530:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 19:58:06.96 ID:YRz+mxHAO
姫子「あの人……。気持ち悪過ぎだよ……」
口元を抑え、込み上げる吐き気を堪える。
直接脳内に最悪のイメージを浮かばせる加藤の発言、言動は目には見え難いものの、確実に姫子の精神を摩耗させてゆく。
531:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 19:58:36.33 ID:YRz+mxHAO
先の打ち合いで観測した限りでも加藤は要所要所で闘気をコントロールしている節があった。
回避、防御に当てられている闘気は勿論攻めに転じる事も出来る。
そうなれば三花程度の実力者では歯が立たないだろう。
姫子「…………」
532:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 19:59:06.29 ID:YRz+mxHAO
姫子「…………」
そんな発想は最初から無かった。
無事生きて帰れる補償は無いと知りながらここまで来たのだ。逃げ出してしまえばそれこそ本末転倒な話だ。
533:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 19:59:36.39 ID:YRz+mxHAO
加藤「私は貴女の全てを知っている」
ぞわりと姫子の背筋に虫が這った。
傍らで棒立ちになっていた三花は勿論の事、背後に回り込まれていた姫子でさえも隙を突かれたと気付いたのは、なまめかしい手つきで胸を揉みしだかれてからだった。
534:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 20:00:21.52 ID:YRz+mxHAO
加藤「……興ざめですねぇ。『何も考えていない』女は嫌いなんですよ──!」
深々と腕に食い込んだ爪は肉の繊維の一つ一つをずたずたに引き裂く。
加藤「この……! 離せ! 離せっ! 股座にゴキブリを詰めてやろうか!」
535:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 20:00:50.43 ID:YRz+mxHAO
熟れたトマトを潰すかのように三花の手首から先が爆ぜた。
赤い花火が鳴り終えると同時に三花に襲いかかるのは気が遠くなるような痛み。
右手から伝わる痛みに全身が痺れを以て応える地獄のような苦しみの中で、三花は悲鳴を上げるでもなく仲間を鼓舞した。
三花「立って、姫子!!」
536:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 20:01:21.19 ID:YRz+mxHAO
『貴女の全てを知っている』
先のこの囁きが姫子の胸に纏わりついて離れなかった。
それだけ聞けばただの戯言染みたはったりにしか聞こえない言葉なのだが、姫子にはこの言葉が真実であるという確信があった。
姫子「やだ……。見ないで……!」
537:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 20:02:02.86 ID:YRz+mxHAO
だが加藤は初撃を交えてから一度も被弾していない。それに加えてあの時の見切り。
『加藤はもしかしたら自分の思考を読めるのではないか?』
一度そう思ってしまってからの全てを知っているという発言。
言動の不気味さも相俟って姫子の心はあっさりと、硝子のように砕けてしまった。
538:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 20:02:35.29 ID:YRz+mxHAO
加藤「ふふふっ……」
盛大に壊れてゆく姫子を横目で見ると加藤は満足げに笑った。
三花「この……っ!」
539:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 20:03:06.29 ID:YRz+mxHAO
加藤「どうですかぁ全身の血を掻き乱される感覚は!」
三花の滲む視界に映る加藤の身には青色が纏わりついていた。
これ以上は不味い、そう思いつつも三花は自分の身体が思うように動かない事に苛立ちを覚えた。
この痛みの種は分かっているのにそれに対応する気力は痛みに殺がれていたのだ。
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