私、どうしたんだろ……?

 男と駅で別れて……

 あ、そっか、家に帰ってから、

 つかさや、お姉ちゃんたちや、お父さんお母さんに散々髪の毛のこと聞かれて……



 聞かれて…?

 あ、そうだ。呼び出されたんだ。

 夜遅かったけど、家を出て、待ち合わせ場所に行って……

 それから、
 
 それから……?

 それ……か……ら……?
521 :あなざー・すたー 52.雲隠 [saga]:2008/07/30(水) 23:51:59.02 ID:kLl6KGI0





















 嫌な夢のせいで目が覚めた。

 内容は思い出せないのに、嫌な夢だったことはわかる。



 携帯が鳴っていた。

 こんな時間に?

 カラカラに渇いた喉で、携帯をとる。

 そして、

 電話の主は告げた。













「う、嘘だろ!? か……かがみが……!?」
522 :あなざー・すたー [saga]:2008/07/30(水) 23:54:28.89 ID:kLl6KGI0
すみません、何度も。展開的にここまで引っ張る感じだったので。
今日はここまでということで。おやすみなさいノシ
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/30(水) 23:57:59.37 ID:dkONN.Qo
乙!
524 :病み猫 :2008/07/31(木) 08:06:42.21 ID:8H1vQ2w0
乙です!
かがみん…どうか無事で…
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/31(木) 09:04:37.35 ID:kMzWt6Mo
Wikiの病み猫さん作品は、選択肢ごとに分けてくれるとありがたいな
526 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/31(木) 15:05:58.15 ID:afne/W60
>>522
投下乙です。かがみん…とうとうやられてしまったのでしょうか…

>>525
読みにくくてすみません。ただ、膨大な選択肢の量ですのでなかなか難しいかもです…。
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/07/31(木) 15:57:08.63 ID:ryO2H220
しばらく見てなかったがまとめ新しいところになってたのね・・・
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/31(木) 15:59:59.05 ID:YqyS1/Yo
てs
529 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:44:09.49 ID:8H1vQ2w0
Wikiの方は自分のところの仕分けは責任を持って自分でやろうかと思っています。
kyoronosukeさんに任せっきりは悪いですし、バッドエンドの後日談でWikiにだけこっそり乗せようかと思っているのがありますので…
530 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:44:58.23 ID:8H1vQ2w0
では、今日の投下をします。
531 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:46:42.13 ID:8H1vQ2w0
こなたの作った朝食を二人で食べる。

男「…。」

こなた「………もうお嫁に行けない。」

男「何もしてないだろうが!!つーか起きてるんなら言え!!!」

こなた「いやー最初は迷ったんだよねーセオリー通り幼なじみ的に起こそうか、ツンデレ姉的に起こそうか、兄スキー妹的に起こそうか。」

男「…アホか。」

こなた「で、結局タマ姉みたく起こそうと思ったんだが、いざ完全無防備の男を前にすると攻撃はかわいそうかなーと。」

男「どのパターンも止めていただきたいな。」

こなた「で考えていたら眠ってしまった。」

男「…そうか。」

こなた「そして目を覚ますと操貞の危機だった。」

男「ちがーーーーーう!!!!!」

こなた「まぁ私の中では『時すでに遅し』という事にしておくから。」

男「洗い物俺やるから早く食べて。(無視)」

こなた「男もだいぶツンデレが分かってきたなぁ。」

男「俺のどこがデレてるんだ?」
532 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:49:22.48 ID:8H1vQ2w0
こなたと二人で電車に乗る。
糟日部で乗り換えるとき、ふと峰岸さんの言っていたことを思い出した。
『かがみは…失踪の直前この糟日部に何かを確かめるために来ていたんだよな…』

するとこなたが俺の右腕をグッと引っ張った。

こなた「他の女の事考えてないよね?」

男『お前がニュータイプだろ』

男「………考えてたよ。」

こなた「えっ?」

俺は敢えてこなたに言った。
と同時にこなたの顔が険しくなった。

男「峰岸さん…あっ、かがみの友達な。…から聞いたんだけど、かがみはいなくなった日にお前と遊んだ後、糟日部に来たらしいんだ。」

こなた「そっ…それ、ホント?!」

男「うん。なんか思い当たることあるのか?」

こなた「………無いよ!…それより早く電車乗ろうよ。」

男「え………?…うん。」

『…やっぱりこなたは何か知ってるんだな…』
 
しばらく電車に揺られた。
男「糟日部からさ、秋葉腹って一本で来れるから近いよな。」

こなた「そだね。………でも今日行くのは秋葉腹ではないのだよ。」

男「え?!どこ行くんだ?」

するとこなたは無言で俺の袖を引っ張り何駅か前で電車を乗り換えた。
段々と景色が変わってきてこなたの行きたいところが分かってきた。

男「……こなた………。」
533 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:50:55.76 ID:8H1vQ2w0
目的の駅で降りて、二人は歩き出した。
お互い言わなくても目的地は分かっていた。

特に何もない、普通の住宅街。
道の真ん中で二人は立ち止まった。

道を挟んで左右の家。
今は違う表札がかかっている。

男「懐かしいな。」

こなた「男は1カ月くらい前はまだここにいただろー。」

男「…そうじゃなくって、おまえと二人でここに立ってるのが。」

こなたが俺の手を握ってきた。
今はそれでいいと思った。

こなた「じゃあさ、昔みたいに一緒に登校しようよ?」

手を繋いで歩く。
小学校の校舎が見えてきた。
校舎は門が閉じていて校庭にも入れなかった。

男「昔は日曜とか入れたよな?」

こなた「ホラ、最近はさー誘拐とか監禁事件とか多いからさ。」

男「あー確かに。」

こなた「うちにも予備軍がいるしねー」

男「………。」

近くの…昔よく行ったレストランで昼食を食べた後、こなたの提案でもう少し散歩しようという事になった。
少し歩くと街路樹が多いエリアに入った。

男「この辺はあんまり来たこと無いよな。」

こなた「…。」
534 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:52:02.67 ID:8H1vQ2w0
男「こなた?」

こなた「ん?」

男「どうした?」

こなた「…なんかさー小さい頃この辺来たこと無い?」

男「…そうか?あんまし覚えがないな…。」

こなた「…」

俺の左手を握る、こなたの手が少し強く俺を引っ張った。

こなた「でっかいびょういんがある…。」

俺達はその大きな病院の前で立ち止まった。
手をつないだまま病院を見上げていると後ろから声がした。

「こなたさんと男さん…ですか?」


俺たちが振り返ると、そこには私服のみゆきさんがいた。

男「み…みゆきさん、どうしたの、こんなところで。」

みゆき「はい…その…ここは私の実家の病院なんですが…。」

こなた・男「え゛?!」
病院の名前を見ると『高翌良総合病院』とあった。
紛れもなくみゆきさんの家の病院のようだ。

こなた・男「でかい!」

みゆき「はい、あの…その…なんかおじゃましてすみません…///」

顔を赤くしてうつむくみゆきさんを見てやっと気付いた。

こなた・男「あ゛!!」
535 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:53:03.09 ID:8H1vQ2w0
慌ててこなたと繋いだ手を離した。

男「ちちちち違うんだみゆきさんこれは…!」

こなた「みゆきさん!みゆきさんに貰ったコレ早速してみたんだーどう?」

そう言ってこなたはくるっと廻った。

みゆき「うふふ、似合っていると思いますよ。気に入っていただいて嬉しいです。」

男「………///」

みゆき「えと…やっぱりお邪魔なようなので私はこれで…」

こなた「じゃーまた月曜ねー」

みゆき「はい。」

みゆきさんは『高翌良総合病院』に入っていった。

男「こっ…こなた…。」

こなた「そう言えばこのシュシュ誕生日にみゆきさんに貰ったんだよーどう?」

こなたはまたくるっと廻った。

男「う…うんいいと思うよ…。あのさ…」

こなた「何か?」

男「もういいです。」

その後、俺の行った中学の話やこなたの中学時代の話をしあった。
二人の空白だった時間は確かに埋まっていった。
こなたの存在は間違いなく俺の中で大きくなっている。
でもとりあえずは、み ゆ き さ ん の ご か い を と か な い と。

まだ時間は早かったが明日は授業だし、少しはやめに帰ることにした。
536 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:54:53.64 ID:8H1vQ2w0
帰りの電車の中。
肩により掛かって眠るこなたを見ながら考える。
『くっ…可愛いじゃないか…こなたのくせに』

…じゃなくて。

『まず、こなたはかがみの失踪について何か知っている。それを聞かなきゃいけない。』

『次にみゆきさんの誤解をとかなきゃいけない…。』


こなた「んん……。」

男『くっ……。』
 
 
アナウンス「糟日部ー糟日部です。」

男「ほら、こなた起きろよ。」

こなた「ん…うん…。」

電車を乗り換えた。
眠そうな目をこすりながらふらふら歩くこなたの手を引っ張って糖武鉄道に乗るともう日は落ち掛けていた。

こなたと同じ駅で降りて家まで送った。

こなた「うち、寄ってく…?」

男「うーん…今日は遅いしまた今度にする。」

こなた「そか。」

男「じゃあまた明日な。」

こなた「うん………あのさ!」

男「ん?」

こなた「今度…男とゆっくり話したい…。」

男「…うん。」

こなた「……じゃあまた明日なー!」

男「うん、お休み。」

こなたと別れ自分の家に向かう。
『こなたは…かがみの事言うつもりかもな…』

自分の家が近づくと家の前に人が立っているのが見えた。紫の髪の…柊…つかさ。相変わらずの笑顔で…。
537 :病み猫 :2008/07/31(木) 16:55:54.22 ID:8H1vQ2w0
今日の投下はここまでです
538 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/07/31(木) 20:44:55.44 ID:afne/W60
>>537
投下乙です。
任せっきりでも全然大丈夫ですが、そこまでおっしゃってくださるならお願いしようかな〜なんて…よろしくお願いしますね。
539 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/01(金) 00:09:27.86 ID:QtFN/QU0
乙です!
かがみの行方はいまだ明らかならず…ですか…

では、こちらも投下を。
540 :あなざー・すたー 53.生と死の混じる部屋で [saga]:2008/08/01(金) 00:11:20.42 ID:QtFN/QU0
 霊安室。

 俺が病院の霊安室に入ったのは、ゴールデンウィーク最終日の早朝のことだった。

 すでにこなたも来ていて、横たえられたかがみに泣きついていた。

 その光景を憔悴しきった様子で見ていたつかさちゃん。

 俺に電話くれたときの声も消え入りそうな声だった。

 部屋に入ってきた俺に気づく。

「あ……! お…… 男くん…… おねえ…… ちゃんが…… お…… ねえちゃ…… んが……」

 真っ赤に腫らした目からさらに涙が溢れてきていた。

「うわあぁぁぁ…… かがみん! かがみん!」

 こなたは俺が来たことすら気づいていない様子だった。

 大声を上げて泣いている。

「そ、そんな…… どうして…… かがみ……」

 電話を受けた時は信じられなかった。

 いや、こうしてかがみが横たえられた様を見ている今だって、信じられない。信じたくない。

 俺はかがみに近づいた。

 こなたがようやく俺に気づいたようだった。

「男…… かがみんが! かがみんが!」

 いつものゆるいこなたの面影は欠片ほども残っていなかった。

「かがみんが死んじゃったよぉぉぉ!!」
541 :あなざー・すたー 53.生と死の混じる部屋で [saga]:2008/08/01(金) 00:12:48.98 ID:QtFN/QU0
 痛々しい……

 泣きじゃくるこなたから反射的に目をそらし、俺はかがみを見る。

 ありきたりな言葉だけど、まるで眠ってるみたいだった。

 昨日と何も変わらない綺麗な顔。

 これは俺をハメるためのドッキリなんじゃねーかと思いたくなるくらいに……

 でも、見ているうちに……

 そう、見れば見るほど…… かがみが、いや、かがみだったモノが何だか不気味に見えてきた

 抜け殻なんだ…… これはもう……

 ちょっと前まで、かがみは生きていたのに。
 
 つい、十数時間前にはあんなやり取りを交わしたばかりなのに。
 
 ここにいるのは、いや、『ある』のは、形だけかがみの姿をしたモノ……

 あの元気で、ちょっと頑固で、ちょっとプライドが高くて、頑張り屋で、そして寂しがり屋で、でも素直じゃない…… かがみはもういない。

 実感がわかねーよ…… こんなの……





 俺は、かがみの別れ際の言葉を思い出した。

 『私、もう負けない。もう甘えない』

 意志のこもった眼と、その後見せたはにかんだ笑顔。

 さらに思い出すのは、いつかの、かがみの唇の感触……

 抱きしめたぬくもり……

 右手の傷がひどく痛んだ……
542 :あなざー・すたー 53.生と死の混じる部屋で [saga]:2008/08/01(金) 00:14:22.32 ID:QtFN/QU0
「うぐ…… ううぅ………ッ」

 俺は泣いていた。

「何で! 何でかがみは……!?」
 
 なんだよ? 結局…… 自分に負けちまったのか……?

 ハサミを振るったかがみ。

 でも、もう消えるなんて、言わないと思ったのに……

 かがみはもう大丈夫だと思ったのに……

「おねーちゃん……」

 つかさちゃんが言った。

「最近、様子が変だったの……」

「……こなたに聞いたよ」

「でもね、昨日はすごくいい顔してた。髪の毛がなぜか変な風に短くなっちゃってて、家族みんな驚いたんだけど…… でもそれ以上におねーちゃんいい顔してたの」

「………」

「だけど、昨日の夜。突然出かけていって…… それ…で、ひっく、それで……」

 嗚咽交じりに言葉を搾り出す。

「それでもう…… 帰ってこな…… えぐっ、うっぅうぅ……」

「つかさちゃん…… もう…… もういいよ」

「……殺されたの」

「……え!?」

「おねーちゃん、刺さ…… れて…… うっ、うう……」

「刺された!? だ、誰に!?」
543 :あなざー・すたー 53.生と死の混じる部屋で [saga]:2008/08/01(金) 00:15:45.67 ID:QtFN/QU0
「わからないよぉ! そんなの! ケーサツの人は通り魔じゃないかって言ってたけど……今色々調べてる途中みたい…… 夜中になっても帰ってこないから、私たち心配になって…… いろいろなところに電話かけて…… 男くんのところにもかけたんだよ?」

「ごめん、昨日は早く寝ちゃって……」

「ううん、もういいの…… で、それで心配してたら、明け方、警察と病院から電話があって…… ナイフみたいなもので刺されたって……」
 
 殺され…… た?

 かがみは、やっぱり自分にはもう…… 負けなかったんだ。

 なのに。

 せっかく、立ち直ったのに。

 そんなのって、そんなのって…… ひどすぎる!

 誰が…… そんなことを……
544 :あなざー・すたー 53.生と死の混じる部屋で [saga]:2008/08/01(金) 00:17:02.09 ID:QtFN/QU0




「……私、許せない」
 
 こなたがボソリと言った。
 
 普段のこなたからは、あのゆるいこなたからは想像もつかないほど静かに、重く。

「かがみんを殺した奴、絶対…… 許さない!」

「私も…… 許せない…… おねーちゃんと同じ目に合わせてやる!」

 それはもちろん俺も同じ気持ちだった。

 けれど、俺は二人の雰囲気に飲まれてしまっていた。

 憎悪に塗りこめられた二人の眼に恐怖すら感じてしまった。

「ダメだよ、つかさ。同じじゃダメだよ。かがみんが味わった痛み、何百倍何千倍にして犯人にも味わせてあげなきゃ……」

「あ、そうだよね、こなちゃん。同じじゃダメだよね。悪いことした人にはきついきつい罰を与えなきゃ。こんなに優しいおねーちゃんを…… 奪ったんだから」

「許せないよ……」

「うん、許せない……」



『許せない』
 

 俺は、昨日みゆきが、今のこなたやつかさちゃんと同じ言葉を口にしたことを思い出していた。
 
 そういえば――
545 :あなざー・すたー 53.生と死の混じる部屋で [saga]:2008/08/01(金) 00:18:08.38 ID:QtFN/QU0
「ねえ、つかさちゃん。みゆ、いや、えと、高良さんには連絡したの?」

「ゆきちゃん?うん…… 電話したんだけどつながらなくて…… それにゆきちゃん家遠いし、こんな朝早い時間だと来れないんじゃないかな……?」

「つながらない……?」

「うん。携帯にしかかけてないんだけど…… 時間が時間だし…… それにこんなこと言っちゃ悪いけど、ゆきちゃんが来たところでおねーちゃんが戻ってくるわけじゃないし……」

「………」







 
 ……早朝だ。つながらなくて当然かもしれない。

 俺が電話を取ったのだって偶然だった。偶然目が覚めたから……

 でも……

 でもその時、どうしようもなく嫌な予感が、そして最低の予感が、俺を襲っていた……
546 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/01(金) 00:19:49.85 ID:QtFN/QU0
今日はここまでです。

全国のかがみファンの皆さん、すみませんでしたorz
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 00:55:20.99 ID:bEmhEAAO

これはキツいな…
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 01:03:13.94 ID:DyUHqbso
かがみーん!
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 08:54:37.42 ID:Kecwegw0
くれぐれも皆さん邪推をしないように
警察の方も通り魔じゃないかと仰ってますし安易な想像はやめましょう
550 :病み猫 :2008/08/01(金) 10:17:28.49 ID:LQ653g60
かがみん…(;´д⊂)
551 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/01(金) 11:49:25.97 ID:QtFN/QU0
こんにちわ。
今日は諸事情により普段ならあり得ないこの時間帯の投下です。
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/01(金) 11:51:12.52 ID:s8mi06AO
wktk
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 12:08:50.24 ID:DyUHqbso
はじまるザマスよ
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 12:10:07.26 ID:YXMDZSwo
いくでがんす
555 :あなざー・すたー [sage]:2008/08/01(金) 12:58:02.96 ID:WRLAB2AO
ふんがー

と行きたいところだったのですが、まさかの大学のサーバー障害(?)でネットに繋がりませんorz

今日は借り物のPCも返さないといけないので、すみませんが続きは後日ということで‥‥‥ホントすみません
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 13:00:12.68 ID:DyUHqbso
人生コナタ\(=ω=.)/
557 :あなざー・すたー :2008/08/01(金) 13:06:21.56 ID:WRLAB2AO
やはり自分のPCの再インストールに踏み切ろうと思います。また日曜あたりに投下します。
558 :病み猫 :2008/08/01(金) 20:56:22.08 ID:LQ653g60
大学のサーバーダウンは本当にアレですよね…
では、私の方は投下を開始します。
559 :病み猫 :2008/08/01(金) 20:57:40.07 ID:LQ653g60
男「つかさ?」

つかさ「おかえり、男君。デート楽しかった?」

男「つかさ…いつから居たんだ…?」

つかさ「知らなかったなー男君いつの間にこなちゃんと付き合ってたの?」

男「ご…誤解だよ」

つかさ「じゃあ何で手繋いでたの?」

男「えっ………まさかみゆきさんに…」

つかさ「今日ね、ガマン出来なくてゆきちゃんに相談したんだー男君て好きな人いるのかなぁって…。」

つかさ「そしたら教えてくれたよ。『今日泉さんと手を繋いで歩いてましたよ』って。」

男「つかさ、違うんだあれは…」

つかさ「何が違うの?!付き合ってなかったらデートで手繋いだりしないよね?!!!」

男「こなたとは幼なじみだから…昔の事思い出してつい…。」

つかさ「なにそれ!私だって…私だって…男君と幼なじみになりたかったよ…!…ずるいよぉ………。」
560 :病み猫 :2008/08/01(金) 20:58:56.25 ID:LQ653g60
つかさ「男君、私今日男君の家泊まりたいなぁ。」

男「なっ…突然そんなのダメだろ?」

つかさ「お姉ちゃんも突然友達の家に泊まりに行ったけど平気だったよ?」

男「そっ…それは関係ないよ。それより今はかがみが無事に帰ってくることを考えようよ。」

つかさ「だったら男君はなんでこなちゃんとデートしてたの?」

男「じっ……実はかがみは居なくなる前糟日部に居たらしいんだよ!だからそっち方面に何か手がかりがあるかと思ってさ!結局秋葉腹は行かなかったし…」

つかさ「……本当にこなちゃんと付き合ってないの?」

男「うん。」

つかさ「でも手は繋いだんだよね?」

男「…うん。」

つかさ「じやあ私とも手繋げるよね?」

男「それは…」

つかさ「ダメなの?こなちゃんとはよくて私はダメなの?!」

男「つかさっ!…分かったよ、手繋いで帰ろう?もう暗いからさ。」

つかさ「………うんっ!」

つかさが俺の左手に指を絡めてきた。
俺達は柊家までの道を歩き出した。
561 :病み猫 :2008/08/01(金) 21:00:09.74 ID:LQ653g60
いつだったか、つかさと一緒に勉強した日にこうしてつかさの手を引いて歩いたことがあった。
あの時はつかさは怖がっていた。
暗闇と『おばけ』に。
でも今怖がっているのは俺だ。
俺の手を、まるで何があっても離さないように握るつかさと……
 
「おとこ」
 
振り返ると、そこにはついさっき別れたばかりの顔とはちがう、表情のない表情を浮かべたこなたがいた。
柊家はもう目の前だった。

こなた「おとこ」

男「…こな」
つかさ「お土産は要らないよ?」

男「つかさっ!」

こなた「男は…テキなの?」

男「こなたっ!ちがうっ!!」

こなた「男は…男だけは…私のミカタだと思ってた…」

つかさ「じゃあね、男君。送ってくれてありがとう。」

つかさは笑顔で家に入っていった。
562 :病み猫 :2008/08/01(金) 21:01:33.67 ID:LQ653g60
男「こなた…」

こなた「………」

男「違うんだ…つかさは…」

こなた「…何が違うの?別にいいんだよ?男が誰かと手繋ぐのは男の自由だよ?」

男「でも俺は…お前のこと…!」

こなた「…かがみんから聞いたんだ。つかさは男の事好きなんだってさー。いやーさすが男!私が見込んだギャルゲの主人公なだけあるね!」

男「こなた…待てよ…」

こなた「でさーかがみんも男の事好きだったんだよ?」

男「かがみに…聞いたのか…?」

こなた「私は攻略対象外だっだみたいだよーあはは…」

男「そんなこと無い!俺は…!」

こなた「テキばっかだ。…私の周りはテキばっかだ…!テキは倒さなきゃ!倒さなきゃ!!」

男「こなたっ!!」

そう言うとこなたはものすごいスピードで駆け出した。
追いかけても、俺の足じゃ追いつけなかった…
 
 
…そして次の日。
こなたは学校に来なかった。
俺一人ではもう、こなたを、かがみを、つかさを、救うことは出来ないと思った。
 
(重要分岐D表)
>>+5
@―――俺はみゆきさんに全てを打ち明け、相談することにした。
A―――俺は黒井先生に全てを打ち明け、相談することにした。
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 21:26:50.70 ID:3LWWaBwo
kskですよ
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 22:14:48.41 ID:3LWWaBwo
ksk
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/01(金) 22:44:20.83 ID:ioEv7mU0
ここで華麗に踏み台
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/01(金) 22:59:17.35 ID:3LWWaBwo
俺に構わず先にいけぇぇぇぇ




安価なら1ね!
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/02(土) 00:01:23.56 ID:jDHG3wEo
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/02(土) 00:02:27.85 ID:ERqSOPk0
>>567は偽者だ!2だ2を選べ!
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/02(土) 00:08:43.79 ID:jDHG3wEo
惨劇がほしいのだよ!
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/02(土) 12:24:04.74 ID:PQVR/MAO
なんか、このスレみてつかさが怖くなった
571 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:05:26.59 ID:sw18DMc0
それでは投下を開始します。
572 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:07:32.71 ID:sw18DMc0
俺はみゆきさんに全てを打ち明け、相談することにした。
何よりみゆきさんの誤解も解かなきゃいけないと思ったけど、俺の心は昨日決まっていた。

―――こなたがまた明るくなって、かがみが帰ってきて、つかさと話して納得させることができたら…俺はこなたに言う。

でも俺一人じゃ多分無理だ。
巻き込みたくなかったけど、みゆきさんに相談しよう。
それにみゆきさんは天然なとこがあって、意識せずにトラブルを産んでる気がする。

放課後。
俺はみゆきさんを呼び出した。

男「みゆきさん、ちょっと相談したいことがあるんだ。」

みゆき「え?ええ…いいですけど。えと…どんなお話ですか?」

男「…こなたの事だよ。」

みゆき「あ…そう言えば今日はお休みでしたよね?…何かあったんですか?」

男「うん…ケンカしたんだ」

みゆき「えっ?!…そうだったんですか。」

男「うん…そのことでちょっとみゆきさんに相談したくてさ…」

みゆき「…分かりました。あの、男さんが嫌でなければうちで話しませんか?」

男「行って平気なの?」

みゆき「大丈夫ですよ。」
573 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:08:54.32 ID:sw18DMc0
電車に揺られ、みゆきさん最寄りの駅に着いた。改めて考えるとみゆきさんの実家は俺やこなたの昔の家に近い。

男「あのさ、みゆきさん。」

みゆき「はい?」

男「俺とかこなたの昔の家さ、みゆきさんの家にすごい近かったんだね。」

みゆき「…そうなんですか?」

男「うん、昨日こなたと歩いてたのも、デートとかじゃなくて久しぶりに地元見に来たんだよ。」
みゆき「そうなんですか。すごい偶然ですね。」

男「うん。みゆきさん家の病院も俺は多分来たこと無いけど、こなたは何となく記憶あるみたいな事言ってたな。」

みゆき「そう…ですか。」

男「あ…一応言っておくけど俺こなたと付き合ってないからね。」

みゆき「でも…その…手を繋いで…」

男「あ…あれはなんかそんな雰囲気になっただけで、俺達まだ付き合ってないから!」

みゆき「本当ですか?」

男「本当です。」
574 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:10:25.39 ID:sw18DMc0
みゆきさんの家に着いた。

男「お邪魔します。」

みゆき「どうぞ、上がってください。」

男「あ、うん。誰もいないの?」

みゆき「そうみたいですね。」

みゆきさんに案内されて、みゆきさんの部屋に通された。
みゆきさんは紅茶とお菓子を持って来て座った。

みゆき「それで…泉さんがどうしたんですか?」

男「うん…実はさ…こなたの事だけじゃないんだけどさ…」

みゆき「はい…。」

男「ゴールデンウイーク明けた後かな…?まず、こなたに…その…告白された…。」

みゆき「…。」

男「でも俺まだ自分の気持ちが分からなくて、考えさせてくれって言ったんだ。」

みゆき「…。」

男「それで、そうこうしてるうちに次はつかさに告白された…。」

みゆき「…。」
意外にもみゆきさんは落ち着いた表情で話を聞いている。

男「…さらに今度はかがみだ…。」

みゆき「…男さんはそれで悩んでいたんですね?」

男「うん…。」
575 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:11:34.01 ID:sw18DMc0
みゆき「それで結局男さんは誰を……?」

男「まだ誰にも返事してない。」

みゆき「…。」

男「そうこうしてるうちに三人はお互いの気持ちに気付いたみたいなんだ。なんだか最近ずっと険悪で…。」

みゆき「…。」

男「そして…かがみが行方不明になった。」

みゆき「…男さんは…つかささんや泉さんを疑っているんですか?」

男「いや!そうじゃない!!ただ何か関わっているんじゃないかって…少なくともこなたは何か知ってるみたいだし…」

みゆき「泉さんが…?」

男「うん…きのうも何となく様子が変だった。」

みゆき「そう…ですか。」

男「みゆきさんにさ…お願いがあるんだ。」

みゆき「はい?」

男「つかさに、こなたと俺のこと言うのはやめてくれないかな?」

みゆき「えっ?」

男「昨日そのことでつかさに問い詰められて、それでつかさと一緒のとこをこなたに見られて、ケンカになった。」
576 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:13:03.10 ID:sw18DMc0
みゆき「そうだったんですか…申し訳ありませんでした。」

男「とりあえずさ…こなたと仲直りできたらかがみを本気で捜さなけりゃいけないとおもうんだ…みゆきさんも協力してね。」

みゆき「そうですね……その…男さんは…結局誰を選ぶんですか?」

男「俺は………やっぱりこなたが好きだ…。でもまだ言えない。みゆきさんもこの事は誰にも言わないで。」

みゆきさんはメガネを外すと紅茶を飲んだ。
俺もつられて紅茶を飲み干した。
俺が紅茶を飲んだのを見届けると、みゆきさんは静かに話し始めた。


みゆき「そうですか…それは残念です。」

男「…へ?」

みゆき「私の予想ではかがみさんが始めに動くと思っていました。」

男「何…が…?」

みゆきさんは構わず続けた。

みゆき「男さんはかがみさんと付き合えばよかったんですよ。かがみさんが男さんを好きなのは、男さんと泉さんが秋葉腹へ遊びに行っている時、一緒に勉強をしていて気付きましたし。」

男「みゆき…さん?」

みゆき「なのにかがみさんは身を引いてしまった…。私も何度か、かがみさんが男さんを意識するように仕向けたんですが泉さんとの友情が勝ってしまったようですね。」

男「何…言ってるんだ?」

みゆき「あるいはつかささんでも良かったんですけどね。」
577 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:15:10.43 ID:sw18DMc0
みゆきさんは続ける。

みゆき「つかささんも男さんが好きでした。つかささんの性格からして男さんのような人に憧れるのは予想の範囲内でしたが、つかささんの方から男さんをデートに誘ったのはうれしい誤算でした。」

男「………」

みゆき「みなさんでゲームをした時など何度かつかささんの嫉妬感を煽ってみたのは成功したようですね。」

男「みゆきさん…君は…?」

みゆき「以前泉さんが風邪で休んだときありましたよね?あの時泉さんは失恋したと勘違いして自暴自棄気味になっていました。」

男「え…?」

みゆき「結果的にそうなるのは願ってもないことなのですが、あの時点では時期が悪かったんです。」

男「…時期?」

みゆき「少なくともあの時は男さんは誰とも付き合っていない様に見えました。泉さんがそれに気付けば泉さんは思い切った行動に出るかもしれない。…そして余計な事を言うかもしれない。」

男「余計な…事?」

みゆき「男さんは知らなくていい、いえ、知ってはいけないことです。」

男「…?」

みゆき「そう言う訳で不本意ながらあの時は泉さんの沈んだ気持ちを元に戻すことに努めました。」

男「…テストの…ノートの事か?」

みゆき「それはオマケです。ノートの中に手紙を忍ばせました。」
578 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:17:45.31 ID:sw18DMc0
男「手紙?」

みゆき「簡単に言えば励ましのお手紙ですよ。………しかし結果的にはそれが泉さんに告白を決意させてしまったのかもしれません。完全に私のミスでした。」

男「みゆきさん…君は一体何がしたいんだ…?」

みゆき「あなたと…泉さんが親密になられては困るんですよ。」

男「なんで…」
俺は妙な脱力感におそわれた。

みゆき「うふふふ。それを知る必要は有りません。」

男「……みゆき…さん…?」

みゆき「古典的ですが……紅茶は美味しかったですか?やっと効いてきましたね。」

男「なにか…薬を…?」

みゆき「あなたが…泉さんを選ぶならやがて泉さんはあなたに喋ってしまうでしょう。……かがみさんに喋ってしまったように。」

男「なん……だって……?!」

みゆき「昨日の様子からして泉さんは思い出してしまったようですしね。」

男「…おま……え…!」

そこまで言うとみゆきさんはケータイを取り出してどこかに電話をし出した。

みゆき「私です…。やはり泉さんは気付いています。………はい。……はい、お願いします。かがみさんも含めて…………処理を。」

そこから先はもう聞こえなかった。
薬が俺の意識を遠い世界に連れ去った。
『逃げろ…!こなた…!!』
俺の最後の言葉はこなたの所まで届かなかった。 
 
みゆき「…やっと終わりそうです…お父さん。」 
【 BAD END 過去に囚われて 】
579 :病み猫 :2008/08/02(土) 20:19:33.77 ID:sw18DMc0
次回は一つ前のとこからロードします。
ちなみに一つ前の分岐は『重要分岐D』ではなく『重要分岐E』でしたね。
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/03(日) 01:25:55.35 ID:.T2.y9Qo
ぷークスクス
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/03(日) 13:49:02.31 ID:Ps/rsBg0
これはなんと言うみゆき・・・コワイヨママーン
582 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/04(月) 01:30:10.19 ID:MvC1.WI0
みゆきさんにならむしろ処理されたい俺は病気\(^O^)/

PC復活したんで投下逝きます。
583 :あなざー・すたー 54. 『疑心暗鬼は加速』する [saga]:2008/08/04(月) 01:33:01.59 ID:MvC1.WI0
「ダメだね、私…… こんなこと言って」

「え?」

「ゆきちゃんのこと、来ても来なくてもいいみたいな言い方して…… 来てくれたこなちゃんや男くんにも失礼だし……」

「いや、別に俺は……」

「お父さんがね、親しい人に連絡しなさいって言って。こんな時間に駆けつけてくれてありがとう。お姉ちゃんも喜んでると思う……」

 親しい…… か。

「俺、まだみんなと会って一ヶ月くらいだけど……?」

「ううん、会ってからの時間は短かったけど、お姉ちゃんも、私も……男くんのことお兄ちゃんみたいに思ってたから……」

 『お姉ちゃんも』か……

 かがみは、つかさちゃんにそんな風に言ってごまかしていたのかな?

 何も知らないつかさちゃんに対して、ひどく申し訳ない気持ちになった。

「本当はお姉ちゃんのクラスのお友達にも連絡しようとしたんだけど、連絡先がわからなくて…… ケータイは警察の人が持って行っちゃったし……」

「………」
584 :あなざー・すたー 54. 『疑心暗鬼は加速』する [saga]:2008/08/04(月) 01:35:10.14 ID:MvC1.WI0





「つかさ…… そろそろいいかい?」

 席を外していたかがみとつかさちゃんのご両親とお姉さんたちが戻ってきた。

 お父さんらしき人がつかさちゃんに声をかける。

 俺とこなたは帰ることにした。

 お通夜の予定と、警察から話しを聞かれることになるかもしれないということを伝えられ、それから『かがみはいいお友達に恵まれた』といったような言葉をかけられて、俺たちは霊安室をあとにした。

 病院の廊下を歩き、敷地を抜ける間お互いに何も話さなかった。
 
「じゃあ……」

「うん……」

 病院前でこなたと別れた俺は、ただでさえ小さいこなたのさらにしぼんだような後姿を見送った。

 そのあと、歩きながら携帯電話を取り出す。

 かける相手はもちろん、

 みゆきだ。



 トゥルルルルルルルル……
 トゥルルルルルルルル……
 トゥルルルルルルルル……
 トゥルルルルルルルル……

「……留守番サービスセンターへ接続します。」
 

 ピッ!
 
 くそっ!!
 
 どうしようもなく嫌な予感……

 一度芽生えた疑心暗鬼の心はなかなか消えてくれなかった。
585 :あなざー・すたー 54. 『疑心暗鬼は加速』する [saga]:2008/08/04(月) 01:37:18.60 ID:MvC1.WI0
 『許せない……』というみゆきの言葉を思い出す。
 
 それは俺の手の傷を見たときにみゆきが放った言葉……
 
 あの時のみゆきの目……

 あの時感じた、冷たい手で背中を撫でられたような悪寒……

 いやいや、落ち着け、俺! そんなことがあるはずない!
 
 みゆきが、みゆきが……
 


 ……かがみを殺したなんて!
 
 そんなことあるはずがない。
 
 何てことを考えているんだ、俺は!
 
 あの優しいみゆきが、そんなことッ!
 
 大体、今日はこれから俺とデートする予定じゃないか!

 そう、デート。

 でも、あのみゆきの言葉……

 『用事』
 『やり残した事』
 『なるべく今日中に』

 いやいやいやいやいや!

 全部ただの妄想だ!!

 俺のお茶目な想像力の産物だ!







「……留守番電話サービスに接続します」


 これで何度目だろう? 

 何度かけてもつながらない。
586 :あなざー・すたー 54. 『疑心暗鬼は加速』する [saga]:2008/08/04(月) 01:38:51.41 ID:MvC1.WI0
 一言だけでいい。

 一言だけ、みゆきの優しい声を聞けば、そんなことないんだって実感できるはずなんだ!

 でも…… つながらない。

 何でだ!?

 人を殺してしまって…… それどころじゃないから?

 ダメだ、悪いほう悪いほうへと考えてしまう。

 疑心暗鬼が加速する。

 何だ、これ?

 雛見沢症候群か!?

 L5か!?

 落ち着け、俺!!

 おはぎに針なんか入ってないんだ!
 
 喉を掻きむしっちゃダメなんだ!

 時報はもう嫌だッ!!

 






 ……頭がどうにかなりそうだった。
 
 俺はつながらない電話をかけ続けた。
 
 家に帰り着いたあとも……かけ続けた。
587 :あなざー・すたー 54. 『疑心暗鬼は加速』する [saga]:2008/08/04(月) 01:40:22.81 ID:MvC1.WI0
連絡網を引っ張り出してみゆきの自宅の電話にかけようかと思ったが、こんな時に限って見つからない。

こなたにでも聞こうと思ったそのときに、俺は、携帯がベッドの上で震えているのを視界の端に捉えていた。
588 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/04(月) 01:42:04.96 ID:MvC1.WI0
今日はここまでです。

明日の朝時間があればまた来るかもしれません。
589 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/04(月) 09:43:46.44 ID:MvC1.WI0
おはようございます。

あまり人がいないようですが、投下しときます。
590 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:44:48.21 ID:MvC1.WI0
「本日の関東地方は全域で日中雷を伴った激しい雨が予想され、大荒れのお天気になるでしょう。お出かけの際は傘をお持ちください」




 俺は傘を持って家を出た。

 普段学校に行くのと同じ時間に。

 でも向かう先は学校ではない。

 いつもの学校行きのバスには乗らない。

 目指すは最寄り駅。

 みゆきが待つ駅だ。

 外は雨雲が立ちこめていた。

 俺の気持ちを映したような鉛色の空。

 





 さっきの電話。

 みゆきからの電話。

 俺から再三かけても一向に出なかったが、みゆきの方から電話がかかってきた。
591 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:46:06.33 ID:MvC1.WI0
『おはようございます。男さん、もう起きてらっしゃいました?』

『……ああ』

『うふふ、まるで寝起きのような声ですね。ホントは寝てらっしゃたんではないですか?』

『なあ、みゆき……』

『はい? どうされました?』

『……いや、なんでもない。今日どこに行く?』

『そうですね、今日は雨らしいので、ショッピングモールでお買い物などいかがでしょう?駅で待ち合わせにしませんか?』

『わかった。じゃ、あとで』

『はい。うふふ、楽しみです。では、のちほど』




 ……みゆきの声は明るかった。

 不自然さすら感じた。

 つかさちゃんはみゆきにも電話を入れたと言っていた。

 着信が残っているはずだが、みゆきはかけ直してないのか?

 かがみのこと何も聞いていないのか?

 ……いや、

 逆に…… 知っていたとしたら?

 かがみがもういないのを知ってるからこそ、あんなに明るい声を……!?

 いや! 落ち着け、俺! それはいくらなんでも考えすぎだ!

 会って確かめればわかることだ!

 そう、会って確かめれば……
592 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:47:06.76 ID:MvC1.WI0







 鉛色の空。

 今にも雨粒が落ちてきそうなその空の下、俺はみゆきと待ち合わせした駅へと向かった。

「あ、おとこさん。おはようございます!」

「おはよう、みゆき……」

 まだ午前中だというのに薄暗く、灰色がかった駅前の風景において、まるでみゆきの周りだけが鮮やかな色を放っているように見える。

 みゆきのその明るさが、どうしても不自然に見えてしまう。

「雨が降り出さなくて良かったですね。今のうちにショッピングモールへ行きま――」

「みゆき!」

「はい? 何でしょう?」

「あの、ちょっと話があるんだけど……」

「お話…… ですか?」

「あの、どこか落ち着ける場所に行きたいんだけど……」

「え!? お話なら歩きながらでも……」

「大事な話なんだ! しかも、あんまり人に聞かれたくない話……」

「で、でも…… 私、ショッピングに……」
 
 みゆきはかがみの死を知っているような、少なくとも悲しんでいるような様子ではなかった。

「頼む。来てくれ」
 
 俺は公園のほうへとみゆきを促す。

「……わかりました」
593 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:48:49.47 ID:MvC1.WI0




 公園のベンチに座った時、とうとう雨が降り出した。

 今日の雨は激しくなるって朝の天気予報で言っていた。

 みんなそれを知ってか知らずか、公園にはほとんど人がいない。
 
 俺は、ベンチに座ったまま傘を差す。

 みゆきも傘を持っていたが、俺のもって来た男物の大き目の傘にみゆきと二人で入ることにした。

「雨の公園というのも風情があるものですね。しかも相合傘だなんて……」

 さっきまで渋っていたみゆきだったが、公園に来ると妙に嬉しそうになった。

 風情、ね……

 だが今はそんなものをのんびり感じている余裕なんてない。

「男さん、それでお話というのは……?」
 
 みゆきはなお明るい様子だ。

 今日のデートのことで頭がいっぱいといった感じだろうか?

 その浮かれた様子が、みゆきが普段あまり見せないそんな様子が、俺の不信感を増大させていく。

「かがみのことなんだけど……」

「え……?」
 
 みゆきの表情が一変した。

 怒ったようでもない。悲しんでいるようでもない。

 静かな、でも冷たい表情に。

 雨が強くなってきた。
594 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:49:46.94 ID:MvC1.WI0
「また、かがみさんですか? まだ、かがみさんですか?」

 また。

 まだ。

「そんなにかがみさんのことが気になるんですか? せっかくこうして朝から男さんと会えて、相合傘もして…… 幸せな気分だったのに。まだ、かがみさんが男さんの中で…… 大体かがみさんは男さんにケガまでさせたんですよ!?」
 
 みゆきは泣き出しそうだった。

 普段の俺なら慰めただろうが、今回はそれどころじゃなかった。

 『また』『まだ』『かがみさん』……
 
 みゆきの発した言葉の切れ端が俺の中でぐるぐる回る。

 『マタ』『マダ』『カガミサン』……
 
 殺したのに…… また?
 殺したのに…… まだ?
 殺したのに…… かがみさんを。

 いや、落ち着け。

 まだ決め付けるのは早い。

 早過ぎる。

 こんなのは妄想だ。

 確認をとればいいだけなんだ。

 そんなことないよ、っていう確認を……
595 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:50:53.70 ID:MvC1.WI0
「みゆき、落ち着いて……」
 
 俺も落ち着け!

「みゆきは聞いてないのか?」
 
 あるいは聞く必要もないのか?

「……? 何をですか?」

「………かがみが ……死んだこと」

「……ッ!」
 
 一瞬だった。

 ほんの一瞬だけ、みゆきの顔が引きつった。

 ように見えた。

 驚いたのか?

 知らなかったのか?

 いや……

 俺には、みゆきの顔が……

 笑うがごとく引きつったように見えた。

 笑うがごとく。





『ええ、ちゃんと殺しましたよ』
『男さんのために』





 そんな声が聞こえた気がして、俺は吐き気がした。
596 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:52:06.74 ID:MvC1.WI0
「今朝、男さんからもつかささんからも何度か着信が入っていましたけれど、そのことを伝えるために?」
 
 一瞬で表情を落ち着かせたみゆきが言った。
 
 まるで、きちんと表情を調節したかのようだった。
 
 淡々とした表情。

 冷たくすらある眼。
 
 それは、泣き崩れていたこなたや、憔悴しきったつかさちゃんとはあまりに違う反応。
 
 悲しくないのか?

 気丈に振舞ってるだけなのか?

 それとも――
 
 ――自分がやったから?
 
「そ、そうだよ。俺にもつかさちゃんから連絡があって…… つかさちゃんはみゆきにも連絡したけど、つながらないって……」

「そうですか…… かがみさんが。お気の毒に……」

 『お気の毒に』 ……本心なのか?

「それで男さんは、今朝は様子がおかしかったんですね? なんだか沈んでらっしゃるようでしたけど?」

「え!? あ、ああ…… そりゃ、だって……」

「男さんは悲しいんですか?」

「あ、当たり前だろ!」

「私とのデートを楽しめないくらいに悲しいんですか?」

「そ、そんなの当たりm――」

「やっぱり邪魔をするんですね、かがみさんは……」

 ため息混じりに言った。
597 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:55:15.24 ID:MvC1.WI0
「かがみさんのせいで、男さんはいつも私のことをちゃんと見てくれません。男さんと一つになれたことで、ようやく男さんは私のことを、他のことに煩わされることなく、見てくださると思っていましたけれど。そうやって男さんの心の中にいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも居座っているんですね」

 眼はどこか虚ろで、春の雨に濡れる公園を見ている。

「でも、それはいいんです…… いえ、正直に言うとよくはないんですけど。でも、男さんがかがみさんとも仲良くするようにと仰いましたし、私の魅力が不足しているというのもありますし…… そこはまだギリギリ許容範囲内でした。でも…… でもですよ?」

 みゆきは突然首をぐるりと動かしこちらを向く。

 その顔に張り付いてた笑顔は不自然を通り越して、痛々しくさえあるものだった。

 生まれて一度も笑ったことのない人間が、無理やり笑う練習をさせられたらこんな感じだろうか……?

 不自然に歪んだ口元が次の言葉を繋ぐ。

「男さんを傷つけるなんて完全に許容範囲外です。到底容認できません。論外中の論外です。まったく何を考えていらっしゃったんでしょうね? かがみさんだって男さんのこと好きだったでしょうに…… もしかして、男さんに選ばれなかったから逆恨み? ホント怖いですよね〜」

「違う! かがみはそんなんじゃ――」

「安心してください、男さん。これからは私がそばにいますから。それにかがみさんももうこんなことはできませんよ、うふふ。だって――」

 次の瞬間、周囲に閃光が走ったのは気のせいではなかった。

「――昨日ちゃんと手を打っておきましたから」

 その言葉と落雷の轟音が重なった時、俺の握っていた傘が、手から滑り落ちていた。

 大粒の雨を降らせる鉛色の空の下、みゆきのそれは、決定的な一言だった。
598 :あなざー・すたー 55.鉛色の空の下で [saga]:2008/08/04(月) 09:56:02.49 ID:MvC1.WI0





俺たちに降り注ぐ雨。

みゆきのピンクの髪がみるみる雨に打たれて濡れていく様子だけがかろうじて俺の目に映っていた。
599 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/04(月) 09:57:23.40 ID:MvC1.WI0
今回ここまでです。夜もまた来ると思います。

……やべえ遅刻遅刻ww
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 10:08:42.82 ID:v6b0TMgo
GJ

投下もいいがリアル生活の方を大事にするんだ!
601 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:16:53.44 ID:ddOHlLQ0
あなざー・すたーさん乙です!
どうやらクライマックスが近づいていますね。
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 19:17:41.03 ID:sGqjamg0
酸素ー
フラグ回収時ですね、わかります
603 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:18:25.91 ID:ddOHlLQ0
こちらもまた研究室が忙しくなり昨日は投下できませんでした。
申し訳有りません。

それでは今日の投下です。
604 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:19:20.29 ID:ddOHlLQ0
俺は全てを黒井先生に打ち明け、相談する事にした。
それに黒井先生のあの言葉…
『泉はやめときーや』
…先生は何か知っている。そう直感が告げた。
 
放課後。
俺はHRの後黒井先生を呼び止めた。

男「先生、ちょっといいですか?」

黒井先生「なんやー?」

男「ちょっと相談したいことがあります。お時間大丈夫ですか?」

黒井先生「……………泉の事か?」

男「えっ?!……………そうです。」

黒井先生「30分待ち。仕事片づけてくるわー。」

男「…はい。」

俺はやはり黒井先生が何かを知っているのだろう事を確信した。

30分後。
黒井先生が職員室から出てきた。

黒井先生「さ、行こかー」

俺は黒井先生の車に乗せてもらった。

男「あの、どこに行くんですか?」

黒井先生「うちや。」
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 19:20:36.06 ID:sGqjamg0
監禁!監禁!
606 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:20:37.42 ID:ddOHlLQ0
男「黒井先生の…家ですか?」

黒井先生「そうやで。」

男「あの、悪いですよ突然。」

黒井先生「……別に大丈夫やで。」

その後黒井先生は無言になって車を運転した。

郊外のマンション。
黒井先生の部屋だ。

男「お…お邪魔します。」

黒井先生「おー。なんか飲むかー?」

男「あ…いえお構いなく。」

俺はテーブルの前のクッションに座った。


黒井先生は麦茶を持って来た。自分の分は歩きながら飲んでいる。

黒井先生「ちょっと着替えるから待っとってやー。」

そう言うと黒井先生はスーツを脱ぎ始めた。

男「ちょっ!!!」

黒井先生「…」

素早く先生に背を向けたが一瞬見えた。
…黒でした。

黒井先生「どうしたんや?」

黒井先生はシャツに着替えてこちら側に来た。

頭の中のこなた『フラグ…。』

男「うるさい。違うから。」
607 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:21:34.56 ID:ddOHlLQ0
テーブルを挟んで先生と向かい合った。

黒井先生がじっとこっちを見つめながら言う。

黒井先生「…で、どうしたんや?」

男「…」
男「…」
男「実は…。」

俺はこなたに、つかさに、かがみに告白され、そして三人が険悪になってしまった事、そのタイミングでかがみが失踪した事を話した。

黒井先生「で…男は泉か柊(つかさ)を疑っとるんか?」

男「違います!ただ…二人が何か関係しているような気がするんです。」

黒井先生「男は違うんか?」

男「へ?」

黒井先生「その話だけ聞くと男も容疑者の可能性アリやで?」

男「ちっ…違います!俺は…!!」

黒井先生「あー分かっとる!冗談や!!」

男「…え?」

黒井先生「男がそんなことする子じゃ無いことはうちが一番分かっとる。」

男「…先生…。」

黒井先生「ただな…一つだけ確認しておきたいことがあんねん。」

男「なんでしょう…?」

黒井先生「男は誰を選ぶんや?」
608 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:22:43.58 ID:ddOHlLQ0
男「そ…その事は必要なんですか?」

黒井先生「…そこが一番大事なんや。」

男「…」
男「…こなたです。あいつはオタクでバカでつるぺただけど、俺にはあいつとの大切な思い出があるんです!」

俺がそう言うと黒井先生は静かに立ち上がってこちらに歩いてきた。
そして俺の後ろにひざを突いて座ると、後ろから俺を抱きしめた。

男「!!!」

黒井先生「あー…やっぱこうなると思っとったわー。」

男「え??!!」

黒井先生「にしても幼なじみに『つるぺた』は酷いんやないかー?」

男「…事実ですし。……ってあれ?…おさな…なじみ…?」

黒井先生「ホントは男だけは巻き込みたくなかったんやで…?…なのにやっぱりガンコやなー。昔と同じやな。」

男「…巻き込み…?どういう事ですか?」


黒井先生「…もう少しこうさせててや…ずっとこうしたかったんやで…?」

男「…」

不思議と興奮はしなかった。
嫌な感じもしなかった。
ただ、何だか懐かしい感じがした…。

10分程して先生はしゃべり始めた。
609 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:24:02.40 ID:ddOHlLQ0
黒井先生「…ええよ。応援したるわ。男と泉の事。ただな、泉の事好きなら泉の全てを守ってやる覚悟しーや。」

男「…そのつもりです。」

黒井先生「全く…男らしくなったなー…」

男「先生は…誰なんですか?なんで色々と知っているんですか?」

黒井先生「まだ言えん…。全て終わったら話すわ。…今日男はうちに世界史の質問をしに来た…ええな?」

男「…はい。」

黒井先生「…そうじろうさんのとこへ行きや。」

男「え?」

黒井先生「泉の父親や。」

男「こなたの父親…なぜ…?」

黒井先生「えーから行って全てを教えてもらい。うちに言われたってな。」

男「…わかりました。」

俺が立ち上がり黒井先生の家を後にする時、黒井先生は小さな声で言った。

黒井先生「…えーか…高翌良には気をつけるんや。」

男「えっ?!」

黒井先生はドアを閉めた。
先生が渡してくれた地図とタクシー代を片手に、俺はタクシーに乗ってこなたの家に直接向かった。
 
黒井先生は男が出て行くと小さな声で呟いた。
「あの子を…守ってください…。」
610 :病み猫 :2008/08/04(月) 19:25:57.44 ID:ddOHlLQ0
今日はこれで終わりです。
私の方も佳境となってきました。
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 19:30:14.64 ID:sGqjamg0
酸素っそ
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2008/08/04(月) 19:33:17.74 ID:33rJ.w.0
乙カレー

メル欄にsagaって入れたら高翌良が高良になるよ
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 19:42:56.69 ID:kKrBTzQo
両作品ともクライマックスでdkdk
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 20:06:21.78 ID:sGqjamg0
2つが終わったら次は誰が書くんだろうか?
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/04(月) 20:20:24.54 ID:v6b0TMgo
同じ作者が新しく違う話を作るかもわからんぜ?
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/05(火) 00:40:30.26 ID:NyTw2Lw0
>>615
プレッシャー与えてどうするよ?
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/05(火) 13:54:03.18 ID:ajW.4Dg0
ダブルクライマックスwwktk
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/05(火) 19:24:09.60 ID:Hl0bz.c0
>>617
夏だからsageないと厨が沸くぞ
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/05(火) 21:41:07.81 ID:qtCZZYMo
漏れら極悪非道のageブラザーズ!
今日もネタもないのにageてやるからな!
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧_∧   ∧_∧    age
 (・∀・∩)(∩・∀・)    age
 (つ  丿 (   ⊂) age
  ( ヽノ   ヽ/  )   age
  し(_)   (_)J
620 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/05(火) 22:49:05.54 ID:mvK3GsQ0
病み猫さん乙です!まさかそうじろうが鍵を握っているなんて…… ただのロリコンじゃなかったのか!?

>>615
俺の文才と生産力じゃ、ちょっとむりぽですorz
でもきっと新たな書き手さんが現れるんじゃないでしょうか?
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/05(火) 22:50:30.82 ID:djeqFmYo
んー?
622 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/05(火) 22:50:36.72 ID:mvK3GsQ0
では今日も投下逝きます。





すみません、ちょっとてす

高良
鮫島
623 :あなざー・すたー 56.雨? それとも…… [saga sage]:2008/08/05(火) 22:52:52.68 ID:mvK3GsQ0
「手を打ったって……!? みゆき、まさか…… やっぱり、かがみを!?」
 
 みゆきは答えなかった。
 
 代わりに、俺が落とした傘を拾い上げこちらに寄せてきた。

「風邪をひきますよ?」

 にこりと微笑む。

「質問に答えてくれッ!!」
 
 思わず怒鳴ってしまった。

 俺はベンチから立ち上がり、みゆきから距離をとる。

「かがみを殺したのかッ!? みゆきがッ!?」

「……もう、いいじゃないですか。いなくなった人のことなんて」

「どうして!? どうしてそんなことを!?」

「さっきも言った通りです。男さんを傷つけたのが許せませんでした。私の男さんを……」
 
 息が詰まりそうだった。

 みゆきに、怪我のことを正直に話すべきじゃなかった……

 激しい後悔が俺の血を逆流させる。

「あ、あれは事故みたいなもんで……!」

「事故ですか? でも事故だとしてもそこには加害者と被害者が存在します。かがみさんが加害者、ですよね? だから……」
 
 だから殺した!?
 
 そんな理由で!?
 
 友達を!?
624 :あなざー・すたー 56.雨? それとも…… [saga sage]:2008/08/05(火) 22:54:33.74 ID:mvK3GsQ0
 ……かがみは以前、俺に言った。みゆきのことを『何かほっとけない感じがあったのよ』と。
 
 中学時代にいじめられて、環境を変えるために都内から埼玉の陵桜学園に進学したみゆき。

 最初は友達なんて一人もいなかったに違いない。

 そんなみゆきに手を差し伸べたかがみ。

 そのかがみが、
 
 手を差し伸べられたみゆきに!?

 しかも、その真ん中にいるのは…… 原因になったのは……

 俺!?

 膝が震えるのを感じた。

 口の中に胃液のすっぱさが込み上げてくる。

「そんな!! だからって…… そんな理由で友達を殺したのか!? かがみは大切な友達だったんだろ!? 地元の高校を避けて、陵桜に来て、それでも不安だったみゆきにできた最初の友達だったんだろ!?」

「最初の…… 友達?」

「そうさ! 俺もみゆきと同じだからわかる。陵桜に転入してきて、でも前の学校でのことが頭から離れなくて…… 『心機一転がんばるぞ!』なんて口では言ってても、不安で…… そんな時にこなたやつかさちゃんや白石、もちろんみゆきとかがみも、友達になってくれて、俺、マジで感謝してた!」

 多分、そんなの普通のことだけど、俺やみゆきにとってはその『普通』が『特別』だったんだ。
625 :あなざー・すたー 56.雨? それとも…… [saga sage]:2008/08/05(火) 22:55:37.09 ID:mvK3GsQ0
「みゆきだってかがみに感謝してたはずだ! 壁を作っちゃうだなんて言ってたけど、うまく伝えられなかっただけで本当は思ってたはずだ!! かがみのこと大事な友達だって!!」

「………」
 
 みゆきは何も答えない。
 
 友達の死を知ったというのに、冷たく、感情のこもっていない眼。
 
 俺は走って逃げ出したい衝動を抑え、その眼をまっすぐ見据えた。





 
 一瞬の沈黙。

 そしてそれは唐突に途切れる。

「何を仰っているんですか?」

 みゆきが小さな声で言った。
626 :あなざー・すたー 56.雨? それとも…… [saga sage]:2008/08/05(火) 22:57:00.92 ID:mvK3GsQ0
「かがみさんは邪魔者。男さんが私を見てくれないのはかがみさんのせい。でも、我慢しました。男さん言いつけに従って。でもかがみさんは男さんに怪我を負わせる始末。そんな人が大事なお友達?」
 
 静かなプレッシャーを放つ声。

「男さんは本当にお優しいんですね。本当に」
 
 雨が、

「私…… もっとその優しさを私の方に向けてほしかったんです」

 ますます、

「かがみさんがいなくなって、私『これで男さんは私のことだけ見てくれる』そう思いました。本当に、本当に嬉しかった」

 激しさを増す。

「これで男さんの優しさは私だけのもの。そうなるはずなのに……」

 いや、これは…… 雨か?

 違う、雨に打たれているのは立ち上がっている俺だけだ。

 みゆきはベンチに座って傘を差している。

 じゃあ、みゆきの頬を伝うのは……








「……どうして? どうして、ますます男さんの優しさから遠ざかってしまうんでしょう……?」
 
 ……みゆきの目からは、降りしきる雨に負けないくらいの大粒の涙がこぼれていた。




「どうして……? どうして……?」
627 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/05(火) 22:59:28.05 ID:mvK3GsQ0
今日はここまでです。

今回やたらくさいセリフが多いですが、ご了承ください。
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/06(水) 09:23:38.56 ID:LfPrW.Io
みゆきさんの言っていることのほうが正しいです
おかしいのは男くんのほうです
629 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/06(水) 23:51:23.16 ID:6c8a/zk0
>>628
二人の考えの対比をちょっと意識してみました。どっちが正しいかと聞かれれば、俺も…

というわけで、続き逝きます。
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/06(水) 23:53:49.34 ID:2Eg9t2Mo
わはー
631 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:04:02.84 ID:sz4gEzM0
「どうしてなんですか……? どうすればいいんですか……?」

 みゆきはベンチから立ち上がり、俺のほうへ近づいてくる。

 傘が手から滑り落ち、再びその髪が雨にさらされる。

 頬を流れる涙が、降り注ぐ雨と同化した。

「どうすれば、私は男さんの優しさに近づけるんですか? 近づこうとすればするほど遠ざかっていくように感じるんです。もがいても、もがいても…… あがいても、あがいても……」

 すがるような目つきで。
 
 おぼつかない足取りで。

「私…… 私…… どうしたらいいんでしょうか!?」

 みゆきはゆっくり迫ってくる。

「教えていただければ、その通りにしますから…… 悪いところは全部直しますから……」

 俺は動けない。

 ゆっくりと迫ってくるみゆき。

 その手が俺の肩に触れる。







 パシン!

 俺は、脊髄反射的にその手を払っていた。
632 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:06:06.95 ID:sz4gEzM0
「男さん……!?」

 見開かれた眼。

 収縮する瞳孔。

 震える口元。

 悲壮感が漂うみゆきの表情。

 すがるような視線は依然として俺に向けられている。

「ふ、ふざけんな…… どんな理由があったって…… 人殺しなんてッ!」

 反射的に出た言葉に、俺は自分でも驚いた。

 俺は……

 俺は……

 耐えられなくなって、その場から走り出した。

 雨の中を。

 後ろでみゆきが何か言ったのが聞こえたが、すぐ雨の音でかき消された。







 顔に当たって弾ける雨粒。

 この雨のせいだろうか? 広い公園なのにも関らず、どこまで走っても人はいない。
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 00:07:55.84 ID:wAXcaIAO
ワクワク
634 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:08:18.35 ID:sz4gEzM0
 立ち止まって振り返る。

 すぐ後ろにみゆき、


 はいなかった。

 ほっとしたと同時に、がっかりしたような気分になった。

 がっかり?

 なんだよ? 追いかけて来てほしかったのかよ?

 じゃあ、なんで逃げた?

 怖かったのか?

 そう、怖かったんだ。

 だってあいつはかがみを……

 かがみを……

 人殺しなんだ……

 すがるような悲壮感に満ちたあの顔は、かがみを殺すときには笑っていたんだろうか?

 そんな考えが頭ん中で湧いて出てきて……

 どうしようもなく怖くなった。

 だから逃げた。

 ……みゆきがあんなふうになったのは俺のせいだってのに。

 俺が、もっと…… もっと…… みゆきのことをちゃんと見ていれば……
635 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:09:42.13 ID:sz4gEzM0
 そう、俺のせいだ。

 そうだ、俺はみゆきが怖かったから…… それだけで逃げたんじゃない。

 みゆきをちゃんと見てやれなかったせいでこんなことになった。

 その責任が自分にあるのが怖くなって逃げたんだ。

 自分が怖くなって。

 クソだな、俺は……

 クソッ!!

 クソッ!!!!

 クソッ!!!!!!

 俺が、ちゃんとみゆきのことを見ていれば……

 見てあげられてたら……

 見て……

 見て……







 見て…… あげなきゃ……!

 そうだ、逃げちゃダメだ。

 今だって、あいつを見ててあげなきゃ……
636 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:11:14.83 ID:sz4gEzM0
 俺が…… 行かなきゃ……

 だって俺はみゆきの…… 彼氏。

 自分でそれを選んだんだから。

 行ったところで何かが変わるわけじゃないかもしれないけど

 でも、それでも……




 俺は、大きく深呼吸をした。

 若干、足が震えている。

「行かなきゃダメだ!」

 震えを、迷いを、取り去るために自分に言い聞かせた。

 俺は今走ってきた道を走り出そうとした。

 そのとき――、







 ――パシャン。

 不意に水溜りを踏む音がした。

 我に返る。

 俺の前に立つ人影。
637 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:13:15.27 ID:sz4gEzM0
 傘を差している。

 思わず身を硬くした。

「み、みゆき?」

 いや、違う。

 差している傘で隠れているので、顔は見えなかったが、その傘も、来ている服もみゆきのものとは違う。

 無視してみゆきのところに戻ろうとする。

 しかしその人物は立ち塞がるように俺の前に立った。

「……!? なんスか!? 誰ですか? 悪いけど今それどころじゃないんだ!」

 俺はその人物を確認しようともせず、左側から脇をすり抜けようとした。

 すれ違うその瞬間。






 ズン!

 鈍い衝撃。

 背中側、左の腰の辺りに走る。

「?」

 地面が近づいてくる。

 バッシャッ!

 俺は地面に倒れていた。
638 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:16:01.00 ID:sz4gEzM0
 腰の辺りがやけに…… 熱い!?

 俺はとっさに体を起こそうとした。

 しかし、脚に力が入らず、ごろりと仰向けになっただけだった。

 傘の下からその人物を見上げる格好になる。

「え? あ、あんたは――」

 




 ドズン!!

 二度目の衝撃。

 ふと視線を衝撃が発生した地点付近に向けると、

 右の太ももにナイフが生えていた。

 って、

 ――え!?

 遅れてやってくる激痛。

 痛い。というより熱い。

 その時初めて、最初の衝撃は腰の辺りを刺されたときのものだったと気づいた。

「な!? あっ!? ええ!?」

 刺されたとわかると、痛みが倍増して押し寄せてきた。

 声にならない俺の声。

 身体が硬直して動かない。

 俺の腰と太ももにナイフを突き立てたその人物。

 俺の前にしゃがむ格好で俺の太ももにナイフを突き立てている。





「やっと一人になったな」
639 :あなざー・すたー 57.これは脚ですか?いいえナイフです。 [saga sage]:2008/08/07(木) 00:19:23.34 ID:sz4gEzM0
 その人物は小さく言った。

 同時にナイフを引き抜く。

 俺のズボンが一気に赤く染まる。

 一気に身体の硬直がとけ、言いようのない痛みが…… 走った。

「ぐがあああああああ!!!! いいいい、痛ってえ!!!!!!」

 悶絶。

 駆け巡る痛み。

 そこへ、追い討ちをかけるように再び突き立てられるナイフ。

 三度目の刃が脚にめり込む。

 激痛で頭が真っ白になりそうだった。











「さっきからお前が一人になるのを待ってたんだってヴぁ!」

「があああ……!!! うぐぅ……」

 ……特徴的な発音。
 
「く、日下部……さん……」

 俺はその人物をはっきりと認識し、睨み返す。

「あん? 気安く呼ぶなってヴぁ!」

 憎悪と狂気を宿した瞳がそこにはあった。
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 00:20:39.98 ID:R/0NqeYo
なん・・・だと・・・?
641 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/07(木) 00:22:18.04 ID:sz4gEzM0
今日はここまでです。

カオスな展開ですが、ひかないでくださいね…
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/07(木) 00:46:04.74 ID:9NNGkgAO
まさかのみさお登場www
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 11:48:53.76 ID:HQkAzW20
な、なんだってー!(AAry
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 14:04:25.61 ID:hiDMJho0
あなざー、てめぇ俺の嫁になんてことさせるんだ!このヴぉけ!
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 14:11:51.51 ID:R/0NqeYo
同意せざるをえないが・・・
俺の嫁だ。勘違いするな
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 14:34:11.59 ID:bJU0Tb6o
夏だから、ってわけでもなさそうだな
2次創作でこういうスレなんだから誰かがその役回りするのは当たり前だろうに・・・
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 15:55:56.71 ID:1ISF7Q.o
みさお・・!?
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 17:19:23.57 ID:dCt6pGoo
>>646
ネタにマジレスとな
649 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/07(木) 23:08:23.71 ID:sz4gEzM0
俺の中でのみさおの相対的評価が低いばっかりにこんな事態に…
全国のみさおのダンナ、ほんとにすみませんorz

ちなみに俺はみゆきさんの地位向上を訴えるとともに、あやのの地位向上も訴えております(`・ω・)=3
650 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/07(木) 23:10:45.33 ID:sz4gEzM0
とういうわけで今日の投下ですが、
この先もみさおの不遇(?)は続くので「それでも構わん!」という方のみお進みください。
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/07(木) 23:27:17.16 ID:dCt6pGoo
さぁはじまるザマスよ

いくでガンス

フンガー
652 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:27:52.19 ID:sz4gEzM0
「お前なんかに呼ばれたらあたしの名前が汚れちまう」

 そう言いながら、俺の脚からナイフを引き抜く。

 再びズボンが血で染まった。

「うぐああああああ!!」

「情けねえ声出すなよ。大丈夫だってヴぁ。てめえははまだ殺さないから……」

 再び立ち上がり俺を見下ろす。

「あたし言わなかったけ? 言ったよな? ひぃらぎを悲しませたらブッ飛ヴぁすって」
 
 まるで毛虫でも見るような目で俺を見る日下部さん。

 冷酷とも言える表情。

 目に光がない。

 あるのは炎。憎悪と狂気の炎。
 
 『てめえははまだ殺さないから……』

 ……殺す!?

 俺を!?

 なんで!?

 『ひぃらぎを悲しませたらブッ飛ヴぁす』

 かがみか!?

 俺はかがみの仇ってわけか!?

「ふ、ふふふ。ふふふふふふ。てめえが悪いんだ。てめえが……」

 俺は何とか立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
653 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:28:59.03 ID:sz4gEzM0
 足をじたばたさせていると、

「ダメだってヴぁ…… 立とうなんて考えちゃ……」

 引きつったような笑顔で、俺の左足の太ももにも刃を突き立てた。

「ぐがあああああぁぁぁぁ!」
 
 四回目。

 畜生!

 なんだってんだ!?
 
 やっぱり…… かがみのことか……?

 俺のせいで…… みゆきがおかしくなって…… それでかがみが……

 突き詰めれば、俺のせいだもんな……

 それで…… なのか?

 親友の仇を討ちに来たのか?

 でも…… なんか変だ。

 何かが。

 違和感。

 でも何が……?
 
 頭が回らない。
 
 情けない話だけど、恐怖のあまりちびっちまいそうだった。
654 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:30:11.76 ID:sz4gEzM0
「あ〜あ、汚ねえ声だなぁ? ひぃらぎの声はあんなに綺麗だったのに……」

 ナイフを俺の太ももから引き抜いて、いっそう邪悪に笑う。

 引き抜くときに、ご丁寧にナイフをグリグリしていきやがった。

「ああ、血も汚ったねえな。臭い臭い臭い臭い。ホント臭い血だな! あ〜、イライラする。あの綺麗だったひぃらぎの血とは大違いだってヴぁ!」

「………ッ!!」

 痛みで意識が飛びそうになる。

 でも、俺は意識を保った。



『ひぃらぎの声はあんなに綺麗だったのに……』
『あの綺麗だったひぃらぎの血とは大違いだってヴぁ!』



 その言葉が俺の意識を繋ぎとめた。

 回らない頭を無理やり回転させる。

  『ひぃらぎの声はあんなに綺麗だったのに……』
  『あの綺麗だったひぃらぎの血とは大違いだってヴぁ!』

 それって……!?

 その言い方じゃ、まるで……!?

 日下部さんのその言葉が意味することって……!?
655 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:31:20.50 ID:sz4gEzM0
「ちょ! ちょっと待ってくれ! なんなんだよ、日下部さん! あんたのその言い方だとまるで……」

 そう、まるで……

「……あんたが、かがみを殺したみたいじゃないか!?」

 でも、そんなことはあり得ない。

 だって、かがみはみゆきが……

「いーや。実際ひぃらぎを殺したのはお前だよ。お前とあのピンクわかめだ!」

 ピンクわかめ……?

 ……みゆきのことか?

「あたしはただ『送って』やっただけだってヴぁ! すでに壊れてたひぃらぎが、これ以上穢される前に! おかしくなる前に!綺麗なうちに!」

 『送って』やった!?

 くっそ! 意味がわかんねえ!

 殺したのは俺とみゆき。それは、まあ、わかる。

 でも『送った』ってなんだ?

 身体に走る鋭い痛みでまともに頭が働かない。

 日下部さんは、なおも俺にナイフを振り下ろそうとする。

 太ももに、腰に、と合計四ヶ所も刺しといて、これ以上どこを刺そうってんだ!?

 次はいよいよ心臓かッ……!?

 ……いや、待て。
656 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:33:05.29 ID:sz4gEzM0
「く、日下部さん! 確かあんたさっき『まだ殺さない』って言ったよな!? い、今から一体、何する気なんだ!?」

「決まってんだろ。ひぃらぎを壊したお前達に罰を与えんのさ。まずは動けないてめえの前で、あのピンクわかめを殺して、お前に死ぬほど後悔させてやる。ひぃらぎを壊したことを。でも、どうせお前もすぐ死ぬんだけどな! アハハハハハハハハハ!」

「……親友の敵討ちってわけか!?」

「親友以上だってヴぁ!」

「……!?」

「ホント、いつも思うぜ! どうして私は男に生まれてこなかったのか? ってな」

「……はぁ!?」

「私が男に生まれてさえすれヴぁ…… おっと、男っつってもてめえのことじゃねえからな!」

 おいおい、それって……

「男に生まれてさえすれヴぁ、てめえみたいな変な男に引っかかることもなく、ひぃらぎは私のものだったのに!」

 マジかよ……?

 いわゆる、『百合』ってやつか?

 三次元の世界でお目にかかるのは初めてだ……

 しかも、かなり一方的っぽい。
657 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:33:57.35 ID:sz4gEzM0
「だから私はひぃらぎを壊したお前らに罰を与えるんだ! それが私のジャスティスだってヴぁ!」

 ……かが×みさが私のジャスティスってか!?

「かわいそうなひぃらぎ…… お前らに傷つけられて、おかしくなっちまって、挙句の果てに、男! てめーに言いくるめられたみたいだしなッ!」

「は!? 言いくるめた? 確かに俺はかがみを傷つけはしたけど…… 言いくるめたりってのは、心当たりがないぞ!」

「とぼけんな! 私はひぃらぎに言ったんだ! ひぃらぎを傷つけたお前とピンクメガネに復讐してやるって! ひぃらぎのためにお前らのこと殺してやってもいいとも言った! そしたら、あいつなんていったと思う!?」

「な、なんて……!?」

「あいつ『私の大切な人と、その大切な人が彼女に選んだ人にそんなことしたら許さないから!』って言いやがったんだぜ?おかしいだろ!? 傷つけられて精神的に参ってたはずのひぃらぎがそんなこと言うなんて! ……お前が! お前が言いくるめたに決まってる!!!」

「かがみが…… そんなことを!? そ、そりゃ、いつの話だ!?」

「昨日だよ。昨日の夜だ」

「な……!? ちょっと! 待てよ! 昨日の夜って…… だってかがみは昨日の夜に……」

 殺された。

 みゆきに。

 ……のはず。
658 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:36:32.82 ID:sz4gEzM0
「……ふん、ひぃらぎはもうとっくに死んじまってたんだ! 私の知ってるひぃらぎは! 私の好きだったひぃらぎは!」

「……!?」

「そもそも、てめえが転入してきてからおかしくなったんだってヴぁ! せっかく、三年生になって、またひぃらぎと一緒のクラスになって…… ひぃらぎもあのちびっ子ばっかりじゃなくあたし達ともよく遊ぶようになってたのに! 新学期始まって一週間位したらてめえのことチラチラ気にするようになって……」
 
 俺のほうをナイフで指し示しながら言った。

「それで、ひぃらぎのやつ、こんなしょっぱいやつに告白なんかしやがって! 女子ならまだ許せるけど男子なんかに!」
 
 いや、それ逆だろ。
 
 百合は少なくとも三次元の世界ではマイノリティだ。

 頭が朦朧として、ツッコむのもしんどい。

「しかも、てめえはひぃらぎをフリやがった! そしてあんなピンクメガネとッ!」

「っていうか、なんであんた、そんな詳しく知ってんだ!? 確か、かがみは誰にも言ってないって……」

 そうだ、かがみは言った。

 今まで忘れていたが、ふいに頭の中に鮮明に甦る。

  『はあ!? あんた、バカァ?』

  『こなた相手じゃなくもこんなこと、誰にも言わないわよ! この私が、『告ったり』、『フラれたり』なんてこと……』

 そう、あの時はこなたには何も言ってないんだな〜 くらいにしか考えてなかったけど、『誰にも』ってことは、こなたに限らず文字通り誰にも言ってなかったってことになる。

 なのに、なんで知ってんだ!?

 俺の感じた違和感はここから来てたのだったと、今更ながら気がついた。

「ひぃらぎのことなら何でも知ってる」

 日下部さんはこともなげに言った。
659 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:38:08.88 ID:sz4gEzM0
「ストーカーかよ!?」
 
「あたし、ぜ〜んぶ見てたから。ひぃらぎがあんたに告った時も、あんたがひぃらぎを振った時も、そして昨日の夜も!」

 前にかがみと買い物に行ったところとか、かがみに告白されたところかを見られてたのか!?

 そう言えば、あの時、誰かにつけられていたような気がしないでもない。

 それに、そう言えばかがみに告られた次の日、日下部さんから電話がかかってきた。

 よく考えたら、あの電話もおかしい。

 かがみは誰にも言ってなかったはずなのに、なんでこの子からあんな電話がかかってきたんだ? って話だ。



 あの、校舎裏での三人のやり取りも、
 俺がかがみではなくみゆきを選んだあのやり取りも、
 みゆきを選んだくせにかがみとキスしたあのやり取りも、



 そして昨日の零崎かがみvs.なんちゃって戯言使い(男)も…… 見られてたのか!?
660 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:40:56.04 ID:sz4gEzM0
「それで、あたしがさぁ、『あの男もピンクメガネもあたしがぶっ殺してやるよ!』って言ったのに…… ひぃらぎのやつさ、あんたらのこと庇ってヴぁっかりで…… あたしのこと、おかしいとか言い始めて……」

 日下部さんは目を血走らせて続けた。

「正直、ひぃらぎがフラれたのは、あたしにとっては嬉しくもあったんだ。ひぃらぎを悲しませたのは許せないけど…… これでまた、ひぃらぎはあたしのところに帰ってくる、ってね。でも……」

 ゆっくりと続けた。

「……でも違った。帰ってきても、あんなひぃらぎはひぃらぎじゃない。あたしの好きだったひぃらぎじゃない。あたしのひぃらぎじゃない…… あんなひぃらぎいらない!!!」




「……だから、『送って』やったんだ。私の好きなひぃらぎでいるうちに」




 そこまで聞いて俺は唐突に気づいた。

 さっきは気づかなかった『送る』の意味に。

 同時に、薄暗い霊安室でのつかさちゃんの言葉が俺の頭にフラッシュバックした。

『本当はお姉ちゃんのクラスのお友達にも連絡しようとしたんだけど、連絡先がわからなくて……』

 ……かがみの友達=つかさちゃんの友達ってわけじゃない。

 そして、かがみとだけ親しかった友達には連絡は行っていないはずなんだ。

 かがみが…… もう、この世にはいないって連絡は。
661 :あなざー・すたー 58.ジャスティスはどこにある? [saga sage]:2008/08/07(木) 23:41:38.73 ID:sz4gEzM0
 それなのに、日下部さんは知っている。

 なぜ……?

 かがみを殺される現場を目撃したのか?

 いや、違う!

 ここまでの日下部さんの言葉。

 どう考えたって!

 推測は確信へ。

 さっきの俺の予想は正しかった。

「日下部さん、あんたがかがみを…… 殺したんだな!?」










 って、あれ!?

 じゃあ、みゆきは……!?
662 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/07(木) 23:45:40.48 ID:sz4gEzM0
今日はここまでです。

個人的にはこういう『直接攻撃型ヤンデレ』にはみさおがぴったりだと思います。
こんなこと言うと全国のみさおのダンナさんに刺されそうですが…
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/08(金) 00:24:54.99 ID:dwwkb6I0
みさお基地外だな…怖いよ
つーか出血多量で男死ぬだろwwあと助かっても再起不能な気がする
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/08(金) 03:37:34.29 ID:rtTyRG.o
>>663
そうなったとしてもみゆきさんの介護付き人生だぜ
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/08(金) 14:54:02.37 ID:b96kvoAO
それは、迷うよな
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/08(金) 21:18:06.24 ID:O7noaYgo
状況的にみゆきさんのせいにされそう。
どっちにしろみゆきさんvsみさおの殺し合いにry
667 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/09(土) 02:25:40.15 ID:JDcqrIY0
>>663
調子に乗って男をいじめすぎたかもですw死ぬかどうかは…

では、遅くなりましたが逝きます。
668 :あなざー・すたー 59. An eye for an eye [saga]:2008/08/09(土) 02:30:39.57 ID:JDcqrIY0
「何度も言わせんな! ひぃらぎはもう死んだも同然だった! 殺したのはお前らだ!」

 ダメだ。話が噛み合わない。

 日下部さんとみゆきが共犯なのか?

 いや、とてもそんな風には見えない。

 みゆきに確認したい。

 みゆきに会って……

 でも、今は…… それどころじゃ……

「おい、ケータイ出せ」

「……え?」

「ケータイでピンクわかめを呼び出んだってヴぁ!」

「冗談きついぜ! みゆきを呼び出したら、あんたはみゆきを殺すんだろ!?」

「当たり前じゃん」

「だったら呼ばねーよ。呼ぶわけねーじゃ――」

「ふ〜ん、もう2〜3回刺されないとわかんねーかな?」
 
 再び俺の下半身に狙いを定める。

 下半身ならいくら刺しても死なないと思っているのだろうか? でもさすがにこれ以上刺されると……

 上半身は無事な俺だが、刺された腰の痛みで身体を起こせない。

 故に身を守ることも…… できない!
669 :あなざー・すたー 59. An eye for an eye :2008/08/09(土) 02:33:02.90 ID:JDcqrIY0
「今度は[ピーーー]でも突き刺してやろうか?アハハハハハハハ!」

「んな!?」

 それはキツい! キツ過ぎるぞ!

「ちょ、ちょっと待て! みゆきを呼んだってあいつはきっと来ない!」

「あ〜ん? そんなわけないだろ!? ひぃらぎから奪ってまで手に入れた彼氏だぞ。呼ばれてこないってなんなんだ? 大体さっきまで一緒にいただろうが!?」

 うヴぁってまで……か。

「俺とみゆきのこと見張ってたみたいだけど、会話までは聞いてなかったみたいだな? おれはさっきみゆきから逃げたんだッ! 自分の責任から逃げたんだ! そんな俺のところにあいつはもう……」

 きっと来てくれない。

 [ピーーー]を突き刺されたくないがために、時間稼ぎとして口から出た言葉だったが…… それは、ほとんど俺の本心だった……

 みゆきはきっと俺に失望してるだろう……

 今更呼んだって……

「なんだ、喧嘩でもしたのか?それなら最初からひぃらぎを選べっつーの! まあ、なんだか、よくわかんねーけど……」

 俺の言葉をつまらなそうに聞いていた日下部さんは、感情のこもらない声で言った。

「じゃあ、お前からケータイ奪って、あたしが呼ぶ」

「う……!?」

「ケータイ出せ。抵抗すんなよ? 抵抗したら[ピーーー]を突き刺す。さ、出せ」

「……ッ! クッソ! 嫌だ! 両方嫌だッ!」

「あっそ、じゃあ……」

 日下部さんがナイフを構える。
670 :あなざー・すたー 59. An eye for an eye [saga]:2008/08/09(土) 02:35:32.82 ID:JDcqrIY0
 俺は何とか体をよじって逃れようとするが…… うまく力が入らない。

 そして、ナイフを――

 ――ビュン!!










 とは、振り下ろされなかった。

「かわいそうに…… 男さん、こんなに傷だらけになって…… しかもびしょびしょに……」

 振り上げられた日下部さんの腕を後ろから掴んでいたのは――、

 みゆきだった。

「傘をお持ちしました。男さんったら傘も持たずに急に駆け出すんですもの。びっくりしちゃいました」

 にっこりと笑うみゆき。

 驚愕の表情は日下部さん。

「み、みゆき…… さっきは……」

 俺の表情は……

「さっきはごめん! 俺…… 俺……」

 ……罪悪感と少しの恐怖感を混ぜた表情、だったと思う。

「は! ちょうどよかったぜ! 呼ぶ手間が省けたってヴぁ!」

 身をよじって、みゆきの手をふりほどいた日下部さん。

 こちらは驚愕の表情は歓喜ともとれる歪んだ笑顔へ
671 :あなざー・すたー 59. An eye for an eye [saga]:2008/08/09(土) 02:41:50.86 ID:JDcqrIY0
 そして嬉々としてみゆきへナイフを突き出す。

「……ッ!! み――




 一瞬だった。

 一瞬で……

 一瞬で、みゆきは突き出されたナイフを避け、

 一瞬で、ナイフを持った左手の手首を取り、

 一瞬で、捻り上げ、

 一瞬で、さらに左腕の肩関節を極めて、

 一瞬で、ぬかるんだ地面に日下部さんを押し付けた。




 ――ゆき!? って、え!? あれ!?」

 次の瞬間には、日下部さんの動きを封じていた。

「――ッ!!」
 
 日下部さんはなにが起こったかわからないといった表情をしていた。
672 :あなざー・すたー 59. An eye for an eye [saga]:2008/08/09(土) 02:42:58.75 ID:JDcqrIY0
 この動きは…… 合気道?

「いたたたた!! 畜生!! なんなんだってヴぁよ!? これ!?」

 こなたが格闘技をやっていたというのは聞いたことがあるが、みゆきもというのは知らなかった。

 そんな風には微塵も見えなかったが……

 しかし、こうして現実に日下部さんを完全に制圧している。

「男さん……」

 みゆきはそんな日下部さんの言葉を無視して俺に言う。

 日下部さんを押さえ込んだまま。

「男さんは勘違いしてらっしゃいます」

「え?」

「確かにさっきは、男さんが駆け出してしまった時はショックでした。こんなに私は頑張っているのにどうして男さんに伝わらないんだろう? って思いました。でも、でもですよ……」

 でも……?

「これくらいで男さんに失望するほど、私の気持ちは脆弱なものではありません」

「み、みゆき……」

「ローマは一日にして成らず、です」

 再びにっこりと微笑む。

 女神の笑顔。
673 :あなざー・すたー 59. An eye for an eye [saga]:2008/08/09(土) 02:44:36.69 ID:JDcqrIY0
 しかし、その笑顔はすぐに消える。

「畜生! 離せ! 離せってヴぁ!」

 日下部さんに冷えた眼を向ける。

「日下部さん?」

「なんだよ!?」

「あなたずいぶん怒ってらっしゃるようですけど、私も少し怒っています。男さんにこんなことして……」

 その姿に、俺は再びかすかな恐怖を感じた。

「An eye for an eye, a tooth for a tooth.」

「は? 何言ってんだってヴァよ!?」

「日下部さん、勉強はあまり得意ではないようですね?」

「うるせえ!」

「教えて差し上げますよ。An eye for an eye, a tooth for a tooth.日本語訳は――、









 ―― 『目には目を、歯には歯を』」

 そのみゆきの言葉と、

 コキン! という乾いた音が響くのは、ほぼ同時だった。

 ……次の瞬間には日下部さんの左腕が、あり得ない方向に曲がっていた。
674 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/09(土) 02:47:15.35 ID:JDcqrIY0
みゆきが本気を出したこの辺で今日は終了です。

おやすみなさい ノシ
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/09(土) 10:21:28.46 ID:OxqC.RYo
ツヨいよ!みゆきちゃん!
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/09(土) 16:56:25.39 ID:udY6cm60
あー!俺の嫁の腕がー!

ってこのネタ引っ張りすぎか
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/09(土) 17:33:30.30 ID:5MXFqUAO
あな・すたも
「自分の嫁のみゆきさんの地位向上のためにこの話を書いた」
とか言ってなかったっけ?
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/09(土) 18:04:57.40 ID:OxqC.RYo
つまり好きなキャラの地位向上が希望なら書くしかないということか


…ゴクリ
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/10(日) 03:31:49.19 ID:WFBAC820
テストー高翌良
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage sage]:2008/08/10(日) 03:34:20.36 ID:WFBAC820
高翌良 連投スマソ
681 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/10(日) 10:19:11.73 ID:zEA36kY0
昨日は投下できなかったので今日はこの時間に来ました。スゲー二日酔い…orz

>>677
書いたきっかけの一つは>>677の言う通りです。ちなみに俺が嫁と公言してるのはむしろみゆきママのゆかりさんですがw
>>678
好きなキャラの地位向上のためにも、是非。

682 :あなざー・すたー 60.黒みwiki V.S. 病ミサヲ [saga sage]:2008/08/10(日) 10:28:08.80 ID:zEA36kY0
「ヴぁあああああああああああああああ!」

 日下部さんが悲鳴を上げる。

 みゆきは躊躇なく日下部さんの腕をへし折ったようだ。

 こんなに…… 簡単に……

 しかし、日下部さんもすぐさま身体を反転させ、立ち上がった。

 落としたナイフを無事なほうの右手で拾う。

 痛みに耐えながら、みゆきを睨む。

「やりやがったな…… 畜生! てめえのせいでひぃらぎは…… 私の大好きだったひぃらぎは!」

「日下部さん…… かがみさんの敵討ちですか?」

「気をつけろみゆき! 日下部さんが…… かがみを殺したんだ!」

 『じゃあ、みゆきは?』というさっきの疑問は頭から吹っ飛んでいた。

「……? おかしいですね? 大好きなのに手にかけてしまったんですか?」

「うるせえ! おまえなんかにゃわかんねーってヴぁ! ブッ殺してやる、ピンクわかめ!」

「ええ、わかりません。だってそんなの最大の禁忌でしょう? 愛する人を傷つけるなんて…… そんな人には私負けませんよ?」

「負けない? 笑わせんなこのガリ勉女!」

 日下部さんが再びみゆきに突っ込む。
683 :あなざー・すたー 60.黒みwiki V.S. 病ミサヲ [saga sage]:2008/08/10(日) 10:29:48.79 ID:zEA36kY0
 今度はさっきよりも…… 速い!

 陸上部の本領発揮.

 部活をやってる人間とそうでない人間の運動能力の差は、思った以上に大きい。

 元サッカー部の俺は身をもって知っている……

 唸りを上げたナイフの刃が――

 ――みゆきの肩口に突き刺ささる!








 
 しかし、それは服を切り裂いただけだった。
684 :あなざー・すたー 60.黒みwiki V.S. 病ミサヲ [saga sage]:2008/08/10(日) 10:31:17.98 ID:zEA36kY0
 さっきよりも数段速い突きもみゆきは見切っていた。

 そのまま突っ込んで来た日下部さんの勢いを利用して投げ飛ばす。

 日下部さんは変な方向に曲がった左腕を激しく打ち付ける形で地面に落ちた。

 響き渡る金切り声。

 言葉で表現できないような悲鳴を上げた。

「日下部さんくらいの方でも続けられるんですから、陸上部って楽なんですね」

 吐き捨てるようにみゆきは言った。

「愛する人のために力を行使するならともかく、力を行使して愛する人を傷つけるなんて、それはやはり禁忌ですよ?」

 日下部さんは倒れたまま動かなかった。

「言ったでしょう? 私は負けません、と」





 高良みゆき……

 ……強い
685 :あなざー・すたー [saga sage]:2008/08/10(日) 10:33:45.76 ID:zEA36kY0
今回はここまでです。

ちなみに「禁忌」と書いて「タブー」と読んだほうがかっこいいと思います。気持ちの問題ですが。
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/10(日) 11:48:54.79 ID:HeBctLAo
なんかバトル小説になっとる・・・
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/10(日) 12:16:56.05 ID:8ZyxdzAo
「うっ!?」

「どうだッ!このミートボールの目潰しはッ!勝ったッ![ピーーー]ぇ!」
688 :あなざー・すたー :2008/08/10(日) 13:28:16.56 ID:zEA36kY0
ちょっと質問いいでしょうか?

こなたたち四人ってたしか文系ですよね?
でも、「みゆきさんの将来の夢は医者」になってた気がするんですが、理系じゃないと医学部には行けない気が…

689 :病み猫 :2008/08/10(日) 15:23:14.90 ID:SoReIl.0
怒濤の一週間が終わってやっと投下できるようになりました…遅れてスミマセン。
なんかみゆきさんが『正面突き一教裏』を使ってる…あなざー・すたーさん投下乙です!
私も今夜あたりから投下していく予定です。
690 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:13:23.20 ID:SoReIl.0
では久しぶりの投下と参ります。
こちらも回収作業のため幾分カオスになるのをお許しください。
691 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:14:51.53 ID:SoReIl.0
こなたの家。
俺は少し緊張してインターホンを押した。

ピンポーン…。

…昨日こなたとあんな別れ方をして、ちょっとこなたに会うのは気が引けるな…


ガチャ
そうじろう「はい、おっ男君じゃないか。」

俺の気持ちを察してか、玄関口に現れたのはこなた父だった。

そうじろう「こなたはまだ帰ってないぞ。」

男「いえ…違うんです。今日はおじさんと話したいことがあって…」

そうじろう「…まさか、娘さんを下さいとか…!」

男「違います。」

そうじろう「えっ?…ああ…。」

男「今、黒井先生と話してきました。」

俺がそういうと、おじさんは一瞬真剣な顔になった。

そうじろう「…それで?」

男「教えてください。こなたは何を知ってるんですか?」

そうじろう「まぁ取りあえず家にあがりなさい。…先に聞いておきたいことがあるんだが。」
692 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:16:06.99 ID:SoReIl.0
こなたの家のリビングでこなた父と向き合う。

男「…なんですか?」

そうじろう「こなたを…あの子を選んでくれたのか?」

男「………はい。」

そうじろう「そうか……。」

男「守ります……何があっても。」

そうじろう「…いいのかい?きっと話を聞いたらもう戻れないぞ。」

男「覚悟できてます。」

こなたの父親は静かに話し始めた。
 
 
そうじろう「君はかなたを…こなたの母親の事を知っているかい?」

男「はい…こなたがすごく小さい頃亡くなられたと…。」

そうじろう「それ以上のことは知らないね?」

男「はい…。」

そうじろう「君のお母さん、かなた、オレは同じ小学校、中学、高校だった。」

男「え?」

そうじろう「君とこなたが一緒だったあの小学校だ。」

男「そんな話…初めて聞きました…。」

そうじろう「君には言わない約束だったからな。」
693 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:17:31.80 ID:SoReIl.0
男「確か父と母は高校で会ったって…」

そうじろう「うん。高校からは男父さんも一緒だったな。」

男「うちの両親とおじさんが仲良かったのは近所だったからだけじゃなかったんですね…」

自分が知らない時代の事を垣間見た気がした。
若い頃の父さんは…母さんは…どんなだったんだろう…。

そうじろう「君の両親が結婚して、程なくしてオレ達も結婚した。」

そうじろう「こなたから聞いているかも知れないが、かなたは生まれつき体が弱かった。だからこなたが生まれるとき、大きな病院に入院させた。」

そうじろう「男父さんは、自分の奥さんもお腹が大きいのによく見舞いに来てくれたんだよ。」

男「そうだったんですか…。」

そうじろう「…だがな、やっぱりかなたは出産の影響で体力をだいぶ落としてしまった。」

男「…」

そうじろう「…君とこなたが一歳の時、かなたは病院で逝った。オレとこなたと男母さんと君に見守られて。男父さんは仕事で国内に居なかったからな。」

男「…すみません…俺…覚えてなくて…。」

そうじろう「ははっ。一歳の君が覚えてるはずないよ。たぶんこなただって忘れてる。」

男「…でもこなたは…ちゃんとお母さんが亡くなるときそばに居れたんですね。」
694 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:18:56.34 ID:SoReIl.0
そうじろう「…かなたは言ってたよ。短い時間でも家族三人で居られたことが幸せって。こなたもそうくんも悪くないよ、私が体弱かったからって…。」

そこまで言うと、おじさんは少し目を押さえて『ごめん』と言って顔を伏せた。
おじさんの中には、まだ強く、かなたさんが居るんだと分かった。

少しして、おじさんは続けた。

そうじろう「…かなたは体が弱かったから、かなたが言うように、せめてあいつに家族三人の時間をあげられてよかったと思った…その時はね。」

男「…え?」

そうじろう「…かなたが亡くなって、何日かして男父さんが来てくれた。…そして精一杯悲しんでくれた後、かなたのカルテを見て言った。」

男「…?」

そうじろう「…そうじろう、こんなこと聞くのは非常識だと分かってるんだが…かなたさんは貧血性の肝腎不全で亡くなったんじゃないのか…?って。」

男「??どういう事ですか?」

そうじろう「男父さんはカルテを見て薬の投与がおかしいことに気付いたんだ。私も、男母さんも文系だから全く分からなかったんだがな…。」

男「…なにが…あったんですか?」
695 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:20:20.06 ID:SoReIl.0
そうじろう「かなたが亡くなる一週間前から大量の抗生物質の投与が始まっていた。しかも男父さんが言うにはその抗生物質は副作用がとても強いものらしい。」

男「な…なぜそんな?!」

そうじろう「男父さんは優秀だったからな…あっと言う間に答えを出してくれた。」

そうじろう「どうやらかなたは薬剤耐性を持つ細菌に感染したらしい…。強い副作用を持つ抗生物質をあれだけ投与する理由はそれしか無いと…。」

男「…まさか院内感染…?」

そうじろう「…おそらくそうだった。オレ達は病院の院長に掛け合った。…しかし病院はそれを隠蔽した。カルテを改ざんして。」

男「そんな事って…」

そうじろう「…かなたを担当した医者が院長の娘婿だった。たぶんそれが災いしたんだな…。」

男「…」

そうじろう「オレ達は戦うことにした。だけど相手は大病院だ…。勝てるはずがなかったのかもしれない。脅迫や嫌がらせをたびたび受けて、オレはこなたを守るため遠くに引っ越し、二人で生きていくことにした。」

男「…突然引っ越したのはそう言う訳だったんですか。」

そうじろう「…すまなかった…。」
696 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:21:35.97 ID:SoReIl.0
男「いえ…いいです。またこうして会えたんですし…。」

そうじろう「…」

そうじろう「…引っ越すとき、君の両親と話した。もう病院の責任を問うのはやめる、と。だが…」

男「?」

そうじろう「だが君の両親はかなたのために証拠を探し続けた。…そして…男母さんは…」

男「…ま…さか…母さんを轢き逃げしたのは……!まさか…父さんも…!!」

そうじろう「おそらく…あの病院長が……本当にすまない…オレのせいで…」

男「…母さんと父さんが選んだことです。おじさんは悪くないです。」

そうじろう「…すまない」

そうじろう「……それから程なくして男父さんから連絡があった…引っ越すと。」

男「じゃあ俺とこなたが再会するのはその時に決まっていたんですね?」

そうじろう「いや…出来れば君やこなたは巻き込みたくなかった…。反対者も居たしね。」

男「反対者?」

そうじろう「い…いや、何でもない。」
697 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:22:56.05 ID:SoReIl.0
そうじろう「とにかく、オレと男父さんは二人で時期を伺ってた。男父さんは情報を集め、オレはそれを原稿にして社会に発表するために。」

男「…時期?」

そうじろう「病院長は、1ヶ月程前から病床で昏睡状態だ。その時期に合わせて男父さんは引っ越しをしたんだ。」

男「…危険ではないですか?」

そうじろう「危険だけど、今しかないんだ。…危なくなったら、こなたを頼む。」

男「…父から…ものすごい額の預金通帳を預かってます。…こなたは…守ります。でも逃げるときはおじさんも一緒です。こなたが…悲しみます。」

そうじろう「……こなたが…オトコを見る目は確かだったな…」
 
 
暫く沈黙になった。
時計を見るともう九時近かった。

男「…それにしても、こなたは遅いですね。どこ行ってるんですか?」

そうじろう「どこって、学校だよ。ゲマズも閉まったしもう帰ってくるんじゃないかな?」

俺は背中に冷たいものを感じた。

男「お…おじさん…こ…こなたは…今日学校来てませんよ!!!!」

そうじろう「なん…だと…?!!」
698 :病み猫 :2008/08/10(日) 23:23:46.63 ID:SoReIl.0
では今日はここまでです。
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/10(日) 23:27:37.46 ID:8ZyxdzAo
そうじろう「大した奴だ…」
700 :あなざー・すたー [sage saga]:2008/08/10(日) 23:51:25.33 ID:zEA36kY0
こ、この展開はッ…!?前回のBAD ENDの状況が少しわかった気がするぜ…

病み猫さん、乙カレーです!
701 :あなざー・すたー [sage saga]:2008/08/10(日) 23:56:29.10 ID:zEA36kY0
>>688
の件ですが、ネットでチョコチョコ調べた結果、原作でもグレーゾーンな感じになってるようですね。
なので、「こなた達四人は文系」「みゆきさんは医者志望」という普通はありえないような設定で俺もゴリ押ししようと思います。
702 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/11(月) 01:01:13.00 ID:GhujtDs0
では、今日の投下逝きます。
703 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:07:10.90 ID:GhujtDs0
 日下部さんは水溜りの中で動かなくなっていた。

 苦しそうな呻き声だけが雨音に混じってかすかに聞こえてくる。

「本来ならば、これで男さんと同じ痛みを味あわせてあげたいところですが……」

 みゆきが日下部さんから奪ったナイフを見つめながら言った。

「やめろ! もういいみゆき! 十分だ!」

「……ええ、そうですね。男さんならそう仰ると思いました」

 ナイフを日下部さんから遠い場所へ放り投げる。

「しっかりしてください。今、救急車を呼びますから」

 駆け寄ってきたみゆきは俺の体をゆっくり起こしてくれた。

 俺は、上半身を遊歩道と芝生を分ける低い柵に預け、みゆきが119番に電話するのを眺める。

 腰と脚の痛みがひどくてとても立ち上がれそうにない。

 互いの服を裂いて作った即席の包帯を使って、みゆきに簡単な止血を施してもらった。

 だが、まだ出血はなかなか収まってくれない。

 血を失ったからか、頭がボーっとする。

 ふと、脇に目をやる。

 日下部さんは、うずくまったまま、小刻みに身体を震わせているだけだった。
704 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:09:04.01 ID:GhujtDs0




「一緒に警察にも連絡しておきました。すぐに駆けつけてくれると思います」

 みゆきが傘を差した状態で俺の横にしゃがみこんだ。

「今更な感じはしますが…… 傘をお持ちしました」

 ばつが悪そうに苦笑するみゆき。

 俺も思わず、苦笑い。

「……みゆき、強いんだな」

「お恥ずかしながら…… 少々、合気道を含め武道の心得がありまして…… 昔取ったなんとやら、です。うふふ、私ドジなところがありますので、実力を発揮できないことが多いのですが、運動が苦手というわけじゃないんですよ?」

 そうか、こなたが前に言ってたな。みゆきは運動もできるって。

「今日は、ドジを踏まずにできて良かったです」

 と、にっこり。

「……でも、あんなに躊躇なく日下部さんの腕をへし折ったり、投げ飛ばしたりするなんて…… ちょっと驚いたよ」

「いえ…… あれは肩の関節を外しただけですから、病院に行けばすぐに元通りになりますよ。手荒なマネでしたが、彼女の動きを止めるにはあれが一番効果的だったと思います。それに、彼女は男さんを……」

「……俺を傷つけたから、か?」

「はい…… こんなにそれもこんなにひどい傷を……」

「ああ、正直ヤバかった…… 助けてくれてありがとう」

「いいえ、当然のことです」
705 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:11:27.29 ID:GhujtDs0
「みゆき…… さっきは、ほんとにごめん。みゆきの手をはたいて、走って逃げたりして……」

「いえ…… いいんです」

「……なあ、正直に答えてくれ。みゆきは本当にかがみを殺したのか?俺はみゆきがかがみを殺したものと思い込んでて…… それでみゆきのところから逃げ出したんだけど。でも、日下部さんもかがみを殺したって言ってて、俺わけがわからないんだけど……」

「……私だって、かがみさんを殺したようなものです」

「だからそりゃ、どういう意味なんだ?」

「男さんの話によると、直接的に手を下したのは日下部さんなのでしょう…… ただ私には動機がよくわかりませんが……」

「ああ、動機なら日下部さん本人から聞いたよ。正直理解に苦しむ内容だったけど……」

 俺は日下部さんが俺に語ったことを掻い摘んで説明した。

「愛する人を傷つけるなんて…… 本当に理解に苦しみますね……」

 俺はどっちか言うと、百合の部分のほうが理解できなかったんだが……

 ……まあ、いいか。

「それより、さっき言った直接的がどうとかってのは……?」

「私も、かがみさんに対し敵意を持って行動しました。ただ方法が間接的な方法だった、というだけです」

「間接的?」

「ええ。うちに…… 高良家に、伝わる禁術を行使したのです」

「……は?」
706 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:13:42.18 ID:GhujtDs0
「黒魔術のようなものといえばお分かりでしょうか? 父の書斎で偶然見つけた本に記されていたのですが……」

「ぷっ!は…… ははは。黒魔術って…… いくらなんでも、このご時世に……」

「亡舞『生者必滅の理』と幽曲『リポジトリ・オブ・タカラ』このふたつを行使すると、行使された対象はさまざまな、そう、場合によっては死に至らしめるようなものを含めてさまざまな厄災を被ると言い伝えられています」

 ……それ、なんてスペルカード?

「確かに迷信の類に過ぎないのかもしれません…… しかし、現にかがみさんは亡くなりました。日下部さんがかがみさんを手にかけてしまったのも、もしかしたら私の禁術のせいかも……」

「そんなバカな…… 少なくとも俺は信じねーよ」

「でも…… でも…… そこに私の悪意が働いていたのは確かです。私の悪意が間接的とは言え…… かがみさんを……」

 みゆきはぐっと唇をかみ締める。

「……私、さっき日下部さんに偉そうなことを言っておきながら、私だって力を行使することで男さんのことも傷つけていたんです。そのことにも気づいていたんです」

「俺のことも傷つけてた?」

「私がかがみさんに敵意を向けるたびに、男さんが傷ついていたことはわかっていたはずなんです。しかも、それは私よりかがみさんが好きだからという理由からではない、ということも」

「ああ…… そうだな…… 」
707 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:15:12.27 ID:GhujtDs0
「そもそも…… 考え方が間違っていることもうすうす気づいていました。大切な人のためなら自分を含め、周りの人間はどうなってもいい…… そんな考え方…… でも他に男さんに対する誠意の表し方がわからずに…… 気づかないフリをしてたんです」

 誠意……

 受け取る側の俺にも問題があったってことだ……

 俺がもっとみゆきのことを一番に思ってやれば……

「最低ですね、私。散々かがみさんに嫉妬しておきながら、散々かがみさんに敵意を向けておきながら、散々かがみさんのこと『許せない』だとか『邪魔だ』だとか言いながら……」

 涙を必死にこらえているようだった。

「今更、悲しむ資格なんかないのに…… なのに……」

 搾り出すように言う。

「かがみさんとの思い出が…… 頭の中でぐるぐる回ってるんです。」

 涙は流さない。

 こらえている。

 それはかがみに対する精一杯の誠意なのだろう。

「かがみさんがもういないって実感が今頃になって湧いてきたんです…… いなくなって初めて……」

「じゃあ、かがみに謝ろう」

「え?」

「天国のかがみに」

「許してもらえるでしょうか?」

「許してもらえるまで。一生かけてでも」

「……はい」
708 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:16:21.63 ID:GhujtDs0
「ま、許してもらえるんじゃないかな? だって……友達だったんだろ?」

「本来ならこんなこと口が裂けても言える立場じゃないですが…… 『だった』だなんて過去形に…… したく…… ないです……」

「………」

「かがみさんは…… 私の高校での最初のお友達…… 少し遠いところに行ってしまいましたが…… 今だって……」

 肩を震わせる。









 ……みゆきは気づいた。 

 自分の過ちに。

 ……そして、俺も共犯者みたいなもんだ。

 俺は、それ以上の声をかけることはできなかったが、

 そっと、肩を抱くことはできた。

「男…… さん……」

 雨で冷えたからだに互いの体温を感じる。

「暖…… かい…… です」
709 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:27:30.52 ID:GhujtDs0
 救急車だかパトカーだかのサイレンがかすかに聞こえた。

 なんだか、頭がボーっとする。

 とんでもなく眠い。

 血を流しすぎちまった…… かな……?

「ごめん、みゆき。ちょっと…… 寝るわ……」

「ふふ、男さんたら、風邪をひきますよ」

「………」

「男さん?」

「男さん!?」

「男さんッ!?」

「……そんなッ!?また出血がひどくなってきてるなんてッ!?」

 みゆきが必死で俺の下半身を押さえて止血しようとしてくれるのが見えた。

 しかし、きつく縛った即席の包帯も、渾身の力を込めたみゆきの手も、血の染みがどんどん広がっていくのを止めることはできない。

「男さん!男さん!目を閉じちゃダメです!もうすぐ救急車が来ますからッ!」
710 :あなざー・すたー 61.真相、そして―― [saga]:2008/08/11(月) 01:29:08.33 ID:GhujtDs0
 みゆきの声がなんだか遠くに聞こえる。

 同時に、俺の頭に一つの言葉が浮かんだ。

 今、この瞬間に、どうしても伝えなきゃいけない、と。なぜだかわからないが強くそう思った。

 俺は必死に口を動かした。

 空気の漏れるようなか細い声にしかならなかった。

 みゆきが何か言ってるようだが、俺の耳に聞こえてくるのは、もはや耳鳴りのような音だけだった。

 目も霞み始めて、みゆきの姿がどんどんと滲んでいく……

 俺の言葉は、ちゃんと届いただろうか?

 真っ暗な闇の中に落ちていくように俺の意識は、ゆっくりと途切れていった。















「俺、やっぱ、みゆきのこと、大好きだ……」
711 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/11(月) 01:31:43.09 ID:GhujtDs0
今回はここまでです。

気がつけば60話を超えてたこの話ももうすぐ終わりです。最後までお付き合いいただければ幸いです。
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/11(月) 09:00:58.91 ID:8rESX/6o
おちゅ
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/11(月) 19:13:37.56 ID:vqZNWOw0
あらまぁ、男の奴みっともねぇのぅ
714 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/11(月) 22:51:28.28 ID:GhujtDs0
こんばんわ。今日の分の投下逝きます。
715 :あなざー・すたー 62.エピローグ(1)日常への回帰(みゆき視点5) [saga]:2008/08/11(月) 22:55:29.81 ID:GhujtDs0
「ねえ、ゆきちゃん。ここわからないんだけど、教えてもらえるかな……?」

「えっと、ここはですね…… 教科書のこの部分を参考に……」

「みゆきさ〜ん! 私にも教えて!」

「ええ、泉さん。どこをお教えすればよろしいでしょうか?」

「あ、え〜とね、ここと、ここと、ここと、ここと……」

「こなちゃん…… それって、ほぼ全部じゃ……」

「いーのいーの! 私ゲームクリエイターになるって決めたから、こんな教科は要らないの!」

「どんだけ〜」

 ヴヴヴヴヴヴ……

「あっ、メールだ…… ちょっとごめんね。

 ――えーと…… よし、返信っと!」

「おや〜? つかさ? それって例の……?」

「う、うん。この前言った、定期届けてくれた人。この学校の生徒だったんだって!」

「いや〜、フラグ立ちまくりじゃん! しかも落し物を届けてもらうなんて、なんてベタな展開…… ニヤニヤ」

「こ、こなちゃん! まだそんなんじゃ……」 

「選択肢間違っちゃダメだよ! つかさのバッドエンドなんて見たくないからね!」
716 :あなざー・すたー 62.エピローグ(1)日常への回帰(みゆき視点5) [saga]:2008/08/11(月) 22:56:33.13 ID:GhujtDs0
「う、うん…… えへへ、頑張るよ!」

「つかささんならきっと大丈夫ですよ」

「いや〜、つかさにもついに春がね〜」

「い、いや、だからまだそんなんじゃ…… それにこなちゃん、声が大きいよ…… そ、そういうこなちゃんのほうは、何か浮いた話無いの?」

「私? 私ね、実は近々結婚するんだ!」

「え〜!? こなちゃん!? うっそー!?」
「えええ!? ご結婚されるのですか!?」

「あの、二人とも…… 声、大きいよ?」

「あ、ご、ごめん……」
「あ、す、すみません……」

「でも、学生結婚!?」
「お相手は、誰なんです!?」

「む〜…… こういう時、かがみんの貴重さを特に感じるよね……」

「え?」
「え?」

「いや、実は結婚ってネトゲでの話なのよ。しかも私、男キャラ」

「あ〜、何だそういうことか〜」
「びっくりしてしまいました」

「ツッコミ役がいないと、こういうとき悲しいよね。説明的なセリフがまたなんとも虚しく響く感じでさ〜」

「わかった! じゃあ、私が天国のお姉ちゃんの分もツッコんであげるよ!」

「( =ω=.)……」

「あからさまに、不安げな視線を感じるんだけど……」
717 :あなざー・すたー 62.エピローグ(1)日常への回帰(みゆき視点5) [saga]:2008/08/11(月) 22:57:50.11 ID:GhujtDs0





 


 5月のあの事件から、早くも3ヶ月ちょっと。
 
 季節はすでに8月。もうすぐお盆です。
 
 とっくに夏休みですが、私たちは受験生なのでこうして毎日課外授業に出て、放課後は、図書室で勉強しています。
 
 あの事件以後、しばらくは泉さんも、つかささんもひどく沈んでしまい、お二人ともしばらく学校に来なくなってしまいました。

 しかし、次第に元気を取り戻し、学校にも来るようになって、前までは意識的に避けていたかがみさんの名前が話題に上るようにもなりました。





 一番変わったのはつかささんでしょう。

 ……本当に強くなりました。
 
 『天国のお姉ちゃんが安心して見ていられるように!』というのが今や口癖に。
 
 料理の得意なつかささんらしく『家庭科の先生』になりたいとのことです。

 現在では、彼氏候補(?)も見つかり、時折楽しそうにメールをしています。
718 :あなざー・すたー 62.エピローグ(1)日常への回帰(みゆき視点5) [saga]:2008/08/11(月) 22:59:16.57 ID:GhujtDs0






 泉さんは、ぱっと見は相変わらずですが、どことなく真面目になった気がします。
 
 本人曰く『だってもうツッコんでくれる人がいないし』
 
 そういえば、先ほども言ってましたね。希望進路はゲームクリエイターらしいです。

 マインスイーパーとソリティアくらいしかやったことのない私にとっては未知の世界ですが、なんでも専門学校に入るとかなんとか……

 







 ……そして、日下部さんは、今は病院に入っているとのことです。

 かがみさんの話題が上るようになった今でも、日下部さんの話題が上ることはありません。

 泉さんも、つかささんも、言葉にこそ出しませんがきっと彼女を恨んでいることでしょう。

 かがみさんという存在を奪った彼女を……
719 :あなざー・すたー 62.エピローグ(1)日常への回帰(みゆき視点5) [saga]:2008/08/11(月) 23:02:15.85 ID:GhujtDs0
 しかし、私はかがみさんと日下部さんのことを思うと複雑な気持ちになってしまいます。

 罪悪感に似た、心の奥に重石を乗せられたような気持ち……

 私が、かがみさんに対して抱いた感情は、日下部さんのそれとは大きく違うものではありましたが(そう、やはり私には、愛する相手を手にかける気持ちというのは理解できません)、もしかすると、かがみさんを手にかけていたのは私かもしれなかったのですから。

 でも、じゃあ日下部さんに対して同情のような感情や共感のような感情を抱くかといえば、それは皆無です。

 

 ……ここには、男さんがいません。
720 :あなざー・すたー 62.エピローグ(1)日常への回帰(みゆき視点5) [saga]:2008/08/11(月) 23:03:34.35 ID:GhujtDs0








「さてさて、今日で課外も終わったことだし、これでようやく夏コミの準備に専念できるというものだよ!」

「こなちゃん、張り切ってるね〜」

「そういうつかさは、うわさの彼と遊びに行ったりしないのかね?」

「え……? う、うん、じつは今度一緒に遊びにいく約束を……(モジモジ)」

「ヒュー!ヒュー!」

「それはおめでとうございます」

「えへへ、ありがとう。ゆきちゃんは今年もブルガリアな海外旅行?」

「(ブルガリア?) いえ、今年はちょっと別に行くところがありまして……」

「行くところ……?」

「( =ω=.)! なるほど…… じゃあ、みゆきさん、私たちの分もよろしく言っといてね」

「あ、そっか! ゆきちゃんの行くところって…… こなちゃん、また私たちも一緒に行こう?」

「む〜、男には悪いけど、とりあえず夏コミ後だね」

「どんだけ〜」

「うふふ、お二人の近況も伝えておきます。男さんも…… 喜ぶと思います」
721 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/11(月) 23:05:11.27 ID:GhujtDs0
今日はここまでです ノシ
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/12(火) 04:44:02.39 ID:5M0Fn2AO
何故だろう
墓場のイメージしか浮かばない
723 :病み猫 :2008/08/12(火) 18:02:58.16 ID:WZUDde20
乙です!
みゆきさん…色々あったし幸せになってほしい…
私の方はあなざー・すたーさんがエンディングを迎えるまで自重して書きためようかと思います。
724 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/12(火) 22:35:11.75 ID:ZYdr0YU0
こんばんわ。いよいよエンディングです。
では逝きます。

725 :あなざー・すたー 63.エピローグ(2)現在進行形 [saga]:2008/08/12(火) 22:38:42.92 ID:ZYdr0YU0
 車椅子の扱いにも、だいぶ慣れてきた。

 正直言うと、慣れる気なんてさらさらないんだが、医者の話によるとリハビリには時間がかかるということだった。

 今日だって、本当は松葉杖でもいいから自分の足で立って出迎えたかった。

 リハビリ施設に入っている俺を見舞いに来てくれるみゆきを。

 しかし、それはまたいずれということになりそうだ。

「男さん!」

 ロビーで俺を見つけたみゆきが俺に駆け寄ってきた。

「よ!」

「お元気そうで何よりです」

「みゆきも元気そうで安心したよ」

「リハビリは順調ですか?」

「まあね。ほんとは車椅子じゃなくて自分の足で立って出迎えたかったんだけどな」

「焦っちゃダメですよ」

「わかってるよ」

「このところあまり来れなくてすみませんでした。でもやっと、夏休みの課外授業が終わりましたから、明日からは毎日来ますね」

「ありがとう。でも勉強は大丈夫?」

「ええ、受験勉強も今のところ順調ですから。男さんにも教えて差し上げますよ」

「はは、最強の家庭教師だな」
726 :あなざー・すたー 63.エピローグ(2)現在進行形 [saga]:2008/08/12(火) 22:40:47.31 ID:ZYdr0YU0





 みゆき。

 俺の彼女。
 
 容姿端麗。頭脳明晰、品行方正、理想の女神様だ。
 
 あえて不満を言うなら、自分がちっぽけに見えてしまうところと、たまに黒いところを出すところ、ちょっと思い込みが激しいくらいかな。
  
 でも、以前、ドーナツ屋で俺がフラれたときや、かがみにひどく当たったときのようなあのみゆきはもう出現しなくなった。
 
 俺が生死の境をさまよっている時や、その後の入院生活、リハビリにおいて献身的に看護してくれて、そのときの経験から医者になりたいという気持ちを強めたらしい。
 
 現在、医学部目指して猛勉強中だ。

 俺との格差は開いていくばかり……

 授業にまったく出てない俺に定期的にノートを持ってきてくれていたが、今では家庭教師みたいな感じになっている。

 みゆきだって受験生なのだから、なんだか申し訳ないが、みゆき曰く

『他人に教えることで自分の理解も深まりますから』

 ……何という、優等生発言。
727 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/12(火) 22:42:08.37 ID:ZYdr0YU0
× ちょっと思い込みが激しいくらいかな。
○ ちょっと思い込みが激しいところくらいかな。

728 :あなざー・すたー 63.エピローグ(2)現在進行形 [saga]:2008/08/12(火) 22:44:38.72 ID:ZYdr0YU0



 ……え? 俺?

 これでも法学部を目指して勉強中だ!

 ぶっちゃけ、合格どころか、出席日数が足りなくなりそうで今年中に卒業できるかどうかも不明だが……

 何故、法学部かというと…… それはかがみが弁護士を目指していたということを知ったからだ。

 俺なりの罪滅ぼし…… なんてカッコつけるつもりじゃないけど。

 まあ、サッカー辞めて以来、初めてちゃんとした目標ができたし、それに無事に弁護士になれればみゆきとの格差もそんなに気にしなくていいだろう、という安直な理由もある。







「こなたやつかさちゃんは元気?」

「ええ。泉さんは夏コミとか言うお祭りの準備で忙しそうでした」

「……相変わらずだな〜 あいつも」

「つかささんは最近、懇意にしてる男性がいるらしく、お付き合いするのも時間の問題のようですよ」

「おお〜! ま、つかさちゃん、かわいいしね。でも、あのつかさちゃんの不思議ワールドについていけるとは、なかなかの強者だな」

「うふふ。今度、またお二人ともお見舞いに来てくださると言ってましたよ?」

「そっか、ありがたいな」

 俺とみゆきの関係と、かがみの事件との係わり。それらのことをこなたやつかさちゃんがどこまで知っているのかはわからなかったが、以前と同じように接してくれるのは本当にありがたかった。
729 :あなざー・すたー 63.エピローグ(2)現在進行形 [saga]:2008/08/12(火) 22:45:41.34 ID:ZYdr0YU0






 俺は、窓の外を見やる。入道雲がひろがり、完全に季節は夏だ。

 俺がここに来た時にはまだ梅雨の頃だったのに。
 
「いいお天気ですね」

 施設内の廊下を進みながら、みゆきも窓の外を見やった。

 車椅子はみゆきが押してくれている。

「でも、外は暑いだろーな」

「ええ、今日も35℃以上あるとか……」

「まったく埼玉って何でこんなに暑いのかね〜?」

 セミの鳴き声が建物の中にまで聞こえてくる。

「男さん……」

「ん?」

「早く良くなってくださいね。それまで…… 私、こうして男さんのそばにいますから」

「ありがとう。でも……」

「え?」

「良くなった後も、そばにいて欲しいけどな」

「え? あ、はい。も、もちろんです!」

 真っ赤になったみゆきが言う。

「ずっと…… 男さんのそばに」
730 :あなざー・すたー 63.エピローグ(2)現在進行形 [saga]:2008/08/12(火) 22:48:18.53 ID:ZYdr0YU0





 転入して、辛いこともあった。

 かがみというかけがえのない存在を失った。

 けれど、それを乗り越え、今に繋げて、この人生を生き抜いていかなきゃならない。

 そして、俺たちは現在進行形のこの人生をさらに未来へと繋げていかなきゃならない。

 それができなかったかがみの分も……

 ――願わくば、辛いことよりも、楽しいことのほうが多いものになりますように。

 窓の外に広がる夏の空を、そしてやさしく微笑むみゆきの顔を見上げて、俺は切に願った。




 Fin.
731 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/12(火) 22:49:21.51 ID:ZYdr0YU0
もうちょっとだけ続きます。
732 :あなざー・すたー 64.エピローグ(3)ツンデレの王道(かがみ視点6) [saga]:2008/08/12(火) 22:52:17.61 ID:ZYdr0YU0








『……って、ちょっと! 勝手に終わらないでよね!!』

『あらあら、どうしたの? かがみちゃん?』

『あ、いえ、別になんでもないです。こなたのお母さん』

『うふふ、こっちに来るのは久しぶりだから、色々と感慨深いのかしら?』

『あ、まあ、そんな感じです……(どうして、この人からこなたみたいのが生まれたんだろう? 顔はそっくりだけど)』

『あ、ほら、こなたや、あなたの妹さん達がいるわよ。元気でやってるみたいね。でも良かったの? 現世にいられる時間をご家族がいらっしゃる自宅のほうを見るんじゃなく、こっちのほうに使って……』

『ええ、いいんです。みんなの顔見たかったし』

 今日は、男が入院してる施設にこなたやつかさや…… みゆきがお見舞いに来ているようだ。

 ホントだ。みんな元気そうで良かった。

 つかさはだいぶしっかりしてきたみたいね。彼氏なんて作っちゃって、まあ。

 こなたは…… 相変わらずね。

 あ〜あ、あんたのお母さん、横で苦笑いしてるわよ。

 男とみゆきは…… 仲良くやってるみたいね。

 ちょっと…… 切ないけど、よかった……
733 :あなざー・すたー 64.エピローグ(3)ツンデレの王道(かがみ視点6) [saga]:2008/08/12(火) 22:53:49.95 ID:ZYdr0YU0




『さあ、行きましょうか?現世にいられる時間は短いから……』

『はい、こなたのお母さん。みんなの元気そうな姿が見られて良かったです!』

 みんなの元気な……

「でさ〜、かがみんが夢に出てきてさ〜 私が宿題やってないの怒るんだよ!」

 みんな…… の……

「きっとあの世でも、小うるさいキャラのままだよ!」

「それでいて、寂しがり屋なんだろ?」

「そうそう! よくわかってるね、男! きっと天国でもツンデレの王道まっしぐらだよ! あはははは!!」

 こ、こ……

『こいつらやっぱムカつく!! 化けて出てやるわ!』

『うちの娘が…… ごめんなさいね……』






 今度こそFin.
734 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/12(火) 23:04:34.64 ID:ZYdr0YU0
GWに軽い気持ちで書き始めて早3ヶ月。途中で放り出さなかったことに自分でもびっくりです。
ぬるく見守ってくださったみなさん、ご愛読ありがとうございました。
病み猫さんやkyoronosukeさんもありがとうございました。病み猫さん、クライマックスの執筆頑張ってください!

では、俺は普通の名無し(パー速民?)に戻ってROMります ノシ
735 :あなざー・すたー [saga]:2008/08/12(火) 23:06:47.79 ID:ZYdr0YU0
すみません、こんなん書いてたので、最後にちょっとだけどうぞ。


 65.番外編

 一同「おつかさまで〜っす!」

 こなた「いや〜、ようやくクランクアップか。あ、乙カレー!男くん!」
 男「あ〜、泉さん、お疲れっす!」
 かがみ「二人ともお疲れ様」
 こなた「あ、かがみん、乙―!!」
 男「お疲れっす、かがみさん」
 かがみ「(なんか、素の男くんってセバスチャンとキャラ被ってるな)」
 みゆき&つかさ「お疲れ様でーす」
 こなた「二人ともO2〜♪いや〜、今回みゆきさん大活躍だったね!」
 みゆき「お恥ずかしながら、こんな大役初めてでしたから大変でした」
 男「いや、でも良かったですよ〜 共演してた僕も本気で惚れそうになりました」
 みゆき「いや、それはちょっと……」
 かがみ「それは、無いわ」
 つかさ「どんだけ〜」
 男「Σ(´Д`;)」
 こなた「現実は厳しいのだよ」
                                      男 orz
 みゆき「なんか、凹んでしまいましたね、男さん」
 かがみ「ほっときゃいいわよ。それより今回の話、私死ぬ役だなんて何か納得いかないわ」
 つかさ「お姉ちゃんはいいよ〜 私なんかほとんど出番無かった上に、登場人物紹介が一言だけだよ?」
 こなた「つかさはまだいいよ。自分視点の話がひとつでもあったんだから……」
 つかさ「そういえば…… こなちゃんは……」
 こなた「そう! 私視点の話なんかゼロだよ!? ゼロ!! 黒の騎士団かっつーの!!」
 みゆき「お気の毒に……」
 こなた「というわけで行ってくる」
 かがみ「どこによ? って、あんた、それ…… 鉈!?」
 こなた「ちょっと、書き手のところへ」




 ……その後、あなざー。すたー書き手の姿を見たものはいなかった。

                                       終劇
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/12(火) 23:42:14.17 ID:5M0Fn2AO
お疲れさまなんだぜ
鉈は、怖いよな…
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/12(火) 23:53:39.17 ID:WtmhzYAO
あなざー・すたー終了のお知らせ(二つの意味で)
738 :病み猫 :2008/08/13(水) 02:03:32.46 ID:UFcuIi20
乙です!
多分最後のみゆきさんとの絡みはあなざー・すたーさんの願望ですねわかります
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/13(水) 02:04:38.40 ID:VByoIVU0
あなざー・すたーさんお疲れ様です。終幕までサクッと読めていい終わりでした。
お疲れ様です
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/13(水) 11:18:17.23 ID:DC8MOdgo
741 : :2008/08/13(水) 14:21:24.23 ID:YYWOo.AO
あなざー・すたーさん、長らく乙でした!
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/13(水) 14:24:02.93 ID:vLJLgsAO
普通にお疲れ!!
本当にお疲れ!!
743 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/08/13(水) 17:53:31.17 ID:lPTtVRM0
あなざー・すたーさん、長らくお疲れ様でした。
最後も綺麗にまとまってハッピーエンドで最高でした!
744 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:06:56.84 ID:UFcuIi20
それでは私の方も投下行きますね
745 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:08:09.24 ID:UFcuIi20
そうじろう「こなたを…!!こなたを捜さなければ!!!」

男「おっ…落ち着いて下さい!こなたがその病院長に捕まったとは限らないですよ!第一病院長は意識無いんじゃないですか?」

そうじろう「いや…!実は一週間位前、こなたに問い詰められて全て喋ってしまったんだ!オレの原稿を見たらしい。」

男「でもだからと言って…」

そうじろう「こなたは…きっと一人で乗り込んだんだ!」

男「いくらこなたでも知らない病院に一人で乗り込んだりしませんよ!」

そうじろう「…知らなく無いんだよ。」

男「…え?」

そうじろう「こなたは君と一度行っている。…それにあそこは…」

男「…ま…さか…その病院て…」

そうじろう「…高翌良総合病院。君の…こなたの…クラスメートの実家だ…。」

…俺は理解した。最近のみゆきさんの様子が少し変だった理由を。
…俺とこなたの事をしつこく聞いてきた理由を。

みゆきさんは知っていたんだ…。
…知っていて様子をうかがってた。

…そしてもし、こなたが過去を知ってみゆきさんのところに行ったのだとすれば…
746 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:09:18.52 ID:UFcuIi20
こなたが危ない!!!

いや、みゆきさんがこなたを危険な目に遭わせるとは考えたくない。

しかし今日1日みゆきさんはこなたの事に関して何も言ってなかった。
それはつまり、『みゆきさんはこなたの失踪について何も知らないが、みゆきさんの親などがこなたを拉致した』か『みゆきさんは全てを知っていて、かつこなたの事に関して嘘をついている』のどちらかだ。

もうこの際、みゆきさんは関係ないなどと考えていたら、こなたにたどり着けない。
確かニアもそんな事言っていた気がする。

俺は考えがまとまり、おじさんに言った。

男「俺が行きます。みゆきさんは俺がこなたの事を知っているとは思っていないはずです。」

そうじろう「オレも行く。このままじゃこなたが…!」

男「おじさんは今行ってはいけないと思います。今行けばこれまでの事がフイになるかもしれないです。」


そうじろう「しかし…!」

男「命に代えても、こなたを守りますから!」
 
 

夜の糖武鉄道に乗る。
糟日部に近付いて俺はかがみの事を思い出した。
かがみは『糟日部駅にいた』…。
もしかしたらかがみは、何らかの事情でみゆきさんの秘密に気付いたのかもしれない。
そしてやはり一人で乗り込んだ…?

どちらにしろ急がなければならない気がした。
747 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:10:20.13 ID:UFcuIi20
もうすぐ最寄り駅に着く。
みゆきさんの、そしてかつての俺とこなたの最寄り駅だ。

こなたの言葉を思い出す。
『私の周りはテキばっかりだ!』

…あの時の言葉の意味が、やっと今になって分かった気がする。
こなたは…俺の事だけはミカタだったって言った。
でも俺がつかさと手をつないで歩いていたのを見て、もう誰も信じられなくなったのかもしれない…。

こなたが一人で乗り込むきっかけを作ったのは…俺かもしれない…。
 
駅を出た。
…よく考えたら、なんて言ってみゆきさんの家に行けばいいんだ…?
完全にノープランだった…

少し考えた末、俺はみゆきさんに電話をした。

トゥルルル…
トゥルルル…
ピッ

みゆき『男さんですか?どうしたんですか?』

男『あ、みゆきさん?実はさ、かがみが失踪した日に、かがみを昔の俺の家の近くで見たって人が居たから今その辺まで来たんだけど、ちょっと道に迷っちゃってみゆきさんの家の方まで来ちゃったみたいなんだ。それで、本当に悪いんだけどちょっと道教えてくれない?』

みゆき『…分かりました。では、とりあえず家に来ていただけますか?』

男『うん、ありがとう。』
748 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:11:23.18 ID:UFcuIi20
ふぅ…何とか不自然じゃない程度にみゆきさんの家に行けそうだ。
それにこう言っておけば、かがみの事も探れる気がした。

みゆきさんの家の前に行くと、玄関にはすでにみゆきさんの姿があった。

みゆき「こんばんは、男さん。」

少し緊張した。
今日学校で会ったみゆきさんとは、何か違う気がした。

男「あ、こんばんは、みゆきさん。」

みゆき「…折角なので、お茶でも飲んでいきますか?」

男「うん、ありがとう。」

みゆきさんに家に通され、リビングのソファに座った。

男「あの…家の人は誰もいないの?」

みゆき「…ええ、つい先ほど祖父が亡くなりまして、母はそちらにいます。」

男「えっ?!みゆきさん、行かないでいいの?!」

みゆき「大丈夫です。男さんの話を聞いた後に向かいますから。」

男「ご…ごめん。」

みゆき「いえ、気になさらないでいいんですよ。」

男『みゆきさんの祖父…たぶん病院長のことだな…』

みゆき「では、本題に入りましょうか?」
749 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:12:15.12 ID:UFcuIi20
みゆき「かがみさんがいなくなった日…男さんの昔の家の付近でかがみさんを見た、と仰る方がいたという事ですが…」

男「う…うん、そうなんだよ。それで俺も気になって今日この付近で手がかり無いか探してたんだけどさ。」

みゆき「それで…収穫はありました?」

男「残念ながら何も。」

みゆき「そうですか…。男さんの昔の家と言えば私の家も近所という事ですよね?私も調べてみます。何かあればご連絡致しますね。」

男「う…うん。」

男『ダメだ…みゆきさん動じたりしないな…やっぱりかがみの事は何も知らないのか?』

埒があかないと思った俺は、少し大胆な事を言ってみることにした。

男「…ところでさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

みゆき「なんですか?」

男「実は昨日こなたとケンカしてさ…さっき謝りにいったら家にいないみたいなんだ。…みゆきさん、知らない?」
750 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:13:19.87 ID:UFcuIi20
みゆき「…こなたさんですか。」

男「うん。」

みゆき「…知ってますよ。今日、家にきました。」

男「……え?」

みゆき「こなたさんは言っていました。男さんもテキになったと。」

男「…こなたは…」

みゆき「それで安心していました。でもこうして男さんが来たという事は、やっぱり嘘だったんですね。」

男「…みゆきさん?」

みゆきさんはそう言うと、紅茶を飲み、無言で立ち上がるとこちらに歩いてきた。

男「みゆきさん…何を…っっ?!!!」

一瞬だった。みゆきさんの唇が俺の唇に触れた。
そしてみゆきさんの手が俺の首筋と頭を抑えると、舌が少し強引に俺の口をこじ開け、何かが俺の中に流れ込んできた。
流れ込んできた紅茶は少しにがかった。余りの出来事に驚いた俺はそれを飲み込んだ。

みゆき「ふふふ…びっくりしました?」

みゆきさんは微笑みながら元の自分の席に戻る。

みゆき「男さんが自分から来ていただいて本当に助かりました。」

俺はまだ目がパチパチして何も言えない。

みゆき「やっぱり…男さんにも喋ってしまったんですね、泉さんは。」

男「あ……みゆきさん…?」

みゆき「お祖父様は死にました。…だからここからは私がやらなければならないんです。」

体に力が入らなくなってきた。

みゆき「ごめんなさい…みなさん…。」

俺は意識を失った。
751 :病み猫 :2008/08/13(水) 20:14:36.37 ID:UFcuIi20
今日はここまでです
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/13(水) 20:54:18.82 ID:DC8MOdgo
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/13(水) 21:46:21.98 ID:hILRlkAO
二作品のみゆきさんの扱いの違いがおもしろいなww
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/13(水) 22:22:10.49 ID:YI/zsEAO
あなざー・すたーさん乙です。
良かった。
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/14(木) 07:44:57.71 ID:RD3aDbI0
まだやってたのか……
凄いエネルギーだな
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/14(木) 10:44:52.60 ID:fZJeP2g0
どっちにしろみゆきさん大活躍だな
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/14(木) 21:06:06.90 ID:z3dTBfo0
みゆきさんへの迸る愛・・・
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/14(木) 23:07:11.94 ID:oAsc.YAO
病み猫はこなたラブとか言ってなかったっけ?
759 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:34:27.10 ID:nA4HE0o0
>>758
こなたを妹にほしいですね。
 
それでは今日の投下行きます。
760 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:35:38.65 ID:nA4HE0o0
遡ること五時間前。
その日の放課後。

つかさ『今日はこなちゃん来てないや…昨日ちょっと言い過ぎたかな…まぁいいや、今日は男君と一緒に帰ろっ!』

つかさ「男君、一緒にかえ…」

男、急いで教室を出ていく。

つかさ「かえ…かえ…かえ………」

みゆき「どうしました、つかささん?」

つかさ「…なんでもないよー一緒に帰ろう、ゆきちゃん。」

みゆき「はい。」

みゆき「……。」

帰り道。

つかさ「……」

みゆき「…つかささん、どうかなさったんですか?」

つかさ「!!!な…なんでもないよー!」

みゆき「そうですか…?」

つかさ「…」

つかさ「…あのさ…ゆきちゃん。」

みゆき「はい。」

つかさ「…ゆきちゃんは…好きな人っている?」

みゆき「そうですね…お友達として好きな人は居ますが、男性として意識してる方は居ないかもしれないですね。」

つかさ「…そっかぁ。」

みゆき「つかささんはいらっしゃるんですか?」
761 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:36:39.42 ID:nA4HE0o0
つかさ「わわわわわわ私もいないかなぁ!!!」

みゆき「……」

つかさ「…///」

みゆき「…男さんですか?」

つかさ「っっ!!!」

みゆき「でも男さんは…」

つかさ「分かってるよ!!!」

つかさ「……ごめん…ゆきちゃん…。」

みゆき「…いえ、平気です。…その…一回話し合ってみてはどうですか?」

つかさ「…男君と?」

みゆき「いえ、こなたさんと。」

つかさ「……でも、私何言っていいか分かんないよ…」

みゆき「思ってることを正直に言えばいいんですよ。」

つかさ「うん…でも…」

みゆき「では今日はうちで作戦会議といきませんか?」

つかさ「……いいの?」

みゆき「ええ。」

つかさ「…ありがとう、ゆきちゃん…。」

みゆき「気になさらないでください。」
762 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:37:32.23 ID:nA4HE0o0
つかさ「おじゃましまーす!」

みゆき「どうぞ、あ、私麦茶を用意してきますね。」

つかさ「あ、お構いなく!」

みゆきの部屋。

みゆき「麦茶です、どうぞ。」

つかさ「あ、ありがとうー!」

ごくごく

つかさ「でね、男君の事なんだけどね、」

みゆき「はい。」

つかさ「…」

みゆき「…つかささん?」

つかさ「すーすー」

みゆき「…。」

みゆき「…ゆっくり…話し合ってくださいね?」
763 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:38:42.15 ID:nA4HE0o0




男「……うっ…。」

男「……みゆきさん!!」

気がつくと俺は見慣れない部屋にいた。
両手足は縛られ、身動きはとれない。

部屋の向かいにはモニターがあり、みゆきさんがモニターの方を向いている。

みゆき「…男さん。」

みゆきさんはモニターを見ながら喋り出した。

みゆき「この部屋はお祖父様が使っていた部屋です。」

みゆき「見てください。このモニター…私の部屋に監視カメラが付いていたんですね。お祖父様は随分と過保護な方でした。」

モニターにはみゆきさんの部屋に横たわるこなたとつかさが映し出されていた。

男「こなたっ!…つかさまで!」

みゆき「大丈夫です。お二人とも寝てるだけですから。それにつかささんはこなたさんとお話ししに来たんですよ?」

男「みゆきさん…君は…」

みゆきさんは俺の言葉は聞こえてないかのように続ける。

みゆき「…でもお祖父様はとても優しい人だったんですよ。」
764 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:39:49.86 ID:nA4HE0o0
男「…」

みゆき「男さんは…覚えてらっしゃいますか?」

男「…なにを?」

みゆきさんは相変わらずモニターを見ながらしゃべる。

みゆき「男さんとこなたさんは昔から仲がよろしかったですね…。」

男「…え?」

みゆき「…私も隣のクラスに居たのを知っていますか?」

男「そう…だったんだ。」

みゆき「ま…それは別にいいことですね。」

みゆき「で…男さんは知ってしまったんですよね?」

男「…俺は…」

みゆき「こなたさんのお父様を医療ミスで死なせてしまったのは、私のお父様です。」

男「…でも…その事とみゆきさんは関係ないじゃないか…!」

みゆき「…私のお父様は…心労から神経を病んでしまい…自ら命を絶ってしまいました。…それは知っていますか?」

男「…!!」

みゆき「全てお祖父様が教えてくれたんです。…こなたさんが引っ越した後のことです。」

男「……でもみゆきさん…みゆきさんがこなたを怨むのは間違ってる!…友達だろ!!」
765 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:41:46.87 ID:nA4HE0o0
みゆき「…何を言ってるんですか?」

男「え?」

みゆき「あなたの…両親を…殺した人の孫が目の前に居るんですよ?…憎くないんですか?」
766 :病み猫 :2008/08/15(金) 01:42:48.23 ID:nA4HE0o0
今日はここまでです。
切りが悪くなってすみません。
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/15(金) 23:40:31.99 ID:332VM1M0
乙。続きが気になるぜ…
768 :病み猫 :2008/08/16(土) 15:34:16.66 ID:nSVlRJw0
遅くなってすみません。
続きを投下します
769 :病み猫 :2008/08/16(土) 15:35:19.30 ID:nSVlRJw0
男「…やっぱり…そうだったのか…」

みゆき「…」

男「人を[ピーーー]なんて…許される事じゃない…でもみゆきさんは関係無い…。…みゆきさんは友達だ。それ以外の何者でもないよ!」

みゆき「………迷惑なんですよ。あなたのそういう考え方が。」

みゆき「あなたは私と同じ。…自分を偽っています。本当は勉強だって私より出来るでしょう?」

みゆき「それと同じです。…あなただって私が憎いでしょう?…ただあなたの好きな泉さんの身に危険が迫っているからここに来た。…違いますか?」

男「そんな事はない!こなたは確かに大切な幼なじみだ。でも、かがみもつかさも、みゆきさんだって、同じくらい大切な友達だ!!」

みゆき「…」

男「…みゆきさんは違うのか?みゆきさんにとって、みんなは友達じゃなかったのか?!」

みゆき「……やれやれ、ですね。」

男「え?」
770 :病み猫 :2008/08/16(土) 15:36:26.33 ID:nSVlRJw0
みゆき「…あなたの優しさが、みなさんを傷付けたんですよ?」

みゆき「私はそうなるように少し手を貸しただけ。」

みゆき「みなさんの気持ちが分からないんですか?」

みゆき「人には優先順位というものがあるんです。あなたはそれを理解していない。」

みゆきさんの言葉は一見煩雑な散文詩の様に発せられた。
でも俺にはその言葉の意味がよく分かっていた。

みゆき「あなたは…私の気持ちだって…理解していない。」

…でも最後の言葉はうまく理解できなかった。


みゆき「私の気持ちが理解できますか?」

みゆき「私もあなたと同じでした。幼い頃一人で友達らしい友達はいませんでした。」

みゆき「だから私と同じ、孤独だったあなたに興味を持ちました。」

みゆき「でもあなたには泉さんがいた。内気な私はあなたや泉さんに声をかけることができなかった。」

みゆき「泉さんがなぜか転校して、私にやっとあなたに話しかける勇気が宿ったとき、お祖父様に全てを聞きました。」

みゆき「あなたや泉さんは『テキ』だったんだと。」
771 :病み猫 :2008/08/16(土) 15:37:17.24 ID:nSVlRJw0
男「でも…俺達は…」

みゆき「男さん。見てください。」

みゆきさんはモニターを見つめたまま言った。

モニターに映し出されたこなたは目を覚ましたようだ。
ゆっくりと起き上がった。

みゆき「…お二人はこれから『話し合う』んですよ。…男さんを巡って。」

モニターの向こうの部屋には机の上に置かれたナイフが光っていた。

こなたは、おそらく状況が理解できていないんだろう。
ぼーっとした眼差しで辺りをキョロキョロ見ている。

みゆき「後はつかささんが目を覚ますのを待つばかりです。」

みゆき「…お二人が眠っている間に、微量ですがアルコール様物質を静注しておきました。…男さんならどういうことか分かりますよね?」

…たぶん二人は目を覚ましたとき軽い酩酊状態だ。つまり『酔って』いる。
そんな二人が冷静に話し合えるとは思えない。
…………そして机の上にはナイフ。

男「みゆきさん!みゆきさんのしようとしてる事は…間違ってる!!」
772 :病み猫 :2008/08/16(土) 15:38:41.73 ID:nSVlRJw0
みゆき「間違ってるか、正しいかは関係ないんです。…私がこうすることを選んだんです。」

みゆき「第一『正しいこと』って何ですか?私のお父様が医療ミスを招いてしまった…それは防げた間違いだったんですか?泉さんやあなたのご両親が私達に復讐をする事は正しいことなんですか?私がお父様を『殺した』人達を憎むのは間違ったことなんですか?」

みゆき「…男さんは黙って見ていればいいんです…。」

男「みゆきさんは…そんな事できる人じゃない。」

みゆき「…いい加減にしてください。」

男「…俺には分かるよ。みゆきさんは努めて復讐者になろうとしてるだけだ。」

みゆき「…そんなこと有りません!」

男「まだ遅くないよ。こなたもつかさも、きっと分かってくれる。かがみだって…」

みゆき「そんな事は無いと言ってるんです!」

みゆきさんは激昂すると振り返り、男を睨んだ。

みゆき「そんなに言うんでしたら、男さんが最初ですね。」

みゆきの手にはフェンシングで使うような突剣が握られていた。

(オートセーブしました。重要分岐F)
>>+3

@―――男「人を殺せる人は涙なんて流さないよ。」

A―――男「みゆきさんに俺を[ピーーー]勇気なんて無いよ。」
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/16(土) 17:32:17.58 ID:ysJkoBk0
こなたとつかさの血みどろの(ry

ksk
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/16(土) 19:33:43.40 ID:9TIKmHMo
かそく
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/16(土) 21:40:03.43 ID:BbT7roAO
1
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/17(日) 13:45:04.68 ID:4CMdDIAO
どなたか。あなざー・すたーさんの作品は完結作品にしていいんじゃないのかね?
自分でやれ? ごめんなさい、携帯です
777 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:11:41.84 ID:Xd2Uj/.0
遅くなりました。
それでは行きます。
778 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:12:35.87 ID:Xd2Uj/.0
男「…人を殺せる人が、涙なんて流さないよ。」

みゆき「!!!」

みゆき「…ちがいます…これは…違います…!」

男「一人で…全部背負おうとしないでいいよ。俺も…たぶんこなたも…みゆきさんを許す。」

みゆき「…やめてください。」

男「みゆきさんは本当は優しい人だよ。俺やこなたを…眠らせただけで殺してない。みゆきさんはお祖父さんみたいになるべきじゃない。」

みゆき「……そうです…私は臆病者です。あなたを…泉さんを[ピーーー]チャンスなどいくらでもあった。…でも出来なかった…人を[ピーーー]のが怖かったんです。」

男「俺は違うと思うな。」

みゆき「え?」

男「『人を』じゃない。『友達を』だ。掛け替えのない友達を断ち切ることができなかったんだよ。…俺だってそうだよ。みんなは…もちろんみゆきさんも含めて、どんな事があったとしてもやっぱり友達だし、憎む事なんてできないよ。」

みゆきさんは持っていた武器を床に落とした。
779 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:13:33.07 ID:Xd2Uj/.0
みゆき「…あなた達は…うっ…うっ…おおばかです…」

しばらくして落ち着くとみゆきさんは言った。

みゆき「…泉さんが今朝私になんて言ったか分かりますか?」

男「え?」

みゆき「『私はいいからかがみんを助けて』って言ったんですよ?」

男「…こなた。」

みゆき「…私が…殺せるわけ無いじゃないですか…かがみさんを…みんなを…。」

みゆきさんはめがねを外して目を拭った。
そして男を縛っていた縄を解いた。

みゆき「…かがみさんは地下に、泉さん達は二階の私の部屋にいます…。」

男「…みゆきさん」

みゆき「…終わったら…警察を呼んでくださいね…自分で呼ぶのは…怖いです。」

男「何言ってるんだ。俺はみゆきさんに道を聞きに来ただけだし、みんなも遊びに来ただけだろ。」

みゆき「…でも!」

男「分かってくれるよ…みんな…。」

みゆき「…うっ…うっ…ごめんなさい…」
780 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:14:23.13 ID:Xd2Uj/.0
その瞬間、勢いよくドアが開いた。

黒井先生「そこまでや!!!」

男「…」

みゆき「…」

黒井先生「………あれ?」

男「先生…タイミング悪すぎです。」

黒井先生「な…なんやー…えと…ぶ…無事解決やな!」

男「…」

みゆき「…」

黒井先生「…」

男「…地下にかがみがいます。先生はそっち行ってもらえますか?」

黒井先生「お…おう。男はどーするんや?」

男はモニターを指さしながら言った。

男「二人を説得します。」

黒井先生「がんばりや。」

男「はい。」

男はみゆきさんと黒井先生を残し、みゆきさんに渡された部屋の鍵を持って二階へと上がっていった。
以前来たみゆきさんの部屋の前まで来ると、一度深呼吸をし、鍵を回してドアを開けた。
781 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:15:39.25 ID:Xd2Uj/.0
部屋の中のこなたはナイフを握って、机に手を突きながらやっと立ち上がっていた。

男「こなた!」

こなた「あ…おとこだぁ…」

男「とりあえずそのナイフを捨ててこっちこい。」

こなた「アハハハなんでー?」

こなたは呂律が回っていない。
たぶんコイツ酒は弱いな…

男「もう…終わったんだ…全部…終わったんだ。…だからもう、みんなで一緒に帰ろう?」

こなた「…あーそっかぁ…忘れてたよ。男はもうテキなんだった。」

男「テキじゃない!!俺はずっとおまえのミカタだ!!!」

こなた「…じゃあさぁ…つかさはどうするべきだと思う?」

男「…え?…一緒に帰るんだろ?」

こなた「…なんだ…やっぱりテキじゃん。」

男「…何言ってるんだ?」

こなた「つかさはねぇ…今寝言で男の名前つぶやいたんだー。」
782 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:16:25.75 ID:Xd2Uj/.0
男「こなた…」

こなた「ころさなきゃ…テキはころさなきゃ…テキはころさなきゃ…テキはころさなきゃ…テキはころさなきゃ!!」

男「落ち着けこなた!」

こなた「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

ドテッ

こなたは自分の髪の毛を踏んで転んだ。

そのスキを見計らって男はこなたを押さえ込んだ。

ナイフを取り上げ遠くに投げる。

こなた「はなせぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

男「放さない!絶対放さない!!」

こなた「はなせぇ…うぇっ…おとこのニセモノは…うぇっ…はなせぇ…」

男「俺は俺だ!ずっと昔からお前の事知ってる俺だ!…これからも…ずっと一緒だ!」
783 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:17:23.62 ID:Xd2Uj/.0
こなた「うぇっ…うぇっ…」

酔っているせいもあるだろうが、こなたは抵抗を止めたのか、力を感じなくなった。

こなた「うぇっ…だっておとこは…つかさと…て…つないでた…」

男「じゃあこれでいいか?」

男はこなたの手をしっかりと握った。

こなた「…ぁ……でも…でも…」

男「そういや、まだ答えてなかったな。誰を選ぶか…。」

男はこなたの頬に、自分の唇で触れた。

男「これが答えでも…いいか?」

こなた「………ぉふぅ…」

男「お…おい。」

こなた「ぐーぐー」

男「………全く。」

眠ってしまったこなたの髪をなでながら、男は少し安堵した。

男『やっと…終わったのか…』

でもその安堵は、背後の気配で一緒にしてかき消された。
784 :病み猫 :2008/08/18(月) 20:18:24.95 ID:Xd2Uj/.0
つかさ「おーとーこーくんっ?」

男「つ…つかさ…」

つかさの左手にはさっき投げたナイフが握られていた。
しかしそれ以上に目がうつろだ。
かなり酔っている。

つかさ「えへへーおとこくんは、こなちゃんから離れてー」

男「な…何する気だ…。」

つかさ「[ピーーー]」

男「なっ…やめろ…!」

つかさ「やだっ![ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]!!!!」

男「つかさも落ち着け!!」

つかさ「あははははははっ!!!」

男「来るなっっ!!!」

(オートセーブしました。重要分岐G)
>>+3

@―――俺は両手を広げてこなたを守った。
A―――俺はつかさを止めるためつかさに歩み寄った。
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/18(月) 20:36:18.11 ID:UmaiYhko
おつksk
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/18(月) 21:03:22.87 ID:gfhBDeU0
【重要分岐多発注意】
安価ならA
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/18(月) 22:55:07.48 ID:CXCekUAO
1
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/18(月) 23:32:39.88 ID:wz.DskI0
ち、出遅れたか。

とりあえず乙。
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/19(火) 00:08:32.61 ID:DQ7ZA.AO
くそ、出遅れた
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/19(火) 18:50:32.51 ID:2RtXucs0
>>789
ドラクエやりたいな
791 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:32:09.56 ID:4q8KUN60
分岐の多発、申し訳ありません。
皆さんは華麗にバッドをスルーしますね。
やはり選ばれなかったバッドも書きますか?

それでは最後の分岐です。
792 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:33:51.28 ID:4q8KUN60
俺は眠るこなたの前に立ち手を広げてつかさに言った。

男「つかさ、落ち着け。俺はこなたが傷つくのも、つかさが傷つくのも見たくないよ。」

つかさ「なんでおとこくんは、こなちゃんの味方ばっかりするの?!なんで?なんで?なんで?なんで?なんで!!!!」

つかさはふらつきながら、一歩一歩こちらに近付いてくる。

つかさ「こなちゃんがいなくなればいいんだよね?」

つかさ「こなちゃんがいなくなればいいんだよね?」

男「つかさ…こなたを刺すなら俺を刺してからにしろ…!」

つかさ「…そういうこと言う男君も嫌い…」

つかさの歩みが速くなった。
次の瞬間…。


かがみ「い い か げ ん に し な さ い ! ! ! !」

つかさはビクッとなってナイフを床に落とした。

つかさ「お…ねえちゃ……」

男「かがみ!」
793 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:34:46.87 ID:4q8KUN60
かがみ「よっ男。…久しぶり。」

男「かがみ…よかった…無事で。」

かがみ「心配した?」

男「当たり前だろ!」

かがみ「ふふっ」

つかさ「おねえちゃん…」

かがみ「つかさっ!!」

つかさ「ひゃっ><」

かがみ「…全くあんたは…」

つかさ「だって…だってぇ…」

男「かがみ、つかさは今酔っぱらってるんだ。」

かがみ「えっ?!なんで?!」

男「話せば長くなるんだけどさ…」

つかさ「えっ…えっ…うぇっ…」

かがみが、つかさを抱き頭を撫でると暫くしてつかさは眠ってしまった。

かがみ「つかさは私がなだめとくから。」

男「うん…かがみは平気なのか?」

かがみ「全然平気。むしろ運動してないから少し太ったかも。」

男「そっか…。」

かがみ「先生はみゆきのとこよ。」

男「うん。」
794 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:35:49.13 ID:4q8KUN60
かがみ「あ、ちょっと。」

男「ん?」

かがみ「…こなたは…アンタが連れてきなさいよ。」

男「あ…うん。」

かがみ「こなたを選んだんでしょ?…ちゃんと大事にするのよ。」

男「お…おぅ。」

かがみ「じゃあさ…帰ろ?男は先行っててよ。」

男「あ…待ってくれ。みゆきさんは…悪くないんだ!後でちゃんと説明…」

かがみ「分かってるわよ。誘拐したのは黒服の男達よ。みゆきは私を隠してたの。」

男「そう…だったんだ………あ!」

かがみ「な、何?」

男「こなたはここに来たとき、みゆきさんに『私はいいからかがみんを助けて』って言ったらしいよ。」

かがみ「ふん………バカ。」
795 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:36:58.08 ID:4q8KUN60
一階のリビングに、みゆきさんと先生が居た。

みゆきさんが泣いているのを先生が慰めていた。

みゆき「私は…取り返しのつかない事をしました…」

黒井先生「何言っとんのや。さっきの男の言葉、聞いたやろ?」

みゆき「でも…私は…そんな男さんの事を何度も殺そうとしました…。」

黒井先生「結局殺せなかったんやろ?…それが自分のホントの気持ちや。」

みゆき「でも…でも…」

男は眠っているこなたをソファに横にすると、言った。


男「みゆきさん…。」

みゆき「!」

男「みゆきさんはかがみの事守ってたんだってね。」

みゆき「……。」

男「『友達』だから…だよね?」

みゆきは小さくうなずいた。

男「俺は?」

みゆき「…えっ?」
796 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:38:02.04 ID:4q8KUN60
男「俺はみゆきさんになんて思われてる?」

みゆき「………できる事なら…『友達』になりたかったです……。」

男「何言ってんだ?もう友達だよ。…小学校で会って…随分経っちゃったけど、稜桜に来てやっと友達になれたんじゃないか。」

みゆき「でも私は…」

男「俺、稜桜に来て良かったよ。こなたに再会できたし、つかさやかがみに会えたし、やっとみゆきさんにも会えた。…みんなさ…ずっと友達だろ?」

みゆき「………うん…そう…ですね」

みゆきさんは男に抱きついて、声を[ピーーー]ような嗚咽と共に泣いた。
黒井先生は二人の頭を抱きかかえた。

黒井先生「なんか…教師やってて良かったわ…。」

暫く時間が過ぎて、リビングに眠るつかさを背負ったかがみが現れた。

かがみ「よく分からないけど終わったのね。」
797 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:39:27.57 ID:4q8KUN60
黒井先生「じゃあみんな帰るかー先生が車乗せてってやるわー」

みゆき「ま、待ってください。今日はもう遅いので泊まっていってください!」

黒井先生「そういう訳にもいかんやろー。第一親もおらんのに。……ん?なんで居ないんや?」


男・みゆき「「あ」」


男「お葬式なんじゃ…」

みゆき「忘れてました…」

一同「?」



ガチャ

ゆかり「ただいまー」

みゆき「おかおかおかお母さん!」

ゆかり「みゆきどうしたのー?あら、皆さん。先生まで。いつもみゆきがお世話になってますー。」

みゆき「お母さん!ごめんなさい!お葬式終わってしまいましたか?!」

ゆかり「もう12時よー。さすがに終わったわ。皆さんも今日は遅いので泊まっていってくださいねー。」

黒井先生「………まあみゆき母もああ言ってる事やしお邪魔して行こうかー?」
798 :病み猫 :2008/08/19(火) 20:41:05.69 ID:4q8KUN60
色々あった…。
有りすぎた。
この1ヶ月余りが一年以上に感じる。

詳しい話は、後日、当事者である、みゆきさん、こなた、俺で話すことになった。
今日はもう寝よう、ということで。

つかさは酔ったまま眠ってしまったのでかがみが一緒に寝ている。

こなたは一度起きたがまだ酒が抜け切れていないらしい。すぐに布団に入った。

みゆきさんは自分の部屋に、黒井先生はでかいベッドにはしゃぎながら、それぞれの部屋へ行った。

俺は…

(オートセーブしました。最終分岐表)

>>+6

@―――今日はさすがに疲れた。もう寝よう。
A―――まだフラフラしてたこなたが心配だ。こなたの部屋へ行く。
B―――つかさの誤解を解かなきゃ。それにかがみとゆっくり話したい。
C―――みゆきさんはきっと不安なはずだ。もう少し話そう。
D―――夕方のおぱいの感触が忘れられません。黒井先生の部屋へ。
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/19(火) 20:44:12.74 ID:Ej2dvbko
乙です
しかし何という外道な分岐
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/19(火) 20:48:18.69 ID:7RE02.AO

いきなりの五択ワロタ
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/20(水) 00:53:34.38 ID:d6qPo2AO
5だろ?
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/20(水) 01:15:47.68 ID:PbUbKMU0
正直1以外ならどれでもおk
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/20(水) 06:01:25.56 ID:vVvrmAAO
踏み台
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/20(水) 07:16:20.12 ID:sEesBKEo
3を希望ww
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/20(水) 09:24:58.55 ID:cIa5Hwko
正直1以外セックスの匂いしかしない。
806 :病み猫 :2008/08/21(木) 21:53:06.19 ID:7/Tywco0
>>805
別にそういうつもりはなかったんですがね…

では、いきます。
807 :病み猫 :2008/08/21(木) 21:54:22.93 ID:7/Tywco0
かがみと少し話しておきたいし、起きてたらつかさの誤解を解いておかなきゃ…

俺は少し眠かったが自分の部屋を出て、二人の寝ている部屋に向かった。

部屋の前に来てちょっと躊躇ったが、中から二人の話し声が聞こえたので少し安心して俺はドアをノックした。

男「あ…あの、二人とも起きてる?」

いきなりドアが開いた。ドアを開けたのはつかさだった。

男「あっ…つかっ…」

つかさ「男君!さっきは本当にごめんなさい!」

男「えっ?」

つかさ「私、自分でも何であんなことしたのか分からなくて…!頭クラクラするし、うまく歩けなくて…」

男「…うん。大丈夫だよ。何だか俺の方こそ…色々とゴメン…。」

つかさ「男君…。」

男「…」

かがみ「とりあえず、部屋の中で話そうよ?」

男「あ…うん。」

俺はかがみに招かれて部屋の中に入った。

大きなベッドに座って二人と話すことにした。
808 :病み猫 :2008/08/21(木) 21:56:30.38 ID:7/Tywco0
男「あ…あのかがみ、本当にどこも何ともない?」

かがみ「平気よ。」

男「でも…かがみは何で失踪したんだ?」

かがみ「こなたから聞いたのよ、あんた達のこと。」

男「え?」

かがみ「こなたのお母さんとかそういう話。」

かがみ「…それでね、我慢できなくなってみゆきのとこに直接聞きに来たのよ。」

男「無茶するなぁ…」

かがみ「男は全部知ってたの?」

男「いや、割とついさっき知った。」

かがみ「やっぱそうなんだ。まぁ男は立場的に真っ先に狙われそうだしね。」

男「かがみはみゆきさんに連れ去られたって訳じゃないって言ってたよね?」

かがみ「そうよ。みゆきと話して、帰りに拉致されたの。」
809 :病み猫 :2008/08/21(木) 21:57:36.24 ID:7/Tywco0
男「じゃあやっぱりみゆきさんのお祖父さんの指示とか?」

かがみ「たぶんね。」

かがみ「…私がこなたのお母さんの話をみゆきにして『本当なの?』って聞いたら、みゆきは頷いて『でも誰にも言わないでください。きっとかがみさんに迷惑がかかります。』って言われたの。」

男「そっか…。」

かがみ「あのさ…こなたのお母さんの事とこなたと男の事…つかさに言ったよ。」

男「うん。」

つかさ「…」

かがみ「ごめんね…勝手に言って…」

男「大丈夫だよ。俺も全部知ったのはついさっきだし、みんなにはいずれ言ってたと思う。」

つかさ「……あのね!」

男「?」

つかさ「私、男君の事好きだよ。」

男「…うん。」

つかさ「でも…こなちゃんの気持ちには勝てないかなぁ…」

男「つかさ…」

つかさ「…一番じゃなくていいから…私のことも好きでいて欲しいな…」

男「『愛してる』って気持ちじゃないかもしれないけど、つかさの事は大好きだよ。」
810 :病み猫 :2008/08/21(木) 21:58:34.87 ID:7/Tywco0
つかさ「…男君…やっぱり大好きだよ…」

つかさは俺に抱きついて顔をうずめた。

かがみと目が合った。
かがみはちょっと恥ずかしそうに視線を逸らした。

つかさ「……ヘンな事するって訳じゃないから…今日はみんなで一緒に寝よ?」
 
 
 
右側にはつかさ、左側にはかがみ。
俺はつかさの方を向いていた。

つかさ「えへへ…なんだかキャンプみたいだね。」

男「…うん。」

つかさ「…なんだかドキドキするから頑張って眠るね///」

そう言ってつかさは目をつぶった。

目をつぶって五分と経たないうちに、つかさの息は寝息に変わった。

つかさ「すーすー…」

男『…よかった…つかさも分かってくれた。』

そう思ったとき、背中に暖かいものが触れた。
811 :病み猫 :2008/08/21(木) 21:59:46.56 ID:7/Tywco0
男「!」

俺は固まってしまった。

背中に触れたかがみの体から、手がするすると伸びてきて俺の体を包んだ。

男「……かが…み…?」


かがみ「……私だって……ずっと我慢してたんだから…」

かがみ「…男の…匂いがする…」

男「ちょっ…かがみ…?」

かがみ「私は言ってないよ…?」

男「…え?」

かがみ「『へんなことしない』なんて…一言も言ってないよ…?」

男「だ…」

俺がかがみを振り払おうとしてかがみの方に首を向けた瞬間、俺の首筋に何かが触れた。

つかさ「…ずるいよ。…お姉ちゃん…。」

男「つかさ…」

つかさ「…私も…やっぱり『ヘンなこと』する…!」

男「ぇ」



812 :病み猫 :2008/08/21(木) 22:00:55.43 ID:7/Tywco0
みゆきさんの家にみんなで泊まってから三ヶ月が過ぎた。


こなた「あー…夏休みももう終わりかー」

つかさ「でも今年は四人でいっぱい遊んだねー」

かがみ「まぁ来年は受験で遊べないからね。」

男「…そだね。」

みゆきさんはやはり実家を継ぐらしい。
医学部へ入るため理系に進み、文系に進んだつかさ、かがみ、こなたとは余り遊ばなくなった。
もちろん勉強も忙しいんだろう。


つかさ「あ、今日は私だっけ?」

こなた「つかさー!わざとだろー!今日は私だろー!」

つかさ「へへへ…ばれちゃった。」

かがみ「ちなみに明日は私だからね。」

男「…あの…俺この夏休み自分の時間全く無かったんだけど…」

つかさ「あ、男君に発言権は無いよーニッコリ」

かがみ「そうね。男は勉強なんかしなくても本気だしたらあっさり一位だしね。」

こなた「禿同。」
813 :病み猫 :2008/08/21(木) 22:02:22.10 ID:7/Tywco0
つかさ・かがみ「じゃあねー」

こなた「ほーい。」

男「うん…。」


柊姉妹と別れ、こなたと腕を組んで歩く。

男「なあこなた。」

こなた「んー?」

男「その…色々体力もたないんですが…」

こなた「大丈夫!私たちは男の三分の一の負担ですんでるから。」

男「そういう問題じゃない!…てかさ…その…危険だからちゃんとつけてしようよ…せめて…。」

こなた「何言ってんの?これは私とつかさとかがみんのデュエルだよ!先に妊娠した人が男を!!むがもが!」

男「声が大きい!!」




次の日、夏期講座(理系クラス)。

男「み…みゆきさん。」

みゆき「どうしました?…なんだかすごいクマですね。」

男「うん…実は相談したいことがあるんだ…軽蔑されるかもしれないけど…みゆきさんしか相談できる人いなくて…」

みゆき「私が男さんを軽蔑する事なんてありませんよ。」

男「みゆきさん…」

男「…じつは…」
814 :病み猫 :2008/08/21(木) 22:03:37.13 ID:7/Tywco0
男「……という訳なんだ…。」

みゆき「…」

男「……みゆきさん?」

みゆき「…そんな生活をしながらこの間のテストであの点数ですか…。」

男「いや…あの…あれは偶然で…。」

みゆき「…」

男「その…俺はこれからどうしたらいいんだろう…。」

みゆき「そうですね…少し私も考えてみます。」

男「ありがとう、みゆきさん。」


放課後。

こなた「おとこー」
かがみ「男、帰りましょ。」
つかさ「男君帰ろー」

男「うん」

こなた「そうそう、今日からもう一人ライバルが増えたんだー」

男「え?」

みゆき「考えた結果、こうなりました。」

男「ぁ」
 
 
 
【 ENDINGD 男はみんなのものです、たいせつにつかいましょう 】
815 :病み猫 :2008/08/21(木) 22:04:45.91 ID:7/Tywco0
次回は前々回辺りの選ばれてない分岐を。
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/21(木) 22:12:00.63 ID:jPiDQyEo
乙です。ハーレムエンドとは正直予想外だった
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/22(金) 00:20:15.40 ID:R0iLWSA0
乙〜!

ってか、おい、男!俺と代われ!
818 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:11:42.53 ID:kk2C/wM0
では。
819 :病み猫 [saga]:2008/08/23(土) 22:13:39.62 ID:kk2C/wM0
(ロードしました。)

男「みゆきさんに俺を殺す勇気なんて無いよ。」

みゆき「…」

男「そうだろ?」

みゆき「…」

男「みゆきさん…?」

みゆき「…やっぱり…あなたは分かってませんね。」

男「みゆきさん…」

みゆき「私の事を随分と誤解してます。私は高良。お祖父様の孫。お祖父様がお父様を守るために人を殺せたように、私だってあなた達を殺せるんですよ?」

ズブ…

男「あ…」

みゆき「…本当に馬鹿々々しいです。」

ザッ

みゆき「あなたも!泉さんもッ!!」

ザッ

みゆき「私の気持ちなんてッ!!」

ザッ

みゆき「少しも理解してないッッ!!!」

ザッ
ザッ
ザッ


820 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:14:40.48 ID:kk2C/wM0
男の顔は涙と血で溢れ、虚ろな目でみゆきを見つめていた。

薄れゆく意識の中で、少しずつ感覚が消えていく。

痛みが消え…
光が消え…
温もりが消え…

最後に残った音が消えそうになる時、幽かにみゆきさんの声が男の意識に届いた。


みゆき「…あなたのおかげで…私も鬼になれそうです…お祖父様と同じ鬼となって…高翌良を守っていけそうです。」

みゆき「…でも…私は………」

みゆき「………」

みゆき「…鬼に気持ちなど…不要でしたね。」


小さな赤い水たまりの中に、静かに男が横たわった。

みゆきはその赤い景色が滲んでよく見えなかったので、一度眼鏡を外して顔を拭った。

みゆきの頬についた男の返り血が、拭われて薄いラインを作った。

みゆき「…あなたを殺せたんです…もう、迷いません。」

みゆき「…さようなら。男さん。」

みゆきは机の引き出しから拳銃を取り出すと、静かに部屋を出た。
821 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:15:30.49 ID:kk2C/wM0
地下から銃声が響いた。

ついさっきまで男だったその物体は、硝子のような目で部屋のモニターを見つめていた。

モニターに映し出された青い髪の少女は、机に置かれたナイフを持ち、よろめきながらも眠っているもう一人の少女に近付くと、そのナイフを何度か突き立てた。

青い髪の少女はまだ足が覚束ないからだろうか、ナイフを落とすと足がもつれ転んでしまうと、そのまま再び眠りについた。

タイミングを見計らったように、モニターにはみゆきが部屋に入るのが映し出された。

みゆきは横たわる青い髪の少女の頭を狙い、正確に引き金を引いた。




822 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:16:18.53 ID:kk2C/wM0
男性の声「…長!」

男性の声「…長!」


男性の声「病院長!!」

みゆき「……はっはい!!」

男性「…病院長、言われたカルテ持ってきましたよ。」

みゆき「あ…はい。ありがとうございます。…すみません、居眠りしてしまって…。」

男性「いえ、病院長は少し働き過ぎです!もう少し休まないと体を壊しますよ!!」

みゆき「ふふ…そうですね。ありがとう。」

男性「じゃあ僕は診察に戻りますんで。」

みゆき「はい、ご苦労様でした。」

男性は院長室を出た。
 
 
その夜。

男性医師@「お疲れー」

男性医師A「お疲れ。なぁちょっと飲んでかないか?」

男性医師@「いいなー行こうか。」

二人の若い医者は並んで夜の町に歩き出した。
823 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:17:12.52 ID:kk2C/wM0
男性医師@「なぁ…」

ビールのジョッキを傾けながら喋る。

男性医師A「どうした?」

男性医師@「今日さ、病院長に頼まれてカルテ持っていったんだ。」

男性医師A「ふーん…それで?」

男性医師@「いや…なんて言うかさ…病院長って美人だよな…。」

男性医師A「……はっはっはっ!止めとけ!止めとけ!!院長は無理だよ!」

男性医師@「結婚してるのか?」

男性医師A「いや、してないみたいだけど、今まで何人も玉砕してるからな!」

男性医師@「そうなのか…確かに仕事一筋って感じだもんな…。」

男性医師A「まぁ仕事が原因ではないかもしれないけどな。心に決めた人が居るとか。」

男性医師@「…もしかして病院長のデスクに置いてある写真に写ってる奴か?」

男性医師A「ああ…なんか女の子三人と男一人と一緒のやつか。やたら院長若いやつ。」

男性医師@「そうそう。」
824 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:18:23.60 ID:kk2C/wM0
男性医師A「でもあれって院長、高校生だろ?15年くらい前だぞ。さすがに付き合ってたらもう結婚してるだろ。」

男性医師@「そっか…。」

男性医師A「…まぁどっちにしろT大主席の院長に俺らじゃ釣り合わねーよ。」

男性医師@「まーな。」

男性医師A「それよりさ、今度××航空のスッチーと合コンあるんだけど、お前も来ない?」

男性医師@「あー最近忙しいからなー…また今度にするわ。」

男性医師A「おーそっか…じゃあまた今度なー」
 
 
 
院長室でデスクワークを終えたみゆきは、立ち上がり明日の予定を確認した。
…明日も朝からハードになりそうだ。
 
あれから15年の月日が流れた。
みゆきの友人達が『行方不明』になってから、暫くしてそうじろうは病死し、黒井先生は不慮の事故で亡くなった。

もうみゆきの友人達の失踪が『事件』として扱われることは無い。
そして、みゆきが当時の友人達と遊ぶことも二度と無い。

みゆきはこれまでたくさんの人の命を救ってきた。
そしてこれからも数え切れない人の命を救っていくのだろう。

少なくともみゆきは、明日も明後日も、人の命を救うために寝る間も惜しんで動き続ける。
…何かに取り憑かれた様に。

【 ENDINGB これからも、ずっと 】
825 :病み猫 :2008/08/23(土) 22:19:20.69 ID:kk2C/wM0
では次は、ラストの一個前の分岐を。
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/24(日) 01:14:10.12 ID:yFOz/5Qo
乙。こっちは普通のバッドエンドだったんだな。
次の分岐はこなたルートに期待!
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/24(日) 14:42:58.19 ID:E3A2nvY0
乙。
こういうエンドのほうが好きだったりする
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/24(日) 22:51:02.82 ID:nRDlNY20

俺はヤンデレ娘が幸せにならないのは物足りないな
監禁しても刺しちゃってもいいから幸せになってほしい

だからこそ別ルート期待!
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/25(月) 23:56:12.02 ID:RW0mt2s0
久々に来たら病み猫氏の長編すごいな…
とりあえず>>814の男は俺と代わってくr(ry
また、今更ですがWikiの復旧お疲れ様です。
書き手の一人として文字だけながら礼を。


自分のは4話で止まってたな…他の方が終わって
落ち着いた頃に上げます。
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/26(火) 19:14:22.72 ID:LsRR0mw0
ゆーちゃんかわいいよゆーちゃん
831 :病み猫 :2008/08/26(火) 20:39:10.40 ID:f4kplRA0
ゆーちゃんの方ですか?
是非続きを!


それでは遅くなりましたが投下します。
832 :病み猫 :2008/08/26(火) 20:41:04.50 ID:f4kplRA0
(ロードしました。)

俺はつかさを止めるために、つかさに歩み寄った。

男「つかさ落ち着くんだ!」

つかさ「男君、ジャマだよ。」

ザク

男「え?」

シャツに血がゆっくり滲んできた。

男「つかさ…」

男は膝を突いて崩れ落ちた。

つかさは何事もなかったように、眠っているこなたに歩み寄る。

男「つかさ…止めるんだ…今したことも全部許す…だからこなたは…」

つかさは眠っているこなたの横にしゃがむと、こなたの頬にキスをした。

男「………え?」

つかさ「えへへ…男君と間接キスしちゃった///」

つかさはそう言うとにっこり笑い、ナイフを振り上げた。

男「止めろォォォォォォォォォ!!!!!!!」

つかさは、相変わらず笑顔のまま何度も何度もこなたの胸や腹にめがけてナイフを振り下ろした。
ナイフが往復する度、こなたの体は小さく揺れ、小さな嗚咽が漏れた。
やがて小さな声も聞こえなくなると、つかさはナイフをこなたに刺し入れたままにし立ち上がった。

つかさはゆっくりと男に近付くと、今度は男の唇にキスをした。

つかさ「えへへ///」

男「…あ…う……」

つかさ「じゃあ私、お掃除してくるね。」
833 :病み猫 :2008/08/26(火) 20:42:16.58 ID:f4kplRA0
つかさが静かに部屋を出ていった。
男は下半身に力が入らず、立ち上がることができなかった。
引きずるようにして腕の力だけでこなただけでこなたのそばに這っていく。

血だまりの中のこなたは眠っているように穏やかな表情だった。

男「うっ…うっ…こなた…こなた…」

こなたの顔に男の涙が落ちる。

男「ごめん…守ってやれなくて…ごめん…ごめん…」

男の声は、もうこなたには届かなかった。
こなたは静かに目を閉じていた。
男の腕の中で寝息も立てずに眠るこなたの体が、緩やかに温もりを失っていくことが、それを示していた。

やがて男も、こなたを抱きしめたまま血だまりに倒れ込んだ。

血だまりは二人の血が混じり合って、もうそれぞれがどれくらい流したのか分からなくなった。

男は、こなたを抱いている手足の感覚を失って、もううまく喋ることもままならなくなったけれど、せめて最後の瞬間までこなたを見守っていようと思い、目を見開いていた。

…そしてしばらくして男にも闇が訪れた。
834 :病み猫 :2008/08/26(火) 20:44:40.08 ID:f4kplRA0
三日が過ぎた。

窓の外のルリビタキのさえずりが、初夏の朝を告げていた。

男は二昼夜の間、深い闇の中でさまよっていた。

闇の中に光が見えた気がした。

誰かが男を呼ぶ声。

闇の中から細くて小さい腕が伸びてきて、男を引き上げた。
 
 
 
 
男「…あれ?」

男は柔らかいベッドの上で眠っていたみたいだった。

男「たしか…俺は…」

記憶がはっきりしない。
余りに衝撃的な出来事に、男は一時的な記憶の錯乱に陥っていたようだった。

腹部が鈍く痛む。
それになぜか足には力が入らない。

しかし確かに男は生きていた。

男「…俺は…」

ふと気づくと、男は何かを抱きしめて眠っていたらしい。掛け布団の下で、確かに何かを抱いている。
そしてそれは暖かく、穏やかに呼吸している。
温もりが、男の記憶を緩やかに起こしていった。
835 :病み猫 :2008/08/26(火) 20:45:53.99 ID:f4kplRA0
男「そ…うだった…」

布団の中の温もりは、しっかりと男を抱き締めている。
懐かしい温もり。

男はさっきまでの悪夢が静かに掻き消えていく気がした。

男「俺は…生きてる…こなたも…」

男が、その温もりを抱きしめる腕に力を入れると、その体がピクッと動いた。

男「……こなた!」

掛け布団を少し剥いで、少女が現れた。
少女は眠そうな目を擦ると、目を大きく開いて男を見つめた。
少女の目には男しか映っていなかった。

つかさ「すきだよ。」



【 BADEND フタリノセカイ 】
836 :病み猫 :2008/08/26(火) 20:46:40.24 ID:f4kplRA0
次回は最終分岐からのロードです。
私の都合で申し訳ないのですが、@→D→C→A→endingの順で投下していきます。
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/26(火) 22:30:39.11 ID:ZVPMwD2o
ラスト1行でマジビビった
つかさ怖え
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/26(火) 23:01:27.70 ID:GJQmucE0
ガクガクブルブル…
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/27(水) 19:56:09.61 ID:Tcpx6JM0
>>835
乙です。
ラスト一行を見て心の中で悲鳴を上げてしまった俺
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/27(水) 20:42:24.47 ID:N3qFiaIo
目のアップ→目に映る男→その男の目に映るつかさ
というビジュアルが容易に想像できて背筋がぞくぞくしたぜ
841 :病み猫 :2008/08/28(木) 14:50:43.72 ID:DX5Hq/g0
変な時間ですが書き上がりましたので投下します。
842 :病み猫 :2008/08/28(木) 14:53:23.99 ID:DX5Hq/g0
(最終分岐をロードしました)
 
 
『さすがに今日はもう寝よう…疲れた…』

俺は布団に入って静かに目を閉じた。
やはり疲労が蓄積していたんだろう。
俺はあっと言う間に深い眠りの世界に落ちていった。
 
 
コッコッ…
みゆきが廊下を歩く。
部屋の前で立ち止まるとノックをした。

みゆき「…起きてますか?」

声「…みゆき?」

みゆき「はい。」

声「うん、起きてるよ。」

みゆき「入ってもいいですか?」

声「うん、いいわよ。」

みゆきはつかさとかがみが寝ている部屋に入っていった。

かがみ「みゆき…」

みゆき「かがみさん…」

つかさ「すーすー」

みゆきはかがみのベッドに座った。

みゆき「私は………これからもみなさんと一緒に居ていいんでしょうか……?」
843 :病み猫 :2008/08/28(木) 14:54:23.65 ID:DX5Hq/g0
かがみ「何言ってるのよ。みゆきはこれからもずっと友達よ。」

みゆき「…でも私は…一度は皆さんをこの手に掛けようとしました…」

かがみ「本当に?」

みゆき「…はい?」

かがみ「それはみゆきの本心だったの?」

みゆき「…」

かがみ「…私には分からないけどさ、みゆきも大変だったんでしょ?家のこととか…。」

みゆき「…」

かがみ「……私ね、男の事好きだった!」

みゆき「…?」

かがみ「でもね、男の事好きになって、男の事見るようになって気づいたんだ…。」

みゆき「何を…ですか?」

かがみ「男はこなたの事好きで、こなたも男の事好きだって事。」

みゆき「…ええ…そうですね。」

かがみ「ついでに言うとつかさも男が好きみたいだし。」

みゆき「…」

かがみ「…だからね私考えたんだ。」
844 :病み猫 :2008/08/28(木) 14:56:19.67 ID:DX5Hq/g0
かがみ「私の気持ちがこなたの気持ちより強いかを。」

みゆき「…」

かがみ「私はね…男好きだけど、こなたとの関係も大切。でもこなたは…」

かがみ「こなたは、多分他の全部犠牲にしても男を取ると思う。…もちろん私やみゆきやつかさの事は大切な友達だと思ってると思うけど。」

かがみ「…でも優先順位の問題。こなたは私達と会うずっと前から男を知ってた。だからこなたにとって男は単なる親友以上なのよ。」

みゆき「そう…かもしれませんね。」

かがみ「みゆきは…私と同じで本当はどの関係も壊したくないんでしょ?」

みゆき「…」

みゆき「…ええ、そうです。私には皆さんに順位をつけることができません。出来る事ならずっと今のまま一緒に居たいと思っていました。」

みゆき「…お祖父様に昔の話を聞いても、こなたさんを、男さんを、恨むことは出来なかった…。」

みゆき「努めて心を鬼にしようとしたこともありました。でもあと一歩を踏み出すことは出来ませんでした。」

かがみ「男を事故に見せかけて[ピーーー]とか?」

みゆき「うふふ…そうですね。…出来ませんでしたが。」

かがみ『冗談のつもりだったんだけど…』
845 :病み猫 :2008/08/28(木) 14:57:57.68 ID:DX5Hq/g0
みゆき「…皆さんの男さんに対する気持ちは何となく気づいてました。だから私は直接何かすることが出来なかったので、それとなく皆さんの嫉妬心を煽ってみることにしたんです…。」

かがみ「うん…私もちょっと危なかったかな。」

みゆき「ごめんなさい…本当にごめんなさい…!」

かがみ「いいよ…結果的には丸く収まりそうだから。」

みゆき「あの…つかささんは大丈夫ですか?」

かがみ「つかさは結構突っ走っちゃって後で後悔するタイプだけど、ちゃんと話し合ったから大丈夫よ。」

みゆき「そうですか…よかった…本当に…。」

みゆきがそう言うと、かがみがみゆきを優しく抱いた。

かがみ「みゆき…もう気に病まなくていいからね。こなただって分かってくれるわよ…。」

みゆき「…かがみさん…」

みゆきは暫くの間、かがみに抱きつきながら涙を流した。
846 :病み猫 :2008/08/28(木) 14:59:30.38 ID:DX5Hq/g0
みゆきが少し落ち着いたところでかがみが口を開いた。

かがみ「ねえ、みゆき。」

みゆき「はい?」

かがみ「聞きたいことあるんだけどいいかな?」

みゆき「はい、なんですか?」

かがみ「みゆきは……男の事何とも思ってないの?」

みゆき「………」

みゆき「『何とも思ってない』と言えば嘘になると思います。」

みゆき「実は………私は男さんとこなたさんとは同じ小学校でした。クラスは違いましたが。」

かがみ「えっ?!」

みゆき「こなたさんが引っ越して、男さんが一人になった後…男さんに話し掛ける勇気は有りませんでしたが。」

かがみ「…そっか。」

みゆき「でも今は…それと同じくらい皆さんのことが大切です。」

かがみ「うん……私もそう。」

かがみ「全く…男は罪作りなんだから!これでこなたの事大切にしなかったら、許さないんだから!」

みゆき「うふふ…。そうですね。」
847 :病み猫 :2008/08/28(木) 15:00:55.12 ID:DX5Hq/g0
鳥も鳴いていない静かな朝だった。

つかさは目を覚ますと頭がガンガン痛い事に気づいた。

つかさ「あたま痛いよぉ…」

かがみ「おはよ、つかさ。」

みゆき「おはようございます、つかささん。」

つかさ「あれ…?なんでお姉ちゃんとゆきちゃんが私の部屋に居るの?」

かがみ「また寝ぼけてるのね。昨日はみゆきの家泊まったでしょ?」

つかさ「んーと…そうだっけ…?」

みゆき「…それでは私はこなたさんを起こしてきます。」

かがみ「うん、お願いね。」


こなたの寝ている部屋。

みゆき「こなたさん、朝ですよー。」

こなた「ん…ん…」

みゆき「こなたさん、遅刻してしまいますよ?」

こなた「んー…ダークライが見てるよー…」

みゆき「?」

こなた「ZZZ…」

みゆき「…」

バサッ
ゴロン
ぶんぶんぶん
848 :病み猫 :2008/08/28(木) 15:02:09.21 ID:DX5Hq/g0
こなた「ん…?なぜみゆきさんがうちに?」

みゆき「ここは私の家ですよ?」

こなた「……………おぉ!そうだった!」

こなたやつかさが着替えてリビングに降りていくと、もう他のみんなは朝食を食べていた。

黒井先生「おーっす!みんなおはようさん!」

みんな「おはようございます。」

黒井先生「悪いけど先に食べさせてもらったわー。教師が生徒と一緒に登校するわけにはいかんからなー。」

ゆかり「あらあら、なんだかみんなで朝ご飯なんて楽しいわねぇ。皆さん今日も泊まっていきませんか?」

かがみ「いやそういう訳には…」

つかさ「あれ?男君まだ起きてないの?」

黒井先生「なんやーみんな意外に酷いなー笑」

みゆき「こなたさんが…起こしてきてあげたらどうですか?」

こなた「え゛っ?」
849 :病み猫 :2008/08/28(木) 15:10:31.12 ID:DX5Hq/g0
つかさ「うん…そうだね。こなちゃんが起こしてあげるのが一番いいよ。」

かがみ「つかさ…」

かがみ「ほら、つかさもこう言ってるんだから早く行ってきなさい。」

こなた「な…なる程…エロゲの主人公を起こすのは幼なじみのヒロインと言うことか…かがみんも随分レベル上がったね。」

かがみ「いーから照れてないで早く行ってきなさい。」

こなた「う…うぐぅ…」
ゆかり「あらあら」

みゆき「うふふ」
 
 
男は静かに眠っていた。

…そう、まるで眠っているようだった。

男の左胸はもう音を出していなかったが、顔は穏やかだった。

まるで役目を終えたように。

ドアが開いた。

少し顔を赤らめた少女が男に近付いてきた…
 
 

【 BADEND ネボスケ 】
850 :病み猫 :2008/08/28(木) 15:11:24.38 ID:DX5Hq/g0
次回はおっぱいからです。
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/28(木) 19:03:05.84 ID:snITIJco
もちあげてラストに落とすEND再来ww
この後のシーンは痛々しくて想像できない・・
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/28(木) 21:28:10.94 ID:o0L0ReU0
これは…確かに痛々しいぜ…
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/29(金) 03:19:06.71 ID:XskUvEAO
>>849でビクッってなったけど、次回予告で吹いたwwww
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/29(金) 11:56:09.15 ID:50FYkIMo
ネオポケと読んでしまった
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/01(月) 08:56:59.21 ID:aeVNl6AO
なんという過疎
856 :なあつき :2008/09/01(月) 18:43:41.15 ID:PjDS1hc0
「ねぇつかさ」
「なに?こなちゃん」
「男と手繋いでたよね」
「えっ!う、うん」
「へーやっぱり」
バキッ
「痛っな、なにするの?こなちゃん」
「黙れ。」
ゴキ
「やめて、ねぇやめて!」
「うるさい」
バキバキ!
「[ピーーー]」
「やだ、やだよぉー!!!」
グサッ!
「男に手出すからだ」
857 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:01:13.03 ID:d3DNNPc0
風邪でダウンしてました…余りお腹を出すのは良くないですね。
それでは続きです。
858 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:02:42.23 ID:d3DNNPc0
男「だ…ダメだ!」

俺は掛け布団を脱ぎ捨ててベッドから飛び出した。

色々な事が片づいて、緊張の糸が切れたからだろうか。

夕方、黒井先生の家に行ったときの感覚が甦ってきた。

背中に残るおぱいの感触。

自分の部屋を出た瞬間、廊下でみゆきさんのお母さんに遭遇してしまった。

男「おわっ!」

ゆかり「『おわっ』?」

男「いっ…いえ!あの…お手洗いはドコデスカッ?!」

ゆかり「あらー?声が裏返るほど我慢してたの?」

男「…いや…あの…」

ゆかり「突き当たりの右よ。頑張ってねー?」

男「フ…フヒヒ…サーセン!!」

みゆき母を振り切ると先生の部屋に向かって歩き出す。

『危なかった…先生の部屋とトイレの方向が同じで助かったぜ…まぁ、おっぱいに障害は付き物って言うし(ソース不明)、焦らされるほど燃えてくるぜ…!』


気がつくと俺は黒井先生の眠る部屋の前まで来ていた。

ガチャ

静かにドアを開け先生の部屋に忍び込む。

ベッドには黒井先生ていうかおぱいが鎮座していた。
859 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:03:31.08 ID:d3DNNPc0
俺は躊躇わず布団に潜り込んだ。

なぜこんな夜這いをしたのか自分でも分からない。
ただ何となく、黒井先生は許してくれそうな気がした。


男『シャイニングフィンガーァァァ!!!』

俺は心の中で叫ぶと、おぱいマウンテンへのアプローチを開始した。

男『何という険しさ…登山初心者の俺は極地法を用いなければ…誰か…シェルパを…!』

男『大丈夫、テントの用意は出来ている大佐。』

黒井先生「こら。」

男「大佐、緊急事態だ。いったん連絡を切る。」

黒井先生「 な に し と る ん や ? 」

男「ただそこに…山があるから…」

黒井先生「アホッ!!」

男「ごめんなさいせんせい」

黒井先生「遅い!!自分が何してるのか分かっとんのかー?!!!」

男「だって先生のおぱいが……本能が……あと分岐の都合上……」

黒井先生「意味分からん!!!」
860 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:04:18.79 ID:d3DNNPc0
黒井先生はそう言うと、上に乗っていた俺を逆に押し倒し、自分が馬乗りになって俺の両手を押さえつけた。

黒井先生「…ええか、男が今しようとしてた事は『夜這い』や!犯罪やで!!」

男「はい。」

黒井先生「男は、泉を選んだんじゃないんか?!」

男「こなたにはおぱいが無いんで…」

黒井先生「うちの存在意義は胸だけか!!第一な、泉は昔から男一筋やろーが!ヤンデレ化してうちが刺されるのはゴメンやで!!」

男「な…nice boat.」

黒井先生「真面目に聞きーや!!!」

男「…先生の胸の感触が…何故か背中に残りまくってるんです。」

黒井先生「い…泉に牛乳飲ませーや…。」

男「それに…」

黒井先生「…なんや。」

男「…いい匂いがしたんです…懐かしいような、落ち着く匂いが…。」

黒井先生「…」
861 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:05:16.04 ID:d3DNNPc0
黒井先生「…な…何言ってんねや…男はいつからそんな事言うようになったんや…」

男「先生も言ったじゃないですか。『ずっとこうしたかった』って!俺もあの時思ったんです。」

黒井先生「………何て?」

男「『俺もこうしたかったんじゃないか』って!」

黒井先生「…うちは……うちは…」

男「先生が…何を知ってるかとか、そう言うことはもうどうでもいいんです。本能が…俺の本能が先生(のおぱい)と一緒に居ろと言ってるんです。」

黒井先生が押さえつけていた俺の両手が自由になった。
俺はベッドの上で先生と向かい合わせで座っていた。


黒井先生「あのなー男、よく考えーや。男が言ってる事は…その…うちと…その…」

黒井先生「…とにかく!そんな事すれば、男は泉とは結ばれん様になるし、うちだって教師としてやっていけんくなるんや。」

男「先生はいいんですか?」

黒井先生「へ?」

男「教師としてやっていけなくなっても、俺が『うん』て言えばO.K.なんですか?」

黒井先生「そ…それは……」
862 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:06:15.84 ID:d3DNNPc0
黒井先生は俺から視線をずらした。

月明かりに照らされた先生は少し色っぽく見えた。

以前、先生が話してくれた先生の境遇…。

俺と同じ様なつらい経験をしたに違いない。

それを考えると、こなたと一緒に居た長い時間と同じくらい、黒井先生と一緒に居たような気さえしてきた。

同じ様な境遇。ふと先生の顔を見ると、何だか自分に似ている気がした。
髪や目の色、ややつり上がった大きな目の形まで同じように思えた。

黒井先生がこっちを向いた。

黒井先生「うちはな…それでもええよ。ワケはまだ言えないけど、男と二人で暮らすのも…悪くないかもなー」

黒井先生「…でもな、よく考えや。泉はどうするんや?泉の為に命懸けでここに来たんやろ?泉の父に、泉を守るって約束したんやろ?」

黒井先生「…泉だって…ずっと男とこうなるの待ってたんやで?」

俺の脳裏にこなたが浮かんだ…。
泣いてるこなた。
嫉妬してるこなた。
笑ってるこなた。
こなたの手の感触。
863 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:07:21.30 ID:d3DNNPc0
黒井先生「…な?…こなたは…ずっと男の事…」

男「……」

黒井先生「そ…それに別に男がこなたと付き合ったって、うちと男の関係はずっと変わらないんやで?」

男「…え?」

黒井先生「…いつかちゃんと話すわ。」

男「…」

黒井先生「これくらいなら、いつでもしてあげられるし。」

黒井先生はそう言うと、俺の頭を撫でるため手を伸ばした。

…瞬間、手を伸ばしていない側のタンクトップの肩紐が激しくずり落ちた。

ぽろりん

黒井先生「あ」

男「…」

男「…」

黒井先生「男…落ちつ…」
 
 
黒井先生「………!………!!」

男「…!!……!!!」 
 
…夜が明けた。
朝日が昇る頃、黒井ななこと男の姿はもう無かった。
黒井ななこの車も無くなっており、二人は完全に失踪した。
二人は…どこか遠い町で支え合いながら暮らしているのだろうか。
それは誰も分からない。
もちろん、こなたにも。 
 
【 ENDINGC 色んな意味で禁断の恋 】
864 :病み猫 :2008/09/01(月) 21:07:55.32 ID:d3DNNPc0
では、次回はみゆきさんです
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/01(月) 21:28:03.88 ID:Tw7fj8Ao
来た!先生来た!これで勝つる!
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/01(月) 21:47:22.45 ID:iAG1a.AO
なんか男と先生の関係が気になるな…
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/01(月) 23:16:45.15 ID:EOyWPvMo
GJって言いたいけどヤンデレ的にはココからが本番なのに…
まあオマケだしね
868 :病み猫 :2008/09/02(火) 19:43:55.70 ID:W4fpuoU0
残りの二つの話は両方ともヤンデレ成分が薄いです。
ですが、後々こっそりウィキにのせようと思っていた、あるエンディングの後日談はヤンデレな話になっています。
それらの話もこちらに書いた方がいいでしょうか?
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/02(火) 20:25:52.70 ID:voAnzPko
先生と失踪か
いいね〜
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/02(火) 21:55:51.57 ID:IVmLUnMo
>>868
是非こっちにもお願いします。
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/03(水) 13:32:38.85 ID:uuWjRwAO
>>868
どんどんやってくれ!
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/03(水) 22:04:00.93 ID:LlurTHk0
>>870>>871
落ち着け
楽しみは後に取っておくものだよハァハ(´д`*)
873 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:31:56.30 ID:hFeEiKs0
最近遅筆で済みません。
それでは続きです。
874 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:33:21.84 ID:hFeEiKs0
(最終分岐をロードしました。)

様々な思いが巡り、熟睡なんて出来そうになかった。

みゆきさんはどんな思いで俺達を手に掛けようと決心したんだろう…。

彼女が流した涙が、それが本心からではなかった事を物語っていた。

男『もう一度みゆきさんとゆっくり話そう…きっとみゆきさんはまだ悩んでる』

俺は廊下に出てみゆきさんの部屋へ向かおうとした。

『…ってかこんな夜に女の子の部屋行くのは実際どうなんだろう…』

俺はちょっと躊躇って足を止めた。

…ペタ…



『…今…俺以外の足音が…』

俺は暗い廊下を振り返った。




『なんだ…気のせいか…オヤ○ロ様じゃあるまいし、何考えてるんだ俺は…』

みゆきさんの部屋の前まできた。
入ろうかどうか考えていると、ドアが勝手に開いた。

男「わっ!!」

みゆき「きゃっ!!」
875 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:34:12.02 ID:hFeEiKs0
男「みみみゆきさん、どうしたの?」

みゆき「いえ…あの…男さんこそどうしたんですか?!」

男「その…実はみゆきさんと少し話そうかと思って。」

みゆき「………はい。部屋、入ってください。」

男「あ、うん。」

みゆきの部屋。

みゆき「実は私も誰かと話したかったんです…いえ…正確には謝りたかったんです…謝っても許されるものではないんですが…」

みゆきさんは沈んだ表情でそう言った。

男「みゆきさん。」

みゆき「…はい。」

男「俺はこなたの事は昔から知ってるけど、つかさとかがみはまだ会って間もない。」

男「でも、二人とも今回の事でみゆきさんを許さない、なんて事は無いんじゃないかな?」

みゆき「ですが…」

男「みゆきさんが、みんなが憎くてやった訳じゃないって事はきっと気付いてると思うし。」

男「落ち着いたらさ、俺からみんなに話すよ。みゆきさんだって苦しんでた事も。」
876 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:35:01.91 ID:hFeEiKs0
みゆき「…私は…うっ…うっ…」

俺はみゆきさんの頭を優しくなでた。

男「こんな言い方するのは失礼だと思うけどさ、当事者達はもう死んでる訳だし、こなたのお母さんの事が例え世間に知れても、病院が誠意のある対応すれば何とかなるんじゃないかな?」

みゆき「いえ…」

みゆきさんは涙を拭いて真剣な眼差しになった。

みゆき「例え世間的に許されても、こなたさんのお父さんやこなたさんには取り返しのつかない事をしました…一生かけても償うつもりです…もちろん男さんにもです。」

男「……みゆきさんはやっぱり医者になるの?」

みゆき「え…?………そう…思ってましたが…そんな資格無いですよね…。」

男「そんな事無いよ!!今の気持ちをずっと持ってれば、きっと誰よりも人の痛みの分かる医者になれる!」

みゆき「!!」

男「母さんや…父さんが死んだのは悲しかったし、犯人を憎んだこともあったけど、俺がここで憎んでしまったらまた繰り返すだけだ。」

男「俺達は友達なんだから、もうここで親の代の事は忘れて、互いに信頼しなきゃ。そう思わない?」
877 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:35:58.43 ID:hFeEiKs0
みゆき「そうですね…私が…もう少し早くそう思えれば…」

男「今、思えたんならそれでいいんじゃない?」

みゆき「…はい…!」

また泣きそうなみゆきさんの頭を、俺は優しくなでた。

しばらく時間が経った。

男「…じゃあそろそろ戻るね。」

みゆき「あっ…」

男「え?どうしたの?」

みゆき「えと…その……何でもありません。おやすみなさい。」

男「…うん、おやすみなさい。」

俺はみゆきさんの心の闇を少し払う事が出来て満足した。

自分の部屋に戻るとそのままあっという間に眠ってしまった。

みゆきの部屋。

みゆき「…でもやっぱり…私の気持ちは伝えませんね…」

みゆき「…男さんには、もうこなたさんがいる…私が今何か言っても…迷惑なだけ…」

みゆき「…きっとこれは…友達を信じて守ることをしようとしなかった…私の罰ですね…」
878 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:36:58.75 ID:hFeEiKs0
 
 
 
ゆかり「みゆきちゃん?」

みゆき「はい?」

ゆかり「この間お友達と先生が泊まった日の夜、みゆきちゃんは何してたのかな?」

みゆき「夜…ですか?普通に寝ましたが…?」

ゆかり「あらー?私の記憶が確かなら、夜中にこっそりみゆきちゃんの部屋に行ったコが居たような?」

みゆき「!!!!」

ゆかり「彼氏さん出来たのね?お母さんは反対しないわよー?」

みゆき「ちちち違うんです!男さんとは少し話すことがあって!!」

ゆかり「んー本当?お母さん反対しないんだけどなぁ」

みゆき「本当に違います!…それに…男さんにはちゃんとした恋人がいます。」

ゆかり「あらあら、恋にライバルはつきものよねー」

みゆき「そんなんじゃありません!」

ゆかり「…でも好きなのね?」

みゆき「…」

ゆかり「顔に書いてあるもんねー」

みゆき「うう…」
879 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:37:57.55 ID:hFeEiKs0
ゆかり「ちゃんと思いは伝えたの?」

みゆき「……私、彼に酷いことをしてしまったんです…。男さんは許してくれたけど、私に『好き』って言う資格は無いんです。」

ゆかり「私は詳しいことはよく分からないけど、これだけは言えるわよ。」

みゆき「?」

ゆかり「『好き』って気持ちだけは、それ以外の全部と別物。誰かを好きになったらちゃんと最後まで好きでいなさい。案外、『言えない』ってのは恥ずかしくて逃げてるだけかもしれないわよ?」

みゆき「…そう…でしょうか…」

ゆかり「あ!いっその事今から男君を読んで告白しちゃうってのは!」

みゆき「やめてください!!」

ゆかり「ライバルいるからって諦めちゃダメよ?みゆきちゃんが頑張ればライバルなんてどうとでもなるのよ?」

みゆき「…」




みゆき「言っても…いいんでしょうか…諦めなくても…いいんでしょうか…」

みゆき「男さん…」
880 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:39:07.74 ID:hFeEiKs0
みゆきさんの家に泊まってから、1ヶ月程経った。

俺とこなたが付き合いだした事は、つかさやかがみは疎かクラス中が知ることになった。

何故かというと…



こなた「おはよう男!いい加減起きないと遅刻するぞー」

男「…うん。いつから家に居たんだ。」

こなた「昨日男と一緒に帰ったじゃないか。」

男「烈海王かお前は。」

こなた「さ、早く朝御飯食べないと遅刻するわよ!」

男「何のヒロインか分からんし、もう既に遅刻だ。」

こなた「ニタァ」

男「…」

俺とこなたは毎日手をつないで仲良く遅刻している。

男「さすがに出席日数足りなくなるから遅刻は止めようぜ?」

こなた「うむ…そろそろみんな私達の関係を理解しただろうから遅刻は止めようか。」

男「おま…それが目的だったのか…」

こなた「遅刻すれば目立つだろーそうすれば男に悪い虫もつかなくなるというものだよ。」

男「こんだけベタベタしててちょっかい出してくる奴なんかいないだろ。」
881 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:40:21.20 ID:hFeEiKs0
こなた「いやー分からないよ?…まぁちょっかい出す奴は…すけど。」

男「え?」

こなた「何でもないよーさあ学校学校!」


昼休み。

かがみ「うわっ…相変わらず暑苦しい」

こなた「『ラブラブ』と言ってくれたまえ。」

男「いや、夏は正直自重して欲しいよ。」

こなた「おーとーこ?[ハート]」

つかさ「ま…まぁ、仲良いことは、悪い事じゃないんじゃないかな?」

こなた「うーん、ナイスフォローだよ、つかさ!」

男「そう言えばみゆきさんは?」

つかさ「委員会のお仕事かな?」

男「あーそうかもね。…あ、ちょっとトイレ。…って付いてこなくてもいいからな。」

こなた「でも」

かがみ「こーら!信頼するのも愛よ。」

こなた「うむむ…」

男「じゃあちょっと行ってくるよ」

廊下。

みゆき「男さん。」

男「あ、みゆきさん。どうしたの?」

みゆき「あのですね、私、男さんに言いたいことがあるんです。」

男「え?何?」

みゆき「私は…」
 
 
 
【 ENDINGE ロスタイム開始 】
882 :病み猫 :2008/09/04(木) 00:41:15.48 ID:hFeEiKs0
次回が本編最後の分岐からとなります。
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/04(木) 07:03:36.49 ID:m4FcPjEo
ここからヤンデレ化意思で面白そうだったのにww
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/04(木) 22:58:11.33 ID:jUNV66E0
乙!
ロスタイムってか、延長戦だなwwww
885 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:40:30.76 ID:ZOJgccI0
それでは投下と行きます
886 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:41:27.35 ID:ZOJgccI0
(最終分岐をロードしました。)

男「こなた…」

俺の中でこなたがどんどん大きくなっていく。

男「明日目が覚めたら…俺たちはもう恋人なのかな…」

さっき抱きしめた感触が蘇ってくる。

男「…」

男「…」

男「こなた…」

俺は布団から出た。

男「あいつ…酔ってたな…。」

男「心配だし、ちょっと様子見てくるか…」

部屋を出た。
暗い廊下を歩く。
こなたの部屋の前にきた。

コンコン

ノックの返事はない。

男「…こなた?」

小さな声で呼ぶ。
やはり返事はない。

ガチャ

『こなたの寝顔を確認したら帰ろう』
俺はそう考え、ドアを開けた。

こなたの寝てる部屋。
当然電気は付いていない。
ベッドが膨らんでいるが、顔まで布団をかけているらしく寝顔は確認できない。

俺は枕のある側の掛け布団をそっと剥いだ。
887 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:42:21.81 ID:ZOJgccI0
こなたの寝顔。

ゆっくりと呼吸している。

その安らかな顔を見て俺は安心した。

男「…もう、お前だけ見るから…」

俺は小さな声で呟いた。

こなた「ほんと?」

こなたの目が開いた。

男「おわっ!!」

こなたの目がじっと見つめる。

こなた「ほんとに?」

男「………うん。」

こなた「おとこ………すき。」

男「…うん。」

こなた「ズギュウウウンンして。」

男「ここでネタとか…」

ズギュウウウンン

ぐい

男「え?」

こなた「ねよ?」

男「うん。」

こなた「おとこ…」
男「こなた…」

暗い廊下に僅かに二人の声が聞こえた。

やがてその声が静かになると人影が廊下を移動しだした。

影はこなた達が眠る部屋の前で止まった。

影の手が静かにドアノブに触る。
888 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:43:04.39 ID:ZOJgccI0
みゆきもまた寝付けずにいた。
自分のした事、男の言葉、友達の顔。
すべてが浮かんで頭の中を駆け巡った。

みゆきは静かに布団から出るとドアを開け、暗い廊下を歩きだした。

コンコン

みゆきが部屋のドアをノックする。

かがみ「…はい。」

みゆき「私です。」

かがみ「みゆき?」

みゆき「はい…あの…少し話したいことがあるんです。」

みゆきが『入ってもいいですか?』と言うより早くドアが開いた。

かがみ「うん、話そ。」

みゆき「……はい!」

つかさはもうぐっすり眠っていた。

つかさ「……うーん……すかしかしぱん……」

かがみ「みゆき…私はみゆきのこと信じてたよ。」

みゆき「……かがみさん……私………私……」

かがみ「今日はさ、ずっと話してようよ。…なんか修学旅行みたいね。」

みゆき「…うん。」



889 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:43:34.81 ID:ZOJgccI0
黒井先生「そこまでやで。」

人影はその声に反応してドアに伸ばした手を止めた。

黒井先生「なーにしとるんや?」

「…」

黒井先生「なんで注射器なんて持ってるんや?」

「…」

黒井先生「注射器の中身はなんやー?」

「…」

黒井先生「d-ツボクラリンのアンプルやなあ。その量はどう見ても人なら中毒量やで?この部屋で馬の手術でもするんかー?」

黒井先生「筋弛緩薬なら自然死に見せかけられるとでも思ったんかー?」

「…」

「…」

「…」







「うふふ。」

「ずいぶんと詳しいのねー?薬品名で分かるなんて。」

黒井先生「当たり前や。ウチの父親は薬理学者だったからなー。」

「うふふ…やっぱりそうだったのね?」

黒井先生「めんどくさいんでもう普通に喋るわー。」

「どうぞ?」
890 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:44:17.72 ID:ZOJgccI0
黒井先生「父さんも母さんも守れなかったけど、弟は守れそうね。」

「あらあら。」

黒井先生「自分の部屋に戻りなさい。今までの事は全部あんたの父親がやったって信じてあげる。でもあんたが今、弟に手を出すって言うなら今度は私も戦うわ。」

「うふふ…あなたにそんな資格があるの?あなたのご両親はあなただけは助けようと思って養子に出したんじゃないのかしら?あなただってそれを分かって今まで逃げてきたんでしょ?」

黒井先生「…そうよ。私は自分を守るために逃げてきた。でもね、必死に戦う弟を見てて逃げるのは止めることにしたの。」

「あらそう…残念ね。でも私とどうやって戦うの?私はまだ何もしてないわよ?」

黒井先生「お生憎さま。私が今まで何もしてなかったと思う?あなたの父親はカルテを処分したと思ってたみたいだけど、残念ながら処分しきれてなかったわよ?」

「…なんですって?」

黒井先生「電子カルテって知ってるわよね?電子カルテはウイルスとかのトラブルに対応するためバックアップデータが存在する。」

「…」

黒井先生「バックアップデータ…管理してる人がさらに用心のために自分のパソコンに取り込んでたみたいね。」

「…あらあら…ハッキングは犯罪よ?」

黒井先生「あら?私は何も言ってないわよ?」

「…」

黒井先生「私を殺しても、もう遅いわよ?ここに来る前に泉の家のパソコンに送ったわ。」

「…嘘ね。泉の家のパソコンにあなたのアドレスは存在しないわ。」

黒井先生「ふっ…ハッキングはどっちよ。…ま、でもそれくらい想定の範囲内だけどね。」
891 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:44:52.33 ID:ZOJgccI0
「…」

黒井先生「カルテはね、暗号化してアイテムにつけて送ったのよ。『オンラインゲーム』なんて知らないのかしら?」

「ゲーム…?」

黒井先生「そうじろうさんとはね、ずっと前からやり取りをしてた。こなたのやってるオンラインゲームに私も参加してアイテムと共に暗号化したメッセージを送って。…もちろんこなたは知らないけど。」

「…」

黒井先生「あんたの負けよ。」

「…」

黒井先生「…もう一度言うわ。今までの事は全部あんたの父親がやったこと。」

黒井先生「…そういう事にしといてやるから、もう泉とうちらに関わるな!!!」

「…」

「…」

「そう…わかったわ。そういう事にしておきましょうね。…お互いのために。」

黒井先生「…夫を失った気持ちは私には分からないわ…でもね…そうじろうさんはあなたと同じ気持なのよ?」

「……おやすみなさい。」

黒井先生「………ええ。」

黒井先生は廊下に自分以外いなくなるのを確認すると、月明かりが見える窓のとこまでやってきた。
月を見上げていると先生の頬には熱いものが伝ってきた。
黒井先生『父さん…母さん…かなたさん……男とこなたは…私が守っていきます…』

黒井先生は涙をふくとケータイを取り出した。

ピッピッピッ…

黒井先生「もしもし……はい……終わりました。こなたも…みんな無事です。……ええ、病院長は死にました。…はい…おやすみなさい。」

黒井先生はゆっくりと自分の部屋に戻ると布団に入った。
892 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:45:19.56 ID:ZOJgccI0
朝。

かがみ「あ…おはようございます。」

つかさ「先生、早いですねー。」

黒井先生「まあ、教師が生徒と同じ時間に出勤するわけにいかんからなー。朝ごはんごちそうになったらウチは先行くでー。」

ゆかり「おはようございます。あら、みゆきちゃんはまだ起きてこないのかしら?」

つかさ「あ、ゆきちゃんはこなちゃんを起こしに行って…」

二階から聞こえるみゆきの声「キャッ!!!」

かがみ「…」

つかさ「…」

二階からみゆきが降りてきた。

みゆき「あの…なんでもないです…こなたさんは…その…もう起きてくると思います…。」

つかさ「ゆきちゃん…?なんで顔真っ赤なの?」

みゆき「なっ…なんでもありません!」

かがみ「あ…そういえば男も起さなきゃ。私行ってく…」

みゆき「男さんも!!!!…もう起きてきますから…大丈夫です。」

かがみ「?」
893 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:45:54.01 ID:ZOJgccI0
それから二カ月が過ぎた。

こなた「あー明日からやっと夏休みかー!!!!」

かがみ「今年は自分の力でやりなさいよ。宿題。」

こなた「あーかがみんひどいなーいいよ男に見せてもらうから!」

男「夏休み始まる前からそういう事言うなよな…」

つかさ「あのー男君…できればまた勉強教えてほしいな〜…なんて」

男「うんいいよ。…こなたもつかさを見習ってくれ、少しは。」

みゆき「うふふ、でしたらまたうちに集合しましょう?」

男「いいの?みゆきさん家広いから助かるなー。」

かがみ「ねえ…来年はさ、受験で大変だから…今年が遊べる最後の夏休みだと思うのよ。」

こなた「かがみんが…いつものかがみんじゃない…」

かがみ「うっ…うるさいわね!」

こなた「なるほど。つまり今年の夏はかけがえのない友人たちと思い出づくりをしたいと、さびしがり屋のかがみんはそう思っているわけだね?」

かがみ「…べ…別にそういうわけじゃ…ないわよ…///」

つかさ「お姉ちゃん最近旅行のパンフレットばっか見てるもんねー?」

かがみ「こっ…こらつかさ!!!」

こなた「かがみん可愛いよかがみん」

かがみ「うっさい!!!」

男「いやーかがみはやっぱツンデレだったんだなー」

かがみ「男…死にたい?」

男「ヤンデレ?」

かがみ「こなたが二人になった気分だわ…」

みゆき「うふふふふ」
894 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:46:38.05 ID:ZOJgccI0
黒井先生「なんの話しとるんやー?」

男「せっ先生…なんで休み時間まで教室にいるんですか?」

黒井先生「別にええやろー?」

かがみ「…まあ私は人の事言えないし。」

黒井先生「こなたはまたコミケ行くつもりやろー?」

こなた「うーん…今年はパスかなー」

全員「えっ!!!!!!??????」

こなた「驚きすぎ」

つかさ「こなちゃん…何か嫌なことあったの?」

こなた「つかさまで……いや、そういう訳じゃないんだけどさ、最近なんだか調子悪くて。」

かがみ「だ…大丈夫なの?!」

こなた「うん…いやー夏バテって言うのかなー?なんか最近気持ち悪くて。」

みゆき「あんまり無理しないでくださいね?」

こなた「大丈夫だよみゆきさん。」

黒井先生「そうかーこれを機に泉もコミケ卒業やなー」

こなた「いや、今年だけですよ。」

黒井先生「まあ体調管理はしっかりしときー。じゃあウチは職員室戻るわー。」
895 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:47:30.01 ID:ZOJgccI0
放課後。

つかさ・かがみ「じゃあねー」

男・こなた「さよならー」

男「なあ、夏バテ、大丈夫か?」

こなた「おー心配してくれるの?」

男「そりゃ……彼女だし…。」

こなた「えへへ。」

男「あんまり無理すんなよ。そういえば最近チョココロネも食ってないもんな。」

こなた「大丈夫。ちゃんと病院行ってるし。」

男「おまえ…そんなに悪いのか?」

こなた「ん?全然悪くないよ。むしろ順調だよ。」

男「意味分からん。」

こなた「まあでも今はちゃんと安静にしてるから大丈夫。コミケも今年だけは我慢するよ。」

男「あ…うん。」

こなた「もう一人の体じゃないし。」

男「……………………………………………………………は?」

こなた「おっと。」

男「…おい。」

こなた「今年の夏は暑いなー。」

男「おい。」

こなた「ところでさ、RPGやる時最初主人公の名前付けるのってすごい悩まない?今まさにそんな状態なんだけど。」

男「おとこは めのまえが まっくらになった」

こなた「なるほどサトシか。」

男「おい!!!!」
 
 
【 TRUE END シアワセ 】
896 :病み猫 :2008/09/06(土) 22:51:48.69 ID:ZOJgccI0
以上で病み猫の物語は終わりです。
最後はヤンデレ成分のないハッピーエンドで申し訳ありません。
長い間駄文に付き合っていただきありがとうございました。
また後日『後日談』を何度か投下するまでは、名無しに戻りたいと思います。
それではゆーちゃんの人や☆の人の後日談、そして八月蝉さんの続きをわっふるわっふるしながら待っています。
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/06(土) 23:22:34.91 ID:eCA9QoAO
猫乙

楽しませてもらったよ
次回作を楽しみにさせてもらっていいかな?かな?
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/06(土) 23:44:18.09 ID:K.9lxAIo
>>896
乙です
楽しませていただきました
後日談や次回作楽しみにしてます
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/07(日) 00:57:22.71 ID:63lMD0Q0
病み猫氏乙!毎回の投下、ホント楽しませてもらったよ。
後日談楽しみにしとくぜ!

でも、これでまた一気に過疎りそうな悪寒…
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/07(日) 08:35:58.11 ID:A4orv9A0
よく頑張ったと褒めてやりたい
ブロリーです

>>899
YOUかいちゃいなYO
901 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/09/07(日) 15:19:39.32 ID:Llcs2P.0
>>896
病み猫さん、長い間お疲れ様でした!
ハッピーエンドで良かったです。後日談も楽しみにしています。
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/07(日) 19:05:05.81 ID:KZQEq1U0
酸素って良い響きだと思わないか?
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/07(日) 20:21:28.22 ID:bq4XCzE0
>>896
長編お疲れ様でした!
ヤンデレSSスレではあるけど、俺はハッピーエンド派です。
いつかはここまで書けるようになるのかな…そう思っていた時期が俺にも(ry
904 :伝わる想い、届かぬ想い 第六話-1 [sage]:2008/09/07(日) 20:23:17.58 ID:bq4XCzE0
 今も忘れられない。
桜の樹の下で笑顔を見せた彼と、それに穏やかな笑みを返すあの子の姿を。

 今も忘れられない。
どちらからともなく手を繋ぎ、こちらへと歩き出した時の二人の笑顔を。

 やっぱり、と思う気持ちとどうして?と思う気持ち。
今までの上級生と下級生の関係ではなくなっているような…そんな気がした。
だってあんなに楽しそうな顔、今まで私は見たことがなかったから。


 私ではあの笑顔を引き出せないのか。
あの子でないとあの笑顔を引き出せないのか。


 そんなことない…よね。
905 :伝わる想い、届かぬ想い 第六話-2 [sage]:2008/09/07(日) 20:24:22.46 ID:bq4XCzE0
「こなた」

 呼びかけに反応がない。こんな顔するなんてこいつらしくないな。
何を物思いにふけっているのだろうか。

「おい、こなた」
「ふう…」

 聞こえてないな、こりゃ。

「チョココロネ、今日半額だってよ」
「……」

 チョココロネ程度では反応しないか。
ちなみに今日は本当に半額である。いつもは消費期限切れでも値引きなんぞ一円すら
しないケチな購買のおばちゃんがいったいどういう風の吹き回しだろう。
いや、消費期限切らした物を売ってるのはまずいのだが。

「あー、そういや例のフィギュアが今日再入荷だったっけか」
「ほんと!?」

 椅子を蹴り飛ばす勢いでガタッと立ち上がる。
さすがにこっちのネタを使えば反応してくれたか。でも、悪いがこっちは嘘だ。

「やっと聞こえてくれたな」
「あ…」
「お前がそこまで考え込むなんて珍しいな。何かあったのか?」
「ん、いやーたいしたことじゃないよ」

 俺の問いかけに苦笑するこなた。
まさかグッズ買うのにお金が足りないとかそういうことじゃないだろうな…

「あいにくだが俺は金持ってない」
「む、男は私がゲームやグッズのために人にお金を無心するような女だと思うのかね」
「新発売のチョココロネのために金欠の俺から小銭をむしろうとした奴が何を言う」
「はっはっは、ゆーちゃんにケーキおごるお金があるんだからコロネ一個を買う
お金くらいは出せるだろうと思ってね」

 み、見られてたのかっ!
うまく撒いたつもりだったのにこなたにはしっかり見つかっていた模様。

「…いくらほしい」
「やだなー、お金はいいんだよ。私が考えてたのはそういうことじゃないから」
「そ、そうか」

 いつもの調子…には見えない。
俺もこいつとは短い付き合いじゃないから、一見すれば普段通りに見えるこなたの様子に
どこか違和感を感じるのだ。
906 :伝わる想い、届かぬ想い 第六話-3 [sage]:2008/09/07(日) 20:25:05.74 ID:bq4XCzE0
「相棒が心配ですか、男くん?」
「まあ、それなりにな。昨夜みたいにボス戦中に止まってボコボコにされるようじゃ困る」
「う…あれはいきなりメールが入っちゃってさ」

 こなたに勧められて(というか半ば強制的に)やり始めたネトゲだが、なかなか
面白いから困る。いまやレベルも40を超えた。
黒井先生もやっていて何度かパーティーを組んだが、あの人一応仕事してるのに
レベル95とはどういうことか。

「ゆたかが回復役に徹してくれたから勝てたようなものの」
「まあまあ。今度はポカやんないからさ。レベル124の実力はあんなもんじゃないよ」
「…レベルを聞くとお前の将来が心配になる」

 大学受験もそう遠くない話なのにこれでいいのかと他人事ながら心配になる。
俺もまだどうするか決まりきってないのでこなたのことを言えないのだけど。

「男ってさ」
「ん?」
「ゆーちゃんのこと、いつから呼び捨てになったの?」

 いつからだっけ…ゆたかも嫌がらないのでそのままで通っている。
きっかけはそう、あの桜の樹に登った日だろう。
あれから俺達は何かが変わった気がするんだ。

「扱いがお前と同等になっただけだ。お前にも呼び捨てだろ?」
「お、そういえばそうだね」

 俺の言葉にぽんっと手を叩く。

「同等、か…」

 ――そして、何故か陰のある表情でそう呟くのだった。
907 :伝わる想い、届かぬ想い 第六話-4 [sage]:2008/09/07(日) 20:27:23.87 ID:bq4XCzE0
 ひらひらと舞い散る桜の花びら。あの大きな桜の樹に背中をつけて、俺達は並んで座っていた。

「もうすぐ散っちゃいますね」
「ああ。早いよな」

 少し強い風が吹けば、こうしてゆっくりと落ちている花びらもあっという間に
空に舞い上がってどこかへ飛んでいってしまう。
ついこの間やってきたばかりに思える春は、いつの間にか風と共に去っていく。

「…ゆたか」
「はい?」
「登ってみるか」
「どこに?」
 
 はるか上を指差す。
あの頃、俺が知る一番高いところから見た景色は今も見られるだろうか。

「だ、だいじょうぶですか?」
「足をかける場所って意外にあるもんだ」

 よっ、と最初の枝に手をかける。
ゆたかは樹の根元から俺を見上げたままで立ち尽くしていた。

「…やっぱ、怖いよな。やめるか?」
「いえ…大丈夫です」

 うなずき、右手で樹に捕まったままでゆたかの手をもう片方の手でとると、
ゆたかも勢いをつけて飛び上がる。

「おっとと。大丈夫か?」
「は…はい」

 そのままゆたかの身体を抱き上げ、最初の枝まで登りきる。
背が伸びたからか、運動神経がよくなったからか以前に比べると樹の頂上がの頃よりも近い気がする。
「しっかり捕まっててな」

 こくんとうなずくゆたか。
次に捕まる枝を探し、わずかな窪みに足をかけて登っていく。
ゆたかは軽いし俺もそんなに体重がある方じゃないが、太い枝でないと二人分を支えるには足りない。

「よし…ゆたか、来れるか?」
「はい」

 伸ばしてきた手をつかみ、ゆたかの身体をぐっと引き上げる。
――本当に軽い。いつも元気そうに振舞うのにどこか儚ささえ感じさせる。
ずっと見ていないとふっと消えてしまいそうな。

「男さん?」
「…いや。もう少しだ、頑張ってな」

 俺が登り、ゆたかを引き上げる。あせらずゆっくりと。それでもだんだんと青空が近くなっていくのがわかる。
908 :伝わる想い、届かぬ想い 第六話-5 [sage]:2008/09/07(日) 20:30:14.71 ID:bq4XCzE0
 最後の枝を登りきると、どこまでも広がる青い世界が目に飛び込む。
遥か下には俺達の住む街が見える。
あの頃見た景色とは色々と変わっているけど、あの時に感じた不思議な感覚は
今も同じものだった。

「――」

 言葉もなく、ゆたかは樹の上からの景色を眺めている。
吹き上がってきた風に乗ってきた桜の花びらが俺達の前を通り過ぎてどこかへと飛び去っていく。

「やっと…男さんと、同じ高さに来れました」
「ゆたか?」
「私一人じゃ勇気が持てなくて。どうしてもここまで来ることができなくて」

 それは、仕方がないことだろう。
この樹に登ろうなんて考える奴の方がきっと少ない…でも、ゆたかが言いたかったのは
そんなことじゃないようだった。

「上級生と下級生。男さんはお兄さんで私は妹」

 俺の手に自分の手をそっと重ね合わせながら、ゆたかはそう呟く。

「下から見上げているだけでいいなって。そう思ってました」
「……」
「さっき、私が下から樹の頂上を見上げていたように」

 鼓動が早くなる。
俺の手に重ねられたゆたかの小さな手がわずかに震えているのを感じる。

「でも、叶うなら同じ位置に立ちたかった」

 だからなけなしの勇気を振り絞って、俺の手に捕まった。
怖さを必死にこらえながら届かないと思っていた樹の頂上まで登りきることができたのだ。

「ば、ばかですよね。ここまで登れたからって男さんに届くってわけじゃないのに」

 一粒だけ流れ落ちる涙。
その時、思う。俺の心は、もしかしたら…すでに決まっていたのかもしれない。
誰にも話したことのなかった桜の樹の話をした時から。

 いや、あるいはその前から。
909 :伝わる想い、届かぬ想い 第六話-6 [sage]:2008/09/07(日) 20:30:44.25 ID:bq4XCzE0
「あ…」

 泣かないでほしい。この子には…いつも笑っていてほしいんだ。
あの笑顔が好きだから。

「大丈夫」
「…え?」
「届いてる。もう、ゆたかの気持ち…俺に届いてるから」

 ゆたかを抱く腕に力を込める。
そこで、それまでこらえていただろう涙が一気にあふれるのを見た。

「う…うあああああっ」

 いつから俺のことを想っていてくれたのだろう。
それを考えると俺も切なくなる。

「ゆたか――ありがとう」

 俺の素直な言葉にゆたかも涙を拭って笑顔を返してくれる。
春の終わりを告げるように、桜の花びらが青空に舞い上がって消えていった。
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/07(日) 20:33:29.30 ID:bq4XCzE0
というわけでゆーちゃんの人です。
だいぶブランクがあったので色々おかしいかも知れません。
生暖かくスルーしてやってください。


ここで終われば普通に?恋愛系のSSですが
ここが何のスレであるかは忘れておりません、はい。
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/07(日) 22:19:14.61 ID:OI9tk9go
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/07(日) 22:31:17.68 ID:63lMD0Q0
乙カレー!
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/08(月) 10:35:07.39 ID:GKVSoIM0
乙です!
こなたの病みにwktk
914 :kyoronosuke ◆MmAZl/AtWw :2008/09/09(火) 21:14:59.30 ID:B7w1IhU0
>>910
ゆーちゃんの人、投下乙です。
えっと、自分は僭越ながら現wikiの管理をさせて頂いておりますkyoronosukeと申します。よろしくお願いします。
「伝わる想い、届かぬ想い」というのはSS全体としての題名ということで大丈夫でしょうか?

あと、残念ながら第5話がwikiに保管されていないのです…皆様のご協力をお願いしたいです…。
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/09(火) 22:40:15.70 ID:mc4OzS20
>>914
ゆーちゃんの人です。こちらこそよろしくお願いします。
題名については全体としての題名になっています(各話のタイトルは今のところなしです)。

5話についてはテキストが私の方で保存してあるので上げておきました。
ttp://www.vipper.net/vip609814.txt
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [kyoronosuke#koborin]:2008/09/10(水) 20:32:27.76 ID:4YyQaME0
>>915
ありがとうございます!

題名の件、了解しました。これからも投下楽しみにしてます。
917 :kyoronosuke ◆cz7AmXVSOc :2008/09/10(水) 20:35:50.07 ID:4YyQaME0
あ、ミスってトリップばれしてしまいました…トリップ変えさせて頂きます…。
918 :kyoronosuke ◆cz7AmXVSOc :2008/09/10(水) 21:02:08.05 ID:4YyQaME0
>>915
確認しましたら残念ながらリンク切れのようです…。昨日中なら切れてなかったかもですね…レス確認が遅くなってしまって申し訳ないです。
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/11(木) 14:20:33.44 ID:SeMg6Cgo
こぼりんしっかりしろww
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/11(木) 16:49:44.00 ID:AoV7z4E0
とりあえずいつもの儀式やるか


曖昧3センチ
921 :op男 :2008/09/11(木) 17:19:24.32 ID:cQvavEAO
そりゃプニってことかい?
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/11(木) 18:44:22.56 ID:SeMg6Cgo
ちょっ
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/11(木) 19:29:51.85 ID:3RnMFBk0
ラッピングが制服
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/12(金) 08:24:08.49 ID:qP/SMic0
だぁぁ不利ってこたない
925 :病み猫 :2008/09/12(金) 12:57:22.79 ID:QYLYrR20
ぷ。

なんだかお久しぶりです。
少しずつ続きを書いています。
ある程度まとまってきたのでまた投下をしたいと思います。
926 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/12(金) 12:58:34.25 ID:QYLYrR20
※この話はENDING2に続いています。

【みゆきサイド裏】

私が稜桜に入学して少し時間が経ちました。
かがみさん、その妹のつかささん、そして泉さん。
私は自分の“運命”というものに驚きを隠せませんでした。

泉さん…
少し髪は長くなっていましたが、泉さんはあの時のまま。
隣に男さんはいませんでしたが。

こなた「よろしくね、みゆきさん。」
みゆき「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

泉さんにとって私は初対面なのです。
しかし私にとっては泉さんは『隣のクラスの泉さん』で、『男君の友達の泉さん』でした。

私は何度も言いそうになりました。
『男さんは今何しているんですか?』
でも私は我慢しました。

泉さんが転校して間もなく、私はお祖父様に泉さんと男さんがお父さんの死に関わっている事を聞きました。
でも私は二人を憎むことはできなかった。
お父さんの死に本当に関わっていても、それを忘れてしまうには十分なくらい、男さんが私の中で大きくなっていたんです。
…話したことさえなかったのに。

追うように男さんが転校したとき、私はこっそりと涙を流しました。
男さんに話しかける勇気がなかった自分を責めました。
…同時に私は悪い想像をしてしまいました。
…二人の転校はもしかしたらお祖父様が“何か”をしたから…?

二年生になりました。
私は皆さんと仲良くやっています。
小学校の頃の内気な自分が嘘のように、皆さんに溶け込めている気がします。

泉さんは私の事を“もえぞくせい”などとよく分からない事を時々言いますが、少なくとも泉さんの中で私は友達でいられているようです。
親のこととか、いろいろあったけど私は泉さんの事を大切な友達だと思います。
もちろんかがみさんも、つかささんも。
仲が悪いより、仲が良い方が、絶対に良いに決まってます。

お祖父様は、泉さんの事を良く思わないかもしれない。
でも私にとっては大切な友達です。
だから私は、今の関係が一番いいと思いました。
きっと皆さんとはずっと友達です。
そしてそうあるように努力していきます。
ずっと。
927 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/12(金) 12:59:20.64 ID:QYLYrR20
そう思える日が続いていました。
先生が転校生を連れてくるあの日までは。

黒井先生「…という訳で初日から遅刻してきた勇気ある男君や。」

みゆき『お…とこ…さん…』

みゆき『男さん…』
みゆき『男さん…』

私、泉さん、男さん。
今度は私たちは同じ教室にいる。

私は男さんを見ていました。
泉さんを一瞬見て、すぐに目をそらす男さん。
男さんをずっと見ている、泉さん。

『…二人は気づいているんですね…』
『…私だけがまた、気づいてもらえないんですね…』

男さんは魅力的になっていました。
何より、自分に自信がある。でもそれを表には出そうとしない。
私にはすぐにわかりました。
かがみさんも、つかささんも、男さんが好き。
もちろん泉さんも。

私は…


つかささんの提案で、皆さんと遊園地に行くことになりました。
私はこんな日が来るなんて思ってなかった。
友達と、男さんと、遊びに行けるなんて。
私は純粋にその日を楽しむことにしました。
…帰りの電車で男さんが私に寄りかかって眠るまでは。

私の肩に寄りかかって眠る男さん。
この時間がずっと続いたら…
もし男さんが、かがみさんでも、つかささんでも、泉さんでもなく、私を選んでくれたら…
そう思ってしまったとき、私の中で悪魔が囁いたんです。


皆さんが、男さんに愛想を尽かせばいい。
男さんが皆さんに嫌われるくらいの事をするように仕向ければいい。
ソレデモワタシハオトコサンガスキダカラ
928 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/12(金) 13:00:41.06 ID:QYLYrR20
私の予想通りに進んでいきました。
つかささんは男さんを十分好きになった。
かがみさんも男さんを十分好きになった。
泉さんはもとから男さんが十分好きだった。

でも私の中に、また良くない感情が芽生えてきました。
皆さんが男さんを好きになって、それぞれ男さんにアプローチをする。
でも私は、何もできない。
皆さんが男さんに愛想を尽かすまで、見ているしかない。
ワタシダッテオトコサントナカヨクシタイノニ

気づいたら私は駅のプラットフォームに居ました。
朝のふらふら歩く男さんの背中に手をのばします。
…瞬間、電車が来ました。

『私は…今…男さんを……殺そうとした』
『男さんは悪くないのに!』
『男さんを陥れようとしているのは私なのに!!』
『私は大好きな人を殺そうとした!!!』

しばらく私は茫然自失でその場に立ち尽くしました。

『…私に…男さんを好きでいる資格なんてない…』


週が明けも私はぼーっとしていました。
でもそんな時ほど、周りが冷静に見えたりします。
つかささんの、男さんに対する態度がおかしい。
男さんもそう。
なんだかつかささんと一緒にいるところを皆さんに見られないようにしているみたい。
…もしかして…

次の日。
泉さんの様子がおかしい。
昨日までの泉さんとどこか違う?
男さんを“見てる”と言うよりも“感じてる”。
しかも落ち着いて。
…なにかあったんですね。

…私のせいですね…
…私が播いた種ですね…
…もう戻れないんですね…

私の表情は壊れそうでした。
最初はこれを望んだはずなのに。
今は、確信ではないけれど、自分の罪が痛いです。

みゆき「あっ、私家に取りに行くものがあるので一旦帰りますね!」

私は耐え切れずにその場から逃げだしました。
929 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/12(金) 13:01:19.33 ID:QYLYrR20
また次の日。
かがみさんの様子が違いました。
いつもなら、『テストが悪かったのを誰かに励ましてもらったんだろう』と思えたはずです。
でも今の私にはそんな楽観的な想像はできませんでした。
男さんとの距離。
私には分かります。

…もう戻れないところまで来てしまった事が。


それから何日かして、男さんに『勉強を教えてほしい』と言われました。
男さんは、私より全然頭がいいはず。
…来るべき時が来た事を感じました。

男「ごめんね、急に。」

みゆき「いいえ、大丈夫ですよ。どこでやりますか?」

男「うーん…教えてもらうとなると声出すから図書館じゃダメだよね。…みゆきさんが良ければ家でもいいかな?」

みゆき「私の家ですか?」

男「うん。」

みゆき「…私としては構わないのですが、つかささんに要らぬ誤解を与えたくないですね…。」

男「あっ今日みゆきさんと勉強する事は言ってあるし、家に行く場合はメールとかするつもりだよ。」

みゆき「それなら平気ですね。では、行きましょうー!」


…お互い、見え透いた演技でした。
でも私たちには、そんな一時の安らぎさえ必要でした。

そして男さんは私に話しました。

男さんの…いいえ、“私の”罪を。
930 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/12(金) 13:02:03.04 ID:QYLYrR20
「…男さんにとって、一番大切なものは何か、一番守るべきことは何か、それを考える事が重要なんだと思います。」
…その言葉は自分に言いました。過去の、正しい選択をできなかった自分に。

私が一番大切だったのは、みんなと過ごす時間だったはず。
それを忘れて、私は自分のためだけに皆さんの嫉妬心を煽った。
『高翌良』から男さんや泉さんを守ることも忘れた。
男さんのお父さんを消したのはきっとお祖父様でしょう。
隠していた泉さんが再びクラスメートになったという事実も、もうお祖父様の知るところでしょう。

「…自分の気持ちに正直になって、自分にとって一番大切なものを守らなければいけないんだって。………それは、とても勇気のいる事ですが。」

…男さんなら、もしかしたらまだ何とかできるかもしれません…
それに一縷の願いを託してそう言いました。

『…そのためには、私はどんなことだってします…』
『…自分の命だって…それで元通りの明日が来るなら…』


何日か掛けて、男さんはこなたさん、かがみさんと距離を置くことができた様です。
あとはつかささんだけ。

もし全ての事が解決できたなら、私も本当の事を男さんに言おう…。
私の方が、ずっと軽蔑されるでしょう。
でも…言わなければいけないんです…。
そうすることで私は泉さんや男さんを『高翌良』から守れるかもしれない。

…そんなことを思ってた日、黒井先生が消えました。
…私は…
…無力です…
…ごめんなさい…
…ごめんなさい…
…ごめんなさい…


そして事態は一番想像したくない方向に進みました。

男さんから『きょうつかささんに言う』という旨の話を聞いた、次の日の放課後でした。

男「みゆきさん!!なんだか分からないけど嫌な予感がするんだ!!さっきつかさに会って、話しかけても気付いてないみたいで、学校の方に歩いていったんだ。俺も今学校に向かってる!」

電車の中で私は大声になっていました。
「私も今すぐ向かいます!!!!!」
931 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/12(金) 13:02:45.81 ID:QYLYrR20
…私です。
…つかささんの、かがみさんの、泉さんの心をここまで傷つけたのは私です。

私は着ている服が汗でびしょびしょになるのも忘れて鍵を取りに走ったとこ辺りから、記憶がはっきりしません。

気づいたら私は屋上に走り出てかがみさんの前に立っていました。

私の胸は熱く、燃えているみたいでした。

たぶん肺まで達したんでしょう。

息がうまくできません。

…罰です。

これは罰なんです。

最後に私が見たのは、男さんの顔でした。

それを幸せと感じてしまうなんて

だから、罰なんです。

光が消えて、意識が消えるまでのわずかな時間、私は祈りました。

『どうか…男さんと…泉さんだけでも…』
『…もし次があるなら…私は…もっと皆さんの気持ちを…』
『…』
『…』
『…』

あとは闇。
ずっと闇。
意識とか
考えとか
そういうものが及ばない闇を彷徨って
私はたぶん“天国”じゃない所へ行くのでしょう。
932 :病み猫 :2008/09/12(金) 13:03:46.51 ID:QYLYrR20
とりあえずここまでです。
みゆきさんサイドはもう少し続きます。
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/12(金) 13:12:20.81 ID:qaWd1H6o
GJ
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/12(金) 15:26:24.38 ID:qP/SMic0
O2
待ってた
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/12(金) 20:45:59.11 ID:RscqWpo0
乙!
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/12(金) 22:33:01.04 ID:2mDC..Y0
ふむふむ、これは酸素が必要だな?
つ「酸素」
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/15(月) 22:34:27.63 ID:1ChETXQ0
どーも。
皆さんもうお忘れかと思いますが、ノベルゲームの人です。
最後にうpしてからもう一月はたったのでしょうか。

罰が当たりまして、Cドライブごと作業フォルダーがお亡くなりになったため、もし誰かデータを持っていたら、回収させてくださいorz おねがいしまーす
938 :病み猫 :2008/09/16(火) 11:15:19.82 ID:N/AMrjc0
すみません、データあるのですがどうやって貼っていいのかいいのか分かりません
教えていただけませんか?
939 :病み猫 :2008/09/16(火) 11:15:44.62 ID:N/AMrjc0
とりあえず続きです。
940 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:17:04.09 ID:N/AMrjc0
…気がつくと私は大きな扉の前に居ました。
扉の上には大きく『知性の間』という文字。

みゆき「ここは……?」

私は混濁した記憶を手繰り寄せて、必死に考えました。

かがみさんが刀を抜いた瞬間。


男さんの顔。
消えていく意識。

…私は…死んだんでしたね…。
……じゃあここは…あの世……?

大きな扉。
そうか、きっとこれはイリグチなんですね。
この扉の向こうに閻魔翌様がいて、私はきっと罪を償わなければならないんですね。
…当然です。私は許されない事をしたんですから…。

そう思った瞬間、扉が開きました。

みゆき「………。」

私は勇気を出して歩き出しました。

…地獄とはどんなとこなんでしょう?
…どんな恐ろしい事をされるんでしょう?
…………………怖いです。

声「恐がらなくてもいいよ?高翌良先輩。」

みゆき「………え?」
941 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:18:58.91 ID:N/AMrjc0
私はその声が女の子の声であることに驚きました。
私の中では閻魔翌様は怖い顔をしてもっと貫禄のある男性であると思っていましたから。
『閻魔翌様って女性だったんですね…』

女の子「私は閻魔翌様じゃないよー!」

みゆき「!!」

声に出した訳ではないのに、私の思った事はその女の子に届いていたようです。
その様子に、少なくともその女の子が“人間”ではない事を感じました。

女の子は背が低く、中学生くらい。
ピンクの髪を左右で束ねていました。
そしてなぜかネコの耳の付いたカチューシャをし、ネコのしっぽのアクセサリーを付けていました。

みゆき「あ…あの…。」

女の子「私の事は“ゆーちゃん”て呼んでくれると嬉しいな。」
女の子「ここは高翌良先輩の考えてるとこじゃないよ。」
女の子「でも、高翌良先輩は*んだよ。」
女の子「男お兄ちゃんはここに来るか分からない。確率は1/2。開けてみなければ分からない。」
女の子「この格好は気にしないでいいよ☆」

『ゆーちゃん』と名乗る女の子は私が質問したいことの答えを、私の質問を待たずに一気に答えました。

ゆーちゃん「…で、高翌良先輩は何が聞きたいのかな?」

何もかもお見通しなのです。
『ゆーちゃん』は私の一番聞きたいことだけは答えていませんでした。
私の口から、その質問を聞きたいのでしょう。
942 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:21:19.40 ID:N/AMrjc0
みゆき「ゆーちゃんさん…」

ゆーちゃん「なんですかぁ?」

みゆき「私は…してはいけない事を沢山しました…。」

ゆーちゃん「ストップ・ストップー!!ここは教会の懺悔室じゃあないんだよ?」

みゆき「……!」

ゆーちゃん「そういう事はもう聞き飽きたよ。高翌良先輩ももう言い飽きたでしょ?言いたいこと言えばいいんだよ?」

『ゆーちゃん』はにっこり笑いました。
普通“人間”なら、笑顔は他人に癒しを与えます。
でもその笑顔は、癒しどころか、怒りも、憐れみも、悲しみも、喜びも感じられず、ただただ『笑顔』でした。
まるでそれは人間の女の子の形をした無機物と喋っているようでした。

みゆき「……男さんは………男さんは無事なんですか?!!」

ゆーちゃん「だから言ってるじゃないですか。男お兄ちゃんがここに来る確率は1/2なの!それを選ぶのは男お兄ちゃん。だから箱の中にいる私には分からないのっ!」

私には意味の分からない単語がいくつか出ましたが、とにかく私の質問は『ゆーちゃん』を怒らせてしまった様です。

みゆき「ご…ごめんなさい…。」

ゆーちゃん「はぁ…しょうがないなー……じゃあ私が質問してあげるよ。」

みゆき「…?」

ゆーちゃん「高翌良先輩はさぁ…どっちがいい?」
943 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:22:04.23 ID:N/AMrjc0
みゆき「……どっち?」

ゆーちゃん「そっ!ここに来た高翌良先輩には選ぶ権利があるよ?」

みゆき「何を…ですか?」

そう言うと『ゆーちゃん』は天井を見上げました。
周囲の壁には何か良く分からない幾何学模様が描かれ、その壁は天井に向かって伸びていますが、天井は高すぎてその限界が私には見えません。

ゆーちゃん「ここは大きな箱なの。…でもね考え方を変えればここが“外”でこの箱の外が“中”なのかもね。」

みゆき「箱…?」

ゆーちゃん「“中”には何があると思う?」

みゆき「……」

ゆーちゃん「高翌良先輩でも分からない?…案外“中”には高翌良先輩の望む『未来』があるかもよ?」

みゆき「私が望む…『未来』?」

私の脳裏にはみなさんの顔が浮かびました。
かがみさんの、つかささんの、こなたさんの、そして男さんの顔が。

ゆーちゃん「望んでみれば?『未来』へ行けるかもよ?『過去』を変えて。」

みゆき「でも…もう遅いです…それに私の罪は…」

ゆーちゃん「だーかーらー!ここは懺悔室じゃないよーー!!!」

ゆーちゃん「分かんないかなー?高翌良先輩の望みがかなう手助けをしてあげようと思ってるんだよー?」
944 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:23:27.11 ID:N/AMrjc0
私にはそれが正に悪魔のささやきとなって耳に届きました。

私の望み?
皆さんが無事なこと?
そもそも私が嫉妬に駆られてあんなことをしなかった未来?
かがみさんと、つかささんと、こなたさんとずっと友達でいられる世界?
…それとも…男さんと…?

ゆーちゃん「そうそう!そういう事だよ!」

みゆき「本当に…そんな事が…?」

ゆーちゃん「高翌良先輩は*んだんだよ?親友に胸を切られて。覚えてるでしょ?痛かったこと、苦しかったこと。」

そう言われると胸のあたりが苦しくなったような気さえしました。

ゆーちゃん「もう*んでるんだし、これは『渡りに船』ってやつだよ?ダメでもともと。せっかくだから可能性に賭けてみれば?」

その言葉は、まさにその通り。
もう“終わった”私にとって、それが真実ならなんていう救いなんでしょう。
これは『蜘蛛の糸』かもしれない。
でももしかしたら『悪魔の囁き』かもしれない。
私はそれを望むことが、どんな反作用を生むのか、必死に考えました。
でも答えは出ません。

ゆーちゃん「高翌良先輩が選んだ望みがどんな結末を生み出すかなんて分からないよ?少なくとも人間には。」

その言葉は私に、今目の前にいる女の子の姿をしたそれが“人間”じゃないと語っているように感じました。

みゆき「…代償は」

ゆーちゃん「んー?」

みゆき「…私がそれを望む代償は何なんですか?」
945 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:30:00.73 ID:N/AMrjc0
ゆーちゃん「ふふ…やっぱり高翌良先輩は賢い。」

みゆき「…」

ゆーちゃん「勘違いしないでくださいね?私、ちゃんと説明するつもりだったよ?」

みゆき「…はい。」

ゆーちゃん「…記憶。」

みゆき「記憶?」

ゆーちゃん「高翌良先輩が望んで、もしその世界に行けたとしても、今までの事はきっと忘れるよ?…みんなが*しあえばいいとか思ってた事とかは。」

みゆき「…それは…」

ゆーちゃん「そう!高翌良先輩にとってはむしろ好都合なんじゃないですか?高翌良先輩があんなこと思わなければみんなが*し…」

みゆき「ゆーちゃんさん!!!」

ゆーちゃん「…なんですかぁ?」

みゆき「それだけですか…?」

ゆーちゃん「うん、それだけだよ。」

みゆき「…」

ゆーちゃん「じゃあ決まったら早めに言ってねー?…後がつかえてるし。」

みゆき「…望みます。」
946 :病み猫(みゆきサイド) :2008/09/16(火) 11:30:43.54 ID:N/AMrjc0
ゆーちゃん「何を?」

みゆき「私は…皆さんが傷つかなかった世界に行きたい…!もう一度、やり直したい…!!」

ゆーちゃん「えへへ…。いいよ。チカラを貸してあげる。」

みゆき「……どうすれば…?」

ゆーちゃん「目を閉じて、思い浮かべるの。“そう在りたい自分”を。」

みゆき「“そう在りたい自分”…。」

ゆーちゃん「でもね、選べるのはどっちかだよ?」

みゆき「…?どっちか?」

ゆーちゃん「トモダチとカレシ両方は無理かなー。まあどっち選んでもその世界で努力しなきゃどっちも手には入らないけどね。」

そう言う『ゆーちゃん』の顔はまたあの笑顔でした。
私は分かっていました。
男さんと一緒に歩ける世界に泉さん達は居ない。
泉さんたちと一緒に過ごせる未来には男さんは居ない。
『ゆーちゃん』はその事を言ってるんです。

ゆーちゃん「準備はいい?」

みゆき「はい…。」

私は目を閉じて“そう在りたい自分”を思い浮かべました。

ゆーちゃん「じゃあ箱を開けるよ。」

『ゆーちゃん』
がそう言った瞬間、私の体を何かが掴みました。
そして私の体は徐々に感覚を失っていきました。

感覚が遠のいていく中、最後に思い浮かべた顔は…

(オートセーブしました。重要分岐G)
>>+3

@ ―――男さんの顔でした。
A ―――泉さんたちの顔でした。

947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/16(火) 11:52:47.30 ID:FiNSbbYo


ksk
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/16(火) 12:31:38.27 ID:zsuoI5Ao
なんと言うタイミング

949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/16(火) 14:47:11.81 ID:qeqVbRg0
>>938
アップローダにアップロードしてそのアドレスとパスをここに張ってください〜
ttp://hisazin-up.dyndns.org/
削除パスとDLパスはつけたほうが吉です。
おねがいします
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/16(火) 18:06:30.12 ID:y9KbVNs0
なんというありがた迷惑
とりあえず有効なら2
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/16(火) 18:14:21.06 ID:y9KbVNs0
でも迷惑じゃないしむしろ良いぞ?
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/16(火) 19:14:05.28 ID:qeqVbRg0
ああああ!
安価なら↓って書くの忘れてた・・・('A`)
953 :病み猫 :2008/09/17(水) 11:33:53.22 ID:Lkxekgk0
http://hisazin-up.dyndns.org/up/index.php?dl=77097_bcb0837b70305102e285ed236f499722&PHPSESSID=6bece2046091d367b262515a88829630
パスはyankonaです。
何か手違いがあったら言ってください。

>>950の安価を採用する方向で投下していきます。
954 :病み猫 :2008/09/17(水) 11:35:33.68 ID:Lkxekgk0
私が最後に思い浮かべた顔は…泉さん、かがみさん、つかささんの顔。

…私はもう間違えない。
皆さんと一緒に過ごせる未来のために。
…大切な友達を守るために…




ゆかり「みゆきー」

遠くから私を呼んでいる声がします。

ゆかり「みゆき?今日はお友達と映画行くんじゃなかったの?」

みゆき「はっ!!」

そうでした。今日は皆さんと海賊さんの映画に行く日。すっかり忘れてました。
急いでベットから出て支度をします。

ゆかり「やっぱりお母さんも行きたいなぁー」

駄々をこねるお母さん。
まったくもう、お母さんはいつまで経っても子供みたいなんだから。

なんとか時間ぎりぎりに待ち合わせの糟日部駅に着きました。
駅にはかがみさんとつかささんの姿が。

みゆき「お待たせしました。」

つかさ「おはよー!ゆきちゃん。」

かがみ「おはよ。お待たせしてるのはこなたよ。」

15分ほど遅れてやってくるこなたさん。

こなた「いやいや、遅れてごめん。ちょっとリンゴォ・ロードアゲインに足止めを食らっててさあ。」

かがみ「ウソつけ!てか意味分かんないし!!」

こなた「いやあ女だから許してもらえたようなもんだよ。」

つかさ「?」
955 :病み猫 :2008/09/17(水) 11:36:19.87 ID:Lkxekgk0
いつもと変わらないその会話が、なんだかとても貴重なものに思えました。
こうやって友達と一緒にごく普通の高校生活を送る…。
もしかしたらそれは、ものすごく贅沢なことなんじゃないでしょうか?

かがみ「みゆき、こなた、行こう?」

みゆき「あ、はい!」

ふと気付くと、こなたさんも遅れていました。

みゆき「こなたさん?どうしたんですか?」

こなた「…今の人…」

みゆき「え?どの人ですか?」

こなた「………んー…なんでもない。行こう、みゆきさん。」

みゆき「はい。」

私はこなたさんと並んで少し早足で歩き出します。
すぐにかがみさんたちに追いつきました。

つかさ「ゴールデンウイークももう終わりだねー。」

かがみ「そうね、終わったらすぐ中間よね。」

こなた「うあ…今は忘れようよ、かがみん。」

かがみ「あんたは特に覚えてなきゃダメなんじゃないの?」

みゆき「うふふふ。」



【 ENDING1 Another side 】
956 :病み猫 :2008/09/17(水) 11:37:42.94 ID:Lkxekgk0
続けて@を。
957 :病み猫 :2008/09/17(水) 11:38:26.82 ID:Lkxekgk0
(ロードしました)

私が最後に思い浮かべた顔は…男さん…。
…好きだった。
…本当に好きだった。
出来る事なら皆さんと一緒にいたい。
でも男さんともう会えなくなることは、それ以外の何よりも辛い。
だから私が最後に思ったのは、男さん。

…私は間違っていますか?
…ワタシハマチガッテイマスカ…?


みゆきが光の粒のようになって消えた部屋で、一人佇む『ゆーちゃん』は相変わらずの笑顔だった。

ゆーちゃん「高翌良先輩がどっちを選ぶかなんて分かってましたよ?」
ゆーちゃん「また私に楽しい未来を見せてくださいね?」
ゆーちゃん「ずっと見てますから。」

もう一つの部屋をいくつかの『記憶』たちが通過していった。
そして少し遅れて男の記憶も、もう一つの部屋に辿り着いたらしい。

ゆーちゃん「やっぱりそっち行っちゃったんだね。」
ゆーちゃん「でもまあ高翌良先輩は私のもの。」
ゆーちゃん「私は『記憶』を代償にするけど、その代わり『忘れ』られても効果は消えない…マクスウェルとは違ってね。」

『ゆーちゃん』はもうその形を留めてはいなかった。
不定形の塊になった後、部屋の幾何学模様に溶け込んでいった。


【続く】
958 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:39:40.16 ID:Lkxekgk0
       lヽ                            ,
       | ヽ    __                  , ィ//___
        ヽ   L,ァ'´ /               /´ ̄: : :!: : : : : :`ヽ
       ,  >f=-<ー 、             ┌‐ァ´/:/: :.l: ∧: :.!: :.`ヽ: \
    /: : :イ´: ∧ヽ 、: :.\         Y´:{:/: : /__:イ:/  !__!、:.!: : ヾー ゝ
   /: : : :|:/:_: l/ }: |、: : !: : :ヽ.         {:::::/:{: /´/l/  l/ `}:|: : l: :}
    l: : : : |/´//  l:バ`:|: l: : :.|      `Y: イ:ャ≠rミ     r-=rァ: :|: :|
    |: l: : :|≠彳   !テミ: :!: ト、!         |∧!:/ r、:::|   トィ,.:} 〉: ト、l
    |: l: : :イ代.|     |rt:从l: :|        |l: 込.弋シ   弋ツ{ }イ:|
    l/l: : : 弋シ     ゞ= {ノ: :|          .|:!:. ート、''''  。  '''ノl" l:.|
    ヾ.ト、:.l、'''''  。  ''''イ:∧l           |:.ヽ: :| ` ァ-ャ<.  |: :l:.|
      Vヽヾ7ーfァニ彳 l/           |: :.}: :| /l ></ ト、 |: :l.:|
       Y⌒ヽ、/`ヽ            |: :.|: :|/ |/}::::{ヽ!l V: :イ.:|
.       ├‐┬=┬┤           |: :.|: :| /| { .》::《 | |∧/ !:.|
          l  !   ! l           |: :.|: :|〉 l l .{:::::} l l | |:.:|

かがみ「こんにちは。」
つかさ「こんにちは。」
959 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:40:28.32 ID:Lkxekgk0
          ____,i ー- ――-- 、
    -==ニ二_,. -      |          ` ヽ
         /        !   ::..     \  /`:...イ` 、
         / /    /  ハ  ∧:..    i:. \::::::::::V::::::::::::\
      / ,.-/     /  /  V  ! ',\::..  l_j   ヽ:::::::ハ:::::::::::::::::\
   /,. ´ /   /  |:  /   ', ', ヽ \::..    ヽ ヽ::::::',::::::::::::::/
  /  //   i   :| /     ヽ:', ヽ_ ,.\-‐   ト  !::::::',:::::/
    /:::/  i  | ‐/‐V- .,     ヽ'´ ヽ_,,.-X::.   i::ヽ':::::::i/
    `゙,'   l  | :/  ―-       '"_rオ示斤   :l::::/ ̄li
     i:.  ハ | :∧<f代テミ     ,イ/::::i } リ ヽ::.  |/.::  l',
     { /|::::i l i :ハ k i:::: }      ト y‐ j   ri  }.::  |:i
     |:/ `∧ |! :| i 辷 ン      ヽ廴ン  / l |::.:  ! l
     !   i ハ  |ヽl           """    _,| |:.::.  ,' |
        j  ヽ :|:./! '""            イ ̄:/|!::.:: /.::. l
        l  ::.::.ヽ// 、   ―-―‐  ィ´ /::/.::.:: /.::.::.  !
        |  ::.::./ /    `゙  ‐-‐ ´ l  //   /:|::.::.  l
        |  ::.::.ヽ ゝ"´}  _ _/     ヽ/    ,.ハ::l::.::.:  |
        |  ::.::::{ '"´ }´‖       /   ,.<   i:l::.::.:  }
        |  :.::.:il / ヽ }‖      /   ,..<  \ l|::.::.:  |
        |   .::.{ ヽ  へ }‖     /  /リリ    il::.::   !
        l   ::.i 入  |l‐--=  -‐/  /≦i、/     |::.   /

かがみ「まずみなさんにお詫びがあります。ゆたかちゃんの扱いがだいぶ酷いですよね。」

960 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:41:10.88 ID:Lkxekgk0
           , イ: : : : : : : : : : : : : : : :`丶
           / : : : : : : : :l} 爪.: : : : ヽ: : : :\
.           /: : : : : : : |: :./|.:/'| ハ: :ト、: :|: : : : : :\
          ,'.: : : : :|/: 才7¨'l/   ゙v「下:! : : : : : : :ヘ
            l: : : : : :| : /:l/      ゙} l/ 'v: : : : : : : ',
            |: :|: : : :|:/,rチ〒ミ    ,r〒_ 'v: : : : : : :',
            |: :|: : : :| /「::ト-イ       ト-イ::}Y |: :|:.: :|\j
            |: :|: : : :/{ { ::し }     いノ:} j ,|: :|:.: :|
            |: :|: : : :.:|ゝ`--′    ヽ -′ハ: :.|:.: :|
.          j∧l:: : : :|   ̄   .__'_,   ̄ .ハノ:j∧ハj
           | : : : k       いノ   メ 从: : :.| '
.             Y: : :V> 、 _    _ , イ:/ V.: :j
                Y: :Vハ::r=r〕 ̄ 〔r=v'.j/   V/
                  \j/ ||     || ト、
            ,ィ彡イ´ |゙ ||   || 「| \
            〃ィ'´    |  ||.   |l: |:|  \
              `7    :l.  ||   ||: |:|    }

つかさ「うん、ひどいよねー。あの役はあきら様が適役だよねー。」
961 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:41:51.93 ID:Lkxekgk0
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/l.:.:.:.:.:.:.:.:/ __,.才´i             `ーl.:.:'r 、, _ \.:.:.:.:.:.:.:.i、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ L;.:.-‐:.7´   |:.:l             l.:.:l    `¨ヽー- ⊥_l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ィ'´|.:.:.:.:.:.:/     .|.:.l             l:.:!      ヽ.:.:.:.:.:l. l`:ー.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  |.:.:.:.:./     |.:!              l.:}       ∨.:.:.:l  l.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   」:.:.:./ ̄゛二二|ナヽ           -‐レ'¨_ 二二ニ ,ェヤ=寸ヲ,l.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:/ラ三_F_テニヱエエニミェ、           ,zェニ斗-‐f┴¬弋.斗7 l.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.
:.:.:.:.:.:.:.:l ムィ'´ |:/  __,ノ:::::::::::::Y             i..-一T'":::::::::::::::∧,イ  l.:.:.:.:.:.:.:l:.:.
:.:.:.:.:.:.:/  \ lム./:::/| ::::::::/K:i /  /  /  / |::::::/l:::::::::lヽ::::::/ X|  ,l.:.:.:.:.:.::l:.:.
.:.:.:.:.:.:,'ヽ    ∨..._l ゝ:::イ ノ,(´)  /  /  /  (`)ム、ゝ:::イノ::::メ_....、 / l.:.:.:.:.:.:l.:.:.
.:.:.:.:.:.l  O o (´   ,>-‐ i' ´    /  /  /  /  /  `i`''ー-(    )O ,l〇.:.:l:.:.:.
.:.:.:.:. lヽ 丶  `¨´  /U  /  /  /  /  /  / i    `i¨´ l  l l.:.:.:./:.:.:.
.:.:.:.:.:l  `l ',   i     i          '          i     i  l 丿.l.:./:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:l  ゝ、',  i     i                      i     i   !   ,l/.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.: l、_   l  i     i        ___        i     i  l__, イ.:.:.:.:.:.:.:.:.
ヽ:.:.:l.:l ,>ー┤  !      !    ,ィ'´ ̄      ̄`ヽ、    i     i / /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:\l:.l| : : : : ゝ、i     i    (  _,. -‐‐-- 、_,ノ ノ  U     i,ィ'/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.l|: : : : : : :>、,    i   ヽ `´               i   , < /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.|: : : : :/: : : >、, i                   _,i イ´: : : : `ヽ、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:|: : : /: : : : /: : : : `>ー- 、______,.  ィ' ´: : : : : : |: : : : : : : : : \.:.:.:.:.:.:.:.:.

かがみ「ファンの皆様、  ご  め  ん  な  さ  い  !  !  」
962 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:42:28.22 ID:Lkxekgk0
       lヽ                            ,
       | ヽ    __                  , ィ//___
        ヽ   L,ァ'´ /               /´ ̄: : :!: : : : : :`ヽ
       ,  >f=-<ー 、             ┌‐ァ´/:/: :.l: ∧: :.!: :.`ヽ: \
    /: : :イ´: ∧ヽ 、: :.\         Y´:{:/: : /__:イ:/  !__!、:.!: : ヾー ゝ
   /: : : :|:/:_: l/ }: |、: : !: : :ヽ.         {:::::/:{: /´/l/  l/ `}:|: : l: :}
    l: : : : |/´//  l:バ`:|: l: : :.|      `Y: イ:ャ≠rミ     r-=rァ: :|: :|
    |: l: : :|≠彳   !テミ: :!: ト、!         |∧!:/ r、:::|   トィ,.:} 〉: ト、l
    |: l: : :イ代.|     |rt:从l: :|        |l: 込.弋シ   弋ツ{ }イ:|
    l/l: : : 弋シ     ゞ= {ノ: :|          .|:!:. ート、''''  。  '''ノl" l:.|
    ヾ.ト、:.l、'''''  。  ''''イ:∧l           |:.ヽ: :| ` ァ-ャ<.  |: :l:.|
      Vヽヾ7ーfァニ彳 l/           |: :.}: :| /l ></ ト、 |: :l.:|
       Y⌒ヽ、/`ヽ            |: :.|: :|/ |/}::::{ヽ!l V: :イ.:|
.       ├‐┬=┬┤           |: :.|: :| /| { .》::《 | |∧/ !:.|
          l  !   ! l           |: :.|: :|〉 l l .{:::::} l l | |:.:|


かがみ「それはそうとさ、私たちもう出番ないんだってさ。」
つかさ「えっ?なんで?」
963 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:44:09.34 ID:Lkxekgk0
            / / /                     \
         /Y^Y^ヽ/  /    /  .イヽ        \ \
.       /: : : ∨: : /  /     / / / !  !  ! !   \ ヽ
    /: : : : :::/: : :.l  /     / イ / |  |  | l  ',   l`ヽ.l
   /: : : : : :: /: : : :{  l、_  / / ! /  |  |  ,.l -ト  l   |   l
   \: : : : : : i: : : : :|  { `メ、 l/ l/  l  l//l |  !   ト、
    \: : : :.|: : : : :|  | / / `ニナー〃 ー'l / !/l  l   l: :〉
       \/l___.r|  l え¨斤〒     f 斤fア从 ∧   |/
        |  l  l{ ヘ l/ 辷ラノ      辷ノノ /}l /: :〉 /
        |  l  lト、_V          ,    、、 {/l /'´//
        |  l  l   ̄lヽ、   f^ー--ァ    ノ l/
        l  l   ',    |   >  辻_ノ_,.  イ  l
.        /   ト、  ヽ、 |/: :.|   T:.ヽ |   l   |
      /   /  \  \|: : :.<   Lュ: 弋.  l   |
      /   /   | >、  \: : \___ ヽ: : lヽ.l   |
.     /   l   /⌒ヽヽ  ヽ: : : \  ̄| : l: :l|   |

かがみ「ストーリー的にもう出せないんだって。本当は私とつかさが07とK1みたくバトルするとこが書きたかったらしいけど。」
964 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:44:49.93 ID:Lkxekgk0
           ,.  ,. -=キ≠=- 、
        /: : :'´: : : : : :.ィ: : : :`ヽヽ:\
        /: : : : : :/ : : ://!l: : : !: : :.い: : ヽ
.     /  / .. :/. :/:.// ll: : :l: : ヽl:.|.   :.
     // : : l:./: : !/「/ l  lヽ卞ヽ、l:.!: : : : i
   / /: /: :l/: :イ|:./ l/     V }从:ト: : : : : !
.    / イ: : :l: : :/レ勹示     i勹tトV: : : .!: :|
    l / l:.: :.{:.: | i乍心:|     |;心:.}豸: :.,′:|
    l/ |: : ∧:.l  辷ツ      辷ツl: : :/、∧|
      |: :/ト.Vt  ¨¨  ___   ¨¨ //:ム/  `
      l / l |: :.〉r、    {___}    _イ:.イ:/
      l/   !:/.rLl^l^i、 ‐-‐ ,i^l^|」:/l/
          ィrト、 ` ー┴ v-┴‐'´_,{ァ、
          ∧∨、` ー---┼--‐'´ |/∧
        { ∨、.`ー----┼‐‐--'´∨ }
        l | ` ー----┼---─'´|  l

つかさ「そっかーじゃあもう私たちは死んじゃったりしないでいいんだね!よかったー☆」
965 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:47:13.61 ID:Lkxekgk0
               ___   /ヽ、
        ─==フ¨´      ̄|  ``'ー- 、
          /,        / ,ィ'|  ヽ     ヽ、
         // /  /  /〃 | | |   ヽ    ヾYニヽ、
          /,イ  /   / 〃/,  |│!、   ',.   ヽ |:.:.:ヘ:.:.\
       / /  ,'  / 孑|'"   l !| \ }    ∨:.:.:.:.:',:.:./
        /  i  ,'' /  j   l ||  ヽ |`i    }:.:.:.:.:.:.∨
         |   /  |/{!7メミ、    | _ _土 l|  | |:.:.:.:.:.:.:.|
        | / |  lム {:::::::}     'fて::;;;}7}  ト、|:.:.:.:.:. 丿
        |/  | │il ヒ辷     {::::::::ソ |  | | ̄ ̄ |
          |ヽ∧} '   ,    ` ー'′ | /)  ,'  |
          | | | ` 、   r‐┐   ''  |/ノ  /  |
          | | l    |>.、`___ ..   -‐'ア     /l   |
      r‐‐'"¨¨V | |    |  |  / \/    / |   |
      ≧=   Y |   │ /-<   〃     /   |   |
    と´r─'  _,イヽ、  ,レ'|::::::∧ /    イ    |   |
      `ー┬´   |  /  厂::| ∨    / │   │  |
        |    丿 /  /:::::::| /    /   |    |  │

かがみ「まあそう考えれば気が楽よね。なんだか私いつの間にか居合切り覚えてたしね。ちなみにつかさは鉈じゃなけりゃ薙刀(なぎなた)使うつもりだったらしいわよ?作者の趣味で変な技使わせるの止めてほしいわ。」
966 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:48:00.74 ID:Lkxekgk0
                 ト、   ,ノ^!
                 | ヽ /  |    ?
                /:.>L{_,.く
                /:./:.:.:,イ:.:.:.:.:ヽヽ
             ∠/:./:r:/:/ |:.!へ:./:.:.:.',
                 /:./:.:/レ'  リ\/:.:.|:.:.|
                  |:/!:.イ 0   0 |:.:.:.j:.:.:!
                 リ |:.(l  、_, ''/:.:./):./
                |/V>:r- r/:ィ:.:/レ゙
                  /:::::<―〈:\/
              ノー- 、:::ヽ |:::::}
               /  ヽl\:ヽ|:::/!
                 |    ト、 ヽレ |
                 |     | >ー<{
                  |     | |  ∧ 〉

つかさ「で、結局このレスの無駄遣いは何なの?」
967 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:48:51.95 ID:Lkxekgk0
     ヽ.、______ .ノ|: : : : : : : : : : : : : :`ヽ、           ミ川川川川川川川彡
       ` ー―ァ‐: , : : : : :| : : : : : : :\: : : : : : : : \          三          三
        ,..イ´ : : /: : : :/__l!_:{___ヽ j|: : \:.、ソ^マヽー‐-....、  三 意外と     三
       / ,/. - 7  ̄/ .小--ヘ.:\ ̄ ̄ハ: : : :∨:.:-.、:ノ:..:.:.:.:.:.:.:\ 三  毒舌よね  三
     / /     ′‐: :「 / |:l!: : :lト : :ト., :イ__厂 : : ∨:.:.:.\:::..:.:.:.:.:.:./ .三          .三
    /  /   / l ,:-―トl、 |ハ: : l! >イ\: : :∨. : : : V:.:.:.:.:.\::.:.:.:/  彡川川川川川川川ミ
   ′ イ /i:ハ :|′: :/| | \!  Yl′>_z三=ァ : : : V:.:.:.:.:.:.:ヽイ
  //  !: : : :|:し.:|: : :/.z土ー|  ヽ.Vイ¨´}z.ミli、}ト、 : : : |:.:.:.:.:.:.:.:/:|
 /     ! : : | : :| :くf¨ 丁ミ.、    \ 「7!:::ハ}| ヾ ヽ: : :L:.:.:.:/|: |
     | : : : l : :.:.! ハ 「7{:::jj}        V迂ソリ   jヘ : | Y:.:.| : | :|
     l: : : /!: : :.:〉ヘ V{爪リ       `ニ´    jヘ:| リ:.:.| : |:|
       i: :/ l: : :.|:{ハ `ー'   、       ' '  ,、__ .ィ.:.:.:.! : |: :!
       ∨   V: :|:.ト._}  ´     _ .. - 、    .イ :}:.:.:/:.:.:.:.l : :!: :|
          V:|/.:八     {7 ̄.. - 一'  /|/:./:.: : : :|: :i|:. :|
           トl:.: : :.:>  .._  ̄    .  ´ 「:`j/:/ : : : : :l: :l:.|:. :!
           |ハ : : :.:.:.:.:.|:|:.:| ̄,.不丁    {_/j:/ : : : : : :!: l:.:|:. :|
            l! : : : :.:.:.:.:l:!|:.:.∨:..:./ノ    /:/′: : : : : :l: /:.:|:.:|
             | : : : : :.:.:.ハ{:.ノ..:..:/-――-/:./: : : : : : : :/:/|:.:.:!:. :|

かがみ「いや今後のことなんだけど、作者はここまでは全部プロット立てて書いてたみたいなんだけど、この後のストーリーは頭の中でイメージしてるだけみたいなのよね。だからきっと遅くなるわ。それに住人さん達が、作者の予測不能の分岐を選ぶと登場人物があっさり死んじゃうかもしれないのよ。」
かがみ「さらに言うと、この後はみんな低年齢化するから性格とか言葉づかいが微妙に違ってくるみたいなのよねー。近づける努力はするみたいだけどさ。」
968 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:49:42.93 ID:Lkxekgk0
               /.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .\
              /      /: : : : : : : : : ヽ: : : : : : :ヽ
       _ ... イ  . : : : /: :.イ : : : : : : : :i : : : .    '.
          / . : : :_:/ |:/ { : :ヽ\:___ |: : : : : :ヽ. ',
           /.:/: :/ イ |{  ∨:ハ : : : :| : : : : : }: \}__
        ′|: : : :/││   ∨:ハ: : :U : : : :│: : :|
.        /. :│: : .′| ヽ   ヽ{ ∨ ハ: : : : : :|: : : |
       /. :.j:ハ : /             Y !: : : : : j: : : |
        / /{: :ヘ:{__,ィ      ミ≠zァ|: : : : :/ }:ヽl
.       /   > ´  ヽノ       .:.:.:.| : : : ムイ: : ,\
          /   こ_ノ   `    :.:.:.:,|: : : /:∧: /
       /      ト .. _ (´ ̄ ヽ . イ | : : W }/
      ,′  rーイ{_/Yヘ: :ア¨¨ ´ {ヘ、 |}: /
      .′   |  X  , <7´/   /  ノW、
       l     {    /   .′|  /    /  \
       |     |  / {  |  {/   ,′     ヽ
       |    lイ⌒ Y   | イヘ   /   /  ',
       |    }ヽ、  ヽ   / / ヽ./  ,' /     i
      ',       }    }  { l   rー‐┐/    }

つかさ「ふーん……つまり先にカオスな展開になるのを謝っておきたいんだね、作者さんは。別にいいんじゃない?私たち出ないんだよね?…それよりもう眠いな〜」
969 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:51:12.95 ID:Lkxekgk0
           ____,i ー- ――-- 、
    -==ニ二_,. -      |          ` ヽ
         /        !   ::..     \  /`:...イ` 、
         / /    /  ハ  ∧:..    i:. \::::::::::V::::::::::::\
      / ,.-/     /  /  V  ! ',\::..  l_j   ヽ:::::::ハ:::::::::::::::::\
   /,. ´ /   /  |:  /   ', ', ヽ \::..    ヽ ヽ::::::',::::::::::::::/
  /  //   i   :| /     ヽ:', ヽ_ ,.\-‐   ト  !::::::',:::::/
    /:::/  i  | ‐/‐V- .,     ヽ'´ ヽ_,,.-X::.   i::ヽ':::::::i/
    `゙,'   l  | :/  ―-       '"_rオ示斤   :l::::/ ̄li
     i:.  ハ | :∧<f代テミ     ,イ/::::i } リ ヽ::.  |/.::  l',
     { /|::::i l i :ハ k i:::: }      ト y‐ j   ri  }.::  |:i
     |:/ `∧ |! :| i 辷 ン      ヽ廴ン  / l |::.:  ! l
     !   i ハ  |ヽl           """    _,| |:.::.  ,' |
        j  ヽ :|:./! '""            イ ̄:/|!::.:: /.::. l
        l  ::.::.ヽ// 、   ―-―‐  ィ´ /::/.::.:: /.::.::.  !
        |  ::.::./ /    `゙  ‐-‐ ´ l  //   /:|::.::.  l
        |  ::.::.ヽ ゝ"´}  _ _/     ヽ/    ,.ハ::l::.::.:  |
        |  ::.::::{ '"´ }´‖       /   ,.<   i:l::.::.:  }
        |  :.::.:il / ヽ }‖      /   ,..<  \ l|::.::.:  |
        |   .::.{ ヽ  へ }‖     /  /リリ    il::.::   !
        l   ::.i 入  |l‐--=  -‐/  /≦i、/     |::.   /


かがみ「ま…まあそうなんだけどさ。住人さんが強く望めばまた出られるかも知れないわよ?」
かがみ「それとね、作者的にはここまでの話でのフラグは(今後に関連するものを除いて)回収したつもりになってるんだけど、もし何か見落としがあったら指摘してもらえると助かるかなーなんて…『あの人のあの行動は何?』とかイミフポイントがあれば説明するよってことみたいよ。」
970 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:51:50.45 ID:Lkxekgk0
             / .:.:.:.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
              /:::::::::::::::::::::::/:::::丶 :::::::::::: \:::::::::::::::::::::::::::ヽ
.            , '::::::::::::::::::::: /::ハ:::::::::::\::::::::::::::ヽ::::::::::: ヽ ::::::::l
          /::::::::::::::::::::::::,':::l:  l::':,:::::::__\_::::::l::::::|:::::::::':, :::::l
            /::::::::::::::::/:::::: |::::l   l:::l`く:::::::::::\ ::::|:::: j :::::::::l \}
        /:::::::::::::::::,'::::::::::|::::!   l:::|  \ ::::| \|:: /::::::::::::l:::::::\
          /:::/ ::::::::::::l::::::: /レ::|  l:::|   \|_ |:/:::::::::::::::|\:::::::ヽ
       /イ:::::::/ ::::::|:::::::l/| ::l  j:/     ィ彡≠弍:::::::::::::::::|ヽ:ヽ, -く
.    / ´ |:::::: | :::::: |::::: |:∧ {       ´  ,, / :::::::::::::::: |:/:::::}  {
         |:::::: | :::: 小::: |:l ヾ ,x彡      / ::,.  -─┴‐<   \
         |:::::: | :::::{:::∧:::ヘ 彳'´   '    /::::/      : : : `丶、ノ
        l:::: 小::::: /::::\:::ヽ "    vっ {/  ノ       : : : : \
        ∨ |:ハ::/::/::::::: `八 ___/  ̄ ̄ ̄: : : : : .      : : : : :\
           l ∧!:,'{ :::::: ヽ/   __/                  : : : : : :ヽ
           |'  |:ト、Y⌒ン  /´           . : : : : : : : : : : : : : : : : :\


つかさ「………はんにんは……やす………」
971 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:52:25.88 ID:Lkxekgk0
         、____,、__
       ,.一'′: : : : :|: :. ̄`ヽ
      /:,ィ/:.:.:./: : : :|: : : : : : : \
    /イ7/: : : :./: /l: :,イ:.;ハ: : : :ヽ: :.Y^マ 、
    //:/: : :/:_/_|_/ |:.| ヒ__: : :.:i: :|  | 〉
.   〈_,/;イ: : l:|´/ l/ Vl ´\:` : :|: :|  !/
     l/ |:.:.:.|:|えテミ    fテ斤トl、|:ハ!__」
      |:.:.イ } ftッノ     ftッノ |/Y: |
      |:.:.:トハ xx.  ,    xx ,ハノ:.:|:.:|
      |:.:.:|: :|>-、._ 、   , </: : /: :|
      |:.:.:ト、|/  ,ィ-ぅ</: :/: : /ヽ:.:|
      |:.:∧/  /「丁¨7: :/: : /   i:.|
       l:./ /   i Y__/ィ'/: :./   .| |
       爪/   | f'¨艾¨Y:./    | |

かがみ「………」
かがみ「ま、そう言う訳でよろしくお願いします。この後は前ほどは長くならないと思いますが。」
972 :病み猫(休憩) :2008/09/17(水) 11:53:26.02 ID:Lkxekgk0
         ,  ---‐‐‐ 'l__
      , '": : : : : : : : : : : : : : : : : `丶、
     /: : : : : : : : :| : : /ヽ: : : : : : : : : : : \
   〃: : : : : :|:: :: : ::|: :/  ヽ: :|: : :|: : : : ヽ: : :ヽ
  /: :/: :: : :: !: : : :/|:/   ヽ: !: : :!: : : : : : ヽ\\
  .|: :/: : | : : :|':´⌒ |:|    ヽ:|- 、!: : : :|: :: : :ヽ ヽl
 . | /: |: : /::|: :/  |:|     |::|ヽ: `|: : :|:: ::|: : :',
.  リ: : | : : : :/!:/   .!:!     !::! ヽ:: !: : :!:: ::|: : ::',
  |: :/|: : :|:| .リ   .リ     リ  ヽ|: : :!:: ::| ヽ: !
  |/: >: : :!::! ,ィfテ      ≧x、  !: : |:: ::| ヽ:!
  /::〈 |ヽ:|::| チ´           `ミ /:|: :|: : :!
. /: : : ::|: ヽ:|        '       |: |/ノ:|:〈
.  ̄ ̄| |: : : :! 、_   ´ ̄    ,イ: : :|: : |`
   . !ノヽ: : ヽへl` ‐-‐ '∧∧|: : : / : :ヽ
      ヽ|\ヽ┘   └-- __ /: :|/
     '"  |ゝ` ヽ ---- '" ,|| //、,-、__
   /   .|| ` ----- /.||      ヽ_

まつり「それじゃ最後に私から今後の予告です。メインキャラは既出の人に加えてもう一人のキャラが登場予定です。作者的にはクーデレが病むのは難しいとのでだいぶ挑戦するとのですが…。それでは次回は本編に戻ります。お疲れ様でした。尚AAがずれていてもヌルーしていただけると助かります。」
973 :病み猫 :2008/09/17(水) 11:54:17.11 ID:Lkxekgk0
調子に乗りました。
すみませんでした。
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/17(水) 17:44:26.95 ID:1l5puAA0
病み猫さんありがとうございます。
おかげで復旧できました!
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2008/09/18(木) 12:47:40.61 ID:zCsqt1E0
O2
そろそろ次か
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/18(木) 22:31:43.76 ID:o1gKFLMo
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/18(木) 23:44:47.12 ID:CLFxkx20
>>973
毎度お疲れ様です。
そろそろ次スレの時期ですな。

>>918
流れてしまってましたか…レスを待ってから上げるべきでした。
早まったことをして申し訳ない。
次を上げた頃に改めて上げ直します。
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/23(火) 07:15:45.32 ID:Tw3S2nAo
次スレ立てる?
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/23(火) 09:33:09.76 ID:Q.vSoEAO
立てとこう
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/23(火) 13:28:48.30 ID:1xAZaPg0
ゆーちゃんの人です。
投下しようと思ったらもう980なので、次スレ立てようかと思いますが
何か>>1に追加必要でしょうか。立ててから>>2以降に追加してもらってもいいですが。
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/23(火) 19:50:59.35 ID:Tw3S2nAo
取り敢えずはそのまま立てて良いのでは。
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/23(火) 20:00:09.82 ID:1xAZaPg0
>>981
ではとりあえず立ててきます。
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/23(火) 20:08:52.21 ID:1xAZaPg0
立てました。このスレのURL追加しただけなので後何かあったら
追加頼みます。

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1222167932/
984 :伝わる想い、届かぬ想い 第7話-1 [sage]:2008/09/24(水) 01:15:40.73 ID:lgOiGKg0
 足を止める。
遥か向こうに見える、いつか見たのと同じ…いや、同じようで違う光景。

「あ……」

 拳が自然と握られて震える。
やがて全身に何かが染み渡っていくのがわかった。

「どうしたの?」
「……」

 尋ねられても答えられない。答えられるはずもない。
しっかりと繋がれた二人の手が目にしっかりと映る。

「――」

 そして、次の瞬間に「その光景」を見た時。
私は踵を返してその場から走り出していた。

「こなたっ!」

 勢いで走り出してかがみを置いてきてしまったことを後悔する余裕もない。
――もう何も考えられない。
歯を食いしばって私はあてどもなく走り続けていた。

「…っ」

 ただただ走る。
わかっていたのに。いつかはこうなるんじゃないかとわかっていたのに。

「は…っ!」

 気付くはずがない。気付いてもらえるはずがない。
男にはゆーちゃんしか見えていなかったから。私もまた、気持ちをアピールする
ことなんかできはしなかった。
985 :伝わる想い、届かぬ想い 第7話-2 [sage]:2008/09/24(水) 01:16:59.02 ID:lgOiGKg0
「は、はは…」

 そんな勇気、持ち合わせていない。
バカなこと言って笑ってもらうくらいしかできなくて…真面目に気持ちを伝える
度胸をいつまで経っても私は持つことができなかった。

(それに…そんなの、私には似合わないよね)

 お似合いの二人じゃないか。
男は面倒見もいいし、意外に(と言うと本人は怒りそうだけど)頼りになるし、
ゆーちゃんの良さは私が一番わかっている。


 だから、これでおしまい。
少しだけ泣いたら明日からはまたいつもの泉こなたに戻る。

「…まぶしいなあ」

 夕日のオレンジ色の光が、一度は止まった涙を再びあふれさせた。


 心の中でわかっていた、わかっていたんだ。
私は――ずっと、男が好きだったことを。

 そして…それがきっと叶わないことも。
986 :伝わる想い、届かぬ想い 第7話-3 [sage]:2008/09/24(水) 01:17:50.83 ID:lgOiGKg0
『ゆたか、補助頼むよ』
『はい』

 いつからだったか、ネトゲのパーティーにはあの子も加わった。
男を半ば強引に誘って始めてもらったのだけど、今は人数も増えている。

『ちょっとこなた、召喚多すぎじゃない!?』
『このくらいは想定の範囲内だよ』
『30匹のどこが想定内よ…』

 一緒にかがみも巻き込んでみたんだけど、思った以上にこのゲームは楽しくなった。
でも、あの日以来…何か違ってきている。
楽しいことに違いはないのだけど…なんか、もやもやする。

『よし、こっちは片付いた』
『私の方もだいじょうぶです』
『こなた、そっち援護いる?』
『はっはっは、心配無用だよかがみん。10匹程度ならどうにかなるって』

 戦略は頭の中に入っている。
この程度の状況は簡単に突破できる。攻略サイトもあるけど、長くこのゲームを
やっていると新しい敵が実装されても対処法は自然とわかるのでそんなの必要ない。
…男に廃人と呼ばれるのもうなずけてしまうけど。

『おっけー。みんなどこ?』
『出口付近に集まってボスと交戦中』
『了解』

 ゲームでうまくいっても現実ではシミュレート通りにいくことはそう多くない。
…ほんと、難しいものだ。
987 :伝わる想い、届かぬ想い 第7話-4 [sage]:2008/09/24(水) 01:19:20.46 ID:lgOiGKg0
『お待たせ〜、って男やられてんじゃん!』
『わりいわりい。ちょっとしくじった』
『蘇生しますから待ってください』

 かがみの回復に回っていたゆーちゃんがすかさず男のキャラを蘇生。
すぐにボス戦でHPの減っているかがみの回復に戻る。

『サンキュ』
『どういたしまして』

 なかなかどうして、機転の利く。
始めてからまだ長くないのに戦い方はすっかり飲み込んでいる。
何より…男との連携がうまい。

『ふー、やっと倒せたね』
『みんなお疲れ様』

 やっぱりだめだ――本来の私に戻るなんてこと、結局できてない。
せめてみんなの前でだけでもいつもの自分を演じていかないと。
いつもの…自分を。

『今夜はこれで解散しよっか。私もさすがに眠いや』
『げ、もう2時じゃねえか』
『わ…ほんとですね』
『今日が日曜だからよかったようなものの…こなたがボスマップに行こうなんて言うから』
『まあまあ。レアアイテムも手に入ったからいいじゃん』

 二人の距離が確かに縮まっていること、他のみんなは気付いているんだろうか。
一緒に出かけることが多くなって、ゆーちゃんも男も幸せそうで。
私はそれを笑顔の仮面をかぶって遠くから眺めている。

『それじゃ解散〜。おつかれさま』
『はーい』
『みんなおやすみ』

 ログオフしてパソコンの電源を落とし、部屋の電気を消してベッドに潜り込む。
988 :伝わる想い、届かぬ想い 第7話-5 [sage]:2008/09/24(水) 01:21:31.65 ID:lgOiGKg0
「……」

 最近、眠れない。吹っ切りたいのに吹っ切ることができない。
未練がましいと自分でも思う。それでもあの二人が笑顔でいるところを
思い出すと胸が締め付けられそうになる。

 二人が付き合ってるとか自分から言い出したわけじゃない。
でも、わかる。私にだけはわかるんだ。
上級生と下級生、兄と妹…そんな関係からはずっと進んでいることが。

(はあ…)

 勘違いで済むのならその方がいい。
一人で悩んで一人でうじうじしているだけだったんだと、一人苦笑いして
済ませられたなら――そうだったならどんなによかったか。

 だけど見てしまったから。

「…ゆたか」
 
 手を繋いでいた二人が、

「はい」

 桜の樹の下で。

「――俺も、好きだよ」

 そっと口付けをかわした光景を。
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/24(水) 01:24:34.99 ID:lgOiGKg0
ゆーちゃんの人です。埋めがてらこちらに投下しました。
…これ、うまく病ませられるのかな。ある意味すでに病んでるかも知れませんが。
他の方のSSに比べるとやたらあっさり風味ですが読み流してください。
990 :病み猫 :2008/09/24(水) 11:53:54.91 ID:8CtRURk0
>>989
乙です!
ゆーちゃんとこなたのバトル(精神的な)が楽しみです!

私も少し書いたんですが次スレに書いた方がいいですよね?
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/24(水) 16:08:40.10 ID:wUUACQAO
>>989

ゆーちゃんとこなたのバトル(肉体的なの)に期待してます
992 :病み猫 :2008/09/24(水) 17:18:53.73 ID:8CtRURk0
続きを新スレの方に投下させていただきました
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/25(木) 17:29:31.19 ID:Z.B99hM0
(=ω=.)「うめ…埋め…梅…うーん…」


男 スタスタスタ


(=ω=.)「あっ!男ー!」
男「ん、なんだ?」
(=ω=.)「私の子を産め!」
男「産めるかっ!」



というわけで埋め
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/25(木) 18:00:22.72 ID:ATpEf9g0
>>990-991
それはどちらも書けということですか?wwww
ご期待に添えるかどうかはすごく…微妙ですww

(=ω=.)それでは残りを埋めるザマスよ
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/25(木) 19:11:12.58 ID:yC6ccxU0
(=ω=.)「埋め」
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/25(木) 22:10:46.12 ID:uiD9zJko
お手伝い梅
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/25(木) 23:49:19.47 ID:vOnLufIo
ぬるぽ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/26(金) 07:59:20.26 ID:IgWZ7xoo
ガッ
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/26(金) 11:00:12.67 ID:g8BKwAAO
999
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/26(金) 16:34:59.28 ID:P5xORhco
おしまい
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

1000超えたのでHTML化の依頼をするでござるの巻
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1195554932/

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
ここだけポケモンの世界 @ 2008/09/26(金) 16:32:00.73 ID:6RIkOeQo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1222414320/

ポケモンダイパプ工場長に嘲られてきた @ 2008/09/26(金) 16:18:10.49 ID:CFQspv.o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1222413490/

A雑昔を偲部 @ 2008/09/26(金) 16:10:43.06 ID:sFqWIlYo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaclub/1222413043/

ここだけ魔法世界375 -美奈子- @ 2008/09/26(金) 15:21:30.89 ID:UDYLc960
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1222410090/

WOW WOW TONIGHT / 浜田省吾 feat. 眼鏡うp @ 2008/09/26(金) 15:09:47.22 ID:77nmcVMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1222409387/


Powered By VIPService http://vip2ch.com/

511.68 KB   

スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)