高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:52:01.33 ID:i6ln0z2d0
――おしゃれなカフェ――

高森藍子『ごめんなさい、30分くらい遅れますっ』


北条加蓮(……珍しいことに私が先にカフェについて、スマフォをチェックしたらそんなメッセージが届いてた)

加蓮(送信時間は今から5分前。ってことは、藍子が来るまであと25分ってところかな)


さて、どうしようかな?

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:52:41.94 ID:i6ln0z2d0
レンアイカフェテラスシリーズ第93話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:53:12.70 ID:i6ln0z2d0
加蓮『なにかあったの?』


藍子から返信が来る前に、店員さんが抹茶ラテを持ってきた。1人分をお皿に載せて、私の顔をちらりと見て、それから私の正面、誰も座っていない空席を目の端で捉える。
私は苦笑する。遅刻、って言おうとして、遅刻って言うのはあんまりよくない言葉だなって気付く。けど代わりになる言葉がなくてぱちくりと瞬きをしていたら、店員さんは一瞬だけ目を瞑って一礼した。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:53:42.65 ID:i6ln0z2d0
加蓮『慌てなくていいよ?』


なんだかブラックなガムを噛んだ後のよう。想像だけどね。藍子にメッセージを送って、もうちょっと気の利いた言葉はないかなと思い返した。前に無愛想とか可愛くないとか言われたことあるし。
でも、ここでまた送信したら、藍子はスマフォに目を落とすよね。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:54:12.04 ID:i6ln0z2d0
音を立てないよう、ゆっくり、ゆっくり、ラテをかき混ぜて。右手ではテーブルにおいたスマフォを操作していく。
藍子の足を止めるのは気が引けるし、もしそれで藍子が30分よりも遅れてしまったらすごく申し訳ない顔をされるだろうけど、それでも何かメッセージを送ってみたかった。

そうだね……。でも、何を送ろうか。
伝えたい言葉も、話したい話題も、藍子の顔を見てからにしたい。スマフォのメッセージのやりとりってちょっと機械的過ぎて、嫌いじゃないけど好きでもないんだよね。当然使うことは使うけどさ。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:54:42.34 ID:i6ln0z2d0
そしてまたスマフォに目を落とす。藍子から返信が来ている。


藍子『時間を忘れて』

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:55:12.60 ID:i6ln0z2d0
加蓮『夢中になってた? 何かしてたの?』


藍子と一緒に長い時間を過ごした。これからもきっと、ずっと一緒にいられる。いたいって思ってる。
だけど私は藍子のことについてあまり自信がない。知っていることは知っている。知識があるのに不安――まるで学校の定期テストみたい。赤点を回避できればそれで十分。そんなことに悩まなくても私は楽しく過ごせているし、藍子だって笑っているんだから全然オッケー。もしかしたらその隣では80点とか90点とか取っている人がいるかもしれないけど、人と比べるなんて馬鹿馬鹿しいもんね。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:55:42.51 ID:i6ln0z2d0
カップを傾けようとして、抹茶ラテはさっき一気飲みしたことを思い出した。ちょっとくらい残しとけばよかった。
店員さんを目で追うけど、こういう時に限って店内にいない。たぶん他のお客さんの注文に対応する為にキッチンにいるんだと思う。
誰かに縋ろうとしたけど、今一番いてほしくて、そしていてほしくない人はここにいない。最近増えたお客さん2人も、今日はいない。
いっそ顔も名前も知らない人に話しかけてやろうか。……なんてね。さすがにそこまで人に飢えてない。

以下略 AAS



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