57:>>1[saga]
2011/04/01(金) 21:05:58.02 ID:OpoHLyR10
放課後。
そそくさと逃げるように帰ろうとする冬森さんに声をかけた。
僕の出現に、冬森さんは心底困ったような、怖がっているようでいて、悲しそうな様子でもあった。
複雑な感情が混ざり合って、溶けてしまったようなそんな顔だ。僕は、どこか後ろめたいものを感じながらも口を開く。
58:>>1[saga]
2011/04/01(金) 21:09:18.93 ID:OpoHLyR10
気がつけば、市内の中心部にたどりついていた。
冬森さんの姿がまだ見えない。ここまで走って見えないなら、見当違いの場所にいるのかもしれない。
冬森さんの場所がわかって走っていたわけでもないんだ。その可能性は十分考えられる。
一旦、夏原と連絡を取ろうと携帯電話を取り出そうと――そう、したとき。
はっきりと、彼女の姿が見えた。ビルとの隙間にある、細い路地裏。黒い影が彼女を取り囲むようにしている。何やらひどく揉めているらしい。
59:>>1[saga]
2011/04/01(金) 21:11:05.17 ID:OpoHLyR10
「耳が聞こえませんか? 僕の連れだと言ったんですよ。だからその汚い手をどかしたらどうです?
日本語わかりますか? わかりませんね、だかわわかるように言ってあげます。さっさとどこかへ行けと言ってるんですよド低脳」
今まで使ったことのない、汚い罵詈雑言の類。聞き慣れてはいるが、言うのは思えばひどく久しぶりな気がする。
噛むこともせず、自分でも驚く程すらすらと言葉が出た。僕よりも驚いたのは彼らだ。明らかにひ弱な目の前の人物が、思い切り挑発してきている。
60:>>1[saga]
2011/04/01(金) 21:17:21.48 ID:OpoHLyR10
では今日はここまで。
この時間に投下するのが嘘だといったな。
あれも嘘だ。
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/04/01(金) 21:23:59.21 ID:oA15g2f/o
なんだ嘘か乙
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]
2011/04/01(金) 21:39:36.21 ID:WqN7QIAAO
乙
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/04/01(金) 22:37:00.58 ID:fOGcYtyIO
続き気になる
おつ
64:>>1[saga]
2011/04/02(土) 20:59:19.59 ID:E8E9vU700
では投下します。
明日には完結予定。
65:>>1[saga]
2011/04/02(土) 21:02:20.96 ID:E8E9vU700
気がつけば病院のベッドの上。知らない天井だ、などと喜ぶ前に身体に電撃の如く激痛が走った。
冗談じゃない。なんだってこんな目に。寝起きにスタンガンなのか。
「よう、起きたか色男」
66:>>1[saga]
2011/04/02(土) 21:07:14.38 ID:E8E9vU700
夏原は愉快そうに笑って、冗談だと手をひらひら振って病室から出た。
入れ替わるように、冬森さんが入ってきた。俯いて、どこか表情は曇り、思いつめたような表情。
彼女が泣きながら、謝る――そう、あまりに容易に想像できる。だから、先に口を開いた。
「怪我がなくて良かったよ。女の子が、顔に傷でもつけたら大変だ」
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