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2011/03/28(月) 00:34:38.91 ID:Yy1uM7Da0
沈黙を破ったのはキュゥベえだった。杏子は振り返ることなく、ぴたりと足を止めた。
「君の力が必要だ」
「知ったことじゃねーっつーの」
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2011/03/28(月) 00:36:10.03 ID:Yy1uM7Da0
「私が……私の事が憎くて、あなたは……」
「馬鹿か、てめーは」
杏子は舌打ちした。
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2011/03/28(月) 00:38:49.97 ID:Yy1uM7Da0
期末試験が始まった。
試験期間中もマミはなるべく時間を作って街をパトロールするようにはしていたが、さすがに普段と同じというわけには行かなかった。
「あまり無理はしないほうがいいよ、マミ」
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2011/03/28(月) 00:40:06.26 ID:Yy1uM7Da0
期末試験も終わろうとしていたある日の放課後、一人図書室で自習をしていたマミは、ペンを走らせる手を止めて窓の外に目をやった。
試験期間前から続く梅雨空を背に、見滝原の街並みがシルエットのように浮かび上がっている。
雨は小やみになっているようだったが、帰るころにはまた降り出すかも知れないとマミは思った。
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2011/03/28(月) 00:41:05.96 ID:Yy1uM7Da0
それは5月の中頃のことだった。
昼休み、いつものように一人で図書室にやってきたマミは、お気に入りの窓際の席が誰かに取られているのを見てほんの少しがっかりした。
(あ、先客だ)
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2011/03/28(月) 00:42:25.41 ID:Yy1uM7Da0
「勉強していたの?」
机の上にノートと辞書が置かれているのを見てマミが聞くと、あきは少し決まりが悪そうな様子を見せた。
「ん……まあ、そんなとこかな……」
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2011/03/28(月) 00:43:06.17 ID:Yy1uM7Da0
笑みこそ浮かべていたが、あきはあまり元気がなかった。
マミが言葉に詰まっていると、あきは急に思いついたように言った。
「ねえマミ。屋上、行こ」
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2011/03/28(月) 00:44:02.43 ID:Yy1uM7Da0
「うわぁ。やっぱり外は気持ちいいね、マミ」
屋上のベンチに腰掛けたあきは、空を見上げながら気持ちよさそうに伸びをする。マミはその様子を見ながら、くすっ、と笑った。
「本当に変わらないのね、あき」
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2011/03/28(月) 00:45:20.60 ID:Yy1uM7Da0
「マミはずいぶん変わったね」
「え?」
その一言にマミはどきりとする。
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2011/03/28(月) 00:46:39.93 ID:Yy1uM7Da0
空はきれいに晴れ渡っていた。
遙か頭上で、一羽の鳶が円を描きながら宙を舞っている。
校庭で遊びに興じる生徒たちの笑い声が、風に乗って微かに聞こえてきた。
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2011/03/28(月) 00:47:35.55 ID:Yy1uM7Da0
それを聞くとあきはしばらく神妙な顔をしていたが、やがてくすくすと笑いだした。
「?どうしたの?私、何かおかしなこと、言ったかな」
「ううん。ただ、何だか本当に、お姉さんみたいって思ったの。私よりもずっと先のほうを歩いてるって感じ……」
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