151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/29(土) 19:20:09.82 ID:+a1UAlRl0
どるーん、待ったー?
152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:16:21.27 ID:Vac5WSOJo
「ほら」
声に俯いていた顔を上げると、目の前にアイツの手があった。
ぶら下げてるのはレモネード。一体どこに行ったのかと思ったら。何よ、お金ないくせにさ。
153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:19:56.10 ID:Vac5WSOJo
「どうして気付いた?」
呟くように投げかけられた問い。私は視線をそのままに同じように返す。
「この間の電話。繋がったままだったの」
154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:24:31.74 ID:Vac5WSOJo
「答えたくなかったら答えなくていいわ」
隠していた部分に踏み込んでおきながら虫のいい事を言っているという自覚はある。
でも私はどうしても聞いておきたかった。
155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:27:59.62 ID:Vac5WSOJo
あの日、忘れもしない八月二十一日。
ほとんど初対面に等しい相手、それも第一印象は最悪だろうに。
ああ思い出した。
156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:32:18.92 ID:Vac5WSOJo
神様でも何でもない、どこにでもいそうな少年。
人よりちょっと運が悪くて、ちょっと特別な力を持っていて、ちょっと面倒な事を抱えてて、
人がよくて、鈍感で、でも妙なところだけ聡くて。
157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:36:04.92 ID:Vac5WSOJo
でもそれはたった一人が全部の不幸を背負う事と同じだ。
知らない。誰だっけ。そう思ってるのは他ならぬアイツ自身。
周りみんなが知っているのに自分だけが知らない。それでも知ってる振りをしなければ。
失敗は許されない。そうしてしまえば誰かが泣いてしまうから。
158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:40:26.60 ID:Vac5WSOJo
でも、それは。
「そんな理由で頑張って……余計に辛くなるだけじゃない」
アイツは誰かのために頑張って、必死になって戦って、誰かの不幸を打ち砕くのだろう。
159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:45:01.25 ID:Vac5WSOJo
それまで必死に頑張ってたのにとうとう涙がこぼれてしまった。
泣き顔なんて見せたくなかったのに。でも一度溢れてしまったものは止められない。
私は必死に自制心を総動員して叫びたいのを堪えて、でもほとんど叫ぶみたいに言葉をぶつけてしまう。
「誰もアンタを見てないじゃない……!」
160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/29(土) 20:50:02.43 ID:Vac5WSOJo
「……」
私はもう言葉を続けられなくなって、俯いて必死に涙を堪えるしかなかった。
最悪だ。勝手にわめき散らすだけわめき散らして後は泣いちゃうんだもん。卑怯すぎる。
これじゃアイツは何も言えなくなってしまう。
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