【デレマス】夢見りあむの、尊さについて。
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5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:40:47.37 ID:CDwt0mRk0

 口説き文句は、正直、あんまり覚えていない。ただただ唐突なできごとに混乱して、「は? このひと頭がおかしいんじゃないか」って思って、「顔がめっちゃカッコいい」とも思って。
 ……あぁ、そうだ。確かPサマはこう言ったのだ。アイドルになんかなれないって、尊くなんかなれないって断ろうとしたぼくに「だからこそ、いまだ嘗てないアイドルになれる」なんてことを。

 そんなはずがない。ぼくのことはぼくが一番よくわかっているし、アイドルっていう存在だって、目の前の男よりもずっと詳しいんだから。
以下略 AAS



6: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:43:08.34 ID:CDwt0mRk0

「ねー、Pサマ、暇だよぉ、構ってよぉ」

 ソファに不自然な体勢で体を預けているせいか、シャツの裾がだるんだるんになっている。それももう気にならない。

以下略 AAS



7: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:44:23.70 ID:CDwt0mRk0

 まぁ、駆け出しのアイドルなんてそんなもんなんだろう、という達観も確かにあった。ぼくが稼いでるお金より、ぼくに使ってくれているお金のほうが全然多いはずだ。

 そもそもこの事務所、母体は中堅どころのそこそこ有名な会社だけれど、その一部門としては極めて零細。ぼく以外のアイドルだって片手で数えられるくらいだから。

以下略 AAS



8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:46:25.47 ID:CDwt0mRk0

 ぼくのアイドル論とは全く無関係に、ぼくはそもそも面食いで、可愛いアイドルが好きだった。当然カッコいいアイドルも。そういう意味では、Pサマの存在は、なんていうか、こう……非常にモチベに繋がっている。そして毒でもある。心臓に負担が、が、が。

「千川ァ。俺の代わりに、こいつの教育すっか?」

以下略 AAS



9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:48:21.68 ID:CDwt0mRk0

「た、食べる!」

「そうか。なら、俺も休憩にすっかな」

以下略 AAS



10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:49:54.93 ID:CDwt0mRk0

* * *

「……」

以下略 AAS



11: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:52:18.84 ID:CDwt0mRk0

 現在時刻は夜の八時半を回っていた。事務所に始発で来たから、かれこれ十四時間、アイドル活動をやっていたことになる。

 今日は朝からテレビの収録があったのだ。

以下略 AAS



12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:54:45.28 ID:CDwt0mRk0

 だって仕方がない。仕方がないじゃん! 本当のことなんだもん!
 五人でグループを組んでた時のほうが活き活きしてた。いまもパフォーマンスは凄いしファンサービスだってめっちゃだけど、だけど、だけど、……ステージで踊る彼女たちの汗と笑顔が、なぜだか尊く見えない。心でも魂でもなくて、技術でアイドルをやっている、そう思えちゃったのだ。

 それが残念でしょうがない。泣きたくなるくらい悔しい。
以下略 AAS



13: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:56:05.75 ID:CDwt0mRk0

 Pサマは怒っていたけれど、どこか嬉しそうな、楽しそうな顔をしていた。だからぼくは、やってしまったという自己嫌悪よりも、よっぽど自慢気が勝っているのだ。
 初テレビ出演のお祝いに餃子も買ってもらったし!

 薄汚れたコートを着たまま、Pサマは餃子を電子レンジに突っ込んだ。
以下略 AAS



14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:57:04.84 ID:CDwt0mRk0


 電子レンジが「チン」と音を立てる。呆れ顔のPサマ。扉を開け、餃子を取り出し、パックの蓋をとる。
 安っぽいにおいがした。だからこその親しみやすさだとぼくは思う。

以下略 AAS



15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:58:06.62 ID:CDwt0mRk0

* * *

 蓋を開けてみれば、わかっていないのはPサマのほうだった。

以下略 AAS



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