過去ログ - 妹の手を握るまで
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557:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/06(金) 18:21:39.20 ID:Kir/yBk8o
昨日は投下できなかったのでその間に書きためた分を投下します

あとでできれば再び数レス追加で投下予定です


558:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/06(金) 18:22:07.98 ID:Kir/yBk8o
「あたし、お兄さんのことが好きですから」
お兄さんを案内している時に、あたしはこの言葉を何度か口にした思う。お兄さんへの今日中の告白を決意したあたしだったけど、この言葉は特に告白を意識したものではなかった。お兄さんのことが大好きになってしまっていたあたしは、この程度の言葉は何の抵抗もなく普通に口を出るようになっていた。
でも。それが結果的には良かったみたい。お兄さんはあたしの言葉を気にするようになり、あたしを意識してくれるようになったのだから。
それは喫茶店から出て中庭の方に歩いていた時だった。

以下略



559:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/06(金) 18:27:00.88 ID:Kir/yBk8o
学園祭の後半、あたしとお兄さんは学園祭を回るのをやめ中庭の噴水脇のベンチでずっと他愛もないお話をして過ごした。
その後、校庭ではキャンプファイアを囲んでフォークダンスの輪が広がっていたけど、お兄さんとお別れしたあたしはその輪の中に参加せず赤々と輝く炎を眺めながら今日の出来事を何度も何度も心の中で反芻していた。


・・・・・・お兄さんの彼女になった今、あたしはできれば今までのことは全てなかったことにしたかった。あたしがお兄さんの彼女になリたいと思った最初の目的は、妹ちゃんとお兄さんが親密な関係になるのを防ぐためだった。
以下略



560:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/06(金) 18:29:36.54 ID:Kir/yBk8o
学園祭の翌々日。あたしは登校してすぐに妹ちゃんを見つけ、いつものように妹ちゃんの側に行き一緒に授業前の雑談をしようとした。もちろん今日妹ちゃんに言わなければならないことはあるんだけれど、それは朝一番で話すようなことでもなかったのでとりあえずいつものように妹ちゃんと過ごそうかと思ったのだ。


あたしが自分の席を立ったその時、妹ちゃんがちらりとあたしの方を見た。その時の妹ちゃんの一瞬の表情にあたしはドキッとした。それは妹ちゃんがあたしに対して一度も見せたことのない表情だった。後ろめたいような、それでいて覚悟を決めているようで挑発的ですらある一瞬の表情。

以下略



561:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/06(金) 18:33:42.79 ID:Kir/yBk8o
とにかく予定どおり妹ちゃんにお兄さんと付き合い出したことを報告しなければ。午前の授業中あたしはそればかりを自分に言い聞かせていた。

昨日お兄さんと妹ちゃんに何があったかはわからないけど、あたしはもうお兄さんの彼女だ。何かあったのなら早いうちにその芽を摘まなくてはならなかった。
午前中の授業はいつまでたっても終らないように思えた。ようやく昼休みになった時、妹ちゃんはあたしの方を振り向きもせず教室を出て行った。先輩と学食で待ち合わせなのだろう。
あたしは小走りで妹ちゃんの背中を追った。
以下略



562:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/06(金) 18:36:54.22 ID:Kir/yBk8o
妹ちゃんはしばらく無表情だったけど、彼女の心の奥に何かが溢れておりそれを必死で鎮めようとしていたんだと思う。数秒して妹ちゃんは顔をあげ、いつものようにあたしの目を真っ直ぐにみながらあたしの手を握った。

「お兄ちゃんの彼女が妹友ちゃんでよかった」

「妹ちゃん」
以下略



563:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/01/06(金) 18:37:23.20 ID:Kir/yBk8o
とりあえず昨日投下できなかった分を投下

また後ほど


564:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)[sage]
2012/01/06(金) 18:50:29.52 ID:WPmr48nAO
乙!

妹友の気持ちはわかるけど、行動が計算づくすぎてやっぱり妹のが好きだなぁ……




565:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/01/06(金) 19:09:34.82 ID:/ZbSH8Cto
乙!


566:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/01/06(金) 21:35:32.42 ID:Kir/yBk8o
あたしとお兄さんが恋人同士となった一月後、お兄さんは実家を出て一人暮らしを始めた。何でこのタイミングなのかはわからない。お兄さんに聞いてみたけど、大学に近い方がいろいろ便利だしねって笑っているばかりだった。引越しの理由はわからなかったけど、まだ心の底に妹ちゃんへの警戒心を抱いていたあたしにとっては悪い話ではなかった。

あたしの告白をお兄さんが受け入れてくれた日以降、あたしとお兄さんは絵に描いたような初心なカップルとして振る舞った。一緒にいる時間は高校生同士のカップルのようなわけにはいかなかったけど、それでもデートの回数は飛躍的に増えた。そして、お兄さんはあたしに手を繋ぐこと以上は求めようとしなかった。

その頃のあたしはお兄さんに夢中になっていたのであまり気にしなかったけど、妹ちゃんは微妙にあたしと二人きりで過ごすのを避けるようになっていたみたいだった。妹ちゃんとお兄さんの仲に進展がないのは確かだったと思う。その頃はあたしがお兄さんを見つめておねだりするだけで、お兄さんの時間はほぼあたしのものになっていたのだから。この頃のあたしは久しぶりに本当にリラックスしていた。何のためにお兄さんと付き合うのか、その目標のためには何をしなければいけないのか。そういうことを考えずにただお兄さんに甘えるだけの日々るがようやくあたしにも訪れたのだった。
以下略



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