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2011/11/24(木) 01:26:23.34 ID:uFOG1DQZo
三つ編みに眼鏡、制服姿の彼女は、僕には気付いていないらしく、信号を渡っている最
中だった。
ふむ。どうだろう。ここで、僕が声をかける必要はない。しかし、翼ちゃんなら僕に向
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2011/11/24(木) 01:27:04.71 ID:uFOG1DQZo
「ああ、阿良々木くん。やっほー」
そう言って、翼ちゃんはこちらを向いて、僕に笑いかけてくれた。
純粋な屈託なき、まっすぐな笑顔で。
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2011/11/24(木) 01:27:48.60 ID:uFOG1DQZo
僕の驚きを見て取ったのだろう。そして思い至ったのだろう。そうだ、あいつ並に頭の
いいこの子ならば、今のこの状況がわからないはずがない。
「ん――えっと」
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2011/11/24(木) 01:28:53.59 ID:uFOG1DQZo
戯言にもならないような感想を抱きつつ、僕はすぐに追いつき、翼ちゃんの横に並ぶ。
勿論、男女二人で歩くときは、男性が車道側を歩くのがマナーだ。僕は翼ちゃんの左側
に並んだ。
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2011/11/24(木) 01:29:27.96 ID:uFOG1DQZo
「ところで翼ちゃん」
並んだところで、まず僕は、当り障りのないところから、会話を切り出した。
「どこに行くところだったの?」
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2011/11/24(木) 01:29:57.73 ID:uFOG1DQZo
「阿良々木くんは、どこに行くところだったの?」
「ん……えっと……」
あれ?どこに向かっているんだったっけ?
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2011/11/24(木) 01:30:32.86 ID:uFOG1DQZo
そんな戯言を思いながら、僕は「まあ、そんな風に思ってもらってもいいのかもしれな
いけれどもね」と、曖昧にぼかした。
曖昧な言葉って意外に便利だ。
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2011/11/24(木) 01:31:19.08 ID:uFOG1DQZo
「あ……阿良々木くん!?」
ちょっと、考えている間に、翼ちゃんは、少し、青ざめたように僕を見た。
なんだろう。また、僕はおかしくなっているのだろうか。僕は、「何?」と、訊いてみ
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2011/11/24(木) 01:31:57.89 ID:uFOG1DQZo
「兄弟って、みんなそんな感じなのかな。私の知り合いに、『あの変態兄貴め。俺がいつ
かぶっ殺してやるぜ』って言ってた人もいたし」
……そりゃまた、すごい人物もいたもんだ。
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2011/11/24(木) 01:32:35.39 ID:uFOG1DQZo
しかし、どうやら、僕のような戯言を翼ちゃんは言ったわけじゃないようだ。
翼ちゃんは深刻な風に「ううん、いない。」と言った。
「お父さんもお母さんも誰もいないよ。私には」
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2011/11/24(木) 01:32:56.63 ID:uFOG1DQZo
「私のお父さんとお母さんは、本当のお父さんや本当のお母さんじゃないってだけだよ」
「本当の……」
「そう、つまり嘘のってことだよね」
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