10: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:39:16.68 ID:xMQ2bOga0
 「あんまり大人数になっちゃうと、まゆさんも疲れちゃうかもしれないから…… 
 そんなに豪勢にしないで……でも、明るく。 
 紗枝さんとか、小梅ちゃんとか……その辺に声をかけて、みたりする予定……だ。 
 あ、勿論……先約があったらそっちを優先してほしい、かな」 
  
11: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:48:03.52 ID:xMQ2bOga0
 入るなりプロデューサーは肩に提げていた鞄をデスクの上に置いて、 
 中の書類物を引き出しや机上ラックへと収納し整理整頓を終わらせる。 
 一通り終えたあと腰を落ち着けると、アイドル達へ向き直った。 
  
 「あっ……!プロデューサーさん」 
12: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 00:54:51.61 ID:xMQ2bOga0
 「ええ、そんな……プロデューサーさん無しだと……もりくぼの責任も重大……」 
  
 早くもプレッシャーで胃を痛めそうになる森久保。 
 勿論、今まで一人一人の誕生日を大切にしてきたプロデューサーのことである。 
 努力に努力を重ねた末のどうしようもない結末であり、 
13: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:07:42.95 ID:xMQ2bOga0
 事務所から、数十分といったところか。 
 夜の都会の街並みを抜け、少し田舎然とした場所で車は停止した。 
  
 「よし、着いたぞ」 
  
14: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:16:54.87 ID:xMQ2bOga0
 星々の灯り以外に頼るものなどない暗夜、 
 二人は足元に意識を集中させ、苔むした階段を一段一段と丁寧に登っていく。 
 石段を登りきると、今度は舗装されていない真っ黒な坂を上っていく。 
 その中途で土に濡れた三毛猫が忙しそうに通り過ぎて行き、虫は静かに合唱していた。 
  
15: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:23:14.75 ID:xMQ2bOga0
 undefined 
16: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:33:13.57 ID:xMQ2bOga0
 「……月が綺麗ですね、プロデューサーさん」 
  
 「…………ああ、そうだな」 
  
 小さな世界から、大きな月を見上げた。 
17: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:37:51.80 ID:xMQ2bOga0
 多幸感で胸がつっかえそうになる中、まゆは深い息と共にその言葉を吐き出した。 
  
 「奏さんが言ってました。アイドルとプロデューサーは、まるで月と太陽のようだ、って。 
 太陽が居てくれるからこそ、月は輝ける。アイドルもそうだと。 
 明るい光で照らしてくれたから、私達は真っ暗闇から輝きを放つことが出来たんだって」 
18: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 01:42:48.90 ID:xMQ2bOga0
 「…………これが、俺からお前への誕生日プレゼントだ。 
 今この場所で、開けてみてくれないか」 
  
 そう言って、プロデューサーはまゆに包装された箱を手渡した。 
  
19: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 02:01:58.38 ID:xMQ2bOga0
 ……赤い月光だけが視界を覆う中、暫し舞台は静寂に包まれていた。 
 とてもとても長い沈黙に思えたが、 
 実際のところあれから数分程度だったのだが。 
  
 「……プロデューサー、さん。手を……出してくれませんか?」 
20: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 02:14:08.60 ID:xMQ2bOga0
 嬉し涙を浮かべながらも、余裕そうな表情でまゆはプロデューサーを見つめて言う。 
  
 「まゆは『いつでも』準備できてますって、言ってましたよね? 
 あれは冗談なんかじゃないですから。まゆはいつだって本気です。 
 だから……貴方へと贈るエンゲージリングだって、持ち歩いてて当然ですから♪」 
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