星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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20: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:51:54.29 ID:Sev9O2YP0
「みんなで遊びに行きましょう!」

幸子はレッスン終わりにそう言った。
彼女達が出会ってから半月ほど経過していたが、これまでプライベートで時間を共にした事はなかった。
決して仲良くなりたくない訳ではない。三人とも距離を測りかねていたのだ。
以下略 AAS



21: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:53:38.75 ID:Sev9O2YP0
歩き続け、やがてデパートに到着した。

「何か買いたいものとかありますか?」

「えーと…特に、ないかな……」
以下略 AAS



22: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:54:33.05 ID:Sev9O2YP0
「ああ、アレですか。星さんってああいう曲好きなんですか?」

「うん、ああいうのが、好きかな」

そう言っていると、お腹の底で真っ黒なものが渦巻いているような感覚になった。
以下略 AAS



23: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:55:21.82 ID:Sev9O2YP0
しばらく談笑していると、時計を見て幸子が呟いた。

「うわ、もうこんな時間ですか、もう帰らなくちゃ……」

「そっか、じゃあ今日はお開きだな……」
以下略 AAS



24: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:56:21.67 ID:Sev9O2YP0
『ターゲット層はロリコンのオタク』

マネージャーがそう言った通り輝子はロリータ衣装に身を包み、とにかくかわいらしく振舞った。
当然キノコもメタルも封印した。幸子と小梅にすらその趣味の事を話す事はなかった。

以下略 AAS



25: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:57:13.35 ID:Sev9O2YP0
輝子は今日の幸子との出来事を思い出し、にやにやと笑う。
家に帰った輝子はさっそくCDを機材に入れ、スマホに取り込み、再生した。

いい曲だ、と思った。本当に。
メロディアスで、耳当たりがよくて、歌詞も元気が出るようなものばかりだ。
以下略 AAS



26: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:57:55.66 ID:Sev9O2YP0
新しいプロダクションに行き、そんな日々を過ごしたある日の事。
輝子はいつものように自室のベッドで目を覚ました。
冷房をつけてなお外から熱気が入り込む、真夏日。
夏、そう、夏だ。
自分が嫌いで嫌いで仕方なかった夏。
以下略 AAS



27: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:58:36.12 ID:Sev9O2YP0
耳を劈く蝉の声。辺りに突き刺さる真夏の日光。
外に出て数分で後悔していた。
何も楽しくなんてない。暑い。暑い。
辛い、うるさい、苦しい、だるい、しんどい。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
以下略 AAS



28: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:00:54.85 ID:Sev9O2YP0
ふらふらと、一人歩いた彼女は公園にたどり着いた。
ちらりと中を覗いたが誰もいない。
彼女は足を踏み入れ、ベンチに腰を下ろした。
ベンチは木陰になっていたが、それでもとてつもなく暑い。
むしろ木のそばにいる事で、蝉の鳴き声がいっそう近くで鼓膜を震わせた。
以下略 AAS



29: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:02:58.88 ID:Sev9O2YP0
「やあ、『星輝子』」

ゆっくりと輝子の隣まで歩くと、彼女の顔を覗き込んだ。
輝子は横を見ない。見れない。
暑くて、怠くて、顔を動かせない。
以下略 AAS



30: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:04:42.05 ID:Sev9O2YP0
「お前は、トモダチを捨てたんだ」

輝子を嘲り、見下す『それ』から目を離す事ができない。

「最近のプレイリスト、J-POPで埋まってるじゃないか。最後にメタルを聴いたのはいつだ?」
以下略 AAS



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