過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
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415:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:20:49.06 ID:Z6fjuYRs0
それら全ての要素は。
ゼマルディはルケンが認識することも出来ない速さで動き、そして彼の腹をただ単純に『殴りつけた』という事実を示唆していた。
焦げは空気摩擦。地面の炸裂痕は、音速の衝撃波が発生したことによる破壊痕なのだ。
また一歩を踏み出そうとして、しかし怪物はその場に膝をついた。水蒸気は止まっていたが、体中から今度は、赤い血があふれ出す。噴水のように、霧状の血を流しながら……ゼマルディは裂けた口元からボダボダと涎を垂らしていた。
そのウロコが、一枚……また一枚、と段々剥がれていく。ウロコが生えていた部分の生身は、深い切り傷が開いて骨までが見えていた。血まみれになりながら、異形の怪物はしかし。
以下略



416:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:21:14.91 ID:Z6fjuYRs0
瞳から段々と光がなくなっていくルケンの前に立ち。
半分ほど生身に戻ったゼマルディは、血まみれの体中で彼を、覆いかぶさるように見つめた。
そしてまだ爪が残っていた左手を振りかぶる。

「や…………やめろ…………」
以下略



417:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:21:43.07 ID:Z6fjuYRs0
「ひきょう、だ…………ひきょうだ……」

「…………」

「こんなの…………ひきょう、だ…………」
以下略



418:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:22:13.06 ID:Z6fjuYRs0
「しにたく…………な………………」

「…………」

「いやだ………………いやだ…………」
以下略



419:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:22:40.39 ID:Z6fjuYRs0
ミキミキと鈍い嫌な音をさせながら、ゼマルディがルケンの胸に突き立った五本の爪を動かしていく。それらは少年の心臓を探し当てると、たちまち肉、皮と共に握りつぶさんばかりの力を発し。
その瞬間。
ゼマルディは横殴りに。
生身に戻っていた血まみれの側頭部を……風を切って飛来した鉄の塊に殴りつけられ。
もんどりうって何度か地面をバウンドしながら、数メートル先の道路を滑り。
以下略



420:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:23:55.62 ID:Z6fjuYRs0
お疲れ様でした。

次回に続かせていただきます。

毎回お付き合いいただいている方々に感謝いたします。


421:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/02/17(金) 00:44:18.50 ID:xdvs2eeVo



422:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:17:11.18 ID:JYEl3aKe0
こんにちは。

今日の更新で、黒い一族編は最後になります。

お話はまだまだ続きますので、お付き合いいただければ幸いです。
以下略



423:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:21:12.64 ID:JYEl3aKe0
13 カラン

 彼女の声が聞こえた。
ゼマルディはぼんやりと目を開けた。
朝の光が、瞳を打つ。
以下略



424:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:21:52.62 ID:JYEl3aKe0
――あぁ、ここは。

ここは、そういえば。

「ゼマルディもこっちに来てよ。凄いよ」
以下略



425:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:22:48.30 ID:JYEl3aKe0
靴を脱いで、小川に足をつける。
ひんやりとした冷たい水が体中に浸透したような感じだった。思わず肩をすくめ、苦笑いしてからカランに歩み寄る。
そこで妻は、足元の小石に躓いてぐらりと前のめりに倒れこんだ。慌ててそれを押さえようとして……もつれこみ、一緒に水の中に尻餅をつく。
膝に小さな彼女を乗せるような形で、ゼマルディはしばらく呆然としていた。少ししてカランが小さく噴き出し、そして水の中で硬直しているゼマルディの体に向き直り、そして抱きついてくる。
青年はしばらく戸惑っていたが、やがてそっと彼女の後頭部に手を当て、ゆっくりと撫でた。
以下略



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