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2011/09/03(土) 00:54:27.34 ID:mg8F6dwRo
沈黙を気まずく思い、今度は彼の方からヤマトに話しかけてみることにした。
高校生活はどうだったか、他の奴はどうしているのか。疑問は山のように湧き出てくる。
その質問のひとつひとつに、ヤマトは簡潔に答えた。
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2011/09/03(土) 00:54:57.92 ID:mg8F6dwRo
◆
目を覚ますと、彼は自分の部屋のベッドで横になっていた。
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2011/09/03(土) 00:55:54.33 ID:mg8F6dwRo
また、夜の街を歩く。自分はいったい何をしているのだろう、と彼は考えた。どうしてこんなところを歩いているのだろう?
前後はもう思い出せなくなっていた。彼は足を止めずに通りを歩く。誰も彼を気に留めるものはいない。
どうだろう、それでいいのではないだろうか。世間から忘れ去られて、隠者のように逃げ暮らす生活も悪くない。
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2011/09/03(土) 00:56:22.27 ID:mg8F6dwRo
「ねえ」
不意にかけられた声に振り返ると、レンタルショップの袋をぶら下げたハルノがいた。
夜m暇を持て余した彼女は、DVDを借りにこのあたりを歩いていたのだという。
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2011/09/03(土) 00:56:48.28 ID:mg8F6dwRo
「ねえ」
不意にかけられた声に振り返ると、レンタルショップの袋をぶら下げたハルノがいた。
夜、暇を持て余した彼女は、DVDを借りにこのあたりを歩いていたのだという。
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2011/09/03(土) 00:57:33.14 ID:mg8F6dwRo
ウェイトレスが運んできた食事を受け取りながらハルノの話を聞く。
「でね、××××が――」
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2011/09/03(土) 00:58:01.39 ID:mg8F6dwRo
「でも結局、××××は×××に××できなくてさ」
××××は×××に××できなかった。
××××は×××に××しようとしていた。
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2011/09/03(土) 00:58:33.12 ID:mg8F6dwRo
×××。
×××はそういう奴だ。彼は頭の中で×××の顔を思い出そうとした。
×××は、いつも彼が欲しがるものを容易に攫っていく。簡単そうに手に入れる。あげく、もう飽きたと言って簡単に捨てる。
98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/03(土) 00:59:13.68 ID:mg8F6dwRo
家につく。真っ暗な玄関の壁に触れて電気を探し、ぱちんとスイッチを押すと玄関が薄暗く照らされた。
ハルノを部屋に迎え入れて、冷蔵庫から冷やしておいた缶を二つ持っていく。
ハルノは彼の部屋に上がりこんでも飄々としていた。少し呆れながら缶を手渡す。彼女は上着を脱いでから受け取った。。
99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/03(土) 00:59:53.10 ID:mg8F6dwRo
昔の話だ。もう関係ない。そのはずだ。だってもう三年以上の月日が流れているのだから。
××××はもう×××に対して何も特別な感情を抱いていないだろうし、×××だって××××のことなんてなんとも思っていないだろう。
今更何かがどうなることはない。
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2011/09/03(土) 01:00:42.80 ID:mg8F6dwRo
×××、×××。
せっかく忘れられたと思ったのに。
彼がいなくなった生活を成立させていたのに。
忘れさせるかとでも言うように×××は現れる。現れて、彼の居場所を奪っていく。いとも簡単に。
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