5:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 16:11:26.39 ID:A45p+aH70
しかし……。
彼女が孕む温かさは、少し離れた場所にいる愛寡にもはっきり分かっていた。
自分達がいる緑と青、そして色とりどりの美しい空間。それを球形に囲む一キロほどの周りは、真っ白な……雪と氷に覆われた世界だった。
温かい。
本当に。
双子の男女。その間には、黒髪の小さな……十歳前後ほどの女の子が、相互に抱きかかえられるように眠っている。
幸せそうに涎を垂らしている。その、小さな女の子の手は、愛寡が膝枕している男性の腰に回されていた。
静かな……それでいて温和な時間が過ぎる。
過ぎていく。
愛寡が指先で、膝の男性の顔を撫でていると。
――ふと、彼が目を覚ました。
「ん……寝ちまったのか?」
そう言い、体を起こそうとした彼の額を指で押さえ、その白い指を口元に持っていく。子供を黙らせるように少しだけ息を吐いた愛寡を見上げ、そして彼は軽く笑って、脇の二人の女性を一瞥した。
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