903:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:09:18.53 ID:HS1jkPFAO
物憂げに顔を伏せ、ベッドに横たわる姫子の頬をそっと撫でるとしずかは大きく溜め息を吐いた。
江藤「ふふっ」
その様子を見て江藤は含み笑いを漏らす。
904:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:09:49.53 ID:HS1jkPFAO
言いながら江藤は服の下の包帯を器用に解いてゆく。
少し変色したそれが床にかさ張ってゆくのを見てしずかは眉を顰めた。
江藤「自分を死の近くに置いてそれを打破する事に喜びを感じるのか。敵を生かさず殺さず、自分の手の内で弄んで悦びを感じるのか。付き合いも無い以上深くは知らないけれど……」
905:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:10:25.71 ID:HS1jkPFAO
生々しい傷は果たして痕を残さず消え去るのだろうか。
その答えはしずかにも江藤にも解らない。だが二人ともこれだけは理解している。
弱者の証として刻まれたその刻印には背負う者を一生苛ませる力があるという事を。
たとえ、その傷が消えたとしても。
906:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:10:59.23 ID:HS1jkPFAO
しずか「…………」
恐らく次の一言が自分と江藤が交わす最期の言葉となるだろう。
理屈ではなく本能がそれを察し、しずかはそれを聞き逃すまいと意識を集中させた。
江藤はまるで死にゆく武人のように力強く、どこか安らかな目をしずかに向ける。
907:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:12:34.57 ID:HS1jkPFAO
澪「遅かったね」
姫子を背負って病院から出て来たしずかに澪は優しく微笑みかけた。
先の江藤との会話が原因だろうか、今のしずかにはその邪気一つ感じられない笑顔が不気味に思えた。
908:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:13:03.71 ID:HS1jkPFAO
しずかのよそよそしい反応に気付いたのか、澪は人の良さそうな笑みを貼り付けたまま僅かに首を傾げた。
しずか「ごめんね。今ちょっと頭の中がぐるぐるしてて……。一人に、なりたいんだ……」
遮二無二に頭を振り、しずかは澪の側を横切った。
909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:13:34.69 ID:HS1jkPFAO
一陣の風が流れた。
しずかは何も答えなかったし、澪も何か言及する事も無い。
重たい足音が風の彼方に消え去るまで、澪は何をするでもなく立ち尽くしていた。
澪「……っ!」
910:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:14:05.17 ID:HS1jkPFAO
翳した左手の内で氷のナイフを生み出す。
そして彼女はそれを自分の右手の甲に突き刺した。
澪「止まれ……。止まれ……!」
911:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:15:14.10 ID:HS1jkPFAO
しずか「戯言だよ」
澪「傑作だろ?」
そんなノリ
912:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]
2011/03/31(木) 02:50:52.46 ID:zBil4q6Co
乙です!
澪ちゃん淫獣化しちゃうのか••••
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