千早「今日、母が私の家に来る」
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11:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:45:34.90 ID:MVMHgjBu0
それでも、こうも質問攻めにされると、
なんとなくそういうものなのかなと考えてしまうのは、きっと仕方のないことだと思う。
とは言え質問されること自体は決して嫌ではない。
寧ろこうして滞ることなく会話を続けられていることに、私は安堵していた。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:47:04.11 ID:MVMHgjBu0
いや、きっと特別なんだろう。
私にとって、今日のこの出来事は「特別」。
だって……今日は私の誕生日なんだから。
誕生日という日は、「特別」でいいんだ。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:48:44.86 ID:MVMHgjBu0
それなりの値段になったはずだけど、代金はすべて母が支払ってくれた。
私が財布を探っている間に、カードで支払ってしまったのだ。
お会計が終わってからもちろんお金を渡そうとしたけれど、
母は『誕生日プレゼントの代わり』と、受け取ろうとしなかった。
そう言われると、私も折れるしかない。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:50:07.92 ID:MVMHgjBu0
私が違和感について考えるより前に、母は話題を変えた。
そのおかげで私はまた、それ以上違和感について考えることはなくなった。

千早「ケーキって、もしかして……」

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:51:10.12 ID:MVMHgjBu0



日が暮れかかった頃。
私と母は、二人並んでキッチンに立っていた。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:53:15.10 ID:MVMHgjBu0
千早「包丁、もう使わないわよね? ボウルも」

千種「ええ」

千早「お醤油はまだ使う? お塩は?」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:54:56.92 ID:MVMHgjBu0
千早「それじゃあ……いただきます」

千種「いただきます」

二人手を合わせて、まず最初にお味噌汁に口を付ける。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:56:39.99 ID:MVMHgjBu0



食事を終えたら、母は冷蔵庫からケーキを持ってきた。
私と母とで一つずつ。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:57:54.57 ID:MVMHgjBu0
このケーキのことだけじゃない。
今日一日、ずっとそうだった。

誕生日は特別なもの。
そう思えるようにはなってきたけれど、それでも今日は、あまりに特別過ぎたように思う。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:59:13.88 ID:MVMHgjBu0
そんな「夢のような時間」は、その日の夜まで続いた。
ケーキを食べ終えたら、後片付けをして。
それからテレビを見ながら、番組の話やアイドル活動の話、他にも色々な話をした。
母の質問に私が答える、それは相変わらずだったけれど。
そんな風に緩やかに時間は流れて、寝る時間になった。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:01:15.11 ID:GpBkfE9j0



千早「……ん……」

以下略 AAS



22:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:02:38.69 ID:GpBkfE9j0
突然……母の姿が、ぐにゃりと歪んだ。
母だけじゃない。
視界のすべてが突然不明慮になり、歪み、滲んだ。
それが涙のせいだと気付いたのは、一瞬遅れてからだった。

以下略 AAS



23:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:05:12.99 ID:GpBkfE9j0
そうだ……私は、毎朝見ていた。
今朝の母の姿を……私は毎朝見ていた。

寝起きのはっきりしない耳に聞こえてくる包丁の音。
母はいつも私より先に起きて、ご飯を作ってくれていた。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:08:28.43 ID:GpBkfE9j0
母は今私の目の前に立ってる。
溢れる涙で私は目を開けていられず、どんな顔をしているか分からない。
でもきっと、心配そうな顔をしている。
怪訝な表情を浮かべているかも知れない。
だから、母にそんな表情をさせるのは嫌だから、
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:11:19.02 ID:GpBkfE9j0
千早「っ……」

私の背に、頭に、手が触れる。
母の手。
母が、私を、そっと抱き寄せていた。
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:13:01.86 ID:GpBkfE9j0
千早「お母さん……!」

絞り出すようにそう言って、私は母に思い切り抱き着いた。
そして大声で泣いた。
何度も何度も、母を呼びながら小さな子供みたいに泣いた。
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:14:17.64 ID:GpBkfE9j0



千種「それじゃあ、行くわね」

以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2019/02/26(火) 00:15:21.49 ID:GpBkfE9j0
終わりです。
付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした。
如月千早さん誕生日おめでとうございます。


29:名無しNIPPER[sage]
2019/02/26(火) 00:17:13.09 ID:4vLYHcqDO
母娘
母と娘。当て字として用いられ、読みは「おやこ」もしくは「ははこ」と読ませることが多い。



30:名無しNIPPER[sage]
2019/02/26(火) 00:19:51.13 ID:SRoCAnvb0
凄く好みの話ですわ、いいもの読ましてもらい感謝
乙です


31:名無しNIPPER
2019/02/26(火) 09:12:38.26 ID:+GBmB3C20
千早ーー!!お誕生日おめでとう!!
カーチャンと仲良くなあああ!!!


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