過去ログ - マインドスイーパー
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86:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 21:58:05.04 ID:CGXDMCHp0
「私知ってる。この人、この前死刑判決が出た人だ」

汀の細い声を聞き、喪服の女性が老人達を見る。
老人達は、汀の手の中で眠っている猫を見て、不快そうな顔をしていた。

以下略



87:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 21:58:48.18 ID:CGXDMCHp0
「意外だな。もう少し話を聞かなくてもいいのか?」

「お受けすると言っただけです。それ以上でもそれ以下でもありません」

圭介はそこで息をついて、資料を見終わったのか、目の前に放った。
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88:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 21:59:49.37 ID:CGXDMCHp0
彼はそう言って資料を開いた。

「患者は、中島正一。二十八歳。無職。知っての通り、先日死刑判決が出た。最高裁への上告は、棄却されている」

圭介は興味がなさそうに、手を組んで言った。
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89:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:01:00.81 ID:CGXDMCHp0
「分かっている。こちらの秋山女史たっての希望だったのだ」

老人に促され、秋山と呼ばれた喪服の女性は、頷いて、潤んだ目を圭介に向けた。

「……娘は、中島に拷問され、殺されました」
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90:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:02:17.67 ID:CGXDMCHp0
「…………」

「これ以上理不尽なことってありますか? ありませんよ、ええありませんとも! 法の鉄槌を下したくて、何が悪いんですか!」

女性の声がしばらく会議室に響き渡っていた。
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91:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:03:18.28 ID:CGXDMCHp0
切り捨てられ、秋山は呆然とその場に立ち尽くした。
そこで議席の老人が咳払いをし、圭介を見た。

「高畑医師。口が過ぎる」

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92:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:03:56.61 ID:CGXDMCHp0
「それでは、この子は一旦退席させます。秋山さん、マインドスイーパーに余計なことを吹き込もうとするのは、規定違反です。罰則を受けていただきます」

秋山が、一瞬間をおいてから、怒りで顔を真っ赤にする。

「何を……」
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93:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:04:35.62 ID:CGXDMCHp0
 *

会議室を出たところにある、中庭の隅で、汀は眠っていた。
木陰になっていて、爽やかな風が吹いてくる。
丁度日を避けられる場所に、圭介は車椅子を設置したのだった。
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94:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:05:25.90 ID:CGXDMCHp0
 *
 
汀は、ハワイの白いビーチに座っていた。
白い水着を着て、波打ち際で足をぶらぶらとさせている。
そこがハワイだ、と分かったのは、彼女が好きな女の子達のユニットが歌っている歌のPVを、事前に見ていたからだ。
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95:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:06:29.76 ID:CGXDMCHp0
「そうだよね。一人でいると、不安だよね。私も、圭介がいてくれなきゃ、おかしくなってると思うんだ」

足元の砂を、ぐりぐりとつま先でほじり、汀は呟くように言った。
「圭介には、感謝してるんだ……」

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96:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:07:07.53 ID:CGXDMCHp0
無限回廊のように立ち並ぶ椰子の木に、次々と炎がついていく。
次いで、空に浮かんでいた太陽が、ものすごい勢いで沈み、あたりが暗くなった。
空に、赤い光がともる。
しかしそれは太陽の光ではない。
何かが燃えている。
以下略



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