508:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:18:12.00 ID:Ja1kf7tAO
例えば人としての個体を持ちながらにして人の域を越えるとする。
この際の『人の域を越える』事の定義は曖昧なままで良い。
学問、武術、芸術。その他諸々において何か一つでも神域まで到達したとしよう。
人という器に注がれた神の叡智はそれに収まる筈もない。
ならばキャパシティーの限界を越えて力を垂れ流し続けるその個体は、神を名乗ることなど出来るのだろうか。
509:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:18:45.55 ID:Ja1kf7tAO
だが三人に斎藤の問いの意図など分かる筈も無い。
この世に存在しないものを理解する事など出来やしないのにそれの真似事と言われて明確な答など出せない。
斎藤「辛酸を舐め、血の雨を浴び、渇きで飢えを誤魔化したその先に見えるもの。私はそれこそが神の力だと信じていた」
510:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:19:21.45 ID:Ja1kf7tAO
斎藤「振り返った先には何も無かった、罪深い人生だったよ。手にした力は神を模した紛い物で、上ばかり見続けた私は何も掴めなかった」
純「で、何が言いたいんですか?」
痺れを切らした純が遂に斎藤に食って掛かった。
511:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:20:01.80 ID:Ja1kf7tAO
純「強くなるのに理由なんて要らないのに、カチカチの頭で自分の首を絞めて『私は苦労してきました』って言いたいんですか? そういうのって逃げでしかないと思うんですよね」
片足で強く床を踏み付け、体内を流れる闘気の色を切り替える。
次の瞬間、舞い上がったのは赤色の闘気だった。
512:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:20:45.32 ID:Ja1kf7tAO
斎藤「だがこれだけは覚えておけ。理由無き強さに意味など無い。人は誰かの為に闘う時、本当の意味で強くなれるのだ」
斎藤は横目でかつての主人を一瞥し、厳かな口調で呟いた。
斎藤「修羅道──」
513:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:21:24.97 ID:Ja1kf7tAO
闘気の動きは一切観測していない。
つまりこんな不可思議な現象は起こせる筈が無いのだ。人間である限りは。
純はまともに立つ事すらままならず、ふらふらと膝を折り、額から床に顔を伏せた。
純「が……はっ……!?」
514:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:22:20.04 ID:Ja1kf7tAO
律「やめとけ」
苦痛に歪む純の顔をしげしげと見つめていた斎藤。
その背後で怒気を含んだ律の声が鳴った。
515:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:23:26.75 ID:Ja1kf7tAO
斎藤「良い拳だ」
だが斎藤は崩れない。
衝撃を受けて血が吹き出る側頭部を庇おうともせずに律の足首引っ掴み、身体を軽々しく振り回した後に頭から床に叩き付ける。
516:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:24:03.82 ID:Ja1kf7tAO
律「やめっ、止めろ──っ!!」
ぼきり──。
律だけでなくその場に居た全員にはっきりとその嫌な音が聞こえた。
それに遅れて声にならない悲鳴が斎藤の耳を劈く。
517:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/26(水) 09:24:43.52 ID:Ja1kf7tAO
斎藤「さしずめマルチタイプと言ったところか……。確かに便利な力だが、容量を削ってやれば何と言うことも無いな」
戦意を叩き折られて瞳を濁らせた純の頭を掴みあげ、眉間にそっと指を当てる。
斎藤「餓鬼道──」
1002Res/468.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。