226:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 10:56:26.05 ID:7gnP6kF90
  
  
 ――ウチでライブ前の強化合宿したい。泊まり込みの。 
   
  
227:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 11:06:02.63 ID:7gnP6kF90
  
  
  「ウチの娘になっちゃう?」 
   
  「あはは。魅力的ですけど、パパとママが泣いちゃいそうで」 
228:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 11:17:38.09 ID:7gnP6kF90
  
 おどけた声真似を披露しつつ、加蓮はゆっくりと歩調を緩めます。 
 夏の湿気にすっかり汗みずくとなったトレシャツのジッパーを下ろし、 
 ぱたぱたと仰いで、さして涼しくもない外気を取り込みます。 
  
229:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 11:36:27.84 ID:7gnP6kF90
  
  
  「さ、女子会……の前に、どっちで寝るか決めよっか」 
   
  「え? 加蓮ちゃんがベッドじゃないんですか?」 
230:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 11:55:19.11 ID:7gnP6kF90
  
  「でもいいの? このマットレス、 
   けっこう良いやつなんだよね。卯月ん家も良いの使ってるんだろうけど」 
   
  「へぇ……そうなんですか?」 
231:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 12:03:47.21 ID:7gnP6kF90
  
  
 卯月が完全におやすみモードへ突入したのを見届けると、 
 加蓮は冷房の設定温度を少しだけ上げました。 
 部屋の明かりを消して、自分も久々のお布団の中へ潜り込みます。 
232:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 12:23:25.26 ID:7gnP6kF90
  
  ◇ ◇ ◆ 
   
  
 何かの拍子に窓ガラスが音を立てました。 
233:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:04:21.86 ID:7gnP6kF90
  
 スリッパを履き、奏と共に病室を後にします。 
  
  
 今回も病院内は息を潜めるかのように静謐を湛えていて、 
234:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:25:39.69 ID:7gnP6kF90
  
 憫笑。 
  
 昔、何かの小説で知ったそんな言葉を、加蓮は思い出していました。 
 きっと、奏のこの笑みを表す為に作り出された表現なのだろうと、 
235:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:48:00.29 ID:7gnP6kF90
  
  「んっ……」 
   
 整った顔を少しだけ歪め、奏は指先に力を籠めます。 
 ざりざりという悲鳴にも似た耳障りな音を立ててドアが開け放たれると、 
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