過去ログ - かがみ達は深い霧に囚われたようです
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204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:24:02.96 ID:wGCdZCC0o

「先輩、見てください」

 そう言って彼女は携帯電話を突き出すと、私に見えるようにリダイヤルのキーを押す。
『自宅』という表示が画面一杯に現れたかと思うと、それはすぐに消えてしまった。
以下略



205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:25:01.57 ID:wGCdZCC0o

「携帯はこの通りです。そこのPCのネットも、固定電話も…
…無いよりはと思ったラジオも、それとテレビも……ぜんぶ、使えないんです。つまり……」

 淡々とした言葉が次第に曇っていき、ついには途切れてしまう。
以下略



206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:26:18.89 ID:wGCdZCC0o

「つまり……陸の孤島ってことね」
「……はい。そういうこと……だと思います」

 彼女はかすかに頷いて、何も映そうとしないテレビに視線を向ける。
以下略



207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:27:19.54 ID:wGCdZCC0o


 つまり、助けは期待できないということだ。
少なくとも、私達が帰る予定だった明後日の昼間までは。

以下略



208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:28:46.60 ID:wGCdZCC0o

 それは、考えることだけ無駄なことなのかもしれない。
なんとか、思考の矛先を切り換える。

「……つかさとみゆきはどうしてるの?」
以下略



209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:30:00.51 ID:wGCdZCC0o

「おふろ、いただきますねー」

 カップの中に朱色が広がっていく様子を楽しんでいるうちに、ゆたかちゃんが浴室へ通じるドアをくぐっていった。
同時にみなみちゃんもテーブルへ場所を移し、コップに注いだ牛乳を一口一口、それが貴重なものだというように飲み始めた。
以下略



210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:31:19.89 ID:wGCdZCC0o


 オーブンがロールパンをじりじりと焼いている。
その音やただよう甘い香りに引かれながら、思考は宙を舞っていた。

以下略



211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:32:18.14 ID:wGCdZCC0o

「……あのさ、これからどうする?」

 漠然とした、一人言のように呟いた質問の、その意味はしっかりと伝わっているようだった。
全員が、それぞれに体を強張らせる様子が感じられる。
以下略



212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:33:52.39 ID:wGCdZCC0o


「……私はね、柊ちゃん」

 意外にも、話の口火を切ったのは峰岸だった。
以下略



213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:34:49.42 ID:wGCdZCC0o

 ホテルに辿りついたときに、その窓から中を覗いたことを思い出す。
大通りに面した窓は、私の背丈の倍もある大きなはめ殺しのもので、
装飾過多なそれはショーウインドウのような印象を与えるものだった。

以下略



214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/18(木) 01:36:43.76 ID:wGCdZCC0o

「……とにかく、逃げるのは厳しいってわけね……」

 その結論に返事は返ってこない、それが何よりの答だった。
そこら中にあいつらがいる状況で、車まで辿りつくことは不可能だろう。
以下略



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