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【ここだけ】永夜世界part2【なりきり】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/10/04(土) 23:19:07.38 ID:1kiYJwEEo
【ここだけ】永夜世界【なりきり】
────────────────

【永夜世界とは】
ようこそ、永夜世界へ!
このスレは二ヶ月間の期間限定のスレです!三大イベント攻略、エンディングを目指してロールプレイ、なりきりをするスレです
貴方は今、《夜》という破壊と崩壊の性質を持った漆黒の龍に空を覆い尽くされ、食い荒らされた世界にいます
そこで貴方は《夜》から産み出された魔獣達と戦いつつも、《夜》の打破、もしくは魔獣となり人々を殲滅してもらいます

◇人間側は、非常に強力で、魔獣と対等又はそれ以上に渡り合う事が可能だが、使う毎に魔獣へと近づいて行く《焔装》があります
◇もしくは《焔装》の模倣品ではあるが、非常に未来性があるものの、《焔装》には劣る《月装》を用いて《夜》に立ち向かってもらいます

◆夜陣営では知能のある魔獣になり、人間を喰らい、ひたすら破壊と殲滅の限りを尽くしてもらいます
◆夜陣営では人型、獣型などの様々な容姿、高い知能指数など持ち合わせる特殊な魔獣となることができます!

他にも両陣営とも各々の特性を抱えておりますが、詳細はwikiなどをご覧ください
《人間陣営》もしくは《夜陣営》を選び、規定にしたがってキャラメイクした後、ロールプレイを楽しみましょう!

────────────────


────────────────

【お役立ちリンク等】
これはテンプレートなので詳細等は書いておりません
世界観、ルールの詳細などはwiki、その他のお役立ちリンク等は下記の通りです

・@wiki: http://www63.atwiki.jp/yeh-yah/pages/7.html
・twitter:@eiya_sekai
・したらば:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/subject.cgi/sports/42093/
・mail:eiyasekai@gmail.com
・前スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1411560147/
────────────────
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :運営の運ちゃん ◆a579KjIYfs [sage]:2014/10/04(土) 23:21:58.19 ID:Q0iVX/FZo
>>1
エイヤーッ!!!!!!
3 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/04(土) 23:41:56.30 ID:QT0hdpkS0
>>1乙です!

前スレ>>975はまた後日に持ち越します
4 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/04(土) 23:44:40.86 ID:9vqdDj9Yo
>>1
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/10/04(土) 23:45:10.36 ID:1mPXC3Nxo
>>1
乙カレーさまです!
6 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/04(土) 23:45:16.92 ID:/fIHG/Q90
>>1乙です
7 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/04(土) 23:47:49.37 ID:t24ruTYE0
>>1乙ですー
前スレ>>968はまた後日に…
8 :大道 竜造 ◆bNDzlpByP6 [sage saga]:2014/10/04(土) 23:49:58.21 ID:F3hsUkNqO
乙です

前スレ999
//忘れてました………訂正ロール置いときます
野次が聞こえる。なんとでも言え。どうぞ余裕をかましてくれ。
再び曲がり角へと近づく。
振り向くと、凄まじいスピードで迫る影。
流石は魔獣である、自分とは段違いだ。

ガルバの一撃を躱し、その足下へと向かい、武器を構える。さっき剣であったそれは、この時は銃であった。
銃身から閃光が放たれると、爆風が巻き起こり、周囲を砂煙が包む。
その煙に紛れ、角を曲がり一直線に大通りへと走るのであった。
9 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/04(土) 23:54:09.06 ID:JhjZcAJJo
前スレ>>1000
「The-Purifire<浄化する者>…
 魔物に対抗できる術を持ち、人を導く人類の切り札です。
 沢山屠れるって事は、とても誇らしい事なんですよ…」
小悪魔めいた笑顔を浮かべた、少女。
スコア計上の為に戦っている自警団員…
この手の俗物はどの時代にも居るものだ。
 
「帰還者の話か…私は別の病棟に居たからなぁ。
 私より重症で帰ってきた人間が、おそらくそうなのかも。
 現場には居合わせてないんで…詳しい事は不明ですけど」
うーんと唸った後、落ち着いた様子で答える。
訳有りの患者が病棟に来たといううわさは耳にした。
その時有子も病院待機で前線離脱していたからだ。
10 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/04(土) 23:59:17.45 ID:/euy+UQbo
>>1 乙さまです
>>995 ラッシュさん宛て
「おじさんの言ってることはわからない。……でも、それはちがうよ
 だって、わたしが決めたから。おじさんはここで死ぬ」

 回転しながら突っ込んでくる車体から放たれる弾丸の嵐は到底避けきれるものではないし、翼でも守るのは厳しい。
 少女は歯をきつく噛んだ。そして自分自身を守る二翼を爆発させた。否、そう錯覚するほどの射出だ。
 高密度の弾幕に対するは、高密度の羽と灰のリアクティヴ・アーマーだ。まず射出の衝撃で弾丸の威力を弱めた。
 そして超高密度の疫病で急速に朽ち果てていく弾丸の破片を剥き出しの翼で守った。傷。傷。傷。少数の弾丸が突き抜ける。
 少女の体に突き刺さる破片は、傷だけを残して朽ちた。風穴の空いた剥き出しの翼から車体は見えている。
 その痛みさえ燃料として殴り砕いた車体。《翼》本体で直に殴ったことで進行速度は凄まじい加速をはじめるだろう。
 そしてリアクティヴ・アーマーを再利用。くだけた車を灰と羽で隙間なく包み込もうとする。
 ひしゃげ朽ち果てすこしでも隙間があれば、それはラッシュを即座に毒するだろう。

「……ううん、わたしが殺す」

 灰色に赤が混じった姿で決断した。少女はさらに車体を殴った二翼で車を粉砕するつもりだ。
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/10/05(日) 00:05:36.06 ID:4/1njoLYo
/前スレ>>998

「……それはそれでいい? ……よくわかんねぇな。 ――――あ、そうだ聞いてなかったな。……アンタの名前と、闘う理由」
「武においては死こそ敗北だ。反対に言えば死ななきゃ負けじゃねぇ。……俺は負けたくねぇ、それだけだ」

人間をやめることによって得るプラス要素はなんだ、そう考える。力を得ることだろうか。いやそうでも、力だけあってもエルドにとっては意味がない。
この男はなぜ「それはそれでいいといったのか」を知る為には、闘う理由を聞かなくては。そう思いエルドはその理由とついでに名前を尋ねた。
――――武において。そう言うことからこの男は武術に精通でもしているのだろう。その証拠にタキシードの周りが黒に染まった瞬間、本能で構えを見せた。

「おいおい勘弁してくれよ……この前倒した魔獣も黒い霧使ってたんだぜ……!!」

正中線は相手に対し45度の右足前の半身。両脇は締めて全身を脱力した状態にして、右拳は常に相手の正中軸に向くように置き、左手は顎付近。
スタンス幅は肩幅から1歩広げる程。前足(右足)の爪先と後ろ足(左足)の土踏まずの中間点を一直線上に位置させ、後ろ足の踵は上げる。
丹田に重心を置いたその構えは、隙も力みも見当たらない圧力のある構えだった。その構えを瞬時に取れば、眉間に皺を寄せてそう言うのだ。

「……じゃ、俺も軽く。効率良く『力を伝える配分』を掴まなきゃなんねぇからな……死なねぇとこ殴るから安心しろ――――死ぬほど痛ぇだろうが」
「お、タキシード脱ぐのか? 血で染まるのは避けたい……そういうことね」

偶にタンタン、と跳ねるようなステップを混ぜながら、鋭い視線で相手を見据えた。截拳道(ジークンドー)。彼を生き永らえさせる武術の名前である。
12 :エルド・リー ◆NGq/R3Vx.6 [sage saga]:2014/10/05(日) 00:06:27.92 ID:4/1njoLYo
>>11
/コテハン忘れました
13 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/05(日) 00:10:39.17 ID:JYlAYj/P0
>>8
「…避けた、か」

背後から、人間どこか魔獣すら越えた速度で殴りかかったのだが、かすりもしなかった
まぁいい。勘がいいか、身体能力を強化しているのならなんとか納得できないこともない

「確か、向こうは大通りの方向だな」

少女の罠に誤算があるとすれば、この魔獣は先日まで人間として生活していたということだろうか
都市の中のことは、当然のように知っている
向こうの大穴にでも落とすつもりだろうか―――だとすれば、少々拍子抜けだ
追いかけるのを止め、立ち止まる

「期待した俺がバカだったかな」

そう呟くと、手に破壊のエネルギー集中し、圧縮する
『破壊』という概念そのものが固められたその力は、相手に当たれば当たった箇所を例外なく破壊する―――それを、後から全力で投げつける
圧倒的な力で投げつけているので、少女まですぐにおいつくだろう

「あの攻撃避けた奴ならあれも避けそうだから、保険つけとくか」

直後、地面を殴り瓦礫を作る
そして、それに破壊の概念を付加し当たった時の威力を上げる
そしてそれを先程と同様に3つほど投げつける
いずれも直撃すれば致命傷を与える力を持っている
14 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/05(日) 00:12:57.60 ID:5hnXaGjlo
>>1乙!

>>9
「……そう、ですね」

【戦う理由というものは人それそれだ。そして魔獣という共通の敵に対している限り、その理由を咎めることは出来ない】
【だが、それでもアンナは辛いものを感じた。彼女の戦う理由、その真意に気づいたから】
【一言だけ彼女に返した。否、一言だけしか返せなかったのかもしれない。苦笑いというには、少し苦しい笑顔だった】

「……以前、自警団本部に出入りしているという未来さん、という方のメモを見せていただきました。
 その中に、「《夜》と《焔装》の力が同じなら、魔獣は元々、"総て"が人間であった」という未来さんの考察が有ったのです」

【"帰還者"についてよく知らないと言われれば、それもまた仕方ないと諦める。そしてふと、ある事が脳裏に浮かんだ】
【思い出されるのは数日前の邂逅。余裕のない自分に、魔獣と人間についての「可能性」を示してくれた少女】
【尤も、その時話したのは別の話題だったが。ちらと見たそれを、自分は有り得るかもしれないと思った】

「……正直、あなたはどう思いますか? 魔獣と人間の関係について、です」
15 :大道 竜造 ◆bNDzlpByP6 :2014/10/05(日) 00:13:59.43 ID:niSTY7YzO
>>13
//すいません、事情でロールが厳しそうです。
次あたりで決着をつけてもいいでしょうか……
16 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/05(日) 00:15:23.83 ID:JYlAYj/P0
>>15
/確定や無茶な行動でなければ構いません
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/10/05(日) 00:15:49.42 ID:TXAuxaL9o
>>10

『……チッ!羽をブッ放すコトで弾丸の勢いを封殺しやがっただと……ッ!!
 厄介なのはその羽自体には射出の機能と"侵食"の機能、両方が備わってるって部分か……ッ!!
 クソッタレめ、ガキの割にはやるじゃねぇか―――……クッ!隙間が―――……ッ!!』

放たれた弾丸の嵐を、爆砕する羽の猛攻撃。封殺された攻撃は多少なりともダメージを与えるが
それは決して決定打にはなりえない。事実、少女はこの状況で尚攻撃の色を強めてきた。
ラッシュの"ナイト・ウィール"はあくまで車であり、魔改造されているとはいえ車体は大きい。
そして大きいが故にダメージを貰いやすいという、弱点を抱えていた。突撃した事で彼女に接近した事もあり
羽で覆われた車体には急激な速度で侵攻が加速していく。彼方此方が錆び、装甲の一部が剥げ落ち、崩れる。


『―――だが。さっきも言った通りだ。リスクなしで勝ちを掴み取ろうだなんて、甘い考えは捨てるのさ。
 ベイビー、羨ましいなお嬢さん。テメェには護る為の羽も、壊すための灰もあるんだもんな。
 俺の愛車にゃ防ぐ術がねェ。攻撃は全部貰う事になっちまう。けどよ。攻撃と防御、同時にこなすのは至難の技だ。』


―――その瞬間。先程"わざと"殴らせたその装甲が剥がれ落ちて、何らかの液体が漏れ始める。
それは紛れも無く、ラッシュの生体エネルギーを変換しているこの車両のエネルギー源、つまりは可燃物質だ。
そしてそれが勢いよく噴射されれば、車体を覆おうとする羽にも、そして車体自体にも燃料が降りかかり―――……これ、は。

『だからよ。俺は何時も、"ブッ放す"しか、ねェんだ。』

ギリギリ、車体の隙間から侵食が始るその寸前。ラッシュが起動させたウェポンは、マフラーから放たれる"火炎放射器"ッ!
それがこの、燃料がぶちまけられた上に羽で覆われた狭い空間内に業火を齎し、降りかかっていた灰を凄まじい勢いで、焼き尽くすッ!
炎の手が広がれば当然―――彼女のその羽にも及ぶだろう。そしてその上、今の彼女は羽で車体を覆っている状態。つまりは―――

『ガード、してみろ、よ……ッ!!』

ルーフの上に設置された榴弾砲が、ゆっくりと彼女の方を向き―――FIRE.(放たれた。)
18 :ラッシュ・シグナス ◆7DEUV63NK2 [sage]:2014/10/05(日) 00:17:17.33 ID:TXAuxaL9o
/っと、コテ付け忘れです。申し訳ない。
>>17は私です、失礼しました。
19 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/05(日) 00:22:48.57 ID:QGfu+IUyo
>>14
「まー再び寝返ったら、頭を吹き飛ばしてやればいいんです。
 大して脅威と思われてないから放置されている、そんな所ですかね」
現にこの俗物は他の脅威に当たっていた。
例えその脅威が街に潜り込んでいて、人を襲っていたとしても。
あの防衛ラインの向こう側でキャンプし…“大物”が来るのを待っていた。

「どーりで頭を撃ちやすい訳だ。Kaboom-headshot.
 ええと、前の大物もそれなりの焔装の使い手だったのかもしれません。
 今追ってる奴は、恐らくその手の奴…それらは理性のある魔物でしょう」
随分と楽観的だ。しかし目は澄んでいて、虚ろではない。

「相手は我々の駒を裏返して、自分たちの物にしていきます。
 このままでは人類は緩やかな衰退を迎え…絶滅に至るでしょう。
 まー、私は魔物の一員になっても、おしゃれには気を配りたいですね」
ぼんやりとした表情で、先行きは暗い事を告げる。
突破口である遠征というワードが脳裏に浮かんだが…今は伏せた。
20 :大道 竜造 ◆bNDzlpByP6 [sage saga]:2014/10/05(日) 00:25:45.41 ID:niSTY7YzO
>>13
大道の目に大穴が映る。そこには破裂した下水管がごうごうと音を立てていた。
もう少しだ、もう少しで………
大道の策は単純だ。ここでガルバを待ち、穴の底へと自分もろとも落とす。

様子を確認しようと後ろを振り向く…………が、目の前には、猛烈なスピードで迫るエネルギー球。
間一髪、横へと跳ぶが………もう一つ投げられた瓦礫が来る。
二発は外れたが、最後の一般が右腕を掠めそのまま持っていく。
激痛に気を失った大道は、その衝撃のまま穴へと落ち込む。
この状況では、生存は厳しいだろう……

//すいません、これでお願いします……
21 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/05(日) 00:34:32.99 ID:8kIdbJx1o
>>11

「一番痛いのは心だ。殴って出来る傷なら耐えられるだろう」


タキシードを脱ぐ。ポケットチーフを外し、畳む。裏地を見せるのは正式な畳み方だが、裏から補修した痕が目立つ。
そのままシャツを脱げば、細見の割にしっかりと筋肉が付いた身体が晒される。
大きさは無いが、細かいところまで鍛えられた身体。持久力より瞬発力に寄せたタイプの身体造り。

「病人服でも借りて来ようかと思ったが、やる気のところを待たせるのも悪いか。
戦っていて寒さに凍えるようなら制御不足。スラックスはこのままでやるとしよう。破かないでくれよ」

内ポケットから取り出した短刀は、護身用の小さい者。その刃を抜いて服の上に乗せ、鞘だけを握り込む。
これといって構えは無く、自然体。肩幅に足を開いて、鞘を握り込んだ右手を高さに持ち上げるだけ。

「久良岐、だ。どうしても会いたい奴がいる」

名を名乗ったのは、それで準備が整った証。言葉と共に手に力が入る。
霧は一段と濃さを増し、目を凝らさなければ久良岐を見失ってしまうほど。
久良岐を中心として、屋上一帯を霞ませる霧は、エネルギーを奪い取るもの。――エルドが戦った魔獣に近い。
触れているだけで肌寒く、吸い込めば身体が重くなる。
22 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/05(日) 00:35:51.51 ID:JYlAYj/P0
>>20
「あ、落ちた」

予想通り避けられ、一発掠めただけだった
が、それで十分だったらしく、少女は気絶し穴に落ちていった
つまらない、逃げるばかりでまるで楽しめなかった

「…一旦戻るか」

少女が生きているのか死んでいるのか一瞬だけ考えたが、まぁあの穴に落として魔獣を殺そうとしてたんだから死んでいるだろう
と、考えてすぐに興味をなくした
そして、能力を解除して人間だった時に住んでいた廃墟に戻っていった


/ありがとうございました
23 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/05(日) 00:46:18.11 ID:5hnXaGjlo
>>19
【彼女は、この世界について随分と楽観視している節が有った。しかしアンナには、それを咎めることは出来ない】
【魔獣を倒す目的は人それぞれだという先ほどの思いもあるが、彼女がただ単に楽観視しているだけではないとアンナは思う】
【それはこの世界に絶望し、ヤケになっている目ではなかった。アンナと同じく、希望を見据えている目だったから】

「人間は魔獣に簡単になってしまうのに、魔獣から人間に戻った例は1つだけ……。
 本当に、不条理な世の中です。

 ―――おしゃれ、ですか。
 ……ふふっ、そうですね。私も……とりあえず、露出の多い服装にはなりたくないですね―――」

【彼女の表情から、大体考えていることは分かった。まだ絶望してしていないとはいえ、確実に死期が近付いているのは事実だ】
【そう、例の少女にも言ったこと。「神は乗り越えられない試練を人間に与えない」―――それも少し、怪しくて】
【それでも、唐突に放たれた「おしゃれ」なんて言葉に思わず笑ってしまって、自分も同調する。やはり、自分も女だし】
【やはり、羨ましかっただけなのかもしれない。彼女の考えや人生観が、途轍もない程に】

「……そういえば、お名前は?」

【去り際、アンナは聞き残した最後の事を聞いてこの場を去っていくだろう。自警団ではなく、ビルの方向だ】
【人間と魔獣。2つの勢力に関する謎が晴れるのはまだ果てしなく遠い、なんて考えながら】

/すいません、このへんで切らせて頂きたく……
/短ロールでしたが、ありがとうございました!
24 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 00:52:00.09 ID:ZvApntG+o
>>17
/ごめんなさい。寝落ちってわけじゃないんですが予想以上に時間がかかりました

 燃える。燃えていく。羽も、灰も。しかしそのあとに残るものは? やはり灰に他ならない。
 病毒を、感染を防ぐために必要なのは炎ではなく水だった。だが炎で生まれた昇気流によって灰は外へ舞い上がった。
 しかし車の浸食はもはや秒速である。男がシートに座ったままであれば、そこから感染するだろう。
 そして榴弾砲が少女の方へ向いたのが見える。先程、少女へ向けて宙へ放たれたそれだ。

「おじさん、おなじことだよ?」

 殴打に使用した二翼の羽が爆発する。だが榴弾砲の爆発の方が強い。それは少女を押し戻す。
 だが破片は、ガトリングよりも弱い。そのほとんどは剥き出しの翼で止まった。風穴から抜けたものがやはり少女を傷つける。
 始めに爆発した羽が生え変わる。空いた距離をは滑走路。少女は真っ直ぐ車へと向かう。

「はい、おわり。その車、ゾウよりかるいでしょ?」

 そして放たれる両翼での殴打。腐食している車は吹き飛ぶよりも早く朽ちるか――?
25 :エルド・リー ◆NGq/R3Vx.6 [sage saga]:2014/10/05(日) 00:59:19.58 ID:4/1njoLYo
>>21

「……心に傷負っても人は死なねぇよ。俺も手加減は得意じゃないから、足に絞る。……何のこと指してるかはテメェで確かめな」

足に絞る。能力のことだろうがその中身はまだ分かるはずもない。久良岐と同じくエルドは細身だが、武人故に肉体は練られている。
特に僧帽筋はジャケットを羽織っていても分かるほどの盛り上がりを見せており、細身には似合わないパンチ力が保障されていた。

「成程ね……中々格好良い理由じゃねーか。俺に比べれば……なぁッッ!!」

霧はどんどんと濃くなっていくのだろう。ならばその前に決めないといけない、とエルドは間髪入れずに床を蹴りだした。が、その蹴り出しから異常は見えていた。
――――疾い。1歩目からその速さは最早人の加速ではない。実際既に能力は働いており、その能力とは簡単に言えば衝撃を操る力。
となればこれは通常の蹴り出しに衝撃を付加させたに過ぎない。猛烈な速度で距離を埋め、霧に侵入したエルドだが――――すぐに体が異変を感じ取った。

「――――ッッ……!! やっぱりこういうタイプだよなぁ……ッ!」

スピードがやや落ちる。体が僅かに沈み、エルドの表情まで霞む。背中に子供を背負っているかのような感覚が彼を襲う。
――――まずい。このままでは攻撃を見切られる。右ジャブを放たんとしたエルドの右拳がその思考と共に開き、久良岐の眼へと向けられた。
目潰し。ジークンドーではビルジーと呼ぶ。その「ビルジー」を繰り出さんとした右手が、久良岐の瞳の前で止まる。
それと同時に左フックが視界の外から襲い掛かった。衝撃を付加した強烈な踏み出しと同時に。フェイントを交えた攻撃を瞬時に選択し、エルドは繰り出した。
体が途中で重くなりスピードが落ちた瞬時に切り替える対応力。戦闘慣れしている証拠でもあるが、久良岐はどう対応するのか――――?

26 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/05(日) 00:59:37.26 ID:QGfu+IUyo
>>23
「…まぁ、不条理でもやっていくしかありません。
 此方には遠征というカードが用意されているみたいですし…
 それに賭けてみましょうかね…」
遠征…有子はその先を見据えていたようだった。
この土地も、何れは飲まれてしまうだろうと。

「なんかの不注意で、簡単に人としての生が終るかもしれない。
 最期の時くらい、着飾って最期を迎えたい。そんな所かな」
ぼんやりと、真っ暗な空を見上げた。

「私は月城有子。シスターさん、生きてたらまた逢いましょう。
 その出会いがどんな形であっても…歓迎しますから」
有子は自警団方向へと歩いていった。
月装使いの体力は限られている、休息の為に本拠地へと向かっていった。

//おちかーれ 此方もFO
27 :ラッシュ・シグナス ◆7DEUV63NK2 [sage]:2014/10/05(日) 01:14:04.34 ID:TXAuxaL9o
>>24

『―――ヒュゥ……、くっ、かふッ……!!
 クソッ、これじゃコッチも火傷で……クソッ!!』

真っ先に、ラッシュが行ったのは車内に備えられた緊急用の防火装置、"消火機能"を起動させた事だった。
車内の搭乗者を炎と熱風から護る為に、ルーフから一斉に小型スプリンクラーが"水"をばら撒く―――すると。
全身びしょ濡れになったことで、侵食寸前だったラッシュの肉体だけはなんとか、"感染"から逃れる事に成功した。

『……くっ、うぐっ……!!クソッ、なにが、どうなって―――……いや、"そういう"、コトか。
なるほど……灰には炎を、じゃなくて"ソッチ"が必要だったってェ訳だ……ふふっ、くふふふ……

―――――――――――――――――――――――ッハハハハハハハハハハハハハハッ!!』

ルーフに設置されたグレネードランチャーが、火災により自爆すれば―――
弾装内に備えられていた"冷凍ガス弾"が破裂、それは炎と溶け合って十分な水分となって
次々と侵食を続けて、もはや動く事すら厳しい状態となった車の感染を和らげた。そして、それはラッシュも等しい。
スプリンクラーの水分は感染を完全に治すことは出来なかったが、毒を少しずつ中和し、致命傷とはさせなかったのだ。

―――だが、ダメージは共に大きい。もはや戦闘継続は不可能と判断し、ラッシュはズタボロの身体に鞭を打つ。
そして苦笑いを浮かべた後に、ポケットの中から水でびしょ濡れのタバコを取り出すと、口に咥えて、火も付けずに相手を睨む。


『……ガキ。テメェ、名前はなんていうんだ。オジさんはな―――ラッシュ。ラッシュ・シグナス。覚えておけ。
 そして俺が名前を名乗り、オマエさんに名前を聞いたってのがどういう意味だか―――よく考えておくんだぜ。』

ペダルを踏み込む。侵食が緩慢になった車の、最後のエネルギーが充填されていく。
離れて、そしてもう一度羽を生やし接近する少女の攻撃を、無理やり動かした車体がバック、緊急回避。
そして充填したエネルギーによって、リトラクタブル・ライトが展開すると―――このスーパーカー最大の攻撃が、一斉に発射された。
対になったヘッドライトが砲塔となって、車体のエネルギーを長高出力で圧縮、荷電粒子へと変換し放つ必殺の一撃―――

『―――また会おうぜ、"キディ"?』

"レーザー・キャノン"。最大出力で放たれたそれは車体を後方へと吹き飛ばし撤退を促すついでに
物質ではない"光"の塊を攻撃とする事で少女へと最後の攻撃を仕掛けた。尤も、これで倒れるとは彼も思ってはいない。
実弾兵器と違い、光線であるその攻撃を灰化できるかどうかはともかくとして―――ラッシュはその一撃を手向けとして、撤退していった。

/もうそろそろダメージがやばいので撤退させて頂きます!
初絡みありがとうございましたー!
28 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 01:25:52.10 ID:ZvApntG+o
>>27
「ばかにしないで、それぐらいわかる
 ……じぶんのことをしっているやつは殺すってことだよね」

 いわばそれは投げつける手袋でありマーキングだろうと少女は解釈している。
 痛みに耐えるのではない理由で歯噛みしながら、少女は翼を広げた。
 車の変形というよりは最後のあがきか。それを見たからだ。瞬間、少女は急降下し地面に翼を叩き込む。
 すでに衝撃と腐食で土台から朽ちていた道路はそれで完全に崩落しできた大穴に少女は飛び込んだ。
 宙に舞う灰で減衰しながらも空中を奔る光を見ながら、少女は穴のなかで座り込んだ。

「……いたい、いたいよ。……こんなの、きらい」

 涙を浮かべながら、少女は傷が癒えるまでゆっくりと羽を休めた。

/お疲れさまでした。遅くまですみません、ありがとうございました。
29 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 01:27:50.29 ID:ZvApntG+o
/あ、名乗り忘れた。でも状況からすると聞く前に撤退したって感じになるのかな?
30 :ラッシュ・シグナス ◆7DEUV63NK2 [sage]:2014/10/05(日) 01:31:55.71 ID:TXAuxaL9o
>>28
/一応聞いてたってコトでお願いします、次からは『パヨちゃんパヨちゃん♪』って呼ばせてもらいますね!
31 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/05(日) 01:32:40.00 ID:8kIdbJx1o
>>25

「腕を折っても、信念は折れない。心は侵せるとしたら、それは《夜》くらいだろう」

エネルギーを奪う、という性質上、久良岐は霧の中における力の流れがある程度読める。
その踏み込みは眼で追えずとも、その足から放たれる衝撃は感じ取れる。
だからこそ、その速さが焔装以上に素の身体能力に支えられていることが分かる。

――速い。 対人であればスピードでも勝負できる、なんて甘い考えはすぐさま捨てることになる。

「なるほど、能力無しで力を示せると豪語できるだけはある――!」

霧は益々深くなる。もうすぐ久良岐の姿を捉えるのに、視覚に頼ることはできなくなる。
それが分かっているから、久良岐も相手のことを目で追おうなんて初めから思っていない。

だから、久良岐が戦慄するのは単純にその攻撃のパワーが高すぎるから。スピードがありすぎるからだ。
しゃがみ込んで回避? だが速さが足りない。 上体を反らす? 後ろに跳ぶ? だが、速さが足りない……ッ!
視界外の二手目が読めても、ただ強力な同時攻撃であるだけで脅威。魔獣を相手にしているような、基礎力の差。

だから両方を防ぐことを諦めて、左フックの方だけ防ぐことにする。
視覚に頼るつもりは無いし、分かっていれば衝撃は耐えられる。眼球が潰れても、回復力を注げばなんとかなる。
直前でエルドの右手が止まるのは単なる幸運。眼を瞑って衝撃に備えようとしていたことが、それを示している。

代わりに左フックに対する反応は見事。伸び切る直前で、拳ではなく腕を払い、エルドの攻撃を上に逸らす。
攻撃を防いだ左腕は即座に引き戻され、自重を下に寄せて放たれるのは蹴り。
目潰しが来ると思った上で、いくらか上体を反らしながらの中段へのキック。

フェイントを読めているのかいないのか、どこかチグハグな対応だが
霧の中に音が吸い込まれた蹴りは、見ていなければ気付けないほどの静けさであり、同時にエルドの視界の大半は黒に染まっている。
32 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 01:35:52.25 ID:ZvApntG+o
>>30
/わかりました。では訂正して
「ばかにしないで、それぐらいわかる。パヨカよ。覚えないでいいからね、《おじさん》
 〜…
/ってことで。こちら側はあえて呼ばないパターンで
33 :エルド・リー ◆NGq/R3Vx.6 [sage saga]:2014/10/05(日) 01:51:42.17 ID:4/1njoLYo
>>31

「てんめ……ェッ、最初っからこっち捨ててんのかよ――――っぐふっ……!!」

顔に指が迫る恐怖、そして視界という戦闘において重要なものを奪われる恐怖に脅えなかった。その時点で常人ではないとエルドは戦慄した。
虚を突いたはずなのにこちらが突かれたような気分。そして本命のフックが流され、思い切り床を蹴り出したことで体が前へと流れる。
そして視界が黒に染まる中で、突如腹に突き刺さる衝撃。無音の攻撃に、思わず悲痛な声が漏れた。だがエルドは退かない、否退けない。
既に視界は無いに等しい。ここで距離を空けてしまえば間合いを埋めることさえ出来ずに終わる。近くにいることだけは分かるこの状況を手放すわけにはいかない。

「――――っらぁぁあああああああッッ!!」

『Don’t think. Feel.』という言葉がある。既にエルドも視界には頼っておらず、己の経験と勘でのみ動いていた。その結果が、自分の最も得意な足技を放つことだった。
腹には重い痛み、そして体は鉛の如き重さ。しかし筋肉ではなく能力主体なら十分な動きは実現できる。エルドは力強く右足で一歩踏み出した。
そして右足を軸にして回転するように左足で地面を蹴る。勿論――――衝撃を付加させて。遠心力に体重も乗った左後ろ回し蹴り。
素人には最も見切りにくい回し蹴りで、自分の周りを薙ぎ払うが如く放つ。爆発的な蹴り出しで独楽のように放たれた蹴りはまさに死神の大鎌だった。
34 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/05(日) 02:24:39.99 ID:8kIdbJx1o
>>33

「彼女のいない視界に未練など無い――ッ!」

一撃躱した上での反撃。短刀を手放し、能力の派手な使用を封じた状態では、このただの蹴りが一手で放てる最大火力。
だというのに、怯まない。距離が離れない。距離が近ければ近いほど相手の選択肢は増えるのは明らか。そして蹴りは威力の分、隙も大きくなりがち。

強い。攻撃は勿論、防御面や戦術においても、技術と基礎力が全てを相手を支えている。
単純な力だからこそ強い。堅実な技術だからこそ、彼の能力では干渉し辛い。
――これだ。こういう戦い方が出来るようにならなければ、俺の焔装は長くは持たない。これが今目指すべき、人の力だ――!

「だからこそ、これを見切る……!」

集中に集中を重ね、自分だけの感覚で闇を視る。
肉体の変化や強化といった能力持ちなら精確に一手先を読めるが、それ以外の生物の動きを読むのはまだ遅い。
現に先ほどは、読んで時点で半ば詰んでいると感じた。思考速度以上に、読みの段階から力不足だった。

目を瞑ったままなのは、怯えではなく集中の証。だが、その一撃が視えたのは、相手が能力によるブーストをかけたからだろう。
概念系能力の出力にまで干渉しうる久良岐の黒霧は、それゆえに能力発動の前兆を知覚できる。
――片手で受ければ、骨が砕けかねない。両腕を防御に回しても、その後の動き出しで先手を取る自信が無い。

「なら、転べ……!」

力の奪取。その場から『摩擦』と『重力』の一部を奪い取る。攻撃を読んだ上で、能力で受ける選択は、近接技能での完全敗北を認めた証。
突き出した左腕は、足を掴むためではなく、なお飛んでくるだろう回し蹴りから身を守るために構えられている。
言葉とは裏腹に、相手はこの絡め手にも対応してくるだろうと思っているのだ。
35 :エルド・リー ◆NGq/R3Vx.6 [sage saga]:2014/10/05(日) 02:48:38.65 ID:4/1njoLYo
>>34

「うぉっ……!?」

踏ん張っていた軸足が突如滑り、本来腕を砕くはずの左足の鎌が久良岐の手前で空を切った。倒れそうになる体だが、地面に両腕を付いて耐える。
自分のミスじゃない。このスリップすらも久良岐が操ったのだろう。まるで手の上で踊らされているようだと唇を噛み締めた。
自分は殴る蹴るしか出来ない。しかしそれだけなら負けないと、エルドは両腕に力を入れると同時に――――「手」から衝撃を放った。

「――――……まだ終わらねぇ。ここで終わる奴は二流だからなぁッッ!!」
「……――――喰らえやコラァァアアアッッ!!」

跳ね上がるような、真下からの蹴り。体制が体制の為威力はあまり出ないが、それでもピンポイントに顎を狙った左足が当たれば聞くだろう。
しかしこの蹴りが当たろうとも躱されようともどうされようとも、彼の攻撃はこれで最後だった。――――思い出したのである。自分が最初に言ったことを。
この蹴りのやり取りを終えた後エルドは立ち上がり、右手で頭を掻き、左手で響く腹を撫で回しながら不満そうにこう言うのだ。

「……――――チッ、俺の負けだよ。反則負け。――――手ェ、使っちまったからな」
「久良岐、お前が強いのは十分確かめた。正確には強いっつーより厄介。ま……いい御膳立てしてくれそうだとは思うぜ」
「じゃ、もういいだろ。あー、俺は大体東の外れ辺りで最近トレーニングとかしてるから、会いたけりゃそっち来い。……じゃあな」

手から衝撃を放ってしまったことがルール違反なのだろう。確かに彼は「足に絞る」と言っていたから、その信念を曲げたことになる。
彼にそうさせるほどの強さ。故に認めざるを得なかった。口をへの字にして振り返り立ち去った男だが、束の間の闘いそのものをこの男は楽しんでいた。

/お疲れ様でした、ありがとうございましたー!
36 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/05(日) 03:13:10.53 ID:8kIdbJx1o
>>35

この相手なら、倒れそうになりながらも蹴りを決めてくると予想していた。
蹴りを受け止めつつ、同様に摩擦のすり減った地面を滑って威力を受け流し、距離を取る構え。
距離を取ってようやく自分のターン、続く展開を予想して――。

「っ!?」

相手の能力は既に視えていたのだから、予想して然るべきだった――と自省するのはしばらく後。蹴り飛ばされて地に激突してからだ。

蹴り上げられて無理やりに閉じた口は呻きさえ言葉にならない。続いて出るのは言葉ではなく唾と血。
摩擦と重力の引き下げられた空間、身体を地に結びつける力は弱く、細い長身は綺麗に飛んだ。
かつて人類が手をかけつつ今では見ることさえ叶わなくなった月世界のように、ゆるやかに飛んで――墜ちる。

長い滞空時間の間も、痛みは脳裏を揺さぶり続ける。帰ってきた地面から返されるのはトドメの衝撃。
能力による減衰があってもなお強烈。受身の不完全な自分が情けない。


負けを認めて立ち去っていく相手に一言も返せないまま、男は自省する。
もっと冷静に。もっと広く、もっと深く読めたはずだ。いや違う。読み違えたときの反応が悪すぎるんだ――。

――力が欲しい。もう何も奪わせないだけの力。取り戻せるだけの力が……!

未だに響く衝撃。途切れ途切れの思考の中で、エルドの言葉を頭に刻む。東の外れに、この技術がある――。

/ありがとうございましたー!
37 :凪沙 巫 ◆vYu4XS0NAQ :2014/10/05(日) 19:11:28.89 ID:Az2Jyh9k0
【小学校跡地、保健室】

「…役立たず」「守ってくれると」「思ってた」
「安心してた」「なのに」「守ってくれなかった」
「そんな」「お前が」「何故生きてる?」
「私たちは」「死んだのに…」


【亡者が怨みごとを呟きながら追いかけてくる。逃げて、逃げて、やがて行き止まりに―――彼等に身体を掴まれる】

うああああっ!!…はっ……はあっ…

【其処で夢から覚醒する。辺りを見回せば何時もの見慣れた保健室】

……ふうっ……

【側に置いてあったコップ一杯の水を呷り、少し平静を取り戻す】
【ゆっくり起き上がって等身大の鏡の元迄歩き、鏡の自分を覗き込む】
【クマが酷い。肌がいつにも増して蒼白い。ボサボサの髪の毛】
【そしてその身体を弄る亡者達。幻覚か?現実か?何もかもが曖昧になってくる】
【鏡の中にも、夢の中にも、現実にも、彼等は何処にでも居て、見える。聞こえる。感じる。その姿を、その声を、その冷たい手を】
【何時迄こんな幻が続くのか―――彼女の精神は限界迄磨り減っていた】

ひっ……来るなああああああッ!!!……もうやめてッッッ!!
38 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/05(日) 19:49:20.05 ID:fDLhR6zK0
星も月も瞬かない、僅かばかりの灯りが差す真っ暗な闇───スカヤはまたもや瞑想にふけっていた。
前回の戦闘から疑問を残しつつある「戦う理由」。ニンゲンは「家族、友達のため」「恨みを晴らすため」「仇討ち」と皆様々な理由を持っていた。
しかし、魔獣はどうだ。理性の無いモノは「本能」で人を襲うだろうが、理性のあるモノは一体何を理由にして戦うだろうか。

「俺の戦う意義とは…何だ?」
「強い奴と戦いたいから…それは本当なのか?」

本能からの脱却。殺戮の結果ではなく戦闘する「過程」に欲を見出したスカヤには何が分かろうと言うのだ。
その戦う意味───生きる意味を考え始めたスカヤは魔獣として初めて─────「迷った」。
39 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/05(日) 20:01:42.35 ID:mNJu/HVr0
ここは人々が肩を寄せ合う都市より少しだけ離れた、やや遠くから人工の明るさが届く場所。
何か大型の建物が崩れた跡だろうか。彼方此方で人よりも大きな瓦礫が地に沈み、土埃に塗れたその表面を晒している。
そんな中で、ひとつの瓦礫の側面から、

「––––––嗚呼、やっぱり私こっちの方が好きだわ。ふふ、貴方も楽しいでしょう?」

『………ッ、––––––』

ぐちり、と嫌な音が周囲に伝わる。音の主は抗う事も出来ずにびくりと痛みに打ち震えるのみ。
声なき悲鳴をあげながら辛うじて生きているらしいそれは、恐らくは弱小な魔獣だろう。
対してそれを虐げて、中を漁るように鋭い刃物で鮮肉を切り裂くのは暗黒を従えた女。頬には魔獣が一矢報いたのだろうか、一筋の傷跡からつうと血が伝う。
瓦礫の側面に暗黒によって縫い付けられた魔獣は、悲痛に泣き叫ぼうと口を大きく広げるが、喉元をすぱりと斬られたらしく音を発する事は叶わない。

「貴方の素敵な場所は何処でしょうね……ちゃんと見つけてあげるから、安心してちょうだい?」

頬を伝い落ちる己の血を指で掬いとり、ぺろりと舐めるその様は「普段通り」の女の姿。
今宵も女は、人間でありながら魔獣のように、歪んだ欲の発散を始めた。
40 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/05(日) 21:50:35.35 ID:fDLhR6zK0
>>37
───何時迄も悩むわけにはいかない。スカヤは瞑想をやめ、また強者たる者を求め歩き出す。
そして突然聞こえる叫び声。おそらくニンゲンなのだろう。

「───フン、何者だ?」

その声を求め、スカヤは小学校跡地へ向かう。聞こえた女らしき声は魔獣に襲われた「絶望」ではなく、スカヤが魔獣となった───あの時の「絶望」のようにも感じられた。

「何故だろうな、何故この俺がこんなにも見に行きたくなるのだろうか?」

既にスカヤはその時の「絶望」を覚えていない。
だが、絶望しきった「身体」には懐かしみを感じられていたのか、吸い込まれるように女の声の元まで歩き出していた。

//あのー…絡みよろしいでしょうか?
41 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 21:58:29.20 ID:ZvApntG+o
>>39
 傷の癒えたパヨカは上空を飛びながら、友達になれそうな人を探していた。
 そして人工的な光で明るいところを見つけ、人がいると思い覗いてみた。
 まただとパヨカは思う。人はみな、弱者をいたぶることが楽しいのか?
 パヨカはふわりと舞い降り、羽を二枚翼から放った。行く先に死に掛けの魔獣だ。
 一枚は致死性不整脈。一枚は心筋梗塞を起こす。数秒で意識を失った後、魔獣は痛み感じる間もなく絶命した。

 ジャスミンの数メートル上空を滞空しながらパヨカは口を開く。

「ねえねえお姉さん。どうしてこの子たちをくるしめるの?」

 人と魔獣は敵対存在だ。それを倒すことは否定しない。だが弄ぶのはなぜだ。
 ともだちになるためではなく、理解できないことを純粋に尋ねるために話しかけた。
42 :凪沙 巫 ◆vYu4XS0NAQ :2014/10/05(日) 22:07:13.42 ID:1dSFrPFh0
「何で」「生きてるの?」「苦しみに」「悶えて」「[ピーーー]」「私達を」「守ってくれなかった」「お前が」「生きる」「なんて」「許さない」

【亡者達の幻、寝ても覚めても永遠に付き纏ってくる】
【もう―――限界。此れから解放される為には死ぬしかない】
【学校全体に引火性に優れた液体をばら撒いた。後はこのマッチを擦って落とす。其れで総てが終わる】
【恐怖は無い、在るのは早く解放されたいという感情】

……待っててねみんな…、私もこれからそっちに行くから

【マッチに火が灯る。そして其れを――――地に落とした】
【瞬間的に拡がる炎、暑い。熱い。息苦しい―――此の身体を焼き尽くすのに一体何分掛かるだろう】
【これは報いだ、人々を《魔獣》から守れなかった事の】
【服が燃える。足が燃える。立っていられなくなって、床に崩れれば胴体も頭部も燃える】

けほ、けほ…っ、ごめ、んね…みんな、守れなくて…私が弱かったから

【其の儘、燃え盛る業火に包まれながら―――目を閉じた】

【凪沙 巫-Dead-】
43 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/05(日) 22:10:35.27 ID:fDLhR6zK0
//えっ………え?
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2014/10/05(日) 22:11:22.35 ID:uNuyvJ6Co
クッソワロタ
45 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/05(日) 22:23:57.73 ID:mNJu/HVr0
>>41
「––––––あら、苦しめるなんて酷い言い方しないでちょうだい?」

羽を受けてぐたりと動かなくなった魔獣を一瞥、女のため息と共に暗黒が息絶えた魔獣から離れる。支えを失った亡骸はどしゃりと地面に落ちた。
じとりとそちらを睨め付け、体ごとそちらへ向き直る。不愉快そうに眉間に皺を寄せ、左手に持つ刃物の血を払い取るのはパヨカを新たな獲物と定めたからなのか。
魔獣から離れた暗黒は、微かに震えながら女の命令を待つようにその周囲を漂っており。

「この子も私も楽しんでいたのだから、貴女には関係ない事でしょう。それに、ふふ、最初に誘ってきたのはこの子の方よ?」

誘ってきた、と言うのは恐らくは女に襲いかかったという事だろう。楽しんでいたというのは確実に女だけなのだろうが。
頬の傷は瘡蓋でも出来たのか、血が新しく垂れる事はなかった。
46 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 22:34:40.11 ID:ZvApntG+o
>>45
 死んだ魔獣を辱めることもなく、興味を失ったように放り出したことは幸いだった。
 眉を顰めて迷惑そうに言う女の言葉は、正当化というか正当防衛を訴えるものだ。

「……うん。ちょっとわかった」

 なんどか首を縦に振って、パヨカはさらさらと灰色の髪を揺らした。しかし納得はできない。
 正当防衛と苦しめて楽しむことはつながらない。うまく言えないけれどそこに違和感を覚える。

「ねえお姉さんは、わたしとともだちになってくれる? そうしたら、ゆるしてあげる」

 だからパヨカはそう言った。目の前のジャスミンは他人だ。だから許すことができない。
 だがともだちなら許容できるかもしれない。そういう判断で、地面に降り立ちジャスミンを見上げる
47 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/05(日) 22:34:58.84 ID:2qmOVi1U0
黒で染まる空の一角、淡い光が広がる場所があった。

「よく見えない……。やっぱり空からの光が無いと辛いかなぁ」

今日の彼女は上層部がもがれたビル、それでもそれなりの高さがある場所から地上を眺めていた。
残ったビルの支柱を身を乗り出して覗いた先には《夜》。地上に降り立って破壊を行ううねり。
これまでも幾度となく人員を割き、観測は行われていたのだがその成果は全くでることは無かった。
そういった結果があるにも関わらず彼女がそれを行っているのは、単なる索敵のついで。
偶々自分が《夜》の活動を見渡せる位置にいたからという理由である。

「無駄とわかってても何か発見出来ればと見ちゃうんだよなぁ……」

そこには誰に聞かせるでも無く、懐中電灯片手につぶやく少女がいた。
48 :ダニエル・レーゼンビー ◆ipE1IvpOkg [sage]:2014/10/05(日) 22:44:39.15 ID:TPoG+8eso
街の外れに位置するスラム街を抜けた先は瓦礫と廃墟の群。人気は全くと言っていいほどなく
自警団などがパトロールにたまに来たりする程度。ある一部の人間以外には関係ない場所だ。

そんな場所で一件だけ明かりのついた場所がある。半壊したビルの1階に入った半壊した喫茶店。
瓦礫と打ち付けられたベニヤ板の隙間からうっすらとオレンジ色の明かりが漏れていた。

ドアを押し開くと、カランとドアベルが鳴る。昔と同じだ。店内はやはり半分は瓦礫で埋まってしまっている。
しかしカウンターや板張りの床は綺麗なままで壁には美しい古都を描いた水彩画が飾られていた。
あるテーブルにはカーペットが引かれ、机上にはランタンが置いてある。そして、気になるのは店内の香り。

それはテーブルの上、携帯コンロの上にあるポットと飲みかけのティーカップから香る。まだ暖かい。
紅茶の香りはこの夜に覆われた埃っぽい世界では鋭敏に嗅覚が反応するだろう。

「何の用だ。」

背後で男のしわがれた声と、銃を構えるを音がした。
49 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/05(日) 22:49:43.60 ID:mNJu/HVr0
>>46
「……あら、私とお友達になりたいの?ふふ、良いわよ、なりましょうか」

一瞬の沈黙、軽く目を見張り頬を綻ばせ、返ってくるのは快諾の言葉。
不機嫌そうな顔から打って変わってどこか嬉しそうに声を弾ませるのは、その言葉が嘘でない事の証明か。
クスクスと笑いながら刃物を手放すのは友好の証なのか、新たに得物を生み出す事もなくすぅと目を細めそちらを見つめる。

「でも、私なんかで良いのかしら。ほら、私ってこんなのでしょう?」

どうやら、自らが異常である自覚はあるのだろう。だからこそ、友人になろうという言葉を純粋に喜んだのかも知れないが。
首を傾げて問いかけてみれば、薄金髪がパヨカ同様さらりと流れた。
50 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/05(日) 22:54:19.82 ID:QGfu+IUyo
>>47
交戦ラインは日々後退し、魔物が住居区画に入ってくる事が増えた。
キャンプの配置も日々後退し、都市の被害は以前よりも増える一方だ。

「味の無いマシュマロは何を考えているんでしょう。
 卵白の混ぜ物如きが、人間さまに食べられる事を考えているとでも?」
今日は観測員としてのご登場の様子。
普段キャンプしかしていない彼女が、ペンライト片手に観測に回っていた。
見晴らしのいい場所を取る目的で、階段を登る。

「あら…ごきげんよう、日向さん?」
小悪魔めいた笑みを浮かべて、屋上のドアから現れた。
怪我は快方に向かい、表情も柔らかい。…蟹との戦いで頭を打ったからか。
51 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/05(日) 23:02:42.04 ID:2qmOVi1U0
>>50
「有子ちゃん、なんか盛られた?」

聞き覚えがある声から聞き覚えのない口調。ふざけているのか本当に頭がおかしくなったのか……。
しかし表情を見る限り怪我の後遺症は無いらしい。
自分とは違い、後衛の有子が倒れたことは心配であり、気にはかけていたがとりあえずのところは大丈夫らしい。

「それよりほら見て。《夜》が活動しているよ」

手を振り有子を自分の傍へと招く。未来の視線の先には地面を抉る《夜》の姿があった。
52 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 23:07:42.28 ID:ZvApntG+o
>>49
 機嫌よくともだちになろうと、そんなことを言ってくれるあいてが居た。
 それはとてもうれしいことだ。パヨカもまたとてもうれしそうに笑みを浮かべる。

「ありがとう。わたしね、お姉さんがいいな。おともだちになってほしいよ。それに――」

 といって、首をかしげるジャスミンに対して目を伏せた。灰色の翼が揺れ、灰が落ちる。
 灰が落ちたコンクリートの表面がひび割れた。そしてひびはすこしずつ広がっていく
 雪のように落ちるそれは病毒の感染源。生物非生物問わず、一息吸い込めばそれだけで病む。
 たとえそれが最低限に抑えられた病でも、治療の難しいこの世界では馬鹿にできない。

「――わたし、こんなだから。
 お姉さんが死んじゃうかもしれない。それでも、いいかな」

 おずおずと、すこしだけ怯えるように、ジャスミンの隈の濃い目を見上げながら手を伸ばそうとする。
 握手、というものを少女は恐れていた。手を握られた瞬間に、あいてが死ぬことがほとんどだったから。
53 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/05(日) 23:12:17.25 ID:QGfu+IUyo
>>51
「えーと、どうなんでしょう…
 自然にしよう、自然にしようと努力してるつもりなんですけど…」
苦笑いしながら、招かれた場所へ歩いてゆく。
以前のスコアラー有子はここまで穏やかな雰囲気は無かった。

「ええと、シスターさんから面白い話を聞かせて貰ったので。
 《夜》と《焔装》が同じ力で、魔獣は人間の成れの果てってお話…
 それに興味がわいたから、ちょっと聞かせてもらおうかなって」
ふーっと息をつくと、有子もまた地面を抉る夜の方を眺めた。
階段の上りで体力を使ったようだ、月装使いの中でも体力が無い部類らしい。
54 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/05(日) 23:14:33.78 ID:JYlAYj/P0
>>48
「…今までのことが夢だった、なんて落ちはないか」

人間との時に生活していた廃墟で目覚めた
人を殺してもなんの感情も抱けなくなり、自分が魔獣になったことが夢なんじゃないかと思っていた
―――だが、現実は甘くない
夢であるなどあり得ず、人を殺したことは確かな記憶として残っている

「んじゃ、魔獣らしく人でも殺しに行くとするか」

廃墟を出て、人を[ピーーー]ために外を歩く
だが人間は見つからず、場所を変えるかと考え始めていたときに一つだけ明かりのついたビルを見つける
人間がいるのだろうか?―――そう思い、店内へと入っていく
なかに入り紅茶の匂いに驚いたと同時に―――銃が突きつけられた

「いやぁ、食料でもないかなと思ったんだよ」

両手をあげ、白々しく言う
銃程度なら魔獣となった自分ならどうとでもなる―――ゆっくりと能力を発動させて、そう考えた
55 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/05(日) 23:27:17.15 ID:2qmOVi1U0
>>53
「いや、本当に大丈夫なの? 困ったこととか話してくれるならいくらでも聞くよ」

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。本人がそう望むならそうなることが出来る。
穏やかであろうと本人が望むならそれは無理に干渉する必要が無いのだがタイミングが唐突過ぎる。
蟹の魔獣と共に戦った以降に一体何があったのか。いやあの戦いが原因か。

「魔獣は人間から生まれたって話かな?」

シスターさんといえば以前会ったアンナさん。
内容は彼女に不安を与える可能性があるものがあったが、メモの内容を全て見られていたとしたら悪いことをした。

「そのままの意味で魔獣の力と《焔装》の力は同質のものじゃないかーって。
それを自我を持って使っているか自分自身を失って力を暴走させているかの違いだけじゃないかなと思うんだけど……、どう思う?」
56 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/05(日) 23:33:11.69 ID:mNJu/HVr0
>>52
「嬉しいわ、私が良いなんて言ってくれる子、今まで居なかったんですもの」

事実、狂った彼女を自ら受け入れようとする相手など、狂気に堕ちた十数年前から居なかった。
それ故に女は、パヨカの申し出を断る理由を見失う。本当ならば真っ当ならば魔獣の申し出など、一蹴して斬り伏せるべきだろうに。
はらりと翼から舞い落ちる灰色の雪を、彼女が魔獣たる証拠を目にしても、女の意思が変わる事はなかった。
くすりと柔らかく微笑んで、ひび割れの走るコンクリートの上を一歩、そちらへ。

「ふふ、じゃあ引け目がある者同士、仲良くしましょうか?」

上目遣いで不安げにこちらを見る少女へと優しく微笑み返すと、ジャスミンは躊躇うこと無く手を伸ばす。
そうして伸ばした手は確とパヨカの手を握り、そして––––––––病んでしまうだろう。程度は分からないが、ほぼ確実に。
57 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/05(日) 23:37:58.44 ID:QGfu+IUyo
>>55
「んー、ここ最近の記憶が飛び飛びですねぇ。
 ただひたすら魔物を撃ってたくらいしか分かりません。
 頭を打ってマトモになったかは、人の評価なんで…」
右手で髪を弄る仕草する。横髪の末端に細めの黒いリボンが見える。

「ピンキリなんで、人に限らないと思います。
 ですが、私達が討った大きな奴とか…
 意図的に住居地区に被害をもたらす奴は、恐らく…」
最近の魔獣の行動パターンはやけに人間染みている。

「なるほど、それが《夜》に飲まれるって事ね。
 強大な力にはリスクが伴っていて、それが化物になるリスク…か」
ふと、右手の腕輪を眺める。彼女のしていた黒い腕輪は所々皹が入っていた。
58 :ダニエル・レーゼンビー ◆ipE1IvpOkg [sage]:2014/10/05(日) 23:39:26.58 ID:TPoG+8eso
>>54

「貴様みたいなこそ泥が多い。だから、ストックは置かない主義だ。それでも、後を絶たない。」

カーキ色の古ぼけたコートを着た男。背はあまり高くない。髪は短いブロンド。
瞳は青、左目には黒い眼帯。頬や目尻のシワを見ると若くはなく”経験”がある。

構えている銃は古いボルトアクション式ライフル。単なる銃ではない。単なる軍人くずれでもない。
これは月装だ。”根拠”はなくとも”理解”は出来るだろう。コレぐらいのデータは振り返れば読み取れる。

そして、こちらも読み取る。理解する。銃を向けた相手が、脅し程度―いや、射撃程度でどうにかなるものじゃない。
世界に横たわる夜の空気、それが濃縮された魔獣の臭い。それが感じ取れる。―――嫌というほどに。

「―――貴様、堕ちたな。」

月装使いである男からすれば単身で魔獣に挑むだけで十分に危険である。しかし、彼奴はもっと手強い。
銃を構えながらバックステップで後方に跳ぶ。月装の力で大きく跳躍する。まずは様子見。距離を取る。
59 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/05(日) 23:50:32.51 ID:ZvApntG+o
>>56
 握られた手のあたたかさは、涙がでるほどうれしかった。死ぬ寸前の冷たい感触ではない。
 ジャスミンのようないいひとが、嫌われているなんてことは信じられなかった。
 パヨカにとっては天使にも等しい。自らを省みず他者を構うということは基本的な性質なのだろう。

「ありがとう。ありがとう、お姉さん……お姉さんの手、やわらかいね」

 涙声。震えた響きで少女はそう言った。涙を流しながら笑みを浮かべる。
 灰色の瞳から零れ落ちる雫が罅割れたコンクリートに染みを作った。

 ――ジャスミンを侵す病魔のように。

 病毒の出力は、最低限に絞られている。いまは微熱、関節痛、頭痛など、いわゆる風邪の症状だ。
 だが少女とともにいれば症状の浸食は進み悪化し、やがて……。

「うれしいなあ、うれしいなあ。……つらくなったら言ってね。わたし、いたくないようにできるからね」

 魔獣のように、苦しむことなく殺してあげられるよ、と。
 魔獣となればその凄まじい再生力がある。脆弱な人間じゃなければ、ずっと、いっしょに居られるから。
60 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/05(日) 23:52:21.59 ID:2qmOVi1U0
>>57
「リスクというか、魔獣の力を使ってるから魔獣と対等に戦えるんじゃないかなって私は思うのさ」

この話題はまだ話せることがあるかもしれないが、未来はそれよりの有子のことが気になる。
変わった人ではあったから杞憂かもしれないがふと感じる違和感。未来はそれを見過ごすことは出来なかった。
『頭を打って』、その言葉にふと有子を見ると髪を弄る動作が目に入る。外傷は見えないから内側に問題が生じたか。

「あれ?そんな黒い腕輪してったっけ?」

有子をおかしくした元凶がそれと関係あるのか?と不安げな表情で尋ねた。
61 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/06(月) 00:01:17.98 ID:DhjQv1mXo
>>60
「確かに、《焔装》の方々は次元が違う強さ。
 私達が束になって掛かってもどうこう出来る相手じゃないですし…」
俯き、儚げな表情を浮かべて。
行きと帰りに挨拶をするようになったり、不摂生も幾らか改善された。
…相変わらず肌の色は病人のようだが。

「ああ、コレ?私の《月装》です。
 今はこうなっちゃったけど、壊れてるわけじゃないみたいです。
 前より遠くに飛ぶようになったけど、所々皹が入って…」
右の腕輪を変形させ、碧のラインの入った漆黒の銃を出現させる。
所々の皹から碧の光が漏れて、照明に代わりになる。
以前は赤のラインが入った銃の筈だ。
62 :ガルバ</b> ◇Ufh.IBXlJE<b> [sage]:2014/10/06(月) 00:01:24.51 ID:0jDSCkDX0
>>58
「そいつは残念だ」

両手を挙げたまま、横目で男と突きつけられた銃の姿を捉える
男は一見するとその外見のせいもあり、なんら驚異には見えないが――――その男が持つ銃が異質だった
ただの古いライフルに見えるが、そこらの物とは雰囲気が違う
―――なるほど、月装使いか

「―――へぇ、なんで分かった?」

―――男が離れた、それが分かったと同時に振り向く
眼帯を付けた年老いた男、だが確かに油断できない雰囲気がある
完全に能力が発動し、体にあるラインが黒く光る。同時に再生力、防御力、身体能力など全ての能力が上昇し、その身に破壊の概念が付加される。
相手は銃使い、距離を取られると厄介だ―――そして、手のひら程度の大きさの破壊の概念が圧縮された弾を作る
『破壊』そのものであるその弾は当たったもの全てを破壊するだろう
――――それを、男に向けて投げつける
強化された魔獣の力で投げられたものなので、かなりの速度がある――――だが、これは相手の足止めが目的だ
投げたあとに走りだし、距離をつめるつもりだ
63 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/06(月) 00:05:37.65 ID:44r/D1Bz0
>>59
「……あら、貴女の手だってスベスベで、柔らかくてとっても可愛いわよ?」
「ふふ、ありがとう。じゃあ、辛くなったらね?……泣かなくても良いのよ、私は逃げたりしないから」

自らの身体に訪れた変化にはすぐに気付いた。しかしこの程度、まだまだ彼女には辛いとは感じられなくて。
涙を流す少女の頬を人差し指で拭う。先ほど、己の頬を伝う血液を拭うよりは、格段に優しい指使いで。
涙目のパヨカに対してジャスミンは飽くまで微笑みを通す。それは本心から浮かぶ表情で、久しく居なかった友人に向ける友愛だった。
ぎしりと関節が軋んだ音は幻聴などではなく確かに彼女の両足から聞こえる事だろう。しかし本人はそれを欠片気にする様子がない。

「貴女のその翼、本当はちょっと欲しかったけれど。友達なんだからわざわざ貰わなくても好きなだけ見られるもの、もう欲しいなんて思わないわ」

こうして会話を重ねる度に、ジャスミンを侵す病魔は深くへと潜り込み続けるのだろう。
そのタイムリミットがいつなのかは、まだはっきりとわからないが––––––
64 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/06(月) 00:12:22.30 ID:Unnw6b8J0
>>61
今さら気がつく有子の《月装》の通常形態。
持ち運びが楽なのは後衛の扱うものとして本人の無駄な負担を減らす為の工夫だとしたら細かいところに気が行き届いている。
関心した表情でその銃を眺めると漏れる光が右目に入り、思わず左手で目を抑える。

「皹が増えてきたって……、壊れてきたりしている訳じゃないよね?」

《月装》は自分達の生命線。詳しい構造はわからないが、戦闘の途中で壊れることは無いのだろうか?
要らぬ心配かもしれないが、聞けるなら聞いておくべきなのだろう。
65 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/06(月) 00:23:47.59 ID:DhjQv1mXo
>>64
「私が変わったから、この武器も変わろうとしてるのかもしれない。
 でも、これはやっとスタートラインに立った様な物で…
 まだ他の《焔装》能力者や《魔獣》達には届かないと思う」
自分は変わったと洩らす。―2人で戦った時を切欠に。

「このまま照明として使えるけど…
 なんか悪いものを引き寄せそうだから戻しますね。
 ああ、大丈夫だと思うよ。私が大丈夫だと言うんだから多分大丈夫」
眩しそうにしているのを見て、慌てて月装の形状を変化させる。
右手で持っていた異形の銃は、黒い腕輪へと変貌し有子の右腕に現れた。

「そんじゃ、観測の続きしよっか。
 前より動きが激しくなってるとか、そんな感じかな?」
縁に寄りかかり、地面を抉る《夜》の様子を眺める。
有子はココに来ることは初めてだ。
66 :ダニエル・レーゼンビー ◆ipE1IvpOkg [sage]:2014/10/06(月) 00:25:50.93 ID:uc/aSY1Io
>>62

「欲しけりゃ何か持ってきな。紅茶はいつでも大歓迎だ。」

その言葉には自信がある。他の闇商人もよく言うセリフだが彼らより上等だと言う自信。
誰に対してもいつもそう言ってきた。ここでも、いつもと同じように言葉を投げかける。

距離を取り、低く腰を落として銃を腰だめで構える。ボルトを引き、薬室に弾丸を送り込む。
青い片目は相手を景色ごと注目する。月装の力は目をも助ける。情報を入力する感覚器官。
膨大なそれらを経験と知識が適切に処理していく。――冷静に、保ち続ける。

「―――昔、嗅いだ臭いと一緒だ。」

概念の弾を男は跳んで避ける。直線の後退を止め、7時方向に転換する。先に動いたのがこちらだったから
すんでで避けられたもの。やはり魔獣…かつ、焔装の相手は分が悪すぎる。

距離をとるペースが落ちた。詰めるのは容易だろう。しかし、此方も銃を放つ。まばゆい閃光と共に。
つめてくるであろう相手の頭部めがけての射撃。瓦礫を靴の裏で噛み、また直ぐ様、別方向に跳ぼうとした。
67 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/06(月) 00:27:21.57 ID:Zn5mNmp5o
>>63
「……うん。ずっと、いっしょだよ」

 目元に感じる温かさは、母からも感じたことのないぬくもり。ジャスミンの手は聖母のようだ。
 薄金色の髪と蒼い瞳が輝いていた。背後よりの光源のせいではない。彼女のこころがそう感じ取らせる。
 眼を閉じた。ずっといっしょに居てくれる。魔獣――わたし――にそう言ってくれる人がいる。
 ウソでもいい。このしあわせな思いのまま死ねるのなら、彼女に殺されたって後悔はない。そう思う。

「こんなのあげるよいくらでもっ。姉さんがいてくれるなら、翼なんていらないっ」

 ジャスミンの言葉に少女は慌てたように目を開き、ジャスミンへ向けて宙に翼が開いた。
 砕けた建物跡を飛び出すほどに大きい。それを切断することも十分可能だ。
 だがそれは空間を翼で、羽で、灰で埋め尽くすことだということも瞬間、忘れて。

「あ――」

 だが速度は遅い。逃げようと思えば逃げられるだろう。焔装を使えばたやすく。
 この時、パヨカは病毒の制御さえ忘れていたのだから、触れればそれは命に係わる病気になる。
68 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/06(月) 00:36:39.00 ID:Unnw6b8J0
>>65
人は良くも悪くも変わるものである。本心としては心配ではあるが本人が前向きに捉えているのなら邪魔は出来ない。
むしろ《夜》の前後で変わらないままであろうとした自分の方が過去に停滞したままなのでは無いだろうか。
軽くため息が出る。どうも再び自分自身を見つめ直す契機が最近訪れている気もする。

「変わるのは良いけど……、自分の根幹を見失っちゃ駄目だからね。」

老婆心から出た言葉ではあるがそれは有子へ向けての言葉ではなかった。

「観測と言っても道具もデータも無いしなんとなく眺めていただけだよ。あれ? 私が全くサボらないとでも思っていたのかな?」

ニヤニヤと笑みを浮かべて有子の反応を伺う。戦闘中ですらどこか不真面目な印象を受ける有子が真面目に振る舞った瞬間コレである。
69 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/06(月) 00:44:18.66 ID:0jDSCkDX0
>>66
弾が避けられるのは予想通りだ―――一瞬男の動きが止まる
それを見ると、凄まじい脚力で一気に男との距離をつめだす
が、その途中で頭に向けて男からの銃撃が放たれ―――

「狙いが見え見えだぜ?」

―――片腕で頭を防御し、弾を防ぐ
通常の弾丸なら弾く自信があったが、月装というだけあってどうやら通常の物よりも威力が高いらしい
貫通はしなかったが、弾が腕の内部に残っている
それを無理矢理取り出すと、強化された再生力のおかげで傷が目に見える速度で癒え始める

「次は、こっちの番だな」

相手のペースが落ちた―――これならば直ぐに追い付ける
魔獣と人の身体能力の差に加えて強化この身ならばこの程度の距離をつめるのに時間入らない
その勢いのまま男に向けて殴りかかる
破壊の概念が付加され、さらに攻撃翌力は上がっている為、もし当たればよほど運が良くても重症だろう
70 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/06(月) 00:52:30.96 ID:DhjQv1mXo
>>68
「分かってる。多分コレは、これは普通に戻る為の変化なのだから。
 私ね、あの時視たんだよ…そして思い出したんだ、色々と…」
パリンと、小さな音がした。
真っ黒な腕輪の外殻が陶器のように割れ、金色の腕輪が姿を現した。

「…うーん。今日はまた今度にしましょう。
 大分時間も経ったし、空から危ない奴が来るかもしれないし…あはは…」
…しばし、佇む。

がむしゃらに闇を引き裂き続けた武器は、黒ずんでいった
ここに居る未来ちゃんは、大事なものを思い出させてくれた。
有子は腕輪の変化に気付く事無く、頭の後ろに腕を組んで階段を降りて行った。

//FO おちかーれ!
71 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/06(月) 00:58:08.53 ID:44r/D1Bz0
>>67
ふとしたきっかけで開かれる死の翼に瞬間驚き、女は咄嗟に自身を守るため暗黒を展開しようとする。が、

「……、……駄目よいらないなんて言っちゃ。せっかく綺麗な翼なんだから、大切にしなきゃ、ね?」

「しようとした」だけで結局ジャスミンは、それをやめてしまう。ようやく出来た友人の行為を拒絶するなんて、浮かれた気分の彼女にはできなかった。
はらはらと舞い散る死の灰色は死刑の宣告と等しいもの。しかし彼女は最早それを恐れない。
何故なら彼女は終身刑を宣告された、本来ならば世界に出ていい存在では無かったから。

狭い世界で人生を浪費しろと、穢れた余生をそこで過ごせと、ある種残酷な言葉を与えられた事があるから。

「ふふ……ちょっとくらい、死ぬのが早くなったって私、怖くないもの」
「……嗚呼、そうだ。私が死ぬ前に…貴女の名前だけ、教えてちょうだい?…そうしたら、いっそ…殺して貰っても、構わない…から」

先ほどよりも格段に傷みを増す己の身体に一切の執着は無かった。どうせ遅かれ早かれ夜に堕ちる事は分かっているのだから、それが少し早くなっただけの事。
元来夜堕ちを拒んでいない彼女にとって、死期が多少前後した所で結果は同じなのだ。
ぎしりと歪む身体に耐えられず倒れこみ、段々と喋る事も辛くなり、途切れ途切れになりながら女は言いきる。
そうして最後に、「私の名前は、ジャスミンよ」とだけ言うと、喋る事さえも億劫でそれきり黙ってしまう。

それでも顔にはパヨカへと微笑みを浮かべ、それは、まるで、パヨカの行動を待っているかのような––––––––
72 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/06(月) 01:05:54.89 ID:Unnw6b8J0
>>70
普通の素材で作られた武器では考えられない現象に未来は目を丸くする。
《月装》には秘めたる力があると言われている。しかしそれは希望を求めた人々から作られた与太話だと未来は思っていたがそうでは無いらしい。
腕輪の変化について話そうと階段を降りようとする有子を呼び止めるように手を差し出すも既に遅い。

「あ! えーっと……、じゃあまたね。この辺も安全って訳じゃないから周囲には注意してね!」

また会おうと約束をすれば再び出会える気がする。空に伸びた手を収め未来は有子の背中を見送った。

/ありがとうございましたー!
73 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [sage]:2014/10/06(月) 01:08:09.65 ID:dVYIdE+wo
自治会の拠点は、しばしば学校の遺構に設けられている。
教室や体育館を避難所および貯蔵施設として利用でき、最低限の寝泊まりも可能な校舎は、絶好の仮設司令部だ。
非常電源で校内放送の機材を動かせば、《装者》の戦術的運用をサポートすることまで出来る。

今日の物語で舞台となるのは、そのような『砦』と化した小学校だ。

「……お昼ごはんを食べに来る場所が《夜》に抗う場所になるなんて、よくできた話よね」

限り有る資材を節約するためか一つのラインだけが灯った天井の蛍光灯が、ひとつの影を照らした。
割れた窓から外を覗きながら皮肉っぽいをこぼしてごちる、赤いコートの少女。
背丈は150cmぐらいで、その半身を覆う長い金髪が、絶えることのない夜風に揺られている。

扉に下がった札によれば、この部屋はかつて『生徒会室』と呼ばれていたらしい。
今でもここには会議にお誂え向きの机が並んでいるが、しかし、それは戦術会議が行われるデスクに変わっている。
尤もそれすら、《夜》に対して防戦を続けるばかりの状況では以前ほど開かれなくなってしまったのだが。

壁にかけられた手製のカレンダーに視線を映す。
季節と昼夜の概念が死んだこの世界では、作戦行動の時ぐらいしか日時を意識しないが、もう10月になっているらしい。
《都市》に残された資源はもう幾月ぶんぐらいしか無いと言われているから――

「これが、人類最後の秋(とき)になるのかしら……」

――誰もいないだろうと思って、少女はふとそんな弱々しい声を喉から漏らしてしまった。

/生活リズムガバガバの糞野郎と糞遊びしようや
/開幕は長文だけど短めの文でテキパキ終わらせるよう努力します。まぁ〜四時までならいけるで。
74 :ダニエル・レーゼンビー ◆ipE1IvpOkg [sage]:2014/10/06(月) 01:16:37.33 ID:uc/aSY1Io
>>69

「軍では一番最初に習う。『敵の弾丸は自分に向かって飛んで来る』ってな。」

表情を変えず、ただ言葉を返す。跳ぶよりも早い。全てが格上の相手に恐怖する。しかし、
それが思考を阻害する程、新兵ではない。腰を低く落とし、銃を両手に構え引いて、待つ。
ボルトを引いて空薬莢を吐き出して、相手が支配する夜の世界を待ち構える。

「――来い、ルーキー。」

相手のほうが圧倒的に速い。かけるのは自分の理性と経験と本能の勘。そして最も頼って居るのは
銃のリーチ。古い木製のライフルは、現在の主流と比べて長い。それで、待ち構えて一閃。――突いた。

月装といえど固い棒で腹を突いただけだ。ダメージは無いかもしれない。リーチが予測より近ければ向こうの拳も当たるぐらい近い。
そこで引き金を引く。無駄かもしれないが触れるほど近ければ、さっきよりも威力は高いはずだ。南無三。
当たりが出るまで試すしか無い。
75 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/06(月) 01:24:43.51 ID:Zn5mNmp5o
>>71
 許すということは誰にもできることではない。強者のみの特権であり、優しくなければできない。
 ジャスミンはパヨカを許した。無償にして無限の愛。《神》がいなくても《神の愛》は存在する。
 はらはらと少女の瞳から涙がこぼれた。嬉しくて、申し訳なくて、それでもいっしょにいたくて。

「わたし、パヨカだよ。ジャスミンお姉ちゃん。ごめんね……ありがとうね……ジャスミン、お姉、ちゃん」

 霞んで、掠れて、すり切れるようにしてこぼれる声。翼のなかで痛みに耐えるジャスミンにだけ聞こえるだろう。
 世界に許されなかったジャスミンと同じように、パヨカもまた世界に許されず、ひとりで死んだ。
 ジャスミンがこの時まで生きてきたのは、生きてこれたのは、許されなくても許せる強さをもった人だからだろうか。

「ジャスミンお姉ちゃん……わたしが、お姉ちゃんを、殺します」

 祈るように、願うように、罪を自覚してもっとも大切な人を殺す。
 パヨカは崩れ落ちそうなジャスミンを抱きしめ翼で包み込んだ。触れる事のできなかった少女の望みを叶えるように。
 感染する病毒は《虚血性心疾患》。わずか数秒で苦しみもなく意識を無くして死ぬ、文字通り即死の、無痛に近い終わり。

 ジャスミン。その名の通りに可憐で、温情がある優美な女性。それだけの人を自分だけのために死なせる。
 人間の灯りを消すほどに素敵な人が自分を選んでくれた。それがうれしくて、悲しくて、申し訳なくて。
 すべての感情を爆発させるように、ジャスミンをずっと抱きしめていた。

「わああああぁあぁあああぁああぁあぁぁあぁあぁぁあああぁああああ――――――!」

 すべてが割れるような大声は、弔いの鐘のように響いた――。
76 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/06(月) 01:32:24.19 ID:0jDSCkDX0
>>74
「それで、止められるとでも?」

殴りかかる直前、こちらに突きつけられた銃を見た
なるほど、人間ならば或いはこの勢いでぶつかればダメージがあるかもしれない
だが魔獣を相手に、それも防御力が上がっている自分に対してはなんの効果もない

「本人間ではあるが言わせてもらうぜ―――――魔獣舐めんな」

―――引き金を引かれ、今回は弾が貫通する
人間ならば、腹を貫通されれば致命傷かもしれない――だが、この身は魔獣である
致命傷にはなり得ず、すぐに再生が始まる
そして、強化された為そこらの魔獣よりも遥かに速く迫る相手の攻撃を避けずに至近距離で反撃する意味を、本当に分かっているのだろうか
自分は勢いをのせたまま拳を放っている―――つまり、止まってから殴ったわけではない
勢いは止まらず、このままいけば直後に男を粉砕する拳がその顔面に迫るだろう
77 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/06(月) 01:34:07.41 ID:0jDSCkDX0
/本人間じゃなくて元人間です
/ミスしてしまってすいません
78 :ジャスミン ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/06(月) 01:52:13.13 ID:44r/D1Bz0
>>75
少女の慟哭に掻き消されそうになりながら、ぼそぼそと女の口から声がする。

「……泣いたら、折角の可愛い顔がだいなしよ?貴女は女の子なんだから、笑顔でいなくっちゃ」

そうして今度は、少女の顔に向けて弱々しく伸ばされるほっそりとした白い腕。「生まれたばかり」だからだろうか、全てが弱く、頼りないながらも、彼女は。
––––––ジャスミンは確かに今ここで人間として死に、今ここで魔獣としての新たな生を受けた。

彼女が死ぬ直前まで周囲を蠢いていた暗黒は姿を忽然と消してしまった。それは彼女が一度死んだためなのか、それとも、魔獣になった事で能力に変化があったのか。
今ここに「ある」のは魔獣がふたり、それだけ。

「ふふ、私ね、今気づいたのだけれど。魔獣になったら、すぐに身体が良くなっちゃうの」
「……これってつまり、貴女と一緒に居ても、死なないって事よね?」

––––––こうして少女の弔いの鐘は、奇しくも新たな魔獣が生誕した祝いの言葉となったのだった。


//自己満足な感じですが、キリも良いのでこの辺りで。
//お付き合い頂き感謝です、お疲れ様でした!
79 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/06(月) 02:04:33.25 ID:Zn5mNmp5o
>>78
 目の前からする声で翼が開いた。頬に触れるあたたかさが愛しい。

「……うん。お姉ちゃん」

 ぐしぐしと涙を拭って赤くなった目で笑う。
 いま生まれたばかりの妹にして姉がいてくれた。

「……うれしいよう。お姉ちゃんと、いっしょにいられる……ずっと、いてもいいんだ……」

 卵殻のように包んでいた翼が折り畳まれ、新たなる魔獣ジャスミンを祝福する羽が散った。
 満たされていた。彼女がいる限り、パヨカはもうなにも恐れるものはない。

「わたしね、いっぱいしたいことがあるの――」

 白い女に寄り添うようにして、灰色の少女は泣きはらした顔で笑い、拙い言葉を吐き出していく。
 長年のひとりが終わり、ふたりになれたから。

/こんなに遅くまで付き合て頂きありがとうございました!
/とても楽しかったです!
80 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/06(月) 02:10:38.32 ID:0jDSCkDX0
/落ちてしまわれたようなのでロールはなかったことに
/ありがとうございました
81 :ダニエル・レーゼンビー ◆ipE1IvpOkg [sage]:2014/10/06(月) 02:17:26.81 ID:uc/aSY1Io
>>76

―――貫通しない。入力された情報が出力される。銃弾の話じゃない。
銃弾は抜けた。しかし、予測の通り銃身の突きはただ、硬い魔獣には無意味。

ライフルは弾かれる。衝撃を受け流す、利用する。ライフルを返し、銃床で相手の顎を狙う。
決められたように動作は流れる。魔獣の仕組みは知らない。しかし、元人間であるならば
人間の急所が効くはずであった。脳を揺らして、隙を作る。ボクシングのアッパーの要領で。

そしたらば、拳が避けれるはずだ。返す要領で体を半身ずらせば、すんでで避けられる。
構えての接近で拳をどう使うかは読み取れる。フェイントかそうじゃないかで後者に賭けた。

そして、その一瞬の隙を突いて、横に跳び、懐にある銃剣を引き抜いて斬りかかる。
射撃による攻撃が無価値であるならば月装化された銃剣を急所に突き刺す他ない。
接近して、戦うしか有効打は得られないと男は断定し、勝負を仕掛けた。

しかし目論見とは全てうまく行くものではない。焔装は、魔獣は、あまりにも強い。
銃を返し、顎に当てるよりも速く、敵の拳は男の頭部を『破壊』する。

全ては、一瞬で。夜は静寂を取り戻す。帳は全てを包み込む。何もなかったかのように。


/勝手ながら眠くなってきたんでこちらの負けで締めということで。
/お付き合いいただいてありがとうございました。
82 :ダニエル・レーゼンビー ◆ipE1IvpOkg [sage]:2014/10/06(月) 02:18:48.17 ID:uc/aSY1Io
>>80
/眠気で書くペースが遅くなってしまいました。ご迷惑おかけしました。
83 :ユーキ ◆T326IUIb62 [sage]:2014/10/06(月) 16:53:58.87 ID:ucVg/pTO0

「……そろそろかな。」

自前の月装…飛行戦闘型である、一見スケボーにバイクの装飾を取り付けた趣味の悪いそれに乗り、空中飛行をする一人の少年(?)。
相変わらず無愛想な表情を僅かに変動させると、若干掠れた低めの声でぼそりと独り言を呟いた。
その言葉と同時に機体は斜めに傾き、動力源であるエネルギーが噴出口から一際大量に放出され、暗闇の空の中に光のアークを描く。
そうして方向転換を行い降り立った先は、至って変鉄もない廃墟群の入り口辺りだ。

「―――っとと。あぶな、」

スピードを緩め、地面まで1m近くになるとボードへと掛ける体重を後方の足へと集中。バランスを失い、ボードを地面に垂直にさせるとエンジンスイッチオフ。
片手で見てくれの割には質量のないボードを掴めば、そのまま慣れた様子で地面へと着地した。……少し失敗してよろけていたが。

「 一応、食料取ってきたけど……あの人、帰ってきてるかな…」

そう言って、ボードを持っていない方の手を掲げれば、そこにあるのはボロボロのビニール袋。中身は配給場所で手に入れた食べ物の缶詰(二人分)だ。
着地の際に右に依れていたキャスケットの位置を直せば、そのまま数分位は徒歩で自分の住み処へと帰ろうと歩を進める。


/絡み待ち
84 :ユーキ ◆T326IUIb62 [sage]:2014/10/06(月) 16:54:42.85 ID:ucVg/pTO0

「……そろそろかな。」

自前の月装…飛行戦闘型である、一見スケボーにバイクの装飾を取り付けた趣味の悪いそれに乗り、空中飛行をする一人の少年(?)。
相変わらず無愛想な表情を僅かに変動させると、若干掠れた低めの声でぼそりと独り言を呟いた。
その言葉と同時に機体は斜めに傾き、動力源であるエネルギーが噴出口から一際大量に放出され、暗闇の空の中に光のアークを描く。
そうして方向転換を行い降り立った先は、至って変鉄もない廃墟群の入り口辺りだ。

「―――っとと。あぶな、」

スピードを緩め、地面まで1m近くになるとボードへと掛ける体重を後方の足へと集中。バランスを失い、ボードを地面に垂直にさせるとエンジンスイッチオフ。
片手で見てくれの割には質量のないボードを掴めば、そのまま慣れた様子で地面へと着地した。……少し失敗してよろけていたが。

「 一応、食料取ってきたけど……あの人、帰ってきてるかな…」

そう言って、ボードを持っていない方の手を掲げれば、そこにあるのはボロボロのビニール袋。中身は配給場所で手に入れた食べ物の缶詰(二人分)だ。
着地の際に右に依れていたキャスケットの位置を直せば、そのまま数分位は徒歩で自分の住み処へと帰ろうと歩を進める。


/絡み待ち
85 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/06(月) 18:42:50.24 ID:e4cGNsm60
【人類最後の砦《都市》中心部から数km離れた廃ビルが立ち並ぶ地帯】
【所々破けて汚れた純白のローブを身に纏った白髪の少女が5匹の魔獣と戦闘を繰り広げている】
【一片の感情を感じさせない無表情で、本能の赴くままに牙を突き立てんとする魔獣を蹴り、或いは殴り飛ばす】

……

【彼女は戦争の為に政府直属の研究所で造られた生物兵器の一つだ】
【だが《夜》襲来時に研究所は倒壊、研究員と生物兵器は瓦礫の下敷きに】
【彼女は其の生き残りであり、瓦礫から這い出て初めて外界の景色を初めて目にした】
【研究員から聞いた世界とは違い、周囲は朽ちた建物だらけで眩しい太陽も、夜を照らす月も見えない】
【鳥、犬猫、人間、そう言った生物も何処にもいない。代わりに居たのは――獰猛な魔獣】
【研究員は魔獣なんて存在が居るとは一言も言ってなかった―――彼女は其れからずっと、未知の存在である魔獣との戦いを繰り広げていた】

……

【《魔獣》五匹を倒し、適当な瓦礫に腰掛けて真っ暗な空を見上げて思う】
【此の世界に一体何が起きているのだろうだろう……?】




86 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/06(月) 19:19:13.44 ID:0jDSCkDX0
>>85
また一人、人間を殺してしまった
一度は人間だった頃を思いだし、踏みとどまろうとしたこともあった―――だが、ダメなのだ
魔獣としての本能がそれを許さない

「もう、人を殺しても何も感じねぇなぁ」

出会い頭に拳を振り抜き、一人の男を今また殺した
人間だった頃の自分ならこの死体を見てどう思うのだろうか、今の自分を見てどう思うのだろうか
今となってはもうわからない、何故ならば自分は魔獣なのだから
―――遠くから戦いの音が聞こえる。魔獣の優れた聴覚が、戦いの音を捉えた
人間と魔獣が戦っているのだろうか?ならば、人間を殺さなければ
――――すぐにそんな考えが出てくることに、違和感はなくなってしまっていた

「―――あれか」

死に絶えた五匹の魔獣と近くに座る一人の女
武器は見えない―――焔装使いだろうか?
能力を発動して女の後ろから近づきつつ、周囲を油断なく観察している
87 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/06(月) 19:34:19.36 ID:lvG5byD50
>>86

……人間?

【背後に生物の気配―――振り向けば人の姿。人の姿なのに人とは何か違う気がする】
【人型の魔獣など、魔獣をまだ数回しか目にした事のない少女が見抜ける訳が無く】
【瓦礫から降りてトタトタと歩み寄り、ガルバが拒まなければぽふっと抱きついて―――全体重が預けられることになる】

……ぱぱ?

【ガルバが人間の姿をしているからメイラの《インプリンティング現象》が働いてしまった――――!】
【だが《魔獣》だとメイラが気付けば其れは解消される…ガルバはどう動くのか――――?】
【此処までのメイラの行動で額に紫水晶が埋め込まれている事に気付けるかもしれない。其れが彼女の月装だ】




88 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [sage]:2014/10/06(月) 19:41:04.74 ID:dVYIdE+wo
自治会の拠点は、しばしば学校の遺構に設けられている。
教室や体育館を避難所および貯蔵施設として利用でき、最低限の寝泊まりも可能な校舎は、絶好の仮設司令部だ。
非常電源で校内放送の機材を動かせば、《装者》の戦術的運用をサポートすることまで出来る。

今日の物語で舞台となるのは、そのような『砦』と化した小学校だ。

「……お昼ごはんを食べに来る場所が《夜》に抗う場所になるなんて、よくできた話よね」

限り有る資材を節約するためか一つのラインだけが灯った天井の蛍光灯が、ひとつの影を照らした。
割れた窓から外を覗きながら皮肉っぽいをこぼしてごちる、赤いPコートの少女。
背丈は150cmぐらいで、その半身を覆う長い金髪が、絶えることのない夜風に揺られている。

扉に下がった札によれば、この部屋はかつて『生徒会室』と呼ばれていたらしい。
今でもここには会議にお誂え向きの机が並んでいるが、しかし、それは戦術会議が行われるデスクに変わっている。
尤もそれすら、《夜》に対して防戦を続けるばかりの状況では以前ほど開かれなくなってしまったのだが。

壁にかけられた手製のカレンダーに視線を映す。
季節と昼夜の概念が死んだこの世界では、作戦行動の時ぐらいしか日時を意識しないが、もう10月になっているらしい。
《都市》に残された資源はもう幾月ぶんぐらいしか無いと言われているから――

「これが、人類最後の秋になるかもしれないのね……」

――誰もいないだろうと思って、少女はふと、そんな弱々しい声を喉から漏らしてしまった。
89 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage]:2014/10/06(月) 19:52:26.13 ID:0jDSCkDX0
>>87
「…なるべく、気配は消してたつもりだったんだがなぁ」

―――気づかれた
不意打ちが出来れば最高だったのだが、こうなってしまった以上仕方がない
構えをとり、こちらへと迫る相手を見る―――なるほど、額の水晶が月装のようだ
体に埋まっているということは、身体能力を強化するタイプだろうか?
ならば、好都合だ。至近距離からの殴りあいで負ける気はない

「さぁて、始めるとしようか!」

人は、[ピーーー]。殺さなければ。絶対に[ピーーー]。
頭の中で魔獣の本能が叫び始める
能力の使用によりガルバの全ての能力―――特に再生力、防御力、身体能力が一気に強化される。加えて体に焔装使いとしての能力であった『破壊』の概念が付加され攻撃翌力がさらに上昇する。
同時に体に入ったラインが黒く光り、魔獣の負のオーラが爆発的に増大する
さて、そろそろこの人間を[ピーーー]としよう――――人間は勿論、通常の魔獣すら遥かに越えた速度でこちらに近づく女へとその拳を放った―――
90 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c [saga]:2014/10/06(月) 20:08:59.38 ID:+JF/PWzG0
>>89

……!!

【兵器として造られたメイラの本能が、ガルバを敵と認識する。ガルバが《人間》か《魔獣》か、最早どうでもいいことだ。危害を加えて来るというなら―――殺すまで】
【瞬間、メイラの双眸が光を帯びる――眼の《リミッター》を外したのだ!】
【リミッターを外す事で、動体視力・遠視視力が飛躍的に上昇!】
【ガルバの拳はメイラの眼にはスローに見えている。そして身体能力と合わされば躱す事は容易ッ!】
【メイラは其の放たれた拳を両手で掴み取ろうとし――――其れが叶えばガルバの腕を軸に回転し、背中側首筋に魔獣の力に匹敵する脚力で蹴りを叩き込もうとするッ!】
91 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/06(月) 20:25:52.21 ID:0jDSCkDX0
>>90
―――殴りかかった時に、女の目が光った事に気づく
視力や動体視力の向上だろうか?―――ならば恐らくはこの拳も捉えられているのだろう
だが、別に構わない。見えていることと、反応できることは全くの別問題だからだ
このまま拳を振り抜こうとし―――相手が反応したことに驚く

「―――素直に避けときゃ良いものを」

相手はこちらの拳をつかもうとしているようだ
身体能力や攻撃力に差がなければ、そこからの反撃も可能なのかもしれない
だが魔獣と人との差があり、能力でさらに強化され、『破壊』の概念によってさらに強化されたこの拳を、本当に掴めるつもりなのだろうか
いや、掴むこと事態は可能だろう。ただ、直後にその勢いで女の体ごと吹っ飛ばされる可能性があるだけだ
92 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [sage]:2014/10/06(月) 20:40:30.78 ID:dVYIdE+wo
/>>88はとりあえず10時ごろまで募集継続します
93 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/06(月) 20:42:54.10 ID:JvK0FNVn0
>>91

……ツッ!!

【腕を掴んだ瞬間―――メイラの身体は派手に吹っ飛ばされ、何度か地面を転がったッ!多少の擦り傷を負ったが其の程度なら数分で塞がる!】
【どういう能力かは分からないが面倒だ―――確かに身体能力では魔獣の方が上】
【だが其れで勝敗が決まるわけでは無いッ!深く息を吸い込み始めたッ】
【メイラの肉体は凡ゆる性能が人間を超越している、中でも一番恐ろしいのは肺活量だ】
【数km先にまで声を響かせることが出来る程―――其れを至近距離で聴くとどうなるかッ!】

…………アッ!!!!!!!!!!!!!

【ガルバに向かって駆け出しつつ―――声を発した。其れによって一瞬大気が震えるッ!】
【メイラはその間もガルバに迫っていて―――ある程度接近が叶えば腹部を狙ったドロップキックを繰り出す!】

94 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/06(月) 20:51:51.00 ID:37ffw4XCo
>>88
一筋の灯に照らされた生徒会室の扉が、今控えめにノックされた
それに続くように右手で杖を突き、右足を浮かせて歩く華奢な少年が現れる
少年は部屋の中を見渡し少女の姿を認めると、垂れ目がちな顔をふっと緩ませて微笑んだ

「こんばんは。…もう10月ですね」
などと少女の視線の先に目をやって、社交辞令にも近い挨拶を続けながら
慣れた動きで杖を操り自治会拠点に足を踏み入れる
初対面でも物怖じせずに声をかけることが出来たのは特別な理由もないが
ただ彼も哀愁のようなものを感じてしまったからだろう

「最後の秋ならもうちょっと、月とか紅葉とかを名残惜しみたいものですよね」
空を光なき《夜》に覆われ秋らしさを感じさせないこの終末は、広大な世界にとって有終の美とはあまりに遠く
ただ感動もなく終わっていくのは悲しいことだ、というような口ぶりで続けた

しかし終わることそれ自体は否定していないともとれるこの発言は、少女にはどう捉えられるだろうか
95 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/06(月) 21:06:01.59 ID:0jDSCkDX0
>>93
「人間の時だったらここまでは飛ばせなかったな」

勢いに負けたのか、女の体は派手に吹っ飛んだ
だがダメージ自体は少ないらしくすぐに立ち上がり駆け出してきた
やはり自分の能力を強化するタイプのようだ―――これほど相性のいいタイプはいない
元々焔装だった能力が魔獣になりさらに強化されたのだ――――攻撃力、防御力、スピードのいずれでも負ける気はしない
構えながら考えていると―――

「ッ!?」

―――信じられないほどの大声で女が叫んだ
思わず一瞬硬直した隙に腹部にドロップキックを当てられ、後ろに吹っ飛んだ
―――が、すぐに立ち上がる

「―――中々、効いたぞ」

蹴りが―――ではなく、大声がであるが
強化された魔獣の防御力の前では、その攻撃も多少のダメージを与えるまでにしかならない
最も、そのダメージすらも回復してしまったが

「次は、こっちの番だよなぁ?」

ダメージはないとはいえ、攻撃をくらって吹っ飛ばされたことには腹が立つ
片手に『破壊』の概念を圧縮しながら女へ全力で近づいていく
このまま近づいて、女にその『破壊』の概念そのものであるエネルギーを直接叩きつけるつもりだ
もしも当たれば、防御力等関係なしに、確実に女を『破壊』するだろう
96 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/06(月) 21:17:41.48 ID:dVYIdE+w0
>>94

「あら……こんばんは」

扉を叩く小さな拳の音に気付いて、少女は首をそちらへと向けた。
部屋は一般に開放されているため、誰かがいきなり入ってきても驚きに値することはない。
しかし、びっこを引きながらここまで来る人間というのは、なかなかいなかった。

「あなたが誰かは知らないけれど、階段で疲れたでしょう。
 適当な椅子に腰掛けて、休んでいくといいわ」

素性の知れぬ少年だが、それが《夜》でない限りは拒む理由もない。
彼が椅子に座ったならば、少女も部屋の端っこにある机を選んで、その上に座るだろう。
見かけによらずお転婆な仕草だが、スカートは『十分に』長いものだ。

「……話を聞いていれば、ずいぶんと悲観的ね。どんなに綺麗でも、わたしは今が最後なんてごめんよ?」

「ただ、終わりを考えずにいられるかと言われれば――それは嘘になるわ。
 これは自警団員だって、街の人達だって一緒よね」

気丈な微笑みの中にやるせなさを孕ませながら、少女はあなたの言葉に答えた。
97 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/06(月) 21:23:11.48 ID:F8gWeIcq0
>>95

……

【先程『破壊』の概念で強化された腕に触れただけで吹っ飛んだ。恐らく今もそれがされている】
【そんな攻撃を受ければ一溜まりも無い―――メイラの脚は廃ビルへと向かう】
【そして人間を超えた力で跳躍。廃ビルに入り込んだ】
【中で適当な瓦礫の破片を拾い上げ――――三つ】ガルバに向かって投げた】
【その速度は200kmを超えている。だが魔獣の身体には通用するのだろうか】
【此れが通じなかったら後は逃げるしか無い―――まだ死ぬわけにはいかないから】
【いつでも逃げれる様に身構えながら、ガルバを廃ビルか見下ろした】


98 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/06(月) 21:39:13.17 ID:FidMoFee0
魔獣は見た。ニンゲンが自殺をしたのを。
魔獣は見た。魔獣によるモノではなく、ニンゲンによる絶望を感じて自殺をした事を。
魔獣は見た。自殺者を殺したニンゲンの顔は「嗤っていた」ことを。
その笑顔はまるで、自分たち魔獣と対して変わりはしなかったことを。

スカヤはただ見ていることしかできなかった。殺そうと思えば[ピーーー]ことなど容易かったが、身体が動かなかった。「動けなかった」。
大して思うことはなかった、が、身体は何故か震えていた。

「───何故、ここまで奮えるのか」
「俺は、何故ここまで憤っているのだッ!?」

怒りは止められず、身体は甲虫へと変化する。
そしてそのまま、「嗤っていた」ニンゲン達へ襲いかかる。その怒りに任せて。ニンゲン達は命乞いをする。
普段弱者には興味の無いスカヤなら無視していた者達を今は心が満たされる限り虐殺していく。

その行動はスカヤ自身にも分からなかった。だがそれはスカヤを知る者には「異常」な行動に変わりは無かった。

「分からない…分からない分からない分からない分からない分からない─────!!」
「ふざけるな、何故俺はここまで、あのニンゲン風情に憤慨するのだ!?」
99 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/06(月) 21:39:50.07 ID:0jDSCkDX0
>>97
「ちょこまかちょこまかと……!」

身体能力では、否、ほぼ全ての能力で確実に勝っているが、攻撃が当たらない
今もまた廃ビルに逃げられた―――イライラしながらそちらを向くと瓦礫が迫ってきていた
当然、動体視力も強化されているためこの程度んl速度なら問題なく捉えることができる、それ以前にこんなもの当たったところでダメージはない
故に、こちらは『破壊』のエネルギー弾を投げつける。速度は身体能力の差から確実にこちらの方が上だ
最も、投げたせいで瓦礫に当たることになるのだが、大したダメージもない
そして、弾を投げつけた直後にこちらを見る女へ向けて跳び上がる

「上から見下してんじゃねぇぞ!!」

跳び上がった直線上に女がいればそのまま殴り飛ばそうとするだろう
100 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/06(月) 21:47:09.27 ID:37ffw4XCo
>>96

「ああ、すみませんわざわざ。
 ……学校っていう場所は、どうにもやっぱり僕らに優しくないからね」
そんなことを言いながら会議に用いられるデスクへ足を進めると、その椅子のひとつに腰を下ろした
やはり階段を昇ってくることは彼にとって労苦であったのか、長く息を吐きだす
彼のいう『僕ら』は、足に障碍を抱えたものたちのことだろう
バリアフリーな学校など私立の高校以上くらいなもので、小学校に期待できるものではない。ましてやこの状況では尚更だ

「僕は神宮司 茉冬。こんなナリだけど、《焔装》使いだよ
 ここにいるということは、貴方も《焔装》か《月装》の使い手、ですか?」
勿論そういった力を持たずに活動する者も多くいるが、やはりメインは能力者であると考え、尋ねる

「まだ諦めたわけじゃないよ。でも、実際問題……」
空を覆う《夜》と跋扈する《魔獣》たち。どうしたって手詰まり感は拭えない。そう言おうとしてはっと口を閉ざす
声に出してしまえば、きっと諦めは形となってしまう。そうすれば元には戻れない。絶望し、魔獣への道を歩み出すこととなる
それだけは御免だった
101 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/06(月) 22:01:52.89 ID:q31zLXFc0
>>98
「……少しは人を理解したか、魔獣」

【血だらけの路地。薄暗い赤に染まったそこの先に、見覚えのある男が佇んでいた】
【彼は少々驚いていた。魔獣が、ましてや「この魔獣」が……弱者を一方的に虐殺するとは考えていなかったからだ】
【「所詮は魔獣、やはり虐殺は耐えられんか」一瞬そんな考えがよぎったが、どうやらそうでは無いらしい。その姿は余りにも「怒り」に満ちていた。愉悦ではない】
【彼の言う「人」とはすなわち「怒り」だった。彼から見てこの魔獣は、余りにも人のように憤っていた】

「……貴様は、何を怒っている。人間ごとき意にも介さぬ貴様が……」

【血に染まる路地の向こうで狼狽する魔獣に向けて、静かに呟く】

「……まあいい。所詮は獣だ」
「「人の言葉」も解さんだろうて……」

【月装を抜き、魔獣へと構える。血溜まりの中で、魔獣は何を考えているのか】

102 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/06(月) 22:02:06.20 ID:e4cGNsm60
>>99

…っっっ!!

【『破壊』のエネルギー弾をもろに受けて、メイラの軽い身体は数kmも遠くまで吹っ飛んだ】
【吹っ飛んだので迫り来るガルバの蹴りに当たることはなかったが、相当の深手を負った】

……

【幸いなことに先程までいた廃ビルから此処は見えない。魔獣が追ってくる心配は無い筈だ】
【此の傷なら数時間休めば回復する。回復の為に暫しの睡眠を取る事としよう】


//此れで終わりですね!ありがとうございました!
103 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/06(月) 22:04:48.20 ID:0jDSCkDX0
>>102
/エネルギー弾は当たったものがどんなものでも絶対に破壊するものなので殴られたことにした方がいいと思います
/ありがとうございました
104 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/06(月) 22:14:09.92 ID:FidMoFee0
>>101
虐殺は終わった。何もかも殺し尽くした。
スカヤの肩の力は抜ける。何かに取り憑かれたかのような行動はもう、終わっていた。

「────ム」

冷静になった後、目の前にいたのは以前戦った「男」、ジークローランであった。
きっと彼もこの模様を聞きつけてきたのだろう、彼の手にはあのゲッソウがあった。
普段のスカヤならばすぐさま戦いに奔っていただろうが────。

「────マテ」

止めた。変身を解き、地面に胡座をかく。
但し、頭の角と腕の爪は残して。
この身体に眠る「異常な」感情に集中が切れていて、まともに戦えそうにないからだ。

「…ジークよ、今夜ばかりは───俺を見逃せ」
「今夜はこれ以上は殺さん。もう飽きたのだよ、このような弱者を甚振るのは」

ジークローランに対して問いかける。いわゆる「問答」という所か。
決して気を抜いているわけじゃない。戦おうとするなら戦える…が、今はそんな気持ちにはなれなかった。
105 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/06(月) 22:28:20.48 ID:dVYIdE+w0
>>100

「ええ。わたしの名はシャーロット・プランケット。
 お察しの通り、自警団の《月装》使いよ」

彼女は腰に太い紐で括りつけた、鞘入りの両刃剣を浮かせて見せた。
これがシャーロットの《月装》なのだろう。ぱっと見は、至って普通のロング・ソードだ。

「……このまま行けば、わたし達は魔獣より先に飢えと乾きによって殺されるでしょうね。
 《都市》の資源が永遠に持つはずもない。それは誰にでもわかることだわ」

押し黙った神宮司に対して、シャーロットは敢えてその『先』を彼女なりになぞった言葉を投げかけた。
その表情からは穏やかさが翳り、理性で御しきれない険しさを帯びている。

「人類は遠からず滅ぶ。その前提を無視するのは、救いじゃなく逃避ではなくて?
 あと数ヶ月の猶予付きの安寧が本当に欲しいものだなんて……わたしは、思いたくない」

これから何としてでも、世界を癒す方法を見つけなければならない。
灰色の瞳には、鉛のように冷たく重い意志が伺えた。

/すみません、野暮用が入ってしまって遅れました……ここからはペース上がるよう気を付けます
106 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/06(月) 22:29:05.12 ID:q31zLXFc0
>>104
「むう……?」

【彼にとって魔獣の行動は、彼に強烈な「違和感」をもたらした】
【戦闘に愉悦するあの魔獣が「戦いたくない」などと言い出すとは……】
【自然と彼は、剣の構えを解いていた。ただしこちらも、消すまではしなかった。油断を誘った、相手のブラフかもしれない】
【しかし相手はブラフを使うような技巧派で無いことも、先の戦いでわかったつもりだった。だからこそ彼は、強烈な違和感を感じずにはいられなかった】

「貴様……あの者達を見たのだろう」
「奴らは人を追い詰め、自らを殺めさせ、金品を奪う……私の知る限り最も下衆な「追い剥ぎ」連中だ」

【血塗れた壁に張り付く脳漿と、無残に崩れた肉塊を見やる。これが元の下衆であるとすれば、魔獣は彼等を殺したという事だ】

「騒ぎを聞きつけて来ればこの様相……貴様が殺めたのだろう?」
「……貴様にそれ程の事をさせる怒り……それが何処から来たか、貴様にはわかるまい」

【彼は、目の前の魔獣の憤りの「理由」を知っていた……いや、彼だけではない。人間なら誰にでもわかる、ごく普通の感情であろう】
107 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/06(月) 22:42:54.29 ID:FidMoFee0
>>106

「俺には分からない───か」

その言葉にスカヤは何らかの違和感を感じた。

「貴様には言っていただろうか?」
「俺はニンゲン上がりの魔獣であることをな」

スカヤは元々ニンゲンである事は一部のニンゲンには教えてあるが、どんな末路で魔獣と化したのは誰にも言っていない。いや、「言えない」のだ。
自分自身も知らなかったから言うまでもない。スカヤはニンゲンから魔獣と変貌した時期を丸々と「忘れている」。

「そうか、追い剥ぎか……もう絶望も直ぐそこまで来ているようだ」
「しかし理解出来ないとはどういうことだ?」
「これでも俺は学業に勤しんでいた時もある、ニンゲンの書物も読んで少し理解した事もある」
「それでも───魔獣には分からないモノのか?」

懐から取り出したのは血濡れた書物。
中身は哲学書、物語、エッセイ───様々な種類があったが、血濡れた手で読まれたそれらは今では読めるモノではなくなっている。

「これらには載ってなかったがな───本当に、ニンゲンとは分からないモノだ」
108 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/06(月) 22:54:28.33 ID:q31zLXFc0
>>107
「……ほう、意外だな……てっきり貴様は生粋の魔獣だと思っていたが……世の中とはわからぬ物だ。ガハハハハ……」

【魔獣が本を取り出した。その意外性に思わず笑い声を上げるも、やがてそれも終わり】

「簡単な話だ……と言っても貴様には難しいだろうが……」
「尊厳とは、傷付けられるべきものでは無いという事さ」

【「プライド」。あるいは人間の「尊厳」。この場合は命であるが、それを平気で蹂躙しあざ笑う者は、死にも値する罪を背負う】
【この魔獣は正々堂々とした一騎打ちを好む……おそらくは、その関係なのだろうか?】
【あるいは……】

「此奴らは、人間でありながら魔獣のような穢れた精神の持ち主だった」

【軽蔑するような目つきで壁の血を見やった後に、改めて魔獣の方を向き】

「……貴様はどうだろうな」

【これは問いかけだった。人間の心を理解できぬ魔獣が、理解できぬまま人間の心を持ちつつある】
【その心情が本心から来るものか……これはそれを確かめるための、一種のテストでもあった】

109 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/06(月) 23:00:08.09 ID:37ffw4XCo
>>105

「自警団、ですか。結構たくさんの人が所属してるみたいですよね」
当然その名は聞いたことがあるし、助けてもらったことも幾度かある
自分もそこに所属しようと思ったことすらある。自治会の助っ人のような位置に落ち着いているのが現状なのだが

「………そうだね」
思わず言葉を失ってしまい、なんとか同意の言を紡ぐ
逃避だと言われてしまえばそのとおりだ
現状維持を続ければ、彼女の言うとおり人類は必ず衰退する。だれにでも分かる、間違えようのないことだ

しかし、悲観することも逃避することも非難されてしまった今、彼に何が出来るのか。
抗って立つにはこの躰はあまりにも無力だというのに。

「だったら……だったら貴方は、何がほしい?
 世界は理不尽で、進むことも戻ることも簡単には出来なくて……そんな中であなたはどうやってそれを掴むんですか……?」
続くのは、答えを求める児童のような、或いはこの学び舎に相応しいような問いかけだった
答えが得られることは期待してはいなかった。これは意地悪な問だと、自分でも分かっていた
それでも聞かずにはいられなかったのは―――彼女に何か期待していたからかもしれない

/いえいえ、大丈夫ですよー。寧ろこちらこそレスが遅くて申し訳ないです
110 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/06(月) 23:24:53.74 ID:dVYIdE+w0
>>109

「わたしが欲しいものは、青空。それに陽の光、あふれる緑、自由な大地。
 ほんの少し前まで、あたりまえ≠セったものを取り戻す――それが、わたしの願いよ」

今となってはそれが稚気じみた高望みになっていることを、誰もが知っている。
重力変動圏のほとりで敵と戦い、身に傷を受け、心に荒廃の景色を刻んだ彼女とて例外ではない。
失われたものを一つ一つ挙げていく度に、喉奥が締め付けられるような思いがした。

「あなたも自警団と関わりがあるなら、どこかで耳に挟んだかもしれない。
 一度は《夜》に堕ちた者が、人間に戻る事例が報告されたと。
 ……実を言うと、わたしも『ソレ』を一度目にしたわ」

それは一縷の希望であると共に、シャーロットにとっては残酷な記憶。
こみ上げてくる切なさを抑えるように、彼女は若いふくらみを帯びた胸元に手を当てて、更に言葉を紡ぐ。

「それはまさに最期の瞬間で、何もしてあげることは出来なかったけれど……、
 少なくとも、《夜》を晴らす≠アとは不可能じゃないんだわ。
 そして、もしかしたら……あなたのような《焔装》使いを、避け得ない破滅から救うことだって……!」

幼さすら残した顔(かんばせ)に灯るのは、未成熟だけれど真っ直ぐな決意。
自分が机からすべり落ちんばかりに身を乗り出して語っていたことに気づくと、シャーロットはわずかに頬を赤らめながら、神宮司の反応を待った。
111 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/06(月) 23:31:41.02 ID:FidMoFee0
>>108

「─────フン」

ニンゲンに笑われるとは、ここまで嫌味なのだろうか、と悪態をつく。

「尊厳か───プライドと言った所か」
「俺は強者こそ真理だと思う、何故なら彼等は決して姑息な手段を用いずに強者になれたのだから」
「増してや強い精神力を持つ。貴様のように魔獣と会話をしたりなど、絶望を感じず、寧ろまだこの世界に希望を見出している」
「そして弱者は既に「絶望」している───だからあんな事をしていると考えていた」

スカヤ達の周りには名もなき魔獣達が徘徊している。何も焦点などなく、ただニンゲンを求め歩いていく。

「だからこそ奴等はあのような魔獣もどきになって果てるモノだとな……」
「そして俺は強者を求める者……さて、どうだろうな…俺が「強者」なのか「弱者」なのか」
112 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/06(月) 23:52:11.09 ID:q31zLXFc0
>>111
「……フッ……貴様……いや、貴公は、私が思っていたよりもずっと「強者」だったらしい……」

【強者を求めるとは即ち、弱者を排他する。弱者とは現実に絶望し、抗いもせず文句を言うだけの、希望を捨て切った抜け殻にも等しい】
【肉体の有無ではない。精神的な強さである。そしてそれをも、目の前の魔獣は必要としている……】
【即ち目の前の魔獣は、それを持たぬ善良な者を、無闇に手に掛けないであろうことを感じ取った。そもそも、興味がないと言うべきだっただろうが……】

「……魔獣とは思ったよりも、人殺し一辺倒というわけではなかったらしいな……少しは「人間」を思い出したか?」

【そして彼は自らの月装を解き、顔を後ろに向けたまま魔獣に背中を向ける。】

「今回は戦わずにおこう……私も先の戦いで、貴公の強さは十分にわかっている」
「だが、今度会う時までに、よく考えておくといい……そして聞かせてくれ。貴公の答えを」

【それは人間としての、魔獣への抵抗宣言であっただろうか。その言葉に掛けられた疑問は、スカヤが闇に堕ちぬよう諭す、一種の優しさであるかも知れなかった】
【肉体的ではない。精神的にも「人間」から離れてしまうか否か……それを決めるのは兎にも角にも、「魔獣」次第であろうが】

/眠気が寄って来ましたので、この辺で……
/絡みありがとうございました!

113 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/06(月) 23:55:52.82 ID:37ffw4XCo
>>110

「………凄いね、貴方は」
彼はそんなこと出来るわけがないと思ってしまう。
澄み切った空も、温かい太陽も。それに照らされる豊かな自然も。
もう二度と目にすることは出来ない、この地球上から奪われたものだ
それを『取り戻す』と、「できたらいいのに」という悲観するでもなく、「できるわけない」と逃避するでもなく言い切った彼女に、尊敬に似た念を覚える

「それは……」
初耳だった。自警団との関わりなど殆ど無いに等しい彼は、その事態に遭遇したことは勿論聞いたこともなかった
聞き入るような彼の表情は真剣さを増す。そこからは先程までの悲観、逃避や諦観は消えていき、現出するのはひとつの希望
それを与えたのは、紛れも無く彼女だ

そしてシャーロットは可能性を提示する
もしも死に沈む以外の方法で、《魔獣》への変貌を避けられるのなら。
もしもこの空に広がる《夜》を退け、再び世界を照らすことが出来るのなら。

「それなら、それが本当なら、僕も……・願いたいと思うよ
僕も―――あたりまえ≠願うよ」

シャーロットの眩しいほどの決意は、少年にも確かに熱を宿した
そのことは表情を見れば火を見るよりも明らかで
114 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/07(火) 00:14:56.61 ID:0kEe45HA0
>>112

「よもや、ニンゲンに敬意を評されるとはな」
「俺も───魔獣として、ますます奇妙なモノになってしまったか?」

去って行ったジークローランの背中を見つめ、自分自身に皮肉った。
笑っていたが、それは本当の笑いか、それとも「嗤い」か。

「───魔獣か」

その言葉を口にし、スカヤは考え込む。
このようなニンゲンの感情に興味を持ち、理解したくなるとは、それこそ「魔獣」の定理に外れるモノではないのか。

「俺は強者を求め、ここまで来たが……本当は、何を求めていたのだろうか」
「今の俺は…魔獣でもニンゲンでもない、半端者なのかもしれない」

角や爪は既に消え、ニンゲンの姿を象っている。
スカヤは空を見上げた。星も、月も見えない空を。
そして、空を覆った《夜》を。
その思惑は誰にも分からないし、スカヤ自身もこの感情を理解することは出来なかった。

//ジークローラン様、お疲れ様でした!
//絡み、ありがとうございました!
115 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/07(火) 00:25:19.53 ID:IpZUeg7N0
>>113

「……そもそも、《月》の光によって目覚めた《焔装》が、《夜》に堕ちること自体がおかしな話なのよ。
 だって、その出処は違うはずでしょう? なのに、同じ所に着地してしまうなんて」

友達の受け売りだけれどね――と前置きして、シャーロットは《夜》への考察を述べる。
それはすなわち、《夜》と《焔装》は同種の力であるのではないかという疑念。

「そうでなくても、《焔装》と《魔獣》には少し似ている所があるわ。
 どちらも、宿主となる人間が持っている『負』の感情をふくらませて能力の源にする。
 二つの間にどんな決定的違いがあるのか、わたしは考えてもみなかったわ……」

「今すぐに答えを出すことはできない。でも、同じことに気付いている人はいるはずよ。
 わたし達《月装》使いは、《焔装》使いを助ける方法が見つかるまで時間を稼がなきゃいけない。

 だから――マフユは、絶対に折れないで≠「てね。
 ……約束よ。」

冷静で謹厳な口ぶりを幾分崩して、少女は願う。
心のなかに暗い想いを蟠らせ、それを励ますことなしに力を発揮することができない《焔装》使いの少年が、
その心まで《夜》に食い尽くされることがないように、と。
116 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/07(火) 00:45:00.29 ID:/OsAtN5Zo
>>115

「成る程……」

改めて、自分の力がどんな物かなんてことは考えてこともなかったように思う
それはこれまでの自分自身の余裕の無さを如実に物語っていた
そして自分の力が《夜》や《魔獣》と同質のものだったとしたら

「僕らはひょっとしたら《人間》と《魔獣》のボーダーラインに立ってるのかもしれないね」

少し後押しされれば、容易く向こう側へ堕ちてしまう。そんな場所に立つ自分をイメージする
そんなところに杖をついて立つのは、あまりに危険なことだと――――

「―――うん、約束だ」

危険な思考に絡め取られそうになるところを、『約束』が繋ぎ止める
普段は重苦しく感じる「助ける」という言葉が、今は優しい物に感じられる

「いつか、僕らを―――《焔装》使いを助けてね。
 その日まで、僕らが君たち……《月装》使いを守るから」

こういう形の助け合い、守り合いもきっと正しいはずだと信じて
少年もまた、決意を新たにするのだった
117 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/07(火) 01:08:07.98 ID:IpZUeg7N0
>>116

「ありがとう……でもそれには及ばないわ。
 自分すら守れなくて、何が《月装》かしら」

柔和な笑みに隠された強い気持ちは――時に、歩み寄りを許さないほどに固い。
あからさまに機嫌を悪くしたわけではないけれど、彼女の声音にはどこか突き放すような響きもあった。
大人びた面もあるシャーロットだが、その意固地さは間違いなく『子供』のものだ。

「あら、いけない。もう少しで召集の時間が来るわ。
 持ち場を代わらないといけないわね……マフユ、下駄箱までは送りが欲しい?」

壁掛けの時計に目をやると、シャーロットは神宮司の足を気遣いながら、やおら立ち上がるだろう。
118 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/07(火) 01:29:51.39 ID:/OsAtN5Zo
>>117

「……そっか」
シャーロットに自立する強さを見せられ、どこか寂しげな表情を覗かせる
彼女が実際に彼を頼るか、頼られた時に彼が役割を果たせるかはまた別問題として、彼はただ頼って欲しかっただけ
未熟な少年の脆弱な願いは、やはり叶わない

「いや、大丈夫。ちゃんと休ませてもらったから、もう歩けるよ」
そう言って軽く手を振り、それには及ばないと示してみせた
本当は一方的な助けを得ることを嫌がっただけなのだが

「それじゃあ、行こうか」
長い障碍との付き合いの中で、少年の中で劣等感と自尊心は大きく膨れ上がっていた
そんな彼に、誰かを頼ることは簡単なようでひどく難しい
シャーロットに続く形で杖を突いて立ち上がり歩き出す姿は、しっかりしているように見えてとても危うい
119 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/07(火) 01:48:39.97 ID:IpZUeg7N0
>>118

頼られたい気持ちと、独歩を望む想いが、切実さゆえにすれ違う。
始末に負えないのは――それぞれの感情が、当人たちにとって戦うための力そのものであることだ。
《焔装》と《月装》と《夜》との間に仕組まれた悲劇のしかけ。
乗り越えることができるかは、まだ誰にも分からない。

「……危なっかしいじゃない。下駄箱までは付いていかせて。
 どうせわたしも外に出なければいけないのだし、いいでしょう?」

その気配りが神宮司を傷付けてさえいると気づかずに、シャーロットは階段を降りる間、慎重に彼の様子を見守るだろう。
無事に一階まで降りて、ようやく目を離してくれるはずだ。

「……それじゃあ、わたしは仕事の引き継ぎに行ってくるわね。
 マフユも、魔獣や悪い人には気をつけて。《焔装》を使うようなことが余り多いと、心配だもの」

そして引き止められなければ――彼女は学校を離れ、ひとり持ち場へ向かうだろう。
去り際、自警団員としての凛々しい面持ちを、背中越しに見せながら。
120 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/07(火) 02:05:04.00 ID:/OsAtN5Zo
>>119

「……まあ、外にでるまでは一緒ですしね」

見守られている視線を嫌でも感じ、体中が火照るように―――焼けるように熱い
見るな、見るな。僕は一人で大丈夫。ちゃんと立って、ちゃんと歩いていける。危なっかしくなんてない!
そんな思いで、歯を食いしばりながら。それでも心配はかけまいとしっかりと地面に杖を突き立てて
ようやく辿り着いた1階玄関、視線から開放され、じっとりと滲み出た汗をあいている左腕で拭うと、

「うん、じゃあシャーロットさんも気をつけて
 ……そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」

その立派な背中に眩しい物を感じながら、別れを告げるのだった

/お付き合いありがとうございましたー!
121 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/07(火) 02:09:19.97 ID:IpZUeg7N0
>>120
/ハイ! こちらこそありがとうございました!
122 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/07(火) 20:22:06.27 ID:Jqkzr8E90
【《人型魔獣》との戦闘から数日、休息を取ってその際に受けた傷がすっかり治ったメイラはサブマシンガン両手に散策をしている】
【度々《魔獣》に襲われたが、あの魔獣に比べると弱く倒す事にさしたる苦労はしなかった】

…………

【一体何が起きているのか。研究所で聞いた外界とはまるっきり違う】
【太陽という物が見えない、月という物が見えない、人間が居ない】
【建造物の大半は朽ちていて、獰猛な生物が跋扈している】
【世界に何が起きているのか。其れを知る為にメイラは延々と散策を続ける―――】
123 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/07(火) 20:39:10.13 ID:f2n5hNfd0
>122

「…にゃぁ、魔獣がこんなに……一体誰が?」

偶々外を探索していると見つけたのは、事切れた化け物と戦闘の跡。
ヘッドフォンを身に付け、猫っぽい印象を与える少女は銃を片手に、すっと目を閉じる。
耳に付けた音楽機器が僅かに光を帯び、一瞬周囲に風が吹いたかと思えば―――。

「……あっち!」

そう遠くない場所に人らしき足音を感知する。
そのまま拓けた道を行くと追い付けそうにないので、近道代わりに瓦礫の上やら下やらを潜り抜けつつ、再び道に出ると辺りを見回す。
すると見えたのは小さな子供の後ろ姿だ。見る限りではかなり幼く思える。

「……そこの子、ちょっと待って!」

パタパタと走りながら手を降りつつ、相手に呼び掛ける。
そこそこ距離はあるが、相手の女の子がそのまま立ち止まってくれればなんとか追い付けそうだ。


/よろしくお願いします…!
124 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/07(火) 20:53:44.21 ID:bNXIi/pn0
「………夜か」

【闇の街中。開けた路地のビルの壁に寄りかかった一人の男が、静かに空を眺めていた】
【その辺のビルはもれなく倒壊しており、また整備もされず、道に転がる瓦礫と無限に立ち上る煙が空気を汚していた】
【彼はこの場所が好きだった。かつて激戦区出会ったここは資源がほぼ喰い荒らされ、魔獣は殆ど来ない一時の平和な安息を楽しめるからだ】
【だがいくら休んだところで何か変わるわけではない。しかし危機の中でこそ、余計に休息を取りたがるのが人間の性というものだろう】

「(かつては月の浮かんでいた空も……今ではすっかり闇に溺れたか)」

【彼には珍しく、しばらく感傷的に空を眺めていたが】
【いずれ、睡魔に襲われたのか、立ったまま眠りに入ってしまう】

「……グォ……フゴーッ」

【巧みに両足でバランスを取りながら、器用に立ち、そして起きることはない】
【彼にとっては仮眠の粋であるが、この様子を他人が見ればどう思うだろうか……】
125 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp :2014/10/07(火) 20:54:56.12 ID:bNXIi/pn0
>>124
/出会った→であった
/でした、失礼
126 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/07(火) 20:57:37.50 ID:Jqkzr8E90
>>123

………?

【後方の少し離れた場所から、何者かに呼び掛けられて振り向く】
【其処には走りながら手を振ってくる少女が。両手のサブマシンガンを握る力を強める】
【《人型魔獣》と出会ってから、人間相手には瞬時に《刷り込み現象》が働く筈だったメイラは警戒心を抱く様になってしまった】
【立ち止まり、警戒心を孕んだ瞳と、両手のサブマシンガンを少女へ向けた】


//下手ですがお願いします………
127 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/07(火) 21:09:47.62 ID:rzdMrzTs0
>>124
一人…いや、一匹の魔獣がほとんど人のいない町を歩いている
結局、この間の月装使いを倒すことはできなかった
あらゆる面で優っていたのにも関わらず、取り逃がした
やはり、人間の心が多少のこっていて全力が出しきれていないのだろうか?
ハァ、と一つため息をついて空を見上げる人間の頃はあんなに憎らしかった夜も今では―――やはり憎らしい
殺戮本能が極端に増えただけで、自分はたいして変わっていないのかもしれない

考え事をしながら歩いている途中で―――いつぞやに共闘した月装使いを見つける

よくもまぁ器用に立って寝ているものだ―――このまま近づけば自分はあの男を殺そうとするのだろう
負傷した所を助けてくれた男を殺すのは多少気が引ける
引き返そうとして、瓦礫でわからなかったが真後ろに窪みがあったようで足を埋めてしまう
当然簡単に引き抜くが―――大きな物音を起ててしまった
果たしてあの男はこの音に反応して目を覚ましたのだろうか?――――予想が外れていることを望みつつ、ゆっくりと後ろに振り向いた
128 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/07(火) 21:13:41.38 ID:f2n5hNfd0
>>126

「…あ。よかったぁ、止まってくれましたかにゃ―――ってええぇ!?きゃあああ!!」

相手が止まったことによって、ホッと安堵する珠悸であったが……それも束の間。
なんと幼げな少女が持っている野は、重厚な音を立てて此方へ向けられたであろう銃口。
予想外過ぎる事態に思わず手に持っていた銃を放し、甘ったるい感じの作られた声から素であるらしい声色にて悲鳴をあげ。
直立不動。次いでに、別に相手に言われてはいないが両手をあげ無抵抗のポーズ。

「……お、落ち着いてください!確かに銃は持ってましたけど、たまは弱っちいしノーコンだから全然危害を加えるつもりはないんです!
 人間皆兄弟って言葉もありますしおおお落ち着きましょう!話せば分かりますから!だから撃たないでください!」

最早お前が落ち着けと言わんばかりに話しまくるわまくるわ。
何とも情けない姿だが、銃を構えられた時点で何かしらの攻撃をしない辺り、珠悸に戦う意欲は無いことが分かるだろうか。

/いえいえ全然平気ですよー!こちらこそ久しぶりですので分かりにくい部分があるかもしれませんが…!
129 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/07(火) 21:25:59.88 ID:kpIeXgtb0
都市の中心部付近に存在する公園跡地。
既に遊具の類は素材として殆どが回収され、もはやただの空き地となった場所に少女と焚火が一つ。
未来は石のベンチの上で寝転がり、月の代わりにと掲げた剣の《月装》を眺めている。

「どうなんだろうなぁ……」

ぱちぱちと爆ぜる炎が照らすのは歪みの無い真っ直ぐな刀身。
それに比べてその所有者である未来の表情はどこかぼんやりとしていた。
130 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/07(火) 21:26:32.67 ID:bNXIi/pn0
>>127
「むぅ……?お、おお!」

【案の定、彼は起きていた。所詮仮眠の域、当然といえば当然なのだが】
【目を細めつつ、目の前にいる人物……いつぞやのガルバを見、声を上げる】

「貴公はいつぞやの……ガルバ殿ではないか!無事なようだな、いや、よかった」

【寝起き故か、それとも素か……彼は気が付いていない】
【ガルバが既に、人ならざる魔獣と化してしまっていたことに】

「それにしても、偶然というのはあるものよのう……このようなところで巡り会うとは
「神の思し召しかもしれんな。ハッハッハッハッ」

【そう言ってガルバに近寄ろうとしたその時。眠気が覚めたのか……少々、ガルバの周りにある「異様な雰囲気」に勘付いたらしく、足を止める】

「……どうした、ガルバ殿?」

【魔獣と化した人間に、そうとも知らず疑問の声をかけた】
131 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/07(火) 21:32:12.36 ID:DdQQLUR1o
>>129
 闇に包まれた小さな空き地を、一人の女が歩いている。がちゃりがちゃりと、小煩い金属音を掻き鳴らしながら。
 炭のような黒髪を後ろで一纏めにした彼女は、薄汚れた作業着姿であった。黒縁眼鏡の下に、陰気な三白眼を蒼くぎらつかせていた。
 やがて彼女は足を止め、視線を一点に定める。金属音が静かになる。そしてもう一度歩き始める。金属音もまた、鳴り始める。

「……何が、だ?」

 やがて少女のすぐそばにまで歩み寄れば、独り言にも等しいような声色でそう問いかける。
 背負っているのは、籠である。喧しい音は、そこから鳴り響いているようだ。
 饐えた工業用の潤滑油の匂いが、少女の鼻を擽った。
132 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/07(火) 21:36:36.86 ID:F8t9eVHg0
>>128

…………

【悲鳴を上げる少女。直立不動に無抵抗のポーズ】
【メイラはそのポーズがどんな意味を持っているか理解していないので無意味だが】
【思わず気が抜けてしまう、あの人型魔獣とは全然雰囲気が違うから】


……

此の少女からは危害を加えて来るような様子は感じられない】
【両手の銃を降ろし、此処でようやく?彼女の《インプリンティング現象》が発動した】

……まま?

【サブマシンガンをローブの中にしまって少女にとたとたと歩み寄る】
【因みにローブはかなり汚れていて、所々に穴が空いているものだ】
【少女が動かなければ、メイラに抱きつかれることになるだろう】

133 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/07(火) 21:44:34.77 ID:kpIeXgtb0
>>131
静寂な空間に鳴り響く金属音に顔を向けてみるとどこかで見た女性がいる。

「あ、修理屋の……、アリシアさん?」

直接話した事は無いが、自警団でその姿を見かけたことはある。
流石に寝転んだままでは失礼であるので起き上がり、そのベンチの空いたスペースに座るように催促した。

「ねえねえ、技術屋の視点から見て《月装》ってどう思う?」

潤滑油の匂いも金属臭も、そしてその作業着もこの場合、頼もしい。
畑違いではあるだろうがまた自分とは変わった視点での意見が貰えるだろう、と唐突ではあるが質問をぶつけてみた。
134 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/07(火) 21:49:34.56 ID:rzdMrzTs0
>>130
「…あぁ、久しぶりだな」
「確か、ジークだったけか」

やはり、音に反応して目を覚ましてしまった
このままでは、この男を殺してしまうだろう
今の男との距離は魔獣の本能が暴れだすギリギリの距離
実際、この距離でも殺したくてたまらないのだ
これ以上近づかれると攻撃をしない自信はなかった
故に、警告を放つ

「俺から、離れろ」
「俺は、堕ちた―――この意味、分かるだろ」

今すぐにでもこの場を離れたかったが、動けば相手を殺してしまいそうだ
自分が魔獣となったことを告げ、離れてくれることを願うしかなかった
たった一度共闘したというだけだが、その時の負傷を考えれば命の恩人といっても過言ではない
出来れば、殺したくなかった
135 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/07(火) 21:49:45.39 ID:f2n5hNfd0
>>128

「……っっ?」

両手をあげた状態のまま、思わず目を瞑っていた珠悸。
いつ自分の身体が蜂の巣状態になるのか、ある意味死の覚悟をしていたのだが……一向にその時が来ない。
流石におかしいと思い、恐る恐る片目を開けてみる。と、同時にぽふんと前方からの柔い衝撃。

「……あれ?“ママ“?」

見れば先程の少女がいつの間にか自分に抱きついているではないか。
暫しポカンと呆気に取られていたが、すぐさま我に返り。少し真面目そうな表情を作ると、自分の視線が相手の目線に来るようにしゃがんだ。

「ママって…あなたのママを探してるのかな?自分のお名前言える?
 おねーさんの名前は珠悸、たまっていうんだよ。」

少女の服装を上から下まで見下ろせば、おそらく孤児…それも貧しい暮らしをしていると判断する。
勿論何故武器を持っているのか、どこか人間離れしたような容貌など気になることは多々あるけれど、まずは何者か詮索するべきだ。
会話がある程度通じているし、魔獣独特の嫌な気配は感じないから、恐らく安全…なはずだ。
136 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/07(火) 21:53:14.57 ID:rEVnaecno
ココは都よりやや離れた、洋食レストランの屋上。
位置的には人間達の住居区が見える所だ。

「今頃は空が晴れていて、星がよく見えるはずなのに」
カジュアルな装いの女は、大型の熱交換機の上を陣取っていた。
足を組み、真っ黒に塗り潰された夜空を見上げていた。

「あの暗いカーテンの向こうに星々があったとしたら?
 …じゃあ、覆い被さってるカーテンとは一体何って話になるんだよね」
女は熱交換器の上に寝転がり、ぼーっとする。
137 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/07(火) 22:01:02.64 ID:bNXIi/pn0
>>134
「……そうか」

【「堕ちた」。焔装使いにとってその言葉の意味する所は一つしかない……「魔獣化」だ】
【彼は自然に歯軋りをしていた。数日前に共に勝利を勝ち取った仲間が、今は敵として目の前に対峙している現実に】
【彼はいつの間にか、手に自らの月装である「月明かりの光の大剣」を握っていた】

「貴公……私を、いや……人間を殺したいのだろう」
「貴公の身体から溢れて止まらぬその殺気……今まで何人か殺したのだろう」

【静かに目を細め、ガルバの方を見る。その目には悲しみが含まれていた】

「貴公には世話になったが……魔獣となっては、人としての道を放棄したという事」

【彼は大剣を両手に構え、ガルバに刃を向ける】

「……ならば……ラルカン・ラントのジークローラン、今ここで貴公に引導を渡そう」

【相手は魔獣……それも元・焔装。手強い相手である事は彼自身、よくわかっていたつもりだった】
【しかし彼は、ガルバに刃を向けねばならない理由があった】
【それは友の「誇り」━━━━人間としての尊厳を、人間として生きた証を守るため】
【理性なき魔獣となって生きるよりも、美しく人であるまま絶えた方がいい。何故なら人の栄華とは……永遠に受け継がれるべきものであるのだから】

「離れる訳にはいかん。貴公が、貴公としての道を正すまで」
138 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/07(火) 22:08:27.79 ID:DdQQLUR1o
>>133

 改めて少女の姿を見た彼女は、どうやら自分が話しかけた相手が誰なのかを把握したようだった。
 思い出せば二、三回ほど、自身と視線が合ったことを彼女は覚えている。気付いた回数がそれだから、実際にはもう少し見られていただろうか。
 少女が起き上がるのに応じて、彼女も背負った籠を地面に下ろした。ベンチに座るように促されれば、「よろしく頼む」と返事をする。

「……私の視点から、か。
 性能面で言えば、今のところ《焔装》のモンキーモデルだろうな」

「勿論、安全性という面では《月装》に分があるが――
 戦闘力の面で魔獣に打ち勝てないのならば、結局は安全性の確保に失敗しているわけだ」

 唐突な質問にも動じることはなかった。代わりに、年代物のパイプを燻らせながら回答する。
 潤滑油の匂いに、煙草の匂いが重なる。鋭い光を湛えた瞳は、どこか遠くを睨んでいた。
139 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs [sage]:2014/10/07(火) 22:09:10.57 ID:csf+5/NoO
>>136

廃ビルの屋上に登り、魔獣はニンゲンを探し求める。だが、以前のような「ただの」戦闘ではなく───。
あの時から、戦いに欲するよりも知識を欲するようになった。
冷静に考えてみれば、何とも馬鹿らしく、魔獣的でもないと皮肉を感じたが、それでも欲求には勝てるはずもなく。

「……これでもない」
「ニンゲンの考えていることは良く分からぬ、あの感情も奴は教えてくれる事は無かった」

知識を求めるが故、様々な強者を倒しながら、ニンゲンが書き記したモノを探す。
スカヤ自身も元ニンゲンだったから、言葉の弊害などは感じず、ただただそれらから知識を貪るように吸収していった。
しかし、これでは理解し得る事は無かった。

ならば。

「あの屋上にニンゲンが…1人」
「ならば問いかけてみよう、何故、貴様らは「絶望」せずに未だ「希望」に満ち足りているのか……そしてそのニンゲンの感情を」

そして、跳ぶ。有子の方向へ。
自分の求めていた事を答えてくれる者を探す為に。

//よろしくお願いします
140 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/07(火) 22:12:44.18 ID:P/+R++xC0
>>135

…違うよ。あなたが私のまま!!
私の名前は……メイラ!
珠悸…?じゃあ珠悸ままって呼んでいい!?

【口調は明るいのに、無表情で一切の感情が感じられない】
【それはかなりの違和感だろう。メイラに人格と呼べる物は無く、親と認識した者の命令に従う存在に感情は不要だ】
【メイラの白髪の隙間から、紫水晶《月装》が見えるかもしれない】
【しゃがみ込んだ少女の胸に頬ずりをしようとし、其れが叶えば耳元でこう呟く】
【因みに敬語で話す様プログラムされていたが、その機能は瓦礫と化した研究所から出る時か、魔獣との闘いの何方かで失われた】

ねぇ……まま……命令は?…メイラはなんでもするよ……


141 :船坂総一郎 [sage]:2014/10/07(火) 22:15:02.96 ID:d13xzGz3O
【廃ビル群ーーーかつては人々の暮らす栄えた街だったのだろうか、その面影さえ今はなく無残にも瓦礫と成り果てた人類の叡智の結晶は、本来の役割を失って尚も人々にわずかな安息をもたらしていた】

ーーー深い

【ぽつりとそんなことを暗闇と絶望とが混在する世界に落とす人物がいた】
【紺色の軍服に身を包み、一際に目立つ帯刀した大太刀に片手を乗せて。深々と軍帽を被った青年が居たのは20階程に高くそびえていたであろうビルの屋上】
【上階は綺麗に残っていたものの下階はひしゃげて低くなり、見る影も無い姿と変わり果てていた】


夜はまだ明けぬ、か…

【澄み渡る空を連想させる片方の蒼い瞳が
映すモノは、どうしようもない暗闇と戦火だけで】
【憂いを含んだ声さえも常闇はゆっくりと飲み込んでしまっていた】
142 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/07(火) 22:17:46.60 ID:rEVnaecno
>>139
「反応あり。飛行タイプか…」
右手の金色の腕輪が淡い光を放つ。…いつの間に金色に?
敵の接近を感知し、熱交換器の上を転がって移動し位置を調整する。

「まったく、穏やかじゃないですね…」
熱交換器を降り、遮蔽物にする。
自分の背より遥かに大きい、完全遮蔽だ。
有子の周りには、この手の遮蔽物が手前と奥で3基ある。

「…また意志を持つ魔獣って奴かな。大物に間違いないかな」
口元を微笑ませ、右腕の金の腕輪が姿を消す。すると右手に金色の異形の銃が現れる。
来訪者に対し、猛禽類の巣に立ち入ったような…異様な殺気が放たれる。
143 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/07(火) 22:24:37.20 ID:rzdMrzTs0
>>137
「魔獣の本能が、叫ぶんだよ」
「人を殺せってな。今も、お前を殺したくてたまらない」

今の俺は、人間からあんな目で見られてしまうような物なのか
ジークの目を見て、完全に人と違うものになったのだと改めて思う

「…そうか、そうくるんならもう仕方がねぇ」
「先に言っておくが、手加減なんか期待すんじゃねーぞ」

男は大剣を手に取り、こちらに向けた
つまりは、そういうことなのだろう
敵意に魔獣の本能が反応し、自分の意思とは無関係に能力が発動する
体のラインが黒く光り、負のオーラが爆発的に増加する。能力の発動によりすべての能力―――特に、攻撃力、防御力、スピード、再生力が一気に上昇する
加えて、焔装の名残である破壊の概念がその身に付加され、さらに攻撃力が上昇する。

「―――じゃぁ行くぜ」
「最初の一撃で死ぬんじゃねーぞ―――人間ッ!!」

―――魔獣として戦うために叫び、全力でジークへと駆け出す
近づければその勢いをのせた拳をジークに向けて放つだろう―――ただの拳と侮るなかれ、もろに当たれば人間など一撃で粉々である

144 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/07(火) 22:27:04.72 ID:f2n5hNfd0
>>140
「……私?」

相手の名前を聞けばいい名前だねぇと褒めてあげる。
しかし、相手の言動表情に違和感を持ち始めたのも、丁度時は同じく。
額に付けられた紫水晶。声色に反して、感情の起伏のない顔。そして……母親?それに自分が彼女に命令?
どうにもおかしかった。

「………じゃあ、メイヤちゃん。まず質問に答えて…本当に私がママだと思うの?」

もう一度、相手に問い掛ける。
もしかしたら何か記憶がこんがらがっているのではないかと考えた結果だ。
これでもし相手がyesと答えるのならば……。

「もし私がママだと思うなら―――…いいよ。たまが貴方のママになってあげますにゃん。」

彼女の髪をそっと鋤くと、相手が自分にしたように耳元へと囁き返す
…その言葉は慈愛かそれとも普通ではないと見てとれる子供への哀れみか。
145 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/07(火) 22:28:45.20 ID:kpIeXgtb0
>>138
未来が今までに出会ったことがある技術者という人種は興味を示すものと示さないものがはっきりとしている傾向があった。
横に座る女性がどうなのかは知らないが話に乗って貰えるのは幸いである。

「今のところは……ねぇ。それってもしかして隠された力があるとかって話をあなたも信じているの?」

ここからが本題だと言わんばかりにズボンのポケットから使い込まれたメモ帳を取り出しページをめくりだす。
目当てのページは折り目がつけられていた。よって手間はそれ程かからない。

「いや、信じていたってそうじゃなくたってそれはいいんだけど。《月装》は人の手によって作られたものなら隠された機構があるって噂が出るのはおかしくないかな?」
「あなたなら作った物に使用者が知らないギミックとか施す気が起こったりしたことはある?」

あるとしたら傾奇者だ。無いとしたら……。
彼女が最初に言った通り、技術屋の視点から見た場合、この不可解な問題を解く方法があるのかと未来は問いているのである。
どのような答えでもいい。《月装》の疑問点はまだある。よって意地の悪い聞き方をしていると未来自身も理解していた。
146 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/07(火) 22:29:25.16 ID:f2n5hNfd0
>>144
/きゃああ名前!メイラちゃんでした!
/一番大事なところでミスってしまって申し訳ないです!
147 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/07(火) 22:36:41.58 ID:bNXIi/pn0
>>143
「本能?━━━━それは貴公……いや、「貴様」の欲求に過ぎん」
「貴様は魔獣になったんだ……わかるか?やり過ぎたんだよ。貴様はな」

【これからはガルバを味方とは見ない……今この瞬間から、彼の中でガルバは、打ち倒すべき……そして「救うべき」敵となった】
【魔獣化して強力になるガルバを見、改めて剣を握り直す】

「……それはお互い様だ」

【向かい来るガルバに向けて剣先を向ける。「来る!」左前方から繰り出されるパンチ、当たればただでは済まないのは先の戦いで良く知っている】
【彼はその場から動くことなく、左手で剣の刀身の根元にある刃の無い部分「リカッソ」を握り、大きな剣を繊細に動かしてその拳を受け止め流す】

「うぉおおおおおお!」

【そして再び両手を柄に握り直して反撃を加えんと、身体全体を使って剣ごと投げ出すような突きを繰り出した】
【その質量を利用した突きの破壊力は、たとえ月装と言えども決して侮ってはいけない威力である】

148 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/07(火) 22:36:51.82 ID:csf+5/NoO
>>142

「───ニンゲン」
「俺には貴様らがどのような存在であるかは分からない……知る方法もな」

身体がどんどん硬質化、いや「甲虫化」していく。その鍛え抜かれた肉体はまるで彫刻のように。
そして頭の角や腕の爪は鋭利なモノへと変化していく。

「だから、俺はこの方法を取るしかない」
「戦いの中から見出す事でしか、貴様らを知る事は多分…出来ない」

帯電しながらも、徒手空拳で戦うと見せつけんばかりに構えを取る。その構え、まさしく「武術」の類。

「それと───俺は猛禽類ではない、「昆虫」だ」

その瞬間、蝗の如く強靭な脚から回し蹴りを繰り出す。帯電した蹴撃は物凄い威力を発揮するだろう。
149 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/07(火) 22:45:28.37 ID:rEVnaecno
>>148
(今日は私1人だから、十分気を引き締めないとな)
変容する来訪者。間もなく来るだろう、左手にも銃を出現させる。

「違うんだよ…ココに巣を作ってたのは、私なんだよね」
遮蔽から回り込まれ、あっという間に距離を詰められた。
口を閉じ、奥歯をかみ締めて後方に跳躍し、蹴撃を回避する。

「一曲踊ってくれるかな。…前戯だけで私が死にそうだけど」
相対する怪物に対し不敵に微笑み、両手の銃をクルリと反転させる。
両手の銃を鈍器へ変え、銃底にスパイクを出現させる。
日本舞踊のような流れるような動き…左腕を下段に、右腕を上段に構え見得を切る。
150 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/07(火) 22:56:02.61 ID:P/+R++xC0
>>144

……うん!貴方がママ!!

【もう一度問い掛けられ、メイラは先程と全く同じ風に返す。最初に目にした人間を親と見なし、絶対の忠誠を尽くす】
【其れが兵器としてのメイラの在り方。そういう風に造られた】

えへへ……嬉しいな………
ねぇ…ママ、『命令』は?……なんでもいいよ……どんなことでもするから…


【髪を鋤かれて嬉しそうに声を上げ、更に頬を擦り付ける―――が矢張り其の表情に感情は無い】
【メイラは『命令』を求める。命令を確実に熟す事が自分の価値。其れ以外に自分
には何の価値も無い】
151 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/07(火) 22:56:50.72 ID:DdQQLUR1o
>>145


「ふむ、そうだとは言われているな。否定する裏付けが取れないから、今のところマジョリティに同調しているだけだ。
 勿論、絶望に追い込まれた人間が現実逃避に思い付いた戯れ言――とも、取れる」

 終わりある空へ登っていく、白い煙。少しずつ弱まっていく、その勢い。
 やがてそれが完全に消えてしまえば、彼女はパイプを口から抜いて、ポケットに手を突き入れる。
 取り出したのは、一本の棒付きキャンディ。火の消えたパイプの代わりなのだろう。
 ガリガリと歯を立てながら、削るように食べていくのが彼女のやり方だ。くぐもった破砕音が、彼女の頬から響く。

「子供用の知育玩具なら、何回か自作して妹どもに寄越したことがある。自作ゲームを作った時にも、隠しコマンドは仕込んだ。
 そういう意味では、無いこともないが――」

 今まですらすらと喋っていた彼女は唐突に言い淀むと、今度は作業着の懐に右手を入れた。何かを掴んで引き出そうとしているのが、腕の動きでわかる。

「――しかし私の手掛けたこいつは腹立たしいことに、私という世紀の天才を以ってしても、全て自力で創ることがかなわなかった」

 彼女は腕を引き抜き、右手とその物体を少女に見せる。ちょうど、対物ライフルの銃身だけを取り外した外見だった。
 奇妙な形状をした「こいつ」――それが、彼女の《月装》だった。
152 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/07(火) 23:03:58.22 ID:rzdMrzTs0
>>147
「ハッ、流石にやるなぁ月装使い!!」

獲物だ、人間、人間人間人間人間人間人間人間!!!!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!
今、ガルバの頭の中は目の前の獲物をどうやって殺すかに絞られていた
攻撃は流され、突き当たりを繰り出された
確か、あれは斬撃が撃てたはずだ。下手に避けてはその餌食になるだろう
ならば、と受け流された勢いを利用してそのまま横に跳び、突きを避ける
このまま離れて遠距離からの攻撃も考えたが、斬撃という攻撃方法がある以上手数で負けるのは明らかだ
故に、このまま攻め続けるしかない

「オオオオオオオ!!」

接近戦は得意だ、なにせ『人間』の頃に自分より強力な魔獣と自分の攻撃力に賭けて殴りあいをしてきたのだから
突きであんな体制になってしまうのなら速度で攻めれば勝機はある
なにせ、魔獣となった自分は急所をつかれない限り再生できるのだから
もう一度ジークに近づこうとし、近づければ今度は脇腹に向けて回し蹴りを放つだろう
153 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/07(火) 23:04:04.84 ID:DOOF0zpUo

【誰もいなくなった公園にて】

「おいしいね。お姉ちゃん」

【ベンチに腰掛けて何かと話しかけている一人の少女】
【その話しかけられている人物は明らかに異質で】

「ほらもっと食べないと」

【少女の話し相手は2mほどの真っ白な巨人】
【目も鼻も口もないのっぺらぼう】

「おいしい?美味しいよね?」

【巨人が掴んだ食べ物は見る見るうちに腐敗して地面に崩れ落ちていく】
【そして少女はそれを満足げに眺め、ほほ笑んでいた】
154 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs [sage]:2014/10/07(火) 23:04:17.07 ID:csf+5/NoO
>>149

「貴様はゲッソウ使いか」

構えた銃を見て、判断する。
そしてそのしなやかな物腰───まるで蛇と対峙したかのよう。
余裕そうな顔からはまだ「隠し玉」が残されているのだろう。

「流水の如く流れるような動き───惹きこまれそうだが……」
「貴様が「静」なら俺は「動」、だ」
「その為には…「死角」を捨てる必要がある」

突如、スカヤの目は肥大化していく。そして瞳は細分化され、まるで「複眼」のように変化を遂げた。

「──────────」

動きは止まる。敵が動いた瞬間に最も「効率的」で「仕留める」為に。
代わりに「眼」はギョロギョロと蠢く。
「眼」は有子の動きの細部の細部まで見ているようなオーラすら放っていた。
155 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/07(火) 23:14:10.03 ID:rEVnaecno
>>154
「うわぁ、それ禁止。
 あのねぇ…私がこう構えたらさー…
 そっちがどーんとかガツーンとかやるんですよ…
 それを私がふわーっと避けて、私が脚払い繰り出して姿勢を崩してさー」
まじまじと複眼が動く様を見て…何とも気の抜ける声で、洩らす。
随分と間の抜けた表情で、打ち合わせ的なものを洩らす。

「――ここは逃げた方がいいですかね」
とにかく敵の動向が計り知れない。何を仕掛けても全てがリスクと繋がる。
両手の鈍器をクルリと反転させると、両手に銃が握られる。
少女の勝利条件が、自ユニットの撤退に置き換わった瞬間である。

「1抜けたー」
屋上から飛び降りようと、恐ろしい速度で走り出す。
トラックの荷台の上目掛けて掛けていった。
156 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/07(火) 23:18:14.12 ID:bNXIi/pn0
>>152
「ヌゥ!」

【相手が避けた……ここまでは視野に入った事であったが、まさか近寄ってくるとは思わなかった】
【巨大な武器に対して近寄るなど、格好の「カモ」そのものだというのに。】
【恐らくは相手は肉を斬らせて骨を断つ、そのような戦法を考えているのだろう】
【だが、しかし……そのいわゆる「ゴリ押し」に関しては、彼の最も得意とする戦法でもあったのだから】

「ぬぅううううん!」

【突きによってよろけた体勢を利用し、そのまま前方へ前転し、辛くも回し蹴りを回避する】
【そしてそのまま、近寄って来たガルバの身体へ向けて、一回、二回と斬撃を浴びせんとする】
【恐らく回避されるだろうが、それを追撃は出来ない。何故なら彼の月装の代名詞でもある光の三日月刃は、彼の勇者たる心が真に輝いた時のみ発揮されるからだ】
【だからこそ強力であり、その力は時に焔装をも凌駕する事がある。しかし今の彼には「戸惑い」が残っていた。かつての味方を殺す事への罪悪感は、固く決意した心の奥底にも少しばかりか残っていたのだ】
【罪悪感なくして味方を殺せるものがいるとすればひとつ。「魔獣」くらいなものであろうが】

「うらぁあっ!!」

【しかし追撃は出来なくとも、牽制は出来る。彼は再びもって、回避するであろう方向に質量を利用した突きを繰り出した!】


/月光波はガルバの前ではまだ見せていない気がしますが……気の所為でしたら済みません
157 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/07(火) 23:19:15.82 ID:kpIeXgtb0
>>151
引き抜いた腕と、その銃身に視線を向ける未来には驚いた様子は無い。《夜》の襲来から常識が覆り、それに慣れ過ぎていたのだ。
そして、むしろアリシアの回答の方に興味を示していた。

「だろうね。《焔装》を再現しろって言われても普通は出来ないでしょ。だって技術レベルが吹っ飛んでるもん」
「だけど普通では出来ないこと、あり得ない存在が確かな形として私達が所有しているでしょう?」

《夜》、《魔獣》そして《焔装》。これらも世界に太陽があった頃には考えられない存在ではあるが《月装》はまた別の不可解さがある。
それは人が作り出したということ。では一体誰が? どのようにして?

「そもそも素材からして不明だし。いや、これって何で出来ているかわかる? わかるはずが無いよね。」

先ほど未来が眺めていた《月装》、それを抱きかかえる形でアリシアに見せる。
この剣もアリシアの所有する《月装》と同様に、存在自体が天才であれ悩ませる物。

「謎の素材と謎の技術で謎の物体を作り出すとしよう。どんな条件があればあなたなら作れる?」
158 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/07(火) 23:30:22.10 ID:f2n5hNfd0
>>150
「……そっかぁ、うん。じゃあこれからは、たまがメイラちゃんのお母さんだね。」

初対面の相手を親と呼び、命令を求める姿は些か変わった…悪く言えば気味悪くも思えただろう。
それでも、珠悸は違うだなんて拒絶は出来なかった。にこりと笑って相手の言葉を肯定する。
その理由は、あまりにも「可哀想」だったから。きっとここで珠悸が彼女を見捨てたら、再び彼女は別の人のところへ行くのだろう。
そこでまた拒絶され、見向きもされずに一人で生きてゆくことになっていたら……そんなことを考えただけで胸が痛くなる。

ならば自分がそんな彼女を受け入れよう。
彼女の不自然さも、人間離れした様子も、全てひっくるめて、愛していくことを誓おう。
その想いは、かつて孤児だった珠悸に児童施設の人達がしてくれた事に対する意趣返しの面も含まれている。
相手の少女への同情と珠悸自身の単なる自己満足。それが彼女を受け入れる、綺麗とは言い難い理由である。

「んーじゃあ、最初の命令はねぇ……たま達のお家の場所を覚えましょー!」

最初の命令は至ってシンプル。いまいち命令らしい強制力も希薄に思える。
軽くばんざーいと両手を上方に伸ばし、高らかに宣言すると、頬を寄せる相手を一旦手で制すれば、その右手を差し出した。
丁度握手するような、手を握り返してくれるのを期待しているかのよう。

「さ、帰ろう!お家の道順を覚えれば迷子にならずに戻ってこれるから……一緒に行こう、メイラちゃん。」

もし相手が手を取ったのならば、二人はそのまま二人の家へと足を運ぶことだろう…


/すみません!もうそろそろ眠気がまずいので強引ですが〆をお願いします…
/珠悸の家は小学校近くの廃墟の一軒家をお借りしている設定にしときます。部屋は空いているのでご好きなように設定してくださいまし。
/後々命令するとしても「無茶はするな。後は自由」って感じで緩いんで、主人だからといっても、こちらにあまり固執しなくても問題ないですん。
159 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/07(火) 23:30:59.91 ID:0kEe45HA0
>>155
「逃げるか、まだ───まだ俺の問答は終わっていない」

屋上から飛び降りようと走り出す瞬間を「眼」は見ていた。
直ぐに眼を解除して、逃げた方向を確認すると───。

「ニンゲン……まだ俺は貴様らの感情を理解し得ていない!」
「その悲しみ怒り喜び希望絶望全てを──俺に示してみろッ!!」

スカヤも負けじと「先回り」しようと一気に跳躍する。そして、捕まえんばかりと腕を目一杯伸ばして、突っ込んでいく。

「俺は…俺は俺は俺は俺は俺は俺は………!」
「今ッ!絶望的に迷いに迷っているのだよ!!」
160 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/07(火) 23:39:13.72 ID:rEVnaecno
>>159
「ゆうこはにげだした!
 だがまわりをかこまれてしまった。…これは絶体絶命?」
全力疾走したはいいが、脱出ルートへの道が遮られる。
左足を強く蹴り、突進してくる怪人をひらりとかわす。
軽やかな身のこなしだが、いつまで続くか。

「ごめんなさい、急に急用が出てきたので…」
(なるほど、飛んでいる所を狙えば)
有子の眼に光が宿る。室外の熱交換器に目掛けて再び駆け出す。
女を追っているスカヤには二択が提示された。
――飛翔して回り込むか、女の背中を攻撃するか。
161 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/07(火) 23:48:15.54 ID:rzdMrzTs0
>>156
「チィッ」

またしても避けられた、最も相手が万全な状態なので仕方がないが
辺りの物を投げつければいくらか体力を削れるかもしれないが、その間に攻撃される可能性が高い
なんとか牽制しつつ近づいて攻撃しなければならない、そして当てることが出来れば一撃で片付くというのに
そんなことを考えていると、斬撃が飛んでくる
一発は攻撃し、破壊するが二発目は間に合わなかったため横に飛んで避ける
―――が、そこへ狙い済ましたかのように突きが放たれる
腹部に攻撃が当たりながらも咄嗟に後ろに跳んで距離をとる
いつぞやの魔獣のように一撃くらったていどなら再生は可能だ、だがだからといってダメージがないわけではない

「一発も当てれたことないけど、遠距離で削ってからほうがよさげだな」

幸い、辺りには瓦礫が多い。弾に困ることはないだろう
4つ瓦礫を拾い、破壊の概念を付加して威力を上げる
そしてそれを三つ程凄まじい速度でジークに向けて投げつける
恐らくは避けるか、弾くだろう。それにあわせて残りの瓦礫を投げつけるつもりだ



/確認してきました
/確かに見せてませんでした、申し訳ないです
/使ったものと勘違いしてました本当にすいません
162 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/07(火) 23:51:54.39 ID:DdQQLUR10
>>157

「全くだ――金属のような挙動を示すこともあれば、まるで有機体のように振る舞うこともある。
 簡易的な非破壊検査を行っても、内部構造すらはっきりしない。
 一度勘とありあわせの材料でそれらしきものを作ったことはあったが、銃器どころか鈍器にも劣る代物だった。
 そんなものを、なぜ私たちは持ち、扱うことができるのか」

 少女に語られた言葉は細く、小さかった。語調激しく滔々と紡がれるそれは、殆ど彼女の独り言だ。
 少女からの答えのない質問にもすぐに応じて、口を吊り上げるようにして笑う。

「くくっ、そうだな――私がまず、魔法使いか神様であることが前提か。
 存外、本当はそんなものなのかもしれん――だが、な」

 ぎらついた双眸が「こいつら」を睨む。吊り上がった口がさらに歪み、くつくつという陰湿なおかしみを喉から鳴らす。
 がり、とキャンディの残りを噛み潰し、彼女はこう答えた。

「――それを理由に研究をやめようとは、微塵も思っていないさ」

 いい加減ジャンク漁りも飽きてきたしな、と付け加える彼女の瞳には、クリスマスの朝に枕元を見た子供のそれと同じ輝きが宿っていた。
163 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY :2014/10/07(火) 23:54:50.90 ID:lAYV2uJLo
>>153
「人形遊び・・・ってわけじゃ無いよな?」
公園・・・俺の目に映ったのは、とてもじゃないが信じられないものだった。
公園に居るのはひとりの少女・・・
まぁ、少女が公園に居ても不思議じゃない。

「・・・・・・・・」
そして少女の話し相手・・・
顔のない白い巨人・・・2mってところか・・・
あれも不思議じゃない。
化け物と人間が戦争する世の中だ・・・
そう・・・化け物と人間が・・・

「戦ってるようには見えない・・・アンタ、何者だ?」
俺はあの少女が、化物に食べ物を与えているように見える。
人間にとって食料は貴重品・・・それを少女は笑顔を見せて与えている。
とは言っても、食料は腐敗しているが・・・

「アンタ、ひょっとして“夜”か?それとも・・・」
俺は刀を手に取り、抜刀はせずにいつでも戦える構えを取る。
見たところ、少女は普通の人間。化物には見えない。
人間を斬りたくはないが、この光景は明らかに異常だ。
俺は先ず、その疑わしい少女に質問を問い掛ける事にした。
164 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/07(火) 23:56:01.07 ID:0kEe45HA0
>>160
「ちょこまかと………身軽なニンゲンだな!」
「だが、それで貴様を知ることが出来るならば……これほど嬉しいことは無い」

有子の素早い動きに若干うっとおしく感じるも、その先にニンゲンの感情があるならばと思えば、思わず薄ら笑いをしてしまう。

「次は…どんな表情を、感情を示してくれるのか?」

その手には帯電していた電気が集まり、バチバチッと音を立てて電撃の「槍」が形成される。
槍を構えたスカヤは強靭な足腰、腕を使って体全体で有子に向けてブン投げた。
もし槍に当たれば普通の人ならば悶絶する程の電流が身体全体に流れるだろう。
165 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 00:01:31.42 ID:5oBBJmmho
>>164
「ちっ、読みが外れた」
飛び道具。…此方は全速力で遮蔽に隠れようとしたが届かない。

「…んぐぐぐ!??」
電撃の槍を背中で受け、意識が一時的に途切れ前屈みに倒れた。
―呆気なさ過ぎる。先ほどの殺気は何だったのか。

(どうしたものか、一方的過ぎる…ここに未来ちゃんは居ないし…)
少しの間気を失っていた。その間に事態は悪化するだろう。
166 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 00:07:28.28 ID:aK62BYwTo
>>163

「こんばんわ!小桃は小桃ちゃんです!」

何者かと問われて返した言葉は少し的外れ
それは男の疑念を察せれてないから

「えっと。私は一城小桃でこっちはお姉ちゃん。私たちはちゃんとした一般市民さんだよ!」

夜か?と言う問いは即座に否定
私たちはどちらも人間だと、横に居る異形も『焔装』でも『魔獣』でも無いと言い張る

「お…お兄さんこそちょっと怖いよ?」

刀を手に取ったのを察知したのか偉業は一歩手前に出る
軟体生物のように体をくねらせて
まだ手さえ出していないもののこちらこそ一応臨戦態勢
167 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/08(水) 00:07:50.24 ID:jlhfkXZn0
>>162
「それは頼もしい。そういう人は好きだよ」

《夜》の出現から人類は魔獣にこの地球の主権を奪われ、瓦礫に囲まれた都市へと追いやられた。
物資も食糧も減る一方で状況はひたすら悪化しているとも言える。
だがしかし、魔獣に追いこまれる一方で人は《焔装》を、そして《月装》を手に入れた。
このような見方をすれば《夜》の出現から人類の反撃は成功していて、前進しているとも言えはしないだろうか。

「こんな絶望的な状況でもまだ希望が持てるのはあなたみたいな人がいるからかもね」
「私でも何か手伝えることはないかな? 注文があれば自警団の仕事の合間にでも時間を作ってこなすよ」

輝きに満ちた瞳に当てられたのか手放しの賞賛を送る。
限られた時間の中で出来ることはなんでもしよう。と、未来はアリシアへ協力を申し出た。
168 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [saga]:2014/10/08(水) 00:11:37.86 ID:Uifepb+g0
>>161
「これを一撃入れてその程度のダメージとは……タフな物よのう」

【やはり自分には、罪悪感が残っている。それは簡単に消える物でないと自覚していた】
【今の不完全な自分では、「勝つ」ことはおろか、逆に倒される可能性もある】
【増してやこの強力な魔獣相手に対等に渡り合うには、やはり自らの未熟な心を正さねばならない】
【残る気持ちを振り切って、相手の投げた石を剣の腹で防御する。すべてを防御した後は、こちらのターン!】

「うおおおおおおおおおおおっ!!!」

【両手剣をガルバの頭に振り下ろさんとした、その時】
【彼の両の腕は、ピタリと止まってしまった】

「……ヌゥ………!」

【やはり人は、情に駆られるのが性であっただろうか。倒そうとしたその時に、かつて助け、そして助けられたガルバの「人であった」頃の勇姿がちらつく】
【しかし今は魔獣。この後誰を殺すかもわからない、だからこそ殺すべきなのだ。……が】
【彼にはそれが出来なかった。かつての仲間を殺す事を心で決していても、身体までは抵抗してしまう】
【義理堅い彼の騎士たる心ならばなおさら。彼の両刃剣は、ガルバの頭上から降ろされていた】

「……殺せない、というのか……私は……私は!!!」
「ラルカン・ラントの……ジークローランだッッ!!!」

【瞬間、彼の持つ月装の刀身が、淡いエメラルドグリーンの異様な光を放つ!】

「ウワアアアアアアアアア!!!」

【彼の月装が、間合いにも入っていないガルバに向けて振り放たれる!すると……その刀身からは、月光の光で形成された三日月の刃が、突如、閃光のように放たれた!】
【その月光は彼の勇気の証……目の前の元・味方を殲滅すべしと斬り放たれたもの】
【着弾如何に関わらずそれは浄化の月光の爆発と共に、辺りに強烈な衝撃波をもたらすであろう!】

「くっ……!」

【そして彼はその爆風に紛れて、その場を去ろうとする】
【少しでも手負いに出来れば……せめて少しの間他者を殺せぬよう、足止めが出来れば】
【魔獣となれど、かつての味方を殺す事のできない自らの弱さに彼は自責の念を抱きつつ、その場を去るのだった】


/眠気がとんでもない所に来ていましていつ寝落ちするともわからないので、とても強引ながら締めさせて頂きます……済みません
/どちらにしろこの戦いで見せるから+-0でしたな
169 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 00:23:54.14 ID:odzU3o0Eo
>>166
「姉・・・そうか・・・」
少女はあの巨人を一般市民と言っている・・・
あれが小桃の姉と言うは間違いないだろう・・・
だが、見た目は明らかに魔獣・・・
恐らくは焔装の力に蝕まれたんだろう・・・
焔装の力は魔獣に対抗できる力を持っている。
だが、その力に溺れれば身体を蝕まれ、自身が魔獣となる。
それを人間と言っているのはつまり・・・

「小桃・・・気持ちは解るぜ・・・まだ、若いもんな・・・
 ねぇちゃんと一緒にやりたい事、あったろうな・・・」
あの少女・・・自分の姉が魔獣になった現実を受け止められないんだろう・・・
この場で“姉さん”を斬れば、小桃の心には大きな傷が残る。
俺は敢えて構えを解くことにした。
170 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/08(水) 00:28:50.41 ID:pkTYm6/u0
>>167

「お褒め戴いて、嬉しい限り――そうだね、今のところ足りないのは『資材』と『情報』だ。
 もっと高度な解析器具や質の高いサンプル、こいつらに対する知識があれば、少しでもこのブラックボックスの解明に近付くかもしれない」

 滅びゆく世界。失敗の許されない研究。しかし、歴史を揺るがす発見というのは得てして迫られた必要があればこそ生まれる。
 彼女が立っているのは、そういった背水の陣だった。だが、彼女からそれを気負うような雰囲気は微塵も感じられない。
 ――それはやはり、彼女自身が生まれつきの異常者であり自惚れ屋であり、そして天才であるが故か。

「もしそれらしきものを見つけてくれたり、手に入れてくれたりしたら、私の店にまで来てほしい。
 あまり綺麗な所じゃないが、茶菓子くらいは出せるはずさ――こいつは、前払い報酬だよ」

 彼女は自らのポケットに再三手を入れて、取り出したものを少女の手に握らせる。
 包装された一粒の飴玉と、紙に包まれた刻みタバコ一封だ。どちらも、少なからず値の張る嗜好品である。
 「私からの信頼の証だ、とでも思ってほしい」と言った彼女の微笑みに、いつも見せている鬱屈さはどこにもなかった。
171 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 00:34:33.91 ID:aK62BYwTo
>>169

「お姉ちゃんとしたい事?そんなのまだまだいっぱいあるよ?」

どこか切なそうな表情の男の言葉
少女はそれにどこかキョトンとした様子で言葉を返す

「だからね私にはお姉ちゃんがいっぱい居るの!」

パァッと明るい表情を浮かべながら、少女はパチンと指を鳴らした
するとそれを合図にしたかのように『姉』と呼ばれる存在が一体増えた

「ね?凄いでしょ。お姉ちゃんは私を一人にしないの」

ここまで来たら男も分かってしまうだろうか?この横の異形は少女の『焔装』だと
それを自ら姉と呼んで人と同じように接していると

「それに優しいから皆の事も守ろうって。そう言ってるんだよ」

横に居るのは姉でも元人間でもない、ただの能力。
172 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/08(水) 00:35:57.09 ID:gFqVhy9v0
>>168
「…どうした?やれよ」

瓦礫は全て防がれ、ジークはこちらに突っ込んできた
――――が、この身を両断しようとして、止めた
恐らく、決死の一撃だったはず。当然、こちらにも反撃の用意はあったがそれでもダメージはまぬがれなかったはずなのだ
なのに、なぜ?―――その思考にとらわれていた間にジークの持つ大剣が異様な輝きを放つ

あれは不味い―――!

本能的に危険なものだと分かった、急所を狙われれば下手をすると殺られる
兎に角、この場を離れなくては!!!
急いでその場を離れた瞬間に閃光が走った―――今までとは桁外れの斬撃がこちらに迫ってきている
避けきれない―――そう判断し、すぐに回避から破壊へと行動を切り替える
威力という一点に限れば最高である破壊の概念の圧縮弾を斬撃に向けて投げつけて、斬撃を破壊する
―――――瞬間、辺りに爆風が走り、再び目を開くとそこにはすでにジークの姿はなかった

「…戦績わりいな、俺」

取り逃がした、魔獣はかつての味方が消えたことを見てそんなことしか思えなかった
人は人であり、魔獣は魔獣。決して分かりあうことのない存在なのだ
魔獣になってしまった時点で根本から変わってしまったということに――――本人ですら気がつかない
次にあったら一体どうやって殺そうか、そんな事を考えながらその場を後にした



/ありがとうございました
/本当に申し訳ありませんでした
173 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/08(水) 00:47:00.78 ID:jlhfkXZn0
>>170
「OKわかった。あと焔装、魔獣絡みでもいいよね? 餅は餅屋。技術に関する情報と物体は全部あなたに任せることにするから」

自惚れでも開き直りでも勘違いでも何でもいい。必要なのは目標を見据えて前進する力。
目の前の天才は世界が欲するそんな力を持ち合わせているのだ。

「ありがとう。これに応えられるようにする。」

そう言うと未来はアリシアから飴玉とタバコを受け取る。そう言えば昔は恩賞の煙草というものがあったか。
前払いを受けたからには結果を出す必要がある。未来は焚火の炎に砂をかけてその灯りを消した。
未来の友人である有子の《月装》に何か変化があったのは記憶に新しい。とりあえず自分は歩き回って情報を集めることにしよう。
だがその前に……。

「一応、改めて自己紹介はしておくね。私は未来、日向未来。自警団に所属しているからそっち経由でも私に話はつけられるからね」

未来は右手を差し出し握手を求める。その表情は意思が見え、ぼんやりと寝転んでいた頃とは異なり力強かった。
174 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 00:56:43.20 ID:odzU3o0Eo
>>171
「そうか・・・疑って悪かったな・・・」
巨人が増えた・・・小桃が召喚したんだ・・・
小桃の物言い・・・さっきの行動・・・
間違いない・・・あの巨人は魔獣じゃなくて小桃の焔装・・・

「皆の事を守るか・・・そうだな・・・」
自分の身を守る為に戦う奴も居れば、
人を守る為に自分の身をを削る者も居る。
俺は月装だが、抗う覚悟は出来ているつもりだ。

「俺もな・・・“オヤジ”が居たんだ。
 カタギを守る為、焔装の力を使って戦い続けた。
 俺や“兄弟”はその背中に惚れ込み、オヤジについていき、戦った。
 俺もオヤジの跡を継ぎ、魔獣と戦っている。月装使いだが、明日を捨てる覚悟は出来ているつもりだ。」
小桃は見たところ、15か16と言ったところだろう・・・
その若さで、魔獣と戦っているとは・・・

「名前を言ってなかったな・・・鬼助だ。
 よろしく頼む。」
俺は改めて自分の名を名乗り、小桃に挨拶を交わす。
175 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 01:04:25.22 ID:aK62BYwTo
>>174

「ううん。気にしないで!お姉ちゃんも許してくれるって言ってるし」

巨人に「ねー」と可愛らしい声をかけるが、巨人は言葉を返さない
と言うより少女の言葉に対して何のアクションも起こしてない

いったい少女はこの巨人から何を感じ取っているのか

「そっかそっか…明日を捨てる覚悟…かぁ」

常に命の危険にさらされている。それは男も少女も一緒
だけど少女はどこかその言葉を軽く受け止めていて

「私は大丈夫。お姉ちゃんが守ってくれるから、お姉ちゃんが居る限り明日はやってくる」

もう一度「ねー」と笑いかけてみるが巨人はやっぱり何も答えない
気味が悪いほどに棒立ちで少女の横に黙って立っている

「そっか鬼助さんか、改めてよろしくね!」

少女がぺこりとお辞儀をすると、ここで初めて巨人達も頭を下げた
ドクンドクンと脈打つように震えながら
176 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/08(水) 01:15:19.38 ID:24DQWsq8O
>>173
「ああ、構わないさ。私の研究意欲と自己顕示欲が十分に満たされるなら、ね。
 私の辞書に、妥協なんて言葉はない」

 焚火が消えれば、明かりは消える。今世界で光っているのは、決意を固めた2人の人間の瞳のみ。
 その一対の双眸は、お互いを見つめあっている――しかし、それらが見据えている場所に、違いはない。

「未来、か。いい響きだな。私はアリシア・P・シノット。アリサでも、シノでもいい。
 もし何か――戦闘にせよ、情報収集にせよ――入り用の時は、遠慮なく呼んでくれ」

 差し出された右手。彼女は軍手を外し、青白く細い左手でそれに応じる。
 ――あたたかい、と彼女は思った。未来は、私の手をどう感じているのだろうか、とも。
 あたたかい手を求める思いが、彼女の中に芽生えた。誰かに温もりを分け与えられる、あたたかい手。

「……さて、それじゃあ私は一度帰ることにする。
 ――じゃあ、また近いうちに」

 そして彼女は僅かな微笑みを絶やさないまま、機械の残骸が詰まった籠を背負い直す。
 もし未来が引き留めなければ、彼女は彼女自身の棲み家へと帰っていくだろう――

「――――死ぬなよ」

 ――彼女自身にしか聞こえない声で、そう呟いて。
177 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 01:17:09.29 ID:5oBBJmmho
>>スカヤ
「あれ…気を失っていたはずなんだけど」
目覚めていた時には、脅威は去っていた。とんだ奇跡があるものだ。

「私があまりにも不甲斐なく…
 歯ごたえがないから生かしておいたって奴ですよね…
 畜生、あの野郎足元見やがって…まぁ、僥倖って奴で」
今居る場所は危険と判断し、トラックの荷台に飛び込み地面に降りる。
息を切らさないよう、都の方角へと駆けて行き…女の姿は闇に紛れた。

//1時間15分経過、待てないので確定でトンズラさせていただきます。
おやすみ。
178 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 01:30:00.55 ID:odzU3o0Eo
>>175
「お姉ちゃんが守ってくれるか・・・」
巨人・・・いや、姉さんは無口か・・・
そうだろうな・・・実際は小桃が操る焔装なんだ。
巨人を敢えて姉と呼んで接して居るのか・・・いや、もしくは・・・

「それじゃ、俺は帰るぜ。
 “また会おう”・・・」
また会おう・・・何気ない挨拶だが、今となっちゃ重い言葉だ。
明日なんてあるか解らない。
魔獣と戦い続ける中、いつ死んでもおかしくないんだ。
それに小桃は焔装使い・・・焔装使いはその強大な力ゆえのリスクがある。
小桃本人はそんな事は気にしていないだろうが・・・

俺はその再開の約束を胸に刻み込み、その公園を立ち去る。

//落ちます。ありがとうございました。
179 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/08(水) 01:34:05.15 ID:jlhfkXZn0
>>176
「うん。わかった」

人の手の温もり。それだけでアリシアの熱意が伝わるようなその左手。
握手自体は幾度となく交わし、それはかけがえのなく、そして失ってきたもの。
これ以上これを手放したくなければやるべきことは決まっている。
また一つ前へ進める理由が出来た。決意は足場となり目標は道標となる。

「アリサ。また会おうね!」

籠を背負う背中にそう呼びかける。彼女の呟くような声は勿論だが聞こえていない。だがその言葉に呼応するかのように――

/という訳でロールありがとうございました!
180 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 01:35:21.38 ID:aK62BYwTo
>>178

「うん。お姉ちゃんは強くて優しくて…私だけのお姉ちゃん」

この少女は壊れている…だけどそれで安定しているのだ
こんな異形な能力を姉と呼ぶほどにおかしくなっているけど、それが精神の均衡を保たせている


「気を付けてね、鬼助さん」

「また会おう」なんて言われて少し嬉しいのか表情が少し綻んでいる
そんな様子を見てか、姉も嬉しそうに体をビクンビクンと震わせた

「良かったねお姉ちゃん。あの人とだったら仲良くなれそうだね」

去りゆく男の背中を眺めながら、少女は横に居た姉にそう言った
無論のこと何の反応も帰って来やしないが

少女はそれで満足なのだ


/こちらこそ
/お疲れ様でしたー
181 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx :2014/10/08(水) 01:35:45.98 ID:24DQWsq8O
>>179
/ロールありがとうございました!
/また機会があれば、その時はよろしくお願いしますっ。
182 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/08(水) 02:52:23.74 ID:Cv3byIYP0
>>177

「───逃したか」

一撃を与えたが、彼女が見せたのは苦悶のみであった。
たがそれはその他のニンゲン達でも見せるような、ごく普通の魔獣に対する反応でもあった。

「……全然、分からなかった」
「この方法では…感情というモノは理解出来ないのだろうか?」
「ならばどのような方法なら良いのか?」

変身を解き、誰もいなくなった戦場で忽然とぼやく。

「…やっぱ魔獣には分かるシロモノでは無いって奴なのか」
「───疲れた、こんなにも精神的に疲れるのだな、思う通りにいかないのは」

そして、エネルギー不足と感じたのか、再び地面に穴を開け、「冬眠」という形で体力と精神力を癒やしに潜り込んで行った。


//本当に遅れて申し訳ありませんでした!
//この謝罪は雑談所で詳しく説明します…待って頂きありがとうございました。
183 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c [sage]:2014/10/08(水) 06:47:14.19 ID:o6i4faE8O
>>158
……うん…ママ!此れからよろしくね!!

【生体兵器として、メイラ屋嘉矢張りからなはプログラムに基づいて行動する】
【彼女自身に意思はない。其れは兵器には不必要な物でしかない】
【戦場に投入され命令を下されるのを待ち、其れを確実に熟して戦争が終われば記憶を消去されてまた次の戦場に…】
【其れが彼女の使い方だった。だが《夜》襲来時に研究所が倒壊し、その時が訪れることは無くなった】
【にこりと笑った少女を見て、メイラの表情か一瞬緩んだのは気のせいではない】

お家……?メイラ達の……?分かった。頑張って覚えるよ!


【最初に下された命令はシンプル。家の場所を覚えるだけ】
【一度そのルートを歩けば覚える。記憶力も人間を遥かに超越しているから】
【すると頬を寄せるのを制され、そのみぎが差し出される】
【メイラはその手を握り返し、二人は家に向けて歩き始めた……】

//了解です!ありがとうございま
184 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 06:49:22.18 ID:o6i4faE8O
>>158
了解です!ありがとうございました!!
そうですね!絡みの固定化はよろしくないですからね!!
後、メイラに「今世界がどうなっているか」説明したことにしてもいいでしょうか!!!
185 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/08(水) 07:08:27.38 ID:s0m4M99S0
>>184
/どうぞどうぞー
本当に昨日はいいところでぶつ切れにしてしまって申し訳なかったです…
186 :船坂総一郎 ◆u52mgUTcRc [sage]:2014/10/08(水) 19:36:42.01 ID:eHxuSP2EO
【廃病院ーーー元は夜に対抗する人間達が拠点を築いていた其処は、魔獣に襲撃を受けたのかその形を保ったまま人が居なくなった今も残っていた】
【爪痕や生々しい血液の跡が其処らかしこに残り、薄暗い闇と死臭だけが漂う】

ーーーー。
【そんな中に少ない光を集めた蒼い瞳が一つ、やけにはっきりと浮かんでいる】
【先ずは目に付くであろう腰の大太刀に手を添え、紺色の軍服を身に纏った精悍な顔立ちの青年はゆっくりと碧と茶色のオッドアイを辺りに向けていた】

駄目か…
【希望が集う其処に今や残されているのは肉片と多少の薬品類だけであろうか、生存者を探している青年の足取りは暗く重たい】
【軍靴だけが廊下を叩き虚しく響き渡っていた】
187 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 20:06:45.48 ID:s0gyjAR20
【珠悸との出会いから数時間後、メイラは相変わらず魔獣と闘いを繰り広げていた】
【今世界がどんな状況かを珠悸から聞き、彼女の為に魔獣を殲滅すると誓った】
【今迄は襲って来るから倒していただけだったが、勝って《人間》の世界を取り戻す】
【其の為にメイラは魔獣との闘いに身を投じ続ける】

………アッ!!!!!!!!!!!!!!


【メイラは廃墟だらけの魔獣が跋扈する地域にいる。相手にしているのは低級魔獣の群れだ】
【時には叫び、時には銃を放ち、時には肉弾攻撃を】
【もう何時間こうしているのだろうか。魔獣は無限に湧き出て来るかのようだ】
【だが彼女は『疲労』を知らない。常に最高のパフォーマンスを発揮できる。其れが生物兵器たる所以だ】
【彼女は魔獣の亡骸を延々と作り続けていた――――】
188 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 20:19:33.21 ID:/RlP35b4o
 うそのように気分がよかった。黒と灰色だけの世界が輝いてすら見えた。
 翼を畳み、ひさしぶりに自分の足で歩いてみた。堅いアスファルトは、底の薄い靴には辛い。
 途中で拾った木の棒で、朽ちた灰色の壁をカンカン鳴らしながら鼻歌交じりに歩いた。
 したこともないスキップをしたいぐらいこころが晴れやかだ。
 
 ――ひとりじゃない。

 たったそれだけで世界が好きになれた。生きていることがうれしくなった。
 抑え切れない喜びでくるくると回る。橋のすり切れたワンピースが広がった。
 ここは教会跡。特別なあいてをもらったわたしは、居もしない■■さまにお願いをしにきた。

「お姉ちゃんと、ずっといっしょにいられますように」

 社がないから、ここでいい。通じるところはいっしょだ。
 そう、わたしたちを魔獣にしてくれた《夜》に……。
189 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 20:42:42.08 ID:tCfW1CNro
>>186
「誰か、いやがる・・・」
廃病院・・・誰も使わないであろう施設。
こんな世の中では病院なんて意味がない。
だが、この場所には人が居た形跡がある。
誰かが此処を魔獣と戦う為に拠点にしていたんだろう・・・
恐らくは魔獣の襲撃・・・戦った形跡もある。

「・・・・・・・・」
俺はこの場所に犠牲者が遺した食料か何か無いかを調べに来たんだが・・・
薬なんてあってもな・・・この時代、医学が助けてくれるとは思えねぇ・・・
そしてもう一つ・・・いや、もう一人といったところか・・・
足音・・・誰か居るんだ・・・もう一人・・・もしくは・・・

「出て来な!!」
俺は足音が聞こえる方向へ走り、刀を持ち、何時でも抜刀できるような体制を取る。
危険な賭けだ。相手が人間ならそれで良い。
だが、相手が魔獣だとしたら俺が勝てる見込みは限りなく低い。
俺は月装使いだからな・・・一人じゃ魔獣の力には遠く及ばない・・・
だが・・・賭けはリスクが高い方が面白い・・・!!
190 :船坂総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/08(水) 21:03:14.60 ID:eHxuSP2EO
>>189
【ピタリと靴音は止まる。走った先に見えるのは異様な格好をした者だろうか、一応人間の形をしてはいるがその蒼い瞳は一層と光を強め其方にゆっくりと向いた】

人が居たとは…
【驚きとはまた別に、冷淡に大太刀に手を添えたまま答えると】

私は人だ。貴君も人に見えるが…
敵対する意思を持っているならお相手しよう
【静かに、しかし内から湧き上がる闘争心が揺らめく瞳に確かに見えた】
【この青年が持つ片方の蒼き瞳の正体は月装「死線超越」と呼ばれるもの。その能力は脅威を視覚化するというモノであり、貴方に敵意などがあればそれも読み取れてしまうだろう】




/遅くなってしまいすみません!新規で拙いですがよろしくお願いします
191 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 21:14:53.91 ID:tCfW1CNro
>>190
「人間か・・・
 人間を敵にするほど狂っちゃ居ないが・・・」
相手は自分は人だと言っている。
だが、姿がはっきりと見えない。
一応は人に見えるが・・・

「鬼助だ。アンタは?」
俺は構えを解かず、名を名乗りつつ相手に名前を問い掛ける。
魔獣にしては紳士的だが、あの眼が気になる・・・
はっきりしない限りは油断は出来ない・・・!!

//いえいえ。こちらも返すのが遅かったようです。
//因みに俺も昨日からです。
192 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 21:17:32.82 ID:5oBBJmmho
ここは都のバス停の一つ、住居区からそう遠くない地点。
薄暗い街灯に照らされた、バス停の待合所にカジュアルな装いの女が1人。
椅子に座りぼんやりとした様子で、黒く塗り潰された空を見上げていた。

「また私がこうして生き残ってしまった訳だけど…
 配給を受ける人間も、大分数を減らしたものね」
見逃された…僥倖、宿命、数奇。
奇跡も何度も続けば有り難味が薄くなる。
193 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/08(水) 21:26:36.19 ID:Uifepb+g0
>>192
【干渉に浸る彼女には、耳を澄ませば聞こえただろうか】
【やけに近くで響く、男のいびきの音に】
【ここは居住区から近いとはいえ、寝るような場所があるわけではない。彼女がそれを奇妙と思って探すのならば、その主はすぐに見つかるだろう】

「グオーッ……フゴーッ」

【壊れたビルの影。ふくよかな顔をした中年の男性が、立ったままの姿勢で眠っていたのだ】
【両足をしっかりと支え、腰を前後に動かして巧みな重心移動を行い、バランスを保ちつつ眠っている】
【そして彼の姿において特筆すべきは、背中に背負った巨大な剣。】
【月装の類であろうか。その刃は光もないのに、月光に照らされたかのような暗い光を放っていた】
【彼を起こそうと試みるなら、誰もそれを止めはしない】
194 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 21:36:30.88 ID:aK62BYwTo
とある一つの廃墟を練り歩くのは二つの影
一つは巨大で、その横のもう一つは小さい

「居ないね。お姉ちゃん」

真っ白な巨人に話しかける少女はどこか残念そうで

「久しぶりにお姉ちゃんから誘われたから…一緒に戦いたかったんだけどなぁ」

どうやら彼女たちが探しているのは魔獣らしく

「ふふっ…そんな事ないよ。私はほんと、お姉ちゃんの応援くらいしかできないから」

ここで一つ大切なことを記すとすれば、今までの会話はすべて少女の独り言
巨人はただ横で歩いているだけで何の反応も示していない

195 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 21:37:23.10 ID:5oBBJmmho
>>193
(おやすみしたかったんだけどなー)
感傷に浸っていた頃、…大きないびきを耳にする。
魔物か何かだろうと意気揚々と、右手に黄金の銃を出現させる。
その異形の銃は、所々に碧の淡い光を放つラインが刻まれていた。

「なんだ、フツーの戦闘員か。脅かしやがって。
 人が休暇取ってる間は、私以外が戦うんですよーっと…」
現場に駆けつけたものの、そこに魔獣は居なかった。
もしその手の類が現れても、彼がどうにかするだろう。
起こすつもりは毛頭ない、背を向けて都の方へと歩いていく…
196 :船坂総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/08(水) 21:39:43.70 ID:eHxuSP2EO
>>191

狂ってはいないか…
この世は狂いはじめたばかりだ。
油断はできんものでな、しかし信じよう。
【警戒心を露わにする鬼助の姿が青年の蒼い瞳に赤いオーラとなって現れるが、言動の意図を汲み取るに敵意は見られないと判断した】
【大太刀から手を離し敵対する意思がないことを示すと】

私は船坂総一郎。
よろしく頼む
【ゆっくりと其方に歩み寄って握手を交わそうとするだろう】

197 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/08(水) 21:42:10.43 ID:Uifepb+g0
>>195
「むう……?」

【足音に反応したのか、突然に目を覚ました】
【器用に寝ているようで、彼にとっては仮眠の域に過ぎないのだから、当然と言えば当然なのだが】
【目を擦りながら辺りの状況を確認すると、ふと、黄金の銃を持った少女の姿が見えた】

「……月装か……未だ幼気な少女なのによくやるものよのう」

【と、去りゆく彼女の背中にむけて呟いた。しかし彼の声は如何せん大きく、もしかしたら話しかけるような形になってしまったかもしれない】


198 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/08(水) 21:47:24.95 ID:8Veu03Oj0
ここは《都市》の外縁近く、人間が居住しているかしていないかの境界を少々内側に入り込んだ場所。
ふらりと現れた新生の魔獣は、人間の生活の様子を観察するように、きょろきょろと周囲へ注意を振りまきながら歩く。
今日の姿は「シミラー」そのものの姿。彼女を危険な存在として認識出来るのは恐らく、彼女の生前の行いを知っている者か、魔獣特有の雰囲気を見破る事が出来た者か。

「ふふ、なんだか新鮮ね。美味しそうなモノがたくさんあるから、目移りしちゃう」

普段その身に纏う暗黒を黒のドレスへ衣替えて、気を抜くと垂れそうになる唾液をごくりと飲み下す。
しかし、今日《都市》へ足を踏み入れようとしたのは食事の為ではない。つい先日ヒトであった頃までさして気にしてなどいなかった人間側の情勢とやらを探りに来たのだから。

「ダメよね、おやつなんて喰べたら太りそうだもの。……でも、一口くらいなら、良いかしら?」

ぎょろりと紺藍の球を巡らせて、周囲に居る存在を探る。
その視界の内に捉えた者とは、果たして––––––
199 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 21:49:39.48 ID:/RlP35b4o
>>194
 「お姉ちゃん」という言葉が聞こえた。
 教会から抜け出して、わたしは薄い靴をペタペタ鳴らしながら走った。脚がもたれる。
 翼で飛べばいいということを思いだすのは、たどり着いてからだった。

 見えたのは、大きな白いひとがたと小さなおんなのこ。
 そこにわたしのお姉ちゃんじゃなかった。
 あたりまえか。わたし以外にお姉ちゃんとは呼ばないもの。

「……あなたもお姉ちゃんが好きなの?」

 ふと声をかけてしまう。
 わたしもお姉ちゃんも魔獣だ。だから白いひとがたが「にんげん」じゃなくても驚かない。
 ただ、あの白いひとがたが考えるのか。それはわからなかった。
200 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 21:50:10.43 ID:5oBBJmmho
>>197
「ひえぇっ…いやぁ、あの人はあの人で仕事してるから…その…」
音量によりびくっとする、体の向きはそのまま。
今まで微動せず寝ていた男が、突然声を掛けてきたのだ。

「…幼気?…アレからもう17なんですけど」
背丈は156cmと日本の女性の平均身長。高くも無く低くも無い。
後ろ髪はショートの為、首元から病的な真っ白な肌が伺える。
201 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 21:57:56.33 ID:aK62BYwTo
>>199

「うん。私はお姉ちゃんが大好きだけど―――――」

突如現れた一人の少女に驚きはしない
ただ一瞬背中に生えた羽に目を奪われたけど

「それは月装?焔装?それとも貴方……」

巨大なその翼が月装なのか焔装なのか。それ以外なのかで少女はきっと反応を変える
もしかしたら急に臨戦態勢に入るなんてこともあるかもしれない

「…分かるお姉ちゃん?……そっかお姉ちゃんも分からないか」

二人はまだ少女の素性を理解していないらしく、嘘をつかれればコロリと騙されてしまう気もする

202 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage]:2014/10/08(水) 22:04:12.91 ID:Uifepb+g0
>>200
「17……娘と同じか……私にとっては、まだまだ幼気と見えるがなあ」
「いや!これは失敬。気分を害したなら許してくれ」

【ハハハハ、と笑い声を上げながら、不満そうな彼女に向けて謝罪する。その声にはこの退廃した世には珍しい、笑いが伴っていた】
【そしてふと彼女の病的ともいえる肌を垣間見るや、何やら神妙な面持ちに変化する】

「(やはり皆……同じなのだな)」

【安全な場所にいる自分の娘も、日に当たらぬ真っ白な肌をしていた。彼は彼女に対し、自らの娘を自然に投影していた】
【そして魔獣への対抗心を新たに、自らの月装を握り締める】

「貴公もなかなか苦労しているらしいな……」
「魔獣は滅さねばならん、そうだろう?」

【気付いた時に彼は彼女に対し、魔獣への考えを聞いていた】
【このような娘が戦う理由を知りたかった故に、だった】
203 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 22:04:28.00 ID:tCfW1CNro
>>196
「狂っちゃいるが、それに抗う術はある。
 だからアンタも今を生きてるんだろ?」
敵意が無い事を察した俺は、自分の構えを解き、相手の意思に応える。
船坂総一朗か・・・信じても良さそうだ。

「疑って悪かったな・・・コチラこそ、よろしく頼む。」
俺も総一朗の意思に応え、手を差し出し、握手に応じる。

「アンタは此処の生き残りなのか?
 それとも、供養でもしに来たかい?」
魔獣が襲撃した跡がある場所に人間が居たんだ。
目的がないって事は無いだろう・・・
何れにせよ、こんな世の中だ。何をやろうが非難するつもりは無いけどな・・・

【その男はスーツに身を包んでおり、所謂ヤクザの様な格好をしている。】
204 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 22:05:54.09 ID:/RlP35b4o
>>201
 おんなのこもお姉ちゃんがだいすきなんだ。わたしとおなじだ。
 ひとりじゃないってとてもすてきなことだから、よくわかる。

「わたしは魔獣だよ。人間のお姉ちゃん。
 お姉ちゃんがすきなのはいっしょだから、ともだちになれるとおもったんだけど……」

 それとも、という言葉でおんなのこの目つきが鋭くなったのがわかった。
 魔獣となかよくしたいと思うひとはそんなに多くない。おんなのこはきっと、そうじゃなかった。

「……うん、いいよ。お姉ちゃんとなかよく消えられたら、こわくないよね?」

 翼が広がり、わたしは空に舞う。羽から振る灰は雪のように舞い散り、病毒の風になる。
205 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 22:12:10.48 ID:5oBBJmmho
>>202
「その辺の青少年も、武器を持てば戦場に駆り出されます。
 そういった即席の兵士の生存率は余り高くはありません…相手が相手ですし」
背を向けたまま。だが声のトーンは低い。…哀しげな声をしていた。
いつもは平常心を保っていた彼女だったが、今日は様子がおかしい。

「なんかボロボロって感じです。
 満身創痍って訳じゃないけど、体が鉛のように重いみたいな…」
女の右手の銃が消えると、キラリと右手首に黄金の腕輪が現れる。

「ところで…貴方も、人語を理解する魔物に遭った事はありますか?
 …この頃敵のレベルが高くって、どうしたものかなーって…」
近くの壁に寄り掛かり、溜息をつく。
206 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 22:13:31.71 ID:aK62BYwTo
>>204

「ほんとっ!?ほんとに魔獣なの!?」

魔獣と言う言葉に目を爛々と輝かせた少女
先ほどの鋭い目つきはどこへ行ったのやら

「やったね!これでお姉ちゃんと一緒に戦えるね!」

翼が広がり宙に浮かぶ少女をにっこりと。それは幸せそうな笑みを浮かべてじっと見つめる

「がんばってね!お姉ちゃん!!私はちゃんと応援してるからね!」

白い巨人の頭は膨張し、全身には血管の様な物が浮き出る
あふれ出る敵意が向けられているのは明らかに宙を舞う少女で

「行けぇっ!ほら!頑張ってぇ!!」

キャッキャ楽しそうに応援しながら魔獣の少女と距離を取る少女
そして魔獣の進行を阻むかのように巨人もとい『姉』が静かに佇んでいる
207 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 22:22:14.60 ID:/RlP35b4o
>>206
 ――ちがう。

 彼女の好きとパヨカの好きは異なる。どちらも倒錯的で狂っているが、向けられた方向が違う。
 パヨカのそれは姉へ。小桃のそれは自分へ向けられたものだと感じた。

「お姉ちゃんが好きなら、どうしてあぶないめにあわせるの!」

 地上5メートル程度に滞空し、四翼のうち二翼を強く羽撃たかせた。
 小桃の方へ吹雪のように吹き荒れる灰が、あたりの地面を、瓦礫を、建物を腐食させ罅割れさせる。
 そしてこの吹雪を一片でも少女が吸い込めば、病にかかるだろう。
 灰を吸い込んだ程度では進行状態も低く大した病にはならない。
 せいぜい38度程度の風邪をひくようなもの。ただし吸い込み続ければ病状は悪化する。

「その好きって、どうなの!」
208 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 22:23:04.24 ID:OGiPz+MT0
>>198

……

【シミラーの視界に入ったのは、所々破れて汚れた純白のローブを身に纏った生体兵器】
【両手に携えた彼女専用のサブマシンガンを《魔獣》へと向け―――規則的な銃声音が響く】
【《魔獣》に片側のサブマシンガンから六発計12発の弾丸が正確に、真っ直ぐにせまる】

………らあっ!!!!!!!!!!!

【次いでメイラは息を深く吸い込み―――およそ人間ではあり得ない肺活量と声帯から轟音を繰り出したッ!!】
【人間が彼女の全力の声を聴けば、鼓膜が破れる可能性大!!…だが《魔獣》にはどこ迄通用するのか――――】
【メイラは銃身を自分の身体に当てながら相手の行動を警戒している】
【其れと同時に眼のリミッター解除!!メイラの瞳が一瞬光が鋭く光った!!】


//お願い……します!!!
209 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage]:2014/10/08(水) 22:23:58.35 ID:Uifepb+g0
>>205
「月装も持たぬ者が行けど、無駄死にだと言うのに……いや、あるいは……」

【それが狙いかもしれない。食料、資源、全てのものが不足した情勢の観点から見れば……】
【そのような不穏な考えが巡って来たが、すぐに頭から振り払う。このような話題はどうしても、暗い気持ちになっていけない。】

「なんだ、私の話か……」
「何度かある。……だが、どれも人間崩れの魔獣だった」

【一呼吸置き、言葉を続ける】

「ある者は魔獣でありながら人を知ろうとし、またある者はかつての人としての道を捨て、殺人鬼と成り果てている……それはかつての仲間だった」
「私はそれを殺せなかったのだ……情けない話だろう」

【静かに話す。人間というのはどうしても情に駆られるものであり、罪悪感なくして人は殺せない】
【それがなく仲間を殺せる者など、魔獣ぐらいなものであろう】

「……貴公は魔獣に何をされ、そして何を思う。打ち明けるがいい」

【ふと質問を返す。それは彼女に対して、少しでも相談に乗りたいという老婆心から来るものであった】
【それが余計なお世話である事は、彼もわかっていた。それでも聞かずにはいられなかった】
210 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/08(水) 22:24:26.96 ID:jufbx+3Uo
>>198
「――――――……フフッ、あまり遅くまで起きていてはいけませんよ。体に良く有りませんから」

【そんな中、彼女の耳には僅かに女の声が聞こえてくるはずだ】
【その方向へと少し進めば、崩れた廃墟の中、比較的損害が少ない建物の前で1人の女と2人の子供が話しているのが見える筈】

【女の方は、脚部に大きくスリットの入った修道服に前髪がはみ出たウィンプルを除けば、極々一般的な修道女】
【対して子供の方は少年と少女が1人ずつ。何方もしゅんと少しだけ頭を垂れて、ごめんなさい、なんて口に出していた】
【シスターの女はそんな様子を見て僅かに微笑んで、二人の頭を軽く撫でる】

「さ、今日はもう寝る時間ですよ。怖い魔獣が出てきてしまいますからね」

【人差し指を立てて、その柔らかな笑顔の中に少しだけ真剣味を帯びさせてそう話す女】
【はーい、とイマイチ理解しているのか分からないその少年少女は、女の横を抜けて建物中へと――人間の住処であるその建物の中へと入っていった】

「―――さて、私も……」

【走り去っていった少年達を見送っていた女だったが、暫くすると周囲へと注意を向け始める。今夜の最終確認のようで】
【元《焔装》使いの彼女には判るだろうか、このシスターの女が以前の自らと同じ《焔装》を持っているということに】

/まだいらっしゃれば……!
211 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/08(水) 22:25:36.76 ID:jufbx+3Uo
>>198
>>210

/うへぇ、ごめんなさい……退散いたします
212 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sage]:2014/10/08(水) 22:26:14.55 ID:8Veu03Oj0
//おおうこれは…複数ロールということでOKでしょうか?
213 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 22:30:53.97 ID:aK62BYwTo
>>207


「違うよね。お姉ちゃん?小桃とお姉ちゃんは望んでやってるんだよね?危険じゃないよね楽しいよね?」

少女の言ったそれはまさしく正論
だけど小桃にとってはそんなの二人の仲を邪魔する邪な言葉に過ぎない
耳に入れるのも嫌になる。そんなひどい言葉にしか聞こえない

「何もわかってないくせに適当言わないで」

灰を吸い込んだ瞬間体の温度が一瞬にして上がったようなそんな気がする
だけど頭に血が上っている少女、それが病によるものだとは気付かず

「やっちゃえ。アイツも悪い魔獣だ」

その言葉と共に物凄い俊敏さで飛び上がる『姉』
標的は無論「私達」の邪魔をする魔獣の少女

もしどこかが触れでもすればその個所を凄い速さで腐敗させていくことだろう
214 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 22:31:24.42 ID:Q1MorMZy0
//複数OKでございます……
215 :船坂総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/08(水) 22:31:25.74 ID:eHxuSP2EO
>>203
無論だ。
散った仲間の志に生かされている私だ、おめおめと死ぬ事など許されるはずもない。
抗う術などなくとも作り出すまで!
【力強く言い放った言葉は信念の証なのだろうか、迷いなく告げると】

疑心を抱いてすまなかった
鬼助か、良い名だ。
【硬く握手を交わした総一郎ははじめて小さい笑みを浮かべる。ふっと緊張の糸が解れたのだろうか、鋭い眼光は温和なモノへと変わっていた】

此処は人が隠れるに適している。
逃げ延びた者がいるかもしれないと思ったのだがな…
【辺りを見渡せばわかるだろうか。その思いとは裏腹に魔獣達に荒らされた後で、落胆の面持ちで静かな病院の内部を一瞥した】

216 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sage]:2014/10/08(水) 22:31:46.88 ID:8Veu03Oj0
//メイラさん、宜しければ雑談スレの方を確認お願いしますー
217 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 22:33:15.81 ID:5oBBJmmho
>>209
「人間崩れの魔獣、未来ちゃんもその話してましたね…」
ぐったりとした様子で、ずるすると姿勢が崩れ…
最終的にはその場に座り込んでしまう。

「人から変容した魔物は…途方も無く強くなる。
 色々と辻褄が合います、そしてこの悪い状況も…」
向きが変わり街灯の灯りで、ようやく女の顔が見えるようになる。
今にも泣きそうで、声も曇っていた。

「今回も手も足も出なかった。なのに今も生きている」
何度も味わった無力感。様々な敗走の記憶が駆け巡る。
俯き、目元が真っ暗になった。
218 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 22:34:59.46 ID:Q1MorMZy0
>>216
//確認しました!!!御二方とも是非お願いしまっす!!!
219 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 22:41:46.52 ID:/RlP35b4o
>>213
「なにもしらないから言えるんでしょっ
 妹のくせにお姉ちゃんをだいじにしないならーっ」

 独りの時ならそんな関係でも羨ましかった。二人(いま)じゃ解らない。
 飛び上がる「姉」向けて、パヨカは一翼を振りかぶった。

「お姉ちゃんなら、しかってあげなきゃだめでしょー!」

 インド象さえ吹き飛ばす翼の一撃で「姉」を瓦礫の山に吹き飛ばした。
 直後、異臭が鼻を突く。眼を向ければ、翼の一部が腐り始めていた。
 慌ててその羽のすべてを弾丸のように少女の方へ打ち放つ。一部腐っていた翼を別の翼で切り捨てた。
 触れれば病状は悪化し、インフルエンザのような症状になろう。
220 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/08(水) 22:43:02.75 ID:eTHu17Uzo
都市の外、壁のすぐ側。こんな場所で寝転がっているのは大体が死体と決まっている。
休みたいなら都市の中に入ってから休む。壁の外側では気が休まらないし、いつ仮眠が永眠に変わらないとも限らない。

「――」

だが、瓦礫に背を預けて座り込んでいるその男は、静かに呼吸していた。
タキシードにネクタイ。服が汚れないようにと、地面に襤褸切れを敷いてその上に座っている。

両目を手で覆いながら、指の間から天を仰ぐ。どうやら、眠っているわけではないようだ。
221 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/08(水) 22:48:20.31 ID:8Veu03Oj0
>>208
たたたん。小気味の良い音と共に標的の女の身体に穴が幾つも開く。

「……酷いじゃない?貴女、せっかく新調したばかりのドレスなのに」

ゆらり、魔獣の全体がそちらを向く。次いで迫る爆音には対処する術もなく鼓膜が破れ、女の感覚から暫しの間「聴覚」が失われた。
それとほぼ同時、いや、こちらの方がやや早いだろうか。魔獣の周囲から何処からともなくずるりと暗黒が生まれ落ちる。
それらは集合すると共にそれはぐにりと歪み、意思のあるヒト程の大きさの魔獣となる。
それはさながら、女が過去に闘った口を開かぬ獣人のような––––––

そうしている間にも暗黒は別に集合し、新たな形を生み出そうとした所で閃光。女は更に視覚までもを暫しの間失うこととなった。
形を成そうとした暗黒は、慌てたようにその身を解き彼女の身体を守るべく包み隠そうとするが、果たして

>>210
周囲に注意を向けているアンナは容易に気付く事ができるだろう。
ほど近い場所から発せられる発砲音、騒音、次いで閃光。それは「通常」ならばあり得ないだろう事で、「異常」だったのならばあり得る事で。

––––––噂をすれば影

東洋の諺が今、現実となって、近く迫っている。そんな時に焔装使いたるアンナがどう動くのか、それは––––––

//アンナさん短くて申し訳ないです!合流出来次第中文にしますので…
//お二人ともよろしくです
222 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/08(水) 22:49:25.79 ID:Uifepb+g0
>>217
「貴公、大丈夫か」

【そう言って崩れ落ちる彼女の身体を支えようとするが、その顔が見えた所で踏みとどまる。悲しそうな表情をしていた】

「……」

【自分も同じ経験はある。圧倒的力の差はやはり気概だけでは埋められるものではない】
【しかし……】

「貴公、このまま塞ぎ込み野垂れ死ぬか、戦いの下に敵を散らすか、どちらがいい」

【彼は希望というものを失っていなかった。人というのは脆いもので、一つも確かなものがなければすぐに狂ってしまう】
【だからこそ彼は、心の支えだけは失ってはならないと。そう誓っていた】
【全ては守るべきものの為に。自分に自信を無くしては、誰が何を守るというのか】

「戦うしかないのさ。たとえその先に何が待ち受けていたとしても、貴公だけは生き延びてみせろ」
「たとえ這いつくばり、地を舐める屈辱に身を没したとしても……」
「生きる希望だけは、失ってはならんだろうが」
223 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 22:49:33.38 ID:aK62BYwTo
>>219

「お姉ちゃんは私を叱ったりするわけないじゃん…何言ってるの?」

豪快な音と共にがれきに突っ伏す『姉』
それを冷ややかな視線で見つめながら小桃はそう言った

「お姉ちゃんは優しくて強くて私を守ってくれて、絶対に私を責めたりしない」

向かってくる翼の弾丸。
今さっきの姉の機動力なら盾になれたかもしれないが、今は瓦礫に突っ伏して即座な行動がとれない
となれば小桃に突き刺さるのは無数の羽


「守ってくれるんだよね〜?おねーちゃん??」

グサグサグサッと小気味良い音を立てて突き刺さる羽
だけど被弾したのは小桃ではなく、突然現れた二人目の『姉』

そして一人目の瓦礫に突っ伏していた『姉』もなんとか立ち上がって、先ほどと同じように魔獣の少女の方へと飛び掛かろうとしていた
224 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 22:51:16.35 ID:tCfW1CNro
>>215
「仲間の志か・・・俺も“オヤジ”達に生かされた身でな・・・
 “オヤジ”は焔装使いだった。オヤジが後にどうなって何をしたか、俺がオヤジに何をしたか・・・解るだろう?」
この男も・・・仲間が居たのか・・・
仲間の分まで生き残ろうって気持ちか・・・
その重い言葉を迷いなく告げる・・・覚悟の証だろう・・・

【鬼助は襟に金色のバッチを着けたスーツに身を包んでおり、ヤクザの様な風貌をしている】

【その風貌から、鬼助の言う“オヤジ”が組長を指す事が想像できる。】

「探したが、見つからなかったって訳か・・・
 だが、俺は見つけたぜ・・・総一朗って一人の男をな・・・!!」
此処の人間じゃなかったか・・・
だが、総一朗からは男気を感じさせる。
明日を棄てる覚悟じゃなく、明日を切り開く勇気が・・・!!
225 :ダンディモス【火炎蛾魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/08(水) 22:53:22.10 ID:EIyucm020
>>220

「ハッ、ハッ、ハ……
 こんな所でお休みとは、
 豪胆なのか、それともお気でも狂われましたかな?」

【マラカスの音と共に闇の中から現れたのは、
 ちょび髭、チョッキに赤蝶ネクタイのハンチング帽の丸メガネ小男紳士】
【タキシードの男と、若干趣味が被っているようで、微妙に違う――】
【なによりの違いは、その体温、その気配……】
【小男からは異様な熱が放たれており、それだけで彼が人間ではない、「魔獣」だと言う事が察せられる】

「大空に、何か見えますかな?
 月も星もないこの闇には、美もなにも見えませぬなァ……。
 されど、時たま、偽りの月の光や星のきらめきが見える時があります。
 そういう時、私は高揚するのですよ。
 その光とは、明らかにヒトか魔獣の闘いの証、死の光。絶望の灯り……
 はかなく、そして美しい。そう思いませぬか?」

【ニコニコと、笑顔で話しかける小男】
【その距離、7メートルほど】
【小男はまだ、闘うそぶりは見せない――】
226 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 23:01:23.31 ID:5oBBJmmho
>>222
「いつまで、私は大丈夫でいられるんでしょう…」
棄てた筈の感情が蘇る。大粒の涙が、一つ零れた。
いつも部屋の隅で泣いてばかりだった、弱者としての自分。

「塞ぎ込んでダメだったのは知ってます。
 沢山頑張って、敵を散らしても…救えなかった事も知ってます。
 あまつさえ、自分の身すら守れなかった…それは昨日知らされました」
築き上げてきた砂の城が、波に飲まれるような。

「もう何も、失いたくないです。他人も…自分も…」
(言語化してしまった…沢山強がっていた今までの私は何処に?)
目元を両手で覆い、胸の奥にあったものを抑圧する。
これを落ち着かせるには、時間が掛かるだろうと…
227 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 23:05:23.76 ID:/RlP35b4o
>>223
「かわいそうなひと。それはお姉ちゃんじゃないのね」

 いいことをしたら褒めてもくれなくて悪いことをしたら叱ってもくれない。
 パヨカは気づく。小桃はひとりなんだと。「姉」はただ自動的に動くお人形さんに過ぎないと。
 「妹」の盾となり、病毒の羽を全弾食らった二人目の「姉」。
 「姉」が生物ならばそのまま多重の「病毒」で、非生物なら多重の「腐食」で風化するだろう。

「おにんぎょうならお姉ちゃんじゃないんだ」

 殴った瞬間に腐ったということは、「姉」は自分の羽灰と同じようなちからなのだろうと予測。
 飛びかかってくる一人目の「姉」に向けて、無事な三翼のうち一翼を叩きつけようとする。
 インパクトの瞬間、羽根を爆発させるように射出。腐敗を本体にまで拡がるのを防ぐ。
 叩けたのなら腐り始める「羽」ごと二人目の「姉」が守る「妹」のほうへ吹き飛ぶだろう。

「だから、あなたも妹なんかじゃない」
228 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 23:06:40.86 ID:fsvAVW0O0
>>221

……貴女を、排除する

【両手のサブマシンガンから銃弾を二発放ち、ローブ内に仕舞う】
【《魔獣》相手に肉弾戦を仕掛ける!!メイラの身体能力なら、《魔獣》とも互角に渡り合える……】
【シミラーの身体を包み隠そうとする暗黒、あれは触れてもいいものだろうか】
【其れは先程放った二つの弾丸が教えてくれる筈!!】
【メイラはぐっと脚に力を込め、相手の攻撃に対処する為に身構えた!!】

229 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 23:12:00.29 ID:aK62BYwTo
>>227

「お姉ちゃんはお姉ちゃんでしょ?人外のあんたに何が分かるの?」

全弾命中した二人目の姉はぐちゃぐちゃと泥のように崩れて消える
まるで最初から何もそこになかったみたいに
そう…『姉』は生物ですらない。ただの物

「お人形?意味が分からない…何言ってるの…ねえ?」

ズサリと突き刺さる少女の言葉。
そして飛んでくる一匹目の姉

「そうか…私を守れないお姉ちゃんなんて…お姉ちゃんじゃないんだ」

二人の姉は一瞬にして消え、小桃は一人きり
そしてそのまま力なく地面にぺたりと座り込む、まさに戦意喪失と言った様子

今なら近接攻撃も楽に通る――――のかもしれない

230 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/08(水) 23:12:05.00 ID:jufbx+3Uo
>>221>>228
「……ッ」

【女の直感が"何か"を捉えた直後、発せられる銃声。次いで絶叫らしき轟音と閃光に嫌でも意識がそちらへと向けさせられる】
【一瞬意識が建物へと行くが、今ではシェルターと化したこの建物に心配はいらない。安心してその方向へと駆け出した】
【先ほど送り出した2人の子供の顔が目に浮かぶ。あの顔を絶対に失わせはしない、そう改めて固く心に誓いながら】

―――

【見えたのは、白髪の少女と黒ドレスの女性。少女の方は《月装》か《焔装》か、何方にしろ只の人間では無いことは一目見て分かった】
【そして、黒い彼女の方は―――女には感覚で分かった。魔獣。それも《夜》に堕ちた人間だ。最も今となっては、隠された物ではなかったが】
【女の右拳に力が入って、それから女は修道服の右腕部を捲る。すれば忽ち、その腕は黒く染まり、紅い幾何学模様が描かれていく】
【黒い霧に包まれたその右腕の先、手には、同じく漆黒の刀が握られていた。―――女の目つきは何時しか、鋭く冷酷なそれとなっていた】


「――――――……ハッ!!!」

【刹那、女は急加速し黒ドレスの彼女へと接近する。人を超えたわけではないが、それでもアスリートの記録など比較にならないようなその速度】
【白髪の少女の邪魔をしないようなコースを辿りながら接近することが出来れば、右手の刀を容赦無く彼女へと振り下ろすだろう】
【その刀は何者にも邪魔することの出来ない「切断」の刀。防御しようとすれば、間違いなくそれは2つに分断されることになるだろう】
【とはいえ、その太刀筋は酷く単純。魔獣となった今の彼女なら、容易に避けることも可能かもしれない】

/よろしくお願い致します!
231 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/08(水) 23:14:43.39 ID:eTHu17Uzo
>>225

「生憎、月にも星にも興味は無くてな。俺が見てたのはあの子の横顔の方だけだった。
俺が綺麗だと感じるのは、光が照らすものの方だけだ。光自体が美しいという感覚は分からないな」

ゆっくりと手を降ろし、その場に現れた小男を見る。降ろした右手はポケットを探り、小刀を握りしめる。
立ち上がった男の周囲は、小男を拒絶するように冷たく、そして薄暗い。感覚の話ではなく、幽々とした空気は物理的に冷えている。

「遠出してきたところでな。目を光に慣らそうとしていたんだ。
段々道を覚えてきたから、姿を隠したまま歩いてみたんだが……逆効果だったか」

男の周囲が霞んでいく。闇に溶けていく、この力こそ男の焔装。名前とは裏腹に、光を奪い、火を掻き消す黒い霧。
『照らされるものこそ美しい』と言うなら、かつて星々の間にあって照らされていたのは、きっとこんな無間の闇――。
232 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage]:2014/10/08(水) 23:16:47.99 ID:Uifepb+g0
>>226
【涙を流す彼女を静かに見る。やはり強がっていても一人の少女……このような重圧に耐えよう筈もない】
【彼は彼女の気持ちを良く理解していた。彼は彼女と娘を自然のうちに重ね合わせていた為だ。その置かれた状況の辛さというのは身に染みて分かるようであった】
【涙を抑えようとする彼女に、静かに手を差し伸べる】

「貴公に、失う者などないさ」
「……此処に私がいるからだ」

【それは彼なりの、精一杯の励ましであった。周囲は闇であっても、それならばせめて心だけは、光を差し込ませてやりたい】
【彼は彼女の心の内の光になってやりたかった。何故ここまでするのかと言えば、やはりそれも彼女の中に、闇で啜り泣く娘の姿を見たからであろう】
【その度に彼は、手を繋いでやったのだから。孤独ではないと言い聞かせるために】

「立てるか、貴公」

【そう言って差し伸べられた手は、何処に向けられたものであろうか。重ねた娘への愛から来るものか、それとも彼女への同情であるか】
【たとえそれがどちらにしろ、彼の彼女に対する優しさに変わりはなかった】

/この辺で〆にいたしましょう、乙でした!
233 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/08(水) 23:21:29.88 ID:eHxuSP2EO
>>224
なるほど…焔装か。
詳しくはしらないが、伝え聞くに敵とも味方ともつかぬ者たちだとは知り得ているが…
【鬼助の外見から察するに数々の修羅場をくぐり抜けて今に至るのだろう。その男がオヤジと慕う人物を自らの手で引導を渡したのだ】
【鬼助の心境を考えた総一郎は言葉に詰まった】

貴君も私も似たモノ同士という事か…
因果な世だ。
【空がまだ青かった頃には出会いさえしていないだろう彼に、何処か自分と似たモノを抱かせるのは信念とするものの一致か】

我々は同志だ。
この夜を明かす為に、共に進む仲間を見つけた
此処にきた事も無駄ではなかったようだな。
【一人の人間として、改めて敬意の念を惜しみなく賛辞に変えて言葉とした】
【各地を歩く度にありありと見せつけられる魔獣達の所業に、いつの間にか沈みかけていた心はーーー鬼助という「漢」の存在によっていつの間にか晴れていた】
234 :ダンディモス【火炎蛾魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/08(水) 23:23:29.93 ID:H+r1Meg+0
>>231

「ほう、ほう、ほう。
 ――女性の横顔ですか……それもまた、美しい。
 されど、ヒトというものは移ろいゆくモノ
 「死」でもない限り、その美を永遠とする事は困難かと……」

【タキシードの男が闇を生み出すのを見……】
【小男もまた、両手を炎の翼に変えてゆく】

「炎の美に魅せられた者、ダンディモスと申します。
 もしよろしければ、あなたの美――
 死と絶望を持って完成へのお手伝いつかまつらん……
 嫌とは、言わせませんぞ?」

【そして両手の炎の羽から、無数の小火炎蛾が現れた!】
【火炎蛾は、エネルギーを吸い、そしてそのエネルギーで火柱をあげ自爆する!】
【はずだった……】

(むぅ?)

【しかし小火炎蛾は、その闇に触れると、次々とその姿を消す】
【どうやらエネルギーを消されているのは、炎の蛾を操る男の方だったようだ】

「面白い……」

【蛾男は距離を保ちつつ、飛翔の準備をしているようだ】
【そこに、僅かな体勢のスキがあるが……?】
235 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 23:26:49.89 ID:/RlP35b4o
>>229
 パヨカは羽を畳み、しずかに地面に降りた。切られて小さな翼に羽が生える。
 胡桃まであと数歩。数メートルだけ離れている。これ以上は、「灰」が舞う。

「あなたは、わたしなんだ。……ひとりは、さびしいよね」

 小桃の様子は、見ていられなかった。それは「わたし」だ。
 お姉ちゃんを得る前の、ほんのすこしまえの独りのわたし。
 いまなら彼女を殺すことはかんたんかもしれない。でもそれは――。
 だからパヨカは小桃に選択を提示した。

「逃げてもいいよ。でも、あなたがひとりがいやなら、ともだちになろうよ。
 わたしと、ともだちになろう?」

 いまここで逃げて独りと「姉」とで生き続けるか。
 それとも「魔獣」になって「姉」ではない誰かを得るか。
 残酷な現実をかみしめて生きるか、夢幻に浮かれて人間を失うかという提案だった。
236 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/08(水) 23:29:14.23 ID:5oBBJmmho
>>232
「そう、2人掛かりなら…どうにかなった事も知ってます」
差し伸べられる手。少女はしばし佇む。

「貴方がそんなことを言うと…
 何でも出来そうな気がするから…不思議ですね」
目元を袖で拭うと、此方も手を伸ばす。
仲間に励まされ、何度も立ち上がったことも…知っている。

「こんな私でも勝った事はあるんです…
 それを、同じ事を繰り返せばいいんですから…」
手が繋がれ、ゆっくりと立ち上がる。
安心しているような、落ち着いた表情を浮かべて。

//おちかーれ!そしてFO!
237 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/08(水) 23:35:54.79 ID:8Veu03Oj0
>>228>>230
ぎゅるり、と魔獣を包み込んだ暗黒が鎌首を擡げた。それはさながら蛇のようにするすると長く伸び、主を守るべく二重の防壁を張り巡らせる。
次いで獣人はメイラへと狙いを定め、彼女と遜色のない身体能力を持ってして刃物のように鋭い爪を有した上腕を振り下ろす。

『……何よ、邪魔者が二人になるなんて。お願いだがら消えてちょうだい、私はただここを見に来ただけなんだから』

暗黒の塊の奥から声が聞こえる。忌々しげに吐かれた言葉は嘘ではない。ただ事実をひとつ伝えていないだけの、歴とした真実。
ぞわりと震えた暗黒の塊は留まる所を知らず。ぐんぐんと体積を増し大きくなる球は主がどこに居るのか悟られまいと揺らめいて。

アンナの放った銃弾ふたつは火花を散らして塵と消える。そちらへ迫る魔獣とそれを併せ見て、アンナはどう対処するのか。
次いで放たれる「切断」の刃に対し、刃物を打ち合わせたような鋭い手応えと共に、火花を散らしながら暗黒はすぱりと大小二つに割かれた。
––––––しかし、そこに主たる女の姿は無く。ただ切断面を晒した暗黒がぞわりと震えふたつの球となっただけ。
アンナに対応するためなのだろうか、切断されても止まること無く湧き出る暗黒は変化をしないまま。
塊のままそちらへとゆらり迫り行く。しかし速度は、アンナならば鈍重に感じる程で、簡単に振り切る事のできるものだ。

生身で触れる事はまず出来ない。生半可なこうげきは貫通しない。切り裂いても消滅しない。
––––––さて、ふたりはどうするか。
238 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/08(水) 23:36:46.45 ID:aK62BYwTo
>>235

「う…お姉ちゃん…ううっ…」

深く俯いてプルプルと肩を震わせる
髪の毛が邪魔をして表情は伺えないけど

きっと小桃は泣いているのだろう

「友達?………貴方が人間だったら…貴方が人間だったら」


プルプルと震わせている肩が激しく震え
手で覆った顔、指の間から激しい息が漏れる


そう…小桃は泣いてなんかいない
ずっとずっと笑っていたのだ

「きゃははっ!引っかかった〜!お姉ちゃん大成功だよっ!ブイッ」

少女が近くに来たことを察知した小桃は顔を上げて、ピースサインを魔獣の少女の前に向ける

「友達だってぇ〜…バッカみたい!!!私はお姉ちゃんさえいればどーだっていいのに!」

その直後床から生えてきたのは『姉』の腕、それは魔獣の少女を捉えようと足めがけて一直線に伸びる

小桃は選んだ。独り「姉」と生き続ける道を

239 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/08(水) 23:43:30.30 ID:eTHu17Uzo
>>234

「壊れやすいから尊いものと、壊れないから尊いものがある。
一番大切なものはその両方なのだと――そう、あの子が言っていた」

『あの子』の話をするときだけ、久良岐の瞳は光を宿す。
穏やかに猛る焔装と共に壊れていった心のうち、残った人間性の発露。だが、それは弱点でもある。

重力の壁に挑戦してきた帰り、状態は万全とは言えず、普段なら逃げることを最優先に考えていただろう局面。
だが――。


「お前の手を借りるまでもなく、俺の世界は彼女一人で完成していた。
それは奪ったのは、お前ら《夜》だろう――ッ! お前らには、もう何も奪わせん」

掠れた慟哭。彼の焔装の原動力たる想いは「もう何も奪わせない」というもの。
ならば同系の能力に競り負けるはずがない。膨張した霧が揺らめく炎の羽を呑み込み、音も無く擦り潰す。
相手の隙を見つけるまでもなく、小男に向かって駆け出す。それに追随する霧が、光沢の無い闇を広げていく。

策も何も無く、ただ力を奪い去る霧を広げ、蛾男を包み込もうとする。
特に指定は無く、全てを乱雑に奪おうとする霧。身体を動かす力も、炎の翼も、魔獣の生命力も、片っ端から削りに行く。
だが目標の絞られていない攻撃は、総出力はあれど、どの働きも不十分。蛾男の動きを止めることは叶わないだろう。
240 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/08(水) 23:51:00.00 ID:/RlP35b4o
>>238
 パヨカはひとりでは耐え切れなかった。
 小桃はただ独りで生きようとしている。彼女は強い。歪んでいようとも強固な意志だ。

「そっか……すごいよ。人間の『妹』ちゃん。
 でもそれは、わたしとお姉ちゃんがつまづく石になる」

 笑う――本心はしれないが――小桃に向けて、パヨカもまた覚悟を決めた。
 いまここで倒しておかないともっと強くなるという確信がある。
 「姉」の腕を地面から伸ばし嘲笑する小桃のそれは思い込みだろうと本物だ。

 余計な動作は必要なかった。わずか数メートル。翼を伸ばせば問題ない。
 地面から伸びる「腕」を無視して、三翼すべてから小桃へ向けて羽の弾丸を撃ち込む飽和攻撃をしかけた。
 つかまれた右足脚が腐り始めるのを感じながら、残った一翼で膝から下をへし折る。

「……っぐ」

 弾丸に乗る病は『くも膜下出血』。
 羽が撃ち込まれた瞬間に後頭部を強打されたような痛み。酷ければ昏倒するだろう
 そして放置されれば「死ぬ」
241 :ダンディモス【火炎蛾魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/08(水) 23:53:56.12 ID:AbvmQTSy0
>>239

「両方――?
 強欲だな人間よ。
 何かを得るとは、何かを失う事……
 その動き、揺らぎの中に、美は……あるっ!」

【飛翔!】
【両腕はすでに全長7メートルの巨大な蛾文様の炎の翼に変化し、
 羽ばたくたびに熱風が久良岐を襲う!
【しかし――】

「!?」

【膨張した闇が、霧が、蛾男の炎の翼を喰らっていく!!】
【もともと空を飛ぶのは不得手な蛾男。羽に穴と粗が空き、
 空中でバランスを大きく失う……】

「ぐっ……火炎蛾よ!!」

【全身を魔獣化させ、さらなる小火炎蛾を産みだし白スーツ男を追い詰めようとするが】
【蛾たちは戸惑いを見せている】
【目標が絞られず、エネルギーの濃度が絞れないのだ】
【火炎蛾は周囲を惑うように舞い、闇に触れては消えていく……】

「……その瞳は、なんだッ!」

【そのさなか、蛾男は見た】
【たかがニンゲンの瞳が、煌々と輝く、その光を!】
【火炎蛾をまき散らしながら、失速し地面に叩きつけられる蛾男】
【闇の霧は、蛾男の羽を乱雑に飲みつくしていく――】
242 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/08(水) 23:56:31.29 ID:tCfW1CNro
>>233
「敵とも味方とも・・・間違っちゃ居ないな・・・
 焔装は魔獣と戦う力を持っているが、リスクが高い。
 使い過ぎれば、その力に蝕まれ、自身を魔獣へと変え、人を襲うようになる。」
同志と認めた人間だ。
話しておいても良いだろう。

「俺もアンタと同じ月装使いだ。
 月装は一人じゃ魔獣に勝つのは厳しい。」
焔装を知らないって事は、あの青い眼は月装と見て良いだろう・・・
月装は魔獣の力に及ばない。一人で生き抜くには厳しいだろう・・・

「同志か・・・しかし、今日はどうする?
 暫く此処に留まるか・・・それとも、場所を変えるか・・・」
魔獣が襲ってきた場所だ・・・
また魔獣が襲ってくる可能性もあるが、こんな時代に安全な場所など先ず無いだろう・・・
243 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/08(水) 23:59:19.14 ID:W/5o9vsC0
>>230 >>237

………

【鋭い爪を振り下ろして来る獣人。其の動作はリミッターを解除したメイラの眼には限りなくスローに見える。身体能力と合わせれば回避は容易】
【自分が放った銃弾は塵となって消えた。つまり此れに触れるということは―――自然、行動は一つに絞られる】

【回避!!後方に飛び華麗に空中を回転しながらローブの中に収めたサブマシンガンを取り出し、獣人に向けて乱射する!】
【因みに弾丸はメイラの『骨』だ】

【全方位無差別攻撃である声はアンナが居るから使うことは出来ない。斃すべき敵はは《魔獣》であり《人間》であるアンナは味方。メイラは味方を傷付ける様な真似はしないッ!!】
【メイラの身体は、其の儘行けば獣人からやや離れた場所に着地するだろう!】
244 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/09(木) 00:00:15.64 ID:DF/+s0qfo
>>240

この距離で攻撃をすればきっと反撃が来る
そんなの分かっていた。
それに完全に無傷と言うわけにもいかないと言う事も

現に相手を掴んだ『姉』の腕だが、肝心の翼はそのまんま
熱でぽーっとした頭でもわかる、あの翼こそ厄介だと


「私の事…大好きだよねお姉ちゃん?」

掴む腕とは別に現れたのはまたしても『姉』
そしてその『姉』はギュッと包み込むように小桃を抱きしめて羽の弾丸をその身に受ける

「もう…お姉ちゃんは力が強いんだからぁ…」

抱きしめられている部分の服の生地がグズグズと腐っていく
『姉』の能力はきっと小桃に対しても発動するのだろう

「でも大丈夫。私たちは仲良しだからね」

そして腕だけを地面から出している『姉』はさらに腕を伸ばしブンブンと乱打を始める
当たればもちろんの事腐っていく―――――――
245 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/09(木) 00:04:45.34 ID:o06v/13wo
>>237>>243
【硬い感触は、確かに"斬れた"事の証。しかし手応えが無いのは、暗黒の主である彼女を切り裂けていないからだろう】
【事実暗黒は2つにすっぱりと割れるがただ分裂したのみで、尚も膨張を続ける。やはり、一筋縄ではいかない】

「―――……貴女を、此処から先へ通す訳には行きません」

【左で胸の十字架を握りながら発せられる、女の言葉。それは厳しい声でありながら、どこか優しさが混じっていたように感じられるかもしれない】
【迫る暗黒から後退しながら刀を一旦消し、次いで右手から出現したのはナイフ。それも1本ではなく、右手で持てる分。その数は5】
【そのナイフを一斉に彼女へと投擲する。彼女の右手で生成されるものには「鋭いモノ」の制約があった】

「ヒトで有りながら《夜》へと堕ちた、貴女にはッ!!」

【ナイフは緩い弾道を描きながら暗黒へと迫る。その中にいるであろう彼女の体のどこか一部程度なら刺し貫けるコースだ】
【だが、そのナイフに自動追尾の機能などは備わっていない。少しでも動けばその目論見は外れてしまうことになるが】
【そこで油断してはいけない。何故ならばそのナイフが外れれば、間髪入れずに第二陣の5本のナイフが避けた先に飛来するのだから】

【白髪の少女に対しては何のアクションも起こさない……いや、起こせないのだが、とりあえずは自分を味方だと認識してくれたようだ】
【人間が2人。魔獣が1人。それならば勝ち目は有る】
246 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/09(木) 00:13:41.68 ID:JZykG6hTo
>>244
 哀れというには情熱的すぎて、空虚だとしてもそれは確かに愛だった。
 「羽」による死よりも「姉」による死を選び取る小桃の想いは理解できる。

 振り回される腕にもう片脚を掴まれてはたまらない。パヨカは羽のない翼を地面に打ち付けた。
 地面を殴った瞬間に翼が触れられる。腐った部分を切断、三分の一を無くした。
 灰で壊れやすくなっていたコンクリートはいともたやすく砕け散る。その反動でパヨカは飛んだ――否、跳んだ。
 目標は「姉」に抱かれる胡桃。その愛を妨げるつもりはない。むしろ、

「姉に生きるなら、姉で死ねるよね」

 振りかぶられた剥き出しの翼。狙いは「姉」ごと胡桃を地面に埋めること。
 翼は「姉」の「羽」の部分を殴りつけ、腐食して砕けやすくなった地面へ「姉」と小桃を叩きこもうとする。
 その衝撃で死ななくとも、「姉」が小桃を腐らせるだろうと思った。
247 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/09(木) 00:21:03.59 ID:eGRJ9Kj9o
>>241

羽ばたく度に熱風が舞う。ひとたび羽ばたけば肌がカサつき、次の一度は痛みを伴う。
熱のこもった美学と共に、焼け付く風が襲い掛かる。だが、痛覚と区別がつかないまでの熱さも、久良岐の表情を変えるには至らない。

「この感情が単なる欲だなど、ありえない。
手に入れるから失うのではない。差し出すことで得るものがある」

一音一音、深みのある低音。オペラでも詠うように。強く強く噛み締めて、自分の心を確かめる。
丁寧にセットされた髪は、熱風を受けてオールバックに変じている。ネクタイピンが外れたか、はためくタイが首を絞める。
吸い込んだエネルギーの制御もままならず、闇の中に幽火が消えては現れる。死んだ同族に惹かれ、飛んで火に入る小炎蛾。

闇の中に明滅する焔、光り輝く黒界は、亡き星空か万華鏡か。それを美しいと感じたなら、それは蛾男の炎自体が美しかったことの証明になる。

「今は会えずとも、必ず彼女は生きている――なら、見失うわけにはいかない。この光、まだ手放すわけにはいかない」

引き抜いた短刀もまた黒。漆塗の柄は、周囲の闇に馴染むには黒が足りず。刀身は黒すぎて闇の中で浮いている。
駆けよる勢いのままに、倒れ伏した蛾男に向かって右足を踏み込み、踏みつけんとする。
異常重力域から奪ってきた重力を乗せて、自身の足まで重みに耐えかねて血管が破れるほどの重みを蛾男に振り下ろす。
248 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/09(木) 00:22:21.84 ID:DF/+s0qfo
>>246

「うん…お姉ちゃんのために私は[ピーーー]るよ」

飛んだ魔獣の少女、それを「姉」に抱きしめられながら眺めた
穏やかな笑み、まるですべてを悟ったみたいなそんな顔


「だけど…私が死んだらお姉ちゃんが悲しむでしょ?」

ドンっと「姉」越しに衝撃が伝わる
そしてそのまま姉と一緒に地面にめり込む――――

「お姉ちゃん。重たいよ」

翼の一撃を食らった姉を消し、小桃は地面にめり込むかのように思われた
だけど小桃は新しく地面から伸びた姉の腕により押し上げられて立ち上がる

「お姉ちゃん。満身創痍だけど大丈夫?」

二人の姉はもう既にやられ、消したもう一人は消えかけ
ダメージが少ないのは魔獣の少女を掴んでいた一人だけ

249 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/09(木) 00:22:47.81 ID:19Vg8lSlO
>>242

諸刃の剣…か。
焔装使いとの闘いも避けては通れぬ事かもしれんな。
しかし、そうなれば…
【一体焔装使いがどういった経緯でそれを手に入れたのかは考えも及ばぬところであった。しかし、総一郎はやけに神妙な面持ちで考えに耽った】
【もし理性が半ばある焔装使いと出会ってしまったら、非情なる決断をもって挑まなければならないかもしれない事を感じたからだ】

一人で勝てる相手ではない事は明白。
もし出会ってしまったのなら生き延びることを考えたほうが身の為だろう。
貴君と私を除いての話かも知れないが…
【そう口にはしながら、自身もそして目の前の男もまた引かぬのだろうなと思ってしまっていた】

此処にはもうなにも残ってはいない様だ…
離れる他ないだろう。
【辺りは静けさを保ったままではあるが、鬼助が言った通りにいつ魔獣に襲われてもおかしくない状況であるのは間違いなかった】

私はそろそろ離れるが…貴君はどうする?


250 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/09(木) 00:35:36.84 ID:JZykG6hTo
>>248
 羽が生え変わる。久しぶりに揃った四翼はひとつが1/3が削れ、ひとつが先端が削れている。
 不格好だった。ぽたりと膝下から垂れ落ちる血。響くような激痛にさいなまれる。
 たかが足の一本再生するが、それまで苦痛が続くと思うとパヨカの戦闘意欲が萎えた。
 自分に病毒が効いたら、無痛賞状態にでもするのに――と思って、閃く。

「……あっ」

 逆転の発想。「姉」が架空なら「妹」も架空にしてしまえばいい。
 パヨカは痛みを堪えて飛翔する。欠けた翼から舞い散る羽と灰を持ち上げられた小桃の下へ。
 掛かる病気は「アルツハイマー症候群」。主な病状は記憶障害と幻覚作用。幻覚を上書きする。
 魔獣を狩らなくても「姉がコミュニケーションをとる」など「しあわせな幻覚」を見せるために。

「……いまは、これがせいいっぱい」

 これ以上戦える気がしなかった。パヨカはそのまま逃げだそうとする。

/眠気が襲ってきまして、寝落ちするわけにはいけないので、これで〆でよろしいでしょうか?
/すみません、ありがとうございました。
251 :ダンディモス【火炎蛾魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 00:37:54.40 ID:U0y8Z9Hq0
>>247

「……『差し出す、美』!
 くっ、くく……はっはっはァ!
 炎のごとき、奪うか、奪われるかの美のみに目を奪われ、
 陰影のごときその美に、気づけぬとは、
 この私、御舟ハヤミの、盲、点……
 不、覚……」

【蛾男の放つ無限の火炎蛾も、全て、白スーツの男の生み出した闇の向うでまたたくだけ】
【蛾男の火炎の能力を、白スーツの男の闇は、全て、喰らいつくしたようだ】
【蛾男は地面にたたきつけられたまま、闇はどうやら蛾男の四肢をも喰らったらしい】
【もともと接近戦は苦手な蛾男、足を払いのける事も出来ず】
【引きぬかれた、漆黒に浮かび上がる陰翳礼讃の刀身は、その蛾男の顔面に突き刺さった!】

【その刀をさした顔面から濛々と煙が湧きあがると、白く灰のようになった人間の姿に戻っていく――】
【その人間の名は「御舟ハヤミ」】
【かつて自警団の部隊長であり、温和な人柄は誰にでも親しまれていた男】
【それが魔獣と化し、人々を「奪う美」によって殺しまわる怪物に仕立てたのは、彼の周囲にある≪夜≫に他ならない】

「……この絶望の闇の世界で伊達にスーツを着こなす御人よ……
 ふふん。その美を、貫き通しなされ。
 けっして絶望に、身を焼かれなさるな……
 絶望の上げる気炎は美しく……
 羽虫のごとき弱い意志では、その身を焼かれる事だろう
 願わくば、風に吹かれ、光に魅せられる蛾ではなく――
 闇夜を切り裂く、煌々とした、炎、た、れ、若者よ……」

【切れ切れに言葉を吐くと、蛾魔獣・ダンディモスの身体は発火し】
【真っ白な灰になると、その亡骸は風に煽られ周囲に霧散して行った】

【闇だけが、蛾男・ダンディモスの墓標となった】

【魔獣ダンディモス・消滅――】
252 :狼牙 鬼助  ◆2TJFi2izfY [saga]:2014/10/09(木) 00:38:37.20 ID:xcB+GuMqo
>>249
「俺も離れるさ・・・だがその前に・・・」
俺は掌を合わせ、頭を下げる。
その先は肉片・・・爪痕・・・

「俺達を此処に導いてくれた事を感謝する。」
元々は人が住んでいたところだ。
ここに居た奴らは必死に抵抗したんだろう・・・
明日を切り開くため・・・夜を断ち切る為に・・・
そして、此処で俺と総一朗は出会った。
互いに似たような境遇を持った俺達を此処に導いたのだろう・・・

「また会おう・・・」
俺はそう言い残し、場を離れる。
また会おうって挨拶は何気ない挨拶だが、今となっちゃ重い言葉だ。
生きていくだけで精一杯な世の中だ。
だが、総一朗は明日を切り開く勇気がある。
俺も、生きて再会するって約束をしておかねぇとな・・・

//落ちます。ありがとうございました。
253 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/09(木) 00:40:37.05 ID:LlI42aby0
>>243>>245
防御を度外視して攻撃を仕掛けた獣人魔獣に弾丸は全て命中。背後から勢いよく乱撃されたその身体は、踊るようにビクビクと痙攣しながらどさりと倒れこむ。
再生はしなかった。暗黒に戻る事もなかった。
だた死体となってそこに倒れ伏した獣人は、時間を少しでも稼げたのだから本望だと、虚ろの瞳で闘いの行方を見守る事だろう。
そこから離れた場所に降り立ったメイラに対し、意外にも暗黒の追撃は無かった。
それはメイラに吉と取られるか凶と取られるか。
ただ只管に球を大きくし、狙いを定められないようにと、少しでも時間を稼ごうと。
まるで意思があるかの如く––––いや、実際には二人に知られていないだけで存在するのだが––––振る舞い、中に居るであろう主を守るべく、外敵を寄せ付けぬようにと、威嚇するように表面がざわつく。

そして暗黒は、逃がさないよと、そう言わんばかりに暗黒が薄く広く伸び、二人と魔獣がいる周囲を余すところなく覆い尽くさんとする。
膨大な量の暗黒が、噴き出す度に周囲の覆いを分厚く大きくし、逃げるかここで死ぬか選べと性急に迫るように、ぞるりとひとつ、今再び蛇を真似た鎌首を擡げて。

アンナが投げたナイフは十振りが全て暗黒を切り中身までもを裂いた。しかしそれに対する悲鳴や怒りはそこから発せられなかった。
暗黒の蠢くおどろの音に掻き消されたのか、それとも、中の主が声を発しないよう己を律したのか?
そうこうしている間に、暗黒による小さな天幕は徐々に二人の逃げ場を縮めて行くのだが––––––

––––––思い出して欲しい。アンナによって切り裂かれ別れたふたつの球。
ひとつは今二人と闘っているそれだが、もうひとつは果たして、何処にあるのか


//申し訳ない、そろそろ眠気が近くなってきたので、性急ではありますが〆に向かう方向でお願いしたく…
254 :一城小桃 ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/09(木) 00:41:52.11 ID:DF/+s0qfo
>>250

最後の羽が飛んできた
だけどガードに使えるのはあと一人
それがやられれば確実に小桃は死ぬ

「大丈夫だよね」

ここにきて最初に食らった熱、そして蓄積されてきた物が災いを呼んだ
そう、冷静に考えられなくなっていた

最後の一人を今さっきのように自分のように抱き着かせた
それが幸せを感じれたから

「…おねーちゃん……逃がしたら…駄目」

逃げていく魔獣の少女、それを捕まえようとするができない
『姉』のせいで痛む皮膚と蓄積された病

少女が去った後小桃は一人意識を失った、誰もいない一人きりの空間で

/お疲れ様です!こちらこそありがとうございました!
255 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/09(木) 00:55:38.92 ID:eGRJ9Kj9o
>>251

「お前まで、俺に光であれと言うのか。
どいつもこいつも、俺にいったい何を望んでいるんだ。

言われずとも絶望などしない。たとえ闇に呑まれようと、お前のように間違えはしないさ」

自身が展開した闇の中、爆ぜる閃光花火は徐々に減っていき、爛々たる眼光だけがそのまま残った。
暗い世界を最後に照らすのは、燃え盛る蛾男の身体。一度だけ力強く輝き、そして白く灰化していく。

晴れていく闇の中、街からの明かりが灰を彩る。それをしばらく眺めたあと
弱く瞬いた火花が自身のタキシードを焦がしそうになると、奪い取った熱風を解放して灰を吹き飛ばしてしまった。


重圧を受けた足から力が抜ける。熱風で焼き付いた肌が痛む。男は再びその場で座り込んで急速に入る。

「俺は光を追う蛾で構わない」

吹き飛ばした灰の一抹がひらひらと落ちてくると、手を伸ばして握り込んだ。

/ありがとうございましたー!
256 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/09(木) 01:00:07.77 ID:IPZ2qoel0
>>245 >>253

【放った弾丸は全て命中。獣人は倒れ込み、離れた場所に降り立つ】
【追撃は無くメイラは即座に動く。暗黒が周囲を覆い尽くさんとする…】
【メイラの脳裏を「無茶はするな」という珠悸の言葉が過る】
【メイラは逃走を選んだ。此処で命を落とすわけにはいかない】

……撤退、します。

【メイラなら逃げ場を縮めて行く暗黒の天幕を飛び越えて逃走出来る。人一人抱えていたとしても】
【アンナの元に魔獣にも引けを取らない速度で迫り、その身体を抱え上げて天幕を飛び越えようとする】
【然し此れはメイラのお節介だ。アンナが拒めば、メイラは一人で天幕を飛び越える】
257 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/09(木) 01:11:52.17 ID:o06v/13wo
>>253>>256
【獣人の魔獣を倒しきる少女の戦闘力にわずかに驚きつつ、女は本体の殲滅へと力を注ぎこむ】
【10本の投げナイフは総て命中、本当ならば彼女の悲鳴の罵声が1つや2つくらい、聞こえてきても良いはず。……しかし、無音】
【居ない。ならば彼女は何処に居るのだろうか―――と、そこで女はハッとしたように辺りを見渡し始めた】
【少女が居て、倒れ伏す獣人の魔獣が居て、そして前には迫り来る暗黒。しかし、無い。先ほど切り裂いて分裂した、もう一個の暗黒が見当たらない!】

「……逃げますよ……ッ!?」

【広がる暗黒のカーテン。正面から迫ってくれば対処できるが、包まれれば《焔装》といえども危ないかもしれない】
【素早く辺りを見渡してそのもう一つの暗黒を見つけることが出来れば。投げナイフを一本生成し、そこへと投げつけることだろう】
【そして共に戦う少女へと声を掛け、少女が逃げ遅れないようにするつもりだったのだが、その少女がこちらへと近づいてくるではないか】
【対応できないまま女は少女に軽々と持ちあげられ、カーテンを飛び越えて撤退していくことだろう】


「……ありがとうございます。力持ち、なのですね」

【無事に暗黒より脱出することが出来れば、女は少女へと声を掛ける】
【先程戦っていた所を少女が見ていれば、女の顔は先ほどの鋭い目付きではなく、柔らかな微笑みへと変わっていた】

/シミラーさん、お疲れ様でした! ……で良いんですかね?
258 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/09(木) 01:12:16.68 ID:/kIBdzndO
>>252

義理と人情、か……見事。
【かつての日常が、血に塗れたこの日常に変わりつつある中。鬼助という男はどこまでも真っ直ぐである事を理解した】
【ふっと笑みを浮かばせて小さく言葉を零すと】

この地で勇敢にも戦い抜き…
志を持って果てた英霊達にーーー最大限の敬意をッ!!
【鬼助が手を合わせるのと同じくして、踵を合わせ胸張り真っ直ぐに蒼き瞳を前に向け見事なまでの敬礼と共に戦場の亡骸達のその行動を惜しみなく称えた】

また会おう、勇敢なる同志よ。

【去っていく鬼助を優しげな表情で見送る】
【それは一瞬のような出会いであったが、確かに総一郎の心に残り希望を齎す一つの光となったのは間違いないだろう】

さぁ、行くか…
【歩き出した彼の一歩一歩に迷いはなくなっていた】

/初めてで緊張しましたがお付き合い本当にありがとうございました!
259 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/09(木) 01:37:09.07 ID:LlI42aby0
>>256>>257
早急に逃げ行く二人に、暗黒の塊は追尾しようと宙を滑るが身体能力の高い彼女らに追いつく事は無かった。
途中、もう片割れの暗黒をふたりが見かける事もなく。残されたものは暫くその場に留まった後、ゆるりと動きだしやがて本体の元へと帰り行く。

そうして、囮を用いて何とかその場を脱する事に成功した片割れの中で主たる魔獣は、都市から離れた廃墟の奥に陣をとり、ぶるりと身を震わせて身体を丸める。
闘った時間は僅か。その間に初撃で受けた損傷の殆どは治っていたものの、休む間も無く囮へと指令を送り続けた脳は疲弊しており。
今では休息と充分な栄養を求めて痛みとして訴え続け、彼女の思考能力をそぎ落として戦闘能力を著しく低下させていた。

「––––––酷い目にあったわ。きっと顔も見られたでしょうし……次からは、姿を変えて行かないと」
「できればもう、あのふたりには会いたくないわね……とくに、後から来た方の人間には」

ふうと大きく息を吐き出して近くにある暗黒を獣の姿へと転じさせると、その腹近くに倒れこむようにしてどさりと身を預ける。
そのまますぅっと休眠に入る表情は悩ましげに眉間に薄らと皺が寄っていて。しかしそれも深い眠りに陥るにつれ解れて跡形もなく消えていく。
今日はやけに、他人の温もりが欲しいと思った。それがたとえ、自ら作り出した偽りの実像だとしても。

––––こうして、魔獣シミラーによる初の都市侵入は、失敗に終わったのだった。


//ロール開始時やレスの返答の遅さなど、色々とご迷惑をおかけしました。
//お二人とも絡んで頂きありがとうございました!
260 :『メイラ』 ◆RjlroNP39c :2014/10/09(木) 01:57:31.90 ID:IPZ2qoel0
>>257 >>259

…いえ、大したことではありません。
……其れでは失礼します。また……、会いましょう


【無事暗黒より脱出。安全に着地してアンナの身体をゆっくりと降ろす】
【そして無機質な声で別れを告げ、家のある方角へと早々に駆け出した】


//眠気が限界なので此れで終わりで…ありがとうございました!!!
261 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/09(木) 02:14:20.67 ID:o06v/13wo
>>259>>260

「あっ……。名前も、聞けませんでしたか……」

【直ぐに走り去っていってしまった少女。さよならを言うことも叶わず、暫くその場で立ち尽くした女だったが】
【歩き出せば自らの寝床へと帰っていく。とりあえずはあの子供達や、建物に住む人々を守れたという事になるのだろう】
【少女の名前は聞けなかったが、幸か不幸か狭い「都市」へと閉じ込められている状況だ。何時かはまた再開できると確信した】

【しかし気になるのは、暗黒を操る力を持った魔獣の彼女。自らの感覚で、彼女がヒトが"堕ちた"姿であることがわかった】
【とりあえずは、自警団へと報告せねばならない。彼女はただ人を襲うだけではない。「見に来た」と彼女は言っていたのだから】

【寝床へと帰る女の顔は、笑顔ではなかった。"悲しみ"。女が《焔装》を持つ直接的な原因となった出来事を思い出しながら、女は歩き続ける】

/ロールお疲れ様でした!
262 :ニコラス ◆O7SRClNPOk [saga sage]:2014/10/09(木) 21:00:10.70 ID:d2cZUloeo
立ち並ぶ廃墟を抜けると、見晴らしの良い丘に辿り着く。
こちらから周囲を確認出来るということは、同じく見張る事も容易だということだ。
安全な場所とはいえない高台の先で、男は粗末なスコップで何かを埋めていた。
手や衣服には固まった血がこびり付き、獣が興味を示しそうな血臭が歩き回った軌跡に残る。

「……どうか、安らかに」
人らしき何かを埋めてまばらに積もった土を均すと、胸に十字を切って祈りを捧げる。
足元に置かれたオイルランプが、やりきれないような表情をした男を照らしていた。
263 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 21:24:14.76 ID:z8BbGZvY0
【闇の中に、また絶叫がこだまする。男の声……】
【その絶叫は次第に嬌声になり、そして最後には、老人のようなくぐもりとなって、消えた】
【そして……ピチャピチャ、ヌチャヌチャという粘り気のある音が消え】
【闇の中から一人の女が、荷物を抱えてやってきた】

「遠征なんてするもんじゃないわねぇ……運ぶのが面倒。
 でも、せっかくいいオトコの"人形"がわけだし……
 何日、壊れずにアソべるかしら」

【スレンダーなボディに、髪の毛は顔が隠れるくらい長い】
【纏っている服はあまりにも薄着なワンピース】
【ただボロを纏っているのか、豊満な胸は溢れでそうであり、
 短すぎる丈はスラリと伸びた湿り気のある白く長い脚を見せつけるようで、
 角度によっては秘部が丸見えにもなってしまう様なあり様……】

【そんな彼女が背負って歩いているのは……ゾンビ化した人間の死体であった】
【彼女は魔獣である。ゾンビ化した人間の肢体は、彼女の遊び道具……】
【彼女はそれを、自分の住処に運んでいる最中なのであった】

/大体ゼロ時までくらいですがよければ
264 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/09(木) 21:40:12.43 ID:VZ6qfXRDo
>>263

 ――女から見て遥か遠方の闇の中に、閃光が走る。
 何かが弾けるような音が響く。続いて何かが蒸発するような音、何かが崩れ落ちる音。
 繰り返され、反響する騒音。断続的に周囲を点滅させる閃光。
 よく目を凝らせば、その光に一つの人影が照らされていることが分かるだろう。

「――……。――――……。――――……?」

 近付いていけば、人影は「一人」の女性の形として認識できるだろうか。
 彼女は片手を持ち上げて、「何か」を握っている。そしてその「何か」は幾度となく閃光を放ち、その度に騒音を撒き散らす。
 そういったノイズもまるで厭わずに、彼女はぶつぶつと何か呟いているようだが――女がそれを聞くには、さらに彼女に近付く必要があるだろう。
265 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 21:46:08.54 ID:0A/6JnJs0
>>264

「あら……?」

【ゾンビを背負った女は、閃光を見る】
【この世界で光を見るのは稀だ。そして光を不用意に放つ事は、死の危険と隣り合わせとなる】

「イイ……光ね。
 疼くわぁ……」

【女はゾンビ男を投げ落とし、ゆらゆらと引きつけられるように光源へ向かう】
【何かを握る女性の影……それにむけて、魔獣の女は強酸の匂いを発しながら、声をかける】

「ずいぶん、イイモノを持ってるじゃあない……
 それはなぁに?」

【好奇心で尋ねる魔獣の女】
266 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx :2014/10/09(木) 22:00:15.55 ID:nvC6nf0yO
>>265

 背後からかけられた声を聞き取れ場、女性は「何か」を構えたまま振り向いた。
 年若い、二十歳ほどの女である。燃やした新聞紙のように黒い髪を後ろで束ね、不機嫌そうに歪んだ口には煙を吐くパイプタバコが咥えられている。
 顰められた眉の下に落ちる青くぎらついた瞳は、貫くように女を見つめる。

「まず私が先に問おう――誰だ、お前は」

 魔獣の女の湿り気を含む艶やかな問いかけに、女性は低く淀みない声色で答えた。
 細長い「何か」の先端は、真っ直ぐに女に向けられている――それは、銃口であった。

「私は今、ここらで目撃されているタチの悪い魔獣を始末するためにここで威嚇射撃をしている。
 そしてお前の返答によっては、お前の頭をぶち抜くことも厭わない。いいな」

 唇の間で揺らついてパイプタバコは、噛み締められているかのように動かない。
 女性の指は、既に無骨なトリガーにかかっていた。
267 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/09(木) 22:01:24.69 ID:nvC6nf0yO
/sage忘れ……すみません。
268 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 22:08:02.74 ID:2s1bRbWK0
>>266

「誰だ、なんて嫌ァねぇ……
 私の名前はキャラ。キャラマール。
 人は私をホテル・キャラマールと呼ぶわ……この先のラブホテル跡が、私の住処」

【「何か」を向けられながら、女魔獣はくねくねとしつつ、大きな口を歪ませて答える】

「あら、そんなもので"抜け"るのかしらン?
 ……やってみたらどうかしら……
 
 ……ヤレるものならネェェッエエッ!!」

【その顔、その瞳、その香り立つ髪!】

(破壊したい……犯したいッ! 泣き叫ぶところが、見たいいいぃぃぃぃぃっ!)

【イカ魔獣は不意に本性を見せると、その両手は巨大な触手と変わる】
【そして素早くその指と、その首に触手を巻きつかせようと試みる!】
269 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/09(木) 22:29:50.87 ID:VZ6qfXRDo
>>268

「――ビンゴ、か」

 ガリ、とパイプを噛みながら、彼女は独りごちる。
 女――魔獣が叫んだ時、既に女性は後方へと跳ねていた。
 空を掻く触手を半分睨み、半分その臭いに顔を顰めながら、彼女は自らの得物を構え直す。
 
「ホテル・キャラマールと言ったか?
 ――甘く見るなよ、化物風情」

 闇の中でなお銀色に煌めくその小銃は、彼女に与えられた唯一の爪である。
 黒縁眼鏡の下から眼光を光らせながら、彼女は右腕一本で銃全体を支え、トリガーを引いた。
 直後、破砕音が響く。そして、件の閃光。放たれたのは、5発程度の白く光る光弾――プラズマだった。
 激しい熱と光を大気中に撒き散らしながら迫るそれは、仮に命中したならば魔獣と言えども無傷ではいられないような代物。
 しかし、狙いは甘い。触手を操る女自体を狙ってはいるが、命中したとしてそこは急所ではない。
 そして魔獣の反応速度からすれば、触手で防ぎ切ることも十分に可能だろう。
270 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 22:39:49.93 ID:eKaWTdg10
>>269

「……あーん?」

【女の腕から、にゅーっと飛び出た極太の腕は……】
【2本とも無残に砕け散っていた】
【本体を狙うはずの弾丸は直線的に飛んできた光弾全て命中した】
【腕の撃破に五発の銃弾は腕の体内で大爆発を起こす】

「あらら、腕、もげちゃったわ……
 ふうん、それが≪焔装≫? 噂以上ネェ」

【女はこの強力な弾丸を操る能力を、≪焔装≫だと誤解する】
【イカ魔獣の強力な触手二つを打ち落とす、その威力はすさまじいものだった】

「でも、……この程度なのねぇ」

【女は、ばっとその股を広げると……】
【美しく伸びた足は枝分かれし、醜悪な匂いと照りをもっと、八本の触手に変形する!】

「次は、私の番でいいかしらん? 
 無数の触手が、あなたを官能と苦痛の向う側へ案内してあげるわぁっ!!」

【女の股から生えた8本の触手が地を這ってアリシアの所へ襲いかかる!】
【掴む事が出来れば、両手足を縛り、自由を奪おうとするだろう!】
271 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/09(木) 23:08:41.54 ID:VZ6qfXRDo
>>270

 魔獣の台詞――女性の得物を《炎装》と呼んだそれ――を聞けば、女は態とらしく鼻で笑った。
 煌めくプラズマに照らされた口元はにやりと歪み、タバコを挟んだ白い歯を見せつける。

「……残念だが、こいつは《月装》だ。
 そして、この射撃はまだ序の口だ」

 そして、彼女はこう言い放った。酷く自信に満ち溢れた、高慢で威圧的な口調だった。
 私が勝つことは最初から決まっている。そう言わんばかりの表情と、喉の奥から鳴る笑い声。
 「くくく――魔獣とは、何とも無知なものだな」先程まで睨みを利かせていた双眸を愉悦に丸めて、女性はそう続けた。
 自らの手の内を、自分から晒す行為。紙一重を更に薄めた死線を潜り抜ける戦場では、あまりにも馬鹿げた行為。
 しかし、彼女は自らの信条に背かない道を選んだ。故に世界で誰よりも、彼女は優れているべきだった。
                       
「生憎だが、私にそういう趣味はない――私が好きなのは、私だけだ」

 脚元に迫りくる無数の触手に、彼女は虱潰しに弾丸を浴びせることで対処する。
 しかし、撃ち漏らしの何本かが彼女の足に絡み付き――自由を奪われる前に粉砕したものの、足首を隠す作業着に強酸の粘液が纏わり付く。

/ちょっと確定気味になりましたが、大丈夫ですかね……?
272 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 23:19:01.64 ID:wBaCgJri0
>>271

「あはは、そうなの、まだまだこれからなのねン……
 よかったわ――≪焔装≫がこの程度の軟弱なモノじゃなくて!!」

【魔獣の触手は次から次へと銃の光弾で砕け散っている!】
【物理攻撃には強いものの、こうした電撃系の攻撃は魔獣にとって弱点となる】
【触手は無数に打たれる光弾に踊り、砕け散ってくが、かいくぐり足首を掴んだものは、
 強酸の体液が纏わりつき、彼女の足元を焼く……】

「私はね、自分の事が好きな人を、その人自身から寝取ってやるのが――
 何よりもスキなのよぉぉぉぉおお!」

【相手がなかなかの使い手と見た魔獣は、ついに全身を魔獣化させる】
【全長18メートルはある巨大なイカの魔獣が、闇夜を照らすニセの月――
 これも他の魔獣が起因となっている忌々しいものなのだろうが――
 その光を浴びて、ぬらぬらとした全身をさらけ出す】

「……この姿になって、逃したニンゲンはいないわぁ……
 さあ、早く私のオモチャになって頂戴!」

【そう叫ぶと、陰茎のように飛び出た口から、毒墨のブレスが噴出される!】
【黒の煙を吸いこめば、マヒ性の毒に犯される事だろう】
【といっても効果はそれほど強いものではない。本当の狙いは、彼女から視界を奪い、
 立ち往生している所に凌辱ののしかかり攻撃を喰らわせる狙いがある!】

【触手は大触手2本を失い、小触手8本のうち3本は使い物にならない】
【5本の触手が、じわじわと彼女の肢体を求めてあちこちを這いまわっている――!】
273 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/09(木) 23:42:08.80 ID:nvC6nf0yO
>>272

(……ちッ、面倒だ……こりゃ、長期戦はマズいな)

 足首に走る焼けるような痛みに、彼女は歯ぎしりをする。
 服の上からである以上ある程度は緩和されているが、放置すれば彼女の足が使い物にならなくなるのは自明の理。
 もはや女性は安全なツーペアを積み重ね、ちまちまと稼ぐことはできなくなっていた。
 ――ならばロイヤルストレートフラッシュを狙うのは、人間として当然のことだろう。
 小銃の銃口がゆっくりと動き出し、折り畳まれていた「それ」を展開し――淡い光を放っていることに、魔獣は気付くだろうか。

「ふん、そりゃあ大層いいご趣味をしてやがる……ッ……!?」

 皮肉の一つ二つを飛ばそうとしただろうその唇から、タバコが落ちる。
 不気味でグロテスク、そしてあまりにも巨大な畏怖の象徴――彼女の膝頭が、僅かに震える。
 しかし次の瞬間には、彼女は落としかけたパイプを左手で掴み取った。そして――

「生憎だが――お断り、だッ……!」

 ――ぐるりと彼女は踵を返し、巨大な姿を月明かりの下で揺らす魔獣から、全速力で逃げ出し始めた。
 すぐさま黒い毒墨が噴霧され、彼女の姿はそれに包まれてしまう。だが、それでも彼女は遮二無二に駆け出した足を止めることはなかった。
 ぬるりぬるりと蠢く触手たちを、彼女がどうにかかいくぐれたのなら――すぐ付近の瓦礫の山、その裏に彼女は姿を隠すだろう。
 しかし周囲にあるほとんどの構造物よりも高い位置から彼女を探すことができる魔獣からすれば、それはもはや子供の隠れん坊にも劣るような稚拙な手口だろう。

 ――現在、出力100%。
274 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/09(木) 23:53:09.64 ID:nqLM7B6P0
>>273

「あ、ら……」

【逃げ出す女の影を、イカ魔獣は追う事が出来ない】
【魔獣女の視力は、それほど良いわけではないのだ】
【触手は生体エネルギーをアテに這いまわるが、毒霧の向うに逃げた女の姿には追いつく事は無かった】

(あの子……まだ何か、する気ね……)

【ただ逃げただけだとは思っていないイカ魔獣】
【とはいえ本体の動きは非常に緩慢だ】
【触手を一旦集め、注意深く周囲を観察する――】

【と、やや離れた場所の瓦礫の山の上に、逃げた女の姿を確認する】

「そ、こ、ね――」

【イカはまだ生き残っている触手に力をこめ……】
【一気に身体を収縮! その反動で巨大イカ魔獣は大きく飛翔する!】

「お断りを――お断りするわぁぁぁあっ!」

【イカは、まるで集魚灯に惹かれ突進するように、その鋭い三角形の頭を向け、
 瓦礫の山をめがけてダイビングヘッドを試みる!】
【命中精度というよりは、巨体の身体を雑に突進させる巨大体当たりだ!】
【瓦礫の山ごと吹き飛ばす腹づもりのようだが……】
【しかし、ガンナーにとってはまっすぐ飛んでくる巨大な目標は、ていのいいマトである。しかし、外せば? 出力威力が、突進を止めるほど無かったとしたら?】
【巨体に向かって、引き金を引く勇気は、女にあるだろうか――?】
275 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/10(金) 00:16:34.32 ID:rYBGMQdRO
>>274

「……! あー……」

 辛うじて逃げおおせた女性――しかし、次に魔獣が取った行動を見れば、漏らすような溜め息を吐く。
 飛び上がって落ちてくる、巨体。今の彼女にそれを止めることは、不可能だった。
 まだ、完全に充填は終わっていない。今の不完全な状態で発射した所で、あの身体の4分の1も破壊できるか怪しい。
 仮に撃ち抜けたとしても、結局落ちてくることに変わりはない。彼女を押し潰すのが肉体から死体に変わるだけだ。
 ――だが、今なら、もしかすれば。

「……面倒なことになった」

 ――彼女は右腕をアームガードで覆い隠すスナイパーライフルを、左手で支える。
 着地寸前なら、撃ち抜いた後の運命は変わらないかもしれない。
 しかし魔獣が未だ上空に留まっている今ならば、その降下態勢を崩させて落下点を変えることも不可能ではなかった。
 当たればそれでよかった。止めを刺さなくても、彼女の方向に向かってこなければ。
 一秒も経たずに、彼女は決意する。

「――グリーン、ゴー」

 ――そして遥か高空の魔獣に向けて、彼女はスナイパーライフル――荷電粒子砲の引き金を引いた。
 刹那、機関部の重金属粒子が光速限界まで加速され、狂おしいほどに光り輝く青白いチェレンコフ光が先駆けて銃口から迸る。
 その直後。彼女の砲身から金色に閃く荷電粒子の一条が、真っ直ぐに魔獣の頭部へと突進していった。
276 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/10(金) 00:30:31.36 ID:yWjDmoTZ0
>>275

「!?」

【荷電粒子砲から放たれた、一条の閃光】
【それは≪都市≫に住んでいる人々からも、その光は見る事が出来ただろう】
【天を穿つその光は――魔獣の頭部を……かすめた!!】

「ぐぉぉぉぉぉおっがぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあッッッッ!!」

【照準を合わせる時間が、僅かに短かったのだろう】
【あるいは、恐れか、緊張が、本の数ミリ、銃身に伝わってしまったのか、狙いは数ミリずれ、
 イカの急所を僅かにそれる……】
【しかし突進する魔獣は粒子砲に煽られ、強力に縦回転を起こし、
 ガンナーの彼女がいる瓦礫の山のすぐ脇に落下する!!】
【落下地点をずらすという目論見は、どうやら成功したようだ。】
【巨体が堕ち、周囲にある地面をえぐり、瓦礫片が当たりにまき散らされる】
【イカ魔獣は噴煙の中、しばらく沈黙していたが……】

「ああああああああああああああっ!
 ああああああああああああああああああああああっ!」

【渾身の粒子砲も、イカの命を奪うまでには至らない】
【しかしそれなりのダメージを受けたことで怒り狂うイカは、周囲の瓦礫の山を
 残った触手を使って、当たるを幸いに崩しまくり、暴れまくっている!】
【だが、肝心のガンナー女の姿は確認しきれていない様子】
【瓦礫の煙幕は濛々と立ち上り、個人を認識する事は難しいようだ……】
277 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/10(金) 00:48:44.34 ID:rYBGMQdRO
>>276

「――ッ!!」

 一瞬だけ、彼女は諦めかけた。照準を定め損なったことを、光条の軌道で理解したからだ。しかし、結果は彼女の予想したものとは違った。
 激しい地響きと砂煙が上がれば、地に墜ちた哀れな魔獣は痛みに震えて彼女のすぐそばで足掻く。
 粒子砲の激しい反動に耐えかねて、彼女は大きく後ろに転倒した。そのままごろごろと瓦礫の山を転がり、やがて止まれば、

「……くく、くくくっ」

 ――陰気な笑い声を漏らしながら、おもむろに立ち上がるのだった。
 彼女は賭けに勝った。ロイヤルストレートフラッシュとまでは行かなかっただろうが、しかしフルハウスでも十分なほどの払い戻しだった。
 そしてようやく魔獣が未だに暴れていることに気付き、慌てて瓦礫の山から離れる――触手の一本が、すぐに彼女のいた山を叩き壊した。

「よくもまー、死に損なったもんだ……」

 ある程度の安全圏、魔獣から100mほど離れた位置まで逃げれば、彼女はとりあえず足を止める。
 次に相手は、何を仕掛けてくるか――それに応じ、彼女も次の自身の一手を変える。
278 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/10(金) 00:59:08.23 ID:72R/1/ql0
>>276

「……」

【ふと、イカ魔獣は動きを止める】
【濛々と土煙が昇る中、沈黙すると……】
【魔獣はゆっくりと縮小し、人間体の身体に戻っていく】

「去るものをあえて追うのは、シュミじゃないわ……
 フン、ニンゲンの≪月装≫使い、なかなかヤるじゃないのさ」

【そう呟くと、なまめかしい身体から千切れた手がにゅるりと再生させつつ……】
【撃った≪月装≫遣いを追う事無く、彼女は自分の住処に帰ろうとする】
【どうやらそれなりのダメージと、マトを見失った事で戦意を喪失したようだ】

「……いいオモチャになると思ったンだけどねぇ」

【土煙の中、彼女は静かに闇へと帰っていく】
【追撃するスキは充分にあるものの、遠隔攻撃は土煙と障害物が邪魔をし、
 難易度はかなり高いだろう……】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/10/10(金) 01:22:12.17 ID:8DJ8Js4wO
//永夜世界の外部雑談所です!
http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1412592533/
280 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/10(金) 01:24:49.70 ID:rYBGMQdRO
>>278

 結果として、魔獣はそれ以上彼女を追うことはなかった。
 女の影が砂煙の中をゆっくりと逃げてゆくのを視認すれば、女性はふぅ、と一息をつき、その後、

「――ああああああああああああああああああああッッッッッッッッ!!!!!!!!!」

 ――到底女猿のごとき叫び声を上げ、唐突に拾い上げた瓦礫を無造作に投げ捨てた。
 
「何故だッ! 何故私は勝てなかったッッ!! 何故だ何故だ何故だ何故だッッッ!!!!!」

 狂ったように怒鳴り散らす彼女はポケットから棒付きキャンディを取り出し、包装も剥がさぬまま口に入れて噛み砕く。
 こうやって彼女は病的な、いやもはや病と言って差し支えないような完璧主義を押し通している。自らの心の中に、いつも。
 ――彼女にとって、完全な勝利以外の戦果に価値はなかった。勝ち続けることが彼女にとっての存在証明だった。
負けることや引き分けることは、どんな理由があったとしても許されることではなかった。それが、彼女のプライドだった。

「……す、……ろすっ……!
 いつか絶対ブッ殺してやるッ、あのイカ女ッッ……!!」

 ――そして怒りはやがて、そのプライドを傷つけたものに対する感情となっていった。
 噛み砕いたキャンディの破片を地面に吐きつける。ギラギラと輝く彼女の瞳は、遥か向こうに悠然と逃げ帰る、一匹の魔獣をいつまでも睨んでいた。

/と、私からはこんな感じで〆させて頂きます……。
/ロールありがとうございました! また機会があれば、ロールしていただけると嬉しいです。
281 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/10(金) 01:29:47.96 ID:72R/1/ql0
>>280
/こちらこそー。お疲れさまでした……
282 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/10(金) 21:22:04.28 ID:AtaAPfyvO
【瓦礫に埋れた街。見事という他ない程に倒壊し、人の気配を感じさせない道には珍しく足音が響いていた】

ーーーーー。

【その音に近付き音の正体を確かめれば、軍服姿の端正な顔立ちの青年が大太刀を携え軍靴を鳴らしながら歩いているだろう】
【魔獣が蔓延る世界においてその姿はあまりにも堂々としたものであり、さながら行進の様に道の真ん中を歩んでいる】
【薄暗闇に浮かび上がる右眼の蒼い瞳はただただ真っ直ぐと道の奥へと向けられていた】
283 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/10(金) 21:39:11.31 ID:jlPmtHC6o
ここは大手製薬会社が保有していたビル。
都の中心部からそう遠くない位置にあり、好立地の物件だ。
夜が降りてきた日まで、薬の研究という形で人々を救い続けた施設である。
無論、その手の薬の類は殆ど持ち出されているが。

「…電気もいつまで持つかな」
エントランス区画に小さな光が一つ灯っていた。
椅子の一角を占拠するのは、カジュアルな装いの女。
女は小さな端末を弄っていた。今時、電話の類は機能しないというのに。

「敵の素性が見えてきたといっても…
 それでどうにかなるのは大間違いなんだよね。
 事態は何も変わっちゃいない、刻々と事態は悪化するだけ…」
中折れ式の端末の片隅は今もなお、圏外と表示されている。
今は亡き、旧自警団団長の画像ファイルを眺めていた。
284 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/10(金) 21:42:43.07 ID:iUZWNgr1o
>>282
 今宵、灰色の少女は空を彷徨っていた。宙は彼女の領域だ。
 人の街を見てきた帰り、ふと視線を下げた。眼下、静かな荒街に足音ひとつ。
 そして奇妙な衣装。パヨカは知らぬがそれは明治、大正頃の時代錯誤の軍服。
 手には失われた三日月の如き大太刀。端から話し合うつもりはないという意思の表れ。
 自分と、姉のために、ともだちになれないのなら危険は排除しておこう。そのつもりで降りる。

 船坂の視線の先、灰色の少女はゆらり舞い降りた。そして色の異なる双眸を見上げた。

「よわい子が、ひとりぼっちでいいの」

 嘲るようにくすり、笑う。死の翼が広がり、滅びに灰が散る。瓦礫は崩れ、道はひび割れた。
285 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/10(金) 22:02:01.79 ID:veE6a8hVo

 倒壊したビルの鉄筋コンクリートが、あらゆる物を埋めていた。
 都市中心部から僅かに離れた、嘗てはビル街だっただろう場所。
 砕け剥がれた地面の舗装が、辛うじてここがストリートであったことを理解させる地帯。
 そこに、彼女はいた。

「…………! 手応えあり、か」

 擦り切れた黒い作業着。所々塗装の剥げた銀色のゴーグル。靴底の薄くなった安全靴
 彼女はそれらを身に着けた上で、瓦礫の山を横から掻き分けていた――既に、13時間以上。
 どかされた瓦礫は既に新しい小山を形成し、掘り進めた山にはぽっかりと大穴が開いている。骨組みも何もないその洞穴は、いつ崩れてもおかしくはないだろう。
 そして当然、その穴の中に彼女はいた。

「……どうやって引っ張り出すか、CTスキャナー……!」

 コンクリート片の多くは薄汚れてしまっていたが、しかし元々は白を基調とした淡い色で塗られていたようだった。
 彼女が作り上げた小山の上に、無造作に一つの看板が乗せられていた――《小……総合……院》とだけ、読み取れる。
 彼女――アリシア・P・シノットは、ジャンク屋であった。それも、飛び切り腕利きの。
286 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/10(金) 22:03:21.46 ID:AtaAPfyvO
>>284
【眼前に現れた者に対しその歩みを止め、深く被った軍帽の隙間から突き刺す様な眼光がその姿を捉えた】
【それは果たして天使か悪魔か、地獄同然のこの世界においては答えは一つなのだろう】


弱い、か…
間違えではないだろう。
【緩慢な動きで大太刀に手を触れ、不敵に不遜に笑みを浮かべる】
【それは決して余裕でも驕りでもない。自身に敵意を向ける者に対してはいつもそうしていたのだ】

貴君は人か?それとも獣か…?
【問いかけたと同時に青年の蒼い瞳はより一層の光が宿り其方に向けられた】

287 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/10(金) 22:03:48.90 ID:cfKPU9fa0
【10階建ての廃ビルの屋上】
【サブマシンガンを両手に佇む、ボロボロの白いローブを身に纏った少女】
【何気無しに闇に包まれた空を仰ぐと、冷たい風が吹き抜けて】
【地に着きそうなぐらいに長い少女の白髪を揺らして行く】

……………

【何時迄もこうしてはいられない。《魔獣》を殲滅して早く《人間》の世界を取り戻さなければ、その為には戦い続けなければならない】
【少女は銃を握る力を強め、踵を返して屋上の出口へと向かう……】

288 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/10(金) 22:12:51.02 ID:EjGFh2lg0
>>283
「とは言っても行動しなきゃ変わらないっと」

手をひらひらと振りながら声をかける少女は未来。最近の有子にとってはお馴染の人物か。
以前と変わったところがあると言えば右腕から軽い出血をしているぐらい。
それもこのご時世なら特に気に掛ける必要もない些細なことである。
床に散らばったガラス片を気にすること無くそれらを踏み、パリパリという軽快な音を鳴らして有子へと近寄っていく。

「人影が見えたから来てみたけど、まあ魔獣でなくてよかったよ。ところでいったいそれなーに?」

今時珍しい電子機器類は未来の気を引くのに十分であり、首を傾げながらそれについて訊ねた。
289 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/10(金) 22:18:06.47 ID:iUZWNgr1o
>>286
 眼光、蒼さを増し闇夜を射抜く。それを見てパヨカは口端を釣り上げた。
 灰色の瞳は猫のように細まり、虹彩は暗青に滲む。視線が宙で炸裂する。
 手を取り合う弱者ではなく相対するとあれば、《夜》に抱かれ生まれたものに他ならない。

「しってることを聞くのは、おばかさんのすること」

 四翼が船坂へ向けて羽撃いた。その突風にのり、滅びの灰が吹きつける。
 それに触れれば、吸い込めば、あらゆる意味で干渉すれば、身体に異常をきたす。
 服は千切れ、刃は欠けるであろう。そして体には病毒。
 悪寒、発熱、頭痛、倦怠感、腹痛、嘔吐、下痢。枚挙にいとまなく。
 それは彼の知っている病状で言えば、インフルエンザに酷似しているだろう。
290 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/10(金) 22:21:53.47 ID:jlPmtHC6o
>>288
「…しているつもりじゃ、ダメかな?」
端末を閉じ懐に収める。
突然の来訪者に驚く様子はなく、腕輪が危機を教えてくれるらしい。

「手当て出来るアイテムなぁ…
 ココには少しくらいは、この手の品が残ってるからね」
…血の匂い、まだ新しい方の血。
ふと、カウンターのほうを向いて何か無いか探る。都合のいい金庫が見える。
ヘアピンの一つを取り出し、鍵の掛かった金庫へと駆けて行った。

「んーと、ガラケーって奴?
 皆新しいもの好きだから、コレ持ってるの私くらいだよ」
金庫の開錠を試みる。
//ロックピック判定:コンマ末尾奇数なら成功。
291 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/10(金) 22:24:23.57 ID:/W+Ju9jd0
やけに生々しい、水っぽさを帯びた音が辺りに散る。ぐちゃり、ぐちょりと続くそれは次第に、硬質な物を砕くばきばきという鋭い音とで協奏を始めた。
音の出処を探ったのなら人気のない荒地の中、他の建物から距離を開けてぽつんと聳える建物が目に留まる。
そこは、かつての団欒を影も残さぬ、砂塵を被った廃アパート。

耳を澄ませば聞こえてくるのは異質な声色。くつくつと笑うそれは辿れば扉の無い、2階のとある一室からのものだとわかるだろう。
そこに到るまでの鉄製の質素な階段は錆びつき腐食し、今にも崩れ落ちてしまいそうで。しかし、辿り着く方法は少し思慮したならば別にも思いつけるだろう。

「……嗚呼、おいしい」

そして、扉の無い部屋の中からは、艶のある女の声が発せられる。
部屋の中を見たのならば、そこには、人の胸程もある大柄な一頭の黒い獣と、何やら蠢く暗黒を身につけた女の––––––否、魔獣の姿。
そして、それらの足元には。何処で仕留めたのか、既に性別すらも識別出来ない程噛みちぎられ、舐め取られ、剥ぎ取られ、最早ボロきれのようになってしまった、人間の死体が静かに横たわる。
今も尚続く協奏は死体を食い漁る黒い獣の口周りから発せられている。ばきり、ぐちゃりと。
女は前屈みに死体から一本指を千切り取ると、まるで煙草や煙管を嗜むかのように、優美に口に咥え込んだ。
292 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/10(金) 22:37:43.97 ID:EjGFh2lg0
>>290
「しているつもりにも色々とあるからねぇ。結局は後悔しないように思う通りに行動するしかない訳で、私が決められることではないのさ」

最近の有子は変わりつつあるのを感じ取れる。なら変に口を挟むべきでは無い。
それは進む方向を自分の意思で決めて行動しているならば本人に任せるという未来の考えによるものだった。

「私の携帯は既に瓦礫の中だよ……。そもそもバッテリー残ってたんだねぇ。ってピッキング!? どこで覚えたのさぁ……」

普通は施錠した建物に無理に入る必要は無い。そもそも扉どころか既に崩れた建築物だらけである。
そして形状を保ったままの建物があったとしても《月装》で扉をぶち破ればいい訳で、ともすれば覚える場所は限られている。
しかし特に咎める気はなく、未来は呆れたような表情を浮かべていた。
293 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/10(金) 22:44:18.51 ID:jlPmtHC6o
>>292
「こんな簡単な鍵なのに、誰も開けないなんてね」
成功。小さな金庫から、白い箱と資料と思わしき紙束が出てくる。
有子は《応急箱》を獲得した。…開錠の姿は手馴れていたように見えた。

「未来ちゃん、コレまだ使えるよ」
《応急箱》を開くと、消毒液、包帯、絆創膏…一通り入っている。
応急箱を片手で持ち、けが人のいる方へと駆けていく。

「まぁね、電撃受けて一時壊れたかなって思ったけど。
 割と頑丈に出来てるものだね、昔のものってさ」
笑みを浮かべて戻ってきた、赤十字のある白い箱を片手に。
294 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/10(金) 22:56:36.27 ID:AtaAPfyvO
>>289

…然り
【短く言葉を返したその先。蒼き瞳に映るモノは獣の如き笑みを浮かべ、敵意の現れとして赤黒い揺らめきに包まれる者】
【その右眼に備えた「月装」は脅威を視ることができる代物だが、そんなモノを必要ともしない凶暴な敵意を前に小さく笑みを浮かべた】

私の名は船坂 総一郎
ーーーただのか人間だ…!
【羽ばたきに巻き上げられ迫りくるそれは紛れもない死へと誘う脅威。普通ならば避ける様にすれば大事には至らずにすむのかもしれない】
【しかしそれをわかりながらも其方に向けてこの男は全速力で走り出した】

…ッ!!
【無論のこと服は千切れ視界が揺れ身体に駆け巡る毒。あらゆる病を含んだ死の灰を浴びながらも勢い衰える事を知らず。猪突猛進の如く力強い踏み込みで間合いを埋めれたならば、閃光の様な太刀筋が下方から上に向けその片翼に向けて居合いとして放たれるだろう】

/遅くなってすみません!

295 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/10(金) 22:59:11.47 ID:EjGFh2lg0
>>293
「救急箱? ラッキーだね。でも薬ってどこの管轄だったか有子ちゃんは覚えている?」
「一応、自警団の本部に持っていけばどうにかなるとは思うけど」

物資の不足の中、無論このような医薬品なども貴重である。
よってこのぐらいの怪我であれば平気だろうと考えていた未来に自分で使うという発想は無かった。

「ガラケーは二階から投げても無事だって聞くけどそこまで無事とは……。んで、その資料は……。なんて書いてあるの?」

会社の金庫に入っているものならば契約書の類だろうか。
そうであれば未来には関係のないものであるが、そういった無駄なものに意外と人間は興味を惹かれるものである。
296 :ガルバ</b> ◇Ufh.IBXlJE<b> :2014/10/10(金) 23:02:13.68 ID:uMz6f9Xy0
「…つまんねぇなぁ」

そう呟くガルバの足元にはもうどんな形をしていたのか判別がつかなくなった人間の死体があった
ふと人間を見つけて、なんとなく殺したくなった
たったそれだけの理由で人を殺したのにも関わらず出てきた言葉はそれだった

「なんつーか、人間だった時とあんまかわんねぇな」

ただ、[ピーーー]相手が違うだけで人の頃と何らかわりない生活
魔獣を[ピーーー]か、人を[ピーーー]かだけの違い
考ることは、その頃と全くの別物になってしまっているが
することもないし、暇潰しに人間でも殺そうか――――足元の死体をなにもないかのように踏みつけて、また町を歩き出した
297 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/10(金) 23:08:07.11 ID:jlPmtHC6o
>>295
「医療班の備品行きだね…まー1、2回くらいならいいんじゃないかな。
 ささっ、こっちで手当てをするよ。これでも元・医療班だし」
元医療班…現在は月装能力者として前線に飛ばされているが。
有子は横に座り込み、穏やかな表情で怪我の様子を見ようと未来の方を眺めた。

「うわぁ、ひどいの書いてある。
 コレ、お菓子代に20万とか30万とか書いてあるし…
 今じゃこの手の不正は出来ませんね、命掛かってますし」
ついでに持ってきてしまった契約書の類を横目で見る。
会議で人事問題に挙げられそうな酷い資料だ。
といっても、ここで働く人間は夜に飲まれたか、非難キャンプに居るかだが。
298 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/10(金) 23:17:01.19 ID:iUZWNgr1o
>>294
「わたしはパヨカ。死ぬまでのみじかいおつきあいだけど、よろしくね」

 たかが人間、されど人間。《夜》を討つべく死に挑む愚か者。決死を誓う戦士。
 死の空気を吸い込み、その中を駆け抜ける男の決意は意外だった。灰色の眼を見開く。
 灰色の闇を貫き、奔る閃光は四翼のうち一つを切り裂かんとする。パヨカは口を歪めた。

「ほしいのなら、あげる」

 一翼が落ちる。はらはらと、はらはらと。羽が舞い灰が散る。残るは三翼。
 男の眼前、舞い散った灰と羽を一翼が羽撃き船坂へ吹き付ける。
 残り二翼が巨大な手のように左右から船坂を挟み込み逃がさぬつもり。

「かわりに、いのちをちょうだいな」

 灰に触れればインフルエンザは悪化し肺炎すら伴うであろう。
 羽に触れればより凶悪な病毒に成り得る。それは天然痘。ましてや多量の羽。その進行速度は尋常ならざる。
 即座に皮膚全身に豆のような丘疹が生じ灰の損傷、呼吸困難、呼吸不全にすら成り得る。

 無論、死の根源たる翼に直接触れた刃がどれほどに朽ちたかは言うまでもない。
299 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/10(金) 23:17:47.33 ID:zd0LBGqUO
>>296
「―――――――――――――見つけた」

感じ取る。雰囲気を。場所は。あそこだ。敵だ。魔獣だ。姿形は人間でも、雰囲気がそう語っている。汚らわしき悪魔。
殺さなきゃ。殺さなきゃ。殺さなきゃ。殺さなきゃ。殺さなきゃ。殺さなきゃ。殺さなきゃ。

町を歩く魔獣を、崩月は偶然見つけた。否、見つけたというよりは、その悍ましい雰囲気を感じ取ったとでも言うべきか。
憎しみに塗れた双眸が輝き、右眼の紫色の瞳が煌めく。
即刻即時戦闘態勢へ。手を抜かず、徹底的に潰す。周囲に人はいないはず。ならば、思う存分に暴れられるはず。
もう一度敵の場所を確認。まだ、気づかれていないはず。

「――――――――――――!」

言葉は不要。行ったのは、無言による奇襲。
右腕を振るい、衝撃波を飛ばす。それは、側面より魔獣へと迫る。
喰らえば衝撃によって後方へと吹き飛ばされるだろう。躱せば、立っていた地がそのまま切り取られているかのように消失するはずだ。
300 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/10(金) 23:19:19.08 ID:EjGFh2lg0
>>297
「えー、有子ちゃんがナース服きて白衣の天使? 似合わ、似あ……、うーん。」

ナース服の備蓄が有るはずも無いがどうしても想像してしまう。
未来は腕を差し出しつつも有子の顔を見ては空に視線を移し、何かを想像しては悩む仕草を見せている。
もはや治療を受けていると思えない行動。有子に親しみを感じているからの行動でもあるが、それでも礼儀というものにやや欠けているか。

「お菓子ってなんかの隠語でしょ……。黄金色のとかさぁ。でも今ならモナカの方が価値はありそうだけどね」

既に紙束に書かれた内容よりも紙束自体の方が価値がある。これもついでに持っていけば感謝されるだろう。
多少の肌寒さを感じた時に燃やせば暖かい。
301 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/10(金) 23:30:20.45 ID:jlPmtHC6o
>>300
「消毒用アルコールの匂いってステキだよねー。ほんのりふわーってするの…」
医療行為は慣れていた様子だった。…アルコールではなく普通の消毒液だが。
真新しいハンカチを用意してたりと用意も十分だった。
怪我の具合は思ったほど深くは無い、大き目の絆創膏を使い傷口を覆う。
…姿見の向こうにピンク色のナース服に白いエプロン。悪くないなと想像しながら。

「折角の都住まいだし、お茶菓子が恋しくなるよね。
 なんかこう、もっと贅沢したいな…っと」
一通りの手当てが終わり、紙束を箱の上に載せ今日の戦利品を眺める。
大当たりを引いたと、小さく微笑んでいた。
302 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sage]:2014/10/10(金) 23:37:04.66 ID:/W+Ju9jd0
//おうふ…急用につき>>291は撤回し、後日使い回します。
303 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/10(金) 23:39:32.97 ID:uMz6f9Xy0
>>299
「―――ッ!」

歩いていると、視界端に何かが映った
それが何かは分からなかったが、自分に向けられた攻撃であること―――なによりも危険なものであることが本能的に分かった
咄嗟に能力を使い、急いで後ろに跳んで避ける
―――避けきれなかった服の一部と、先ほどまでいた地面が削りとられたかのように消滅している
この破壊力は月装ではありえない―――敵は焔装使いか
それが分かると本格的に能力を発動させ、ガルバのほぼ全能力が向上し、破壊の概念がその身に付加される

「―――面白い能力持ってんなぁ、人間」

攻撃のあった方を向き、こちらに攻撃をしたであろう男の姿を捉える
灰色の髪に、紫の瞳―――凡そ一般人には思えない、攻撃してきたのはあの男で間違いないだろう
魔獣になってから初の焔装使い戦、なんの能力かは分からないが油断できる相手では無さそうだ
攻撃するためにも一先ず距離を詰めようとそこらの魔獣よりも断然早い速度で男に迫る
このまま接近できれば腹部にむけてその拳を放つだろう
304 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/10(金) 23:45:39.57 ID:EjGFh2lg0
>>301
「お酒なら頼めば少量だけど簡単に貰えるみたいだね。私は長時間行動する時に持ち運びする水に混ぜてるよ」
「闇市で食糧と交換するか、この医薬品の功績として交渉してみてもいいかも。どうせだし一回飲んでみたいよねぇ」

頭がふわりと感じるのは酔っているからではないか? という未来の想像。
未成年であろうが既に法は機能していない。多少のことなら見逃されるだろう。

「ありがとう。ほんと手馴れてるねぇ。」

手当を受けた腕をぶんぶんと振り回しながらお礼の言葉を述べる。
その治療は腕の動きを阻害していない。有子の医療班としての技術を感じさせる出来であった。

「餡子なら缶詰のがあるけど。そういった嗜好品は《焔装》の人にまわされるから口に出来ないしなぁ。」
「《夜》を晴らしてからのお楽しみかぁ」
305 :船坂 総一郎 ◆u52mgUTcRc :2014/10/10(金) 23:45:44.44 ID:AtaAPfyvO
>>298

【ゆらゆらと舞う灰と羽根に夜に変わる前の世界に舞う雪を想う】
【眼前に佇む圧倒的な敵は、一翼をもぎ取ろうがその脅威は何の衰えも見せない。それに引き換え斬り裂いた大太刀の刀身にはヒビが割れた】

ぐッ…!!
【ぐらりと視界が揺れる。毒は身体を蝕み着実に訪れる死を予感させていた】

この命…
【そんな中でさえ、船坂総一郎という男は不敵に笑みを浮かべた。どうしようもない絶望の最中において尚も、その瞳はパヨカを真っ直ぐ貫く様にして蒼く輝いていて】

まだやる訳にはいかぬ!!
【一際に光を現す蒼き輝きは総一郎の身体を一瞬にして包み込んだ。それは月装が齎したものだろう】
【羽根や灰を振り払う様に横に一閃を描き後方に飛び下がるその脚力や腕力は人のそれを遥かに超えて、最小限に接触を抑えながらもはさみ込もうとする二翼から離脱をはかった】

306 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/10(金) 23:56:10.08 ID:zd0LBGqUO
>>303
「……………………ちっ!」

奇襲によってあまりダメージを与えられなかったようだ。少し浅はかだったか、本来ならばもう少し痛手を与えておきたかったのだが。
舌打ちを一つ、だがすぐさま意識を切り替え、敵の反撃に対処しようと構える。
差し出すは"有"の概念を司りし左腕。掌に光が収束、数瞬の間に、左手には剣が握られていた。

迫る敵。疾い。この速度から繰り出される攻撃を喰らえばまずいと、脳が警告する。
狙いは腹部か――――ならば、と逆に相手に向かって踏み込む。身体を少々拗じらせ、迫るであろう拳を腹部から脇腹に逸し。
魔獣が拳を放ったと同時、腕を前に思い切り突き出す。此方もダメージを受けるが、相手にもダメージを与えようという寸法だ。
307 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/10(金) 23:56:38.35 ID:jlPmtHC6o
>>304
「いけないな…フラッシュバック的な奴だ。
 お陰で酒はダメなんだ。すぐに酔っちゃう体質みたいでね」
会合で飲まされた事があり…顔を青ざめる。

「いえいえ。でもピンクの衣装って柄じゃないんだよね…
 私が戦隊物だと…イエローでもなさそうだしさー」
得意げな表情を浮かべ、座ったまま両足を脚をぶらぶらさせる。

「ねぇ、未来ちゃんは…
 《夜》を晴らした時に、何色の衣装を着たいと思う?」
有子はぼんやりと天井を見上げて、身に着けたい色について尋ねた。
308 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/11(土) 00:02:41.33 ID:bjyNJOP3o
>>305
 既に罅割れていた大太刀が、羽と灰を振り払いさらに《死》に触れた。
 砕けひび割れた刃で無理をすれば、それは寿命を縮めることになろう。
 一閃し、背後に跳ぶは蒼い瞳が前方に満ち溢れている死を見るが故か。

「それがフナサカの月装なの。はやいね……人間にしては。
 でもわたしよりは、とっても遅い」

 一翼が地面を殴りつけ、反動でパヨカが弾丸のように放たれた。さらに二翼が羽撃き、宙で加速。
 パヨカの水平飛行速度はハリオアマツバメを上回る。されどそれには位置エネルギーの関係上助走が不可欠。
 これを地面を殴って反動で飛ぶことで無理矢理解決した。その飛翔速度、瞬間にて時速170kmを超す。

「お、わ、り」

 反動に使った一翼が振りかぶられ、ただでさえインド象すら吹き飛ばす一撃が船坂へ向けて放たれた。
 加速を得てその威力、もはや掠める程度でも人間など弾け飛ぼう。
 そして《翼》自体に触れればその毒は言うまでもなく。即座に心筋梗塞すら引き起こす即死に等しい。
309 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/11(土) 00:09:29.31 ID:0q/sm2hO0
>>307
「あー、吐き戻したりって辛いもんね。匂いだけで酔うとなるとよっぽど酷い体験をしたんだね」

未来自身はアルコールに弱くないだけにそれは残念だ。酒を入手出来たら飲ませてみたいと思っていたところである。

「すぐにじゃなくていいなら白かな。ウエディングドレス。光り輝く太陽の下で幸せな式を挙げたいな」

両手を胸の前で握りしめ天井を見上げる動作。空想を巡らせる少女そのものな仕草であった。
夢見がちと捉えることが出来るがどうせ夢の話。尤も、その前に相手ができるかどうか……。

「有子ちゃんは何色? 戦隊物ならブラックが似合いそうだけど」

未来にとって有子の出会い、不思議な魔獣の男との戦闘に駆けつけてくれた(偶々いた)イメージがどうしても強いようだ。
310 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/11(土) 00:11:20.46 ID:RFBCqGXb0
>>306
「――――!?」

殴りかかった瞬間、相手の左手に剣が握られた
先ほどまでは確かに何もなかった筈なのに、いったいなぜ?
そして、相手はその身をよじらせ、直撃箇所を腹部から脇腹へとかえた
このまま腹部に当てれば相手の体に大穴をあけてやれたというのに―――そう考えるも、もう遅い
相手は自分からこちらに踏み込んできて剣をつきだしてきた
当然殴りかかった勢いは止まらず剣は腹部に突き刺さる、だが物理的な攻撃力のみなら最高クラスだと自負している、余程硬くない限りは相手の脇腹を吹き飛ばしてやれたはずだ

「…やって、くれるじゃねぇか」
「人間風情がぁッ!!」

このまま一気にけりをつけてやろうと殴りかかった方とは別の腕で相手の首を掴もうとする
もしも掴めたならそのまま首を握りつぶそうとするだろう
311 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/11(土) 00:20:09.41 ID:y6Az2OFeo
>>309
「その時はちょっとしたドリンクで紛らわすからいいよ」
他愛無い会話に、ほんのりと日常を感じた。
有子はふと口元を微笑ませる。楽しいという感情は、こうなのだろう。

「誰かと結ばれるのは考えた事なかったな…
 …男の人も大分数減らしちゃってるしさ」
微笑むのをやめ、電気の通ってない照明を眺めていた。

「まるで光と影、お日様とお月様の関係みたいね…
 …たしかに、白い肌に黒ってのは冴えるかもね」
黒は力強い印象があるが、星空を塗りつぶした色でもあり複雑である。
しかし…そこまで自分が黒が似合うかと思うとなぜか否定できない。
312 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/11(土) 00:26:31.10 ID:CdEhB+qgO
>>310
「っ……………………」

突き出した剣は、ものの見事に相手の腹部に突き刺さる。そして、崩月の脇腹には―――――文字通り、穴が開けられていた。
大きさは大体拳一つ分程。血が滴り落ち、最早痛みすら感じない熱と、感覚の麻痺があるのみ。時間さえかければ左腕で治せるだろうが―――――今は、無理か。

続いて、空いた手で首を掴み握りつぶさんとする魔獣。だが、そうそう簡単にやられるわけにはいかない。
逆にチャンスとも言える。こうして攻撃行動に出ている以上、此方の反撃をいなす事は難しいはずなのだから。

「はっ………笑わせる!!」

敵の腕が首に迫る目前、右腕を振るう。吐出されるは無の衝撃波。黒い波動。
まともに喰らえばその部位が消し飛ぶ程の威力。狙うべくは――――――首に迫る腕と、敵の身体。
313 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/11(土) 00:34:54.68 ID:0q/sm2hO0
>>311
「生き残りがいるのはここだけじゃないみたいだし、ネガティブに考えちゃダメダメ」
「都合のいい将来を夢見ても、それを実現する為の努力を払えばいいんだよ」

ほんのり浮かんだ有子の笑顔が消え、聞こえるのは現実を思い起こさせるその言葉。
しかし現実であれば出来ることもある。それこそ最初に未来が話した内容。
何かを変えたければ行動する。という至極単純であり難しくもあることである。

「光が影を目立たせ影が光を目立たせる。そんな感じかな。アレだアレ、プリキュア」

有子の苦悩を他所に前向きで能天気な内容。
本格的に水と油なのかも知れないが、共に戦ったこと。そしてこうして会話していることから、混じり合わないということも無いのだろう。
314 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/11(土) 00:48:33.30 ID:y6Az2OFeo
>>313
「でもさー、本当に浮かばないんだよね。
 私が男の人と幸せに過ごしてる姿なんて…ね」
聞き方によって判断が変わる対応だ。
有子の目が死んでる訳でもないし、絶望してるわけではない。

「深夜32時アニメだっけ。
 なかなか過激かな、あのアニメ…」
あちらが前向きなら此方は後向き。実に対象的である。
劇中の彼女達同様の息の合った連携が出来るかは、今後次第だろう。

「それじゃ、撤収しましょう。
 これだけの医療道具があれば、何人かは診れそうですし」
営業スマイル的な笑みを浮かべ、立ち上がる。
有子は紙束と応急箱を持って出口へと歩いていく。
持っていった戦利品は全て自警団に回収される事だろう。

//FO! 今後の強化にどう響くかなー?おちかーれ!
315 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/11(土) 00:50:43.07 ID:RFBCqGXb0
>>312
「ま、じゅう、をなめ、てるんじゃ、ないのかなぁ!!!!」

放出された波動によって消滅しかかる部分が再生と消滅を繰り返す
再生力もそこらの魔獣より強化されているからこそ耐えしのいでいる
だが、この状態もいつまで続くか分からない。実際、先から徐々に消えてきている。
故に、二発目を打たれる前にの敵を倒し、再生させなければならない
だが、波動とぶつかり合っているのもあって腕を進めるのがどうしてもか少し遅くなってしまう――――なので、手のひらだいの大きさにに破壊の概念を圧縮しそれを弾丸以上の速度で相手の首に向けて打ち出した
これが当たれば確実に相手を破壊し、消滅させるだろう
だが、もうかなり消滅してきている。
これが外れれば打つ手はないだろう
316 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/11(土) 01:01:20.59 ID:0q/sm2hO0
>>314
「実は私もー。家庭の切り盛りが出来るとか相手がいるのかとかさぁ」

結婚出来る未来は生き残った先にしか無く、なら死を前提とした話をする必要も無い。
せっかくだから輝かしい将来を。幸せな不安を。
それはとことん前向きな彼女から出た言葉であった。

「ここで出会ったのも何かの縁。私もついていくね」

今請け負っている仕事は無い。
警戒や護衛、戦闘といった血生臭い世界の束の間の休息を感じながら二人は肩を並べて歩き出す――

/ありがとうございましたー!行き当たりばったりなのでどうなるやら
317 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/11(土) 01:04:53.03 ID:bjyNJOP3o
>>305
/1時間以上返信がないようなので寝落ちと判断し切らせていたきます。ありがとうございました
318 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/11(土) 01:21:05.97 ID:CdEhB+qgO
>>315
「っ……………!!」

衝撃波を受けた魔獣が、再生と消滅を繰り返している。つまりは、再生能力持ちという事。早々に決着を付けなければ、まずい。
しかし、此方もそろそろ限界だ。脇腹の傷が思った以上に深い。あと一撃加えられるかどうか怪しい。
敵が放ったのは、弾丸のような何か。恐るべき速さで此方に迫る。
反応が間に合わない。このままでは、やられる。死ぬ。脳が判断できても、身体が追いついてこない。

――――――――――――死ぬ?こんなところで?
――――――――――――冗談だろう?

疼く。額に刻まれし癒えない傷跡が、疼く。さらに言えば頭痛もひどい。弾丸が迫っているというのに、右腕で頭を抱える。
死ねない。死ねない。死ねない。こんなところで、終わるわけにはいかない。まだ《夜》を倒していない。魔獣を殲滅していない。
まだだ、まだ早い。死ぬには早過ぎる。こんなところで―――――――――――――

もっと、力が欲しい。この程度の魔獣を凌駕するような力が。
そうだ、生き残らなければならないというのに、魔獣を殲滅するその日まで、生き残らなければならないというのに。


――――――――――――死んで、たまるものか。


それは、一瞬の間にして起こる。

「こん、のぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


蠢く憎悪と復讐のどす黒い感情と、生物特有の生存欲求。憎き魔獣を殲滅するまで、絶対に死ねないという異常なまでの願望。
それが、無理矢理に崩月の体を突き動かす。身体に今までなかった黒い波動を身にまとい、紫色の魔眼は一層光を強く放ち。
そう、余りにも強すぎる願望が、崩月の焔装を無理矢理に強化したのだ――――――――!!
それは、あと一歩間違えれば、暴走して無差別に周囲を被害を与える程に危険な状態という事。

諸手で剣を握る。黒い波動が切っ先にまで浸透していく。つまり、無の概念が剣に付与されたという事。
媒体を介して、全てを侵食する無が形となって現れたのだ。
振り下ろす。弾丸ごと、魔獣の身体を両断せんと。物体そのものを無に帰せるのだから、防御手段などない。
喰らった時点でその部位は両断され消滅する。

「アアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

狂ったような咆哮を上げながら、崩月は魔獣を狩らんとその剣を振り下ろす。
319 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/11(土) 01:27:42.76 ID:RFBCqGXb0
>>318
/超至近距離で弾丸並みの早さの物体が迫ってるのにそこまで行動できる能力に思えないんですが
/あとこっちの攻撃も防御不能攻撃なんですがこの場合どうしましょうか
320 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/11(土) 01:41:46.30 ID:CdEhB+qgO
>>319
/防御不能な上に超至近距離では対処のしようがないので、このような形にさせていただきましたが…やはり無理がありますかね?
321 :ガルバ ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/11(土) 01:51:01.65 ID:RFBCqGXb0
>>318
「なにッ…!?」

唐突に相手の体を黒いオーラが覆う
それは腹に突き刺さったままの剣にまで侵食し、刺さっていた部位が消滅する
そして、それを相手は引き抜いてふりおろし、ガルバの体を両断した
あまりにも突然の事だった為、反応ができなかった

「…………」

まだ僅かに息があるのかなにか言おうとしていたが、やがてそのまま動かなくなった
消滅させられては再生できようはずもない
そのままガルバは死に絶えた


/ロールありがとうございました
/僕も大概だったと思うので大丈夫です
322 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/11(土) 01:59:47.01 ID:CdEhB+qgO
>>321
「っ……………………はぁ、はぁ……………」

魔獣が死に絶えた後も、放心したかのように息を切らし続けた。
ようやく我に返った時、初めて敵を倒したのだと気付く。
しかし直後、身体に猛烈な違和感。頭痛が先ほどよりも酷い。頭を押さえ、地に這いつくばるような格好に。

何が起こっているのか、何となく察する事ができた。恐らく、無理な焔装の使用をした為に侵食が進んでしまっているのだろう。
自分の身体が自分でなくなっていく、そんな感覚。
暫く経って、それもようやく収まった。戦闘は、終了という事だ。

「………………っつ」

脇腹を抑えながら立ち上がる。崩月はそのままヨロヨロと、夜の街に消えていく。

「―――――――――僕は、僕だ」

侵食になど絶対に屈しない。
そんな、固い決意を口にして。

/ありがとうございました!
/大変申し訳なかったです…
323 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [sage]:2014/10/11(土) 19:40:29.26 ID:zlfu1y5ho
錆びついて何時朽ち果てるかも分からない金網フェンスに、こじ開ける様に指をかける。

人類最後の城とでもいうべきか。自治体の集う小学校、その裏側。
丁度内側からは木々の影に隠れていて、彼女の姿を隠し、彼女からはその隙間から眺めることが出来る様な、そんな場所。
正面からそうしていれば、必ず門前払いを喰らうような彼女の立場に置いて。其処は、随分と都合の良い場所だった。

とは言っても、何かをする事も無く。またその予定も無く、ただただ、そのボロボロになって、今にも朽ち果てそうな校舎を眺めるだけだった。
指先と、金網越しに見る其処は―――――― 彼女の記憶の奥底を、よくほじくり返し、帰らない世界を思い起こさせる。

言うなればこれは自虐、自傷にも近い物だった。

「ッ―――――― くッ」

そしてその外傷を伴わない筈の自傷行為に対して痛覚が錯覚したかのように、内蔵組織へと奔る激痛に。
荒く呼吸を繰り返しながら―――――― それでも、その金網の隙間から、其処を覗き込むことを止めようとしなかった。
324 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/11(土) 21:37:53.17 ID:LG6tOAoE0
【魔獣に襲われて朽ち果てた、死臭漂う家屋、メイラは其処に足を踏み入れる】
【屋根と壁に掛かった幾つかの蜘蛛の巣が見える】
【人間の死体が幾つも転がっている。がらくたや木屑を踏まない様に、奥へ進む】

………

【ふと、壁に寄りかかった女性の死体を注視するとそれは腕の中に赤ん坊を抱いていた】
【女性の所々欠けた肉体に、苦痛と恐怖に歪んだ顔。赤ん坊は頭部の半分が欠損している】
【死体の状態から見て、魔獣に襲われてからそんなに時間は立っていない】
【魔獣がまだ近くに居ると思ったのだが、外れた様だった】
【メイラは踵を返してその場から立ち去ろうとする……】
325 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/11(土) 21:41:58.47 ID:CxtO1uBso

「……ふむ、よし」

 都市のはずれにある、瓦礫の少ない空き地。作業着の女性は、小さく頷いた。
 右手にはシャープペンシル、左手にはクリップボード。そして彼女の前には――奇妙な、造形物。
 有り体に言えば――軽トラックから荷台を切り離したものに、金属製の手足を付けた「作業機械のようなもの」。
 鳥のような逆関節の両足に、奇妙なほど長い両腕、不格好なほど大きな三本の指。
 まるで前衛芸術家謹製のごとき「それ」はしゃがみ込み、彼女の前でドアを開いていた。

「ありあわせで造ってみたが……存外、形になるじゃないか。
 どれ、どこまで動くことやら――」

 「それ」に乗りこんだ彼女はハンドルの取り外された運転席に座り込み、恐らくはショベルカーあたりから引っ張ってポン付けしたであろう操縦桿を握る。
 ゆっくりと内燃機関の唸りを上げて、背部に溶接されたパイプから油臭い排気ガスを吐き出しながら、「それ」は瞳のようなヘッドライトを光らせ――そして、ゆっくりと動き始めた。

「……ふふ、ふふふっ、ふふふふっ! はっはっはっはっ! 素晴らしい! ちゃんと動く! がしゃがしゃ動くぞ!
 これは傑作だ! 私の最高傑作と呼んで差し支えない! 嗚呼、誰かこの喜びを共有してはくれないものかッ!!」

 ――喜び勇む彼女であったが、しかし「それ」は至極のんびりとした動きで歩き出す。少なくとも、とても戦闘の役には立ちそうにはない。
 さて――「誰か」は現れるのだろうか。
326 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/11(土) 22:41:15.56 ID:bjyNJOP3o
>>325
 《夜》空をふらふらと漂っている魔獣がひとり。
 上空まで漂ってくる異臭にパヨカは眉をひそめた。鼻孔にこびり付くような嫌な臭い。
 眼下を見下ろせば、騒音をまき散らすナニカとしか言いようのないナニカ。
 あえて形容するならカエルの泥人形をぐしゃぐしゃにしたようなそれがゆっくりと動いている。

 パヨカはくすりと笑った。上空から降り、崩れかけた塀の上に立ってガラクタ細工を眺める。

「人間ってまだあそぶ時間があるんだね。だったらわたしとあそぼうよ」

 貴重な燃料、資材をこんなポンコツに費やす余裕があるとは思わなかった。
 そういうニュアンスを込めて、パヨカは自分の作品に浸る作業着姿の女へ話しかけた。
327 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/11(土) 23:05:18.49 ID:CxtO1uBso
>>326

「――あ、――ン?」

 高揚感に浸っていた女は、ふと背後からの声を聞き取る。そして振り向けば、一人の少女の姿を見つける――明らかに、人ではない雰囲気を放つ。
 しかしその不気味な殺意すら、開拓の熱病に火照る彼女にとっては肌寒さすら与えられなかった。
 嘲るような少女の声に、女はくつくつと笑いながら、以下のように煩雑で冗長な反論をすることで返事とした。
 
「ほう、どうやらお前は魔獣のようだが――これの『価値』を理解していないようだな。
 こいつは試作人型作業機械――名付けて『T.C.K』。高い不整地走破性と腕部のマニュピレーターにより、瓦礫処理などに高い性能を発揮する。
 ユーザインタフェースは自動車のものをそのまま流用。糞尿から生成したメタンガスを使用していて、燃料的な面でも扱いやすい。
 内燃機関さえ作ってしまえばそこらの廃材からでも作れるから、量産性は極めて高い。更に――」

 いつの間にか彼女は「それ」から飛び降り、空き地をぐるぐると歩き回りながら流れるように言葉を紡ぐ。
 少女の形をした魔獣が、彼女の話を延々と聞き流すだけの忍耐力を持っていたのならば、彼女は凡そ30分は「それ」についての講釈を延々垂れ流すだろう。
 
「――とまあ、今後の発展が大きく期待される代物だ。くく、これだけの価値がある試作品の何たるかを全く理解できないとは。
 先日出会った魔獣も似たようなものだった。貴様らの脳味噌は何で出来ている?
 まあしかし、もし私の発明の素晴らしさが理解できたのなら――乗せてやらんこともないぞ」

 くくっ、と最後に笑った彼女は、びしりと少女に人差し指を向けた。
328 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/11(土) 23:16:47.43 ID:bjyNJOP3o
>>327
 最初の方こそまったく理解できないながらもパヨカは頷きながら聞いていた。
 そして彼女が「それ」を飛び下り、虎がバターになるかのように空き地を周回するのを尻目に乗り込んだ。
 背部のシートが翼に触れ一瞬にして腐食、崩れ落ちたが翼自体をクッションにすることで代用した。

「へえ。おもちゃみたい。こういうの、よく触ったことないなあ」

 作業服の彼女はただ単に降りただけのようで、キィは差し込まれており起動状態だった。
 ハンドルとシフトレバーとMT操作のフットペダルのコックピット。パヨカは適当に動かしてみる。

「ぐおーん、ぐおーん、いくぞー、てぃーしーけー。わるいにんげんをぶっとばせー」

 名前は最初のほうに聞いていた。パヨカは適当にペダルを踏み込み、ハンドルを思いきり回す。
 魔獣の力で踏み込まれたペダルはへし折れ底に穴が空き、ハンドルは軸から捻じ切れた。
 ちょっとばかり興奮していたせいか、車内に翼が広がり全体が腐食していたせいもあるだろう。
 ――都合、三〇分。ちょうどアリシアが話し終わるのとおなじ頃、T.C.K.は砂に還った。

「うん。けっこうおもしろかったよ。ありがとう、おねえちゃん」

 にっこりと笑い、人差し指を突きつけるアリシアに、手元に残っていた捻じ切ったハンドルを返した。
329 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/11(土) 23:37:23.23 ID:CxtO1uBso
>>328

「……ほーう、ほうほう」

 彼女は少女の笑顔に聖母の如き微笑みで返した後、投げられたハンドルをそのまま右手ではたき落とした。
 表情は変わらない。突き出された指先も変わらない。
 そして彼女はまた延々と喋り始める。少女の周りをぐるぐると歩き回りながら。

「なるほどなるほど、素晴らしいな。うむ、小さなクソガキの行動力というのは私にも見習うべきところがある。
 いやはや人様の作ったものを許可もなくぶち壊すとはお前はマウンテンゴリラに英才教育でも受けたんじゃないかと言いたい所だが、ここは私の寛容な精神で赦しを与えよう。
 だがしかし、この私は『お姉ちゃん』じゃない、ということはよく覚えておけ――私の、名前は、」
 
「――アリシア・P・シノットだ、このクソムシがあああああぁぁぁぁっ!!」

 ――唐突に彼女は懐から短機関銃を取り出し、彼女を指していた右腕で握って乱射するだろう。
 強烈な閃光と甲高い破裂音――その銃口から放たれるのは、無数の光弾。高威力のプラズマ塊が、その正体である。
 白色に輝く閃光の嵐。しかしそれは、魔獣からすれば『遅すぎる』のだろうか。
330 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/11(土) 23:55:13.91 ID:bjyNJOP3o
>>329
 人間、信じられない事態に直面した時、笑うしかないと言う。
 パヨカは知らなかったが、この時のアリシアはそういう状況だったのだろう。

「クソガキじゃないよ。パヨカだよ」

 くるくると、それこそバターになりかねないほど回るアリシアに向けて、パヨカは口を突き出した。
 マウンテンゴリラに教わるどころか、教育機関に通ったことのないパヨカは嫌味を逆に喜んだ。

「お姉ちゃんはイヤ。じゃあアリシアちゃんってよぶね?」

 そう言いながら懐から取り出された短機関銃に目を丸くし、パヨカは驚いた。
 至近距離でいきなり銃を撃たれれば誰だってそうなる。だが一つの翼で地面を叩き、反動で飛びあがった。
 叩きつけた翼の羽がプラズマの高熱で焼け焦げ、灰となって周囲を舞う。

「アリシアちゃんはこっちのあそびのほうもできるんだ。もっとあそんでくれるなんて、うれしいなあ」

 上空、七メートルを滞空し、血管の千切れそうなアリシアへ向かって微笑む。

 翼から焼け焦げた羽を弾丸のようにすべて排除、アリシアへ向かっておなじく機関銃のように撃ち出した。
 宙を舞う焦げた灰を吸い込むか肌に触れるかすれば、インフルエンザのような症状が現れ出すだろう。
 羽はより強力なキャリアだ。これに触れてしまえば、エボラ出血熱のような致死性の高い症状にすら成り得る
 もちろん武器で防御することはできるだろう。代わりに灰や羽に触れれば武器が腐食することになるのだが。
331 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/12(日) 00:19:34.75 ID:KWBJUrtzo
>>330

 放った銃撃を苦もなく躱されれば、アリシアは一つ舌打ちをした。
 そして舞い散る灰を僅かに吸えば、急いで息を止める――物理的なものとは明らかに異質な、喉の熱さ。
 彼女の知識人としての本能が、それが致命的な毒になりうることを告げていた。

「大変申し訳ないが、貴様のような学のないクソガキと長々付き合うつもりはない。
 ――少しだけ、少しだけだぞ」

 焼け焦げた魔獣の羽が舞い散っている地点から彼女は飛び退き、一度大きく息を吸う。そして、黒縁眼鏡の上から銀色のゴーグルをかける。 
 返される2つの応酬。上機嫌な魔獣の微笑みに彼女は苛立ち、機銃掃射に勝るとも劣らない翼撃に彼女は再びプラズママシンガンの乱射で応じつつ、彼女はゆっくりと後退していく。
 彼女は、そこまで高い射撃のセンスを有しているわけではない。だが高熱を周囲に撒き散らすプラズマ弾は、目視よりも遥かに高い攻撃範囲を有する。
 結果として、魔獣の放った翼の八割は撃ち落とされ、二割は彼女を掠めることもなく地面に突き刺さるだろう。そして対消滅しなかったプラズマの幾ばくかは、魔獣へと向かう。
 
「オラ、追ってこいッ……! 私はこっちだぞッ……!」

 もし魔獣が何らかの手を打たなければ、彼女は酸素を肺の中に溜めたままに、一気に後ろへと駆け出すだろう。
 空き地を抜けたその先にあるのは、倒壊しかかった建物の群像である。
332 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/12(日) 00:33:36.92 ID:A/gI5HYHo
>>331
「うん。ちょっとだけね。でもごめんね。わたしのちから……《感染》するんだ」

 息を止め、灰が体内に入るのを最小限にするアリシア。
 息を止めれば内部からの感染は防げる。しかし灰の舞う中を動けば外部感染を防ぐことは難しいかもしれない。

 地に突き刺さった羽は強い腐食を始め、大きなクラックを生み出していく。
 そしてこの病毒は無機物から有機物にも感染する。地面から足を離して動けない人間がどうなるか?
 もし彼女がプラズマ弾ではなく武器自体で羽を払いのけていたら、即座に腕を伝い病状は悪化したろう。

 そして羽を撃ち落としこちらへ飛来するプラズマ弾。羽撃いてスライドして一部を躱した。
 残りを羽弾でバラ撒くように撃ち、空中で炸裂させ相殺する。4翼のうち、1つが丸禿に、1つが半分ほど抜けた。

「おにごっこなんて、はじめてするよ」

 にこにこと笑いながらパヨカは二翼を羽撃かせ、アリシアを追うために高速で飛翔する。
 そしてアリシアの真上に位置し、半分ほど羽が抜けた翼から放射状に羽の弾丸を散弾のように撃ち出すつもりだ。

「手のなるほうへ、きちゃったよー」
333 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/12(日) 01:04:48.00 ID:o164VW1JO
>>332

「『感染』だァ……? そりゃ御大層なこって……ッ!」

 地面に突き刺さった魔獣の羽が地面を侵食していくのを見て、アリシアは更に力を振り絞って駆け出し始める。
 すぐさま彼女自身の足元にも被害が及ぶ、ということはないようだった。
 しかし悠長に歩いていれば、彼女の足も「感染」することは明白であった。
 更に、彼女は少しずつ自らの作業着が朽ち始めていること――自らの皮膚にも微かな疼きを感じることに気付いていた。
 どうにか彼女が魔獣が建造物群の残骸に辿り着いた頃には、既に魔獣は彼女の頭上に陣取って ――翼というショットシェルから放たれた猛毒の羽という散弾を、彼女は見据えた。
 プラズマ連射では落としきれない。そう判断した彼女は、自らの得物の「銃身」を延長させた。

「……ッ! っシャオラアァァァァァァ――――ッ!!!」

 ――青白い閃光が銃口から放たれる。その次の瞬間、一筋の光条が天頂へと走った。
 もう一つの攻撃手段、荷電粒子砲。原子核ごと何もかもを消失させるその一撃は、灰の欠片も残すことはなかった。
 もし魔獣が彼女への妨害を行わなければ、魔獣が放った毒翼の全ては虚空へと消えることだろう。

「だぁーれが鬼ごっこっつった……二人でやるケイドロだクソガキッ……!」

 へっ、と笑い捨てて、彼女は近くにある建造物の残骸――市営住宅だったであろう場所に、逃げ込もうとする。
 しかしその足取りは、先程までのそれよりも明らかに弱々しいものだった。
334 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/12(日) 01:19:43.79 ID:A/gI5HYHo
>>333
「それもいいなー、おもちゃみたい。てぃーしーけーといっしょだね」

 可変するアイテムは、パヨカの心を引きつけた。ほしいと思うが、手に入れても腐り果てるだけか。
 ようやく羽が生え変わり、3翼が万全の状態になる。直後、伸びた銃身から放たれる青白い予兆の光。
 それを見た瞬間、パヨカはのんびりした気分を一変させた。即座に全推力を持ってその場所から離脱する。
 風を弾く感触さえ得ながら、その場所を立ち去った直後、光の奔流が夜を遡っていくのを感じた。
 羽が塵と化し、ふわふわと空気に溶けて薄く世界を汚していく。

「これ、あのイヤなおじさんのとおなじ……それに、あーあ、……にげちゃった。
 あそびはおわりかー。またね、アリシアちゃん」

 アリシアがそこに逃げ込むのを、パヨカは黙って見送った。
 そして建造物の残骸――旧市営住宅――をそっと翼で一撫でし、宙へ浮かび上がる。

「……あんなあぶないことされたんだから、こっちもちょっとはね?
 はやくにげないとぺっちゃんこになっちゃうよ、アリシアちゃん」

 翼に撫でられた建造物は腐食感染し、崩れるのも時間の問題だろう。
 聡明なアリシアなら気付くだろう。ちょっとした嫌がらせをして、パヨカは空へ消えていった。

/遅い時間から絡んでしまい、すみませんでした。やっぱり遅くまでになっちゃいましたね。
/ロールありがとうございました! ちょっとコミカルなところ含めとても楽しかったです!
335 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/12(日) 01:48:38.21 ID:o164VW1JO
>>334

 残念ながらこいつはあんな「ポンコツ」よかはずっと頭のおかしい代物だ、と心の中で毒づきながら、彼女は構造物の中へ逃げ込んだ。
 されど、いつまで経ってもあの少女は追いかけてこなかった。あの喧しいクソガキがずっと黙りこくっているはずもないと、彼女は外の様子を見ようとした――その時彼女は、微かな揺れに気付く。
 そこから先は全速力の疾走だった。咳込みそうになる肺をどうにか堪えつつ乳酸で満たされた大腿四頭筋を酷使し、彼女は出来る限り件の住宅から距離を置こうとした。
 3分も走り通しただろうか。彼女が足を止め、振り返れば――激しい轟音と土煙と共に、市営住宅の残骸は瓦礫の山と化した。
 はぁ、と大きい溜め息を吐き、彼女はポケットから飴玉を取り出して頬張る。

「……死んだふりして奇襲大作戦は失敗に終わる、か。どうやら、クマよかは頭はいいらしい」

 してやられたよ、とでも言いたげに、彼女はくくくっと笑う。そして、

「――――あああああああああああッ! これで黒星二個目かクソッタレがぁッ!!
 許さん許さんぞあのふわふわクソガキッッ、私にこんな首ぶった切ってクソ流しこむみたいな屈辱を喰らわせたのはてめぇが初めてだッ……!!」

 ――舐め始めたばかりの飴玉をいきなり噛み砕き、顔を憤怒という熱病に毒されつつ叫ぶ。
 彼女が勝負へのプライドを砕かれたのは、近日ではこれが二回目だった。しかも今回は、自らの手がけた作品まで蹂躙されたのだ。
 紙風船製の堪忍袋を持つ彼女が、耐えられるストレスではなかった。

「あのイカ女とまとめて……ッ! いつかぶっ殺してやるッ……!!!」 

 屈辱を礎とし新たなる決意を胸に刻んだ彼女はすぐに「T.C.K」の2号機を作ろうとした。
 しかしクリップボードもシャープペンシルもハンドルの残骸ももはや手元にないことに気付いた彼女は、さらに小一時間ほど絶叫を続けた。


/いえいえー! 私は深夜帯でも全然大丈夫ですよ!
/そう言っていただけるととても嬉しいです! ただ、ちょっと尻切れトンボになってしまって、すみません……!
/ロールありがとうございました!
336 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/12(日) 20:15:51.59 ID:LqPSPztq0
【都市外れの廃墟街】
【魔獣の亡骸と人間の亡骸が夥しく散乱していて、此処で激しい戦闘があったと思わせる】
【その中の建造物の一つ、木造の家屋の中で少女が壁に身を預けている】
【身に纏う所々穴が破れて汚れた純白ローブは、魔獣との戦闘で更にボロボロに】
【此処に散乱する魔獣の亡骸を作ったのはこの少女だった。今、その戦いで受けた傷を癒している最中だ】
【傷が緩やかに治癒して行く、数時間の休息でどんな傷でも治る】

……

【さて、傷は全て塞がった。……魔獣を倒しに行かなければ、少女は踵を返して建物の外へと足を踏み出した】
337 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/12(日) 22:18:02.15 ID:vdREqNqw0
「〜♪〜♪」

鼻唄を歌いながら、一匹の魔獣が逃げる男を追いかけている
当然、本気を出せば直ぐに追いつけるし、やろうと思えばこの距離からでも殺すことができる
だが、それでは面白くない――――追いかけて、追いかけて、逃げ場を無くして絶望させてから殺すのが面白い
パニックになっているのか、男はすこしづつ行き止まりに誘導されていることに気づかない
しばらくの間この鬼ごっこは続いたが――――とうとう終わりが来た

「―――逃げられるとでも思ったか?」
「ひゃははっ!残念でした、行き止まりです!」

逃げ場を無くして絶望した男にゆっくりと近づいていき――――男の額に触れる
そして、自分の作れるなかで最も辛く、最も死ににくい毒を送り込んだ
毒に気づいてない男はせめて楽に殺してくれと懇願してくるが―――

「―――楽に殺すこともしないんだなーこれが!」
「今、お前にゆっくりゆっくり苦しんで死ぬ毒をプレゼントした。精々もがいて苦しんで死ねよ?」
「ギャハハハハッ!!」

毒が回り始め、苦痛に叫ぶ男の声を聞いて、ケタケタと心底可笑しそうに笑いながらその場から去っていく
さて、次の獲物はどこにいるかな―――?
338 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/12(日) 23:05:02.61 ID:vdREqNqw0
/>>337は無しで
339 :神風 翔 ◆aH8vN9iMjYbf [sage]:2014/10/13(月) 10:40:12.28 ID:ATtS3Gkpo
【永遠に夜の続く世界、その一角】
【学校から飛び出し、瓦礫満ちる宵闇の世界に身を躍らせる人影が一つ】
【緑と青の装いに身を包み、数枚の手紙をその手に持つ……齢12にも満たない少年】
【身長も小さく、体つきも貧相、知識すらも持たない……本来保護されるべき存在が一人】
【外を無闇に歩くことすら禁じられるであろう少年、しかしとある因が為に少年は外を出歩き、時には魔獣を出し抜く資格を得ていた】

……今日も、変わらないなぁ……

【元は商店街だったのか、大量の瓦礫が列を敷く一つの通りに立って、少年は空を見上げてそう呟く】
【浮かぶは笑みと一つの笑窪、星すらも浮かばぬ暗闇を眺めて】
【物語でしか聞いたことの無い青空と太陽を、少年はそこに投影して】
【いつか其処に本物の光が満ちることを、静かに願う】
【吹く、一陣の風、少年が纏っていたジャケットがはためき小さな音を立てた】

……っし!今日もやるぞ!

【暫く夜を眺めて、少年は意気込みを口に出す】
【運び屋、持っている手紙は街の彼方此方へと送る物】
【願わくは、永劫に続く闇が晴れんことを、そして、我が親を殺した魔獣に相見えんことを】
【そんな事を心の隅に考えて、少年は自らの月装の力を解放する】
【付いた小さな羽飾りが、少年の意思に呼応して小さく光り輝いた】
340 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/13(月) 17:55:14.87 ID:/iTKN0gY0
【廃墟高層ビル、その七階】
【床にはパソコンや書類などが散乱している】
【それに混じって魔獣の亡骸や食い千切られた人間の手足もあって腐った様な死臭を放つ】

…………

【その中にボロボロのローブを身に纏った少女が壁に身体を預けている】
【その少女の右腕は千切れていて、蒼血がポタポタと滴り落ちている】
【魔獣を殲滅したものの…右腕の、肘から下を持っていかれた】
【数時間は掛かるが……どの様な傷でも休息を取れば確実に治る】
【少女は瞳を閉じて、千切れた腕の治癒に全力を注いでいた】
【…その姿は死んでいるように見える。この少女を見つけるのは魔獣か、人間か】
341 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/13(月) 20:18:49.71 ID:08uFBIeVo
>>340
「さいきん、にがしてばっかりだー」

 空を飛んでいたパヨカは、んー、と唇を突き出しながら考えていた。
 考えただけでも3人。今日ぐらいはきっぱりしたいなあと思いながら辺りを見回した。
 目につくのは、このあたりでもまだ高層部分が残っているビル。

「……人間のにおい?」

 ビルを回るように飛び、血の臭い。を嗅ぎ取った。――七階。割れ窓から見える怪我した女。
 もうダメだ。あれは「ともだち」になれそうもない。そう思ったパヨカはビルに翼を叩きつけた。
 ビルを腐食させすでに朽ちかけたビルごと崩落させようとした。墓標にするに十分立派だ。

「あーめん」

 女のように目を閉じて、パヨカは手を合わせた。
342 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/13(月) 20:49:03.56 ID:ndJL5je10
>>341

【何か嫌な音が耳に届いた。自分の居るビルが崩れる音だ】
【まだ右腕は再生していない、休息中しか治癒力は上昇しない】
【落ちてくる瓦礫を避けながら七階から飛び出す】
【幾つかは服を破き、身体を掠めたが…それだけで済んだ】

【七階の高さからメイラの体は地面に激突、激しく土埃が舞い上がる】
【土埃が晴れると、地面はクレーターの様に凹んでいた】

……

【其処に立って、空を飛ぶパヨカを見つめるメイラの黄色の双眸が双眸が、微な光を放つ】
【《眼》のリミッター解除。それと同時、メイラが全力で叫んだ!】
【大気を揺るがす爆音が辺り一面に響く!!…人間なら鼓膜が破れる可能性が高い】
【魔獣のパヨカには何処まで通用するのか】

……ラアッ!!!!!!!!!


//遅れてすみません…お願いします
343 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/13(月) 21:00:26.75 ID:08uFBIeVo
>>342
「あれ、いきてる」

 意外そうにパヨカは小首を傾げた。それからまもなく、空気が震えるような振動と音。
 キーンと耳に響く。両手の指を耳に突っ込み、あたまのなかで反響する音にくらくらした。
 地上七階――およそ4*7で28メートル。地上の女とそれだけ離れていてもうるさかった。
 しかし元気だ。声と怪我を気にする様子がない生命力。能力がうまくつながらない。

 ――まあいいや

 ビルが崩れあたりに粉塵が舞っている。地表はもちろん、その空気中にすら病毒は《感染》している。
 すでに地面はひび割れ始め、腐食されている。空気中に漂うはスズメバチのそれに近い毒だ。
 その中心に居る女はその空気に触れ、取り込んでいる。効き目はすぐに表れるだろうと思った。

 ダメ押しとばかりに、空中に漂ったまま、翼から羽の弾丸をメイラおよびその周囲に向けて放つ。
 翼の1/3をつかったそれは、散弾のようにメイラを中心として広がる包囲網のようなものだ。
344 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/13(月) 21:03:56.14 ID:08uFBIeVo
/忘れてました。よろしくおねがいします。
/それと補足忘れ。羽弾には《黒死病》をセットしています
345 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/13(月) 21:32:18.90 ID:OY0mvyVJ0
>>343

……

【体が異常を知らせ始める、毒……空気中に漂うそれはメイラの体に入り込んだ】
【だが即座に体内で毒の分析が始まり、数分で抗体が精製される】
【其れまで動きは鈍るが、毒で命を落とすことは無い】
【此方に包囲網の様に広がり迫る羽弾、リミッターを外したメイラの目にはその動きは緩慢に見える】
【野球ボール大の瓦礫を一つ拾い上げ…たんっ、地を一蹴りしたメイラの体が羽毛の様に舞い上がる】
【羽弾の一つが足に擦り傷をつけたが、特に異変は見られない】
【生体兵器としての肉体は、凡ゆる病気に絶対的な耐性を持っているからだ】
【あっという間にパヨカと同じ高さまで到達する。メイラの今の体重…1g】
【先程拾った瓦礫を、パヨカに向けて投擲。触れているものの重量も同様に操れ、体から離れた瞬間に戻る】
【投げられた瓦礫は、圧倒的な速度でパヨカに迫る!】
【そしてメイラは頭部にだけ体重を掛けて飛行、近くの廃ビルの屋上に降り立った】


346 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/13(月) 21:51:25.56 ID:08uFBIeVo
>>345
 ――あれ?

 というのがパヨカの素直な感想だった。羽弾は当たった。それで決着がつくはずだった。
 だが動きは鈍っている。スズメバチの神経毒の効果だろう。だとすれば毒は効く。いつまではかともかく。
 考えられるとすれば、病気に対する抵抗力。怪我を気にしない抵抗力を含めて考える。
 《人間》自体の性能を高める月装であるとパヨカは考えた。推測だが間違ってはないだろうと。

 メイラの跳躍は速かった。しかし、跳躍の時間とそれまでの時間を合わせれば遅い。
 パヨカは余裕をもって、投げられた瓦礫を一翼で弾き飛ばした。インド象と比べればあまりにも軽い。

「どうしよっかなー」

 頭のなかの反響は収まった。音が聞こえるようになったが、手は耳から離さない。
 パヨカのなかの考えは三つ。アナフィラキシーショック――自身のアレルギー反応――か、
 即効性の毒で殺すか、免疫力自体を下げるHIVやAIDSにするか。

「……これぐらいならだいじょうぶだよね?」

 屋上に降り立ったメイラへ向けて、羽撃き加速し近づく。四翼を持って上からビルへ叩きつけるつもりだ。
 およそ百七十キロ超の加速力に加え、インド象――およそ5t――を吹き飛ばす打撃力を四枚。
 病毒の種類は《スズメバチ(ショック反応)》狙い、《トリカブト》、《後天性免疫不完全》、《ヒョウモンダコ》の毒《テトロドトキシン》だ
347 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/13(月) 22:14:38.70 ID:sUWNfVhh0
>>346

……

【パヨカの動きも緩慢に見えているが、避けられる速度では無い。…だが眼から閃光を放つだけの時間はある】
【人間なら数分は視力を失うだけの強烈な閃光を、最大限パヨカを近付けてから放つ】
【其れでパヨカが怯んでくれれば…重量変化で飛び、自分の肉体が耐えられる限界の時速100kmで移動する】
【右手を扱えない今の状況で嫌、万全な闘うのも危険な相手だ】
【無茶はするな、と命令を受けているメイラは逃走を図る】
【途中途中で叫び、閃光を放ちながら、逃げ仰せようとする】
348 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/13(月) 22:21:43.04 ID:Sb84YxRL0
「こんばんは!いい天気ですねー死ね!」

『夜』が来て以来ずっと夜のこの世界でいい天気も何もないのだが、食料を持って隠れるようにしながら前を歩いていた二人の男に声をかけて足を止めさせる
そして、二人が振り替える前に一人を殴って殺し、もう片方の首を掴む
ここで漸く魔獣だと気づいたようで暴れ始めるが、身体能力的に勝っているので首を掴んだまま微動だにしない

「お前の死に方はー……どうしようかな」
「―――決めた!」

もう諦めたのか暴れなくなった男の首を掴んだまま少しの間悩み、楽しそうに首を掴む手の力少しを緩める
それに気づきまた暴れ始めるが、直ぐにそれは叫び声に変わった
―――手のひらに強酸を少し纏わせ、徐々に男の首を絞めていっているのだ
ゆっくり、ゆっくりと男の首が溶けていき異臭が辺りに漂い始める―――その中で本当に楽しそうに笑いながらベルデは首を絞めていく

「どうだ?苦しいか?辛いか?」
「―――って答えられるわけないよな、ぎゃははっ!」

口から泡を吹いて男が気絶したので叫び声が途絶える
もう少し聞きたかったな、と少し残念そうな顔をしながら手の力を強め首を切断する
汚れた手を男の服で拭いて、食料をその場で食べ始める
死体から異臭が漂っているため、ここを見つけるのは簡単だろう
349 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/13(月) 22:30:06.23 ID:08uFBIeVo
>>347
 いまだ。と思った瞬間、メイラの双眸から閃光が放たれた。
 攻撃に専念していたし、両手は耳で塞がっている。まぶたすら透過するほど強烈な光。

「あっ――!」

 脳ごと白く灼かれる。錯覚は実感を伴い、あたまのなかを熱と痛みが埋め尽くした。
 叩きつけようとした翼は目測を誤り空を切り、バランスを崩して滑空、ビルの屋上から遠ざかる。
 手を目に当てたところで、耳を劈くは轟音。《声》だ。キンキンとした反響音が脳を削っていく。
 耳に指を突っ込んで、うずくまりその時間が通り過ぎるのを耐えた。
 何十秒、何分経っただろう。それは永遠のように感じられた。
 彼女の姿はどこにもなかった。

「……いないや」

 追いかけることはできないだろう。飛べるのならすでに何キロ離れているかわからない。

「あの子、なんだったんだろう」

 結局、焔装使いなのか月装使いなのかもわからない女を逃がしてしまい、パヨカは肩を落とした。
 鈍痛の続くあたまを重く引きずるようにして、ふらふらとその場を後にした。

/ロールありがとうございました。そして申し訳なかったです。多くのところに
350 :メイラ ◆RjlroNP39c :2014/10/13(月) 22:40:07.33 ID:cZulf27Z0
>>349
ありがとうございましたー!
いえ、大丈夫です!!此方も色々とすみませんでした!
351 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage saga]:2014/10/13(月) 22:50:59.03 ID:GzS3i68UO
>>248

【漂う異臭のお陰でこの場所を探し出すのは容易だった】
【そこには二つの亡骸と、食料を漁る魔獣の姿】
【憎くて堪らない獲物の姿を見つけたことで、その少女は口元に薄っすらと笑みを浮かべて】

よお、いい天気だな―――なんてな

【背後から声をかけると同時、右腕を上から下へと振り下ろす】
【その動作に呼応するかのように放たれるのは、あらゆるものを切り裂く不可視の刃】
【食べかけの食料“のみ”を的確に切り刻み、魔獣の食事を中断させると】

獣風情に分ける食い物なんかないんでな、死に失せろ

【殺意を全開に台詞を言い放つと、相手の言葉を待たずに再び斬撃を放つ】
【狙いは魔獣の首、胴体、脚の計三箇所、防御不能の凶刃が大気を駆け抜け】
352 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage saga]:2014/10/13(月) 22:53:07.01 ID:GzS3i68UO
//>>351>>348宛でした……
353 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/13(月) 23:16:56.26 ID:Sb84YxRL0
>>351
「ん?―――あっ」

声に反応して振り向いた瞬間に食料が切り裂かれる
何も見えなかったが、何でだ?―――こんなことを出来るのは焔装使いだろうと当たりをつけて警戒する
とにかく、このまま個々にいては今の訳の分からない攻撃を食らうことになるだろうと横に跳ぶ

「そうですねーいい天気ですねー」
「別に分けてもらおうとか思ってないよ?奪って食えばいいんだから」

女の姿を捉え、目付きの悪い奴だなと思いながらどうやって倒すかを考える
―――が、まぁとにかく攻撃あるのみ、と腕から強酸を水流のようにして女へと飛ばす
強酸から飛び散った水滴がコンクリートを溶かして蒸気をあげている―――人間がまともにくらえばどうなるかなど考えるまでもない
見たところ武器は持っていない―――ならば、相手の攻撃が動作に関連することなのだろうか、と考えて動きを封じようとベノスも走って近づこうとしている
354 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage saga]:2014/10/13(月) 23:27:29.93 ID:GzS3i68UO
>>353

奪って食べればいい、実に獣らしい考えだな
聞いていて反吐が出る

【飛来する強酸の塊を一瞥し、軽く念を籠める】
【次の瞬間、液体は空中で粉々に切り刻まれたことにより文字通り霧散する】
【これがこの焔装《Distears》の力、「切り裂く」ことだけに特化した能力だ】

目には目を、歯には歯を
奪うなら、奪われるだけの覚悟もあるってことだよな

【そしてその発動条件は、ただ念じるだけ】
【殺意を剥き出しに、近寄るベニスへと狙いを定めると、再び攻撃】
【行き交う斬撃がベニスの足元の地面を粉々に切り刻み、まずは足場を奪い】
【その直後に斬撃が、ベニスの頭上、右部、左部、正面、背後から放たれる】
355 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/13(月) 23:48:50.00 ID:Sb84YxRL0
>>354
「これでも元人間なんだけどなー」
「でも、人間だって一緒じゃない?死にかけてたら誰かからうばってたべるでしょ?」

液体なのに切り裂かれ、さらにこっちで操っていたのにも関わらずそのまま霧散した
空中で再び集めることができなかったのだ―――つまり、回復不可か、それに類似する力があるのだろう
さらに、攻撃の動作もなかった―――水であれ切り裂く能力で見れば複数同時に打てるようだ
ならば、背後からの強襲しかないな、ともう一度腕から強酸の水流を飛ばす
今度は上下左右、ランダムに動きながら近づいていく――――だが、本命は別にある
それと同時に侵された相手を確実に殺す毒を足から放出し、ゆっくりと横から回り込んませていく
まだ背後には回り込んでいないがもうすぐ回り込み、襲うだろう

「うおっと、危ないな!」

直前で足場に気づき、斜め後ろに跳ぶ
近づくより距離をとって動いていた方が良さそうだ、と後ろに下がっていく


/正直僕の創造力では確定攻撃に思えたので確定回避させてもらいました
356 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage]:2014/10/13(月) 23:59:32.31 ID:GzS3i68UO
>>355

―――元人間、ねえ
人間の尊厳を失った獣の言葉なんざ、聞く価値すらねえよ!!

【変則的な動作で迫る水流を、一つ一つ確実に切り裂いてゆく】
【少女には正面に立つ魔獣の姿しか見えてなかった。それを[ピーーー]ことしか考えてなかった】
【故に、背後に忍び寄る魔手への、反応が遅れてしまう】

――――――ッ!!

【飛び退く、が、間に合わない。毒液が服の裾に、そして左腕に付着する】
【忌々しげに舌打ちすると、そのまま正面へと跳躍】
【毒の効果が現れるよりも早くに、右腕を振りかぶると―――力任せに振り下ろす】

【生じ、振り下ろされたのは極大の刃】
【無論目には見えず、魔獣がその存在を通常の知覚に頼って判別することは難しいだろうが】
【距離関係なく何処までも伸びる刃が、ベノスの脳天目掛けて放たれ】
357 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/14(火) 00:22:04.87 ID:wuF1Kfhh0
>>356
「じゃぁ最初から話しかけてこなければ良かったんじゃないのか?」
「ギャハハっ!バカだなー!」

おちょくりながら後ろに下がって逃げていく
再び強酸は切り裂かれた――――だが、目的は達した
毒が女の体に当たったのだ―――これで、放っておけば勝手に死ぬ
それが分かると戦うことをやめて逃げようとする

「いいの?そんなに動いて」
「見えなくても、軌道がばれるよ?」

今までは軌道が分からないが故にランダムに動いて避けてきた
だが、ここまで動いてくれれば軌道は簡単にわかる
確実に正面からくる―――ならば、と横に跳ぶ
―――が、避けきれず左腕の二の腕から先を切断される

「――――クッソ!刃って普通先が薄いもんじゃねぇのかよ!」

痛みに顔を歪ませながらもとにかく逃げようと走る
もうそろそろ体中に毒が回った頃だろう、もうすぐあいつは死ぬ
だが、このままではイラつきが収まらないと、だめ押しに顔に向けて強酸を飛ばす
358 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage saga]:2014/10/14(火) 00:49:33.53 ID:m3vqwo5LO
>>357

【左腕に付着した毒液、それが放置すればタダで済まされないものだとすぐに分かった】
【しかし解毒剤なんて都合の良いアイテムは存在せず、医療機関に駆け込む時間も当然ありはしない】
【放っておけば毒が腕から身体全体に回り、恐らくは死ぬ】
【目の前の魔獣を取り逃がした上で、自分だけ死ぬ、最低の結果】

【それだけはゴメンだ。自分の死に場所は自分で決めると誓ったのだから】
【毒が身体に回る前に対処し、そしてあの魔獣も逃さない。その為には】
【決断は一瞬だった。天秤にかけるまでもなかった】
【不可視の刃を生み出すと、躊躇せずに切り裂いた―――――――――己の左腕を、根元から】


ッ――――――――――――!!!?

【毒が左腕から身体に回るのを防ぐ為、腕ごと切り落とす、この焔装だからこそ可能な芸当】
【同時に激痛が体を貫き、想像を絶する苦悶に顔を歪める】
【肩から先が消失し、夥しい量の血が流れ落ちるのを、右手で必死で塞ぎ止める】
【それでも、痛かった。苦痛と、喪失感で、頭が真っ白になるが】

【逃走を測ろうとする魔獣の姿が目に映り、一度は苦痛に紛れて消えた殺意が蘇る】

――――――逃げてんじゃねえぞ、獣風情がよぉ……ッ

【顔に向けて放たれた強酸を空中で切り刻み、その場で霧散させる】
【イラつきが収まらないのは彼女も同じ、焔装によって増幅した『殺意』が上乗せされている為、その負の感情は計り知れない程】
【ニタリと獰猛な笑みを浮かべて、冷たい視線をベノスの背中に向ければ】


無様に、死ね

【もう一度、先程と同様に何処までも延びる極大の刃が振るい降ろされる】
【それも一つだけではなく、十数本の刃が並列に並んだ状態から一斉に、魔獣の全身を切り刻まんと】
359 :ベノス ◆Ufh.IBXlJE [sage saga]:2014/10/14(火) 01:09:40.29 ID:wuF1Kfhh0
>>358
「毒が回っててもおかしくないのにあれで俺の毒をなくしたつもりなのかな」

まぁ、あの攻撃は回復ができないらしいのでどのみち出血多量で死ぬだろうが
こちらの攻撃を切り裂いたことから不可視の攻撃がまた来たのだろう

「お前が死ねよ、バーカ」

どうせ死ぬのだ、道連れにこの女の死期を早めてやろう
女の上空に先ほど以上の量の、そして先程より強力で毒の回りの早い毒を飛ばし、雨のように女の上で降らした
その直後に切り裂かれてベノスは死んだ


/ロールありがとうございました

360 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage]:2014/10/14(火) 01:27:48.06 ID:m3vqwo5LO
>>359

【降り注ぐ毒液の雨へと、無尽の刃を放つ】
【幾度となく繰り返される切断が、液を霧状にまで切り刻み、落下の軌道を逸らす】
【結果、少女の立つ場所を安全圏として、毒液はその周囲の地面を汚すだけに終わった】

―――は、ザマぁみろ

【苦悶に顔を歪めながら、それでも笑顔で吐き捨てる】
【焔装の効果を解除すると増長した殺意が一気に収まり、同時にアドレナリンで和らいでいた痛みが蘇る】
【まずはこの怪我を何とかしなくてはならない。拠点に辿り着けるかどうかは甚だ疑問ではあったが】
【ズルズルと足を引きずりながら、流血の痕跡を残し、少女はゆっくりと歩き出した】

/こちらこそロールありがとうございました
361 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs [sage]:2014/10/14(火) 20:05:21.11 ID:xS2ptf0LO
地面が割れる。腕が、身体が、脚が、顔が現れる。
まるで冬眠が終わり、春の暖かな日差しを感じるような心地よさを感じる。
実に良い気持ちだ────と、スカヤは立ち上がる。

「ウム……」
「さて、どうしたモノか」

衣服に纏う土埃をはたき、暫くの間歩く。
その手にニンゲンが書き記した「地図」と「書物」を持って。

「この地図から見れば、ヒナンジョ、とやらは近くにあるみたいだが……」

だが見つけたのはただの廃墟。それどころか魔獣でも嫌悪感を感じる程の腐乱臭と血の臭いが漂っていた。

「これも魔獣の仕業…なのだろう」
「こんな世界、何故ニンゲンはまだしも諦めきっていないだろうか」

ローブを身に纏い、ニンゲンを求める魔獣は疑問を浮かべる。
自分にもそのような「希望」があったことを忘れて。
362 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/14(火) 20:38:17.49 ID:ChzQ8wLR0
ここは都市より離れた荒地。弱小の魔獣が何体か闊歩し、風によって奏でられる侘しい旋律に耳を傾けている中で。
やけに生々しい、水っぽさを帯びた音が辺りに散る。ぐちゃり、ぐちょりと続くそれは次第に、硬質な物を砕くばきばきという鋭い音とで協奏を始めた。
音の出処を探ったのなら人気のない荒地の中、他の建物から距離を開けてぽつんと聳える建物が目に留まる。
そこは、かつての団欒を影も残さぬ、砂塵を被った廃アパート。

耳を澄ませば聞こえてくるのは異質な声色。くつくつと笑うそれを辿れば扉の無い、2階のとある一室からのものだとわかるだろう。
そこに到るまでの鉄製の質素な階段は錆びつき腐食し、今にも崩れ落ちてしまいそうに風できしりと軋みをあげる。

「……嗚呼、おいしい」

そして、扉の無い部屋の中からは、艶のある女の声。
部屋の中を見たのならば、そこには、人の胸程もある大柄な一頭の黒い獣と、まるで極小の虫が寄せ集められたかのように、不気味に蠢く暗黒を身につけた女の––––––否、魔獣の姿。
そして、それらの足元には。何処で仕留められたのか、既に性別すらも識別出来ない程噛みちぎられ、舐め取られ、剥ぎ取られ、最早ボロきれのようになってしまった、人間の死体が静かに横たわる。
今も尚続く協奏は死体を食い漁る黒い獣の口周りから発せられている。ばきり、ぐちゃりと。
女は前屈みに死体から一本指を千切り取ると、まるで煙草や煙管を嗜むかのように、優美に口に咥え込んだ。
363 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/14(火) 21:34:52.20 ID:7lCGeTNG0
都心部から外へと向かうアスファルトで舗装された道を歩く少女がいた。
等間隔で置かれた街灯も一部は機能しておらず、建物から漏れる光も無い。
よって点々と灯される明かりを頼りに真っ直ぐと進んでいた。

そんな中、彼女が口へと運ぶのは水と小麦粉だけで作られたパン。

「昔はよかったなぁ。ジャムとは言わない。せめてドライイーストとかあれば……」

足を止め、物思いにふけるも想像するだけで食糧が現れる訳でもなく、意識を空に向けてもそこに金平糖や飴玉に見えるような星などない。
ではそこに在るものと言えば左手に握られたパンの残り。じっと見つめてみるものの、出てくるのは深い溜息だけであった。
364 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/14(火) 21:59:25.22 ID:5PeKfc1B0
>>362


「『――私が人間的な動機からエペソで獣と戦っても、
 死者の復活がないのなら何の益があるでしょう?』」

低くどこか不機嫌そうな声色で、誰かが「それ」を読み上げた。血液と内臓と悪意が奏でるトリオに突如として一つの朗読が闖入し、その演奏をカルテットとする。
声の主は、一人の若い女である。黒縁眼鏡の上にゴーグルをかけ、黒い作業着を砂塵に汚している。彼女は壁によりかかり、左手で気だるげに一冊の本を支えていた。
ぺらり、と紙擦れの音。酷い隈の上に浮かんだ三白眼が、記されているであろうものを追う。

「『私が輪の中の髑髏を見る必要があるだろうか、
 私の顔に一つあるのに?』」

彼女は滔滔と朗吟を続け、そしてぱたん、と音を立てて本を閉じた。そのまま本を作業着のポケットに滑り込ませる――タイトルは「羊たちの沈黙」。
そして、彼女は右手でぶら下げていた銀色の小銃を持ち上げた。片手で支えたグリップ、そのトリガーに骨ばった指先がかかる。

「――時に魔獣、こんな問いは実に愚かだとは思わないか?」

冷ややかに向けられた銃口と、彼女のぎらついた青い瞳。
それらは、真っ直ぐに魔獣を狙っている。
365 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/14(火) 22:20:05.47 ID:WC505xxEo
>>363

「こんにちは、未来さん」

そんな彼女に声をかけるのは、先日都市外縁で出会った幼い顔立ちの少年だった
街灯に照らされた表情からは以前の傷もすっかり癒えた様子が伺えるだろう
今日は車椅子に座っている彼は、見知った者を見て安心したように近づいてくると

「卵も塩もなしとかもうパンと呼べるのかすら怪しいですよね、それ」
どうやら彼もそれを食したらしく辟易した表情を隠そうともしない
それでも笑みが滲んでいるのは、愚痴を言いあう相手を見つけたからか

「ところできょうは何方へ?」
そして愚痴だけでは何なので世間話でもはじめようかと、他愛もない質問を投げかけた

/まだいらっしゃれば
366 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/14(火) 22:35:03.55 ID:7lCGeTNG0
>>365
安心した表情を見せたのは未来も同じであった。最近は都市の内部でも魔獣と出会うことが多々ある。
声を掛けられても人語を話せる魔獣という可能性もあり、聞き覚えのある声というのは落ち着くことが出来る。
声の持ち主は以前出会った傷だらけの少年。顔色も悪く無くその時の病的な弱弱しさを感じることが無い為すでに平気なのだろう。

「こんにちは、茉冬くん。もう傷が治ったんだねぇ」

未来は手に持ったパンを見せるように持ち上げる

「もうコレはナンだしカレーでもあれば美味しく頂けるのに……。あと水が足りないのも辛い。もう口の中パッサパサ」

愚痴をこぼしても仕方がないことではあるがこれは共通した悩みだろう。衣食住が欠けることが辛いのは取り立てて言う必要は無いだろう。

「私? 魔獣とか《夜》以降に現れた物の痕跡とかなんかあればねって。ふらふらとうろついてるの」
「茉冬くんは何か見なかった? 発見したことや疑問とかあれば話してくれたら嬉しいな」
367 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/14(火) 22:41:04.02 ID:ChzQ8wLR0
>>364
「––––––残念ながら私はそれを読んだ事がないから、貴女の期待する答えは返せないのでしょうけれど」

ぱきり、軽い音で女の咥えた指の骨が砕ける。ぐたりとした指をそのまま咀嚼し飲み込みながら、女はゆらりとそちらを向いた。
それと同時、女の纏う暗黒が動く。ドレスの形に収まっていたそれは、どこから仲間を引き入れるのか徐々にその体積を増して、主を球状に囲もうと宙を舞い。
それらの足元で死体を貪っていた黒の獣は低く地を這う唸りでアリシアを威嚇し、まるで注意をこちらに向けようとしているかのようで。
ボロとなって捨てられた死体を乗り越えて、そちらへにじり寄りながら飛びかかる機会を伺っている。

せっかくの食事を邪魔されたのだから、怒りを感じない訳では無かった。しかし、怒りに勝りふつふつと湧き上がり高まる感情は、人間だった頃の彼女を焔装使いたらしめたものたちで。
ぞくぞくと背筋を沿う快感を確かに味わいながら、獣と暗黒を従えた女性は静かにアリシアに応えた。

「そうね、私がもし応えるのなら……『そんな事よりも、貴女の髑髏を見てみたい』、かしら?」

同時、黒の獣は腐りかけの床を蹴り、アリシアへと飛びかかる––––––

//気づくのにやや遅くなりました、申し訳ない。
//よろしくお願いします!
368 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/14(火) 22:54:35.61 ID:WC505xxEo
>>366

「うん、おかげさまで。あの時は本当にありがとうございました」
ぺこり、と効果音が付きそうな様子でお辞儀をして
あの時出会えていなければ肉体的には勿論だが精神的な面でも助からなかっただろうと彼はいう

「あはは……レトルト系も底をついてるでしょうしね。
 缶詰なんかはひょっとしたらまだ食べられるのがあるのかな?」

乾いた笑いを吐き出した後、続けて出るのはそんな言葉
もう贅沢なんて出来ないだろうけれど、この味気ない食生活だけは何とかならないだろうか
腹を満たす役割も満足に果たしていない現状を嘆くように、ため息を吐き出すのだった

「僕も似たような感じですねー。今日は図書館の跡地に行って、本を数冊回収してきました。
 避難されている人たちのちょっとした誤楽になればいいと思って……図書室にはなさそうなものを幾つか。」

言いながら車椅子の下部に設置された小さめのネットを示す
横から覗きこむようにして見れば、そこには数冊の書籍が差し込まれているのが分かるだろう
厚さはまちまちだが、学校には置いてないような絵本や図鑑の類が多いようだ
369 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/14(火) 23:08:42.59 ID:7lCGeTNG0
>>368
「私の所には缶詰もまわってこないなぁ。古米で作った薄いお粥に具の無いスープ、あとはこんなパンが主食」
「もやしぐらいなら栽培出来るかもしれないけど水が勿体ないよねぇ」

こんなカサカサのパンでも食糧には違い無い。残りを口に押し込み飲み込むもののやはり味気なく、目の前でやれやれと手を振るのであった。
食糧の生産が成功していたらまだ食糧問題はマシだったかも知れないが、それも魔獣によって妨害されてしまった過去がある。
何をやるにも妨害をしてくる魔獣。人類の天敵と呼べる存在は忌々しくある。

「へー、ねえねえ。何を読むの? 見てもいーい?」

話すのが先がしゃがみ込むのが先か、未来は首を傾げながら車いすの下部にあるスペースを覗きこんだ。

「図鑑っぽいのがあるけど何を借りてきたの?」

消費しない娯楽として本というのは《夜》が襲来してからは需要がある。未来も《月装》を入手する前はそこで時間を使っていたこともある。
となると気になるのはその内容。好奇心から茉冬へと聞いてみるのであった。
370 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/14(火) 23:12:02.29 ID:JlyroZJqO
>>367

蠢く闇――魔獣の殺意が自らに向かったことを察しても、女は特段態度を変えるわけでもなかった。
それどころか、彼女はにやりと笑う。薄い唇を吊り上げて、白い前歯を剥き出しにして。

「なるほど。くくっ、魔獣にしてはいい答え――だッ!!」

獣の形をした闇が女に飛びかかった時、既に彼女はその身を翻していた。
獣が何らかの瞬間的な移動手段を有していなければ、そのまま彼女のいた空間を通り抜けるだろう。
そして銀色の銃口は、黒い獣の脳天を狙う。

「オラッ、一発貰っとけッ――!」

――捨て台詞のようにそう叫びながら、彼女は至近距離で数発のバーストを獣に放つだろう。
しかし、発射されるのは単なる弾丸ではない。大気を歪めてなお余りある熱量を放射する光弾――プラズマが、その実体。
急所に命中すれば、たとえ魔獣であろうと一撃の下に沈む。しかしそれは、当たればの話。

/大丈夫ですよ! よろしくお願いします。
371 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/14(火) 23:29:11.19 ID:WC505xxEo
>>369

「僕は最近は乾パンみたいなのが多いですかねー、いかにも保存食って感じの
 水もですし、太陽がああじゃ育つものも育たないですよね……」

空を覆う黒い《夜》を見上げながら言うと、パンを口へ放り込む未来に目を向ける
無理して食べなくても……などという言葉はもうこの世界では通用しない
生きて戦うためには無理をしてでも食べなくてはいけないのだ

「いいですよ。大体は子供向けのものですけど。読んだことあるものありますか?」
読書家なのだろうか、本のことを語る彼の目は心なし輝いているように見える
そう言うだけあって、選んだ本達は著名な作家の児童文学が多いようだ
もし彼女に読書に対して関心があるのなら、そのラインナップがどれもハッピーエンドであることに気付くだろう

「図鑑の方は……そうですね、植物のものだったり、恐竜のものだったり
 ああ、深海魚の図鑑なんていうものも持ってきましたよ。面白いかと思って」

言いながら「借りてきた」という未来の物言いに小さく笑みを零した
光のない無人の図書館から本を持ち出すのは、「借りる」というより「盗み出す」行為に近いものだと感じていたからだ
372 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/14(火) 23:35:20.74 ID:ChzQ8wLR0
>>370
ずどんずどんと続けざまに数発。うち二発を脳天と胸元に受けた獣は、銃弾によるものとは欠片も思えぬ大きな風穴をあけて床にどしゃりと落下し、息絶える。
その隙に暗黒は薄らと伸びて主を覆い隠してしまう。自らが蠢きぶつかり合う度にきしきしと、刃物を打ち合う音。
そしてその証明の小さな無数の火花。それらはまるで先に絶えた獣の代わりにアリシアへ向けて威嚇をしているような。

「……ふふ、私の応えはお気に召したかしら?」

暗黒の動きとは違い、主たる魔獣の声は自信を帯びて揺るぎなく。下部に守られている限り自身の危険は最小なのだから、当然と言えば当然。
あまりにも過保護な暗黒の動きは、アリシアにとある事実を教えるも同然。しかし、熱心な下部らはそれに気づかぬまま、ずるりと球の一部を分離させる。
先ほどの獣の二の舞は、できうる限り御免被りたい。
ならば、形を完成させて襲うよりも、本来の姿のまま––––––即ち、斬れ味鋭い暗黒のまま襲う方が、今回の敵は効率がいいだろう。
霧のようにぞわぞわと空中を這う暗黒の刃物は、ぶわりと広がり、獲物を包み込まんとアリシアに襲いかかった。
そして、それを見ているのか見ていないのか、暗黒が囲い込んだ球の中から、嘲笑うかのように女の声が届く。

「随分と物騒なモノを持っているようだけれど……この子達にそれが、通用すると良いわね?」
373 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/14(火) 23:47:48.18 ID:7lCGeTNG0
>>371
「私は小さい頃に絵本はあんまり読まなかったなぁ。日の出ている内は外で走り回って虫や草花なんかを見てたし、夜はぐっすり寝ていたね」

成長してからは本を読むと言っても雑学書などが大半で茉冬の期待に応えられずになんだか悪い気がする。
いや、読んだことは有るのだからと、記憶を辿ってみるとふと思い出し、未来は思わず手を叩いた。

「こくごの教科書とかなら覚えてるし……それ以外だと『100万回死んだねこ』とかを読んだ記憶があるよ」

と言っても興味があるのは図鑑の方で深海魚の図鑑を手にとりパラパラとページをめくる。
意外とくたびれてるのは他の人間も借りていったからだろうか。
それでも図書館に本が残っていることを考えると一種のルールが出来上がっているのかもしれない。

「深海魚って見た目がグロイのが多いけどおいし――」

美味しいのが多いらしいね。口に出かかったその言葉を飲み込み図鑑を思い切り閉じ、茉冬へと図鑑を突っ返したのであった。
374 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 00:04:34.06 ID:jn9Hu6qb0
>>372

黒い獣が土竜の巣となって息絶えたところで、入れ替わって生じる耳障りな金属音と目障りな火花。そして、暗黒の球体。
それを見ても彼女は、未だ笑みを隠さなかった。グリップを握る右手が、ぎりと小さく音を立てる。

「くくっ……魔獣にしては、な。だが、人間としてなら0点すらやれん」

嘲笑うようにそう言い返して、再び彼女はトリガーを引く。再び放たれた数発の輝きが、漆黒の球体に突進していく。
しかし優雅さを崩さない魔獣の態度は、この程度のジャブの一切があの防壁には通用しないことを彼女に教えていた。
それでも、彼女は撃つしかなかった。今の彼女に打てる最善の策は、それだった。
そう、「今の」彼女には――銀色の銃口から新たに、骨組みだけの銃身が伸びている。
そして球体の蠢きを見た彼女は、ふと訝しげな顔をする。だが分離してぬらりと迫り来る闇を見れば、些かの苛立ちを顔に浮かべ直して身を翻した。

「こういう奴なら――三十六計逃げるに如かずッ……!」

魔獣に背を向けた彼女は途端に駆け出し、全速力でその場から離脱――廊下を駆け抜け、外に出ようとする。
彼女の身体能力は、少々運動に慣れた凡人のそれでしかない。果たして、いつまで刃の暗闇から逃げおおせることができるのだろうか?

――現在、出力100%。
375 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/15(水) 00:04:50.22 ID:d7xzVVGmo
>>373

「教科書ですかー、結構いいのが載ってますよね。『ごんぎつね』とか載ってませんでした?
 あと宮沢賢治の『オツベルと象』とか」

外見を見るに同年代だろうと思い、自分の記憶を掘り返して尋ねる
どちらも、彼女が挙げた本もも割と悲しい話なのでチョイスからは外したのだが

「あー……」

突っ返されたそれを受け取って、困ったように頬を掻く
不満の多い現状を紛らわす目的で持ちだした本だったが或いは逆効果だっただろうか、などという思いを色濃くして

「た、立ち話も何ですし、ちょっと歩きませんか?たしかこの前にベンチありましたし」

沈黙を避けるように提案を繰り出すのだった
376 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/15(水) 00:18:06.21 ID:LMSdFLN80
>>375
「そうだねぇ……」

肩をガクッと落とした未来であったが茉冬の後ろにまわり車椅子を押そうとする。
ベンチの場所は何と無く覚えているし、教えて貰えれば道に迷う心配は無い。

「『オツベルと象』は覚えてないなぁ。宮沢賢治だとクラムボンとか」
「茉冬くんは何の話が好きだった? 私はルロイ修道士の話とかが好きだった覚えがあるよ」

題名すら思い出せない物語の数々。しかし内容はぼんやりとではあるが心に残っているものである。
昔話をするにはほんの少し若いかもしれないが、記憶というものはどこか温かいものを感じる。
記憶の中から掘り起こした古い思い出を未来は懐かしく感じながら話していた。
377 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/15(水) 00:31:45.11 ID:jW88JUG80
>>374
意図的な撤退を開始するアリシアに、暗黒は今一歩届かず。ダメージは与えられないまま、逃げ続ける彼女をまるで猟犬のごとく執念深く追い続ける。

「あら、お褒めに預かり光栄だわ?……人間だった頃から私、今とそっくりな考え方だったもの」

アリシアの言葉は、最早人間でない魔獣には褒め言葉にしか受け取られない。後ろで不穏な言葉を呟くが、逃げる月装使いにその言葉が届いたのかどうか。
主を包んだ暗黒の球体は、狭い入口付近など御構い無しにぎゃりぎゃりと削り取りながら進む。
昔はアパートだった建物を無残な姿に変えながら進むそれは、どうやら形無き猟犬と違い深追いはしないようで。
もしアリシアが何かしらの理由で振り向いたならば、目前に迫るのは猟犬のように執拗な暗黒だけ。
魔獣を守護する球体は、わざわざ主が獲物を追う必要はないとばかりに、元居た建物近辺に留まり続ける。

「逃げているばかりじゃあ、私には勝てないわよ?」

––––––そう、遠く声が聞こえたのは、気のせいだろうか。
今現在、魔獣たちはアリシアの能力が先程のプラズマ弾だけだと思っている。奥の手を使うのならば、遠くに逃げたと油断している、今なのかもしれないが、はたして……。
378 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/15(水) 00:41:54.38 ID:d7xzVVGmo
>>376

「ルロイ修道士……というと、井上ひさしでしたっけ」
背に回って車椅子を押してくれる未来に軽く会釈をしながら、かつて読書に耽った時間を思い返す
教科書には載っていなかったが、天国に関する台詞は印象的で記憶に残っていた

「エーミールとかフリードリヒとか凄いインパクトありましたけど」
「好きなのは……『山月記』、ですかねえ」

『山月記』。臆病な自尊心と尊大な羞恥心が肥大して獣になる、という作品だが
この構図がどこか焔装使いと近いところにあるようで、この《夜》が表れてから共感を覚えていた

「それにしてもアレですよね、今体験しているのって小説にもなかなかないようなことじゃないですか?」
《夜》に覆われて世界の終わりが近いだなんて、今更ながらまるでフィクションのようだと言う
勿論、だからといって貴重な経験などと美化するつもりはないが
379 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/15(水) 01:00:09.17 ID:LMSdFLN80
>>378
「『山月記』って……、ああ」

そんな話も確かにあった。だが負の感情で獣になるというのは今となっては笑えない話。
一般人のような会話をしているが茉冬の言葉は彼も心に負の感情を抱えているのを感覚的に理解させてしまう。
《焔装》使いの茉冬には悪いが、それでも言いよどみ思わず苦虫を噛み潰したような表情をしてしまった。

「昔は魔法が使えたらなんて思ったけど人智を超えた力なんてろくでもないのかもね……。そうは思わない?」
「物語は絵空事だから素晴らしかったんだねぇ」

というのが彼女の感想であった。
しかし既に賽は投げられている。その不可解な力を利用して生き残らなければならない不安定な状況だがそれに頼る以外の道は無いのである。
380 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 01:12:10.88 ID:OCw+I1cFO
>>377


「ははァ、そりゃあさぞかし大層な人格者だったんだろうなァ……ッ!」

辛うじて届いたその一言は女を更に苛立たせた。届かないと知っていても、彼女は皮肉を返さずにはいられない。
そんな彼女の焦燥を虚仮にするように、優雅な所作で動き始めた黒球。
それは、彼女の刺客たりうる物体だった――が、それが彼女を追い詰めようとすることはなく。逃走劇の途中、一瞬だけ振り向いた彼女は気付く。
高貴で閑雅な、捕食者の風格。それは、彼女にとっては十分すぎる隙だった。



「――チエェストオオオォオォォォオッッッ!!!」


散策を続けていた魔獣の背後から、唐突に声が響くだろう。次ぐのは破砕音とコンクリートの破片、砂埃。
そして――蒼い双眸をギラつかせて、唇を釣り上げる女。

「甘い甘い天津甘栗より甘いッ……!
 自分がぶち壊したものにはちゃんと責任を持つべきだったなファッキンハーツ……!」

魔獣の生み出した闇に削られたコンクリートは、建造物として存在できる限界に至りかねないほど薄弱なものと化していた。
加えて漆黒の球体が巻き上げた不快な破砕音が、彼女が逃げた上の階層に届かない道理もない。
仄かに青白く光る銀の砲身を、彼女は構えた。現在、出力10000%――魔獣に、止められるだろうか。
381 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/15(水) 01:15:54.01 ID:d7xzVVGmo
>>379

「………・」

背後にいる彼女の表情は見られないが、言葉が出てこない様子は嫌でも伝わってきて、
車椅子の上で身体を縮こまらせながら、しまったな、などと内心で自分に毒を吐く
記憶が正しければ背後の彼女は月装使い。自分とは違い小説のようなことにはなるまい
そんな人に気を使わせてしまったと、趣味のこととなるとつい饒舌になってしまう自分を呪った

「はは……そうですね。」
「魔法を使えるのは便利なことだと今でも思いますけど、そうしないと生きられないようなのは勘弁って感じです」

それは月装にせよ焔装にせよ同じことで。
結局《夜》や《魔獣》というものさえなければ、などという、いつもと同じ結論にたどり着くのだ。

「―――あ、ベンチ見えてきましたね」
382 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/15(水) 01:27:19.56 ID:LMSdFLN80
>>381
「うーん……、今の境遇を呪ってはいるけど茉冬くんが言う通り魔法を使えるのは確かに便利なんだよね」
「《夜》を晴らせた将来があるならこの力を解明したりして以前よりも世界は発展するのかな?」

何事も立ち位置とその見方によって受ける印象は異なる。既に魔法じみた力が世界に満ちているなら前向きに考えた方が健全なのかもしれない。
食への不満で少々ネガティブになっていたか。顔を上げて前を向かなければ先は見えないなと未来は思う。

「ああ、やっぱりここか。私も来たことあるよ。規模は小さいけど居住地も近くにあったよね」

ほんの少し中心部から離れていても残っている建築物というのはそれなりに貴重である。
空いている部屋や建物もあるだろうから肌寒いなら頼るのも悪くは無い。
383 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/15(水) 01:51:03.19 ID:d7xzVVGmo
>>382

「うん、そうなるといいですよね。長所を伸ばす月装なんていかにも応用できそうじゃないですか?」
実際は人口の激減の事や復興のこともあってすぐには発展することはなさそうだが
長い目でみればきっと月装という力は人類を導く力になると思い、頷いて肯定を返した
その先に焔装の居場所があるかどうかなどは考えないことにして

「僕も遠くに行くときは結構ここで休んだりするんですよねー。街灯があるからそこそこ安心ですし」
舗装された道路を使って外縁部へ向かう場合、ここは休憩所として丁度いい位置にあると彼はいう

「放棄された居住地は結構魔獣の巣になってることもあるから気をつけるように―――なんてことも言われましたけど。
 それもここではあまり見てない気がします」
384 :シミラー(元ジャスミン) ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/15(水) 01:51:47.02 ID:jW88JUG80
>>380
「……あら、これは」

流石に無理ね、と魔獣は悟る。この状況で放たれる出力に耐え得る程の耐久性など、この魔獣シミラーは持ち合わせていない。
悟ってしまえば、後の行動は楽なもので。

「……あの子にさよならを言えないのだけは、残念ねぇ」
「油断したつもりはなかったのだけれど、この子達でも防げないのだから、仕方ないわよね」

悲しそうに眉間に皺を寄せ、思い出すのは自身と"友達"になってくれたあの魔獣の少女の姿。
まだ仲良くなって間も無いけれど、どうやら自分はここまでのようだった。

––––––自身の最期を悟った魔獣が、抵抗する事はなかった。
アリシアに向けて満面の笑みを浮かべながら、意味を成さない暗黒を自身より一足先に無に帰すだけ。
声なき唇の運びは、相手を定めず今までに相対した全てに向けて。一言、

『楽しかったわよ』

と。ただそれだけで目を閉じて、避けようとしない魔獣はアリシアの攻撃をモロに受ける。
元より耐久力は並の人間と同程度なのだから、対魔獣の攻撃をひとつでも真面に受ければそれは。
……それは、現魔獣シミラーにとって、元人間ジャスミンにとって、充分死神となりえるのだった。

銀の砲身からの光がおさまった時。そこからは、無残な姿で地に転げる、"魔獣だったもの"しか見つける事は出来ないだろう。


//眠気も来ましたので、この辺りでしめさせて頂きます。
//絡みありがとうございました。お疲れ様でしたー
385 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/15(水) 02:01:26.46 ID:LMSdFLN80
>>383
「それには誰にでも使えるようにするのが課題かなぁ」

はっきりと課題が分かっているなら乗り越える努力は行える。
明日すら見えない毎日で、行き先を決めるのは人の意思。
そんな考え方をするのがこの少女であった。

「私達みたいな人間も使うから魔獣を追い払うことが多くなるしね。ここの治安も一人の力で保ってる訳じゃないみたいだよ」

ゆっくりとベンチに腰を下ろして空を見上げる。が、やはり空には闇しか広がってない。

「やっぱり月や星が恋しいねぇー。昔の人はアレに物語をつけていたみたいだけどそれも詳しかったりする?」
386 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/15(水) 02:17:55.04 ID:d7xzVVGmo
>>385

「誰にでも。……良いですね」

焔装使いは月装は使えない。実際誰かにそう言われたわけではないが、なんとなく分かっていることだ
新しい世界で月装が標準装備になるのなら、そこに焔装の居場所を作るとしたら、
彼女の言うとおり、月装を使えるようにならなくてはならない――――と、そこまで考えて
こんな世の中にあって尚今ではない未来に思いを馳せている自分に気づき、くすくすと笑い声を挙げてしまう

「星座、ですか?まあ人並みには、ですけど
 今の時期はカシオペアとかペルセウスとかが有名ですよねー。あとはやっぱりオリオン?」

口から飛び出てくるのは、この季節の星座の数々
それでも空をみあげてもそれらの光は地上には届かないままで
387 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/15(水) 02:34:52.59 ID:LMSdFLN80
>>386
「折角だし笑えるときは笑った方がいいよね」

そう言えば困った顔をしか見ていなかった気がするな。
それも仕方が無いがやはり笑い声を挙げる茉冬を見ると先ほどの沈黙が嘘のように感じる。

「カシオペアもオリオンもなんか微妙な話だった気が……。慢心はいけないよね」

空想で物語を紡ぐのは今も昔も変わらない。
先ほど、過去の記憶をひっぱりだしていたからか、星々の光景が目に浮かぶ。
ほんのひと時の安らぎ。死の危険なんか投げ捨てて、ずっとこんな時間が続けばいいなとしばらく茉冬の語る内容に耳を傾けていた。

/この辺で区切っちゃって大丈夫でしょうか?
388 :神宮司 茉冬 ◆qQNGdd/prA [sage]:2014/10/15(水) 02:49:25.56 ID:d7xzVVGmo
>>387

「そうですよね。何を難しく考えていたんだか」

《夜》を晴らすという目指す所は変わらないのだから、可能なときは笑っていたい
そうあろうと胸に刻んだのだった

「あれ?そうでしたっけ……?」
カシオペアは正直あまり詳しくないが、オリオンは英雄だったような……と、半端な知識で結末を知らない彼は思う

「で、でもペルセウスは英雄ですし―――ですよね?」

文学知識はあれど、どうやら神話はあまり明るくないらしく。
自信なさげにそちらに目をやりながら、星々の織りなす神話を語っていくのであった

/了解ですー、お付き合いありがとうございました!
389 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/15(水) 02:51:00.88 ID:LMSdFLN80
>>388
/こちらこそありがとございましたー!
390 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/15(水) 06:04:12.30 ID:M+xnZjGAO
>>384
/ロールありがとうございました! 拙い回し方ですみませんッ。
391 :メイラ [saga]:2014/10/15(水) 16:50:33.64 ID:vzSsKCKq0
元気のGーはー害悪ーのGー♪
        ♪      ∧,, ∧            ♪
♪          ∧,, ∧ ・ω・)
         ∧,, ∧ ・ω・)   )
    ♪∧,, ∧ ・ω・)   )っ__フ   ♪    ∧,, ∧
  ∧,, ∧ ・ω・)   )っ__フ(_/ 彡    .∧,, ∧    )
 ( ・ω・)   )っ__フ(_/彡    ∧,, ∧    )   )
 (っ  )っ__フ(_/彡    .∧,, ∧    )   ) Οノ
  ( __フ(_/彡   ∧,, ∧    )   ) Οノ ヽ_)
   (_/彡      (    )   ) Οノ 'ヽ_)
            (    )  Οノ 'ヽ_)
           (ゝ. Οノ 'ヽ_)      ♪
     ♪    ミ  ヽ_

Gーのカンナギスター♪
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392 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 20:37:39.50 ID:x9G+2ml4o
 少女は「お姉ちゃん」の根城を訪ね、熱で溶けガラス質を得たアパートの残骸だけを目に収めた。
 ふと世界が灰色で満ちていくのがわかった。地面に残ったガラス質の残骸を撫でる。
 冷たくて、透明な手触り。ぱきりと罅割れた。灰色の瞳に浮かぶしずくが暗蒼色を強める。
 地面に落ちてひとつふたつと染みを増やしていく。少女は自分自身の翼を二枚、根元からむしり取り残骸に埋めた。

「……つばさ、あげるね。……ほしいって、いってたよね。……わたし、これぐらいしかできないから」

 普段なら灰と共に再生し、生え変わるはずの翼は二度と戻らなかった。そして降り積もる灰も現れない。
 誰かと一緒に居たいという願望を妨げる最大の要因は翼から降る灰にあった。
 翼と羽に触れぬ限りは、友好関係も築けるかもしれない。翼と一緒にもっていってくれたのだろうか?
 そんなことはありえない。でもそうだったのならと思えた方が救われる気がして。

「でも、ともだちなんか欲しくないよ……わたし……」

 ――あなたを殺した人間なんか、死んでしまえ。

 濃灰色の瞳は「お姉ちゃん」のように青みを増し、赤よりも静かに燃える怒りが灯っていた。
 蒼く燃える灰色の双眸が、人間の姿がないか、ただ周囲を見ていた。
393 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/15(水) 20:45:37.47 ID:jW88JUG80
「うーん……最後に都市を出る前はここにも少しは人、居たんだけどなぁ」

都市の外れ、壁の所々に真新しい爪痕や血痕の残る廃墟で、一人の少女は唸りながらゆっくりと歩く。
少女の頭のポニーテイルがふわふわと揺れる。纏う服には至る所に解れや切り裂かれた跡があり、よくよく見ればその下に、生傷も数多く存在しているようで。
きょろきょろと周囲を見渡しても目に付く場所に遺体や遺品は存在せず。しかし、血痕の生々しさからして恐らく、有志の者たちが回収してからそう時間は経っていないだろう。

「もうちょっと早く、帰ってきてたらなんとかできたり……は、しないか。流石にわたしだけじゃね」

人間の居住区を襲うという事は、己の腕に多少の自信がある事の現れだ。でなければまず、居住区まで侵入する事が出来ないだろうから。
そこに自分が一人いたところでどうにもならないだろう、出来るとすれば精々が時間稼ぎ程度。
わたしのせいじゃない、と心の中で呟いて。自身を奮い立たせるようにしながら、痛々しい場所を出来る限り見ないよう伏し目がちで歩く。

「……帰ったら、久しぶりに遺失物センターでも行ってみようかな」

まるで現実から目を背けているかのように、ぽつりぽつりと小さく零して。何かイイモノあるかなと呟く背中は、やけに寂しそうな。
それでも場所が場所なだけに警戒は怠らず。時折周囲に嫌々ながら視線を送り、誰かが付近に居ないかを確かめるのだった。

//新キャラの掴みとして、戦闘なり雑談なり何なりと。
394 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/15(水) 21:18:52.11 ID:jn9Hu6qbo

 黒く息苦しい大気に彼女の吐息が漏らされて、白い水蒸気という名の泡沫を産んだ。
 喪服のように黒い作業着を着たその若い女は、自らの吐いた溜息に不明瞭な独白を重ねていく。

「……昨日は、実に変な奴と出会った」

 彼女が座っているのは、瓦礫の山の天辺――都市中心から程近いものの、未だ整備の進まない地域の一つ。
 そこに来た明確な理由を、彼女は述べることができないだろう。嘗て早朝だった時間帯に目覚めた彼女は、既に半日以上考え込んでいた。
 能動的にこの場所にやってきたのではない。思考の副産物としての歩行が、彼女をここに導いていた。
 
「ヤツは確かに魔獣だった。しかし姿は人間だった――ここまでは、いい。
 私がヤツを殺した時、ヤツは確かに笑った。それが理解できない――何のためにだ?」

 魔獣という狂った存在は、人間の姿を借りているだけ。その事実を前提にしてなお、彼女の思考に決着がつくことはない。
 ふと、彼女は空を見上げる――そこにはコールタールをぶち撒けたような天蓋が、あるだけで。

「……空、飛びてえなあ」

 そんな小さな呟きも、見えない何かに圧し潰されてしまうようだった。
395 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/15(水) 21:22:34.52 ID:d1mHgekKO
>>393

さまよい、歩き、数日が経った。
血濡れた衣服を身に纏い、懐には人間の著した書物を抱えている。
この数日間、スカヤは何時ものように強者を求め、そして何故希望を持ち続ける精神力を持つのか問いた。それは無意識ではあったが、自分の「魔獣」になったルーツを求めていたのかもしれない。
自分と対決した強者に、「ニンゲン」とは如何なる存在なのか問い続けたが、彼等は頑なに「貴様には分かるまい」と答えるのみであった。
彼等は「吸収」した。強者である故に強い精神力を持つ事に憧れていたのだろうか?
そんな事を考え、また出くわす。

「………ニンゲン」

感じるニンゲンの臭い。それも雰囲気からして正しく…強者。
昂ぶる感情を抑え、彼女の目の前に現れる。
その問いに、彼女はどのような答えをくれるだろうか。

「そこのニンゲン───」

思わず声を掛ける。だが抑揚はつけず、落ち着いているように見せて。

「聞きたいことがある、その心に秘める力…教えて頂きたい」

直ぐに魔獣だと分かってしまうだろう。もしかしたら戦闘に持ち込まれるかもしれない。だがそんな事よりも、「答え」が知りたかった。

//よろしくお願いします
396 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/15(水) 21:33:14.52 ID:Je+m/C3J0

「もうここにある本全て読んでしまったではないか」

都市外れの廃校、不気味な人を寄せ付けない雰囲気を放つ
そこには「死神」が居る、と人間達の間で噂されていた
そんな所に近付こうと思う者は希有だろう。それは人を喰らう魔獣なのかもしれないのだから
だが「死神」の正体は魔獣などでは無く、赤いフードを被った金髪碧眼のフリルとリボンで装飾された白いブラウスがよく似合う少女であった

「つまらん。つまらんな。本を読んだ記憶だけ消せないものかな」

少女は今図書館に居る。革製の椅子に腰掛け片手の本を無造作に投げ捨て、長机に退屈そうに頬杖を着いてそんなことを呟いた

それが叶うわけがない。少女の退屈を晴らせるのは――「死神」の噂を聞いてなお、ここに訪れようとする存在だけだった

//日常希望です。宜しくお願いします



397 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/15(水) 21:37:04.38 ID:nOmkzU+Qo
>>394
街灯伝いに、1人のスコアホルダーが都市方面へと歩いていた。
戦闘時間だけが取り得の月城有子だ。
この女の仕事はいい加減で、黒星の数も多い。
完璧主義者の目からは、彼女を俗物だと見抜くことは容易いだろう。

「もし月装が焔装のように変異したりしたら…?
 安全性に優れた本装備は、魔獣達には後一歩及ばない…
 問題はその次世代の武器が普及した後。
 …リスクを抱えたままの焔装能力者達の処遇」
この俗物は、相変わらずふわふわしている。
人の見てない所で、独り言をぶつぶつ呟く悪癖がある。

「散々人にこき使われて、いきなり[ピーーー]とでも告げられたら…
 私達はいつまでカーテンの向こうの奴に踊らされるのか」
先のことを見据えたような、達観した言動。
目の前の課題は棚上げのようで、それに至る過程を無視していた。
398 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/15(水) 21:41:43.99 ID:t/b6x/ztO
>>396
「………………こんなところで何してるんだよ」

都市外れの廃校。死神の噂。
魔獣が潜んでいると睨んで、其処を訪れようと決心するのにそう時間はかからなかった。
魔獣の殲滅の為ならば、例え火の海だろうと向かう所存である。

辺りを散策し、最後に図書館を見つけてそこに入る。が、潜んでいたのは魔獣ではなく少女であった。
本を読んでいるとても退屈そうな。人を寄せ付けない雰囲気ではあるが決して魔獣のそれではない。
半ば落胆したような、しかしどこか安堵したような声で大袈裟に独り言を漏らす。

「死神の噂を聞いて魔獣かと思って来てみたら………歩き損だ、こりゃ」
399 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 21:46:50.30 ID:x9G+2ml4o
>>394
 がむしゃらに飛んだ。この気持ちよ、風に溶けてしまえと願いながら。なのに怒りだけが募っていく。
 人がいないところへ行きたかった。拠点地区はもちろん、住居跡ですらないどこかの果てへ。
 再利用できない残骸の掃き溜め。不正投棄すらされて出来上がった瓦礫の山。

 誰もいないところがいい。そう願ったのに、いまな何も浮かばない空を呆と見上げる人が居た。
 いつか見た女。名前は……そう、アリシア・P・シノット。鉄屑[ジャンク]から機械[ジャンク]を作り出す人間。
 彼女の様子は、いつものように何かに熱中しているわけでもなく憤怒に身を任せているわけでもなく。
 まるで、心に浮かんだ疑問と空白に考慮を重ねているかのようで。ふと、近づいてみたくなった。

「――?」

 気のせいだろう。アリシアから「お姉ちゃん」の臭いを嗅いだ気がした。

「……こんばんは。人って、魔獣の情報を、魔獣殺しの情報を、共有してるのかな
 だったら知らないかな。暗黒を纏う女の魔獣を。探してるんだ……」

 だから確かめようと思って、哀しみと怒りがまぜこぜになった赤く腫れた目を向けた。
400 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/15(水) 21:47:20.43 ID:jW88JUG80
>>395
焔装使いの少女は意外にも、直ぐに戦闘へ持ち込む事をしなかった。

「……見た目が大人な魔獣の割りには変な事を訊くんだね、しかもわたしみたいな子供に」
「答えてもいいけど、その前にわたしの質問に応えて貰っても、いい?」

ざり、と砂利を踏み込んで少女は立ち止まる。目前の魔獣は纏う雰囲気も立ち振る舞いも何もかもが「強者」だ。
自分ひとりで戦って優勢に持ち込めるかと問われれば、正直に言って自信など欠片もない。
あげようとした視線はスカヤの纏う血塗られた衣服と、その腕に抱えられた幾つもの「戦利品」へと吸い寄せられる。

「……ここを襲ったのは、お前か?仮に違ったとして、それならばお前は––––––魔獣は何故人を襲う?」

相手に合わせるように、感情を押し殺して。それでも抑えきれずに零れ出るそれは明らかな怒りと憎悪。
脳裏に過るのは過去の幸せだった世界。親も兄弟も友人も誰ひとり欠ける事なく、過ごしていたもはや懐かしさすら覚える記憶。
……しかし、抑えているという事は。返答によっては理性的な対応をしないでもない、と暗に告げるも同然。

少女の瞳は近く都市の光を反射して、きらりと輝いた。
401 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 21:47:31.20 ID:x9G+2ml4o
/うわ、すみません。更新しわすれてました。
/>>399取り消します
402 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/15(水) 21:55:42.74 ID:nOmkzU+Qo
/共闘可。あとは2人の判断次第で。
403 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 22:01:01.86 ID:x9G+2ml4o
/私の方はやってくれればありがたいですが、
/アリシアさんの負担が大きいと感じられれば無理なさらないで下さい
404 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/15(水) 22:05:04.71 ID:d1mHgekKO
>>400

その意外な反応に、スカヤ自身も少し驚いた。
今までのニンゲンは所構わず自分に戦いを持ちかけてきたからだ。

「残念だが、俺もここを訪れたばかりだ…多分他の魔獣だろうし、俺ならばこんなに「散らかさない」」
「…フム…何故、襲うのか───」

これから噛みつかんとする狼のように警戒した少女のセリフからは、魔獣に対する多大な憎悪と憤慨を感じる。

「俺だけであるならば……」
「即ち強者と戦う為だ、俺はそれでしかプライドを保てるようじゃなかった」

だがもうそれは「過去」のこと。既にスカヤは「強者」に対する興味と執念を失いつつあった。

「だが…今はそうは思わん」
「俺は知りたいのだ、ニンゲンの心の強さというものを」
「このような腐敗した社会、限られた物資、絶望的な状況……それでも尚、諦めないような強者の精神力を、何故絶望しないのか知りたい」

心の何処かにつっかえる感情。それはかつてニンゲンであり、世界を救おうとした者の燃え粕か。
それすらも「忘れ」、絶望した魔獣が知るようなモノであろうか───。
405 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 22:05:43.59 ID:jn9Hu6qbo
/あー……わかりました。では、共闘という方針でお願いします。
/少々お待ちください……。
406 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/15(水) 22:05:53.43 ID:Je+m/C3J0
>>398

「おや、いらっしゃい」

少女は崩月を視界に捉えると嬉しそうな声で、若干の笑みを浮かべながらそう言った

「私はただの暇人さ、特に何もしていないよ」
「ここにある本を今しがた全て読み終えてね」
「君はいいタイミングで来てくれたよ。座りたまえ」

ポンポンと自分の隣の革椅子を叩きながら催促する。少年が少女の隣に来たのなら見えるだろう。少女の身の丈程ある鎌が
これを持って廃校周辺を黒翼で飛び回っているから死神が居るなんて噂が流れるのだ
当人はそんな噂が流れていることなど知らないが
故に次の少年の言葉を聞いて首を傾げた

「死神?失礼な…私は人間だ。死神の噂とは何か、是非とも聞かせてもらいたいね」

407 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 22:10:55.67 ID:jn9Hu6qbo
>>397

 もはや女の独白は聞こえなくなっていた。止めどなく溢れる無秩序な思考を、口の中でぼやけた音として渦巻かせているだけ。
 やがて、舌打ちが一つ。中途半端なピリオドとなったそれで、彼女の思索は一先ずの終わりを迎える――はず、だったが。
 
「……あ?」

 屑山の下から響いたその人間の呟きは、彼女に聞こえたようだった。
 月城有子。彼女はその少女を何度か見かけたことがあった――今の少女に自らと近しい物を感じた女は、ゆっくりと瓦礫の斜面を降りていく。

>>399

 そして彼女は、空から降りてくる一匹の魔獣を確認して――あからさまに、眉を顰めた。
 数日前に、その魔獣が彼女に何をしたか。常識外の執念深さを持ち合わせる彼女が、それを忘れる訳もない―ーしかし。

「……大変申し訳ないが、今の貴様に話してやることは何もない。
 とっとと失せろ。私は今、不機嫌なんだ」

 吐き捨てるようにそう言えば、彼女は斜面を再び降り始めるだろう。
 その口調には数日前に顕にしていた凄まじい殺意の代わりに、由来の知れぬやるせなさのみが宿っていた。
408 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/15(水) 22:14:56.70 ID:nOmkzU+Qo
>>399
もう一人居た、道路に1人。やや離れてはいる。

「おやー。どうしたものかなー…アレは…リストにあった大物だ。
 これは面倒なことになりましたね…増援は見込めないし退避…」
魔獣の気配を捉え、臨戦態勢を取る。ワゴン車の影に隠れた。

>>407
「…あれ、アリシアさんじゃないですかー!
 危ないですよ、ウォッチリストに載っていた大物が来てます!!」
有子は道路の脇に停めてあったワゴン車の影に隠れている。
酷く慌てていたように見えたが…演技のよう。

(…まぁ、今日はどちらが弾除けでしょうかね)
両手に金色の異形の銃が現れ、有子の口元は三日月状に歪んでいた。
409 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/15(水) 22:19:26.74 ID:t/b6x/ztO
>>406
「はぁ………それじゃ失礼しますっと……」

ため息をつき、催促された通りに少女の隣の革椅子にゆっくりと腰掛ける。
実のところ、ここまで来るのにかなりの時間を要した。その結果がこれなのだから気分はガタ落ちも良いところ。
このまま黙って帰るのも癪に障る。せめてものの腹いせというか、そんな感じ。

「…………………」

隣に座ったところで、少女の身の丈程の鎌が見えた。
死神の噂の真相が、分かった気がした。

「そんなもん持ってるから死神だなんて思われるんだよ……」

朽ちた廃校に、鎌を持った少女。
確かにその噂も頷けるくらいの説得力はある。何より、このご時世なのだから。

「死神が此処に住み着いてると聞いて、駆けつけてみました。はい、以上」

極めて簡潔に死神の噂と、自分が此処に来た目的を話す。
410 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 22:23:57.25 ID:x9G+2ml4o
>>407
 彼女の大切なものを壊してしまった。それからすれば、その対応は穏便極まる。
 見逃してくれてありがとう。普段なら、パヨカもおとなしく引き下がった。

「……ごめんね。でも、教えてくれるとうれしいな
 ここからとっても離れた廃アパートに住んでいたんだよ
 ジャスミンお姉ちゃんっていうんだ。わたしの、たったひとりの、お姉ちゃんが、いないの」

 けれど、近づいてみたら、より強くなった「誰かの匂い」が気になってしょうがない。

>>408
 瓦礫の山の近くに止められた車の陰に隠れる女は、知らない。
 アリシアと知り合いだというのなら、きっと彼女も月装か焔装の使い手だろう。
 それに、戦い慣れているように思えた。雰囲気は既に、戦うつもりだとわかったから。

「あなたも……知らないかな。白い肌で、薄金色の髪をした、蒼い目の魔獣なんだ
 お姉ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんを殺した人でもいいんだ……」

 少女はワンピース一枚という姿に寒さを覚えたように翼で身を包んだ。

/ありがとうございます。お二方ともよろしくお願いします
411 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/15(水) 22:31:11.17 ID:jW88JUG80
>>404
「……そう。そっか、違うんだね」

スカヤの返答を受け、少女の中に凝り固まっていたぐしゃぐしゃとした殺意は一旦の収まりを見せた。
まるでふぅと息を吹きかけられ消える蝋燭の灯火のように、一挙に萎んで縮れた憎悪の塊は少女の心の奥底で凝って、ふつふつと再燃する日を待つのみになってしまう。

「なら、わたしはお前を"憎まない"事にするよ。今のうちは……こちらに手出しをしない、限りは」
「……次はわたしが答える番だね」

普段通りの落ち着きを取り戻し、少女は淡々と魔獣の問いに応えを返す。それは少女独自の思想。
人間全てに当てはまるとは到底思えず、しかしそれ故に全てに当てはまってしまいそうに感じられるような、単純明快な答え。

「わたしの場合は、これ以上に失うものなんて、それこそ自分の命くらいだから。……親も兄弟も周りは皆先に死んじゃって、わたし独りしか残ってないから、かな」

喪うものが無いからこそガムシャラに、捨て身で攻める事も可能。そしてそれらに護られて、喪うものがまだ"ある"人間は生き残る事ができる。
自分のモノでなくても、命を先に繋げる事が出来ればいいのだと。そう思えば諦めて殺されるより、少しでも抵抗して種族を生き永らえさせる方がまだマシだと信じる事ができた。
脆く儚い根拠は、魔獣からすると壊す事など容易いだろう。
412 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 22:35:37.42 ID:jn9Hu6qbo
>>408>>410

 クレバーな面持ちでようやく地面に降りた彼女だったが、有子の慌てた声を聞けば直ぐ様表情に苛立ちを宿す。
 アリシア・P・シノットという人間は、自らの思考を中断されることを何よりも嫌う。例えそれがどんな相手でも、どんな状況でも。

「あァ!? 知るかんなもん! 私の考え事の邪魔をするなッ!
 まったくせっかくまともそうな話し相手を見つけたと思ったが見当違いじゃあないか畜生めがッ……!」

 結果として、女はこのように有子を手酷く怒鳴りつけるだろう。
 止めていた独白を別のニュアンスで再び漏らしながら、彼女は未だ食い下がる魔獣にも左人差し指を突き付ける。

「お前もお前でいい加減引き下がれこのクソ虫……ッ!
 廃アパートの女だとォ? 私がそんなこと知ってる訳ッ……?」

 ――しかし八つ当りとしてぶち撒けたその言葉の後半には、何かに気付かされたかのように狼狽を滲ませていた。
 口に咥えたパイプが、小刻みに震える――それは、有子にもパヨカにも見えるだろう。
413 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/15(水) 22:40:53.77 ID:nOmkzU+Qo
>>410
「私以外が仕留めたんじゃないかな、そこにいる彼女とかが…さ」
女の鋭く冷たい目は小さな少女へと向けられた。
タン、と完全遮蔽から身を飛び出して両手の銃を構えた。
両手の銃の銃口から、碧の光を帯びる。

「これは挨拶、お別れの」
両手の銃を向け、極彩色の弾幕を張り制圧射撃を行う。
夥しい量の光弾が、少女目掛けて放たれる。
精度も質もイマイチだが、数が多い。両手に機関銃でも持っているようだ。

>>412
「私と貴女がそりが合わないのは重々承知してますけど…
 まぁ、傍聴席にただ黙って見てるような人ではないと思いますがね」
戦端を開いたのは有子だった。ぶつぶつと呟きながら弾幕をばら撒いている。
両手に握られていたのは、地味で汎用性の高い月装だろう。
414 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/15(水) 22:41:24.10 ID:Je+m/C3J0
>>409

「そんな物とはなんだ。私の相棒のアイシクルちゃんを馬鹿にしているのか?」

武器に名前をつけるだけなら変人といった印象は受けないが
鎌を持ち上げて愛おしそうに何度も撫でながら、そう紡ぐ少女は変人という言葉が何よりぴったりだった

「何?私はそんな風に思われていたのか…」

と、それを聞いて少し落胆した少女が鎌を置いて長机の中からウイスキーの瓶を取り出した
少女は誰が見ても未成年にしか見えない
酒を口にするには早すぎる年齢だと分かるだろう
だが少女はウイスキーの栓を開けて平然と口に運ぼうとした

415 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 22:55:13.18 ID:x9G+2ml4o
>>412
 アリシア・P・シノットは真実を知っている。

「……教えてよ、アリシアちゃん。知ってるんでしょう?
 どうして震えているの。どうして視線が揺らいだの。どうして言葉が途切れたの
 どうして、あなたから「お姉ちゃん」の匂いがするの――?

 ねえ、知ってるでしょうアリシアちゃん。わたしの力を。全部を殺しちゃうことを
 わたし、さびしかった。お姉ちゃんはね、ずっといっしょにいてくれるって、命までくれたの
 人が魔獣になるって怖いよね。……だからわたしは、お姉ちゃんを殺した奴を、許さない
            ヽヽヽヽ
 だから教えてよ、アリシア」

 確信する。核心に迫る。赤く腫れぼったいパヨカの眼の中央、瞳だけが蒼白く燃え上がる。

>>413
「そうみたいだね。名前も知らないけれど、ありがとう。お姉さん
 ――でも、ともだちにはなれそうもないね」

 車の陰から飛び出し、虹色の光の弾丸をばら撒く女は、鬱陶しい。
 翼が地面を打ち、反動で飛び出そうとするがそれは力ない。
 体をすこしズラすだけで終わってしまう。とっさに、もう一翼で自分自身を覆い隠した。

「いたっ……!」

 半分は避けたが、もう半分は受けざるを得なかった。翼の防御力を以てしても、痛いものは痛い。
 ボロボロになった羽が抜け落ちた。ふたたび同量の攻撃を喰らえば今度は防ぎきれないかもしれない。
 お返しとばかりに、翼に残っていた残り少ない羽をサブマシンガンのように月城へ目掛けて撃ち出す。
 いまここで殺す必要はない。インフルエンザで無効化するのが狙いだ。
416 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/15(水) 22:56:09.86 ID:wHZ8ONNZ0
>>411

「孤独故、失うモノは何もない、のか」
「ならば死んでいった者を弔う者はいなくて良いだろうか?」
「書物には書いたあった…「遺す者」と「遺された者」には必ずしも役目がある、とな」

スカヤは懐から「戦利品」たる書物を取り出す。それは血濡れたモノであったが、読めないというほど痛んではなかった。

「俺にはまだ分からない、言葉だ」
「だが、記してあるならば、それは「ニンゲン」にとって意味のあるモノではないのか?」
「だからこそ、貴様の考えはまだ正当化出来ると思うが……不思議な事だ、魔獣がニンゲンの考えに共感できるかもしれないと考えるなんてな」

イキシアの考え方はこの書物とほぼ同じ考え方だと感じた。そう感じていた矢先───。

「─────ッ!?」

激しい頭痛に見舞われる。頭がガンガンする。痛いいたいイタいイタイイタイイタイイタイイタイ。

「ぐっ……ッ! ヌウ………ッ!」

思わずその場で膝をつき、頭を抱える。
頭を締め付け、苦しみに縛られると同時に、「遺す」という言葉が頭の中を過って回る。

「何…なんだ、この痛みは……っ!」

あまりの痛さに危機反応を起こしたか、スカヤの身体は昆虫怪人にへと変化する。
周りに微弱ではあるが電気が漏れ出す。
その行動は、まるで「何か」を身体の中から「排除」しているかのようにも見えるだろう。

だんだん、「魔獣」がコワレテイク。
417 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/15(水) 23:05:09.04 ID:t/b6x/ztO
>>414
「あ、アイシクルちゃん………?」

まさか、この鎌を指しているのだろうか、いや、こうして愛おしそうに撫でながら言っているのだから恐らく間違ってなどいない。
さすがの崩月も困惑する。死神ではないが、強烈な何かを感じた。
もはや何も言うまい。そうした方が彼女の為だろう、きっと。

などと、そんな事を考えているうちに少女はウィスキーの瓶を取り出す。
明らかにどう見ても少女は未成年。

「おいおい………未成年は酒を飲んじゃいけないんだぞ……」

呆れたとばかりに指摘するが、止めはしない。
飲むも飲まないも勝手だろう。呑まれるのは勘弁してもらいたいが。

「まあご勝手にどうぞ………酔うなよ」

最後にぴしゃりと、念を押すように言っておく。
418 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 23:08:58.55 ID:jn9Hu6qb0
>>413>>415

「……〜〜ッ! 勝手におっ始めるんじゃない!
 戦うなら、私のペースに合わせろ!」

 一瞬だけ動揺を剥き出しにした彼女だったが、有子の唐突な発砲に暴論を返してまた舌打ちした。
 困惑を苛立ちで塗り潰した能面を被れば、後ろに跳ぶことでパヨカから距離を取る。
 今の女には落ち着いて考える時間が必要だった。されど、彼女は投げられた賽を空中で掴むほどの力量は有していなかった。
 ――帰する所この世界における捕食者と被食者は、殺し合うしかない。

「……少しは自分で考えたらどうだこのノータリン……! だから貴様は馬鹿なんだッ! 
 私は何も答えない、答える必要もない……! そして、貴様はここで死ね……ッ!」

 有子の弾幕に全てを載せて誤魔化すようにそう言い捨てて、彼女は懐から銀色の小銃を取り出す。
 そのまま首にかけたゴーグルを鷲掴みにして、眼鏡の上に強引に被せた。ギラついた殺意を宿した蒼い双眸が、パヨカの泣き腫らした瞳を睨む。
 彼女は小銃の銃身を伸長させて、銃口がブレるほど激しくトリガーを引いた。
 拡散する蒼白い閃光、次いで放たれる一条の輝き――大気を灼くその光の進む先には、翼を持つ少女の形の魔獣がいた。
419 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/15(水) 23:13:14.63 ID:nOmkzU+Qo
>>415>>418
「哀しいかな、怪物相手に贈れるものは実弾だけ。
 貴女が人間ならば、すこしは私がお菓子の施しをしてあげたのに」
有効弾。虹の弾丸は確実に飛行タイプの体力を奪っている。
射手は攻撃の動作を見て弾幕を中断。スッとワゴン車の陰に隠れて盾にする。
機銃掃射の如く飛来した羽根により、ワゴン車の窓ガラスが粉砕され辺りに飛散する。

「2人に贈り物といきましょう。受け取ってもらえるかな。
 大玉一発…“Underground-Searchlight”」
暗黒の空へと左の銃口を向ける。蒼い魔弾を打ち上げた。
魔弾が弾け、周囲を蒼く照らす。照明弾が弾けた地点は上空30m。

「交渉は武器でやりましょう。殺し合い外交って形で」
有子は青白い光の下で、不敵な笑みを浮かべていた。
(あの照明の点灯時間が、私に与えられたタイムリミットでしょう。
 しかし、これはもう使い物になりませんね…)
左手の銃から碧のラインが黒く染まる。左の銃は金色の腕輪に戻す。
420 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/15(水) 23:17:52.59 ID:jW88JUG80
>>416
「わたしは……焔装使いは、誰にも弔われないよ、きっと。わたし達が死ぬって事は、新しく敵が産まれるって事だから」

だから、存在しないだろうものを求める事はないのだと、少女は言う。その言葉からは、その言葉からだけは、切実な寂しさが俄かに顔を覗かせて。
始めて魔獣と対話をして、この魔獣は"憎む"事なく別れることも出来るのではないかと、いかにも子供な楽観的な思いが脳裏を掠めた矢先、目前のスカヤに異変が起こる。

「––––––っ!」

瞬間、半ばときかけていたあまい警戒を最大級に押し上げて、少女は後ろへと跳びさがる。
意図せずして暴かれるスカヤの本性と、おかしな動きを続ける彼に対してとる対応はひとつ、臨戦態勢で。

恐る恐るでそちらを凝視して、周囲に弾ける微細な電気と、剛の身体に複数存在する得物を捉えた少女は更に後ずさる。
死ぬのが怖い訳ではない、自分の思いは先に述べた通りだ––––––ではこの焔装使いは、一体何が怖いのか。
……少女は戸惑いを隠せないでいた。今さっきまで、魔獣とはいえ普通に会話をしていた相手が突如おかしくなったのだから当然と言えば当然だが。
それよりも、未知数な存在である魔獣が、更に理解の届かない場所へ向かってしまいそうで、それが。それが、どうしようもなく、怖かった。

スカヤの次の挙動によって、少女の行動は大きく二つに分かれるだろう。
敵対するか。対話を、束の間の平和条約を続けるか。
421 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/15(水) 23:26:55.78 ID:x9G+2ml4o
>>418-419
「そう。……わかったよアリシア。お前がわたしの敵だ!
 わたしがあなたの大切なものを奪って、だからわたしの大切なものが奪われた。
 間接的なのかもしれないけれど、だったらわたしの復讐も受け取れ――――!」

 怒りと冷静を併せ持つ女は仮面のようにゴーグルを被る。
 銀の小銃――大砲――から放たれる大熱量の奔流を、両翼で地面を叩き羽ばたき回避するつもりだった。
 やはり力が足りない。羽を失っていた翼と左腕が飲み込まれた。脳を埋め尽くす灼熱の痛み。
 口からあふれる雑音。信号。信号。信号。狂ったように電気信号が走る。
 狂った視界の中、宙に打ち上げられた閃光は幻影なのかほんとうのことなのか解らない。
 アリシアではない女――月城有子のしたことだというのは解った。いま、邪魔しないのなら、それでいい。

 残るは片手両足片翼。泣きたくなるほどの痛みを、怒りでもって歯をかみしめることで我慢する。
 いまこの瞬間動けたら、あとはなにもいらない。お姉ちゃんがいない世界なら、どうだっていい。

「軽くしてくれてありがとう!」

 腕がなくバランスが欠けるのなら翼で取る。そしてパヨカは、両の足でアリシアへ向けて走り出す。
 魔獣としては遅い。だが人間としては速い。そして、翼で直接殴りつけるつもりだ。
 込める病毒は「カロライナジャスミン」。症状は痙攣、呼吸困難など。
422 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/15(水) 23:28:13.54 ID:aDwT31S20
>>417
「そーだ。アイシクルちゃんだ。お前には特別に触らせてやろう。これは最高に名誉なことだぞ?」

鼻を鳴らしながら少女はそう言った。触らなくても構わないが
触った方が少女の機嫌を損ねずに済むということは間違いない

「何を言っている。君…何時迄も君では良くないな。名前を教えてくたまえ」
「私の名前は……シャイナだ。忘れるんじゃないぞ」

と微笑みを浮かべて名乗ってから、酒の話に戻る

「そんなことを気にしてどうする。人生は短いのだぞ?」
「やりたいと思ったらざに行動に移すべきだ。人に迷惑を掛けさえしなければ何をしようと問題はない」
「それが人生を最大限楽しむ方法だよ」

そんなことを言いながら少年の肩を何度も叩こうとする。少女が今この瞬間を楽しんでいた

「ふっ、私は酒には強いと自負している。その心配は無用だ」

口をつけてグイっと一気に流し込む。少女は将来ろくでもない大人になりそうだった
今この年でで酒好きなのだから
飲酒が法的に許される歳になったらどうなるか…想像に難くない

「君も飲んで見ないか?美味いぞ」

そう言って自分が口をつけていたそれを少年へ差し出した。酒が回って来たのか少女の頬はほんのりと赤く染まっている
423 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs [sage saga]:2014/10/15(水) 23:41:39.36 ID:wHZ8ONNZ0
>>420
彼女の考えていた事とは裏腹に、スカヤは「自身」と戦わざるを得ない状況に陥っていた。
今までこんな事は全く起きる事は無かったが、とうとう起きて「しまった」といっても過言ではないだろう。

今、スカヤの中に存在する「魔獣」が心を、精神を、排除しかねんと暴れ出しているからである。
スカヤが探し求めていたモノは魔獣には必要なく、滅するべき対象にあり、思い出すということは間違いなく、ニンゲンの言う「魔獣」から外れるような存在と化すモノであるから。

「クソ、アタマガ…グッ……ガッ!!」
「ニンゲン…ニンゲンヨ!」「何故ソンナ諦念デ生キラレル!?」
「俺ガ…俺ト戦ッタ強者ハ例エ「エンソウ使イ」デアッテモ……ガッ!?」

言葉が続かなくなり、暫くの間、呻き声しか発せなくなる。
だが一つ見えるモノがあった。
微かではあるが、確かに見えるモノが。
あの時も暗かった世界だったが、その命は燃え尽きる彗星の如く輝いていたような気がした。

「希望ハ、ニンゲンデシカ作レナイ…ナラば!」「貴様にモ、タダ死ヲ、魔獣ニなルことヲ待つヨウナ人生でハなイ筈…そうだろウ!?」

徐々に、鮮明に、セピア色だったニンゲンの記憶が色鮮やかに頭に映し出される。
ニンゲンであったこと。ニンゲンとして魔獣とどのように渡り歩いてきたこと。その過程で、守れきれなかった事で絶望し始めたこと。最期に───魔獣ではなく「ニンゲン」に殺されたこと。

そして、それを完全に、再び思い出した時───スカヤは2度目の「絶望」を味わった。

「g…GWAAAAAAAAAAAAA……!!」

424 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/15(水) 23:51:59.30 ID:t/b6x/ztO
>>421
崩月は、何となくこの少女の扱い方を心得たような気がした。
所謂典型的なお嬢様タイプ、おとなしく素直に言う事に従っていれば面倒な事にはならないと分析。

「………それじゃあ失礼しますよ、お嬢様」

言われた通り、鎌の柄を握ってみる。
当然、重い。少女は、これを扱って戦っているのだろうか。

「さあ、忘れるかもしれないけど…………僕は崩月真夢」

そこでシャイナと名乗った少女に、名乗り返す。今後シャイナの名前を覚えているかどうかは、実際問題怪しい。
生きていたら、という前提条件があるのだから。

「なーにが酒に強いだっ…って、おい、肩を叩くな」

この歳で飲酒を嗜むシャイナの未来はさておき、肩を揺らしてムッとした表情でシャイナを見る。どうやら、肩を叩かれた事が気に入らなかったらしい。
そして当然の如く薦められたわけだが………
たまには、魔獣の事を忘れて酔いに身を任せるのも悪くはないんじゃないか、と珍しく考えていて。

「もう酔ってるんじゃねえの……じゃ、少しもらう」

差し出されたそれを受け取り、少女とは別の場所に口を付けて一口。
その後、盛大にむせながらシャイナに酒を返すだろう。
425 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/15(水) 23:52:51.75 ID:t/b6x/ztO
/安価ミス、>>422でした…
426 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/15(水) 23:58:11.36 ID:jn9Hu6qb0

「まぁた余計なことをッ……私と連携を取る気はないのかッ……!
 こうも明るいと却って当て辛いんだよ!」

 きっかり30m上の宙空に打ち上げられた青い太陽。それを睨んでから、彼女は自らの一撃が魔獣に命中したことを悟る。
 魔獣の左腕と左翼。それらは原子核ごと消滅していた。耳障りな絶叫に再び彼女は眉を顰め、赤熱した内部機構を剥き出しにして冷却する小銃を構える。
 片翼と化した魔獣は空を飛び回ることを止め、魂を賭した疾走で女に一矢報いようとしていた。

「お前の個人的な感情に、興味なんてないッ……。
 送り先が違うんだよ……丁重に梱包して、お返ししてやるッ……!」

 されど、一時的な激情に駆られた攻撃の性質などたかが知れている。攻撃性能だけが取り柄の一撃――彼女はそう判断して、真正面から躱す態勢で身構える。
 50m、25m、10m――そして彼女は、限界まで魔獣を引きつけてから身を引いた――しかし。

「が、ッ…………!」

 ――パヨカの翼はしっかりと、アリシアの右腕を捉えていた。
 胴体への直撃はしなかった。彼女が可能な限りの最良の回避を遂行したからだ。
 それでも彼女が失態を晒した理由は、自らの肉体を反応させる前に、パヨカの執念に満ちた瞳と相対していたからであろうか。

「……やるじゃねえか、よぉッ!!」

 しかし狂った執念に満たされているのは彼女も同じだった。
 唐突に生じた痙攣で取り落とした小銃。彼女はそれの銃身を左手で掴み、そのグリップを思い切り振り下ろそうとする――狙いは、パヨカの脳天。
 女の全身に病毒が回るのは、相当に短い時間の問題だった。
427 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx :2014/10/15(水) 23:59:41.83 ID:jn9Hu6qb0
/>>426>>421>>419宛てです……すみません。
428 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 00:05:13.37 ID:2AGMHzVOo
>>421 >>426
「“そういう事です”…チェック」
照明弾の恩恵を受けているのは有子本人だ。灯りがある内に決着を付ける。
魔翌力を右手の銃に込め、銃身が青白く輝く。

「脚は狙いずらいですね…反射角調整、ファイア。」
打ち上げられた照明のお陰で、周辺の壁面の状態が観察出来る。
パヨカの対面の建物と手前の建物に右手の銃を向け、2発の紫の魔弾を発砲する。
それらはネオンの軌跡を描き、1-2回跳ね返った後にパヨカ目掛けて飛来する。
1発目は胴体へのブラフ。2発目の狙いは片翼のある背中。

「こんな所でくたばらないで下さいよ。再殺も手間がかかりますし」
右手の黄金銃をくるくると回すと、照明弾の光が消える。
―――照明が降りた。
429 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/16(木) 00:07:57.52 ID:AfBrxYSO0
>>423
「わたしが生きていられる理由?そんなの、簡単だ」

まるで今際の時のように、悲痛な叫びをあげながら問いかけてくる魔獣に対する答えはひとつ。
それはまるで哲学者が考える事を放棄したかのような、答えのない応え。

「わたしが"まだ"人間で。生が尽きるまでそうであり続けたいと望むからだよ、《魔獣》」

淡々と言葉を投げて、これまでかと見切りをつけると少女は地を蹴りその場から去らんと足を早める。
これ以上ここに留まっても平和条約の続行は期待出来ないだろうし、ロクな結末を迎える気もしない。
ならば逃げるが勝ち。どうせこの周囲は廃墟と化して、自身が逃げる事で直接被害を被る人間はいないのだから。

「じゃあね、話のできる魔獣。出来れば次に会う時も、わたしが憎まないで済む存在でいて欲しいな」

去り際にこう残して、珍しく好戦的でない焔装使いはその場から消えた。そして、
断末魔のその先を見届ける事なく消えたが故に、少女は魔獣がどうなったのか、知らないまま––––––

//おおうごめんなさい、もう少し続けたかったのですが眠気がきてしまい……
//無理矢理で申し訳ないです、絡みありがとうございました!
430 :パヨカ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/16(木) 00:20:35.09 ID:2R9/G9sEo
>>426,428
「アリシア・P・シノット、そうやって目を背けるっていうの!
 そういうことだから、わたしはもっと許せない!」

 翼に手ごたえがあった。というよりは、引きつけられたのか。
 宙で小銃を左腕に持ち替え、頭へ振り下ろすそれ。避けられない。そのためのリスクだ。
 せめて、最後まで目を見開いて、睨んでやる。そう思った直後、胴体と背中を射抜く衝撃と痛み。
 身体が跳ねた。そのせいか、小銃のグリップは頭蓋骨の丸みで滑るようにして左肩へ落ちる。

 激痛に激痛を重ねられた。神経を剥き出しにされて針で突き刺されるような苦しみ。
 翼は背中を穿たれたときに翼がもげていた。空の明かりが消えた時に、命の燈火も消えていくのが解った。
 だったら最後に、この一瞬を使おう。蝋燭の消える間際、ぽっと輝く閃光のように。
 なにかを言おうとして、咽喉がもう役に立たないことをしった。

 ――お姉ちゃん。あなたといっしょになれてから、それはまるで、夢のような日々でした。

 叫ぶは雑音。繰り出すはただの右拳。それを技術もなく、ただ振り抜く。込めるは想い。
 そしてその結果を見届けるまでもなく、背中から心臓を撃ちぬかれてパヨカは朽ち果てた。

/多人数ロールを許可していただき、お二方ともありがとうございました!
431 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/16(木) 00:27:00.76 ID:EDPF+jhi0
>>424

「ふっ、お嬢様……か。悪く無いものだな。もっと呼べ」

少年の分析通りかもしれない。但し、従っているとどんどん調子に乗ってエスカレートするが

「忘れるだと?許されんぞそれは、そんな奴はこうだ」

少年の眼前に指を突き出す。するとそこに青い火の玉が現れる。火の玉からは冷気が感じられるだろう
少女のちょっとした悪戯だ。少年はどんな反応をしてくれるのだろうか

「おっと失礼。痛かったかな?」

肩を叩く手を止め、そう言葉を発した。だが顔は笑みを浮かべていて反省している様子は無い


「私はまだまだ余裕だ。うむ、それで良い。飲め飲め」

少年が飲む様子を見届けて、酒を返されるとそれを一気に飲み干して適当に投げ捨てた

「崩月、運べ。私は眠くなったぞ」

少女を睡魔が襲って来たらしい、久々に人と話したということもあって疲れたのだろう
少年にお姫様抱っこをせがんで保健室まで運ばせようとする
保健室に着けば少女は「今日はここで寝ていけ」と言うだろう。ベッドは二つあるので問題ない。無論、立ち去っても構わないが

//眠くなって来たのでこれで終わりで
ありがとうございました


432 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/16(木) 00:42:39.63 ID:FDjROkII0
>>428>>430

「――当たり前だろうがッ……! これはお前の弔い合戦なんかじゃねえんだよッ……!
 そういうお涙頂戴の台詞は、てめぇが築いた死体の山を全部真っ当な人間に戻してから言いやがれクソムシ……!!」

 ゴーグル越しのギラついた瞳は、死を受け入れた魔獣――パヨカの瞳を同じように射抜いていた。
 女は死に行くパヨカに叩き付けるように、鬱屈とした理不尽な怒りを全て吐き連ねて。
 声にならない声と共にか細い腕から突き出された拳は、女の持つ銀色の牙を掠めて、落ちた。
 ――そして一人の少女が事切れるのを見届けて、女はがくりと膝を着く。置き土産に残された酸素欠乏症状がその原因だった。

「……っはー、っはぁっ……。こんなクソムシ相手に、死ぬわけねえだろが……!
 ……あー……クソッタレ……クソッタレッ…………!」

 そのまま女は大の字に地面に転がり、ぎろりと有子の方を睨む――彼女なりの、SOSだ。

/いえいえ、こちらこそ! ロールありがとうございました。
/また機会があれば、よろしくお願いしたいです。
433 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 00:49:12.02 ID:2AGMHzVOo
>>430
「rest in peace, どうか安らかに…と」
ブラフで撃った弾が心臓を捉えた。
右手の銃を腕輪に戻す。…有子の業運は、何処から来るのだろうか。

「これで、彼女に殺される人はもう増えません。
 我々は随分とやられてしまいましたからね、あの小さな子に」
作り笑いを浮かべ、帰路へと戻る為に歩き始めた。
窓ガラスを撃ち砕かれたワゴン車を後にしようとしたが、突然の殺気を感じる。

>>432
「大丈夫そうにないか。…立てますか?
 これで、お互いに白星追加ですね。MIAも0です」
慌てた様子で、駆けつける。
そこまで致命的ではないと判断すると…
穏やかな表情を浮かべて、手を差し伸べた。

//おちかーれ!
434 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/16(木) 00:56:12.62 ID:GF7IPHGDO
>>431
「……………っと、ちょっとイタズラが過ぎるんじゃないかお嬢様?」

眼前に指を突き出され、何をするのかと思っているうちに青い火の玉が現れる。冷気のため、眼が焼き焦がされる事はなかったが。
それに対して崩月は一瞬びくりと体を震わせ、身構えた。少女のイタズラに対して怒ったのか、ギロリと睨みつける。
一気に酒を飲み干す少女を見て、何故あんなものが飲めるのかと首を傾げざるを得なかった。
そして、このせがみ。

「…………………分かった、分かったよ」

もう考えるのも面倒くさい。どうにでもなれという気持ちで少女をお姫様抱っこして、保健室まで運ぶ。
ベッドに寝かせてさっさと帰ろうか、とも思ったが、唐突な眠気が襲ってくる。きっと、あの酒のせいだろう。

「……………分かった分かった、そうするよ」

少女をベッドに寝かせた後、もう一つのベッドに潜り込む。
勝手に目は閉じ、そのまま意識は夢の中へと消えていった。

何にせよ、もう酒は懲り懲りである。

/ありがとうございましたー!
435 :スカヤ!wham :2014/10/16(木) 01:12:58.96 ID:54pfshzj0
>>429

「─────」

彼女が去った後の地では、大男が倒れ伏していた。
思い出してしまった。彼は何故今まで封じ込めていたのに思い出そうとしてしまっていたのかと思う。
「以前」の彼にとって魔獣とは倒すべき敵であった。
それ故に、自分自身が「魔獣」になるなど、あってはならない事だった。事だったのだが……

「───思い出した」
「そうか、アレから、絶望…しちまったのか」

変身してしまったその異形の身体を見て、思わず溜息すらついてしまう。
かつての焔装なら、このような能力になってもおかしくはないと自嘲するようにあざ笑う。

「俺は勝てなかったんだな……絶望に」
「もう戻れないとなれば───後は、遺すだけだ」
「俺がいたことを、俺が「人間」として、「魔獣」として生きていて、そして死にきるまで刻み付ける、この世界にッ!」

「遺す」者と「遺された」者には必ずしも役目がある。その言葉に誘われるかのように、「遺す」者として動き出す。
せめて、自分の存在を世界に、忘れかけた人々の記憶の一つ一つに覚えさせる為に。

//ロールありがとうございました!
//こちらこそ、久々にロールができ、楽しめました!お疲れ様でしたー!
436 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/16(木) 21:02:57.59 ID:ag5aLmg6o
都市のすぐ外。瓦礫の壁から漏れる街明かりが、まだ薄らと廃墟を照らすあたり。風が吹けば塵が舞い上がり、光を受けて白く輝く。
べトンや石綿の粉塵を吸い込むと病気になる、なんて悠長な話が気にされることはもうほとんど無く。
白さの中に、幻のような彩色。手を伸ばせば触れそうな光の粒は、ただ純粋に美しいとのみ形容される。

「あれだけ苦労して収穫がこれだけとはな」

けれど、その場にいる男は、薄明の踊るさまには興味が無いようだった。
タキシードにネクタイを締めて、その手には値の張りそうな葉巻煙草。揺蕩う煙の層はまだ薄く、火をつけたばかりのようだった。

「だが次は外に出る」

軽く円を描くように。紫煙は葉巻を追って宙に一瞬模様を残し、文字通り霧散していく。
それからゆっくりと葉巻を口に近づけ、静かに優しく吸い――盛大にむせる。

「やっぱりただの毒じゃないか」
437 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 21:08:41.57 ID:2AGMHzVOo
>>436
街灯の向こう側に、1人のカジュアルな佇まいの女が現れる。

「おや…探しましたよ、タキシードの男さん。
 何でも、協力者を募ってるみたいですねぇ…」
彼女は自警団のスコアラー、月城有子。
最近頭を打っておかしくなったとされる、《武器》を持った一般人だ。

「狙いは…何処の施設ですかね」
女は微笑みながら、タキシードの男に向かって歩いてゆく。
女もまた、1人ではこの問題に対処できないと悟っているようだ。
438 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/16(木) 21:15:13.41 ID:XlP4O6vvO
あの夜から、スカヤの見る世界はガラリと変化した。
戦闘でしか築けないプライドはもう捨てた。闘うだけの「蟲」ではなくなったのだ。
今、必要なのはこの退廃した世界に関する「情報」と「魔獣」と「人間」の関連性だ。
だがこの身は既に魔獣。人間と協力するなど、不可能と同然であった。自分も生前は魔獣によって失ったモノが沢山あった。
当然、魔獣など許せるモノでなく、自分のような人生を送っていた人々の事も知っていた。

「しかし…此処まで大変だとは思いもしなかった」「いかに「人間」に見つからずに情報を集めるということが……」

情報の殆どは人間が持つモノであった為に、手に入れた書物や図書館であっただろう跡地で資料でしか「見つからず」に情報を得る手段が無かった。

「それに……クッ!」

そして魔獣であるが故の「殺戮衝動」。これを抑える為に何時間も同じ場所で潜伏する事もあった。異端の存在は、現在、多くの柵を抱える危機的な状況にたたされていた。

「…ッ……だが…これも「遺す」為、この世界には、まだ、まだ「情報」が必要だな…ッ!」
439 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/16(木) 21:25:52.33 ID:ag5aLmg6o
>>437

乱雑に投げ捨てて、声の方に振り返る。燻り続ける葉巻には目もくれず。
放っておけば自然と消えるものだと知っているのではなく、単に興味が無いのだろう。

「お前、自警団の奴だったか? わざわざ探さずとも――」

葉巻を捨てた手はタキシードのポケットを探り、何かを握りしめている。
片足に体重のかかった姿勢は、その場から飛び退けるようにと警戒してのもの。

――壊れ掛けの焔装使いは、魔獣になる前に殺そうと狙われることすらある。人間相手ですら、安心はできない。

だがそんな緊張は、久良岐が自ら破ることになった。

「けほっ。が……。探さずとも、定期的に……ごほっ……病院に……」

咳をするたびに、煙が口から洩れていく。どうやら相当吸い込んでいたらしい。
片手でポケットの中の獲物を掴んだまま、なんとか警戒態勢を保とうとするのが逆に滑稽だった。
こういうときは、服装が決まっているのが逆におかしい。

「っ……。詳しい話は、協力者にしかしかない……」
440 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 21:33:34.90 ID:2AGMHzVOo
>>439
「ライフラインの復旧を目論む輩。
 そういうのに興味があるんですよ、私。
 生憎、自警団の連中は、自分達の住処を守るだけな連中なんで…」
女は真剣な表情を浮かべていたが、乱雑に葉巻を捨てる様を咎める事をしなかった。
自警団の面子は、外界探索にはあまり乗り気ではないらしい。

「何処かのダムとか浄水施設。
 それらが欲しいです、毎日シャワー浴びれるかもしれませんし」
背を向け両手を上げるポーズを取り、敵意が無い事を示す。
要求はダムと浄水施設。生活に苦渋した結果だろうか。

「もしよろしければ…お願いします。
 足手まといにはならないつもりです」
声には力が篭っていた。自分1人で成し遂げる事など出来ないと。
この男の噂話はおぼろげだが、この機会を逃す訳には行かないと。
441 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/16(木) 21:33:41.25 ID:YdFqawE+0
「死神」が居ると噂されている廃校のグラウンドから白煙が立ちのぼる
その発生源は焚き火である。少女がさつまいもを焼いているのだ

「暑い……早く焼けないものかな。身体が溶けてしまいそうだ」

能力的に「熱」を苦手とする少女。不機嫌そうにそう呟いて空を見上げる
白煙は何処までも高く昇っていく
それは周囲にいる存在を呼び寄せるに十分なものだった
今日、少女の存在を目にして「死神」の噂の真相を知る者は現れるのだろうか




442 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/16(木) 21:51:46.05 ID:ag5aLmg6o
>>440

不覚だった。完全に隙を晒していた。咳が治まってからも胸に手を当てているのは、自戒の念ゆえ。
だが、あれだけ隙だらけで情けないところを晒してしまったが、それでもこの女は真剣に話しかけてきてくれている。

少なくとも、殺意は無い。用があるのは、『壊れ掛けの焔装使い』ではなく『遠征の首謀者』の方らしい。

「悪いな。そういうはっきりした拠点は見つけてない。
俺の焔装はわりと探索向きの能力だが、重力の壁の内側では生きた施設の痕跡はほとんど感じられない」

話しながら考える。純粋な協力者でないとしたら、他にどんな目的がありうる?
スパイの可能性は? 自警団が拠点を取り戻した、という筋書きが欲しい? だがそれならそれでいい。
名声や立場に興味は無く、ただ自分の目的に近づければいいのだから、もう結論は出ている。――なら何故、断る理由を探している?

「俺がやっているのは、異常重力圏の探索だ。知り合いの双眼鏡で中を見て、比較的重力の弱そうなところを探している。
重力の緩衝地帯には、まだ使える物資が残ってる。この葉巻も、そこで見つけてきた」

足で足元の瓦礫を退かすと、縁の歪んだ箱が出てくる。彼の言葉からすると、中には葉巻が詰まっているのだろう。

「物漁りの仲間が欲しいわけじゃない。――俺は、この小さな世界の外に出たい」
443 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/16(木) 21:53:00.13 ID:hgZSs+Le0
>>438
情報を集めているのは人間側も同様であった。
理論の構築自体が曖昧な推測の下でなされる現状、確かな事象を観測し纏め上げる必要がある。
しかし観測するにも資材は不足し、その上成果は全くでない。
そんなどうにもならない状況、少女が頼ったのは過去のデータであった。

「《夜》以前になにかその予兆でも見られていたのなら……。何か見落としでもあれば!」

場所は大学。都市の周囲を囲む重力変動域付近にあった為、そこに人が立ち寄ることは殆どない。
半壊した建物内は視界が悪く、ばったりと出会う可能性は決して低くは無い。
むしろ魔獣に見つからないように手に持った懐中電灯の明かりを絞り、足音を鳴らすことなく探索する未来と遭遇する可能性は高いのかもしれない。
もしも同じ時に同じ場所を探索していて、彼女に見つかる場所にいたのならば、スカヤは未来によって懐中電灯でその姿を照らされことになるだろう。

/場所はどこじゃああああああああああ
444 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [sage]:2014/10/16(木) 21:59:55.27 ID:+cXH0uvDo
>>441
そんな彼女の―――――― 独り言に誘われて、其処へと足を踏み入れた。
幽霊何て存在よりも余程恐ろしいバケモノに支配されたこの世界において、そういう噂に事実が付き纏う様は増えていた。
魔獣が運営するバーがある、とか。魔獣の住処となっているホテルがある、とか。
彼女は、それを"狙った"クチだった――― 此処に存在する、或いは"魔獣"やその類を、喰らわんと。
けれど廃校全体を漁り、手に入れた物と言えば、肩から提げたギターケース一つだけ……最後の部屋から覗いた先のグラウンド。
其処に漸く姿を見つけて、歩み寄ったと言うのに――――――。

「死神とやらが住み着いている、らしいが」


「……ハズレか」

空を見上げる彼女の視界、それを遮るかのように、見下ろした。
445 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 22:03:30.38 ID:2AGMHzVOo
>>442
女がその気ならば、頭目掛けて弾丸の一発二発が出る。
そして…女がこの男が限界に迫っている事も知る由はない。

「むう、なんとなくそれっぽい人だと思ったんですが…
 残念ながら施設諸共やられてる感じかな、一から配管やら工事とか。
 当面、私もシャワーの回数が増える事がなさそうですね」
この男ならば、この近辺の事情に詳しいだろうと見ていた。
戦利品を握った上で、帰ってきた言葉はNO。
となると…《相手》は兵站を確実に潰しに掛かった後であると仮説が付く。
確実に裏に《何か》が居る。人を確実に追い詰めて、滅ぼそうとしている《敵》が。

「他も似たような状況じゃないといいんですけどね。
 …もしかしたら、《外》ならば手付かずの施設があったりするかもしれませんし」
外界への望み。ココがダメなら他に当たる。
女は短絡的ながら、生存への可能性の模索をしていた。
少なくとも…この女の目は、死んでいない。
446 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/16(木) 22:16:52.96 ID:0Hcrr4Ty0
>>444

「んん…?」

昨日の少年もそうであったが物騒な考え方の奴らが多過ぎる、と少女は愚痴を漏らす様に呟く

「失礼だな……まあ良い、少し話しでもしよう。折角巡り会えたのだからな」

少女が陽遥に自分の隣に来るようにそこを叩いて促す………とさつまいもが焼き上がったようだ。少女はそれを取り出し始める「君も一つどうだ?」と言いながら





447 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/16(木) 22:23:41.95 ID:ag5aLmg6o
>>445

理由の測れない信頼を感じる。見えない希望を仮託しているわけじゃない。
きっとこの女は、他人に寄りかからずとも、自分の中にまだ希望を残している。

信用できる相手だ、と。彼のよく外れる直感が囁く。――だから、信用し切れない。


「これ、自警団のコネがあればそこそこの値段で売れるんじゃないか?」

協力を頼めば、二つ返事で快諾されるのだろう。だからあえて、本題を避けた。あるいは、逃げた。
指差すのは自身の足元。葉巻の入った箱だ。片手で持てそうな、あまり大きくないシガーボックス。

「闇市の方だと、大抵の奴らは食べ物と着る物、それと医薬品の類が目当てみたいだ。
今では、なけなしの財産放り出して嗜好品が欲しいって奴はなかなか見当たらなくてな。
逆にこんなご時世だからこそ、相手によっては高値を付けてくれそうな気もするんだが……どうだ?」

特にこれといった意図があるわけではない。そこまで金に困っているわけでもなし。相手を試すわけでもなし。

「それと、女のお前から見て、煙草でむせるのはやっぱり情けないだろうか?」
448 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/16(木) 22:25:44.27 ID:54pfshzj0
>>443
スカヤがふらつく足取りで辿り着いたのはとある大学。
まだ情報を探してない場所なら───後は其処くらいであろう。
大学の研究室に入って幾らか資料を漁る。だが……めぼしいモノは無かった。
先程からの疲労が身にこたえたのか、研究室の椅子に倒れこむように座り込む。

「……クソッ」
「ここの部屋には…無かったか」

暫く項垂れていると、何処からか「光」を感じる。こうも敏感なのは、魔獣になった所以か。

「───ムッ」

光を扱えるならば恐らく、いや人間で間違いないだろう。
本当なら見つかるわけにはいかない。早く退散…するべきだったが。


「何とか…見逃してもらえるだろうか?」

既に疲労困憊のスカヤにはそんな事をする余裕はなく、来るであろう人間を待つことしかできなかった。

//大学にいることにします!!
449 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/16(木) 22:27:14.48 ID:+cXH0uvDo
>>446
「失礼も何も無い……弱者と語る言葉など、持ち合わせてはいない」

さっさと踵を返して、其処から出て行ってやろうとした、事実其の足は、もうそう言う風に動こうとしていた。
けれど、差し出されたそれに目を疑って、足を止めた。
焼き上がった芋―――――― 無論、見覚えはある。……世界が、夜へと閉ざされる前の話、だったが。

「……本物か、それは。何時の物だ。何故、"そんな物"が此処に在る。
 作り物にしては精巧に出来過ぎているが……"そんな物"を作る焔装や月装なども、聞いた事が無い」

この、人類全体のレベルで切迫した食糧事情、底を尽きかけた糧食……その中において、"焼き芋"など。
高級品などと言う思考にすらも追いつかない、存在すらも危ぶまれるような存在と、彼女の中には位置づけられている。
ギターケースを担ぎ直し、差し出されたそれを訝しげに観察する……それ故に、彼女に座るよう促されても、其処に立ったままだった。
450 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 22:32:34.85 ID:2AGMHzVOo
>>447
両手を下げた。流石に同じポーズを続けるのは疲れる模様。
慢心と自信を公示しながら、敵意が無い事を伝えた。

「話を逸らさないでください。
 貴方が、見ず知らずの私を信用できないのは…分かりきっています。
 だって、初対面ですし。物を渡してそそくさと逃げるって感じですよね」
向きをずらし、タキシードの男の方へと首を向ける。

「私が欲しいのは水です。そこの所…お忘れなく。
 お洒落なお洋服も、食べ物も欲しいです。
 …ですが、それらを差し引いて水を欲しいと言います。
 水を得る手段として、有効的に活用させていただけるなら…それまで」
ぼんやりとした表情を浮かべ、背を向けて夜空を見上げる。

「確かに…カッコつけて吸う煙草ほどカッコ悪いものはありませんね」
煙草でむせ返ってる所を思い出し、クスクスと小さな声で笑う。
451 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/16(木) 22:39:55.09 ID:hgZSs+Le0
>>448
目の前の男の気配が人間で無いことはすぐに勘づく。
人型の魔獣、知能の持たない四足歩行の獣とは違い、この手のタイプは魔獣の中でも強力な力を持っていることが多いと報告にある冷や汗と共に自分自身が死ぬ可能性があることを本能的に感じるが、彼の出した言葉は予想外のものであった。
本来ならば狩られるのは自分である。見逃せとはどういう意味なのか。
いつもと異なる状況から思いついたのは二つの可能性。

「もしかしてあなたは意思をまだ保ったままの元《焔装》使い? それとも何かの欲望の下に動く人語を理解する獣?」

生き延びられる可能性が高いのは会話だけで済ませられるパターン。剣を握る手に力を込め、警戒こそはしているもののすぐに襲い掛かる様子は無い。
スカヤの目から見てもこの不思議な状況に未来が困惑しているのはわかるだろう。
452 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/16(木) 22:47:56.87 ID:LVXMP3BC0
【――闇、病み、止み】【仲間探しは順調か】【己の体は幾ら持つ】
【胸に走る痛みは逃げの証】【振る舞ってきた、そうやって】【大丈夫だと、根拠もなく】

……何時だ、一時……二時? 三時か、四時――だぁーくっそ!

【街を出た】【死体の痕】【新鮮な血】【嫌でも体は敏感になる】
【当然の事象を頭で探る】【普遍な何かがあって欲しいと】【しかしそれすら叶わぬ久遠】
【無造作に並ぶ瓦礫の山は、泰然と構え視線を送る】【前傾姿勢気味に歩く彼女は、亡者のように欲に動く】

【辛気臭い話はこりごりだ】【淡く輝く明度の高い話が欲しい】【眩しい位の光が欲しい】【人だ――人、諦めない、その馬鹿みたいな根性を分けて欲しい】

【――エイルという少女が、真面な思考を持つのなら】【弱さだって持ち得ているのだ】
【焔装使いと言われる彼女も人間で】【その矮躯は、ここまでも小さく儚いのだ】
【学生服の裾を強く摘まむ、力を込めて噛みしめる】【夜明けを謳った口に浮かぶのは、負債と悔恨】
【やっぱり、一人は怖い】
453 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/16(木) 22:53:11.55 ID:0Hcrr4Ty0
>>449

「ふっ…私が弱者だと?見くびらないで欲しいものだな」

ニヤリと微笑んでそう言葉を紡ぐ
ただ廃校に住んでいるだけでは「死神」などと呼ばれはしない
少女が死神と呼ばれる理由はその能力と武少女が持つ身の丈程の鎌にあった
今、鎌は図書館に置いて来たので手元には無いが…

「勿論本物だ。私程の人間となればこういったものを手に入れるのも簡単なのだよ
…作り物などでは無い。今から証明してやろう」

そう言った少女は焼き芋を口に運んで咀嚼する。これで本物だと信じるだろうと思って

「うむ、美味い…どうだ?これでもまだ疑うと言うのか?」

それを飲み込み、少女は勝ち誇ったような表情でグーサインと共に言葉を発した


454 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/16(木) 22:55:07.63 ID:ag5aLmg6o
>>450

「そうか。やはり格好悪かったか。再会の時までには克服したいものだ」

有子の笑い声を聞いて、自分の気持ちを理解する。一瞬、瞳孔が開く。視線の向きはそのままに、見るものがブレる。
カッコつけるのがカッコ悪い。こういう表現を、韻を踏んだ、と表現するのだっただろうか。何か違う。
――けれど、あの子が好きそうな言い回しだ。

「そうだな。俺はお前を信用できてない。俺が見る限り、お前は無防備すぎる。
俺みたいな奴を無条件に信用するような奴は、遅かれ早かれ《夜》に喰われるぞ」

それは彼なりの気遣い。この女が死ぬところは見たくない。ましては目の前で堕ちたなら……。
年々、女にあの子の面影を重ねることが増えていく。自分は弱くなった。それに反比例して、焔装は強くなり続ける。

「水のためだけに死地に行くなど馬鹿らしい」

俺が取ってきてやるから待っていろ、と続けようとした言葉は、形にならなかった。また微妙なタイミングで咳き込んだものだ。
右手のハンカチで口を抑えるのは、タキシードが煙たくなるのを嫌ってのこと。気付けば、右手は短刀を離れている。
渦を巻いて足元へと落ちていく煙からスラックスを庇おうと、一歩――有子に向かって前に出る。

「死ぬなよ」
455 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/16(木) 22:56:51.63 ID:54pfshzj0
>>451
光を手にし、スカヤに話しかけた人間は大人にすらなっていない少女だった。
話しかけるその様子に、スカヤは少し心が揺れる。

(しかし───今や、こんなに若い人間が戦っているとはな……大人は何をしているのだろう)

そして目線だけ彼女に向け、こちらも警戒を解かずに返事をする。

「俺は魔獣───いや、元魔獣といったところか」
「そして元人間……今はどちらにも立つ資格の無い異形だ」

つい最近までは人の言葉を話す獣でしかなかっただろう。だが焔装使いであった人間の記憶を取り戻したならば前者で答えるべきだったのだろうが…その過程であまりにも人を殺めすぎた。その業は、深い。
それならば…最早「人間」でも「魔獣」でもない、単なる人間モドキで魔獣モドキでしかないのだ。

「───君は何をしにここに来た?」
「この魔獣が現れてもおかしくない土地にまで来て……何をするつもりだったのだ?」
456 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/16(木) 22:57:34.86 ID:UGHZzrwC0
>>452

【孤独に震える少女の近くに――】

【ぬたり、ぬたり、ぺちゃり】

【不快な音と、ツンとくる強酸の刺激臭――】

【死体の山が、僅かに動く】
【何者かが、その死体の山をあさっているのだった……】

「イイ顔の"おもちゃ"が……ないわね。
 ああ、センスのない遊び方して……」

【闇にうごめく中に、白く、そしてぬらぬらとした皮膚をした女】
【まるで露出狂のような丈の短いワンピースから出る足は、異様に長く、白い】
【その表情は長すぎる髪の毛に隠れて見えないものの……】
【目は、恍惚の表情で、"遊べる死体"をこの死体溜まりで選別しているのだった】

「……」

【魔獣イカ女は、何者かがこちらに歩いて来るのを悟った】
【近眼のその目は、人影を捕える。はたして、敵か、味方か】
457 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/16(木) 23:07:14.89 ID:+cXH0uvDo
>>453
「当然だ、疑うに決まっている。だが」

ギターケースを、彼女が先程叩いて、座るように促していた其処へと置いて。
それに続いて、未だ警戒の目を解いてはいないが、取り敢えず、そのすぐ傍へと、ゆっくりと腰を下ろした。

「口に入れて如何にかなる物では無い、それだけは信用してやろう。

 ……ああ、皮は剥いて寄越せ。私は"特別不器用"だからな」

彼女のその勝ち誇った表情、それを気に入らないとばかりに無視する様に言葉を続けて。
ライダースジャケットの右の袖を左手で捲る―――――― 中途から切断されたそれを彼女へと見せて。
「早くしろ」……何て、不遜に彼女へと催促した。
素直に人の言う事を信じる様な、そんな人間では無いと、自分では思っていた、と言うのに。
これは、唯単に気紛れなのだろうか―――――― いや、それとも。
中途から虚空へと繋がった自身の右腕を眺めながら、彼女が"そうしてくれること"を、待った。
458 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 23:08:24.39 ID:2AGMHzVOo
>>442
「この余裕が、私の長所であり短所といった所ですかね…」
両手に金色の銃が現れ、月装展開時の淡い光が周囲を照らす。

「緊張感も、恐怖も、慢心も…私の戦いには役に立ちませんでした。
 私にその能力が欠けているから、足手まといになるというなら…仕方ありません」
タキシードの男の目の前にビルに向かって、魔弾を射る。
銃弾は黄色の光跡を描きながら、黄色に煌く銃痕で絵を描き始めた。

「砂漠で水が無くて死に掛かってる人間に、同じ事が言えます?
 ――ええ、雨が降るのを待っていては、遅すぎるんです」
Smiley face。黄色い円形に笑顔の描かれた落書き。
銃で絵が描けるほど器用である事を、公示した。

「私の生存時間が、信用の糧にはなりませんかね…
 …ええ、そう簡単には死にませんから」
クルクルと両手でガンスピンした後…腕輪に戻す。
前に立つタキシードの男に対し、再び背を向けた。
459 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/16(木) 23:11:21.14 ID:hgZSs+Le0
>>455
風の音さえも聞こえることの無いその空間。
互いが互いを警戒したままで行われるその会話はその場に緊張の糸を張りつめる。

「人としての意識があるならそれでいいよ。むしろそれが重要だから」

人間の中にも無益な争いや略奪に走る魔獣のような輩も少なくは無い。
そういった人物とどちらが信用できるかと尋ねられたら答えに困るだろうが、それはスカヤの精神を人間と捉えていることでもある。

「私はここの資料に残されたデータから過去に《夜》に関する何かを観測してないか調べにきたの」
「あなたは魔獣でもあるんでしょ! 何か、何か夜に関することは知らない!? なんでもいいから!」

冷静な口調は次第に乱雑に。思考より感情が先走り過ぎたのだ。
時間も情報も足りない今現在に、目の前に現れた男は何か知っている可能性があるともなれば必死にもなる。
スカヤの目をじっと見つめて彼の答えを未来は待った。
460 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/16(木) 23:19:24.89 ID:LVXMP3BC0
>>456
【その刺激臭と、特有の相容れない♀エ覚】
【底へと沈んでいた気力が目を醒まし、匂いの方へと振り向けば】

魔――獣っ……!

【表情は伺えない】【それ所か、あれは何だ】【白濁の肌に、どうみても前方を見るのに邪魔な髪】
【敵意を眼へと込めて見やる、拳銃は――と思慮をめぐらせ思い出す】【今は、持ってきていない】

……おい、お前……!

【睨みを聞かせた双眸の下には黒い隈】【疲労が伺える。背筋も伸びていない、やや前傾姿勢】
【外傷は目立って見えない。強いて言えば学生服がボロいという事くらい】

何――してるんだよ……。

【先手必勝、それすらやる気が起きない】【いや、あいつに聞くだろうか――自らが察知したのなら向こうも同じ】
【朧げな視界は何をしているかまで把握できない】【ただ、漁っている事だけは分かる――この場にある物が何なのか、それから逆算すれば早いのだが】

/宜しくお願いします!
461 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/16(木) 23:23:47.42 ID:54pfshzj0
>>459
「───フン、そんなに焦ってしまっても情報は消えやしないさ」

彼女の焦りっぷりを見て、少し気が抜ける。
自分も生前は必死に生きていたから…もしかしたら、周りからはこんな風に見えていたのかもしれないと心の中で苦笑する。

「とは言っても、俺も目ぼしいモノは知らない」
「それに────」

眼光を鋭くし、相手の心を読むような口調で話を続ける。

「俺から一方的に教えるのはあまりにも不公平だ、尋ねたならば、先に何処まで知ってるか教えてくれても良いんじゃあないのか、娘」

こちらの情報といっても、あるとするならば、この「自分自身」か。
獣に陥っていたモノが心だけであるが、息を吹き返すなど自分の周りにはそんな個体はいない。
後は…「魔獣」へと変化する過程か。
カードは2枚、彼女の返答次第でどちらかの情報を与えるつもりだった。
462 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/16(木) 23:28:25.91 ID:ag5aLmg6o
>>458

常に薄く展開されている霧を通して、銃撃が持つ力を感じ取る。
それだけでは満足できず、飢えた霧は勝手にそのエネルギーの一部を削り取ろうとする。
それで、有子にも久良岐の能力の一端が予想できるかもしれない。

集中で力を増す彼女の月装とは逆。久良岐の焔装は、彼が感情に支配されているときほど強くなる。
意図してもいないのに霧がエネルギーを貪るのは、戦闘後に霧が空っぽになっている時と、心に自制が効かなくなっている時。

「分かった」

彼女が作り上げた落書きを見ることも無く、トーンを落とした声で応える。
エネルギーを奪う能力は、それゆえにエネルギーの知覚に秀でている。目で見ずとも、彼女の意図は理解できていた。

「既に外側の魔獣の気配を感じるところまで来ている。外に出るルートが仕上げるまで、そう長くはかからないだろう。
重力の外にも敵がいるってことは、外にも食料(ヒト)が残っているか、噂通り魔獣は飲み食い無しで活動できるのか……」

霧の勝手な行動で、自分の状態を自覚した。この霧を形作る感情は『奪われたくない』というもの。ならば今それが昂ぶるなら――。
それは間違っている。この女を代償にするのは、相手に失礼だし、何よりあの子に申し訳の立たない失態。そんな過ちを振り払うように、早口で説明を続ける。

「複数人を守りながら異常重力圏を越えるのは、そう何度もできることじゃない。できるだけの人数を集めていきたい。
見つけた資源を運ぶ用意と、輸送員を守れるだけの人員。俺以外にも、感知系に適性のある奴が欲しい。自警団の方はどこまで当てにできる? お前以外に動きそうな奴は?」
463 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/16(木) 23:29:20.13 ID:0Hcrr4Ty0
>>457

「ふむ……わかった」

捲られた袖の中、中途から存在しないそれを目にして少女は皮を剥き始める
彼女は人間という種をこの上無く愛しているから、どんな相手だろうと深い優しさを注ぐ
その人間にどれだけ嫌われたとしても、彼女は愛し続けることを辞めない

「……火傷には気をつけたまえ」

隣に来た彼女に皮を向いたそれを手渡しながらなんなら食べさせてやろうか、と言う
少女はもう食べ終えたらしく、陽遥を見つめるだけだ
火はいつの間にか今にも消えてしまいそうな程に弱々しく、小さくなっていた

「私はシャイナという、君の名前を聞かせてくれないか?」

…と、唐突に少女は名を名乗って陽遥にもそれを求める
陽遥が拒まなければ陽遥の体に少女の身体が摺り寄せられるだろう
男に対しても女に対しても少女はこういったことを平然と行う


464 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/16(木) 23:30:10.88 ID:UGHZzrwC0
>>460

「はァい……"お前"だなんて、ずいぶんねぇ」

【呼ばれたので、返事をする"女"】
【すっと立つその姿……すらりとした手足には、この世界にしては異様な潤いがある】
【秘部が見えそうなくらいに丈の短いワンピースのすそは、風をまたたかせている】

「ナニって、……あはん、"おもちゃ"を探しに来たのよ……」

【そう言って、彼女は死体溜まりから、やせ細った男の死体をグイと掴み見せにくる】
【3、2、1……メートル】
【女は極度の近視なのか、その死体に顔を思いっきり近づける】

「イイ顔した"おもちゃ"を探してるンだけれどねぇ……
 最近の死体は、本当におんなじ顔ばっかり。
 絶望、恐怖、慟哭、哀悼。
 私はネ、笑顔がみたいの。
 あなたも、そんな顔しないでさァ。
 笑ってごらんなさいな、――ねぇ?」

【ぬらぬらと、よろけるように、誘う様な歩き方で、女は少女に近づく】
【その顔を、間近で見ようとしているのだ】
【ぐるぐるとした瞳が、少女に向かっていく・……】
465 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/16(木) 23:38:09.84 ID:hgZSs+Le0
>>461
スカヤの指摘は焦らすものであり未来は思わず奥歯を噛み締める。
だが彼の言う事も尤もだ。意識を少し心臓へとやるとその鼓動は確かに早い。
主導権を握られたのは自分が未熟であるからか。しかし今のところ困ることは無い。
息を軽く吐き出すと彼の要求に応える。

「知ってることって言っても何も知らないよ。経験則でわかることだけしかわからないの」
「自分で扱っているのにこの《月装》の正体すらわからないんだよ」

右手に握りしめられた剣をスカヤに見せるように掲げ、自分自身への呆れを含んだ口調でそう言い放つ。

「ただ、わからないということがわかるだけ。人間が必死に調べ上げようとしてもなんの成果がでないほど不可解な現象が起きているということしかわからないね」

事実、何かしらの情報があるなら彼女のような年齢の人間がこんな場所にくる必要も無い。
話せることは話したと言わんばかりにスカヤの持つ情報を話せと視線を送る。
466 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/16(木) 23:43:39.40 ID:2AGMHzVOo
>>462
(なるほど、能力の自制が効かない段階か…ヒーローも大変ね)
銃痕からのネオンサインのような黄色の発色…。
いつもより銃痕からの光が弱い事に気付き、男への注意が深まる。

「いいんですか?
 お互い、時間が無いって悟ってるのが不幸中の幸いですかね。
 突破口…中々分の悪い賭けですが、試さない訳にはいきません」
目を細め、笑顔を浮かべて振り向く。…外界への突破口がある事は初耳だ。

「戦力なら割と当てはあります、自警団ですし。
 護衛には未来ちゃん達が適任でしょう。特に彼女は強いですからね、芯が。
 感知型には、珠悸先輩くらいしか当てがありません…どうなんでしょあの人。
 つまり…戦闘要員にも索敵を頑張ってもらうしかないと思います。
 主な連中は、武器とか攻撃能力ですからね、自警団の連中は」
贔屓している人材を挙げ、うーんと唸りながら頭で予定を組み始める。
467 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/16(木) 23:47:24.85 ID:+cXH0uvDo
>>463
「嘗めるなよ、其処まで落ちぶれる物か」

彼女の提案を、無碍も無く斬り棄てて、手渡された芋を手にする。
仄暗くなっていく火……それでも尚、分かる、其処に在るのは確かに、夜が世界を覆う前と何ら変わらない姿をしていた。
恐る恐る、口に運ぶ。甘い、缶に詰められた甘味料を滅茶苦茶に振りかけられた菓子のそれとは違う甘ったるさ。
彼女の言う通り、口の中を時折火傷しそうになるのに気を付け乍ら……気付かぬうちに、夢中で、それを頬張っていた。
小さい頃には、よく食べた物だ。この季節には祖母の家から送られてきて。
妹と一緒に庭掃除の序でに、掻き集めた落ち葉の中に母親がご褒美と突っ込んで、焼き上がるのを棒の先で突いて待って。

「……っ、馴れ馴れしい、余り近寄るな……!!図々しい、奴、だ……」

何時の間にか、感じた体温に対する驚嘆を隠しながら、声を挙げようとする、も、それは段々と抑えられていった。
虚栄心は継ぎ接ぎだらけ。突けば崩れる虚城。迫る"時間制限"に対して……きっとそれも、影響しているのだろう。
視線を、足下へと落として。常に瞑っている右目に倣う様に、左目を緩やかに閉じる。

「……陽遥、だ。太陽の『陽』に、『遥か』と書いて……ひよう、だ」
468 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/16(木) 23:52:02.82 ID:LVXMP3BC0
>>464
な、んだあの服……!

【すその短いワンピース】【風の悪戯が僅かにでもあれば】【覗けるのではないかというソレ】
【潤いを必要以上に含んだ手足から】【瑞々しさと艶を感じて】【艶めかしさすら感じる――けれど、彼女は女性なので】
【それから感じる物は、羞恥】【頬に桃色の焦りを乗せて、上ずったような声で一歩後ずさる】

――っ!?

【が】【奇妙な行動に焦りも無くし始め、浮かぶのは】【――恐怖】

アンタか……イカホテルとかい割れてる奴はよ……

【聞いた事がある】【ホテル街に住まうイカホテル、なんて名前がつけられ、恐れられている魔獣を】
【……男の少年相手に初心らしいが、どうもそうには見えない。それはいい】
【――捉える=z【その二つの眼が示すのは、すべてを飲み込む虚無の力】
【いつでも使えるというだけだ、まだ使わない】【手を見せるのは早い……ここで迂闊な事はできない】

(……目が悪いのか?)

【むしろあの距離じゃ何も見えていないのではないか……?】

それで、アンタはあたしに何させる為に近づいてくるんだ?

【冷静を務めて、語り掛ける】【話し合いは通じるか、いや……話せるだけの思考があるのか】
【勿論、和解なんてするつもりはないが】
469 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/16(木) 23:59:56.05 ID:UGHZzrwC0
>>468

「あら、あたしそんなに有名……?
 私の名前はキャラ。キャラマール。
 リップが緩い人からは、「ホテル・キャラマール」なんて言われているわン」

【魔獣は、相手がただの少女だとしかまだ思っていない……】
【その目の奥に、何か光る者が見えた気がするが――能力があるなど、思いもしない】
【その距離は、異様につまる】
【イカ女からは殺気は、ない、が……】

「ナニを"させる"かって?
 ……違う違う、私が、"する"のよ――」

【そう言うと、エイルのその素朴ながら美しい輪郭の顎に、
 しっとりとした指先を触れようとし……】
【そのまま顔を近づけようとする!】
【瞳の大きな女の目が近づき、美しく流れるまつげが、エイルに触れようとするまでの近さ……】
【そして充分にうるんだ淡くピンクの花びらのような唇が、
 エイルの唇を奪おうとする!!】

【魔獣はそのキスから体内のエネルギーほ吸う事も出来るが……】
【最初のキスは、ただの遊びと決めているらしく、その行為には何ら殺気はない……】
470 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/17(金) 00:06:40.39 ID:Ebl9gk9L0
>>465
「何だ、無知のままにここまで辿り着いたのか」
「そこまでして知りたいなんて、とても面白い娘だな」

彼女の深き探究心とそれを求める無謀さに魔獣であった時には絶対しないような笑みを浮かべる。

「いや、怒るなよ?」
「俺はお前みたいな前へ進もうとする人間は嫌いじゃない」

そう言いかけて、スカヤは彼女の視線に気づく。

「──おっと、今度はこちらの番か」
「俺もそれほどまで知っている事はない…が」

どちらの情報を渡すか。一瞬、そう考え、決める。
どちらの情報も彼らには大切なモノであると信じて───「遺す」ことにした。

「では二つ…二つの情報を教えてやろう」
「俺は一度しか言わないから、よく聞いておくんだな」

息を深く吸い込む。これは自分の生きた道筋を辿るようなモノだから。思わず目をそらしたくなっても、「遺す」為ならば多少は我慢しようと。

「まずは───魔獣とは、俺から見たところ、殆どが人間だ」
「因みに俺も元人間だし、特に焔装使いが魔獣に陥りやすいようだ」
「もちろん。他の人間でも「絶望」すればほぼ確実に魔獣に堕ちるといっても過言ではないと思う……まるで映画のゾンビのようにな」

そして二つ目……まだ、人類が助かるなら、と心の中で思い、話を続ける。

「二つ目は、魔獣から人に還るのは滅多には無いが、あるにはあるようだ」
「俺は見たことは無いがな……後、一つ面白いのがあるとするならば…人間としての意識を取り戻した魔獣は多分───」

「人間」のような身体を持っても既に絶望した心は直ぐには立ち直れず、結局魔獣の意識に引き込まれてしまうのが「魔獣堕ち」ならば、自分は中途半端に還った「人間」なのだろうと自嘲し、

「俺だけなのかもしれない」
471 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/17(金) 00:09:40.39 ID:v+0sPTxno
>>466

霧を通した実感。美しい軌道、おそらく無尽蔵の弾。干渉を受けてなお狙い通りに飛ぶ操作性と精度。
決して弱くは無い。彼女が言ったように、ここまで生き残っているというだけで強さの証明は十分だ。
彼女は幸運で逃げ延びた難民ではなく、魔獣と戦って生き抜いてきた戦士なのだから。

「だが強いというなら、あの子の方が俺などより、よほど強かった……」

言い終わったあとにハッとなって、視線を有子に戻す。
その話題に触れられるのを避けるように、作戦の話を続けていく。

「単純な戦力なら既にいくらか集まってきている。その他の特殊技能持ちの方が気になるところだ。
たとえば《運び屋》みたいな。機動力に長けた奴は、周囲の警戒にも、物資の輸送にも使える。
概念系の能力なら、俺といっしょに重力への対抗ができるかもしれん」

残された時間の少なさは良く分かっている。きっと、彼女よりも深刻に。
だが外に出ることの意味は、彼と彼女で違っている。

「あの辺りの重力は、一度大きく削ればその後もしばらく弱まったままの状態が続く。
無理に俺を守る必要は無い。急いで逃げれば、俺が死んでも巻き添いで圧死することはない」

既にこの小さな世界の中は十分すぎるほど探し回った。ならもう、一度外に出れたなら戻らなくてもいいのではないか――。
472 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/17(金) 00:11:29.68 ID:qVXEYuSY0
>>467

「素直になりたまえ…温もりが欲しいのだろう?……私がそれを与えてやる。
何、恥ずべきことでは無い。人間としてそれは正しい」

16歳の少女とは思えない口調で続ける。相手が安堵を感じているだろうと思って、その背中に腕を回そうとする

「陽遥か…いい名だ。ゆっくり休みたまえ……それを咎める者などいない」

陽遥が安らげるように全身を抱きしめる。子守唄を歌いながら。陽遥の顔は丁度少女の胸元あたりに来るだろうか……





473 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/17(金) 00:20:16.75 ID:NDgA60860
>>469
(キャラマール……間違いない、あいつだ)

【こいつが、噂の魔獣】【ならば話は早い】【既に幾人をも屠った殺戮者】【いや殺戮魔獣】
【加減も必要ない、会話も届かないだろう】【現に、今彼女に声が届かない】
【視界に写るキャラマールの姿】【動きは速いが、捉えられないわけではない】

――ん、っな……

【――殺気が、ない!?】
【焦りが急速に募り、それは必要以上に構えていたからか】【疲労の溜まった体に鞭を打ったからか】
【殺気所か、目の前の女性はもしや】【敵≠ニすら、思ってない……?】

【僅かな思考が陰りを生んだ】【顎へと指が触れればぴくりと体が跳ねる】【半ば反射じみたもので目を丸くさせるも】
【次に視界を覆うのは白き髪と、肌にふれる柔らかなまつげ】

ふぁっ、む、む、んっ んぅ……っ!

【――そして、それより柔らかい、暖かな、潤いのある唇】
【返すはややぱさついた、けれど女性としての柔らかさと、甘い味を残した蜜】
【何故? どうして? 何が? わからない、思考がまとまらない】
【皮肉な事に、かえって明確にわかるのが】

【――これほど人肌に触れて、近寄ったのは久しぶりで】【僅かな落ち着きを、覚えてしまった事】
474 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 00:22:35.09 ID:g3rB++8Ro
>>471
長きに渡り戦い抜けた証拠。彼女を戦士へと変えた魔銃。
この《月装》に出会えたことが、彼女にとって最大の幸運だろう。

(この先何があるか分からないし…感傷に浸っている時間は貴重かな)

少女は黙ったまま、作戦内容の続きを待った。
顔は笑っているが、表の感情に出さないようだ。

「他の重力突破要員と、機動系の能力者は…面子が集まってからの話。
 賽は投げられたと言うじゃないですか、どーんと行きましょうよ」
女はふと、懐からガラパゴス携帯を取り出して開く。
ディスプレイには日時と圏外である事と表示されていた。

「私は、ライフラインを遮断し、この都の人間の全滅を狙う…
 そんな《黒幕》という奴の存在を確かめたいと思っています。
 奴がいるとしたら、恐らく《外》だと思いますし…
 ――今までの出来事は、《黒幕》にとっては戯れに過ぎないだろうと…」
黒幕。事態の元凶。それは確実にろくでもない奴だろうと。
声には憤りと焦りが入り混じっていた。今までの無念を晴らしたい、と。
475 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/17(金) 00:30:25.07 ID:Tq/a77Z70
>>470
「まあ、知っていたらこんな行動しないよ。知らないから、わからないから足掻ける。それはあなたも同じでしょう?」

パンドラの箱の中身は希望か絶望かはたまた空っぽか。明日のことすら見えないから不安を抱えてでも前へと進める。
それは相手も同じではないだろうか。
本当に《夜》の力に抗って人間に協力できる魔獣がいるのならこんな場所にいないで、人間の研究所にでも来たらいい。
既に《夜》に飲み込まれ魔獣となった相手のその人間らしい微笑みはかえって悲しく感じる。

「つまり人間はただひたすらに消耗戦をしているだけってことになるんだね……」

予想はしていた。元人間相手を手に掛ける可能性もあると知りながらそれを続けている自覚もあった。
ただこうも改めて言われると心に重くのしかかる。苦々しい表情を浮かべながらもスカヤの言葉を聞き続ける。

「人間に戻る。それはただの噂じゃなかったんだね。ありがとう」

だが今更一人二人が戻ってもどうしようもない。それよりも気になるのはその先。
《夜》の魔翌力から逃れた魔獣という彼の存在。

「人としての意思が戻ったなら……、私達と一緒に《夜》相手に戦うことはッ!?」

言葉を詰まらせながら話す様子は相手の答えがわかっているようである。
ただそれでも意思の力、彼を人間として信じたかったのかも知れない。
476 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/17(金) 00:31:40.63 ID:QNUMOhA80
>>473

「……あっ、……あ……
 ……いい……あっ、あっ、あっ」

【キャラマールの唇はエイルの堅い唇を緩め……】
【その両腕は自然と彼女の小さな肩に絡みついていた】
【キャラマールは何度も何度も唇をエイルに重ね――
 その手は頭、肩、背中を、つうと伝う】
【まるで触手のようによく動く白く長い手】
【いつの間にかその長い脚は、エイルの健康的な褐色の足に絡んでいた】

「あ、あ……、……ん?」

【しかし、キャラマールは気づいた】
【その張りのある褐色の肌に、よく筋肉のついた足】
【しかしその下腹部に、胸に、僅かに違和感――】

【キャラマールは、エイルを間近で見る】

「あなた……"女の子"?」

【エイルの火照った頬を、睫毛の爽やかな目を、蕩ける表情を見……】
【不意にキャラマールはその大口をあけて大笑をする】

「あはははは、あははははははははっ!
 あなた――女の子なの? ねえっ、あなた、女の子なのぉ?」

【そう言いながら、うねうねとうねる腕はより力が入り、締め付ける力が若干強くなる】

「騙したのね騙したのねだましたのねぇぇぇぇぇぇん!
 あっははははははは、あんた、あまりにカワイイ顔してるから、つい……
 うふふ、じゃあ……こんなの、感じちゃうのン?」

【そう言いつつ、キャラマールはその腕を――巨大なイカの触手に変化する!】
【その腕は官能的に絡まりつつ、その先端は服の内側に入り込もうとし――】
【エイルの小さな胸にたどり着こうとしている!!】

【もちろん、まだ本体は魔獣に変化していない。】
【力づくで投げ飛ばすなどは可能でもあり、また途中で突き飛ばすなども当然可能だ】
【何せ魔獣は、まだ相手が≪月装≫使いだとは、思いもしてないのだから――!】
477 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/17(金) 00:32:23.26 ID:jvhKUBRjo
>>472
―――――― ああ、そうだ。温もりが欲しい。
自分は、あの平穏な世界において、ずっと温もりに囲まれて生きてきた。
それを突然に突き放されて、腕も目も奪われて、まともな精神構造でやっていける訳が無い……そう、弱音を吐きたかった。

「……止めろ」

その行為に対して、反抗しなかったのはその現れだ―――――― 久方振りの人の温もりは、心底愛おしい。
まともに人と会話したことすらも、最早懐かしい程。"故に"。これ以上は無理だ、"耐えられない"。
"存在しない筈の右手"が、彼女の身体を突き飛ばそうとした……随分と弱々しい物では、あったが。
その姿は漆黒―――――― 不安定に揺れながらも、右腕の形を成すそれは。紛れも無く、"月の光"の産物。

「私は……誰の、誰と寄り添う事もしない……私は、独りで良い……!!
 咎める者がいなくたって……立ち止まれば、私はいずれ押し潰されてしまう……なら……なら私は……!!
 う、あ、ぐっ、うぁぁ!!私は、どうせ押し潰されるなら!戦って……逃げないで……立ち向かってやる……!」

右腕の焔装が、ぐちゃぐちゃと、液状になったかのように幾度も変形して、消滅する。
左手に握っていた中途まで残されたそれは、何時の間にか取り落とされていて、その左手が右眼を抑えていた。
478 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/17(金) 00:42:12.74 ID:v+0sPTxno
>>474

「はたしてそんな都合の良い敵がいるのかどうか。
これまでにそんな相手を見た奴はいない。もしいるとしたら、会った奴は一人も生きて帰れなかったってことだ」

有子の発言を聞いて、久良岐は少し失望する。黒幕を倒して全てを解決する、というのが彼女を支える希望なのだろうか。
だとしたら、それは彼には理解できない。価値観は擦り切れて、“あの子に再会すること”以外の目標は良く分からなくない。

生き続けることは目的にならない。他に生きる目標がなければ。
大切な人と共に居ることさえできれば、空が暗くても関係は無い。

たとえ黒幕がいたとしても、それを倒してあの子が帰ってこないのなら意味が無い。
むしろ、魔獣が一度死んだ人なのであれば、《夜》が晴れることはあの子が永遠に失われることを意味するかもしれない。


「お前の目的はそれだけか? 取り戻したいものがあるんじゃないのか?」

勝手に誤解されていく自分と、彼女の頭の中の黒幕を重ねて同情する。やはりあの子以外はダメだ。
感情が冷えていく。悪くない。たった一つの目的、自分はまだ見失っていない。

「復讐は何も産まない。目的を取り違えるなよ」

妄執に憑りつかれた男が口にできる言葉ではない。けれどこの男だからこそ、その陳腐な言い回しには重みがある。
479 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/17(金) 00:59:19.65 ID:NDgA60860
>>476
【なんで、どうして、抵抗できないの?】
【止まって、ねえ、止まって、止まれよ、止まってくれよ】
【なあ、なんで、暖かいんだよ】

――ん、ちゅる……あっ……っは……

【唇を合わせれば、その度に身体がふわりと浮いたような気分になる】【止まれよ】
【小さい電流が走る、鼓動は聞こえる程大きくなる】【止まれよ】
【自然と、手を回している】【欲しい――いや】【止まれよ】
【能がちりちりとする】【何もなかった筈の脳みそに】【思い出すような何かを】【止まれよ】


【――止まってくれないと、思い出しちゃうじゃないか】


えっ、はっ、……は、はい?

【浮ついた思考、白黒の世界に咲いた華】
【片方の色が戻って……しまった】【聞こえる大音量の声】

――っが、ぐ、ぅ……っ!

【ぎちぎちと強まる腕の絡み】【夢は覚める。冷める為にある】
【――欲しいなんて、もっとだなんて】【一瞬でも思ったのが馬鹿みたい】

……や、やめろ――やめろぉ!!

【だから、叫んだ拒絶の声は、嫌悪からだけじゃなくて】
【これ以上、染めてほしくないから】【――知りたくないから】

【入り込んだ触手なら分かるだろう。見た目以上に、着やせするタイプで――推定Eカップ】
【ふくらみななだらかラインをつくり、張りを見せて若さを強調する】
【そこに這いこまれれば顔を顰めるも――流石に躊躇いはしなかった】【焔装――対象は、目の前の、イカ女】
【すぐに 其処 が消えるだだろう――言葉通り、何の間違いもなく、なかったかのように消える】
【移動するなら、何かしらの回避手段を見せなければ、そこにいるキャラマールの結末は……言わずともわかるだろうか】
480 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 00:59:26.07 ID:g3rB++8Ro
>>478
「定かではないです、確証もありません。
 ですが、居ない気はしないと思います。
 …また別の《黒幕》が沸くだろうと断言します」
彼女は、今までの魔獣と呼べる存在を尖兵と見ていた。
人側が持っていた駒が、裏返った駒に過ぎないと。

「私は取り返したいものがあるんです。
 星々の灯る空を取り戻す為に…この黒く塗り潰された空を掃う。
 ――思い出の夜空を、取り返すために」
硬い表情が、奥歯を噛み締め…
怒りに満ちた表情へと変わり――そして、哂う。

「ええ、これは復讐でも八つ当たりでもあるんです…
 《戦争》だから、全部混ざってるんですよ、ドロドロにグチャグチャに。
 つくづく私は愚かだと思います。――これを捻じ曲げたら、私が消えてしまうから」
武器は少女を戦士に駆り立てた。心は荒み、争いを求めるようになった。
――少女の中に芽吹いているのは、希望なんてモノではない。
481 :シャイナ ◆33B37h/HCM [saga]:2014/10/17(金) 01:09:05.52 ID:rWe74Z2u0
>>477

「な…っっ…」

突然、突然だった。吹き飛ばされた少女は尻餅をついた
すぐさま顔を上げると、陽遥の存在しない右手があった。それは漆黒で、少女の背中に冷や汗を流させた

「焔装…か。よせ、それを無駄に使うんじゃない。…堕ちるのが早まるだけだぞ」

立ち上がって陽遥にゆっくりと歩み寄る。
恐れは無い
愛する人間の手によるものなら、例え命を落とす結果になろうとも構わない。

「嘘をつくんじゃない。……独りで良いなどと心の底から思っている人間など居ない。
…大丈夫だ。君は押し潰されなどしない。私が共に支えてやる。
逃げて良い、逃げて良いんだ
…戦うことより、逃げることが大事な時もあるんだ。」

陽遥の右腕はぐちゃぐちゃになって、なんども変形して、やがて消滅した。二人の距離は限りなく縮まっていく

「……それでいい。辛かっただろう。苦しかっただろう。もう安心していい。
私は絶対に……君の…陽遥の味方だ」

そして、陽遥を抱きしめられる距離まで来た。優しく声を掛けながら、再び背中に手を回して抱きしめようとする





482 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/17(金) 01:13:35.01 ID:QNUMOhA80
>>479

【スパァン!】
【あえて擬音にすれば、そんな感じだろうか……】
【桃色の絶頂に今まさに向かおうとし、意外にもふくよかな胸の谷間に触手が入りこもうとした、その時】
【イカ女の頭部の、右から半分――】
【おそらく近接し過ぎていたためエイルの見えている視界がそこしか見えなかったのかもしれないが……】
【顔面は、スプーンでえぐったように、かき消えていた!!!】

「!!!!!!ッ!
 あ、あ、あ・……ああああああああああああ!」

【女は瞬時に触手を戻し、失われた顔面を撫でる!】
【ない、ない!】
【消滅したのだ……!】

「あなた、まさか――≪焔装≫のッ!」

【「概念攻撃」】
【能力の中でも、かなり上位な、現実改編級の攻撃である】
【魔獣は身体能力に秀でている物が多く、それに対抗するためか、生き残った多くの人間側の能力者が、その力を駆使して魔獣と戦っていたのだ――!】

【女はすぐに距離を取り、後退しようとする】
【出血が止まらない。脳髄の一部と思われる灰茶色のうねうねしたものが、
 女の白い触手を汚す】

「あああああっ、うああああああああッ!」

【激痛と共に女は真の姿――巨大なイカ魔獣に姿を変えるものの】
【その形はいびつに変形している。ダメージは大きいようだ】

『よくも……よくも、私の、顔を……顔を……!』

【恨み事を述べるが、反撃する力はなく――】
【精一杯ドン! と地面に触手を叩きつけ、粉じんを巻き上げると同時に、
 口から黒い墨煙を吐き、周囲に目くらましを吹きつける】
【それに紛れ、イカ魔獣はどうやら撤退を企てるようだ!!】
【黒煙の中、魔獣は頭を押さえながら、触手に力を入れ――】
【何事もなかったらそのまま大ジャンプをし、漆黒の闇の向うに消えようと試みている!】
483 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/17(金) 01:21:29.72 ID:v+0sPTxno
>>480

「そうか。ダメだな。相変わらず俺の直感は当たらないらしい」

張りつめていたものが解ける。ゆっくりと息を吐き出して、肺を空にしてから冷たい空気を吸い込む。
吸い込んでいた力が解放される。夜を上塗りしていた霧から緩やかに熱が流れ出し、銃撃の余波が飛び出す。
一陣の風が、少女の髪を留めるリボンを揺らしていった。改めて見た少女の姿に、重なって見えていた像はもう無い。

「だが、その言葉は悪くない。思い出の夜空か。俺も星空には思い出がある」

怒りと自嘲と悔しさと憎しみと……マイナスの坩堝は、焔装使いにはなじみ深いものだが、他人のそれを目にする機会はあまりない。
哂う少女の瞳は赤く、亡くした月の一面のよう。誰かとは似ても似つかない。

「俺にはお前のことは分からない。だがそれも、人の自然な情動の1つなんだろう。
混じり合って1つしかないとは、まるで末期の焔装使いだな。お前はそれで堕ちることも無いが、得るものも無いだろうに」


「――死んでも曲げるな。取り戻すまで、絶対に」

己に誓った言葉をそのまま贈って――特に話が無ければ、そのままその場を離れていくだろう。
瓦礫の中に埋まった形のシガーボックスについては、好きにしてもらっていいようだ。
484 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/17(金) 01:32:22.91 ID:jvhKUBRjo
>>481
自分を抱き締めようと伸ばされた手を、今度こそ、払い除けた。
本来ならば柄にもない行為であり、柄にもない言葉であり、柄にもない虚勢で、あり。受け入れるべきだったのだろう。
だが、もう無理だ。継ぎ接ぎの虚栄心が産み出した現実は、もうすぐそこにまで近づいていて、もう走る事しか許されない。
それに。やがて"成る"自分に対して、それは余りにも"無駄"だ。

「世話になったな。……一時の夢としては、上出来だった」

ギターケースを置いたまま、右眼から手をゆっくりと離して立ち上がる。
"独りで良いなどと心の底から思っている人間など居ない。"
その通りだ、今すぐにでも逃げ出したいんだ。自分を支えていた虚栄心はボロボロに剥がれてしまって、もうどうしようもない。

                         わたし わたし  
「独りじゃなければ、いれない自分がある。自分は強者でなければいけない。例え墜ちようとも。
 例え裏返ろうとも……私は、"夜"と戦う。喰らってやる。私は、私は強者だ……!!」

でももうそれから、逃げ出す事等出来ない。虚栄心は、もうずっと彼女へと張り付いて、鍍金は剥がれようとはしない。
誰かに縋り付いて、鳥の雛か何かの様に生きていければどれだけ楽な事だろう、この世界で無数に存在する力無き者の様に。
本来ならば、自分は其方側へといる筈の存在だったのだろうに。何故。"月光"は。

「そいつは代金代わりだ。今度まで、お互い"生きていたら"……弾き方を教えてやる」

今度こそ、踵を返して、歩き出した―――――― 温もりは未だ、体が覚えている。
それが引き留めようとしたのだろうか、一度だけ、足を止めた。足を止めて。
そうすることが出来る彼女は、その行為が愛だと言うのならば―――――― きっと"強者"なのだろう
自分は。誰の味方にもなれやしない。ただ絶望に囚われて、ひっそりと、何も成し得ぬまま死んでいくのかもしれない。
それが恐ろしくて、やはりどうしても素直に生きることが出来なくて。

「……シャイナ。お前は、"強い"な」

縋りたい心を抑えつけて。廃校から、去って行った。

校門を潜り、一度だけ振り返る。見上げた校舎は、何年も前に見た姿とは、随分と変わり果ててしまっていた。

/そろそろ限界なので、こんな感じで〆でお願いします……絡み、ありがとうございました!!
485 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/17(金) 01:32:41.79 ID:NDgA60860
>>482
【触手から体が離され、荒い息を吐きながら、目の前を見る】
【抉り取った、まさにそんな状況のキャラマール……当たったようだ、自らの焔装は】
【ただ――仕留め損ねたみたいだが】

迂闊に近づきすぎなんだよ、変態女っ……!

【襲われた体を庇うように手で覆い、のたうち回る彼女からの反撃に備えようとして――行動は逃走】

――逃がす訳……

【煙幕が立ち上る、しかし、それですらも消そうと思えば彼女は消せる】
【キャラマールがいるであろう大凡の位置を予測し、その生涯となる目の前の煙幕を消去=z
【音もなく、丸い穴の開いた空、そこから見据える欠損のあるキャラマール】
【追撃の空間消去、消えろ、消えろ、消えろ消えろ消えろ消えろ】
【触手に力を入れた、一瞬止まった、未だ、やれる、殺せる、殺せ】

【ころ――】【……せ……】

……なんで……

【……結果から言えば、焔装を放てなかった】
【反動でも、疲労でもなんでもなく、追撃を、止めてしまった】
【そのまま大ジャンプをする様をみすみす見逃し、呆然と、空の彼方へと目を合わせる】

【――何でだよ】【なんで人より暖かいんだよ】

――くそっ! くそっ! くそっ! くそぉっ!

【憎しみを込めた声は闇に消えて、脳の隅にある思い出してはいけない記憶】
【それの封が解かれはじめたのに気づかぬまま】
【名残惜しそうに……唇へと、手を当てた】【瑞々しい、潤いのある、冷たさ】

/こちらからはこれで〆で……いいでしょうかっ
486 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 01:35:33.09 ID:g3rB++8Ro
>>483
「ふふふっ、おかしな人。
 私は後悔してるんです、なぜあの貴重な時間を大切に過ごせなかったか…って」
儚げな表情を浮かべ、俯きながら呟く。
左手で、左側の髪を弄りながら。…声は笑っているが、表情は暗い。

「意思を持った化物にこう言われたんです…
『君は空っぽか…なるほどね。魔獣と似ているね、僕もそんなものさ』と。」
男が落としていったとされるシガーボックスを拾いにいく。
虚ろな表情。感情を出し切った後に残る放心の表情を浮かべて。

「我々は踊らされてるんですよ…《黒幕》に。
 一つの舞台で、面白おかしく殺し合う。醜くて可笑しい喜劇に。
 演じている人間の事を考えもせず、観客はただ只管嘲笑い続ける。
 ああ、劇の途中で役者が余計なアドリブを入れてはならない…」
男に背を向ける形で、ぶつぶつと独り言を呟きながら都へと歩いていった。

//おちかーれ!FO!
487 :ホテル・キャラマール【女イカ魔獣】 ◆H07LoveCPs [saga]:2014/10/17(金) 01:39:52.42 ID:QNUMOhA80
>>485
【煙幕が円形に消去されると、その向うにまるで無防備な巨大な白い壁――】
【緑色の血を頭部から流しながら、キャラマールは今まさに逃走しようと足に力を入れていた】

「ヒッ!」

【目だ――】
【キャラマールは気づく。あの目が、現実を抉り取る!】
【イカ魔獣はそれを恐れた】
【現実改編能力の恐ろしさは、伝聞で聞いている】

(消去される――私が!!!???
 イヤっ! イヤアァァァァァッ!!!)

【……】

【結果的に、魔獣は一命を取り留める】
【≪焔装≫の娘は、消去をすることなく、魔獣は筋肉のきしむ音と
 切り裂いた空気を遺し、闇夜に消えて行った】

(≪焔装≫……恐ろしい子……
 あの唇、あんなに甘かったのに――)

【魔獣は、キスの感覚を思い起こしながら、
 全体液を消えた頭部に集中させつつ、その場を立ち去ったのであった】

/ロール乙です!
488 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/17(金) 01:49:09.07 ID:NDgA60860
>>487
/はい! ロールありがとうございました!
489 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/17(金) 01:51:06.60 ID:v+0sPTxno
>>486

「空っぽじゃない。俺にはまだ、一つ、確かに残っている」

アスファルトを叩く靴音がひときわ高く鳴る。
ポケットの中を探り、愛用の短刀を握りしめながら、願望を噛み締める。

「残っている……はずだ……!」

表情は変わらない。ただ、口元が少し引き締まるだけ。
永く笑っていない顔は、表情の色数を著しく減らしていた。

その代わりに、彼を取り巻く霧が黒く黒く渦巻いた。

結局名前も聞かないまま、久良岐はその場を後にする。

/おつかれさまでしたー!
490 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/17(金) 02:27:07.33 ID:Tq/a77Z70
>>470>>475
/寝落ちっぽい?
/私もそろそろ限界なので落ちます。もしも寝落ちでなかったり意識を取り戻したりしたなら適当に〆といてくださいな
/ロールありがとうございました
491 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/17(金) 06:05:30.02 ID:Ebl9gk9L0
>>475
「確かに、知る為に抗う事は悪いことじゃない…俺も、思い出すまで沢山、抗ったしな…」

魔獣であった時のことを思い出す。自分の身体に覚えていた感情を知らぬが故に様々な方法で感情を知る方法を考えていたことなど、かなり無謀なことをしていたと思う。

「戦う…共に……か」

少し考えた。いや、少しの間だったが、その中で沢山の事を考えていた。
確かに自分は精神こそ人間に戻りつつあるが、身体は未だに魔獣。
能力こそ強けれど、魔獣に思いを持つ者達には────。

「悪いが、それは無理だ」
「まず考えてみろ。今の月装使いや焔装使いは少なからず魔獣に身内を殺されている……つまり魔獣には特別な思いがある」
「そんな奴等と俺は多分協調性など取れるはずもない、俺も身内を魔獣に殺されているから気持ちは分かるんだ…最も、そんな憎き存在に自らなってしまうとは思わなかったがな」

認めても認めたくない事柄は人によって様々であるから、スカヤもその気持ちはよく知っていた。

「それに意識だけが戻ったわけで、まだ魔獣の殺戮本能を抑えきれていない」
「……魔獣と人間は手を組むことは出来ない」

彼女の返事を聞こうとする前に席を立ち、大学の外へ向かう。
しかしこの間でも、本能を抑える事しか出来なかった事に悔いが残る結果となった。

//こりゃもう死ぬしかないな(諦め)
//本当遅れて申し訳ありませんでした…
//長い間、待って頂きありがとうございました…
492 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/17(金) 06:36:22.78 ID:vFwZLuH+O
>>484
//ありがとうございました
493 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/17(金) 19:36:21.43 ID:BOqXl/VX0
「ふむ……美味い。やはり酒はいいものだな」

「死神」の名を持つ少女は森にいた。背中から黒翼を生やして枝に腰掛けウイスキーの瓶を口に運び乍、読書を嗜んでいる

「…だが、誰かと飲んだ方がもっと美味い。……本を相手に酒を飲むのはもう飽きた」

その木の根元には少女の身の丈程の鎌が立て掛けられており、幾つもの青白い火の玉が周囲を幻想的に照らし出している。遠目からでもその様は分かるだろう
少女は人との繋がりを求めている。一昨日昨日は良い人間に巡り会えた。少女が今日出会うのはどの様な人間だろうか―――?

//日常希望です。21時位まで待っています。宜しくお願いします
494 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 19:48:04.03 ID:/NE5NQaZ0
人類の残り少ない拠点の一つである、小学校。
其所の図書室の本棚の合間を懐中電灯で照らしながら、歩く、人影が一つ。
少し癖っ毛な黒髪に肩に掛けられた黒とピンクのヘッドフォン、ジャケットにホットパンツと動きやすい格好をしている、その少女の年齢は十代後半辺りか。
時折、光に反射してきらきらと光る大量の埃にケホケホと咳き込みながらも、何かを探しているのか図書室から出る様子はない。

「えっと…確か前はここに―――……きゃっ!?」

突如、ヘッドフォンから僅かに聞こえた…腐った木材が軋む耳障りな音。
はたと驚いた様子で顔を上げた瞬間、今度は明らかに何かがバキバキと折れた音が辺りに響く。
すぐ近くにあった大きな本棚が轟音を立てて倒れ、思わず悲鳴をあげてしまう。
それと同時に辺りにぶちまけられた本を避けようとし、バランスを崩したのか、そのまま尻餅をついてしまう。

「……いったぁ……」
495 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 20:05:30.39 ID:g3rB++8Ro
>>494
カジュアルな装いの女が、職員室のソファーで足を組み横になっていた。
いつも以上にマヌケな表情をしていたのは気のせいだろうか。

「騒がしいなぁ」
小学校の職員室で休んでいた所だ。大きな音に気付いて図書室へと向かう。
足取りは歩くような速さ、実にゆっくりとしたペースだ。

「なんだ、先輩か…げふっ…丁度いい所に居ましたね。
 先輩に用があるんですよ、私じゃなくてタキシードを着た男が」
ガラッと図書室の戸を開けて、少し咳き込む。…尋ね人が見つかったらしい。
496 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 20:16:49.95 ID:/NE5NQaZ0
>>495
「ケホっ…あ、あれ…有子ちゃん?」

思いきりコケたせいかお尻と腰がとても痛い…なんて涙目になっていると図書室に入ってくる一人の少女。
その姿には見覚えがある…久方ぶりのその人物の姿に驚いたのか目を丸くする。

「あいたた…わぁ、久しぶりですねぇ。お元気にしてましたかにゃん?…ってタキシードの男の人?」

未だに痛そうな様子で立ち上がる。まあ、猫風味なその口調は暢気そうであるものの。
とりあえず訳も分からず首を傾げているあたり、有子の言っていることを把握出来ていないのは確かだろう。
497 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 20:26:54.93 ID:g3rB++8Ro
>>496
「お久しぶりです。随分と痛そうにしてますね…大丈夫ですか?」
自然な笑みを浮かべて、立ち上がる様を眺めた
…蟹の魔獣との戦いで入院した後、表情が柔らかくなったような。

「知ってますか、この街で1人で戦ってきたヒーローのお話を。
 彼が助けを求めていました。…私と自警団の皆へ。
 彼の時間は余り無い。だから、私は彼の願いを叶えてあげたい。
 悲願の為にも、猫の手も借りたいってのが…現状です」
真剣な表情を浮かべながら、床に落ちていた本を拾い始めた。
498 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 20:44:40.86 ID:/NE5NQaZ0
>>497
「あはは…今は痛いけど心配御無用ですにゃん。こんなんでもここまで生き残ってますから。」

そんなことを言えば、相手の笑みにつられて思わず苦笑してしまう…のだが。
一瞬、その笑みが以前出会った時と比べて明るくなったような気がするのだが――気のせいだろうか。
何かあったのか尋ねる前に相手の少女の言葉が続く。

それは、一体誰の話なのだろうか。
街で戦うヒーローのお話。今まで自分達を守っていたという恐らく、先程のタキシードの男の話。

「ふふ、猫の手…たまだけに?言葉が巧いですね、有子ちゃん――猫の手も借りたい、ですか。
 ……謙遜無しで、本当によわっちいですよん、たまは。」

何より重要なのはその彼が助けを求めているということだろう。
そして、それを助けようとしている有子が自分に協力を求めている。
本を同じく広い集め、とんとんと下を揃えつつ、言葉をひとつひとつ紡いでいく。
499 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 20:54:32.85 ID:g3rB++8Ro
>>498
「何だかんだで、自警団の皆に支えられてるから…
 お互い、そう簡単には死にそうにないですよね」
仲間の話。有子は、同じ自警団の面子に助けられた。
1人で居ればいつ命を失っていたか分からない。

「先輩ほど特異な能力は珍しいんです。
 旅団に必要なのは武器ではなく…目や耳であると、彼に言われました」
本を集めて、手頃なテーブルに置く。再び床に散らばった本を拾い集める。

「興味本位で命を預けろとは言いません…
 リスクは内側の世界よりも遥かに高いと見ていいでしょう。
 仲間はそれなりに揃えるって話ですから、1人ではないですけどね」
不安。自分の賭け事に、先輩や仲間達を巻き込もうとしている。
だが、自分1人で彼の悲願を達成出来そうに無い。
片付ける動作が止まり、ぼんやりと俯く。
500 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 21:15:46.24 ID:/NE5NQaZ0
>>499
「うん、そうですね。きっと皆のおかげだから……」
ああそっか。この子が何処か変わったのはそういう理由からなのかもしれない。
少しほっとしたように、心底嬉しそうにはにかんだ。

「……そっか。」

相手の言葉を最後まで聞くと、トン、とテーブルに置かれた本の一つを手に取った。
古びた青い表紙が特徴的な絵本だ。タイトルは「月とマーニ」。
それは先程まで珠悸が探していたもの。珠悸という人間の原点――――。

「…私ね、小さい頃は月になりたかったんだ。
 この絵本に書いてある月はね、弱虫で、自分より眩しいものに憧れるんだけど、最後は自分の役目を大切にやり遂げるの。」

懐かしそうに、何処か敬語も変な口調も外して、語る。
月を照らすのは太陽で。月が照らすのは夜を生きる人々。
照らされ、照らされる。

「一人じゃなければ、私の力は、皆の役に立てる。
 それを確かめたい…皆と同じ歩幅で…歩けるようになりたい…だから……有子ちゃん達に、協力させて。」

いつの日か夢見たそれに成れることに……願いを馳せながら。
誰かの闇色の心に光を灯してあげたいから。
501 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 21:33:02.28 ID:g3rB++8Ro
>>500
「こんなあっさりでいいんですかね。
 私も他の自警団の面子にも動員を促しますけど」
この辺で交渉タイムがあったはずだと、ぼんやりとした表情を浮かべた。

「絵本、か…先輩が童話に惹かれるなんて…
 君の苗字、結構珍しいねってクラスの子よく言われました。
 まーそれで色々問題がありましたけど…親から受け継いだ名前だから」
動作を止めていた事に気付くと、慌てて本の片付けに勤しむ。
大分地面に散らばった本が減ってきたようだ。
月のフレーズで、離れ離れになってしまった家族の姿が頭に浮かぶ。

「大丈夫。たま先輩は私よりも強いです…
 内側より強い魔物が出てきても…皆の力を合せれば」
儚げな表情を浮かべて、全員は生きて帰れないだろうと悟りながら。
先輩を分の悪い賭けに付き合わせる。…そんな重責に押し潰されそうになった。
502 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 21:51:58.94 ID:/NE5NQaZ0
>>501
「えへへ…あんまり悩んでると怖じ気ついちゃうから、
 すぐに決めちゃった方がいいんです……人それぞれだけど時間がないのは皆同じだもの。」

「子供の頃はかなーり夢見がちな子だったんですよ、私。
 と有子ちゃんと同年齢で小さい頃に会ってたら、きっとすごく苗字に食いついていたでしょうね〜、…勿論いい意味で。」

あと一年で二十歳になるのに猫口調で話してるのもなぁ、という考えもちらつくがそこはご愛敬。
そもそも一年後があるのかは分からないのだけれど。

「きっと倒せる…うん、私も有子ちゃんも…きっと大丈夫。有子ちゃんだって強いですから。武器は勿論……心も。」

相手の言葉に続けると、語尾が自然と強くなる。
それは相手に言い聞かせているのか、それとも自分に対しての暗示か。
503 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/17(金) 22:00:29.75 ID:aLv1xgnso

 刻まれた煙草が、パイプの中で小さく爆ぜた。ちりっ、という音を立て、火の粉がパイプの先端から溢れる。
 少しだけ宙を舞った仄かな鬼火は、乾いた重い大気に触れて刹那の間に燃え尽きた。

「……ふー……はぁ、っ……」

 自治体本部付近の、小さな空き地。無造作に積まれたコンクリート塊の上で、彼女は煙草を吹かしていた。
 黒縁眼鏡の下に落ちる二つの瞳は、普段のようなギラつく覇気を宿していない。ただ虚ろに、真っ黒な空を睨んでいる。
 
「わっかんねぇなぁ、まったくもう……」

 独り言は、白煙と共に空へと昇っていく。
 一昨々日、彼女は一人の女性を手にかけた。純粋な殺意を隠さなかった女性は、その最期に誰へとも分からない微笑みを浮かべた。
 一昨日、彼女は一人の少女を手にかけた。鬱屈した復讐心をひたすらに振り回した少女は、その最期まで救済されることはなかった。
 今日、彼女は誰と出会うのだろう――明日、彼女は誰を殺すのだろう。

「……あー、やってらんねぇ……」

 チャンバーに溜まりきった煙草の水分は燻る煙草と触れて、僅かに蒸発した。
504 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/17(金) 22:01:22.52 ID:Z6qiCfEhO
>>493
//まだ待っております………
505 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/17(金) 22:01:40.22 ID:OUWENaLpo
「……まずい。人間はどうしたってこんなものを食べるんだ」

 アホ面を晒した少年はブロック状の携帯糧食を齧り、吐き出した。
 魔獣との戦闘で傷つき、死んでいった人間が持っていたものだ。
 試してみたが、どうしてこんなものを食べて人間はちからを出せるのか。

「もっと食うものがあるというものでしょう。肉はそこらじゅうに転がっているのに」

 カニバリズムが禁忌というのは生理的なものに過ぎない。追い詰められている生物なら尚のこと。
 動物なら同族を食べることはなんでもないことだ。人間はまだ余裕があるのだろう。

「だから焔装なんてものに手を出すんだよ」

 使えば使うほど魔獣に近づいていくもの。それは長く見れば《夜》に加担する行為だ。
 月装という便利な道具がありながら、安易なパワーに手を出すことに首をかしげていた。
506 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 22:02:26.01 ID:g3rB++8Ro
>>502
「タキシードの彼、残り幾許もないからね。
 能力の自制が効かない段階。そんな状態で我々を《外》へ導くと…」
沢山のリスクが付き纏う…そのヒーローでさえもリスクの内に入る。

「ふふふっ。先輩となら割と早く打ち解けそうです。
 私は人見知りが激しい性格だと評判だったからねぇ」
クラスに居た頃の自分は有子で空ばかり見ていた、俗に言う窓際族だ。
この堅物相手にもグイグイと自分の領域に放り込む…そんな友達がいたならと。

「私はまだ、欠けている部分が多すぎる。
 だから、他の人から多くを学ばなければならない…
 先輩から、未来ちゃんから…大剣のおじさんとか」
正直、今までの活躍は仲間と自分の月装があっての事だった。
それらは不安を掻き消す材料か、それとも共に道連れにする仲間か。
507 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 22:04:51.21 ID:g3rB++8Ro
//七行目 「自分は」は無しで
508 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 22:22:37.88 ID:/NE5NQaZ0
>>506
「そうなんだ……、でも、一度だけでもいいから、その人とも話せるといいんですけど…。」

件の彼の状態を聞けば、口には出さないもののかなりの衝撃を受ける。
予想以上に容態は思わしくなさそうだ…それ故に、未だに自分で行動する意思を持っていることにも、密かに感服する。
そんな人がどんな人なのか一度見てみたい…と、個人的な感想を漏らしてみる。

「へー、ちょっと意外です。たまもなぁ…友達は少なめでしたから〜
 きっと仲良くなれてたでしょうね…というか、今もう友達ですけどにゃん。」

くすくすと可笑しそうに笑う――どうせならもっと早く、平和な時代に出会っていれば、そんなちょっとした心残りを胸に抱きつつ。

「いっぱいいっぱい、色んな人から沢山のことを学んで考えてくださいにゃん。
 たまが教えられるのはその中のほんの一握りだけど…有子ちゃんの力になれたら嬉しいな。」

相も変わらず暢気な口調に疲れを知らなそうな柔らかい笑顔。
不安を消しように向けた笑顔であり…共に行く末がどんな結末になっても構わない、そんな風に言うかのような笑みだった
509 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 22:35:18.03 ID:g3rB++8Ro
>>508
「何故私は彼を妄信してるんですかね。…残り幾許も無い、1人の焔装使いに。
 彼を見てるとワクワクするんですよ、こいつは使える…って」
一瞬だけ、口元を三日月状に歪めて笑った。

「ここに居る時点で、皆…家族みたいなものですよ」
一体何の為に集められるのか。
先の事などその時になってみなければ分からない。

「それに、死ぬと決まったわけじゃありません。
 万が一って事があれば、私が先輩をお守りしますよ」
ガラパゴス携帯を手に取り…日時を確認する。

「では…話が付いたので、私は寝床を探しに行ってくるよ。
 私に合うような童話があれば、キープしといて下さいねっと…」
有子は、図書室を後にし寝床を探す為に都のほうへと駆けて行った。
まだ本は片付いていないが、山積みにされた本は同じテーマで分けられていた。
510 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/17(金) 22:35:40.69 ID:r/kQ/63D0
>>505
「あれは、魔獣か?」

町を歩いていると、携帯食料をかじる魔獣の姿を見つける
野放しにしていてはいつ人が襲われるか分かったものではない―――腰についている剣の柄のようなものを手に取り、ついてあるボタンを押す
すると瞬く間に沢山のパーツが合体し、一つの大剣へと姿を変える

「―――よし、行くか!」

また、仲間を殺されたときの悲劇を繰り返したくない
魔獣と戦う事への恐怖を過去の記憶で飲み込み魔獣の背に向けて走り出す
後ろから斬りかかることに少し罪悪感があるが、そんなことを気にしていい相手ではない
そもそも、魔獣と月装という時点で実力差があるのだから勝つためには卑怯な手を惜しんではいけないのだ

「――――ッ!」

さぁ、間合いに入った―――もしも、ここまで来る前から気づかれていたら?
そんな臆病な考えを無視して魔獣の背中に向けて大剣をふりおろした―――



/よろしくお願いします
511 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [sage]:2014/10/17(金) 22:47:51.58 ID:OUWENaLpo
>>510
 あたりは瓦礫が脇に積まれた元繁華街。隠れる場所はいくらでも存在した。
 隠れて様子をうかがっていたユウトが接近するまで、思考に浸り気付くことができなかった。
 だが剣を振るう寸前、果敢であることが逆に攻撃の気配を放っていた。

「……っ! 人間か、小賢しいんだよ!」

 慌てて飛び込むようにして前へ跳ぶが、浅く背中を切り裂かれた。青いシャツが裂け血が散る。
 転がって立ち上がり、振り向いてユウトを見た。

「その武器、大剣の月装使いかよ!」

 笑って痛みにこらえながら、両手にジルコニアのナイフを作り出した。
 そして左手のナイフをユウトへ向かって投擲する。ぴきりと背中が引き攣るようで、速いが対処出来そうな程度だ。
512 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [sage]:2014/10/17(金) 22:48:23.21 ID:OUWENaLpo
/レス分けてしまった。
/こちらこそよろしくお願いします。
513 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/17(金) 22:55:58.92 ID:/NE5NQaZ0
>>509
「有子ちゃんがそんなに興味を持つんだからきっと素敵な人なんでしょうね。」

立ち去る相手を手を振って見送ると、ぽつりと独り言を呟いた。
使える、という言い方は人に対して使うには、些か乱暴に思えたがあまり触れず。
そんな人ならきっと有子ちゃんの欠けているものを埋めてくれる筈だと、そう思う。

「……そう、私達は家族…家族のためにも[ピーーー]ない―――。」

そんな覚悟もあってか否かは分からないが、相手が言っていた通り、彼女に合う絵本を探しておこう。
荒廃した世界でそれを捜すことは大変だろうけど、時間があればきっといつか見つかる筈だ。………、
……外へ出た後、二人で、無事にここに帰ってこれますように。


/これで〆…ですかね?絡みお疲れ様でした!
514 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/17(金) 23:03:07.44 ID:g3rB++8Ro
>>513
「ぷるぷるぷるぷる…電話だ」
帰る途中の有子の姿が窓から見えたなら異様な姿が映るだろう。
何処もかしこも圏外だというのに、通話しているような素振りをしていた。

「皆バカだなぁ。あの男を全部信じて、《外》へと飛び出そうなんて。
 もし壁の向こうがさ、崖だったらどうするんだい?
 それも…ボクを巻き込もうって言うんだから、中々に性質が悪い…」
まるで人が変わったように。
有子が独り言を洩らす。彼女は、猜疑に歪んだ暗い瞳をしていた。

「戦犯はお前か、ボクの知ったことではない。
 なぁに、MIAがいつもより多くなるだけの事。
 いざとなれば、先輩の手を引いて逃げ出せばいい!――通話終了」
通話?が終ると、スイッチが切れたように…街灯の反射光により瞳に光が灯る。

//次号、急展開!? ここでFO!
515 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/17(金) 23:06:59.09 ID:r/kQ/63D0
>>511
「仕留めれなかったか!」

軽く背中を斬ることには成功したが、たいしたダメージを与えられなかった
やはりバレていたか―――少しは斬れたのだから正確には途中でバレたのだがそんなことは関係ない
仕留めれないにしてもダメージは与えたかった、実力に差があるのだから万全な状態では勝負は見えている

「なんとでも言え!」
「俺は弱いからな、勝つためには小賢しい手を使うしかないんだよ!」

剣を構え直した所でナイフが投擲された―――さっきまでは確かに素手だった、ならば創造系の能力か!
かなりの速度がある―――だが、なんとか対処できる
剣の腹を盾にしてナイフを弾く―――弾いたのを確認すると直ぐにニルマーナの方に走り出す

「そうだ!そういうお前は何かを創れる力を持った魔獣だな!」

おそらく、向かう間にもう一本のナイフが投擲される
それに警戒しながらニルマーナへと向かう―――
516 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/17(金) 23:07:12.27 ID:aLv1xgnso
>>503
/まだ募集中ですー。
517 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [sage]:2014/10/17(金) 23:20:26.37 ID:OUWENaLpo
>>515
「人間がそうしてくれるのだから魔獣だって遠慮なく叩ける!」

 小賢しいというのは一種の褒め言葉にも当たる。足りない部分を知恵で補う人間の強さだ。
 工夫を凝らす。そこにはかつて地球を支配していた人間の根源の力を見られる。

 ナイフを弾き、近づいてくるユウトに向けて大口を開いて叫んだ。
 半身になり、空になった左手を隠すように右半身を前に出す。

「そっちがその気ならこちらも大剣を使う!」

 そういうとニルマーナの持つ右手のナイフが一瞬輝いて、急成長するかのように伸びていく。
 あっという間にナイフは、ユウトの持つ大剣より大きなものに変貌した。
 ――だがそれは本物ではない。ナイフをコアにした限りなく本物に近い幻の剣だ。実体はナイフである。

「魔獣のちからなら、大剣だって片手で扱える!」

 そして大剣を上段へ持ち上げてから、一気にユウトへ向かって振り下ろそうとする。
 それはフェイント。この幻の大剣を弾き飛ばそうと空振りしたのなら、接近して左手の掌打を打ち込むつもりである。
518 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/17(金) 23:31:37.28 ID:Tq/a77Z70
>>503
軽い足音を立てながら近寄るのは一人の少女。以前にも会ったことがある自警団の一員。未来であった。

「荒れてるねぇ。何かあったの?」

作業中のアリシアを様子を見ていてもつまらなさそうに感じることはあってもここまで覇気の無い顔を初めて見る。
何かしらの厄介ごとでもあったのだろうか。
と言ってもあれこれ考えても仕方がないので不安そうにアリシアの表情を眺めながらそう声をかけるのであった。

「役に立つかはわからないけど話し相手ぐらいにはなれると思うよ」

《月装》のサンプル集めすら難航している未来には研究などの悩みを抱えていた場合は知識に劣るためできることなど無い。
ただ、愚痴の一つや二つでも吐き出してすっきりしてもらえばいいかと考えていたのだ。
519 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/17(金) 23:41:23.49 ID:r/kQ/63D0
>>517
「くそッ、大きけりゃいいと思うなよ!」

なんとか近づくことに成功し、斬りつけようとした所でナイフが大剣へと姿を変える
そのままそれが振り下ろされたので、咄嗟に大剣で防ごうとする
そして、剣と剣が当たったところで―――それが幻だということに気づいた
ならば、本命は―――!

「―――ハッ…ァ…」

気づいたときにはすでに接近されていた
このままでは殺られる―――咄嗟に後ろに跳ぶも、避けきれない
対人戦ならダメージは少なかったかもしれないが、相手は魔獣、人間と同じ尺度で計っていい相手ではない
ダメージを追い、倒れかかるもなんとか踏みとどまる
一瞬呼吸が出来なくなるほどの威力、まともにくらえばどうなるかなど考えるまでもない

「ハッ、ハッ…」

そして、何を思ったのか剣を地面につき、支えにする
剣を支えにして立ち、ダメージの回復をはかる
当然、それも目的の一つだが―――本命はこの隙を狙って近づいてくるであろう魔獣への不意打ちである
一見無防備な自分へと攻撃してきた瞬間にカウンターを狙って剣を横に凪ぐつもりだ
520 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/17(金) 23:53:01.25 ID:aLv1xgns0
>>518

 
「――あ?」

 話しかけてきたその人物に対して、初め彼女は苛立ちを隠さなかった。振り向いた後、声の主が誰であるかに気付いても。
 自らに向けられた妨害や同情などは、どのような状況でも彼女の最も嫌うところである。

「……なんだ、未来か。
 いや何、大したことじゃあないさ」

 しかし彼女はすぐに疲れたような微笑みを浮かべて、至極穏やかな声で返事をしたのみだった――そして、こう続ける。

「殺した魔獣が満足そうなツラで死にやがった。
 そいつの弔い合戦気取って襲ってきた奴の死に際には恨み節を吐かれた。
 ……ただ、それだけだ」

 くくく、と喉の奥から声を出して、彼女は笑った。
 彼女は、自らを嘲るような真似はしないはずの人間にも関わらず。
521 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/17(金) 23:55:27.62 ID:OUWENaLpo
>>519
「反応がいいな。だが背中の借りは返したということだ!」

 掌打の手ごたえは軽かった。自分から跳んだとっさの判断から戦闘に慣れていると解る。
 大剣を杖にするユウトに、ニルマーナは大きく笑う。せっかくの好機を逃すつもりもない。

「オレに傷を負わせたのは褒めてやる! けど終わりでしょ!」

 幻の大剣がまた輝いた。そしてその形態を変える。今度はユウトの大剣と大差ないサイズだ。
 だが分厚かった。センチ単位の厚みの宝石板を無理矢理大剣のような形にカッティングしたようなものだ。
 ――そして、今度のこれは本物だ。ニルマーナは両手でこれを持ち上げる。

「お前は大剣で死ぬんだよ!」

 背中の痛みを堪えながら近づき、剣を振り下ろそうとした。
 痛みのせいで動きが鈍っていたのだろうか。その瞬間に挟み込むように杖になっていた大剣が薙がれる。

「――っ、猿芝居を打つかぁ!」

 ざくり、と腹が裂かれた。間合いが同じだったせいだろう。半ばまで切り裂かれた程度ですんだ。
 しかしもはや戦うことは難しい。だが、せめてもの土産とばかりに、大剣だけは振り抜いた。
522 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 00:08:17.88 ID:0MZF5kzS0
>>520
「ああなるほど。魔獣は元人間が多いらしいしね」

ただ単純に本能の赴くままに行動する魔獣でなければ感情も持ち得ているものもいる。
ならば人間と同様に悲しみや恨みを覚えるものがいたところて不自然でない。

「魔獣と人間の争いかと思ってたけど何時の間にか人間同士の戦争に巻き込まれていたのかもねぇ……」

溜息交じりで呟かれた言葉。未来も疲れたような表情であった。

「でもね、相手を[ピーーー]以外の道はなかった。そうでしょう?」

心で納得できなくとも理性で理解出来れば一時しのぎは出来る。
目の前にいる天才という人種。多分《夜》の襲来以前に手に負えないことは無かったのではないだろうか。
そんなアリシアに今提示できることは物事を割り切り妥協するということだけであった。
523 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 00:08:17.88 ID:0MZF5kzS0
>>520
「ああなるほど。魔獣は元人間が多いらしいしね」

ただ単純に本能の赴くままに行動する魔獣でなければ感情も持ち得ているものもいる。
ならば人間と同様に悲しみや恨みを覚えるものがいたところて不自然でない。

「魔獣と人間の争いかと思ってたけど何時の間にか人間同士の戦争に巻き込まれていたのかもねぇ……」

溜息交じりで呟かれた言葉。未来も疲れたような表情であった。

「でもね、相手を[ピーーー]以外の道はなかった。そうでしょう?」

心で納得できなくとも理性で理解出来れば一時しのぎは出来る。
目の前にいる天才という人種。多分《夜》の襲来以前に手に負えないことは無かったのではないだろうか。
そんなアリシアに今提示できることは物事を割り切り妥協するということだけであった。
524 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/18(土) 00:29:44.87 ID:A6C2zbiz0
>>521
「ハァッ!!」

ニルマーナは自分の物と同じ位のサイズの大剣をもって近づいてきた
これで死ぬ、と言っているのだから恐らく今回は本物なのだろう
まだだ、まだ早い―――確実に当てるためにギリギリまで待つ
そして、ニルマーナが剣を振り上げた瞬間に―――思い切り横に凪いだ

「だから最初に言ったろ、小賢しい手を使うってなぁ!」

確かに、致命傷に近い傷を与えた
だが、それだけでは振り下ろされた剣の勢いは止まらない―――
―――見たところ、かなり分厚い剣だ。西洋の剣と同じで重さと勢いで斬るタイプなのだろう
当然、避けなければ死ぬ
剣は振り抜いているので戻せそうにない―――避けるしかない、弱っている今の攻撃なら、なんとか避けられる
―――だが、それは本調子であったならの話。今は掌打のダメージのせいで、動きが遅れる
剣を放し、後ろに跳んだ間に剣は振り下ろされた――――体が斜めに斬られる
血が溢れだし、足が地面についただけで信じられない痛みが襲う―――口から血を吐き、膝をつく

「ああ…前は、いつも、こうだったなぁ…」

仲間ができる前は、常に死にかけていた――――やはり、戦うのは恐ろしい
だが、一人でも多くの人を救うために、戦わなければ―――もう、誰かを殺されてなるものか
ふらふらと、今にも倒れそうになりながらも剣を支えに立ち上がる
―――バチバチ、とユウトの右足から音がなる
月装から特殊なエネルギーが送られ、蹴りの威力を高める
そして、その足で地面を蹴り―――ニルマーナへと一気に接近する

「オ、オオオオオォォォォ!!!」

―――地面を蹴った瞬間に剣にエネルギーが移る
爆発的に剣の威力が上がる―――勢いのまま剣を居合いのように振り抜き、ニルマーナを切り裂くつもりだ


/遅れてすいません
525 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/18(土) 00:49:31.09 ID:4JKwpFL5o
>>524
「どうやらオレの本気を見せるしかないみたいだな」

 独白し、月装の力を全開にするユウトに対し、ニルマーナもまた力を使う。大剣が閃光のように数瞬あたりを白く染め上げる。
 極限の力を発揮する男に対し、ニルマーナのアホ面が引き締まり、造形が幾分まともになった。
 そのせいか、服は裂けているものの腹の傷がさっぱり消えている。

「魔獣のちからを全開にすればなあ、この程度の傷は治るんだよ!」

 ――もちろん嘘だ。腹の傷どころか背中の傷も治っていない。
 そんなことができるのは再生能力に特化した魔獣ぐらいだろう。
 そして顔の造形がまともになったのもまやかしだった。

 閃光の瞬間、ニルマーナは傷が開くほどに急いで、最初にユウトがそうしていたように物陰に隠れた。
 いまユウトの前に立っているカッコいいニルマーナは、大剣をコアにした幻のニルマーナだった。
 そしてニルマーナの幻影がふたたび口を開こうとした瞬間、ユウトは咆哮とともに幻のニルマーナを切り裂いた。

(今日はこのぐらいで見逃してやるぜ……っ)

  十数メートル離れた場所で、ニルマーナは息を潜めて危機が去るのを祈っていた。

/すみませんが眠気が危険になってしまいまして、こんなところで〆でいいでしょうか。
/ありがとうございました。近接戦闘楽しかったです!
526 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 00:49:48.87 ID:hFBf7qBe0
>>523
「――ああ確かにそうだろう。殺さなければ私が殺されていただろう。
 私だけではない。私よりも弱い月装使いも焔装使いも一般市民も、私の無力さに殺されていただろう。
 だが、そう解っていても私は、仕方ないと思いたくても、できないんだ。
 とっくに行くところまで行っているはずなのに。
 なのに、ここで殺すことを割り切ってしまったら、もう戻れない気がしてしまうんだ……」

 酷くか細い声であった。普段の自信過剰で傲慢さを隠さない彼女は、そこにはいなかった。
 それはただの独白にも等しかった――鬱屈した思いを、彼女は吐き出し続ける。

「一昨日殺した魔獣、今際の際になんと言ったと思う?
『現実から目を背けるな』だとさ――背かないで生きることなんて、この時代にできるのか?」

 彼女の心を深く削りとったその言葉。故に彼女は、この独白を止められずにいた。
 一つ紫煙を大きく吸い込んだ彼女は、ひとまずの羅列を終えて、そしてさらに続ける。

「我々の戦いは美化される。
 我々は生きるために奴らと戦う。それは我々の生存本能に由来する行為だ。
 対して対して奴らは殺すために我々を殺す。それは奴らの殺戮本能に由来する行為だ。
 ――一体、我々と奴らにどんな違いがあるというんだ?」 

 ――真っ直ぐな瞳で日向を見つめながら、彼女はそう言い放つ。
 それは「天才」と呼ばれた彼女が行き詰まった、今の彼女にとってのフェルマーの最終定理。
527 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/18(土) 01:03:27.54 ID:A6C2zbiz0
>>525
「ハアアアアァァァ!!」

剣道で培った技術はいらない―――力任せに、振り抜く
相手が回復してしまったのならそれでもいい、万全の状態の魔獣であっても切り裂く自信があった
そして、切り裂いたものは―――

「―――え?」

思わず漏れた疑問の声―――切り裂いたと思えば、パキィン、と甲高い音が響いた
急いで振り向けば、そこには―――砕け散った、あの大剣があった
つまり、掌打の時と同様に幻覚を見せられたのだろう
――――ならば、今の自分に止めをさしに来るのではないか?
もう剣を振り抜く力も残っていない、攻撃されれば一貫の終わりだが―――待てども待てども攻撃は来ない

「逃げられた―――いや、見逃されたのかな」

どちらにせよ、もう攻撃は来ないようだ
それが分かるとその場に倒れこむ
服を破り、包帯がわりに傷口にまく
次こそは、負けない―――そう考えながら回復の為に睡眠をとりはじめた


/ロールありがとうございました!
/こちらこそ楽しかったです!
528 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 01:35:46.46 ID:0MZF5kzS0
>>526
「違いなんてないんだろうな……」

少し考えを巡らせれば誰でもぶつかる疑問。それ故に未来も同様の問題に思考を巡らせることは多々あった。
幾度となくそれについて考え、そして幾つかの結論も出した。
だがそれはアリシアの救いにはならないだろう。

「私の理屈を押し付けても納得は出来ないと思う。だから私は私の考え方を話す。そう、私にはそれだけしかできない」
「そして生き残っている人の中にも色々な考え方の人間がいる。だからみんなの生き方もみて欲しい」
「ちょっと冷たいかもしれないけどあなたの結論を出すのはアリサ、あなた自身に任せるよ」

無力だな、と自分でも思う。ただ彼女の強さを信じたい。
冷静に紡がれる言葉。どこか遠くに視線をやり、そして独り言でも言っているかのように言葉続けられるた。

「《夜》と共に現れた魔獣。あいつらって食事を取らなくとも活動しているという報告もあるの」
「じゃあ何が魔獣にエネルギーを供給しているかって考えたらそれは《夜》ではないかと私は思う」
「なら《夜》を晴らせば、そのエネルギー源を破壊すれば魔獣という要素は死滅するんじゃないかな」

つまり《夜》と人間という繫がりの内、《夜》の部分を無くしてしまえば人間だけが残るのではないだろうか。
未来が魔獣を無理に[ピーーー]必要が無いと以前、別の人物に語っていたのもこの考えが元になっていた。

「つまり私はその先に希望があると信じれるから割り切れるの」

だがこの話は人間に戻れる可能性のある魔獣を[ピーーー]という問題が生じる。

「でもこの話ってさ、魔獣を[ピーーー]ってことは無駄な被害を出しているってことになるよね」
「でも必要があれば私は[ピーーー]。私は殺せる」

強く言い放った言葉は感情では無く意思によるものであった。

「ちょっと話は逸れるけどさ、私たちが死者に対して出来ることって彼らが生きた証を残すことだけだと思う」
「この都市を守る為に死んでいった人達、彼らの犠牲のおかげで世界を取り戻せた」
「私は《夜》を晴らせたらそう言うつもりだよ。そしてそれをする為には前に進むしかない」
「ここで挫折してしまえば彼らの犠牲が無駄になるから」
「意地でも詭弁でもなんでもいい。弱さも強さも足場にして私は進みたいと思う。そう思うからそれを実行している」
「まあ、無理矢理なんだけどね」

呆れたように微笑むそれは自分に対してのもの。結局[ピーーー]ことの問題が解決していない回答。
ただこのような形でしか未来は折り合いをつけることが出来なかったのだ。

「まあこんな感じ。うん、やっぱりどう捉えるかはアリサに任せる」

この回答がアリシアにどう影響を与えるかは本人しかわからない。出来ることは前に進んでほしいと願うことだけであった。

529 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 02:17:22.46 ID:CFxlgzbZO
>>528

 彼女は、いつになく神妙な表情で日向の話に耳を傾ける。
 常に自らの道を征き、他人はその路傍に転がる石ほどの価値もない。そんな思考の彼女では、あり得ない行為。
 そして日向が日向自身の結論を述べ終わった時――アリシアは、悟ったように笑った。

「……ありがとう。これからどういう気持ちで奴らと戦えばいいか、解ったような気がする」

 ――その微笑みに、陰りはない。そして、彼女はこう続けた。

「知るべきことはまだまだ多いが、一つ言えることは――私は獣だ。人の形を取っているだけの」

 つい数分前までの自分を嘲るように、彼女は呟く。「私は、怖かったんだな。自らの小ささを認めることが」
 彼女において、失敗という概念は経験こそあれど認め難いものだった。されど薄々、彼女もそれ自体はいつも感じてはいた。
 しかし常に完璧を求める自尊心が、認識を頑なに拒んでいた――そして、彼女はプライドという名の鳥籠から、飛び立つ。

「今の私は殺すことしかできない。だから殺した人間の怨嗟も殺された人間の憂愁も、全て私が墓場まで背負っていく。
 例えそれ故にどれだけ嫌われ、謗られ、忌まれたとしても。私はどんな咎も罰も、甘んじて受け入れる。
 それが力を持ったもの――私に与えられた権利と、義務だ」

 彼女の口の奥で陶器質の音が鳴る。咥えていたパイプが、噛み込まれる音だ。
 燃え尽きかけた煙草の火種から、すぅ、と大きく息を吸い込む――瞳の奥に、蒼い光が戻る。
530 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 02:36:16.57 ID:0MZF5kzS0
>>529
「それが誠実なものだったら大丈夫。血塗られた道で問題ないと思う」
「だって人は他者を責め立てるだけのものじゃないもん。許すことだって出来るから」

それは優しさを含んだ声。そしてほっとした表情を見せた。
殺しを行うのは自分も同じだ。だが足掻き、もがき、そして出した結論なら後悔などない。
地獄へ落ちるなら共に落ちてやる。

「ここにいたのならアリサも知ってるかもしれないけど、一応渡しておく。自治会の掲示板に書かれていたやつだけど」

先ほどまでとは違い、いつもと同じような様子に戻る未来。ポケットから取り出した黒のメモ帳であった。
その文字が書かれているページのうち、最後のものを千切りとりアリシアへと手渡した。

「魔獣の仕掛けた罠って線も考えられるけど、私達が欲する情報を得られる可能性があるなら私は行くよ。アリサはどうする?」

内容は謎の研究所の調査という内容である。
531 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 03:01:28.27 ID:CFxlgzbZO
>>530

「くく、別に許されなくても構わないさ――その期待を私がするのは、烏滸がましいしな」

 地獄風情への行進に腹を括ったのは、アリシアも同じようだった。
 そして手渡されたメモの内容を一瞥すれば、概要を理解する。
 送り主不明の張り紙、正体不明の研究所の調査。しかしそれほどまでに怪しげな資料であっても――いや、だからこそ――彼女の好奇心と開拓心が、刺激されないはずもない。

「ああ、あれか。何ともいけ好かない腐れ野郎だよ、例の張り紙を出した奴は。
 折角昨日のソナー検査で中・大深度の地下構造物らしき物体を発見したというのに、全く先手を取られるとは……まあ、仕方ないが」

「無論、参加するぞ。個人的なカンだが、罠にも見えん。
 私より高い実績を上げた人間がいるのは腹立たしいが、情報収集も研究施設の接収も人類逆転の一手となり得るかもしれない。
 それに、件の腐れ野郎の面も是非拝んでおきたい――舐めた態度取るようだったら、一発ぶん殴る」

 くくくと不敵に笑う彼女は、研究職と呼ぶよりかはマフィアか極道と呼んでも通るような目つきをしていた。
532 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 03:20:34.41 ID:0MZF5kzS0
>>531
「OK、OK。そのくらいの意気込みの方がいいよ。でも一発で済ませてあげてね。絶対だよ!」

いいぞ、ヤレ! と言わんばかりの笑みを浮かべながらもやりすぎないように釘は刺しておく
掲示板のあの頭の悪そうな文字を見るとぶん殴ることになるのだろう。その光景は容易に想像がつく。
だが一発程度なら誤射かもしれない為、一発なら止めることはしない。
知性の欠片すら感じさせない癖に技術力が上というのは未来にも思うところがあるのだが、その謎の研究員の頭脳が無駄になるのは惜しいのである。

「さてと、せっかくチャンスが降ってわいてきたんだ。それを無駄にしたくはないからね。私はそれに備えるよ」
「アリサも、その時に全力を出せるように体調とか気をつけてね。」

アリシアの気分転換という目的も果たせた。今の野心に燃える彼女ならば自分の意思で道を決められるはず。
軽い様子で手をひらひらとさせ、別れの言葉と研究所での再会の約束を告げた未来は自警団本部へ足を向かわせた。
533 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/18(土) 03:36:49.60 ID:CFxlgzbZO
>>532

「無論。私は約束を守る女だ。そして自分で決めたルールも守る」

 日向の満面の笑みに親指を立てて応じつつも、意図するところを察した彼女はそれにもしっかりと返事をする。
 初めて日向と出会った時――その時に彼女が見せていた理不尽な不機嫌さは、どこかへと消えてしまっていた。

「ああ。……もう夜も遅いな、私も寝るとしようか。
 未来も色々と気を付けろよ、風邪でも引いたらシャレにならん」

 自警団本部の方角へと歩いていく日向を見送りながら、彼女は自らの家へと歩いていこうとした。
 ――しかし、彼女はおもむろに足を止める。そして楽しげな笑いを零して、こう呟く。

「…………ありがとう、な」

 パイプ煙草の先端から上がる煙は風に流され、何処へともなく飛び去っていった。

/っと、こんな感じで〆させていただきますッ……!
/ロールありがとうございました! こんな夜遅くまで付き合っていただき、感謝の極みですッ。
/また今度お会いしたら、その時もよろしくお願いしますね!
534 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 03:44:22.51 ID:0MZF5kzS0
>>533
/こちらこそありがとうございましたー。
/時間の経過の速さにびっくり
/ではまた機会があればお願いしますね。おやすみなさい
535 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [sage]:2014/10/18(土) 15:16:10.61 ID:oTvlgxlto
《都市》の自警団は、辛うじてその形骸を保った小学校を本拠地に据えている。
今や人類最後の砦となったかつての学び舎。
その中の一室――『図工室』の札が扉の上に吊られた部屋から、鋼を擦るような音が廊下へと漏れていた。

もし音の正体が気になるなどして図工室に入ったならば、訪問者はひとつの人影を目にする。
四角い椅子に腰掛けて、作業机に載せた両刃の片手剣を不揃いな砥石で磨く少女の姿を。
《月装》と思しき剣が発する薄ぼんやりとした光をじっと見つめ、
無言で作業に集中する彼女は、まるで取り留めの無い雑念から目を背けようとしているかのようでもあった。

机の上には錆まみれのサンドペーパーが置かれ、既に研磨が第二工程にあることを伺わせた。
そしてそれとは別に、隣の椅子には小さなポーチと、手回し発電の懐中電灯、携帯食料などが置かれている。
武器を万全にしたなら、すぐにでも外界へと出向く――そんな意志を、少女から感じ取れることだろう。

/イベント開始直前(最長で七時ごろまで)の短期ロール想定です
/とりあえず16時ごろまで待ってみます
536 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/18(土) 16:16:36.60 ID:2CmSCTEKO
>>535
「ふぅ、しっかり準備はしないとな…………」

小学校を彷徨く少年が一人。何やら、独り言をごちりながら。
例の掲示板の紙を見て、出向かないという選択肢はなかった。魔獣に対抗するだけの力と、情報を得られる可能性があるのだから。
しかし罠だったのならば、それもまた仕方なし。粉砕すれば良いだけの事。

だが、何も準備せずに手ぶらで行くわけにもいかないだろう。
腹が減っては戦はできぬとはよく言ったもの。場合によっては長期的なものになる可能性だってあるのだから、食料等の準備はしっかりとしておかなくては。

「……ん、人?」

図工室を通りかかったところで、何やら物音がする。刃物を研ぐ音だ。
少年は、なんとなくそこに足を踏み入れてみる。かつり、と床を踏む音がした。

/まだよろしければ…
537 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/18(土) 16:28:56.32 ID:2CmSCTEKO
/すいません、>>536は取り消しで!
538 :アルマク ◆O2v/A9rHcs :2014/10/18(土) 16:44:32.87 ID:twVEIKpIo
>>535
肩まで伸びたウェーブのかかった純白の髪を翻し、男が一人。
かっちりと着込んだ英国紳士風のスーツにフード付きの外套を羽織った彼の顔は、深く被られたフードによって窺い知ることは出来ない。
都市部の人々とあまり交流を持たない彼が、ここ――――自警団の本拠地、小学校に訪れたのは――――
ただの、ほんの気まぐれであった。

青年の名前はアルマク。
都市の外輪部に住む《焔装》使い。
自称、人でも魔獣でもない「何か」――――
人間の風貌をしながら、何故か人間に憧れている彼は、人類を守る自警団に興味を持ったのかもしれない。

行く宛もなく彼が学校内を歩いて行くと、この場には明らかに不釣り合いな音がした。
まるで金属を擦っているような、そんな音。
発信源を辿ればそこは「図工室」。
躊躇い無く、だが静かに扉を開ける。

音は、そこにいた少女が、鈍く光る剣――《月装》であろうか――を研いでいる音であった。
彼はそれを無言で見つめる。
集中している彼女を、邪魔しないためだ。
少女が剣を研ぐ音だけが、図工室を支配していた。

/申し訳ありません、遅れました!
539 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 17:00:55.41 ID:oTvlgxlt0
>>538

根本から先端まで一通り研ぎ終えて砥石を置くと、少女は不意に視線と気配を感じた。
自警団の本拠地にいる安心感と、無心に刃へと注がれる集中力が、闖入者への関心を奪っていたのだ。
鈍い光を取り戻した剣の柄に手をかけながら振り返ると、そこには物々しい服装の男。

「いつから居たのかしら? や、気づかなかったのはわたしだし、咎める由も無いのだけれど……。
 知らない人にずっと見られていたと思うと、あまり良い気持ちはしないわ」

この時代にあって珍しい、『正装』とも言える格好は、ともすれば怪しい≠ニ取られるもの。
着古した女学校の制服に身を包んだ少女は、訝しんだ目で、男を誰何するように見つめた。

「……わたしは自警団のシャーロット・プランケット。あなたは?」
540 :アルマク ◆O2v/A9rHcs [sage]:2014/10/18(土) 17:18:03.80 ID:twVEIKpIo
>>539

「これは失礼した。あまりにも貴殿が心血を注いで剣を研いでいたものだからな。つい見惚れてしまっていたのだ」

男が頭を下げる。
深く被ったフードから表情を知ることはできない故、声色と所作で謝辞を伝える。

「私の名前はアルマク・アルスフェルト。この街に住む者だ」

女学校の制服に身を包んだ彼女――――シャーロットから発せられる訝しみの視線を感じ取り、自らの身分を明かす。
物々しい空気。
アルマクが身動き一つでもしようものなら、彼女はその剣で斬りかかって来そうだ。
故に、彼はただ口だけを動かす。

「自らの得物を整備している辺り、今から戦地に赴くようであるが……何かあったのであろうか?」

彼が都市の中心部へ来ることは稀であるため、事件や出来事には大変疎い。
それでなくても、シャーロットが今発している雰囲気は、日常から大きくかけ離れていた。
当然の問を、アルマクは投げかける。
541 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 17:34:21.82 ID:oTvlgxlt0
>>540

「……あなたがわたしの心の中を見たら、きっとがっかりするわね。
 ただ単に、何かに気をやっていないと落ち着なかっただけなの」

アルマクの古風な口ぶりと素直な仕草を受けて、シャーロットは強ばっていた表情を緩める。
手にかけていた剣もさっと襤褸の布巾で拭いて、そのまま鞘の中に収めた。
本当は油で表面を仕上げた方が良いのだが、資源が僅少なこの時代にそれを望むべくもない。

「気が立っていて、刺のある聞き方をしてしまったみたい。ごめんなさい。
 と言うのも……これからわたしは少しばかり遠出しないといけないのよ」

アルマクの予感は的中している。遠出の調査とは、すなわち人類の生存圏の外を見に行くことだ。
畢竟、それは交戦を伴うことになる。いつ襲い来るともしれない魔獣を打ち払う必要に迫られる。

「とは言え、戦地に赴くのもここでは日常そのものだわ。
 あなただって、別に枕を高くしてぬくぬくと暮らしているわけじゃないでしょう? そういうことができる場所は……」

みんな無くなってしまったわ、と、意志を秘めた灰色の瞳は言葉もなしに伝えていた。
542 :アルマク ◆O2v/A9rHcs [sage]:2014/10/18(土) 17:57:10.50 ID:twVEIKpIo
>>541

何かをしていないと気が済まない。
世界が《夜》に覆われてから、元の世界にあった娯楽と呼ばれるものは殆ど行えなくなってしまった。
それでなくても、人類にとって安全と呼べる場所はなくなってしまい、不安に押しつぶされてしまいそうである。
そんな世界で何かをしていないと気が済まない、というのは大いに理解できる気持ちである。

「だとしても、だ。貴殿の行いは素晴らしいものだ」

剣を研ぐということは自らを磨くことと同義。
こんな世界で、それでも戦うことを選び続けていることの証明。
世界から逃げ、「殺人」という行為をその「何か」にしている者も多い中、自警団として人類を守るために自らを磨く姿は美しかった。
だからこそアルマクはシャーロットのその姿に「見惚れた」のであった。

アルマクの質問に、シャーロットは答える。
遠出、とはこの世界に随分似つかわない言葉だ。
人類の生存圏はこの《都市》のみである。
決して広くないこの《都市》の中心部である、ここからの「遠出」は人類の生存圏ではないことを言外に伝えている。
あえてアルマクは問いたださない。
《魔獣》の闊歩するその地域に踏み入れることは、そのまま死へ片足を突っ込むことと同義である。
しかし、聡明そうな彼女のことである。そんなことは百も承知なのであろう。
故にこれ以上の詮索は野暮と判断したのだ。

「そうだな。貴殿ら自警団が守っているとは言え、ここも安全とは言い難いであろう」

安全な場所はない、というシャーロットの視線を感じ取り、答える。
《月装》や《焔装》を持たない一般市民なら尚更だ。
自らの身すら守れなく、無抵抗に死ぬしかない彼らの恐怖は果てしないであろう。

「しかし、その戦地を日常にしないために貴殿らは戦っているのではないのか?」

それを取り除くための「自警団」
その信念の確認と、そしてそれを自警団の者から聞くことによって安心したいアルマクの心が、そう問わずにいられなかった。
543 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 18:12:41.74 ID:oTvlgxlt0
>>542

「もう、こそばゆいわ。その……、褒め殺しはやめてくれないかしら……?」

アルマクがひたすらに賞賛してくるものだから、シャーロットは羞恥を覚えた。
自分にできることをやって、前は当然に存在していたものを取り戻そうとしているだけなのに。

彼の言葉を押し留めるように思わず左手を突き出す。
その仕草からは、歳相応の若さが見て取れた。だけれど戦う意味を問われれば、また謹厳な面持ちになって、

「ええ。わたし達は誰もが安心して眠れる夜を取り戻すために、《夜》と戦っているわ。
 戦うのは、死ぬためじゃない――いちばん最初に、生きるのに良い時代が帰ってきたことを確かめるため。
 そして、今までに失くしてきたすべての命のため……少なくとも、わたしにとってはね」

まっすぐにアルマクの隠された瞳を見据えながら、衒いもなくそう告げるだろう。
奪われた命、奪われた心。《夜》に関わって消えていった人々と、自ら屠った敵の姿が胸に去来する。
希望への道は、まさしく屍によって舗装されていたけれど――だからこそ、止まるわけにはいかなかった。
544 :アルマク ◆O2v/A9rHcs [sage]:2014/10/18(土) 18:29:51.21 ID:twVEIKpIo
>>543

「そう、か……。ならば良いのだ」

満足そうな呟き。
心からの安堵と、何故か混じっていた寂しそうな物言いはどこからだろうか。

「力添えができないのが口惜しいが、陰ながら貴殿らの勝利を祈っている」

シャーロットは気付くであろうか。アルマクが《焔装》使いであることに。
何の力も持たないのだとしたら、彼の風貌は一般的な市民から逸脱している。
闇に溶けこむような衣装とは言え、《夜》に覆われた世界において、彼の格好は目立つ。
少しでも知能がある《魔獣》が見たのだとしたら、彼は真っ先に狙われるであろう。
更に、街を巡回している自警団のシャーロットですら、この目立つ格好の彼は見たことがないであろう。
彼が《都市》の中心部に住んでいないのは明白だ。
当たり前であるが、中心から離れるほど《都市》は魔獣との遭遇の危険度は増す。
そんな状態で平然と生き続ける彼を――――力なき者と見るのは無理がある。

シャーロットが余計な詮索を無礼と思い、問いたださないとしても――――
そんな彼が力を貸せない、というのは、少々訝しく思ってしまうだろう。
545 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 18:47:46.79 ID:oTvlgxlt0
>>544

「小さいから心配しているのかもしれないけれど、相応の覚悟は持っているつもりよ」

ひとえに安心しているとは言えなさそうな彼を見て、シャーロットは浅い谷間のできた胸に拳を当てた。
険しい表情は鳴りを潜め、穏やかで柔らかい微笑みが浮かぶ。
その気丈さこそが、あるいは危うく見えてしまう原因なのかもしれないが。

「……あなたが《焔装》使いだからと言って、戦いを強いることは出来ないわ。
 力を使い尽くした彼らがどうなるのか、自警団が一番よく知っているから」

彼が持つ力≠ヘ、《月装》使いであるシャーロットにもぼんやりとだが見て取れた。
だけれど、自分がそうだからと言って彼まで死地に送り込むのは筋違いだろう。
戦力が不足しているのは事実だが――さりとて、《焔装》使いは自由意志によって得る力ではない。
欲して手に入れる《月装》とは、根本的に話が異なる。

「だから、そうね……いつか来る朝日を、信じていて欲しいの。
 《夜》というのは、沈んだ心にこそ漬け込んでくるのですもの」

それに――誰かに守られるのは嫌だ、という、ちょっとした我儘もあって。
シャーロットは、彼の戦いに積極的に加わらない姿勢を受け入れてしまうだろう。

「あら、もうそろそろ出なければならないみたい。本当はもう少し話していたかったのだけれど……」
546 :アルマク ◆O2v/A9rHcs [sage]:2014/10/18(土) 19:13:41.35 ID:twVEIKpIo
>>545

察してくれて助かるよ、とは口に出さない。
シャーロットから認識することはできないであろうが、少し笑みを浮かべるだけだ。
とはいえ、アルマクは魔獣になる恐怖から戦うことを避けているわけではないのだが。
しかし、そんなことは瑣末なことだ。
結果的に、彼は戦うことから避けているのだから。
その事実が、彼の心を締め付ける。

「そうだな。信じよう、貴殿らを。そして人類を」

どれだけ絶望的な状況に陥ろうと、諦めなければ状況は打開できる。
その力をシャーロットは、そして人類は持っているのだ。
《焔装》使い故のコンプレックス――――人ならざる者、そして、絶望から力を得てしまったという事実――――を押し殺してアルマクは彼女の言葉に付け加える。

「そうか。ではお暇させてもらおう」

フードの中の暗闇から伸びたその白髪と、真っ黒な外套を翻し出口の方に向き直る。

戦いに赴く少女。
彼女の物言いは、そんな状況にあっても冷静だ。それは、彼女が既に戦いに慣れてしまっていることの現れであろう。
どれだけ歴戦の勇士であろうとも、所詮は少女。どうしても危うく見えてしまう。
彼女を止めることができたら。せめて共に戦うことができたら。
自分に今できることが頭を巡る。
しかしその全てを、彼にする権利はなかった。

扉に手を掛ける。

「どこに向かうのかは知らぬ。何をするのかも知らぬ」

絞りだすように呟く。シャーロットに向けて、ただ感じたことを。

「だが、必ず帰ってくるのだぞ」

答えを聞かずに、彼は部屋から出て行った。
聞いてしまえば彼女の全てが終わってしまうような気がして――――
そのまま彼は、闇夜へと消えた。

/こんな感じで締めでよろしいでしょうか?
/イベント前だと言うのに絡んでいただいてありがとうございました!
/色々とごたごたしてしまい、申し訳ありませんでした
547 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 19:24:15.63 ID:oTvlgxlt0
>>546
/何か気の利いたお返事ができればよかったのですが、去っていくアルマクさんが格好良くてシメとしても良かったのでこんなところで!
/こちらこそちょっとの時間しか絡めずごめんなさい。ロールありがとうございました!
548 :イベント『夜を仰ぐ』 [sage]:2014/10/18(土) 20:02:56.58 ID:rD4tLLl0o
『空を見ろ』

研究所の入り口と思しき偶然の産物である瓦礫の門の手前、掲示板の赤紙と同じような張り紙が為されていた
貴方方が空を仰げば、《夜》の平臥が陰になり、帳を下ろすが如く闇を孕んだ世界が広がっている
瞳孔が飽和した闇に犯され、その眼球を侵蝕し、脳に最も近い場所に鈍痛の塊を置くような錯覚に陥るだろう
彼奴等は貴方方の親を殺した。妹を殺した。弟を、親戚友人恩師大事な物何もかもを喰らい尽くした
だがまだそこにいる。そこにいて、貴方方を睥睨しているのだ

『悔しいだろう』

貴方方は胸の中に何かしらの蟠りを感じている。明確な、だけれども何処か漠然としていて──
その胸の鼓動は決して恐怖などでは無い。確固たる殺意。その殺意だけは何か分かるだろう
《夜》を墜とす。その一心で、それが何かも理解し難い範疇にあるのに、貴方方はその門を潜るだろう

『教えてやる』

瓦礫の門を潜れば、闇に通づる道が見える。その先、硬く閉ざされた扉、その数は4つ、大広間型の部屋の中、左右と真ん中に二つ、どれも苔に覆われ錆び付いている
そう簡単には破れない。だが、今の貴方方なら、その憎悪を持ってして、何もかもを撃ち破る事が出来るでしょう──
549 :珠悸 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/18(土) 20:12:00.98 ID:i9WSNxl90
>>548
「……悔しい、か。」

張り紙に書いてあった通りに、闇に呑まれた空を見上げ珠悸は僅かに目を細める。
普段とは違い腰にはベルト、其処にはあまり似合わない拳銃のホルスターと球体の手榴弾のようなものが引っ掻けてあった。

悔しい。その言葉で思い起こされるのは今まで出会い、死んでいった人々。
そして…新たに出会い、今も生きている人達の姿。

「―――負けられない。」

ヘッドフォンを耳に掛ければ、そのまま一歩扉の一つへと近づく。
何時の彼女にはない決意の念が、其処にはあった。

/よろしくお願いします!
550 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/18(土) 20:16:15.03 ID:t6+tfpPO0
>>548
【赤紙の貼られた、研究所前。燃えるような赤い髪をオールバックにしたその男は、貼り紙の通りにおもむろに上を向いた。なんのことはない、何時ものように果てなき夜が広がっていた。】
【しかし、わざわざ貼り紙でもって上を見させる理由とはなんだろう。彼は改めて「夜」についての感情を思い起こした。】
【打ち砕かれた日常。逃げ惑う民に、殺された部下たちの姿が脳裏からよみがえる。彼はどうしようもない憤りを感じていた。闇に震える娘や妻の姿を見る度に、「なんとかしなければ」と思っていた。】
【そして彼はそのために、この門前にいる。全ては自らの、存在の証明のため。そして、今まで死んでいった者達への償いの為に。】

「……フン」

【彼はそんな思いを改めて思い起こしつつ、意識を新たに研究所の門を潜る。】
【静かに歩みを進めるその足取りは、今までよりも少々重苦しい。】
【しかし何よりも確固たる意思がそこにあった。平和のために尽くそうという思いが】

「……ここか」

【彼は、固く閉ざされた扉の一つへと歩みを進めていた。】

/よろしくお願いします
551 :エイル</b> ◇Ipx2yTTnb6<b> [saga]:2014/10/18(土) 20:16:17.64 ID:+XOzYB8G0
>>548
【罵るような口調の文面】【それは簡素な三行だったが、エイルという少女を沸立てるのには十分だった】
【光が消えた空の下、休息は十分に取った】【食事もとった】【体調の面でマイナスはない筈】
【――なのだが、今の彼女は、やはり万全ではなかった】

……。

【誰にでもなく舌打ちを零す】【目の下の隈は消えていない】
【元々古臭い、ボロボロの学生服だが】【今のエイルの状況を加えれば、更に古臭さが目立つ】
【何よりも直に行動したのが、門をくぐる事】【そこにあるのは恐れでも、怒りでもなく】
【熱いに似た何かと、憎悪にも似た憧れと】【――明日を見たいという哀れな執着】
【閉ざされた扉、なんとなく左から二番目を開ける】【その場に集まった人間に目をくれる事もなく】
【『教えてやる』その一言に、甘い蜜を浮かべながら】
552 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 20:19:53.89 ID:0MZF5kzS0
>>548
魔獣が巣くう場所に突入するこの調査にどれほどの人数が参加するか推測できずにいたが思った以上に人がいるようだ。
きょろきょろと周囲を見渡すと見覚えのある顔が幾つかある。
あの不自然極まりない掲示板。各々の目的は異なるのかも知れないが何かしらを求めてここに来たのだろう。

(私、戦闘能力は高くないからなぁ……。少なくとも足手まといにはならないようにしなきゃ)

それでも目的があり意思もある。いつになく真剣な表情で《月装》を握り直す。
鬼が出るか蛇が出るか。別にどちらが出てもいい。
ジリ貧であるこの現状を変えるものが見つかればそれでいい。

昂ぶる感情を抑えつつ闇が広がる道に足を踏み入れ、目にしたのは錆びついた扉。

「私はこの扉を選ぶぞ!」

この研究所を使うならば錆びつき開かない扉など必要ない。他の参加者と同じように扉の破壊活動を開始。
そして道が出来たのならば今更立ち止まることなどしない。周囲の警戒を怠ることなく研究所内部へと侵入した。

/よろしくお願いします
553 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/18(土) 20:20:13.04 ID:zV0lw9jgo
>>548
ああ、悔しいさ。遥か頭上で神様気取りか何か知らないが、馬鹿でかい蛇がのたうっている事が。
ああ、悔しいさ。奴等が此方を見下ろしている事。まるで見下されている様で。或いは奴に意思があるのならば。
見下されているだろうさ。嗚呼やはり、死んでしまう程悔しい―――――― 殺意など常に滾っている。
その感情は虚栄心では無い、「人間として持つはずの最低限」、膨れ上がるそれは恥ずべきことでは無いのだろう。

「……ほざくな」

張り紙の向こう側、この漫才を組んだ研究員とやらへと吐き捨てて、一つの扉の前へと歩み出た。
闇に通ずる道、その先に在るのは錆び付いた扉、苔むした扉。
それすらも"お前はこうなるのだ"と言う暗示に見えるのは、ただ気持ちが高ぶっているのみか、それともただ"怖い"だけか。

「だが付き合ってやる―――――― 私こそが"強者"で在る為に」

一つしかないのだから仕方ない、周りの人間には目もくれず、扉の向こうへと、足を踏み入れた。
554 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 20:23:18.38 ID:lkIbkEQSo
>>548
張り紙を見た後、馬鹿正直に空を見上げる。
真っ黒に塗り潰されて、星が見えない。
いつものふわふわとした雰囲気は薄れ、表情は硬い。

「この向こう側に、私の求めている答えがあるとするならば。
 …行くしか無いんでしょうかね。その結果がどうであれ」
この戦争を少しでも有利に出来る物があるのならば。
情報でも、武器でも、防具でもいい。

「まったく…どんな罠が仕掛けられているかな」
自分達の持ち場へと、そこに歩いて向かう。…先客が居るようだ。
前もって打ち合せした為、我々3人の取るルートは決まっている。
2人とも割と信用出来る。信用できないのは自分だけだ。
555 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/18(土) 20:24:23.48 ID:gQnTPsqQ0
>>548
「―――到着、か」

都市からしばらく歩き、ついに研究所へと到着した
掲示板の物と似たような張り紙があるので間違いということはないだろう
ここで、月装について、なによりも―――夜のことが分かる
そして、張り紙にかかれた通りに空を見て――――


「―――あぁ、悔しくて、憎い」
「夜が、魔獣が――なによりも、あの時一緒に戦えなかった自分が憎い」

―――恐怖は、あの時飲み込んだ
もう二度と、戦いへの恐れに飲まれたりしない
たとえ、勝てなくても、死ぬことになっても、絶対に夜を倒す
視線を戻し、一歩踏み出す

「さて、行くか!」

教えてもらう前に、先ずは魔獣を倒さなくては―――
固く閉ざされた扉の一つを開き、歩を進める
先の戦闘での傷も、戦いには問題がない―――魔獣がいても早く倒して、先に進もう
腰のパーツを一つづつ組み立て、大剣の形にしていきながら、辺りを見渡した――――
556 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/18(土) 20:25:27.81 ID:e+yKB/sOo
>>548
【研究所入口前。掲示板の赤紙と同じように張られたその紙に言われるがまま、女は空を仰ぐ】
【そこに広がっているのはただ純粋な闇、暗黒、深淵。この世界ではそれを、《夜》と言った】
【幾多の人間を喰い殺し、同族へと変えてきた《夜》は未だ其処に居座っている。それが悔しくない人間なんて、多分この世に居ないはずだ】

「……この中を開けて、一歩でも前に進めると良いのですが」

【ポツリと呟くのは、1人の女。脚部に大きなスリットが有る修道服と、頭のウィンプルから金の前髪がはみ出していること以外は極々普通な修道女】
【握っていた同じデザインの2つの十字架ネックレスを離す。武器らしきものは持っておらず、女が《焔装》使いであることが判るだろうか】
【《焔》を使い続ければ、やがて《夜》へと墜ちる。戦いは避けるべきだが、女は知りたかった。《夜》の事、共に戦う《月》の事を】

「―――……行きましょう」

【この研究所に来た時から、その顔に笑みはない。普段優しげに微笑んでいる目は細められ、冷徹に、それだけで射殺しそうな目】
【これも《夜》へと近付いている証拠か―――なんて心は、胸の中に閉まっておいて】
【また静かに呟いて、女は歩き出す。総ての人間を救う為、そして何より、「咎」を背負った自分自身を救うため】

/よろしくお願い致します
557 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/18(土) 20:27:44.12 ID:p1Jy0XHuO
>>548
「…………………」

天を仰ぐ。闇に包まれし空が視界に広がる。ゆっくりと闇が眼球まで伸びていく。
次第にそれは徐々に、ゆっくりと眼球全体に広がりを見せる。瞳孔を侵食し、自分の眼までも闇に染めて同化してしまいそうな錯覚。
実際にそうなる可能性はあるのだ。焔装に蝕まれていく体なのだから。

「………………あぁ、悔しいさ」

たった三行の文章なのに、どこか心に重くのしかかるような感じ。
だが、そこにあるのは《夜》に対する復讐心による殺意。何が何でも、奴を殺すという確固たる意思。
だから、その為に。その為に―――――――――――

硬く閉ざされた扉の一つへと足を進める。硬く閉ざされている其れを、右腕を振るって消し飛ばして。

「だから、洗いざらい話してもらおうじゃねえか」
558 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 20:28:58.52 ID:oTvlgxlt0
>>548

打ち捨てられ、《夜》の砦となった研究所の跡地を、ひとりの少女が訪れた。
自警団員、シャーロット・プランケット――彼女はブロンドの長髪をふわりと掻き揚げながら、瓦礫の門を睨んだ。

「これは……話には聞いていたけれど、まるで地獄の門だわ」

視線が張り紙へ――そして、空へと移る。
ほんの数年前、この星に真に暗き時間≠ェ訪れた。そしてそれは、今まで絶える事なく続いている。
今や《夜》の帳は遍く全世界に下りた。残されたものは、針の筵に座すような苦難の日々。
どうして保たれているか不思議なくらいに狭い安全の領域にしがみついて、人々は生きている。

「だけれど望みを捨ててやるわけにはいかないの。気を悪くしないでね、門さん」

得体の知れない圧力を瞳に、そして頭蓋の奥に感じながらも、シャーロットの決意は確かだった。
研ぎ澄ましたばかりの、両刃剣の形をした《月装》――≪クロウ・クルワッハ≫をきらり閃かせて、扉の前へと進み出る。

ここに入る者一切の希望を捨てよと、門は命じる。
少女は従わない。滅びの民を永遠の苦患から救うため、憂いの都を征する戦いが始まろうとしていた。
559 :アリシア・P・シノット</b> ◇w46sJzDLAPZx<b> [sage saga]:2014/10/18(土) 20:29:45.89 ID:hFBf7qBe0
>>548

「……気に入らないな」

 黒く刻まれた隈の上に蒼く燃える瞳を宿した彼女は、その赤色を見て歯噛みする。従って咥えていた棒付き飴は、口の中で砕け散って擦り潰された。
 切れ長の双眸、その間にあるのは波打つ歪み。病的に白い皮膚で構成された額の上には、一筋の血管が浮き上がっている。
 ち、と小さく、舌打ちの音。睨め付けたままに視線すらくれず、突き破らんばかりの勢いで懐を探る。

「下衆野郎にせよノッポ野郎にせよ指図する奴に頭を下げたり思惑通りに動いたりするのはどうも腸が煮え繰り返って仕方ないが――
 こればかりは仕方ない」

 使い古された作業靴が地面を踏み躙る。僅かに砂煙が上がるが、それを連れ去る風はいない。
 その代わりに、門へと進む彼女の両足が、巻き上がった塵を押し退けていく。ギラついた蒼色が、深く冥い闇の中を真っ直ぐに見据えている。

「……天国へ征く最も確実な方法は、地獄へ往く道を熟知することだ」

 闇の中へと、彼女は身を浸す。
 指先も見えないその空間で、彼女の右手――唯一の牙たる銀色が、僅かに輝いた。
560 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/18(土) 20:31:11.95 ID:e6s6Mb9To
>>548 >>552 >>554

「悔しいか、だと?」

張り紙を一瞥し、視線はそのまま門に向かう。
空を見上げることはない。だって、そこに彼女はいないし、彼女と見た空すらない。

「俺の感情が、そんな一言で括られてたまるか」


大広間に着いた久良岐は、隅に寄ってしばらく様子を伺う。扉は4つ、どこに進むべきか。
この場に“あの子”がいたとしても、最初に会えなければ他の奴らに襲われてしまう。
扉は硬く、霧を先行させて調べようにも隙間が狭すぎる。時間をかければできないことも無いだろうが、それでは本末転倒だ。

「さあ、打ち合わせ通りにいこうか」

そんな思考は露ほども見せず、残り2人のメンバーに声をかける。
その胸にあるのは、味方を裏切っての別行動なんてことをせずに済んだ安堵ではなく、ただ堕ちた彼女の安否を気遣う気持ちだけだ。
561 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/18(土) 20:31:25.45 ID:aaCMqCPpO
/あら、トリップが変なことに……すみません。
562 :ライト・チルチック ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/18(土) 20:34:52.75 ID:qG8W88m+o
>>550>>551>>555

開かれた扉の奥
苔むした扉の先に広がる世界

それは何ともこの場に似つかわしくないアンバランスを醸し出していて

「はい!と言うわけでこの扉に入った皆様いらっしゃい!!」

平淡な廃墟だったろうその部屋は、この人物が施したのであろう装飾に埋め尽くされていた。
天井からぶら下がる電飾、壁に張り巡らされたイルミネーション、地面にも眩いばかりの電灯が半ば乱暴に埋められている

「どうも!私がこの部屋の主で魔獣界の光り輝くシンデレラ!ライト・チルチックちゃんでーす!」

かぼちゃパンツに黒のジャケットを羽織ったボブヘアーのこの少女
部屋と同じくらいに眩しいこの少女こそがこの部屋の魔獣である


「と言うことで皆様をライトちゃんなりにおもてなししてあげたいんですけれどぉ」

ブオンとどこからともなく水筒くらいの大きさの光り輝く杖を出す少女

「その内容はぁ………―――――



――――――全員纏めて天国送り的なっ!?

そう言うのって激燃えな展開ですよね!」

杖を大きく上に掲げる少女。眩く光りを増していく杖
開戦を告げる狼煙が今この場に上げられた――――――
563 :虚空蔵谷 時雨 【0】 [sage]:2014/10/18(土) 20:37:11.00 ID:rD4tLLl0o
>>552>>554>>560

「ようこそ、お前らよく来たな、御託はいい取り敢えず武器を取れ」

教室を縦に三個程並べた空間に、通りの良い涼し気な女性の声が響いた。貴方方の耳に入ってきた音の方向は正面
書類が山の様に積み重なり、その山脈は人の身長の倍はある。その奥の奥から発せられた声だった
内容は戦闘の希求、辺りを調査する間も無く、戦闘体制に移らざるを得なくなってしまった
そして女性は続けて言う。同時、貴方方の目の前の書類の山脈が蠢き始める──

「知りたいのだろう、ならば全力でこい」

書類が噴火した。否、根元の方から書類が増えた。堆積していた紙が貴方方の方向へと雪崩れ込んで行く
濁流、倒壊は、人を簡単に圧死させる程の重量を持っているだろう

山脈の先、ニヒルに頬を吊り上げていやらしい笑みを浮かべるのは声の持ち主
黒く艶のある長い髪を腰の辺りまで従え、前髪をぱつりと横一線に揃えた女性
自信に満ち溢れた様なきり、とした眉毛の下には少々つり上がったオッドアイ。右目は五千と描かれた深紅、左目は黒
白衣に白の縦に線が入ったセーター、黒い飾り気の無いズボン、とても研究者とは思えない格好だ
女性にしてはやや高身長の彼女の手には掲示板の周囲に立てられた物と同じ刀を持っている

噴火は貴方方を左右正面から囲う様に雪崩れ込んで来る……後方の扉は人が一人通れるか否か。正面を突破するに書類の濁流は超重量
さて、どう撃ち破った物か──
564 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 [sage]:2014/10/18(土) 20:40:39.07 ID:S8g+ka/3o
>>549>>556>>558

扉を開いた先、先ず彼女たちの視界には煩雑とした部屋が映るだろう。
デスクの上に散らばった書類。倒れた椅子や、画面の割れたパソコン――――そして投げ捨てられた、幾つかの武器。
蹂躙された爪痕が壁や床に刻まれており、下に視線を向ければ死体の欠片らしき物や、時間が経ち固まった血液なども見て取れる。
そしてそんな部屋の中心に佇む一つの影が、三日月のように口元を歪ませた。

「――――あはぁ♪」

灰色の部屋のなかで一際輝く金色の長髪。まんまるで可愛らしい琥珀色の瞳に、此の世界では酷く違和感を憶えさせるであろうフリルのあしらわれた黒のドレス。
身長はとても低く右手には薄汚れた猫の人形を抱え、左手でなにかをを弄んでいる――――陳腐な表現で表すならば、人形のような少女だった。
荒れ果て廃れきった世界においては異常とも言える容姿、しかし隠し切れない血臭と淀んだ空気が彼女が魔獣だということを明確に表していた。
魔獣は部屋へと入ってきた人物たちを見るやいなや嗤い、暇つぶしに弄っていた其れを懐へと仕舞い込む。

「ここにいれば人間が来るかもって思ったですけど――――やっぱり正解ですぅ」
「うふふ、うふふふふふふっ…………お馬鹿なお姉さん達、ビーチェと遊びましょ?」

ただ殺したいが為に此処にいた。よくは知らないけれど、此処にいれば人間が来ると直感で思ったが、それはどうやら正解だったらしい。
魔獣の身体から、黒く蠢く何かが溢れだした。其れは周囲にある総てを飲み込み、風化し腐り落ち錆付きあるべき形を失っていく。
まるで力を誇示するかのように周囲を喰らい尽くし、やがて広い部屋の中心に残るは妖しく嗤う魔獣だけ。
甘ったるく蠱惑的な声で、魔獣は彼女たちを血に塗れた茶会へ誘う――――逃がさないと、歪んだ琥珀が語っていた。
565 :Dr.P ◆Dr.P1q/46w [sage saga]:2014/10/18(土) 20:40:52.36 ID:23Cf/avDo
>>553>>557>>559
ここは地下研究所。打ち捨てられたその研究所は、仄暗く、そして血臭と死臭、異形の気配に満ち満ちている。
ここは人の領域ではない。ここは魔獣の領域。地深く、そして夜の深い土地。
そこに或る4つの部屋。その一つからは、扉を開くまでもなく――血と死の香りが、漏れだしていた。

扉を開け部屋に足を踏み入れた3人の人間に向けて、闇から3体の魔獣が飛び込む。それぞれが思い思いの殺戮機構を持つ人類の捕食者だ。
しかし、彼らは人間に対する害意も敵意も持っていなかった。そこに或るのは、恐怖。例えば、魔獣に捕食される人類の様な。
人間を蹂躙しながらそのまま部屋を飛び出そうとする魔獣の群れ。しかし、その爪牙も、頑強な顎も何もかもが力を発揮する事はなかった。

『――ッ!?』 『ギャガ――ッ』 『ゴァ……ッ!?』

ずるり。ばきり。ごきり。魔獣が、捕食≠ウれていく。
数秒もしない内に魔獣はその姿を消していき。ゆらりゆらりと揺れる3本の触手が、闇に存在していた。
触手の表面にびっしりと亀裂が入り亀裂が開くと、そこには瞳が或る。そして、此処に或る三人の人間を或る存在は認識した。
しゅるしゅると部屋の奥へと戻っていく触手。部屋の中が見えれば、その部屋は実験用の動物の飼育室だったと分かるだろう。
飼料の袋等もそこら中に散乱していたが、不思議なことに全てが食いつくされて≠「た。
部屋の奥、何処にでも或る事務机と事務椅子。そこにあぐらをかいて鎮座する一つの小柄な影。
後ろを向いたままのそれは、コートを着た小さな少年だった。ただ、この部屋を満たす血臭と死臭の源泉は、それだ。

『知りたけれバなんて。知りたいに決まっテルよナア。僕だって知りたイもンナ?
――ああ、美味しイ。超絶か弱い元政府直属研究機関の女研究員(激かわ)さんニハ、感謝シナいトネ』

くるりと椅子を回す。黒目がちの赤い瞳が、静かに闇に輝いた。
椅子に座ったまま少年はニンマリと笑みを浮かべて、ちろりと紅い舌で己の唇を湿らせて。
人のそれと同質だというのに、どことなく歪んで聞こえる声を、発する。敵意も害意も無く、単なる旺盛な食欲だけを貪欲に発散しながら。

『――焔装に月装カ。知りたガりなのはイイけど。
世の中ニハ、知らナいホウが良いコトもアル。……サテ、肉モ、骨モ、力モ、記憶モ、全てモ。しっカり、隅から隅マで完食シヨう』

椅子から降り、裸足の足がぺたりと地面に接して音を立てる。袖が余って幽霊のようになった腕を横にゆっくりと伸ばす。
そして、己の顔の前へと、その手を合わせるように持って行き。手と手が触れ合った直後。

『――――イタダキマす』

憎いからじゃない、嫌いだからじゃない。ただ単純に、腹が減っていたから。だからこの魔獣は、人を喰らうのだ。
コートの中が膨れ上がる。コートの背を突き破って生える9の触手。筋肉を圧縮して作り上げられたそれは、締め上げれば簡単に人の肉を崩し骨を砕く。
人を殺し、人を喰らうために発達した、殺戮と捕食の機構が牙を剥く。歯を剥く笑みの歯はいつの間にか人のそれから肉食獣のそれへと生え変わっていた。
響く風切り音。1名につき3本の触手が、二本は足に巻き付くため、一本は胴体へとその筋肉を駆動させた。

//陽遥さん、アリシアさん、シャイナさん、崩月さん 宜しくお願い致します!
//シャイナさんは遅れるようなので、来次第宜しくお願い致します!
566 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 ◆kiky93gBBM [sage]:2014/10/18(土) 20:43:15.86 ID:S8g+ka/3o
>>564
//トリップつけ忘れました!
567 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 20:44:48.98 ID:lkIbkEQSo
>>563
「前で体張ってる子にスコアを取られてる感じ。
 何度か共闘した身だけど、あの子の積極性には勝てそうにないや」
前へ前へと進む未来を追うのが精一杯。最も鈍足で遅れているのが有子だ。
警戒こそしているものの随分と消極的で、武器を出していない。

「試練って奴ですか。私たちを試すって訳ですねー」
右手に黄金銃を出現させ…
自分の方に雪崩れ込んでくる書類目掛けて銃を構える。
魔弾6発程を射る。この黄色の魔弾は1回だけ跳弾するよう、威力を調整してある。

(…楽には通れそうに無いか)
まずは書類越しに壁を撃つ。通るかどうかを見るようだ。
ここが“室内”で跳弾に適した環境ならば、手数は爆発的に増える。
568 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/18(土) 20:46:21.59 ID:t6+tfpPO0
>>562
【部屋に入るや否や、目の前の魔獣から「手厚い歓迎」を受ける。彼は咄嗟に月装を召喚し、両の足をずっしりと構える】
【そして眼前ではしゃぐ魔獣を前に、彼は吐き捨てるように魔獣へと言葉を返す】

「ああ……「非常に丁寧な持て成し」をありがとう、貴公。だが少々、「非常」が過ぎるようだな」

【彼はその巨大なる刃を魔獣に向けて、鋭い眼光をギラリと光らせた】

「ドロドロの魔獣が、しゃらくさいわ」

【次の瞬間、彼は駆け出していた。相手がいかなる者であろうと、敵ならば斬り伏せるのみ】
【おちゃらけて杖を取り出した魔獣に向けて、させるかとばかりに巨大な剣の重量を利用した、投げ出すような突きを繰り出す!】

「うおおおおおおおおらぁっ!!!!」

【隙も大きいが、剣の重さを最大限まで引き出した突きはかなりの破壊力をもたらすだろう。それはたとえ魔獣とて、胴を貫かんとする】
【光を増す杖から繰り出されるであろう攻撃を止めるための牽制、運が良ければ直撃を狙ったその突きは、うなりを上げて魔獣の胴体へと肉薄する!】


569 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 20:46:23.73 ID:0MZF5kzS0
>>563

「分かりやすい。結構だよ!」

初めから決めていたかのように迷う事無く前へ走り出す。
タキシードの男の実力、そして能力は知らないがもう一人の同行者、有子の力は知っている。
四足歩行の低級魔獣でさえ一太刀で切り伏せることが出来ない程度の実力の持ち主である未来がこのメンバーで行うことは接近しての囮、撹乱といったものである。

「さて、なんの為にあなたはここにいる?」

本の表紙を靴の底で捩じりきり、紙の上を滑るように前進。
少々危うげではあるが現時点では上手くバランスをとり、本の濁流に飲み込まれることは逃れているようだ。
570 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/18(土) 20:53:16.34 ID:zV0lw9jgo
>>565
扉を開けた矢先に飛び込んでくる三つ―――――― 随分な歓迎だと、それ等を迎撃せんと、右腕の袖を捲り上げた。
だが彼等の先に在ったのは、何時も通りの"捕食"では無く。"イレギュラーな咀嚼"であり、そしてそれには、見覚えがあった。
忘れる物か、その薄気味悪い、或いはグロテスクな触手を。散々に人を愚弄した其れを―――――― 忘れる物か。
右眼の目蓋がピクリと動いた、嗚呼大丈夫。まだ"殺意の方が勝っている"。

「――――――― 久しぶりだな、モザイク・ボーイ」

今度こそ、右腕の"焔装"を発動する―――――― 形状は、ライフリングが刻まれた長大な砲、それを二本の触手へと突きつける。
計三発、一発は逸れて、彼の後方の椅子を突き崩す。残る二発は、確りと、小賢しくも足を搦め取ろうとするそれへと叩き付けて、停止させる。
最後の一本―――――― 右腕の形状が更に変化。捕食と言う存在が形を成した、"無数の牙が並ぶ大顎"が、それを喰い千切る。


「今度こそ喰らわせてもらう――――――





 ―――――― 私こそが"捕食者"だ」
571 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/18(土) 21:00:27.23 ID:e6s6Mb9To
>>563 >>567 >>569

「きな臭いとは思っていた。魔獣がいるから入れない、と言っているわりに、固く閉じられた扉の周りに魔獣の気配はなかったからな。
何が目的だ。《夜》崇拝にかぶれて、俺らを殺しにきた……って風には見えないが。それとも、気配を隠すのに長けた魔獣か?」

波濤となって押し寄せる紙束に動揺した様子は微塵も無く、平坦な調子で問いかける。
その言葉、その口調と裏腹に、久良岐は真っ先に後方に下がった。後ろから来た有子を押しのけ、一人しか通れないだろうスペースにするりと潜り込む。
焔装による知覚能力をもった自分は、扉の後ろからでも十分な援護ができるという作戦上の理由もあるにはあるが、自分の安全を最優先した形には違いない。

「俺はあまり前衛向きじゃないからな」

代わりに、扉を隔てた暗闇から、より色濃い黒が溢れ出る。エネルギーを奪い取る黒い霧。それが堰を切ったようになだれ込む。
白い紙束が確かな重力を持って襲い掛かるのに対し、立ち向かう黒い雲霧は完全に無形。運動エネルギーを削るが止めるには至らない。
周りがどうにかするだろう、という投げやりな気持ちは、同時にこの程度で潰れる奴らならいなくても同じだという考えも含んでいる。

霧が味方の視界を妨害しないよう、外で溜めてきた光を穏やかに放出する。
紙面が照り返した輝きが、室内を優しく彩った。その光景は紙の轟音とはあまりに不釣り合いだ。
572 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/18(土) 21:00:50.55 ID:+XOzYB8G0
>>562>>568
【光】【それはもう、手に入らない筈の、遠い光】
【敷き詰められた英知を見て、流石に動きが止まった】
【――眩しい、目を覆うように手を当ててから、次第にその光に慣らして】【次に移りこんでくるのは、またしても眩い光】

【魔獣になれば、、あんな光も手に届くのだろうか】


……っ! うるっせぇ――!

【僅かに、そう考えてしまった自らに喝を入れる】【喚いた言葉は誰に向けたか、自分か、敵か】【両方か】
【双眸で捉えるファンタジーな魔獣姿】【今すぐ消してやる、此処から消えろと発動をしようとして】

なっ――ばっか! おい待て!

【視界に移る、青年の男、大剣を掲げ、繰り出す一撃、このままでは彼も巻き込んでしまう】
【すぐさま発動を静止し、一人で突っ込むなというブーメラン的発言を投げる、見た所、月装のようだが、一人で突っ込むなんてどれだけ度胸があるんだ】
573 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 21:01:46.57 ID:oTvlgxlt0
>>564

踏み込んだ地獄の一丁目、待ち受けていたのはひとりの幼い娘。
それが恐るべき《魔獣》であることは、誰の眼にも明らかであった。
天真爛漫に響く少女の声とは裏腹に、一触即発の空気が、漆黒の闇と共に周囲を満たしていく。

「―― 食い千切れ、≪クロウ・クルワッハ≫!!」

放出された暗黒に触れた物体が朽ち果てていくのを見て、シャーロットは咄嗟に叫び、《月装》で虚空を薙いだ。
すると両刃剣の刀身が無数のセグメントに分割され、中軸に仕込まれたワイヤーが伸びていったではないか。

ぶうん、と手首のスナップをかければ、蛇のように剣がしなって暗黒を切り裂き、絡め取る。
《月装》が持つ《夜》への反発力と、彼女の得物が持つ『概念を絡め取る』力によって、刃毀れも無く。
一閃の元に、シャーロットとその戦友の周辺を取り囲もうとしていた漆黒の腐敗はピンポイントで掻き消されていた。

「白衣のお姉さんがここで待っていろと言ったの? だったら、あなたはお利口さんね」

二度目の攻撃を警戒して、一度切っ先を足元まで縮めながら、シャーロットはビーチェに問う。
白衣のお姉さん=\―というのは完全にブラフだ。彼女は、研究員が今もそういう服を着ているか知らない。
だが、敢えて訳知り顔で尋ねれば何か溢してくれるのではないか。そういう期待を、彼女は抱いていた。
574 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 21:05:25.24 ID:hFBf7qBe0
>>565

 扉の前に立った彼女は、鼻についた異臭に顰めきった眉を更に歪ませた。
 苛立ちによって加速した靴底が、既に陽遥の手によって開かれた錆と苔に塗れた扉を無意味に吹き飛ばす――中から飛び出してくるのは、怯えたような数匹の魔獣。
 嘲るように彼女は笑い、懐の小銃を右手一本で構える。しかし次の瞬間には、彼女の表情は再び大規模な機嫌の悪さによって塗り替えられた。

「……くっせえな。最近のクソガキはテーブルマナーもまともに守れないのか?」

 魔獣を喰らった揺らめく触手は、やがて年端も行かない少年の姿と化した。
 椅子の上でくるくると回る少年の形に向けて、彼女はそう言い捨てる。持ち上がった冷たい銃口が、頭部を狙う。

「まあいいだろう、お前が私たちの相手か。
 残念ながら少なくとも私は『食えない』女なんだ――煮るなり焼くなりの飯盒炊爨は、女の私の役目だからなッ!」

 彼女は楽しげに嗤った。その表情は他人を罵倒し、見下し、ぐうの音も出ないほどに口先で叩きのめしている時のそれ。
 銀色のトリガーが絞られた。それに呼応して銃口から射出されるのは、十数発のプラズマ弾。
 強烈な熱量を持つそれらは飛来した軟体を狙い、あわよくば少年――の姿をした、魔獣を掠めんとして。

「どうだ、嫁に貰ってみるか? 毎晩たらふく食わせてやるぞ――砲撃のフルコースを、な」

 ――喉の奥から陰湿に笑う彼女は、その左手でゴーグルを掛け、ポケットから取り出した飴玉を口に入れた。
575 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/18(土) 21:08:21.79 ID:p1Jy0XHuO
>>565
「―――――――――――ッ!?」

部屋に足を踏み入れて、早速闇から三体の魔獣が飛び込んでくる。早速のお出ましか。
此方を襲ってくるつもりだろうと判断し、右腕を振り上げようとする。が、それは途中で止められる。

それは何故か、何故ならばその三体が何かに喰われるような音を奏でながら、その姿を消したため。

(喰われた……?誰に……?)

そこにあったのは三本の触手だった。亀裂が入り、瞳の光を此方側へとはっきり向けていた。
部屋の奥に入っていく触手。それを追いかけるようにして先に進む。全てが喰い尽くされていて、実に不気味な飼育室を抜け、触手の主と対峙する。

「………あぁ、遠慮なくやれそうだ」

どうやらこの魔獣は、純粋に人間を喰いたいらしい。言動だけで、ただ食欲を満たしたいが為に行動している事が察せられた。
情状酌量の余地なし――――――変に境遇を重ねている魔獣より、やりやすい事この上ない。

「生憎、喰われるわけにはいかないんだ……だから代わりにお前が喰われてくれないか?無ってやつにさ!」

此方に向かって伸びる三本の触手。それらに向かって右腕を振るう。
黒い波動が、触手に向かって迸る。せめて勢いだけでも殺せるか―――――消滅できれば、御の字だが。
576 :虚空蔵谷 時雨 【0】 [sage]:2014/10/18(土) 21:09:27.99 ID:rD4tLLl0o
>>567>>569>>571
時雨は尚もその嫌らしい笑みを止めずして、来客の心構えを試したい衝動に駆られたのか、胸の疼きのままに前進した
相手にとっての障壁であるならば、自分にとっての障壁になるには違いないのは理解の上
瓦解していく書類の濁流に近づき、手を差し伸べる。直後、時雨の右目の深紅が同じく深紅の光となり迸る
刹那、正面の障壁が隆起したかと思えば、金色に煌めく弾丸が視認されると同時、時雨の左頬を掠めた
鮮血が滴るかと思えば雨樋の様に口内へ流れていく。鉄の味が気色悪い、吐き捨てて自らのことに注意を向ける

「久し振りに人に会うことになるが──私ちゃんと可愛く振舞えるだろうかな……!」

深紅の光の迸りの残滓が遂に消え去った時、先程弾丸が穿ったその場所が、今度は真逆の方向に突き抜けた
否、これもまた正面の方向へと書類が増えたのだ。厚みのあるそれは弾丸など容易に受け止める事が可能なもので
更に言えば、弾丸程の速度は伴っていないものの、当たれば後方に吹き飛ばされて叩きつけられる位はするであろう威力
回避は容易い、しかし、周囲を確認して欲しい──もう、月城の目の前には書類の波が押し寄せているのだ

加えて久良伎、丁度そこは増刷された書類の奔流の最終地点。日向こそ身のこなしで回避しているは良いが、久良伎のいるそこは、身動きの取れない場所。死に近い籠城だ
一度は吸収できたエネルギーでも、人の意思が加えられた不意の一撃ならば対応出来た物だろうか

日向の回避の仕方は予想の範疇を超えていた。身体能力が高ければやる奴いるだろうとは思ったが──本当にやる馬鹿がいるとは
時雨は不意の出来事に先程のいやらしい笑みとはまた違う、全く異なった相対者に対する興味の笑みを零した

「何故か、何故だろうな。教えてやろう、魅せる為だ」

そして呟く。喧しい書類の叩きつけられる音に掻き乱されて消えてしまいそうな程に小さく
577 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/18(土) 21:09:41.43 ID:i9WSNxl90
>>564
…やはりだ。やはり目の前に立つ少女――魔獣は酷く、恐ろしい。
異様且つ恐ろしい雰囲気に思わず気圧されそうになる。珠悸は魔獣と直接対峙するのはこれが始めてではない。
ただ、この童謡の姫のような姿をした魔獣。今まで見たその種族の中でも些か強力な部類であると見た。

「……たまは動く遊びは苦手なんですけどにゃ―――……お二人とも!
 拙いですが、……周囲はたまが援護します!」

普段と変わらず特徴的な語尾の言葉で呟けば、扉のすぐ近くに立った状態で、拳銃を構えた。
何の変鉄も仕掛けも 焔装はおろか月装でもない、只の拳銃。併し、今すぐに攻撃する様子はない。
敢えて今は攻撃はせず、周囲の観察と援護に徹する……それが珠悸の専売特許。
聴力で何か聞き取れないか、試しに魔獣へと耳をすませる―――。
578 :アンナ ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/18(土) 21:14:33.38 ID:e+yKB/sOo
>>564>>573>>577
【扉を開けば、其処には「それが元通りであるならば」研究所の一室と言っても過言ではない部屋】
【しかし、今のこの部屋は惨状といっても差し支えない。魔獣に襲われ、血と肉が飛び散ったであろう此処には、誰も居てはいけない筈】
【それを、部屋中央にいるこの少女はいとも簡単に打ち破っている。この世界には似つかわしくない、まるでお人形のような少女】
【……この、少女の形をした魔獣が】

「退いてください……と言っても、聞いてはくれなさそうですね」

【一歩前進した女……アンナは長い修道服の右袖を捲る。白かった肌は徐々に黒味を増し、やがて赤色のラインで幾何学的な模様が浮き出る】
【右腕には霧が纏わりつき、周りを取り囲もうとした黒い"何か"を防ぐために霧がとある形を成そうとして、その動きが止まった】
【両刃剣の少女が、自分たちを腐らせようと迫ってきた"何か"を打ち消していた。あれが彼女の《月装》の力らしい】
【小さく「ありがとうございます」と感謝したアンナの右手には、いつの間にか変色した腕と同じ漆黒のナイフが3本握られていた。光を吸収した刃に、輝きは無い】
【さて、両刃剣の彼女と、拳銃を構えるヘッドフォンの彼女とどう戦うか―――とは言うものの、細かな戦闘はできない。出来るのはただ、相手をこの刃で断ち切る事のみ】

「―――……では、此方も行かせて頂きます……ッ!!」

【言うが早いか、アンナは力任せにそのナイフをビーチェに向けて投擲する。低い弾道で横に広がる3本は、彼女の腹付近を狙っているのか】
【盾などは効かないだろう。刃に付与された「切断」の概念は、あらゆる物を断ち切る。柄には概念が込められていないため、其処を叩かれれば簡単に弾かれるが】
【とはいえ、彼女の力や攻撃手段を知るには、まずまずだろうか】
579 :アンナ【2】 ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/18(土) 21:17:44.82 ID:e+yKB/sOo
/忘れない内に班の数字書いておきます!
580 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/18(土) 21:20:48.32 ID:gQnTPsqQ0
>>562>>568>>572
扉を開くと同時にまばゆい光が辺りを照らす
部屋の中は扉の見た目からは想像も出来ない程の量の装飾品で埋め尽くされていた
沢山の装飾品に目を奪われ、一瞬歩を止め―――直後、魔獣の声が聞こえ直ぐにそちらを向く

「魔法使いに会う前に死んでもらうよ、シンデレラ」

大剣が完成し、向かって行こうとしたところでもう一人の大剣使いらしき男が走り出す
男は果敢にも魔獣に向かって突きを繰り出すが、どうも剣の重さに振り回されているような印象がある
とにかく、自分も向かうか―――その前に、隣の男に声をかける

「見ての通り、俺はあの人と同じで大剣使いだ」
「月装使いか、焔装使いかは分からないけど、向かっていかないってことは多分遠距離主体だよな?」
「攻撃するタイミング合図してくれたら動くから言ってくれ」

それだけ言うと、魔獣に向けて走り始める
あの突きを魔獣がどう避けるかで行動を決めるつもりだ
581 :Dr.P【ヘルパー03】 ◆Dr.P1q/46w [sage saga]:2014/10/18(土) 21:21:03.01 ID:23Cf/avDo
>>570>>574>>575
己の触手を食いちぎられて初めて少年は、その焔装の持ち主の姿を認識した様子。
陽遥の方へと赤い瞳を向けながら、捕食者は穏やかな笑みを浮かべた。喜色すら滲ませながら。

「――アあ。君カ。美味しそウな顔だ。
僕も僕をタベた事はナくテね。――同類ヲ食べルのは、興味ブかイんだよ」

少年は己の触手を容易く千切られつつも、ひらひらと袖を震わせて呑気に振る舞う。
揺れる袖を突き破り――手が一本づつ飛び出るべき場所から飛び出るのは、右から5、左から5の人の腕。
そして、それらの形がぐちゅりという水音を立てながら崩れていき――、獣の爪と筋力、そして人の手の器用さを併せ持った腕へと変貌した。
手のひらには、がちりがちりと歯を鳴らす人の口が生成されている。本能的に不快感と恐怖を抱かせるような醜悪な様だ。
そして、右の5本の腕が更に形を変え、束ねられて一本の豪腕へと形を変えると、その手で相手を握りつぶさんと陽遥の方へと腕を伸ばしていった。

直後、己に放たれる光の弾丸。光をどことなく懐しそうに見つつ、その対処は確実に行われる。
その腕の一つ、左腕の一本が、己に向けられたプラズマ弾へと向けられた。無意味でしか無い、タダの肉にプラズマを受け止められるはずがない。

「全ク」

当然のように手のひらを消失させられ、己の頭部を消失させられた少年。
そして、その首の断面から肉塊が吹き上がり、また少年の顔を作り上げた。左腕の断面からも、また腕が生えて。
困ったような、そしてどことなく楽しそうな表情を浮かべて。

「――喰らっちゃったけど、喰らうのは楽しいねエ。たらふく砲撃タベるのも良いケド。君のニクも気になるンだ」

左腕が振りかぶられる。そして、突き出される5本の腕。手のひらが膨れ上がり、手のひらから腕がズルリと生えると同時に、それらが次々と連鎖。
3次元的な複雑な軌道を描きながら、獣の鋭い爪が相手の肉を串刺しにせんと5×5の計25本のケラチン質の凶器をアリシアに殺到させた。
爪は鋭く、そして純粋な膂力に寄るその爪の勢いは人を串刺しにするのには十分な威力を持つ。そして、その爪が突き刺されば手のひらの口に肉を咀嚼されることとなるだろう。

「物を消す奴ハ初めてじゃないけど。君のソレは――コッチに来るとオイシそうだな。
もっとミセテくれ。君が堕ちてくレレバ。きっとすごく美味しくなるだろウサ」

触手は相手に迫ると同時に、消滅させられる。しかしながらその直後。
触手の断面が膨れ上がり、触手自体が太くなると同時に――断面から獣の顔が生え、3匹の――先ほど3人を襲おうとした魔獣≠フ牙が、相手に食らい付こうとする。
その頭はそれぞれ相手の胴や足や腕に食らいつくと同時に、頭を振って肉を食いちぎろうとするだろう。


この獣、防御力は決して高くはない。だが、耐久力は有る。
攻撃力も、あくまで見た目通りのものでしかない。勝ち目は確実に存在する。そう、諦めない限り=B――必ず。
582 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 21:23:30.14 ID:lkIbkEQSo
>>576
「ごふっ…顔はやめろと言えばいいのに…感情が攻撃に出てますよ」
胴体目掛け書類の束が飛来する。両腕を交差させる形で受ける。
わざと距離が開くように受けたのか。壁面に叩き付けられ、血反吐を吐く。
思い切り吹き飛んだ事で、他の書類の束を対処したつもりらしい。

「モジュールのオーバーロード…ビリヤードの要領だ、上手く決まるかな?」
雰囲気が変わり、低いソプラノの声で呟いた。
両手の金色の銃が紅いオーラを纏い、銃口から夥しい紅色の魔翌力が漏れ出した。
両手の銃を交差させ集中力を高める、次の攻撃に貫通力を付与するつもりだ。

(…すぐに終るとは思っていない。時間稼ぎにはなるだろ)
あくまで2人に託す考え。奥の手はさっさと使う。
583 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 21:24:39.65 ID:0MZF5kzS0
>>576
少なくとも未来から見た時雨の持つ力の出力は遥かに上をいく。
だが相手は一人。目が前についているのなら視界は限られている。頭脳が一つであるならば処理速度は限られている。
相手のキャパシティを越えるまで行動し続けるのが正解だろう。

「なるほど。だけどその余裕、いつまでも持たせる気は無いよ。私達はあなたを打ち倒す。」

有子の安全地帯と思われる場所から押し出されたのは気にかかる。だが既に勢いをつけている以上戻ることなど出来ない。
むしろ相手に自分を集中させる方がまだ役に立つだろう。

本を器用の避け前進を続けるなか、剣の先を下に向け、ハードカバーのものを一つ引っかける。

「ビックリ芸だけど食らえ!」

摩擦の強化。大きく剣をぶん回し、投擲された本は、剣の腹の部分で擦れ、熱を持つ。
威力こそないものの視界の制限という目的を持ってなされたそれは、ぱちぱちと燃え広がりながら時雨の顔面目掛けて飛んでいく。
まあ、躱されても、放置されても、濁流に飲み込まれるかなにかしてほかの本に燃え広がることはないだろう。多分。
584 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 21:25:45.14 ID:lkIbkEQSo
/>>582、7行目と8行目の追記
ようやく左手の武器を展開する。やっとなりふり構わずという状況らしい。
585 :ライト・チルチック ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/18(土) 21:31:37.10 ID:qG8W88m+o
>>568>>572>>580


「やだやだやだやだ皆さんこっわぁ〜い!」

現れた三人、それから感じるのはピリピリとした殺気や殺意
だけど彼女にはそんなものどうだっていい。
それすらも彼女を喜ばせる唯一無二のスパイスなのだから


「光り輝くライトちゃんに皆メロメロぉ…けど。おさわりはまだ厳禁なの!」

向かってくる男…それにニヤァとした笑みを浮かべる少女


「私は12時過ぎてもお姫様。光り輝くシンデレラなんだから」

掲げた杖が眩く光る
それと同時に男の剣撃をひょいっと避ける


「うふふ。それじゃあ一発ぶちまけまーす!」

杖から物凄い光量の光があたりを照らす、それはまるで太陽の如く





だけど―――――攻撃は一向に放たれず




「なーんちゃって!攻撃が来ると思ったぁ?ただの牽制でしたぁ!」

ケタケタと笑いながらお茶らける少女
その様子はまるでちやほや持て囃されて喜ぶ少女の様であった
586 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 ◆kiky93gBBM [sage]:2014/10/18(土) 21:36:09.58 ID:S8g+ka/3o
>>573>>577>>578

弱いのが二人と、強いのが一人。月装や焔装の名称を認識していない彼女は、敵の戦力をそう分析した。
だがまあ、そんなことはどうでもいい。相手の戦力など瑣末な問題で、彼女からしてみれば考慮する意味もなかった。
大事なのは此処に来たのが彼女達≠セったこと――――ああ、嗤わずにはいられない。

「白衣のお姉さん……誰ですぅ? ビーチェはただ、人間をブチ殺したくて待ってたんですぅ」

蛇腹剣を持つ少女の問に、彼女はただ首を傾げた。知らないし、どうでもいい――――いいや、まず彼女のような存在が人間を前にして大人しく言うことを聞く筈がないのだ。
[ピーーー]。端的に言ってしまえば、魔獣である彼女の思考回路はその一点に尽きる。よって彼女が此の場にいたのは本当にただの偶然、いや彼女が鼻で嗅ぎ分けたというだけの話なのだ。
とはいえ相手に其のような真意は分からない。間延びした口調は何処か少女たちを煽っているようにも聞こえる。

「あはぁ――――遅ぉい」

此れは少女の外見をした化け物。紛れも無い怪物であり、中身には人間らしい点などひとつもない。
身体能力も然り、ビーチェの瞳は投擲されたナイフを的確に見切っていた――――闇が伸びる。
彼女の生み出す闇にはある程度の質量と硬さが存在する。相手の能力など一切知らない魔獣は、先ず防御を試みた。
だがナイフは止まらない。闇を斬り裂きながら直進する其れに、ビーチェは一瞬だけ瞳を丸くすると歪みを深めた。
防げないならば、掴んで止める。闇でナイフを包み込み、強引に動きを停止させた――――そして数秒後、其れ等は劣化を始める。
ビーチェの能力は物質の劣化。生成した闇に触れた物総てを腐らせ、錆びつかせ、朽ちさせる――――それも概念の領域で、だ。
絶対と絶対がぶつかり合えばどうなるか。発生する矛盾は、しかしビーチェの生成する劣化に飲まれ終わる。
一瞬の邂逅ならば相手の絶対が勝ち、長時間触れ合えばビーチェの闇が蝕み喰らう。今のやりとりから、長時間彼女の闇に触れるのは危険だと理解出来るだろう。

「ほらほらぁ、さっさと見難く無様に豚みたいな悲鳴を上げながら[ピーーー]――――ですぅ」

ビーチェの周囲に生成された闇が、彼女の意思に従い蠢き形成されていく――無数の、闇の杭。
数十と形成された其れが、少女たちへと向かって放たれようとしていた――――速度は十分に見切れるほどであり、狙いも定めていないため躱すのは難しくない。
そして其れはただの囮に過ぎないと、驚異的な聴覚を持つ人物ならば気付けるだろう。
静かに這いずり、背後へ迫るビーチェの闇の音が――――気付けるか否かの刹那、刃のように形作られた闇が地面を滑るように横に薙がれる。
当たったら危険だが、ビーチェの攻撃は非常の大雑把だ、感覚を最大限研ぎ澄まし、能力を限界にまで引き出せば無傷で此等の攻撃を対処する事も十分に可能だろう。
587 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/18(土) 21:37:36.11 ID:e6s6Mb9To
>>576 >>582

「可愛い? 冗談だろう。声からしてまるで可愛くない。
もっと聞いていて自然と笑みが零れるような声で言ってみろ」

ぼそぼそとしたダメ出しは、紙束の襲い掛かる音にかき消されて、きっと相手には届かない。


「顔も見るに堪えん。あの子と似ているのはその長い髪くらいだ」

黒い霧を通した知覚。それが能力の行使であるなら、久良岐にとって不意打ちは無く。
確かなエネルギーの流動を伴うのであれば、尚更正確に先読みし、対応策を考える余裕が残る。

吸収した運動力の再使用。出入り口の直前で、押し寄せる紙束に力が加わる。
下向きに押し付けられた紙束が層を成し、一時的に壁となって後続の紙を押しとどめる。
その間に距離をとれば、一度勢いを殺された紙束は狭い通路に詰まって止まる。
紙に周囲を埋め尽くされて動きを制約される形になったが、ダメージはほとんどない。

>>583

霧を通しての手助け。一度剣との摩擦を増幅されて燃え上がった本から、今度は空気摩擦を取り除く。
投擲途中での加速。大きな変化は無いが、一度手を離れたものが早さを増すことの奇襲性は、その攻撃本来の奇抜さと相まって相手の対応を難しくするはずだ。
588 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/18(土) 21:41:09.59 ID:t6+tfpPO0
>>585
【自らの一撃は躱され、小さく舌打ちを打つ。しかしそれだけで彼は攻撃をやめるような男でもなかった】

「チッ」

【相手の杖が光を増して行く。ひとまず、相手の前から離れなければ……彼は舌打ちをしつつ、その場を飛び退く。】
【それはやけに大きなダイブであったが、即座に受け身を取ることによって隙を無くし、体勢を立て直す。そして、肝心の攻撃は……】
【放たれなかった。「悔しかったか」とばかりにケタケタと笑う彼女であったが、それは彼の目には「戦闘も知らないド素人」としか映らなかった】
【彼は起き上がり様にそのまま、横薙ぎ斬りを繰り出していたからだ!】

「獲物を前に舌舐めずりか……新兵めが」

【彼女の気付いた時にはすぐ横から、暗銀の光を放つ残光が、自らの胴へと迫っていることだろう。】
【一挙手一投足に喜び悔しがるなど、戦士にとってはまさしく愚行。】
【最後には結局、生き残った者が勝つ━━━それを象徴するかのような斬撃は、無慈悲にも魔獣を袈裟斬りにせんと放たれていた】
589 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/18(土) 21:41:40.44 ID:zV0lw9jgo
>>574
>>575
>>581
「"月"が一匹、"焔"が一匹……ふン、私一人で十分だという物を」

各々の対処を狭い視界の端で捉え乍ら呟く―――――― この戦力でなら大抵の魔獣になら十分に対処できるだろう。
然し一度相対したからこそ分かる。その力量は通常の、例えば今捕食された魔獣のそれとは、比べ物にならない。
故にその言葉とは裏腹に、その奥底で燻る、殺意に抑えられた恐怖心は、多少ながらも薄らい、今、正気を保っている。
先の戦い、情けない自分の姿が脳裏に浮かび、ギリリと歯が噛み結ぶ。

「悪いが、オドントフィリアに耽っていられる程暇では無い……その気色の悪い風体、そのままだな」

手の平にて、かちかちと歯を鳴らすそれに対する生理的嫌悪感は深く刻まれている。
人体の位置を弄るだけでこうも不気味な様を創り出せるとは、最早感心すら産まれる程だが、それに浸っている余裕もあるまい。
伸ばされた剛腕、それに対して右腕を変形させる。作り出すのは唯の掌―――――― 迫るそれへと、叩き付ける。
強化身体能力と、《焔装》という存在自体の強靭さ、それがその巨大な腕に対する拮抗状態を僅かながら創り上げる、が。
それも僅か。その身体を握り潰さんと迫ってくる五指―――――― だが良い、それでいい。


「ほざくなよ!私と貴様は違うと言っただろうが!!!」


右腕前腕部分が変形、出現するのは十二本の大きな"杭"、推力へと意識を集中させ、その巨大な掌へと放たれる。
その威力を以ってして、それが幾つかでもいい、貫通する事が叶ったのならば。
明確な狙いは定まっていない物の、少年自身、或いはその周辺へと、刺し貫かんと征く筈だ。
590 :虚空蔵谷 時雨 【0】 [sage]:2014/10/18(土) 21:50:21.07 ID:rD4tLLl0o
>>582>>587>>583
書類の奔流の収束がつき、吹雪の様に舞い上がった紙の空隙を縫って自分の相対者の人数を確認する。二人は分かった
紙が落ち切る迄に一つ軽く息をついて後、相対者一人一人をよくよく見据える。その片目の紅い迸りを伴って

「正面に二人、銃器を携えて何やら恰好良いポージングをしている女、何やら呟いている様だがよく分からん。何か強そう
もう片方。男、余裕ぶっこいてんじゃねえぞ、否、ぶっこいてんじゃありませんわよ、どうせ焔装使いだろファック
右前方刀女、私も刀持ってるんだけどキャラ被りじゃね?──ってあつぅ!!」

油断、というか完全にほうけていたもので、時雨は間抜けにも日向が放った引火した書類の束が顔面に直撃する
一瞬間の出来事で痛みこそは無かったが、揃えていた前髪が微妙にチリチリになってしまった
そして燃え盛る書類はとどまることを知らず、地面に叩きつけられた後もしつこく時雨の白衣に纏わり付き

「ちょ、あつぅい!あついから!!!ふざけんなバーカバーカ!!!」

白衣を脱ぎ捨て火の元に被せ、踏み付ける。はたからみれば駄々っ子の様にも見えるだろう間抜けさ

「……」

静寂。俯いた時雨の表情は闇に掻き消されて確認することは出来ないだろうが、それでも理解出来るであろう感情は静かな憤激

「……今、そこの男がキャラ被り女の攻撃に助力した……そして正面、銃女、お前は強力な技を出す……
人が……人が……折角……頑張って準備したのにぃいいいい……!!!!」

何のことかは分からない。時雨は左手に持つ刀を右から左へと、大振りの一撃を行った。涙に迸りが反射しているのか、時雨の目の周りが紅い
刀は勿論空を切った。しかし、三人の目の前には等しく時雨が持っている筈の刀が、投擲されているのだ
向かって右正面から脚を目掛けた投擲。回避する事は容易の様に思えるだろう──しかし
その刀は近づけば近づく程数が増えていく。最大5つ。首から足元に掛けて、だ。
自らの行動範囲が狭ければ狭い程、回避は難しい。だがしかし、逆に言えば広ければ回避は余裕
加えて時雨にたいする追撃も可能、時雨は大きな隙を見せてしまった
591 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/18(土) 21:57:41.55 ID:i9WSNxl90
>>586
修道服の女性の放ったナイフが魔獣の手に触れたと途端、朽ちてゆく。
それはまさしく物の劣化。しかも其は異様な高スピードで為され、まるで早送りで見ているかのようだった。
あれに人間が触れられればどうなるか…そう考えればぞく、と背筋に悪寒が走る。

と、そんな恐怖に縛られる間もなく、魔獣の少女が出現させるのは――予想はしていたものの、完全に此方を一網打尽にするための術。
こちらへと迫り来る杭のうちの一つに銃弾を浴びせ、後の自分へと迫る杭は身体を捩って避けようとするが……。

「……!」

ヘッドフォンから何か耳障りな音がした。
杭の空気を斬る音ではない、かといって魔獣の笑い声でもない……それは――大きい、自分達の命を刈り取る刃!

「―――気をつけてっ!下からも来てます!」

いち速くそれを察知した珠悸はそれを仲間二人にも伝えるように叫ぶと、身を刃から翻すようにしてどうにか回避。
早急に危険を知らせることには成功したが――果たして二人は無事でいるだろうか?
592 :アリシア・P・シノット【3】 ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 22:01:09.35 ID:hFBf7qBe0
>>581>>575

「……うげ、めんどくせ」

 光弾はヒトガタを撃ち抜いた。だが次の瞬間には、莫大な熱量で生まれた損傷は何事もなかったかのように再生する――潰した以上の体積となって。
 どこにそんな質量を隠し持っているのやらと彼女は技術者的な興味を示しかけたが、次のヒトガタの攻撃は自らに向けられているのだと気付けば暢気な思考を中断する。
 気の狂った前衛芸術家が気紛れに組み上げたような肉塊は、硬質の爪と扇状の攻撃軌道を以ってして彼女を切り裂かんとしていた。
 腥さも不気味さも奇怪千万さも、彼女が相当に嫌う所である。あからさまな不快感を示すために、彼女は開いた左手で中指を立てる。

「誠に申し訳ないが、やはり金太郎飴もどきに食わせてやる飯はない。精々どうにか糖分を溜めて甘く美味しく育つがいいさ。
 ――尤も、出来損ないは廃棄処分に直行してもらうだろうが」

 そして右手一本で小銃のグリップを握りながら、彼女はヒトガタの左腕の基部、肩甲骨付近目掛けて数発の光弾を射出する。
 派生先がどれだけ複雑な軌道を描けど、根源が破壊されたのなら離散した部分は慣性の法則に従って吹き飛ぶだけ。回避は容易い。

 しかし仮に彼女の目論見が成功したとしても、後ろに飛び退こうとした肢体の両足は、飛来した肉塊の爪に掠められるだろう。彼女は先程までとは別の感情を込めて、その表情を歪ませる。
 無論、攻撃を続けていれば何れはこの魔獣が倒れることは予測できた。だが彼女の身体能力では、魔獣を再起不能にする前に彼女が致命的な損害を被ることも、同じように予測できた。
 今求められているのは、魔獣の持久力を大幅に削る一撃。それも、こうやって間断ない攻撃が繰り出されている状況で狙うのは厳しい。
 ――となれば、選択肢は絞られてくる。そして彼女は、賭けに出た。
 
「――おい、そこの《焔装》使いッ! ケツの青そうな男の方だ!
 『一分』ほど私が自由に動ける時間を作れッ!」

 苛立ちを少なからず含んだ声で、彼女は焔装使い――真夢に向けて、そう命令するだろう。
 内容は、時間稼ぎ。彼女の構える小銃の砲身が伸長し、銃口に蒼白い光を宿していることに気付くだろうか。
593 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 22:02:18.35 ID:lkIbkEQSo
>>590
「なかなかオサレでしょう?真似しちゃダメですよ」
幾つもの刀が目の前に出現する。
口元を三日月状に歪めて、両手の銃を左右へ向ける。

「――“MaximumVolley”」
両手の銃を真横に向け、バレーボール大の緑色の砲弾を射る。
自身の正面の刀を全てを吹き飛ばさんと、真横の壁面に撃ち放つ。
跳弾の先は時雨の背面の黒板だ。

「…これ以上燃やしたくないんだよね」
《高速充填開始…モジュール破損率30%》
碧の砲弾の跳弾は時雨の背面目掛けて飛来する。
武器の損傷具合は有子は手に取るように分かり、何処まで“燃やす”かは考えていない。
強化状態を解かずに居た為、両手の《モジュール》の一部に亀裂が入る。
冷却時間を短縮してでも再攻撃の備えを取っている様子だ。
594 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/18(土) 22:04:50.26 ID:+XOzYB8G0
>>580>>585>>588
……その、アレだ。
当たれば一発で『堕とせる』

【その一言で、焔装というのが察せるだろうか】【そもそもそれが当たったのか、当たってないのかという点も曖昧だが】
【捉えられば一発、だからと言って前に出る能力ではないのだが】
【見た感じ人間だ、恐らく一撃だろう】

だから、どうにか隙を作って欲しい、頼む。

【光を放ち――それだけ、急遽体を覆って、いざという時の為に目の前を飛ばす準備をしておきながら】
【怒りは出なかったが、それよりも違和感を感じる事になる……その笑顔も、まるで無邪気な子供のよう】

って、おい! おっさん! 待てって!

【移り変わりする立場。映りゆく攻撃】
【二人の居場所が動き、更に攻撃しても巻き込む形になる可能性があり、それを避けたかった】
【それだけは避けたい、声をかけるが、止まってくれることを祈る】
595 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 22:08:05.69 ID:lkIbkEQSo
//>>6行目から7行目の追記。
1度目の反射は反射する軸に刀の群れを捉え
2度目の反射で黒板に飛翔。3度目の反射で背面。
596 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 22:09:18.42 ID:0MZF5kzS0
>>590
「やっぱりあの刀はあんたのものか!」

本の増殖または分裂。そしてその投擲。この女の能力の概要が少しずつ揃ってくる。
そしてその恐ろしさも。
先ほどの本の増えた量を考えるとその増殖できる数は莫大なものであろう。

武器も持たずにここにいる久良岐は《焔装》使いなのだろう。この程度の攻撃は難なく防げるはずだ。
対して月城有子。彼女は《月装》使いの後衛。攻撃が増えるとその対処は困難になる恐れがある。
長期戦は危険。相手が隙を見せているならばここは進む!

「血を流す覚悟ぐらいはとっくにしているさ!」

本を蹴とばし、身をかがめながら大きく跳躍。防御しなければならないスペースを極力減らす。
頭を重点とした剣による防御を行うも、五本の斬撃は未来の靴の底が吹き飛ばし、右足の太腿に大きな傷をつける。
しかしむしろこれだけで済んだかと言いたげな表情を見せ、 着地。
そして、もしも未来の剣の射程圏内に時雨がいれば彼女の右肩目掛けて剣を振り下ろすだろう。
597 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/18(土) 22:10:01.74 ID:p1Jy0XHuO
>>581>>589
衝撃波は魔獣の触手を消滅させる。ただ、攻撃には何も役に立たないはずの断面のみを残すのみ。
アリシアの攻撃によって魔獣は頭部と左腕を吹き飛ばされた。だが、何事もなかったかのように再生し、元の姿へと戻る。
再生能力。確か、前回対峙した魔獣も備えていたか―――――厄介極まりない。
ヒトで言えば心臓と同等の重要な要素を含む脳を吹き飛ばされても尚、再生が可能とは。ならば、どこを狙えば良い?

(いや、答えは決まっているか………)

それは、崩月にとってあまり意味を成さない疑問。いつもそうしてきたように、今まで通りやれば良い。
"敵の肉体を跡形もなく消滅させる"。再生の隙など与えずに、原子すらも残さず無に喰わせる。
そこまで徹底的にやれば、再生できないはず。どこを狙っても再生するのならば、完全消滅しか道はない。
そこまでいかなくとも、どこかに再生を司る器官があるとすればそこを潰しさえすれば。

「!?…………ちぃっ!」

だが、直後。触手の断面が膨れ上がり、先ほど喰われた三体の魔獣の頭と成り、牙を剥いて此方を食らい付こうとしている。
身を捩らせ、床を蹴り駆け出し、包囲された状態だけでも打開する。
その際に左肩の肉が食いちぎられ、血が滴り落ち、床にこびりついている血を一体となる。
やはり手ぶらではきつい相手―――――ならば、得物を創りだそう。

一瞬で創造され、左手に握られた一振りの剣。右手に持ち替えて、獣のうち一体を両断せんと横に薙ぐ。

>>592
「はぁ!?こっちはこっちで手一杯だってのに…!」

その直前、アリシアの声が耳に届く。かいつまんで言えば内容は時間稼ぎの囮になれという事。時間は一分。
攻撃が成功するか否かに関わらず、剣を薙いだ後に崩月はアリシアの盾になるように前に立つ。

「………失敗したら、承知しないからな。あんた」

恐らく、必殺の一撃を溜めるのだろう。それならば仕方がない。渋々とだが、それに従おう。
念を押すようにして、アリシアに向けて言葉を吐く。今は、アリシアを信じるしかないのだろうから。
598 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 22:10:35.47 ID:oTvlgxlt0
>>586 >>578

「くぅっ、完全に《夜》に呑まれているのね」

あの子と一緒だわ、と。
誰にも聞こえない――いや、本当に誰にもという事は無いかもしれない――押し殺した声で、シャーロットは呟く。

ヒトの形を保った魔獣が人間に戻る事例を眼にした身としては、ビーチェもまた殺意だけでは向き合えない相手だ。
しかし都合の良い奇跡がそう何度も起きないことは、身につまされてよく分かっている。
そして、シャーロット自身が、綺麗事を言うには余りにも多くの死を踏み越えて生きてきたことも。

――懊悩と自己への憐憫に浸る余裕など、敵は与えてくれない。
投槍のように飛翔する闇の杭を、シャーロットは隙間を縫うようにしてかわしていく。
その内の一本が脇腹を掠め、赤いコートの裾をもぎ取るが、未だ剣を振るおうとしない。
まさか敵を討つことを恐れているのか? いや――――。

>>591

「……状況判断、ありがとうっ!」

――珠悸から発せられる『警告』にしっかりと耳を傾けていたのだ。
敵の本命≠ェ来るや否や、シャーロットは床を蹴り、前方へと跳躍した。
刹那、その影と闇の刃が交錯する。回避成功。
眼下では打ち捨てられた椅子の足が吹き飛び、少女たちのもう一つの結末を暗示していた。

「迷いはしないわ。今はとにかくあなたを――黙らせるっ」

飛び上がった勢いのまま、アンナの攻撃を邪魔しないよう、シャーロットは頭上高く振りあげた蛇腹剣を斜め上からしばく。
鞭の捉えようの無さと剣の鋭さを兼ね備えた≪クロウ・クルワッハ≫が、ビーチェの胴を袈裟懸けにせんと襲いかかった。
599 :アリシア・P・シノット【3】 ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 22:13:41.99 ID:hFBf7qBe0
>>597

「よぉしいーい態度だ! この私を甘く見るなよ
600 :アリシア・P・シノット【3】 ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 22:14:15.84 ID:hFBf7qBe0
/>>599はミスです……すみませんッ。
601 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/18(土) 22:20:44.17 ID:gQnTPsqQ0
>>585>>588>>594
「…分かった」
「俺もあの人も月装使いみたいだけど、二人もいればなんとか隙を作れると思う」

"一撃で堕とせる"
月装の力ではそれほどの威力の攻撃は難しい―――つまりは、そういうことだろう

「いきなり大技か!?」

杖から太陽さながらの輝きが発せられる―――攻撃だろうか
広範囲攻撃かと咄嗟に剣を盾にするが―――

「―――なにも、こない?」

光が辺りを照らすだけで攻撃ではないようだ
魔獣の言葉と笑い声からそれが分かると、再び攻撃のために走り出す
魔獣に近づいていくともう一人の大剣使いの男が斬撃を放った―――自分とは違い中距離攻撃もできるようだ
ならば、と走りながら男に声をかける

「俺は近距離しか出来ないが、あんたは中距離攻撃が出来るんだろ?」
「なら、俺の攻撃をサポートして隙を作るのを手伝ってくれ!」

魔獣の元にたどり着くと、魔獣の正面から剣を振り下ろした

602 :アンナ【2】 ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/18(土) 22:20:59.21 ID:e+yKB/sOo
>>586>>591>>598

【両刃剣の彼女の問に、ビーチェが返したのは「知らない」の言葉。女研究員の事など、ビーチェの頭にはないのだろう】
【ならば、此方としては都合が良い。事情を知っているならまだしも、今回は何も知らない魔獣を倒す、ただそれだけのことなのだから】
【―――1つ懸念が有るとすれば、彼女が「人型」だということ。未だアンナの中には、「魔獣が人に戻る」という考えが残っていた】

【投擲したナイフがボロボロと崩れ落ちていくのを見たアンナは、軽く歯噛みしながらも相手の能力について考える】
【最初に見た部屋の器物が朽ちていく光景も彼女の能力なのだとすれば、"劣化させる能力"。と、アンナは彼女の能力をこう結論づけた】
【その程度も実に強力なものだろう。一瞬や短時間ならまだしも、長時間触れればあっという間にミイラと化す事請け合いだ】

「……ッ! ありがとうございますッ!!」

【早々にナイフによる攻撃を諦め、次に出現させたのは漆黒の刀。次々と放たれる闇の杭を斬り飛ばしながら、斬撃を仕掛けるつもりだ】
【だが、それは横からの大声によって阻まれる。ヘッドフォンの彼女だ。その声に反応して反射的に跳躍すれば、足元では多くの物が斬り飛んでいく】
【杭は囮。ただ単純に力を振るっているだけでは無さそうなビーチェに一層表情を引き締めながら、的確なアドバイスをしたヘッドフォンの少女に声を掛ける】
【あのヘッドフォンが《月装》なのだろう。聞こえも見えもしなかった闇の刃を認識したのは、やはりその能力だろうか】

【予想も程々にアンナは再び刀を構え、今度こそビーチェに向けて疾駆する。未だ闇の杭が飛んでくるというならば、それを斬り飛ばしながら接近するだろう】
【その過程で修道服の一部が杭で穿たれ、朽ちていこうがアンナは止まらない。そして接近できたならば、両刃剣の彼女に続くように刀を横薙ぎに振るう!】
603 :Dr.P【ヘルパー03】 ◆Dr.P1q/46w [sage saga]:2014/10/18(土) 22:21:24.95 ID:23Cf/avDo
>>589>>592>>597
振るわれる豪腕。それに対して放たれる杭。
同時に、手のひらの皮膚が泡立ち、皮膚を突き破って人間の手が芽生えた。
12の杭の大半は、無数の腕へと命中し風穴を開け、鮮血をぶちまけるが、それによって少年への到達は阻まれる
そして、直後にアリシアの放つ光弾によって腕の根本が千切飛ばされる。舞い散る鮮血、肉塊。本体から離れた肉塊は全て腐った黒い液体になって崩れる。
同時に崩月の斬撃によって獣の一体が引き裂かれ、雄叫びを上げて獣の首は切り離されて地面へと堕ちる。
しかし、腕の奥の少年は僅かに眉を寄せて、苦痛を感じる程ではないが不快感をあらわとした表情を浮かべていた。

『――ああもウ。痛いものは痛いンだヨ。
なのに人ヲ串刺シにしたり消滅サせたりしてくれテ。素直に食べラレてクレなイかな。痛くシナいからサ』

2体の魔獣の頭を先端に持つ触手に崩月の肉を捕食させながら、更に腕を一対生成し、ひらひらと手を振って感情表現。
そんな苛ついたような言葉。そして、陽遥の怒声には、憐れむような表情すら浮かべてみせた。
どことなく人間性を残しているような、しかしながら上辺だけのようにも見える、そんな顔を向ける。

『焔装使いなんか戦い続ければみィンな僕見たいになるヨ。僕だって人間ダッタんだかラ。
仲間が居レば? 私だケは特別? ――ソンナの、あり得なイよ。仲間がイた僕ハ、仲間をみィんナ食べちャツたからネ』

少年としての甲高い声ではなく、どことなく掠れて疲れたような変声期を終えた男の声。
そして、少年はまた張り付いたような笑みを顔に浮かべて、己の肉体を変貌させていく。
少年の顔がずるりと体内に飲み込まれ、それと入れ替わりに獅子のようなたてがみを持つ魔獣の顔へと変貌する。獅子と違うのは頭の捻れた一対の角か。
コートが体内にずるりと飲み込まれ、一瞬白い肌が見えるがその皮膚が瞬時に黒く染まり――下半身は馬のような蹄を持つ強靭な脚部を精製。
腕部は人のそれを1.5倍ほど長さ、太さ共に伸長したものが右に2本、左に2本。爪は獣のそれ。腕から不規則に生えた牙や爪が攻撃道具として蠢く。手の先にはやはり人の口。

『――懐かしいナ。力を合わせれバ。人ハ魔獣に勝てルと思っていた頃ガ』

背丈は大凡2m。それにすさまじい量の筋肉を搭載し、魔獣の殺戮機構を随所に搭載した。そこに或るのは醜悪で不気味だが遊びのないデザイン。
生体の必要部分だけを抽出し、その場に応じたオーダメイドの肉体を生成するその様は、人の知性が為す業。
地面が静かに振動する。相手の出方を待つように、獅子の瞳は静かに細められ、赤い光を夜暗に煌めかせる。

『……知りたいノかイ? そんなに。知った所デ――どうしようもナイのに』

全身に力を充満させ、こちらもまた相手に確実な殺戮を行使する準備を整える。
状況が動くのは、この後一分の攻防の後か。――直後、壁を砕き、床を割り、天井の排気ダクトから。無数の触手の群れが生まれ、先端に生やした人の口で相手の肉を啄まんと3人に一斉に殺到。
攻撃力は然程ではないが、その光景が与える恐怖と、肉を食いちぎることによる痛みでの行動阻害等の効果を与えるその攻撃。落ち着いて対処できればどうという事はないが、落ち着く事は、できるだろうか。
魔獣の足元をよく見れば、先ほどまで居た魔獣の足元の床には穴が開いていたことが分かるだろう。ずっと同じ場所に佇み続けている間、部屋の床を通じて部屋の周囲に触手を張り巡らせていたのだ。
これまでのそれぞれの攻撃は少年に効いていないわけではない、むしろ焔装、月装の火力を前に容易く千切られ、砕かれ、消されていく。
問題なのは、失う都度にそこから部位が生まれること。ゲームで例えれば、他のステータスは並なのに、HPだけが異様に突出している様なステータス配分だ。
捕食したものを己の一部として支配し、運用する事ができるのがこの魔獣の能力。生命の要塞たるのが、このDoctor-Pだ。
604 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/18(土) 22:22:33.23 ID:e6s6Mb9To
>>593 >>590

「その銃、かなり熱を持っているな。冷やした方がいいか?」

返答を聞くことも無く、既に霧は熱を奪い取っている。白衣に着いた火もろとも、霧が周囲の熱を奪い、室温がはっきりと一段階落ちている。
元より光の届かない地下。だが戦闘に集中しているなら、寒さは気にならないかもしれない。

>>590 >>596
一面の白はその密度をもって視界を塞ぎ、光を閉ざしてむしろ鈍色。その隙間から覗いた赤眼と、確かに目が合った。

「目付きも悪い。目元に優しさが無い。やはりあの子の足元にも及ばない」

視界が無いのは慣れている。霧から伝わってくる力の流れだけで戦況は十分。直接見えずとも、投げつけられる刀の存在は“視える”

目の前の書類群に刀が突き刺さった瞬間、微妙なバランスで積み重なっていた紙の中で少しだけ足を動かす。
絶妙なエネルギー操作を加えて白い山を静かに崩せば、川となって後方へと流れていく。

腰から下の高さに投擲されたものは紙束と一緒に流れていき、肩口に向かってきた一本はタキシードを薄く切り裂いた。
首元に向かってきた一本はかわしきれないと踏んで全力で速度を奪う。
摩擦を奪われた紙は止まることなく後背に流れていき、周囲は音も無く片付いた。

空中で停滞した刀を掴み、正面の女に向かって突き付ける。

「お前、裁縫は出来るか? 出来なさそうだな。大切な服を傷つけられた借り、これ一本で足りると思うなよ?」
605 :ライト・チルチック ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/18(土) 22:28:32.70 ID:qG8W88m+o
>>588>>594>>601

「はぁ……」

放たれる斬撃を杖で軽々と制する少女
その動きはまるで全身の至る所に目が付いているようで

「あのさぁ…オジサマお話聞いてました?ライトちゃんは軍曹でも新兵でもないんです」

「お・ひ・め・さ・ま・なんです」

剣を受け続けているのには結構力を要しているのか、右手をプルプルと震わせている
だけど声色は物凄く楽しそうで―――――

「あ…そうそう!そんな感じでもっと構って!」

新たに正面から一撃を繰り広げてくる青年
普通ならこの状況は大ピンチなのだが、少女にとっては違う

「そうそう!スポットライトはこの私!ライトちゃんに向いてるの!」

「お姫様の魔法も永遠じゃ―――――ないんだからっ!」

次に眩く発光したのは左腕
目が痛くなるほどの光と途轍もない熱を放ちながら、正面からの剣を正面からの剣を受け止める

「えーい!ライトちゃんきーっく!」

正面の青年に対して足を振り上げて普通の蹴りを繰り出す少女
少女と言っても一応魔獣な為か、当たれば結構痛い代物となっている
606 :虚空蔵谷 時雨 【0】 [sage]:2014/10/18(土) 22:31:05.75 ID:rD4tLLl0o
>>593>>596>>604

時雨の目に映える銃女の行動、所作行動一つ一つ、機微たるものでさえ時雨は注視するのでなく、視界に入れるだけに留めた
右の眼球、この距離で気づくことが出来るだろうか。知らぬ間に五千という数字から五の数字に変化していることに
時雨はそれを隠す様に数度瞬き、右片目の瞼を閉じた。再度の迸り。今度は「一」の文字が浮かび上がる
月城は今、自らの攻撃手段に対して注意を向けている。素人では無い様で彼女も流石に刀には対応した
だが、それが眼球に浮かぶ数字であればどうだろうか。「一」の映る目は月城を捉えて離さない

「参考にさせてもおう……だが、恰好良いポージングから露骨に外す事なんて……あり得ない」

背後。時雨は硬い何かを削る音が耳に刺さったと思えば、瞬時に右へと自重を傾けて弾丸を回避
月城への視線は離さずに、そのまま

日向の回避はしかし完全なものではなく、脚部への微量ながらも損傷を受ける結果となった
それは時雨の能力においては、絶対的な不利を示し、時雨の思惑通りでもある
時雨の魅せ方は余りにも分かりにくい。周囲の状況をその目で一度確認し、行動一つ一つから動作の性格を割り出して行動を予測する
地味で見た目からは判断できない長所ではあるが、確実に相手の一撃を回避する事も出来る──恐らく

「割と可愛かったろう?」

月城の跳弾の回避、右に自重を掛けその位置から身を動かす、それをもって回避と為す
相乗、日向の刀の縦一閃を回避する為にそのまま身体を倒して側転を行う。不細工な側転だが、回避したことには変わりない
激化する攻防の中、時雨は月城に対する注視を止めなかった。日向は気づけるだろうか

──時雨の右目に数字が、消えかかると同じ様に月城の存在も脆弱で、希薄になっている事に


側転の先、月城への視線を絶やさない時雨の視界の中に、刀をもった男が現れた。相変わらず口の悪いことだ
五本の刀を全て受けきるどころか自らの攻撃手段へと転換させるその力、先程から数度行っているエネルギーの打ち消し
明らかな焔装使い。時雨は焔装使いが、何処と無く嫌いだった。舌打ちをするが抵抗するわけでもなく

「焔装使いよ、彼女のことはいいが、味方のことは考えないのか」

何か意味を含有する様な一言は、久良伎の喉元を通り、針となり心臓を突き刺すか、それとも興味が無いと一蹴するか
607 :虚空蔵谷 時雨 【0】 [sage]:2014/10/18(土) 22:34:37.15 ID:rD4tLLl0o
/時雨の右目に数字がーってなってますけど右目の数字が、です!
608 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 ◆kiky93gBBM [sagesaga]:2014/10/18(土) 22:36:54.74 ID:S8g+ka/3o
>>591>>598>>602

ビーチェは其の人格上、自らを強く見せようと派手で強力な技を好む。
怯え、絶望し、そして泣き喚きながら逃げる背中に向けて闇を放つ――――そんな敵とも言えない者達を、好き勝手に殺すのが好きなのに。
目の前の者達は怯まない。確固たる意思を持ち、己が勝てると信じ、自分が出来る事を精一杯にやり、前に進もうとしている――――――――ああ。

「…………ふざけるな」

ボソリ。誰にも聞こえないぐらい小さな声で呟き、抱えた人形を強く抱きしめる。
歪な精神が軋みを上げて更に激しく駆動し始めた、こいつらを殺さないとこの胸の内側に溜まったどろどろは決して晴れないだろう。
囮の杭は僅かにダメージを与えることに成功するも、攻撃の本体だった背後からの強襲は失敗に終わる。
気付かれないように操ったつもりだったが何故バレたのだろう、それがあの女の能力なのか。
しかし悠長に考察している暇もなく、蛇腹剣を持った少女と両刃剣を構えた修道女が斬りこんでくる。

「あなた達強いですねぇ、ほんっと――――――――」

ただの剣ならまだしも、蛇腹剣などという得物を持った敵と戦ったことがない。蛇腹剣の半ばを闇の塊で掴むも、しなる剣先がビーチェの右肩を浅くだが斬り裂く。
直後、横から迫ってくる両刃剣。先程のナイフと同じ性質を秘めているとしたら、此の修道女の攻撃は非常に厄介である。
案の定侵攻を阻むように生み出した闇は容易に斬り裂かれ、剣の刃部分ではなく面の部分に圧力をかけ止めるのにも少しばかりの時間がかかった。
修道女の両刃剣もまたビーチェの腹部を浅く斬る――――――――だが何方も、まだ致命傷とは言い難い。
そして彼女が何故回避ではなくあえて傷ついてでも防御に徹したのか――瞳の中に膨大な熱量の感情を渦巻かせながら、再び先ほどのように仕掛けられた闇が蠕動する。

「むっかつくですぅ――――――――っ!!!!」

三人は自分を見ている。ならば先程は失敗したが、また視界の外から攻撃してやろう。
次は後ろでも無ければ下でもない――――上、天井である。見上げると、限りなく微笑な闇が幾つも天井に貼り付けられていた。
目を凝らさなければ分からない、そんなビーチェの罠。其れ等は彼女らの身体を削り取らんと、針となって天から降り注ぐ。
斬り込んだ二人は先ず、自らの得物を掴んでいる闇を振り払わなければ、回避すらままならないだろう――――そして、放たれた時にはもう遅い。
回避できるかどうかはヘッドフォン型の月装を持つ珠悸にかかっている。
ビーチェの闇は謂わば極小の粒子の集まりだ、其の粒子の音を聞き分けられれば、天井に仕掛けられた罠に気付くことも可能だろう。
609 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/18(土) 22:44:36.10 ID:t6+tfpPO0
>>594>>601>>605
「ムゥ……!ちょこまかと……」

【隙をついているというのに、余裕の表情で攻撃をかわす魔獣。隙が大きな攻撃とはいえ、彼の顔には辟易の色が見え始めた】
【そして、もう一度斬り込もうとしたその時。隣から不意な斬撃が閃いた】

「!貴公!」

【大剣を持った青年が、魔獣に対して攻防戦を繰り広げる。そして後ろからかかる、大きな制止の声。】
【少々体力が削られたこの状態で戦闘を続行するのは難しいのもあってか、彼はすかさず助言通りに後ろへと飛び退き】
【魔獣に顔を向けたまま、剣を構え直しつつ焔装使いと思しき青年に声をかけた】

「気をつけろ。暫く様子見したが、なかなかすばしこい。今は攻撃して来ないのが幸いか……」

【両足の支えをより確固なものとして、体勢を立て直しつつ】

「今は焔装使いである貴公に信頼を託そう……ともかく、隙を作れば良いのだろう?」

【刃に光る朧げな照明を魔獣へと向けて、その踊るようにおちゃらけた姿を再び睨む】
【彼は意気込んでいた。自らの能力について知りたいのもあったが、それ以上に】
【魔獣を殲滅しなければというはやる気持ちが、彼を昂らせる一因となっていた】
610 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 22:46:59.94 ID:lkIbkEQSo
>>606
「どうせ当たらないとは思ったよ…私も当たらないのだから。
 だから、ここでオールインを宣言する。
 私はこの賭けに負けた…誇っていいよ」
持てる力を振り絞り、月装が破壊されるまで攻撃を行うことを選択する。
冷却時間を待たず、過負荷を解かずに銃撃を行う。

「――“World Is Mine”」
味方を巻き込まないよう…くるくると回りながら、両手の銃を乱射。
《モジュール損傷率50…60…70%》
――銃身が焼き切れるまで、魔翌力を出し惜しみせずに。
極彩色のネオンの光弾は、時雨を周回するよう跳弾し虹色の光の輪が形成される。

「アンコールは無しの方向で」
両手の銃の撃鉄を起こすようなポーズを取る。
合図と共に、虹色の輪は壁面へと一斉に放たれた。
四方八方…360°から夥しい量の極彩色の魔弾が一斉に襲い掛かる。
全て胴体目掛けての銃撃…全部を凌がせて時間を稼ぐのが目的だ。

「…おーわり…か…」
《100%…システムに深刻な障害が発生。》
両手の銃が赤く染まり、幾つもの亀裂が走る。持っていた《月装》が崩れ始めた。
611 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 22:47:57.86 ID:0MZF5kzS0
>>606
振り落した剣は本の束に突き刺さりそれをぶちまける。
更に追撃を試みよう相手の顔を見る。相手の視線に注目すれば攻撃の意図を多少は掴めることもある。
下から振り上げようと力を入れるも時雨の瞳に映る数字と有子の存在、そして久良岐への問いかけがそれを止める。

いやちょっと待て。どういう事だ。そもそも数を増やす力ではないのか?
そもそも数を増やせる能力だと仮定しよう。ならば攻撃を受けても細胞や血液を増やせば攻撃など意味が無いのでは?
そして相手の瞳の数字と消えかける有子。

「もしかして数の操作!?」

勝ち目がない。というか相手がこちらを[ピーーー]気ならこちらが部屋に入った瞬間に全員まとめて死んでたのでは?
膨れ上がる疑問と恐怖は思わず未来に叫ばせる。

「はぁぁぁぁぁあ!? チートでしょ! え、あなた一体なんなの!?」

《夜》に関する力が想像を絶するものというのは今にはじまったことではない。この推測が異なるならそれでいい。
だが、この状況で未来は動けずにいた。
612 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/18(土) 22:56:42.83 ID:i9WSNxl90
>>598 >>602 >>608

(―――っ、よかった……!)

特殊な形状の剣を持つ少女と様々な武器を操れるらしい修道女。
その双方の無事…強いては礼の言葉に、戦場にも関わらず安堵したような表情を浮かべる珠悸。
未だに二人の背後に立ち、部屋に反響する音をしらみ潰しに調べあげる。

「……うそ……」

範囲は部屋全体。屋内であるため音を取ることは可能。
ヘッドフォンからの微かな音を聞くべく、耳を澄ませ、気付いた。
上空…天井一帯に先程の杭や刃を構成していた影(…の粉?)の存在を確認。
目で見えていなかったのが盲点だったと歯噛みし、魔獣と相対する二人の姿を見やる。

「今度は上からッ!早くその子から離れないと――――きゃあっ!」

言葉の途中で無数の影針が降り注ぎ、それを避けるべく銃を上空に構え、撃つ。
ある程度は退けられるかもしれないが咄嗟の判断のこと。服等の所々に針によって傷が付けられ、思わず他折れ込んでしまう。
注意の言葉も途中で一部遮られてしまうが、言葉に出来た部分だけで状況を察することは可能であろう。
613 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/18(土) 23:00:41.94 ID:e6s6Mb9To
>>606

何らかの能力行使。有子に対しての干渉が行われたことは分かる。
だが視覚に頼る習慣の少ない久良岐に、その現象と瞳の数字を結びつけることはできなかった。数字の減少にすら気付いていないのだ。
状況を詳察し、自身を省察する。最小の行動で最大の結果を得る手段を模索するスタイルは相手と同じ。だが能力を除いた地の観察力ではこちらが下か。

「そいつは言った。そう簡単には死なない、とな」

簡素な応答で、女性の問いかけを切って捨てる。無関心と、ささやかな信頼。
もう少し有子のことを深く知っていれば。あるいはもう少しだけ有子を誤解して、思い出を重ねていたなら。
その言葉は『奪われたくない』という久良岐の根本衝動を刺激していたかもしれない。だが、今の距離感では、その言葉・揺さぶりは響かない。

久良岐は相手に向かって走り出す。地面とこすれ合った刀が、火花を散らした。

>>610 >>606
久良岐の行動は、銃にかかる熱量を奪っての援護に留まる。
彼の能力はエネルギーの奪取。エネルギーの分類し切れない、理解し得ない力までは、“理性の下では”奪えない。

銃撃が放たれる直前に、相手の目の前にこれまで奪った熱を集中させる。白衣を燃やした炎と、銃身の熱。室内の温度。
集中した熱は炎となって視界を揺るがす。ちょっとした嫌がらせだが、その場に留まれば燃え移ることもありうる。

>>610 >>611

「なるほど。複製よりは、そちらの方が筋が通るな」

「とりあえずあの目に能力が宿ってるようなら、視界を閉ざしてみる価値はあるだろう。片目閉じとけ。」

声は一度霧の中に吸い込まれて消え、未来と有子の耳元で囁くようにして再生される。
614 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 23:06:33.98 ID:lkIbkEQSo
>>613
「んー…コレを修理する為に、来たつもりなんですけど…
 完全にぶっ壊れてしまいましたね、どうしたものか」
理解していた、自分が消えることを。武器と共に消えることを。

「いや…最初からこのつもりだった。
 戦い続けた結果、いつ、《武器》を手放すかも考えていてね…
 これで、《武器》を持った魔物は生まれない」
持っていた《月装》は朽ち果て、濁ったの黄色のコアが露になる。

「長い長い悪夢の終わり。次に目覚めてもその手に銃は無くて」
両目を閉じ、終わりの時を待つ。
615 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/18(土) 23:12:01.39 ID:oTvlgxlt0
>>602 >>608 >>612

「……戻れっ、≪クロウ・クルワッハ≫!」

《夜》を喰らう太陽の神蛇の名を関する《月装》に、片手剣の姿へ戻るように命じる――が、動きが鈍い。
刀身にがっぷりと抱き付いた闇の塊が、軸線の伸縮を妨げているのだ。
ワイヤーソーのように闇の接触面を引き裂くことで辛うじて武器の破損は避けたが、このままでは次に間に合わない。
まさに、肉を斬らせて骨を断つ形――シャーロットの額に汗が浮き、瞳が焦りを映し出し始める。

やっとのことで闇の中から剣を抜いた時、珠悸が再び――今度は、銃声で警鐘を鳴らした。

「上っ? この部屋が全部相手のものだって言うの!? 書類も守らないといけないのに……」

彼女が無理をしてまで調べてくれた攻撃の予兆を、見過ごす訳にはいかない。
ごく僅かな猶予を使って思考を巡らせ――シャーロットはデスクの下に転がりこみ、身を隠すことに決めた。

地獄の雨宿りだ。こうしている間にも、デスクの表面は削られていく。
先ほどの攻撃の余波で足が削られているのもあって、いつ潰されてもおかしくない。
だが相手からはこちらも見えにくいはず。
だから――ビーチェが居ると思しき方向へ、蛇腹状に変形した《月装》が突然に振るわれるだろう。

「……頼んだわ、修道女さま!」

もし上手く脚に絡まれば――シャーロットはビーチェの足を釣りの要領で引っ張り、転ばせようと試みる。
成功すれば、攻撃への集中力を奪いながら、最大火力を叩き出せる仲間にとっての布石となるはずだ。
だが失敗すれば――閉所に追い込まれた¥態で、さらなる追撃を待つことになる。
言ってみれば、なかなか危険な賭けだった。
616 :虚空蔵谷 時雨 【0】 [sage]:2014/10/18(土) 23:14:58.28 ID:rD4tLLl0o
>>610>>611>>613
正面の銃女は馬鹿か、と苦虫を咬み殺した様な表情が時雨の顔面を覆った。凄まじい色彩に圧倒され数歩後退する
喧しい色彩の暴力は時雨の周囲へと纏わり、時雨自身を軸として円を描く。今では見ることも無い虹を見た
時雨はやはり月城を視界から離すことは無かった。能力云々でなく、月装使いであるのに、自らの武器を破壊してまで自分に立ち向かったことへの驚嘆
何故ここまで自分を追い詰めようとするのか、その一撃は私に使うべき一撃でなく、もっと他の場所で使うベキでは無いのか──

「……そうか、分かった。いいぞ、もう」


別な所で同じ様に驚嘆している人間がいた。時雨が月城の覚悟に対して驚いているように、日向は時雨の能力に興味を向けた
そうだ。日向の言う通り虚空蔵谷時雨の能力数量を使役する能力更に言えばこの能力は

「驚きであろう、なんだってこれは月装の能力なんだからな──」

そこで、初めて時雨は月城への視線を断ち、自分を囲う虹のリングへと視線を向けた。
月城の存在が希薄なものから確かなものへと戻りつつある。時雨の右目の数字も霧散して消えてしまった
時雨は、しかし前方へと踏み切った。あるのは弾丸。円を書く様にして自分を中心に放たれた弾丸をどう回避すればいいか
その存在自体、無くせばいい

久良伎の嫌がらせは実に素晴らしいものだった。目の表面が熱気によって水分を飛ばされ乾燥し、痛いと感じさせたのだ
しかし時雨は止まらない。正面の弾丸へと前方に両手を胸の前で交差させてそのまま駆け抜ける──それはちょうど久良伎の方向だ
視界の中に入った弾丸。時雨の右目に宿す紅い光が迸ると同時、120度分の弾丸を全て消し去った

「すかしたそこの男!聡明であることを祈る!!」

久良伎程の状況判断/処理能力があれば分かるだろう。時雨は次に久良伎を巻き込んでの前方への跳躍を行う
その跳躍を持ってして久良伎を巻き込み、地面に倒れこむ。そして二人の頭上を通過するのは──虹色の軌跡を伴った弾丸だ
もし久良伎が時雨を斬ろうものなら、時雨もそれを感じ取り、銃弾を受け入れるつもりで久良伎の刀を消すだろう
損得勘定だ。久良伎の価値観の秤は、どちらに傾くか
617 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/18(土) 23:17:00.74 ID:zV0lw9jgo
>>603
再度歯噛みする。当たらない。十二の杭は遮られた、着ようにも無数の手によって、だ。
然しそれをあろう事か、《月装》の光が根元から掻っ攫っていく―――――― あれで本当に《月装》かと、目を疑う。
歯噛みとはそう言う意味も含まれていた。思う様に当たらない、思う様にいかない、思う様に"食えない"……だと言うのに向こうは順調、か。
苛立ちは募る。
募るが――――――――― 何度もそうであるように、それに耽っている幸せな時間など今此処には有りはしないのだ。
いやそれどころか。正常な思考すらも、今、奪われかけている。

                         とくべつ  
「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ!!!同じにするなよ!私は、強者だ!!
 同じにするな!同じにするな!!同じにするな!!!同じにするなぁ!!!!」


熱しやすく冷めやすい、陽遥と言う人間の特徴であるが、それにしても余りにも激情へと至る過程が、短いのは。
一重に"一度見た"から。一度、間違いなくそれを"目の当たりにしたから"。
一重に"それをまるで隣人かの如く間近に見て"、それ故に、怒り狂う。ああなりたくないという強烈な感情が、そうさせる。
変質したその姿は、また分かり易く化物だ。形容するに難い化物―――――― それならば、まだ良かった。
右腕が西洋大剣の刀身の如く、刃渡り一メートル程の巨大な刃へと変形し、彼へと"突っ込もうと"した。

触手が、左腕へと噛み付いた。

落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。
落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。

怖く無い。ただ噛み付いているだけだ、これで死ぬような事は無い。

落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。
落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。


伸長していく思考の最果てへの道―――――― その空白の時間に文字通り食い付く激痛に、混乱を期した。
正に今。虚栄心を突き崩す"象徴"とも言えるべきその痛み。


「――――――――― 嫌だ」


無理矢理前へと身体を踏み出すと、右腕の一部が噛み千切られる―――――― アドレナリンと裏返ろうとする恐怖心が、足を止めさせない。
滅茶苦茶に剣を振り回して、触手を追い払わんとしながら……進撃する。
或いは、その《月装》や《焔装》の射線に入るか?或いは……魔獣の餌食となるか。だが、頭の中は其れ一つ、霧の中へと放り込まれ。
其処に存在する、"形ある自分への否定"へと向けて剣を振るわんと。
618 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/18(土) 23:17:17.78 ID:+XOzYB8G0
>>601>>605>>609
……攻撃して、こない?

【どうも、おひめさまだとか、そういう事に拘っている気がする】
【というより、構って欲しい、だとか……あまり頭はよくないエイルでも、少しは行動の方針がみえる】
【つまり、これが十分に相手の動きを捕えて狙えるのではないだろうか】

どうも、あたしを狙ってくる気配は今の所ないし、二人で隙を作ってくれれば、後はなんとかする。

【やっとこっちを向いてくれた青年と、近くのもう一人に声を投げる……できうる限り小さい声にしたが、聞こえないとは限らない】
【拾われていたらその限りではないが、改めて相手を視界に捉える】
【出来うる限り邪魔にならないように、一歩下がり、情勢を見る――まだ攻撃方法は見せていない、牽制にも使わない方がいいだろう】
619 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/18(土) 23:17:38.69 ID:+XOzYB8G0
>>601>>605>>609
……攻撃して、こない?

【どうも、おひめさまだとか、そういう事に拘っている気がする】
【というより、構って欲しい、だとか……あまり頭はよくないエイルでも、少しは行動の方針がみえる】
【つまり、これが十分に相手の動きを捕えて狙えるのではないだろうか】

どうも、あたしを狙ってくる気配は今の所ないし、二人で隙を作ってくれれば、後はなんとかする。

【やっとこっちを向いてくれた青年と、近くのもう一人に声を投げる……できうる限り小さい声にしたが、聞こえないとは限らない】
【拾われていたらその限りではないが、改めて相手を視界に捉える】
【出来うる限り邪魔にならないように、一歩下がり、情勢を見る――まだ攻撃方法は見せていない、牽制にも使わない方がいいだろう】
620 :アリシア・P・シノット【3】 ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/18(土) 23:18:43.40 ID:hFBf7qBe0
>>597

「よォし、いい態度だ! お前が稼いだ時間は十分かつ有効に利用させてもらう!
 ご褒美をやろう! 後で好きなモノを言えッ!」

 素直な同調を見せた真夢に彼女は左腕を掲げ、親指を上に立てた。
 ――握られた小銃の輝きは、既にはっきりと視認できるほどにまで強まっている。

>>603

 人間としての姿を捨て去り、完全に獣を形取ったヒトガタ――しかしその醜悪な姿を見ても、彼女は戦意を萎縮させることはなかった。
 続けて嘯かれたのは、冷徹な現実――しかしその残酷な事実を突き付けられても、彼女は言葉に詰まることはなかった。

「奇遇だな金太郎飴、私もその問題について昨日散々考え抜いた所さ。
 ――焔装使いは、何れ私たちの敵となる。そんなことは百も承知だ」

 青白く薄暗い彼女の顔に現れているのは、先程までの不機嫌さの混在した優越感と高揚感だけではない。
 形容するならば、それは諦観と開悟と罪の意識とを綯い交ぜにしたような、悩ましげに浮かんだ笑い。

「『それ』は抗えないことなのかもしれない。天才の私がいくら解決策を模索しても、何一つ納得の行く正解に辿り着かないのだからな。
 それでも私は私の才覚を信頼しているから、いずれ私は納得の行く正解を導き出してみせるだろう。
 だが、今の私にできることは一つしかあるまい」

 壁が砕ける、地が砕ける、天が砕ける。迫り来る脅威と狂気。だが、それらは今の彼女にとっては虚仮威しでしかない。

「今の私には誰も救えない。だからせめて、今の私の敵ならば――どいつもこいつも、安らか且つ可及的速やかに眠れ」

 彼女は駆け出す。銀色の牙を抱えて、真っ直ぐに魔獣へと肉薄せんとする。
 真夢が囮となり彼女の突撃を支援したのならば、彼女はほとんど無傷で憐れなヒトガタの元へと辿り着けるだろうか?
 しかし仮にそうでなくても、全身に咬傷を刻まれることすら彼女は厭わない――彼女を止めるには、その躰を砕き魂を吹き消し骨を拾う者さえ喰らい尽くす必要があった。
621 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/18(土) 23:27:02.82 ID:0MZF5kzS0
>>616
未来は他の三人の攻防を無視する形でその場で立ち止まる。

相手の力が《月装》というのは今持ち得る情報ではあり得ないはず。
少なくとも《月装》は長所によって形作られた武装。数を操作する長所なんて想像できない。
その上どう見てもその力は《焔装》の力を越えているようにみえる。
実際に久良岐とこの女が一体一で戦った場合、久良岐には悪いが彼が勝つところが想像出来ないのだ。

「ちょと、まって! まだ知りたいことが!」

思わず呆気にとられていたが時雨の跳躍に彼女が逃亡するのではないかと思い、届かないにも関わらず左手を伸ばす形で静止を促した。
622 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/18(土) 23:27:07.53 ID:lkIbkEQSo
>>616
「貴女に…敬意を表したまで。私は賭け金を全て失った。
 どうやら賭けは大失敗に終ったみたいです…」
その場で力なく座り込み、朽ち果てた武器のコアを拾って右手で握り締める。

「…ああ、もう一つ《武器》があったなら。
 なんてね…あれで全部です、もう私は…何も残っていない」
儚げな表情を浮かべ、左手で《携帯電話》を展開し…日時を確認する。

「…リタイアかな。さすがにこれでは…」
有子の瞳からは光が失われていた。
戦う為の武器を蔑ろにし、自分の手で破壊した。
死に際に武器を残したくないという意志が、彼女を凶行に走らせたのだろう。
623 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/18(土) 23:29:00.68 ID:gQnTPsqQ0
>>605>>609>>618
「なにッ!?」

まばゆく光る腕ごと切り裂いてやろうと振るった大剣
だが、信じられない頑丈さを持つこの魔獣は魔獣すら斬りさくことができるこの剣にいくら力を込めても斬れなかった
能力のせいか、はたまた元々とんでもなく体が硬いのか―――もし体が硬い方ならかなりまずい
なぜなら、どこを斬るにせよ切り札を使わなければならないのだから

「―――デジャビュ、ってやつか?」

ちょうどこの間の魔獣との戦いでも似たような攻撃をされた
故に、直ぐに気づいて後ろに跳び、ダメージを最小限に抑えることができた
最も、避けきれなかったので怪我のせいか、ズキリ、とした痛みが続くが

「グッ……まだまだ!」

今回は魔獣を両断しようと剣を横に凪ぐ
斬れないのなら―――切り札を使う用意をしておいた方がいいかもしれない
と、意識を集中させながら
624 :アンナ【2】 ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/18(土) 23:31:51.41 ID:e+yKB/sOo
>>608>>612

【先程まで何処か間延びしたようなビーチェの雰囲気が、何処か変わった気がした。憎むような、苛立つような何か】
【その証拠に、肩を裂いた蛇腹剣を闇で掴み、腹を斬った刀を同じように受け止めた彼女の感情は爆発していた】
【それが歳相応の可愛らしいものであったならば、どれだけ良かったことだろう。彼女が元来の魔獣であっても、元人間であっても】
【―――アンナは、哀れみを抱かずにはいられなかった】

「―――ッ! 大丈夫ですか……ッ!」

【その時に響く、ヘッドフォンの少女の声。その声は途中でかき消されるが、何が起こるのか、そしてなぜ声が途切れたのか予想するのは容易だった】
【刀に絡みついた闇を、刀を一旦消滅させることで振り解く。そして上から降り注ぐであろう"何か"に身を委ねてしまう前に、アンナの右腕は姿を変えた】
【それは、いうなれば巨大な猛獣の手、だろうか。熊か何かの手が、霧によって再現されている形だ。勿論その爪は、総てを切り裂く切断の刃】
【それを思い切り上へと振りかぶるアンナ。するとどうだろう、その爪は"空間"を切り裂き、アンナの上に出現した濃紫色の異次元が降る針を受け止めていく】
【異次元の範囲外から肩や腕に少なからず針が刺さり、そしてその異次元も段々と閉じようとしているのだが、アンナの爪はその動きを止めない】

「―――感謝します、お二人共―――――ハァッ!!!」

【蛇腹剣がビーチェへと振られるのを確認し、自分の補助をしてくれたことに――勿論、ヘッドフォンの彼女にも――感謝して】
【爪を振りかぶった勢いそのままに、爪をビーチェに向けて振り下ろす。回避された時のことは考えない。ただ、それが当たれば深々と斬られる結果が残るのみ】
625 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/18(土) 23:42:42.15 ID:e6s6Mb9To
>>616 >>621 >>622

「悪いな。俺は馬鹿なんだ。よく言うだろう? 恋は人を馬鹿にするって」

重心の移動。脚部の力み、地を掴む足元。相手がこちらに向かって突っ込んでくることを把握した上で、久良岐は刀を振った。
走っていた足を止め、ひときわ強く地を穿つ。強く握られた刀は虚空を裂き、音速を越えた剣先からは風鳴きが響き巡る。
だが、早い。その剣筋ではなく、振るうタイミング自体がワンテンポ早い。刀が女の前髪を掠めた後、その握りが緩む。


「やはり、俺は重ねているんだろうか――。だが、その輝きが奪われるのは見たくない」

手の内から柄が抜けていく。横薙ぎは目前の女を傷つけることなく飛んでいき、中空――有子の目の前で運動力を奪われて止まる。
刀身には彼の操る霧が宿り、元々あった美しい刃紋も確認できないほどの漆黒に染まっている。つまり、《武器》だ。


先に柄を離れた左手を伸ばして、相手の赤い右目を覆う。右手で相手の服を掴み、自ら地面に倒れ込む形で相手を抑え込みにかかる。
626 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/18(土) 23:42:49.43 ID:p1Jy0XHuO
>>603>>620
裂く。ごとりと、一体の獣の頭部が落ちる。
アリシアの前方に立ち、一分間だけ彼女の盾として働くのだ。大丈夫、この体、保たせてみせる。

「…………言ってるだろ、喰われるわけにはいかないって」

あくまでも捕食者としての態度を崩さない魔獣。まだまだ、余裕といったところか。
だがそれでも諦めて捕食されるつもりなど毛頭ない。《夜》を殺すまで、死ぬわけにはいかない。
人間性を秘めた顔など、偽り。魔獣など唯の獣でしかない。全て、ウソまみれ。

「それでも、僕は人間に戻った魔獣を見ている」

焔装使いの末路は分かっている。だが、例外として人間に戻った魔獣だって見た。
このまま力を振るい続ける事に抵抗はない。例え魔獣に墜ちようとも、この憎しみだけは忘れないだろう。

そうして、魔獣はいよいよ化け物としての本領を見せる。
獅子の顔、馬の足に腕が左右二本ずつで、さらに無数の牙が見える。爪は獣のもので、手の先には人の口。
神話に存在していた動物にも当てはまらない、極めて歪かつ醜悪なデザイン。見ていて鳥肌が立つ程に。

床が、壁が、天井が、砕ける。無数の触手が、全方向より迫り来る。
そして――――――アリシアは、駆ける。

「…………ご褒美、期待してるぜ!」

ほぼ同時に、崩月も駆けた。彼女の盾となり、活路を開くため。
剣を振るう。能力の効果を付与した其れは、虚空より黒の斬撃が飛び、前方の邪魔な触手を切り落とさんとするだろう。
そして、同時に側面による触手の攻撃をその身に受けんとしている。アリシアの攻撃が成功するまでの囮として。
アリシアは、決められるのか――――?
627 :ライト・チルチック ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/18(土) 23:43:49.01 ID:qG8W88m+o
>>609>>618>>623

「はぁ…じゃあ今からライトちゃんのワンマンショー」

攻撃が一気に減ったのは彼女にとっては好機
いつまでも受け身を取りっぱなしではこちらも恰好がつかない

「シンデレラの魔法…もうすぐ解けちゃうし……」

光っていた腕は元の腕に戻り、よくよく見ると血が出ている
ダメージが通ってないと言う事ではないそうだ


「魔法の呪文はビビデバビデ――――」

少女の周りに出てくる大小無数の光の魔弾
それは大きさに伴わず、どれもこれもが超高温で

「どっかーん!!」

この魔弾は着弾と同時に炸裂する
そう…意外とタチの悪い攻撃である

「もう!ちゃんと順序を考えて!そんな急にしたら怪我しちゃうでしょっ!」

横に凪がれた剣をヒョイと避けたつもりだったけれど、攻撃途中で動きが鈍る
なんとか両断はされなかったけど、腹部は浅くサックリ切れてしまい――――
628 :Dr.P【ヘルパー03】 ◆Dr.P1q/46w [sage saga]:2014/10/18(土) 23:49:41.71 ID:23Cf/avDo
>>617>>620>>626
『ッハハハ――――――肉ッ。ああ――旨い、美味いなァ……!!
ずっとそウダ!! 人の頃カラ!! 僕は!! 餓えて餓えて餓えて餓えテいタかラ!!!
焔装も月装も魔獣も《夜》も!! ――僕が食べてヤル……!! それが、それだけが僕のノゾミだ……!!』

陽遥の肉を、喰らう。同種の力を持つ相手の味は、魔獣にとって余りにも甘美。
そして、高揚した意識が、珍しく人の頃の己について語らせた。餓え。何をシても満たされないその飢餓感が、そもそもの根源。
人の身に過ぎた食欲を持っていたからこそ、彼は容易く人を飛び越え、魔獣の中でも特に逸れた存在となったのだろう。
眼前にせまる銀の刃。それに対して己の右腕の内一本を振りかぶり、振りぬく。その過程で腕部の牙が更に増え、刃をがっちりと噛み締め、つばぜり合いを演ずることとなる。

『抗えなかったヨ。僕は抗えなかッタ。ダケド、それでイイ。
僕は獣でイイ。――それで、僕の餓えが満たサレるってイウなら。それガ。それがきっと、僕の結論デ。人生ダ。人じャナいけド』

獣の腹部から、メガネを掛けた痩せぎすの青年の顔がぼこりと生える。
淀んだ瞳、痩けた頬。あの少年が大人になればそうなるだろうと予測できる顔。それが、静かに笑みを浮かべる。
アリシアに対して、己の僅かな人間性を持ってして、相手の信念に言葉を返したかったのだろう。そして、その人の顔は肉塊の一部へとまたズルリと消えていく。

『思い上がるな人間……。僕を救うのは僕ダケだ。誰もが誰もを救えない。できるのは――足を掬う事くライだヨ』

アリシアの肉を喰らい、その味を堪能しつつもその進撃を静かに見据え。
身体をぶるりと震わせると、地面を這いずるように触手達が動きを変える。一歩進む毎に、足に触手がまとわり付くのだ。
そして、触手の接触面には即座に口が生まれて、相手の足の肉を食いちぎろうとする。それは、アリシアに対してだけではない。
足元の全てが、壁の全てが。もはやこの部屋の全てがDoctor-Pの胎内と言えるこの状況だ。

しかし、アリシアに殺到する触手の群れは黒の斬撃により大半を吹き飛ばされる。
そして、同時に一瞬Doctor-Pは身じろぎをする。全く効いていないわけでは、無い。
だが、切り裂かれた分の補充とばかりに、Doctor-Pは崩月の肉を遠慮無く喰らい尽くしていく。

右腕で陽遥の斬撃を受け止めた魔獣は、もう一つの右腕の先端に無数の牙を密集させる。牙だらけの生体ナックルダスターで、相手の頭を叩き潰そうと拳を振るう。
そして、同時に左腕二本がアリシアに向けられた。左腕から生えた牙の群れが一瞬ずぶりと体内に収納され、直後。
筋肉の駆動によって弾丸としてそれらの牙が射出される。相手の肉を貫かんとするその爪牙の徹甲弾の群れ。そのどれもが、決して人には成せない攻撃群。

ここにきて漸く本気。だがしかし、本気を出さなければならない¥況に追い込まれているとも言える。
なんとかここから必殺を押しこむことができれば――細い勝利への道筋を辿っていけば。夜明けに一歩近づく事ができるだろう。
629 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/18(土) 23:54:57.54 ID:rD4tLLl0o
>>621>>622>>625
時雨は久良伎の懐へと跳躍を行う直前、日向が自分の事を留めようとしたことに気付き、刹那ほくそ笑んだ
物事には意味がある。時雨は人間側なのだ、敵ではなくて味方。それを加味した上での行動であるならば、時雨を[ピーーー]ことは得策でないと知る
それ以上に、自らの強化された月装を試してみたかったこともある。予行演習だ、相手が人間ならば助けられる可能性も無きにしも非ずだ
だが、久良伎の表情は、それを知った上でも何処か──冷たかった
時雨の鼻先。動体視力云々でなく、瞬きすればそこにあったのだ。殺される、そう思った

「……馬鹿でよかった……!」

しかし首を落とされること無く、過去の彼の恋情に助けられたのか、時雨は男の抱擁を受けながらその場に倒れこむ
本当に馬鹿で良かった、と先刻の事が脳裏に過った。切っ先が目の前にあった、という事実が急に恐怖へと変わり、涙が込み上げてくる
抱き締められると急に何処か暖かみを感じられて、それで何かが吹っ切れて、今迄人と関わりなんて無かったものだから、と時雨は久良伎に胸を押し当てる

「うぐぅうう……!こわがっだあああああああああ!!死ぬかと思ったんだけどぉおおおお……!」

そこにいたのはすかした研究員で無くて──子供の様に泣きじゃくる馬鹿の姿が一つ、あった
暫くして泣き終えると、月城を一瞥して、こう言うだろう

「あ、おい!月装を……!お前……」
630 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 ◆kiky93gBBM [sagesaga]:2014/10/18(土) 23:58:26.22 ID:S8g+ka/3o
>>612>>615>>624

ビーチェの異能の出力は感情の昂ぶりに左右される。そして幼く純粋であるがゆえに、其の火力は人間の範疇を大きく上回る。
今、ビーチェの中には数多もの感情が燃え盛っていた。憎しみ、苛立ち、怒り――――そして、嫉妬と羨望。
私より綺麗な物は許さない。私より強い物は許さない。私より輝く物は許さない。
魔獣になって綺麗に着飾って、こんなにも私は強くなった筈なのに。

「――――――――書類ぃ?」

蛇腹剣を持つ少女が零した言葉を聞き取る。書類、其れはおそらくこの部屋に散らばる諸々が彼女達の目当てなのだろう。
其れがどれほどの価値なのかは分からない。けれど自分にはどうでもいいもので、相手が其れを欲している。
自分より強くて輝いている彼女達が欲している――それなら、奪い取ってやろう。

「あはぁ♪ それが欲しいんですぅ? なら――――――――」

この部屋にある物、一つ残らず喰らい尽くしてやる。総てが劣化し形を失い、最後に残るのは私だけ。
それでいい。そうすれば私だけが輝ける。あなた達は醜く苦しみながら死んでいけばいい。
その時、ビーチェの意識が彼女達から書類へと逸れた――――そして、蛇腹剣が迫る。

「なっ――――――――」

生成した闇が部屋の書類やデスクを飲み込もうとした其の瞬間、蛇腹剣が足に引っかかりバランスが崩れる。
転びはしなかった。立て直せると思った。しかし次いで仕掛けてくるは修道服を纏った焔装使い――――焔装と魔獣の力は、上下関係に非ず。
もし相手が月装だったならば、なんとでもなったかもしれない。だが相手は焔装使いであり、状態が崩れた今ビーチェに彼女の攻撃を防ぐだけの力はなく。
修道女の爪は、ビーチェの左腕を容易に斬り落とした――鮮血、そして漏れだす嗚咽。

「あ、あぁ……あぁぁああぁぁぁああぁぁ」

魔獣は人間ではない。腕を斬り落とされても、其れが原因で死にはしないだろう。
だが彼女にとってそんなことは問題ではなかった。激痛。思考に靄がかかり、そして怒りが頭の中を赤色に染め上げ始めた。
綺麗な私の腕が。可愛い服が。地面に、落ちている――――こいつらは、私を汚した。

「………………死ね。死にやがれ、ですぅ」
「あぁ、違うですねぇ――――――――殺してやる、ですぅっ!!!!!」

ビーチェの異能の出力は感情に左右される。ならば平静をある程度保っていた其れが、爆発しまったとしたら。
許さない。許せる訳がない。貶められた。私は綺麗に輝きたいだけなのに――――人間達は、それすら邪魔をするというの。
ならば殺す。全員腐らせ朽ちさせ醜態を晒させながら、塵も残さず殺し尽くしてやる。
私以外は崩れてしまえばいい、そうすれば私が輝けるのだから――――まずは、視界に写っている修道女だ。
策も何もない。ただ純粋に押し固めた巨大な闇が、修道女に殴りかかろうと押し迫る。
速度は見切れぬ程ではないが速く、大きいため直撃してしまえばダメージは小さくないだろう。
だが吹き飛ばすことだけを考えた一撃のため、当たったところで腐食や風化といった効果は大きく現れない筈だ。
修道女の能力を持ってすれば、あらゆる対処が可能だろう。
631 :相沢 雅樹 ◆AIZAWA.S9s [saga]:2014/10/18(土) 23:59:29.94 ID:CMxLzQSP0
>>609>>618>>623 >>627
風の噂で、彼女がこの場所へと足を運んだという話を聞いた。同時に、月装についての何かが分かるかもしれないという話と並行して。
行けば恐らく戦闘となるだろう。今の今ままで何一つとして分かっていない情報がこうも簡単に開示されるわけがない。罠、若しくはそれに類する何か。
彼は人に対しての信頼を持たない、故に全ての事に対して懐疑的であるからして。今回の潜入についても『何かある』と言うのは薄々感付いてはいた。
だが、それでもあえて彼は扉の向こうへと歩を進めるのだという。自死か? 自壊か? それとも恋慕か? 重なる疑問に「死体漁りだ」と理由を付けて――――

――――

彼が足を踏み入れた時には、すでに戦いが始まっていた。自らのジャケットに仕込まれた能力隠蔽論≠起動させ、周囲に自らの魔力を属性変換し大気と変わらぬ密度となったソレを結界の様にして纏う。
誰にも触れられたくない。誰にも見られたくない。そんな思いが月装に宿る能力を開花させ、自らの視認及び確認を妨害する空間の鎧と為す。いわゆる一種のステルス迷彩。
能力は先ほどまで稼働させていないために残りの燃料は心配しなくていい。姿を見られること自体が彼にとってはマイナスなので――彼は最弱である故、姿を見られる=死に直結するからだ――短期決戦を想定して出力を上昇させてある。
無論、長期的な戦いとなれば先ず不利になることは間違いがないが、今現在把握している人数でこの場にいる人型は四人。そして三対一の構図となっている彼女が罠≠ネのだろう。三人の方に彼女がいることからもそれは容易に想像がついた。

「――――しま――――ッッ!!?」

――――現状把握を一通り終え、自らが身を隠せる場所を探している刹那、爆発音と大気熱が自らの空間に一瞬だが亀裂を空ける。
即座に結界を修復して再度隠蔽論≠稼働させてはいるが、恐らく今の一瞬において誰かにバレてしまったのは明白。彼の思考としてはばれてしまった¢O提で話を進める気らしい。
自らが持てうる限りで先ほどまでいた場所より移動し、その位置に攻撃が叩き込まれていても死なない程度の位置―――五メートルは優に離れただろうか。偶然だが、後方に位置するエイルの間際に足をとどめた。


この状況での彼の立ち位置は危うい。初めに来たのに顔を出しもせず、味方をすることも無く――奇襲業何なりと方法はあった――ただただその場所で戦況を確認する。
動き出すにはまだ早いと臆病者の勘がそう踏んでいるのだろうが、他者がそれをどう思うか。想像には難くない。


――――誰にも姿が見えていなければいいが。
それは、聞かれるまでも無い独り言。

//しょっぱなから何もしてませんがよろしくです!
632 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 00:02:55.13 ID:YR63wuwzo
斬撃が受け止められる―――――― 駄目だ、振り抜けない。
振るわれる、牙を連ねた悍ましい武器、このまま直撃すれば、その頭を余りにも造作なく、吹き飛ばすことが出来るだろう。
だがこの窮地において。この存分に追い込まれた精神において、陽遥は、異様なまでに、目の前の出来事に対して冷静に対処できた。
それに対して、左腕を利用して防ぐ―――――― その一撃は、左腕を砕き、牙が突き刺さり、筋肉組織をグズグズにして顔面へと血が飛び散った。

「その役目は"私"の物だ―――――――――」

喰らうのは。自分の役目であり。目の前の"元人間"は、ただ失敗しただけだ。
焔装も月装も魔獣も《夜》も喰ってやるのは自分であり―――――― 自分は特別で、もっともっと、上手く出来る筈だ。
唯の"獣"に、理性無き"獣"には大それた目標だと、心の内で唾を吐きかけてやるような、不思議な余裕すらも産まれてきた。
その理由は―――――― "より近くへと歩み寄ったからか"。


「お前にはそれは出来ない、私になら―――――― 出来るんだ!!」


その至近距離において、その一撃へのカウンターとばかりに右腕を突き出した、直後、変形する右腕。
形状は牙をズラリと並べたアギト―――――― 無論喰らいかかる目標は彼、ただ一人。
633 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/19(日) 00:08:05.57 ID:mLfstRKR0
>>629
「あの、これで終わりでいいんです……ね?」

泣きじゃくる時雨に近寄り、そう声を掛ける。
目的が情報を引っ張り出すのが目的なら彼女を[ピーーー]必要は無い。
というかそもそも[ピーーー]気なら跳躍、着地からの一撃を頭目掛けて振るっていた。
最悪、相手の手足をばらすまで続ける必要があるかと思っていただけにこの終わり方はなかなかラッキーだ。

「タキシードさん、ありがとうね。あなたの力は本当に助かった」
「あと有子ちゃん。いや、ホント何やってんの……」

崩壊した《月装》に視線をやると、苦い表情を見せた。
634 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/19(日) 00:09:24.00 ID:Ny+JRK+3o
>>629
(許さない…私の武器を奪った奴がこんなんか…やりきれないな。
 どうにか出来る切り札が、手元に転がって来ませんかね)
儚げな表情を浮かべたまま、携帯のディスプレイと向き合っていた。
携帯を弄くっていたら、変なアプリが画面が追加されている事に気付く。

「残念ながら、最後の切り札が残っていたみたい」
起動画面に移り、携帯に暗証番号を入れる。0000…まだ変えてないのか。
新たな《月装》。いままで眠っていた《武器》の一つが今頃になって動き出す。

「――ねぇ、一発殴らせてよ」
――0.01秒の呆気ない変身バンク。
髪色は白色に染まり…瞳の色は金色へと変貌する。
黒/黄の道化服に身を纏った有子が、立ち上がり時雨を見据えた。
右手のグーに金色の淡い光が灯る。

>>633
崩壊した武器を置いたまま“変身”した。…突拍子も無く。
635 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 00:12:01.07 ID:YR63wuwzo
/>>632>>628宛です、ごめんなさい!
636 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/19(日) 00:18:07.94 ID:4GNORGaH0
>>609>>618>>627>>631
斬りかかった瞬間に辺りに打ち出された光弾
それが右肩に掠り、火傷を負う
思わず剣を手放しかけるがそれでも攻撃を続行する

「ハァッ!」

左腕からは、少し血が流れていた―――つまり、斬れないわけではない
ならば次こそは、と振るった剣は浅く腹部を切るだけに留まる
恐らく、切り札を使った上で斬りかかっていても両断は難しかっただろう
だが、それでもいい―――魔獣を倒すのは、自分の役目ではない
あくまで隙をつくるのが自分の役目だ―――故に、切れないと分かった瞬間剣を持ち直し剣の腹を横に向ける

「攻撃の準備をしておいてくれ!」

後ろに待機している女に叫びながら剣に特殊なエネルギーを集め、爆発的に攻撃力が高まる
剣を少し後ろに引くと、魔獣を吹き飛ばさんと剣の腹で横凪ぎに殴りかかった―――


/確定ぎみになりましたが、大丈夫でしょうか?
637 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/19(日) 00:20:13.86 ID:702442Dy0
>>615 >>624 >>630

「う…っく、ッッ―――っ…」

破れた袖が、其処から滲む傷跡が、珠悸の思考を一瞬混濁させる。
修道女の女性の声になんとか片手を手を上げることで応えてみせたが、先程威力緩和を試みたとはいえ浅くはない傷の容態である。
手近にあった…先程影の刃で脚を切られた椅子を支えに、どうにか立ち上がる。幸いにも拳銃は所々劣化の箇所が見られるものの、まだなんとか使えそうだ。

「……っ!!」

突如、辺りに響いた魔獣の少女が放つ絶叫にハッとそちらへと視線を向ける。
当初遭遇した際の態度とは打って変わり、その悲鳴には悲痛な面持ちさえした。
思わず目を剃らそうとして…寸出のところでその欲求を抑える。彼女は魔獣であり……人間ではない。
もう戻れない。……人間ではない。

「――――お二人共っ!…今すぐ目と耳を塞いでてくださ―――…いっ!!」

爛れたベルトから球体の“それ”を外せば、迷いなくピンを抜く。全力の力を込めて投擲する先は……修道女と魔獣が居る場所。
敵の行動を妨害せんと投げられたのは―――スタングレネード(閃光弾)。
人間の目と聴力を麻痺させる兵器が効くかは分からないが、いちかばちかだ。
スタングレネードはそのまま弧を描き、的が何らかの理由で外れたとしても何処かに落ちた瞬間、激しい閃光を放つだろう。
638 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/19(日) 00:20:49.47 ID:lRUCPkXdo
>>629 >>633 >>634

「おま……ふざけんな。離れろ! こんなとこ“あの子”に見られたらどうする。死ね!」

その柔らかさに、少しでも懐かしさを感じてしまった自身が恥ずかしい。
先の無い世界では、退廃に逃げる女もいた。その実用性を無視した目立つ服装から、同類と思われて迫られることもあった。
そういった異性との接触を意図的に避け続けてきたからこそ、女の肌の弾むさま、女の髪が香るさまから連想するものはどうしても1つに絞られる。

「クソッ。やっぱり俺は馬鹿か。こんな女に、あの子を重ねて……ッ! 再会したら俺も一発はたいてもらわなくては……」

泣きながら身体を預けてくる女から離れようともがくも、床に散らばった紙に滑って立ち上がり損ねる。相当動揺しているようだ。

「俺の手で殺しておくべきだった……!」

襲い掛かってきたが一転して泣きついてきたという状況は、その言葉を冗談だと思わせるに十分なものだったろう。
だが、半分以上は本心から出た言葉だ。研究が進めば、人々の関心はそちらに向かう。外界探索の優先度が落ちるかもしれない。
一番の成果となりうる存在が目の前にいたなら、首を刎ねておくべきだったろうかと、本気で自省している。

「感謝はいい。俺を見るな。このことは誰にも言うな! もしあの子に伝わったら、許さんからな」
639 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/19(日) 00:23:47.14 ID:702442Dy0
/>>637の一番最後の行に続けて、「但し先程の衝撃もあるため不発になるという線も考える。また落ちる前に本体ごと壊されてしまったのならどうもこうもないだろう。」を追加でオナシャス。跡からすみません。
640 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/19(日) 00:25:55.50 ID:o9d5+hIWO
>>628

「残念ながらお前の利己的な自尊心で構成された破れかぶれのプライドに興味などない。
 思い上がっているのはお前の方だ――人間、舐めんなよ」

 左足に歯が立てられる。それに何の興味も示さない彼女は、脛の一部を食い千切られる――それでも、止まらない。
 そんな彼女の前に一瞬だけ現れる、魔獣のかつての姿。彼女はそれを一瞥した後、最後の長台詞を応酬としてくれてやった。
 全力で彼女に纏わり付こうとした触手の群れは、しかし真夢の援護によってその役割を果たさずに飛散する。
 小銃の先端に輝く蒼白い燐光は、既に彼女の体を仄青く染めるほどとなっていた。
 現在、出力100000000%。ものの一撃で都市区画を吹き飛ばしかねない、一撃必殺の圧倒的火力。彼女は、それを殆どゼロ距離で行使しようとしていた。
 ――だが。魔獣がその左腕を蠢かせるのを見れば、彼女は魔獣の狙いを悟り――そして、足を止めた。

「――――いい度胸だぜ、ッ……!」

 彼女はそう呟けば、両腕で小銃を構えた。照星は真っ直ぐに魔獣へと向けられる――狙うは、その胴体。
 ぐ、と魔獣の左腕筋が圧縮される――しし、それに対する回避行動を、彼女は取らない。
 その代わりとして、彼女はトリガーに指をかける――震えは、ない。

「グッドナイッ、スイートハァァァァァァァアー……ツッ!!」

 ――銀と蒼に輝く銃口から一瞬だけ蒼白いチェレンコフ光が放たれ、そして次の刹那には閃光の辿った空間を白く輝く一条が駆け抜けていった。
 亜光速まで加速された荷電重金属粒子――それは大気中のあらゆる物質を原子核ごと粉砕しながら、チャンバー内で受けた臨界寸前の凝縮から解き放たれ、銃口の何十倍もの半径を描いた可視光線として射出される。
 全力の格闘戦を挑んだ陽遥への被害を避けるため、僅かに正中線は逃したが――それでも、射出された牙弾を掻き消してなお余りある威力をもって、魔獣に向かう。
641 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 00:31:21.68 ID:yxm5vkCSo
>>633>>634>>638
久良伎のタキシードの上で「うぐぇ……ぶしゅんっ!」などと涎と鼻水混じりのクシャミをし、日向の方へと顔を向ける
オッドアイには変わりないが、彼女の目の周りは真っ赤に腫れて、つり目がちだった双眸にも威圧感など無く
どうしたものか、時雨は日向の言葉に二度三度頷いて後、今回の研究所の件についての説明をした

「もう戦う気無いですよー……そろそろ《暁月》の効力も無くなりますし……いてっ」

紅い光が例の如く迸ったかと思えば、右の眼球からは色が失われ、徐々に左目と同じ黒色に変化して行った
時雨の口から暁月と言う言葉が漏れた。それはおそらく、日向達が求めているであろうそれだ

「ちょ、ちょっとまって下さいよ〜私身体弱いんですぅ〜確かにちょっと調子乗ってちょっと八つ裂きっていうか存在自体消しちゃおうかなんて思ってましたけど〜」

殴ってくれても構わない。時雨は久良伎の胸の上で顔面を擦り付けながら月城に許しを乞う

「あっ……ま、まあちょっと、落ち着きましょう!?ね!?」

割とマジな雰囲気に気づいたのか本気で謝っている様だが体制は以前そのまま

「えー良いじゃ無いですくぅあー暫くこのままでいましょうよぉ〜ぐぇへへへ」

久良伎の拒否も虚しく……時雨は一旦甘え出すと止まらないようだ
兎にも角にも、だ。【0】の部屋は一旦の終着。そろそろ夜も深まる頃だ、自警団なども引き連れての事件だった筈なので小学校が心配だ

「そろそろ貴方達も帰らないとやばいですねー……他の部屋が心配ですが……まあ私にも手が負えない様な奴らばっかですしなにも出来ませんので
今日の所は一旦帰りましょう。探索は後日と言うことで、私もここに来て長くはないんです、調べたいことは山ほどありまして……
あ、そうだ。何か質問とかあれば、知っている範疇で教えちゃいますよ」

642 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/19(日) 00:34:00.02 ID:5z4J2bf+0
>>618>>627>>631>>636
「了解した、貴公」

【後ろの少女に向けて威勢良く返答し、魔獣の方を向けば……そこには驚くべき光景が展開されていた】
【無数の光弾。それらはどれも恐るべき熱を持っているとわかる程に凄まじい】
【彼はそれを一目見るや、目の前の魔獣への認識を改める。━━━兵士としての力量は無きにしも、物量でとにかく「押す」……見た目に反したパワータイプであると】
【その威圧感に思わず気圧されそうになる。一歩下がりかけるが、その足は再び魔獣へと向けられた】

【その所以は、「戦っている者がいるから」。それはあまりにも単純で、しかしとても重要なことであった。】
【目の前の青年は恐れを成さずに、果敢にも魔獣を斬り伏せようとする。ここで彼は自らのあるべき姿を思い出した。……何よりも彼は、他人が頑張っているのを、指を咥えて見ているような性質でもなかった】

【後ろの少女の声が、目の前の果敢な少年が、自分に勇気を与えてくれる。何よりも深い一体感が、彼を包んでいた。平和を願う者達の、抵抗の叫びが聞こえるようだった】
【飛来する熱の光弾。周囲で炸裂する熱が、彼を掠める。しかし何ら動じる事はない。彼の目には一つの信念、魔獣を滅する事のみが輝いていた。
【剣を握り直す。剣の刀身にはいつの間にか、エメラルドグリーンの光が纏われていた。彼の目にはもはや、迷いはなかった】

「ぬぅううううう……ッ!」

【両手剣を大きく振りかぶり、エメラルドの光が一層強くなる。そしてその斬撃は「光の波」となって、魔獣の体勢をその衝撃力でもって崩さんと飛翔する!】

【その隙に、熱の光弾が何発か、彼の身体を掠めていった。熱さに顔を歪めながらも、彼は剣を離しはしなかった】

「今だ貴公ッ!やれぇええええっ!!」

【魔獣を睨んだまま、後ろの少女に向けて、叫ぶような指示を送った】

643 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/19(日) 00:36:18.00 ID:1p+6nqTBO
>>640>>628
「ぐっ、ぐうぅぅぅぅぅぅ…………」

身が喰われていく。肩が、腕が、足が、全身が触手に纏わりつかれて貪られていくのが分かる。
だが、そろそろ頃合いか―――――――?アリシアの攻撃が敢行される頃、ならば退避しなければ。
激痛に負けずに、もう一度剣を薙ぐ。黒の斬撃が、退路を切り拓かんと放たれる。

退路が拓かれれば、飛び込むようにしてそこに逃げ込むだろう。全身が血まみれの状態となって。
そうすれば、後は見届けるだけだ。アリシアの一撃を。必殺の一撃が魔獣に叩き込まれるのを。

「いっけええええええええええええ!!!」

思わず叫んだ。
これで、決まるのだろうか。
644 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/19(日) 00:39:41.52 ID:Ny+JRK+3o
>>638 >>641
「よし、コレなら奴をボコボコに出来る…わわわっ…ぐはぁっ!!」
許しを請う必要はなかった。
日頃の行いからして、《今の身体》は有子の頭では制御不能だ。
ハイヒールは教室の床を抉り、有子は弾丸のように打ち出される。
壁面に人型の窪みを作り、仰向けに倒れた。
…見た目が道化でやってることも道化だ。

(タイミング悪すぎやしません…か…ね…)
右手のグーから光が消え、変身が解ける。
携帯とコアを握った有子が仰向けで沈黙していた。
とても話を出来る状態ではない。
645 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/19(日) 00:42:02.30 ID:8JIlvM9S0
>>630 >>624 >>637

連撃は、絵に描いたように綺麗に決まった。
耳を劈くような悲鳴と飛び散る鮮血の只中で、シャーロットはデスクの下からまろび出る。
こちらの狙いをばらした所まで、計算の内。僅かでも注意を逸らさないと、《月装》使いの刃は届かない。

敵は身体能力はなく異能で圧倒するタイプ。このままクロスレンジを維持できるようになれば、終わりは近いはずだ。
現にこの瞬間、ビーチェは修道女への反撃に余りに注力し過ぎている。
一気に距離を詰めて、心臓なり脳なりに剣を突き込めれば――

――はっと、シャーロットは眼を見開く。冷徹に積み上げた、冷酷な思考が追い出されてしまう。
人間の、少女の姿をした魔獣。自ら殺めたフリージア、その最期の微笑がビーチェの姿に重なって心を曇らせる。

 安息の中で旅立ったとはいえ、魔獣が人に戻る可能性を考慮せずトドメを刺したのは自分だ。
 忘れもしない、《夜》は家族と故郷の仇。しかし、《夜》に全てを奪われたという点ではあの娘も同じ。
 ここで彼女を討ち果たすことが、本当に正しいことなのか。
 さっきまでのわたしは「迷いはしないわ」と言いながら、「黙らせる」という言葉に逃げていたではないか。

逡巡に沈み込みそうになるシャーロットの耳に届いたのは、珠悸の再三の命令だった。
眼は閉じることができるだろう。だが、耳は――特に腕を異形化させたアンナにとっては、塞ぎようがない。
今できることをやらなければ、スタングレネードで生み出す隙は痛み分けで終わるだろう。

「フリージア、わたしは……ッ、どこへと剣を振るえば……いいのッ!
 このままでは《夜》を晴らすために、またあなたを殺さないといけない……!!」

半ば吼えながら、シャーロットは眼を閉じて顔を伏せ、片耳を塞ぎながら駆け出す。
向かう先はビーチェのすぐ近く――振りかざせば、刃の切っ先で捉えることができそうなところまで。
痛みと迷いを抱えながらも、グレネードが爆ぜた直後、真っ先に動くため――彼女には、走ることしかできなかった。

「……今日だって、覚悟はできているって、言ったのに…………」
646 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/19(日) 00:42:42.56 ID:JaQxf/8c0
>>618>>627>>631
……腕、戻ったな。

【観察する事、それしか今のエイルにはできない】【故に光を失った手の様子はよく見えた】
【攻撃が通っていない訳でも、尋常な堅さを持っている訳でもないようだ】

二人とも! 攻撃は聞いてるぞ! このまま攻めれば――

【言葉が続く前に、耳に入るのは呪文とやら】
【無数の魔弾、あの魔弾がどういう意図で出されたのか、何個かの仮説が浮かんで】

――やっぱり、かよ!!

【その内の一つに当て嵌まった、飛んでくる魔弾】
【それを全て避けきる事はかなわない、ならば――前方を捕える、使うしかあるまい】

【睨みを聞かせ、自らの前方にソレを発生させる】
【それは予備動作がある訳でも、音がある訳でもない】
【そこにあった物が、何の前触れもなく消える=z
【魔弾が炸裂する事はなく、ふと、次の瞬間からその場に存在しない】
【何回かそれを発動させて、目の前にくる魔弾全てを撃ち落とす――だが、発生する力の流れだけは消す事が出来ない】
【異次元へと、あるいは無へと力を流す歪み、魔獣ならばそれにも反応できるだろう】

ありがとよ、おっさん!!!

【ワンテンポ遅れたが、青年の放った一撃が体勢を崩すと信じて】
【出力を上げる――範囲の増大、本来なら人一人を包めるかどうかの範囲を二倍に上げる】
【避ける動作をとられても、これならどうだと……気になるのは、攻撃を避ける為に、一手遅れた事だが】

>>636
【エイルは相沢の能力の事を知らない、故に漏れた独り言も聞こえておらず】
【それ所か、目前の攻撃に精一杯で、眼中にないようだ――元々、隙だらけという事もあるのだが】
647 :Dr.P【ヘルパー03】 ◆Dr.P1q/46w [sage saga]:2014/10/19(日) 00:43:12.02 ID:qz2oe45Ko
>>632>>640>>643
『――へえ。良い目ダ。そういう目をしタ焔装使いは、決まってロクな事になラナかったヨ。
誰だって主人公になりタイもノさ。自分ダケは特別。自分は大丈夫ダ。って。だけど、現実は甘クなイ』

少女の左腕をぐちゃぐちゃに破壊しながら、淡々と己の言葉を吐き出していく魔獣。
そのどれもが、きっと焔装使いとして戦い続けて、魔獣として捕食し続けてきたからこそ出てくる言葉なのだろう。
相手の左腕を潰し、再度今度こそ顔面を潰そうと、もう一度己の腕を振りかぶり、そして振り抜こうとする。

『焔装使いは魔獣になるし、人は夜に勝てない。
――だから僕は、魔獣になって夜に挑むンだ。夜を食うには、人じゃ届かないカラ』

己の突き出した右腕が、相手の右腕に食らいつかれる。捕食されていく自己。
だがしかし、その直後にDoctor-Pの魔獣としての力が発現する。右腕の接触面を通して、相手の右腕を捕食し始めるのだ。
同時に、アリシアに向けて放たれる爪牙。しかし、それは即座に消失する。アリシアの放つ、異様な破壊力の光線によるものだ。
そして、陽遥の顔を潰そうとした右腕は、根本から崩月の斬撃によって切り裂かれた。

『――まるで、月の光みたいじゃないか』

一言、どこか懐かしいものを見るような表情で。
魔獣は、陽遥に食らいついていた右腕だけを残して、その全身を光に食われ、消えていく。
残った右腕の断面。そこから、長身で痩せぎすな青年の身体がずるりと生えてきて、右腕は切り離して陽遥にそのまま食わせてやった。
おもむろにくしゃくしゃに顔を歪ませて、笑む。人間味のある、肉に埋もれない本体の感情がそこにはあった。

「――まさか。この姿で最期を迎えるとは思わなかったよ」

右腕を陽遥に食い尽くされ、嘗ての人だった頃の姿から僅かに欠けた形。
体の所々は風化しつつあり、もはやこの魔獣に生きる力はない事が分かるだろう。

「僕はDoctor-P。元戦力外部隊だ。――全く、どうしてこんなことになったのか。最初はこれでも人類の為に戦ってたんだけどね。
ま、無駄な努力でも、頑張って。悔しいから応援はしないけど。ま、僕の分も夜を食べてよ。えーっと……、名前なんだったか分からないけど」

足が崩れて、どろりとした液体となって。腐臭のする液体の中に沈んで、青年は無機質な天井を見据えた。
ぐぅ、と腹の音を鳴らせば、一瞬だけ泣きそうな顔になる。そして、最期に左腕で部屋の隅のキャビネットを指刺した。

「そこ。色々資料あったから」

そして、身体を動かす力も尽きたのか、青年はぱたりと手を床に下ろす。そして手が腐り落ちた。
目を静かに瞑り、崩れていく自己の感覚を静かに感じていく。

『ァあ゛――。肚ァ減っタな』

一言そう言い残すと。青年の居た場所には、腐臭を漂わせるコールタールの様な液体だけが残っていた。
Doctor-Pは。人類の敵は、万物の捕食者は。死んだ。そして、人に敗北したのだった。

//とりあえず戦闘、イベントお疲れ様でした! 探索するかはわかりませんが、開示する資料があるので、キャビネットの中に以下の文書が有ったことにしてください

────────────────
焔装なんてもの、最初はなければいいだなんて思っていた
友人は首元に大きな刺青が浮かび上がってきた、蛇の柄をした、能力を使えば使うほど蛇は黒くなって行く
きっと焔装には使用限度があるんだろう、使えば使うほど消費されて行く

私の場合は胸に何かを感じている。心臓に何かが積もって行く感覚──分からない、ただ、気持ち悪い
何故あの日、私達は月の光を浴びただけで力を発現したのだろうか
きっと焔装は何かしらの機構があるのだろう、募って行く感じはそれのせいだ
解剖の許しが降りない。死ぬまでに解明したい所だが……だけれどもこれは確実だ、なんてたって私自身が感じ取っているんだから

そこでただ一つの疑問が浮かび上がってきた
焔装機構は、いつからあった?
────────────────
648 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/19(日) 00:48:44.89 ID:mLfstRKR0
>>638 >>641
「嫌がらせ目的に言いふらすのも面倒だしそんなことしないよ」

あの子というのも知らないし久良岐についても今日まで噂に聞いたことがあるだけだ。
無駄な行動で無駄に恨みを買うのも馬鹿馬鹿しい。
道化のような有子を無視して未来は視線の高さを合わせるように屈んで時雨へと話しかける。

「とりあえず名前を聞かせて貰っていいかな?私は日向未来ね」

出来れば友好的にいきたいものだ。彼女をぶん殴るお仕事は他の人間が担当するだろう。

「あなたがあの掲示板に書かれている研究者なの?」

彼女があのアホみたいな文字を書いたのだろうか。
今の時雨を見るとその光景は想像できるが。

「とりあえずあなたのことと《月装》、《夜》、《魔獣》について。そしてさっき言ってた《暁月》について教えて貰えるかな?」

他にも知りたいことはあるし足も痛いが、とりあえずはこの辺りの話を先に聞きたい。
649 :アンナ【2】 ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/19(日) 00:55:21.58 ID:/mFhIIl0o
>>630>>637

【左腕を失い、嗚咽するビーチェ。その声が、嫌に耳へと響いてくる。人間ではないと分かってはいても、その心がぐらつく】
【こんな子を殺して、ホントに良いのだろうか。そんな思いが、僅かに滲み出てくる。―――つまり、隙が生じる】
【そもそも、彼女の嗚咽は悲しみから湧き出たものではない。それも合わさって、アンナの隙にビーチェの怒りが直撃するのだ】

「……ぐ、ぅ……ッ!! ……あああぁッ!!」

【高速で迫る闇に、なんとか爪を握りしめ拳として正面から闇を迎え撃とうとするが、幾ら《焔装》の底上げが有るとはいえ、アンナの運動能力は成人女性のそれ】
【多大な重量を持った闇には敵わず、一瞬の拮抗の後に吹き飛ばされるアンナ。軽々と宙を舞い、中途半端な受け身で何とか落下の衝撃は軽減した】
【その直後に響くのは三度ヘッドフォンの少女の声。目は閉じることが出来たが、腕――右腕は爪となっている今は耳を塞ぐことが出来ない】
【スタングレネードが発破し、瞼の裏にも届く膨大な光量と、爆音。片耳を塞いだだけの半端なアンナは、その爆音を受けてしまうことになる】

「―――私は、確かに諦めきれません……魔獣が、ヒトであった魔獣が人間に戻ることが……。

 けれど、貴女は、貴女にはッ! せめて、「傷つかない死」を……―――ッ!!!」

【しかし、聴力が麻痺したからといってアンナが攻撃を止める道理はない。今も、アンナはスタングレネードの爆発的な光がやんだと同時に走りだしていた】
【右腕に出現させるのは槍。ビーチェに向けて走り、その心臓を、鋭く尖った先端で刺し貫こうとするだろう】
【切り刻まれる無残な死ではなく、槍で心臓を一突きする傷の少ない死。考えて出した妥協案は、どちらも少女を殺す結果になるのだけれども】
650 :ライト・チルチック ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/19(日) 00:57:05.80 ID:AhPHK82Bo
>>631>>636>>642>>646

少女…。いや、元・少女は簡単なことを忘れていた

そうこれは自分を引き立たせるためのステージではない、目立つための舞台でもない
これは――――生死をかけた殺し合いなのだ


「―――――っ!?」

まず剣の腹による攻撃、それは間違いなく少女へ的中
それだけならまだいい…
立ち上がろうとよろめいた魔獣の顔にぶち当たったのは光の波

これには魔獣も一溜りもなく地面に突っ伏した

「あれ…あれあれ…あれあれあれあれ……」」

「ライトちゃんは…ライトちゃんは負けないんだよ…魔獣になっても…ハッピーエンド…なんだよね?」

体が上手く動いてくれない…。今までのダメージと無茶が祟ったのか?
でも頭が上手く理解してくれない、なんとかしようと現実から引き離そうとする

「なんで?四人くらい…四人くらい楽勝だって…主人公はいつどんな時でも勝てないとおかしいの…に」

何とか体は起こせたけど立てない
地面にぺたんとだらしなく座るのが精一杯

「変だよ…変だよ変だよ…変変変変なの!!!!!」

何もできないと悟った魔獣の雄たけび

終わりを間近に突きつけられた一匹の魔獣の叫びは大きく響き渡った
651 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/19(日) 00:57:12.55 ID:lRUCPkXdo
>>641

「媚びるな。品が無いぞ。そういうのは想い人を作ってからやれ。
いや、恋仲でもこれは無い。詫び寂びの無い媚びなど、ただの売女。離れろ――!」

頬をなぞって後ろに回った手は、軽く髪を撫でたかと思うと、その髪を掴む。
離れろ離れろと喚きながら艶やかな髪を引っ張り始める。

「この施設、純水の貯蔵はあるか? こういう汚れは水洗いだけじゃ取れないよな。
おい、科学者ならそういう薬品の一つや二つくらいはあるだろうな?」

>>648

「そうか。ところで女、洗濯と裁縫は出来るか? ……いや、初対面の相手には任せられん。やはり俺が……!」

心底ほっとした様子で息を漏らし、それに合わせて室内を覆っていた霧が薄くなる。
温度の上昇が、はっきりとした体感で戦いが終わったことを感じさせる。
652 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 01:08:38.27 ID:yxm5vkCSo
>>644>>651>>648
あ、あの人馬鹿なんだなあ、と不躾なことを思いながらも、殴られないだけましかとその様子を眺めていた
月城が良い例だ。月装は確かに概念を司る焔装には遥かに劣る。しかし、人の長所が微妙に変化して行く様に、月装もそれに準じて形を変えていく
例え使用限界が来て使用不可能になったとしても、時期が合えば新しい月装を得ることも可能なのだ
月城の場合は、元から有ったみたいだが

日向は恐らく子供の相手が得意なのだろうな、と自分で自分を貶している様な感覚に陥った
まあそれは兎も角。質問には答えねばならぬだろう

「虚空蔵谷 時雨だ、否、です。そうですよ掲示板のあれは私がやりました。あれくらいしないと人来ないでしょう?」

威圧的な話し方が素なのかそうか、時雨はどうにも掴めない人間に思えるだろう
あの縫いぐるみと刀は全部同じものなのだ。それを誰にも見つからずに行えるのは時雨くらいなものだろう

「んー一気には喋れません……この中から一個だけ。月装について、です」

月装は、と時雨は続ける。
月装はある聖遺骸と呼ばれる物を元に作られている。聖遺骸はある日、時雨が道端に落ちていて物を拾ったのだと言う
時雨自体、月装の製造工程は知らず、もう一人の研究者が月装を作り、然るべき人間に、然るべき時に与えているのだという
そのもう一人の研究員もまた、時雨が持つ聖遺骸とは別に何処かから仕入れた様で、しかし詳しいことは聞かされていない
ただ分かるのは、その聖遺骸は何をしても破壊できないこと、ただ一つ破壊する手段があること、月装には聖遺骸の破片が必要不可欠なこと

「いまその研究員が何処に行ったのかは分かりません……ただ」

時雨は続けた。月装は未完成であると。長所を引き延ばす所までは到達した。だが、負の力を糧にする焔装に負けているようではまだまだだ、と

「焔装と月装の違いは、各機構が外にあるか内にあるか、なんです……って、これ以上話してたらもっと長くなっちゃいます!
とりあえず!月装はその聖遺骸が元にあるんですよ!」

久良伎に髪を引っ張られ痛い痛いともがき、要約久良伎の腹の上からどくと、そのまま書類の上をゴロゴロ転がって行く

「風呂ならこの部屋の奥にありますよー。私が魔獣処理したんで大丈夫です」

処理……時雨は暁月がない状態では増加させることしかできない。つまり、開けてびっくり、と言うことだ


「とりあえず。またあしたここに来てください。一緒に調べ物しましょう、ね」

/しめちゃってくださいなー
653 :相沢 雅樹 ◆AIZAWA.S9s [saga]:2014/10/19(日) 01:11:36.74 ID:cB00zDn+0
>>636>>642>>646>>650

さて、間もなく終幕へと入ろうとするこの劇場《ステージ》。以前彼は姿を見せてすらおらず、他者の輝く姿を様々と見せつけられ、心の中の何かが疼き始めていた。
それは明確な殺意であり、何者にも平等にもたらされる悪意であり、運命であり、必然であり、そして偶然的な物でもある。
嫉妬と言う人の持つ中で最も劣等感の強い感情。月装の能力によってそれを長所として肯定され、出力上昇のため常に自らの感情は増強され続ける。
一度抱いた感情は消えず残り、僅かに芽生える筈の劣等感が百倍の波となって自らを飲み込み。自悶自倒ノワルツを踊る。
彼以外の三人が輝きを持って戦いと成している頃、彼が一人で続けていた作業はつまり――――資料の回収。もたらされるリソースの独占及び隠蔽である。
ステルスと言う他人には気付かれにくい能力であることを活かし、一足先に部屋内の探索を開始。先ほどの熱波で幾つか焦げている個所があるものの、恐らくだが何らかのブツくらいならば手に入るだろう。


・戦闘にも参加せず

・協力もせず

・与えられるリソースを奪い

・そして自らの身にその恩恵を得ようとする。


それもこれも輝いているお前らが悪い。邪魔なんだよ、俺の目の前で輝く奴はみんな須く邪魔でしかない。
心の中で叫ぶセリフは免罪符のつもりだろうか? 何の主張も理想も無く、無駄な思考と嫉妬だけで行動を無し
他者を乱し、自身を乱し、死期と言う名の安寧を求めて手を伸ばす。闇雲に手を振り回して当たるものは、所詮大気の残骸でしかないというのに――――

――――無論、彼の隠蔽論≠ヘ決して万能ではなく。むしろ欠陥品の欠落品に分類される。
僅かな大気の揺らぎで発見するもよし、並外れた感覚で見つけるもよし。彼の行動を止める要素は無数にあって、貴方たちはそれを止める術を幾つか知っている。
654 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 01:13:14.02 ID:YR63wuwzo
>>640>>643>>647

斃れた魔獣は―――――― それは、どろりと融解し、消えていった。
戦力外部隊。人類の為に戦っていた、ならず者達の部隊。勧誘の声が来た時に、その顔は見たような、見ていないような。
右腕の咀嚼は直ぐに終わって、何処に行くのかは知らないが呑み下された―――――― 彼が溶けた後の異臭に、眉を顰め。
潰れた右腕……それで無理矢理に、閉じられた右眼へと添えられる。

「……くく、ははっ、はははっ、ははハはッ!!何だそれは!
 聞いたかお前達――――――今の御高説を!!」

そうして其処で漸く、其処にいる彼等へと向けて、言葉をかけようと思った。
こみ上げてきたのは笑いだった―――――― それも滑稽だとでも言うべき、遥か昔に消えたコメディアンでも見た時の様な笑いだった。
残された腐臭を撒き散らす液体へと向けて、革靴の底を思い切り叩き入れて、踏み躙る。

「人に!《焔装》に!!《月装》に負けておいて!!!《夜》を喰らうだのと、のたまったぞ!
 私も、或いは焔装の貴様も、或いは月装の貴様も……此奴は《夜》には勝てないと!!
 御笑い種だ……ただ、お前が弱かっただけだろうが!!!死んだらゴミだ、犬の餌にもなりはしない!!」

彼女は目前の魔獣が死に絶えた事を、自分の未来への道が開かれたと考えた……そして確信した。
"こいつ"と"わたし"はやはり違うと。情けなく、捨て台詞を吐いて野垂れ死ぬ様な奴とは、違うのだ、と。


「誰だって主人公になりタイもノさ。自分ダケは特別。だけど、現実は甘クなイ」


それを聞き届ける耳は、強固に閉ざされている。

大きく開かれた、白く濁った右眼は、虚城を見据えて歓喜する。


「私はお前とは違う……其処で見ているが良い……私の名は陽遥……!!
 私こそが絶対的な捕食者であり……貴様が出来なかった事。余りにも容易く、達してやる……!
 "弱者"め……私はお前とは違うんだ……はハっ、ははは、っ、あっ……ハハは、はハッ!!!」




―――――――――――― 焔装機構の終わりへと、指先が触れていた。

/お疲れ様でしたー!!
655 :月城 有子 ◆GEMINI/XFg [sage]:2014/10/19(日) 01:22:17.83 ID:Ny+JRK+3o
>>652
「一時撤退。ここは状況が宜しくないですね…」
気絶から戻って罵声を浴びせる。
――この人、根本的な部分がダメだ。

「目的は果たしました…
 まぁ、これさえあればどうにでもなるでしょう」
新しい《武器》さえ手に入ればどうにでもなる。
武器が増えれば強くなれると勘違いしており…
その次の段階など頭に無い様子だ。

「ここにもう用はありません、おつかれさまでしたっと」
コアと携帯を懐に収め、一目散に逃げるように…撤収していった。

//打ち切りEND的なFO。
656 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 ◆kiky93gBBM [sagesaga]:2014/10/19(日) 01:25:09.75 ID:DBJu3jPFo
>>637>>645>>649

闇がアンナを弾き飛ばす。さぁ次は――――視線を移したところで、珠悸が投げた手榴弾が炸裂した。
腕を斬られても死なない彼女だが、感覚器官に関しては人間とさほど構造は変わらない。
いいや、逆に人より数段優れている分、こういった兵器は彼女にとって大きな効果をもたらす。
絶対に防がなければいけなかった。だが彼女はそれが一体どういうものなのか、そんな知識を持ちあわせておらず。
諸に光と爆音を受け、一瞬思考が止まりあらゆる感覚が麻痺する――――――――。

「ぁっ…………ぁぁぁあああああっ!!!!」

目が見えない。耳が聞こえない。頭がグラつき、耳鳴りが脳を劈く。
思わず残っていた右手で目を押さえ、絶叫する。腕を斬り落とされても意地で抱えていた人形を地面に落とし、彼女の脳は更に混乱の極みへと陥った。
激痛と感覚の麻痺、そしてそれを上回る嫉妬と羨望が彼女の意思とは関係なく闇を生成し、周囲総てを飲み込もうと暴走し始める。
殺すという念すら忘れて、感情のままに異能がデスクや書類を風化させ、果てには空気すら腐り始めていた。

「――――この世界を、全部壊し尽くしてやるまで――――ビーチェは死なないですぅっ!!」
「こんな世界、無い方がいい……夜が来るまで、この世界は地獄でしか無かった…………っ!!」
「夜が、《夜》だけがビーチェを救ってくれたからぁ――――――――だからぁ!!」

彼女にも人間だった時代があった。とある国のスラム街に生まれ落ち、親にすら見向きもされずに生きていた少女。
碌な食事など取ったことは無く塵芥を漁って啜り、時には誰とも知らぬ男に犯され、何一つ希望無く眠る。
少女に此の世界は地獄だった。なんで生きているか分からなかった――――そんな総てを、《夜》は壊してくれた。
彼女は自ら夜に喰われ、魔獣へとその身を貶したのだ。こんな世界は無くていいし、生きている人間は皆死ねばいい。

「なんで、ビーチェがぁ……わた、わたしだって――――」
「わたしだって、あなた達みたいに輝きたかったのに、なんでビーチェだけ」
「許さない……羨ましい……妬ましい……だから、全部崩れ落ちちゃえばいいんだ」
「皆死んで、全部腐り落ちちゃえば、ビーチェだけが輝けるから――――」
「だから、お願い…………みんな死んでよぉ――――――――――――――――っ!!

それは此の世界の至るところに存在する、何の変哲もない小さな悲劇。
憎しみよりも羨ましいだけで、怒りよりも妬ましいだけ――――平凡すら掴めなかった、そんなありふれた不幸だった。
自分が間違っていることは分かっている。彼女達が正しいことも分かっている。だからこそ貶めれば、自分が輝けると思った。
何も見えなくなった今、彼女の我儘で自分勝手な独白が部屋へと響き、出力の限界を超えた暗黒が部屋へと撒き散らされる。
見境なく放たれる其れは、しかし狙いなど一切定められていない。冷静に躱していけば、接近することもおそらくは可能だろう。
そして接近が叶えば、殺すことなど赤子の手を捻るが如く容易な筈だ――――。
657 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/19(日) 01:27:11.01 ID:4GNORGaH0
>>642>>646>>650>>653
「決めてくれ!!」

蓄積されたダメージのせいで、思わず膝をつく
魔獣は倒れているが、今の自分が攻撃しにいっても邪魔なだけだろう
焔装使いのあの女が、もう一人の大剣使いが止めをさすことを信じて体力の回復をさせようと膝をついて休む
その途中で―――

「なんだ、あれ?」

視界の端にぼんやりとした空間が映る
目の錯覚か何かか?とそちらを向くとやはりなんというか空間の歪みのようなものがあった
もう一体魔獣がいたのか―――?
なんにせよこの状態で奇襲をかけられでもしたらまずい―――まだあと一回攻撃する程度ならエネルギーも纏っているだろう
初撃で決めるつもりで歪みの方へと向かう

「ハアアアア!!」

ハッキリとは見えない―――だがそこに何かがいることはわかる
その空間に向けて思い切り剣を振るった―――
658 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/19(日) 01:30:14.25 ID:mLfstRKR0
>>651
「あれ? 女性に触られるのが嫌なんじゃないの?」

あの子あの子と繰り返し呟いていたし、時雨への拒絶の仕方からもそう見える。
慌て過ぎて混乱しているのかそれともか。

>>652

「なんだか新しい情報が多すぎてよくわからなくなってきたよ」

明日探索しようという提案は有り難い。一晩あれば考えも纏まるだろう。
それに足の治療もしたいし靴も変えたい。

「時雨さん、じゃあまた明日ね。色々と質問するかもしれないけどよろしく」

手をひらひらと振りながら来た道を戻り出す。それにしてもこの本の山、非常に歩き辛い……。

/では、皆さんありがとうございましたー!
659 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/19(日) 01:38:23.87 ID:o9d5+hIWO
>>647>>654>>643

 ――魔獣の姿が一人の男と化して、そしてゆっくりと腐り果てるのを、彼女は紙巻煙草を吸いながらじっと見届けた。
 その後に高らかに笑う焔装使いの女へは、いつも通りの青い三白眼を向ける――まるで「五月蝿いから黙れ」とでも言わんばかりに。

「ああ、聞いたよ。残念ながら、あんたのように矢鱈と騒ぐ気にもならんがね」

 ふぅ、と息を吐けば、腐臭の漂う室内に煙草の香りが加わる。
 男だったもの――どろりとした黒い液体に彼女は歩み寄り、懐から一つのキャンディを落とした。
 「――精々、来世ではたらふく食うといいさ」そう、小さく呟く。

「あァそうだ少年、私はさっき『ご褒美』と言ったな。
 ではこいつをやろう――アメちゃんだ」

 そして彼女はキャビネットの中を漁りながら、三個ほどの飴玉を焔装使いの少年に投げてよこす。
 「アンケートは取ったが、それに則るとは一言も言ってないからな」――嘯く彼女は文書を読みながら独り唸っており、とてもそれ以上の言葉を他人に返しそうにはなくて。

「あー、つっかれたー……くそッ、とりあえず残りは明日にするか……
 まったくどっかにシャワーねぇかな畜生……」

 ――そんな傍若無人な呟きを残しながら、彼女は傷付いた左足を軽く引きずって、ゆっくりと部屋から立ち去って行くことだろう。

/絡みありがとうございましたーッ! お疲れ様です!
660 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/19(日) 01:39:46.51 ID:lRUCPkXdo
>>652

上に乗っていた女性が離れた後、立ち上がって深呼吸。
忘れろ、と呟いて、何も無かったような顔をする。

「そうか。じゃあさっき壊れたアレにも、その聖遺骸が混じってるわけか」

黒霧は壊れた銃の破片に群がり、その構造を探る。
外観では分からずとも、物質を構成する結合力レベルまで細かく視れば、通常の物とは違うソレを見つけられるかもしれない。

「貴重な資源だ。回収しておけよ。じゃあ、早速水場を使わせてもらう」

結局、有子の銃の中の聖遺骸に手を出すことは無く、久良岐は部屋の奥に向かっていく。
彼にとっては、月装の仕組みよりも、タキシードの汚れの方が余程重大なことなのだ。

タキシードのボタンを外し、男のくせに女性陣よりも早く風呂場を占領しに行く。

「人目が無ければ殺しているところだ。入って来るなよ。
それとその刀、駄賃に一本貰っておくが、それだけで済んだとは思うな」

黒に戻った瞳を、ぎろりと睨んで。

「女なら少しはあの子を見習え」


>>655 >>658

「焔装が強いのは、それを真似て作られた月装より、戦場にいた時間が長いからだ。
その身に宿した力の大きさを知り、同時に魔獣の力を肌で知っているからだ。
手に入れたばかりの力に振り回されるなよ、月装使い――」

「明日など待ってられん。俺の霧で軽く中を洗わせてもらう。
明日の探索は……替えの服が手に入ったら手伝おう」

そういって、いつも通り名前も名乗らないまま、久良岐は部屋の奥へと消えていく。

/おつかれさまでしたー!
661 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/19(日) 01:42:18.46 ID:5z4J2bf+0
>>646>>650>>653>>657
【床に倒れ伏す魔獣、直後に響き渡る悲痛なる叫び。しかし……この「劇場」で、今まさに繰り広げられようとする悲劇は、差し伸べられる慈愛など既になかった】
【彼は目に決意を秘め、巨大な剣を握る力をさらに強くして】

「行くぞ、貴公!」

【後ろの少女に向けて、構うなとばかりに雄叫びを上げる。】
【瞬間、彼の振るわんとする剣は再び、エメラルドグリーンの光を纏う。無慈悲なる二段目の追撃を用意したその一撃は、彼の正義の為に振るわれる鉄槌であった。】

「……我が怒り、我が祈り、その身でもって受けるがいいッ!!」

【月光の波は再び、とどめとばかりに魔獣を追撃する。後ろの少女と共に繰り出されるであろうこの一撃は、果たして魔獣を粉砕するに足りうるものだったであろうか】

>>653
【さて。彼の放った月光の波は、ある性質を秘めている。それは、「着弾地点での爆発」━━━━━━】
【透明な青年はこそこそと移動しているらしいが、不幸にも青年は恐らくその爆風の被害が及ぶであろう位置を動いていた。】
【情報収集に必死な彼に、うまくかわせるであろうか。それとも?】
662 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/19(日) 01:46:31.62 ID:702442Dy0
>>645 >>649 >>656

「……あ……、」

スタングレネードの弊害は当然、放った本人にだって届いていた。
耳鳴りと明滅を繰り返す中、鼓膜ではない、耳に付けたスピーカーから溢れるのは少女の独白。
それは悲しいお話。素敵なドレスを着る少女がドレスを着る前の…魔獣になる前の悲しい不幸な少女の物語。
人類から全てを奪った《夜》に希望を見出だした女の子が、今当に此処に居る魔獣なのならば――――…

「……そんなのって…こんな結末なんて…ひどすぎる……、」
「ッ―――、」

それでも自分達は彼女に止めを刺さなければならない。
痛みか、それとも別の理由か呻き声を微かに洩らすと、立ち上がる。
早くしないと資料が全て朽ち果ててしまう。ふらりとした足取りではあるが、影を避けることは容易かった。

「シャーロットさん…アンナさん………、」

終わらせましょう、と唇だけの動きでそう伝える。
後は二人の判断によって決まるであろう。
663 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/19(日) 01:50:31.84 ID:JaQxf/8c0
>>650>>653>>657>>661
【ハッピーエンド】【はっぴーんえんど】【happy end】
【その言葉が何度も反響する】【変だ、まさに変】
【変、変、変変変変】【――なん、でだ?】

……っわ、っりぃ……打ち止めだわ、おっさん。

【頭を抑え、膝をつく】【連続使用――よりは、範囲の増大がダメージとして大きい】
【どういう性質か、彼女の武装は連発より、範囲の増加の方が疲労が溜まる】【だが、幸いにも状況は好転している、このままなら後は彼が仕留めてくれるのだろう】

【――いや、ここで話は終わらないらしい】

おい、アンタ――何処向かって、ていうか、何して――

【この状況でただ一人、何も事態を飲み込めていないのは彼女だ】
【そのステルスにまんまと騙され、姿が見えない。どういう事だ、終わったんじゃないのか?】
【気を引き締め直す――それが味方だとは、露知らず】
664 :ライト・チルチック ◆xhQYKcMmiQ [sage]:2014/10/19(日) 02:02:47.08 ID:AhPHK82Bo
>>653>>657>>661>>663


「王子様は…迎えに来ない」
「猟師が助けに来てくれるわけでもない」

「こんな結末…こんな結末…ライト知らないよ?」

あ…マズいななんて思う暇もない
もう彼女の意識はこの場にあってこの場にあらず


「あ…そっかぁ…もう12時過ぎてる。」

フフッと。本当に楽しそうに笑った少女に迫りくるのは2発目の斬撃


「魔法―――――――解けちゃったかぁ―――」

斬撃の命中と同時に彼女の体にヒビが入る
そしてその亀裂からはボロボロと淡い光が漏れて


「―――――――――――」

幸か不幸か、彼女の消滅が始まるとともに部屋内のライトの光が弱くなる
そう。彼女は終わり際にこの場所で一番輝けた

ボソッと彼女が最後に呟いた言葉は何だったのか
それが魔獣としての怨念か少女としての遺言か…誰かに届くことはあるのか?
そんなのもう彼女にもわからない

唯一つ。もう彼女はここには居ない
そう…「ライト・チルチック」はこの場から完全に消滅した。

//長らくつき合わさせてごめんなさい!!

/資料の開示です!えっと。ライトの消滅した場所に落ちてたと言う事にしてください

―――――――――――――――――――
【夜の使者についての資料】

『今考えれば迂闊だったのかもしれない。私は知っていた様で考えたくなかったのかもしれない。
今となっては手遅れだが、これを見ている君ならばおそらく、無知の愚かさを拭ってくれるかもしれない。
あの空が私達だけを喰らわない理由、なんでこの都市だけ、なのか。
否、この都市だけが狙われていないのでは無い。
年々年の外周が削られている。ならばこの都市に、奴らの目的があるのでは無いだろうか
それも、大きな物でなく、とても小さな──
奴等の知能は高い。そう、人の形をなしていないあの空が──────』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


665 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/19(日) 02:08:22.38 ID:1p+6nqTBO
>>647>>654>>643
終わった。魔獣の男は一瞬だけ、本当に最期の瞬間だけ人間の頃へと戻ったのだろうか。
ゆっくりと腐り果て、そのまま消えていくのを地に転がったまま、じっと見届ける。
そして、高笑いする女。この女は、いよいよもって危うい状況。いつ、墜ちてしまうか分からない。

(危険因子……今のうちに、殺しておくべきか……?)

なんて事を考えてはみたが、実行する力があるはずもなく。
結局、地に転がったまま女が去っていくのを見届ける事しかできなかった。



女が去った後、漸く立ち上がる崩月。アリシアから、飴を三つ受け取る。

「なんだよ……考えようと思ってたのに、きったねぇ……」

ぶつくさと文句を言いながらも、そのうちの一つを口に入れる。
一先ずは怪我を治療しなくては、この傷の完全回復まで、一体どれほどかかるのやら。

ふらふらと、覚束ない足取りで崩月は部屋を出たのだった。

/ありがとうございましたー!
666 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/19(日) 02:11:10.60 ID:8JIlvM9S0
>>656 >>662

吐露されるビーチェの心情は、シャーロットの理想の急所を突きかねないもの。
名残すらも遠くなったあの時代にも、貧困があり、悪意があった。
《夜》が訪れる以前にも、この世には地獄≠ェ確かに存在していた。
もし陽光を取り戻したとして――足るを知らない人の子は、いずれそんな愚かさを繰り返すのだろうか。

シャーロットは涙ぐんだ。そして泣きじゃくった。胸に穴が空いたような喪失感に苛まれた。
呪詛と怨念を散りばめて、悪罵の限りをぶちまけるビーチェが、15歳の少女の心を圧倒した。

「……それは結局、《夜》に堕ちてでも生きたかったということじゃない!
 だったらビーチェ、わたしはあなたを見過ごせない……見過ごすことが許せない……」

半ば泣き叫ぶように言葉を吐き出しながら、シャーロットは剣に手をかける。
本当なら振りかかる暗黒を躱すことなど容易なハズなのに、足元が覚束ない。
肩口、靴、スカートの腰、血の色をしたコート――それらが皮膚ごと痛んでいく。ビーチェの痛みが、伝わってくる。

「輝き方なんて知らない、だけどっ……、それでも、あなたを闇の底で死なせたくなんてない!
 ――それがどれだけ愚かな望みでも……望み≠ナあるなら、捨てられない……捨てる、なんて、イヤよ……ぉ」

彼女を救いたい気持ちと、珠悸とアンナの決意――そして、今まで散っていった人々への想いに対する責任がせめぎ合う。
乱れ叫ぶ心のなかで、彼女にできた行動は、たったひとつだけだった。

すなわち、蛇腹剣をもはや防御がお留守となったビーチェに巻きつけ――刃を寝かせた状態で胴をを絞め上げること。
そして、無数の刃によって、彼女から溢れだしていく《夜》の暗黒を、出来る限り絡め取ろうと≠キるだろう。

「――くい、つくせ……、……≪クロウ・クルワッハ≫!!
 ……くうぅぅああぁぁっ!! ぐぐゥ、あぁああぁぁーーッ!!! ――、ぁ、■■■■■■■ーーー!!!!」

剣を通して流れこむ暗黒が、想像を絶する苦悶をシャーロットに味わわせる。
もし、万が一首尾よく行けば――制御を失った《夜》の力を、《月装》が浄化しつくすかもしれない。
だけれど実際は、相手の動きを止め、アンナの最期の一撃の布石になるのがオチだろう。

論理的にはわかりきっているというのに、シャーロットには他の手段を選ぶことができなかった。
667 :アンナ【2】 ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/19(日) 02:19:31.44 ID:/mFhIIl0o
>>656>>662

「……ッ」

【ビーチェから放たれる悲痛な叫びは、耳が麻痺した筈のアンナにも伝播してくる。正にそれは、慟哭と言って良い悲しみの塊だった】
【日常という地獄を変えてくれた《夜》がどれだけビーチェにとって天国のような存在だったか、それを推し量ることは出来ない】
【だが、人間だった頃のビーチェという少女が泣いているビジョンだけは、アンナの脳裏に容易に映し出すことが出来た】

「―――本当は、貴女だって救いたい。《夜》が無いこの世界がどれだけ素晴らしいのか、貴女に教えてあげたい」

【ビーチェから発せられる極大の闇が、部屋を、勿論中に居る3人をも飲み込まんと迫り来る】
【アンナは、ヘッドフォンの彼女の唇の動きを読み取るとビーチェへとその双眸を向け、再度走りだした。手には、未だ槍が握られている】
【走って、自らの横を通り抜ける闇をチラリと見て、正面から襲いかかる闇を斬り飛ばして、闇にぶつかっても、その脚は止めず】

「でも、貴女が最期まで魔獣でいるなら―――」

【私は、貴女を犠牲にして皆を救う道を辿る―――その言葉は、最早言葉に出なかった】
【蛇腹剣の彼女の真意に気付く訳もない。アンナは思っても居ないことだが、槍が心臓を貫く良い止めとなっただけ】

「ハアアア―――ァッ!!!!」

【そのままの状態で事態が進行するならば、アンナの槍はビーチェの心臓を穿つ。其処に、修道女の慈悲とかそんなものはなかった】
668 :相沢 雅樹 ◆AIZAWA.S9s [saga]:2014/10/19(日) 02:35:44.94 ID:cB00zDn+0
>>657>>661>>663>>664

今宵の劇場《ステージ》は幕を閉じた。しかし、道化の踊りは止まらない。
自らの感情に任せて資料を改修しているとは言っても必至≠ノなるほどでは――――いや、必死ではあるか。自身の劣等感を押さえつけることに
月装によって数百倍にも増幅され能力となる彼の感情。着用する衣服が彼自身の使用可能な力であり、それはつまり肌身放さず着用し続けている≠ニいう事を指す。
力の放棄はこの弱肉強食すら生温い世界では=死に等しい。剣などの外部的な物ではなく、常に月装の効力が体を侵食する。つまり感情の増幅≠ヘ普段から行われているという事だ。
それはマイナスな方向にばかり特化していき、少しの苛立ちが抑えきれない苛立ちに、少しの殺意が手が震えるほどのものへと姿を変えたりもする。あらゆる感情に対する枷が撤去されている状態。
加えて彼は劣等感の強い人としては弱者な分類で、その感情もひときわ強い――だからこそこのタイプの月装が着られたのだが――故に、自らより輝く人間に激しい敵意を抱く。
だが、その行為を続けていけば所詮は独り身になり。全ての人間から放逐されれば死すべき未来しかのこらない。だから、彼は気色の悪い精神の仮面≠被る。
気付かれぬ様に、悟られぬ様にと。それが一番彼の人間としての危うさを表している事に、気付きもしないで――――

――――

斬撃波が飛んで行った時と時を同じくして、先ほどまである少女? いや魔獣と戦っていた男性の一人が突如としてこいらに斬りかかってくる。
無論、ダメージの蓄積している体から繰り出される攻撃は恐らく先程動いていた時よりも遅い。いくら彼が最弱であると言っても、それぐらいの攻撃を避けられる筈が無い=B
彼の能力は純粋な感情だけで成り立っているため、彼自身に武術などのなにかしら特化した技術的な長所は一つとして存在しない。いくら目で追えるほどの速度と言っても
幾ら最後の力でしかない攻撃だと言っても、彼にそれを完璧に何の損傷も無くかわすことなど到底不可能。加えて、遠方からの衝撃波も同時期のタイミングで此方に迫る。
ただでさえ目の前の剣を振りかぶる男性の対処も難しいというのに、此方に向かってくる斬撃波(正確には魔獣を狙っているのだが、距離が近いのと先ほどの攻撃でその性質を僅かだが理解していたことでそう考える)。
どうあっても無傷での回避は難しく、下手な回避行動をとれば即座に死に至るだろう――――――――







確かな、手ごたえ。


//わけ
669 :相沢 雅樹 ◆AIZAWA.S9s [saga]:2014/10/19(日) 02:36:18.50 ID:cB00zDn+0

「…………俺は、敵じゃないんだけどな」



――――其処には無傷≠フ彼が、ステルスによって隠されていた目つきの悪い双眸を持って…………直立する。
性格にはシャツとジーンズ姿で全身には爆発の余波による小さい傷が幾つか。しかし、確かに男性の大剣は直撃している筈。
剣から伝わる感触は確かにあった筈だろうし、彼も実際直撃≠オている。では何故一切としての斬撃ダメージが入っていないのだろうか?

理由は偏(ひとえ)に彼の月装『ジャンバー』の能力である空間湾曲≠ノあった。
実を言えばこのジャンバーで主に使用されていたステルス能力――通称隠蔽論≠ヘ本来の能力ではなく、この能力が開花したことによる副産物的な効果に過ぎない。
彼の嫉妬と歪んだ思考回路を糧として発動する能力は即ち『こちらに対する攻撃を総て有耶無耶≠ノする』というもの。感触はあるが、ダメージは無い。
確かに当ったが、当たっていない。そんな矛盾、相反思考を持ってして正解とするこの力は、普段であれば月装焔装の能力には無力でしかないとても弱い物。普段であれば拳銃弾を有耶無耶にできる程度だった。
しかし、この月装は魔力を極限まで食わせてやることで一種の暴走状態オーバーロード≠引き起こす。最弱の月装と呼ばれる所以がこれであり、過度な力を込めれば即座に能力が暴走してしまう。
その一瞬だけはすさまじい力を発揮する者の、その後は永久的若しくは一定期間月装の使用が不可能となる諸刃の一手=Bだが、それでも彼の力では体験を防ぐには物足りなかった。

――――結果、彼の月装四つある中の一つ『ジャンバー』は灰となって砕け散る。自らの命を張るかわりの盾。
核となるジャンバー型の月装が消失したことで、これでもう一生隠蔽論≠フ使用は出来ず、ジーンズだけでは出力が足りずに空間湾曲∞Grasshopper≠キら使えない。
彼の命を守るためだけに、彼が持つ能力の内の三つ以上を犠牲にしてようやく防げるほどの力であるというのは。目の前の月装使い(焔装は基本的に武器を持たぬため)に一種の嫉妬心をも抱かせる。

――

爆風で僅かに視界が曇った中から多少の傷と共に現れ、開口一番に放つのは敵対の意志は無い≠ニ言うセリフ。
普段から使い慣れたそのセリフは、自然とこの感情に呑まれてしまいそうな感覚の中でも浮かんできた。所詮、俺も死ぬのが怖いのだろう。
死ぬためにこの場所に来たというのに死ねず、いざ死ねるとなるとふざけた恐怖心が顔を覗かせる。嗚呼、嗚呼、嗚呼。鬱陶しい。


//終わりです 時間がかかってしまい申し訳ない
670 :ビーチェ・ダヴィア 【2】 ◆kiky93gBBM [sagesaga]:2014/10/19(日) 02:48:08.05 ID:DBJu3jPFo
>>662>>666>>667

蛇腹剣が身体に巻き付く。そして其れは的確に《夜》を、彼女の魔獣としての《力》を掴み取った。
圧迫、大事なものが奪われてしまうという直感。《夜》に縋って生きていた彼女にとって、其れを奪い取られるほど恐ろしいことはない。
《夜》を絡め取り浄化しようとする少女の《月装》と、《夜》に縋って離そうとしない彼女の力が反発しあう。

「ぁがっ!? や、やめぇ――――やめてぇ――――っ!!」

世界は地獄だった。ただの人だった彼女に、此の世界は生きていくにはあまりに残酷過ぎた。
人に戻ってあの地獄を味わうのは、死ぬよりもきっと辛い。だからお願い、私の《夜》を奪わないで。
だが抵抗も虚しく、ゆっくりとだが彼女の身体から《夜》が抜け落ちていき――――そして其れが抜け切ろうとした其の瞬間。
修道女の槍が的確にビーチェの心臓を貫いた。流出する闇は殆ど総て消え失せ、魔獣としての力を失いかけていたが故に肉体の強度も相応へと落ちていた。
魔獣としての力が十全に働いていれば、或いは心臓を貫かれても生き延びることが出来たかもしれない。
しかし半魔とすら言い難い今の彼女に其のような力はなく――――喉を逆流した血液を、地面へと吐き出す。
総てが薄れ、意識がぼやけ始めた。怒りも、悲しみも、羨望も嫉妬すらも、ゆっくりと向こう側へと堕ちていく。

「ぁ…………あ……………………」

彼女の死は、少女が《夜》を浄化しようと選択した瞬間必然となった。
仮に修道女が槍を振るわなかったとしても、人間となってしまえば腕を斬り落とされたダメージで何方にせよ命を落とす。
故に此れは定められた終末――――――――そしてビーチェ・ダヴィアという人間を救う、たった一つの方法だった。
彼女は意識が完全に消える其の瞬間まで、自らの中に残った《夜》の欠片を決して手放そうとしない。
魔獣としての彼女は人へと戻ることを深層心理の奥深くにまで拒絶しており、そして最後に戻った人しての彼女の意識もまた其れを離そうとはしなかった。
此処で手放してしまえば、彼女達は魔獣ではなく人を殺したことになってしまう――――理由はわからないけど、其れは少し悲しい気がして。

「…………ごめんね。ビーチェ、嘘ついてたの」
「これ………………白衣のおねえちゃんから盗った、やつ」

最初、彼女は白衣を着た女など知らないと言っていたが――――どうやら、あれは嘘だったらしい。
其れを問いかけてきた少女の前に、ビーチェはとあるモノを置いた。
其れは彼女が最初に弄っていたナニカ。あの時彼女達からは見えなかったであろうモノ。
拳銃と、銀の弾丸だった。人間である少女たちにはわからないかもしれないが、魔獣である彼女には此れの危険性が本能で理解出来た。
だからこそ訳も分からず盗ってきてしまったのだが――――今更持っていてもしょうがないだろう、其れを差し出し。

「…………おねえちゃん、ありがとう」

最後の力を振り絞り、《月装》を持つ少女の頬に伝う涙を掬い取る。こんな化け物のために泣ける貴方は、きっととても優しい人なんだろうね、と。
沢山の人を自分勝手に殺して、こんなことを思うのはきっといけないことなのだろうけれど――――最後の言葉は呪詛ではなく、暖かい言葉にしたくて。
ビーチェは其の言葉を告げると、ゆっくりと風化し砂へと還っていった。
蹂躙し尽くされた部屋にはもはや書類一枚残っておらず、三人の人間だけが残されるだろう――――――――――――――――。



//ここで戦闘は終わりになります、イベントお疲れ様でした! 長引かせてしまい本当に申し訳ないです……!!
//この部屋には重要な資料は存在しないので、明日の探索はこの部屋では行いません。
//もし探索ロールがしたい場合、明日は髭さんの方へと合流という形になります

――――――――――――――――

拳銃と銀の弾丸について
とても重要なアイテムであり、この部屋には其れ以外には重要な資料などは存在しない。
此の拳銃は魔獣側へ渡るととても危険なもの――――らしいが、どうやら魔獣の少女はその詳細自体は知らなかったようだ。
元々の持ち主である女研究員(激かわ)に聞けば、其れが一体何なのか分かるかもしれない。

――――――――――――――――
671 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/19(日) 03:03:04.69 ID:4GNORGaH0
>>661>>663>>664>>668>>669
「手応えあり…か?」

振るった剣からは確かに当たった感触があった
だが、血が見えない―――斬った何者かが流血していないのにも関わらず確かに斬った感触はあるという矛盾
そこに疑問を覚えながらも、爆煙がはれるのを待つ
煙がはれると、そこには―――

「―――人、間?」

―――僅かな傷と共に現れた紛れもない人間の姿だった
斬れていない事に疑問を抱きつつも、殺していなかったということに安堵する
だが、敵対する気がないならなぜ今まで姿を現さなかったのか―――?

「…脅かすな、そんな風にコソコソしてれば誰だって敵だと思う」
「ハッキリ言っておくが俺はお前が信用できない、あんまり俺に…いや、俺たちに近づくな」

―――人を守るために戦っているが、敵なら例え人間であっても守る気はない
他の二人と違って戦いもせず、隠れて何かをやっていた男をそう簡単には信用できない
その事を告げると剣を引き、分解していきながら落ちた書類の元へと向かう
そして、書類を手に取ると―――

「―――ッ!!おいこれを見てくれ!」

書いてあったのは夜についての情報
断片的なものだが夜の狙う"何か"がこの都市にあるということが分かる
そして都市の外にある場所は徐々に減っていっているのだということも
一刻も早くこの事を伝えようと呼び寄せ―――


/すいません、もう落ちます
/明日はこのメンバーで動くのかどうか分かりませんがそうなら情報を見たところから、個人でなら情報を見たあとにバラけたということで
/ロールありがとうございました
672 :珠悸【2】 ◆/3PSsMeb9c [sage]:2014/10/19(日) 03:05:44.62 ID:702442Dy0
>>666>>667>>670

魔獣の…否、人間であった少女はシャーロットの腕の中で息絶える。
少女の、悲鳴は絶叫へ。絶叫は呻きへ。そして呻きは――――、最後は優しい。優しい言葉に。

「………ああ、」

ビーチェの姿が砂となり消えるのを見ると珠悸はその場に膝を付いてしまう。体力の限界だった。
無理もない。先程天井からの針を殆ど受けていたのだし、珠悸は元から丈夫な方ではないのだから。
不意に溢れた、声にもならない掠れた嘆息は果たして誰のためか。

暫しの間、珠悸はその場に留まり続けるだろう。
魔獣の少女が最期に見せた人間らしさの欠片によってその心中を掻き乱されつつ。
無意味に無心になり時間が過ぎてゆく。残り少ない、大切な時間が過ぎてゆく。


/部屋の件了解です!皆様遅くまでお疲れ様でした!
673 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/19(日) 03:16:48.79 ID:8JIlvM9S0
>>670

戦いが終わり、静けさが荒れ果てた部屋に広がる。
今まで毒牙にかけてきたものと同じように、ビーチェは急速に朽ち果て、影すら残さず消え去った。
一揃いの銃・弾と、シャーロットの頬に残った温かい感触だけが名残だった。

もう暫くここに臥せって、涙が流れるままにしていたいとシャーロットは思う。
今ばかりは、戦線を共にした二人も甘ったれた仕草を許してくれるのではないか。

……いや、『弱さ』ならば、先ほど散々見せてしまった。それに、涙を拭いてくれたのはビーチェだ。
彼女のためにも、これ以上泣くものか。乱暴に自分の頬を叩き、残された気力を振り絞る。

「う、くっ……」

小さく呻きながら、シャーロットは形見の拳銃を拾い上げた。
そして弾をも、辛うじて残った内ポケットに仕舞おうとするが――。

>>672

頭を過ったのは、鮮やかな銃捌きで窮地を救ってくれたヘッドフォンの少女のこと。
この拳銃が明確に何かまでは分からなかったが、『シルバー・ブレット』は単なる洒落では無いだろう。
恐らく、狼男に対する銀弾のように、魔獣に対して有効打を与えうるものだ。
攻撃面では劣っていると言わざるを得ない特殊な《月装》使いである彼女こそ、そんな力を欲しているのではないか?

お互いに乱れた心では、視線以上に確かな言葉を交わすことも難しかったけれど、
もしヘッドフォンの少女がこの銃に興味を示したなら――シャーロットは、それを手渡すことも辞さないだろう。
またこの時は想定していないが、修道女さまに対しても同じだ。
674 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/19(日) 03:17:34.54 ID:JaQxf/8c0
>>669>>671
追い剥――相沢っ!

【こそこそと隠れ、していた事は情報盗み】【まあ、そんな事を彼女は知っている訳もなく】
【更に言えば、彼女の精神状態は不安定で、折れやすい状態】【そんな状態だった彼女は、知り合いがこの場にいる事に心を安堵させる】
【僅かに緩んだ顔を上げて、溌剌とした声はこの状況では異常とも取れるだろう】

なあ、こいつ悪い奴じゃないんだ……確かに今のだと、変な状態だけどさ……なっ、そうだろ?

【駆け寄って他の二人にも説明をする――この場で一番力があるのは、皮肉にも道化な彼女である】
【焔装、更に破壊力も異常となれば、ある意味ではこの提案は厳守に等しく映るかもしれない】【そんなつもりが、彼女にはないのだが】

何かあったのか?

【鋭く感じた声に何かがあったのを察して、そこに駆け寄る】
【そこに書いてあるのは、夜の狙う何かがあるという事】
【そして――外が無いという事】【二つ目の事実は……少し、彼女の心には辛い物だった】
【顕著に表れたのだろう、僅かに顔色が悪くなり――しかし、悟ったような表情をする】
675 :ジークローラン ◆wb9BPheDP3fp [sage saga]:2014/10/19(日) 03:21:11.95 ID:5z4J2bf+0
>>663>>665>>668>>669>>671
「やったぞ!貴公ら、良くぞやってくれた……!」

【魔獣は息絶えた。彼はとてつもない疲労感、そして充実感と共に、展開していた月装を静かに消す。】
【……が。未だに問題はひとつ残っていたらしく】

【共闘して居た青年が切り刻んで居た所……そこから煙のように、人の姿が不意に「出現」した。】
【見た所彼には、敵対心こそないだろうことが見て取れる。しかし油断はできない。彼は疲れた手首で即座に月装を展開し、警戒の色を見せた】

「わざわざ姿を現さずに……いつからここに?」
「我々はコソ泥の真似事に付き合ってやる余裕は無いんだがな……」

【彼の回収していたと見られる資料を見て、呆れたような声を出す。それはあたかも、軽蔑するかのような口調だった】
【彼は一生懸命な者達を放っておけない性質であった。だからこそ、というべきか……目の前の青年のような「卑怯者」は許せない】
【いつから、ここにいたのか。最初からか、それともつい先ほどからか……いずれにせよ、青年が戦いから逃げていた臆病者であることには相違ない】
【彼の価値観においての話ではあるが……少なくとも彼とその戦友を差し置いて資料をかき集めていた青年は……彼にとって「軽蔑」の対象になるには足りうるものだった】

「まあいい、それよりもその資料を……む?」

【押し問答を続けていれば、戦友の一人から声がかかった。そちらを見てみれば、何やら重要そうな書類な転がって居るではないか!】
【それらにはどれも、夜についての有益そうな情報が書き連ねられていた。ここに来たのは決して無駄ではなかった、ということがうかがえる】
【損得関係無しに魔獣がいれば動くのが彼だったにしても、このグッド・ニュースには、思わず口元をにやつかせずにはいられなかった】

「どうやら……我々の夜明けは近いぞ」

/長々と絡みありがとうございました……そしてFO
676 :アンナ【2】 ◆ANNA.TyFKQ [sagesaga]:2014/10/19(日) 03:31:45.77 ID:/mFhIIl0o
>>670>>672>>673
【絡みついた蛇腹剣に固定されたビーチェ。そうなれば心臓以外の場所に槍を刺すことの方が難しくて】
【呆気無く、本当に呆気無く槍は刺さった。刺さってしまった。血が吐き出されて、一部がアンナの顔にも飛び散った】

「―――……」

【彼女は死ぬ運命だったんだと何度言い聞かせても、自分の心を割り切らせることは出来ない】
【彼女は最期まで《夜》と共に居たんだと思っても、なかなか自分の心は受け入れてくれない】
【それらが出来ないのは、未だアンナの心を弱く、そして甘いからだろう。ビーチェの死を見てしまった今なら、尚の事】

【ビーチェが、最期まで魔獣の心を失わなかった少女が風に溶ける。アンナはもう、俯くほかに出来る事がなかった】

「―――……ありがとうございます、お二人共」

【やがて、アンナはこの戦いを共にした2人の少女へと声を掛ける。先程までの真剣な眼差しはなく、その顔は微笑んでいた】
【しかし疲れきった中で見せるその微笑みが果たして本当に微笑みとなっていたのかは、アンナには分からなかった】
【銃と弾丸の所持については、2人で決めるように言うだろう。自分は《焔》を持っているし、今回はサポートに徹してくれたヘッドフォンの彼女にも、持つ権利はあるだろうから】
【探索に関しては、此処で僅かな休息を取ってから出発する。そのせいで少し遅れることになるだろうが、アンナとしては1人で、泣きたいという思いも有った】

【――――――そして普段肩までにしか侵食しない黒の変色が右半身にまで達していたことになど、やはりアンナには分からないのだった】
677 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [sage]:2014/10/19(日) 04:13:13.12 ID:8JIlvM9So
>>676

アンナが言葉を紡ぎ出せる頃には、シャーロットも幾分か落ち着いていた。
或いは、取り繕っていたと言うべきかもしれないが、とにかく返事ができた。

「礼を申し上げるのはこちらの方よ。わたしが悩んでいる間にも、あなたは戦っていた。
 それにトドメを刺させてしまった……本当に、ごめんなさい」

 魔獣を討たせたことを謝る日が来るなんて、故郷を失った時の自分に言ったら――きっと首を締められるだろう。

それはさておき、自分の我儘でアンナに辛い思いをさせたことについて、シャーロットは深々と頭を下げた。
ビーチェの心を救おうとしたことに後悔は無いが、しこりは残った。
《焔装》使いである彼女は、自分の遠くない未来の姿を死に逝く者に見出したのかもしれない。
やつれた微笑みの痛ましさが、少女の胸に重たい濁りを残す。

「わたしは、シャーロット・プランケット。自警団員よ。
 これから本丸の調査に向かうわ。……休まずに働かなきゃいけないのは、わたしのような《月装》使いだもの」

アンナを気遣いつつ、シャーロットは改めて自分の名と立場を告げる。
こんな悲劇が繰り返される前に《焔装》使いを救い、《夜》を消し去らなければならない。
戦いの中で、その想いはより一層強く鍛えられていくのだった。

/とりあえず名乗りだけして自分もFOします! お疲れ様でした!
678 :相沢 雅樹 ◆AIZAWA.S9s [saga]:2014/10/19(日) 04:25:24.90 ID:cB00zDn+0
>>671>>674>>675

「いや…………済まない」
「オレは君たちみたいに強くは無いし、臆病者なのでね。敵が一人であるとは限らない、そう思ったんだ」

「本当はエイル――君が来ていると聞いて加勢しようと思ったんだが……どうやら必要は無かったみたいだ。」

苦笑いと共に、すでに集めておいた資料の束をヒラヒラと振る。飄々とした動作は、今此処にいる人物に疑ってください≠ニ言っているようなもので。
事実、彼の吐き出した言い訳染みたナニカも三人にはほぼ届きはしないだろう。信用を積み上げるというのは難しい行為であり
一度崩れてしまった――そもそも存在すらしていない状態の信頼にマイナスを足してしまえば、彼を信用する者などどこにもいない。

男性二人に囲まれる少女の方向を見て、一言。無駄無駄無駄。彼の言葉は羽より軽く、吐き出す感情は憎悪と嫉妬。
表面上は薄汚い仮面をかぶってやり過ごし、腹の中で絶望的な思いと殺意を滾らせる。その中に、ほんの少しだけ存在する良心を、見ないふりをして――――

シャツをただし、すでに灰となってしまった月装『ジャンバー』と、爆風の衝撃で燃えてしまった書類の幾つかを放り捨てる。
残ったリソースは随分と少なくて、結局大きなものを望んだ彼に与えられるものは――――ちっぽけなものでしかなかった。
679 :シャイナ ◆33B37h/HCM [sage]:2014/10/19(日) 16:56:16.87 ID:4Ph2vAR8O
「酒だ。酒を寄越せ。……あと大量の食料とな」

闇市で赤いフードを被った金髪碧眼の少女が40代半ばの男と話をしていた
その内容は食料と酒を寄越せと言うもの。人が食料を欲するのは何ら不思議ではない
だが、まだ成人を迎えていない少女が酒を欲するのは異常である。
未成年が飲酒等ろくでもない…
……が、ここは爪弾きにされた「はみ出し者」が集まる場所。ここではその異常も罷り通る
そしてこの少女もここに居るのだから「はみ出し者」だった
物を手に入れるには「対価」が必要になる……が、少女は金品など持ち合わせて居ない。では「対価」として何を差し出すつもりなのだろう

「あそこか…ふっ、それにしても良く飽きないものだな」

少女と対話していた男が一つの建物を指差す。其処は人を寄せ付けない雰囲気を放つ倉庫
如何わしい行為を行うのにはお誂え向きだ。

「………」

男は下賤な笑みを浮かべ、厭らしく少女の腰に手を回すとそこに向けて歩みを進める
―――この少女は、自分の身体を「対価」として差し出しているのであった


//21時ごろまでは待っています。宜しくお願いします


680 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/19(日) 20:12:20.87 ID:FTOsByKJO
>>679
「…………うわぁ」

此処は都市において闇市と呼ばれる場所。実に怪しげな雰囲気に包まれていて、人間の闇を垣間見る事ができる。
この絶望的な状況においてもまだ、欲望に塗れるはみ出し者達。崩月は、それに一種の侮蔑を覚えていた。

そもそも、何故このような場所に来たのか。食料や飲料に困っているわけではない。
答えは、彼の傷だらけの状態から察せられるだろう。能力だけでは思ったよりも治りが遅かったので、薬を手に入れに来たのだ。

適当に散策していると、見覚えのある少女と、それの腰に手を回す如何にもな男性と鉢合わせする形となった。
この後何をするのかは、簡単に察せられる。

「……何してんだよ、お前」

訝しげな眼光で両者を睨み、話しかける。

/イベント前にちょろっとでよろしければ…
681 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/19(日) 22:06:44.03 ID:FTOsByKJO
/すいません、もうイベントが始まってしまうので無かった事にさせていただきます…
682 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 22:12:58.75 ID:yxm5vkCSo
教室を縦に三つ並べた様な部屋がある。一番奥に強い衝撃で抉れた黒板には大きく打倒夜、などと書かれている
その前に時雨が書類の束で出来たメガホンを持って立っていた。黒長髪の前髪パッツン、今はオッドアイではなく、白衣に昨日と同じ白い縦線のセーターに黒ズボン。
今日は昨日調べ切ることのできなかったこの研究所内の資料を読み漁る地獄の様な作業を無理矢理手伝わさせる為に、皆をよんだ

「あー、今日はよく集まってきてくれた。昨日はお疲れ様、私が怖くて倒せなかった魔獣共を一夜にして掃討するなんて素晴らしい……
今日はこの研究所内の散策を手伝って欲しい。貴重な資料も幾つかあるだろうしなあ
何人かはここに残って、他は違う部屋の散策を行ってくれ、事前に組分けはしてあるから、その指示の通り」

前者組は時雨とここに居残りつつ、時雨に質問の雨霰を降らせてもらっても構わない
ここにある資料は主に月装について。だがしかし、ある資料は前日時雨が増刷しまくった所為で同じ内容の資料ばかり
内容は月装の強化についての事が主だっている

後者組はまず、昨日光を使役する魔獣と戦ったであろう【1】の部屋に行ってもらう事になる
よくわからない煌びやかな部屋の様相は昨日の激戦を経て、可愛さの欠片もない部屋へと成り果てたが
よく見れば幾つかの資料が残されている。夜についての資料が、数枚残されている
後者組はまず、主に夜の資料の回収を行う事になるだろう
凡ゆる場所──装飾の裏だとか、昨日は目も痛くなる様な電光で隠されていたような資料があるかもしれない

────────────────

【前者組】探索ポイント
全方位書類、黒板、散らばったデスク、妙なタンス、

【後者組】探索ポイント
西側装飾、東側装飾、北側装飾、中央書類一枚(夜の使者についての資料)
683 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 22:24:08.87 ID:YR63wuwzo
最初のロールは話聞いて部屋に入りましたよーみたいな感じでいいんですかね?
684 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 22:24:42.76 ID:YR63wuwzo
>>683
/誤爆ですごめんなさい!!
685 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/19(日) 22:26:08.95 ID:4GNORGaH0
>>682
「…………」

魔獣を倒し、衝撃的な事実を知ってから一日たった
時雨に組分けられた通りに他の二人と共にこの部屋に残る
あちこちに散らばる資料を見ようかとも思ったが、先ずは時雨に質問するのが先である

「あんたが掲示板に張り紙を張った人か?想像してたのとはずいぶん違うな」

張り紙に書かれた文章から想像した姿とは随分イメージが違う
だが、今はそんな事よりも聞いておきたい事があった

「聞きたい事があるんだが、質問いいよな」
「夜の狙うものは、なんだ?」

昨晩知った、この都市に夜の狙う何かがあるという事実
それを何よりも先に聞いておきたかった
686 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/19(日) 22:35:36.28 ID:FTOsByKJO
>>682
あの激戦から一日後、休息する間もなく再びこの研究所へと足を踏み入れる。
理由は、目の前にいる掲示板の張り紙の主である研究員―――――時雨に呼び出されたため。
ここで何をするかといえば、部屋の探索をして情報を得るという事。

「さて…………張り切りますか、と」

未だに傷は癒えない。だが、人類にとって有用な情報が手に入るのだからこれくらいは安いだろうと割り切る。
どうやら自分はここに残って探索をするらしい。
まずはどこを物色するか―――――――目についたのは、散らばったデスク。

デスクの方へと移動し、手をかける。
それと同時に、崩月は時雨に質問を投げかけた。

「なあ、あんたは色々知ってるんだろう?」
「《夜》について、知っている事を話してもらいたいんだけど」
687 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 22:36:17.33 ID:YR63wuwzo
>>682
白衣を来た研究者……今日、初めて見る顔だが、かの貼り紙の張本人であろう人間だろう、
指示通り動くと言うのは、他人と協力と言う事は好きでは無いが、そうしなければどうしようもないと、渋々部屋へと足を踏み入れる。

「……此処の部屋の主は光に興奮するヘンタイか何かだったのか?」

扉を開いた先の部屋、其処に在ったのは無論、交戦によってあらゆる箇所が破壊された部屋と、何故だか無数の電球の様な物。
どういう意図を以って設置されたのか全く以ってよく分からなかったが、兎も角此処に何かあると言うのならば探るしかあるまい。
"双眸"を見開いて、部屋へと視線を巡らす……分かり易く一枚の書類が存在する以外には、特にらしい物は見当たらなかった。
この装飾の内側に紛れこんでいるか……渋々と、部屋の中へと足を運んだ。
688 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/19(日) 22:41:38.12 ID:8JIlvM9S0
>>682

部屋の中に集められた探索者の中に、《月装》使いの少女、シャーロット・プランケットもいた。
彼女のブラウスの袖や膝には血の滲んだ包帯が巻きつけられ、スカートは継当てだらけと痛ましい装いだったが、
時雨の姿を見咎めると、途端に顔色を活き活きとさせて、

「……白衣のお姉さん、見つけたわ」

と言いながら、足早に歩み寄ってくるだろう。

「はじめまして、えっと……『激かわ』さん。わたしはシャーロット・プランケット。自警団員よ。
 今日は探索班だけれど、実はあなたに聞かなければいけないことがあって」

懐中から取り出して見せるのは、きっと見覚えのある拳銃と――銀の弾丸=B

「多分だけど、あなたの落とし物よ。
 あらゆる物体を朽ち果てさせる魔獣が、これを壊さずに……最後まで持っていたの。
 持ち主なら何か知っているかと思ったのだけれど、どうかしら?」

魔獣の包囲を受ける前に探索を行う必要がある以上、作業時間は短い。
時雨がはぐらかすような答えをしたところでシャーロットにごねる猶予は与えられないが、貴女はどう出るだろうか。

何にせよ、この問いを一応は解消できやなら、シャーロットは第一の部屋へと向かう。
そして――恐らくは、最も目立つ一枚の書類≠ノまず手を伸ばしてみようとするはずだ。
689 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/19(日) 22:45:04.76 ID:5Hgkfro70
>>682

「おい、そこのアマ。そこの前髪パッツンクソダサスタイルの季節外れセーターババアのことだ。
 探索を始めたいのは私もやまやまだが、伝えておくことがある」

 腹の底からぐつぐつと沸騰したような声色で凄むのは、炭化したような色合いの髪をポニーテールに纏めた眼鏡の女だ。
 地鳴りを起こしかねない勢いで時雨に歩み寄り、至近距離まで近付けば切れ長の三白眼とどす黒い隈で睨みつけて、

「――今から『一発』ぶん殴る。異論は認めん、精々歯ァ食い縛れやぁッ!」

 ――そして、握り締めた拳を時雨の上から風を切って振り下ろすだろう。
 それが入れば、次は下を向いた時雨の顎へと左手のアッパー。
 さらにそれが入れば、とどめとばかりに膝小僧を尖らせたニーキックを股間に叩き込む。無論、両腕で時雨の体をホールドしてから。


「――さて、これで終わりだ。質問をする。
 まず第一、月装の発生メカニズムはなんだ。製作者がいるならば、そいつは誰だ」

 明らかに一発ではないコンボが綺麗に決まれば、女は悶絶しているであろう時雨に何事もなかったかのように質問を降らせるであろう。
690 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 22:53:36.19 ID:yxm5vkCSo
>>685>>686>>688>>689
間隙も無い様な書類の海によいしょ、と座り込み一枚一枚を確認しつつ、自分が増やした分の書類は纏めて横に置いてあるシュレッダーにかけていく
この調子だと直ぐに中身も一杯になってしまうだろうが、月装強化が頻繁に使えない今では増やすことしか出来ないので、遠慮なく突っ込んで行く
早速込み上げてきた面倒臭さを大きな溜息にして排出しつつも、この永夜に包まれた世界の住民の、溜まりに溜まった鬱憤と質問に答えて行く
最初は夜について。夜については分からない事が多い。殆どの事は推測に過ぎないのだが、と前提に置いて

「分かりません。ただ、この都市だけは、初見殺しの様に都市ごとくらってしまう、何てことはしてないんです
だから、この都市には何かあるんでしょうねあの夜でさえ、飲み込む事を恐る何かが
──って。あ、少年そこのデスクにあるのは私の論文だぞ」

早速デスクに手を付けたのは感がいいと言うかなんと言うか。そのデスクは周囲の黒板や教室の状況から鑑みて新しめの物だった
中に入っているのは幾つかの月装強化、《暁月》についての論文
内容は自分が持つ聖遺骸をどうにかして削り、各月装に合った形で、例えば義眼の月装である時雨の月装を強化しようと思えば目薬で、などと《暁月》の使用方法が書かれている
主に使用方法だけで、原理に類推などはされていない。その資料はまた別な所にあるのだろう
質問すれば詳細を簡単に説明してくれることだろう

「先程も言いましたけど詳しい事は分かりません。ただ、夜は都市を直ぐには破壊しない事、加えて何か意思を持っている筈であること、くらいですね──って、君は他の部屋だろう?何か質問か?」

居残っていたのは銀の弾丸と拳銃を持ったシャーロットだ。昨日研究所内を巣窟に探索者を食らっていた魔獣が持っていた物と思われる
時雨はそれを見、爪先から頭の先までを煮え切ったヤカンの様に赤くしてシャーロットの手前まで駆け抜けた
そしてシャーロットの手元から奪い取ろうとする……余程大事な物らしい

「ああああ!!!あった!!!!!なんかいつのかにか無くしてたんだ!!!これなかったら月装強化できないんだ!!
有難う……君、うん。いや。君は別な部屋だ。直ぐに部屋に戻りたまえ……
こほん……これはですね、聖遺骸を壊す事の出来る唯一の武器なんです
これで聖遺骸の一部分を削り取って、破片を月装に何らかの形で与えるんですよ」

答え、早々に他の部屋に行くことを促した後、どこからともなく罵声が時雨に直撃した

「な、なんだとこの失礼な野郎ですねどいつ──ドボバッ!」

顔を確認する前に振り返った直後を狙われ、許可も無く頬に感じる強烈な一撃。そして追撃顎を抉る下から覗き込む様な殴打、そして股間が破壊される
痙攣して動かない。質問に応えられる様な状況で無い。揺さぶってみてはどうか
691 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/19(日) 23:06:54.06 ID:4GNORGaH0
>>685>>686>>689
「…成る程」

つまり、何も分からないということか
夜すら恐れる何か―――そんなものが本当にあるのだろうか?
もし本当にそんなものがあれば既に知っていそうなものだが

「答えてくれてありがとう」
「また聞きたいことがあれば聞かせてもらう」

一先ず聞きたいことは聞けた
次は資料を見てみようと漁り始めると―――

「―――なっ、お前いきなり何を!?」

散らばってる資料を適当に集めていると、突然女が時雨を攻撃した
というか、一発って言っているのに全然一発じゃない
唖然としながらそれを見ている
692 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/19(日) 23:18:13.49 ID:FTOsByKJO
>>690
「ふぅん…………」

《夜》については、大体そんな事を言ったが。漠然としすぎて、疑問の解消には至らない。
ならば、魔獣はどうだろう?人間に戻るという事例も確認された彼らのメカニズムは?

また、崩月が手にして書類には月装を強化した暁月の使用方法が書いてあるが…
焔装使いの彼にはかなりちんぷんかんぷんなもの。適当な月装使いに渡してしまおうか……などと、考えたが。

>>689
「…………………って、おい。あんたは何してるんだよ、突然怒り出して」

何やら怒声が聞こえると思いきや、アリシアが時雨にえげつないコンボを叩き込んでいた。
完全にノックアウトしているようで、時雨はピクピクと痙攣している。
これではまずい、折角の情報源が伸びてしまっては型なしである。

「おい、大丈夫かあんた………あのさぁ、頭冷やせば?折角の貴重な情報源を傷つけたって良い事ないと思うんだけど?」

時雨を揺り動かして起こそうとする。面倒事を起こしたアリシアを、苛立ちの混じった眼で睨みつけて。
それでも尚、時雨に危害を加えるつもりならばそれから守ろうと身を挺すだろう。
693 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/19(日) 23:21:44.61 ID:8JIlvM9S0
>>690

きゃっ、という短い悲鳴を上げながら、抵抗することもなくシャーロットは拳銃と弾丸を奪われる。
魔獣に対して敢然と立ち向かってきた彼女だが、時雨にはちょっとだけ本能的な恐怖を覚えた。

話を聞くにこれは、どうやら直接魔獣を討ち果たすものではなく、《月装》の強化に必要なものらしい。
予想していた用途とは違っていたが、世界の命運を左右し――そして自分とも関わりの深いものだ。
《焔装》使いに引けをとらない力を手に入れれば、願いの成就も近づくのだから。

「詳しくありがとうございます。なら、取り敢えずこれはあなたに返すわ。
 や、もう取り返されてしまったけれど……」

「ああ、わたしはそろそろあっちへ行かないと。
 一刻も早い《暁月》の実戦投入、《都市》インフラの整備、どちらも心待ちにするわ」

湧き上がる希望と、一抹の焦りをその微笑と視線に滲ませながら、シャーロットはこの部屋を去った。
――それから少しあと、彼女が壁越しに響く荒々しい殴打の音にびくりとしたのは、言うまでもない。

/「拳銃を手渡した」ことを確定させるためのロールなので、レスはいらないです!
694 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/19(日) 23:30:15.02 ID:JaQxf/8c0
>>687
あー、あれだ。
魔法少女ごっこ……みたい、な。
あまり詳しい話をさせるのやめてくれ。

【その交戦原因の一人、エイルは顔を顰める】
【呪詛のような言葉を吐いて消えていった少女、妙な生々しさと、最後の言葉が未だに頭から消えない】
【結局、断片的な答えしか出せないソレでは解答になりきっていないのだが、聞くな、という一言には拒絶の意思を込めていた】
【まあ、頼み込めば教えるだろうが】

>>693
――シャロ……だよなっ!

【この部屋に来たもう一人、その顔に表情を柔らかくする】
【前に会ったのはいつだったか、未だにシャーロットが生きていた事がエイルは嬉しかった】
【ここにいるという事は戦闘もしたのだろうか……と思い、体に目を回すも、目立った外傷――欠損などのことだが――がなくて、安心する】

よかった、いや……その、生きててくれてよかった。
わり、ちょっと情けなかったな。

【言葉が浮かばない、ただ生存してくれてよかったと、それだけは真に伝わるだろうか】
【柄じゃないな、と思いすぐさま目を逸らして、再度部屋へと目を向ける】

>>687>>693
なあ、提案なんだけど……手分けして探さねえか?
あたしはこっち見るからよ、そっち頼むわ。

【そういい、エイルは真っ先に北側へと歩いていく】
【書類に目もくれないのは既に見たから、だが、それから察することはできるか】
695 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/19(日) 23:33:32.86 ID:VvB2vQ20O
>>690>>692

「誰が寝ていいと言った? やはりノータリンか貴様、私は質問に答えろと言ったのだ」

 水揚げされた回遊魚のように震える哀れな時雨に、彼女はそう言い放つだろう。
 真夢の制止を目にしたからこそそれ以上の行動は取らなかったものの、もしそれがなかったとしたら――。

「いいか一度しか言わんから耳の穴をかっぽじってよーく聞け。
 現時刻から世紀の天才かつ最強エンジニアの卵でありM.I.T.に弱冠16歳で合格したこの私、アリシア・P・シノットが嫌いなことランキングを第三位から第一位まで発表する。
 第三位。馬鹿の馬鹿っぽい行動を見ること。
 第二位。馬鹿に指図されたり、馬鹿の思惑通りに動くこと。
 第一位。馬鹿が自分よりも高い功績を挙げること。以上だ」

 彼女は矢継ぎ早かつ立て板に水を流す勢いで流暢な煽り文句を並べ立てる。
 内容に目を瞑れば、よく噛まないものだと感興をそそられるほどに。

「貴様は見事私の大嫌いランキングを第三位から第一位まで総ナメした。『激かわ研究者』? 『悔しいだろう』? 素晴らしい実に素晴らしい、イグノーベル文学賞でもくれてやりたい所だ。
 褒賞として私が直々に貴様を巡行ミサイルの迫り来るニミッツ級空母に設置されたファランクスの廻転する銃口に括り付けて美味しい美味しいハンバーグのもと60kgを生産してやろうかと思ったが、残念ながらそういったシステムは手元にないので私の拳一発で我慢してくれ。
 さて、もう一度聞こう。月装の発生メカニズムはなんだ。製作者がいるなら、そいつは誰だ」

 淡々と彼女はそう言い終えて、時雨が聞いていなかった質問を繰り返すだろう。真夢が咎めようがお構いなしである。
 その口調に冗談じみたものは感じられない――この女、徹頭徹尾本気だ。


/うわあああレスが一度消えてめっちゃ遅れました……ごめんなさいっ……!
696 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 23:34:21.46 ID:yxm5vkCSo
>>687>>688>>694
陽遥が目を疑うのもおかしくない。実際、この世界において電力は重要な物なのだから、こうも無駄遣いをする様な輩はそういないのだ
時雨のぬいぐるみも実は部屋の東側の端の方に幾つか置かれており、その中には写真を持った一匹のクマがいる
割りかし目につきやすい場所にあるので、もしかしたら手にとってその写真を見るかもしれない
その写真の中には二人、首元に蛇の紋章を抱えた少女と、お淑やかな雰囲気を纏う、黒い長髪の少女が写っている

シャーロットが手にとったのは以下の資料だ

───────────────────

【夜の使者についての資料】

『今考えれば迂闊だったのかもしれない。私は知っていた様で考えたくなかったのかもしれない。
今となっては手遅れだが、これを見ている君ならばおそらく、無知の愚かさを拭ってくれるかもしれない。
あの空が私達だけを喰らわない理由、なんでこの都市だけ、なのか。
否、この都市だけが狙われていないのでは無い。
年々年の外周が削られている。ならばこの都市に、奴らの目的があるのでは無いだろうか
それも、大きな物でなく、とても小さな──
奴等の知能は高い。そう、人の形をなしていないあの空が──────』

───────────────────

もしかすれば、夜は何か意図してこの都市だけを生かしているのかもしれない、といった内容
確かに、この都市だけを外して襲うなど不可解極まり無い事だ
何か、都市にはあるのだろう。それがなにか、明確なことは分からないが

エイルが探索し始めたそこにあるのは、嵩張った資料、しかし大半は子供が書いた様な落書きだった
上から順に、意味の無さそうな絵が重なっている。黒い塊が白い紙の上部を占拠し、その下には小さな光
特に示す意味は無さそうにも思えるが──どう解釈するか
ただ、本当に子供が書いたような絵なので、エイルからすれば昨日の悍ましい魔獣を思い出さないことも──ないだろう


697 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 23:41:49.52 ID:yxm5vkCSo
>>695>>692>>691

「あばばばばば、なんですかこの女……!頭の回転良すぎなのはよく分かるんですが、罵倒に頭割いてるからだめな……暴力はやめてください!!!!!嘘です何も言ってません!!!!」

痙攣から覚めたは良いが、鈍痛が全身に残っている。姿も確認することを許されないままの不意の一撃程理不尽な物があってか
時雨は口端に残る血と唾液を白衣の袖で拭い、揺さぶる女の姿を見る──苦手なタイプだ
一度見ただけで判断出来た。同じ様な人間ではあるが、だからこそ絶対に相容れないタイプ
時雨は先程の理不尽な一撃を繰り出したであろう正面の女、アリシアと目を合わせられずに、露骨に視線をそらした
これだけ近ければ少々、胸の感触もあるかもしれない。アリシアが胸のことを(二重で)気にしていないのであれば幸いだが

「げ、月装は私が手がけたわけではなく、私の友人が作った物なんです!
私も製造過程とかはよく分からないんですが、私が持つ聖遺骸と同じ様な聖遺骸をあいつ持ってましてそれで──
えっと、そうそう。月装は聖遺骸の破片を元に作られているみたいなんですよ
聖遺骸がなぜ長所と能力が呼応するかは分かりません……ただこれは私の推測なんですが

──焔装機構をしっていますか?」

アリシア、否ここに居る全員に問いかける。一見、月装とは何ら関係のないことの様にも思えるが

呆然と突っ立って居るユウトに対し、一早く行動したのは真夢だった。時雨を庇う様に守っている
損得勘定がよく出来ているんですね、などと時雨は全方位にいる人間を敵に回す発言が得意な様だ

「焔装機構は体内に存在しているといわれ、その焔装機構に個人の負の感情を蓄積することにより能力を発現する──
それは須く体内に存在しているんですが、人によっては体表にでたりするみたいですね」
698 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/19(日) 23:43:06.38 ID:yxm5vkCSo
/っつうううう揺さぶってなかった揺さぶりに関する所消してくださいおねはいします!!
699 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/19(日) 23:44:47.72 ID:YR63wuwzo
>>688
>>696
シャーロットが手に取った資料を、横から覗き込む。
「何らかの意図によりこの都市は生かされている」……成程。
莫大な力を持つ"夜"が都市一つ吹き飛ばす事等雑作も無く、実際にそれを遣って退けていると言うのに。
此処だけ生かす、と言う事。一息に殺さずに、嬲る様に追い込んでいく事。

「……問題は、それが何故かと言う事だろうに」

或いはそれもまた、この部屋のどこかに隠されているか?―――――――― 視線を外し、部屋へと巡らす。

>>694
「……つくづく分からん」

その呟きに対して帰ってきた言葉は、その状況に対する思考をより混迷へと近づけた、が。
そうやって、煙に巻く事。そして何よりその言葉に籠められた意思が主張する通り。"恐らく碌な事じゃない"。
それに、大して興味がある訳でも無い―――― どうせ、"悲劇"だろう。

「まぁ、どうでもいい。良いだろう、こういうことはさっさと終わらせたい。
 こういうことは好きじゃないんでな……」

その言葉に、頷く事はせずとも了承の意を表す言葉を返して、西側へと歩み、探索を開始した。
700 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/20(月) 00:00:06.73 ID:8JIlvM9S0
>>694

「エイル! あなたも来ていたのね!」

目のやり場もないほどに灯火類で埋め尽くされた部屋で、シャーロットは見知った顔の出迎えを受けた。
三週間ほど前だったろうか。《都市》の外縁で一度会ったきりだが、文明の落とし物漁りという趣味で意気投合した相手。
エイルが今まで生きてくれていたことに、思わず頬がゆるむ。

「ふふっ……でもそうよね。あなたがいなくなるわけないわ。
 戦いが終わったら……って、あの日約束したもの」

――屈託のない笑みにも死の影が纏わりつくのは、時代が抱える悲哀か。

>>696

資料に目を通しながら、シャーロットはハッと息を呑んだ。

「……《都市》には、《夜》による侵食を押しとどめているモノがある。
 戯れにそんなことを話し合ったことがあったけれど……」

暫く前、志を同じくするひとりの少女と語らった推論。それを証明するかのような記述が、そこにはあったのだ。

「でも確かに、よくよく考えてみれば。
 変動重力圏の中に状況を打開する何か≠ェあったら、わたし達はそれを既に使っているはずよね」

今まで――自分を含めた――人類は、魔獣を迎撃することばかりに気を取られていた。
これからは、《夜》の真実を知り、その目論見を打ち破らなければならない。
第二の、そして最後のラウンドがこの戦争に訪れようとしている。

>>699

「そうね。ここから先は、競争になるわ。
 《夜》と《都市》の人間……どちらが先に鍵を見つけるか」

「あ……初めまして。わたしはシャーロット・プランケット。自警団の《月装》使いよ。
 それにしても、眼がチカチカする部屋ね。どこから電力を供給してきているのかしら……」

ざらついた雰囲気の彼女に対して手短に自己紹介しながら、シャーロットも再び部屋を物色し始めるだろう。
向かう先は、まだ誰も資料を回収していない東側だ。
701 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/20(月) 00:07:21.21 ID:BgWgyJq70
>>696
……あいつの、かな。

【その絵を見て、僅かに声を曇らせる】
【倒さなければいけない相手だったとはいえ、やはり後悔と、あの時心に残った言葉が気になる】
【はっぴー、えんど……しかし、エイルはそんな事を考えても、明確な答えを浮かべられるほど頭が良い訳ではない】
【一応全ての資料に目を通し、必要そうな物があればもっていく……一応、絵も持っていくとしよう】

>>700
ああ、そうだよな。
大体、あたしは弱い訳じゃねえんだ。そう簡単にくたばるかよ!

【強がる余裕ができたのは、仲間に出会えたからか、空元気か】
【恐らく両方とも半分くらいで、焔装を使っている分、見える死の線は濃い物になるか】
【目の前の少女の死の影を感じて、自らにもそれがあるのかと思い直して――振り切るように話題を逸らす】

>>699>>700

こっちは大した収穫じゃないみたいだ。
一応渡すけどよ……見てないのは東側の方か?

【そういい、一応資料を渡す】
【そこまで頭が回る訳じゃない。故に資料の取捨選択を任せるのなら、二人の方がいいだろう】

あれだ、あたしあんまり頭よくなくてよ。二人に頭は任せてもいいか?
三人寄ればなんとやらっつうから、一応考えたりはするからよ――後、その電球、魔獣のせいだから、スイッチとかはないと思う。

【そういい、東側へと歩く途中で、思い出したように振り返る】

>>699

忘れてた。自己紹介。必要だよな。
あたしはエイル。あんたの名前は?
702 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/20(月) 00:10:07.14 ID:n5a1V3nVO
>>697

「人の目を見て話せとママとパパに教わらなかったか貴様。
 別に構わんがまた気に食わないことをしたら容赦なく張り倒すぞ――ちなみに第十三位は『自分より胸の大きい女にそれを主張されること』だ」

 ――どうやら、女はきっちり胸のことに関しても少なからずの怨恨を有しているようだ。
 口から血を垂らす時雨を見つめる表情からは、恨めしさに由来する眉間の皺と、復讐達成に由来する唇の吊り上がりが見て取れた。
 しかし時雨が本分の説明を始めれば、女の面相に特殊意志的なものは見て取れなくなる。

「焔装機構――ああ、知っている。昨日ここで読んだ資料では、『いつからあったのか』という疑問が呈されていたな。
 私はてっきり件の『月』の光を浴びた際に生成されたのかと思っていたが、違うのか?
 それともう一つ質問、その月装製作者は生きているのか?
 もしそうならば会わせろ、そうでないならば墓参りさせろ」

 そして彼女が時雨に向ける質問に、明確な悪意はそこまで感じられないだろう。
 真摯な話題を真摯な態度で臨むならば、彼女はそれに応じてくれるのかもしれない。


/今度は順番勘違いしてました……本当に申し訳ない……!
703 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/20(月) 00:15:20.70 ID:cxxXxynFo
>>699>>700>>701

西側にあるのはただの装飾だけだった。
夜の資料が示しているのはそれだけだろうか、陽遥は少々の違和感を感じてもおかしくは無いだろう
それだけのこと、少し考えてみれば分かるような事だ。思い出せるだろうか、題名は【夜の使者についての資料】
そして最後の一文。人の形を成していない、と書かれた一文。
夜から産み出された魔獣達は、人の形で有ったりだとか、動物の形であったりだとか、それが普通なのだろうか
何故夜は敢えて小型の魔獣を産み出していくのか──

シャーロットが向かう東側、そこにあるのは時雨が可愛がって良く刀で串刺しにして遊ぶ幾つかの熊の人形
一つだけ、刀で穿った後こそは無いが、一層古びた写真たてを持った熊の人形が一つ、隠されてあった
その写真たての写真──首筋に蛇の様な紋章を抱えた少女と、もう片方は黒い長髪の少女が無邪気にじゃれあっている写真があった
黒い長髪の方、これは恐らく……時雨だろう

その絵が昨晩の彼女の物かは分からない。だがその様に感じるのは仕方ないであろう……彼女もまた、元人間なのだから

三人が探すべき場所はシャーロットとエイルが東側を探索すれば終わりだ
次に向かうのは【2】の部屋──だが、そこはもう何もかもが消え去って空っぽになってしまっている
原因は言わずもがな昨晩の魔獣の所為だろう。となれば、最後の部屋【3】の部屋に向かうことになる
【3】の部屋にあるのは奥に飼育ゲージを置いただけの、特に何も無い空間だった。例のごとく、中央に一枚の紙が残されている

───────────────────

【3の部屋】探索ポイント
飼育ゲージ:書類群、中央紙

704 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/20(月) 00:24:05.42 ID:cNKMVs8W0
>>697
「焔装機構?…いや、知らないな」

月装の元となるものが聖遺骸の破片だとか、焔装機構だとか
なにやら重大そうな単語が聞こえ、集めた資料を読むのを中断する
名前からして焔装に関係があるもののようだが―――?

「…なんとでも言っとけ」
「それで、その焔装機構ってのはなんなんだ?」

時雨の発言が頭にこないでもないが、今はどうでもいい
そんなことよりも焔装機構なるものの方が気になる

「負の感情を蓄積することにより能力を?」
「それはつまり、焔装の元ってことでいいんだな?」

ほとんど答えは分かりきっているが、念のため確認しておく
そして、それが一体なんだと言うのだろうか―――?
705 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/20(月) 00:27:03.32 ID:U550CYQ4O
>>695>>697>>702

「はぁ…………」

駄目だ、頭が痛くなってきた。馬鹿と天才は紙一重とは言うが、まさにこの状況の事を指していると言っても過言ではないのではないか。
アリシアは恐らく、時雨の態度にプライドが障ったのか、そんな理由で彼女を傷つけたのだろうと言動から察せられる。
だが、この場においてそのような事をするのは極めて非効率的な行為。凡そ崩月には理解できなかった。
天才の考えている事など、凡人である彼に分かるはずもない。ただ、大げさにため息をつくだけ。
しかしもうアリシアの時雨に対する悪意はもうないと見て良い。二人の間からそそくさと抜け出す。

「焔装機構………」

それは焔装使いである崩月が何よりも知っている。詳しいメカニズムは分からないが、その使い手なのだから。
時雨は、焔装の詳細までも知っているというのだろうか。

「………僕は焔装使いだけど、詳しいメカニズムは知らないな。教えてくれないか」

場が膠着しているので、一人だけ探索を再開。今度は黒板の方を物色しながら時雨に問う。

「それともう一つ。魔獣について何か知っている事は?僕はこの前、魔獣が人間に戻るという事例を目撃したんだけども」

ここでみすみすと機会を逃すわけにはいかない。矢継ぎ早に質問を浴びせかけていく。
706 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/20(月) 00:30:04.28 ID:VFBE1xzAo
>>700
>>701
「陽遥。太陽に、遥かと書いて「ひよう」。
 覚えても、覚えておかなくても良い。どうせ――――――――」

>>701
渡された資料へと目を通すと、其処に書かれているのはまるで"子供の落書き"……どうも何も無い。
空を覆い尽くす黒は《夜》か?小さな光はこの電球達か、魔獣の能力か、それとも別の何かか?
そう幾ら考えた所で、これ一つから読み取れる情報は無い、其処から想像を膨らませるだけの事しかできないのだから。

「ガキの落書きにしか見えない、現時点では大した意味は感じられない。
 暗号か何かかと考えられるかもしれないが……貴様を見ると、何かしら、然し特に重要でも無さそうな心当たりはありそうだが。
 私は大して興味はそそられなかった。以上だ」

それを手離して。さっさと自分の持ち場へと戻って行った。

>>703
「……はずれか」

西側の装飾は本当に唯の装飾であり、其処をいくら探しても徒労にしか成り得なかった。
忌々しげにブーツの踵で床を叩いて、少し、考えた。思考の大半は先に覗いた資料に大して注がれた―――― 果たして《夜》は何を考えているのか。
"夜の使者"―――― それは果たして"魔獣"の事を指すのか?何故、《夜》は魔獣を産み出すのか。
人が忌々しいと感じるのならば、一息に呑み込んでしまえばいいと言うのに―――― 何故、態々面倒な事を?

「人類に対して意思疎通を試みているのか?それとも、やはり、何か探し物か……ダメだ、分からん」
>>700
>>701
>>703

「おい、何か見つけたか」

そう声をかけて、何か有益な情報を得られる事も無ければ、左手で左眼を覆う様な仕草の後。
さっさと、次の部屋へと足を踏み入れる事だろう。

其処は先の電球の部屋とは打って変わって空っぽ。余りにも何も無い……其処はもう、ただ通りすがるしかなかった。
次に向かったのは、飼育ゲージを置いただけの簡素な空間―――― 昨日、一匹の魔獣を斃した其処だ。

「……ふ、フ」

かの光景を思い返して、思わず小さな笑い声を挙げ。中央に残された、一枚の紙を手に取ろうとした。
707 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/20(月) 00:36:42.62 ID:cxxXxynFo
>>702>>704>>705
ただでさえ人と接する機会など無いのに、と顔を背けるなと言われるものの、視線を合わせれば息の根が止まってしまいそうだと、小声でぼやいた
踵を返して書類の片付けの作業に戻り、やはり書類の束を椅子代りにして座り込むと、淡々と語りだす
仄かに赤い、その唇が揺れる度に、時雨の言葉が打ち出されて行く。まるでいつか語らねばならぬ日が来るだろうと、予測していた様に
俯きながら作業している為か、時雨の前髪が表情を隠し、影を与える。物憂げな雰囲気を纏った時雨は──憐憫に伏す、悔恨の塊だった

「そうです。焔装機構は私の友人が推測ではあるものの、焔装使いの彼女自身が必ずあると言い張った物です
様はそこの少年が言う様に焔装の能力元ですよね
焔装機構は基本的に体内にありますよね、なにで能力を発動する為のエネルギーである、負の感情を蓄積すればする程、魔獣に近くなって行きます
何故魔獣になるか、何故月の光を浴びてからなのか、焔装機構はいつからあったのか、それは分かりません

月装に話を戻します。月装は焔装の模倣品である、って話を耳にしたことがありますよね?
友人である開発者の残した資料によれば確かにそうです。その資料なんですが──そのことと、焔装との違いしか書かれていないんですよね

焔装との違い、ですが。焔装は体内に機構があり、月装は言わば焔装の焔装機構を体外に出した様な物、らしいです
本当に体外に出すわけじゃないですが、体外にある筈の月装と、長所がリンクする、という事は何処か、焔装と同じ力を、原料である聖遺骸は持っているのかも──」

ユウトの質問の答えも踏まえつつ返答する
そして続いての質問だ

「開発者は──行方不明です。墓もないです。すみません……」

余計に表情に曇りが生じた。余程大事な友人だったのだろう
崩月の質問に、時雨の方が機微、震えた。何か過去に思い入れがあるのだろうか

「恐らくそれはまだ半魔獣だったんでしょう。そこまでの状態ならば、まだ救いようはありますし──
魔獣は夜から産み出されている、んですよね。何故か、は分かりますか?
これも推測です。ただし、恐らくこれが答えです。
夜が都市を一息に破壊しないこと、それに加え小型の魔獣の精製──魔獣を介して、何かを探しているのでは、ないかな」
708 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/20(月) 00:38:40.56 ID:ImcPSUnQ0
>>701

「無理は禁物よ。もし何かあったら、自警団の――わたしの所まで来て。
 《月装》の強化に目処がついたからには、今度はあなたを守ってあげる番よ」

《焔装》使いがその身に抱える、目に見えない砂時計をシャーロットは恐れていた。
ただ、その恐怖をを肌で感じているエイルにこれ以上暗い話を振るのも申し訳ないから、
助力の提案だけすると、視線と話題を彼女の持つ絵の方に移す。

「真っ黒が紙いっぱいに広がって、白い点がひとつ。まるで月か星みたいね。
 《焔装》使いに『光』が降り注いだ時って、こんな感じだったのかしら」

「光……この部屋の電灯に透かしてみたら、何か分かるかしら?」

どう見ても落書きだし、これで謎が分かったら余りにベタだが――試みてみないよりはマシだ。
なにせ、落日の世界では光源の確保にすら苦労するのだから。

>>706

「《夜》は漆黒の龍の形をしているって噂を、この戦いが始まった時に聞いたことがあるわ。
 もしかすると――空を覆っているそれ自体が、途方もなく大きな魔獣なのではなくて?」

「これは全くのあてずっぽうだから、信じてもらっても困るのだけど……」

分からない、とぼやく陽遥に対して、突飛さを承知でそう告げる。
ちなみに、その手にはさっきの資料と写真立てが握られていた。

>>703

「ん、これは……」

拾い上げた写真立てには、《焔装》の症状に似た紋章を宿す少女と、長い黒髪の東洋人がいた。
その目鼻立ちはあの研究者とそっくりだ。――と言うより、その幼少期だろう。

「このぬいぐるみだけ、刀で刺された痕が無いのね」

昨日制圧した部屋は、時雨がいた一つを除いてすべて一体の魔獣のものだったと言う。
ならば、ここに写っている少女は――?

シャーロットはこの部屋で戦ったらしいエイルに視線を送りながら、この写真を見せようとするだろう。

───────────────────

ややあって――未だ鮮明な記憶が残る第二の部屋で『彼女』に手を合わせてから、第三の部屋にたどり着くと、
シャーロットは殺風景な室内で目を引く檻《ケージ》に近づいていくだろう。
709 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/20(月) 00:50:30.75 ID:n5a1V3nVO
>>707

「結局、根本的な部分はないない尽くしか……まあ、仕方ない。
 焔装と月装がシステム的に酷似したものである、という情報が得られただけでも、良しとしよう」

 どこか落胆したような表情を浮かべながらも、彼女は時雨の答えに激昂するようなことはなかった。
 あからさまな不機嫌を体現していた先程までとは、まるで別人のようでもある。感情の起伏が激しいのも、彼女の特徴の一つである。
 ――そして時雨が次に紡いだその言葉の意味するところを知れば、彼女はその声色から高慢さを払い落として。

「――そうか。悪いことを聞いたな、すまない。
 ならば、私が墓を立てたい。技術者として敬意を示したいんだ――名前は、何という?」

 彼女なりの謝罪だろうか――そんな言葉を、返すのだった。

「あぁそうだ、聖遺骸とは何のことだ?
 さっきから思っていたが、その固有名詞はどうも意味が分からなくてな。教えてはくれないか」
710 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/20(月) 00:51:33.25 ID:BgWgyJq70
>>703>>706>>708
>>708
大丈夫だって、ほら、あたしだってまだこれだけ余裕がある!
でも、そういう事言ってくれる奴がいるのは有難いよな。駄目そうだったら、シャロの世話になるさ。

【空元気のように見えるが、本人はまだこれだけいける、大丈夫だと本気で思っている】
【少し思考の乱れがあったが、それが影響してたとしてもまだまだ、だと】

>>706
ま、そうだよな。ありがとさん

【紙の感想を聞いて……もう片方は光に当ててみて】
【何かあればいいが、やっぱり期待はできないだろうと思いつつ】

ヒヨウな、よろしく――んだよ、その意味深な発言。

【疑惑の残った頭のソレをぶつけるように、訳ありな事をいった陽遥に言葉を返す】



うっわー……趣味悪いな、これ。

【刀で串刺しにしてある熊の人形、酷い事をするもんだと皺ばむ】
【その中の熊の写真を見て、僅かに表情を険しくさせる】

片方はわかんねえけど、もう片方は――ここにいた魔獣の物なんだろうな。
あいつ、部屋作り変えたんだよ。こんな光塗れの部屋に。

だから、あいつの物だったのかもしれないな……今更見たって、仕方ねえけど。
もしあいつのだったら、まあその……堕ちたんだろ。

【その声は乗り気な様子ではない……後味のあるい戦いだったのだろう】
【言葉を濁したのは、目の前の少女――シャロは、絶対に気にするだろうから】
【今だって、何処か気を使っている節がある気にするなよ、と一言零して笑みを向けるが……却って儚く映るかもしれない】


【奥の部屋へと行けば、二人の行動を見てから、書類群へと動く】
【何があったか教えてくれよな、とあまり意味のない一言を残してから】
711 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/20(月) 00:58:24.10 ID:cNKMVs8W0
>>707
「――――」

驚くことが多すぎて、言葉がでない
自分は技術的な事に関しては素人もいいところだ
その辺りの事はあの女性や、焔装使いらしい男に任せればいいだろう
だが、それでも聞きたいことがあった

「…分からないなら、分からないと言う答えでいいが答えてくれ」
「―――夜の探し物は、さっきの夜が恐れるっていう"何か"か?」

自分は月装の元が焔装と同じようなものだとかは知らないし、あまり興味がない
だが、これだけは聞いておこうと思った
その答えが分かれば、夜の弱点を知ることに繋がりうるかと思ったからだ
712 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/20(月) 00:59:09.05 ID:cxxXxynFo
>>706>>708>>710
シャーロットのした行動は徒労に終わるだろう。光に当てた所で油性のクレヨンで殴り書きされた落書きはうんともすんとも言わない
写真の件に関しては──後日また、機会があれば時雨と話してみればわかるかもしれないが

【3】の部屋
そこにあるのはやはり一枚の紙切れ
内容はもうすでに知っている人間も少なくはないであろうが──


───────────────────

【焔装機構についての資料】
焔装なんてもの、最初はなければいいだなんて思っていた
友人は首元に大きな刺青が浮かび上がってきた、蛇の柄をした、能力を使えば使うほど蛇は黒くなって行く
きっと焔装には使用限度があるんだろう、使えば使うほど消費されて行く

私の場合は胸に何かを感じている。心臓に何かが積もって行く感覚──分からない、ただ、気持ち悪い
何故あの日、私達は月の光を浴びただけで力を発現したのだろうか
きっと焔装は何かしらの機構があるのだろう、募って行く感じはそれのせいだ
解剖の許しが降りない。死ぬまでに解明したい所だが……だけれどもこれは確実だ、なんてたって私自身が感じ取っているんだから

そこでただ一つの疑問が浮かび上がってきた
焔装機構は、いつからあった?────────────────

───────────────────

今まさに、【0】の部屋で時雨達が話している事だ。
もしかすれば陽遥にも、心当たりがあるのかも知れないが──

奥にある書類群、それはやはり何かが書いてあるのは理解出来るが、内容が全く理解出来ない様な難解なもので
時折伺えるのは銀の弾丸と拳銃を模した図と、何かしらの胸骨と、それに伴った肋骨の図だった
シャーロットに聞けばわかるかもしれないが、銀の弾丸と拳銃は聖遺骸を破壊出来る唯一の武器だという
この拳銃、聖遺骸の破壊以外に用途は無いものだろうか

713 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/20(月) 01:05:01.50 ID:U550CYQ4O
>>707>>709
「………………成る程」

結局、焔装は月の光を浴びて体内に発現し、負の感情を吸収して強大な能力を宿すが、何故そうなっているのかは分からず終い。
しかし、知ったところで魔獣に堕ちるのを食い止める手段があるはずもなく、つまりどうにもならない。

そして、魔獣が人間に戻ったのはまだ半魔獣だったから、完全な魔獣になりきれていない、中途半端な存在だったからこそ。
完全に墜ちてしまえばもう戻れない――――そういう事。
《夜》はこの都市にある何かを探しているのだろうか。もしそうだとしたら、それは、恐れているから?
その何かとは?人に扱える代物?それを探し出せば?

月装に関する詳しい話は、あまり理解できない。
黒板に何かないかと調べながら、崩月はそんな事を思うのであった。
714 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/20(月) 01:09:58.65 ID:VFBE1xzAo
>>708
「……それは私の見間違えか、或いは集団催眠か何かで無ければ……間違っていない。
 この"目"に確りと、焼き付いて離れない。奴は、馬鹿でかい龍の形をした……"魔獣"の最上種か何か」

「それを書いた者が元《焔》の魔獣なら、ただ印象に残った事を描いただけで、意味など無いのかもしれん。
 ―――――――― 私も、あの《光》だけは……忌々しくて、仕方がない」

何もかもを奪っていったあの日……幸せだった"世界"を奪い、片腕を奪い、片目を奪っていった"奴等"を、忘れる事等無い。
自分がそうなのだから、或いはそれを描いた人物もまた……魔獣と化したか、気が触れた中においてこんな物を書いていたのかもしれない。
奥歯を噛み締めると、ギリッ、と言う音が鳴った。

>>710
「……何の事は無いさ。ただ"魔獣が喰われた"、それだけの話だ。
 散々御高説を垂れておいて、《夜》を喰らうだのとのたまっておいて……まるでお話にならない」

今すぐにでも笑い出しそうになるのを抑え乍ら。
それは、彼女が魔獣と相対した時に言葉を濁した時とは正反対、正に狂喜の色を含みながらの、言葉だった。
彼女にとっては、それは喜劇でしかなかった。まるで自分の行く末を暗示する様な"イヤナヤツ"が"死んだ"、それだけの喜劇。

>>712
手に取った紙に書かれている事は―――――――― 名称こそ、原理こそ知らないが、感じ取っていた物。
《焔装》を使い続ければ《魔獣》へと墜ちる―――― "知っている"。そして、それは"近い"。
だが、最後の文言、其処に付いた疑問符……それについては、"焔装"である自身もまた知る由もないし、そして考えた事も無かった。

「焔装機構は……いつから、あった……」

果たして、何時からだ。《月の光》を浴びてから―――――――― 或いは、もっと、もっと前から?
だとしたら、魔獣とはいったい―――― 焔装とは、"一体何なのか"?


「ッ、ぁ――――――――っ!!


……唐突に訪れるその苦しみに声を挙げて、手に持っていた紙を取り落す―――― 焔装機構とは、一体何なのか?
今正に、自分を夜へと導こうとしているそれは、一体何なのか―――― そして、焔装機構が、遥か昔からあったとしたら。


「……或いは。あの《夜》も、元々は私達と同じ、人間かもしれんな……!!」


皮肉や自嘲の意を多分に含めて、そう言った。
715 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/20(月) 01:20:08.61 ID:cxxXxynFo
>>709>>711>>713
黒板にあるのは銃弾の爪痕と、打倒夜の文字だけだ。白チョークと使い古された黒板消しがあるが──この教室は何に使われていたのだろうか

アリシアの意外な態度に、時雨は思わず顔を上げ、アリシアの凛とした双眸を目の当たりにした
先程自分をさんざボコボコにした彼女の淑やかな接し方に、得体の知れぬ親近感というか、暖かみを感じた
それは昨日、戦闘終了間際に感じた男とある種同じの暖かみだった。時雨の睫毛が数度瞬く。そして時雨は彼女の顔に張り付いた申し訳なさを凝視した
暫くしてから、口の端に柔らかな笑みを浮かべ、垂れ下がった前髪を耳にかけつつ立ち上がる
そのままアリシアに背を向けて、奥の扉──時雨の月装で魔獣を殺し開拓したシャワールームの奥へと進んで行った

「……墓はまだいいです。まだ死んだとは思ってません。現に、何処かで月装を作り続けているみたいですし
そういえば聖遺骸について、まだせつめいしてませんでしたね」

遠くで何やらを漁りながら答える時雨の方からは、何やら重量物で地面を殴りつける様な音が聞こえてきた
数秒後、時雨手にあるのは何かの──否、人間の頭蓋骨らしき何かだった

「この頭蓋骨が聖遺骸、焔装使いが月の光を浴びた日の──数日後に私が発見した物です
見た感じ分からないでしょうが、この頭蓋骨、不思議な事にある唯一の手段を用いない限りでは絶対に壊せないんですよ
言い方が悪いですね。物理的にも、概念の能力効果も、一切何もかもを無効化してしまうんです
そしてこれが、月装の原料でもあるんです
私がこれを発見した時以来、魔獣の襲撃を受けたことが無いんですよね……夜が恐れているもの。もしかすると──

……そうだ、そこの少年二人、いや皆さんでこの聖遺骸、壊してみてくださいよ」

乱雑にも地面に聖遺骸を叩きつけると、骨の削れる心地の良い音がしてユウトの手前にまで滑って行く
が、音はしたのに欠けても、削れてさえもいないのだ

716 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/20(月) 01:28:16.17 ID:ImcPSUnQ0
>>712 >>710

「流石に、そんな簡単ではないわね」

ため息を吐きながら、シャーロットは画用紙をエイルへと返す。
子供こそが真に事実を直観していることもあるが、彼らが何を考えているのか割り出すのは難しい。

「また『激かわ』さんに聞かないといけないことが増えたわ。絵のこと、写真のこと。
 よくよく考えると聖遺骸≠ェ何か聞く時間も貰えなかったし……」

聖遺骸、という言葉は、エイルにとっても初めて耳にするものだろう。
矢のように速く刻が迫る中で、確かめなければならないことばかり増えていく。
降り積もる絶望の中からわずかな希望を掻き分けていく形だ。

>>714

「――、ヒヨウっ? まさか《焔装》が!?」

その時、静寂を絶叫が引き裂いた。
ケージの調査にあたろうとしていたシャーロットだが、悶える陽遥を放っておけず、すぐさまそちらに駆け寄っていく。
そして陽遥の手を取りながら、悲痛な面持ちで言葉を紡ぎ始めるだろう。

「チカラを使わないでも痛みがあるなんて、あなたは今までどれだけ戦い続けていたの?
 悪いことは言わない。休んだ方がいいわ。《都市》に魔獣が迫り来るのを食い止めるなら、わたしにも出来るもの!」

ひと通り、無責任な――だけれど愚直な叱責を済ませると、今度は取り落とした資料を拾い上げて、

「……でも、あなたの言葉には頷ける。
 今まで強力な魔獣の多くは人間を素にしていたわ。
 ならば、最強の魔獣と考えられる《夜》が――」

「――待って、ならば最初の《焔装》はどこから……?」

或いは、最初から人の中に?
恐ろしい着想が脳を責め苛む。だけれど、思考をやめることはできない。
陽遥に対し続きを促すように目配せしながら、シャーロットはエイルの反応を待った。
717 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/20(月) 01:38:23.04 ID:yR2O+eeYO
>>715

「――そう、か。すまないな、私の早とちりだ。
 いつか是非会ってみたいものだ。その時は、ゆっくりと話がしたい」

 申し訳なさげに頬を緩め、自らの黒髪を掻く女の口からは、いつか来るであろう――いや、そう願われている日常への願いが吐露された。
 そして時雨が見せた「それ」を確認すれば、目を見張る――その後に続く解説には、興味深げな反応を返した。

「なるほど、な。となれば、やはり件の月と何らかの関係があるのかもしれん。
 その唯一の手段とやらも気になるが、しかし先程の話を踏まえて夜がこれを狙っているとするならば、
 奴らの狙いはこの聖遺骸というしゃれこうべな訳だ――しかも、破壊が目的ではない。
 力の象徴なのか、それとも……ならば、他にも入手できる方法はあるはずで――では、なぜ時が満ちた?
 そもそも、なぜあのようなシルエットを象っている……では、そのキーパーソンは誰だ?」 

 ほとんどそれらは独白であったが、この道に彼女よりも通じた時雨ならば断片的な理解が可能なのだろうか。
 そして時雨からの提案を受ければ、彼女はやおら懐から銀色の小銃を取り出し――その頭蓋骨に向けてトリガーを引けば、青白い閃光と輝く光条が放たれる。
 ――結果は分かり切っているだろうが、果たして。
718 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/20(月) 01:38:29.61 ID:BgWgyJq70
>>716
いや、試してくれてありがとよ、さんきゅーな。

【ならこれはいらないか、とその場に置いておく事にする】
【また後でこれるはずだ、今急いですることでもない気がする】

激かわ……って、あれ書いた奴か? あの頭悪そうなの。
……って、何だ、それ。

【勿論、その言葉は聞いたことが無かった。耳にあまり残らなかった言葉故、ソレといってしまったが】
【別の場所では発展があったようだ、自分の事かもしれないと思えば、やはり気になる】

>>712
……あー、なんだこれ……聖、遺骸? シャロがいってた奴か……?
これ、胸の骨か……肋骨、か――あーもう、わっかんねっ、やめだやめ!

【片手で資料、もう片手は頭をおさえて睨めっこ、眼に籠る力が段々と強くなるが、何がなんだか結局わからない】
【二人に聞こうと振り返り、その資料を持っていこうとして】

>>714

――っおい!大丈夫かヒヨ――……え?

【その言葉に、ピタリと止まる】
【――知らなかった事が多すぎる。例えば、何故魔獣は現れた、理由は?】
【突如発生した物なのか? 彼女がふらついた原因となる紙を見て――考えを纏めようと、そのまま目を伏せる】
【彼女の様子も気になるが……かえって心配しても仕方ない。焔装使いは、皆そうだ】

焔装、機構……

【それはいつからあった? 例えば、誰からできた?】
【だが、もしそうならば――魔獣の果てが自らで、それを操る物がいるとなれば】
【納得が行く、それをまとめ上げる物がいる、と】

つまりよ……これ、ちゃんとした黒幕っつうのが、いるんじゃねえのか?
誰かが意図的にこういう事をしてて――それが、しかも人間、とか……。

【それは今までの話を纏めたような、的外れにも聞こえる発言】
【エイルではここが限界だ。後は二人に任せる事になる】
719 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/20(月) 01:43:29.04 ID:cxxXxynFo
>>714>>716>>718
永夜全天、夜が震えた
未だ全人類が到達出来ない領域。夜が確かに動いたのだ。微々たる動きでは無い。強く、強く鼓動した
同時、空からの一閃

────夜の雷霆だ

轟音。陽遥の背後。穿ち、抉りは研究所、陽遥の数歩後ろの位置を貫いた

刹那の出来事だ。しかし、その刹那に掛かる殺意の重圧は計り知れないもの
幸運か、怪我人は誰一人としていない

しかし、近づいているのだ。人々は、着々と、その足で

────終焉へと


シャーロット、エイルは目の当たりにするであろう
絶対的な領域が、そちらから人に近づいた瞬間を

そして決意するだろう。夜が、降りて来ることを


720 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/20(月) 01:48:32.70 ID:U550CYQ4O
>>715
「…………………何もなし、か」

黒板には打倒夜の文字と、チョークがあるのみ。かつては《夜》に対抗するための拠点だったのかもしれない。
これ以外に収穫はないようだ。崩月はおとなしく、皆が集まっている場所に移動する。

「それが………聖遺骸……」

人間のようにしかみえない其れが、月装の原料だという。
そして時雨は、これを壊してみせろと言った。本当に、どんな攻撃さえ受け付けないのだろうか。

「じゃあ、遠慮なく………」
「――――――ッ!」

右手の先で、力を圧縮する。圧縮され、溜めに溜まっていく力が最大になったところで―――一気に解き放つ。
放たれたのは一本の矢とも見紛う黒の閃光。
本来ならば、これに貫かれたものは跡形もなく消え去るはずだが………いや、恐らく無駄か。あまり期待はしていないが、どうなのだろう。

/すいません、お返しだけしてここで落ちます!ありがとうございました!
721 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/20(月) 01:51:46.66 ID:cNKMVs8W0
>>713>>715>>717
「…答えはこれってことか?」

月装の元となり、通常の攻撃どころか概念の攻撃すら無力化するというこの頭蓋骨
それが夜の探すものだろうか?
とりあえずは言われた通りに破壊をしてみようと腰にある剣のパーツを組み立て大剣を作る
全員で、という事なので最も距離が近い自分は最悪誰かの攻撃の巻き添えをくらうことになりそうだ
流石にそれは勘弁してもらいたいので他の二人を見ていると女性が何かとりだした
あの女性の月装は銃のようだ、巻き添えをくらってはかなわないと頭蓋骨の横に移動する

「ハアァァァァァ!!」

ここなら巻き添えをくうこともなく攻撃出来るだろう
おそらくは、効かないのだろうがそれでも全力で壊そうと剣にエネルギーを纏わせる
そして、それを力任せに頭蓋骨に向けて全力で振り下ろした―――
722 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/20(月) 01:57:18.82 ID:VFBE1xzAo
>>716
息を整える内に、其の手が誰かに触れられていた事に気付いた―――― シャーロット、と名乗った少女だった。
そうされれば、何時もよりも早く、その発作は納まった。ゆっくりと体躯を整える最中で、自分の手を取る彼女の手を、離して貰う。

「―――――――― シャーロット、お前は優しいな……だが。
 無条件で人を信用するのは、余り良くない。……或いは、私が既に、魔獣と成っていた……何て事も、あるかもしれない。
 ……何より一つ、本当の事を言えば。私は、都市の連中の為に戦っている訳じゃ、無い。

 ……今更後戻りなど出来ん、私は先へと進む。道が拓くのは、何時だって前だ」

彼女の言葉は何処までも愚直で、それこそが人間としてあるべき姿なのかもしれない、それは素晴らしい事だ。
だが、その言葉を前にして首を縦に振るには、陽遥と言う人間は余りにも前へと進み過ぎていた。
故に。其の言葉に対して、拒絶を選び取る。それは以前似たような事が起きた時よりも、随分と早く切り替えることが出来た。

何より此処に存在した、"可能性の否定"の権化たる《魔獣》を、自らの手で下すことが出来たのだから。
もう、止まる事は無い。

>>716>>718
「……或いは、焔装機構とやらも、誰かの"手作り"だとしたら」

最初の焔装がどこから産まれたのか、分からない、分からないが―――― 仮に、魔獣の"祖"が人による物だとしたら。

「もしかしたら、私達は……誰かの掌の上で踊る孫悟空、なのかもしれない。
 そうだとしたら、恐ろしい―――― だが、それでこそ。"喰らう"価値がある」


>>716>>718>>719
―――― 雷?

背後を轟音と共に、何かが貫いた。得体の知れない、それは確かな"殺意"が、此方を刺し貫こうとした、のかもしれない。
奇跡的にか、それとも意図的にか。ソレを以ってして、誰かが傷つく事は無かった――――――― だが。

空を見上げる―――――――― 夜が、蠢いている。
先の言葉を撤回したくなるほどに、それは強大であった―――― だが同時に、それを裏付ける、とまではいかないが。
其処に叩き付けられた、雷に籠められた「殺意」を以ってして、一つ、陽遥と言う人間の中で、確信が出来た。


「どうしても、人間が憎いらしいな――――――――!!!」


彼の者は、天災の類では無い。ただ明確な殺意を以ってして、意思を以ってして、人類へと攻撃を加えているのだ、と。


―――――――― それならば。"喰える可能性も出てくるだろう"。


口の端が歪むのを、彼女はどうしても抑える事は出来なかった。
723 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/10/20(月) 01:58:15.89 ID:VFBE1xzAo
>>722
/おっと、それでは自分は〆と言う事で!ありがとうございましたー!
724 :虚空蔵谷 時雨 【0】 :2014/10/20(月) 02:02:09.44 ID:cxxXxynFo
>>717>>720>>721
アリシアの頭脳ならば月装の構造ついて、知識があれば理解出来る範囲にあるのかも知れない。自分は少し、機会に恵まれ過ぎていたのだろうな、と過去を思い返し、自嘲する
アリシアの白の一条の光、聖遺骸は全て受け切った。激しい光に包まれるも、無傷
崩月の黒い閃光。触れれば消滅する筈の一撃。直撃。しかし無傷
ユウトの剣での一閃、ユウトがどれだけの手練れであろうと、頭蓋骨には皹の一つもついていない

破壊されない頭蓋骨、聖遺骸を見てやっぱりね、とアリシアに語りかける。少し鬱陶しいかもしれない

「まあ、壊せなくて当然だから、そう気を落とさないで、ね?
この聖遺骸、さっき言った通り、絶対壊れないのよね
──この拳銃と、銀の弾丸以外では、ね

……っと、まあそんな感じです。
今度、月装を持っている人達に試作段階だけれども、月装を強化させるアイテムをあげるわ
《暁月》。月装の強化、焔装を超える、正真正銘の月装の完成品よ

……きっとこれで勝てるから。そう、終わらせるの」

時雨の一言は消え入る様に。それは自信が無いからでは決してない。
夜に対抗出来る確固たる力を得たと。虐げられてきた人類の静かな復讐の嚆矢であると。

「……今日あったこと、できればみんなに伝えてあげて。研究所はいつでも空いてるから、もしよかったらまた来なさいよ」

三人の目に宿ったであろう、強固な意思を見つめて、時雨は微笑んだ

725 :シャーロット@2班 ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/20(月) 02:23:08.01 ID:ImcPSUnQ0
>>718

「骨? 聖遺骸は本当に骸(むくろ)の形をしているのね?
 あの博士によると、その破片が《月装》の強化に必要だけれど、特殊な『拳銃』にこめた銀の弾丸≠ナしか欠くことはできないらしいわ。

陽遥のそばに立ちながら、シャーロットはエイルが持ってきた資料も確認する。
中等教育すら終わらせていない彼女に細かい情報を読み取ることは出来なかったが、絵図の銃には見覚えがあった。

「魔獣を直接撃ったらどうなるのかも気になるけど、そこまでは聞く時間が無かった。
 これも宿題ね。いずれまた、あの女(ひと)を問い詰めないといけない。
 だから……できれば、エイルはその資料を譲って欲しいわ。役に立てられるのは博士だけでしょうから」

>>722

「後戻りはできなくても、足元は確かめるべきだわ。灯台下暗しってことだってあるのよ。
 《都市》に隠された意味は正しくそうだったじゃない……」

シャーロットはなおも陽遥を説得しようとするが、きっとそれは叶わないだろう。
言葉の端々にも、弱々しい声色が混じる。足踏みを許さない覚悟に、引き止めの言葉が跳ね除けられる。

「……あなたがあなたであろうとする限り、わたしも見過ごせない。
 もし《夜》に堕ちたら――その時は、足を縛りつけてでも引き戻してやるわ」

それでも意地を通すのはやめられなかった。陽遥が前に進もうとするのに負けないほどに。
魔獣の悲劇を経験したシャーロットは、その青さを保ちながらも、粘り強い強情張りの才能を花開かせていた。

>>719

――瞬刻、推論を交わす三人の下に、漆黒の霹靂が射られた。

「これが、《夜》……っ」

ただひとつの閃き。だが、その気になればいつでも貴様達を処分できるのだ、という意思表示には十分すぎた。
遥か空から降り注いだ稲妻の一撃に、15歳の少女は怯えた。

「……どうやら、図星を言い当てられて怒っているみたい。
 今までわたし達から何もかもを奪っておいて、とんだ狭量さだわ――!」

そしてひとりの戦士は――その心に、畏れよりも赫い決意の炎を燃え滾らせていた。

「見ていなさい。あなたのはらわたに風穴を開けて、陽の光を取り戻してみせる。
 青い空を、豊かな緑を、……ずっと、当たり前にあったものを」

天井の向こうに広漠たる曇天を透かして、敵の姿を睨む。
潰えるのは永夜の世界か、それとも人間の歴史か。
いずれにせよ、時計の針は終末へと傾き始めていた――さあ、戦いだ!

/自分もこれにて。遅くまでお疲れ様でした!
726 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/20(月) 02:29:50.61 ID:8k+N9i5JO
>>724

「――普段の私だったら五発は殴っている所だが、まあ特例措置として許してやろう。
 その出処の分からん拳銃と人狼殺しもまた、研究のしがいがありそうだな」


 どこか馴れ馴れしく、鬱陶しい態度を取る時雨にも、アリシアはもう吹き飛んだ態度を取ることはなかった。
 微かにその額には、青筋らしきものも見えなくもないが――しかし、微笑みに屈託はない。

「ほう! 随分と都合のいい代物を持っているなパッツンセーター!
 くくくっ。では是非とも受け取ってやろう、その――暁月、か。
 なかなかいい、ネーミングセンスだ――眠り惚けてる太陽のドタマ、ぶっこ抜いてやるさ」

 そして時雨の言葉には、感嘆と野心を以って応じるのだった。
 自らの種を、再び世界の覇者として君臨させる――その野望を胸に抱き直した人類を、止められるモノがどこにいよう。
 例え融かされた肉が道となり流された血が川とな凄絶な地獄巡りでも、彼ら彼女らは屍の骨を拾いそれを杖として歩き続けるのだから――

「無論だ。ここに住んでもいいくらいだ。
 設備といい環境といい、残存する地上の施設よりよほど優れているからな」

 そしてアリシアは、自身を見つめる時雨を同じように正面から見つめ返し、こう紡ぐ。

「――始めよう、我々のミッションを」

/では私からはこれで〆させていただきますッ……!
/やたら長ったらしい文章でご迷惑をおかけ申し訳ありませんでしたッ。
/二日間楽しかったです、お疲れ様でした! 次のイベントも楽しみにしています!
727 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/20(月) 02:37:05.18 ID:BgWgyJq70
>>725
月装の強化……ねえ。
あたしも本当は高校言ってた筈なんだがなぁ……何で覚えてないのかなあ……。

【エイルには記憶がない】【一般的な教養程度ならあるのだが、年齢と、服装的に学校に通っていたのは間違いなく】
【それなりに読める筈なのだが、どうも今の知識は本から漁った程度の物で】

あたしは言葉選びとか上手じゃねえからよ、駆け引きとかはシャロに任せる。
持ってても腐るだけだしな、使ってくれ。

【譲れと言われた時の返答はすぐだった。自分より役に立ててくれるであろう相手に譲る、それに何ら悪い所が見つからない】

>>722
それが手作りって事はよ――つまり……。

【誰かに弄られた、体を?】
【記憶がないとして、もしそれに関液するなら……? いやただの可能性の一つに過ぎない】

……つまり、手の平の上で踊ってるのを、バカにしてる奴が一人いるって訳だ。
そいつを〆ればいいんだろ? 途方もない話じゃなくなったじゃねえか。

>>719
――ほん、っとうに――手の平の上なのかもな!

【堕ちる雷、放たれる殺気】
【刹那の間であったにも関わらず、その一撃の間に含まれる物は数多であった】
【――ああ、近づいているのだろう、終焉へ】
【それを理解したら、闇は深まった筈なのに、僅かながらの光が見えた――気がした】
【もう、ないかもしれないけど――遠くの世界、見れるだろうか】

//自分からもこれで〆で……ありがとうございました!
728 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/20(月) 10:21:04.62 ID:eHvqV0b1O
>>680
「おや…?」

話しかけられて振り向けば、いつの日か酒を飲みかわした少年が居た
この少年も欲望を晴らしに来たのか…と考えたが、身体の状態を見るにそれは違うようだ

「…すまない、今日は無しだ。また今度な」

少女が共に居た男にそう告げて身体を離すと、舌打ち一つ、崩月を睨みながら男は去って行く
その先で他のこの少女の様な女に話しかけて居た

「崩月…何、とはなんだ?……それより傷だらけじゃないか。私が手当をしてやろう」

身体を売って何かを得る、彼女の中でそれは当たり前だった。
故に崩月の訝しげな眼光も、その口から発せられた言葉も彼女には理解出来ていない。

崩月にゆっくりとした動作で近付き、身体をくっつけようとする。丁度崩月の腕に胸が当たる形になるだろうか
拒絶されなければ、その足で向かうのは「死神」が居ると噂されている学校の、以前一夜を共にした保健室だ

//返しておきますが、続けるかどうかは崩月さんにお任せします……。









729 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/20(月) 20:40:17.22 ID:QI4gfhfy0
「……昨日の雷、何だったんだろ」

ぽつり、独りごちるは都市の外縁。人の背丈程の瓦礫が周囲に無造作に散乱するうちの一つ、他よりも頭ひとつ分抜き出たものの天辺に腰掛けて。
ぼうっと天の暗澹を眺めるのは、この御時世では「かなりまとも」だと言える衣服を纏っているひとりの少女。
誰も見ていないだろうと胡座をかいて、肘付き時折流れる風に、乱雑な焦げ茶のポニーテイルが小さく揺れる。

「ついでに雨でも降ってくれれば、少しは生活も楽になったんだけどなぁ……」
「お風呂は贅沢すぎて入れないし……せめて何処かに、貯水池みたいなのがあれば良かったんだけど」

これでも一応は年頃の少女だ。肌への圧が心地良いシャワーや滑らかなバスタブいっぱいに溢れる温かさが、恋しくなる事もある。
しかし今はそれよりも、次の"遠征"に早く行きたくて。重要な資源である水に未練の言葉を吐きつつも、身体は自然と外へ向かう。
そうして、準備が整っていないうちからこうしてふらりと歩いては、何処か適当な場所でぼんやりと時間を潰す日々。

そんな、ある種退屈な"日常"の中で––––––今日は誰かと出逢うような、予感がした。

//戦闘、雑談、どちらでもご自由にどうぞー
730 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/20(月) 21:46:02.28 ID:6o6z4NF2O
>>728
「…………………はぁ、理解できてないのかよ」

年行かぬ少女が身売りして物品を得る。そんな異常な状況が展開されていたにも関わらずシャイナはそれを当たり前のように行っている。
異常にも程がある。崩月が感じたのは、悪寒じみた何かと、シャイナが今後どうなっていくかについて。
別に心配してるわけではない。ないのだけれど、決してないのだけれど、ないはずなのだけれど。やはり、そこにあるのは彼女の身を案じる何かで。

「あ、お、おい、ちょっと……」

いつの間にやら崩月はシャイナにぴったりとくっつかれ、そのまま以前彼女と初めて出会った学校へと連れて行かれる。
僅かに感じる胸の感触よりも、シャイナがそのような行動を取ってくるという事態に対処できなかった方が問題で。

「なんだよ………これくらい、一人でも平気だっていうのに………」

拗ねたように、一人ごちる。これからシャイナの治療を受ける事になるのだろう。

/日付が変わるまでに返信がなかったら、無かった事にさせて頂くのでご了承ください
731 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/20(月) 22:31:25.20 ID:BI56gIxP0
>>730

「理解…だと?……私の何がおかしいと言うのだ?」

彼女は誰の目から見ても異常だろう。それが真っ当な生き方をしている人間の中で有れば、のことだが。
此処は最下層の人間が集う場所だ。良識を持ち合わせている人間など稀である。
それは彼女も同じでこの行為に何ら疑問を抱いていない


「…どうした?早く行くぞ」

崩月の心情など知らずに、彼女はグイグイと引っ張って行く。崩月の怪我を案じているのだ
人間を愛している彼女には、人間が怪我をしている姿は辛いものだ。それがどんな人間であれ見過ごすことは出来ない。

「遠慮するな……さて、横になりたまえ。」

その学校の中にスタスタと足を運び、保健室につけば横になるように促す。拒めば無理矢理にでも寝かせるだろう。
中にはギターケースと彼女の武器である鎌の「アイシクルちゃん」…実名は違うが、が一つのベッドに立て掛けられていた。崩月が横になるのはその隣のベッドだ
…少女の治療はあまり上手く無かった、それでも何もしないよりマシであるはずだ。

治療を終えた少女は満足気な表情を見せて居た。

「ふぅ……これで終わりだ。さて、さ…け?
……ああああああっ!!酒は切らしていたのだ!!…君が怪我をしていたから早く手当てせねば、と思っていたから…」

そして酒を探して辺りを探し始めるが無い。それもそのはず、酒を切らしていたからこの少女はあそこにいたのだ。少女が突然叫び出した。
怪我をしていた崩月を見て、そのことは脳内から吹っ飛んでしまったようだが…今になって戻って来た。
そして叫び声が止むと、不機嫌そうに頬を膨らませて崩月を睨み付けてボソッと呟いた。

「………君のせいだ。今度酒をもってこい。じゃなきゃ許さんぞ…」






732 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/20(月) 22:35:45.95 ID:QI4gfhfy0
//今からだとロール途中で睡魔に負けそうなので、>>729取り下げます。
733 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/20(月) 22:48:05.01 ID:6o6z4NF2O
>>731
グイグイと引っ張られる。そこには拒否する余地など与えられておらず。
辿り着いたのは保健室。シャイナに促され、平気だと答えようとしたが強引にベッドに寝かされる形となった。

「……………はぁ」

結論として、先ほどよりはマシになったろうと思われる傷。
満足気な表情を見せるシャイナに、ため息をついて。

すると突然、シャイナは叫びだした。酒が切れて、なくなっていたらしい。
どうやら筋金入りの酒好きのようで、一気に不機嫌になってしまったシャイナ。

「…………だから僕の事なんか放っておけば良かったんだよ」

放っておけば、こんな事にはならなかったのに、と自嘲気味に崩月は呟く。
やはり、他人に関わるとこうなる。放っておいてくれと強く言うべきだったか、などと遠い目をして、自嘲と自虐の思いに耽る。
734 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/20(月) 23:10:37.10 ID:WTzpl6Ca0
>>733

「くそっ………ふふっ、ふふふふっ…」

不機嫌そうであった少女は突然笑い出し、崩月のいるベッドに入り込もうとする。
酒が無いなら、他のことで満たすしかあるまい。
彼女の優先順位は人間>酒>読書である。酒が無くとも―――これで満たされる
とはいえ、彼女は性欲に溺れたわけでは無いから行為には及ばないが

「なぁ…崩月、私の何がおかしい?何を理解すればいいのだ?」


彼女は自分の異常性を理解していない、だが、崩月が自分の行動を不審に思っているのは理解出来る。彼女は自分の不審な点を知りたいのだ
一つ、人差し指を天井に向けると青い火の玉が放たれ、宙に留まって室内を青白く仄かに照らす。
それが冷気を放っているからか、はひんやりと、
735 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/20(月) 23:12:09.89 ID:pvZYPt8JO
>>733

「くそっ………ふふっ、ふふふふっ…」

不機嫌そうであった少女は突然笑い出し、崩月のいるベッドに入り込もうとする。
酒が無いなら、他のことで満たすしかあるまい。
彼女の優先順位は人間>酒>読書である。酒が無くとも―――これで満たされる
とはいえ、彼女は性欲に溺れたわけでは無いから行為には及ばないが

「なぁ…崩月、私の何がおかしい?何を理解すればいいのだ?」


彼女は自分の異常性を理解していない、だが、崩月が自分の行動を不審に思っているのは理解出来る。彼女は自分の不審な点を知りたいのだ
一つ、人差し指を天井に向けると青い火の玉が放たれ、宙に留まって室内を青白く仄かに照らす。
それが冷気を放っているからか。温度が下がり、室内はひんやりとした空気に包まれた
736 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/20(月) 23:12:11.40 ID:WTzpl6Ca0
>>733

「くそっ………ふふっ、ふふふふっ…」

不機嫌そうであった少女は突然笑い出し、崩月のいるベッドに入り込もうとする。
酒が無いなら、他のことで満たすしかあるまい。
彼女の優先順位は人間>酒>読書である。酒が無くとも―――これで満たされる
とはいえ、彼女は性欲に溺れたわけでは無いから行為には及ばないが

「なぁ…崩月、私の何がおかしい?何を理解すればいいのだ?」


彼女は自分の異常性を理解していない、だが、崩月が自分の行動を不審に思っているのは理解出来る。彼女は自分の不審な点を知りたいのだ
一つ、人差し指を天井に向けると青い火の玉が放たれ、宙に留まって室内を青白く仄かに照らす。
それが冷気を放っているからか。温度が下がり、室内はひんやりとした空気に包まれた
737 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/20(月) 23:12:30.12 ID:pvZYPt8JO
//連投すみません!
738 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/20(月) 23:24:13.36 ID:6o6z4NF2O
>>734
「……………なっ!?おい!」

物思いに耽る行為は、途中で中断される。シャイナがいきなり崩月の寝ているベッドに入り込んできたからだ。
さすがにこれはまずいと思うも、もう遅い。抵抗できない状態となり、密着してしまった。
人肌。久方ぶりに感じた、温もり。求めてなどいないのに、そんなもの。
知りたくない。そんなものは、戦いにおいて不要。覚えて、溺れたら―――――考えるだけで、恐ろしい。

「……普通、身を他人に軽々と差し出すなんておかしい事なんだよ。身体を支払って、何かを得ようなんてする事はさ」
「……あと、離れろよ」

常人から言えば異常である点を指摘し、離れるように促す。
自分の心はあの青い火の玉のように冷えきっていて良い。暖める必要は、ない。
だから、離れて欲しかった。シャイナがどう選択するも、自由だが。
739 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/21(火) 00:00:02.58 ID:pvZYPt8JO
>>738

「ふっ…何をたじろいでいる?」

少年の様子はたじろいでいるように見えた。人に触れられることに慣れていないのだろうか。この少年は人と接することを拒んで居たから、そんな考えが浮かんでくる
人と触れ合うことは悪いことではない。戦いの場ではそれが窮地を招くこともあるかもしれないが、救われることだってある筈
魔獣という強大な敵なら尚更、一人で立ち向かうなど自殺行為だ。

「くく……そう、か。だがな。私はその為だけに彼等に身体を差し出しているわけではない。これは守る為でもあるのだ。人間をな。それと…」

守る、真っ当な人々を。この少女の様な人間が居なければ、どうなっていたのだろう。
そこらへんで欲望に取り憑かれた男が、獣の様に女を弄んでいたかもしれない。そんな世界にしてはいけない。
汚い話だが、性欲の受け皿がいなければそんな世界が訪れていたのかもしれない。そうなれば魔獣に喰われる前に人間は自から滅びを迎えていただろう。
彼女は身体を差し出して、何かと、真っ当に生きる人々の安全と、それともう一つ。

「愛が欲しいのだ、私は。彼等は私にそれをくれる」
「……断る。私は寒い。君に温めて欲しいのだ」

《夜》が訪れて、彼女を唯一愛してくれていた母親を奪って行った。父親は行方知れず。
母親を除いて、死霊術という禁忌を扱う人道から逸れた少女と普通に接してくれるものなど居なかった。
それは夜襲来後も同じ、真っ当な人々は少女に恐れを抱いていた。
彼等から見れば、少女は魔獣と似た様な存在にしか見えなかったのだろう
だから少女は此処で暮らして、ひっそりと魔獣の殲滅に尽力していた。人間の世を取り戻す為に、彼等に嫌われていても、少女が彼等を嫌うことはなかった。

そんなある日、彼女は男に声を掛けられたのだ。あの闇市で
食料と交換に身体を出せ、と最初は嫌だったが事に及んだその日、耳元で囁かれた。「愛してる」と、それは少女にとって麻薬だった。ずっと欲しかったもの、偽物で良い、仮初めで良い、一時で良い、誰だって良い、ただその言葉が欲しかった。
それから少女は、その言葉を聞きたいが為だけに行為に及ぶこともあった。
真っ当な人々を守る為でもあり、何かを得る為でもあるが、一番の理由はその言葉を聞きたい。そんな理由だった。
少女が誰かに「愛してる」と言われるには、その手段しか、少なくとも少女にはそれ以外の理由は見当たらなかった。
語り終えた後ら更に距離を縮めようと動いて、少女は返答を待つ。その頬は若干赤らんでいた

//長文すみません…





740 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/21(火) 00:15:45.64 ID:LRBRWUWx0
>>739
うわあ、なんかおかしい…最後の方のそれ以外の理由は〜を、それ以外の手段は見当たらなかったに訂正します。
741 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/21(火) 00:40:38.20 ID:dmUzMmqEO
>>739
「…………………」

黙ってシャイナの話を聞く。
崩月は、人と深く接する事を基本的には拒む。触れ合って、温もりを感じたところで、それが消えてしまったら。
ましてや、それを消すのが自分自身だったとしたら……きっと、耐えられないだろう。
焔装使いとなった彼に、孤高で《夜》に立ち向かうのは自然な判断だった。

シャイナは愛を求める。人の為に動いて、愛されたいと望む。例え偽りだろうと、蜃気楼だろうと。
崩月は、求めない。失う事を恐れて、一歩踏みだそうとはしない。
失う事が嫌だ。ならば、初めから独りで。

「…………あぁ、もう、勝手にしろ」

思考を放棄する。考える事事態億劫。面倒くさい。何だって良い。疲れた。
シャイナとは反対方向の向きへ寝返りを打って、目を合さないように努めて目を閉じる。
意識が落ちるのも、恐らく時間の問題なのだろう。今はただ――――何も考えたくない。

/すいません、もう遅いのでこれで〆でお願いしますありがとうございました!
742 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/21(火) 00:55:38.83 ID:LRBRWUWx0
>>741

「……っ!そう、か…」

崩月の口から発せられた――言葉が、心に冷たく突き刺さる。人間に冷たい態度を取られるのは辛い。愛しているから余計に

ベッドから降りて、隣のギターケースと鎌が立て掛けられているベッドに移る。なんだか気まずくなってしまったから。

それから数分後、青白く光る火の玉が消え、室内を闇が支配する。
毛布に包まる少女の顔は涙に濡れていた………

//了解です!ありがとうございました!
イベントに参加出来なかった鬱憤も晴らせましたし…楽しかったです!
743 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/21(火) 21:40:39.28 ID:K4Rzgz+L0
自警団、そして自治体近くの小さな空き地、背をブロック塀に預ける形で建物から漏れる電灯の明かりを一人の少女は眺めている。

「あー、疲れたー……」

研究所の探索後から数日間、未来が行っていたのは自警団の任務として探索者が発見した集資料や情報を集めて纏めるという作業であった。
寝る間も惜しみ、使える時間をほぼそれに費やし終わらせたのであるが流石に体に疲労が残る。
ということで見回り等の仕事は休み休息をとることに。

「星空代わりにはならないよね。やっぱり」

睡眠はとったのだがそれでもまだ動く気にはなれず、かといって気分を紛らわせるものもない。
暇が出来るとつい思わず考え事をしてしまうこの少女は指先で地面をいじりながら怪しげにもブツブツと何か呟いていた。
744 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/21(火) 22:38:06.69 ID:P2y16dcvO
>>743

「……子供の頃から心の中の天使と悪魔なんて信じちゃいなかったんだよ、ちっ……
 ああクソっ、まとまらんぞ……私としたことが、全く……」

 脈絡のない呟きを繰り返しているのは、その女も同じだった。
 黒い作業着に黒い髪、陰気な顔はいつもと同じ――しかし、その目付きにいつもあるようなキレはない。
 地面をなぞるように睨みながら、少女に気が付かないまま通り過ぎようとして――


「――ん、?」

 少女の砂地を弄る指先を見て、ふと顔を上げる。
 一秒ほど保たれる、沈黙と能面。

「……ああ、未来か。
 んん、と……おはようかこんにちはかこんばんはか分からんが、挨拶しておく」

 見知った同志の顔を認識すれば、浮かぶのは穏やかな微笑みだ。
745 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/21(火) 22:55:04.93 ID:K4Rzgz+L0
>>744
「うわぁ!」

あまりにも多くの情報が集まりすぎた。
決して安全地帯ではないにもかかわらず不用心にも思考を深く巡らせていたため、声を掛けられるまでアリシアに気が付かなかったのだ。
急に声を掛けられ、つい思い切り顔を上げると後頭部にゴンと響く音と共に後頭部に衝撃が走る。

「いったーい……。えーっと、おはよう?」

だが一気に現実に引き戻された。頭を摩りながらも、アリシアに返事をする。

「噂には聞いたよ。出会いがしらに時雨さんをぶん殴ったらしいね」

自分からヤレと言ったことだ。非道にも思えるその行為を咎める理由もない。
そう話す未来は痛みに歪めた表情にどこか笑いが混じっていた。
746 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/21(火) 23:20:07.99 ID:P2y16dcvO
>>745

 手酷く――いや、頭酷く後頭部を打ち付ける少女を見て、彼女は一瞬目を見張った。
 抜けた様子に「大丈夫か?」と苦笑した後、彼女の浮かべた二重の悩ましげな悪いにも返事をする。

「無論。私は約束は守る女だと言ったろう。正確には、ブローとアッパーとニーキックだがな。
 ……まあ、話せば存外いい奴ではあったが」

 いつもの通りの、自慢気な豪語。
 どうやら彼女は何一つ後悔していないようで、また自らの悪行も当然のことと考えているようだ。
 紙巻きタバコを咥えてジッポーで火を付けながら、こう続ける。

「こちらも話は聞いているぞ。先日の強制調査の結果、纏めてくれたそうだな。ありかたい。
 まぁ、私も多忙でまだ目は通していないが――今回の件、どこまで把握している?」

 ふぅ、と白煙を吐けば――横を向き、少女に煙が当たらないようにして――問いを一つ、投げかけた。
747 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/21(火) 23:37:18.28 ID:K4Rzgz+L0
>>746
「全部かな? 報告が抜けたものが無かったらだけどね」

この探索前から資料の整理などの任務は積極的に行っていた。
いや、それ以前から成長を実感することが好きなこの少女は《夜》の襲来前からも似たようなことをしていた。
そしてそれは長所として《月装》に認められるレベルで。

「確かに一発しか殴ってないね」
「あの人にも不審な点はいくつもあるしもう少しやってもよかったのに」

約束違反にもかかわらずそれを見逃すどころか推奨。むしろニヤニヤと笑っている。

「どうやら《夜》は既に人間にコンタクトを取っていたらしいし、私達は奴の手のひらの上で踊らされていたらしい」
「だけどいま私達に出来ることは、立場ものの見方の違う人たちが仮定を出し推測し合うことぐらいかな」
「さて、何の話からする?」

こちら準備は出来ている。手を叩き響くような音をたてて、アリシアに尋ねた。
748 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/22(水) 00:01:44.61 ID:n7ifP4zqO
>>747

「そうか、流石だ。なら話が早い――いや何、あの懺悔が迫真の演技であれば、私が一杯食わされたというだけのことさ」

 悪巧みをするような厭らしい笑い方にも、彼女はくつくつと喉の奥からの笑いで応じた。
 彼女らの関係は、会うたびに深まっている――それも、悪友じみた方向に。
 しかし少女が手を叩いたのなら、彼女の表情は普段浮かべる怜悧狡猾かつ冷徹なものとなる。

「そうだろうな。ふむ、件の雷の報告が事実であればそうということになる。
 ならばまず、なぜヤツらは私たちを潰そうとしない――本当に、単なる余裕か?」

 第一の疑問。ちりちりと小さな音を立て、煙草は先端から微細な灰と化してゆく。

「無論、力のあるものが驕るのは世の常だ。
 しかし、奴は……時雨の懸念の通り、奴の目的を『聖遺骸』の奪取としよう。
 ――その過程において、『夜』は私たちを利用して、何かしようとしているのではないか?」
749 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 00:20:17.27 ID:RkGO1ylx0
自警団の本拠地となっている小学校――その図書室。
かつてはませた男の子や小さな文学少女でごった返していたここも、最近はすっかり寂れてしまった。
と言うのも、教育に割く時間の喪失と生活圏の圧縮に伴う教材の不足で、幼年識字率が大きく低下してしまったのだ。

『シャロねぇ、今日はもうよみきかせしてくれないのー?』

「ごめんね。何時間でもしてあげたいけど、わたしにもお仕事があるの」

しかし、絶望的な状況においても、文化を存続させるために努力する者は絶えない。
昔話の絵本を携えた金髪の少女――シャーロット・プランケットはその1人だ。
申し訳無さそうな苦笑いを浮かべる彼女の周りを、幾人かの子供たちが取り囲んでいた。

『おしごと? それって《げっそー》使いのコトでしょ!
 マジュウをカタナやマホウでぶっとばすんだ……いーなー、あたしも《げっそー》欲しい!』

「リコにはまだ早いわ。《月装》は……そうね、お姉ちゃんと同じくらいの歳にならないと貰えないのよ」

『えーっ! でもシャーロットさんだってまだ大人じゃないじゃん!
 ……もういいわよ。あたし、《げっそー》がほしいってママに言ってくるから。みんな、かえろ!』

「あっ、ちょっと待――、……ああ、行っちゃった」

包囲陣を解き、嵐のような速さで退いていった子供たちの背中を、シャーロットは物憂げに見つめる。
《月装》がどうこうではない。彼らが「同じくらいの歳」になる時は、果たしてこの世界に訪れるのだろうか?

「残された時間は、多く見積もって一月半……いえ、もっと短いわね。
 今まで考えるのをやめていたツケは、全部払いきらないといけない――」

絵本を脇にどけ、代わって広げるのは小さなメモ帳。カッターで削った頭の長い鉛筆を手に、思案する。
手帳には予め箇条書きで幾つかの『項目』が記されていたが、近付かなければその詳細は分からなかった。

/1時になったら自動的に取り下げます。ロールできる時間は朝の四時半までです
750 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 00:20:55.04 ID:6/DBHWLw0
>>748
「やっぱりそういう考えにもなるよね」

一瞬目を閉じれば思い浮かぶのは資料の内容。会話に集中すれば痛みすら吹き飛ぶ。
一見、これは井戸端会議のようなものだが、未来の表情は以前にも見せたことがあるような真剣なもの。

「『聖遺骸』の奪回。それを目的にして魔獣がそれの先兵だとしたら頼りなさすぎる」
「会話が出来る魔獣を見ても何か探している様子のやつはいない。そもそもあいつら欲望に忠実だし探し物が出来るとも思えない」
「なら動くのは私達。そんな考えに到達するのは自然なことだよね」

詰まることなく話すその様子。それだけで未来もアリサと同様の考えを持っていたことはわかる。

「だけど私達は《夜》の命令なんて聞いたことがない。ということは私達自身が望み動くようなことをさせてるってことだろうね」
「アリサは何だと思う?」

幾つかの候補はある。だからこそ先にアリシアの意見を聞いておきたかった。
751 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 01:01:03.23 ID:2UYRqi+n0
>>749
まだ間に合いますかっ!?
752 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 01:02:03.88 ID:RkGO1ylx0
>>751
/ギリギリセーフでっ!
753 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/22(水) 01:06:29.61 ID:n7ifP4zqO
>>750

「あり得るとするならば――ふむ、ありきたりではあるが魔獣の殺戮、或いは月装か焔装の使用か?
 奴と我々の接点など、そう多くはない。しかし、ならば何の意味があるのか」

 魔獣は夜から生まれた。焔装は月の光から生まれた。月装は人間から生まれた。
 然らば、夜に利敵行為を行う必要はなかった。しかしアリシアの過程を正しいトスるならば、人間の支援そのもの。
 
「――次に、だ。未来は今、『奪回』と言ったな?
 私もどことなく、そうは思うが……私たちはなぜ、無意識的にそう考えたのだろう」

 アリシアは「奪取」と言った。だが、少女は「奪回」と言った。
 ――まるで、聖遺骸の元の所有者は「夜」であるかのように。ならば、なぜ。

「そしてもう一つ、『聖遺骸』について。
 遺骸と銘打つ以上は誰かの死体の成れの果てだろうが――誰の、頭だ」

/遅れました……! すみません。
754 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 01:17:21.50 ID:2UYRqi+n0
>>749
うわっ……何やってんだお前たち。
何? 月装が欲しい? マセた事いうなーお前たち。

【図書室に何気なく足を踏み入れる】【学生服の女性】
【部屋に入れば、勢いよく走っていく子供達】【何でも月装が欲しいようだが】

図書室は静かに、走らないだろ?
それも守れない悪い子じゃ、月装なんかもらえねえかもな。

【冗談一つ飛ばして笑い、じゃあなと去っていく姿を見送る】【月装よりも負担の大きい、焔装使い】
【焔装でもこんな余裕そうなら、とかえって子供達の欲を煽る形になってしまったかもしれない】

シャロ、何してんだ?
何もあいつら追い出す事はねえんじゃねーか?

【シャーロットが考えている難しい事情を考えているとは思えない軽い口調】【元来そういう性格ではあるのだが】
【横に座り、何気なく手帳へと目を動かす】

/ありがとうございます! それではよろしくお願いします!
755 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 01:23:47.72 ID:6/DBHWLw0
>>753
「時雨さんが言ってたけど《焔装》と《月装》がその能力を行使する為の機関が外と内の違いとか言ってたよね」
「本当にそれが真実で、能力が聖遺骸によって生まれるなら……」

本来の所有者が《夜》という考えも出来る。
そこから生まれるのは魔獣の生成が《夜》から聖遺骸の一部を分け与えられて生まれているという一つの結論。

「《夜》の頭……かな? それも一つの可能性だよね。」

時雨が言っていた『聖遺骸』の頭の入手以降、魔獣から襲われなくなったという発言。
ここが少し引っかかる。さて、ここから更に仮定を作ることも出来るが……。

「そういえば今回漁って見つかった『聖遺骸』は頭の部分。あとは胸の骨の資料だけど手足も勿論存在するよね?」
「《夜》が『聖遺骸』を探していると仮定しよう。行方不明なのは胸の骨と手足のどっちだと思う?」
756 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 01:33:53.58 ID:RkGO1ylx0
>>754

「あら、エイル。2日ぶりね。
 あなたって不良少女みたいな格好なのに、わたしよりお姉ちゃんの才能があるみたい」

ここ最近よく顔を合わせる友人と、簡単な挨拶を交わす。
子供たちから返事は無いものの、廊下をばたんばたんと踏む音が聞こえなくなったあたり、説教が効いたらしい。
小さな子の気持ちを汲みとって適切に諭すエイルに、シャーロットは感心半分からかい半分の笑顔を見せた。

「うーん、それについては、エイルの言うこともやまやまだけれど……」

子供たちを半ば追い返すようになってしまったこと。シャーロットとしても、それは本意ではない。
だけれど、と重たい声で付け足しながら、エイルの視線の先に指でメモを滑らせる。

・変動重力圏はなぜ《都市》を押し潰さないのか
・最初の《焔装》と魔獣はどこから来たのか
・《月装》の作成者の所在(もし生きているなら、探すべき半径は狭いはず!)
・《夜》から解放される人間とそうでない人間の違いは何か
・《夜》の目的は人間の絶滅なのか(戦力を逐次投入する意味とは?)
・月は本当にわたし達の知る天体なのか?

そこには、このように書かれていた。更に下まで目をやれば、いくらでも「・」を継ぎ足せる余白もあった。

「ね、見せるようなものじゃないでしょう。
 ……少なくとも、わからないコトだらけの今はね」
757 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx :2014/10/22(水) 01:46:10.30 ID:n7ifP4zqO
>>755
「ああ――やはり、考えることは同じだな。
 しかし、一体何のために? 聖遺骸捜索のために聖遺骸を使うとしても、もっといいやり方があるはずだ。
 それに雷とはいえあそこまでピンポイントな砲撃をかませるならば、夜自身が直々に取りに来ればいいだろう。
 そこまでして取り返したい自らの死骸を、無造作に扱うほどプライドがないわけでもあるまい」

 静かに燃える煙草。その先端が上下する――口の中で、彼女が苛々と歯噛みをしている証左。
 幾ら推論を並べて重ねた所で、この大局において彼女らが確認できる事実はあまりにも少ない。
 故に、彼女の推論は錯綜しかけていた。未来によって一節が定められなければ、彼女自身でもそれは止められなかっただろう。

「……そうだな。可能性で言えば、手足だろう。
 胸骨であることも十分に考えられるが、しかし徹頭徹尾正体不明なのは手足だ」

 再び話題は事実に基づいたものとなり、煙草の動きはある程度の落ち着きを見せる。
 聖遺骸の全容。あれが夜の遺骸であるならまだしも、人間のそれであるならば頭部と胸部のみが存在するはずもない。

「私はそのあたりの事実関係をまだ詳しく知らないから、聞いておこう――なぜ手足の資料がないのか、具体的な推論ができるほどのデータは出たか?」
758 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 01:50:10.94 ID:2UYRqi+n0
>>756
不良少女なあー、見た目で判断するなって。
大体、あたしはシャロより年上だぜ?

【ある意味では思考がそこに近いともいう】【やんちゃ、お転婆な辺りは確かに子供に近いかもしれない】
【そういう意味では分野的にはエイルの方が剥いているのかもしれない】

あー、あたしの苦手分野だな。

【最初の一行を見た段階で察したのか、顔から僅かにやる気を無くして】【それでもその内容を目で追っていく】
【うーん、と考えるそぶりを見せるが】

……駄目だな、私には見当がつかない。

【ものの十秒、振り切ったように良い声でうん、といったかと思えば】【思考放棄、口でいったように向いていない】

っていっても、これって考えて浮かぶのか?
新しい情報待ちって気もするけどなー、あたしはよ。
759 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 02:05:00.91 ID:6/DBHWLw0
>>757
「手足を探していると考えた場合についてだよね」
「《月装》というものがあれば私達は量産するためにその材料を探すでしょ?」
「それが私達にやらせたいことということになりそうだけど」

データは無い。だが《夜》が我々を殺さないかという疑問に回帰することは出来る。
それで満足するかどうかはアリシア次第ではあるが……。

「さて、じゃあもしも《夜》が胸部を既に所持していると考えた場合、胸部の資料があるのは不自然だと考えたとしよう」

実際出来ることは推測することしかできない。憤りを感じるのも普通ではある。
だがアリシアとは異なり苛立ちを見せることはしていない。
仮定を元に仮定を重ねるこの行為、むしろこの状況楽しんでいると言ってもいい。

「《夜》が手足を持っていると考えた場合、どんな推論になるかな?」
760 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 02:10:19.61 ID:RkGO1ylx0
>>758

そう言えばそうか、と細い頸が頷いて見せる。《夜》が来てから、あまり自他の年齢を気にしなくなってしまった。
ただ子供たちが言ってきたまだ大人じゃないじゃん、という言葉だけは、未だ腹の底だ。
何せ、その通りだからだ。自分は15歳で対するエイルは大学生ぐらい。見かけにも相手のほうが大人びている。

「……つまり、わたしもエイルお姉ちゃんと呼ぶべきかしら……?」

唇に指先を当てながら、真面目なトーンで言ってのけるのだった。

それから少し微妙な間を置いてから、咳払いを挟んで、シャーロットは話題をメモに戻す。

「わたしも頭の回転が速いほうではないから、単に疑問をまとめただけね。
 例の博士と会った時に聞きたいことが思い浮かぶ度に、こうやって書き込んでいるのよ」

答えを出すには情報の絶対量が不足している。その認識は間違っていないはず。

「考えてわからないこともあるけれど、ブービートラップは踏みたくないと思うの。
 魔獣が求めているものを《都市》の中で探し当てたら、向こうが本気を出すまで守り通すのは無理でしょう?
 だから、その前にしなければならないことを気に留めておかないと」

また何か思いついたのか、ペンがすらすらとノートの上を走る。
【・そもそも、魔獣はなぜ必要なのか】

「変動重力圏が《都市》の外縁まで侵食してきている以上、向こうは手を下す必要なんてないのよ。
 こっちの資源が尽きるまで籠城を決め込めば――そうね。共喰いの屍が転がる、素敵な街を意のままにできるわ。
 人間を絶滅させてはいけないのか、それとも単に魔獣で《都市》の落とし物から目を背けさせていたのか……」

そこまではやっぱりわからないけれどね、と言う彼女の唇から、細いため息が零れた。
761 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/22(水) 02:28:53.88 ID:n7ifP4zqO
>>759

「――まあ、仕方あるまい。やはり推論で進めていくしかないわけだ。
 なるほど、な。魔獣が木偶の坊である以上、奴からすれば我々を利用して遺骸を回収するしかあるまい」

 仕方ない――そんな言葉が彼女の口から漏れるようになったのは、ごく最近のことである。
 人と接する機会の増えた彼女は、かつての彼女と比べてある程度のコミュニケーション能力を身につけていた。
 その発端を考えてみれば、それは未来との出会いだっただろうか――満足とは行かずとも、彼女は一応の決着を見たようだった。

「……ならば、同じように不自然だろうな」

 うぅむ、と小さく唸る彼女。そして、

「しかし、となれば魔獣はそもそも『副産物』なのか……?」

 彼女は、もはや独白に近いような疑問を呈する。
 今までの推論から導き出された結論を踏まえれば、《夜》が態々魔獣を産む必要はないのである。
 月装探しの発破をかけるにしても、自身の腰を少し軽くすれば済む話だ――では、なぜ魔獣は産まれたのか。
762 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 02:33:22.66 ID:2UYRqi+n0
>>760
お姉ちゃんなあ、まあこれくらいの妹がいるなら、確かに楽しかっただろうけどさ
呼びたきゃ呼べばいいさ。あたしはシャロって呼ぶ、シャロはお姉ちゃん、仲が深まる感じもするな。

【ぽん、と頭の上に手を置いて、軽く動かす】【頭を撫でる動作に近いソレは、親しみを込めての動作】
【お姉ちゃん、なんて考えた事もなかったが、確かにありかもしれない、なんて頬を緩ませて】

その博士って奴、さっさと会えないのか?
あたしは会ってないからわかんないけどよ、色々知ってるんだろ?

【新しく書かれる文字を見ながら、疑問点を投げていく】【あの時、探索しかしていない、更に言えば精神状態も今より危うかったエイルには無理な話だったが】
【それでも今の所良い傾向なのは、知人に会えたからだろう】

じわじわ嬲りたい、なんていう考え方かもしれないけどな。
それか、やっぱり理由があるんだろうな、あたしには浮かばねーけどよ。

【物憂げに考えながら、どうしたものかと考えつつ】【溜息を零したシャーロットを見ると、顎の辺りに手を当てて少し考え事をする】

っま、何であれ、月装の強化の目処も立ったんだろ?
終わりも近づいてきたって感じだな! 前よりも楽になるし、これでもしかしたら外に出れる鍵も見つかるかもしれない。
下ばっか見るより、前見ていこうぜ、前。

【励ましのつもりなのだが、言葉選びが少し微妙か】
【前を見ていた時の方が、現実を知った時更に辛いものだが、やっぱりそこに頭が回らないのだろうか】【それともそれを承知か】
763 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 02:41:51.64 ID:6/DBHWLw0
>>761
「副産物?」

きょとんとした表情を見せる。会話の開始から真剣な表情を崩すのは初めてである。
つまり想定していなかったということだ。

「魔獣は必要でしょ? だって手の届く範囲に敵がいなきゃ私達は立ち向かう意思をみせることすら出来ないよ」
「《焔装》や《月装》で殺せる相手がいるからこそ私達は『聖遺骸』を探すことになるんだし」

ついでに魔獣が聖遺物を恐れるように作られたとしたらますますそれの探索に乗り出すことになる。
未来が想定していた魔獣の存在意義はコレであった。

「副産物って何からそうなったの?」

同じ意見を出すことが情報の再確認ならば異なる意見を出すのは異なる可能性を示すもの。
副産物。未来はその言葉に今までで一番の興味を示した。
764 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 02:54:53.09 ID:RkGO1ylx0
>>762

頭に生じた温かい感触に驚いて、きゅっと目を閉じる。
年上に甘えようとしたことが殆どないシャーロットからすると、頭を撫でられるなんて暫くぶりのこと。
なのに不思議と悪い気がしないのは、彼女にとってもおかしなことだった。

「お姉ちゃ……やめやめ。人前で言うのは流石に恥ずかしいもの。
 それに対等に話し合えるのがエイルのいいところじゃない。しかも、前向きにね」

繰り返される、『前』という言葉を反芻する。『先』といい、エイルは前進が好きだ。
でもとかく停滞してしまいがちなこの時代では、そんな気持ちが心地よい。
お姉ちゃんは最終的にNGになってしまったが。

「今週中にも休みを取って会いに行くつもりよ。あなたが言うとおり、《月装》強化の進捗も気になるところだから。
 確か、《聖遺骸》というものを使うみたいだけれど――」

一度言葉を区切って、シャーロットはメモ帳に件の《聖遺骸》という名を書き込む。
エイルが見て、彼女に渡した資料にも描かれていた『あれ』を指すと思しき言葉を。

「自警団員がつけた聴取の記録によると、《聖遺骸》の頭を手に入れて以来、博士は魔獣に襲われてないみたいなの。
 どう考えても近づいた方が良いのに、近付いてこない、入ってこない……これって、何かに似ていない?」
765 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/22(水) 03:08:09.66 ID:n7ifP4zqO
>>763

「ん、ああ……、?」
 
 彼女のどこか遠くを見るような目は、少女の一言で瞳孔を見開く。
 瞼を瞬かせて、少女の話に耳を傾け。そして、額に手を当ててこう呟く。

「――いかんな、私は今物凄く変なことを口走ったような気がする」

 その後、彼女は辺りをぐるぐると歩き回りながら一人の世界で何かの言葉を吐き出し続けた。
 実に約20分。それだけの間彼女は延々と悩み続け、思考し続け、そして突如足を止めて未来に向き直る。

「……すまん妄言だ、忘れてくれ。先程考えていた脈絡のない仮定に影響されたらしい。
 あー、くそ……私としたことが、全くひどい失態だ……」

 ――ひどいため息を吐きながら、そう天言って天を仰ぐのだった。
 「くそっ、変なこと言わせんなよっ……」八つ当たりに等しい毒を、空に向けて吐き出した。
 
「……いかんな。物凄くいかん。これ以上は本当に変なことばかり言いそうな気がしてならない。
 一度状況と情報の整理をしたい、申し訳ないが続きは今度にさせてくれ……また、頼む」

 ぐおぉ、と呻き声――彼女は未来に辛うじて挨拶をした後、半ば足を引きずるようにしてその場を立ち去ろうとする。
766 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 03:16:17.44 ID:2UYRqi+n0
>>764
人前って……ここにはあたしとシャロしかいないだろ。まあ言いたくないならいいけどさ。
別に姉妹だって対等だろ。 大体、シャロは気負いすぎなんだよ。
そんなに抱えてたらぶっ壊れちまうぞ?

【それに抵抗の様子を見せないのを見ると、もう少しだけ撫でたくなって】
【目を閉じる動作に、動物に感じる愛くるしさに似た感情を感じて――】

(……また、だ)

【ぞわり、とうずく何かを感じる】【焔装発動時にも似た感覚――手を一度止める】
【あの時以来、何かを強く想う度にこの感覚に苛まれる】【……近いのだろうか】
【いや、だとしても、自分はやっぱり他に比べれば安定している――無い筈の記憶回路も、痛い】
【それを振り払う為に、前、前と言っているのかもしえない】
【まるで、置いてきた何かから目をそむけるように――】

えっと、何の話、だったか――あれだろ、砕けないとかなんだとかっていう……確かに、変だよな。

【何でもないように振る舞うが、こういう事柄はやっぱり下手くそだ】
【手に力を込めてわしゃわしゃと撫でる様子から更に顕著だろう】【そうしながら考えを別方向に向ける為に疑問へと答えを求めて】

……今のこの場所と同じ、って事か?
767 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 03:28:47.71 ID:6/DBHWLw0
>>765
変な言葉。それが神からの啓示かそれとも失敗か。
どちらにせよ答えを聞く必要がありぐるぐると歩き回る姿をしばらく眺めていた。

「う、うんわかった。」

前回出会ったときは衰弱といった様子だったのでこんな取り乱しをするのは予想外。
どう対応したらいいものかと少々困るも、矢継ぎ早に話すアリシア相手に対応に遅れ、そのまま相手はその場から立ち去ろうとしている。

「けど変なことでも言ってくれれば嬉しいよ」
「科学の発展とかでも色々と間違った仮説をたてられていた過去があるけどそれを証明する為に収集したデータは無駄にはなってないでしょ?」
「それに今までの法則を無視したような相手だし何が正しいかはわからないし」

色々な考え方を聞きたいと最初に話した通りこれは本心である。
ただし、これを失態と捉えているアリシアにはフォローと追い打ち死体蹴りに聞こえる可能性もあるのだが。

「またね! 絶対だよ。話したいことはいっぱいあるから!」

アリシアの心情がどうであれ、未来は去っていくアリシアの背中に能天気にも声をかけるのであった。

/この辺で〆っぽい?
/ロールありがとうございました!
768 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage]:2014/10/22(水) 03:34:39.83 ID:n7ifP4zqO
>>767
/お疲れでしたっ! 色々と拙いロールにお付き合いいただき、どうもありがとうございました!
769 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 03:42:17.55 ID:RkGO1ylx0
>>766

「わたし達は一ヶ月後には朝日を目にするか、そうじゃなきゃ死んでいるのよ。
 いま一生分気負わないで、いつ……っ」

くらり、エイルの掌の下にあるシャーロットの身体が揺れる。
生命にかかわるものではない只の目眩だが、それは小さな身体に蓄積された疲労を如実に示していた。
つい数日前に激戦を戦ったあと、ずっと通常通りの任務に就き、更に子供たちの姉役。
自警団の仕事は基本的に「寝ずの番」だが、これでは仮眠すら満足に取れなかったのではないか。

「……考えている以上に疲れていたみたいね。
 でもあなただって。いま、痺れたように手を止めたじゃない。
 《焔装》使いの無理は、《月装》使いより取り返しがつかないんだから……」

思い返せば、共に捜査を行ったヒヨウも、能力を使わない時まで《焔装》に侵されてきていた。
それが末期症状と言うべきものであることは、当事者も良く分かっているだろう。
また一つ、失ってしまう。そんな恐怖がシャーロットの首筋を伝い、眼差しに力を込めさせる。

「そう、《都市》と同じよ。ここのどこかにきっと、別の《聖遺骸》が隠れている。
 戦力増強のためにうっかりそれを壊したり、魔獣に破壊手段を奪われたら、人間は終わる。
 しかも――《月装》強化のために頭を砕いたら、博士は身を守る手段を自分の力以外失ってしまうわ」

「わたしの言ったことが正しければ、これはあの女(ひと)にとっても賭けだと思うの。
 やっぱり、ちょっとエキセントリックすぎるのだけれど――その覚悟に、わたしは応えたい」

少しでも早く戦いを終わらせ、一人でも多くの人々を守るために。
気がつけば、左手は握り拳を作っていた。
770 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 03:55:26.52 ID:2UYRqi+n0
>>769
その変わり、明日すら目にする事なく死ぬかもしれない、なんてのはごめんだぜ。
一生分気負うも何も、一生の半分も生きてない奴が言える台詞じゃねえとあたしは思うんだがな。

【その様子を見て再度撫でる手の動きをゆっくりと緩やかにする】
【子供をなだめる時のように、落ち着かせるつもりぢゃっているのだろう】
【規則的な滑らかな動きはある意味では眠気すら誘う物だが】【エイル自身、こんな事できる記憶もなにもない】
【ただ、頭が覚えている……それを探ろうとすると、頭痛のような物が走る】

見りゃ分かるだろ? あたしは他のよりまだ余裕だって。
そっちは戦闘も一苦労だろうが、こっちはまだマシだ。
行ける内はこっちがやっとくからよ、休んどけって。

【その悲しみを和らげてあげる事はできない】【それほどエイルの言葉には重さが無い】
【背負う物もない】【ある意味ではそう捉えられる……伝えられるのは】【心配と不安の感情だけ】
【声も最初より低く、小さい物になっていた】

なるほど、なぁ……つまり、攻められないでかい物が眠ってるって訳か。
確かに、壊したら博士さん? はまずいよな……碌な目に合わないかもしれないし。

【そういえば、と博士に聞きたい事があったのを思い出す】【あの部屋の写真……あれは一体、なんだったのだろう】
【博士と関係があったとしても、魔獣になったまま関係を保ち続けるのは無理な筈だ】
【何か、理由があるのだろうか】

だったら、その時頑張る為に、猶更今詰める訳にはいかないだろ?
……っていっても、息抜きなんてないし、本当に寝て休む位しかやる事はねえけどな。
771 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 04:24:02.28 ID:RkGO1ylx0
>>770

「一生の半分……うん、そうよね。
 わたし達はまだ人生の折り返し地点にすら立っていないんだわ。――本当ならば。
 それがこんな風になっているなんて、ダブリンにいた頃のわたしに言ったらどんな顔をされるかしら」

遠い所まで来てしまった、という自嘲含みに、シャーロットはくすりとエイルに笑いかけた。
死ぬつもりは毛頭ないのだけれど、無意識に生き急いでいたかもしれない。反省事項だ。

「そうね。博士に会う時間と別に、休みを取らせてもらおうことにする。
 思った通りならば、《都市》の中核に魔獣が入ることはできないわけだし……ふぁあ」

頭を小刻みに揺さぶられて、欠伸が飛び出てしまった。
シャーロットは自分の情けない声に赤面しつつ、ゆっくりと椅子から腰を浮かせ、立ち上がる。

「エイルが余りにうまいものだから、ここで寝てしまうところだった……。
 もしかして本当に妹さんがいたのかしら。いや、近所の子かもしれないけど」

以前の邂逅で、エイルはちらりと自分の記憶が曖昧であることに触れていた。
だから撫で上手の理由に覚えがないだろうが、それは何であれ良い思い出だろう。
優しい手つきで、こんなに気持ちよくしてくれたのだから。

「……さて、そろそろ適当な部屋で横になろうかしら。
 今日はありがとう。何というか――久々に楽しかったわ」
772 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 04:38:19.17 ID:2UYRqi+n0
>>771
ま、私も偉そうな事いえた立場じゃねえけどな。
記憶なんてないし、そういう意味じゃシャロなんかより全然子供――かもな。
空っぽだから言える事もある……って位に、流しておいてくれ。

【自分はいったい何をしていたのか】【何故何も覚えていないのか】
【よりによって焔装なんてものを持っているのか】【魔獣が来た事と、関係しているのだろう】
【なんとなく、それが分かる。わかってしまう】【……目を背けているのは、自分なのかもしれない】

何も恥ずかしがる事ないだろ? って、おい……。

【その様子をただ茫然と眺める】【そのまま寝てしまえばいいのに、とも考えつつ】
【まあ、感性は人それぞれだし】

……あたしも、記憶を戻した時に、こういう事わかんのかな。
何をしてたか、どういう人間で、家族にはどんな人がいて、親はこうで
友人は――どんな生活をしてたか――とか……。

【手に馴染んでいる記憶】【それを思い起こすように、手を斜め上へと掲げてみて眺めるが】
【結局、何もわからない】【今のエイルの望みは、そんな些細な、当たり前】

――弱音みたいになっちまったな、悪い悪い。
おう、あたしもシャロに敢えて楽しかった。気が楽になったならよかったよ。
773 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 05:00:10.23 ID:RkGO1ylx0
>>772

「気になるなら、記憶が戻るまでは死ねないわね。
 ……あ、そもそもわたしとの約束があるから、これで二重契約だわ」

先へ先へ走り抜けようとするエイルの姿は共感に値する。だけれど、危うい。
脇目もふらずに駆けていくことで、後ろから迫ってくるものから遠ざかろうとしている様にも見えて。

「ヒヨウにも言ったけれど――後戻りはできなくても足元は確かめるべきだと思うの。
 本当に進んでいいのか考える余裕を一瞬でも作らないと。
 現にわたし達は考えなしに魔獣と戦って、戦力を消耗させられたのよ」

今ここでエイルを引き止めることはできない。
でも、せめて――最後の分かれ道で思い出して貰えればと、精一杯の言葉を投げかける。
周りを見ずに根を詰めすぎていた者が言っても説得力がないのは、百も承知だ。

絵本を棚に戻し、メモ帳とペンを拾い上げると、シャーロットはふらふらと外に出ようとするだろう。
最後に、「またね」と――永夜の世においては重い意味を持つ一言を、残して。
774 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [sage]:2014/10/22(水) 05:21:18.02 ID:2UYRqi+n0
>>773
二重契約って聞くと、なんだか言葉が滅茶苦茶重いな……。
わーったよ、[ピーーー]ないな、確かに。大体死ぬつもりもねえんだけどよ。

【自らが遠くへと歩くのは】【ただ一人を望んでいるからなのだろうか】
【もしそうなら……やはり、自分は何かを知っている?】【無い記憶では、漁る事が難しい】
【何処か、切欠は堕ちているのだろうか】

……そうだなあ。いつかどうにかなる、なんて思って。
――でもよ、そうやって諦めないでよかった、そう思ってる。
現に今も、朝日が拝めそうだしな。

【外に出て空を見れば、未だに見えるは暗き夜】【一度降りた帳が上がる事がなく、光と活力を奪い去るが】
【心にある明かりだけは消せないようで、現に今も、光り輝いている】

――おい、待てよシャロ! その歩き方、途中で倒れる奴の歩き方だぞ!

【ふらふらと出ていくシャロにまたな、と挨拶をしかけて――不安だ、と思いその後をついていく】
【恐らく、何処か適当な場所で休憩を取るまで、お節介をかけるだろう】

/こちらからはこれで〆で……予定の時間より一時間もかかってごめんなさい!
775 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 05:30:08.10 ID:RkGO1ylx0
>>774

「大丈夫よ……寝るところなら、いくらでも……」

そう言いつつ、足取りは不安定。半ばエイルに立たされる形で、下の階の空き教室まで運ばれることになった。
ちょっと背丈に合わない机に突っ伏して、シャーロットは瞬く間に意識を投げ出す。
疲れがピークに達していたのは、いつもの様子からは想像もできないほど弛緩した寝顔から明らかだった。

もし、エイルが彼女の様子を暫く観察していたなら、

「……お姉、ちゃん…………」

こんな寝言を聞いたかもしれないし、聞かなかったかもしれない。

/早朝までのロールになってしまい申し訳ありません。お疲れ様でした!
/レスが所々遅くなっていたのは自分なので……でも楽しかったです! おやすみなさい!
776 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 20:40:20.93 ID:RkGO1ylx0
数日前、人間たちは強大な魔獣との激戦を制し、かつて政府機関に属していた『研究施設』を解放した。
荒涼たる瓦礫帯に、それは失われた時代の墳墓のように聳え立っている。
そして今、一部が門柱のように残った廃墟の間を抜け――ひとりの少女が、この場所を訪れていた。

その名はシャーロット・プランケット。施設奪回のための戦闘にも参加していた、自警団員である。
彼女は巻き上がる塵芥を吸い込まないよう、手編みのマフラーで口元を覆い、
腰までの長い金髪を夜風になびかせ、垂れ目ぎみな灰色の瞳で誰かを探しているようだった。

「……うーん、博士はやっぱり缶詰なのかしら」

独り事を零しながら、更に奥へと進んでいく。
4つの扉が並ぶ、研究施設のエントランス≠ヨの道すがら――彼女は果たして、誰と出会うのだろうか。
777 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/22(水) 20:48:20.83 ID:D3FynmP60
「……この間の雷って、何だったんだろ」

ぽつり、独りごちるは都市の外縁。人の背丈程の瓦礫が周囲に無造作に散乱するうちの一つ、他よりも頭ひとつ分抜き出たものの天辺に腰掛けて。
ぼうっと天の暗澹を眺めるのは、この御時世では「かなりまとも」だと言える衣服を纏っているひとりの少女。
誰も見ていないだろうと胡座をかいて、肘付き時折流れる風に、乱雑な焦げ茶のポニーテイルが小さく揺れる。

「嵐でも来たかと思ったけど、一回きりとか。ついでに雨でも降ってくれれば、少しは生活も楽になったんだけどな」
「お風呂は贅沢すぎて入れないし……せめて何処かに、貯水池みたいなのがあれば良かったんだけど」

これでも一応は年頃の少女だ。肌への圧が心地良いシャワーや滑らかなバスタブいっぱいに溢れる温かさが、恋しくなる事もある。
しかし今はそれよりも、次の"遠征"に早く行きたくて。重要な資源である水に未練の言葉を吐きつつも、身体は自然と外へ向かう。
そうして、準備が整っていないうちからこうしてふらりと歩いては、何処か適当な場所でぼんやりと時間を潰す日々。

「……そろそろまた、遠征行こうかな」

そんな、ある種退屈な"日常"の中で––––––今日は誰かと出逢うような、予感がした。

//先日の待ち文の再利用ですが、よろしければ。
778 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/22(水) 21:49:30.74 ID:i8ZXdMCeo
>>777
 適当な石を蹴りながらニルマーナは歩いていた。気が付けば都市外縁部。殺風景極まる。
 瓦礫の上に座る子供の姿を見て、ニルマーナはアホ面から眉を上げた。

「ひとりぼっちかよ、人間。よくもここまで足を運んだ」

 こんなところまで来て、かつ怯えもせずくつろいですら見える。戦える人間だと判断した。
 衣服は身ぎれいにしているようだが武装は見えない。内蔵型か、あるいは内臓型か。

「暢気していられる余裕があるか。さぞ裕福な生活をしていると見える」
 ――にしては、臭うがな」

 年頃の少女を煽るように、顔を潜めて言った。
 その両手の中に、いつ少女が跳びかかってきてもいいように宝石のナイフを作りながら。
779 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 22:10:50.77 ID:6/DBHWLw0
/>>776
/今から絡みにいっても大丈夫ですか?
/それとも時雨さん待ち?
780 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/22(水) 22:11:04.64 ID:D3FynmP60
>>778
少年の蹴った小石がかつりと少女の座る瓦礫に当たった。直前より肌に伝わる気配からして、相手はそこらに転がる弱小な魔獣とは違うと、直感が語る。

「––––––何の用さ、魔獣」
「独りぼっちはお互い様だよ。……臭うのも、オタガイサマ」

じろり、と据わった目でそちらを睨みつつ、頭の中にあるのは小さな後悔。もっと適当な服で来れば良かっただとか、そういうツマラナイ類の。
緩慢でありながら最大限、ニルマーナに隙を見せないようにと配慮しながらの構えへの移行は、ある程度戦闘に慣れている事を暗に語る。

「よくもそんな軽口を叩いてくれるね。……私が不幸になったのは、お前らの所為なのに。」

そちらへ飛び掛からんと体勢を整えるが、それ以上少女が動くことは無く。意外に捉えられるかも知れないが、何故か少女は"後手"に回ろうとしていた。
––––栗色の両の瞳に、精製される煌びやかな刃を確とおさめながら。
781 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 22:13:16.70 ID:RkGO1ylx0
>>779
/いえ、全然大丈夫ですよー! レスおねがいします
782 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 22:23:52.34 ID:6/DBHWLw0
>>776
「水が使えない掃除とかとか辛過ぎるよ……」

魔獣との戦闘があった内、めぼしい資料が無かった部屋から出てきたのはシャーロットが以前出会ったことのある少女。
だが今日の彼女の格好は屋外で出会ったときとは少々違った。
手に握っているのは《月装》ではなく、、箒にちり取りそしてバケツ。
彼女の剣はぼろ布を腰に巻き付けそこに挟むように固定。口元には三角巾をマスク代わりに。

「あれ、シャーロット? 今日は時雨さんは忙しそうだよ。それとも護衛任務かな?」

布を通してくぐもった声の内容は時雨に会う時間が取れないといったこと。
シャーロットの予想通り博士は缶詰であった。
783 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/22(水) 22:24:47.30 ID:i8ZXdMCeo
>>780
 憎まれ口を叩くイキシアに対し、ニルマーナは鼻で笑った。

「オレたちは洗わなくてもある程度大丈夫だが、人間のそれは不潔なんだよ!
 はっきり報告させてもらうと、お前からは一月も洗っていない犬の臭いがするぞ!」

 それと、と前置きを置いて、ニルマーナは構えをとるが掛かってこない女へ向けて続けた。

「自身の不運の責任を他人に求めるなら、命運すら人任せにするつもりかよ!
 生きている幸運を喜べないというのなら、死んだ人間たちと手を取り合うために冥府へ行けよ!」

 闘い方を見るというのなら見せてやるつもりで、イキシアへ向かって両腕のナイフを投擲した。
 一本は胸部、一本は腹部を狙うものだ。
784 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 22:43:01.06 ID:RkGO1ylx0
>>782

「――ミライ! 一月ぶりね!
 お互いあの場にいたのに話す時間がなくて、わたし残念に思っていたのよ」

研究所で偶然にも再会したのは、《都市》外縁でジャンク屋の護衛中に共闘したことがある少女――日向 未来。
わずかに一度戦列を共にしただけだが、利発でしたたかな彼女に、シャーロットは強い信頼を抱いていた。
口を覆っていたマフラーを首までずり下ろせば、喜色の滲んだ笑みが覗く。

「どっちもよ。護衛という扱いでこっちに少しの間異動してもらったの。
 博士が《聖遺骸》を砕いてしまうまでは、ちょっとした休暇のようなものだけど――」

その右手には、分厚い冊子類の詰まったかばんが提げられていた。
恐らくは、自警団の――未来が整理したものが多分に含まれた――資料だろう。
シャーロットのことだから、既にひと通り眼を通しているに違いない。

「それにしても、ミライったらお母さんみたいな格好ね。
 ……手伝い、いる?」
785 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/22(水) 22:44:55.57 ID:D3FynmP60
>>783
「だから、」

どうした。と冷徹な瞳で見返して。投擲された刃二つを、直前で少女から見て左前方へ避けると、脇腹と左腕に奔るのは血潮のライン。
そのまま地面に着地をすれば、その時には既に焔装が発動しており。みしみしと骨格の歪む音を傍らに、ぞわりと四肢の先から這い上がる"獣らしさ"に身を任せて地を蹴り駆ける。
ふたつ切れ目の入った衣服、腹部にはまだ毛皮は見られないが、左腕には徐々に這い上がる獣性が見え隠れして。
途中ボロの靴が脱げて、お目見えするのは腕と同じく毛皮と爪を有した獣のような脚。裸足で小石や瓦礫を踏む事を物ともせず。
目指すは一点、ニルマーナ。狙うも一点、その頭部だ。鋭く光る爪を有する右腕を持ち上げて、駆けた勢いそのまま目標目掛けて振り抜かんとする。

「––––––犬臭さの正体は分かったかな、魔獣?」

にやりと歪んだ、笑みと共に。
786 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/22(水) 23:00:07.21 ID:i8ZXdMCeo
>>785
 ケモノへと転じる少女の戯言に返す暇はない。
 変身と疾駆のわずかなあいだ、左腕にちいさな楕円形の宝石の盾を一枚用意するのが精一杯だった。

「チィ――魔獣の真似ごとをするかよ! 月に授けられた焔装の女がァ!」

 振り上げる左腕で、鋭い爪の一撃を流すように斜めに受けた。だが加速による重さは尋常ではない。
 身体ごと圧され盾にヒビが入り楕円の宝石が切り裂かれる。左腕に爪が食い込むのはどうしようもなかった。
 半歩身体ごと下げるが、左腕は紙のように半ばからさっくりと裂かれた。
 わずかに押し下げられ、剣を使うには遠い間合い。ニルマーナが右腕に作り出すは、宝石の槍。
 魔獣を模す少女。人を模す少年。ケモノとヒトが入れ替わる。

「オマエがケモノをやるのなら、オレはヒトだ。槍はこう使う!」

 遠い間合いでも届くから槍。それを、ニヤリ笑う口に突っ込むつもりで突き入れた。
787 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 23:01:38.15 ID:6/DBHWLw0
>>784
「お互い班が別れるのは仕方がないよ。報告とかを考えたら分けた方が都合がいいしね」

魔獣が群れるということは無いので比較的規模の多い討伐任務というのは稀である。
戦闘面では戦闘方法を見知っている人間を固めた方が連携をとりやすいかもしれない。
だが滅多にないことであれば各班に観察役を配置するのも間違いではないだろう。

「お母さんって……。掃除は出来れば手伝って欲しいけど……、埃っぽいよ。湿らすことがほとんど出来ないのにチリを集めないといけないからねぇ」

マスクの下で困ったような表情を作りつつも身振り手振りでマフラーを口元に戻すように促す。
ひたすら舞い上がる埃を集める作業。埃が舞っているのもここも同じである。
部屋から出てきた彼女が愚痴る様子を見ても作業が捗っていないのがわかる。

「残念だけど休暇にならないかもね。食糧や物資の生産施設を魔獣に破壊された過去があるから、ここも安全ではないよ。むしろ危険かも」
「いっそここに拠点を作ってしまうのもいいかもね」
788 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/22(水) 23:22:56.92 ID:D3FynmP60
>>786
ズ、と食い込みヒビの奔った盾から爪を抜き取る瞬間、こちらに突き出されるのは絢爛たる槍。紙一重で避けるも頬に紅のラインが増える。

「ッ––––––そっちこそ。魔獣の癖に、人間のママゴト遊びをするなんて」

痛みに顔を顰めつつ跳び下がれば、身体の三箇所に奔る浅い傷口からてろりと血が垂れる。どうやら治癒能力までは、魔獣のようにはいかないようだ。
動きを阻害する衣服に嫌悪を覚えながらも、未だ恥じらいを捨てきれず脱ぎ去る事は叶わない。幾ら相手が魔獣と言えど、柔肌にくるまれた裸体を晒したくは無かった。

「魔獣は魔獣らしく、遠吠えでもしておきなよ––––負け犬の、ねッ!!」

そして、代わり映えのない単なる突撃。肉弾戦でしか戦闘をする事が出来ない少女は、相手に傷を負わせる方法をこれ以外に思いつかない。
ざり、と大きく踏み込み進めば速度は先ほどよりもやや速く。半ばまで獣化の進んだ脚による推進力はそこいらの弱小魔獣と遜色ない程までに急激な変化を遂げている。
先の突進と同程度のものだと舐めてかかれば、対応に遅れて更に傷を負う可能性もあるが、果たして––––––
789 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/22(水) 23:23:59.09 ID:RkGO1ylx0
>>787

「気にしないで。どうせわたしも暫くここに居るのだし、さぼっていちゃ悪いもの。
 博士に水を増やしてもらえたらいいのだけど……『量』と『数』は違うのよね」

鼻腔がむず痒くなるのを感じると、慌ててマフラーを口に巻き直し、持ち手のない箒を受け取ろうとするだろう。
てくてくとエントランスの隅っこへと歩きながら、会話を続ける。
時雨の《月装》についてはシャーロットも聞きかじっているようだが、正確な所は理解していないみたいだ。

「それは博士が《聖遺骸》を持ち込む前のことだからではなくて?
 でも、頭だけでは三つの部屋の魔獣を追い出すことは出来なかったのよね――」

休暇、というのは言い過ぎだったか。とは言え、守る相手が決まりきっているのは救いだ。
《都市》外縁のパトロール中は、連絡すらできずに包囲されていることもままある。
引き際をわきまえないジャンク屋は、そうやって後発の教訓に名を残すだけになってしまった。

「……あの骨の残りの部位、ミライはどこにあると思う?」

奥まったところを掃きながら、シャーロットは背中越しにそう尋ねた。
790 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/22(水) 23:43:17.44 ID:i8ZXdMCeo
>>788
 ギアを上げるイキシアに対し、ニルマーナは右手の槍を変化させた。瞬間、槍が発光した

「魔獣が人型を取れるということは、人の力を得たということだ!
 お前たちが数千年をかけて培った戦闘技術はなあ! すでに貰っている!
 懐へ飛び込まれる弱点までは真似はしないということだ!」

 槍は刃渡り90cmの長剣に変化していた。――だが外見上は違う。
 イキシアには刃渡り60cmの幅広剣に見えるだろう。紙一重で躱せば30cmの差が食い込むものだ。
 さらに、左腕を傷ごと纏うように分厚いラージ・シールドを作り出した。

「剣術には引きながら斬るという技もある!」

 イキシアの突進に合わせて後ろへ飛びながら爪を盾で受けた。アホ面でも同じ攻撃を二度も受けるほどではない。
 だが、攻撃の衝撃は深く響き、半ばまで切り裂かれていた左腕の傷が深まっていた。しばらくは使えそうにない。
 歯を食いしばりながら、ニルマーナは盾を切り裂く腕を肘半ばから切り落とすように、幅広剣(長剣)で上段から斬りつける。
 その動きは、左腕の傷のせいかやや精彩を欠いている。
791 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/22(水) 23:46:13.87 ID:6/DBHWLw0
>>789
「さあ、定義の仕方でいくらでも変わるからね。でも増やせるという能力を持ちながら今のこのときまで黙っていた人だから」
「時雨さんに会ったらその辺の理由も聞いてみたいんだけどね。あと《聖遺物》とかあの銀の銃も増やせないかとか」

床を掃く音と共にまた埃が散る。ちり取りに入る量と労力が釣り合わないが暫くここを利用する限りは放置する訳にもいかない。
賽の瓦のような作業ではあるが協力者がいるなら目処はたつかもしれない。かき集めたものが溜まったバケツを部屋の中心に置く。

「農業とか何度か試みられたらしいけど全部失敗してるという話だよ。全部が全部魔獣の仕業って訳でもないけど……」
「それにそんな魔獣にとって怖いものが地下にあるなら相手からしたら生き埋めにでもした方が早いしね」
「そもそも《月装》に《聖遺骸》が使われているのに私達は襲われてる事実もあるし過信はよくないよ」

休暇どころではない。未来の口からは物騒なことばかり飛び出す。実際、その辺の危険性は自警団のお偉いさんに未来が説明していた。
シャーロットが一見楽そうなここの護衛にすんなりこれたのもそれが原因なのかもしれない。

「残りの骨ねぇ……。ぶっちゃけわからない。一部を謎の研究者が持っているってこと以外はわかる資料なんて無かったよね」
792 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 00:09:25.06 ID:C0a7JBC30
>>791

「《聖遺骸》が無敵なのは、博士を信じるなら破壊不能だからじゃなくて干渉されないからよ。
 だから、《月装》の力では増やせないのでしょう。そうなると、銃の正体が謎ね。
 単に《聖遺骸》を壊せるだけなら、《夜》にとってもそこまで魅力的なものになるかしら。
 連中は、兵糧攻めをしていたら黙ったまま勝てるはずなのよ?」

変動重力圏が《都市》の手前まで迫ってきている以上、もう一ヶ月半もすれば人間は滅ぶ。
なのに魔獣が投入され続けている。裏を返せば、《夜》側もまだ勝利条件を満たしていないということになる。

「前会ったとき、《都市》には変動重力圏の接近を妨げているものがあるかも、と言ったわよね。
 わたしはそれが《聖遺骸》か――あるいは、それと同じ力を持つものだと思っているの。
 規模は違うけれど、街もあの博士も、魔獣に直接襲われていないという点では似てるでしょ?」

シャーロットの口から紡がれるのは、ひとつの仮説。すなわち、《都市》には結界が貼られているということ。

「《夜》の眷属は触れることができない……だから人間に壊させるのよ。
 魔獣を使って、もう使える全ての者に《暁月》を持たせないと負ける、というところまで追い詰めて」

「わたしが賢くないなりに組み立てた、ただの想像だけれどね。
 ミライからしてみたら、きっと穴だらけのはず……」

戦いにおいては力を振るうことができても、《夜》に王手をかける知恵が足りない。
そんな現状を自嘲するように眉をひそめながら、シャーロットはちりとりの埃をバケツに注いだ。

「この掃除みたいに、ゆっくりでも目に見える成果が出れば、まだいいのにね……」
793 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/23(木) 00:18:49.09 ID:KfzDeuNr0
>>790
明らかに精度が乱れ押され気味の相手に、しめた、と思った。このまま攻め続ければいつも通り、勝利を収められりだろうと。
そのために、獣腕を狙う閃きに気付くのが遅れる。ニルマーナの手には確かに、質量のあるモノを切り裂いた感触が伝わる筈だ。

「––––––––––––––––––あ」
「あアああああああアアああアアアああアアあああアっっっっ!!!!」

暗澹の空を劈く悲鳴。深く斬りつけられた左腕からは剛毛に覆われた部分からは血がぼたぼたと垂れ落ちる。
本能のままに距離を取れば、その軌道に合わせて紅い水滴が宙を舞い、ぱたぱたと地に模様を描く。
そして、静寂。ほんの数秒前には鼓膜を破らん程に張り詰めた叫びをあげていた少女は、数瞬の間、俯き痛みを堪えるようにぶるぶると小刻みに身体を震わせ、そして。

「––––––人間の武術が優れているなら。どうしてわたしたちは、お前らにここまで追い詰められたのかな」

譫言のように小さく呟きを漏らしながら。ぞわり、みしり。と明確な音がニルマーナの耳に届く事だろう。
それは少女の焔装が更に力を発揮せんとする音。明らかに骨格が歪みゆくそれらと共にゆらりと首部を持ち上げれば、そこには、見開かれぎらりと獣の如く光る瞳。
風に揺れて見えた服の切れ目、腹部のそれで確認できるのは四肢と同じ硬質な輝きを有する毛皮。
今、最大にまで高まった瞬発力が、瞳の煌きを弧として宙に描く。再びの突進。手前にぶらりと下がっていた、使い物にならない"左前脚"を後ろへと流して、その反動で速度と威力を増す右の爪。
狙うは、ニルマーナの、頸部ただひとつ。果たして、荒削りの一撃は、魔獣に通用するのか––––––

//おおお、遅くなりました。そして長くなりましたごめんなさい!
794 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/23(木) 00:28:43.49 ID:IMsMC6H00
>>792
「同じ物どうしをぶつけたら殆どの場合は両方とも壊れるけど、《月装》で壊せなかった以上はなんか別の上位的な存在なのかな」

そうなれば銃は《聖遺物》以上のものとなり、更にどのようにして製作されたかという疑問が残る。
その銃を作る為の素材を加工するための器具を作る為の……。これではキリが無い。

「壊させるのが目的か。《聖遺物》とは別の何かを探させるのを目的のパターンでも考えてみたけどその結論には至らなかったよ」
「やっぱり、それなら《月装》を妙なタイミングでばら撒いている研究員ってのはやっぱり怪しいね」
「もしそうなら、私達はどのように動けばいいと思う?」

時雨に聞くことが増えた。いや、その思考を持ってシャーロットがここに訪れた意味を考えると彼女がしてくれるのかもしれないが。

「私も穴だらけな仮定ばかり唱えているよ。実際にそれでも考えているだけで私もシャーロットも変わりは無いと思うけどね」
795 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/23(木) 00:44:23.99 ID:szrDV9Auo
>>793
「うるさい犬め! 人の技はなぁ、人を相手に使うものでしょ!
 人間を相手にしているつもりなら、魔獣に勝てないのは当然だろうが!
 だから人の技は魔獣がすべていただく! 人間は震えて眠るんだよ!」

 どれだけ優れた技術だとしても、使う場所を誤れば充分な威力を発揮しないのは当然のことだ。
 それが果たして完全な魔獣の形態を取る少女に解るものなのかはともかく。
 もはや上背は少年を完全に上回ろう。傍から見れば一体どちらが魔獣でどちらが人間なのか。
 そして繰り出されるのは、懲りもせず突進の一つ覚え。――だが、その速度は先程より遥かに疾い。

 剣を盾に変え、さらに壁盾を全面に作り出した。出せ得る限りの防御を全投入。両の盾が発光した。
 そのすべてが一撃の前に紙くず同然となり切り裂かれていく。そのなか、ニルマーナはあえて前に出た。
 爪が頸を狩り取る前に、手首辺りに盾を押し付けに行ったのだ。シールドバッシュ狙いだが、重さが違った。
 盾が煌き砕け散った。ニルマーナの体は、ゴムまりのように吹き飛ばされた。それは瓦礫にぶち当たり、砂煙を立てる。

 砂煙が消えたあと、そこにあったのは左腕が千切れ首のへし折れたニルマーナの姿だった。
 ――という、限りなく本物に近い幻だ。現実のニルマーナは、同じように左腕こそ千切れ飛んだが首は無事だった。
 砕け散った「盾」を幻影にして、ニルマーナは砂煙が消える前に、瓦礫の中に潜むようにして隠れていた。

(……片腕同士、痛み分けってことで勘弁してやらあ)

 ニルマーナはイキシアに見つけられないよう、息を詰めて祈って通り過ぎるのをずっと待っていた。

/いえいえ。こちらも長くなってしまいました。申し訳ない
/時間も遅いですし、やや眠くなってしまったのでこんなシメでいいでしょうか?
/ロールありがとうございました!
796 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 00:58:48.44 ID:C0a7JBC30
>>794

「今も生きているのならば、少しずつでも《月装》生みの親の情報を集めていかないといけない。
 皮肉なことだけれど――変動重力圏のおかげで、探す半径は狭いはずよ。
 ねぇ、自警団のお偉いさんにでも聞いてみる?」

多くの《月装》使いの受け皿となっているのは、自治体・自警団だ。
故に開発者にとって最大の取引先もそこになるだろうし、もしかしたら何か分かるかもしれない。
或いは、内部に食い込んでいてもおかしくはないのだ。

「……ううん、違う。ミライは事ここに至る前から《夜》の倒し方を考えていたじゃない。
 わたしはずっと、魔獣を倒すことを考えていたの。
 《夜》に堕ちた者を引き戻せる可能性からも、事態を根っこから何とかする方法からも眼を背けて」

シャーロットにとって、未来の理知とバイタリティは特別に価値あるもの。
灰色の瞳から彼女の顔へと、熱いまなざしが注がれた。
胸の前で拳を作り、口ぶりにも情念があふれる。

「だから……何というか、その――あ、あなたは……、かっこいいのよ。
 あなたが居なければ、わたしもこんなに《夜》について考えを巡らせなかったかもしれないもの」

濁された言葉。シャーロット自身にも、募る想いを定義する言葉は見つけられないのかもしれない。
797 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/23(木) 01:14:59.34 ID:KfzDeuNr0
>>795
何かをほざきながら魔獣は死んだ、と思った。すんでの所で割り込んだ防壁が、この四肢に備わった爪の前に脆く崩れ去った感触が確かにある。
魔獣の死体が瓦礫に着弾した衝撃で砂塵が舞う。傷口に塵が入り込まないようにと、片腕で未だ血の滲み滴るそこを抑える。
痛みで聞き分けを無くした左腕だが、辛うじて線はひとつ繋がっているようで。鋭く鈍く伝わる痛みを歯軋りで堪えながら伝令を伝えれば、指先は微かにぴくりと反応を返してくれた。
そうしている間、先ほどまで戦いを繰り広げた相手からの反撃はない。それは、つまり。

そう認識した瞬間、アドレナリンの放出は終わった。同時に、燃え盛る復讐心もぷすりと煙をひとつあげたのちに鎮火して。
またしても骨格の歪む嫌な音を発しながら、砂塵も収まらぬうちに、獣から戻りつつある少女は都市へと帰っていく。
故に、ニルマーナが生きている事に気付く事はなかった。激しい戦闘後の疲労感、未だ続く左腕と各所傷口からの痛みの訴えに辟易しているが故に、残っているニルマーナの気配にも気付く事はなかった。

「……人間の戦術が対人用だって言ったのは、お前だったよね」

ならば、獣と化しながら本能に身を委ね戦う少女との相性は、実はあまり良くなかったのではないか。
だから勝てたのか、と魔獣に出会う前のように独りごちて。それはもしかすると未だ潜むニルマーナの耳にも届いたかも知れないが。

「魔獣が人間の戦い方を身に付けるって言うなら、わたしは。……わたしは、その逆。魔獣の戦い方を真似てやるんだ、そうすれば––––––」

この先は、遠く掠れて聞こえることは無く。疲れで引きずりがちだった足音も遠ざかり、少女の姿が都市に消える頃には砂塵も晴れて。
戦闘の舞台となったそこは、まるで何事もなかったかのような"ただの瓦礫の多い地帯"に戻ってしまうのだった。

//先に長くなったのはこちらですし、どうぞお気になさらず。
//こちらこそ、遅くまでお付き合い頂きありがとうございました。久々の戦闘ロールでとても楽しかったです。
//それではこちらも締めと言うことで、お疲れ様でした!
798 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/23(木) 01:19:52.89 ID:IMsMC6H00
>>796
「一応聞いてみた方がいいけど望み薄じゃないかな?《月装》を製作して配るという行動をしていても今まで私達が知りえていない人物だよ」
「人類に希望を持たせるなら大々的に発表しそうだしその人を隠す必要性もない」
「捜索の命令すら出ていない以上は私達が足で探すしかないと思う」

地道な捜査。新な情報が出てもやることは今まで通り。しかしもし相手がわざわざ逃げ隠れているのであれば、その捜査は難航するか。
だが漠然と動くよりずっといい。目的がはっきりしているなら行動も起こしやすい。

「買いかぶりすぎだよ。人類一丸となって各々の役割を果たすだけ。今までは私とシャーロットの役割が違っただけだよ」
「それに私にもシャーロットが羨ましく思うときもあるし、私なんか戦闘面だと私は他の人に頼りっぱなしだしだし」

ここまでベタ褒めされるとむず痒い。たじろぎながらマスクをほんの少し引きずり上げて自分の表情を隠した。

「あー、シャーロット。【夜の使者についての資料】と題打たれた資料って知ってる?」

いや、ここはとりあえず話題を変えておこう。そんなことを思いながら新しい質問をシャーロットへ投げかけた。
799 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 01:41:49.02 ID:C0a7JBC30
>>798

「それでも、もう少し早く気付いていれば、もっと出来ることがあったはず。
 最初に手を打つことができるっていうのは、きっと特別な才能よ……えっ?」

後に続くことは誰にでも出来るが、最初に道を切り拓くのは並大抵のことではない。
放っておいたらシャーロットは幾らでも未来の慧眼を褒めちぎれそうだったが、話題そらしにはすぐ乗った。

「うん。照明だらけの部屋を見た時に確認したわ。
 おおむね、《都市》に何かあるだろうって内容で納得できたけど――後半二行には気になる所があったのよね」

ちりとりを一度床に置いて、懐からポケットサイズのメモ帳を取り出す。
そこには丸みが強く細かい字で、各部屋に置かれていた資料の文言が一字一句違わず写されていた。

「まず《都市》にあるのは、【大きな物でなく、とても小さな】ものという推論。
 当然といえば当然よね。だって、今までわたし達が気付いていないんだもの。
 尤も、大きすぎてそれと認識できないものかもしれないけど……」

「それで、不可解なのはこれよ。【奴等の知能は高い。そう、人の形をなしていないあの空が】って。
 殴り書きで言葉がまとまっていなかったのかもしれないけれど、それにしたっておかしいわ。
 まず、空が人の形をしていないことを普通は気にしないし……」

未来は何か思いついているだろうか、という期待もありつつ、シャーロットはそこで言葉を区切った。
800 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/23(木) 01:54:55.92 ID:IMsMC6H00
>>799
「う、そこか。うん……。そこは全然わからない。文字通りのままじゃないかな。というか私が聞きたい」

いくら頭を働かせても考えが纏まらない。むしろシャーロットの意見を伺いたいぐらいである。
しかし相手が何か期待しているならばそれに応えたい。ただし望む内容ではないが……。

「注目してほしいのは題名だよ。夜の『使者』」
「学者っていうのは齟齬が生まれないように文章を書くらしいけど使者というものがそのままの意味で使われていたら?」

四足歩行の下級魔獣なんかに見られる通り、魔獣は欲望に忠実に動くことが知られている。
そんなものに『使者』という言葉を使うだろうか?未来が持った疑問はここであった。
801 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 02:11:15.26 ID:C0a7JBC30
>>800

「使者――そう言えば、この文章には【奴ら】が二度出てくるわね。
 《夜》それ自体を指して言っているなら、どう考えても変だわ」

極めつけに、【知能は高い】なんて書かれている。
それが単純に魔獣全般のことだとしても、鳥獣を模したようなものまで含むことになり、違和感が拭えない。

「つまり、《夜》の意志を体現するような――狡猾な何者かが居る。
 しかもそれは確かな目的を持って、《都市》に隠された何かを嗅ぎ回っていると……?」

顎に手を当てて熟考するけれど、これ以上の答えは出てこなかった。

「でも強かろうと賢かろうと、魔獣なら《都市》には入れないのでなくて?
 よしんば強引に侵入したとして、気配を見てから袋叩きされるのがオチだわ」
802 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/23(木) 02:26:53.40 ID:IMsMC6H00
>>801
「誰に向けての使者かを考えると、人間しかいないでしょ?つまり《夜》の使者は人間とコンタクトをとった過去があると考えられる」

そしてその題名の資料の内容は後悔。勘づきながらも抗えない何かをもたらしたもの。
いつ人間とやり取りを行っていたかという点も気になるだろう。

「そしてこの研究機関にこの資料があることを考えると《都市》に侵入することが可能」
「その上、使者ってのは特別な人物。交渉を任せ、その内容を持って帰れる実力がある人物に使われる訳で――」

何時の間にか掃除の手を止め、未来はシャーロットの目をじっと見つめていた。

「想像以上にろくでもない存在がいるんじゃないかな?」
803 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 02:44:37.89 ID:C0a7JBC30
>>802

「それが本当なら、なおさら早いところ《月装》の開発者を見つけないとね。
 今も絶えることなく新しい《月装》使いが現れている以上、彼または彼女も銀の弾丸を持っているはずだもの」

《月装》を生産できる人物の生命と、その所有物が《夜》の毒牙にかかる。
今まで起こらなかったというだけで当然想定しなければいけないことだ。

「ともすれば――使者の存在に気づいているから、開発者さんは頑なに身元を隠しているのかしら。
 早い方が良いとは言ったけれど、準備が整わない状態で見つけたら、逆にみんなの首を締めることになる。
 ……ああ、わたし達、かなり面倒なゲームを遊ぶ卓に放り込まれてしまったみたい」

もちろん全ては二人の推論が正しいという仮定の上でだが、事態が既に動いているのは確か。
微に入り細を穿つ視点に立って、一手一手を誤らないように動かなければ、世界はたやすく終わる。
《夜》に克つ為いかなる労も厭わないシャーロットだが、今ばかりは嘆息が先に立った。
落ち着かない様子で手を動かすたび、箒の毛先がゆさゆさと無為に床を撫でる。
804 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/23(木) 03:00:44.61 ID:IMsMC6H00
>>803
「私達の当面の目標は《月装》の開発者を探すってことだね。うん、わかった」

研究所の探索後、ずっと情報を纏める仕事を行っていたが今度は外を走り回る必要が出てくるみたいだ。
時雨に切られた右足の傷も既に癒えている。丁度いいタイミングだ。

「仮定を繰り返しても悪い内容しか出ないし嫌になるよね」
「でも、何も知らなかったときより確実に前に進んでいる。手のひらの上で踊らされているなら足元を思いっきり蹴飛ばしてやろう」

漠然とした策しか練れない状況よりずっとマシであり、状況もかわりつつある。
これからの行動次第ではまた希望が見えるのかもしれない。
そうともなればじっとしているのも耐えることは出来る筈もない。

「さて、この辺の掃除はもういいんじゃないかな?」

まだ幾何かの埃に汚れは残っているものの妥協は出来る範囲である。
だが行動すべきことが定まった。それもこの終わらない掃除よりも有意義なもの。
805 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 03:34:04.23 ID:C0a7JBC30
>>804

「一ヶ月前、わたし達はまさにあの黒い空に押し潰されそうだったわ。
 でも今は違う。空の色は同じでも――わたし達の心の色が違う」

いずれ行き詰まる対症療法ではなく、今を癒やす本当の方法が見えてきている。
わずかな、しかし確かなチャンス。それを掴むために、少しでも多くのことを為さねばならない。

「誰も見ていないと思って踊れ、誰も聞いていないと思って歌え、今日が最後だと思って生きろ。
 ……お母様が《夜》と戦っていた頃に教えてくれた、故郷の言葉よ。
 大変な舞台の上だからこそ、出せる力は出し尽くさないと」

胸元に手を当てれば、失くしたものの重圧をひしと感じる。だが、死者はただ生者を苛むものとは異なる。
失われたものに報いるため――シャーロット・プランケットは、日々決意を研ぎ澄ましてきた。

「わたしはとりあえず荷物を適当な所に下ろして、それから周囲の警戒任務に就くことにする。
 《都市》と研究所。これから忙しくなるわね。――ミライ、一緒に頑張りましょう!」

そう言って、引き止められなければシャーロットはいちど別室に下がろうとするだろう。
806 :日向 未来 ◆eM6iMPNsZk [sage]:2014/10/23(木) 03:56:25.87 ID:IMsMC6H00
>>805
「うん、お互い頑張ろう。そして人間の力ってやつを見えてやろう!」

悔いることの無い生き方。それは難しいもの。特に経験が不足している人間には得難い。
彼女達は生き残った。人口の大半が死に絶えた今でも、漠然と死までの時間を浪費するのではなく生きる為の行動をした。
それでもまだ足りないのかもしれない。超越した存在である《夜》に抗うことが不可能なのかもしれない。
それでも後から後悔などしたくないから動くのだ。

「私も道具を片付け終えたら外を見回ることにする。けど気を付けてね」

掃除道具を剣に持ち替え、汚れたマスクをポケットに押し込む。
シャーロットの背中を見送りつつも靴で地面を叩いて足を慣らし、自分も準備を始める。

さて、始めよう。

/ここで〆
/ロールありがとうございましたー
807 :シャーロット ◆PWPXgddfYg [saga]:2014/10/23(木) 04:01:54.18 ID:C0a7JBC30
>>806
/私もこれで!お疲れ様でした!
808 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/23(木) 21:26:02.42 ID:eCBITtxEO
とある人気の無い路地裏。魔獣スカヤはその場に倒れ、伏していた人間の隣に立っていた。まるで死ぬ寸前の人間のミサを聞く神父のように。
人間に新たな可能性が出始めた頃、この魔獣モドキも少なからず可能性が見えてきたように感じるようになった。
苦しんでいた「本能」との戦いも慣れ、有る程度抑える事が出来るようになったからである。
だが、その身体は依然として「魔獣」…活動するに当たっては相当の「エネルギー」が必要であった。

「────今日で8人目」
「本能を抑えるならば…何らかの方法で突発的な本能を緩めるしか方法は無い…」

やはりそのためには有る程度の「人間」が必要であって……スカヤは「人間」を喰わざるを得なかった。

「なるべく……可能性の無い、絶望間近の人間を…」
「魔獣になる前に…せめて人間として終わらせる為だ、許してくれ」

また1人、この場で「魔獣寸前」の人間を「殺した」。死体に触れ、スカヤの身体に吸収されていく。生きる為ではあるものの、その理由は合理的で、独りよがりなものであった。

//戦闘、日常、どちらでもどうぞ
809 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/23(木) 21:32:47.79 ID:KynbEG7O0

 紙の擦れる音が、その部屋の中に響いている。
 自治会の本拠、嘗ては小学校の図書室でった場所。今や倒れかけた本棚と損傷の激しい本、そして半ば壊れたいくつかの長机だけを残すのみのその場所。
 そこに、彼女はいた。

「……やはり、あり得るな」

 唇に咥え込んだ棒付きキャンディを上下させながら、彼女は机に座り込んでいた。無数の本とレポート、そして幾つかの内臓模型で周囲を埋め尽くして。
 今彼女が目を通しているのは、「外科手術概論」と題された本。散乱している本のタイトルには、「医学」「外科」といった文字が目立つ。
 そして、一編のレポート――A4サイズの紙をホッチキスでまとめたそれのタイトルは、シャープペンシルの筆跡で「焔装機構の損耗について」。

「仮説は立った。この間私が提唱した馬鹿げた代物より、余程筋が通っている。
 さて……後は、当事者のコメントが欲しいところだが」

 ふぅ、とそう呟いて、彼女はおもむろに周囲を見渡す――当然、誰もいない。
 しかし滅びた図書室に繋がる通路は、彼女の座る長机からは死角となっていた。
810 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/23(木) 22:00:22.10 ID:oTWovvmv0
>>808

「くくっ……ああ、いい気分だ……」

よたよたと不安定な足取りで、金髪碧眼の赤いフードを被った少女が路地裏に姿を現した
片手には鎌、もう片方には酒瓶、そしてほんのりと上気した表情。この少女は泥酔しているのだと分かるだろうか

「おや…こんな所で食事中か、《魔獣》…なあ、人は美味いか?」

スカヤに歩み寄りつつ、酒を口に運びながら少女は言葉を発する。その口調に怒気はなく、穏やかなものであった

「なあ、酒は飲めるのかぁ…?ちょっと私に付き合いたまえよ」

酒瓶を掲げる。中の液体がチャポン、と音を立てて揺れた
魔獣と酒を飲み交わすなど滅多に出来ない経験だ。少女は鎌を適当に立て掛けて、馴れ馴れしく肩に手を回そうとする


//お願いします………
811 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs [saga]:2014/10/23(木) 22:12:56.07 ID:eCBITtxEO
>>810

「───フン、人間か」

声がした方に反応したが、酔っ払いの人間であったことに落胆とこれが自分以外の魔獣ならばどうなっていたのかという安堵を感じた。

「限られた嗜好品を飲んだくれてのうのうと魔獣に絡む……幸せ者なのか?」
「生憎、人間に味なんて無い」
「俺にはそのエネルギーのみが必要だからな」

多少の皮肉を込めて言い返す。自分が「人間」であった頃はこんな真似はしてないし、する余裕も無かったからだ。

「俺は人間と慣れ親しむつもりは無いし、する必要もない」
「魔獣である以上、今ここで貴様を殺す事も出来る……違うか?」

発するは殺気。そして警戒。
必死に明日を掴もうとする人間ならまだしも、退廃的なイメージが拭いきれない彼女には何一つも気を許そうとはしてなかった。

//よろしくお願いします!
812 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/23(木) 22:18:07.92 ID:co3HuojhO
>>809
「…………………あ」

壊れかけの図書館。アリシアの座っている長机から丁度死角にあたる通路から現れたのは魔獣―――――ではなく、以前研究所で共闘した崩月だった。
何やら彼女は無数の本と模型で周囲を埋め尽くしている。そして、何か作業をしているようだがここからではよく見えない。
一体何をしているだろうのだろうか、と崩月は彼女に歩み寄って、確認する。振り向けば、崩月の姿も確認できる事だろう。

「焔装機構の損耗について」。そう書かれたレポートを見て、崩月は首を傾げる。
何か、焔装について分かった事があるのだろうか。
焔装使いなので、気になって当然。

「何を書いたの?」

レポートを食い入るように見つめながら、背後から声をかけるだろう。
813 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/23(木) 22:32:41.74 ID:91UIF54QO
>>812


 背後からの声に、彼女はゆっくりと振り返る。
 彼女は青年と視線を合わせ、そして彼の言葉に少しだけ首を傾げた。

「書いた? ……ああ、このレポートのことか。
 これは私の著したものじゃない。昨日と一昨日、そこらを探して見つけたものだ」

 細部まで観察すれば、確かにそのレポートは彼女の代物ではない。紙も筆跡も、少なくとも数年の経過を感じさせる。
 何より左下に記された著者名は、彼女のそれではない――「クラリス・スターリング」と、乱雑な字で。
 彼女は右手で内臓の模型――人間の心臓のそれ――を弄びながら、真夢の顔から爪先までを見下ろしていった。そして。

「丁度良かった。真夢、と言ったっけ……君は焔装使いだったな。
 今から幾つか質問をしたい。まず、一つ」

 人差し指を青年の眉間に向けて突き出しながら、こう問いかける。

「――君は、先日例の研究所から押収したデータから、
 焔装使いの恒久的な延命が可能かもしれない、ということに気付いたか?」
814 :シャイナ ◆33B37h/HCM [saga]:2014/10/23(木) 22:47:31.77 ID:jD1FFXM+O

>>811

「ああ……幸せさ、酒はいいものだぞぉ…?何もかもを忘れさせてくれる」

酒を飲むことで辛いことや苦しいことから逃避する。孤独であることを紛らわす
少女は幸せなどではない。こうでもしなければ孤独で狂ってしまいそうで、自己を保っていられない
人間、誰しもが前を向いて生きていけるわけではない。この少女はその良い例だ

「ほう……味は無いのか、つまらんな。味の無いものを食べるくらいなら私は死ぬな」

味の無い食事など幾ら栄養があろうとも意味は無い。それが少女の考え
そんな食事を取るくらいなら死ぬと言い放った

「くくっ……魔獣……そんな冷たいことを言わないでくれ
私はこれでも繊細なんだ。ガラスのハートの持ち主なのだよ」
「ほう……殺すか。構わんよ。ちょうど生きている意味も分からなくなっていたんだ」

ガラスのハートの持ち主であるらしい少女の眼には、薄らと涙が浮かんでいた。先日、とある少年にも冷たくされて傷付いたのだ。少女はそれからまだ立ち直れていない

酒を飲むか、一時的な仮初めの愛を求めて欲に植えた男に体を差し出す毎日、そんな生活を送っていた少女は生きる意味を見失っていた
「構わん」と言った少女の目は据わっていて、冗談などと感じさせるものではない。少女は真剣に言っているのだ











815 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/23(木) 22:47:45.98 ID:co3HuojhO
>>813
「え……あぁ、確かに……」

どうやらこのレポートは彼女が著したものではないらしい。彼女自身がそう否定した。
そこで、じっくりと観察してみると、数年の経過を思わせる文字と紙。そして、乱雑な文字で書いてあった著者名「クラリス・スターリング」。
確かに、と息を漏らして納得する。つまり、アリシアはずっとこのレポート探していたという事だ。

「それはお疲れ様。何か飲み物でも………って、何?」

彼女の仕事ぶりを賞賛して飲料の一つでも差し入れてやろうと思ったが、それは彼女の質問によって遮られる。
それは、驚愕の仮説。一度たりともその思考に及ばなかった為、衝撃は大きい。

「は………?な、んだって?そんなの、初めて聞いた」

焔装使いの恒久的な延命。つまり、魔獣と化さずにいられるという事か。
驚愕に染まった崩月の顔から、まったくの寝耳に水であったという事が分かるだろう。
続けて、崩月はこう問う。

「それ、一体どういう事なんだよ」
816 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/23(木) 22:52:11.71 ID:szrDV9Auo
 都市外縁部。瓦礫の中からニルマーナは這い出した。砂や石を払い落とし、適当な瓦礫に腰掛けた。
 そして手にしていたパッケージを作った宝石のナイフで開封して中を検めた。

「……ちからが沸いてくるって味ではない」

 瓦礫に潜んだついでに漁って見つけた期限が年単位で切れたレーションを頬張る。
 しけって砕けたクラッカー、どろどろに溶けて原型が解らず薬臭いフルーツソース。
 酸化したボロボロのチーズスプレッド。汚物に蛆が混ざったような見た目のミートソース・スパゲティ。
 食えば食うほど体力とは別のものが削り取られていく思いがする。
 だがようやく繋がった左腕を万全にするには必要なエネルギーだ。

「人間はよくもこんなもので戦える。いや、不味い食事の方が戦闘力は上がるのか?」

 このレーションの原産国を見て、ニルマーナは首を傾げた。それは当時最強の国。
 では不味い飯を食っているこの街の人間が強いのは道理なのか、と首を傾げながら食べ終えた容器を投げ捨てた。
817 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx :2014/10/23(木) 23:09:07.73 ID:91UIF54QO
>>815

「言った通りだ。焔装使いは助かるかもしれん。
 理論上かつ現在は実行不可能だが、しかし件の《月装》作成者を見つければ、可能性は大幅に高まるはずだ」

 あくまで淡々と努めつつも、しかし微かな高翌揚を僅かに上ずる声色に乗せて、彼女はそう言い切る。
 指した人差し指を胸の前に置き、彼女はくるりと椅子を回して机の方に向いた。
 両指を絡め、手を組む。組んだ指の上に顎を乗せ、両肘を古びた机上に預ける。

「――君は、《焔装》を使用した際に生じるデメリットとは何だと思う?」

 彼女の呟きは、他人に向けられていたとしても独り言のような様相を呈する。
 青い瞳が、窓の外を眺める。どす黒い粘土を天球全てに圧し伸ばしたような《夜》の中に、月が輝いている。

「体調不良。頭痛。幻聴幻覚幻肢痛、最終的には《魔獣》への変化。
 しかしそれらの弊害は、例えば重金属中毒やDDTなどによる蓄積を原因とするそれとは、似て非なるものだ」

 組んでいた指先を解き、彼女はレポートを手に取って真夢に突き出す。

「知らないのなら、そのレポートを読めば分かる」

 「焔装機構の損耗について」――そのレポートの内容は、実にタイトル通りであった。
 汚い字ではあったが、極めて詳細かつ客観的なデータに基付いた研究結果が記されている。恐らくは、著者のクラリス自身も自ら身を呈したであろうほど。
 その一節に、このような記述があるだろう――

『――以上の結果より、《焔装》自体には一切の病毒性はない。
 《焔装》使用によって生じるあらゆる問題は、その連続的な過度の使用による摩耗により、
 《焔装》制御を担う焔装機構の劣化が原因である。つまり……』

 ――彼女は、結論を言わない。
818 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/23(木) 23:10:07.18 ID:Zf+B3OO50
>>814
「自ら命を魔獣に捧げるか、人間」

彼女は…スカヤが人間像ではなかった。あの生きようとする人間だからこその精神を何も感じられなかった。

「だが、そんな命…俺にはいらない」
「初めから死んだような顔をした人間なんぞ、俺には汚物のようでしか見えない」

殺気と警戒を発したままシャイナから背を向け、他の場所へ歩き出す。

「そう言う奴に限って本当は生きたいんだろう?」
「俺は生前、そんな様なクズ人間と沢山出会って絶望した……からこそ、お前の態度は気に入らない」

死体の残りカスを路地裏の側にそっと置き、簡易的な祈りを捧げる。
そして、哀れむ様な視線をシャイナに向け、

「だからこそ、もっと求めろ。生きる事をな」
「魔獣なんぞに話しかけても意思疎通なんて出来やしないし、貴様の相手なんざしないだろうよ」
「────一人ぼっちで、独りよがりで寂しい奴め」

生きることを辞めて、「絶望」した成れの果ての生前を憂うその言葉に意味があるのかどうかは聞き手によって違うだろう。
それは忠告か、侮蔑か。スカヤはそれ以上の言葉を放とうとはしなかった。
819 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/23(木) 23:21:07.41 ID:co3HuojhO
>>817
"助かるかもしれない"。その言葉に、強く眼が輝く。
魔獣に成らずに済む。そうすれば、最後まで前線で戦っていられる。
一番理想的な考え方。少しでも可能性があるのならば――――それに、賭けてみるのはどうか。
月装の作成者さえ見つければ、可能性は大いに高まる。しかし、件のその人は行方不明。

「デメリット―――――――知ってるよ、使い手だから理解はしている」

焔装のリスク。使えば使うほど魔獣に近づいていき、最終的には堕ちる。
これが、焔装が諸刃の剣と呼ばれる最大の所以であった。
差し出されたレポートを受け取り、目を通していく。
焔装自体に病毒性はない。焔装自体には、何ら問題はない。しかし、劣化はする。それが、魔獣へと堕ちる原因。

つまり―――――――

「――――――劣化を直せれば、もしくは劣化させないようにすれば、焔装は恒久的に持続する」

努めて冷静に、だが興奮を湛えた口調で、導き出された結論を答える。
820 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/23(木) 23:37:25.29 ID:jD1FFXM+O
>>818

「…おかしいか?私のには何の価値も無い。魔獣に奪われるに相応しい…はははっ」

必要としてくれる人はいない。近付いて来てくれる人はいない。近付いても恐れられるだけ
唯一必要としてくれるのは体目当ての男だけ。そんな状態でどうして生きていられよう

「なっ…くそ…そうだ。私は生きたいのだ…誰かに愛されて…だが、どうすればいいのだ?…分からない…」
「私は彼等に愛される為なら、なんだってして来た。なんだってする
なのに彼等は私を愛してはくれない…何故なのだ?」

祈りを捧げるスカヤを見て、少女は本心を漏らし始めた。その顔はクシャクシャに歪んでいた。

「っ……はっ、私は、私にも出来るのだろうか。信頼出来る存在というものは…」

手から酒瓶が落ちる。中身はもうなくなっていた。少女の体も崩れ落ち、両手を地に
つけながら哀れみの視線を向けるスカヤに問い掛けた。この少女は今、「絶望」の一歩手前にいる
821 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/23(木) 23:38:30.81 ID:91UIF54QO
>>819

「ご名答。しかし残念ながら、今の我々はそういった修復手段を有していない。
 しかし、だ」

 彼女の指先が空を踊る。机の上に乗せられたままの左手は、一冊の分厚い本を手繰り寄せる。
 そのページを軽く指先でめくりながら、彼女はこう続けた。

「第三の質問だ。君はあの研究者――時雨の言っていたことを覚えているか?」

 アリシア自身がその拳で殴り飛ばしたその科学者は、しかし彼女らに多くの情報を与えた。
 再びくるりと椅子を回し、今度はあらぬ方向へと――彼女が紡ぐ言の葉は、まるで彼女の思考を理路整然とさせるためだけに放たれているようだった。

「彼女は、《焔装》とはその出力機構を体内に有したものだと言った。
 そして《月装》とは《焔装》の模倣品であり、出力機構を体外に出したもの、だと。
 そして《月装》は生産品であり、原料である『聖遺骸』は《焔装》と同じ性質を持つかもしれない、とも。
 ――ここまで言えば、分かるか?」

 そして再び彼女は青年と向き合い、漸くとなる結論を述べる。

「損耗した焔装機構は、外科的手法で体外に摘出すれば――《月装》の機構で代替できる可能性がある」

 暗い光沢を放つ黒縁眼鏡。その奥の蒼く抉るような瞳。それらに、輝く月が映った。
822 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/23(木) 23:53:55.82 ID:co3HuojhO
>>821
「…………………………」

アリシアは此方に質問をするも、答える間もないままに話を進めていく。
まるで、彼女自身の思考を整理するためかのように、次々に言葉を紡ぐ。

焔装は、体内に。
月装は、体外に。

前者の方が威力は高い、しかしリスクは高い。しかし、焔装と同じ性質を持つ可能性がある聖遺骸。
つまり、焔装の機構を摘出すれば聖遺骸と同じ働きをする事が見込めるかもしれないという事。
月装と同じ機構で、焔装を扱える可能性がある。そうすれば、もう魔獣化の恐怖に苛まれる事はない。

「…………それなら、早く月装を作り出した奴を見つけなきゃ」

はやる気持ちそのままに、これからどうするべきかの判断を下す。
月装の開発者、それを見つけなければならない。
823 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs [sage]:2014/10/24(金) 00:01:27.50 ID:wFeE7kbI0
>>820

「───いつから人間は魔獣に教えを請うようになった?」
「情けない…理性の無いモノに問いたってマトモな答えなんて導き出せると思っていたのか?」

彼女の生き方は「ただ」愛するというモノだった。
その生き方は…一方的で、相手を考えているモノのようには思えなかった……この魔獣の頭でも理解できるモノだと心の中で感じる。

「まあ……そんな獣の戯言でも良いのなら答えてやろう」
「簡単だ。お前は何を愛している?」
「その一方的な愛で本当に相手へ届くと思っていたら大間違いだ───それでは、魔獣の思考と変わりない」
「奴等も単純な考えでしか動けないからな」

だが…だからこそ、スカヤは彼女が「希望」に傾いて欲しいと感じた。この退廃的な世界には、自分のような「燃えカス」よりも、まだ人間であり続ける「戦士」こそ生き残るべきだと考えていたからだ。

「一つ…解決策を出すならば」
「地道な努力と相手を「頼る」事だな」
「お前の愛は「独善的」だ、もっと相手の視点を考えろ……後は、好きにしろ」
「もし魔獣なんかになるのならば───お前に生きる資格は無い、とっととこの世から去れ」
「だが……この話で「希望」が取り戻せたならば、俺もこんな体たらくになってまで生きてきた価値があるのだろう」

久々に長話をしたのか、少し疲れたような顔をして、その場から去る。
もう人間に戻る方法はないならば、魔獣はただ消え去るのみ。
だからこそ、消え去る前に自分がいたことをこの世に刻む為、来るべき時まで生にしがみつく。

この世界の秘密を探る為、スカヤはまた新たな情報を得ようと動き出した。

//すいません、そろそろ眠気がヤバいので落ちます…orz
//ロールありがとうございました!またやる機会がございましたら、よろしくお願いします。
824 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/24(金) 00:10:38.96 ID:TfFr8XhDO
>>822

「ああ――奴を見つけない限りには、この仮説に価値はない」

 そこで彼女は、「ただ」と付け加えた。迷いのなかった表情が、僅かに曇る。

「気になるのが、そのレポートの記述――『《焔装》と《月装》の機構はそれぞれ対立した性質を有し、互いにその力を相殺する。故に《焔装》使用者は《月装》を扱えない』という一文だ」

「無論《焔装》によって制御されていた負のエネルギーが、《月装》の性質を相殺してなお余りあるものだとすればいいのだが――
 仮にそれら二つが拮抗する、あるいは互いに極めて弱まるのならば、術式を受けた《焔装》使いはただの人間に戻る可能性もある」

 再び、彼女は指先を突き出した。
 真っ直ぐに睨む彼女の瞳は、いつになく真摯さを隠さない。
 
「――第四の質問だ。君はこの仮説に準拠した手術を行えるとしても、
 自分自身がただの人間に戻ることを許せるか?」

 それは、戦士に対する究極の選択の一つ。
 自らの力を抑えてその戦場から生き延びるか、自らの力を解放してその戦場を解決するも、後に殺戮の王者となるか。
825 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/24(金) 00:27:30.29 ID:4VV22sQdO
>>824
「………………………」

やはり、一筋縄でいく話ではない。リスクもある。
焔装が失われるどころか、戦闘能力そのものが消えてなくなるという危険性が。
焔装と月装は互いに拮抗しあい、反発しあう。相殺されてしまえば、そこでおしまいだ。

アリシアの第四の質問。
それは、そのリスクを受け入れて手術を受けるか。もし失敗しても、それを受け止められるか。
答えなど、決まっている。崩月は、同じく鋭い眼光を以って自らの覚悟を述べた。

「僕は、《夜》が憎い。絶対に殺したい。そのためにも、憂いは取り除いておきたいんだ。
…………ただの人間に戻ったって、戦えなくなるわけじゃない。その時は、まだ余っている武器でも何でも使うさ
僕は最後の最後まで、絶対に戦う事をやめない」

それは、絶対に《夜》から逃げないという意志。
魔獣化というリスクさえ抑えられれば、ただの真人間になろうと構わない。
826 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/24(金) 00:46:09.05 ID:TfFr8XhDO
>>825


「――いい目じゃないか。私と似ている」

 真夢の言葉。確かな覚悟が込められたそれを、彼女は余さず受け止めたようだ。
 ゆっくりと、かつ高慢に、彼女は微笑みを投げかけ――そして唐突に、立ち上がる。
 積み上げられた本は崩れ、レポートも模型も本の雪崩に飲み込まれた。しかし、彼女は全く頓着することがない。

「ならば早速行動だッ! まずは件の《月装》開発者を探す。
 奴は今のところ消息不明だが、いずれの形にせよ生存は確実視されている。見つけ次第半殺しにしてでも連れてこい。私もそうする。
 次に……そうだな、《魔獣》とならず死した焔装使いがいれば、その肉体を検体として持ってきてくれ」

 もはや彼女にとって収集した資料などというのはどうでもいいようで、辺りをぐるぐると歩き回りながら真夢へと命令じみた依頼をする。
 一頻りそれが終われば、彼女は図書室の出口に向かう。行動の速さを、彼女は偽らない。
 そしてドアの手前で振り向き、自らの仮説に理解を示した青年へと、こう感謝の意を述べるのだ。

「君の話を聞けてよかった。私はもう一分も躊躇せずに済みそうだ。
 やることは最初から決まっているのだ――失礼するよ」

 言い終えれば、彼女は背筋を伸ばして悠々と部屋を立ち去り――数秒後に、再び入口から顔だけを出す。

「――おおっと、忘れるところだった。では最後に、第五の質問だ。
 君は、《夜》がその姿を見せてから、一度でも抱いた奴らへの殺意を途切れさせたことはあるか?」
827 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/24(金) 00:53:41.56 ID:4VV22sQdO
>>826
どうやら、崩月の覚悟は伝わったようだ。
微笑みを浮かべたアリシアは唐突に立ち上がり、そして命令じみた依頼をする。

「………………はいはい、分かったよ」

どうも感情の抑揚が激しいようだ、と苦笑しながら崩月も立ち上がる。アリシアも、早速捜索に向かう為か出口に向かった。
一度部屋を出て――――最後に入り口から顔だけ出して最後の質問。
《夜》への殺意を、一度たりとも途切れさせた事はあるか。これも、はっきりと断言できた。

「――――――――ねぇよ。ずっとずっと、奴をこの手で殺したいと思ってる」

そう答えて、今度こそ出て行くアリシアを見送るのだろう。
しばらくすれば、崩月も後を追うようにして、図書館を後にするのだ。

/キリが良い感じなのでこれで〆で!ありがとうございました!
828 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/24(金) 01:04:43.01 ID:TfFr8XhDO
>>827
/絡みありがとうございましたーっ!
/また機会があれば、よろしくお願いします!
829 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/24(金) 07:04:39.18 ID:9M1o7Mes0
>>823

「私は…人間を愛している。この気持ちな揺らがない」
「そう、か。私の考えは魔獣の思考と変わりないというのか…
くくっ、魔獣なんぞに堕ちるつもりはない。絶対に人間で居たいのだ」

少女はスカヤとの出会いで大きく変わるだろう。魔獣に考え方を変えさせられる人間などそうはいない
この少女より、スカヤの方が人間らしい思考を持っているように思えた

「努力…か。…私の嫌いな言葉だ。それをしたって全てが手に入るわけではないのだらかな」

少女は人に好かれる努力をしてきた。だがそれで好かれることはなかった
努力不足ではない。その努力の仕方が悪かったのだ

「相手の視点を考えろ……か、《魔獣》
…私は君の言うとおりにしてみようと思う」
「魔獣にはならんよ。絶対にな
ああ…君のおかげで私は進むべき「道」がわかった。感謝する」
「じゃあな、…君にはまた会いたい」


魔獣が去った後、鎌のとなりに体を預けて睡眠を取り始める。
《魔獣》の言葉から少女は「希望」を得たこの少女はこれから変わっていくだろう。
本当にあ



830 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/24(金) 07:06:36.33 ID:9M1o7Mes0
>>823

「私は…人間を愛している。この気持ちな揺らがない」
「そう、か。私の考えは魔獣の思考と変わりないというのか…
くくっ、魔獣なんぞに堕ちるつもりはない。絶対に人間で居たいのだ」

少女はスカヤとの出会いで大きく変わるだろう。魔獣に考え方を変えさせられる人間などそうはいない
この少女より、スカヤの方が人間らしい思考を持っているように思えた

「努力…か。…私の嫌いな言葉だ。それをしたって全てが手に入るわけではないのだらかな」

少女は人に好かれる努力をしてきた。だがそれで好かれることはなかった
努力不足ではない。その努力の仕方が悪かったのだ

「相手の視点を考えろ……か、《魔獣》
…私は君の言うとおりにしてみようと思う」
「魔獣にはならんよ。絶対にな
ああ…君のおかげで私は進むべき「道」がわかった。感謝する」
「じゃあな、…君にはまた会いたい」


魔獣が去った後、鎌のとなりに体を預けて睡眠を取り始める。
《魔獣》の言葉から少女は「希望」を得たこの少女はこれから変わっていくだろう。
本当の愛を与えらえるに、相応しい人間に

//寝落ちしてしまいました…!すみません
ありがとうございました!
こちらこそ、また絡む機会がありましたらよろしくお願いします!


831 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/24(金) 07:43:09.75 ID:U8qZYWUGO
//わー!連投ごめんなさい!!
832 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/24(金) 22:31:03.92 ID:8c+1Dkzdo
 元は百貨店と思しき朽ちたビル。そのグラウンドフロア。
 婦人用の化粧品が並んでいたであろう朽ちた棚に腰掛け、ニルマーナはため息する。
 周囲には死体のように倒れたマネキン。着ていた服はすでに剥ぎ取られ誰の物やら。
 地下への入り口はすべて壊れ、エレベータ、エスカレータ、階段のいずれも潰れている。
 二階から上は《夜》が望めるオープン・スペース。いずれかの戦闘で壊れたのだろう。

「代りの服は見つからないか」

 背中と腹部、片腕が千切れ、もはやただの布切れのようなシャツの代りを探していた。
 チノパンはまだ形を成しているが膝は破れている。

「人間を殺して奪うかあ?」

 物騒なことを言いながら、ニルマーナはコキコキと首を慣らした。
 ちらり、元は硝子張りだった風吹く玄関に、人が通らないかと目を向けながら。
833 :リンドウ ◆Gr5I7tVJbw [sage saga]:2014/10/25(土) 01:28:18.00 ID:CYC1/b6mo
>>832

コツコツ―――暗がりに床を叩く音が響く。
百貨店のグランドフロアの割れた床を避ける様にやや間隔を歪に。
冷たい風に流され耳に届くであろう、乾いた音の主が姿を現した。

「………服、必要ありますか?」

ふふ、と笑う声が漏れた。それは嘲笑、蔑んだ含みを持たした棘のある笑い。
しかしながら声の主の表情は微動だせず、只々機会的に”笑い”の音を漏らしただけ。

薄ら寒そうに青いカーディガンを羽織った、白いワンピースの女性だった。
風に揺れるハーフアップの白髪を軽く抑えながら、歩を緩めて。

「無駄、不愉快、極まりない―――殺意を覚えます」

目を瞑り彼女は明らかな敵意の言葉を投げかけた。
否、瞑るという表現は間違っている。彼女の眼は開くことはない。
永劫開くことない眼は―――されど確りと魔獣を捉えていた。

/こ、こんな時間ですけどいけますかね
834 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 07:24:32.89 ID:xfTB+K8Do
>>833
/すみません。さすがに寝てしまっていました
/せっかく絡んでいただいたのに申し訳ありません
835 :リンドウ ◆Gr5I7tVJbw [sage saga]:2014/10/25(土) 12:09:35.85 ID:Vhzx3G3BO
>>834
/やっぱり無理がある時間でしたね…
/またよろしくお願いします!
836 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 19:25:42.60 ID:IgSm56Ve0
都市から少し離れた廃墟が一つ崩れ落ちた。
響く轟音、舞い上がる瓦礫と砂埃、視覚と聴覚を埋め尽くすそれらが晴れた後
ひときわ大きな瓦礫が浮き上がり、その下から現れたのは一人の少女

「ぜぇっ、はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・
流石にあの数はしんどかったな・・・・・・」

服に付いた埃をはらって伸び一つ
半袖のセーラー服はところどころが破れ、ミニスカートの下の細い足にはいくつかの傷
そして戦闘が終わったにもかかわらず血走った目が放つオーラは、魔獣のものによく似ていた

//八時半から十時までレスが遅れますが、それでもよろしければ・・・・・・
837 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 20:09:11.18 ID:Wctg4tabO
>>836
轟音が響くのが聞こえた。魔獣か、人間の仕業か、崩月はそれを確認するために出向く。
到着してみれば、既に戦闘の後が生々しく残っていた。瓦礫と立ち込める砂埃に、少し咳き込んで。
手で口を抑えながら、廃墟を歩く。すると、見えたのは一人の少女。だが、それは普通のではない。
放たれる雰囲気は、まさに魔獣のよう。そこまで確認できたところで崩月は、思考する事を放棄した。

「――――――そこを動くなよ!魔獣!!」

少女を魔獣と断定した崩月は、右腕を振るう。漆黒色の衝撃波が、少女目掛けて飛来する。
地をごっそりと抉り取る威力の為、喰らえば目も当てられない事になるが、躱す事は容易なはず。

しかし、これは完全な誤解。
攻撃を躱して、魔獣ではないと主張すれば崩月の誤解も晴れるか。
838 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/25(土) 20:19:24.01 ID:LrqCNRryO
>>836

その頃、スカヤは見つけた資料を手に街の郊外を歩いていた。
その情報とは……魔獣になる過程、そして条件の事だった。

「やはり…魔獣になりやすいのは焔装使い…負の感情が人間の内部の「魔獣」を呼び起こすのだろうか?」

負の感情。いわゆる妬みや怒り、哀しみ…憎悪などが含まれる。また、歪な願いもそれに含まれている。
スカヤが焔装使いになるきっかけは「傷つけられた皆の為に魔獣を滅ぼす」という願いであり、推測通りならば、それが「歪」な願いとして叶えられることになっていたと考えられる。

「もしこれが本当なら、人間は本当に負の感情を持つべきじゃあない……魔獣を滅ぼす以前に増加する可能性が高すぎる…」
「危険過ぎる…この危険な状況では、負の感情なんて持たない方がおかしい…!」

未来の人間の結末を案じ、顰め顔をする。
その時、近くで轟音と廃墟が崩れ落ちるのを感じ、現場へ急ぐ。
魔獣による仕業か。または人間が起こしたモノか。スカヤの安全を確保する為にも確認する必要があった。

//もし宜しければよろしくお願いします…
839 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 20:19:30.02 ID:IgSm56Ve0
>>837
ふと見た右側から襲い繰るのは黒の衝撃波
それが通った後の地面は見事にえぐれ、当たれば即死だと一瞬で理解する

「―――ひっ!?」

慌てて横に飛び込み、地に伏せて衝撃波を回避
ゆっくりと顔を上げるとそこにいたのは人間。一瞬魔獣と聞こえた、自分は魔獣と勘違いされているらしい

「まま、ま、まって!私は人間!仲間!」

崩月を見上げる少女の目はしっとりとぬれていて、涙目で
そこに先ほどのような魔獣らしさはなく、先ほどまで戦っていた戦士らしさもなく
まるでただのか弱い少女のようだった
840 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 20:23:05.81 ID:c3Cd1KlIO
/被っちゃいましたね…自分は複数可ですが、どうでしょう?
841 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 20:23:19.69 ID:IgSm56Ve0
>>838
//すいません、途中からレスが遅れる都合上複数絡みはきついのです・・・・・・
//またの機会によろしくお願いします・・・・・・
842 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/25(土) 20:24:43.33 ID:LrqCNRryO
>>841
//そうですね…確かに拗れてしまうかもしれませんので、>>838は無しでお願いします。
//崩月さんも被ってしまい申し訳ありませんでした。
843 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 20:34:16.37 ID:c3Cd1KlIO
>>839
「………………え?」

衝撃波は地を抉り取るが、相手の少女はそれを躱す。直後に聞こえたのは、「人間」という主張。
再び少女を見てみると、涙目で此方を見上げている。先ほどの魔獣の雰囲気は微塵とも感じられない。

「あっ…………」

しまった。と、そう瞬時に感じた。あろうことか人間を魔獣と勘違いして襲ってしまったのだから。
ゆっくりと少女に歩み寄っていく。既に、殺意の篭った目はどこにもない。
バツの悪い顔で、非常に申し訳なさそうな顔をしながら少女の目の前まで移動し終える。

「いや、なんか………うん、ごめん」

言葉を選ぼうにも、選ぶ言葉がない。謝罪して済まされるのかといえば疑問だが、まずは誠意の問題。
頭を下げて、素直に謝罪する。
844 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 20:46:01.46 ID:IgSm56Ve0
>>843
歩み寄る崩月にはもう殺意はなかった
とにかく命の危機は過ぎ去ったことを確認し、少女は立ち上がる

「頭あげていいよ。私は大丈夫だから!」

元気よくそういってみるけど相変わらず涙目は治ってないし
足もまだ少し震えているし、明らかな強がり

「皆魔獣が怖いんだもん。こんなところに一人で、しかもあんなことまでしちゃったら魔獣に間違われても仕方ないよね」

そういって少女は涙を吹いて笑いかける。
確かに廃墟一つ潰すような派手なことをすれば、魔獣に間違われても仕方ない、が
崩月が少女を魔獣だと判断したのは別の理由。あの魔獣じみた目だ
どうにも少女は、自分が魔獣に近づいていることを自覚していないようだった。
845 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 20:46:52.82 ID:IgSm56Ve0
//すみません。次からレス遅れます・・・・・・
846 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 20:47:37.15 ID:xfTB+K8Do
 元は百貨店と思しき朽ちたビル、そのグラウンドフロア。
 婦人用の化粧品が並んでいたであろう朽ちた棚に腰掛け、ニルマーナはため息する。
 あたりには死体のように倒れたマネキン。着ていた服はすでに剥ぎ取られ誰の物やら。
 地下への入り口はすべて壊れ、エレベータ、エスカレータ、階段のいずれも潰れている。
 二階から上は《夜》が望めるオープンスペース。魔獣と人間の戦闘で壊れたのだろう。

「そうそう服は見つからないか」

 背中と腹部が破け片腕がない。もはやただの布切れのようなシャツの代わりを探していた。
 チノパンはまだ形を成しているが膝は破れている。

「殺して奪うのがてっとり早いか?」

 物騒なことを言いながら、ニルマーナはコキコキと首を慣らした。
 ちらり、元は硝子張りだった風吹く玄関に、服を着たモノが通らないかと目を向けながら……。

/今日はちょっとお早めに。使いまわしですがよかったらお願いします
/23時ぐらいまでなら待っています
847 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 20:48:57.50 ID:3iKFEF0I0
「これが新しい月装―――暁月、か」

渡された小瓶を見る―――中にはあの時の聖骸遺の破片が入っている
時雨があの骨を破壊し、作り上げたのだろう

「…リスクとかないといいんだけど」

こういうとき、ゲームやアニメだとリスクがあることがあった
強くなった反動に暴走したり、負荷が強すぎて死ぬなどしては洒落にならない
まぁ、月装を作り上げた人間が作ったものなのでそんなことはないだろうが―――
本当のピンチの時だけに使おう―――万が一のリスクを気にしていまだに瓶は開けずにいた

「……まぁ、俺はゲームならアイテムはとっとくタイプだったし」
「使う時はリスクとか気にしないで使ってたし」

別に全然怖くない―――情けなくも自分に言い聞かせるように呟いている
そして、小瓶を掲げて見ているその背はとても無防備だ―――
848 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 21:01:24.84 ID:2EwP580tO
>>844
「あぁ、うん……」

頭を上げて言いと言われたので、頭を上げる。
涙を拭いて、気丈に振る舞う少女。悪く言えば、ただの強がりだが。

「………別に、僕は魔獣なんて怖くないけどさ。それ以上に、憎いから」

崩月が魔獣など怖くないと言ったのは本当で、実際彼は魔獣に恐怖しない。
恐怖を上回る憎しみが、崩月の原動力。だが、人間の感情故それも脆く不安定な代物ではあるが。
しかし、純粋に笑う少女を見て、どこか眩しいと感じる。崩月は少し物憂げな表情になるだろう。

「あぁ、ところで……あんたは月?それとも焔?」

そういえば、この少女はどちらだろうか。
焔装使いなら、リスクの事は知っているのだろうか。
849 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 21:14:38.93 ID:xfTB+K8Do
>>847
 吹き晒しになったビルのおもてを通る人間が見えた。
 黒いシャツと白いパーカー。奪うには充分な服装だ。しかも上着付き。
 それにその姿には見覚えがあった。シャツの腹と背中を破いてくれた男だ。

「あの人間……背中を空けている。逆再現をしろというわけか」

 しかし服は破けない。ニルマーナは2mを超す長柄の大きな両手槌を作り出す。
 向こうが大剣ならばこちらは大槌。マネキンを避けてビルの陰を進む。
 そしてユウトが通り過ぎたところで、ガラガラの背中に向けて疾走する。

「ここが宿命の出会い! 砕けろよぉ――!」

 瓦礫だらけのこの通り、もしかしたら足音に気が付いていたかもしれない。
 構わず担ぎ上げた両手大槌をその背中へ向けて振り下ろそうとする。
850 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 21:32:05.57 ID:3iKFEF0I0
>>849
「…ま、今はいいか。ピンチになってるわけでもないしな」
「―――?」

またその時に考えよう―――ポケットに瓶をしまっていると後ろから足音が聞こえる
警戒して腰につけた剣の柄に手をかけながら振り向くと、そこにはいつぞやの魔獣の姿が
そして、手に持つ大槌を今にも振りかぶらんとしていて―――

「―――お前は、この間の!」

急いで柄のボタンを押し、大剣を完成させる
振り向く勢いのまま剣を上に向け、大槌を防ぐ
だが、身体能力を強化しているとはいえ所詮は人間―――魔獣の腕力に押され膝をついてしまう

「前、回の、逆再現ってわけか…!」

前とはまるで立ち位置が逆だ――――まさか、あんなことを呟いた直後にピンチになるとは
口に出さなければよかったと少し後悔するが、今はそんなことをしている場合ではない
とにかくこの状況を何とかしなければ、と隙を狙ってニルマーナに足払いを仕掛ける
851 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 21:42:44.75 ID:xfTB+K8Do
>>850
「久しいなあ人間! そうだよ、自分の小賢しさを味わった気分はどうだ!」

 押され膝つく姿勢を利用して伸ばしてきた脚に片脚を掬われた。
 チィと舌打ちしながら空中に宝石板を作り出し、傾く姿勢のなかそれを踏んで姿勢制御、持ちこたえる。
 時間にして数瞬ではあったが、大槌の圧力はなくなり体勢を立て直すには充分だろう。

「だがなあ! この服の礼はまだなんだよ! お前の服を頂きに参上仕った!」

 そう言いながら、上半身に宝石のブレストプレートを作り上げ装着した。宝石の鎧だ。
 そして全身を一回転させて遠心力を加算しながら、横なぎにユウトの胴体を狙って大槌で殴りつけようとする。
852 :ニコラス ◆O7SRClNPOk [saga sage]:2014/10/25(土) 21:51:32.13 ID:1SyR/9klo
//>>262の文面で再募集します
853 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 22:01:32.58 ID:3iKFEF0I0
>>851
「…ハッ!小賢しい手段を使っても俺を殺せない気分はどうだ魔獣!」

圧力が消えた―――その隙に後ろに転がり大槌を避け、体制を立て直す
転ばせれれば良かったのだが、やはりそう簡単にはいかないらしい
大剣と大槌―――リーチはほぼ同じだろう
力はこちらが劣るが技術ならば勝っている―――細かく削り、強力な一撃を叩きこむのが無難か

「チッ…人間ごときに鎧までだすとは、魔獣としてんlプライドはどうしたよ!」

見た目からして、あの大槌と同じ素材
最強の技を使っても、砕けるかどうかといったところだろう―――まいった、つまりこれは一撃必殺が封じられたことになる
この魔獣がなにかを作り出し、幻覚の様なものを使うことは知っていたが、まさかこんなことまで出来るとは
そんな考えに気をとられていたうちに、遠心力と武器そのものの重量、そして魔獣の腕力が乗った強力な一撃が振るわれる
咄嗟に剣の腹で防いだものの、踏ん張りがきかず吹っ飛ばされる

「おいおい、マジかよ」

体が硬質化されているおかげでダメージこそないが、威力に驚かされる
これは、逃げるか―――暁月を使うことも想定にいれなくては―――
―――とにかく、攻撃だ。一先ず武器を落とそうと、武器を持つ手を狙って剣を振るう
854 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 22:03:28.07 ID:3iKFEF0I0
>>853
/七行目は「魔獣としてのプライド」、です
/ミスしてすいません
855 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 22:18:52.17 ID:xfTB+K8Do
>>853
「ふん! 人類の歴史を紐解けば、人間は知恵と工夫で勝ち上がってきた生き物だ!
 圧倒的な性能の魔獣がなぜ人型をとるかと考えれば、人間のやり方をするためだと解るだろう!
 人の技術は脅威だと知れば、それを取り込むのは道理だろうが! それが魔獣のプライドだと言っている!」

 攻撃は効果を上げなかった。あまつさえ相手を逃がす距離さえ作ってしまう。
 その間合いを踏み込み腕を狙うの大剣に対してニルマーナは、一歩下がり先端を弾くように大槌を合わせた。
 助走としっかりとした踏み込みの威力で、甲高い衝突音で大槌ごと体が弾かれ、数歩後ろへたたらを踏んだ。

「やる! その大げさな武器でよくも小競り合いができるものだ!
 しかしハンマーはこうも使えるんだよ!」

 微妙に空いた間合い。一足では届かない距離。前方にニルマーナは拳大の宝石の玉を3つ作り出す。
 それをハンマーでフルスイング、バットのように使い、ライナー性の宝石弾をユウトへ向かって打つ。

/いえいえ、内容伝わるんで大丈夫ですよ
856 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 22:37:03.48 ID:IgSm56Ve0
>>848
「憎い、かぁ・・・・・・
やっぱり皆、憎しみとかを持ってるのね」

他人事のように呟く少女にその感覚は理解できなかった。
夜は自分を虐げていたクラスメイトを、両親を喰らい、焔装という力を授け自分に居場所を与えてくれさえした
自覚していないが、少女は胸の奥底で夜に感謝すらしていたから

「えーっと、私は焔装だよ!
せっかく月装より強い焔装に目覚めたんだから、私ががんばらないとね」

ぐっと拳を握り、きらきらと汚れなく輝く瞳で宣言する少女
少女は自分ががんばればがんばるほど、体が魔獣と化していくことを知らないようだった
ついさっき見せた様子のように、少女は非常に臆病だ
そんな少女が自分が魔獣になっていくと知ったら、笑って戦えるはずがない
857 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 22:42:02.53 ID:3iKFEF0I0
>>855
大槌で攻撃は防がれる
だが、このまま押せば勝てると攻撃使用として―――

「よえぇ奴が力が強いやつに勝つために技術を作って、考えるんだよ!」
「それを元々強いお前らが使うなんて、卑怯じゃねぇか!」

なかば叫ぶかのように、いい放つ
魔獣より弱く、臆病な自分が今まで戦ってこれたのは技術があれば力に対抗する自信があったからだ
それを奪われれば―――どうすればいいのか分からない

「クッ、ガアァッ!」

宝石弾を二撃は大剣で防ぐが、一発くらってしまう
その弾の勢いでまたも吹き飛ばされ、思わず剣から手を放して地面を転がる
まるで、硬質化などされてはいないのではないかと疑ってしまうようなダメージだ―――腹部を押さえ、のたうつがこうしている間にも敵が迫るのだと必死に剣に手を伸ばす
苦しい、もう逃げ出してしまいたい―――だが、仲間との約束がある
臆病な自分が戦ってこれたもうひとつの理由だ

「負、けてたまる、か」

地面を這うように剣に向かって進み、掴む
だが、このままでは負けてしまうだろう―――暁月を使うしか、ないか
そして、必死にポケットにてを伸ばし、暁月の瓶を開けると―――

858 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 22:47:57.78 ID:eDtMVkUVO
>>856
「そりゃあ、僕は勿論、皆大事なものを奪われたんだ、憎みもする。
あんたも、奪われれば分かるさ。今となっては、もう奪われるような物なんかないかもしれないけど」

奪われた者の憎しみは、計り知れない程に深い。この少女は、何も奪われなかったのだろうか。
だとしたら、幸せなのかもしれない。人間として、自分よりはまともに生きていけるだろうから。
一度憎しみに身を焦がせば、例え非人道的であろうとそれが果たせるならば使うだろうから。

「……………はぁ、やっぱり焔装使いかよ」

そして、やはり焔装使い。
ならば、ここで警告をしておかねば。今少女が言ったように、頑張り過ぎたらどうなるかを。
息を吸い、少し間を置いて言葉を紡いでいく。

「良いかい、焔装は使えば使うほどその身は魔獣へと近くなっていく。
だから、あんまり調子に乗って力を使い過ぎたらあっという間に魔獣になる。
―――――その危険性を受け入れて、戦える?」

厳然と少女に言い放つ。少女はこの事実をどう受け止めるだろうか。
場合によっては心を折ってしまうだろうか―――いや、覚悟がないのならここで折れてしまった方が少女にとって幸せかもしれないか。
859 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 22:58:29.95 ID:xfTB+K8Do
>>857
「弱者の諦めの台詞だな! 都合のいい世界を生きてきたつもりか!
 強さは貪欲だからこそ得られる! お前がそうしてこなかったのなら弱さは怠慢なんだよ!」

 宝石弾に倒れ、剣を取りこぼすユウト。それを見てニルマーナはにじり歩み寄る。
 カツン、カツンと高く響く足音は彼にとって絶望だろうか。そして間近。両手の槌を振りかぶる。
 弱さを吐くユウトを見下ろした。剣とポケットに手を伸ばし、うつむ男。言葉と裏腹に諦めた様子はない。
 それを見てニルマーナは笑った。そういう人間からこそ学ぶものがあり、倒す必要性を感じる。

「辞世の句を聞いてやりたいところだが、それを伝える相手はいないようだな!」

 人間は弱さを補うために群れる。そうしないということは一人なのだろうと推測した。
 そうして両手大槌を振り下ろさんとしたとき、ふと足元の男から感じる不思議な感覚。

「な、なんのパワーだ。なんの輝きだ! 新しい技術だというのか!」

 慌てふためき動きが瞬間止まった。ニルマーナは槌を取り直し、地面を振り下ろそうとした。
860 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 22:59:56.07 ID:IgSm56Ve0
>>858
「今となっては?
・・・・・・夜が来る前から、奪われるものなんてない人もいるんだよ」

明るい笑顔は消えうせて、うつむきがちに少女は言った。
少女はそもそもまともな人間に生まれていない。まともな人間として育てられていない。まともな人間と接したことがない。
今でこそ明るく振舞うが、夜が来る前の少女は悲鳴と謝罪ぐらいしか言葉を発せない少女だった

「寧ろ私は・・・・・・夜のおかげで、まともになれたから」

思わず呟いてしまった一言
崩月の逆鱗を殴るには十分すぎる一言だろうか

「―――え?」

崩月の言葉を聞いて数秒の沈黙、その後間抜けた声がこぼれる
焔装使いは魔獣になる。そう聞いたことはあったがうわさ程度にしか思っていなかった。

「冗談は、やめてよ。今、私、普通の人間だよ?
そんな風になるわけ、ないよ。」

少女はこの事実を受け止めることができなかった。
戦えば魔獣になる。戦いをやめれば虐げられる。どちらに転んでも幸せはない。
そんな現実を、か弱い少女が受け入れられるはずもなく
861 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 23:00:05.83 ID:xfTB+K8Do
/おう、こっちもミス。地面は振り下ろせない。地面に振り下ろそうとした、です
862 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 23:17:04.88 ID:eDtMVkUVO
>>860
「……………はぁ?《夜》のお陰でまともになった?なんだよそれ」

訝しげに少女を見つめる。
《夜》を心の底から憎んでいる崩月にとって、あまり快い言葉ではなかった。
それは少女の過去を知らないから、なのだろうが。
しかし、将来魔獣になると知れば一転、予想通りその事実を受け止められない少女。

「本当だよ、強すぎる力には必ずリスクがあるってもんだこのまま調子に乗って焔装を使っていたら――将来、必ずそうなる。
それが嫌なら―――――魔獣になって死ぬのが嫌なら、戦う事をやめるんだな」

言葉を濁す事なく、ただありのままの事実を伝える。
そして、覚悟がなければ戦うのをやめろと宣告する。少女の身分など知りもしない。
863 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 23:22:32.63 ID:3iKFEF0I0
>>859
「これ、は」

―――瓶を割り、聖違骸をとりだした瞬間―――
――――仲間の銃が飛び出し、一瞬輝くと聖違骸と同化してしまった
そして、それは瞬く間にボウガンのようなパーツへと変わり、大剣の腹に付く
その瞬間、ユウト見た目が―――そして、雰囲気が変わり―――

「―――技術?少し違うなこいつは俺とリョウタの輝きだ!!」

―――姿の変わった剣を両手でしっかりと掴む
そして、そこへ大槌が振り下ろされ―――

「ハアアアアアァッ!」

―――振り下ろされた槌を剣を横から当てることで軌道をそらして避ける
直後に再び地面を転がって距離をとると、少しふらつきながらも立ち上がる
そして、剣をニルマーナへと向け―――

「―――最初に言っておく、今度の俺はかーなーり!強い!」

先程までのユウトからは想像も出来ないセリフを言う
―――紫と緑の瞳になり、ダメージがあるのにも関わらず表情も自信に満ちている
そして、バックステップをしながらボウガンから三発のエネルギー弾をニルマーナへと撃つ―――威力としては剣の一撃の貫通力が上がった程度だ
鎧を破ることは出来ないだろうが、衝撃が強いので足止めを狙うつもりだ
864 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/25(土) 23:29:27.24 ID:IgSm56Ve0
>>862
「で、でも・・・・・・」

崩月は冗談や嘘を言っているようには見えない。
崩月の重い声で唱えられると、魔獣になっていくというのが嘘ではないと頭が理解し始めてしまう

「でも・・・・・・戦わなかったら、私は・・・・・・また・・・・・・」

しどろもどろに、震えた声で少女は呟く
最初から、奪われるものなんてなかった
その言葉とあわせて、またの後に続く言葉はなんとなく想像できるだろうか

「戦えば、魔獣に・・・・・・戦わなかったら・・・・・・
戦っても、戦わなくても・・・・・・いいことなんてないじゃない・・・・・・
やっと私に居場所ができたのに・・・・・・」

崩月の言葉を完全に理解した少女の心は―――折れた
唖然としていた表情は崩れ、涙が漏れて、少女の顔はぐしゃぐしゃになり、頭を抱えてしゃがみこんでしまう
865 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/25(土) 23:42:31.41 ID:xfTB+K8Do
>>863
 大槌を防がれ、おまけに変化した大剣から光の弾丸を受け、衝撃で後ろへ弾き飛ばされた。
 月装と言うにはあまりに力強い。宝石の鎧にはひびが入っていた。それを《変化》のちからで修復する。
 衝撃で咳き込みながら、約10mほど離れたユウトのほうを睨んだ。

「《夜》を照らすつもりか大剣の月装使い。否、剣弓銃の月装使い。否、《月装》か? 違うだろう?
 その輝きの名前を聞いておこう! 肌で感じた! それは危険な代物でしょ!
 しかも無傷で服を貰うつもりだったがなあ! そうも言ってられんようだ!」

 雰囲気と共に瞳色さえ違えた相手に、ニルマーナもまたギアを上げる。
 大槌槌を分解し二振りの曲刀にし、全力で投擲する。ブーメランのように左右から弧を描きユウトを狙うものだ。
 空の手にすかさず両手に分厚い防御用の剣を作り出し、この間合いを埋めるべく前方へ疾走する。

「新しいおもちゃを手に入れた子供は、調子に乗っているから!」
866 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/25(土) 23:46:52.11 ID:eDtMVkUVO
>>864
戦わなければ、それで良いじゃないかと思っていたが。
どうやらそれも違うらしい、少女はどうしても戦わなければいけない事情があるらしくて。

「………"また"?」

分からない、少女は一体何を抱えているのか。しかし、初対面の人間にここまで踏み込んでそれを聞くのも、少し気が引ける。
ただ、《夜》が来るまで少女は居場所のない生活をしていた事は読み取れる。
だが、ここで引いたら少女は中途半端な気持ちのまま戦う事になる。それは、魔獣との戦いにおいては死とイコールになる事。

「………なんかあったのなら一応聞くけど、そんな状態じゃますます戦わない方が良いと思う」

焔装使いは皆覚悟を持って戦っていると思っていたが、違った。
少女のように、代償を知らない者もいたのだ。


――――――――しかし待て、そういえば先日、焔装が恒久的に使用できると話をしていなかったか?

「………あっ」

何か思い出したように声を上げる崩月。そう、まだ可能性の段階でしかないが希望と呼べるものはまだあった。

「そういえば、月装の開発者を見つけ出せば、焔装の機構を月装と同じ機構に変える事ができるようになって、魔獣にならずに済むかもしれない……らしい」

以前、アリシアと話をした事だが―――少しでも少女の希望になり得るだろうか。
867 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/25(土) 23:59:29.39 ID:3iKFEF0I0
>>865
「暁月、っていうらしい」
「まぁ俺もよく知らねぇからどんなものかは説明は出来ねぇけど」

鎧にヒビを入れることには成功したようだが、予想通り砕くまでには至らない
やはり、最低でもエネルギーを溜めた攻撃でないと砕けないようだ

「おっと、あぶねぇ!」

こちらに迫ってくる曲刀を一つは打ち落とし、もう一つは切り落とす
その間に厚みのある剣を手にして迫るニルマーナへと二発の弾を撃つ
だが、距離的にはもう約4m程度しかない―――

「これがオモチャかどうか、その体で試してみるか?」
868 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/26(日) 00:06:52.85 ID:kVrHwr2C0
>>866
「何があったかは・・・・・・いえない、けど
戦わないわけにもいかないんだ・・・・・・戦わなかったら、私は死ぬんだ」

何があったか、それは自分が虐げられている理由を話すことになる
虐げられている理由を話せばいじめられるかもしれない。それを話すわけにもいかず

少女はまるで戦うことを強要されているようだった。
こんな状態で戦えば死ぬことぐらい分かってる、が、戦いをやめて居場所を失うのは死ぬより辛い
ならば今は、戦うしかなく

「・・・・・・本当?
私は、魔獣にならないですむの?」

そこへさした一筋の希望。かもしれない、らしい、助かると決まったわけじゃないが、絶望から掬い上げられるには十分だった

「えっと、その月装の開発者の居場所の目星は着いてるの?」
869 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/26(日) 00:12:04.94 ID:KBaZbjYTo
>>867
「暁月。日出前を意味する名前を付けたか。シャレたことを!
 それは魔獣からしたら許せないんだよ!」

 曲刀を危なげなく落とし、こちらに光の弾丸までくれる。ニルマーナは笑う。
 このちからは強い。だが怖くはない。むしろ、大剣しかなくそれで工夫して戦っていた頃の方が恐ろしかった。

「弱いものがちからを手にして浮かれるのはわかるがぁ!」

 ギリギリまで引きつけてから目をつむり、分厚い剣を少しだけ変化させて二つの光弾を受けた。
 途端、閃光が辺りを埋め尽くす。――変化した内容はカッティング。光の屈折を最大限に乱反射して高め閃光弾の効果を得た。
 それに潜ませるようにして、分厚い剣を分割、半分程度のサイズの二刀にして片方をユウトへ向かって投げた。
 その剣は、先程通りの両手剣を手にして斬りかかるニルマーナという幻を得ている。
 本物は、幻のニルマーナを陰にして潜み、それに対処したところに斬りかかろうというつもりだ。
 それはニルマーナがユウトに仕掛けた幻の大剣の偽装の上位変化。経験を生かせれば見破れるかもしれない。
870 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 00:17:12.66 ID:NWjZezwlO
>>868
「あぁ、そう………じゃ、良いや」

無理に聞き出そうというつもりではない。少女が話したくないなら、仕方ない。
向こうから話す気になれば、聞けば良い。そんな時が来るとは、あまり思わないが。
それにしても、例の仮説はこの少女を絶望から掬い上げるのに充分だったらしい。焔装使いにとっては、それほど耳寄りな話であるという事だ。

「いいや、まったく。皆目見当もつかない。でも、何としてでも探し当てないといけない」

開発者の行方はまったく分からない。手がかりさえも掴めていない、そんな状態。
しかし、探し当てなければどうにもならないのも事実で。
871 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/26(日) 00:29:29.68 ID:SipuqVhT0
>>869
「そうか?俺は気に入ってるがな」
「―――チッ」

弾を受けようとしたのを見たところで、閃光で一瞬目が眩む
当然、直ぐに目を開きこちらに迫ってくるニルマーナの姿を捉える
それに対処しようとしたところで―――

「―――あの幻覚みたいなやつか」

どこかおかしい―――前回の経験からそれを見抜いて飛んできた剣を切り落とす
そして、そこから幻覚の影からこちらに迫っていたニルマーナへと横凪ぎに剣を振るう
だが、宝石弾のダメージが響いており、威力は月装状態の剣撃と大して変わらない
872 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/26(日) 00:36:02.83 ID:kVrHwr2C0
>>870
「じゃあ、がんばって探さないと!」

希望を見た少女は最初のように明るく笑う
いい話を聞けば根拠もなく助かるんだと思い込めるのもただの少女故

「今日はありがとう。私もがんばって探してみる!
えっと、最後に名前だけ教えてもらっていい?」

そうして崩月の名前を聞き出せれば、少女は自分の名前を告げ
元気良く手を振って、少女はさよならを言って別れるのだろう

//きりもいいので、ここで〆でー!
873 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/26(日) 00:44:51.27 ID:KBaZbjYTo
>>871
「見破るか! あながち曇りきった眼ということもない!」

 奇襲できると半ば確信していたニルマーナは、手にしていた剣で受けたものの威力を殺しきれず転がった。
 剣を手落とし空手になる。一瞬だけ考え決断した。

「……大剣の月装であれば技の参考にもなる。しかし弓とはな!
 1つだけ言っておこう。弱者だと自覚しているから人間は工夫を凝らす!
 強いと自惚れるお前を倒したところで、それは面白くもないからなあ!」

 相手の力を見られたことでよしとして撤退する。服はないが情報は手に入れた。十分な成果だ。
 ヘッドスプリングの要領で立ち上がり、ユウトと逆の方へ走っていこうとする。
 攻撃を加えることは可能だろう、一撃で仕留められないのなら、それは嫌がらせにしかならないだろうが。
874 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/26(日) 01:01:12.46 ID:SipuqVhT0
>>873
「前に一回やられてるからな」
「しかも下手すりゃそれで死んでたんだ、嫌でも学習するさ」

威力があまりなかったと思うが転ばせることが出来た
この隙をつかない手はないと、転んだニルマーナへと攻撃を仕掛けようとするが―――

「―――逃げる気か!」

一気に起き上がり、走り去っていくニルマーナ
逃がしてなるものか、とボウガンにエネルギーを集中させるが―――

「―――ダメだな、これじゃ仕留められない」
「新しいのを使ってみるか」

この形態ではせいぜい一撃当てても鎧を砕く程度だろう―――それでは次射する間に逃げられてしまう
故に、大剣を真の暁月と呼べる形態に変化させる―――それは、銃の素早さと剣の鋭さをもつ矢を放つ弓

「ハァァァァッ!!」

距離を取ってくれて良かった、近接ではこの形態は使いにくい
手に、剣がエネルギーと姿を変えた矢を作り、それを放つ―――ユウトのもつ最も威力が高い攻撃だ
だが、一度しか射てず、その後に疲労が襲うのでこれに耐える、或いは回避すれば逃走は簡単だ
875 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 01:08:18.61 ID:NWjZezwlO
>>872
「あぁ、頼むよ。あと、見つけたらこっちに連絡してくれ」

どうやら少女も探してくれる気になったようだ。何一つ手がかりがない故、探し当てるには相当な人数が必要なはず。
手当たり次第声をかけていくしかないのだろう、気が遠くなりそうな話だが、時間もあまりない。

「え、僕?僕は…崩月真夢」

名前を聞いてきた少女に名乗ると、少女はそのまま元気よく手を振って去っていった。

「………霧桐舞、ね」

最後に少女、霧桐の名前を覚えて、崩月もその場を後にする。

/ありがとうございましたー!
876 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/26(日) 01:21:08.20 ID:KBaZbjYTo
>>874
 ちらり振り向くこともできない。ただ背筋が泡立つような緊張感。
 少しでも遠くへ走り、その間に高まったユウトの最大の一撃が放たれた。

「暁月とやらの真価か!」

 視線をやる。その瞬間、身体が捻られていたことが幸いだった。
 眼をやった直後、光が通り抜けていくのが見えた。次に、右肩から先切り落とされたように消えていた。
 宝石の鎧など役に立たない。その一撃を受け切るなどという選択肢はない。まともに受ければ文字通り必殺。

 バランスを失い、ダメージの余波で捩れる体を立て直しながら、ニルマーナはそれでも走った。
 次にその一撃が来れば、運などに頼りようもなく死ぬ。忘れていたかのように、肩から血があふれ出していた。

「……こんなものを地上で使うか。自分たちの街を壊す兵器だぞ!」

 背後にユウトが見えなくなった直後、適当な建造物に入ってニルマーナは倒れ込んだ。
 そして瓦礫に混じるようにして、気を失った。

/すみませんが逃走したということでこれで〆でお願いします。
/遅くまで付き合っていただきありがとうございました!
877 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage saga]:2014/10/26(日) 01:34:13.49 ID:SipuqVhT0
>>876
「はず、したか…」

必殺の一撃は片腕を切り落とすに終わった
そして、それを確認した直後に体の力が抜けて倒れこむ
姿は元に戻り、弓も剣と銃に分離する

「また、見逃されたな…」

倒れそうになりながらも、走り去っていく魔獣が見えた
もし、あの場で怒りのままにこちらへ向かってこられていたらなすすべなくやられていただろう
つまり、前回同様見逃される形になったのだ―――悔しがっている途中、隣でバキリ、となにかにヒビが入る音がする
倒れたままの姿勢で顔を横に向けるとそこには―――

「なん、で」
「まさか、暁月を使うのは限られてるのか?」

―――聖違骸と同化した形見の銃に大きなヒビが入っていた
あの状態で攻撃は受けていない―――ならば、暁月になったこと事態に問題があるということ
この様子では、使えてもあと二回
それを越えれば、銃は砕け散ってしまうだろう―――使い時をもっと慎重に考えなければいけない
薄れゆくいしきのなかで、最後にそう思った


/こちらこそロールありがとうございました

878 :ミュルサド・オーディアール </b> ◇D.MsnJCMDw<b> :2014/10/26(日) 19:40:06.24 ID:esVjb1OI0
荒れ果てた人間の夢の終わり。
砂礫に覆われてしまった都市の中。
夜の帳が常に降りているそこに一点、光がともっている。
辛うじて残るコンクリートの屋根、というより庇の下に輝くのは、小さなたき火だった。

「wer reitet so spat durch nacht unt wind〜♪」

そのたき火の前にあぐらをかいて座り込み、火を見つめつつ鼻歌を歌う男が一人。
その歌詞は諦めぬ人間の報われぬ苦悩を描いた歌劇の第一章。

金色の瞳、褐色のはだ、黒色の髪、野放図にのびた髭。
上半身は外套一枚、下はぼろぼろのジーンズがこれまた一枚。

そんなみすぼらしい男が、配布された糧食をどうにか旨く出来ないものかと火にかざしては、焦がしてしまっていた。

/どなたかいらっしゃればー
879 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 20:47:54.06 ID:8X3hSWU9O
>>878
月装開発者捜索の為に、崩月は瓦礫の街を訪れる。魔獣の気配は、感じられない。
地を踏む感触が相も変わらず硬い事にはとっくのとうに慣れている。
こんなところに手がかりがあるとは思えないが、やらないよりはマシだろうと自分を納得させて歩く。
と、そこに篝火を炊く男の姿。みすぼらしい格好をして、陽気に鼻歌を歌っている。

「…………随分とご機嫌じゃないの」

崩月は男の前に現れ、話しかけてみる事にした。
何か知っている事はないか、格好から見るにあまり期待できなさそうだが、一応、念のため。

「……焦げてるじゃん」

食料を炎にかざして、焦がしている様子に少し呆れた表情で。

/よろしければ…
880 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/26(日) 20:59:15.84 ID:esVjb1OI0
>>879
「んん?」

たき火の向こうから、声がかけられる。
声の主は青年のようだ、若い声。

「まーありがたい事に飢えない程度の食料が配給されるのは良いんだがな、どうにも飽きがくる」
「そんでもって工夫しようとしてるんだが…うまく行かないもんだ」

「お前さん見たとこ人間みたいだし、まあ座ってちょっと喋ろうや」
「それともなんだ、急ぎか?」

ぱちぱちと弾ける焚き火が、夜を穿っていた。
それに照らされた男の表情は、にへらと笑っており。
その瞳には炎が映るばかりで、他の人間のそれに淀む闇などはいっさい映っていない。
881 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 21:15:37.82 ID:8X3hSWU9O
>>880
「下手に手を加えようとするからそうなるんだよ、失敗してるならおとなしくそのまま食べた方が良いと思うけど」

呆れた、と言わんばかりに男を見る。
うまくいかないで食べられなくなるなら、そのまま食べた方が生産的であろう。
そういえば自分は、急いでいただろうか。呑気にここまで歩いていたのだから、それも否か。

「いいや、特に……」

促された通りに、男と向かい合うようにして座る。ちょうど火の熱が当たって、とても暖かい。
《夜》が現れて以降、太陽はめっきりと姿を現さなくなった。そのため、当然の事ながら気温は低下する。
このまま覆われ続けたままなら、地球は極寒の死の惑星となるのだろう。先ほどから、肌寒さを感じていた。

「それで、あんたは?」

取り敢えず、この男の素性を知っておくべきか。
882 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/26(日) 21:30:44.54 ID:esVjb1OI0
>>881
「俺か、俺はミュルサド。あの夜にここに逃げてきたクチだ」

もしゃ、と焦げてしまった糧食を齧る。

「この火は俺が起こした、魔法が使える人間になってたんだなーいつの間にか」

この永夜において今や電気や燃料を含む光源、熱源は少ない。
であるという事と自覚して、こう発言する。

「便利だろ、この魔法」
「なんか戦える物ってのは判るんだがな、今のところ火熾し専用」

「襲ってくる変なのも居るがとりあえず逃げ回ってりゃ何とかなるしな」

それは月装ではあり得ない発言。
月装とは自身の特徴を把握してかつそれを精製する、つまり自分が使っている物を把握している必然性がある。
必然男は焔装使い、しかし――それを無駄使いしている事が判るだろう
夜を払う人間の活動など我関せず。
883 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/26(日) 21:37:34.35 ID:7D148gvmO
「むぅ……」

宿泊施設として使われている校舎。ここには多くの人が集っている
そこを校門から顔だけ出して覗き込む、赤いフードを被った少女。モジモジと挙動不審で怪しい様子だ

「うーむ…普通に入っても良いものだろうか」

変わろうと決意したのだが、いざ行動に移すとなると難しいものだ
少女は中に入って人の輪に混じりたいらしいが、勇気を出して踏み込むことが出来ずにいた。暫くの間、この状態が続きそうである



884 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 21:42:27.78 ID:8X3hSWU9O
>>882
「あぁ、あんたもか………って、都市に来る人間なんてそんなもんだけど」

そもそも、ここら一帯以外の場所など完全に消滅してしまっているも同然。下手に外側に出ようとすれば重力に押し潰されるのがオチ。
必然、この都市に人間は集まる事となる。それ以外の逃げ場所など、ないから。

「…………へぇ」

目を丸くしながら男の話を聞く。男が使えるようになった魔法――――それは、焔装か。
どうやら焔装使いの男、というわけだ。しかし、焔装の詳細を果たして知っているのかは、微妙と言わざるを得ない。
自衛の為ならばまだ良いが、このようにわざわざ火を起こす為に使うとなるとそれは無駄遣い感が否めない。
故に、警告する。

「―――じゃあ、同じ魔法使いから一つ忠告。それ、あんまり使いすぎるとあんたを襲う変な奴らと一緒になっちまうよ」

意味は分かるだろう。そして、この発現から崩月も同じ焔装使いという事も。
885 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/26(日) 21:52:47.50 ID:esVjb1OI0
>>884
にやついていた顔が一瞬、真顔になりその眼が見開かれる
例えるならそれはそう、月数千円ずつ払えば無限に払えると思っていた魔法のカードが、己の借金を増やし続ける悪魔との契約だと知ったときのような。

だがそれもすぐのこと、笑顔に戻った男の顔がある。
「そいつは知らなかった…正直驚いた」
「ま、そんなことはどうでもいい」

男、つまりミュルサドは自身の体を侵す夜についてそう断じた。
「そんなんになっちまう前にどっかから助けでもくんだろ」

ミュルサドは信じきっているのだ。この街だけが夜に覆われていると。
出られない、入ってこられないだけで太陽はまだ生き、蒼穹は無限と広がっている筈と。

「それよりも俺はあんたが魔法使いだって方が気になるな」
886 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 22:10:26.16 ID:8X3hSWU9O
>>885
「………………………」

開いた口が塞がらないとはまさにこの事。あまりにも呑気というか、まったく危機感のない男の口ぶりに呆然とする。
まさか、この男は。知らないのか。この世界の実状を。

「馬鹿を言えよ。もうどこからも助けは来ないんだ、だって人類はもうこの都市以外の場所にどこにもいないんだから
空だって――――真っ暗だ、どこも」

人類は、ここ以外のどこにもいない。ここで最後。ここが破れれば、人類は滅亡する。
助けはない。助けるのは、自分自身。蒼穹の空などどこにもない。今、空を覆う《夜》が消えないから。

「あんまり無駄遣いしたくないけど……仕方ない」

魔法使いである自分が気になるというが、ここは証明してみせるべきか。探し人を探す協力も得られるかもしれない。
瓦礫に向かって軽く腕を振るうと、黒い衝撃波が飛ぶ。衝撃波は瓦礫に直撃し―――"抉り取った"
無となった瓦礫のあった場所。「これでどう?」なんて言って、男の反応を待つ。
887 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/26(日) 22:28:38.64 ID:esVjb1OI0
>>886
「馬鹿をいってるのはそっちだ」
「俺は外に出ては居ないが、お前さんだってそうだろう?」

だから判らないじゃないか、と言葉を続ける。
「外が酷い有様なのは知ってる、でもそこを超えていった先は誰も知らないんだ」
あんなに青かった明るかった空が世界中どこ行ってももう無いなんていうことを信じられない。

それでもこの男が魔獣の掃滅に参加しないのは先兵を殺しても仕方ないと考えているから。
魔獣を一匹[ピーーー]たびここを取り巻く異常が薄れていくならそれをしたかもしれないが――

「へぇ…それがお前さんの魔法ね」
「当たった物を消すのか?随分物騒だな…」

あたかもここで生きていくには無用の長物だ、と言外に示すような口ぶり。
888 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 22:42:00.82 ID:8X3hSWU9O
>>887
「おいおい……出れないんじゃなくて、出られないんだって……いや、そもそも僕にこの都市から出るなんて選択肢はないけど」

「もし外に出ようとしているならやめておけ」と、そう軽く相手に伝えて。
この都市で生きているだけで充分な崩月には、元よりそんな選択肢はなかった。

「まあ、そんな感じ。これくらい物騒じゃなきゃ、魔獣も《夜》も殺せないんだよ」

恐らく、男と崩月では生きる目的が違うのだろう。
男の方はなんとも言えないが、崩月はただ魔獣と《夜》を殺す為に生きている。
故にこの焔装は無用の長物などではなく、彼にとっては必需品。

「あぁ、そうだ。ちょっと人を探してるんだけど、協力してくれない?」

この男にも、月装開発者を手伝ってもらいたいところ。不躾に崩月は男に頼んでみる。
勿論、男がそれに興味がなかったら断っても良い。無理にやらせるつもりもない。
889 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/26(日) 22:55:05.46 ID:esVjb1OI0
>>888
「夜?」
男の眼が吊り上がる。
「この夜を[ピーーー]事が出来るのか?」
魔獣という末端ではなく、この《夜》を滅ぼす事が出来るのか、と

前屈みになり、青年ににじり寄ろうとして…焚き火に邪魔されて正気に戻ったように
「すまんな、でも知りたいんだ、もしそれがあるというのなら」
この夜を晴らす事が出来るというのなら。もう一度夜空に満ちる星と異能を与えぬ静かな月、そして青に浮かぶ大きな光をもう一度見るために

「尋ね人?いいぞ、自慢じゃないが俺も暇でな」
「それが夜について詳しい奴ならなおさら良い」
890 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 23:19:36.23 ID:8X3hSWU9O
>>889
「………出来る、出来ないの問題じゃない。絶対に殺さなきゃ駄目なんだよ」

正直な話、《夜》の正体も掴めていないしそれを殺すといった事でそれは机上の空論であり、ただの戯言でしかない。
しかし、臆したらそれこそ自分の心が死ぬ。それに、力を結集さえすればまだ希望がある。

「………!じゃあ、頼む。顔も名前も分からないけど……月装ってやつの開発者なんだ。詳しくは……都市にある研究所に行けば、分かる」

その尋ね人の顔も名前も分からないのが困ったところだが、その情報は研究所にある。
研究所の場所を教え、研究員の名前を言う。
その研究員――――――時雨の元に行けば、詳細が分かるはずだ。
891 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/26(日) 23:31:12.42 ID:esVjb1OI0
>>>890
「そうか、そうだな」

夜に対して、一種諦めていたのかもしれない――
そんな思いが胸に去来した。
諦めず生き延びて助けを待つという受動的な事は出来ても
魔獣を倒して夜の力を削るということをしようとしなかった。
もし無尽蔵に湧く無限の夜の手足であろうが、削るという発想が無かった。

それは全く自分らしくない、と思いだして


「月装の開発者、研究所に行けば会える…ね」
「なぜ会おうとしてるのか知らないが、俺も探してみよう」
「お前さんがそれをしようってことなら、きっと夜を晴らす事につながるんだろう?」

月装とは何かすら知らないミュルサドは、その文言を全て覚えてヒントとする事にしたようだ。
丁寧に相手の言葉を反芻し、記憶に刻んでいく。

焚き火は既に炎の勢いを弱め、熾火になり掛かっていた。
892 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/26(日) 23:50:35.05 ID:8X3hSWU9O
>>891
「………………ありがとう」

崩月は、珍しく素直に礼を言った。普段の自分からは、絶対に出てこなさそうな言葉。
この男は、引き受けてくれた。少しでも協力者は多い方が良い。これで一歩前進――――すれば、良いけども。
兎も角、思わぬ収穫を得たのは事実であろう。

「……そうだ、最後に。僕の名前は崩月真夢。覚えなくても良いけど……一応」

そろそろお暇する頃か。最後に、男の名前を聞き出せばこの場所を発つ。

/キリも良いのでこれで〆でお願いします!ありがとうございました!
893 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage]:2014/10/27(月) 19:58:22.48 ID:yNYeYqZ4O
【自治会の拠点である小学校の校庭で、食糧の配分が行われている時だった】
【ソレが音もなく現れた時、担当員は一瞬ソレが食糧を貰いにきた一般人かと見誤った】
【ぼろ切れのような布を羽織った、黒髪の少女。しその異様な風貌に、担当員は表情を顰めて】
【その布の下から零れ落ちる、溢れんばかりの瘴気に気付いた】

「っ、逃げ―――」

【声を張り上げて逃げるよう呼びかけようとするが、言い終えるよりも早くに少女が動く】
【地面を蹴り、人間離れした脚力で担当員の正面へと跳ぶと、右手に隠し持った剣で一薙ぎ】
【ぼとり、と音を立てて転がり落ちる首に、集まっていた住人は事態を漸く認識すると、悲鳴を上げて我先にと逃げ出そうとする】

…………

【そんな彼らに背中を向けて、少女は無表情で小学校を見上げると、更に剣を無造作に振るう】
【すると校舎の一角が綺麗な断面を残して切り落とされ、生じた瓦礫が逃げ遅れた人々へと降り注いだ】
【校庭に広がる阿鼻叫喚の光景、少女の姿をしたその魔獣は退屈そうに眺めていて―――】

/のんびり絡み待ち
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/10/27(月) 20:15:41.63 ID:bENrzriNO
人間側にとって最重要な施設を確定で壊すのか…(困惑)
895 :彗月 ◆4lMNAK/M5E [sage]:2014/10/27(月) 20:17:31.65 ID:AFJUMM4y0
校舎の一角を切り落としただけで崩壊させたなんて一文字も書いてないんですが……
896 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/27(月) 20:21:55.25 ID:aKHnRwnT0

 ふむ、と彼女は小さく唸る。
 暗闇を湛える、瓦礫の入り口。ここは先日奪還された「研究所」の門前。
 アリシア・P・シノットは、顎に手を当てて考え込んでいた。
 青黒く沈んだ隈の上の剣呑な目付きは、ただ一点を睨む――視線の先にあるのは、怪しげなボタン。

「……押せ、ということか」

 顎に当てていた指先を、彼女はおもむろにボタンへと伸ばす。人差し指は、表面に触れた所で一度止まる。
 指先はそのまま暫く止まっていた。しかし5秒後に、それは深々とボタンを押し込む。
 かちり。何かに触れる音――彼女は、少しだけ目を見開いた。
 3秒。5秒。10秒。反応は、ない。
 かちり。もう一度。彼女は待つ。反応は、ない。
 かちり、かちり。今度は二回。彼女は待つ。反応は、ない。
 かちり、かちり、かちかちかちかちかちかちかち――彼女は目を細め、眉間を歪ませる。

「――チェェェェエストォォォォォッッッ!!!」

 そして彼女は上擦った声で絶叫し、その身体をひねって右足を振り回す。
 紛れもない回し蹴りであった。作業靴の爪先は極めて正確かつ鋭利に、沈黙を守るボタンを狙った。
897 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/27(月) 20:39:44.19 ID:Hommvq5IO
//>>883で再募集します…日常戦闘どちらでもどうぞ〜
898 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 20:39:46.16 ID:L9CyIsaio
>>896
暁月の資料の海の中で、厚い微睡みに身を漂わせていた時雨は、ぐう、という自分の腹の音に目を覚ました
凝り固まった身体の節々に無理を言わせて起き上がる。口の端に滴る涎を白衣の袖で拭い、何となしに天井を見つめた。
まだ頭の中がボンヤリしている。枝毛を蓄える様になってきた黒い頭髪をボサボサと掻きむしる。
連日連夜の作業に、食も水も無しに没頭していた物だから、意識が厚い壁に阻まれた様な、鈍い感覚に見舞われていた。
しかし暫くぶりに見た夢を想起すれば、不思議に頭と意識が冴えてくる。反して夢の詳細が朧げになって行く──

時雨は例の如く書類の中に埋れていた四肢を動かし、どうにかして書類の海から脱出した。
教室の様な研究室を見渡して、取り敢えず飯を取ろうと、半分を弾丸で抉った聖遺骸がしまわれている冷蔵庫に手を掛ける。
冷蔵庫の中には聖遺骸と瓶入りカルピス。時雨は頭蓋骨の頬を手の甲で優しくなぞり、ふう、と一人溜息をついた。

……あの子はどこにいるんだろうか。

嫌な夢だ。時雨は過去のことを思い出す。時雨は冷蔵庫の中から、瓶カルピスを手に取って、原液をまま飲み込んだ。
ごっきゅごっきゅと喉を通る心地の良い音が教室の中を満たして行く。ぷは、などと息継ぎをしては、と何時の間にか瓶は空。
落ち着いたのか、それともあの子の事を振り切ったのか。瓶をそこらに放り捨て、また溜息を一つついてデスクへと向かおうした、その時だ

『――チェェェェエストォォォォッ!!!!!!!……』

嫌な予感しかしない。て言うかいい思い出のない声音だ。予想が当たった。アリシアが破壊したボタンの仕掛けが作動──もとい暴走し始める
ボタンの終着点。本来は単にベルがなるだけの筈なのだが……ボタンが破壊された勢いでベルが爆発した。破片が時雨の額に直撃する
時雨は気絶した。同時、アリシアの目の前の扉が開けるだろう。そこには時雨の死体……の様なものが

/次おそらく飯食ったり風呂入ったりで遅れるかもしれません申し訳なっしんぐ
899 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/27(月) 20:55:14.13 ID:aKHnRwnT0
>>898

 ボタンは完膚なきまでに破壊された。扉が開く。ほう、と彼女は小さく。
 彼女は無遠慮であった。破壊活動の後とは思えないような平然かつどこか清々しい表情で、門の中へと入っていく。

「……む。
 …………はあ。まったく無能な奴だ」

 彼女は研究所の中へ入り、そして足を止めた。何かに気付き、そして溜め息をつく。
 両手を持ち上げて「やれやれ」のジェスチャーをしてから、彼女は倒れている時雨へと歩み寄った。
 しかし死体的何かまであと数歩、と言ったところで、彼女は小さく感嘆の声を上げ、また立ち止まった。

「――これ、は」

 しゃがみ込み、彼女は手に取る。カルピスの空き瓶、その瓶の口を彼女は指で撫でる。
 微かな粘性。そもそも、中にもまだ白い液体がよく残っている。
 辺りを見回すように彼女は首を振り、そしてほくそ笑んだ。無造作に投げられた空き瓶は空を舞い、時雨の身体へとぶつかるか。

「くくくっ……ふふふ、ふふっ。
 貴重な人類普遍の資産、こんな所で独占するのはいかんよなぁ」

 ――もし時雨が目覚めたなら、トラブルメーカーことアリシアはこんな台詞を呟きながら冷蔵庫の前に蹲っているだろう。
 他人の家のインターフォンを問答無用で破壊したあとの強盗未遂である。しかしながら、今の世界に警察はいない。




/わかりましたー。

900 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/27(月) 20:57:29.95 ID:zb0PjASDO
スカヤは街の中心部、所謂小学校であっただろう廃墟で自分の調べた資料を整理していた。
スカヤは人間達が、若く力強い戦士となって魔獣に立ち向かう姿を何度も見ては安心しつつ不安に駆られるというとても不思議な気持ちでいっぱいであった。
若く、純粋な力は真っ直ぐ芯が通っていて、何事も解決してくれるような気がするが、純粋すぎるが故に「絶望」に身を染めかねないかと危惧していたのだ。
何しろ自分自身が体験していた為に余計に感じていた。
また、この街にも若者を止めてくれる「大人」が少なすぎるのにも危険だと感じていた。このような状況、節制とした態度を取れるのは若者ではなく大人であることに間違いない。
感情的で、理知的に語れない「若者」は暴走してしまうだろう。

「この街で…引きとめられる者がいない今、人間は魔獣を倒せるだろうか?」
「暴走した者が武器を持っていたならば……本当に絶望的な状況に立たされている」
「…幸いにも、まだ<夜>の感覚は無い…それまでに、彼等はリーダーを決める義務がある」

街の人口とその比率のグラフを眺めて顔を顰める。こうなる事は当たり前だと感じていた、荒廃した地域に人が長生きできるわけがなく、若者を受け止められる大人が徐々に減りつつあるということに。
901 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/27(月) 21:04:23.58 ID:DlF5HbrFO
>>897
「………なーにしてんだか」

多くの人々が生活の場として利用している校舎。そこに、何やら挙動不審な赤いフードを被った少女……らしき人物。
崩月はそれを遠目で見ていたが、さっきから何だかもどかしい。普通に入れば良いのに、と思う。
もう少し観察してみよう、などと思って暫く眺めているのだが……


「………あぁ!もう、もどかしい!」

とうとう痺れを切らした。いつまでもその状態のままの少女を見かねて、大股で近づいていく。

「……おい、さっさと来いよ」

少女に向かって、早く来るように促す。
フードを被っている為、面識のあるシャイナだとは気づいていない様子だ。
902 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 21:14:21.87 ID:L9CyIsaio
>>899
深く嵩まっていく眠気の桎梏は泥の様に時雨の足に絡み付いて離さない。
このまま二度寝もありだな、と希薄な意識を落とし──ていこうとした所に空瓶が時雨の腹部にめがけてジャックスポット。
落下速度を伴った空瓶の圧力が、胃の中に溜め込んだカルピスの白濁液を逆流させる。少しばかり吹き出してしまった。
腰を鈍角に近いV字型に曲げてしまう程の衝撃に、先程からの微睡みも何もかもがすっ飛んでしまう。クソッタレ。

腹を摩りながらに立ち上がり、やはり辺りを見渡す。時雨は予想が事実へと変わる過程などとうに踏み越えている様に、深い、深い溜息をついた。
時雨の視線の先。野放図を具現化し集約した様な人間……アリシアが冷蔵庫の前に座り込んでいる
半ば諦めているのか、時雨はアリシアの近く──と言っても余り近すぎると殺されそうなので一定の距離感で──まで歩み寄った

「……はあ、私だけが飲める至高の甘味を……独占出来るからいいのになあ……
えーっと……君は……んー、確か……名前忘れてしまった。てへぺろ」

わざとらしく舌を出して、自身の頭をコツン、と叩いて見せた。これがアリシアのシャクに障るのかもしれないのだが……

「何の用事だ?君は頭が良いから、それよりももっと頭のいい俺とはよく気が合う」
903 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 21:15:10.08 ID:L9CyIsaio
>>902
/最後おもいっきし俺ってかいちまったwwwwww私ですよ私wwwwww
904 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/27(月) 21:23:13.57 ID:Hommvq5IO
>>901
「なっ…ななななんだっ!!」

余程前方に意識が行っていたのだろう。近付いてくる崩月の存在に全く気付けず、声を掛けられて驚いた様子である。

「崩月か…何故私が行かねばならん?
私はただ、覗き見ていただけだ。入りたいなどとはこれっぽっちも思っていない」

平静を取り戻して、嘘を口に出す。入りたいからここに居たのだが…
こんなのは自分の柄じゃない気がして、なかなか素直に言うことが出来ない





905 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/27(月) 21:29:29.91 ID:X+2tXYsE0
>>900
「……やぁ、話のできる魔獣。こんな所で何してるのかな」

こんこん、と。背後から、壁をノックする音が廃墟に響く。そちらの方を振り返れば、以前会話を交わした人間の少女の姿。
あれから、何やらあったようで。左腕には辛うじて清潔感の残る布切れを巻いている。
背後に居ながらわざと気付けるように音を出したのは、理由があるのか無いのか。
去来する痛みでぎこちない笑みを浮かべれば、左の指先が痛みに呼応するかの如く痙攣してびくりと動く。

「ただ話ができるだけかと思ったら、《こちら側》の情勢まで気にしてくれてるみたいで。……魔獣の、癖に」

左腕の力を抜き肩からぶら下げて、やや警戒心は薄く。
最後の言葉は口の中で精一杯噛み潰し、悪意も出来る限り抜いて。そちらに近寄る事が無いのは、当たり前か、否か。
スカヤの言葉を借りるならば、まさしく"若者"の部類に入る少女は。
今再び会った魔獣に、またしても己から襲いかかる事はなく。それでいて答弁を再開する様子もなく、ただそちらの様子を伺うように不躾な視線を送った。

//宜しければ、お願いしますー
906 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/27(月) 21:32:42.27 ID:DlF5HbrFO
>>904
「はいはい、そうですか………」

シャイナの言い訳めいた弁明を適当に聞き流す。
わざわざ覗き見する事のメリットも感じられないし、ただ覗き見しているだけならそこまで挙動不審にはならないだろう。

「…………入りたいなら、素直に言えば良いのに。それなら良いよ、じゃあな」

呆れたように、ため息を零す。
崩月はそのまま歩き出して、人々の輪の中に入ろうとしている。
このままでは置いて行かれてしまうが、シャイナはどうするか。
907 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/27(月) 21:33:08.58 ID:aKHnRwnT0
>>902

「アリシア・P・シノットだ2度と忘れるなこの脳みそスカスカBSE野郎。
 どうでもいいことを忘れていいのは私やシャーロック・ホームズぐらいの天才に許された特権だ」

 少女漫画の主人公のような反応で応じる時雨に、彼女は極道漫画のヤクザのように歯を剥き出しにして振り向くことで答えた。
 その手に握られているのは、一本のカルピス――瓶の口ギリギリまで満たされたそれを親指と人差し指で挟み、見せつけるようにゆらゆらと揺らす。

「本当に頭が良くて社会通念上問題ない行動を取れる奴はまずこのカルピスを平民の皆様に分け与えるものだ。
 水割りの一杯でも避難所の子供たちに配ってやればそれはそれは無垢で純朴で素晴らしい笑顔を見られるというのに利己的な奴め。
 そんなんだから太るのだ。貴様は自身のことを巨乳だと勘違いしているようだが、
 つまりはカルピスの原液などという凄まじい糖分の塊を常用していることに起因よる肥満をそれらしく言い換えているだけだ。
 ――まあいい、今そんなことは関係ないんだ」

 狐のように痩せきった彼女はふぅ、と溜め息を吐き、カルピスを時雨に投げてよこす。
 代わりとばかりに、ポケットからジッポと紛れもない嗜好品として紙巻きタバコを取り出した。
 「私は甘ったるすぎる代物は口にできなくてなぁ、専らこいつか飴ちゃんだ」口に咥え、その先端に火を付ける。

「生憎私も貴様と同じように連日連夜の研究で中々外に出られなくてなぁ――見ろ、この隈。
 ま、その研究も一段落した所だ。《暁月》と言ったか。あれを受け取りに来た」

 何時ものように青黒く濁るその目の下は、よく見れば確かに何時もよりも濃いかもしれない。
 彼女はさもこの場で今すぐ渡して当然であるかのように、右手を時雨に突き出した。
908 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 21:49:06.96 ID:L9CyIsaio
>>907
アリシアの行動一つ一つが時雨の胸の中に存在する怒りの琴線に触れる。
歯軋り歯軋り歯軋り……目の前の女何時か見ておけ、と思わず吐露した感情を、は、と手で抑え、アリシアの表情を伺う
投げつけられるカルピスの瓶。冷静に受け止めて、冷蔵庫の脇にかけてあった栓抜きに手を延ばす。

皆に配給すれば──確かにそうかもしれない。月装を使えば皆に食料も水も配給する事が出来る
食料問題など自分がいれば無いに等しい。だが、それ以上に聖遺骸を守る事に徹したかった
表に出る機会が欲しかったのだ。聖遺骸の存在を公表しても良いと思える機会が。それまでは表立って行動出来なかった。時雨の脳内には言い訳がごまんとある。

「……それもそうだな……。ただ子供達には少し刺激が強いと思うんだ。この甘さは──
って……!私の胸は確かにまあ脂肪だけど……!くそくそばかばかばーか!!
バカにするんなら触ってみろー!重いけどフワフワなんだぞチキショー!」

アリシアが煙草に火を付けた瞬間、見計らった様にその手を奪おうとする。
奪うことが出来たのなら無理やりに縦に線の入った白いセーター越しに自分の胸を触らせようとするだろう。触れれば──アリシアにはない感触が味わえるだろう

「へ、アリシアに暁月を与えるだとー!?私の胸の価値も分かってないクソ女になんて……!」

ごたついている内に白衣の懐から銀色の弾丸がコロコロ、と。それを奪えば……時雨も黙るだろう
909 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/27(月) 21:51:17.35 ID:Hommvq5IO
>>906

「くっ…」

適当に聞き流され、少し弄っときたが、この程度で怒りを露わにするシャイナではない。ここは見事に?堪えて見せた。

「……………待て、待ちたまえ」

ここで行動を起こさなければ、自分はずっと独りぼっちのままだ。
変わると誓ったのだ。愛されるに相応しい人間に。
崩月を呼び止め、その服の裾を掴む。若干震えた声で、彼女は自分の本音を漏らした

「………私も行く、行きたいのだ」
910 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/27(月) 21:59:00.65 ID:DlF5HbrFO
>>909
「変な見栄張ってないで、最初からそう言えって……」

袖を掴まれ、立ち止まる。呆れ顔でシャイナを見つめて、また、歩き出す。
ちょっと歩けば、もう周囲に人がごった返しているような状態。恐らく、特に変な視線を向けられる事もなく自然に溶け込めるだろう。

「それで、なんでわざわざこんな所まで来たの?あそこで一人が過ごす事が寂しくなった?」

そして、シャイナがこの場に赴いた理由を聞く。
彼女は今後、ここで暮らすつもりなのだろうか。それ以外に、何か目的があったのだろうか。
911 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/27(月) 22:10:27.32 ID:aKHnRwnT0
>>908

「ん、な――――!!」

 破れかぶれの時雨が繰り出した荒唐無稽な一撃に、彼女はいつも細めている目を見開く。
 目には目を、劣等感には劣等感を。彼女は自らが有さない「それ」を、しかと左手で受け止めた。

「……貴様、レズの気でもあるか。ん? それともただの痴女か、ビッチか非処女か貴様ッ!
 誠に申し訳ないが私は斯様な脂肪の塊に対し劣情を催すような精神障害を有していないものでな、
 確かに柔らかくはあるがこんな代物は私はどうだっていいのだきっと動きにくいし肩は凝るし碌なことはないのだ。
 こんなぶよぶよの不気味な物体が一体生命及び精神活動に如何様な利益を齎すのだクソッタレがぁぁぁぁぁッ……!!」

 ――そして数秒後に放たれる、彼女の罵倒。されど後半はもはや自らへ対する言い訳であり、持たざる者の防衛機制としての合理化であった。
 言い訳である。時雨のしたそれよりも、余程雰囲気の軽いものであるが。
 あからさまな歯ぎしりの音を彼女は隠そうともせず、当てられたものを握り潰さんとばかりに手を握り締める。
 しかし当然ながら、それは時雨の柔肌をさらに彼女に認識させる結果となり。
 いよいよ青筋を浮かばせた彼女は、ジッポをしまった右手でタバコを掴み、根性焼きの一つでもかまそうとしたようだが――

「……む? こいつは何だ、件の狼殺しのしゃれこうべ砕きか」

 時雨が零したその銀色は、地面に落ちて硬質な金属音を響かせた。
 アリシアという人間の思考回路において、好奇心は怒りよりも優先されるようだ。
 さながら鬼子母神の如き憎悪の炎を燃やしていた両目は興味深げにそれを見つめ、阿修羅の如き怪力を発揮していた左手は何気無く銀色の弾丸を掴む。
912 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/27(月) 22:17:18.61 ID:Hommvq5IO
>>910

「……」

言い返す言葉がない。崩月の言うことが正論過ぎて
少女は強がりで素直になれない自分を恥じた。
闇市の荒んだ雰囲気とは違う、ここにいり人間からは希望が感じられる。目を丸くして、忙しなく視線を動かしている

「くくっ、寂しくなった。その通りだよ
…私の口からこんな言葉が出るのは意外か?」

孤独に耐えられなくなった、仮初めの愛では満たされなくなった
男共に身体を差し出しても、愛が得られるのは一瞬いや、愛されてなどいなかったのかもしれない
体のいい欲望の受け皿としてしか見られて居なかった。今ではそう思う
この少女があそこに足を運ぶことはもうないだろう。あそこにいてはいつまでたっても真っ当な人間になれはしないのだから

「私は、ここに住みたい」

受け入れられるだろうか。そんな不安を頭に過ぎらせながら、口から言葉を出した
913 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 22:25:09.73 ID:L9CyIsaio
>>911
語彙力だけは認めてやらんでも無い、とアリシアの憤激の様子を見守っていると──胸に圧力がかかる
痛みはあるが、優越感が勝り口の端に勝利の笑みが溜まる。何だか初めてアリシアの上に立った気がする。
胸の存在意義の無さを含有した罵倒を受け流しつつも、やはりアリシア好きなんだな、と胸の揺さぶりを感じる。二重の意味で。

その時、時雨の懐から銀色の弾丸が零れ落ちた。聖遺骸を唯一破壊出来るという──件の拳銃の中身
これが無ければ時雨は暁月の研究、生産/破壊が出来ない。アリシアが徐に手に取ったそれは、将来この世界の命運を左右するかもしれない代物で
時雨の額にすう、と冷や汗が滲み出た。背中に蟠る熱い塊が四肢の末端めがけて駆け抜ける。時雨の表情が、少し翳った

「────つぅ……それは……まあいい。そうだ、冷蔵庫……でなくて保管庫に入っている聖遺骸を破壊することのできる唯一の武器だ
……暁月を受け取りにきたんだっけか。そうだ、ついでだ。ここでちょっと見てみるか?否────」

アリシアに弾丸を返す様にと、手を差し伸べて促した。もっともそれらしい言い訳を用いて、アリシアを懐柔しようとする
アリシアの興味は尽きることが無い。同じ研究者としてひしひしと伝わってくるのだ。都合が悪く無い限り──自分の研究欲を優先する人間だと

「……見たいんでしょ!?さ、早くそれ!!!」
914 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/27(月) 22:29:42.99 ID:DlF5HbrFO
>>912
「そりゃ、以外だね……」

飄々としているシャイナの事だから、寂しくなるなんて事はないかと思っていた。
先日の弱々しい姿も、酔っていたからとか、そんな事だろうと思っていて。
愛が欲しいと言っていたか、確か、そんなような事を言っていた気がする。

「ここに住みたいなら、住めば良いだろ。皆で共有している場なんだから、一人くらい増えたところで大した問題じゃない」

恐らく、人々はシャイナを受け入れてくれる事だろう。いや、そもそも一人増えた事事態に気づかないかもしれない。
それにしても、もうあんな寂れたところで過ごさずに済むシャイナに安堵したような。けれど、きっとそれも思い過ごし。
915 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/27(月) 22:31:06.28 ID:oE3U29zQ0
……魔獣、人間、月装、遺物……

【学校内の警備から外れ、残っている図書室に行く気も起きず】
【気分が晴れるだろうかと外を歩いてみたが、実際には疑問が募るばかりだった】
【エイルという少女は頭が働く方ではない。というのは不良じみた風貌通りであり、こういう事を考えても仕方ないのだが】
【だからといって、目の前の数多の疑問から目を逸らせる程無責任でもなかった】

……それで、焔装と、暁月……だったか?

【顎に手を当てたまま、段々と表情は険しくなる、歩幅も小さくなり、やがてふっと溜息を吐いて】

っだぁーっもう! やっぱりわかんねーよ……皆よく考えてるよなぁ……。

【自らが出会って来た人達。皆推論を持って事象に推察を立てていた】
【真似事のようにロジックを立ててみるが、やはりわからない。気が抜けたのか背中も丸まって、逆に頭の中では一つ結論が出来た】

一人じゃわかんねーな、うん。

【折角だ、見知った奴でも見たら話でも聞いてみようと目標をつけ、再度辺りに目を動かしながら歩いていく】
916 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/27(月) 22:42:52.04 ID:aKHnRwnT0
>>913

 時雨の焦りを彼女は見逃さなかったようで、鼻で笑うような態度を取りながら浴びせられた剣幕を受け流す。
 手に握るそれがこの世界においてどのような役割を担うのか、彼女は知っていた。
 故に刺激された知的好奇心と焦る時雨を見下す優越感は、彼女のほくそ笑みとなって現れていた――

「ふぅーん……まあ、将来的に見ればこれが無ければ私も困るのだろうな。
 その剣幕からすれば余程大切なものなのだろうし、折角握った弱味だが放してやろう」

 されど独善的な愉悦と研究欲は、彼女のちっぽけな正義感と巨大な研究欲に打ち克つことはかなわなかったようだ。
 焦りに由来する手汗の滲んだ時雨の手に、彼女は丁寧に弾丸を握らせる。そして再び、早く《暁月》を寄越せとばかりに掌を突き出した。
 ――以前にも見せた妥協である。彼女は必ずしも、自らの利潤のみを追求するわけではない。

「一個くらいくれてもいいんだぞー……研究用のサンプルとしてな、手荒なことはせんから」

 されどそれは必ずしもの話であって、やはり自らの研究欲は抑えられないもののようだった。
 彼女がふぅ、と息を吐けば、白い煙が不規則な奔流を生み、そしてぼやけて消える。
917 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/27(月) 22:46:33.94 ID:0fwHFo7c0
>>915
「焔装・・・・・・魔獣化を防ぐには、月装の開発者を・・・・・・」

ぶつぶつぶつと、疑問を呟きながら歩く痩せた少女
焔装は使う内に魔獣になる。それを防ぐには月装の開発者を探せばいい、と聞いたのは良いが
探すあてが何一つない。気分転換にと外をあるいてみるが、魔獣化は今も近づいてきている
そんな状況じゃ気分を変えることなんてまともにできず、結局ぶつぶつと呟いてしまう

そこへ丁度、自分と同じようになにやらぶつぶつと呟く少女が歩いてくる
ふと聞こえた台詞、『一人じゃわかんねーな』 そう結論を出したのは自分も同じで

「あ、あの・・・・・・」

足を止めて、目の前の少女に声をかける。
不良じみた容姿に嫌なことを思い出して、声が上手く出せなかったが聞き取るには十分なはず
918 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/27(月) 22:48:19.92 ID:GVXfdlmM0
>>905
「誰かと思えば────何時ぞやの焔装使いか」
「俺も俺なりにこの世界で生きてるのさ、この2度「絶望」した身を生き永らえせてもな」

後ろからやってきたイキシアに軽く挨拶をし、自分の持っていた資料「街の人口比率」を渡す。

「その内容は今の街の人口比率だ…誰が記録したかは知らないがな」
「それから分かる通り、ここには大人の人間が少なすぎる……俺はその状況に憂いているのさ」

そう言ってイキシアを正面に見据える。
その幾つかの傷を見て、少しだけ顔にシワがよる。

「フン……懐かしいな、そのような傷も」
「俺も…「人間」であった時は周りも考えずに傷つきながら暴れまわったな」

そして気だるそうに他の資料を整理し始める。
街の地図に廃墟なった場所や人間の本拠地などにマークをつけていく。

「……もうすぐ、終わるだろう…この地図の作業も」
「物好きな魔獣だろう?普通こんな事はしないように出来ているはずなのだがな」

//まだいらっしゃったら宜しくお願いします…
919 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/27(月) 22:49:18.45 ID:Hommvq5IO
>>914

「やはり、か…」

酒を始めたのは、寂しさを紛らわせる為。
愛を与えられないから、他の手段で自分を保つしかなかった。
その弱々しい姿が、少女の真の姿なのかもしれない。案外脆いのだ。

「そうか…私はここに住んでも良いのか。
ありがとう、崩月。
……では、私は荷物を取ってこようと思う。また後でな」


そう言って『死神』が居る、との噂が流れている学校のある方向へ駆け出す。
その少女のフードの下から覗く口元は、微かな微笑みを見せていた。

//眠気が来たのでこれで締めで
絡みありがとうございました。
920 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/27(月) 22:55:58.72 ID:oE3U29zQ0
>>917
――――ん?

【確かに小さな声量だったが、皮肉な事に現在物音ひとつしない世界だ】
【あるとすれば吹く風くらい。人の気配を僅かに感じれば疲労のは難しい事ではない】

……。

【知り合いではないが、こんな場所を一人で歩いているというだけである程度の検討はつく】
【それができる人間……戦える人間】

あんた、月装か? 焔装か?

【やけに細い足が気になった。足の色も併せて骨かと思える程の細身】
【第一声に意味はない。掠れたような声を向けられた理由もエイルはわかっていないが、大した問題じゃないだろうと頭の隅に置いておく事にした】
921 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 23:03:16.33 ID:L9CyIsaio
>>916
損得勘定でも研究者としては珍しい、利己主義に依るものでない損得勘定が出来るアリシア
時雨の濁り切っていた表情は、初めて言葉を交わした時と同じ様に、驚嘆を浮かべた
この女、口が悪いだけで中身は玲瓏な心の持ち主なのだろうか、とアリシアの目に注意する
暫くの間隙。口を小さく開けたままアリシアを見る時雨の表情が、何時の間にか間抜けなになっていた事に気がつき、慌てて視線を逸らした
彼女は気が付くだろうか。時雨の頬が少し紅潮していることに。恋情であるとかではない、自らを恥ているのだ
気まずい静寂を有耶無耶にしようと、弾丸を仕舞い、左手に持っていたままのカルピスの瓶の線を抜き、一気に喉に流し込んだ。甘い、とても甘い。

「……ん、ん……ぷはあ。……そう、か。アリシアは私より、ちょっとは優れてるんだよ。人間として
……とりあえずちょっと離れててくれ」

白衣のポケットから件の拳銃を取り出し、再び銀色の弾丸を取り出し装填。冷蔵庫を開けて聖遺骸を取り出す
時雨は聖遺骸、半壊した頭蓋骨の部分であるそれをデスクの上に置くと、銃口を半壊した頭蓋骨の頭頂部に向け

「──ッ!」

発砲音。一発。心地の良い音が研究室に響き渡った。ここまでは何時も通りである。
アリシアは刮目するだろう。聖遺骸の反抗が。弾丸が着弾する直前、同じ銀色の何かがほとばしっていた事に
そして──残ったのは半壊部分を更に抉られ、小さな断片を辺りにばら撒いたその姿。成功、の様だ。
922 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/27(月) 23:06:58.98 ID:0fwHFo7c0
>>920
一瞬の沈黙がやけに辛くて、変な汗が背筋を濡らす。なんでもない視線のはずなのに、睨まれている気がして体が縮こまる
魔獣は怖くないのに、ただの不良っぽい女子が怖いなんて自分でもおかしな話だと思うけど、怖い。

「は、はい!焔装使いです!」

返事の声は緊張のあまり軽く裏返って。
その声の不自然さを取り繕うように、少女は慌てて質問をする。

「えと、その、魔獣化を防ぐ、ために月装の開発者を探してるんですが・・・・・・何か知らないです、か」

途切れ途切れに、だんだん小さくなる声。不自然さを取り繕うことはできているはずもなく
923 :【崩月真夢】《人間》【有創無奏】 ◆C0h0UWNn2I [saga]:2014/10/27(月) 23:09:40.41 ID:DlF5HbrFO
>>919
/ありがとうございました!
924 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx :2014/10/27(月) 23:21:47.85 ID:A+EuyMtVO
>>921

「どうした馬鹿面浮かべて。何だ、私の顔にゴミでも付いてるのか」

 彼女の目は相も変わらず細められ、蒼くギラつき、三白眼である。逸れず真っ直ぐに、視線は時雨を貫く。
 慌てて視線を逸らす時雨の心情など知る由もなく、彼女は寧ろ気味の悪いものを覚えているようだ。
 例えるならば生野菜から蜚蠊が飛び出てきたような不快感が、そのまま顔に浮かんでいる。

「何だ何だァ……? 急にしおらしくなったじゃないか。気持ち悪いくらいだぞ。顔真っ赤だし、やはり貴様レズか。
 まあ、自らの過ちに漸く気付いたようだな。それだけでも随分と人格者だろう、うむ」

 感情をそのままに吐露する一通りの陳述を終えれば、彼女は時雨の指示に従って後退した。
 やがて放たれるのは火薬の炸裂する音と硝煙の香り――そして、もう一つ。それを見た彼女は、驚愕に眉を顰めた。

「……その砕けた破片が《暁月》か?
 いや、それ以前に……今の閃光は、何だ」

 ――マズルフラッシュではないぞ、と付け加える彼女にとって、今の興味は《暁月》ではないようだ。
925 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/27(月) 23:23:25.98 ID:X+2tXYsE0
>>918
「……たしかに、大人が少ないと色々と大変だ」

ひょいと渡された資料を受け取れば、こういった事は不慣れなのか簡単にぱらぱらと目を通すのみにとどめ置く。
持ち上げた足を机代わりにぺらりとめくりながら、何を思っているのか眉を顰めてみたりして。
所謂"難しい話"はあまり得意ではないようで。一応言葉は返すものの有意なものではないだろう。
スカヤからの視線に気付くと最初、何処を見ているものか分からず困惑したが、言葉で漸く得心がいく。

「あぁ、これね。人間の真似する魔獣にやられた……といっても、猿真似だろうけど」

そう言いながら左腕に視線をちらりと寄せる。しかし無関心とばかりにすぐ逸らせば、新たに向けられる先はスカヤの手元。
何をしているのか、と覗きこむようにしながらそれでも近づかないのはやはり、《魔獣》と《焔装》使いという関係故。

「普通じゃないね、うん。魔獣なら、襲いかかって来ればいいのに」
「だから、"今の"わたしにお前は殺せない……悔しいけどね、無理なんだ」

この言葉にどのような意味が込められているか、想像するはスカヤの自由。実際に込められているのは不便な焔装への苛立ちとそれから、湧きつつある情が一欠片。
幾ら魔獣と言えど、多少なりともマトモな会話を交わした相手。そう簡単に殺すと判断できないのは、少女が未だ人間である為なのか。

//お待たせしてしまいました。
//あまり長くは続かないかもしれませんが、宜しくお願いしますー
926 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/27(月) 23:23:46.94 ID:oE3U29zQ0
>>922
……んー?

【焔装使い、ときたものだ】
【その割にはやけに縮こまっているというか、なんというか】【自信なさげに見える】
【本来焔装と言えば、周りから頼られたり……偶に愚痴みたいな、半ば僻みのような言葉を返される事もあるが】

そっか、あたしも焔装使いなんだ。
あんた、名前は? ……あたしはエイルっつうんだ。

【焔装、そこに僅かながらの親近感にも似た境遇を感じて】【頬を緩める】
【はにかむような笑みを作り、手を差し出して握手を求める】

魔獣化を……防げるのかなー……。

【こう、何も考えず思ったことが口に出るような、大雑把な性格の為怖がらせてしまうのだが】
927 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/27(月) 23:37:19.63 ID:0fwHFo7c0
>>926
「はい、私は、霧桐舞、といいます・・・・・・」

一々はいと返事をしてしまうのも、エイルに対する恐怖の現れ
少女も確かに皆に頼られる焔装使い、けれども過去のトラウマが大きすぎた

差し出された手、恐る恐る握り返し、ぎこちなくだが自分の頬も緩む

「ふ、防げるはずです!
 出ないと、私は、私たちはどうしようもないじゃないですか・・・・・・」

防げると確定したわけじゃない、自分の中でごまかしてきたが、もしもという考えは確かにあった
それを口に出されてしまえば、押え付けていた不安があふれて、涙声になって外に出る

//何時まで大丈夫でしょうか?
//私は2時〜3時までなら大丈夫です
928 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/27(月) 23:37:25.01 ID:L9CyIsaio
>>924
先日迄、月装は自分の問題だとばかり思っていた。月装強化は悲願だったのだ。
他人の力は借りたくない、否、借りても自分より優秀な筈が無いのだから、と自らの矜恃を守る傲慢さが、最近まで自分の中にあったのだ
人類の危機を救うのは自分だ、自分でしか成せない。そうである筈だ、そうでなければならない。畢竟、功績を独占したかったのだ。

「ああ、私の器の小ささが──な。表に出る機会を伺っていただとか、そんなの言い訳に過ぎないのだよな
もっと早い段階でお前に出会えていたら……暁月も早く解析出来ていたのかもしれないのに」

聖遺骸の周囲には刹那垣間見えた銀色の飛沫の残滓が、粒子となり輝きを放ちながら宙を漂っている
アリシアが言う様に、これは普通起こる現象ではない、と時雨は説明を始めた

「おそらく、月装を作成するのも同じ要領だったのだろう──アリシアが言う様に、この断片こそが暁月の原料であり月装の原料。
ただしこの大きさでは何の力の足しにもならん。暁月に昇華させるためには私の増やす力が必要なんだ
お前なら思うだろう。聖遺骸は能力の影響を受けない、と。先程の迸りを思い出してくれ
あの銀色の迸り──あれは聖遺骸の隔絶する能力を無理矢理に打ち消したんだ……銀色の弾丸と、拳銃によってな」

デスクの上に散らばった断片の一つを取り上げて、小瓶の中に入れ、アリシアに空になった拳銃とともに手渡した
小瓶の中の断片は、アリシアが欲すればその形になるだろう、と付け加えて
929 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/27(月) 23:42:31.78 ID:GVXfdlmM0
>>925
「………大人がいなければ、誰がお前等若者を支えられるんだ?」
「年長者は舐めるべきではない、知識や経験、技術は間違いなくお前等の上だ」
「そう言いたいことさ、分かったか?」

彼女には資料を見せても分からなさそうな顔をされたので、なるべく分かりやすく説明する。
確かに彼等は育った時から劣悪な環境にいたのかもしれない。そうならば、学習する間もなく戦いに狩り出されているのも不自然ではない。

「確かに普通ではない……ここまで人間の時の記憶を思い出していて且つこんならしくない行動をする魔獣は俺も見たことはない」
「俺が願うのは「希望」を忘れない人間が勝つことだ……「絶望」にまみれて人間にも戻れずにいる魔獣は本来いるべき存在ではない」

そして何を思い出したか、腕を捲り上げる。そこには嘗てスカヤが焔装使いである事を証明できる焔装使いによく見かける文様であった。

「これを見れば分かると思うが……俺は元焔装使いだ」
「悩みがあるなら言ってみろ、少しは俺も助言できるかもしれん」
930 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/27(月) 23:52:42.80 ID:oE3U29zQ0
>>927
じゃあ舞で、よろしく……っていきたい所だけどよ。
もうちょっとシャキっとしろって。そんな様子じゃ仕方ないだろ?

【未だに小さく縮こまったような様子が気になったのか、軽い調子で返事を返す】
【エイルからは敵意は全くないのだが、風貌といい、やや乱暴な言葉使いといいそれから伝わるかどうか】

――っあー、えっと、だな……。

【たどたどしく感じるような涙声。それを聞いてから思わずしまった、と顔を顰める】
【宙へと目を左右へと動かし頬を人差し指で書いて誤魔化すような一言を考えて】

あたし、あんま頭良くないからちょっとわかんななくてよ……場所は、しってるけども。
今は忙しいんじゃねーかなー……。

【無責任に絶対治るなんていえないし、かといって逆も言えない】
【結局誤魔化すようなその場しのぎにしからない一言に逃げるしかなった】

/こっちは1時くらいまでは大丈夫かと!
931 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/27(月) 23:57:57.93 ID:SyQFsOmKO
>>928

「なるほどな……そういうわけか。
 まあ、お誉めに預かり実に光栄だ――一応言っておくが、本当に器の小さい人間は自分の過ちを恥じたとして謝ったりできんよ。
 何はともあれ、実績を挙げたのは貴様だ。必要以上に自分を卑下しないほうがいい」

 時雨の解説を把握した彼女はそれに応ずると同時に、自らを戒める時雨へと、指摘――彼女なりの慰めだろうか――を行う。
 ふ、と緊張に由来する力を抜いた彼女の表情は、打って変わって友人と話しているような気楽さすら滲むようだった。
 小瓶を手渡されればしっかりとそれを握り締め、《月装》がある懐に仕舞う。痩せこけ汚れた、しかし青白い彼女の手。

「欲すれば……か。ああ、その時まで大切に持っておくさ」

「しかし、なぜこの銀弾だけが聖遺骸の能力を打ち消すのやら――そもそも、こいつの由来はどこからだ?
 この拳銃自体には、変わったところも神聖性もなさそうだが……」

 そして《暁月》を受け取り終えれば、彼女は再び思考の海へと飛び込むのだった。
 彼女が求める答えを、時雨は知っているだろうか。
932 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/28(火) 00:06:09.18 ID:qbU2xC1u0
>>930
「ご、ごめんなさい!」

縮まる猫背を無理やり伸ばしてぺこりと。
腰が低くて全然しゃきっとできていないけど、エイルを怖がる必要はないとだんだん思い始めたようで
はい、と返事をする癖はいつの間にか抜けていた

「居場所を知ってるんですか!?
 お願いします、今は忙しくてもいいんです、教えてください!」

誤魔化しもその場しのぎも、取り乱す少女には効果抜群
あっさりと話に食いつき、教えてくれと叫ぶ
933 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/28(火) 00:12:19.77 ID:Wxg39vL5o
>>931
どうだかな、とアリシアの言葉に自嘲を含みつつ、笑みを零したのは、アリシアの擁護は嬉しかったからだろう
時雨の中で、しかし本当に暁月は自分の功績として良いのか、という言葉が、喉に引っかかって出てこなかった
幾ら他人に認められ様と、自分は何もしていないのでは無いのか──彼女の目を見据えて、申し訳無さが自嘲の笑みが苦笑いに変わっていく

「暁月と焔装。この二つの力があれば夜をどうにかできると──私は信じている
焔装も行く行くは……覚醒は出来なくとも、せめて夜に堕ちるのを防ぎたい……切に思うんだ……そう……」

切に。時雨の言葉がやけに重かった。苦笑いでさえも、何時の間にか時雨の表情から消え去っていて
黒の双眸に映えるアリシアの表情はどんな気色を見せるだろうか、時雨を尚も慰めるのか、女々しさに苛立ちを覚えるのか

「分からない。少なくとも、私があずかり知らない物であることは確か……その拳銃、なんだか使い心地が悪くて嫌いなのだけれども、銀色の弾丸はその拳銃しか受け付けないみたい
聖遺骸こそ、何故夜を拒否し、私達には反応しないのか──それどころか、力を与えるんだろうかな
聖遺骸に意思でもあるのか……あーもう!分からん!!!!」

時雨は書類の海に身を投じた。ばふん、と言う音と共にうげ、と呻き声がアリシアの耳に届くだろう
普段の脳味噌緩々の姿に戻ってしまった時雨は、書類の上をゴロゴロと右往左往だ
934 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/28(火) 00:13:33.90 ID:Ns9gSLfS0
>>929
「なんとなく分かったよ、どう大変なのか。……どうにも出来ないんじゃ、分かっても意味がない気がするけどね」

都市を囲うようにして存在する《夜》がある限りは、物資も人材も情報も全て、今ここにあるものだけしか手に入らないのだから。
だから意味がないと少女は言う。しかし果たしてそうなのか、言い切るには情報が少なすぎて。
理解しきれぬままに流し読んでいた資料を投げて返すと、疲れたとばかりに頭を右手でひとつ掻いた。

「……でも、結局、お前は魔獣なんだよ。希望なんて、無いこともないけど……わたしの中では、絶望には敵わない」

なれば、絶望を受け入れて希望を手放そうとしている自分は、魔獣なのか。
考えてはいけないと思えば思う程に、噎せ返るように辛くなるのは何故なのか。

「……、じゃあ、ひとつだけ」
「魔獣にならずに死ぬには、どうしたら良いのかな。死ぬのは良いけど、魔獣にはどうしても、なりたくはないんだ」

目前に意思ある魔獣がいながら、そうなりたくないと言うのは中々に失礼であるのだが、相手が普通でないのだから良いと判断したのか。
スカヤの言葉を受けて、やや躊躇ってからの発言。それを口にする少女の様子からして、至極真っ当に悩んでいるようだった。
935 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/28(火) 00:21:53.75 ID:R7aZ0jOU0
>>932
いや、謝れっつってる訳じゃねえし、謝られても困るんだけどよ……。

【頭を下げられれば浮かぶのは冷や汗。こう行動してくるとは思っておらず、僅かに静止した後】
【雰囲気は幾分か柔らかくなったように見えて、とりあえずは安心、なのだが】

というか、何で謝るんだよ。んな事しないでいいって。

【と、あくまで気楽に接するように、と口にした訳ではないが雰囲気はこんな感じ】
【別段目つきが鋭い、という事もない。ただ風貌が一昔前のテンプレートを思わせるだけだ】

お、おう……そんな食いつくなよ。

【居場所を教えるのはいいんだが……この様子だと、駆け込みにいかないばかりだ】
【いや、自分で知るのはいいんだが、気がかりが何個もある。さっきの不安そうなそぶりに】
【……細い脚。このまま素直に教えて良い物か】

なあ、舞。一応聞くけどよ……お前、研究所にいってどうするつもりなんだ?
936 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/28(火) 00:31:16.03 ID:Kbfaoeth0
>>934
「そうだ、俺は魔獣だ」
「魔獣になったせいで暫く自分の記憶なんざ失ってたが、君と会った際に全て思い出してしまったからな……俺もなりたくてなったわけではないが、あの結末ならなっても仕方ないと今になって思う」

思い出して自分の役目を感じたら最後、既にスカヤは何も考えずに魔獣的思考で行動する事は出来なかった。もうこの身は「絶望」しながらも未だ人間の救済を夢見る出来損ないなのである。
そしてイキシアから問われたのは「魔獣になることへの恐怖」と「この世に希望を見つけられない」ということだった。

「なってしまった俺が言うのも難だが……強いて言うならば、今この瞬間に俺に殺されるもしくは自[ピーーー]る…それくらいか?」
「焔装を使い続けていれば勿論魔獣になるスピードは加速する、使わないでいても惨劇を目の当たりにしてしまえば自ずと絶望してしまうのは当然だ」

魔獣になるのは能力を持つ人間だけではなく、ただの人間にも資格はある。「絶望」する……それだけでここまでの異形に人間が変質してしまうと言うのだから全くもってお笑いだと嘲笑する。

「あとあるならば───諦めない事と協力、信頼の念だ」
「孤独に戦うよりも何倍も何十倍も心の励みになれる、たとえ仲間と合わない能力でも、協力できていれば……俺もこんな姿になってまで生きることも無かっただろう」
937 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/28(火) 00:32:40.17 ID:59i1Fr1lO
>>933

 深い哀しみと無力さを体現する時雨に対して彼女が取った行動は、沈黙であった。
 同じようにどこか物憂げで、あらぬ所を見つめるような――そんな表情を浮かべて、彼女は押し黙る。
 放った質問に時雨が返答して、漸く彼女は口を開いた。

「さぁな……こいつは実は『夜』の屍なんじゃあないかとも考えたが、しかし荒唐無稽に過ぎる。
 いずれにせよ、今私たちにできることは、《月装》と《焔装》及び、《暁月》の研究だろう」

 ――そして言い終えれば、その喉奥から響くのは静かな笑いであった。くつくつと、陰気に。
 結ばれた唇は、再び解かれる。その微笑に宿るのは、泰然とした剛毅さと飢餓状態の知識欲。

「いやしかし、《夜》に落ちさせない……くくっ、奇遇だな。いや、然るべきか。
 私も、最近はずっとそればかり考えている。そしてようやく、それらしき答えを出した所だ――時雨」

 書類の上でもがく一人の研究者を、彼女はびしりと指差して――そして、始めて名前で呼ぶ。

「一つ聞いておこう。本当に焔装機構と月装は、酷似しているものなのだな?」

 はっきりとした、声だった。
 自らの論理における最後の裏付け――彼女は、それを獲得しようとしていた。
938 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/28(火) 00:34:23.75 ID:qbU2xC1u0
>>935
「あやまるのは・・・・・・その、癖で・・・・・・
ごめんなさ・・・あ、また」

夜が来る前、クラスメイトに両親に虐げられていた頃についてしまった謝り癖
いまさら治るものでもなく、それに
目の前の少女の姿がかつて自分を殴りつけた人に似ていて、違うと分かっていても口がごめんなさいと動いてしまう

「だって、早くしないと私は・・・・・・」

自分がいつ魔獣になるかわからない、そんな状況で希望になりえる情報を差し出されれば食いつくのも当然
なにせ、自分の人生がかかっているのだから

「どうする、って・・・・・・
 考えてなかったんですけど、とりあえず話を聞くと思います」
939 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/28(火) 00:43:25.68 ID:R7aZ0jOU0
>>938
謝るのが癖って……いやまあ、詳しくは聞かないけどよ。
ここでんな事しなくてもいいんだって。胸張って生きてる方が気楽だぜ?
今じゃそうでもしないと変になっちまう奴ばかりだ。

【そんな少女のトラウマの具現等と露知らず】
【ただ、そこで深く踏み込んで、正義面するような愚か者でもなかった】
【エイルの言葉も励ましというよりかは、更に一人、知った仲間が減るのが嫌だという意味の方が強かった】

【――早くしないと】
【これが普通の発想だ。むしろここまで落ち着いているエイルが周りに比べれば異常】
【それを見て、何も言えなかった。気持ちが分かるかrだ……エイルだって、死にたい訳じゃない】

……もし、それで駄目だ、できないっていわれたらどうするんだよ、お前。

【再確認だ。もし今のように、軽い返事を返されたら、舞はどうする? と】
【エイルのできる事は、こうやって誰かを止める事くらいだ。だから……】
940 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/28(火) 00:45:06.74 ID:Wxg39vL5o
>>937
夜の屍。その節も考えた事は有るが、そうだとしたら夜を拒む理由が見当たらない
聖遺骸の存在理由【レゾンデートル】とは結局何なのか。堆積する謎に頭の中は既にキャパオーバーだった
カルピスの原液を二本も飲み干した所為か、頭が冴えに冴えている。相反して、理解不可能の範疇に有る謎を解こうとしているのも事実
アリシアの言う通り、今自分達が出来る最高のことをやればいいかと結論付て右往左往をやめた

「……?」

突然の奇妙な含み笑いに、時雨は改めて座り直して、小首を傾げた。何か面白いものでも見たか。
そんなに胸が回る様が面白かったのかな、自分にないから目新しいと面白いんだろう。きっと。
初めて名前で呼ばれて、首筋が痒い様な気もしたが、自分もじっと見つめたりしてかなりあれだったろう

「……そうだな。焔装機構は内側に存在している。月装は外側に存在する焔装機構と言ってしまっても過言ではない
ただし焔装機構は体内に直接存在しているので、燃料である負の感情の供給が素早く、尚且つ広範囲、高威力で能力を発現できる
その分では月装というのは劣っているんだ」
941 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/28(火) 00:53:32.59 ID:Ns9gSLfS0
>>936
「わたしと会った時って……あぁ、あれか。……やっぱり、なりたくなくても、なっちゃうんだ」

考える。ただの人間でさえ魔獣になってしまうこの現状の中で、今ここで殺されて本当に魔獣にならず死ねるのかどうか。
これだけは、確信を持てないままに行動したくなかった。曖昧なままにしておきたくは、なかった。
伏目して暫くの沈黙。導き出す答えは、ひとつ。

「わたしを"わたし"のままで殺してくれるならそれも大歓迎なんだけどね、確証が持てないのは、嫌だ」
「それに……仲間は、つくりたくないんだ。わたしの力を見れば皆きっと驚くし、軽蔑するだろうから」

傷付くと分かっているのなら、最初から馴れ合わなければいい。焔装を発現してからの少女はそれを根幹に、孤独を貫いてきた。
しかしそれを、形は違えど否定されては、なんと返そうか迷ったもので。
魔獣相手にわざわざ自身の能力を曝け出す事は出来ず、どうしたものかと言葉に悩んだ末に出たのは、曖昧に暈した応え。

「魔獣にならずに済む希望は、あるんだ。途方もなさすぎて、笑われるんだろうけど」
942 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/28(火) 01:06:09.73 ID:59i1Fr1lO
>>940

「なるほど、把握した……やはり、私は正しかった。
 今はっきりしたよ。前言撤回だ。時雨の友人――《月装》の開発者を見つけるのが、今の私たちがすべきことだ」

 その答えを求めていた、とばかりに彼女は笑う。黒縁眼鏡のフレームが、妖しく煌めく。
 びしり、彼女は人差し指を突き出した。無造作に資料を拾い上げて、ぐるぐると部屋の中を歩き始める。
 彼女の口からは、淀みなく言葉が紡がれていった――

「恐らく時雨は知っているだろうが、《焔装》使いが《魔獣》に落ちる理由は『焔装機構の磨耗』に他ならない。
 しかし、聞いてみれば《焔装》は《月装》と極めて類似しているというじゃないか――」

 そこまで言い終えれば彼女は歩くことをやめ、身体を翻して再び時雨を指差す。
 にやりと浮かんだ悪徳な笑み、眼鏡の奥の蒼くギラついた双眸。

「――もう一つ質問だ、時雨。
 専門家の君の意見が聞きたい。然るべき手段で磨耗した焔装機構を体外に摘出したとしたら、
 あたかも臓器移植を行うように《月装》をその代替とすることは、可能か?」
943 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/28(火) 01:13:44.76 ID:qbU2xC1u0
>>939
「それは分かってるんです・・・・・・
でも、どうしようもなく刷り込まれてしまったから・・・・・・」

諦めているわけじゃない、自分でも悪い癖だと分かっている
が、今までの人生全ての時間で刷り込まれた癖、いろんな人に焔装使いとして頼られる今も直せない

「できない・・・・・・なら」

考えたことがなかった、いや、考えないようにしていたこと

「ま、また別の方法を探します・・・・・・
 このまま魔獣になるなんて、絶対に嫌ですから・・・・・・」

うつろな目、声で少女は答える、が
もし本当に不可能だといわれてしまったら、少女がどんな行動を起こすかは少女にも想像が付かない
・・・・・・最悪、自ら命を絶つか、暴れだしてしまう。今の少女の様子を見れば、それも十二分にありうる
944 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/28(火) 01:24:35.04 ID:Wxg39vL5o
>>942
月装開発者。私の友人。アリシアは知っているだろうか。この研究室の横には、大量の熊の人形が串刺しになって佇んでいる
その中に一つ、無傷のクマの写真立てがある。そこにあるのは二人の写真。焔装機構の劣化に身を蝕まれ、消えた少女とのツーショット。
アリシアの言葉が胸の中に居座った。耳に入ってくるアリシアの声が、胸の中に居座る何かを刺激する
時雨は口を噤んだ。先刻の夢。思い出すたびに後悔が胸を穿ち、私の頭に孤独の二文字を木霊させる。

「──私達"三人"は……そうか、うん。そうだよな。私も会いたい……会いたいが……」

消息不明。この都市の外周は年々削られている。尚且つ、然程広くない土地の筈だ。それならば、もうとっくに見つかっていてもおかしくない筈なのに
見つかっていないということは──不穏な感情など、とうの昔に感じ取っては嘆き、忘却に追いやろうと必死に努力しても後悔は頭から離れない
時雨の周りを歩くアリシアの言葉に、会いたいが、と希望を含めつつ、アリシアが呈する目標自体を否定する時雨は諦観染みた目で、アリシアを見ていた

「──恐らく無理だ。それが出来たとしたら、もうとっくの昔にやっているだろう。焔装機構は既に身体の一部分だからな
体外に摘出出来たとしても、身体の重要な部分がかけるに等しいんだ、それが指す意味、分かるよな?
人間の脳に様々な機構があるような物だ。焔装機構とは最早その人間の身体の一部分、生に必要な物
ただその考えは面白いと思う。形を変えて行うことが出来たのなら、な」
945 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/28(火) 01:27:49.57 ID:R7aZ0jOU0
>>943
じゃ、これからあたしとあう時は謝るなって事で!
そんなうじうじするのもやめることにして、徐々に慣らしていこうぜ!

【エイルという少女はやや世話焼きな所というか、お節介をかける時があり、今もその一つ】
【それのせいで変な約束を一方的に取りつける。取りつけたつもりになっているだけで、拒絶の意思を示せばそれも意味はないのだが】

……じゃ、あたしが聞いてくるっつーのはどうだ?
ちょっと用事もあったんだ。だから丁度いいしな。
――それに、なおせなくてもそれまでに戦いを終わらせればいいんだって!
暁月? だったか、新しい武器もできたみたいだしよ、これで前よりはよくなるし……あたしはよくわかんないけど、敵の事も分かってきた来たみたいでよ。

だから――まあそんな心配するなって、いざって時は……いや、大口叩けはしねえけど。
まあ、代わり位はやってやるからよ。

【次々と言葉をうつ。希望にあふれた前向き思考。ある意味では夢物語と一蹴されかねない内容の言葉】
【それら全ては慰める為にいった訳でもなく、エイル自身もこうならいいのにと思っての事】
【今の少女が、舞がとても不安定に見えた……あの足みたいに、ぽっきりと折れてしまいそうに】

……てゆーか、お前足細くねーか?
ちゃんと食べてるのかよ? ……まあ、そんな食べられる状況でもねーけどよ

946 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/28(火) 01:40:50.29 ID:qbU2xC1u0
>>945
「う、うん・・・・・・その、がんばる」

やや強引な約束。でも悪い気分じゃない。自信はないけど、少女は快く承諾する。
最初に会った警戒心も恐怖もいまはすっかり消えて、少し照れ気味だけれど、今は自然な笑顔すら見せられるようになっていた

「いいの?・・・・・・
じゃあ、その、お願いするね。」

根拠のない夢物語だとしても、本気の希望が込められた言葉は聞くと自分まで希望が湧いてくる。
何一つ状況が変わったわけじゃないし、不安も消えないけど、少し気は楽になった。

「うん、そうだよね。早く全部やっつけちゃえばいいんだ!」

だから慣れないけど、自分もその前向き思考に乗っかってみる

「今はちゃんと食べてるよ
・・・・・・昔に、ちょっとね。いろいろ有ったんだ」
947 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/28(火) 01:47:48.09 ID:R7aZ0jOU0
>>946
そうそう、その意気。

【自然に見える笑顔を見れば、安心したような表情を見せて、よかったと笑みを零しながら】
【それと同じく、恐怖も、警戒心もない姿で返す】

本当に食べてるのかよ……そうだ、配給でも貰いにいこうぜ。
一人で食うより二人の方がいいって昔からいうだろ? だから一緒に食べて色々話すか! な?

【肩へと手を回して、な? と人の良い笑みのまま、強引に配給を貰おうと誘いに行く】
【今は明るい笑みを見せてくれているが、やはり昔に会ったと暈す細い足は気になる】
【そう思えば、それを見る意味でも、一緒にご飯を食べるのも悪くないと思った……まあ、これも断られればそれまで、だけど】
948 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/10/28(火) 01:53:16.54 ID:59i1Fr1lO
>>944
「三人……か。しかし、開発者は今だに我々に《月装》を提供し続けているのだろう?
 本来ならば活動限界をとうに超えているはずなのに――何らかの延命手段を手に入れていることは、明白ではないだろうか」

 時雨の孤独、時雨の背負った過去を、彼女は知らない。しかし、時雨が過去に苛まれた重荷を背負っているのは、アリシアにも理解できた。
 それ故に、彼女は自らの論理上の考察に基づいた客観的意見を述べるだけであった。感情に訴える慰めも同情も、必要はない。

「ふむ、なるほどな……やはり一筋縄ではいかないか。
 となれば個人の生体データを予め《月装》側にコピーし、適用させたものを移植する……といった形か、いやそれならば人工心肺などに相当するものを用意する必要もあるか。
 いずれにせよより検証を進めた上での、更に別の視点からのアプローチが必要だろうな」

 諦観を以って自らの仮説を否定されても、彼女は小さな溜め息以上の落胆を示す様子はない。
 そして時雨の慚愧の念を晴らす方法は、彼女の友人が生きていることを証明することだけだった。
 ならば、アリシアに残された選択肢というのは、そう多くない――

「そこで、提案がある。この研究所、私にも利用させてはくれないか?
 いや、正確には泊まり込みで色々とやらせてくれ。あのオンボロバラック小屋でできることは限られているんだ。
 破損したCTスキャナーだとか、ガラクタ同然ではあるが幾らか提供できそうなものもある――どうだろうか」

 ――そして彼女は、只管に前へ進むことを選んだ。
949 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/28(火) 02:01:28.87 ID:qbU2xC1u0
>>947
「・・・・・・初めてで、そのつまらないかもですが・・・・・・
よければ、私も一緒がいいです・・・・・・」

誰かに誘われるのなんて、初めてで、照れくさくて、嬉しくて、顔が真っ赤になる
肩へ回される手も暖かくてすごく心地がいい
こういう人を友達とよぶのかなぁ、とふと思った。

そうして二人で配給を貰い、一緒に色々と話すのだろう
もしも少女のやせた体が気になるのなら、少女が虐待を受けていたこと、虐められていた事
それをぼかしながらだが教えてくれるだろう

//一時間も伸びて申し訳ない・・・・・・霧がいいのでここらで〆で!
//おつかれさまでしたー
950 :エイル ◆Ipx2yTTnb6 [saga]:2014/10/28(火) 02:02:46.56 ID:R7aZ0jOU0
>>949
はい、ありがとうございました!!
951 :イキシア ◆/0pZFy5fJk [sagesaga]:2014/10/28(火) 02:10:23.65 ID:Ns9gSLfS0
>>936>>941
「それじゃ、そろそろわたしは帰るよ。魔獣相手に、こんな事を言うのはどうかと思うけど……ありがと、悩みを言えただけでも、だいぶ楽になれた」
「わたしの希望は、わたしでは叶えられないけど……できる人の助けになるってのは、悪くないのかもね」

そして、今暫くの躊躇い。これは言っても良いものか、ひどく悩んだけれど。

「……もし。もし、仮に、わたしが本当に絶望したら。その時は、殺してくれると、嬉しい……かな」

言ってしまってから、言い表しようのない後悔が押し寄せてくる。
それを無理矢理忘れるためにくるりと背を向け、その場から離れる為に動く足は次第に性急さを増して。
気付けば全力で駆けていて、疲れを感じて立ち止まれば魔獣と言葉を交わした廃墟は既に遠く。


疲れた身体を休めるように腿に手をつき前屈みになれば、自然と浮かび上がるのは自嘲の笑み。額に小さく浮かぶ汗は、表情の歪に沿ってつうと地面へ伝落ちる。

「は、は……っ。何、言ってんだろ、わたし」
「相手は、魔獣だ……情なんて、いらない。あったら、いけないのに、なんで」

––––––なんで、こんなに、殺したくなくなってしまうのか。
これ以上考えてはいけないと、頭と心が警告を発する。ずきりとした痛みは突き刺さるように深くへ響いて。

「……、……もう、帰って、寝よう」

わざとらしい思考の切り替えをひとつして、少女は平静を取り戻す。それでも普段の少女に戻りきれないのは、心の揺れがそれ程に大きいという事。
魔獣と人間の間を彷徨う少女は今日もまた、"人間のような魔獣"によって考えを揺れ動かされたのだった。

//寝落ちしてしまいましたでしょうか?そろそろ限界なので、強引ですが締めさせていただきますね。
//こちらの反応がいちいち遅かったばかりに、申し訳ありません。お疲れ様でした。
952 :虚空蔵谷 時雨 :2014/10/28(火) 02:14:58.19 ID:Wxg39vL5o
>>948
月装を給する人間であるからこそ隠密行動に徹し、夜から逃れているのか。確かにそれならあるかもしれない
だが、如何なる希望的観測にしても、時雨の中では無意味なものだった。
アリシアの発言は全て現時点での理想論。だが、理想論だからこそ、今の我々には必要なのだ
絶望の元に足掻くよりも、希望の旗を振り続けた方がいい。時雨は立ち上がり、教室奥、シャワールームへと踵を返した
半ばアリシアの発言を蔑ろにしながら、しかし確とその脳味噌に焼き付けて、欠伸を一つ、ついた

「まあ、焔装と月装は相反する存在でもあるのよ。単純な能力の削除であれば、焔装能力者に月装を渡せばいいだけだけど
焔装を身体の外に持ち出すのはまず不可能。貴方には期待してるけれども、出来たとしてもそれは──」

夜との対峙が終われば能力は消えるのだろうか、一抹の不安感というか、微妙な感情に襲われた
アリシアの言葉に立ち止まる。泊まり込みでここを使わせろとの申し出。時雨はアリシアに背中を見せて、その裏でいやらしい笑みを浮かべた
しかし声音には出さず、飽くまで冷静な振りをして。実際は狂喜乱舞寝ている時どんな嫌がらせをしてやろうかと──

「勝手になさいな。私と一緒に生活するってことはつまり──どういうことになるか
常に貞操の危機を感じて恐れ戦き寝れない夜が続く。ついでに私が全裸になったまま彷徨いてても怒らないで、お願いします
……私も、できることは一杯協力するから。一緒に、そう今度こそ一緒に、頑張ろう」

今度こそ一緒。今迄の後悔を晴らす様に、振り返り様の時雨の表情は燦然と輝く、今は亡き太陽の様な明るい笑み
アリシアに微笑みかける時雨は何時も以上に──ご機嫌だった

/とりあえず〆で!長時間お疲れ様でした!
953 :アリシア・P・シノット ◆w46sJzDLAPZx [saga sage]:2014/10/28(火) 02:41:02.56 ID:59i1Fr1lO
>>952

 理想に基づいた自らの発言は、やはり慰めにしかならないのではないか――彼女自身、そう思っていたのかもしれない。
 だが、彼女にできることはそれだけだった。黒洞々たる暗黒の中に煌めく一筋の光明――それが例え幻想だとしても、掴もうとしないことは彼女の敗北に他ならなかった。
 不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる。彼女はそれを信じている。
 それ故に、彼女の表情は毅然としたものだった。真一文字に結ばれた唇は、けして苦痛にも後悔にも歪むことはないだろう。

「そうか……だが私は、ライト兄弟かジョージ・ガモフにでもなってみせるぞ。
 精々吠え面かくなよ……十分な資材があれば、私は万人が満足の行く結果を出してやる」

 自説に立ちはだかる、無数の技術的限界。しかし、それでも彼女は、立ち止まらないことを選ぶ。
 壁は幾らでもあった――そして、それらは全てブレイクスルーされるために存在していた。
 それが、技術者としてのアリシアの矜恃に他ならなかった。

「ほーう、では私も相応の対策を打たねばな。いささか過激な黒板消し落としでもやってやろうか、ん?
 まあ、仲良くやろうじゃないか――これが『たった一つの冴えたやりかた』だ」

 冗談めかして語り、微笑む時雨の顔を見れば――彼女は同じように、微笑みを返した。
 そして自らの口に咥えたタバコの火がいつの間にか消えていることに気付いて、器用に舌打ちをした後再着火。
 はぁ、と溜め息を吐きながら、彼女は久しぶりの引っ越しを行うために、研究所を後にした。

/お疲れさまでしたー! やたらと長くなって要領を得ず、申し訳ない……。
/深夜帯までのお付き合い、ありがとうございました!
954 :スカヤ ◆LDvlEW/eDs :2014/10/28(火) 05:59:33.41 ID:Kbfaoeth0
>>941
「まあ…貴重な戦力をむざむざと殺させる人間なんているわけないだろう」
「戦える人間は他人よりも生かされるのがオチだ、それに焔装使いなら…尚更その推しは強いだろうよ」

おおよそ応接室から持ってきただろう、無駄に反発しないソファに腰掛け、誰かの荷物だっただろう少量の菓子を齧る。

「───さて、お前はそろそろ油を売らずにとっとと外に出た方が良さそうだ」
「魔獣と人間が交流なんてしていたらお前が「人間」に殺されてしまうかもしれん」

スカヤはイキシアが部屋に入ってきた戸口を指差し、早く行けと急かす。
自分に他意は無いが、他の人間に怪しまれるのは極力避けたいからであって。

「一番良いのは生き抜く事だ、でなければ今まで自分が喰らった魂に申し訳がない」

そして、何かを思い出したかのようにとあるメモをイキシアに渡す。

「取り敢えず、だ。あまりに気にしなくても良いが…俺の週の出現場所だ」
「その日ごとに俺は街をブラブラしている、魔獣について聞きたかったらそこで聞け」
「そして俺はお前のように人間に協力を組むことは出来ない、この身が証明している」
「後は…なるべく焔装を使わずに生きていく上では護身術も必要だろう、戦おうとは思わないが、護身術をなら施す事も可能だ」
「まだその人生は終わっちゃいない。もう諦めるなんて人間らしくないと思わないか?」

//イキシアさん、遅れて申し訳ありませんでした…!
955 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/28(火) 21:23:21.80 ID:9EveheGvo
 小学校自治会付近。ボロ布をローブのように被る男が、配布所から出てくるを姿見てこっそり近づいた。

「そこの子ども。配給を貰ってきてくれないか。頼まれてくれるな?」

 人間の子供に話しかけるのは、怪我で顔中がねじれた男だ。
 醜悪顔の男に子供怯えながらうなずいた。その顔を配給所に晒すのは辛い。お互いに。
 そう感じ取れる純粋なこころをまだ残していた子供だった。急いで配布所に行ってくれた。

「ありがとう。見る方も辛ければ、晒す方も気持ちよくはないものだ。
 金の価値がない世界だが、こんなものしかくれてやれない」

 それは色とりどりのきらめきを放つ宝石の花束。見た目は美しいし芸術品としてもいくらかの価値はあろう。
 だがこの世界では食糧や衣服、住居に変えるほどではない。それを子供は笑顔で受け取り去って行った。

「……馬鹿な子。その情が人間の食糧をさらに疲弊させる作戦だとも気づかずに」
956 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/28(火) 22:05:04.20 ID:tQViDdL20
>>955
その子供とすれ違うように、上はあからさまにぼろの外套一枚、下もあちこち破れたジーンズを履いた男が配給所から出てくる。
すれ違う子供の持つ明らかに場違いな物品に眼をやりながら、然しその興味もそれを渡したであろう男に移ったようで、フードをかぶる男の方へと歩いていく

眼前に至ったならば、無精髭を生やした金目の男―名はミュルサドという―が、笑みを持ってこう問いかける。

「よう、お前さんなんだってあんな面倒な事をするんだい」
「俺みたいな明らかにまともじゃない人間だって受け入れてくれるいい場所だぞ?」

「それにあのきれいな――宝石?ガラス細工?もいいセンスしてる。」

不躾、かつ矢継ぎ早に繰り出される質問に、果たして答えは返ってくるのか。

/まだよろしければお願いしますー
957 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/28(火) 22:15:58.25 ID:9EveheGvo
>>956
「アンタのように勲章ならいいだろうが、不肖では恥ずかしいものだ」

 食糧を手にしたところで、歴戦の戦士とでも言うべき風貌の男に話しかけられた。
 ちらりとだけ変装済みのニルマーナは顔を見せる。唇がめくれ上がり、鼻は潰れて肥大化し、眼が片方飛び出ている。
 猛獣に引っかかれたまま形成外科に行かなければこうなるだろうというような顔そのものだった。

「顔はマズイと言われるがね。ありがとうよ
 ああいうものを作れてもこの世では役立たずだ。君のちからは役に立ちそうだが?」

 その容姿からして戦うものだと判断し、人間のフリをしたまま能力を探るつもりだ。

/おねがいしますー
958 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/28(火) 22:21:36.44 ID:TUFpVevu0
「くそっ、昨日眠れなかったせいで体が重たい」

ユラユラと、背にギターケースを背負いながら歩く金髪碧眼の少女
『死神』の学校を離れて、輪に混じって小学校で暮らすことになった
今は荷物を運んでいる最中だ。ある女に貰ったギターケースと、少量の保存食。
昨日、受け入れられた嬉しさから遠足前日の子供の様に一睡も出来なかった。それが響いて今日は絶不調らしい

「……もう限界だ。少し休む」

そう言って適当な建物に身体を預ける。隣に荷物を置いて
そうしていると睡魔が襲って来た。一睡も出来なかったのだから意識が落ちるのは早い。
しばらく目を覚ますことはなさそうである。

//日常希望です
よろしくお願いします




959 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/28(火) 22:31:04.03 ID:tQViDdL20
>>957
「気にする奴も居ないだろうに…お前さんのも戦った証だと思うんだがね」
本人が嫌というなら仕方ないよなあ、と言葉を続けたのち、続く相手の言葉に多少なりとも驚きを覚える事になる。

「判るのか…俺は他人のそう言うのは全く疎くてなぁ」
以前少ししゃべった青年も本人に言われるまでは全く気付かなかったし、向き不向きがあるのだろうか。
勿論、相手が外見から判断したとはこれっぽちも思っていない。
何か判る人には判る、空気のような物があるのかと真剣に考えていた。

「なに、役に立つと言えばそうなんだがお前さんの物みたいにきれいでもない―焚き火の火種に使うくらいさ」
「暖がとれる分多少実用的ではあるがね」

太陽光が届かない地表の気温は低下している―実際に暗闇を照らし体を温める用途にしか使っていない。
たとえそれが戦闘向きの能力だとしても、火炎放射器の紹介として煙草の火をつけるライターと言っているような物。

「そう言えば、あの宝石―一瞬で出したように見えたが、すぐ作れる物なのか?」
960 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/28(火) 22:45:39.36 ID:9EveheGvo
>>959
「その傷と体つきでなにを隠すつもりかよ。戦士なのでしょう」

 とぼけた回答に苦笑する。その顔は輪をかけて醜い。引きつけを起こしたゴブリンのようだ。
 ミュルサドの言葉を信じるのなら、その力は熱、もしくは炎のようなもの。ニルマーナは思案する。
 自分自身の力はジルコニアの生成。融点は2700度。耐熱性は高い。溶岩ですら溶けない。
 相性は悪くないかと一考し、男の言葉に軽くうなずいた。

「便利なちからだ。冷えると傷が痛む。
 ……ああ。花束ぐらいならいますぐやれるとも。ちっぽけだが小回りが利くということでも――ある!」

 そういってミュルサドに向かって掌を上に向けて見せた。子供へ渡したように花束を作ると見せかけ、
 実際に作り出すのは刺突剣レイピア。不意打ちを狙って、それをミュルサドの胸部へ突き出そうとする。
 脅威になりそうな戦士は、倒せるときに倒しておこうという判断だった。
961 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/28(火) 22:56:18.23 ID:aqkfstr7o
>>958

「この辺りならまだ人目があると高を括っていたか」

あらゆる資源が枯渇していく今、スリも強盗もそう珍しくない。
乏しい配給で満足している者などいるはずも無く、飢えは簡単に良心を呑み込んでしまう。


眠りに落ちた少女に近づく男が足音を消しているのは、相手に起きてもらいたくないから。
つまり――奪いに来たのだろう。ギターケースのサイズを考えれば中身には期待できる。相手が女なら、身体も目的になりうる。

「あるいは気配に反応して起きる自信があるのか」

タキシードにネクタイを締めて、くたびれてはいるものの今の時世では珍しく見た目に気を使った格好。
身体を洗う水さえ十分には確保できていない街で、綺麗な顔をしているのは、奪うことに慣れている証拠とも取れる。

周囲は薄らと霧に包まれて、無防備な少女に対する外部からの助けは期待できない。
声も足音も霧の中で消えていき、建物脇の一画は不気味なほどの静けさに支配されている。


男は少女の前に立って相手を見下ろすと、ゆっくりと腰を降ろす。片手を顎に当てつつ、右手を彼女の胸元に伸ばす。
その興味の先は食料や幼い身体よりも、彼女の月装と、そして暁月にあるのだが――傍目から見ればきっと誤解されるだろう。
それに実際、相手の眠りが深いようなら荷物を奪うことだって考えているのだ。
962 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/28(火) 23:07:18.22 ID:tQViDdL20
>>960
「おお、そいつはありがた――いいッ!?」

差し出された手を見ていた瞳が見開かれる。
そういうことか――得心が行くと同時、ミュルサドの焔装は活動を開始する―!

心臓は灼焔の液体を生み出す一つの機関と化す。
血管は流動する太陽を受け入れる回路に。
胸に刺突剣がのびる一瞬、スローモーションのように間延びした時間の中で小さく呟いた。
「――幻熾燃焼」
瞬間、全身を巡る血流が太陽と等しく燃える仮想の液体と化す―。
それはミュルサドの血の巡る全ての肉体に人間を超えた力を与える。

不意を討った一撃を強化された動体視力が捉え、それと同時にこれまた強化された脚力を使い後ろへ飛び退ろうとする――その距離は優に5m。
炎の彩が透ける瞳に相手を見据え、この期に及んでと言いたくなるような台詞を言い放つ。

「おいおい待てよ、人間同志で争う事はなしだろう?こんなご時世なんだ」
無手で軽く腕を開き、右脚を下げた半身の構えを取りつつ―返答を待つ。
963 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/28(火) 23:20:51.44 ID:9EveheGvo
>>962
「いまさらとぼけるかよ。いくらこんな傷があったとして、配給を貰わなければ餓えて死ぬという時代だぞ!
 中に入らない理由なんて解るだろうが!
 しかし、騙していたのはお互い様というわけだ。焚き火というには随分なおまけを持っている!」

 この場でジルコニアでの変装を解くわけにはいかない。そうすればすぐにでも焔装、月装使いが飛んでくるだろう。
 人間離れした運動を見せた男はすんでのところで剣先を躱し後ろへ跳んだ。舌打ちをひとつ。
 バレてしまえば長居は無用。ミュルサドから間合いを開けてくれたのだから、ニルマーナは変装の傷顔に醜く笑う。

「三十六計とて、これには及ばん!」

 ニルマーナは構えた男の初動よりも自身の方が早いと踏んだ。
 右手にナイフを3本作り出し前方へ投擲。狙いは甘いが時間稼ぎ狙いだ。
 その隙に男が後ろへ跳んだように、バック走で距離を開けようとする。
964 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/28(火) 23:29:22.09 ID:IvNWumynO
>>961

「おや、私の身体が目当てかな?……男」

胸に手の感触を感じて、ゆっくりと目を開く。現れたのが魔獣であれば、この少女の命は奪われていただろう。微塵も警戒していなかったのだから

「くくっ……好きにしたまえ。私は君を受け入れる」

この男の人柄は知らないが、欲望を自制出来ない人物なら危険だ。
穢れを知らぬ女性を襲うという凶行に走ってしまうかもしれない。
自分の様な薄汚れた存在が身体を差し出すことで、そんな事態を防げるのなら――安いものだ。幾らでもくれてやろう。
男の手を掴んで、自身の胸に押し付けようとする
少女は男が行為に及ぼうとしても拒絶しない。それどころか、自分から行為を求めている様に感じられるような発言をした。




965 :リンドウ ◆Gr5I7tVJbw [sage saga]:2014/10/28(火) 23:37:53.91 ID:Tb3cus+qo

「……これは、流石に辛いです」

はぁ、と白い吐息を漏らして彼女は瓦礫に腰掛けていた。

辺りは悲惨なまでに瓦礫の山しかなかった。人が生活できる環境ではない。
だが確かに此処には誰かが住んで居た。瓦礫の山で拠点らしきものがあった。
それも残念ながら、何者かに荒らされ朱に染まっていた――無論、魔獣だろうが。

「安全なところというのはないのですね……可哀想に」

ふらふらと歩き辿り着いた朽ちた場所で彼女は悲壮な表情を僅かに浮かべていた。
眼を閉じた、開くことのない瞳で辺りを感じながら―――白いワンピースの彼女は呟く。

白い長髪を冷たい風に揺らしながら、手を合わせ足元に広がる亡骸達に黙祷を捧げていた。
966 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/28(火) 23:39:04.14 ID:tQViDdL20
>>963
ああ、そう言う事か――
なるほどヒトならざる物が配給所に入ったとなれば詰めている焔装、月装使いが出てくるのは道理だ。

しかしなぜ、態々糧食を奪うようなまねをするのか―もしや《夜》も腹が減ったりするのかー
食料事情を逼迫させるという目的には気付かないまま、飛来する三本の輝くナイフ。

その間にも敵は後じさるように走り出している。
「逃げってことか」
三十六計なんとやら、相手の目的を察したミュルサドは過渡堂の方針を迅速に定めた。
であれば。

走り出す。三本の軌道を読み―そのうちの一本で態と右手の平を傷つける。そして、目的は達したとばかりに立ち止まるミュルサド。
溢れ出すのは血液ではなく幻想の炎液。それは異常な勢いで放出されているが、そんな事は拘泥せず真っすぐ相手に右手を突き出す。

刹那―硬化した燃える血液のが長剣程度の長さ、切れ味の炎と化し射出され迫る。
熱は体を離れてもなお衰えず、狙いは先ほどのお返しと言わんばかりに胸部。
967 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/28(火) 23:51:22.34 ID:9EveheGvo
>>966
「炎を剣にする!? いや、その前に血が炎になったか! だが、ただの炎ではなあ!」

 自傷にも近いことをして、反撃に転じるミュルサドの炎の剣を見て、ニルマーナは左腕に宝石剣を創り握る。
 後ろへ走りながら切り落とそう弾こうと思った。接触した次の瞬間、蒸発していく。

「馬鹿な! こうもたやすく溶かすかよ!
 融点は4000度を超すぞ! おのれ昔日の太陽とでもいうつもりか!」

 だが接触した瞬間に即座にその温度へ上がるわけではない。
 数瞬。わずか一合で宝石剣は掻き消えた瞬間、焔の剣を打ち弾いた。
 剣を持っていた手に焼けただれる様な火傷。また舌打ちする。

「太陽の焔装使い、お前のような戦士は危険過ぎる……!」

 まともに打ち合えば溶けるか消えるか。
 ミュルサドが立ち止まったことをいいことに、わずか一瞬で手傷を負いながらそのままバック走で去っていくつもり。
968 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/28(火) 23:52:51.01 ID:9EveheGvo
/ミス。融点じゃなくて沸点でした
969 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/28(火) 23:54:11.19 ID:aqkfstr7o
>>964

「なんだ。意外に眠りが浅いな。それとも誘っているつもりだったか?」

右手が少女に掴まれると、男の左手はタキシードのポケットの中で得物を確かめる。
苛立ちの証。まったく最近の女ってやつは……と心の中で溜息をつく。

「幼さと色気は矛盾するものじゃないが、お前みたいな乳臭いガキに興味は無い。興味があるのは月装と――その新しい力の方だけだ」

その手が相手の胸に触れた瞬間、乱雑に少女の指を振り払って立ち上がる。
まるで汚いものにでも触ったように、手をその場でぶらぶら振って水を切るような動作をした。

「何も知らずに全肯定することを『受け入れる』とは言わない。見えている部分を鑑み、見えない部分に想いを馳せながら行うのが『受け入れる』という行為だ。
誰でもいいならそれは一方的な押し付け合いでしかないだろう! 何が受け入れるだ売女。貴様の欲望を押し付けるな!」

興味が無いという割に、語る内容はそちらの話。ぎらりと輝く眼は、欲情に染まった男のソレではなく、抜身の刃物を思わせる冷やかなもの。
本気で憤っている。話すうちに語気が荒ぶり、掠れた声で言いきった後には激しく息を吸い込む。

「俺には心に決めた相手がいる。二度とやましい意図で俺に触れるな」

自分から近づいてきた癖に、この発言。周囲を包む霧が、少しだけ少女の身体から体力を奪おうとする。
970 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/29(水) 00:05:50.31 ID:CSlQFwiu0
>>967
「太陽が危険ね…」

いかにも《夜》らしい台詞と思ったが、それはさておく事にして。
追うそぶりすらみせずに、走り去る相手を見つめる。

「戦士と言ってくれるなら、作法くらいは守っておこうか!」
「俺の名はミュルサド・オーディアール!」

「お前の名はなんと言う、夜の眷属!」


瓦礫の街に響く大音声、名前を知らすその声は、自らの生を謳いあげるかのごとく響き渡る。
炎の残滓で熱風と化した風が、砂とともに外套を巻き上げた。
971 :ニルマーナ ◆uUSGl74XoM [saga]:2014/10/29(水) 00:15:46.77 ID:F9hJYMUAo
>>970
「ミュルサド、太陽の血炎のミュルサドか!
 宝石のニルマーナと名乗っておこう! 作法ではなく傷の借りは返すためにだ!」

 獣のように吼えながら、ニルマーナは翻る外套を見ながら姿をくらませた。
 じくじくと痛む左手に、ミュルサドへの怒りを刻み込みながら。

/ロールありがとうございましたー
/途中トラブルなどあったりもして、申し訳なかったです
972 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/10/29(水) 00:30:49.04 ID:SHoEUnDLO
>>969

「いや…疲れて休んでいただけだ。昨日一睡もしなかったのでね」

建物に身体を預けたまま、小さく欠伸をする。今は起き上がる気力もない。全身が気怠さに包まれている


「…私をガキ扱いするとは、いい度胸だ。凍らせるぞ
私の月装はこれだ。…新しい力、暁月はこんな所で披露せん。あれには回数制限があるらしいからな…然るべき時に使う。」

少女の衣服が蒼に変化する。全身に蒼いラインが走る。振り払われてから数秒後、少女の身体が冷気を帯びた。

「……君はめんどくさいな。あまり大きな声を出さないでくれ、頭に響く」

能力を解除。少女が元の状態に戻る。今の状態では言い返す気力もない。頭を鬱陶しげに手で抑えた

「くくっ…ほう、一途なのだな。もう触らんよ。」

その発言を聞いて安堵する。想い人がいるなら、他の女性に手を出すことはないだろうと思って

「な、んだ。これは、……はっ…」

体力が奪われる感覚、今の状態の少女にはかなり響く、苦しそうな表情で荒く息を漏らす。



973 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/29(水) 01:04:06.11 ID:DT1+tdu7o
>>972

「っ……」

手を胸に当ててから、優しくタキシードを撫でる。
どこに、どう存在しているか自分でも分かっていないが――自分の身体の中に確かにある“焔装機構”
それが、日々壊れていく。霧の存在を意識していなければ、霧は勝手に力を喰らい始める。霧を消そうと思っても、もう消しきれない。

「いや、殺して奪うのも1つの手か」

そんな自身の問題を押し隠して、平静を装った声で告げる。

「月装と焔装は相容れない。俺の焔装で月装の引き起こした結果に干渉することはできても、月装の力自体は奪えない。
だが月装を強化する暁月の力の方なら扱えるかもしれないだろう? 今は理解できない力だが、時間を掛ければ奪えるかもしれん。
実際に暁月を手にしたお前から見て、どう思う? 出来れば実際に使用しているところをもう一度見てみたいものだ。どうせ無くなるなら、使っても同じだろう?」

言葉の合間に混ざる少女の喘ぎには耳も貸さず。先ほどの激情を反省し、努めて穏やかに、殺意を告げる。
取り出した短刀の鞘は抜かず。手の中で強く握りしめる。刃の中に押し込めた霧を解き放って操り切る自信は、今は無い。
周囲を取り巻く霧はまだ全開ではなく、少し目を凝らせばまだ目の前の相手も黙視できるし、力を振り絞ればまだ少女も十分動けるだろう。

「ところでお前……好いた相手はいるか? いや、この場合は好かれた相手だな。
下手に殺すと要らぬ因縁を作り、敵討ちに会うことになる、といったリスクがあるなら止めておきたいところだが」

ここで殺さない方がいい理由として、先に頭に思い浮かぶのが「恋人の有無」であるあたりがこの男のこの男たる所以。
行き摺りの関係でも好きな時は好きになるし、そういった理由が何よりも強い行動動機になることは自分が一番知っている。

「ああ……それか、自治会の仕事中だったりするか? 不慮の事故にあっても物資が無事なよう、そういった箱を輸送に使うこともあると聞くが」

指差す先はギターケース。昨今の厳しい物不足の中、本来の用途を外れて使用される物品は多い。ようは頑丈で、大きく、持ち運びやすいなら輸送用に使用されうる。
街に逃げ込んできた人々に余計な物を持ってくる余裕は無く、かといって街の中で手に入るものなど高が知れている。
なら、わざわざそんなものを担いでいるなら、自治会の仕事の一巻かもしれない。なら、不要な怨みは買いたくない。
974 :シャイナ ◆33B37h/HCM [saga]:2014/10/29(水) 07:05:23.12 ID:pfF4053gO
>>973

「くくっ、私を殺すだと?…貴様如きには不可能だ。私は最強だからな」

自信たっぷりに言い放つ。月装しかなかった自分なら兎も角、暁月を手にした自分が負ける気など微塵もしなかった。
もう一度身体が蒼に染まって、全身にラインが走る。その右手には氷のナイフが握られていた

「ああ、それは無理だろうな。まあ、私は月装にも暁月にも然程詳しい訳では無いので自信は無いがな
私は会ったことは無いが、研究員とやらにでも聞いてみれば良いだろう」

手を壁に当てて、ゆっくりと立ち上がる。
右手のナイフを男へと向けながら言葉を紡ぐ。月装にも暁月にも興味は無いのだ。この少女が人間以外に興味を抱くことなどない。

「ああ、居るさ。私は全ての人間を愛している。もちろん君もだ
好かれた相手か、…居ないな。そんなものは居ない。
……ほう、なら君が私を殺すことに何の問題もないな。私が君を殺すことも。安心しろ、想い人もすぐに同じ場所に送ってやるさ」

男の想い人がどうなっているか。気にせずに淡々と言う。この少女は本気である。
焔装の限度が近いことも感じられた。魔獣になって人間を襲い始める前に始末するべきか、と考えて

「…それに触るな、私の宝物だ。自治会?…くくくっ、私はそんなものには所属していない。フリーの身だ」

少女は自治会の人間ではない、ただのフリーの月装使いだ。ギターケースの中には、当然だがギターが入っている。友人から貰った少女の宝物だ。他人には触られたくない。
ギターケースを指差した男に対して、静かに怒りの言葉を漏らす。

//わー!寝落ちしてしまいました!ごめんなさい!
975 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/29(水) 22:50:03.97 ID:DN7fQluo0
今はもう星のひとつも見えない夜空を、やせた少女が見上げている
先の痛んだポニーテールが靡き、前髪に隠れていた不安げな瞳が淡い灯を映して光る

(戦いが終わったら・・・・・・私は・・・・・・)

とある少女に言われた、早く戦いが終わればという言葉。
言われたときは明るい少女がそばにいたから素直に同意できたけど、一人になるとある不安が頭をよぎる

(私は・・・・・・また、虐められるんじゃ・・・・・・)

今でこそ焔装使いとして人々から頼られる少女だが、夜が襲来する前はある事情から謝罪と悲鳴しか上げられないような状態だった。
戦いが終わり、自分が焔装使いである意味がなくなれば自分はまた―――
私はどうすればいいのだろう。戦えば魔獣になる、戦わなければ虐げられる。
どうしようもない不安が頭を埋め尽くす。それを想像すると体が自然と震えだし、瞳が真っ赤に染まり
紅と化した少女の瞳は、魔獣のものに良く似ていた
976 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/10/29(水) 23:33:26.96 ID:kl9OWBtVo
>>974

「全ての人を愛している、か。なるほど、全人類が相手であれば、運命の一人に匹敵する重みがあるのかもしれない」

焔装の副作用として、負の想念は際限無く高まり続ける。原動力たるマイナスが弱ければ焔装使いは生き残れない。

もはや久良岐を突き動かすのは一つの感情だけで、それ以外のものは理解できなくなりつつある。
死にたくない? なるほどそれは当然の気持ちだろう。 褒められたい? 確かにそれは心地良いものだろう。
だが全て、知識の中のことだ。知ってはいても、解してはいない。だから――いっそ、全人類くらい大きなモノを持って来られた方が分かりやすい。


「だがダメだ。その一言だけは絶対に看過できん」

若干の諒解は、感情に塗り潰される。彼女を奪われた経験は、今の久良岐の原点であり、今の力の源泉だ。
闇が蠢き、黒が轟く。周囲は霧に覆い尽され、外界からの光を遮断する。過去に囚われた彼自身を象徴するように、冷たく暗い隔絶世界。

握りしめた短刀を反射的に抜こうとする動きをギリギリで自制する。
いま焔装を全開にすれば、確実にやり過ぎる。まだ何の手掛かりも得られていないのに、自治会を敵に回したくはない。

だが、それでも、目の前の相手を見逃すことができるほどの冷静さは残っていない。

「この想い、この願いだけは、二度と奪わせない――!」

猛る言葉は、そこに込められた感情に呼応した霧に呑み込まれて然程の声量にはならない。
けれど歪に削り取られた音は、むしろその重みをより強く反映する。

「あぁッ!」

踏み込み。地面を踏みしめた足はその憤りを体現するように、一足で勢いよく距離を詰める。
光を奪ったアドバンテージも考えず、叫びと共に放たれる攻撃は単なる柄殴り。
左手に持った短刀は鞘に収まったまま、少女の腹に向かって突き付けられる。
977 :霧桐 舞 [saga]:2014/10/30(木) 21:47:32.26 ID:VJ33zgboO
>>975
再募集ですの
978 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/30(木) 23:09:56.20 ID:AIsfzpeL0
>>975
「こんな時勢に一人でどうした、お嬢ちゃん」
「まあ、俺も人の事は言えないけどなぁ」

声は、宵闇の中からした。案ずるように発音された男の声だ。
やせぎすの少女に近づく男は、無精髭に金色の瞳、褐色の肌にぼろぼろの外套。
ざし、ざしと音をたてて近づく足元はすり減ったサンダル。

年齢は壮年にさしかかった二十代半ばだろうか。精悍な顔が、人なつこい笑顔を浮かべている。
以前ある青年に青年に頼まれた月装の開発者である研究者を捜すため出歩いていたところ、ぼんやりとしながらもどこか鬼気迫る少女を見つけ、何とはなしに声をかけたのだ。

//大分おくれましたがよろしければ…!
979 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/30(木) 23:38:29.62 ID:kk7p/0N00
>>978
真紅の瞳を男に向ける。人を見て落ち着いたのか、ゆっくりと少女の瞳は黒く戻っていく

「ちょっと、不安がありまして・・・・・・気分転換にと思ったんですけど
一人で居ると駄目ですね、余計に不安に・・・・・・」

人懐っこい笑みに警戒心は消えて、ふと愚痴がこぼれる
はははと笑みを見せるが、目の下の刷り込まれた隈と病的に白い肌が笑顔を笑顔に見せない。

「戦えば魔獣になって、でも戦うことをやめても私にはいいことなんてないし・・・・・・
月装の開発者を探せば魔獣にならなくても済むかもしれないけど、それも駄目だったらと考えたら・・・・・・
私は、どうあがいても幸せにはなれないんじゃない買って・・・・・・」

//遅くなりましたー・・・・・・二時までなら私は大丈夫なので、よろしければ!
980 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/30(木) 23:55:01.78 ID:AIsfzpeL0
>>979
「不安…かぁ」

生まれながらに楽観的なこの男、なかなか抱いた事の無い感情では在ったがそういうものだよなあと納得。
そう言えば魔獣になると言われたときもどうでも良いなんて返したが、その答えに対してそれを知らせた青年が酷く驚いていたのを思い出した。

そして、月装の開発者の話題。
「お、俺もその月装の開発者とやらを探しているんだ、気が合うじゃないか」
笑みをさらに深めて、そんな事を口にしたりする。

そして、思い出したようにこう付け加える。
「そうそう、戦う事をやめても良い事無いなんて事は無いんじゃないのかな、とおもうんだが―」
「例えば、嬢ちゃんはそうやって悩まずに済むんだろう?」
981 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/31(金) 00:10:04.16 ID:FHAe8i3O0
>>980
台詞の節々から溢れる気楽さ、崩れない笑み、この男の人格をなんとなく察する。
きっとこの人は私とはまったく違う、素直に笑える人何だ。
私みたいに虐められたことのない、全うな人間なんだ

「たたかうしかできない私が戦うことをやめたら役立たずじゃないですか
悩まずに済むなんて事はないんですよ、あなたみたいな人以外は」

沸々と湧く妬みが言葉に乗り移り、嫌味ったらしい言葉になってしまう。

「・・・・・・月装の開発者を探しているなら、あなたも焔装使いなんですか?
もしそうなら、なんでそんなに気楽でいられるんですか・・・・・・」
982 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/31(金) 00:29:16.37 ID:CjZX85cm0
>>981
「役に立たなきゃ行けないなんて事は無い……ともおもうんだけどなー」
そう思ってるのなら仕方ない、他人の考えなんてこうしろと言って変えられる物じゃ
あ無いんだし。

「そのとおり、太陽の血炎とか魔獣に言われてな、名前だけは気に入ってるんだ」
煌めく宝石を射出する魔獣の顔を思い出しつつ、右手の拳を軽く握った。
夜の街を吹く風が上半身に着た外套を巻き上げ、顔同様に褐色の腹がのぞいた。

「なんで、って――いずれなると言われても、特に実感はないし」
「その前に夜を明かす手段があると、俺は信じているから」

臆面も無く、もう一度太陽を見るんだと言い放つ。絶望に彩られる事無く、憧憬を燃やす瞳を夜天に向けながら。

「で、その一つが例の研究者って訳だ」
「月装なんて作れるんだ、きっと凄い人に決まってるさ」
983 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/31(金) 00:49:33.39 ID:FHAe8i3O0
>>982
「私は・・・・・・みんなの役に立たないといけないんです
何もない人ばっかりじゃないんですよ・・・・・・」

どうもこの男の気楽さが気に食わなくて、口調がどうも強くなる

「なんで、なんでそうまっすぐに信じられるんですか!?」

まっすぐに夜を、その向こうの太陽を見つめる男が訳が分からない。
もしも、もしかすると・・・・・・そんな不安を何一つ感じていないようだった。
既に魔獣化の兆候が見えている少女と男では違うのだろうが、それにしても男から不安が見えなさ過ぎる
隠しているだとか、そんな様子もまったく見当たらない
984 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/31(金) 01:02:02.75 ID:CjZX85cm0
>>983
「凄いもんだな、お嬢ちゃんは」
「自分の身を削ってみんなのためになんて、俺には出来んよ」

言ってから、こういう物言いの仕方が先ほどから目の前の少女を苛立たせているのか、と思い至った。
そして、それが自分に取って自然なように質問への答えを返した。

「だって、まだ少なくともこの街で人は生きてるんだ」
「夜は明けないかもしれない、夜になってしまうかもしれないって言う不安はあっても」

「今、この街には人が居る、焔と月で夜を倒す人間がたくさん居る。」
「夜の怖さにおびえるより、人間の齎す明るさの方を信じて生きて生きたいもんなぁ」

根拠の無い、ただ自分の良い方に解釈したというだけの暴論に近いもの。
選んだだけ。どちらの生き方が良いかを天秤に掛けて。
985 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/31(金) 01:20:46.56 ID:FHAe8i3O0
>>984
「皆のため・・・・・・なら、いいんですけど
 私はそうしていないと生きていけないだけです」

自分は皆に尽くしていないと生きていけない。虐げられ続けていた過去から、そんな歪んだ先入観が少女には合った

「・・・・・・」

明るさを信じて生きて行きたい、私だってそうだ。
でも、それでも、どうしても消えない不安はある。

「・・・・・・だめです。私にはあなたのことが分かりません
でも、あなたみたいに全部信じることはできないですけど、明るいほうを信じたいって気持ちは分かりますから」

すっと、少女は立ち上がって

「月装の開発者、探してるんですよね。お互いに知ってる情報を出してみませんか?」
986 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/10/31(金) 01:40:37.71 ID:CjZX85cm0
>>985
「判らんか、変な奴と言われた事は……結構在ったな、そういえば」
そういえば会う人全てに変な奴と言われている気がする。

「おお、それは良い案だ」
「たしか名前は時雨、研究所にこもってて研究所の場所は都市の―」
これこれこう、と、その知らせてくれた青年が言っていたことをそのまま確認するように口に出した。

「ほぼどこに居るかわかったようなもんなんだが…」
困った事に土地勘が全くない。
きっと、歩いていれば見つけられるだろうと思っての探索行だった。
987 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/10/31(金) 02:08:31.74 ID:FHAe8i3O0
>>986
「場所は分かってるんですね・・・・・・ここならここを――」

ざっと口でその示された場所へのアクセスを口で唱える。
自分のための復習だったが、ミュルサドへのヒントにもなるだろうか

「私が持ってる情報は全部あなたも持ってましたね・・・・・・ごめんなさい」

深々と頭を下げて少女は謝罪し

「・・・・・・有益な情報、ありがとうございました。
結局私は力に慣れなかったですが・・・・・」

申し訳なさそうに少女は頭を下げて、少女は去っていく

//集中力が切れて後半レス遅くなりました・・・・・・申し訳ないです
//〆方も強引ですいませんが、きょうはここまでで。おつかれさまでしたー!
988 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/11/01(土) 20:01:42.75 ID:M92lqves0
//次スレです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1414839656/l50
989 :ヒメノカグヤ──【夜龍四牙:盈龍】 :2014/11/01(土) 20:31:12.86 ID:DC31jLTeo
玲瓏な夜。水晶玉に夜を落とせばきっとこの様な色合いを見せてくれるのだろうか。
夜の帳を引き裂く様に空から落ちてきたのは、時雨のいる研究所に落ちた夜の雷霆と同じものの様だった。
禍々しい瘴気を纏った漆黒の雷霆は、高層ビル群、スクランブル交差点中央部、僥倖だったか人のいないそこに降り注いだ。
直撃の瞬間には、地を抉り粉塵を撒き散らしたかと思えば、白雨の様に辺り一帯を包み込む。
着地点。穿たれた地面の痕を見やれば、首筋に漆黒の龍の紋章が刻み込まれた黒い長髪の少女が一人、十二単を纏って佇んでいる。

「――嗚呼」

小さく、ほんのりと赤い唇から溢れ出す、限りなく溜息に近いそれは、嘆きを伴って。
微睡を宿した瞳を開ける労力を惜しまず、緩慢にその眼をもってこの夜に従う世界を見る。

「……醜い。――さぁ、終わりにしましょう」

穢れた俗世を見捨てる様に、再び目を閉ざす。静寂な世界へと向けた極小の号令と同時に、少女――ヒメノカグヤの十二単の袖から《夜》が漏れ出して行く。
その夜は質量を持ちながら、交差点を満たしていくだろう。貴方達の足元にある夜をかき分けて進む道は、浅瀬の海水をかき分けて行く感覚と似ている。
そしてその先にあるのは……事もあろうか、再び双眸を閉ざして何かを待つようにしているカグヤの姿だ。

この世に生を受けたばかりの人間程、弱いものはない。夜も同じなのだろうか。やるならば、今だろう。
990 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/11/01(土) 20:45:56.77 ID:aPItED+q0
>>989
「一際大きい交差点…周りには巨大建造物の残骸…」
「よし、ここで間違いないな」

ここは元繁華街の中心。一日の通行量は1万を優に超えたであろうそれも、今や静寂に包まれている。
然しそれは何もない空白ではなく、音が無いというだけのしじま。周囲にはある種の緊迫感が満ちている。

この街の人間の中でも特異なものたち。
つまりは焔装、月装使い達戦闘慣れしたものが醸し出す殺気のようなもの。
ここで何かが始まるという噂――巨大な夜の落下と言う、到底見過ごせない噂の元に集結した者達だ。
この男ーミュルサド・オーディアールもそうした人間の一人。
彼は夜を晴らすため、この砂礫の広場へと参上していた。

射干玉を見つめて眉をひそめ、
「本当だったか」
ため息一つ、嘘なら良かったのにという思いを息と一緒に吐き出した。
言うが早いか、漆黒の雷が招来する。
「――幻熾燃焼」
もうもうと立つ土煙の中に十二単を見た途端、焔装を起動するための言葉を口に出していた。
焔の彩が透けた瞳が、外見のみは無力に見えるヒメノカグヤを見据えている。
「終わりにしたいのはこっちだって…」

//オナシャス!
991 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/11/01(土) 20:47:15.41 ID:aPItED+q0
/イヤぁぁぁぁぁ送信ボタン暴発したぁぁあぁぁ 申し訳ないです!
992 :シャイナ ◆33B37h/HCM :2014/11/01(土) 20:57:06.08 ID:Wr48b9d40
>>989

「くくっ……ああ、素晴らしい力だ!」

ヒメノカグヤをしかと見据えて薄く嗤う。
既に《暁月》を発想しており
徐々に体温が下がりはじめていて、身もも凍る様な冷気が周囲を取り巻いている

「…誰にも負ける気がせんな、今の私は最強だ!…どれ、手始めに喰らうがよい!」

右手を宙に掲げ、氷を精製。それは巨大な刀となって宙に浮き、圧倒的な力でヒメノカグヤに向けて振り下ろされる――
最も、これで終わる柔な存在では無いのだろう、軽い小手調べのつもりだ。果たして

//お願いします…!遅くなってすみません。

993 :陽遥 ◆1Nq8G.D3xA [saga]:2014/11/01(土) 20:58:42.60 ID:p4Jn+tu6o
>>989

それがかぐや姫だとしたら、竹取の翁に"刈り取られる"のは必然であろう。

廃ビルの一室の窓際より、砲口を突き出して彼女を狙う。
「ただの砲」じゃない。歴とした焔装、歴として魔獣殺し―――― 何処から拵えた物なのか、知る由も無い概念兵装。
よく視える。まるで人間のような形をしたバケモノが、《夜》を纏い、人類の英知の結晶であった場所を、悠然と、歩いた。


―――――――― どうでもいい。


魔獣が齎すのは何時だって、まるで神様気取りの絶望だ。人間はそれに只管平伏し続けてきた。冗談じゃない。
自分は、覆して見せる。否、奴等の大元を引っ繰り返して見せる―――― 自分こそが、世界の支配者へと君臨して見せる。
だから手始めに奴を。喰らって見せよう。


「死ね……かぐや姫……ッ!!!」


銃という存在の機構を、火薬と言う存在の性質を再現して、その砲弾を放つ。
人類が作り出した軟弱な鉄の塊とは違う。それは即ち、"捕食"其の物である――――――――"喰らい抜く"。
多少のばらつきは在れども、それは元より弾丸とは異なる存在。自ら軌道修正を行いながら、彼女へと飛来するだろう。



―――――――― 果たして、本当にそうなるだろうか?




頭の中を、轟音と共に掠めていく。
994 :ミュルサド・オーディアール  ◆D.MsnJCMDw :2014/11/01(土) 21:03:37.78 ID:aPItED+q0
//>>990という事でおねがいします…はい
995 :霧桐 舞</b> ◇B9EHjUGtIZ4E<b> :2014/11/01(土) 21:03:51.08 ID:M92lqves0
>>989
スクランブル交差点の中心にて
落ちる落雷は黒く、眩しく、視界がそれで埋め尽くされる

「・・・・・・きた」

ここで何かが始まると聞いてやってきたが、怖い。怖い。怖くて仕方がない。
震える手足、視線、唇、恐怖まみれの頭は冷静になることを許さない

「・・・・・・ああ!」

ぱんっ、と自信の両頬をたたいて気付。
どうせ私は戦うしかないんだ。だったら―――何が来ようと、やってやる

反るほどに力の籠もった五本指を、落雷の中心、ヒメノカグヤに向ける
指先から走る光はエネルギー糸、物体に接続し操作する彼女の焔装
それを落雷によって崩れた一際大きな、小さな小屋ほどの大きさの瓦礫に接続し

「[ピーーー]ッ・・・・・・[ピーーー]ェッ!!!」

瓦礫をヒメノカグヤへ投げつける
それと共に呟いた二文字に込められているのは殺意ではなく、懇願だった。
頼むから効いてくれ、死んでくれ。そんな諦め交じりの
996 :霧桐 舞 ◆B9EHjUGtIZ4E [saga]:2014/11/01(土) 21:04:54.43 ID:M92lqves0
>>995
//saga忘れなんて・・・・・・ごめんなさい
997 :久良岐 ◆7brYoWVdSQ [saga sage]:2014/11/01(土) 21:13:44.24 ID:ghxGgNZ6o
>>989

Kい迅雷が墜ちる瞬間を、見た。

《街》中は人に残された最後の光の残る場所といえど、人工の明かりは空を照らすには遠く及ばず。
星も月も無い夜空は代わり映えの無い黒一色。本来なら黒い霹靂など見えず、一拍遅れて轟く雷鳴がその存在を知らしめるはずだった。

だが確かに、そのKい雷を見た。それは彼が感知に長けた力の使い手だったからではなく、それが夜空の黒より遥かにKかったからだろう。
その場に集まった者の数を見れば、黒い雷がどれだけの人数の眼を引いたかが良く分かる。
そのK、その少女は、これだけの人数が集まるに足る異常だった。


「似ている」

久良岐の身体から溢れる霧もまた、黒く空間を満たす澱。十二単から溢れていく《夜》と、見た目はよく似ている。
だが霧を通した感覚から、《夜》の力が自らのものと違うことを、彼自身が誰より深く理解する。
重く絡みつく夜闇に全身を撫でられながら進む感覚は、不思議と不快なものではなかった。それだけ、己が魔獣に近づいているということだろうか。

「濡れ羽色の髪は艶やかに流れ、朱色の口元は花のようだ。認めよう。お前は美しい。この世界とは比べ物にならないくらいに」

交差点を満たす《夜》の中に紛れて、久良岐の焔装は霧となって少女を取り巻く。
力を奪う霧は静かに忍び寄り、音も無く牙を立てる。人なら――あるいは魔獣であっても膝をつくほどの暴力。活力を削る黒い霧。

「だが絶望的なまでにあの子と違う」
998 :アリシア・P・シノット【3】 ◆w46sJzDLAPZx [sage saga]:2014/11/01(土) 21:14:34.84 ID:a9QF07w20
>>989
 嘗ての晩秋、その深夜。冷えた空気が人類の世界を満たしきった頃。限りなく青白く澄み切った氷塊に、突如金槌を振り下ろすようであった。
 大気が、白く割れた。引き裂く轟音がそれに続いた。交差点の手前に立つアリシアは驚愕して紙巻煙草を地に落とし、やがて戒心にその表情を張り詰めさせた。
 落ちた轟雷は地を深く抉った。濛々と立ち込める砂煙の奥に、一つ。一人の、影。一人の少女。
 全身を覆う十二単。そこから僅かに零れた肌は、清冽な岩間の水に絶えず洗われるかと疑うほど。物憂げな表情――その脇には、龍の刺青。

「起きろ。寝ぼけるのをやめろ、時代錯誤の老害。
 貴様に訊きたいことは掃いて捨てるほどあるが、それは後でゆっくりと『聞かせて』もらおう。
 しかし勘違いするな。私が今、質問をしないわけじゃない」

 アリシアは、その懐から一挺の小銃を取り出した。彼女の牙が放つ銀色の輝きさえも、その延長線上にいる少女の威光には劣るようであった。夜の闇が彼女の足元に落ちて、その足元を穢れで洗っていった。
 しかしアリシアは、眠たげに呟く少女に矢継ぎ早な罵倒を突き刺した。彼女は不躾であった。その声はどこまでも真っ直ぐであり、透き通った夜によく響いた。トリガーにかかった彼女の指先には、確固たる力が篭っていた。

「――貴様は、何者だ。そして何をしに現れた。答えろ」

 そして、アリシアは引き金を引かない。あくまで、さらなる問いにて少女を貫こうとする。――しかしそれは、果たして少女を射抜けるのか。
999 :ユウト ◆39xv3A50ls [sage ]:2014/11/01(土) 21:26:46.12 ID:qslctnH60
>>989
交差点の中心に雷霆が落ちる
離れた場所から見ても一目で分かるその禍々しさ――――間違いなく魔獣よりも強力ななにかだ
その場へと駆けつけて見たものは――――龍の紋章が刻まれた少女
そして、考えるまでもなく分かる圧倒的な実力

「最初から使わないと、死ぬな」

自分の月装だけではかすり傷さえ負わせられそうにない―――即座に暁装の使用を決意する
ホルダーから銃を取りだし、新たなパーツに変えて大剣に取りつける
こんな強力なものを見るのは始めてだ
そして自分の武器が今ほど頼りなく感じたのも、始めての事だった

「どうせ死ぬなら、せめて手傷ぐらいは負わせてから死んでやる」

もちろん、そう簡単に死ぬ気はない
だが、どうしてもあれに勝てるビジョンが思い浮かばなかった
余裕を持とうと無理矢理に笑いながらボウガンをヒメノカグヤへと向けた
1000 :シャーロット</b> ◇PWPXgddfYg<b> [saga]:2014/11/01(土) 21:31:18.61 ID:QGrwf1bi0
>>989

自警団に所属し、現在は研究所の護衛任務に就いている《月装》使い――シャーロット・プランケット。
彼女は、今まさに黒に閉ざされた空から舞い降りた影を捉えようとしていた。

稲光の中に浮かび上がる相貌は、人間の少女とさして変わらない。
首元にうねる奇妙な痣と、傲然たる振る舞いから発せられる異様な空気を除けば、だが。

「……人の形をした、夜の使い……、……」

呟く。敵の姿を確かめた途端、シャーロットの記憶は急速に掘り下げられていた。
夜の使者。身をもたげる龍の――いや、むしろ蛇の?――紋章。古ぼけた写真。
事ここに至るまで確かめる時間を得られなかった情報の奔流が、頭の中を渦巻くのを感じた。

尽きぬ謎が精神を締め付ける。だけれど不思議と、敵の力への畏れはない。
考えこんで恐怖が鈍っているのか、ヒメノカグヤを『救う』ことに意識が向いているのか。
自己分析している余裕まではなかったが、足が震えないのは有難いことだ。
少しでも進み、多くを知らなければならないのだから。

「あなたがもし人間だったというなら、色々と積もる話があるの。博士……シグレさんだってきっとそうよ。
 だけれど、その前に露払いをしないとね――どうせ一人で来ているわけではないのでしょう?」

言い終わらないうちにシャーロットは蛇腹剣の《月装》を振るい、その刃を伸張させる。
だが切っ先が向かう先はヒメノカグヤではない。その手が溢れさせる、昏く冥い闇の方だ。
交差点を洪水のように満たしていくそれを少しでも取り除き――今後の展開を有利にしようというのが、この少女の魂胆なのだろう。
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