【エヴァ】シンジ「すべてを受け入れようと思う」
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1: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 13:58:01.66 ID:PM9H0cD60
ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズQ内の分岐ルートSSです。
未完スレはこちら。※立て直しに至った経緯は未完スレに記載済み
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1559020972/
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:08:26.89 ID:PM9H0cD60
その日、地球の遥か上空に位置する宇宙空間で、ある極秘の軍事作戦が行われようとしていた。ノイズの膜に被われた音声が、電波に乗って真空の暗闇を飛び交う。その声は、任務の中核を担う一人の少女の耳に届いていた。
『追跡班、両機の現在位置を報告』
『ポッド・ツー・ダッシュ、作戦高度に到達。予定軌道に乗った』
『ポッド・エイト、軌道投入に問題発生。高度が足りない』
3: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:10:28.67 ID:PM9H0cD60
『S1C燃焼終了。圧力弁を閉鎖』
『第二弾、ブースターユニットをジェットソン』
ブースターユニットが本体から分離すると、本体を見送る星屑となって消えていった。
4: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:13:01.28 ID:PM9H0cD60
赤いヘルメットとプラグスーツに身を包んだ少女は、コックピットの中で次々と状況を伝える映像に意識を集中していた。
室内の音声モニターからは、オペレーターの無線に混じって、緊張感の無い少女の鼻歌が聞こえていた。その鼻歌は、赤い少女のコックピットの中へ入り込んでいた。
『目標との交叉起動に乗った。接触まであとハチマル』
『目標物を確認』
5: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:15:27.85 ID:PM9H0cD60
「うっ!!」
バットで鉄板を殴ったような音と共に、激しい衝撃がコックピットを襲った。
赤い少女は、機体の揺れに体を奪われてうめき声を上げる。無数の破片が、突然降り始めた雹(ひょう)のように次々と機体に衝突していく。
6: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:18:36.64 ID:PM9H0cD60
「コネメガネ! いつまで歌ってんの! うっとおしい!」
アスカは、暖気な歌声の主に苛立ちを向けながら、特攻を仕掛けて来る飛行物体を弾き返して応戦する。
先程まで漂っていた静寂の中の緊張感はどこかへ消え、宇宙空間は一瞬にして物理的な戦場と化した。
再び改2号機のATフィールドに食らいついた飛行物体を、遠方から鼻歌の主が狙撃して撃破する。
7: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:20:35.24 ID:PM9H0cD60
『2ダッシュ、最終ブースターをジェットソン。再突入保安距離を確保』
「強奪成功。帰投するわ」
アスカは、息を荒げて胸を大きく上下させた後、呼吸を落ち着かせて外の景色に目をやった。
8: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:21:17.48 ID:PM9H0cD60
休む暇もないまま、突然コックピット内にアラートが鳴り響いた。モニターには、即座に状況を解析したコードが表示される。
Baillee
Ulterior
Lypanes Pelponer
9: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:22:06.73 ID:PM9H0cD60
10: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:26:06.46 ID:PM9H0cD60
アスカは顔色を変えて周囲を見渡した。しかし、敵は見当たらない。
『妨害物はコード4B。フィールド反射膜を展開中』
オペレーターの音声が届く。敵は目の前にいた。
11: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:29:39.71 ID:PM9H0cD60
LCLで満たされたコックピット内に、アスカの左目から血の色をした気泡が吹き出す。
「コアブロックをやらないと……逃げんなゴラァー!」
コンテナの中心にあった円盤状のコアが、平面状の触手を伝って改2号機から離れて行く。
12: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:30:42.75 ID:PM9H0cD60
13: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:31:49.63 ID:PM9H0cD60
その声に答えるようにして、コンテナに赤い亀裂が入る。
次の瞬間、紫色の光が一直線に伸びたかと思うと、一瞬のうちに触手を切り刻み、細切れの藻屑へと変えてしまった。
そして、強力な電磁砲が逃げ出したコアを追い立てるようにして放たれると、遂にそれを破壊した。
アスカは、唖然とした表情で目標物を見ていた。
14: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:32:34.42 ID:PM9H0cD60
15: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:33:47.89 ID:PM9H0cD60
戦闘が起きた宇宙空間の遥か彼方で、その光景を眺める一人の少年の姿があった。
銀髪の少年は、事の顛末を全て予見しているような表情で、地球に向かって降下する光を見ていたのだった――。
16: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:34:38.54 ID:PM9H0cD60
■ヱヴァンゲリヲン新劇場版ifルート
17: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:37:29.74 ID:PM9H0cD60
シンジは突然目を覚ました。そこは、赤い光によって不気味に照らされた、隔離施設のような部屋だった。シンジが目覚めたのは、その中に置かれた無骨な装甲で被われているベッドの上だった。
慌ただしく駆けていく足音と、ストレッチャーの車輪がきしむ音とが、廊下に響き渡る。シンジの目覚めたベッドは、何者かによってエレベーターに乗せられて、どこかへ移動しているようだった。
「心肺機能は正常です。四肢の麻痺も認められません。ハイ。目は開いてます」
18: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:39:15.26 ID:PM9H0cD60
──エレベーターが地下のフロアへ到着して、シンジの乗せたベッドは巨大な空間へと運ばれて行く。周囲には、何らかの作業を進めるスタッフの声が飛び交っていた。
『補給作業、搬入リストの86%までクリア』
「稼働中のN2リアクターは出力で90%を維持、圧力便は手動で解放してくれ」
「半径1200以内に艦影なし。未確認飛行物体も認められず」
19: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:43:18.90 ID:PM9H0cD60
シンジは、体にまとわりついた重力を引きはがすようにして、ベットからゆっくりと体を起こす。
ブリッジの上に佇む女性の背中に目を向けた。その時、周囲のスタッフたちの妙な気配に気付き、彼らのいる方へと視線を送った。
彼らは、各々の持ち場に付きながらも、明らかにシンジのいる方へ意識を集中させていた。彼らは、憎しみとも怯えとも付かない表情を浮かべて背中越しにシンジを見ていた。シンジは自分の置かれている状況が把握できずに動揺する。そして、その答えを求めるようにして、ブリッジの女性の方へ顔を戻した。
「……ミサトさん?」
20: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:49:40.37 ID:PM9H0cD60
「葛城、艦長って……? でも、やっぱりミサトさん?」
その時、シンジの首に巻かれていたチョーカーから電子音が発せられた。
リツコは、手に持っていたコントローラーを操作して、表示されたステータスを“ACTIVE”に切り替える。
21: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/05/29(水) 14:50:32.69 ID:PM9H0cD60
「それって……死ぬって、ことですか?」
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