11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 20:38:52.85 ID:clFucneV0
  
 「それで、ここからが本題。渋谷さん、アイドルになりませんか?」 
  
 「えっ。……えっ?」 
  
12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:04:55.70 ID:clFucneV0
  
 ○ 
  
 明朝、がらがらがらがらと響く重い音で目が覚めた。 
  
13: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:06:34.58 ID:clFucneV0
  
 「散歩。行こっか」 
  
 散歩、というワードに反応してハナコは私のあとについてくる。 
  
14: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:08:33.21 ID:clFucneV0
  
 お店に入り、ハナコのリードを外してやる。 
  
 かちん、という金具の音と共にハナコは店内を真っすぐに突っ切って家の方へと消えていった。 
  
15: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:10:10.36 ID:clFucneV0
  
  リビングでは母がソファに腰かけて「お昼、何がいい?」と聞いてくるので「おいしいの」と返す。 
  
 「おいしくない方が珍しいでしょう?」 
  
16: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:13:24.30 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 アイドルにスカウトされた一件以降の私の日常は、まさに平穏そのもので、高校生としての生活にも慣れ、級友とも打ち解け始め、私の青春は順調と言えそうだった。 
  
17: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:15:04.31 ID:clFucneV0
  
 はぁ。 
  
 短く息を押し出して、再び校庭を見るともなく、眺める。 
  
18: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:20:53.18 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 学校最寄りの駅から電車に乗って、揺られること数駅。 
  
19: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:21:20.87 ID:clFucneV0
  
 そのすんでのところで、視界の端に紺の制服に身を包んだ人影を認める。 
  
 頭にはこれまた紺の帽子があり、中央には金色のエンブレムが輝いている。 
  
20: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:22:26.12 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 男の「それでは、お見せしたい書類もありますので、立ち話もなんですし」という言葉に素直に従い、私は駅からほど近い喫茶店にやってきていた。 
  
21: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:23:49.40 ID:clFucneV0
  
 「渋谷さん、下のお名前はなんて言うんですか?」 
  
 「……凛」 
  
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