高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「『あいこカフェ』で」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2021/05/16(日) 14:30:11.05 ID:eE/KPeRw0
……作者です。以前書いた形式のまま執筆しましたが、これはさすがに1文字空けた方が良さそうですね。
修正しつつ投稿します。どこか修正忘れがあったらごめんなさい。




 まずはテーブル席へと歩いてみた。仕切りのない長机が2つと、手をめいっぱい伸ばして指先が届く程度の間隔で椅子が並んでいる。ふんわりクッション付きで、紐留めにもちっちゃなリボンがついているのが可愛い。
 ここに座る人達はきっと、同じ空間を共有する相手を気にしないか、偶然の出会いを藍子みたいに嬉しく思うんだろうけど、一応の配慮として長机には椅子と椅子の中間地点にあたる場所ごとにフラワーアレジメントが置いてあった。クッションと違って、こっちはそれぞれ種類が違うみたい。花言葉……まで意識しているのかな。残念ながら私にはピンと来なかった。あとで藍子に聞いてみよう。

 窓際には別の席として、四角テーブルとソファ型の椅子が揃って並んでいる。4人がけのものと2人がけのものがあり、ここにもテーブルごとに小さな造花で飾り付けがされていた。
 それから、造花の隣にはメッセージカードが置いてある。持って帰るのは1人1つまで。四角テーブルではなく長机で時間を過ごした人には、帰る際にレジで手渡すようにしている。
 カードには、来てくれた人への藍子のお礼の言葉が書いてあるんだよ。昨日まで、ずっと書いてたの。
 だいたい「いつもありがとうございます♪」という言葉なんだけど、読点の有無や音譜マークと"っ"の違い、レアな物だともう一言添えられている物もある。文字の違いは藍子発案、レア物を混ぜたのは私が提案した物だった。
 ちなみに極一部には、藍子の物ではない一筆書きの花びらが書いてある物もあったりする。手に取った人は相当ラッキーだねっ。

 テーブルはどれもピカピカ。きっと藍子は当日の朝も磨き直すんだろうけど。遮光用の簾も欠けている様子は無し。窓枠のひまわりは生花だよ。雲間の光を少しでも多く浴びようと、花びらをぴんと張っているみたい。もし当日が曇りなら薄白のバラを、雨が降ったらサボテンを置くことも、藍子に確認できた。ここも準備はオッケー。
奥側にある、カフェに入って店内を何気なく見渡した時にパッと見ただけではそこにいる人の顔が分からない位置の2人がけ席には、私のよく知る造花が飾られていた。
思わず、ふんわりと笑ってしまった。花びらの先を小指で弾いて、反対側へと向かおう。

 入り口から向かって右半分は、くつろぎスペースになっている。靴を脱いで上がり、壁際に置いたのはまず、このカフェ唯一の置き時計。こっ……こっ……と、1秒に1回ではなく3秒に1回、非常にゆったりとしたペースで針の音を立てる。店員として働く時に時間はいろいろと重要になりそうだけど、お客さんにゆっくりしてほしいという気持ちが上回り、スローモーションな時計が1つだけになった。
大樹の麓に小鳥が集うように座椅子や子供柄のクッションが用意されているかと思うと、足元にも身を埋める丸型のビーズクッションやキューブ型の枕などが無造作に転がっていた。
 せっかく靴を脱いで、足を思いっきり伸ばし、他のお客さんがあまりいない時にはこっそり寝転がっちゃうスペースなのだから、整いすぎていても良くないんだって。

 掘りごたつを連想させる木組みのテーブルは、端に少し焦げた跡。4人で並んで座れるように、おばあちゃんの家で見るような敢えて色を褪せさせた座布団が敷いてある。
その向こう、店の右上角に当たる場所には室内だというのに大きな大きな木が植えてあった。もちろんセットだけどね。藍子は、色んな道具の中でもこれを特に念入りに手入れしてたっけ。根本に腰を降ろし背中を樹木へ預けてみると、木陰て休んでいる感覚が湧き上がってきた。ここからならカフェの全体が見渡せる。面白そうな写真とか、小物とかを見つけて、チェックしてみるのも良し。木の精霊の気持ちにでもなって、そのまま目を瞑っちゃうのもアリだね。

……私も、目をつむってたら睡魔が襲いかかってきて……寝てたとしても5分か、10分か、それくらいだけど。一応は撮影の準備っていうお仕事みたいな状態なんだし。

 ただ目を開けた時に目の前に藍子がいて、かがみ気味の姿勢で片手は膝に、もう片方の手を私に伸ばして、とっても優しく微笑んでいたのは……。
 なんだか、すごく印象的だった。
 口元の笑みに10%くらいのイタズラ成分が入っていなければ、私も素直に手を掴んでたかも?

 出入り口から向かって奥側が、調理場所。キッチンだね。
 区切りとなるカウンターは席にしていない。その代わり、背の低いカウンターの上にも小物がたっぷり。とあるテーマパークで有名なキャラクターの編みぐるみから玩具箱に放り投げられていたような飛行機模型。色んな 貯金箱が並んでたりインテリア用の急須が同じ方向を連続して3つ並んでたりと、ちょっとユニークなところも。向こうに見えるキッチンシンクには大量の道具と4つのアラーム時計が、隣の食器棚にはたくさんのお皿が並べられ、ここもいい雰囲気にごちゃっとしていた。
 基本的に注文は藍子が対処する、つまり藍子はここにいることが多いんだけど、同時に接客も希望したので、時には違うスタッフさんが調理場に立つことも。だけど必ずどこかの行程で藍子が手掛けている姿を見せるようにしている。

 調理箇所は全部で4つ。壁にはエプロン掛けが備わってて、藍子の気分次第で容貌を変えられるようになっている。さてさて、当日そんな暇があるかどうかは……?


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