高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「『あいこカフェ』で」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/05/16(日) 14:27:36.61 ID:eE/KPeRw0
頭を上げたところでまたおひさまのエプロンが目に入る。つられて頭を2回も下げてしまったのならエプロンの端から肌のラインに合わせたカフェ制服が、足元では濃茶の編み上げブーツとハイソックスが垣間見え、落ち着いた印象をもたらす。藍子のヘアスタイルと言えばおだんごヘアー。今日も健在で、いつもに比べると動きやすく大きめにまとめている。
今日はオープン2日前。そろそろ緊張や、不安が生まれてもおかしくない頃だね。
そんな、自分に向けられたらお節介でしかない感情を半分だけ持って、藍子の立ち姿をもう1度上から見直してみる。
残念なことに、いつもと違うところは全然見受けられなかった。……ふふっ。残念なことに、ね。

「加蓮ちゃん?」
「ううん、なんでもっ。今日もよろしくね、藍子」
「はいっ、こちらこそ!」

と言っても、準備はほぼできている。まず建物自体は街並みから少し離れたところにあるドラマやその他様々な撮影でよく使われる場所を借りた。私もナチュラル&ガーリーのコーデ撮影の時と、あと腕時計と、室内用スポドリのCM撮影で使わせてもらった場所がある。もとから庭が付いていて、初日にして慣れた方々があっという間にテラス席へと作り変えてしまった。
木造の建物にはもともとフロア分けという概念がなく、ほとんどのカフェがそうであるようにドアを開くとワンルーム。個室の類はなし。四方の壁は無機質な白壁の上から、森の深いところで日差しをほどほどに浴びて育った木々を借りたような隠れ家的コーデが施されている。
半分がテーブル席で、半分がくつろぎ席。この辺りはあのクリスマス限定のパーティーカフェと一緒だね。

「……なんか準備することある?」
「今日は内装のチェックし直しと、それからスケジュールを確認する予定です。時間があまったら、当日の練習もしましょうっ」
「はーい。……時間が余ったら?」
「はい。時間があまったら」
「……」
「……加蓮ちゃん?」
「……藍子の口から、時間が余ったら、なんて言葉が出てくるなんて。これは当日は大雨かな」
「もうっ、どういう意味ですか!」

あははっ、怒らせちゃった! 両手をぎゅっと握る藍子から逃げて、内装のチェックに移ろっか。


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