50:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:12:47.12 ID:CGXDMCHp0
血の雨。
立ち尽くす男。
泣き声。
血だまり。
コンクリートの地面。
51:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:16:24.09 ID:CGXDMCHp0
「…………っ」
頭を振り、汀が声にならない叫び声を上げる。
頭の奥の方に、抉りこむような頭痛が走ったのだ。
52:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:17:30.86 ID:CGXDMCHp0
*
「……悪かった。汀ちゃんの病状を、軽く考えていたよ」
診察室の椅子に座り、大河内がため息をつく。
53:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:18:23.64 ID:CGXDMCHp0
圭介は少し沈黙してから、言った。
「嫌だね。一度依頼された治療は必ず行う。それが俺の方針だよ」
「汀ちゃんを見ろ。負担がかかりすぎてる。この患者の治療をするには、十三歳では難しすぎると私は思うがね」
54:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:19:18.17 ID:CGXDMCHp0
*
汀が目を覚ました時、丁度圭介が点滴を替えているところだった。
汀は起き上がろうとして、体に力が入らないことに気がつき、息をついてベッドに体をうずめる。
55:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:20:22.38 ID:CGXDMCHp0
「お前、覚えてないだろうけど、昨日の夜かなり具合が悪かったんだ。どの道、クスリ飲んでたから話は出来なかったと思うよ」
「せんせ、ここに入ってきたの?」
「ああ」
56:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:21:01.65 ID:CGXDMCHp0
そして首を傾げる。
「誰?」
「覚えてないならいいんだ。今回の患者だ」
57:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:21:53.23 ID:CGXDMCHp0
*
「……そうか。一緒に遊んだ記憶が飛んだか」
赤十字病院の一室で大河内がそう言う。
58:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:22:53.79 ID:CGXDMCHp0
壁のスピーカーから彼女の声が聞こえる。
圭介は、壁に取り付けられたミキサー機のような巨大な機械の前に腰を下ろすと、そのマイクに向けて口を開いた。
「説明したとおり、その患者は普通の患者じゃない。重度のアルツハイマー型痴呆症にかかってる。普通の人間と精神構造が違うから、注意してくれ」
59:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:23:57.94 ID:CGXDMCHp0
*
汀は、古い日本家屋の中に立っていた。
床に、立っていた。
60:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:24:36.11 ID:CGXDMCHp0
「ダイブ完了。でも、良くわかんない」
『分からないってどういうことだ?』
「煉獄に繋がる通路じゃないみたい。トラウマでもないし。普通の、通常心理壁の中みたいだよ」
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