過去ログ - キョン「全世界をひっくり返しても必ずお前を取り戻す」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 17:47:25.38 ID:Yrxo7Ufx0
今年もだ。今年もこの季節がやってきちまった。ああ、カンカン照りに冴え渡る太陽に俺の無気力を少しでも分けてやりたい。そうすれば俺の一向に伸びる気配を見せない学力だって向上せざるを得ないし、どこだったかが六月にしてあわや四十度なんて記録を叩き出す事も無かったはずだ。

果たしてここまで全力を振り絞り俺たちを苦しめて、太陽のヤツに何か得でも有るのだろうか。いや、無い訳が無いだろう。何か有るからこそ、その身を一層焦がして俺たちの住む太陽系第三惑星へとガンマ線やらアルファ線やらを送るのであるからして、地球の科学者たちは早いところあの灼熱帝王様の弱みを見つけるべきだと思う。

そして見つけ出した弱みを憎憎しい黄色い鼻っ面に突き付けてやれば、そろそろ氷河期も恋しくなってきた事だろう地球だって喜ぶに決まっている。俺だって手放しで喜ぶさ。

何より太陽自身の寿命も少なからず延びるのであるからして、これは脅迫ではなく延命措置、善意の行動である事は誰の目にも明らかだ。一石二鳥、ウィンウィンの関係ってな。つーか、こんな気温が続くようならクーラの無い教室に留まる事を強制されている俺たち北校生の命が割とマジに危うい。

不平等とはつまり、こんなモンではないだろうか。同じ学校に居ながら職員室はエアコンが二台も設置されており、また同じ高校生ながら佐々木の通っている学校では一教室に一つ、必ず冷房設備が有るという。

羨ましい話だ。私立と県立の違いは無論知ってはいたが、親の経済力を理由にするそれ以前の話で俺には学力が足りなかった訳だが。それでも、こんな事ならば無理を言ってでも私立に行っておけば……などと思ったが、逆立ちしてもなんとやら。逆立ちが三秒と続かない俺にはそんな真似すら許されん。

あー、何を言いたいかってーとだ。熱いんだよ。「暑い」ってレベルじゃない。「熱い」んだ。見回せばクラスメイトの半数越えが机に上半身を預けてくたばっている。分かるだろうが今日の気温は尋常じゃない。

「熱いわね……」

ほれ見ろ。子供は風の子元気の子。灼熱太陽なにするものぞ、我こそが太陽神なりってなハズの我らが団長様ですらこの有様だ。世界の優秀な科学者諸君、早急に恒星用の解熱剤を開発しようではないか。



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 17:56:02.04 ID:Yrxo7Ufx0
後ろの席で続いてハルヒが何事かボヤくも俺には聴力はおろか、最早声を返すだけの気力も残っちゃいない。辛うじて「俺はもうダメだ。後は頼んだ」という意味を込めて右手を頭上でひらひらと揺らしてみた。

「……そんな所で扇いでもちっとも涼しくならないわよ、馬鹿キョン」

どうやらハンドサインは一つも伝わらなかったようだ。が、訂正する必要性を感じないので放置しておく事とする。いつもならば放置に対して俺の背中をシャーペンで突付くという報復に出るハルヒも、しかしこれだけ熱いと虫の息である。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 18:09:15.87 ID:Yrxo7Ufx0
夏であっても熱いお茶を啜っていたあの日の俺に教えてやりたい。冷たいお茶が飲みたいなら素直にリクエストするだけで状況はこうも激変するものなのだという事を。

捻くれ者は貧乏くじを引くように世界は出来ている……なんてな。

俺とハルヒは我先にとサウナルーム――じゃねえ、教室を飛び出し、廊下で競歩でも行っているんじゃないかと傍から見れば疑わしくなるようなデッドヒートを繰り広げた。走れば暑い。かと言って一秒でも早く楽園には辿り着きたいと言う俺たちが我侭だってのは言われんでも分かっているから黙っていてくれ。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]
2011/07/05(火) 18:13:14.82 ID:LdssL0ngo
地の文邪魔
つまらん


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/07/05(火) 18:16:31.21 ID:YAKYeoKDO
超期待してるからな


6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]
2011/07/05(火) 18:17:18.93 ID:LdssL0ngo
つまらん


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 18:18:51.35 ID:Yrxo7Ufx0
「ふーん……まあ、仕方無いかもね。今日はほんっとうに暑かったし。みくるちゃんだし。……あ、そうだ。良い事思いついた」

扇風機が首を振るのに合わせて右へ左へと身体を傾ける、不審なフラワーロックかメトロノーム紛いの動きをしながらハルヒが口にした言葉は俺の背中に電流を走らせた。

つまり、「今度は何物騒な事思い付きやがったんだ、バカヤロウ」である。思い返すまでも無いが、ハルヒが思い付いた「良い事」とやらは総じて俺にとっての災厄でしかない。出来ればもう少し常識的な発想をして頂ければこの身が擦り減る事も無いのだが、悲しいかな、我らが団長様にとって常識とは打破すべき敵であり、涼宮ハルヒとはつまり非常識を抜きにして語れない存在なのである。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 18:27:31.10 ID:Yrxo7Ufx0
「ええ、率直にとても気になります」

「キョンは?」

どうして俺に振る?
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 18:36:43.09 ID:Yrxo7Ufx0
「では!」

言ってハルヒが椅子によじ登る。馬鹿と煙はなんとやら。本当にお前は一段高い場所が好きだよな。熱い空気ほど比重が小さくなる……つまり、高いトコほど暑いんだが、頭が良いはずなのにそういうのはまるで考えちゃいないんだろうよ。

涼宮ハルヒってのはそういう女さ。ああ、一年以上も見てきたんだ。今更そこに疑問なんぞ抱くまい。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/07/05(火) 18:37:32.24 ID:dhT4ID8DO
いいじゃないか


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2011/07/05(火) 18:46:50.84 ID:ZGxmn3BAO
すっげぇなお前


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 18:51:07.15 ID:Yrxo7Ufx0
いや、疚しい気持ちは一欠けらも無いぞ。寝巻き姿の朝比奈さんを見てみたいであるとか、彼女が日頃生活を送っているそのエリアは一体どんな花の匂いで満ちているのだろうなんて一ピコグラムほども思っちゃいない!

「嘘ね」

「ああ、嘘ですが何か!? 仕方ないだろ、朝比奈さんだぞ。いや、朝比奈さんだから特別って訳じゃない! 男ってのはそういうのに弱い愚かしいヤツが八割で俺も例に漏れず多数派なんだよ」
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/07/05(火) 18:58:12.75 ID:dhT4ID8DO
ハルヒはもう堪能したから次はみくるというわけか…さすがキョンさんやで


14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/07/05(火) 19:01:40.96 ID:E+6iyVQDO
ああ、次は古泉だ・・・


15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/07/05(火) 19:05:34.12 ID:Y9Ql3fPDO
SSというより小説みたいなんだよ!


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 19:06:54.51 ID:Yrxo7Ufx0
「口が上手いわね、古泉くん」

「いえ、僕は事実を言ったまでですよ……ねえ、貴方もそう思いませんか?」

ここで話の矛先を俺に向けるか。なるほど、ナイストスだぜ、古泉。こんな打ち頃のトスであれば流石に俺でもし損じたりはしない。
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 19:22:34.76 ID:Yrxo7Ufx0
「べ、別に!」

そう言ったハルヒはどこか楽しそうだった。ああ、確かに俺が朝比奈さんのプライベートを覗き見る権利を手にしたら今の少女みたいにニヤニヤしちまうだろうさ。


以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/07/05(火) 19:25:41.62 ID:eeu8RytMo
面白そうなんだが、大変読みにくい
地の文の改行をもう少し気を付けてはどうかね


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 19:37:30.54 ID:Yrxo7Ufx0
「良いではありませんか。病床とは言え単なる暑気当たりでしょう。それならばちょっとしたサプライズも薬ですよ」

「そんなもんかね」

古泉と二人、肩を並べて下校道を歩く。これから夏本番を迎えようとする空は、まだまだ日が高い。それはつまり暑いって意味に相違無く、俺と古泉は二人とも三百五十ミリリットルのアルミ缶を手に持っていた。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/07/05(火) 19:50:38.73 ID:9wAkRPQDO
ケータイだと途中改行されると読みにくいから助かる


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/05(火) 19:52:46.37 ID:Yrxo7Ufx0
「……なんとも要領を得ませんね。少し貰っただけと言いながら、買って全て自分で飲んだとも貴方は仰る。よほど記憶が曖昧なのでしょうが」

「まあ、いつの事だったかも覚えてないくらいだしな。それに俺の記憶力の悪さは……どうせ、こっちのテストの点数なんかもお前は知ってるんだろ?」

俺のプライベートってヤツは一体どこへ行っちまったのかねえ。青い鳥みたいにいつかは自分の家に戻ってきているものである事を俺には祈るしか出来ないのが歯痒い。
以下略



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