過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
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173:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 20:31:03.86 ID:vAi26PND0
お疲れ様でした。第6話に続かせていただきます。

疲れ様です、第三話に続かせていただきますm(_ _)m

Wikiと前スレはこちらです。
以下略



174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage saga]
2012/02/09(木) 21:36:54.28 ID:ZchcTkpW0
おぉ!彼がやっと出てきた!


175:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:00:33.78 ID:oNd+Ad/T0
>>174
何故か連載当時の三年前も人気だったゼマルディの登場です(`・ω・´)o
確かに格好いいですが、ああいう人生は送りたくないですね……。

第6話を投稿させていただきますー。


176:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:05:45.50 ID:oNd+Ad/T0
6 鐘が鳴る

 まさに、上へ下への騒ぎだった。
ゼマルディに人気の少ない室の一室に送ってもらい、姫巫女宮に帰り。そして大食堂に足を向けた時。長い木造りの廊下の先でバタバタと慌しく走り回る足音が聞こえた。
廊下の一角に少女達……丁度カランと同じくらいの年の子達が集まって、しきりに覗き込もうとしている。
以下略



177:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:06:17.56 ID:oNd+Ad/T0
……それは、カランについ先ほど風呂場で暴行を加えた娘達だった。顔面は蒼白で、相当体は冷えているのだろう、唇が紫色になっている。

――小さい頃、一度遊び心で貯水槽と浄水場に入り込んでしまったことがある。その時は一週間も真っ暗な懲罰房に投げ込まれ、気が狂い掛けたことを思い出して身震いする。

その時の記憶だが、確かあの地下エリアは相当な広さがあったはずだ。そこに深さ二メートルほどの大きな水槽が何個も設置されていて、水が循環するようになっている。
以下略



178:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:09:50.94 ID:oNd+Ad/T0
――独りぼっち。

先ほど、ただ座っていただけなのに、ああやって運ばれていく子達に蹴られた。お腹やお尻を、ためらいもなく。
人に暴力など、カランは産まれてこの方振るったことなど一度もない。
それは、長い間……それが彼女の中で常識となるほどの時間、周りから煙たがられ、賛美と裏腹な虐待を受け続けてきたことによる、心の奥底に潜んだ恐怖心の裏返しだった。
以下略



179:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:11:02.23 ID:oNd+Ad/T0
だがそれは、心に深刻な麻痺を産み……そしてどこかを腐らせるには十分な時間だった。
初めて他人に……妹のように怒りながら……気兼ねをさせながらではなく、本当に親身になって損得なしに守ってもらえたことは、カランの心にその『腐り』を自覚させる結果を生んでいた。

――妹も、自分のことを心のどこかで煙たがっていることは知っていた。

以下略



180:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:11:39.13 ID:oNd+Ad/T0
それが面白くないはずがない。
こんな出来の悪い姉を終始監視して、そして気を揉んでいることがストレスでないはずがない。
そんなことは、分かっていた。
分かっていたのだ。

以下略



181:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:12:07.61 ID:oNd+Ad/T0
ゼマルディに不思議な薬で治療はしてもらい、体の痛みは消えたが……心に刻み込まれた恐怖心は全く消えていなかった。いや……なまじ体の痛みがない分その精神的な傷跡に致命的な血を垂れ流させていることに、他ならぬ治療を施したゼマルディは気づいていなかった。
痛みがあれば、逃避することが出来る。
我慢をすることができる。
我慢をすれば、しているだけ心は麻痺して現実を考えずに済む。
そうなのだ。
以下略



182:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:12:40.58 ID:oNd+Ad/T0
――そうだ。

ゼマルディをもう一度呼ぼう。
そして今日は彼の部屋にいよう。
ここなんかよりずっと安心できる。
以下略



183:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:13:12.58 ID:oNd+Ad/T0
しかし、やはり羽生やしの儀式の直後にリンチを受けたことでカランはもう限界だった。突然目の前がぐにゃりと歪んで、自分で自分の足に引っかかってしまう。
ビタン、とカエルを地面に叩きつけたような無様な音を立てて、美貌の少女は顔面から床に倒れこんだ。受身も取れずにしたたかに鼻をぶつけてしまう。一瞬視界に星が舞う。
鼻血が出てきたことに気がついて、慌てて袖で鼻を押さえ……そこで彼女は、野次馬達のみならずその場全ての目が自分を向いていることに気がつき、心底から震え上がった。
反射的に叫び声をあげようとした途端、しかし声が出てきたのは彼女の口からではなかった。丁度担架で運ばれていく途中の少女の一人が、震えながらカランを見止め、指差して訳のわからない言葉を叫びだしたのだ。
あまりの寒さのせいか、言葉になっていない。しかしその場にいる少女達は全員仰天として二人のことを見ていた。
以下略



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