64:名無しNIPPER[sage]
2016/11/26(土) 00:41:38.62 ID:ttGbVCZ/O
 乙 
65:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:43:26.30 ID:tRPk/B7zO
  
 「夜は冷えるから、帽子と手袋は忘れないように。」 
  
 「私は下で待っているから、母さんと一緒に着替えなさい」 
  
66:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:45:02.51 ID:tRPk/B7zO
  
 父と兄は、窓から外を観察している。 
  
 少女は階段を下りながら、何かが窓を横切ったのを見た。 
  
67:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:50:31.25 ID:tRPk/B7zO
  
 少女には知る由もない。 
  
 灰色の毛むくじゃらがオークであることも、握られていた風船が、引き千切られた頭部であることも。 
  
68:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:52:27.02 ID:tRPk/B7zO
  
 布に覆われた窓の外。 
  
 雪降りしきる街の中で、人々の命はオークの手によって次々と奪われていく。 
  
69:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:54:48.09 ID:tRPk/B7zO
  
 一方、父と兄は焦っていた。 
  
 街全体に施した転移の陣は完全済み。街の住民全員の血液も採取済み。 
  
70:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:56:23.29 ID:tRPk/B7zO
  
 事実、彼の家族は運が良かった。 
  
 娘を納得させる為に時間を割いてしまったことが、結果的に家族を救ったのである。 
  
71:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 00:58:43.59 ID:tRPk/B7zO
  
 「(彼等も、外に出なければ助かったのかもしれない)」 
  
 そう、待つだけで良かった。 
  
72:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 01:01:39.80 ID:tRPk/B7zO
  
 彼の家族は身を寄せ合った。 
  
 祈りはしなかった。ただ、待っていた。 
  
73:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 01:03:27.89 ID:tRPk/B7zO
  
 だが、彼は来ない。 
  
 現れたのは、最も怖れていたモノ。 
  
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