129:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 19:59:09.44 ID:vAi26PND0
その地下施設は、鉄骨に電線が渡してあり、所々にほのかに赤い蛍光灯が取り付けられていた。そのせいで夕焼けのような淡い光景になっている。
ピタリと柔らかく、小さな彼女の体に寄り添われ。ゼマルディはガチガチに緊張してしまっていた。背筋を伸ばして、まるで柱のように彼女の体を支えている。
「な……なぁ」
130:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 19:59:37.31 ID:vAi26PND0
その地下施設は、鉄骨に電線が渡してあり、所々にほのかに赤い蛍光灯が取り付けられていた。そのせいで夕焼けのような淡い光景になっている。
ピタリと柔らかく、小さな彼女の体に寄り添われ。ゼマルディはガチガチに緊張してしまっていた。背筋を伸ばして、まるで柱のように彼女の体を支えている。
「な……なぁ」
131:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:00:10.02 ID:vAi26PND0
「だめ?」
「いやダメじゃなくて……むしろ俺は嬉しいけどさぁ……もうちょっとこう、慎みって奴をだな……いきなり羽生やしの儀式されるとは夢にも思わねぇだろ……」
「ゼマルディは、女の子とお話するのは初めてさん?」
132:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:00:41.58 ID:vAi26PND0
「ルケンとは全然違うねぇ」
「ルケン? あんな野郎と一緒にすんな。鍛え方が違うんだ」
「何を鍛えてるの?」
133:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:01:14.60 ID:vAi26PND0
腕を正拳でヒュッ、と風を切りながら突き出す。
「屁でもねーよ」
「ゼマルディはルケンよりも強いの?」
134:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:01:50.77 ID:vAi26PND0
「なぁ、戻ったほうがいいって。ここは空気がわりーんだ。里からの砂が全部ここに飛ばされてくるからさ。その……髪とかにも染み付いちまうぞ」
「いいの別に」
「ダメだろ」
135:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:02:25.61 ID:vAi26PND0
「外に出るのは初めてだよ。こんなところがあったんだねぇ」
「何だ、姫巫女ってのはずっとあそこに閉じ込められてんのか?」
「うん。出ようとするとぶたれるよ。酷いと縛られたりする」
136:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:03:00.99 ID:vAi26PND0
「ま……まぁ、何だ。いきなり夜這いに行っちまって悪かった。待ちきれなくてなぁ。な、どうよ? 俺の花」
それを聞いて、カランはポケットに手を入れて小さな造花を取り出した。
「素敵。どのくらいかかったの?」
137:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:03:30.96 ID:vAi26PND0
――三年。
普通、男性が女性に送る求婚の意であるサクサンテの花は、一ヶ月ほどの時間をかけて製作される。その……実に三十六倍の時間をかけて製作されたのだ。
そしてそれは、同時に……。
ゼマルディが三年も前から……いや、もしかしたらもっと前から自分のことを想っていたという事実に他ならなかった。
138:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:04:05.15 ID:vAi26PND0
突然放たれた言葉に、彼は反応をすることができなかった。しばらく彼女の顔を見つめてから、取り繕うように笑ってみせる。
「は……はははっ、よせよ。どっからどう見ても出来そこないだぜ? 今日だってお前が騒いだら、無理矢理手篭めにしちまおうとさえ思ってたんだ。実を言うとな」
「……」
139:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:04:38.90 ID:vAi26PND0
「こんな風に」
そう言って手をパッと上に広げてみせる。それをポカンと見て、そしてゼマルディは面白そうに喉を鳴らした。
「カカッ……そうか姫巫女から見りゃ、あいつくせーのか」
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