7: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:43:44.85 ID:axtTgyEU0
 見つけた! 
 きっとこの部屋だ。 
  
 下からガシャガシャと階段を登ってくる音がする。 
 この扉を開けたらすぐ、あの娘に逃げるように伝えよう。 
8: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:47:00.28 ID:axtTgyEU0
 暖炉の上に乗った白いケトルの口から湯気が立っている。 
 ちょうどお湯を沸かしていたらしい。 
  
 格子窓から差し込む光のカーテンに 
 立ち上る湯気が白く重なる。 
9: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:52:22.12 ID:axtTgyEU0
 もしかしたらこの娘は、この城に 
 閉じ込められいる訳ではないんだろうか? 
  
 彼女の身なりをよく見る。 
 金色の巻き髪が肩の辺りまでさらさらと伸びていて、 
10: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:54:06.55 ID:axtTgyEU0
 いろいろ質問をしたいけど、 
 こんな人を前にすると呼び名に困る。 
  
 「あの…姫様は…」 
  
11: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:59:26.07 ID:axtTgyEU0
 彼女は食器棚からカップを2つ取り出すと、 
 小さなキッチンに並べて置いた。 
  
 「ここまで来るのは疲れたでしょう。 
 紅茶にする? コーヒーにする?」 
12: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 03:29:38.58 ID:axtTgyEU0
 「なんだか、安心したよ。 
 君が閉じ込められてるんじゃないかって思ってたから。」 
  
 そう言って、真ん中の皿からクッキーを一つつまんだ。 
 意外と甘味が濃くて、ストレートの紅茶によく合う。 
13:短いし全部投下しちゃうか…… ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 03:37:21.22 ID:axtTgyEU0
 「そう、私はソラ。あなたはダイチ。」 
  
 「僕たち相性のいい名前だね。」 
  
 まるで、こうして会うために決められたような名前だな。 
14:短いし全部投下しちゃうか…… ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 03:39:46.09 ID:axtTgyEU0
 そのお願いを素直に嬉しいと思ったのと同時に、 
 別の考えが頭を巡った。 
  
 愛してほしいという願いは、 
 好意の他にも意味がある気がする。 
15: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 03:44:47.79 ID:axtTgyEU0
 それからソラはお城の中の案内を始めた。 
  
 ソラは足が速い。 
 僕の手を引いて全速力で走るので、 
 転ばないようにするのがやっとだ。 
16: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 03:48:36.89 ID:axtTgyEU0
 明かりのない階段を足元に気をつけながら降りると、 
 ただっ広い部屋へ出た。 
  
 天井に明かりをとるための丸い穴が空いていて、 
 中央で寝息を立てる巨大な生き物を照らしている。 
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